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特表2024-505163機械部品を機械加工するためのアセンブリ、装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】機械部品を機械加工するためのアセンブリ、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/70 20060101AFI20240129BHJP
   B23Q 1/56 20060101ALI20240129BHJP
   B23B 35/00 20060101ALI20240129BHJP
   B23C 1/00 20060101ALI20240129BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
B23Q1/70
B23Q1/56 B
B23B35/00
B23C1/00
B23Q11/10 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542779
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 CN2021074684
(87)【国際公開番号】W WO2022160341
(87)【国際公開日】2022-08-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ティエン、イン
(72)【発明者】
【氏名】イン、シャオジョン
【テーマコード(参考)】
3C011
3C036
3C048
【Fターム(参考)】
3C011EE01
3C036KK00
3C048BC03
3C048DD10
(57)【要約】
アセンブリ(100)は、パラレルロボット(101)とサーボ主軸(102)を含む。パラレルロボット(101)は、機械加工される機械部品(33)の下方でプラットフォーム(300)に取り付けられ、1つまたは複数の軸を備える。サーボ主軸(102)は、パラレルロボット(101)に取り付けられ、機械加工工具(103)を回転駆動するように構成されている。パラレルロボット(101)は、サーボ主軸(102)を駆動して、1つ又は複数の軸に沿ってパラレルロボット(101)に対して平行移動させるように構成されている。機械加工工具は、機械部品の底部側で必要な形状及び特徴を切削することができる。このように、機械加工精度が要件を満たす状況において、より高い柔軟性と効率で機械部品を機械加工することができる。また、機械部品を機械加工するための装置及び方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械加工される機械部品(33)の下方でプラットフォーム(300)に取り付けられ、1つまたは複数の軸を備えるパラレルロボット(101)と、
前記パラレルロボット(101)に取り付けられ、機械加工工具(103)を回転駆動するように構成されたサーボ主軸(102)と、
を備え、
前記パラレルロボット(101)は、前記サーボ主軸(102)を駆動して、前記1つ又は複数の軸に沿って前記パラレルロボット(101)に対して平行移動させるように構成されている、
機械部品(33)を機械加工するためのアセンブリ(100)。
【請求項2】
前記パラレルロボット(101)は直交ロボットであり、前記直交ロボットは、前記サーボ主軸(102)を駆動して、互いに垂直な3つの軸に沿って前記パラレルロボット(101)に対して平行移動させるように構成されている、
請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項3】
前記サーボ主軸(102)によって保持され、前記サーボ主軸(102)の駆動により回転するように構成されている前記機械加工工具(103)をさらに備える、
請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項4】
前記機械加工工具(103)は、穴あけ工具又はフライス工具を備える、
請求項3に記載のアセンブリ(100)。
【請求項5】
機械加工される機械部品(33)を保持し、前記機械部品(33)の向きを調整するように構成された位置決め装置(34)と、
前記機械部品(33)の下方でプラットフォーム(300)に配置されて、前記機械部品(33)の底部側から前記機械部品(33)を機械加工する、請求項1~4のいずれか1項に記載のアセンブリ(100)と、
を備える、
機械部品(33)を機械加工するための装置(200)。
【請求項6】
前記機械加工工具(103)に潤滑剤を供給するように構成された潤滑装置(35)をさらに備える、
請求項5に記載の装置(200)。
【請求項7】
前記機械部品(33)の機械加工パラメータを設定するためのユーザ入力を受け付けるように構成されたヒューマンマシンインタフェース(HMI)をさらに備える、
請求項5に記載の装置(200)。
【請求項8】
機械部品(33)の機械加工パラメータを設定するためのユーザ入力を受け付けることと、
前記機械部品(33)の下方でプラットフォーム(300)に配置されたアセンブリ(100)が、前記機械加工パラメータに基づいて前記機械部品(33)を機械加工することと、
を含み、
前記アセンブリ(100)は、
1つ又は複数の軸を有するパラレルロボット(101)と、
前記パラレルロボット(101)に取り付けられたサーボ主軸(102)と、
前記サーボ主軸(102)によって保持され、前記サーボ主軸(102)の駆動により回転して前記機械部品(33)の機械加工を実施するように構成された機械加工工具(103)と、
を備え、
前記パラレルロボット(101)は、前記サーボ主軸(102)を駆動して、前記1つ又は複数の軸に沿って前記パラレルロボット(101)に対して平行移動させるように構成されている、
機械部品(33)を機械加工するための方法。
【請求項9】
前記機械加工パラメータは、前記機械部品(33)に形成する穴の位置、横方向の寸法及び深さと、前記機械加工工具(103)のリードとを備える、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アセンブリ(100)により、前記機械加工パラメータに基づいて前記機械部品(33)を機械加工することは、
前記機械加工パラメータに基づいて、前記アセンブリ(100)により、らせん状送り方式で前記機械部品(33)を機械加工することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記穴は、円形穴を含み、
前記穴の横方向の寸法は、前記円形穴の半径を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記穴は、ウエスト形状の穴を含み、
前記穴の横方向の寸法は、前記ウエスト形状の穴の長さ及び半径を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記パラレルロボット(101)は直交ロボットであり、前記直交ロボットは、前記サーボ主軸(102)を駆動して、互いに垂直な3つの軸に沿って前記パラレルロボット(101)に対して平行移動させるように構成されている、
請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記機械加工工具(103)は、穴あけ工具又はフライス工具を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記機械部品(33)は、前記機械部品(33)の向きを調整するように構成された位置決め装置(34)によって保持される、
請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的な実施形態は、全体として、機械部品の機械加工の分野に関し、より具体的には、機械部品を機械加工するためのアセンブリ、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フライス加工は、部品を機械加工する一般的な工程である。従来のフライス加工モードでは、コンピュータ数値制御(CNC)のフライス盤又はマシニングセンターを用いて機械部品を加工する。フライス加工の過程では、まず機械部品のブランク品をCNCのフライス盤又はマシニングセンターに固定する。その後、高速回転フライスカッターを用いて、ブランク品を必要な形状及び特徴に切削する。
【0003】
現在、最も一般的なフライス加工モードは、フライス加工のマシニングセンターを使用することである。フライス加工のマシニングセンターは高精度の機械加工を実現することができるが、同時に多くの欠点がある。第一に、フライス加工のマシニングセンターは、その動作範囲が限られているため、小型から中型のサイズの機械部品の加工にしか用いられることができず、例えばアルミワークなどの大型サイズの機械部品には用いられることができない。第二に、5軸を有するマシニングセンターを使用しない限り、複雑な曲面を有する機械部品を容易に加工することができないが、これは加工効率の低下を招く。第三に、比較的に大きなサイズの機械部品を加工するには、通常、大型のマシニングセンター、あるいは門形マシニングセンターが必要になるが、その結果、マシニングセンターのコストが相対的に高くなる。第四に、マシニングセンターが占める面積が大きいため、他の自動化装置と連携して自動化の生産ラインを実現することが困難である。第五に、マシニングセンターでは、さまざまな機械部品を加工するために、カスタマイズ又は専用の治具や工具が必要である。したがって、マシニングセンターの柔軟性は満足できるレベルではない。
【0004】
もうひとつの従来のフライス加工モデルは、産業用ロボット、例えば、6軸の多関節ロボットを用いて、機械部品の切削用のフライスカッターを保持するというものである。しかし、6軸の多関節ロボットには複数の関節が含まれるため、フライス加工中に6軸多関節ロボットの軸が移動又は回転すると、6軸多関節ロボットの剛性が低下する。この場合、6軸多関節ロボットによるフライス加工の精度に悪影響を及ぼす。
【0005】
そのため、機械部品のフライス加工のための、改良された解決手段が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の問題に鑑み、本開示の例示的な実施形態は、機械部品を機械加工するためのアセンブリ、装置及び方法を提供して、部品の機械加工の加工の難易度及びコストを低減し、部品の機械加工の加工効率、柔軟性及び剛性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様において、本開示の例示的な実施形態は、機械部品を機械加工するためのアセンブリを提供する。前記アセンブリは、機械加工される機械部品の下方でプラットフォームに取り付けられ、1つまたは複数の軸(axe)を備えるパラレルロボットと、前記パラレルロボットに取り付けられ、機械加工工具を回転駆動するように構成されたサーボ主軸と、を備える。前記パラレルロボットは、前記サーボ主軸を駆動して、前記1つ又は複数の軸に沿って前記パラレルロボットに対して平行移動させるように構成されている。これらの実施形態により、機械部品の機械加工中、パラレルロボットは、サーボ主軸を、機械部品の下方で1つ又は複数の軸に沿って平行移動するように駆動可能であることにより、機械加工工具が機械部品の底部側で必要な形状及び特徴を切削することができる。このように、機械加工の精度が要件を満たす状況において、より高い柔軟性と効率で機械部品を加工することができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、パラレルロボットは直交ロボットであり、サーボ主軸を駆動して、互いに垂直な3つの軸に沿ってパラレルロボットに対して平行移動させるように構成されている。これらの実施形態によれば、パラレルロボットは、機械部品の底部側で、必要な形状及び特徴を切削するために、サーボ主軸を3軸のうちの1つ又は複数の軸に沿って平行移動させるように駆動することができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記アセンブリは、サーボ主軸によって保持され、サーボ主軸の駆動により回転するように構成された機械加工工具をさらに備える。
【0010】
いくつかの実施形態において、機械加工工具は、穴あけ工具又はフライス工具を備える。これらの実施形態によれば、機械加工の精度が要件を満たす状況において、より高い柔軟性と効率で機械部品のフライス加工又は穴あけ加工をすることができる。
【0011】
第2の態様において、本開示の例示的な実施形態は、機械部品を機械加工するための装置を提供する。前記装置は、機械加工される前記機械部品を保持し、前記機械部品の向きを調整するように構成された位置決め装置と、本開示の第1の態様にかかるアセンブリと、を備える。前記アセンブリは、機械部品の下方でプラットフォームに設置されて、機械部品の底部側から機械部品を機械加工する。本発明の第2の態様にかかる装置は、本発明の第1の態様にかかるアセンブリと同様の利点を提供し得る。また、位置決め装置により、機械加工の過程で機械部品の向きを調整することができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記装置は、前記機械加工工具に潤滑剤を供給する潤滑装置をさらに備える。これらの実施形態により、潤滑装置によって供給される潤滑剤は、機械加工工具を摩耗から保護することができるだけでなく、機械加工工具の過熱も防止することができる。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記装置は、前記機械部品の機械加工パラメータを設定するためのユーザ入力を受け付けるように構成されたヒューマンマシンインタフェース(HMI)をさらに備える。
【0014】
第3の態様において、本開示の例示的な実施形態は、機械部品を機械加工するための方法を提供する。前記方法は、前記機械部品の機械加工パラメータを設定するためのユーザ入力を受け付けることと、前記機械部品の下方でプラットフォームに設置されたアセンブリが、前記機械加工パラメータに基づいて前記機械部品を機械加工することと、を備える。前記アセンブリは、1つ又は複数の軸を有するパラレルロボットと、前記パラレルロボットに取り付けられたサーボ主軸と、前記サーボ主軸によって保持され、前記サーボ主軸の駆動により回転して前記機械部品の機械加工を実施するように構成された機械加工工具と、を備え、前記パラレルロボットは、前記サーボ主軸を駆動して、前記1つ又は複数の軸に沿って前記パラレルロボットに対して平行移動させるように構成されている。これらの実施形態によれば、パラレルロボットと、機械加工工具に結合されたサーボ主軸とが、機械加工パラメータに基づいて機械部品を機械加工するために用いられる。この解決手段は革命的であり、マシニングセンターに取って代わるとともに、6軸の産業用ロボットの限界の問題を独自に完璧に解決している。
【0015】
いくつかの実施形態において、機械加工パラメータは、機械部品に形成する穴の位置、横方向の寸法及び深さと、機械加工工具のリードとを備える。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記アセンブリにより、前記機械加工パラメータに基づいて前記機械部品を機械加工することは、前記機械加工パラメータに基づいて、前記アセンブリにより、らせん状送り方式で前記機械部品を機械加工することを含む。これらの実施形態によれば、機械部品を精密かつ確実に機械加工することができる。
【0017】
いくつかの実施形態において、穴は、円形穴を含み、穴の横方向の寸法は、円形穴の半径を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、穴は、ウエスト形状の穴を含み、穴の横方向の寸法は、ウエスト形状の穴の長さ及び半径を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、パラレルロボットは直交ロボットであり、サーボ主軸を駆動して、互いに垂直な3つの軸に沿ってパラレルロボットに対して平行移動させるように構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態において、機械加工工具は、穴あけ工具又はフライス工具を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、機械部品は、機械部品の向きを調整するように構成された位置決め装置によって保持される。
【0022】
本明細書に記載された図面は、本開示をさらに説明するために提供され、本開示の一部を構成する。本開示の例示的な実施形態及びその説明は、本開示を説明するためのものであり、本開示を不当に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の実施形態にかかる、機械部品を機械加工するための装置の透視図を示す。
図2】本開示の実施形態にかかる、機械部品を固定するための位置決め装置の模式図を示す。
図3】本開示の実施形態にかかる、機械部品を機械加工するための装置のブロック図を示す。
図4】本開示の実施形態にかかる、機械部品を機械加工するための方法を示す。
図5A】機械部品に形成される円形穴の模式図を示す。
図5B図5Aに示す円形穴の例示的な機械加工経路を示す。
図6A】機械部品に形成されるウエスト形状の穴(waist-shaped hole)の模式図を示す。
図6B図6Aに示すウエスト形状の例示的な機械加工経路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
全ての図において、同一又は類似の図面符号は、同一又は類似の部材を示すために用いられる。
【0025】
次に、図面に示されたいくつかの例示的実施形態を参照して、本開示の原理を説明する。図面には本開示の例示的な実施形態が示されているが、理解すべき点として、これらの実施形態は、当業者がより適切に理解することで本開示を実現しやすくするためのものにすぎず、本開示の範囲をいかなる形でも限定するものではない。
【0026】
用語の「備える」又は「含む」及びその変形は、「…を含むが、これらに限定されない」という意味の、開放式の用語であると解釈されるべきである。用語「又は」は、文脈で明確に示される場合を除き、「及び/又は」と解釈されるべきである。用語「…に基づいて」は、「少なくとも部分的に基づく」と理解されるべきである。用語「操作可能」とは、ユーザ又は外部機構による操作によって実現可能な機能、動作、動き、又は状態を指す。用語「1つの実施形態」及び「一実施形態」は、「少なくとも1つの実施形態」と理解されるべきである。用語「他の実施形態」は、「少なくとも1つの他の実施形態」と理解されるべきである。用語「第1」、「第2」等は、異なるか又は同一の対象を指してもよい。以下の文中では、その他の明確な定義及び暗黙の定義が含まれ得る。用語の定義は、文脈で明確に示される場合を除き、本明細書全体を通じて一貫している。
【0027】
本開示の実施形態では、マシニングセンターの典型的な欠点と、6軸の産業用ロボットを独立して用いた場合の限界を打破するために、機械部品を機械加工するためのアセンブリ、装置及び方法を提供して、部品の機械加工の加工の難易度及びコストを低減し、部品の機械加工の加工効率、柔軟性及び剛性を向上させる。以下の段落で詳しく説明するように、上述の思想は、さまざまな方法で実施してもよい。
【0028】
以下では、図1乃至図6Bを参照して、本開示の原理を詳細に説明する。
【0029】
まず、図1図2を参照する。図1は、本開示の実施形態にかかる、機械部品を機械加工するための装置の透視図を示す。図2は、本開示の実施形態にかかる、機械部品を固定するための位置決め装置の模式図を示す。図1図2に示すように、本明細書で説明する装置200は、通常、位置決め装置34と、機械部品33を機械加工するためのアセンブリ100とを含む。アセンブリ100は、機械部品33の下方のプラットフォーム300に設置される。
【0030】
いくつかの実施形態において、図1図2に示すように、アセンブリ100は、パラレルロボット101、サーボ主軸102、及び機械加工工具103を含む。パラレルロボット101はプラットフォーム300に取り付けられている。パラレルロボット101は、1つ又は複数の軸に沿った平行移動を提供しやすいように、1つ又は複数の軸を含む。サーボ主軸102は、パラレルロボット101に取り付けられ、パラレルロボット101によって駆動可能であることで、パラレルロボット101に対して(すなわち、プラットフォーム300に対して)1つ又は軸に沿って平行移動する。機械加工工具103は、サーボ主軸102によって保持され、サーボ主軸102の駆動により回転することができる。
【0031】
本発明の実施形態によれば、機械部品33の機械加工中、パラレルロボット101は、サーボ主軸102を、位置決め装置34によって保持された機械部品33の下方で1つ又は複数の軸に沿って平行移動するように駆動することができる。また、機械加工工具103は、サーボ主軸102によって駆動されて、機械部品33の底部側で必要な形状及び特徴を切削することができる。このようにして、機械部品33をより柔軟かつ効率的に加工することができる。
【0032】
また、装置200を用いて円形穴やウエスト形状の穴を機械加工することで、異なる適用要件や、複雑な適用要件も満たすことができる。
【0033】
また、機械加工工具103に結合されたサーボ主軸102を、パラレルロボット101を用いて駆動するため、装置200は、フライス加工や穴あけ等、複雑な曲面又は異なる厚さを有する機械部品33の加工に適している。機械加工の過程で、機械部品33の機械加工パラメータを自動で制御・調整することができるため、機械加工プロセスの柔軟性が増す。
【0034】
また、装置200は、従来の機械部品の機械加工プロセスでは装置のカスタマイズが複雑でコストが高いという問題を解決する。したがって、適用性、汎用性、及び経済性がより高く、操作の難易度とコストが大幅に低減される。
【0035】
さらに、装置200の機械加工の精度は、要件を満たし得る。例えば、装置200を用いて機械部品33に円形穴又はウエスト形状の穴をあける場合、機械加工精度は約-0.05mm~+0.05mmである。
【0036】
いくつかの実施形態において、図1に示すように、パラレルロボット101は直交ロボットであり、サーボ主軸102を駆動して、互いに垂直な3つの軸に沿ってパラレルロボット101に対して平行移動させるように構成されている。これらの実施形態によれば、パラレルロボット101は、機械部品33の底部側で、例えば円形穴又はウエスト形状の穴等の必要な形状及び特徴を切削するために、3軸のうちの1つ又は複数の軸に沿って平行移動するようにサーボ主軸102を駆動することができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、パラレルロボット101は、単軸ロボットであり、サーボ主軸102を駆動して、パラレルロボット101に対して所定の軸線Zに沿って平行移動させるように構成されている。これらの実施形態によれば、パラレルロボット101は、機械部品33に、例えば円形穴又はねじ穴等の必要な形状及び特徴を切削するために、所定の軸線Zに沿って平行移動するようにサーボ主軸102を駆動することができる。
【0038】
1つの実施形態において、パラレルロボット101は、例えば単軸リニアロボット又は3軸リニアロボット等の専用のリニアロボット(linear robot)であってもよい。別の実施形態では、従来のサーボ位置決め装置を変更することによって(例えば、サーボ位置決め装置の制御プログラムを特別に設計することによって)、パラレルロボット101を得てもよい。本開示の範囲がこれに限定されることは意図していない。
【0039】
本発明の実施形態によれば、装置200は、機械部品33に様々な形状及び特徴の機械加工を行うために用いられることができる。円形穴とウエスト形状の穴は、機械加工する形状及び特徴の例示に過ぎず、本開示の範囲に対するいかなる限定も示唆するものではない。他の実施形態では、装置200は、他の穴又は表面の穴あけ加工又はフライス加工に用いられることができる。
【0040】
本開示の実施形態によれば、プラットフォーム300は、専用のワークテーブル、ブラケット、あるいは地面であってもよい。
【0041】
理解すべき点として、直交ロボット及び単軸ロボットはパラレルロボット101の例示的な実施形態に過ぎず、本開示の範囲に対するいかなる限定も示唆するものではない。他の実施形態では、パラレルロボット101は、例えば、互いに直交する2つの軸を含む他のタイプのものであってもよい。
【0042】
本開示の実施形態によれば、サーボ主軸102は、機械部品33の底部側で必要な形状及び特徴を切削するために、機械加工工具103を高速で回転するように駆動することができる。サーボ主軸102は、従来の、又は将来的に利用可能な様々な構造であってもよい。本開示の範囲がこれに限定されることは意図していない。
【0043】
1つの実施形態において、機械加工工具103は、機械部品33をフライス加工するために、フライス工具を含む。別の実施形態では、機械加工工具103は、機械部品33に穴あけ加工をするために、穴あけ工具を含む。理解すべき点として、フライス工具及び穴あけ工具は、機械加工工具103の例示的な実施態様にすぎず、本開示の範囲に対するいかなる限定も示唆するものではない。他の実施形態では、機械加工工具103は他のタイプであってもよい。
【0044】
理解すべき点として、いくつかの実施形態において、アセンブリ100は別に製造又は販売され、機械部品33に機械加工プロセスを行う必要があるときに、プラットフォーム300に取り付けられてもよい。また、理解すべき点として、機械加工工具103は、アセンブリ100の製造時又は販売時には、ユーザが実際の機械加工のニーズに応じて、対応する機械加工工具103を、アセンブリ100ではなく、サーボ主軸102に取り付けてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、図1図2に示すように、位置決め装置34は、機械部品33の両側から機械部品33を挟持してもよい。理解すべき点として、他の実施形態では、位置決め装置34は機械部品33を他の方法で支持してもよい。本開示の範囲がこれに限定されることは意図していない。
【0046】
位置決め装置34は、機械加工の過程で機械部品33の向きを調整することができる。例えば、いくつかの実施形態において、機械部品33の機械加工が完了すると、位置決め装置34は、機械部品33を回転させて、機械部品33の別の側を機械加工工具103に加工させることができる。理解すべき点として、いくつかの実施形態において、機械部品33の底部側がアセンブリ100によって機械加工される際に、機械部品33の底部側と反対の上側が、同時に多関節ロボットによって機械加工されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態において、図1に示すように、装置200は、他の位置で機械部品33を加工するために、アセンブリ100の他に、アセンブリ100と同じ構造を有する1つ又は複数の追加のアセンブリ100aをさらに含んでもよい。
【0048】
図3は、本開示の実施形態にかかる、機械部品を機械加工するための装置のブロック図を示す。図3に示すように、図1図2を参照して説明した位置決め装置34及びアセンブリ100の他に、装置200は、いくつかの他の装置/部材をさらに含んでもよい。これらについては以下で詳細に説明する。
【0049】
いくつかの実施形態において、図3に示すように、装置200は、機械加工工具103に潤滑剤を供給する潤滑装置35をさらに含む。例えば、潤滑装置35は、最小量潤滑(MQL:minimal quantity lubrication)装置を含んでもよい。機械部品33の機械加工の過程では、潤滑剤を機械加工工具103に噴射することができる。これらの実施形態において、潤滑装置35によって供給される潤滑剤は、機械加工工具103を摩耗から保護することができるだけでなく、機械加工工具103の過熱も防止することができる。また、潤滑剤を供給することで、機械部品33の機械加工速度を上げることができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、図3に示すように、装置200は、パラレルロボット101と通信するロボットコントローラ31をさらに含む。パラレルロボット101の軸の動きは、ロボットコントローラ31によって制御される。例えば、ロボットコントローラ31は、パラレルロボット101の軸の移動速度及び位置を制御することができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、図3に示すように、装置200は、ロボットコントローラ31と通信するプログラマブルロジックコントローラ(PLC)32をさらに含む。機械加工の過程全体がPLC32によって制御される。具体的には、パラレルロボット101、サーボ主軸102、潤滑装置35、及びその他の電気又は電子機器の操作は、PLC32によって制御される。
【0052】
いくつかの実施形態において、装置200はヒューマンマシンインタフェース(HMI)をさらに含む。当該ヒューマンマシンインタフェースは、機械部品33の機械加工パラメータを設定するためのユーザ入力を受け付け、例えば装置200の各部材のリアルタイム監視等の1つ又は複数の追加機能を実現するように構成されている。HMIにより、機械部品33の機械加工パラメータを容易に設定することができる。また、HMIは、リアルタイム監視、警告、及びその他の機能を実現するための可視化された人間本位のウィンドウをユーザに提供する。
【0053】
図4は、本開示の実施形態にかかる、機械部品を機械加工するための方法を示す。方法400は、図1乃至図3を参照して上述した装置200によって実施することができる。
【0054】
図4に示すように、401において、機械部品33の機械加工パラメータを設定するためのユーザ入力を受け付ける。いくつかの実施形態において、ユーザ入力は、装置200のHMIにより受け付けられてもよい。HMIは操作と理解が容易である。HMIにより、機械部品33の機械加工パラメータを容易に設定することができる。
【0055】
402において、プラットフォーム300に配置されたアセンブリ100が、機械加工パラメータに基づいて機械部品33を機械加工する。アセンブリ100は、1つ又は複数の軸を有するパラレルロボット101と、パラレルロボット101に取り付けられたサーボ主軸102と、サーボ主軸102によって保持され、サーボ主軸102の駆動により回転して機械部品33の機械加工を実施するように構成された機械加工工具103と、を備える。パラレルロボット101は、サーボ主軸102を駆動して、1つ又は複数の軸に沿ってパラレルロボット101に対して平行移動させるように構成されている。
【0056】
いくつかの実施形態において、方法400は、機械部品33の穴あけのために用いられることができる。この場合、機械部品33の機械加工パラメータは、機械部品33に形成する穴の位置、横方向の寸法及び深さと、機械加工工具103のリードとを備える。機械部品33の機械加工パラメータを設定することで、機械部品33に、異なるサイズや異なる位置の穴を容易に機械加工することができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、穴は、図5Aに示すような円形穴500であってもよい。いくつかの実施形態では、穴は、図6Aに示すようなウエスト形状の穴600であってもよい。理解すべき点として、他の実施形態では、方法400を、機械部品33での他のタイプの穴又は表面の穴あけ加工又はフライス加工に応用してもよい。
【0058】
穴が、図5Aに示す円形穴500である場合、穴の横方向の寸法は、円形穴500の半径Rを含む。穴が、図6Aに示すウエスト形状の穴600である場合、穴の横方向の寸法は、ウエスト形状の穴600の中心部分の長さLと、ウエスト形状の穴600の端部の半径Rとを含む。
【0059】
図5Bは、図5Aに示す円形穴の例示的な機械加工経路を示す。図6Bは、図6Aに示すウエスト形状の穴の例示的な機械加工経路を示す。いくつかの実施形態において、図5B図6Bに示すように、円形穴500とウエスト形状の穴600は、らせん状送り(spiral feeding)方式で機械加工することができる。これらの実施形態により、機械部品33を精密かつ確実に機械加工することができる。
【0060】
いくつかの実施形態において、パラレルロボット101は直交ロボットであり、サーボ主軸102を駆動して、互いに垂直な3つの軸に沿ってパラレルロボット101に対して平行移動させるように構成されている。
【0061】
いくつかの実施形態において、機械加工工具103は、穴あけ工具又はフライス工具を備える。
【0062】
いくつかの実施形態において、機械部品33は、機械部品33の向きを調整するように構成された位置決め装置34によって保持される。
【0063】
理解すべき点として、本開示の上述した詳細な実施形態は、本開示の原理を例示又は説明するためのみに用いられ、本開示を限定するものではない。したがって、本開示の精神及び範囲から逸脱しない状況でのいかなる変更、均等置換、改良等も、本開示の保護範囲に含まれるものとする。また、本開示の添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲及び限界、又は範囲及び限界の均等物の中に収まる全ての変形及び変更を網羅することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】