(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】二酸化炭素に富む流れを蒸留によって分離して液体二酸化炭素を生成する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
F25J 3/02 20060101AFI20240129BHJP
F25J 5/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
F25J3/02 Z
F25J5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542817
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2022051845
(87)【国際公開番号】W WO2022162041
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】トラン,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】レクレール, マティー
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA07
4D047AB00
4D047BA03
4D047CA03
4D047CA16
4D047DA04
4D047DA17
4D047EA00
(57)【要約】
【解決手段】 二酸化炭素を含有する流れ(1)を蒸留によって分離するための装置であって、熱交換手段(E)と、蒸留塔(K)と、熱交換手段内において、第一の中間温度まで冷却されて、第一の温度及び第一の圧力の液体流を形成するように流れを送るための手段と、第一の部分及び第二の部分(7、9)を形成するように液体流を分割するための手段と、第一の部分を蒸留塔の圧力まで膨張させるための手段と、第一の膨張された部分を蒸留塔の中間レベルに送るための手段と、第二の部分を冷却後に熱交換手段の低温端から取り出すための手段と、第二の冷却された部分を蒸留塔の圧力まで膨張させるための手段と、第二の部分を蒸留塔に送るための手段と、液体流を塔の槽から抽出するための手段とを含む装置。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも95mol%の二酸化炭素及びまた二酸化炭素より軽い少なくとも1種の不純物を含有する流れを蒸留によって分離するプロセスであって、
i.前記流れ(1)は、熱交換手段(E)内において、前記熱交換手段の低温端の温度より高く、且つ前記熱交換手段の高温端の温度より低い、前記熱交換手段の第一の中間温度まで冷却されて、前記第一の中間温度まで冷却された第一の圧力の液体流を形成し、及び前記冷却された液体流は、少なくとも2つに分割されて、第一の液体部分(7)及び第二の液体部分(9)を形成し、
ii.液体形態の前記第一の部分は、前記第一の圧力より低い、第二の圧力と呼ばれる蒸留塔(K)の圧力まで膨張され、及び前記第一の部分は、前記蒸留塔の中間レベルに送られ、
iii.前記第二の部分は、前記熱交換手段内において、前記熱交換手段の前記低温端まで過冷却され、前記第二の部分は、液体形態で前記蒸留塔の前記圧力まで膨張され、及び前記第二の部分は、前記第一の部分の到達点より高い前記蒸留塔のレベルに送られ、及び
iv.少なくとも99mol%の二酸化炭素を含有する流体流(13)は、液体生成物(17、21)として前記塔の塔底から引き出される、プロセス。
【請求項2】
前記蒸留塔(K)からの塔頂ガス(11)の少なくとも一部は、前記塔から引き出され、且つ前記熱交換手段(E)内で加熱される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記流れは、前記熱交換手段(E)の外側で前記第一及び第二の部分(7、9)を形成するように分割され、及び前記第二の部分は、それを冷却するために前記熱交換手段に送り返される前に、弁(30)内において、前記第一の圧力と前記蒸留塔の前記圧力との間の第三の中間圧力まで膨張される、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第二の部分(9)は、前記第一の温度より高い第二の温度で前記熱交換手段(E)に戻される、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記塔(K)からの前記塔底液体の少なくとも一部(15)は、前記熱交換手段(E)内において、前記分離される流れに対して加熱され、且つ前記塔の前記塔底に気体形態で戻される、請求項1~4の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記塔底液体の前記一部(15)は、前記第一の中間温度及び任意選択的に前記第二の温度より高い第三の温度で前記熱交換手段(E)に送られる、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記塔(K)は、2つの区間、前記第一及び第二の部分の到達間の第一の区間と、前記第一の部分の到達より低い第二の区間とを含み、前記第一の区間は、前記第二の区間の直径以下の直径を有する、請求項1~6の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第一及び第二の部分(7、9)の前記流れ間の比は、前記分離される流れの二酸化炭素純度に応じて変動し得る、請求項1~7の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第一の圧力は、前記塔(K)の前記圧力より少なくとも1バール、実際にはさらに少なくとも10バール、好ましくは少なくとも20バール又は少なくとも30バールだけ高い、請求項1~8の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
少なくとも95mol%の二酸化炭素及びまた二酸化炭素より軽い少なくとも1種の不純物を含有する流れを蒸留によって分離するための装置であって、熱交換手段(E)と、蒸留塔(K)と、前記熱交換手段(E)内において、前記熱交換手段の低温端の温度より高く、且つ前記熱交換手段の高温端の温度より低い第一の中間温度まで冷却されて、前記第一の中間温度及び第一の圧力の液体流を形成するように前記流れを送るための手段と、前記液体流を少なくとも2つに分割して、第一の液体部分(7)及び第二の液体部分(9)を形成するための手段と、前記第一の液体部分を、前記第一の圧力より低い、第二の圧力と呼ばれる前記蒸留塔の圧力まで膨張させるための手段(40)と、前記膨張された第一の部分を前記蒸留塔の中間レベルに送るための手段と、前記第二の液体部分を過冷却後に前記熱交換手段の前記低温端から排出するための手段と、前記過冷却された第二の部分を前記蒸留塔の前記圧力まで膨張させるための手段(50)と、前記膨張された第二の部分を、前記中間レベルより高いレベルにおいて前記蒸留塔から送るための手段と、前記塔の塔底から、少なくとも99mol%の二酸化炭素を含有する液体流を液体生成物として引き出すための手段とを含む装置。
【請求項11】
前記熱交換手段(E)は、プレートフィン型熱交換器である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記分離される流れ(5、9)との熱交換によって加熱されるように前記塔底液体の一部(21)を前記塔から前記熱交換手段(E)に送るための手段を含む、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
いかなる膨張タービンも含まない、請求項10~12の何れか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記分離される流れ又は前記分離される流れの一部によって加熱される塔底リボイラを含まない、請求項10~13の何れか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記塔(C)の上流に接続されたいかなる分相手段も含まない、請求項10~14の何れか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素に富む流れを蒸留によって分離して気体及び/又は液体二酸化炭素を生成するプロセス及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素に富む流れの圧縮及び精製について通常論じられる、蒸留塔を含むプロセスでは、塔頂からの流体が部分的に凝縮され、その後、分相器に向けられる。液体は、凝縮器が塔より上に設置されている場合、塔内に重力によって還流として導入されるか、又は反対の場合にはポンプを用いて注入されるかの何れかである。場合により、塔頂からのストリームの全部又は一部は、再循環され、次に蒸留塔の上流で圧縮されて、その後、その軽量の化合物について精製される。これらの発明では、マルチストリーム熱交換器内において、過冷却された供給ストリームを用いて蒸留塔の還流を形成し、その効率を改善することに関する問題は、全く扱われていない。
【0003】
Pichotらによる“Start-up of Port-Jerome CRYOCAP(商標)plant”,Energy Procediaは、二酸化炭素及び酸素の分離プロセスを示しており、供給流体が塔底での再沸騰に使用される。供給流体は、したがって、全体的に凝縮され、塔頂に送られる。
【0004】
例えば、食品用途を意図される、CO2に富み(>95mol%)、残りについて主に不純物(例えば、O2、N2、CO)で構成されるCO2の液化及び分離のための本発明によるプロセスでは、加圧されたCO2が液化され、その後、2つのストリームに分離され、一方は、分離塔に向かって案内され、その目的は、塔底においてCO2濃度の高い(>99mol%、実際にはさらに>99.8mol%)液体生成物を得ることである。主ストリームの第一の部分は、塔の中間レベルに送られる。主ストリームの第二の部分は、主熱交換器内で過冷却され、この同じ分離塔のための還流としての役割を果たし、それにより塔頂での損失を制限し、したがってプロセスの全体的収量を増大させるためにできるだけ低温の還流の利益を得る。これらの2つのストリームは、したがって、供給、場合により主供給及び塔への還流となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、CO2に富むCO2、例えば供給CO2の液化及び分離のプロセスに関する。分離塔の使用は、最終的な生成物のCO2濃度が高くなければならない(>99mol%)場合に必要である。本発明の目的は、塔頂でのCO2の損失を、液化装置の主熱交換器内に統合される還流を追加して、機器の品目総数を減らすことによって最小化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるプロセスにおいて、少なくとも95mol%の二酸化炭素を含有する供給流は、少なくとも1種の他の不純物、例えば酸素、窒素、アルゴン又は一酸化炭素も含有する。
【0007】
本発明は、塔より高圧で液化される供給流の一部が蒸留塔の還流として使用されるようにする。このストリームは、熱交換手段でCO2の三重点に近い最低温度まで過冷却され、その後、塔の圧力まで膨張される。
【0008】
この方式の利点は、以下の通りである。
【0009】
・一方では、還流ストリームから生じるこの低温レベルの寄与により、プロセスの収量を増大させるのと同時に、再沸騰流によって実現される不純物の良好な分離を保持することが可能となる。そのため、塔頂から引き出されるガス中のCO2の部分流が少なくなり、したがって、生成物を表す塔底のストリームは、CO2の濃度がより高く、それによりプロセス全体の収量がより多くなる。プロセスで最も低いこの温度の低温の寄与は、還流によってのみ限定される。
・他方では、このエネルギ統合により、塔頂凝縮器、部分的に凝縮された塔頂ガスの分離装置及びポンプの設置が回避される。この構成は、したがって、システムの水力学に関係する設置の制約がほとんどないという利点を示す。加えて、供給ストリームからこのように引き出される還流には、依然として軽量生成物がそれほど含まれず、したがってそれにより再沸騰の要求を限定することが可能となり、したがってプロセスのエネルギ効率が改善される。
【0010】
本発明の代替的な形態は、供給ストリームを、主熱交換器の出口において最初に第一の弁で、その後、主交換器での過冷却後に第二の弁で膨張させるようにする。このシステムにより、膨張から得られる還流の温度を最低にすることができる。これは、二酸化炭素の膨張を液化装置の条件下での温度上昇によって実現できるためである。最後の圧力低下(膨張前の-52℃の温度を考慮)を低減することにより、この上昇を最小にして、したがってできるだけ低温の還流を得ることが可能となり、その目的は、塔頂でのCO2の損失を限定することである。米国特許出願公開第2008/0196584号明細書は、最終生成物として液体を生成しない、少なくとも95mol%の二酸化炭素を含有する流れの分離プロセスを記載している。分離される流れは、熱交換器の上流で分離され、流れの一方は、蒸留塔の塔底再沸器内で部分的に凝縮され、そこで流れが分離される。
【0011】
本発明の主題によれば、少なくとも95mol%の二酸化炭素及びまた二酸化炭素より軽い少なくとも1種の不純物を含有する流れを分離するプロセスが提供される。
【0012】
i.流れは、熱交換手段内において、熱交換手段の低温端の温度より高く、且つ熱交換手段の高温端の温度より低い、熱交換手段の第一の中間温度まで冷却されて、第一の中間温度まで冷却された第一の圧力の液体流を形成し、及び冷却された液体流は、少なくとも2つに分割されて、第一の液体部分及び第二の液体部分を形成し、
ii.液体形態の第一の部分は、第一の圧力より低い、第二の圧力と呼ばれる蒸留塔(K)の圧力まで膨張され、及び第一の部分は、蒸留塔の中間レベルに送られ、
iii.第二の部分は、熱交換手段内において、熱交換手段の低温端まで過冷却され、第二の部分は、液体形態で蒸留塔の圧力まで膨張され、及び第二の部分は、第一の部分の到達点より高い蒸留塔のレベルに送られ、及び
iv.少なくとも99mol%の二酸化炭素を含有する流体流は、液体生成物として塔底から引き出される。
【0013】
他の任意選択的な態様によれば、以下の通りである。
【0014】
・液体生成物の少なくとも一部は、熱交換手段内で気化されるように送られ、
・蒸留塔からの塔頂ガスは、熱交換手段内で加熱され、
・蒸留塔からの全ての塔頂ガスは、塔から引き出され、且つ熱交換手段内で加熱され、
・流れは、熱交換手段の外側で第一及び第二の部分を形成するように分割され、及び第二の部分は、それを冷却するために熱交換手段に送り返される前に、弁内において、第一の圧力と蒸留塔の圧力との間の第三の中間圧力まで膨張され、
・第二の部分は、第一の温度より高い第二の温度で熱交換手段に戻され、
・流れは、熱交換手段内で第一及び第二の部分を形成するように分割され、
・塔からの塔底液体の少なくとも一部は、熱交換手段内において、分離される流れに対して加熱され、且つ塔の塔底に気体形態で戻され、
・塔底液体の一部は、第一の中間温度及び任意選択的に第二の温度より高い第三の温度で熱交換手段に送られ、
・塔は、2つの区間、第一及び第二の部分の到達間の第一の区間と、第一の部分の到達より低い第二の区間とを含み、第一の区間は、第二の区間の直径以下の直径を有し、
・第一及び第二の部分の流れ間の比は、分離される流れの二酸化炭素純度に応じて変動し得、
・第一の圧力は、塔の圧力より少なくとも1バール、実際にはさらに少なくとも10バール、好ましくは少なくとも20バール又は少なくとも30バールだけ高く、
・塔からの塔底液体の一部は、第一の圧力より低い圧力で気化される。
【0015】
本発明の他の主題によれば、少なくとも95mol%の二酸化炭素及びまた二酸化炭素より軽い少なくとも1種の不純物を含有する流れを蒸留によって分離するための装置であって、熱交換手段と、蒸留塔と、熱交換手段内において、熱交換手段の低温端の温度より高く、且つ熱交換手段の高温端の温度より低い第一の中間温度まで冷却されて、第一の中間温度及び第一の圧力の液体流を形成するように流れを送るための手段と、液体流を少なくとも2つに分割して、第一の液体部分及び第二の液体部分を形成するための手段と、第一の液体部分を、第一の圧力より低い、第二の圧力と呼ばれる蒸留塔の圧力まで膨張させるための手段と、膨張された第一の部分を蒸留塔の中間レベルに送るための手段と、第二の液体部分を過冷却後に熱交換手段の低温端から排出するための手段と、過冷却された第二の部分を蒸留塔の圧力まで膨張させるための手段(50)と、膨張された第二の部分を、中間レベルより高いレベルにおいて蒸留塔から送るための手段と、塔の塔底から、少なくとも99mol%の二酸化炭素を含有する液体流を液体生成物として引き出すための手段とを含む装置が提供される。
【0016】
他の任意選択的な態様によれば、以下のようになされる。
【0017】
・熱交換手段は、プレートフィン型熱交換器である。
【0018】
・装置は、分離される流れとの熱交換によって加熱されるように塔底液体の一部を塔から熱交換手段に送るための手段を含み、
・装置は、分離される流れとの熱交換によって加熱されるように塔底液体の一部のみを塔から熱交換手段に送るための手段を含み、
・装置は、いかなる膨張タービンも含まず、
・装置は、分離される流れ又は分離される流れの一部によって加熱される塔底リボイラを含まず、
・装置は、塔の上流に接続されたいかなる分相手段も含まず、
・液体生成物の少なくとも一部を熱交換手段内で気化されるように送るための手段、
・蒸留塔からの塔頂ガスを熱交換手段中で加熱されるように送るための手段。
【0019】
図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1において、少なくとも95mol%の二酸化炭素を含有する流れ1は、少なくとも1種の他の不純物、例えば酸素、窒素、アルゴン又は一酸化炭素も含有する。第一の圧力の流れ1は、圧縮器C2内において、蒸留塔Kの圧力より高い第一の圧力まで圧縮されて、第一の圧力の圧縮流5を形成する。
【0022】
第一の圧力は、蒸留塔Kの圧力より少なくとも1バール、好ましくは蒸留塔Kの圧力より少なくとも10バール、実際にはさらに少なくとも20、30又は40バールだけ高い。例えば、第一の圧力は、少なくとも50バールであり得る。
【0023】
圧縮流5は、間接熱交換を行う熱交換手段E内で冷却され、第一の圧力の冷却及び液化された流れ2を形成する。冷却及び液化された流れは、熱交換手段内で2つの部分7及び9に分割される。部分7は、熱交換手段Eから、熱交換手段Eの中間温度T1において、分割地点の上流で膨張されずに出る。
【0024】
熱交換手段Eは、図に示されているように、1つの熱交換機で構成され得ることが理解されるであろう。これは、複数の熱交換器でも構成され得る。この場合、流れ7は、1つの熱交換器の中間レベルで引き出されず、熱交換手段を形成する熱交換器の1つの低温端で引き出される。
【0025】
2つの部分7及び9は、蒸留塔の圧力より少なくとも1バール、実際にはさらに少なくとも10バール、好ましくは少なくとも20バール又は少なくとも30バールだけ高い第一の圧力である。好ましくは、熱交換器Eは、プレートフィン型熱交換器である。
【0026】
第二の部分9は、熱交換器Eの低温端までその冷却が継続され、主熱交換手段内でCO2の三重点に近い最低温度まで過冷却される。その後、これは、弁50内で蒸留塔Kの圧力まで膨張され、液体流として第一の部分7の到達点より高い蒸留塔Kの塔頂に送られる。塔は、単一塔であり、塔頂凝縮器を有しない。これは、構造化されたプレート又はパッキングを含み、第一の圧力より低い第二の圧力で動作する。これは、第一の直径を有する第一の区間と、第一の区間より上の、第一の直径より小さい直径を有する第二の区間を含む。
【0027】
第一の部分7は、弁50内で第一の圧力から塔Kの圧力まで膨張した後、塔Kに例えば第一及び第二の区間間の中間レベルで送られる。
【0028】
塔Kからの塔底液体13は、少なくとも99mol%の二酸化炭素を含有し、3つの部分に分割される。部分19は、二酸化炭素に富む液体生成物となる。部分21は、弁80内で膨張されて、分相器90内で分割される2相流を形成する。気体部分23は、熱交換器内で加熱され、圧縮器C1に送られる。液体部分25は、熱交換手段E内の低温端から高温端まで気化され、加熱される。これは、幾つかの部分に分割され得、これらは、異なる圧力に膨張され、熱交換手段Eの低温端で導入され、異なる圧力で気化され、それにより熱交換が最適化される。高温端の下流では、形成されたガスは、圧縮器C1内で圧縮され、ガス1と結合してガス3を形成する。気化圧力は、第一の圧力、すなわち流れ5の圧力より低い。
【0029】
圧縮器C1及びC2は、同じ圧縮器のステージであり得ることを理解されたい。
【0030】
流れ21が気化される圧力に応じて、圧縮器C1を排除することができ、流れ21を気化させることによって形成されたガスを圧縮器C2の入口に送ることができる。
【0031】
流れ21の気化圧力は、処理対象の流れ1の圧力より高いか、それと等しいか又はそれより低くてもよい。したがって、例えば、流れ1は、少なくとも第一の圧縮器(又は圧縮ステージ)で圧縮して、より高圧での気化された流れ21と結合させることができる。任意選択的に、混合された2つの流れを一緒に圧縮して流れ2を形成することできる。
【0032】
塔底液体の部分15は、熱交換手段Eの高温端で第三の温度T3>T2>T1から加熱され、弁内で膨張されて塔底に気体形態で戻され、塔Kに供給される。
【0033】
塔内に導入された流体7、9及び15は、蒸留に関与し、分離されて、二酸化炭素に富む生成物19を形成する。
【0034】
塔底液体及び/又は気化された液体の一部は、少なくとも99%、実際にはさらに少なくとも99.8%の二酸化炭素を含有する、プロセスの生成物となり得る。
【0035】
塔からの塔頂ガス11は、二酸化炭素より軽い少なくとも1種の不純物、例えば酸素、窒素及びアルゴンを含有する。これは、例えば、熱交換手段E内で加熱されるが、必ずしも加熱されなくてよい。
【0036】
同様に、蒸留から得られる液体の何れも、必ずしも熱交換手段内で加熱されなくてよい。
【0037】
分離されるガスを冷却するための低温は、冷却サイクル及び/又は外部の供給源、例えば低温液体の到来からの低温の寄与によって提供され得る。
【0038】
蒸留塔Kの塔頂凝縮器がないこと、塔頂ガスのための分離装置がないこと及びこの方式が場合により生成物ポンプ以外にポンプを含まないことに留意されたい。
【0039】
蒸留塔Kは、少なくとも10バール、好ましくは10~16バールで動作する。
【0040】
図2に示される代替的な形態において、供給ガス5の各部分は、熱交換器Eから中間温度の流れ5が出た後に分離され得る。第一の部分7は、前述のように、弁40内で膨張され、塔Kの中間レベルに送られる。第二の部分9は、1回目に主熱交換器Eの出口において弁30で中間圧力まで膨張される(例えば、第一の圧力が55バールである場合、55バールから31バール)。その後、これは、弁30での膨張によって流れの温度が高くなっているため、より高い温度で熱交換手段に戻される。第二の部分9は、熱交換手段の低温端まで冷却され、その後、主熱交換器E内で過冷却されてから、2回目に弁50内において、例えば31バールから塔Kの圧力(例えば、10~16バール)に膨張される。このシステムにより、膨張から得られる還流の温度をできるだけ低くすることが可能となる。これは、膨張が液化装置の条件下での温度の上昇を伴う可能性があるためである。最終的な圧力低下(弁50での膨張前の温度-52℃を考慮)を低減することにより、この上昇が最小化され、したがってできるだけ低温の還流を得ることが可能となり、その目的は、塔頂でのCO
2の損失を限定することである。
【0041】
何れの例についても、第一及び第二の部分の流れ間の比は、分離される流れの二酸化炭素純度に応じて変動し得る。したがって、流れ1の二酸化炭素純度が高いほど、第一の部分7が小さくなり、第二の部分9が大きくなる。
【0042】
何れの例についても、プロセスは、供給流の膨張によって低温に保持され、膨張タービンが不要である。
【国際調査報告】