IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ モーディグ・マシーン・ツールズ・エービーの特許一覧

特表2024-505168ワークピースを機械加工するための機械加工デバイス及びその方法
<>
  • 特表-ワークピースを機械加工するための機械加工デバイス及びその方法 図1
  • 特表-ワークピースを機械加工するための機械加工デバイス及びその方法 図2
  • 特表-ワークピースを機械加工するための機械加工デバイス及びその方法 図3
  • 特表-ワークピースを機械加工するための機械加工デバイス及びその方法 図4
  • 特表-ワークピースを機械加工するための機械加工デバイス及びその方法 図5
  • 特表-ワークピースを機械加工するための機械加工デバイス及びその方法 図6
  • 特表-ワークピースを機械加工するための機械加工デバイス及びその方法 図7
  • 特表-ワークピースを機械加工するための機械加工デバイス及びその方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】ワークピースを機械加工するための機械加工デバイス及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/00 20060101AFI20240129BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240129BHJP
   B23Q 1/66 20060101ALI20240129BHJP
   B23Q 1/48 20060101ALI20240129BHJP
   B23Q 1/54 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
B23Q1/00 H
B23Q11/00 L
B23Q11/00 S
B23Q1/66 E
B23Q1/48 F
B23Q1/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542917
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2022051288
(87)【国際公開番号】W WO2022157276
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】2150073-1
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523267623
【氏名又は名称】モーディグ・マシーン・ツールズ・エービー
【氏名又は名称原語表記】MODIG MACHINE TOOLS AB
【住所又は居所原語表記】Praestkragevaegen 13,393 61 KALMAR,SWEDEN
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】モーディグ、ダービド
【テーマコード(参考)】
3C048
【Fターム(参考)】
3C048AA01
3C048BC02
3C048BC03
3C048DD10
3C048DD16
3C048DD17
3C048EE12
(57)【要約】
機械加工デバイス(100)が提供される。機械加工デバイスは、ワークピース(104)を保持するように適合され、且つ枢動モータによって枢動軸(106)を中心として枢動するように構成されたトラニオンテーブル(102)と、ここにおいて、枢動軸(106)は、水平面に対して平行であり、上向きに方向付けられ、且つスピンドル移送デバイス(112)によって水平面に対して平行な平面内で移動させられるように構成された切削工具(110)を保持するように適合されたスピンドル(108)と、切削工具(110)に向かって、及びそれから離れてトラニオンテーブル(102)を垂直に移送するように適合されたトラニオンテーブル移送デバイス(128a,128b)とを備え、そのため、切削状態では、ワークピース(104)から切削された切削屑(202)は、重力によってワークピース(104)から除去される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械加工デバイス(100)であって、
ワークピース(104)を保持するように適合され、且つ枢動モータによって枢動軸(106)を中心として枢動するように構成されたトラニオンテーブル(102)と、ここにおいて、前記枢動軸(106)は、水平面に対して平行であり、
上向きに方向付けられ、且つスピンドル移送デバイス(112)によって前記水平面に対して平行な平面内で移動させられるように構成された切削工具(110)を保持するように適合されたスピンドル(108)と、
前記切削工具(110)に向かって、及びそれから離れて前記トラニオンテーブル(102)を垂直に移送するように適合されたトラニオンテーブル移送デバイス(128a,128b)と
を備え、そのため、切削状態では、前記ワークピース(104)から切削された切削屑(202)は、重力によって前記ワークピース(104)から除去される、機械加工デバイス(100)。
【請求項2】
前記機械加工デバイス(100)は、
前記トラニオンテーブル(102)に回転可能に接続され、且つ前記ワークピース(104)を保持するように適合されたワークピーステーブル(114)を更に備え、
前記ワークピーステーブル(114)は、回転軸(116)を中心として回転するように構成され、
前記回転軸(116)は、前記枢動軸(106)に対して直交である、請求項1に記載の機械加工デバイス(100)。
【請求項3】
前記トラニオンテーブル(102)に回転可能に接続され、且つ追加のワークピース(404)を保持するように適合された追加のワークピーステーブル(402)を備え、
前記追加のワークピーステーブル(402)は、追加の回転軸(410)を中心として回転するように構成され、
前記追加の回転軸(410)は、前記枢動軸に対して直交である、請求項2に記載の機械加工デバイス(100)。
【請求項4】
前記機械加工デバイス(100)は、追加のスピンドル(406)を備え、
前記追加のスピンドル(406)は、上向きに方向付けられ、且つ前記スピンドル移送デバイス(112)によって前記水平面に対して平行な前記平面内で移動させられるように構成された追加の切削工具(408)を保持するように適合される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の機械加工デバイス(100)。
【請求項5】
基部支持構造(118)と、
側部支持構造(120)と、
頂部接続構造(122)と
を更に備え、前記側部支持構造(120)は、前記基部支持構造(118)に第1の端部において接続され、
前記側部支持構造(120)は、前記頂部接続構造(122)に第2の端部において接続され、
前記トラニオンテーブル移送デバイス(128a,128b)は、前記側部支持構造(120)に接続され、
前記スピンドル移送デバイス(112)は、前記基部支持構造(118)に接続される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の機械加工デバイス(100)。
【請求項6】
前記トラニオンテーブル移送デバイス(128a,128b)は、前記トラニオンテーブル(102)が2つの両端において前記トラニオンテーブル移送デバイス(128a,128b)によって支持されるように、2つの両端において前記側部支持構造(120)に接続される、請求項5に記載の機械加工デバイス(100)。
【請求項7】
前記側部支持構造(120)は、水平に前記ワークピース(104)を装填及び/又は取り外すための少なくとも1つの開口部を備える、請求項5又は6に記載の機械加工デバイス(100)。
【請求項8】
前記頂部接続構造(122)は、垂直に前記ワークピース(104)を装填及び/又は取り外すための、前記トラニオンテーブル(102)の上方に配置された開口部(502)を備える、請求項5~7のいずれか一項に記載の機械加工デバイス(100)。
【請求項9】
前記スピンドル(108)は、第1のモータによって第1の方向(702)に沿って前記スピンドル移送デバイス(112)上に移動可能に配置され、
前記スピンドル移送デバイス(112)は、第2のモータによって第2の方向(704)に沿って前記基部支持構造(118)上に移動可能に配置され、
前記第1の方向(702)及び前記第2の方向(704)は、前記水平面に対して平行であり、
前記第1の方向(702)は、前記第2の方向(704)に対して直交である、
請求項5~8のいずれか一項に記載の機械加工デバイス(100)。
【請求項10】
前記スピンドル移送デバイス(112)は、前記基部支持構造(118)に取り付けられたレール(124a,124b)に沿って移動する、請求項5~9のいずれか一項に記載の機械加工デバイス(100)。
【請求項11】
前記枢動軸(106)は、前記第1の方向(702)に対して平行である、請求項9又は10に記載の機械加工デバイス(100)。
【請求項12】
前記機械加工デバイス(100)から離れて切削屑(202)を移送するための、前記スピンドル(108)の下方に配置された切削屑コンベア(204)を更に備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の機械加工デバイス(100)。
【請求項13】
ワークピースを保持するトラニオンテーブルと、上向きに方向付けられた切削工具を保持するスピンドルとを備える機械加工デバイスを使用して前記ワークピースを機械加工するための方法(800)であって、前記方法(800)は、
第1及び第2の方向に沿って水平面内で前記スピンドルを移動させること(S806)と、ここにおいて、前記第1の方向は、前記第2の方向に対して直交であり、
垂直に前記トラニオンテーブルを移動させ、それによって前記ワークピースを移動させること(S808)と、
枢動軸を中心として前記トラニオンテーブルを枢動させることによって前記ワークピースを傾斜させること(S810)と、ここにおいて、前記枢動軸は、前記第1の方向に対して平行であり、
を行うことによって、前記ワークピースに前記切削工具を適用することによって下方から前記ワークピースを機械加工する(S804)こと
を備える、方法(800)。
【請求項14】
前記機械加工デバイスは、それ自体の回転軸を中心として回転するように適合され、且つ前記トラニオンテーブルに取り付けられたワークピーステーブルを更に備え、
前記ワークピースは、前記ワークピーステーブルに取り付けられ(S812)、
前記方法は、
前記ワークピーステーブルの前記回転軸を中心として前記ワークピースを回転させること(S814)を更に備え、前記回転軸は、前記枢動軸に対して直交である、請求項13に記載の方法(800)。
【請求項15】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
処理能力を有するデバイス上で実行されると、請求項13又は14に記載の方法(800)を実施するためのプログラムコード部分を記憶した、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械加工に関する。より詳細には、本発明は、ワークピースを機械加工するための機械加工デバイス及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の多くの製品は、機械加工によって製造された少なくとも1つの構成要素を含む。スマートフォンの本体から、何千もの機械加工された構成要素を含む飛行機までずっと。これらの製品及び構成要素の複雑さは絶えず増大している。加えて、より高い許容差に対する要求が増大している。
【0003】
これらの製品を製造する従来の方法は、ワークピースが上方から工具によって機械加工される垂直フライス盤、又は工具が側方から作動する水平フライス盤のうちのいずれかを使用することによるものである。しかしながら、より高い精度及び除去された材料の改善された処理を伴う機械加工のための改善された解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、先行技術の上記で識別された制限のうちの1つ以上を少なくとも部分的に克服することである。特に、改善された精度でワークピースを機械加工するための改善された機械加工デバイス及びその方法を提供することが目的である。
【0005】
切削工具を下方から作動させることによって、ワークピースから切削された切削屑の効果的な除去が達成されることが認識されている。更に、機械加工デバイスにおける自由度の提案された分布は、改善された精度をもたらす、より安定した機械加工デバイスを可能にする。
【0006】
第1の態様によると、機械加工デバイスが提供され、機械加工デバイスは、ワークピースを保持するように適合され、且つ枢動モータによって枢動軸を中心として枢動するように構成されたトラニオンテーブルと、ここにおいて、枢動軸は、水平面に対して平行であり、上向きに方向付けられ、且つスピンドル移送デバイスによって水平面に対して平行な平面内で移動させられるように構成された切削工具を保持するように適合されたスピンドルと、切削工具に向かって、及びそれから離れてトラニオンテーブルを垂直に移送するように適合されたトラニオンテーブル移送デバイスとを備え、そのため、切削状態では、ワークピースから切削された切削屑は、重力によってワークピースから除去される。
【0007】
トラニオンテーブルは、切削状態において、切削工具によってワークピースから切削された切削屑が重力によってワークピースから除去されるように、切削工具に対してワークピースを保持するように適合され得る。
【0008】
「切削状態」という表現は、本明細書では、切削工具がワークピースを加工している状態を意味する。
【0009】
「水平」、「垂直」、「上向き」、「側部」、及び「頂部」などの相対的な空間用語は、機械加工デバイスの基準枠内の場所又は方向を指すために使用される。特に、「頂部」、「上向き」、及び「垂直」は、機械加工デバイスの下から上への方向(即ち、トラニオンテーブル移送デバイスからトラニオンテーブルへの方向)、又は同等に平面地面に対して垂直な方向に関して理解され得る。別の言い方をすれば、下から上への方向は、重力と反対であり得る。それに対応して、「水平」、「横」、及び「側部」という用語は、平面地面に対する/平面地面に沿った場所又は向きとして理解され得る。「上向き」という表現は、本明細書では、下から上への、即ち重力と反対の方向の成分を有する方向を意味する。
【0010】
スピンドルは、切削工具を保持して回転させることができるデバイスとして解釈され得る。切削工具は、例えばフライス工具であり得る。
【0011】
トラニオンテーブルにおいて垂直移動を有することは、それをスピンドルの水平移動から分離することができることを意味する。これは、部品のうちの一方を移動させることによって機械加工デバイスにおいて生み出される力が他方に影響を及ぼさないという点で有利であり得る。別の言い方をすれば、例えばスピンドルを、トラニオンテーブル上のワークピースを移動によって生み出される力に起因して振動させることなく、水平面内で一方向に沿って移動させることができる。このことから、機械加工プロセスにおいてより高い精度を達成することができる。
【0012】
機械加工デバイスは、トラニオンテーブルに回転可能に接続され、且つワークピースを保持するように適合されたワークピーステーブルを更に備え得る。ワークピーステーブルは、回転軸を中心として回転するように構成され得る。前記回転軸は、枢動軸に対して直交であり得る。
【0013】
回転し得るワークピーステーブルを有する利点は、切削工具がワークピースの全ての側面に到達することができるようにワークピースを回転させることができることである。更に、ワークピースは、機械加工デバイスが旋削を実行することができるように高速で回転され得る。
【0014】
機械加工デバイスは、トラニオンテーブルに回転可能に接続され、且つ追加のワークピースを保持するように適合された追加のワークピーステーブルを備え得る。追加のワークピーステーブルは、追加の回転軸を中心として回転するように構成され得る。追加の回転軸は、枢動軸に対して直交であり得る。追加のワークピーステーブルを有する利点は、2つのワークピースを同時に機械加工することができることである。代替として、2つのワークピースを同時に機械加工デバイス中に装填し、次いで、次々と機械加工することができる。
【0015】
機械加工デバイスは、追加のスピンドルを更に備え得る。追加のスピンドルは、上向きに方向付けられ、且つスピンドル移送デバイスによって水平面に対して平行な平面内で移動させられるように構成された追加の切削工具を保持するように適合され得る。追加のスピンドルを有することは、2つの同一のワークピースを同時に機械加工することができるという点で有利であり得る。代替として、2つのスピンドルが、1つのワークピースを同時に機械加工し得る。
【0016】
機械加工デバイスは、基部支持構造と、側部支持構造と、頂部接続構造とを更に備え得る。側部支持構造は、基部支持構造に第1の端部において接続され得る。側部支持構造は、頂部接続構造に第2の端部において接続され得る。トラニオンテーブル移送デバイスは、側部支持構造に接続され得る。スピンドル移送デバイスは、基部支持構造に接続され得る。スピンドル移送デバイスを基部支持構造に接続することは、スピンドル移送デバイスを移動させるときに生み出される力が基部支持構造によって受け止められ、ワークピースが吊り下げられるトラニオンテーブルなどの機械加工デバイスの残りの部分に影響を及ぼさないという点で有利であり得る。同様に、トラニオンテーブル移送デバイスを側部支持構造に接続することは、トラニオンテーブルの垂直移動がスピンドルに影響を及ぼさないことを意味する。
【0017】
トラニオンテーブル移送デバイスは、トラニオンテーブルが2つの両端においてトラニオンテーブル移送デバイスによって支持されるように、2つの両端において側部支持構造に接続され得る。別の言い方をすれば、トラニオンテーブルは、枢動軸に沿って互いに対向する2つの地点において取り付けられ得る。この利点は、ワークピースが取り付けられるトラニオンテーブルが、トラニオンテーブルを一端にのみ取り付ける場合とは対照的に、遙かにより安定していることであり得る。安定性は、機械加工デバイスの精度にとって重要であり得る。
【0018】
側部支持構造は、水平にワークピースを装填及び/又は取り外すための少なくとも1つの開口部を備え得る。
【0019】
頂部接続構造は、垂直にワークピースを装填及び/又は取り外すための、トラニオンテーブルの上方に配置された開口部を備え得る。
【0020】
垂直にワークピースを装填することの利点は、移送デバイスが頂部接続構造の上方を走り得、それによって生産設備における設置面積を低減することを可能にすることである。移送デバイスは、機械加工デバイスに及び/又はそれからワークピースを移送し得る。
【0021】
スピンドルは、第1のモータによって第1の方向に沿ってスピンドル移送デバイス上に移動可能に配置され得る。スピンドル移送デバイスは、第2のモータによって第2の方向に沿って基部支持構造上に移動可能に配置され得る。第1及び第2のモータは、同じモータであり得る。第1の方向及び第2の方向は、水平面に対して平行であり得る。第1の方向は、第2の方向に対して直交であり得る。
【0022】
スピンドル移送デバイスは、基部支持構造に取り付けられたレールに沿って移動し得る。
【0023】
機械加工デバイスは、機械加工デバイスから離れて切削屑を移送するための、スピンドルの下方に配置された切削屑コンベアを更に備え得る。
【0024】
「切削屑」という表現は、本明細書では、切削工具によってワークピースから除去される任意の材料を意味する。
【0025】
枢動軸は、第1の方向に対して平行であり得る。その利点は、第1の方向に沿ったスピンドルの移動が、トラニオンテーブルの枢動に最小限の影響しか及ぼさないことであり得る。
【0026】
第2の態様によると、ワークピースを保持するトラニオンテーブルと、上向きに方向付けられた切削工具を保持するスピンドルとを備える機械加工デバイスを使用してワークピースを機械加工するための方法が提供される。本方法は、第1及び第2の方向に沿って水平面内でスピンドルを移動させることと、ここにおいて、第1の方向は、第2の方向に対して直交であり、垂直にトラニオンテーブルを移動させ、それによってワークピースを移動させることと、枢動軸を中心としてトラニオンテーブルを枢動させることによってワークピースを傾斜させることと、ここにおいて、枢動軸は、第1の方向に対して平行であり、を行うことによって、ワークピースに切削工具を適用することによって下方からワークピースを機械加工することを備える。
【0027】
本方法は、トラニオンテーブルにワークピースを取り付けることを更に備え得る。
【0028】
機械加工デバイスは、それ自体の回転軸を中心として回転するように適合され、且つトラニオンテーブルに取り付けられたワークピーステーブルを更に備え得る。ワークピースは、ワークピーステーブルに取り付けられ得る。本方法は、ワークピーステーブルの回転軸を中心としてワークピースを回転させることを更に備え得、回転軸は、枢動軸に対して直交であり得る。
【0029】
第3の態様によると、処理能力を有するデバイス上で実行されると、第2の態様に記載の方法を実施するためのプログラムコード部分を記憶した、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0030】
本発明の更に他の目的、特徴、態様、及び利点は、以下の発明を実施するための形態及び図面から明らかになるであろう。1つの態様に関して説明する同じ特徴及び利点は、別途明記されない限り、他の態様に適用可能である。
【0031】
ここで、本発明の上記及び他の態様を、添付の図面を参照して、より詳細に説明する。図面は限定的なものとみなされるべきではなく、むしろ説明及び理解のために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】断面図で例として、アイドル状態にある機械加工デバイスを例示する。
図2】切削状態にある図1の機械加工デバイスを例示する。
図3】切削状態にある図1の機械加工デバイスの別の例を例示する。
図4】例として、1つよりも多くのスピンドル及び1つよりも多くのワークピーステーブルを有する機械加工デバイスを例示する。
図5】垂直装填状態にある図1の機械加工デバイスを例示する。
図6】水平装填状態にある図1の機械加工デバイスを例示する。
図7】断面上面図で機械加工デバイスを例示する。
図8】ワークピースを機械加工する方法のステップを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、例として、断面図での機械加工デバイス100の例示である。図1~7のうちのいずれにも例示する機械加工デバイスは、例示を目的として例として見られるべきであることに留意されたい。異なる部品の縮尺及び形状は、実際の機械加工デバイスを反映しない場合がある。
【0034】
機械加工デバイス100は、トラニオンテーブル102を備え得る。トラニオンテーブル102は、ワークピース104を保持するように適合され得る。別の言い方をすれば、ワークピース104は、トラニオンテーブル102に固定され得る。ワークピース104は、油圧技術、又は当業者が容易に理解することができる、機械加工デバイス中にワークピースを取り付けるための任意の他の適切な手段によって、トラニオンテーブル102に取り付けられ得る。ワークピース104は、例えば、旋削、フライス加工、又は穿孔によって機械加工される金属片であり得る。トラニオンテーブル102は、枢動軸106を中心として枢動するように構成され得る。このことから、トラニオンテーブル102上に固定して配置されたワークピース104も枢動させられ得る。トラニオンテーブル102は、第1の自由度、即ち枢動運動を有すると言うことができる。トラニオンテーブル102の枢動運動は、枢動モータによって行われ得る。枢動軸106は、水平面に対して平行であり得る。参考までに、水平面は、x軸及びy軸にまたがる平面であり得る。枢動軸106は、y軸に対して平行であり得る。
【0035】
本明細書に例示するように、トラニオンテーブル102は、枢動軸106に沿って互いに対向する2つの端部において取り付けられ得る。代替として、トラニオンテーブル102は、一方の端部にのみ取り付けることができる。更に、ワークピース104がトラニオンテーブル102に取り付けられるエリアは、ワークピース104の中央部分が枢動軸106と一致することができるように、枢動軸106からの偏りを有し得る。トラニオンテーブル102の偏りは、ワークピース104のサイズに応じて変化し得る。例えば、偏りは、トラニオンテーブル102及びワークピース104の重心が共に枢動軸に近くなるようなものであり得る。このことから、ワークピース104が取り付けられたトラニオンテーブル102は、より効果的且つ安定した方法で、且つ枢動モータによる力をより必要とせずに枢動することができる。
【0036】
機械加工デバイス100は、スピンドル108を更に備え得る。スピンドル108は、切削工具110を保持するように適合され得る。スピンドル108は、切削工具110を回転させ得、そのため、フライス加工又は穿孔を実行することができる。スピンドル108は、上向きに、即ち、本明細書に例示するようにz軸の方向に方向付けられた切削工具110を保持するように構成され得る。別の言い方をすれば、スピンドル108は、スピンドルがワークピースの上方に配置される垂直機械加工の従来の方法とは対照的に、下方からワークピース104を機械加工するように構成される。スピンドル108を下方から作動させることは、ワークピース104から切削された切削屑202の効果的な除去を可能にし、それについては、機械加工デバイス100が切削状態にあるときの図2及び図3に関連して更に議論する。
【0037】
スピンドル108は、スピンドル移送デバイス112によって水平面に対して平行な平面内で移動させられるように構成することができる。このことから、スピンドル108は、第2及び第3の自由度を有すると言うことができる。スピンドル移送デバイス112は、図7に関連して更に議論する。
【0038】
機械加工デバイス100は、トラニオンテーブル移送デバイス128a、128bを更に備え得る。トラニオンテーブル移送デバイス128a、128bは、切削工具110に向かって、及びそれから離れてトラニオンテーブル102を垂直に移送するように適合され得る。本明細書では、トラニオンテーブル移送デバイス128a、128bは、トラニオンテーブル102の両側にあり、且つz軸に沿ってトラニオンテーブルを移送する2つのレールとして例示する。トラニオンテーブル移送デバイス128a、128bは、トラニオンテーブル102に第4の自由度を提供すると言うことができる。
【0039】
これまでに議論した機械加工デバイス100は、このことから、4つの自由度を有し、従って、4軸機械加工を実行することが可能である。しかしながら、図1に例示するように、機械加工デバイス100は、ワークピーステーブル114を更に備え得る。ワークピーステーブル114は、トラニオンテーブル102に回転可能に接続され、且つワークピース104を保持するように適合され得る。ワークピーステーブル114は、回転モータによって回転され得る。ワークピース104は、油圧の使用によってワークピーステーブル114に取り付けられ得る。言い換えれば、ワークピース104は、ワークピーステーブル114に固定され得る。ワークピーステーブル114は、回転軸116を中心として回転するように構成され得る。回転軸116は、ワークピーステーブル114に対して垂直な軸であり得る。ワークピーステーブル114に対する垂直軸であることは、本明細書では、ワークピース104が保持されるワークピーステーブル114の表面に対して垂直であることを意味し得る。回転軸116は、枢動軸106に対して直交であり得る。このことから、回転軸116は、トラニオンテーブル102と共に枢動軸106を中心として枢動し得る。ワークピーステーブル114は、機械加工デバイス100に第5の自由度を与え、このことから、機械加工デバイス100が5軸機械加工を実行することを可能にすると言うことができる。ワークピーステーブル114は、切削工具110がワークピース104の全ての地点に到達することができるように、ワークピース104を回転させ得る。更に、ワークピーステーブル114は、旋削加工を機械加工デバイス100によって実行することができるほど高い回転速度でワークピースを回転させ得る。
【0040】
機械加工デバイス100は、基部支持構造118を備え得る。基部支持構造118は、下方から機械加工デバイス100に支持を与える任意の構造であり得る。例えば、それは、機械加工デバイスの床であり得るか、又は単に工場の床に機械加工デバイス100を取り付けるための取り付け具であり得る。機械加工デバイス100は、側部支持構造120を更に備え得る。側部支持構造120は、基部支持構造118に第1の端部において接続され得る。一例として、側部支持構造120は、単一の箱型本体(enclosed body)であり得る。別の例として、側部支持構造は、1つ以上の支柱を備え得る。例えば、機械加工デバイス100の四隅に配置された4つの支柱である。機械加工デバイスは、頂部接続構造122を更に備え得る。側部支持構造120は、頂部接続構造122に第2の端部において接続され得る。頂部接続構造122は、側部支持構造120を接続し、機械加工デバイスに追加の安定性を与え得る。頂部接続構造122は、単一の箱型本体であり得る。代替として、頂部接続構造122は、側部支持構造120を接続する1つ以上の梁を備え得る。4つ支柱を備える支持構造120の例証的な場合では、頂部接続構造122は、4つの梁を対で接続する4つの梁を備え得る。
【0041】
トラニオンテーブル移送デバイス128a、128bは、側部支持構造120に接続され得る。スピンドル移送デバイス112は、基部支持構造118に接続され得る。スピンドル移送デバイス112は、基部支持構造118に取り付けられたレール124a、124bに沿って移動し得る。
【0042】
トラニオンテーブル移送デバイス128a、128bは、2つの両端において側部支持構造120に接続される。言い換えれば、トラニオンテーブル102は、2つの両端においてトラニオンテーブル移送デバイス128a、128bによって支持され得る。
【0043】
図1の例示では、機械加工デバイス100は、アイドル状態にあると称され得る。この状態では、ワークピース104は、機械加工デバイス100中に装填されているが、切削工具は、現在、ワークピースと接触していない。
【0044】
図2は、切削状態にある機械加工デバイス100を例示する。この例示では、トラニオンテーブル移送デバイス128a、128bは、切削工具110がワークピース104を機械加工することができるように、切削工具110に向かってワークピース104を移送している。ワークピース104から除去される材料から生み出される切削屑202は、スピンドル108がワークピース104の下方から作動することにより、重力によってワークピースから離れて落ちることができる。切削状態中に、切削工具110は、切削工具が接触するワークピース104の地点の下方(z軸に対して)にある。機械加工デバイス100は、切削工具110が常に、切削状態中に切削工具110が接触するワークピース104の地点の下方にあるように配置され得る。切削状態中にワークピース104から切削屑202を除去することは、製品の仕上がりを改善することができる。提案された解決策によって、切削屑が切削状態中にワークピース中又はその上に集まることを防止することができる。機械加工デバイス100は、機械加工デバイス100から離れて切削屑を移送するための切削屑コンベア204を更に備え得る。切削屑コンベア204は、スピンドルの下方に配置され得る。切削屑コンベア204は、例えば、基部支持構造118に組み込まれ得るか、又はその上に取り付けられ得る。代替として、切削屑コンベア204は、切削屑202が機械加工デバイス100から落ちることを可能にする開口部を基部支持構造118中に備え得る。切削屑202はまた、スピンドル移送デバイス112が傾斜面を設けられることによって除去することができる。
【0045】
図3は、切削状態にある機械加工デバイス100の代替図を例示する。この例示では、トラニオンテーブル102は、枢動軸106を中心として枢動しており、切削工具110がワークピース104の側面上の地点に到達することを可能にしている。トラニオンテーブル102は、図2及び図3の2つの例だけでなく、枢動軸106を中心として任意の枢動位置を取り得ることに留意されたい。
【0046】
図4は、例として、追加のワークピーステーブル402及び追加のスピンドル406を有する機械加工デバイス100を例示する。
【0047】
追加のワークピーステーブル402は、トラニオンテーブル102に回転可能に接続され、且つ追加のワークピース404を保持するように適合され得る。追加のワークピーステーブル402は、追加の回転軸410を中心として回転するように構成され得る。追加の回転軸は、枢動軸に対して直交であり得る。本明細書に例示するように、追加のワークピーステーブル402は、ワークピーステーブル114の横に配置され得る。
【0048】
追加のスピンドル406は、上向きに方向付けられた追加の切削工具408を保持するように適合され得る。スピンドル406は、スピンドル移送デバイス112によって水平面に対して平行な平面内で移動させられるように構成され得る。2つのスピンドル108、406は、それらの間に固定された距離を有してスピンドル移送デバイス112上に配置され得る。
【0049】
本明細書に例示する機械加工デバイス100は、2つの同一のワークピース104、404を同時に機械加工するために使用され得る。代替として、機械加工デバイス100は、2つのスピンドル108、406を使用して1つのワークピース104を機械加工するために使用され得る。代替として、機械加工デバイス100は、1つのスピンドル108を使用して2つのワークピース104、404を機械加工するために使用され得る。
【0050】
図5は、垂直装填状態にある機械加工デバイスを例示する。開口部502が、頂部接続構造122中に設けられ得る。開口部502は、垂直にワークピース104を装填及び/又は取り外すために、トラニオンテーブル102の上方に設けられ得る。別の言い方をすれば、機械加工デバイス100は、上方から装填及び/又は取り外され得る。垂直装填状態では、トラニオンテーブル102は、ワークピース104に上方からアクセスすることができるように枢動させられ得る。更に、トラニオンテーブル移送デバイス128a、128bは、ワークピース104が容易にアクセス可能であるように、トラニオンテーブルを頂部位置に上昇させることができる。機械加工デバイス100の垂直装填状態は、装填及び/又は取り外しのために機械加工デバイス100の上方を移動するパレットチェンジャと互換性があり得る。
【0051】
図6は、水平装填状態にある機械加工デバイスを例示する。側部支持構造120は、水平にワークピース104を装填及び/又は取り外すための少なくとも1つの開口部を備え得る。別の言い方をすれば、機械加工デバイス100は、側部から装填及び/又は取り外され得る。例として、側部支持構造120は、トラニオンテーブル移送デバイス128a、128bが取り付けられていない側部支持構造120の2つの側部に開口部を設けられ得る。
【0052】
水平装填状態では、スピンドル移送デバイス112は、ワークピース104が装填又は取り外される開口部から離れて移動することができ、このことから、ワークピース104が装填/取り外しに適した高さに位置付けられることを可能にすることができる。機械加工デバイス100の水平装填状態は、装填及び/又は取り外しのためのパレットチェンジャと互換性があり得る。
【0053】
図7は、頂部接続構造122中に開口部を有する機械加工デバイス100を上方からの断面図で例示する。より具体的には、図7は、スピンドル移送デバイス112を上方から例示している。例示を目的として、ワークピーステーブル114及びワークピース104を有するトラニオンテーブル102は含まれていない。
【0054】
スピンドル108は、第1の方向702に沿ってスピンドル移送デバイス112上に移動可能に配置され得る。移動は、第1のモータによって行われ得る。第1のモータは、リニアモータであり得る。スピンドル108は、スピンドル移送デバイス112上のレール126に沿って移動し得る。
【0055】
スピンドル移送デバイス112は、第2の方向704に沿って基部支持構造118上に移動可能に配置され得る。移動は、第2のモータによって行われ得る。第2のモータは、リニアモータであり得る。本明細書では、スピンドル移送デバイス112は、基部支持構造118上の2つのレール124a、124bに沿って移動するものとして例示する。しかしながら、レールの数は、1つ以上であり得る。
【0056】
第1の方向702及び第2の方向704は、水平面に対して平行であり得る。更に、第1の方向702は、第2の方向704に対して直交であり得る。枢動軸106は、第1の方向702に対して平行であり得る。
【0057】
図8は、機械加工デバイスを使用してワークピースを機械加工するための方法800を例示するフローチャートである。機械加工デバイスは、ワークピースを保持するトラニオンテーブルと、上向きに方向付けられた切削工具を保持するスピンドルとを備え得る。方法800は、複数のステップを備える。以下に、異なるステップをより詳細に議論する。ステップは、任意の適切な順序で実行され得ることに留意されたい。
【0058】
ワークピースは、トラニオンテーブルに取り付けられ得るS802。
【0059】
ワークピースは、ワークピースに切削工具を適用することによって下方から機械加工されるS804。
【0060】
ワークピースは、第1及び第2の方向に沿って水平面内でスピンドルを移動させることS806によって機械加工される。第1の方向は、第2の方向に対して直交であり得る。
【0061】
ワークピースは、垂直にトラニオンテーブルを移動させ、それによってワークピースを移動させることS808によって機械加工される。
【0062】
ワークピースは、枢動軸を中心としてトラニオンテーブルを枢動させることによってワークピースを傾斜させることS810によって機械加工される。枢動軸は、第1の方向に対して平行であり得る。
【0063】
機械加工デバイスは、それ自体の回転軸を中心として回転するように適合され、且つトラニオンテーブルに取り付けられたワークピーステーブルを更に備え得る。
【0064】
ワークピースは、ワークピーステーブルに取り付けられ得るS812。
【0065】
ワークピースは、ワークピーステーブルの回転軸を中心としてワークピースを回転させることS814によって機械加工され得る。回転軸は、枢動軸に対して直交であり得る。
【0066】
ある特定の順序で説明しているが、異なるステップはまた、他の順序で、複数回実行され得る。例えば、スピンドルを移動させること、トラニオンテーブルを移動させること、ワークピースを傾斜させること、及びワークピースを回転させることは、同時に行われ得る。
【0067】
上記の説明から、本発明の様々な実施形態を説明し且つ示してきたが、本発明は、それらに限定されず、以下の特許請求の範囲に定義する主題の範囲内で他の方法でも具現化され得ることが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】