(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】伸縮式フィルタ
(51)【国際特許分類】
A24D 3/00 20200101AFI20240129BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240129BHJP
【FI】
A24D3/00
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542957
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2022050448
(87)【国際公開番号】W WO2022152700
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ライト,アレック
(72)【発明者】
【氏名】ローガン,アンドリュー・ロバート・ジョン
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA21
4B045AB16
4B045BC13
4B045BC22
4B045BC37
4B162AA03
4B162AA23
4B162AB12
4B162AC08
4B162AD16
(57)【要約】
第1の端部と、第1の端部とは反対側にある第2の端部とを有する本体であって、本体が固体の蒸気発生材料を収容するように構成される、本体と、マウスピース端部と、マウスピース端部とは反対側にある取り付け端部とを備えるフィルタであって、取り付け端部が、本体の第1の端部に取り付けられるように構成される、フィルタと、蒸気が、本体の第1の端部から取り付け端部を通ってフィルタに流入し、マウスピース端部を通ってフィルタから流出することができるように構成されたフィルタ内の空気流通路とを備える、蒸気発生物品において、フィルタが、フィルタの長さを調節するように構成されたアジャスタを備える、蒸気発生物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部と、前記第1の端部とは反対側にある第2の端部とを有し、固体の蒸気発生材料を収容するように構成される、本体と、
マウスピース端部と、前記マウスピース端部とは反対側にある取り付け端部とを備え、前記取り付け端部が、前記本体の前記第1の端部に取り付けられるように構成される、フィルタと、
蒸気が、前記本体の前記第1の端部から前記取り付け端部を通って前記フィルタに流入し、前記マウスピース端部を通って前記フィルタから流出することができるように構成された、前記フィルタ内の空気流通路と
を備え、
前記フィルタが、前記フィルタ内の前記空気流通路の長さが調節されるように、前記フィルタの有効長を調節するように構成されたアジャスタを備える、
蒸気発生物品。
【請求項2】
前記アジャスタが、内側スリーブ部分と外側スリーブ部分とを備え、
前記内側スリーブ部分に対する前記外側スリーブ部分の移動が、前記空気流通路の前記長さを調節する、
請求項1に記載の蒸気発生物品。
【請求項3】
前記アジャスタが、前記内側スリーブ部分から離れるように前記外側スリーブ部分を移動することによって、前記空気流通路の前記長さを長くするように構成される、
請求項1または2に記載の蒸気発生物品。
【請求項4】
前記アジャスタが、前記内側スリーブ部分に向かうように前記外側スリーブ部分を移動することによって、前記空気流通路の前記長さを短くするように構成される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項5】
前記外側スリーブ部分が前記内側スリーブ部分を受け入れるように配置される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項6】
前記フィルタがプラスチックで作られる、
請求項1~5のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項7】
前記フィルタの前記取り付け端部が、前記本体の前記第1の端部に解放可能に取り付け可能である、
請求項1~6のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項8】
前記アジャスタが、固定要素と、前記固定要素に対して回転するように構成された回転可能要素とを備え、
前記回転可能要素の回転は、前記空気流通路の前記長さを調節する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項9】
前記回転可能要素がらせん要素を含む、
請求項8に記載の蒸気発生物品。
【請求項10】
前記らせん要素の第1の方向における回転により、前記空気流通路の前記長さが長くなり、
前記らせん要素の第2の方向における回転により、前記空気流通路の前記長さが短くなる、
請求項9に記載の蒸気発生物品。
【請求項11】
前記回転可能要素が紙で作られる、
請求項8~10のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項12】
前記本体が、前記蒸気発生物品の遠位端を形成する基材部分を備え、
前記基材部分は、タバコなどの固体の蒸気発生材料を含むように配置される、
請求項1~11のいずれか一項に記載の蒸気発生物品。
【請求項13】
前記本体が、前記フィルタと前記基材部分との間に配置された冷却領域を備え、
前記冷却領域が、前記基材部分において発生された蒸気が、前記本体の前記第1の端部から流出し、前記フィルタに流入する前に冷却され得るように構成される、
請求項12に記載の蒸気発生物品。
【請求項14】
前記蒸気冷却領域が中空チャンバを含む、
請求項13に記載の蒸気発生物品。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品と、
前記蒸気発生物品を受け入れ、前記蒸気発生材料から蒸気を発生させるように構成された蒸気発生デバイスと
を備える、
蒸気発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾルを形成するためにエアロゾル発生基材が加熱されるエアロゾル発生システムで使用されるエアロゾル発生物品に関する。本開示は、詳細には、自己完結型且つ低温であり得る携帯型エアロゾル発生デバイスに適用可能である。このようなデバイスは、タバコ又は他の適切なエアロゾル基材材料を、燃やすのではなく、伝導、対流、及び/又は放射によって加熱して、吸入のためのエアロゾルを発生させ得る。
【背景技術】
【0002】
(気化器としても知られる)リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスの人気及び使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ、及び巻きたばこなどの従来のタバコ製品の喫煙を止めようと望む常習的喫煙者を支援するための手助けとして、ここ数年で急速に成長してきた。従来のタバコ製品においてタバコを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが利用可能である。
【0003】
一般に利用可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル発生デバイス又は加熱非燃焼式デバイスである。このタイプのデバイスは、典型的には、湿った葉タバコ又は他の適切なエアロゾル化可能材料を含むエアロゾル基材を、典型的には150℃~350℃の範囲の温度に加熱することによってエアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を、燃焼させるか又は燃やすのではなく、加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる副生成物を含まないエアロゾルが放出される。
【0004】
このようなデバイスでは、エアロゾル基材は、典型的には、加熱チャンバ内に保持されてヒータにより加熱される消耗品に含まれる。消耗品は、ある量のエアロゾル発生基材を含み、ある量のエアロゾルを発生させることができる。
【0005】
しかしながら、このようなデバイスにおいて周知の問題は、ユーザ体験がタバコのそれを完全に模倣するわけではないことである。特に、HNBデバイスは、紙巻きタバコなどの従来のタバコ製品により提供される吸入経験とは異なる吸入経験を提供することが知られている。
【0006】
消費者が自らの好み及び喫煙特性に合うようにHNBデバイスの温度を調節できるようにすることが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、第1の端部と、第1の端部とは反対側にある第2の端部とを有する本体であって、本体が固体の蒸気発生材料を収容するように構成される、本体と、マウスピース端部と、マウスピース端部とは反対側にある取り付け端部とを備えるフィルタであって、取り付け端部が、本体の第1の端部に取り付けられるように構成される、フィルタと、蒸気が、本体の第1の端部から取り付け端部を通ってフィルタに流入し、マウスピース端部を通ってフィルタから流出することができるように構成されたフィルタ内の空気流通路とを備える、蒸気発生物品において、フィルタが、空気流通路の長さを調節するように構成されたアジャスタを備える、蒸気発生物品が提供される。
【0008】
フィルタは、フィルタ内の空気流通路の長さが調節されるように、フィルタの有効長を調節するように構成されたアジャスタを備え得る。
【0009】
アジャスタにより、空気流通路の長さを調節する(例えば、長くする又は短くする)ことによって、発生される蒸気の温度を必要に応じて調節することができる。特に、空気流通路の長さは、連続的な範囲にわたって調節されてもよい。したがって、物品のエアロゾル発生特性の制御に関して、より大きな柔軟性がもたらされ、蒸気の温度はエアロゾル発生セッション中に調節されて、紙巻きタバコなどの従来のタバコ製品の挙動を、より厳密に模倣できる。
【0010】
好都合なことに、蒸気発生物品のアジャスタにより、消費者は自らの好み及び喫煙特性に合わせて蒸気の温度を変えることができる。したがって、温度変化が固定された単一の標準的な構成を製造することは、一部の消費者には適さない。しかしながら、それぞれが僅かな割合の消費者にしか好まれないような、温度の異なる多くの変形形態を製造することは現実的ではない。したがって、アジャスタを設けることにより、各消費者は、フィルタを通る空気流通路のサイズを調節する手段を提供することにより、蒸気の温度を自ら変更して、ユーザのベイピング体験を向上させることができる。
【0011】
いくつかの例では、アジャスタは、内側スリーブ部分と外側スリーブ部分とを備えることができ、内側スリーブ部分に対する外側スリーブ部分の移動が空気流通路の長さを調節する。特に、アジャスタは、内側スリーブ部分から離れるように外側スリーブ部分を移動することによって、空気流通路の長さを長くするように構成され得る。アジャスタはまた、内側スリーブ部分に向かうように外側スリーブ部分を移動することによって、空気流通路の長さを短くするように構成され得る。
【0012】
空気流通路の長さを長くすることは、蒸気がユーザの口に到達するまでに蒸気発生物品内を移動する距離が伸び、蒸気が冷えることを意味する。空気流通路の長さを短くすることは、蒸気がユーザの口に到達するまでに蒸気発生物品内を移動する距離が短く、蒸気はその熱の一部を保ち、より温かい蒸気を提供することを意味する。
【0013】
互いに対して移動する内側スリーブ部分及び外側スリーブ部分を有することにより、フィルタの有効長を調節するための簡素な機構がもたらされ、機構はフィルタを通る空気流通路の長さを調節する。したがって、蒸気発生物品は操作が簡単である。
【0014】
好ましくは、外側スリーブ部分は内側スリーブ部分を受け入れるように配置される。この配置は伸縮式配置と考えることができ、好都合なことに、調節プロセスを通して構成要素が互いに整列したままに保たれることを確保するのを助ける。
【0015】
フィルタはプラスチックで作られ得る。プラスチックは容易に入手可能な材料であるため、プラスチックを使用することは製造コストの削減を助け得る。更に、プラスチックは比較的硬質な材料であるため、プラスチックフィルタを使用することにより、より構造的に剛性の高いフィルタがもたらされる。
【0016】
いくつかの例では、フィルタの取り付け端部は、蒸気発生物品の本体の第1の端部に解放可能に取り付け可能であり得る。したがって、フィルタは、ユーザが物品の使用を望むときに蒸気発生物品に取り付けられ、ユーザが物品内の基材を消費したときに物品から取り外される。このように、フィルタは再使用可能なフィルタであり、複数の蒸気発生物品で使用され得る。
【0017】
通常、蒸気発生デバイスは、基材を収容する消耗品と、消耗品に取り付けられたフィルタとを備える。基材がユーザによって消費されると、消耗品はもはや使用可能ではないため、蒸気発生デバイスは廃棄される。フィルタは消耗品に取り付けられているため、フィルタもまた同時に廃棄される。その結果、フィルタは、通常、捨てるには高価ではない簡素な技術を含む。
【0018】
蒸気発生物品(消耗品とも呼ばれる)に解放可能に取り付けられ得るフィルタを提供することにより、フィルタは、その都度廃棄されるのではなく、次の蒸気発生物品に再使用され得る。例えば、フィルタは20~100回使用されることが可能であり得るため、フィルタを交換して廃棄することが必要になる前に、フィルタは20~100個の異なる蒸気発生物品で使用され得る。
【0019】
このことは、より複雑で高価な技術をフィルタ内で使用することができ、特に蒸気の温度を調節する、より効率的で効果的な手段をフィルタ内で使用することができるという効果を有する。例として、20~100個の蒸気発生物品ごとに交換するだけでよい再使用可能なフィルタを使用することは、フィルタ内の技術は単回使用の使い捨てのフィルタの20~100倍のコストとすることができることを意味する。このように、蒸気発生物品に解放可能に取り付け可能なフィルタを有することにより、アジャスタを備える再使用可能なフィルタが提供されて、ユーザは、効率的且つ効果的に自らのベイピング体験を調節できる。
【0020】
いくつかの例示的な蒸気発生物品は、固定要素と回転可能要素とを備え得るアジャスタを備える。回転可能要素は、回転可能要素の回転によって空気流通路の長さが調節されるように、固定要素に対して回転するように構成され得る。この配置は、フィルタの有効長を変更し、ひいては空気流通路の長さを変更するための簡素で効果的な機構を提供する。
【0021】
好ましくは、回転可能要素はらせん要素を含み得る。回転可能要素は、空気流通路の長さを調節するために、フィルタの長さに沿ってらせん状の経路に沿って移動し得る。回転可能要素が移動し得る経路を提供することは、調節プロセス中に構成要素が整列されたままであることを確保するのを助ける。
【0022】
らせん要素の第1の方向における回転によって、空気流通路の長さが長くなり得る。らせん要素の第2の方向における回転によって、空気流通路の長さが短くなり得る。
【0023】
回転可能要素は紙で作られてもよい。紙は比較的安価な材料であるため、蒸気発生物品の製造コストは低く保たれ得る。
【0024】
本体は、蒸気発生物品の遠位端を形成する基材部分を備え、基材部分がタバコなどの固体の蒸気発生材料を含むように配置され得る。
【0025】
本体は、フィルタと基材部分との間に配置された冷却領域を備え、冷却領域が、基材部分において発生された蒸気が、本体の第1の端部から流出し、フィルタに流入する前に冷却され得るように構成され得る。このことは、ユーザが高温過ぎる蒸気を吸引して、ユーザの口にダメージを与えることを防ぐことを助ける。蒸気冷却領域は中空チャンバを含み得る。
【0026】
いくつかの例では、蒸気発生物品のフィルタは完全に使い捨てであり得る。フィルタは紙で作られ得る。フィルタは、消耗品を収容する蒸気発生物品の本体の一部を形成し得る。
【0027】
別の態様によれば、蒸気発生物品と、蒸気発生物品を受け入れ、蒸気発生材料から蒸気を発生させるように構成された蒸気発生デバイスとを備える、蒸気発生システムであって、蒸気発生物品が上述の蒸気発生物品のいずれかによるものである、蒸気発生システムが提供される。
【0028】
ここで、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2a】第1の位置にある第1の調節可能フィルタの断面側面図を示す。
【
図2b】第2の位置にある第1の調節可能フィルタの断面側面図を示す。
【
図3a】第1の位置にある第2の調節可能フィルタの断面側面図を示す。
【
図3b】第2の位置にある第2の調節可能フィルタの断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1を参照すると、エアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生デバイス2内に配置された、細長い消耗品1の形態の例示的なエアロゾル発生物品1が示されている。
【0031】
エアロゾル発生物品1は、ロッド状部分11とフィルタ14とを備える。
【0032】
ロッド状部分11は、ロッド状部分11の長さの一部にわたって延びるエアロゾル発生基材12を備える。エアロゾル発生基材12は、エアロゾル発生物品1のうち、エアロゾル発生デバイス2の加熱チャンバ内にあり、且つ加熱チャンバの開口部から最も遠くにある端部に配置される。エアロゾル発生基材12は、加熱されるとエアロゾルを発生させる材料である。エアロゾル発生基材12は、例えば、タバコ又はニコチンを含み得る。エアロゾルは、フィルタ14を通る空気流によってエアロゾル発生物品1から引き出される。
【0033】
エアロゾル発生デバイス2は、加熱チャンバ21とヒータ22とを備える。
【0034】
加熱チャンバ21は、エアロゾル発生物品1すなわちエアロゾル発生物品1のロッド状部分11が受け入れられ得る内部中空を備えた管状構造体である。具体的には、加熱チャンバは、第1の端部212と第2の端部213との間に延びる側壁を備える。第1の端部212は、ロッド状部分11を挿入するために、開放されている、又は使用時に開放可能である。第2の端部213は、空気がエアロゾル発生物品を通って流れるための空気入口を提供するために、
図1に示すように開放され得る。代替的に、第2の端部213は、加熱チャンバ21の加熱効率を高めるために閉鎖され得る。
【0035】
加熱チャンバ21は、セラミック又は金属から形成され得る。例えば、加熱チャンバ21は、金属薄板を曲げ加工又はプレス加工することによって形成され得る。ヒータ22は、加熱チャンバ21の側壁を通して加熱チャンバ21の内部空洞内に熱を送達するのに適切な任意のヒータであり得る。例えば、ヒータは電気で駆動される抵抗線路の形態であってもよい。代替的に、燃料燃焼などの化学反応によって熱が提供されるヒータなどの、他のタイプのヒータも使用され得る。加熱チャンバは更に、真空管、断熱繊維、及び/又はエアロゲルなどの断熱材によって囲まれ得る。
【0036】
使用時、ヒータ22は、エアロゾル発生物品1を燃焼させることなく、エアロゾル発生基材12にエアロゾルを放出させるのに十分な温度に加熱チャンバ21を加熱するように配置される。特に、ヒータ22は、150℃~350℃の最高温度、より好ましくは200℃~350℃の温度にエアロゾル発生基材12を加熱するように構成される。
【0037】
ヒータ22は、
図1で加熱チャンバ21の外側に示されているが、いくつかの実施形態では、ヒータ22は、加熱チャンバ21の内側に配置され得る。
【0038】
エアロゾル発生物品1は、エアロゾル冷却領域15を更に備える。エアロゾル冷却領域15は、エアロゾル発生物品1の長さの一部にわたって延び、エアロゾル発生物品1の中空管状部分を備える。この中空管状部分は、(エアロゾル発生基材12を加熱することにより発生された)エアロゾルが、中空管状部分の側部から漏出せずに、エアロゾル発生物品1を通過することを可能にする。エアロゾル冷却領域15は、エアロゾル発生物品1のうち、加熱領域と呼ばれ得るヒータ22によって加熱される部分と重ならないため、エアロゾルはエアロゾル冷却領域15内で加熱され続けない。
【0039】
上述のように、エアロゾル基材15は、加熱チャンバ21内にあり、且つ開口部212から最も遠くにあるエアロゾル発生物品1の端部に配置される。フィルタ14は、開口部212の最も近くにある他方の端部に配置される。エアロゾル冷却領域15は、エアロゾル発生基材12とフィルタ14との間にエアロゾル発生物品1の長さに沿って延びる。これにより、使用時に、発生されたエアロゾルが、ユーザが吸入する前に冷却され得ることが確保される。
【0040】
次に、フィルタ14の更なる細部について説明する。
【0041】
フィルタ14は、マウスピース端部32と、マウスピース端部とは反対側にあり、ロッド状部分11に取り付けられる取り付け端部34とを備える。フィルタは、発生された蒸気が、ロッド状部分11から取り付け端部34を介してフィルタ14に流入し、マウスピース端部32を通ってフィルタ14から流出することを可能にする、フィルタ内の空気流通路16を更に備える。
【0042】
図2A~
図3Bに示すように、フィルタ14はまた、空気流通路16を通る空気の流れを制御するように構成されたアジャスタ18を備える。このことは、空気流通路16内の空気流の温度を変えるために、空気流通路16の長さを調節することによって実現される。換言すれば、空気流通路10への、及び空気流通路10に沿った空気の流れを調節するために、空気流通路16のサイズ、特に長さが制御され得る。
【0043】
例えば、空気流通路16のサイズは、第1のサイズ(例えば、
図2Aに示すようなサイズ)から第2のサイズ(例えば、
図2Bに示すようなサイズ)に大きくして、フィルタ14を通る空気の流れの経路長を長くし、それによって蒸気の温度を下げることができる。逆に、空気流通路16のサイズは、第2のサイズ(
図2Bに示すようなサイズ)から第1のサイズ(
図2Aに示すようなサイズ)に小さくして、フィルタ14を通る空気の流れの経路長を短くし、それによって蒸気の温度を維持することができる。当業者であれば、例示的な
図2A及び2Bに示す空気流通路16の長さは例示としての役割を担うのみであり、空気流通路16は、空気流通路16の長さを変更することにより蒸気温度を正確に制御できるように、長さの連続的な範囲の全体にわたって変更されるように制御され得ることを理解されよう。
【0044】
図2A及び
図2Bに示す例では、空気流通路16は、第1のサイズ及び第2のサイズの両方において、空気流通路の長さに沿って同じ形状を有する断面領域を有する。しかしながら、
図3A及び
図3Bに示すような他の例では、空気流通路16は、空気流通路16の長さに沿って変化する断面領域を有する。
【0045】
アジャスタ18は様々な形態をとることができ、そのうちのいくつかを以下に詳しく説明する。
【0046】
第1の例示的な形態では、アジャスタ18は、アジャスタ18の長さを変えるために伸びたり縮んだりするように配置された伸縮式手段を備える。より詳細には、伸縮式アジャスタ18は、互いに対して移動するように配置された内側スリーブ部分17と外側スリーブ部分19とを備える。外側スリーブ部分19を内側スリーブ部分17に対して移動させることにより、アジャスタ18の長さが調節され、このことは、空気流通路16の長さを調節する効果を有する。外側スリーブ部分19は、内側スリーブ部分17を受け入れるように配置された細長いカラーと考えることができる。外側スリーブ19と内側スリーブ17とは互いに実質的に同軸に整列される。
【0047】
図2Aに示す格納された構成又は第1の構成では、外側スリーブ部分19は、内側スリーブ部分17の実質的に全長を受け入れ、囲むように配置される。
図2Bに示す伸展された構成又は第2の構成では、外側スリーブ部分19は、内側スリーブ部分17の端部を囲むように配置される。
【0048】
外側スリーブ19は、内側スリーブ17に対して、またロッド状部分11に対して移動する。このように、アジャスタ18は、蒸気が移動する経路長を変えるためにロッド状部分から遠ざかるように、またロッド状部分に向かって移動され得る伸縮式領域を備えると考えることができる。
【0049】
特に、外側スリーブ部分19を内側スリーブ部分17から遠ざかるように移動することにより、空気流通路16の長さが長くなる。逆に、外側スリーブ部分19を内側スリーブ部分17に向かって移動することにより、空気流通路16の長さが長くなる。
【0050】
まとめると、フィルタ14の有効長は、フィルタ14の外側セクション19をロッド状部分11から離れる方向に移動させることによって変更され得る。この伸縮式機構により、蒸気が加熱チャンバからユーザの口までに移動しなければならない距離が長くなり、このことが蒸気が冷えるのを助ける。例えば、蒸気がユーザの口に届くまでに移動しなければならない全長を25mm長くすることにより、蒸気を15℃も冷やす効果があり得る。このことは、蒸気がユーザの好みよりも熱すぎたり冷たすぎたりする場合に、ユーザがフィルタの有効長を変更して、自らの好みに合わせることができることを意味する。特に、ユーザは、セッション全体において固定された長さ、又はセッションと共に変化する長さを選択することができる。このことは、通常最初のパフがセッションの中で最も熱いため、必要であり得る。
【0051】
この例では、フィルタ14は再使用可能なフィルタ14である。なぜなら、フィルタ14は、取り付け端部において、第1のエアロゾル発生物品1の1つのロッド状部分11から取り外すことができ、その後、取り付け端部34を介して第2のエアロゾル発生物品1の別のロッド状部分11に再び取り付けることができるからである。特に、フィルタ14は、任意の適切な一時的取り付け機構を使用して、ロッド状部分11の中又は上に嵌め込まれ得る。したがって、フィルタ14は、解放可能に取り付け可能で、複数のエアロゾル発生物品に使用可能であると考えることができる。換言すれば、フィルタ14は準使い捨てであると言うことができる。
【0052】
フィルタはプラスチックから作られ、このプラスチックは、場合によってはロッド状部分11と同じタイプのプラスチックである。プラスチックフィルタを使用する利点は、プラスチックフィルタが、ユーザがねじって、複数のエアロゾル発生物品1において再使用できる硬質な構造を可能にすることである。フィルタ14は再使用可能であるため、フィルタにプラスチック本体を使用することは費用効率が良い。
【0053】
図3A及び
図3Bに示す第2の例示的な形態では、アジャスタ18は、固定要素21と、固定要素21に対して回転するように構成された回転可能要素23とを備える。この場合、回転可能要素23の回転によって、空気流通路の長さが調節される。
【0054】
より詳細には、回転可能要素23は、第1の方向及び第2の方向にらせん状又は渦巻き状の経路に沿って回転し得るらせん要素を備える。
図3Bに示すように、らせん要素の第1の方向における回転によって、空気流通路16の長さが長くなる。逆に、
図3Aに示すように、らせん要素の第2の方向における回転によって、空気流通路16の長さが短くなる。
【0055】
図3Aに示す格納された構成又は第1の構成では、フィルタ14は実質的に円筒状の形状を有する。
図3Bに示す伸展された構成又は第2の構成では、フィルタ14は実質的に円錐状の形状を有する。
【0056】
いくつかの例では、回転可能要素は紙で作られる。この場合、フィルタ14は、紙で作られ、フィルタ14の長さに沿って延びるらせん形状を有する溝を付けられ得る。フィルタ14の外側部分が回転されると、回転可能要素はらせん状の経路に沿って移動し、フィルタ14の有効長が伸びる。このように、フィルタ14の外側部分を形成する回転可能要素をねじることにより、フィルタ14の形状が比較的短い円筒からより長い円錐形状に変化する。これにより、蒸気を冷却するために蒸気が空気流通路16内を移動する距離が長くなる。圧力低下はフィルタ領域14の長さに沿って維持される。
【0057】
フィルタ14がロッド状部分11に取り付けられると、蒸気発生物品1が形成される。特に、蒸気発生物品1は第1の端部と第2の端部を備え、フィルタ14は蒸気発生物品1の第2の端部に取り付けられる。蒸気発生物品1の第1の端部は、蒸気発生デバイス2と接続するために使用され得る。この場合、蒸気発生物品1と蒸気発生物品1を受け入れる蒸気発生デバイス2とを備える蒸気発生システムが形成される。
【0058】
エアロゾル発生デバイスは、「加熱式たばこデバイス」、「加熱非燃焼式たばこデバイス」、「たばこ製品気化用デバイス」などと等しく称することができる電子たばこであり、これらの効果を実現するのに適切なデバイスとして解釈されることを理解されたい。本明細書中に開示する特徴は、任意のエアロゾル発生媒体を気化させるよう設計されるデバイスに等しく適用可能である。
【0059】
エアロゾル発生基材12は、タバコを、例えば乾燥した又はキュアした形態で含み得、場合により、風味のための、又はより滑らかな若しくはより満足感を与える体験をもたらす、追加の成分を有する。いくつかの例では、タバコなどのエアロゾル発生基材12は、気化剤で処理され得る。気化剤は、エアロゾル発生基材12からの蒸気の発生を改善し得る。気化剤は、例えば、グリセロールなどのポリオール又はプロピレングリコールなどのグリコールを含み得る。場合により、エアロゾル発生基材12は、タバコを又は更にはニコチンを含まなくてもよく、代わりに、風味、揮発性、滑らかさの改善及び/又は他の満足感を与える効果を提供するための天然成分又は人工由来の成分を含み得る。
【0060】
エアロゾル発生基材12は、細断された、ペレット状の、粉末状の、粒状の、ストリップ又はシート形態、任意選択的にこれらの組み合わせの固体又はペーストタイプの材料として提供され得る。同様に、エアロゾル発生基材12は、液体又はゲルであり得る。実際、いくつかの例では、固体部分と液体/ゲル部分との両方が含まれる場合がある。実際、いくつかの例では、固体部分と液体/ゲル部分との両方が含まれる場合がある。いくつかの例では、基材12は、中実ブロックであり得るか、又はラッパー13内に詰められたばら材料であり得る。好ましくは、基材は、タバコ粉末とエアロゾル形成剤とを含むランダムに配向されたタバコストランドを含む。適切なエアロゾルフォーマは、ポリオール(ソルビトール、グリセロール及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールなどのグリコール類等)、非ポリオール(一価アルコール、乳酸等の酸類、グリセロール誘導体、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル等のエステル、グリセリン又は植物性グリセリン等)を含む。いくつかの実施形態において、エアロゾル発生剤は、グリセロール、プロピレングリコール、又はグリセロールとプロピレングリコールとの混合物であってもよい。
【0061】
エアロゾル発生基材12は、通常、加熱されるとガス又はガス中の固体及び/若しくは液体浮遊物を生成するが、本明細書では、用語「蒸気」及び「エアロゾル」は一般に交換可能に用いられ、一般に、任意のサイズの粒子又は液滴の浮遊物を生成するためにエアロゾル発生基材12を加熱する場合に生成される物質を指すことを認識されたい。
【0062】
本明細書で使用する場合、「流体」という用語は、液体、ペースト、ゲル、粉末などを含むがこれらに限定されない流動可能なタイプの非固形材料を総称して説明するものとして解釈されるものとする。それに応じて、「流動化された材料」は、本質的に流体である材料として、又は流体として振る舞うように改質された材料として解釈されるものとする。流動化は、粉末化、溶媒への溶解、ゲル化、増粘化、減粘化などを含んでもよいが、これらに限定されない。
【国際調査報告】