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特表2024-5051702つの隣接する構成要素の表面間の接合部を封止するための封止ストリップ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】2つの隣接する構成要素の表面間の接合部を封止するための封止ストリップ
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/684 20060101AFI20240129BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
E04B1/684 A
F16J15/10 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542958
(86)(22)【出願日】2022-01-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2022050343
(87)【国際公開番号】W WO2022157023
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】21152994.6
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513008731
【氏名又は名称】ユニヴェルシテイト ヘント
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITEIT GENT
【住所又は居所原語表記】Sint-Pietersnieuwstraat 25, B-9000 Gent, Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン リンデン, ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン ボッシェ, ネイサン
【テーマコード(参考)】
2E001
3J040
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001FA04
2E001GA64
2E001HD03
3J040AA01
3J040AA13
3J040BA04
3J040EA16
3J040EA21
3J040FA08
3J040HA15
(57)【要約】
本発明は、2つの隣接する構成要素の表面間の接合部を封止するための封止ストリップに関する。封止ストリップは、2つの隣接する構成要素の表面間に設けられるときに排水空洞を形成する排水構造を画定する本体を備える。排水構造は、本体の上面において下方に延びる1つ以上の上部凹部を有する上部排水層を備え、各上部凹部は、本体の前面における排水穴と流体連通している。さらに、上部凹部のいずれも、もしあれば本体の後面における排水穴と流体連通していない。本発明は、さらに、2つの隣接する構成要素の表面間の接合部を封止するための方法に関する。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの隣接する構成要素の表面間の接合部を封止するための封止ストリップであって、前記封止ストリップが、第1の端部と第2の端部との間で長手方向(x)に延び、かつ前面と後面との間で横方向(y)に延びる本体を備え、前記本体が、
前記前面から後方に延びる前部であって、前記前部が、前記2つの隣接する構成要素の前記表面間に設けられるときに排水空洞を形成する排水構造を画定する、前部と、
前記本体の前記前部と前記後面との間に延びる後部であって、前記後部が、前記2つの隣接する構成要素の前記表面間に設けられるときに前記隣接する構成要素のうちの一方の隣接する表面との封止界面を形成するように構成された上部接触面を画定する、後部と
を備え、
前記排水構造が、前記本体の上面において下方に延びる1つ以上の上部凹部を有する上部排水層を備え、各上部凹部が、前記本体の前記前面における1つ以上の排水穴と流体連通し、
前記本体の前記横方向(y)において、前記上部接触面が、前記本体の幅Bの少なくとも10%にわたって延びる、封止ストリップ。
【請求項2】
前記上部接触面が、前記本体の前記上面の断面積の少なくとも10%を形成する、請求項1に記載の封止ストリップ。
【請求項3】
前記本体の前記前面における各排水穴が、前記本体の前記上面において下方に延びる穴によって形成される、請求項1に記載の封止ストリップ。
【請求項4】
前記後部が、実質的に均一な構造を有する、請求項1に記載の封止ストリップ。
【請求項5】
前記本体の前記長手方向(x)において、前記上部排水層または前記排水空洞が、前記本体の長さLの少なくとも80%にわたって、好ましくは前記本体の長さLの少なくとも90%にわたって、より好ましくは前記本体のほぼ長さLにわたって延びる、請求項1~4のいずれか一項に記載の封止ストリップ。
【請求項6】
前記排水構造が、前記本体の底面において上方に延びる1つ以上の底部凹部を有する底部排水層をさらに備え、各底部凹部が、前記本体の前記前面における前記排水穴のうちの少なくとも1つと流体連通している、請求項1~5のいずれか一項に記載の封止ストリップ。
【請求項7】
前記底部排水層が前記上部排水層と流体連通している、請求項6に記載の封止ストリップ。
【請求項8】
各底部凹部が各上部凹部と流体連通している、請求項7に記載の封止ストリップ。
【請求項9】
前記上部排水層が、連続した上部凹部によって形成された丁度1つの上部凹部を備える、かつ/または、前記底部排水層が、連続した底部凹部によって形成された丁度1つの底部凹部を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の封止ストリップ。
【請求項10】
前記上部排水層が、互いに直接流体連通していない複数の不連続な上部凹部を備える、かつ/または、前記底部排水層が、互いに直接流体連通していない複数の不連続な凹部を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の封止ストリップ。
【請求項11】
不連続な各上部凹部および/または不連続な各底部凹部が、前記本体の前記前面における異なる排水穴と流体連通している、請求項7に記載の封止ストリップ。
【請求項12】
前記本体が、前記上部凹部のうちの1つ以上の底部において傾斜面を備え、前記傾斜面が、前記本体の前記長手方向(x)に垂直な前記本体の前記横方向(y)に対する傾斜角度(α)で前記前面に向かって下方に傾斜している、請求項1~11のいずれか一項に記載の封止ストリップ。
【請求項13】
前記本体が発泡材料で作られる、請求項1~12のいずれか一項に記載の封止ストリップ。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の封止ストリップを備え、前記本体の少なくとも底面に、接着層と、任意に、前記接着層を覆うカバー層とが設けられる、封止テープ。
【請求項15】
2つの隣接する構成要素(2)と、前記2つの隣接する構成要素の表面間の接合部を封止する、好ましくは請求項1~13のいずれか一項に記載の、封止ストリップ(1)とを備える、建物エンベロープであって、前記封止ストリップが、
第1の端部と第2の端部との間で長手方向(x)に延び、かつ前面と後面との間で横方向(y)に延びる本体を備え、前記本体が、
前記前面から後方に延びる前部であって、前記前部が、前記本体と前記2つの隣接する構成要素の前記表面のうちの少なくとも一方との間に排水空洞を形成する排水構造を画定する、前部と、
前記本体の前記前部と前記後面との間に延びる後部であって、前記後部が、前記表面のうちの前記少なくとも一方との封止界面を形成する上部接触面を画定する、後部と
を備え、
前記排水構造が、前記本体の上面において下方に延びる1つ以上の上部凹部を有する上部排水層を備え、各上部凹部が、前記本体の前記前面における1つ以上の排水穴と流体連通し、
前記本体の前記横方向(y)において、前記上部接触面が、前記本体の幅Bの少なくとも10%にわたって延びる、建物エンベロープ。
【請求項16】
好ましくは、請求項1~13のいずれか一項に記載の封止ストリップまたは請求項14に記載の封止テープを使用して、2つの隣接する構成要素の表面間の接合部を封止するための方法であって、
本体の上面において下方に延びる1つ以上の上部凹部を有する上部排水層を備える排水構造を前記本体に設けるステップを含み、任意の順序で、
各上部凹部が前記本体の前面における排水穴と流体連通するように、前記本体の前記前面内に少なくとも1つの排水穴を形成するステップと、
前記排水構造によって排水空洞が形成されるように、2つの隣接する構成要素のうちの一方の表面に前記本体の前記上面を対面させて、前記2つの隣接する構成要素の前記表面間に前記本体を設けるステップと
をさらに含む、方法。
【請求項17】
2つの隣接する構成要素の前記表面間に前記本体を設ける前記ステップが、
前記少なくとも1つの排水穴を形成する前記ステップの前に、前記排水構造によって排水空洞が形成されるように、前記2つの隣接する構成要素のうちの一方の前記表面に前記本体の前記上面を対面させて、または、前記2つの隣接する構成要素のうちの前記一方の前記表面に前記本体の底面を対面させて、前記2つの隣接する構成要素のうちの一方の前記表面上に前記本体を設けるサブステップと、
前記少なくとも1つの排水穴を形成する前記ステップの後に、前記排水構造によって排水空洞が形成されるように、それぞれ前記本体の前記底面に対してまたは前記本体の前記上面に対して前記2つの隣接する構成要素のうちの他方を設けるサブステップと
を含む、請求項16に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの隣接する構成要素の表面間の接合部を封止するための封止ストリップに関する。本発明は、さらに、2つの隣接する構成要素の表面間の接合部を封止するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁の構築中に、ならびに窓枠またはファサードパネルの設置中に、直線接合部が形成される。これらの接合部は、隣接する構成要素の伸縮、ならびに建物構成要素および設置に関する公差に適合する必要がある。これらの接合部は、気象条件、すなわち雨および風にさらされるため、クラッディングシステムおよび構造要素への損傷を防止し、冷たい隙間風および/または熱損失を防止するために、気密および防水で封止される必要がある。
【0003】
ファサード要素間の接合部を効果的かつ効率的に封止するために、いくつかの問題を解決する必要がある。まず第1に、シールは、接合部の内部側への雨水の移動を防止しなければならない。これは、接合部の外面において雨水を排除することによって、または、浸入した水を外面の後ろで排水空洞に沿って外部に排出することによって、達成することができる。浸入した雨水により、クラッディングシステムが損傷したり、木材構成要素が腐って崩れたり、断熱性能が低下したりする可能性がある。接合部の防水性に加えて、シールはまた、接合部を通る空気流を制限し、水浸入の推進力として作用する外面上の圧力差を低減するために、接合部の気密性を保証しなければならない。
【0004】
さらに、シールは、風荷重または熱膨張および収縮によるファサード要素の差動運動に対して強くなければならない。シールの気密性および防水性は、パネルがすべての方向において互いに対して移動している場合でも、維持されなければならない。シールの弾性および可撓性は、亀裂の形成を回避するのに十分であるべきである。シールの外面において亀裂または欠陥が存在する場合、接合部の内部側への透水が防止されるべきである。さらに、シールは、ファサード要素の設置に関する公差およびファサード要素自体に関する公差に適合可能であるべきである。ジョイント幅が規定の公差限界内で建物にわたって異なる場合、同じ封止システムが、すべての接合部を効果的に気密および防水で封止可能であるべきである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、上述の欠点を克服する、異なる建物エンベロープ(buildingenvelope)構成要素間の接合部の気密および防水封止を提供することであり得る。
【0006】
本発明の別の目的は、水平接合部と垂直接合部の両方を封止するための封止システムを提供することであり得る。本発明のさらなる目的は、水平接合部と垂直接合部の両方の間の交差部を封止するための効率的な解決策を提供することであり得る。本発明のさらに別の目的は、コスト効率が高い封止システムを提供することであり得る。
【0007】
本発明の別の目的は、異なる建物エンベロープ構成要素間の接合部を封止するための複雑でない方法を提供することであり得る。
【0008】
本開示の態様は、少なくとも上述の問題および/または欠点に対処し、少なくとも以下で説明される利点を提供することである。この目的は、第1の独立請求項の技術的特徴を有する、2つの隣接する構成要素、特に2つの隣接する建物構成要素(例えば、ファサードクラッディング)の表面間の接合部を封止するための封止ストリップによって達成される。
【0009】
本明細書で説明される本発明の他の態様および実施形態と組み合わせて生じ得る第1の態様では、本発明は、2つの隣接する構成要素の表面間に設けられるときに排水空洞を形成する排水構造を画定し、2つの隣接する構成要素の表面間に設けられるときに隣接する構成要素のうちの1つと接触する上部封止面を画定する細長い本体を備える、上記で説明されたような封止ストリップに関する。本体は、第1の端部と第2の端部との間、例えば左端部と右端部との間または右端部と左端部との間で長手方向に延びる。好ましくは、長手方向は、2つの隣接する構成要素の表面間に設けられるときの接合部の長手方向と実質的に一致している。さらに、長手方向に垂直に、本体は、それぞれの隣接する構成要素に向けられることになる上面と底面との間で垂直方向に延びる。さらに、長手および垂直方向に垂直に、本体は、隣接する構成要素によって形成された建物エンベロープの外部および内部それぞれに向けられることになる前面と後面との間で横方向に延びる。
【0010】
本体は、弾性的に圧縮されるかまたは弾性的に圧縮され得る、圧縮されたまたは圧縮可能な材料で作られ得る。本体は、例えば、圧縮されていない寸法の少なくとも約60%まで弾性的に圧縮され得る材料で作られる。好ましくは、圧縮されたまたは圧縮可能な材料は、連続気泡フォームまたは独立気泡フォームである。圧縮されたまたは圧縮可能な材料は、例えば、連続気泡ポリウレタンフォームなどのポリウレタンフォームである。本体は、連続気泡構造、半独立気泡構造、または独立気泡構造を有してもよく、予め圧縮されるかまたは圧縮可能であってもよく、ストリップの1つまたは2つの面に接着層があってもなくてもよく、発泡材料、例えば、ポリウレタン(PU)、エチレンプロピレンジエンモノマ(EPDM)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはポリエチレン(PE)から作られてもよく、ゴム材料、例えば、エチレンプロピレンジエンモノマ(EPDM)、ネオプレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性エラストマ(TPE)またはシリコーンで作られてもよく、様々な硬度を有してもよく、あるいは上記の特性の組合せを有してもよい。
【0011】
排水構造は、本体の上面において下方に延びる1つ以上の上部凹部を有する上部排水層を備え、各上部凹部は、好ましくは本体の上面から下方に延びる、より好ましくは本体の上面から本体の底面に延びる、本体の前面における1つ以上の排水穴と流体連通している。さらに、上部凹部のいずれも、もしあれば本体の後面における穴と流体連通していない。本体は、前面から後方に延び、排水構造を備える凹状前部と、本体の後面と前部との間に延び、上部封止面を備える後部とを備える。言い換えれば、後部は、2つの隣接する構成要素の表面間に設けられるときに隣接する構成要素のうちの一方の隣接する表面との封止界面を形成するように構成された上部接触面を設ける。同様に、後部は、2つの隣接する構成要素の表面間に設けられるときに隣接する構成要素のうちの一方の隣接する表面との封止界面を形成するように構成された底部接触面を設け得る。
【0012】
効果的な防水層を設けるために、後部、したがって上部接触面は、本体の平均幅Bの少なくとも10%にわたって、好ましくは本体の平均幅Bの少なくとも20%にわたって、より好ましくは本体の平均幅Bの少なくとも30%にわたって延びる。合計で、上部接触面の面積は、本体の上面の断面積、すなわち凹状部分を含む本体の上面の面積の少なくとも10%を形成する。好ましくは、上面の断面積の少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%にわたる。したがって、長手方向に垂直に、すなわち前面から後面に延びる横方向に見たとき、十分に広い接触が存在する。好適には、接触界面が狭い線接触によって形成される、三角形断面を有する略中空形状を有する、米国特許出願公開第2019/0078323号明細書のシリコンまたはゴムシールシステムと比較して、封止ストリップを越える水浸入のリスクが大幅に低減される。本発明による解決策の他の利点は、従来のシリコンまたはゴムシールよりもコンパクトな解決策、一体化された解決策、および軽量化である。さらに、隣接する構成要素の表面における凹凸は、狭い線接触を有する封止システムと比較して影響が少ない。
【0013】
本発明の封止ストリップは、垂直接合部および横接合部、ならびにそれらの間の交差部を封止するために使用され得る一般的な風雨密封止システムと見なされ得る。システムは、既存の解決策と比較してより信頼性の高い風雨密性を保証し得、設置するのにあまり複雑でなくなり得る。
【0014】
解決策の特定の幾何学的形状は、単一の封止要素における、レインスクリーン、1つ以上の均圧排水空洞、中間排水構造、および後部気密層(の機能)の組合せを可能にする。レインスクリーンは、封止システムの最外表面であり、ほとんどの雨を排除する。レインスクリーンは、浸入した水を外部に排出することができる排水穴を含む。排水穴はまた、排水空洞における圧力が外気と均等化されることを保証する。
【0015】
信頼性の高い風雨密シールを設けるために必要なすべての機能が1つの封止要素に組み合わせられるため、現場での作業ステップの数も最小限になる。これは、設置誤差のリスクを低減し、したがって、大量の水が浸透し得る欠陥の確率をも低減する。さらに、水の浸入および損傷をもたらす誤差のリスクが、発泡封止ストリップの特定の幾何学的形状およびもたらされる排水実現性によって最小限に抑えられるため、発泡封止ストリップを設置するために特別な熟練作業者は必要ない。
【0016】
さらに、発泡封止ストリップの気密性は、接合部の内部側に向かって増加する。これは、水を接合部に通す主な力のうちの1つである圧力差が外面に向かって低減されることを保証する。本発明の特定の幾何学的形状を有する1つ以上の排水空洞と組み合わせられた圧力差のこの低減は、水が接合部の内部側に到達する可能性を大幅に低減する。
【0017】
本明細書で説明される本発明の他の態様および実施形態と組み合わせて生じ得る好ましい実施形態では、本発明は、後部が、実質的に均一な構造、すなわち、材料内に空隙を有しない非多孔質構造、または多孔質材料における細孔のサイズと比較して相対的に大きいサイズを有する空隙を有しない多孔質構造、例えば、平均細孔サイズの2倍よりも大きい空隙を有しない多孔質構造を有する、上記で説明されたような封止ストリップに関する。本明細書で説明される本発明の他の態様および実施形態と組み合わせて生じ得るさらに好ましい実施形態では、本発明は、封止ストリップが、実質的に均一な構造を有するか、または実質的に均一な構造を有する複数の異なる要素によって形成される、上記で説明されたような封止ストリップに関する。例えば、封止ストリップは、第1の可撓性発泡材料で作られた前部分と、第2の可撓性発泡材料で作られた後部分とによって形成され得、発泡体部分はEPDM箔に接着される。
【0018】
本明細書で説明される本発明の他の態様および実施形態と組み合わせて生じ得る好ましい実施形態では、本発明は、封止ストリップが封止ストリップによって形成され、本体の底面に、接着層と、任意に、接着層を覆うカバー層とが設けられる、上記で説明されたような封止ストリップに関する。本実施形態の封止ストリップの追加の利点は、封止ストリップの上面と上部構成要素の底面との間に浸入した水を収集することによって2つの隣接する構成要素間の接合部における水浸入が防止されることに続いて、封止ストリップの底面と底部構成要素の上面との間の接着層の存在が、水浸入を防止する追加のバリアをもたらすことである。
【0019】
一実施形態によれば、本発明は、本体の長手方向において、上部排水層または排水空洞が、本体の長さLの少なくとも80%にわたって、好ましくは本体の長さLの少なくとも90%にわたって、より好ましくは本体のほぼ長さLにわたって延びる、上記で説明されたような封止ストリップに関する。したがって、長手方向位置の大部分(少なくとも80%)において、長手方向に垂直に、すなわち前面から後面に延びる横方向に見たとき、凹部が存在する。好適には、封止ストリップと構成要素の表面との間の水浸入のリスクが大幅に低減される。
【0020】
本明細書で説明される本発明の他の態様および実施形態と組み合わせて生じ得る第2の態様では、本発明は、排水空洞が、本体の底面において上方に延びる1つ以上の底部凹部を有する底部排水層をさらに備え、各底部凹部が、本体の前面における排水穴のうちの少なくとも1つと流体連通している、上記で説明されたような封止ストリップに関する。
【0021】
一実施形態によれば、本発明は、底部排水層の少なくとも1つの凹部が上部排水層の少なくとも1つの凹部と流体連通している、上記で説明されたような封止ストリップに関する。好ましくは、各底部凹部は各上部凹部と流体連通している。
【0022】
本明細書で説明される本発明の他の態様および実施形態と組み合わせて生じ得る第3の態様では、本発明は、排水空洞が、本体内に延びる1つ以上の中間空洞を有する少なくとも1つの中間排水層をさらに備え、各中間空洞が、上部排水層の少なくとも1つの凹部と流体連通し、および/または底部排水層の少なくとも1つの凹部と流体連通している、上記で説明されたような封止ストリップに関する。
【0023】
一実施形態によれば、本発明は、各中間空洞が各上部凹部および/または各底部凹部と流体連通している、上記で説明されたような封止ストリップに関する。
【0024】
本明細書で説明される本発明の他の態様および実施形態と組み合わせて生じ得る第4の態様では、本発明は、上部排水層が、連続した上部凹部によって形成された丁度1つの上部凹部を備え、各中間排水層が、連続した中間空洞によって形成された丁度1つの中間空洞を備える、かつ/または底部排水層が、連続した底部凹部によって形成された丁度1つの底部凹部を備える、上記で説明されたような封止ストリップに関する。
【0025】
一実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの上部凹部、連続した中間空洞および/または底部凹部が、T字形、L字形またはI字形部分を含む、上記で説明されたような封止ストリップに関する。好ましくは、連続した上部凹部、各連続した中間空洞および/または連続した底部凹部は、T字形、L字形またはI字形部分を含む。
【0026】
別の実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの上部凹部、連続した中間空洞および/または底部凹部が、迷路状、T字形またはL字形である、上記で説明されたような封止ストリップに関する。好ましくは、連続した上部凹部、各連続した中間空洞および/または連続した底部凹部は、迷路状、T字形またはL字形である。
【0027】
本明細書で説明される本発明の他の態様および実施形態と組み合わせて生じ得る第5の態様では、本発明は、上部排水層が複数の不連続な上部凹部を備え、各中間排水層が複数の不連続な中間空洞を備える、かつ/または底部排水層が複数の不連続な凹部を備える、上記で説明されたような封止ストリップに関する。本明細書で使用される「不連続な凹部」または「不連続な空洞」という用語は、互いに直接流体連通していない凹部または空洞を意味する。
【0028】
一実施形態によれば、本発明は、不連続な各上部凹部、不連続な中間空洞、および/または不連続な底部凹部が、本体の前面における異なる排水穴と流体連通している、上記で説明されたような封止ストリップに関する。別の実施形態によれば、本発明は、不連続な各上部凹部、不連続な中間空洞、および/または不連続な底部凹部が、棒状または笛形部分を含む、上記で説明されたような封止ストリップに関する。
【0029】
本明細書で説明される本発明の他の態様および実施形態と組み合わせて生じ得る第6の態様では、本発明は、本体が、上部凹部のうちの1つ以上の底部において傾斜面を備え、傾斜面が、本体の長手方向に垂直な本体の横方向に対する傾斜角度αで前面に向かって下方に傾斜している、上記で説明されたような封止ストリップに関する。横方向は、本体の後面から本体の前面に向かって延びるか、またはその逆に延びる。好適には、上部凹部内に受け入れられた水は、本体の前面における各排水穴に向かって効率的に誘導される。
【0030】
さらに、本発明は、軟質で可撓性の発泡材料で作られた、上記で説明されたような封止ストリップを含む、発泡封止ストリップに関する。例えば、圧縮および続く放出後に遅延回復を被る、部分的に圧縮された連続気泡軟質フォーム。
【0031】
発泡封止ストリップは、予め圧縮され、接合部に適用された後に復元し得るか、または、接合部における設置中に圧縮される。封止ストリップが十分に圧縮されて設置される場合、封止ストリップは、例えばバッカーロッドの上部のエラストマーシーラントと比較して、ファサード構成要素の差動運動に対してより強い。
【0032】
発泡封止ストリップのセル構造は、独立、半独立、または連続であり得る。独立気泡ストリップ、例えばEPDMは、低い通気性を有し、防水になるために連続気泡ストリップよりも小さい圧縮を必要とする。連続気泡ストリップの利点は、圧縮後の遅延回復、耐火性の向上または防水性の改善など、追加の特性をもたらすために、これらのストリップを含浸することが可能であることである。
【0033】
好適には、風雨密になるために発泡封止ストリップを高度に圧縮する必要がなくなる。既存の発泡封止ストリップでは、基板の凹凸を覆い、他の封止ストリップとの防水接続を実現することが可能になるために、ストリップが接合部に設置されるときに大きい程度の圧縮が必要である。しかしながら、この高度な圧縮は、既存の製品とのあらゆるタイプの接合について達成することが困難である。また、ファサード構成要素の異なる動きにより、接合幅が増加し、その結果、圧縮度が低減し得る。外気と均圧化される1つ以上の排水空洞の存在により、高度な圧縮はもはや必要でない。発泡封止ストリップとファサード構成要素との間の、または2つの発泡封止ストリップ間の界面におけるピンホールに水を通過させる場合、水は、接合部の全長にわたって排水空洞に入る。排水空洞の特定の幾何学的形状、および圧力差の低減により水をさらに接合部に通すことができないという事実のために、浸入した水は、空洞に沿って排水穴のうちの1つに向かって流れる。したがって、浸入した水によって引き起こされる深刻な損傷のリスクが大幅に低減される。
【0034】
さらに別の利点は、発泡封止ストリップを容易に交換するかまたは取り外すことができることである。ファサード構成要素のうちの1つを交換するかまたは取り外す必要がある場合、例えば、損傷が示される場合、または窓が不透明な要素と交換されている場合、要素がレインスクリーン原理を適用する既存の解決策で封止されているときに要素のうちの1つを単に取り出して任意の他の要素と交換することは不可能である。これらのシステムは、インターロックし、特定のエッジ仕上げを必要とするか、または、封止システムは、要素の設置後に上から下に挿入される必要がある。対照的に、本発明の解決策で封止された1つのファサード要素のみが交換される必要があるとき、発泡封止ストリップの一部分を切り離し、接合部から引き出すことができる。ファサード構成要素の交換後、新しい発泡封止ストリップを設置することができる。
【0035】
発泡封止ストリップの外部層にわたる圧力差の低減および排水実現性のおかげで、新しい発泡封止ストリップと元のストリップとの間の接合部は、接合部の内部側へのいかなる追加の漏れ経路ももたらさない。
【0036】
さらに、本発明は、先行する請求項のいずれか一項に記載の封止ストリップを備え、本体の少なくとも底面に、接着層と、任意に、接着層を覆うカバー層とが設けられる、封止テープに関する。一実施形態によれば、本体の底面と上面の両方に、接着層と、任意に、接着層を覆うカバー層とが設けられる。
【0037】
さらに、本発明は、2つの隣接する構成要素と、2つの隣接する構成要素の表面間の接合部を封止する封止ストリップとを備える建物エンベロープに関し、前記封止ストリップは、左端部と右端部との間に延びる本体を備え、本体は、本体と2つの隣接する構成要素の表面のうちの少なくとも一方との間に排水空洞を形成する排水構造を画定する。排水構造は、上部排水空洞を形成する本体の上面において下方に延びる1つ以上の上部凹部を有する上部排水層を備え、各第1の凹部は、本体の前面における排水穴と流体連通している。
【0038】
さらに、本発明は、2つの隣接する構成要素の表面間の接合部を封止するための方法であって、本体を用意するステップと、
本体の上面において下方に延びる1つ以上の上部凹部を有する上部排水層を備える排水構造を形成し、各上部凹部が本体の前面における排水穴と流体連通するように本体の前面における少なくとも1つの排水穴を形成すること
によって上記で説明されたような封止ストリップを形成するステップとを含む、方法に関する。
【0039】
第1の実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの排水穴を形成するステップが、排水構造を形成するステップと同時に行われる、上記で説明されたような方法に関する。方法は、排水構造によって排水空洞が形成されるように、2つの隣接する構成要素のうちの一方の表面に本体の上面を対面させて、2つの隣接する構成要素の表面間に本体を設けるステップをさらに含み得る。
【0040】
第2の実施形態によれば、本発明は、排水構造によって排水空洞が形成されるように、2つの隣接する構成要素のうちの一方の表面に本体の上面を対面させて、2つの隣接する構成要素の表面間に本体を設けるステップをさらに含み、少なくとも1つの排水穴を形成するステップが、2つの隣接する構成要素の表面間に本体を設けた後に行われる、上記で説明されたような方法に関する。
【0041】
本明細書で説明される本発明の他の態様および実施形態と組み合わせて生じ得るさらなる実施形態では、本発明は、2つの隣接する構成要素の表面間に本体を設けるステップが、2つの隣接する構成要素のうちの第1の構成要素を設けることと、第1の構成要素の表面に本体の底面を対面させて本体を設けることとを含み、第2の構成要素の表面に本体の上面を対面させて2つの隣接する構成要素のうちの第2の構成要素を設けることを含む、上記で説明されたような方法に関する。
【0042】
本発明は、その例示的な実施形態が示されている図面を参照して以下でより詳細に説明される。それらは、例示の目的でのみ意図され、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の概念を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1A】使用中に少なくとも1つの連続した排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの斜視図を概略的に示す図である。
図1B】使用中に少なくとも1つの連続した排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの断面図を概略的に示す図である。
図2A】使用中に少なくとも1つの連続した排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの斜視図を概略的に示す図である。
図2B】使用中に少なくとも1つの連続した排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの断面図を概略的に示す図である。
図3A】使用中に少なくとも1つの連続した排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの斜視図を概略的に示す図である。
図3B】使用中に少なくとも1つの連続した排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの断面図を概略的に示す図である。
図4A】使用中に少なくとも1つの連続した排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの斜視図を概略的に示す図である。
図4B】使用中に少なくとも1つの連続した排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの断面図を概略的に示す図である。
図5A】使用中に少なくとも1つの連続した排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの斜視図を概略的に示す図である。
図5B】使用中に少なくとも1つの連続した排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの断面図を概略的に示す図である。
図6A】使用中に少なくとも1つの連続した排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの斜視図を概略的に示す図である。
図6B】使用中に少なくとも1つの連続した排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの断面図を概略的に示す図である。
図7A】使用中に複数の不連続な排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの斜視図を概略的に示す図である。
図7B】使用中に複数の不連続な排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの断面図を概略的に示す図である。
図8A】使用中に複数の不連続な排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの斜視図を概略的に示す図である。
図8B】使用中に複数の不連続な排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの断面図を概略的に示す図である。
図9A】使用中に複数の不連続な排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの斜視図を概略的に示す図である。
図9B】使用中に複数の不連続な排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの断面図を概略的に示す図である。
図10A】使用中に複数の不連続な排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの斜視図を概略的に示す図である。
図10B】使用中に複数の不連続な排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの断面図を概略的に示す図である。
図11A】使用中に複数の不連続な排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの斜視図を概略的に示す図である。
図11B】使用中に複数の不連続な排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの断面図を概略的に示す図である。
図12】使用中に複数の不連続な排水空洞を形成する、本発明の複数の実施形態による発泡封止テープの断面図を概略的に示す図である。
図13】本発明の実施形態と従来の発泡封止テープとの間の比較の実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本開示は、特定の実施形態に関して、およびいくつかの図面を参照して説明されるが、本開示はそれらに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。説明される図面は概略的なものにすぎず、限定するものではない。図面では、要素のうちのいくつかのサイズは、例示の目的で、誇張され、縮尺通りに描かれていない場合がある。寸法および相対寸法は、本開示の現実の実施化に必ずしも対応するとは限らない。
【0045】
さらに、説明および特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、同様の要素を区別するために使用され、必ずしも連続または経時的な順序を説明するために使用されるとは限らない。これらの用語は、適切な状況下で交換可能であり、本開示の実施形態は、本明細書で説明または例示される以外の順序で動作することができる。
【0046】
さらに、説明および特許請求の範囲における上、底、後、前などの用語は、説明の目的で使用され、必ずしも相対位置を説明するために使用されるとは限らない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本明細書で説明または例示される以外の向きで動作することができる。
【0047】
さらに、様々な実施形態は、「好ましい」と呼ばれるが、本開示の範囲を限定するものとしてではなく、本開示が実現され得る例示的な方法として解釈されるべきである。
【0048】
特許請求の範囲において使用される「含む、備える」という用語は、その後に列挙される要素またはステップに制限されると解釈されるべきではなく、他の要素またはステップを排除しない。この用語は、述べられた特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を言及されるように指定するものとして解釈される必要があるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップまたは構成要素、あるいはそれらのグループの存在または追加を排除しない。したがって、「AおよびBを備える装置」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみからなる装置に限定されるべきではなく、むしろ、本開示に関して、装置の列挙された構成要素のみがAおよびBであり、さらに、請求項は、それらの構成要素の均等物を含むと解釈されるべきである。
【0049】
本開示の異なる態様は、添付の図面を参照して以下でより完全に説明される。しかしながら、本明細書で開示される実施形態は、多くの異なる形態で実現することができ、本明細書に記載される態様に限定されると解釈されるべきではない。
【0050】
図1A図11Bは、異なる建物エンベロープ構成要素2間の接合部の気密および防水封止を実現する発泡封止テープを示す。封止テープ1a~mは、左端と右端との間で長手方向xに延び、断面図1B、2B、...、11Bに示されているように、前面13と後面14との間で横方向yに延び、上面11と底面12との間で垂直方向zに延びる、発泡体10によって形成される。発泡体10は、連続気泡構造、半独立気泡構造または独立気泡構造を有し得、あるいは、異なる気泡構造を有する層の組合せから構成され得る。テープは、予め圧縮され、接合部に設置されると復元するか、または、接合部に設置されるときに圧縮される。その予め圧縮された状態からの遅延回復の特性をもたらすために、発泡封止テープを含浸させることができる。
【0051】
発泡体10は、テープの少なくとも1つの面上に、接合部に配置可能であるように粘着層が設けられ得る。テープの厚さおよび幅は、ファサード構成要素の寸法および封止される必要がある接合部幅に応じて異なり得る。テープの厚さは、接合部の外部側または内部側に面するテープの表面の寸法として理解される。テープの幅は、隣接するファサード構成要素に面するテープの表面の寸法として理解される。
【0052】
発泡封止テープの特定の幾何学的形状は、発泡テープの特定の形状を取り出すことによって形成されたか、または本体の表面において延びる凹部21a~k、22c~f、22j~kが設けられた発泡体によって形成された、排水構造によって特徴づけられる。したがって、排水構造は、2つの隣接する建物エンベロープ構成要素の表面間に設けられるときに少なくとも1つの排水空洞を形成する。複数の排水空洞は、図4図12に示されているように複数の空間的に離れた凹部を形成することによって、または、図3に示されているように異なる封止テープを組み合わせるかもしくは一体化することによって、形成され得る。排水構造は、発泡体の上面において下方に延びる1つ以上の上部凹部を備える上部排水層および/または発泡体の底面において上方に延びる1つ以上の底部凹部を備える底部排水層ように、垂直に積層され得る。
【0053】
排水空洞は、図1図6に示されているように、封止テープのほぼ全長にわたって連続し得る。これらの空洞の複数は、図4に示されているように、封止テープの幅にわたって存在し得る。または、空洞は、図7図11に示されているように、空洞の長さにわたって不連続であり得る。封止テープの長さにわたる不連続な排水空洞は、封止テープにおける小さなチャネルによって設けられ得る。これらのチャネルは、様々な形状を有し得る。チャネルは、少なくとも発泡封止ストリップの非接着剤側において予見されるべきであり、垂直接合部において上方に向けられ、好ましくは、横接合部において外部に向かって傾斜底面を有するべきである。チャネルは、接合部の幅にわたる任意のポイントにおいて水滴が浸入した場合に、水滴がチャネルのうちの1つに到達し、外部に排出されるように適用される。
【0054】
いずれの場合でも、水が、封止テープの長さの任意のポイントにおいて接合部の外部側から内部側に向かって流れているとき、外部に接続された排水空洞を通ることが保証される必要がある。したがって、本体の長手方向xにおいて、上部排水層または排水空洞は、本体の長さLの少なくとも80%にわたって、好ましくは本体の長さLの少なくとも90%にわたって、より好ましくは本体のほぼ長さL全体にわたって延び得る。
【0055】
ファサード構成要素から流出する雨水のほとんどは、レインスクリーンとも呼ばれる、排水空洞の前の発泡封止テープの前壁23によって、または、排水空洞の均圧と組み合わせて、排水空洞の上向きの幾何学的形状によって、排除される。均圧は、排水空洞を外部に接続する、レインスクリーンにおける少なくとも1つの排水穴20の存在によって達成される。排水穴の寸法および数は、十分な程度の均圧と組み合わせて十分な排水能力を実現するのに十分に大きく、雨滴がその運動エネルギーに起因して排水空洞に向かって直接流れるのを防止するのに十分に小さくあるべきである。
【0056】
図4Aおよび図4Bは、いくつかの排水空洞が横方向yにおいて封止テープの幅にわたって実現され得ることを示す。これらの空洞は、横排水壁25と呼ばれる発泡封止テープの層によって分割される。横穴26は、テープの幅にわたって空洞を接続し、空洞を互いに均圧化するために、横排水壁内に存在する。発泡封止テープの最内壁、すなわち発泡体の後壁24は、穴を含まず、発泡封止テープの最も気密な層である。発泡封止ストリップの内部層の気密性の向上は、穴がないことによって、好ましくは、より高い含浸度、テープの層の密度の増加、および/またはより大きな圧縮度をもたらすより大きな層厚さと組み合わせて、得ることができる。
【0057】
図6Aおよび図6Bは、いくつかの排水空洞が垂直方向zにおいて封止テープの厚さにわたって実現され得ることを示す。これらの空洞は、垂直排水壁25’と呼ばれる発泡封止テープの層によって分割される。垂直穴27は、テープの厚さにわたって空洞を接続し、空洞を互いに均圧化するために、垂直排水壁内に存在し得る。
【0058】
発泡封止テープの断面はC字形を有し得、C字形は、C字形のテープの長さにわたって連続した排水空洞を含む。空洞は、図3Aおよび図3Bに示されているように、接合部の一方の側、好ましくは非接着剤側に、または、2つのC字形封止テープが組み合わせられる場合、接合部の両側に面している。垂直排水空洞と横排水空洞の重なりは、C字形の非対称性によって保証される。
【0059】
図13は、EN1027:2016によって規定された条件において試験が実施された実験の結果を示すグラフである。供試体の外面から250mmの距離および120°の角度で、噴霧ラックおよび全円錐ノズルによって水を噴霧する。約2l/分mの噴霧量を適用する。最初に、供試体上に圧力差なく15分間水を噴霧する。次いで、50Paから300Paまで段階的に昇圧する。その後、150Paの圧力増分を印加する。水が供試体に浸透する位置および圧力を報告する。左側のグラフは、供試体ごとに排水構造の有無で、評価された各接合部の接着剤側および非接着剤側における漏水の最初の徴候における圧力差を示す。
【0060】
実験では、従来の封止テープを、不連続な排水空洞(供試体1:前面に対して30°における8mmの不連続な排水空洞)を有する封止テープ、および連続した排水空洞(供試体2:10mmの連続した排水空洞を有するEPDM箔に接着された4つの発泡体部分の組合せ)を有する封止テープそれぞれと比較する。特に明記しない限り、すべての供試体は、アルミニウムの矩形プロファイルの間に設置されたとき、1000mmの長さ、40mmの幅、および15mmに相当する圧縮された厚さを有する、予め圧縮された連続気泡ポリウレタンフォームで作られた。
【0061】
この実験では、非接着剤側における漏水の最初の徴候における圧力差の顕著な増加を、グラフから決定することができる。圧力差の増加は、試験した3つの封止された接合部の平均圧力差と最小圧力差の両方について観察されることに留意されたい。したがって、排水構造のない発泡封止テープと比較して、外部に向かう排水穴を有する排水構造が発泡封止テープ内に存在した場合、改善された透水への耐性が得られたと結論付けることができる。
【0062】
当業者に明らかであるように、本発明の他の代替形態および同等の実施形態が本発明の概念内で考えられる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0063】
1.発泡封止テープ
2.建物エンベロープ構成要素
10.封止体
11.封止体の上面
12.封止体の底面
13.封止体の前面
14.封止体の後面
20.封止体における排水穴
21.封止体における上部凹部
22.封止体における底部凹部
23.封止体の前壁
24.封止体の後壁
25.封止体の排水壁
26.排水壁における横穴
27.排水壁における垂直穴
x.長手方向
y.横方向
z.垂直方向
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
【国際調査報告】