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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】関節リウマチを治療する方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20180101AFI20240129BHJP
   C12Q 1/6837 20180101ALI20240129BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20240129BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20240129BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20240129BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20240129BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALI20240129BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240129BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240129BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240129BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240129BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240129BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240129BHJP
   C12N 15/00 20060101ALN20240129BHJP
【FI】
C12Q1/68
C12Q1/6837 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/04
C12Q1/6876 Z
A61K39/395 N
A61K45/00
A61P19/02
A61P29/00 101
G01N33/50 P
G01N33/53 M
C12N15/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543310
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 GB2022050172
(87)【国際公開番号】W WO2022157506
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】2100821.4
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515200272
【氏名又は名称】クイーン メアリー ユニバーシティ オブ ロンドン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピッツァリス,コスタンティーノ
(72)【発明者】
【氏名】ルイス,マイルズ ジェイ
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045DA13
2G045DA14
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS10
4B063QS25
4B063QS34
4B063QS36
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA96
4C084ZB15
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
(57)【要約】
関節リウマチ(RA)患者がB細胞標的療法による治療に対して感受性であるかどうかを判定する方法であって、(a)患者から得られた1つ以上のサンプルにおける1つ以上のバイオマーカーのレベルを判定する工程、ここで1つ以上のバイオマーカーが表1から選択される、及び、(b)1つ以上のバイオマーカーのレベルを、対応する1つ以上の参照値と比較する工程、を含み、対応する参照値と比較した1つ以上のバイオマーカーのレベルは、B細胞標的療法による治療に対する感受性を示す、方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節リウマチ(RA)患者がB細胞標的療法による治療に対して感受性であるかどうかを判定する方法であって、
(a)患者から得られた1つ以上のサンプルにおける1つ以上のバイオマーカーのレベルを判定する工程、ここで1つ以上のバイオマーカーが表1から選択される、及び
(b)1つ以上のバイオマーカーのレベルを、対応する1つ以上の参照値と比較する工程、
を含み、
対応する参照値と比較した1つ以上のバイオマーカーのレベルが、B細胞標的療法による治療に対する感受性を示す、方法。
【請求項2】
レベルが核酸レベルであり、場合により核酸レベルがmRNAレベルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つ以上のバイオマーカーのレベルを判定する工程が、核酸の直接デジタル計数、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、又はこれらの組合せにより実施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1つ以上のバイオマーカーのレベルを判定する工程がRNAシーケンシングにより実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
1つ以上のバイオマーカーのレベルを判定する工程が、1つ以上のバイオマーカーの遺伝子発現のレベルを判定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つ以上のサンプルが滑膜サンプルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(a)1つ以上のバイオマーカーのレベルが、対応する参照値を超える場合、患者をB細胞標的療法による治療に対して感受性であると判定し、及び/又は(b)1つ以上のバイオマーカーのレベルが、対応する参照値未満である場合、患者をB細胞標的療法による治療に対して抵抗性であると判定する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
対応する参照値と比較した1つ以上のバイオマーカーのレベルがサンプルを富B細胞又は乏B細胞に分類する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(a)サンプルが富B細胞である場合、患者をB細胞標的療法による治療に対して感受性であると判定し、及び/又は(b)サンプルが乏B細胞である場合、患者をB細胞標的療法による治療に対して抵抗性であると判定する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
B細胞標的療法がB細胞除去療法である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
B細胞標的療法が、リツキシマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、オファツムマブ及びエプラツズマブからなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
B細胞標的療法がリツキシマブである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
B細胞標的療法による治療に対して抵抗性であると判定された患者を、IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤での治療に適すると判定する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
薬剤がIL-6受容体アンタゴニストである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
薬剤がトシリズマブである、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
RA患者が、DMARD及び/又は抗TNF療法に対して不応性である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
(a)患者がB細胞標的療法による治療に対して感受性であると判定された場合、B細胞標的療法を患者に施す工程、又は(b)患者がB細胞標的療法による治療に対して抵抗性であると判定された場合、IL-6受容体アンタゴニストを患者に投与する工程を更に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法における使用のためのキット。
【請求項19】
1つ以上のバイオマーカーを検出するのに適する試薬を含む、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
RNAシーケンシングのための試薬を含む、請求項18又は19に記載のキット。
【請求項21】
1つ以上のバイオマーカーを検出するためのプローブ又は抗体を含む、請求項18から20のいずれか一項に記載のキット。
【請求項22】
マイクロチップ又はマイクロアレイの形態である、請求項18から21のいずれか一項に記載のキット。
【請求項23】
関節リウマチ(RA)を治療する方法であって、
(a)有効量のB細胞標的療法を患者に施す工程、ここで患者がB細胞標的療法による治療に対して感受性であると請求項1から17のいずれか一項に記載の方法により判定される、
又は
(b)有効量のIL-6受容体アンタゴニストを患者に投与する工程、ここで患者がB細胞標的療法による治療に対して抵抗性であると請求項1から17のいずれか一項に記載の方法により判定される、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節リウマチ(RA)患者が、B細胞標的療法、例えばリツキシマブによる治療に対して感受性であるかどうかを判定する方法に関する。また本発明は、B細胞標的療法に対して感受性又は不応性であると判定されるRA患者を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症性関節炎は、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎(PsA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群及び多発性筋炎を含む多様な自己免疫障害における顕著な臨床症状である。
【0003】
RAは、北欧及び北米における成人集団のおよそ0.5~1%を冒す慢性炎症性疾患である。これは罹患関節の滑膜における慢性炎症により特徴づけられる全身性炎症疾患であり、これにより慢性疼痛及び倦怠感のために日常機能の喪失が最終的に引き起こされる。また患者の大多数は、罹患関節における軟骨及び骨の漸進的悪化を経験し、これにより恒久的障害が最終的に引き起こされ得る。RAの長期的予後は不良であり、患者のおよそ50%が診断時から10年以内に重大な機能障害を経験する。平均余命は平均3~10年低下する。
【0004】
炎症性骨疾患、例えばRAは破骨細胞性吸収の亢進のため、罹患関節周囲の骨量減少を伴う。この過程は炎症促進性サイトカインの局所産生の増加により主に媒介され、そのうち腫瘍壊死因子α(TNF-α)は主要なエフェクターである。
【0005】
特にRAでは、免疫応答は、滑膜区画に存在する1つ又は複数の抗原により開始/永続化され、これによって関節への急性炎症細胞及びリンパ球の流入がもたらされると考えられる。炎症の連続的な波により、パンヌスと呼ばれる、浸潤性及びびらん性組織の形成が引き起こされる。これには炎症促進性サイトカイン、例えばTNF-α及びインターロイキン1(IL-1)を産生する、増殖性線維芽細胞様滑膜細胞及びマクロファージが含まれる。タンパク質分解酵素、種々の炎症性メディエーターの局所放出、及び破骨細胞活性化は、組織損傷の大半に関与する。関節軟骨が失われ、骨びらんが形成される。周囲の腱及び滑液包は、炎症過程により冒され得る。最終的には関節構造の完全性が損なわれ、障害がもたらされる。
【0006】
B細胞は、自己抗体産生細胞の前駆体だけでなく、抗原提示細胞(APC)及び炎症促進性サイトカイン産生細胞としても主に作用することにより、RAの免疫病原性に関与すると考えられる。II型コラーゲン及びプロテオグリカンに対する抗体、並びにリウマチ因子及び最も重要なことには抗シトルリン化タンパク質抗体(ACPA)を含む多数の自己抗体特異性が、同定されている。大量の抗体の産生により免疫複合体形成及び補体カスケードの活性化が引き起こされる。次いで、これによって免疫応答が増幅され、結果的に局所的細胞溶解が生じる。
【0007】
疾患過程を修飾し、関節破壊を遅延させるために使用するRAに対する現在の標準的療法は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)として公知である。メトトレキサート、レフルノミド及びスルファサラジンは従来のDMARDであり、第1選択治療として有効であることが多い。
【0008】
RAにおいて役割を果たす、免疫系の特定の成分を標的とするように設計した生物学的製剤も、治療薬として使用される。RAに対する種々の群の生物学的治療が存在し、TNF-α阻害剤(エタネルセプト、インフリキシマブ及びアダリムマブ)、ヒトIL-1受容体アンタゴニスト(アナキンラ)並びに選択的共刺激調節剤(アバタセプト)が挙げられる。
【0009】
抗CD20療法は、1つ以上のDMARDに対して応答が不適合であった患者におけるRAの治療に適用する。特には、リツキシマブは、1つ以上のTNF-α阻害療法に対する応答が不適合であるか又は耐えることが不可能な成人患者における中等度から重度のRAの治療に適用する。リツキシマブは、抗TNF療法による治療に対して不応性の患者におけるRAの治療に有効であることがわかっている。
【0010】
リツキシマブ抗体は、CD20抗原に対する遺伝子改変キメラマウス/ヒトモノクローナル抗体である。リツキシマブはヒト補体に結合し、補体依存性細胞傷害によりリンパ様B細胞株を溶解する。加えて、これは抗体依存性細胞傷害についてのアッセイにおいて著しい活性を有する。更に最近では、リツキシマブはトリチウム標識チミジン取込みアッセイにおいて抗増殖作用を有し、アポトーシスを直接的に誘導することがわかっている。他の抗CD19及び抗CD20抗体が、この活性を有することは示されていない。
【0011】
リツキシマブ治療により末梢血、骨髄及び滑膜におけるB細胞の除去をもたらすことがわかっている。しかし、抗TNF療法による治療に対して不応性の患者がすべて、リツキシマブ治療に対して応答性であるというわけではない。その集団内であっても臨床応答は不均一であり、6カ月以内でわずか60%によりACR20応答が得られるのみではあるが、リツキシマブの有効性に関する現在の証拠は、リウマチ因子であるACPA陽性患者に主に関する。
【0012】
リツキシマブは、種々の安全問題、特には注入に関連する有害事象と関連し、また非常に高価であり、治療過程毎におよそ1万米ドルの費用がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、所与のRA患者がB細胞標的療法、例えばリツキシマブ治療に応答する可能性を有するかどうかを予測する方法に対する必要性が存在する。また、DMARD及び/又は抗TNF療法に対して非応答性のRA患者を治療する方法に対する必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、最初の生検による多施設のランダム化比較試験(R4RA)を行い、滑膜B細胞状態について層別化したRA患者においてトシリズマブ及びリツキシマブを比較した。
【0015】
発明者らは、B細胞標的療法、例えばリツキシマブによる治療に対する感受性の判定において使用され得るバイオマーカーのパネルを同定した。このようなバイオマーカーを適用して、B細胞標的療法、例えばリツキシマブ治療に応答する可能性を有するか又は有しないものとしてRA患者を特徴づけ得る。したがって、バイオマーカーは、患者の治療をこのようなB細胞標的療法又は代替療法、例えばトシリズマブ治療に対して更に効率的に向けるために使用され得る。
【0016】
一態様では、関節リウマチ(RA)患者がB細胞標的療法による治療に対して感受性であるかどうかを判定する方法であって、
(a)患者から得られた1つ以上のサンプルにおける1つ以上のバイオマーカーのレベルを判定する工程、ここで1つ以上のバイオマーカーが表1から選択される、及び
(b)1つ以上のバイオマーカーのレベルを、対応する1つ以上の参照値と比較する工程、
を含み、
対応する参照値と比較した1つ以上のバイオマーカーのレベルが、B細胞標的療法による治療に対する感受性を示す、方法を本発明において提供する。
【0017】
一態様では、関節リウマチ(RA)患者のための療法を選択する方法であって、
(a)患者から得られた1つ以上のサンプルにおける1つ以上のバイオマーカーのレベルを判定する工程、ここで1つ以上のバイオマーカーが表1から選択される、及び
(b)1つ以上のバイオマーカーのレベルを、対応する1つ以上の参照値と比較する工程
を含み、
対応する参照値と比較した1つ以上のバイオマーカーのレベルが、B細胞標的療法による治療に対する患者の感受性を示す、方法を本発明において提供する。
【0018】
一部の実施形態では、レベルは核酸レベルである。一実施形態では、核酸レベルはmRNAレベルである。
【0019】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルを判定する工程は、核酸の直接デジタル計数、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、又はこれらの組合せにより実施される。
【0020】
好ましい実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルを判定する工程は、RNAシーケンシングにより実施される。
【0021】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルを判定する工程は、1つ以上のバイオマーカーの遺伝子発現のレベルを判定する工程を含む。
【0022】
好ましい実施形態では、1つ以上のサンプルは滑膜サンプルである。一部の実施形態では、サンプルは、滑膜組織サンプル又は滑液サンプルである。
【0023】
一部の実施形態では、サンプルは、滑膜生検、好ましくは超音波ガイド下滑膜生検により得られる。一部の実施形態では、滑膜生検は、関節鏡下手術により得られる。
【0024】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルは、患者から得られた2、3、4、5、6、7、8つ以上のサンプルにより判定される。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルは、患者から得られた6、7、8つ以上のサンプルにより判定される。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルは、患者から得られた6~8つのサンプルにより判定される。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルは、患者から得られた6つのサンプルにより判定される。一部の実施形態では、患者から得られたサンプルは、1つ以上のバイオマーカーのレベルの決定前にプールする。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルは、患者から得られた1つのサンプルにより判定される。
【0025】
一部の実施形態では、(a)1つ以上のバイオマーカーのレベルが、対応する参照値を超える場合、患者はB細胞標的療法による治療に対して感受性であると判定(決定)され、及び/又は(b)1つ以上のバイオマーカーのレベルが、対応する参照値未満である場合、患者はB細胞標的療法による治療に対して抵抗性であると判定(決定)される。
【0026】
一部の実施形態では、対応する参照値と比較した1つ以上のバイオマーカーのレベルは、サンプルを富B細胞(B細胞に富む)又は乏B細胞(B細胞に乏しい)に分類する。
【0027】
一部の実施形態では、(a)サンプルが富B細胞(高B細胞)である場合、患者はB細胞標的療法による治療に対して感受性であると判定され、及び/又は(b)サンプルが乏B細胞(低B細胞)である場合、患者はB細胞標的療法による治療に対して抵抗性であると判定される。
【0028】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70又は71種すべての表1のバイオマーカーを含む。
【0029】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表1の71種すべてのバイオマーカーを含む。
【0030】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70又は71種すべての表1のバイオマーカーからなる。
【0031】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表1の71種すべてのバイオマーカーからなる。
【0032】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2、CD74、P2RX5、WDFY4、FCER2、LCN10、CD19及びTNFRSF13Bからなる群から選択されるバイオマーカーを含むか又はこれらからなる。
【0033】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CXCR5を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、PTPRCAPを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、FCRLAを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、FCRL3を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、PNOCを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CPNE5を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、POU2AF1を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、PAX5を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CLEC17Aを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、FCRL1を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、E2F5を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、IGLL5を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、STAP1を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CLECL1を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、FAM177Bを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、SNX22を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、MS4A1を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、HLA-DOBを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、TNFRSF17を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、TLR10を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CD79Aを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、FCRL5を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CD79Bを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、TMEM156を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、HLA-DRAを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、ZBTB32を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、HLA-DOAを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、RALGPS2を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CD74を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、P2RX5を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、WDFY4を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、FCER2を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、LCN10を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CD19を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、TNFRSF13Bを含むか又はこれからなる。
【0034】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5及びPTPRCAPを含むか又はこれらからなる。
【0035】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP及びFCRLAを含むか又はこれらからなる。
【0036】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA及びFCRL3を含むか又はこれらからなる。
【0037】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3及びPNOCを含むか又はこれらからなる。
【0038】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC及びCPNE5を含むか又はこれらからなる。
【0039】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5及びPOU2AF1を含むか又はこれらからなる。
【0040】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1及びPAX5を含むか又はこれらからなる。
【0041】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5及びCLEC17Aを含むか又はこれらからなる。
【0042】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A及びFCRL1を含むか又はこれらからなる。
【0043】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1及びE2F5を含むか又はこれらからなる。
【0044】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5及びIGLL5を含むか又はこれらからなる。
【0045】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5及びSTAP1を含むか又はこれらからなる。
【0046】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1及びCLECL1を含むか又はこれらからなる。
【0047】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1及びFAM177Bを含むか又はこれらからなる。
【0048】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B及びSNX22を含むか又はこれらからなる。
【0049】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22及びMS4A1を含むか又はこれらからなる。
【0050】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1及びHLA-DOBを含むか又はこれらからなる。
【0051】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB及びTNFRSF17を含むか又はこれらからなる。
【0052】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17及びTLR10を含むか又はこれらからなる。
【0053】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10及びCD79Aを含むか又はこれらからなる。
【0054】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A及びFCRL5を含むか又はこれらからなる。
【0055】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5及びCD79Bを含むか又はこれらからなる。
【0056】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B及びTMEM156を含むか又はこれらからなる。
【0057】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156及びHLA-DRAを含むか又はこれらからなる。
【0058】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA及びZBTB32を含むか又はこれらからなる。
【0059】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32及びHLA-DOAを含むか又はこれらからなる。
【0060】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA及びRALGPS2を含むか又はこれらからなる。
【0061】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2及びCD74を含むか又はこれらからなる。
【0062】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2、CD74及びP2RX5を含むか又はこれらからなる。
【0063】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2、CD74、P2RX5及びWDFY4を含むか又はこれらからなる。
【0064】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2、CD74、P2RX5、WDFY4及びFCER2を含むか又はこれらからなる。
【0065】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2、CD74、P2RX5、WDFY4、FCER2及びLCN10を含むか又はこれらからなる。
【0066】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2、CD74、P2RX5、WDFY4、FCER2、LCN10及びCD19を含むか又はこれらからなる。
【0067】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、バイオマーカーCXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2、CD74、P2RX5、WDFY4、FCER2、LCN10、CD19及びTNFRSF13Bを含むか又はこれらからなる。
【0068】
一部の実施形態では、B細胞標的療法はB細胞除去療法である。
【0069】
一部の実施形態では、B細胞標的療法は、リツキシマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、オファツムマブ及びエプラツズマブからなる群から選択される。一部の実施形態では、B細胞標的療法は、抗CD20抗体又は抗CD22抗体である。一部の実施形態では、B細胞標的療法は、リツキシマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、オビヌツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、オファツムマブ及びエプラツズマブからなる群から選択される。
【0070】
好ましい実施形態では、B細胞標的療法はリツキシマブである。
【0071】
一部の実施形態では、B細胞標的療法による治療に対して抵抗性であると判定された患者は、IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤での治療に適すると判定される。一部の実施形態では、IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤は、トシリズマブ、サリルマブ、サトラリズマブ又はシルツキシマブである。一部の実施形態では、薬剤は抗IL-6抗体である。一部の実施形態では、薬剤はIL-6受容体アンタゴニストである。一部の実施形態では、薬剤はトシリズマブである。
【0072】
一部の実施形態では、RA患者は、DMARD及び/又は抗TNF療法に対して不応性である。
【0073】
一部の実施形態では、方法は、(a)患者がB細胞標的療法による治療に対して感受性であると判定された場合、B細胞標的療法を患者に施す工程、又は(b)患者がB細胞標的療法による治療に対して抵抗性であると判定された場合、IL-6受容体アンタゴニストを患者に投与する工程を更に含む。
【0074】
別の態様では、本発明の方法における使用のためのキットを本発明において提供する。
【0075】
別の態様では、関節リウマチ(RA)を治療する方法であって、有効量のB細胞標的療法を患者に施す工程を含み、ここで患者はB細胞標的療法による治療に対して感受性であると本発明の方法により判定される、方法を本発明において提供する。
【0076】
別の態様では、関節リウマチ(RA)を治療する方法であって、有効量のIL-6受容体アンタゴニストを患者に投与する工程を含み、ここで患者はB細胞標的療法による治療に対して抵抗性であると、本発明の方法により判定される、方法を本発明において提供する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】最低6つの滑膜生検をまとめてパラフィン包埋し、切片をヘマトキシリン及びエオシン(H&E)並びに免疫組織化学的マーカーCD20(B細胞)、CD3(T細胞)、CD138(形質細胞)及びCD68(マクロファージ)にこれまでに記載のように染色したことを示す図である(Humby F et al. PLoS Med 2009; 6: e1; Kraan MC et al. Arthritis Rheum 2002; 46: 2034-8)。これまでに記載されたスコアを改変して(Kraan MC et al. Arthritis Rheum 2002; 46: 2034-8; Rivellese F et al. Arthritis Rheumatol 2020; 72: 714-25)、切片を半定量的スコアリング(0~4)に供して、CD20+B細胞、CD3+T細胞、CD138+形質細胞及びCD68+内層(l)及び下内層(sl)マクロファージの発現を判定した(図1)。また、H&E染色スライドを評価して滑膜炎のレベルを判定した。CD20+ve細胞が同定された場合、これまでに記載のように(Humby F et al. PLoS Med 2009; 6: e1)、CD21の染色(濾胞性樹状細胞、FDC)も実施した。患者は、Barts Health NHS TrustのNHS病理研究室において、顧問病理学者(HR)により富B細胞又は乏B細胞に組織学的に分類した後、QMULのリウマチ学研究室において、滑膜病理の第2の専門家(GT)により、図2に示す検証されたアルゴリズムに従って、独立的組織学的分類を行った。CD20スコア≧2及びCD20+B細胞凝集物を有する滑膜組織は、これまでに記載のように富B細胞であると分類した(Kraan MC et al. Arthritis Rheum 2002; 46: 2034-8)。CD20スコア<2を有する滑膜組織は、乏B細胞であると分類した(Kraan MC et al. Arthritis Rheum 2002; 46: 2034-8)。分類における任意の矛盾は、相互に一致させる(mutual agreement)ことにより解決した。明確な滑膜組織を同定することができなかった患者は、「不明」と分類した。富B細胞サンプルは、その後にCD21+FDCネットワークが同定された場合、胚中心(GC)+veとして更に分類した(図3)。試験プロトコールにおいて予め定義するように、富B細胞又は乏B細胞と分類した患者のみを試験の一次解析に含み、GC+veコホートを後続の探索的解析の一部として検査した。
図2】最低6つの滑膜生検をまとめてパラフィン包埋し、切片をヘマトキシリン及びエオシン(H&E)並びに免疫組織化学的マーカーCD20(B細胞)、CD3(T細胞)、CD138(形質細胞)及びCD68(マクロファージ)にこれまでに記載のように染色したことを示す図である(Humby F et al. PLoS Med 2009; 6: e1; Kraan MC et al. Arthritis Rheum 2002; 46: 2034-8)。切片を半定量的スコアリング(0~4)に供して、CD20+B細胞、CD3+T細胞、CD138+形質細胞及びCD68+内層(l)及び下内層(sl)マクロファージの発現を判定し(図1)、これまでに記載されたスコアを改変した(Kraan MC et al. Arthritis Rheum 2002; 46: 2034-8; Rivellese F et al. Arthritis Rheumatol 2020; 72: 714-25)。また、H&E染色スライドを評価して滑膜炎のレベルを判定した。CD20+ve細胞を同定した場合、CD21の染色(濾胞性樹状細胞、FDC)をもこれまでに記載のように実施した(Humby F et al. PLoS Med 2009; 6: e1)。患者は、Barts Health NHS TrustのNHS病理研究室において、顧問病理学者(HR)により富B細胞又は乏B細胞に組織学的に分類した後、QMULのリウマチ学研究室において、滑膜病理の第2の専門家(GT)により、図2に示す検証されたアルゴリズムに従って、独立的組織学的分類を行った。CD20スコア≧2及びCD20+B細胞凝集物を有する滑膜組織は、これまでに記載のように富B細胞であると分類した(Kraan MC et al. Arthritis Rheum 2002; 46: 2034-8)。CD20スコア<2を有する滑膜組織は、乏B細胞であると分類した(Kraan MC et al. Arthritis Rheum 2002; 46: 2034-8)。分類における任意の矛盾は、相互に一致させることにより解決した。明確な滑膜組織を同定することができなかった患者は、「不明」と分類した。富B細胞サンプルは、その後にCD21+FDCネットワークを同定した場合、胚中心(GC)+veとして更に分類した(図3)。試験プロトコールにおいて予め定義するように、富B細胞又は乏B細胞と分類した患者のみを試験の一次解析に含み、GC+veコホートを後続の探索的解析の一部として検査した。
図3】最低6つの滑膜生検をまとめてパラフィン包埋し、切片をヘマトキシリン及びエオシン(H&E)並びに免疫組織化学的マーカーCD20(B細胞)、CD3(T細胞)、CD138(形質細胞)及びCD68(マクロファージ)にこれまでに記載のように染色したことを示す図である(Humby F et al. PLoS Med 2009; 6: e1; Kraan MC et al. Arthritis Rheum 2002; 46: 2034-8)。切片を半定量的スコアリング(0~4)に供して、CD20+B細胞、CD3+T細胞、CD138+形質細胞及びCD68+内層(l)及び下内層(sl)マクロファージの発現を判定し(図1)、これまでに記載されたスコアを改変した(Kraan MC et al. Arthritis Rheum 2002; 46: 2034-8; Rivellese F et al. Arthritis Rheumatol 2020; 72: 714-25)。また、H&E染色スライドを評価して滑膜炎のレベルを判定した。CD20+ve細胞を同定した場合、CD21の染色(濾胞性樹状細胞、FDC)をもこれまでに記載のように実施した(Humby F et al. PLoS Med 2009; 6: e1)。患者は、Barts Health NHS TrustのNHS病理研究室において、顧問病理学者(HR)により富B細胞又は乏B細胞に組織学的に分類した後、QMULのリウマチ学研究室において、滑膜病理の第2の専門家(GT)により、図2に示す検証されたアルゴリズムに従って、独立的組織学的分類を行った。CD20スコア≧2及びCD20+B細胞凝集物を有する滑膜組織は、これまでに記載のように富B細胞であると分類した(Kraan MC et al. Arthritis Rheum 2002; 46: 2034-8)。CD20スコア<2を有する滑膜組織は、乏B細胞であると分類した(Kraan MC et al. Arthritis Rheum 2002; 46: 2034-8)。分類における任意の矛盾は、相互に一致させることにより解決した。明確な滑膜組織を同定することができなかった患者は、「不明」と分類した。富B細胞サンプルは、その後にCD21+FDCネットワークを同定した場合、胚中心(GC)+veとして更に分類した(図3)。試験プロトコールにおいて予め定義するように、富B細胞又は乏B細胞と分類した患者のみを試験の一次解析に含み、GC+veコホートを後続の探索的解析の一部として検査した。
図4-1】全コホートにわたるRNA-seq B細胞モジュール遺伝子発現のヒートマップを示す図である。サンプルをRNA-seq B細胞モジュールスコアにより最低から最高にランク付けし、これによりRNA-seq乏及び富B細胞カテゴリーへの患者の再分類を実証する。上のトラックは、元々の組織学的クラス、CD20及びCD138組織学的スコアを示す。GC:組織学により分類した胚中心。RNA抽出及びRNAシーケンシングのために患者162人の滑膜組織が入手可能であった。患者1人あたり最低6つの滑膜サンプルをRNA-Later及びフェノール/クロロホルムを使用するか又はZymo Direct-zol(商標)RNA MicroPrep -全RNA/miRNA抽出キットを介してかのいずれかで抽出されたRNA中に直ちに浸漬した。すべてのRNAサンプルをGenewiz社に転送してIllumina HiSeqによりRNAシーケンシングした。5千万リード150塩基対の184ペアエンドRNA-seqサンプルをトリミングし、デフォルトパラメータを使用するBBMapパッケージバージョン37.93のbbdukを使用してIlluminaアダプターを除去した。次いで、転写物をSalmonバージョン0.13.1(22)及びGencodeリリース29トランスクリプトームから標準操作手順に従って生成された指数を使用して定量した。Tximportバージョン1.13.10を使用して転写レベル発現データを遺伝子に集約し、次いで、DESEQ2パッケージバージョン1.25.9を使用して数値を分散安定化変換(VST)に供した。GC+として組織学的に分類した患者(n=9)の除外後、153人の患者が残った。1人の患者がIMP投与前に参加を中止し、RNAseq品質管理後又はマッピング不良のために28人が除外された。したがって、124人の患者のRNAseqデータが後続の解析に利用可能となった。患者は、FANTOM5遺伝子発現データの解析から得られたB細胞特異的遺伝子モジュールに従って乏/富B細胞に分類した。B細胞転写物分類のための予め判定されたカットオフ点が文献に見出されなかったため、潜在的バイアスを回避するために、図に示すように転写物モジュール中央値に従って患者を乏/富B細胞に分類した。
図4-2】図4-1の続きである。
図5】R4RAにおいて乏/富B細胞を定義するためのRNA-Seq B細胞モジュールのカットオフの検査を示す図である。プロットは、RNA-seq B細胞モジュールカットオフ点が変動する場合(x軸)、乏B細胞(青色、上)及び富B細胞(赤色、下)群において16週のCDAI50%応答者についてのトシリズマブ(TCZ)対リツキシマブ(RTX)リスク比(y軸)がどのように変動するかを示す。灰色の垂線は、B細胞スコア中央値をカットオフとして使用する試験の最初の解析に対応するRNA-seq Bモジュールスコア中央値を示す。乏B細胞における95%CIに向かう低い中央値は、有意に>1.0であり、このため富B細胞ではなく乏B細胞において重大な結果が確認される。破線の水平線は、統計学的有意性を維持する範囲を示す。
図6】臨床試験設計の模式図である。
図7】患者の割付けを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
「~を含んでいる(comprising)」、「~を含む(comprises)」及び「~から構成される(comprised of)」の用語は、本明細書において使用する場合、「~を含んでいる(including)」若しくは「~を含む(includes)」又は「~を含有している(containing)若しくは含有するcontains)」と同義であり、包括的又は非制限的であって、列挙しない更なる構成物、要素又は工程を除外しない。また、「~を含む(comprising、comprises)」及び「~からなる(comprised of)」の用語は、「~からなる(consisting of)」の用語をも含む。
【0079】
関節リウマチ(RA)
関節リウマチ(RA)は、多くの組織及び器官を冒し得るが、主に滑膜関節を攻撃する慢性の全身性炎症障害である。これは身体障害性及び有痛性の症状であり、適切に治療しない場合、これにより機能性及び運動性の実質的喪失が引き起こされ得る。
【0080】
疾患過程は、大規模な免疫細胞浸潤及び滑膜細胞の増殖に続発する滑膜の炎症応答、滑液過剰、並びに軟骨及び軟骨下骨を攻撃する滑膜における線維組織(パンヌス)の発達を伴う。これにより関節軟骨の破壊、及び骨びらんの形成が引き起こされるととともに関節強直(融合)が続発することが多い。またRAは、肺、心膜、胸膜、強膜におけるびまん性の炎症、及び最も一般的には、皮下組織における結節性病変をももたらし得る。RAは、自己免疫がその慢性化及び進行において中心的役割を果たすため、全身性自己免疫疾患であると考えられる。
【0081】
T細胞、B細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞及び滑膜線維芽細胞を含む多数の細胞型が、RAの病因に関与する。RAと関連することが公知の自己抗体としては、リウマチ因子(RF)を標的とするもの及び抗シトルリン化タンパク質抗体(ACPA)が挙げられる。
【0082】
RA療法
RAと新たに診断された典型的な患者は、非ステロイド系抗炎症薬及び疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)、例えばヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、レフルノミド又はメトトレキサート(MTX)を単独又は併用して最初に治療することが多い。一般的DMARDに応答しない患者は、DMARD不応性と呼ばれることがある。
【0083】
DMARD不応性患者は、従来、生物学的治療剤、例えばTNF-αアンタゴニスト、例えばアダリムマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ及びインフリキシマブに進むことが多い。TNF-αアンタゴニスト療法に応答しない患者は、TNF-αアンタゴニスト不応性又は不適合応答者(ir)と呼ばれることがある。
【0084】
本発明の方法は、DMARD療法及び/又はTNF-αアンタゴニスト療法に対して不応性であると予め判定されているRA患者由来のサンプルに対して実施し得る。また方法は、TNF-αアンタゴニスト療法に耐えることが不可能なRA患者由来のサンプルに対して実施し得る。
【0085】
B細胞標的療法
本発明の方法では、B細胞標的療法による治療に対して感受性であるとRA患者を判定し得る。
【0086】
「B細胞標的療法」の用語は、本明細書において使用する場合、B細胞の発達及び/又は機能に干渉するか又はこれらを阻害する薬剤の投与を指し得る。B細胞標的療法により、B細胞除去又はB細胞発達及び変異の阻害が生じ得る。有利には、B細胞標的療法は、未分化幹細胞及び最終分化抗体産生形質細胞以外のすべての発達段階のB細胞に対して向けられる。
【0087】
薬剤は、低分子薬、例えばブルトンチロシンキナーゼ(BTK)阻害剤又はB細胞シグナル伝達経路を標的とする他の薬剤であり得る。
【0088】
B細胞の直接的な除去は、細胞表面マーカー(例えばCD20及びCD22)に対する抗体、例えばモノクローナル抗体(mAb)の使用により実施し得る。このような抗体は、標的抗原に結合し、アポトーシス、補体依存性細胞傷害(CDC)及び抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)を複合的に開始することにより細胞を殺傷する。
【0089】
本発明において使用するB細胞標的療法は、CD20に対する薬剤、例えばリツキシマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ若しくはオファツムマブ、又はCD22に対する薬剤、例えばエプラツズマブであり得る。一部の実施形態では、B細胞標的療法は、抗CD20抗体である。一部の実施形態では、B細胞標的療法は、抗CD22抗体である。一部の実施形態では、B細胞標的療法は、リツキシマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、オファツムマブ、オビヌツズマブ、イブリツモマブチウキセタン又はエプラツズマブである。一部の実施形態では、B細胞標的療法は、リツキシマブである。一部の実施形態では、B細胞標的療法は、オクレリズマブである。一部の実施形態では、B細胞標的療法は、ベルツズマブである。一部の実施形態では、B細胞標的療法は、オファツムマブである。一部の実施形態では、B細胞標的療法は、オビヌツズマブである。一部の実施形態では、B細胞標的療法は、イブリツモマブチウキセタンである。一部の実施形態では、B細胞標的療法は、エプラツズマブである。
【0090】
リツキシマブは、CD20に対するキメラマウス/ヒト免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体であり、CD20への結合時にB細胞の破壊を刺激する。リツキシマブは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)を含む機構を介して血液、骨髄及びリンパ節のCD20表面陽性ナイーブ及びメモリーB細胞を除去させる。これは、骨髄中のCD20陰性初期B細胞系列前駆細胞及び後期B系列形質細胞に影響しない。
【0091】
オクレリズマブは、ヒト化抗CD20モノクローナル抗体であり、ADCC及びCDCを含む機構を介して、CD20への結合後にCD20+B細胞除去を誘発する。
【0092】
ベルツズマブは、ヒト化第2世代抗CD20モノクローナル抗体であり、ADCC及びCDCを含む機構を介して、CD20への結合後にCD20+B細胞の除去を誘発する。
【0093】
オファツムマブは、CD20に対するヒトモノクローナルIgG1抗体であり、初期Bリンパ球活性化を阻害し得る。オファツムマブは、リツキシマブが標的とするエピトープと比較してCD20のN末端の近くに位置する異なるエピトープを標的とし、小型及び大型の両方のCD20分子ループに結合するため、細胞外ループを含む。オファツムマブは、ADCC及びCDC経路によりB細胞の破壊を刺激する。
【0094】
エプラツズマブは、CD22に対するヒト化モノクローナルIgG1抗体である。これは、マウス配列を含有しこれが分子の5~10%を構成し、残りはヒトフレームワーク配列である。エプラツズマブは、リガンド結合部位を遮断することなく、測定された親和性Kd=0.7nmでCD22第3細胞外ドメイン(エピトープB)に結合する。In vitroでの試験では、CD22の表面に結合することにより、エプラツズマブがCD22のリン酸化を誘導することが示された。これにより、BCR活性化に対する、主に負の、調節が生じる。
【0095】
IL-6媒介シグナル伝達
本発明では、インターロイキン6(IL-6)シグナル伝達を下方制御する薬剤による治療に適したRA患者を判定し得る。
【0096】
IL-6は、細胞成長、遺伝子活性化、増殖、生存及び分化を制御することにより、炎症、造血及び腫瘍形成を含む広範な細胞性及び生理学的応答を誘発するサイトカインである。これは、形質細胞への後期分化、及び、B細胞活性化状態に直接的に影響を及ぼすことが可能である。
【0097】
IL-6は、リガンド特異性をもたらすアルファサブユニット、及び、IL-6ファミリーの他のサイトカインとともに共有される受容体サブユニットであるGP(糖タンパク質)130、の2つの異なるサブユニットからなる受容体を介してシグナルを伝達する。この受容体にIL-6が結合すると、JAK(ヤヌスキナーゼ)キナーゼの活性化及びRas媒介シグナル伝達の活性化を含む細胞現象が開始される。活性化されたJAKキナーゼにより、STAT転写因子、特には、STAT3及びSHP2が、リン酸化及び活性化される。次いで、リン酸化STAT3は、二量体を形成し、核内に移行してSTAT3応答エレメントを含む遺伝子の転写を活性化する。STAT3は、GP130媒介細胞生存及びG1からS期への細胞周期移行シグナルに必須である。c-Myc及びPimの両方がSTAT3の標的遺伝子として同定されており、細胞生存及び細胞周期移行において、ともにSTAT3を補償し得る。SHP2は、サイトカイン受容体をRas/MAP(分裂促進因子活性化タンパク質)キナーゼ経路に連結させ、分裂促進因子の活性に必須である。
【0098】
SHC、GRB2(成長因子受容体結合タンパク質2)及びSOS1(セブンレスの息子1)により上流で作用し、MAPキナーゼを下流で活性化するRas媒介経路は、ゲノム内のそれら独自のコグネイト応答エレメントにより作用し得る転写因子、例えばElk1及びNF-IL-6(C/EBP-β)を活性化する。
【0099】
JAK/STAT及びRas/MAPキナーゼ経路に加えて、IL-6は、PI3K(ホスホイノシチド3キナーゼ)をも活性化する。IL-6により活性化されるPI3K/Akt/NFカッパBカスケードは、協同的に機能して、TGF-βに対するIL-6の最大の抗アポトーシス作用を達成する。PI3K/Aktの抗アポトーシス機構は、BCL2ファミリーメンバーであるBAD(BCL2関連死プロモーター)の、Aktによるリン酸化に起因する。次いで、リン酸化されたBADは14-3-3と結合し、これによりBADがBCLXLから隔離されることによって、細胞生存が促進される。またBCL2ファミリーメンバーの制御は、STAT3の抗アポトーシス機構のうちの1つであると考えられ、これによりプロB細胞におけるBCL2の誘導が可能となり得る。IL-6型サイトカインシグナル伝達の終結は、チロシンホスファターゼ、プロテアソーム及びJAKキナーゼ阻害因子SOCS(サイトカインシグナル伝達抑制因子)、PIAS(活性化STATのタンパク質阻害因子)の作用、並びにGP130を介するサイトカイン受容体の内部移行による。
【0100】
IL-6シグナル伝達を下方制御する薬剤は、IL-6媒介シグナル伝達に関与する上記の段階のいずれかに干渉するか又はこれを阻害して、IL-6シグナル伝達及び応答を減弱させ得る。例えば薬剤は、IL-6受容体アンタゴニスト、例えばトシリズマブであってもよく、これは、IL-6受容体に対するヒト化モノクローナル抗体である。IL-6受容体アンタゴニストは、IL-6受容体に結合可能な、IL-6のレベルを低下させる薬剤を指す。
【0101】
一部の実施形態では、IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤は、トシリズマブ、サリルマブ、サトラリズマブ又はシルツキシマブである。一部の実施形態では、IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤は、IL-6受容体アンタゴニストである。一部の実施形態では、IL-6受容体アンタゴニストは、トシリズマブ、サリルマブ又はサトラリズマブである。一部の実施形態では、IL-6受容体アンタゴニストは、トシリズマブである。一部の実施形態では、IL-6受容体アンタゴニストは、サリルマブである。一部の実施形態では、IL-6受容体アンタゴニストは、サトラリズマブである。一部の実施形態では、IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤は、抗IL-6抗体である。一部の実施形態では、抗IL-6抗体は、シルツキシマブである。
【0102】
トシリズマブは、IL-6受容体に対するヒト化モノクローナルIgG1抗体であり、可溶性及び膜結合性IL-6受容体に結合する。トシリズマブは、膜結合IL-6受容体及びgp130分子の両方を発現している細胞においてIL-6による生物学的活性の誘導を阻害し、gp130のみを発現する細胞においてIL-6/IL-6受容体複合体形成による生物学的活性の誘導をも阻害する。その上、既に形成されたIL-6/IL-6受容体複合体を解離させる能力を有するため、IL-6シグナル伝達を遮断することが可能である。
【0103】
B細胞
B細胞は、RAの病原性において中心的役割を果たす。
【0104】
未成熟B細胞は、骨髄において生成される。骨髄においてIgM+未成熟段階に達した後、このような未成熟B細胞は、二次リンパ組織(例えば脾臓、リンパ節)に遊走する。ここで、これらは移行期B細胞と呼ばれ、このような細胞の一部は、成熟Bリンパ球、及び場合により、形質細胞に分化する。
【0105】
B細胞は、B細胞の発達及び成熟の種々の段階において発現する様々な細胞表面マーカーにより定義し得る(以下の表を参照)。このようなB細胞マーカーは、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD27、CD38、CD40、CD72、CD79a及びCD79b、CD138並びに免疫グロブリン(Ig)を含み得る。
【0106】
【0107】
免疫グロブリン(Ig)は、外来抗原を認識し、免疫系の液性応答を促進する免疫グロブリンスーパーファミリーに属する糖タンパク質である。Igは、細胞から分泌される可溶型、及びB細胞の表面に結合し、B細胞受容体(BCR)と呼ぶ膜結合型の2つの物理的な形態で存在し得る。哺乳動物Igは、これらが有する重鎖に基づいて5つのクラス(アイソタイプ)に群化し得る。抗原に曝露されたことがない未成熟B細胞は、ナイーブB細胞として知られており、細胞表面結合型のIgMアイソタイプのみを発現する。B細胞は、成熟に達するとIgM及びIgDの両方を発現し始め、このような免疫グロブリン両アイソタイプの共発現によってB細胞が「成熟」し、抗原に応答する準備ができる。次いで、B細胞の活性化により細胞結合抗体分子と抗原が結合し、これによって細胞が分裂して抗体産生形質細胞に分化する。この活性化形態では、B細胞は、膜結合型ではなく分泌型の抗体の産生を開始する。活性化B細胞の一部の娘細胞では、アイソタイプの転換が生じてIgM又はIgDから他の抗体アイソタイプIgE、IgA又はIgGに変化する。これらのアイソタイプは、免疫系における役割が定義されている。
【0108】
CD19は、本質的にすべてのB系列細胞により発現し、Srcファミリーキナーゼ活性を増幅することにより、細胞内シグナル伝達を制御する。
【0109】
CD20は、成熟B細胞特異的分子であり、膜内Ca2+チャネルとして機能する。CD20の発現は、形質細胞に最終分化するまでのプレB細胞段階のB細胞系列に制限される。
【0110】
CD22は、シアル酸のα2,6結合における哺乳動物レクチンとして機能し、これは濾胞性B細胞の生存を制御し、シグナル伝達を負に制御する。
【0111】
CD23は、活性化B細胞上に発現するIgEの低親和性受容体であり、IgE産生に影響を及ぼす。
【0112】
CD24は、GPIアンカー糖タンパク質であり、最初に同定された汎B細胞分子のうちの1つであった。
【0113】
CD27は、TNF受容体スーパーファミリーのメンバーである。これは、CD70リガンドに結合し、B細胞活性化及び免疫グロブリン合成の制御において鍵となる役割を果たす。この受容体は、NF-κB及びMAPK8/JNKの活性化を引き起こすシグナルを伝達する。
【0114】
CD38は、環状ADPリボースヒドロラーゼとしても知られている。これは細胞接着、シグナル伝達及びカルシウムシグナル伝達においても機能する糖タンパク質であり、一般には細胞活性化のマーカーである。
【0115】
CD40は、胚中心(GC)B細胞の重大な生存因子として作用し、T細胞により発現するCD154のリガンドである。
【0116】
CD72は、シグナル伝達の負の制御因子、及びセマフォリン4D(CD100)のB細胞リガンドとして機能する。
【0117】
CD79a/CD79b二量体は、B細胞抗原受容体と密接に結合し、細胞がその表面上の抗原の存在に応答することを可能とする。CD79a/CD79b二量体は、それらの生存周期にわたってB細胞の表面上に存在し、他のすべての健常細胞上には存在しない。
【0118】
CD138は、シンデカン1としても公知である。シンデカンは、細胞結合、細胞シグナル伝達及び細胞骨格組織を媒介する。CD138は、形質細胞の細胞表面マーカーとして有用であり得る。
【0119】
一部の実施形態では、方法は、RA患者由来の1つ以上のサンプル(好ましくは滑膜サンプル)におけるB細胞の存在を解析する工程、及びRA患者が富B細胞であるか又は乏B細胞であるかを組織学的解析により判定する工程を更に含む。この解析は、上の表に詳述するマーカーの1つ以上を発現する細胞の存在を判定する工程を含み得る。
【0120】
B細胞の存在は、B細胞のレベル及びパターンを解析することにより判定され得る。
【0121】
富B細胞又は乏B細胞であるRA患者の組織学的同定は、リンパ球凝集物を類別するための当業者に公知の系、例えば本明細書の実施例に開示のものを使用することにより実施され得る。
【0122】
例えば切片は、これまでに記載及び検証されているように(Rivellese F et al. Arthritis Rheumatol 2020; 72: 714-25; Kraan MC et al. Rheumatology 2000; 39: 43-9; Krenn V et al. Histopathology 2006; 49: 358-64)、半定量的スコアリング(0~4)を行って、CD20+B細胞、CD3+T細胞、CD138+形質細胞、並びにCD68+内層(l)及び下内層(sl)マクロファージの発現を判定し得る(例えば図1を参照)。患者は、図2に示すアルゴリズムに従って、富B細胞又は乏B細胞であると組織学的に分類し得る。CD20スコア<2を有する滑膜組織は、乏B細胞であると組織学的に分類し得るが、CD20スコア≧2及びCD20+B細胞凝集物を有する組織は、富B細胞であると組織学的に分類し得る。
【0123】
RA患者における療法に対する応答
関節リウマチのための療法に対する対象の応答を評価する方法は、当技術分野において公知であり、当業者には知られている。
【0124】
例として、RAにおける疾患活動性の周知の尺度には、疾患活動性スコア(DAS)、改訂版DAS28及びDASに基づくEULAR応答基準が挙げられる。
【0125】
関節リウマチのための療法に対する応答の評価では、臨床疾患活動性指数(CDAI)、例えば本明細書の実施例に開示のものを使用し得る。
【0126】
関節リウマチのための療法に対する応答評価の他の尺度としては、CDAI寛解、DAS28(ESR)/(CRP)中等度/良好EULAR応答、DAS28(ESR)/(CRP)低疾患活動性、DAS28(ESR)/(CRP)寛解、及び倦怠感のような患者報告アウトカム(帰結)、例えば本明細書の実施例に開示のものが挙げられる。
【0127】
バイオマーカー
本発明では、関節リウマチ(RA)患者がB細胞標的療法による治療に対して感受性であるかどうかを判定する方法であって、
(a)患者から得られた1つ以上のサンプルにおける1つ以上のバイオマーカーのレベルを判定する工程、ここで1つ以上のバイオマーカーが表1から選択される、及び
(b)1つ以上のバイオマーカーのレベルを、対応する1つ以上の参照値と比較する工程
を含み、
対応する参照値と比較した1つ以上のバイオマーカーのレベルは、B細胞標的療法による治療に対する感受性を示す、方法を提供する。
【0128】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表1の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70又は71種すべてのバイオマーカーを含む。
【0129】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、71種すべての表1のバイオマーカーを含む。
【0130】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表1の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70又は71種すべてのバイオマーカーからなる。
【0131】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、71種すべての表1のバイオマーカーからなる。
【0132】
【表1】
【0133】
一部の実施形態では、本発明は、関節リウマチ(RA)患者がB細胞標的療法による治療に対して感受性であるかどうかを判定する方法であって、
(a)患者から得られた1つ以上のサンプルにおける1つ以上のバイオマーカーのレベルを判定する工程、ここで1つ以上のバイオマーカーが表17から選択される、及び
(b)1つ以上のバイオマーカーのレベルを、対応する1つ以上の参照値と比較する工程
を含み、
対応する参照値と比較した1つ以上のバイオマーカーのレベルは、B細胞標的療法による治療に対する感受性を示す、方法を提供する。
【0134】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35種すべての表17のバイオマーカーを含む。
【0135】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、35種すべての表17のバイオマーカーを含む。
【0136】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表17の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35種すべてのバイオマーカーからなる。
【0137】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、35種すべての表17のバイオマーカーからなる。
【0138】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーが表17の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34種のバイオマーカーを含むか又はこれからなる場合、バイオマーカーは、表17に記載するバイオマーカーの任意の組合せであり得る。例として、1つ以上のバイオマーカーが表17の2つのバイオマーカーを含む場合、2つのバイオマーカーは、CXCR5及びFCRLAであり得るか、又は表17の2つのバイオマーカーは、CXCR5及びFCRL3であり得るか、又は表17の2つのバイオマーカーは、PTPRCAP及びFCRLA等であり得る。
【0139】
一部の実施形態では、表17の2つのバイオマーカーは、CXCR5及びPTPRCAPを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、表17の3つのバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP及びFCRLAを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、表17の4つのバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA及びFCRL3を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、5つのバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3及びPNOCを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、6つのバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC及びCPNE5を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、7つのバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5及びPOU2AF1を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、8つのバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1及びPAX5を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、9つのバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5及びCLEC17Aを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、10種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A及びFCRL1を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、11種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1及びE2F5を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、12種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5及びIGLL5を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、13種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5及びSTAP1を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、14種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1及びCLECL1を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、15種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1及びFAM177Bを含むか又はこれらからなる。
一部の実施形態では、16種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B及びSNX22を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、17種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22及びMS4A1を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、18種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1及びHLA-DOBを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、19種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB及びTNFRSF17を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、20種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17及びTLR10を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、21種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10及びCD79Aを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、22種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A及びFCRL5を含むか又はこれらからなる。
一部の実施形態では、23種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5及びCD79Bを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、24種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B及びTMEM156を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、25種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156及びHLA-DRAを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、26種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA及びZBTB32を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、27種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32及びHLA-DOAを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、28種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA及びRALGPS2を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、29種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2及びCD74を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、30種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2、CD74及びP2RX5を含むか又はこれらからなる。
一部の実施形態では、31種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2、CD74、P2RX5及びWDFY4を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、32種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2、CD74、P2RX5、WDFY4及びFCER2を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、33種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2、CD74、P2RX5、WDFY4、FCER2及びLCN10を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、34種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2、CD74、P2RX5、WDFY4、FCER2、LCN10及びCD19を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、35種のバイオマーカーは、CXCR5、PTPRCAP、FCRLA、FCRL3、PNOC、CPNE5、POU2AF1、PAX5、CLEC17A、FCRL1、E2F5、IGLL5、STAP1、CLECL1、FAM177B、SNX22、MS4A1、HLA-DOB、TNFRSF17、TLR10、CD79A、FCRL5、CD79B、TMEM156、HLA-DRA、ZBTB32、HLA-DOA、RALGPS2、CD74、P2RX5、WDFY4、FCER2、LCN10、CD19及びTNFRSF13Bを含むか又はこれらからなる。
【0140】
[表17]
【0141】
一部の実施形態では、本発明は、関節リウマチ(RA)患者がB細胞標的療法による治療に対して感受性であるかどうかを判定する方法であって、
(a)患者から得られた1つ以上のサンプルにおける1つ以上のバイオマーカーのレベルを判定する工程、ここで1つ以上のバイオマーカーが表18から選択される、及び
(b)1つ以上のバイオマーカーのレベルを、対応する1つ以上の参照値と比較する工程
を含み、
対応する参照値と比較した1つ以上のバイオマーカーのレベルは、B細胞標的療法による治療に対する感受性を示す、方法を提供する。
【0142】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、HTR3Aを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、COL19A1を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、FOXP1を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、HLA-DMBを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、BLNKを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、MARCH1を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、HLA-DPB1を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、IL4Rを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CIITAを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CD180を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、STX7を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、DRAM2を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、TLK2を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、TAPT1を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、TNFRSF13Cを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、BACH2を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、USP6NLを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、SPIBを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、BLKを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、SNX2を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、PLEKHF2を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、FCRL2を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、VPREB3を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、BANK1を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、BTLAを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CD22を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、ZNF860を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CD40を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、WDR11を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、SMC6を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、RFX5を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、FAM129Cを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CD72を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、CNR2を含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、TCL1Aを含むか又はこれからなる。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、TCL1Bを含むか又はこれからなる。
【0143】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表18の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又は36種すべてのバイオマーカーを含む。
【0144】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、36種すべての表18のバイオマーカーを含む。
【0145】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表18の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又は36種すべてのバイオマーカーからなる。
【0146】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、36種すべての表18のバイオマーカーからなる。
【0147】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーが表18の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35種のバイオマーカーを含むか又はこれからなる場合、バイオマーカーは、表18に記載するバイオマーカーの任意の組合せであり得る。例として、1つ以上のバイオマーカーが表18の2つのバイオマーカーを含む場合、2つのバイオマーカーは、HTR3A及びFOXP1であり得るか、又は表18の2つのバイオマーカーは、HTR3A及びHLA-DMBであり得るか、又は表18の2つのバイオマーカーは、COL19A1及びFOXP1等であり得る。
【0148】
一部の実施形態では、表18の2つのバイオマーカーは、HTR3A及びCOL19A1を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、表18の3つのバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1及びFOXP1を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、表18の4つのバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1及びHLA-DMBを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、5つのバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB及びBLNKを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、6つのバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK及びMARCH1を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、7つのバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1及びHLA-DPB1を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、8つのバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1及びIL4Rを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、9つのバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R及びCIITAを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、10種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA及びCD180を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、11種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180及びSTX7を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、12種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7及びDRAM2を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、13種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2及びTLK2を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、14種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2及びTAPT1を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、15種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1及びTNFRSF13Cを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、16種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C及びBACH2を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、17種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2及びUSP6NLを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、18種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL及びSPIBを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、19種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB及びBLKを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、20種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK及びSNX2を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、21種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2及びPLEKHF2を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、22種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2及びFCRL2を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、23種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2、FCRL2及びVPREB3を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、24種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2、FCRL2、VPREB3及びBANK1を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、25種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2、FCRL2、VPREB3、BANK1及びBTLAを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、26種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2、FCRL2、VPREB3、BANK1、BTLA及びCD22を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、27種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2、FCRL2、VPREB3、BANK1、BTLA、CD22及びZNF860を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、28種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2、FCRL2、VPREB3、BANK1、BTLA、CD22、ZNF860及びCD40を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では29種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2、FCRL2、VPREB3、BANK1、BTLA、CD22、ZNF860、CD40及びWDR11を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、30種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2、FCRL2、VPREB3、BANK1、BTLA、CD22、ZNF860、CD40、WDR11及びSMC6を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、31種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2、FCRL2、VPREB3、BANK1、BTLA、CD22、ZNF860、CD40、WDR11、SMC6及びRFX5を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、32種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2、FCRL2、VPREB3、BANK1、BTLA、CD22、ZNF860、CD40、WDR11、SMC6、RFX5及びFAM129Cを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、33種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2、FCRL2、VPREB3、BANK1、BTLA、CD22、ZNF860、CD40、WDR11、SMC6、RFX5、FAM129C及びCD72を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、34種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2、FCRL2、VPREB3、BANK1、BTLA、CD22、ZNF860、CD40、WDR11、SMC6、RFX5、FAM129C、CD72及びCNR2を含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、35種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2、FCRL2、VPREB3、BANK1、BTLA、CD22、ZNF860、CD40、WDR11、SMC6、RFX5、FAM129C、CD72、CNR2及びTCL1Aを含むか又はこれらからなる。一部の実施形態では、36種のバイオマーカーは、HTR3A、COL19A1、FOXP1、HLA-DMB、BLNK、MARCH1、HLA-DPB1、IL4R、CIITA、CD180、STX7、DRAM2、TLK2、TAPT1、TNFRSF13C、BACH2、USP6NL、SPIB、BLK、SNX2、PLEKHF2、FCRL2、VPREB3、BANK1、BTLA、CD22、ZNF860、CD40、WDR11、SMC6、RFX5、FAM129C、CD72、CNR2、TCL1A及びTCL1Bを含むか又はこれらからなる。
【0149】
[表18]
【0150】
1つ以上のバイオマーカーのレベルの判定
バイオマーカーレベルを判定する方法は、当技術分野において周知であり、当業者は熟知している。
【0151】
例えばバイオマーカーのレベルは、バイオマーカー遺伝子の遺伝子発現を測定することにより(例えばRTPCRを使用して)、又はバイオマーカー遺伝子のタンパク質産物を検出することにより(例えばイムノアッセイを使用して)判定され得る。
【0152】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルを判定する工程は、1つ以上のバイオマーカーの遺伝子発現のレベルを判定する工程を含む。
【0153】
一部の実施形態では、レベルは核酸レベルである。一部の実施形態では、核酸レベルはmRNAレベルである。
【0154】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルは、核酸の直接デジタル計数(例えばNanostringにより)、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、又はこれらの組合せにより判定される。
【0155】
好ましい実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルは、RNAシーケンシングにより判定される。
【0156】
一部の実施形態では、レベルはタンパク質レベルである。
【0157】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルは、イムノアッセイ、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)、比濁分析、アプタマー技術、又はこれらの組合せにより判定される。
【0158】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルは、1つ以上のバイオマーカーのレベルの平均値である。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルの平均値は、1つ以上のバイオマーカーの正規化されたレベルの平均値である。
【0159】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルは、1つ以上のバイオマーカーのレベルの中央値である。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルの中央値は、1つ以上のバイオマーカーの正規化されたレベルの中央値である。
【0160】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーのレベルは、参照遺伝子に対して正規化された1つ以上のバイオマーカーのレベルである。
【0161】
参照値
本発明の方法は、1つ以上のバイオマーカーのレベルを、対応する1つ以上の参照値と比較する工程を含み得る。
【0162】
本明細書において使用する場合、「参照値」の用語は、それに対して別のレベル(例えば本明細書に開示の1つ以上のバイオマーカーのレベル)を比較する(例えば診断的(例えば予測的及び/若しくは予後的)並びに/又は治療的判定のために)レベルを指し得る。
【0163】
例えば参照値は、参照集団、例えば本明細書の実施例に開示の患者の集団、参照サンプル、及び/又は予め指定した値(例えばB細胞標的療法による治療に対して感受性の個人の第1のサブセット及びB細胞標的療法による治療に対して抵抗性の個人の第2のサブセットを著しく分別する、予め判定されたカットオフ値)におけるレベル(複数可)(好ましくは参照集団におけるレベル中央値)に由来し得る。
【0164】
一部の実施形態では、カットオフ値は、参照集団におけるレベルの中央値又は平均値(好ましくは中央値)であり得る。一部の実施形態では、参照レベルは、参照集団における発現レベルの上位40%、上位30%、上位20%、上位10%、上位5%又は上位1%であり得る。
【0165】
参照値は、例えば対象(年齢及び/又は性別が検査対象に一致するか又は不一致であり得る)、例えば5、10、100又は1000人以上の対象の対照集団におけるバイオマーカーのレベルの平均値又は中央値に基づき得る。
【0166】
特定の実施形態では、参照値は、予め判定され得るか、又は得られた各検査サンプルについて対照サンプルの対応判定を実施せずに算出若しくは外挿し得る。
【0167】
対応する参照値と比較した1つ以上のバイオマーカーのレベルの上昇は(1つ以上のバイオマーカーのレベルが対応する参照値よりも高い場合)、例えば、参照値に対して少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%以上のレベルの上昇であり得る。対応する参照値と比較した1つ以上のバイオマーカーのレベルの上昇は(1つ以上のバイオマーカーのレベルが対応する参照値よりも高い場合)、例えば、参照値に対して少なくとも約1.1×、1.2×、1.3×、1.4×、1.5×、1.6×、1.7×、1.8×、1.9×、2×、2.1×、2.2×、2.3×、2.4×、2.5×、2.6×、2.7×、2.8×、2.9×、3×、3.5×、4×、4.5×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、15×、20×、30×、40×、50×、100×、500×又は1000×のレベルの上昇であり得る。
【0168】
対応する参照値と比較した1つ以上のバイオマーカーのレベルの低下は(1つ以上のバイオマーカーのレベルが対応する参照値未満である場合)、例えば、参照値に対して少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%以上のレベルの低下であり得る。
【0169】
サンプル
本発明の方法は、対象、例えばRAを有する患者から得られた1つ以上のサンプルに対して実行され得る。
【0170】
「サンプル」は、患者から採取した任意の生物学的サンプルを指し得る。サンプルは、血液、血漿、血清、組織、細胞等を含む。
【0171】
一部の実施形態では、1つ以上のサンプルは血液サンプルである。
【0172】
好ましい実施形態では、1つ以上のサンプルは滑膜サンプルである。一部の実施形態では、滑膜サンプルは、滑膜組織サンプル又は滑液サンプルである。
【0173】
サンプルは、対象の関節から、例えば生検により得られ得る。サンプルは、対象由来の滑膜組織サンプルから得られ得る。
【0174】
本明細書において使用する場合、「滑膜サンプル」の用語は、滑膜関節から得られたサンプルを指す。典型的には、滑膜サンプルは、RA患者の滑膜関節に由来することとなる。滑膜サンプルは、滑膜組織生検であってもよく、滑膜関節は、サンプルを採取した時点で活動性炎症を呈し得る。
【0175】
サンプル、例えば滑膜組織サンプルを得る方法は、当技術分野において周知であり、当業者は熟知している。例えば超音波(US)ガイド下生検のような技術を使用して、組織サンプルを得得る。
【0176】
一部の実施形態では、サンプルは、滑膜生検、好ましくは超音波ガイド下滑膜生検により得られる。
【0177】
患者
好ましい実施形態では、患者はヒトである。
【0178】
好ましい実施形態では、患者は成人である。一部の実施形態では、患者は、小児又は乳幼児であり得る。
【0179】
好ましい実施形態では、RA患者は、DMARD及び/又は抗TNF療法に対して不応性である。
【0180】
抗体
「抗体」の用語は、抗体又はこの機能性断片に関連して本明細書において使用する。機能性断片により、親抗体と同一の抗原標的に結合する能力を保持する抗体の任意の部分をいう。
【0181】
本明細書において使用する場合、「抗体」は、少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む抗原結合部位を有するポリペプチドをいうる。抗体は、3つのCDRを含み、ドメイン抗体(dAb)のそれと等価な抗原結合部位を有し得る。抗体は、6つのCDRを含み、古典的抗体分子のそれと等価な抗原結合部位を有し得る。ポリペプチドの残部は、抗原結合部位に適する足場をもたらし、抗原に適切に結合するようにその結合部位を呈する任意の配列であり得る。抗体は、全免疫グロブリン分子又はこの一部、例えばFab、F(ab)’2、Fv、一本鎖Fv(ScFv)断片又はナノボディであり得る。抗体は、抗体及び別の薬剤又は抗体のコンジュゲートであってもよく、例えば抗体は、ポリマー(例えばPEG)、トキシン又は標識とコンジュゲートし得る。抗体は、二機能性抗体であり得る。抗体は、非ヒト、キメラ、ヒト化又は完全ヒト抗体であり得る。
【0182】
治療の方法
また本発明では、関節リウマチ(RA)を治療する方法であって、有効量のB細胞標的療法を患者に施す工程を含み、患者がB細胞標的療法による治療に対して感受性であると本発明の方法により判定する、方法を提供する。
【0183】
一部の実施形態では、本発明は、有効量のB細胞標的療法を患者に施す(administer)ことにより、それを必要とする患者におけるRAを治療する方法であって、患者が、対応する1つ以上の参照値のレベルを超える1つ以上のバイオマーカーのレベルを有し、1つ以上のバイオマーカーが、表1のバイオマーカーから選択されるバイオマーカーを含むか又はこれからなる、方法を提供する。
【0184】
一部の実施形態では、本発明は、(i)対応する1つ以上の参照値のレベルに対する1つ以上のバイオマーカーのレベルの上昇を、患者から得られたサンプルにおいて検出する工程、ここで1つ以上のバイオマーカーが、表1のバイオマーカーから選択されるバイオマーカーを含むか又はこれからなる、及び(ii)有効量のB細胞標的療法を患者に施す工程を含む、それを必要とする患者におけるRAを治療する方法を提供する。
【0185】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表1の1つのバイオマーカーを含む(この実施形態を含む)。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表1の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70又は71種すべてのバイオマーカーを含む(この実施形態を含む)。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表1の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70又は71種すべてのバイオマーカーからなる(この実施形態を含む)。
【0186】
一部の実施形態では、本発明は、有効量のB細胞標的療法を患者に施すことにより、それを必要とする患者におけるRAを治療する方法であって、患者が、対応する1つ以上の参照値のレベルを超える1つ以上のバイオマーカーのレベルを有し、1つ以上のバイオマーカーが、表17のバイオマーカーから選択されるバイオマーカーを含むか又はこれからなる、方法を提供する。
【0187】
一部の実施形態では、本発明は、(i)対応する1つ以上の参照値のレベルに対する1つ以上のバイオマーカーのレベルの上昇を、患者から得られたサンプルにおいて検出する工程、ここで1つ以上のバイオマーカーが、表17のバイオマーカーから選択されるバイオマーカーを含むか又はこれからなる、及び(ii)有効量のB細胞標的療法を患者に施す工程を含む、それを必要とする患者におけるRAを治療する方法を提供する。
【0188】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表17の1つのバイオマーカーを含む(この実施形態を含む)。本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表17の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35種すべてのバイオマーカーを含む(この実施形態を含む)。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表17の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35種すべてのバイオマーカーからなる(この実施形態を含む)。
【0189】
一部の実施形態では、本発明は、有効量のB細胞標的療法を患者に施す工程を含む、それを必要とする患者におけるRAを治療する方法であって、患者が、対応する1つ以上の参照値のレベルを超える1つ以上のバイオマーカーのレベルを有し、1つ以上のバイオマーカーが、表18のバイオマーカーから選択されるバイオマーカーを含むか又はこれからなる、方法を提供する。
【0190】
一部の実施形態では、本発明は、(i)対応する1つ以上の参照値のレベルに対する1つ以上のバイオマーカーのレベルの上昇を、患者から得られたサンプルにおいて検出する工程、ここで1つ以上のバイオマーカーが、表18のバイオマーカーから選択されるバイオマーカーを含むか又はこれからなる、及び(ii)有効量のB細胞標的療法を患者に施す工程を含む、それを必要とする患者におけるRAを治療する方法を提供する。
【0191】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表18の1つのバイオマーカーを含む(この実施形態を含む)。本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又は36種すべての表18のバイオマーカーを含む(この実施形態を含む)。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又は36種すべての表18のバイオマーカーからなる(この実施形態を含む)。
【0192】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、サンプルは、血液サンプル又は滑膜サンプルである。一部の実施形態では、サンプルは血液サンプルである。一部の実施形態では、サンプルは滑膜サンプルである。一部の実施形態では、滑膜サンプルは、滑液又は滑膜組織である。
【0193】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、B細胞標的療法は、抗CD20抗体又は抗CD22抗体である。一部の実施形態では、B細胞標的療法は抗CD20抗体である。一部の実施形態では、B細胞標的療法は抗CD22抗体である。一部の実施形態では、B細胞標的療法は、リツキシマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、オファツムマブ、オビヌツズマブ、イブリツモマブチウキセタン又はエプラツズマブである。一部の実施形態では、B細胞標的療法はリツキシマブである。一部の実施形態では、B細胞標的療法はオクレリズマブである。一部の実施形態では、B細胞標的療法はベルツズマブである。一部の実施形態では、B細胞標的療法はオファツムマブである。一部の実施形態では、B細胞標的療法はオビヌツズマブである。一部の実施形態では、B細胞標的療法はイブリツモマブチウキセタンである。一部の実施形態では、B細胞標的療法はエプラツズマブである。
【0194】
また本発明では、関節リウマチ(RA)を治療する方法であって、有効量のIL-6受容体アンタゴニストを患者に投与する工程を含み、ここで患者はB細胞標的療法による治療に対して抵抗性であると、本発明方法により判定される、方法を提供する。一部の実施形態では、RAを治療する方法であって、IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤(例えばIL-6受容体アンタゴニスト又は抗IL-6抗体)を有効量、患者に投与する工程を含み、ここで患者はB細胞標的療法による治療に対して抵抗性であると、本発明の方法により判定される、方法をも本発明において提供する。
【0195】
一部の実施形態では、本発明は、IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤を有効量、患者に投与することにより、それを必要とする患者におけるRAを治療する方法であって、患者は、対応する1つ以上の参照値のレベルよりも低い1つ以上のバイオマーカーのレベルを有し、1つ以上のバイオマーカーは、表1のバイオマーカーから選択されるバイオマーカーを含むか又はこれからなる、方法を提供する。
【0196】
一部の実施形態では、本発明は、(i)対応する1つ以上の参照値のレベルに対する1つ以上のバイオマーカーのレベルの低下を、患者から得られたサンプルにおいて検出する工程、ここで1つ以上のバイオマーカーは、表1のバイオマーカーから選択されるバイオマーカーを含むか又はこれからなる、及び(ii)IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤を有効量、患者に投与する工程を含む、それを必要とする患者におけるRAを治療する方法を提供する。
【0197】
一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表1の1つのバイオマーカーを含む(この実施形態を含む)。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表1の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70又は71種すべてのバイオマーカーを含む(この実施形態を含む)。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表1の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70又は71種すべてのバイオマーカーからなる(この実施形態を含む)。
【0198】
一部の実施形態では、本発明は、IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤を有効量、患者に投与することにより、それを必要とする患者におけるRAを治療する方法であって、患者は、対応する1つ以上の参照値のレベル未満の1つ以上のバイオマーカーのレベルを有し、1つ以上のバイオマーカーは、表17のバイオマーカーから選択されるバイオマーカーを含むか又はこれからなる、方法を提供する。
【0199】
一部の実施形態では、本発明は、(i)対応する1つ以上の参照値のレベルに対する1つ以上のバイオマーカーのレベルの低下を、患者から得られたサンプルにおいて検出する工程、ここで1つ以上のバイオマーカーは、表17のバイオマーカーから選択されるバイオマーカーを含むか又はこれからなる、及び(ii)IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤を有効量、患者に投与する工程を含む、それを必要とする患者におけるRAを治療する方法を提供する。
【0200】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表17の1つのバイオマーカーを含む(これらの実施形態も含め)。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表17の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35種すべてのバイオマーカーを含む(この実施形態を含む)。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表17の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35種すべてのバイオマーカーからなる(これらの実施形態も含め)。
【0201】
一部の実施形態では、本発明は、IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤を有効量、患者に投与することによる、それを必要とする患者におけるRAを治療する方法であって、患者は、対応する1つ以上の参照値のレベル未満の1つ以上のバイオマーカーのレベルを有し、1つ以上のバイオマーカーは、表18のバイオマーカーから選択されるバイオマーカーを含むか又はこれからなる、方法を提供する。
【0202】
一部の実施形態では、本発明は、(i)対応する1つ以上の参照値のレベルに対する1つ以上のバイオマーカーのレベルの低下を、患者から得られたサンプルにおいて検出する工程、ここで1つ以上のバイオマーカーは、表18のバイオマーカーから選択されるバイオマーカーを含むか又はこれからなる、及び(ii)IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤を有効量、患者に投与する工程を含む、それを必要とする患者におけるRAを治療する方法を提供する。
【0203】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表18の1つのバイオマーカーを含む(この実施形態を含む)。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表18の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又は36種すべてのバイオマーカーを含む(この実施形態を含む)。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーは、表18の、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又は36種すべてのバイオマーカーからなる(この実施形態を含む)。
【0204】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、サンプルは、血液サンプル又は滑膜サンプルである。一部の実施形態では、サンプルは血液サンプルである。一部の実施形態では、サンプルは滑膜サンプルである。一部の実施形態では、滑膜サンプルは、滑液又は滑膜組織である。
【0205】
一部の実施形態では、IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤は、トシリズマブ、サリルマブ、サトラリズマブ又はシルツキシマブである。一部の実施形態では、IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤は、IL-6受容体アンタゴニストである。一部の実施形態では、IL-6受容体アンタゴニストは、トシリズマブ、サリルマブ又はサトラリズマブである。一部の実施形態では、IL-6受容体アンタゴニストはトシリズマブである。一部の実施形態では、IL-6受容体アンタゴニストはサリルマブである。一部の実施形態では、IL-6受容体アンタゴニストはサトラリズマブである。一部の実施形態では、IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤は抗IL-6抗体である。一部の実施形態では、抗IL-6抗体はシルツキシマブである。
【0206】
「治療する(treating)」又は「処置(treatment)」の用語は、当技術分野において周知であり、臨床結果を含む、対象の症状における有利又は所望の結果を得るための任意の手法を含み得る。有利又は所望の臨床結果としては、部分的又は全体的、並びに検出可能又は検出不可能な、1つ以上の症候又は症状の軽減又は回復、疾患の程度の減弱、病状の安定化(即ち、非悪化)、疾患の伝染又は伝播の予防、疾患進行の遅延又は緩徐化、病状の回復又は緩和、疾患再発の低下、及び寛解、が挙げられ得るが、これらに制限されない。換言すれば、「治療(treatment)」は、本明細書において使用する場合、疾患の治癒、回復、又は予防のいずれかを含み得る。治療により、疾患の発症を予防するか、疾患の伝播を阻害するか、疾患の症候を和らげるか、疾患の根本原因を完全若しくは部分的に除去するか、罹患期間を短縮するか、又はこれらの事項の組合せを行い得る。
【0207】
「治療(treating及びtreatment)」は、本明細書において使用する場合、予防的治療を含み得る。治療方法は、治療有効量の活性剤(例えばB細胞標的療法又はIL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤)を対象に投与する工程を含む。投与する工程は、単回投与からなり得るか、又は一連の投与を含み得る。治療期間の長さは、多様な因子、例えば症状の重症度、患者の年齢、活性剤の濃度、治療において使用する組成物の活性、又はこれらの組合せに依存する。また、治療又は予防に使用する薬剤の有効な投与量は、特定の治療又は予防措置の過程を通じて増減させ得ることが理解されるであろう。投与量の変更が生じることがあり、当技術分野の標準的診断アッセイにより明らかとなる。一部の場合では、慢性投与が必要とされ得る。例えば組成物は、患者を治療するのに十分な量及び期間、対象に投与する。複数の実施形態では、治療(treating)又は処置(treatment)は、予防的治療ではない。
【0208】
「予防」の用語は、患者における疾患症候の発生の低下を指す。上に示すように、予防は、完全(検出可能な症候なし)であるか、又は治療しない場合に生じ得るほどの症候は観察されないような部分的予防であり得る。
【0209】
「有効量」は、化合物(例えばB細胞標的療法、IL-6媒介シグナル伝達を下方制御する薬剤)が、化合物を使用しない場合に対して前述の目的を達成する(例えば投与する目的の作用を達成するか、疾患を治療するか、シグナル伝達経路を減少させるか、又は疾患若しくは症状の1つ以上の症候を減少させる)のに十分な量であり得る。「有効量」の例は、疾患の1つ以上の症候の治療、予防、又は減少の寄与に十分な量であり、これは「治療有効量」ともいうことがある。1つ以上の症候の「減少」(及びこの句の文法的等価物)は、症候(複数可)の重症度若しくは頻度の低下、又は症候(複数可)の除去をいう。薬物の「予防的有効量」は、対象に投与した場合、意図する予防作用、例えば傷害、疾患、病態若しくは症状の発症(若しくは再発)の予防若しくは遅延、或いは傷害、疾患、病態若しくは症状又はこれらの症候の発症(若しくは再発)の尤度の低下を有するであろう薬物の量である。十分な予防作用は、単回用量の投与によっては必ずしも生じず、一連の用量の投与後にのみ生じ得る。したがって、予防的有効量は、1回以上の投与によって投与し得る。的確な量は治療の目的に依存することとなり、公知の技術を使用して当業者により確認可能であろう(例えばLieberman, Pharmaceutical Dosage Forms (vols. 1-3, 1992); Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999); Pickar, Dosage Calculations (1999);及びRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2003, Gennaro, Ed., Lippincott, Williams & Wilkinsを参照)。
【0210】
「投与」の用語は、対象への経口投与、坐剤としての投与、局所的接触、静脈内、非経口、腹腔内、筋肉内、病巣内、くも膜下腔内、鼻腔内若しくは皮下投与、又は徐放装置、例えば小型浸透圧ポンプの移植を意味し得る。投与は、非経口及び経粘膜(例えば口腔、舌下、口蓋、歯肉、鼻腔、膣内、直腸内、又は経皮)を含む任意の経路による投与であり得る。非経口投与は、例えば静脈内、筋肉内、細動脈内、真皮内、皮下、腹腔内、脳室内、及び頭蓋内を含む。他の送達方法としては、リポソーム製剤の使用、静脈内注入、経皮パッチ等が挙げられるが、これらに制限されない。複数の実施形態では、投与は、列挙する活性剤以外のいかなる活性剤の投与も含まない。
【0211】
キット
また本発明では、本明細書に開示の方法を実施するのに適するキットを提供する。特には、キットは、本明細書に開示のバイオマーカー又は本明細書に開示のバイオマーカーの組合せを検出するのに適する試薬を含み得る。
【0212】
また、キットは使用説明書を含み得る。
【0213】
またキットは、B細胞標的療法又はIL-6シグナル伝達を下方制御する薬剤を含み得る。
【0214】
当業者は、開示する本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示の本発明のすべての特徴を組み合わせることが可能であることを理解するであろう。
【0215】
ここで、本発明の好ましい特徴及び実施形態は、非制限的な実施例によって説明することとなる。
【0216】
本発明の実践では、他に指示しない限り、化学、生物化学、分子生物学、微生物学及び免疫学の従来技術を利用することとなり、これらは当業者の能力の範囲内である。このような技術は、文献において説明されている。例えばSambrook, J., Fritsch, E.F. and Maniatis, T. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel, F.M. et al. (1995 and periodic supplements) Current Protocols in Molecular Biology, Ch. 9, 13 and 16, John Wiley & Sons; Roe, B., Crabtree, J. and Kahn, A. (1996) DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques, John Wiley & Sons; Polak, J.M. and McGee, J.O’D. (1990) In Situ Hybridization: Principles and Practice, Oxford University Press; Gait, M.J. (1984) Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press;及びLilley, D.M. and Dahlberg, J.E. (1992) Methods in Enzymology: DNA Structures Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA, Academic Pressを参照されたい。このような一般的文書のそれぞれは、参照により本明細書に組み込む。
【0217】
[実施例]
[実施例1]
方法
試験の設計
本発明者等は、5つの欧州諸国:英国、ベルギー、イタリア、ポルトガル、スペインにわたる19の施設において第IV相非盲検ランダム化対照試験を行った。試験は、ヘルシンキ宣言、調和国際会議ガイドラインの優良臨床試験基準、及び現地国の規制に従って行った。最終プロトコール、改正及び同意文書は、各試験施設の施設内審査委員会又は適切な独立的倫理委員会により認可された。試験は、国立健康研究所(NIHR)による無制限の助成金により支援された。
【0218】
患者
英国NICEガイドラインに従いリツキシマブ療法による治療に適格な、RA16の2010ACR/EULAR分類基準を満たす18歳以上の患者(csDMARD療法及び少なくとも1つの生物学的療法(試験IMPを除く)に対して不応答又は不耐容)(国立医療技術評価機構。TNF阻害剤に不応答後の関節リウマチの治療のためのアダリムマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、リツキシマブ及びアバタセプト。2010 https://www.nice.org.uk/guidance/ta195(2020年6月6日アクセス))は、試験への採用に適格であり、各試験施設のリウマチ学外来診療所により認証した。組入れ及び除外基準の完全なリストは、表2に提示する。すべての患者は、書面によりインフォームドコンセントを提供した。
【0219】
介入
滑膜生検:患者は、試験参加時において臨床的に活動性の関節の滑膜生検を受け、これは、これまでに記載のように(Kelly S et al. Ann Rheum Dis 2015; 74: 611-7; Kraan MC et al. Arthritis Rheum 2002; 46: 2034-8)USガイド下又は関節鏡下手術のような現地の専門的技術に従って実施した。6~8つの生検を4%のパラホルムアルデヒド中に直ちに固定してパラフィン包埋し、更に6つを10:1 v:vのRNA-Later(Ambion社)に浸漬して後にRNA抽出し、Barts Health NHS TrustのNHS病理研究室に送って、プロトコール標準操作手順(SOP)に従って更なる処理及び中央評価を行った。
【0220】
組織学的解析:最低6つの滑膜生検をまとめてパラフィン包埋し、切片をヘマトキシリン及びエオシン(H&E)並びに免疫組織化学的マーカーで染色した(Humby F et al. PLoS Med 2009; 6: e1; Rivellese F et al. Arthritis Rheumatol 2020; 72: 714-25)(図1)。これまでに記載され検証されたスコア(Rivellese F et al. Arthritis Rheumatol 2020; 72: 714-25; Kraan MC et al. Rheumatology 2000; 39: 43-9; Krenn V et al. Histopathology 2006; 49: 358-64)を改変して、切片を半定量的スコアリング(0~4)に供して、CD20+B細胞、CD3+T細胞、CD138+形質細胞及びCD68+内層(l)及び下内層(sl)マクロファージの発現を判定した (図1)。患者は、Barts Health NHS TrustのNHS病理研究室において、顧問病理学者(HR)により富B細胞又は乏B細胞に組織学的に分類された後、滑膜病理の第2の専門家(GT)により、検証されたアルゴリズムに従って独立的評価が行われた(図2)。CD20スコア<2を有する滑膜組織は乏B細胞であると分類し、一方、CD20スコア≧2及びCD20+B細胞凝集物を有する組織は富B細胞であると分類した。分類における任意の矛盾は、相互に一致させる(mutual agreement)ことにより解決した。明確な滑膜組織を同定することができなかった患者は、「不明」と分類された。富B細胞サンプルは、CD21+veFDCネットワークが存在する場合、胚中心(GC)+veとして更に分類された(図3)。試験プロトコールにおいて予め定義するように、富B細胞又は乏B細胞と分類した患者のみが本明細書に提示する試験の一次解析に含まれた。
【0221】
RNA-seq解析:患者1人あたり最低6つの滑膜サンプルをRNA-Later中に直ちに浸漬し、RNAを抽出して(Rivellese F et al. Rheumatoid Arthritis: Relationship to Disease Stages and Drug Exposure. Arthritis Rheumatol 2020; 72: 714-25)、Genewiz社においてSOPに従ってシーケンシングした。150塩基対の184ペアエンドRNA-seqサンプルをトリミングし、デフォルトパラメータを使用するBBMap(パッケージバージョン37.93)のbbdukを使用してIlluminaアダプターを除去した。転写物は、Salmonバージョン0.13.123及びGencode(リリース29)トランスクリプトームからSOPに従って生成された指数を使用して定量された。Tximport(バージョン1.13.10)を使用して転写レベル発現データを遺伝子に集約し、次いで、DESEQ2パッケージバージョン1.25.9を使用して数値を分散安定化変換(VST)に供した(Love MI et al. Genome Biol 2014; 15: 550)。患者は、FANTOM5遺伝子発現データの解析から得られたB細胞特異的遺伝子モジュールに従って乏/富B細胞に分類された(FANTOM Consortium及びRIKEN PMI及びCLST (DGT)、Forrest ARRRR, Kawaji H, et al. Nature 2014; 507: 462-70)。B細胞転写物分類のための予め判定されたカットオフ点が文献に見出されなかったため、潜在的バイアスを回避するために、転写物モジュール中央値に従って患者を乏/富B細胞に分類した(図4)。加えて、試験解析後のRNA-seq乏/富B細胞層別化方法の精度を評価するために、本発明者等は、富及び乏B細胞間のカットオフを変えて中央値が最適であるかどうかを判定することにより、RNA-Seq FANTOM5 B細胞モジュールの更なる評価を行った。図5に示すように、20%の範囲にわたってカットオフを変えて最適に実施したFANTOM5 B細胞モジュール中央値によって、一次アウトカムの尺度に基づく試験の結果に差は出なかったことが確認された。
【0222】
ランダム化及びマスキング
0週には、患者をランダム化して、リツキシマブ又はトシリズマブを投与し、滑膜生検ベースラインの組織学的分類に従い(乏B細胞、富B細胞、GC+又は不明)、施設によって(ロンドン大学クイーンメアリー校(Queen Mary University of London)対他のすべての施設)双方向ウェブ応答システムを使用して4つのブロックに層別化した。患者は、6及び4のランダムブロックサイズのブロック(1:1)にランダム化された。ランダム化リスト及び割当てアルゴリズムは、試験統計学者により準備され、エンドユーザーにはアクセス不可能であるようにアプリケーションコードに安全に埋め込まれた。プログラマーは、割当てアルゴリズムのランダム化データベースへの組み入れについて責任を負った。試験管理者及び試験管理チームスタッフは、患者適格性の確認及びランダム化手順の実施を中心的にについて責任を負った。ランダム化の結果は、各施設の指名された共同評価者(研究看護師/補助者)を除く、試験薬物の割当てを盲検化されたままのすべての臨床試験施設スタッフに、R4RA試験事務局によって電子的に送信された。すべての施設チームは、試験期間にわたって組織学的亜型を盲検化されたままであった。
【0223】
試験手順
滑膜生検及び後続のランダム化の後、リツキシマブ(マブセラ-Roche社)1000mgを2週間間隔で2回の注入又は8mg/kg用量のトシリズマブ(RoActemra-Roche社)を4週間間隔での注入をベースラインにおいて投与した。両薬物は、院内在庫から得られた。患者は、48週間の試験治療期間にわたって4週間間隔で経過観察し、ここでRA疾患活動性測定値及び安全データを収集した(図6)。16週までの臨床アウトカムのみを本明細書において提示する。
【0224】
アウトカム
試験は、16週の乏B細胞集団において、リツキシマブを上回るトシリズマブの優位性を検査するように進めた。一次エンドポイントは、トシリズマブ及びリツキシマブ治療群間におけるベースラインから16週の臨床疾患活動性指数(CDAI)(Aletaha D et al. Arthritis Res Ther 2005; 7: R796-806)≧50%の上昇における差として定義した。
【0225】
主要有効性解析により、一次エンドポイント:ベースラインからのCDAI≧50%上昇を満たす患者数を評価した。患者は、ベースラインからのCDAI上昇≧50%は達成したが、低疾患活動性であるCDAI<10.1には達しなかった場合は、以降、簡潔化のためにCDAI主要治療応答(CDAI-MTR)と定義する、プロトコールにおいて予め定義したように、非応答者であるとされることもあった。このため、調和国際会議(ICH)ガイドライン(2019)に従う補足有効性解析を行って、CDAI-MTRを満たす患者数を評価した。加えて、プロトコールにおいて予め定義したように、試験の主な目的は、滑膜組織における細胞及び分子的特性の両方を検査することであり、上記のRNA-seq方法に従って分類された患者においてCDAI≧50%上昇及びCDAI-MTRを評価した。
【0226】
この試験は、富B細胞コホートにおけるいずれかの薬物の相対的有効性を評価するために進めるものではなかったが、16週におけるCDAI≧50%応答及びCDAI-MTRの評価をも補足解析として実行し、ここでリツキシマブの応答率をトシリズマブと比較した。
【0227】
CDAI寛解、DAS28(ESR)/(CRP)中等度/良好EULAR応答、DAS28(ESR)/(CRP)低疾患活動性、DAS28(ESR)/(CRP)寛解、及び倦怠感のような患者報告アウトカムを含む更なる二次有効性解析を表3に定義する。
【0228】
治療による発症率及び重症度並びに手術による有害事象を試験にわたって監視し、有害事象のコード化を規制活動医学辞典(Medical Dictionary for Regulatory Activities、MedDRA)第22版に従って実施した。試験治療に関するすべての重篤な有害事象の因果関係及び予測可能事象は、PI(又は代理医師)によりSAEの定義に従って評価した。治療に関するSAEが予想外であった場合、予想外の重篤な有害反応疑い(Suspected Unexpected Serious Adverse Reaction、SUSAR)であると判断された。48週まで(及び更なる30日の期間を含む)のすべてのSAEは、関連性により、そしてMedDRAの「下層語(lowest-level-term)」による分類を使用して報告した。48週まで(+30日)のすべてのAEは、MedDRAの「器官別大分類(System-organ-class)」による分類を使用して報告した。再発事象(同一参加者において2回以上生じた事象)を1事象と考えた。
【0229】
サンプルサイズ
乏B細胞患者82人のサンプルサイズを評価し、一次エンドポイントにより応答者であるとみなされる患者の割合において90%の検出力を得て、35%の差を検出した(予め行ったパイロット試験において決定したトシリズマブに対して55%及びリツキシマブに対して20%の応答率を想定)。乏B細胞、富B細胞及びGC+の採用患者の想定された割合は、それぞれ60%、35%及び5%であった。10%の類別不能な生検サンプル及び5%のドロップアウト率の推定後、本発明者等は、乏B細胞群の82人の患者を採用するのに合計160人の患者が必要とされることを推定した。富B細胞集団に対して検出力の算出は行わなかった。
【0230】
統計学的解析
一次エンドポイント及び他のバイナリエンドポイントを、必要に応じてカイ二乗又はフィッシャーの直接検定を使用して解析した。連続アウトカムには、因数として治療及び連続共変数としてベースライン値を用いて共分散分析(ANCOVA)を実施した。ANCOVAの仮定が満たされない場合、ノンパラメトリックANCOVAを使用した。ベースラインからの群内の変化は、対応ウィルコクソン検定により解析した。
【0231】
試験は富B細胞群におけるいずれかの薬物の相対的有効性を評価するために進めるものではなかったが、本発明者等は、リツキシマブがトシリズマブと同様に効果的であるかどうかを二次解析として検定した。治療及び病原型間の相互作用の解析は、2つのネスト化ロジスティック回帰モデル:一方は、共変数として病原型及び治療を有し、他方は、共変数として病原型、治療及びこれらの相互作用を有するモデル間の尤度比検定により実施した。
【0232】
すべての有効性解析は、意図対治療(ITT)集団において実施し、次いで、パープロトコール(PP)セットに対して実施して結果の堅牢性を評価した。PP集団は、いかなる主要プロトコール違反をも有しないITTのすべての対象を含んだ。PPの対象を除外する逸脱リストは、データをロックする前に分類会議において審査した。安全性解析は、安全性解析セットに対して行い(少なくとも単回用量の試験医薬を投与した参加者のみを含むITT)、ここで患者は、実際の治療が予定された治療とは異なる(ランダム化又は切換える)場合は、実際の治療に従って解析された。欠測値は、MARを想定する場合、連鎖方程式による多重補完(MICE)を使用して補完し、Rパッケージの「Amelia」1.7.5を使用して実行された。
【0233】
すべての統計学的解析は、Rバージョン3.5.1を使用して実行された。試験は、ISRCTNデータベースに登録した(ref:ISRCTN97443826)。独立的データ監視委員会は、試験中6カ月毎に会合し、収集した試験データを審査して任意の安全問題が存在するかどうかを評価し、試験運営委員会に提言を行った。
【0234】
結果
患者212人をスクリーニングしたところ、190人が同意し、164人をランダム化に供した。最初の患者の来診は、2013年2月28日であり、最後の患者の来診は、2019年1月17日であった。採用目標に達したため、試験を終了した。患者83人をランダム化してリツキシマブを投与し、81人にトシリズマブを投与した。リツキシマブ82人及びトシリズマブ79人の患者161人に治験医薬製剤(IMP)を投与し、99%(81/82人)のリツキシマブ及び92%(73/79人)のトシリズマブ治療患者が、16週に一次エンドポイントまで治療を完了した(図7)。最も大きい割合の患者(38%、62/164人)が、Barts Health NHS Trustに採用された(表4)。
【0235】
ベースライン特性、疾患活動性及び組織学群は、治療群にわたって平衡化した(表5及び表6)。殆どの患者が女性であり(80%)、大多数がリウマチ因子(RF)(74%)及び/又は抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)(80%)に対して血清陽性であった。罹患期間中央値は、9年であった(IQR:4,19)。疾患活動性は高く、5.8のDAS28(ESR)平均値を有した(SD:1.2)。49%(79/161人)の患者を乏B細胞、40%(64/161人)を富B細胞、6%(9/161人)をGC+及び6%(9/161人)を不明として分類した。組織学的に乏B細胞と分類された49%(79/161人)のIMP投与患者のうち、48%(38/79人)をリツキシマブ、52%(41/79)人をトシリズマブにランダム化した(図7)。
【0236】
16週に、乏B細胞集団では、統計学的有意差は、一次アウトカム(表7)であるリツキシマブ及びトシリズマブ治療群間のベースライン応答率からのCDAI≧50%の上昇において観察されなかった(リツキシマブ:17/38人=44.7%対トシリズマブ:23/41人=56.1%、差:11.4%、95%CI:-10.6~33.3)。しかし、予め定義したCDAI MTR補足解析では(表7)、統計学的有意性に達した(リツキシマブ:9/38人=23.7%対トシリズマブ:19/41人=46.3%、差:22.7%、95%CI:2.3~43.0)。加えて、CDAI寛解、DAS28(ESR)中等度/良好EULAR応答、DAS28(ESR)低疾患活動性、DAS28(ESR)寛解、DAS28(CRP)中等度/良好EULAR応答、DAS28(CRP)低疾患活動性及びDAS28(CRP)寛解を含む、乏B細胞集団における多数の二次エンドポイントを通じて、トシリズマブ治療患者における応答率は高かった(表7)。
【0237】
DAS28(ESR/CRP)及びCDAIの大幅な下落傾向を含む16週の他の二次エンドポイントにおいても、トシリズマブが有利であった(表7)。生活の質アウトカムの尺度(FACIT/SF36スコア)においても、トシリズマブ治療患者におけるベースライン及び16週の間の高レベルの上昇が実証された(表7)。本発明者等は、IMP群間のHAQスコアにおいて殆ど差を観察しなかった(表7)。重要なことには、パープロトコール解析は、ITTアウトカムと一致した(表8)。
【0238】
次いで本発明者等は、RNAseq分子分類に従って乏B細胞にカテゴリー化した患者:65/124人において治療群を比較して臨床アウトカムを検討した。本発明者等は、CDAI≧50%上昇である一次アウトカムの尺度(リツキシマブ:12/33人=36.4%対トシリズマブ:20/32人=62.5%、差:26.1%、95%CI:2.3~49.6)及びCDAI-MTR (リツキシマブ:4/33人=12.1%対トシリズマブ:16/32人=50.0%、差:37.9%、95%CI:17.3~58.5)の両方に対して、リツキシマブ群と比較してトシリズマブにおける有意に高い応答率を観察した。EULAR DAS28-ESR/CRP良好/中程度応答、DAS28-ESR/CRP低疾患活動性(≦3.2)及びDAS28-ESR寛解(≦2.6)(表7)を含む多数の二次アウトカムにおいても、トシリズマブが有利であった。同様に、組織学的分類に対しても、本発明者等は、トシリズマブ対リツキシマブ群におけるベースライン及び16週間のCDAI及びDAS28-ESR/CRPの大幅な下落傾向(表7)、並びにトシリズマブ治療患者における生活の質の尺度(FACIT/SF36 MCS及びPCS)の大幅な上昇傾向(表7)を観察した。パープロトコール解析は、ITT結果と一致した(表9)。
【0239】
RNAseqバイオマーカーパネルに使用する遺伝子を表16に示す。「真」と標識した遺伝子35種は、患者の層別化に最も有益であると判定した。相対的に低いP値を有する特定の遺伝子を除外しても(「偽」と標識)高遺伝子群(富B細胞と等価)に更に有益であるため、P値は層別化の精度を概して反映する。
【0240】
次いで本発明者等は、40%(64/161人)の病理組織学的及び47%(59/124人)のRNA-seqの両分類を使用して、富B細胞であると分類した患者を解析した。52%(33/64人)の患者をリツキシマブに48%(31/64人)をトシリズマブにランダム化した(図7)。試験は、組織学的に分類した富B細胞群の比較解析のために進めるものではなかったが、本発明者等は、CDAI≧50%上昇(リツキシマブ:13/33人=39.4%対トシリズマブ:16/31人=51.6%、差:12.2%、95%CI:-12~36.5)及びCDAI-MTR(リツキシマブ:5/33人=15.2%対トシリズマブ:11/31人=35.5%、差:20.3%、95%CI:-0.5~41.1)を含む解析した大多数のエンドポイントに対して、2つの生物学的製剤の間で類似する16週応答率を観察した(表10)。多数の更なる二次エンドポイントにわたって類似の作用が認められた(表10)。重要なことには、乏B細胞コホートにおける解析と比較して、本発明者等は、リツキシマブ及びトシリズマブ治療群の間で生活の質の尺度(FACIT/SF36)において最小限の差を認めた(表10)。パープロトコール解析は、ITT結果と一致した(表11)。
【0241】
次いで、RNAseq分類富B細胞として分類した患者(n=59)における治療群間の16週のアウトカムを評価した。CDAI≧50%上昇、CDAI-MTR(表10)及び二次有効性エンドポイントの大多数(表10及び表12)の評価に対して、リツキシマブ及びトシリズマブ治療患者間の統計学的有意差は観察されなかった。
【0242】
ロジスティック回帰分析では、一次エンドポイントに対するIMP及び組織学的に定義されたB細胞亜群間の相互作用の証拠は示されなかったが、RNA-seqにより定義されたB細胞亜群及びIMPの間の統計学的に有意な相互作用が(p=0.049)、CDAI MTRを使用した場合に観察され、リツキシマブ及びトシリズマブの間の差が、RNA-seq富B細胞及び乏B細胞層別化群間で統計学的に差を有することを示唆した。しかし、富B細胞又は乏B細胞として組織学的に分類した患者間のリツキシマブに対するCDAI≧50%上昇応答率の差を評価した場合、本発明者等は、アウトカムにおいて統計学的有意差は認めなかった(フィッシャーの直接検定p=0.81)。
【0243】
リツキシマブで治療した患者では(n=82)、本発明者等は、ACPA+ve及びACPA-veとして分類した患者間のCDAI≧50%応答率において統計学的有意差を認めず(応答者はそれぞれ44.8% 30/67人及び46.3% 7/15人、p値=0.89)、RF+ve及びRF-veとして分類した患者間においても統計学的有意差を認めなかった(応答者はそれぞれ43.8% 28/64人及び50% 9/9人、p値=0.63)(表13)。本発明者等は、トシリズマブで治療したRF/ACPA血清陽性患者による応答率においても統計学的有意差を認めなかった(表13)。
【0244】
48週までの安全性データを表14及び表15に要約する。有害事象(リツキシマブ:76/108人=70.4%対トシリズマブ:94/117人=80.3%、差:10.0%、95%CI:-1.3~21.2)及び重篤な有害事象(リツキシマブ:8/108人=7.4%対トシリズマブ:12/117人=10.3%、差:2.8%、95%CI:-4.5~10.2)の発生は、治療群間で有意に差を有しなかった。リツキシマブ群において自殺による1人の死亡が報告された。48週の試験期間内では、悪性腫瘍は報告されなかった。リツキシマブ治療群の患者2人(SUSARとして報告された角膜融解、及び自殺)並びにトシリズマブ群の患者3人(胸水、胸痛及びサイトカイン放出症候群)は、重篤な有害事象のためIMPを中断した。ランダム化に供したが試験薬物を投与されなかった患者3人が存在し、このような患者では、重篤な有害事象は報告されなかった。重要なことには、滑膜生検に関する重篤な有害事象は報告されなかった。
【0245】
考察
リツキシマブは、依然としてRA患者のための重要な治療選択肢であるが、臨床応答は、依然として不均一であり、6カ月で抗TNF-ir患者の30%しかACR50応答率を達成せず(Cohen SB et al. Arthritis Rheum 2006; 54: 2793-806)、その上、応答/非応答機構は、依然として不明である。したがって、このような機構の理解は、潜在的に有毒な薬物への不必要な曝露及び疾患調節の遅延を回避するのに重大である。50%を超えるRA患者が主要な罹患組織(関節滑膜)において低/無B細胞浸潤を示すため、滑膜組織における特定の細胞(CD20+ve/B細胞)の標的発現レベル及び分子特性(B細胞と関連する)によって薬物作用機序及び治療応答についての機構的説明がもたらされるかどうかを判定するために、R4RA試験が設計され、英国国立健康研究所(NIHR)により独立的に支援された。
【0246】
RAにおける最初の生検に基づくこの多施設ランダム化対照試験では、本発明者等は、低/無滑膜生検CD20+ve/B細胞について層別化した患者において、リツキシマブ、トシリズマブ、特定のIL6受容体阻害剤の標的が優れているという仮説を検査した。組織学的乏B細胞(CD20+ve/低)分類を使用すると、一次エンドポイント:CDAI≧50%上昇では、2つの治療群間で統計学的有意差は存在しなかった。しかし、トシリズマブは、CDAI≧50%上昇及びCDAI<10.1の主要治療応答(CDAI-MTR)として定義する低疾患活動性を達成した患者の割合においてリツキシマブよりも優れていた。
【0247】
加えて、RNA-seq B細胞分子モジュールにより患者を乏/富B細胞に分類した場合、一次エンドポイント(CDAI≧50%)及びCDAI-MTRの両方が統計学的有意性に達した。その上、一次エンドポイントではロジスティック回帰分析によってIMP及び組織学的に定義したB細胞亜群の間の相互作用の証拠は示されなかったが、RNA-seqにより定義したB細胞亜群及びIMPの間の統計学的に有意な相互作用は(p=0.049)、CDAI-MTRを使用した場合に観察され(p=0.049)、これによりリツキシマブ及びトシリズマブの間の差が、分子的に定義したRNA-seq乏B細胞及び富B細胞層別化群の間で統計学的に差を有する証拠がもたらされた。
【0248】
組織学及びRNA-seqの差の理由は、分類技術の感度と関連する可能性がある。CD20染色は、臨床試験における使用に推奨されるように最低6つの生検に対する3つのカットレベルにおいて評価し、報告して全関節組織の代表とした(Orr C et al. Nat Rev Rheumatol 2017; 13: 463-75)。しかし、平衡化した層別化(ランダム化の前)に使用した半定量的スコアは、利用可能な「ゴールドスタンダード」が公表されていないため、デジタル画像解析(DIA)及びFANTOM5から得たB細胞関連遺伝子セットを使用して決定した転写レベルの両方に対して検証されているが(Rivellese F et al. Arthritis Rheumatol 2020; 72: 714-25; FANTOM Consortium and the RIKEN PMI and CLST (DGT), Forrest ARRRR, Kawaji H, et al. A promoter-level mammalian expression atlas. Nature 2014; 507: 462-70)、乏B細胞では0~1及び富B細胞では2~4のカットオフをこれまでのパイロットに基づいて任意に設定し、これは全試験に対して最適レベルではない可能性を有する。その上、このようなカットオフをCD20+veB細胞<20(乏B細胞)又はCD20+veB細胞>20(富B細胞)の物理的計数により決定したことを考慮すると、いずれかの分割方法による一B細胞の計数によって反対の割当てが決定され、誤分類が生じる可能性を有する。
【0249】
一方、RNA-seq乏/富B細胞分類は、プールした均質化生検6つのRNA-seqに、FANTOM5から得たモジュールを適用して遺伝子73種を含めることにより決定し、これにより活動性関節全体における病理学的過程の更なる包括的尺度(30,000種の遺伝子発現)及び成熟CD20+veB細胞だけでなく種々の段階に分化したB細胞、例えば形質芽球/前形質細胞数の更に的確な推定がほぼ間違いなくもたらされた。このような後者のサブセットが末梢血及び滑膜組織の両方においてリツキシマブへの応答に影響を及ぼすことがわかっているため(Dass S et al. Arthritis Rheum 2008; 58: 2993-9; Thurlings RM et al. Ann Rheum Dis 2008; 67: 917-25; Hogan VE et al. Ann Rheum Dis 2012; 71: 1888-94; Teng YKO et al. Ann Rheum Dis 2009; 68: 1011-6)、RNA-seq分類は、更に高感度であると明らかに思われる。加えて、RNA-seq分類の適用により、B細胞遺伝子セットモジュールの転写物発現レベル中央値を使用する客観的方法を用いた病理組織学により、滑膜B細胞浸潤の相対的な主観的評価を含む組織学的分類の多数の制限が克服される。重要なことには、試験後解析では、20%の範囲にわたってカットオフを変えて最適に実施したFANTOM5 B細胞モジュール中央値によって、一次アウトカムの尺度に基づく試験の結果に差は出なかったことが確認された。
【0250】
注目すべきことには、RNA-seq乏B細胞分類患者では、トシリズマブは、一次エンドポイント(CDAI≧50%上昇)及びCDAI-MTRに関してだけでなく、考えられる二次エンドポイントの殆どにおいてもリツキシマブよりも有意に優れており、広範なアウトカムの尺度との密接な関連性を示した。逆もまた同様に、RNA-seq富B細胞分類集団では、リツキシマブの有効性はトシリズマブと重複し、罹患組織における標的発現レベルが非応答(低/無)対応答(中程度/高)の決定において機構的に重要であるという概念が支持された。即ち乏B細胞患者では、トシリズマブは、非B細胞依存性経路、例えばIL6を阻害するため更に効果的であり、その上、富B細胞患者では、トシリズマブ及びリツキシマブの両方がB細胞機能を調節するため、両薬物は同様に効果的である。
【0251】
また、この試験では、リツキシマブ又はトシリズマブに対する臨床応答率における統計学的有意差がRF及び/又はACPA陽性及び陰性患者の間で観察されなかったため、臨床応答及びRF/ACPA血清学的状態との関連における滑膜生検の潜在的重要性が強調された。したがって、RF/ACPA陽性及び富B細胞滑膜炎間に強力な関連性が存在するが(Humby F et al. Ann Rheum Dis 2019; 78: 761-72)、関節に低/無B細胞を有するRF/ACPA陽性患者が存在するため、滑膜生検は、リツキシマブ療法への患者の層別化において、血清学よりも高感度であり得る可能性を有する。しかし、すべてではないが殆どの試験でRF/ACPA+ve患者においてリツキシマブに対してより良好な応答が報告されたが(Isaacs JD et al. Ann Rheum Dis 2013; 72: 329-36)、血清陰性患者が試験に少数しか組み入れられなかったことに伴う偽陽性所見の可能性(第2種過誤)を考慮して、このような結果は、注意を持って解釈しなければならない。
【0252】
安全性に関しては、トシリズマブで治療した患者において多数の重篤な有害事象及び有害事象が観察されたが、これらは試験薬物と殆ど無関係であると思われ、統計学的有意差は存在しなかった。重要なことには、滑膜生検と関連する重篤な有害事象は存在せず、リウマチ学者により実施される最小侵襲性の超音波ガイド下手術の安全性を確認するこれまでのデータが支持された。
【0253】
結論として、本発明者等は、関節リウマチにおける最初の病理生物学による層別化した多施設ランダム化対照試験の結果を本明細書において報告する。これにより、RA滑膜組織の組織学的分類が一次解析における治療応答の決定において低感度である一方、RNA-seq層別化では臨床応答との有意な関連性が示され、低/無B細胞系列発現特性(リツキシマブの標的)を有する患者において、一次エンドポイント(CDAI≧50%)及び低疾患活動性に達する患者数である主要治療応答CDAI-MTR[リツキシマブ群では、わずか12%(4/33人)、トシリズマブ群では4倍多く50%(16/32人)]の両方、並びに殆どの二次アウトカムで、リツキシマブよりもトシリズマブが優れていることが実証された。
【0254】
一方、富B細胞滑膜を呈する患者では、リツキシマブは、トシリズマブと同様に有効であった。このような結果により、罹患組織の標的発現レベルが治療応答を伝えるのに重要であるという考えが支持される。
【0255】
【表2】
【0256】
【表3】
【0257】
【表4】
【0258】
【表5】
【0259】
【表6】
【0260】
【表7】
【0261】
【表8】
【0262】
【表9】
【0263】
【表10】
【0264】
【表11】
【0265】
【表12】
【0266】
【表13】
【0267】
【表14】
【0268】
【表15】
【0269】
【表16】
【0270】
上の明細書において言及するすべての公表文献は、参照により本明細書において組み込む。開示する本発明の方法、製剤及び使用の種々の修正形態及び変形形態は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者に明らかとなるであろう。本発明は特定の好ましい実施形態と関連させて開示しているが、主張する発明が、このような特定の実施形態に不当に制限されるべきではないことが理解されるべきである。実際、本発明を実行するための開示の方法の種々の修正形態は当業者に明らかであり、以下の特許請求の範囲の内にあることを意図する。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7
【国際調査報告】