(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】大径止血弁
(51)【国際特許分類】
A61M 39/06 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
A61M39/06 100
A61M39/06 120
A61M39/06 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544507
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 US2022013636
(87)【国際公開番号】W WO2022159861
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518072597
【氏名又は名称】ネプチューン メディカル インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】チルソン,アレキサンダー・キュー
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス,ガーレット・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】スティール・ラブ,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥバル,ユージーン・エフ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066QQ15
(57)【要約】
止血弁は、中心孔を有するハウジングと、中心孔内に配置された圧縮管と、圧縮管より遠位において中心孔内に配置された、軟質の環状エラストマーシールと、ハウジングに結合された少なくとも1つのアクチュエータとを含む。ハウジングに対するアクチュエータの移動は、圧縮管を環状エラストマーシールに向かって、または環状エラストマーシールから離れるように移動させて、環状弾性シールの内径を増大または調節することができる。本明細書に記載される大口径止血弁は、弁を通して挿入される医療デバイス(例えば、カテーテル)の周囲のシール圧力を制御可能に調節する使用に特に適しており、高圧において大径の医療デバイスに対して緊密なシールを維持することができる。
【選択図】
図6C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
止血弁であって、
中心孔を有するハウジングと、
前記中心孔内に移動可能に配置された圧縮管と、
前記圧縮管に隣接して前記中心孔内にある環状エラストマーシールと、
前記ハウジングに移動可能に結合された少なくとも1つのアクチュエータであり、前記少なくとも1つのアクチュエータが前記圧縮管の1つまたは複数の駆動面と係合する1つまたは複数の係合面を有し、前記少なくとも1つのアクチュエータが第1の方向および第2の方向に移動するように構成され、
前記ハウジングに対する前記少なくとも1つのアクチュエータの前記第1の方向における移動が、前記環状エラストマーシールの内径を減少させるために、前記環状エラストマーシールを圧縮するように前記圧縮管を移動させ、
前記ハウジングに対する前記少なくとも1つのアクチュエータの前記第2の方向における移動が、前記環状エラストマーシールの内径を増大させるために、前記環状エラストマーシールの軸方向の拡張を与えるように前記圧縮管を移動させる、
少なくとも1つのアクチュエータと、
前記少なくとも1つのアクチュエータに結合され、前記止血弁がニュートラル状態にあるときに前記少なくとも1つのアクチュエータを前記第1の方向に付勢するように構成された、偏倚部と、
を含む、止血弁。
【請求項2】
前記圧縮管が、前記圧縮管と並んだ圧縮ばねによって環状エラストマーシールに向かって偏倚されない、請求項1に記載の止血弁。
【請求項3】
前記環状エラストマーシールが前記中心孔に対して摺動できるように、前記環状エラストマーシールと連通する前記中心孔の領域内に潤滑性材料をさらに含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項4】
前記圧縮管が、前記環状エラストマーシールに結合されている、請求項1に記載の止血弁。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアクチュエータが、レバーを含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアクチュエータが、ダイアルを含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項7】
前記1つまたは複数の係合面が、カム、ギア、ねじ付き領域、リンク機構の内の1つまたは複数を含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項8】
前記1つまたは複数の係合面が、前記圧縮管の駆動面と係合するカムを含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項9】
前記偏倚部が、前記少なくとも1つのアクチュエータを前記ハウジングに結合する捩りばねを含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項10】
前記環状エラストマーシールが、シリコーン材料を含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項11】
前記環状エラストマーシールが、ショア00-05からショア00-60の間のショア00硬度を有する、請求項1に記載の止血弁。
【請求項12】
前記環状エラストマーシールが、ショア00-10からショア00-40の間のショア00硬度を有する、請求項1に記載の止血弁。
【請求項13】
前記少なくとも1つのアクチュエータが、ピボットピンによって、前記ハウジングに旋回可能に結合されている、請求項1に記載の止血弁。
【請求項14】
前記ハウジングに結合された剛性化カテーテルをさらに含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項15】
前記剛性化カテーテルを剛性化するために圧力または真空を印加するための入口として構成された、ポートをさらに含む、請求項14に記載の止血弁。
【請求項16】
フラッシュポートをさらに含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項17】
前記中心孔を通過するデバイスのロック機構と嵌合するように構成された、前記ハウジング上のロック機構をさらに含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項18】
前記環状エラストマーシールの前記内径が開いて前記環状エラストマーシールを通じるチャンネルを形成するように、前記圧縮管が前記環状エラストマーシールから離れて固定されるように前記1つまたは複数のアクチュエータを固定するように構成された、ハンドル保持器をさらに含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項19】
中心孔を有するハウジングと、
前記中心孔内に移動可能に配置された圧縮管と、
前記圧縮管に隣接して前記中心孔内にある環状エラストマーシールであり、00-05から00-60の間のショア00硬度を有する、環状エラストマーシールと、
前記環状エラストマーシールが固着するのを防止するように構成された、前記環状エラストマーシール上の潤滑性材料と、
レバーとして構成され、前記ハウジングに移動可能に結合された少なくとも1つのアクチュエータであり、前記少なくとも1つのアクチュエータが前記圧縮管の1つまたは複数の駆動面と係合する1つまたは複数の係合面を有し、前記少なくとも1つのアクチュエータが第1の方向および第2の方向に移動するように構成され、
前記ハウジングに対する前記少なくとも1つのアクチュエータの前記第1の方向における移動が、前記環状エラストマーシールの内径を減少させるために、前記環状エラストマーシールを圧縮するように前記圧縮管を移動させ、
前記ハウジングに対する前記少なくとも1つのアクチュエータの前記第2の方向における移動が、前記環状エラストマーシールの内径を増大させるために前記環状エラストマーシールが軸方向に拡張するように、前記環状エラストマーシールを引っ張るように前記圧縮管を移動させる、
少なくとも1つのアクチュエータと、
を含む、止血弁。
【請求項20】
中心孔を有するハウジングと、
前記中心孔内に移動可能に配置された圧縮管と、
前記圧縮管に結合された、前記中心孔内にある環状エラストマーシールであり、00-05から00-60の間のショア00硬度を有する、環状エラストマーシールと、
前記ハウジングに移動可能に結合された少なくとも1つのアクチュエータであり、前記少なくとも1つのアクチュエータが前記圧縮管の1つまたは複数の駆動面と係合する1つまたは複数の係合面を有し、前記少なくとも1つのアクチュエータが第1の方向および第2の方向に移動するように構成され、
前記ハウジングに対する前記少なくとも1つのアクチュエータの前記第1の方向における移動が、前記環状エラストマーシールの内径を減少させるために、前記環状エラストマーシールを圧縮するように前記圧縮管を移動させ、
前記ハウジングに対する前記少なくとも1つのアクチュエータの前記第2の方向における移動が、前記環状エラストマーシールの内径を増大させるために前記環状エラストマーシールが軸方向に拡張するように、前記環状エラストマーシールを引っ張るように前記圧縮管を移動させる、
少なくとも1つのアクチュエータと、
前記少なくとも1つのアクチュエータを前記第1の方向に駆動する偏倚部と、
を含む、止血弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
[0001]この特許出願は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、2021年1月25日に出願された「LARGE DIAMETER HEMOSTASIS VALVES」という名称の米国仮特許出願第63/141,392号の優先権を主張するものである。
【0002】
参照による組込み
[0002]本明細書で言及された全ての刊行物および特許出願は、個々の出版物または特許出願が明確に個別に組み込まれることが指示された場合と同程度に、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
[0003]カテーテルやイントロデューサが血管系に入ると、それらは、加圧された血液(静脈または動脈)が体から出入りできる、ポートを作り出す。この失血は患者の健康に有害であるとともに、汚染され危険な作業環境を作り出す。したがって、これらのデバイスの多くは、失血を防ぐために近位端に止血弁を有する。しかし、現在入手可能な止血弁は、主に小口径デバイスで使用するために設計されている。さらに、多くの現在の止血弁は漏れを生じ、高い止血圧において体外に押し出される可能性があり、内部に延在するデバイスに沿った抗力を引き起こし、操作が困難または面倒であり得、および/または様々な直径のデバイスで動作するように調節できない可能性がある。したがって、これらの問題の一部または全部を解決する、大口径止血弁が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]全体的に、本明細書に記載されるのは、最小限の漏れで、または漏れがなく、高圧に耐えることができる大口径止血弁として構成され得る、止血弁装置(例えば、デバイス、システムなど)である。これらの装置は、ハウジングの中心孔内に極度に軟質(例えば、低ショア00デュロメータ)の環状エラストマーシールを含むことができる。環状エラストマーシールは、中心孔内で軸方向および/または回転方向に摺動可能であり、環状エラストマーシールの環形を通じた中心開口を圧縮し封止する、圧縮管に隣接して配設してもよい。圧縮管は、環状エラストマーシールに結合されても(例えば、直接的または間接的のいずれかで接合されても)よい。中心孔内における圧縮管の軸方向位置および/または回転位置は、ハウジングに移動可能に結合された1つまたは複数のアクチュエータによって制御され得る。アクチュエータは、圧縮管の、または圧縮管に結合された1つまたは複数の駆動面に係合する、1つまたは複数の係合面を有することができる。
【0005】
[0005]例えば、止血弁は、中心孔を有するハウジングと、中心孔内に配置された圧縮管と、圧縮管より遠位において中心孔内に配置された環状エラストマーシールとハウジングに取り付けられたレバーとして構成された少なくとも1つのアクチュエータとを含み得、偏倚部(例えば、ばね)を伴う。少なくとも1つのアクチュエータは、第1の方向および第2の方向に移動するように構成された、遠位回転カム面を有してもよい。第1の方向へのレバーの移動は、回転するカム面を圧縮管に抗して移動させ、圧縮管を遠位方向にエラストマーシールに向かって駆動して、環状エラストマーシールが(例えば、孔の遠位壁またはリムに抗して)軸方向に圧縮されるにつれて環状弾性シールの内径を減少させる。第2の方向へのレバーの移動は、回転するカム面を圧縮管に抗して移動させ、圧縮管を近位方向に駆動して環状エラストマーシールを軸方向に拡張させて、環状弾性シールの内径を増大させる。
【0006】
[0006]これらの止血弁のいずれも、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。ばねは、捩りばね、圧縮ばね、引張りばね、板ばね、またはエラストマー要素を含むことができる。エラストマーシールは、圧縮管に隣接することができる。エラストマーシールは、ショア00-05からショア00-60まで(例えば、約ショア00-20からショア00-40)のショア00硬度を有するポリマー(例えば、シリコーン)を含むことができる。少なくとも1つのアクチュエータは、ピボットピンによってハウジングに接続された少なくとも1つのレバーであってもよい。ハウジングは、剛性化カテーテルに接続することができる。ハウジングは、剛性化カテーテルを剛性化するための真空圧力の入口を提供するように構成された、圧力ポートまたは真空ポートをさらに含んでもよい。弁は、フラッシュポートをさらに含むことができる。ハウジングは、中心孔を通過するデバイスのロック機構と嵌合するように構成された、ロック機構をさらに含むことができる。ばねは、レバーを第1の方向に偏倚させることができる。
【0007】
[0007]いくつかの実施例では、止血弁は、円筒管および環状カラーを含む。円筒管は、一定の外径と、中心孔を囲むテーパ付き内面とを有する。環状カラーは、円筒管のまわりに配置されて、円筒管に対して軸方向に移動して、中心孔内のデバイスを封止するように構成されてもよい。円筒管は、複数の軸方向に延在するフランジをさらに含んでもよい。
【0008】
[0008]全体的に、本明細書に記載される多くの特徴は、特に本明細書に記載されるような大径の止血弁において、漏れを防止するのに驚くほど有効であることがわかった。例えば、本明細書に記載される止血弁(「大口径止血弁」と呼ばれることがある)は、完全に封止するように、および、直径12mmまでの医療デバイスの通過を可能にするために開くように構成されてもよい(例えば、36フレンチを超える)。これは、部分的には、環状エラストマーシールの軟質性によるものである。環状エラストマーシールは、非常に軟質の材料、例えば、約ショア00-05から約ショア00-60の間のショア00硬度を有する材料(例えば、ショア00-10からショア00-40の間、例えば、ショア00-15からショア00-35の間、例えば、ショア00-80未満、ショア00-70未満、ショア00-60未満、など)で形成されていてもよい。これらの高度に軟質の環状エラストマーシールは、従来の「軟質」材料よりもはるかに優れた機能を持つ可能性がある。上述のショア00硬度範囲外では、弁が漏れる可能性があり、閉じるために非常に高いレベルの力(圧力)が必要になることがある。
【0009】
[0009]さらに、これらの装置のいずれも、軟質性環状エラストマーシール上またはそのまわりに潤滑性材料を含んでもよい。環状エラストマーシールは、一般に、装置の中心孔の領域内に配置されてもよく、また摺動可能な圧縮管によって圧縮されてもよい。動作中に、環状エラストマーシールは、装置の中心孔のこの領域内で圧縮されてもよく、または弛緩を許容されてもよい。潤滑性材料(例えば、パリレン(parylene))が環状エラストマーシールおよび/または装置の中心孔のこの領域に含まれる場合、環状エラストマーシールがそれ自体および/または中心孔および/または圧縮管の壁に付着するのを防ぐことができる。環状エラストマーシールの内面上の潤滑性材料は、より低い力でデバイスが中心孔を通過するのを助ける。このように潤滑剤を使用すると、驚くべきことに、環状エラストマーシールの固着に起因する可能性のある漏れを劇的に減少させることがわかった。
【0010】
[0010]作動させる(例えば、開放する)ためにより高い力を必要とする、および/または漏れを生ずる可能性がある、封止要素(例えば、環状エラストマーシール)と並んだ圧縮ばねの使用を必要とする止血弁とは対照的に、本明細書に記載される装置は、代わりに、1つまたは複数のアクチュエータを使用して、圧縮管の位置、したがって環状エラストマーシールの構成を制御することができる。アクチュエータは、弛緩した(非拘束の)状態において、ばねなどの偏倚部を介して環状エラストマーシールを圧縮するように偏倚されてもよく、偏倚部がアクチュエータをハウジングに結合し、アクチュエータが圧縮管に直接作用するのではなく、または中心孔と並んだ中間要素を介して作用することによらない。この構成は、1つまたは複数のアクチュエータを作動させることによって弁を開くために大きな力を必要とせずに、高圧に対しても封止を可能にし得る。アクチュエータとハウジングとの間に偏倚部を取り付けることはまた、より有利な組立を提供し得る。また、ユニットの最小直径を小さくするのにも役立つ。
【0011】
[0011]例えば、本明細書に記載されるのは、止血弁であって、中心孔を有するハウジングと、中心孔内に移動可能に配置された圧縮管と、圧縮管に隣接して中心孔内にある環状エラストマーシールと、ハウジングに移動可能に結合された少なくとも1つのアクチュエータであり、少なくとも1つのアクチュエータが圧縮管の1つまたは複数の駆動面と係合する1つまたは複数の係合面を有し、少なくとも1つのアクチュエータが第1の方向および第2の方向に移動するように構成され、ハウジングに対する少なくとも1つのアクチュエータの第1の方向における移動が、環状エラストマーシールの内径を減少させるために、環状エラストマーシールを圧縮するように圧縮管を移動させ、ハウジングに対する少なくとも1つのアクチュエータの第2の方向における移動が、環状エラストマーシールの内径を増大させるために、環状エラストマーシールの軸方向の拡張を与えるように圧縮管を移動させる、少なくとも1つのアクチュエータと、少なくとも1つのアクチュエータに結合され、止血弁がニュートラル状態にあるときに少なくとも1つのアクチュエータを第1の方向に付勢するように構成された、偏倚部とを含む、止血弁である。
【0012】
[0012]これらの装置のいずれにおいても、圧縮管は、環状エラストマーシールに直接的または間接的に結合(例えば、接合)されてもよい。圧縮管は、(例えば、近位から遠位/遠位から近位への)圧縮管の軸方向の移動が環状エラストマーシールを引っ張ったり押したりするように、環状エラストマーシールに剛結合されてもよい。圧縮管は、環状エラストマーシールの第1の側で環状エラストマーシールに接合されてもよい。圧縮管は、接着材により接合されていてもよい。
【0013】
[0013]これらの装置のいずれにおいても、圧縮管は、環状エラストマーシールを圧縮するように圧縮管を偏倚させるための、圧縮管と並んだ圧縮ばねを必要としなくてもよい。上述のように、代わりに、環状エラストマーシールは、アクチュエータとハウジングとの間の偏倚部によって、静止時に閉じた(封止)構成で保持されてもよい。
【0014】
[0014]これらの装置のいずれか、例えば、止血弁および/またはそれらを含むシステは、環状エラストマーシールが中心孔に対して摺動することができるように、環状エラストマーシールと連通する中心孔の領域内に潤滑材料を含んでもよい。例えば、潤滑性材料は、環状エラストマーシールに塗布(コーティングなど)されるか、および/または、環状エラストマーシールを収容もしくは保持する中心孔領域に塗布されてもよい。潤滑性材料は、流体、ゲル、粉末などであってもよい。いくつかの実施例では、潤滑性材料はパリレンであってもよい。
【0015】
[0015]アクチュエータは、例えば、レバー、ダイアル、ノブなどであってもよい。いくつかの実施例では、アクチュエータはレバーを備える。いくつかの実施例では、アクチュエータはダイアルを備える。例えば、アクチュエータは、圧縮管の位置、したがって環状エラストマーシールの構成を修正するために、時計回りまたは反時計回りに回転させることのできる、ねじ付きノブを備えてもよい。
【0016】
[0016]1つまたは複数の係合面は、カム、ギアまたはラック、ねじ付き領域、リンク機構のうちの1つまたは複数を含んでもよい。例えば1つまたは複数の係合面は、圧縮管の駆動面と係合する、カムを備えてもよい。
【0017】
[0017]前述のように、これらの装置のいずれも、例えば、デバイスが静止時に封止されて閉じられるように、少なくとも1つのアクチュエータを第1の方向に駆動する偏倚部を含んでもよい。偏倚部は、アクチュエータとハウジングの間に結合されてもよい。例えば、偏倚部は、少なくとも1つのアクチュエータをハウジングに結合する、捩りばねであってもよい。
【0018】
[0018]前述のように、環状エラストマーシールは非常に軟質であってもよい。例えば、環状エラストマーシールは、ショア00-05からショア00-60の間のショア00硬度を有してもよい。エラストマーシールは、シリコーン材料または他のポリマー材料などの材料を含んでもよい。いくつかの実施例では、エラストマーシールは、ショア00-10からショア00-40の間のショア00硬度を有する。
【0019】
[0019]少なくとも1つのアクチュエータは、ピボットピンでハウジングに旋回可能に結合されてもよい。ピボットピンは、別の部品であってもよく、ハウジングまたは少なくとも1つのアクチュエータと共に連結された特徴部であってもよい。
【0020】
[0020]本明細書に記載の装置のいずれも、ハウジングに結合された剛性化カテーテルを含むことができる。剛性化カテーテルの例としては、その全文が参照により本明細書に組み込まれる、「DYNAMICALLY RIGIDIZING COMPOSITE MEDICAL STRUCTURES」という名称の米国特許出願第17/152,706号、現在の米国特許出願第11,135,398号に記載のものが挙げられる。したがって、本明細書に記載されるこれらの止血弁のいずれも、剛性化カテーテルを剛性化するための真空圧力を印加するための入口として構成されたポート、および/またはフラッシュポートを含むことができる。
【0021】
[0021]これらの止血弁のいずれも、中心孔を通過するデバイスのロック機構と嵌合するように構成された、ハウジング上のロック機構を含むことができる。いくつかの実施例では、装置は、圧縮管がエラストマーシールを実質的に圧縮せず、それによって、環状エラストマーシールの内径が開いて環状エラストマーシールを通じたチャネルを形成するように、1つまたは複数のレバーアームを固定するように構成された、ハンドル保持器を含むことができる。いくつかの実施例では、アクチュエータ(例えば、ハンドル)が、環状エラストマーシールを通じた内腔を開くために第2の方向に移動されるとき、または環状エラストマーシールを開いたままにするために第2の位置に保持されるときに、環状エラストマーシールを通じた内腔が開かれるように環状エラストマーシールが軸方向に引っ張られる、および/または軸方向に拡張される(例えば、自己拡張される)ように、圧縮管は、環状エラストマーシールに結合(例えば、接着)される。
【0022】
[0022]例えば、止血弁は、中心孔を有するハウジングと、中心孔内に移動可能に配置された圧縮管と、圧縮管に隣接して中心孔内にある環状エラストマーシールであり、00-05から00-60の間のショア00硬度を有する、環状エラストマーシールと、エラストマーシールが固着するのを防止するように構成された、環状エラストマーシール上の潤滑性材料と、ハウジングに移動可能に結合された少なくとも1つのアクチュエータ(例えば、少なくとも1つのレバー)であり、少なくとも1つのアクチュエータが圧縮管の1つまたは複数の駆動面と係合する1つまたは複数の係合面を有し、少なくとも1つのアクチュエータが第1の方向および第2の方向に移動するように構成され、ハウジングに対する少なくとも1つのアクチュエータの第1の方向における移動が、環状エラストマーシールの内径を減少させるために、環状エラストマーシールを圧縮するように圧縮管を移動させ、ハウジングに対する少なくとも1つのアクチュエータの第2の方向における移動が、環状エラストマーシールの内径を増大させるために環状エラストマーシールが軸方向に拡張するように、環状エラストマーシールを引っ張るように圧縮管を移動させる、少なくとも1つのアクチュエータとを含むことができる。
【0023】
[0023]止血弁は、中心孔を有するハウジングと、中心孔内に移動可能に配置された圧縮管と、圧縮管に隣接して中心孔内にある環状エラストマーシールであり、00-05から00-60の間のショア00硬度を有する、環状エラストマーシールと、エラストマーシールが固着するのを防止するように構成された、環状エラストマーシール上の潤滑性材料と、ハウジングに移動可能に結合された少なくとも1つのアクチュエータであり、少なくとも1つのアクチュエータが圧縮管の1つまたは複数の駆動面と係合する1つまたは複数の係合面を有し、少なくとも1つのアクチュエータが第1の方向および第2の方向に移動するように構成され、ハウジングに対する少なくとも1つのアクチュエータの第1の方向における移動が、環状エラストマーシールの内径を減少させるために、圧縮管をエラストマーシールに向かって移動させ、ハウジングに対する少なくとも1つのアクチュエータの第2の方向における移動が、環状エラストマーシールが内腔直径を増大させる(弁を開く)ように、環状エラストマーシールを横方向に拡張させること(および/または環状エラストマーシールを引っ張ること)を許容するように圧縮管を移動させる、少なくとも1つのアクチュエータとを含んでもよい。この装置は、止血弁がニュートラル状態にあるときに、止血弁が閉じられるように、少なくとも1つのアクチュエータを第1の方向に駆動する、偏倚部を含んでもよい。
【0024】
[0024]本明細書に記載される方法および装置の全ては、任意の組み合わせにおいて、本明細書において企図され、本明細書に記載されるような利点を達成するために使用することができる。
【0025】
[0025]本発明の新規な特徴は、以下の特許請求の範囲に詳細に記載される。本発明の特徴および利点のよりよい理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明と、添付の図面とを参照することによって得られ、添付の図面は以下を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】[0026]
図1Aは、例示的止血弁の図であって、開いた非封止位置における、弁の横断面図である。
【
図1C】
図1Cは、例示的止血弁の図であって、閉じた封止位置における弁の横断面図である。
【
図2A】[0027]
図2Aは、止血弁を通過するデバイスを備える例示的止血弁の図であって、部分的に開いた非封止位置の弁の横断面図である。
【
図2B】
図2Bは、止血弁を通過するデバイスを備える例示的止血弁の図であって、
図2Aの弁とデバイスの側面図である。
【
図2C】
図2Cは、止血弁を通過するデバイスを備える例示的止血弁の図であって、完全に挿入されたデバイスのまわりの、封止位置における弁の横断面図である。
【
図2D】
図2Dは、止血弁を通過するデバイスを備える例示的止血弁の図であって、
図2Cの弁とデバイスの等角図である。
【
図3】[0028]
図3は、まわりにクリップを備える、例示的止血弁を示す図である。
【
図4A】[0029]
図4Aは、パッケージングされた例示的止血弁を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、パッケージングされた例示的止血弁を示す図である。
【
図5A】[0030]
図5Aは、別の例示的止血弁の端面図である。
【
図6A】[0031]
図6Aは、圧縮管の駆動面に係合するカム係合面を有するレバーとして構成されたアクチュエータを含む、
図1A~1Cに示されるものと類似の止血弁の実施例を示す、斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、圧縮管の駆動面に係合するカム係合面を有するレバーとして構成されたアクチュエータを含む、
図1A~1Cに示されるものと類似の止血弁の実施例を示す、
図6Aの止血弁の上面図である。
【
図6C】
図6Cは、圧縮管の駆動面に係合するカム係合面を有するレバーとして構成されたアクチュエータを含む、
図1A~1Cに示されるものと類似の止血弁の実施例を示す、
図6Aの止血弁の上面を通る断面図である。
【
図7A】[0032]
図7Aは、圧縮管の駆動面に係合するギア付き係合面を有するレバーとして構成されたアクチュエータを含む、止血弁の実施例を示す、斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、圧縮管の駆動面に係合するギア付き係合面を有するレバーとして構成されたアクチュエータを含む、止血弁の実施例を示す、
図7Aの止血弁の上面図である。
【
図7C】
図7Cは、圧縮管の駆動面に係合するギア付き係合面を有するレバーとして構成されたアクチュエータを含む、止血弁の実施例を示す、
図7Aの止血弁の断面図である。
【
図8A】[0033]
図8Aは、圧縮管に係合するねじ付き係合面を有する回転可能なノブとして構成されたアクチュエータを含む、止血弁の実施例を示す斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、圧縮管に係合するねじ付き係合面を有する回転可能なノブとして構成されたアクチュエータを含む、止血弁の実施例を示す、
図8Aの止血弁の上面図である。
【
図8C】
図8Cは、圧縮管に係合するねじ付き係合面を有する回転可能なノブとして構成されたアクチュエータを含む、止血弁の実施例を示す、
図8Aの止血弁の断面図である。
【
図9A】[0034]
図9Aは、圧縮管に係合するリンク機構として構成されたアクチュエータを含む、止血弁の実施例を示す、上面図である。
【
図9B】
図9Bは、圧縮管に係合するリンク機構として構成されたアクチュエータを含む、止血弁の実施例を示す、止血弁の上面図である。
【
図9C】
図9Cは、圧縮管に係合するリンク機構として構成されたアクチュエータを含む、止血弁の実施例を示す、止血弁の断面図である。
【
図10A】[0035]
図10Aは、弁が開構成において維持されるように、止血弁と係合してアクチュエータを固定するように構成されたハンドル保持器の実施例を示す図である。
【
図10B】
図10Bは、弁が開構成において維持されるように、止血弁と係合してアクチュエータを固定するように構成されたハンドル保持器の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0037]本明細書に記載されるのは止血弁である。有利には、本明細書に記載される止血弁は、ある範囲の直径を有するデバイスが内部に延在するときに、一貫したシールを提供する。例えば、本明細書に記載される止血弁は、12、16、20、24、30、および36フレンチのデバイスについて有効であり、それによって、シールの内径は、完全かつ確実に封止された状態から、内径が12mm以上に変換され得る。本明細書に記載される止血弁は、有利には、38kPa(5.5Psi)という高い圧力を含む、高い止血圧において漏れがなく安定である。さらに、本明細書に記載される止血弁は、有利には、内部を通過するデバイスが、低い抗力で摺動することを可能にする。本明細書に記載される止血弁は、1つまたは複数のアクチュエータを調節することによって抗力を実質的にゼロに調節するように、動的に調節可能とすることができる。最後に、本明細書に記載される止血弁は、操作が容易であり、低い力と片手のみ(例えば、片手から2本の指のみ)を必要とする。
【0028】
[0038]上記の利点は、少なくとも部分的には、軟質環状エラストマーシールの構成および配設、アクチュエータとハウジングとの係合、およびハウジングの中心孔内に移動可能に配置された圧縮管との係合、ならびに戻りばねの位置および構成に起因する可能性がある。例えば、軟質環状エラストマーシールは、非常に軟質の材料、例えば、00-05と00-60の間(例えば、00-20と00-040の間など)のショア00デュロメータを有する材料で形成されるとともに、潤滑されるか、および/または潤滑性材料内に封入されて、それ自体またはハウジングに固着することなくハウジングの中心孔内で移動(収縮および拡張)させることができる。このアクチュエータは、ハウジングの外側から調節可能であるとともに、圧縮管の(または剛結合された)1つまたは複数の駆動面と係合する1つまたは複数の係合面を介して圧縮管と係合する、本明細書で記述される多数の異なるアクチュエータのうちの1つであってもよい。偏倚部(例えば、ばね)が、アクチュエータとハウジングとの間に結合されてもよく、装置の静止時には、シールを維持して漏れを防止するのに十分に高い力で、圧縮管が環状エラストマーシールを圧縮するような位置に、圧縮管を維持し、圧縮管を環状エラストマーシールから離れるように移動させて、環状エラストマーシールを引っ張るか横方向への拡張を許容して、環状エラストマーシールを通じた内腔を開くかまたは増大させることによって、弁を開くために、十分に低い力でアクチュエータの比較的容易な手動操作を可能にする。
【0029】
[0039]
図1A~
図1Cは、カテーテルまたは拡張器などのデバイス105x(
図2A~2Dを参照)が通過することを可能にするように構成された、中心孔104xを有するハウジング103xを含む、止血弁149zの例を示す。図示されるように、中心孔104xは、実質的に円筒状(または環状)のエラストマーシール108xおよび圧縮管109xを収容することができる。圧縮管109xは、環状エラストマーシールに隣接して(直接的に隣接するか、または間接的に隣接する)、中心孔104x内に、例えば弁149zの近位端106xに配置することができ、デバイス105xの通過を容易にするために漏斗状の入口を有することができる。エラストマーシール108xは、圧縮管109xに隣接させる(および/または取り付ける)ことができ、遠位端においてハウジング103xに接することができる。いくつかの実施例では、エラストマーシール108xは、約ショア00-05とショア00-60の間のショア00デュロメータを有する、非常に軟質のシリコーンで製作することができる。
図1A~
図1Cにおいてレバーとして構成されている2つのアクチュエータ11lxは、ピボットピン112xを介してハウジング109xに移動可能に結合されており、各アクチュエータはまた、ハウジング103xに対してアクチュエータを駆動する偏倚部(例えば、捩りばね)110xによって特定の位置(静止時)に偏倚される。各アクチュエータ111xは、回転カム面113xとして構成された係合面も含む。ピボットピン112xは、ハウジングの一部として形成されてもよいし、別個の要素であってもよい。
【0030】
[0040]本明細書に記載される止血弁のいずれかの遠位端107xは、動的剛性化カテーテルなどの、カテーテル100に接続することができる。例示的な動的剛性化カテーテルは、2018年7月19日に出願された「DYNAMICALLY RIGIDIZING OVERTUBE」という名称の、国際出願番号PCT/US2018/042946、2019年7月18日に出願された「DYNAMICALLY RIGIDIZING COMPOSITE MEDICAL STRUCTURES」という名称のPCT/US2019/042650、および2020年1月16日に出願された「DYNAMICALLY RIGIDIZING COMPOSITE MEDICAL STRUCTURES」という名称のPCT/US2020/013937に記載されており、それらの全文が参照により本明細書に組み込まれる。
図2A~
図2D(および
図1C)は、カテーテルが取り付けられた止血弁を図示する。カテーテル100は、主長尺体123x(例えば、剛性化長尺体)および近位ハブ17ly(
図2Dに示す)を含むことができる。近位ハブ171yは、弁149zの遠位端107xと嵌合する(例えば、永久的に取り付けられる)ように構成することができる。ハウジングは、主長尺体103xを剛性化するための圧力または真空のための入口を提供するように構成された、圧力ポートまたは真空ポート121xを有するシュラウド132xを含んでもよい。いくつかの実施例では、
図2A~
図2Dに示される通り、弁149zは、フラッシュポート114xをさらに含むことができる。
【0031】
[0041]
図2A~
図2Dに示されているように、デバイス105x(例えば、拡張器)は、例えば、弁149zの近位端106xにおいて、中心孔104xを通過し、弁149zの遠位端107xを通じて出て、例えば、止血弁に結合されたカテーテル100の内腔に入るように構成することができる。いくつかの実施例では、デバイス105xは、弁149zに対してデバイス105xを安定化させるために、弁149zの近位端106xの対応する嵌合機構120xに取り付けるように構成された嵌合機構119x(例えば、バヨネット特徴部)を、デバイス105xの近位端において含むことができる。いくつかの実施例では、弁149zは、患者への弁149zの取り付けを可能にするように構成された、タイオフポート126xをさらに含むことができる。
【0032】
[0042]なお、
図2A~
図2Dを参照すると、弁149zの使用において、デバイス105xは、孔104x内に設置することができる。ニュートラル位置では、捩りばね110xがレバー111xを外向きに偏倚させて、シール108xを閉じる(これにより、
図1Cに示されるように孔104xを封止する)ことができる。
図2A~
図2Bに示されるように、孔104xを通じたデバイス105xの挿入を可能にするために、レバー111xは、ユーザによって作動させる(すなわち、内側に押し込む)ことができる(例えば、各レバー111xを1本の指で作動させることができ、両方のレバー111xを片手で同時に作動させることができる)。レバー111xが閉じられると、回転するカム面113xが、圧縮管109xを近位方向に押して、圧縮管109xをハウジング103xに対して近位方向に移動させ、それによってエラストマーシール108xの圧縮を解放することができる。エラストマーシール108xが圧縮されていないとき、軸方向に伸びることができ、シール108xの壁の厚さを減少させる(すなわち、シール108xの中心内腔122xの直径を拡大させる)ことができる。中心内腔122が拡張されると、デバイス105xは、孔104xを通じてカテーテル100の内腔内へ摺動することができる。
図2C~2Dに示されるように、デバイス105xが所望の位置にあるときに(例えば、嵌合機構119x/120xが取り付けられた状態で)、アクチュエータ111xを反転させる(すなわち、外側に移動するように解放する)ことができる。その結果、係合面(例えば、カム面113x)は、圧縮管109xの駆動面を遠位方向に押して、圧縮管109xを環状エラストマーシールに向かって移動させる(この例では、圧縮管を遠位方向に移動させる)。エラストマーシールに向かう圧縮管109xの遠位移動は、相応してエラストマーシール108xを圧縮する。エラストマーシールは、ハウジングの中心孔内で半径方向および軸方向に拘束されており、したがって、エラストマーシールに抗して圧縮管を駆動することは、環状エラストマーシールを通じた中心内腔122xが減少するように、シール108xを外側ハウジング103xに抗して圧縮させる。環状エラストマーシールを通じた内腔122xの減少により、デバイス105xの周囲を完全に封止することが可能になる。これが、内腔122xを開いた状態での非圧縮構成のエラストマーシール108xを示す
図1Aと、内腔122xが閉じられるように圧縮管109xによって圧縮されたエラストマーシール108xを示す
図1Bを比較することによって説明される。
【0033】
[0043]止血弁149zによって達成される封止の量は、アクチュエータ111xの位置を調節することによって、使用中(例えば、デバイス105xによる手技中)に有利に動的に調節することができる。例えば、ユーザは、軟質環状エラストマーシールの圧縮を指示するアクチュエータを操作するときに、触覚フィードバックを感じてもよく、例えば、所望に応じて止血弁内の医療デバイスにかかる抗力を減少または増加させるために、シールを調節してもよい。
【0034】
[0044]本明細書に記載の止血弁のいずれも、アクチュエータを固定することによって弁の位置を(例えば、開いた、閉じた、部分的に開いた/閉じた位置に)固定する保持器またはクリップ(例えばハンドル保持器)を含んでもよい。例えば、
図3は、保管中および/または使用前に、アクチュエータ(レバー)111xを閉じた状態に、エラストマーシール108xを圧迫されていない(かつ開いた)状態に保つように構成された、レバー圧縮クリップとして示される保持器123xを含む。クリップ123xは、例えば、製品使用前に取り外して廃棄することができる。
【0035】
[0045]
図4Aおよび
図4Bを参照すると、いくつかの実施例では、(例えば、弁デバイス149zおよびカテーテルを含む)システムのためのパッケージング124xを、弁が開いたまま維持されるようにアクチュエータ111xを保持するように、構成することができる。例えば、パッケージング124xは、レバー111xと係合し、閉位置に維持するように構成された拘束125xを有する、熱成形トレイとすることができる。システムがトレイから取り外されると、拘束125xがアクチュエータ(例えば、レバー)111xから解除されて、アクチュエータ111xが開くことを可能にする。同様に、いくつかの実施例では、パッケージは、アクチュエータ111xを閉じた状態に保つ、ストラップまたはクリップを含むことができる。この実施例では、弁149zが使用のためにパッケージングから取り外されるときに、ストラップまたはクリップは、パッケージングと共に残すことができる。
【0036】
[0046]いくつかの実施例では、真空源(例えば、シリンジまたは真空ポンプ)を止血弁に、例えば弁149zの近位端106x、取り付けられる、および/または封止されて、真空を介して血液および/または血栓の除去を可能にできる。本明細書に記載される装置のいずれにおいても、止血弁の長さ、および/または止血弁の内腔のコンポーネント部分の長さは、弁内の「デッドボリューム」を減少させるために比較的短くてもよい。例えば、環状エラストマーシールとデバイスの遠位端との距離は、8cm以下(例えば、7cm以下、6cm以下、5cm以下、4cm以下、3cm以下など)であってもよい。
【0037】
[0047]いくつかの実施例では、ハウジングに対してアクチュエータを偏倚させる偏倚部は、
図1A~1Cおよび
図2A~2Dに示されるような捩りばね110xであってもよい。いくつかの実施例では、偏倚部は、(例えば、各アクチュエータ111xの下の)1つまたは複数の板ばね、(例えば、中心孔104xに沿った、各アクチュエータ111xの下の、または近位端106xにおけるハウジングの上部の反対側のアクチュエータ111x間の)1つまたは複数の圧縮ばね、または1つまたは複数の引張りばねであってもよい。いくつかの実施例では、偏倚部(例えば、捩りばね、板ばね、圧縮ばね、または引張りばね)を、エラストマーのシリンダまたはバンドなどの、エラストマーで製作することができる。
【0038】
[0048]任意の適切なアクチュエータまたはアクチュエータの組み合わせが使用されてもよい。
図1A~1Cおよび
図2A~2Dは、レバー111xとして構成されたアクチュエータを示している。しかしながら、いくつかの実施例では、アクチュエータは、例えば、回転ノブまたはダイアル、リンク機構、および/または、例えば孔104xに直交して移動する、ボタンとすることができる。
【0039】
[0049]止血弁249zの別の例示的な実施例が、
図5A~
図5Dに示されている。本実施例における止血弁249zは、中心孔204xを囲む、(例えば、エラストマー製の)円筒管215xを含む。円筒管215xは、一定の外径と、(孔204xに沿った)テーパ付き内面とを含むことができる。テーパ付き内面は、近位端206xでより大きく、遠位端207xでゼロに減少する、直径を有することができる。また、円筒管215xは、弁249zの遠位端207xに、複数の遠位フランジ217xを含むことができる。遠位フランジ217xは、弁249zの遠位端207xから弁249zの近位端206xに向かって延在する、軸方向スリット216xによって分離することができる。フランジ217xは、デバイス205xが中心孔204xを通過するときに、円筒管215xが半径方向に膨張することを可能にする(すなわち、
図5Dに示されるように、フランジ217xが半径方向外側に移動し、スリット216xが広がることができる)。弁249zには、円筒管215xのまわりに配置された環状カラー218xをさらに含むことができる。環状カラー218xは、円筒管215xの外面に沿って移動するように構成することができる。
【0040】
[0050]弁249zの使用において、デバイス205xは、孔204xを通って配置することができる。デバイス205xが近位端206xから遠位端207xへと移動されるとき、デバイス205xは、フランジ217xを半径方向外側に押すことができる。さらに、環状カラー218xは、ユーザによって(例えば、片手で)菅215xの外径に沿って、所望のシールがフランジ217xとデバイス205xの間に作りだされるまで、遠位方向に移動させることができる。いくつかの実施例では、環状カラー218xは、使用中(すなわち、デバイス205xによる手技中)に軸方向に(近位方向に、または遠位方向に)移動させて、デバイス205xとの所望の量のシールと抗力を動的に調節することができる。
【0041】
[0051]いくつかの実施例では、弁249zは、環状カラー218xを緊密(すなわち、遠位)方向に押すように構成されたばねを含み、それによって、所定の荷重を加えて完全な止血封止を確実にすることができる。デバイス205xを孔中に導入するため、および/またはシールを一時的に減少させる(したがって抗力を減少させる)ために、ユーザは環状カラー218xを近位方向にばねに抗して押し付けることができる。ユーザが環状カラー218xを解放するとき、ばねは、環状カラー218xを再び遠位方向に移動させて、止血封止を確実にすることができる。
【0042】
[0052]有利には、本明細書に記載される止血弁149z、249zは、24Fr以上などの、広範囲のデバイス直径で機能することができる。さらに、弁149z、249zは、離散的なサイズだけでなく、デバイス直径の連続した全範囲にわたって封止を提供することができる。弁149z、249zは、封止/抗力の量を減らすように、また逆に、所望により封止/抗力の量を増やすように、調節することができる。弁149z、249zは、有利には、(例えば、2本の指と片手のみで)操作が簡単であり、追加の付属品を必要としない(例えば、シリンジを必要としない)。
【0043】
[0053]
図6A~
図6Cは、
図1A~
図1Cに示されるものと同様の止血弁の別の実施例を示す。この実施例では、弁149xは、中心孔104xを有するハウジング103xを含む。一対のアクチュエータ111x、111x’が、ハウジングに旋回可能にリンクされている。アクチュエータは、この実施例ではレバーとして示されており、ハウジングの一部として形成されてもよいピン112xによって、ハウジングに結合されてもよい。あるいは、ピンはアクチュエータの一部として形成され、ハウジング内のソケットに係合してもよい。装置の端部107xは、上述したように、剛性化カテーテルなどのカテーテルと嵌合するように構成されてもよい。偏倚部110x(この例では
図6Bに捩りばねとして示されている)が各アクチュエータに含まれており、ハウジングに対してアクチュエータを偏倚させる。例えば、
図6Cに示されるように、偏倚部は、アクチュエータ(レバー111x、111x’)を、ハウジングから離れて開構成に維持し、それによって、この実施例ではカム面として示されている各アクチュエータの係合面113x、113x’が圧縮管109xの駆動面118x、118x’と係合して、圧縮管を環状エラストマーシール108xに向かって駆動し、環状エラストマーシールがハウジングを通じた孔104xの領域内で圧縮されて、環状エラストマーシール108xを通じた中心内腔122xを閉じる。アクチュエータ111x、111x’を(静止時に偏倚される第1の方向と反対の)第2の方向に旋回させることによって、アクチュエータ111x、111x’をハウジングに対して移動させると、係合面を圧縮管の駆動面に抗して駆動して、圧縮管を装置の近位端106xに向かって移動させ、その結果、環状エラストマーシールが横方向に拡張して(場合によって横方向に引っ張られて)、半径方向に収縮して、環状エラストマーシールを開かせる。上述したように、環状エラストマーシール、または環状エラストマーシール108xが存在するハウジングの中心孔の領域155xのいずれかまた両方が潤滑されるか、および/または潤滑性材料(固体、液体、ゲル、コーティングなど)を含んでもよい。場合によっては、環状エラストマーシールを形成するために使用される固体の非常に低いデュロメータの材料は、固着性および粘着性があり、動作中にスムーズかつ予測可能に拡張および収縮する能力に悪影響を与える可能性がある。したがって、環状エラストマーシールと組み合わせて潤滑材料を使用すると、止血弁の性能が劇的に向上する可能性がある。
【0044】
[0054]
図7A~
図7Cは、アクチュエータ111x、111x’もハウジング103xに旋回可能に接続され、ばね110xによって偏倚されるレバーとして構成されている、止血弁149zの別の実施例を示しているが、この実施例では、各アクチュエータの係合面113xはギアとして構成されている。
図7Cに示されるように、各アクチュエータ111xは、係合面を形成する歯付きギア113xと剛結合(または一体化)され、係合面の歯は、圧縮管109x上に形成された(または剛結合された)相補的な歯付き駆動面118xと係合する。例えば、圧縮管の外径には、駆動面118x、118xを形成するリッジまたはチャネルを含んでもよい。すなわち、アクチュエータ111x、111x’がピボット112xを中心に旋回するときの、ハウジング103xに対するアクチュエータ111x、111x’の移動は、圧縮管を環状エラストマーシール108xに向かって、または環状エラストマーシール108xから離れるように駆動して、環状エラストマーシールを横方向に圧縮または拡張させる(相応して、半径方向内向きに拡張させるか、または半径方向外向きに後退させる)。
図7Cにおいて、アクチュエータ111x、111x’は、歯付き係合面113xが、圧縮管109xを環状エラストマーシール108xに対して圧縮状態でロックするように、外向きに偏倚され、それによってシールが閉じられる(例えば、環状エラストマーシールを通じた内腔122xを閉じる)。一般に、本明細書に記載される止血弁のいずれも、圧縮管も所定の位置にロックされるように、アクチュエータを特定の位置に固定する、ロックを含んでもよい。一般に、アクチュエータを所定の位置にロックすると、環状エラストマーシール(および圧縮管)をロックすることができる。
【0045】
[0055]
図8A~
図8Cは、アクチュエータ111xがハウジング103xに対して回転することができる回転可能なノブまたはダイアル128xとして構成されている、止血弁149zの別の実施例を示す。また、アクチュエータは、(例えば、ばねによって)偏倚されてもよい。ハウジング103xに対してアクチュエータを回転させることで、アクチュエータの係合面(図示せず)と圧縮管109xの駆動面との間のねじ接続が相互に移動し、中心孔104x内での圧縮管の前進、後退、および/または捻りを可能にする。例えば、圧縮管は、アクチュエータの係合面を形成する突起と係合する、らせんねじを含んでもよい。ハウジング103xに対して長手方向に固定された位置にある場合とそうでない場合があるアクチュエータ111xを回転させることは、したがって、ハウジング103xに対する圧縮管の相対位置を変化させることがある。いくつかの実施例では、したがって、ハウジング103xに対するアクチュエータ111xの回転は、圧縮管を環状エラストマーシール108xに向かって、またはそれから離れるように駆動して、横方向に圧縮させるか、または拡張させてもよい(相応して、それぞれ半径方向内向きに拡張させるか、または半径方向外向きに後退させてもよい)。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施例ではアクチュエータ111xの回転が、圧縮管109xの回転を駆動してもよい。圧縮管は、圧縮管の回転が、環状エラストマーシールの1つの軸方向端部の回転を引き起こし、環状エラストマーシールを捻るように、環状エラストマーシール108xに剛結合されてもよい。本明細書に記載される装置の実施例のいずれかにおける環状エラストマーシールの端部は、ハウジングの中心孔に結合(例えば、接合)されてもよい。環状エラストマーシールのこの捩りによる捻りは、環状エラストマーシールを通じた内腔が閉じる結果となり、シールを閉じる。いくつかの実施例では、圧縮管は、回転と、軸方向の圧縮/拡張の両方をするように、アクチュエータによって作動されてもよい。
【0046】
[0056]
図8Cにおいて、環状エラストマーシール108xは、シールを通じた内腔112xが閉じられた、圧縮構成で示されている。代替的に、エラストマーシールは捩れによって閉じてもよく、捩れには、軸方向の前進を必要とする場合と必要としない場合がある。
【0047】
[0057]
図9A~
図9Cは、ハウジング103xに対する圧縮管109xの位置を制御するリンク機構として構成された、一対のアクチュエータ111x、111x’を有する止血弁149zの実施例を示す。
図9Cに示されるように、各アクチュエータは、一端でハウジング103に、他端で圧縮管109xに旋回可能に接続された、相互に接続された一対のリンク機構アームを含む。圧縮を加えるか、または除去して、環状エラストマーシール108xを半径方向内向きに拡張させて内腔122xを閉じるか、または半径方向外向きに引き出して内腔122xを開くために、圧縮管は、ハウジングの中心孔(通路)104x内で環状エラストマーシール108xに向かって、またはそれから離れるように摺動させることができる。本明細書に記載される実施例のいずれかのように、環状エラストマーシール108xが存在する中心孔の領域155x、または環状エラストマーシール自体は、潤滑性であってもよく、または潤滑剤を含んでもよい。いくつかの実施例では、この構成は、中心軸に直交して配置された1つまたは複数の圧縮ばねを利用することによって、反動力を提供すること、例えば、リンク機構上に押し出す(例えば、ピボットジョイント138xにおいて、ハウジング103xから押す)ことができる。
【0048】
[0058]
図10A~
図10Dは、止血弁の圧縮管が環状エラストマーシールに対して所定の位置に固定されて、シールを所定の位置(例えば、開いた、閉じた、部分的に開いたなど)にロックするように、止血弁149zのアクチュエータ111xを選択された位置に固定するように構成された、ハンドル保持器1010を示す。
図10Bにおいて、ハンドル保持器1010は、アクチュエータ111x、111x’を形成するレバーアームをハウジング103xに対して保持されるように回転位置に固定するように構成されている。この位置では、圧縮管は環状エラストマーシールから離れて維持され、環状エラストマーシールの内径が開いて環状エラストマーシールを通じるチャネルを形成する。
【0049】
[0059]前述の概念および以下でより詳細に考察される追加の概念の全ての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しない限り)は、本明細書に開示される発明主題の一部であると企図され、本明細書に記載される利益を達成するために使用され得ることを理解されたい。
【0050】
[0060]本明細書に記載および/または図示されるプロセスパラメータおよびステップのシーケンスは、例としてのみ与えられ、所望に応じて変化させることができる。例えば、本明細書に図示および/または記述されるステップは、特定の順序で示されるか、または考察され得るが、これらのステップは、必ずしも図示または考察された順序で実行される必要はない。本明細書に記述および/または図示される様々な例示的な方法はまた、本明細書に記述または図示されるステップのうちの1つまたは複数を省略するか、または開示されたものに加えて追加のステップを含んでもよい。
【0051】
[0061]特徴または要素が本明細書において別の特徴または要素の「上」にあると言及される場合、それは他の特徴または要素の直接上であるか、あるいは介在する特徴および/または要素も存在し得る。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素の「直接上」にあると言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。また、特徴または要素が別の特徴または要素に「接続」、「取付け」または「結合」されていると言及される場合、それは他の特徴または要素に直接的に接続、取付け、または結合され得るか、あるいは介在する特徴または要素が存在し得ることも理解されるであろう。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素に「直接接続されている」、「直接取り付けられている」、または「直接結合されている」と言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。一実施形態に関して説明または図示されているが、そのように記述または図示された特徴および要素は、他の実施形態にも適用することができる。また、当業者によれば、「隣接する」別の特徴に配置される構造または特徴への言及が、隣接する特徴と重なるか、または下にある部分を有し得ることも理解されよう。
【0052】
[0062]本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明の限定を意図するものではない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形も含むことが意図される。「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、ステップ、操作、要素、および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、操作、要素、コンポーネント、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されるであろう。本明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数の、任意および全ての組合せを含み、「/」と略されてもよい。
【0053】
[0063]「下(under)」、「下方(below)」、「下(lower)」、「上方(over)」、「上(upper)」などの空間的に相対的な用語が、図に示されるように、ある要素または特徴と別の要素または特徴との関係を記述するための記述を容易にするために、本明細書において使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に描かれた向きに加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる向きを包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図のデバイスが反転される場合、他の要素または機能の「下(under)」または「下(beneath)」として記述された要素は、他の要素または機能の「上(over)」向きになる。したがって、例示的な用語「下(under)」は、上(over)と下(under)の両方の向きを包含することができる。デバイスは、他の方向に向けられても(90度、またはその他の向きで回転)されてもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。同様に、「上向き(upwardly)」、「下向き(downwardly)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」などの用語は、特に別段の指示がない限り、本明細書において説明のみを目的として使用される。
【0054】
[0064]用語「第1の」および「第2の」は、本明細書において、様々な特徴/要素(ステップを含む)を記述するために使用され得るが、文脈が別段の指示をしない限り、これらの特徴/要素は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある機能/要素を別の機能/要素と区別するために使用され得る。したがって、以下で考察される第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、以下で考察される第2の特徴/要素は、本発明の教示から逸脱することなく、第1の特徴/要素と呼ぶことができる。
【0055】
[0065]本明細書およびそれに続く特許請求の範囲の全体を通して、文脈が別段の要求をしない限り、「含む(comprise)」という語、ならびに「comprises」および「comprising」などの変形は、種々のコンポーネントを、方法および物品(例えば、組成物およびデバイスを含む装置、および方法)において共同で使用することができることを意味する。例えば、「含む(comprising)」という用語は、述べられた要素またはステップを含むことを意味するが、他の要素またはステップを排除することを意味するものではないことが理解されるであろう。
【0056】
[0066]一般に、本明細書に記載される装置および方法のいずれも包括的であると理解されるべきであるが、コンポーネントおよび/またはステップの全てまたはサブセットは、代替的に排他的であってもよく、種々のコンポーネント、ステップ、サブコンポーネントまたはサブステップ「からなる(consisting of)」または代替的に「から本質的になる(consisting essentially of)」と表現されてもよい。
【0057】
[0067]本明細書の明細書および特許請求の範囲において使用される場合、実施例において使用されるものを含み、別段の明示的な指定がない限り、全ての数字は、明示的に現れない場合であっても、「約(about)」または「およそ(approximately)」という用語が付くものとして読み替えることができる。「約」または「およそ」という語句は、大きさおよび/または位置を記述するときに、記載された値および/または位置が、値および/または位置の合理的な予想範囲内にあることを示すために、使用されてもよい。例えば、数値は、記載された値(または値の範囲)の+/-0.1%、記載された値(または値の範囲)の+/-1%、記載された値(または値の範囲)の+/-2%、記載された値(または値の範囲)の+/-5%、記載された値(または値の範囲)の+/-10%の値、などを有することができる。本明細書で与えられる任意の数値は、文脈が別段の指示をしない限り、約またはおよそその値を含むと理解されるべきである。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。本明細書に列挙される任意の数値範囲は、そこに包含される全ての部分範囲を含むものとする。また、値が「その値以下」であると開示されるとき、「その値以上」および、当業者によって適切に理解されるように、値間の可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、値「X」が開示される場合、「X以下」ならびに「X以上」(例えば、ここでXは数値である)も開示される。また、本願全体を通して、データは多数の異なるフォーマットで提供され、このデータは、終点および開始点、ならびにデータ点の任意の組み合わせに対する範囲を表わすことも理解されたい。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点「15」が開示される場合、10と15の間と同様に、10および15より大きい、以上、より小さい、以下、またはそれに等しいことが開示されたとみなされることが理解される。また、2つの特定のユニット間の各ユニットも開示されることも理解される。例えば、10および15が開示される場合、11、12、13、および14も開示される。
【0058】
[0068]様々な例示的実施形態が上述されているが、特許請求の範囲によって記述される本発明の範囲から逸脱することなく、種々の実施形態に対する多数の変更のいずれかを行うことができる。例えば、様々な記載された方法ステップが実行される順序は、代替実施形態においてしばしば変更されてもよく、他の代替実施形態では、1つまたは複数の方法ステップが完全に抜かされてもよい。様々なデバイスおよびシステム実施形態のオプション機能は、いくつかの実施形態に含まれ得るが、他の実施形態には含まれない。したがって、前述の説明は、主として例示的な目的のために提供され、特許請求の範囲に記載されているように本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0059】
[0069]本明細書に含まれる実施例および図示は、限定ではなく例示として、主題が実施され得る特定の実施形態を示す。前述のように、他の実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく構造的および論理的な置換および変更がなされ得るように、そこから利用および導出され得る。本発明の主題のそのような実施形態は、本明細書において、単に便宜上、そして、本出願の範囲を任意の単一の発明または発明概念に自発的に限定することを意図することなく、本明細書において個々にまたは集合的に「発明」という用語によって言及され得る。したがって、特定の実施形態が本明細書で図示され記述されているが、同じ目的を達成するために計算された任意の構成が、示された特定の実施形態の代わりになり得る。本開示は、様々な実施形態の任意のおよび全ての適応形態または変形形態を範囲に含むことを意図している。上記の実施形態の組み合わせ、および本明細書で具体的に記述されていない他の実施形態は、上記の説明を検証すれば、当業者には明らかになるであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大口径止血弁であって、
前記止血弁は、
中心孔を有するハウジングと、
前記中心孔内に移動可能に配置された圧縮管と、
前記圧縮管に
剛結合され、前記中心孔内にある環状エラストマーシール
であって、前記環状エラストマーシールが00-05から00-60の間のショア00デュロメータを有する、環状エラストマーシールと、
前記ハウジングに移動可能に結合された少なくとも1つのアクチュエータであり、前記少なくとも1つのアクチュエータが前記圧縮管の1つまたは複数の駆動面と係合する1つまたは複数の係合面を有し、前記少なくとも1つのアクチュエータが第1の方向および第2の方向に移動するように構成され、
前記ハウジングに対する前記少なくとも1つのアクチュエータの前記第1の方向における移動が、前記環状エラストマーシールの内径を減少させるために、前記環状エラストマーシールを圧縮するように前記圧縮管を移動させ、
前記ハウジングに対する前記少なくとも1つのアクチュエータの前記第2の方向における移動が
前記環状エラストマーシールを引っ張るように設定され、
それにより、前記環状エラストマーシールの内径を増大させるために、前記環状エラストマーシールの軸方向の拡張を与えるように前記圧縮管を移動させる、
少なくとも1つのアクチュエータと、
を含む、
止血弁。
【請求項2】
前記圧縮管が、前記圧縮管と並んだ圧縮ばねによって環状エラストマーシールに向かって偏倚されない、請求項1に記載の止血弁。
【請求項3】
前記環状エラストマーシールが前記中心孔に対して摺動できるように、前記環状エラストマーシールと連通する前記中心孔の領域内に潤滑性材料をさらに含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアクチュエータが、レバーを含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアクチュエータが、ダイアルを含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項6】
前記1つまたは複数の係合面が、カム、ギア、ねじ付き領域、リンク機構の内の1つまたは複数を含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項7】
前記1つまたは複数の係合面が、前記圧縮管の駆動面と係合するカムを含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項8】
前記偏倚部が、前記少なくとも1つのアクチュエータを前記ハウジングに結合する捩りばねを含む、請求項
22に記載の止血弁。
【請求項9】
前記環状エラストマーシールが、シリコーン材料を含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項10】
前記環状エラストマーシールが、ショア00-10からショア00-40の間のショア00硬度を有する、請求項1に記載の止血弁。
【請求項11】
前記少なくとも1つのアクチュエータが、ピボットピンによって、前記ハウジングに旋回可能に結合されている、請求項1に記載の止血弁。
【請求項12】
前記ハウジングに結合された剛性化カテーテルをさらに含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項13】
前記剛性化カテーテルを剛性化するために圧力または真空を印加するための入口として構成された、ポートをさらに含む、請求項
12に記載の止血弁。
【請求項14】
フラッシュポートをさらに含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項15】
前記中心孔を通過するデバイスのロック機構と嵌合するように構成された、前記ハウジング上のロック機構をさらに含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項16】
前記環状エラストマーシールの前記内径が開いて前記環状エラストマーシールを通じるチャンネルを形成するように、前記圧縮管が前記環状エラストマーシールから離れて固定されるように前記1つまたは複数のアクチュエータを固定するように構成された、ハンドル保持器をさらに含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項17】
大口径止血弁であって、
前記止血弁は、
中心孔を有するハウジングと、
前記中心孔内に移動可能に配置された圧縮管と、
前記圧縮管に
剛結合され前記中心孔内にある環状エラストマーシールであり、
前記環状エラストマーシールは00-05から00-60の間のショア00硬度を有
し、
さらに前記環状エラストマーシールの両端部の面は前記中心孔に直交している、環状エラストマーシールと、
レバーとして構成され、前記ハウジングに移動可能に結合された少なくとも1つのアクチュエータであり、前記少なくとも1つのアクチュエータが前記圧縮管の1つまたは複数の駆動面と係合する1つまたは複数の係合面を有し、前記少なくとも1つのアクチュエータが第1の方向および第2の方向に移動するように構成され、
前記ハウジングに対する前記少なくとも1つのアクチュエータの前記第1の方向における移動が、前記環状エラストマーシールの内径を減少させるために、前記環状エラストマーシールを圧縮するように前記圧縮管を移動させ、
前記ハウジングに対する前記少なくとも1つのアクチュエータの前記第2の方向における移動が、前記環状エラストマーシールの内径を増大させるために前記環状エラストマーシールが軸方向に拡張するように、前記環状エラストマーシールを引っ張るように前記圧縮管を移動させる、
少なくとも1つのアクチュエータと、
を含む、
止血弁。
【請求項18】
大口径止血弁であって、
前記止血弁は、
中心孔を有するハウジングと、
前記中心孔内に移動可能に配置された圧縮管と、
前記圧縮管に
剛結合され、前記中心孔内にある環状エラストマーシールであり、
前記環状エラストマーシールの両端部の面は前記中心孔に直交している、環状エラストマーシールと、
前記ハウジングに移動可能に結合された少なくとも1つのアクチュエータであり、前記少なくとも1つのアクチュエータが前記圧縮管の1つまたは複数の駆動面と係合する1つまたは複数の係合面を有し、前記少なくとも1つのアクチュエータが第1の方向および第2の方向に移動するように構成され、
前記ハウジングに対する前記少なくとも1つのアクチュエータの前記第1の方向における移動が、前記環状エラストマーシールの内径を減少させるために、前記環状エラストマーシールを圧縮するように前記圧縮管を移動させ、
前記ハウジングに対する前記少なくとも1つのアクチュエータの前記第2の方向における移動が、前記環状エラストマーシールの内径を増大させるために前記環状エラストマーシールが軸方向に拡張するように、前記環状エラストマーシールを引っ張るように前記圧縮管を移動させる、
少なくとも1つのアクチュエータと、
を含む、
止血弁。
【請求項19】
前記環状エラストマーシールの両端部の面は前記中心孔に直交している、請求項1に記載の止血弁。
【請求項20】
前記圧縮管に剛結合された環状エラストマーの側部は前記中心孔に直交している、請求項1に記載の止血弁。
【請求項21】
前記中心孔は、12mm以上の直径を有する医療器デバイスを収容できるように構成されている、請求項1に記載の止血弁。
【請求項22】
前記中心孔は真空を保持するように構成されている、請求項1に記載の止血弁。
【請求項23】
前記少なくとも1つのアクチュエータに結合され、前記止血弁がニュートラル状態にあるときに前記少なくとも1つのアクチュエータを前記第1の方向に付勢するように構成された、偏倚部をさらに含む、請求項1に記載の止血弁。
【請求項24】
前記中心孔は真空圧力の印加に耐えるように構成されている、請求項12に記載の止血弁。
【請求項25】
前記環状エラストマーシールが固着するのを防止するように構成された、前記環状エラストマーシール上の潤滑性材料をさらに含む、請求項17に記載の止血弁。
【国際調査報告】