(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】衛星無線アクセスネットワーク(衛星RAN)のビームおよびゲートウェイのシームレスなハンドオーバー
(51)【国際特許分類】
H04W 36/04 20090101AFI20240129BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20240129BHJP
H04W 36/38 20090101ALI20240129BHJP
H04W 84/06 20090101ALI20240129BHJP
【FI】
H04W36/04
H04W16/28
H04W36/38
H04W84/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544512
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 US2022013713
(87)【国際公開番号】W WO2022159894
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517362118
【氏名又は名称】エーエスティー アンド サイエンス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】AST & Science, LLC
【住所又は居所原語表記】100 SE 2nd St,Suite 3500 Miami, Florida 33131, U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】ユー ジー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ファウジ フェデリコ ペドロ
(72)【発明者】
【氏名】アヴェラン アーベル
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067AA23
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE07
5K067EE10
5K067EE56
5K067JJ39
(57)【要約】
LEO衛星通信システムは、第1の複数のセルを含む第1の視野を有する第1の沈みゆく衛星と、第2の複数のセルを含む第2の視野を有する第2の昇りゆく衛星と通信する。第1および第2の衛星は、重複する視野を有し、その中に重複する複数のセルが位置する。第1の処理装置は、第1のビームを介し、第1のアンテナを介して第1の複数のセルの第1のセルと通信する第1の通信ポートと、第2のビームを介し、第2のアンテナを介して重複する複数のセルの重複するセルと通信する第2の通信ポートとを有する。第1の処理装置は、前記第1の複数のセルの第1のセルが重複する視野に移動することに応答して、第1の通信ポートから第2の通信ポートに切り替える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の視野を有する第1の沈みゆく衛星、および第2の視野を有する第2の昇りゆく衛星と通信する衛星通信ハンドオーバーシステムであって、前記第1の視野は第1の複数のセルを含み、その中には前記第1の沈みゆく衛星と直に通信しているアクティブなユーザー機器(UE)が配置されており、さらに、前記第1および第2の衛星は、前記第1の視野が前記第2の視野と重複する、重複する視野と、前記重複する視野に配置された重複する複数のセルとを有し、当該衛星通信ハンドオーバーシステムは、
前記第1の複数のセルに直にサービスを提供する前記第1の沈みゆく衛星を介してアクティブな複数のUEと通信するように構成された第1のフィーダーリンクおよび第1の追跡アンテナと、前記第2の複数のセルにおいて前記アクティブな複数のUEに直にサービスを提供する前記第2の昇りゆく衛星と通信するように構成された第2のフィーダーリンクおよび第2の追跡アンテナと、
前記アクティブな複数のUEと通信し、前記アクティブな複数のUEを前記第2の昇りゆく衛星と直に通信するように制御するように構成された処理装置とを有する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項2】
請求項1において、
前記処理装置は、前記第1の沈みゆく衛星および前記第2の昇りゆく衛星からの指示信号に応答して、ビームハンドオーバーを開始または終了するように構成されている、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記アクティブなUEは、第1のサービスリンクビームを介して前記第1の沈みゆく衛星と直に通信し、さらに、
前記アクティブなUEは、第2のサービスリンクビームを介して前記第2の昇りゆく衛星と直に通信する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1のアンテナは、第1のフィーダーリンクビームを介して前記第1の沈みゆく衛星と通信し、
前記第2のアンテナは、第2のフィーダーリンクビームを介して前記第2の昇りゆく衛星と通信する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項5】
請求項4において、
前記処理装置は、前記アクティブなUEを前記第1の沈みゆく衛星との通信を停止するように制御するようにさらに構成されている、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項6】
請求項4において、
前記第1のアンテナは、前記第1の沈みゆく衛星との通信を停止する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、
前記処理装置は、前記アクティブなUEと第1の物理セルID(PCI)とで、前記第1の沈みゆく衛星を介して通信し、さらに、
前記アクティブなUEが前記重複する視野に入ると、前記アクティブなUEと第2のPCIで、前記第2の昇りゆく衛星を介して通信する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかにおいて、
当該システムは、デスティネーションビームで前記複数のUEのCFRAを取得する前に、前記昇りゆく衛星のBHO前記デスティネーションビームに必要な、アクティブなUEそれぞれのTAを、2つのフィーダーリンクとオーバーラッピングサービスリンクとが受信した各UEのアップリンクRBの信号の受信時間の相関により決定し、多くのアクティブなUEのBHOの効率を達成し、さらに、
当該システムは、旧来の複数のUEに変更を加えることなく、2G、4G、5Gに適用でき、さらに、
前記CFRA(MSG1)は、ターゲットビームで必要なときに、さらなるTA追跡のために使用される、通信衛星ハンドオーバーシステム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかにおいて、
前記第1の沈みゆく衛星および前記第2の昇りゆく衛星はトランスパレントであり、変更された基地局の低PHYおよび変更されていない標準3GPP準拠の複数のUEと直に通信する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
複数のスマート衛星のレイヤー0は、地上の多数のセルを追跡するための電子的にステア可能なビームを形成する大規模な位相アレイと中継する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかにおいて、
前記第1のフィーダーリンクおよび前記第1のトラッキングアンテナは基地局にあり、衛星が固定された複数のセルを高速(7~8km/s)で動的に通過する間、前記固定された複数のセルを追跡することにより、前記基地局とサービス中のセルとの1対1のマッピングが維持される、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかにおいて、
ゲートウェイの配置は、複数のゲートウェイの複数のセルにサービスを提供する複数の衛星が、円滑なGWHOのために、それらのゲートウェイへのLOSを有する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかにおいて、さらに、
各セルの中心に対する遅延正規化とドップラー補正を動的に実行するように構成されたゲートウェイを有する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかにおいて、さらに、
セルの中心におけるUEのタイミングアドバンス(TA)が中間点のTA値と等しくなるように、遅延正規化を実行するように構成されたゲートウェイを有する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかにおいて、
当該システムは、再構成可能な固定往復遅延をサポートし、長いRF経路遅延に関連する様々なタイマーを適宜設定する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれかにおいて、
前記第1のフィーダーリンクおよび前記第1のトラッキングアンテナは基地局にあり、当該システムは、
第1および第2の通信ポートまたは複数のセルとしてそれぞれ機能する2つの無線周波数(RF)ポートに割り当てられた2つの物理セル識別子(PCI)を使用して、シームレスなビームハンドオーバを実行し、
2つの無線周波数(RF)ダウンリンク信号を生成して、それぞれが2つのPCIのうちの割り当てられた1つを伝送し、さらに、
前記第1の沈みゆく衛星および前記第2の昇りゆく衛星を介して、2つのビームを形成し、ビームまたはセルのハンドオーバーのために、前記2つのビームを重複するセルに重ね合わせるように構成されており、
2つのPCIは、干渉を避けるために互いに直交するように、近隣セルのPCI配置と同様の方法で選択され、さらに、MIMOの原則が適用され、2つの重複するハンドオーバービームが互いに干渉することなく協働し、
2つのPCIは、同じセル帯域幅または異なるセル帯域幅のPCIであり、同じセル帯域幅、および異なるセル帯域幅でのビームハンドオーバーの両方をサポートし、
前記アクティブな複数のUEの前記ビームハンドオーバーでは、標準的なUEのHO手順が使用され、同期されたシームレスなハンドオーバーが1つずつ実現され、複数のUEや基地局が、どの衛星とどのゲートウェイがそれらのサービス中のエンティティであるかを処理することなく、この機能は衛星ネットワークコントロールセンターによって処理され、
アクティブなUEのないアイドルセルに対してハードBHOを実行し、PCIを変更することなく、同じアイドルセルにサービスを提供するために、同じビーム/PCI/RFポートが、あるフィーダーリンクから別のフィーダーリンクにシフトし、さらに、
軌道に沿った複数のビームハンドオーバーにより、セル単位でゲートウェイのハンドオーバーを実現する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれかにおいて、
基地局ソフトウェアをミラーリングして、前記アクティブなUE、組み込みGWHO、GW/基地局コアネットワークにトランスパレントなものとし、トラッキングエリアコード、ページング、およびシステム情報X2リンクに関する適切なサポートを、3GPP仕様に適合するようにGWSの変更によるフェーズおよびタイミングの変更を含めて行う、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれかにおいて、
ゲートウェイ間のリンクは、音声通話およびデータ通話の両方について前記アクティブなUEのモビリティをサポートする、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれかにおいて、
複数のゲートウェイは、数100kmから1000kmを超える、地上ネットワークで使用されるものより遥かに長距離のフロントホール光ファイバーによってリンクされ、複数のゲートウェイサイトのハンドオーバーを可能にすると共に、GWSダイバーシティとカバレッジの効率を向上する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項20】
請求項1ないし19のいずれかにおいて、
当該衛星通信ハンドオーバシステムが、
3GPPダウンリンクおよびアップリンク信号を、前記第1のフィーダーリンクおよび前記第1のトラッキングアンテナと、ユーザー機器との間で中継し、通常の電話を変更することなく衛星電話とし、世界規模で通常の複数のUEに届くようにし、
LEO衛星のコンステレーションでカバーされていない遠隔地への3GPPRANカバレッジを、地上ベースのインフラ構築のための莫大なコストを掛けずに提供する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項21】
請求項16において、
基地局の変更は、UEと基地局とが衛星とゲートウェイとの接続を管理することなく、3GPP仕様を再利用することにより衛星RANを可能にするための、衛星RANの新機能の要件によるものであり、
前記衛星RANシステムは、衛星とゲートウェイとの管理を、それらに対して完全にトランスパレントなものとし、基地局を変更することで前記RAN機能を実行させる、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項22】
請求項1ないし21のいずれかにおいて、
当該衛星通信ハンドオーバーシステムは、前記アクティブな複数のUEに変更を加えることなく、標準3GPPのHOプロセスによって、前記通常のアクティブな複数のUEにサービスを提供するためのBHOを実現する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項23】
請求項1ないし22のいずれかにおいて、
前記第1のフィーダーリンクおよび前記第1の追跡アンテナは、基地局に設けられ、
前記基地局は、ビームハンドオーバー(BHO)をサポートするために、交互に使用できる複数のセルIDを持つように変更され、
2つの前記セルIDは交互に使用され、コアネットワークが対応する変更をサポートし、
前記基地局は、前記2つのビームのRFレベルを変更するか、またはNWがUEのHOを開始することにより、ネットワーク側からBHOが開始されるように変更され、
LEO衛星RANのビームハンドオーバーは、地理的な衛星RANのセルごとにファントムセルをフェイクし、
前記BHOの衛星RANのセルごとに、互いに干渉しない2つのPCIを割り当て、
前記アクティブな複数のUEに別のセルがあると思わせることで、前記BHOは合理化され、前記アクティブな複数のUEが自然にサービングビームを変更することにより、標準的なUEモビリティハンドオーバーに置き換える、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項24】
請求項1ないし23のいずれかにおいて
ゲートウェイサイトのダイバーシティを可能にし、ゲートウェイのFoVとフットプリントとを拡大するために、長距離フロントホールはファイバーリンクを使用し、
前記ファイバーの遅延は遅延補償にカプセル化され、通常の地上ネットワークのフロントホールに比べて遥かに長い、数100キロから1000キロ以上のフロントホールをサポート可能とする、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項25】
請求項1ないし24のいずれかにおいて、
衛星ビームハンドオーバーを実現するために標準的なHOメカニズムを使用する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項26】
請求項1ないし25のいずれかにおいて、
前記衛星通信システムは、標準のUEハンドオーバーモビリティ手順と互換性のある方法で衛星モビリティを処理し、衛星モビリティによる衛星RANビームハンドオーバー(BHO)のために標準的なUEモビリティハンドオーバー手順を使用する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項27】
請求項1ないし26のいずれかにおいて、
前記第1のフィーダーリンクおよび前記第1のトラッキングアンテナは基地局にあり、前記基地局は、BTS、eNodeB、およびgNodeBの少なくとも1つを含む、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項28】
請求項1ないし27のいずれかにおいて、
前記第1の沈みゆく衛星および前記第2の昇りゆく衛星の各々は、数100のセルにサービスを提供するために数100の電子的にステアリング可能なビームを形成する大きな位相アレイを有する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項29】
請求項1ないし28のいずれかにおいて、
当該衛星通信ハンドオーバーシステムは、地上ゲートウェイサイト(GWS)、前記第1および第2の衛星、ならびに複数のセルがどこにあっても、遅延を一定量に正規化するために、各ビームに対して遅延およびドップラー補償を実行するように構成されている、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項30】
請求項1ないし29のいずれかにおいて、
当該衛星通信ハンドオーバーシステムは、基地局、地上ゲートウェイサイト、および前記第1および第2の衛星を指揮する衛星ネットワーク制御センター(NCC)を有する、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【請求項31】
請求項1ないし30のいずれかにおいて、
衛星RAN基地局のRxスケジューリングが遅延を伴って変更される、衛星通信ハンドオーバーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年1月25日に出願された米国仮出願第63/141,218号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
携帯電話でカバーできる範囲を100%にすることは世界的に求められており、移動体通信事業者(MNO)は、特にこれまでカバーされてこなかった遠隔地において、非常に低いリターンまたはノーリターンの要求に対して、バックボーン接続やインフラを展開する高いコストを正当化するのに苦労している。2G、3G、4G、5Gサービスなどの現在の無線アクセスネットワーク(RAN)では、携帯電話などのユーザー機器(UE、UEs)から衛星(SAT RAN)に直に接続するものは存在しない。
【0003】
一方、膨大な数のUEが存在し、アップリンクの信号が弱いため、衛星通信は通常の3GPP(登録商標)仕様に準拠したUEとは直に通信したことはない。これまでのところ、衛星通信はeNodeB、バックホール(backhhaul)などの基地局で使用されているが、小型バッテリーで電力を供給する通常の複数のUEと直接通信する際の課題は、主電源を持つ固定ポイントや顧客構内設備(CPE)よりも遥かに高い。2019年、ATISは、3GPPリリース17仕様に向けたNRの非地上ネットワーク(NTN)の研究項目(SI)と作業項目(WI)とを開始したが、それは5GNRのUEとgNodeBとの両方を変更することになる。これは、旧来の4GLTE、5GNRのUE、および旧2Gの電話はカバーせず、それらは広範囲で使用され、いまだに長期間にわたり使用されており、そのため、世界には、衛星通信用に変更できないGSM(2G)、LTE(4G)、NR(5G)のUEが数十億台存在することとなり、それらには新しいNTNアプローチを適用できない。2G、4G、5GのUEに直接対応する衛星通信ソリューションはない。加えて、標準的なBTS(2G基地局)、eNodeB、またはgNodeBが、衛星を介した通信には機能しないというのは、最初の30年間、衛星通信は3GPP仕様の動作を前提であったことがないためである。現在進行中のNTNのSIとWIとはまだ終了していない。そのため、3GPP仕様では、商業的な衛星RANは今のところ存在せず、NTNがWIを完成させるまでは、非常に高価でユーザーの脳への放射線量が高い特殊な衛星電話があるだけで、ほとんどの人はそのような電話に触れたことすらない。さらに、その機能は2G携帯電話以下であり、最もシンプルなLTE携帯電話とは比較にならない。
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、この出願は2つの変更をもたらすであろう。1つは、地上ネットワーク(TN)の複数のタワーや、それらのタワーを接続するインフラなしで、衛星RANが遠隔地をカバーできるようにすることであり、もう1つは、2G、4G、および現在の5GのUEを含む通常の3GPPのUEを、何の変更も加えることなく、実際に衛星電話に変えることである。この出願は、この衛星RANの革新的なアプローチの重要な部分、特に低軌道(LEO)衛星RAN向けの特定のビームハンドオーバー(BHO)とゲートウェイハンドオーバー(GHO)について説明している。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図面は、アクティブな複数のUEおよびそのサービングゲートウェイサイト(GWS)の両方を含む衛星モビリティを説明する本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本開示のいくつかの例のみを示しており、具体的に図示されていない他の例または様々な例の組み合わせは、依然として本開示の範囲内に含まれ得ることを理解されたい。次に、実施例について、図面を用いてさらに詳細に説明する。
【0006】
【
図1】
図1は、2つのGe10(仰角10°(10度)以上で定義される衛星に対しサービスするゲートウェイ)と3つのSe20(仰角20°(20度)以上で定義されるフットプリントの衛星)によってサービスを提供される複数のセルの説明図である。特に、LEO衛星通信のフットプリント(到達範囲)と、2つの衛星(沈む衛星と上昇する衛星)との間でビームのハンドオーバーが起こるオーバーラップ状況(重複する状況)を示している。ここでいうフットプリントとは、RAN(無線アクセスネットワーク)をサポートする衛星またはゲートウェイの視野(FoV)内のエリアを意味する。フットプリントは変化する可能性があり、例えば、海の大部分は衛星のFoV内にあり、最初はフットプリントがなくとも、後に衛星RANのフットプリントになり、例えば、いくつかの小さな島や、オイルリグが複数の衛星やゲートウェイの最初のフットプリントとなり得る。
【0007】
【
図2】
図2は、1G2Sの(1つのGWSが2つの隣接する衛星と同時にリンクする)ケースの説明図であり、2つの衛星のフットプリントのオーバーラップエリア(重複する領域)の複数のセルの1つがビームハンドオーバーを行うことを示しており、また、1S2Gの(1つの衛星が2つのGWSと同時にRFリンクする)ケースのゲートウェイハンドオーバーを示している。
【0008】
【
図3(a)】
図3(a)は、このシステムの制御プレーンにおけるBHOとGHOの動作概念を示すフロー図である。
【
図3(b)】
図3(b)は、上記に続くこのシステムの制御プレーンにおけるBHOとGHOの動作概念を示すフロー図である。
【
図3(c)】
図3(c)は、上記に続くこのシステムの制御プレーンにおけるBHOとGHOの動作概念を示すフロー図である。
【0009】
【0010】
【
図4(a)】
図4(a)は、1G1Sまたは1S1G(1つの衛星のみとリンクする1つのゲートウェイ)の図である。
【0011】
【
図4(b)】
図4(b)は、1G2Sまたは2S1Gの図である。
【0012】
【
図4(c)】
図4(c)は、2G1Sまたは1S2Gの図である。
【0013】
【
図5】
図5(a)、(b)、(c)は、UEモビリティケースのゲートウェイ相互接続リンクを示すブロック図である。
【詳細な説明】
【0014】
図面に図示された例示的で非限定的な実施形態を説明する際に、明確さのために特定の用語に頼る。しかしながら、本開示は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図するものではなく、各特定の用語は、同様の目的を達成するために同様の方法で動作する全ての技術的等価物を含むことを理解されたい。いくつかの実施形態が例示の目的で記載されているが、本明細書および特許請求の範囲は図示された実施形態に限定されるものではなく、図面に具体的に示されていない他の実施形態も本開示の範囲内にあり得ることが理解される。
【0015】
旧来の2G、4G、5Gの複数のUEに直接サービスを提供するように設計された衛星RANシステムは、次の4つの基本的なメカニズムが必要であり、そうでなければ、スターリンクやNTN3GPPワークアイテム(WI)からわかるように、不必要な量の衛星や新しいUE、基地局が必要になる。
【0016】
1.数100のセルに対応するために数100の電子的に可動できる(操作可能な、ステアリング可能な、ステアブルな)ビームを形成できる大型位相アレイ。
【0017】
2.地上ゲートウェイサイト(GWS)、衛星(sat)および複数のセルがどこにあっても、遅延を一定に正規化し、普通の基地局に簡易な変更をするだけで衛星RANとして稼働可能にするための、各ビームの遅延およびドップラーの補正。
【0018】
3.複数のLEO衛星に必要なビームハンドオーバ(BHO)とゲートウェイハンドオーバ(GHO)のプロセスまたはシーケンス。
【0019】
4.基地局と、地上ゲートウェイサイトや複数の衛星を含む宇宙設備などのRAN設備を統括する衛星ネットワーク制御センター(NCC)。
【0020】
本願は、3番目の項目であるBHOとGHOに焦点を当てる。
【0021】
ここで使用されるハンドオーバーまたはハンドオフ(HO)という用語は、一般に、沈みゆく(下降する)稼働中の(サービス中の、サービング)衛星から昇りゆく(上昇する)稼働中の(サービス中の、サービング)衛星のセル/ビームの変更を指す。ハンドオーバーにはいくつかのタイプがあり、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)仕様のUEモビリティHOについては、本開示では、3GPP仕様のプレリリース16(NTN以前)の範囲外であるが、衛星のビームHOおよびGWSのHOに関連する追加HO(エクストラHO)を提供する。本開示の革新的な部分は、BHOおよびGHOのための標準プロトコルを再利用し、新しいものを追加するのではなく、衛星RANで必要なBHOおよびGHOを合理化することを含む。
【0022】
図1および
図2を参照すると、低軌道(LEO)衛星20Aおよび20Bは、個々の電子的にステアリング可能なビーム16および17によってサービスされているそれらの一般的なセル51および52を追跡している。衛星軌道22上を約7.5km/sで地球を周回している間、衛星20Aは、そのフットプリント(またはFOV)50Aに入ってくる新しいセルを取り込むと共に、ある期間、重複する領域50ABにいた古いセル51hを離すが、その期間内に、上昇する衛星20Bが、新しいビームを提供することにより、セル51h内の複数のUEのためのサービスを継続する必要がある。同じことが、衛星RANコンステレーション内のすべての衛星で行われる。
【0023】
複数のUEのサービスビームを1つの衛星16hから別の衛星17hに変更することが、ビームHO(BHO)であり、同じGWS31または異なるGWS(31、32など)のゲートウェイ追跡ディッシュ(パラボラアンテナ)13、14、15の複数の衛星のフィーダーリンク間で変更することが、ゲートウェイHO(GHO)である。複数のLEO衛星は、複数のセル51hまたはGWS31、32上を周回する際に、それらがサービスしている複数のGWおよびそれらがサービスしている複数のセルを変更するために、BHOおよびGHOを必要とする。BHOは、多数のアクティブなUEが、ある1つのセル用のサービスリンクを変更するプロセスであり、GHOは、多数のビームがフィーダーリンクを変更するプロセスであり、例えば、1つのGWS内で、1つのゲートウェイ追跡アンテナ(ディッシュ)14Aから同じGWS31の別のゲートウェイ追跡アンテナ(ディッシュ)14Bに変更するか、または、ある1つのGWS31の1つのゲートウェイ追跡ディッシュ14Aから別のGWS32の別のゲートウェイ追跡ディッシュ11Bに変更するプロセスである。
【0024】
BHOは、LEO衛星が軌道周回中に、ある1つのセルと通信状態に入りまた出る際に必要となり、GHOは、衛星が軌道周回中に、ある1つのGWSと通信できるスペースに出入りする際に必要となる。BHOは一般的にセル51hが通信する衛星を変更することを指し、これは、そのセルが衛星との通信に利用するビームを変更することを意味する。これは、セルが1G2S状態の沈みゆく衛星20Aと昇りゆく衛星20Bの2つの衛星視野(FoV)の重複する領域(重複領域)50ABにあるときに起こり、2つのHOビーム16hおよび17hが、BHOセル51hに重なる。BHOの前に、複数のセル(51など)は、降下または沈みゆく衛星20Aのための第1の追跡ビーム16を介して通信する。ハンドオーバーの間、複数のセル(51hなど)は、沈みゆく衛星20Aのビーム16hから、上昇中または昇りゆく衛星20Bのビーム17hに切り替わる。例えば、eNodeB(例えばeNodeB12(A))は、セル51hのUEと通信して、セル51hのそのUEが第2の昇りゆく衛星20Bと直接通信するように制御すべく構成されていてもよい。BHOは、アクティブな複数のUEに対して、UEごとに行われる。したがって、BHOの後、それらのセルは、ビーム17を介して上昇する衛星20Bと通信し、それらのセル52の1つとしてサービスを受ける。それぞれのeNodeB(例えば12(A))は、そのインタフェース(例えばゲートウェイアンテナ)を14Aから14Bに切り替えてもよく、それにより、対応するセルのダウンリンク(DL)データおよびアップリンク(UL)データは、フィーダーリンク14から15に変更されてもよい。GHOは多くのBHOを介して行われるため、これはGHOを形成する上で重要な手順(処置、プロセデュア)である。
【0025】
eNodeB(eNB)は、1つまたは複数の4Gセルにサービスを提供できる4G基地局である。この説明では、eNodeBは、1つのセルの基地局であってもよく、複数のセルの基地局であってもよく、適宜判断される。また、これは2GBTSおよび5GgNodeB(2Gおよび5G基地局)とも互換性がある。
【0026】
いくつかの例では、衛星RANのゲートウェイは、ある1つの衛星にサービスを提供する1つのトラッキングディッシュ(パラボラ)アンテナを備えていてもよい。複数の衛星は地上の通常の複数のUEと直接通信するため、MEO(中軌道)やGEO(静止軌道)衛星よりもLEO(低軌道)衛星が必要であり、複数の衛星はそれらのビームを使用してそれらがサービスを提供する地上の地理的な複数のセルを追跡する。GHOは衛星フィーダーリンクを14から15へ変更することとして参照することができ、これはセルの粒度であるため、「セル単位」であり、これに対しBHOはUE単位である。そのため、GHOは1つまたは複数のGWSのGWトラッキングディッシュ(アンテナ)の間で行われる。
【0027】
1つのGWS内のGHOは、セルの信号が、同じGWS31内の1つの追跡アンテナ14Aから別の追跡アンテナ14Bに移動することを示してもよく、一方、2つのGWS31および32間のGHOは、衛星20Aが軌道または経路22上を周回している間に、衛星がGWSと衛星との間(GW-SAT)のフィーダーリンクを、フィーダーリンク14からフィーダーリンク13に変更することを指してもよい。GHOの前に、衛星20Aは、第1のGWS-SATリンク(GWS-衛星リンク)14を介して第1のGWS31と通信する。GHOの間、衛星20Aは、
図2に1S2Gの状態で示すように、第2のGWS-SATリンク13を介して第2のGWS32とも通信する。
【0028】
GHOは、衛星が、GWSに属する複数のeNBファームによってサービスされる複数のセルをカバーする期間にわたって、セル単位(セルごと)に実行される。GHOの後、衛星20Aは、第2のGW-SATリンク13を介して第2のGWS32と通信する。
【0029】
GHOは、1S2G状態(1つの衛星が2つのGWSと通信している状態)および1G2S状態で実施することができる。Se20は、衛星のフットプリントが最小仰角20°(20度)で規定される衛星を指す。GWe10は、最小仰角10°(10度)のゲートウェイディッシュアンテナを指す。仰角とは、地球上の注目する地点の水平面と、対象とする意図的な方向とのなす角度をいう。GW仰角とは、GWが設置されているポイントの水平面に対するトラッキングディッシュ(アンテナ)の角度を指し、衛星仰角とは、観測ポイント(例えばセルの中央)の水平面に対する衛星から降りてくるビームの角度を指す。
【0030】
HO障害(HOF)とは、ハンドオーバー障害を示す(R12エンハンスメントが使用される)。1G1S(1つの衛星と通信する1つのゲートウェイ)とは、GWSが1つの衛星と1つのリンクしか持っていないという、衛星とGWSとの相対的な位置関係を示し、サービングエリア(サービス中のエリア)が衛星のフットプリントよりも小さく、その間、衛星ビームはサービングエリア内の複数のセルを追跡するだけでよく、それらのセル用の複数のeNBが1つのGWサイトにホストされている(受け入れられている、支配されている)。
【0031】
この2種類のGHOはどちらも、多くのBHOから構成されるセル単位で、一定期間をかけて行われる。
【0032】
本開示は、BTS/e/gNodeBの拡張機能(追加の機能)として、変更されていないGSM/LTE/NRの複数のUEと送受信するGSM(2G)、LTE(4GなどのLong Term Evolution)、および5G新無線(ニューレイディオ、NR)信号を中継する衛星モビリティ(衛星の流動性、流動的運用)を扱う。衛星モビリティ管理(衛星の機動的または流動的な管理)は3GPP仕様の範囲外であり、標準的なUEハンドオーバー手順を含む新しい基地局のバックグラウンドアクティビティとなり、衛星とゲートウェイとの調整(連係、調和)はあるが、どの衛星とGWとをリンクする必要があるかを管理するような複雑さはない。RF経路は衛星の地上局によって処理される。フィーダーリンクもサービスリンクの詳細も、eNBとUE(2G/4G/5G用の3GPP機器)では取り扱われない。ここで開示される衛星RAN設計は、これらの衛星の複雑さを、基地局とUEとに対して完全にトランスパレント(透過的、意識不要)とすると共に、それらのRF接続を維持する。
【0033】
本開示は、HOFを低くして、同期されたHO、効率的なeNodeBとGWSの分配、体感品質(QoE)を達成し、音声通話およびデータ通話の中断を低減または最小化し、良好なユーザー体験(ユーザーエクスペリエンス)を提供する。
【0034】
図では、赤道直下のような単一の衛星軌道面を示しているが、任意の適切な軌道を扱うことができる。このアプローチは軌道面間の(Inter-plane)HOにも適用できる。
ビームハンドオーバー
【0035】
図を参照すると、
図2は、本開示の一実施形態によるゲートウェイサイトまたは地上局31を示す。ゲートウェイサイト(ゲートウェイの拠点)31は、衛星を追跡する指向性アンテナである2つのアンテナ14Aおよび14Bに対応するための正しいチャネル信号を提供するゲートウェイチャネルルーティングブロック10と、地理的セルごとに12(A)および12(B)のような複数のeNodeBとを含む。ゲートウェイサイト31は、沈みゆく衛星20Aおよび昇りゆく衛星20Bを介して複数のユーザー機器(UE)と通信する。衛星20A、20Bは、それぞれの沈みゆくTRx(トランシーバ)ビーム16および昇りゆくTRxビーム17を介して複数のUEと通信する。複数のUEはアイドル状態であってもよく、それらのUEは複数のセルをモニタし、必要なとき(例えば、ページングのため)にセルの再選択およびトラッキングエリアの更新を実行するだけであり、複数のeNodeBがBHOでそれらの面倒を見る必要はない。BHOはアクティブなUEのみを対象とする。複数のアクティブなUEは、通話中のUEであるか、または通話中のUEを含み、沈みゆく衛星のビームから昇りゆく衛星のビームに移動するためにeNodeB専用の制御を必要とする。ゲートウェイチャネルルーティングブロック10は、衛星20A、20Bがスケジュールされたサービスを動的に意図されたセルに提供するように、衛星20A、20Bに必要な複数のチャネルを管理する。ある1つの衛星によって提供される全てのチャネル/セル信号は、一緒にパックされ、フィーダーリンク(MNOのLTEスペクトルとは異なる)ビーム14、15を介してGWと衛星との間で渡され、衛星によって提供される各セルは、電子的にステアラブルなビームを介してMNO(移動体通信事業者、Mobile Network Operator)のスペクトルを使用する。ゲートウェイサイト32は、ゲートウェイアンテナ11A、11Bと、それぞれにサービスを行う複数のeNodeB(セル53用の複数のBBU(ベースバンドユニット)など)とを含む。フィーダーリンクビーム14および15は、例えば、周波数が40~50GHzの広帯域幅を有していてもよい。そして、サービスリンクビームは、ネットワークモバイルオペレータ(NMO)によって制御される。
【0036】
図1は、衛星20A、20BのRAN(無線アクセスネットワーク、例えば、GSM、LTEおよび5GNR)信号の地球表面上のフットプリントまたは視野(FoV)50A、50Bを示す。沈みゆく(降下中の)衛星20Aは、沈みゆく衛星FoV50Aを有し、昇りゆく(上昇中の)衛星20Bは、昇りゆく衛星FoV50Bを有する。これら沈みゆく衛星FoV50Aおよび昇りゆく衛星FoV50Bでは、複数の衛星がダウンリンク(DL)およびアップリンク(UL)のサービングビームで、それらのセル内の複数のUEと直接通信する。沈みゆくFoV50Aおよび昇りゆくFoV50Bは、重複領域50ABにおいて重複する(または少なくとも部分的に重複する)。一実施形態に従って、BHOは、重複したFoVエリア50ABの内側に位置する複数のセル51hに対して発生する。
【0037】
図2は、ゲートウェイチャネルルーティングブロック10にリンクされている2つの衛星20A、20Bによって提供される複数の地上のセルを示しており、これらの衛星20Aおよび20Bは、これらの地上セルにサービスを提供するそれぞれの処理デバイス(すなわち、eNodeB)12とインターフェースするゲートウェイアンテナ14A、14Bとを介して、ゲートウェイチャネルルーティングブロック10にリンクされている。これらの処理デバイス12は、複数の衛星20、20A、20Bを介して複数のUEとの通信を制御する(
図1も参照)。特に、
図2は、1G2S(1つのGatewayが2つの衛星とリンクする)移動通信システム5を含むシステムの一実施形態を示しているが、他の構成を取り扱うことも可能である。図示されているように、衛星通信システム5は、2つの衛星20A、20Bを介して通信するファーム(eNodeBファームなど)3およびGWチャネルルーティングブロック10を含む基地局または地上局31と、衛星重複領域50AB内のビームHOセル51h内の複数のUE30とを含む(ここでは、重複する地上セルを51hと表示し、重複しないセルを51、52と表示する。複数のセル51は、衛星が経路22で地球の周りを周回するにつれて複数のセル52に変化する)。特定の例では、ゲートウェイは、ゲートウェイアンテナ14A、14Bおよびゲートウェイチャネルルーティングブロック10を含んでいてもよい。
【0038】
幾つかの実施例では、地上局31は、多くの基地局BBU、例えばeNBファームと、少なくとも2つの指向性アンテナ14A、14Bとを有し、ゲートウェイ-衛星フィーダーリンク14、15を介し、それぞれにより、それらのフットプリント50A、50BのためのBTS/LTE/5Gダウンリンク(DL)およびアップリンク(UL)信号を搬送する。図では、BHOが発生する場所を説明するために、重複領域50AB内のHOセル51hの1つを強調している。1つまたは複数のUEがBHOセル51h内にある。処理デバイス12は、例えば、LTE信号を送信(Tx)および受信(Rx)し、地上局に配置されるGWSデバイスと通信することができる、GSM用のBTS、LTE用のeNodeB、および5G用のgNodeBなどのRAN基地局形態などのサーバまたはコンピュータであってもよい。衛星20A、20Bは、地上局のアンテナ14A、14Bと通信している。第1の衛星20Aは沈み中(降下中)であり、地上局アンテナ14A用の現在のフットプリント50Aから離脱し始めており、第2の衛星20Bは、昇り中、すなわち、上昇中であり、地上局アンテナ14B用のフットプリント50Bにサービスを提供している。
【0039】
GWS31は、ゲートウェイ衛星フィーダーリンク14、15のために、例えば、Q/V帯のフィーダーリンク追跡アンテナ14A、14Bを使用することができる。衛星20Aおよび20Bは、それらのフットプリント内のそれぞれのセル用のRFビーム、例えば16、17のように、複数のUE用のサービスリンクとして通信事業者(オペレータ)のLTEスペクトルを使用できる。
【0040】
図1、2において、重複エリア50AB内の複数のセルについて、サービング(サービス中の)BBUは、衛星RAN制御センターから、例えば、1つまたはそれ以上のHOセル51hのポラリティ(極性)の、アクティブな複数のUEに対しBHOのための期間を教えられる。すなわち、複数のセル51が重複領域50ABに入ると、それらの重複セル51hの通信を沈みゆく衛星ビーム16hから昇りゆく衛星ビーム17hに切り替えるために、衛星ビームハンドオーバプロセスが開始される。ビーム16hとビーム17hは、BHOでは同じeNodeBからのビームであり、沈みゆく衛星20Aに関連付けられていたが、ビームHOではそのeNodeBは沈みゆく衛星20Aと昇りゆく衛星20Bの両方に関連付けられているので、ビーム16hとビーム17hは他のビーム16とビーム17とは若干異なることに注意されたい。ビーム16hは、最初のPCI(物理セルID)13A(1)を保持するビーム16と同じあるが、BHOの間、最優先事項はデータトラフィックではなく、ビーム17hへのアクティブな複数のUEのHOであり、複数のセルのMIMORFポートの1つ、または同じサービングeNodeBによって新しく開始されたBBU/セルであってもよく、16hと17hはMIMO信号のようにコヒーレントなRx信号を形成してもよい。他のRFポートまたはBBUには、昇りゆく衛星20Bを介して異なるPCI13A(2)が入り、PCIの対の選択はそれらを干渉しないようにすることが可能であり、それらがMIMOのように働くことを可能とし、相互に拡張できる。そのため、ビーム17hは新たに昇りゆく衛星のビームに追加され、BHO期間中は16hと17hが共存する。従って、BHOは、沈みゆく衛星20Aと昇りゆく衛星20Bの衛星が重複するセルでのみ発生する。HOビーム17hは、ユーザトラフィックのために同じ構成を維持し、複数のビーム17の1つとなる。3GPP仕様は、セル間を移動する複数のUEのモビリティ管理しか有しない。衛星中継とそのモビリティは、3GPP仕様の一部ではない。HOビームまたはセル内のほとんどのアクティブUEは、沈みゆく衛星20Aから昇りゆく衛星20Bへのインスタントハードスイッチングが使用された場合、HOが成功しないと無線リンク障害(RLF)になる。
【0041】
衛星モビリティ(衛星の移動性、流動性)を可能にするために、本開示は、BHOを達成するための既存の3GPPのHO手順を適用するBHO条件または方法を提供する。3GPP仕様によれば、各eNodeBは、デフォルトで、最低2つのRFポートを有し、それらの信号は、2つの別個のTRxGWS-衛星フィーダーリンク14、15を経由し、その後、衛星は、複数のビームのためにMNOのスペクトルを使用し、2つの衛星20A、20Bからのサービスリンク16h、17h(DLおよびULの両方)があり、さらに、16hおよび17hは、BHO期間中、重複領域50AB内のBHOセル51h上にオーバーレイされる(重ねられる、重複される)。
図2では、ある1つのセルのeNodeB12(A)が2つのRFポート12A(1)および12A(2)を有し、2つの衛星20A、20Bにサービスを提供する2つのGWアンテナ14Aおよび14Bを介してDLおよびULのLTE信号を配信し、セルの各ベースバンドユニット(BBU)が、eNodeB3BBU12(A)上の2つのRFポート12A(1)および12A(2)への2つのTRx経路のためのフィーダーリンク14/15を介してHOサービスリンク16h/17hのためのビーム信号を提供する様子を示す。新しく追加されたビーム17hは、細い線で示されたインターフェース1214BのターゲットGWアンテナ14Bとの通信を開始し、これは、純粋に20Aから20BへのBHOのためのターゲット衛星20Bからの新しいビーム17hによってBHOセル51hに新しく適用された新しいBHO信号であることに留意されたい。ソースセルのPCI13A(1)とは対照的に、1214Bが別のPCI13A(2)を使用するため、UEにはこれが新しいセルとして見える。BHO期間中、2つのビーム16hおよび17hはそれぞれサービングセル(サービス中のセル)およびネイバーセル(隣り合うセル)として機能し、16hはソースセルとしてシステム情報にアクセス禁止状態(アクセスが発生しない状態)を設定し、UE(複数可)にできるだけ早くそのセルから離れるように通知し(アイドル状態のUEはセルの再選択を行い、BHOを終えたばかりのUEがそのセルには戻らないようにし、新しく電源が投入されたUEはそのセルにはRACHしないようにする)、それにより16hは51hへのサービスを放棄し、17hに最終的にHOされる。20B側では、すべてのアクティブなUEが17hに移動すると、そのセルのBHO手順が終了し、セル51hは20BのFoV内の一般的なセル17になる。新しいターゲットセルが誕生し、コアネットワークが同じトラッキングエリアコード/ロケーションエリアコード(TAC/LAC)を維持することにより、新しいセルに移動した複数のUEは、BHO後の16hではもはやUEにサービスを提供できないため、16hではなくビーム17hを介してページングされる(呼び出される)。
【0042】
各セルには2つのPCI(または2Gのセルカラーコード、BTSカラーコード、トレーニングシーケンスコード)が割り当てられ、各BHOインスタンスで交互に使用される。PCIの展開では、参照信号のRE位置を注意深く考慮する必要があり、ソースセルとターゲットセルについて、参照信号が同じRE上にならず、UE側で干渉しないようにする必要がある。2つのセルはMIMOセットアップにおける2つのレイヤーのように動作し、互いに問題を起こすのではなく、助け合うようにする必要がある。
【0043】
BHOは主にPRACH(Physical Random Access Channel)チャネルのための手順であり、すべてのトラフィックチャネルPDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)とPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)とは標準的なHOがそうであるように継続することができるので、BHOがシームレスであることは言及する価値がある。
【0044】
さらに、BHO後、ビーム17hがビーム17の1つになると、50Bの現在の複数のセルと一緒にパックされ、eNodeB12(B)の一部に組み込まれ、IQストリームのゲートウェイアンテナ14Bインターフェースに供給され、そのような信号は、eNodeB12(A)からeNodeB12(B)へ、GWアンテナ14AからGWアンテナ14Bへ、フィーダーリンク14からフィーダーリンク15へ引き渡され、衛星20Aから衛星20BへのBHOが達成される。BHOセルのデータは、20Aからはもはや必要なく、20Bから供給される。これは2セルHOとしても同様に扱うことができる。デフォルトでは、各セルに2つのRFポートがあり、BHOはそのうちの1つを短期間借用するだけなので、余分なハードウェアは必要ないことに留意すべきであり、グローバルスケールのカバレッジを提供する最初の衛星RANが1T1Rを使用するとすれば、フィーダーリンク帯域幅を節約できる。MIMO運用では、1つのポートを一時的にBHOに使用することができる。
【0045】
沈みゆく衛星と昇りゆく衛星とを経由する2つのRFポート(例えば2つの通信ポート)12A(1)と12A(2)とからの電力レベルは同様であり、地上ネットワークのようなHOセルエッジ条件は存在しない。BHOでは、このようなビームの重ね合わせが行われるため、セル全体では2つの衛星の対称的なビームにより等しく良好な信号が得られる。重なり合うエリアの形状は、ほとんどのRFパス(またはビーム)16h、17hがセルに対して対称であるようなものであるが、地形が凸凹している場合、局所性によって多少の違いが生じる可能性がある。しかしながら、遠隔のエリアをカバーするという点では、統計的にはほとんど同じである。そのため、片側、例えばビーム17hの側が(山などで)経路をブロックしている場合を除けば、BHOの大部分はスムーズである。このような事態を避けるためにセルプランニングで対処すべきであるが、例外的なケースは常にあり、全てのワイヤレス通信と同様に、トンネルやビルなどが該当する。
【0046】
動作において、各衛星20A、20BのFoV内のセル51、52は、指定されたRFポートを介してそれぞれのeNodeBのBBU12(A)、12(B)と通信する。具体的には、沈みゆく衛星20AのFoV内のセル51は、沈みゆく衛星20Aを介し、第1のビーム16を介して通信する。次いで、沈みゆく衛星20Aは、第1のGWアンテナ14Aを介し、第1の(プライマリ)RF送受信(TRx)ポート12A(1)を介して、ゲートウェイサイト31におけるクラスタ12(CA)のeNodeBファームの1つまたは複数の第1のBBU12(A)と通信する。そして、昇りゆく衛星20BのFoV内のセル52は、昇りゆく衛星20Bを介し、第2のビーム17を介して通信する。そして、昇りゆく衛星20Bは、第2のアンテナ14Bを介し、第1のRFTRxポート12B(1)を介して、クラスタ12(CB)のeNodeBファームの1つまたは複数の第2のBBU12(B)と通信する。各eNodeBは、単一のセル51、52と通信する。
【0047】
複数のセルがオーバーラップ領域(重複領域、重複する領域)50ABに入ると、スムーズでシームレスなBHOがトリガーされる。ビームHOの瞬間には、2つのRFポート(例えば、12A(1)および12B(1))が別々に利用されるが、単純化のために、両方の衛星についてSIMO(Single Input Multiple Output)構成だけを図示する。非重複領域内のセル51、52の全ては、2つのRFTRxポート12A(1)または12B(1)のうちの1つだけがそれぞれ使用さており、各フットプリントは、通常のユーザデータトラフィックの動作のために、それら独自のビーム16、17を有する。
【0048】
しかしながら、重複領域50AB内では、複数のセル51hは、ビームHOおよびゲートウェイハンドオーバに従事している。
図2および3の例示的な実施形態では、ビームハンドオーバは、第1のセット(組)のeNodeB12(A)から第2のセット(組)のeNodeB12(B)に移動し、衛星20Aから衛星20Bに切り替えるためのプロセスを指す。ゲートウェイハンドオーバ(GHO)は、第1のアンテナ14Aから第2のアンテナ14Bへ移動するためのプロセスを指してもよい。
【0049】
当初、セル51は、第1のGWアンテナ14Aを介してPCI13A(1)を用いてプライマリポート12A(1)を介して衛星20A用のクラスタ12(CA)の第1のeNodeBファーム3のBBU12(A)と通信している。これらのセル51が重複領域50ABに入ると、これらのセル51は、昇りゆく衛星20BおよびGWアンテナ14Bを介して、同じeNodeBファーム3のBBU12(A)のセカンダリポート12A(2)とも通信するが、異なるPCI13A(2)を用いる。この時点で、eNodeB12(A)は、セカンダリTRxポート12A(2)を有効にし、第2のGWアンテナ14Bを介し、ビーム15を介して昇りゆく衛星20Bと通信し、新たなビーム17hを介してセルとも通信する。このようにして、衛星20Aからのビームは、サービングビーム16hからサービングビーム17hへのHOを開始することができる。
【0050】
このように、沈みゆく衛星20Aが下降を続け、昇りゆく衛星20Bが上昇を続けると、複数のセル51は、沈みゆくFoV50Aから重複領域50ABに移動し、さらに、昇りゆくFoV50Bに移動する。それらが重複領域50ABに入ると、BHO処理が実行され、複数の地上セル51は51hに変更される。BHOの本質的な部分は、昇りゆく(上昇する)衛星20Bにおいては新しいターゲットとなるセルであるが、地理的には同じセル51hに対して、昇りゆく衛星20Bが異なるPCIを持つ別の「偽のセル」を提供することである。新しいセルには、eNBファーム3内にベースバンドユニット(BBU)と呼ばれる別のプロセスデバイスが必要となり、一般にデフォルトでは、各セルに、プライマリTRxとセカンダリTRxのRFポートを持つ2つのBBUが設けられる。以下の説明では、1つのセルに2つのTRxを使用するが、eNBファームの他のBBUリソースを、新しいBHOセル17hを提供するために使用してもよい。
【0051】
例えば、eNodeBファーム3内のBBU-p12(A)はセル51にサービスを提供しており、衛星ネットワーク制御センタ(NCC)は、51が51hになることをeNBおよびBBU-pに通知し、それによりeNBは、12(A)のeNodeBのプライマリRFポート12A(1)に加えて、セカンダリBBU-sおよびRFポート12A(2)をターゲットセルにスイッチオンまたはターンする(向ける)。第1のアンテナ14Aは、依然としてBHO目的のための設定ビーム16を搬送し、BHOプロセスにおいて16hとラベル付けされ、一方、同じeNodeB12(A)のセカンダリRFポート12A(2)は、ターゲットビームのルート、すなわち、第2のアンテナ14B(これは、その上昇する衛星20Bを追跡する)を取得する。第2のアンテナ14Bおよび上昇中の衛星20Bを介し、セカンダリポート12A(2)を介してセル51h内のアクティブな複数のUEとの通信を開始すると、プライマリポート12A(1)および第1のアンテナ14Aを介した通信は停止する。それらのセルは、セカンダリRFポート12A(2)および第2のアンテナ14Bを介してeNodeB12(A)との通信を継続し(ここで、それぞれのBBU12(A)は、BBU12(B)となってもよく、そして、BBU12(A)のそれぞれのセカンダリRFポート12A(2)は、BBU12(B)のプライマリRFポート12B(1)となるか、見做されてもよい)、新しい昇りゆく衛星がやってくるまでその状態が続き、新しい昇りゆく衛星が来た時点で、第1のアンテナ14Aおよび第1のBBU12(A)のポート12A(1)を介して、その新しい昇りゆく衛星と通信することに切り替わる。BBU12(A)と12(B)は、それぞれそれらのクラスタ12(CA)と12(CB)の信号処理ユニットの1つであり、GW追跡アンテナ14Aと14Bと、それらのFoV内のほとんどのセルとにそれぞれ動的にサービスする処理デバイスを例示しているが、BHOセルは除かれ、各HOセルに対して2つのRFポートがあり、したがって、ソースセルは、複数のBBUに示されているように、2つのRFポートpとsとを介して14Aと14Bの両方を同時に使用する。BHOの後、セルのBBUは概念的に12(CA)から12(CB)に移行する。衛星がその軌道の下で異なる地上セルにサービスを提供するため、追跡ディッシュ(追跡アンテナ)にサービスを提供するBBUのプール(共同体)は静的ではなく、GWチャネルルーティングブロック10はNCCの監督の下でチャネルルーティング機能を実行する。ゲートウェイサイト31におけるゲートウェイチャネルルーティングブロック10は、ポート12A(1)、12A(2)を、それぞれビーム16h、17hに、適切なアンテナ14A、14Bでルーティングまたは接続し、ここで、GWアンテナ14B上のビーム17h信号は、GWまたはGWアンテナ14BのIQインターフェースストリーミングにおける別個の細線1214B(例えば、別個の細線インターフェース)として示され(または対応し)、対応するeNBがそのセル51hのBHOを処理し始めることを意味する。
【0052】
デフォルトでは、1つのeNB(すなわち、eNodeB)12は2つのRFポートを持ち、地上波ネットワーク(TN)では1つのセル(同じPCI)の信号を送信する。ビームHOでは2つのポートを使用し、2つのポートのそれぞれは(1)および(2)とラベル付けされ、同じeNBから信号を送信するが、2つの異なる物理セルIDのPCI(13A(1)、13A(2))を使用する。ただし、1つのeNBからの同じセルであっても、運用上は異なるセルに関連付けられ、1つのPCIが衛星20Bとゲートウェイアンテナ14Bとに対応する必要がある。したがって、そのビームは、昇りゆく衛星20Bから導くことができ、異なるPCIは、別の隣接セルが利用可能であるとUEをだますことになり、HO手順およびプロトコルは、12A(1)の現在のビームを12A(2)にHOさせるために使用することができ、それは同じeNBからの同じセルであってもよく、しかしながら、2つのGWを介してその2つのRFポートを使用することで、2つの衛星は、ビームHOの目的のために「Ncell」となる。
【0053】
各eNBの複数のRFポートは、任意のGWアンテナ(14Aまたは14B)に切り替えることができ、
図2の2つのGWアンテナ14A、14Bに関連する項目は、それぞれAおよびBで区別され、12(A)は、GWアンテナ14Aに信号を送信するeNBの1つであり、12(B)は通常、GWアンテナ14Bに信号を送信する別のeNBである。しかしながら、ビームHOの間、12A(2)は、HOのステップとして、GWアンテナ14Bへのストリーミングを開始することができ、ポート(1)と(2)とは、AとBへのマッピングを開始することができ、それらは衛星/GWアンテナのラベリングであり、それは、UEがスムーズなHOを持つためのBHOメカニズムの革新的な部分を反映している。
【0054】
つまり、12(B)は、フットプリント50B内の複数のセル52にサービスを提供するそれらのeNBを指し、RFポート12A(2)は、第2のRFポート12A(2)を介して、フットプリント50A内のセル51からフットプリント50B内のセル52への遷移中のBHOセル51hに対応し、BHOセル51hがセル52であると仮定する。RFポート12A(1)は、フットプリント50A内のセル51に対応し、GWアンテナ14Aを介して通信する。RFポート12A(2)は、それぞれのセル51hが重複領域50ABにある場合に、BHO用GWアンテナ14Bに1つずつ追加される。未変更のUEを取り扱うために、RFポート12A(2)は、BHO中に使用される。
【0055】
図3は、アクティブな複数のUE30、eNodeB12(A)、およびゲートウェイチャネルルーティングブロック10間の相互作用と、それらがBHOのためにどのように協働または動作するかを示している。BHOは、スムーズでシームレスなBHOを実現するために、複数のeNodeBの制御下でCFRA(Contention Free Random Access、競合のないランダムアクセス)を使用する。アイドル状態の複数のUEは、このようなeNodeBの支援を必要としない。BHO後、アイドル状態の複数のUEは前述のようにセルの再選択を行い、必要なときにCBRA(Contention Based Random Access、競合ベースのランダムアクセス)を使用してeNodeBからサービスを受ける。
【0056】
3GPP仕様でCFRAが複数のセル間のUEのHOのために意図しているのと同様に、矢印の図は、CFRAが事前にスケジューリングされ、MSG1からMSG2が、BHO中の各UEに対して適切なTAを持つように十分に準備され、HOが完全な同期HOとして実行されるように、どのような条件が形成されるかを示している。
【0057】
特定の例では、2つのHOビーム16hおよび17hをBHOセル51hにオーバーレイ(重複)させる場合、2つのRFポートのPCI値は、CRSREオーバーレイを回避し、互いの干渉を最小化または低減するように選択され、2つのビームフレーム構造は、MIB、SSS、PSSSSB(5G用)、およびSIBが重複するのを回避するために、1.5msなどの時間オフセットが与えられ、それにより、アクティブな複数のUEがそれらを容易に区別し、2つのセルの詳細を区別できるようになる。
【0058】
他の例では、ゲートウェイサイト31は、例えば、eNodeB12(A)を介して、重複エリア50AB内のセル51h内のアクティブなユーザー機器(UE)を識別し(または重複エリア50AB内のセル51h内にアクティブなユーザー機器(UE)が存在するか否かを判定し)、アクティブなUEが識別できないときは、沈みゆく衛星20Aから昇りゆく衛星20Bへのハードビームハンドオーバを適用する(例えば、ソースビーム、例えば16hをオフにすると同時に、ターゲットビーム、例えば17hをオンにする)。
1つのゲートウェイサイトが同時に2つの衛星にリンク(1G2S)
【0059】
図1、
図2は、1つのゲートウェイサイト31と2つの衛星20A、20Bを示している。2つの衛星20A、20Bは、同じGWSによってサービスされ(1G2S)、ゲートウェイサイト31は、複数の衛星にサービスする複数のゲートウェイアンテナ(追跡ディッシュアンテナ)14A、14Bを有することができる。衛星20Aから衛星20BへのBHOは、そのサービング(サービス中の)衛星20A、20Bをそれぞれ追跡するために、2つのディッシュアンテナ14A、14Bをそれぞれ使用することができる。ビーム16は、衛星20AのFoV(またはフットプリント)50A内の複数のセルにサービスを提供し、ビーム17は、衛星20BのFoV(またはフットプリント)50B内の複数のセルにサービスを提供する。図示された実施形態では、各衛星(例えば、20A、20B)は、eNodeBファーム3と通信し、各衛星が、eNodeBファーム3内の1つまたは複数のeNodeB12(A)のクラスタ、または1つまたは複数のeNodeB12(B)のクラスタ(例えば、GWアンテナ14A、14Bと同位置に設置され、GWS31を形成する)と常に通信し、またはする必要があり、それによりLTEサービスを提供し、各セルが、eNodeBのそれぞれのクラスタ内のeNodeBによってサービスされる。沈みゆく衛星FoV50A内の複数のセル51は、衛星20Aが通過する間、衛星20Aを介してeNodeB12(A)のクラスタによってサービスが提供されている。衛星20Aのサービスの終了間際(それらのセルがそのFoVから外れる前)に、それらのセル51は、衛星が重複する領域50AB上にあり、以下に説明するように、例示的なプロセスによりBHOを通過することができる。
【0060】
1.BHOセルには、2つのオーバーラップビーム(重複ビーム)16hと17hを適用することができ、BHOセルのラベルは51hとなる。
【0061】
2.サービングビーム(サービス中のビーム)16はHOソーシングビーム(HO用のビーム)16hに変更される。HOソーシングビーム16hはビーム16とほぼ同じで、PCI13A(1)の使用を継続するが、ビーム16hの優先順位はBHO用となる。
図3は、ビーム16hの主な機能を示しており、ビーム16hは、BHOを円滑に達成するために、対応するビーム17hと協働することができる。
【0062】
3.ターゲットHOビーム17hもビーム16と同様であるが、代替(異なる)PCI13A(2)を有し、同じeNodeB12(A)の別のRFポートから提供される。
【0063】
図2に示すように、ビーム16hは、PCI13A(1)を用いてeNodeB12(A)の1次(プライマリ)TRxポート12A(1)から通常通り供給され、ターゲットビーム17hは、同じeNodeB12(A)からの新たなHOビームであるが、ターゲット衛星20Bを介して新たなPCI13A(2)を用いて2次(セカンダリ)TRxポート12A(2)から供給される。HOの後、同じBBUの第2のRFポートからのビーム17h(セルBWが同じであれば、ここではeNodeBのHOは行わず、ビームHOを行う。これは衛星のモビリティであり、UEのモビリティ処理ではないため、同じeNodeBを維持する)は、新しいターゲットビーム17となる。さらに、同じサービング(サービス中の)eNodeBのBBUは、BBU12(A)のためにクラスタ12(CA)を離れ、BBU12(B)のためにクラスタ12(CB)に加わり、上昇する衛星20BにサービングするBBUの1つになることができる。BHOは、ソースHOビーム16hによって現在カバーされているセルと同じセルにターゲットHOビーム17hを重ねることによって達成される。セルBWが変更される必要がある場合、BHOは、新たに要求されたセルBW(CBW)のために構成された別のBBUを使用する良い機会であり、上記の同じCBWのプライマリRFポートおよびセカンダリRFポートの例は、新しいCBWに適合する必要がある。しかしながら、ピンポン(ping-pong)PCIの展開とメカニズムは同じである。
【0064】
ビーム16h、17hは、ダウンリンク(UE Rx)およびアップリンク(UE Tx)の両方に使用される。50ABのあるHOセルでは、一対のピンポンPCI13A(1)、13A(2)が2つのTxRFパスに割り当てられ、同じeNodeBによって同じセル51hに配信される。UEは同じPCIを持つセルにHOしないため、BHOが発生すると異なるPCIが使用される。したがって、各セルは2つのPCIを有し、例えば、1と4であり、BHOごとに異なるPCIが存在する。あるセルのPCIが1であった場合、HOビームはPCIが4となり、次のビームのHOはPCIが1に戻ってもよい。このように、1つのセルのPCIは、1-4-1-4-1-4のように交互になってもよく、ピンポンPCIの設計により、複数のeNodeBと複数のUEとは、BHOに対して3GPPで定義されたHO手順を使用して、衛星モビリティの問題を解決できる。
【0065】
上昇する衛星からのオーバーラップ(重複)ビーム17hは、16hとほぼ同じであるが、PCIが異なる。最初に、オーバーラップビーム17hのPCIが異なるのは、UEにサービスを提供するソースビーム16hの指令により、衛星20Bからのターゲットビームに対して、UEがCFRAを行うためである。BHOビーム16hおよび17hは、同じeNodeBから来る。UEが新しいビーム17hに同期すると、アクティブなUEはブロードキャスト情報を読み取り、適切なセルを選択する。これらのUEはシステム情報ブロック(SIB)を使用して、PRACHがいつどこで発生すべきかを理解する。さらに、ソースビーム16hはRRC(Radio Resource Control)のコネクション再構成(connection_reconfiguration)を送信し、アクティブな複数のUEに昇りゆく衛星50BのPCIでターゲットビームを測定するよう命令する。ターゲットビームのRSRP(Reference Signal Receiving Power、電波強度)とRSRQ(Reference Signal Receiving Quality、受信品質)が測定され、eNodeBに報告されるため、eNodeBはBHOの条件が正しいことを知ることができる。
【0066】
セル51hのeNodeB12(A)では、ターゲット衛星20Bが別のPCIを持つ新しいターゲットHOビーム17hを送出する一方、ソースHOビーム16h上のTx信号は、ターゲットビーム17hのPCIをUEに提供して、そのUEが測定し、それに応じてUEはターゲットビーム17hと同期することができる。ターゲットビーム上のRxは、CFRAのランダムアクセスレスポンス(RAR)に必要なタイミングアドバンス(TA)値をeNodeBに提供する。ソース衛星のTxは、CFRAのためにターゲットPCI13A(2)を複数のUEに送信する。複数のセルのeNodeB12(A)は、オーバーラップ領域50ABのHOタスクを分担して、HOセル51hの各々に対してこれらの処理を並行して実行することができる。BHOは、UEモビリティ(の移動性)を含め、通常のeNodeBのスケジューリングおよびタスクのトップにあり、複数のUEがそれらの間を移動するときに必要に応じて複数のビームおよび複数のセルを変更する。
1つの衛星が2つのゲートウェイサイトにリンク(1S2G)
【0067】
図2の左側に示すように、衛星20AのFoVは2つまたはそれ以上のGWのフットプリント(GFP)を持ち、両方のGFPからサービスが必要な場合、1S2GがGHOの条件となる。eNodeBが別のゲートウェイサイト32上にある複数のセル53(ダッシュ線を引いたセル)にサービスを提供するために、50Aの第1のセル53が衛星20Aからのサービスを要求し、第2のGW-SAT(GW衛星)リンク13が必要になったときにGHOが開始される。したがって、衛星20Aには1S2G条件が必要である。
【0068】
図5はさらに、互いにリンクされたGW、および2つのGWSを含むGHOに関連するコアネットワークを示し、
図2に示された異なるGWSによってサービスされるセル51とセル53の間のUEモビリティケースを含む。
オペレーション
【0069】
複数のeNodeBファームは何1000ものセルをホストし、何100ものeNodeBが地表に固定された対応するセルにサービスを提供する。衛星は高速なので、いくつかのセルが動的に衛星フットプリントに入ってくる一方で、他のセルが動的に衛星フットプリントから出ていく。つまり、衛星にサービスを提供するGWSは、衛星の移動に伴ってeNodeBのクラスタを変更し、複数のeNodeBはGW-衛星リンクも変更する。このような動的なセル変更の課題に対応するために、場合によっては、eNodeBのファームハードウェア上で実行されるeNodeBソフトウェアは他のハードウェア(HW)にフロートする必要があり、そのハードウェアは数100km離れ(GWSダイバーシティ設計の場合)、GWSとそのeNodeBファームハードウェアが、セルにサービスを提供するソフトウェアに対して最適な構成(または適切な構成)であるときにeNodeBのミラーイメージを迅速に取り込んでもよい。例えば、GWSダイバーシティ設計(GWSの多様性のある設計)では、2つのGWSが数100km離れていてもよく、冗長サイトがGWSのミラーリングを迅速に実行することで、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。どの固定セルも、異なるホスト上で動作する固定セル用のソフトウェアのコンテキストを維持しながら、どのGWSロケーションのどのeNodeBハードウェアでもサービスを提供することができ、これをここではeNodeBミラーリングと称する。一部の例では、固定セルにサービスを提供するためのeNodeBハードウェアを、第1のeNodeBハードウェアから第2のeNodeBハードウェアに変更でき、ソフトウェアのコンテキストは第1のeNodeBハードウェアから第2のeNodeBハードウェアに移動できる。コアネットワークは、サービングeNBの変更に応じて、ページングやシステム情報を配信するために、対応する変更を行う必要がある。これは、特定の例外的な場合に特に有効である。
【0070】
eNBのHWを二重化せずにGWSの多様性(ダイバーシティ)を利用するもう1つの方法は、GWS間の長距離フロントホールファイバーリンクを使用することである。これは安価なオプションであるが、ファイバーTRxの遅延を計算する必要があり、通常、ファイバーリンクが設定され、期待通りに動作すれば、遅延は固定され安定する。
【0071】
図3を参照すると、システムの動作(処理)200が示されており、具体的には、複数のUE30において、それらのサービングeNodeB12(A)、およびゲートウェイチャネルルーティングブロック10を含む関連するサービングゲートウェイにおける動作(処理)が示されている。BHOは、1つのeNodeB12(A)によってサービスされるアクティブセルで始まり、アクティブな複数のUE30は、DLおよびUL用のGWアンテナ14AのIQストリーミングでサービスを取得し、衛星20Aは、そのFoV内の51のような全てのセルを追跡する。すなわち、ステップ260で、ゲートウェイ10は、1つまたは複数またはすべてのGWS上で、それらのeNodeBおよび衛星への接続を確立する。1つのGWS(例えば31、32)は、来るべき衛星および関連するGWが、いつでも任意の衛星との必要なリンクの準備ができていることを知っているか、または認識しており、GHOのニーズを満たす。これは、事前にスケジューリングされ、複数のGWSと複数の衛星の経路の位置に関連している。ステップ262で、GW(例えば、GWチャネルルーティングブロック10)は、セル51、52、53に対して遅延補償(または遅延正規化)およびドップラー補償を実行し、衛星20A、20Bによって引き起こされる遅延変動およびドップラー効果がeNodeBで処理する要因でなくなるようにする、すなわち、各セルの中心に対して遅延およびドップラーを補償して、例えば、動的にゼロに近い差分遅延およびドップラーを提供する。この補正(補償)はセル中心に対して行われ、セルの端では残留遅延とドップラー効果はUEの引き込み範囲(同調範囲)内であり、LTEサービスを受けることができる。いくつかの例では、GW(例えばGW10)は、セル中心においてUEがそのタイミングアドバンス(TA)を中間点(すなわち、ミッドポイント)のタイミングアドバンス(TA)値と等しくなるように、遅延正規化を実行するように構成されてもよい。すなわち、例えば、セル中心(例えば、ビーム中心)において、UEは、そのタイミングアドバンスを、TA値の範囲の中点値である中間のタイミングアドバンス(TA)値と等しくなるようにすることができる。
【0072】
ステップ220でアクティブセルが重複領域50ABに入ると、衛星通信システムはeNodeBにBHOを開始するように伝える(または指示する)。例えば、eNodeBは、アクティブセルが重複領域50ABに入ったときに、サットコムシステム(衛星通信システム)から送信された開始指示信号を受信したことに応答して、BHOを開始してもよい。ステップ222および264は、IQストリームを正しい衛星と正しいGWに切り替えるためのサブフレームごとの調整のためのeNodeBおよびGWのハンドシェイク信号および動作である。
【0073】
ある時点で、セル51は重複領域50AB、つまり2つの衛星50A、50BのFoV(またはフットプリント)の重複領域にある。BHOはオンであり、セルはBHOセル51hとなる。BHOはエリア50ABで起こらなければならない。全てのアクティブなUEを沈みゆく衛星のビーム16から昇りゆく衛星のビーム17に移動させるプロセスが開始される。この時点で、ゲートウェイ10およびeNodeB12は、ステップ264で、ビーム16を16hおよび17hに変更してビームハンドオーバーを開始することを通知され、eNodeBがBHO機能を実行することになる。ステップ222、266で、eNodeB12(A)とゲートウェイ10は、eNodeB12(A)の2番目の(セカンド)RFポート12A(2)をビーム17hのためにオンに切り替え、16hは16と同じままで、新たに追加されたビーム17hの処理を開始する。20Aから20BへのBHOが終了し、両衛星(20A、20B)がその上空を周回しているが、セル51hは、もはや沈みゆく衛星20AのFoV50Aには含まれず、昇りゆく(上昇中の)衛星20BのFoV50Bに含まれる。したがって、セル51hは、上昇中の衛星20Bの配下に新たに追加されたセルであり、衛星20Bの配下のセル52と同様になり、ビーム17hはビーム17に変更される。
【0074】
BHOの手順を以下に示す。目的のTRxビーム17hをビームHOセル51hに送出する。GWS31は、余分なRFポート12A(2)の中間周波数(IF)信号を用いて、衛星20B用のGW-衛星リンク15にマッピングし、新たなビーム17hを供給し、セル51hにオーバーレイ(重複)するようにする。セル51h(両方の衛星20A、20Bの重複領域50AB内)は、ソース衛星20Aからのビーム16hとターゲット衛星20Bからのビーム17hの2つを持ち、アクティブなUE(RRC_connected状態)がターゲットビーム17hでBHO手順(コマンドまたはステップ226)がeNodeBから開始されることを把握する。RRCには、アイドル中、切断された、および接続された、の3つの状態がある。接続されている場合は、基本的にeNodeBとUE間の接続が確立され、UEにサービスを提供する準備が整っていることを意味する。UEが一定期間、サービスを受ける必要がない場合、非アクティブの時間が経過してUEはアイドル状態になり、eNodeBはそのUEの複数の無線リソース(複数のRR)のサービス予約を行う(すなわち、その無線リソースは他のアクティブなUEに割り当てられる)。
【0075】
ソースビーム16hとターゲットビーム17hは、地上に固定された同一の物理セル51hに、2つの異なるPCI13A(1)と13A(2)とをそれぞれに用いて重ね合わされる(オーバーレイされる)。したがって、セル51h内の複数のUE30は、ビーム16hおよび17hを2つの異なるセルに対応するものとして認識することができ、PCIを交互に使用することによって衛星BHOを実現することができる。eNodeBの2つのRFポート12A(1)、12A(2)は、2つの衛星20A、20Bから2つのRF経路16h、17hを介してセル51hにピンポンPCIを配信する。
【0076】
ゲートウェイ10は、eNodeBと連携して、ステップ260から266の間の適切なタイミングで、これらのRF経路をルーティングまたは切り替える。ステップ224のTRx動作により、衛星BHOが円滑に開始され、eNodeBの制御下で
図3のステップにより良好なユーザー体験(ユーザーエクスペリエンス)が維持される。いくつかの例では、ステップ224のTRxアクションは、新しいPCIを送信すること、およびBHOスケジューリングに対するUEの応答を受信することを含んでもよい。複数のUEがビーム17hに完全にHOされ、BHOが終了し、それらのUEが衛星20Bのサービス下にあるか、または衛星20Bのサービス下のセルの1つに含まれると、サービス中のビームはビーム17の1つとなる。BBUは、同じCBWに対して同じものであることに変わりはないが、GWS31の異なるCBWに対して(例えば、ハードウェア的に)異なるものであってもよく、概念的にクラスタ12(CA)からクラスタ12(CB)に変更され、それに応じて、eNodeB(またはそのラベリング)は、eNodeB12(A)からeNodeB12(B)に変更されてもよい。衛星は、重複領域がセル51hを残して前進し、そのセルがセル52の1つになる前に、衛星20Aから衛星20Bに変更される。50ABのすべてのセルは、サービス中のeNodeBと並行してこのBHO手順を実行するが、そのための十分な時間(多くの秒数)はある(衛星コンステレーションの設計によって十分な時間があるはずである)。
【0077】
また、
図3において、eNodeB12(A)は、ソースeNodeBとして、PCIの準備と共に開始し、ステップ222でハンドオーバーが開始する。さらに、ステップ224において、eNodeB12(A)は、1つのRFポート12A(1)上でソースセルPCI13A(1)(例えば、値は1)を使用し、別のRFポート12A(2)を準備し、別のPCI13A(2)を送信する。
【0078】
アクティブな複数のUE30側では、それらのUE30は複数のTNセルの複数のUEと同様にサービスを開始する。ステップ205は、BHOおよびGHOに関するUEの一般的な開始点を示す。ステップ226でeNodeBは、ステップ210で示すように、RRC_connected状態の複数のUEのスケジューリングを開始し、UEにターゲットビームPCI13A(2)を見つけてBHOの測定を報告するように伝達または指示する。
【0079】
複数(M個)のUEは、さらに測定レポート212を送信する(効率化のために複数のUEをスケジューリングすることができる)。クラスタ12(CA)内のBHOのeNodeB12(A)は測定レポートを受信し、ビーム17hがHO条件を満たし、引き継ぎを行うのに適した状態であることを知る。同時に、UL信号212(例えば、測定レポート)により、eNodeB12(A)は、ステップ230において、(WRT)ビーム17hに関してバッチ内のM個のUEの各々の新しいRFパスTAを取得することができる。次に、eNodeB12(A)は、ビーム16h上で進行中のユーザープレーンのトラフィックを一時停止し、BHOのコンテンションフリーランダムアクセス(無競合ランダムアクセス、CFRA)のためのプリアンブル(前文)を割り当てる。次に、BHOのeNodeBは、ステップ232において、M個のCFRAのプリアンブルを、M個のUE30に送信し、複数のCFRAがビーム17hに発生し、eNodeBが、割り当てられたプリアンブルによって各UEを知るか、または認識することができる。ステップ234で、BHOの複数のeNodeB12(A)は、また、バッチ中のすべてのUEについて正しいTAを有するRARを準備し、236でスケジュールされたように、MSG1を取得する前にそれらを送信する。ハンドオーバービーム17hのBHOの複数のUEの複数のTAを取得する方法は、沈みゆく衛星のサービス中のビームの複数のTAに基づく。これらの2つのビームは両方とも同じeNBのベースバンド信号処理ユニットによって処理され、ULグラントコマンドによってどのUEに対するどのRBであるかを知ることができ、それらのRBの2つの受信信号を相関させることによって、CFRAでRACHを待つことなく、昇りゆく衛星のビームの新しいTAを事前に計算することができ、事前にRAR(MSG2)を送信し、MSG2に対するUEの予定(予想)に合わせることができる。TAに新たなエラーが発生した場合、MSG2の後に受信されるMSG1からTAの変更を追跡できる。これは、多くのアクティブなUEが数分ごとにBHOを通過する場合の課題である、BHOの速度を解決するための重要な革新的追加機能である。
【0080】
ステップ214において、複数のUE30は、信号232に応答して、PRACHのためにビーム17hにCFRAを含むMSG1を送信し(例えば、仕様で定義された手順で)、UE30がソースHOビーム16hからターゲットHOビーム17hに移動しようとしていることをeNodeB12(A)に通知する。プリアンブルが使用されるか、または含まれており、ビーム17hが複数のUE30を識別および区別するのを助ける。したがって、複数のUE30は、ステップ216において、M個のMSG1のCFRAをクラスタ12(CA)のeNodeB12(A)に送信する。さらに、クラスタ12(CA)のeNodeB12(A)は、ステップ236で、M個のMSG2のRARを複数のUE30に送信する。
【0081】
MSG2に応答して、ステップ218において、M個のUE30は、ビーム17で使用する新しいTAを知るか、または識別し、ユーザプレーン(すなわち、データトラフィック)が再開される。そして、MSG1に応答して、ステップ240において、M個のUEのユーザプレーン(BHOのeNodeB12(A)共に)は、PCI13A(2)(値が4)で再開され、次のBHOは、PCI13A(1)(値が1)を使用し、このセルPCIは、次の昇りゆく衛星がサービスを受けるときに、周期的に、例えば、数分ごとに[1,4,1,4・・・]と変更される。
【0082】
さらに、ステップ238において、eNodeB12(A)は、全てのRRCで接続された(RRC_connected)UEのHOが終了すると、セルHO状態の更新をゲートウェイ10に送信する。次に、ゲートウェイ10は、BHOのためのPCI13A(1)を有するeNodeBのRFポート12A(1)をオフにし、衛星20Bのサービス下で進行中のユーザプレーンのためのRFポート12A(2)およびPCI13A(2)を使用する。2つのGWアンテナ14A、14Bおよび2つの衛星20A、20Bを介した2つのRFポート12A(1)、12A(2)からの共存するビーム16h、17hにより、BHOの信頼性が向上し、一部のUEについてCFRAが失敗した場合、スケジュールされたすべてのCFRAが正常に処理されるまで、上記の手順を繰り返すことができる。ステップ238から、eNodeBおよびGWSインターフェースの制御チャネルを介して、2つの重複するビームの後ろにある複数のBBUは、すべてのアクティブなUEが新しいビーム17h/17にHOされ、古いビーム16/16hを持つ必要がないことを知り、ステップ268でそれらを終了する。また、eNodeBは古いポートからの信号の送信を停止する。これによりBHOが終了し、BHOのeNodeBは、ステップ242および270で、クラスタ12(CB)内のeNodeB12(B)としてeNodeBファームおよびGWSに登録され、ステップ272で衛星20Bを介した通常通りのユーザプレーンのトラフィックデータ処理に戻る。いくつかの例では、eNodeBは、衛星通信システムから送信された終了指示信号を受信したことに応答して、BHOを終了することができる。
【0083】
各LEO衛星は、それらのサービス中のGWやeNodeBと共に初期化から初めるかによるが、そのFoV内のセルに対してサービスを提供できることは言及する価値がある。1つのLEO衛星は、サービスを提供する複数のセルと常に一定の相対的な移動があるため、既存の複数のセルを追跡するために常にビームをステアリングするだけでなく、複数のセルがそのFoVに入ってきたり、出ていくときに、常に近隣の衛星との間でBHOを行う。
図3のステップ244は、衛星-セルダイナミクスの処理における全体的な進行中の手順を示している。各衛星は、BHOのポイントオブビュー(PoV)から見て、同時にソースでありターゲットであり、eNodeBおよびGWSの切替と協調して、古いビームを放棄し、新しいビームを開始する。
赤道上の700kmのLEOの18のSe20用のGWe10
【0084】
図4(a)、(b)、(c)を参照すると、GWSと衛星との密度が十分であることが望ましい。そこで、BHOとGHOとについて、ここでは、本開示の非限定的な例示として3つのケースを考える。
図4(a)は、1G1S(1つのゲートウェイ、1つの衛星)シナリオを表している。この場合、1つの衛星は1つのゲートウェイにしか接続できない。
図4(b)は、2つの衛星が同時に1つのゲートウェイ局に接続できる1G2Sの場合を表す。
【0085】
図4(c)は、2G1Sを示しており、例えば衛星が広い国を通過する場合、ゲートウェイHO(GHO)を実現するために2つのゲートウェイが1つの衛星に接続される。eNodeBファームは各ゲートウェイに配置されるか、ゲートウェイ間のデータセンターに配置され、雨などの状況に対応するGWSダイバーシティ(GWSの多様性)を可能にする。これを実現するために、両方のGWの両方のGWS(または両方のGW)は、高帯域幅のCPRIまたはeCPRIファイバーリンク(フロントホール)を介して接続され、2つのGWSに必要とされる両方のゲートウェイの数100セルのDLおよびULのIQデータを渡す。そうしないと、2つのGWSの間にある複数のセルは、それらのセルにサービスを提供するために、両方のGWサイトに重複したeNodeBが必要になる。
【0086】
衛星が重複する領域では、CUおよびDUの再ルーティングの手配に加え、アクティブな複数のUE、BHOの複数のビーム、衛星、GWS、eNodeB、BHOのスケジューリング、昇りゆく衛星およびGWSの異なる複数のeNodeBの、ターゲットセルに対する複数のUEのTAを通過するGWS間eNodeBゲートウェイ相互接続リンク(X2など)を使用したアクションアライメントが必要である。GWS間の10~15msのゲートウェイ相互接続リンク(GIL)の遅延は遅延正規化の一部として考慮され、事前スケジューリングが行われ、UEは新しいDLフレームを認識できる。システムは主な時間遅延を補正し、TAはセル内のUEの位置に関連する残余部分を処理する。X2はLTEで一般的に使用されており、ここではGILの例として使用される。GILはゲートウェイ間の通信を可能にし、ハンドオーバーのケースをサポートする。
【0087】
図4(b)は1G2Sの場合を示しており、衛星は、例えば
図2に示したような、同じGWSを維持したままビームHOする。HOスキームでは、標準的な3GPP手順でUEのモビリティHOのニーズを実現するために、UEのHO手順のゲートウェイ相互接続リンクeNodeBリンクに2つの単純な情報要素(IE)を導入する。この2つの重要な変更点は、セルeNodeBの2つのRFポートに対するピンポンPCIである。
【0088】
本開示のBHOの実施形態(または例)は、PCIを偽造することによって、BHOが各UEに対する標準的なUEのHOイベントに変わることを含み、これにより、通常のUEは、どの衛星およびゲートウェイがそれにサービスを提供しているかを気にする必要がなく、eNodeBにおいても同様である。この手順により、複数のUEおよび基地局に対する衛星RANの要件が大幅に簡素化され、衛星の複雑さがRANの複数の当事者の両方に対してトランスパレント(透過的、例えば、完全にトランスパレント)になり、すべての通常の電話が衛星電話(例えば、衛星と通信できる衛星電話)に変わり、トランスパレントな衛星が有効になり、変更された基地局の低PHY(すなわち、下層の物理層)および変更されていない標準の3GPP準拠の複数のUEと直接通信できる。いくつかの例では、基地局は衛星RANと連携する機能を実装するように構成される。実際のところセルを変更するわけではないので、コアネットワークはデータフローを流用する必要がなく、現実的なセルHOも発生せず、システムに余分な負荷もかからない。
【0089】
このような変更は、システムアーキテクチャの初見としては、2つのセル間のハンドオーバーとして扱うことができ、余分なハードウェアを追加することなく、1つのセルの2つのRFポートを使用して行うことができることには言及する価値がある。デフォルトでは、各セルに2つのRFポートが用意されているため、BHOを実行する複数のUEのMIMO動作は、BHOのために数フレーム中断し、BHO後にMIMOが再開される。
【0090】
上記の機能は、基地局(2GではBTS、4GではeNB、5GではgNB)で必要となるSWの変更である。BHO手順に関連するSWの変更に加えて、一般的な衛星RANのSWの変更もある。BHOに関する主なベースラインの変更を簡単にまとめると、以下の通りである:
1.フィーダーリンクとサービスリンクのRFパスは1000km以上あるため、DL信号とUL信号に余分な遅延が発生するが、適当な値に正規化することが可能であり、その遅延関数は上述した通りである。これは基地局のRxに影響を与えるが、システム構成では既知であるため、衛星RAN基地局のRxスケジューリングはこのような遅延を考慮して変更される。
2.LTEのPRACHのように時間に敏感な手続き(プロシージャ)では、CFRAを可能な限り使用し(本開示の説明を参照)、CBRAが最初のランダムアクセスに使用され、UEの要求に合致するような高い確率の、先制するMSG2のセットが必要であり、CBRAの限定されたプレアンブルの使用を含めることにより、複数のPRACHを送る前にTAを予想することができ、2Gについて、これはRx時間を調整するために必要となる。
3.長いラウンドトリップタイム(RTT)に敏感なタイマーを持つシステム構成はすべて、より多くのRTTに耐えられるように変更する必要がある。
4.CNは、1つの地理的セルに対して2つのセルを収容するために変更し、2つの同じパラメータセットを、2つのPCIに対して割り当てられるようにし、実際にBBUが変更されない場合はユーザーデータの出力先が変更されないようにする。CNは、各リアルセルに対して追加の偽のセルが存在するという事実を理解している。
【0091】
図4a、
図4b、
図4cは、それぞれ1G1S、1G2S、2G1Sで実施されるシステムのケースを示している。それぞれ異なるケースに適している。ただし、ゲートウェイ間の情報は、衛星を経由せず、GILを経由して流れる。これは、衛星間中継をなくし、その地域のデータセキュリティ法規に抵触しないようにするためである。
図4(a)の1G1S期間やケースでは、ビームHOは不要である。例えば、衛星のFoVが、サービスを提供する必要がある地域よりも遥かに大きい場合、1Sは、地域を完全にカバーすることができる。より具体的な例として、英国や日本のような島国は、ある期間、1つの衛星のFoVでカバーすることができる。しかしながら、その地域がFoVの端に近い場合、サービスを継続するためにはBHOが必要となるため、
図4(b)の1G2Sが必要となる場合がある。FoVエッジがカバーする領域に近づくと、このエッジ上のセルを別の衛星が引き継ぐ必要があるため、1S1Gは終了して1G2Sに遷移する。
図4(c)は、次の瞬間または別のケースを示している。また、衛星がそのFoV内を飛行する際に、新しいセルをカバーする必要がある。新しいセルをホストするGWSは、追加的なサービスを提供するために1S2Gを必要とする。したがって、1G1Sは一時的なものであり、例えば1G2Sや1S2Gが続くことになる。
バックホーリング(Backhauling、返送)
【0092】
図5(a)、
図5(b)、
図5(c)を参照すると、ゲートウェイ相互接続リンクのバックホーリング(返送)が示されており、ゲートウェイ相互接続リンク(例えば、ゲートウェイ間リンク)は、LTE無線アクセスネットワークによって導入されるインターフェースの1つのタイプである。ここで、バックホーリングとは、コアネットワークへの接続性を意味し、基本的にUEからどこにトラフィックが行くか、どこからUEへトラフィックが来るかである。GILは、隣接する複数のeNodeBをピアツーピアで接続し、UEのモビリティハンドオーバー(UEがセルをまたいで移動することによる従来のTNセルHO)を支援し、無線リソースを迅速に調整する手段を提供する。ゲートウェイ相互接続リンクは、eNodeB間の専用の物理接続を必要としない。ゲートウェイ相互接続リンクは、既存のIPトランスポートネットワークを通過できる論理インターフェースである。ゲートウェイ相互接続リンクはL3ルーティングを必要としない。可能な場合、スイッチングを使用することができ、より高いパフォーマンスを得るためにはスイッチングが望ましい。
【0093】
ゲートウェイ相互接続リンクインターフェースは、TN(Terrestrial Network、地球上のネットワーク)内のすべてのeNodeB間で必要とされるものではなく、NTNビームHOは、ターゲットの複数のUEの情報を渡すために、近隣の複数のGWSのeNodeBゲートウェイ相互接続リンクのためのゲートウェイ相互接続リンクを必要とする。eNodeBファーム間のゲートウェイ相互接続リンクの明確化が必要であり、開始される。
【0094】
ゲートウェイ相互接続リンクインターフェースは、隣接する複数のeNodeB間(すなわち、1G2S+1G1S+1G2Sにおいてカバーするエリアが重複する複数のセルを制御するもの)でのみ必要となる。ハンドオーバーが発生したり、干渉の調整が必要になるのは、隣接するものの間だけである。
【0095】
図5(a)、
図5(b)、
図5(c)は、1つの衛星によってサービスを提供される2つのセル間のUEモビリティハンドオーバーのケースを示しているが、ソースセルおよびターゲットセルは、それぞれ2つのゲートウェイによってサービスが提供される。コアネットワーク35は、このようなアクティブUEセルハンドオーバーにおいて、GWS31のソースeNBからGWS32のターゲットeNBへのユーザデータフローを処理する必要がある。
【0096】
幾つかの例では、ゲートウェイサイトのハンドオーバーがセル粒度で行われ、または実行され、1つのセルが1つのGWSに関連付けられ、衛星が軌道周回中に1つのゲートウェイカバレッジエリア(または1つのゲートウェイサイトカバレッジエリア)から別のゲートウェイカバレッジエリアに移動する。複数の衛星は、1G2S状態(
図2を参照)において、ソース衛星20Aからターゲット衛星20Bに通信を転送(またはスイッチ)することができ、および/または、ゲートウェイアンテナ11Bおよび14Aがそれぞれ2つのGWS32、31に属する1S2G状態においては、衛星20Aに対して、ゲートウェイサイト31のゲートウェイアンテナ14Aからゲートウェイサイト32のゲートウェイアンテナ11Bに通信を転送することができる。したがって、GHOはBHOに埋め込まれ、ソフトHOはBHOに適用され、GHOは、UEの粒度で、遥かに長い時間(何秒)をかけて、各アクティブUEのシームレスHOを含め、eNBの制御下で1つずつ、それぞれのセルで並列に実行される。GHOは衛星の機能であり、衛星(例えば、
図2の20A)が1つのGWS上を通り過ぎると、別のGWSがその衛星にサービスを提供し、それが次々と、自然に、多くのBHOと共に発生する。
【0097】
すなわち、GHOはBHOの粒度で行われる。ある1つのGWSからのすべてのビームが衛星(例えば、
図2の20A)から別の衛星(例えば、
図2の20B)に移動されると、衛星(例えば、20A)は、新しいセルを別のGWS(例えば、32)に取り込むためのリソースの余裕ができる。BHOおよびGHOは共にアクティブなUEそれぞれにおいて「ブレークする前に行われる」ものである。eNodeBは、17hが引き継いだときにのみ16hをオフにし、さらに重要なことに、BHOはセルのeNBを変更しないため、すべてのアクティブなUEのコンテキストが保持され、必要に応じてシームレスに有効になり、BHOの前後で同じeNBであるため、17hから17への移行が非常にスムーズに行われる(例えば、
図2に示すBHO)。
【0098】
衛星のフットプリントは前縁と後縁とを有する。BHOは2つの半円のエッジで起こる。衛星の前縁は、衛星の前にいる別の衛星がそのセルを、その衛星にHOすることで、新しいセルを獲得することができる。衛星の後方のエッジは、その衛星がそのセルを後方の別の衛星にHOすることにより、セルを手放すことができる。これらの縁(エッジ)は一般的に仰角20度以上で定義されるが、必要であれば仰角の低い複数のセルをカバーするように拡張してもよい。
【0099】
いくつかの例では、GWSはフットプリントも持ち、それはそのFoVよりも小さいか、あるいは遥かに小さくてもよい。GWSのFoVとは、GWSがカバーまたは到達できる領域を意味する。しかしながら、オペレータは、通常、コストを節約するために、FoVのすべての部分ではなく、FoVのいくつかの部分をカバーするように選択または設定することができる(ただし、可能である)。オペレータがGWSのeNBにFoVをカバーまたは到達するように割り当てる領域がフットプリントと呼ばれ、GWSが到達できるだけでなく、その「foot、(足、歩兵)」を持つ領域でもある。
【0100】
GHOプロセスの1つは、前述したように、
図2に示すように、セル51からセル53へのUEの移動(モビリティ)のためのものである。これは、準備(
図5(a))、実行(
図5(b))、および完了(
図5(c))の3つのフェーズを有する。準備フェーズ(
図5(a))の間、UE30は、GWS31内のソースeNodeBに接続され、そこからコアネットワーク35(例えば、コアは複数のノードによって形成され、これらのノードは、モビリティ管理、認証、セッション管理、ベアラ(運搬)の設定、および異なるQoSの適用などの複数の機能を提供する)に接続される。ある時点で、UEが、ターゲットeNodeBがGWS32内にあるセル53に移動すると、eNodeBはビームHOのハンドオーバー通知を受信する。実行フェーズ(
図5(b))では、UE30はGWS32内のターゲットeNodeBに接続されるが、トラフィックはゲートウェイ相互接続リンク(フォワードリンク)34を介してソースGWS31にルーティングされ、その後コア35にルーティングされる。最後に、完了フェーズ(
図5(c))では、UE30はターゲットGWSeNodeB32に接続され、そこからコア35に接続される。このように、衛星20とコア35との間の通信は、最初は、ソースゲートウェイサイトのGWS31のeNodeBを介して行われ、ターゲットゲートウェイサイトのGWS32のeNodeBに転送される。
【0101】
図示の実施形態では、ゲートウェイ(またはゲートウェイサイト)は、eNodeB12など、本発明に従って様々な機能および動作を実行する処理デバイスを含むことができる。処理デバイスは、例えば、コンピュータ、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはコントローラなどのコンピューティングデバイスとすることができる。処理デバイスは、例えば、有線もしくは無線通信リンク、および/またはアナログもしくはデジタルメモリもしくはデータベースなどの記憶デバイス(複数可)を含む多種多様なコンポーネントもしくはサブシステムのうちの1つ以上を備えることができる。本発明で利用されるシステム、プロセス、および/またはデータのすべてまたは一部は、記憶装置上に格納されるか、または記憶装置から読み出され得る。処理装置は、記憶装置上に記憶され得るソフトウェアを実行することができる。別段の記載がない限り、プロセスは、好ましくは、プロセッサによって実質的にリアルタイムで遅延なく自動的に実施される。本開示のシステムおよび方法は、電子情報源からのデータにアクセスするコンピュータソフトウェアによって、標準的なUEを使用して実施(実装)することができる。上述したコンテンツが格納する、または格納するとされたコンテンツを共に記憶する1つまたは複数の非一過性の物理的媒体を含む。
【0102】
ある実施例では、本開示の衛星通信システムでは、衛星が高速(7~8km/s)で動的に通過する間、固定セルの追跡を介して、基地局とそのサービス中のセルとの1対1のマッピングが維持される。ある実施例では、本開示の衛星通信システムでは、ゲートウェイの配置は、ゲートウェイのセルにサービスを提供する衛星が、スムーズなGWのHOのためにゲートウェイへの見通し線(Line of sight、LOS)を有するようになされる。
【0103】
一例では、衛星通信システムはミラーになるように構成され、基地局ソフトウェアは、UE、組み込みGWHO、GW/基地局(BTS、eNodeB、gNodeB)コアネットワークにトランスパレント(透過的)であり、トラッキングエリアコード、ページング、およびシステム情報X2リンクに関する適切なサポートを行い、3GPP仕様を満たすためにGWS変更による位相およびタイミングの変更を含めてサポートし、位相およびタイミングは、フィーダーリンクおよびサービスリンクに起因した大きな遅延を参照(それらに関連、または呼応)してもよい。システムを動作させ、変更されていないUEで動作できるようにするには、これらの調整または設定を行う必要がある。特定の例では、コアネットワークの適切なサポートは、eNBの修正およびPCI割り当ての変更を参照したり、またはそれを含んでもよく、位相およびタイミングは、フィーダーリンクおよびサービスリンクによって生じる長い遅延を参照してもよい。システムを、変更されていないUEと共に動作できるように、これらの調整を行うことができる。
【0104】
いくつかの例では、基地局は、設定可能な固定往復遅延をサポートし、長いRF経路遅延に関連する様々なタイマーを適宜設定するようにしてもよい。
【0105】
特定の例では、アクティブな複数のUEのビームハンドオーバーは、標準的なUEのHO手順を使用して、同期されたシームレスなハンドオーバーを、1つずつ実現し、複数のUEや基地局が、どの衛星およびどのゲートウェイがサービスを提供しているかをハンドリングすることなく、この機能は衛星ネットワークコントロールセンターによる。セル単位でのゲートウェイのハンドオーバーは、軌道上の多くのビームハンドオーバーを経由して達成される場合がある。
【0106】
特定の例では、本開示の衛星通信システムでは、複数のゲートウェイが、数100kmから1000km以上といった、地上ネットワークで使用されるものより遥かに長い長距離フロントホール光ファイバーによってリンクされ、ゲートウェイサイトのハンドオーバーを、GWSダイバーシティ、カバレッジ効率と共に可能としている。
【0107】
本開示では、衛星RANにおける最も困難な問題の1つを解決するためにUEのハンドオーバー手順を再利用することによって衛星モビリティを解決し、旧来の通常のUEを衛星電話に変えることができるLEO衛星通信システムは、第1の複数のセルを含む第1の視野を有する第1の沈みゆく衛星と、第2の複数のセルを含む第2の視野を有する第2の昇りゆく衛星と通信する。第1および第2の衛星は重複する視野(重複した視野、重複視野、オーバーラッピング視野、オーバーラップした視野)を有し、その中に重複する複数のセルが位置する。第1の処理装置は、第1のビームを介し、前記第1のアンテナを介して前記第1の複数のセルの第1のセルと通信する第1の通信ポートと、第2のビームを介し、前記第2のアンテナを介して前記重複する複数のセルの重複するセルと通信する第2の通信ポートとを有する。前記第1の処理装置は、前記第1の複数のセルの第1のセルが前記重複する視野(オーバーラップする視野)に移動することに応答して、前記第1の通信ポートから前記第2の通信ポートに切り替える。
【0108】
したがって、上記に開示されるように、衛星通信ハンドオーバーシステムは、第1の沈みゆく衛星と直接通信しているアクティブなユーザ機器(UE)が位置する第1の複数のセルを含む第1の視野を有する第1の沈みゆく衛星と、第2の視野を有する第2の昇りゆく衛星と通信しており、第1および第2の衛星は、第1の視野が第2の視野と重複する視野と、重複する視野内に位置する重複する複数のセルとを有する。衛星通信ハンドオーバーシステムは、第1の複数のセルに直接サービスを提供する第1の沈みゆく衛星を介してアクティブな複数のUEと通信するように構成された第1のフィーダーリンクおよび第1のトラッキングアンテナと、第2の複数のセルにおいてアクティブな複数のUEに直接サービスを提供する第2の昇りゆく衛星と通信するように構成された第2のフィーダーリンクおよび第2のトラッキングアンテナとを有する。このシステムはまた、アクティブな複数のUEと通信し、アクティブな複数のUEを制御して、第2の昇りゆく衛星と直接通信するように構成された処理デバイスを備える。
【0109】
処理デバイスはまた、第1の沈みゆく衛星および第2の昇りゆく衛星からの指示信号に応答して、ビームハンドオーバーを開始または終了するように構成され得る。アクティブなUEは、第1のサービスリンクビームを介して第1の沈みゆく衛星と直接通信し、そのアクティブなUEは、第2のサービスリンクビームを介して第2の昇りゆく衛星と直接通信する。第1のアンテナは、第1のフィーダーリンクビームを介して第1の沈みゆく衛星と通信し、第2のアンテナは、第2のフィーダーリンクビームを介して第2の昇りゆく衛星と通信する。処理装置はさらに、アクティブなUEが第1の沈みゆく衛星との通信を停止する制御をするように構成される。第1のアンテナは、第1の沈みゆく衛星との通信を停止する。処理デバイスは、アクティブなUEが重複する視野に入ると、アクティブなUEと第1の物理セルID(PCI)で第1の沈みゆく衛星を介して通信し、そのアクティブUEと第2のPCIで第2の昇りゆく衛星を介して通信するように構成される。
【0110】
衛星通信ハンドオーバーシステムは、複数のUEがデスティネーションビームでCFRAを取得する前に、2つのフィーダーリンクと重複サービスリンクとにより信号が受け取られるときの各UEのアップリンクのRB受信時間の相関により、昇りゆく衛星のBHOデスティネーションビームに必要な各アクティブUEのTAを決定することにより、、多数のアクティブなUEのBHOを効率よく行うことができる。このシステムは、レガシー(旧来の)UEに変更を加えることなく、2G、4G、5Gに適用でき(での利用が可能であり)、CFRA(MSG1)はターゲットビームで必要なときにさらなるTAトラッキングに使用される。第1の(最初の)沈みゆく衛星と第2の昇りゆく衛星はトランスパレント(透過的)であり、変更された基地局の低PHY(下層の物理層)および変更されていない標準3GPP準拠のUEと直接通信できる。
【0111】
スマート衛星のレイヤー0は、地上の多数のセルを追跡するための電子的にステア(操舵)可能なビームを形成する大規模な位相アレイと中継する。衛星が高速(7-8km/s)で動的に固定セルを通過する間、固定セルを追跡することにより、基地局とそのサービス中のセルの1対1のマッピングが維持される。ゲートウェイの配置は、複数のゲートウェイの複数のセルにサービスを提供する衛星がそれらのゲートウェイに対するLOS(見通し線、Line of sight)を有し、スムーズなGWHOを可能とする。ゲートウェイは、各セルの中心に対して遅延正規化とドップラー補正を動的に実行するように構成される。ゲートウェイは、セル中心のUEがそのタイミングアドバンス(TA)を中間点のTA値と等しくなるように遅延正規化を実行するように構成することができる。システムは、変更(再構成)可能な固定ラウンドトリップ遅延(固定往復遅延)をサポートするように適合され、長いRFパス遅延(RF経路遅延)に関連する様々なタイマーを適宜設定する。本システムは、第1および第2の通信ポートまたは複数のセルとしてそれぞれ機能する2つの無線周波数(RF)ポートに割り当てられた2つの物理セル識別子(PCI)を用いてシームレスにビームハンドオーバーを実行し、割り当てられた2つのPCIのうちの1つをそれぞれ搬送する2つの無線周波数(RF)ダウンリンク信号を生成し、2つのビームを形成し、第1の沈みゆく衛星および第2の昇りゆく衛星を介して、ビームまたはセルハンドオーバーのために、重複するセル(オーバーラップセル)上に2つのビームを重ね合わせる(オーバーレイする)。
【0112】
2つのPCIは、隣接セルPCIの配置(展開)と同様の方法で選択され、干渉を避けるために互いに直交し、MIMOの原則が適用されるため、2つのオーバーラップする(重複する)ハンドオーバービームは互いに干渉することなく動作する。アクティブな複数のUEのビームハンドオーバーでは、標準的なUEのHO手順が使用され、1つずつ同期されたシームレスなハンドオーバーが実現され、複数のUEや基地局が、どの衛星とどのゲートウェイがサービングエンティティ(サービス中のもの)であるかを処理することなく、この機能は衛星ネットワークコントロールセンターが担当する。また、アクティブなUEのないアイドルセルに対してハードBHOを実行し、PCIを変更することなく、同じアイドルセルにサービスを提供するために、同じビーム/PCI/RFポートを、あるフィーダーリンクから別のフィーダーリンクにシフトする。ゲートウェイハンドオーバーは、セル単位で、軌道に沿った複数のビームハンドオーバーによって実現される。
【0113】
衛星通信ハンドオーバーシステムは、基地局ソフトウェアをミラーリングしており、アクティブなUE、組み込みGWHO、GW/基地局コアネットワークに透過的(トランスパレント)であり、トラッキングエリアコード、ページング、およびシステム情報X2リンクに、GWSの変更による位相およびタイミングチェンジを含めて適切なサポートを行う。ゲートウェイ間リンクは、音声通話とデータ通話の両方でアクティブなUEの移動性(モビリティ)をサポートする。複数のゲートウェイは、数100kmから1000km以上と、地上ネットワークで使用されるものより遥かに長い長距離フロントホール光ファイバーによってリンクされ、複数のゲートウェイサイトのハンドオーバーを可能にすると共に、GWSの多様性(ダイバーシティ)と、カバレッジの効率を向上する。このシステムは、基地局とユーザー機器間の3GPPダウンリンクおよびアップリンク信号を中継し、通常の電話を変更(改造)することなしに衛星電話とし、世界規模で通常の複数のUEに届くようにする。また、LEO衛星のコンステレーションでカバーされていない遠隔地に、地上ベースのインフラストラクチャを構築するような莫大なコストを掛けずに、3GPPRANカバレッジを提供する。
【0114】
基地局への変更は、UEや基地局が衛星やゲートウェイとの接続を管理することなく、3GPP仕様を再利用することにより衛星RANを実現するための衛星RANの新しい機能要件によるものであり、衛星RANシステムは、衛星とゲートウェイの管理を完全に透過的(トランスパレント)なものにし、基地局を変更することでRAN機能を実行させる。衛星通信ハンドオーバーシステムは、アクティブな複数のUEに全く変更(改良)を加えることなく、標準的な3GPPのHOプロセスにより、通常のアクティブUEにサービスを提供するためのBHOを実現する。基地局は、ビームハンドオーバー(BHO)をサポートするための複数の代替セルIDを持つように変更(改造)される。2つのセルIDが交互に使用され、コアネットワークは対応する変更をサポートする。基地局は、2つのビームのRFレベルを変更するか、NWがUEのHOを開始することにより、ネットワーク側からBHOが開始されるように変更される。また、LEO衛星RANビームハンドオーバーは、地理的な衛星RANのセルごとにファントムセル(実体のないセル、見せかけのセル)をフェイクする(ふりをする、用いる)ことにより標準的なUEモビリティハンドオーバーに置き換えられ、その際、BHOのために各衛星RANセルにお互いに干渉しない2つのPCIを割り当て、アクティブな複数のUEに別のセルがあると思わせることで、BHOがシームレスに行われ、アクティブな複数のUEは自然にそれらのサービス中のビームを変更することができる。
【0115】
衛星通信ハンドオーバーシステムは、ファイバーリンクを用いた長距離フロントホールを有し、ゲートウェイサイトのダイバーシティ(多様性)を可能にし、ゲートウェイのFoVとフットプリントとを拡大する。ファイバーの遅延(レイテンシ)は、遅延補償に封入(カプセル化)されることで地上のネットワークのフロントホールよりも遥かに長い、例えば、数100kmから1000kmを超える長さのフロントホールをサポートできる。衛星通信ハンドオーバーシステムは、標準的なHOメカニズムを使用して衛星ビームハンドオーバーを実現できる。このシステムは、標準的なUEハンドオーバーモビリティ手順と互換性のある方法によって衛星モビリティを処理し、衛星モビリティによる衛星RANビームハンドオーバー(BHO)のために標準的なUEモビリティハンドオーバー手順を使用する。基地局は、BTS、eNodeB、またはgNodeBの少なくとも1つを含む。
【0116】
さらに、本開示のシステムおよび方法は、例えば米国特許第10979133号および同第11121764号に開示されているような大型フェーズドアレイに使用できることに留意されたく、それらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
前述の説明および図面は、本開示の原理を例示するものとしてのみ考慮されるべきであり、本開示は、様々な方法で構成され得、本明細書に記載される実施形態によって限定されることを意図するものではない。当業者には、本開示の多数の応用が容易に想到されるであろう。したがって、本開示を、開示された特定の例、または図示され記載された正確な構造および動作に限定することは意図していない。むしろ、全ての好適な変更および等価物になるかもしれないものは本開示の範囲内に入る。
【国際調査報告】