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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】カルシウム含有高屈折率リン酸塩ガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 3/21 20060101AFI20240129BHJP
C03C 3/062 20060101ALI20240129BHJP
G02B 1/00 20060101ALN20240129BHJP
【ＦＩ】
C03C3/21
C03C3/062
G02B1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544538
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 US2022011408
(87)【国際公開番号】W WO2022159277
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/140,414
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】アイトケン，ブルース ガーディナー
(72)【発明者】
【氏名】ルオ，ジエン
(72)【発明者】
【氏名】マー，リーナー
(72)【発明者】
【氏名】プライヴェン，アレクサンダー アイ
【テーマコード（参考）】
4G062
【Ｆターム（参考）】
4G062AA04
4G062BB09
4G062CC10
4G062DA01
4G062DA02
4G062DA03
4G062DA04
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4G062HH11
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4G062HH17
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4G062KK07
4G062KK10
4G062MM02
4G062NN01
4G062NN02
4G062NN40
(57)【要約】
ガラス組成物は、酸化リン（Ｐ２Ｏ５）、ニオビア（Ｎｂ２Ｏ５）、チタニア（ＴｉＯ２）、酸化カリウム（Ｋ２Ｏ）、及び酸化カルシウム（ＣａＯ）を必須成分として含み、任意選択的に、酸化バリウム（ＢａＯ）、酸化ナトリウム（Ｎａ２Ｏ）、酸化リチウム（Ｌｉ２Ｏ）、酸化タングステン（ＷＯ３）、酸化ビスマス（Ｂｉ２Ｏ３）、酸化タンタル（Ｔａ２Ｏ５）、シリカ（ＳｉＯ２）などの成分を含むことができる。このガラスは、５８７．５６ｎｍにおける屈折率が高く、室温での密度が比較的低いという特徴を有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の成分を含む成分組成を有するガラスであって、前記複数の成分が、・１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・０．５モル％以上５０．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・０．５モル％以上３５．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．５モル％以上３５．０モル％以下のＣａＯと、
・０．０モル％以上５０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・０．０モル％以上１５．０モル％以下のＭｇＯと、
・０．０モル％以上１０．０モル％以下のＡｌ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上４．５モル％以下のＬｉ２Ｏと、
・０．０モル％以上１．０モル％以下のＶ２Ｏ５と、
・４．０モル％以上のＲＯと、
・合計で０．０モル％以上２０．０モル％以下のＴｅＯ２＋ＳｎＯ２＋ＳｎＯと、
・合計で０．０モル％以上１５．０モル％以下のＳｉＯ２＋ＧｅＯ２と、
・任意選択的に、Ｎａ２Ｏ、ＷＯ３、ＢａＯ、ＳｒＯ、ＺｎＯ、ＰｂＯ、Ｂｉ２Ｏ３、Ｂ２Ｏ３、ＺｒＯ２、Ｔｌ２Ｏ、Ａｇ２Ｏ、Ｃｓ２Ｏ、Ｇａ２Ｏ３、Ｌａ２Ｏ３、ＭｏＯ３、及びＴａ２Ｏ５から選択される１つ以上の成分と、
を含み、前記ガラスが、
・Ｐｎ－（１．５４＋０．１＊Ｐｄ）＞０．００
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｎは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（Ｉ）：
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
により計算した屈折率パラメータであり、
・Ｐｄは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩ）：
Ｐｄ［ｇ／ｃｍ３］＝３．９８４５７－０．０１５７７３＊Ａｌ２Ｏ３－０．０１４５０１＊Ｂ２Ｏ３＋０．０１９３２８＊ＢａＯ＋０．０６０７５８＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１２６８５＊ＣａＯ＋０．０２３１１１＊ＣｄＯ＋０．００５３１８４＊Ｃｓ２Ｏ＋０．０１１４８８＊Ｇａ２Ｏ３－０．００１５４１６＊ＧｅＯ２－０．０１３３４２＊Ｋ２Ｏ＋０．０５８３１９＊Ｌａ２Ｏ３－０．００７９１８＊Ｌｉ２Ｏ－０．００２１４２３＊ＭｇＯ－０．００２４４１３＊ＭｏＯ３－０．００８２２２６＊Ｎａ２Ｏ＋０．００８４９６１＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０２０５０１＊Ｐ２Ｏ５＋０．０３８８９８＊ＰｂＯ－０．０１２７２０＊ＳｉＯ２＋０．０１３９４８＊ＳｒＯ＋０．０４７９２４＊Ｔａ２Ｏ５＋０．０１１２４８＊ＴｅＯ２－０．００９２４９１＊Ｖ２Ｏ５＋０．０２８９１３＊ＷＯ３＋０．００７４７０２＊ＺｎＯ＋０．００９６７２１＊ＺｒＯ２ （ＩＩ）
により計算した密度パラメータであり、
ＲＯは２価の金属酸化物の総和であり、記号「＊」は乗算を意味する、ガラス。
【請求項2】
前記ガラスが、・Ｐｄ＜４．２ｇ／ｃｍ３
という条件を満たす、請求項１に記載のガラス。
【請求項3】
前記ガラスが、・Ｐｎ＞１．８
という条件を満たす、請求項１又は２に記載のガラス。
【請求項4】
前記ガラスが、・Ｐｒｅｆ＞０．２４ｃｍ３／ｇ
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｒｅｆは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＶ）：
Ｐｒｅｆ［ｃｍ３／ｇ］＝０．２２３６３７＋０．００１０７０３＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０００４１６８８＊Ｐ２Ｏ５＋０．０００８８４８２＊ＴｉＯ２＋０．００００５４９５６＊ＣａＯ－０．０００２９２４３＊Ｋ２Ｏ－０．０００８３４７＊ＢａＯ－０．０００２３７３９＊Ｎａ２Ｏ＋０．００００８２７９２＊Ｌｉ２Ｏ－０．００１２４８７＊ＷＯ３－０．０００４２３９３＊ＺｎＯ－０．０００５９１５２＊ＳｒＯ－０．０００１８２６６＊ＭｇＯ－０．００１４０９１＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１４８９５＊Ｔａ２Ｏ５－０．０００２１８４２＊ＳｉＯ２－０．０００２４７８８＊ＺｒＯ２－０．０００１４８０１＊Ｂ２Ｏ３－０．００００６０８４８＊ＴｅＯ２－０．０００８５５６４＊ＰｂＯ－０．０００４２４２９＊ＧｅＯ２－０．００１５４３９＊Ｔｌ２Ｏ－０．００１２９３６＊Ａｇ２Ｏ－０．０００８９３５６＊Ｃｕ２Ｏ－０．０００３９２７８＊ＣｕＯ＋０．０００１７８９５＊Ａｓ２Ｏ３－０．０００１１８０２＊ＳＢ２Ｏ３ （ＩＶ）
により計算した屈折パラメータである、請求項１～３のいずれか１項に記載のガラス。
【請求項5】
前記成分組成が、・１５．０モル％以上３５．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・０．５モル％以上４０．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・０．５モル％以上３０．０モル％以下のＣａＯと、
・０．５モル％以上２０．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．０モル％以上２０．０モル％以下のＢａＯと、
・０．０モル％以上２０．０モル％以下のＮａ２Ｏと、
・０．０モル％以上１０．０モル％以下のＷＯ３と、
・０．０モル％以上４．０モル％以下のＢｉ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上２．０モル％以下のＴａ２Ｏ５と、
を含む、請求項１～４のいずれか１項に記載のガラス。
【請求項6】
複数の成分を含む成分組成を有するガラスであって、前記複数の成分が、・１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１．０モル％以上５０．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・１．０モル％以上３５．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・１．０モル％以上３５．０モル％以下のＣａＯと、
・０．０モル％以上５０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・０．０モル％以上１５．０モル％以下のＭｇＯと、
・０．０モル％以上１０．０モル％以下のＡｌ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上１．０モル％以下のＶ２Ｏ５と、
・４．０モル％以上のＲＯと、
・合計で０．０モル％以上２０．０モル％以下のＴｅＯ２＋ＳｎＯ２＋ＳｎＯと、
・合計で０．０モル％以上１５．０モル％以下のＳｉＯ２＋ＧｅＯ２と、
・任意選択的に、Ｎａ２Ｏ、Ｌｉ２Ｏ、ＷＯ３、ＢａＯ、ＳｒＯ、ＺｎＯ、ＰｂＯ、Ｂｉ２Ｏ３、Ｂ２Ｏ３、ＺｒＯ２、Ｔｌ２Ｏ、Ａｇ２Ｏ、Ｇａ２Ｏ３、ＭｏＯ３、及びＴａ２Ｏ５から選択される１つ以上の成分と、
を含み、前記ガラスが、
・Ｐｎ＞１．７５、及び
・Ｐν－（６４．５－２３．４＊Ｐｎ）＜０．００
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｎは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（Ｉ）：
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
により計算した屈折率パラメータであり、
・Ｐνは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩＩ）：
Ｐν＝ｅｘｐ（２．１１＋０．０４３８＊（ｅｘｐ（３．２５９８０＋０．００７２２４８＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００５５４９４＊Ｂ２Ｏ３＋０．００２４１６４＊ＢａＯ－０．００８４９＊Ｂｉ２Ｏ３＋０．００２９８１２＊ＣａＯ＋０．００９２７６８＊ＣｄＯ＋０．００９９８２１＊Ｇａ２Ｏ３－０．００３８５７９＊ＧｅＯ２＋０．００２８０６２＊Ｋ２Ｏ＋０．００３１９５１＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２７０１１＊ＭｇＯ＋０．００７９７６＊ＭｏＯ３＋０．００２８７０５＊Ｎａ２Ｏ－０．０１３３７４＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００７２００７＊Ｐ２Ｏ５－０．００４９７９６＊ＰｂＯ＋０．００３２２４１＊ＳｉＯ２＋０．００５００２４＊ＳｒＯ－０．００２１３６＊Ｔａ２Ｏ５－０．００３２３２９＊ＴｅＯ２－０．００９７８８＊ＴｉＯ２＋０．００７４７８２＊Ｖ２Ｏ５－０．００５７０９５＊ＷＯ３＋０．００３２８２６＊ＺｎＯ＋０．００９３０２＊ＺｒＯ２））） （ＩＩＩ）
により計算した分散パラメータであり、
ＲＯは２価の金属酸化物の総和であり、記号「＊」は乗算を意味する、ガラス。
【請求項7】
前記ガラスが、・Ｐｄ＜４．２ｇ／ｃｍ３
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｄは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩ）：
Ｐｄ［ｇ／ｃｍ３］＝３．９８４５７－０．０１５７７３＊Ａｌ２Ｏ３－０．０１４５０１＊Ｂ２Ｏ３＋０．０１９３２８＊ＢａＯ＋０．０６０７５８＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１２６８５＊ＣａＯ＋０．０２３１１１＊ＣｄＯ＋０．００５３１８４＊Ｃｓ２Ｏ＋０．０１１４８８＊Ｇａ２Ｏ３－０．００１５４１６＊ＧｅＯ２－０．０１３３４２＊Ｋ２Ｏ＋０．０５８３１９＊Ｌａ２Ｏ３－０．００７９１８＊Ｌｉ２Ｏ－０．００２１４２３＊ＭｇＯ－０．００２４４１３＊ＭｏＯ３－０．００８２２２６＊Ｎａ２Ｏ＋０．００８４９６１＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０２０５０１＊Ｐ２Ｏ５＋０．０３８８９８＊ＰｂＯ－０．０１２７２０＊ＳｉＯ２＋０．０１３９４８＊ＳｒＯ＋０．０４７９２４＊Ｔａ２Ｏ５＋０．０１１２４８＊ＴｅＯ２－０．００９２４９１＊Ｖ２Ｏ５＋０．０２８９１３＊ＷＯ３＋０．００７４７０２＊ＺｎＯ＋０．００９６７２１＊ＺｒＯ２ （ＩＩ）
により計算した密度パラメータである、請求項６に記載のガラス。
【請求項8】
前記ガラスが、・Ｐｎ＞１．８
という条件を満たす、請求項６又は７に記載のガラス。
【請求項9】
前記ガラスが、・Ｐｒｅｆ＞０．２４ｃｍ３／ｇ
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｒｅｆは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＶ）：
Ｐｒｅｆ［ｃｍ３／ｇ］＝０．２２３６３７＋０．００１０７０３＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０００４１６８８＊Ｐ２Ｏ５＋０．０００８８４８２＊ＴｉＯ２＋０．００００５４９５６＊ＣａＯ－０．０００２９２４３＊Ｋ２Ｏ－０．０００８３４７＊ＢａＯ－０．０００２３７３９＊Ｎａ２Ｏ＋０．００００８２７９２＊Ｌｉ２Ｏ－０．００１２４８７＊ＷＯ３－０．０００４２３９３＊ＺｎＯ－０．０００５９１５２＊ＳｒＯ－０．０００１８２６６＊ＭｇＯ－０．００１４０９１＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１４８９５＊Ｔａ２Ｏ５－０．０００２１８４２＊ＳｉＯ２－０．０００２４７８８＊ＺｒＯ２－０．０００１４８０１＊Ｂ２Ｏ３－０．００００６０８４８＊ＴｅＯ２－０．０００８５５６４＊ＰｂＯ－０．０００４２４２９＊ＧｅＯ２－０．００１５４３９＊Ｔｌ２Ｏ－０．００１２９３６＊Ａｇ２Ｏ－０．０００８９３５６＊Ｃｕ２Ｏ－０．０００３９２７８＊ＣｕＯ＋０．０００１７８９５＊Ａｓ２Ｏ３－０．０００１１８０２＊ＳＢ２Ｏ３ （ＩＶ）
により計算した屈折パラメータである、請求項６～８のいずれか１項に記載のガラス。
【請求項10】
前記成分組成が、・１５．０モル％以上３５．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・１．０モル％以上４０．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・１．０モル％以上３０．０モル％以下のＣａＯと、
・１．０モル％以上２０．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．０モル％以上２０．０モル％以下のＢａＯと、
・０．０モル％以上２０．０モル％以下のＮａ２Ｏと、
・０．０モル％以上１０．０モル％以下のＷＯ３と、
・０．０モル％以上５．０モル％以下のＬｉ２Ｏと、
・０．０モル％以上４．０モル％以下のＢｉ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上２．０モル％以下のＴａ２Ｏ５と、
を含む、請求項６～９のいずれか１項に記載のガラス。
【請求項11】
前記成分組成が、・２１．０モル％以上３０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１３．０モル％以上３８．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・９．０モル％以上３７．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・４．０モル％以上２３．０モル％以下のＣａＯと、
・４．０モル％以上１６．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．０モル％以上１４．５モル％以下のＢａＯと、
・０．０モル％以上１３．５モル％以下のＮａ２Ｏと、
・０．０モル％以上８．５モル％以下のＷＯ３と、
・０．０モル％以上４．５モル％以下のＬｉ２Ｏと、
・０．０モル％以上３．４モル％以下のＢｉ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上１．８モル％以下のＴａ２Ｏ５と、
・０．０モル％以上０．９モル％以下のＳｉＯ２と、
を含む、請求項６～１０のいずれか１項に記載のガラス。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、２０２１年１月２２日を出願日とする米国仮特許出願第６３／１４０４１４号の米国特許法第１１９条に基づく優先権の利益を主張するものであり、この仮出願のすべての開示内容は、本明細書の依拠するところとし、引用することにより本明細書に組み入れられるものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、高い屈折率と低い密度を有するリン酸塩ガラスに関する。また、高い光分散のガラスに関するものでもある。
【背景技術】
【0003】
ガラスは、様々な光学デバイス、例えば、拡張現実デバイス、仮想現実デバイス、複合現実デバイス、アイウェアなどで利用されている。この種のガラスに望まれることの多い特性として、高い屈折率と低い密度が挙げられる。また、これに加えて望まれる特性として、電磁スペクトルの可視域及び近紫外（near-ultraviolet、near-UV）域における高い透過性や低い光分散を挙げることもできる。しかし、これらの特性を所望の組み合わせで有するものを、高いガラス形成能を有する組成物から形成可能なガラスの中に見出すことは難しいと考えられる。例えば、一般に、ガラスは、屈折率が高くなるにつれて密度も高くなる傾向がある。そこで、ガラスの密度を上げずに屈折率を上げるために、ＴｉＯ２やＮｂ２Ｏ５などの種を添加することも多い。しかし、これらの材料は青色光や紫外線を吸収することが多く、このスペクトル領域の光に対するガラスの透過率を低下させるという望ましくない作用をもたらす場合がある。そして、ガラスを低い密度に保ちながら、青色領域及び紫外領域における透過率を低下させることなく屈折率を高めようとすると、材料のガラス形成能を低下させてしまう結果となることが多かった。例えば、当業界において一般的に許容されている冷却速度でガラス融液を冷却している最中に、結晶化や液液相分離を起こしてしまう場合があった。通常、ガラス形成能の低下は、ＺｒＯ２、Ｙ２Ｏ３、Ｓｃ２Ｏ３、ＢｅＯなどの特定の種の量が増加するにつれて顕在化する。
【0004】
低密度高屈折率ガラスの多くは、使用するガラス形成物質に基づき、（ａ）主たるガラス形成物質としてＳｉＯ２及び／又はＢ２Ｏ３を使用するケイホウ酸塩ガラス又はホウケイ酸塩ガラスと、（ｂ）主たるガラス形成物質としてＰ２Ｏ５を使用するリン酸塩ガラス、という２種類の化学系のいずれかに属している。ＧｅＯ２、ＴｅＯ２、Ｂｉ２Ｏ３、Ｖ２Ｏ５などの他の酸化物を主たるガラス形成物質とするガラスは、コスト、ガラス形成能、光学特性、製造要件の少なくともいずれかを理由に、その利用は難しいと考えられている。
【0005】
リン酸塩ガラスは、高い屈折率と低い密度を特徴とするガラスであるが、融液からＰ２Ｏ５が蒸発する、白金との適合性に欠ける恐れがある、といった理由から、リン酸塩ガラスの製造は難しい場合がある。また、リン酸塩ガラスは濃い着色を有することが多く、所望の透過率特性を持つガラスとするためには、追加の漂白工程が必要となる場合がある。さらに、高屈折率を示すリン酸塩ガラスの場合、光分散が高くなる傾向もあるが、これは用途によっては使い道がある可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらを考慮すると、高い屈折率と低い密度を有し、任意選択的にこれらに組み合わせて、可視域及び近紫外域における高透過率を有すること、及び高いガラス形成能を有する組成物から製造されること、の少なくともいずれかを備えるリン酸塩ガラスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、複数の成分を含む成分組成を有するガラスが開示され、当該複数の成分は、１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、０．５モル％以上５０．０モル％以下のＴｉＯ２と、０．５モル％以上３５．０モル％以下のＫ２Ｏと、０．５モル％以上３５．０モル％以下のＣａＯと、０．０モル％以上５０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、０．０モル％以上１５．０モル％以下のＭｇＯと、０．０モル％以上１０．０モル％以下のＡｌ２Ｏ３と、０．０モル％以上４．５モル％以下のＬｉ２Ｏと、０．０モル％以上１．０モル％以下のＶ２Ｏ５と、４．０モル％以上のＲＯと、合計で０．０モル％以上２０．０モル％以下のＴｅＯ２＋ＳｎＯ２＋ＳｎＯと、合計で０．０モル％以上１５．０モル％以下のＳｉＯ２＋ＧｅＯ２と、を含み、さらに、任意選択的に、Ｎａ２Ｏ、ＷＯ３、Ｂｉ２Ｏ３、Ｂ２Ｏ３、ＢａＯ、ＳｒＯ、ＺｎＯ、ＰｂＯ、ＺｒＯ２、Ｔｌ２Ｏ、Ａｇ２Ｏ、Ｃｓ２Ｏ、Ｇａ２Ｏ３、Ｌａ２Ｏ３、ＭｏＯ３、及びＴａ２Ｏ５から選択される１つ以上の成分を含有することができる。また、ガラスは、Ｐｎ－（１．５４＋０．１＊Ｐｄ）＞０．００という条件を満たす。式中、Ｐｎは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（Ｉ）：
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
により計算した屈折率パラメータであり、Ｐｄは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩ）：
Ｐｄ［ｇ／ｃｍ３］＝３．９８４５７－０．０１５７７３＊Ａｌ２Ｏ３－０．０１４５０１＊Ｂ２Ｏ３＋０．０１９３２８＊ＢａＯ＋０．０６０７５８＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１２６８５＊ＣａＯ＋０．０２３１１１＊ＣｄＯ＋０．００５３１８４＊Ｃｓ２Ｏ＋０．０１１４８８＊Ｇａ２Ｏ３－０．００１５４１６＊ＧｅＯ２－０．０１３３４２＊Ｋ２Ｏ＋０．０５８３１９＊Ｌａ２Ｏ３－０．００７９１８＊Ｌｉ２Ｏ－０．００２１４２３＊ＭｇＯ－０．００２４４１３＊ＭｏＯ３－０．００８２２２６＊Ｎａ２Ｏ＋０．００８４９６１＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０２０５０１＊Ｐ２Ｏ５＋０．０３８８９８＊ＰｂＯ－０．０１２７２０＊ＳｉＯ２＋０．０１３９４８＊ＳｒＯ＋０．０４７９２４＊Ｔａ２Ｏ５＋０．０１１２４８＊ＴｅＯ２－０．００９２４９１＊Ｖ２Ｏ５＋０．０２８９１３＊ＷＯ３＋０．００７４７０２＊ＺｎＯ＋０．００９６７２１＊ＺｒＯ２ （ＩＩ）
により計算した密度パラメータであり、ＲＯは２価の金属酸化物の総和であり、記号「＊」は乗算を意味する。
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
により計算した屈折率パラメータであり、Ｐｄは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩ）：
Ｐｄ［ｇ／ｃｍ３］＝３．９８４５７－０．０１５７７３＊Ａｌ２Ｏ３－０．０１４５０１＊Ｂ２Ｏ３＋０．０１９３２８＊ＢａＯ＋０．０６０７５８＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１２６８５＊ＣａＯ＋０．０２３１１１＊ＣｄＯ＋０．００５３１８４＊Ｃｓ２Ｏ＋０．０１１４８８＊Ｇａ２Ｏ３－０．００１５４１６＊ＧｅＯ２－０．０１３３４２＊Ｋ２Ｏ＋０．０５８３１９＊Ｌａ２Ｏ３－０．００７９１８＊Ｌｉ２Ｏ－０．００２１４２３＊ＭｇＯ－０．００２４４１３＊ＭｏＯ３－０．００８２２２６＊Ｎａ２Ｏ＋０．００８４９６１＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０２０５０１＊Ｐ２Ｏ５＋０．０３８８９８＊ＰｂＯ－０．０１２７２０＊ＳｉＯ２＋０．０１３９４８＊ＳｒＯ＋０．０４７９２４＊Ｔａ２Ｏ５＋０．０１１２４８＊ＴｅＯ２－０．００９２４９１＊Ｖ２Ｏ５＋０．０２８９１３＊ＷＯ３＋０．００７４７０２＊ＺｎＯ＋０．００９６７２１＊ＺｒＯ２ （ＩＩ）
により計算した密度パラメータであり、ＲＯは２価の金属酸化物の総和であり、記号「＊」は乗算を意味する。
【0008】
本開示の他の実施形態によれば、複数の成分を含む成分組成を有するガラスが開示され、当該複数の成分は、１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、１．０モル％以上５０．０モル％以下のＴｉＯ２と、１．０モル％以上３５．０モル％以下のＫ２Ｏと、１．０モル％以上３５．０モル％以下のＣａＯと、０．０モル％以上５０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、０．０モル％以上１５．０モル％以下のＭｇＯと、０．０モル％以上１０．０モル％以下のＡｌ２Ｏ３と、０．０モル％以上１．０モル％以下のＶ２Ｏ５と、４．０モル％以上のＲＯと、合計で０．０モル％以上２０．０モル％以下のＴｅＯ２＋ＳｎＯ２＋ＳｎＯと、合計で０．０モル％以上１５．０モル％以下のＳｉＯ２＋ＧｅＯ２と、を含み、さらに、任意選択的に、Ｎａ２Ｏ、Ｌｉ２Ｏ、ＷＯ３、Ｂｉ２Ｏ３、Ｂ２Ｏ３、ＢａＯ、ＳｒＯ、ＺｎＯ、ＰｂＯ、ＺｒＯ２、Ｔｌ２Ｏ、Ａｇ２Ｏ、Ｇａ２Ｏ３、ＭｏＯ３、及びＴａ２Ｏ５から選択される１つ以上の成分を含有することができる。また、ガラスは、Ｐｎ＞１．７５、及びＰν－（６４．５－２３．４＊Ｐｎ）＜０．００という条件を満たす。式中、Ｐｎは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（Ｉ）：
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
により計算した屈折率パラメータであり、Ｐνは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩＩ）：
Ｐν＝ｅｘｐ（２．１１＋０．０４３８＊（ｅｘｐ（３．２５９８０＋０．００７２２４８＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００５５４９４＊Ｂ２Ｏ３＋０．００２４１６４＊ＢａＯ－０．００８４９＊Ｂｉ２Ｏ３＋０．００２９８１２＊ＣａＯ＋０．００９２７６８＊ＣｄＯ＋０．００９９８２１＊Ｇａ２Ｏ３－０．００３８５７９＊ＧｅＯ２＋０．００２８０６２＊Ｋ２Ｏ＋０．００３１９５１＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２７０１１＊ＭｇＯ＋０．００７９７６＊ＭｏＯ３＋０．００２８７０５＊Ｎａ２Ｏ－０．０１３３７４＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００７２００７＊Ｐ２Ｏ５－０．００４９７９６＊ＰｂＯ＋０．００３２２４１＊ＳｉＯ２＋０．００５００２４＊ＳｒＯ－０．００２１３６＊Ｔａ２Ｏ５－０．００３２３２９＊ＴｅＯ２－０．００９７８８＊ＴｉＯ２＋０．００７４７８２＊Ｖ２Ｏ５－０．００５７０９５＊ＷＯ３＋０．００３２８２６＊ＺｎＯ＋０．００９３０２＊ＺｒＯ２））） （ＩＩＩ）
により計算した分散パラメータであり、ＲＯは２価の金属酸化物の総和であり、記号「＊」は乗算を意味する。
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
により計算した屈折率パラメータであり、Ｐνは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩＩ）：
Ｐν＝ｅｘｐ（２．１１＋０．０４３８＊（ｅｘｐ（３．２５９８０＋０．００７２２４８＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００５５４９４＊Ｂ２Ｏ３＋０．００２４１６４＊ＢａＯ－０．００８４９＊Ｂｉ２Ｏ３＋０．００２９８１２＊ＣａＯ＋０．００９２７６８＊ＣｄＯ＋０．００９９８２１＊Ｇａ２Ｏ３－０．００３８５７９＊ＧｅＯ２＋０．００２８０６２＊Ｋ２Ｏ＋０．００３１９５１＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２７０１１＊ＭｇＯ＋０．００７９７６＊ＭｏＯ３＋０．００２８７０５＊Ｎａ２Ｏ－０．０１３３７４＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００７２００７＊Ｐ２Ｏ５－０．００４９７９６＊ＰｂＯ＋０．００３２２４１＊ＳｉＯ２＋０．００５００２４＊ＳｒＯ－０．００２１３６＊Ｔａ２Ｏ５－０．００３２３２９＊ＴｅＯ２－０．００９７８８＊ＴｉＯ２＋０．００７４７８２＊Ｖ２Ｏ５－０．００５７０９５＊ＷＯ３＋０．００３２８２６＊ＺｎＯ＋０．００９３０２＊ＺｒＯ２））） （ＩＩＩ）
により計算した分散パラメータであり、ＲＯは２価の金属酸化物の総和であり、記号「＊」は乗算を意味する。
【0009】
当業者であれば、以下の明細書、特許請求の範囲、及び添付図面を検討することにより、本開示の上記及び上記以外の態様、目的、及び特徴を理解、把握するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】いくつかの比較例ガラスと本開示の一実施形態に係るいくつかの例示的ガラスについて、屈折率ｎｄと式（Ｉ）により計算した屈折率パラメータＰｎとの関係をプロットしたグラフ
【図2】いくつかの比較例ガラス及び本開示の一実施形態に係るいくつかの例示的ガラスについて、室温での密度ｄＲＴと式（ＩＩ）により計算した密度パラメータＰｄとの関係をプロットしたグラフ
【図3】いくつかの比較例ガラス及び本開示の一実施形態に係るいくつかの例示的ガラスについて、アッベ数νｄと式（ＩＩＩ）により計算した分散パラメータＰνとの関係をプロットしたグラフ
【図4】いくつかの比較例ガラス及び本開示の一実施形態に係るいくつかの例示的ガラスについて、屈折（ｎｄ－１）／ｄＲＴと式（ＩＶ）により計算したパラメータＰｒｅｆとの関係をプロットしたグラフ
【図5】本開示の一実施形態に係るいくつかの例示的ガラスについて、「１５分間試験」条件及び「２．５分間試験」条件による例示的な予定冷却推移を示すグラフ
【図6】いくつかの比較例ガラス及び本開示の一実施形態に係るいくつかの例示的ガラスについて、密度パラメータＰｄと屈折率パラメータＰｎとの関係をプロットしたグラフ
【図7】いくつかの比較例ガラス及び本開示の一実施形態に係るいくつかの例示的ガラスについて、室温での密度ｄＲＴと屈折率ｎｄとの関係をプロットしたグラフ
【図8】いくつかの比較例ガラス及び本開示の一実施形態に係るいくつかの例示的ガラスについて、ＰｎとＰνとの関係をプロットしたグラフ
【図9】いくつかの比較例ガラス及び本開示の一実施形態に係るいくつかの例示的ガラスについて、屈折率ｎｄとアッベ数νｄとの関係をプロットしたグラフ
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明では、本開示の種々の原理を完全に理解してもらうために具体的な詳細を開示する例示的な実施形態を示す。なお、これら実施形態は、説明を目的としたものであり、限定を目的とするものではない。本明細書に開示される具体的な詳細から逸脱した他の実施形態でも本開示を実施し得ることは、本開示の利益を得ることになった当業者には明らかであろう。さらに、本開示の種々の原理の説明が不明瞭になってしまうことを避けるため、周知のデバイス、方法、及び材料については、説明を省略する場合がある。また、同様の要素は、可能な限り同様の参照番号で示す。
【0012】
別段の明示的な記載がない限り、本明細書に記載のいかなる方法も、各ステップ（工程）を特定の順序で実施することを要請していると解釈されることを意図するものではない。従って、方法クレームにおいてそのステップの順序を実際に記載している場合を除き、又は、その他、各ステップが特定の順序に限定される旨の記載が請求の範囲又は発明の詳細な説明において明確になされている場合を除き、各ステップの順序が推測されることは、いかなる点においても意図していない。これは、各ステップの並び又は操作の流れについての論法の問題、文法的な構成又は句読点から導き出される通俗的な意味、本明細書に記載の実施形態の数又は種類など（ただし、これらに限定されるものではない）の、解釈の根拠となり得るあらゆる非明示的事項に対して該当する。
【0013】
本明細書において、「及び／又は」という用語を２つ以上の項目の列記において使用する場合、列記された項目のうちいずれか１つを単独で使用してもよく、又は列記された項目のうち２つ以上を任意の組み合わせで使用してもよいことを意味している。例えば、組成物が成分Ａ、Ｂ及び／又はＣを含有すると記載している場合、この組成物は、Ａ単独、Ｂ単独、Ｃ単独、ＡとＢとの組み合わせ、ＡとＣとの組み合わせ、ＢとＣとの組み合わせ、又はＡとＢとＣとの組み合わせを含有することができる。
【0014】
当業者及び本開示を製造又は使用する者であれば、本開示の変形例を想起するであろう。従って、当然ながら、図面に示す上述の各実施形態は、例示を目的としたものに過ぎず、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本開示の範囲は、後述の特許請求の範囲により規定されるものであり、特許請求の範囲は、均等論（doctrine of equivalents）を含む特許法原則に従って解釈されるものである。
【0015】
本明細書において、「約（about）」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータなどの数量や特性が、必ずしも厳密なものではなく、厳密にその値である必要もなく、むしろ、公差や、換算係数、端数処理、測定誤差などの当業者に公知の他の因子を必要に応じて織り込んだ、その数量や特性の近似値及び／又はそれに前後する値とすることができることを意味している。よって、「約」という用語が、或る値又は或る範囲の一端点の記述に使用されている場合には、その特定の値又は特定の端点が本開示に含まれるものと理解されたい。なお、本明細書において、或る数値又は或る範囲の一端点が「約」で導かれているか否かにかかわらず、当該数値又は範囲の端点は、「約」による修飾を受けた実施形態と「約」による修飾を受けない実施形態という２つの実施形態を含むことが意図されている。また、各範囲の両端点が持つ意味は、互いに相関しているとともに互いに独立でもあることも理解されるであろう。
【0016】
また、「から形成される（formed from）」という用語は、「を備える（comprise）」、「本質的に～のみからなる（consist essentially of）」、「のみからなる（consist of）」のうちの１つ以上を意味することができる。例えば、或る構成要素が特定の材料「から形成される」場合、当該構成要素は、特定の材料を備える、本質的に特定の材料のみからなる、特定の材料のみからなる、のいずれであってもよい。
【0017】
本明細書において、「含まない（free）」及び「実質含まない（substantially free）」という用語は、ガラス組成物に意図的には添加されていない特定の構成成分について、ガラス組成物に含まれる量を示す及び／又は含まれないことを示すために同義的に用いられる。ただし、当然ながら、特定の構成成分が、わずかに残る異物又は混入物として、このガラス組成物に０．１０モル％未満の量で含まれる場合がある。
【0018】
本明細書において、「混入（tramp）」物という用語は、ガラス組成物における特定の構成成分を説明するために用いている場合、ガラス組成物に意図的には添加されていないが、０．０５モル％未満の量で存在する構成成分を指す。混入成分は、他の構成成分に不純物として含まれていたり、ガラス組成物の加工中に組成物中に入り込んだりすることにより、意図せずにガラス組成物に入ってしまう場合がある。
【0019】
本明細書において、「ガラス形成物質（glass former）」という用語は、単独で（すなわち、混入物以外の他の成分がない状態で）ガラス組成物に存在した場合に、その融液を約２００℃／分～約３００℃／分以下の速度で冷却することによりガラスを形成することが可能な成分を指す。
【0020】
本明細書において、「修飾物質（modifier）」という用語は、１価又は２価の金属酸化物を指し、すなわち、カチオンを「Ｒ」で表すと、Ｒ２Ｏ又はＲＯを指す。ガラス組成物に修飾物質を加えることにより、融液や融液から得られるガラスの原子構造を変化させることができる。いくつかの実施形態では、修飾物質が、ガラス形成物質中に存在するカチオン（例えば、Ｂ２Ｏ３におけるホウ素）の配位数を変化させることにより、より重合度の高い原子ネットワークが形成され、その結果、より良好にガラスを形成することが可能となる。
【0021】
本明細書において、「ＲＯ」という語は、２価の金属酸化物の総含有量を指し、「Ｒ２Ｏ」という用語は、１価の金属酸化物の総含有量を指し、「Ａｌｋ２Ｏ」という用語は、アルカリ金属酸化物の総含有量を指している。Ｒ２Ｏという語は、アルカリ金属酸化物（Ａｌｋ２Ｏ）と、これに加えて、例えば、Ａｇ２Ｏ、Ｔｌ２Ｏ、Ｈｇ２Ｏなどの他の１価の金属酸化物とを包摂する用語である。以下に説明するように、希土類金属酸化物は、本明細書では標準式（ＲＥ２Ｏ３）で表し、本開示において、酸化還元状態が「＋３」の希土類金属の酸化物を指す。従って、「ＲＯ」という語に、希土類金属酸化物は含まれない。
【0022】
本明細書において、「希土類金属（rare earth metal）」という用語は、ＩＵＰＡＣ周期表のランタニド系列に挙げられている金属にイットリウムとスカンジウムとを加えたものを指す。本明細書において、「希土類金属酸化物（rare earth metal oxide）」という用語は、「＋３」（Ｌａ２Ｏ３中のランタン）、「＋４」（ＣｅＯ２中のセリウム）、「＋２」（ＥｕＯ中のユウロピウム）など、様々な酸化還元状態の希土類金属の酸化物を指す。一般に、酸化物ガラス中の希土類金属の酸化還元状態は変化する場合があり、特に、ガラスの溶融や熱処理（例えば、アニール）を行う炉内の酸化還元条件やバッチ組成に従って、溶融時に酸化物ガラス中の希土類金属の酸化還元状態が変化する場合がある。特に断りのない限り、本明細書において、希土類金属酸化物は、酸化還元状態が「＋３」である希土類金属を含んだ標準式で表している。従って、酸化還元状態が「＋３」以外の希土類金属をガラス組成物バッチに加える場合には、化学量論比（stoichiometry）が保たれるように酸素を増減してガラス組成物の再計算を行う。例えば、バッチ成分としてＣｅＯ２（酸化還元状態が「＋４」のセリウム）を使用する場合には、２モルのＣｅＯ２が１モルのＣｅ２Ｏ３に相当するものとして、得られるガラス組成物を再計算することにより、当該ガラス組成物をＣｅ２Ｏ３で表す。本明細書において、「ＲＥｍＯｎ」という用語は、存在するすべての酸化還元状態の希土類金属酸化物の総含有量を指し、「ＲＥ２Ｏ３」という用語は、酸化還元状態が「＋３」の希土類金属酸化物の総含有量を指す。
【0023】
本明細書において報告されるガラスの密度測定値は、水中アルキメデス法により室温で測定した値で、単位はｇ／ｃｍ３、誤差は０．００１ｇ／ｃｍ３である。本明細書において、室温での密度測定値（本明細書では、ｄＲＴ（単位：ｇ／ｃｍ３）で表す）は、２０℃又は２５℃で測定した値として示され、２０℃～２５℃の範囲をとり得る温度で取得した測定値を包含するものである。なお、当然ながら、室温は約２０℃～約２５℃の間で変化し得るが、本開示の目的上、２０℃～２５℃の温度範囲内での密度の変動は、０．００１ｇ／ｃｍ３の誤差を下回ると見込まれるため、本明細書において報告される室温での密度測定値には影響を与えないものと考えられる。
【0024】
本明細書において、「屈折（refraction）」という用語は、屈折率ｎｄを５８７．５６ｎｍにおける測定値、密度ｄＲＴを２５℃での測定値（単位：ｇ／ｃｍ３）とした場合の比（ｎｄ－１）／ｄＲＴに従って計算された、密度に対する屈折率の関係を指す。比（ｎｄ－１）／ｄＲＴ、すなわち屈折により、屈折率ｎｄと密度ｄＲＴの関係の特性を規定することができる。屈折率が高いほど、所与の密度における屈折率は高くなる。
【0025】
本明細書において、高いガラス形成能（good glass-forming ability）とは、材料融液を冷却する際の失透の起こしにくさを指す。ガラス形成能は、融液の臨界冷却速度を求めることにより測定することができる。本明細書において、「臨界冷却速度（critical cooling rate）」や「ｖcr」という用語は、所与の組成物の融液から、１００倍～５００倍の光学顕微鏡で観察可能な結晶を含まないガラスを形成するために必要な最小の冷却速度を指す。臨界冷却速度を用いて、組成物のガラス形成能、すなわち所与のガラス組成物の融液が冷却時にガラスを形成する能力を測定することができる。一般に、臨界冷却速度が低いほど、ガラス形成能は高い。
【0026】
本明細書において、「液相温度（liquidus temperature）」（「Ｔliq」と表記）という用語は、ガラス組成物がこの温度を超えると、ガラス構成成分の結晶化のない完全な液体となるような温度を指す。本明細書において報告される液相温度値は、（１）ＤＳＣ（differential scanning calorimetry：示差走査熱量測定）法、（２）試料を白金箔に包んで等温保持する方法、（３）勾配ボート液相法、という３つの試験のうちの１つを用いて、試料を測定することにより得たものである。なお、これらの試験間で照合確認を行い、その結果、各試験で同様の結果が得られた。ＤＳＣ法で測定した試料の場合、粉末化した試料を１０Ｋ／分で１２５０℃まで加熱した。そして、結晶の溶融に相当する吸熱反応の終了温度を液相温度とした。また、等温保持法で測定した試料の場合、まず、蒸発を避けるためにガラスブロック（約１ｃｍ３）を白金箔で包み、所定の温度の炉内に１７時間入れた後、炉から素早く取り出して空気中で冷却した。その後、ガラスブロックを光学顕微鏡で観察して、試料の大部分に結晶が現れているか調べた。上記のような観測液相温度を３０～４０℃以上超えない温度で保持した後に、わずかな表面結晶が現れた場合はこれを無視して、それ以外の場合には試験を繰り返した。勾配ボート液相法で測定した試料については、ＡＳＴＭ規格Ｃ８２９－８１に記載の手順に従った。かかる手順は、破砕したガラス粒子を白金製のボートに入れるステップと、或る領域の温度勾配を有する炉内にボートを入れるステップと、適切な温度領域でボートを２４時間加熱するステップと、顕微鏡検査によりガラス内部に結晶が見える温度の最高値を特定するステップとを含むものである。より詳細には、Ｐｔボートからガラス試料を１片取り出して偏光顕微鏡で観察することにより、Ｐｔと空気との界面や試料内部に形成された結晶の位置や性質を確認するものである。炉の温度勾配については十分に公知されているため、温度と位置の関係を５～１０℃以内の精度で推定することができる。そして、試料内部に結晶が観察される温度が、（対応する試験期間に対する）ガラスの液相線を表していると見なす。場合によっては、相がゆっくり成長する様子を観察するため、より長い時間（例えば７２時間）をかけて試験を行う場合もある。また、液相温度とFulcher式の係数から、液相粘度（単位：ポアズ）を求めた。
【0027】
本明細書において報告される屈折率（refractive index）値は、特に断りのない限り、室温（約２５℃）で測定した値である。ガラス試料の屈折率値は、屈折率計として、誤差約±０．０００２のメトリコン社（Metricon）モデル２０１０プリズムカプラを用いて測定した。このメトリコン屈折率計を使って、約４０６ｎｍ、約４７３ｎｍ、約５３２ｎｍ、約６３３ｎｍ、約８２８ｎｍ、約１０６４ｎｍのうちの２つ以上の波長でガラス試料の屈折率を測定した。測定した屈折率の波長依存性は、分散の特性を規定するものであるため、これに、コーシー（Cauchy）の公式又はセルマイヤー（Sellmeier）の式をフィッティングした。これにより、測定した波長に挟まれた区間における任意の対象波長における試料の屈折率を計算することが可能となる。本明細書において、「屈折率ｎｄ」という用語は、上述の方法で計算した、ヘリウムのｄ線波長に相当する５８７．５６ｎｍの波長での屈折率を指す。本明細書において、「屈折率ｎＣ」という用語は、上述の方法で計算した、６５６．３ｎｍの波長での屈折率を指す。本明細書において、「屈折率ｎＦ」という用語は、上述の方法で計算した、４８６．１ｎｍの波長での屈折率を指す。本明細書において、「屈折率ｎｇ」という用語は、上述の方法で計算した、４３５．８ｎｍの波長での屈折率を指す。
【0028】
本明細書において、「高屈折率（high refractive index、high index）」という用語は、特に断りのない限り、少なくとも１．８０以上のガラス屈折率値ｎｄを指す。また、その旨を記載している箇所では、「高屈折率」という用語で、少なくとも１．８５以上、又は１．９０以上、又は１．９５以上、又は２．００以上のガラス屈折率値を指す場合もある。
【0029】
「分散（dispersion）」及び「光分散（optical dispersion）」という用語は、所定の複数の波長におけるガラス試料の屈折率の差又は比を示すために同義的に用いられる。本明細書において、光分散は、光分散の数値指標の１つであるアッベ数で報告されている。アッベ数は、式νｘ＝（ｎｘ－１）／（ｎＦ－ｎＣ）により計算することができる。なお、本開示における「ｘ」は、一般的に使用される複数の波長の１つ（例えば、νｄの場合５８７．５６ｎｍ［ｄ線］、νＤの場合５８９．３ｎｍ［Ｄ線］）を表し、ｎｘは当該波長における屈折率（例えば、νｄの場合ｎｄ、νＤの場合ｎＤ）、ｎＦは波長４８６．１ｎｍ（Ｆ線）における屈折率ｎＣは６５６．３ｎｍ（Ｃ線）における屈折率である。νｄとνＤの数値の差はごくわずかで、±０．１％～±０．２％以内である場合が多い。本明細書において報告されているガラス試料の分散は、式νｄ＝（ｎｄ－１）／（ｎＦ－ｎＣ）に従って計算された、３つの異なる波長における試料の屈折率の関係の特性を規定するアッベ数（νｄ）で表されている。式中、ｎｄは５８７．５６ｎｍ（ｄ線）における屈折率の計算値、ｎＦは４８６．１ｎｍ（Ｆ線）における屈折率の計算値、ｎＣは６５６．３ｎｍ（Ｃ線）における屈折率の計算値である。アッベ数が大きいほど、光分散は低くなる。
【0030】
「高分散」に対応するアッベ数や「低分散」に対応するアッベ数の数値は、アッベ数計算に用いた屈折率によって変化し得るものである。場合によっては、高屈折率ガラスの「低分散」に対応するアッベ数が、低屈折率ガラスの「低分散」に対応するアッベ数よりも小さくなる可能性もある。換言すれば、屈折率の計算値が大きくなるにつれて、「低分散」に対応するアッベ数の値は小さくなる。「高分散」についても同様の関係が見られる。
【0031】
本明細書において、「α」又は「α２０－３００」という用語は、２０℃（室温）～３００℃の温度範囲におけるガラス組成物の線熱膨張係数（coefficient of linear thermal expansion：ＣＴＥ）を指す。この特性は、ＡＳＴＭ規格Ｅ２２８－１１に準拠した水平式膨張計（押し棒式膨張計）を用いて測定される。αの数値尺度は、指定温度範囲（例えば、室温～３００℃）におけるリニア平均値であり、α＝ΔＬ／（Ｌ０ΔＴ）で表される。式中、Ｌ０は測定範囲内又はその近傍の或る温度における試料の線形寸法（linear size）であり、ΔＬは測定温度範囲ΔＴにおける線形寸法（Ｌ）の変化である。
【0032】
ヤング率Ｅとポアソン比μは、ITW India Private Limited, Magnaflux Divisionから入手可能なQuasar RUSpec 4000を使用して、共振超音波スペクトロスコピー法により測定した。
【0033】
ガラス転移温度（Ｔｇ）は、示差走査熱量計（differential scanning calorimeter：ＤＳＣ）を用いて１０Ｋ／分の昇温速度で加熱し、空気中で冷却するまでを測定することにより求めた。
【0034】
本明細書において、「アニール点（annealing point）」という用語は、所定のガラス組成を有するガラスの粘度が約１０１３．２ポアズとなる温度を指し、ＡＳＴＭ規格Ｃ５９８－９３（２０１３）に従って求められる。
【0035】
本明細書において、式中に用いられる記号「＊」はいずれも、乗算を意味している。
【0036】
ガラス組成物は、酸化リン（Ｐ２Ｏ５）を含むことができる。本明細書に記載の実施形態におけるガラス組成物は、主たるガラス形成物質として酸化リン（Ｐ２Ｏ５）を含む。Ｐ２Ｏ５の量が多いほど、所定の温度における融液の粘度が高くなり、冷却時に融液からの結晶化が抑制されるため、融液のガラス形成能は高くなる（すなわち、融液の臨界冷却速度が低下する）。ただし、ガラス組成物にＰ２Ｏ５を添加すると屈折率が著しく低下するため、高い屈折率を実現することは難しくなる。従って、高屈折率ガラスにおけるＰ２Ｏ５の含有量は制限される。複数の実施形態において、ガラスが含有する酸化リン（Ｐ２Ｏ５）の量を、１０．０モル％以上４０．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＰ２Ｏ５の量を、１０．０モル％以上、１１．０モル％以上、１２．０モル％以上、１３．０モル％以上、１５．０モル％以上、２０．０モル％以上、２１．０モル％以上、２１．７モル％以上、２２．０モル％以上、２３．９モル％以上、２５．０モル％以上、３０．０モル％以上、３５．０モル％以上、３７．０モル％以上、３８．０モル％以上、又は３９．０モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＰ２Ｏ５の量を、４０．０モル％以下、３９．０モル％以下、３８．０モル％以下、３７．０モル％以下、３５．０モル％以下、３０．０モル％以下、２９．０モル％以下、２５．０モル％以下、２４．７モル％以下、２０．０モル％以下、１５．０モル％以下、１３．０モル％以下、１２．０モル％以下、又は１１．０モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＰ２Ｏ５の量を、１０．０モル％以上４０．０モル％以下、１５．０モル％以上３５．０モル％以下、２１．０モル％以上３０．０モル％以下、２１．７モル％以上２４．７モル％以下、２２．０モル％以上２９．０モル％以下、２３．９１モル％以上２５．０モル％以下、１０．０モル％以上３５．０モル％以下、１１．０モル％以上２４．７モル％以下、１１．０モル％以上１２．０モル％以下、１２．０モル％以上２４．７モル％以下、１３．０モル％以上３７．０モル％以下、１３．０モル％以上２９．０モル％以下、１３．０モル％以上２０．０モル％以下、１５．０モル％以上３７．０モル％以下、１５．０モル％以上２９．０モル％以下、２０．０モル％以上２９．０モル％以下、２４．７モル％以上４０．０モル％以下、２４．７モル％以上２９．０モル％以下、２５．０モル％以上４０．０モル％以下、２５．０モル％以上３８．０モル％以下、２５．０モル％以上３５．０モル％以下、２９．０モル％以上３８．０モル％以下、２５．０モル％以上３６．０モル％以下、１３．０モル％以上２６．０モル％以下、又は１４．０モル％以上３０．０モル％以下とすることができる。
【0037】
ガラス組成物は、シリカ（ＳｉＯ２）を含むことができる。シリカは、補助的なガラス形成物質の役割を果たすことができる。Ｐ２Ｏ５と同様、シリカも、液相粘度の上昇に貢献し、従ってガラス組成物の結晶化防止に貢献することができる。ただし、ガラス組成物にＳｉＯ２を添加すると、液液相分離を起こす恐れがあり、得られるガラスに失透や透過率の低下が生じてしまう可能性がある。また、ＳｉＯ２は低屈折率成分であるため、高屈折率ガラスの実現も難しくなる。従って、本開示の実施形態においてＳｉＯ２の含有量は制限されるか、又はＳｉＯ２を実質含まないガラスとすることもできる。複数の実施形態において、ガラスが含有するシリカ（ＳｉＯ２）の量を、０．０モル％以上１５．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＳｉＯ２の量を、０．０モル％以上、１．０モル％以上、２．０モル％以上、３．０モル％以上、５．０モル％以上、１０．０モル％以上、１２．０モル％以上、１３．０モル％以上、又は１４．０モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＳｉＯ２の量を、１５．０モル％以下、１４．０モル％以下、１３．０モル％以下、１２．０モル％以下、１０．０モル％以下、５．０モル％以下、３．０モル％以下、２．０モル％以下、１．０モル％以下、０．９モル％以下、又は０．８モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＳｉＯ２の量を、０．０モル％以上１．０モル％以下、０．０モル％以上０．９モル％以下、０．０モル％以上０．８モル％以下、０．０モル％以上１５．０モル％以下、０．０モル％以上１２．０モル％以下、０．０モル％以上３．０モル％以下、０．８モル％以上１２．０モル％以下、０．８モル％以上０．９モル％以下、０．９モル％以上１２．０モル％以下、１．０モル％以上１３．０モル％以下、１．０モル％以上１０．０モル％以下、２．０モル％以上１３．０モル％以下、３．０モル％以上１３．０モル％以下、３．０モル％以上１０．０モル％以下、３．０モル％以上９．５モル％以下、７．０モル％以上１１．０モル％以下、又は４．５モル％以上９．０モル％以下とすることができる。
【0038】
ガラス組成物は、２価の金属酸化物（ＲＯ）を含むことができる。アルカリ土類金属酸化物（ＢｅＯ、ＭｇＯ、ＣａＯ、ＳｒＯ、ＢａＯ）や、酸化亜鉛（ＺｎＯ）、酸化カドミウム（ＣｄＯ）、酸化鉛（ＰｂＯ）などの２価の金属酸化物をガラスに添加することにより、比較的高い屈折率が得られ、多くの１価の酸化物に比べても高い屈折率が得られる。また、一部の２価の金属酸化物（例えば、ＣａＯ、ＳｒＯ、ＺｎＯなど）では、比較的小さい密度が得られるため、密度に対する屈折率の比が上昇して、特定の用途における光学ガラスの性能がその分向上する。さらに、２価の金属酸化物は、ＴｉＯ２、Ｎｂ２Ｏ５、ＷＯ３などの高屈折率成分の溶解度の向上にも貢献することができるため、間接的に、同等の密度における屈折率のさらなる上昇につながる。また、一部の２価の金属酸化物（例えば、ＺｎＯやＭｇＯなど）では、比較的小さい熱膨張係数が得られるため、冷却時にガラス物品に発生する熱応力が小さくなり、従って、ガラス物品の品質を向上させることができる。ただし、２価の金属酸化物を大量に添加すると、融液からの難溶性鉱物の結晶化や液液相分離を引き起こす恐れがあり、ガラス形成能を低下させてしまう可能性がある。また、例えば、ＰｂＯやＣｄＯなどの一部の２価の金属酸化物は、生態系に何らかの問題を引き起こす恐れもある。従って、本開示のガラス組成物における２価の金属酸化物の量は制限される。
【0039】
いくつかの実施形態では、ガラスが含有する２価の金属酸化物の量を、４．０モル％以上とすることができる。
【0040】
ガラス組成物は、酸化カルシウム（ＣａＯ）を含むことができる。酸化カルシウムは、既知の１価及び２価の金属酸化物の中で、ガラスの密度に対する屈折率の比を最も高くする金属酸化物である。また、いくつかの実施形態では、ＣａＯは、Ｎｂ２Ｏ５やＴｉＯ２の溶解度の向上にも貢献することができ、これにより、比較的低い密度での屈折率のさらなる上昇に寄与する。ただし、ガラス中のＣａＯの量が多すぎると、チタン酸カルシウム（ＣａＴｉＯ３、ＣａＴｉ２Ｏ５など）、ニオブ酸カルシウム（ＣａＮｂ２Ｏ６）、メタケイ酸カルシウム（ＣａＳｉＯ３）などの難溶性種の結晶化を引き起こす恐れがあり、これにより、液相温度での粘度が低下するため、臨界冷却速度が上昇して、冷却時にガラス形成溶融物の結晶化を引き起こしてしまう可能性がある。そのため、本開示のガラスにおけるＣａＯの量は制限されている。複数の実施形態において、ガラスが含有する酸化カルシウム（ＣａＯ）の量を、０．０モル％以上３５．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＣａＯの量を、０．０モル％以上、０．３モル％以上、０．５モル％以上、１．０モル％以上、２．０モル％以上、３．０モル％以上、４．０モル％以上、５．０モル％以上、５．３モル％以上、５．５モル％以上、１０．０モル％以上、１５．０モル％以上、２０．０モル％以上、２５．０モル％以上、３０．０モル％以上、３２．０モル％以上、３３．０モル％以上、又は３４．０モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＣａＯの量を、３５．０モル％以下、３４．０モル％以下、３３．０モル％以下、３２．０モル％以下、３０．０モル％以下、２５．０モル％以下、２３．０モル％以下、２０．５モル％以下、２０．０モル％以下、１５．０モル％以下、１４．５モル％以下、１０．０モル％以下、５．０モル％以下、３．０モル％以下、２．０モル％以下、又は１．０モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＣａＯの量を、０．０モル％以上１４．５モル％以下、０．３モル％以上３０．０モル％以下、１．０モル％以上３５．０モル％以下、２．０モル％以上３０．０モル％以下、４．０モル％以上２３．０モル％以下、５．３モル％以上１５．０モル％以下、５．５モル％以上２０．５モル％以下、０．０モル％以上３５．０モル％以下、０．０モル％以上２５．０モル％以下、０．０モル％以上１．０モル％以下、１．０モル％以上１４．５モル％以下、２．０モル％以上５．０モル％以下、３．０モル％以上３０．０モル％以下、３．０モル％以上５．０モル％以下、５．０モル％以上３０．０モル％以下、５．０モル％以上２０．０モル％以下、１０．０モル％以上３５．０モル％以下、１０．０モル％以上２３．０モル％以下、１０．０モル％以上１５．０モル％以下、１４．５モル％以上２３．０モル％以下、１４．５モル％以上１５．０モル％以下、１５．０モル％以上３５．０モル％以下、１５．０モル％以上２３．０モル％以下、２０．０モル％以上３０．０モル％以下、２０．０モル％以上２３．０モル％以下、２０．５モル％以上３５．０モル％以下、２０．５モル％以上３３．０モル％以下、２０．５モル％以上２３．０モル％以下、２３．０モル％以上３３．０モル％以下、２３．０モル％以上３０．０モル％以下、５．０モル％以上１８．０モル％以下、１１．０モル％以上２５．０モル％以下、又は１５．０モル％以上２８．０モル％以下とすることができる。
【0041】
ガラス組成物は、酸化バリウム（ＢａＯ）を含むことができる。酸化バリウムは、他の２価の金属酸化物に比べて、ＴｉＯ２やＮｂ２Ｏ５などの高屈折率成分の溶解度を高める力が高く、間接的に、比較的低い密度での屈折率のさらなる上昇を実現することができる。ただし、バリウムは重い元素であり、大量に添加するとガラスの密度を上げてしまう恐れがある。また、高濃度では、チタン酸バリウム（ＢａＴｉＯ３）、ニオブ酸バリウム（ＢａＮｂ２Ｏ６）、オルトリン酸バリウム（Ｂａ３Ｐ２Ｏ８）などの鉱物の結晶化を引き起こす恐れがあり、これにより、冷却時に融液の結晶化を引き起こしてしまう可能性がある。従って、本開示のガラスにおけるＢａＯの量は制限されるか、又はＢａＯを実質含まないガラスとすることもできる。複数の実施形態において、ガラスが含有する酸化バリウム（ＢａＯ）の量を、０．０モル％以上１５．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＢａＯの量を、０．０モル％以上、３．０モル％以上、５．０モル％以上、６．０モル％以上、又は１０．０モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＢａＯの量を、１５．０モル％以下、１７．０モル％以下、１５．０モル％以下、１４．５モル％以下、１３．０モル％以下、１０．０モル％以下、８．０モル％以下、又は５．０モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＢａＯの量を、０．０モル％以上２０．０モル％以下、０．０モル％以上１５．０モル％以下、０．０モル％以上１４．５モル％以下、０．０モル％以上１３．０モル％以下、３．３モル％以上８．０１モル％以下、６．０モル％以上１７．０モル％以下、５．０モル％以上１５．０モル％以下、５．０モル％以上１３．０モル％以下、５．０モル％以上８．０モル％以下、８．０モル％以上１３．０モル％以下、１０．０モル％以上１７．０モル％以下、１０．０モル％以上１５．０モル％以下、１０．０モル％以上１３．０モル％以下、１３．０モル％以上１５．０モル％以下、１３．０モル％以上１４．５モル％以下、４．８モル％以上１４．３モル％以下、７．８モル％以上１４．５モル％以下、又は５．２モル％以上１１．１モル％以下とすることができる。
【0042】
ガラス組成物は、マグネシア（ＭｇＯ）を含むことができる。マグネシアは、高屈折率光学ガラスにはあまり用いられない。しかし、マグネシアは、熱膨張係数を低下させるため、ガラス物品の冷却時にガラス物品に発生する熱応力を低減するのに有用である場合がある。ただし、マグネシアは、例えば、ＢａＯ、ＳｒＯ、ＣａＯ、ＺｎＯなどの他の２価の金属酸化物に比べて屈折率が低く、高屈折率成分の溶解度の向上効果も低い。また、リン酸塩ガラスでは、ＭｇＯを添加することによりリン酸マグネシウムＭｇ３Ｐ２Ｏ８の結晶化が起こり、ガラス形成能が低下してしまう恐れもある。従って、本開示のガラス組成物におけるＭｇＯの量は制限されるか、又はＭｇＯを実質含まないガラスとすることもできる。複数の実施形態において、ガラスが含有するマグネシア（ＭｇＯ）の量を、０．０モル％以上１５．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＭｇＯの量を、０．０モル％以上、１．０モル％以上、２．０モル％以上、３．０モル％以上、５．０モル％以上、１０．０モル％以上、１２．０モル％以上、１３．０モル％以上、又は１４．０モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＭｇＯの量を、１５．０モル％以下、１４．０モル％以下、１３．０モル％以下、１２．０モル％以下、１０．０モル％以下、５．０モル％以下、３．０モル％以下、２．５モル％以下、２．０モル％以下、又は１．０モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＭｇＯの量を、０．０モル％以上１５．０モル％以下、０．０モル％以上２．５モル％以下、０．０モル％以上３．０モル％以下、０．０モル％以上１．０モル％以下、１．０モル％以上１５．０モル％以下、１．０モル％以上１２．０モル％以下、１．０モル％以上３．０モル％以下、２．０モル％以上１３．０モル％以下、２．０モル％以上３．０モル％以下、２．５モル％以上１５．０モル％以下、２．５モル％以上１３．０モル％以下、２．５モル％以上１０．０モル％以下、２．５モル％以上３．０モル％以下、３．０モル％以上１５．０モル％以下、３．０モル％以上１３．０モル％以下、５．０モル％以上１５．０モル％以下、５．０モル％以上１２．０モル％以下、５．１モル％以上１３．０モル％以下、９．５モル％以上１４．３モル％以下、又は３．９モル％以上９．３モル％以下とすることができる。
【0043】
ガラス組成物は、酸化ナトリウム（Ｎａ２Ｏ）を含むことができる。高屈折率ガラスにおいて、Ｎａ２ＯはＫ２Ｏと同様の作用を示し、ＴｉＯ２、Ｎｂ２Ｏ５、ＷＯ３などの高屈折率成分の溶解度を向上させるが、その一方で、ガラスの屈折率を低下させる。なお、高屈折率成分の溶解度に与える効果は、Ｋ２Ｏに比べてＮａ２Ｏの方が若干低い場合が多いことがわかっている。しかし、Ｎａ２ＯはＫ２Ｏに比べて小さい熱膨張係数が得られるため、ガラス物品の冷却時に発生する熱応力が小さくなり、従って、ガラス物品の品質を向上させることができる。複数の実施形態において、ガラスが含有する酸化ナトリウム（Ｎａ２Ｏ）の量を、０．０モル％以上１５．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＮａ２Ｏの量を、０．０モル％以上、５．０モル％以上、又は１０．０モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＮａ２Ｏの量を、１５．０モル％以下、１５．０モル％以下、１３．５モル％以下、１２．０モル％以下、１０．５モル％以下、１０．０モル％以下、７．０モル％以下、又は５．０モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＮａ２Ｏの量を、０．０モル％以上２０．０モル％以下、０．０モル％以上１５．０モル％以下、０．０モル％以上１３．５モル％以下、０．０モル％以上１２．０モル％以下、０．０モル％以上１０．５モル％以下、０．０２モル％以上６．９８モル％以下、５．０モル％以上１０．５モル％以下、５．０モル％以上７．０モル％以下、７．０モル％以上１３．５モル％以下、７．０モル％以上１０．５モル％以下、５．６モル％以上１１．０モル％以下、２．１モル％以上１３．０モル％以下、又は５．２モル％以上９．０モル％以下とすることができる。
【0044】
ガラス組成物は、アルミナ（Ａｌ２Ｏ３）を含むことができる。アルミナは、高温でのガラス形成溶融物の粘度を高めることができ、これにより、臨界冷却速度を低下させて、ガラス形成能を高めることができる。ただし、高屈折率リン酸塩ガラスでは、Ａｌ２Ｏ３を添加することにより、冷却時にガラス形成溶融物中のリン酸アルミニウム（ＡｌＰＯ４）、チタン酸アルミニウム（Ａｌ２ＴｉＯ５）、ニオブ酸アルミニウム（ＡｌＮｂＯ４）などの難溶性鉱物が結晶化してしまう恐れがある。従って、本開示のガラスにおけるＡｌ２Ｏ３の量は制限されるか、又はＡｌ２Ｏ３を実質含まないガラスとすることもできる。複数の実施形態において、ガラスが含有するアルミナ（Ａｌ２Ｏ３）の量を、０．０モル％以上１０．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＡｌ２Ｏ３の量を、０．０モル％以上、０．５モル％以上、１．０モル％以上、１．５モル％以上、２．５モル％以上、５．０モル％以上、７．５モル％以上、８．５モル％以上、９．０モル％以上、又は９．５モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＡｌ２Ｏ３の量を、１０．０モル％以下、９．５モル％以下、９．０モル％以下、８．５モル％以下、７．５モル％以下、５．０モル％以下、２．５モル％以下、１．５モル％以下、１．０モル％以下、又は０．５モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＡｌ２Ｏ３の量を、０．０モル％以上１０．０モル％以下、０．０モル％以上８．５モル％以下、０．０モル％以上０．５モル％以下、０．５モル％以上２．５モル％以下、１．０モル％以上９．０モル％以下、１．０モル％以上７．５モル％以下、１．０モル％以上２．５モル％以下、１．５モル％以上９．０モル％以下、２．５モル％以上７．５モル％以下、５．０モル％以上８．５モル％以下、５．０モル％以上７．５モル％以下、７．５モル％以上９．５モル％以下、７．５モル％以上９．０モル％以下、７．５モル％以上８．５モル％以下、１．２モル％以上９．６モル％以下、３．５モル％以上９．０モル％以下、又は４．０モル％以上８．０モル％以下とすることができる。
【0045】
ガラス組成物は、バナジア（Ｖ２Ｏ５）を含むことができる。バナジアは、すべての酸化物の中で密度に対する屈折率の比が最も高くなる。ただし、バナジアは、濃い着色やさらには黒い着色を起こしてしまう可能性があるほか、環境問題を引き起こす恐れもある。これらの理由から、本開示のガラスにおけるバナジアの含有量は制限されるか、又はＶ２Ｏ５を含まないガラス組成物とすることもできる。複数の実施形態において、ガラスが含有するバナジア（Ｖ２Ｏ５）の量を、０．０モル％以上１．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＶ２Ｏ５の量を、０．０モル％以上、０．０５モル％以上、０．１０モル％以上、０．１５モル％以上、０．２５モル％以上、０．５モル％以上、０．７５モル％以上、０．８５モル％以上、０．９モル％以上、又は０．９５モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＶ２Ｏ５の量を、１．０モル％以下、０．９５モル％以下、０．９モル％以下、０．８５モル％以下、０．７５モル％以下、０．５モル％以下、０．２５モル％以下、０．１５モル％以下、０．１０モル％以下、又は０．０５モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＶ２Ｏ５の量を、０．０モル％以上１．０モル％以下、０．０モル％以上０．８５モル％以下、０．０モル％以上０．２５モル％以下、０．０モル％以上０．０５モル％以下、０．０５モル％以上０．８５モル％以下、０．０５モル％以上０．２５モル％以下、０．１０モル％以上１．０モル％以下、０．１０モル％以上０．９モル％以下、０．１０モル％以上０．７５モル％以下、０．１０モル％以上０．２５モル％以下、０．１５モル％以上０．７５モル％以下、０．１５モル％以上０．２５モル％以下、０．２５モル％以上０．９モル％以下、０．５モル％以上１．０モル％以下、０．５モル％以上０．９５モル％以下、０．５モル％以上０．９モル％以下、０．７５モル％以上０．９５モル％以下、０．７５モル％以上０．９モル％以下、０．７５モル％以上０．８５モル％以下、０．４モル％以上０．７７モル％以下、０．４５モル％以上０．８５モル％以下、又は０．５６モル％以上０．９４モル％以下とすることができる。
【0046】
ガラス組成物は、酸化タングステン（ＷＯ３）を含むことができる。ＷＯ３は、密度の著しい増加や望ましくない着色を引き起こすことなく、高い屈折率を実現することができる。ただし、ＷＯ３の濃度が１０．０モル％以上や２０．０モル％以上などの高濃度になると、液相温度が上がる傾向があり、液相温度での粘度が低下してしまうため、冷却時の融液の結晶化の回避や、高品質な光学ガラスの実現が難しくなる。従って、ＷＯ３の含有量を制限する必要があるか、又はＷＯ３を含まないガラス組成物とすることもできる。複数の実施形態において、ガラスが含有する酸化タングステン（ＷＯ３）の量を、０．０モル％以上１０．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＷＯ３の量を、０．０モル％以上、２．５モル％以上、３．０モル％以上、５．０モル％以上、又は７．５モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＷＯ３の量を、１０．０モル％以下、８．５モル％以下、７．５モル％以下、６．０モル％以下、５．０モル％以下、４．６モル％以下、又は２．５モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＷＯ３の量を、０．０モル％以上１０．０モル％以下、０．０モル％以上８．５モル％以下、０．０モル％以上７．５モル％以下、０．０モル％以上４．６モル％以下、２．５モル％以上６．１５モル％以下、０．０モル％以上５．０モル％以下、０．０モル％以上２．５モル％以下、２．５モル％以上１０．０モル％以下、２．５モル％以上７．５モル％以下、２．５モル％以上５．０モル％以下、４．６モル％以上１０．０モル％以下、４．６モル％以上８．５モル％以下、４．６モル％以上７．５モル％以下、４．６モル％以上６．０モル％以下、４．６モル％以上５．０モル％以下、５．０モル％以上１０．０モル％以下、５．０モル％以上８．５モル％以下、５．０モル％以上７．５モル％以下、５．０モル％以上６．０モル％以下、３．２モル％以上７．９モル％以下、３．０モル％以上８．５モル％以下、又は２．２モル％以上６．３モル％以下とすることができる。
【0047】
ガラス組成物は、酸化タンタル（Ｔａ２Ｏ５）を含むことができる。酸化タンタルは、青色透過率を低下させることなく、密度を許容可能なレベルに保ちながら屈折率を上げる。ただし、Ｔａ２Ｏ５をガラス組成物に添加することにより、場合によっては少量の添加でも、難溶性鉱物の結晶化を引き起こし、液相温度を引き上げ、その結果、ガラス形成能を低下させてしまう恐れがある。従って、酸化タンタルの含有量を制限する必要があるか、又はＴａ２Ｏ５を含まないガラス組成物とすることもできる。複数の実施形態において、ガラスが含有する酸化タンタル（Ｔａ２Ｏ５）の量を、０．０モル％以上５．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＴａ２Ｏ５の量を、０．０モル％以上、０．０２モル％以上、１．０モル％以上、２．０モル％以上、３．０モル％以上、又は４．０モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＴａ２Ｏ５の量を、５．０モル％以下、４．０モル％以下、３．０モル％以下、２．０モル％以下、１．８モル％以下、１．６モル％以下、１．０モル％以下、又は０．０３モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＴａ２Ｏ５の量を、０．０モル％以上２．０モル％以下、０．０モル％以上１．８モル％以下、０．０モル％以上１．６モル％以下、０．０２モル％以上０．０３モル％以下、０．０モル％以上５．０モル％以下、０．０モル％以上１．０モル％以下、０．０３モル％以上３．０モル％以下、０．０３モル％以上１．８モル％以下、１．０モル％以上５．０モル％以下、１．０モル％以上３．０モル％以下、１．０モル％以上１．８モル％以下、１．６モル％以上５．０モル％以下、１．６モル％以上４．０モル％以下、１．６モル％以上３．０モル％以下、１．８モル％以上５．０モル％以下、１．８モル％以上３．０モル％以下、１．８モル％以上２．０モル％以下、１．０モル％以上４．０モル％以下、１．０モル％以上３．０モル％以下、又は３．０モル％以上４．０モル％以下とすることができる。
【0048】
ガラス組成物は、酸化ビスマス（Ｂｉ２Ｏ３）を含むことができる。Ｂｉ２Ｏ３は、本明細書において検討されている他のどの成分よりも高い、非常に高い屈折率を実現できる一方、密度の上昇を引き起こしてしまう。場合によっては、好ましくない着色を生じてしまう恐れもある。また、高温での融液の粘度を低下させてしまう可能性があり、よって、冷却時に融液の結晶化を引き起こす恐れがある。かかる作用は、Ｂｉ２Ｏ３の濃度が、例えば２０．０モル％超、又は２６．０モル％超、又はそれ以上などの高濃度になると、特に顕著となる。従って、酸化ビスマスの含有量を制限する必要があるか、又はＢｉ２Ｏ３を含まないガラス組成物とすることもできる。複数の実施形態において、ガラスが含有する酸化ビスマス（Ｂｉ２Ｏ３）の量を、０．０モル％以上１０．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＢｉ２Ｏ３の量を、０．０モル％以上、１．０モル％以上、２．５モル％以上、５．０モル％以上、又は７．５モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＢｉ２Ｏ３の量を、１０．０モル％以下、７．５モル％以下、５．０モル％以下、４．６モル％以下、４．０モル％以下、３．４モル％以下、３．０モル％以下、又は２．５モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＢｉ２Ｏ３の量を、０．０モル％以上４．６モル％以下、０．０モル％以上４．０モル％以下、０．０モル％以上３．４モル％以下、０．０モル％以上３．０モル％以下、１．４３モル％以上３．６２モル％以下、０．０モル％以上１０．０モル％以下、２．５モル％以上５．０モル％以下、２．５モル％以上４．０モル％以下、２．５モル％以上３．０モル％以下、３．０モル％以上５．０モル％以下、３．０モル％以上４．０モル％以下、３．４モル％以上７．５モル％以下、３．４モル％以上５．０モル％以下、３．４モル％以上４．６モル％以下、３．４モル％以上４．０モル％以下、５．８モル％以上９．２モル％以下、０．９モル％以上５．７モル％以下、又は１．１モル％以上５．６モル％以下とすることができる。
【0049】
ガラス組成物は、酸化リチウム（Ｌｉ２Ｏ）を含むことができる。酸化カルシウムは、既知の１価の金属酸化物の中で、ガラスの密度に対する屈折率の比を最も高くする金属酸化物である。また、いくつかの実施形態では、Ｌｉ２Ｏは、Ｎｂ２Ｏ５やＴｉＯ２の溶解度の向上にも貢献することができ、これにより、比較的低い密度で屈折率をさらに上昇させる。さらに、酸化リチウムには、ガラスの漂白プロセスを高速化する働きもある。ただし、いくつかの実施形態では、Ｌｉ２Ｏの添加は、それがたとえ低濃度の添加であっても、冷却時にガラス形成溶融物の結晶化又は液液相分離を引き起こし、そのために、ガラス形成能を低下させてしまう恐れがあることが経験的に確認されている。従って、本開示のガラスにおけるＬｉ２Ｏの量は制限される。しかし、上述のようなＬｉ２Ｏによる望ましくない影響を予測することは困難である。このため、Ｌｉ２Ｏの正確な限度値は、実施形態ごとに大きく異なる可能性がある。特に、いくつかの実施形態では、Ｌｉ２Ｏを実質含まないガラスとすることもできる。複数の実施形態において、ガラスが含有する酸化リチウム（Ｌｉ２Ｏ）の量を、０．０モル％以上１０．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＬｉ２Ｏの量を、０．０モル％以上、０．５モル％以上、１．０モル％以上、１．５モル％以上、２．５モル％以上、５．０モル％以上、７．５モル％以上、８．５モル％以上、９．０モル％以上、又は９．５モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＬｉ２Ｏの量を、１０．０モル％以下、９．５モル％以下、９．０モル％以下、８．５モル％以下、７．５モル％以下、６．０モル％以下、５．０モル％以下、４．５モル％以下、４．０モル％以下、３．０モル％以下、２．５モル％以下、１．５モル％以下、１．０モル％以下、又は０．５モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＬｉ２Ｏの量を、０．０モル％以上６．０モル％以下、０．０モル％以上５．０モル％以下、０．０モル％以上４．５モル％以下、０．０モル％以上４．０モル％以下、０．９９モル％以上３．０モル％以下、０．０モル％以上１０．０モル％以下、０．０モル％以上７．５モル％以下、０．５モル％以上１０．０モル％以下、０．５モル％以上７．５モル％以下、０．５モル％以上４．０モル％以下、１．０モル％以上４．０モル％以下、１．５モル％以上８．５モル％以下、１．５モル％以上５．０モル％以下、２．５モル％以上８．５モル％以下、２．５モル％以上３．０モル％以下、３．０モル％以上８．５モル％以下、３．０モル％以上５．０モル％以下、４．０モル％以上９．０モル％以下、４．０モル％以上７．５モル％以下、４．０モル％以上５．０モル％以下、５．４モル％以上９．９モル％以下、３．５モル％以上８．１モル％以下、又は０．３モル％以上５．６モル％以下とすることができる。
【0050】
ガラス組成物は、酸化カリウム（Ｋ２Ｏ）を含むことができる。酸化カリウムは、他の１価や２価の金属酸化物に比べて、ＴｉＯ２やＮｂ２Ｏ５などの高屈折率成分の溶解度を高める力が高く、間接的に、比較的低い密度で屈折率を上昇させることができる。しかし、酸化カリウム自体から得られる屈折率は、これまで述べた酸化物の中で最も低い。よって、Ｋ２Ｏが高濃度になると、高屈折率の実現が難しくなる恐れがある。従って、本開示のガラスにおけるＫ２Ｏの量は制限されるか、又はＫ２Ｏを実質含まないガラスとすることもできる。複数の実施形態において、ガラスが含有する酸化カリウム（Ｋ２Ｏ）の量を、０．３モル％以上３５．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＫ２Ｏの量を、０．３モル％以上、０．５モル％以上、１．０モル％以上、２．０モル％以上、３．０モル％以上、４．０モル％以上、５．０モル％以上、１０．０モル％以上、１５．０モル％以上、２０．０モル％以上、２５．０モル％以上、３０．０モル％以上、３２．０モル％以上、３３．０モル％以上、又は３４．０モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＫ２Ｏの量を、３５．０モル％以下、３４．０モル％以下、３３．０モル％以下、３２．０モル％以下、３０．０モル％以下、２５．０モル％以下、２０．０モル％以下、１６．０モル％以下、１５．０モル％以下、１４．５モル％以下、１３．８モル％以下、１３．５モル％以下、１０．０モル％以下、５．０モル％以下、３．０モル％以下、２．０モル％以下、又は１．０モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＫ２Ｏの量を、０．３モル％以上２０．０モル％以下、１．０モル％以上３５．０モル％以下、２．０モル％以上１３．５モル％以下、４．０モル％以上２０．０モル％以下、４．０モル％以上１６．０モル％以下、５．０モル％以上１４．５モル％以下、５．０モル％以上１３．８１モル％以下、０．３モル％以上３５．０モル％以下、０．３モル％以上２５．０モル％以下、０．３モル％以上１３．８モル％以下、０．３モル％以上２．０モル％以下、１．０モル％以上２５．０モル％以下、１．０モル％以上１３．８モル％以下、１．０モル％以上２．０モル％以下、２．０モル％以上２５．０モル％以下、２．０モル％以上１３．８モル％以下、３．０モル％以上３０．０モル％以下、３．０モル％以上１５．０モル％以下、３．０モル％以上１０．０モル％以下、５．０モル％以上３５．０モル％以下、５．０モル％以上３０．０モル％以下、５．０モル％以上１０．０モル％以下、１０．０モル％以上３０．０モル％以下、１０．０モル％以上１５．０モル％以下、１３．５モル％以上３２．０モル％以下、１３．５モル％以上２０．０モル％以下、１３．５モル％以上１４．５モル％以下、１３．８モル％以上３５．０モル％以下、１３．８モル％以上２０．０モル％以下、１３．８モル％以上１４．５モル％以下、１４．５モル％以上３５．０モル％以下、１４．５モル％以上３２．０モル％以下、１４．５モル％以上２０．０モル％以下、５．０モル％以上１４．０モル％以下、３．０モル％以上２３．０モル％以下、又は４．０モル％以上１５．０モル％以下とすることができる。
【0051】
ガラス組成物は、チタニア（ＴｉＯ２）を含むことができる。通常、高屈折率ガラスは、光、特に青色領域及び近紫外領域の電磁スペクトルの光の少なくとも一部を吸収する種（例えば、ＴｉＯ２やＮｂ２Ｏ５など）を含む。本開示の実施形態において、ガラスの透過率は、約３００ｎｍ～２３００ｎｍの範囲内の様々な波長に対する特性として規定することができる。一部の用途では、可視域及び近紫外域（青色領域）において高い透過性を示すことが特に望ましい場合がある。しかし、高屈折率ガラスで高い青色透過率を実現することは難しいと考えられている。ガラスの屈折率上昇を図るために一般的に使用されているのは、ＴｉＯ２やＮｂ２Ｏ５であるが、ＴｉＯ２やＮｂ２Ｏ５を多く含むガラスは、近紫外領域の透過率が低下し、紫外カットオフが高波長側にシフトする傾向があるためである。従って、本開示のガラス組成物におけるＴｉＯ２の量は制限される。複数の実施形態において、ガラスが含有するチタニア（ＴｉＯ２）の量を、０．３モル％以上５０．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＴｉＯ２の量を、０．３モル％以上、１．０モル％以上、２．０モル％以上、４．０モル％以上、６．０モル％以上、９．０モル％以上、１０．０モル％以上、１２．０モル％以上、１３．０モル％以上、１５．０モル％以上、２０．０モル％以上、３０．０モル％以上、４０．０モル％以上、４４．０モル％以上、４６．０モル％以上、又は４８．０モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＴｉＯ２の量を、５０．０モル％以下、４８．０モル％以下、４６．０モル％以下、４４．０モル％以下、４０．０モル％以下、３７．０モル％以下、３４．０モル％以下、３３．０モル％以下、３０．０モル％以下、２６．０モル％以下、２０．０モル％以下、１０．０モル％以下、６．０モル％以下、４．０モル％以下、又は２．０モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＴｉＯ２の量を、０．３モル％以上４０．０モル％以下、１．０モル％以上５０．０モル％以下、６．０モル％以上４０．０モル％以下、９．０モル％以上３７．０モル％以下、１２．０モル％以上３４．０モル％以下、１３．０モル％以上３３．０モル％以下、１５．０モル％以上２６．３９モル％以下、０．３モル％以上５０．０モル％以下、２．０モル％以上４０．０モル％以下、２．０モル％以上３０．０モル％以下、４．０モル％以上５０．０モル％以下、４．０モル％以上４０．０モル％以下、４．０モル％以上３０．０モル％以下、６．０モル％以上５０．０モル％以下、１０．０モル％以上５０．０モル％以下、１０．０モル％以上４４．０モル％以下、１０．０モル％以上３４．０モル％以下、１０．０モル％以上２６．０モル％以下、２０．０モル％以上４４．０モル％以下、２０．０モル％以上３４．０モル％以下、２０．０モル％以上２６．０モル％以下、２６．０モル％以上４４．０モル％以下、２６．０モル％以上３４．０モル％以下、３０．０モル％以上５０．０モル％以下、３０．０モル％以上４６．０モル％以下、３０．０モル％以上４０．０モル％以下、３０．０モル％以上３４．０モル％以下、３３．０モル％以上４６．０モル％以下、３３．０モル％以上４０．０モル％以下、３３．０モル％以上３４．０モル％以下、２２．０モル％以上４６．０モル％以下、１６．０モル％以上３４．０モル％以下、又は１０．０モル％以上４０．０モル％以下とすることができる。
【0052】
ガラス組成物は、ニオビア（Ｎｂ２Ｏ５）を含むことができる。チタニアと同様、ニオビアも、本開示のいくつかの態様において、ガラスの密度を低く保ちながら屈折率の上昇を図るために使用することができる。ただし、チタニアと同様、ニオビアも漂白不能な黄色でガラスを着色してしまう可能性があるため、特に青色域及び紫外域における透過率が低下する恐れがある。また、チタニアと同様、ニオビアも融液の結晶化や相分離を引き起こす恐れがある。場合によっては、ニオビアを添加することによりガラスの光分散が高くなる可能性があり、これにより得られる光分散は、チタニアなどの他の高屈折率成分を同程度の濃度で添加した場合に比べて大幅に高くなると考えられる。ただし、かかるニオビアの作用は他のガラス成分の影響を受け得るものであるため、ニオビアの限界値を正確に決めるのは難しいと考えられる。いくつかの実施形態では、Ｎｂ２Ｏ５を含まないガラスとすることができ、その場合、Ｎｂ２Ｏ５の機能は、例えばＴｉＯ２などの他の種が果たす。複数の実施形態において、ガラスが含有するニオビア（Ｎｂ２Ｏ５）の量を、０．０モル％以上５０．０モル％以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物が含有するＮｂ２Ｏ５の量を、０．０モル％以上、２．０モル％以上、４．０モル％以上、６．０モル％以上、１０．０モル％以上、１３．０モル％以上、１６．０モル％以上、２０．０モル％以上、２１．０モル％以上、３０．０モル％以上、４０．０モル％以上、４４．０モル％以上、４６．０モル％以上、又は４８．０モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物が含有するＮｂ２Ｏ５の量を、５０．０モル％以下、４８．０モル％以下、４６．０モル％以下、４４．０モル％以下、４０．０モル％以下、３８．０モル％以下、３５．０モル％以下、３０．０モル％以下、２０．０モル％以下、１０．０モル％以下、６．０モル％以下、４．０モル％以下、又は２．０モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物が含有するＮｂ２Ｏ５の量を、０．０モル％以上５０．０モル％以下、１０．０モル％以上４０．０モル％以下、１３．０モル％以上３８．０モル％以下、１６．０モル％以上３５．０モル％以下、２０．２９モル％以上３４．５９モル％以下、２１．０モル％以上３５．０モル％以下、０．０モル％以上４０．０モル％以下、０．０モル％以上２０．０モル％以下、０．０モル％以上２．０モル％以下、２．０モル％以上４０．０モル％以下、４．０モル％以上４４．０モル％以下、６．０モル％以上３５．０モル％以下、６．０モル％以上１０．０モル％以下、１０．０モル％以上４４．０モル％以下、１０．０モル％以上３５．０モル％以下、２０．０モル％以上５０．０モル％以下、２０．０モル％以上４０．０モル％以下、３０．０モル％以上４６．０モル％以下、３０．０モル％以上４０．０モル％以下、３０．０モル％以上３５．０モル％以下、３５．０モル％以上５０．０モル％以下、３５．０モル％以上４６．０モル％以下、３５．０モル％以上４０．０モル％以下、３８．０モル％以上４８．０モル％以下、３８．０モル％以上４４．０モル％以下、３８．０モル％以上４０．０モル％以下、３７．０モル％以上４９．０モル％以下、２５．０モル％以上４６．０モル％以下、又は７．０モル％以上２５．０モル％以下とすることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、ガラス組成物においてＳｉＯ２とＧｅＯ２の合計（ＳｉＯ２＋ＧｅＯ２）を、０モル％以上、５．０モル％以上、又は１０．０モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物においてＳｉＯ２とＧｅＯ２の合計（ＳｉＯ２＋ＧｅＯ２）を、１５．０モル％以下、１０．０モル％以下、又は５．０モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物においてＳｉＯ２とＧｅＯ２の合計（ＳｉＯ２＋ＧｅＯ２）を、０．０モル％以上１５．０モル％以下、０．０モル％以上１０．０モル％以下、０．０モル％以上５．０モル％以下、５．０モル％以上１５．０モル％以下、５．０モル％以上１０．０モル％以下、３．０モル％以上１２．０モル％以下、６．２モル％以上１１．３モル％以下、又は３．０モル％以上９．０モル％以下とすることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、ガラス組成物においてＴｅＯ２とＳｎＯ２とＳｎＯの合計（ＴｅＯ２＋ＳｎＯ２＋ＳｎＯ）を、０．０モル％以上、５．０モル％以上、１０．０モル％以上、又は１５．０モル％以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物においてＴｅＯ２とＳｎＯ２とＳｎＯの合計（ＴｅＯ２＋ＳｎＯ２＋ＳｎＯ）を、２０．０モル％以下、１５．０モル％以下、１０．０モル％以下、又は５．０モル％以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物においてＴｅＯ２とＳｎＯ２とＳｎＯの合計（ＴｅＯ２＋ＳｎＯ２＋ＳｎＯ）を、０．０モル％以上２０．０モル％以下、０．０モル％以上１５．０モル％以下、０．０モル％以上１０．０モル％以下、０．０モル％以上５．０モル％以下、５．０モル％以上２０．０モル％以下、５．０モル％以上１５．０モル％以下、５．０モル％以上１０．０モル％以下、１０．０モル％以上２０．０モル％以下、１０．０モル％以上１５．０モル％以下、３．０モル％以上１４．０モル％以下、６．０モル％以上１５．０モル％以下、又は７．０モル％以上１５．０モル％以下とすることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、ガラスの屈折率ｎｄを、１．７５以上２．０６以下、及びこれらの値の間のすべての範囲及び部分範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物の屈折率ｎｄを、１．７５以上、１．７６以上、１．７８以上、１．８０以上、１．８５以上、１．９１以上、１．９５以上、２．００以上、２．０２以上、２．０４以上、又は２．０５以上とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物の屈折率ｎｄを、２．０６以下、２．０５以下、２．０４以下、２．０２以下、２．００以下、１．９８以下、１．９５以下、１．８５以下、１．８０以下、１．７８以下、又は１．７６以下とすることができる。いくつかのさらなる実施形態では、ガラス組成物の屈折率ｎｄを、１．７５以上２．０６まで、１．７５以上２．０２まで、１．７６以上２．０６まで、１．７６以上２．０２まで、１．７６以上１．９５まで、１．７８以上２．０６まで、１．７８以上２．０２まで、１．７８以上１．９５まで、１．８０以上２．０４まで、１．８０以上２．００まで、１．８０以上１．９５まで、１．８５以上２．０６まで、１．８５以上２．０４まで、１．８５以上２．００まで、１．８５以上１．９５まで、１．９５以上２．０４まで、１．９８以上２．０５まで、１．９８以上２．０４まで、１．９０以上２．０３まで、１．８８以上２．０４まで、又は１．９１以上２．０３までとすることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、ガラス組成物の密度ｄＲＴを、４．２ｇ／ｃｍ３以下とすることができる。いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物の密度ｄＲＴを、４．２ｇ／ｃｍ３以下、４．０ｇ／ｃｍ３以下、又は３．８ｇ／ｃｍ３以下とすることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、ガラス組成物の屈折（（ｎｄ－１）／ｄＲＴ）を、０．２４以上とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物の屈折（（ｎｄ－１）／ｄＲＴ）を、０．２４以上又は０．２５以上とすることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、ガラス組成物のｎｄ－（１．５４＋０．１＊ｄＲＴ）の量を、０．００以上とすることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、ガラス組成物のｎｄ－（１．５８＋０．１＊ｄＲＴ）の量を、０．００以上とすることができる。
【0060】
いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物のνｄ－（６４．５－２３．４＊ｎｄ）の量を、０．００以下とすることができる。
【0061】
いくつかの他の実施形態では、ガラス組成物のνｄ－（６３．７－２３．４＊ｎｄ）の量を、０．００以下とすることができる。
【0062】
屈折率ｎｄ、密度ｄＲＴ、アッベ数νｄ、屈折は、ガラスの組成から予測可能なガラスの特性である。屈折率ｎｄ、密度ｄＲＴ、アッベ数νｄ、屈折それぞれの、組成に対する依存性を予測可能な式を、下記の「実施例」の欄に記載の本開示の例示的ガラスや本明細書において報告される他のガラス組成物に対して線形回帰分析を行うことにより求めた。
【0063】
一般公開データベースであるSciGlass情報システムデータベースに提供されている文献データ及び本明細書に示す実施形態の例示的ガラスから、以下の表１に規定する基準を満たし、対象の特性（ｎｄ、ｄＲＴ、νｄ、屈折）の測定値を有するガラス組成物を、特性（ｎｄ、ｄＲＴ、νｄ、屈折）ごとに約１００ずつ無作為に選択し、訓練用データセットを作成した。そして、かかる設定の訓練用データセットに対して線形回帰分析を行い、無意味な変数や外れ値を除外して計算式を割り出した。得られた式を以下の表２に示す。また、同基準を満たす他のガラス組成物を検証セットとして用い、予め定義した組成範囲（表２に規定する標準誤差に相当）内での補間能力を評価した。一方、同じくSciGlass情報システムデータベースから先行技術のガラス組成物を無作為に選択して作成した外部データセットを用いて、上記の各特性が指定組成範囲から外れることを適正な精度で予測する予測能力を評価した。このプロセスを複数回繰り返し、表２に規定する上記の回帰式に対応する、各特性に最適な変数を求めた。
【0064】
一方、線形回帰モデリングに使用した比較例ガラス組成物については、訓練用データセット、検証データセット、外部データセットなどのデータを一般公開のSciGlass情報システムデータベースから取得した。線形回帰分析により、以下の式（Ｉ）、（ＩＩ）、（ＩＩＩ）、（ＩＶ）が得られ、式（Ｉ）をガラスの屈折率ｎｄの予測、式（ＩＩ）を密度ｄＲＴの予測、式（ＩＩＩ）をアッベ数νｄの予測、式（ＩＶ）を屈折の予測に用いた：
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
Ｐｄ［ｇ／ｃｍ３］＝３．９８４５７－０．０１５７７３＊Ａｌ２Ｏ３－０．０１４５０１＊Ｂ２Ｏ３＋０．０１９３２８＊ＢａＯ＋０．０６０７５８＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１２６８５＊ＣａＯ＋０．０２３１１１＊ＣｄＯ＋０．００５３１８４＊Ｃｓ２Ｏ＋０．０１１４８８＊Ｇａ２Ｏ３－０．００１５４１６＊ＧｅＯ２－０．０１３３４２＊Ｋ２Ｏ＋０．０５８３１９＊Ｌａ２Ｏ３－０．００７９１８＊Ｌｉ２Ｏ－０．００２１４２３＊ＭｇＯ－０．００２４４１３＊ＭｏＯ３－０．００８２２２６＊Ｎａ２Ｏ＋０．００８４９６１＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０２０５０１＊Ｐ２Ｏ５＋０．０３８８９８＊ＰｂＯ－０．０１２７２０＊ＳｉＯ２＋０．０１３９４８＊ＳｒＯ＋０．０４７９２４＊Ｔａ２Ｏ５＋０．０１１２４８＊ＴｅＯ２－０．００９２４９１＊Ｖ２Ｏ５＋０．０２８９１３＊ＷＯ３＋０．００７４７０２＊ＺｎＯ＋０．００９６７２１＊ＺｒＯ２ （ＩＩ）
Ｐν＝ｅｘｐ（２．１１＋０．０４３８＊（ｅｘｐ（３．２５９８０＋０．００７２２４８＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００５５４９４＊Ｂ２Ｏ３＋０．００２４１６４＊ＢａＯ－０．００８４９＊Ｂｉ２Ｏ３＋０．００２９８１２＊ＣａＯ＋０．００９２７６８＊ＣｄＯ＋０．００９９８２１＊Ｇａ２Ｏ３－０．００３８５７９＊ＧｅＯ２＋０．００２８０６２＊Ｋ２Ｏ＋０．００３１９５１＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２７０１１＊ＭｇＯ＋０．００７９７６＊ＭｏＯ３＋０．００２８７０５＊Ｎａ２Ｏ－０．０１３３７４＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００７２００７＊Ｐ２Ｏ５－０．００４９７９６＊ＰｂＯ＋０．００３２２４１＊ＳｉＯ２＋０．００５００２４＊ＳｒＯ－０．００２１３６＊Ｔａ２Ｏ５－０．００３２３２９＊ＴｅＯ２－０．００９７８８＊ＴｉＯ２＋０．００７４７８２＊Ｖ２Ｏ５－０．００５７０９５＊ＷＯ３＋０．００３２８２６＊ＺｎＯ＋０．００９３０２＊ＺｒＯ２））） （ＩＩＩ）
Ｐｒｅｆ［ｃｍ３／ｇ］＝０．２２３６３７＋０．００１０７０３＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０００４１６８８＊Ｐ２Ｏ５＋０．０００８８４８２＊ＴｉＯ２＋０．００００５４９５６＊ＣａＯ－０．０００２９２４３＊Ｋ２Ｏ－０．０００８３４７＊ＢａＯ－０．０００２３７３９＊Ｎａ２Ｏ＋０．００００８２７９２＊Ｌｉ２Ｏ－０．００１２４８７＊ＷＯ３－０．０００４２３９３＊ＺｎＯ－０．０００５９１５２＊ＳｒＯ－０．０００１８２６６＊ＭｇＯ－０．００１４０９１＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１４８９５＊Ｔａ２Ｏ５－０．０００２１８４２＊ＳｉＯ２－０．０００２４７８８＊ＺｒＯ２－０．０００１４８０１＊Ｂ２Ｏ３－０．００００６０８４８＊ＴｅＯ２－０．０００８５５６４＊ＰｂＯ－０．０００４２４２９＊ＧｅＯ２－０．００１５４３９＊Ｔｌ２Ｏ－０．００１２９３６＊Ａｇ２Ｏ－０．０００８９３５６＊Ｃｕ２Ｏ－０．０００３９２７８＊ＣｕＯ＋０．０００１７８９５＊Ａｓ２Ｏ３－０．０００１１８０２＊ＳＢ２Ｏ３ （ＩＶ）
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
Ｐｄ［ｇ／ｃｍ３］＝３．９８４５７－０．０１５７７３＊Ａｌ２Ｏ３－０．０１４５０１＊Ｂ２Ｏ３＋０．０１９３２８＊ＢａＯ＋０．０６０７５８＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１２６８５＊ＣａＯ＋０．０２３１１１＊ＣｄＯ＋０．００５３１８４＊Ｃｓ２Ｏ＋０．０１１４８８＊Ｇａ２Ｏ３－０．００１５４１６＊ＧｅＯ２－０．０１３３４２＊Ｋ２Ｏ＋０．０５８３１９＊Ｌａ２Ｏ３－０．００７９１８＊Ｌｉ２Ｏ－０．００２１４２３＊ＭｇＯ－０．００２４４１３＊ＭｏＯ３－０．００８２２２６＊Ｎａ２Ｏ＋０．００８４９６１＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０２０５０１＊Ｐ２Ｏ５＋０．０３８８９８＊ＰｂＯ－０．０１２７２０＊ＳｉＯ２＋０．０１３９４８＊ＳｒＯ＋０．０４７９２４＊Ｔａ２Ｏ５＋０．０１１２４８＊ＴｅＯ２－０．００９２４９１＊Ｖ２Ｏ５＋０．０２８９１３＊ＷＯ３＋０．００７４７０２＊ＺｎＯ＋０．００９６７２１＊ＺｒＯ２ （ＩＩ）
Ｐν＝ｅｘｐ（２．１１＋０．０４３８＊（ｅｘｐ（３．２５９８０＋０．００７２２４８＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００５５４９４＊Ｂ２Ｏ３＋０．００２４１６４＊ＢａＯ－０．００８４９＊Ｂｉ２Ｏ３＋０．００２９８１２＊ＣａＯ＋０．００９２７６８＊ＣｄＯ＋０．００９９８２１＊Ｇａ２Ｏ３－０．００３８５７９＊ＧｅＯ２＋０．００２８０６２＊Ｋ２Ｏ＋０．００３１９５１＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２７０１１＊ＭｇＯ＋０．００７９７６＊ＭｏＯ３＋０．００２８７０５＊Ｎａ２Ｏ－０．０１３３７４＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００７２００７＊Ｐ２Ｏ５－０．００４９７９６＊ＰｂＯ＋０．００３２２４１＊ＳｉＯ２＋０．００５００２４＊ＳｒＯ－０．００２１３６＊Ｔａ２Ｏ５－０．００３２３２９＊ＴｅＯ２－０．００９７８８＊ＴｉＯ２＋０．００７４７８２＊Ｖ２Ｏ５－０．００５７０９５＊ＷＯ３＋０．００３２８２６＊ＺｎＯ＋０．００９３０２＊ＺｒＯ２））） （ＩＩＩ）
Ｐｒｅｆ［ｃｍ３／ｇ］＝０．２２３６３７＋０．００１０７０３＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０００４１６８８＊Ｐ２Ｏ５＋０．０００８８４８２＊ＴｉＯ２＋０．００００５４９５６＊ＣａＯ－０．０００２９２４３＊Ｋ２Ｏ－０．０００８３４７＊ＢａＯ－０．０００２３７３９＊Ｎａ２Ｏ＋０．００００８２７９２＊Ｌｉ２Ｏ－０．００１２４８７＊ＷＯ３－０．０００４２３９３＊ＺｎＯ－０．０００５９１５２＊ＳｒＯ－０．０００１８２６６＊ＭｇＯ－０．００１４０９１＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１４８９５＊Ｔａ２Ｏ５－０．０００２１８４２＊ＳｉＯ２－０．０００２４７８８＊ＺｒＯ２－０．０００１４８０１＊Ｂ２Ｏ３－０．００００６０８４８＊ＴｅＯ２－０．０００８５５６４＊ＰｂＯ－０．０００４２４２９＊ＧｅＯ２－０．００１５４３９＊Ｔｌ２Ｏ－０．００１２９３６＊Ａｇ２Ｏ－０．０００８９３５６＊Ｃｕ２Ｏ－０．０００３９２７８＊ＣｕＯ＋０．０００１７８９５＊Ａｓ２Ｏ３－０．０００１１８０２＊ＳＢ２Ｏ３ （ＩＶ）
【0065】
式（Ｉ）、（ＩＩ）、（ＩＩＩ）、（ＩＶ）並びに表１及び表２において、屈折率パラメータＰｎは、モル％で表したガラス組成物の成分濃度から屈折率ｎｄを予測するパラメータ、密度パラメータＰｄは、モル％で表したガラス組成物の成分濃度から密度ｄＲＴを予測するパラメータ、分散パラメータＰνは、モル％で表したガラス組成物の成分濃度からアッベ数νｄを予測するパラメータ、Ｐｒｅｆは、モル％で表したガラス組成物の成分濃度から屈折率を予測するパラメータである。分散パラメータＰνについては、回帰分析時に対数変換を行った。式（Ｉ）、（ＩＩ）、（ＩＩＩ）、（ＩＶ）において、ガラス組成物の各成分を化学式で列挙しているが、この化学式は、モル％で表した各成分の濃度を指している。例えば、式（Ｉ）、（ＩＩ）、（ＩＩＩ）、（ＩＶ）において、Ｐ２Ｏ５は、モル％で表したガラス組成物中のＰ２Ｏ５の濃度を指す。なお、理解されるように、或る特定のガラス組成物に、式（Ｉ）、（ＩＩ）、（ＩＩＩ）、（ＩＶ）に列挙された成分の必ずしもすべてが存在するとは限らず、式（Ｉ）、（ＩＩ）、（ＩＩＩ）、（ＩＶ）は、式中に列挙した成分のうちの一部の成分のみを含有するガラス組成物に対しても同様に有効である。また、さらに理解されるように、式（Ｉ）、（ＩＩ）、（ＩＩＩ）、（ＩＶ）は、式中に列挙した成分に加えてさらに成分を含有する、本開示の範囲及び特許請求の範囲内に含まれるガラス組成物にも有効である。式（Ｉ）、（ＩＩ）、（ＩＩＩ）、（ＩＶ）に列挙した或る成分が特定のガラス組成物中に存在しない場合には、当該成分のガラス組成物における濃度は０モル％となり、式から計算される値に対する当該成分の寄与はゼロとなる。なお、表１において、ＲｍＯｎはすべての酸化物の総和である。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
図１は、いくつかの文献ガラス（「比較例ガラス」）及びいくつかの例示的ガラス（「実施例ガラス」）について、式（Ｉ）により計算したパラメータＰｎを屈折率ｎｄの測定値の関数としてプロットしたグラフである。図１のデータに示されるように、パラメータＰｎの組成依存性の誤差は、大多数のガラスでｎｄ測定値の±０．０１６単位の範囲内にあった。この誤差は表２に規定する標準誤差に相当する。
【0069】
図２は、いくつかの文献ガラス（「比較例ガラス」）といくつかの例示的ガラス（「実施例ガラス」）について、式（ＩＩ）により計算したパラメータＰｄを密度ｄＲＴの測定値の関数としてプロットしたグラフである。図２のデータに示されるように、パラメータＰｄの組成依存性の誤差は、大多数のガラスでｄＲＴ測定値の±０．２０単位の範囲内にあった。この誤差は表２に規定する標準誤差に相当する。
【0070】
図３は、いくつかの文献ガラス（「比較例ガラス」）といくつかの例示的ガラス（「実施例ガラス」）について、式（ＩＩＩ）により計算したパラメータＰνをアッベ数νｄの測定値の関数としてプロットしたグラフである。図３のデータに示されるように、パラメータＰνの組成依存性の誤差は、大多数のガラスでνｄ測定値の±０．６６単位の範囲内にあった。この誤差は表２に規定する標準誤差に相当する。
【0071】
図４は、いくつかの文献ガラス（「比較例ガラス」）といくつかの例示的ガラス（「実施例ガラス」）について、式（ＩＶ）により計算したパラメータＰｒｅｆを屈折（ｎｄ－１）／ｄＲＴの測定値の関数としてプロットしたグラフである。図４のデータに示されるように、パラメータＰｒｅｆの組成依存性の誤差は、大多数のガラスで屈折（ｎｄ－１）／ｄＲＴの測定値の±０．００４９単位の範囲内にあった。この誤差は表２に規定する標準誤差に相当する。
【0072】
表３に、本開示のいくつかの実施形態に係る成分の組み合わせと各成分の量とを示す。なお、本明細書において説明しているように、表３に示す例示的ガラスＡは、本開示の任意の態様に係る追加成分を含むことができる。
【0073】
【表3】
【0074】
本開示のいくつかの実施形態に係る例示的ガラスＡは、下記式を満たすことができる：
ｎｄ－（１．５４＋０．１＊ｄＲＴ）＞０．００
式中、ｎｄは５８７．５６ｎｍにおける屈折率、ｄＲＴは室温での密度（単位：ｇ／ｃｍ３）である。
ｎｄ－（１．５４＋０．１＊ｄＲＴ）＞０．００
式中、ｎｄは５８７．５６ｎｍにおける屈折率、ｄＲＴは室温での密度（単位：ｇ／ｃｍ３）である。
【0075】
また、本開示のいくつかの実施形態によれば、例示的ガラスＡは下記式を満たすこともできる：
ｎｄ－（１．５８＋０．１＊ｄＲＴ）＞０．００
式中、ｎｄは５８７．５６ｎｍにおける屈折率、ｄＲＴは室温での密度（単位：ｇ／ｃｍ３）である。
ｎｄ－（１．５８＋０．１＊ｄＲＴ）＞０．００
式中、ｎｄは５８７．５６ｎｍにおける屈折率、ｄＲＴは室温での密度（単位：ｇ／ｃｍ３）である。
【0076】
表４に、本開示のいくつかの実施形態に係る成分の組み合わせと各成分の量とを示す。なお、本明細書において説明しているように、表４に示す例示的ガラスＢは、本開示の任意の態様に係る追加成分を含むことができる。
【0077】
【表4】
【0078】
本開示の実施形態に係る例示的ガラスＢの屈折率ｎｄは、１．７５以上とすることができる。
【0079】
本開示のいくつかの実施形態によれば、例示的ガラスＢは、下記式を満たすことができる：
νｄ－（６４．５－２３．４＊ｎｄ）＜０．００
式中、νｄはアッベ数、ｎｄは５８７．５６ｎｍにおける屈折率である。
νｄ－（６４．５－２３．４＊ｎｄ）＜０．００
式中、νｄはアッベ数、ｎｄは５８７．５６ｎｍにおける屈折率である。
【0080】
また、本開示のいくつかの実施形態によれば、例示的ガラスＢは、下記式を満たすこともできる：
νｄ－（６３．７－２３．４＊ｎｄ）＜０．００
式中、νｄはアッベ数、ｎｄは５８７．５６ｎｍにおける屈折率である。
νｄ－（６３．７－２３．４＊ｎｄ）＜０．００
式中、νｄはアッベ数、ｎｄは５８７．５６ｎｍにおける屈折率である。
【実施例】
【0081】
以下の実施例は、本開示から得られる様々な特徴及び利点を説明するものであり、本発明及び添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0082】
本開示のいくつかの例示的ガラスのガラス試料を、以下の通り調製した。まず、バッチ原料から各試料（標的種の含有量は９９．９９質量％超）を約１５グラムずつ取り出し、白金るつぼ又は白金－ロジウムるつぼ（Ｐｔ：Ｒｈ＝８０：２０）に入れ、約１３００℃の温度で１時間溶融した。これらの試料に対し、２通りの制御された冷却条件を適用した。第１の条件（「１５分間試験（15 min test）」又は「１５分間失透試験（15 min devit test）」と呼ぶ）では、溶融後も試料を炉内に置いたままとし、炉の電源を切って試料を空気中で徐冷した。この条件では、試料を１１００℃から５００℃まで冷却するのに約１５分かかる。第２の条件（「２．５分間試験（2.5 min test）」又は「２．５分間失透試験（2.5 min devit test）」と呼ぶ）では、炉の電源を切り、炉が１１００℃の温度となった時に炉から試料を取り出して、試料を室温の空気中で冷却させた。この条件では、試料を１１００℃から５００℃まで冷却するのに約２．５分かかる。温度測定値は、炉の温度を直接読み取った値、又は赤外線（ＩＲ）カメラによって読み取った値にキャリブレーション用スケーリングを行った値であった。第１の条件（１５分間試験）は、１０００℃の温度での冷却速度が最高３００℃／分に概ね相当し、第２の試験は、１０００℃の温度での冷却速度が最高６００℃／分に概ね相当する（１０００℃付近で、冷却速度は最大近傍に到達）。温度が低下するにつれて、冷却速度も大きく低下する。第１の冷却法と第２の冷却法の典型的な予定推移（schedule）を図５に示す。これらの試料について、「１５分間失透試験」及び「２．５分間失透試験」と称する観察を行った。その結果を以下の表５に示す。観察結果「１」は、ガラス組成物がその失透試験に合格したことを示しており、試料においてガラス質部分の体積分率が結晶の体積分率より高い場合に、そのガラス組成物は表に記載の失透試験に合格したと判定されるものとする。一方、観測結果「０」は、結晶の体積分率がガラス質部分の体積率より高いことを示している。
【0083】
また、特に断りのない限り、本開示の例示的ガラスの他のガラス試料は、以下の通り調製した。まず、純白金るつぼで１キログラムのバッチを調製した。そして、１２５０℃の温度に設定した炉にるつぼを入れてから、炉内の温度を１３００℃まで上げて、１３００℃で２時間保持した。その後、炉の温度を１２５０℃まで下げ、この温度で１時間かけてガラスを平衡化させた後、鉄鋼製の台の上に注ぎ、温度Ｔｇで１時間アニールした。なお、一部の組成物では、完全に溶融させるため、温度と時間を若干調整した。例えば、いくつかの組成物では、１３５０℃又は１４００℃の溶融温度、及び／又は最大４時間の保持時間を採用した。
【0084】
また、一部の試料については、「１リットル」の白金るつぼに入れて、ジュール効果により加熱溶融して融液とした。このプロセスでは、約３７００ｇの原料を使用した。るつぼの充填は、１２５０℃で１．５時間かけて行った。その後、温度を１３００℃まで上げて、１時間保持した。このステップは、ガラスを６０ｒｐｍで連続攪拌しながら行った。その後、温度を１２００℃まで下げた状態として、攪拌速度を２０ｒｐｍまで落とし、３０分間平衡化させた。送達管を１２２５℃に加熱し、グラファイト製の冷却台上にガラスを流した。そして、厚さ約２５ｍｍ、幅約５０ｍｍ、長さ約９０ｃｍの棒状にガラスを成形した。このようにして作成したガラス棒を光学顕微鏡で調べて、結晶化の有無を確認したが、いずれも結晶は含まれなかった。光学顕微鏡で観察したガラスの品質は良好で、ガラス棒に筋（stria）や気泡は認められなかった。このガラスを温度Ｔｇのレヤー（lehr）炉に１時間入れ、粗アニールを行った。その後、ガラス棒を静止型炉に入れて温度Ｔｇで１時間アニールした後、温度を１℃／分の速度で下げた。
【0085】
別途溶融した融液から同様の試料に対して化学分析を行ったため、試験試料に対しては化学分析を行わなかった。なお、化学分析は、ＸＲＦ法（蛍光Ｘ線（X-ray fluorescence）法：Ｂ２Ｏ３とＬｉ２Ｏを除くすべての酸化物に対して実施）、ＩＣＰ法（誘導結合プラズマ質量分光分析（inductively coupled plasma mass spectrometry）法：Ｂ２Ｏ３に対して実施）、ＦＥＳ法（炎光分光分析（flame emission spectrometry）法：Ｌｉ２Ｏに対して実施）で行った。これらの分析から、Ｎｂ２Ｏ５などの主成分についてのバッチ組成からのばらつきは、±２．０質量％以内であったことが分かった。これは、約１モル％未満のばらつきに相当する。
【0086】
表５及び表６において、ｎ６３２．８ｎｍは６３２．８ｎｍの波長における屈折率を指し、ｎ５３１．９ｎｍは５３１．９ｎｍの波長における屈折率を指す。また、Ｔｘは結晶化開始温度を指す。
【0087】
【表5-1】
【0088】
【表5-2】
【0089】
【表5-3】
【0090】
【表5-4】
【0091】
【表5-5】
【0092】
【表5-6】
【0093】
【表5-7】
【0094】
【表5-8】
【0095】
【表5-9】
【0096】
【表5-10】
【0097】
【表5-11】
【0098】
【表5-12】
【0099】
【表5-13】
【0100】
【表5-14】
【0101】
【表5-15】
【0102】
【表5-16】
【0103】
【表5-17】
【0104】
【表5-18】
【0105】
【表5-19】
【0106】
以下の表６に、比較例ガラスＣ１～Ｃ２２のガラス組成及び特性を示す。
【0107】
【表6-1】
【0108】
【表6-2】
【0109】
【表6-3】
【0110】
表６に示す比較ガラスの参照キーは、以下の通りである。［１］：特開２００５―００８５１８号公報（ＨＯＹＡ株式会社）、［２］：特開２０１０―０８３７０１号公報（ＨＯＹＡ株式会社）、［３］：米国特許出願公開第２０１９／０６３９５８号明細書（ＣＯＲＮＩＮＧ）、［４］：米国特許出願公開第２０２０／１３１０７６号明細書（株式会社オハラ）、［５］：米国特許第６１５６６８４号明細書（ＨＯＹＡ株式会社）、［６］：米国特許第７５３１４７４号明細書（ＨＯＹＡ株式会社）、［７］：米国特許第７６０３８７６号明細書（ＨＯＹＡ株式会社）、［８］：米国特許第７６３８４４８号明細書（ＳＣＨＯＴＴ ＡＧ）、［９］：国際公開第２０１１／０８６８５５号（株式会社オハラ）、［１０］：国際公開第２０２０／１１０３４１号（光ガラス株式会社）、［１１］：特開平８―１５７２３１号公報（ＨＯＹＡ株式会社）、［１２］：米国特許第７８９２９９８号明細書（コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社）、［１３］：特開平８―１０４５３７号公報（ＨＯＹＡ株式会社）、［１４］：Jahn W.著「Untersuchungen uber die Violettfarbung titanhaltiger Phosphatglaser」Glastech.Ber.、１９６６年、３９巻、３号、１１８－１２６頁、［１５］：Moorthy D.V.R., Jayasimhadri M., Jang K., Kumar J.S., Babu A.M., Moorthy L.R.著「Spectroscopic characteristics of Sm3+doped alkaline earth potassium titanium phosphate glasses（Ｓｍ３＋ドープアルカリ土類リン酸チタンカリウムガラスの分光学的特性）」Indian J.Engin.Mater.Sci.、２００９年、１６巻、３号、１９３－１９６頁、［１６］：Murthy D.V.R., Sasikala T., Jamalaiah B.C., Babu A.M., Kumar J.S., Jayasimhadri M., Moorthy L.R.著「Investigation on luminescence properties of Nd3+ ions in alkaline-earth titanium phosphate glasses（アルカリ土類リン酸チタンガラス中のＮｄ３＋イオンの発光特性に関する研究）」Optics Communications、２０１１年、２８４巻、２号、６０３－６０７頁。
【0111】
図６は、例示的ガラスの一部と比較例ガラスの一部について、密度パラメータＰｄと屈折率パラメータＰｎとの関係をプロットしたグラフである。例示的ガラス（黒丸）は、表５の実施例２、４～７、９～１７、２０～３６、３８～５７、６２～７２、７７～８０、８２、８４～１４４である。比較例ガラス（白丸）は、表６の比較例Ｃ１～Ｃ１０である。密度ｄＲＴを予測する密度パラメータＰｄは、式（ＩＩ）により求めた。屈折率ｎｄを予測する屈折率パラメータＰｎは、式（Ｉ）により求めた。図６に示す例示的ガラス及び比較例ガラスはいずれも、表７に規定の特徴を有している。なお、表７における「制限なし」は、組成物を選択する際に当該制限値を考慮しなかったことを意味している。また、図６では、上記に列挙した組成物のうちの一部を目立つよう符号を付して示し、他の一部については記号を付さずに示しているほか、これ以降の結論に影響しないガラスについては図示を省略している場合がある。
【0112】
【表7】
【0113】
なお、上記に列挙した比較例ガラスは、表７に規定の特徴を有する既知のガラスの中から、同等の密度パラメータ値Ｐｄに対する屈折率パラメータＰｎの値が最も高いものを選択したものである。
【0114】
図６に示す式ｙ＝１．５４＋０．１＊ｘに対応する直線は、表７に規定の特徴を有する比較例ガラスと、本開示に係る例示的ガラス２、４～７、９～１７、２０～３６、３８～５７、６２～７２、７７～８０、８２、８４～１４４との差を視覚的に表している。図６から分かるとおり、屈折率パラメータＰｎをｙ、密度パラメータＰｄをｘとすると、図６に示すガラスのうち、上記の例示的ガラス（黒丸）は直線ｙ＝１．５４＋０．１＊ｘより上側にあるが、比較例ガラス（白丸）の中でこの直線より上側にあるものはない。換言すれば、例示的ガラスのうち一部は下記式（Ｖ）（ａ）を満たすが、図６に示す比較例ガラスはいずれも下記式（Ｖ）（ａ）を満たさない：
Ｐｎ－（１．５４＋０．１＊Ｐｄ）＞０．００ （Ｖ）（ａ）
Ｐｎ－（１．５４＋０．１＊Ｐｄ）＞０．００ （Ｖ）（ａ）
【0115】
また、これも図６から分かるとおり、屈折率パラメータＰｎをｙ、密度パラメータＰｄをｘとすると、図６に示すガラスのうち、例示的ガラスの一部は直線ｙ＝１．５８＋０．１＊ｘより上側にあるが、比較例ガラスの中でこの直線より上側にあるものはない。換言すれば、例示的ガラスのうち一部は下記式（Ｖ）（ｂ）を満たすが、図６に示す比較例ガラスはいずれも下記式（Ｖ）（ｂ）を満たさない：
Ｐｎ－（１．５８＋０．１＊Ｐｄ）＞０．００ （Ｖ）（ｂ）
Ｐｎ－（１．５８＋０．１＊Ｐｄ）＞０．００ （Ｖ）（ｂ）
【0116】
これは、上記の表７に規定の条件を満たす例示的ガラスの中に、同じ条件を満たす比較例ガラスのうちの最も優れたものに比べて、同等のＰｄ値でのＰｎ値がより高くなるものがあることを意味している。換言すれば、これらの例示的ガラスは、同等の密度値ｄＲＴに対する屈折率値ｎｄが、上記のガラスの中で比較的高くなると予測され、すなわち、表７に規定の特徴を持つ最も優れた既知の比較例ガラスに比べても、ｄＲＴとｎｄの組み合わせの点で優れていることが予測される。
【0117】
図７は、例示的ガラスの一部と比較例ガラスの一部について、密度ｄＲＴと屈折率ｎｄとの関係をプロットしたグラフである。例示的ガラス（黒丸）は、表５の実施例４～７、９、１０、２６、２８、３０～３６、４２～４８、５３、５５、５７、９２、９４、９５、９７、９９、１０１、１０３、１０５、１１１、１１３、１１７、１１８、１２２である。比較例ガラス（白丸）は、表６の比較例Ｃ６、Ｃ９、Ｃ１１～Ｃ１６である。図７に示す例示的ガラス及び比較例ガラスはいずれも、表７に規定の特徴を有している。また、図７では、上記に列挙した組成物のうちの一部を目立つよう符号を付して示し、他の一部については記号を付さずに示しているほか、これ以降の結論に影響しないガラスについては図示を省略している場合がある。
【0118】
なお、上記にて図７に関して列挙した比較例ガラスは、表７に規定の特徴を有する既知のガラスの中から、同等の密度値ｄＲＴに対する屈折率の測定値ｎｄが最も高いものを選択したものである。
【0119】
図７に示す式ｙ＝１．５４＋０．１＊ｘに対応する直線は、表７に規定の特徴を有する比較例ガラスと、本開示に係る例示的ガラス４～７、９、１０、２６、２８、３０～３６、４２～４８、５３、５５、５７、９２、９４、９５、９７、９９、１０１、１０３、１０５、１１１、１１３、１１７、１１８、１２２との差を視覚的に表している。図７から分かるとおり、ｎｄをｙ、ｄＲＴをｘとすると、図７に示すガラスのうち、上記の例示的ガラス（黒丸）は直線ｙ＝１．５４＋０．１＊ｘより上側にあるが、比較例ガラス（白丸）の中でこの直線より上側にあるものはない。換言すれば、例示的ガラスのうち一部は下記式（ＶＩ）（ａ）を満たすが、図７に示す比較例ガラスはいずれも下記式（ＶＩ）（ａ）を満たさない：
ｎｄ－（１．５４＋０．１＊ｄＲＴ）＞０．００ （ＶＩ）（ａ）
ｎｄ－（１．５４＋０．１＊ｄＲＴ）＞０．００ （ＶＩ）（ａ）
【0120】
また、これも図７から分かるとおり、ｎｄをｙ、ｄＲＴをｘとすると、図７に示すガラスのうち、例示的ガラスの一部は直線ｙ＝１．５８＋０．１＊ｘより上側にあるが、比較例ガラスの中でこの直線より上側にあるものはない。換言すれば、例示的ガラスのうち一部は下記式（ＶＩ）（ｂ）を満たすが、図７に示す比較例ガラスはいずれも下記式（ＶＩ）（ｂ）を満たさない：
ｎｄ－（１．５８＋０．１＊ｄＲＴ）＞０．００ （ＶＩ）（ｂ）
ｎｄ－（１．５８＋０．１＊ｄＲＴ）＞０．００ （ＶＩ）（ｂ）
【0121】
これは、上記の表７に規定の条件を満たす例示的ガラスの中に、同じ条件を満たす比較例ガラスのうちの最も優れたものに比べて、同等の密度測定値ｄＲＴでの屈折率測定値ｎｄがより高くなるものがあることを意味している。つまり、測定結果から、これらの例示的ガラスは、同等のｄＲＴ値に対するｎｄ値が、上記のガラスの中で比較的高くなると言える、すなわち、測定結果から、表７に規定の特徴を持つ最も優れた既知の比較例ガラスに比べても、これらの例示的ガラスがｄＲＴとｎｄの組み合わせの点で優れていると言えるとこれを解釈することができる。
【0122】
図６及び図７にプロットした比較例ガラスＣ１～Ｃ１６について、表７、式（Ｖ）（ａ）、式（Ｖ）（ｂ）、式（ＶＩ）（ａ）、式（ＶＩ）（ｂ）に規定したすべての属性の値を以下の表８に示す。なお、比較例ガラスの全組成については、表６に示している。本開示の例示的ガラスの全組成及び上記の属性については、表５に示している。
【0123】
【表8-1】
【0124】
【表8-2】
【0125】
図６及び図７から明らかなように、特性データの予測値と測定値のいずれもが、本開示の例示的ガラスの中に、密度ｄＲＴと屈折率ｎｄの組み合わせが、表７に規定の特徴を有する比較例ガラスのうちの最も優れたものよりもさらに優れたものがあることを裏付けている。
【0126】
図８は、例示的ガラスの一部と比較例ガラスの一部について、屈折率パラメータＰｎと分散パラメータＰνとの関係をプロットしたグラフである。例示的ガラス（黒丸）は、表５の実施例６～１０、１６～２１、２６～２９、３３～３６、３８、３９、４２～７７、７９～８５、８７～８９、９８、９９、１０３、１０４、１０６～１０８、１１０～１１７、１２６～１２８、１３０～１３３、１３５、１３９～１４６である。比較例ガラス（白丸）は、表６の比較例Ｃ３～Ｃ５、Ｃ７、Ｃ８、Ｃ１０、Ｃ１７～Ｃ２０である。５８７．５６ｎｍにおける屈折率を予測する屈折率パラメータＰｎは、式（Ｉ）により求めた。アッベ数を予測する分散パラメータＰνは、式（ＩＩＩ）により求めた。図８に示す例示的ガラス及び比較例ガラスはいずれも、表９に規定の特徴を有している。なお、表９における「制限なし」は、組成物を選択する際に当該制限値を考慮しなかったことを意味している。また、図８では、上記に列挙した組成物のうちの一部を目立つよう符号を付して示し、他の一部については記号を付さずに示しているほか、これ以降の結論に影響しないガラスについては図示を省略している場合がある。
【0127】
【表9】
【0128】
なお、上記に列挙した比較例ガラスは、表９に規定の特徴を有する既知のガラスの中から、同等の屈折率パラメータ値Ｐｎに対する分散パラメータＰνの値が最も低いものを選択したものである。
【0129】
図８に示す式ｙ＝６４．５－２３．４＊ｘに対応する直線は、表９に規定の特徴を有する比較例ガラスと、本開示に係る例示的ガラス６～１０、１６～２１、２６～２９、３３～３６、３８、３９、４２～７７、７９～８５、８７～８９、９８、９９、１０３、１０４、１０６～１０８、１１０～１１７、１２６～１２８、１３０～１３３、１３５、１３９～１４６との差を視覚的に表している。図８から分かるとおり、分散パラメータＰνをｙ、屈折率パラメータＰｎをｘとすると、図８に示すガラスのうち、上記の例示的ガラス（黒丸）は直線ｙ＝６４．５－２３．４＊ｘより下側にあるが、比較例ガラス（白丸）の中でこの直線より下側にあるものはない。換言すれば、例示的ガラスのうち一部は下記式（ＶＩＩ）（ａ）を満たすが、図８に示す比較例ガラスはいずれも下記式（ＶＩＩ）（ａ）を満たさない：
Ｐν－（６４．５－２３．４＊Ｐｎ）＜０ （ＶＩＩ）（ａ）
Ｐν－（６４．５－２３．４＊Ｐｎ）＜０ （ＶＩＩ）（ａ）
【0130】
また、これも図８から分かるとおり、分散パラメータＰνをｙ、屈折率パラメータＰｎをｘとすると、図８に示すガラスのうち、例示的ガラスの一部は直線ｙ＝６３．７－２３．４＊ｘより下側にあるが、比較例ガラスの中でこの直線より下側にあるものはない。換言すれば、例示的ガラスのうち一部は下記式（ＶＩＩ）（ｂ）を満たすが、図８に示す比較例ガラスはいずれも下記式（ＶＩＩ）（ｂ）を満たさない：
Ｐν－（６３．７－２３．４＊Ｐｎ）＜０ （ＶＩＩ）（ｂ）
Ｐν－（６３．７－２３．４＊Ｐｎ）＜０ （ＶＩＩ）（ｂ）
【0131】
これは、表９に規定の条件下では、本開示の例示的ガラスの中に、同じ条件を満たす比較例ガラスのうちの最も優れたものに比べて、同等のＰｎ値でのＰν値がより低くなるものがあることを意味している。換言すれば、これらの例示的ガラスは、同等の屈折率値ｎｄに対するアッベ数の値νｄが、上記のガラスの中で比較的低くなると予測され、すなわち、表９に規定の特徴を持つ最も優れた既知の比較例ガラスに比べても、ｎｄとνｄの組み合わせの点で優れていることが予測される。
【0132】
図９は、例示的ガラスの一部と比較例ガラスの一部について、屈折率ｎｄとアッベ数νｄとの関係をプロットしたグラフである。例示的ガラス（黒丸）は、表５の実施例１、１５、２２～２５、３３～３５、４７、４８、５５、５７である。比較例ガラス（白丸）は、表６の比較例Ｃ３、Ｃ５、Ｃ７～Ｃ９、Ｃ１３、Ｃ１７、Ｃ２０～Ｃ２２である。図９に示す例示的ガラス及び比較例ガラスはいずれも、表１０に規定の特徴を有している。なお、表１０における「制限なし」は、組成物を選択する際に当該制限値を考慮しなかったことを意味している。また、図９では、上記に列挙した組成物のうちの一部を目立つよう符号を付して示し、他の一部については記号を付さずに示しているほか、これ以降の結論に影響しないガラスについては図示を省略している場合がある。
【0133】
【表10】
【0134】
なお、上記に列挙した比較例ガラスは、表１０に規定の特徴を有する既知のガラスの中から、同等の屈折率の測定値ｎｄに対するアッベ数の測定値νｄが最も低いものを選択したものである。
【0135】
図９に示す式ｙ＝６４．５－２３．４＊ｘに対応する直線は、表１０に規定の特徴を有する比較例ガラスと、本開示に係る例示的ガラス１、１５、２２～２５、３３～３５、４７、４８、５５、５７との差を視覚的に表している。図９から分かるとおり、νｄをｙ、ｎｄをｘとすると、図９に示すガラスのうち、上記の例示的ガラス（黒丸）は直線ｙ＝６４．５－２３．４＊ｘより下側にあるが、比較例ガラス（白丸）の中でこの直線より下側にあるものはない。換言すれば、例示的ガラスのうち一部は下記式（ＶＩＩＩ）（ａ）を満たすが、図９に示す比較例ガラスはいずれも下記式（ＶＩＩＩ）（ａ）を満たさない：
νｄ－（６４．５－２３．４＊ｎｄ）＜０ （ＶＩＩＩ）（ａ）
νｄ－（６４．５－２３．４＊ｎｄ）＜０ （ＶＩＩＩ）（ａ）
【0136】
また、これも図９から分かるとおり、νｄをｙ、ｎｄをｘとすると、図９に示すガラスのうち、例示的ガラスの一部は直線ｙ＝６３．７－２３．４＊ｘより下側にあるが、比較例ガラスの中でこの直線より下側にあるものはない。換言すれば、例示的ガラスのうち一部は下記式（ＶＩＩＩ）（ｂ）を満たすが、図９に示す比較例ガラスはいずれも下記式（ＶＩＩＩ）（ｂ）を満たさない：
νｄ－（６３．７－２３．４＊ｎｄ）＜０ （ＶＩＩＩ）（ｂ）
νｄ－（６３．７－２３．４＊ｎｄ）＜０ （ＶＩＩＩ）（ｂ）
【0137】
これは、上記の表１０に規定の条件を満たす例示的ガラスの中に、同じ条件を満たす比較例ガラスのうちの最も優れたものに比べて、同等の屈折率測定値ｎｄでのアッベ数の測定値νｄがより低くなるものがあることを意味している。そして、測定結果から、これらの例示的ガラスは、同等のｎｄ値に対するνｄ値が、上記のガラスの中で比較的低くなると言える、すなわち、測定結果から、表１０に規定の特徴を持つ最も優れた既知の比較例ガラスに比べても、これらの例示的ガラスがｎｄとνｄの組み合わせの点で優れていると言えるとこれを解釈することができる。
【0138】
図８及び図９にプロットした比較例ガラスＣ３～Ｃ５、Ｃ７～Ｃ１０、Ｃ１３、Ｃ１７～Ｃ２２について、表９及び表１０、式（ＶＩＩ）（ａ）、式（ＶＩＩ）（ｂ）、式（ＶＩＩＩ）（ａ）、式（ＶＩＩＩ）（ｂ）に規定したすべての属性の値を以下の表１１に示す。なお、比較例ガラスの全組成については、表６に示している。例示的ガラスの全組成及び上記の属性については、表５に示している。
【0139】
【表11-1】
【0140】
【表11-2】
【0141】
図８及び図９から明らかなように、特性データの予測値と測定値のいずれもが、例示的ガラスの中に、密度ｄＲＴ、屈折率ｎｄ、アッベ数νｄのうちの任意のいずれかの組み合わせが、表９及び表１０に規定の特徴を有する比較例ガラスのうちの最も優れたものよりもさらに優れたものがあることを裏付けている。
【0142】
以下に、限定を意図するものではない態様を示す。これらの態様は、本開示の範囲に含まれるものである。既に記載されていない範囲に限り、第１～第４１の態様の特徴のいずれか１つの一部又は全体を、本開示の他の態様が有するいずれか１つ以上の特徴と組み合わせて追加の態様を形成することができ、これは、かかる組み合わせが明示的に記載されていない場合にも可能である。
【0143】
第１の態様によれば、ガラスは、複数の成分を含む成分組成を有しており、当該複数の成分は、１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、０．５モル％以上５０．０モル％以下のＴｉＯ２と、０．５モル％以上３５．０モル％以下のＫ２Ｏと、０．５モル％以上３５．０モル％以下のＣａＯと、０．０モル％以上５０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、０．０モル％以上１５．０モル％以下のＭｇＯと、０．０モル％以上１０．０モル％以下のＡｌ２Ｏ３と、０．０モル％以上４．５モル％以下のＬｉ２Ｏと、０．０モル％以上１．０モル％以下のＶ２Ｏ５と、４．０モル％以上のＲＯと、合計で０．０モル％以上２０．０モル％以下のＴｅＯ２＋ＳｎＯ２＋ＳｎＯと、合計で０．０モル％以上１５．０モル％以下のＳｉＯ２＋ＧｅＯ２と、を含み、さらに、任意選択的に、Ｎａ２Ｏ、ＷＯ３、ＢａＯ、ＳｒＯ、ＺｎＯ、ＰｂＯ、Ｂｉ２Ｏ３、Ｂ２Ｏ３、ＺｒＯ２、Ｔｌ２Ｏ、Ａｇ２Ｏ、Ｃｓ２Ｏ、Ｇａ２Ｏ３、Ｌａ２Ｏ３、ＭｏＯ３、及びＴａ２Ｏ５から選択される１つ以上の成分を含有することができる。また、ガラスは、Ｐｎ－（１．５４＋０．１＊Ｐｄ）＞０．００という条件を満たす。式中、Ｐｎは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（Ｉ）：
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
により計算した屈折率パラメータであり、Ｐｄは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩ）：
Ｐｄ［ｇ／ｃｍ３］＝３．９８４５７－０．０１５７７３＊Ａｌ２Ｏ３－０．０１４５０１＊Ｂ２Ｏ３＋０．０１９３２８＊ＢａＯ＋０．０６０７５８＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１２６８５＊ＣａＯ＋０．０２３１１１＊ＣｄＯ＋０．００５３１８４＊Ｃｓ２Ｏ＋０．０１１４８８＊Ｇａ２Ｏ３－０．００１５４１６＊ＧｅＯ２－０．０１３３４２＊Ｋ２Ｏ＋０．０５８３１９＊Ｌａ２Ｏ３－０．００７９１８＊Ｌｉ２Ｏ－０．００２１４２３＊ＭｇＯ－０．００２４４１３＊ＭｏＯ３－０．００８２２２６＊Ｎａ２Ｏ＋０．００８４９６１＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０２０５０１＊Ｐ２Ｏ５＋０．０３８８９８＊ＰｂＯ－０．０１２７２０＊ＳｉＯ２＋０．０１３９４８＊ＳｒＯ＋０．０４７９２４＊Ｔａ２Ｏ５＋０．０１１２４８＊ＴｅＯ２－０．００９２４９１＊Ｖ２Ｏ５＋０．０２８９１３＊ＷＯ３＋０．００７４７０２＊ＺｎＯ＋０．００９６７２１＊ＺｒＯ２ （ＩＩ）
により計算した密度パラメータであり、ＲＯは２価の金属酸化物の総和であり、記号「＊」は乗算を意味する。
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
により計算した屈折率パラメータであり、Ｐｄは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩ）：
Ｐｄ［ｇ／ｃｍ３］＝３．９８４５７－０．０１５７７３＊Ａｌ２Ｏ３－０．０１４５０１＊Ｂ２Ｏ３＋０．０１９３２８＊ＢａＯ＋０．０６０７５８＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１２６８５＊ＣａＯ＋０．０２３１１１＊ＣｄＯ＋０．００５３１８４＊Ｃｓ２Ｏ＋０．０１１４８８＊Ｇａ２Ｏ３－０．００１５４１６＊ＧｅＯ２－０．０１３３４２＊Ｋ２Ｏ＋０．０５８３１９＊Ｌａ２Ｏ３－０．００７９１８＊Ｌｉ２Ｏ－０．００２１４２３＊ＭｇＯ－０．００２４４１３＊ＭｏＯ３－０．００８２２２６＊Ｎａ２Ｏ＋０．００８４９６１＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０２０５０１＊Ｐ２Ｏ５＋０．０３８８９８＊ＰｂＯ－０．０１２７２０＊ＳｉＯ２＋０．０１３９４８＊ＳｒＯ＋０．０４７９２４＊Ｔａ２Ｏ５＋０．０１１２４８＊ＴｅＯ２－０．００９２４９１＊Ｖ２Ｏ５＋０．０２８９１３＊ＷＯ３＋０．００７４７０２＊ＺｎＯ＋０．００９６７２１＊ＺｒＯ２ （ＩＩ）
により計算した密度パラメータであり、ＲＯは２価の金属酸化物の総和であり、記号「＊」は乗算を意味する。
【0144】
第２の態様によれば、第１の態様に記載のガラスは、ｎｄ－（１．５４＋０．１＊ｄＲＴ）＞０．００という条件を満たす。式中、ｎｄは、５８７．５６ｎｍにおけるガラスの屈折率、ｄＲＴ［ｇ／ｃｍ３］は室温でのガラスの密度である。
【0145】
第３の態様によれば、第１又は２の態様に記載のガラスは、ｎｄ－（１．５８＋０．１＊ｄＲＴ）＞０．００という条件を満たす。式中、ｎｄは、５８７．５６ｎｍにおけるガラスの屈折率、ｄＲＴ［ｇ／ｃｍ３］は室温でのガラスの密度である。
【0146】
第４の態様によれば、第１～３の態様のいずれか１つに記載のガラスは、Ｐｎ－（１．５８＋０．１＊Ｐｄ）＞０．００という条件を満たす。
【0147】
第５の態様によれば、第１～４の態様のいずれか１つに記載のガラスの化学組成から計算される予測特性値は、Ｐｄ＜４．２ｇ／ｃｍ３という条件を満たす。
【0148】
第６の態様によれば、第１～５の態様のいずれか１つに記載のガラスの室温での密度ｄＲＴは、４．２ｇ／ｃｍ３以下である。
【0149】
第７の態様によれば、第６の態様に記載のガラスの室温での密度ｄＲＴは、３．８ｇ／ｃｍ３以下である。
【0150】
第８の態様によれば、第１～７の態様のいずれか１つに記載のガラスは、Ｐｎ＞１．８という条件を満たす。
【0151】
第９の態様によれば、第１～８の態様のいずれか１つに記載のガラスの５８７．５６ｎｍにおける屈折率ｎｄは、１．８以上である。
【0152】
第１０の態様によれば、第９の態様に記載のガラスの５８７．５６ｎｍにおける屈折率ｎｄは、１．９５以上である。
【0153】
第１１の態様によれば、ガラスは、Ｐｒｅｆ＞０．２４ｃｍ３／ｇという条件を満たし、式中、Ｐｒｅｆは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（ＩＶ）：
Ｐｒｅｆ［ｃｍ３／ｇ］＝０．２２３６３７＋０．００１０７０３＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０００４１６８８＊Ｐ２Ｏ５＋０．０００８８４８２＊ＴｉＯ２＋０．００００５４９５６＊ＣａＯ－０．０００２９２４３＊Ｋ２Ｏ－０．０００８３４７＊ＢａＯ－０．０００２３７３９＊Ｎａ２Ｏ＋０．００００８２７９２＊Ｌｉ２Ｏ－０．００１２４８７＊ＷＯ３－０．０００４２３９３＊ＺｎＯ－０．０００５９１５２＊ＳｒＯ－０．０００１８２６６＊ＭｇＯ－０．００１４０９１＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１４８９５＊Ｔａ２Ｏ５－０．０００２１８４２＊ＳｉＯ２－０．０００２４７８８＊ＺｒＯ２－０．０００１４８０１＊Ｂ２Ｏ３－０．００００６０８４８＊ＴｅＯ２－０．０００８５５６４＊ＰｂＯ－０．０００４２４２９＊ＧｅＯ２－０．００１５４３９＊Ｔｌ２Ｏ－０．００１２９３６＊Ａｇ２Ｏ－０．０００８９３５６＊Ｃｕ２Ｏ－０．０００３９２７８＊ＣｕＯ＋０．０００１７８９５＊Ａｓ２Ｏ３－０．０００１１８０２＊ＳＢ２Ｏ３ （ＩＶ）
により計算した屈折パラメータである。
Ｐｒｅｆ［ｃｍ３／ｇ］＝０．２２３６３７＋０．００１０７０３＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０００４１６８８＊Ｐ２Ｏ５＋０．０００８８４８２＊ＴｉＯ２＋０．００００５４９５６＊ＣａＯ－０．０００２９２４３＊Ｋ２Ｏ－０．０００８３４７＊ＢａＯ－０．０００２３７３９＊Ｎａ２Ｏ＋０．００００８２７９２＊Ｌｉ２Ｏ－０．００１２４８７＊ＷＯ３－０．０００４２３９３＊ＺｎＯ－０．０００５９１５２＊ＳｒＯ－０．０００１８２６６＊ＭｇＯ－０．００１４０９１＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１４８９５＊Ｔａ２Ｏ５－０．０００２１８４２＊ＳｉＯ２－０．０００２４７８８＊ＺｒＯ２－０．０００１４８０１＊Ｂ２Ｏ３－０．００００６０８４８＊ＴｅＯ２－０．０００８５５６４＊ＰｂＯ－０．０００４２４２９＊ＧｅＯ２－０．００１５４３９＊Ｔｌ２Ｏ－０．００１２９３６＊Ａｇ２Ｏ－０．０００８９３５６＊Ｃｕ２Ｏ－０．０００３９２７８＊ＣｕＯ＋０．０００１７８９５＊Ａｓ２Ｏ３－０．０００１１８０２＊ＳＢ２Ｏ３ （ＩＶ）
により計算した屈折パラメータである。
【0154】
第１２の態様によれば、第１～１１の態様のいずれか１つに記載のガラスは、０．２４ｃｍ３／ｇ以上の屈折（ｎｄ－１）／ｄＲＴをさらに有している。
【0155】
第１３の態様によれば、第１２の態様に記載のガラスは、０．２５ｃｍ３／ｇ以上の屈折（ｎｄ－１）／ｄＲＴをさらに有している。
【0156】
第１４の態様によれば、第１～１３の態様のいずれか１つに記載のガラスの成分組成は、１５．０モル％以上３５．０モル％以下Ｐ２Ｏ５、１０．０モル％以上４０．０モル％以下Ｎｂ２Ｏ５、０．５モル％以上４０．０モル％以下ＴｉＯ２、０．５モル％以上３０．０モル％以下ＣａＯ、０．５モル％以上２０．０モル％以下Ｋ２Ｏ、０．０モル％以上２０．０モル％以下ＢａＯ、０．０モル％以上２０．０モル％以下Ｎａ２Ｏ、０．０モル％以上１０．０モル％以下ＷＯ３、０．０モル％以上４．０モル％以下Ｂｉ２Ｏ３、及び０．０モル％以上２．０モル％以下のＴａ２Ｏ５と、を含む。
【0157】
第１５の態様によれば、第１～１４の態様のいずれか１つに記載のガラスの成分組成は、２１．０モル％以上３０．０モル％以下Ｐ２Ｏ５、１３．０モル％以上３８．０モル％以下Ｎｂ２Ｏ５、９．０モル％以上３７．０モル％以下ＴｉＯ２、４．０モル％以上２３．０モル％以下ＣａＯ、４．０モル％以上１６．０モル％以下Ｋ２Ｏ、０．０モル％以上１４．５モル％以下ＢａＯ、０．０モル％以上１３．５モル％以下Ｎａ２Ｏ、０．０モル％以上８．５モル％以下ＷＯ３、０．０モル％以上３．４モル％以下Ｂｉ２Ｏ３、０．０モル％以上１．８モル％以下Ｔａ２Ｏ５、及び０．０モル％以上０．９モル％以下のＳｉＯ２と、を含む。
【0158】
第１６の態様によれば、第１～１４の態様のいずれか１つに記載のガラスの成分組成は、２２．０モル％以上２９．０モル％以下Ｐ２Ｏ５、１６．０モル％以上３５．０モル％以下Ｎｂ２Ｏ５、１２．０モル％以上３４．０モル％以下ＴｉＯ２、５．５モル％以上２０．５モル％以下ＣａＯ、５．０モル％以上１４．５モル％以下Ｋ２Ｏ、０．０モル％以上１３．０モル％以下ＢａＯ、０．０モル％以上１２．０モル％以下Ｎａ２Ｏ、０．０モル％以上７．５モル％以下ＷＯ３、０．０モル％以上４．０モル％以下Ｌｉ２Ｏ、０．０モル％以上３．０モル％以下Ｂｉ２Ｏ３、０．０モル％以上１．６モル％以下Ｔａ２Ｏ５、及び０．０モル％以上０．８モル％以下のＳｉＯ２と、を含む。
【0159】
第１７の態様によれば、第１～１３の態様のいずれか１つに記載のガラスの成分組成は、２１．７モル％以上２４．７モル％以下Ｐ２Ｏ５、２１．０モル％以上３５．０モル％以下Ｎｂ２Ｏ５、１３．０モル％以上３３．０モル％以下ＴｉＯ２、６．０モル％以上１７．０モル％以下ＢａＯ、２．０モル％以上１３．５モル％以下Ｋ２Ｏ、０．５モル％以上１４．５モル％以下ＣａＯ、０．０モル％以上１０．５モル％以下Ｎａ２Ｏ、０．０モル％以上７．５モル％以下ＳｒＯ、０．０モル％以上４．６モル％以下Ｂｉ２Ｏ３、０．０モル％以上４．６モル％以下ＷＯ３、０．０モル％以上４．６モル％以下ＺｎＯ、及び０．０モル％以上２．５モル％以下のＭｇＯと、を含む。
【0160】
第１８の態様によれば、第１～１７の態様のいずれか１つに記載のガラスは、１１００℃から５００℃まで空気中で２．５分間かけて冷却した場合に、結晶化しない。
【0161】
第１９の態様によれば、第１～１８の態様のいずれか１つに記載のガラスを加工するステップを含む、光学素子の製造方法が提供される。
【0162】
第２０の態様によれば、第１～１９の態様のいずれか１つに記載のガラスを含む光学素子が提供される。
【0163】
第２１の態様によれば、ガラスは、複数の成分を含む成分組成を有しており、当該複数の成分は、１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、１．０モル％以上５０．０モル％以下のＴｉＯ２と、１．０モル％以上３５．０モル％以下のＫ２Ｏと、１．０モル％以上３５．０モル％以下のＣａＯと、０．０モル％以上５０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、０．０モル％以上１５．０モル％以下のＭｇＯと、０．０モル％以上１０．０モル％以下のＡｌ２Ｏ３と、０．０モル％以上１．０モル％以下のＶ２Ｏ５と、４．０モル％以上のＲＯと、合計で０．０モル％以上２０．０モル％以下のＴｅＯ２＋ＳｎＯ２＋ＳｎＯと、合計で０．０モル％以上１５．０モル％以下のＳｉＯ２＋ＧｅＯ２と、を含み、さらに、任意選択的に、Ｎａ２Ｏ、Ｌｉ２Ｏ、ＷＯ３、ＢａＯ、ＳｒＯ、ＺｎＯ、ＰｂＯ、Ｂｉ２Ｏ３、Ｂ２Ｏ３、ＺｒＯ２、Ｔｌ２Ｏ、Ａｇ２Ｏ、Ｇａ２Ｏ３、ＭｏＯ３、及びＴａ２Ｏ５から選択される１つ以上の成分を含有することができる。また、ガラスは、Ｐｎ＞１．７５、及びＰν－（６４．５－２３．４＊Ｐｎ）＜０．００という条件を満たす。式中、Ｐｎは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（Ｉ）：
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
により計算した屈折率パラメータであり、Ｐνは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩＩ）：
Ｐν＝ｅｘｐ（２．１１＋０．０４３８＊（ｅｘｐ（３．２５９８０＋０．００７２２４８＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００５５４９４＊Ｂ２Ｏ３＋０．００２４１６４＊ＢａＯ－０．００８４９＊Ｂｉ２Ｏ３＋０．００２９８１２＊ＣａＯ＋０．００９２７６８＊ＣｄＯ＋０．００９９８２１＊Ｇａ２Ｏ３－０．００３８５７９＊ＧｅＯ２＋０．００２８０６２＊Ｋ２Ｏ＋０．００３１９５１＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２７０１１＊ＭｇＯ＋０．００７９７６＊ＭｏＯ３＋０．００２８７０５＊Ｎａ２Ｏ－０．０１３３７４＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００７２００７＊Ｐ２Ｏ５－０．００４９７９６＊ＰｂＯ＋０．００３２２４１＊ＳｉＯ２＋０．００５００２４＊ＳｒＯ－０．００２１３６＊Ｔａ２Ｏ５－０．００３２３２９＊ＴｅＯ２－０．００９７８８＊ＴｉＯ２＋０．００７４７８２＊Ｖ２Ｏ５－０．００５７０９５＊ＷＯ３＋０．００３２８２６＊ＺｎＯ＋０．００９３０２＊ＺｒＯ２））） （ＩＩＩ）
により計算した分散パラメータであり、ＲＯは２価の金属酸化物の総和であり、記号「＊」は乗算を意味する。
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
により計算した屈折率パラメータであり、Ｐνは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩＩ）：
Ｐν＝ｅｘｐ（２．１１＋０．０４３８＊（ｅｘｐ（３．２５９８０＋０．００７２２４８＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００５５４９４＊Ｂ２Ｏ３＋０．００２４１６４＊ＢａＯ－０．００８４９＊Ｂｉ２Ｏ３＋０．００２９８１２＊ＣａＯ＋０．００９２７６８＊ＣｄＯ＋０．００９９８２１＊Ｇａ２Ｏ３－０．００３８５７９＊ＧｅＯ２＋０．００２８０６２＊Ｋ２Ｏ＋０．００３１９５１＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２７０１１＊ＭｇＯ＋０．００７９７６＊ＭｏＯ３＋０．００２８７０５＊Ｎａ２Ｏ－０．０１３３７４＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００７２００７＊Ｐ２Ｏ５－０．００４９７９６＊ＰｂＯ＋０．００３２２４１＊ＳｉＯ２＋０．００５００２４＊ＳｒＯ－０．００２１３６＊Ｔａ２Ｏ５－０．００３２３２９＊ＴｅＯ２－０．００９７８８＊ＴｉＯ２＋０．００７４７８２＊Ｖ２Ｏ５－０．００５７０９５＊ＷＯ３＋０．００３２８２６＊ＺｎＯ＋０．００９３０２＊ＺｒＯ２））） （ＩＩＩ）
により計算した分散パラメータであり、ＲＯは２価の金属酸化物の総和であり、記号「＊」は乗算を意味する。
【0164】
第２２の態様によれば、第２１の態様に記載のガラスは、５８７．５６ｎｍにおける屈折率ｎｄが１．７５以上であり、ガラスのアッベ数をνｄとすると、νｄ－（６４．５－２３．４＊ｎｄ）＜０．００、及びνｄ－（６３．７－２３．４＊ｎｄ）＜０．００という条件を満たす。
【0165】
第２３の態様によれば、第２１～２２の態様のいずれか１つに記載のガラスは、ガラスのアッベ数をνｄ、ガラスの５８７．５６ｎｍにおける屈折率をｎｄとすると、νｄ－（６３．７－２３．４＊ｎｄ）＜０．００という条件を満たす。
【0166】
第２４の態様によれば、第２１～２３の態様のいずれか１つに記載のガラスは、Ｐν－（６３．７－２３．４＊Ｐｎ）＜０．００という条件を満たす。
【0167】
第２５の態様によれば、第２１～２４の態様のいずれか１つに記載のガラスは、Ｐｄ＜４．２ｇ／ｃｍ３という条件を満たす。式中、Ｐｄは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩ）：
Ｐｄ［ｇ／ｃｍ３］＝３．９８４５７－０．０１５７７３＊Ａｌ２Ｏ３－０．０１４５０１＊Ｂ２Ｏ３＋０．０１９３２８＊ＢａＯ＋０．０６０７５８＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１２６８５＊ＣａＯ＋０．０２３１１１＊ＣｄＯ＋０．００５３１８４＊Ｃｓ２Ｏ＋０．０１１４８８＊Ｇａ２Ｏ３－０．００１５４１６＊ＧｅＯ２－０．０１３３４２＊Ｋ２Ｏ＋０．０５８３１９＊Ｌａ２Ｏ３－０．００７９１８＊Ｌｉ２Ｏ－０．００２１４２３＊ＭｇＯ－０．００２４４１３＊ＭｏＯ３－０．００８２２２６＊Ｎａ２Ｏ＋０．００８４９６１＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０２０５０１＊Ｐ２Ｏ５＋０．０３８８９８＊ＰｂＯ－０．０１２７２０＊ＳｉＯ２＋０．０１３９４８＊ＳｒＯ＋０．０４７９２４＊Ｔａ２Ｏ５＋０．０１１２４８＊ＴｅＯ２－０．００９２４９１＊Ｖ２Ｏ５＋０．０２８９１３＊ＷＯ３＋０．００７４７０２＊ＺｎＯ＋０．００９６７２１＊ＺｒＯ２ （ＩＩ）
により計算した密度パラメータである。
Ｐｄ［ｇ／ｃｍ３］＝３．９８４５７－０．０１５７７３＊Ａｌ２Ｏ３－０．０１４５０１＊Ｂ２Ｏ３＋０．０１９３２８＊ＢａＯ＋０．０６０７５８＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１２６８５＊ＣａＯ＋０．０２３１１１＊ＣｄＯ＋０．００５３１８４＊Ｃｓ２Ｏ＋０．０１１４８８＊Ｇａ２Ｏ３－０．００１５４１６＊ＧｅＯ２－０．０１３３４２＊Ｋ２Ｏ＋０．０５８３１９＊Ｌａ２Ｏ３－０．００７９１８＊Ｌｉ２Ｏ－０．００２１４２３＊ＭｇＯ－０．００２４４１３＊ＭｏＯ３－０．００８２２２６＊Ｎａ２Ｏ＋０．００８４９６１＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０２０５０１＊Ｐ２Ｏ５＋０．０３８８９８＊ＰｂＯ－０．０１２７２０＊ＳｉＯ２＋０．０１３９４８＊ＳｒＯ＋０．０４７９２４＊Ｔａ２Ｏ５＋０．０１１２４８＊ＴｅＯ２－０．００９２４９１＊Ｖ２Ｏ５＋０．０２８９１３＊ＷＯ３＋０．００７４７０２＊ＺｎＯ＋０．００９６７２１＊ＺｒＯ２ （ＩＩ）
により計算した密度パラメータである。
【0168】
第２６の態様によれば、第２１～２５の態様のいずれか１つに記載のガラスの室温での密度ｄＲＴは、４．２ｇ／ｃｍ３以下である。
【0169】
第２７の態様によれば、室温での密度ｄＲＴは、３．８ｇ／ｃｍ３以下である。
【0170】
第２８の態様によれば、第２１～２７の態様のいずれか１つに記載のガラスは、Ｐｎ＞１．８という条件を満たす。
【0171】
第２９の態様によれば、第２１～２８の態様のいずれか１つに記載のガラスの５８７．５６ｎｍにおける屈折率ｎｄは、１．８以上である。
【0172】
第３０の態様によれば、第２９の態様に記載のガラスの５８７．５６ｎｍにおける屈折率ｎｄは、１．９５以上である。
【0173】
第３１の態様によれば、第２１～３０の態様のいずれか１つに記載のガラスは、Ｐｒｅｆ＞０．２４ｃｍ３／ｇという条件を満たす。式中、Ｐｒｅｆは、成分をモル％の単位で示したガラスの成分組成から、以下の式（ＩＶ）：
Ｐｒｅｆ［ｃｍ３／ｇ］＝０．２２３６３７＋０．００１０７０３＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０００４１６８８＊Ｐ２Ｏ５＋０．０００８８４８２＊ＴｉＯ２＋０．００００５４９５６＊ＣａＯ－０．０００２９２４３＊Ｋ２Ｏ－０．０００８３４７＊ＢａＯ－０．０００２３７３９＊Ｎａ２Ｏ＋０．００００８２７９２＊Ｌｉ２Ｏ－０．００１２４８７＊ＷＯ３－０．０００４２３９３＊ＺｎＯ－０．０００５９１５２＊ＳｒＯ－０．０００１８２６６＊ＭｇＯ－０．００１４０９１＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１４８９５＊Ｔａ２Ｏ５－０．０００２１８４２＊ＳｉＯ２－０．０００２４７８８＊ＺｒＯ２－０．０００１４８０１＊Ｂ２Ｏ３－０．００００６０８４８＊ＴｅＯ２－０．０００８５５６４＊ＰｂＯ－０．０００４２４２９＊ＧｅＯ２－０．００１５４３９＊Ｔｌ２Ｏ－０．００１２９３６＊Ａｇ２Ｏ－０．０００８９３５６＊Ｃｕ２Ｏ－０．０００３９２７８＊ＣｕＯ＋０．０００１７８９５＊Ａｓ２Ｏ３－０．０００１１８０２＊ＳＢ２Ｏ３ （ＩＶ）
により計算した屈折パラメータである。
Ｐｒｅｆ［ｃｍ３／ｇ］＝０．２２３６３７＋０．００１０７０３＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０００４１６８８＊Ｐ２Ｏ５＋０．０００８８４８２＊ＴｉＯ２＋０．００００５４９５６＊ＣａＯ－０．０００２９２４３＊Ｋ２Ｏ－０．０００８３４７＊ＢａＯ－０．０００２３７３９＊Ｎａ２Ｏ＋０．００００８２７９２＊Ｌｉ２Ｏ－０．００１２４８７＊ＷＯ３－０．０００４２３９３＊ＺｎＯ－０．０００５９１５２＊ＳｒＯ－０．０００１８２６６＊ＭｇＯ－０．００１４０９１＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１４８９５＊Ｔａ２Ｏ５－０．０００２１８４２＊ＳｉＯ２－０．０００２４７８８＊ＺｒＯ２－０．０００１４８０１＊Ｂ２Ｏ３－０．００００６０８４８＊ＴｅＯ２－０．０００８５５６４＊ＰｂＯ－０．０００４２４２９＊ＧｅＯ２－０．００１５４３９＊Ｔｌ２Ｏ－０．００１２９３６＊Ａｇ２Ｏ－０．０００８９３５６＊Ｃｕ２Ｏ－０．０００３９２７８＊ＣｕＯ＋０．０００１７８９５＊Ａｓ２Ｏ３－０．０００１１８０２＊ＳＢ２Ｏ３ （ＩＶ）
により計算した屈折パラメータである。
【0174】
第３２の態様によれば、第２１～３１の態様のいずれか１つに記載のガラスは、０．２４ｃｍ３／ｇ以上の屈折（ｎｄ－１）／ｄＲＴを有している。
【0175】
第３３の態様によれば、第３２の態様に記載のガラスは、０．２５ｃｍ３／ｇ以上の屈折（ｎｄ－１）／ｄＲＴを有している。
【0176】
第３４の態様によれば、第２１～３３の態様のいずれか１つに記載のガラスの成分組成は、１５．０モル％以上３５．０モル％以下Ｐ２Ｏ５、１０．０モル％以上４０．０モル％以下Ｎｂ２Ｏ５、１．０モル％以上４０．０モル％以下ＴｉＯ２、１．０モル％以上３０．０モル％以下ＣａＯ、１．０モル％以上２０．０モル％以下Ｋ２Ｏ、０．０モル％以上２０．０モル％以下ＢａＯ、０．０モル％以上２０．０モル％以下Ｎａ２Ｏ、０．０モル％以上１０．０モル％以下ＷＯ３、０．０モル％以上５．０モル％以下Ｌｉ２Ｏ、０．０モル％以上４．０モル％以下Ｂｉ２Ｏ３、及び０．０モル％以上２．０モル％以下のＴａ２Ｏ５と、を含む。
【0177】
第３５の態様によれば、第２１～３４の態様のいずれか１つに記載のガラスの成分組成は、２１．０モル％以上３０．０モル％以下Ｐ２Ｏ５、１３．０モル％以上３８．０モル％以下Ｎｂ２Ｏ５、９．０モル％以上３７．０モル％以下ＴｉＯ２、４．０モル％以上２３．０モル％以下ＣａＯ、４．０モル％以上１６．０モル％以下Ｋ２Ｏ、０．０モル％以上１４．５モル％以下ＢａＯ、０．０モル％以上１３．５モル％以下Ｎａ２Ｏ、０．０モル％以上８．５モル％以下ＷＯ３、０．０モル％以上４．５モル％以下Ｌｉ２Ｏ、０．０モル％以上３．４モル％以下Ｂｉ２Ｏ３、０．０モル％以上１．８モル％以下Ｔａ２Ｏ５、及び０．０モル％以上０．９モル％以下のＳｉＯ２と、を含む。
【0178】
第３６の態様によれば、第２１～３５の態様のいずれか１つに記載のガラスの成分組成は、２２．０モル％以上２９．０モル％以下Ｐ２Ｏ５、１６．０モル％以上３５．０モル％以下Ｎｂ２Ｏ５、１２．０モル％以上３４．０モル％以下ＴｉＯ２、５．５モル％以上２０．５モル％以下ＣａＯ、５．０モル％以上１４．５モル％以下Ｋ２Ｏ、０．０モル％以上１３．０モル％以下ＢａＯ、０．０モル％以上１２．０モル％以下Ｎａ２Ｏ、０．０モル％以上７．５モル％以下ＷＯ３、０．０モル％以上４．０モル％以下Ｌｉ２Ｏ、０．０モル％以上３．０モル％以下Ｂｉ２Ｏ３、０．０モル％以上１．６モル％以下Ｔａ２Ｏ５、及び０．０モル％以上０．８モル％以下のＳｉＯ２と、を含む。
【0179】
第３７の態様によれば、第２１～３３の態様のいずれか１つに記載のガラスの成分組成は、２１．７モル％以上２４．７モル％以下Ｐ２Ｏ５、２１．０モル％以上３５．０モル％以下Ｎｂ２Ｏ５、１３．０モル％以上３３．０モル％以下ＴｉＯ２、６．０モル％以上１７．０モル％以下ＢａＯ、２．０モル％以上１３．５モル％以下Ｋ２Ｏ、１．０モル％以上１４．５モル％以下ＣａＯ、０．０モル％以上１０．５モル％以下Ｎａ２Ｏ、０．０モル％以上７．５モル％以下ＳｒＯ、０．０モル％以上６．０モル％以下Ｌｉ２Ｏ、０．０モル％以上４．６モル％以下Ｂｉ２Ｏ３、０．０モル％以上４．６モル％以下ＷＯ３、０．０モル％以上４．６モル％以下ＺｎＯ、及び０．０モル％以上２．５モル％以下のＭｇＯと、を含む。
【0180】
第３８の態様によれば、第２１～３４及び３７の態様のいずれか１つに記載のガラスの成分組成は、０．０モル％以上４．５モル％以下のＬｉ２Ｏを含む。
【0181】
第３９の態様によれば、第２１～３８の態様のいずれか１つに記載のガラスは、１１００℃から５００℃まで空気中で２．５分間かけて冷却した場合に、ガラスは結晶化しない。
【0182】
第４０の態様によれば、第２１～３９の態様のいずれか１つに記載のガラスを加工するステップを含む、光学素子の製造方法が提供される。
【0183】
第４１の態様によれば、第２１～４０の態様のいずれか１つに記載のガラスを含む光学素子が提供される。
【0184】
本開示の趣旨及び諸原則から実質的に逸脱しない範囲で、本開示の上述の実施形態に対して多くの変形や変更を加えることができる。そして、そのようなすべての変更や変形が、本開示の範囲に含まれ、以下の特許請求の範囲の保護の対象となることが意図されている。
【0185】
既に記載されていない範囲に限り、本開示の種々の態様の様々に異なる特徴を、必要に応じて互いに組み合わせて使用することができる。本開示の各態様に関して、或る特定の特徴を明示的には図示又は説明していない場合、これは、当該特徴がある可能性がないと解釈されることを意図するものではなく、説明を簡潔かつ端的なものとすることを目的としている。従って、様々に異なる態様の様々な特徴を、必要に応じて組み合わせて適合させて、新たな態様を形成することができ、これは、かかる新たな態様が明示的に開示されているか否かを問わず可能である。
【0186】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0187】
実施形態１
複数の成分を含む成分組成を有するガラスであって、前記複数の成分が、
・１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・０．５モル％以上５０．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・０．５モル％以上３５．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．５モル％以上３５．０モル％以下のＣａＯと、
・０．０モル％以上５０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・０．０モル％以上１５．０モル％以下のＭｇＯと、
・０．０モル％以上１０．０モル％以下のＡｌ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上４．５モル％以下のＬｉ２Ｏと、
・０．０モル％以上１．０モル％以下のＶ２Ｏ５と、
・４．０モル％以上のＲＯと、
・合計で０．０モル％以上２０．０モル％以下のＴｅＯ２＋ＳｎＯ２＋ＳｎＯと、
・合計で０．０モル％以上１５．０モル％以下のＳｉＯ２＋ＧｅＯ２と、
・任意選択的に、Ｎａ２Ｏ、ＷＯ３、ＢａＯ、ＳｒＯ、ＺｎＯ、ＰｂＯ、Ｂｉ２Ｏ３、Ｂ２Ｏ３、ＺｒＯ２、Ｔｌ２Ｏ、Ａｇ２Ｏ、Ｃｓ２Ｏ、Ｇａ２Ｏ３、Ｌａ２Ｏ３、ＭｏＯ３、及びＴａ２Ｏ５から選択される１つ以上の成分と、
を含み、前記ガラスが、
・Ｐｎ－（１．５４＋０．１＊Ｐｄ）＞０．００
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｎは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（Ｉ）：
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
により計算した屈折率パラメータであり、
・Ｐｄは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩ）：
Ｐｄ［ｇ／ｃｍ３］＝３．９８４５７－０．０１５７７３＊Ａｌ２Ｏ３－０．０１４５０１＊Ｂ２Ｏ３＋０．０１９３２８＊ＢａＯ＋０．０６０７５８＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１２６８５＊ＣａＯ＋０．０２３１１１＊ＣｄＯ＋０．００５３１８４＊Ｃｓ２Ｏ＋０．０１１４８８＊Ｇａ２Ｏ３－０．００１５４１６＊ＧｅＯ２－０．０１３３４２＊Ｋ２Ｏ＋０．０５８３１９＊Ｌａ２Ｏ３－０．００７９１８＊Ｌｉ２Ｏ－０．００２１４２３＊ＭｇＯ－０．００２４４１３＊ＭｏＯ３－０．００８２２２６＊Ｎａ２Ｏ＋０．００８４９６１＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０２０５０１＊Ｐ２Ｏ５＋０．０３８８９８＊ＰｂＯ－０．０１２７２０＊ＳｉＯ２＋０．０１３９４８＊ＳｒＯ＋０．０４７９２４＊Ｔａ２Ｏ５＋０．０１１２４８＊ＴｅＯ２－０．００９２４９１＊Ｖ２Ｏ５＋０．０２８９１３＊ＷＯ３＋０．００７４７０２＊ＺｎＯ＋０．００９６７２１＊ＺｒＯ２ （ＩＩ）
により計算した密度パラメータであり、
ＲＯは２価の金属酸化物の総和であり、記号「＊」は乗算を意味する、ガラス。
複数の成分を含む成分組成を有するガラスであって、前記複数の成分が、
・１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・０．５モル％以上５０．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・０．５モル％以上３５．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．５モル％以上３５．０モル％以下のＣａＯと、
・０．０モル％以上５０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・０．０モル％以上１５．０モル％以下のＭｇＯと、
・０．０モル％以上１０．０モル％以下のＡｌ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上４．５モル％以下のＬｉ２Ｏと、
・０．０モル％以上１．０モル％以下のＶ２Ｏ５と、
・４．０モル％以上のＲＯと、
・合計で０．０モル％以上２０．０モル％以下のＴｅＯ２＋ＳｎＯ２＋ＳｎＯと、
・合計で０．０モル％以上１５．０モル％以下のＳｉＯ２＋ＧｅＯ２と、
・任意選択的に、Ｎａ２Ｏ、ＷＯ３、ＢａＯ、ＳｒＯ、ＺｎＯ、ＰｂＯ、Ｂｉ２Ｏ３、Ｂ２Ｏ３、ＺｒＯ２、Ｔｌ２Ｏ、Ａｇ２Ｏ、Ｃｓ２Ｏ、Ｇａ２Ｏ３、Ｌａ２Ｏ３、ＭｏＯ３、及びＴａ２Ｏ５から選択される１つ以上の成分と、
を含み、前記ガラスが、
・Ｐｎ－（１．５４＋０．１＊Ｐｄ）＞０．００
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｎは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（Ｉ）：
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
により計算した屈折率パラメータであり、
・Ｐｄは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩ）：
Ｐｄ［ｇ／ｃｍ３］＝３．９８４５７－０．０１５７７３＊Ａｌ２Ｏ３－０．０１４５０１＊Ｂ２Ｏ３＋０．０１９３２８＊ＢａＯ＋０．０６０７５８＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１２６８５＊ＣａＯ＋０．０２３１１１＊ＣｄＯ＋０．００５３１８４＊Ｃｓ２Ｏ＋０．０１１４８８＊Ｇａ２Ｏ３－０．００１５４１６＊ＧｅＯ２－０．０１３３４２＊Ｋ２Ｏ＋０．０５８３１９＊Ｌａ２Ｏ３－０．００７９１８＊Ｌｉ２Ｏ－０．００２１４２３＊ＭｇＯ－０．００２４４１３＊ＭｏＯ３－０．００８２２２６＊Ｎａ２Ｏ＋０．００８４９６１＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０２０５０１＊Ｐ２Ｏ５＋０．０３８８９８＊ＰｂＯ－０．０１２７２０＊ＳｉＯ２＋０．０１３９４８＊ＳｒＯ＋０．０４７９２４＊Ｔａ２Ｏ５＋０．０１１２４８＊ＴｅＯ２－０．００９２４９１＊Ｖ２Ｏ５＋０．０２８９１３＊ＷＯ３＋０．００７４７０２＊ＺｎＯ＋０．００９６７２１＊ＺｒＯ２ （ＩＩ）
により計算した密度パラメータであり、
ＲＯは２価の金属酸化物の総和であり、記号「＊」は乗算を意味する、ガラス。
【0188】
実施形態２
前記ガラスが、
・Ｐｎ－（１．５８＋０．１＊Ｐｄ）＞０．００
という条件を満たす、実施形態１に記載のガラス。
前記ガラスが、
・Ｐｎ－（１．５８＋０．１＊Ｐｄ）＞０．００
という条件を満たす、実施形態１に記載のガラス。
【0189】
実施形態３
前記ガラスが、
・Ｐｄ＜４．２ｇ／ｃｍ３
という条件を満たす、実施形態１又は２に記載のガラス。
前記ガラスが、
・Ｐｄ＜４．２ｇ／ｃｍ３
という条件を満たす、実施形態１又は２に記載のガラス。
【0190】
実施形態４
前記ガラスが、
・Ｐｎ＞１．８
という条件を満たす、実施形態１～３のいずれか１つに記載のガラス。
前記ガラスが、
・Ｐｎ＞１．８
という条件を満たす、実施形態１～３のいずれか１つに記載のガラス。
【0191】
実施形態５
前記ガラスが、
・Ｐｒｅｆ＞０．２４ｃｍ３／ｇ
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｒｅｆは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＶ）：
Ｐｒｅｆ［ｃｍ３／ｇ］＝０．２２３６３７＋０．００１０７０３＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０００４１６８８＊Ｐ２Ｏ５＋０．０００８８４８２＊ＴｉＯ２＋０．００００５４９５６＊ＣａＯ－０．０００２９２４３＊Ｋ２Ｏ－０．０００８３４７＊ＢａＯ－０．０００２３７３９＊Ｎａ２Ｏ＋０．００００８２７９２＊Ｌｉ２Ｏ－０．００１２４８７＊ＷＯ３－０．０００４２３９３＊ＺｎＯ－０．０００５９１５２＊ＳｒＯ－０．０００１８２６６＊ＭｇＯ－０．００１４０９１＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１４８９５＊Ｔａ２Ｏ５－０．０００２１８４２＊ＳｉＯ２－０．０００２４７８８＊ＺｒＯ２－０．０００１４８０１＊Ｂ２Ｏ３－０．００００６０８４８＊ＴｅＯ２－０．０００８５５６４＊ＰｂＯ－０．０００４２４２９＊ＧｅＯ２－０．００１５４３９＊Ｔｌ２Ｏ－０．００１２９３６＊Ａｇ２Ｏ－０．０００８９３５６＊Ｃｕ２Ｏ－０．０００３９２７８＊ＣｕＯ＋０．０００１７８９５＊Ａｓ２Ｏ３－０．０００１１８０２＊ＳＢ２Ｏ３ （ＩＶ）
により計算した屈折パラメータである、実施形態１～４のいずれか１つに記載のガラス。
前記ガラスが、
・Ｐｒｅｆ＞０．２４ｃｍ３／ｇ
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｒｅｆは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＶ）：
Ｐｒｅｆ［ｃｍ３／ｇ］＝０．２２３６３７＋０．００１０７０３＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０００４１６８８＊Ｐ２Ｏ５＋０．０００８８４８２＊ＴｉＯ２＋０．００００５４９５６＊ＣａＯ－０．０００２９２４３＊Ｋ２Ｏ－０．０００８３４７＊ＢａＯ－０．０００２３７３９＊Ｎａ２Ｏ＋０．００００８２７９２＊Ｌｉ２Ｏ－０．００１２４８７＊ＷＯ３－０．０００４２３９３＊ＺｎＯ－０．０００５９１５２＊ＳｒＯ－０．０００１８２６６＊ＭｇＯ－０．００１４０９１＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１４８９５＊Ｔａ２Ｏ５－０．０００２１８４２＊ＳｉＯ２－０．０００２４７８８＊ＺｒＯ２－０．０００１４８０１＊Ｂ２Ｏ３－０．００００６０８４８＊ＴｅＯ２－０．０００８５５６４＊ＰｂＯ－０．０００４２４２９＊ＧｅＯ２－０．００１５４３９＊Ｔｌ２Ｏ－０．００１２９３６＊Ａｇ２Ｏ－０．０００８９３５６＊Ｃｕ２Ｏ－０．０００３９２７８＊ＣｕＯ＋０．０００１７８９５＊Ａｓ２Ｏ３－０．０００１１８０２＊ＳＢ２Ｏ３ （ＩＶ）
により計算した屈折パラメータである、実施形態１～４のいずれか１つに記載のガラス。
【0192】
実施形態６
前記成分組成が、
・１５．０モル％以上３５．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・０．５モル％以上４０．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・０．５モル％以上３０．０モル％以下のＣａＯと、
・０．５モル％以上２０．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．０モル％以上２０．０モル％以下のＢａＯと、
・０．０モル％以上２０．０モル％以下のＮａ２Ｏと、
・０．０モル％以上１０．０モル％以下のＷＯ３と、
・０．０モル％以上４．０モル％以下のＢｉ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上２．０モル％以下のＴａ２Ｏ５と、
を含む、実施形態１～５のいずれか１つに記載のガラス。
前記成分組成が、
・１５．０モル％以上３５．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・０．５モル％以上４０．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・０．５モル％以上３０．０モル％以下のＣａＯと、
・０．５モル％以上２０．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．０モル％以上２０．０モル％以下のＢａＯと、
・０．０モル％以上２０．０モル％以下のＮａ２Ｏと、
・０．０モル％以上１０．０モル％以下のＷＯ３と、
・０．０モル％以上４．０モル％以下のＢｉ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上２．０モル％以下のＴａ２Ｏ５と、
を含む、実施形態１～５のいずれか１つに記載のガラス。
【0193】
実施形態７
前記成分組成が、
・２１．０モル％以上３０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１３．０モル％以上３８．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・９．０モル％以上３７．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・４．０モル％以上２３．０モル％以下のＣａＯと、
・４．０モル％以上１６．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．０モル％以上１４．５モル％以下のＢａＯと、
・０．０モル％以上１３．５モル％以下のＮａ２Ｏと、
・０．０モル％以上８．５モル％以下のＷＯ３と、
・０．０モル％以上３．４モル％以下のＢｉ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上１．８モル％以下のＴａ２Ｏ５と、
・０．０モル％以上０．９モル％以下のＳｉＯ２と、
を含む、実施形態１～６のいずれか１つに記載のガラス。
前記成分組成が、
・２１．０モル％以上３０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１３．０モル％以上３８．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・９．０モル％以上３７．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・４．０モル％以上２３．０モル％以下のＣａＯと、
・４．０モル％以上１６．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．０モル％以上１４．５モル％以下のＢａＯと、
・０．０モル％以上１３．５モル％以下のＮａ２Ｏと、
・０．０モル％以上８．５モル％以下のＷＯ３と、
・０．０モル％以上３．４モル％以下のＢｉ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上１．８モル％以下のＴａ２Ｏ５と、
・０．０モル％以上０．９モル％以下のＳｉＯ２と、
を含む、実施形態１～６のいずれか１つに記載のガラス。
【0194】
実施形態８
前記成分組成が、
・２２．０モル％以上２９．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１６．０モル％以上３５．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・１２．０モル％以上３４．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・５．５モル％以上２０．５モル％以下のＣａＯと、
・５．０モル％以上１４．５モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．０モル％以上１３．０モル％以下のＢａＯと、
・０．０モル％以上１２．０モル％以下のＮａ２Ｏと、
・０．０モル％以上７．５モル％以下のＷＯ３と、
・０．０モル％以上４．０モル％以下のＬｉ２Ｏと、
・０．０モル％以上３．０モル％以下のＢｉ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上１．６モル％以下のＴａ２Ｏ５と、
・０．０モル％以上０．８モル％以下のＳｉＯ２と、
を含む、実施形態１～７のいずれか１つに記載のガラス。
前記成分組成が、
・２２．０モル％以上２９．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１６．０モル％以上３５．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・１２．０モル％以上３４．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・５．５モル％以上２０．５モル％以下のＣａＯと、
・５．０モル％以上１４．５モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．０モル％以上１３．０モル％以下のＢａＯと、
・０．０モル％以上１２．０モル％以下のＮａ２Ｏと、
・０．０モル％以上７．５モル％以下のＷＯ３と、
・０．０モル％以上４．０モル％以下のＬｉ２Ｏと、
・０．０モル％以上３．０モル％以下のＢｉ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上１．６モル％以下のＴａ２Ｏ５と、
・０．０モル％以上０．８モル％以下のＳｉＯ２と、
を含む、実施形態１～７のいずれか１つに記載のガラス。
【0195】
実施形態９
１１００℃から５００℃まで空気中で２．５分間かけて冷却した場合に、前記ガラスは結晶化しない、実施形態１～８のいずれか１つに記載のガラス。
１１００℃から５００℃まで空気中で２．５分間かけて冷却した場合に、前記ガラスは結晶化しない、実施形態１～８のいずれか１つに記載のガラス。
【0196】
実施形態１０
複数の成分を含む成分組成を有するガラスであって、前記複数の成分が、
・１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１．０モル％以上５０．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・１．０モル％以上３５．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・１．０モル％以上３５．０モル％以下のＣａＯと、
・０．０モル％以上５０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・０．０モル％以上１５．０モル％以下のＭｇＯと、
・０．０モル％以上１０．０モル％以下のＡｌ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上１．０モル％以下のＶ２Ｏ５と、
・４．０モル％以上のＲＯと、
・合計で０．０モル％以上２０．０モル％以下のＴｅＯ２＋ＳｎＯ２＋ＳｎＯと、
・合計で０．０モル％以上１５．０モル％以下のＳｉＯ２＋ＧｅＯ２と、
・任意選択的に、Ｎａ２Ｏ、Ｌｉ２Ｏ、ＷＯ３、ＢａＯ、ＳｒＯ、ＺｎＯ、ＰｂＯ、Ｂｉ２Ｏ３、Ｂ２Ｏ３、ＺｒＯ２、Ｔｌ２Ｏ、Ａｇ２Ｏ、Ｇａ２Ｏ３、ＭｏＯ３、及びＴａ２Ｏ５から選択される１つ以上の成分と、
を含み、前記ガラスが、
・Ｐｎ＞１．７５、及び
・Ｐν－（６４．５－２３．４＊Ｐｎ）＜０．００
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｎは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（Ｉ）：
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
により計算した屈折率パラメータであり、
・Ｐνは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩＩ）：
Ｐν＝ｅｘｐ（２．１１＋０．０４３８＊（ｅｘｐ（３．２５９８０＋０．００７２２４８＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００５５４９４＊Ｂ２Ｏ３＋０．００２４１６４＊ＢａＯ－０．００８４９＊Ｂｉ２Ｏ３＋０．００２９８１２＊ＣａＯ＋０．００９２７６８＊ＣｄＯ＋０．００９９８２１＊Ｇａ２Ｏ３－０．００３８５７９＊ＧｅＯ２＋０．００２８０６２＊Ｋ２Ｏ＋０．００３１９５１＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２７０１１＊ＭｇＯ＋０．００７９７６＊ＭｏＯ３＋０．００２８７０５＊Ｎａ２Ｏ－０．０１３３７４＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００７２００７＊Ｐ２Ｏ５－０．００４９７９６＊ＰｂＯ＋０．００３２２４１＊ＳｉＯ２＋０．００５００２４＊ＳｒＯ－０．００２１３６＊Ｔａ２Ｏ５－０．００３２３２９＊ＴｅＯ２－０．００９７８８＊ＴｉＯ２＋０．００７４７８２＊Ｖ２Ｏ５－０．００５７０９５＊ＷＯ３＋０．００３２８２６＊ＺｎＯ＋０．００９３０２＊ＺｒＯ２））） （ＩＩＩ）
により計算した分散パラメータであり、
ＲＯは２価の金属酸化物の総和であり、記号「＊」は乗算を意味する、ガラス。
複数の成分を含む成分組成を有するガラスであって、前記複数の成分が、
・１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１．０モル％以上５０．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・１．０モル％以上３５．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・１．０モル％以上３５．０モル％以下のＣａＯと、
・０．０モル％以上５０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・０．０モル％以上１５．０モル％以下のＭｇＯと、
・０．０モル％以上１０．０モル％以下のＡｌ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上１．０モル％以下のＶ２Ｏ５と、
・４．０モル％以上のＲＯと、
・合計で０．０モル％以上２０．０モル％以下のＴｅＯ２＋ＳｎＯ２＋ＳｎＯと、
・合計で０．０モル％以上１５．０モル％以下のＳｉＯ２＋ＧｅＯ２と、
・任意選択的に、Ｎａ２Ｏ、Ｌｉ２Ｏ、ＷＯ３、ＢａＯ、ＳｒＯ、ＺｎＯ、ＰｂＯ、Ｂｉ２Ｏ３、Ｂ２Ｏ３、ＺｒＯ２、Ｔｌ２Ｏ、Ａｇ２Ｏ、Ｇａ２Ｏ３、ＭｏＯ３、及びＴａ２Ｏ５から選択される１つ以上の成分と、
を含み、前記ガラスが、
・Ｐｎ＞１．７５、及び
・Ｐν－（６４．５－２３．４＊Ｐｎ）＜０．００
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｎは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（Ｉ）：
Ｐｎ＝－０．００４３７９４＊Ｐ２Ｏ５＋０．００７２４２８＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００３７３０４＊ＴｉＯ２－０．０００３９５５３＊ＢａＯ－０．００３２０１２＊Ｋ２Ｏ－０．０００６０６８９＊ＣａＯ－０．００２４２１８＊Ｎａ２Ｏ－０．００１４９８８＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２８５８７＊ＷＯ３＋０．００８３２９５＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００３１６３７＊Ｂ２Ｏ３－０．００３０７０２＊ＳｉＯ２－０．０００３０２４８＊ＺｎＯ＋０．００２００２５＊ＺｒＯ２－０．００１８１７３＊ＭｇＯ－０．００３２８８６＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００２４２２１＊ＴｅＯ２＋０．００３８１３７＊ＰｂＯ－０．００１６３９２＊ＧｅＯ２＋０．００６３０２４＊Ｔｌ２Ｏ＋０．００４８７６５＊Ａｇ２Ｏ＋１．８１４５１ （Ｉ）
により計算した屈折率パラメータであり、
・Ｐνは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩＩ）：
Ｐν＝ｅｘｐ（２．１１＋０．０４３８＊（ｅｘｐ（３．２５９８０＋０．００７２２４８＊Ａｌ２Ｏ３＋０．００５５４９４＊Ｂ２Ｏ３＋０．００２４１６４＊ＢａＯ－０．００８４９＊Ｂｉ２Ｏ３＋０．００２９８１２＊ＣａＯ＋０．００９２７６８＊ＣｄＯ＋０．００９９８２１＊Ｇａ２Ｏ３－０．００３８５７９＊ＧｅＯ２＋０．００２８０６２＊Ｋ２Ｏ＋０．００３１９５１＊Ｌｉ２Ｏ＋０．００２７０１１＊ＭｇＯ＋０．００７９７６＊ＭｏＯ３＋０．００２８７０５＊Ｎａ２Ｏ－０．０１３３７４＊Ｎｂ２Ｏ５＋０．００７２００７＊Ｐ２Ｏ５－０．００４９７９６＊ＰｂＯ＋０．００３２２４１＊ＳｉＯ２＋０．００５００２４＊ＳｒＯ－０．００２１３６＊Ｔａ２Ｏ５－０．００３２３２９＊ＴｅＯ２－０．００９７８８＊ＴｉＯ２＋０．００７４７８２＊Ｖ２Ｏ５－０．００５７０９５＊ＷＯ３＋０．００３２８２６＊ＺｎＯ＋０．００９３０２＊ＺｒＯ２））） （ＩＩＩ）
により計算した分散パラメータであり、
ＲＯは２価の金属酸化物の総和であり、記号「＊」は乗算を意味する、ガラス。
【0197】
実施形態１１
・５８７．５６ｎｍにおける屈折率ｎｄが１．７５以上であり、
前記ガラスのアッベ数をνｄとすると、前記ガラスが、
・νｄ－（６３．７－２３．４＊ｎｄ）＜０．００
という条件を満たす、実施形態１０に記載のガラス。
・５８７．５６ｎｍにおける屈折率ｎｄが１．７５以上であり、
前記ガラスのアッベ数をνｄとすると、前記ガラスが、
・νｄ－（６３．７－２３．４＊ｎｄ）＜０．００
という条件を満たす、実施形態１０に記載のガラス。
【0198】
実施形態１２
前記ガラスのアッベ数をνｄ、前記ガラスの５８７．５６ｎｍにおける屈折率をｎｄとすると、前記ガラスが、
・νｄ－（６３．７－２３．４＊ｎｄ）＜０．００
という条件を満たす、実施形態１０に記載のガラス。
前記ガラスのアッベ数をνｄ、前記ガラスの５８７．５６ｎｍにおける屈折率をｎｄとすると、前記ガラスが、
・νｄ－（６３．７－２３．４＊ｎｄ）＜０．００
という条件を満たす、実施形態１０に記載のガラス。
【0199】
実施形態１３
前記ガラスが、
・Ｐν－（６３．７－２３．４＊Ｐｎ）＜０．００
という条件を満たす、実施形態１０～１２のいずれか１つに記載のガラス。
前記ガラスが、
・Ｐν－（６３．７－２３．４＊Ｐｎ）＜０．００
という条件を満たす、実施形態１０～１２のいずれか１つに記載のガラス。
【0200】
実施形態１４
前記ガラスが、
・Ｐｄ＜４．２ｇ／ｃｍ３
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｄは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩ）：
Ｐｄ［ｇ／ｃｍ３］＝３．９８４５７－０．０１５７７３＊Ａｌ２Ｏ３－０．０１４５０１＊Ｂ２Ｏ３＋０．０１９３２８＊ＢａＯ＋０．０６０７５８＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１２６８５＊ＣａＯ＋０．０２３１１１＊ＣｄＯ＋０．００５３１８４＊Ｃｓ２Ｏ＋０．０１１４８８＊Ｇａ２Ｏ３－０．００１５４１６＊ＧｅＯ２－０．０１３３４２＊Ｋ２Ｏ＋０．０５８３１９＊Ｌａ２Ｏ３－０．００７９１８＊Ｌｉ２Ｏ－０．００２１４２３＊ＭｇＯ－０．００２４４１３＊ＭｏＯ３－０．００８２２２６＊Ｎａ２Ｏ＋０．００８４９６１＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０２０５０１＊Ｐ２Ｏ５＋０．０３８８９８＊ＰｂＯ－０．０１２７２０＊ＳｉＯ２＋０．０１３９４８＊ＳｒＯ＋０．０４７９２４＊Ｔａ２Ｏ５＋０．０１１２４８＊ＴｅＯ２－０．００９２４９１＊Ｖ２Ｏ５＋０．０２８９１３＊ＷＯ３＋０．００７４７０２＊ＺｎＯ＋０．００９６７２１＊ＺｒＯ２ （ＩＩ）
により計算した密度パラメータである、実施形態１０～１３のいずれか１つに記載のガラス。
前記ガラスが、
・Ｐｄ＜４．２ｇ／ｃｍ３
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｄは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＩ）：
Ｐｄ［ｇ／ｃｍ３］＝３．９８４５７－０．０１５７７３＊Ａｌ２Ｏ３－０．０１４５０１＊Ｂ２Ｏ３＋０．０１９３２８＊ＢａＯ＋０．０６０７５８＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１２６８５＊ＣａＯ＋０．０２３１１１＊ＣｄＯ＋０．００５３１８４＊Ｃｓ２Ｏ＋０．０１１４８８＊Ｇａ２Ｏ３－０．００１５４１６＊ＧｅＯ２－０．０１３３４２＊Ｋ２Ｏ＋０．０５８３１９＊Ｌａ２Ｏ３－０．００７９１８＊Ｌｉ２Ｏ－０．００２１４２３＊ＭｇＯ－０．００２４４１３＊ＭｏＯ３－０．００８２２２６＊Ｎａ２Ｏ＋０．００８４９６１＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０２０５０１＊Ｐ２Ｏ５＋０．０３８８９８＊ＰｂＯ－０．０１２７２０＊ＳｉＯ２＋０．０１３９４８＊ＳｒＯ＋０．０４７９２４＊Ｔａ２Ｏ５＋０．０１１２４８＊ＴｅＯ２－０．００９２４９１＊Ｖ２Ｏ５＋０．０２８９１３＊ＷＯ３＋０．００７４７０２＊ＺｎＯ＋０．００９６７２１＊ＺｒＯ２ （ＩＩ）
により計算した密度パラメータである、実施形態１０～１３のいずれか１つに記載のガラス。
【0201】
実施形態１５
前記ガラスが、
・Ｐｎ＞１．８
という条件を満たす、実施形態１０～１４のいずれか１つに記載のガラス。
前記ガラスが、
・Ｐｎ＞１．８
という条件を満たす、実施形態１０～１４のいずれか１つに記載のガラス。
【0202】
実施形態１６
前記ガラスが、
・Ｐｒｅｆ＞０．２４ｃｍ３／ｇ
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｒｅｆは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＶ）：
Ｐｒｅｆ［ｃｍ３／ｇ］＝０．２２３６３７＋０．００１０７０３＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０００４１６８８＊Ｐ２Ｏ５＋０．０００８８４８２＊ＴｉＯ２＋０．００００５４９５６＊ＣａＯ－０．０００２９２４３＊Ｋ２Ｏ－０．０００８３４７＊ＢａＯ－０．０００２３７３９＊Ｎａ２Ｏ＋０．００００８２７９２＊Ｌｉ２Ｏ－０．００１２４８７＊ＷＯ３－０．０００４２３９３＊ＺｎＯ－０．０００５９１５２＊ＳｒＯ－０．０００１８２６６＊ＭｇＯ－０．００１４０９１＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１４８９５＊Ｔａ２Ｏ５－０．０００２１８４２＊ＳｉＯ２－０．０００２４７８８＊ＺｒＯ２－０．０００１４８０１＊Ｂ２Ｏ３－０．００００６０８４８＊ＴｅＯ２－０．０００８５５６４＊ＰｂＯ－０．０００４２４２９＊ＧｅＯ２－０．００１５４３９＊Ｔｌ２Ｏ－０．００１２９３６＊Ａｇ２Ｏ－０．０００８９３５６＊Ｃｕ２Ｏ－０．０００３９２７８＊ＣｕＯ＋０．０００１７８９５＊Ａｓ２Ｏ３－０．０００１１８０２＊ＳＢ２Ｏ３ （ＩＶ）
により計算した屈折パラメータである、実施形態１０～１５のいずれか１つに記載のガラス。
前記ガラスが、
・Ｐｒｅｆ＞０．２４ｃｍ３／ｇ
という条件を満たし、
式中、
・Ｐｒｅｆは、前記成分をモル％の単位で示した前記ガラスの成分組成から、以下の式（ＩＶ）：
Ｐｒｅｆ［ｃｍ３／ｇ］＝０．２２３６３７＋０．００１０７０３＊Ｎｂ２Ｏ５－０．０００４１６８８＊Ｐ２Ｏ５＋０．０００８８４８２＊ＴｉＯ２＋０．００００５４９５６＊ＣａＯ－０．０００２９２４３＊Ｋ２Ｏ－０．０００８３４７＊ＢａＯ－０．０００２３７３９＊Ｎａ２Ｏ＋０．００００８２７９２＊Ｌｉ２Ｏ－０．００１２４８７＊ＷＯ３－０．０００４２３９３＊ＺｎＯ－０．０００５９１５２＊ＳｒＯ－０．０００１８２６６＊ＭｇＯ－０．００１４０９１＊Ｂｉ２Ｏ３－０．００１４８９５＊Ｔａ２Ｏ５－０．０００２１８４２＊ＳｉＯ２－０．０００２４７８８＊ＺｒＯ２－０．０００１４８０１＊Ｂ２Ｏ３－０．００００６０８４８＊ＴｅＯ２－０．０００８５５６４＊ＰｂＯ－０．０００４２４２９＊ＧｅＯ２－０．００１５４３９＊Ｔｌ２Ｏ－０．００１２９３６＊Ａｇ２Ｏ－０．０００８９３５６＊Ｃｕ２Ｏ－０．０００３９２７８＊ＣｕＯ＋０．０００１７８９５＊Ａｓ２Ｏ３－０．０００１１８０２＊ＳＢ２Ｏ３ （ＩＶ）
により計算した屈折パラメータである、実施形態１０～１５のいずれか１つに記載のガラス。
【0203】
実施形態１７
前記成分組成が、
・１５．０モル％以上３５．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・１．０モル％以上４０．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・１．０モル％以上３０．０モル％以下のＣａＯと、
・１．０モル％以上２０．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．０モル％以上２０．０モル％以下のＢａＯと、
・０．０モル％以上２０．０モル％以下のＮａ２Ｏと、
・０．０モル％以上１０．０モル％以下のＷＯ３と、
・０．０モル％以上５．０モル％以下のＬｉ２Ｏと、
・０．０モル％以上４．０モル％以下のＢｉ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上２．０モル％以下のＴａ２Ｏ５と、
を含む、実施形態１０～１６のいずれか１つに記載のガラス。
前記成分組成が、
・１５．０モル％以上３５．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１０．０モル％以上４０．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・１．０モル％以上４０．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・１．０モル％以上３０．０モル％以下のＣａＯと、
・１．０モル％以上２０．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．０モル％以上２０．０モル％以下のＢａＯと、
・０．０モル％以上２０．０モル％以下のＮａ２Ｏと、
・０．０モル％以上１０．０モル％以下のＷＯ３と、
・０．０モル％以上５．０モル％以下のＬｉ２Ｏと、
・０．０モル％以上４．０モル％以下のＢｉ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上２．０モル％以下のＴａ２Ｏ５と、
を含む、実施形態１０～１６のいずれか１つに記載のガラス。
【0204】
実施形態１８
前記成分組成が、
・２１．０モル％以上３０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１３．０モル％以上３８．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・９．０モル％以上３７．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・４．０モル％以上２３．０モル％以下のＣａＯと、
・４．０モル％以上１６．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．０モル％以上１４．５モル％以下のＢａＯと、
・０．０モル％以上１３．５モル％以下のＮａ２Ｏと、
・０．０モル％以上８．５モル％以下のＷＯ３と、
・０．０モル％以上４．５モル％以下のＬｉ２Ｏと、
・０．０モル％以上３．４モル％以下のＢｉ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上１．８モル％以下のＴａ２Ｏ５と、
・０．０モル％以上０．９モル％以下のＳｉＯ２と、
を含む、実施形態１０～１７のいずれか１つに記載のガラス。
前記成分組成が、
・２１．０モル％以上３０．０モル％以下のＰ２Ｏ５と、
・１３．０モル％以上３８．０モル％以下のＮｂ２Ｏ５と、
・９．０モル％以上３７．０モル％以下のＴｉＯ２と、
・４．０モル％以上２３．０モル％以下のＣａＯと、
・４．０モル％以上１６．０モル％以下のＫ２Ｏと、
・０．０モル％以上１４．５モル％以下のＢａＯと、
・０．０モル％以上１３．５モル％以下のＮａ２Ｏと、
・０．０モル％以上８．５モル％以下のＷＯ３と、
・０．０モル％以上４．５モル％以下のＬｉ２Ｏと、
・０．０モル％以上３．４モル％以下のＢｉ２Ｏ３と、
・０．０モル％以上１．８モル％以下のＴａ２Ｏ５と、
・０．０モル％以上０．９モル％以下のＳｉＯ２と、
を含む、実施形態１０～１７のいずれか１つに記載のガラス。
【0205】
実施形態１９
前記成分組成が、
・０．０モル％以上４．５モル％以下のＬｉ２Ｏ
を含む、実施形態１０～１７のいずれか１つに記載のガラス。
前記成分組成が、
・０．０モル％以上４．５モル％以下のＬｉ２Ｏ
を含む、実施形態１０～１７のいずれか１つに記載のガラス。
【0206】
実施形態２０
１１００℃から５００℃まで空気中で２．５分間かけて冷却した場合に、前記ガラスは結晶化しない、実施形態１０～１９のいずれか１つに記載のガラス。
１１００℃から５００℃まで空気中で２．５分間かけて冷却した場合に、前記ガラスは結晶化しない、実施形態１０～１９のいずれか１つに記載のガラス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【国際調査報告】