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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】CBDを用いた睡眠時無呼吸の処置
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/05 20060101AFI20240129BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240129BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240129BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240129BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
A61K31/05
A61P25/20
A61K9/10
A61P11/00
A61P3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545813
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 IB2022050781
(87)【国際公開番号】W WO2022162621
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/142,835
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520052053
【氏名又は名称】ジナーバ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パルーンボ,ジョーセフ
(72)【発明者】
【氏名】ガターマン,ドナ
(72)【発明者】
【氏名】セブリー,テリ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076BB31
4C076CC01
4C076CC15
4C076CC21
4C076FF68
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206KA18
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA48
4C206MA83
4C206NA10
4C206NA14
4C206ZA05
4C206ZA59
4C206ZA70
(57)【要約】
有効量のカンナビジオール(CBD)を、それを必要とする対象に経皮投与することによって、患者の睡眠障害を処置する方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象の睡眠障害を処置する方法であって、
有効量のカンナビジオール(CBD)を、それを必要とするヒトに投与して、睡眠障害を処置すること
を含む方法。
【請求項2】
睡眠障害が、睡眠時無呼吸のエピソードによって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
CBDが経皮投与される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
CBDの有効量が、1日総量約250mg~約1000mgの範囲である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
CBDの有効用量が、1用量あたり10~25mg/kgの範囲内である、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
CBDが1日単回用量で投与される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
CBDが1日2回用量で投与される、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
処置が睡眠関連障害の改善を含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
睡眠関連障害の改善が、睡眠の質、入眠、総睡眠、入眠及び睡眠維持、睡眠覚醒移行又は覚醒及び悪夢障害の改善を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
CBDが純粋CBDである、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
CBDが合成CBDである、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
CBDが植物由来である、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
カンナビジオールが(-)-カンナビジオールである、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
CBDがゲルとして製剤化される、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
CBDが透過増強ゲルとして製剤化される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
対象が閉塞性睡眠時無呼吸を患っている、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
閉塞性睡眠時無呼吸が、対象の肥満又は過体重状態に関連する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
対象が成人である、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
対象が3歳~18歳の間である、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
対象がASDを有する、請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
対象がDEE-ASDを有する、請求項1~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
対象が25を超えるBMIを有する、請求項1~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
有効量のCBDの投与を開始すると、概日リズムが維持又は改善される、請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有効量のカンナビジオール(CBD)を、それを必要とする対象に経皮投与することによって、患者の睡眠障害を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発達性及びてんかん性脳症(DEE)は、発達に悪影響を及ぼす発作及び異常な脳波活動を特徴とする神経発達障害の重篤な群である。例えば、DEEを有する小児における難治性発作の安全かつ効果的な処置が必要とされている。これは、対象が自閉症スペクトラム障害(ASD)などの併存症を有する場合、処置が特に困難であり得る。
【0003】
睡眠障害は、DEE、ASD及びDEE-ASDの小児に関連する共通の問題である。睡眠時無呼吸などの睡眠呼吸障害は、DEE、ASD及びDEE-ASDの患者に見られる睡眠障害の1つのタイプである。これらの患者におけるてんかんの処置の必要性に加えて、そのような患者の睡眠パターンを改善することもまた望ましい。
【0004】
睡眠障害はDEE、ASD又はDEE-ASDの患者に限定されるものではなく、多くの成人も睡眠障害を患っている。睡眠障害を改善する処置は、広範な集団に有用であると思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
EPIDIOLEX経口CBD溶液は、レノックス-ガストー及びドラベ症候群を有する小児のてんかんの処置用に承認されている。しかしながら、経口送達は胃腸(GI)有害事象につながり、例えば、EPIDIOLEXラベルは、その患者の32%において傾眠及び鎮静を報告し、用量に関連していた。EPIDIOLEXカンナビジオール経口溶液ラベル(2018年6月)。経口CBDはまた、胃酸中でTHCに分解される可能性を有し、これは望ましくない精神賦活作用に関連し得る。同上
【0006】
自閉症スペクトラム障害と診断された小児における特定の標的(難治性)発作タイプに対する有効な処置(例えば、自閉症スペクトラム障害における難治性てんかんの処置)が必要とされている。薬物耐性てんかんを有する小児の生活の質(QoL)は、より多数のASM、より大きい発作頻度、及びより低いIQにより低下し、新しい治療法の必要性をさらに強調する。傾眠、嗜眠、離脱又は鎮静などの望ましくない副作用をもたらさない処置も必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、対象の難治性発作を処置する方法であって、有効量のCBDを対象に経皮投与することを含む方法に関する。CBDは、経皮合成CBDゲル製剤であるZYN002であり得る。対象は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、発達性及びてんかん性脳症(DEE)又はてんかんのうちの1つ以上などの疾患を有する小児を含む、小児であり得る。例えば、対象は、てんかんを伴う併存ASDを有する小児であり得る。効果的な処置には、小児における睡眠の質、入眠、及び睡眠維持の関連する改善も含まれる。
【0008】
いくつかの例では、本開示は、自閉症スペクトラム障害(ASD)に罹患しているヒトを処置する方法に関する。この方法は、有効量のカンナビジオール(CBD)を、それを必要とするヒトに投与して、ASDを有するヒトにおいて難治性発作タイプを効果的に処置することを含み得る。
【0009】
いくつかの例では、難治性発作タイプは、焦点意識減損発作(FIAS)、全身性強直間代発作(GTCS)、又は焦点起始両側強直間代発作(FBTCS)である。
【0010】
いくつかの例では、CBDは経皮的に投与することができる。CBDの有効量は、1日総量約250mg~約1000mgの範囲であり得る。CBDの有効量は、1日総量250mgであり得る。CBDの有効量は、1日総量500mgであり得る。CBDの有効量は、1日総量750mgであり得る。CBDの有効量は、1日総量1000mgであり得る。CBDは、1日1回投与することができる。CBDは、1日2回投与することができる。
【0011】
いくつかの例では、処置は睡眠関連障害の改善を含む。睡眠関連障害の改善には、睡眠の質、入眠、総睡眠、入眠及び睡眠維持、睡眠覚醒移行、又は覚醒及び悪夢障害の改善が含まれる。
【0012】
CBDを用いた患者の処置は、いくつかの実施形態では、睡眠時無呼吸などの睡眠呼吸障害(SBD)の発生を減少させる。CBDの使用は、DEE、ASD又はDEE-ASDの患者における睡眠時無呼吸及び他の睡眠障害の発生を減少させることができる。CBDの使用はまた、DEE、ASD又はDEE-ASDを有さない成人及び小児における睡眠呼吸障害を改善し得る。
【0013】
いくつかの例では、CBDは合成CBDである。CBDは、純粋なCBDであり得る。CBDは植物由来であり得る。カンナビジオールは、(-)-カンナビジオールであり得る。
【0014】
いくつかの例では、CBDはゲルとして製剤化される。CBDは、透過増強ゲルとして製剤化することができる。
【0015】
いくつかの例では、有効量のCBDの投与を開始すると、概日リズムが維持又は改善される。いくつかの例では、有効量のCBDの投与により中毒にはならず、ヒト対象は過度の傾眠を経験しない。
【0016】
本開示は、自閉症スペクトラム障害(ASD)に罹患しているヒトにおいて難治性発作を処置する方法に関する。この方法は、有効量のカンナビジオール(CBD)を、それを必要とするヒトに投与して、ASDを有するヒトにおいて難治性発作タイプを効果的に処置することを含む。ヒト対象には、ASDと診断された小児が含まれ得る。ヒト対象には、ASD及び難治性てんかんの併存症を有するヒト対象も含まれ得る。
【0017】
本開示は、発達性及びてんかん性脳症(DEE)に罹患している小児において難治性発作を処置する方法に関する。この方法は、有効量のカンナビジオール(CBD)を、それを必要とする小児に投与して、DEEを有する小児において難治性発作タイプを効果的に処置することを含み得る。
【0018】
本開示は、ヒト対象の睡眠障害を処置する方法に関する。この方法は、有効量のカンナビジオール(CBD)を、それを必要とするヒトに投与して、睡眠障害を処置することを含み得る。一実施形態では、睡眠障害は、睡眠時無呼吸のエピソードによって引き起こされる。
【0019】
睡眠障害は、経皮CBD投与によって処置することができる。CBDの有効量は、1日総量約250mg~約1000mgの範囲である。CBDの有効投与量は、1用量あたり10~25mg/kgの範囲である。CBDは、1日1回の用量で投与することができ、又は1日2回の用量で投与することができる。一実施形態では、CBDは純粋なCBDである。CBDは、合成CBD又は植物由来CBDであり得る。一実施形態では、CBDは(-)-カンナビジオールである。一実施形態では、CBDはゲルとして製剤化される。CBDゲルは、透過増強ゲルとして製剤化することができる。
【0020】
睡眠障害を処置するためのCBDの使用は、睡眠関連障害の改善をもたらす。睡眠関連障害の改善には、睡眠の質、入眠、総睡眠、入眠及び睡眠維持、睡眠覚醒移行、又は覚醒及び悪夢障害の改善が含まれる。
【0021】
一実施形態では、睡眠障害を有する対象は、閉塞性睡眠時無呼吸を患っている。閉塞性睡眠時無呼吸は、対象の肥満又は過体重状態に関連する。一実施形態では、対象は、25を超えるBMIを有する。一実施形態では、対象は成人である。代替的又は追加的に、対象は3歳~18歳の間であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、ASD又はDEE-ASDも有し得る。一実施形態では、有効量のCBDの投与を開始すると、概日リズムが維持又は改善される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示によるカンナビジオール経皮ゲルの試験デザイン及び処置を示す図である。
図2】良い日/悪い日の評価のスコアリングを示す図である。
図3】処置期間の有効性を示すグラフである。
図4】発作が減少した患者の率を示すグラフである。
図5】28日間の発作頻度におけるベースラインからの減少率中央値を示すグラフである。
図6】ベースラインにおいて併存自閉症スペクトラム障害(ASD)を有する、発作が減少した患者の率を示すグラフである。
図7】小児用睡眠障害スケール(SDSC)に基づく、ベースライン及びZYN002処置26週目の臨床的に有意な睡眠問題についての閾値を超える患者(DEE)の率を示す図である。
図8】臨床的に有意な睡眠問題に対応する、ベースライン及び26週目において閾値tスコア>70の患者(DEE)の率を示す図である。
図9】小児用睡眠障害スケール(SDSC)に基づく、ベースライン及びZYN002処置26週目の臨床的に有意な睡眠問題についての閾値を超える、併存ASDを有する患者(DEE)の率を示す図である。
図10】臨床的に有意な睡眠問題に対応する、ベースライン及び26週目において閾値tスコア>70の併存ASDを有する患者(DEE)の率を示す図である。
図11】ベースライン及びZYN002処置6ヶ月目における良い日/悪い日評価の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
有効量のCBDを対象に経皮投与することによって、対象の難治性タイプ発作などの発作を処置する方法が本明細書において提供される。対象は、ASD並びにてんかん(DEE)を有し得る。任意のヒト対象における睡眠障害(例えば、睡眠時無呼吸)を処置する方法も本明細書において提供される。
【0024】
実施例に要約された試験-第2相非盲検臨床試験-により、限定するものではないが、ドラベ症候群(DS)、レノックス・ガストー症候群(LGS)、及びウエスト症候群を含む稀な小児てんかん症候群の異種群であるDEEにおけるCBDの経皮投与の安全性、忍容性及び有効性を評価した。
【0025】
DEEの試験中の小児14人が、併存症としてASDが診断されると予測的に特定された。ASDの一般集団の発作は医学的により容易に管理され得るという認識があるかもしれないが、DEEの試験の小児全ては処置が困難であり、及び/又は難治性てんかんであり、-延いては、ASDの難治性てんかんも稀な集団であり、治療指標として機能し得る。難治性てんかんは薬物に耐性があり、難治性てんかんの処置は実質的な発作消失(seizure freedom)を提供することができない。同様に、難治性発作は薬物に耐性があり、難治性発作の処置は実質的な発作消失(seizure freedom)を提供することができない。
【0026】
DEEを有する14人のASD小児のうちで、11人が全発作数に対してプラスの処置利益の全体としてのエビデンスを示し、11人の患者が、全身性強直間代発作(GTCS)及び焦点起始両側強直間代発作(FBTCS)を含む、焦点意識減損発作(FIAS)又は強直間代発作(TCS)の発作タイプと診断された。FIAS又はTCSを有する11人のASD小児のうち、8人の小児が、安定した標準ケアの補助としてのZYN002による非盲検処置の間に発作の改善を示した。
【0027】
有効量のCBDを経皮投与することは、DEEを有する小児、例えば、てんかんを伴う併存ASD(DEE)を有する小児の睡眠に対してプラスの影響を有し得る。例えば、CBDを経皮投与することは、てんかんを伴うASDにおける入眠及び睡眠維持障害(DIMS)の処置に使用することができる。有効量のCBDを経皮投与することにより、小児患者が経験する良い日の数を増加させ、悪い日の数を減少させることができる。
【0028】
定義
本明細書で使用される場合、「処置すること」又は「処置」という用語は、ヒトなどの対象の状態、疾患若しくは障害の少なくとも1つの症状(行動症状など)を鎮静、改善、軽減、又は緩和すること、又は状態、疾患若しくは障害に関連する確認可能な測定値の改善を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「臨床的有効性」、「臨床的に有効」などの用語は、米国食品医薬品局(FDA)又は任意の外国の対応物、例えば、欧州医薬品庁(EMA)によって実施される臨床試験で実証された有効性を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「カンナビジオール」又は「CBD」という用語は、カンナビジオール;カンナビジオールプロドラッグ;カンナビジオールの薬学的に許容される誘導体、例えば、カンナビジオール、カンナビジオールプロドラッグ、及びカンナビジオール誘導体の薬学的に許容される塩を指す。CBDには、2-[3-メチル-6-(1-メチルエテニル)-2-シクロヘキセン-1-イル]-5-ペンチル-1,3-ベンゼンジオール、並びにその薬学的に許容される塩、溶媒和物、代謝産物(例えば、皮膚代謝産物)及び代謝前駆体が含まれる。CBDの合成は、例えば、Petilka et al.,Helv.Chim.Acta,52:1102(1969)及びMechoulam et al.,J.Am.Chem.Soc.,87:3273(1965)に記載されており、当該文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
ZYN002は、患者の発作の軽減及び患者の行動症状の改善のための薬学的に製造された経皮CBDゲルである。患者は、ASD、てんかん、DEE、脆弱X症候群(FXS)と併せて他の疾患を有する可能性がある。患者の一部は、てんかんを伴うASDなどの複数の疾患との併存症を有し得る。いくつかの例では、ASDを有するヒト対象は、ASDと診断された小児を含み、ヒト対象は、ASDとてんかん、例えば、難治性てんかんとの併存症を有し得る。いくつかの例では、「小児(child or children)」という用語は、3歳~18歳の患者を指す。
【0032】
「てんかん性脳症」という用語は、それ自体が、基礎となる病態単独から予想され得るもの(例えば、皮質奇形)を超える重度の認知及び行動の問題に寄与するてんかん活動を指す。これらの障害の発症は年齢を問わず起こり得る。
【0033】
「発達性及びてんかん性脳症」又は「DEE」という用語は、乳児期及び小児期に発症する重度のてんかん障害を指す。DEEは、複数の焦点性及び全身性の発作タイプ並びに重度の認知及び行動の問題の存在を特徴とする。DEEでは、発作が頻繁になる前であっても、認知及び行動の問題は発作活動とは無関係に発生する可能性があり、DEEのてんかん要素に加えて発達要素が示唆される。このような障害は、早期に起こるか、又は経時的に悪化する可能性がある。Scheffer,“ILAE classification of the epilepsies:Position paper of the ILAE Commission for Classification and Terminology” Epilepsia 58(4):512-521,2017。DEEには、遺伝性てんかん、例えば、CDKL5、SCN1A-及びSTXBP1関連障害が含まれる。それには、レノックス-ガストー症候群(LGS)、大田原症候群、ウエスト症候群、ランドウ-クレフナー症候群、ドゥーゼ症候群、ドラベ症候群(DS)及び乳児スパズム(IS)も含まれる。18ヶ月以下で発症するDEEは、出生2000人に1人の発生率を有する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「経皮投与すること」という用語は、CBDが皮膚に浸透するのに有効な条件下でCBDを患者又は対象の皮膚と接触させることを指す。
【0035】
発達性及びてんかん性脳症(DEE)という用語は、共存する発達障害及びてんかん性脳症の臨床症状をより完全に記載するために、国際抗てんかん連盟(ILAE)の分類及び用語に関する特別委員会(Schefferら、2017)によって導入された。歴史的に、てんかん性脳症は、「発達性」という用語なしで、両方の概念を包含するためにより広い意味で使用された。2001年に、ILAEはてんかん性脳症を別個のカテゴリーとして認識した。Engel,“A proposed diagnostic scheme for people with epileptic seizures and with epilepsy:report of the ILAE Task Force on Classification and Terminology” Epilepsia 42:796-803(2001)。ILAEは、てんかん性脳症を、「てんかん様EEG異常自体が、脳機能の進行性障害に寄与すると考えられる」状態として定義した。2010年には、ILAEは、てんかん性脳症を、てんかん活動それ自体が、基礎となる病態のみから予想され得るもの(例えば、皮質奇形)を超える重度の認知及び行動の問題に寄与し得る、経時的に悪化し得る状態として再定義した。Berg et al.,“Revised terminology and concepts for organization of seizures and epilepsies:report of the ILAE Commission on Classification and Terminology,2005-2009” Epilepsia 51:676-685(2010)。
【0036】
この記述に「発達性」を含める変更は、発達障害及びてんかん性脳症の両方を呈する患者と、発達障害に関連する高頻度のてんかん活動を伴わない発達障害又は障害の既存の発達がないてんかん性脳症患者との具体的認識を可能にするために行われた。この概念の重要な要素は、てんかん活動の改善が、障害の発達結果を改善する可能性を有し得ることである(Schefferら、2017)。
【0037】
発達性てんかん性脳症の全体的な発生率及び有病率は低い。DEEを有する患者としては、限定するものではないが、レノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群、ドゥーゼ症候群(ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん(EMAS))、ウエスト症候群(乳児スパズム)、ランドウ・クレフナー症候群、又は遺伝性障害、例えば、CDKL5脳症及びCHD2脳症の患者を挙げることができる。
【0038】
発作は、一般に、標準的な抗てんかん薬(AED)などの抗発作薬(ASM)に対して難治性である。例えば、DEE患者の発作は、一般に、AEDに対して難治性である。結果として、発作間欠期てんかん性放電(interictal epileptiform discharge)を抑制するのに有効であると考えられるAED(例えば、ベンゾジアゼピン、バルプロ酸、及びラモトリジン)、免疫調節療法(例えば、コルチコステロイド、静脈内免疫グロブリン[IVIG]、血漿フェレーシス)、ケトン食療法、及び外科的選択肢のより積極的な補助的使用がしばしば考慮される。さらに、AEDの経口投与は、行動障害及び認知障害のために困難であり得る。
【0039】
DEE患者は様々な発作タイプ及び亜障害を呈することがあるが、1つ以上のAEDが補助療法のために米国FDAによって現在承認されているDEEサブタイプは、レノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群及び乳児スパズムのみである(表1)。DEEを有する小児は医学的に脆弱であり得、運動及び認知障害、ASD、並びに睡眠障害を含む複数の併存症を有し得、これらは障害をさらに増加させる。いくつかの例では、小児は、3歳~18歳未満として定義される。
【0040】
【表1】
【0041】
処置不応性及び対照試験からのエビデンスを有する承認薬が限られていることを考えると、臨床医は、主に臨床経験又は非盲検試験に基づいて、標準的なAEDを試行錯誤的に使用することを余儀なくされることが多い。レノックス・ガストー症候群及びドラベ症候群はDEEサブタイプであり、抗てんかん薬の対照試験からのエビデンスが最も多く生成されている。
【0042】
DEEと同様に、ASDの小児は難治性発作タイプを有する。例えば、ASDにおける難治性てんかんの処置が必要とされている。
【0043】
表2は、BELIEVE試験のQoL評価に関連する記述を示す(図1は、以下でさらに論じるが、BELIEVE試験のための試験デザイン及び処置を示す)。QoL評価は介護者評価であり、ELDQOLスケール、1日の「良い日/悪い日」評価、及び定性的フィードバック(表2及び図2)を含めた。
【0044】
【表2】
【0045】
表3は、小児の睡眠障害を評価するために介護者によって行われた評価である、小児の睡眠障害スケール(SDSC)の説明を示す。
【0046】
【表3】
【0047】
例えば、睡眠時無呼吸を減少させることによる睡眠障害の減少は、改善された夜間睡眠(例えば、睡眠移行及び睡眠維持)並びにより良好な夜間睡眠のためのより良好な日中覚醒の両方に関連すると考えられる。個体、特にDEE、ASD又はDEE-ASDを有する個体におけるより良好な睡眠は、より良好な日中機能、より良好な日中認知、及びより良好な教育的パフォーマンスをもたらすことができる。
【0048】
経皮医薬組成物
カンナビノイド(例えば、CBD)の経皮送達は、薬物が皮膚を通して血流に直接吸収されることを可能にするので、経口投薬よりも利点がある。これにより初回通過肝代謝が回避され、活性医薬成分のより低い投与量レベル並びにより高いバイオアベイラビリティ及び改善された安全性プロファイルが可能になる。経皮送達はまた、胃腸管を回避し、GI関連有害事象及び望ましくない精神賦活作用に関連し得る胃酸によるCBDのTHCへの分解可能性の機会を減少させる。さらに、CBDの経皮送達は、CBDの経口投薬に典型的に存在する傾眠有害事象の強度及び頻度を低下させる。CBDの経皮送達は、CBDの経口投薬に典型的に存在する肝機能有害事象を回避することができる。いくつかの実施形態では、有効量のCBDを経皮投与すると、少なくとも1つの有害事象の強度が、CBDを経口投与するのと比較して約15%~約95%低下する。例示的な経皮カンナビノイド送達系は、米国特許第8,435,556号明細書及び第8,449,908号明細書に記載されており、当該特許は両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
CBDは、ゲル形態であり得、1日1回又は2回の投与で経皮的に制御された薬物送達を提供するように設計された透過増強ゲルなどの透明ゲルとして薬学的に製造され得る。CBDゲルは、1%(wt/wt)CBD~7.5%(wt/wt)CBDであり得る。CBDゲルは、例えば、4.2%(wt/wt)CBD又は7.5%(wt/wt)CBDを有し得る。CBDゲルは、患者又は介護者によって患者の上腕及び肩、背中、大腿、又はそれらの任意の組み合わせに局所的に適用することができる。
【0050】
CBDゲルは、希釈剤及び担体、並びに湿潤剤、保存剤、並びに懸濁剤及び分散剤などの他の従来の賦形剤を含むことができる。CBDは合成CBDであり得る。CBDは、純粋なCBDであり得る。CBDは植物由来であり得る。CBDは、(-)-カンナビジオールであり得る。
【0051】
経皮製剤は、クリーム、膏薬、ローション又は軟膏であり得る。CBDは、包帯、パッド又はパッチによって送達することができる。
【0052】
CBDは、対象の上腕及び肩に経皮投与することができる。いくつかの実施形態では、CBDは、対象の大腿又は背中に経皮投与される。
【0053】
CBDゲルは、可溶化剤、透過促進剤、溶解補助剤、酸化防止剤、増量剤、増粘剤、及び/又はpH調整剤を含むことができる。CBDゲルの組成は、例えば、a.組成物の約0.1%~約20%(wt/wt)の量で存在するカンナビジオール;b.組成物の約15%~約95%(wt/wt)の量で存在する1~6個の炭素原子を有する低級アルコール;c.組成物の約0.1%~約20%(wt/wt)の量で存在する第1の浸透促進剤;及びd.組成物を合計100%(wt/wt)とするのに十分な量の水、とすることができる。CBDゲルの他の製剤は、国際公開第WO2010/127033号パンフレットに見出すことができ、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
いくつかの例では、例えば、ポンプを介して、又は代替的な経皮製剤として、CBDゲルを提供する他の方法があり得る。
【0055】
CBDの有効量は、1日総量約250mg~約1000mgの範囲であり得、これを1日単回用量又は1日2回投与で投与することができる。例えば、CBDの有効量は、1日総量約250、500、750又は1000mgであり得、これを1日単回用量又は1日2回用量で投与することができる。例示すると、1日総用量1000mgは、500mgの1日2回用量で投与することができる。
【0056】
いくつかの例では、有効量のCBDの投与を開始すると、概日リズムが維持又は改善される。有効量のCBDを投与することにより、全ての患者ではないにしても、少なくとも一部の患者では中毒にはならない。有効量のCBDの投与開始時に中毒を発症しない利点に加えて、ヒト対象、例えば、患者は、過度の傾眠を経験し得ない。
【0057】
睡眠時無呼吸
睡眠時無呼吸は、睡眠中に呼吸の休止又は浅い呼吸の1つ以上を有することを特徴とする睡眠障害である。無呼吸と呼ばれる呼吸の各休止は、数秒から数分続く可能性があり、1時間に5回から30回以上起こり得る。中等度~重度の睡眠時無呼吸では、最も一般的な処置は、患者の口及び/又は鼻への加圧空気の定流量によって睡眠中に気道確保を維持するのに役立つ持続的気道陽圧(CPAP)の使用である。患者は、典型的には、鼻及び/又は口を覆い、可撓性チューブによって小型のベッドサイド圧縮機に接続されたマスクを着用する。このタイプの処置は、効果的であるが、不快であり得る。
【0058】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と体重との間にはいくらかの相関関係がある。肥満又は重度の肥満患者におけるOSAの有病率は、正常体重の成人の約2倍である。さらに、ベースライン体重の10%増加した軽度OSA患者は、OSAの進行リスクが6倍増加し、同等の体重減少は、OSA重症度の20%超の改善をもたらし得る(Peppard et al.,Longitudinal study of moderate weight change and sleep-disordered breathing.JAMA.2000;284(23):3015-3021)。さらに、肥満対象におけるOSAのより高い有病率は、成人に限定されない。最近のデータは、一般小児クリニックで見られる小児(33%)と比較した場合、肥満小児が46%のOSA有病率を有することを示す(Rudnick et al.Prevalence and ethnicity of sleep-disordered breathing and obesity in children.Otolaryngol Head Neck Surg.2007;137(6):878-882)。
【0059】
特定の部位における脂肪沈着は、睡眠時無呼吸に影響を及ぼし得る。上気道周囲の組織における脂肪沈着は、より小さい通路及び上気道の虚脱の増加をもたらし、人を無呼吸にしやすくすると思われる。胸部周囲の脂肪沈着物(体幹肥満)は、胸部コンプライアンス及び機能的残存能力を低下させ、酸素要求量を増加させ得る。(Romero Corral et al.Interactions Between Obesity and Obstructive Sleep Apnea Chest.2010 Mar;137(3):711-719)。
【0060】
過度の体重は睡眠時無呼吸の主な原因の1つであるが、体重とは無関係の睡眠時無呼吸の他の原因がある。一部の患者は、睡眠時無呼吸を引き起こし得る既存の解剖学的又は神経学的状態を有し得る。例えば、中枢性睡眠時無呼吸は、睡眠中に呼吸を制御する筋肉に脳が適切な信号を送信しないために、睡眠中に個体の呼吸が停止及び開始を繰り返す障害である。太い首又は狭い喉を有する人は、気道が狭くなり、睡眠時無呼吸に至ることがある。扁桃又はアデノイドが肥大すると、特に小児において、気道を閉塞し得る。これらの状態は全て、体重又はBMIにかかわらず、個体において睡眠時無呼吸エピソードを引き起こし得る。
【0061】
一実施形態では、ヒト対象の睡眠障害は、有効量のカンナビジオール(CBD)を、それを必要とするヒトに投与して、睡眠障害を処置することによって処置される。いくつかの実施形態では、睡眠障害は、睡眠時無呼吸のエピソードによって引き起こされる。一実施形態では、CBDは、前述のように経皮投与される。経皮CBDの典型的な用量は、約10mg/kg~約25mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態では、CBDの有効量は、1日総量約250mg~約1000mgの範囲である。CBDは、1日1回又は1日2回投与することができる。いくつかの実施形態では、CBDは、患者の予想される就寝時間の少なくとも8時間前、少なくとも6時間前、又は少なくとも4時間前に投与される。睡眠障害の処置に使用されるCBDは、約午前9時~午後4時、午前10時~午後3時、又は午前11時~午後2時の間に投与され得る。
【0062】
一実施形態では、睡眠障害を有する対象は、閉塞性睡眠時無呼吸を患っている。閉塞性睡眠時無呼吸は、対象の肥満又は過体重状態に関連する。一実施形態では、対象は、25を超えるBMIを有する。一実施形態では、対象は成人である。代替的又は追加的に、対象は3歳~18歳の間であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、ASD又はDEE-ASDも有し得る。一実施形態では、有効量のCBDの投与を開始すると、概日リズムが維持又は改善される。
【実施例
【0063】
[実施例1]
DEEを有する小児におけるZYN-002の試験
これは、国際抗てんかん連盟(ILEA)分類(Schefferら、2017)に従って、発達性及びてんかん性脳症(DEE)に関連する発作を有する3歳~18歳までの小児及び青年てんかん患者におけるZYN002(経皮CBDゲル)の長期の安全性、忍容性及び有効性を評価するための逐次多段階、非盲検、多国間、多施設、複数回用量試験であった。この試験は、ASDを有するDEE患者におけるZYN002の有効性を評価するために行われた。試験の目的はまた、DEEを有する小児及び青年患者におけるQoL、睡眠及び介護者の定性的評価に対するZYN002経皮CBDゲルの効果を評価することを含んでいた。
【0064】
図1は、本開示による、BELIEVE(ZYN2-CL-025)におけるカンナビジオール経皮ゲルの実施例1の試験デザイン及び処置を示す図である。ZYN002を、最初の26週間の処置期間(期間A)にわたって250mg~1000mgの1日総用量で投与し、続いて最大46週間の延長(期間B)を行った。期間A及び期間Bの12ヶ月目までの結果並びに72週間までの安全性の結果を本明細書で考察する。
【0065】
約48人の患者が期間Aに登録し、40人の患者が期間Aの非盲検処置を完了するまで進行した。期間Aでは、患者は4週間のベースライン期間、続いて4週間の漸増期間、及び22週間の柔軟な投与維持期間を受けた。患者は、期間Aにおいて合計26週間処置された。
【0066】
約29人の患者が期間Bに入り、28人の患者が完了まで進行した。1人の患者は42週目に同意を取り下げている。期間Bでは、患者には、26週目(例えば、期間Aの終了)に投与していたのと同じ維持用量でさらに最大46週間ZYN002を投与し続けた。
【0067】
患者は、26週間の処置期間及び46週間の延長期間(72週間の総処置期間)の間、1日2回(12時間±2時間ごと)の試験薬の適用を受けた。
【0068】
登録患者は、体重に基づく初回用量の1日250mg又は1日500mgのZYN-002を受けた。体重25kg以下の患者は最大1日750mgまで漸増することができ、体重25kg超の患者は最大1日1,000mgまで漸増することができた。
【0069】
診断及び組み入れ基準
この試験に参加した患者は、発達性及びてんかん性脳症の診断を受けていた。患者は、3歳~18歳の間の男女であり、肥満指数は13~35kg/mであり、体重は12kg以上であった。
【0070】
患者は、国際抗てんかん連盟分類(Scheffer 2017)によって定義される発達性及びてんかん性脳症(DEE)の診断を受けており、全身性運動(すなわち、全身性強直間代性、強直性、間代性、脱力性、てんかん性スパズム)、焦点意識保持運動、焦点意識減損、又は焦点起始両側強直間代発作を有した。登録されたDEEの例には、限定するものではないが、レノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群、ウエスト症候群/乳児スパズム及びドゥーゼ症候群が含まれた。診断は、1年以上の間確立されていなければならず、病歴及び検査並びに脳波図(EEG)、磁気共鳴画像法(MRI)スキャン又は遺伝子検査を含む適切な試験の総説によって実証されなければならない。
【0071】
患者に対する1~4のASMの安定したレジメンを、試験全体を通してベースライン期間から維持した。
【0072】
患者は、ベースライン期間中に合計で以下の(1又は複数の)タイプの発作を5回以上経験していた:全身性運動(すなわち、全身性強直間代性、強直性、間代性、脱力性、てんかん性スパズム)、焦点意識保持運動、焦点意識減損、又は焦点起始両側強直間代発作。てんかん性スパズムのクラスターを単一発作としてカウントした。
【0073】
患者は、治験責任医師によって決定されたように、発作発症後に少なくとも1つの発達領域において退行、減速又はプラトーを伴う発達遅延の病歴を有していた。
【0074】
除外基準
以下の理由を含めて、患者を試験から除外した:スクリーニング前12週間以内にテトラヒドロカンナビノール又はCBD生成物を使用;CYP3A4の強力な阻害剤/誘導剤による処置;過去4週間以内のASMレジメン又はてんかん食事療法の変更;又はアラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、若しくは総ビリルビンのレベルが正常値の上限(ULN)の3倍以上。
【0075】
適用部位
ゲルの承認された適用部位は、表4に示すように、左右の上腕であった。
【0076】
【表4】
【0077】
適用部位に発赤が生じた場合は、治験責任医師に相談の上、ZYN002を一時的に左右の大腿上部に適用した。BMIが低い患者及び/又は腕が小さい患者には、ZYN002を右又は左の大腿上部に適用可能とした。適用の順序は、左右の上腕/肩にそれぞれ1袋、及び左右の大腿上部にそれぞれ1袋であった。
【0078】
右及び/又は左の大腿上部に適用される場合、手順は、左右の上腕/肩について記載したのと同じであった。ゲルを適用する親/介護者は手袋を着用した。親/介護者は、ゲルが完全に擦り込まれ、ゲルが手袋上に残っておらず、ゲルが適用された皮膚表面がもはや光沢がなく、着衣の前に触って乾燥していることを確かめた。親/介護者は、投薬の2時間後に承認された保湿ローションを適用することができた。
【0079】
生成物、投薬量及び投与様式
生成物は、ZYN002(カンナビジオール:CBD)、4.2%ゲル、局所用であった。そして、薬物を、2.98gのゲルを含有する袋として供給して、125mgのCBD/袋を送達した。処置群に基づいて各患者の適切な1日総用量を達成するために、朝及び夕方に1~4袋を使用することによって適用した。
【0080】
処置は以下の通りであった:
・処置A-125mg CBD Q12H(±2時間);1日総用量は250mg CBD(朝に1袋、夕方に1袋)とした。
・処置B-250mg CBD Q12H(±2時間);1日総用量は500mg CBD(朝に2袋、夕方に2袋)とした。
・処置C-375mg CBD Q12H(±2時間);1日総用量は750mg CBD(朝に3袋、夕方に3袋)とした。
・処置D-500mg CBD Q12H(±2時間);1日総用量は1000mg CBD(朝に4袋、夕方に4袋)とした。
【0081】
期間A:ベースライン期間
4週間のベースライン期間中、親及び/又は介護者は、以下のタイプの発作の回数を発作日誌に記録した:
・全身性強直間代(「一次性全身性強直間代」)発作
・焦点意識減損発作
・焦点起始両側強直間代発作
・運動徴候を伴う焦点意識保持発作
・強直発作
・間代発作
・脱力発作
・てんかん性スパズム(てんかん性スパズムのクラスターを単一発作としてカウントした)。
【0082】
以下のタイプの発作が、治験責任医師によって決定されたように、毎日同じ時間及び同じ期間、毎日の日誌に記入された(例えば、6:00 PMに10分間):
・ミオクロニー発作
・欠伸発作
・運動徴候のない焦点意識保持発作(例えば、焦点感覚発作)
【0083】
期間A:漸増期間
25kg未満の患者に対する初回用量は、125mg CBD Q12H(±2時間)であり、4週間の漸増期間にわたって250mg CBDの1日総用量であった。第4週の来院(来院4)では、治験責任医師の裁量に基づいて、用量を1日250mg CBDのままにするか、又は250mg CBD Q12H(±2時間)まで増加させ、処置期間の残りの22週間にわたって1日総用量を500mg CBD(4袋)とした。
【0084】
体重25kg超の患者は、250mg CBD Q12H(±2時間)を投与され、4週間の漸増期間にわたって1日総用量500mg CBDであった。第4週の来院(来院4)では、治験責任医師の裁量に基づいて、用量を1日500mg CBDのままにするか、又は375mg CBD Q12H(±2時間)まで増加させ、処置期間の残りの22週間にわたって1日総用量を750mg CBD(6袋)とした。
【0085】
期間A:維持期間
10週目に、1日500mg CBDを摂取している患者を1日750mg CBD(6袋)に増加させることができ、1日750mg CBDを摂取している患者を1000mg CBD(8袋)に増加させることができた。
【0086】
治験責任医師は、患者が維持期間を開始した後、安全性及び忍容性に基づいて必要に応じて用量を減少させた。CBD 250mg Q12H(±2時間)を摂取している患者;1日総用量500mg CBDは、その用量を125mg CBD Q12H(±2時間);1日総用量250mg CBDに減少させることができた。CBD 375mg Q12H(±2時間)を摂取している患者;1日総用量750mg CBD用量は、その用量を250mg CBD Q12H(±2時間);1日総用量500mg CBDに減少させることができた。CBD 500mg Q12H(±2時間)を摂取している患者;1日総用量1000mg CBD用量は、その用量をCBD 375mg Q12H(±2時間);1日総用量750mg又は250mg CBD Q12H(±2時間);1日総用量500mg CBDに減少させることができた。試験の経過中に体重が変化した患者は、用量を増減させることができた。
【0087】
中断時の患者の用量に応じて、1~3週間の範囲のテーパリング期間が完了した。テーパリング後、患者は4週間の電話追跡調査期間を完了することも要求された。
【0088】
評価基準
安全性評価:安全性評価には、AEの収集、身体的及び神経学的検査、バイタルサイン、心電図(ECG)、皮膚チェック検査(治験責任医師)及び日記(親/介護者)、並びに実験室試験が含まれた。
【0089】
エンドポイント
発作頻度有効性評価エンドポイントは、以下のタイプについての26週間(期間A)にわたる1ヶ月(28日)の平均発作頻度(SF28)の合計(「カウント可能な発作」)のベースラインからの変化率中央値であった:
・焦点意識減損発作(FIAS)
・強直間代発作(TCS)、例えば、
・全身性強直間代発作(GTCS)
・焦点起始両側強直間代発作(FBTCS)
・FIAS及びTCSの35%及び50%の減少を満たす患者数を記録した。
【0090】
QoL有効性エンドポイント:
・ELDQOLにおけるベースラインから期間Aの終わりまでの変化
・「良い日/悪い日」評価におけるベースラインからの変化:
【0091】
睡眠有効性エンドポイント:
・SDSCにおけるベースラインから期間Aの終わりまでの変化
【0092】
定性的介護者エンドポイント:
・期間A終了時の親及び介護者の定性的な記述
【0093】
分析集団:安全性分析セットには、1用量以上の試験薬を受けた全ての患者が含まれた。80日間以上試験薬を受け、80%以上の発作日誌を記入した患者を有効性分析に含め、modified intent-to-treat(mITT)集団として特定した。
【0094】
結果
データは、ZYN-002が、焦点意識減損発作(FIAS)、全身性強直間代発作(GTCS)、又は焦点起始両側強直間代発作(FBTCS)などの難治性発作タイプを含む、多くのタイプの処置困難な発達性及びてんかん性脳症において発作頻度を減少させたことを示している。
【0095】
これらの結果は、発作の意味のある減少並びに睡眠関連障害、発作強度、疲労、社会的孤立、認知不良及び言語障害などの困難な行動及び症状の多くの改善を示す。例えば、患者は、睡眠の質、入眠、総睡眠、入眠及び睡眠維持、睡眠覚醒移行、又は覚醒及び悪夢障害の改善を含む睡眠関連障害の改善を経験した。
【0096】
BELIEVE(ZYN2-CL-025)に登録された48人の患者のうち、40人の患者が期間Aを完了し、28人が期間Bの12ヶ月目までを完了した(表5)。1人の対象のみが期間B中に同意を取り下げた。
【0097】
【表5】
【0098】
ベースライン特性及び発作頻度
BELIEVEに登録され、安全性分析セットに含まれた48人の患者の平均年齢は10.5歳であった(表6参照)。患者の4分の1は、レノックス・ガストー症候群(LGS)又はドラベ症候群を有していた。
【0099】
臨床的に重要な併存状態が全ての患者に存在し、歩行障害及び運動障害(45.8%)、睡眠障害(39.6%)、慢性呼吸器状態/感染症(37.5%)、ASD(29.2%)、及び経皮内視鏡的胃瘻造設術(14.6%)が含まれた。
【0100】
mITT集団は46人の患者を含んでいた(2人の患者は、日誌の80%を完了しなかったため、又は試験薬を80日間使用しなかったため、有効性分析から除外された)。33人の患者がベースラインでFIAS及び/又はTCSを有し、発作頻度有効性評価エンドポイントが測定された集団を構成した。
【0101】
【表6】
【0102】
発作頻度有効性評価エンドポイント
図3は、処置期間の有効性を示すグラフである。具体的には、図3は、ベースラインにおいてFIAS及び/又はTCSを有する患者について、時点ごとのFIAS及びTCSの28日間における頻度のベースラインからの減少率中央値を示す。12ヶ月の処置期間にわたって、FIAS及びTCSの1ヶ月中の頻度におけるベースラインからの減少率中央値は、3ヶ月目の44%から12ヶ月目の73%までの範囲であった。
【0103】
発作タイプによって分析した場合、6ヶ月目のベースラインからのFIAS、GTCS及びFBTCSの減少中央値は、それぞれ45%、60%及び59%であった。12ヶ月目に、FIAS、GTCS及びFBTCSの減少中央値は、それぞれ100%、83%及び59%であった。
【0104】
図4は、発作が減少した患者の率を示すグラフである。具体的には、図4は、ベースラインにおいてFIAS及び/又はTCSを有する患者について、時点ごとのFIAS及びTCSが35%及び50%減少した患者の率を示す。かなりの率の患者が、12ヶ月目まで継続の3ヶ月目までにFIAS及びTCSの35%以上及び50%以上の減少を達成した。例えば、35%以上を達成した患者の率は、3ヶ月目の58%から12ヶ月目の89%に増加した。同様に、50%以上を達成した患者の率は、3ヶ月目の46%から12ヶ月目の83%に増加した。
【0105】
図5は、28日間の発作頻度におけるベースラインからの減少率中央値を示すグラフである。具体的には、図5は、ベースラインにおいて併存ASDを有する患者について、時点ごとのFIAS及びTCSの28日間の頻度におけるベースラインからの減少率中央値を示す。併存ASDを有する患者では、FIAS及びTCSの1ヶ月中の頻度におけるベースラインからの減少率中央値は、12ヶ月の処置期間にわたって、3ヶ月目の44%から12ヶ月目の68%までの範囲であった。
【0106】
図6は、ベースライン時の併存自閉症スペクトラム障害(ASD)を伴う発作が減少した患者の率を示すグラフである。具体的には、図6は、ベースラインにおいて併存ASDを有する患者について、時点ごとのFIAS及びTCSが35%及び50%減少した患者の率を示す。FIAS及びTCSの35%以上及び50%以上の減少を達成した患者の率は経時的に増加した。例えば、35%以上を達成した患者の率は、3ヶ月目の65%から12ヶ月目の88%に増加した。同様に、50%以上を達成した患者の率は、3ヶ月目の41%から12ヶ月目の75%に増加した。9人中8人(8/9)の親/介護者が改善についての記述を提供し、9人中1人(1/9)の親/介護者が利益を述べなかった。介護者によって報告された改善には、集中力、関与、注意力、及び学校での眠気の減少が含まれた。
【0107】
ELDQOL
発作重症度、行動及び気分についての平均ELDQOLサブスケールスコアにおけるベースラインからの統計学的に有意な減少が、26週目に観察された(表7)。
【0108】
【表7】
【0109】
睡眠スコア
睡眠障害は、DEE、ASD、又はDEE-ASDの両方を有する多くの患者に影響を及ぼす。睡眠障害には、限定するものではないが、入眠及び睡眠維持障害(DIMS)、睡眠呼吸障害(SBD)、覚醒/悪夢障害(DA)、睡眠覚醒移行障害(SWTD)、過剰傾眠障害(DOES)及び睡眠時多汗症が含まれる。入眠及び睡眠維持障害(DIMS)は、患者が眠り込む又は眠ったままでいることが困難な障害(例えば、不眠症)である。睡眠呼吸障害(SBD)は、睡眠中の呼吸困難(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸)を伴う障害である。覚醒/悪夢障害(DA)は、ノンレム睡眠中に起こる精神的又は運動的事象である。典型的なDAには、睡眠時歩行及び悪夢が含まれる。ほとんどの場合、DA事象は、完全な覚醒時には患者が記憶していない。睡眠覚醒移行障害(SWTD)は、睡眠から覚醒への移行中に発生する事象を含み、律動性運動障害、寝言、及び下肢痙攣を含み得る。過度傾眠障害(DOES)は、通常の覚醒時間中の眠気(過眠症)を特徴とする。睡眠時多汗症は、眠り込む時又は夜間の過度の発汗を特徴とする。
【0110】
図7は、小児用睡眠障害スケール(SDSC)に基づく、ベースライン及びZYN002処置26週目の臨床的に有意な睡眠問題についての閾値を超える全ての患者の率を示す図である。図7について、左のバーはベースラインの患者の率であり、右のバーは26週目の患者の率である(表8も参照されたい)。図8は、臨床的に有意な睡眠問題に対応する、ベースライン及び26週目において閾値tスコア>70の患者の率を示す図である。図8について、左のバーはベースラインの患者の率であり、右のバーは26週目の患者の率である。睡眠スコアのベースラインからの統計学的に有意な改善が、総スコア、入眠又は睡眠維持障害(DIMS)、覚醒/悪夢障害(DA)及び睡眠覚醒移行障害(SWTD)において観察された(表9も参照されたい)。
【0111】
図9は、小児用睡眠障害スケール(SDSC)に基づく、ベースライン及びZYN002処置26週目の臨床的に有意な睡眠問題についての閾値を超える、併存ASDを有する患者(DEE)の率を示す図である。図9について、左のバーはベースラインの患者の率であり、右のバーは26週目の患者の率である。(表10も参照されたい)。図10は、臨床的に有意な睡眠問題に対応する、ベースライン及び26週目において閾値tスコア>70の併存ASDを有する患者(DEE)の率を示す図である。図10について、左のバーはベースラインの患者の率であり、右のバーは26週目の患者の率である。睡眠スコアのベースラインからの統計学的に有意な改善が、総スコア、入眠又は睡眠維持障害(DIMS)、覚醒/悪夢障害(DA)及び睡眠覚醒移行障害(SWTD)において観察された(表11も参照されたい)。
【0112】
【表8】
【0113】
【表9】
【0114】
【表10】
【0115】
【表11】
【0116】
良い日/悪い日評価
図11は、ベースライン及びZYN002処置6ヶ月目における良い日/悪い日評価の分布を示す図である。図11について、ベースラインの患者の割合は、3.00%が非常に悪い、9.30%が非常に悪い、35.70%が良くも悪くもない、45.70%が良い、及び6.30%が非常に良いであった。6ヶ月目の患者の割合は、0.50%が非常に悪い、3.20%が悪い、25.90%が良くも悪くもない、59.80%が良い、及び10.60%が非常に良いであった。ベースラインと6ヶ月目とを比較すると、「良い日」と「非常に良い日」の報告の合計割合は、ベースラインの52.0%から70.4%に増加し、「非常に悪い日」と「悪い日」の報告の合計割合は、ベースラインの12.3%から3.7%に減少した(図11)。
【0117】
定性的介護者フィードバック:
定性的介護者評価を、mITT集団の46人の患者のうち43人の親/介護者に行った。84%(n=36)の親/介護者が1以上の改善に関する記述を提供し、60%(n=26)が1以上の悪化に関する記述を提供した(表8)。ほとんどの尺度についてほとんどの患者で定性的評価の集約尺度の改善が観察された:
-いずれかの改善:84%(n=36)
-活力の改善:58%(n=25)
-発作の改善:51%(n=22)
-認知/集中力の改善:47%(n=20)
-社会的回避行動の改善:44%(n=19)
-興奮性の改善:33%(n=14)
-学校生活の改善:28%(n=12)
-医学的改善:14%(n=6)
【0118】
表12は、期間A、mITT集団(N=43)において親及び介護者によって行われた最も頻度の高い肯定的及び否定的な定性的記述(n≧8)を示す。
【0119】
【表12】
【0120】
介護者によって見られる改善は、改善された夜間睡眠(例えば、睡眠移行及び睡眠維持)並びにより良好な夜間睡眠のためのより良好な日中覚醒の両方に関連し得る。日中覚醒は、より良好な夜間睡眠とCBDの昼間の薬理学的効果の両方と相関していると考えられる。CBDは、最初に投与されたときに刺激効果を有し得るので、午前中又は午後早くに優先的に投与される。図11及び表12の介護者フィードバックから分かるように、より良好な睡眠とCBDの刺激効果との組み合わせは、より良好な日中機能、より良好な日中認知、及びより良好な教育的パフォーマンスをもたらすことが示された。「より良好な」日並びに他の生活の質の改善の両方が、睡眠時呼吸障害の改善された症状を含む、改善された睡眠に関連するか又はそれによって引き起こされると考えられる。
【0121】
安全性
ZYN-002は、ZYN002のBELIEVE臨床試験で良好に忍容された。ほとんどの処置下で発現した有害事象(TEAE)(試験薬と無関係であるか又は関連しているかにかかわらず、任意の事象)は軽度又は中等度であった。72週間の処置期間にわたって14人の患者によって報告された30の重篤な有害事象があり、そのうち2つ(下気道感染及びてんかん重積状態)は薬物関連の可能性があると考えられた。毛孔性角化症の病歴を有する1人の患者は、AE(重度の適用部位紅斑)のために試験薬を中止した;皮膚科学的パッチ試験は、これがZYN002由来のアレルギー性接触皮膚炎によって引き起こされたものではなく、二次細菌感染症により複雑化した刺激性接触皮膚炎である可能性が高いことを示した。試験薬に関連すると考えられなかった26週目の良性の単独のアルカリホスファターゼ上昇(1.69×ULN)を有する1人の患者を除いて、バイタルサイン、ECG又は検査所見に臨床的に有意な変化はなかった。
【0122】
BELIEVEは、DEEにおけるZYN002(経皮CBD)の最初の臨床試験である。データは、12ヶ月間にわたるZYN002処置によるFIAS及びTCSの意味のある減少を示唆している。ASD患者のサブグループでは、ZYN002は、FIAS発作及びTCS発作の意味のある減少を実証し、ほとんどの小児は、それぞれ3ヶ月目及び6ヶ月目までに35%又は50%の応答者閾値に達した。
【0123】
ZYN002による処置は、発作の重症度、行動及び気分;入眠及び睡眠維持、覚醒/悪夢障害、睡眠覚醒移行、及び全体的睡眠;並びに活力、認知/集中力、及び社会的回避行動における臨床的に意味のある改善に関連し得る。
【0124】
ZYN002は、DEEを有する小児及び青年の医学的に脆弱な患者において18ヶ月の処置にわたって良好に忍容された。DEE及びFIAS及びTCSを有する患者におけるこのBELIEVE臨床試験で実証されているように、ZYN002の肯定的な利益/リスクプロファイルがある。
【0125】
睡眠時無呼吸
DEE及びDEE-ADS患者の睡眠障害に対するCBDの効果の試験を行っている間に、DEEを有する患者と併存ASDを有するDEEを有する患者との間で睡眠呼吸障害に有意差があることが認められた。DEEを有する患者及びDEE-ASDを有する患者からの組み合わせデータを含む表8を参照すると、組み合わせた群についてSBDに有意な変化はないことが分かる。しかしながら、ASDを有さないDEE患者を除外した、DEE-ASD群のデータ(表10)では、SBDの実質的な減少がある(-3.9、p=.072)。この傾向は、70を超える総SDSCスコアを有する患者にも見られる。表9(DEEを有する全患者)では、ベースラインに対してSBDに有意な変化はない。DEE-ASD患者のみからのデータを提示する表11では、DEE-ASD患者のSBDの減少は-6.7(p=.018)である。
【0126】
いかなる理論にも束縛されるものではないが、この変化は、DEE患者とDEE-ASD患者との間の生理学的差異に関連すると考えられる。典型的には、DEE患者は、一般集団と比較して比較的低い体重/肥満度指数(BMI)を有する。対照的に、DEE-ASD患者、及び一般的なASD患者は、DEE患者と比較した場合、有意に高い体重/BMIを有する。(Hill et al.,Obesity and Autism,Pediatrics,2015 Dec;136(6):1051-1061)。これにより、CBDは閉塞性睡眠時無呼吸を改善していると考えられる。睡眠時無呼吸は、睡眠障害の任意の他の根本原因(DEE及び/又はADSなど)があるかどうかにかかわらず、一般にCBDで処置できるとも考えられている。
【0127】
本発明の様々な態様のさらなる修正及び代替の実施形態は、この説明を考慮すれば当業者には明らかであると思われる。したがって、この説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実施する一般的な様式を当業者に教示する目的のためのものである。本明細書に示され説明される本発明の形態は、実施形態の例として解釈されるべきであることを理解されたい。本発明のこの説明の利益を得た後に当業者には全て明らかであるように、要素及び材料は、本明細書に例示及び記載されたものに置き換えられてもよく、部分及び方法は逆にされてもよく、本発明の特定の特徴は独立して利用されてもよい。以下の特許請求の範囲に記載される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される要素に変更を加えることができる。
図1
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【国際調査報告】