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特表2024-505217ディープラーニングアルゴリズムに基づく心電図生成システム及びその方法
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  • 特表-ディープラーニングアルゴリズムに基づく心電図生成システム及びその方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】ディープラーニングアルゴリズムに基づく心電図生成システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/327 20210101AFI20240129BHJP
   A61B 5/346 20210101ALI20240129BHJP
【FI】
A61B5/327
A61B5/346
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545852
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 KR2022002747
(87)【国際公開番号】W WO2022182182
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0024707
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523010225
【氏名又は名称】メディカル・エーアイ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Medical AI Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】163, Yangjaecheon-ro Gangnam-gu Seoul 06302 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】518358871
【氏名又は名称】ボディーフレンド カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BODYFRIEND Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】163,Yangjaecheon-ro,Gangnam-gu,Seoul,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】クォン・ジュン・ミョン
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127CC08
4C127KK03
(57)【要約】
本発明はディープラーニングアルゴリズムに基づく心電図生成システム及びその方法に関するものである。本発明によれば、複数の患者で測定された12誘導心電図を入力されるデータ入力部と、前記入力された12誘導心電図から学習データを抽出するデータ抽出部と、前記抽出された学習データを複数の学習モデルに入力して心電図の特性を学習させる学習部と、前記測定対象者から1個以上の基準心電図を入力され、前記入力された基準心電図を学習の完了した複数の学習モデルに入力して仮想心電図を生成する心電図生成部と、前記基準心電図と生成された仮想心電図とを互いに同期化し、同期化した基準心電図及び仮想心電図に対する波形を出力する制御部とを含む。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディープラーニングアルゴリズムに基づく心電図生成システムであって、
複数の患者で測定された12誘導心電図を入力されるデータ入力部と、
前記入力された12誘導心電図から学習データを抽出するデータ抽出部と、
前記抽出された学習データを複数の学習モデルに入力して心電図の特性を学習させる学習部と、
前記測定された対象者から1個以上の基準心電図を入力され、前記入力された基準心電図を学習の完了した複数の学習モデルに入力して仮想心電図を生成する心電図生成部と、
前記基準心電図と生成された仮想心電図とを互いに同期化し、同期化した基準心電図及び仮想心電図に対する波形を出力する制御部と、を含む、
心電図生成システム。
【請求項2】
前記患者の情報は、性別、年齢、心臓疾患有無、及び測定された心電図の電位ベクターのうちの少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の心電図生成システム。
【請求項3】
前記学習部は、四肢6誘導心電図及び胸部6誘導心電図を第1学習モデルに入力して、前記第1学習モデルにとって入力された心電図に対する電位ベクターを判別するように学習させる、
請求項2に記載の心電図生成システム。
【請求項4】
前記学習部は、四肢6誘導心電図及び胸部6誘導心電図に対する第1学習モデル及び第2学習モデルを構築し、前記構築された第1学習モデル及び第2学習モデルに基準誘導心電図を入力すると、前記入力された基準誘導心電図を該当電位ベクターを有するスタイルに変換して仮想心電図として出力するように学習させる、
請求項3に記載の心電図生成システム。
【請求項5】
前記第1学習モデル及び第2学習モデルは、敵対的生成ネットワークとオートエンコーダー方法とを混合するかまたはそれぞれ使用することによって構築される、
請求項3または4に記載の心電図生成システム。
【請求項6】
前記心電図生成部は、入力された基準心電図を第1学習モデルに入力して前記基準心電図に対する電位ベクターを抽出し、第1仮想心電図を生成し、前記第1仮想心電図を第2学習モデルに入力して第2仮想心電図を生成する、
請求項5に記載の心電図生成システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記基準心電図と前記複数の仮想心電図とをマッチングして同期化し、同期化した複数の心電図をモニターを介して出力し、前記出力された基準心電図及び仮想心電図の波形の振幅、傾き、及び電極位置のうちの少なくとも一つを用いて測定対象者の健康異常有無を判断する、
請求項6に記載の心電図生成システム。
【請求項8】
心電図生成システムを用いた心電図生成方法であって、
複数の患者で測定された12誘導心電図及び前記12誘導心電図に対応する患者情報を入力される段階と、
前記入力された12誘導心電図を前記患者情報によって分類して保存し、保存された12誘導心電図から学習データを抽出する段階と、
前記抽出された学習データを複数の学習モデルに入力して心電図の特性を学習させる段階と、
前記測定された対象者から1個以上の基準心電図を入力され、前記入力された基準心電図を学習の完了した複数の学習モデルに入力して仮想心電図を生成する段階と、
前記基準心電図と生成された仮想心電図とを互いに同期化し、同期化した基準心電図及び仮想心電図に対する波形及び前記測定された対象者に対する健康異常発生有無を出力する段階と、を含む、
心電図生成方法。
【請求項9】
前記患者情報は、性別、年齢、心臓疾患有無、及び測定された心電図の電位ベクターのうちの少なくとも一つを含む、
請求項8に記載の心電図生成方法。
【請求項10】
前記心電図の特性を学習させる段階は、四肢6誘導心電図及び胸部6誘導心電図を第1学習モデルに入力して、前記第1学習モデルにとって入力された心電図に対する電位ベクターを判別し、第1仮想心電図を生成するように学習させる、
請求項8に記載の心電図生成方法。
【請求項11】
前記心電図の特性を学習させる段階は、第1仮想心電図に基づいてスタイルを学習する第2学習モデルを構築し、前記構築された第2学習モデルに第1仮想心電図を入力すると、前記入力された誘導心電図を該当電位ベクターを有するスタイルに変換して第2仮想心電図として出力するように学習させる、
請求項10に記載の心電図生成方法。
【請求項12】
前記第1学習モデル及び第2学習モデルは、敵対的生成ネットワークとオートエンコーダー方法とを混合するかまたはそれぞれ使用することによって構築される、
請求項10または11に記載の心電図生成方法。
【請求項13】
前記仮想心電図を生成する段階は、入力された基準心電図を第1学習モデルに入力して、前記基準心電図に対する電位ベクターを抽出し、第1仮想心電図を生成し、前記抽出された電位ベクターによって学習された第2学習モデルに前記第1仮想心電図を入力して第2仮想心電図を生成する、
請求項12に記載の心電図生成方法。
【請求項14】
前記健康異常発生有無を出力する段階は、前記基準心電図と前記複数の仮想心電図とをマッチングして同期化し、同期化した複数の心電図をモニターを介して出力し、前記出力された基準心電図及び仮想心電図の波形の振幅、勾配、及び電極位置のうちの少なくとも一つを用いて測定対象者の健康異常有無を判断する、
請求項13に記載の心電図生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディープラーニングアルゴリズムに基づく心電図生成システム及びその方法に関するものであり、より詳細には、ディープラーニングアルゴリズムを用いて一つ以上の誘導心電図から複数の心電図を生成する心電図生成システム及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院で使用される標準12誘導心電図は、胸部の全面に6個の電極を付着し、四肢にもそれぞれ3個の電極(接地電極を含むと、4個の電極)を付着した後、12誘導情報を全部収集し、これを総合して疾患を診断する。
【0003】
12誘導心電図とは、心臓を中心として12個の電気的方向への心臓の電位を記録するものであり、これにより多方向で心臓の状態を判断することで、一部位に限られた心臓の疾病を正確に判読することができる。
【0004】
心臓の電位を多方向で測定することは心臓の特性を各方向で把握することができるという点で意味があり、このために、医療では心臓疾患(心筋梗塞など)の診断のために標準12誘導心電図を測定するように勧告している。
【0005】
しかし、12誘導を撮影するためには、胸電極を付着するために胸部を露出しなければならず、一般人が9個の電極(四肢3個、胸部6個)を正確な位置に付着しくいので、家庭や日常生活で測定しにくい。また、10個の電極を付着した後には動きにくいので、実時間モニタリングに使用しにくい。
【0006】
したがって、最近では、日常生活でも使用できるように1誘導心電図または2以上の誘導心電図を測定することができる機器が開発された。
【0007】
まず、2個の電極を使用する1誘導心電図機器は、時計型心電図機構(アップルウォッチまたはギャラクシーウォッチ)を含む。時計型心電図機構は、時計の背面と左側手首とが接触し、右指と時計のクラウンとが接触して左腕電極と右腕電極とが接触し、両電極の電位差を活用してI誘導心電図を測定する。
【0008】
また、時計型心電図機構は左腕に着用し、右手でクラウンと接触することでI誘導を測定し、時計を腹上に載せた状態で右手でクラウンと接触することでII誘導を測定し、腹上に載せた状態で左手でクラウンと接触することでIII誘導を測定する。その後、時計クラウンに左手で接触した状態でV1-6電極位置に時計の背面を接触することでV1-6誘導心電図を測定する。
【0009】
前記方法は、使用者がV1-6位置に正確に心電図を接触しなければならないという点で使用性が落ち、V1-6誘導心電図の場合は、当該部位に接触しても仮想の中心点とV電極との間の電位差を図示しなければならない標準胸部誘導心電図とは違い、右腕電極とV電極との間の電位差を図示するという点で、標準胸部誘導を具現することができないという問題点があった。
【0010】
また、両手で電極を握り、脚または足首に機器背面の電極を接触させ、左腕、右腕、左脚にそれぞれ電極を接触させた状態で2個以上の誘導心電図を測定することもできる。しかし、前記方法は長時間(1時間、24時間、7日など)モニタリングすることができない方法であり、機器自体が3個の電極を有していなければならないという欠点がある。
【0011】
本発明の背景となる技術は韓国登録特許第10-2180135号(2020.11.17.公告)に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、本発明は、ディープラーニングアルゴリズムを用いて一つ以上の誘導心電図から複数の心電図を生成する心電図生成システム及びその方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような技術的課題を達成するための本発明の実施例によれば、ディープラーニングアルゴリズムに基づく心電図生成システムは、複数の患者で測定された12誘導心電図及び前記12誘導心電図に対応する患者情報を入力されるデータ入力部と、前記入力された12誘導心電図を前記患者情報によって分類して保存し、保存された12誘導心電図から学習データを抽出するデータ抽出部と、前記抽出された学習データを1個以上の学習モデルに入力して心電図の特性を学習させる学習部と、前記測定対象者から1個以上の基準心電図を入力され、前記入力された基準心電図を学習の完了した1個以上の学習モデルに入力して仮想心電図を生成する心電図生成部と、前記基準心電図と生成された仮想心電図とを互いに同期化し、同期化した基準心電図及び仮想心電図に対する波形を出力する制御部とを含む。
【0014】
前記患者情報は、性別、年齢、心臓疾患有無、及び測定された心電図の電位ベクターのうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0015】
前記学習部は、四肢6誘導心電図及び胸部6誘導心電図のうちの一部であるn個誘導の心電図を第1学習モデルに入力することで、前記第1学習モデルにとって入力された心電図に対する電位ベクターを判別して12-n個の心電図を生成するように学習させることができる。
【0016】
前記学習部は、四肢6誘導心電図及び胸部6誘導心電図に対する12個の第2学習モデルを構築し、前記構築された第1学習モデルから出た12-n個の生成された心電図を第2学習モデルに入力すると、前記入力された誘導心電図を該当電位ベクターを有するスタイルに変換してn個の仮想心電図として出力するように学習させることができる。
【0017】
前記第1学習モデル及び第2学習モデルは、敵対的生成ネットワークとオートエンコーダー方法とを混合して構築することができる。
【0018】
前記心電図生成部は、入力された基準心電図を第1学習モデルに入力し、前記基準心電図に対する電位ベクターを抽出して残りの複数の仮想心電図を生成し、抽出された電位ベクターによって学習された第2学習モデルに前記生成された仮想心電図を入力することで、再び基準心電図と同一である誘導の仮想心電図を生成することができる。
【0019】
前記制御部は、前記基準心電図と前記複数の仮想心電図とをマッチングして同期化し、同期化した複数の心電図をモニターを介して出力する。
【0020】
また、本発明の実施例によれば、心電図生成システムを用いた心電図生成方法は、ディープラーニングアルゴリズムに基づく心電図生成システムは、複数の患者で測定された12誘導心電図及び前記12誘導心電図に対応する患者情報を入力される段階と、前記入力された12誘導心電図を前記患者情報によって分類して保存し、保存された12誘導心電図から学習データを抽出する段階と、前記抽出された学習データを1個以上の学習モデルに入力して心電図の特性を学習させる段階と、前記測定対象者から1個以上の基準心電図を入力され、前記入力された基準心電図を学習の完了した1個以上の学習モデルに入力して仮想心電図を生成する段階と、前記基準心電図と生成された仮想心電図とを互いに同期化し、同期化した基準心電図及び仮想心電図に対する波形を出力する段階とを含む。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明によれば、ディープラーニングアルゴリズムを用いて互いに異なる地点で測定した二つの心電図から同期化した複数の心電図を生成することができるので、12誘導心電図のように心臓の疾病を正確に判読することができる。
【0022】
また、本発明によれば、2個の誘導心電図を用いるので、家庭や日常生活でも測定可能であり、動く状態でも測定することができて実時間モニタリングが可能であり、互いに異なる時点に測定された心電図情報を活用して同期化した心電図を生成するので、医療陣にとって該当拍動に合わせて同期化した誘導心電図情報を判読することができ、これに基づいてより正確な診断が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例による心電図生成システムを説明するための構成図である。
図2】本発明の実施例による心電図生成システムを用いた心電図生成方法を説明するためのフローチャートである。
図3】一般的な12誘導心電図を測定する方法を説明する例示図である。
図4図2に示したS240段階を説明するための例示図である。
図5図2に示したS260段階を説明するための例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施例による心電図生成システム100は、データ入力部110、データ抽出部120、学習部130、心電図生成部140、及び制御部150を含む。
【0025】
まず、データ入力部110は、複数の患者で測定された12誘導心電図及び12誘導心電図に対応する患者情報を入力される。
【0026】
ここで、12誘導心電図は、四肢6誘導心電図及び胸部6誘導心電図を含み、患者情報は、性別、年齢、心臓疾患有無、及び測定された心電図の電位ベクターのうちの少なくとも一つを含む。
【0027】
データ抽出部120は、入力された患者情報を用いて12誘導心電図を分類してデータベースに保存する。そして、データ抽出部120は、データベースに保存された複数の12誘導心電図を無作為に抽出して学習データを生成する。
【0028】
その後、学習部130は、学習データを用いて構築した学習モデルを学習させる。より詳細に説明すると、学習部130は、入力された誘導心電図についての電位ベクター情報を抽出してn個誘導の基準心電図から12-n個誘導仮想の心電図を生成する第1学習モデルと、12-n個誘導仮想の心電図からn個誘導の仮想心電図を生成する第2学習モデルとを構築する。
【0029】
そして、学習部130は、構築された第1学習モデルまたは第2学習モデルに生成された学習データを入力して第1学習モデルまたは第2学習モデルを学習させる。
【0030】
心電図生成部140は、測定対象者から一つ以上の基準心電図を獲得する。そして、心電図生成部140は、獲得した基準心電図を学習の完了した第1学習モデルに入力することで、基準心電図に対する電位ベクターに基づいて第1仮想心電図を生成する。心電図生成部140は、学習した第2学習モデルに生成された第1仮想心電図を入力することで、第2学習モデルにとって第2仮想心電図を出力するようにする。
【0031】
最後に、制御部150は、基準心電図と仮想心電図とを同期化し、基準心電図及び仮想心電図から同期化した複数の心電図をモニター装置を介して出力する。
【0032】
発明の実施のための形態
【0033】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例を詳細に説明する。ここで、図面に示した線の厚さや構成要素の大きさなどは説明の明瞭性及び便宜性のために誇張して図示されていることもある。
【0034】
また、後述する用語は本発明での機能を考慮して定義した用語であり、これは使用者や運用者の意図または慣例によって変わることができる。したがって、このような用語に対する定義は本明細書全般にわたった内容に基づいて下さらなければならないであろう。
【0035】
以下では、図1に基づいて本発明の実施例によるディープラーニングアルゴリズムに基づく心電図生成システムについてより詳細に説明する。
【0036】
図1は本発明の実施例による心電図生成システムを説明するための構成図である。
【0037】
図1に示したように、本発明の実施例による心電図生成システム100は、データ入力部110、データ抽出部120、学習部130、心電図生成部140、及び制御部150を含む。
【0038】
まず、データ入力部110は、複数の患者で測定された12誘導心電図及び12誘導心電図に対応する患者情報を入力される。
【0039】
ここで、12誘導心電図は、四肢6誘導心電図及び胸部6誘導心電図を含み、患者情報は、性別、年齢、心臓疾患有無、及び測定された心電図の電位ベクターのうちの少なくとも一つを含む。
【0040】
データ抽出部120は、入力された患者情報を用いて12誘導心電図を分類してデータベースに保存する。そして、データ抽出部120は、データベースに保存された複数の12誘導心電図を無作為に抽出して学習データを生成する。
【0041】
その後、学習部130は、学習データを用いて構築した学習モデルを学習させる。より詳細に説明すると、学習部130は、入力された誘導心電図についての電位ベクター情報を抽出して、n個誘導の基準心電図から12-n個誘導仮想の心電図を生成する第1学習モデルと、12-n個誘導仮想の心電図からn個誘導の仮想心電図を生成する第2学習モデルとを構築する。
【0042】
そして、学習部130は、構築された第1学習モデルまたは第2学習モデルに生成された学習データを入力して第1学習モデルまたは第2学習モデルを学習させる。
【0043】
心電図生成部140は、測定対象者から一つ以上の基準心電図を獲得する。そして、心電図生成部140は、獲得した基準心電図を学習の完了した第1学習モデルに入力することで、基準心電図に対する電位ベクターに基づいて第1仮想心電図を生成する。心電図生成部140は、学習した第2学習モデルに生成された第1仮想心電図を入力することで、第2学習モデルにとって第2仮想心電図を出力するようにする。
【0044】
最後に、制御部150は、基準心電図と仮想心電図とを同期化し、基準心電図及び仮想心電図から同期化した複数の心電図をモニター装置を介して出力する。
【0045】
以下では、図2図5に基づいて本発明の実施例による心電図生成システム100を用いた心電図生成方法についてより詳細に説明する。
【0046】
図2は本発明の実施例による心電図生成システムを用いた心電図生成方法を説明するためのフローチャートである。
【0047】
図2に示したように、本発明の実施例による心電図生成システムを用いた心電図生成方法は、学習モデルを学習させる段階と、学習の完了した学習モデルを用いて心電図を生成する段階とに区分される。
【0048】
学習モデルを学習させる段階で、まず、心電図生成システム100は、複数の患者で測定された誘導心電図及び患者の情報を入力される(S210)。
【0049】
まず、12誘導心電図は心臓を中心に12個の電気的方向への心臓の電位を記録したものである。
【0050】
誘導心電図を撮影する一般的な方法を調べると、まず、患者の両腕及び両脚に4個の電極(四肢電極(limb lead))を付ける。ここで、心電図測定装置は、このうち両腕電極及び左脚電極で電位を測定し、右脚電極は接地電極の役割を果たす。
【0051】
図3は一般的な12誘導心電図を測定する方法を説明する例示図である。
【0052】
図3に示したように、心電図測定装置は、左腕の電位から右腕の電位を差し引いてI誘導心電図を生成し、左脚の電位から右腕電位を差し引いてII誘導心電図を生成し、左脚の電位から左腕の電位を差し引いてIII誘導心電図を生成する。
【0053】
心電図測定装置は、両腕及び左脚電極の電位の平均を求めて仮想の中心点の電位を求める。そして、心電図測定装置は、左腕の電位から仮想の中心点の電位を差し引いてaVL誘導の心電図を生成し、右腕の電位から仮想の中心点の電位を差し引いてaVR誘導の心電図を生成する。また、心電図測定装置は、左脚電極の電位から仮想の中心点の電位を差し引いてaVF誘導の心電図を生成する。前記のように、心電図測定装置は、3個(接地電極まで4個)の四肢電極を使用して総6個誘導(6個列の)心電図を生成する。
【0054】
その後、心電図測定装置は、四肢誘導で決定した仮想の中心点の電位と、胸部に付着した6個の電極の電位との差を用いて胸部6誘導心電図を生成する。すなわち、胸に、V1、V2、V3、V4、V5、V6の6個の電極を所定の位置の前側から左側胸部まで付ける。
【0055】
そして、心電図測定装置は、V1電極で測定された電位と前記四肢電極の平均によって求めた仮想の中心点の電位を差し引いてV1誘導心電図を生成する。
【0056】
前記のように、心電図測定装置は、複数の患者に付着された電極を用いて12誘導心電図を生成する。そして、生成された12誘導心電図は心電図生成システム100に伝達する。
【0057】
ここで、心電図生成システム100は生成された12誘導心電図及びそれに対応する患者情報をさらに入力される。
【0058】
ここで、患者情報は、性別、年齢、心臓疾患有無、及び測定された心電図の電位ベクターのうちの少なくとも一つを含む。
【0059】
S210段階が完了すると、心電図生成システム100は、収集された12誘導心電図及び患者情報を用いて学習データを抽出する(S220)。
【0060】
これをまた説明すると、データ抽出部120は、収集された12誘導心電図を患者情報によって分類してデータベースに保存する。そして、データ抽出部120は、保存された複数の12誘導心電図から無作為に抽出して学習データを生成する。
【0061】
その後、学習部130は、生成された学習データを用いて第1学習モデル及び第2学習モデルをそれぞれ学習させる(S230)。
【0062】
まず、学習部130は、12誘導心電図から構成された学習データを第1学習モデル及び第2学習モデルに入力して心電図の特性を学習させる。これをまた説明すると、誘導心電図は、電位ベクターによって電気の流れ方向が異なり、患者の年令や性別によって心電図スタイルに影響を与える。すなわち、年寄りになるほど心臓筋肉が減少するので心電図の振幅は減少する傾向を示し、女性の場合には、乳房によって心電図の電極位置が低くなるか心臓と電極との間の距離が大きくなることによって心電図形状の変形が発生する。
【0063】
また、慢性肺疾患(晩成閉鎖性肺疾患)がある場合、肺の容量が大きくなり、肺の間にある心臓が垂直方向に立てられるので、3次元空間で心臓の電気的流れが垂直方向に変化する。
【0064】
したがって、学習部130は、患者情報、すなわち、患者の年齢、性別、健康程度、及び電位ベクターによってそれぞれ分離されて保存された誘導心電図を第1学習モデル及び第2学習モデルに入力する。すると、第1学習モデル及び第2学習モデルは、入力された誘導心電図の特性を学習して、入力される誘導心電図の電位ベクター情報を抽出する。しかし、患者情報によって区分せずに心電図を受けて学習することもでき、この方法によって一つの特性に限られない学習モデルを学習することもできる。
【0065】
また、学習部130は、12誘導心電図に対応する12個の第2学習モデルを構築する。そして、学習部130は、心電図の特性によってそれぞれの第2学習モデルを学習させる。
【0066】
これをまた説明すると、第1学習モデルは、ディープラーニングアルゴリズムに基づき、入力される心電図と12誘導心電図との連関性を学習して、入力された心電図の特徴、すなわち、年齢、性別、及び電位ベクターのうちの少なくとも一つを抽出し、これによりn個誘導の基準心電図から12-n個誘導の仮想心電図を生成する。一方、第2学習モデルは、12-n個誘導の仮想心電図からn個誘導の仮想心電図を生成する。例えば、V1誘導心電図を生成すると仮定すると、学習部130は、第1学習モデルでV1誘導の心電図から仮想のI、II、III、aVL、aVR、aVF、V2、V3、V4、V5、V6誘導の心電図を生成するようにスタイルを学習させ、第2学習モデルは、仮想のI、II、III、aVL、aVR、aVF、V2、V3、V4、V5、V6誘導の心電図から仮想のV1誘導の心電図を生成するようにスタイルを学習させる。すると、第2学習モデルは、入力された心電図をV1誘導スタイルに変換して仮想心電図を生成する。
【0067】
第1学習モデルには、入力された心電図がどの誘導の心電図であるかを判別するように、どの誘導の心電図であるかを一緒に入力して学習する。これにより学習された後に使用するとき、誘導が分からない任意の心電図が入力されても12誘導心電図を生成することができる。
【0068】
ここで、第1学習モデル及び第2学習モデルは、オートエンコーダーまたは敵対的生成ネットワークから構成されたディープラーニングアルゴリズムを基にし、ディープラーニングアルゴリズムは、オートエンコーダーまたは敵対的生成ネットワークのうちから選択された一つを用いて具現することもでき、オートエンコーダーと敵対的生成ネットワークとを混合して具現することもできる。
【0069】
S210段階及びS230段階で学習モデルに対する学習が完了すると、本発明の実施例による心電図生成システム100は、学習された学習モデルを用いて心電図を生成する。
【0070】
まず、心電図生成システム100は、測定対象者の身体に付着された電極を介して測定された基準心電図を入力される(S240)。
【0071】
ここで、基準心電図は電位ベクターについての情報を含まない。
【0072】
その後、心電図生成部140は、入力された基準心電図を第1学習モデル及び第2学習モデルに入力して複数の仮想心電図を生成する(S250)。
【0073】
まず、心電図生成部140は、基準心電図を第1学習モデルに入力して基準心電図の特性を抽出する。
【0074】
ここで、特性は、測定対象者の年齢、性別、及び電位ベクターのうちの少なくとも一つを含む。
【0075】
これにより、基準心電図から第1仮想の心電図を生成する。
【0076】
その後、心電図生成部140は、生成された第1仮想の心電図を第2学習モデルに入力する。すると、第2学習モデルは、入力された第1仮想の心電図に基づいて第2仮想の心電図を生成する。
【0077】
図4図2に示したS240段階を説明するための例示図である。
【0078】
図4に示したように、一番目の心電図は基準心電図を示す。ここで、第1学習モデルが基準心電図の特性をL1とすると仮定する。すると、心電図生成部140は、第1学習モデルがL1心電図に基づいて残りの11個誘導の仮想心電図を生成する。生成された11個誘導の仮想心電図を第2学習モデルに入力した後、仮想のL1誘導心電図を生成する。それぞれの学習モデルには、心電図を生成する生成子と一緒に生成された心電図が正確に生成されたかを判別し、フィードバックによって生成された心電図の正確度を高めるための判別子が一緒に構成される。
【0079】
S250段階が完了すると、制御部150は、基準心電図及び11個の仮想心電図をモニタリング装置を介して出力する(S260)。
【0080】
図5図2に示したS260段階を説明するための例示図である。
【0081】
制御部150は、基準心電図と11個の仮想心電図とを出力する。そして、図5に示したように、制御部150は、出力された基準心電図と11個の仮想心電図とを同期化させて、測定対象者の健康異常有無を判断する。ここで、基準心電図と同一である誘導の仮想心電図も第2学習モデルで生成されるので、12個の仮想心電図によって判別することもできる。
【0082】
前述したように、心電図は、測定対象者の年齢、性別、及び健康異常有無によって心電図の傾き、振幅の大きさなどが異なって出力される。よって、制御部150は、基準心電図、及び11個の仮想心電図によって同期化した12個の心電図をモニタリング装置を介して出力する。
【0083】
このように、本発明によれば、ディープラーニングアルゴリズムを用いて互いに異なる地点で測定された二つの心電図から同期化した複数の心電図を生成することができるので、12誘導心電図のように心臓の疾病を正確に判読することができる。
【0084】
また、本発明による心電図生成システムは、2個の誘導心電図を用いるので、家庭や日常生活でも測定可能であり、動く状態でも測定することができて実時間モニタリングが可能であり、互いに異なる時点に測定された心電図情報を活用して同期化した心電図を生成するので、医療陣にとって該当拍動に合わせて同期化した誘導心電図情報を判読することができ、これに基づいてより正確な診断が可能である。
【0085】
本発明は図面に示した実施例に基づいて説明したが、これは例示的なものに過ぎなく、当該技術が属する分野で通常の知識を有する者であればこれから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点が理解可能であろう。したがって、本発明の真正な技術的保護範囲は以下の特許請求の範囲の技術的思想によって決定されなければならないであろう。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明はディープラーニングアルゴリズムを用いて互いに異なる地点で測定された二つの心電図から同期化した複数の心電図を生成することができるので、12誘導心電図のように心臓の疾病を正確に判読することができ、多様なディープラーニングアルゴリズムに基づく心電図生成システムに産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0087】
100 心電図生成システム
110 データ入力部
120 データ抽出部
130 学習部
140 心電図生成部
150 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】