(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】疾患を治療するためのミトコンドリア代謝回転を刺激する方法及び薬剤
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20240129BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240129BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240129BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20240129BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240129BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240129BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240129BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240129BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240129BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240129BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240129BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240129BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240129BHJP
A61K 31/4178 20060101ALI20240129BHJP
A61K 31/56 20060101ALI20240129BHJP
C12Q 1/25 20060101ALI20240129BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20240129BHJP
C07K 9/00 20060101ALN20240129BHJP
C12N 9/50 20060101ALN20240129BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P25/16
A61P43/00 121
A61K45/06
A61P25/28
A61P21/00
A61P9/00
A61P7/00
A61P1/16
A61P31/04
A61P13/12
A61P35/00
A61P9/12
A61K31/4178
A61K31/56
A61P43/00 111
C12Q1/25
C12Q1/68
C07K9/00 ZNA
C12N9/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546031
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 US2022014330
(87)【国際公開番号】W WO2022165189
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523285605
【氏名又は名称】キャパシティ バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ワン, エイミー イー.
(72)【発明者】
【氏名】マルトレル-リエラ, アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ガフニー, ケビン ジョン
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA19
4B063QQ21
4B063QQ42
4B063QQ89
4C084AA17
4C084AA20
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA161
4C084ZA162
4C084ZA36
4C084ZA42
4C084ZA51
4C084ZA75
4C084ZB26
4C084ZB35
4C084ZC41
4C084ZC751
4C086AA01
4C086BC38
4C086GA04
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA16
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA51
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA94
4C086ZB26
4C086ZB35
4C086ZC75
4H045AA30
4H045BA13
4H045BA14
4H045BA15
4H045BA16
4H045EA20
(57)【要約】
本明細書では、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与する、マイトファジーを刺激することを必要とする対象においてそれを行う方法が提供される。本開示はまた、医療介入法及び薬剤、すなわち、哺乳動物における疾患の治療のためにミトコンドリア代謝回転を刺激するための方法及び薬剤に関する。本開示は、哺乳動物におけるミトコンドリア代謝回転の増加を刺激する方法であって、哺乳動物に、薬理学的に好適な用量のMAS受容体アゴニスト、MAS受容体モジュレータ、MAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質、MAS受容体モジュレータの体内産生を誘発する物質、又はそれらの任意の組合せを投与することを含む、方法を含む。MAS受容体に作用する薬理学的活性は、次に、宿主細胞におけるミトコンドリア代謝回転の増加を刺激し、宿主哺乳動物生物における疾患状態を緩和する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、前記対象のマイトファジーを刺激することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする前記対象においてそれを行う方法であって、前記疾患又は病態が、
シェーグレン症候群、早老症、レット症候群、ダウン症候群;毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経変性5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;ポンペ病;横紋筋肉腫;統合失調症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せ、
である、方法。
【請求項2】
MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする前記対象においてそれを行う方法であって、前記疾患又は病態が、
シェーグレン症候群、早老症、レット症候群、ダウン症候群;毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経2.2変性(neurodege2.2neration)5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;ポンペ病;横紋筋肉腫;統合失調症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せ、
である、方法。
【請求項3】
MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、前記対象のマイトファジーを刺激することを含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を治療することを必要とする前記対象においてそれを行う方法であって、
前記対象が、C9orf72変異、Optn(オプチニューリン)変異、又はTBK1変異を呈する、
方法。
【請求項4】
MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、前記対象のマイトファジーを刺激することを含む、パーキンソン病を治療することを必要とする前記対象においてそれを行う方法であって、
前記対象が、LRRK2変異、GBA変異、Pink1変異、又はPrkn2変異を呈する、
方法。
【請求項5】
疾患又は病態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法であって、
MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を前記対象に投与することと、
ミトコンドリア生合成を刺激する有効量の薬剤を前記対象に投与することと、
によって前記対象のマイトファジーを刺激することを含み、
前記疾患又は病態が、アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);循環器疾患;前頭側頭型認知症;造血障害;パーキンソン病;原発性胆汁性肝硬変/胆管炎(PBC);敗血症;腎外傷/腎損傷、高血圧、がん、又はそれらの任意の組合せ、
である、方法。
【請求項6】
MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、前記対象のマイトファジーを刺激することを含む、機能障害性マクロファージ、単球、ミクログリア細胞、又は好中球によって引き起こされた疾患又は病態を治療することを必要とする前記対象においてそれを行う方法。
【請求項7】
ミトコンドリア生合成を刺激する有効量の薬剤を前記対象に投与することを更に含む、請求項1~4及び6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記疾患又は病態が、アルツハイマー病である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記疾患又は病態が、ALSである、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記疾患又は病態が、高血圧である、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記疾患又は病態が、がんである、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が、ヒト患者である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記MAS受容体アゴニストが、
複素環式非ペプチド性アンジオテンシン(1-7)模倣物又はその類似体、
アンジオテンシン(1-7)又はその類似体、
Nle
3-A(1-7)又はその類似体、
1-(p-チエニルベンジル)イミダゾール類似体、及び
20-ヒドロキシエクジソン又はその類似体、
からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記MAS受容体アゴニストが、
化合物7、
化合物10、
Nle
3-A(1-7)、
アンジオテンシン(1-7)、
アンジオテンシン(1-7)のAng-1-6-Ser-0-グリコシル化類似体、及び
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(エチルアミノカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾール、
からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記MAS受容体アゴニストが、
化合物7、
化合物10、
Nle
3-A(1-7)、及び
アンジオテンシン(1-7)、
からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記MAS受容体アゴニストが、あらゆる立体異性体形態又はあらゆる比率のそれらの混合物での式(I):
【化42】
[式中:
R(1)が、
(1)ハロゲン、
(2)ヒドロキシル、
(3)(C
1~C
4)-アルコキシ、
(4)(C
1~C
8)-アルコキシ(ここで、1~6個の炭素原子は、ヘテロ原子O、S、又はNHによって置き換えられている)、
(5)飽和環状エーテルで置換された、(C
1~C
4)-アルコキシ、
(6)O-(C
1~C
4)-アルケニル、
(7)O-(C
1~C
4)-アルキルアリール、又は
(8)非置換であるか、若しくはハロゲン、(C
1~C
3)-アルキル、(C
1~C
3)-アルコキシ、及びトリフルオロメチルから選択された置換基によって置換されている、フェノキシ、
であり、
R(2)が、
(1)CHO、
であり、
R(3)が、
(1)(C
1~C
4)-アルキル、又は
(2)アリール、
であり、
R(4)が、
(1)水素、
(2)ハロゲン、又は
(3)(C
1~C
4)-アルキル、
であり、
Xが、
(1)酸素、又は
(2)硫黄、
であり、
Yが、
(1)酸素、又は
(2)-NH-、
であり、
R(5)が、
(1)水素、
(2)(C
1~C
6)-アルキル、又は
(3)(C
1~C
4)-アルキルアリール、
であり、
ここで、R(5)は、Yが(2)で述べた意味を有する場合にのみ水素であり得、並びに
R(6)が、
(1)(C
1~C
5)-アルキル;
である]
の化合物、又はそれらの生理学的に許容される塩である、
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記MAS受容体アゴニストが、それらの全ての立体異性体形態、及び全ての比率のそれらの混合物での式(II):
【化43】
[式中:
R(1)が、
1.非置換であるか、又はNH
2、ハロゲン、O-(C
1~C
3)-アルキル、CO-O-(C
1~C
3)-アルキル、及びCO
2Hの中から選択されるラジカルで置換されている、(C
1~C
5)-アルキル、
2.(C
3~C
8)-シクロアルキル、
3.(C
1~C
3)-アルキル-(C
3~C
8)-シクロアルキル、
4.非置換であるか、又はハロゲン及びO-(C
1~C
3)-アルキルから選択されるラジカルによって置換されている、(C
6~C
10)-アリール、
5.(C
1~C
3)-アルキル-(C
6~C
10)-アリール(ここで、前記アリールラジカルは、非置換であるか、又はハロゲン及びO-(C
1~C
3)-アルキルから選択されるラジカルによって置換されている)、
6.(C
3~C
5)-ヘテロアリール、及び
7.(C
1~C
3)-アルキル-(C
1~C
5)-ヘテロアリール、
の中から選択され、
R(2)が、
1.水素、
2.非置換であるか、又はハロゲン及びO-(C
1~C
3)-アルキルから選択されるラジカルによって置換されている、(C
1~C
6)-アルキル、
3.(C
3~C
8)-シクロアルキル、
4.(C
1~C
3)-アルキル-(C
3~C
8)-シクロアルキル、
5.非置換であるか、又はハロゲン、O-(C
1~C
3)-アルキル及びCO-O-(C
1~C
3)-アルキルの中から選択されるラジカルによって置換されている、(C
6~C
10)-アリール、及び
6.非置換であるか、又はハロゲン及びO-(C
1~C
3)-アルキルから選択されるラジカルによって置換されている、(C
1~C
3)-アルキル-(C
6~C
10)-アリール、
の中から選択され、
R(3)が、
1.水素、
2.COOH、及び
3.COO-(C
1~C
4)-アルキル、
の中から選択され、
R(4)が、
1.水素、
2.ハロゲン、及び
3.(C
1~C
4)-アルキル、
の中から選択され、
R(5)が、
1.水素、及び
2.(C
1~C
6)-アルキル、
の中から選択され、
R(6)が、
1.水素、
2.(C
1~C
6)-アルキル、
3.(C
1~C
3)-アルキル-(C
3~C
8)-シクロアルキル、及び
4.(C
2~C
6)-アルケニル、
の中から選択され、
Xが、
1.酸素、及び
2.NH、
の中から選択される]
の化合物、及びこれらの生理学的に忍容される塩、
である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記MAS受容体アゴニストが、式(III):
【化44】
[式中:
環Aが、2個の隣接していない窒素原子若しくは酸素原子の組合せ、又は3個若しくは4個の窒素原子若しくは酸素原子の組合せのいずれかを含有する、5員又は6員のヘテロアリール環又はヘテロシクリル環であり、
環Bが、少なくとも1個の窒素原子を含有する5員又は6員ヘテロアリール環であり、
環Cが、任意選択的に置換されたアリール環であり、
A
1、A
2、A
3、A
4が、独立して、=N-、-C(=O)-、-C(R
a)=、=C(R
b)-、-C(R
c)(R
d)-N(R
e)-、-C(R
c)(R
d)-O-、
又は-[C(R
c(R
d)]
n-からなる群から選択され、ここで、nが1又は2であり、
X
1~X
2が、(R
6)C-N、N-C(R
6)、N-N、N-O、O-N、N-S、又はS-Nであり、
X
3が、(R
7)C=C(R
8)、O、S、又はN(R
9)であり、
Zが、O、NH又はR
5への結合であり、
R
a及びR
bが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ホルミル、アシル、アシルアミド又はカルボキシからなる群から選択され、但し、R
a及びR
bがまた、結合して最大6個までの原子の環を形成することもでき、
R
c及びR
dが、独立して、水素、アルキル、アリール、又はヘテロアリールからなる群から選択され、但し、R
c及びR
dがまた、結合して最大6個の原子の環を形成することもでき、
R
eが、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アルコキシアシル、アミノアシル、ジアルキルアミノアシル、又はジアルキルアミノアシルであり、
R
1、R
3、R
4、R
6、R
7、及びR
8が、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールメチル、ヘテロアリールメチル、フルオロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシアルキル、又はアリールオキシアルキルからなる群から選択され、
R
2が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールメチル、ヘテロアリールメチル、アルコキシ、トリフルオロメトキシ、ペルフルオロアルコキシ、アリールオキシ、アルコキシアルキル、又はアリールオキシアルキルであり、
R
5が、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキル、又はアリールオキシアルキルであり、並びに
R
9が、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アルコキシアシル、アミノアシル、ジアルキルアミノアシル、又はジアルキルアミノアシルである]
の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む、
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記MAS受容体アゴニストが、一般式(i)R
1-R
2-R
3-R
4-R
5-R
6-R
7-R
8の配列中における基R
1~R
8の少なくとも3つの連続アミノ酸からなる配列を含み、
式中、R
1及びR
2が、一緒になって、式:
X-R
A-R
B-
の基を形成し、式中、Xが、H又は1~3個のペプチド基であり、
R
Aが、Asp、Glu、Asn、Acpc、Ala、Me2Gly、Pro、Bet、Glu(NH2)、Gly、Asp(NH2)、Suc、及びそれらのグリコシル化形態から選択され、
R
Bが、Arg、Lys、Ala、Orn、Ser(Ac)、Sar、D-Arg、D-Lys、His、及びそれらのグリコシル化形態から選択され、
R
3が、Val、Ala、Leu、Nle、Ile、Gly、Pro、Aib、Acpc、Lys、Tyr、及びそれらのグリコシル化形態からなる群から選択され、
R
4が、Tyr、Tyr(PO
3)
2、Thr、Ser、Hse、Ala、アザTyr、Tyr、Phe、及びそれらのグリコシル化形態からなる群から選択され、
R
5が、Ile、Ala、Leu、Nle、Val、Gly、及びそれらのグリコシル化形態からなる群から選択され、
R
6が、His、Arg、6-NH
2-Phe、Lys、及びそれらのグリコシル化形態であり、
R
7が、Pro、Ala、Gly、Ser、及びそれらのグリコシル化形態であり、
R
8が、Phe、Phe(Br)、Ile、Tyr、Ser、Thr、Hyp、及びそれらのグリコシル化形態からなる群から選択される、
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記MAS受容体アゴニストが、一般式(ii)Ala
1-R
2-R
3-R
4-R
5-R
6-R
7の配列であり、式中、
R
2が、Arg、Lys、Ala、Cit、Orn、Ser(Ac)、Sar、D-Arg、及びD-Lysから選択され、
R
3が、Val、Ala、Leu、Nle、Ile、Gly、Pro、Aib、Acpc、Lys、及びTyrからなる群から選択され、
R
4が、Serであるか、又はR
7と環状チオエーテルを形成し、
R
5が、Ile、Ala、Leu、Nle、Val、及びGlyからなる群から選択され、
R
6が、His、Arg、6-NH
2-Phe、Lys、及びそれらのグリコシル化形態であり、並びに
R
7が、Cysであるか、又はR
4と環状チオエーテルを形成する、
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記MAS受容体アゴニストが、式(IV):
【化45】
[式中、
V-Uが、炭素間単結合であり、Yが、ヒドロキシル基若しくは水素であるか、又はV-Uが、C=Cエチレン結合であり;Xが、酸素であり、Qが、カルボニル基であり、
R
1が、基(C
1~C
6)W(C
1~C
6)、基(C
1~C
6)W(C
1~C
6)W(C
1~C
6)、基(C
1~C
6)W(C
1~C
6)CO2(C
1~C
6)、基(C
1~C
6)A(Aは、任意選択的に、OH、OMe、(C
1~C
6)、N(C
1~C
6)、CO
2(C
1~C
6)型の基により置換された複素環を表す)、CH
2Br基から選択され、
Wが、N、O及びSから選択されるヘテロ原子である]の化合物である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
MAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する前記物質が、アンジオテンシン(1-7)の体内産生を誘発する物質である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
アンジオテンシン(1-7)の体内産生を誘発する前記物質が、
ACE2酵素、
ACE2活性化因子、
ACE阻害物質、又は
それらの任意の組合せ、
のいずれかである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ACE2酵素が、組換えヒトACE2酵素である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記ACE2活性化因子が、キサンテノン又はジミナゼンアセチュレートである、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記ACE阻害物質が、エナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル;モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル、又はそれらの任意の組合せである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質が、医薬組成物として投与される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記対象が、少なくともマイトファジーアッセイを用いて診断される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記マイトファジーアッセイが、ミトコンドリア機能を評価するために使用され、かつ酸素消費;ミトコンドリアDNA(mtDNA)変異若しくは欠失の量、若しくは変異及び欠失の量;前記mtDNAコピー数;又はミトコンドリア酵素の活性を測定するアッセイである、請求項28に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月28日に出願された米国仮出願第63/142,683号の米国特許法第119条(e)の下における利益を主張し、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、医療介入法及び薬剤、すなわち、哺乳動物における疾患の治療のためにミトコンドリア代謝回転を刺激するための方法及び薬剤に関する。
【0003】
参照による組み込み
以下の文書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:Bakula及びScheibye-Knudsen,Front.Cell.Dev.Biol.2020,8:239;Bose及びBeal,J.Neurochem.,2016 Oct.139 Suppl.()216-231;Joshi & Kundu,Autophagy 2013 Nov 1 9(11)1737-49,Killackey et al.,J.Cell Biol.,2020,219:11;Morciano et al.,J Clin.Med.,2020 March;9(3):892;Morgia et al.,J.Int.Med.2020,287;592-608.;米国特許第6,235,766号;米国特許第6,538,144号;米国特許第9.943,509(B2)号;米国特許第10,301,298(B2)号;米国特許出願公開第2008/0039363号;米国特許出願公開第2020/0179407号;及び欧州特許第2991663(B1)号。
【背景技術】
【0004】
ミトコンドリアは真核細胞の呼吸性小器官である。好気性真核生物は、酸化的リン酸化(oxidative phosphorylation、OXPHOS)を介した細胞内化学エネルギー移動の主要な媒体である、大部分の細胞のアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate、ATP)を産生するためにミトコンドリアを必要とする。充分なミトコンドリアがなければ、細胞は基本的な機能を果たすのに必要とされる化学エネルギーを欠き、この細胞は、機能不全になる及び/又は死滅する。
【0005】
ミトコンドリアは半自律的であり、宿主生物の核ゲノム及び細胞周期から独立した自身のゲノム及び細胞周期を有する。各ミトコンドリアは、ミトコンドリアと、その宿主細胞と、宿主細胞の環境との間の複雑なシグナル配列によって誘導され、我々の細胞内で生存し、成長し、恒常性を維持し、分裂し、死滅する。
【0006】
健康なミトコンドリアは細胞生存に不可欠であり、したがって、多くの重篤な医学的障害がミトコンドリア機能障害に関連することは驚くべきことではない。例としては、ミトコンドリア機能障害は、家族性パーキンソン病の病因の重要な原因として議論されている。(Bose & Beal,J.Neurochem.」2016 Oct.139 Suppl.()216-231.)ミトコンドリア遺伝性疾患は、個々には稀であるが、集合的にヒトにおける最も一般的な形態の遺伝性疾患である。(Morgia et al.,J.Int.Med.2020,287;592-608.)
細胞は、恒常性「代謝回転」プロセスを介してミトコンドリアの健康な集団を維持し、それによって、新しいミトコンドリアが生成及び成長する一方で、古いミトコンドリアは死滅して再利用される。疾患の全カテゴリは、ミトコンドリア維持及び代謝回転の正常値を下回る速度に関連する。(Bakula & Scheibye-Knudsen,Front.Cell.Dev.Biol.2020,8:239;Killackey et al.,J.Cell Biol.,2020,219:11.)したがって、そのような疾患を治療するための新規な薬剤及び方法が非常に望ましいであろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Bose & Beal,J.Neurochem.」2016 Oct.139 Suppl.()216-231.
【非特許文献2】Morgia et al.,J.Int.Med.2020,287;592-608.
【非特許文献3】Bakula & Scheibye-Knudsen,Front.Cell.Dev.Biol.2020,8:239
【非特許文献4】Killackey et al.,J.Cell Biol.,2020,219:11.
【発明の概要】
【0008】
これまで、MASアゴニストがミトコンドリア機能障害とは異なるマイトファジーを刺激し、したがって様々な疾患において所望の治療上の利益を提供することは知られていなかった。本明細書では、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与する、マイトファジーを刺激することを必要とする対象においてそれを行う方法が提供される。
【0009】
MASアゴニストはマイトファジー経路を標的とし、かつ、組織特異的な様式におけるいくつかの機構(mTORC1;NRF2活性化;TFEB発現;ミトコンドリア複合体VによるATP加水分解の阻害;ミトコンドリア動態など)を介してマイトファジーを促進することができるものと考えられる。そのようなマイトファジー経路は、生合成(すなわち、ミトコンドリア生合成によるミトコンドリア質量の維持)の刺激、オートファゴソーム形成の促進、リソソーム形成及び酸性化、オートファゴソーム/リソソーム融合、並びにオートファゴリソソーム(autophagolysosome)含有量の分解を含み得ることが更に考えられ得る。
【0010】
本開示は、哺乳動物における疾患の治療のためにミトコンドリア代謝回転を刺激するための方法及び薬剤に関する。
【0011】
いくつかの態様では、本開示は、哺乳動物におけるミトコンドリア代謝回転の増加を刺激する方法であって、哺乳動物に、薬理学的に好適な用量のMAS受容体アゴニスト;MAS受容体モジュレータ;MAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質;MAS受容体モジュレータの体内産生を誘発する物質;又はそれらの任意の組合せを投与することを含む、方法を含む。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、ヒト患者である。
【0012】
いくつかの態様では、MAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質は、アンジオテンシン(1-7)の体内産生を誘発する物質である。いくつかの実施形態では、アンジオテンシン(1-7)の体内産生を誘発する物質は、ACE2酵素又はその類似体、ACE2活性化因子又はその類似体、ACE阻害物質又はその類似体、又はそれらの任意の組合せのいずれかである。いくつかの実施形態では、アンジオテンシン(1-7)の体内産生を誘発する物質は、ACE2酵素、ACE2活性化因子、ACE阻害物質、又はそれらの任意の組合せのいずれかである。いくつかの実施形態では、ACE2酵素は、組換えヒトACE2酵素である。いくつかの実施形態では、ACE2活性化因子は、キサンテノン(xanthenon)又はジミナゼンアセチュレートである。いくつかの実施形態では、ACE阻害物質は、エナゼプリル(enazepril)、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル、又はそれらの任意の組合せである。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示のMAS受容体アゴニストは、その類似体の複素環式非ペプチド性アンジオテンシン(1-7)模倣体(例えば、式(III)として本明細書で定義されるものなど)、Nle3-A(1-7)又はその類似体、アンジオテンシン(1-7)又はその類似体、20-ヒドロキシエクジソン又はその類似体、及び1-(p-チエニルベンジル)イミダゾール類似体からなる群から選択される。一実施形態では、Nle3-A(1-7)若しくはその類似体、又はアンジオテンシン(1-7)若しくはその類似体は、グリコシル化される。
【0014】
別の態様では、MAS受容体アゴニストは、5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(エチルアミノカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾールからなる群から選択される。
【0015】
更に別の態様では、MAS受容体アゴニストは、化合物7(本明細書の開示において定義)、化合物10(本明細書の開示において定義)、Nle3-A(1-7)、アンジオテンシン(1-7)、及びアンジオテンシン(1-7)のAng-1-6-Ser-0-グリコシル化類似体、並びに1-(p-チエニルベンジル)イミダゾールからなる群から選択される。更に別の態様では、MAS受容体アゴニストは、化合物7、化合物10、Nle3-A(1-7)、及びアンジオテンシン(1-7)からなる群から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、ミトコンドリア代謝回転の増加による刺激は、哺乳動物(ヒトなど)の疾患、障害、又は病態の治療をもたらす。いくつかの実施形態では、ミトコンドリア代謝回転の増加による刺激は、疾患の治療をもたらす。いくつかの実施形態では、疾患は、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転を有することに関連する疾患である。いくつかの実施形態では、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転に関連した疾患は、炎症性疾患、神経変性疾患、眼疾患、又はそれらの組合せである。
【0017】
いくつかの実施形態では、炎症性疾患は、原発性胆汁性肝硬変/胆管炎(primary biliary cirrhosis/cholangitis、PBC)、敗血症、及び/又は腎外傷/腎損傷であり、ここで、神経変性疾患は、統合失調症であり、眼疾患は、フックス内皮ジストロフィー、小眼球症候群7(microphthalmia syndromic 7)、ウェルナー症候群、及び/又はファンコニ貧血である。
【0018】
いくつかの実施形態では、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転に関連した疾患は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、ALS)、循環器疾患、前頭側頭型認知症、造血障害、パーキンソン病、原発性胆汁性肝硬変/胆管炎(PBC)、敗血症、腎外傷/腎損傷、又はそれらの任意の組合せのいずれかである。
【0019】
いくつかの実施形態では、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転に関連した疾患は、毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症(Charlevoix-Saguenay spastic ataxia);コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;低身長及び奇形骨格異常(short stature and variable skeletal anomalies)を伴う知的発達障害(intellectual developmental disorder);カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(Leber’s hereditary optic neuropathy、LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(mental retardation,X-linked,syndromic,Turner type、MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(maternally inherited diabetes and deafness syndrome、MIDD);小頭症18(microcephaly 18、MIDDMCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(microcephaly 18、MIDDMDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(microcephaly 18、MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(mitochondrial neurogastrointestinal encephalomyopathy、MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(mitochondrial recessive ataxia syndrome、MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(methylmalonic acidemia、MMA);ムコリピドーシスII(mucolipidosis II、MIDDML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(mucolipidosis II、MIDDNADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(mucolipidosis II、MIDDMERRF);脳内鉄沈着を伴う神経変性5(neurodegeneration with brain iron accumulation 5、NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(neurodevelopment disorder with spastic quadriplegia and brain abnormalities with or without seizures、NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(neuropathy,ataxia,and retinitis pigmentosa、NARP);ピアソン症候群;ポンペ病;横紋筋肉腫;統合失調症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(spinocerebellar ataxia 4、SCA4);脊髄小脳変性症25(spinocerebellar ataxia 25、SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum、XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せのいずれかである。
【0020】
別の実施形態では、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転に関連した疾患は、アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;循環器疾患;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;前頭側頭型認知症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;造血障害;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経変性5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);パーキンソン病;ピアソン症候群;ポンペ病;原発性胆汁性肝硬変/胆管炎(PBC);横紋筋肉腫;統合失調症;敗血症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せのいずれかである。
【0021】
更に別の実施形態では、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転に関連した疾患は、ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);レーベル遺伝性視神経症(LHON);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ピアソン症候群;バース症候群;mtDNAヘテロプラスミー;横紋筋肉腫;フリードライヒ運動失調症;メチルマロン酸血症(MMA);乳酸アシドーシス;リー症候群;カーンズ・セイヤー症候群;又はそれらの任意の組合せのいずれかである。
【0022】
更に別の実施形態では、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転に関連した疾患は、アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;循環器疾患;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;前頭側頭型認知症;ゴーシェ病;造血障害;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;クラッベ病;ラフォラ病;小頭症18;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);ムコリピドーシスII;多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);脳内鉄沈着を伴う神経変性5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;パーキンソン病;ポンペ病;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49;脊髄小脳変性症4;脊髄小脳変性症25;Vici症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せのいずれかである。
【0023】
いくつかの実施形態では、哺乳動物におけるミトコンドリア代謝回転の増加を刺激することは、哺乳動物に、薬理学的に好適な用量のMAS受容体アゴニスト、MAS受容体モジュレータ、MAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質、MAS受容体モジュレータの体内産生を誘発する物質、又はそれらの任意の組合せを投与することを含み、薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、緩衝剤、保存剤、キレート剤、ヌクレアーゼ、抗真菌剤、抗菌剤、又はそれらの任意の組合せを同時投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニスト、MAS受容体モジュレータ、MAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質、MAS受容体モジュレータの体内産生を誘発する物質、又はそれらの任意の組合せは、薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、緩衝剤、保存剤、キレート剤、ヌクレアーゼ、抗真菌剤、抗菌剤、又はそれらの任意の組合せを更に含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニストの薬理学的に好適な用量は、0.01~500mg薬剤/kg患者である。いくつかの実施形態では、薬理学的に好適な用量のMAS受容体アゴニスト、MAS受容体モジュレータ、MAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質、MAS受容体モジュレータの体内産生を誘発する物質、又はその任意の組合せは、0.01~500mg薬剤/kg患者である。
【0025】
いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニスト、MAS受容体モジュレータ、MAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質、MAS受容体モジュレータの体内産生を誘発する物質、又はそれらの任意の組合せは、局所的に、経口的に、静脈内に、筋肉内に、眼内に、皮内に、直腸に、経口吸入によって、経鼻吸入によって、非経口的に、口腔内に、硬膜外に、脳内に、脳室内に、又はそれらの任意の組合せで投与される。いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニスト、MAS受容体モジュレータ、MAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質、MAS受容体モジュレータの体内産生を誘発する物質、又はそれらの任意の組合せは、点滴静注、皮下注射針、カプセル、錠剤、局所用のゲル/クリーム/溶液、経皮パッチ、又はそれらの任意の組合せを介して送達される。別の実施形態では、MAS受容体アゴニストは、局所的に、経口的に、静脈内に、筋肉内に、眼内に、皮内に、直腸に、経口吸入によって、経鼻吸入によって、非経口的に、口腔内に、硬膜外に、脳内に、脳室内に、又はそれらの任意の組合せで投与される。いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニスト、MAS受容体モジュレータ、MAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質、MAS受容体モジュレータの体内産生を誘発する物質、又はそれらの任意の組合せは、点滴静注、皮下注射針、カプセル、錠剤、局所用のゲル/クリーム/溶液、経皮パッチ、又はそれらの任意の組合せを介して送達される。一実施形態では、MAS受容体アゴニストは、点滴静注、皮下注射針、カプセル、錠剤、局所ゲル/クリーム/溶液、経皮パッチ、又はそれらの任意の組合せを介して送達される。
【0026】
別の態様では、本開示は、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転に関連した疾患を有するヒト患者を治療する方法を含み、当該方法は、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転に関連した疾患を有する患者を診断するステップと、薬理学的有効量のミトコンドリア代謝回転刺激薬物を投与するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、ミトコンドリア代謝回転刺激薬物は、複素環式非ペプチド性アンジオテンシン(1-7)模倣化合物の類似体、アンジオテンシン(1-7)又はその類似体、そのNle3-A(1-7)類似体、20-ヒドロキシエクジソン又はその類似体、及び1-(p-チエニルベンジル)イミダゾールの類似体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ミトコンドリア代謝回転刺激薬物は、複素環式非ペプチド性アンジオテンシン(1-7)模倣物又はその類似体、Nle3-A(1-7)又はその類似体、アンジオテンシン(1-7)又はその類似体、1-(p-チエニルベンジル)イミダゾール類似体、及び20-ヒドロキシエクジソン又はその類似体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ミトコンドリア代謝回転刺激薬物は、薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、緩衝剤、保存剤、キレート剤、ヌクレアーゼ、抗真菌剤、抗菌剤、又はそれらの任意の組合せを更に含む。いくつかの実施形態では、ミトコンドリア代謝回転刺激薬物は、点滴静注、皮下注射針、カプセル、錠剤、局所用のゲル/クリーム/溶液、経皮パッチ、又はそれらの任意の組合せを介して送達される。いくつかの実施形態では、ミトコンドリア代謝回転刺激薬物は、局所的に、経口的に、静脈内に、筋肉内に、眼内に、皮内に、直腸に、経口吸入によって、経鼻吸入によって、非経口的に、口腔内に、硬膜外に、脳内に、脳室内に、又はそれらの任意の組合せで投与される。
【0027】
一実施形態では、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転に関連した疾患は、アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;循環器疾患;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;前頭側頭型認知症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;造血障害;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経変性5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);パーキンソン病;ピアソン症候群;ポンペ病;原発性胆汁性肝硬変/胆管炎(PBC);横紋筋肉腫;統合失調症;敗血症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せである。
【0028】
一実施形態では、患者は、少なくともマイトファジーアッセイを用いて診断される。いくつかの実施形態では、マイトファジーアッセイは、ミトコンドリア機能を評価するために使用され、かつ酸素消費;ミトコンドリアDNA(mtDNA)変異若しくは欠失の量、若しくは変異及び欠失の量;mtDNAコピー数;又はミトコンドリア酵素の活性を測定するアッセイである。
【0029】
いくつかの実施形態では、ミトコンドリア代謝回転刺激薬物、すなわち、MAS受容体アゴニスト、MAS受容体モジュレータ、MAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質、MAS受容体モジュレータの体内産生を誘発する物質、又はその任意の組合せの薬理学的有効量は、0.01~500mg薬剤/kg患者である。
【0030】
更に別の実施形態では、MAS受容体アゴニストは、薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、緩衝剤、保存剤、キレート剤、ヌクレアーゼ、抗真菌剤、抗菌剤、又はそれらの任意の組合せを更に含む。いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニストは、局所的に、経口的に、静脈内に、筋肉内に、眼内に、皮内に、直腸に、経口吸入によって、経鼻吸入によって、非経口的に、口腔内に、硬膜外に、脳内に、脳室内に、又はそれらの任意の組合せで投与される。MAS受容体アゴニストは、点滴静注、皮下注射針、カプセル、錠剤、局所ゲル/クリーム/溶液、経皮パッチ、又はそれらの任意の組合せを介して送達されてもよい。
【0031】
一実施形態では、本開示は、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転に関連した疾患を有するヒト患者を治療する方法を含み、当該方法は、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転に関連した疾患を有する患者を診断するステップであって、当該診断は、少なくともマイトファジーアッセイを用いて行われ、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転に関連した疾患は、アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;循環器疾患;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;前頭側頭型認知症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;造血障害;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経変性5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);パーキンソン病;ピアソン症候群;ポンペ病;原発性胆汁性肝硬変/胆管炎(PBC);横紋筋肉腫;統合失調症;敗血症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せである、ステップと、薬理学的有効量のミトコンドリア代謝回転刺激薬物を投与するステップであって、当該ミトコンドリア代謝回転刺激薬物は、複素環式非ペプチド性アンジオテンシン(1-7)模倣化合物又はその類似体;アンジオテンシン(1-7)又はその類似体;Nle3-A(1-7)又はその類似体;20-ヒドロキシエクジソン又はその類似体;及び1-(p-チエニルベンジル)イミダゾールの類似体からなる群から選択される、ステップと、を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、ミトコンドリア代謝回転刺激薬物、すなわち、MAS受容体アゴニスト;MAS受容体モジュレータ、MAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質、MAS受容体モジュレータの体内産生を誘発する物質、又はその任意の組合せの薬理学的有効量は、0.01~500mg薬剤/kg患者である。
【0033】
一実施形態では、MAS受容体アゴニストは、薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、緩衝剤、保存剤、キレート剤、ヌクレアーゼ、抗真菌剤、抗菌剤、又はそれらの任意の組合せを更に含む。本方法の別の実施形態では、MAS受容体アゴニストは、局所的に、経口的に、静脈内に、筋肉内に、眼内に、皮内に、直腸に、経口吸入によって、経鼻吸入によって、非経口的に、口腔内に、硬膜外に、脳内に、脳室内に、又はそれらの任意の組合せで投与される。
【0034】
一実施形態では、本開示は、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転に関連した疾患を有するヒト患者を治療する方法をであって、薬理学的有効量のMAS受容体アゴニストを投与することを含む、方法を含み、ここで、正常値を下回るミトコンドリア代謝回転に関連した疾患は、アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;循環器疾患;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;前頭側頭型認知症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;造血障害;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経変性5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);パーキンソン病;ピアソン症候群;ポンペ病;原発性胆汁性肝硬変/胆管炎(PBC);横紋筋肉腫;統合失調症;敗血症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せのいずれかである。
【0035】
いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニスト、MAS受容体モジュレータ、MAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質、MAS受容体モジュレータの体内産生を誘発する物質、又はその任意の組合せの薬理学的有効量は、0.01~500mg薬剤/kg患者である。いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニストの薬理学的有効量は、0.01~500mg薬剤/kg患者である。
【0036】
一実施形態では、MAS受容体アゴニストは、薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、緩衝剤、保存剤、キレート剤、ヌクレアーゼ、抗真菌剤、抗菌剤、又はそれらの任意の組合せを更に含む。別の実施形態では、MAS受容体アゴニストは、局所的に、経口的に、静脈内に、筋肉内に、眼内に、皮内に、直腸に、経口吸入によって、経鼻吸入によって、非経口的に、口腔内に、硬膜外に、脳内に、脳室内に、又はそれらの任意の組合せで投与される。
【0037】
本開示の実施形態のいずれか1つでは、1-(p-チエニルベンジル)イミダゾール類似体は、あらゆる立体異性体形態又はあらゆる比率のそれらの混合物での式(I):
【0038】
【化1】
[式中、R(1)は、(1)ハロゲン、(2)ヒドロキシル、(3)(C
1~C
4)-アルコキシ、(4)(C
1~C
8)-アルコキシ(ここで、1~6個の炭素原子は、ヘテロ原子O、S、又はNHによって置き換えられている)、(5)飽和環状エーテルによって置換されている、(C
1~C
4)-アルコキシ、(6)O-(C
1~C
4)-アルケニル、(7)O-(C
1~C
4)-アルキルアリール、又は(8)非置換であるか、若しくはハロゲン、(C
1~C
3)-アルキル、(C
1~C
3)-アルコキシ、及びトリフルオロメチルから選択された置換基によって置換されている、フェノキシ、であり;R(2)は、(1)CHOであり;R(3)は、(1)(C
1~C
4)-アルキル、又は(2)アリールであり;R(4)は、(1)水素、(2)ハロゲン、又は(3)(C
1~C
4)-アルキルであり;Xは、(1)酸素、又は(2)硫黄であり;Yは、(1)酸素、又は(2)-NH-であり;R(5)は、(1)水素、(2)(C
1~C
6)-アルキル、又は(3)(C
1~C
4)-アルキルアリールであり、ここで、R(5)は、Yが(2)で述べた意味を有する場合にのみ水素であり得、及びR(6)は、(1)(C
1~C
5)-アルキルである]の化合物、又はそれらの生理学的に許容される塩である。
【0039】
本開示の実施形態のいずれか1つでは、1-(p-チエニルベンジル)イミダゾール類似体は、全ての立体異性体、及び全ての比率のそれらの混合物としての式(II):
【0040】
【化2】
[式中、R(1)は、1.非置換であるか、又はNH
2、ハロゲン、O-(C
1~C
3)-アルキル、CO-O-(C
1~C
3)-アルキル、及びCO
2Hの中から選択されるラジカルで置換されている、(C
1~C
5)-アルキル、2.(C
3~C
8)-シクロアルキル、3.(C
1~C
3)-アルキル-(C
3~C
8)-シクロアルキル、4.非置換であるか、又はハロゲン及びO-(C
1~C
3-アルキルから選択されるラジカルによって置換されている、(C
6~C
10)-アリール、5.(C
1~C
3)-アルキル-(C
6~C
10)-アリール(ここで、アリールラジカルは、非置換であるか、又はハロゲン及びO-(C
1~C
3)-アルキルから選択されるラジカルによって置換されている)、6.(C
3~C
5)-ヘテロアリール、及び7.(C
1~C
3)-アルキル-(C
1~C
5)-ヘテロアリール、の中から選択され;R(2)は、1.水素、2.非置換であるか、又はハロゲン及びO-(C
1~C
3-アルキルから選択されるラジカルによって置換されている、(C
1~C
6)-アルキル、3.(C
3~C
8)-シクロアルキル、4.(C
1~C
3)-アルキル-(C
3~C
8)-シクロアルキル、5.非置換であるか、又はハロゲン、O-(C
1-C
3)-アルキル及びCO-O-(C
1-C
3)-アルキルの中から選択されるラジカルによって置換されている、(C
6-C
10)-アリール、及び6.非置換であるか、又はハロゲン及びO-(C
1~C
3)-アルキルから選択されるラジカルによって置換されている、(C
1~C
3)-アルキル-(C
6~C
10)-アリール、の中から選択され;R(3)は、1.水素、2.COOH、及び3.COO-(C
1~C
4)-アルキル、の中から選択され、R(4)は、1.水素、2.ハロゲン、及び3.(C
1~C
4)-アルキル、の中から選択され、R(5)は、1.水素、及び2.(C
1~C
6)-アルキル、の中から選択され;R(6)は、水素、2.(C
1~C
6)-アルキル、3.(C
1~C
3)-アルキル-(C
3~C
8)-シクロアルキル、及び4.(C
2~C
6)-アルケニル、の中から選択され;Xは、1.酸素、及び2.NH、の中から選択される]の化合物、及びこれらの生理学的に忍容される塩である。
【0041】
いくつかの実施形態では、1-(p-チエニルベンジル)イミダゾールは、5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(エチルアミノカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾールであり、これは以下に描写される化合物である。
【0042】
【0043】
本開示の任意の実施形態では、複素環式非ペプチド性アンジオテンシン(1-7)模倣化合物は、式(III):
【0044】
【化4】
[式中、環Aは、2個の隣接していない窒素原子若しくは酸素原子の組合せ、又は3個若しくは4個の窒素原子若しくは酸素原子の組合せのいずれかを含有する、5員又は6員のヘテロアリール環又はヘテロシクリル環であり;、環Bは、少なくとも1個の窒素原子を含有する5員又は6員ヘテロアリール環であり、環Cは、任意選択的に置換されたアリール環であり;A
1、A
2、A
3、A
4は、独立して、=N-、-C(=O)-、-C(R
a)=、=C(R
b)-、-C(R
c)(R
d)-N(R
e)-、-C(R
c)(R
d)-O-、又は-[C(R
c)(R
d)]
n-からなる群から選択され、ここで、nは1又は2であり;X
1~X
2は、(R
6)C-N、N-C(R
6)、N-N、N-O、0-N、N-S、又はS-Nであり;X
3は、(R
7)C=C(R
8)、O、S、又はN(R
9であり;Zは、O、NH又はR
5への結合であり;R
a及びR
bは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ホルミル、アシル、アシルアミド又はカルボキシからなる群から選択され、但し、R
a及びR
bはまた、結合して最大6個までの原子の環を形成することもでき;R
c及びR
dは、独立して、水素、アルキル、アリール、又はヘテロアリールからなる群から選択され、但し、R
c及びR
dはまた、結合して最大6個の原子の環を形成することもでき;R
eは、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アルコキシアシル、アミノアシル、ジアルキルアミノアシル、又はジアルキルアミノアシルであり;R
1、R
3、R
4、R
6、R
7、及びR
8は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールメチル、ヘテロアリールメチル、フルオロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシアルキル、又はアリールオキシアルキルからなる群から選択され;R
2は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールメチル、ヘテロアリールメチル、アルコキシ、トリフルオロメトキシ、ペルフルオロアルコキシ、アリールオキシ、アルコキシアルキル、又はアリールオキシアルキルであり;R
5は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキル、又はアリールオキシアルキルであり;R
9は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アルコキシアシル、アミノアシル、ジアルキルアミノアシル、又はジアルキルアノミアシルである]の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩である。
【0045】
本開示の任意の実施形態では、20-ヒドロキシエクジソン類似体は、式(IV):
【0046】
【化5】
[式中、V-Uは、炭素間単結合であり、Yが、ヒドロキシル基若しくは水素であるか、又はV-Uが、C=Cエチレン結合であり;Xは、酸素であり、Qは、カルボニル基であり;R
1は、基(C
1~C
6)W(C
1~C
6);基(C
1~C
6)W(C
1~C
6)W(C
1~C
6);基(C
1~C
6)W(C
1~C
6)CO2(C
1~C
6);基(C
1~C
6)A(Aは、任意選択的に、OH、OMe、(C
1~C
6)、N(C
1~C
6)、CO
2(C
1~C
6)型の基により置換された複素環を表す)CH
2Br基から選択され;ここで、Wは、N、O及びSから選択されるヘテロ原子である]の化合物である。
【0047】
本開示の任意の実施形態では、アンジオテンシン(1-7)類似体は、一般式(i)R1-R2-R3-R4-R5-R6-R7-R8の配列中におけるR1-R8基の少なくとも3つの連続アミノ酸からなる配列であり、式中、R1及びR2は、一緒になって式X-RA-RB-の基を形成し、Xは、H又は1~3個のペプチド基であり;RAは、Asp、Glu、Asn、Acpc、Ala、Me2Gly、Pro、Bet、Glu(NH2)、Gly、Asp(NH2)、Suc、及びそれらのグリコシル化形態から選択され;RBは、Arg、Lys、Ala、Orn、Ser(Ac)、Sar、D-Arg、D-Lys、His、及びそれらのグリコシル化形態から選択され;R3は、Val、Ala、Leu、Nle、Ile、Gly、Pro、Aib、Acpc、Lys、Tyr、及びそれらのグリコシル化形態からなる群から選択され;R4は、Tyr、Tyr(PO3)2、Thr、Ser、Hse、Ala、アザTyr、Tyr、Phe、及びそれらのグリコシル化形態からなる群から選択され;R5は、Ile、Ala、Leu、Nle、Val、Gly、及びそれらのグリコシル化形態からなる群から選択され;R6は、His、Arg、6-NH2-Phe、Lys、及びそれらのグリコシル化形態であり;R7は、Pro、Ala、Gly、Ser、又はそれらのグリコシル化形態であり;R8は、Phe、Phe(Br)、Ile、Tyr、Ser、Thr、Hyp、及びそれらのグリコシル化形態からなる群から選択される。式(i)のいくつかの実施形態では、式(i)は、末端Tyr基としてR4を含む配列を除外する。
【0048】
本開示の任意の実施形態では、アンジオテンシン(1-7)の類似体はまた、一般式(ii)Ala1-R2-R3-R4-R5-R6-R7の配列を含んでもよく、式中、R2は、Arg、Lys、Ala、Cit、Orn、Ser(Ac)、Sar、D-Arg、及びD-Lysから選択され;R3は、Val、Ala、Leu、Nle、Ile、Gly、Pro、Aib、Acpc、Lys、及びTyrからなる群から選択され;R4は、Serであるか、又はR7と環状チオエーテルを形成し;R5は、Ile、Ala、Leu、Nle、Val、及びGlyからなる群から選択され;R6は、His、Arg、6-NH2-Phe、Lys、及びそれらのグリコシル化形態であり;R7は、Cysであるか、又はR4と環状チオエーテルを形成する。
【0049】
本開示の任意の実施形態では、疾患は、正常値を上回るレベルのマイトファジーを有することに関連した疾患であり得る。本開示の任意の実施形態では、疾患は、正常値を下回るレベルのミトコンドリア生合成を有することに関連した疾患である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本開示の例示的な実施形態は、単なる例としてのみ、図面と併せて、以下の書面による説明から当業者によりよく理解され、容易に明らかになるであろう。
【
図1-1】アンジオテンシン細胞シグナル伝達経路におけるMAS受容体の役割の例示的な概略図である。
【
図1-2】標準的なレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(renin-angiotensin-aldosterone system、RAAS)の例示的な概略図である。
【
図2-1】例えば、ACE阻害物質又はアンジオテンシンII受容体遮断薬を用いた、RAAS系における従来の薬理学的介入戦略の細胞シグナル伝達概略図である。
【
図2-2】MAS受容体に影響を及ぼすアンジオテンシン(1-7)の細胞シグナル伝達概略図である。
【
図3-1】本明細書で「化合物7」と定義される小分子の化学構造を示す図である。
【
図3-2】ヘプタペプチドアンジオテンシン(1-7)の化学構造を示す図である。
【
図3-3】アクレラスチド(aclerastide)としてもまた知られる合成ペプチドNle
3-A(1-7)の化学構造を示す図である。
【
図3-4】小分子5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(エチルアミノカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾールの化学構造を示す図である。
【
図4】マイトファジーの生体分子原因、及びそこからのいくつかの例示的な下流病原体の概略図である。
【
図5】真核細胞におけるマイトファジーについての蛍光プローブアッセイを示す図である。
【
図6-1】ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)陰性対照、並びに50nMのアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7を含む、様々な試験化合物による3回の処置期間後のマイトファジーの速度を示す図である。
【
図6-2】4つの異なる用量レベルのDMSO陰性対照、並びにMAS受容体アゴニストであるアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)及び化合物7による、8時間の処置後のマイトファジーの速度を示す図である。
【
図6-3】MAS受容体活性化、及びMAS受容体の化学的ノックダウンに対するマイトファジー応答を示す図である。細胞を、DMSO陰性対照、1μM MAS受容体阻害物質(アンタゴニスト)A779、アンジオテンシン(1-7)、アンジオテンシン(1-7)+A779、Nle
3-A(1-7)、Nle
3-A(1-7)+A779、化合物7、及び化合物7+A779で処理した。実験の結果は、MAS受容体活性がミトコンドリア代謝回転に直接影響を及ぼすという強力な証拠である。
【
図7-1】DMSO陰性対照、ミトコンドリアなし対照、並びに3つの異なる濃度のMAS受容体アゴニストNle
3-A(1-7)(
図7A)、アンジオテンシン(1-7)(
図7B)、及び化合物7(
図7C)で処理した細胞における、酸素消費速度(oxygen consumption rate、OCR)を示す図である。CCCPは、OXPHOSの化学的阻害物質であるカルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾンであり、これは、ミトコンドリア活性の陰性対照としてこれらの実験で作用する。
【
図7-2】DMSO陰性対照、ミトコンドリアなし対照、並びに3つの異なる濃度のMAS受容体アゴニストNle
3-A(1-7)(
図7A)、アンジオテンシン(1-7)(
図7B)、及び化合物7(
図7C)で処理した細胞における、酸素消費速度(oxygen consumption rate、OCR)を示す図である。CCCPは、OXPHOSの化学的阻害物質であるカルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾンであり、これは、ミトコンドリア活性の陰性対照としてこれらの実験で作用する。
【
図7-3】DMSO陰性対照、ミトコンドリアなし対照、並びに3つの異なる濃度のMAS受容体アゴニストNle
3-A(1-7)(
図7A)、アンジオテンシン(1-7)(
図7B)、及び化合物7(
図7C)で処理した細胞における、酸素消費速度(oxygen consumption rate、OCR)を示す図である。CCCPは、OXPHOSの化学的阻害物質であるカルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾンであり、これは、ミトコンドリア活性の陰性対照としてこれらの実験で作用する。
【
図8-1】陰性対照、ミトコンドリアなし対照、並びに3つの異なる濃度のMAS受容体アゴニストNle
3-A(1-7)(
図8A)、アンジオテンシン(1-7)(
図8B)、及び化合物7(
図8C)で処理した細胞における、細胞外酸性化率(extracellular acidification rate、ECAR)を示す図である。CCCPは、ミトコンドリア活性の陰性対照としてこれらの実験で作用する。
【
図8-2】陰性対照、ミトコンドリアなし対照、並びに3つの異なる濃度のMAS受容体アゴニストNle
3-A(1-7)(
図8A)、アンジオテンシン(1-7)(
図8B)、及び化合物7(
図8C)で処理した細胞における、細胞外酸性化率(extracellular acidification rate、ECAR)を示す図である。CCCPは、ミトコンドリア活性の陰性対照としてこれらの実験で作用する。
【
図8-3】陰性対照、ミトコンドリアなし対照、並びに3つの異なる濃度のMAS受容体アゴニストNle
3-A(1-7)(
図8A)、アンジオテンシン(1-7)(
図8B)、及び化合物7(
図8C)で処理した細胞における、細胞外酸性化率(extracellular acidification rate、ECAR)を示す図である。CCCPは、ミトコンドリア活性の陰性対照としてこれらの実験で作用する。
【
図9】様々な期間、濃度、及び試験化合物の試験処理後の細胞ミトコンドリア質量を示す図である。細胞を、8時間、24時間、及び72時間の3つの濃度のDMSO陰性対照、Nle
3-A(1-7)、アンジオテンシン(1-7)、及び化合物7で処理した。安定な細胞ミトコンドリア含有量は、有糸分裂したミトコンドリアが生合成を介して新しいミトコンドリアによって置き換えられているという強力な証拠である。
【
図10-1】DMSO陰性対照、並びにそれぞれ5nM、50nM、500nM、及び5μM濃度のアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7での処理後の、超解像顕微鏡写真である。
【
図10-2】DMSO陰性対照、並びにそれぞれ5nM、50nM、500nM、及び5μM濃度のアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7での処理後の、超解像顕微鏡写真である。
【
図10-3】DMSO陰性対照、並びにそれぞれ5nM、50nM、500nM、及び5μM濃度のアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7での処理後の、超解像顕微鏡写真である。
【
図10-4】DMSO陰性対照、並びにそれぞれ5nM、50nM、500nM、及び5μM濃度のアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7での処理後の、超解像顕微鏡写真である。
【
図10-5】DMSO陰性対照、並びにそれぞれ5nM、50nM、500nM、及び5μM濃度のアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7での処理後の、超解像顕微鏡写真である。
【
図10-6】DMSO陰性対照、並びにそれぞれ5nM、50nM、500nM、及び5μM濃度のアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7での処理後の、超解像顕微鏡写真である。
【
図10-7】DMSO陰性対照、並びにそれぞれ5nM、50nM、500nM、及び5μM濃度のアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7での処理後の、超解像顕微鏡写真である。
【
図10-8】DMSO陰性対照、並びにそれぞれ5nM、50nM、500nM、及び5μM濃度のアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7での処理後の、超解像顕微鏡写真である。
【
図10-9】DMSO陰性対照、並びにそれぞれ5nM、50nM、500nM、及び5μM濃度のアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7での処理後の、超解像顕微鏡写真である。
【
図10-10】DMSO陰性対照、並びにそれぞれ5nM、50nM、500nM、及び5μM濃度のアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7での処理後の、超解像顕微鏡写真である。
【
図10-11】DMSO陰性対照、並びにそれぞれ5nM、50nM、500nM、及び5μM濃度のアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7での処理後の、超解像顕微鏡写真である。
【
図10-12】DMSO陰性対照、並びにそれぞれ5nM、50nM、500nM、及び5μM濃度のアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7での処理後の、超解像顕微鏡写真である。
【
図10-13】DMSO陰性対照、並びにそれぞれ5nM、50nM、500nM、及び5μM濃度のアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7での処理後の、超解像顕微鏡写真である。
【
図11-1】DMSO陰性対照、A779(MAS受容体阻害物質)、アンジオテンシン(1-7)、アンジオテンシン(1-7)+A779、Nle
3-A(1-7)、Nle
3-A(1-7)+A779、化合物7、及び化合物7+A779で処理した後の、超解像顕微鏡写真の細胞を示す図である。
【
図11-2】DMSO陰性対照、A779(MAS受容体阻害物質)、アンジオテンシン(1-7)、アンジオテンシン(1-7)+A779、Nle
3-A(1-7)、Nle
3-A(1-7)+A779、化合物7、及び化合物7+A779で処理した後の、超解像顕微鏡写真の細胞を示す図である。
【
図11-3】DMSO陰性対照、A779(MAS受容体阻害物質)、アンジオテンシン(1-7)、アンジオテンシン(1-7)+A779、Nle
3-A(1-7)、Nle
3-A(1-7)+A779、化合物7、及び化合物7+A779で処理した後の、超解像顕微鏡写真の細胞を示す図である。
【
図11-4】DMSO陰性対照、A779(MAS受容体阻害物質)、アンジオテンシン(1-7)、アンジオテンシン(1-7)+A779、Nle
3-A(1-7)、Nle
3-A(1-7)+A779、化合物7、及び化合物7+A779で処理した後の、超解像顕微鏡写真の細胞を示す図である。
【
図11-5】DMSO陰性対照、A779(MAS受容体阻害物質)、アンジオテンシン(1-7)、アンジオテンシン(1-7)+A779、Nle
3-A(1-7)、Nle
3-A(1-7)+A779、化合物7、及び化合物7+A779で処理した後の、超解像顕微鏡写真の細胞を示す図である。
【
図11-6】DMSO陰性対照、A779(MAS受容体阻害物質)、アンジオテンシン(1-7)、アンジオテンシン(1-7)+A779、Nle
3-A(1-7)、Nle
3-A(1-7)+A779、化合物7、及び化合物7+A779で処理した後の、超解像顕微鏡写真の細胞を示す図である。
【
図11-7】DMSO陰性対照、A779(MAS受容体阻害物質)、アンジオテンシン(1-7)、アンジオテンシン(1-7)+A779、Nle
3-A(1-7)、Nle
3-A(1-7)+A779、化合物7、及び化合物7+A779で処理した後の、超解像顕微鏡写真の細胞を示す図である。
【
図11-8】DMSO陰性対照、A779(MAS受容体阻害物質)、アンジオテンシン(1-7)、アンジオテンシン(1-7)+A779、Nle
3-A(1-7)、Nle
3-A(1-7)+A779、化合物7、及び化合物7+A779で処理した後の、超解像顕微鏡写真の細胞を示す図である。
【
図12】アンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、又は化合物7による8時間、24時間、及び72時間の処置後の、細胞中の細胞ミトコンドリアの形態を簡単に説明する表を示す図である。
【
図13】示された特定の細胞株におけるミトコンドリア共局在化LC3を示す図である。
【
図14】試験したMASアゴニストがU2-OS細胞においてマイトファジーを誘導したことを実証する図である。UT=未処理、UA=ウロリチンA、DFP=デフェリプロン、FCCP+オリゴ=カルボニルシアニド-4(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン+オリゴマイシン;及びA(1-7)=アンジオテンシン(1-7)。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本主題は、本開示の一部を形成する以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解され得る。本開示は、本明細書に記載及び/又は示される特定の製品、方法、条件又はパラメータに限定されず、かつ本明細書で使用される用語は、単なる例としてのみ特定の実施形態を説明するためのものであり、特許請求される開示を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0052】
本明細書で別段定義されない限り、本出願に関連して使用される科学的及び技術的用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。更に、文脈上別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0053】
上記及び本開示を通して採用されるように、以下の用語及び略語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0054】
本開示において、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」とは、複数への言及を含み、特定の数値への言及は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、少なくともその特定の値を含む。したがって、例えば、「化合物」への言及は、そのような化合物及び当業者に知られているその等価物などの1つ以上に対する言及である。「複数」という用語は、本明細書で使用される場合、2つ以上を意味する。値の範囲が表現される場合、別の実施形態は、一方の特定の値及び/又は他方の特定の値を含む。
【0055】
同様に、先行詞「約」を使用して値が近似値として表現される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。全ての範囲は包括的であり、組み合わせることができる。本開示の文脈において、「約」特定量とは、その量が、記載量の±20%以内、又は記載量の±10%以内、又は記載量の±5%以内であることを意味する。
【0056】
本明細書で使用される場合、「治療する(treat)」、「治療(treatment)」、又は「治療法(therapy)」という用語(並びにその様々な形態)は、予防ための手段又は防止的手段を含む治療的治療を指し、ここで、目的とは、疾患又は病態に関連した望ましくない生理学的変化を予防又は減速(軽減)することである。有益な又は所望の臨床結果としては、検出可能か検出不能かにかかわらず、症状の緩和、疾患又は病態の範囲の縮小、疾患又は病態の安定化(すなわち、疾患又は病態が悪化しない場合)、疾患又は病態の進行の遅延又は減速、疾患又は病態の改善又は緩和、及び(部分的か全体的かにかかわらず)疾患又は病態の寛解が含まれるが、これらに限定されない。治療を必要とする者には、既に疾患又は病態を有する者と、疾患若しくは病態を有する傾向がある者と、又は疾患又は病態が予防されるべきである者とが含まれる。
【0057】
「対象」、「個体」、及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、かつ本開示による組成物又は製剤による治療が提供される動物、例えばヒトを指す。本明細書で使用される「対象」という用語は、ヒト及び非ヒト動物を指す。ヒトとは、任意の年齢の任意のヒトであり得る。一実施形態では、ヒトは、成人である。別の実施形態では、ヒトは、小児である。ヒトは、男性、女性、妊婦、中年、青年、又は高齢であり得る。
【0058】
特定の薬物、化合物、組成物、製剤(又は、それらの組合せ)が本明細書で「示される」と言われる対象の病態及び障害は、その薬物又は化合物又は組成物又は製剤が規制当局によって明示的に承認されている病態及び障害に限定されず、その薬物又は化合物又は組成物又は製剤又はそれらの組合せによる治療に適していることが医師又は他の健康若しくは栄養専門家によって知られているか又は合理的に考えられる、他の病態及び障害もまた含む。
【0059】
「類似体(analogue)」(又は「類似体(analog)」)とは、比較化合物と実質的に同じ化学構造を有するが、原子及び/又は官能基及び/又は部分構造の置換が異なる化合物として、当業者に容易に理解されるであろう。特定の化合物の類似体の化学構造的定義が本明細書の開示において別段に提供されない場合、この段落で提供される通常の定義が適用されるものとする。
【0060】
疾患が複数の交換可能な名称(すなわち、筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、ルー・ゲーリック病、シャルコー病、及び運動ニューロン疾患(motor neurone disease、MND)と同じ状態である)を有し得ることは、当業者には容易に理解されるべきである。
【0061】
「ミトコンドリア代謝回転」とは、欠陥ミトコンドリアが排除される一方で、新しいミトコンドリアが生物生成され成長するプロセスを指す。ミトコンドリアは分裂(fission)によって分裂(divide)及び増殖するが、一方で、古い欠陥ミトコンドリアは主にマイトファジー(すなわち、オートファジー/マクロオートファジー)によって排除される。一般に、ミトコンドリア代謝回転率がより高いことは、より若く健康なミトコンドリアの集団を有することに関連する。逆に、ミトコンドリア代謝回転のより低い速度は、より古い欠陥ミトコンドリアの集団を有することに関連することで、細胞機能の低下をもたらす。マイトファジー障害は、ミトコンドリア代謝回転プロセスを破壊し、かつ多数の病態に関連する。(Bakula & Scheibye-Knudsen,Front.Cell.Dev.Biol.2020,8:239;Killackey et al.,J.Cell Biol.,2020,219:11.)
【0062】
最近、Gタンパク質共役受容体MASを調節する特定の化合物が、ミトコンドリア代謝回転速度の増加を引き起こすことが発見された。MAS受容体は、これまでミトコンドリア機能に関連するとは全く考えられていなかった。MAS受容体は、腎機能及び血圧を調節すると伝統的に理解されている内分泌シグナル伝達系であるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)において必須のシグナル伝達役割を果たすことが最もよく知られている。ミトコンドリア代謝回転におけるMAS受容体の役割の発見は、MAS受容体がミトコンドリア機能障害に起因する多数の疾患を改善するための新たな手段を提供し得るので、刺激的かつ予想外であった。
【0063】
本開示は、医療介入法及び薬剤、すなわち、哺乳動物における疾患の治療のためにミトコンドリア代謝回転を刺激するための方法及び薬剤に関する。
【0064】
例えば、(1)MAS受容体を活性化すること、(2)MAS受容体の感受性を増加させること、(3)MAS受容体の立体的利用可能性を増加させること、(4)MAS受容体の膜表面提示及び/又は分量を増加させること、(5)他の手段、又はそれらの任意の組合せによって、MAS受容体シグナル伝達を増加させることにより、細胞におけるミトコンドリア代謝回転速度は増加させられる。
【0065】
MAS受容体アゴニストの体内産生を誘発するMASアゴニスト又は物質。
MAS受容体シグナル伝達の増加をもたらす薬剤は、小分子薬物、ペプチド、タンパク質、又は任意の他の生体分子であり得る。薬剤は、MAS受容体に直接作用し得るか、又は別のエフェクチュエータ(effectuator)の上流にあり得る。例えば、ACE酵素は、アンジオテンシン(1-7)の産生を触媒することが知られており、これは同様に、MAS受容体アゴニストである。
【0066】
MAS受容体(また、MAS1又はMASRとも称される)は、
図1Bで概説されるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)心血管内分泌経路において充分に特徴付けられた役割を有する、Mas1によってコードされるGタンパク質共役受容体(G-protein-coupled receptor、GPCR)である。RAAS(RASとも略される場合もある)は、心臓、腎臓、肝臓、肺、脳下垂体、動脈、及び交感神経系に作用するホルモン系であり、これは、全身血圧、体液貯留及び体液量、イオン/電解質バランス、及び全身血管抵抗を調節する。RAASに関する標準的なMASシグナル伝達経路を
図1Aに示す。アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)は、アンジオテンシンIIタンパク質のアンジオテンシン(1-7)ヘプタペプチドへの変換を触媒する酵素である。ヒト組換えACE2 GSK2586881は、インビボでMAS受容体活性を刺激し得る合成ACE2剤の一例である。ACE2活性化因子は、ACE2活性を促進又は増強する化合物のクラスである。ACE2活性化因子の例としては、キサンテノン(XNT)及びジミナゼンアセチュレート(DIZE)が挙げられる。ACE阻害物質(ACEI)は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害する薬剤のクラスのいずれかであり、これは次いで、アンジオテンシンIIの形成を減少させる。ACEIの例としては、エナゼプリル(Lotensin(商標))、カプトプリル(Capoten(商標))、エナラプリル(Vasotec(商標)、Epaned(商標)、Lexxel(商標))、フォシノプリル(Monopril(商標))、リシノプリル(Prinivil(商標)、Zestril(商標)、Qbrelis(商標))、モエキシプリル(Univasc(商標))、ペリンドプリル(Aceon(商標))、キナプリル(Accupril(商標))、ラミプリル(Altace(商標))、及びトランドラプリル(Mavik(商標))が挙げられる。
【0067】
本開示の目的では、「MAS受容体モジュレータ」は、例えば、アゴニスト又はアンタゴニストに対するその結合親和性を増加させること、アゴニスト又はアンタゴニストに対するその結合親和性を減少させること、結合剤に対するMAS受容体の立体的利用可能性を増加させること、MAS受容体の細胞表面利用可能性を増加又は減少させること、結合剤に対するMAS受容体の立体的利用可能性を減少させること、又はそれらの任意の組合せによって、MAS受容体の生化学的活性を変化させる薬剤を意味する。
【0068】
本明細書で使用される場合、「MAS受容体アゴニスト」又は「MASアゴニスト」とは、MAS受容体の生化学的活性を活性化する薬剤を意味する。MAS受容体アゴニストの非限定的な例を本明細書に記載する。
【0069】
「Cu~v」又は「Cu~Cv」という接頭辞は、以下の基が、u~v個の炭素原子を有することを示す。例えば、「C1~6アルキル」又は「C1~C6アルキル」又は「(C1~C6)-アルキル」とは、アルキル基が1~6個の炭素原子を有することを示す。
【0070】
「アルキル」とは、非分岐状又は分岐状の飽和炭化水素鎖を指す。本明細書で使用される場合、アルキルは、1~20個の炭素原子(すなわち、C1~20アルキル)、1~12個の炭素原子(すなわち、C1~12アルキル)、1~8個の炭素原子(すなわち、C1~8アルキル)、1~6個の炭素原子(すなわち、C1~6アルキル)、又は1~4個の炭素原子(すなわち、C1~4アルキル)を有する。アルキル基の例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、及び3-メチルペンチルが挙げられる。特定の数の炭素を有するアルキル残基が化学名によって呼称されている、又は分子式によって同定されている場合、その炭素数を有する全ての位置異性体が包含されることができ、したがって、例えば、「ブチル」としては、n-ブチル(すなわち、-(CH2)3CH3)、sec-ブチル(すなわち、-CH(CH3)CH2CH3)、イソブチル(すなわち、-CH2CH(CH3)2)及びtert-ブチル(すなわち、-C(CH3)3)が挙げられ、「プロピル」としては、n-プロピル(すなわち、-(CH2)2CH3)及びイソプロピル(すなわち、-CH(CH3)2)が挙げられる。
【0071】
「アルケニル」とは、少なくとも1つ(例えば、1~3個、又は1個)の炭素間二重結合を含有し、かつ、2~20個の炭素原子(すなわち、C2~20アルケニル)、2~12個の炭素原子(すなわち、C2~12アルケニル)、2~8個の炭素原子(すなわち、C2~8アルケニル)、2~6個の炭素原子(すなわち、C2~6アルケニル)、又は2~4個の炭素原子(すなわち、C2~4アルケニル)を有する、アルキル基を指す。アルケニル基の例としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブタジエニル(1,2-ブタジエニル及び1,3-ブタジエニルを含む)が挙げられる。
【0072】
「アルキニル」とは、少なくとも1つ(例えば、1~3個、又は1個)の炭素間三重結合を含有し、かつ、2~20個の炭素原子(すなわち、C2~20アルキニル)、2~12個の炭素原子(すなわち、C2~12アルキニル)、2~8個の炭素原子(すなわち、C2~8アルキニル)、2~6個の炭素原子(すなわち、C2~6アルキニル)、又は2~4個の炭素原子(すなわち、C2~4アルキニル)を有する、アルキル基を指す。「アルキニル」という用語はまた、1つの三重結合と1つの二重結合とを有する基も含む。
【0073】
「アルコキシ」とは、基「アルキル-O-」を指す。アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、iso-プロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、及び1,2-ジメチルブトキシが挙げられる。
【0074】
「アシル」とは、-C(O)Ry基を指し、式中、Ryは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、その各々は、任意選択的に、本明細書で定義されるように、置換されてもよい。アシルの例としては、例えば、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチル-カルボニル、及びベンゾイルが挙げられる。
【0075】
「アミド」とは、基-C(O)NRyRzを指す「C-アミド」基及び基-NRyC(O)Rzを指す「N-アミド」基の両方を指し、式中、Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、その各々は、本明細書で定義されるように任意選択的に置換されていてもよく、又はRy及びRzは、一緒になって、シクロアルキル又はヘテロシクリルを形成し;その各々は、任意選択的に、本明細書で定義されるように、置換されてもよい。
【0076】
「アミノ」とは、-NRyRz基を指し、式中、Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、その各々は、任意選択的に、本明細書で定義されるように、置換されてもよい。
【0077】
「アリール」とは、単環を有する(例えば、単環式)、又は縮合系を含む多環を有する(例えば、二環式又は三環式)、芳香族炭素環式基を指す。本明細書で使用される場合、アリールは、6~20個の環の炭素原子(すなわち、C6~20アリール)、6~12個の炭素環原子(すなわち、C6~12アリール)、又は6~10個の炭素環原子(すなわち、C6~10アリール)を有する。アリール基の例としては、例えば、フェニル、ナフチル、フルオレニル、及びアントリルが挙げられる。しかしながら、アリールは、いかなる方法においても以下に定義されるヘテロアリールを包含しないか、又はこのヘテロアリールと重複しない。1つ以上のアリール基がヘテロアリールと縮合している場合、結果として生じる環系は、結合点にかかわらずヘテロアリールである。1つ以上のアリール基がヘテロシクリル環と縮合している場合、結果として生じる環系は、結合点にかかわらずヘテロシクリルである。1つ以上のアリール基がシクロアルキル環と縮合している場合、結果として生じる環系は、結合点にかかわらずシクロアルキルである。
【0078】
「アリールオキシ」とは、「アリール-O-」を指す。
【0079】
「カルボキシ」とは、-CO2Hを指す。
【0080】
「カルボキシアルキル」とは、1個以上(例えば、1~6個又は1~3個)の水素原子がカルボキシ基で置き換えられている、上で定義したアルキル基を指す。
【0081】
「シクロアルキル」は、縮合した環系、架橋した環系、及びスピロ環系を含む単環又は多環を有する飽和又は部分不飽和環状アルキル基を指す。「シクロアルキル」という用語は、シクロアルケニル基(すなわち、少なくとも1つの二重結合を有する環式基)及び少なくとも1個のsp3炭素原子を有する炭素環式縮合環系(すなわち、少なくとも1つの非芳香族環)を有する炭素環式縮合環系を含む。本明細書で使用される場合、シクロアルキルは、3~20個の環炭素原子(すなわち、C3~20シクロアルキル)、3~14個の環炭素原子(すなわち、C3~12シクロアルキル)、3~12個の環炭素原子(すなわち、C3~12シクロアルキル)、3~10個の環炭素原子(すなわち、C3~10シクロアルキル)、3~8個の環炭素原子(すなわち、C3~8シクロアルキル)、又は3~6個の環炭素原子(すなわち、C3~6シクロアルキル)を有する。単環式基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。多環式基としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。更に、シクロアルキルという用語は、分子の残部への結合にかかわらず、アリール環に縮合し得る任意の非芳香族環を包含するよう意図されている。更に、シクロアルキルはまた、同じ炭素原子上に置換のための2つの位置が、例えばスピロ[2.5]オクタニル、スピロ[4.5]デカニル、又はスピロ[5.5]ウンデカニルが存在する場合、「スピロシクロアルキル」も含む。
【0082】
「ヘテロアリール」とは、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1個以上の環ヘテロ原子を有する、単環、多環又は複数の縮合環を有する芳香族基を指す。本明細書で使用される場合、ヘテロアリールは、1~20個の環炭素原子(すなわち、C1~20ヘテロアリール)、3~12個の環炭素原子(すなわち、C3~12ヘテロアリール)、又は3~8個の炭素環原子(すなわち、C3~8ヘテロアリール)、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~5個の環ヘテロ原子、1~4個の環ヘテロ原子、1~3個の環ヘテロ原子、1~2個の環ヘテロ原子、又は1個の環ヘテロ原子を含む。ある特定の場合において、ヘテロアリールは、5~10員環系、5~7員環系、又は5~6員環系を含み、各々は独立して、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される、1~4個の環ヘテロ原子、1~3個の環ヘテロ原子、1~2個の環ヘテロ原子、又は1個の環ヘテロ原子を有する。ヘテロアリール基の例としては、例えば、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、イソキノリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、フェナジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、及びトリアジニルが挙げられる。縮合ヘテロアリール環の例としては、ベンゾ[d]チアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾ[d]イミダゾリル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、及びイミダゾ[1,5-a]ピリジニルが挙げられるが、これらに限定されず、ヘテロアリールは、縮合系のいずれかの環を介して結合することができる。少なくとも1つのヘテロ原子を含有する、単一又は複数の縮合環を有する任意の芳香環は、分子の残部への結合(すなわち、縮合環のいずれか1つを介して)にかかわらず、ヘテロアリールとみなされる。ヘテロアリールは、先に定義したようにアリールを包含しない又はアリールと重複しない。
【0083】
「ヘテロシクリル」又は「複素環」とは、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1個以上の環ヘテロ原子を有する、飽和又は部分的不飽和環状アルキル基を指す。「ヘテロシクリル」という用語は、ヘテロシクロアルケニル基(すなわち、少なくとも1つの二重結合を有するヘテロシクリル基)、架橋ヘテロシクリル基、縮合ヘテロシクリル基、及びスピロ-ヘテロシクリル基を含む。ヘテロシクリルは、単環又は多環であってもよく、ここで、その多環は、縮合、架橋又はスピロであってもよく、1つ以上の(例えば、1~3)オキソ(=O)又はN-オキシド(-O-)部分を含んでもよい。少なくとも1個のヘテロ原子を含有する任意の非芳香族環は、結合にかかわらず、ヘテロシクリルとみなされる(すなわち、炭素原子又はヘテロ原子を介して結合することができる)。更に、ヘテロシクリルという用語は、少なくとも1個のヘテロ原子を含有する任意の非芳香族環を包含するように意図されており、この環は、分子の残部への結合にかかわらず、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール環に縮合していてもよい。本明細書で使用される場合、ヘテロシクリルは、2~20個の環炭素原子(すなわち、C2~20ヘテロシクリル)、2~12個の環炭素原子(すなわち、C2~12ヘテロシクリル)、2~10個の環炭素原子(すなわち、C2~10ヘテロシクリル)、2~8個の環炭素原子(すなわち、C2~8ヘテロシクリル)、3~12個の環炭素原子(すなわち、C3~12ヘテロシクリル)、3~8個の環炭素原子(すなわち、C3~8ヘテロシクリル)、又は3~6個の環炭素原子(すなわち、C3~6ヘテロシクリル)を有し、これは、窒素、硫黄、若しくは酸素から独立して選択される、1~5個の環ヘテロ原子、1~4個の環ヘテロ原子、1~3個の環ヘテロ原子、1~2個の環ヘテロ原子、又は1個の環ヘテロ原子を有する。ヘテロシクリル基の例としては、例えば、アゼチジニル、アゼピニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾピラニル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラノニル、ジオキソラニル、ジヒドロピラニル、ヒドロピラニル、チエニル[1、3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、フラノニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、インドリニル、インドリジニル、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、オキセタニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリジニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、トリチアニル、テトラヒドロキノリニル、チオフェニル(すなわち、チエニル)、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられる。「ヘテロシクリル」という用語はまた、同じ炭素原子上に置換のための2つの位置がある場合、「スピロヘテロシクリル」も含む。スピロ-ヘテロシクリル環の例としては、例えば、オキサビシクロ[2.2.2]オクタニル、2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナニル、2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクタニル、及び6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタニルなどの二環系及び三環系が挙げられる。縮合ヘテロシクリル環の例としては、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニル、インドリニル、及びイソインドリニルが挙げられるが、これらに限定されず、ヘテロシクリルは、縮合系のいずれかの環を介して結合することができる。
【0084】
「ハロゲン」又は「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードなどの周期表のVIIA族を占める原子を指す。
【0085】
「ヒドロキシアルキル」とは、1個以上(例えば、1~6個又は1~3個)の水素原子がヒドロキシ基で置き換えられている、上で定義したアルキル基を指す。
【0086】
以下の化合物及びその医薬組成物は、本明細書に記載の目的に有用である。
【0087】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(エチルアミノカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾールは、以下の式の化学化合物である。
【0088】
【0089】
1-(p-チエニルベンジル)イミダゾール類似体は、あらゆる立体異性体形態又はあらゆる比率のそれらの混合物での式(I):
【0090】
【化7】
[式中、R(1)は、(1)ハロゲン、(2)ヒドロキシル、(3)(C
1~C
4)-アルコキシ、(4)(C
1~C
8)-アルコキシ(ここで、1~6個の炭素原子は、ヘテロ原子O、S、又はNHによって置き換えられている)、(5)飽和環状エーテルによって置換されている、(C
1~C
4)-アルコキシ、(6)O-(C
1~C
4)-アルケニル、(7)O-(C
1~C
4)-アルキルアリール、又は(8)非置換であるか、若しくはハロゲン、(C
1~C
3)-アルキル、(C
1~C
3)-アルコキシ、及びトリフルオロメチルから選択された置換基によって置換されている、フェノキシであり、R(2)は、(1)CHOであり、R(3)は、(1)(C
1~C
4)-アルキル、又は(2)アリールであり、R(4)は、(1)水素、(2)ハロゲン;又は(3)(C
1~C
4)-アルキルであり、Xは、(1)酸素、又は(2)硫黄であり、Yは、(1)酸素、又は(2)-NH-であり、R(5)は、(1)水素、(2)(C
1~C
6)-アルキル、又は(3)(C
1~C
4)-アルキルアリールであり、ここで、R(5)は、Yが(2)で述べた意味を有する場合にのみ水素であり得、R(6)は、(1)(C
1~C
5)-アルキルである]の任意の化合物、又はそれらの生理学的に許容される塩である。
【0091】
1-(p-チエニルベンジル)イミダゾールの類似体はまた、その全ての立体異性体、及びその全ての比率のそれらの混合物としての式(II):
【0092】
【化8】
[式中、R(1)は、1.非置換であるか、又はNH
2、ハロゲン、O-(C
1~C
3)-アルキル、CO-O-(C
1~C
3)-アルキル、及びCO
2Hの中から選択されるラジカルで置換されている、(C
1~C
5)-アルキル、2.(C
3~C
8)-シクロアルキル、3.(C
1~C
3)-アルキル-(C
3~C
8)-シクロアルキル、4.非置換であるか、又はハロゲン及びO-(C
1~C
3-アルキルから選択されるラジカルによって置換されている、(C
6~C
10)-アリール、5.(C
1~C
3)-アルキル-(C
6~C
10)-アリール(ここで、アリールラジカルは、非置換であるか、又はハロゲン及びO-(C
1~C
3)-アルキルから選択されるラジカルによって置換されている)、6.(C
3~C
5)-ヘテロアリール、及び7.(C
1~C
3)-アルキル-(C
1~C
5)-ヘテロアリール、の中から選択され、R(2)は、水素、2.非置換であるか、又はハロゲン及びO-(C
1~C
3-アルキルから選択されるラジカルによって置換されている、(C
1~C
6)-アルキル、3.(C
3~C
8)-シクロアルキル、4.(C
1~C
3)-アルキル-(C
3~C
8)-シクロアルキル、5.非置換であるか、又はハロゲン、O-(C
1-C
3)-アルキル及びCO-O-(C
1-C
3)-アルキルの中から選択されるラジカルによって置換されている、(C
6-C
10)-アリール、及び6.非置換であるか、又はハロゲン及びO-(C
1~C
3)-アルキルから選択されるラジカルによって置換されている、(C
1~C
3)-アルキル-(C
6~C
10)-アリール、の中から選択され、R(3)は、1.水素、2.COOH、及び3.COO-(C
1~C
4)-アルキルの中から選択され、R(4)は、1.水素、2.ハロゲン、及び3.(C
1~C
4)-アルキルの中から選択され、R(5)は、1.水素、2.(C
1~C
6)-アルキルの中から選択され、R(6)は、1.水素、2.(C
1~C
6)-アルキル、3.(C
1~C
3)-アルキル-(C
3~C
8)-シクロアルキル、及び4.(C
2~C
6)-アルケニルの中から選択され、Xは、1.酸素、及び2.NHの中から選択される]の任意の化合物、及びこれらの生理学的に忍容される塩を含んでもよい。いくつかの実施形態では、1-(p-チエニルベンジル)イミダゾール類似体は、R(1)が、(1)塩素、(2)ヒドロキシル、(3)メトキシ、エトキシ、又はプロピルオキシ、(4)メトキシエトキシ又はメトキシプロポキシ、(5)アリルオキシ、又は(6)フェノキシであり、R(4)は、(1)水素、又は(2)塩素であり、R(5)は、(1)水素、又は(2)(C
1~C
4)-アルキルであり、R(6)は、(1)n-プロピル又は2-イソブチルであり、他のラジカルは、上で定義した通りである、あらゆる立体異性体形態又はあらゆる比率のそれらの混合物での化合物、又はその生理学的に忍容可能な塩である。
【0093】
いくつかの実施形態では、1-(p-チエニルベンジル)イミダゾールの類似体は、式(α):
【0094】
【化9】
[式中、ラジカルR(1)は、(1)塩素、(2)ヒドロキシル、(3)メトキシ、エトキシ、又はプロピルオキシ、(4)メトキシエトキシ又はメトキシプロポキシ、(5)アリルオキシ、又は(6)フェノキシであり、R(4)は、(1)水素、又は(2)塩素であり、R(5)は、(1)水素、又は(2)(C
1~C
4)-アルキルであり、R(6)は、(1)n-プロピル又は2-イソブチルであり、かつYは、酸素又は-NH-である]の化合物である。
【0095】
例示的な1-(p-チエニルベンジル)イミダゾール類似体としては、4-クロロ-5-ホルミル-2-フェニル-1-[[4-[2-(n-ブチルオキシカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾールを挙げることができるが、これらに限定されず、この構造は以下に提示する:
【0096】
【化10】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(n-ブチルオキシカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾール:
【0097】
【化11】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(n-プロピルオキシカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾール、この構造を以下に提供する:
【0098】
【化12】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(エトキシカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾール:
【0099】
【化13】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(メトキシカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾール:
【0100】
【化14】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(n-ブチルアミノカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾール:
【0101】
【化15】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[
4-[2-(メチルアミノカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾール:
【0102】
【化16】
5-ホルミル-4-メトキシエトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(n-ブチルオキシカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾール:
【0103】
【化17】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(n-ブチルオキシカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]-2-クロロフェニル]メチル]イミダゾール:
【0104】
【化18】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(n-ブチルオキシカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]-2-クロロフェニル]メチル]イミダゾール:
【0105】
【化19】
4-クロロ-5-ホルミル-2-フェニル-1-[[4-[2-(n-ブチルオキシカルボニルスルホンアミド)-5-n-プロピル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾール:
【0106】
【化20】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(n-ブチルオキシカルボニルスルホンアミド)-5-n-プロピル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾール:
【0107】
【化21】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(メトキシカルボニルスルホンアミド)-5-n-プロピル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾール:
【0108】
【化22】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(n-ブチルアミノカルボニルスルホンアミド)-5-n-プロイル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾール:
【0109】
【化23】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(メチルアミノカルボニルスルホンアミド)-5-n-プロピル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾール:
【0110】
【化24】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(エチルアミノカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾールナトリウム塩:
【0111】
【化25】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(エチルアミノカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾールL-リジン塩:
【0112】
【化26】
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(エチルアミノカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾールトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩:
【0113】
【化27】
化合物7は、以下の式の複素環式非ペプチド性化合物である:
【0114】
【化28】
複素環式非ペプチド性アンジオテンシン(1-7)模倣化合物は、式(III):
【0115】
【化29】
[式中、環Aは、2個の隣接していない窒素原子若しくは酸素原子の組合せ、又は3個若しくは4個の窒素原子若しくは酸素原子の組合せのいずれかを含有する、5員又は6員のヘテロアリール環又はヘテロシクリル環であり;環Bは、少なくとも1個の窒素原子を含有する5員又は6員ヘテロアリール環であり;環Cは、任意選択的に置換されたアリール環であり;A
1、A
2、A
3、A
4は、独立して、=N-、-C(=O)-、-C(R
a)=、=C(R
b)-、-C(R
c)(R
d)-N(R
e)-、-C(R
c)(R
d)-O-、又は-[C(R
c)(R
d)]
n-からなる群から選択され、ここで、nは1又は2であり;X
1~X
2は、(R
6)C-N、N-C(R
6)、N-N、N-O、O-N、N-S、又はS-Nであり;X
3は、(R
7)C=C(R
8)、O、S、又はN(R
9)であり;Zは、O、NH又はR
5への結合であり;R
a及びR
bは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ホルミル、アシル、アシルアミド又はカルボキシからなる群から選択され、但し、R
a及びR
bはまた、結合して最大6個までの原子の環を形成することもでき;R
c及びR
dは、独立して、水素、アルキル、アリール、又はヘテロアリールからなる群から選択され、但し、R
c及びR
dはまた、結合して最大6個の原子の環を形成することもでき;R
eは、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アルコキシアシル、アミノアシル、ジアルキルアミノアシル、又はジアルキルアミノアシルであり;R
1、R
3、R
4、R
6、R
7、及びR
8は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールメチル、ヘテロアリールメチル、フルオロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシアルキル、又はアリールオキシアルキルからなる群から選択され;R
2は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールメチル、ヘテロアリールメチル、アルコキシ、トリフルオロメトキシ、ペルフルオロアルコキシ、アリールオキシ、アルコキシアルキル、又はアリールオキシアルキルであり;R
5は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキル、又はアリールオキシアルキルであり;R
9は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アルコキシアシル、アミノアシル、ジアルキルアミノアシル、又はジアルキルアノミアシルである]の任意の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩であってもよい。
【0116】
式(III)のいくつかの実施形態では、R2は、トリフルオロメトキシである。いくつかの実施形態では、Zは、O又はNHである。例示的な実施形態では、環Aは、
【0117】
【化30】
からなる群から選択される環を含むが、これらに限定されず、式中、R
10及びR
11は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ホルミル、アシル、アシルアミド又はカルボキシからなる群から選択され、但し、R
10及びR
11はまた、炭素環式、複素環式、アリール又はヘトアリール(hetoaryl)環を形成するように結合することもでき;R
12は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、又はアシルアミドであり;R
13は、水素、アルキル、アリール又はヘテロアリールであり;R
14は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アルコキシアシル、アミノアシル、ジアルキルアミノアシル、又はジアルキルアミノアシルであり;R
f、R
g、R
h、及びR
iは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールメチル、ヘテロアリールメチル、フルオロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシアルキル、又はアリールオキシアルキルからなる群から選択される。
【0118】
他の例示的な実施形態では、環Bは、
【0119】
【化31】
からなる群から選択される5員又は6員ヘテロアリール環を含むが、これらに限定されず、式中、基R
6、R
7、R
8、及びR
9は、上記段落において、一般式(III)で定義された通りである。
【0120】
いくつかの例示的な実施形態では、提示される化合物は、以下:
【0121】
【0122】
【化33】
[式中、基R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、A
1、A
2、A
3、A
4及びZは、上の段落において、一般式(III)で定義されている通りである]からなる群から選択される一般式を有しする。
【0123】
他の例示的な実施形態では、提示される化合物は、以下:
【0124】
【0125】
【0126】
【化36】
[式中
基R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
a、R
b、R
c、R
d及びZは、上の段落において、一般式(III)で定義されている通りであり、
R
10及びR
11は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ホルミル、アシル、アシルアミド又はカルボキシからなる群から選択され、但し、R
10及びR
11はまた、炭素環式、複素環式、アリール又はヘトアリール(hetoaryl)環を形成するように結合することもでき、
R
12は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、又はアシルアミドであり、
R
13は、水素、アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、
R
14は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アルコキシアシル、アミノアシル、サルキルアミノアシル(thalkylaminoacyl)、又はジアルキルアミノアシルであり、
R
f、R
g、R
h、及びR
iは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリールメチル、ヘテロアリールメチル、フルオロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシアルキル、又はアリールオキシアルキルからなる群から選択される]からなる群から選択される一般式を有する。
【0127】
追加的な複素環式非ペプチド性アンジオテンシン(1-7)模倣類似体は、米国特許第10,301,298(B2)号の記載中に見出すことができ、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0128】
化合物10は、以下の式の複素環式非ペプチド性化合物である:
【0129】
【0130】
Nle3-A(1-7)(アクレラスチドともまた称され、これは、代替的にNle3-A(1-7)と呼ばれてもよい)は、以下の式のアミノ酸配列Asp-Arg-Nle-Tyr-Ile-His-Proからなるペプチドである:
【0131】
【0132】
20-ヒドロキシエクジソン(一般的に、エクジステロン、ヒドロキシエクジソン、又は「20E」ともまた称される))は、以下の式の化学化合物である:
【0133】
【0134】
20-ヒドロキシエクジソンの類似体は、式(IV):
【0135】
【化40】
[式中、V-Uは、炭素間単結合であり、Yが、ヒドロキシル基若しくは水素であるか、又はV-Uが、C=Cエチレン結合であり;Xは、酸素であり、Qは、カルボニル基であり;R
1は、基(C
1~C
6)W(C
1~C
6)、基(C
1~C
6)W(C
1~C
6)W(C
1~C
6)、基(C
1~C
6)W(C
1~C
6)CO2(C
1~C
6)、基(C
1~C
6)A(Aは、任意選択的に、OH、OMe、(C
1~C
6)、N(C
1~C
6)、CO
2(C
1~C
6)型の基により置換された複素環を表す)、CH
2Br基から選択され;ここで、Wは、N、O及びSから選択されるヘテロ原子である]の化合物である。
【0136】
アンジオテンシン(1-7)は、以下の式のアミノ酸配列Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-Proからなるタンパク質アンジオテンシンの7種類のアミノ酸ペプチド(すなわち、ヘプタペプチド)断片である:
【0137】
【0138】
アンジオテンシン(1-7)(「A(1-7)」ともまた称される)は、アミノ酸配列:H-Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro-OHを含む。アンジオテンシン(1-7)の類似体は、一般式(i)R1-R2-R3-R4-R5-R6-R7-R8の配列中におけるR1-R8基の少なくとも3つの連続アミノ酸からなる配列を有する任意のペプチドであり、式中、R1及びR2は、一緒になって式X-RA-RB-の基を形成し、Xは、H又は1~3個のペプチド基であり;RAは、Asp、Glu、Asn、Acpc、Ala、Me2Gly、Pro、Bet、Glu(NH2)、Gly、Asp(NH2)及びSuc、並びにそれらのグリコシル化形態から選択され;RBは、Arg、Lys、Ala、Orn、Ser(Ac)、Sar、D-Arg、D-Lys、His、及びそれらのグリコシル化形態から選択され;R3は、Val、Ala、Leu、Nle、Ile、Gly、Pro、Aib、Acpc、Lys、Tyr、及びそれらのグリコシル化形態からなる群から選択され;R4は、Tyr、Tyr(PO3)2、Thr、Ser、Hse、Ala、及びアザTyr、Tyr、Phe、並びにそれらのグリコシル化形態からなる群から選択され;R5は、Ile、Ala、Leu、Nle、Val、Gly、及びそれらのグリコシル化形態からなる群から選択され;R6は、His、Arg又は6-NH2-Phe、Lys、及びそれらのグリコシル化形態であり;R7は、Pro、Ala、Gly、Ser、及びそれらのグリコシル化形態であり;R8は、Phe、Phe(Br)、Ile、Tyr、Ser、Tr、Hyp、及びそれらのグリコシル化形態からなる群から選択される。式(i)のいくつかの実施形態では、末端Tyr基としてR4を含む式(i)配列は、除外される。
【0139】
いくつかの実施形態では、アンジオテンシン(1-7)の類似体は、必要な生物活性を有するペプチド剤及び非ペプチド剤(すなわち、ペプチド模倣薬)を含み得る。いくつかの実施形態では、RA及びRBの組合せは、Asp-Arg、Asp-Lys、Glu-Arg及びGlu-Lysである。このクラスのいくつかの実施形態は、以下を含む:Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe、Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe、Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro、Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro、Val-Tyr-Ile-His-Pro、Ile-His-Pro-Phe、Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His、Asp-Arg-Val-Tyr-Ile、Asp-Arg-Val-Tyr、及びAsp-Arg-Val。いくつかの実施形態は、Arg-Nle-Tyr-Ile-His-Pro-Phe及びArg-Val-Tyr-Nle-His-Pro-Pheを含む。いくつかの実施形態では、配列Asp-Arg-Pro-Tyr-Ile-His-Pro-Phe、His-Pro-Phe、及びTyr-Ile-His-Pro-Pheを有するペプチドが提供される。
【0140】
アンジオテンシン(1-7)の類似体のクラスは、以下の一般構造:R1-Arg-R2-R3-R4-His-Pro-R5を有するものであってもよく、式中、R1は、H及びAspからなる群から選択され、R2は、Val及びProからなる群から選択され、R3は、Tyr及びTyr(PO3)2からなる群から選択され、R4は、Ala、Ile、Leu、及びNleからなる群から選択され、R5は、Phe、Ileであるか、又は存在しない。
【0141】
本開示の任意の実施形態では、アンジオテンシン(1-7)の類似体はまた、一般式(ii)Ala1-R2-R3-R4-R5-R6-R7の配列を含んでもよく、式中、R2は、Arg、Lys、Ala、Cit、Orn、Ser(Ac)、Sar、D-Arg、及びD-Lysから選択され、R3は、Val、Ala、Leu、Nle、Ile、Gly、Pro、Aib、Acpc、Lys、及びTyrからなる群から選択され、R4は、Serであるか、又はR7と環状チオエーテルを形成し、R5は、Ile、Ala、Leu、Nle、Val、及びGlyからなる群から選択され、R6は、His、Arg、6-NH2-Phe、Lys、及びそれらのグリコシル化形態であり、R7は、Cysであるか、又はR4と環状チオエーテルを形成する。
【0142】
A779は、アミノ酸配列Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-D-Ala(式中、D-Alaは、アラニンのD-エナンチオマーである)のペプチドMAS受容体アンタゴニスト(すなわち、阻害物質)である。A779は、MAS受容体阻害実験、競合結合アッセイ、又は他の目的において使用され得る。
【0143】
標準タンパク新生構成アミノ酸について本明細書で使用される略語は、業界標準に準拠しており、当業者によって容易に理解されるはずである。接頭辞Dで略記されたアミノ酸とは、D-エナンチオマーを指すが、いかなる接頭辞も付けずに、文脈によって特に示されない限り、L-エナンチオマーを指すものと理解されるものとする。本明細書で使用される場合、修飾された珍しい非タンパク新生アミノ酸及び他の基は、以下のように省略される:Aad=2-アミノアジピン酸;bAad=3-アミノアジピン酸;Acpc=1-アミノシクロプロパンカルボン酸;bAla=β-アラニン(すなわち、β-アミノプロピオン酸);Abu=2-アミノ酪酸;4Abu=4-アミノ酪酸(すなわち、ピペリジン酸);Acp=6-アミノカプロン酸;Ahe=2-アミノヘプタン酸;Aib=2-アミノイソ酪酸;bAib=3-アミノイソ酪酸;Bet=1-カルボキシ-N,N,N-トリメチルメタンアミニウムヒドロキシド分子内塩(ベタイン);Apm=2-アミノピメリン酸;Dbu=2,4-ジアミノ酪酸;Des=デスモシン;Dpm=2,2’-ジアミノプロピオン酸;Dpr=2,3-ジアミノプロピオン酸;EtGly=N-エチルグリシン;EtAsn=N-エチルアスパラギン;Hse=ホモセリン(すなわち、isothreonine);Hyl=ヒドロキシリジン;aHyl=アロ-ヒドロキシリジン;3Hyp=3-ヒドロキシプロリン;4Hyp=4-ヒドロキシプロリン;Ide=イソデスモシン;alle=アロ-イソロイシン;MeGly=N-メチルグリシン(すなわち、サルコシン);Me2Gly=ジメチルグリシン;MeIle=N-メチルイソロイシン;MeLys=6-N-メチルリジン;MeVal=N-メチルバリン;Nva=ノルバリン;Nle=ノルロイシン;Orn=オルニチン;Sar=サルコシン;Suc=コハク酸。加えて、一般的でないアミノ酸のいくつかの代替略語は、当業者に知られている可能性があり、それらの文脈から容易に理解され得る。例えば、時として、ノルロイシンは「norLeu」と略記されてもよく、ホモセリンは「homoSer」と略記されてもよい。
【0144】
いくつかの実施形態では、アンジオテンシン(1-7)の類似体は、A-1317(ここで、Ang(1-7)のN末端に対するアミノ酸L-アルギニン)である。
【0145】
いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニストは、式(III)の化合物である。
【0146】
いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニストは、
複素環式非ペプチド性アンジオテンシン(1-7)模倣物又はその類似体、
アンジオテンシン(1-7)又はその類似体、
Nle3-A(1-7)又はその類似体、
1-(p-チエニルベンジル)イミダゾール類似体、及び
20-ヒドロキシエクジソン又はその類似体からなる群から選択される。
【0147】
いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニストは、
化合物7、
化合物10、
Nle3-A(1-7)、
アンジオテンシン(1-7)、
アンジオテンシン(1-7)のAng-1-6-Ser-0-グリコシル化類似体、及び
5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(エチルアミノカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾールからなる群から選択される。
【0148】
いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニストは、化合物7である。いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニストは、化合物10である。いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニストは、Nle3-A(1-7)である。いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニストは、アンジオテンシン(1-7)である。いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニストは、20-ヒドロキシエクジソン又はその類似体である。いくつかの実施形態では、MAS受容体アゴニストは、5-ホルミル-4-メトキシ-2-フェニル-1-[[4-[2-(エチルアミノカルボニルスルホンアミド)-5-イソブチル-3-チエニル]フェニル]メチル]イミダゾールである。
【0149】
医薬組成物
本明細書では、本明細書に記載の化合物を含む医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、及び/又は希釈剤を更に含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、「薬学的に許容される」という語句は、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題若しくは合併症なしに人間及び動物の組織と接触して使用するのに好適な、化合物、材料、組成物、及び/又は投薬形態を指すように本明細書で採用される。
【0151】
本開示はまた、本明細書に記載される化合物の「薬学的に許容される塩」を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」とは、既存の酸部分又は塩基部分をその塩形態へと変換することによって親化合物が修飾されている、本開示の化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の化合物の薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性の無機酸又は有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性塩が含まれる。本開示の化合物の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性部分又は酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。概して、このような塩は、これらの化合物の遊離酸形態又は遊離塩基形態を、化学量論量の適切な塩基又は酸と、水又は有機溶媒中において又は2つの混合物中において反応させることによって調製することができる。概して、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、及びアセトニトリルなどの非水性媒体を使用することができる。
【0152】
本開示の化合物の薬学的に許容される塩はまた、第三級アミノ基を保有する誘導体を、四級化剤を用いてそれ自体公知の様式にて対応する第四級アンモニウム塩へと変換することによって得ることができる。好適な四級化剤の例は、ハロゲン化アルキル、例えば、ヨウ化メチル、臭化エチル、及び塩化n-プロピルなど、また並びにハロゲン化アリールアルキル、例えば、塩化ベンジル又は臭化2-フェニルエチルなどである。いくつかの実施形態では、塩は、塩が不溶性である溶媒若しくは媒体中において、若しくは真空中において除去される水などの溶媒中において、生成物の遊離塩基形態若しくは遊離酸形態を、1つ以上の当量の適切な酸若しくは塩基と反応させことによって、又は凍結乾燥によって、又は既存の塩のイオンを別のイオン若しくは好適なイオン交換樹脂と交換することによってなどの、従来の手段によって形成され得る。
【0153】
可能な薬学的に許容される塩は当技術分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、参照により本明細書に組み込まれるJ.Pharmaceutical Sciences 66:1-19,1977にて、薬学的に許容される塩を詳細に記載している。
【0154】
典型的には、化合物の薬学的に許容される塩形態は、化合物の最終単離及び精製中にインサイチュで、又は遊離塩基官能基を好適な有機酸若しくは無機酸と反応させることによって別々に調製することができる。典型的な薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸などの無機酸、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、若しくはマロン酸などの有機酸で、又はイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を用いることによって形成される、アミノ基の塩である。
【0155】
他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、へルニ硫酸塩(hernisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられ得る。
【0156】
適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及び第四級アンモニウム塩が含まれる。代表的なアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。更なる薬学的に許容される塩としては、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成された、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム及びアミンカチオンが挙げられる。
【0157】
本開示は、本開示の化合物の誘導体を更に含む。「誘導体」という用語は、エーテル誘導体、酸誘導体、アミド誘導体、エステル誘導体などを含むが、これらに限定されない。加えて、本開示は、本開示の化合物の水和物又は溶媒和物を更に含む。「水和物」という用語は、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物などを含むが、これらに限定されない。
【0158】
本開示は、本開示の化合物の代謝産物を更に含む。「代謝産物」という用語は、代謝又は代謝プロセスによって別の物質から産生される任意の物質を意味する。
【0159】
「薬学的に許容される賦形剤」は、一般に、安全で、非毒性であり、かつ生物学的にも他の点でも望ましくないものでもない医薬組成物を調製するのに有用な賦形剤を意味し、獣医学的使用及びヒト医薬使用に許容される賦形剤を含む。本明細書で使用される「薬学的に許容される賦形剤」とは、1つ及び2つ以上のそのような賦形剤の両方を含む。
【0160】
「薬学的に許容される担体」は、採用される投薬量及び濃度でそれに曝露される細胞又は対象に対して非毒性である、任意の賦形剤を含む。医薬組成物は、1つ又は追加的な治療剤を含み得る。
【0161】
薬学的に許容される担体としては、溶媒、分散媒、緩衝剤、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、湿潤剤、保存剤、バガー(bugger)、キレート剤、酸化防止剤、等張剤、並びに吸収遅延剤が挙げられる。
【0162】
薬学的に許容される担体としては、水;生理食塩水;リン酸緩衝塩;デキストロース;グリセロール;エタノール及びイソプロパノールなどのアルコール類;ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸;アスコルビン酸;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、又はデキストリンを含む他の炭水化物;EDTA;ナトリウムなどの対イオンを形成する塩;及び/又は非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、及びPLURONICS(登録商標)など;等張化剤、例えば糖など、多価アルコール、例えばマンニトール及びソルビトール、並びに塩化ナトリウムなど;並びにこれらの組合せが挙げられる。抗菌剤及び抗真菌剤としては、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、及びチメロサールが挙げられる。
【0163】
本開示は、本開示の化合物の医薬組成物及び医薬製品を更に含む。「医薬組成物」及び「医薬製品」という用語は、本明細書で定義される場合、医薬用途(医薬組成物)に適した組成物を意味する。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される場合、「医薬組成物」はまた、好適な希釈剤、保存剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント及び/又は担体を有する、治療有効量の本開示の化合物を指す。
【0164】
実際には、例えば式(I)、式(III)によって表される本開示の化合物、及び本明細書に記載の他の化合物若しくは配合物、又はその薬学的に許容される塩は、従来の薬学的配合技術に従って、薬学的担体との密な混合物中に有効成分として組み合わせることができる。担体は、投与に望ましい調製物の形態、例えば、経口又は非経口(静脈内を含む)に応じて、多種多様な形態をとることができる。したがって、本開示の医薬組成物は、各々が所定量の有効成分を含有する、カプセル、カシェ剤、又は錠剤などの経口投与に好適な個別の単位として提示することができる。更に、組成物は、粉末として、顆粒として、溶液として、水性液体中の懸濁液として、非水性液体として、水中油型エマルジョンとして、又は油中水型エマルジョンとして提示することができる。
【0165】
上記の一般的な剤形に加えて、式(I)若しくは(III)によって表される化合物又は本明細書に記載の他の式などの本明細書に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩もまた、制御放出手段及び/又は送達装置によって投与され得る。組成物は調剤方法のいずれかによって調製され得る。概して、そのような方法は、有効成分を1つ以上の必要な成分を構成する担体と会合させるステップを含む。概して、組成物は、有効成分を、液体担体若しくは細かく分割された固体担体又はその両方と均一かつ完全に混合することによって調製される。次いで、生成物を都合よく所望の形状に成形することができる。
【0166】
固体医薬形態は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、デンプン、マンニトール、アルギネート、ゼラチン、グアーガム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、タルク、高分散ケイ酸、シリコーン油、高分子量脂肪酸、(ステアリン酸など)、ゼラチン、寒天若しくは植物若しくは動物の油脂、又は固体高分子量ポリマー(ポリエチレングリコールなど)などの不活性構成成分及び担体物質を含むことができ、経口投与に好適な調製物は、必要に応じて追加の香味料及び/又は甘味剤を含むことができる。
【0167】
液体医薬形態は、滅菌されていてもよく、及び/又は適切な場合には、補助物質、例えば、浸透圧を調節するため若しくは緩衝するための防腐剤、安定剤、湿潤剤、浸透剤、乳化剤、展着剤、可溶化剤、塩、糖若しくは糖アルコール、及び/又は粘度調節剤などを含んでいてもよい。このような添加剤の例は、酒石酸塩緩衝剤及びクエン酸塩緩衝剤、エタノール及び封鎖剤(エチレンジアミン四酢酸及びその非毒性塩など)である。高分子量ポリマー、例えば、液体ポリエチレンオキシド、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デキストラン又はゼラチンなどは、粘度を調節するのに適している。固体担体物質の例は、デンプン、ラクトース、マンニトール、メチルセルロース、タルク、高分散ケイ酸、高分子量脂肪酸(ステアリン酸など)、ゼラチン、寒天、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、動物性脂肪及び植物性脂肪、並びにポリエチレングリコールなどの固体高分子量ポリマーである。
【0168】
非経口適用又は局所適用のための油性懸濁液は、植物性合成油又は半合成油、例えば各場合で脂肪酸鎖に8~22個のC原子を有する液体脂肪酸エステルなど、例えば、パルミチン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、ペンタデカン酸、リノール酸、エライジン酸、ブラシド酸、エルカ酸又はオレイン酸であってもよく、これらは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール又はそれらの異性体、グリコール又はグリセロールなどの1~6個のC原子を有する一価~三価のアルコールでエステル化されている。そのような脂肪酸エステルの例は、とりわけ、市販のミグリオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、PEG6-カプリン酸、飽和脂肪アルコールのカプリル酸/カプリン酸エステル、ポリオキシエチレングリセロールトリオレエート、オレイン酸エチル、ワックス状脂肪酸エステル、例えば人工ダックテール腺脂肪、ヤシ脂肪酸イソプロピルエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、乳酸エチル、フタル酸ジブチル、アジピン酸ジイソプロピル、ポリオール脂肪酸エステルなどである。異なる粘度のシリコーン油、又は脂肪アルコール、例えばイソトリデシルアルコール、2-オクチルドデカノール、セチルステアリルアルコール若しくはオレイルアルコールなど、又は脂肪酸、例えばオレイン酸などもまた好適である。更に、ヒマシ油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、綿実油、落花生油、又は大豆油などの植物油を使用することが可能である。
【0169】
好適な溶媒、ゲル化剤及び可溶化剤は、水又は水混和性溶媒である。好適な物質の例は、アルコール、例えばエタノール又はイソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、2-オクチルドデカノール、ポリエチレングリコール、フタレート、アジペート、プロピレングリコール、グリセロール、ジ-又はトリプロピレングリコール、ワックス、メチルセロソルブ、セロソルブ、エステル、モルホリン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンなどである。
【0170】
ゲル化剤及びフィルム形成剤の混合物もまた完全に可能である。この場合、特に、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びそれらの塩、アミロペクチンセミグリコール酸ナトリウム、ナトリウム塩としてのアルギン酸若しくはプロピレングリコールアルギネート、アラビアガム、キサンタンガム、グアーガム、又はカラギーナンなどのイオン性高分子が使用される。追加の製剤補助剤として、グリセロール、異なる粘度のパラフィン、トリエタノールアミン、コラーゲン、アラントイン及びノバンチソール酸を使用することができる。界面活性剤、乳化剤又は湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸Na、脂肪アルコールエーテル硫酸塩、ジ-Na-N-ラウリル-β-イミノジプロピオネート、ポリエトキシル化ヒマシ油若しくはソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート(例えば、Tween(登録商標))、セチルアルコール、レシチン、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレンステアレート、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、又はモノ-/ジアルキルポリグリコールエーテルオルトリン酸モノエタノールアミン塩の使用もまた、製剤に必要とされ得る。エマルションを安定化するための、又は酸化防止剤、例えばトコフェロール若しくはブチルヒドロキシアニソールなどの活性物質の分解を防止するための、モンモリロナイト若しくはコロイド状ケイ酸などの安定剤、又はp-ヒドロキシ安息香酸エステルなどの保存剤も同様に、所望の製剤を調製するために使用することができる。
【0171】
非経口投与用の調製物は、アンプル又はバイアルなどの別個の用量単位形態で存在し得る。水性溶液などの活性化合物の溶液、並びにいくつかの実施形態では、等張溶液及び懸濁液もまた使用される。これらの注射形態は、すぐに使用可能な調製物として利用可能にすることができ、又は他の固体担体物質を適切に含有する活性化合物、例えば凍結乾燥物を所望の溶媒又は懸濁化剤と混合することによって、使用直前にのみ調製することができる。
【0172】
鼻腔内調製物は、水性溶液若しくは油性溶液として、又は水性懸濁液若しくは油性懸濁液として存在してもよい。それらはまた、好適な溶媒又は懸濁化剤を用いて使用前に調製される凍結乾燥物として存在することもできる。
【0173】
吸入可能な調製物は、粉末、溶液又は懸濁液として存在することができる。いくつかの実施形態では、吸入可能な調製物は、粉末の形態であり、例えば、有効成分と好適な製剤助剤、例えばラクトースなどとの混合物である。
【0174】
調製物は、習慣的な抗菌条及び無菌条件下において産生され、等分され、密封される。
【0175】
したがって、本開示は、本明細書に記載の本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を更に提供する。
【0176】
「担体」という用語は、薬剤の安定性及び/又は活性を妨害することなく、活性剤(例えば、式(I)又は式(III)の化合物などの本明細書に記載の化合物)を含有する組成物へと組み込むことができる、任意の化学的実体を指す。いくつかの実施形態では、「担体」という用語は、薬学的に許容される担体を指す。本明細書における例示的な担体は水である。
【0177】
ポリマー(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)でコーティングされた微粒子状組成物もまた、本開示によって包含される。本開示の組成物の他の実施形態は、非経口、肺、鼻及び経口を含む、様々な投与経路のための粒子形態の保護コーティング、プロテアーゼ阻害物質、又は透過促進剤を組み込む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非経口的に、がん近傍に(paracancerally)、経粘膜的に、経皮的に、筋肉内に、静脈内に、皮内に、皮下に、腹腔内に、脳室内に、膣内に、頭蓋内に、及び腫瘍内に投与される。
【0178】
本開示は、本開示の化合物のプロドラッグを更に含む。本開示の化合物はまた、プロドラッグ、例えば薬学的に許容されるプロドラッグとして調製することもできる。「プロドラッグ(pro-drug)」及び「プロドラッグ(prodrug)」という用語は、本明細書では互換的に使用され、かつインビボで活性親薬物を放出する任意の化合物を指し得る。プロドラッグは、医薬品の数多くの望ましい品質(例えば、溶解度、バイオアベイラビリティ、製造など)を高めることが知られているので、本開示の化合物は、プロドラッグ形態で送達することができる。「プロドラッグ」又は「プロドラッグ」という用語は、加水分解、エステル化、脱エステル化、活性化、塩形成などの反応によって、インビボで生物学的に活性な薬剤へと変換することができる物質を意味する。
【0179】
本開示は、本開示の化合物の結晶を更に含む。更に、本開示は、本開示の化合物の多形を提供する。「結晶」とは、結晶状態にある物質を意味する。「多形」という用語は、X線回折、IRスペクトル、融点などの特定の物理的特性を有する物質の特定の結晶状態を指す。
【0180】
本開示の医薬組成物は、例えば、固体、半固体(例えば、クリーム、軟膏、及びゲル)、並びに液体剤形、例えば液体溶液(例えば、局所ローション又はスプレー)、分散液又は懸濁液、錠剤、丸剤、粉末、リポソーム及び坐剤などを含む、様々な方法で製剤化され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、注射可能な溶液又は注入可能な溶液の形態である。組成物は、経口、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、非経口、経粘膜、経皮、又は局所投与に好適な形態である。組成物は、即時放出組成物、制御放出組成物、延長放出組成物、又は遅延放出組成物として製剤化され得る。
【0181】
使用に好適な医薬組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液、及び滅菌溶液又は滅菌分散液の即時調製のための滅菌粉末が含まれる。これは、製造及び貯蔵の条件下において安定であるべきであり、かつ細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護され得る。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には必要な粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。本明細書中に開示される治療方法において使用するための好適な製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,16th ed.(1980)に記載されている。
【0182】
いくつかの実施形態では、組成物は、等張剤、例えば糖など、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムなどを含む。注射用組成物の持続的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中に含めることによってもたらすことができる。
【0183】
滅菌溶液は、分子を、単独で又は他の活性剤と組み合わせて、必要な量で、本明細書に列挙した成分の1つ又は組合せを有する適切な溶媒に組み込み、必要に応じて濾過滅菌することによって調製することができる。概して、分散液は、活性化合物を、基本分散媒体と、上記で列挙したものからの必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、1つの調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥であり、これは、有効成分に加えて事前に滅菌濾過された溶液からの任意の追加の所望の成分の粉末をもたらす。注射用調製物を処理し、アンプル、バッグ、ボトル、シリンジ又はバイアルなどの容器に充填し、当技術分野で公知の方法に従って無菌条件下において密封する。
【0184】
更に、調製物は、キットの形態で包装して販売してもよい。そのような製造品は、関連した組成物が本明細書に記載の疾患又は病態に罹患している対象を治療するのに有用であることを示す、ラベル又は添付文書を有し得る。
【0185】
治療方法及び使用
本明細書に記載の病態又は疾患の治療のための本開示の組成物の有効用量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、患者がヒトであるか動物であるか、投与される他の薬物、及び治療が予防的であるか治療的であるかを含む、多くの異なる因子に応じて変化する。通常、患者はヒトであるが、非ヒト哺乳動物及び鳥類、並びにトランスジェニック生物を含む非ヒト生物もまた治療することができる。治療投薬量は、安全性及び有効性を最適化するために当業者に公知の日常的な方法を用いて滴定することができる。
【0186】
本開示の医薬組成物は、「治療有効量」を含み得る。「治療有効量」とは、必要な投薬量及び期間で所望の治療結果を達成するための有効量を指す。分子の治療有効量は、個体の疾患状態、種、年齢、性別、及び個体の体重、並びに個体において所望の応答を誘発する分子の能力などの要因に応じて変化し得る。治療有効量とはまた、治療的に有益な効果が分子の任意の毒性又は有害な影響を上回る量である。
【0187】
また、本明細書で使用される場合、いくつかの実施形態では、薬剤の「治療有効量」及び「有効量」という用語は、疾患、障害、又は病態の治療、予防及び/又は管理において治療上の利益を提供するのに充分な量、例えば、治療される疾患、障害、又は病態に関連した1つ以上の症状の発症を遅延させる又は最小化する(例えば、発生率、頻度、及び/又は大きさを低減する)のに充分な量を指す。当業者は、組成物が治療レジメンの文脈内で単回用量として投与されたときに有効である量を含有する場合、組成物は、「治療有効量」の薬剤を含有すると言われ得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、治療有効量は、投与レジメンの一部として投与された場合に、疾患、障害、又は病態の1つ以上の症状又は副作用の発症を遅延させるか又は最小化する(発生率及び/又は大きさを減少させる)可能性が統計的に高い量である。いくつかの実施形態では、「治療有効量」とは、組成物と組み合わせて投与される別の薬剤の治療有効性を増強する量である。
【0188】
いくつかの実施形態では、ヒトへの投与のための治療有効量は、当技術分野で知られているように(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Reagan-Shaw et al.,「Dose translation from animal to human studies revisited,」The FASEB Journal 22:659-661(2007)参照)、動物モデルの体表面積と比較してヒトの体表面積に対して調整された基準量(例えば、マウスモデルなどの動物モデルにおける治療有効量)に対応する。いくつかの実施形態では、参照治療有効量は、動物モデル(例えば、マウスモデル)において治療的に有効な量である。いくつかの実施形態では、参照治療有効量は、約0.01mg/kg~約500mg/kgの範囲内である。いくつかの実施形態では、参照治療有効量は、約0.01mg/kg~約0.1mg/kgの範囲内である。いくつかの実施形態では、参照治療有効量は、約0.1mg/kg~約0.5mg/kgの範囲内である。いくつかの実施形態では、参照治療有効量は、約0.5mg/kg~約1mg/kgの範囲内である。いくつかの実施形態では、参照治療有効量は、約1mg/kg~約2.5mg/kgの範囲内である。いくつかの実施形態では、参照治療有効量は、約2.5mg/kg~約10mg/kgの範囲内である。いくつかの実施形態では、参照治療有効量は、約10mg/kg~約50mg/kgの範囲内である。いくつかの実施形態では、参照治療有効量は、約50mg/kg~約100mg/kgの範囲内である。いくつかの実施形態では、参照治療有効量は、約100mg/kg~約250mg/kgの範囲内である。いくつかの実施形態では、参照治療有効量は、約250mg/kg~約500mg/kgの範囲内である。
【0189】
本明細書で使用される場合、「調節すること(modulating)」とは、分子標的又は経路の活性を「刺激すること(stimulating)」又は「阻害すること(inhibiting)」を指す。例えば、組成物は、同じ条件下であるが組成物の存在のみを欠く分子標的又は経路の活性と比較して、分子標的又は経路の活性を、少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は約99%以上刺激又は阻害する場合、分子標的又は経路の活性を調節する。別の例では、組成物は、同じ条件下であるが組成物の存在のみを欠く分子標的又は経路の活性と比較して、分子標的又は経路の活性を、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍刺激又は阻害する場合、分子標的又は経路の活性を調節する。分子標的又は経路の活性は任意の再現可能な手段によって測定され得る。分子標的又は経路の活性はインビトロ又はインビボで測定され得る。例えば、分子標的又は経路の活性は、活性を測定する当技術分野で公知の適切なアッセイによって、インビトロ又はインビボで測定され得る。対照試料(組成物で未処理)には100%の相対活性値を割り当てることができる。組成物によって引き起こされる活性の変化をアッセイにおいて測定することができる。
【0190】
本明細書で使用される場合、「治療する(treat)」及び「治療(treatment)」という用語は、予防的(prophylactic)手段又は未然防止的(preventative)手段を含む治療処置を指し、ここで、目的とは、疾患又は病態に関連した望ましくない生理学的変化を予防又は減速(軽減)することである。有益な又は所望の臨床結果としては、検出可能か検出不能かにかかわらず、症状の緩和、疾患又は病態の範囲の縮小、疾患又は病態の安定化(すなわち、疾患又は病態が悪化しない場合)、疾患又は病態の進行の遅延又は減速、疾患又は病態の改善又は緩和、及び(部分的か全体的かにかかわらず)疾患又は病態の寛解が含まれるが、これらに限定されない。「治療」とはまた、治療を受けていない場合に予想される生存と比較して生存を延長することを意味し得る。治療を必要とする者には、既に疾患又は病態を有する者、並びに疾患又は病態を有する傾向がある者、又は疾患又は病態が予防されるべきである者とが含まれる。
【0191】
一例では、単回ボーラスが投与されてもよい。別の例では、いくつかの分割用量が経時的に投与されてもよい。更に別の例では、治療状況の緊急性によって示されるように、用量を比例的に減少又は増加させることができる。投薬単位形態とは、本明細書で使用される場合、哺乳動物対象を治療するための単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指す。各単位は、所望の治療効果を産生するように計算された所定分量の活性化合物を含有し得る。いくつかの実施形態では、本開示の投薬単位形態は、活性化合物の固有の特徴、及び達成される特定の治療効果又は予防効果によって決定され、それらに直接依存する。
【0192】
本開示の組成物は、1回のみ投与されてもよく、又は複数回投与されてもよい。複数回投薬の場合、組成物は、例えば、1日3回、1日2回、1日1回、2日に1回、週に2回、週に1回、2週間に1回、又は月に1回投与され得る。
【0193】
本明細書で使用される場合、化合物は、同じ条件下であるが化合物の存在のみを欠く活性と比較して、所望の活性を少なくとも10%低下させる場合、活性を「活性化」する。活性は任意の再現可能な手段によって測定され得る。活性はインビトロ又はインビボで測定され得る。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される方法において使用される化合物は、MAS受容体活性を、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、約95%、約98%、又は約99%以上活性化する。
【0194】
いくつかの実施形態では、「マイトファジーを刺激すること」とは、それを必要とする対象への活性剤(MASアゴニストを含むが、これに限定されない)の投与前のマイトファジーの量に対して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は約99%以上マイトファジーを増加させることを指す。
【0195】
本明細書で使用される場合、「マイトファジー刺激量」は、対象への活性剤の投与前の対象のマイトファジーの量と比較して、対象のマイトファジーを増加させる活性剤(MASアゴニストを含むが、これに限定されない)の量を指す。いくつかの実施形態では、マイトファジーは、対象への活性剤の投与前の対象のマイトファジーのレベルと比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約50%、又は約50%超増加する。
【0196】
投薬値は、緩和される病態の種類及び重症度によって異なり得ることに留意されたい。任意の特定の対象について、特定の投与レジメンは、個々の必要性、及び組成物の投与を管理又は監督する人物の専門的判断に従って経時的に調整されるべきであることと、本明細書に記載の投薬範囲は例示的なものにすぎず、かつ特許請求される組成物の範囲又は実施を限定することを意図するものではないことと、を更に理解されたい。
【0197】
対象への「投与」とは、いかなる特定の送達系にも限定されず、局所、経皮、経口(例えば、カプセル、懸濁液又は錠剤で)、非経口(皮下、静脈内、髄内、関節内、筋肉内、又は腹腔内注射を含む)、又は直腸を含み得るが、これらに限定されない。対象への投与は、単回用量又は反復投与で、及び様々な生理学的に許容される塩形態のいずれかで、並びに/又は医薬組成物(前述)の一部として許容される薬学的担体及び/若しくは添加剤と共に行われ得る。ここでも、生理学的に許容される塩形態及び標準的な医薬製剤化技術は、当業者に周知である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.を参照されたい)。
【0198】
用語「対象」には、哺乳動物、例えば、ヒト、コンパニオンアニマル(例えば、犬、猫、鳥など)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、家禽など)、及び実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、鳥類など)が含まれる。いくつかの実施形態では、対象は、ヒト患者である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒト男性又はヒト女性である。
【0199】
本開示は更に、本明細書に記載の本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はその医薬組成物を対象に投与することを含む、対象における本明細書に記載の疾患又は病態の再発を予防、治療、又は介入する方法を提供する。
【0200】
本明細書に記載される病態又は疾患のいずれか1つのための本開示の化合物によるヒト又は哺乳動物対象の治療は、典型的には、医薬組成物中の化合物の投与によって達成される。本開示はまた、式(I)の化合物を薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物を包含する。いくつかの実施形態は、式(III)の化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0201】
ミトコンドリア代謝回転を刺激することによって治療することができる例示的な疾患には、ミトコンドリア病及び非ミトコンドリア病、血管疾患、炎症性疾患、腎疾患、眼疾患、神経疾患、神経変性疾患が含まれる。
【0202】
ミトコンドリア代謝回転に対する直接的な病原性連鎖(direct pathogenic link)を有することが示されている例示的な疾患には、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症、循環器疾患、パーキンソン病、造血障害、原発性胆汁性肝硬変/胆管炎(PBC)、敗血症、及び腎外傷/腎損傷が含まれる。
【0203】
いくつかの実施形態は、疾患又は病態を治療することを必要とする対象においてそれを行うことを提供し、ここで、疾患又は病態は、ミトコンドリア機能の欠陥(ミトコンドリアの損傷の蓄積又は生合成の障害を含むが、これらに限定されない)又はマイトファジーの欠陥(マイトファジーの遮断又はマイトファジーの障害など)を呈する。
【0204】
いくつかの実施形態では、疾患又は病態(例えば、ミトコンドリア機能の欠陥又はマイトファジーの欠陥を呈する疾患又は病態)は、MELAS、MERRF、リー症候群、早老症、ウェルナー症候群、若年性パーキンソン、遅発性パーキンソン病、早発性パーキンソン病、又はレット症候群である。
【0205】
いくつかの実施形態は、疾患又は病態の処置を必要とする対象においてそれを行うことを提供し、ここで、疾患又は病態は、原発性ミトコンドリア病である。
【0206】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質の有効量を対象に投与することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする対象においてそれ行う方法を提供し、ここで、疾患又は病態は、
シェーグレン症候群、早老症、レット症候群、ダウン症候群;毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経変性5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;ポンペ病;横紋筋肉腫;統合失調症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せである。
【0207】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質の有効量を対象に投与することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、ここで、疾患又は病態は、
シェーグレン症候群、早老症、レット症候群、ダウン症候群;毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経変性5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;ポンペ病;横紋筋肉腫;統合失調症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せであり、
ここで、MAS受容体アゴニストは、式(III)の化合物である。
【0208】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質の有効量を対象に投与することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、ここで、疾患又は病態は、
シェーグレン症候群、早老症、レット症候群、ダウン症候群;毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経変性5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;ポンペ病;横紋筋肉腫;統合失調症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せであり、
MAS受容体アゴニストは、化合物7、化合物10、Nle3-A(1-7)、及びアンジオテンシン(1-7)からなる群から選択される。
【0209】
本明細書のいくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、当該対象のマイトファジーを刺激することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法を提供する。
【0210】
マイトファジーの刺激は、ミトコンドリアの機能及び完全性を改善し得るものと考えられる。ミトコンドリアの機能及び完全性を評価するために、形態学的変化及び総質量、mtDNAコピー数及びヘテロプラスミシフト、ROS産生、電子鎖機能、並びにATPシンターゼ加水分解能力などの、複数のパラメータを評価することができるものと考えられる。
【0211】
ミトコンドリア形態は損傷の蓄積及びマイトファジー誘導によって変化し得る。具体的には、ミトコンドリア膜電位の持続的脱分極が起こる場合、ミトコンドリア分裂が、分解のため損傷ミトコンドリアを単離するために必要とされる。逆に、膜電位を維持することではこの分解は可能にならず、健康な細胞では、細長い形態が観察される。このように、ミトコンドリア形態は、ミトコンドリア完全性を評価するための重要なパラメータである。形態学を共焦点顕微鏡法によって評価し、画像を定量化して、当該分野で公知の方法に従ってミトコンドリアのサイズ及び形状(すなわち、アスペクト比及び円形度)を測定する。同様に、ミトコンドリア質量は、総体積又は総面積によって評価することができるが、相補的な方法もまた使用することができる。そのために、ウエスタンブロッティングによる細胞溶解物中の組込みタンパク質の総量、及びRT-PCRによって測定可能なmtDNAコピー数を使用して、ミトコンドリア質量を決定することができる。
【0212】
mtDNA変異及び可変ヘテロプラスミレベルを有する欠失を伴う細胞では、疾患を引き起こす変化から野生型DNAへのシフトを使用して、マイトファジーによるクリアランスを評価することができる。そのために、ヘテロプラスミー%の評価は、ヘテロプラスミーレベル及び変化のタイプ(点変異又は欠失)を検出するために必要な感受性に応じて、当技術分野で公知の方法、例えばNGSシーケンシング、単一細胞液滴デジタルPCR、又はランダム変異捕捉アッセイなどによって実施することができる。ミトコンドリア機能障害はまた、ROSレベルを増加させ、より構造的かつmtDNA損傷のための最適な環境を作り出すことができる。いくつかの実施形態では、mitosox又は供給電圧に比例したプローブなどのミトコンドリア標的化蛍光ツールを負荷した細胞を画像化することによるROSレベルの評価は、顕微鏡法を用いて当技術分野で公知の方法に従って実施することができる。
【0213】
ミトコンドリア損傷及びマイトファジーはまた、ETC機能に影響を及ぼす可能性があり、呼吸測定又は特異的複合体活性を特定の疾患シナリオで評価することができる。より具体的には、ATPシンターゼがATPを産生する能力は、ミトコンドリア集団がどの程度健康であるかを評価する方法である。特定の条件下において、電気化学的プロトン勾配が下がり始めるとき、ATPシンターゼは方向を逆にして反時計回りで回転し、ATPを加水分解してミトコンドリアマトリックスから膜間腔へとプロトンを能動的に輸送し、それによって、ミトコンドリア内膜を横切るプロトン勾配を維持し、脱分極を防ぐことができる。CVによるATP加水分解の結果として、他の細胞プロセスに利用可能なATPは少なくなり、脱分極の防止はまた、マイトファジーも遮断する。
【0214】
本明細書のいくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、当該対象のマイトファジーを刺激することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、ここで、MAS受容体アゴニストは、式(III)の化合物である。
【0215】
本明細書のいくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、当該対象のマイトファジーを刺激することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法を提供し;ここで、MAS受容体アゴニストは、化合物7、化合物10、Nle3-A(1-7)、及びアンジオテンシン(1-7)からなる群から選択される。
【0216】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、当該対象のマイトファジーを刺激することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、ここで、疾患又は病態は、
シェーグレン症候群、早老症、レット症候群、ダウン症候群;毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経変性5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;ポンペ病;横紋筋肉腫;統合失調症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せである。
【0217】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、当該対象のマイトファジーを刺激することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、ここで、疾患又は病態は、
シェーグレン症候群、早老症、レット症候群、ダウン症候群;毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経変性5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;ポンペ病;横紋筋肉腫;統合失調症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せであり、
ここで、MAS受容体アゴニストは、式(III)の化合物である。
【0218】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、当該対象のマイトファジーを刺激することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする対象においてそれを行う提供し、ここで、疾患又は病態は、
シェーグレン症候群、早老症、レット症候群、ダウン症候群;毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経変性5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;ポンペ病;横紋筋肉腫;統合失調症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せであり、
MAS受容体アゴニストは、化合物7、化合物10、Nle3-A(1-7)、及びアンジオテンシン(1-7)からなる群から選択される。
【0219】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、ここで、疾患又は病態は、
シェーグレン症候群、早老症、レット症候群、ダウン症候群;毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経2.2変性(neurodege2.2neration)5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;ポンペ病;横紋筋肉腫;統合失調症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せである。
【0220】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、ここで、疾患又は病態は、
シェーグレン症候群、早老症、レット症候群、ダウン症候群;毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経2.2変性(neurodege2.2neration)5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;ポンペ病;横紋筋肉腫;統合失調症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せであり、
ここで、MAS受容体アゴニストは、式(III)の化合物である。
【0221】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、ここで、疾患又は病態は、
シェーグレン症候群、早老症、レット症候群、ダウン症候群;毛細血管拡張性運動失調症;常染色体優性視神経萎縮症;バース症候群;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルルヴォア・サグエ型痙性失調症;コケイン症候群;ダノン病;ファブリー病;ファンコニ貧血;フリードライヒ運動失調症;フックス内皮ジストロフィー;ゴーシェ病;低身長及び奇形骨格異常を伴う知的発達障害;カーンズ・セイヤー症候群;クラッベ病;乳酸アシドーシス;ラフォラ病;レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群;精神遅滞、X連鎖性、症候性、ターナー型(MRXST);母系遺伝性糖尿病及び難聴症候群(MIDD);小頭症18(MCPH18);小眼球症候群7;ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS);ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、及び脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE);ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS);mtDNAヘテロプラスミー;メチルマロン酸血症(MMA);ムコリピドーシスII(ML II);多発性スルファターゼ欠損症;運動失調、ジストニア、及び注視麻痺を伴う神経変性(NADGP);赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん(MERRF);脳内鉄沈着を伴う神経2.2変性(neurodege2.2neration)5(NBIA5);てんかん発作の有無にかかわらない痙性四肢麻痺及び脳異常を伴う神経発達障害(NEDSBAS);神経セロイドリポフスチン症;ニーマン・ピック病;神経障害、運動失調、及び網膜色素変性(NARP);ピアソン症候群;ポンペ病;横紋筋肉腫;統合失調症;痙性対麻痺15型;痙性対麻痺49型;脊髄小脳変性症4(SCA4);脊髄小脳変性症25(SCA25);Vici症候群;ウェルナー症候群;ウォルフラム症候群;色素性乾皮症(XP)A群;ツェルウェーガー症候群;又はそれらの任意の組合せであり、
MAS受容体アゴニストは、化合物7、化合物10、Nle3-A(1-7)、及びアンジオテンシン(1-7)からなる群から選択される。
【0222】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、当該対象のマイトファジーを刺激することを含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、ここで、対象は、C9orf72変異、Optn(オプチニューリン)変異、又はTBK1変異を呈する。
【0223】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、当該対象のマイトファジーを刺激することを含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、ここで、対象は、C9orf72変異、Optn(オプチニューリン)変異又はTBK1変異を呈し、MAS受容体アゴニストは、式(III)の化合物である。
【0224】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、当該対象のマイトファジーを刺激することを含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、ここで、対象は、C9orf72変異、Optn(オプチニューリン)変異又はTBK1変異を呈し、MAS受容体アゴニストは、化合物7、化合物10、Nle3-A(1-7)、及びアンジオテンシン(1-7)からなる群から選択される。
【0225】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、対象のマイトファジーを刺激することを含む、パーキンソン病の治療を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し;ここで、対象は、LRRK2変異、GBA変異、Pink1変異、又はPrkn2変異を呈する。
【0226】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、対象のマイトファジーを刺激することを含む、パーキンソン病の治療を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し;ここで、対象は、LRRK2変異、GBA変異、Pink1変異、又はPrkn2変異を呈し、MAS受容体アゴニストは、式(III)の化合物である。
【0227】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、対象のマイトファジーを刺激することを含む、パーキンソン病の治療を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し;ここで、対象は、LRRK2変異、GBA変異、Pink1変異、又はPrkn2変異を呈し、MAS受容体アゴニストは、化合物7、化合物10、Nle3-A(1-7)、及びアンジオテンシン(1-7)からなる群から選択される。
【0228】
いくつかの実施形態は、疾患又は病態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、本方法は、
対象のマイトファジーを刺激することと、
MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することと、
ミトコンドリア生合成を刺激する有効量の薬剤を対象に投与することと、
による、対象のマイトファジーを刺激することを含み、
ここで、疾患又は病態は、アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);循環器疾患;前頭側頭型認知症;造血障害;パーキンソン病;原発性胆汁性肝硬変/胆管炎(PBC);敗血症;腎外傷/腎損傷、高血圧、がん、又はそれらの任意の組合せである。
【0229】
いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、アルツハイマー病である。いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、ALSである。いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、高血圧である。いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、がんである。いくつかの実施形態では、がんは、骨がんである。いくつかの実施形態では、がんは、骨肉腫である。
【0230】
いくつかの実施形態は、有効量の追加の治療剤を対象に投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、ウロリチンAである。
【0231】
いくつかの実施形態は、ミトコンドリア生合成を刺激する有効量の薬剤を対象に投与することを更に含む。ミトコンドリア生合成を刺激する薬剤の非限定的な例は、AMPK活性化剤(AICARなど)、SIRT1活性化剤(レスベラトロール、SRT1720、SRT1460、SRT2104、及びSRT2379など)、β2-アドレナリンアゴニスト(ホルモテロールなど)、5HTアゴニスト(LY344、864、及びDOIなど)、CB1アゴニスト(リモナバンなど)、PPARαアゴニスト(フィブラート及びチアゾリジンジオンなど)、PPARγアゴニスト(GW501516など)、糖質コルチコイドアゴニスト(デキサメタゾンなど)、PDE阻害物質(シルデナフィル又はバルデナフィルなど)、一酸化窒素模倣物(DETA-NO)、GC活性化剤(BAY-41-2272、シナシグアト、リオシグアトなど)、天然ペプチド(ANP又はBNP)、天然物(緑茶ポリフェノール、リポアミド、イソフラボン、ケルセチンなど)、及び遺伝性モジュレータ(組換えTFAM又はドナーmtDNAなど)である。
【0232】
いくつかの実施形態は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、当該対象のマイトファジーを刺激することを含む、疾患又は病態を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、
ここで、疾患又は病態は、アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);循環器疾患;前頭側頭型認知症;造血障害;パーキンソン病;原発性胆汁性肝硬変/胆管炎(PBC);敗血症;腎外傷/腎損傷、高血圧、がん、又はそれらの任意の組合せであり、
ここで、対象は、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質の投与の前に、
乳酸レベルの上昇;ホスホクレアチン回収の障害;ミトコンドリア呼吸器複合体タンパク質及び活性レベルの低下;下方制御ミトコンドリア遺伝子;血漿アシルカルニチンレベルの上昇;ミトコンドリアDNA(mtDNA)欠失変異頻度の上昇;クレアチンレベルの上昇;線維芽細胞増殖因子21(FGF21)のレベル上昇;増殖/分化因子15(GDF-15)のレベル上昇;無細胞循環mtDNA(ccf-mtDNA)のレベル上昇;神経細線維軽鎖(NF-L)のレベル上昇;脱分極ミトコンドリア又は酸化された含有量、損傷された含有量、又は構造の乱れを有するミトコンドリアのレベル上昇;ミトコンドリアにおける不均一性の上昇;又は細胞質ゾル若しくは血漿中に放出されるmtDNAレベルの上昇のうち1つ以上を呈する。
【0233】
本明細書ではまた、MAS受容体アゴニスト、又はMAS受容体アゴニストの体内産生を誘発する物質のマイトファジー刺激量を対象に投与することによって、対象のマイトファジーを刺激することを含む、機能障害性マクロファージ、単球、ミクログリア細胞、又は好中球によって引き起こされた疾患又は病態の治療を必要とする対象においてそれを行う方法が提供される。機能障害性マクロファージ、単球、ミクログリア細胞、又は好中球によって引き起こされる疾患又は病態の非限定的な例は、限られた食作用活性及び抗原提示能を有する老化し疲弊したマクロファージ、単球、及びミクログリア細胞によって引き起こされる疾患又は病態であり得る。
【実施例】
【0234】
方法
以下の実施例は、本開示を作製及び使用する方法の完全な開示及び説明を当業者に提供するために記載されており、本発明者が本開示と見なす範囲を限定することを意図するものではない。使用される数(例えば、分量、量、温度、濃度など)に関して正確性を確保するための努力がなされてきたが、いくつかの実験誤差及び逸脱が許容されるべきである。別段の指示がない限り、部とは重量部であり、分子量とは平均分子量であり、温度とは摂氏であり、圧力とは大気圧又は大気圧付近である。
【0235】
INS1細胞株又はU2OS細胞株を用いて行われた本明細書に記載の研究には、以下の方法を使用した。実施例1~実施例5に記載されるデータは、特に断らない限り、INS1細胞株において達成された。
【0236】
ウイルス形質導入
細胞を播種し、24ウェルプレート中の予め配置されたカバーガラスで培養した。カバーガラスをコーティングする必要はない。細胞に、1mLのmCherry-GFP-Fis1101-152アデノウイルスの作業用ストックを形質導入した。作業用ストックは、最初に1μLのストックであるmCherry-GFP-Fis1101-152ウイルス(1×1012vp/mL;Welgen(商標))を、500μLの5mM RPMI溶液(「Roswell Park Memorial Institute」溶液)(溶液A)中に希釈することによって調製し、次いで、0.75μL/ウェルの溶液Aを24mLの5mM RPMIに移すことによって更に希釈した。ウイルスインキュベーションを5%CO2インキュベータにおいて37℃で24時間実施した。24時間後、処理を実施した。異なる化合物を、8時間、24時間、及び72時間処理した。処理が完了したとき、細胞を予熱した4%パラホルムアルデヒド(paraformaldehyde、PFA)で固定した。PFAを、PBS-0.2%TWEEN(登録商標)溶液の2回の洗浄によって除去した。
【0237】
画像化装置
全ての画像化をZeiss(商標)LSM880で実施した。63倍のアポクロマート油浸レンズ及びAiryScan(商標)超解像検出器(Huffら、2015年)を用いて、超解像画像化を実施した。全てのフルオロフォアは、ブリードスルー発光に起因する人工物を回避するために別個のトラック上で励起された。GFP及びMitoTrackerGreen(商標)を、488nm、25mWのアルゴンイオンレーザで励起し、それらの発光を500~550nmのバンドパスフィルタを通して捕捉した。mCherryを、543nm、1mWヘリウム-ネオンレーザ、又は561nm、20mWのダイオード励起固体レーザで励起し、それらの発光を580~650nmのバンドパスフィルタを通して捕捉した。
【0238】
MitoQCの画像分析
全ての画像分析をCellProfiler(商標)ソフトウェア(https://cellprofiler.org/)で実施して、形態学的性質及びマイトファジー事象でのミトコンドリア構造を識別した。個々のミトコンドリア蛍光強度及び面積をCellProfiler(商標)で測定し、Microsoft Excel(登録商標)にインポートした。面積が2ピクセルより小さいミトコンドリアは最終分析に含まれなかった。画像をトップハットフィルタリングに供し、続いて、ミトコンドリアをセグメント化するためのグローバル閾値Otsu法に供した。これを赤色チャネル及び緑色チャネルの両方で実施した。
【0239】
ミトコンドリア呼吸測定
INS1細胞及びU2OS細胞の呼吸測定を、以前に記載されたように(Ferrick他、2008年)、Seahorse Bioscience(商標)XF96プラットフォーム(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)を用いて実施した。各ウェル中のβ細胞の酸素消費量は、酸素濃度の時間に対する変化によって測定される。また、ミトコンドリア解糖を、pH対時間の変化によって測定された細胞外酸性化率(ECAR)の読み出しとして測定した。INS1細胞を、120μL/ウェルの5mM RPMI、XF96マイクロプレートの22,000細胞/ウェルに播種し、一晩播種した後、処理を24時間後に実施した。2日後、Seahorse(商標)XF 96を用いて呼吸測定を実施した。
【0240】
アッセイの前に、INS1細胞又はU2OS細胞を、150~185μL/ウェルのSeahorse(商標)アッセイ培地(XFベース最小DMEM、pH7.4、2mmol/Lグルコース、1mMピルビン酸ナトリウム、及び2mMl-グルタミンを補充)中において、37℃で1時間インキュベートした。ポートインジェクションのために、ポートAにOligomycin(最終濃度3μmol/L)、ポートBに80%ピルビン酸ナトリウムと20%1:1L-ロイシン/L-グルタミンの混合物で希釈したカルボニルシアニドp-トリフルオロメトキシフェニルヒドラゾン(FCCP)(11.4mmol/Lピルビン酸ナトリウム中最終濃度1.27μmol/LFCCP及びロイシン/グルタミンの各々2.9mmol/L)、並びにポートCにロテノン及びアンチマイシンA(最終濃度2.5μmol/L)などの栄養素/化合物を注射した。Seahorse(商標)の実行が完了したとき、酸素消費速度(OCR)及び細胞外酸性化率(ECAR)をAgilent Wave(商標)ソフトウェアからエクスポートし、Microsoft Excel(登録商標)の細胞数によって正規化した。細胞を、2倍又は10倍の対物レンズを備える明視野モードでOperettaハイスループット画像化装置(PerkinElmer)を用いて、Seahorse(商標)実験の後に画像化した。
【0241】
ミトコンドリア含有量
細胞を、適切な培養培地で満たされたペトリ皿内のカバーガラス上で培養するか、又は4チャンバーガラス底皿内で直接増殖させ、その後、細胞をLSM880上で画像化した。実験あたり条件あたり少なくとも30個の細胞を収集し、クローン細胞を画像化するために少なくとも3つの別個の実験を実施した。画像分析をCellProfiler(商標)ソフトウェア(https://cellprofiler.org/)で実行して、マイトファジー事象を測定した。個々のミトコンドリア蛍光強度及び面積をCellProfiler(商標)で測定し、Microsoft Excelにインポートした。面積が2ピクセルより小さいミトコンドリアは最終分析に含まれなかった。画像をトップハットフィルタリングに供し、続いて、ミトコンドリアをセグメント化するためのグローバル閾値Otsu法に供した。ミトコンドリア含有量の量を評価するために、ミトコンドリア構造として同定された物体の緑色蛍光強度を定量化した。対照処置のジメチルスルホキシド(DMSO)に対してデータを正規化した。
【0242】
形態
全ての画像分析をCellProfilerソフトウェア((https://cellprofiler.org/)で実施して、マイトファジー事象でのミトコンドリア構造を識別した。個々のミトコンドリア蛍光強度及び面積をCellProfilerで測定し、Microsoft Excelにインポートした。面積が2ピクセルより小さいミトコンドリアは最終分析に含まれなかった。画像をトップハットフィルタリングに供し、続いて、ミトコンドリアをセグメント化するためのグローバル閾値OTSU法に供した。これを赤色チャネル及び緑色チャネルの両方で実施した。ミトコンドリアに相当する楕円の長軸(短軸上の長軸)を用いて長さを計算し、形状因子により分岐度を測定した(FF;周囲長2/4π*面積)。
【0243】
マイトファジー
INS1細胞を、4コンパートメントCELLVIEW(商標)ガラス底細胞培養皿に2×104細胞/コンパートメントの密度で播種した。48時間後、細胞に、蛍光性マイトファジーレポータmCherry-GFP-Fis1101-152をコードするアデノウイルス構築物を24時間形質導入した。示された処置濃度又はビヒクル対照としての0.1%DMSOを含有する培地交換を、画像化セッションの8時間前に実施した。Zeiss LSM880共焦点顕微鏡の63倍Plan Neofluar対物レンズ及びAiryscanモジュールを用いて画像化を実施した。合計で59~85個の細胞を含む25の視野を条件ごとに画像化した。実験を独立して3回繰り返した。FIJI ImageJ 1.51p及びCellProfiler 2.2.0 rev ac0529eを用いて画像分析を実施した。簡潔には、個々の細胞をクロップし、メディアンフィルタ支援処理法を用いてバックグラウンドを差し引いた。赤色/緑色蛍光チャネルの比率を計算し、緑色に対する赤色のより低いカットオフ比率2.5に基づいて、マイトファジー陽性構造を認識した。細胞あたりのマイトファジー事象を以下の式によって決定した:細胞あたりのマイトファジー事象1/4、細胞あたりのマイトファジー陽性構造の総面積、1つのマイトファジー構造の平均面積。データをDMSO対照に対して正規化して、毎日の変動を解説した。GraphPad Prism 7.02を用いて統計分析を実施した。一元配置分散分析及びテューキー事後検定を用いて有意な処置差を決定した。P<0.05(*)の値を有意とみなした。
【0244】
線維芽細胞
対照及び患者の皮膚由来線維芽細胞を、固定し(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中4%パラホルムアルデヒド)、透過処理し(PBS中0.1%Triton(登録商標) X-100)、ブロッキング溶液(5%ヤギ血清)中の抗LC3、抗TOMM20及び二次抗体(Invitrogen)で染色した。Zeiss Pla-Apochromat 40x/1.2対物レンズを備えたAiryscanを有するZeiss LSM880を用いて、3DZスタックの共焦点画像取得を実施した。マイトファゴソーム(mitophagosome)の定量化(LC3+TOMM20共局在化)を、Aivia v.10ソフトウェア(Leica Microsystems)を用いて実施した。両方のチャネルを使用して、ピクセル分類機械学習技術を用いて信頼度マップを作成した。3D共局在化を実施して、LC3小胞を計数した。グラフは、LC3総数からのTOMM20との共局在化LC3小胞の%を示す。各条件からおよそ50個の細胞を取得し、ランダムに分析した。対照細胞株と患者細胞株との間の統計には、ダネットの多重比較による一元配置分散分析を使用した。
【0245】
実施例1.化合物はマイトファジーを刺激する
図6Aは、50nMのDMSO陰性対照、アンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7を含む、様々な試験化合物による3回の処置期間後のマイトファジーの速度を示す。
【0246】
図6Bは、DMSO陰性対照、並びに4つの異なる用量のMAS受容体アゴニストであるアンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、及び化合物7による8時間の処置後のマイトファジーの速度を示す。
【0247】
図6Cは、MAS受容体活性化、及びMAS受容体の化学的ノックダウンに対するマイトファジー応答を示す。細胞を、DMSO陰性対照;1μM MAS受容体阻害物質A779;アンジオテンシン(1-7);アンジオテンシン(1-7)+A779;Nle
3-A(1-7);Nle
3-A(1-7)+A779;化合物7;及び化合物7+A779で処理した。実験の結果は、MAS受容体活性がミトコンドリア代謝回転に直接影響を及ぼすという強力な証拠である。
【0248】
図14は、試験したMASアゴニストがU2-OS細胞においてマイトファジーを誘導したことを実証する。
【0249】
実施例2.化合物治療後のミトコンドリア機能は正常である
図7A、
図7B、及び
図7Cは、陰性対照、ミトコンドリアなし対照、並びに3つの異なる濃度のMAS受容体アゴニストNle
3-A(1-7)(
図7A)、アンジオテンシン(1-7)(
図7B)、及び化合物7(
図7C)で処理した細胞における、酸素消費速度(OCR)を示す。CCCPは、OXPHOSの化学的阻害物質であるカルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾンであり、これは、ミトコンドリア活性の陰性対照としてこれらの実験で作用する。
【0250】
実施例3.細胞外酸性化率は試験化合物によって変化しない
図8A、
図8B及び
図8Cは、陰性対照、ミトコンドリアなし対照、並びに3つの異なる濃度のMAS受容体アゴニストNle
3-A(1-7)(
図8A)、アンジオテンシン(1-7)(
図8B)、及び化合物7(
図8C)で処理した細胞における、細胞外酸性化率(ECAR)を示す。CCCPは、ミトコンドリア活性の陰性対照としてこれらの実験で作用する。
【0251】
実施例4.ミトコンドリア質量に対する化合物の効果
図9は、様々な期間、濃度、及び試験化合物の試験処理後の細胞ミトコンドリア質量を示す。細胞を、8時間、24時間、及び72時間の3つの濃度のDMSO陰性対照、Nle
3-A(1-7)、アンジオテンシン(1-7)、及び化合物7で処理した。安定な細胞ミトコンドリア含有量は、有糸分裂したミトコンドリアが生合成を介して新しいミトコンドリアによって置き換えられているという強力な証拠である。
【0252】
【0253】
図11A、
図11B、
図11C、
図11D、
図11E、
図11F、
図11G、及び
図11Hは、DMSO陰性対照、A779(MAS受容体阻害物質)、アンジオテンシン(1-7)、アンジオテンシン(1-7)+A779、Nle
3-A(1-7)、Nle
3-A(1-7)+A779、化合物7、及び化合物7+A779で処理した後の超解像顕微鏡写真の細胞を示す。
【0254】
図12は、アンジオテンシン(1-7)、Nle
3-A(1-7)、又は化合物7による8時間、24時間、及び72時間の処置後の、細胞中の細胞ミトコンドリアの形態を簡単に説明する表を示す図である。
【0255】
短い又は丸いミトコンドリアの接続性及び形成の減少は、mtDNA枯渇、又はミトコンドリア毒素による治療などのミトコンドリア機能を損なう条件下において起こる。これらは、高度に細長く分岐した形態から断片化された形態に移行する。MASアゴニストによる処置は、試験した用量での全体的な断片化などのミトコンドリアストレスに関連したミトコンドリア形態の変化を誘導しない。
【0256】
実施例6:線維芽細胞研究
特定の疾患におけるマイトファジーの欠陥をもたらすミトコンドリア遺伝性変異を、以下の表で要約するように同定した(
図13もまた参照されたい)。そのような疾患では、(例えば、MASアゴニストの投与によって)マイトファジーを刺激することにより、そのような疾患に罹患している患者を治療することができるものと企図される。
【0257】
【配列表】
【国際調査報告】