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特表2024-505276隔膜が備えられた電解液補正部を含む水電解装置
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  • 特表-隔膜が備えられた電解液補正部を含む水電解装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】隔膜が備えられた電解液補正部を含む水電解装置
(51)【国際特許分類】
   C25B 15/00 20060101AFI20240129BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20240129BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20240129BHJP
   C25B 9/19 20210101ALI20240129BHJP
   C25B 13/02 20060101ALI20240129BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
C25B15/00 302Z
C25B9/00 A
C25B1/04
C25B9/19
C25B13/02 301
C25B15/08 302
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547034
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 KR2022001103
(87)【国際公開番号】W WO2022164132
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0014169
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516357351
【氏名又は名称】テックウィン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TECHWIN Co., LTD
【住所又は居所原語表記】(Songjeong-dong) 60, Jikji-daero 474beon-gil, Heungdeok-gu, Cheongju-si, Chungcheongbuk-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ジュン シク キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン ス シン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン テク ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】サン テク ヒュン
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BB03
4K021BB04
4K021BB05
4K021BC01
4K021BC03
4K021BC04
4K021CA08
4K021CA10
4K021CA11
4K021DB31
4K021DB34
4K021DB36
4K021DC01
4K021DC03
(57)【要約】
本発明は隔膜が備えられた電解液補正部を含む水電解装置に関し、電解液内の濃度差を除去するための隔膜を含む電解液補正部を含むことによって、水電解装置の気相領域中のガス組成が爆発限界に到達することを防止するとともに、正極室から排出される電解液と負極室から排出される電解液をそれぞれ独立的に循環させる場合にも電解液の濃度差による液面差が発生しないので、これを解消するための付加的な装置が不要であり、電解液の再注入および稼動安定化による工程性が低下する問題を解決できる効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁で区分された正極室および負極室を含む電解槽;
正極室電解液収容部および負極室電解液収容部を含み、前記正極室電解液収容部および前記負極室電解液収容部は隔膜によって区分された電解液補正部;
前記電解槽の正極室および前記電解液補正部の正極室電解液収容部を連通する正極循環ライン;および
前記電解槽の負極室および前記電解液補正部の負極室電解液収容部を連通する負極循環ラインを含む、水電解装置。
【請求項2】
前記正極循環ラインに備えられる正極側気液分離器;および
前記負極循環ラインに備えられる負極側気液分離器をさらに含む、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項3】
前記正極側気液分離器は正極循環ラインに沿って電解槽の正極室の後端および電解液補正部の正極室電解液収容部の前端に備えられ、
前記負極側気液分離器は負極循環ラインに沿って電解槽の負極室の後端および電解液補正部の負極室電解液収容部の前端に備えられる、請求項2に記載の水電解装置。
【請求項4】
前記正極側気液分離器は正極循環ラインに沿って電解液補正部の正極室電解液収容部の後端および電解槽の正極室の前端に備えられ、
前記負極側気液分離器は負極循環ラインに沿って電解液補正部の負極室電解液収容部の後端および電解槽の負極室の前端に備えられる、請求項2に記載の水電解装置。
【請求項5】
前記隔膜は電解液およびイオンは透過可能であり、
気体は不透過性である、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項6】
前記隔膜は多孔膜である、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項7】
前記隔膜は陽イオン交換膜または陰イオン交換膜である、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項8】
前記隔膜は複数で備えられ、前記正極室電解液収容部および前記負極室電解液収容部が互いに交互に配置される、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項9】
前記正極室電解液収容部および前記負極室電解液収容部が互いに交互に配置される時、収容部が交互に配列される方向により交互に配置される複数の隔膜は陽イオン交換膜と陰イオン交換膜が交互に備えられるものである、請求項8に記載の水電解装置。
【請求項10】
電解液補正部内の両端にはそれぞれ正極および負極が備えられて正極と負極の間に隔膜が位置する、請求項8に記載の水電解装置。
【請求項11】
前記隔膜は陽イオン交換膜または陰イオン交換膜であり、
正極室電解液収容部の正極と隣接した側面には陽イオン交換膜が位置し、負極と隣接した側面には陰イオン交換膜が位置し、
負極室電解液収容部の正極と隣接した側面には陰イオン交換膜が位置し、負極と隣接した側面には陽イオン交換膜が位置する、請求項10に記載の水電解装置。
【請求項12】
電解槽の負極室、電解液補正部の負極室電解液収容部および負極循環ラインのうち少なくとも一つには水を供給するための水供給管および水供給ポンプがさらに備えられた、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項13】
電解槽の負極室、電解液補正部の負極室電解液収容部、負極側気液分離器および負極循環ラインのうち少なくとも一つには水を供給するための水供給管および水供給ポンプがさらに備えられた、請求項2に記載の水電解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は隔膜が備えられた電解液補正部を含む水電解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な水素生産技術である水電解技術は電気エネルギーを利用して水から水素を直接生産する技術であって、高純度の水素を環境に優しく製造することができる。前記水電解技術はアルカリ水電解、高分子電解質水電解、および固体酸化物水電解に区分される。
【0003】
前記水電解技術の中でもアルカリ水電解技術は、安価で大容量に水素の生産が可能であるという利点がある。アルカリ水電解装置は水素を生産する電解槽、電解槽から排出された気相の水素または酸素と電解液を分離する気液分離器、気液分離器から排出された液相を貯蔵しこれを再び電解槽に投入する電解液貯蔵槽および電解液を適切に供給し電力を制御および管理する運転装置(Balance of Plant)で構成される。
【0004】
また、前記電解槽は電解質、分離膜および電極である正極(アノード)と負極(カソード)からなり、前記正極および負極では下記の反応が起きる:
【0005】
正極:2OH→1/2O+HO+2e
【0006】
負極:2HO+2e→H+2OH
【0007】
前記電解槽の正極室で前記反応によって生産された溶存酸素ガスを含む電解液が正極側気液分離器を通じて酸素ガスおよび電解液に分離され、前記電解槽の負極室で前記反応によって生産された溶存水素ガスを含む電解液が負極側気液分離器を通じて水素ガスおよび電解液に分離される。
【0008】
この時、前記アルカリ水電解を利用した水素の生産において溶存ガスの問題が存在することになる。すなわち、電解槽の正極室から回収される電解液には正極反応で発生した酸素ガスの一部が溶存しており、負極室で回収される電解液には負極反応で発生した水素ガスの一部が溶存している。ここで、電解液に溶存する酸素ガスおよび溶存する水素ガスとは、電解液内に酸素ガスおよび水素ガスが溶解している状態および酸素ガスおよび水素ガスが微細気泡の形態で残存する状態を含む概念である。正極室で回収された電解液と負極室で回収された電解液が電解液貯蔵槽内で混合されるので、電解液貯蔵槽内の電解液には酸素ガスおよび水素ガスが両方とも溶存している。電解液貯蔵槽内の電解液中に溶存している酸素ガスおよび水素ガスは徐々に気相中に放出されるので、電解液貯蔵槽の上部の気相部分には酸素ガスおよび水素ガスの濃度が徐々に上昇する。したがって、水電解装置の運転を継続する間電解液貯蔵槽の上部の気相部分でガス組成が爆発限界に到達する恐れがある。
【0009】
水素ガスを発生させる水電解装置に対する特許文献1には、正極を収容し正極ガスを発生させる正極室、負極を収容し水素ガスを発生させる負極室、前記正極室と前記負極室を区画する隔膜および電解液を前記正極室から排出するとともに、前記正極室に戻す正極側循環ラインを具備する水電解装置であって、前記正極側循環ラインが前記電解液から前記正極ガスを分離する正極側気液分離器と前記正極室と前記正極側気液分離器を接続し前記電解液と前記正極ガスを前記正極室から排出して前記正極側気液分離器に送給する正極側排出ラインと前記正極室と前記正極側気液分離器を接続し前記電解液を前記正極側気液分離器から排出して前記正極室に送給する正極側供給ラインを具備し、溶存された前記水素ガスが気相で存在し、前記水素ガスと前記正極ガスが混合する気相領域と前記正極側気液分離器を接続する正極ガス送給ラインを有し、前記正極ガス送給ラインが前記正極ガスのうち少なくとも一部を前記気相領域に送給し、前記気相領域中の前記水素ガス濃度が爆発限界下限値未満であることを特徴とする電解装置が記載されている。特許文献1の形態を有する水電解装置は、微量の水素ガスが電解液の循環ラインに次第に蓄積されて水素の爆発限界に到達する可能性を解消できると記載されている。
【0010】
しかし、特許文献1には電解液貯蔵槽の気相領域から排出されたガスを系外に放出することが記載されており、正極ガスを利用して電解液貯蔵槽の気相領域中のガスをパージした後にこれを排出する場合、排出されるガスを回収したとしても純度が高いガスを得ることは難しい問題がある。
【0011】
一方、正極室で回収された電解液と負極室で回収された電解液をそれぞれ他の電解液貯蔵槽に貯蔵および循環させる場合には、正極反応と負極反応で消費するモル数の差によって正極側電解液貯蔵槽と負極側電解液貯蔵槽内に存在する電解液の濃度差が発生する問題がある。
【0012】
正極側電解液貯蔵槽と負極側電解液貯蔵槽内に存在する電解液の濃度差の発生を防止するために正極側電解液貯蔵槽の液相領域と負極側電解液貯蔵槽の液相領域に連通配管を追加に設置する場合には、連通配管を通じて流入する電解液が溶存ガスを含んでいるため、連通配管を通じて電解液が流入する側の貯蔵槽で気相領域中のガス組成が爆発限界に到達する恐れがある。
【0013】
したがって、電解液貯蔵槽の気相領域中のガス組成が爆発限界に到達することを防止するとともに、正極室から排出される電解液と負極室から排出される電解液をそれぞれ独立的に循環させる場合にも電解液の濃度差が発生しない水電解装置が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2017-039982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、水電解装置の気相領域中のガス組成が爆発限界に到達することを防止するとともに、正極室から排出される電解液と負極室から排出される電解液をそれぞれ独立的に循環させる場合にも電解液の濃度差が発生しない水電解装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、隔壁で区分された正極室および負極室を含む電解槽;正極室電解液収容部および負極室電解液収容部を含み、前記正極室電解液収容部および前記負極室電解液収容部は隔膜によって区分された電解液補正部;前記電解槽の正極室および前記電解液補正部の正極室電解液収容部を連通する正極循環ライン;および前記電解槽の負極室および前記電解液補正部の負極室電解液収容部を連通する負極循環ラインを含む水電解装置を提供する。
【0017】
一実施例として、前記正極循環ラインに備えられる正極側気液分離器;および前記負極循環ラインに備えられる負極側気液分離器をさらに含むことができる。
【0018】
一実施例として、前記正極側気液分離器は正極循環ラインに沿って電解槽の正極室の後端および電解液補正部の正極室電解液収容部の前端に備えられ、前記負極側気液分離器は負極循環ラインに沿って電解槽の負極室の後端および電解液補正部の負極室電解液収容部の前端に備えられ得る。
【0019】
一実施例として、前記正極側気液分離器は正極循環ラインに沿って電解液補正部の正極室電解液収容部の後端および電解槽の正極室の前端に備えられ、前記負極側気液分離器は負極循環ラインに沿って電解液補正部の負極室電解液収容部の後端および電解槽の負極室の前端に備えられ得る。
【0020】
一実施例として、前記隔膜は電解液およびイオンは透過可能であり、気体は不透過性であり得る。
【0021】
一実施例として、前記隔膜は多孔膜であり得る。
【0022】
一実施例として、隔膜は陽イオン交換膜または陰イオン交換膜であり得る。
【0023】
一実施例として、前記隔膜は複数で備えられ、前記正極室電解液収容部および前記負極室電解液収容部が互いに交互に配置され得る。
【0024】
一実施例として、前記正極室電解液収容部および前記負極室電解液収容部が互いに交互に配置される時、収容部が交互に配列される方向により交互に配置される複数の隔膜は陽イオン交換膜と陰イオン交換膜が交互に備えられるものであり得る。
【0025】
一実施例として、前記電解液補正部内の両端にはそれぞれ正極および負極が備えられて正極と負極の間に隔膜が位置することができる。
【0026】
一実施例として、前記隔膜は陽イオン交換膜または陰イオン交換膜であり、正極室電解液収容部の正極と隣接した側面には陽イオン交換膜が位置し、負極と隣接した側面には陰イオン交換膜が位置し、負極室電解液収容部の正極と隣接した側面には陰イオン交換膜が位置し、負極と隣接した側面には陽イオン交換膜が位置することができる。
【0027】
一実施例として、電解槽の負極室、電解液補正部の負極室電解液収容部および負極循環ラインのうち少なくとも一つには水を供給するための水供給管および水供給ポンプがさらに備えられ得る。
【0028】
一実施例として、負極側気液分離器には水を供給するための水供給管および水供給ポンプがさらに備えられ得る。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、電解液の濃度差を除去するための隔膜を含む電解液補正部を含むことによって、水電解装置の気相領域中のガス組成が爆発限界に到達することを防止するとともに、正極室から排出される電解液と負極室から排出される電解液をそれぞれ独立的に循環させる場合にも電解液の濃度差が発生しないため、これを解消するための付加的な装置が不要であり、電解液の再注入および稼動安定化による工程性が低下する問題を解決できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の水電解装置の電解槽、電解液補正部、正極循環ラインおよび負極循環ラインを示した構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る水電解装置の構成図である。
図3】本発明の他の実施形態に係る水電解装置の構成図である。
図4】本発明の電解液補正部内部の隔膜の形態を示した概略図である。
図5】本発明の電解液補正部内部に陽イオン交換膜が複数で構成された形態を示した概略図である。
図6】本発明の電解液補正部内部に陰イオン交換膜が複数で構成された形態を示した概略図である。
図7】本発明の電解液補正部内部に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜が複数で構成された形態を示した概略図である。
図8】本発明の電解液補正部に電極が形成された形態を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は多様な変更を加えることができ、多様な実施例を有することができるところ、特定実施例を図面に例示して詳細な説明に具体的に説明しようとする。
【0032】
しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0033】
本発明で、「含む」、「具備する」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0034】
したがって、本明細書に記載された実施例に図示された構成は本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例があり得る。
【0035】
図1を参照すると、本発明は隔壁110で区分された正極室130および負極室150を含む電解槽100、正極室電解液収容部410および負極室電解液収容部420を含み、前記正極室電解液収容部410および前記負極室電解液収容部420は隔膜500により区分された電解液補正部400、前記電解槽の正極室130および前記電解液補正部の正極室電解液収容部410を連通する正極循環ライン250および前記電解槽の負極室150および前記電解液補正部400の負極室電解液収容部420を連通する負極循環ライン350を含む水電解装置1を提供する。
【0036】
前記水電解装置1は電解液を利用して電気分解によって酸素ガスおよび水素ガスを製造する装置である。
【0037】
前記電解槽100は正極140を含んで酸素ガスを発生させる正極室130および負極160を含んで水素ガスを発生させる負極室150を含む。前記正極室130および負極室150は隔壁110を通じて区分される。
【0038】
前記隔壁110は正極室130と負極室150を区画しガス遮断性を有するもので、その形態や素材は特に制限されない。
【0039】
前記隔壁110は所定の厚さを有する板状であり得、前記隔壁110は高い電解液透過性、高いイオン透過性および高いガス遮断性を有することが好ましい。前記隔壁の素材としては、高分子樹脂繊維と無機化合物を含むことができ、例えば、多孔質高分子フィルムを利用することができる。
【0040】
前記正極室130および負極室150はそれぞれ隔壁110と外部フレーム120により囲まれた空間が設けられ、電解液補正部400から流入した電解液がこれを通過する。
【0041】
この時、前記正極室の正極と、負極室の負極では下記の反応が起きる。
【0042】
正極:2OH→1/2O+HO+2e
【0043】
負極:2HO+2e→H+2OH
【0044】
すなわち、正極室では水酸化イオン(OH)が消耗しながら酸素ガスが発生し、負極室では水酸化イオン(OH)が生成されながら水素ガスが発生する。
【0045】
この時、前記アルカリ水電解を利用した水素の生産において溶存ガスの問題が存在することになる。すなわち、電解槽の正極室から排出される電解液には正極反応で発生した酸素ガスの一部が溶存しており、負極室から排出される電解液には負極反応で発生した水素ガスの一部が溶存している。
【0046】
本発明で電解液に溶存する酸素ガスおよび水素ガスとは、電解液内に酸素ガスおよび水素ガスが溶解している状態および酸素ガスおよび水素ガスが微細気泡の形態で残存する状態を含む概念である。
【0047】
したがって、水電解装置の運転を継続する間電解液の循環流れの過程で前記電解液に溶存する酸素ガスおよび水素ガスの濃度が所定の範囲(爆発範囲)を超過する場合、水電解装置が爆発し得る恐れが存在する。
【0048】
本発明では前記電解液に溶存する酸素ガスおよび水素ガスの濃度を爆発限界値以下に調節するために、前記電解槽100の前端または後端に電解液補正部400を設けたことを技術的特徴とする。
【0049】
本発明は前記正極循環ライン250に備えられる正極側気液分離器200および負極循環ライン350に備えられる負極側気液分離器300をさらに含むことができる。
【0050】
この時、一つの実施形態として、前記正極側気液分離器200は正極循環ライン250に沿って電解槽の正極室130および電解液補正部の正極室電解液収容部410の間に設けられ、具体的には、正極循環ライン250に沿って電解槽の正極室130の後端および電解液補正部の正極室電解液収容部410の前端に備えられる。また、前記負極側気液分離器300は負極循環ライン350に沿って電解槽の負極室150および電解液補正部の負極室電解液収容部420の間に設けられ得、具体的には、前記負極側気液分離器300は負極循環ライン350に沿って電解槽の負極室150の後端および電解液補正部の負極室電解液収容部420の前端に備えられ得る。
【0051】
図2を参照すると、本実施形態では正極循環ライン250は正極室130と正極側気液分離器200を連通する正極回収管210、正極側気液分離器200と正極室電解液収容部410を連通する正極電解液回収管230および正極室電解液収容部410と正極室130を連通する正極電解液供給管440に区分され得る。
【0052】
また、正極側気液分離器200は下部に位置した液相領域201および液相領域の上部に位置した気相領域202を含み、負極側気液分離器300は下部に位置した液相領域301および液相領域の上部に位置した気相領域302を含む。
【0053】
また、負極循環ライン350は負極室150と負極側気液分離器300を連通する負極回収管310、負極側気液分離器300と負極室電解液収容部420を連通する負極電解液回収管330および負極室電解液収容部420と負極室150を連通する負極電解液供給管450に区分され得る。
【0054】
具体的には、前記正極側気液分離器200は正極回収管210を通じて正極室130に連通し、正極室130から排出された電解液および酸素ガスを気液分離する。前記負極側気液分離器300は負極回収管310を通じて負極室150に連通し、負極室150から排出された電解液および水素ガスを気液分離する。
【0055】
この時、前記正極回収管210および負極回収管310は前記正極側気液分離器200および負極側気液分離器300の上部に連通され得る。
【0056】
正極側気液分離器200および負極側気液分離器300の上部に正極回収管210および負極回収管310が連通する場合、電解槽から排出された溶存ガスを含む電解液が気液分離器内部から液面に落ちる時間が増えることによって、気液分離効率を増加させることができる。
【0057】
前記電解液補正部400は正極電解液回収管230を通じて正極側気液分離器200および負極電解液回収管330を通じて負極側気液分離器300と連通し、前記電解液補正部400の内部には隔膜500が備えられている。
【0058】
具体的には、前記電解液補正部400は正極側気液分離器200と正極電解液回収管230を通じて連通する正極室電解液収容部410および前記負極側気液分離器300と負極電解液回収管330を通じて連通する負極室電解液収容部420を含み、前記正極室電解液収容部410および前記負極室電解液収容部420は隔膜500により区分されている。
【0059】
この時、前記正極電解液回収管230は正極側気液分離器200の液相領域201と連通し、前記負極電解液回収管330は負極側気液分離器300の液相領域301と連通する。
【0060】
前記電解液補正部400は前記正極側気液分離器200および負極側気液分離器300の液相領域201、301に存在する電解液を収容し、これをそれぞれ正極室電解液収容部410と連通した正極電解液供給管440および負極室電解液収容部420と連通した負極電解液供給管450を通じて電解槽100の正極室130および負極室150に供給する。
【0061】
また、前記正極電解液供給管440および負極電解液供給管450には電解液補正部400の電解液を電解槽100に供給するための循環ポンプ600を具備することができる。この時、前記循環ポンプ600は前記正極電解液供給管440および負極電解液供給管450を一つの供給管に合わせた後、一つの循環ポンプのみで構成してもよい。
【0062】
前記電解液補正部400に備えられた隔膜500に正極側気液分離器200から流入した電解液と負極側気液分離器300から流入した電解液が電解液補正部内で区分され得る。
【0063】
前記隔膜500はイオンおよび電解液は通過させ、電解槽で生成された水素ガスおよび酸素ガスを隔離するために液体と気体の透過度が異なり得る。
【0064】
具体的には、前記隔膜は気孔を含み、気孔の大きさを調節することによって、液体と気体の透過度を異ならせることができる。または高分子樹脂繊維または無機粒子の大きさを調節することによって、液体と気体の透過度を異ならせることができる。
【0065】
例えば、前記気孔、高分子樹脂繊維または無機粒子の大きさは0.01μm~10μmであり得る。
【0066】
前記のような特性を有する隔膜は気孔の直径、表面積、水と親水化度および気孔の形成構造を調節することによって達成することができ、例えば、高分子多孔膜、無機多孔膜、織布または不織布を利用することができる。
【0067】
前記隔膜は電解液およびイオンは透過可能であり、気体は不透過性であり得る。
【0068】
前記気体が不透過性であるとは、気体の透過率が5barの圧力で測定時に10 l/min.cm以下であるものであり得、例えば、前記隔膜は5barの圧力で測定時に気体透過率が7 l/min.cm以下または5 l/min.cm以下であり得る。
【0069】
前記隔膜500の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリメチルメタクリレ-ト、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミドおよびこれらの共重合体からなる群から選択された少なくとも一つであり得る。
【0070】
前記隔膜500は多孔膜であり得、3次元多孔性ネットワークを有することができる。
【0071】
多孔膜の気孔の大きさは電解液およびイオンは透過可能であり、気体は不透過性に制御できるのであれば特に限定されず、例えば、0.01μm~10μmであり得る。
【0072】
また、前記隔膜500はイオン交換膜であり得、前記イオン交換膜は陰イオン交換膜または陽イオン交換膜であり得る。前記イオン交換膜の例としては、フッ素含有系イオン交換膜が挙げられる。この時、前記イオン交換膜は多孔性または非多孔性であり得る。
【0073】
本発明は前記電解液補正部400に前記のような隔膜500を具備することによって、電解液補正部内で正極で発生した酸素ガスと負極で発生した水素ガスの混入を防止することができ、これを通じて、酸素ガス内の水素ガスの濃度および水素ガス内の酸素ガスの濃度を爆発範囲以下に維持することができる。
【0074】
すなわち、本発明に係る水電解装置は、電解槽100の正極室130、正極回収管210、正極側気液分離器200、正極電解液回収管230、正極室電解液収容部410および正極電解液供給管440を循環する電解液と電解槽100の負極室150、負極回収管310、負極側気液分離器300、負極電解液回収管330、負極室電解液収容部420および負極電解液供給管450を循環する電解液がそれぞれ独立的に循環する。
【0075】
したがって、本発明に係る水電解装置はそれぞれ酸素ガスと水素ガスが溶存する正極室および負極室の電解液の前記酸素および水素ガスが混合されないため、水素ガスの濃度を爆発範囲以内で維持することができる。
【0076】
また、電解槽100の正極室130および負極室150では、それぞれ水酸化イオン(OH)が消耗する反応と生成される反応によって正極室から排出される電解液と負極室から排出される電解液間の濃度勾配が発生し、これによる電解液の濃度差を補正する過程で水素ガスと酸素ガスが混合される問題があったが、本発明は電解液補正部に隔膜500を具備し、前記隔膜はイオン透過性を有するので正極室130から排出された電解液と負極室150から排出された電解液の濃度差を補正することができる。したがって、前記電解液の液面差の発生による付加的な装置を必要とする問題と電解液の再注入および稼動安定化による工程性が低下する問題を解決することができる。
【0077】
また、前記電解液補正部400は、正極側気液分離器200から流入する電解液と負極側気液分離器300から流入する電解液が複数の隔膜を挟んで互いに交互に流入することができる。
【0078】
すなわち、前記電解液補正部400は、隔膜が複数で備えられることによって、正極室電解液収容部410および前記負極室電解液収容部420が複数で形成され得、この時、正極室電解液収容部410および前記負極室電解液収容部420は互いに交互に複数で配置され得る。
【0079】
前記のように、正極室電解液収容部410および前記負極室電解液収容部420が複数の隔膜を挟んで形成されると、正極側気液分離器200から流入した相対的に低濃度の電解液と負極側気液分離器300から流入した相対的に高濃度の電解液が互いにイオンを交換することによって、濃度差が解消され得る。
【0080】
この時、前記複数の隔膜は陽イオン交換膜であるか陰イオン交換膜であり得、陽イオン交換膜のみで形成されるか、陰イオン交換膜のみで形成され得る。
【0081】
また、前記複数の隔膜は陽イオン交換膜と陰イオン交換膜が交互に備えられたものであり得る。
【0082】
この時、正極室電解液収容部410および前記負極室電解液収容部420が互いに交互に配置される時、収容部が交互に配列される方向により交互に配置される複数の隔膜は陽イオン交換膜と陰イオン交換膜が交互に備えられるものであり得る。
【0083】
また、前記電解液補正部400内の両端には、正極および負極が備えられて正極と負極の間に隔膜が位置することができる。電極に電源を印加して起電力差が発生すると、前記イオンの交換速度が速くなって生産性が向上し得る。
【0084】
具体的には、前記隔膜は陽イオン交換膜または陰イオン交換膜であり、正極室電解液収容部の正極と隣接した側面には陽イオン交換膜が位置し、負極と隣接した側面には陰イオン交換膜が位置し、負極室電解液収容部の正極と隣接した側面には陰イオン交換膜が位置し、負極と隣接した側面には陽イオン交換膜が位置することができる。また、正極および負極が備えられた空間には別途の電解質を供給するように構成することができる。
【0085】
本発明で使われる電解液はアルカリ塩が溶解したアルカリ水溶液であり得る。例えば、前記電解液はNaOH水溶液またはKOH水溶液であり得る。
【0086】
この時、アルカリ塩の濃度は1質量%~50質量%であり得、例えば、電解液がNaOH水溶液である場合、NaOHの含量は1質量%~20質量%または10質量%~15質量%であり得る。また、電解液がKOH水溶液である場合、KOHの含量は20質量%~50質量%であり得、例えば、25質量%~40質量%または25質量%~35質量%であり得る。
【0087】
また、前記電解槽の負極室150、電解液補正部の負極室電解液収容部420、負極側気液分離器300および負極循環ライン350には水貯蔵槽から水を供給するための水供給管および水供給ポンプが備えられ得る。
【0088】
本発明は他の実施形態として、前記正極側気液分離器200は正極循環ライン250に沿って電解液補正部の正極室電解液収容部410の後端および電解槽の正極室130の前端に備えられ、前記負極側気液分離器300は負極循環ライン350に沿って電解液補正部の負極室電解液収容部420の後端および電解槽の負極室150の前端に備えられ得る。
【0089】
図3を参照すると、前記実施形態では正極循環ライン250は正極室130と正極室電解液収容部410を連通する第2正極回収管211、正極室電解液収容部410と正極側気液分離器200を連通する第2正極電解液回収管231および正極側気液分離器200と正極室130を連通する第2正極電解液供給管441に区分され得る。
【0090】
また、負極循環ライン350は負極室150と負極室電解液収容部420を連通する第2負極回収管311、負極室電解液収容部420と負極側気液分離器300を連通する第2負極電解液回収管331および負極側気液分離器300と負極室150を連通する第2負極電解液供給管451に区分され得る。
【0091】
前記正極室電解液収容部410は第2正極回収管211を通じて正極室130に連通し、正極室130から排出された電解液および酸素ガスを収容する。前記負極室電解液収容部420は第2負極回収管311を通じて負極室150に連通し、負極室150から排出された電解液および水素ガスを収容する。
【0092】
前記電解液補正部400では隔膜500を通じて前記正極室電解液収容部410内の電解液と前記負極室電解液収容部420内の電解液のイオンを交換する。
【0093】
前記イオン交換を通じて正極室電解液収容部410内の電解液と前記負極室電解液収容部420内の電解液間の濃度差が解消される。
【0094】
前記正極室電解液収容部410は第2正極電解液回収管231を通じて正極側気液分離器200に連通し、前記負極室電解液収容部420は第2負極電解液回収管331を通じて負極側気液分離器300に連通する。
【0095】
前記正極側気液分離器200および負極側気液分離器300の液相領域に存在する電解液は、第2正極電解液供給管441および第2負極電解液供給管451を通じてそれぞれ電解槽100の正極室130および負極室150に供給される。
【0096】
前記図2に係る実施形態と図3に係る実施形態は、正極側気液分離器200および負極側気液分離器300の位置が電解槽の前端であるか後端であるかによる差があるだけで、電解液補正部400の主要な役割および構造は共通しており、前述した主要内容が同一に適用され得る。
【0097】
本発明に係る電解液はKOHを使うことができ、電解液の濃度は20~50%であり得るがこれに制限されない。
【0098】
また、運転条件を特に限定しないが、例えば、電解液の温度は30℃~200℃であり得、電解槽の電流密度は1kA/m~50kA/mであり得、電解槽の圧力は0.1Mpa~20Mpaであり得る。
【0099】
以下では、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載された実施例は本発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、本発明はこれに制限されない。
【0100】
第1-1実施形態
図2を参照すると、本発明は一実施形態として、隔壁110で区分された正極室130および負極室150を含む電解槽100、前記正極室130と正極回収管210を通じて連通する正極側気液分離器200、前記負極室150と負極回収管310を通じて連通する負極側気液分離器300、および前記正極側気液分離器200および負極側気液分離器300とそれぞれ正極電解液回収管230および負極電解液回収管330を通じて連通する電解液補正部400の正極室電解液収容部410および負極室電解液収容部420を含み、前記電解液補正部400の内部には隔膜500が備えられ、正極電解液供給管440および負極電解液供給管450を通じて電解槽100の正極室および負極室に電解液を供給する。この時、前記正極電解液供給管440および前記負極電解液供給管450には循環ポンプ600が備えられ得る。
【0101】
前記電解液としては、KOH水溶液を使うことができる。
【0102】
前記電解槽100では電解液補正部400からモル濃度がxである電解液の供給を受けて下記のような反応が起きる。
【0103】
正極:2OH→1/2O+HO+2e
【0104】
負極:2HO+2e→H+2OH
【0105】
すなわち、正極室では水酸化イオン(OH)が消耗しながら酸素ガスが発生し、負極室では水酸化イオン(OH)が生成されながら水素ガスが発生する。これに伴い、正極室から排出される電解液のモル濃度は(x-a)モルとなり、ここには酸素ガスが溶存している。また、負極室から排出される電解液のモル濃度は(x+a)モルとなり、ここには水素ガスが溶存している。
【0106】
前記正極室130および負極室150から排出された電解液は、正極回収管210および負極回収管310を通じて正極側気液分離器200および負極側気液分離器300に移動する。
【0107】
前記正極側気液分離器200では電解液内の溶存酸素ガスは気相領域として、電解液は液相領域として存在し、前記気相領域には系外に前記酸素ガスを排出するための酸素ガス排出管220が備えられ得る。また、前記液相領域に存在する電解液は正極電解液回収管230を通じて電解液補正部400の正極室電解液収容部410に流入する。
【0108】
前記負極側気液分離器300では電解液内の溶存水素ガスは気相領域として、電解液は液相領域として存在し、前記気相領域には系外に前記水素ガスを排出するための水素ガス排出管320が備えられ得る。また、前記液相領域に存在する電解液は負極電解液回収管330を通じて電解液補正部400の負極室電解液収容部420に流入する。
【0109】
この時、前記液相領域に存在する電解液には酸素および水素ガスが一部溶存している。
【0110】
図4を参照すると、前記電解液補正部400は隔膜500により前記正極電解液回収管230を通じて流入する(x-a)モルの電解液と前記負極電解液回収管330を通じて流入する(x+a)モルの電解液がそれぞれ正極室電解液収容部410と負極室電解液収容部420に供給される。
【0111】
前記隔膜500はイオンは通過させ、電解槽で生成された水素ガスおよび酸素ガスの透過を遮断するためにイオン透過性隔膜が利用される。
【0112】
前記隔膜は複数の微細な貫通気孔を有し、電解液を透過できる構造を有し、電解液内に溶存する水素ガスおよび酸素ガスは透過できないようにガス遮断性を有する。
【0113】
したがって、負極電解液回収管330を通じて流入した(x+a)モルの電解液は正極電解液回収管230を通じて流入した(x-a)モルの電解液より濃度が高いので、負極電解液回収管を通じて流入した電解液のイオンは前記隔膜を通じて正極電解液回収管230を通じて流入した電解液に移動することになり、これに伴い、隔膜で区分された電解液補正部400内の電解液の濃度勾配はなくなることになる。
【0114】
また、前記電解液補正部400は前記隔膜500によって酸素ガスおよび水素ガスの混入が防止されるため、酸素ガス内に水素ガスの濃度が爆発範囲以上で形成されて爆発する危険性を防止することができる。
【0115】
第1-2実施形態
第1-2実施形態では前記電解液補正部400内に多孔性隔膜が複数で備えられていることを除いては、第1-1実施形態と同一に構成される。
【0116】
前記電解液補正部400はn個の複数の多孔性隔膜によってn+1個の電解液収容部が発生し、前記n+1個の電解液収容部には正極側気液分離器200から流入する(x-a)モルの電解液と負極側気液分離器300から流入する(x+a)モルの電解液が交互に流入する。
【0117】
この時、電解液補正部400から電解槽100に電解液を供給するための正極電解液供給管440および負極電解液供給管450はそれぞれ一つで形成され得、電解液収容部への円滑な供給のために内部に分岐(マニフォールド)を有することができる。また、前記正極電解液供給管440および負極電解液供給管450は前記n+1個の電解液収容部に対応して複数で形成され得る。
【0118】
第1-3実施形態
第1-3実施形態では前記電解液補正部400内に多孔性隔膜でない陽イオン交換膜510を使うことを除いては、第1-1実施形態と同一に構成される。
【0119】
前記陽イオン交換膜510は電解液内の陽イオンのみを選択的に透過させ、ガス遮断性を有する。
【0120】
この時、電解液補正部400の内部では負極側気液分離器300から流入した負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陽イオン(すなわち、Kイオン)が、濃度勾配によって陽イオン交換膜を通じて隣接する正極側気液分離器200から流入した正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。以後、イオンバランスをとるために陽イオン交換膜は陽イオン選択性を有するにも関わらず、陰イオンが膜を通過して移動することができる。すなわち、負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陰イオン(すなわち、OHイオン)が陽イオン交換膜を通じて隣接する正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。これに伴い、最終的に電解液補正部400から排出される電解液の濃度はxモルとなる。
【0121】
第1-4実施形態
第1-4実施形態では前記電解液補正部400内に陽イオン交換膜510が複数で備えられていることを除いては、第1-3実施形態と同一に構成される。
【0122】
図5を参照すると、前記陽イオン交換膜は電解液内の陽イオンのみを選択的に透過させ、ガス遮断性を有する。
【0123】
前記電解液補正部400はn個の複数の陽イオン交換膜によってn+1個の電解液収容部が発生し、前記n+1個の電解液収容部には正極側気液分離器200から流入する(x-a)モルの電解液と負極側気液分離器300から流入する(x+a)モルの電解液が交互に流入する。
【0124】
この時、電解液補正部400の内部では負極側気液分離器300から流入した負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陽イオン(すなわち、Kイオン)が濃度勾配によって陽イオン交換膜を通じて隣接する正極側気液分離器200から流入した正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。以後、イオンバランスをとるために陽イオン交換膜は陽イオン選択性を有するにも関わらず、陰イオンが膜を通過して移動することができる。すなわち、イオンバランスをとるために負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陰イオン(すなわち、OHイオン)がイオン交換膜を通じて隣接する正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。これに伴い、最終的に電解液補正部400から排出される電解液の濃度はxモルとなる。
【0125】
この時、電解液補正部400から電解槽100に電解液を供給するための正極電解液供給管440および負極電解液供給管450はそれぞれ一つで形成され得、または前記正極電解液供給管440および負極電解液供給管450は前記n+1個の電解液収容部に対応して複数で形成され得る。
【0126】
また、正極側気液分離器200および負極側気液分離器300から電解液補正部400に電解液を供給するための正極電解液回収管230および負極電解液回収管330はそれぞれ一つで形成され得、または正極電解液回収管230および負極電解液回収管330は前記n+1個の電解液収容部に対応して複数で形成され得る。
【0127】
前記電解液補正部の内部には電解液の円滑な供給および排出のために分岐(マニフォールド)を有することができる。
【0128】
また、前記陽イオン交換膜510はガス遮断性を有するため、酸素ガスおよび水素ガスの混入が防止され、酸素ガス内に水素ガスの濃度および水素ガス内に酸素ガスの濃度が爆発範囲以上で形成されて爆発する危険性を防止することができる。
【0129】
第1-5実施形態
第1-5実施形態では前記電解液補正部400内に多孔性隔膜でない陰イオン交換膜520を使うことを除いては、第1-1実施形態と同一に構成される。
【0130】
前記陰イオン交換膜520は電解液内の陰イオンのみを選択的に透過させ、ガス遮断性を有する。
【0131】
この時、電解液補正部400の内部では負極側気液分離器300から流入する(x+a)モルの電解液の陰イオン(すなわち、OHイオン)が濃度勾配によって陰イオン交換膜520を通じて隣接する正極側気液分離器200から流入する(x-a)モルの電解液に移動する。以後、イオンバランスをとるために陰イオン交換膜は陰イオン選択性を有するにも関わらず、陽イオンが膜を通過して移動することができる。すなわち、負極側気液分離器300から流入する(x+a)モルの電解液の陽イオン(すなわち、Kイオン)が陰イオン交換膜を通じて隣接する正極側気液分離器200から流入する(x-a)モルの電解液に移動する。これに伴い、最終的に電解液補正部400から排出される電解液の濃度はxモルとなる。
【0132】
第1-6実施形態
第1-6実施形態では前記電解液補正部400内に陰イオン交換膜520が複数で備えられていることを除いては、第1-5実施形態と同一に構成される。
【0133】
図6を参照すると、前記陰イオン交換膜520は電解液内の陰イオンのみを選択的に透過させ、ガス遮断性を有する。
【0134】
前記電解液補正部400はn個の複数の陰イオン交換膜によってn+1個の電解液流入空間が発生し、前記n+1個の電解液流入空間には正極側気液分離器200から流入する(x-a)モルの電解液と負極側気液分離器300から流入する(x+a)モルの電解液が交互に流入する。
【0135】
この時、電解液補正部400の内部では負極側気液分離器300から流入する(x+a)モルの電解液の陰イオン(すなわち、OHイオン)が濃度勾配によって陰イオン交換膜を通じて隣接する正極側気液分離器200から流入する(x-a)モルの電解液に移動する。以後、イオンバランスをとるために陰イオン交換膜は陰イオン選択性を有するにも関わらず、陽イオンが膜を通過して移動することができる。すなわち、負極側気液分離器300から流入する(x+a)モルの電解液の陽イオン(すなわち、Kイオン)がイオン交換膜を通じて隣接する正極側気液分離器200から流入する(x-a)モルの電解液に移動する。これに伴い、最終的に電解液補正部400から排出される電解液の濃度はxモルとなる。
【0136】
この時、電解液補正部400から電解槽100に電解液を供給するための正極電解液供給管440および負極電解液供給管450はそれぞれ一つで形成され得、または前記正極電解液供給管440および負極電解液供給管450は前記n+1個の電解液収容部に対応して複数で形成され得る。
【0137】
また、正極側気液分離器200および負極側気液分離器300から電解液補正部400に電解液を供給するための正極電解液回収管230および負極電解液回収管330はそれぞれ一つで形成され得、または正極電解液回収管230および負極電解液回収管330は前記n+1個の電解液収容部に対応して複数で形成され得る。
【0138】
前記電解液補正部の内部には電解液の円滑な供給および排出のために分岐(マニフォールド)を有することができる。
【0139】
また、前記陰イオン交換膜520はガス遮断性を有するため、酸素ガスおよび水素ガスの混入が防止され、酸素ガス内に水素ガスの濃度および水素ガス内に酸素ガスの濃度が爆発範囲以上で形成されて爆発する危険性を防止することができる。
【0140】
第1-7実施形態
図7を参照すると、第1-7実施形態は前記電解液補正部400内に複数の陽イオン交換膜510および複数の陰イオン交換膜520が交互に備えられたものである。この時、前記陽イオン交換膜は電解液内の陽イオンのみを選択的に透過させ、前記陰イオン交換膜は電解液内の陰イオンのみを選択的に透過させる。
【0141】
前記電解液補正部400はn個の複数の陽イオン交換膜510および陰イオン交換膜520によりn+1個の電解液収容部が発生し、前記n+1個の電解液収容部には正極側気液分離器200から流入する(x-a)モルの電解液と負極側気液分離器300から流入する(x+a)モルの電解液が交互に流入する。
【0142】
この時、電解液補正部400の内部では負極側気液分離器300から流入した負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陰イオン(すなわち、OHイオン)が濃度勾配によって陰イオン交換膜520を通じて隣接する正極側気液分離器200から流入した正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。また、負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陽イオン(すなわち、Kイオン)が陽イオン交換膜510を通じて隣接する正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。これに伴い、最終的に電解液補正部400から排出される電解液の濃度はxモルとなる。
【0143】
この時、電解液補正部400から電解槽100に電解液を供給するための正極電解液供給管440および負極電解液供給管450はそれぞれ一つで形成され得、または前記正極電解液供給管440および負極電解液供給管450は前記n+1個の電解液収容部に対応して複数で形成され得る。
【0144】
また、正極側気液分離器200および負極側気液分離器300から電解液補正部400に電解液を供給するための正極電解液回収管230および負極電解液回収管330はそれぞれ一つで形成され得、または正極電解液回収管230および負極電解液回収管330は前記n+1個の電解液収容部に対応して複数で形成され得る。
【0145】
前記電解液補正部の内部には電解液の円滑な供給および排出のために分岐(マニフォールド)を有することができる。
【0146】
また、前記陽イオン交換膜510はガス遮断性を有するため、酸素ガスおよび水素ガスの混入が防止され、酸素ガス内に水素ガスの濃度および水素ガス内に酸素ガスの濃度が爆発範囲以上で形成されて爆発する危険性を防止することができる。
【0147】
第1-8実施形態
図8を参照すると、第1-8実施形態では前記電解液補正部400の両端部に電極が備えられていることを除いては、第1-7実施形態と同一に構成される。
【0148】
前記電解液補正部400の両端部には正極460および負極470が備えられる。前記正極460および負極470に電源を印加して電位差を発生させると、前記電解液補正部400の内部の電解液は陽イオン交換膜510および陰イオン交換膜520を通じてイオンが移動することになる。
【0149】
この時、正極室電解液収容部410の正極と隣接した側面には陽イオン交換膜510が位置し、負極と隣接した側面には陰イオン交換膜520が位置し、負極室電解液収容部420の正極と隣接した側面には陰イオン交換膜520が位置し、負極と隣接した側面には陽イオン交換膜510が位置する。
【0150】
前記のように、電極を使って起電力の差を利用する場合、イオンの移動がはやくなるので、電解液の濃度補正の時間を減らすことができる。
【0151】
第2-1実施形態
図3を参照すると、本発明は一実施形態として、隔壁110で区分された正極室130および負極室150を含む電解槽100、前記正極室130と第2正極回収管211を通じて連通する電解液補正部400の正極室電解液収容部410、前記負極室150と第2負極回収管311を通じて連通する電解液補正部400の負極室電解液収容部420、前記電解液補正部400内は隔膜500により正極室電解液収容部410と負極室電解液収容部420が区分され、前記正極室電解液収容部410および負極室電解液収容部420とそれぞれ第2正極電解液回収管231および第2負極電解液回収管331を通じて連通する正極側気液分離器200および負極側気液分離器300を含み、前記正極側気液分離器200および負極側気液分離器300は第2正極電解液供給管441および第2負極電解液供給管451を通じて電解槽100の正極室および負極室に電解液を供給する。この時、前記第2正極電解液供給管441および前記第2負極電解液供給管451には循環ポンプ600が備えられ得る。
【0152】
前記電解液としては、KOH水溶液を使うことができる。
【0153】
前記電解槽100では電解液補正部400からモル濃度がxである電解液の供給を受けて下記のような反応が起きる。
【0154】
正極:2OH→1/2O+HO+2e
【0155】
負極:2HO+2e→H+2OH
【0156】
すなわち、正極室では水酸化イオン(OH)が消耗しながら酸素ガスが発生し、負極室では水酸化イオン(OH)が生成されながら水素ガスが発生する。これに伴い、正極室から排出される電解液のモル濃度は(x-a)モルとなり、ここには酸素ガスが溶存している。また、負極室から排出される電解液のモル濃度は(x+a)モルとなり、ここには水素ガスが溶存している。
【0157】
前記正極室130および負極室150から排出された電解液は第2正極回収管211および第2負極回収管311を通じて電解液補正部400の正極室電解液収容部410および負極室電解液収容部420に移動する。
【0158】
前記第2正極回収管211および第2負極回収管311を通じて電解液補正部400に流入する電解液はそれぞれ酸素ガスおよび水素ガスが溶存している。本実施形態に係る水電解装置は電解槽から排出された酸素ガスおよび水素ガスと電解液が正極側気液分離器200および負極側気液分離器300を通過する前であるため、前記第1実施形態に比べて相対的に高濃度の酸素ガスおよび水素ガスが溶存している。
【0159】
図4を参照すると、前記電解液補正部400は隔膜500により前記第2正極回収管211を通じて流入する(x-a)モルの電解液と前記第2負極回収管311を通じて流入する(x+a)モルの電解液がそれぞれ正極室電解液収容部410と負極室電解液収容部420に供給される。
【0160】
前記隔膜500はイオンは通過させ、電解槽で生成された水素ガスおよび酸素ガスを隔離するためにイオン透過性隔膜が利用される。
【0161】
前記隔膜は複数の微細な貫通気孔を有し、電解液を透過できる構造を有し、電解液内に溶存する水素ガスおよび酸素ガスは透過できないようにガス遮断性を有する。
【0162】
したがって、第2負極回収管311を通じて流入した負極室電解液収容部420の(x+a)モルの電解液は第2正極回収管211を通じて流入した正極室電解液収容部410の(x-a)モルの電解液より濃度が高いので、負極室電解液収容部420の電解液のイオンは前記隔膜を通じて正極室電解液収容部410の電解液に移動することになり、これに伴い、隔膜で区分された電解液補正部内の電解液の濃度勾配はなくなることになる。
【0163】
また、前記電解液補正部400は前記隔膜500によって酸素ガスおよび水素ガスの混入が防止されるため、酸素ガス内に水素ガスの濃度が爆発範囲以上で形成されて爆発する危険性を防止することができる。
【0164】
前記正極側気液分離器200では電解液内の溶存酸素ガスは気相領域として、電解液は液相領域として存在し、前記気相領域には系外に前記酸素ガスを排出するための酸素ガス排出管220が備えられ得る。また、前記液相領域に存在する電解液は第2正極電解液供給管441を通じて電解槽100の正極室130に流入する。
【0165】
前記負極側気液分離器300では電解液内の溶存水素ガスは気相領域として、電解液は液相領域として存在し、前記気相領域には系外に前記水素ガスを排出するための水素ガス排出管320が備えられ得る。また、前記液相領域に存在する電解液は第2負極電解液供給管451を通じて電解槽100の負極室150に流入する。
【0166】
第2-2実施形態
第2-2実施形態では前記電解液補正部400内に多孔性隔膜が複数で備えられていることを除いては、第2-1実施形態と同一に構成される。
【0167】
前記電解液補正部400はn個の複数の多孔性隔膜によってn+1個の電解液収容部が発生し、前記n+1個の電解液収容部には正極室130から流入する(x-a)モルの電解液と負極室150から流入する(x+a)モルの電解液が交互に流入する。
【0168】
この時、電解液補正部400から正極側気液分離器200および負極側気液分離器300に電解液を供給するための第2正極電解液回収管231および第2負極電解液回収管331はそれぞれ一つで形成され得、電解液収容部への円滑な供給のために内部に分岐(マニフォールド)を有することができる。また、前記n+1個の電解液収容部に対応して複数で形成され得る。
【0169】
第2-3実施形態
第2-3実施形態では前記電解液補正部400内に多孔性隔膜でない陽イオン交換膜510を使うことを除いては、第2-1実施形態と同一に構成される。
【0170】
前記陽イオン交換膜510は電解液内の陽イオンのみを選択的に透過させ、ガス遮断性を有する。
【0171】
この時、電解液補正部400の内部では負極室150から流入した負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陽イオン(すなわち、Kイオン)が濃度勾配によって陽イオン交換膜を通じて隣接する正極室130から流入した正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。以後、イオンバランスをとるために陽イオン交換膜は陽イオン選択性を有するにも関わらず、陰イオンが膜を通過して移動することができる。すなわち、負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陰イオン(すなわち、OHイオン)が陽イオン交換膜を通じて隣接する正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。これに伴い、最終的に電解液補正部400から排出される電解液の濃度はxモルとなる。
【0172】
第2-4実施形態
第2-4実施形態では前記電解液補正部400内に陽イオン交換膜510が複数で備えられていることを除いては、第2-3実施形態と同一に構成される。
【0173】
図5を参照すると、前記陽イオン交換膜は電解液内の陽イオンのみを選択的に透過させ、ガス遮断性を有する。
【0174】
前記電解液補正部400はn個の複数の陽イオン交換膜によってn+1個の電解液収容部が発生し、前記n+1個の電解液収容部には正極室130から流入する(x-a)モルの電解液と負極室150から流入する(x+a)モルの電解液が交互に流入する。
【0175】
この時、電解液補正部400の内部では負極室150から流入した負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陽イオン(すなわち、Kイオン)が濃度勾配によって陽イオン交換膜を通じて隣接する正極室130から流入した正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。以後、イオンバランスをとるために陽イオン交換膜は陽イオン選択性を有するにも関わらず、陰イオンが膜を通過して移動することができる。すなわち、負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陰イオン(すなわち、OHイオン)がイオン交換膜を通じて隣接する正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。これに伴い、最終的に電解液補正部400から排出される電解液の濃度はxモルとなる。
【0176】
この時、電解液補正部400から正極側気液分離器200および負極側気液分離器300に電解液を供給するための第2正極電解液回収管231および第2負極電解液回収管331はそれぞれ一つで形成され得、または第2正極電解液回収管231および第2負極電解液回収管331は前記n+1個の電解液収容部に対応して複数で形成され得る。
【0177】
また、電解槽100から電解液補正部400に電解液を供給するための正極側気液分離器200および負極側気液分離器300に電解液を供給するための第2正極回収管211および第2負極回収管311はそれぞれ一つで形成され得、または第2正極回収管211および第2負極回収管311は前記n+1個の電解液収容部に対応して複数で形成され得る。
【0178】
前記電解液補正部の内部には電解液の円滑な供給および排出のために分岐(マニフォールド)を有することができる。
【0179】
また、前記陽イオン交換膜510はガス遮断性を有するため、酸素ガスおよび水素ガスの混入が防止され、酸素ガス内に水素ガスの濃度および水素ガス内に酸素ガスの濃度が爆発範囲以上で形成されて爆発する危険性を防止することができる。
【0180】
第2-5実施形態
第2-5実施形態では前記電解液補正部400内に多孔性隔膜でない陰イオン交換膜520を使うことを除いては、第2-1実施形態と同一に構成される。
【0181】
前記陰イオン交換膜520は電解液内の陰イオンのみを選択的に透過させ、ガス遮断性を有する。
【0182】
この時、電解液補正部400の内部では負極室150から流入した負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陰イオン(すなわち、OHイオン)が濃度勾配によって陰イオン交換膜を通じて隣接する正極室130から流入した正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。以後、イオンバランスをとるために陰イオン交換膜は陰イオン選択性を有するにも関わらず、陽イオンが膜を通過して移動することができる。すなわち、負極室150から流入した負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陽イオン(すなわち、Kイオン)が陰イオン交換膜を通じて隣接する正極室130から流入した正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。これに伴い、最終的に電解液補正部400から排出される電解液の濃度はxモルとなる。
【0183】
第2-6実施形態
第2-6実施形態では前記電解液補正部400内に陰イオン交換膜520が複数で備えられていることを除いては、第2-5実施形態と同一に構成される。
【0184】
図6を参照すると、前記陰イオン交換膜520は電解液内の陰イオンのみを選択的に透過させ、ガス遮断性を有する。
【0185】
前記電解液補正部400はn個の複数の陰イオン交換膜によってn+1個の電解液収容部が発生し、前記n+1個の電解液収容部には正極室130から流入する(x-a)モルの電解液と負極室150から流入する(x+a)モルの電解液が交互に流入する。
【0186】
この時、電解液補正部400の内部では負極室150から流入した負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陰イオン(すなわち、OHイオン)が濃度勾配によって陰イオン交換膜を通じて隣接する正極室130から流入した正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。以後、イオンバランスをとるために陰イオン交換膜は陰イオン選択性を有するにも関わらず、陽イオンが膜を通過して移動することができる。すなわち、負極室150から流入した負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陽イオン(すなわち、Kイオン)がイオン交換膜を通じて隣接する正極室130から流入した正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。これに伴い、最終的に電解液補正部400から排出される電解液の濃度はxモルとなる。
【0187】
この時、電解液補正部400から正極側気液分離器200および負極側気液分離器300に電解液を供給するための第2正極電解液回収管231および第2負極電解液回収管331はそれぞれ一つで形成され得、または第2正極電解液回収管231および第2負極電解液回収管331は前記n+1個の電解液収容部に対応して複数で形成され得る。
【0188】
また、電解槽100から電解液補正部400に電解液を供給するための正極側気液分離器200および負極側気液分離器300に電解液を供給するための第2正極回収管211および第2負極回収管311はそれぞれ一つで形成され得、または第2正極回収管211および第2負極回収管311は前記n+1個の電解液収容部に対応して複数で形成され得る。
【0189】
前記電解液補正部の内部には電解液の円滑な供給および排出のために分岐(マニフォールド)を有することができる。
【0190】
また、前記陰イオン交換膜520はガス遮断性を有するため、酸素ガスおよび水素ガスの混入が防止され、酸素ガス内に水素ガスの濃度および水素ガス内に酸素ガスの濃度が爆発範囲以上で形成されて爆発する危険性を防止することができる。
【0191】
第2-7実施形態
図7を参照すると、第2-7実施形態は前記電解液補正部400内に複数の陽イオン交換膜510および複数の陰イオン交換膜520が交互に備えられたものである。この時、前記陽イオン交換膜は電解液内の陽イオンのみを選択的に透過させ、前記陰イオン交換膜は電解液内の陰イオンのみを選択的に透過させる。
【0192】
前記電解液補正部400はn個の複数の陽イオン交換膜510およびn個の複数の陰イオン交換膜520によりn+1個の電解液収容部が発生し、前記n+1個の電解液収容部には正極室130から流入する(x-a)モルの電解液と負極室150から流入する(x+a)モルの電解液が交互に流入する。
【0193】
この時、電解液補正部400の内部では負極室150から流入した負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陰イオン(すなわち、OHイオン)が濃度勾配によって陰イオン交換膜520を通じて隣接する正極室130から流入した正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。また、負極室150から流入した負極室電解液収容部420内の(x+a)モルの電解液の陽イオン(すなわち、Kイオン)は陽イオン交換膜510を通じて隣接する正極室130から流入した正極室電解液収容部410内の(x-a)モルの電解液に移動する。これに伴い、最終的に電解液補正部400から排出される電解液の濃度はxモルとなる。
【0194】
この時、電解液補正部400から正極側気液分離器200および負極側気液分離器300に電解液を供給するための第2正極電解液回収管231および第2負極電解液回収管331はそれぞれ一つで形成され得、または第2正極電解液回収管231および第2負極電解液回収管331は前記n+1個の電解液収容部に対応して複数で形成され得る。
【0195】
また、電解槽100から電解液補正部400に電解液を供給するための正極側気液分離器200および負極側気液分離器300に電解液を供給するための第2正極回収管211および第2負極回収管311はそれぞれ一つで形成され得、または第2正極回収管211および第2負極回収管311は前記n+1個の電解液収容部に対応して複数で形成され得る。
【0196】
前記電解液補正部の内部には電解液の円滑な供給および排出のために分岐(マニフォールド)を有することができる。
【0197】
また、前記陰イオン交換膜520はガス遮断性を有するため、酸素ガスおよび水素ガスの混入が防止され、酸素ガス内に水素ガスの濃度および水素ガス内に酸素ガスの濃度が爆発範囲以上で形成されて爆発する危険性を防止することができる。
【0198】
第2-8実施形態
図8を参照すると、第2-8実施形態では前記電解液補正部400の両端部に電極が備えられていることを除いては、第2-7実施形態と同一に構成される。
【0199】
前記電解液補正部400の両端部には正極460および負極470が備えられる。前記正極460および負極470に電源を印加して電位差を発生させると、前記電解液補正部400の内部の電解液は陽イオン交換膜510および陰イオン交換膜520を通じてイオンが移動することになる。
【0200】
この時、正極室電解液収容部の正極460と隣接した側面には陽イオン交換膜510が位置し、負極470と隣接した側面には陰イオン交換膜520が位置し、負極室電解液収容部の正極と隣接した側面には陰イオン交換膜520が位置し、負極と隣接した側面には陽イオン交換膜510が位置する。
【0201】
前記のように、電極を使って起電力の差を利用する場合、イオンの移動がはやくなるので、電解液の濃度補正の時間を減らすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0202】
本発明は、電解液の濃度差を除去するための隔膜を含む電解液補正部を含むことによって、水電解装置の気相領域中のガス組成が爆発限界に到達することを防止するとともに、正極室から排出される電解液と負極室から排出される電解液をそれぞれ独立的に循環させる場合にも電解液の濃度差が発生しないため、これを解消するための付加的な装置が不要であり、電解液の再注入および稼動安定化による工程性が低下する問題を解決できる効果がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】