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特表2024-505292少なくとも1つの保護具類を少なくとも1つのキャビンレスの車両に対して割り付ける方法および系
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  • 特表-少なくとも1つの保護具類を少なくとも1つのキャビンレスの車両に対して割り付ける方法および系 図1
  • 特表-少なくとも1つの保護具類を少なくとも1つのキャビンレスの車両に対して割り付ける方法および系 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】少なくとも1つの保護具類を少なくとも1つのキャビンレスの車両に対して割り付ける方法および系
(51)【国際特許分類】
   B62J 27/00 20200101AFI20240129BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240129BHJP
【FI】
B62J27/00
B62J45/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547142
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2022054240
(87)【国際公開番号】W WO2022179981
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】102021104415.4
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ゲブナー,ザシャ
(72)【発明者】
【氏名】モルゲンロート,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,フランク
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハ,ヤン
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの保護具類(5)を少なくとも1つのキャビンレスの車両(3)に対して割り付ける方法であって、少なくとも1つの保護具類(5)は、少なくとも1つの保護装置(28)を有し、保護装置(28)は、走行中、使用されるキャビンレスの車両(3)により作動可能であり、少なくとも1つの保護具類(5)と、少なくとも1つのキャビンレスの車両(3)とは、相互の静的な割り付けに際し、双方向のワイヤレスの通信(DK)により相応の一義的な認証情報を交換し、かつ記憶し、静的な割り付けの認証情報を利用して、少なくとも出発の度に、少なくとも1つの保護具類(5)および/または使用されるキャビンレスの車両(3)の少なくとも1つの付加的な状態変数を検出し、かつ少なくとも1つの保護具類(5)および/または使用されるキャビンレスの車両(3)内で評価し、かつ少なくとも1つの付加的な状態変数の評価に際し、少なくとも1つの所定の条件が満たされているとき、少なくとも1つの保護装置(28)の、使用されるキャビンレスの車両(3)に対する動的な割り付けを、今次の走行のために実施する、少なくとも1つの保護具類(5)を少なくとも1つのキャビンレスの車両(3)に対して割り付ける方法、およびこの方法を実施する系(1)に関する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの保護具類(5)を少なくとも1つのキャビンレスの車両(3)に対して割り付ける方法(100)であって、
少なくとも1つの前記保護具類(5)は、少なくとも1つの保護装置(28)を有し、前記保護装置(28)は、走行中、使用される前記キャビンレスの車両(3)により作動可能であり、
少なくとも1つの前記保護具類(5)と、少なくとも1つの前記キャビンレスの車両(3)とは、相互の静的な割り付けに際し、双方向のワイヤレスの通信(DK)により相応の一義的な認証情報を交換し、かつ記憶し、
前記静的な割り付けの前記認証情報を利用して、少なくとも出発の度に、少なくとも1つの前記保護具類(5)および/または使用される前記キャビンレスの車両(3)の少なくとも1つの付加的な状態変数を検出し、かつ少なくとも1つの前記保護具類(5)および/または使用される前記キャビンレスの車両(3)内で評価し、かつ
少なくとも1つの前記付加的な状態変数の前記評価に際し、少なくとも1つの所定の条件が満たされているとき、少なくとも1つの前記保護装置(28)の、使用される前記キャビンレスの車両(3)に対する動的な割り付けを、今次の走行のために実施する、
少なくとも1つの保護具類(5)を少なくとも1つのキャビンレスの車両(3)に対して割り付ける方法(100)。
【請求項2】
前記静的な割り付けに際し、少なくとも1つの前記保護具類(5)の第1の認証情報を少なくとも1つの前記車両(3)内に記憶し、かつ
少なくとも1つの前記車両(3)の第2の認証情報を少なくとも1つの前記保護具類(5)内に記憶する、
ことを特徴とする、請求項1記載の方法(100)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記付加的な状態変数を、少なくとも1つの前記保護具類(5)と、使用される前記キャビンレスの車両(3)との間の間隔を求めるために評価することを特徴とする、請求項1または2記載の方法(100)。
【請求項4】
求めた前記間隔が所定の範囲内にあるとき、少なくとも1つの前記保護具類(5)を、今次の走行のために、使用される前記キャビンレスの車両(3)に割り付けることを特徴とする、請求項3記載の方法(100)。
【請求項5】
第1の付加的な状態変数が、少なくとも1つの前記保護具類(5)の有効な第1の加速度情報に相当し、第2の状態変数が、対応する前記キャビンレスの車両(3)の有効な第2の加速度情報に相当することを特徴とする、請求項1または2記載の方法(100)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記保護具類(5)の、検出した前記有効な第1の加速度情報と、対応する前記キャビンレスの車両(3)の、検出した前記有効な第2の加速度情報とが、所定の公差範囲内で同一であるとき、少なくとも1つの前記保護具類(5)を、今次の走行のために、対応する前記キャビンレスの車両(3)に動的に割り付けることを特徴とする、請求項5記載の方法(100)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記付加的な状態変数は、認証情報であって、光学的に可視に、または読み取り可能なトランスポンダとして少なくとも1つの前記保護具類(5)に配置されていて、車両側のセンサ装置(16)により検出され、かつ評価される認証情報に相当し、
検出したまたは読み取った前記認証情報が、使用される前記キャビンレスの車両(3)に静的に割り付けられた保護具類(5)の認証情報に相当するとき、少なくとも1つの前記保護具類(5)を、今次の走行のために、対応する前記キャビンレスの車両(3)に動的に割り付ける、
ことを特徴とする、請求項1または2記載の方法(100)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記付加的な状態変数は、原動機ノイズであって、使用される前記キャビンレスの車両(3)により発生され、保護具側の音響センサ装置(26)により検出され、かつ評価される原動機ノイズに相当し、
検出し、かつ評価した前記原動機ノイズが、使用される前記キャビンレスの車両(3)の前記原動機の状態データと対応するとき、少なくとも1つの前記保護具類(5)を、今次の走行のために、対応する前記キャビンレスの車両(3)に動的に割り付ける、
ことを特徴とする、請求項1または2記載の方法(100)。
【請求項9】
少なくとも1人の乗員の少なくとも1つの前記保護具類(5)の、使用される前記車両(3)に対する自動の前記動的な割り付けを、使用される前記車両(3)の作動の直後、走行開始前に、または走行開始後の任意の時間窓内で実施することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項10】
少なくとも1人の前記乗員の少なくとも1つの前記保護具類(5)の、使用される前記車両(3)に対する前記動的な割り付けを、周期的にまたは事象制御して走行中に検査することを特徴とする、請求項9記載の方法(100)。
【請求項11】
少なくとも1人の前記乗員の少なくとも1つの前記保護具類(5)の、使用される前記車両(3)に対する前記動的な割り付けを、走行終了後、再び解除することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載の前記方法(100)を実施すべく構成されている、少なくとも1つの保護具類(5)と、少なくとも1つのキャビンレスの車両(3)とを備える系(1)であって、
少なくとも1つの前記保護具類(5)は、少なくとも1つの保護装置(28)を有し、前記保護装置(28)は、走行中、使用されるキャビンレスの車両(3)により作動可能であり、
少なくとも1つの前記キャビンレスの車両(3)は、第1の通信装置(14)を有し、少なくとも1つの前記保護具類(5)は、第2の通信装置(24)を有し、
前記第1の通信装置(14)と、前記第2の通信装置(24)とは、少なくとも1つの前記保護具類(5)と、少なくとも1つの前記キャビンレスの車両(3)との間のワイヤレスの通信接続を構築すべく構成されており、
少なくとも1つの前記キャビンレスの車両(3)の第1の評価兼制御ユニット(10)と、少なくとも1つの前記保護具類(5)の第2の評価兼制御ユニット(20)とが、双方向のワイヤレスの通信(DK)を介した相応の一義的な認証情報の1回の交換および1回の記憶により、相互の静的な割り付けを実施すべく構成されており、
少なくとも1つの前記キャビンレスの車両(3)の前記第1の評価兼制御ユニット(10)および/または少なくとも1つの前記保護具類(5)の前記第2の評価兼制御ユニット(20)は、さらに、少なくとも出発の度にその前に、前記静的な割り付けの前記認証情報を利用して、前記乗員の少なくとも1つの前記保護具類(5)および/または使用される前記キャビンレスの車両(3)の少なくとも1つの付加的な状態変数を検出し、かつ評価すべく構成されており、
使用される前記キャビンレスの車両(3)の前記第1の評価兼制御ユニット(10)および/または少なくとも1つの前記保護具類(5)の前記第2の評価兼制御ユニット(20)は、さらに、少なくとも1つの前記付加的な状態変数の前記評価に際し、少なくとも1つの所定の条件が満たされているとき、少なくとも1つの前記保護装置(28)の、使用される前記キャビンレスの車両(3)に対する動的な割り付けを、今次の走行のために実施すべく構成されている、
少なくとも1つの保護具類(5)と、少なくとも1つのキャビンレスの車両(3)とを備える系(1)。
【請求項13】
少なくとも1つの前記保護具類(5)は、少なくとも1つの車両(3)の第1の認証情報を記憶すべく構成されている少なくとも1つの不揮発性のメモリ装置(22)を有し、
少なくとも1つの前記車両(3)は、少なくとも1つの保護具類(5)の第2の認証情報を記憶すべく構成されている少なくとも1つの不揮発性のメモリ装置(12)を有する、
ことを特徴とする、請求項12記載の系(1)。
【請求項14】
少なくとも1つの前記保護具類(5)および/または少なくとも1つの前記キャビンレスの車両(3)は、少なくとも1つの前記付加的な状態変数を検出すべく構成されている少なくとも1つのセンサ装置(16,26)を有することを特徴とする、請求項12または13記載の系(1)。
【請求項15】
少なくとも1つの前記キャビンレスの車両(3)は、使用される前記キャビンレスの車両(3)と、前記乗員の少なくとも1つの前記保護具類(5)との間の前記動的な割り付けの目下の状態を表示する少なくとも1つの表示装置(18)を有することを特徴とする、請求項12から14までのいずれか1項記載の系(1)。
【請求項16】
キャビンレスの車両(3)内に設けられた保護系と組み合わされて、請求項1から11までのいずれか1項記載の前記方法(100)を実施すべく構成されている、保護具類(5)内に設けられた保護系であって、
走行中、使用されるキャビンレスの車両(3)により作動可能な少なくとも1つの保護装置(28)と、
少なくとも1つのキャビンレスの車両(3)とのワイヤレスの通信接続を構築すべく構成されている通信装置(24)と、
前記通信装置(24)を介して少なくとも1つの前記キャビンレスの車両(3)との双方向のワイヤレスの通信(DK)を行い、前記キャビンレスの車両(3)と通信して相応の一義的な認証情報の1回の交換および1回の記憶ならびに少なくとも1つの前記キャビンレスの車両(3)の相互の静的な割り付けを実施すべく構成されている評価兼制御ユニット(20)と、
を備え、
保護具側の前記評価兼制御ユニット(20)は、さらに、少なくとも出発の度にその前に、前記静的な割り付けの前記認証情報を利用して、前記乗員の少なくとも1つの前記保護具類(5)および/または使用される前記キャビンレスの車両(3)の少なくとも1つの付加的な状態変数を検出し、かつ使用される前記キャビンレスの車両(3)と通信して評価すべく構成されており、
保護具側の前記評価兼制御ユニット(20)は、さらに、少なくとも1つの前記付加的な状態変数の前記評価に際し、少なくとも1つの所定の条件が満たされているとき、少なくとも1つの前記保護装置(28)の、使用される前記キャビンレスの車両(3)に対する動的な割り付けを、今次の走行のために実施すべく構成されている、
保護具類(5)内に設けられた保護系。
【請求項17】
保護具類(5)内に設けられた保護系と組み合わされて、請求項1から11までのいずれか1項記載の前記方法(100)を実施すべく構成されている、キャビンレスの車両(3)内に設けられた保護系であって、
少なくとも1つの保護具類(5)とのワイヤレスの通信接続を構築すべく構成されている通信装置(14)と、
前記通信装置(14)を介して少なくとも1つの前記保護具類(5)との双方向のワイヤレスの通信(DK)を行い、少なくとも1つの前記保護具類(5)と通信して相応の一義的な認証情報の1回の交換および1回の記憶ならびに少なくとも1つの前記保護具類(5)の相互の静的な割り付けを実施すべく構成されている評価兼制御ユニット(10)と、
を備え、
車両側の前記評価兼制御ユニット(10)は、さらに、少なくとも出発の度にその前に、前記静的な割り付けの前記認証情報を利用して、前記乗員の少なくとも1つの前記保護具類(5)および/または使用される前記キャビンレスの車両(3)の少なくとも1つの付加的な状態変数を検出し、かつ前記乗員の少なくとも1つの前記保護具類(5)と通信して評価すべく構成されており、
車両側の前記評価兼制御ユニット(10)は、さらに、少なくとも1つの前記付加的な状態変数の前記評価に際し、少なくとも1つの所定の条件が満たされているとき、少なくとも1つの前記保護装置(28)の、使用される前記キャビンレスの車両(3)に対する動的な割り付けを、今次の走行のために実施すべく構成されている、
キャビンレスの車両(3)内に設けられた保護系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの保護具類を少なくとも1つのキャビンレスの車両に対して割り付ける方法より出発する。少なくとも1つの保護具類を少なくとも1つのキャビンレスの車両に対して割り付けるこのような方法を実施する系、ならびに保護具類内に設けられた保護系、およびキャビンレスの車両内に設けられた保護系も、本発明の対象である。
【背景技術】
【0002】
例えば二輪、トライク、クアッドまたはこれに類するものとして構成されているキャビンレスの車両の乗員に用いられる最近の保護具、例えばヘルメットまたはジャケットは、エアバッグシステムを装備しており、エアバッグシステムは、事故を認識した際に自動的に起動し、運転者を重篤な怪我から保護することができる。これらのシステムは、有線で車両に接続されているか、または自己完結的に作業し、起動事象を、保護具内に組み込まれた固有のセンサを基に特定することができる。さらに、保護具とキャビンレスの車両との間のワイヤレスの通信を利用するシステムがある。このようなワイヤレスの通信接続は、車両によりサポートされた事故認識を早期に保護具に伝送し得ることで、このようなシステムの信頼性および精度をさらに改善させる。
【0003】
例えば特許文献1において、オートバイ用保護スーツであって、少なくとも1つのエアバッグを有し、エネルギ供給と、オートバイとのデータ通信とが、ワイヤレスの接続を介して実現されるオートバイ用保護スーツが公知である。エネルギ伝達には、オートバイ用保護スーツの臀部の面内に設けられたコイルが、そしてデータ伝送には、マイクロ波領域の通信装置が使用される。
【0004】
しかし、ワイヤレスの通信を使用したときの1つの大きな問題は、車両に対する保護具の割り付けにある。特に、無線有効範囲内に複数の車両と保護具とがあるとき、1つまたは複数のどの保護具を装着した乗員が、どの車両に乗っているか、割り付けの問題が生じることがある。しかし、起動する場合には、どの保護具を起動しなければならないか、一義的な割り付けが必須である。相応の保護具を装着した複数の乗員と、複数の車両とが、無線有効範囲内に存在するとき、どの乗員がどの車両に乗車しているか、ひいては、事故の場合にどの保護具を起動しなければならないか、区別することは重要である。
【0005】
1つの手近なアプローチは、出発の直前に、保護具と、使用したい車両とを、割り付け法により手動でカップリングさせることである。
【0006】
例えば特許文献2において、保護具類であって、少なくとも1つの膨張可能な保護装置を有し、キャビンレスの車両とともに移動する人物により着用され得るように構成されている保護具類が公知である。この保護具類は、エネルギ供給ユニットと、無線受信器であって、識別コードを介して、キャビンレスの車両に配置された対応する遠隔の無線送信器とワイヤレスに通信すべく構成されている無線受信器と、無線送信器から受信されたアラーム信号に対する反応として、少なくとも1つの膨張可能な保護装置を作動させる作動回路と、不揮発性のメモリとを有している。加えてこの保護具類は、少なくとも1つのプログラミング可能なロジックユニットを有し、ロジックユニットは、無線受信器に接続されている。少なくとも1つのプログラミング可能なロジックユニットは、無線受信器を介して受信された識別コードを管理し、不揮発性のメモリの少なくとも1つに保存する。加えて、少なくとも1つのプログラミング可能なロジックユニットは、この保護具類を着用した人物に、ユーザインタフェースを介して、少なくとも1つの不揮発性のメモリ内に提供可能なコードから、1つの専用のコードを選択することができるようにする。ユーザインタフェースは、少なくとも1つの押しボタンと、対応するドライバ回路を有する画面とを有している。保護具類をキャビンレスの車両に対して割り付けるために、ロジックユニット、コーダおよび無線送信器を有する車両側のモジュールは、シリアルの識別コードを送信する。保護具類内のコンポーネントは、非使用時には、消費エネルギの極めて低いアクティブでない状態にある。少なくとも1つの押しボタンのうちの1つが押下されると、保護具類のロジックユニットは、供給電圧の値をチェックし、受信器とデコーダとを介して、車両側のモジュールにより送信される有効なシリアルの識別コードを検索する。保護具類のロジックユニットが、1つまたは複数のシリアルの識別コードを発見すると、ロジックユニットは、この識別コードを不揮発性のメモリ内に記憶し、かつ所属のドライバ回路を介して画面上に表示する。少なくとも1つの押しボタンにより、ユーザは、ここで、表示されたシリアルの識別コードの中から、使用したいキャビンレスの車両に相当するコードを選択し得る。キャビンレスの車両の割り付けを簡単化するために、ロジックユニットは、メモリ内に記憶された値の分析時、まず、最後に使用されたシリアルの識別コードを画面上に表示する。走行中、車両側のモジュールは、車両側のセンサユニットにより検出される加速度信号が、所定の閾値を上回ると、シリアルの識別コードと作動信号とを保護具類のロジックユニットに伝達する。受信された作動信号に対して反応して、ロジックユニットは、保護具類の少なくとも1つの保護装置を作動させる。
【0007】
この場合に欠点と見なされ得るのは、複数の車両あるいは保護具が近くにある際に、車両と、1つまたは複数の保護具との間の正しい割り付けを発見するために、出発前に毎回、例えば、保護具類および/または車両に設けられたボタンが操作されなければならないことで、運転者インタラクションが必要である点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許発明第10104019号明細書
【特許文献2】欧州特許第1703815号明細書
【発明の概要】
【発明の効果】
【0009】
独立請求項1の特徴を備える、少なくとも1つの保護具類を少なくとも1つのキャビンレスの車両に対して割り付ける方法、独立請求項12の特徴を備える、少なくとも1つの保護具類を少なくとも1つのキャビンレスの車両に対して割り付ける方法を実施する系、独立請求項16の特徴を備える、保護具類内に設けられた保護系、および独立請求項17の特徴を備える、キャビンレスの車両内に設けられた保護系は、それぞれ、手動のインタラクションによる少なくとも1つの保護具類の静的な割り付けが、1回しか必要でないという利点を有している。これにより、1つのキャビンレスの車両に複数の保護具類を静的に割り付けることが可能である。付加的または代替的に、1つの保護具類に複数のキャビンレスの車両を静的に割り付けることが可能である。必要なとき、例えば、キャビンレスの車両を売却するとき、あるいは保護具類を処分するときは、この静的な割り付けを再び解除することが可能である。
【0010】
提案する、少なくとも出発の度に実施される、少なくとも1つの保護具類の、使用される車両に対する自動の動的な割り付けにより、少なくとも1つの保護具類は、乗員のさらなるインタラクションなしに、今次の走行のために、使用されるキャビンレスの車両に動的に割り付けられ、その結果、キャビンレスの車両は、事故が認識された際に、少なくとも1つの保護具類内に設けられた少なくとも1つの保護装置を作動させ得る。自動の動的な割り付けの際、少なくとも1つの保護具類および/または使用されるキャビンレスの車両の少なくとも1つの付加的な状態変数を検出し、かつ少なくとも1つの保護具類および/または使用されるキャビンレスの車両内で評価する。これにより、ワイヤレスの通信の有効範囲内に複数の保護具類および複数のキャビンレスの車両がある場合の、保護具類とキャビンレスの車両との間違った割り付けは、有利には防止され得る。
【0011】
少なくとも1つの保護具類の、使用されるキャビンレスの車両に対する自動の動的な割り付けは、今次の走行のためだけに実施されるので、途中停車の際に、1人または複数人の乗員の車両交換が実施されても、保護具類の間違った割り付けは、発生し得ない。したがって、例えば2人の運転者が、彼らの車両を取り換えたり、または1人の乗員のみ、例えばある車両の1人の同乗者のみが、別の車両に乗り換えたりすることが可能である。これにより、事故の場合に、事故者の保護具が起動されず、ワイヤレスの通信接続の有効範囲内を移動する、事故にあっていない乗員の保護具が、起動されてしまうことは、防止され得る。このような車両交換のための前提として、対応する保護具類は、両キャビンレスの車両に静的に割り付けられる。
【0012】
本発明の実施形態は、少なくとも1つの保護具類を少なくとも1つのキャビンレスの車両に対して割り付ける方法であって、少なくとも1つの保護具類は、少なくとも1つの保護装置を有し、保護装置は、走行中、使用されるキャビンレスの車両により作動可能であり、少なくとも1つの保護具類と、少なくとも1つのキャビンレスの車両とは、相互の静的な割り付けに際し、双方向のワイヤレスの通信により相応の一義的な認証情報を交換し、かつ記憶する、少なくとも1つの保護具類を少なくとも1つのキャビンレスの車両に対して割り付ける方法を提供する。このとき、静的な割り付けの認証情報を利用して、少なくとも出発の度に、少なくとも1つの保護具類および/または使用されるキャビンレスの車両の少なくとも1つの付加的な状態変数を検出し、かつ少なくとも1つの保護具類および/または使用されるキャビンレスの車両内で評価し、かつ少なくとも1つの付加的な状態変数の評価に際し、少なくとも1つの所定の条件が満たされているとき、少なくとも1つの保護装置の、使用されるキャビンレスの車両に対する動的な割り付けを、今次の走行のために実施する。
【0013】
加えて、本発明に係る方法を実施すべく構成されている、少なくとも1つの保護具類と、少なくとも1つのキャビンレスの車両とを備える系を提案する。この場合、少なくとも1つの保護具類は、少なくとも1つの保護装置を有し、保護装置は、走行中、使用されるキャビンレスの車両により作動可能である。加えて、少なくとも1つのキャビンレスの車両は、第1の通信装置を有し、少なくとも1つの保護具類は、第2の通信装置を有し、第1の通信装置と、第2の通信装置とは、少なくとも1つの保護具類と、少なくとも1つのキャビンレスの車両との間のワイヤレスの通信接続を構築すべく構成されている。少なくとも1つのキャビンレスの車両の第1の評価兼制御ユニットと、少なくとも1つの保護具類の第2の評価兼制御ユニットとは、双方向のワイヤレスの通信を介した相応の一義的な認証情報の1回の交換および1回の記憶により、相互の静的な割り付けを実施すべく構成されている。少なくとも1つのキャビンレスの車両の第1の評価兼制御ユニットおよび/または少なくとも1つの保護具類の第2の評価兼制御ユニットは、さらに、少なくとも出発の度にその前に、静的な割り付けの認証情報を利用して、乗員の少なくとも1つの保護具類および/または使用されるキャビンレスの車両の少なくとも1つの付加的な状態変数を検出し、かつ評価すべく構成されており、使用されるキャビンレスの車両の第1の評価兼制御ユニットおよび/または少なくとも1つの保護具類の第2の評価兼制御ユニットは、さらに、少なくとも1つの付加的な状態変数の評価に際し、少なくとも1つの所定の条件が満たされているとき、少なくとも1つの保護装置の、使用されるキャビンレスの車両に対する動的な割り付けを、今次の走行のために実施すべく構成されている。
【0014】
さらに、キャビンレスの車両内に設けられた保護系と組み合わされて、本発明に係る方法を実施すべく構成されている、保護具類内に設けられた保護系を提案する。保護具類内に設けられた保護系は、走行中、使用されるキャビンレスの車両により作動可能な少なくとも1つの保護装置と、少なくとも1つのキャビンレスの車両とのワイヤレスの通信接続を構築すべく構成されている通信装置と、通信装置を介して少なくとも1つのキャビンレスの車両との双方向のワイヤレスの通信を行い、キャビンレスの車両と通信して相応の一義的な認証情報の1回の交換および1回の記憶ならびに少なくとも1つのキャビンレスの車両の相互の静的な割り付けを実施すべく構成されている評価兼制御ユニットとを備えている。このとき、保護具側の評価兼制御ユニットは、さらに、少なくとも出発の度にその前に、静的な割り付けの認証情報を利用して、乗員の少なくとも1つの保護具類および/または使用されるキャビンレスの車両の少なくとも1つの付加的な状態変数を検出し、かつ使用されるキャビンレスの車両と通信して評価すべく構成されており、保護具側の評価兼制御ユニットは、さらに、少なくとも1つの付加的な状態変数の評価に際し、少なくとも1つの所定の条件が満たされているとき、少なくとも1つの保護装置の、使用されるキャビンレスの車両に対する動的な割り付けを、今次の走行のために実施すべく構成されている。
【0015】
さらに、保護具類内に設けられた保護系と組み合わされて、本発明に係る方法を実施すべく構成されている、キャビンレスの車両内に設けられた保護系を提案する。キャビンレスの車両内に設けられた保護系は、少なくとも1つの保護具類とのワイヤレスの通信接続を構築すべく構成されている通信装置と、通信装置を介して少なくとも1つの保護具類との双方向のワイヤレスの通信を行い、少なくとも1つの保護具類と通信して相応の一義的な認証情報の1回の交換および1回の記憶ならびに少なくとも1つの保護具類の相互の静的な割り付けを実施すべく構成されている評価兼制御ユニットとを備えている。このとき、車両側の評価兼制御ユニットは、さらに、少なくとも出発の度にその前に、静的な割り付けの認証情報を利用して、乗員の少なくとも1つの保護具類および/または使用されるキャビンレスの車両の少なくとも1つの付加的な状態変数を検出し、かつ乗員の少なくとも1つの保護具類と通信して評価すべく構成されており、車両側の評価兼制御ユニットは、さらに、少なくとも1つの付加的な状態変数の評価に際し、少なくとも1つの所定の条件が満たされているとき、少なくとも1つの保護装置の、使用されるキャビンレスの車両に対する動的な割り付けを、今次の走行のために実施すべく構成されている。
【0016】
保護具類とは、以下では、例えば、作動可能な保護装置を装備したジャケットまたはヘルメットと解される。保護装置は、好ましくは、膨張可能なエアバッグとして構成されている。
【0017】
少なくとも1つの保護具類の、少なくとも1つのキャビンレスの車両に対する相互の静的な割り付けとは、以下では、少なくとも1つの保護具類と、対応するキャビンレスの車両とを、初期に1回手動で結び付けるプロセスと解される。このために、車両および保護具類の一義的な認証情報が使用されてもよいし、または保護衣に設けられていて、車両に例えば「保護具類XY」として示され得る認証タグが使用されてもよい。手動のインタラクション、例えば押しボタンを介したインタラクションにより、正確に、所望の保護具類と、所望のキャビンレスの車両との間の結び付けが行われることが保証され得る。このプロセス時には、例えば、車両内で生成されるシークレットキーが、認証情報として、公知の実証された方法により交換され得る。生成されたシークレットキーは、後続の結び付けに際し、車両に結び付けられるべきその他の保護具類にも、通知され得る。これにより、複数の保護具類を車両に静的に割り付け得ることが可能となる。このことは、例えば複数の乗員で走行する際には是が非でも必要であり得る。さらに、例えば1人の運転者が複数の車両に交互に乗ろうとするとき、1つの保護具類が複数の車両に結び付けられていることも可能である。このことは、車両固有のシークレットキーを複数記憶させることにより可能となる。
【0018】
一義的な認証情報を用いたこの初期の結び付けあるいは静的な割り付けにより、可能性のある加害行為または不正行為のシナリオは、防止され得る。この方法なくしては、加害者が車両になりすまし、自動の動的な割り付けのための偽りのデータを送り付けかねない。このことは、最悪の場合、出発後の保護具類の起動を可能にしてしまい、したがって運転者を不必要な事故リスクに曝すことにもなりかねない。
【0019】
本発明の実施形態は、有利には、走行開始時、1つまたは複数のどの保護具がどの車両に割り付けられているか、信頼性の高い自動の動的な割り付けを可能にする。その際、少なくとも1つの保護具類の、使用されるキャビンレスの車両に対する1回の静的な割り付けに基づいて、走行開始時、単一の保護具類と、使用されるキャビンレスの車両との間の、または複数の保護具類と、使用されるキャビンレスの車両との間の、自動の動的な割り付けが実施され得る。走行中、その後、キャビンレスの車両は、事故が認識された際にさらなるワイヤレスの通信により、動的に車両に割り付けられた保護具類の少なくとも1つの保護装置を作動させ得る。
【0020】
自動の動的な割り付けのために、初期に構築された結び付け、あるいは静的な割り付けの認証情報は、実際の走行にわたってセキュリティが保証されたワイヤレスの通信接続を構築するために利用される。このために、車両により、走行開始時、予め交換されたシークレットキーを利用して、セキュリティが保証されたワイヤレスの通信が設定され、このワイヤレスの通信には、保護具類が前もって、使用される車両に静的に割り付けられているとき、あるいは使用される車両に結び付けられているとき、有効範囲内にある保護具類が参加する。保護具類は、有効範囲内に複数の車両があるとき、複数のワイヤレスの通信に参加する可能性もある。この場合、保護具類は、有効範囲内にある車両の送られたデータを基に、どの車両上に乗ってその保護具類が一緒に移動しているか、チェックする。保護具類の自動の動的な割り付けが可能であったときは、この走行のために、この車両との通信接続が、保護具類内でアクティブとマークされる。このことは、アクティブとマークされた車両により少なくとも1つの保護装置を作動させる作動信号だけが、この走行のために考慮されることを意味する。保護具類は、1回の走行のために1つの車両のみ、アクティブとマークすることができ、しかし、他の車両による走行のためにも、使用可能である。
【0021】
評価兼制御ユニットとは、ここでは、検出したセンサ信号を処理あるいは評価する電気的な回路と解され得る。評価兼制御ユニットは、少なくとも1つのインタフェースを有していることができ、インタフェースは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアとして形成されていることができる。ハードウェアとして形成されている場合、インタフェースは、例えば、評価兼制御ユニットの様々な機能を含むいわゆるシステムASICの一部であってもよい。しかし、インタフェースは、固有の集積回路であるか、または少なくとも部分的に複数の個別素子からなることも可能である。ソフトウェアとして形成されている場合、インタフェースは、ソフトウェアモジュールであることができ、このソフトウェアモジュールは、例えばマイクロコントローラ上において別のソフトウェアモジュールの他に存在している。機械可読な担体、例えば半導体メモリ、ハードディスク記憶装置または光メモリ上に記憶されており、プログラムが評価兼制御ユニットにより実行されるときに、評価を実施するために使用される、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品も、有利である。
【0022】
従属請求項に記載の方策および発展形により、独立請求項1に記載の、少なくとも1つの保護具類を少なくとも1つのキャビンレスの車両に対して割り付ける方法、および独立請求項12に記載の、少なくとも1つの保護具類を少なくとも1つのキャビンレスの車両に対して割り付ける系の有利な改良が可能である。
【0023】
特に有利には、静的な割り付けに際し、少なくとも1つの保護具類の第1の認証情報を少なくとも1つの車両内に記憶し、かつ少なくとも1つの車両の第2の認証情報を少なくとも1つの保護具類内に記憶する。これにより、簡単に、少なくとも1つの保護具類と、キャビンレスの車両との間の、セキュリティが保証されたワイヤレスの通信接続が構築され得る。
【0024】
本方法の有利な構成において、少なくとも1つの付加的な状態変数を、少なくとも1つの保護具類と、使用されるキャビンレスの車両との間の間隔を求めるために評価してもよい。したがって、求めた間隔が所定の範囲内にあるとき、少なくとも1つの保護具類を、今次の走行のために、使用されるキャビンレスの車両に割り付けることが可能である。
【0025】
本方法の特に有利な一構成では、第1の付加的な状態変数が、少なくとも1つの保護具類の有効な第1の加速度情報に相当し、第2の状態変数が、対応するキャビンレスの車両の有効な第2の加速度情報に相当していてもよい。このとき、少なくとも1つの保護具類の、検出した有効な第1の加速度情報と、対応するキャビンレスの車両の、検出した有効な第2の加速度情報とが、所定の公差範囲内で同一であるとき、少なくとも1つの保護具類を、今次の走行のために、対応するキャビンレスの車両に動的に割り付けることが可能である。
【0026】
本方法の別の有利な構成において、少なくとも1つの付加的な状態変数は、認証情報であって、光学的に可視に、または読み取り可能なトランスポンダとして少なくとも1つの保護具類に配置されていることができ、車両側のセンサ装置により検出され、かつ評価され得る認証情報に相当していてもよい。このとき、検出したまたは読み取った認証情報が、使用されるキャビンレスの車両に静的に割り付けられた保護具類の認証情報に相当するとき、少なくとも1つの保護具類を、今次の走行のために、対応するキャビンレスの車両に動的に割り付けることが可能である。
【0027】
本方法の別の有利な構成において、少なくとも1つの付加的な状態変数は、原動機ノイズであって、使用されるキャビンレスの車両により発生され、保護具側の音響センサ装置により検出され、かつ評価され得る原動機ノイズに相当していてもよい。このとき、検出し、かつ評価した原動機ノイズが、使用されるキャビンレスの車両の原動機の状態データと対応するとき、少なくとも1つの保護具類を、今次の走行のために、対応するキャビンレスの車両に動的に割り付けることが可能である。
【0028】
本方法の別の有利な構成において、少なくとも1人の乗員の少なくとも1つの保護具類の、使用される車両に対する自動の動的な割り付けを、使用される車両の作動(この作動は、内燃機関を有する車両の場合、点火のオンに相当する)の直後、走行開始前に、または走行開始後の任意の時間窓内で実施してもよい。加えて、少なくとも1人の乗員の少なくとも1つの保護具類の、使用される車両に対する動的な割り付けを、周期的にまたは事象制御して走行中に検査してもよい。したがって、技術および一義性次第で、自動化された動的な割り付けを、走行開始前に、またはその直後に行うことが可能である。走行開始後の動的な割り付けは、データの相互相関が、他の車両を考慮して、十分に高い一致を示すとき、発見されたと見なされる。発見された動的な割り付けを運転者に付加的に、車両において合図で知らせることができ、その結果、運転者は、必要なとき、修正介入する可能性を有している。さらに、動的な割り付けの検査を、十分に高い確信度をもった最初の動的な割り付け後、終了するか、または連続的に走行中に継続することが可能である。後者は、データの永続的な妥当性チェックを可能にし、相関が失われたことを運転者に合図で知らせることが可能である。
【0029】
本方法の別の有利な構成において、少なくとも1人の乗員の少なくとも1つの保護具類の、使用される車両に対する動的な割り付けを、走行終了後、再び解除してもよい。走行終了は、例えば、スタンドが出されて立てられたことにより認識される停車に基づいて、または車両の作動停止(この作動停止は、内燃機関を有する車両の場合、点火のオフに相当する)に基づいて、認識され得る。
【0030】
前記系の有利な構成において、少なくとも1つの保護具類は、少なくとも1つの車両の第1の認証情報を記憶すべく構成されている少なくとも1つの不揮発性のメモリ装置を有していてもよい。加えて、少なくとも1つの車両は、少なくとも1つの保護具類の第2の認証情報を記憶すべく構成されている少なくとも1つの不揮発性のメモリ装置を有していてもよい。異なる認証情報により、複数の異なる保護具類を1つのキャビンレスの車両に静的に割り付ける、あるいは複数の車両を1つの保護具類に静的に割り付けることが可能である。
【0031】
前記系の別の有利な構成において、少なくとも1つの保護具類および/または少なくとも1つのキャビンレスの車両は、少なくとも1つの付加的な状態変数を検出すべく構成されている少なくとも1つのセンサ装置を有していてもよい。センサユニットとは、ここでは、少なくとも1つのセンサ素子を有し、センサ素子は、物理量、あるいは物理量の変化を直接的または間接的に検出し、好ましくは、電気的なセンサ信号に変換する構成ユニットと解される。
【0032】
前記系の別の有利な構成において、少なくとも1つのキャビンレスの車両は、使用されるキャビンレスの車両と、少なくとも1人の乗員の少なくとも1つの保護具類との間の動的な割り付けの目下の状態を表示し得る少なくとも1つの表示装置を有していてもよい。
【0033】
本発明の実施例を図面に示し、以下の説明の中で詳しく説明する。図中、同じ符号は、同じあるいは類似の機能を果たすコンポーネントあるいは要素を指している。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】少なくとも1つの保護具類を少なくとも1つのキャビンレスの車両に対して割り付ける本発明に係る方法の一実施例の概略的なフローチャートである。
図2図1に示す本発明に係る方法を実施すべく構成されている、少なくとも1つの保護具類を少なくとも1つのキャビンレスの車両に対して割り付ける本発明に係る系の一実施例の概略的なブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1および2から看取可能であるように、本発明に係る方法100であって、少なくとも1つの保護装置28を有する少なくとも1つの保護具類5を、走行中にこの少なくとも1つの保護装置28を作動させ得る少なくとも1つのキャビンレスの車両3に対して割り付ける方法の図示の実施例は、ステップS100を有しており、このステップS100において、少なくとも1つの保護具類5と、少なくとも1つのキャビンレスの車両3とは、相互の静的な割り付けに際し、双方向のワイヤレスの通信DKにより相応の一義的な認証情報を交換し、かつステップS110において記憶する。ステップS120において、静的な割り付けの認証情報を利用して、少なくとも出発の度に、少なくとも1つの保護具類5および/または使用されるキャビンレスの車両3の少なくとも1つの付加的な状態変数を検出し、かつステップS130において、少なくとも1つの保護具類5および/または使用されるキャビンレスの車両3内で評価する。ステップS140において、少なくとも1つの付加的な状態変数の評価に際し、少なくとも1つの所定の条件が満たされているとき、少なくとも1つの保護装置28の、使用されるキャビンレスの車両3に対する動的な割り付けを、今次の走行のために実施する。
【0036】
本方法は、例えば、ソフトウェアもしくはハードウェア内、またはソフトウェアとハードウェアとからなる混合形態内に、例えば、少なくとも1つの保護具類5を少なくとも1つのキャビンレスの車両3に対して割り付ける図2に示す系1の評価兼制御ユニット10,20内に実装されていることが可能である。
【0037】
図2からさらに看取可能であるように、方法100を実施すべく構成されている系1の図示の実施例は、少なくとも1つの保護装置28を有する少なくとも1つの保護具類5,5A,5B,5Cと、走行中に事故状況が認識された際に少なくとも1つの保護具類5,5A,5B,5Cの少なくとも1つの保護装置28を作動させ得る少なくとも1つのキャビンレスの車両3,3A,3Bとを含んでいる。このとき、少なくとも1つのキャビンレスの車両3,3A,3Bは、第1の通信装置14を有し、少なくとも1つの保護具類5,5A,5B,5Cは、第2の通信装置24を有している。第1の通信装置14と、第2の通信装置24とは、少なくとも1つの保護具類5と、少なくとも1つのキャビンレスの車両3との間のワイヤレスの通信接続を構築する。少なくとも1つのキャビンレスの車両3,3A,3Bの第1の評価兼制御ユニット10と、少なくとも1つの保護具類5,5A,5B,5Cの第2の評価兼制御ユニット20とは、双方向のワイヤレスの通信DKを介した相応の一義的な認証情報の1回の交換および1回の記憶により、相互の静的な割り付けを実施する。加えて、少なくとも1つのキャビンレスの車両3,3A,3Bの第1の評価兼制御ユニット10および/または少なくとも1つの保護具類5,5A,5B,5Cの第2の評価兼制御ユニット20は、少なくとも出発の度にその前に、静的な割り付けの認証情報を利用して、乗員の少なくとも1つの保護具類5および/または使用されるキャビンレスの車両3の少なくとも1つの付加的な状態変数を検出し、かつ評価する。このとき、使用されるキャビンレスの車両3の第1の評価兼制御ユニット10および/または少なくとも1つの保護具類5の第2の評価兼制御ユニット20は、少なくとも1つの付加的な状態変数の評価に際し、少なくとも1つの所定の条件が満たされているとき、少なくとも1つの保護装置28の、使用されるキャビンレスの車両3に対する動的な割り付けを、今次の走行のために実施する。
【0038】
図2からさらに看取可能であるように、キャビンレスの車両3内に設けられた保護系と組み合わされて、本発明に係る方法100を実施する、保護具類5内に設けられた保護系は、走行中、使用されるキャビンレスの車両3により作動可能な少なくとも1つの保護装置28と、少なくとも1つのキャビンレスの車両3とのワイヤレスの通信接続を構築する通信装置24と、通信装置24を介して少なくとも1つのキャビンレスの車両3との双方向のワイヤレスの通信DKを行い、キャビンレスの車両3と通信して相応の一義的な認証情報の1回の交換および1回の記憶ならびに少なくとも1つのキャビンレスの車両3の相互の静的な割り付けを実施する評価兼制御ユニット20とを備えている。保護具側の評価兼制御ユニット20は、少なくとも出発の度にその前に、静的な割り付けの認証情報を利用して、乗員の少なくとも1つの保護具類5および/または使用されるキャビンレスの車両3の少なくとも1つの付加的な状態変数を検出し、かつ付加的な状態変数を、使用されるキャビンレスの車両3と通信して評価し、保護具側の評価兼制御ユニット20は、少なくとも1つの付加的な状態変数の評価に際し、少なくとも1つの所定の条件が満たされているとき、少なくとも1つの保護装置28の、使用されるキャビンレスの車両3に対する動的な割り付けを、今次の走行のために実施する。
【0039】
図2からさらに看取可能であるように、保護具類5内に設けられた保護系と組み合わされて、本発明に係る方法100を実施する、キャビンレスの車両3内に設けられた保護系は、少なくとも1つの保護具類5とのワイヤレスの通信接続を構築する通信装置14と、通信装置14を介して少なくとも1つの保護具類5との双方向のワイヤレスの通信DKを行い、少なくとも1つの保護具類5と通信して相応の一義的な認証情報の1回の交換および1回の記憶ならびに少なくとも1つの保護具類5の相互の静的な割り付けを実施する評価兼制御ユニット10とを備えている。車両側の評価兼制御ユニット10は、少なくとも出発の度にその前に、静的な割り付けの認証情報を利用して、乗員の少なくとも1つの保護具類5および/または使用されるキャビンレスの車両3の少なくとも1つの付加的な状態変数を検出し、かつ付加的な状態変数を、乗員の少なくとも1つの保護具類5と通信して評価し、車両側の評価兼制御ユニット10は、少なくとも1つの付加的な状態変数の評価に際し、少なくとも1つの所定の条件が満たされているとき、少なくとも1つの保護装置28の、使用されるキャビンレスの車両3に対する動的な割り付けを、今次の走行のために実施する。
【0040】
図2には、2つのキャビンレスの車両3A,3Bと、ジャケットとして構成される3つの保護具類5A,5B,5Cとを示してあり、保護具類5A,5B,5Cは、それぞれ、膨張可能なエアバッグとして構成される保護装置28を有している。この場合、図示の実施例では、保護具類5A,5B,5Cは、第1のキャビンレスの車両3Aにも、第2のキャビンレスの車両3Bにも静的に割り付けられている。付加的に、第1の保護具類5Aと、第2の保護具類5Bとは、今次の走行のために動的にそれぞれ第1のキャビンレスの車両3Aに割り付けられている。第3の保護具類5Cは、今次の走行のために付加的に動的に第2のキャビンレスの車両3Bに割り付けられている。保護具類5A,5B,5Cと、キャビンレスの車両3A,3Bとの、さらに別の静的かつ動的な割り付けも可能であることは、自明である。
【0041】
図2からさらに看取可能であるように、保護具類5A,5B,5Cは、それぞれ、不揮発性のメモリ装置22を有し、メモリ装置22は、図示の実施例では、それぞれの評価兼制御ユニット20に内蔵されている。代替的には、不揮発性のメモリ装置22は、外部のメモリであってもよい。保護具類5A,5B,5Cのメモリ装置22内には、それぞれ、第1のキャビンレスの車両3Aおよび第2のキャビンレスの車両3Bの第1の認証情報が記憶されている。両キャビンレスの車両3A,3Bは、それぞれ、不揮発性のメモリ装置12を有し、両キャビンレスの車両3A,3B内には、それぞれ、3つの保護具類5A,5B,5Cの第2の認証情報が記憶されている。これにより、3つすべての保護具類5A,5B,5Cが、第1のキャビンレスの車両3Aにも、第2のキャビンレスの車両3Bにも、走行のために動的に割り付けられ得ることが可能である。図2からさらに看取可能であるように、第1の保護具類5Aと、第2の保護具類5Bとは、例示的に第1のキャビンレスの車両3Aに今次の走行のために動的に割り付けられている。第3の保護具類5Cは、第2のキャビンレスの車両3Bに今次の走行のために動的に割り付けられている。
【0042】
図2からさらに看取可能であるように、図示の実施例では、保護具類5A,5B,5Cと、キャビンレスの車両3A,3Bとは、それぞれ、少なくとも1つのセンサ装置16,26を有し、センサ装置16,26は、少なくとも1つの付加的な状態変数を検出する。図示の実施例では、センサ装置は、それぞれ、慣性測定ユニットとして構成されており、慣性測定ユニットは、それぞれ、複数の慣性センサ、例えば加速度センサおよび角速度センサの空間的な組み合わせを有している。
【0043】
キャビンレスの車両3A,3Bは、図示の実施例では、それぞれ、表示装置18を有し、表示装置18は、使用されるキャビンレスの車両3と、少なくとも1人の乗員の対応する保護具類5A,5B,5Cとの間の動的な割り付けの目下の状態を表示する。
【0044】
図示の実施例では、静的な割り付けに際し、ステップS110において、個々の保護具類5A,5B,5Cの第1の認証情報を両キャビンレスの車両3A,3B内に記憶する。加えて、両キャビンレスの車両3A,3Bの第2の認証情報を、それぞれ、3つの保護具類5A,5B,5C内に記憶する。
【0045】
加えて、第1の付加的な状態変数は、個々の保護具類5A,5B,5Cの有効な第1の加速度情報に相当し、この第1の加速度情報は、対応する保護具側のセンサ装置26により検出する。第2の状態変数は、対応するキャビンレスの車両3A,3Bの有効な第2の加速度情報に相当し、この第2の加速度情報は、対応する車両側のセンサ装置16により検出する。この場合、乗員の保護具類5A,5A,5Bの、検出した有効な第1の加速度情報と、使用されるキャビンレスの車両3A,3Bの、検出した有効な第2の加速度情報とが、所定の公差範囲内で同一であるとき、個々の保護具類5A,5B,5Cを、今次の走行のために、使用されるキャビンレスの車両3A,3Bに動的に割り付ける。加速度情報として、例えば、発進または制動時の線形の加速度を、さらには、キャビンレスの車両3A,3Bのカーブ走行中の角速度も、検出し、かつ評価することが可能である。使用されるキャビンレスの車両3A,3Bと、対応する保護具類5A,5B,5Cとは、発進または制動時、同じ線形の加速度を受け、カーブ走行中、同じ角速度を受けるので、動的な割り付けは、その後、トータルの線加速度、角速度ベクトルまたは成分毎の相互相関を基に実施され得る。車両3A,3Bの姿勢方位(例えばバンク、偏角)と、乗員あるいは保護具類5A,5B,5Cの姿勢方位(車両3A,3B上でのポジション)とを調和させるために、対応する座標系は、好ましくは、個別にまたは一緒に水平出しされ得る。
【0046】
本方法100の図示しない代替的な一実施例では、少なくとも1つの付加的な状態変数を、少なくとも1つの保護具類5A,5B,5Cと、使用されるキャビンレスの車両3A,3Bとの間の間隔を求めるために評価する。保護具類5A,5B,5Cと、使用される車両3A,3Bとの間の間隔は、例えば、特定の符号化された信号によるワイヤレスの通信DK時の伝送時間の評価により見積もることが可能である。代替的には、利用可能性および精度によっては、衛星システムを介して検出され得る車両および保護具類の地理学的位置の評価により、間隔を特定してもよい。この場合、求めた間隔が所定の範囲内にあるとき、対応する保護具類5A,5B,5Cを、今次の走行のために、使用されるキャビンレスの車両3A,3Bに割り付けることが可能である。
【0047】
本方法100の図示しない別の代替的な一実施例では、少なくとも1つの付加的な状態変数は、認証情報であって、光学的に可視に、または読み取り可能なトランスポンダとして少なくとも1つの保護具類5A,5B,5Cに配置されていて、車両側のセンサ装置16により検出され、かつ評価される認証情報に相当する。本実施例では、車両側のセンサ装置16は、少なくとも1つの光学センサを有し、光学センサは、保護具類5A,5B,5Cにおける光学的な認証情報を検出し、かつ評価のために車両側の評価兼制御ユニット10へと転送する。光学センサは、例えばカメラとして構成されていて、保護具類5A,5B,5Cに設けられたQRコード(登録商標)または赤外線ダイオードを検出してもよい。代替的には、車両側のセンサ装置16は、保護具類5A,5B,5Cのトランスポンダから認証情報を読み取る読み取り装置を有している。このとき、検出したまたは読み取った認証情報が、使用されるキャビンレスの車両3A,3Bに静的に割り付けられた保護具類5の認証情報に相当するとき、対応する保護具類5A,5B,5Cを、今次の走行のために、使用されるキャビンレスの車両3A,3Bに動的に割り付ける。
【0048】
本方法100の図示しない別の代替的な一実施例では、少なくとも1つの付加的な状態変数は、原動機ノイズであって、使用されるキャビンレスの車両3A,3Bにより発生され、保護具側の音響センサ装置26により検出され、かつ評価される原動機ノイズに相当する。このために、保護具側のセンサ装置26は、使用される車両3A,3Bの着火時点を検出することが可能な音響センサ素子、例えばマイクロホンを有していてもよい。原動機ノイズは、その後、例えばフーリエ変換を用いた周波数分析により評価され得る。マイクロホンの有効範囲内にある車両3A,3Bの原動機着火時間についての照合と、音の伝播時間特定とにより、したがって間隔の算定が可能である。このために、時間同期されない端末の場合、ワイヤレスの通信の僅かな、比較的一定の伝達時間が考慮される。このとき、検出し、かつ評価した原動機ノイズが、使用されるキャビンレスの車両3A,3Bの原動機の状態データと対応するとき、対応する保護具類5A,5B,5Cを、今次の走行のために、使用されるキャビンレスの車両3A,3Bに動的に割り付ける。
【0049】
使用するセンサ装置16,26に応じて、乗員の少なくとも1つの保護具類5A,5B,5Cの、使用される車両3A,3Bに対する自動の動的な割り付けを、使用される車両3の作動の直後、走行開始前に、または走行開始後の任意の時間窓内で実施する。加えて、図示の実施例では、乗員の対応する保護具類5A,5B,5Cの、使用される車両3A,3Bに対する動的な割り付けを、周期的にまたは事象制御して走行中に検査する。これにより、運転者には、発見された動的な割り付けを車両において合図で知らせることができ、その結果、運転者は、修正介入する可能性を有している。加えて、運転者は、走行中の動的な割り付けの周期的な検査により、対応する保護具類5A,5B,5Cおよびその無線通信が今なお機能しているか、認識することが可能である。加えて、運転者に対して、障害時には、表示装置18により視覚的かつ/または聴覚的に警告することが可能である。
【0050】
少なくとも1人の乗員の対応する保護具類5A,5B,5Cの、使用される車両3A,3Bに対する動的な割り付けを、走行終了後、再び解除する。走行終了は、図示の実施例では、スタンドが出されて立てられたことにより認識される停車に基づいて、または使用される車両3A,3Bの作動停止に基づいて、認識される。
【符号の説明】
【0051】
1 系
3,3A,3B キャビンレスの車両
5,5A,5B,5C 保護具類
10 第1の評価兼制御ユニット
12 メモリ装置
14 第1の通信装置
16 センサ装置
18 表示装置
20 第2の評価兼制御ユニット
22 メモリ装置
24 第2の通信装置
26 センサ装置
28 保護装置
100 方法
DK ワイヤレスの通信
S100 ステップ
S110 ステップ
S120 ステップ
S130 ステップ
S140 ステップ
図1
図2
【国際調査報告】