(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】高信頼絶縁の超小型電磁リレー
(51)【国際特許分類】
H01H 50/36 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
H01H50/36 Z
H01H50/36 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547185
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 CN2022076646
(87)【国際公開番号】W WO2022179430
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】202110213966.3
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519048160
【氏名又は名称】厦▲門▼宏▲発▼信号▲電▼子有限公司
【氏名又は名称原語表記】XIAMEN HONGFA SIGNAL ELECTRONICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 83 Yinong Road, Haicang District, Xiamen, Fujian 361027, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】林 佳▲賓▼
(72)【発明者】
【氏名】董 欣▲賞▼
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼ 志愿
(57)【要約】
本開示は、コイル部と、固定バネ部とを含む高信頼絶縁の超小型電磁リレーを提供し、コイル部は、コイルホルダを含み、コイルホルダは、2つのフランジを含み、2つのフランジは、コイルホルダの両端部に位置し、固定バネ部は、コイルホルダの少なくとも1つの端部に設けられた固定バネを含み、固定バネは、固定接点を含む接点部を含み、固定バネの接点部は、コイルホルダのフランジに近い位置に設けられ、コイルホルダのフランジでは、水平の2つの方向に固定バネの接点部を共同に位置限定するための第1の障壁及び第2の障壁が上に突設されている。本開示は、第1の障壁及び第2の障壁により、固定バネの接点部が取り付けられる時の位置に制御不能なばらつきが生じることを回避することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル部と固定バネ部とを含み、前記コイル部は、コイルホルダを含み、前記コイルホルダは、2つのフランジを含み、2つの前記フランジは、前記コイルホルダの両端部に位置し、前記固定バネ部は、前記コイルホルダの少なくとも1つの端部に設けられた固定バネを含む高信頼絶縁の超小型電磁リレーであって、
前記固定バネは、固定接点を含む接点部を含み、前記接点部は、前記コイルホルダの前記フランジに近い位置に設けられ、前記フランジには、水平の2つの方向において前記固定バネの前記接点部を共同に位置限定するための第1の障壁と第2の障壁がそれぞれ上に突設されており、前記第1の障壁と前記第2の障壁とにより、前記固定バネの前記接点部が取り付けられる時の位置に制御不能なばらつきが生じることを回避する、
ことを特徴とする高信頼絶縁の超小型電磁リレー。
【請求項2】
前記リレーは、さらに、プラスチック部品を含み、前記プラスチック部品は、射出成形で前記コイル部及び前記固定バネ部を一体化させて前記コイル部、前記固定バネ部及び前記プラスチック部品を前記リレーのベース部とし、前記第1の障壁と前記第2の障壁とにより、前記固定バネの前記接点部が前記ベース部の射出成形される時の位置が制御不能なばらつきが生じることを回避する、
ことを特徴とする請求項1に記載の高信頼絶縁の超小型電磁リレー。
【請求項3】
前記コイル部は、さらに、U字型の鉄心及びエナメル線を含み、前記コイルホルダは、射出成形で前記U字型の鉄心を被覆し、前記U字型の鉄心の両端の端部は、前記コイルホルダの2つの前記フランジから上に突出して延在して、前記U字型の鉄心のうち極面である両端面を前記コイルホルダ外に露出させ、前記コイルホルダは、さらに、2つの前記フランジの間に形成された巻線窓を有し、前記エナメル線は、前記巻線窓に巻回されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の高信頼絶縁の超小型電磁リレー。
【請求項4】
前記第1の障壁の壁面は、リレーの幅方向に沿って設けられ、前記第1の障壁は、リレーの長手方向に前記固定バネの前記接点部とコイルホルダの巻線窓に巻き付けられた前記エナメル線との間に遮断し、前記第1の障壁を利用して前記固定バネの接点部と前記エナメル線との間の沿電距離を増加させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の高信頼絶縁の超小型電磁リレー。
【請求項5】
前記第2の障壁の壁面は、リレーの長手方向に沿って設けられ、前記第2の障壁は、リレーの幅方向に前記固定バネの接点部と前記U字型の鉄心との間に位置し、前記第2の障壁と前記第1の障壁とは、L字状の輪郭を形成し、前記固定バネの接点部は、前記L字状の輪郭内に位置し、前記第1の障壁と前記第2の障壁との根元部は、前記エナメル線の線巻回領域の輪郭外に位置する、
ことを特徴とする請求項4に記載の高信頼絶縁の超小型電磁リレー。
【請求項6】
前記第1の障壁と前記第2の障壁とは、一体に接続されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の高信頼絶縁の超小型電磁リレー。
【請求項7】
前記第1の障壁及び前記第2の障壁では、前記固定バネの接点部に向かう面に縦方向に沿って設けられた第1の突出ブロックがそれぞれ設けられており、前記第1の障壁と前記第2の障壁の第1の突出ブロックは、対応する前記固定バネの接点部に当接して、前記固定バネの接点部に対する共同の位置限定を実現する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の高信頼絶縁の超小型電磁リレー。
【請求項8】
前記第1の突出ブロックの頂部は、傾斜面とし、前記第1の突出ブロックの傾斜面は、内側から外側に漸次的に下向きに傾斜し、前記第1の突出ブロックの外側は、直線辺とする、
ことを特徴とする請求項7に記載の高信頼絶縁の超小型電磁リレー。
【請求項9】
前記第1の障壁と前記第2の障壁の頂端がリレーの高さ方向に対応する高さ位置は、前記固定バネの接点部の頂端がリレーの高さ方向に対応する高さ位置よりも高い、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の高信頼絶縁の超小型電磁リレー。
【請求項10】
前記プラスチック部品は、前記第1の障壁及び前記第2の障壁を完全に被覆し、又は、前記プラスチック部品は、前記第1の障壁及び前記第2の障壁を一部に被覆し、前記第1の障壁と前記第2の障壁との頂部は、前記プラスチック部品から露出する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の高信頼絶縁の超小型電磁リレー。
【請求項11】
前記コイル部は、前記U字型の鉄心の両端の端部の間に取り付けられた永久磁石をさらに含み、前記コイルホルダの前記フランジには、リレーの長手方向に沿う中心線の両辺に前記第1の障壁及び前記第2の障壁がそれぞれ対称に設けられており、幅方向に設けられた2つの前記第2の障壁の間は、リレーの幅方向に前記永久磁石を挟持するための挟持口を形成し、幅方向に設けられた2つの前記第2の障壁の前記永久磁石に向かう面には、縦方向に沿って設けられた第2の突出ブロックが設けられており、前記第2の突出ブロックと前記永久磁石との締り嵌めにより、前記永久磁石を前記コイルホルダに固定させ、前記第2の突出ブロックの頂部は、傾斜面とし、前記第2の突出ブロックの傾斜面は、内側から外側に漸次下向きに傾斜し、前記第2の突出ブロックの外側は、直線辺とし、前記コイルホルダのフランジでは、前記挟持口に対応する底面には、第3の突出ブロックが上に突設されている、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の高信頼絶縁の超小型電磁リレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互引用]
本開示は、2021年2月25日に出願された出願番号202110213966.3の中国特許出願の優先権を主張し、該中国特許出願のすべての内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、リレー技術分野に関し、特に、高信頼絶縁の超小型電磁リレーに関する。
【背景技術】
【0003】
超小型電磁リレーは、体積が小さいため、ネットワーク通信、医療機器など製品の密集設置が必要な分野で大量に使用されている。従来技術の超小型電磁リレーは、通常、可動バネアーマチュア部、ベース部及びハウジングからなり、ここで、可動バネアーマチュア部は、2組の可動バネとアーマチュアとを組み合わせて射出成形して全体を形成し、2組の可動バネは、それぞれ常開端接点と常閉端接点を有し、可動バネアーマチュア部は、位置決定箇所の材料とベース部の固定バネ部との溶接により反り板構造を形成し、これにより、可動バネの常開端接点、常閉端接点は、常開固定バネの接点、常閉固定バネの接点にそれぞれ対応しており、その溶接方式は、レーザー溶接又は抵抗溶接などの方式であってもよい。
【0004】
このような超小型電磁リレーのベース部は、通常、コイル部と固定バネ部からなる。ベース部の作製時には、まず、U字型の鉄心を1回目の射出成形でコイルホルダ部(
図1に示す)を形成し、コイルホルダ部101は、コイルホルダ102とU字型の鉄心103を含み、コイルホルダ102は、両端に位置するフランジ104と2つのフランジ104の間に位置する巻線窓105とを含み、U字型の鉄心103の中間段は、コイルホルダ102に被覆され、U字型の鉄心103の両端部106は、コイルホルダ102の2つのフランジ104に配置され、そして、U字型の鉄心103の可動バネアーマチュア部のアーマチュアに合わせる極面107がコイルホルダ102外に露出し、次に、コイルホルダ102の巻線窓105にエナメル線108を巻き付け、コイル部109を形成し(
図2に示す)、次に、固定バネ部200とコイル部109とを位置合わせし(
図3に示すように)、ここで、固定バネ部200は、通常4つの接点固定バネ201(すなわち、2つの常開固定バネと2つの常閉固定バネ)を含み、各接点固定バネ201は、接点部202と引出脚203を含み、接点部202には固定接点204が含まれ、このようなリレーコイルの動作方式は、通常、単安定状態と磁気保持規格を両立する必要であるため、磁路構造には、通常、コイル部のU字型の鉄心103の両端部106間に溶接されたの永久磁石206が必要であり(
図4に示す)、最後に、固定バネ部200とコイル部109とを2回目の射出成形でベース部205を形成する(
図5に示す)。
【0005】
このようなベース、磁気回路、固定バネの3つを組み合わせて射出成形するソリューションは、体積の減少と絶縁能力の向上の効果を達成することができるが、依然として以下のような弊害が存在する。
【0006】
第一に、4つの接点固定バネ201の接点部202の位置のX、Y方向の位置の一致性の精度が不足しており、
図5に示すように、X方向は、リレーの長手方向(すなわち、鉄心のU字型の底壁に沿った長手方向)、Y方向は、リレーの幅方向である。これは、従来の電磁リレーでは、
図3に示すように、接点固定バネ201の接点部202の位置がX、Y方向に有効な位置限定を行わないため、接点位置にばらつきが生じ、固定接点と動接点との接触位置にばらつきが生じるためである。このばらつきは、出力回路間の接触抵抗の一致性及び電気耐久性の一致性の不足を招きやすく、製品の一致性に影響を与える。
【0007】
第二に、接点部202の位置とコイルのエナメル線108との間の沿面距離M
1は、通常、入出力回路間の短い位置(
図3に示す)であり、この絶縁性能は、リレーの使用に伴って悪化する傾向にあり、入出力回路間の遮蔽度に影響を与える。その原因として、接点部202の位置とコイルとの間は、ベースの結合射出後にベースプラスチックによって隔離されているが、コイルホルダのプラスチックとベースのプラスチックは、通常全く同じ材料ではないため、材料間に膨張率、耐熱性などの特性上の違いがあり、さらに、ベースのプラスチックとコイルのプラスチックは、別に二次の加工ででき、通常、コイルホルダは、先に加工成形されており、加工が完了した後、フレームのプラスチック表面は、空気湿気などの雰囲気要素によって清浄度に影響を受けることは避けられないため、ミクロ上のコイルホルダのフレームのプラスチックとベースのプラスチックの間は、完全に緊密に結合することはできない。この結合が緊密でない弊害は、リレーの使用過程の環境温度、湿気変化などの影響に伴い、さらに悪化する。したがって、固定バネ接点部202の位置とコイルとの間がベースの射出前に、接点部202の位置はエナメル線の上に直接暴露され、両者の間の沿電距離M1は短く、コイルホルダのプラスチックとベースのプラスチックとの間のミクロスリットは、電圧破壊の経路となる。
【0008】
第三に、永久磁石206と鉄心103がレーザー溶接を用いて位置決定され、レーザー溶接時にスポット位置の熱が急激に発生し、これにより、スポット位置の金属が溶融し、飛散する。溶接位置が鉄心極面107の近傍にあるため、液状金属スパッタによる溶接スラグが鉄心極面107に堆積しやすく、これにより、リレーにコイルを通電しても動作しなく、又は、接点が確実にオンできない機能障害が発生する。
【発明の概要】
【0009】
本開示の目的は、従来技術の不足を克服し、高信頼絶縁の超小型電磁リレーを提供し、構造の改良を通じて、固定バネの接点部に対して2方向の位置限定を行うことができ、固定バネの接点部がベースとして射出成形された時の位置に制御不能なばらつきが生じることを回避し、それによってリレー出力回路の一致性を高めることができる一方、固定バネの接点部がエナメル線上に直接露出することを回避でき、リレーの外形寸法を増加させることなく入出力回路間の沿面距離を増大でき、ベースのプラスチックによる沿面距離の増加への依存を減少させるとともに、リレー使用中に環境温度、湿気変化などの影響により絶縁効果への影響を回避でき、さらに、リレーの耐環境性能を向上させることができる。
【0010】
本開示が技術的課題を解決する技術案は、コイル部と、固定バネと、を含む部高信頼絶縁の超小型電磁リレーを提供し、前記コイル部は、コイルホルダを含み、前記コイルホルダは、2つのフランジを含み、2つの前記フランジは、前記コイルホルダの両端部に位置し、前記固定バネ部は、コイルホルダの少なくとも1つの端部に設けられた固定バネを含み、前記固定バネは、固定接点を含む接点部を含み、前記固定バネの接点部は、コイルホルダに近いフランジの位置に設けられ、前記コイルホルダのフランジには、水平の2つの方向において前記固定バネの前記接点部を共同に位置限定するための第1の障壁と第2の障壁がそれぞれ上に突設されており、第1の障壁と第2の障壁とにより、前記固定バネの前記接点部が取り付けられる時の位置に制御不能なばらつきが生じることを回避する。
【0011】
本開示のいくつかの実施例により、前記リレーは、さらに、プラスチック部品を含み、前記プラスチック部品は、射出成形でコイル部及び固定バネ部を一体化させて前記コイル部、前記固定バネ部及び前記プラスチック部品を前記リレーのベース部とし、第1の障壁及び第2の障壁により、固定バネの接点部がベース部に射出成形する時の位置に制御不能なばらつきが生じることを回避する。
【0012】
本開示のいくつかの実施例により、前記コイル部は、さらに、U字型の鉄心及びエナメル線を含み、前記コイルホルダは、射出成形でU字型の鉄心を被覆し、前記U字型の鉄心の両端の端部は、コイルホルダの2つの前記フランジから上に突出して延在して、前記U字型の鉄心のうち極面である両端面をコイルホルダ外に露出させ、前記コイルホルダは、さらに、2つの前記フランジの間に形成された巻線窓を有し、前記エナメル線は、前記巻線窓に巻回されている。
【0013】
本開示のいくつかの実施例により、前記第1の障壁の壁面は、リレーの幅方向に沿って設けられ、前記第1の障壁は、リレーの長手方向に固定バネの接点部コイルホルダの巻線窓に巻き付けられた前記エナメル線との間に遮断し、前記第1の障壁を利用して前記固定バネの接点部と前記エナメル線との間の沿電距離を増加させる。
本開示のいくつかの実施例により、前記第2の障壁の壁面は、リレーの長手方向に沿って設けられ、前記第2の障壁は、リレーの幅方向に固定バネの接点部とU字型の鉄心との間に位置し、前記第2の障壁と第1の障壁とは、L字状の輪郭を形成し、前記固定バネの接点部は、L字状の輪郭内に位置し、第1の障壁と第2の障壁との根元部は、エナメル線の線巻回領域の輪郭外に位置する。
【0014】
本開示のいくつかの実施例により、前記第1の障壁と前記第2の障壁とは、一体に接続されている。
【0015】
本開示のいくつかの実施例により、前記第1の障壁及び前記第2の障壁では、前記固定バネの接点部に向かう面に縦方向に沿って設けられた第1の突出ブロックがそれぞれ設けられており、前記第1の障壁と前記第2の障壁の第1の突出ブロックは、対応する前記固定バネの接点部に当接して、前記固定バネの接点部に対する共同の位置限定を実現する。
本開示のいくつかの実施例により、前記第1の突出ブロックの頂部は、傾斜面とし、前記第1の突出ブロックの傾斜面は、内側から外側に漸次的に下向きに傾斜し、前記第1の突出ブロックの外側は、直線辺とする。
【0016】
本開示のいくつかの実施例により、前記第1の障壁と前記第2の障壁の頂端がリレーの高さ方向に対応する高さ位置は、前記固定バネの接点部の頂端がリレーの高さ方向に対応する高さ位置よりも高い。
【0017】
本開示のいくつかの実施例により、前記プラスチック部品は、前記第1の障壁及び前記第2の障壁を完全に被覆し、又は、前記プラスチック部品は、前記第1の障壁及び前記第2の障壁を一部に被覆し、前記第1の障壁と前記第2の障壁との頂部は、前記プラスチック部品から露出する。
【0018】
本開示のいくつかの実施例により、前記コイル部は、前記U字型の鉄心の両端の端部の間に取り付けられた永久磁石をさらに含み、前記コイルホルダの前記フランジには、リレーの長手方向に沿う中心線の両辺に前記第1の障壁及び前記第2の障壁がそれぞれ対称に設けられており、幅方向に設けられた2つの前記第2の障壁の間は、リレーの幅方向に前記永久磁石を挟持するための挟持口が形成され、幅方向に設けられた2つの前記第2の障壁の前記永久磁石に向かう面には、縦方向に沿って設けられた第2の突出ブロックが設けられており、前記第2の突出ブロックと前記永久磁石との締り嵌めにより、前記永久磁石を前記コイルホルダに固定させる。
【0019】
本開示のいくつかの実施例により、前記第2の突出ブロックの頂部は、傾斜面とし、前記第2の突出ブロックの傾斜面は、内側から外側に漸次下向きに傾斜し、前記第2の突出ブロックの外側は、直線辺とする。
【0020】
本開示のいくつかの実施例により、前記コイルホルダのフランジでは、前記挟持口に対応する底面には、第3の突出ブロックが上に突設されている。
【0021】
従来技術と比較して、本開示の有益な効果は、以下の通りである
1)本開示は、コイルホルダを用いたフランジにおいて、水平の2方向に固定バネの接点部を共同に位置限定するための第1の障壁と第2の障壁がそれぞれ上に突設されている。本開示のこのような構成により、第1の障壁と第2の障壁を利用して、固定バネの接点部に対して2方向の位置限定を行うことができ、固定バネの接点部が取り付けられた時、特にベース部が射出成形された時の位置に制御不能なばらつきが生じることを回避し、さらに、リレー出力回路の一致性を向上させることができる。
【0022】
2)本開示は、第1の障壁の壁面をリレーの幅方向に沿って設け、かつ第1の障壁は、リレーの長手方向に固定バネの接点部とコイルホルダの巻線窓に巻き付けるエナメル線との間に遮断し、また、第1の障壁及び前記第2の障壁の頂端がリレーの高さ方向に対応する高さ位置は、前記固定バネの接点部の頂端がリレーの高さ方向に対応する高さ位置よりも高い。本開示のこのような構造は、固定バネの接点部がエナメル線の上に直接露出することを回避でき、リレーの外形寸法を増加させることなく入出力回路間の沿面距離を増大させ、ベースのプラスチックによる沿面距離の増加への依存を減少させるとともに、リレー使用中に環境温度、湿気変化などの影響による絶縁効果への影響を回避し、リレーの耐環境性能を向上させることができる。
【0023】
3)本開示は、コイルホルダを用いたフランジでは、リレーの長手方向に沿った中心線の両辺に前記第1の障壁と前記第2の障壁とがそれぞれ対称であり、幅方向に沿って設けられた2つの第2の障壁の間は、リレーの幅方向に永久磁石を挟持するための挟持口を形成し、前記2つの第2の障壁の永久磁石に向かう面には、縦方向に沿って設けられた第2の突出ブロックがそれぞれ設けられ、これにより、2つの第2の突出ブロックと永久磁石との締り嵌めを利用して永久磁石をコイルホルダに固定させる。本開示のこのような構成は、従来技術における永久磁石と鉄心とがレーザー溶接位置決定による弊害を回避することができる。
以下、添付図面及び実施例に基づいて本開示をさらに詳細に説明する。しかし、本開示の超小型リレーは、実施例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】従来技術における電磁リレーのコイルホルダの部分の立体構造の模式図である。
【
図2】従来技術における電磁リレーのコイル部の立体構造の模式図である。
【
図3】従来技術における電磁リレーのコイル部と固定バネ部との組み合わせ位置の模式図である。
【
図4】従来技術における電磁リレーのコイル部(永久磁石を含む)の立体構造の模式図である。
【
図5】従来技術における電磁リレーのベース部の立体構造の模式図である。
【
図6】本開示の実施例における立体構造の分解の模式図である。
【
図7】本開示の実施例における立体構造の模式図である(ハウジングを含まない)。
【
図8】本開示の実施例におけるベース部の立体構造の模式図である。
【
図9】本開示の実施例におけるコイル部(永久磁石を含む)と固定バネ部との組み合わせ位置の模式図である。
【
図10】本開示の実施例におけるコイル部(永久磁石を含む)と固定バネ部との組み合わせ位置の上面図である。
【
図11】本開示の実施例におけるコイル部(永久磁石を含まない)と固定バネ部との組み合わせ位置の模式図である。
【
図12】本開示の実施例におけるコイル部(永久磁石を含まない)と固定バネ部との組み合わせ位置の上面図である。
【
図13】本開示の実施例におけるコイル部(永久磁石を含む)の立体構造の模式図である。
【
図14】本開示の実施例におけるコイル部(永久磁石を含む)の上面図である。
【
図15】本開示の実施例におけるコイル部(永久磁石を含まない)の立体構造の模式図である。
【
図16】本開示の実施例におけるコイル部(永久磁石を含まない)の上面図である。
【
図17】本開示の実施例におけるコイルホルダの部分の立体構造の模式図である。
【
図18】本開示の実施例におけるコイルホルダの部分の上面図である。
【
図19】本開示の実施例におけるU字型の鉄心の立体構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施例
図6から
図19に示すように、本開示の高信頼絶縁の超小型電磁リレーは、ハウジング1、可動バネアーマチュア部2、及びベース部3(
図6)を含み、ここで、可動バネアーマチュア部2は、2組の可動バネ、アーマチュアにより組合せ射出成形で全体を形成し、2組の可動バネにはそれぞれ常開端接点と常閉端接点が設けられ、可動バネアーマチュア部2は、位置決定箇所の材料とベース部3中の固定バネ部との溶接により反り板構造を形成し、可動バネの常開端接点、常閉端接点が常開固定バネの接点、常閉固定バネの接点にそれぞれ対応し、ベース部3は、コイル部31、固定バネ部32及びプラスチック部品33を含み、プラスチック部品33は、コイル部31と固定バネ部32とを射出成形で一体的に結合し(
図8に示すように)、ここで、プラスチック部品33は、ベースに相当し、前記コイル部31は、U字型の鉄心311と、射出成形でU字型の鉄心311を被覆したコイルホルダ5と、コイルホルダ5に巻回されたエナメル線4(
図15、
図16に示す)とを含み、ここで、U字型の鉄心311とコイルホルダ5は、コイルホルダ部50を構成し、前記コイルホルダ5は、両端部にあるフランジ51と、フランジの間にあるエナメル線を巻くための巻線窓52とを含み、前記U字型の鉄心311の両端部にある端部312は、コイルホルダ5の両端部にある2つのフランジ51からそれぞれ上に突出して延在し、これにより、U字型の鉄心311の極面313とする両端面をコイルホルダ5から露出させ(
図18、
図19に示すように)、前記固定バネ部32は、常開端部及び/又は常閉端部に設けられた複数の固定バネ6を含み(
図9に示すように)、前記固定バネ6の上部は、固定接点61を含む接点部62とし、下部は、引出脚63とし、前記固定バネの接点部62は、コイルホルダ5のフランジ51に近い位置に設けられ、前記コイルホルダ5のフランジ51では、水平な2方向に固定バネ6の接点部62を共同に位置限定するための第1の障壁511及び第2の障壁512がそれぞれ上方に突出して設けられており、第1の障壁511及び第2の障壁512により、固定バネ6の接点部62がベース部3の射出成形時の位置に制御不能なばらつきが生じることを回避する。
【0026】
本開示では、技術的特徴における上、下等の方位の限定について、部品間又は部品中の構造間の相対的な位置関係を示し、例えば、固定バネ6の上部と下部とは、固定バネ6がコイルホルダ5に配置し、且つU字型の鉄心311の両端の端部312がそれぞれ上を向いているとき、固定バネ6が対応している上部特徴と下部特徴を意味する。
【0027】
この実施例では、前記第1の障壁51の壁面は、リレーの幅方向に沿って設けられ、前記第1の障壁51は、リレーの長手方向に固定バネ6の接点部62とコイルホルダの巻線窓52に巻き付けられたエナメル線4との間に遮断し、これにより、第1の障壁511を利用して固定バネ6の接点部62とエナメル線4との間の沿電距離を増加させる。
図11に示すように、固定バネ6の接点部62とエナメル線4との間の沿電距離は、エナメル線4から第1の障壁511の外側面に沿って第1の障壁511の頂端までの第1の段S1、第1の障壁511の頂端の幅の第2の段S2と、第1の障壁511の頂端から第1の障壁511の内側面に沿って固定バネ6の接点部62までの第3の段S3とを含み、ここで、第1の障壁511の内側面とは、第1の障壁511が固定バネ6の接点部62に向かう面を指し、第1の障壁511の外側面とは、第1の障壁511が固定バネ6の接点部62に背向する面を指す。また、リレーの長手方向とは、U字型の鉄心311のU形底壁の長手方向を指し、
図8に示すようにX方向であり、リレーの幅方向をY方向、リレーの高さ方向をZ方向とする。
【0028】
本実施例では、前記第2の障壁512の壁面は、リレーの長手方向に設けられ、リレーの幅方向において固定バネ6の接点部62とU字型の鉄心311との間に位置し、前記第2の障壁512と第1の障壁511は、L字状の輪郭で囲まれており、前記固定バネ6の接点部62は、L字状の輪郭内に位置し、且つ、第1の障壁511と第2の障壁512の根元部は、エナメル線4の巻回領域の輪郭外に位置する。本開示の第1の障壁511及び第2の障壁512は、全体としてZ方向においてコイルホルダの巻線窓52外に位置し、巻線窓52を占有しない。固定バネ6の接点部62は、L字型の障壁の内側にあり、X、Y方向でコイルホルダの巻線窓52外に位置し、コイルエナメル線と直接対向することを回避する。
【0029】
この実施例では、前記第1の障壁511と前記第2の障壁512とは一体に接続されている。もちろん、第1の障壁511と第2の障壁512は、輪郭がL形で、接続されていなくてもよい。
【0030】
この実施例では、前記第1の障壁511及び前記第2の障壁512には、固定バネ6の接点部62に向かう面(即ち内側面)に縦方向(即ちZ方向)に沿って設けられた第1の突出ブロック513がそれぞれ設けられており、第1の突出ブロック513は、対応する固定バネ6の接点部62に当接して、固定バネ6の接点部62に対する共同の位置限定を実現することができる。第1の突出ブロック513を設けて固定バネ6を位置限定することにより、接触面積を小さくすることができ、プラスチック屑の発生を低減することができる。
【0031】
この実施例では、前記第1の突出ブロック513の頂部は、傾斜面514とし、内側から外側に漸次的に下向きに傾斜しており、前記第1の突出ブロック513の外側は、直線辺とする。第1の突出ブロック513の内側は、第1の障壁511又は第2の障壁512に接続される側を指し、第1の突出ブロック513の外側は、第1の障壁511又は第2の障壁512に接続されない側を指す。第1の突出ブロック513の頂部を傾斜面514とすることにより、固定バネ6の接点部62のガイドや配置きを容易にし、第1の突出ブロック513の外側を直線辺とすることで、加工精度の難さを低減することができる。
【0032】
この実施例では、前記第1の障壁511及び第2の障壁512の頂端がリレーの高さ方向(すなわちZ方向)に対応する高さ位置は、前記固定バネ6の接点部62の頂端がリレーの高さ方向に対応する高さ位置よりも高い。
【0033】
この実施例では、前記プラスチック部品33は、前記第1の障壁511及び第2の障壁512を部分に被覆し、前記第1の障壁511及び前記第2の障壁512の頂部は、前記プラスチック部品33の外側に露出した。もちろん、必要に応じて、プラスチック部品33が第1の障壁511及び第2の障壁512を完全に被覆するように設計することもできる。
【0034】
コイルホルダ5上の第1の障壁511と第2の障壁512は、ベース部3として射出成形された後、リレーのZ方向に部分的に露出しても良く、リレー全体の小型化をできるがけ保証し、しかし、ベース金型の加工難易度を適切に下げるために、ベースプラスチックで覆われるように設計されていることもある。コイルホルダ5の第1の障壁511と第2の障壁512がベース部3のプラスチックによって部分的又は完全に被覆された後、第1の障壁511と第2の障壁512の剛性をさらに向上させることができ、温度衝撃などの外界条件の変化におけるリレーの形状一致性を高め、それによってリレー性能を向上させて外界環境の変化を防ぐ能力を高めることができる。
【0035】
この実施例では、前記コイル部31は、さらに、U字型の鉄心311の両端の端部312間に取り付けられた永久磁石7を含み、前記コイルホルダ5のフランジ51には、リレーの長手方向に沿った中心線の両辺に、前記第1の障壁511と前記第2の障壁512がそれぞれ対称に設けられており、幅方向に設けられた2つの第2の障壁512の間には、リレーの幅方向に永久磁石7を挟持するための挟持口53が形成され、幅方向に設けられた2つの第2の障壁512の永久磁石7に向かう面には、縦方向に沿って設けられた第2の突出ブロック515が設けられ、コイルホルダ5の同側フランジ51のうち2つの第2の障壁512の第2の突出ブロック515と永久磁石7の対応端と締り嵌めして、永久磁石7をコイルホルダ5に固定させ、すなわち、永久磁石7の両端は、コイルホルダ5の2つのフランジ51の4つの第2の障壁512の第2の突出ブロック515にそれぞれ締り嵌めされて配置されている。この実施例では、第1の障壁511及び第2の障壁512の4組が設けられており、リレー出力回路に応じて第1の障壁511及び第2の障壁512の数を調整することができるが、永久磁石の固定係止位置を保持する必要がある。第2の突出ブロック515を設けて永久磁石7を締り嵌め固定することにより、接触面積を小さくすることができ、プラスチック屑の発生を低減することができる。
【0036】
この実施例では、前記第2の突出ブロック515の頂部は、傾斜面516とし、内側から外側に漸次的に下に傾斜しており、前記第2の突出ブロック515の外側は、直線辺とする。第2の突出ブロック515の頂部を傾斜面516とすることにより、永久磁石7のガイドや取り付けを容易にし、第2の突出ブロック515の外側を直線辺とすることで、加工精度上の難さを低減することができる。
【0037】
この実施例では、前記コイルホルダ5のフランジ51には、挟持口53に対応する底面に第3の突出ブロック531がさらに上方に突設されている。第3の突出ブロック531により、固定バネ6の接点部62とエナメル線4との間の沿面距離を増加させる役割を果たすとともに、エナメル線を圧傷しないように永久磁石7を支持する役割を果たす。
【0038】
なお、永久磁石7は必須ではなく、例えば、リレーコイルの動作が単定常状態の場合である。
【0039】
本開示の高信頼絶縁の超小型電磁リレーは、コイルホルダ5のフランジ51において、固定バネ6の接点部62を水平な2方向に共同に位置限定するための第1の障壁511及び第2の障壁512がそれぞれ上方に突出して設けられている。本開示のこのような構成により、第1の障壁511と第2の障壁512とを利用して、固定バネ6の接点部62に対して2つの方向の位置限定を行い、固定バネ6の接点部62がベース部3として射出成形する際の位置に制御不能なばらつきが生じることを回避し、リレー出力回路の一致性を向上させることができる。
【0040】
本開示の高信頼絶縁の超小型電磁リレーは、第1の障壁511の壁面をリレーの幅方向に沿って設け、第1の障壁511は、リレーの長手方向で固定バネ6の接点部62とコイルホルダ5の巻線窓52に巻き付けられたエナメル線4との間に遮断し、また、第1の障壁511及び第2の障壁512の頂端がリレーの高さ方向に対応する高さ位置を、固定バネ6の接点部62の頂端がリレーの高さ方向に対応する高さ位置よりも高く配置する。本開示のこのような構成により、固定バネ6の接点部62がエナメル線4の上に直接露出することを回避でき、リレーの外形寸法を増加させることなく入出力回路間の沿面距離を増大させ、ベースのプラスチックによる沿面距離の増加への依存を減少させることができるとともに、リレー使用中に環境温度、湿気変化などの影響による絶縁効果への影響を回避し、リレーの耐環境性能を向上させることができる。
【0041】
本開示の高信頼絶縁の超小型電磁リレーは、コイルホルダ5のフランジ51において、リレーの長手方向に沿った中心線の両側にそれぞれ前記第1の障壁511と前記第2の障壁512とが対称に配置されており、且つ、幅方向に沿って設けられた2つの第2の障壁512の間は、リレーの幅方向に永久磁石7を挟持するための挟持口53を形成し、幅方向に沿って設けられた2つの第2の障壁512の永久磁石に向かう面には、縦方向に沿って設けられた第2の突出ブロック515が設けられ、2つの第2の突出ブロック515と永久磁石7との締り嵌めにより永久磁石7をコイルホルダ5に固定させる。本開示のこのような構成は、従来技術における永久磁石と鉄心とのレーザー溶接位置決定による弊害を回避することができる。溶接スラグの異物の発生を回避すると同時に、加工工程も減少し、製造難易度を低下させた。
【0042】
上記は本開示の好適な実施例にすぎず、本開示のいかなる形式上の制限でもない。本開示は、上記のように好適な実施例で開示されているが、本開示を限定するために使用されるものではない。当業者によく知られているいかなる技術者も、本開示の技術的範囲を逸脱することなく、上述の開示された技術的内容を用いて本開示の技術的範囲に対して多くの可能性のある変動及び修飾を行ったり、等化された等価な実施例に修正したりすることができる。したがって、本開示の技術案から逸脱していない内容は、本開示の技術に基づいて上記実施例に対して実質的に行ったいかなる簡単な修正、均等な変化及び修飾も、本開示の技術案の保護の範囲内にあるべきである。
【国際調査報告】