(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】チューブ固定用具及びカテーテル保護器具
(51)【国際特許分類】
A61M 25/02 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
A61M25/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547378
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2022072971
(87)【国際公開番号】W WO2022166603
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】202110160407.0
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516346171
【氏名又は名称】マイクロポート・ニューロテック(シャンハイ)・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,チンロン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ユンユン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,シュエリー
(72)【発明者】
【氏名】クン,ユーシー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA33
4C267AA34
4C267BB40
4C267CC08
4C267GG02
4C267GG11
4C267GG21
4C267HH07
(57)【要約】
チューブ固定用具、及びチューブ固定用具を含むカテーテル保護器具である。チューブ固定用具には、カテーテルの予備成形端が通るように構成されているチャネルが設けられており、チャネルは、第1のチャネル(2001)及び第2のチャネル(2002)を含み、第1のチャネル(2001)は、カテーテルの先端の直線セグメントが通るように構成されており、第2のチャネル(2002)は、カテーテルの先端の湾曲セグメントが通るように構成されている。第1のチャネル(2001)及び第2のチャネル(2002)を有するチューブ固定用具は、カテーテルの予備成形端の角度が減少することなく長く維持されることを確実にすることができ、それにより、外科医が直接使用のためにカテーテルを取り出すとともに病変の位置にカテーテルを挿入することができ、また、カテーテルのスチーム成形の必要性がないことから、術前の準備時間を短縮することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルの予備成形端が通るように構成されたチャネルを画定するカテーテル保持具であって、前記チャネルは、第1のチャネルセクション及び第2のチャネルセクションを含み、前記第1のチャネルセクションは、前記カテーテルの先端の直線セクションが通るように構成され、前記第2のチャネルセクションは、前記カテーテルの先端の湾曲セクションが通るように構成され、
前記第2のチャネルセクション及び前記第1のチャネルセクションは、間に角度を形成する、カテーテル保持具。
【請求項2】
前記第2のチャネルセクション及び前記第1のチャネルセクションは、間に線形角度又は弧状角度を形成する、請求項1に記載のカテーテル保持具。
【請求項3】
前記第1のチャネルセクション及び前記第2のチャネルセクションは、間に第1の偏向角度を形成し、前記第1の偏向角度は、前記カテーテルの予備成形端の予備成形角度以上である、請求項1に記載のカテーテル保持具。
【請求項4】
前記第1のチャネルセクション及び前記第2のチャネルセクションは、J字形チャネルを画定する、請求項1に記載のカテーテル保持具。
【請求項5】
前記第2のチャネルセクションは少なくとも二つである、請求項1に記載のカテーテル保持具。
【請求項6】
複数の前記第2のチャネルセクションは、互いに平行である、請求項5に記載のカテーテル保持具。
【請求項7】
前記カテーテル保持具は少なくとも一つの保持部分を備え、少なくとも一つの前記チャネルの少なくとも一部が前記カテーテル保持具の前記保持部分に配置される、請求項1に記載のカテーテル保持具。
【請求項8】
前記カテーテル保持具は、前記保持部分に取り外し可能に接続され又は一体的に接続された管状部分をさらに備え、前記第1のチャネルセクションは、前記管状部分の内部に配置された管腔を貫通する、請求項7に記載のカテーテル保持具。
【請求項9】
前記管腔は、軸方向に沿って変化し又は同じ直径を有し、前記管状部分は、前記軸方向に沿って変化し又は同じ外径を有する、請求項8に記載のカテーテル保持具。
【請求項10】
前記チャネルの周方向は閉じており、又は前記チャネルの周方向の一方の側が開口している、請求項1に記載のカテーテル保持具。
【請求項11】
前記チャネルの断面形状は、円形、矩形、楕円形、三角形、半円形及び弧状のうちのいずれか一つである、請求項10に記載のカテーテル保持具。
【請求項12】
前記チャネルは、軸方向に沿って変化し又は同じ直径を有する、請求項10に記載のカテーテル保持具。
【請求項13】
前記チャネルの周方向の一方の側には開口が設けられ、前記開口には少なくとも一つの保持板が設けられ、前記保持板は、前記カテーテルの前記チャネルからの脱離を防ぐために、前記チャネルの軸方向に沿って設けられている、請求項10に記載のカテーテル保持具。
【請求項14】
前記保持板の幅は、前記開口の幅の1/3~1である、請求項13に記載のカテーテル保持具。
【請求項15】
前記カテーテル保持具は、第1の保持要素と、前記第1の保持要素に隣り合って配置された少なくとも一つの第2の保持要素とを備え、前記第1の保持要素及び前記第2の保持要素は、前記カテーテルの予備成形端を係合及び保持するように構成された保持チャネルを間に画定する、請求項1に記載のカテーテル保持具。
【請求項16】
前記第1の保持要素と前記第2の保持要素との間に画定された前記保持チャネルの幅は、前記カテーテルの予備成形端の直径の1~3倍である、請求項15に記載のカテーテル保持具。
【請求項17】
前記第1の保持要素は、互いに接続される少なくとも二つの部分又は接続されていない少なくとも二つの部分を含み、前記少なくとも二つの部分の軸同士が交差して第2の偏向角度を形成し、前記第2の偏向角度は、前記カテーテルの予備成形端の予備成形角度以上である、請求項15に記載のカテーテル保持具。
【請求項18】
前記第2の保持要素は、円形、楕円形、半円形、矩形、弧状及び三角形断面のうちのいずれか一つを有する直立体である、請求項15に記載のカテーテル保持具。
【請求項19】
前記第2の保持要素の数は2~10である、請求項15に記載のカテーテル保持具。
【請求項20】
前記カテーテル保持具の材料は、ゴム、プラスチック、金属、及び、ゴムとプラスチックとの混合物のうちの一つ又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載のカテーテル保持具。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載のカテーテル保持具と、カテーテル保護チューブとを備える、カテーテル保護器具。
【請求項22】
前記カテーテル保持具は、前記カテーテル保護チューブと一体的に接続され又は取り外し可能に接続される、請求項21に記載のカテーテル保護器具。
【請求項23】
前記カテーテル保護器具はバッキングプレートをさらに備え、前記カテーテル保持具は、前記バッキングプレートに接続され又は前記バッキングプレートから離れている、請求項21に記載のカテーテル保護器具。
【請求項24】
前記カテーテル保持具は、前記カテーテル保護チューブの先端と連続し又は前記カテーテル保護チューブの先端から離間している、請求項21に記載のカテーテル保護器具。
【請求項25】
前記カテーテル保護チューブは、コイル状管又は直管である、請求項21に記載のカテーテル保護器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイスの分野に関し、特に、カテーテル保持具、及びカテーテル保持具を含むカテーテル保護器具に関する。
【背景技術】
【0002】
血管介入治療において、治療デバイス、治療薬及びインプラントを病変部位に送達するために、様々なサイズのシース、ガイドカテーテル及びマイクロカテーテルの組合せを用いて、血管アクセスを作成することが必要である。術者がカテーテルを操作して、考えられ得る連続して曲がりくねっている血管をカテーテルがよりスムーズに通ることができるようにすることを可能にするために、より軟質の先端を有する比較的小さいガイドカテーテル又は中間カテーテル(例えば、規格が5F又は6Fであるカテーテル)とともにマイクロカテーテルを用いて目的部位への送達のためのアクセスを作成する際、カテーテルは通常、展開される前に、スチーム成形され、それにより、先端が或る特定の角度で曲げられる。さらに、臨床用途では、大きな内腔を有するガイドカテーテル又は中間カテーテルは、頸動脈サイフォンにおける眼動脈を通る場合に動けなくなる可能性があり、外科手術及び手術効率に影響を及ぼす。これを克服するために、術者は、或る特定の角度でカテーテル先端を曲げるために予めカテーテル先端を同様にスチーム成形に付し、これにより、眼動脈を通ることを容易にするとともに手術効率を高めることができる。
【0003】
時間との競争のようなものである介入手術において術者の便宜及び効率の増加をもたらすために、マイクロカテーテル、ガイドカテーテル又は中間カテーテルの製造業者によっては、そのカテーテル製品の角度付きのもの、すなわち、工場から納品される前に所定の角度で曲げられている先端を有するカテーテルをさらに提供している。そのようなカテーテルは、血管に直接挿入して、手術前に術者のスチーム成形作業を必要とすることなく血管アクセスを作成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工場からの納品後、角度付き先端を有するそのようなカテーテルの保存期間全体を通じて、軟質のカテーテル先端はクリープ変形を受け、先端角度が経時的に漸減することになる。その結果、使用のために術者に提供される際、角度は小さすぎて直接使用に適さないものになりかねない。
【0005】
従来技術の上述した不都合点に鑑み、本発明の目的は、不都合点のうちの一つ以上を克服するカテーテル保持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を実現するため、本発明は、以下のカテーテル保持具を提供する。
カテーテルの予備成形端が通るように構成されたチャネルを画定するカテーテル保持具であって、チャネルは、第1のチャネルセクション及び第2のチャネルセクションを含み、第1のチャネルセクションは、カテーテルの先端の直線セクションが通るように構成され、第2のチャネルセクションは、カテーテルの先端の湾曲セクションが通るように構成され、
第2のチャネルセクション及び第1のチャネルセクションは、間に角度を形成する。
【0007】
さらに、第2のチャネルセクション及び第1のチャネルセクションは、間に線形角度又は弧状角度を形成することが好ましい。
【0008】
さらに、第1のチャネルセクション及び第2のチャネルセクションは、間に第1の偏向角度を形成し、第1の偏向角度は、カテーテルの予備成形端の予備成形角度以上であることが好ましい。
【0009】
さらに、第1のチャネルセクション及び第2のチャネルセクションは、J字形チャネルを画定することが好ましい。
【0010】
さらに、第2のチャネルセクションは少なくとも二つであることが好ましい。
【0011】
さらに、複数の第2のチャネルセクションは、互いに平行であることが好ましい。
【0012】
さらに、カテーテル保持具は少なくとも一つの保持部分を備え、少なくとも一つのチャネルの少なくとも一部がカテーテル保持具の保持部分に配置されることが好ましい。
【0013】
さらに、カテーテル保持具は、保持部分に取り外し可能に接続され又は一体的に接続された管状部分をさらに備え、第1のチャネルセクションは、管状部分の内部に配置された管腔を貫通することが好ましい。
【0014】
さらに、管腔は、その軸方向に沿って変化し又は同じ直径を有し、管状部分は、その軸方向に沿って変化し又は同じ外径を有することが好ましい。
【0015】
さらに、チャネルの周方向は閉じており、又はチャネルの周方向の一方の側が開口していることが好ましい。
【0016】
さらに、チャネルの断面形状は、円形、矩形、楕円形、三角形、半円形及び弧状のうちのいずれか一つであることが好ましい。
【0017】
さらに、チャネルは、その軸方向に沿って変化し又は同じ直径を有することが好ましい。
【0018】
さらに、チャネルの周方向の一方の側には開口が設けられ、開口には少なくとも一つの保持板が設けられ、保持板は、カテーテルのチャネルからの脱離を防ぐために、チャネルの軸方向に沿って設けられていることが好ましい。
【0019】
さらに、保持板の幅は、開口の幅の1/3~1であることが好ましい。
【0020】
さらに、カテーテル保持具は、第1の保持要素と、第1の保持要素に隣り合って配置された少なくとも一つの第2の保持要素とを備え、第1の保持要素及び第2の保持要素は、カテーテルの予備成形端を係合及び保持するように構成された保持チャネルを間に画定することが好ましい。
【0021】
さらに、第1の保持要素と第2の保持要素との間に画定された保持チャネルの幅は、カテーテルの予備成形端の直径の1~3倍であることが好ましい。
【0022】
さらに、第1の保持要素は、互いに接続される少なくとも二つの部分、又は接続されていない少なくとも二つの部分を含み、少なくとも二つの部分の軸同士が交差して第2の偏向角度を形成し、第2の偏向角度は、カテーテルの予備成形端の予備成形角度以上であることが好ましい。
【0023】
さらに、第2の保持要素は、円形、楕円形、半円形、矩形、弧状及び三角形断面のうちのいずれか一つを有する直立体(right solid)であることが好ましい。
【0024】
さらに、第2の保持要素の数は2~10であることが好ましい。
【0025】
さらに、カテーテル保持具の材料は、ゴム、プラスチック、金属、及び、ゴムとプラスチックとの混合物のうちの一つ又はこれらの組み合わせであることが好ましい。
【0026】
また、本発明は、上記に定義されたカテーテル保持具と、カテーテル保護チューブとを備える、カテーテル保護器具を提供する。
【0027】
さらに、カテーテル保持具は、カテーテル保護チューブと一体的に接続され又は取り外し可能に接続されることが好ましい。
【0028】
さらに、カテーテル保護器具は、バッキングプレートをさらに備え、カテーテル保持具は、バッキングプレートに接続され又はバッキングプレートから離れていることが好ましい。
【0029】
さらに、カテーテル保持具は、カテーテル保護チューブの先端と連続し又はカテーテル保護チューブの先端から離間していることが好ましい。
【0030】
さらに、カテーテル保護チューブは、コイル状管又は直管であることが好ましい。
【0031】
従来技術と比べ、本発明は、以下のような利点を有する。
(1)本発明のカテーテル保持具は第1のチャネルセクション及び第2のチャネルセクションを備えており、第1のチャネルセクションは、カテーテルの先端の直線セクションが通るように構成され、第2のチャネルセクションは、カテーテルの先端の湾曲セクションが通るように構成される。この設計により、カテーテルの予備成形端の角度が減少することなく長く維持されることを確実にすることができることで、術者がカテーテルを直接使用することが可能となるとともにカテーテルをスチーム成形プロセスに付す必要なく病変部位において展開することが可能となる。これにより、術前の準備に必要とされる時間を短縮することができる。
(2)さらに、第2のチャネルセクションは少なくとも二つ設けられ、これら第2のチャネルセクションは、種々の長さの予備成形カテーテル(予め成形されたカテーテル)と適合性がある。意図された予備成形カテーテルの長さに応じて、適切な位置に調整を行うことができる。
(3)カテーテル保持具は、予備成形カテーテルが不必要な損傷を受けないようにすることができ、それにより、カテーテルの耐用年数を延ばすことができる。カテーテル先端のクリープ変形を防ぐことができ、より高い手術効率を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るカテーテル保持具の構造を示す概略図である。
【
図2】矢印Aの方向から見た、本発明の第1の実施形態に係るカテーテル保持具の側面図を示す。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るカテーテル保持具の等角投影図である。
【
図4】管状部分全体を通って延在する、本発明の第1の実施形態に係るカテーテル保持具における第1のチャネルセクションの概略図である。
【
図5】矢印Bの方向からの、本発明の第1の実施形態に係るカテーテル保持具における管状部分の側面図を示す。
【
図6】管状部分の一部を通って延在する、本発明の第1の実施形態に係るカテーテル保持具における第1のチャネルセクションの概略図である。
【
図7】J字形チャネルを含む、本発明の第1の実施形態に係るカテーテル保持具の構造を示す概略図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係るカテーテル保持具の構造を示す概略図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係るカテーテル保持具の構造を示す概略図である。
【
図10】バッキングプレートに固定的に接続されている、本発明の第4の実施形態に係るカテーテル保持具における、カテーテル保護チューブを概略的に示す。
【
図11】本発明の第4の実施形態に係るカテーテル保持具の構造を示す概略図である。
【
図12】矢印Cの方向から見た、本発明の第4の実施形態に係るカテーテル保持具の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の目的、態様及び利点は、添付の図面と併せると、以下に記載のその特定の実施形態に係るカテーテル保持具の以下の詳細な説明からより明らかとなる。本発明の利点及び特徴は、以下の説明からより明らかとなる。図は、必ずしも正確な縮尺で描かれていない非常に簡素化された形態で、また、開示される実施形態の簡単且つ明確な説明を容易にするためだけの目的で提供されていることに留意されたい。本発明の目的、特徴及び利点が容易に明らかとなり得るために、添付の図面の参照を行う。図の構成、割合、寸法に関する詳細及び他の詳細は、本明細書における開示と併せて、本発明を実施することができる条件を制限することを意図するのではなく、当該技術分野に精通した者の理解及び解釈を容易にするためだけの目的で提示されていることに留意すべきである。したがって、それらは技術上、実質的に重要ではなく、本発明の利点及び目的に影響しない任意の及びあらゆる構成変更、割合変化又は寸法変更は、本明細書における教示の範囲内にあると考えられる。
【0034】
本明細書において及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「一つ」、及び「該」は、文脈が明確に示していない限り、複数の言及対象を含む。本明細書において及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、用語「又は(or)」は、文脈が明確に示していない限り、「及び/又は」を含む意味で用いられる。さらに、用語「近位」は概して、術者に近い端、「遠位」は患者の病変部位に近い端をそれぞれ指すために使用される。例えば、
図1に示す用具では、右側は近位端、左側は遠位端である。
【0035】
本発明はカテーテル保持具を提供する。カテーテル保持具は、カテーテル保護チューブ4の遠位端に取り付けられている。カテーテル保護チューブ4は、通常、コイル状螺旋管(
図10を参照)又は非コイル状の直管の形態で提供される。工場からの納品前、損傷の可能性を回避するために、カテーテルは通常、カテーテルの予備成形端がカテーテル保護チューブ4の遠位端の外に延びるとともにカテーテル保持具に接続されている状態で、カテーテル保護チューブ4の内腔に収容されている。カテーテル保持具は、カテーテル保護チューブ4に内挿又は外挿され、且つカテーテル保護チューブ4の軸方向に沿って内挿又は外挿の長さを調整できるようにされている。代替的に、カテーテル保持具は、カテーテル保護チューブ4に接続されなくてもよく、カテーテル保護チューブ4の遠位端に近接し又はその遠位端から離れていてもよい。
【0036】
第1の実施形態に係るカテーテル保持具の構造を以下で詳述する。
【0037】
図1~
図6を参照すると、第1の実施形態では、カテーテル保持具は、カテーテルの予備成形端と接続される第1の構造部である。第1の構造部は、内挿又は外挿の方式でカテーテル保護チューブ4の遠位端に接続されている。第1の構造部は、保持部分2と、保持部分2に連結された管状部分1とを含む。管状部分1は、カテーテルが通るように構成されており、任意選択で、管状部分1は、カテーテル保護チューブ4の遠位端と接続するように構成される。保持部分2は、カテーテルの予備成形端の予備成形角度を維持するように構成されている。予備成形角度は、予め成形された、カテーテルの本体に対する先端の偏向角度を指す。
【0038】
さらに、管状部分1は、保持部分2に取り外し可能に連結されてもよく、又は保持部分2と一体的に形成されてもよい。特に、管状部分1は、射出成形又は接着剤結合によって保持部分2と一体的に形成されてもよい。第1の実施形態のカテーテル保持具では、管状部分1及び保持部分2は互いに一体的に接続されている。
【0039】
管状部分1の構造を以下に詳述する。
【0040】
図1を参照すると、管状部分1は、円筒、円錐台、三角柱又は直方体のうちのいずれか一つであり、管腔100を有する。管腔100は、円形断面形状を有することが好ましく、管腔100は、2mm~8mmの直径を有することが好ましい。好ましくは、管状部分1は、10mm~100mmの軸方向長さを有する。いくつかの他の実施形態では、管腔100は、円形、矩形、楕円形、三角形、半円形、弧状、多角形又は他の不規則な形状の断面のうちのいずれか一つを有する。この実施形態では、管腔100は、管状部分1の軸方向に沿って一定の直径を有する。さらに、管状部分1もまた、その軸方向に沿って一定の外径を有する。管状部分1の管腔100の直径は、カテーテル保護チューブ4の外径と合致する。管状部分1の近位端は、カテーテル保護チューブ4の遠位端に外挿されてもよく、又は、カテーテル保護チューブ4から離間していてもよい。第1の実施形態のカテーテル保持具では、管状部分1は、20mmの軸方向長さを有しており、管腔100は、円形断面形状を有することが好ましい。さらに、管状部分1は、辺の長さが7.3mmである正方形断面を有する直方体である。さらに、円形の管腔は、5.7mmの直径を有する。
図1に示すように、直方体の管状部分1の四つのコーナは丸みを帯びているものとすることができ、したがって、その断面は丸みを帯びた正方形とすることができることに留意されたい。いくつかの他の実施形態では、管状部分1は、丸みを帯びた三角柱であってもよく、又は、丸みを帯びていない直方体若しくは三角柱であってもよい。
【0041】
図1を引き続き参照すると、管状部分1は、カテーテル保護チューブ4の遠位端に取り外し可能に外挿されている。さらに、管状部分1がカテーテル保護チューブ4の遠位端の外周に取り外し可能に外挿される場合、管状部分1の管腔100の断面形状は、カテーテル保護チューブ4の遠位端の断面形状と合致する。本発明の他の実施形態では、管状部分1がカテーテル保護チューブ4の遠位端の内腔に取り外し可能に内挿される場合、管状部分1の断面形状は、カテーテル保護チューブ4の遠位端の内腔の断面形状と合致する。
【0042】
本発明の他の実施形態では、管状部分1は、その近位端からその遠位端にかけてその軸方向に沿って漸減する外径を有してもよく、又は、管状部分1は、その遠位端からその近位端にかけてその軸方向に沿って漸減する外径を有してもよく、近位端における外径値と遠位端における外径値との比率は0~50%である。
【0043】
本発明の他の実施形態では、管状部分1の管腔100の直径は変化してもよい。変化する管腔100の最小値の直径は、カテーテルの挿通を可能にすればよい。
【0044】
保持部分2の構造を以下に詳述する。
【0045】
図1を引き続き参照すると、保持部分2は、カテーテルの予備成形端が通るように構成された第1の嵌合部分を有する。
【0046】
図1を引き続き参照すると、保持部分2は、直方体、円筒、楕円円筒又は三角柱のうちのいずれか一つであり、2mm~10mmの高さを有し得る。直方体の矩形断面の辺の長さ、円筒の円形断面の直径、楕円円筒の楕円円形断面の長軸及び短軸、並びに三角柱の三角形断面の辺の長さのそれぞれは、10mm~50mmである。第1の実施形態では、保持部分2は、コーナが丸みを帯びた直方体であり、18mm×15mm×4mm(長さ×幅×高さ)のサイズを有する。
【0047】
当然のことながら、本発明の他の実施形態では、保持部分は管状構造であってもよい。管状構造はその軸方向に沿って同じ内径又は変化する内径を有する。管状構造はその軸方向に沿って同じ外径又は変化する外径を有する。
【0048】
図1を引き続き参照すると、第1の実施形態のカテーテル保持具では、第1の嵌合部分は、保持部分2内に形成されたチャネルであり、チャネルの近位端は、保持部分2の近位端に位置し、チャネルの遠位端は、保持部分2内において1mm~5mmの所定の深さのところに位置する。チャネルは1mm~5mmの幅を有する。具体的には、チャネルの近位端は、保持部分2の近位端面において開いており、チャネルの遠位端は、所定の深さにわたって保持部分2の遠位端へ向かって延在している。チャネル200の深さは3.8mmとすることができ、チャネル200の幅もまた3.8mmとすることができる。
【0049】
本発明の他の実施形態では、チャネルの遠位端は、カテーテルの予備成形端を保持するために用いることができる限り、保持部分2を貫通してもよい。
【0050】
本発明の他の実施形態では、チャネルの内径は、保持部分2の軸方向に沿って変化してもよく、保持部分2の外径もその軸方向に沿って変化してもよい。それについては第2の実施形態で詳述する。
【0051】
図1を引き続き参照すると、チャネルは、第1のチャネルセクション2001及び第2のチャネルセクション2002を含む。第1のチャネルセクション2001は、第2のチャネルセクション2002に対し、丸みを帯びたコーナによって画定された角度で偏向している。すなわち、丸みを帯びたコーナが、二つのセクション間に円弧状の遷移をもたらしている。第1のチャネルセクションは、カテーテル先端の直線セクションが通るように構成されており、第2のチャネルセクションは、カテーテル先端の湾曲セクションが通るように構成されている。第1のチャネルセクション2001は、3mm~30mmの長さを有し、第1のチャネルセクション2001及び第2のチャネルセクション2002の総長は、10mm~50mmの範囲である。第1のチャネルセクション2001と第2のチャネルセクション2002との間に形成される角度は、第1の偏向角度αである。第1の偏向角度αは5°~180°である。好ましくは、第1の偏向角度αは、カテーテル先端の予備成形角度以上である。第1の実施形態の保持部分2では、第1のチャネルセクション2001の長さは、10mmであり、第1のチャネルセクション2001及び第2のチャネルセクション2002の総長は、17mmである。第2のチャネルセクション2002に対する第1のチャネルセクション2001の第1の偏向角度αは、30°である。いくつかの他の実施形態では、第2のチャネルセクション2002に対する第1のチャネルセクション2001の第1の偏向角度αは、5°~180°の間であり、例えば5°、15°、45°、60°、90°、120°、150°又は180°である。
【0052】
図7を参照すると、本発明の他の実施形態では、第2のチャネルセクション2002は、湾曲セグメントをさらに有する。この湾曲セグメントにより、第1のチャネルセクション2001及び第2のチャネルセクション2002からなるチャネルは、概ね「J」字状になる。
【0053】
図1及び
図2を参照すると、チャネルの周方向は閉じており、又は前記チャネルの周方向の一方の側が開口している。本発明の実施形態に係るカテーテル保持具において、チャネルの周方向の一方の側が開口しており、開口には少なくとも一つの保持板201が設けられている。保持板201は、カテーテル6がチャネルから脱離することを防ぐように構成されている。保持板201は、楕円形状、三角形状及び半円形状のうちのいずれか一つを有してもよい。保持板201の数は2~20であり、これらの保持板201はチャネルの軸方向に沿って間隔を置いて配置されている。保持板201の幅A1は、開口の幅A2の1/3~1である。具体的には、本発明の第1の実施形態では、保持板201は、半円形状を有することが好ましく、その数は3である。保持板201は、チャネルの軸方向に沿って間隔を置いて配置され、保持板201の幅は開口の幅の2/3である。
【0054】
第1の実施形態のカテーテル保持具では、保持板201は、同一平面上に配置されている。また、本発明の他の実施形態では、保持板201は、互いにずらされ、同一平面上に配置されなくてもよい。保持板201は、カテーテルのチャネルからの脱離を防ぐことができる限り、チャネルの開口の同じ側に配置されてもよく、異なる側に配置されてもよい。
【0055】
本発明の他の実施形態では、チャネルの第1のチャネルセクション2001は、管状部分1全体を通って延在してもよく又はその一部を通って延在してもよい。チャネルの第1のチャネルセクション2001が管状部分1全体に延在し得る場合、チャネルは、20mm~150mmの総軸方向長さを有し得る。
図4は、管状部分全体を通って延在する、チャネルの第1のチャネルセクション2001を概略的に示し、
図5は、矢印Bの方向から見た、管状部分の側面図である。
図6は、管状部分の一部を通って延在する、チャネルの第1のチャネルセクション2001を概略的に示す。
図3及び
図4を参照すると、チャネルの第1のチャネルセクション2001が管状部分1全体を通って延在する場合、チャネルの総軸方向長さは、30mmであることが好ましい。第1のチャネルセクション2001が管状部分1全体又はその一部を通って延在するようにチャネルを設計することにより、カテーテル6の過剰な長さがカテーテル保護チューブ4から外に延びる場合、カテーテル6の過剰な部分が、管状部分1においてチャネルの第1のチャネルセクション2001内に延びるとともに保持され得ることで、カテーテル6がより長い長さにわたって第1のチャネルセクション2001に保持されることが可能となる。
【0056】
管状部分1及び保持部分2を両方とも含むこの実施形態のカテーテル保持具とは異なり、いくつかの他の実施形態では、カテーテル保持具は、保持部分2だけを含んでもよい。これらの場合では、カテーテル保持具は、カテーテル保護チューブの遠位端から離間して配置される。
【0057】
本実施形態において、保持部分2は一つのチャネルを備えており、チャネルは、一つの第1のチャネルセクション2001及び一つの第2のチャネルセクション2002を含む。いくつかの他の実施形態では、保持部分2は、二つ以上のチャネルを備えてもよく、各チャネルは、一つの第1のチャネルセクション2001及び一つの第2のチャネルセクション2002を含む。また、いくつかの他の実施形態では、保持部分2は、少なくとも一つのチャネルを備えており、チャネルは一つの第1のチャネルセクション2001及び少なくとも二つの第2のチャネルセクション2002を含む。第2のチャネルセクション2002の数は、2~20であり、例えば2、3、5、8、10、12、15、18、20などである。これらの第2のチャネルセクション2002は、互いに平行であってもよく又は平行でなくてもよい。いくつかの他の実施形態では、保持部分は、少なくとも一つの第2のチャネルセクション2002を含んでもよい。
【0058】
さらに、管状部分1及び保持部分2の材料は、ゴム、プラスチック、金属、及び、ゴムとプラスチックとの混合物のうちの一つ又はこれらの組み合わせである。
【0059】
プラスチックは、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)のうちのいずれか一つである。
【0060】
ゴムとプラスチックとの混合物は、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリアミド(TPA)及びポリエーテルブロックアミド共重合体(Pebax)のうちのいずれか一つである。
【0061】
本発明の第1の実施形態に係るカテーテル保持具は、以下のように使用される。
【0062】
図1及び
図2を参照すると、カテーテル6は、カテーテル6の予備成形端がカテーテル保護チューブ4の遠位端から突出するとともに管腔100に入るようにカテーテル保護チューブ4に挿通される。カテーテル6の予備成形端は、第1のチャネルセクション2001を通って第2のチャネルセクション2002に入るまでさらに進められる。このようにして、カテーテル6の予備成形端は、チャネルの第2のチャネルセクション2002内に保持される。その後、カテーテルの予備成形端を保持するカテーテル保持具が、カテーテル保護チューブ4の遠位端に内挿又は外挿され、カテーテル保護チューブ4の軸方向に沿って適切な位置に調整される。
【0063】
第2の実施形態に係るカテーテル保持具の構造を以下に詳述する。
【0064】
第2の実施形態のカテーテル保持具は、本発明の第1の実施形態のカテーテル保持具と略同様である。第2の実施形態の異なる特徴のみを以下に説明し、第2の実施形態が第1の実施形態と共有するいずれもの共通の特徴のさらなる説明は不必要と考えられ、本明細書において省略される。
【0065】
図8を参照すると、第2の実施形態のカテーテル保持具では、管状部分1及び保持部分2は、射出成形によってともに一体的に接続されている。保持部分2は、直立体(例えば、円筒、三角柱又は直方体)、円錐台又は先の尖った立体(例えば、円錐)のうちのいずれか一つであり得る。保持部分2の円形断面の直径、矩形断面の辺の長さ、三角形断面の辺の長さ、又は他の形状断面の寸法は、管状部分1の直径又はどの辺の長さも上回らないものとすることができ、3mm~12mmであってもよい。
【0066】
図8を引き続き参照すると、同様に、第2の実施形態のカテーテル保持具は、第1のチャネルセクション2001及び第2のチャネルセクション2002を含む。第1のチャネルセクション2001は、管状部分1内に延在し、カテーテルが通ることを可能にする管腔を画定している。第2のチャネルセクション2002は、保持部分2内に設けられており、カテーテルの先端の湾曲セクションが通るように構成されている。第2のチャネルセクション2002は、2mm~8mmの内径を有し、管状部分1内の管腔の直径とカテーテル6の外径との比は、1.5:1~1:1の範囲である。保持部分2は、10mm~50mmの範囲の長さを有する。
【0067】
図8を引き続き参照すると、第2の実施形態のカテーテル保持具では、管状部分1は、円形断面を有し、その外径が3.5mmであることが好ましい。管状部分1は、2.3mmの直径を有する一定の管腔を画定しており、30mmの軸方向長さを有する。さらに、管状部分1は、その全体の軸方向長さにわたって同様に一定である外径を有する。
【0068】
図8を引き続き参照すると、第2の実施形態のカテーテル保持具では、保持部分2は、カテーテルの予備成形端を保持する第2の嵌合部分を有する。第2の嵌合部分は、保持部分2に設けられた第2のチャネルセクション2002である。保持部分2の外径及び第2のチャネルセクション2002の直径は両方とも、保持部分2の近位端から遠位端にかけて漸減している。保持部分2において、第2のチャネルセクション2002の遠位端は、保持部分2を貫通し(又はいくつかの他の実施形態では、第2のチャネルセクション2002の遠位端は保持部分2を貫通しない)、第2のチャネルセクション2002の近位端は、第1のチャネルセクション2001に接続されている。保持部分2の近位端における外径は、3mm~12mmであることが好ましく、第2のチャネルセクション2002の近位端における直径は、2mm~10mmであることが好ましい。保持部分2の遠位端における外径は、1mm~12mmであることが好ましく、第2のチャネルセクション2002の遠位端における直径は、0.1mm~10mmであることが好ましい。保持部分2は、10mm~50mmの長さを有することが好ましい。第2の実施形態では、保持部分2の近位端における外径は、3.5mmであり、第2のチャネルセクション2002の近位端における直径は、2.3mmである。さらに、保持部分2の遠位端における外径は、2.0mmであり、第2のチャネルセクション2002の遠位端における直径は、0.8mmである。さらに、保持部分2の長さは、20mmである。第2の実施形態では、保持部分2は、管状部分1に対して偏向している。ここでは、偏向は、保持部分2の軸及び管状部分1の軸が同じ方向に延びる第1の実施形態とは違い、この実施形態では、保持部分2の軸と管状部分1の軸との間に偏向角度βが形成されることを意味する。偏向角度βは、5°~180°である。第2の実施形態では、偏向角度βは、40°であることが好ましい。さらに、管状部分1内の第1のチャネルセクション2001と保持部分内の第2のチャネルセクション2002との間に第1の偏向角度が形成される。第1の偏向角度は、偏向角度βに等しくてもよく又は等しくなくてもよい。好ましくは、第1の偏向角度は偏向角度βに等しい。第1の偏向角度は、40°であることが好ましい。いくつかの他の実施形態では、第1の偏向角度及び/又は偏向角度βは、5°~180°であり、例えば5°、15°、45°、60°、90°、120°、150°又は180°である。
【0069】
この実施形態では、管状部分1の近位端は、カテーテル保護チューブ4の遠位端に内挿又は外挿されてもよい。いくつかの他の実施形態では、管状部分1は、カテーテル保護チューブ4から離間していてもよい。この実施形態では、管状部分1及び保持部分2は両方とも、周方向に閉じている。いくつかの他の実施形態では、管状部分1及び/又は保持部分2は、その長さ全体又はその一部にわたって周方向に開いていてもよい。
【0070】
図8を引き続き参照すると、包装及び使用時、カテーテル6の予備成形端は、管状部分1の管腔100(この実施形態では、管腔100はすなわち第1のチャネルセクション2001である)に挿通され、全体的に受け入れられるとともに第2のチャネルセクション2002内に保持されるまで、保持部分2内の第2のチャネルセクション2002に挿入される。その後、カテーテル保持具は、カテーテル保護チューブ4の遠位端に外挿され、適切な軸方向位置に調整され、そこに固定される。
【0071】
第3の実施形態に係るカテーテル保持具の構造を以下に詳述する。
【0072】
図9を参照すると、第3の実施形態では、カテーテル保持具は、カテーテル保護チューブ4の先端に対して取り外し可能に配置され、その先端から離間している。カテーテル保持具は、特に、接着剤結合、ホットメルト溶接又は締結具のうちのいずれか一つによって、バッキングプレート5に固定的に接続される。この実施形態では、カテーテル保持具は、バッキングプレート5に接着される。この実施形態と同様の構造の他の実施形態では、カテーテル保持具の近位端は、同様に、カテーテル保護チューブの遠位端に内挿又は外挿されてもよい。
【0073】
図9を引き続き参照すると、第2の実施形態と同様に、第3の実施形態のカテーテル保持具も、第1のチャネルセクション2001及び第2のチャネルセクション2002を有する。第1のチャネルセクション2001は、管状部分1内に設けられており(この実施形態では、管状部分1の管腔は、すなわち第1のチャネルセクション2001である)、第2のチャネルセクション2002は複数であり、それぞれ保持部分2に対応する。隣り合う第2のチャネルセクション2002は互いに平行である。保持部分2は管状部分1に一体的に接続されている。管状部分1内の第1のチャネルセクション2001は、カテーテルの先端の直線セクションが通るように構成されており、その一方、保持部分2内の第2のチャネルセクション2002は、カテーテルの先端の湾曲セクションが通るように構成されている。
【0074】
第2の実施形態との第3の実施形態の相違を以下に詳述する。
【0075】
管状部分1に接続された複数の保持部分2は、互いに平行であり、互いから離間している。各保持部分2は、保持部分2の中心軸と管状部分1の中心軸との間に偏向角度γが形成されるように管状部分1に対して偏向している。さらに、管状部分1内の第1のチャネルセクション2001と保持部分2内の第2のチャネルセクション2002との間に第1の偏向角度が形成される。第1の偏向角度は、偏向角度γに等しくてもよく又は等しくなくてもよい。好ましくは、第1の偏向角度は、偏向角度γに等しい(すなわち、第1のチャネルセクション2001は、管状部分1の中心軸に対して平行であり、その一方、第2のチャネルセクション2002は、保持部分2の中心軸に対して平行である)。
【0076】
図9を引き続き参照すると、さらに、偏向角度γ及び/又は第1の偏向角度は、5°~180°である。第3の実施形態では、偏向角度γ及び第1の偏向角度は、60°であることが好ましく、保持部分2の数は、2~20である。第3の実施形態では、保持部分2の数は5であることが好ましい。いくつかの他の実施形態では、保持部分2又は第2のチャネルセクションの2002の数は、2、3、8、10、12、15、18、20などであってもよい。
【0077】
管状部分1は、10mm~100mmの長さを有し、保持部分2は、10mm~50mmの長さを有する。隣り合う保持部分2は、1mm~5mmの間隔L1で離間している。管状部分1の幅L2は、保持部分2の幅L3に等しくてもよく又は等しくなくてもよい。
【0078】
さらに、第3の実施形態のカテーテル保持具では、管状部分1及び保持部分2は両方とも、熱可塑性ポリアミド(TPA)から作製される。当然のことながら、本発明の他の実施形態では、管状部分1及び保持部分2は、異なる材料から作製されてもよい。
【0079】
いくつかの他の実施形態では、第1のチャネルセクション2001及び少なくとも一つの第2のチャネルセクション2002は、いくつかの突起によって形成されてもよい。
【0080】
包装及び使用時、カテーテル6は、カテーテル保護チューブ4の遠位端から管状部分1の管腔(図示せず)に延びるようにカテーテル保護チューブ4内に取り付けられる。保持部分2内での適合性のある位置における第2のチャネルセクション2002は、カテーテル6の長さに応じて選択されてもよく、すなわち、カテーテルの予備成形端が、保持部分2のうちのいずれかの第2のチャネルセクション2002に選択的に挿入されてもよい。カテーテルの予備成形端は、第2のチャネルセクション2002に挿入された後、保持される。その後、カテーテル保持具は、バッキングプレート5にその開口502において全体が接着される。
【0081】
第4の実施形態に係るカテーテル保持具の構造を以下に詳述する。
【0082】
第4の実施形態では、カテーテル保持具は、同様にカテーテル保護チューブ4の遠位端に配置され、同様に第1のチャネルセクション2001及び第2のチャネルセクション2002を有する。
【0083】
図10~
図12を参照すると、カテーテル保持具は、第1の保持要素301及び第2の保持要素302を含み、第2の保持要素は、第1の保持要素301に接続されているとともに第1の保持要素301と隣り合っている。第4の実施形態では一つの第2の保持要素302が設けられているが、本発明はそのように限定されず、代替的な実施形態では、例えば、三つ、五つ、八つなどの、一つ以上の第2の保持要素302が設けられてもよい。第1の保持要素301及び第2の保持要素302は、間に保持チャネル303を画定しており、保持チャネル303は、カテーテルの予備成形端を内部にしっかりと保持するように構成されている。
【0084】
当然のことながら、本発明の他の実施形態では、第1の保持要素301及び第2の保持要素302は、第1の保持要素301と第2の保持要素302との間に所望の保持チャネルを画定することができることが確実にされる限り、互いから離れていてもよい。さらに、第1の保持要素301と第2の保持要素302との間の空隙は、カテーテルがその空隙を通り抜けることを防ぐために、カテーテルの外径を上回ってはならない。
【0085】
図10~
図12を引き続き参照しながら、第1の保持要素301の構造を先に以下で詳述する。
【0086】
第1の保持要素は、第1の部分3011及び第2の部分3012を含む。第1の部分3011の軸は第2の部分3012の軸と交差し、第1の部分3011と第2の部分3012との間に5°~180°の範囲にある第2の偏向角度θを形成する。第4の実施形態では、第1の保持要素301は、互いに接続されている第1の部分3011及び第2の部分3012からなる。第2の部分3012の内側と第2の保持要素302の外側との間に第1のチャネルセクションが画定されており、第1の部分3011の内側と第2の保持要素302の外側との間に第2のチャネルセクションが画定されている。第1の部分3011と第2の部分3012との接続部において形成される第2の偏向角度θは、90°であることが好ましい。第1の保持要素301は、10mm~40mmの総長、2mm~20mmの高さ及び1mm~10mmの幅を有する。第4の実施形態では、第1の保持要素301の長さは、40mmであることが好ましく、高さは、5mmであることが好ましく、幅は2mmであることが好ましい。第2の部分3012に対する第1の部分3011の長さの比率は1/10~2である。好ましくは、第4の実施形態では、第1の部分3011の長さ及び第2の部分3012の長さは等しい。
【0087】
当然のことながら、本発明の他の実施形態では、互いに交差する第1の部分3011の軸及び第2の部分3012の軸により、第1の部分3011と第2の部分3012との接続部には円弧が形成されてもよく、該円弧はπ/18(rad)~π(rad)である。
【0088】
本発明の代替的な実施形態では、第1の部分3011及び第2の部分3012は、第1の部分3011の軸及び第2の部分3012の軸が交差して第2の偏向角度を形成することができる限り、取り外し可能に接続されてもよい。
【0089】
図10~
図12を引き続き参照しながら、第2の保持要素302の構造を以下に詳述する。
【0090】
第2の保持要素302は、円形、矩形、半円形、楕円形、半楕円形、弧状又は三角形断面を有する任意の直立体であり得る。円形、半円形、楕円形又は半楕円形断面の直径、及び三角形断面の辺の長さは、1mm~10mmの範囲であることが好ましい。この実施形態では、第2の保持要素302は、2mmの直径を有する円形断面を有する直立体である。さらに、直立体は、10mmの高さを有する。直立体の高さは、2mm~20mmである。第4の実施形態では、円形の本体は10mmの高さを有する。
【0091】
図10~
図12を引き続き参照すると、第1の保持要素301と第2の保持要素302との間に画定された保持チャネル303は、カテーテル6の直径の1~3倍である幅を有する。具体的には、
図11を参照すると、保持チャネル303の幅は、第2の保持要素302の第1の接線点Aから第2の部分3012の内側までの第1の距離C1、又は第2の保持要素302の第2の接線点Bから第1の部分3011の内側までの第2の距離C2を指す。第1の距離C1及び第2の距離C2は両方とも、第1の保持要素301と第2の保持要素302との間の最小距離である。第1の距離C1及び第2の距離C2は等しくてもよく、等しくなくてもよい。第1の距離C1及び第2の距離C2が等しくない場合、カテーテルの予備成形端の保持を達成することができる限り、第1の距離C1は代替的に、非縦軸の方向に沿って第1の部分3011の内側までの距離であってもよく、第2の距離C2は、非横軸の方向に沿って第2の部分3012の内側までの距離であってもよい。この実施形態では、第1の保持要素301と第2の保持要素302との間の最小距離、すなわち、第1の距離C1又は第2の距離C2は、1.5mmである。
【0092】
図10~
図12を参照すると、第4の実施形態では、カテーテル保持具は、カテーテル保護チューブ4に直接接続されない。そうではなく、カテーテル保護チューブ4は、バッキングプレート5に取り外し可能に接続され、カテーテル保持具は、調整機構を介してバッキングプレート5に可動に接続される。このように、カテーテル保持具は、調整機構を操作することによってバッキングプレート5に対して所定位置に調整することができる。
【0093】
図10~
図12を引き続き参照すると、バッキングプレート5は、金属、ポリマー材料又は別の高硬度材料(例えば、硬質板紙)のうちのいずれかから作製される。バッキングプレート5の周縁には、バッキングプレート5の軸方向に沿っていくつかのバッキングプレート固定ベルト501が配置されている。バッキングプレート固定ベルト501は、バッキングプレート5に対して開閉することができる。バッキングプレート固定ベルト501は、閉じられると、カテーテル保護チューブ4のいくつかの部分を覆うとともにバッキングプレート5に接続されることにより、カテーテル保護チューブ4を固定することができる。これとは反対に、バッキングプレート固定ベルト501が開かれると、カテーテル保護チューブ4は解放される。
【0094】
図10~
図12を引き続き参照すると、調整機構は、開口502と、開口502に可動に接続することができる基台300とを含む。開口502は、バッキングプレート5の表面内に形成され、基台300は、第1の保持要素301及び第2の保持要素302を固定するように構成されている。基台300は、直方体又は円筒のうちのいずれか一方とすることができる。基台300は、直方体として実施される場合、(20~60mm)×(20~60mm)×(5~40mm)(長さ×幅×高さ)のサイズを有する。基台300は、円筒として実施される場合、10mm~60mmの断面直径を有する。第4の実施形態のカテーテル保持具では、基台300は、直方体であることが好ましく、直方体の対向する前側面及び後側面にそれぞれ第1の側溝304及び第2の側溝305が形成される。第1の側溝304及び第2の側溝305は、1mm~10mmの深さ及び1mm~10mmの幅を有する。第4の実施形態では、第1の側溝304の深さは5mmであり、その幅は2mmである。開口502の縁は、基台300が第1の側溝304及び第2の側溝305により開口502に対して可動であるように第1の側溝304及び第2の側溝305内にそれぞれ受け入れられ得る。
【0095】
本発明の他の実施形態では、基台300は、開口502を介してバッキングプレートに接続されなくてもよい。代わりに、例えば、基台300は、バッキングプレートと直接粘着又は係合されてもよく、バッキングプレートにおける開口502は省略されてもよい。
【0096】
さらに、第4の実施形態のカテーテル保持具では、第1の保持要素301及び第2の保持要素302は、同じ材料から作製されてもよく又は異なる材料から作製されてもよく、それら保持要素のそれぞれは、ゴム、プラスチック、金属、及び、ゴムとプラスチックとの混合物のうちの一つ又はこれらの組み合わせである。
【0097】
プラスチックは、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)のうちのいずれか一つである。
【0098】
ゴムとプラスチックとの混合物は、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリアミド(TPA)及びポリエーテルブロックアミド共重合体(Pebax)のうちのいずれか一つである。
【0099】
さらに、第4の実施形態のカテーテル保持具では、第1の保持要素301及び第2の保持要素302の両方は、ポリエーテルブロックアミド共重合体(Pebax)から作製される。
【0100】
本発明の第4の実施形態に係るカテーテル保持具は、以下のように使用される。
【0101】
図10~
図12を参照すると、包装及び使用時、カテーテル6の予備成形端が、カテーテル保護チューブ4の遠位端から突出するようにカテーテル保護チューブ4に挿通される。その後、カテーテルの予備成形端は、第1の保持要素301と第2の保持要素302との間の保持チャネル303へさらに進まされ、保持チャネル303内に保持される。カテーテルの予備成形端を保持したカテーテル保持具が、基台300によってバッキングプレート5における開口502に嵌め込まれる。開口502の縁が、基台300における第1の側溝304及び第2の側溝305にそれぞれ受け入れられる。次いで、基台300が、開口502に対して動かされる。このようにして、カテーテルの予備成形端を保持することができ、カテーテル保持具をカテーテル保護チューブ4の軸方向において適切な位置に調整することができる。
【0102】
本発明の第5の実施形態では、第1~第4の実施形態のうちのいずれかによるカテーテル保持具及びカテーテル保護チューブを含む、カテーテル保持具が提供される。カテーテル保持具は、カテーテル保護チューブに取り外し可能に接続される。いくつかの他の実施形態では、カテーテル保持具及びカテーテル保護チューブは、ともに一体的に接続されてもよい。いくつかの他の実施形態では、カテーテル保持具は、カテーテル保護チューブから離隔されてもよい。いくつかの他の実施形態では、カテーテル保持具は、カテーテル保護チューブから離れているとともに或る距離を置いて配置されてもよい。
【0103】
この実施形態では、カテーテル保護器具が、バッキングプレートをさらに含み、カテーテル保持具は、バッキングプレートから離れているように配置される。いくつかの他の実施形態では、カテーテル保持具は、係合、粘着、溶接又は他のやり方によってバッキングプレートに接続されてもよい。
【0104】
この実施形態では、カテーテル保護チューブはコイル状管である。いくつかの他の実施形態では、カテーテル保護チューブは直管であってもよい。カテーテル保護チューブは、いかなる損傷の可能性からもカテーテルを保護するために未使用のカテーテルを内部に保管するように構成されている。
【0105】
上述の実施形態の様々な技術的特徴は、任意のやり方で組み合わせられてもよい。簡潔のため、そのような組合せのすべてを上記で説明してきたわけではないが、それらのいずれも、技術的特徴間に矛盾がない限り、本明細書の範囲内にあるものと考えられる。
【0106】
上記では、単に本出願のいくつかの実施形態が提示されているにすぎない。これらの実施形態は、いくらか具体性を持っていくらか詳細に説明されているが、いかなる意味においても本出願の範囲を限定すると解釈されるべきではない。様々な変形及び修正が当業者によって本出願の概念から逸脱することなく行うことができることに留意されたい。したがって、そのような変形及び修正のすべてが、添付の特許請求の範囲において定義される本出願の範囲内に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
1:管状部分、100:管腔、2:保持部分、200:チャネル、2001:第1のチャネルセクション、2002:第2のチャネルセクション、201:保持板、300:基台、301:第1の保持要素、3011:第1の部分、3012:第2の部分、302:第2の保持要素、303:保持チャネル、304:第1の側溝、305:第2の側溝、4:カテーテル保護チューブ、5:バッキングプレート、501:バッキングプレート固定ベルト、502:開口、6:カテーテル
【国際調査報告】