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特表2024-505331原子炉蒸気発生器のための一体型センサを備える支持材とその関連システム及び方法
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  • 特表-原子炉蒸気発生器のための一体型センサを備える支持材とその関連システム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】原子炉蒸気発生器のための一体型センサを備える支持材とその関連システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/003 20060101AFI20240130BHJP
   G21C 1/32 20060101ALI20240130BHJP
   G21C 17/02 20060101ALI20240130BHJP
   G01D 5/353 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G21C17/003 200
G21C1/32
G21C17/02 500
G01D5/353 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536853
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 US2022014610
(87)【国際公開番号】W WO2022173610
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】17/168,118
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513206980
【氏名又は名称】ニュースケール パワー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ウェルター、 ケント
【テーマコード(参考)】
2F103
2G075
【Fターム(参考)】
2F103BA44
2F103CA01
2F103EC09
2G075AA05
2G075BA03
2G075CA17
2G075DA03
2G075DA13
(57)【要約】
原子炉蒸気発生器のための一体型センサを備える支持材とその関連システム及び方法が開示される。原子力発電の蒸気発生器を形成する代表的な方法が、計装支持体を形成することを含み、計装支持体は担体部分及び保持器部分を含み、担体部分又は保持器部分の少なくとも一方が、積層造形プロセスを介してセンサと一体的に形成される。方法はさらに、センサを通信リンクに結合することと、らせん状蒸気コンジットを計装支持体に支持させることと、らせん状蒸気コンジット及び計装支持体を原子炉に設置することとを含んでよい。らせん状蒸気コンジットは、一次流路に沿うように位置決めされる。一次流路は、らせん状蒸気コンジットと熱的に連通する加熱された一次流れを循環させるように位置決めされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
計装コンジット支持体を形成することを含み、
前記計装コンジット支持体は担体部分及び保持器部分を含み、
前記計装コンジット支持体を形成することは、
(a)コンジット支持体を備える光ファイバーひずみセンサと、(b)前記担体部分を備える光ファイバーリンクとを、積層造形プロセスを介して一体的に形成及び埋め込むことを含む、方法。
【請求項2】
らせん状蒸気コンジットを前記計装コンジット支持体によって支持することと、
前記らせん状蒸気コンジット及び前記計装コンジット支持体を、前記らせん状蒸気コンジットと熱的に連通する加熱された一次流れを循環させるように位置決めされる一次流れ経路に沿って原子炉に設置することとをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記計装コンジット支持体は、前記らせん状蒸気コンジットを担持する複数の計装コンジット支持体のうちに一つである、請求項2の方法。
【請求項4】
前記センサは、前記コンジット支持体に含まれない少なくとも一つの材料を含む、請求項1の方法。
【請求項5】
前記計装コンジット支持体はステンレス鋼から形成される、請求項1の方法。
【請求項6】
前記積層造形プロセスは超音波積層造形プロセスを含む、請求項1の方法。
【請求項7】
方法であって、
計装コンジット支持体を形成することであって、前記計装コンジット支持体は担体部分及び保持器部分を含み、前記担体部分又は前記保持器部分の少なくとも一方が、積層造形プロセスを介してセンサと一体的に形成されることと、
前記センサを通信リンクに結合することと
を含む、方法。
【請求項8】
らせん状蒸気コンジットを前記計装コンジット支持体によって支持することと、
前記らせん状蒸気コンジット及び前記計装コンジット支持体を、前記らせん状蒸気コンジットと熱的に連通する加熱された一次流れを循環させるように位置決めされる一次流れ経路に沿って原子炉に設置することとをさらに含む、請求項7の方法。
【請求項9】
前記通信リンクは光リンクを含む、請求項7の方法。
【請求項10】
前記担体部分又は前記保持器部分の前記少なくとも一方の外面の中に、前記光リンクの少なくとも一部を形成することをさらに含む、請求項9の方法。
【請求項11】
前記センサは、前記担体部分又は前記保持器部分の前記少なくとも一方の外面の中に形成される、請求項7の方法。
【請求項12】
前記センサはひずみセンサを含む、請求項7の方法。
【請求項13】
前記センサは熱センサを含む、請求項7の方法。
【請求項14】
前記積層造形プロセスは超音波積層造形プロセスを含む、請求項7の方法。
【請求項15】
前記計装支持体を形成するプロセスは、前記保持器部分又は前記担体部分の前記少なくとも一方の外面の中に前記センサを形成することを含む、請求項7の方法。
【請求項16】
原子炉の特性を検知する方法であって、
(a)熱データ又は(b)ひずみデータの少なくとも一方を、コンジット支持体と一体的に形成されるセンサから受信することであって、前記コンジット支持体は、原子炉においてらせん状蒸気発生器コンジットを担持することと、
前記受信したデータに基づいて、前記らせん状蒸気発生器の振動特性を評価することと
を含む、方法。
【請求項17】
前記受信したデータに少なくとも部分的に基づいて前記原子炉の動作特性を変化させることをさらに含む、請求項16の方法。
【請求項18】
前記受信したデータに少なくとも部分的に基づいて前記らせん状蒸気発生器の設計を変更することをさらに含む、請求項16の方法。
【請求項19】
前記振動特性は、前記らせん状蒸気発生器が受ける振動運動の周波数である請求項16の方法。
【請求項20】
前記振動特性は、前記らせん状蒸気発生器が受ける振動運動の振幅である、請求項16の方法。
【請求項21】
デバイスであって、
計装コンジット支持体を含み、
前記計装コンジット支持体は、
担体部分と、
前記担体部分によって担持される保持器部分と
を含み、
(a)前記担体部分は、積層造形プロセスを介してセンサと一体的に形成され、
(b)前記保持器部分は、積層造形プロセスを介してセンサと一体的に形成され、又は
(c)(a)と(b)との双方である、デバイス。
【請求項22】
圧力容器と、
前記圧力容器の中に位置決めされて核分裂性物質を担持するように構成される炉心と、
前記圧力容器まわりに位置決めされる格納容器と、
前記炉心と流体連通し、一次流体の流れを前記炉心から上方に一次流路に沿うように向けるべく位置決めされるライザー管であって、前記一次流路はまた、前記ライザー管と前記圧力容器との間のアニュラスにおいて下方にも通過して前記一次流体の流れを循環させる、ライザー管と、
前記アニュラスの中に位置決めされる蒸気発生器と
をさらに含み、
前記蒸気発生器は、前記計装コンジット支持体によって担持されるらせん状蒸気コンジットを含む、請求項21のデバイス。
【請求項23】
前記センサは、前記担体部分の中に、及び/又は前記複数の保持器部分のうちの少なくとも一つの中に埋め込まれる、請求項21のシステム。
【請求項24】
前記センサは光学センサを含み、
前記システムはさらに、前記光学センサに結合される光通信リンクであって、前記担体部分又は前記保持器部分の少なくとも一方の中に位置決めされる光通信リンクを含む、請求項23のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年2月4日に出願されてその全体が参照によりここに組み込まれる米国特許出願第17/168,118号の継続出願である。
【0002】
連邦政府の支援を受けた研究に関する記述
本発明は、エネルギー省によって授与された契約番号第DE-NE0008928に基づく政府の支援を受けてなされた。政府は本発明に所定の権利を有する。
【0003】
本技術は一般に、原子炉蒸気発生器のための一体型センサを備える支持材とその関連システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
原子力発電所は、蒸気を発生させるように長年使用されている。蒸気はその後、蒸気タービンを介して電力へと変換される。大きな発電所は、対応する大きな地理的エリアに電気を供給するように使用され得る一方、比較的小さな発電所は、小さな地理的エリア、潜水艦、宇宙船、並びに/又は他の、電力を必要とするシステム及びサブシステムに電力を供給するように使用され得る。原子炉は、電気の供給に加え、海水の淡水化、及び医療目的の核同位体の生成を含むがこれらに限られない一以上の他の目的のために使用することができる。
【0005】
原子炉は典型的に、システムの状態をモニタリングし、必要に応じて、原子炉が動作するパラメータを変更することによって応答するための有意な量の計装を含む。既存のセンサシステムは十分であったが、かかるセンサの精度及び製造可能性を、システム全体の複雑性及び/又はコストを有意に増加させることのない態様で改善する必要性が残っている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下の図面を参照して本技術の多くの側面が良好に理解される。図面におけるコンポーネントは、必ずしも尺度どおりというわけではない。その代わり、本技術の原理を明確に示すことに重点が置かれる。
【0007】
図1図1は、本技術の複数の実施形態に従って構成される代表的なシステムの部分的に模式的な断面図である。
図2A図2Aは、本技術の複数の実施形態に従って構成されるコンジット支持体を含む蒸気発生器の一部分の部分的に模式的な図である。
図2B図2Bは、本技術の複数の実施形態に従って配列されるコンジット支持体及び関連コンジットの拡大図である。
図2C図2Cは、本技術の複数の実施形態に係る多数のコンジット支持体を整列させて支持する複数のレールの配列体の部分的に模式的な図である。
図3図3は、本技術の複数の実施形態に係る、積層造形技術を介して一体的に製造される一以上のセンサを有するコンジット支持体の部分的に模式的な等角図である。
図4図4は、本技術の複数の実施形態に係るコンジット支持体とともに一体的に形成されることに適した代表的なセンサの部分的に模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の複数の側面は一般に、原子炉蒸気発生器における動作のための一体型センサを有する支持体に関する。特定の実施形態において、支持体は、原子炉炉心から熱を受け取って蒸気を発生させる蒸気発生器コンジットのらせん状配列体を担持する。蒸気はその後、電力を生成するべく使用される。支持体は、一体的に形成された複数のセンサを含み得る。これらのセンサは、蒸気発生器の動作に関連付けられるパラメータを、堅牢性及び/又は信頼性を増加させる態様で正確に特定することができる。例えば、これらのセンサは、積層造形された光学ひずみゲージを含み得る。これらの光学ひずみゲージは、当該コンジットを原子炉内の所定位置に維持する支持体に直接形成される。これらのセンサを支持体とともに一体的に形成することにより、当該センサは、支持体(及び関連コンジット)の、例えば振動又は揺れのような特性の変化をさらに正確に特定することができ、支持体の中に埋め込まれることによって保護され得る。
【0009】
本技術の様々な実施形態を完全に理解するべく、以下の説明及び図1図4に所定の詳細例が記載される。他例において、原子炉、蒸気発生器及び/又はセンサに関連付けられることが多い周知の構造物、材料、動作及び/又はシステムは、本技術の様々な実施形態の説明を不必要に不明瞭にするのを避けるべく、以下の開示において詳細には示されず又は説明されない。しかしながら、当業者であれば、本技術が、ここに記載される一以上の詳細例なしに、及び/又は他の構造、方法、コンポーネント等により、実施し得ることがわかる。
【0010】
以下に使用される用語は、本技術の実施形態の所定例の詳細な説明とともに使用されている場合であっても、最も広い合理的な態様で解釈されるべきである。実際のところ、以下で所定の用語が強調されることさえあるが、任意の制限された態様で解釈されるように意図される用語はいずれも、この詳細な説明のセクションにおいてそのように明示的かつ具体的に定義される。
【0011】
添付図面は、本技術の複数の実施形態を描いており、明示的に示されない限り、その範囲を制限することを意図しない。描かれた様々な要素のサイズは、必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではなく、これらの様々な要素は、読みやすさを向上させるために拡大され得る。コンポーネントの詳細は、かかる詳細が、本技術の製造方法及び使用方法の完全な理解に不必要である場合は、コンポーネントの位置、及び/又は当該コンポーネント間の所定の正確な接続のような詳細を除くべく、図面において抽象化され得る。図面に示される詳細、寸法、角度、及び他の特徴の多くは、本開示の特定の実施形態の単なる例示である。したがって、他実施形態が、本技術から逸脱することなく、他の詳細、寸法、角度及び特徴を有し得る。加えて、当業者は、本技術のさらなる実施形態も、以下に記載される詳細のうちのいくつかがなくとも実施できることがわかる。
【0012】
代表的なシステムの全体的な配列が、図1を参照して以下に詳述される。その後、蒸気発生器及び関連センサの特定要素が、図2A図4を参照して以下にさらに詳述される
【0013】
図1は、原子炉システム100の部分的に模式的な部分断面図である。システム100は電力モジュール115を含み、電力モジュール115は、制御された核反応が生じる炉心101を有する。したがって、炉心101は一以上の燃料集合体116を含み得る。燃料集合体116は、核分裂性の及び/又は他の適切な材料を含み得る。反応による熱が、蒸気発生器120において水蒸気を発生させ、蒸気発生器120は、その水蒸気を電力変換システム170へと向ける。電力変換システム170は、電力を生成し、及び/又は他の有用な出力を与える。電力モジュール115及び/又は他のシステムコンポーネントの動作をモニタリングするべくセンサシステム150が使用される。センサシステム150から取得されたデータは、電力モジュール115を制御するべくリアルタイムで使用することができ、並びに/又は、電力モジュール115及び/若しくは他のシステムコンポーネントの設計を更新するべく使用することもできる。
【0014】
電力モジュール115は格納容器102を含み、格納容器102は炉圧力容器106を収容/封入する。炉圧力容器106は炉心101を収容する。格納容器102は、電力モジュールベイ103に収容され得る。電力モジュールベイ103は、水及び/又は他の適切な冷却流体が充填された冷却プール104を格納する。電力モジュール115の大部分は、冷却プール104の表面105よりも下に配置される。したがって、冷却プール104は、例えばシステム誤動作の事象において、サーマルシンクとして動作し得る。
【0015】
炉圧力容器106と格納容器102との間の容積は、炉圧力容器106から周囲環境への(例えば冷却プール104への)熱伝達を低減するべく部分的に又は完全に排気され得る。しかしながら、他実施形態において、炉圧力容器106と格納容器102との間の容積は、炉圧力容器106と格納容器102との間の熱伝達を増加させるべく、気体及び/又は液体を少なくとも部分的に充填してよい。
【0016】
炉圧力容器106の中では、一次冷却材109が、炉心101からの熱を蒸気発生器120に送る。例えば、圧力容器106の中に配置される矢印により示されるように、一次冷却材109が炉心101において加熱されて炉圧力容器106の底へ向かう。加熱された一次冷却材(例えば添加物あり又はなしの水)が、炉心101から炉心シュラウド107を通ってライザー管108へと上昇する。高温で浮力のある一次冷却材109はライザー管108を通って上昇し続け、その後ライザー管108を出て蒸気発生器120を通り抜けて下降する。蒸気発生器120は、図1に模式的に示されるように、例えば、らせんパターンで、ライザー管108まわりに円周状に配置された多数のコンジット122を含む。下降する一次冷却材109は、コンジット122内の二次冷却材(例えば水)に熱を伝達し、原子炉圧力容器106の底まで下降し、そこで再びサイクルが開始される。サイクルは一次冷却材109の浮力の変化によって駆動することができるため、一次冷却材109を移動させるポンプの必要性を低減又は排除することができる。
【0017】
蒸気発生器120は給水ヘッダ121を含む。入来する二次冷却材は、給水ヘッダ121を介して蒸気発生器コンジット122に入る。二次冷却材は、コンジット122を通って上昇し、蒸気(例えば水蒸気)に変換され、蒸気ヘッダ123において収集される。水蒸気は、蒸気ヘッダ123を出て電力変換システム170へと向けられる。
【0018】
電力変換システム170は、蒸気発生器120から蒸気タービン173への高圧かつ高温の水蒸気の通過を調節する一以上の蒸気バルブ172を含み得る。蒸気タービン173は、発電機174を介して水蒸気の熱エネルギーを電気に変換する。タービン173から出る低圧の水蒸気は凝縮器175において凝縮され、その後、(例えばポンプ176を介して)一以上の給水バルブ171へと向けられる。給水バルブ171は、給水が給水ヘッダ121を介して蒸気発生器120に再び入る速度を制御する。
【0019】
電力モジュール115は、多数の制御システム及び関連センサを含む。例えば、電力モジュール115は中空円筒反射体110を含み得る。中空円筒反射体110は、中性子を炉心101へ戻して炉心101における核反応を促進する。制御棒111が、その核反応を調節するべく使用され、燃料棒駆動器112を介して駆動される。炉圧力容器106の中の圧力は、加圧器プレート113(これはまた一次冷却材109を、蒸気発生器120を通して下方へと向ける役割も果たし得る)を介して、加圧器プレート113の上方に位置決めされる加圧容積114における圧力を制御することによって制御され得る。
【0020】
センサシステム150は、例えば、動作パラメータ値、及び/又はパラメータ値等の変化を特定するべく、電力モジュール115の中及び/又は他の場所の様々な箇所に位置決めされる一以上のセンサ151を含み得る。センサシステム150が収集したデータはその後、システム100の動作を制御するべく、及び/又はシステム100のための設計変更をもたらすべく、使用され得る。格納容器102の中に位置決めされるセンサのために、センサリンク152が、当該センサからのデータを(センサリンク152が格納容器102から出る箇所の)フランジ153へと向け、そしてデータをセンサジャンクションボックス154へと向ける。そこから、センサデータは、データバス155を介して一以上のコントローラ及び/又は他のデータシステムへと引き回される。
【0021】
原子炉、特に当該炉の中の蒸気発生器に関連付けられる一つの課題は、水を水蒸気に変換するプロセスが、蒸気発生器の中で均一に又はスムーズに行われないかもしれないことにある。特に、蒸気発生器のコンジット内では密度波が形成され、蒸気発生器のコンジット及び/又は他の要素に振動及び応力を生じさせる密度波振動がもたらされ得る。図2Aから図4を参照して以下に詳述されるように、本技術の複数の側面は、密度波振動によって生じるひずみを含む蒸気発生器の特性を検出するための改良されたセンサ及び関連技術に関する。
【0022】
図2Aは、中心開口125まわりに配列された多数のコンジット122を有する代表的な蒸気発生器120の部分的に模式的な等角図である。中心開口125は、図1を参照して上述されたライザー管108を収容する。コンジット122は、コンジット122の外壁と周囲の一次冷却材との間の広範な熱的かつ流体的接触を与えるべく、らせん態様で中心開口125を周回する一以上のコンジットバンドル124に配列され得る。水が給水ヘッダ121からコンジット122に入り、蒸気ヘッダ123を介して出る。コンジット122は、多数のコンジット支持体130によって支持され得る。個別のコンジット支持体130を配列して、中心開口125から径方向外向きに延びるコンジット支持体スタック131にすることができる。各コンジット支持体130は、図2Cを参照して後述される対応レールに沿うように整列される上側支持体レールアパチャ132及び下側支持体レールアパチャ133を含み得る。図示の実施形態において、4つのコンジット122が示されるが、上述したのは、開示の主題が限定されることのない一例に過ぎないことが理解される。
【0023】
図2Bは、代表的なコンジット支持体スタック131の一部分の拡大図である。多数のコンジット支持体130及び対応するコンジット122が示される。各コンジット支持体130は、担体部分134及び一以上の保持器部分135を含み得る。例えば、図2Bに示されるように、保持器部分135は、コンジット122を定位置に支持するべく各コンジット122の下に及び/又は上に延びる突起を含み得る。一般に、コンジット122は、例えば熱膨張ゆえの寸法変化に対応するべく、強固に保持器部分135に取り付けられるわけではない。図2Bに示されるように、コンジット支持体スタック131は、多数の離間したコンジット支持体130を含む。コンジット122の「層」が、隣接するコンジット支持体130対の間に支持される。
【0024】
図2Cは、対応するコンジット支持体130を整列させるように位置決めされた上側支持体レール136及び下側支持体レール137を示す。説明を目的として、2対のコンジット支持体130が、上側支持体レール136及び下側支持体レール137の対応する対に整列するように示される。多数の付加的なコンジット支持体130はその後、レール136、137に沿って径方向Rに整列される。これは、図2A及び図2Bに示される。
【0025】
図3は、本技術の複数の実施形態に従って構成される代表的なコンジット支持体130の部分的に模式的な断面図である。コンジット支持体130は、一の担体部分134、多数の保持器部分135、及び一以上のセンサ151を含み得る。これらはすべて、一つのユニットとして一体的に形成される。したがって、コンジット支持体130は、ここでは計装支持体又は計装コンジット支持体と称してよい。例えば、センサ151、保持器部分135及び担体部分134は、積層造形技法を介して一体的に形成され得る。適切な技法は、レーザパウダーベッド、又は直接エネルギー付与3Dプリンタの使用を含む。しかしながら、かかる技法は、埋め込まれるセンサ151が、このような3Dプリンティング技法に関連付けられるのが典型的な高温に耐え得るアプリケーションに限定され得る。かかる温度に耐えることのできないセンサにとって、超音波積層造形(ultrasonic additive manufacturing(UAM))技法が代わりに使用され得る。例えば、UAM技法は、金属成分及び非金属成分双方を含む構造物を、いずれも溶融なしに積層造形するべく使用することができる。これにより、異種金属を結合することが許容され、クラッド材料、金属マトリックス複合材料、及び/又は「スマート」すなわち反応性の構造物を積層することが容易となる。その結果、不正開封防止の及び/又は不正加工防止の保護構造物(例えばコンジット支持体130の構造物)にセンサ電子機器を(支持構造物の外面の下に)埋め込むことができる。別の言い方をすれば、センサは、ともに造形される構造物の中に非破壊的な態様で完全に又は少なくとも部分的にカプセル化/封入されることにより、蒸気発生器の中の過酷な環境から保護される。加えて、構造物は複雑な内部形状を含み得る。この複雑な内部形状は、積層造形技法を介して容易に造形することができるが、従来型の引き算式技法を使用しての造形は困難及び非現実的となり得る。例えば、コンジット支持体130は開口138を含み得る。この開口138は、支持体を形成するべく使用された使用済み材料の量を低減し、及びコンジットの中の水蒸気から離れた熱伝達を低減する。さらに、積層造形プロセスの忠実性の結果、製造後処理(例えば機械加工)の必要性を低減又は排除することができる。
【0026】
図3に示される代表的な実施形態において、センサ151は、光ファイバーひずみゲージ156及び関連通信リンク152を含む。通信リンク152は光ファイバー要素も含み得る。かかる一実施形態において、ひずみゲージ156は、保持器部分135と一体的に形成され、保持器部分135によって担持されるコンジットにより、保持器部分135にかかるひずみの変化を正確に記録することができる。コンジット(図2A図2Cに示される)は、対応するコンジット軸126に沿って一つのコンジット支持体130から次のコンジット支持体へと延びる。様々な実施形態において、ひずみゲージ156は保持器部分135と一体的に形成されるので、保持器部分135の材料が、例えば、炉心から放射されるガンマ放射線から当該ひずみゲージを遮蔽するのに役立ち得る。かかる放射線は、ひずみゲージ156及び/又は通信リンク152の光学機器を変色させるので、センサの操作性を低減又は排除し得る。光学ひずみゲージ156を、例えば金属材料に埋め込むことにより、そのような劣化の可能性を低減、遅延及び/又は排除することができるので、蒸気発生器におけるひずみ特性を測定する能力を工場させることができる。例えば、図3に示されるように、ひずみゲージ156は保持器部分135と統合され、通信リンク152は、保持器部分135と同様に担体部分134と統合される。コンジット支持体(例えば担体部分134及び/又は保持器部分135)を形成する材料は、いくつかの実施形態においてステンレス鋼を含み、他の複数の実施形態においては他の適切な材料を含み得る。
【0027】
図4は、代表的な光ファイバーひずみゲージ156を示す。これは、一般的な従来型構造を有するが、UAM技法を使用して対応支持体と一体的に形成されている。かかる偽表を行う一つの可能な代表的デバイスは、Aniwaa(www.aniwaa.com)から入手可能なSonicLayer(登録商標)7200自動化システムを含む。理解されることだが、開示の主題が限定されない単なる一例にすぎない。UAMシステムは、光ビーム158を透過させるシリカコア157を形成し得る。シリカコア157は、保護を目的としかつコア157から光が漏れるのを防ぐべく、クラッディング159に囲まれる。コア157は、多数のブラッグ格子要素160を含み得る。ブラッグ格子要素160は、ひずみゲージ156がひずみを受けているか否かと、ひずみを受けている場合にそのひずみの値とに応じて異なる態様で光を屈折及び/又は反射させる。UAMプロセスはまた、ひずみゲージ156及び周囲のコンジット支持体130と同時に通信リンク152(図3)も形成することを含み得る。多数の通信リンク152を、対応するコンジット支持体を通して適切なジャンクションボックス又は他の接続構造物へと引き回すことができる。センサにより収集されたデータはその後、図1を参照して上述されたフランジ153を介して原子炉から外へと引き回される。特に、ひずみゲージ156及び/又は他のタイプのセンサを形成する少なくとも一つの材料が、コンジット支持体130を形成する少なくとも一つの材料とは異なるので、そのような相違にもかかわらず成功裏に行われるように積層造形プロセスが選択される。
【0028】
センサから取得されたデータは、炉効率を挙げること及び/又は対応する原子炉に他の利益を与えることに結び付く一以上の目的のために使用することができる。例えば、運転中、センサは密度波振動及び/又は他の流れ現象に対応し得るひずみを正確に検出することができるので、操作員は、そのような現象を発生させないようにシステム操作パラメータを調整することができる。他のアプリケーションにおいて、データは、密度波振動及び/又は他の流れ現象が発生する可能性を減らすように炉の要素を設計又は再設計するために使用することができる。または、他の代表的な実施形態において、目標の振動周波数値及び/又は振幅値、例えば炉運転に許容可能な目標値、をもたらすように要素を設計又は再設計してよい。
【0029】
例示を目的として、図3及び図4に示される代表的なセンサを光学ひずみセンサとする。他実施形態において、センサは他の構造を有してよく、及び/又は他のパラメータ値を測定するべく使用されてよい。例えば、センサは、当該センサが位置決めされる蒸気発生器又は他のシステムコンポーネントの中の局所温度を測定するように構成される熱センサ(例えば熱電対)を含んでよい。熱センサから取得されたデータは、ひずみセンサから取得されたデータとともに、密度波振動及び/又は他の流れ現象の特性をさらに定量化及び/又は理解するために使用することができる。他実施形態において、熱センサ(及び/又は他のセンサ)は、様々な適切な流れパラメータ、熱パラメータ及び/又は構造パラメータのいずれかを評価するために独立して使用することもできる。
【0030】
上述した実施形態のいずれにおいても、センサが配置されている構造物と同時に当該センサを積層造形する能力を使用して、複数のセンサのアレイ(例えば3次元アレイ)を効率的に生産することができ、このアレイは、小規模で散在するセンサのセットよりも正確に、多次元環境における現象を捕捉することができる。この能力により、データの精度と、そのデータに基づいて取られるステップの有効性とをさらに改善することができる。
上述されたセンサにより収集されたデータは一般に、アプリケーションに応じて静的及び/又は動的となり得る。例えば、密度波振動は一般に、蒸気発生器コンジット122の中の沸騰領域において、約0.1Hz~0.3Hzの周波数を有する。したがって、ひずみセンサは、上述の周期性を捕捉する程度に十分高い周波数のひずみ変化を測定するように構成され得る。
【0031】
上述のデータは、上述のアプリケーション(例えば将来の設計のための蒸気発生器信頼性の改善、及び/又は、蒸気発生器コンジット疲労の早期のインジケーション又は予測の提供)に加え、他の目的のために、例えば、炉の蒸気発生器及び/又は他の要素の検査を、かかる検査を必要とする可能性が最も高いエリアに狭め又は集中させるべく、使用することもできる。これにより、必要とされないかもしれない構造物検査の必要性及びそれに伴うコストを低減することができる。他のアプリケーションにおいて、熱センサのアレイ又はネットワークから取得された熱データは、蒸気発生器の中の熱伝達特性を正確に予測するべく使用することができる。これは、蒸気発生器の設計に影響を与えるので、効率的、堅牢及び/又は安価な蒸気発生器を得ることができる。
【0032】
上述からわかるのは、例示を目的とする開示の技術の特定の実施形態が、ここに記載されてきたにもかかわらず、当該技術から逸脱することなく様々な修正例がなし得るということである。例えば、センサは、ひずみ及び/又は温度以外のパラメータを検出することもできる。センサは、非光学的なセンサとしてよく、及び/又は非光通信リンクを介してデータを通信してよい。代表的な実施形態が、蒸気発生器コンジット支持体に位置決めされるセンサを示すにもかかわらず、他の複数の実施形態に係るセンサは、他のシステム要素に位置決めされてよい。蒸気発生器に位置決めされるセンサは、コンジット支持体の保持器部分に組み入れられてよく、及び/又はコンジット支持体の他の部分、例えば担体部分に組み入れられてもよい。
【0033】
特定の実施形態の文脈で説明された技術の所定側面を、他実施形態において組み合わせてよく又は排除してよい。さらに、開示の技術の所定実施形態に関連付けられる利点が、これらの実施形態の文脈で説明されてきたが、他実施形態もまた、かかる利点を示すことができ、かかる利点が当該技術の範囲に当てはまることをすべての実施形態が必ずしも示すわけではない。したがって、本開示及び関連する技術は、ここに明示的には図示又は記載されていない他実施形態を包括し得る。
【0034】
ここで使用されるように、「A及び/又はB」における「及び/又は」は、A単独と、B単独と、A及びB双方とを言及する。
【0035】
本技術の代表的な例が以下に与えられる。
【0036】
【0037】
[例1]
方法であって、
計装コンジット支持体を形成することを含み、
前記計装コンジット支持体は担体部分及び保持器部分を含み、
前記計装コンジット支持体を形成することは、(a)コンジット支持体を備える光ファイバーひずみセンサと、(b)前記担体部分を備える光ファイバーリンクとを、積層造形プロセスを介して一体的に形成及び埋め込むことを含む、方法。
[例2]
らせん状蒸気コンジットを前記計装コンジット支持体によって支持することと、
前記らせん状蒸気コンジット及び前記計装コンジット支持体を、前記らせん状蒸気コンジットと熱的に連通する加熱された一次流れを循環させるように位置決めされる一次流れ経路に沿って原子炉に設置することとをさらに含む、例1の方法。
[例3]
前記計装コンジット支持体は、前記らせん状蒸気コンジットを担持する複数の計装コンジット支持体のうちの一つである、例1~例2のいずれか一つの方法。
[例4]
前記センサは、前記コンジット支持体に含まれない少なくとも一つの材料を含む、例1~例3のいずれか一つの方法。
[例5]
前記計装コンジット支持体はステンレス鋼から形成される、例1~例4のいずれか一つの方法。
[例6]
前記積層造形プロセスは超音波積層造形プロセスを含む、例1~例5のいずれか一つの方法。
[例7]
方法であって、
計装コンジット支持体を形成することであって、前記計装コンジット支持体は担体部分及び保持器部分を含み、前記担体部分又は前記保持器部分の少なくとも一方が、積層造形プロセスを介してセンサと一体的に形成されることと、
前記センサを通信リンクに結合することと
を含む、方法。
[例8]
らせん状蒸気コンジットを前記計装コンジット支持体によって支持することと、
前記らせん状蒸気コンジット及び前記計装コンジット支持体を、前記らせん状蒸気コンジットと熱的に連通する加熱された一次流れを循環させるように位置決めされる一次流れ経路に沿って原子炉に設置することとをさらに含む、例7の方法。
[例9]
前記通信リンクは光リンクを含む、例7~例8のいずれか一つの方法。
[例10]
前記担体部分又は前記保持器部分の前記少なくとも一方の外面の中に、前記光リンクの少なくとも一部を形成することをさらに含む、例9の方法。
[例11]
前記センサは、前記担体部分又は前記保持器部分の前記少なくとも一方の外面の中に形成される、例7~例10のいずれか一つの方法。
[例12]
前記センサはひずみセンサを含む、例7~例11のいずれか一つの方法。
[例13]
前記センサは熱センサを含む、例7~例12のいずれか一つの方法。
[例14]
前記積層造形プロセスは超音波積層造形プロセスを含む、例7~例13のいずれか一つの方法。
[例15]
前記計装支持体を形成するプロセスは、前記保持器部分又は前記担体部分の前記少なくとも一方の外面の中に前記センサを形成することを含む、例7~例14のいずれか一つの方法。
[例16]
原子炉の特性を検知する方法であって、
(a)熱データ又は(b)ひずみデータの少なくとも一方を、コンジット支持体と一体的に形成されるセンサから受信することであって、前記コンジット支持体は、原子炉においてらせん状蒸気発生器コンジットを担持することと、
前記受信したデータに基づいて、前記らせん状蒸気発生器の振動特性を評価することと
を含む、方法。
[例17]
前記受信したデータに少なくとも部分的に基づいて前記原子炉の動作特性を変化させることをさらに含む、例16の方法。
[例18]
前記受信したデータに少なくとも部分的に基づいて前記らせん状蒸気発生器の設計を変更することをさらに含む、例16~例17のいずれか一つの方法。
[例19]
前記振動特性は、前記らせん状蒸気発生器が受ける振動運動の周波数である、例16~例18のいずれか一つの方法。
[例20]
前記振動特性は、前記らせん状蒸気発生器が受ける振動運動の振幅である、例16~例19のいずれか一つの方法。
[例21]
デバイスであって、
計装コンジット支持体を含み、
前記計装コンジット支持体は、
担体部分と、
前記担体部分によって担持される保持器部分と
を含み、
(a)前記担体部分は、積層造形プロセスを介してセンサと一体的に形成され、
(b)前記保持器部分は、積層造形プロセスを介してセンサと一体的に形成され、又は
(c)(a)と(b)との双方である、デバイス。
[例22]
圧力容器と、
前記圧力容器の中に位置決めされて核分裂性物質を担持するように構成される炉心と、
前記圧力容器まわりに位置決めされる格納容器と、
前記炉心と流体連通し、一次流体の流れを前記炉心から上方に一次流路に沿うように向けるべく位置決めされるライザー管であって、前記一次流路はまた、前記ライザー管と前記圧力容器との間のアニュラスにおいて下方にも通過して前記一次流体の流れを循環させる、ライザー管と、
前記アニュラスの中に位置決めされる蒸気発生器と
をさらに含み、
前記蒸気発生器は、前記計装コンジット支持体によって担持されるらせん状蒸気コンジットを含む、例21のデバイス。
[例23]
前記センサは、前記担体部分の中に、及び/又は前記複数の保持器部分の少なくとも一つの中に埋め込まれる、例21~例22のいずれか一つのシステム。
[例24]
前記センサは光学センサを含み、前記システムはさらに、前記光学センサに結合される光通信リンクであって、前記担体部分又は前記保持器部分の少なくとも一方の中に位置決めされる光通信リンクを含む、例21~例23のいずれか一つのシステム。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
【国際調査報告】