(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】軽量合金金属部品のための不均一ホイルの均一化
(51)【国際特許分類】
B22F 10/34 20210101AFI20240130BHJP
C22C 21/00 20060101ALI20240130BHJP
B32B 15/01 20060101ALI20240130BHJP
B23K 20/00 20060101ALI20240130BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20240130BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240130BHJP
【FI】
B22F10/34
C22C21/00 E
B32B15/01 F
B23K20/00 310M
B23K20/00 310L
B33Y70/00
B33Y10/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538968
(86)(22)【出願日】2021-12-27
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 US2021065196
(87)【国際公開番号】W WO2022146912
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2021/030879
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2021/036770
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522429963
【氏名又は名称】アロイ エンタープライジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マイクローウィッチ, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】フォーサイス, アリソン
(72)【発明者】
【氏名】ライ, アラン
(72)【発明者】
【氏名】チーサム, ライル
【テーマコード(参考)】
4E167
4F100
4K018
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
物体を製造するための方法。本方法は、物体のための所望の合金組成を受領するステップ;積層体において複数のホイルを堆積させて、物体を形成するステップ;積層体に第1の温度で熱を適用し、複数のホイルを互いに接合するステップ;および積層体に第2の温度で熱を適用し、積層体の組成を均一にするステップを含む。均一化された積層体は、所望の合金組成を有する。物体を製造するための方法であって、前記物体のための所望の合金組成を受領するステップ、積層体における少なくとも2つの構成組成を有する複数のホイルを堆積させて、前記物体を形成するステップ、前記積層体に第1の温度で熱を適用し、前記複数のホイルを互いに接合するステップ、および前記積層体に第2の温度で熱を適用し、前記積層体の前記組成を均一にするステップを含み、前記均一化された積層体が、前記所望の合金組成を有する、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を製造するための方法であって、
前記物体のための所望の合金組成を受領するステップ、
積層体における少なくとも2つの構成組成を有する複数のホイルを堆積させて、前記物体を形成するステップ、
前記積層体に第1の温度で熱を適用し、前記複数のホイルを互いに接合するステップ、および
前記積層体に第2の温度で熱を適用し、前記積層体の前記組成を均一にするステップ
を含み、
前記均一化された積層体が、前記所望の合金組成を有する、
方法。
【請求項2】
前記複数のホイルがパターン形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のホイルが、少なくとも2つの異なる組成を有するシートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
各ホイルが複数の層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
各層が、アルミニウム合金、マグネシウム合金、またはチタン合金を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
合金材料が、アルミニウム、クロム、銅、リチウム、マグネシウム、チタン、ニッケル、ケイ素、または亜鉛である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第1の層が、前記ホイルのコアを形成し、第2の層が、前記ホイルのクラッドを形成する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
各ホイルが、25~1000マイクロメートルの間の厚さである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の温度が、前記複数のホイルの融点より低い、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の温度が、前記所望の合金組成からなる前記複数のホイルの固相線温度にほぼ等しいか、またはこれより低い、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の温度および前記第2の温度が同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の温度での熱の前記適用が、第1の加工ユニットで行われ、前記第2の温度での熱の前記適用が、第2の加工ユニットで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記積層体が、前記第1の加工ユニットから前記第2の加工ユニットへの移動中、前記第1の温度に維持される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
均一化後に前記積層体を急冷するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記急冷するステップが、前記積層体を均一にするために使用される同じ加工ユニットで行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
圧力が、熱の前記適用の間に前記積層体に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記所望の合金組成が、前記複数のホイルの組成とは同じではない均一な組成である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
残りがAl、および0.5~0.7重量%の間のSi、0~0.1重量%の間のCu、0.9~1.1重量%の間のMg、および0.04~0.35重量%の間のCrを含むコア、ならびに
残りがAl、および0.8~1.6重量%の間のSi、1.5~2.7重量%の間のCu、0.4~1.1重量%の間のMg、および0.04~0.35重量%の間のCrを含むクラッド
を含む、クラッドホイル。
【請求項19】
前記コアおよびクラッド用組成物中の微量元素が、0~0.3重量%の間のFe、0~0.1重量%の間のMn、0~0.25重量%の間のZn、および0~0.15重量%の間のTiを含み、他の元素が、0.05重量%未満であり、他の元素のすべての合計が0.15重量%未満である、請求項18に記載のクラッドホイル。
【請求項20】
各ホイルが、25μm~1000μmの間の厚さである、請求項18に記載のクラッドホイル。
【請求項21】
前記コアが、前記ホイルの第1の層であり、前記クラッドが、前記ホイルの第2の層である、請求項18に記載のクラッドホイル。
【請求項22】
第1の層が、前記ホイルの第1のクラッドを形成し、第2の層が、前記ホイルの前記コアを形成し、第3の層が、前記ホイルの第2のクラッドを形成する、請求項18に記載のクラッドホイル。
【請求項23】
前記クラッドが、前記クラッドホイルの全厚さの2%~20%の間である、請求項18に記載のクラッドホイル。
【請求項24】
残りがAl、および0.2~0.3重量%の間のSi、0.15~0.4重量%の間のCu、0.9~1.1重量%の間のMg、および0.04~0.35重量%の間のCrを含むコア、ならびに
残りがAl、および1.3~1.7重量%の間のSi、0.15~0.4重量%の間のCu、0.9~1.1重量%の間のMg、および0.04~0.35重量%の間のCrを含むクラッド
を含む、クラッドホイル。
【請求項25】
前記コアおよびクラッド用組成物中の微量元素が、0~0.3重量%の間のFe、0~0.1重量%の間のMn、0~0.25重量%の間のZn、および0~0.15重量%の間のTiを含み、任意の他の元素が、0.05重量%未満であり、他の元素のすべての合計が0.15重量%未満である、請求項24に記載のクラッドホイル。
【請求項26】
各ホイルが、25μm~1000μmの間の厚さである、請求項24に記載のクラッドホイル。
【請求項27】
前記コアが、前記ホイルの第1の層であり、前記クラッドが、前記ホイルの第2の層である、請求項24に記載のクラッドホイル。
【請求項28】
第1の層が、前記ホイルの第1のクラッドを形成し、第2の層が、前記ホイルの前記コアを形成し、第3の層が、前記ホイルの第2のクラッドを形成する、請求項24に記載のクラッドホイル。
【請求項29】
前記クラッドが、前記クラッドホイルの全厚さの8%~45%の間である、請求項24に記載のクラッドホイル。
【請求項30】
残りがAl、および0.1~0.2重量%の間のSi、および0.25~0.45重量%の間のMgを含むコア、ならびに
残りがAl、および0.8~1.0重量%の間のSi、および1.0~1.3重量%の間のMgを含むクラッド
を含む、クラッドホイル。
【請求項31】
前記コアおよびクラッド用組成物中の微量元素が、0~0.35重量%の間のFe、0~0.1重量%の間のCu、0~0.1重量%の間のMn、0~0.1重量%の間のCr、0~0.1重量%の間のZn、および0~0.1重量%の間のTiを含み、任意の他の元素が、0.05重量%未満であり、他の元素のすべての合計が0.15重量%未満である、請求項30に記載のクラッドホイル。
【請求項32】
各ホイルが、25μm~1000μmの間の厚さである、請求項30に記載のクラッドホイル。
【請求項33】
前記コアが、前記ホイルの第1の層であり、前記クラッドが、前記ホイルの第2の層である、請求項30に記載のクラッドホイル。
【請求項34】
第1の層が、前記ホイルの第1のクラッドを形成し、第2の層が、前記ホイルの前記コアを形成し、第3の層が、前記ホイルの第2のクラッドを形成する、請求項30に記載のクラッドホイル。
【請求項35】
前記クラッドが、前記クラッドホイルの全厚さの10%~50%の間である、請求項30に記載のクラッドホイル。
【請求項36】
残りがAl、および0.5~0.7重量%の間のSi、0.4~1.0重量%の間のMn、および0.7~0.9重量%の間のMgを含むコア、ならびに
残りがAl、および1.3~1.5重量%の間のSi、0.4~1.0重量%の間のMn、および0.5~0.7重量%の間のMgを含むクラッド
を含む、クラッドホイル。
【請求項37】
前記コアおよびクラッド用組成物中の微量元素が、0~0.5重量%の間のFe、0~0.1重量%の間のCu、0~0.25重量%の間のCr、0~0.2重量%の間のZn、および0~0.1重量%の間のTiを含み、任意の他の元素が、0.05重量%未満であり、他の元素のすべての合計が0.15重量%未満である、請求項36に記載のクラッドホイル。
【請求項38】
各ホイルが、25μm~1000μmの間の厚さである、請求項36に記載のクラッドホイル。
【請求項39】
前記コアが、前記ホイルの第1の層であり、前記クラッドが、前記ホイルの第2の層である、請求項36に記載のクラッドホイル。
【請求項40】
第1の層が、前記ホイルの第1のクラッドを形成し、第2の層が、前記ホイルの前記コアを形成し、第3の層が、前記ホイルの第2のクラッドを形成する、請求項36に記載のクラッドホイル。
【請求項41】
前記クラッドが、前記クラッドホイルの全厚さの5%~50%の間である、請求項36に記載のクラッドホイル。
【請求項42】
残りがAl、および0~0.25重量%の間のSi、3.5~3.8重量%の間のCu、0.3~0.9重量%の間のMn、および1.2~1.8重量%の間のMgを含むコア、ならびに
残りがAl、および0.4~0.7重量%の間のSi、4.8~5.2重量%の間のCu、0.3~0.9重量%の間のMn、および1.2~1.8重量%の間のMgを含むクラッド
を含む、クラッドホイル。
【請求項43】
前記コアおよびクラッド用組成物中の微量元素が、0~0.3重量%の間のFe、0~0.1重量%の間のCr、0~0.25重量%の間のZn、および0~0.15重量%の間のTiを含み、任意の他の元素が、0.05重量%未満であり、他の元素のすべての合計が0.15重量%未満である、請求項42に記載のクラッドホイル。
【請求項44】
各ホイルが、25μm~1000μmの間の厚さである、請求項42に記載のクラッドホイル。
【請求項45】
前記コアが、前記ホイルの第1の層であり、前記クラッドが、前記ホイルの第2の層である、請求項42に記載のクラッドホイル。
【請求項46】
第1の層が、前記ホイルの第1のクラッドを形成し、第2の層が、前記ホイルの前記コアを形成し、第3の層が、前記ホイルの第2のクラッドを形成する、請求項42に記載のクラッドホイル。
【請求項47】
前記クラッドが、前記クラッドホイルの全厚さの10%~50%の間である、請求項42に記載のクラッドホイル。
【請求項48】
残りがAl、および0.1~0.6重量%の間のSi、3.75~4.25重量%のCu、0.4~1.2重量%の間のMn、および0.2~0.8重量%の間のMgを含むコア、ならびに
残りがAl、および1.0~1.8重量%の間のSi、4.2~5.5重量%のCu、0.4~1.2重量%の間のMn、および0.8~1.4重量%の間のMgを含むクラッド
を含む、クラッドホイル。
【請求項49】
前記コアおよびクラッド用組成物中の微量元素が、0~0.7重量%の間のFe、0~0.1重量%の間のCr、0~0.25重量%の間のZn、および0~0.15重量%の間のTiを含み、任意の他の元素が、0.05重量%未満であり、他の元素のすべての合計が0.15重量%未満である、請求項42に記載のクラッドホイル。
【請求項50】
各ホイルが、25μm~1000μmの間の厚さである、請求項48に記載のクラッドホイル。
【請求項51】
前記コアが、前記ホイルの第1の層であり、前記クラッドが、前記ホイルの第2の層である、請求項48に記載のクラッドホイル。
【請求項52】
第1の層が、前記ホイルの第1のクラッドを形成し、第2の層が、前記ホイルの前記コアを形成し、第3の層が、前記ホイルの第2のクラッドを形成する、請求項48に記載のクラッドホイル。
【請求項53】
前記クラッドが、前記クラッドホイルの全厚さの4%~50%の間である、請求項48に記載のクラッドホイル。
【請求項54】
残りがAl、および0~0.1重量%の間のSi、1.0~1.3重量%の間のCu、1.9~2.1重量%の間のMg、0.18~0.28重量%の間のCr、および5.0~5.4重量%の間のZnを含むコア、ならびに
残りがAl、および0.5~0.7重量%の間のSi、2.0~2.4重量%の間のCu、2.8~3.0重量%の間のMg、0.18~0.28重量%の間のCr、および5.8~6.2重量%の間のZnを含むクラッド
を含む、クラッドホイル。
【請求項55】
前記コアおよびクラッド用組成物中の微量元素が、0~0.5重量%の間のFe、0~0.3重量%の間のMn、および0~0.15重量%の間のTiを含み、任意の他の元素が、0.05重量%未満であり、他の元素のすべての合計が0.15重量%未満である、請求項48に記載のクラッドホイル。
【請求項56】
各ホイルが、25μm~1000μmの間の厚さである、請求項54に記載のクラッドホイル。
【請求項57】
前記コアが、前記ホイルの第1の層であり、前記クラッドが、前記ホイルの第2の層である、請求項54に記載のクラッドホイル。
【請求項58】
第1の層が、前記ホイルの第1のクラッドを形成し、第2の層が、前記ホイルの前記コアを形成し、第3の層が、前記ホイルの第2のクラッドを形成する、請求項54に記載のクラッドホイル。
【請求項59】
前記ホイルの前記クラッドが、前記クラッドホイルの全厚さの10%~50%の間である、請求項54に記載のクラッドホイル。
【請求項60】
残りがAl、および1.6~2.0重量%の間のCu、1.5~1.9重量%の間のMg、および5.4~5.7重量%の間のZnを含むコア、ならびに
残りがAl、および3.0~3.2重量%の間のCu、2.8~3.2重量%の間のMg、および6.5~7.0重量%の間のZnを含むクラッド
を含む、クラッドホイル。
【請求項61】
前記コアおよびクラッド用組成物中の微量元素が、0~0.12重量%の間のSi、0~0.15重量%の間のFe、0~0.1重量%の間のMn、0~0.04重量%の間のCr、および0~0.15重量%の間のTiを含み、任意の他の元素が、0.05重量%未満であり、他の元素のすべての合計が0.15重量%未満である、請求項54に記載のクラッドホイル。
【請求項62】
各ホイルが、25μm~1000μmの間の厚さである、請求項60に記載のクラッドホイル。
【請求項63】
前記コアが、前記ホイルの第1の層であり、前記クラッドが、前記ホイルの第2の層である、請求項60に記載のクラッドホイル。
【請求項64】
第1の層が、前記ホイルの第1のクラッドを形成し、第2の層が、前記ホイルの前記コアを形成し、第3の層が、前記ホイルの第2のクラッドを形成する、請求項60に記載のクラッドホイル。
【請求項65】
前記クラッドが、前記クラッドホイルの全厚さの5%~50%の間である、請求項60に記載のクラッドホイル。
【請求項66】
残りがAl、および1.0~1.6重量%の間のCu、0.9~1.3重量%の間のMg、および6.6~7.0重量%の間のZnを含むコア、ならびに
残りがAl、1.8~2.2重量%の間のCu、1.4~2.0重量%の間のMg、および8.0~8.6重量%の間のZnを含むクラッド
を含む、クラッドホイル。
【請求項67】
前記コアおよびクラッド用組成物中の微量元素が、0~0.06重量%の間のSi、0~0.08重量%の間のFe、0~0.4重量%の間のMn、0~0.04重量%の間のCr、および0~0.06重量%の間のTiを含み、任意の他の元素が、0.05重量%未満であり、他の元素のすべての合計が0.15重量%未満である、請求項66に記載のクラッドホイル。
【請求項68】
各ホイルが、25μm~1000μmの間の厚さである、請求項66に記載のクラッドホイル。
【請求項69】
前記コアが、前記ホイルの第1の層であり、前記クラッドが、前記ホイルの第2の層である、請求項66に記載のクラッドホイル。
【請求項70】
第1の層が、前記ホイルの第1のクラッドを形成し、第2の層が、前記ホイルの前記コアを形成し、第3の層が、前記ホイルの第2のクラッドを形成する、請求項66に記載のクラッドホイル。
【請求項71】
前記クラッドが、前記クラッドホイルの全厚さの5%~50%の間である、請求項66に記載のクラッドホイル。
【請求項72】
残りがAl、および7.0~7.5重量%の間のSi、2.6~3.0重量%の間のCu、および1.0~1.5重量%の間のZnを含むコア、ならびに
残りがAl、および10.0~11.0重量%の間のSi、4.25~4.75重量%の間のCu、および2.0~2.5重量%の間のZnを含むクラッド
を含む、クラッドホイル。
【請求項73】
前記コアおよびクラッド用組成物中の前記微量元素が、0~1.3重量%の間のFe、0~0.5重量%の間のMn、0~0.1重量%の間のMgを含み、任意の他の元素が、0.05重量%未満であり、他の元素のすべての合計が0.15重量%未満である、請求項72に記載のクラッドホイル。
【請求項74】
各ホイルが、25μm~1000μmの間の厚さである、請求項72に記載のクラッドホイル。
【請求項75】
前記コアが、前記ホイルの第1の層であり、前記クラッドが、前記ホイルの第2の層である、請求項72に記載のクラッドホイル。
【請求項76】
第1の層が、前記ホイルの第1のクラッドを形成し、第2の層が、前記ホイルの前記コアを形成し、第3の層が、前記ホイルの第2のクラッドを形成する、請求項72に記載のクラッドホイル。
【請求項77】
前記クラッドが、前記クラッドホイルの全厚さの5%~50%の間である、請求項72に記載のクラッドホイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、それらの各々の全開示の全体があたかも本明細書に説明されているかのごとく、参照により本明細書に組み込まれている、それぞれ、2020年12月28日および2021年10月18日出願の米国仮特許出願第63/131,285号および同第63/257,091号、ならびにそれぞれ、2021年5月5日および2021年6月10日に国際出願された国際(PCT)特許出願番号PCT/US2021/030879およびPCT/US2021/036770の利益およびこれらに対する優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本明細書に記載されている実施形態は、物体を製造するための方法およびシステム、ならびにより詳細には、以下に限らないが、所望の合金組成とは異なる組成を有するホイルの積層体から所望の合金組成を有する物体を製造するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
薄膜積層製造(laminated object manufacturing:LOM)技法は、一般に、少なくとも2種の合金の層からなる複数のホイルを積層するステップ、およびこれらのホイルを一緒に接合して、固体物体を生成するステップを含む。慣用的なLOM技法により組み立てられた部品は、ホイル同士の接合領域およびホイルの構造部品において異なる組成を有しており、部品の大部分全体に交互になっている。部品全体にわたるこれらの組成勾配のために、LOMにより組み立てられた複合部品の機械特性は、合金の平均組成によって予測される特性と等しくならないことがある。
【0004】
したがって、改善されたLOM技法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本概要は、以下の発明を実施するための形態の項目においてさらに記載されている単純化した形態の概念選択を導入するために提示されている。本概要は、特許請求されている主題の重要な特徴もしくは必須の特徴を特定することまたは除外することが意図されているわけでもなく、特許請求されている主題の範囲を決定する際の一助として使用されることが意図されているわけでもない。
【0006】
一態様によれば、実施形態は、物体を製造するための方法に関する。本方法は、物体のための所望の合金組成を受領するステップ;積層体において複数のホイルを堆積させて、物体を形成するステップ;積層体に第1の温度で熱を適用し、複数のホイルを互いに接合するステップ;および積層体に第2の温度で熱を適用し、積層体の組成を均一にするステップを含み、均一化された積層体は、所望の合金組成を有する。
【0007】
一部の実施形態では、複数のホイルは、パターン形成される。
【0008】
一部の実施形態では、複数のホイルは、少なくとも2種の異なる組成を有するホイルを含む。
【0009】
一部の実施形態では、各ホイルは、複数の層を含む。一部の実施形態では、各層は、アルミニウム合金、マグネシウム合金、またはチタン合金を含む。一部の実施形態では、合金材料は、アルミニウム、クロム、銅、リチウム、マグネシウム、チタン、ニッケル、ケイ素、または亜鉛である。一部の実施形態では、第1の層は、ホイルのコアを形成し、第2の層は、ホイルのクラッドを形成する。
【0010】
一部の実施形態では、各ホイルは、25~1000マイクロメートルの間の厚さである。
【0011】
一部の実施形態では、第2の温度は、複数のホイルの融点より低い。
【0012】
一部の実施形態では、第2の温度は、所望の合金組成からなる複数のホイルの固相線温度にほぼ等しいか、またはこれより低い。
【0013】
一部の実施形態では、第1の温度および第2の温度は、同じである。
【0014】
一部の実施形態では、第1の温度での熱の適用は、第1の加工ユニットで行われ、第2の温度での熱の適用は、第2の加工ユニットで行われる。一部の実施形態では、積層体は、第1の加工ユニットから第2の加工ユニットへの移動中、第1の温度に維持される。
【0015】
一部の実施形態では、本方法は、均一化後に積層体を急冷するステップをさらに含む。一部の実施形態では、急冷するステップは、積層体を均一にするために使用される同じ加工ユニットで行われる。
【0016】
一部の実施形態では、所望の合金組成は、複数のホイルの組成とは同じではない均一な組成である。
【0017】
本開示の非限定的かつ非網羅的な実施形態は、以下の図面を参照しながら記載されており、同様の参照番号は、別段の指定がない限り、様々な図面全体を通じて、同様の部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、一実施形態により製造された金属積層物体の側断面図を図示する。
【0019】
【
図2】
図2は、一実施形態による
図1の金属積層物体の三角図および物体図を図示する。
【0020】
【
図3】
図3は、一実施形態による個々のホイルの断面を図示する。
【0021】
【
図4】
図4A~Dは、複数の実施形態による様々な構成のホイルを例示する。
【0022】
【
図5】
図5は、一実施形態による、中間層と2つのコア層との間の境界面の濃度プロファイルを例示する。
【0023】
【
図6】
図6は、一実施形態による均一化プロセスの操作プロファイルを例示する。
【0024】
【
図7】
図7は、一実施形態による、物体を製造するための方法のフロー図を図示する。
【0025】
【
図8】
図8は、一実施形態による、熱および圧力のうちの少なくとも1つを層の積層体に適用して、層の積層体における層を接合するよう構成されている2枚のプレートを含む、付加製造システムを図示する。
【0026】
【
図9】
図9は、一実施形態による拡散接合による、物体の付加製造のための方法を概略的に示す。
【0027】
【
図10】
図10は、一実施形態による過渡液相(TLP)拡散接合による、物体の付加製造のための方法を概略的に示す。
【0028】
【
図11】
図11は、一実施形態によるろう付けによる、物体の付加製造のための方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
様々な実施形態は、その一部を形成し、特定の例示的な実施形態を示す、添付の図面を参照しながら、以下に一層完全に記載される。しかし、本開示の概念は、多数の異なる形態で実施されてもよく、本明細書において説明されている実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、当業者に本開示の概念、技法および実施の範囲を完全に伝えるよう、徹底的かつ完全な開示の部分として提示されている。実施形態は、方法、システムまたはデバイスとして実施されてもよい。したがって、実施形態は、ハードウェア実装、完全なソフトウェア実装、またはソフトウェアおよびハードウェア的側面を組み合わせた実装の形態をとってもよい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で捉えられるべきではない。
【0030】
「一実施形態」または「実施形態」と本明細書において言及する場合、これらの実施形態に関連して記載されている特定の特色、構造または特徴が、本開示による少なくとも1つの例となる実施または技法に含まれていることを意味する。本明細書の様々な位置における、「一実施形態では」という言い回しが現れる場合、必ずしも、すべてが、同じ実施形態を指すわけではない。
【0031】
さらに、本明細書において使用される言い回しは、主に、読みやすさおよび教示目的のために選択されており、開示されている主題を概説または制限するために選択されたものではないことがある。したがって、本開示は、本明細書において議論される概念の範囲を限定するものではなく、例示することを意図している。
【0032】
本発明の実施形態は、軽量合金積層部品の組成を均一化するために使用される方法を含む。これらの積層部品は、LOM法の製品であってもよい。一部の実施形態では、部品は、ある方法により一緒に接合された複数のホイルを含むことができ、各ホイルは、少なくとも1つのコア層および少なくとも1つの中間層を備える。他の実施形態では、部品は、ある方法により一緒に接合された複数のホイルであって、一様なコア層および一様な中間層からなる交互ホイルを含む、複数のホイルを含むことができる。一部の実施形態では、本方法は、所定の加工時間の間、熱を適用して、部品の大部分全体にわたる合金元素の固体拡散を促進することからなる。一部の実施形態では、LOMにより生産された部品の機械特性を改善するため、固体拡散によって、部品の大部分全体にわたり、合金元素の組成が均一化される。本方法の実施形態では、多量の材料が部品に添加されない。
【0033】
一部の実施形態では、ホイルを構成する成分層の組成および相対比はどちらも、完全に均一化部品が、目標合金に相当する平均組成を有するよう選択される。この方法を使用して組み合わされて均一化された異なる合金の2種またはそれより多くの層は、成分層の組成および厚さによって決まる第3の合金を生成することができる。一部の実施形態では、目標合金は、一般に製造されている市販のアルミニウム合金に類似した組成および材料特性を有する。
【0034】
用語「ホイル」とは、層の積層体において各層を形成するために使用される金属製シートを指す。ホイルは、1つまたは複数の副層を含んでもよく、これらの副層のうち、少なくとも1つの層、および必要に応じて第1の層とは異なる金属合金を含むある数の中間層が存在する。一部の実施形態では、ホイルは、10μm~10mmの間の1つの寸法の厚さを有する。一部の実施形態では、ホイルは、25μm~1000μmの間の1つの寸法の厚さを有する。さらなる実施形態では、ホイルは、50μm~500μmの間の1つの寸法の厚さを有してもよい。一部の実施形態では、ホイルは、物体およびその支持構造体の設計に対応してパターン形成されてもよい。一部の実施形態では、ホイルは、Al、Sb、Ba、Be、Bi、B、Cd、Ca、C、Cr、Co、Cu、Gd、Ga、H、Fe、Pb、Li、Mg、Mn、Mo、Nd、Ni、Nb、N、O、Pd、P、K、S、Si、Ag、Na、Sr、S、Ta、Th、Sn、Ti、V、Y、Zn、Zrまたは希土類金属のうちの少なくとも1種を含むことができる。一部の実施形態では、ホイルは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、アルミニウム合金、マグネシウム合金、またはチタン合金のうちの少なくとも1種を含んでもよい。
【0035】
用語「コア」または「コア層」とは、層の積層体の大部分を含むホイル、またはホイルの部分を指す。コア層材料に使用される合金の組成は、一次合金元素に関して記載されている。
【0036】
用語「中間層」とは、隣接ホイルを接合可能にする、ホイルまたはホイルの部分を指す。一部の実施形態では、中間層は、ホイルの外側表面において、コア層の少なくとも1つの面に適用され得る。一部の実施形態では、中間層の厚さは、コア層の厚さよりも小さい。中間層に使用される合金の組成は、一次合金元素に関して記載されている。
【0037】
用語「クラッド層」または「クラッド」とは、接合および均一化プロセスを開始する前に、コア層に接合されている中間層材料を指す。一部の実施形態では、コア層に接合された1つの組成ロールの薄い中間層は、「クラッドホイル」と記載される。
【0038】
「層の積層体」とは、少なくとも2つのホイルを指す。一部の実施形態では、単一ホイルは、少なくとも1つの支持体領域および少なくとも1つの物体領域を含むことができる。「支持体」とは、一緒に接合されると、物体外側に収まるホルダーまたはジグを形成し、その後の加工後に使用され得る、ホイルの非物体構成要素を指す。複数の支持体領域の組合せとして形成されるこのホルダーまたはジグは、「支持体区域」と称されることがある。物体領域の組合せは、「物体区域」と称されることがある。組み合わせるプロセスは、「接合」と称されることがある。
【0039】
用語「アルミニウム」とは、アルミニウムを含む任意の材料を指す。例えば、アルミニウムを含む材料とは、純粋な分子アルミニウム、標準工業グレードまで純粋なアルミニウム、アルミニウムと少なくとも1種の他の元素との合金、またはそれらの任意の組合せからなる材料を指すことができる。合金がアルミニウムなどの特定の金属を含む場合、少なくとも複数の合金組成は、同じ特定の金属である。存在する二次合金元素を続いて記載する。
【0040】
本明細書における一部の実施形態は、同等な機械特性を有する構成金属層に由来する金属物体を製造する方法に関する。一部の実施形態では、これらの方法により、層間での接着剤の使用が回避され、代わりに、構成層間の高強度金属接合を使用して、物体が形成される。アルミニウム製部品の場合、一部の実施形態は、拡散接合、過渡液相拡散接合、および/またはろう付けなどの接合方法を使用してもよい。合金組成などの材料の特定の構成、異なる組成を含む2種またはそれより多い副層からなるコンポジットを含む合金構造体、ならびに適用温度および圧力などの加工条件は、アルミニウム部品を製造するために有用な、より短く、一層ロバストなプロセスにより強力な金属接合をもたらし得る。
【0041】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている製造方法は、最初に、物体のための所望の合金組成を受領する。次に、これらの実施形態は、少なくとも1つのコア層および少なくとも1つの中間層を含むホイルの積層体に熱を適用し、該積層体の組成を均一化する。得られた生成物は、所望の合金組成を有する、均一化された物体である。積層体中のホイルは、例えば1つの層が、1種の元素を過剰に有し、隣接層が、同じ元素を欠如して有するよう選択されて、その結果、得られた物体は、所望の割合の元素を有することができる。これは、物体のための所望の組成を形成する複数の元素にも該当し得る。
【0042】
図1は、一実施形態により製造された金属積層物体100の側断面図を図示する。一部の実施形態では、物体100は、プリントベッド105上に製造されてもよい。一部の実施形態では、ホイル110は、プリントベッド105の表面に堆積させてもよい。一部の実施形態では、複数のホイルは、第1のホイル110の表面に直接堆積され得るか、または第1のホイル110の上部に後から付加され得るかのどちらかで一方である。
【0043】
図2は、一実施形態による
図1の金属積層物体の三角
図205および物体
図210を図示する。この物体は、支持体区域215、220で囲まれていてもよく、以下にさらに詳細に説明される通り、それらの支持体区域215、220は、物体区域225が形成されて金属積層物体の仕上げの終了後に、除去されてもよい。
【0044】
図3は、一実施形態による、個々のホイル305、315、325の断面を図示する。一部の実施形態では、ホイルの積層体中の少なくとも1つのホイル(図示せず)は、もっぱらコア層310からなってもよい。一部の実施形態では、ホイル315は、1つの表面にコア層330および個別の中間層335を含んでもよい。一部の実施形態では、中間層335は、コア層330の上部に存在してもよい。一部の実施形態では、中間層335は、コア層330の底部に存在してもよい。一部の実施形態では、ホイル325は、コア層350、およびホイルの両側に2つの中間層335を含んでもよい。
【0045】
一部の実施形態では、コア層は、アルミニウムを含んでもよい。一部の実施形態では、コア層は、アルミニウム合金であってもよい。
【0046】
一部の実施形態では、中間層は、コア層よりも低い融点を有する金属または合金を含んでもよい。一部の実施形態では、中間層材料は、アルミニウム、銅、クロム、鉄、マグネシウム、マンガン、ケイ素、チタンおよび亜鉛のうちの少なくとも1種を含んでもよい。一部の実施形態では、金属元素は、いくつかの異なる組合せで存在してもよく、各組成は、コア層上の表面耐酸化性、表面酸化物破壊、最適融解温度および濡れ性などの液体状態の特性などの、その接合方法に適合する、特定の一連の特性に関して選択される。一部の実施形態では、2つの中間層は、様々な材料を含んでもよい。一部の実施形態では、2つの中間層は、同一であってもよい。
【0047】
一部の実施形態では、中間層の厚さは、コア層の厚さの1~50%であってもよい。一部の実施形態では、中間層の厚さは、コア層330の厚さの0~5%であってもよい。一部の実施形態では、単一クラッドホイルの場合の中間層の厚さは、コア層330の厚さの1~25%であってもよい。一部の実施形態では、二重クラッドホイルの場合の中間層の厚さは、コア層の厚さの2~50%であってもよい。
【0048】
一部の実施形態では、中間層の厚さは、コア層の厚さよりも小さい。一部の実施形態では、ホイルの全厚さは、25μmより大きい。他の実施形態では、ホイルの全厚さは、1000μm未満である。一部の実施形態では、コア層および中間層の厚さ、ならびに中間層の厚さに対するコア層の厚さの比は様々であり、特定の接合方法に最適化される。
【0049】
一部の実施形態では、中間層の特定の組成は、中間層材料が、コア層よりも低い温度で融解するように選択される。一部の実施形態では、中間層材料は、融解温度を最小化するよう選択される。一部の実施形態では、中間層材料の融解温度は、500℃より高く、かつ590℃よりも低くてもよい。一部の実施形態では、中間層材料の融解温度は、500℃未満であってもよい。これらの実施形態の異なるサブセットでは、中間層材料の融解温度は、490℃よりも低くてもよい。一部の実施形態では、中間層材料とコア層材料との比およびそれらの組成は、物体の最終的な機械特性が、所望の組成の最終的な機械特性となるように選択される。一部の実施形態では、中間層の構成成分が、ホイル全体のわずか一部となる場合、所望の組成は、コア材料の組成の許容差の範囲内にあり得る。
【0050】
一部の実施形態では、積層体中のホイルの組成は、一旦加熱されると、完成物体が所望の組成を有するよう選択される。例えば、完成物体が、特定の合金と適合する所望の組成を有するべきである場合、個々のシートは、それぞれ、様々な元素を過剰にまたは不足して有してもよいが、加熱されると、この完成物品は、所望の組成に適合する実質的に均一な組成を有する。
【0051】
例えば、
図4Aは、一実施形態によるホイル400aを図示する。ホイル400aは、一方の側の表面に中間層404aでクラッドされている、単一コア層402aを含む。
図4Bは、別の実施形態による、ホイル400bを例示する。ホイル400bは、両側の表面に中間層404bでクラッドされている、単一コア層402bを含む。
【0052】
コア層402aおよび402bは、大部分のアルミニウムまたはマグネシウムを含んでもよい。以下に限定されないが、銅、ケイ素、亜鉛、またはこれまでに議論された他の物質などの追加の合金元素が存在していてもよい。
【0053】
中間層404aおよび404bは、アルミニウム、銅、マグネシウム、ケイ素および亜鉛、またはこれまでに議論された他の物質のうちのある組合せを含んでもよい。中間層404aおよび404bは、上述のリストにおけるいずれかの単一元素からなる一様な層を代替として含んでもよい。
【0054】
一部の実施形態では、中間層は、全ホイル厚さの1~50%の間を占める。中間層が単一元素を含むものなどの一部の実施形態では、中間層は、全ホイル厚さの5%未満の薄層を含んでもよい。
【0055】
コア層または中間層の特定の組成は、市販のアルミニウム合金の組成と一致することができる。例えば、コア層は、2024、5182、6061または別の合金を含んでもよい。市販の合金組成と大部分が一致するが、中間層中に存在する1種または複数の元素の濃度が高いまたは低いかのどちらか一方であるカスタム合金もまた、使用されてもよい。中間層は、2024、4004、5182、6061、7075、または別の市販のアルミニウム合金を含んでもよい。中間層はまた、市販の合金組成と一致するが、1種または複数の元素の濃度がやはり高くてもよい、または低くてもよいカスタム合金を含んでもよい。
【0056】
コア層および中間層の組成は、互いに、様々であってもよい。例えば、一部の実施形態では、中間層に過剰に存在する元素は、均一化後に所望の組成を達成するよう、コア層中に一層低濃度で存在してもよい。
【0057】
代替的に、コア層中に過剰に存在する元素は、均一化後に所望の組成を達成するよう、中間層中に一層低濃度で存在してもよい。層の相対厚さもまた、合金の平均組成が、2024、6061、7075または別の所望の組成に一致するよう選択されてもよい。
【0058】
別の例として、コア層は、高い融点を有するマグネシウム合金を含んでもよい。中間層は、低融点マグネシウム合金、および合金元素の濃度が高いまたは低いカスタム合金を含んでもよい。一部の実施形態では、中間層は、マグネシウムの融点を低下させる元素を含んでもよい。
【0059】
操作では、ユーザーまたはシステムは、炉などの加熱環境に部品を供することができる。炉は、部品に熱を適用し、この部品を昇温し、ある特定の温度または温度の範囲で一定期間、この部品の温度を維持することができる。具体的には、本明細書における実施形態による技法は、層が加熱されて一緒に接合される接合段階、次に、接合した層が加熱されて、均一化された製品を生成する均一化段階を含むことができる。均一化された製品は、次に、急冷されてもよい。
【0060】
一部の実施形態では、接合した部品は、均一化段階を行う、個々の炉加工ユニットに移されてもよい。部品は、例えば、支持構造体と共に移動されてもよい。他の実施形態では、チャンバは、表面を酸化から保護するため、移動中に部品を保護してもよい。一部の実施形態では、チャンバは、真空下にあってもよく、または部品の周囲に存在する不活性ガスまたは非酸化性ガスによって遮蔽ガスチャンバであってもよい。一部の実施形態では、これらの工程は、研磨工程をさらに含んでもよく、この場合、部品は研磨されてもよく、またはそうでない場合、均一化プロセスの前または後に修飾されてもよい。
【0061】
加熱段階の間に、炉は、部品に熱を適用して、加工温度まで部品の温度を上昇させてもよい。すなわち、熱は、部品の温度が加工温度に到達するまで、部品に適用されてもよい。
【0062】
一部の実施形態では、加工温度は、中間層およびコア層の固相線温度よりも低い。例えば、炉は、加工温度を、中間層の固相線温度より5℃~100℃低く設定するよう構成されてもよい。
【0063】
一部の実施形態では、部品は、均一化プロセスの間に、加熱プレス状態にあって、部品への熱移動を増大または改善することができる。良好に制御した熱移動により、加工段階の間、部品を一層均等かつ持続的に加熱することが可能となり、部品が融解することなく、部品内で元素が拡散する速度を細かく制御することが可能となる。これによって、拡散速度が改善され、部品における欠損形成の機会が低減する。
【0064】
図4Cは、ホイル400aまたは400bなどのホイルを積層することによって製造されるホイルまたは部品406を例示する。例えば、部品406は、複数のコア層402cおよび複数の中間層404cを含むように見える。
【0065】
均一化プロセスの間、ホイル400a~cなどのホイルは、加工温度に一定期間保持され、中間層およびコア層中の元素の相互拡散が可能になり、これによって、両方の領域においてほぼ一様な組成が形成される。この相互拡散プロセスは、2つの同時発生現象を含む。すなわち、中間層中に存在する元素は、コア層領域に拡散し、コア層中に存在する元素は、中間層領域に拡散する。コア層の厚さは、中間層の厚さよりも少なくとも数倍、厚くあり得るので、最も遅く拡散する元素は、相補性層に拡散するコア層および中間層のうちの少なくとも1つに存在する構成成分である。
【0066】
さらに、より低い拡散係数を有する元素は、同じ濃度勾配、温度において、および他の環境条件では、より高い拡散係数を有する元素よりもゆっくりと拡散する。したがって、最も遅く拡散する元素は、最低の拡散係数を有する元素である。一旦、拡散が最も遅い元素がコア層および中間層によって以前に占有された両方の領域に存在すると、ホイルは均一になったと考えることができ、拡散が最も遅い元素のピーク組成は、指定されるTEALシートなどの公表標準における合金組成に関する標許容差の範囲内にある。
【0067】
図4Dは、一実施形態による、均一化プロセスから生産した部品408を例示する。
図4Dにおいて見られる通り、部品408は、組成が完全に均一化されて一様な部分を少なくとも有する。
【0068】
図5は、均一化プロセスの間の時間の関数としての、中間層502を取り囲み、かつ2つのコア層504と境界を接する界面の濃度プロファイル500を例示する。この例では、中間層502に存在するが、コア層504のいずれにも存在しない合金元素が最初(すなわち、均一化プロセスを開始する前)に存在する。
【0069】
シリーズ506は、均一化プロセスを始める前の、この合金元素の初期濃度を表す。
図5において分かる通り、中間層502中のこの合金元素の濃度は高いが、コア層504中ではゼロである。すなわち、コア層504の組成は、均一化プロセスを開始する前には、合金元素を含まない。
【0070】
3つの進行シリーズ508、510および512は、均一化プロセス全体にわたる、様々な時点における合金元素の濃度を表す。シリーズ508は、時間t1における合金元素濃度を表し、シリーズ510は、時間t2における合金元素濃度を表し、シリーズ512は、時間t3における合金元素濃度を表し、t1<t2<t3である。t1~t3から、中間層502中の合金元素の組成は、中間層502によって前に占有された領域から拡散するにつれて低下する。これが起こると、コア層504中の合金元素の組成は、増大する。シリーズ514は、均一化プロセスの終了時における合金元素の濃度を表す。プロファイル500に見られる通り、合金元素の濃度は、中間層502では低下し、コア層504では上昇する。
【0071】
図6は、一実施形態による時間の関数としての均一化プロセスに関する操作プロファイル600を例示する。
図6のプロファイル600に関連する均一化プロセスは、例えば、
図5に関連して記載されているプロセスに類似することがある。
【0072】
温度602は、均一化プロセスを開始する前には、最初は、室温または周囲温度604である。温度602は、中間層の固相線温度606より低い温度まで加熱され得る。中間層の固相線温度606は、コア層の固相線温度608よりも低い。
【0073】
均一化プロセスに必要な時間は、コア層および中間層の厚さによって一部、決まる。例えば、均一化プロセスに必要な時間は、層の厚さに応じて増減する。具体的には、一層薄い中間層を有するホイルは、均一化にそれほどの時間を必要としない。
【0074】
同様に、拡散元素が移動する速度は、温度の上昇に伴って増大する。したがって、均一化プロセスに必要な時間は、やはり温度の関数であり、加工温度が上昇するにつれて減少する。
【0075】
温度602は、均一化プロセスを容易にするほど十分なある期間の後に、室温または周囲温度604まで低下して戻されてもよい。冷却段階は、水、油または別の流体中、ファンを使用して、または他には、部品を冷却するための空気の吹き付け、自然冷却などによる部品の急冷を含んでもよい。
【0076】
図7は、一実施形態による、物体を製造するための方法700のフロー図を図示する。2種またはそれより多い異なる成分合金から生産される均一化部品は、構成合金のいずれよりも優れた機械特性を示すことがある。一部の例では、成分層に選択される合金の組成は、最終均一化部品よりも弱い機械特性を有することがある。
【0077】
例えば、コア層および中間層は、2:1の化学量論比よりも高い割合のマグネシウムおよびケイ素を代替として含んでもよい。この比は、通常、弱い柔軟な物質を生成する。しかし、マグネシウムおよびケイ素の全割合は、均一化部品が、所望の合金組成を満たすマグネシウム対ケイ素の比を有する高強度の硬化6000シリーズの合金となるような比で存在する。これによって、合金は、最終の均一化部品におけるそれらの元素のうちの1つが過剰であるという負の結果なしに、マグネシウムおよびケイ素の選択的存在によって微調節される融解温度などの加工条件を有することが可能となる。
【0078】
工程702は、物体のための所望の合金組成を受領するステップを含む。所望の合金組成は、2000シリーズにおける銅リッチアルミニウム合金、4000シリーズにおけるケイ素リッチアルミニウム合金、5000シリーズにおけるマグネシウムリッチアルミニウム合金、6000シリーズにおけるマグネシウムおよびケイ素リッチアルミニウム合金、7000シリーズにおける亜鉛リッチアルミニウム合金などであってもよい。
【0079】
工程704は、積層体において複数のホイルを堆積させて、物体を形成するステップを含む。工程704の部分として、積層体に堆積させたホイルのタイプは、工程702において指定した所望の合金組成に依存し得る。
【0080】
例えば、所望の合金組成が、6000シリーズのアルミニウム合金である場合、6000シリーズの合金のコア層および2000シリーズの合金の中間層が使用されてもよい。この場合、銅リッチ2000シリーズの中間層に由来する銅は、6000シリーズの合金のコア層に拡散して、高強度機械加工性合金である、6061などの低銅6000シリーズの合金が生じる。
【0081】
所望の合金組成が、5000シリーズのマグネシウムリッチアルミニウム合金である場合、1000、3000または1000シリーズの合金のコア層、および5000シリーズの合金の中間層が使用されてもよい。所望の合金組成が、4000シリーズのケイ素リッチアルミニウム合金である場合、6000シリーズの合金のコア層および4000シリーズの合金の中間層が使用されてもよい。所望の合金組成が、7000シリーズの亜鉛リッチアルミニウム合金である場合、2000、5000、6000または7000シリーズの合金のうちの少なくとも1つのコア層、および7000シリーズの合金の中間層が使用されてもよい。
【0082】
一部の実施形態では、均一化部品が、X000シリーズのアルミニウム合金である場合、中間層とコア層の両方が、同じX000シリーズの合金であってもよい。他の実施形態では、均一化部品が、X000シリーズのアルミニウム合金である場合、中間層とコア層の両方が、コア層または中間層の一方が少なくとも1種の元素を過剰に有し、相補性合金が、同じ元素の少なくとも1種を不足して有する場合を除き、X000シリーズの組成に一致するカスタム合金であってもよい。
【0083】
一部の実施形態では、積層体における個々のホイル層の組成は、上述の方法を使用して拡散される場合、結果が、構成ホイルの組成と同じではない所望の組成と一致する均一な組成を有する物体となるよう、選択され得る。以下の表は、いくつかの合金、およびそれらの合金を実現するために使用することができる構成ホイルを特定する。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0084】
各表は、コア層およびクラッド層(すなわち、中間層)の様々な組成を指定している一方、表の標識は、所望の合金シリーズを指定している。エントリー番号は、主要合金元素の各々の重量分率に相当し、残りはアルミニウム(Al)である。上記のこれらの組成は、単なる例示に過ぎず、他の組成が、本明細書における実施形態により実現することができる。
【0085】
ホイルは、片側または両側にクラッドされてもよく、ホイルの全厚さは、25μm~1,000μmの間であり得る。コア層の厚さは、中間層の厚さよりも通常、厚い。一部の実施形態では、ホイルは、各例に関して、「全コア」または「全クラッド」である。これらの実施形態では、ホイルを交互にして、クラッドホイルの積層体により生成され得る、コア層とクラッド層が交互になった同じ溝のある層構造体を生成することができる。
【0086】
工程706は、積層体に第1の温度で熱を適用し、複数のホイルを互いに接合するステップを含む。積層体は、複数の層からなるホイルを含むことができる。各層は、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金、またはチタン合金を含んでもよい。合金材料は、アルミニウム、クロム、銅、リチウム、マグネシウム、マンガン、チタン、ニッケル、ケイ素、または亜鉛であってもよい。ホイルを一緒に接合するために必要な第1の温度は、使用した材料に依存し得る。
【0087】
工程708は、積層体に第2の温度で熱を適用し、積層体の組成を均一にするステップを含む。既に議論した通り、積層体(例えば、ホイル)を加熱して、所望のレベルの相互拡散を実現することができる。一部の実施形態では、第2の温度は、複数のホイルの融点より低い。一部の実施形態では、第2の温度は、複数のホイルまたは所望の合金組成のほぼ固相線温度である。一部の実施形態では、第2の温度は、第1の温度と同じであってもよい。
【0088】
工程710は、必要に応じたものであり、均一化後に積層体を急冷するステップを含む。この急冷工程は、均一化工程を行う、同じ加工ユニットで行われてもよく、または均一化工程を行う加工ユニットとは別の場所で行われてもよい。必要に応じた急冷工程は、所望の合金特性に応じて使用され得る。
【0089】
図8は、一実施形態による、熱および圧力のうちの少なくとも1つを層の積層体815に適用して、ホイル810を接合するよう構成されている2枚のプレート805’、805’’(まとめて、「805」)を備える、付加製造システム800を図示する。一部の実施形態は、少なくとも1つの接合方法を使用して、層の積層体815内の少なくとも2つのホイル810を接合することができる。
【0090】
一部の実施形態では、プラテン805は、加圧プレートまたは加熱プレートのうちの少なくとも1つであってもよい。一部の実施形態では、プラテン805は、層の積層体815の反対側に、熱または圧力のうちの少なくとも1つを適用するよう構成されてもよい。一部の実施形態では、熱または圧力のうちの少なくとも1つを適用すると、ホイル810のコア層の融解温度よりも低い温度まで層の積層体815の温度を上昇させ、こうして、熱または圧力のうちの少なくとも1つにより、層の積層体815における第1のホイルは第2のホイルに接合する。
【0091】
一部の実施形態では、物体領域820を接合するため、プレート805は、均等な圧力を層の積層体815にかけてもよい。一部の実施形態では、層の積層体815は、物体領域820の完全な包囲体を含んでもよい。完全な包囲体は、少なくとも2つの支持体領域825、830を含んでもよく、こうして、物体領域820は、支持体領域825、830において完全に取り囲まれる。
【0092】
一部の実施形態では、支持体領域825、830は、プレート805から層の積層体815を介して熱または圧力のうちの少なくとも1つを行うよう構成されている。熱または圧力のこのような伝導は、ホイル810の接合を促進して、接合された物体領域820を形成する。一部の実施形態では、プレート805は、支持体領域825、830に熱または圧力のうちの少なくとも1つを適用し、ひいては、熱または圧力のうちの少なくとも1つを物体領域820に伝導する。一部の実施形態では、支持体領域825、830は、平坦な表面を有してもよく、こうして、プレート805は、表面全体に圧力または熱の少なくとも1つを均等に適用することができる。一部の実施形態では、支持体領域は、物体領域820を取り囲む単一支持体領域であり、この領域を使用して、物体のネガを作製することができる。一部の実施形態では、物体領域820の接合プロセスは、空気などの酸化性雰囲気下で行われてもよい。一部の実施形態では、ホイル810の接合プロセスは、真空または不活性ガスのチャンバ中に囲まれてもよい。
【0093】
一部の実施形態では、本システムは、拡散接合、過渡液拡散接合、および/またはろう付けのうちの少なくとも1つを使用してもよい。一部の実施形態では、合金組成および加工条件は、効率的な拡散接合のために最適化される。
【0094】
図9は、一実施形態による拡散接合による、物体の付加製造のための方法900を概略的に示す。方法900は、ホイルの積層体に熱を適用し、ホイルを接合温度にするステップを含む(工程905)。一部の実施形態では、接合温度は、ホイルのコア層の融解温度未満であってもよく、隣接ホイル間での拡散および接合を促進する程、十分に高くてもよい。一部の実施形態では、接合温度は、ホイルの中間層の温度未満であってもよい。一部の実施形態では、少なくとも1つのプレートは、ホイルに熱を適用してもよい。
【0095】
一部の実施形態では、ホイルの積層体は、接合温度および必要に応じた圧力まで上昇してもよく(工程915)、隣接コア層からの元素が互いに拡散して、ホイルの積層体を物体領域に接合するまで(工程930)、接合温度および必要に応じた圧力で保持されてもよい(工程925)。
【0096】
一部の実施形態では、本方法は、逐次的な拡散接合プロセスを含んでもよい。逐次的な拡散接合プロセスでは、本方法は、接合温度で、ホイルを物体または物体の一部に付加するステップを含んでもよい(工程920)。一部の実施形態では、接合温度は、コア層材料の融解温度未満であってもよい。代替的に、ホイルは、冷ホイル積層体に付加されてもよく、追加のホイルを有する積層体を接合温度にしてもよい。一部の実施形態では、ホイルを既に加熱済みの積層体に付加して、圧力をこの積層体に適用する。一部の実施形態では、圧力の適用後、圧力を緩和して、別のホイルを付加する(工程920)。
【0097】
一部の実施形態では、温度は、付加したホイルのコア層と物体との元素間での拡散および接合を促進し、接合プロセスを行うことができる。
【0098】
一部の実施形態では、物体またはその成分の少なくとも1つは、放熱板として働くことができる。一部の実施形態では、放熱板は、物体の一部分領域における拡散接合を選択的に促進する目的のため、物体全体に温度勾配を発生することができる。一部の実施形態では、拡散プロセスは、物体が完成するまで、繰り返されてもよい。
【0099】
図10は、一実施形態による過渡液相(TLP)拡散接合による、物体の付加製造のための方法1000を概略的に示す。一部の実施形態は、酸化性もしくは非酸化性雰囲気下、または真空下、過渡液相(TLP)拡散接合による効率的な接合のための合金組成および加工条件を最適化することができる。
【0100】
一部の実施形態では、コア材料は、アルミニウムまたはアルミニウム合金である。一部の実施形態では、コア材料は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、銅、ケイ素、または亜鉛のうちの少なくとも1種を含んでもよい。合金元素は、マグネシウムまたは亜鉛のうちの少なくとも1種を含んでもよい。一部の実施形態では、クラッド中間層は、アルミニウム-マグネシウム合金、マグネシウム-亜鉛合金のうちの少なくとも1種、アルミニウム、銅、マグネシウム、ケイ素、もしくは亜鉛のうちの少なくとも2種の合金、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。一部の実施形態では、これらの中間層の合金元素の少なくとも1種は、アルミニウムよりも大きな速度で酸素に優先的に結合する、酸化物ゲッターとして働くことができる。
【0101】
一部の実施形態では、アルミニウム合金ホイルは、20%~100%の間のアルミニウムを含むことができる。一部の実施形態では、アルミニウム合金ホイルは、Sb、Ba、Be、Bi、B、Cd、Ca、C、Cr、Co、Cu、Ga、Fe、Pb、Li、Mg、Mn、Ni、O、P、K、Sc、Si、Ag、Na、Sr、Sn、Ti、V、ZnまたはZrのうちの少なくとも1種を含むことができる。一部の実施形態では、アルミニウム合金ホイルは、50%超のCuを含んでもよい。一部の実施形態では、アルミニウム合金ホイルは、40%超のFeを含んでもよい。一部の実施形態では、アルミニウム合金ホイルは、40%超のMgを含んでもよい。一部の実施形態では、アルミニウム合金ホイルは、40%超のNiを含んでもよい。一部の実施形態では、アルミニウム合金ホイルは、40%超のZnを含んでもよい。一部の実施形態では、アルミニウム合金ホイルは、60%超のSiを含んでもよい。
【0102】
一部の実施形態では、マグネシウム合金ホイルは、45%~100%の間のマグネシウムを含んでもよい。一部の実施形態では、マグネシウム合金ホイルは、Al、Be、Ca、Ch、Cu、Gd、Fe、Li、Mn、Nd、Ni、Si、Ag、Th、Y、Zn、Zrまたは希土類金属のうちの少なくとも1種を含むことができる。一部の実施形態では、マグネシウム合金ホイルは、40%超のAlを含んでもよい。
【0103】
一部の実施形態では、チタン合金ホイルは、70%~100%の間のチタンを含むことができる。一部の実施形態では、チタン合金ホイルは、Al、B、C、Cr、Cu、H、Fe、Mn、Mo、Ni、Nb、N、O、Pd、Si、S、Ta、Sn、V、YまたはZrのうちの少なくとも1種を含むことができる。
【0104】
一部の実施形態では、中間層の融解温度は、コア層の融解温度よりも少なくとも10℃低くてもよい。中間層の融解温度は、エネルギーコストおよび加工の機械的複雑さを低減するために最小化されてもよい。一部の実施形態では、中間層の融解温度は、500℃未満であってもよい。
【0105】
一部の実施形態では、全ホイル厚さは、一般に、25μm~1000μmの間である。各中間層は、コア材料の厚さの最大で50%であってもよく、1μm~50μmの間の厚さであってもよい。中間層材料は、コア材料の片側または両側のどちらかに堆積させて、単一ホイルを形成することができる。
【0106】
一部の実施形態では、方法は、Cu、Mg、ZnまたはSiのうちの少なくとも1種を含む拡散性元素を使用してもよい。一部の実施形態では、中間層は、少なくとも0.2%のCuを含んでもよい。一部の実施形態では、拡散性元素は、少なくとも1%のCuを含んでもよい。一部の実施形態では、拡散性元素は、少なくとも2%のCuを含んでもよい。一部の実施形態では、拡散性元素は、最大で4%のCuを含んでもよい。一部の実施形態では、拡散性元素は、最大で5%のCuを含んでもよい。一部の実施形態では、拡散性元素は、最大で6%のCuを含んでもよい。一部の実施形態では、拡散性元素は、最大で6.3%のCuを含んでもよい。
【0107】
一部の実施形態では、本方法は、ホイルの積層体を接合温度にするステップ(工程1005)を含み、この温度は、中間層の融解温度よりも高いが、構成ホイルのコア層の融解温度よりも低い。
【0108】
一部の実施形態では、本方法は、圧力を適用することによって、ホイルの積層体を圧縮するステップ(工程1010)を含んでもよい。一部の実施形態では、圧力は、およそ0.1~100MPaであってもよい。
【0109】
一部の実施形態では、温度または圧力のうちの少なくとも1つを適用すると、中間層が融解し、コア層の元素の中間層への拡散速度、および中間層の元素のコア層への拡散速度が増大し得る(工程1015)。一部の実施形態では、適用した圧力は、隣接ホイルのコア層と中間層との間で元素の混合を促進することができる。
【0110】
一部の実施形態では、中間層およびコア層の元素が相互拡散すると、積層されたホイルの平均組成は、変化して、物体の最終平均組成に似るようになり、融解温度は、組成変化に対応して上昇する。一部の実施形態では、新しい接合が、金属性成分の間に形成される。
【0111】
一部の実施形態では、このプロセスは、逐次に実施され得る。逐次プロセスでは、ホイルは、接合温度で部品に付加されてもよく、この接合温度は、中間層材料の融解温度よりも高いか、または新規ホイルは、冷積層体に付加されて、次に、接合温度まで上昇させてもよい。一部の実施形態では、付加したホイルの中間層は、融解して(工程1015)、接合プロセスを継続することができる。
【0112】
一部の実施形態では、先に堆積させた層の構成中間層は、既にコア層と相互拡散して接合されるので、先に堆積させた層は、このプロセスによって影響を受けず、その結果、この部品は、適用した接合温度では融解しない。
【0113】
図11は、一実施形態による、ろう付けによる物体の付加製造のための方法1100を概略的に示す。一部の実施形態では、ろう付けを使用して、接合のための、合金組成および加工条件を最適化する。
【0114】
一部の実施形態では、本方法は、第1のホイルを堆積させるステップを含む(工程1105)。一部の実施形態では、第1のホイルは、プリントベッド表面に堆積させてもよい。一部の実施形態では、第1のホイルは、ホイル上に堆積させてもよい。一部の実施形態では、本方法は、第2のホイルを堆積させるステップをさらに含む(工程1115)。一部の実施形態では、ホイルは、少なくとも1つの中間層および少なくとも1つのコア層を含んでもよい。
【0115】
一部の実施形態では、ホイルは、接合温度まで上昇させてもよい(工程1120)。一部の実施形態では、接合温度は、中間層の融解温度よりも高いが、ホイルのコア層の融解温度よりも低い。
【0116】
一部の実施形態では、ホイルは、固定期間、この接合温度で保持されてもよい(工程1125)。一部の実施形態では、ホイルを接合温度に保持すると、中間層を融解させることができ、これによって、コア層の元素の中間層への拡散速度が増大し、それに対応して中間層の元素のコア層への拡散速度が増大する。
【0117】
このプロセスは、隣接して積層されたホイル間の金属接合の形成を引き起こし、物体を形成させる(工程1130)。
【0118】
一部の実施形態では、ろう付けプロセスは、逐次に実施され得る。逐次ろう付けプロセスでは、ホイルは、いくつかの接合ホイルを備える、部分組立体または物体に付加されてもよい。一部の実施形態では、追加の液体フラックスが、付加ホイルと物体との間の空隙空間に適用されてもよい。
【0119】
一部の実施形態では、付加されたホイルおよび部品は、接合温度まで上昇されてもよく、この温度は、付加されたホイルの中間層の融解温度よりも高いが、付加したホイルのコア層の融解温度よりも低く、かつ部品を構成する合金の融解温度よりも低い(工程1120)。
【0120】
一部の実施形態では、付加したホイルおよび部品は、固定期間の間、この接合温度に保持されてもよく(工程1125)、これによって、付加したホイルの中間層が融解し、上に記載した接合プロセスが起こる。
【0121】
一部の実施形態では、先に堆積させた層の構成中間層は、既に融解してコア層と相互拡散して接合されるので、先に堆積させた層は、このプロセスによって影響を受け得ず、その結果、この物体は、適用した接合温度では融解しない。
【0122】
一部の実施形態では、コア層および中間層の合金組成は、コア構造化粉末もしくはコア構造化ワイヤ、または2つの粉末組成物の組合せなどの、他のフォームファクターに使用され得る。次に、これらは、接合されることができ、上述のプロセスを使用して拡散される場合、結果は、構成投入物の組成と同じではない所望の組成と一致する均一な組成を有する物体となる。
【0123】
上で議論した本方法、システムおよびデバイスは、例である。様々な構成は、適宜、様々な手順もしくは構成要素を省略する、置きかえる、または追加することがある。例えば、代替的な構成では、本方法は、記載された順序とは異なる順序で実施されてもよく、そのような様々な工程が追加、省略もしくは組み合わせられてもよい。同様に、特定の構成に関して記載されている特徴は、他の様々な構成で組み合わされてもよい。構成の異なる態様および要素が、同様の方法で組み合わされてもよい。同様に、技術は進歩し、したがって、要素の多くは例であり、本開示または特許請求の範囲を限定するものではない。
【0124】
例えば、本開示の実施形態は、本開示の実施形態による方法、システムおよびコンピュータプログラム製品のブロック図および/または動作実例図を参照して、上に記載されている。ブロックに明記されている機能/動作は、いずれかのフロー図に示されている順序から外れて行われることがある。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されることがあるか、または関与する機能/動作に応じて、時として、ブロックが逆の順序で実行されることがある。さらにまたは代替的に、いずれかのフロー図に示されているすべてのブロックを実施および/または実行する必要はない。例えば、所与のフロー図が機能/動作を含む5つのブロックを有する場合、5つのブロックのうちの3つだけが実施および/または実行される場合があり得る。この例では、5つのブロックのうちの3つのブロックのいずれかが実施および/または実行されてもよい。
【0125】
値が第1の閾値を超える(または閾値より大きい)という記述は、その値が第1の閾値よりもわずかに大きい第2の閾値を満たすかまたはこれを超えるという記述と同等であり、例えば、第2の閾値は、関連システムの解像度における第1の閾値よりも高い1つの値である。値が第1の閾値より小さい(または閾値内にある)という記述は、その値が第1の閾値よりわずかに小さい第2の閾値よりも小さいか、またはこれに等しいという記述と同等であり、例えば、第2の閾値は、関連システムの解像度における第1の閾値よりも低い1つの値である。
【0126】
例となる構成(実施を含む)の完全な理解をもたらすよう、記載には具体的な詳細が示されている。しかし、構成は、これらの特定の詳細なしに実践されてもよい。例えば、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造および技法は、構成を曖昧にすることを回避するため、不必要な詳細なしに示されている。この記載は、例となる構成を提示しているに過ぎず、範囲、適用性または特許請求の範囲の構成を限定するものではない。むしろ、構成の前述の説明は、記載されている技法を実施するための可能な記載を当業者に提供する。本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置に様々な変更を行うことができる。
【国際調査報告】