(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】交差汚染を回避するための制御された正圧カスケードを有する連続流遠心分離
(51)【国際特許分類】
B04B 1/02 20060101AFI20240130BHJP
B04B 11/02 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B04B1/02
B04B11/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539327
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2021085634
(87)【国際公開番号】W WO2022144170
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523237855
【氏名又は名称】サーモ エレクトロン エルウデ エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リモン,ブノワ
【テーマコード(参考)】
4D057
【Fターム(参考)】
4D057AA03
4D057AB01
4D057AC01
4D057AC06
4D057AD01
4D057AE02
4D057BC05
4D057BC11
4D057CA03
4D057CB01
(57)【要約】
遠心分離機に流入又はそこから流出する生成物の第1の圧力を示す第1の圧力信号と、遠心分離機に流入又はそこから流出する動作流体の第2の圧力を示す第2の圧力信号とを受信するコントローラを備える、遠心分離機のための制御システムが開示される。コントローラは、第1の圧力と第2の圧力との間の第1の圧力差を判定し、第1の圧力差が第1の所定のオフセットを下回って下降することに応じて、遠心分離機から流出する生成物の背圧を増加させる第1の制御信号を出力する、ように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心分離機のための制御システムであって、
前記遠心分離機に流入又はそこから流出する生成物の第1の圧力を示す第1の圧力信号と、前記遠心分離機に流入又はそこから流出する動作流体の第2の圧力を示す第2の圧力信号と、を受信する、コントローラを備え、前記コントローラが、
前記第1の圧力と前記第2の圧力との間の第1の圧力差を判定し、
前記第1の圧力差が第1の所定のオフセットを下回って下降することに応じて、前記遠心分離機から流出する前記生成物の背圧を増加させる第1の制御信号を出力する、ように構成されている、制御システム。
【請求項2】
前記コントローラが、
前記第1の圧力差が第2の所定のオフセットを超えて上昇することに応じて、前記遠心分離機から流出する前記生成物の前記背圧を減少させる第2の制御信号を出力するように更に構成されている、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記第1の制御信号が、弁を閉鎖することによって前記背圧を増加させ、前記第2の制御信号が、前記弁を開放することによって前記背圧を減少させる、請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記第1の所定のオフセットが、前記第2の所定のオフセット以下である、請求項2に記載の制御システム。
【請求項5】
前記第1の圧力が、前記遠心分離機に流入する前記生成物のものであり、前記コントローラが、
前記遠心分離機から流出する前記生成物の第3の圧力を示す第3の圧力信号を受信し、
前記第1の圧力と前記第3の圧力との間の第2の圧力差を判定し、
前記第2の圧力差が第3の所定のオフセットを下回って下降することに応じて、前記遠心分離機に流入する前記生成物の前記背圧を増加させる第3の制御信号を出力する、ように更に構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記第3の制御信号が、弁を閉鎖することによって、前記遠心分離機に流入する前記生成物の前記背圧の増加を引き起こす、請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記第2の圧力が、潤滑剤のものであり、前記コントローラが、
冷却剤の第4の圧力を示す第4の圧力信号を受信し、
前記第1の圧力と前記第4の圧力との間の第3の圧力差を判定し、
前記第1の圧力差が前記第1の所定のオフセットを下回って下降することか、又は前記第3の圧力差が第4の所定のオフセットを下回って下降することのいずれかに応じて、前記第1の制御信号を出力する、ように更に構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記コントローラが、
前記遠心分離機が動作中である複数のサンプル時間の各々における前記第1の圧力、前記第2の圧力、及び前記遠心分離機の動作状態を示すデータを記憶するように更に構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記コントローラが、前記遠心分離機が前記生成物を処理していた期間中に、前記第1の圧力差が第5の所定のオフセットを下回って下降しないことに基づいて、前記生成物の成分が汚染されていないと判定し、前記第5の所定のオフセットが、前記第1の所定のオフセット未満であり、0よりも大きい、請求項1~8のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項10】
遠心分離機を制御する方法であって、
前記遠心分離機に流入又はそこから流出する生成物の第1の圧力を示す第1の圧力信号を受信することと、
前記遠心分離機に流入又はそこから流出する動作流体の第2の圧力を示す第2の圧力信号を受信することと、
前記第1の圧力と前記第2の圧力との間の第1の圧力差を判定することと、
前記第1の圧力差が第1の所定のオフセットを下回って下降することに応じて、前記遠心分離機から流出する前記生成物の背圧を増加させることと、を含む、方法。
【請求項11】
前記第1の圧力差が第2の所定のオフセットを上回って上昇することに応じて、前記遠心分離機から流出する前記生成物の前記背圧を減少させることを更に含み、前記背圧を増加させることが、弁を閉鎖することを含み、前記背圧を減少させることが、前記弁を開放することを含むか、又は前記第1の所定のオフセットが、前記第2の所定のオフセット以下である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の圧力が、前記遠心分離機に流入する前記生成物のものであり、
前記遠心分離機から流出する前記生成物の第3の圧力を示す第3の圧力信号を受信することと、
前記第1の圧力と前記第3の圧力との間の第2の圧力差を判定することと、
前記第2の圧力差が第3の所定のオフセットを下回って下降することに応じて、前記遠心分離機に流入する前記生成物の前記背圧を増加させることと、を更に含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記遠心分離機に流入する前記生成物の前記背圧を増加させることが、弁を閉鎖することを含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の圧力が、潤滑剤のものであり、
冷却剤の第4の圧力を示す第4の圧力信号を受信することと、
前記第1の圧力と前記第4の圧力との間の第3の圧力差を判定することと、
前記第1の圧力差が前記第1の所定のオフセットを下回って下降することか、又は前記第3の圧力差が第4の所定のオフセットを下回って下降することのいずれかに応じて、前記遠心分離機から流出する前記生成物の前記背圧を増加させることと、を更に含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記遠心分離機が動作中である複数のサンプル時間の各々における前記第1の圧力、前記第2の圧力、及び前記遠心分離機の動作状態を示すデータを記憶することを更に含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記遠心分離機が前記生成物を処理していた期間中に、前記第1の圧力差が第5の所定のオフセットを下回って下降しないことに基づいて、前記生成物の成分が汚染されていないと判定することを更に含み、前記第5の所定のオフセットが、前記第1の所定のオフセット未満であり、0よりも大きい、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、生成物の連続遠心分離に関し、より具体的には、生成物の交差汚染を防止するために遠心分離システムを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続流遠心分離機は、典型的には、入力ポート及び出力ポートを有するロータと、処理されるべきサンプルをロータに提供し、かつロータから分離されたサンプル成分を受け入れる、固定接続部と、を含む。ロータはこれらの固定接続部に対して回転するので、スピンロータに接続部を結合するために、シールアセンブリが使用される。遠心分離の間、サンプルは、固定接続部及びシールアセンブリを通ってロータに流れ込み、サンプルは、ロータ内で発生したg力に起因する密度によって、その成分部分に分離される。
【0003】
熱を低減し、シールアセンブリへの損傷を防止するために、ロータのポートを固定接続部に接合するユニオンシールは、1つ以上の動作流体によって冷却及び潤滑される。動作流体は、典型的には、外部冷却及び潤滑システムによって圧力下でシールアセンブリに提供される。しかしながら、動作流体は圧力下にあるため、シールアセンブリ内のシールのいずれかに欠陥がある場合、遠心分離機によって処理されているサンプル成分は、動作流体によって汚染される可能性がある。
【0004】
動作流体が遠心分離機内の生成物を汚染している可能性があるかどうかを判定する1つの方法は、漏れを検出することによる。動作流体の漏れは、例えば、動作流体のリザーバをその内容物のレベル又は重量について監視することによって検出され得る。しかしながら、このようにして漏れが首尾よく検出されるときでも、漏れの検出は、汚染を防止しない。むしろ、検出は、オペレータに、生成物が汚染されている可能性があることを知らせるにすぎない。
【0005】
したがって、連続遠心分離システムにおける汚染を検出及び防止する、改善されたシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、遠心分離において使用するためにこれまでに知られている分離された生成物における汚染を検出する前述及び他の短所及び欠点を克服する。本発明は、特定の実施形態に関連して考察されるが、本発明は、本明細書において説明される具体的な実施形態に限定されないことが理解されるであろう。
【0007】
本発明の一実施形態では、遠心分離機のための制御システムが提供される。制御システムは、遠心分離機に流入又はそこから流出する生成物の第1の圧力を示す第1の圧力信号と、遠心分離機に流入又はそこから流出する動作流体の第2の圧力を示す第2の圧力信号と、を受信する、コントローラを含む。コントローラは、第1の圧力と第2の圧力との間の第1の圧力差を判定し、第1の圧力差が第1の所定オフセットを下回って下降することに応じて、遠心分離機から流出する生成物の背圧を増加させる第1の制御信号を出力する、ように構成されている。
【0008】
本発明の一態様では、コントローラは、第1の圧力差が第2の所定のオフセットを上回って上昇することに応じて、遠心分離機から流出する生成物の背圧を減少させる第2の制御信号を出力するように構成されている。
【0009】
本発明の別の態様では、第1の制御信号は、弁を閉鎖することによって背圧を増加させ、第2の制御信号は、弁を開放することによって背圧を減少させる。
【0010】
本発明の別の態様では、第1の所定のオフセットは、第2の所定のオフセット以下である。
【0011】
本発明の別の態様では、第1の圧力は、遠心分離機に流入する生成物のものであり、コントローラは、遠心分離機から流出する生成物の第3の圧力を示す第3の圧力信号を受信し、第1の圧力と第3の圧力との間の第2の圧力差を判定し、第2の圧力差が第3の所定のオフセットを下回って下降することに応じて、遠心分離機に流入する生成物の背圧を増加させる第3の制御信号を出力する、ように構成されている。
【0012】
本発明の別の態様では、第3の制御信号は、弁を閉鎖することによって遠心分離機に流入する生成物の背圧を増加させる。
【0013】
本発明の別の態様では、第2の圧力は、潤滑剤のものであり、コントローラは、冷却剤の第4の圧力を示す第4の圧力信号を受信し、第1の圧力と第4の圧力との間の第3の圧力差を判定し、第1の圧力差が第1の所定のオフセットを下回って下降することか、又は第3の圧力差が第4の所定のオフセットを下回って下降することかのいずれかに応じて、第1の制御信号を出力する、ように更に構成されている。
【0014】
本発明の別の態様では、コントローラは、遠心分離機が動作中である複数のサンプル時間の各々における第1の圧力、第2の圧力、及び遠心分離機の動作状態を示すデータを記憶するように更に構成されている。
【0015】
本発明の別の態様では、コントローラは、遠心分離機が生成物を処理していた期間中に、第1の圧力差が第5の所定のオフセットを下回って下降しないことに基づいて、生成物の成分が汚染されていないと判定する。
【0016】
本発明の別の態様では、第5の所定のオフセットは、第1の所定のオフセット未満であり、0よりも大きい。
【0017】
本発明の別の実施形態では、遠心分離機を制御するための方法が提供される。本方法は、遠心分離機に流入又はそこから流出する生成物の第1の圧力を示す第1の圧力信号を受信することと、遠心分離機に流入又はそこから流出する動作流体の第2の圧力を示す第2の圧力信号を受信することと、第1の圧力と第2の圧力との間の第1の圧力差を判定することと、第1の圧力差が第1の所定のオフセットを下回って下降することに応じて、遠心分離機から流出する生成物の背圧を増加させることと、を含む。
【0018】
本発明の別の態様では、本方法は、第1の圧力差が第2の所定のオフセットを上回って上昇することに応じて、遠心分離機から流出する生成物の背圧を減少させることを更に含む。
【0019】
本発明の別の態様では、背圧を増加させることは、弁を閉鎖することを含み、背圧を減少させることは、弁を開放することを含む。
【0020】
本発明の別の態様では、第1の所定のオフセットは、第2の所定のオフセット以下である。
【0021】
本発明の別の態様では、第1の圧力は、遠心分離機に流入する生成物のものであり、本方法は、遠心分離機から流出する生成物の第3の圧力を示す第3の圧力信号を受信することと、第1の圧力と第3の圧力との間の第2の圧力差を判定することと、第2の圧力差が第3の所定のオフセットを下回って下降することに応じて、遠心分離機に流入する生成物の背圧を増加させることと、を更に含む。
【0022】
本発明の別の態様では、遠心分離機に流入する生成物の背圧を増加させることは、弁を閉鎖することを含む。
【0023】
本発明の別の態様では、第2の圧力は潤滑剤のものであり、本方法は、冷却剤の第4の圧力を示す第4の圧力信号を受信することと、第1の圧力と第4の圧力との間の第3の圧力差を判定することと、第1の圧力差が第1の所定のオフセットを下回って下降することか、又は第3の圧力差が第4の所定のオフセットを下回って下降することかのいずれかに応じて、遠心分離機から流出する生成物の背圧を増加させることと、を更に含む。
【0024】
本発明の別の態様では、本方法は、遠心分離機が動作中である複数のサンプル時間の各々における第1の圧力、第2の圧力、及び遠心分離機の動作状態を示すデータを記憶することを更に含む。
【0025】
本発明の別の態様では、本方法は、遠心分離機が生成物を処理していた期間中に、第1の圧力差が第5の所定のオフセットを下回って下降しないことに基づいて、生成物の成分が汚染されていないと判定することを更に含む。
【0026】
本発明の別の態様では、第5の所定のオフセットは、第1の所定のオフセット未満であり、0よりも大きい。
【0027】
本発明の別の実施形態では、遠心分離機を制御するためのコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体と、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたプログラムコードと、を含む。プログラムコードは、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、1つ以上のプロセッサに、遠心分離機に流入又はそこから流出する生成物の第1の圧力を示す第1の圧力信号を受信することと、遠心分離機に流入又はそこから流出する動作流体の第2の圧力を示す第2の圧力信号を受信することと、第1の圧力と第2の圧力との間の第1の圧力差を判定することと、第1の圧力差が第1の所定のオフセットを下回って下降することに応じて、遠心分離機から流出する生成物の背圧を増加させることと、を行わせるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本明細書に組み込まれ、かつ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例解しており、上記の本発明の概略的な説明及び下記の詳細な説明とともに、本発明を説明する役割を果たす。
【
図1】本発明の例示的な実施形態による、コントローラと、上側シールアセンブリ及び下側シールアセンブリを有する遠心分離機とを含む例示的な動作環境の概略図である。
【
図2】
図1の下側シールアセンブリの概略断面図である。
【
図3】
図1の上側シールアセンブリの概略断面図である。
【
図4】遠心分離機によって処理される生成物の圧力を制御するために、
図1のコントローラによって実装され得る制御プロセスの線図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態は、連続流遠心分離機を制御するための方法及びシステムを対象とする。制御システムは、遠心分離機に供給されるサンプル懸濁液の圧力と、集合的に「生成物」と称される遠心分離機から排出される1つ以上の分離された成分の圧力と、を監視する。制御システムはまた、遠心分離機のシール及び軸受を冷却及び潤滑するために使用される動作流体(例えば、冷却剤及び潤滑剤)の圧力を監視する。これらの監視された圧力の1つ以上に基づいて、制御システムは、シールにわたる正圧カスケードを維持するために、遠心分離機から排出される生成物の圧力を調整する。この正圧カスケードは、シール漏れの場合に、入力生成物又は任意の出力生成物が汚染されることを防止する。すなわち、入力生成物及び出力生成物は各々、動作流体のうちのいずれかの圧力よりも高い圧力に維持されるため、動作流体は、生成物によって占有されるシールアセンブリの領域に浸透することができない。
【0030】
生成物の特性及び流量並びにロータの速度などの複数の動作パラメータの各々は、遠心分離機に流入する生成物及び遠心分離機から流出する生成物の圧力に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、動作流体圧力に対して正の生成物圧力を維持することによって、制御システムは、全ての動作条件下で遠心分離機の入力又は出力のいずれかにおける生成物汚染を防止する。圧力を制御することに加えて、制御システムはまた、生成物検証のために汚染リスクがないことを文書化し、問題追跡を容易にするために、動作データを記録し得る。
【0031】
図1は、本発明の例示的な実施形態による連続流遠心分離機12及び遠心分離機コントローラ14を含む動作環境10を描写する。遠心分離機12は、ロータハウジング16と、ロータハウジング16内で回転するロータ本体20を有するロータ18とを含み得る。ロータ18は、入力ポート24を有する中空下側シャフト22と、出力ポート28を有する中空上側シャフト26と、を更に含み得る。ロータ18は、下側シャフト22によって下側シールアセンブリ30に動作可能に結合され、上側シャフト26によって上側シールアセンブリ32に動作可能に結合され得る。駆動ユニット34は、ロータ18に回転を提供するために、ロータ18の上側シャフト26に結合され得る。シールアセンブリ30、32の各々には、潤滑システム36によって潤滑剤(例えば、オイル)が供給され、冷却システム38によって冷却剤(例えば、冷却水)が提供され得る。
【0032】
下側シールアセンブリ30は、ロータ18の入力ポート24を供給ライン40に流体結合し得る。下側シールアセンブリ30は、ロータ18が供給ライン40に対して回転することを可能にするように構成され得る。供給ライン40は、ロータ18の入力ポート24を生成物供給部42、例えば、成分部分に分離される生物学的懸濁液の容器に流体的に結合することによって、ロータ18に生成物の流れを提供し得る。生成物供給部42は、出力ポート46を有するポンプ44(例えば、蠕動ポンプ)によって供給ライン40に動作可能に結合され得る。ポンプ44は、コントローラ14からの制御信号に応じて、制御された量又は流量の生成物を圧力下で供給ライン40に提供し得る。供給ライン40の出力は、生成物入力ポート47によって下側シールアセンブリ30に結合され得る。
【0033】
上側シールアセンブリ32は、ロータ18の出力ポート28を出力ライン48に流体結合し得、ロータ18が出力ライン48に対して回転することを可能にするように構成されている。出力ライン48は、シールアセンブリ32の生成物出力ポート49を成分収集容器50に流体的に結合し得る。出力ライン48に動作可能に結合された弁52は、シールアセンブリ32の出力ポート49と収集容器50との間の生成物の流れを調整し得る。例として、弁52は、出力ライン48上の背圧を制御するために使用される比例制御ピンチ弁であり得る。この目的のために、弁52は、シールアセンブリ32の出力ポート49から収集容器50内への生成物の流れに対して制御された量の抵抗を提供するように、コントローラ14によって選択的かつ漸増的に開放及び閉鎖され得る。
【0034】
駆動ユニット34は、上側シャフト26を介してロータ18にトルクを選択的に加えるように構成され得、それによって、コントローラ14からの回転制御信号に応じてロータ18をロータハウジング16内で回転させる。駆動ユニット34は、例えば40,000回転/分(Rotations Per Minute、RPM)までの速度でロータ18をスピンさせる高周波誘導モータ又は他の好適なトルク源を含み得る。この回転により、ロータ18は、例えば118,000×gまでの相対遠心力(Relative Centrifugal Force、RCF)を発生させることができる。
【0035】
潤滑システム36は、入力ポート54及び出力ポート56、並びに圧力下で潤滑剤をシールアセンブリ30、32に提供するように構成された1つ以上のポンプ、フィルタ、熱交換器、リザーバなど(図示せず)を含み得る。潤滑剤ライン60は、潤滑システム36の出力ポート56を各シールアセンブリ30、32のそれぞれの潤滑剤入力ポート58に流体的に結合し得る。潤滑剤ライン60はまた、各シールアセンブリ30、32の潤滑剤出力ポート62を潤滑システム36の入力ポート54に流体的に結合し得る。したがって、潤滑剤がシールアセンブリ30、32を通って循環すると、潤滑剤は、その入力ポート54を通って潤滑システム36に戻り得る。
【0036】
冷却システム38は、入力ポート64及び出力ポート66、並びに圧力下で冷却剤をシールアセンブリ30、32に提供するように構成された1つ以上のポンプ、フィルタ、熱交換器、リザーバなど(図示せず)を含み得る。潤滑システム36について上で説明されるものと同様に、冷却剤ライン70は、冷却システム38の出力ポート66を各シールアセンブリ30、32のそれぞれの冷却剤入力ポート68に流体的に結合し得る。冷却剤ライン70はまた、各シールアセンブリ30、32の冷却剤出力ポート72を冷却システム38の入力ポート64に流体的に結合し得る。したがって、冷却剤がシールアセンブリ30、32を通って循環すると、冷却剤は、冷却剤システム入力ポート64を通って冷却システム38に戻り得る。
【0037】
潤滑剤及び冷却剤ラインは、シールアセンブリ30、32を直列構成(図示されるように)、並列構成、又は任意の他の好適な構成で接続し得ることを理解されたい。矢印74、76によって示される動作流体の流れの方向は例示的なものにすぎず、本発明の代替的な実施形態において変更され得ると更に理解されたい。
【0038】
圧力センサ78~81は、供給ライン40、出力ライン48、潤滑剤ライン60、及び冷却剤ライン70のうちの1つ以上に動作可能に結合され得る。圧力センサは、それぞれの圧力センサが結合されるそれぞれのラインの各々における圧力を示す圧力信号をコントローラ14に提供するように構成され得る。例えば、潤滑剤圧力センサ78は、潤滑システム36の出力ポート56に動作可能に結合され得、冷却剤圧力センサ79は、冷却システム38の出力ポート66に動作可能に結合され得、生成物入力圧力センサ80は、ロータ18の入力ポート24に動作可能に結合され得、生成物出力圧力センサ81は、ロータ18の出力ポート28に動作可能に結合され得る。
【0039】
コントローラ14は、プロセッサ90、メモリ92、入力/出力(input/output、I/O)インターフェース94、及びヒューマンマシンインターフェース(Human Machine Interface、HMI)96を含み得る。プロセッサ90は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルロジックデバイス、ステートマシン、ロジック回路、アナログ回路、デジタル回路、又はメモリ92に記憶された動作命令に基づいて信号(アナログ又はデジタル)を操作する任意の他のデバイスから選択された、1つ以上のデバイスを含み得る。メモリ92は、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(random
access memory、RAM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、静的ランダムアクセスメモリ(static
random access memory、SRAM)、動的ランダムアクセスメモリ(dynamic random
access memory、DRAM)、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、又はハードドライブ、光ドライブ、テープドライブ、揮発性若しくは不揮発性ソリッドステートデバイスなどのデータストレージデバイス、又はデータを記憶できる任意の他のデバイスを含む、単一のメモリデバイス若しくは複数のメモリデバイスを含み得るが、これらに限定されない。
【0040】
プロセッサ90は、メモリ92にするオペレーティングシステム98の制御下で動作し得る。オペレーティングシステム98は、メモリ92内に常駐する1つ以上のコンピュータソフトウェアアプリケーション100として具体化されたコンピュータプログラムコードがプロセッサ90によって実行される命令を有することができるように、コントローラリソースを管理し得る。1つ以上のデータ構造102はまた、メモリ92内に常駐し得、データを記憶又は操作するために、プロセッサ90、オペレーティングシステム98、又はアプリケーション100によって使用され得る。
【0041】
I/Oインターフェース94は、プロセッサ90を、駆動ユニット34、ポンプ44、弁52、センサ78~81、遠隔制御デバイス104、及びネットワーク106などの1つ以上の他のデバイス及びシステムに動作可能に結合するマシンインターフェースを提供し得る。例えば、I/Oインターフェース94は、1つ以上のシリアル又はパラレルデータポート(例えば、Profibusポート)、1つ以上のネットワーク通信ポート(例えば、Ethernetポート又はWiFiトランシーバ)、並びにアナログ信号を送信及び受信するためのアナログ入力及び出力ポートを含み得る。したがって、アプリケーション100は、I/Oインターフェース94を介して通信することにより、他のデバイス及びシステムと協働して、本発明の実施形態を含む様々な特徴、機能、アプリケーション、プロセス、又はモジュールを提供し得る。
【0042】
アプリケーション100はまた、1つ以上の外部リソースによって実行されるか、又はそうでなければコントローラ14の外部の他のシステム若しくはネットワーク構成要素によって提供される機能若しくは信号に依拠する、プログラムコードを有し得る。実際、可能なほぼ無限のハードウェア及びソフトウェア構成を考えると、当業者は、本発明の実施形態は、コントローラ14の外部に位置するか、複数のコンピュータ若しくは他の外部リソースに分配されるか、又はクラウドコンピューティングサービスなどのネットワーク106を介してサービスとして提供されるコンピューティングリソース(ハードウェア及びソフトウェア)によって提供される、アプリケーションを含み得ることを理解するであろう。
【0043】
HMI96は、ユーザがコントローラ14と直接対話することを可能にするために、コントローラ14のプロセッサ90に動作可能に結合され得るHMI96は、ビデオ又は英数字ディスプレイ、タッチスクリーン、スピーカ、並びにユーザにデータを提供することが可能な任意の他の好適な音声及び視覚インジケータを含み得る。HMI96はまた、英数字キーボード、ポインティングデバイス、キーパッド、プッシュボタン、制御ノブ、マイクロフォンなどの、ユーザからのコマンド又は入力を受け入れ、入力された入力をプロセッサ90に送信することができる入力デバイス及び制御部を含み得る。本発明の一実施形態では、HMI96は、遠心分離機12の遠隔動作を可能にするために、遠隔制御104を含むか、又はそうでなければ遠隔制御104と協働して動作し得る。
【0044】
コントローラ14は、ネットワーク106を介して1つ以上の外部リソース(図示せず)に動作可能に結合され得る。外部リソースは、サーバ、データベース、マスストレージデバイス、周辺デバイス、クラウドベースのネットワークサービス、又は本発明の実施形態の特徴を実装するためにコントローラ14によって使用され得る任意の他のリソースを含み得るが、これらに限定されない。
【0045】
本発明の一実施形態では、コントローラ14は、Windows(登録商標)ベースのPCコントローラなどのマイクロコンピュータを含み得る。この実施形態では、HMI96は、遠心分離機12を動作させるためのグラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)を提供するタッチセンシティブ液晶ディスプレイ(liquid-crystal-display、LCD)パネルを含み得る。コントローラ14はまた、動作データが高いセキュリティで処理され、破損又は改ざんから除外されるように、電子記録に関する21 CFR Part 11規制をサポートするように構成され得る。追加的に、コントローラ14は、市販のデータベース又は表計算ソフトウェアによるデータ管理及び分析のために、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)ポートを介して、又はネットワーク共有フォルダに、CSV形式のログデータを出力するように構成され得る。コントローラ14はまた、リアルタイムデータ及び遠隔制御動作を監視するために、Ethernet OPC DA又はProfibus-DP通信をサポートし得る。
【0046】
本発明の一実施形態では、コントローラ14は、すすぎ、供給、分離、採取、洗浄、及び消毒のためのプロセスのプログラミングが現場でプログラムされることを可能にするユーザインターフェースを有する統合プロセス制御(Integrated Process Control、IPC)などの外部システムに接続され得る。これらのプロセスは、フルオートモード、セミオートモード、又はマニュアルモードで実行され得る。外部システムは、遠心分離機12のユーザインターフェースをカバーし、変動がない反復可能なシーケンスのために全遠心分離プロセスを制御、監視、及び記録し得る。これにより、外部システムは、オペレータの訓練を単純化し、手順エラーを低減し得る。外部システムはまた、集中Active Directoryサーバ、監査証跡、ヒストリアンSQLデータベース、及びバッチデータ報告からの遠隔ユーザ管理に準拠するCFR 21 Part 11であり得る。
【0047】
外部システムは、プロセス制御(OLE for Process Control、OPC)のためのオブジェクトリンク及び埋め込み(Object Linking and Embedding、OLE)を介してサイト自動化システムとリアルタイムプロセスデータを通信し、完全バックアップのために共有フォルダ上のサイトネットワークドメイン及びアーカイブファイルに統合し得る。外部システムは、生成物供給部42が空であるときに供給を自動停止し得、生成物流路を制御するためのピンチ弁、採取のためのタンク、供給入力及び供給出力のためのタンク、並びに導電率、温度、吸光度、濃度、密度、及び質量流量を測定するための計器を含み得る。
【0048】
図2は、シャフトシールサブアセンブリ120及びユニオンシールサブアセンブリ122を含む、本発明の一実施形態による例示的な下側シールアセンブリ30を描写する。シャフトシールサブアセンブリ120は、シャフトチャネル126内にロータ18の下側シャフト22を軸方向に位置させ、シャフト22を通って潤滑剤が漏れるのを防止する1つ以上のシャフトシール124を含み得る。下側シールアセンブリ30の潤滑剤入力ポート58及び潤滑剤出力ポート62は、それぞれの潤滑剤チャネル128、130によってシャフトシール124に流体的に結合され得る。それによって、シャフトシール124は、遠心分離機12の動作中にシャフトシール124を潤滑及び冷却する潤滑システム36から潤滑剤を受容し得る。
【0049】
ユニオンシールサブアセンブリ122は、ユニオン軸受チャネル136内に位置する下側ユニオン軸受134と、下側ユニオン軸受134をユニオン軸受チャネル136内で上向きの方向に付勢する弾性部材138(例えば、ばね)と、を含み得る。下側ユニオン軸受134は、軸方向に位置合わせされた(例えば、上向き及び下向きの)力に応じてユニオン軸受チャネル136内で移動するように構成され得る。動作中、弾性部材138は、下側ユニオン軸受134を上向きの軸方向に付勢して、上側ユニオン軸受140と対面係合させ得る。上側ユニオン軸受140は、ロータ18の下側シャフト22に動作可能に結合され、ロータ18の重量を下側ユニオン軸受134に伝達するように構成され得る。
【0050】
下側ユニオン軸受134及び上側ユニオン軸受140は、下側シャフト22が下側シールアセンブリ30に対して回転することを可能にするユニオンシール142を提供するように構成され得る。下側ユニオン軸受134は、軸方向に位置合わせされたチャネル144を含み得、このチャネルは、ユニオン軸受チャネル136の下側部分を通してロータ18の入力ポート24を下側シールアセンブリ30の生成物入力ポート47に流体結合する。
【0051】
冷却剤入力ポート68及び冷却剤出力ポート72は、それぞれの冷却剤チャネル146、148によってユニオン軸受チャネル136の上側部分に流体結合され得る。冷却システム38からの冷却剤は、遠心分離機12の動作中に下側ユニオン軸受134の周りを循環して、下側ユニオン軸受134と上側ユニオン軸受140との間の摩擦によって発生する熱を除去し得る。
【0052】
図3は、本発明の一実施形態による例示的な上側シールアセンブリ32を描写する。以下でより詳細に説明するように、上側シールサブアセンブリ32の特定の態様は、下側シールアセンブリ30の反転バージョンの態様に類似し得る。上側シールアセンブリ32は、シャフトシールサブアセンブリ150及びユニオンシールサブアセンブリ152を含み得る。シャフトシールサブアセンブリ150は、シャフトチャネル156内にロータ18の上側シャフト26を軸方向に位置させ、シャフト26を通過して潤滑剤が漏れるのを防止する1つ以上のシャフトシール154を含み得る。上側シールアセンブリ32の潤滑剤入力ポート58及び潤滑剤出力ポート62は、それぞれの潤滑剤チャネル158、160によってシャフトシール154に流体的に結合され得る。それによって、シャフトシール154は、遠心分離機12の動作中にシャフトシール154を潤滑及び冷却する潤滑システム36から潤滑剤を受容し得る。
【0053】
ユニオンシールサブアセンブリ152は、ユニオン軸受チャネル166内に位置する上側ユニオン軸受164と、上側ユニオン軸受164をユニオン軸受チャネル166内で下向きの方向に付勢する弾性部材168(例えば、ばね)と、を含み得る。上側ユニオン軸受164は、軸方向に位置合わせされた(例えば、上向き及び下向きの)力に応じてユニオン軸受チャネル166内で移動するように構成され得る。動作中、弾性部材168は、上側ユニオン軸受164を下向きの軸方向に付勢して、ロータ18の上側シャフト26に動作可能に結合された下側ユニオン軸受170と対向係合させ得る。
【0054】
上側ユニオン軸受164及び下側ユニオン軸受170は、上側シャフト26が上側シールアセンブリ32に対して回転することを可能にするユニオンシール172を提供するように構成され得る。上側ユニオン軸受164は、軸方向に位置合わせされたチャネル174を含み得、このチャネルは、ユニオン軸受チャネル166の上側部分を通してロータ18の出力ポート28を上側シールアセンブリ32の生成物出力ポート49に流体結合する。
【0055】
冷却剤入力ポート68及び冷却剤出力ポート72は各々、それぞれの冷却剤チャネル176、178によってユニオン軸受チャネル166の上側部分に流体結合され得る。冷却システム38からの冷却剤は、遠心分離機12の動作中に上側ユニオン軸受164の周りを循環して、上側ユニオン軸受164と下側ユニオン軸受170との間の摩擦によって発生する熱を除去し得る。
【0056】
図4は、弁52を制御するためにコントローラ14又は別の好適なコンピューティングデバイスによって実行され得る制御プロセス200を描写する。制御プロセス200は、それぞれの圧力センサ78~81の各々から圧力を示す圧力信号204~207を受信し、かつ圧力信号204~207に少なくとも部分的に基づいて誤差信号212を出力する、誤差関数モジュール202を含み得る。誤差信号212は、比例モジュール214、積分モジュール215、及び微分モジュール216のうちの1つ以上によって受信され得る。モジュール214~216の各々は、弁52を制御するために使用される制御信号226を発生させるために合計されるそれぞれの信号220~222を出力し得る。それによって、制御プロセス200は、弁52の動作を制御する比例積分微分(proportional-integral-derivative、PID)制御システムを提供し得る。
【0057】
誤差関数F誤差(t)は、生成物入力圧力、生成物出力圧力、潤滑剤圧力、及び冷却剤圧力のうちの2つ以上の間の1つ以上の所定の関係を維持するように構成され得る。例として、誤差関数F誤差(t)は、(センサ80によって示されるような)生成物入力圧力PIが、(センサ79によって示されるような)冷却剤圧力PCよりも所定のオフセットΔI-Cだけ大きいときに、0誤差を出力するように構成され得る。すなわち、圧力差(PI-PC)が所定のオフセットΔI-Cに等しいときである。この場合、誤差関数F誤差(t)は、以下の式によって与えられ得る。
【0058】
【0059】
別の実施例として、誤差関数F誤差(t)は、(センサ81によって示されるような)生成物出力圧力POが、(センサ79によって示されるような)冷却剤圧力PCよりも所定のオフセットΔO-Cだけ大きいときに0誤差を出力するように構成され得る。すなわち、圧力差(PO-PC)が所定のオフセットΔO-Cに等しいときである。この場合、誤差関数F誤差(t)は、以下の式によって与えられ得る。
【0060】
【数2】
ここで、G
O-Cは、別のゲイン定数である。
【0061】
更に別の実施例として、誤差関数F誤差(t)は、目標生成物入力と冷却剤圧力差との間、及び目標生成物出力と冷却剤圧力差との間の最小誤差(最小正誤差又は最大負誤差)を出力するように構成され得る。この場合、誤差関数F誤差(t)は、以下の式によって与えられ得る。
【0062】
【0063】
いずれの場合も、シールアセンブリに流入及びそこから流出する液体の圧力を制御するために、誤差関数F誤差(t)はまた、例示的な式に表されていない、不感帯、ヒステリシス、制限、減衰関数などの追加の制御特徴を含み得る。
【0064】
正の値を有する誤差信号212は、生成物の圧力が、潤滑剤圧力及び冷却剤圧力のうちの1つ以上に対して必要な圧力よりも高いことを示し得る。この例示的なシナリオでは、モジュール214~216は、合計されると、弁52に背圧の量を低減させる制御信号226を生成する信号220~222を発生させるように構成され得る。すなわち、制御信号226は、弁52をより完全に開放させ得る。弁52を開放することにより、遠心分離機12から排出される液体が受ける抵抗を低減し得、したがって、上側シールアセンブリ32の生成物出力ポート49における背圧を低減し得る。上側シールアセンブリ32におけるこの減少した背圧は、ロータ18を通って伝播し、下側シールアセンブリ30の生成物入力ポート47における生成物の圧力を減少させ得る。
【0065】
対照的に、負の値を有する誤差信号212は、サンプル懸濁液の圧力が潤滑剤及び冷却剤圧力のうちの1つ以上に対して低すぎることを示し得る。この例示的なシナリオでは、モジュール214~216は、合計されると、弁52に背圧の量を増加させる制御信号226を生成する信号220~222を発生させるように構成され得る。すなわち、制御信号226は、弁52をあまり完全に開放しないように、すなわち部分的に閉鎖し得る。弁52を閉鎖することにより、遠心分離機12から排出される液体が受ける抵抗を増加させ得、したがって、上側シールアセンブリ32の生成物出力ポート49における背圧を増加させ得る。上側シールアセンブリ32におけるこの増加した背圧は、ロータ18を通って伝播し、下側シールアセンブリ30の生成物入力ポート47における生成物の圧力を増加させ得る。
【0066】
誤差関数は、コントローラ14が、遠心分離機に流入及びそこから流出する生成物、潤滑剤、及び冷却剤の圧力を、これらの流体の圧力間の所定の関係が維持されるように調整するように構成され得る。例えば、誤差関数は、コントローラが生成物入力圧力を生成物出力圧力よりも高いレベルに維持し、生成物出力圧力を冷却流体圧力よりも高いレベルに維持するように構成され得る。すなわち、生成物入力及び出力圧力PI、POは、以下のように制御され得る。
PI>PO>PC 式4
コントローラはまた、潤滑剤を、冷却剤よりも高い圧力、すなわち、PL>PCに維持し得る。これらの関係は、潤滑システム36、冷却システム38、ポンプ44、及び弁52のうちの1つ以上を制御することによって維持され得る。異なる動作圧力間でこれらの関係を維持することは、生成物と遠心分離機の動作流体との間の交差汚染がない生成物完全性を保証し得る。
【0067】
本発明の実施形態は、遠心分離中に測定された圧力値を監視及び記憶することによって、交差汚染リスクに対する保護の適正製造基準(good manufacturing practice、GMP)文書化証拠を提供し得る。この文書は、生成物の交差汚染がない状態の証拠を提供し得る。自動背圧調整特徴と、生成物ライン上のユニオンシールにわたる正圧を常時監視する圧力センサパッケージと、を結合して、本発明の実施形態は、サンプルセキュリティ証拠と、検証及び監査トレーサビリティのためのストリーム圧力データと、を提供し得る。
【0068】
システムによって記憶される動作データは、バッチ識別、バッチ開始日時、誰がバッチを開始したかの識別、バッチ停止日時、誰がバッチを停止したかの識別、レポート作成日、機器情報、生成物情報、生成物の流量、体積、温度、及び圧力、並びに遠心分離システム内の1つ以上の場所の各々における各動作流体を含み得る。システムによって記憶される追加の動作データは、ロータ速度、発生する遠心力、生成物の密度、生成物の濃度、生成物の導電率、又は遠心分離機12の動作及び生成物の処理を特徴付けるために使用され得る任意の他の好適なデータを含み得る。特に、コントローラ14は、遠心分離機が生成物のバッチを処理している期間にわたって複数のサンプリング時間(例えば、毎秒44,100回)でセンサ78~81から受信した圧力信号をサンプリングし得る。各サンプル時間において捕捉された示された圧力値は、圧力グラフを作成し、結果として生じる分離された成分を汚染がないものとして検証する際に使用するために、データベースに記憶され得る。
【0069】
一般に、本発明の実施形態を実装するために実行されるルーチンは、オペレーティングシステムの一部として実装されようと、特定のアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール若しくは命令のシーケンス、又はそれらのサブセットとして実装されようと、本明細書では「コンピュータプログラムコード」又は単に「プログラムコード」と称され得る。プログラムコードは、典型的には、コンピュータ内の様々なメモリ及びストレージデバイスに様々な時間に常駐し、コンピュータ内の1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行されるときに、そのコンピュータに、本発明の実施形態の様々な態様を具現化する動作又は要素を実行するのに必要な動作を実行させるコンピュータ可読命令を含む。本発明の実施形態の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、例えば、アセンブリ言語、ソースコード、又は1つ以上のプログラミング言語のうちの任意の組み合わせで記述されたオブジェクトコードであり得る。
【0070】
本明細書で説明される様々なプログラムコードは、それが本発明の特定の実施形態内で実装されるアプリケーションに基づいて識別され得る。しかしながら、以下の特定のプログラム命名法は単に便宜のために使用され、したがって、本発明は、そのような命名法によって識別又は暗示される特定の用途でのみ使用することに限定されるべきではないことが理解されるべきである。更に、コンピュータプログラムをルーチン、手順、方法、モジュール、オブジェクトなどに編成し得る一般的に無限の数の様式、並びにプログラム機能が、典型的なコンピュータ内に常駐する様々なソフトウェア層(例えば、オペレーティングシステム、ライブラリ、API、アプリケーション、アプレットなど)の間で割り当てられ得る、様々な様式を考えると、本発明の実施形態は、本明細書において説明されるプログラム機能の特定の編成及び割り当てに限定されないことが理解されるべきである。
【0071】
本明細書において説明されるアプリケーション/モジュールのうちのいずれかで具体化されたプログラムコードは、様々な異なる形態のコンピュータプログラム製品として個々に又は集合的に配布することができる。特に、プログラムコードは、プロセッサに本発明の実施形態の態様を実行させるために、コンピュータ可読プログラム命令をその上に有するコンピュータ可読記憶媒体を使用して配布され得る。
【0072】
本質的に非一時的であるコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどのデータを保存するための任意の方法又は技術で実装された、揮発性若しくは不揮発性、並びに取り外し可能及び取り外し不可能な有形媒体を含み得る。コンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(erasable programmable read-only memory、EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)、フラッシュメモリ若しくは他のソリッドステートメモリ技術、携帯型コンパクトディスク読み出し専用メモリ(compact disc read-only memory、CD-ROM)、又は他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、若しくは他の磁気ストレージデバイス、又はデータの記憶に使用することができ、コンピュータで読み取ることができる任意の他の媒体を、更に含み得る。コンピュータ可読記憶媒体は、それ自体が一時的な信号(例えば、電波若しくは他の伝播する電磁波、導波管などの伝送媒体を介して伝播する電磁波、又はワイヤを介して送信される電気信号)として解釈されるべきではない。コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、別のタイプのプログラム可能なデータ処理装置、又は別のデバイスに、コンピュータ可読記憶媒体から、又はネットワークを介して外部コンピュータ又は外部ストレージデバイスにダウンロードされ得る。
【0073】
コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のタイプのプログラム可能なデータ処理装置、又は他のデバイスに、コンピュータ可読媒体に記憶された命令が、フローチャート、シーケンス図、又はブロック図で指定された機能、行為、又は動作を実装する命令を含む製造品を生産するように、特定の様式で機能するように命令するために使用され得る。コンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のうちの1つ以上のプロセッサに提供されて、1つ以上のプロセッサを介して実行される命令が、仕様書、フローチャート、シーケンス図、又はブロック図のテキストで指定されている機能、行為、又は動作を実装するために一連の計算を実行させるような、マシンを生産する。
【0074】
図に描写されるフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、又はコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、又は動作を例解している。これに関して、フローチャート又はブロック図内の各ブロックは、モジュール、セグメント、又は命令の一部分を表し得、これは、指定された単一又は複数の論理機能を実装するための1つ以上の実行可能命令を含む。
【0075】
特定の代替の実施形態では、フローチャート、シーケンス図、又はブロック図で指定された機能、行為、又は動作は、本発明の実施形態と一致して、並べ替え、連続処理、又は同時に処理することができる。更に、フローチャート、シーケンス図、又はブロック図のいずれも、本発明の実施形態と一致して例解されたものよりも多い又は少ないブロックを含み得る。ブロック図若しくはフローチャートの各ブロック、又はブロック図若しくはフローチャート内のブロックのうちの任意の組み合わせは、指定された機能若しくは行為を実行するように構成された専用ハードウェアベースのシステムによって実装され得るか、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実行され得ることもまた理解されるべきである。
【0076】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明の実施形態を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、単数形及び複数形の両方を含むことを意図し、「及び」及び「又は」という用語は、各々、文脈が明確に別のことを示さない限り、代替及び接続詞の組み合わせの両方を含むことを意図する。更に、本明細書で使用される場合、「備える」又は「備えている」という用語は、記載されている機能、整数、行動、ステップ、動作、要素、又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の機能、整数、行動、ステップ、動作、要素、構成要素、若しくはそれらのグループの存在又は追加を除外しないことを理解されたい。更に、「含む」、「有している」、「有する」、「備える」、「で構成される」という用語、又はそれらの変形が、詳細な説明又は特許請求の範囲のいずれかで使用される範囲において、このような用語は、「備えている」という用語と同類として包括的であることが意図されている。
【0077】
様々な実施形態の説明によって、本発明の原理による様々な態様を例解し、実施形態をかなり詳細に説明してきたが、これらは、本発明の範囲をかかる詳細に制限すること、又はいかようにも限定することを意図するものではない。ここに本明細書において図示及び説明される様々な特徴は、単独で、又はいずれかの組み合わせで使用され得る。追加の利点及び改変が、当業者には容易に明らかとなろう。したがって、本発明は、そのより広義な態様において、図示及び説明される具体的な詳細、代表的な装置及び方法、並びに、例解的な実施例に限定されるものではない。したがって、一般的な発明の概念の範囲から逸脱することなく、そのような詳細から逸脱することができる。
【国際調査報告】