(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】大動脈解離のインビボ歪みマッピングのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240130BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A61B6/03 360J
A61B6/03 370B
A61B5/055 380
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539843
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 IB2022050931
(87)【国際公開番号】W WO2022167959
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522123500
【氏名又は名称】ビター・メディカル・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VITAA MEDICAL SOLUTIONS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォルネリス,アリアナ
(72)【発明者】
【氏名】ディ・マルティノ,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ランディ・ディ
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093DA02
4C093FF17
4C093FF18
4C093FF42
4C096DC20
4C096DC21
4C096DC36
(57)【要約】
解離した血管の歪みマップを生成するための方法およびシステムが提供される。解離した血管の多相スタックが受信され、多相スタックの所与の位相は、心周期の所与の時間における血管を表す。血管の壁および解離フラップを含む血管の3D幾何学モデルが生成される。第1の位相の血管の表面メッシュが生成され、表面メッシュは血管壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュを含む。各位相における局所変形は、血管の表面メッシュのボクセルを多相スタックにマッピングすることによって決定される。局所変形と血管壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュとを使用して主歪み値を含む歪みマップが生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の被験者の解離した血管の歪みマップを生成するための方法であって、前記方法は、プロセッサによって実行され、前記方法は、
前記所与の被験者の前記解離した血管の複数の画像から生成された多相スタックを受信するステップであって、前記多相スタックの各位相は、心周期のそれぞれの時点における前記解離した血管を表す、ステップと、
前記多相スタックの少なくとも一部を使用して、前記解離した血管の少なくとも一部の3D幾何学モデルを生成するステップであって、前記3D幾何学モデルは、前記解離した血管の壁および解離フラップを含む、ステップと、
前記3D幾何学モデルを使用して、前記多相スタックの前記位相のうちの所与の1つについて前記解離した血管の少なくとも前記一部の表面メッシュを生成するステップであって、前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記表面メッシュは、血管壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュを含む、ステップと、
前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記表面メッシュおよび前記多相スタックを使用して、前記解離した血管の前記表面メッシュの各ノードを前記多相スタックの前記位相の各々の、それぞれのボクセルにマッピングすることによって、前記多相スタックの各位相における局所変形を決定するステップと、
前記位相の各々における前記局所変形と、前記血管壁表面メッシュおよび前記解離フラップ表面メッシュとを使用して、歪みマップのセットを生成するステップであって、前記歪みマップのセットの所与の歪みマップは、前記心周期の対応する位相についての前記解離した血管の前記表面における主歪み値を含む、ステップと、
前記歪みマップのセットを出力するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記歪みマップのセットを使用して、前記心周期にわたる最大主歪み値を示す最大歪みマップを生成するステップと、
前記最大歪みマップを出力するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3D幾何学モデルおよび前記歪みマップのセットを使用して、前記解離した血管の対話型モデルを生成するステップと、
前記プロセッサに接続されたディスプレイインターフェース上に表示するために、前記解離した血管の前記対話型モデルを送信するステップと、をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記歪みマップのセットを生成する前記ステップは、前記所与の歪みマップについて、前記解離した血管の前記表面メッシュ上の円周方向歪み値および軸方向歪み値を取得するために、主曲率方向に歪みを投影するステップを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記多相スタックを使用して、前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記3D幾何学モデルを生成する前記ステップは、
前記多相スタックをセグメント化してセグメント化された解離した血管を得、前記セグメント化された解離した血管を使用して前記3D幾何学モデルを得るステップを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の画像から生成された前記多相スタックを受信する前記ステップに先立ち、
心電(ECG)ゲート式医療用撮像装置を使用して取得された前記複数の画像を受信するステップと、
前記複数の画像を使用して、前記多相スタックを生成するステップと、をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記表面メッシュを生成する前記ステップは、前記解離した血管の前記表面メッシュを得るために、前記3D幾何学モデルを平滑化するステップを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記表面メッシュの各ノードを前記多相スタックの前記位相の各々の、前記それぞれのボクセルにマッピングする前記ステップは、オプティカルフローアルゴリズムを使用して実行される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記3D幾何学モデルは、真腔および偽腔の標示を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記解離した血管の前記歪みマップのセットを使用して、前記解離フラップの可動性を評価するステップと、
前記心周期にわたる前記偽腔の加圧および前記真腔の圧迫を識別するステップと、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記解離した血管の少なくとも一部の前記3D幾何学モデルは、前記血管の健康な非解離領域の標示をさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記心周期にわたる前記解離した血管の前記歪みマップのセットおよび前記健康な非解離領域の前記標示を使用して、前記解離した血管の領域的脆弱化を決定するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記解離フラップの前記歪みマップのセットを使用して、前記解離した血管内の解離亀裂の拡大を予測するステップをさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
後続の時間に取得された前記所与の被験者の前記解離した血管の第2の多相スタックに対して前記方法を繰り返し、それにより、前記解離した血管のさらなる3D幾何学モデルおよび前記後続の時間に対するさらなる歪みマップのセットを得るステップをさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記3D幾何学モデル、前記歪みマップのセット、前記さらなる3D幾何学モデル、および前記心周期の前記位相の各々における前記さらなる歪みマップのセットを使用して、前記解離した血管の幾何学的および歪み進展を含むさらなる対話型モデルを生成するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記歪みマップのセットおよび前記さらなる歪みマップのセットを使用して、前記解離した血管におけるさらなる領域的脆弱化を予測するステップをさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記歪みマップのセットおよび前記さらなる歪みマップのセットを使用して、前記解離した血管における解離亀裂のさらなる拡大を予測するステップをさらに含む、請求項14~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
プロセッサと、
前記プロセッサに動作可能に接続された非一時的記憶媒体であって、前記非一時的記憶媒体は、その中に記憶されたコンピュータ可読命令を含む、非一時的記憶媒体と、
を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータ可読命令を実行すると、
前記所与の被験者の前記解離した血管の複数の画像から生成された多相スタックを受信することであって、前記多相スタックの位相の各々は、心周期のそれぞれの時点における前記解離した血管を表す、受信することと、
前記多相スタックの少なくとも一部を使用して、前記解離した血管の少なくとも一部の3D幾何学モデルを生成することであって、前記3D幾何学モデルは、前記解離した血管の壁および解離フラップを含む、生成することと、
前記3D幾何学モデルを使用して、前記多相スタックの前記位相のうちの所与の1つについて前記解離した血管の少なくとも前記一部の表面メッシュを生成することであって、前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記表面メッシュは、血管壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュを含む、生成することと、
前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記表面メッシュおよび前記多相スタックを使用して、前記解離した血管の前記表面メッシュの各ノードを前記多相スタックの前記位相の各々の、それぞれのボクセルにマッピングすることによって、前記多相スタックの各位相における局所変形を決定することと、
前記位相の各々における前記局所変形と、前記血管壁表面メッシュおよび前記解離フラップ表面メッシュとを使用して、歪みマップのセットを生成することであって、前記歪みマップのセットの所与の歪みマップは、前記心周期の対応する位相についての前記解離した血管の前記表面における主歪み値を含む、生成することと、
前記歪みマップのセットを出力することと、を実行するように構成されている、システム。
【請求項19】
前記プロセッサは、
前記歪みマップのセットを使用して、前記心周期にわたる最大主歪み値を示す最大歪みマップを生成することと、
前記最大歪みマップを出力することと、を実行するようにさらに構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、
前記3D幾何学モデルおよび前記歪みマップのセットを使用して、前記解離した血管の対話型モデルを生成することと、
前記プロセッサに接続されたディスプレイインターフェース上に表示するために、前記解離した血管の前記対話型モデルを送信することと、を実行するようにさらに構成されている、請求項18または19に記載のシステム。
【請求項21】
前記歪みマップのセットを前記生成することは、前記所与の歪みマップについて、前記解離した血管の前記表面メッシュ上の円周方向歪み値および軸方向歪み値を取得するために、主曲率方向に歪みを投影することを含む、請求項18~20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記多相スタックを使用して、前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記3D幾何学モデルを前記生成することは、
前記多相スタックをセグメント化してセグメント化された解離した血管を得、前記セグメント化された解離した血管を使用して前記3D幾何学モデルを得ることを含む、請求項18~21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記プロセッサは、前記複数の画像から生成された前記多相スタックを前記受信することに先立ち、
心電(ECG)ゲート式医療用撮像装置を使用して取得された前記複数の画像を受信することと、
前記複数の画像を使用して、前記多相スタックを生成することと、を実行するようにさらに構成されている、請求項18~22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記表面メッシュを前記生成することは、前記解離した血管の前記表面メッシュを得るために、前記3D幾何学モデルを平滑化することを含む、請求項18~23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記表面メッシュの各ノードを前記多相スタックの前記位相の各々の、前記それぞれのボクセルに前記マッピングすることは、オプティカルフローアルゴリズムを使用して実行される、請求項18~24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記3D幾何学モデルは、真腔および偽腔の標示を含む、請求項18~25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記プロセッサは、
前記解離した血管の前記歪みマップのセットを使用して、前記解離フラップの可動性を評価することと、
前記心周期にわたる前記偽腔の加圧および前記真腔の圧迫を識別することと、を実行するようにさらに構成されている、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記解離した血管の少なくとも一部の前記3D幾何学モデルは、前記血管の健康な非解離領域の標示をさらに含む、請求項18~27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記プロセッサは、前記心周期にわたる前記解離した血管の前記歪みマップのセットおよび前記健康な非解離領域の前記標示を使用して、前記解離した血管の領域的脆弱化を決定するようにさらに構成されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記プロセッサは、前記歪みマップのセットを使用して、前記解離した血管内の解離亀裂の拡大を予測するようにさらに構成されている、請求項18~29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記プロセッサは、後続の時間に取得された前記所与の被験者の前記解離した血管の第2の多相スタックに対して前記コンピュータ可読命令を実行し、それにより、前記解離した血管のさらなる3D幾何学モデルおよび前記後続の時間のさらなる歪みマップを得るようにさらに構成されている、請求項18~30のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記プロセッサは、前記3D幾何学モデル、前記歪みマップのセット、前記さらなる3D幾何学モデル、および前記心周期の前記位相の各々における前記さらなる歪みマップのセットを使用して、前記解離した血管の幾何学的および歪み進展を含むさらなる対話型モデルを生成するようにさらに構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記プロセッサは、前記歪みマップのセットおよび前記さらなる歪みマップのセットを使用して、前記解離した血管におけるさらなる領域的脆弱化を予測するようにさらに構成されている、請求項32または33に記載のシステム。
【請求項34】
前記プロセッサは、前記歪みマップのセットおよび前記さらなる歪みマップのセットを使用して、前記解離した血管における解離亀裂のさらなる拡大を予測するようにさらに構成されている、請求項31~33のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本技術は、医療用撮像の分野に関する。より具体的には、本技術は、心電図(ECG)ゲート式取得画像に基づいて、解離した大動脈の変形をインビボ評価するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
大動脈解離(AD)は、大動脈壁の剥離およびその最内層(内膜層)における亀裂の形成に由来する。最初の亀裂は、内膜と中膜との間を流れる血液をもたらし、これらの層のさらなる分離、およびこの場合、内膜フラップまたは解離フラップと呼ばれる残りの内膜層によって真腔から隔離された第2の管腔(偽腔)の形成を引き起こす。
図1を参照すると、大動脈の下行部分における解離の存在を示す静的コンピュータ断層撮影(CT)撮像から得られた医用画像および通信(DICOM)スタックのスライスが示されており、矢印は、小さい「真の」管腔を大きい「偽の」管腔から分離する解離フラップを指し示している。
【0003】
2次(またはリエントリー)亀裂の存在に応じて、ADは、開存型または閉塞型解離として特徴付けることができる。
【0004】
大動脈解離の発症は、動脈の形状および血行動態に重大な変化をもたらし、加圧された偽腔による真腔の圧迫および崩壊に起因して大動脈破裂または重要器官への灌流不良を引き起こす可能性がある。このため、ADは、低い発生率にもかかわらず高い死亡率(病院に到着する前に20%、未処置の場合、最初の24時間で3%/時間から1年で最大90%までの範囲)[1]を有し、併存症および偽腔の拡張である動脈瘤変性などの長期合併症に関連する。
【0005】
ADに関連するいくつかの危険因子(たとえば、年齢、高血圧、結合組織障害、減速外傷、二尖弁、以前の心臓手術、血管炎症)にもかかわらず、この疾患の病因は完全には理解されていない。大動脈瘤、壁内血腫および中膜の穿通性アテローム硬化性潰瘍は、内膜を破壊し、解離に発展し得る大動脈の脆弱化および初期亀裂の前駆体の原因として特定されているが、これらはADの唯一の原因ではない。たとえば、解離に発展した大動脈瘤の症例は、急性解離の約20%のみで報告されており、病理学的開始および全体的に異なる病理学的経路のための基質としての中膜の既存の変性を示唆している。
【0006】
最初の内膜亀裂の位置および解離の解剖学的関与が疾患進行において極めて重要であると特定されていることを考慮して、予後に関する解剖学的特徴に基づく疾患管理を助けるために、臨床的に認識されたADの分類を導入した。一方では、Stanford分類システムは、A型およびB型の大動脈解離を識別し、第1の解離は、亀裂位置に関係なく上行胸部大動脈を含み、第2の解離は、左鎖骨下動脈を越えて生じるため、大動脈の上行セグメントの関与はない。他方、DeBakey分類システムは、最初の内膜亀裂の部位を参照し、DeBakey I型ADは上行大動脈に由来し、弓内またはそれを越えて伝播し、DeBakey II型ADは上行大動脈に由来し、上行大動脈に限定され、DeBakey III型ADは下行大動脈に由来する。これらの分類は、外科的修復を必要とする切開と、低侵襲性の医療処置から利益を得ることができる症例との識別を可能にする。主な亀裂の位置および全体的な解剖学的関与は、実際に、最適な治療を定義する上で重要な因子である。より近位のエントリー亀裂は、不良な臨床転帰およびより高い死亡率に関連しており、したがって、患者が灌流不良または併存症などの重大な合併症を示さない場合であっても、A型ADに対するより侵襲的な治療および推奨される介入(開放または血管内修復など)の必要性を決定付ける。逆に、B型ADは、重大な合併症が存在し、外科的に対処する必要がない限り、血圧を制御するためにβ遮断薬を使用して保存的に治療されてきた。
【0007】
解離した大動脈の時間的進展および症状の持続期間もまた、死亡率の重要な原因であり、したがって臨床的決定に影響を及ぼす。ADの急性期は、大動脈亀裂の症状の最初の発症から最初の2週間として定義され、その後の週は、いわゆる亜急性期(最初の発症から2週間~1ヶ月間)および慢性期(発症から1ヶ月超)を表す。A型AD患者は、典型的には急性期の介入から利益を得る緊急症例として治療されるため、慢性期に達することはまれである。慢性期はB型AD患者においてより一般的であり、亜急性期は、通常短期的に安定している合併症のないB型症例の潜在的な長期合併症を監視するための重要な期間である。
【0008】
認識されている臨床ガイドラインにもかかわらず、ADの管理は依然として議論されており、意見が分かれている。典型的な議論は、上行大動脈の外科的修復を受けたが動脈の下行部分に解離が残っている患者におけるB型および残存B型大動脈解離の管理に関する。
【0009】
合併症のない残存B型解離は、実際には短期的に安定していると考えられるが、偽腔の動脈瘤(1~5年以内に20~40%)などの合併症を進行および発症する可能性があり、その結果、患者のリスクが増大する。これらの症例の管理については意見が分かれており、早期介入が長期の有害転帰を予防するために一部の患者にとって有益であり得るかどうかについての臨床的コンセンサスはほとんどない。より最近の文献所見および証拠は、適切な被験者における長期転帰を改善し、後期合併症を予防するために、薬理学的治療に加えて胸部血管内修復(TEVAR)を考慮すべきであることを示唆している。ステントグラフトの挿入は、壁が弱くなっている既に損なわれた大動脈の解剖学的構造において問題となる可能性があり、逆行性解離または部分的血栓症を促進する可能性があるので、血管内という選択肢は、侵襲性は低いが、リスクがないわけではない。
【0010】
ADをどのように管理するかを決定する際の別の要因は、拍動血流に曝された解離フラップの動的挙動である。それがステントグラフトの配置および耐久性を損なう可能性があるためである。急性期および亜急性期では、解離フラップは心周期中に動きやすいが、疾患が慢性期に進行するにつれてより厚く線維性になり、より硬直な挙動を特徴とする。
【0011】
TEVARアプローチは、通常、患者固有のベースで治療関連リスクに対する利益の正確な評価の後に選択されるべきである。これに関連して、異なる研究が、後の動脈瘤形成および有害転帰の危険因子として偽腔開存性および最大大動脈径(40mmより大きい)について報告した。いくつかの知見によれば、より大きな偽腔およびより大きなエントリー亀裂が偽腔においてより高い流速を誘導し、その結果としてその開存性を促進する可能性があるので、偽腔のサイズおよびエントリー亀裂を正確に評価することが不可欠であり得る。
【0012】
ADの複雑な管理は、解離した大動脈の解剖学的複雑さ、ならびに2つの管腔の相互作用に影響を及ぼす幾何学的形状と血行動態との間の強い依存性および相互作用に起因する。これに関して、真腔と偽腔との間の圧力差は、真腔の圧迫および動的閉塞を引き起こす可能性があり、解離の下流の器官への流れの減少を潜在的にもたらし、したがって虚血事象のリスクを増大させる。さらに、加圧された偽腔は、2つの管腔の間に大きな圧力差が生じ、心周期にわたって維持される場合、拡大および動脈瘤変性に有利になり得る。
【0013】
ADの長期転帰に寄与する別の要因は、しばしば遅い流れの停滞によって促進される偽腔の血栓症である。完全な偽腔血栓症はより高い生存率に関連しているが、遠位亀裂の閉塞を引き起こし、血液の再流入を妨げ、圧力上昇をもたらし得る部分血栓症は、有害な転帰および死亡率の上昇に関連している。
【0014】
CT、3Dまたは4D MRIなどの撮像モダリティは、解離した大動脈の臨床評価を助けることができる体液動態情報と共に解剖学的情報を提供するが、偽腔および解離した領域における非侵襲的圧力測定値は提供しない。現在の標準治療は、解離を受けた大動脈の識別および評価のための造影CT撮像の使用に依存している。
【0015】
したがって、解離した血管の重症度の評価を改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
概要
本技術の目的は、従来技術に存在する不都合の少なくとも一部を改善することである。本技術の1つまたは複数の実施形態は、本技術の狙いおよび目的を達成するためのアプローチおよび/または方法の範囲を提供および/または拡大できる。
【0017】
本技術の1つまたは複数の実施形態は、標準的な医療用撮像技術を補完し、解離の重症度の客観的評価、非解離領域に対する大動脈壁の脆弱化の尺度、ならびにリスク層別化を支援し、症例ごとに治療選択肢の意思決定を支援する可能性を有する解離フラップ、真腔および偽腔の動的挙動および相互作用の評価を提供できる方法およびシステムを用いてADの管理を改善する臨床的必要性があるという開発者の認識に基づいて開発された。
【0018】
より具体的には、上記に基づいて、本技術の開発者らは、ADが計算流体力学(CFD)および流体構造相互作用(FSI)シミュレーション技術を使用することによってモデル化およびシミュレーションするには複雑であり、これは一般に均質な材料特性の仮定を必要とするが、解離した大動脈の異なる部分の組織は異なる材料特性を有し、解離した血管の偽腔には血流がないことが多いため、ADの場合には適合しない可能性があることを認識した。
【0019】
本技術は、本明細書に記載の方法およびシステムを使用した分析によってのみアクセス可能な情報を提供することによって、現在の標準治療と比較して大動脈解離の実質的に客観的な評価を得ることを可能にし、医用画像に基づく解剖学的評価を補完する。本技術は、患者固有のベースでのリスク層別化および治療選択目的のための転帰予測を支援するために使用でき、したがって大動脈解離の分野における患者ケア基準を変える。
【0020】
したがって、本技術の1つまたは複数の実施形態は、大動脈解離のインビボ歪みマッピングの方法およびシステムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本技術の広い態様によれば、所与の被験者の解離した血管の歪みマップを生成するための方法が提供される。本方法は、プロセッサによって実行され、本方法は、所与の被験者の解離した血管の複数の画像から生成された多相スタックを受信するステップであって、多相スタックの所与の相は、心周期の所与の時点における解離した血管を表す、ステップと、多相スタックの少なくとも一部を使用して、解離した血管の少なくとも一部の3D幾何学モデルを生成するステップであって、3D幾何学モデルは、解離した血管の壁および解離フラップを含む、ステップとを含む。本方法は、3D幾何学モデルを使用して、多相スタックの第1の相について、解離した血管の少なくとも一部の表面メッシュを生成するステップであって、解離した血管の少なくとも一部の表面メッシュは、血管壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュを含む、ステップと、解離した血管の少なくとも一部の表面メッシュおよび多相スタックを使用して、解離した血管の表面メッシュのボクセルを各位相で多相スタックにマッピングすることによって、多相スタックの各位相における局所変形を決定するステップとを含む。本方法は、各位相における局所変形と、血管壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュとを使用して、歪みマップのセットと、心周期の対応する位相についての解離した血管の表面における主歪み値を含む歪みマップのセットの所与の歪みマップとを生成するステップと、歪みマップのセットを出力するステップとを含む。
【0022】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、本方法は、歪みマップのセットを使用して、心周期にわたる最大主歪み値を示す最大歪みマップを生成するステップと、最大歪みマップを出力するステップとをさらに含む。
【0023】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、本方法は、3D幾何学モデルおよび歪みマップのセットを使用して、解離した血管の対話型モデルを生成するステップと、プロセッサに接続されたディスプレイインターフェース上に表示するために、解離した血管の対話型モデルを送信するステップとをさらに含む。
【0024】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、歪みマップのセットを生成する前記ステップは、所与の歪みマップについて、解離した血管の表面メッシュ上の円周方向歪み値および軸方向歪み値を取得するために、主曲率方向に歪みを投影するステップを含む。
【0025】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、多相スタックを使用して、解離した血管の少なくとも一部の3D幾何学モデルを生成する前記ステップは、多相スタックをセグメント化してセグメント化された解離した血管を得、セグメント化された解離した血管を使用して3D幾何学モデルを得るステップを含む。
【0026】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、本方法は、複数の画像から生成された多相スタックを前記受信するステップに先立ち、心電(ECG)ゲート式医療用撮像装置を使用して取得された複数の画像を受信するステップと、複数の画像を使用して多相スタックを生成するステップとをさらに含む。
【0027】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、表面メッシュを生成する前記ステップは、解離した血管の表面メッシュを得るために、3D幾何学モデルを平滑化するステップを含む。
【0028】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、表面メッシュおよび多相スタックを使用して、表面メッシュのボクセルを多相スタックにマッピングすることによって多相スタックの各位相における局所変形を決定する前記ステップは、オプティカルフローアルゴリズムを使用するステップを含む。
【0029】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、解離した血管の少なくとも一部の3D幾何学モデルは、真腔および偽腔の標示を含む。
【0030】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、本方法は、解離した血管の歪みマップのセットを使用して、解離フラップの可動性を評価するステップと、心周期にわたる偽腔の加圧および真腔の圧迫を識別するステップとをさらに含む。
【0031】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、解離した血管の少なくとも一部の3D幾何学モデルは、血管の健康な非解離領域の標示をさらに含む。
【0032】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、本方法は、心周期にわたる解離した血管の歪みマップのセットおよび健康な非解離領域の標示を使用して、解離した血管の領域的脆弱化を決定するステップをさらに含む。
【0033】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、本方法は、解離フラップの歪みマップのセットを使用して、解離した血管内の解離亀裂の拡大を予測するステップをさらに含む。
【0034】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、本方法は、後続の時間に取得された所与の被験者の解離した血管の第2の多相スタックに対して前記方法を繰り返し、それにより、解離した血管のさらなる3D幾何学モデルおよび後続の時間のさらなる歪みマップのセットを得るステップをさらに含む。
【0035】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、本方法は、3D幾何学モデル、歪みマップのセット、さらなる3D幾何学モデル、および心周期の各位相におけるさらなる歪みマップを使用して、解離した血管の幾何学的および歪み進展を含むさらなる対話型モデルを生成するステップをさらに含む。
【0036】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、本方法は、歪みマップのセットおよびさらなる歪みマップのセットを使用して、解離した血管におけるさらなる領域的脆弱化を予測するステップをさらに含む。
【0037】
本方法の1つまたは複数の実施形態では、本方法は、歪みマップのセットおよびさらなる歪みマップのセットを使用して、解離した血管における解離亀裂のさらなる拡大を予測するステップをさらに含む。
【0038】
本技術の広範な態様によれば、プロセッサと、プロセッサに動作可能に接続された非一時的記憶媒体とを備えるシステムが提供される。非一時的記憶媒体は、記憶されたコンピュータ可読命令を備え、プロセッサは、コンピュータ可読命令を実行すると、所与の被験者の解離した血管の複数の画像から生成された多相スタックを受信することであって、多相スタックの所与の相は、心周期の所与の時点における解離した血管を表す、受信することと、多相スタックの少なくとも一部を使用して、解離した血管の少なくとも一部の3D幾何学モデルを生成することであって、3D幾何学モデルは、解離した血管の壁および解離フラップを含む、生成することと、を実行するように構成される。プロセッサは、3D幾何学モデルを使用して、多相スタックの第1の相について、解離した血管の少なくとも一部の表面メッシュを生成することであって、解離した血管の少なくとも一部の表面メッシュは、血管壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュを含む、生成することと、解離した血管の少なくとも一部の表面メッシュおよび多相スタックを使用して、解離した血管の表面メッシュのボクセルを各位相で多相スタックにマッピングすることによって、多相スタックの各位相における局所変形を決定することと、各位相における局所変形と、血管壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュとを使用して、歪みマップのセットと、心周期の対応する位相についての解離した血管の表面における主歪み値を含む歪みマップのセットの所与の歪みマップとを生成することと、歪みマップのセットを出力することと、を実行するように構成される。
【0039】
システムの1つまたは複数の実施形態では、プロセッサは、歪みマップのセットを使用して、心周期にわたる最大主歪み値を示す最大歪みマップを生成することと、最大歪みマップを出力することと、を実行するようにさらに構成される。
【0040】
システムの1つまたは複数の実施形態では、プロセッサは、3D幾何学モデルおよび歪みマップのセットを使用して、解離した血管の対話型モデルを生成することと、プロセッサに接続されたディスプレイインターフェース上に表示するために、解離した血管の対話型モデルを送信することと、を実行するようにさらに構成される。
【0041】
システムの1つまたは複数の実施形態では、歪みマップのセットを前記生成することは、所与の歪みマップについて、解離した血管の表面メッシュ上の円周方向歪み値および軸方向歪み値を取得するために、主曲率方向に歪みを投影することを含む。
【0042】
システムの1つまたは複数の実施形態では、多相スタックを使用して、解離した血管の少なくとも一部の3D幾何学モデルを前記生成することは、多相スタックをセグメント化してセグメント化された解離した血管を得、セグメント化された解離した血管を使用して3D幾何学モデルを得ることを含む。
【0043】
システムの1つまたは複数の実施形態では、プロセッサは、複数の画像から生成された多相スタックの前記受信に先立ち、心電(ECG)ゲート式医療用撮像装置を使用して取得された複数の画像を受信することと、複数の画像を使用して多相スタックを生成することと、を実行するようにさらに構成される。
【0044】
システムの1つまたは複数の実施形態では、表面メッシュを生成することは、解離した血管の表面メッシュを得るために、3D幾何学モデルを平滑化することを含む。
【0045】
システムの1つまたは複数の実施形態では、表面メッシュおよび多相スタックを使用して、表面メッシュのボクセルを多相スタックにマッピングすることによって多相スタックの各位相における局所変形を前記決定することは、オプティカルフローアルゴリズムを使用することを含む。
【0046】
システムの1つまたは複数の実施形態では、解離した血管の少なくとも一部の3D幾何学モデルは、真腔および偽腔の標示を含む。
【0047】
システムの1つまたは複数の実施形態では、プロセッサは、解離した血管の歪みマップのセットを使用して、解離フラップの可動性を評価することと、心周期にわたる偽腔の加圧および真腔の圧迫を識別することと、を実行するようにさらに構成される。
【0048】
システムの1つまたは複数の実施形態では、解離した血管の少なくとも一部の3D幾何学モデルは、血管の健康な非解離領域の標示をさらに含む。
【0049】
システムの1つまたは複数の実施形態では、プロセッサは、心周期にわたる解離した血管の歪みマップのセットおよび健康な非解離領域の標示を使用して、解離した血管の領域的脆弱化を決定するようにさらに構成される。
【0050】
システムの1つまたは複数の実施形態では、プロセッサは、解離フラップの歪みマップを使用して、解離した血管内の解離亀裂の拡大を予測するようにさらに構成される。
【0051】
システムの1つまたは複数の実施形態では、プロセッサは、後続の時間に取得された所与の被験者の解離した血管の第2の多相スタックに対してコンピュータ可読命令を実行し、それにより、解離した血管のさらなる3D幾何学モデルおよび後続の時間のさらなる歪みマップのセットを得るようにさらに構成される。
【0052】
システムの1つまたは複数の実施形態では、プロセッサは、3D幾何学モデル、歪みマップのセット、さらなる3D幾何学モデル、および心周期の各位相におけるさらなる歪みマップを使用して、解離した血管の幾何学的および歪み進展を含むさらなる対話型モデルを生成するようにさらに構成される。
【0053】
システムの1つまたは複数の実施形態では、プロセッサは、歪みマップのセットおよびさらなる歪みマップのセットを使用して、解離した血管におけるさらなる領域的脆弱化を予測するようにさらに構成される。
【0054】
システムの1つまたは複数の実施形態では、プロセッサは、歪みマップのセットおよびさらなる歪みマップのセットを使用して、解離した血管における解離亀裂のさらなる拡大を予測するようにさらに構成される。
【0055】
定義
本明細書の文脈では、「サーバ」は、適切なハードウェア上で実行され、ネットワーク(たとえば、通信ネットワーク)を介して(たとえば、電子デバイスから)要求を受信し、それらの要求を実行する、またはそれらの要求を実行させることができるコンピュータプログラムである。ハードウェアは、1つの物理的コンピュータまたは1つの物理的コンピュータシステムであってもよいが、本技術に関してはそうである必要はない。本文脈において、「サーバ」という表現の使用は、全てのタスク(たとえば、受信した命令または要求)または任意の特定のタスクが同じサーバ(すなわち、同じソフトウェアおよび/またはハードウェア)によって受信され、実行され、または実行されるようにされることを意味するものではなく、任意の数のソフトウェア要素またはハードウェアデバイスが、任意のタスクもしくは要求、あるいは任意のタスクまたは要求の結果を受信/送信する、実行する、または実行させることに関与し得ることを意味することが意図されており、このソフトウェアおよびハードウェアの全ては、1つのサーバまたは複数のサーバであってもよく、これらは両方とも「少なくとも1つのサーバ」および「サーバ」という表現に含まれる。
【0056】
本明細書の文脈では、「電子デバイス」は、手元の関連するタスクに適したソフトウェアを実行できる任意のコンピューティング装置またはコンピュータハードウェアである。したがって、電子デバイスのいくつかの(非限定的な)例は、汎用パーソナルコンピュータ(デスクトップ、ラップトップ、ネットブックなど)、モバイルコンピューティングデバイス、スマートフォン、およびタブレット、ならびにルータ、スイッチ、およびゲートウェイなどのネットワーク機器を含む。本文脈における電子デバイスは、他の電子デバイスに対するサーバとして機能することを排除されないことに留意されたい。「電子デバイス」という表現の使用は、任意のタスクまたは要求、あるいは任意のタスクまたは要求の結果、あるいは本明細書に記載の任意の方法のステップを受信/送信する、実行する、または実行させる際に複数の電子デバイスが使用されることを排除するものではない。本明細書の文脈では、「クライアントデバイス」は、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどの、ユーザに関連付けられた一連のエンドユーザクライアント電子デバイスのいずれかを指す。
【0057】
本明細書の文脈において、「コンピュータ可読記憶媒体」という表現(「記憶媒体」および「記憶装置」とも呼ばれる)は、RAM、ROM、ディスク(CD-ROM、DVD、フロッピーディスク、ハードドライバなど)、USBキー、ソリッドステートドライブ、テープドライブなどを含むが、これらに限定されない、あらゆる性質および種類の非一時的媒体を含むことを意図している。同じタイプの2つ以上の媒体コンポーネントおよび/または異なるタイプの2つ以上の媒体コンポーネントを含む複数のコンポーネントを組み合わせて、コンピュータ情報記憶媒体を形成できる。
【0058】
本明細書の文脈では、「データベース」は、その特定の構造、データベース管理ソフトウェア、またはデータが記憶され、実装され、またはその他の形で使用可能にされるコンピュータハードウェアに関係なく、任意の構造化されたデータの集合である。データベースは、データベースに記憶された情報を記憶または利用するプロセスと同じハードウェア上に存在してもよいし、専用サーバまたは複数のサーバなどの別個のハードウェア上に存在してもよい。
【0059】
本明細書の文脈において、「情報」という表現は、データベースに記憶できるあらゆる性質または種類の情報を含む。したがって、情報は、視聴覚作品(画像、動画、音声記録、プレゼンテーションなど)、データ(位置データ、数値データなど)、テキスト(意見、コメント、質問、メッセージなど)、文書、スプレッドシート、単語のリストなどを含むが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書の文脈では、特に明示的に提供されない限り、情報要素の「標示」は、情報要素自体、または標示の受信者が情報要素を取得できるネットワーク、メモリ、データベース、または他のコンピュータ可読媒体位置を見つけることを可能にするポインタ、参照、リンク、または他の間接的な機構であってもよい。たとえば、文書の標示は、文書自体(すなわち、その内容)を含むことができ、または特定のファイルシステムに関してファイルを識別する固有の文書記述子、またはネットワーク位置、メモリアドレス、データベーステーブル、またはファイルがアクセスされ得る他の位置に標示の受信者を導く他の何らかの手段とすることができる。当業者が認識するように、そのような標示に必要な精度の程度は、標示の送信者と受信者との間で交換される情報に与えられる解釈に関する任意の事前理解の程度に依存する。たとえば、送信者と受信者との間の通信の前に、情報要素の標示が、情報要素を含む所定のデータベースの特定のテーブル内のエントリーに対するデータベースキーの形態をとることが理解される場合、データベースキーの送信は、情報要素自体が標示の送信者と受信者との間でのように送信されなかったとしても、情報要素を受信者に効果的に伝達するために必要な全てである。
【0061】
本明細書の文脈において、「通信ネットワーク」という表現は、コンピュータネットワーク、インターネット、電話ネットワーク、Telexネットワーク、TCP/IPデータネットワーク(たとえば、WANネットワーク、LANネットワークなど)などの電気通信ネットワークを含むことを意図している。「通信ネットワーク」という用語は、有線ネットワークまたは直接有線接続、ならびに音響、無線周波数(RF)、赤外線および他の無線媒体などの無線媒体、ならびに上記のいずれかの組合せを含む。
【0062】
本明細書の文脈において、「第1」、「第2」、「第3」などの単語は、それらが互いに修飾する名詞間の区別を可能にする目的のためにのみ形容詞として使用されており、それらの名詞間の特定の関係を説明する目的のためのものではない。したがって、たとえば、「サーバ」および「第3のサーバ」という用語の使用は、サーバの/サーバ間の特定の順序、タイプ、時系列、階層、または(たとえば)ランク付けを暗示することを意図するものではなく、それらの(単独での)使用は、任意の「第2のサーバ」が任意の所与の状況に必ず存在しなければならないと暗示することを意図するものでもないことを理解されたい。さらに、本明細書内の他の文脈で説明するように、「第1の」要素および「第2の」要素への言及は、2つの要素が同じ、実際の現実世界の要素であることを排除するものではない。したがって、たとえば、いくつかの場合では、「第1の」サーバおよび「第2の」サーバは同じソフトウェアおよび/またはハードウェアであってもよく、他の場合では、それらは異なるソフトウェアおよび/またはハードウェアであってもよい。
【0063】
本技術の実施の形態は、各々が上述した目的および/または態様のうちの少なくとも1つを有するが、必ずしもその全てを有する必要はない。上述の目的を達成しようとする試みから生じる本技術のいくつかの態様は、この目的を満たさない場合があり、および/または本明細書に具体的に列挙されていない他の目的を満たす場合があることを理解されたい。
【0064】
本技術の実装の追加のおよび/または代替の特徴、態様および利点は、以下の説明、添付の図面および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0065】
図面の簡単な説明
本技術ならびにその他の態様およびさらなる特徴をよりよく理解するために、添付の図面と併せて使用される以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】大動脈の下行部分における解離の存在を示す、静的コンピュータ断層撮影(CT)撮像から得られた大動脈のスライスを示す。
【
図2】本技術の1つまたは複数の非限定的な実施形態による電子デバイスの概略図を示す。
【
図3】本技術の1つまたは複数の非限定的な実施形態による通信システムの概略図を示す。
【
図4】本技術の1つまたは複数の非限定的な実施形態による、
図3のシステム内で実行される大動脈解離(AD)歪みマッピング手順の概略図である。
【
図5】本技術の1つまたは複数の非限定的な実施形態によって例示されている、A型ADの手術後の下行大動脈における残存B型ADの3D幾何学モデルの一例を示す。
【
図6】本技術の非限定的な実施形態によって実行可能である、解離した血管のインビボ歪みマッピングのための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
詳細な説明
本明細書に列挙される実施例および条件付き文言は、主に読者が本技術の原理を理解するのを助けることを意図しており、その範囲をそのような具体的に列挙された実施例および条件に限定することを意図していない。当業者は、本明細書に明示的に記載または図示されていないが、それにもかかわらず本技術の原理を具体化し、その精神および範囲内に含まれる様々な構成を考案できることが理解されよう。
【0068】
さらに、理解を助けるために、以下の説明は、本技術の比較的単純化された実装形態を説明できる。当業者が理解するように、本技術の様々な実施態様は、より複雑であり得る。
【0069】
場合によっては、本技術に対する変更の有用な例と考えられるものも記載され得る。これは単に理解を助けるためのものであり、やはり本技術の範囲を定義するまたは示すためのものではない。これらの変更は網羅的なリストではなく、当業者は、それにもかかわらず本技術の範囲内に留まりながら他の変更を行うことができる。さらに、変更の例が記載されていない場合、変更が不可能である、および/または記載されているものが本技術のその要素を実装する唯一の方法であると解釈されるべきではない。
【0070】
さらに、本技術の原理、態様、および実施態様、ならびにそれらの特定の例を列挙する本明細書の全ての記述は、それらが現在知られているかまたは将来開発されるかにかかわらず、それらの構造的および機能的等価物の両方を包含することを意図している。したがって、たとえば、本明細書の任意のブロック図は、本技術の原理を具現化する例示的な回路の概念図を表すことが当業者には理解されよう。同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータ可読媒体で実質的に表すことができ、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、コンピュータまたはプロセッサによって実行できる様々なプロセスを表すことが理解されよう。
【0071】
「プロセッサ」または「グラフィックス処理装置」とラベル付けされた任意の機能ブロックを含む、図に示された様々な要素の機能は、専用のハードウェア、および適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行できるハードウェアを使用して提供され得る。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、またはいくつかは共有されてもよい複数の個々のプロセッサによって提供されてもよい。本技術のいくつかの非限定的な実施形態では、プロセッサは、中央処理装置(CPU)などの汎用プロセッサ、またはグラフィックス処理装置(GPU)などの特定の目的専用のプロセッサであってもよい。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行できるハードウェアを排他的に指すと解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置を暗示的に含み得るが、これらに限定されない。従来および/またはカスタムの他のハードウェアも含まれ得る。
【0072】
ソフトウェアモジュール、または単にソフトウェアであると暗示されるモジュールは、本明細書では、フローチャート要素またはプロセスステップの実行および/またはテキスト記述を示す他の要素の任意の組合せとして表され得る。そのようなモジュールは、明示的または暗示的に示されるハードウェアによって実行されてもよい。
【0073】
これらの基本を適所に用いて、ここから、本技術の態様の様々な実施態様を説明するためにいくつかの非限定的な例を検討する。
【0074】
図2を参照すると、本技術のいくつかの非限定的な実施形態での使用に適した電子デバイス100の概略図が示されている。
【0075】
電子デバイス
電子デバイス100は、プロセッサ110、グラフィック処理ユニット(GPU)111、ソリッドステートドライブ120、ランダムアクセスメモリ130、ディスプレイインターフェース140、および入力/出力インターフェース150によって集合的に表される、1つまたは複数のシングルコアまたはマルチコアプロセッサを含む様々なハードウェアコンポーネントを備える。
【0076】
電子デバイス100の様々なコンポーネント間の通信は、様々なハードウェアコンポーネントが電子的に結合される1つまたは複数の内部および/または外部バス160(たとえば、PCIバス、ユニバーサルシリアルバス、IEEE1394「Firewire」バス、SCSIバス、Serial-ATAバスなど)によって可能にされ得る。
【0077】
入力/出力インターフェース150は、タッチスクリーン190ならびに/または1つもしくは複数の内部および/もしくは外部バス160に結合され得る。タッチスクリーン190は、ディスプレイの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、タッチスクリーン190はディスプレイである。タッチスクリーン190は、スクリーン190とも呼ばれ得る。
図2に示す実施形態では、タッチスクリーン190は、タッチハードウェア194(たとえば、ユーザとディスプレイとの間の物理的相互作用の検出を可能にするディスプレイの層に埋め込まれた感圧セル)と、ディスプレイインターフェース140ならびに/または1つもしくは複数の内部および/もしくは外部バス160との通信を可能にするタッチ入力/出力コントローラ192とを備える。いくつかの実施形態では、入力/出力インターフェース150は、ユーザがタッチスクリーン190に加えてまたはそれに代えて電子デバイス100と対話することを可能にするキーボード(図示せず)、マウス(図示せず)またはトラックパッド(図示せず)に接続されてもよい。
【0078】
本技術の実施態様によれば、ソリッドステートドライブ120は、ランダムアクセスメモリ130にロードされ、大動脈解離インビボ歪みマッピングを実行するためにプロセッサ110および/またはGPU111によって実行されるのに適したプログラム命令を記憶する。たとえば、プログラム命令は、ライブラリまたはアプリケーションの一部であってもよい。
【0079】
電子デバイス100は、当業者によって理解され得るように、サーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、スマートフォン、携帯情報端末、または本技術を実装するように構成され得る任意のデバイスの形態で実装され得る。
【0080】
システム
図3を参照すると、システム200と呼ばれる通信システム200の概略図が示されており、システム200は、本技術の非限定的な実施形態を実施するのに適している。図示のシステム200は、本技術の例示的な実施態様にすぎないことを明確に理解されたい。したがって、以下の説明は、本技術の例示的な実施例の説明のみを意図している。この説明は、本技術の範囲を定義するものでも、本技術の範囲を示すものでもない。場合によっては、システム200に対する変更の有用な例と考えられるものも以下に記載され得る。これは単に理解を助けるためのものであり、やはり本技術の範囲を定義するまたは示すためのものではない。これらの変更は網羅的なリストではなく、当業者が理解するように、他の変更が可能である可能性が高い。さらに、これが行われていない場合(すなわち、変更の例が記載されていない場合)、変更は不可能である、および/または記載されているものが本技術のその要素を実装する唯一の方法であると解釈されるべきではない。当業者が理解するように、これは当てはまらない可能性が高い。さらに、システム200は、特定の事例では、本技術の単純な実装形態を提供でき、そのような事例では、理解を助けるためにこのように提示されていることを理解されたい。当業者が理解するように、本技術の様々な実施態様は、より複雑であり得る。
【0081】
システム200は、とりわけ、ワークステーションコンピュータ215に関連付けられた医療用撮像装置210と、それぞれの通信リンク225(別々に番号付けされていない)を介して通信ネットワーク220を介して結合されたサーバ230とを備える。
【0082】
医療デバイス
医療用撮像装置210は、とりわけ、所与の被験者の血管の表現が続いて生成され得るように、所与の被験者の血管の複数の画像を異なる時点で取得するように構成される。
【0083】
1つまたは複数の実施形態では、医療用撮像装置210は、ECGゲート式医療用撮像装置を備える。
【0084】
医療用撮像装置210は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナ、磁気共鳴撮像(MRI)スキャナ、3D超音波などのうちのいずれかを備えてもよい。
【0085】
本技術のいくつかの実施形態では、医療用撮像装置210は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナ、磁気共鳴撮像(MRI)スキャナ、3D超音波などのうちの1つまたは複数などの複数の医療用撮像装置を備えてもよい。
【0086】
医療用撮像装置210は、心周期にわたって血管の複数の画像を取得するための特定の取得パラメータで構成されてもよい。
【0087】
非限定的な例として、医療用撮像装置210がCTスキャナとして実装される1つまたは複数の実施形態では、R-R間隔を捕捉するための可変線量放射線を用いた術前遡及的ゲート型マルチ検出器CT(MDCT-64行マルチスライスCTスキャナ)を備えるCTプロトコルを使用できる。
【0088】
別の非限定的な例として、医療用撮像手順がMRIスキャナを備える1つまたは複数の実施形態では、MRプロトコルは、定常状態T2強調高速フィールドエコー(TE=2.6ms、TR=5.2ms、フリップ角110度、脂肪抑制(SPIR)、エコー時間50ms、最大25心臓相、マトリックス256×256、取得ボクセルMPS(測定、位相およびスライス符号化方向)1.56/1.56/3.00mmおよび再構成ボクセルMPS0.78/0.78/1.5)、または研究中の大動脈の部分の同様のシネ取得、軸方向スライスを含むことができる。医療用撮像装置210は、とりわけデータ送信のためのワークステーションコンピュータ215を含むか、またはそれに接続される。
【0089】
ワークステーションコンピュータ
ワークステーションコンピュータ215は、とりわけ、(i)医療用撮像装置210のパラメータを制御し、画像の取得を引き起こし、(ii)医療用撮像装置210から複数の画像を受信して処理するように構成される。
【0090】
1つまたは複数の実施形態では、ワークステーションコンピュータ215は、rawフォーマットの画像を受信し、既知のアルゴリズムおよびソフトウェアを使用して断層撮影再構成を実行できる。
【0091】
ワークステーションコンピュータ215の実装は、当技術分野で知られている。ワークステーションコンピュータ215は、電子デバイス100として実装されてもよく、またはプロセッサ110、グラフィック処理装置(GPU)111、ソリッドステートドライブ120、ランダムアクセスメモリ130、ディスプレイインターフェース140、および入力/出力インターフェース150などのその構成要素を備えてもよい。
【0092】
1つまたは複数の実施形態では、ワークステーションコンピュータ215は、医療用撮像装置210に少なくとも部分的に統合できる。
【0093】
1つまたは複数の実施形態では、ワークステーションコンピュータ215は、医療用撮像情報および関連データの通信および管理のための医療用デジタル撮像および通信(DICOM)規格に従って構成される。
【0094】
1つまたは複数の実施形態では、ワークステーションコンピュータ215は、画像をローカルのデータベース(図示せず)に記憶できる。
【0095】
ワークステーションコンピュータ215は、それぞれの通信リンク225を介して通信ネットワーク220を介してサーバ230に接続される。1つまたは複数の実施形態では、ワークステーションコンピュータ215は、画像および/または多相スタックを、その記憶および処理のためにサーバ230およびデータベース235に送信できる。
【0096】
一実施形態では、多相スタックは、それぞれ異なる時点または位相で各々撮影された複数の3D画像を含む。各位相において、3D画像は、各々がそれぞれの3D位置と、色値、グレースケール値、強度値などのパラメータ値とが関連付けられた複数のボクセルを含む。
【0097】
サーバ
サーバ230は、とりわけ、(i)医療用撮像装置210によって取得された解離した血管の複数の画像を受信し、(ii)解離した血管の複数の画像を使用して、各位相が心周期の所与の瞬間に対応する多相スタックを生成し、(iii)複数の画像および多相スタックを使用して、解離した血管の3D幾何学モデルを生成し、(iv)解離した血管の3D幾何学モデルを使用して、血管壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュを含む解離した血管の表面メッシュを生成し、(v)解離した血管の表面メッシュおよび多相スタックを使用して、心周期全体にわたる表面メッシュのノード変位を決定して、各位相における解離した血管の局所変形を取得し、(vi)心周期の各位相における解離した血管の歪みマップを決定し、(vii)歪みマップおよび解離した血管の3D幾何学モデルを使用して、解離した血管の対話型モデルを生成するように構成される。
【0098】
サーバ230がそのようにするように構成される方法は、以下でより詳細に説明される。
【0099】
サーバ230は、従来のコンピュータサーバとして実装でき、
図2に示す電子デバイス100のコンポーネントの一部または全部を備えることができる。本技術の1つまたは複数の実施形態の一例では、サーバ230は、Microsoft
TM Windows Server
TMオペレーティングシステムを実行するDell
TM PowerEdge
TM Serverとして実装できる。言うまでもなく、サーバ230は、任意の他の適切なハードウェアおよび/またはソフトウェアおよび/またはファームウェアあるいはそれらの組合せで実装できる。図示の本技術の非限定的な実施形態では、サーバ230は単一のサーバである。本技術の代替の非限定的な実施形態では、サーバ230の機能は分散されてもよく、複数のサーバ(図示せず)を介して実装されてもよい。
【0100】
サーバ230の実装は、本技術の当業者に周知である。しかしながら、簡単に言えば、サーバ230は通信インターフェース(図示せず)を備え、これは通信ネットワーク220を介して様々なエンティティ(たとえばワークステーションコンピュータ215およびネットワーク220に潜在的に結合されている他の装置など)と通信するように構造化および構成される。サーバ230は、通信インターフェースと動作可能に接続され、かつ本明細書で説明する様々なプロセスを実行するように構造化および構成された少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(たとえば、電子デバイス100のプロセッサ110またはGPU111)をさらに備える。
【0101】
1つまたは複数の実施形態では、サーバ230は、電子デバイス100として実装されてもよく、またはプロセッサ110、グラフィック処理装置(GPU)111、ソリッドステートドライブ120、ランダムアクセスメモリ130、ディスプレイインターフェース140、および入力/出力インターフェース150などのその構成要素を備えてもよい。
【0102】
データベース
データベース235は、サーバ230に直接接続されているが、1つまたは複数の代替実施態様では、データベース235は、本技術の教示から逸脱することなく、通信ネットワーク220を介してサーバ230に通信可能に結合されてもよい。データベース235は、本明細書では単一のエンティティとして概略的に示されているが、データベース235は分散して構成されてもよく、たとえば、データベース235は異なる構成要素を有してもよく、各構成要素はそこからの特定の種類の取り出しまたはそこへの記憶のために構成されることが理解されよう。
【0103】
データベース235は、その特定の構造、またはデータが記憶され、実装され、またはその他の形で使用可能にされるコンピュータハードウェアに関係なく、構造化されたデータの集合であってもよい。データベース235は、サーバ230などのデータベース230に記憶された情報を記憶または利用するプロセスと同じハードウェア上に存在してもよいし、サーバ230に直接接続され、および/または通信ネットワーク220に接続された1つまたは複数の他の電子デバイス(図示せず)などの別個のハードウェア上に存在してもよい。データベース230は、その記憶のためにサーバ230からデータを受信でき、その使用のために記憶されたデータをサーバ230に提供できる。
【0104】
データベース235は、とりわけ、(i)医療用撮像装置210によって取得された画像を記憶し、(ii)DICOM多相スタックを記憶し、(iii)血管の3D幾何学モデルを記憶し、(iv)解離した血管の歪みマップを記憶し、(v)解離した血管の相互作用モデルを記憶するように構成される。
【0105】
通信ネットワーク
本技術のいくつかの実施形態では、通信ネットワーク220はインターネットである。代替の非限定的な実施形態では、通信ネットワーク220は、任意の適切なローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、プライベート通信ネットワークなどとして実装できる。通信ネットワーク220の実装形態は例示のみを目的としていることを明確に理解されたい。ワークステーションコンピュータ215および/またはサーバ230および/または別の電子デバイス(図示せず)と通信ネットワーク220との間の通信リンク225(別々に番号付けされていない)がどのように実装されるかは、とりわけ、医療用撮像装置210、ワークステーションコンピュータ215、およびサーバ230の各々がどのように実装されるかに依存する。
【0106】
通信ネットワーク220は、ワークステーションコンピュータ215、サーバ230およびデータベース235の間でデータパケットを送信するために使用され得る。たとえば、通信ネットワーク220は、ワークステーションコンピュータ215とサーバ230との間での要求の送信に使用され得る。
【0107】
一実施形態では、サーバ230は、画像保管通信システム(PACS)の一部であってもよい。
【0108】
別の実施形態では、サーバ230は省略されてもよい。この場合、ワークステーションコンピュータ215は、データベース235と通信しているか、またはデータベースに接続されており、とりわけ、(i)医療用撮像装置210によって取得された解離した血管の複数の画像を受信し、(ii)解離した血管の複数の画像を使用して、各位相が心周期の所与の瞬間に対応する多相スタックを生成し、(iii)複数の画像および多相スタックを使用して、解離した血管の3D幾何学モデルを生成し、(iv)解離した血管の3D幾何学モデルを使用して、血管壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュを含む解離した血管の表面メッシュを生成し、(v)解離した血管の表面メッシュおよび多相スタックを使用して、心周期全体にわたる表面メッシュのノード変位を決定して、各位相における解離した血管の局所変形を取得し、(vi)心周期の各位相における解離した血管の歪みマップを決定し、(vii)歪みマップおよび解離した血管の3D幾何学モデルを使用して、解離した血管の対話型モデルを生成するように構成される。
【0109】
大動脈解離歪みマッピング手順
ここで
図4を参照すると、本技術の1つまたは複数の非限定的な実施形態による大動脈解離(AD)歪みマッピング手順300の概略図が示されている。
【0110】
AD歪みマッピング手順300は、
図3のシステム200内で実行される。1つまたは複数の実施形態では、AD歪みマッピング手順300は、サーバ230によって実行されてもよい。1つまたは複数の他の実施形態では、AD歪みマッピング手順300は、医療用撮像装置210に接続されたワークステーションコンピュータ215によって実行されてもよい。AD歪みマッピング手順300のいくつかの手順は、当業者によって認識されるように、サーバ230または電子デバイス(ワークステーションコンピュータ215など)によって並列に実行されてもよいと考えられる。
【0111】
AD歪みマッピング手順300の目的は、所与の患者の心周期中に取得された解離した血管の画像を受信し、解離した血管の受信した画像を使用して、所与の患者の解離した血管の歪みマップを生成することである。
【0112】
AD歪みマッピング手順300は、偽腔を加圧し、心周期にわたって真腔の圧迫を引き起こし、下流器官への血液供給が制限されることに起因する合併症をもたらし得る偽腔における血液の存在など、解離フラップによって作り出された流路(たとえば、真腔および偽腔)間の相互作用を視覚化し評価することを可能にする。
【0113】
AD歪みマッピング手順300は、とりわけ、画像取得手順310と、画像セグメント化手順320と、平滑化および表面メッシュ化手順330と、動き追跡およびマッピング手順360と、歪み計算手順370と、対話型モデル生成手順380とを含む。
【0114】
画像取得
画像取得手順310は、とりわけ、(i)心周期中に取得された患者の解離した血管の画像を受信し、(ii)解離した血管の受信した画像を使用して、その多相スタックを生成するように構成される。
【0115】
1つまたは複数の実施形態では、解離した血管の画像は、医師によって診断された可能性がある大動脈解離を有することが知られている被験者から取得される。1つまたは複数の他の実施形態では、解離した血管の画像は、大動脈解離の事前知識なしに取得されていてもよく、たとえば、画像セグメント化手順320中に検出されてもよい。
【0116】
画像取得手順310の間に、所与の被験者の大動脈などの血管の複数の画像が受信される。複数の画像は、ワークステーションコンピュータ215から、医療用撮像装置210から直接、データベース235などのデータベースから受信されてもよい。1つまたは複数の実施形態では、血管の複数の画像は、解離フラップを有する大動脈の画像を含む。解離した血管における大動脈解離のタイプは限定されないことが理解されよう。
【0117】
医療用撮像装置210がCTスキャナを有する1つまたは複数の実施形態では、CT画像取得のためのCTプロトコルは、R-R間隔を捕捉するための可変線量放射線を用いた術前遡及的ゲート型MDCT(64行マルチスライスCTスキャナ)を含むことができる。医療用撮像装置210がMRIスキャナである一実施形態では、MRプロトコルは、定常状態T2強調高速フィールドエコー(TE=2.6ms、TR=5.2ms、フリップ角110度、脂肪抑制(SPIR)、エコー時間50ms、最大25心臓相2、マトリックス256×256、取得ボクセルMPS1.56/1.56/3.00mmおよび再構成ボクセルMPS0.78/0.78/1.5)、または研究中の大動脈の部分の同様のシネ取得、軸方向スライスを含むことができる。
【0118】
画像取得手順310は、複数の画像を多相スタックで編成する。一実施形態では、複数の画像は、その実装が当技術分野で知られている医療用デジタル撮像および通信(DICOM)スタックに従って段階的に編成される。
【0119】
1つまたは複数の実施形態では、多相スタックの各位相は、所与の患者の心周期の時間インスタンスに対応する。
【0120】
画像取得手順310は、多相スタックを出力する。
画像セグメント化
画像セグメント化手順320は、とりわけ、(i)多相スタックのセットに対応する入力画像として受信し、(ii)受信した入力画像に基づいて、解離した血管の3D幾何学モデルを生成するように構成される。
【0121】
1つまたは複数の実施形態では、多相スタックの1つの相に対応する入力画像は、解離フラップの標示を含む。非限定的な例として、標示は、キーボードなどの入力/出力インターフェース150を介してオペレータによって提供されてもよい。解離フラップの標示は、多相スタックと同時にまたは異なる時間に受信されてもよい。
【0122】
1つまたは複数の代替実施形態では、画像セグメント化手順320は、解離フラップの自動識別を含む。この場合、画像セグメント化手順320は、血管の画像内の解離フラップを認識するように訓練された1つまたは複数の機械学習(ML)モデルを使用できる。画像セグメント化手順320は、MLモデルを使用して、画素を健康な組織、解離部分、真腔、偽腔などに属するものとして分類することによってセグメント化を実行できる。
【0123】
したがって、画像セグメント化手順320は、解離した血管内の真腔および偽腔の標示を伴う多相スタックの一相の受信を含む。
【0124】
画像セグメント化手順320は、血管の少なくとも一部の3D幾何学モデルを生成するために、血管などのオブジェクトに属するピクセルまたはボクセルを識別し、および/または血管の境界を形成するピクセルまたはボクセルを配置するために、当業者に知られているセグメント化技術を使用する。任意の適切なセグメント化技術を使用できることを理解されたい。画像セグメント化手順320は、これらに限られるわけではないが、低レベルのセグメント化(閾値処理、領域成長など)、モデルベースのセグメント化(マルチスペクトル、特徴マップ、動的プログラミング、カウンタ追従)、統計技術、ファジー技術、ならびに当技術分野で知られている他の技術などの変形可能なモデルおよび技術を使用して、ピクセル強度、テクスチャ、および/または他の属性のうちの1つまたは複数に基づいてスタックをセグメント化できる。1つまたは複数の他の実施形態では、画像セグメント化手順320の少なくとも一部は、解離した血管の境界を手動で描くことによって人間のオペレータによって実行されてもよい。
【0125】
画像セグメント化手順320は、多相スタックを使用して、解離した血管の3D幾何学モデルを生成し、血管の3D幾何学モデルは、少なくとも血管の壁および解離フラップの壁の表現を含む。
【0126】
1つまたは複数の実施形態では、解離した血管の3D幾何学モデルは、少なくとも、真腔、偽腔、解離フラップ、および画像に存在する場合、血管の健康な(解離していない)部分を含む。
【0127】
解離した血管の3D幾何学モデル、ならびに血管および解離フラップの表現を含む血管の3D幾何学モデルは、真腔および偽腔の3D幾何学的表現に対応し得るか、または、真腔および偽腔の3D幾何学的表現を得るために使用され得る。
【0128】
1つまたは複数の実施形態では、画像セグメント化手順320は、多相スタックの第1のまたは所与の相に基づいて、相0として識別される心周期の所与の時間に対応する、解離した血管の3D幾何学モデルを生成できる。多相スタックの任意の相を使用して、解離した血管の3D幾何学モデルを生成できることが理解されよう。
【0129】
解離した血管内の偽腔は、血管内の真腔から分離された解離フラップによって形成された管腔に対応する。
【0130】
図5は、画像セグメント化手順320によって出力されるA型AD(上行大動脈の外科的修復)の手術後の残存B型ADの3D幾何学モデル500の一例を示す。3D幾何学モデル500は、修復された上行大動脈および大動脈弓510、真腔520および偽腔530の提示を含む。このADの撮像された部分では、左鎖骨下動脈を越えてエントリー亀裂が識別される。
【0131】
図4に戻ると、画像セグメント化手順320は、解離した血管の3D幾何学モデルを出力する。
【0132】
平滑化および表面メッシュ化
平滑化および表面メッシュ化手順330は、とりわけ、(i)血管の壁および解離フラップを含む解離した血管の3D幾何学モデルを受信し、(ii)解離した血管の3D幾何学モデルを使用して、血管壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュを含む解離した血管の表面メッシュを生成するように構成される。一実施形態では、解離した血管の表面メッシュは、ノード、頂点、エッジ、面などを含む解離した血管の3D幾何学モデルの離散表現に対応する。
【0133】
1つまたは複数の実施形態では、解離した血管の表面メッシュは、解離した血管の真腔の表面メッシュおよび偽腔の表面メッシュを含む。
【0134】
平滑化および表面メッシュ化手順330は、血管の壁および解離フラップの表現を含む解離した血管の3D幾何学モデルを入力として受信する。
【0135】
一実施形態では、平滑化および表面メッシュ化手順330は、解離した血管の表面メッシュを生成する前に、解離した血管の3D幾何学モデルをフィルタリングまたはノイズ除去する。
【0136】
同じまたは別の実施形態では、平滑化および表面メッシュ化手順330は、解離した血管の表面メッシュを生成する前に、解離した血管の3D幾何学モデルを平滑化する。
【0137】
解離した血管の3D幾何学モデルから解離した血管の表面メッシュを生成するための任意の適切な方法を使用できることを理解されたい。たとえば、ポリゴンモデリングを用いてもよい。
【0138】
一実施形態では、解離した血管の3D幾何学モデルの表面メッシュは、小さな三角形要素またはシェルなどの小さな多角形要素の離散化された幾何学的形状の形態である。本技術の代替実施形態では、3D幾何学モデルの平滑化は任意であり得ることが理解されよう。
【0139】
一実施形態では、平滑化および表面メッシュ化手順330は、平滑化のためのTaubinフィルタおよび/または二次エッジ崩壊デシメーションを使用してシェルの数を減らす。非限定的な例として、解離した血管の表面メッシュは、約4,000個の三角形のシェル要素を有することができる。
【0140】
一実施形態では、解離した血管の3D幾何学モデルの表面メッシュの分解能は、少なくともピクセルサイズと同じ大きさである。一実施形態では、解離した血管の表面メッシュは、変形可能なメッシュである。
【0141】
平滑化および表面メッシュ化手順330は、解離した血管の真腔の壁の表面メッシュおよび偽腔の壁の表面メッシュに対応する、血管壁の表面メッシュおよび解離フラップの表面メッシュを得る。
【0142】
一実施形態では、真腔の表面メッシュおよび偽腔の表面メッシュは、解離フラップの表面メッシュを得るために生成される。
【0143】
平滑化および表面メッシュ化手順330は、解離した血管の表面メッシュを出力し、解離した血管の表面メッシュは、血管壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュを含む。
【0144】
動き追跡およびマッピング
動き追跡およびマッピング手順360は、とりわけ、(i)血管の壁の表面メッシュおよび解離フラップの表面メッシュを含む解離した血管の表面メッシュを受信し、(ii)全ての位相について解離した血管の多相スタックを受信し、(iii)心周期全体の表面メッシュのノード変位を取得するために、第1の段階(解離した血管の表面メッシュを生成するために使用された)の表面メッシュノードの各ボクセル位置を心周期の全ての後続の段階に追跡およびマッピングし、(iv)表面メッシュの変位したノードを使用して、心周期の全ての位相における解離した血管の表面メッシュの局所変形を決定するように構成される。
【0145】
動き追跡およびマッピング手順360は、画像セグメント化手順320によって出力された解離した血管の3D幾何学モデルの表面メッシュと、画像取得手順310によって出力された全ての位相の画像の多相スタックとを入力として受信する。1つまたは複数の実施形態では、動き追跡およびマッピング手順360は、データベース235から3D幾何学モデルおよび多相スタックを受信する。
【0146】
一実施形態では、動き追跡およびマッピング手順360は、ソフトウェアVirtual Touch Aortic Aneurysm(ViTAATM)を使用することによって実行され、その実施形態は国際特許出願公開第2018/068153号に記載されている。
【0147】
動き追跡およびマッピング手順360は、第1の相について作成された解離した血管の3D幾何学モデルの表面メッシュを多相スタック上にアップロードする。
【0148】
動き追跡およびマッピング手順360は、まず、第1の位相の解離した血管の表面メッシュを第1の位相の画像の3次元空間にインポートし、それにより、第1の位相の解離した血管の表面メッシュの各ノードについて、第1の位相の画像のそれぞれのボクセルを識別する。第1の位相についての解離した血管の表面メッシュの各ノードについて、第1の位相のその対応するボクセルのボクセル位置がノードに割り当てられる。次に、動き追跡およびマッピング手順360は、解離した血管の表面メッシュの各ノードについて、後続の位相全体にわたってその対応するボクセルの位置を追跡し、それにより、第1の位相の解離した血管の表面メッシュの各ボクセル位置を後続の全ての位相にマッピングする。異なる相における全てのボクセルの位置は、第1の相の表面メッシュにマッピングし戻され、第1の相における幾何学形状の各ノード位置は、後続の全ての位相に対応するノード位置に関連付けられ、それにより、各位相のそれぞれの変形された表面メッシュが得られる。したがって、心周期全体にわたるノード変位、すなわち異なる位相は、真腔および偽腔、ゆえに解離フラップについて決定され得る。結果として、変形された表面メッシュが各位相について得られ、所与の位相についての変形された表面メッシュの各ノードには、所与の位相の画像におけるその対応するボクセルのボクセル位置が割り当てられる。
【0149】
1つまたは複数の実施形態では、第1の位相の解離した血管の表面メッシュのボクセル位置の全ての後続の位相へのマッピングは、オプティカルフロー(OF)アルゴリズムを使用して実行される。当技術分野で知られている他の技術を使用して、ノード変位を追跡できることが理解されよう。
【0150】
一実施形態では、動き追跡およびマッピング手順360は、オブジェクトに対応するグレースケール特徴を検出し、その速度を計算することによって後続の時間ステップで撮影された画像間の所与の点などのオブジェクトの変位に従う。1つまたは複数の実施形態では、動き追跡およびマッピング手順360は、画像内のオブジェクトを追跡するために訓練された機械学習モデルを使用する。
【0151】
非限定的な例として、CT画像の場合、第1の相に対応するノードは、全ての後続の相に対応するノード位置を有するであろう。
【0152】
変位したノードのマップから、動き追跡およびマッピング手順360は、各位相についてそれぞれのメッシュを生成する。異なる位相における全てのボクセルの位置は、第1の位相の表面メッシュにマッピングし戻され、その結果、第1の位相における表面メッシュ形状の各ノード位置は、全ての後続の位相に対応するノード位置に関連付けられる、すなわち、初期表面メッシュ、すなわち第1の位相の表面メッシュは、後続の位相における対応するボクセルを追跡し、初期表面メッシュの各ノードの座標位置(または変位)を更新することによって全ての位相で変形された表面メッシュを生成するために使用される。
【0153】
動き追跡およびマッピング手順360は、解離した血管内の真腔および偽腔についての表面メッシュの各位相における局所変形を出力する。一実施形態では、所与の位相の局所変形は、所与の位相の表面メッシュの各ノードのボクセル位置、すなわち、表面メッシュの各ノードについて、ノードに対応するボクセルの所与の位相における位置を含む。別の実施形態では、所与の位相の局所変形は、第1の位相から所与の位相へのボクセル位置の変化など、前の位相から所与の位相までの間の表面メッシュの各ノードのボクセル位置の変化を含む。
【0154】
歪み計算
歪み計算手順370は、とりわけ、(i)心周期の各位相における血管壁および解離フラップの局所変形を含む、解離した血管の表面メッシュの局所変形を受信し、(ii)心周期の第1の位相における血管壁の表面メッシュおよび解離フラップ、(iii)局所変形および表面メッシュに基づいて、心周期の各位相における歪み分布を決定するように構成される。
【0155】
歪み計算手順370は、解離した血管内の真腔および偽腔の局所変形に対応する、心周期の各位相における血管壁の局所変形および解離フラップの局所変形を受信する。
【0156】
1つまたは複数の実施形態では、歪み計算手順370は、動き追跡およびマッピング手順360から心周期の各位相における血管壁の局所変形および解離フラップの局所変形を受信する。1つまたは複数の他の実施形態では、歪み計算手順370は、データベース235から心周期の各位相における血管壁の局所変形および解離フラップの局所変形を受信する。
【0157】
歪み計算手順370は、連続体力学技術を使用して、血管壁の表面メッシュおよび解離フラップの各位相における局所的な力学に基づいてインビボ歪みを計算する。歪み計算手順370は、心周期の各位相について表面メッシュの各ノードにおける歪みを計算し、心周期の各位相における歪み分布または歪みマップをもたらす。
【0158】
非限定的な例として、心周期の第1の位相における表面メッシュの1つの三角形要素を参照すると、基準座標系は、ノード1の中心と、ノード1からノード2へのA1、ノード1からノード3へのA2、および最初の2つに垂直な単位ベクトルであるA3として定義される3つのベクトルとで定義される。これらのノードおよびベクトルは、三角形要素の非変形基準構成を定義する。次に、A1、A2、およびA3は、心周期の後続の各位相について、現在の変形構成におけるノード1の新しい位置を中心とする対応する空間ベクトルa1、a2、a3にマッピングされる。各後続の位相を通じたメッシュ追跡から知られる面内ベクトル(A1、A2、およびa1、a2)および面外ベクトルa3に課される追加の組織非圧迫性制約により、変形勾配テンソルFの全ての構成要素は、方程式[ak]i=Fi
I[Ak]Iの系に基づいて計算され、k=1、2、3であり、[Ak]IはAkのI番目の構成要素であり、[ak]iはakのi番目の構成要素であり、Fi
IはテンソルFのi番目の構成要素である。当業者であれば、本例は三角形シェル要素に言及しているが、三角形以外の形状を有するシェル要素を使用してもよいことを理解するであろう。
【0159】
一実施形態では、歪み計算手順370は、変形勾配Fを取り、右コーシー・グリーン変形テンソルC=FTFおよび非線形グリーン・ラグランジェ歪みテンソルをE=1/2×(C-I)として計算し、次いでこれを対角化して主歪み値を得る。
【0160】
歪み計算手順370は、主歪み方向に沿った主歪み値を対角化グリーン・ラグランジェ歪みテンソルの固有値として計算する。1つまたは複数の実施形態では、歪み計算手順370は、血管の外壁の領域と解離フラップの領域の相対変位を表すような心周期の各位相における歪み測定値または歪みマップの分布を得るために、血管壁の表面メッシュおよび解離フラップの主歪み方向に沿った主歪み値を決定する。歪み計算手順370は、心周期の歪みマップのセットを出力し、各歪みマップは、心周期のそれぞれの位相に対応する主歪み値を含む。
【0161】
1つまたは複数の実施形態では、歪み計算手順370は、主曲率方向の歪みの投影を決定して、解離した血管の表面メッシュ上で追跡された各変位ノードの円周方向歪み値および軸方向歪み値を取得する。
【0162】
1つまたは複数の実施形態では、歪み計算手順370は、歪みマップのセットを使用することによって最大歪みマップを決定する。歪み計算手順370は、血管壁の表面メッシュおよび解剖学的フラップの心周期にわたる最大主歪み測定値または最大主歪みマップの分布を得るために、心周期の各位相における主歪み方向に沿った3つの主歪み値の最大として最大主歪み値を決定する。
【0163】
したがって、歪み計算手順370は、心周期にわたる主歪み値を含む歪みマップのセット、および心周期にわたる最大主歪み値を含む最大主歪みマップのうちの少なくとも1つを出力する。
【0164】
歪みマップのセット内の歪みマップの数は限定されず、画像取得手順310中に心周期にわたって照会される位相の数に依存することが理解されよう。
【0165】
主歪みまたは最大主歪みの値の数は限定されず、追跡面メッシュを定義する変位ノードの数に依存することを理解されたい。
【0166】
非限定的な例として、ECGゲート式動的取得手順が10個の位相を含む多相DICOMスタックを生成する一実施形態では、歪み計算手順370は、心周期の各位相に1つずつ、10個の歪みマップを出力するとともに、心周期にわたる最大主歪みの最終マップを出力する。
【0167】
別の非限定的な例として、画像取得手順310が低分解能の動的MRI取得を含む1つまたは複数の実施形態では、内膜解離フラップに沿った小さなエントリーおよび/またはリエントリー亀裂の存在および位置をより良好に識別するために、最終歪みマップを、T1強調スピンエコー(黒色血液)MRI取得、4DフローMRI取得、および位相コントラストMRI取得のうちの1つまたは複数と組み合わせて使用できる。
【0168】
対話型モデル生成
対話型モデル生成手順380は、とりわけ、(i)心周期にわたる解離した血管の歪みマップのセットおよび最大歪みマップのうちの少なくとも1つを受信し、(ii)解離した血管の3D幾何学モデルを受信し、(iii)解離した血管の3D幾何学モデルと、歪みマップのセットおよび最大歪みマップのうちの少なくとも1つとを使用して、解離した血管の対話型モデルを生成するように構成される。
【0169】
対話型モデル生成手順380は、心周期の異なる時点での3D幾何学モデルおよび歪みマップを使用して、心周期の各位相の歪み値を含む解離した血管の対話型モデルを生成する。
【0170】
追加的または代替的に、対話型モデル生成手順380は、3D幾何学モデルおよび最大歪みマップを使用して、心周期全体の最大歪み値を含む解離した血管の対話型モデルを生成する。最大歪みマップは歪みマップのセットに基づいて決定されることが理解されよう。
【0171】
1つまたは複数の実施形態では、対話型モデル生成手順380は、最終歪みマップを元の画像取得または利用可能な場合に上述の追加の取得のいずれかに重ね合わせ、したがって、画像融合および結合情報が同時に表示される。
【0172】
1つまたは複数の実施形態では、対話型モデルは解離した血管の3Dモデルを含み、解離した血管上の異なる位置の歪みは、心周期中の異なる時間に視覚化され得る。対話型モデル生成手順380は、異なる種類の視覚的標識を使用して、歪みの異なる値を色分けし、歪みの表示を可能にすることができる。
【0173】
対話型モデルは、個々の大動脈解離の評価および真腔と偽腔との間の区別を支援するために、心周期の各位相における大動脈壁および解離フラップの歪みマップを表示できるようにして大動脈の解離領域と非解離領域(画像上に存在する場合)との比較を可能にする。
【0174】
さらに、対話型モデルを使用して、真腔、偽腔および歪みマップを含む解離した血管を異なる角度、位置および詳細レベルで視覚化し、解離した血管の3D表現を生成するために使用された画像を表示し、解離した血管および所与の患者に関する情報、ならびに解離した血管を評価するために医療専門家によって使用され得る任意の他の関連情報を表示できる。
【0175】
1つまたは複数の実施形態では、AD歪みマッピング手順300は、後続の時間(すなわち、所与の患者の解離した血管の新しい画像の取得後)に所与の患者について繰り返され、結果(すなわち、歪みマップおよび幾何学モデル)は、歪みの時間的進展および解離した血管の幾何学的形状が評価および比較され得るように対話型モデルに含まれ得る。
【0176】
対話型モデル生成手順380は、心周期にわたる歪みマップを含む解離した血管の対話型モデルを出力する。
【0177】
1つまたは複数の実施形態では、対話型モデル生成手順380は、ワークステーションコンピュータ215または電子デバイス100のディスプレイインターフェース140上などのディスプレイインターフェース上に表示するための対話型モデルを送信する。
【0178】
1つまたは複数の実施形態では、AD歪みマッピング手順300は、AD歪み分析手順390を含む。
【0179】
AD歪み分析
AD歪み分析手順390は、歪み計算手順370および対話型モデル生成手順380によって出力された解離した血管の歪みマップを使用してさらなる分析を実行するように構成される。
【0180】
1つまたは複数の実施形態では、AD歪み分析手順390は、大動脈解離の分析を実行するように訓練された1つまたは複数の機械学習(ML)モデルを使用できる。非限定的な例として、そのような1つまたは複数のMLモデルは、臨床データおよび医療データと組み合わせてAD歪みマッピング手順300の出力で訓練できる。
【0181】
1つまたは複数の実施形態では、AD歪み分析手順390は、個々の大動脈解離の評価および真腔と偽腔との間の区別を支援するために、心周期の各位相における大動脈壁および解離フラップの歪みマップの分析を実行して大動脈の解離領域と非解離領域(画像上に存在する場合)との比較を可能にする。
【0182】
1つまたは複数の実施形態では、AD歪み分析手順390は、診断および疾患管理目的のための臨床評価を支援するために、心周期の各位相における大動脈壁および解離フラップの歪みマップの分析を実行して、解離フラップの可動性に関する情報を提供し、かつ偽腔の加圧および心周期にわたる真腔の圧迫を識別する。
【0183】
1つまたは複数の実施形態では、AD歪み分析手順390は、心周期の各位相における解離フラップの歪みマップの分析を実行して、亀裂の進展ならびに偽腔の流れおよび開存性の増大を促進する亀裂の拡大を予測する可能性がある亀裂付近の領域および亀裂縁における領域的脆弱化を識別し、したがって個々の解離の臨床評価および診断を支援する。
【0184】
1つまたは複数の実施形態では、AD歪み分析手順30は、歪みの時間的進展を評価し、かつ疾患進行に悪影響を及ぼす可能性が高い急速な変性および脆弱化プロセスを示す局所歪みの急速な変化を識別するために、ベースラインスキャンに対して1つまたは複数のフォローアップスキャンで心周期にわたって大動脈壁および解離フラップの歪みマップの分析を実行し、したがって個々の解離の臨床評価および診断を支援する。
【0185】
AD歪みマッピング手順300は、偽腔を加圧し、心周期にわたって真腔を圧迫し、下流器官への血液供給が制限されることに起因する合併症をもたらし得る偽腔における血液の存在など、解離フラップによって作り出された流路(たとえば、真腔および偽腔)間の相互作用を視覚化し評価することを可能にする。AD歪みマッピング手順300は、歪みを使用して解離した血管内の亀裂点を特定および識別することを可能にし、これを使用してさらなる亀裂を予測でき、ならびに解離した血管内の真腔と偽腔との間の相互作用を理解できる。
【0186】
AD歪みマッピング手順300は、大動脈の均一な材料特性を仮定して、せん断応力計算、厚さ計算、および計算流体力学(CFD)または流体構造相互作用(FSI)シミュレーションを使用する必要がなく、したがって、解離した血管内の歪みのより効率的で現実的な評価を提供することが理解されよう。
【0187】
一実施形態では、計算流体力学(CFD)シミュレーションは、明らかな偽腔の流れが識別されたときに真腔および偽腔の血流を推定し、解離の下流の器官への血液灌流に関する相補的情報を提供するために、歪みマップと併せて使用され得る。
【0188】
方法の説明
図6は、解離した血管の歪みマップを生成する方法600のフローチャートを示し、方法600は、本技術の1つまたは複数の非限定的な実施形態によって実行可能である。
【0189】
方法600は、処理デバイスによって実行される。たとえば、方法600は、サーバ230またはワークステーションコンピュータ215によって実行されてもよい。一実施形態では、サーバ230は、コンピュータ可読命令を記憶するソリッドステートドライブ120および/またはランダムアクセスメモリ130などの非一時的記憶媒体に動作可能に接続されたプロセッサ110および/またはGPU111を備える。処理デバイスは、コンピュータ可読命令を実行すると、方法600を実行するように構成される。
【0190】
方法600は、複数の電子デバイスによって実行されてもよいことに留意されたい。
方法600は、処理ステップ602で開始する。
【0191】
処理ステップ602において、処理デバイスは、医療用撮像装置210などのECGゲート式医療用撮像装置を使用することによって取得された、心周期中の所与の被験者の血管の複数の画像を受信する。
【0192】
1つまたは複数の他の実施形態では、複数の画像は、ワークステーションコンピュータ215、データベース235、および医療用撮像装置210のうちの少なくとも1つから受信される。
【0193】
処理ステップ604において、処理デバイスは、複数の画像を多相スタックに編成する。1つまたは複数の実施形態では、ワークステーションコンピュータ215は、複数の画像を多相スタックに編成し、多相スタックをサーバ230に送信できる。多相スタックの所与の位相は、心周期の所与の時間における解離した血管を表す。
【0194】
処理ステップ606において、処理デバイスは、多相スタックをセグメント化することによって、解離した血管の3D幾何学モデルを生成する。3D幾何学モデルは、解離した血管の壁および解離フラップを含む。処理デバイスは、位相0として識別される心周期の時間に対応する、多相スタックの第1の位相に基づいて3D幾何学的形状を生成する。
【0195】
1つまたは複数の実施形態では、処理デバイスは、1つまたは複数の機械学習モデルを使用して複数の画像および/または多相スタックのセグメント化を実行して、解離フラップによって画定された真腔と偽腔とを含む、解離した血管の3D幾何学モデルを取得する。1つまたは複数の他の実施形態では、処理デバイスは、解離した血管の3D幾何学モデルを生成するために、解離フラップおよび大動脈壁の標示を受信する。
【0196】
処理ステップ608において、処理デバイスは、3D幾何学モデルを使用して、多相スタックの第1の位相の解離した血管の少なくとも一部の表面メッシュを生成し、表面メッシュは、壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュを含む。
【0197】
1つまたは複数の実施形態では、解離した血管の表面メッシュは、解離した血管の真腔の表面メッシュおよび偽腔の表面メッシュを含む。
【0198】
1つまたは複数の実施形態では、処理デバイスは、解離した血管の3D幾何学モデルの表面メッシュを得るために、解離した血管の3D幾何学モデルを平滑化およびメッシュ化する。一実施形態では、解離した血管の3D幾何学モデルの表面メッシュは、小さな三角形要素の離散化された幾何学形状の形態である。
【0199】
処理ステップ610において、処理デバイスは、解離した血管の少なくとも一部の表面メッシュおよび多相スタックを使用して、表面メッシュのボクセルを多相スタックにマッピングすることによって、多相スタックの各位相における局所変形を決定する。
【0200】
1つまたは複数の実施形態では、処理デバイスは、第1の位相の表面メッシュの各ボクセル位置を全ての後続の位相にマッピングする。異なる相における全てのボクセルの位置は、第1の相の表面メッシュにマッピングし戻され、第1の相における幾何学形状の各ノード位置は、後続の全ての位相に対応するノード位置に関連付けられる。処理デバイスは、心周期全体、すなわち異なる位相にわたってノード変位を決定する。次に、処理デバイスは、心周期全体のノード変位を使用して、多相スタックの各位相、すなわち心周期中の異なる時間における局所変形を決定する。局所変形は、ノード変位を示し、所与の患者の心周期中に血液が解離した血管内を流れるときに真腔および偽腔の表面の部分の位置を監視することを可能にする。
【0201】
方法600は、処理ステップ612に進む。
処理ステップ612において、処理デバイスは、各位相における局所変形と、血管壁の表面メッシュおよび解離フラップの表面メッシュとを使用して、歪みマップのセットと、心周期の所与の位相の血管壁の表面メッシュおよび解離フラップの表面メッシュにおける主歪み値を含む歪みマップのセットの所与の歪みマップとを生成する。歪みマップのセットは、心周期の所与の位相の少なくとも1つの歪みマップを含む。1つまたは複数の実施形態では、歪みマップは、解離した血管の軸方向歪み値および円周方向歪み値を含む。
【0202】
1つまたは複数の実施形態では、歪みマップのセットは、心周期の各位相の歪みマップを含む。
【0203】
1つまたは複数の実施形態では、方法600は処理ステップ616に進む。1つまたは複数の代替実施形態では、方法600は、処理ステップ612で終了してもよい。
【0204】
処理ステップ614において、処理デバイスは、歪みマップのセットに基づいて、心周期にわたる血管壁の表面メッシュおよび解離フラップの表面メッシュにおける最大主歪み値を示す最大歪みマップを生成する。処理デバイスは、血管壁の表面メッシュおよび解離フラップの心周期にわたる最大主歪みマップを得るために、心周期の各位相における3つの主歪み値の最大として最大主歪み値を決定する。
【0205】
1つまたは複数の実施形態では、方法600はステップ616に進む。1つまたは複数の代替実施形態では、方法600は、処理ステップ614で終了してもよい。
【0206】
処理ステップ616において、処理デバイスは、3D幾何学モデルと、歪みマップのセットおよび最大歪みマップのうちの少なくとも1つとを使用して、解離した血管の対話型モデルを生成する。
【0207】
1つまたは複数の実施形態では、処理デバイスは、表示のために解離した血管の対話型モデルを送信する。1つまたは複数の実施形態では、処理デバイスは、ディスプレイインターフェース140および/または入力/出力インターフェース150などのディスプレイ画面上に表示するために、解離した血管の対話型モデルを送信する。
【0208】
ここで、方法600は終了する。
処理ステップ602~616は、解離した血管の進展を評価するために所与の患者に対して異なる時間に繰り返されてもよい。1つまたは複数の実施形態では、処理デバイスは、歪みマップを使用して、解離した血管における領域的脆弱化を予測する。追加的または代替的に、処理デバイスは、歪みマップを使用して、解離した血管内の解離亀裂の拡大を予測する。
【0209】
本明細書で言及される全ての技術的効果が、本技術のありとあらゆる実施形態において享受される必要はないことを明確に理解されたい。たとえば、本技術の実施形態は、ユーザがこれらの技術的効果のいくつかを享受することなく実装されてもよく、他の非限定的な実施形態は、ユーザが他の技術的効果を享受するか、または全くすることなく実装されてもよい。
【0210】
これらのステップおよび信号送信-受信のいくつかは当技術分野で周知であり、したがって、簡略化のためにこの説明の特定の部分では省略されている。信号は、光学的手段(光ファイバ接続など)、電子的手段(有線または無線接続など)、および機械的手段(たとえば、圧力ベース、温度ベース、または任意の他の適切な物理的パラメータベース)を使用して送受信できる。
【0211】
本技術の上述の実装に対する変更および改良は、当業者には明らかになり得る。前述の説明は、限定ではなく例示であることを意図している。したがって、本技術の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の被験者の解離した血管の歪みマップを生成するための方法であって、前記方法は、プロセッサによって実行され、前記方法は、
前記所与の被験者の前記解離した血管の複数の画像から生成された多相スタックを受信するステップであって、前記多相スタックの各位相は、心周期のそれぞれの時点における前記解離した血管を表す、ステップと、
前記多相スタックの少なくとも一部を使用して、前記解離した血管の少なくとも一部の3D幾何学モデルを生成するステップであって、前記3D幾何学モデルは、前記解離した血管の壁および解離フラップを含む、ステップと、
前記3D幾何学モデルを使用して、前記多相スタックの前記位相のうちの所与の1つについて前記解離した血管の少なくとも前記一部の表面メッシュを生成するステップであって、前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記表面メッシュは、血管壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュを含む、ステップと、
前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記表面メッシュおよび前記多相スタックを使用して、前記解離した血管の前記表面メッシュの各ノードを前記多相スタックの前記位相の各々の、それぞれのボクセルにマッピングすることによって、前記多相スタックの各位相における局所変形を決定するステップと、
前記位相の各々における前記局所変形と、前記血管壁表面メッシュおよび前記解離フラップ表面メッシュとを使用して、歪みマップのセットを生成するステップであって、前記歪みマップのセットの所与の歪みマップは、前記心周期の対応する位相についての前記解離した血管の前記表面における主歪み値を含む、ステップと、
前記歪みマップのセットを出力するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記歪みマップのセットを生成する前記ステップは、前記所与の歪みマップについて、前記解離した血管の前記表面メッシュ上の円周方向歪み値および軸方向歪み値を取得するために、主曲率方向に歪みを投影するステップを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記多相スタックを使用して、前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記3D幾何学モデルを生成する前記ステップは、
前記多相スタックをセグメント化してセグメント化された解離した血管を得、前記セグメント化された解離した血管を使用して前記3D幾何学モデルを得るステップを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記表面メッシュの各ノードを前記多相スタックの前記位相の各々の、前記それぞれのボクセルにマッピングする前記ステップは、オプティカルフローアルゴリズムを使用して実行される、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記3D幾何学モデルは、真腔および偽腔の標示を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記解離した血管の前記歪みマップのセットを使用して、前記解離フラップの可動性を評価するステップと、
前記心周期にわたる前記偽腔の加圧および前記真腔の圧迫を識別するステップと、をさらに含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記解離した血管の少なくとも一部の前記3D幾何学モデルは、前記血管の健康な非解離領域の標示をさらに含
み、
前記方法は、前記心周期にわたる前記解離した血管の前記歪みマップのセットおよび前記健康な非解離領域の前記標示を使用して、前記解離した血管の領域的脆弱化を決定するステップをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記解離フラップの前記歪みマップのセットを使用して、前記解離した血管内の解離亀裂の拡大を予測するステップをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
後続の時間に取得された前記所与の被験者の前記解離した血管の第2の多相スタックに対して前記方法を繰り返し、それにより、前記解離した血管のさらなる3D幾何学モデルおよび前記後続の時間に対するさらなる歪みマップのセットを得るステップをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
前記歪みマップのセットおよび前記さらなる歪みマップのセットを使用して、前記解離した血管におけるさらなる領域的脆弱化
と、前記解離した血管における解離亀裂のさらなる拡大とのうちの少なくとも一方を予測するステップをさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
プロセッサと、
前記プロセッサに動作可能に接続された非一時的記憶媒体であって、前記非一時的記憶媒体は、その中に記憶されたコンピュータ可読命令を含む、非一時的記憶媒体と、
を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータ可読命令を実行すると、
前記所与の被験者の前記解離した血管の複数の画像から生成された多相スタックを受信することであって、前記多相スタックの位相の各々は、心周期のそれぞれの時点における前記解離した血管を表す、受信することと、
前記多相スタックの少なくとも一部を使用して、前記解離した血管の少なくとも一部の3D幾何学モデルを生成することであって、前記3D幾何学モデルは、前記解離した血管の壁および解離フラップを含む、生成することと、
前記3D幾何学モデルを使用して、前記多相スタックの前記位相のうちの所与の1つについて前記解離した血管の少なくとも前記一部の表面メッシュを生成することであって、前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記表面メッシュは、血管壁表面メッシュおよび解離フラップ表面メッシュを含む、生成することと、
前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記表面メッシュおよび前記多相スタックを使用して、前記解離した血管の前記表面メッシュの各ノードを前記多相スタックの前記位相の各々の、それぞれのボクセルにマッピングすることによって、前記多相スタックの各位相における局所変形を決定することと、
前記位相の各々における前記局所変形と、前記血管壁表面メッシュおよび前記解離フラップ表面メッシュとを使用して、歪みマップのセットを生成することであって、前記歪みマップのセットの所与の歪みマップは、前記心周期の対応する位相についての前記解離した血管の前記表面における主歪み値を含む、生成することと、
前記歪みマップのセットを出力することと、を実行するように構成されている、システム。
【請求項12】
前記歪みマップのセットを前記生成することは、前記所与の歪みマップについて、前記解離した血管の前記表面メッシュ上の円周方向歪み値および軸方向歪み値を取得するために、主曲率方向に歪みを投影することを含む、請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
前記多相スタックを使用して、前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記3D幾何学モデルを前記生成することは、
前記多相スタックをセグメント化してセグメント化された解離した血管を得、前記セグメント化された解離した血管を使用して前記3D幾何学モデルを得ることを含む、請求項
11に記載のシステム。
【請求項14】
前記表面メッシュの各ノードを前記多相スタックの前記位相の各々の、前記それぞれのボクセルに前記マッピングすることは、オプティカルフローアルゴリズムを使用して実行される、請求項
11に記載のシステム。
【請求項15】
前記解離した血管の少なくとも前記一部の前記3D幾何学モデルは、真腔および偽腔の標示を含む、請求項
11に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記解離した血管の前記歪みマップのセットを使用して、前記解離フラップの可動性を評価することと、
前記心周期にわたる前記偽腔の加圧および前記真腔の圧迫を識別することと、を実行するようにさらに構成されている、請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
前記解離した血管の少なくとも一部の前記3D幾何学モデルは、前記血管の健康な非解離領域の標示をさらに含
み、
前記プロセッサは、前記心周期にわたる前記解離した血管の前記歪みマップのセットおよび前記健康な非解離領域の前記標示を使用して、前記解離した血管の領域的脆弱化を決定するようにさらに構成されている、請求項
11に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記歪みマップのセットを使用して、前記解離した血管内の解離亀裂の拡大を予測するようにさらに構成されている、請求項
11に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、後続の時間に取得された前記所与の被験者の前記解離した血管の第2の多相スタックに対して前記コンピュータ可読命令を実行し、それにより、前記解離した血管のさらなる3D幾何学モデルおよび前記後続の時間のさらなる歪みマップを得るようにさらに構成されている、請求項
11に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記歪みマップのセットおよび前記さらなる歪みマップのセットを使用して、前記解離した血管におけるさらなる領域的脆弱化
と、前記解離した血管における解離亀裂のさらなる拡大とのうちの少なくとも一方を予測するようにさらに構成されている、請求項
19に記載のシステム。
【国際調査報告】