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特表2024-505355ケーブルおよび/またはパイプを仕切り開口部に通すためのトランジットならびにそのようなトランジットの使用
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  • 特表-ケーブルおよび/またはパイプを仕切り開口部に通すためのトランジットならびにそのようなトランジットの使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】ケーブルおよび/またはパイプを仕切り開口部に通すためのトランジットならびにそのようなトランジットの使用
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/02 20060101AFI20240130BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20240130BHJP
   E04B 2/74 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
F16L5/02 D
H02G3/22
E04B2/74 541G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539941
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 SE2021051237
(87)【国際公開番号】W WO2022146216
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】2150001-2
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506259461
【氏名又は名称】ロックステック アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】トルンストレーム トニー
【テーマコード(参考)】
5G363
【Fターム(参考)】
5G363AA01
5G363AA03
5G363BA01
5G363BA07
5G363CA06
5G363CA14
5G363CB12
(57)【要約】
少なくとも1つのケーブル(11)および/または少なくとも1つのパイプを仕切り(12)における開口部(22)に通すためのトランジットであって、トランジットは、第1のフレーム(19)、第2のフレーム(20)を備え、第2のフレーム(20)には、貫通開口(24)設けられ、第1のフレーム(19)には、ネジ込み式の締結ネジ(23)を受け入れるための穴(25)が設けられるので、第1のフレーム(19)および第2のフレーム(20)は、締結ネジによって仕切り(12)の両側で固定することができる。トランジット(10)は、第1のフレーム(19)および第2のフレーム(20)を係合するための仕切り開口ライナー(21)をさらに備え、第1のフレーム(19)と第2のフレーム(20)との間に軸方向に延びる半径方向に並んだ通路を形成する。このようなトランジット(10)の使用も開示される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのケーブル(11)および/または少なくとも1つのパイプを仕切り(12)における開口部(22)に通すためのトランジット(10)であって、前記トランジットは、第1のフレーム(19)、第2のフレーム(20)、および前記第1のフレーム(19)を前記第2のフレーム(20)に締結するための締結ネジ(23)を備え、前記第2のフレーム(20)には、前記締結ネジ(23)のための貫通開口(24)が設けられ、前記第1のフレーム(19)には、ネジ(23)のネジ端を受け入れるためのネジ穴(25)が設けられ、これにより、前記第1のフレーム(19)および前記第2のフレーム(20)は、前記締結ネジ(23)によって前記仕切り(12)の両側で固定することができ、
前記トランジット(10)は、前記第1のフレーム(19)および前記第2のフレーム(20)を係合するための仕切り開口ライナー(21)をさらに備え、それによって、前記第1のフレーム(19)と前記第2のフレーム(20)との間に軸方向に延びる半径方向に並んだ通路を形成する、トランジット。
【請求項2】
前記仕切り開口ライナー(21)は、前記仕切り開口ライナー(21)を形成するために互いに協働する第1のライナー要素(21a)および第2のライナー要素(21b)を少なくとも備える、請求項1に記載のトランジット。
【請求項3】
ライナー要素(21a~c)は、弾性材料で形成され、前記第1のライナー要素(21a)は、前記第1のフレーム(19)をシールし、前記第2のライナー要素(21b)は、前記第2のフレーム(20)をシールし、前記ライナー要素(21a~c)は、前記第1のフレーム(19)と前記第2のフレーム(20)との間に軸方向に延びる通路を半径方向にシールするために軸方向に隣接するライナー要素をシールする、請求項2に記載のトランジット。
【請求項4】
前記ライナー要素(21a~c)は、前記締結ネジ(23)のための貫通穴(26)を備えて形成される、請求項3に記載のトランジット。
【請求項5】
前記ライナー要素(21a~c)は、ゴムまたはエラストマー材料から形成される、請求項3または4に記載のトランジット。
【請求項6】
前記ライナー要素(21a~c)のうちの少なくとも1つは、軸方向に異なる厚さで形成される、請求項3~5のいずれか一項に記載のトランジット。
【請求項7】
前記ライナー要素(21a、21b)のうちの一方は、他方のライナー要素(21a、21b)に入れ子式で受け入れられる、請求項2に記載のトランジット。
【請求項8】
前記第1のライナー要素(21a)は、前記第1のフレーム(19)に接続され、前記第2のライナー要素(21b)は、前記第2のフレーム(20)に取り付けられる、請求項7に記載のトランジット。
【請求項9】
前記第2のライナー要素(21b)は、前記締結ネジ(23)を介して前記第2のフレーム(20)に取り付けられる、請求項8に記載のトランジット。
【請求項10】
前記第1のフレーム(19)は、仕切り開口部(22)に挿入するための軸方向に延びる突出部(28)を備え、前記突出部(28)には、前記締結ネジ(23)を受け入れるための穴(25)が設けられる、請求項1~9のいずれか一項に記載のトランジット。
【請求項11】
前記突出部(28)は、前記締結ネジ(23)を受け入れるための前記穴(25)を有するフランジ(29)を備える、請求項10に記載のトランジット。
【請求項12】
少なくとも前記第1のフレーム(19)は、貫通開口部の周囲に閉じたループを形成する、請求項1~11のいずれか一項に記載のトランジット。
【請求項13】
少なくとも前記第1のフレーム(19)には、仕切り開口部(22)の周囲で前記仕切り(12)と係合するためのシーリングシート(30)が設けられる、請求項1~12のいずれか一項に記載のトランジット。
【請求項14】
前記ケーブル(11)またはパイプを受け入れるための少なくとも1つのシーリングモジュール(13)であって、前記シーリングモジュール(13)は、前記第1のフレーム(19)の内側に配置され、2つのモジュール半体(16)から形成され、各モジュール半体(16)は、半円筒形の溝(18)を有する、シーリングモジュール(13)と、前記シーリングモジュール(13)を圧縮するための前記第1のフレーム(19)の内側に配置される圧縮ユニット(14)とを備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のトランジット。
【請求項15】
各モジュール半体(16)の前記半円筒形の溝(18)に配置される複数の剥離可能なシート(17)を備える、請求項14に記載のトランジット。
【請求項16】
コンクリートの仕切り(12)またはパネルが設けられた間柱を備える仕切り(12)の仕切り開口部(22)における、請求項1~15のいずれか一項に記載のトランジット(10)の使用。
【請求項17】
前記仕切り(12)は、少なくとも50mm、例えば少なくとも80mmまたは少なくとも100mmの厚さ(T)を有する、請求項16に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのケーブルまたはパイプを仕切り開口部(partition opening)に通すためのトランジット(transit)に関する。より具体的には、本発明は、第1のフレーム、第2のフレーム、および第1のフレームを第2のフレームに締結するための締結ネジを備え、第1のフレームおよび第2のフレームは、締結ネジによって仕切りの両側に固定することができる、そのようなトランジットに関する。このタイプのトランジットは、一般に、耐力壁、外壁、および工業用建物、研究所、研究施設、住宅、マンション(apartment buildings)、商業ビル、およびその他の建物などの建造物の任意の他のタイプの壁を含む、壁、床、屋根、および天井などの仕切りにケーブルおよびパイプを通すために使用される。トランジットは、一般に、電気、通信、コンピュータなどのためのケーブル、または水、圧縮空気、油圧油、調理用ガス、もしくはその他のタイプの液体もしくは気体などの様々な気体もしくは液体のためのパイプを通すためのものである。
【0002】
本発明は、そのようなトランジットの使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
ケーブルおよびパイプを仕切りに通すための複数の異なるトランジットが先行技術において公知である。1つの先行技術のトランジットは、多数のシーリングモジュールを受け入れる矩形または円形のフレームと、モジュールを圧縮するための圧縮ユニットとを備える。フレームは、フレームを仕切りにネジ止めまたはボルト締めすることによって、仕切り開口部の周囲で仕切りに締結される。次に、シーリングモジュールが、ケーブルおよびパイプを囲むように配置され、ウェッジ(wedge)などの圧縮ユニットとともにフレームの内側に配置され、シーリングモジュールは、シールされたトランジットを設けるために圧縮ユニットによって圧縮されて、ケーブルおよびパイプならびにフレームの内壁を押し付ける。
【0004】
しかしながら、一部の用途では、そのようなトランジットの遮蔽またはシール特性を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
上記を考慮して、本発明の1つの目的は、少なくとも1つのケーブルまたはパイプを仕切り開口部に通すためのトランジットを提供することであり、このトランジットは、改善された遮蔽またはシール特性を提供する。本発明によるトランジットは、仕切りの少なくとも一方の側が、高い衛生要件にさらされるか、または低レベルの微粒子が要求される用途に特に有用である。例えば、本発明の一実施形態によるトランジットは、クリーンルーム、研究室、病院および同様の施設、さらに精密機器のための施設に特に有用であり得る。
【0006】
本発明は、少なくとも1つのケーブルおよび/またはパイプを仕切り開口部に通すためのトランジットであって、トランジットは、第1のフレーム、第2のフレーム、および第1のフレームを第2のフレームに締結するための締結ネジを備え、第2のフレームには、締結ネジのための貫通開口(through apertures)が配置され、第1のフレームには、ネジのネジ端を受け入れるためのネジ穴が配置されるので、第1のフレームおよび第2のフレームは、締結ネジによって仕切りの両側(opposit sides)で固定することができ、トランジットは、第1のフレームおよび第2のフレームを係合するための仕切り開口ライナー(liner)をさらに備え、それによって、第1のフレームと第2のフレームとの間に軸方向に延びる半径方向に並んだ通路(lined passage)を形成する、トランジットを提供する。本発明による第1のフレームおよび第2のフレームの固定と仕切り開口ライナーとの組み合わせにより、仕切り開口部を効果的に遮蔽またはシールして、仕切りにネジ穴を回避し、また、第1のフレームの露出した外面からのネジ穴を回避しながら並んだ通路を設けることが可能になる。したがって、仕切りを通る通路は、仕切りから塵および破片(debris)が通路に侵入することを効果的に防ぐように並べることができ、様々な実施形態によれば、また、通路と仕切りとの間の液体または気体の漏れを防ぐために通路を仕切りからシールすることもできる。また、第1のフレームの露出した外面はネジのための穴を備えずに配置することができる。これは、研究室、クリーンルーム、手術室および同様の施設、ならびに精密機器のための施設などの、高い衛生基準および/または低レベルの微粒子が要求される環境に特に有用である。
【0007】
仕切り開口ライナーは、仕切り開口ライナーを形成するために互いに協働する第1のライナー要素(element)および第2のライナー要素を少なくとも備えることができ、トランジットは、異なる厚さの仕切りに容易に適合することができる。
【0008】
第1の態様によれば、仕切り開口ライナーは、ゴムまたはエラストマー材料などの弾性(resilient)シーリング材料で形成された複数のライナー要素を備えることができ、ライナー要素は、仕切り開口部を通る第1のフレームと第2のフレームとの間に軸方向に延び、半径方向にシールされた通路を形成するために軸方向に互いに隣接して配置することができる。最も外側のライナー要素は、第1のフレームおよび第2のフレームを直接または間接的にシールすることができる。
【0009】
ライナー要素は、締結ネジのための貫通穴を備えて形成することができる。したがって、仕切り開口ライナーを仕切りの厚さに適合するように選択された複数のライナー要素などのライナー要素を容易に取り付けることができ、弾性ライナー要素の場合、トランジットをシールするために効果的に圧縮することができる。
【0010】
ライナー要素は、ライナー要素のセットを提供するために軸方向に異なる厚さを備えて形成することができ、これにより、仕切りの厚さに容易に適合することができ、弾性ライナー要素の場合、トランジットをシールするために適切な圧縮を提供することができる。
【0011】
第2の態様によれば、ライナー要素は、仕切り開口ライナーを仕切りの厚さに容易に適合するように入れ子式の(伸縮構造、telescopic structure)構造を形成する。第1のライナー要素は、例えば、溶接などの固定接続、もしくは第1のフレームの内側から配置されるネジなどの取り外し可能な接続を介して、または本質的に弾性の可撓性部分もしくは同様のものによるフォームフィット(form-fit)接続を介して第1のフレームの内側に取り付けることができる。したがって、第1のライナー要素は、第1のフレームの外側に平滑な連続表面(continuous surface)を提供するために任意の締結手段によって第1のフレームを貫通せずに第1のフレームに取り付けることができ、これにより、衛生面に関して有益になり、トランジットのシーリング特性を改善することができる。第2のライナー要素は、溶接などを介して第2のフレームに固定することができるか、または効率的な取り付けのために締結ネジを介して第2のフレームに接続することができる。
【0012】
第1のフレームは、仕切り開口部に挿入するための軸方向に延びる突出部(protrusion)を備えることができ、この突出部には、締結ネジを受け入れるための穴が設けられてもよい。穴を備える突出部は、第1のフレームの部分を仕切り開口部に動かすことによって効率的なシーリングを提供し、また、効率的な様式の改善された締結および締付の可能性を提供する。ネジのための穴は、半径方向外側または内側に延びる突出部のフランジ(flange)に配置することができる。次いでフランジは、フレームのフレームプレートから離れて配置され、穴は、フレームの外面を妨げずに締結ネジを受け入れるための貫通孔であってもよい。あるいは、締結ネジを受け入れるための第1のフレームの穴は、ネジ込み式の止まり穴(blind holes)であってもよい。いずれにしても、第1のフレームは、第1のフレームの露出した外側を貫通せずに締結ネジを介して第2のフレームに接続することができ、それによって、第1のフレームの外側に平滑な連続表面を提供することができ、これは、衛生面に関して有益であり、トランジットのシーリング特性を改善することができる。
【0013】
本発明はまた、コンクリートの仕切りまたはパネルが設けられた間柱(studs)を備える仕切り、例えば、少なくとも50mm、少なくとも80mmまたは少なくとも100mmの厚さを有する仕切りの仕切り開口部におけるトランジットの使用に関する。例えば、仕切りは、金属板の形態のパネルを備える。
【0014】
あるいは、仕切りは、プラスチック材料を含むシートの形態のパネルを備える。例えば、仕切りは、互いに向かい合い、それらの間に、絶縁である2つのパネル、例えば、ミネラルウール、ガラスウールまたは同様のものを備える。例えば、仕切りはサンドイッチ構造である。
【0015】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の実施形態の説明、添付の図面および従属請求項から明らかになるであろう。本発明は、実施形態の例によって、添付の図面を参照しながら以下でさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態によるトランジットの概略斜視図であり、このトランジットは、壁の形態の仕切りに配置され、シーリングモジュール、ステイプレートおよび圧縮ユニットを備える。
図2】一実施形態によるトランジットの概略正面図であり、このトランジットは、シーリングモジュール、ステイプレートおよび圧縮ユニットを備える。
図3】一実施形態によるトランジットのためのシーリングモジュール半体の概略斜視図である。
図4】本発明の第1の態様によるトランジットの概略分解斜視図である。
図5】第1の態様によるトランジットの別の概略分解斜視図である。
図6】第1の態様によるトランジットの概略斜視図である。
図7】第1の態様によるトランジットの概略分解側面図である。
図8】壁の形態の仕切りに配置された図7のトランジットを示す概略側面図である。
図9】本発明の第2の態様によるトランジットの概略分解斜視図である。
図10】第2の態様によるトランジットの概略分解側面図である。
図11】壁の形態の仕切りに配置された第2の態様によるトランジットの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照すると、一実施形態による、少なくとも1つのケーブル11および/または少なくとも1つのパイプを仕切り12に通すためのトランジット10が概略的に例示される。トランジット10は、壁、床、屋根または天井の形態の仕切り12に1つまたは複数のケーブル11および/またはパイプを通すように配置される。例えば、トランジット10は、コンクリート壁もしくはコンクリート床などのコンクリートを含む仕切り12、またはパネルが設けられた間柱を含む仕切り12に取り付けられるように配置される。例えば、トランジット10は、電気、通信、コンピュータなどのためのケーブルなどのケーブル11、または水、圧縮空気、油圧油、調理用ガスもしくは他のタイプの液体もしくは気体などの異なる気体もしくは液体のためのパイプを通すように配置される。例えば、トランジット10は、第1のエリアと第2のエリアとの間に1つまたは複数のケーブル11および/またはパイプを通すように配置され、少なくとも第1のエリアは、衛生および/または低レベルの微粒子に関して要求が高いエリアである。そのようなエリアは、例えば、研究室、クリーンルーム、手術室および同様の施設、ならびに精密機器のための施設であり得る。仕切り12は、第1のエリアと第2のエリアとを分離する。
【0018】
図1によるトランジット10は、1つまたは複数のシーリングモジュール13、圧縮ユニット14、および必要に応じてステイプレート(stayplates)15を受け入れるように配置される。シーリングモジュール13は、異なるサイズで配置されてもよく、複数の異なるシーリングモジュール13が、異なる構成で配置されてもよく、それはまた、図12を参照して例示される。例えば、シールモジュール13、圧縮ユニット14、及びステイプレート15は、該当する場合、従来のタイプのものである。例えば、シーリングモジュール13は弾性があり、2つの対向するシーリング半体16を備え、各モジュール半体16は、図3に例示するように、半円筒形の溝18内に配置された複数の剥離可能なシート17を備える。必要に応じて、適切な数の剥離可能なシート17が、シーリングモジュール16をケーブルまたはパイプの直径に適合させるために取り外され、ケーブル11またはパイプはモジュール半体16に配置され、シーリングモジュール13は、互いの上部に2つのモジュール半体16を配置することによって形成される。例えば、圧縮ユニット14は従来のウェッジである。
【0019】
図4~8を参照すると、本発明の第1の態様によるトランジット10が例示される。トランジット10は、軸A、第1のフレーム19、第2のフレーム20、および第1のフレームと第2のフレームとの間に延びる仕切り開口ライナー21を備える。仕切り開口ライナー21は、仕切り12の貫通開口部22に配置されて、第1のフレーム19と第2のフレーム20との間の開口部22の内側に軸方向に延びる放射状に並んだ通路(radially lined passage)を形成する。そのため、ケーブルおよび/またはパイプが並んだ通路に仕切り12を通して配置され得る。仕切り12の開口部22に取り付けられたトランジット10が図8に概略的に示される。軸Aは仕切り12の平面に垂直である。例えば、軸Aは、トランジット10を通るケーブル11および/またはパイプの方向に対応する。第1のフレーム19および仕切り開口ライナー21は、締結ネジ23によって第2のフレーム20に取り付けられるように配置される。例えば、少なくとも第1のフレーム19は、低レベルの微粒子を必要とする仕切り12の側に配置される。例えば、第1のフレーム19は、クリーンルーム、実験室、病室、または精密機器を備えた部屋に配置される。例えば、第2のフレーム20もそのような部屋に配置される。あるいは、第2のフレーム20は、通常の部屋または屋外に配置される。
【0020】
第2のフレーム20には、締結ネジ23のための貫通開口24が設けられ、第1のフレーム19には、締結ネジ23のネジ端を受け入れるためのネジ穴25が設けられる。そのため、第1のフレーム19および第2のフレーム20を、締結ネジ23によって仕切り12の両側で固定することができ、仕切り開口ライナー21は、第1のフレーム19と第2のフレーム20との間に配置される。例えば、締結ネジ23は、ヘッド(head)およびシャフト(shaft)を備え、シャフトは、ネジ穴25と係合するように少なくとも部分的にネジ切りされている。例えば、締結ネジ23は、ネジ穴25内でネジ山と嵌合するための従来のネジである。例えば、締結ネジ23のヘッドは、必要に応じてワッシャまたは同様の従来の手段を介して第2のフレーム20に係合し、ネジ23が締められると、第1のフレーム19は第2のフレーム20に向かって引き寄せられる。
【0021】
例示した実施形態では、仕切り開口ライナー21は、第1のライナー要素21a、第2のライナー要素21b、および必要に応じてさらに第3のライナー要素21cを含む、複数のライナー要素を備え、例えば、またさらなるライナー要素も備える。このさらなるライナー要素は例示していない。ライナー要素21a~cは、軸方向に互いに隣接して配置され、仕切り開口ライナー21および並んだ通路を一緒に形成する。例えば、ライナー要素21a~cは、互いに隣り合って配置された場合に、仕切り開口ライナー21および並んだ通路を形成する中央貫通開口部を有する閉じたループとして配置される。ライナー要素21a~cには、締結ネジ23のための穴26が形成されており、締結ネジ23は、第2のフレーム20における開口24を通して、ライナー要素21a~cにおける穴を通して配置され、第1のフレーム19の穴25内に延びることができる。そのため、第1のフレーム19および第2のフレーム20ならびにライナー要素21a~cは、締結ネジ23によって一緒に締め付けられてトランジット10を形成することができる。第2のフレーム20における開口24、第1のフレーム19における穴25およびライナー要素26における穴は、図7に破線で概略的に示されている。例えば、第1のフレーム19および第2のフレーム20は金属板で形成される。あるいは、第1のフレーム19および第2のフレーム20は、プラスチック材料または他の適切なポリマー材料で形成される。
【0022】
例示した実施形態では、第1のフレーム19は、軸方向に延びる管状(tubular)突出部28に接続されたフレームプレート27を備える。管状突出部28には、半径方向に延びるフランジ29が設けられる。例えば、フレームプレート27およびフランジ29は突出部28の反対端(opposite ends)に配置される。フレームプレート27には、ケーブルおよび/またはパイプのための通路を形成するために、突出部28への貫通開口部が設けられる。例えば、フレームプレート27の貫通開口部は中央開口部である。したがって、第1のフレーム19は、通路の周りに閉じたループを形成する。例えば、フレームプレート27および突出部28は両方とも、軸方向に延びる通路の周りに閉じたループを形成する。例えば、フランジ29を備えた突出部28は、仕切り12における開口部22に挿入されるように配置される。締結ネジ23のための穴25は、フランジ29内に、例えば軸方向にフランジ29内に配置され、必要に応じてフランジ29を通して配置される。あるいは、第1のフレーム19はフランジ29を備えずに配置され、穴25は軸方向に延びる突出部28の1つまたは複数の壁に直接配置され、次いでその1つまたは複数の壁は、穴25を設けるために適切な壁厚で形成される。フレームプレート27は、例えば、フレームプレート27と、仕切り開口部22の周囲の仕切り12との間のシーリングシート30とともに、仕切り12の外面に押し付けられるように配置される。したがって、フレームプレート27は、半径方向に延びる平面を有する。例えば、フレームプレート27の平面はフランジ29の平面と平行に延び、突出部28はそれらの間に延びる。したがって、フランジ29の自由端は、軸方向にフレームプレート27に対して隙間をあけて配置される。
【0023】
第1の態様による実施形態では、ライナー要素21a~cは、シールする目的のためにゴムまたはエラストマー材料などの弾性材料で形成される。例えば、ライナー要素21a~cは水密または気密の仕切り開口ライナー21を提供するために弾性材料で形成される。例示した実施形態では、第1のライナー要素21aが第1のフレーム19に対してシールし、第2のライナー要素12bが第2のフレーム20に対してシールし、ライナー要素21a~21cは、第1のフレーム19と第2のフレーム20との間の軸方向に延びる通路を半径方向にシールするために軸方向に隣接するライナー要素に対してシールする。ライナー要素21a~cには、ケーブルおよび/またはパイプのための軸方向に延びる通路を形成するための中央貫通開口部などの貫通開口部が形成される。例示した実施形態によれば、ライナー要素21a~cのうちの1つまたは複数は、軸方向に異なる厚さで形成される。ライナー要素21a~cにおける穴26は、第1のフレーム19における穴25および第2のフレーム20における開口24と整列している。
【0024】
図4~8の実施形態によれば、第2のフレーム20は、フレームプレート31、および軸方向に延びる管状突出部32を備え、フレームプレート31は、第1のフレーム19について上記した対応する様式で、必要に応じてフレームプレート31と仕切り12との間にシーリングシート33を設けて、仕切り12の外側に押し付けられるように配置される。第2のフレーム20の突出部32は、締結ネジ23のための貫通開口24を備えたフランジ34を備える。例示した実施形態では、フランジ34は、半径方向内側に延びており、図7では破線で例示される。例えば、第2のフレーム20のフランジ34は、フレームプレート31と平行に延びている。第2のフレーム20のフランジ34を備える突出部32は、例えば、図8に例示されるように、仕切り12における開口部22に挿入されるように配置される。
【0025】
仕切り12は、壁、床、屋根または同様のものであってもよい。一実施形態によれば、仕切り12は、コンクリートであるか、またはコンクリートもしくは同等の材料を含む。あるいは、仕切り12は、パネル(図示せず)に設けられた間柱を備える。例えば、仕切り12は、少なくとも50mm、少なくとも80mm、または少なくとも100mmの厚さTを有する。図8に例示した実施形態では、締結ネジ23は、仕切り12の厚さTよりも短く、仕切り12の開口部22の内側に配置される。
【0026】
図4~8の実施形態によるトランジット10を取り付けるために、第1のフレーム19の突出部28は、必要に応じて、フレームプレート27と、開口部22の周囲の仕切り12の外面との間にシーリングシート30を設けて仕切り12の開口部22に挿入される。締結ネジ23は、第2のフレーム20における開口24を通して配置される。仕切り12の厚さTを考慮して、ライナー要素21a~cの適切な数、および必要に応じて適切なライナー要素の厚さが選択され、締結ネジ23は、ライナー要素21a~cにおける穴26および第1のフレーム19における穴25に通される。次に、締結ネジ23を第2のフレーム20の側で締め、第1のフレーム19のフレームプレート27を仕切り12に向かって押し付け、ライナー要素21a~cは圧縮されて、仕切り12を通るシールされた通路を形成し、そこで第1のフレーム19および第2のフレーム20は、その両側で仕切り12に固定され、締結ネジ23は仕切り12の開口部22の内側に延びる。シーリングモジュール13、圧縮ユニット14およびステイプレート15は、第1のフレーム19および/または第2のフレーム20の内側、例えば、第1のフレーム19の軸方向の管状突出部28の内側および第2のフレーム20の軸方向の管状突出部32の内側に配置され得る。
【0027】
図9図11を参照すると、本発明の第2の態様によるトランジット10が概略的に示される。第2の態様の例示した実施形態では、第1のフレーム19は、本発明の第1の態様に関して上記したように、フレームプレート27、突出部28および穴25を有するフランジ29を備える。また、シーリングシート30、33を上記のように配置してもよい。しかしながら、第2の態様は、仕切り開口ライナー21の構造において、また、例示した実施形態では第2のフレーム20の構造において第1の態様とは異なる。
【0028】
例示したように第2の態様では、第2のフレーム20は、ケーブルまたはパイプのための通路を形成する中央開口部を備えたフレームプレートとして配置される。第2のフレーム20は、必要に応じてシーリングシート33を介して、仕切り12の外側に押し付けられるように配置される。第2のフレーム20には、第2のフレーム20の平面に対して垂直で、締結ネジ23を受け入れるために軸方向に延びる貫通開口24が設けられる。締結ネジ23は、図11では破線で例示される。
【0029】
仕切り開口ライナー21は、第1のライナー要素21aおよび第2のライナー要素21bを少なくとも備え、これらは、仕切り開口部22を通して延びる仕切り開口ライナー21を形成するように協働する。第1のライナー要素21aおよび第2のライナー要素21bは、仕切り開口部22の内側に半径方向に閉じたライナーを形成するように管状である。例示した実施形態では、第2のライナー要素21bは、第1のライナー要素21aに入れ子式に(telescopically)受け入れられ、仕切りライナー要素21の長さは、異なる厚さTの仕切り12に適合するように軸方向に調整可能である。必要に応じて、仕切り開口ライナー21は、他のライナー要素と対応して協働するさらなるライナー要素を備える。したがって、ライナー要素21a、21bのうちの一方は、その端部が他方の端部に軸方向に挿入できるように、より小さい直径または断面積を有するように配置される。例示した実施形態では、第2のライナー要素21bは、締結ネジ23を受け入れるための貫通穴36を備えたフランジ35を備える。図9~11の実施形態では、フランジ35は外側に延びている。したがって、第2のライナー要素21bは、締結ネジ23を介して第2のフレーム20に取り付けられる。第1のライナー要素21aは、第2のライナー要素21bによって支持される。あるいは、第1のライナー要素21aは、スナップロック(snap-lock)または同様のものなどを形成する弾性可撓性締結手段などによって、第1のフレーム19に固定的にまたは取り外し可能に接続される。一実施形態によれば、第1のライナー要素21aおよび第2のライナー要素21bは金属板で配置される。あるいは、ライナー要素21a、21bは、プラスチック、ゴム、またはエラストマー材料で配置される。例示した実施形態では、フレーム19、20および仕切り開口ライナー21は、長方形の断面を備えて形成される。あるいは、トランジット10の断面は、実質的に円形の仕切り開口部22に適合するように実質的に円形である。トランジット10の外形に関係なく、トランジット10によって形成される軸方向の通路は、1つまたは複数の適切な従来のシーリングモジュールおよび圧縮ユニットを設けるために長方形または円形であってもよい。
【0030】
本発明の第2の態様では、締結ネジ23のネジ端は、トランジット10によって形成される仕切り開口部22を通る並んだ通路の外側で、仕切り開口部22の内側に配置される。締結ネジ23は、第1のフレーム19のフレームプレート27の手前で止まり、必要に応じて、仕切り12の外面と、第1のフレーム19のフレームプレート27との間のシーリングシート30の手前でも止まる。締結ネジ23は、第2のフレーム20の外側から挿入され、ネジヘッドは、第2のフレーム20の外側からアクセス可能に配置される。シーリングモジュール13、圧縮ユニット14およびステイプレート15は、第1のフレーム19の内側、例えばフレームプレート27の中央開口部および軸方向の管状突出部28に配置することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】