(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】サンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を検出するための方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
G01N 27/62 20210101AFI20240130BHJP
G01N 30/72 20060101ALI20240130BHJP
G01N 30/06 20060101ALI20240130BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20240130BHJP
G01N 30/04 20060101ALI20240130BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20240130BHJP
G01N 30/34 20060101ALI20240130BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240130BHJP
G01N 33/15 20060101ALI20240130BHJP
C08B 37/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G01N27/62 V
G01N27/62 X
G01N30/72 C
G01N30/06 E
G01N30/88 N
G01N30/04 P
G01N30/26 A
G01N30/34 E
G01N33/50 U
G01N33/50 Z
G01N33/15 Z
C08B37/00 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540536
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2021142793
(87)【国際公開番号】W WO2022143853
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011624408.8
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518230854
【氏名又は名称】シェンツェン ヘパリンク ファーマスーティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN HEPALINK PHARMACEUTICAL GROUP CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 景文
(72)【発明者】
【氏名】任 麗鴿
(72)【発明者】
【氏名】林 森茂
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲リ▼
【テーマコード(参考)】
2G041
2G045
4C090
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041DA05
2G041EA04
2G041EA12
2G041FA10
2G041GA09
2G041HA01
2G041JA02
2G041LA09
2G045CA25
2G045CB03
2G045DA30
2G045FA36
2G045FB06
4C090AA01
4C090BA62
4C090BB55
4C090BB63
4C090BB92
4C090BC27
4C090DA23
(57)【要約】
本願は、サンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を検出するための方法及びその使用に関し、本願に係る方法は、カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を加水分解することにより、特定構造の加水分解生成物を安定的に得ることができ、この構造はMSにより検出され、そのうちの高い質量分析存在量を有する加水分解生成物を選択することができるので、カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の量を間接的に算出することができ、そして、この検出方法は専門性がよく、確度が高く、精度がよく、定量限界が低く、検出限界が低い。本願の検出方法は、(1)サンプルを加水分解し、式(I)で表される化合物を含有する加水分解液を得るステップと、(2)液体クロマトグラフィータンデム質量分析により加水分解液を検出するステップと、(3)カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を標準品として、その異なる勾配の濃度の溶液をステップ(1)の方法に従って加水分解し、ステップ(2)の方法に従って異なる濃度の標準品溶液の加水分解液中の式(I)で表される化合物のマススペクトルシグナルピーク面積を検出し、マススペクトルシグナルピーク面積でカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体標準品の量に対して検量線を作成し、この検量線に基づいて、ステップ(2)で測定された式(I)で表される化合物のマススペクトルピーク面積によりサンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を算出するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を検出するための方法であって、前記方法は、
(1)カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を含有するサンプルを加水分解し、式(I)で表される化合物を含有する加水分解液を得るステップと、
【化1】
(ただし、各R
aは独立して-SO
3H又は-Hであり、各R
bは独立してH、-SO
3H又は-C(O)CH
3であり、各R
cは独立して-SO
3H又は-Hであり、nは0、1、2、3、4又は5である。)
(2)液体クロマトグラフィータンデム質量分析によりステップ(1)で得られた加水分解液を検出するステップと、
(3)カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を標準品として、その異なる勾配の濃度の溶液をステップ(1)の方法に従って加水分解し、ステップ(2)の方法に従って異なる濃度の標準品溶液の加水分解液中の式(I)で表される化合物のマススペクトルシグナルピーク面積を検出し、マススペクトルシグナルピーク面積でカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体標準品の量に対して検量線を作成し、この検量線に基づいて、ステップ(2)で測定された式(I)で表される化合物のマススペクトルピーク面積によりサンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を算出するステップと、を含み、
前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は、式(II)で表される構造単位と選択的な式(III)で表される構造単位とを含むグリコサミノグリカン系化合物である、ことを特徴とするサンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を検出するための方法。
【化2】
【化3】
(ただし、各R
aは独立して-SO
3H又は-Hであり、R
bは独立してH、-SO
3H又は-C(O)CH
3であり、R
cは独立して-SO
3H又は-Hである。)
【請求項2】
前記グリコサミノグリカンはヘパリン又はヘパラン硫酸であり、
前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は、(1)グリコサミノグリカン中でウロン酸における隣接されるジオールが酸化開環されてジアルデヒド構造を形成することと、(2)ジアルデヒド構造がさらに酸化されてジカルボン酸構造を得ることとの2段階の酸化反応を経て得られる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(I)で表される化合物は、以下の構造式の少なくとも1種の構造を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項4】
前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の重量平均分子量は3000~20000Daであり、好ましくは7000~14000Daであり、さらに好ましくは8000~13500Daであり、
前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の開環度は10%~100%であり、好ましくは25%~80%であり、さらに好ましくは25%~60%である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(1)に記載のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を含有するサンプルを加水分解する処理方式は加熱であり、
好ましくは、前記加熱の温度は70~100℃であり、85~95℃であることが好ましく、
好ましくは、前記加熱の時間は12~168hであり、12~120hであることが好ましい、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記液体クロマトグラフィーは逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー又は親水クロマトグラフィーであり、
好ましくは、前記液体クロマトグラフィーの移動相は移動相A及び移動相Bであり、前記移動相Aはヘキサフルオロイソプロパノールとペンチルアミンとの水溶液であり、前記移動相Bはヘキサフルオロイソプロパノールとペンチルアミンとのアセトニトリル-水溶液であり、
好ましくは、前記移動相Aは45~55mMのヘキサフルオロイソプロパノールと13~17mMのペンチルアミンとを含有する水溶液であり、前記移動相Bは45~55mMのヘキサフルオロイソプロパノールと13~17mMのペンチルアミンとを含有するアセトニトリル-水溶液であり、前記移動相Bでは、アセトニトリルと水との体積比は70:30~80:20であり、
好ましくは、前記液体クロマトグラフィーの移動相は移動相A及び移動相Bであり、具体的には以下の表で示される通りである、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【表1】
【請求項7】
前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を含有するサンプルは生物サンプルである場合に、ステップ(1)で得られた加水分解液に対して検出前処理を行う必要があり、前記前処理は、加水分解液をトリフルオロ酢酸溶液及びアセトニトリル-メタノール溶液と混合させ、その後、静置し、遠心し、上清を回収し乾燥させた後に水で再溶解することを含み、
好ましくは、前記生物サンプルは血液、尿を含み、
好ましくは、前記トリフルオロ酢酸溶液の添加量は体積で加水分解液の体積の0.5%~1.5%であり、
好ましくは、前記トリフルオロ酢酸溶液の濃度は4%~6%であり、
好ましくは、前記アセトニトリル-メタノール溶液の添加量は体積で加水分解液の体積の1~5倍であり、好ましくは1~3倍であり、より好ましくは1.5~2.5倍であり、
好ましくは、前記アセトニトリル-メタノール溶液では、アセトニトリルとメタノールとの体積比は1:0.5~1:1.5であり、
好ましくは、前記静置の温度は-25~-15℃であり、時間は15~25minである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
構造は式(I)の通りである、ことを特徴とする化合物。
【化7】
(ただし、各R
aは独立して-SO
3H又は-Hであり、各R
bは独立してH、-SO
3H又は-C(O)CH
3であり、各R
cは独立して-SO
3H又は-Hであり、nは0、1、2、3、4又は5である。)
【請求項9】
以下の構造の1つを有する、ことを特徴とする請求項8に記載の化合物。
【化8】
【化9】
【化10】
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の検出方法の、カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の薬物動態学研究における使用。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の検出方法の、カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の医薬製剤品質検出における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は分析化学の技術分野に属しており、具体的にはサンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を検出するための方法及びその使用に関し、特に、専門性がよく、確度が高く、精度がよく、定量限界が低く、検出限界が低い、サンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を検出するための方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術、例えば、特許文献1及び特許文献2の2編の専利は、カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体が薬物として抗腫瘍及び抗腫瘍転移活性を有し、広い使用将来性があることを公開的に報道している。カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は、未分画ヘパリン(UFH)が2段階の酸化反応を経た後に得られる、ウロン酸隣接ジオール構造の酸化開環を含んだジカルボン酸誘導体であり、即ち、(1)グリコサミノグリカン中でウロン酸における隣接されるジオールが酸化開環されてジアルデヒド構造を形成し、(2)ジアルデヒド構造がさらに酸化されてジカルボン酸構造が得られる。カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は、ヘパリン誘導体に属しており、鎖状で、構造不均一なムコ多糖物質である。薬物代謝の研究において、薬物の薬物代謝動態性質を評価するために、生物サンプル中の当該薬物の含有量を測定する必要がある。生物サンプルから完全な構造を直接的に検出することは実現しにくく、そして、生物サンプルには複数種の内因性物質、例えば、蛋白質、リン脂質などがあるので、通常の多糖テスト方法は内因性物質によって影響されやすくてカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体に対して定量測定することができない。従って、正確なカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の検出方法を如何に提供するかは、早急に解決すべき課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第105744940号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第111670038号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Guerrini,M.,Guglieri,S,Naggi,A,Sasisekharan,R,(2007).Low molecular weight heparins:Structural differentiation by bidimentional nuclear magnetic resonance spectroscopy.Seminars in Thrombosis and hemostasis,33,478-487
【発明の概要】
【0005】
以下は、本明細書に詳しく説明する主題についての略述である。本略述は特許請求の範囲の保護範囲を限定するためのものではない。
【0006】
従来技術の不足に対して、本願の目的は、サンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を検出するための方法及びその使用を提供し、特に専門性がよく、確度が高く、精度がよく、定量限界が低く、検出限界が低い、サンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を検出するための方法及びその使用を提供することにある。
【0007】
この目的を達成するために、本願は以下の技術的態様を採用する。
【0008】
第1態様において、本願は、サンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を検出するための方法を提供し、前記方法は、
(1)カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を含有するサンプルを加水分解し、式(I)で表される化合物を含有する加水分解液を得るステップと、
【0009】
【0010】
(ただし、各Raは独立して-SO3H又は-Hであり、各Rbは独立してH、-SO3H又は-C(O)CH3であり、各Rcは独立して-SO3H又は-Hであり、nは0、1、2、3、4又は5である。)
(2)液体クロマトグラフィータンデム質量分析によりステップ(1)で得られた加水分解液を検出するステップと、
(3)カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を標準品として、その異なる勾配の濃度の溶液をステップ(1)の方法に従って加水分解し、ステップ(2)の方法に従って異なる濃度の標準品溶液の加水分解液中の式(I)で表される化合物のマススペクトルシグナルピーク面積を検出し、マススペクトルシグナルピーク面積でカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体標準品の量に対して検量線を作成し、この検量線に基づいて、ステップ(2)で測定された式(I)で表される化合物のマススペクトルピーク面積によりサンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を算出するステップと、を含み、
前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は、式(II)で表される構造単位と選択的な式(III)で表される構造単位とを含むグリコサミノグリカン系化合物である。
【0011】
【0012】
【0013】
(ただし、各Raは独立して-SO3H又は-Hであり、Rbは独立してH、-SO3H又は-C(O)CH3であり、Rcは独立して-SO3H又は-Hである。)
【0014】
好ましくは、前記グリコサミノグリカンはヘパリン又はヘパラン硫酸であり、前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は、(1)グリコサミノグリカン中でウロン酸における隣接されるジオールが酸化開環されてジアルデヒド構造を形成することと、(2)ジアルデヒド構造がさらに酸化されてジカルボン酸構造が得られることとの2段階の酸化反応を経て得られる。
【0015】
好ましくは、前記式(I)で表される化合物は、以下の構造式の少なくとも1種の構造を有する。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
ただし、化合物(a)のマススペクトルシグナルはMS(ESI,neg.ion)m/z:432.0[M-H]-であり、
化合物(b)のマススペクトルシグナルはMS(ESI,neg.ion)m/z:390.0[M-H]-であり、
化合物(c)のマススペクトルシグナルはMS(ESI,neg.ion)m/z:522.98[M-2H]2-である。
【0020】
本願に係るカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は、前記式(II)で表される構造単位と選択的な式(III)で表される構造単位とを含み、即ちグリコサミノグリカン化合物中でヘキスロン酸構造が一部又は全部開環される。
【0021】
本願に係るカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は加水分解された後に式(I)で表される化合物を得ることができ、反応機構は態様1及び2の通りであり、ただし、各Raは独立して-SO3H又は-Hであり、各Rbは独立してH、-SO3H又は-C(O)CH3であり、各Rcは独立して-SO3H又は-Hであり、nは0、1、2、3、4又は5である。
【0022】
態様1:
【0023】
【0024】
態様2:
【0025】
【0026】
本願に係るカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の各多糖鎖において、各二糖構造単位は任意の順番で配列される。
【0027】
好ましくは、前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の重量平均分子量は3000~20000Daであり、例えば、3000Da、5000Da、7000Da、8000Da、9000Da、10000Da、11000Da、12000Da、13000Da、13500Da、14000Da、16000Da、18000Da又は20000Daなどであり、この数値範囲内の他の具体的な点値はいずれも選択可能であり、ここで説明を省略する。好ましくは7000~14000Daであり、さらに好ましくは8000~13500Daである。
【0028】
前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の開環度は10%~100%であり、例えば、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%などであり、この数値範囲内の他の具体的な点値はいずれも選択可能であり、ここで説明を省略する。好ましくは25%~80%であり、さらに好ましくは25%~60%である。
【0029】
本願における用語「開環度」とは、開環されたウロン酸残基数と総ウロン酸残基数との比であり、その検出及び計算は、文献の非特許文献1における核磁気方法を参照して行われる。
【0030】
好ましくは、ステップ(1)に記載のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を含有するサンプルを加水分解する処理方式は加熱である。
【0031】
好ましくは、前記加熱の温度は70~100℃であり、例えば、70℃、75℃、80℃、82℃、85℃、87℃、95℃又は100℃などであり、この数値範囲内の他の具体的な点値はいずれも選択可能であり、ここで説明を省略する。好ましくは85~95℃である。
【0032】
好ましくは、前記加熱の時間は12~168hであり、例えば、12h、16h、24h、36h、48h、55h、60h、70h、72h、75h、78h、80h、90h、96h、120h、144h又は168hなどであり、この数値範囲内の他の具体的な点値はいずれも選択可能であり、ここで説明を省略する。好ましくは12~120hである。
【0033】
上記加熱温度及び加熱時間の条件で、本願に係るカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は加水分解されて、質量分析存在量が高い化合物(a)、化合物(b)又は化合物(c)を得ることができ、検出効率、検出確度精度などを総合的に考慮して反応の温度及び時間を選択する。
【0034】
前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を含有するサンプルは生物サンプル(例えば、血液、尿)である場合に、ステップ(1)で得られた加水分解液に対して検出前処理を行う必要があり、前記前処理は、加水分解液をトリフルオロ酢酸溶液及びアセトニトリル-メタノール溶液と混合させ、その後、静置し、遠心し、上澄み液を取って乾燥させた後に水で再溶解することを含む。
【0035】
好ましくは、前記トリフルオロ酢酸溶液の添加量は体積で加水分解液の0.5%~1.5%であり、例えば、0.5%、0.8%、1.0%、1.2%又は1.5%などであり、この数値範囲内の他の具体的な点値はいずれも選択可能であり、ここで説明を省略する。
【0036】
好ましくは、前記トリフルオロ酢酸溶液の濃度は4%~6%であり、例えば、4%、5%又は6%などであり、この数値範囲内の他の具体的な点値はいずれも選択可能であり、ここで説明を省略する。
【0037】
好ましくは、前記アセトニトリル-メタノール溶液の添加量は体積で加水分解液の体積の1~5倍であり、例えば、1倍、1.5倍、1.8倍、2.0倍、2.2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍などであり、この数値範囲内の他の具体的な点値はいずれも選択可能であり、ここで説明を省略する。好ましくは1~3倍であり、より好ましくは1.5~2.5倍である。
【0038】
好ましくは、前記アセトニトリル-メタノール溶液では、アセトニトリルとメタノールとの体積比は1:0.5~1:1.5であり、例えば、1:0.5、1:0.8、1:1、1:1.2又は1:1.5などであり、この数値範囲内の他の具体的な点値はいずれも選択可能であり、ここで説明を省略する。
【0039】
好ましくは、前記静置の温度は-25~-15℃であり、例えば、-25℃、-20℃、-15℃などであり、時間は15~25minであり、例えば、15min、18min、20min、22min、25minなどであり、上記各項の数値範囲内の他の具体的な点値がいずれも選択可能であり、ここで説明を省略する。
【0040】
好ましくは、前記液体クロマトグラフィーは逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー又は親水クロマトグラフィーである。
【0041】
好ましくは、前記液体クロマトグラフィーの移動相は移動相A及び移動相Bであり、前記移動相Aはヘキサフルオロイソプロパノールとペンチルアミンとの水溶液であり、前記移動相Bはヘキサフルオロイソプロパノールとペンチルアミンとのアセトニトリル-水溶液であり、
前記移動相Aは45~55mM(例えば、45mM、48mM、50mM、52mM、55mMなど)のヘキサフルオロイソプロパノールと13~17mM(例えば、13mM、15mM、17mMなど)のペンチルアミンとを含有する水溶液であり、前記移動相Bは45~55mM(例えば、45mM、48mM、50mM、52mM、55mMなど)のヘキサフルオロイソプロパノールと13~17mM(例えば、13mM、15mM、17mMなど)のペンチルアミンとを含有するアセトニトリル-水溶液であり、前記移動相
Bでは、アセトニトリルと水との体積比は70:30~80:20(例えば、70:30、75:25、80:20など)である。上記各項の数値範囲内の他の具体的な点値はいずれも選択可能であり、ここで説明を省略する。
【0042】
さらに好ましくは、前記液体クロマトグラフィーの移動相は移動相A及び移動相Bであり、具体的には、下表の通りである。
【0043】
【0044】
好ましくは、前記液体クロマトグラフィーの溶離手順は下表の通りである。
【0045】
【0046】
本願において、前記マススペクトル条件は例示的に、以下のような条件内容を選択することができる。
【0047】
【0048】
第1態様の内容に基づいて、本願はさらに新たな化合物を提供し、具体的な内容は以下の通りである。
【0049】
第2態様において、本願は、構造が式(I)に示す化合物を提供する。
【0050】
【0051】
(ただし、各Raは独立して-SO3H又は-Hであり、各Rbは独立してH、-SO3H又は-C(O)CH3であり、各Rcは独立して-SO3H又は-Hであり、nは0、1、2、3、4又は5である。)
【0052】
好ましくは、前記化合物は、以下の構造の1つを有する。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
第3態様において、本願は第1態様に記載のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の検出方法のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の薬物動態学研究における使用を提供する。
【0057】
第4態様において、本願は第1態様に記載のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の検出方法のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の医薬製剤品質検出における使用を提供する。
【0058】
従来技術に対して、本願は、以下の有益的な効果を持っている。
カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は非均一物質であるので、生物サンプルから完全な構造を直接的に検出することを実現しにくく、本願発明者は、カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は加水分解を経て、上記に記載の特定構造の加水分解生成物の化合物(a)、化合物(b)又は化合物(c)を安定的に得ることができて、このような化合物はマススペクトルにより検出できるものであることを見出した。化合物(a)、化合物(b)又は化合物(c)を測定し、異なる濃度のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体標準品を化合物(a)、化合物(b)又は化合物(c)のマススペクトルピーク面積に対して検量線を作成すること、また、サンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を加水分解して化合物(a)、化合物(b)又は化合物(c)のマススペクトルピーク面積を検出することによって、カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を含有するサンプルが加水分解された後に液体クロマトグラフ質量分析で化合物(a)、化合物(b)又は化合物(c)のマススペクトルピーク面積を測定し、検量線に基づいて、サンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の量を間接的に算出することができる。この検出方法は専門性がよく、確度が高く、精度がよく、定量限界が低く、検出限界が低い。
【0059】
詳細な説明を読んで理解した後に、他の態様を明らかにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図2】化合物(a)の二次マスクロマトグラムである。
【
図5】化合物(a)の
13C DEPT 135°スペクトルである。
【
図6】化合物(a)の
1H-
1H COSYスペクトルである。
【
図7】化合物(a)のTOCSYスペクトルである。
【
図10】化合物(c)のマスクロマトグラムである。
【
図11】化合物(c)の二次マスクロマトグラムである。
【
図14】化合物(c)の
13C DEPT 135°スペクトルである。
【
図15】化合物(c)の
1H-
1H COSYスペクトルである。
【
図16】化合物(c)のTOCSYスペクトルである。
【
図17】化合物(c)のROESYスペクトルである。
【
図18】化合物(c)のHSQCスペクトルである。
【
図19】化合物(c)のHMBCスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、具体的な実施形態により本願の技術的態様をさらに説明する。当業者は、前記実施例が本願に対する理解を支援するだけのものであり、本願に対する具体的な制限とみなすべきではないことを明らかにすべきである。
【0062】
下記実施例に係るSDラットは北京維通利華実験動物技術有限公司から購入した。
【0063】
下記実施例に係るカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体H1011は特許文献2における実施例3に開示された調製方法により調製して得られ、その重量平均分子量は9161Daであり、開環度は43.1%である。
【0064】
実施例1
化合物(a)、化合物(b)及び化合物(c)の調製:
H1011(400mg)を秤量して水(4.0mL)に溶解し、H1011水溶液を85℃に加熱して72h反応させ、その後、25℃に冷却させ、反応生成物はクロマトグラフィー技術で分離精製(クロマトグラフィーカラムはDionex IonPac AS11-HCであり、溶離液はM及びNである(具体的な成分は表1を参照する))されて、続いて脱塩、凍結乾燥されて化合物(a)、化合物(b)及び化合物(c)が得られる。
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
濃化して得られた化合物(a)、化合物(b)及び化合物(c)は、質量分析及び核磁気共鳴スペクトル法(一次元1H-NMR、一次元13CNMR、13C DEPT 135°、1H-1H COSY、二次元TOCSY、HSQC、HMBC、二次元DOSY)により構造を同定する。
【0070】
化合物(a)の特徴データは以下の通りである。
MS(ESI,neg.ion)m/z:432.0[M-H]-;
1H NMR(600 MHz,D2O):δ 4.87(d,J=3.5Hz,1H),4.34(dd,J=11.2,3.7Hz,1H),4.29(d,J=4.6Hz,1H),4.27(dd,J=11.0,2.1Hz,1H),4.20(d,J=4.6Hz,1H),4.05(ddd,J=10.1,3.7,2.2Hz,1H),3.96(dd,J=10.6,3.5Hz,1H),3.81(dd,J=10.5,9.2Hz,1H),3.59(dd,J=10.1,9.2Hz,1H),2.07(s,3H).
13C NMR(151MHz,D2O):δ 24.79,56.23,69.39,71.95,73.04,74.14,76.51,83.25,99.56,177.34,178.79,179.99.
【0071】
化合物(a)の特徴チャートは
図1~
図9に示す通りである。
【0072】
化合物(b)の特徴データは以下の通りである。
MS(ESI,neg.ion)m/z:390.0[M-H]-;
【0073】
化合物(c)の特徴データは以下の通りである。
MS(ESI,neg.ion)m/z:522.98[M-2H]2-;
1H NMR(600MHz,D2O):δ 5.37(d,J=3.5Hz,1H),5.25ー5.23(m,1H),5.16(d,J=3.6Hz,1H),5.15ー5.12(m,1H),4.38ー4.28(m,5H),4.23(dd,J=11.4,2.1Hz,1H),4.19(dd,J=11.1,2.1Hz,1H),4.13(dd,J=2.9Hz,1H),3.87(dt,J=9.7,2.7Hz,1H),3.84(dt,J=9.9,2.6Hz,1H),3.78ー3.70(m,2H),3.64(q,J=7.1Hz,1H),3.60(dd,J=9.9Hz,1H),3.56(dd,J=9.5Hz,1H),3.25(dd,J=10.1,3.5Hz,3H).
13C NMR(151MHz,D2O):δ 60.45,60.63,68.92,69.10,70.44,70.60,71.82,72.44,72.80,73.05,73.50,74.54,77.54,78.74,79.51,81.24,100.90,101.38,101.69,175.69,176.18,177.23.
【0074】
化合物(c)の特徴チャートは
図10~
図19に示す通りである。
【0075】
実施例2
本実施例は、本願に係るカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の検出方法を薬物動態学研究(化合物(a)を検出対象とする)に使用し、具体的な内容は以下の通りである。
【0076】
(1)試験方法
(1.1)実験動物:6匹の健康雄成獣SDラットは、3匹がブランク血漿を取って検量線を作成するために用いられ、3匹がラットに1回投薬した後の血中濃度の検出を行うために用いられる。
【0077】
(1.2)薬物調製:カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体H1011を秤量して水で60mg/kgの薬物溶液を調製する。
【0078】
(1.3)投薬及びサンプル採取:皮下注射で60mg/kg投薬した後に、それぞれ
時点0h、0.25h、0.5h、1h、2h、4h、6h、8h、24hで採血し、全血を採取した後にK2EDTA抗凝固試験管に置いてから、15min遠心し、分離して血漿サンプルを得る。
【0079】
(1.4)検量線の作成:
(1.4.1)カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体H1011を秤量して1mg/mLの水溶液に調製し、上記ブランク血漿を希釈液としてH1011水溶液を段階的に希釈し、2μg/mL、4μg/mL、8μg/mL、16μg/mL、32μg/mL、64μg/mL、128μg/mL、256μg/mLの標準溶液を調製し、85℃の条件で72h加水分解する。
(1.4.2)加水分解後の標準溶液に対して検出前処理を行い、加水分解後の標準溶液へ1%の体積比のトリフルオロ酢酸(5%、v/v)及び2倍の体積のアセトニトリル/メタノール(v/v、50/50)を添加し、均一に混合して、-20℃で20min静置し、遠心して、上清を回収し乾燥した後に超純水で再溶解する。
(1.4.3)液体クロマトグラフィータンデム質量分析検出を行い、スペクトルを測定して得られ、クロマトグラフィー条件は表2の通りであり、質量分析条件は表3の通りである。
【0080】
【0081】
【0082】
(1.4.4)H1011標準溶液と化合物(a)のマススペクトルピーク面積との線形関係により検量線を作成し、化合物(a)のマススペクトルシグナルはMS(ESI,neg.ion)m/z:432.0[M-H]-であり、線形方程式はy=36.2154x-0.3216であり、相関係数はR2=0.9987であり、ただし、yはマススペクトルピーク面積であり、xは標準溶液濃度である。
【0083】
(1.5)血漿サンプル中のH1011の含有量の検出:
(1.5.1)ステップ(1.3)で得られた血漿サンプルを85℃の条件で72h加水分解し、その後、その中へ1%の体積比のトリフルオロ酢酸(5%、v/v)及び2倍の体積のアセトニトリル/メタノール(v/v、50/50)を添加し、均一に混合して、-20℃で20min静置し、遠心して、上清を回収し乾燥した後に超純水で再溶解する。
(1.5.2)液体クロマトグラフィータンデム質量分析検出を行い、化合物(a)のマススペクトルピーク面積を測定して得られ、クロマトグラフィー条件は上記表2の通りであり、質量分析条件は上記表3の通りである。
(1.5.3)化合物(a)のマススペクトルピーク面積から、ステップ(1.4)で作成された検量線と結び付けて、各時点の血漿サンプル中のH1011の濃度を算出し得て、薬物濃度-時間曲線に基づいて、薬物動態パラメータを算出する。
【0084】
(2)試験結果は表4の通りである。
【0085】
【0086】
(3)方法学検証
(3.1)専門性
超純水対照溶液及びブランク血漿対照溶液を調製し、上記と同様な高温加水分解、前処理過程を経た後に、上記と同様な条件の液体クロマトグラフィータンデム質量分析検出を経て、超純水対照及び血漿対照溶液に432.0Daのシグナルピーク、即ち化合物(a)のマススペクトルシグナルピークが検出されず、超純水及びブランク血漿が検出に影響を与えず、本検出方法の専門性がよいことを表明する。
【0087】
(3.2)定量限界及び検出限界
計算を経て、本方法の定量限界は0.8μg/mLであり、検出限界は0.2μg/mLである。
【0088】
(3.3)確度
1μg/mL、50μg/mL、120μg/mLの3つの濃度を設定し、H1011血漿サンプルをテストし、計算を経て回収率は82.6%~110.8%であり、且つ各濃度の6回の実験結果のRSD(relative standard deviation:相対標準偏差)値は順に4.2%、2.2%及び1.3%である。
【0089】
(3.4)精度
50μg/mLのH1011血漿溶液を選択し、2名の異なる検出員によりそれぞれ6回検出し、第1名の検出員による6回の実験結果のRSDは2.0%であり、第2名の検出員による6回の実験結果のRSDは1.8%であり、2名の検出員による12回の実験結果のRSDは2.1%であり、いずれも≦10.0%の許容可能な標準を満たす。方法精度がよい。
【0090】
(3.5)溶液安定性
50μg/mLのH1011血漿溶液を選択し、加水分解して前処理を行い、サンプル溶液の5日目の検出結果は0時間の97.2%であり、標準を満たす。
【0091】
実施例3
本実施例は、本願に係るカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の検出方法を薬物動態学研究(化合物(b)を検出対象とする)に使用し、具体的な内容は以下の通りである。
【0092】
(1)試験方法
(1.1)実験動物:6匹の健康雄成獣SDラットは、3匹がブランク血漿を取って検量線を作成するために用いられ、3匹がラットに1回投薬した後の血中濃度の検出を行うために用いられる。
【0093】
(1.2)薬物調製:カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体H1011を秤量して水で60mg/kgの薬物溶液を調製する。
【0094】
(1.3)投薬及びサンプル採取:皮下注射で60mg/kg投薬した後に、それぞれ時点0h、0.25h、0.5h、1h、2h、4h、6h、8h、24hで採血し、全血を採取した後にK2EDTA抗凝固試験管に置いてから、15min遠心し、分離して血漿サンプルを得る。
【0095】
(1.4)検量線の作成:
(1.4.1)カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体H1011を秤量して1mg/mLの水溶液に調製し、上記ブランク血漿を希釈液としてH1011水溶液を段階的に希釈し、2μg/mL、4μg/mL、8μg/mL、16μg/mL、32μg/mL、64μg/mL、128μg/mL、256μg/mLの標準溶液を調製し、90℃の条件で48h加水分解する。
(1.4.2)加水分解後の標準溶液に対して検出前処理を行い、加水分解後の標準溶液へ1%の体積比のトリフルオロ酢酸(5%、v/v)及び2倍の体積のアセトニトリル/メタノール(v/v、50/50)を添加し、均一に混合して、-20℃で20min静置し、遠心して、上清を回収し乾燥した後に超純水で再溶解する。
(1.4.3)液体クロマトグラフィータンデム質量分析検出を行い、スペクトルを測定して得られ、クロマトグラフィー条件は上記表2の通りであり、質量分析条件は上記表3の通りであり、分子量を390.0Daとする。
(1.4.4)H1011標準溶液と化合物(b)のマススペクトルピーク面積との線形関係により検量線を作成し、化合物(b)のマススペクトルシグナルはMS(ESI,neg.ion)m/z:390.0[M-H]-であり、作成された線形方程式はy=26.0235xであり、相関係数は0.9981であり、ただし、yはマススペクトルピーク面積であり、xは標準溶液濃度である。
【0096】
(1.5)血漿サンプル中のH1011の含有量の検出:
(1.5.1)ステップ(1.3)で得られた血漿サンプルを90℃の条件で48h加水分解してから、その中へ1%の体積比のトリフルオロ酢酸(5%、v/v)及び2倍の体積のアセトニトリル/メタノール(v/v、50/50)を添加し、均一に混合して、-20℃で20min静置し、遠心して、上清を回収し乾燥した後に超純水で再溶解する。
(1.5.2)液体クロマトグラフィータンデム質量分析検出を行い、化合物(b)のマススペクトルピーク面積を測定して得られ、クロマトグラフィー条件は上記表2の通りであり、質量分析条件は上記表3の通りであり、分子量を390.0Daとする。
(1.5.3)化合物(b)のマススペクトルピーク面積から、ステップ(1.4)で作成された検量線と結び付けて、各時点の血漿サンプル中のH1011の濃度を算出し得て、薬物濃度-時間曲線に基づいて、薬物動態パラメータを算出する。
【0097】
(2)試験結果は表5の通りである。
【0098】
【0099】
(3)方法学検証
(3.1)専門性
超純水対照溶液及びブランク血漿対照溶液を調製し、上記と同様な高温加水分解、前処理過程を経た後に、上記と同様な条件の液体クロマトグラフィータンデム質量分析検出を経て、超純水対照及び血漿対照溶液に390.0Daのシグナルピーク、即ち化合物(b)のマススペクトルシグナルピークが検出されず、超純水及びブランク血漿が検出に影響を与えず、本検出方法の専門性がよいことを表明する。
【0100】
(3.2)定量限界及び検出限界
計算を経て、本方法の定量限界は1.1μg/mLであり、検出限界は0.55μg/mLである。
【0101】
(3.3)確度
1μg/mL、50μg/mL、120μg/mLの3つの濃度を設定し、H1011血漿サンプルをテストし、計算を経て回収率は81.2%~115.8%であり、且つ各濃度の6回の実験結果のRSD値は順に5.4%、1.8%及び2.0%である。
【0102】
(3.4)精度
50μg/mLのH1011血漿溶液を選択し、2名の異なる検出員によりそれぞれ6回検出し、第1名の検出員による6回の実験結果のRSDは1.6%であり、第2名の検出員による6回の実験結果のRSDは2.6%であり、2名の検出員による12回の実験結果のRSDは2.2%であり、いずれも≦10.0%の許容可能な標準を満たす。方法精度がよい。
【0103】
(3.5)溶液安定性
50μg/mLのH1011血漿溶液を選択し、加水分解して前処理を行い、サンプル溶液の5日目の検出結果は0時間の97.8%であり、標準を満たす。
【0104】
実施例4
本実施例は、本願に係るカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の検出方法を薬物動態学研究(化合物(c)を検出対象とする)に使用し、具体的な内容は以下の通りである。
【0105】
(1)試験方法
(1.1)実験動物:6匹の健康雄成獣SDラットは、3匹がブランク血漿を取って検量線を作成するために用いられ、3匹がラットに1回投薬した後の血中濃度の検出を行うために用いられる。
【0106】
(1.2)薬物調製:カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体H1011を秤量して水で20mg/kgの薬物溶液を調製する。
【0107】
(1.3)投薬及びサンプル採取:皮下注射で20mg/kg投薬した後に、それぞれ時点0h、0.25h、0.5h、1h、2h、4h、6h、8h、24hで採血し、全血を採取した後にK2EDTA抗凝固試験管に置いてから、15min遠心し、分離して血漿サンプルを得る。
【0108】
(1.4)検量線の作成:
(1.4.1)カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体H1011を秤量して1mg/mLの水溶液に調製し、上記ブランク血漿を希釈液としてH1011水溶液を段階的に希釈し、2μg/mL、4μg/mL、8μg/mL、16μg/mL、32μg/mL、64μg/mL、128μg/mL、256μg/mLの標準溶液を調製し、90℃の条件で36h加水分解する。
(1.4.2)加水分解後の標準溶液に対して検出前処理を行い、加水分解後の標準溶液へ1%の体積比のトリフルオロ酢酸(5%、v/v)及び2倍の体積のアセトニトリル/メタノール(v/v、50/50)を添加し、均一に混合して、-20℃で20min静置し、遠心して、上清を回収し乾燥した後に超純水で再溶解する。
(1.4.3)液体クロマトグラフィータンデム質量分析検出を行い、スペクトルを測定して得られ、クロマトグラフィー条件は上記表2の通りであり、質量分析条件は上記表3の通りであり、分子量を522.98Daとする。
(1.4.4)H1011標準溶液と化合物(c)のマススペクトルピーク面積との線形関係により検量線を作成し、化合物(c)のマススペクトルシグナルはMS(ESI,neg.ion)m/z:522.98[M-2H]2-であり、作成された線形方程式はy=23.6225xであり、相関係数は0.9986であり、ただし、yはマススペクトルピーク面積であり、xは標準溶液濃度である。
【0109】
(1.5)血漿サンプル中のH1011の含有量の検出:
(1.5.1)ステップ(1.3)で得られた血漿サンプルを90℃の条件で36h加水分解し、その後、その中へ1%の体積比のトリフルオロ酢酸(5%、v/v)及び2倍の体積のアセトニトリル/メタノール(v/v、50/50)を添加し、均一に混合して、-20℃で20min静置し、遠心して、上清を回収し乾燥した後に超純水で再溶解する。
(1.5.2)液体クロマトグラフィータンデム質量分析検出を行い、化合物(c)のマススペクトルピーク面積を測定して得られ、クロマトグラフィー条件は上記表2の通りであり、質量分析条件は上記表3の通りである。
(1.5.3)化合物(c)のマススペクトルピーク面積から、ステップ(1.4)で作成された検量線と結び付けて、各時点の血漿サンプル中のH1011の濃度を算出し得て、薬物濃度-時間曲線に基づいて、薬物動態パラメータを算出する。
【0110】
(2)試験結果は表6の通りである。
【0111】
【0112】
(3)方法学検証
(3.1)専門性
超純水対照溶液及びブランク血漿対照溶液を調製し、上記と同様な高温加水分解、前処理過程を経た後に、上記と同様な条件の液体クロマトグラフィータンデム質量分析検出を経て、超純水対照及び血漿対照溶液に522.98Daのシグナルピーク、即ち化合物(c)のマススペクトルシグナルピークが検出されず、超純水及びブランク血漿が検出に影響を与えず、本検出方法の専門性がよいことを表明する。
【0113】
(3.2)定量限界及び検出限界
計算を経て、本方法の定量限界は2.0μg/mLであり、検出限界は1.0μg/mLである。
【0114】
(3.3)確度
2μg/mL、50μg/mL、120μg/mLの3つの濃度を設定し、H1011
血漿サンプルをテストし、計算を経て回収率は80.3%~108.8%であり、且つ各濃度の6回の実験結果のRSD値は順に8.9%、6.5%及び5.4%である。
【0115】
(3.4)精度
50μg/mLのH1011の血漿溶液を選択し、2名の異なる検出員によりそれぞれ6回検出し、第1名の検出員による6回の実験結果のRSDは6.5%であり、第2名の検出員による6回の実験結果のRSDは7.2%であり、2名の検出員による12回の実験結果のRSDは7.4%であり、いずれも≦10.0%の許容可能な標準を満たす。方法精度がよい。
【0116】
(3.5)溶液安定性
50μg/mLのH1011血漿溶液を選択し、加水分解して前処理を行い、サンプル溶液の5日目の検出結果は0時間の90.2%であり、標準を満たす。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を検出するための方法であって、前記方法は、
(1)カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を含有するサンプルを加水分解し、式(I)で表される化合物を含有する加水分解液を得るステップと、
【化1】
(ただし、各R
aは独立して-SO
3H又は-Hであり、各R
bは独立してH、-SO
3H又は-C(O)CH
3であり、各R
cは独立して-SO
3H又は-Hであり、nは0、1、2、3、4又は5である。)
(2)液体クロマトグラフィータンデム質量分析によりステップ(1)で得られた加水分解液を検出するステップと、
(3)カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を標準品として、その異なる勾配の濃度の溶液をステップ(1)の方法に従って加水分解し、ステップ(2)の方法に従って異なる濃度の標準品溶液の加水分解液中の式(I)で表される化合物のマススペクトルシグナルピーク面積を検出し
、カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体標準品の量
とマススペクトルシグナルピーク面積との間の検量線を作成し、この検量線に基づいて、ステップ(2)で測定された式(I)で表される化合物のマススペクトルピーク面積によりサンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を算出するステッ
プと、を含み、
前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は、式(II)で表される構造単位と選択的な式(III)で表される構造単位とを含むグリコサミノグリカン系化合物である、ことを特徴とするサンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を検出するための方法。
【化2】
【化3】
(ただし、各R
aは独立して-SO
3H又は-Hであり、R
bは独立してH、-SO
3H又は-C(O)CH
3であり、R
cは独立して-SO
3H又は-Hである。)
【請求項2】
前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は、(1)グリコサミノグリカン中でウロン酸における隣接されるジオールが酸化開環されてジアルデヒド構造を形成することと、(2)ジアルデヒド構造がさらに酸化されてジカルボン酸構造を得ることとの2段階の酸化反応を経て得られ
、
その中、前記グリコサミノグリカンはヘパリン又はヘパラン硫酸である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(I)で表される化合物は、以下の構造式
からなる群から選ばれる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【化4】
【化5】
【化6】
【請求項4】
前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の重量平均分子量は3000~20000Daであり、好ましくは7000~14000Daであり、さらに好ましくは8000~13500Daであり、
前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の開環度は10%~100%であり、好ましくは25%~80%であり、さらに好ましくは25%~60%である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(1)に記載のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を含有するサンプルを加水分解する処理方式は加熱であり、
好ましくは、前記加熱の温度は70~100℃であり、85~95℃であることが好ましく、
好ましくは、前記加熱の時間は12~168hであり、12~120hであることが好ましい、ことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記液体クロマトグラフィーは逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー又は親水クロマトグラフィーであり、
好ましくは、前記液体クロマトグラフィーの移動相は移動相A及び移動相Bであり、前記移動相Aはヘキサフルオロイソプロパノールとペンチルアミンとの水溶液であり、前記移動相Bはヘキサフルオロイソプロパノールとペンチルアミンとのアセトニトリル-水溶液であり、
好ましくは、前記移動相Aは45~55mMのヘキサフルオロイソプロパノールと13~17mMのペンチルアミンとを含有する水溶液であり、前記移動相Bは45~55mMのヘキサフルオロイソプロパノールと13~17mMのペンチルアミンとを含有するアセトニトリル-水溶液であり、前記移動相Bでは、アセトニトリルと水との体積比は70:30~80:20であり、
好ましくは、前記液体クロマトグラフィーの移動相は移動相A及び移動相Bであり、具体的には以下の表で示される通りである、ことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【表1】
【請求項7】
前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を含有するサンプルは生物サンプルである場合に、ステップ(1)で得られた加水分解液に対して検出前処理を行う必要があ
り、前記前処理は、加水分解液をトリフルオロ酢酸溶液及びアセトニトリル-メタノール溶液と混合させ、その後、静置し、遠心し、上清を回収し乾燥させた後に水で再溶解することを含み、
好ましくは、前記生物サンプルは血液、尿を含み、
好ましくは、前記トリフルオロ酢酸溶液の添加量は体積で加水分解液の体積の0.5%~1.5%であり、
好ましくは、前記トリフルオロ酢酸溶液の濃度は4%~6%であり、
好ましくは、前記アセトニトリル-メタノール溶液の添加量は体積で加水分解液の体積の1~5倍であり、好ましくは1~3倍であり、より好ましくは1.5~2.5倍であり、
好ましくは、前記アセトニトリル-メタノール溶液では、アセトニトリルとメタノールとの体積比は1:0.5~1:1.5であり、
好ましくは、前記静置の温度は-25~-15℃であり、時間は15~25minである、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
構造は式(I)の通りである、ことを特徴とする化合物。
【化7】
(ただし、各R
aは独立して-SO
3H又は-Hであり、各R
bは独立してH、-SO
3H又は-C(O)CH
3であり、各R
cは独立して-SO
3H又は-Hであり、nは0、1、2、3、4又は5である。)
【請求項9】
以下の構造の1つを有する、ことを特徴とする請求項8に記載の化合物。
【化8】
【化9】
【化10】
【請求項10】
請求項
1に記載のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の検出方法
を含む、カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の薬物動態学研究
方法。
【請求項11】
請求項
1に記載のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の検出方法
を含む、カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の医薬製剤
の品質検出
方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
(ただし、各Raは独立して-SO3H又は-Hであり、各Rbは独立してH、-SO3H又は-C(O)CH3であり、各Rcは独立して-SO3H又は-Hであり、nは0、1、2、3、4又は5である。)
(2)液体クロマトグラフィータンデム質量分析によりステップ(1)で得られた加水分解液を検出するステップと、
(3)カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体を標準品として、その異なる勾配の濃度の溶液をステップ(1)の方法に従って加水分解し、ステップ(2)の方法に従って異なる濃度の標準品溶液の加水分解液中の式(I)で表される化合物のマススペクトルシグナルピーク面積を検出し、カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体標準品の量とマススペクトルシグナルピーク面積との間の検量線を作成し、この検量線に基づいて、ステップ(2)で測定された式(I)で表される化合物のマススペクトルピーク面積によりサンプル中のカルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体の含有量を算出するステップと、を含み、
前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は、式(II)で表される構造単位と選択的な式(III)で表される構造単位とを含むグリコサミノグリカン系化合物である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
好ましくは、前記カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体は、(1)グリコサミノグリカン中でウロン酸における隣接されるジオールが酸化開環されてジアルデヒド構造を形成することと、(2)ジアルデヒド構造がさらに酸化されてジカルボン酸構造が得られることとの2段階の酸化反応を経て得られ、その中、前記グリコサミノグリカンはヘパリン又はヘパラン硫酸である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
好ましくは、前記式(I)で表される化合物は、以下の構造式からなる群から選ばれる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
(1.4.4)H1011標準溶液と化合物(a)のマススペクトルピーク面積との間の検量線を作成し、化合物(a)のマススペクトルシグナルはMS(ESI,neg.ion)m/z:432.0[M-H]-であり、線形方程式はy=36.2154x-0.3216であり、相関係数はR2=0.9987であり、ただし、yはマススペクトルピーク面積であり、xは標準溶液濃度である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
(1.4)検量線の作成:
(1.4.1)カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体H1011を秤量して1mg/mLの水溶液に調製し、上記ブランク血漿を希釈液としてH1011水溶液を段階的に希釈し、2μg/mL、4μg/mL、8μg/mL、16μg/mL、32μg/mL、64μg/mL、128μg/mL、256μg/mLの標準溶液を調製し、90℃の条件で48h加水分解する。
(1.4.2)加水分解後の標準溶液に対して検出前処理を行い、加水分解後の標準溶液へ1%の体積比のトリフルオロ酢酸(5%、v/v)及び2倍の体積のアセトニトリル/メタノール(v/v、50/50)を添加し、均一に混合して、-20℃で20min静置し、遠心して、上清を回収し乾燥した後に超純水で再溶解する。
(1.4.3)液体クロマトグラフィータンデム質量分析検出を行い、スペクトルを測定して得られ、クロマトグラフィー条件は上記表2の通りであり、質量分析条件は上記表3の通りであり、分子量を390.0Daとする。
(1.4.4)H1011標準溶液と化合物(b)のマススペクトルピーク面積との間の検量線を作成し、化合物(b)のマススペクトルシグナルはMS(ESI,neg.ion)m/z:390.0[M-H]-であり、作成された線形方程式はy=26.0235xであり、相関係数は0.9981であり、ただし、yはマススペクトルピーク面積であり、xは標準溶液濃度である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
(1.4)検量線の作成:
(1.4.1)カルボン酸化したグリコサミノグリカン誘導体H1011を秤量して1mg/mLの水溶液に調製し、上記ブランク血漿を希釈液としてH1011水溶液を段階的に希釈し、2μg/mL、4μg/mL、8μg/mL、16μg/mL、32μg/mL、64μg/mL、128μg/mL、256μg/mLの標準溶液を調製し、90℃の条件で36h加水分解する。
(1.4.2)加水分解後の標準溶液に対して検出前処理を行い、加水分解後の標準溶液へ1%の体積比のトリフルオロ酢酸(5%、v/v)及び2倍の体積のアセトニトリル/メタノール(v/v、50/50)を添加し、均一に混合して、-20℃で20min静置し、遠心して、上清を回収し乾燥した後に超純水で再溶解する。
(1.4.3)液体クロマトグラフィータンデム質量分析検出を行い、スペクトルを測定して得られ、クロマトグラフィー条件は上記表2の通りであり、質量分析条件は上記表3の通りであり、分子量を522.98Daとする。
(1.4.4)H1011標準溶液と化合物(c)のマススペクトルピーク面積との間の検量線を作成し、化合物(c)のマススペクトルシグナルはMS(ESI,neg.ion)m/z:522.98[M-2H]2-であり、作成された線形方程式はy=23.6225xであり、相関係数は0.9986であり、ただし、yはマススペクトルピーク面積であり、xは標準溶液濃度である。
【国際調査報告】