(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】単顆脛骨コンポーネント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/38 20060101AFI20240130BHJP
A61B 17/88 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A61F2/38
A61B17/88
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541035
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 GB2022050025
(87)【国際公開番号】W WO2022148964
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523254184
【氏名又は名称】ツィマー.ゲゼルシャフト.ミット.ベシュレンクテル.ハフトゥング
【氏名又は名称原語表記】ZIMMER GMBH
【住所又は居所原語表記】Zahlerweg 4, 6300 Zug, CH
(71)【出願人】
【識別番号】512236146
【氏名又は名称】オコナー ジョン
【住所又は居所原語表記】Quarry Manner,9 Beaumont Road,Headington Quarry,Oxford,Oxfordshire OX3 8JN,GB
(71)【出願人】
【識別番号】523254195
【氏名又は名称】ドッド.クリストファー
【氏名又は名称原語表記】DODD, Christopher
【住所又は居所原語表記】88 Foundry House, Walton Well Road, Oxford, Oxfordshire OX2 6AQ, GB
(71)【出願人】
【識別番号】523254209
【氏名又は名称】マレー.デイヴィッド・ウィクリフ
【氏名又は名称原語表記】MURRAY, David Wycliffe
【住所又は居所原語表記】Cuddeson House, Wheatley Road, Oxford, Oxfordshire OX44 9HB, GB
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】オコナー.ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ドッド.クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】マレー.デイヴィッド・ウィクリフ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097CC01
4C097CC05
4C097SC09
4C160LL12
4C160LL27
(57)【要約】
本発明において、単顆脛骨コンポーネントが記載されている。第1の単顆コンポーネントは、支持面と、患者の脛骨の近位端に固定されるように構成された対向面とを有するプレートを備え、該プレートは、前端部、外側部、後端部および内側部をさらに備え、該プレートの内外方向における幅Wが前記外側部と前記内側部との間に規定され、長手方向の前後軸が前記前端部と前記後端部との間で外側部から前記プレートの幅の約3分の1(つまり、1/3W)だけ延び、前記プレートの長手方向軸長さLを規定する。第1の細長いペグは、前方部分において前記対向面から突出し、第1のペグ軸を規定する。第2の細長いペグは、前方部分において前記対向面から突出し、第2のペグ軸を規定する。前記第1および第2のペグ軸は、前記長手方向の前後軸に対して45~70°の角度で配置され、かつ前記第1および第2のペグが前記プレートに対して後方側および遠位側に突出するように、互いに実質的に平行である。前記プレートの前方部分は、前記プレートの前記長手方向軸長さLの前方の60%以下によって規定される部分を含む一方で、前記プレートの後方部分は、前記プレートの前記長手方向軸長さLの残りの後方の40%以上によって規定される部分を含み、前記対向面の後方部分には、ペグまたはその他の固定装置が配置されず、前記第1および第2の細長いペグは、前記プレートの外縁から前記プレートの内外方向における幅Wの半分以上の位置に配置される。前記コンポーネントは、締り嵌めを用いたセメントレス固定用に構成される。また、装着方法および装着に使用するのに好適な工具も記載されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単顆脛骨コンポーネントであって、
支持面と、患者の脛骨の近位端に固定されるように構成された対向面とを有するプレートであって、該プレートが前端部、外側部、後端部および内側部をさらに備え、該プレートの内外方向における幅Wが前記外側部と前記内側部との間に規定され、長手方向の前後軸が前記前端部と前記後端部との間で外側部から前記プレートの幅の約3分の1(つまり、1/3W)だけ延び、前記プレートの長手方向軸長さLを規定する、プレートと、
前方部分において前記対向面から突出し、第1のペグ軸を規定する第1の細長いペグと、
前方部分において前記対向面から突出し、第2のペグ軸を規定する第2の細長いペグと
を備え、前記第1および第2のペグ軸は、前記長手方向の前後軸に対して45°~70°の角度で配置され、かつ前記第1および第2のペグが前記プレートに対して後方側および遠位側に突出するように、互いに実質的に平行であり、
前記プレートの前方部分は、前記プレートの前記長手方向軸長さLの前方の60%以下によって規定される部分を含む一方で、前記プレートの後方部分は、前記プレートの前記長手方向軸長さLの残りの後方の40%以上によって規定される部分を含み、前記対向面の後方部分には、ペグまたはその他の固定装置が配置されず、
前記第1および第2の細長いペグは、前記プレートの外縁から該プレートの内外方向における幅Wの半分以上の位置に配置され、
前記コンポーネントは、締り嵌めを用いたセメントレス固定用に構成される、単顆脛骨コンポーネント。
【請求項2】
前記第1および第2のペグ軸は、前記長手方向の前後軸に対して約60°の角度で配置される、請求項1に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項3】
前記細長いペグの1つ以上は、高いアスペクト比を有し、各ペグは、長さが6~12mmであり、最大径が4~8mmであることが好ましい、請求項1または2に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項4】
(i)前記細長いペグの1つ以上は、断面が楕円形であり、あるいは
(ii)前記細長いペグの1つ以上はテーパー状である、請求項1から3のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項5】
前記細長いペグの1つ以上は、円形またはテーパー状の先端を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項6】
前記第1の細長いペグは、前記前後軸長さの5分の1の位置に配置され、前記第2の細長いペグは、前記前後軸長さの半分の位置に配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項7】
前記細長いペグの1つ以上は、1つ以上のバーブを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項8】
前記コンポーネントは、前記細長いペグの各々にセメントレス固定用コーティングを備え、前記コーティングは各ペグの一領域内に存在せず、それによって前記領域の各々の直径は被覆ペグの最大径よりも狭くなる、請求項1から7のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項9】
前記コーティングは、前記対向面に隣接する各ペグのベース領域内に存在せず、それによって前記ベース領域の各々の直径は被覆ペグの最大径よりも狭くなる、請求項8に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項10】
前記細長いペグの1つ以上は、前記ペグの最大径よりも狭い領域を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項11】
単顆人工膝関節置換術用のガイド具であって、
長手方向の前後軸を有する脛骨コンポーネントのプレートを模するような形状にされたガイドプレートと、
ドリルを、第1のドリル軸に沿って前記ガイドプレートを通して案内するように構成された第1のドリルガイドと、
ドリルを、第2のドリル軸に沿って前記ガイドプレートを通して案内するように構成された第2のドリルガイドと
を備え、前記第1および第2のドリル軸は、前記長手方向の前後軸に対して45~70°の角度で配置され、互いに実質的に平行である、単顆人工膝関節置換術用のガイド具。
【請求項12】
前記ガイドプレートは、前後方向における長さを有し、前記第1のドリルガイドは前記ガイドプレートの前端部から5分の1の長さの位置に配置され、前記第2のドリルガイドは前記ガイドプレートの前端部から半分の長さの位置に配置される、請求項11に記載のガイド具。
【請求項13】
ドリルと相互作用して、前記第1または第2のドリルガイドによって所定の深さを超えて穴を開けることを防止するように動作可能なドリルストップをさらに備える、請求項11または12に記載のガイド具。
【請求項14】
前記ガイドプレートと患者の大腿骨との間に係合するように動作可能なクランプ
をさらに備える、請求項11から13のいずれか1項に記載のガイド具。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか1項に記載の1つ以上の脛骨コンポーネントと、請求項11から14のいずれか1項に記載のガイド具とを備える、キット。
【請求項16】
単顆脛骨コンポーネントを装着する方法であって、
脛骨コンポーネントが装着される患者の脛骨表面を切除する工程と、
請求項11から14のいずれか1項に記載のガイド具を、前記切除された脛骨表面に固定する工程と、
前記ガイド具の第1のドリルガイドを用いて、前記切除された脛骨に第1の斜めペグ穴を開ける工程と、
前記ガイド具の第2のドリルガイドを用いて、前記切除された脛骨に第2の斜めペグ穴を開ける工程であって、前記第2のペグ穴が前記第1のペグ穴と平行である、工程と、
請求項1から10のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネントを、前記切除され、穴開けされた脛骨に挿入する工程と
を備える、単顆脛骨コンポーネントを装着する方法。
【請求項17】
単顆脛骨コンポーネントであって、
支持面と、患者の脛骨の近位端に固定されるように構成された対向面とを有するプレートと、
前記対向面から突出する固定機構と
を備え、前記コンポーネントは、締り嵌めを用いたセメントレス固定用に構成され、
前記コンポーネントは、前記対向面にセメントレス固定表面および/またはコーティングを備え、前記固定機構の少なくとも一部は、平滑な外面を備える、単顆脛骨コンポーネント。
【請求項18】
前記固定機構は平滑な挿入面を備える、請求項17に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項19】
単顆脛骨コンポーネントであって、
支持面と、患者の脛骨の近位端に固定されるように構成された対向面とを有するプレートと、
前記対向面から突出するキールと
を備え、前記プレートは、前方部分と、後方部分と、前後軸長さを有する長手方向の前後軸とを備え、この態様において、前記前方部分が前記長手方向の前後軸長さの76%以下を備え、前記後方部分が前記長手方向の前後軸長さの残りの24%以上を備え、
前記キールは前記前後軸上に位置し、前記前方部分において前記対向面から突出しており、前記対向面の後方部分には、前記キールのような固定装置が配置されず、
前記コンポーネントは、締り嵌めを用いたセメントレス固定用に構成される、単顆脛骨コンポーネント。
【請求項20】
前記キールは前縁と後縁とを備え、前記前縁が前記プレートの前方リムから前記前後軸長さの20%未満の位置に配置され、前記後縁が前記プレートの後方リムから前後軸長さの23%を超えた位置に配置される、請求項17から19のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項21】
前記キールは、前記対向面に隣接する基部と、前記対向面から遠位側の先端部と、内側および外側壁とを備え、前記内側および外側壁が前記基部から前記先端部に向かって内側に先細りになっている、請求項17から20のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項22】
前記テーパーの角度は0.5~4°であり、任意選択で、1°、2°または3°である、請求項21に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項23】
前記コンポーネントは、前記対向面にセメントレス固定表面および/またはコーティングを備え、前記第1および第2の細長いペグは、平滑な外面を有する挿入面を備える、請求項1から11のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネント;あるいは
前記コンポーネントは、前記対向面にセメントレス固定表面および/またはコーティングを備え、前記キールは、平滑な外面を有する挿入面を備える、請求項19から22のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項24】
前記挿入面は、セメントレス固定用コーティングを受け取るように動作可能なポケットに接している、請求項18または23に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項25】
前記固定機構はキールであり、前記キール全体は平滑な外面を備える、請求項17に記載の単顆脛骨コンポーネント;あるいは
前記コンポーネントは、前記対向面にセメントレス固定表面および/またはコーティングを備え、前記キール全体は平滑な外面を備える、請求項19から22のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【請求項26】
前記コンポーネントは、前記対向面にセメントレス固定表面および/またはコーティングを備え、前記第1および第2の細長いペグは、平滑な生体吸収性コーティングで部分的または完全に覆われているセメントレス固定表面および/またはコーティングを備える、請求項1から11のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネント;あるいは、
前記固定機構は、平滑な生体吸収性コーティングで部分的または完全に覆われているセメントレス固定表面および/またはコーティングを備える、請求項17から18のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネント;あるいは、
前記コンポーネントは、前記対向面にセメントレス固定表面および/またはコーティングを備え、前記キールは、平滑な生体吸収性コーティングで部分的または完全に覆われているセメントレス固定表面および/またはコーティングを備える、請求項19から24のいずれか1項に記載の単顆脛骨コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単顆脛骨コンポーネント、およびそれを移植するための方法および装置に関する。本発明は、特に、セメントレス移植用の単顆脛骨コンポーネントに関するが、他を排除するものではない。
【背景技術】
【0002】
膝関節置換術は、通常、外科医が患者の大腿骨および/または脛骨を切除し、切除された骨に人工大腿骨コンポーネントおよび/または人工脛骨コンポーネントを移植してその関節表面を置換することを含む。この手術は、大腿骨および脛骨(場合によっては膝蓋骨)の関節表面を置換する人工膝関節全置換術であってもよく、単顆人工膝関節置換術(人工膝単顆片側置換術とも呼ばれる)などの、膝関節の関節表面の一部のみを置換する人工膝関節部分置換術であってもよい。
【0003】
移植されるコンポーネントは、何らかの方法によって切除された骨に固定する必要がある。このため、脛骨コンポーネントは1つ以上のアンカーを含むことが多い。上記アンカーは、コンポーネントの基部または側部に位置してもよく、患者の骨の中に形成された(例えば、掘削、彫刻、バーリング加工、または鋸切り加工を行って得られた)空洞内に収容され、コンポーネントを所定の位置に固定することを補助する。このようなアンカーは、コンポーネントの基部からコンポーネントの前後軸とほぼ平行に延びる細長い突出部であるキールとしてもよい。
【0004】
骨セメントは、インプラント(アンカーの有無に関わらず)を所定の位置に固定するために使用することができる。骨セメントは、切除された骨とインプラントの底面との間の空隙を埋めることができる点で有用である。しかしながら、骨セメントは、時間の経過に伴って劣化したり、割れたりして、インプラントの緩みや損傷を引き起こし、および/または膝の区画内に破片を生じさせるおそれがある。また、骨が吸収されるため、セメントと骨の間の結合が崩れる場合もある。コンポーネントが緩むと、陥没する傾向が生じる。緩んだ脛骨コンポーネントに中心から偏って荷重がかかると、該脛骨コンポーネントが剥離し陥没してしまう可能性がある。例えば、膝の屈曲運動により、脛骨プラトー上のインプラントが前方に剥離されることが知られており、それに加えて、インプラントの損傷および/または膝の区画内の破片の発生を引き起こすおそれもある。
【0005】
単顆人工膝関節置換術、特に内側単顆人工膝関節置換術のセメントレス固定は、セメント固定よりも良好な長期効果が得られる場合がある。セメントレスコンポーネントは、骨セメントを使用せずに、切除された骨に固定するように設計されたものである。このようなコンポーネントは、一般に、時間の経過に伴ってコンポーネントの中への骨の内殖を促進する多孔質または微多孔質の表面を含み、このような内殖は最終的にコンポーネントと患者の骨との間に強固な結合を形成する。骨の内殖が生じたときにインプラントを所定の位置に確実に維持するために、セメントレスコンポーネントは、通常、患者の骨に嵌入されてプレス嵌めおよび/または締り嵌めを形成する1つ以上の固定機構(例えば、キール)を含む。
【0006】
セメントレス脛骨側固定には、脛骨プラトー骨折と固定不全の2つの主要な早期合併症があり、インプラントの緩みや陥没を引き起こし、患者に痛みを感じさせるおそれがある。これらの合併症はまれであるが、合併症を経験した患者にとっては大きな問題である。
【0007】
脛骨プラトー骨折は、通常、移植後の最初の数週間に発生する。これは、おそらく手術時に亀裂が発生し、その後、応力を受けた骨の中を伝播したためであると考えられる。セメントレス固定では、キールなどの固定機構は衝撃を受け、圧入される。衝撃により、亀裂が生じるおそれがある。また、プレス嵌めにより、骨の中に応力が生じ、骨折の伝播を引き起こすおそれがある。また、縦キールを使用する場合には、骨の中に溝を形成する必要があるため、骨の弱体化につながる。単顆人工膝関節置換術中において、表面の軟骨下骨が除去される。正常な膝では、この骨は張り出した内側顆が骨折することを防ぐ張力帯として機能する。置換された膝では、この張力帯が取り外されるため、骨折が発生しやすくなる。
【0008】
脛骨コンポーネントの陥没は、顕在化するまでに長時間を要する場合がある。一般的な機能的活動では、膝が伸展に近い状態では、脛骨コンポーネントにかかった荷重は比較的に集中している。その結果、脛骨コンポーネントの下方に位置する骨とインプラント(または骨とセメント)の界面での力は主に圧縮力であり、セメントレス固定に理想的である。また、活動中に大腿骨コンポーネントが前後に動くため、上記界面に若干のせん断力も生じる。このせん断力は比較的小さい(特に可動式ベアリングの場合、脛骨コンポーネントと骨との間の摩擦力よりも一桁小さい)。しかしながら、高荷重を伴う高屈曲活動では、力は脛骨コンポーネントのより後方に加えられる。これにより、骨が後方に圧縮され、コンポーネントの前部が骨から浮き上がると同時に、コンポーネントが傾斜する傾向がある。X線写真側面像では、通常、セメントレスコンポーネントの前面の下に放射線透過性領域が観察でき、これは、おそらく上記剥離によってこの領域での固定が損なわれるためであると考えられる。痛みを伴う陥没が起こると、骨は後方に崩壊し、コンポーネントの傾きが顕著に上昇する。このような崩壊は、おそらく後方の骨に過負荷がかかっているためであると考えられる。また、崩壊して外反となることも多い。これは、おそらくコンポーネントが比較的柔軟な海綿骨の後外側よりも皮質の後内側でよりよく支持されているためであり、および/または関連する移動式ベアリングがコンポーネントの側壁に当たった場合、偏心した側方荷重が発生したためであると考えられる。
【0009】
一般に、固定方法の侵襲性が高いほど、骨を弱体化させる可能性が高くなり、骨折が発生する可能性が高くなる。また、コンポーネントの締り嵌めに伴う力が骨折の原因となる場合がある。これに対して、固定方法の侵襲性が低いほど、インプラントの固定性が低下し、時間の経過に伴って緩みやすくなり、骨の陥没やその他の合併症を引き起こすおそれがある。
【0010】
特許文献1は、脛骨コンポーネントが前方に浮き上がるという問題を認識し、単顆膝関節形成術のための装置を提案した。該装置は、患者の脛骨の近位端の外科的に準備された内側(または外側)区画に固定されるように構成された第1の表面と、内側(または外側)脛骨顆部を模するように構成された反対側の第2の表面とを有するベースプレートと、上記ベースプレートに隣接し、患者の脛骨の近位端の外科的に準備された前方表面と接するような形状にされたフランジとを含む。該装置は、第1の表面から突出し、患者の脛骨内の少なくとも1つの対応する外科的に準備された空隙と一致するように配置された少なくとも1つのアンカーをさらに含む。上記フランジは、該フランジを貫通する開口部を含む。この開口部により、ロッドの形態の締結構造がフランジを貫通して、患者の脛骨を通って第1の表面の後方のレセプタクルに向かって導入されることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/330431号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、単顆脛骨コンポーネントであって、支持面と、患者の脛骨の近位端に固定されるように構成された対向面とを有するプレートであって、該プレートが前端部、外側部、後端部および内側部をさらに備え、該プレートの内外方向における幅Wが前記外側部と前記内側部との間に規定され、長手方向の前後軸が前記前端部と前記後端部との間で外側部から前記プレートの幅の約3分の1(つまり、1/3W)だけ延び、前記プレートの長手方向軸長さLを規定する、プレートと、前方部分において前記対向面から突出し、第1のペグ軸を規定する第1の細長いペグと、前方部分において前記対向面から突出し、第2のペグ軸を規定する第2の細長いペグとを備え、前記第1および第2のペグ軸は、前記長手方向の前後軸に対してある角度で配置され、互いに実質的に平行であり、前記対向面の後方部分には、ペグまたはその他の固定装置が配置されず、前記コンポーネントは、締り嵌めを用いたセメントレス固定用に構成される、単顆脛骨コンポーネントを提供する。
【0013】
コンポーネントの後方部分にペグまたはその他の固定装置(キールなど)が存在しないことにより、患者の脛骨の後方部分への外傷を低減するようにコンポーネントを装着することができる。平行ペグが有する角度付きの性質により、コンポーネントの装着後にペグが抜き出されることに抗う。特に、角度付きペグは、コンポーネントの前方部分が浮き上がることを防止する(後方に荷重が加わった場合、コンポーネントが前方に移動できなくなるため、コンポーネントがまっすぐ引き出される)。これらの特徴を併せ持つコンポーネントは、セメントレス固定を行った後に脛骨骨折やコンポーネントの緩みを引き起こしにくい。
【0014】
本明細書で使用されるセメントレス固定とは、骨セメントを使用せずに、コンポーネントを装着する方法を指す。したがって、セメントレス装着に適したコンポーネントは、骨セメントを使用せずに患者の骨に装着して固定できるものである。本明細書に記載されるコンポーネントはセメントレス固定に好適である。これは、ペグが患者の脛骨に形成された適切な大きさの穴と締り嵌めを形成するように形状付けられるためである。本明細書に記載されるコンポーネントは、ペグによる締り嵌めを除いて、いかなる一次固定も必要としないため、その他の一次固定機構は配置されていない。コンポーネントは、その1つ以上の骨接触面に、それらの表面への骨の内殖を促進し、時間の経過に伴って二次固定を促進する表面構造または処理部をさらに含んでもよい。
【0015】
本明細書に記載されるように、プレートの前方部分は、プレートの長手方向の前後軸に対して、該長手方向の前後軸の前方(前方部分)の60%以下(例えば、55%または50%)を含む部分として定義される。後方部分は、プレートの残部、すなわち、長手方向軸の後方(後方部分)の40%以上(例えば、45%~50%)を含む部分として定義される。長手方向の前後軸は、プレートの内縁から該プレートの幅の約1/3の位置に配置され、キールが存在する場合は、該キールが実質的に配置される位置にあってもよい。
【0016】
第1および第2のペグ軸は、長手方向の前後軸に対して、45~70°、55~65°、または約60°の角度で配置されてもよい。このような傾斜した角度付きペグは、コンポーネントが移植後に患者の骨から垂直に浮き上がることを防止するように構成されてもよい。第1および第2のペグは、プレートの後方に向かって角度を付けられてもよい。すなわち、第1および第2のペグの各々の先端は、同一ペグの基部よりもさらに後方に位置する。あるいは、ペグは、対面と90°の角度をなしてもよい。すなわち、ペグは、内外方向ではなく前後方向にのみ角度を付けられる場合がある。
【0017】
細長いペグの1つ以上は、高いアスペクト比、例えば3:2、2:1、3:1またはそれ以上の長さ:幅の比を有してもよい。前記高アスペクト比に加えて、各ペグは、長さが6~12mm(例えば、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mmまたは12mm)、最大径が4~8mm(例えば、4mm、5mm、6mm、7mmまたは8mm)であってもよい。このような高アスペクトペグにより、脛骨への外傷を低減し、コンポーネントが骨から垂直に引き抜かれるおそれをさらに低減する。
【0018】
細長いペグの1つ以上の断面は、楕円形であってもよい。細長いペグの1つ以上は、テーパー状であってもよい。細長いペグの1つ以上は、円形またはテーパー状の先端を含んでもよい。
【0019】
ペグは、前後に並べて配置されてもよく、すなわち、第1のペグは、第2のペグの前方に配置されてもよい。ペグは、互いに一直線上に位置してもよい(すなわち、同じ前後平面内に位置してもよい)。プレートは、長手方向の前後軸長さとして定義され得る前後軸長さを含んでもよい。第1の細長いペグ(より具体的には、ペグ軸が前後軸と交差する、上記ペグの基部)は、軸の前端部から前後軸長さの5分の1の位置に配置され、第2の細長いペグは、軸の前端部から前後軸長さの半分の位置に配置される。
【0020】
プレートは、内外方向における幅を含んでいてもよく、この幅は、プレートの内側(すなわち、脛骨隆起部に最も近接して配置されるように意図された側)とプレートの外側(すなわち、脛骨隆起部から離れて配置されるように意図された側)との間のプレートの最も広い部分の幅として定義することができる。両方のペグは、プレートの外側から該プレートの幅の1/3を超えた位置、例えば、プレートの外側から該プレートの幅の1/2を超えた位置、またはプレートの外側から該プレートの幅の1/2~3/4の間の位置に配置されてもよい。
【0021】
細長いペグの1つ以上は、1つ以上のバーブを含んでもよい。
【0022】
コンポーネントは、細長いペグの各々にセメントレス固定用コーティングを含んでいてもよく、該コーティングは、各ペグの一領域に存在しなくてもよく、それによって上記領域の各々は被覆ペグの最大径よりも狭い直径を有する。上記コーティングは、対向面に隣接する各ペグのベース領域に存在しなくてもよく、それによって上記ベース領域の各々は被覆ペグの最大径よりも狭い直径を有する。
【0023】
細長いペグの1つ以上は、ペグの最大径よりも狭い領域を含んでもよい。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、単顆人工膝関節置換術用のガイド具であって、長手方向の前後軸を有する脛骨コンポーネントのプレートを模するような形状にされたガイドプレートと、ドリルを、第1のドリル軸に沿って前記ガイドプレートを通して案内するように構成された第1のドリルガイドと、ドリルを、第2のドリル軸に沿って前記ガイドプレートを通して案内するように構成された第2のドリルガイドとを備え、前記第1および第2のドリル軸は、前記長手方向の前後軸に対してある角度で配置され、互いに実質的に平行である、単顆人工膝関節置換術用のガイド具を提供する。
【0025】
上記角度は、45~70°の範囲、例えば55~65°または約60°であってもよい。
【0026】
ガイドプレートは、前後方向における長さを含んでもよい。第1のドリルガイドは、ガイドプレートの前端部から5分の1の長さの位置に配置され、第2のドリルガイドは、ガイドプレートの前端部から半分の長さの位置に配置されてもよい。
【0027】
ガイド具は、ドリルと相互作用して、第1または第2のドリルガイドによって所定の深さを超えて穴を開けることを防止するように動作可能なドリルストップをさらに含んでもよい。
【0028】
ガイド具は、ガイドプレートと患者の大腿骨との間に係合するように動作可能なクランプをさらに含んでもよい。
【0029】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様に係る1つ以上の脛骨コンポーネントと、本発明の第2の態様に係るガイド具とを含むキットを提供する。第1のドリルガイドは、例えば、最大内径を有するような形状であってもよく、上記最大内径は、第1のドリルガイドを介して開けられる穴の最大径が第1のペグの最大径よりも小さくなるようにその大きさが決められる。同様に、第2のドリルガイドは、例えば、最大内径を有するような形状であってもよく、上記最大内径は、第2のドリルガイドを介して開けられる穴の最大径が第2のペグの最大径よりも小さくなるようにその大きさが決められる。ドリル直径は、例えば対応するペグの直径よりも0.25mm、0.5mm、0.75mm、または1mm小さくてもよい。
【0030】
本発明の第4の態様によれば、単顆脛骨コンポーネントを装着する方法であって、脛骨コンポーネントが装着される患者の脛骨表面を切除する工程と、本明細書に記載される一実施形態に係るガイド具を、前記切除された脛骨表面に固定する工程と、前記ガイド具の第1のドリルガイドを用いて、前記切除された脛骨に第1の斜めペグ穴を開ける工程と、前記ガイド具の第2のドリルガイドを用いて、前記切除された脛骨に第2の斜めペグ穴を開ける工程であって、前記第2のペグ穴が前記第1のペグ穴と平行である、工程と、本明細書に記載される一実施形態に係る単顆脛骨コンポーネントを、前記切除され、穴開けされた脛骨に挿入する工程とを含む、単顆脛骨コンポーネントを装着する方法を提供する。
【0031】
第1の斜めペグ穴は、最大径が第1のペグの最大径よりも小さくしてもよい。同様に、開けられた第2の斜めペグ穴は、最大径が第2のペグの最大径よりも小さくしてもよい。ドリル直径は、例えば、対応するペグの直径よりも0.25mm、0.5mm、0.75mm、または1mm小さくてもよい。
【0032】
本発明の第5の態様によれば、単顆脛骨コンポーネントであって、支持面と、患者の脛骨の近位端に固定されるように構成された対向面とを有するプレートと、前記対向面から突出するキールとを備え、前記プレートは、前方部分と、後方部分と、前後軸長さを有する長手方向の前後軸とを備え、この態様において、前記前方部分が前記長手方向の前後軸長さの76%以下を備え、前記後方部分が前記長手方向の前後軸長さの残りの24%以上を備え、前記キールは前記前後軸上に位置し、前記前方部分において前記対向面から突出しており、前記対向面の後方部分には、前記キールのような固定装置が配置されず、前記コンポーネントは、締り嵌めを用いたセメントレス固定用に構成される、単顆脛骨コンポーネントを提供する。
【0033】
典型的な従来技術のキールは、コンポーネントのサイズに応じて、その長さが前後軸長さの約60%以下である。このようなキールは通常、前後軸の中央部に配置される。例えば、キールの長さが前後軸の58%である場合、対向面の前方の21%にはキールを含まず、対向面の後方の21%にもキールを含まない。
【0034】
しかしながら、本発明の第5の態様に係る脛骨コンポーネントの場合、従来のキールと比較して、キールがプレートの前方に位置するため、移植時に脛骨の後方部分に与える損傷が少なくなる。
【0035】
キールは、前縁と後縁とを含んでもよい。前縁はプレートの前方リムから前後軸長さの20%未満(例えば、19%、18%、17.5%、17%またはそれ以下)の位置に配置され、後縁がプレートの後方リムから前後軸長さの23%を超えた(例えば、24%、24.5%、25%、26%またはそれ以上)位置に配置される。
【0036】
従来のキールでは、前縁と前方リムとの間の距離d1は、後縁と後方リムとの間の距離d2と等しくてもよい。これに対して、本明細書に記載されるキールの場合は、前縁と前方リムとの間の距離d3は、後縁と後方リムとの間の距離d4よりも小さくてもよい。例えば、距離d3は距離d4の80%以下、例えば75%、74%、73%、72%、71%または70%としてもよい。
【0037】
本発明の第6の態様によれば、単顆脛骨コンポーネントであって、支持面と、患者の脛骨の近位端に固定されるように構成された対向面とを有するプレートと、前記対向面から突出するキールとを備え、前記コンポーネントは、締り嵌めを用いたセメントレス固定用に構成され、前記キールは、前記対向面に隣接する基部と、前記対向面から遠位側の先端部と、内側および外側壁とを備え、前記内側および外側壁が前記基部から前記先端部に向かって内側に先細りになっている、単顆脛骨コンポーネントを提供する。
【0038】
すなわち、キールは、対向面に隣接する基部における幅よりも先端部に向かうにつれて幅が狭くなる(すなわち、薄くなる)。このような先細りのキールにより、脛骨への締り嵌めがきつくなり、時間の経過に伴う緩みが発生する可能性が低下する。
【0039】
テーパー角度は、0.5~4°の範囲、例えば1°、2°または3°であってもよい。
【0040】
本発明の第7の態様によれば、単顆脛骨コンポーネントであって、支持面と、患者の脛骨の近位端に固定されるように構成された対向面とを有するプレートと、前記対向面から突出する固定機構とを備え、前記コンポーネントは、締り嵌めを用いたセメントレス固定用に構成され、前記コンポーネントは、前記対向面にセメントレス固定表面および/またはコーティングを備え、前記固定機構の少なくとも一部は、平滑な外面を備える、単顆脛骨コンポーネントを提供する。
【0041】
固定機構は、キールやペグ、例えば、上述したような角度付きペグであってもよい。
【0042】
セメントレス固定では、対向面および固定機構は、通常、表面への骨の内殖を促進し、それによって時間の経過に伴って二次固定を促進する表面構造または処理部を含む。骨の内殖のために設計されるような粗面は、準備した脛骨にセメントレスコンポーネントを挿入する際に、やすりとして機能できることが分かった。これにより、脛骨において準備した穴または溝を広げてしまう可能性があるため、締り嵌めの完全性が低下する。
【0043】
本発明の第7の態様において、固定機構には、このような表面構造または処理部が部分的または完全に存在しなくてもよい。あるいは、再吸収性コーティングは、固定機構に存在するいかなる粗面処理部またはコーティングを部分的にまたは完全に覆うように、固定機構の一部または全部の上に設けられてもよい。
【0044】
固定機構の挿入面は、平滑であってもよい(例えば、セメントレス固定表面および/またはコーティングを有しないか、または再吸収性コーティングで覆われている)。本明細書において、「挿入面」とは、固定機構の残部を案内するように、最初に骨腔内に挿入されるように動作可能な固定機構の表面を指す。このような挿入面が粗面である場合、そのすりおろしの効果は、固定機構の残部によるあらゆるすりおろしの効果よりも著しく高くなる。このため、平滑な挿入面を設けることによって、上述のすりおろしの効果を著しく低減することができる。固定機構の残部には、骨の内殖を促進し、骨の内殖のための大きい被覆表面積を依然として維持する(非被覆)表面構造または処理部が設けられてもよい。
【0045】
ペグの場合は、挿入面はペグの先端を含んでもよい。ペグの先端は、平滑であってもよいし、円形または球形であってもよい。ペグの軸には、セメントレス固定表面および/またはコーティングが設けられてもよい。例えば、ペグの先端は、最大径がペグの軸の最大径よりも広くてもよいため、ペグの先端と対向面との間にポケットを設けてもよく、それによって先端と対向面との間に多孔質コーティングをペグの軸に塗布することができる。ポケットの深さは、ポケット内において塗布されたコーティングがペグの先端の最大径を越えて突出しないように選択することができる。
【0046】
キールの場合は、挿入面はキールの後方(後側)縁の全部または一部と、キールの下縁の全部または一部とを含んでもよい。挿入面は、キールの前方(前側)縁の全部または一部をさらに含んでもよい。したがって、キールの外側リムまたはその一部は平滑であってもよい。セメントレス固定表面および/またはコーティングは、キールの挿入面以外の部分に設けられてもよい。例えば、平滑な外側リムと対向面との間には、多孔質コーティングが塗布されてもよい。キールの挿入面と対向面との間に凹部またはポケットが設けられてもよく、それによってポケット内に多孔質コーティングを設けることができる。ポケットの深さは、ポケット内に塗布されたコーティングが内外方向において外側リムを越えて突出しないように選択することができる。
【0047】
固定機構の外面全体は、平滑であってもよい。すなわち、固定機構には、セメントレス固定表面および/またはコーティングが存在しなくてもよい。
【0048】
固定機構には、すべての外面上の骨の内殖を促進する表面構造または処理部が設けられてもよく、上記構造または処理部は、移植時に平滑な表面を提供するように、完全または部分的に(例えば、上述したように、挿入面においてのみ)吸収性コーティングで覆われている。適切な再吸収性材料の例としては、カルシウムペーストが挙げられる。
【0049】
本発明の各態様の特徴は、必要に応じて、本発明の他の態様からの特徴と組み合わせてもよく、以下の記述から得られた特徴と組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
以下、添付図面を参照するが、これは、例示するためのものに過ぎない。
【0051】
【
図3】
図1の脛骨コンポーネントの下側の平面図を示す。
【
図5a】代替の脛骨コンポーネントの側面図を示す。
【
図5b】代替の脛骨コンポーネントの側面図を示す。
【
図5c】代替の脛骨コンポーネントの側面図を示す。
【
図5d】代替の脛骨コンポーネントの側面図を示す。
【
図5e】代替の脛骨コンポーネントの側面図を示す。
【
図6】脛骨に移植されたときの
図1の脛骨コンポーネントの前面図を概略的に示す。
【
図7】
図6の脛骨コンポーネントの側面図を概略的に示す。
【
図8】移植方法に使用されるドリルガイドを示す図である。
【
図10】
図9の方法工程における
図8のドリルガイドの使用を概略的に示す図である。
【
図11】
図9の方法工程に続く工程における
図8のドリルガイドの使用を概略的に示す図である。
【
図12】比較のために、中央部に配置されたキールを有する、従来技術のサイズAの脛骨コンポーネントを示す図である。
【
図13】前方キールを有するサイズAの脛骨コンポーネントを示す図である。
【
図14】テーパー状の中央キールを有するサイズAの脛骨コンポーネントを示す図である。
【
図15】テーパー状の前方キールを有するサイズAの脛骨コンポーネントを示す図である。
【
図16】比較のために、中央に配置されたキールを有する、従来技術のサイズGの脛骨コンポーネントを示す図である。
【
図17】前方キールを有するサイズGの脛骨コンポーネントを示す図である。
【
図18】テーパー状の中央キールを有するサイズGの脛骨コンポーネントを示す図である。
【
図19】テーパー状の前方キールを有するサイズGの脛骨コンポーネントを示す図である。
【
図20】平滑な外側リムを有するキールを含む脛骨コンポーネントを概略的に示す図である。
【
図21】
図20に示したキールと同様のキール、およびペグを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
上述したように、セメントレス固定には、脛骨プラトー骨折と緩み、および痛みを伴う脛骨コンポーネントの陥没の2つの主要な早期合併症がある。これらの合併症の要因としては、以下のようなものがある。a)脛骨コンポーネントにかかった荷重によるコンポーネントと骨の界面での動き、b)コンポーネントの装着時の骨の弱体化、c)コンポーネントを締り嵌めによって固定することにより、骨の中に力が生じさせ、骨が裂ける原因となり得る。このような合併症は、小柄な患者(例えば、身長が5フィート4インチ未満の患者)においてより一般的になる可能性がある。このような患者を考慮して、患者の骨のサイズと比較して、脛骨コンポーネントに設けられた固定機構(複数を含む)は、大柄な患者の場合よりも比較的大きくなる傾向がある。そのため、小柄な患者では、大柄な患者よりも比較的多くの骨を除去する必要が生じ、その結果、残った骨が比較的弱くなり、骨折や陥没が起こりやすくなる。
【0053】
図1~
図4は、単顆人工膝関節置換術用の脛骨コンポーネント10を示す。このコンポーネントは、患者の膝の内側区画または外側区画に使用されてもよい。図示した例では、このコンポーネントは、内側区画に適合するような形状である。
図1および
図3では、最上部に骨とコンポーネントの界面を有するコンポーネントを示す。
図2および
図4では、最上部に支持面18を有するコンポーネントを示す。
【0054】
脛骨コンポーネント10は、プレート12と、少なくとも1つの細長いペグとを含む。図示した例では、第1のペグ14および第2のペグ16の2つの細長いペグを示す。必要に応じて、より多数の細長いペグ、例えば3つ、4つ、5つ、またはそれ以上を設けることができることを理解されたい。
【0055】
プレート12は、患者の脛骨の関節表面、この場合は内側脛骨支持面を置換するように構成される。このプレートは、装着される時に患者の脛骨支持面に取って代わる支持面18を含む。したがって、支持面18は、患者の大腿骨(または大腿骨置換コンポーネント)と直接協働するか、または脛骨コンポーネントと大腿骨/大腿骨置換コンポーネントとの間に配置された支持コンポーネントと協働するような形状である。
【0056】
図示した例では、プレート12は、実質的に平坦状であり、患者の脛骨の頭部の自然な形状を模するように形状付けられた輪郭を有するものである。図示した例が内側脛骨コンポーネントであるため、このプレートは、内側部に略C字状に形成され、対向する外側部に直立壁またはリップ20を含み、直立壁またはリップ20はコンポーネントを装着するときに患者の脛骨の中央脛骨隆起に当接するように意図される。外側脛骨コンポーネントは、図示されたコンポーネントの鏡像になる。このプレートは、異なる形状を有してもよく、例えば、略円形または楕円形であってもよいことを理解されたい。
【0057】
プレートの対向面22は、以下に詳述するように、患者の脛骨の近位端に固定されるように構成される。
【0058】
プレート12は、前端部24、内側部25、後端部26および外側部27を有する。このプレートの内外方向における幅Wは、内側部と外側部との間に規定され、長手方向の前後軸28は、前端部と後端部との間で、外側部からプレートの幅の約3分の1(すなわち、1/3W)だけ延び、プレートの長手方向軸長さLを規定する。長手方向の前後軸28は、通常、プレートの平面内に位置することが理解されるであろう。したがって、対向面が平坦状である場合、長手方向の前後軸28は、通常、対向面22の平面内に位置する。
【0059】
一次固定は、移植後にコンポーネントを静止状態に維持し、骨をインプラント内に成長させて該インプラントに固着し、二次固定を達成するのに不可欠である。上述したように、一般的な緩み方式は、後方陥没/前方剥離であるため、コンポーネントの前方部分を押さえる必要がある。本発明者は、脛骨後方において骨が陥没するというリスクを最小限に抑えるために、脛骨表面の後方を可能な限りそのままにし、固定用の穴を開けない方がよいことを見出した。
【0060】
このため、プレート12を、該プレートを内外方向に沿って前方部分29と後方部分31とに分割する仮想線30を含むものとする上で有用である。図示した例では、前方部分は、プレートの長手方向軸長さLの前方の50%(本明細書において、プレートの前方50%とも呼ばれる)によって規定される部分を含む一方で、後方部分は、プレートの長手方向軸長さLの後方の50%(すなわち、プレートの残部、本明細書において、プレートの後方50%とも呼ばれる)によって規定される部分を含む。
【0061】
したがって、図示した例では、線30は、長手方向軸28を2等分する。分割線30は、異なる方法によって長手方向軸を分割してもよく、例えば、前方部分をプレートの前方の60%とし、後方部分をプレートの残部(後方)の40%としてもよいことを理解されたい。プレートの前方部分とプレートの後方部分との前方部分:後方部分の比は、60:40以下、例えば、55:45または50:50であってもよい。したがって、上述したように、後方部分は、長手方向軸長さに応じて規定されるように、プレートの少なくとも40%を含む。
【0062】
プレート12は、コンポーネントの前方部分29において対向面22から突出する少なくとも1つの細長いペグ14、16を含む。コンポーネントの後方部分31には、ペグまたはその他の固定機構が配置されていない。より具体的には、上記細長いペグ(複数を含む)の基部(複数を含む)は、後方部分に配置されるのではなく(ペグの少なくとも最後方の軸が仮想の分割線30を越えて延びることがあるため)、前方部分に配置される。コンポーネントは、キールを含まず、ペグ14、16以外の追加の一次固定機構を何ら含まない。
【0063】
ペグ14、16は、時間の経過に伴って骨をコンポーネント内に成長させるように、コンポーネントを静止状態に維持するように構成される。特に、ペグ14、16は、患者の脛骨内に開けられた穴とともに締り嵌めまたはプレス嵌めを形成するように構成される。
【0064】
図示した例では、プレート12は、第1の細長いペグ14および第2の細長いペグ16の2つのペグを含む。ペグ14、16は、両方ともプレートの前方部分29に配置される。図示した例では、第1の細長いペグは、第2のペグ16とプレートの前端部24との間に間隔を置いて配置される。しかしながら、他のペグ構成も可能であることを理解されたい。例えば、両方のペグは、同じ長手方向位置に配置され、かつ内外方向に沿って間隔を置いて配置されてもよく、異なる長手方向位置および内外方向位置に間隔を置いて配置されてもよい。しかしながら、いかなる構成においても、プレートの後方部分31にはペグ(またはその他の固定機構)は配置されていない。さらに、プレートの外縁(この場合は内側縁)に隣接する領域における浅い骨の弱体化を回避するために、該領域においてペグは配置されていない。図示した例では、プレートの外側の3分の2(すなわち、2/3W)の位置にペグが配置されていない。他の例では、外側半分または外側の3分の1の位置にペグが配置されていない場合がある。
【0065】
図示した例では、第2のペグ16は、分割線30上に実質的に配置されるため、分割線30がペグの基部を貫通する。したがって、1つの可能な構成は、第1のペグ14を長手方向軸長さの約5分の1(20%)の位置に配置し、第2の細長いペグを長手方向軸長さの約半分の位置に配置することである。
【0066】
第1の細長いペグ14は、第1のペグ軸32(すなわち、ペグ自体の長手方向軸)を規定し、第2の細長いペグは、第2のペグ軸34を規定する。両方のペグ軸は、プレートの長手方向の前後軸に対して36°の角度で配置される。上記の説明において使用される「角度」とは、90°よりも著しく小さい鋭角を意味し、それによってペグはプレートに対して斜めになり、ペグはプレートに対して後方側および遠位側に延びるようになる。上記角度は、45~70°の範囲、例えば55~65°の範囲であってもよく、図示した例では、約60°である。両方のペグは、それらが互いに実質的に平行になるように、同じ角度で配置される。ここでいう「角度」とは、前後方向における角度を意味することが理解されるであろう。すなわち、ペグは、内外方向において角度が付けられていない。
【0067】
第2の細長いペグ16の後方には、プレートの対向面22にペグまたはその他の固定装置が配置されていないため、装着時に骨の後方部分への外傷が可能な限り最小限に抑えられることが分かった。
【0068】
セメントレスコンポーネントを十分に緩めると、該セメントレスコンポーネントが装着された骨からそれを引き抜くことができる。しかしながら、このようなコンポーネントは、骨折の場合を除き、固定用ペグと平行な方向にのみ骨から引き抜くことができる。前方ペグ14、16が有する斜めの性質により、コンポーネントが骨から垂直に引き抜かれることに抵って、これによって膝が屈曲した状態で後方荷重がかかったときにコンポーネントの前方部分が浮き上がることに抗うように、ペグが構成されることを確保する。
【0069】
ペグが有する平行な性質により、このコンポーネントはセメントレス固定に最適なものとなる。これは、このコンポーネントを所定の位置に押し込み、切除された脛骨表面に配置された適切に開けられた穴において締り嵌めを形成できるためである。締り嵌めを確実にするために、ドリル穴の直径は、嵌合するように意図されたペグの直径よりも狭く、例えば、0.5mmまたは1mm狭くする必要がある。
【0070】
図示した例では、両方のペグは、互いに並んで(すなわち、長手方向軸に平行な軸と並んで)配置される。それらは、プレートの内側(この場合は外側)に配置される(すなわち、湾曲した外縁よりもリップ20に近接し、この例では、リップからプレートの幅の約3分の1の位置に配置され、かつ実質的に長手方向軸28に配置される)。これにより、表面再構成されている区画の縁部に向かって張り出す骨の内部に装着されるのではなく、脛骨の中心により近接する深い骨の内部に装着されるように、ペグが構成されることを確保する。
【0071】
細長いペグの1つ以上、この場合は、ペグ14、16は、両方とも高いアスペクト比を有する。すなわち、ペグは、その長さよりも幅が狭い。長さと幅の比は、3:2、2:1またはそれであってもよい。この高いアスペクト比により、ペグが骨の中へと深く入り込むことができ、ペグの下部の上方に位置する骨が浮き上がったり、折れたりすることを防止することができる。細いペグを使用する場合、脛骨の上部で骨をほとんど除去する必要がないため、多数の骨を残して、張力を伝達し骨折を防止する。長さ6~12mm、最大径4~8mmを有するペグにより、十分に高いアスペクト比が得られる。図示した例では、ペグは、長さが約9mm、最大径が5mmである。セメントで固められたインプラント用のペグは、通常、スペクト比が非常に低く、幅が長さと同じであることが多い。これにより、骨内においてより大きい空洞を形成する必要が生じ、患者の脛骨を弱体化させることとなる。
【0072】
細長いペグの1つ以上の断面、この場合はペグ14および16の両方の断面は、楕円形であってもよい。特に、ペグは、内外方向よりも前後方向において幅が狭くなってもよい。これにより、コンポーネントを確実に固定するために、脛骨から除去する必要のある骨の量をさらに減少させることができる。また、内外方向における寸法が広ければ、前方剥離にさらに抗う。
【0073】
図示したコンポーネントは、セメントレス固定用に構成される。すなわち、コンポーネントは、好ましくは、対向面上のセメントレス固定表面と、壁20の外側とを含む。このようなコーティングは、細長いペグの1つ以上に設けられてもよい。このような表面は、ヒドロキシアパタイトのような活性表面を有するかまたは有しない、多孔質または微多孔質コーティングであってもよい。
【0074】
図1~
図4に示したコンポーネントは単なる例示であり、その他の設計も可能であることを理解されたい。いくつかの例示的な代替設計は、
図5a~
図5eに示される。同一の特徴部に対して同一の参照番号が使用される。
図1~
図4に示したコンポーネントに関して上述した特徴部は、以下に記述されないが、
図5a~
図5eのコンポーネントにも存在し得ることが理解されるであろう。
【0075】
図5aは、上述したプレートと同様のプレート12を含む脛骨コンポーネント40を示す。このコンポーネントは、プレートの前方部分29に配置される単一の固定用ペグ14のみを含む。細長い固定用ペグ14の後方にあるプレートの対向面には、ペグおよび他の固定装置が全くない。図示した例では、この単一の固定用ペグは、コンポーネントの長手方向軸長さの約5分の1の位置に配置される。上記単一の固定用ペグは、その他の位置、例えば、コンポーネントの長手方向軸長さの4分の1または3分の1の位置に配置されてもよいことを理解されたい。
【0076】
図5bは、
図1~
図4に示したコンポーネントと同様に、2つの細長い斜めペグ14、16を含む脛骨コンポーネント44を示す。コンポーネント44のペグ14、16は、ハイドロキシアパタイトのような活性表面を有するかまたは有さない、セメントレス固定用コーティング46(例えば、多孔質または微多孔質コーティング)で被覆されている。各ペグの領域48には、上記コーティングが設けられていない(すなわち、存在しない)。上記領域48は、この例では、対向面22に隣接するベース領域である。
【0077】
図示した例では、固定用コーティングは、ペグの表面の大部分に塗布されているが、脛骨コンポーネントの対向面22の下方から1~2mmだけ延びるベース領域には塗布されていない。
【0078】
コーティングは、例えば、多孔質コーティングを適用する場合に、ペグの一部(例えば、基部48)を遮蔽することによって省略することができる。これにより、ペグの遮蔽された領域の直径がペグの塗布部分の最大径よりも狭くなるという効果を有する。多孔質コーティング(ヒドロキシアパタイトを有するかまたは有しない)は、厚さが約0.35~0.4mmであってもよい。ペグの一領域においてこのようなコーティングを省略することで、該領域の直径がペグの残部の直径よりも約0.7~0.8mm小さくなる。この狭くなった領域は、依然としてハイドロキシアパタイトで被覆されてもよい。
【0079】
各固定用ペグにおいてより狭い領域を設けることによって、ペグは一旦装着すると外れにくくなる。各ペグの基部により狭い領域を設けることによって、骨の縁部が折れる可能性を低下させることもできる。
図5cは、一対の細長いペグ14、16を有する脛骨コンポーネント50の代替例を示し、各ペグには、対向面に隣接し、かつペグの最大径よりも小さいベース領域48が設けられる。このような狭い領域は、上述のように(この領域においてコーティングを省略することによって)、あるいはコーティングを塗布した後にペグを圧着または圧縮するなどの別の方法によって形成することができる。
【0080】
図5dは、一対の細長いペグ54、56を有する脛骨コンポーネント52のさらなる代替例を示し、各ペグはテーパー状である。
図1~
図5cのコンポーネントに関して示されるように、ペグは平行平面を有してもよいが、
図5dに示すように、わずかなテーパー(例えば、若干の角度をもつテーパー)を有してもよい。このようなテーパーにより、ペグの挿入がより容易になり、および/またはペグの固着をより強固にする可能性がある。ペグの全体はテーパー状とする必要はない。代替方法として、ペグの先端のみがテーパー状としてもよい。この場合も、挿入するのに役立つ。
【0081】
図1~
図5cに示したコンポーネントはすべて、円形の先端58、特に円形の縁部を有する平坦な端部を含むペグ(複数を含む)を有し、固定領域を最大限にすることができる。
図5eに示したコンポーネント60は、各ペグが球状の端部62を有する点で異なる。この場合も、挿入するのに役立つ。
【0082】
図5eに示したコンポーネントは、装着後にコンポーネントがはずれることに抗うように構成された1つ以上のバーブ64をさらに含む。あるいは、円周方向のバーブは、ペグ上の多孔質コーティングの領域を省略するか圧着するか、または機械加工することによって形成することができる。
【0083】
本明細書に記載されるコンポーネントは、コバルトクロムやチタン合金などの任意の適切な強度および生体不活性な材料により作製することができる。プラズマ溶射チタンやタンタルなど、骨の内殖を許容または促進するように動作可能な任意の多孔質コーティングは、コンポーネントの骨接触面に塗布することができる。
【0084】
図6および
図7は、患者の脛骨66に装着された脛骨コンポーネント10の前面図および側面図をそれぞれ示す。上述したように、脛骨の前方に配置された斜めペグ、この場合は2つの斜めペグ14、16は、脛骨コンポーネントを固定するために用いられる。ペグは斜めであり、主にコンポーネントの前後平面に位置し、遠位側および後方側(下側よび後側)に傾斜している。ペグを脛骨の前方に位置付けし、かつ垂直方向に対して傾斜させることにより、大腿骨104が存在する場合においても、ペグを脛骨に打ち込むのに十分なスペースが残り、すべての靭帯が関節の伸延に抗う。
【0085】
このようなコンポーネントは、セメントを用いて装着することができるが、セメントレス装着には理想的である。セメントレスコンポーネント(すなわち、セメントレス固定表面を有するコンポーネント)では、切除された脛骨の適切な位置に、ペグ(複数を含む)よりもわずかに狭い1つ以上の穴を開け、ペグ(複数を含む)を穴に押し込んで締り嵌めを形成する必要がある。セメントで固められたコンポーネントは、あまり厳しく要求されていない公差を有する穴に挿入することができ、ペグと骨の間にセメントマントルのためのスペースを確保することができる。
【0086】
しかしながら、外科手術において斜めの平行穴を開けることは簡単なことではなく、装着工程を補助するために、外科医は、
図8に示したタイプのガイド具70を利用してもよい。
【0087】
ガイド具70は、ガイドプレート72と、少なくとも1つのドリルガイド(この場合は、第1のドリルガイド74および第2のドリルガイド76)とを有する。
【0088】
ガイドプレート72は、上記の脛骨コンポーネント10のプレート12など、装着される脛骨コンポーネントのプレートを模するような形状である。このため、図示した例では、ガイドプレート72は、実質的に平坦状であり、患者の脛骨の頭部の自然な形状を模するように形状付けられた輪郭を有するものである。図示した例が内側脛骨コンポーネント用のガイドプレートであるため、このプレートは、内側部に略C字状に形成され、対向する外側部に直立リップを含む。
【0089】
ガイドプレート72は、前端部84と、後端部86と、内側部および外側部とを有する。このプレートの内外方向における幅は、内側部と外側部との間に規定され、長手方向の前後軸88は、前端部と後端部との間で、外側部からガイドプレートの幅の約3分の1(すなわち、1/3W)だけ延び、ガイドプレートの長手方向軸長さを規定する。
【0090】
ガイドプレートにわたって内外方向に延びる仮想線90は、ガイドプレートを内外方向に沿って前方部分89と後方部分91とに分割する。図示した例では、前方部分は、ガイドプレートの長手方向軸長さLの前方の50%(本明細書において、ガイドプレートの前方50%とも呼ばれる)によって規定される部分を含む一方で、後方部分は、ガイドプレートの長手方向軸長さLの後方の50%(すなわち、ガイドプレートの残部、本明細書において、ガイドプレートの後方50%とも呼ばれる)によって規定される部分を含む。
【0091】
第1のドリルガイド74は、ドリルを、第1のドリル軸92に沿ってガイドプレート72を通して案内するように構成される。第2のドリルガイド76は、ドリルを、第2のドリル軸94に沿ってガイドプレート72を通して案内するように構成される。第1のドリル軸92と第2のドリル軸94とは、互いに実質的に平行であり、長手方向の前後軸に対して96°の角度で配置される。この角度は45~70°の範囲、例えば55~65°の範囲であってもよく、図示した例では、約60°である。
【0092】
ドリルガイド74、76は、外科用ドリルビットを通すことができる、円筒体などの中空チューブとして設けられてもよい。それぞれの円筒体内の中空直径は、装着されるコンポーネントのペグの直径以下であってもよい(例えば、0.5mmまたは1mm狭くてもよい)。
【0093】
図示した例では、ガイドプレートは、長手方向軸88に関して上述したように規定される前後方向における長さを含み、第1のドリルガイド74は、ガイドプレート72の長さの5分の1の位置に配置され、第2のドリルガイド76は、ガイドプレートの長さの半分の位置に配置される。
【0094】
このようなガイド具70は、本明細書に記載されるタイプの脛骨コンポーネントの細長いペグ14、16が嵌め込まれ得る、一対の平行な斜め穴を開けるために使用することができる。ドリルガイドは、必要に応じて、異なる間隔をあけたり、異なる角度を付けたりすることができる。ドリルガイドの間隔および角度は、装着されるコンポーネントのペグの間隔および角度と一致する必要がある。
【0095】
ガイド具は、ガイドプレートを貫通する穴98を含んでいてもよい。図示した例では、穴98は、第1のドリルガイドと第2のドリルガイドとの間に位置し、その内側に位置する。
【0096】
以下、
図9、
図10および
図11を参照して、例示的な装着方法について説明する。最初の工程として、患者の置換される脛骨の表面を切除し、インプラント(または試用インプラント)を受け取る準備をする。続いて、ガイド具70を、切除された表面に配置し、所定の位置に固定する。
【0097】
ガイド具は、穴98を貫通するピン100またはその他の適切な仮固定部材によって固定することができる。患者の大腿骨104とガイドプレート72の後方との間に係合するクランプ(102で概略的に図示され)が設けられてもよい。このようなクランプは、ガイドプレートの裏面の上面に取り付けられてもよい。このクランプは、上方の大腿骨顆の表面に押し上げることにより、ガイド具70を脛骨にしっかりと押し下げるように調整される。
【0098】
図10に示すように、ガイド具が切除された脛骨表面に固定されると、切除された脛骨には、前方インプラント穴105が、矢印106によって概略的に示されるように、切除された脛骨表面に対して傾斜して穿設される。
【0099】
図11に示すように、次いで、安定化ロッド108を、開けられた前方穴に差し込んで、ガイド具を安定化させる。その後、第2の穴107を、矢印110によって概略的に示されるように、切除された脛骨表面に対して傾斜して切除された脛骨に穿設する。
【0100】
上記2つのドリル穴は互いに平行であり、両方とも切除された脛骨表面に対して同じ傾斜角度をなす。
【0101】
外科医は、矢印106、110によって概略的に示されるドリルを用いて第1および第2の穴を開けることができる。このようなドリルは、ドリルストップを含んでもよい。ドリルストップは、穴が所定の深さ(例えば、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mmまたは12mm)まで開けられたときに、ガイド具の表面上(例えば、ガイドプレートおよび/またはドリルガイド上)の対応するドリルストップと衝撃し、外科医が意図せずに穴をあまりに深く開けることを防止するように動作可能である。テーパー状の穴を開ける必要がある場合、このようなドリルはテーパー状のドリルビットを有してもよい。
【0102】
その後、上述のタイプの脛骨コンポーネント(すなわち、一対の平行で傾斜した角度の付いた細長い固定用ペグを有する脛骨コンポーネント)をドリル穴に嵌め込むことができる。これらの穴は、締り嵌めを容易にするために、インプラントコンポーネントのペグよりもわずかに狭くなるように開けることができる。
【0103】
本明細書において記述されるタイプの脛骨コンポーネントは、脛骨表面置換術後に後脛骨の陥没および/または骨折が発生する可能性を低減することができる。ペグが有する斜めの性質により、コンポーネントが装着後に前方に浮き上がることに抗う。任意の数のペグ、例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのペグが設けられてもよいことを理解されたい。2つ以上のペグが設けられる場合、すべてのペグは、セメントレス装着を行うために、平行である必要がある。ペグは、コンポーネントの前方部分内の任意の位置に配置することができるが、プレートの外縁(図示した例では内側縁)にあまり近づかないようにすることが好ましい。例えば、ペグは、外縁からプレートの幅の3分の1を超えた位置、例えば外縁からプレートの幅の半分以上(例えば、外縁からプレートの幅の1/2~4/5)の任意の位置に配置することができる。
【0104】
コンポーネントの後方部分に固定用ペグがないことは、コンポーネントが患者の脛骨の後方部分への損傷を低減するように装着できることを意味する。キールや大径のペグを設けないことで、骨折のリスクがさらに減少するとともに、キール溝を切る際に垂直切り込みを深く入れすぎたり、後方皮質を損傷したりするなどの手術ミスが発生するリスクも減少する。
【0105】
従来技術のコンポーネントでは、キールや大径のペグによる締り嵌めにより、表面再構成された顆の上部に張力を生じさせることができるため、骨折のリスクが高くなる。これに対して、本明細書で記述されるような比較的細い斜めペグを使用する場合、骨折のリスクを最小限に抑えながら固定することができる。細い(高アスペクト比/楕円形)ペグを使用することにより、脛骨の上部で骨をほとんど除去する必要がないため、多数の骨を残して、張力を伝達し骨折を防止する。また、ペグは皮質から遠く離れている。
【0106】
以上、細長い固定用ペグを脛骨コンポーネントの前方部分に配置することで得られる利点について説明していた。本発明者は、キールをより前方に配置することによって、キールを有する脛骨コンポーネントが利益を得ることもできることを見出した。現在のキールと比較して、キールをより前方に配置することで、(上述したように)脛骨の後方部分への損傷を低減することができる。さらに、キールをより前方に配置することで、脛骨プラットフォームのより後方に近い位置に作業する必要性を減らす。これは外科医にとって困難となり得る。関節の後方へのアクセスが制限される、新規な低侵襲性技術が使用されるためである。
【0107】
参照および比較のために、
図12は、従来技術の脛骨コンポーネント100の側面図および正面図(最上部に支持面を有する)と、平面図(最上部に対向面を有する)を示す。このコンポーネントは、サイズAの内側コンポーネントである。
【0108】
上記のコンポーネントと同様に、脛骨コンポーネント100は、患者の脛骨の関節表面、この場合は内側脛骨支持面を置換するように構成されたプレート112を含む。このプレートは、装着されるときに患者の脛骨支持面に取って代わる支持面118を含む。したがって、支持面118は、患者の大腿骨(または大腿骨置換コンポーネント)と直接協働するか、または脛骨コンポーネントと大腿骨/大腿骨置換コンポーネントとの間に配置された支持コンポーネントと協働するような形状である。
【0109】
図示した例では、プレート112は、実質的に平坦状であり、患者の脛骨の頭部の自然な形状を模するように形状付けられた輪郭を有するものである。図示した例が内側脛骨コンポーネントであるため、このプレートは、内側部に略C字状に形成され、対向する外側部に直立壁またはリップ120を含み、直立壁またはリップ120はコンポーネントが装着されたときに患者の脛骨の中央脛骨隆起に当接するように意図される。外側脛骨コンポーネントは、図示されたコンポーネントの鏡像になる。このプレートは、異なる形状を有してもよく、例えば、略円形または楕円形であってもよいことを理解されたい。
【0110】
プレートの対向面122は、以下に詳述するように、患者の脛骨の近位端に固定されるように構成される。
【0111】
プレート112は、前端部124、内側部125、後端部126および外側部127を有する。このプレートの内外方向における幅Wは、内側部と外側部との間に規定され、長手方向の前後軸128は、前端部と後端部との間で、外側部からプレートの幅の約3分の1(すなわち、1/3W)だけ延び、プレートの長手方向軸長さLを規定する。
【0112】
一次固定は、移植後にコンポーネントを静止状態に維持し、骨をインプラント内に成長させて該インプラントに固着し、二次固定を達成するのに不可欠である。このため、図示した従来技術の脛骨コンポーネントは、対向面から突出するキール175を含む。キール175は、前後方向における長さが内外方向における幅よりも大きい細長い突起である。キールは、対向面から遠位側に突出し、この例では、対向面に実質的に垂直であるが、(それが必須ではない)。キールは、対向面に隣接する基部177と、基部から遠位側の先端部179とを含む。キールは、内側壁181および外側壁183も含む。
【0113】
図12に示した従来技術のコンポーネントのキール175は、対向面の中央に配置される。この例では、「中央」とは、前後軸128に対して中央に位置することを意味する。特に、キールは、キールの前縁185とプレートの前端部124との間の距離d1が、キールの後縁187とプレートの後端部126との間の距離d2とほぼ同じになるように間隔を置いて配置される。キールは、プレートの幅Wに対して中央に配置されるのではなく、むしろ、上述したペグと同様に、外側部から約1/3Wの位置に配置される。
【0114】
図12に示したタイプの中央キールを有するプレートの典型的な寸法は、以下のとおりである。
AP軸の長さL=44.92mm
キールの長さ=25.92mm
d1=d2=9.50mm
キールと外側部との間の距離=1/3W=7.98mm
【0115】
これに対して、
図13には、代替の単顆脛骨コンポーネント200を示す。同一のコンポーネントに対して同一の参照番号が使用され、簡潔さのために、これらのコンポーネントについての説明を繰り返さない。
【0116】
図12に示したコンポーネントとは異なり、コンポーネント200は、中央に配置されていないキール275を含む。すなわち、キールの前側(前方)縁285とプレートの前端部124との間の距離d3は、キールの後側(後方)縁287とプレートの後端部126との間の距離d4とは異なり、特に距離d4よりも小さい。この例では、キール275は、従来技術のキール175と同じ長さであるが、後方リムよりもプレートの前方リムに近接して配置される。上述したように、キールは、プレートの幅Wに対して中央に配置されるのではなく、むしろ、上述したペグと同様に、外側部から約1/3Wの位置に配置される。
【0117】
図13に示したタイプの前方キールを有するプレートの例示的な寸法は、以下のとおりである。
AP軸の長さL=44.92mm
キールの長さ=25.92mm
d3=7.94mm
d4=11.08mm
キールと外側部との間の距離=1/3W=7.98mm
【0118】
したがって、コンポーネント200のキールは、従来技術のキールの場合よりも約1.5mmより前方に配置されることが分かった。しかしながら、キールは、必要に応じて、さらに前方に配置されてもよい。
【0119】
距離d3は、距離d4の50~85%、例えば60%、65%、70%、75%または80%であってもよい。
【0120】
このため、プレート112を、該プレートを内外方向に沿って前方部分129と後方部分131とに分割する仮想線130を含むものとする上で有用である。図示した例では、前方部分は、プレートの長手方向軸長さLの前方の76%(本明細書において、プレートの前方76%とも呼ばれる)によって規定される部分を含む一方で、後方部分は、プレートの長手方向軸長さLの後方の24%(すなわち、プレートの残部、本明細書において、プレートの後方24%とも呼ばれる)によって規定される部分を含む。
【0121】
分割線130は、異なる方法によって長手方向軸を分割してもよく、例えば、前方部分をプレートの前方の70%とし、後方部分をプレートの残部(後方)の30%としてもよいことを理解されたい。プレートの前方部分とプレートの後方部分との前方:後方の比は、77:23以下、例えば、70:30、65:35、60:40、55:45または50:50であってもよい。したがって、上述したように、後方部分は、長手方向軸長さに応じて規定されるように、プレートの少なくとも23%を含み、好ましくは24%、25%、26%、27%、28%、29%またはそれ以上を含む。
【0122】
図14および
図15は、コンポーネントのキール375、475がテーパー状である点を除いて、
図12および
図13の脛骨コンポーネントと同様の脛骨コンポーネント300、400を示す。本明細書で使用される「テーパー状」とは、内側壁381および外側壁383が基部377から先端部379に向かって内側に先細りになっていることを意味する。すなわち、キールは、対向面に隣接する基部よりも先端部に向かって幅が狭くなっている(すなわち、薄くなっている)。このような先細りのキールにより、脛骨への締り嵌めをより強固にし、時間の経過に伴う緩みが発生する可能性を低減することができる。
【0123】
テーパー角度は、0.5~4°、例えば1°、2°または3°であってもよい。キールがプレートから対向面に垂直な方向において突出する例では、テーパー角度は、対向面に垂直な平面に対して測定されてもよい。
【0124】
図16は、
図16のコンポーネントがサイズGである点を除いて、
図12のコンポーネントと同様の従来技術の脛骨コンポーネント100aを示す。同様に、
図17~
図19は、
図13~
図15に示したサイズAのコンポーネントと同様のサイズGのコンポーネント200a、300aおよび400aを示す。簡潔さのために、同一の参照番号が使用され、
図12~
図15についての上記の説明は、
図16~
図19にも同様に適用されることが理解されるべきである。
【0125】
図12~
図19のいずれかに示したキールの側面は、上述したタイプの多孔質または微多孔質コーティングなどの、骨の内殖を促進する表面を含んでもよい。
【0126】
しかしながら、本発明者は、セメントレスコンポーネントであっても、キールの表面の一部または全部を平滑のままに保つことが好ましいことを認識した。
【0127】
キールを患者の脛骨に埋め込む場合、通常、準備された脛骨表面にキール溝を切る。次いで、脛骨コンポーネントのキールを後下方から斜めに溝内に挿入し、キールが溝の最も後端に達するとき、脛骨コンポーネントを水平位置まで回転させ、下方へ溝に押し込む。本発明者は、骨の内殖のために設計された粗面を有するキールは、やすりとして準備されたキール溝に入り込み、キール溝の幅を広げる作用をもたらし、その結果、嵌合不良や時間の経過に伴う緩みが発生する可能性があることに気づいた。
【0128】
このため、
図12~
図19のいずれかに示したキールの側面は、平滑であってもよい。すなわち、キールの外面には、骨の内殖を促進するように設計された粗面、例えば多孔質または微多孔質コーティングがなくてもよい。脛骨プラットフォームの下側に骨の内殖が十分に生じることができるため、キールの側面に骨を成長させる必要性は限られる。キールの側面を平滑にすることで、上述のすりおろしの効果を回避し、コンポーネントの嵌合性を向上させることができる。
【0129】
図20および
図21は、平滑な挿入面を有する、代替の例示的なキール575、675を示す。本明細書において、「挿入面」とは、固定機構の残部を案内するように、最初に骨腔内に挿入されるように動作可能な固定機構の表面を指す。このような挿入面が粗い場合、そのすりおろしの効果は、固定機構の残部によるあらゆるすりおろしの効果よりも著しく大きくなる。このため、平滑な挿入面を設けることによって、上記のすりおろしの効果を著しく低減することができる。固定機構の残部には、骨の内殖を促進し、骨の内殖のための大きい被覆表面積を依然として維持する(非被覆)表面構造または処理部が設けられてもよい。
【0130】
特に、
図20および
図21に示したキールは、平滑な外側リム590、690を含む。平滑な外側リムは、キールの後方(後側)縁587の少なくとも一部と、遠位縁579の少なくとも一部とを含む。
図20および
図21に示した具体例では、外側リムは、実質的に後縁587および遠位縁579の全体と、前方(前側)縁585の一部または全部とを含む。
【0131】
キールの残りの表面(すなわち、平滑な挿入面以外の表面)には、二次固定を改善するために、セメントレスコーティングが塗布されてもよい。例えば、図示した例では、ポケット692が外側リムによって画定される。このポケットは、多孔質または微多孔質コーティング594の厚さと同様またはそれより大きい深さを有し、その結果、そのようなコーティングがポケット内に収容され、外側リムの平滑な外面と実質的に同一平面内になるかまたはその下方に位置することができる。上記深さは、例えば、0.35~0.4mm以上であってもよい。
【0132】
適切に位置付けられ、かつきつく締まったキールは、骨の内殖が進行するまでインプラントを所定の位置に維持するため、セメントレス固定に寄与する。平滑面または部分的に平滑な面を有するキールの拡張として、骨の内殖のために設計された粗いまたは部分的に粗い表面を有するが、カルシウムペーストなどの生体吸収性物質で覆われているキールを有することである。生体吸収性物質により、時間の経過に伴って吸収される平滑な挿入面が得られ、より大きな骨付着面が必要な場合には、粗いセメントレス固定表面の中への成長を促進することができるようになる。
【0133】
上述したタイプのペグや、より一般的な非斜めまたは非前方ペグなどのその他の固定機構も、平滑な側面および/または平滑な挿入面から利益を得ることができることを理解されたい。平滑な挿入領域およびポケットを含むペグ614を
図21に示す。挿入領域は、図示された例ではペグの先端である。この先端は、挿入をさらに補助するように、円形、特に部分的に球形である。
【0134】
なお、上述の例示的な態様のいずれかにおいても、先願の特許公報US2013/0166073に記載されるように、骨除去を最小限に抑えるために、より小さいインプラントのプレートの厚さはより大きいインプラントのプレートの厚さよりも小さくしてもよく、および/または、脛骨骨折を最小限に抑えるために、より小さいインプラントのキール(またはペグ)の深さはより大きいインプラントのキール(またはペグ)の深さよりも小さくしてもよい。US2013/0166073の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0135】
以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、上述した実施例に変更を加えてもよいことは当業者に理解されたい。異なる例からの特徴は互いに組合わせることができる。したがって、本発明は、上記の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定義されるものであることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0136】
10 脛骨コンポーネント
12 プレート
14 (第1の)ペグ
16 (第2の)ペグ
18 支持面
20 壁/リップ
22 (プレートの)対向面
24 (プレートの)前端部
25 (プレートの)内側部
26 (プレートの)後端部
27 (プレートの)外側部
28 前後軸(長手方向軸)
29 (プレートの)前方部分
30 分割線/仮想線
31 (プレートの)後方部分
32 (第1の)ペグ軸
34 (第2の)ペグ軸
36 角度
40 脛骨コンポーネント
44 脛骨コンポーネント
46 セメントレス固定用コーティング
48 ペグの領域
50 脛骨コンポーネント
52 脛骨コンポーネント
54 一対のペグ
56 一対のペグ
58 円形の先端
60 脛骨コンポーネント
62 球状の端部
64 バーブ
66 脛骨
70 ガイド具
72 ガイドプレート
74 (第1の)ドリルガイド
76 (第2の)ドリルガイド
84 (ガイドプレートの)前端部
86 (ガイドプレートの)後端部
88 前後軸(長手方向軸)
89 (ガイドプレートの)前方部分
90 仮想線
91 (ガイドプレートの)後方部分
92 (第1の)ドリル軸
94 (第2の)ドリル軸
96 角度
98 穴
100 脛骨コンポーネント(サイズA)/ピン
100a 脛骨コンポーネント(サイズG)
102 クランプ
104 大腿骨
105 前方インプラント穴
106 矢印
107 第2の穴
108 安定化ロッド
110 矢印
112 プレート
118 支持面
120 壁/リップ
122 (プレートの)対向面
124 (プレートの)前端部
125 (プレートの)内側部
126 (プレートの)後端部
127 (プレートの)外側部
128 前後軸(長手方向軸)
129 (プレートの)前方部分
130 分割線
131 (プレートの)後方部分
175 キール
177 (キールの)基部
179 (キールの)先端部
181 (キールの)内側壁
183 (キールの)外側壁
185 (キールの)前縁
187 (キールの)後縁
200 脛骨コンポーネント(サイズA)
200a 脛骨コンポーネント(サイズG)
275 キール
285 (キールの)前方縁
287 (キールの)後方縁
300 脛骨コンポーネント(サイズA)
300a 脛骨コンポーネント(サイズG)
375 キール
377 (キールの)基部
379 (キールの)先端部
381 (キールの)内側壁
383 (キールの)外側壁
400 脛骨コンポーネント(サイズA)
400a 脛骨コンポーネント(サイズG)
475 キール
575 キール
579 (キールの)遠位縁
585 (キールの)前方縁
587 (キールの)後方縁
590 外側リム
594 多孔質コーティング
614 ペグ
675 キール
690 外側リム
692 ポケット
d1 距離
d2 距離
d3 距離
d4 距離
A サイズ
G サイズ
L 長さ
W 幅
【国際調査報告】