(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】触媒二水素再結合器
(51)【国際特許分類】
C01B 5/00 20060101AFI20240130BHJP
B01J 35/57 20240101ALI20240130BHJP
B01J 35/50 20240101ALI20240130BHJP
G21F 9/02 20060101ALI20240130BHJP
G21C 9/06 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
C01B5/00 A
B01J35/04 301J
B01J35/04 301L
B01J35/02 G
G21F9/02 541B
G21F9/02 541A
G21C9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541343
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2022050209
(87)【国際公開番号】W WO2022148813
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509167338
【氏名又は名称】ソレタンシュ フレシネ
【氏名又は名称原語表記】SOLETANCHE FREYSSINET
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・シャントロー
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA13A
4G169BC71A
4G169BC72A
4G169BC75A
4G169CB81
4G169DA06
4G169EA18
4G169EE03
(57)【要約】
第1の触媒コーティングを有する、熱伝導率が低い材料で作製されたハニカム基板の少なくとも第1の触媒ブロック(30a)と、第2の触媒コーティングを有する、熱伝導率が低い材料で作製されたハニカム基板の少なくとも第2の触媒ブロック(30b)であって、この第2の基板は、第1の基板と同じ断面を有する、少なくとも第2の触媒ブロック(30b)と、ブロックを上下におよび/または隣に並べて支持するための構造(3、21)とを備える、触媒二水素再結合器(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の触媒コーティングを有する、熱伝導率が低い材料で作製された、肺胞基板の少なくとも1つの第1の触媒ブロック(30a)と、
第2の触媒コーティングを有する、熱伝導率が低い材料で作製された、肺胞基板の少なくとも1つの第2の触媒ブロック(30b)であって、前記第2の基板は、前記第1の基板と同じ断面を有する、少なくとも1つの第2の触媒ブロック(30b)と、
前記ブロックを上下におよび/または隣に並べて支持するための構造(3、21)と
を備える、触媒二水素再結合器(1)。
【請求項2】
前記支持構造は、前記ブロック(30a、30b、30c)を上下に保持する、請求項1に記載の再結合器。
【請求項3】
前記支持構造は、前記ブロックを支持し、各ラックをその他の1つまたは複数のラックから独立して個別に引き出すことが可能であるように配置されているラック(21)を含む、請求項1または2に記載の再結合器。
【請求項4】
前記支持構造は、導管を画定する本体(3)を含み、上昇ガス流、特に、ベンチュリ効果によって前記ブロックを通る吸引を生み出すように受動的に生成される上昇ガス流のための少なくとも1つの通路(45)が、前記触媒ブロックと前記本体(3)との間に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の再結合器。
【請求項5】
各基板(31)は、平行なチャネル(32)を備えた構造を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の再結合器。
【請求項6】
前記第1および第2の触媒コーティングは、少なくとも触媒の性質において異なる、請求項1から5のいずれか一項に記載の再結合器。
【請求項7】
前記第1および第2の触媒コーティングは、少なくとも触媒の量において異なる、請求項1から6のいずれか一項に記載の再結合器。
【請求項8】
前記第1および第2の触媒ブロック(30a、30b)は、異なる厚さ(e
a、e
b)を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の再結合器。
【請求項9】
前記第1および第2の触媒ブロック(30a、30b)は、同じ厚さを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の再結合器。
【請求項10】
前記ブロックのうちの少なくとも1つの近くに位置する加熱要素(110)を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の再結合器。
【請求項11】
前記基板(31)のうちの少なくとも1つに配置された少なくとも1つの抵抗加熱トラック(110)を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の再結合器。
【請求項12】
前記ブロックのうちの少なくとも1つの近くの温度を測定するための少なくとも1つの温度センサ(120)を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の再結合器。
【請求項13】
上下に配置された、触媒コーティングを有するセラミック肺胞基板の少なくとも3つのブロック(30a、30b、30c)を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の再結合器。
【請求項14】
好ましくはセラミックの、熱伝導率が低い肺胞構造(31)で製造された、モノリシックパネル触媒二水素再結合器(30)であって、その最大寸法より1から20倍小さい、好ましくは5から20倍小さい、より好ましくは10から20倍小さい厚さを有し、前記最大寸法は、特に0.5m、好ましくは0.75m、より好ましくは1m以上であり、前記パネル(30)は、好ましくは、たとえば0.5m、より好ましくは0.75m、より好ましくは1m以上より長い長辺を備えた略正方形または長方形のスラブの形態をとり、前記パネルの厚さは、好ましくは前記スラブのサイズより少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍小さく、前記厚さは、好ましくは5から10cmの間であることを特徴とするモノリシックパネル触媒二水素再結合器(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒再結合器としても知られる、触媒二水素再結合器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス状二水素の存在は、いくつかの状況(核格納容器、バッテリ、燃料電池、水素の製造、水素の貯蔵、輸送または分配、電解水処理など)において危険であり、周囲の酸素とのその再結合を引き起こすことによって二水素濃度を低減するために、触媒再結合器が提案されてきた。
【0003】
最も知られている触媒再結合器は、触媒材料で覆われ、支持フレーム内で互いに平行に配置された金属プレートを含む。
【0004】
このような再結合器には欠点がある。
【0005】
まず、占有体積に対して反応表面積が比較的小さく、これによりかさばって、設置が非現実的になる。二水素ポケットが蓄積する可能性が最も高い場所に再結合器を設置することは、これらの場所にすでに機器が詰め込まれていれば、困難になるため、この欠点は、当局および事業者によって安全性の向上が要求されている既存の原子力施設に装備することが目的であるときに重大である。
【0006】
最後に、プレートは地震活動の場合に変形する傾向があり、これによりプレート間のガス流の特性が変化し、効果が低下する可能性がある。
【0007】
最後に、このような再結合器では、再結合器が使用される環境によりよく適応するために触媒材料の組成を容易に変更することが可能でない。
【0008】
出願FR2999442は、二水素の受動的再結合のためのハニカム触媒を含む装置を記載している。ハニカム構造は自立しており、エンボス加工された金属ストリップをそれ自体に巻き付けることによって形成され、このストリップは、触媒材料、たとえばアルミニウム上のプラチナおよびパラジウムで覆われている。一例において、2つのハニカム触媒が使用され、第1のものは触媒支持フレームによって形成された大きな断面の導管に、第2のものは第1のものの上の小さな断面の経路に配置されている。別の一例において、2つの触媒は金属支持体上に同心円状に配置され、触媒材料の点で異なる組成を有する。触媒を担持するフレームに加熱手段を組み込むことができる。
【0009】
特許KR101312857B1は、触媒材料でコーティングされ、支持フレームに対して移動可能であるラックに配置されたセラミックハニカム支持体を含む受動的再結合器を記載している。ラックの存在により、検査またはメンテナンスの作業のためにセラミック支持体を容易に取り出すことが可能になる。
【0010】
特開平02-137703は、いくつかの積み重ねられたブロックを含むとともにハニカム基板を含み、そのセルのサイズがブロックごとに異なる触媒再結合器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】仏国特許発明第2999442号明細書
【特許文献2】韓国特許発明第101312857号明細書
【特許文献3】特開平02-137703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特に、その性能を向上させ、所与の環境へのその適応を容易にするため、触媒二水素再結合器をさらに完成させる必要性がある。
【0013】
本発明は、受動再結合器および能動再結合器の両方に適用される。
【0014】
「受動」という用語は、二水素の再結合を達成するのに外部作用が要求されず、ガス状混合物は外部エネルギーの供給なしに導入され、その流れは、特に入口出口温度勾配の影響下で自然対流によって得られることを意味する。「能動」再結合器において、入口でのガス流を強制するのに外部作用が実行され、たとえばファンまたはタービンが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記の目的を達成することを目的とし、
好ましくは熱伝導率が低い材料、特にセラミックで作製され、第1の触媒コーティングを有する、肺胞基板の少なくとも1つの第1の触媒ブロックと、
好ましくは熱伝導率が低い材料、特にセラミックで作製され、第2の触媒コーティングを有する、肺胞基板の少なくとも1つの第2の触媒ブロックであって、前記第2のブロックは、有利には第1のブロックと同じ断面を有する、少なくとも1つの第2の触媒ブブロックと、
ブロックを上下におよび/または隣に並べて支持するための構造と
を備える、触媒二水素再結合器により、上記の目的を達成する。
【0016】
「熱伝導率が低い材料」とは、20℃で20Wm-1K-1以下、好ましくは10Wm-1K-1以下、より好ましくは7.5Wm-1K-1以下、たとえば0.5と7.5Wm-1K-1との間の熱伝導率の材料を意味する。
【0017】
基板は、ブロックにその機械的完全性および内部結合力を与える。第1および/または第2のブロックについて、対応する触媒コーティングは少なくともセルの内面上に、または排他的にその内面上に存在し得る。触媒コーティングがセルの内面上にのみ存在するとき、ブロックの横の外面は触媒コーティングを有さない。これにより、触媒材料で起こる反応にブロック支持ラックの材料が直接さらされることを回避することができる。
【0018】
支持構造は、内部にブロックが配置される導管を画定する本体を有することができる。
【0019】
本発明は複数の利点を有する。
【0020】
まず、ブロックの肺胞構造により、単位体積あたりの交換面積が大きいため、触媒の高い比密度が可能になる。
【0021】
触媒コーティングは、好ましくはセルの表面上のブロックの内側に位置しており、したがって取り扱い中の損傷のいかなる危険またはブロックとの意図しない接触から保護される。
【0022】
ブロックが同じ断面を有するという事実により、アセンブリにモジュール的な側面が与えられ、これにより、たとえば、所望のトリガー温度に応じて、入口での二水素の再結合を可能な限り多くまたは少なくするため、再結合器を使用条件に最良に適応させてその性能を最適化するよう、たとえば存在する触媒の性質に応じて触媒ブロックの互換性が容易になる。
【0023】
特に、ブロックの配置は、入口でより低いトリガー温度を達成するように設計することができる。ブロックの互換性とは、より高いまたはより低いトリガー温度を達成するためにこれらを1つのまたは別の順序で配置することができるということを意味する。
【0024】
さらに、異なる触媒の使用のため、および/または異なる量での使用のため、異なる特性の触媒ブロックの在庫を容易に維持することができ、その在庫から特定の環境に最も適した組み合わせが生成される。
【0025】
モジュール式の特徴により、いくつかの場合において、再結合器内のより小さなまたはより大きな数の触媒ブロック、およびより厚いまたはより薄い触媒ブロックの使用も可能になり得る。本発明により、単一ブロックの交換のための簡単な介入が可能になり、保護されるべき容積内での二水素の放出がより多い場合における再結合器のモジュール性/適応性が容易になる。たとえば、単一モデルの触媒ブロックを有しながらより大きな量の二水素が再結合器に入ることを可能にするため、流れにさらされる前面表面積を増やすことで十分である。
【0026】
好ましくは、支持構造は、ブロックを上下に保持する。
【0027】
好ましくは、基板は耐火特性を有し、これにより通常動作中(すなわち二水素の到着に対応する触媒反応の誘発前)に高温雰囲気中で再結合器を使用することが可能になる。
【0028】
耐火性質の別の利点は、再結合器フレームの構造を作成するため、金属より使用温度が限定されている有機材料(たとえば、工業用プラスチック材料)の使用を検討することが可能であるということである。
【0029】
最後に、基板の剛性により、従来のプレート再結合器と比較して、地震活動の場合に流路の断面が変化するリスクが軽減される。
【0030】
好ましくは、支持構造は、触媒ブロックを支持し、各ラックをその他の1つまたは複数のラックから独立して個別に引き出すことが可能になるように配置されているラックを備える。各ラックはたとえば、ブロックが置かれる下部フレームを有し、このフレームは、少なくとも2つの相互に対向する直立材によって上方に延長され、これらの間にブロックが受け入れられている。再結合器の本体にラックを固定することを可能にするように少なくとも1つの固定プレートをフレームに接続することができる。好ましくは、このプレートは、再結合器の本体内でのラックの垂直位置の調整を可能にする垂直方向の長円形の穴を有する。支持構造はまた、ブロックの上方で再結合器の本体に固定され、これらを下部フレームに当てて保持する上部フレームを含むことができる。この上部フレームは再結合器の本体上の固定プレートと一体であってもよい。このプレートは、再結合器の本体における上部フレームの高さ調整を可能にする垂直方向の長円形の穴を有することができる。
【0031】
上昇ガス流、特にベンチュリ効果によってブロックを通る吸引を生み出すように受動的に生成される上昇ガス流のための少なくとも1つの通路を、ブロックと再結合器の本体との間に配置することができる。このように、たとえば、反応の誘発を容易にするように設計されているガス循環を促進することができる。ベンチュリ効果は、いわゆる「能動的」動作条件、すなわちたとえばファンまたはタービンによって生成される、処理されるべき強制された流れでも特に有用であるが、これはこの場合の流速がより高くて調整可能であるためである。
【0032】
本発明の例示的な一実装形態において、本体の内側で、少なくとも2つのラックが再結合器の本体の2つの対向する面のそれぞれに取り付けられ、同じ面に固定されたものの間および対向する面上のものの間の両方で、ラック間に隙間が設けられる。たとえば、実質的に本体の内部断面全体を占める4つのラックが設けられる一方、これらの間およびラックとラックが固定されている2つの面以外の本体の面との間には空間が残されている。
【0033】
各基板は、好ましくは、平行なチャネルを備えた構造を有し、さまざまなチャネル断面、たとえば六角形の断面または別の形状、たとえば円形または多角形であるが六角形ではない、たとえば四角形が可能である。
【0034】
ブロックの全体的な形状は、異なる環境および/または流れ条件に適応するよう、正面から見ると、たとえば正方形、長方形、円筒形など、可変であり得る。
【0035】
さまざまなブロックは、同じ断面であるが、いくつかの場合において、ブロックごとに異なる厚さのダイにおける押し出しまたは鋳造によって得ることができる。再結合器内で、異なる高さに配置されたさまざまな連続する触媒ブロックは同じ厚さまたは異なる厚さを有することができる。
【0036】
非限定的な一例として、第1および第2の触媒コーティングは、少なくとも触媒の性質において異なっていてもよい。したがって、より低い温度での反応の誘発を可能にする触媒を含む入口触媒ブロックを使用することができ、反応するためにより高い温度が要求される触媒を含む少なくとも1つの触媒ブロックがこれの上に配置される。第1および第2のコーティングは少なくとも触媒の量において、および/または触媒の性質において異なっていてもよい。
【0037】
上述のように、第1および第2のブロックは、異なる厚さを有することができる。より薄いブロックは、このときたとえばより少ない量の触媒を含むことができる。
【0038】
再結合器は、ブロックのうちの少なくとも1つの近くに位置する加熱要素を備えることができる。たとえば、再結合器は、基板のうちの少なくとも1つに配置された少なくとも1つの抵抗加熱トラックを備える。これにより、たとえば再結合器の機能に必要なトリガー温度により容易または迅速に到達することが可能になり得る。この抵抗トラックはたとえば、導電性インクを印刷することによって堆積させる。
【0039】
再結合器は、ブロックの少なくとも1つの近くの温度を測定するための少なくとも1つの温度センサを備えることができる。
【0040】
再結合器は、より多いまたはより少ない数の触媒ブロック、およびたとえば、それぞれが異なる性質、組成および/または形状の、上下に配置された少なくとも3つの触媒ブロックを備えることができ、同じ再結合器内の触媒ブロックの数およびその特性の多様性は限定されない。
【0041】
支持構造は、保護されるべき囲い内に懸架されるように構成することができ、この目的のため、上部に懸架要素を含むことができる。これらの懸架要素はいくつかの場合において高さ調整可能、たとえば伸縮式とすることができる。一変形例として、支持構造は、装備されるべき囲いの側壁にアームを介して固定されるように構成されている。
【0042】
支持構造は、たとえば断面積が0.1と1m2との間のホッパーを下部に含むことができる。入口断面は、たとえば、一方の側の寸法が0.2と0.4mとの間であり、他方が0.4と0.6mとの間である長方形の形状であってもよい(これらの寸法は単なる一例であり、決して限定的ではない)。
【0043】
支持構造は、煙突を形成する垂直導管を有することができ、触媒ブロックは、ホッパーの上方、そして煙突を形成する導管の入口に配置されている。後者は上記懸架要素によって保持することができる。
【0044】
基板の「モノリシック」形状は、材料の性質(好ましくは剛性かつ軽量)に関連しており、より大きな寸法(たとえば1m×1m、そして厚さが1から20分の1、たとえば5から10cmの範囲)でより薄いブロックを製造することができるという利点がある。
【0045】
ブロックの製造におけるこの柔軟性は、二水素の放出にさらされる大容積の囲い(たとえば原子炉格納容器など)の壁を覆うためにブロックがパネルとして製造される用途を考慮することができるということを意味する。
【0046】
本発明のさらなる目的は、独立して、または上記と組み合わせて、特に低熱伝導率の、好ましくはセラミックの肺胞構造で製造され、その最大寸法より1から20倍小さい、好ましくは5から20倍小さい、より好ましくは10から20倍小さい厚さを有することを特徴とする、モノリシックパネル触媒二水素再結合器であり、最大寸法は、たとえば0.5m、好ましくは0.75m、より好ましくは1m以上である。パネルは、たとえば0.5m、より好ましくは0.75m、より好ましくは1m以上より長い長辺を備えた略正方形または長方形のスラブの形態をとることができる。このようなパネルの厚さは好ましくはスラブのサイズより少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍小さく、厚さは好ましくは5から10cmの間である。
【0047】
本発明のさらなる目的は、その壁が少なくとも部分的にこのようなパネルで覆われている、特に原子炉用の囲いである。
【0048】
本発明は、その非限定的な例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことから、および添付の図面を検討することから、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明による触媒再結合器の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図3】再結合器の本体の内側で触媒ブロックを支持するための手段の一例を分離して、概略的かつ部分的に示す図である。
【
図4】触媒ブロックの一例を分離して示す斜視図である。
【
図6】
図3の支持手段のラックを分離して示す図である。
【
図7】再結合器の一変形例の分解概略部分図である。
【
図8】触媒ブロックの支持手段を透過的に示している再結合器の一変形例の概略斜視図である。
【
図11】触媒ブロックの基板上に存在する抵抗トラックの一例を部分的かつ概略的に示す図である。
【
図12】触媒ブロックの近くに取り付けられた温度センサを概略的かつ部分的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図面上、明確にする目的で、再結合器のさまざまな構成要素が、常に一定の縮尺で、かつ相対的な比率を観察して示されているとは限らない。
【0051】
図1および
図2は、本発明による再結合器1の第1の例を示す。
【0052】
この再結合器1は、保護されるべき囲い内に懸架されるように設計することができる触媒ブロック用の支持構造を含み、この目的のため、図示のように、上部に一組の懸架要素2を含むことができる。これらの懸架要素2はたとえば高さ調整可能である。
【0053】
変形例(図示せず)において、再結合器1は、壁に取り付けるために、アームブラケットから懸架されるように、または地面に置かれるように設計される。
【0054】
図示の例において、再結合器1は、後述するような触媒ブロックを収容する本体3を含み、その上に煙突を形成して上端で懸架要素2に接続される導管4がある。
【0055】
本体3は、図示のように下端でホッパー5に接続することができ、これは底部に向かって開いている。
【0056】
動作中、水素がホッパー5を通して受動的に引き込まれ、空気中の酸素との触媒燃焼が起こり、図示のように導管4の上端を通って出る水蒸気を生成する。
図2上の矢印は、触媒反応の発熱特性による温度勾配によって引き起こされる自然循環から生じる好ましい流れの方向を示している。
【0057】
触媒ブロックはさまざまな方法で再結合器内に支持することができる。
【0058】
図3の例において、本体3は、ブロックを支持するための2つのラック21を収容する。
【0059】
各ラック21は、特に
図6上に示すように、垂直柱25によって一緒に接続されているそれぞれのフレーム24および28によって支持された頂部および底部格子23(底部格子は
図3上では見えていない)を含む。3つの触媒ブロック30a、30b、30cがたとえば、
図3に示すように、各ラック21の格子23および24の間に配置されている。
【0060】
例示的な触媒ブロック30を
図4および
図5に分離して示す。
【0061】
これは、たとえば図示のようにそれぞれが四角形の断面の複数の平行なチャネル32(セルとも呼ばれる)が通過するセラミック基板31を含む。
【0062】
全てのブロック30a、30bおよび30cを、たとえばコーディエライト(25℃で3Wm-1K-1のオーダーの熱伝導率)の同じセラミック基板から押し出しによって製造することができ、したがって同じ断面を有する。
【0063】
ブロックの基板31は、チャネル32のレベルで、触媒、たとえばPt、Pd、Rhなどの1つまたは複数の金属でコーティングされている。
【0064】
各ラック21は、ブロック30の高さの少なくとも一部にわたって延在する直立材26を含むことができる。これらの直立材26はたとえば、
図6に示すように、下部格子の支持フレーム24の金属と一体的に作製されている。
【0065】
上部格子23の支持フレームは一端で固定プレート27に接続され、たとえばネジ(図示せず)を使用してラック21を本体3に取り付けることが可能になっている。
【0066】
図7に示す変形例において、懸架要素2は、上端ではなく、導管4の側面に、たとえば図示のように2つの対向する側面に固定されるように設計されている。
【0067】
図8から
図10上に示す変形例において、再結合器1は、導管を形成する本体3を含み、これはたとえば、断面が2×2列として配置された4つの支持ラック21を収容する。
【0068】
各ラック21はたとえば、ブロックを支持するための下部フレーム24と、フレーム24を上向きに延長し、その間にブロック30a、30b、30cが収容される2つの互いに対向する直立材26と、を含む。この例における直立材26の高さは3つのブロックの累積高さ未満であり、上部ブロック30cが直立材26間に部分的にのみ収容されるようになっている。
【0069】
フレーム24は、下向きに延在する固定プレート37に接続されている。
【0070】
このプレート37は、
図8における矢印によって示すように、本体3内のラック21の高さの調整を可能にする垂直方向の長円形の穴40を有する。
【0071】
プレート39によって保持されたフレーム38は、たとえば垂直方向の振動に対してブロックを直立材26の間の所定の位置に保持するようにラック21の上方に固定されている。これらのプレート39はプレート37のように垂直方向の長円形の穴40を有し、本体3内でのこれらの位置の調整が可能になっており、ブロックをフレーム24および38の間に軸方向に挟み込むことができるようになっている。後者はいくつかの場合において格子を担持することができる。
【0072】
触媒ブロックの同じアセンブリを保持する役割を果たすプレート37および39は、特に
図9上に示すように、本体3の同じ面3aまたは3bに固定されている。
【0073】
ブロックおよびラック21の寸法は、
図10上に示すように、ブロックの外側で、各ラック21の3つの自由側面に通路45が残るように選択することができる。ブロック30a、30b、30cを再結合器内に保持するこの方法により、ブロックを通るガスの循環と、ブロックの外側の、これらの周囲での、本体3の内側での循環の両方が可能になる。このような循環により、誤注入として知られる、ベンチュリ効果を介したブロックを通る空気吸引の生成を促進し、たとえば触媒反応の誘発を改善することができる。
【0074】
各ラック21は、
図9に示すように、下部プレート37を本体3に保持するネジを除去することによって、他の3つから独立して取り出すことができる。
【0075】
図面を参照して説明したすべての例において、触媒ブロックは有利には異なる触媒特性を有する。たとえば、底部の入口触媒ブロック30aは、他のブロックの触媒よりも低い温度で酸素と水素の反応を引き起こすことが可能である触媒を有する。酸化中に放出される熱は、上方に位置するブロック30bおよび30cを加熱し、これによりこれらのブロックが、より高いトリガー温度が要求されるが、たとえばより安価である触媒を有することが可能になる。
【0076】
触媒ブロックのセルのサイズおよび形状は、特に油圧負荷の損失、流速、任意の機器の存在などの観点において、所望の目的に適合させる。図示の例において、ブロック30a、30b、30cのそれぞれの厚さea、eb、ecは等しいが、異なる厚さのブロックを使用することもでき、たとえば別のブロックの半分のサイズである厚さを備えたブロックを同じ区画内に配置することができる。
【0077】
ブロックの基板の製造には、任意の適切な材料、特にセラミックを使用することができる。
【0078】
所与の組成を備えた触媒を基板のセルの内面上に部分的または完全に配置することができる。
【0079】
各ブロックまたはブロック支持体に、たとえば所与のH
2濃度での触媒反応の誘発を加速するように意図された、専用の機器および/または特定の加熱システムを装備することができる。たとえば、
図12は、ブロック30に近い温度センサ120の配置を示している。
【0080】
ブロックを加熱するため、有利には、
図11に非常に概略的に示すように、加熱抵抗を生成するために導電体110のトラックをブロックの基板31上へ印刷することができる。一変形例として、加熱抵抗がたとえば下部触媒ブロックの入口面に押し付けられる。
【0081】
図示しない変形例において、再結合器1は、異なる高さの煙突を形成する導管を備えて、またはこのような導管なしで製造される。
【0082】
ホッパー5は異なる形状および開き角度を備えて製造することができ、再結合器はいくつかの場合においてこのようなホッパーなしで製造することができる。
【0083】
触媒ブロック30は、本発明の範囲を離れることなく異なる方法で保持することができる。
【0084】
再結合器は、機能を開始するために、たとえば電気の、エネルギー源からのエネルギー供給が要求されない完全に受動的な性質を有することができる。
【0085】
図示しない変形例において、肺胞セルの配置に関連する触媒の高密度によって可能になる触媒再結合速度に適合する流量を向上させるという目的で、再結合器は、たとえば煙突を形成する導管4のレベルで抽出装置(換気装置、ファンなど)のようなアクチュエータと関連付けられる。
【符号の説明】
【0086】
1 再結合器
2 懸架要素
3 本体
4 導管
5 ホッパー
21 ラック
23 格子
24 フレーム
25 垂直柱
26 直立材
27 固定プレート
28 フレーム
30a、30b、30c 触媒ブロック
31 基板
32 チャネル
37 プレート
38 フレーム
39 プレート
3a、3b 面
40 穴
45 通路
110 導電体
120 温度センサ
【国際調査報告】