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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】炉の可動火格子用の板状火格子要素
(51)【国際特許分類】
   F23H 3/02 20060101AFI20240130BHJP
   F23H 9/06 20210101ALI20240130BHJP
【FI】
F23H3/02 Z
F23H9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023541718
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2021086204
(87)【国際公開番号】W WO2022148630
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】21150713.2
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503209261
【氏名又は名称】バブコック アンド ウイルコックス ボルンド エイ/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン、ハンズ ボーグ
(72)【発明者】
【氏名】ボーギルド、モーテン リュゲ
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン、トーマス シャルデモーゼ
(57)【要約】
板状火格子要素(1、2)は、上壁(12)と、底壁(13)と、前端(14)と、後端(15)とを有する。前端は、対応する火格子要素の後先端縁と所定の隙間を維持するように適合された下側内向きに湾曲した壁部分(16)を有する。内部冷却流体チャンバ(18)は、火格子要素の前端(14)に沿って延在する内部前方冷却流体チャネル(19)を含む。火格子要素は、±35%未満だけ変化する公称壁厚を有し、火格子要素の上壁から前端の下側内向きに湾曲した壁部分に延在する外向きに湾曲した前壁(22)を有し、前端の前先端縁(23)は、下側内向きに湾曲した壁部分との連結部において外向きに湾曲した前壁によって形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉の可動火格子(5)用の板状火格子要素(1、2)であって、前記可動火格子(5)が、板状火格子要素(1、2、3)を担持し、それによって傾斜火格子面(7)を画定する複数の枢動火格子シャフト(6)を含み、前記可動火格子(5)が、前記火格子面(7)上の材料を下方に搬送するため、そうした材料に波状運動を付与するために反対の回転方向に隣接する火格子シャフト(6)を前後に枢動させるように配置された駆動機構(8)を含み、前記可動火格子(5)が、前記火格子シャフト(6)の前記枢動運動中に隣接する火格子シャフト(6)の板状火格子要素(1、2、3)の縁部(11)間に所定の隙間(10)を維持するように配置された同期機構(9)を含み、前記板状火格子要素(1、2)が、上壁(12)、底壁(13)、前端(14)及び後端(15)を有し、前記板状火格子要素(1、2)の前記前端(14)が、前記板状火格子要素(1、2)が隣接する火格子シャフト(6)上に配置されるときに、前記火格子シャフト(6)の前記枢動運動の一部の間、対応する板状火格子要素(1)の前記後端(15)の後先端縁(17)と前記所定の隙間(10)を維持するように適合される下側内向きに湾曲した壁部分(16)を有し、前記板状火格子要素(1、2)には、入口端部(20)及び出口端部(21)を有し、前記板状火格子要素(1、2)の前記前端(14)に沿って、前記前端(14)の前記下側内向きに湾曲した壁部分(16)の少なくとも一部の上方に延在する内部前方冷却流体チャネル(19)を含む内部冷却流体チャンバ(18)が設けられ、前記板状火格子要素(1、2)が、前記板状火格子要素(1、2)の前記上壁(12)から前記前端(14)の前記下側内向きに湾曲した壁部分(16)に延在する外向きに湾曲した前壁(22)を有し、前記前端(14)の前先端縁(23)が、前記下側内向きに湾曲した壁部分(16)との連結部で前記外向きに湾曲した前壁(22)によって形成され、前記外向きに湾曲した前壁(22)が、±35%未満だけ変化する公称壁厚を有することを特徴とする、板状火格子要素(1、2)。
【請求項2】
前記外向きに湾曲した前壁(22)の前記公称壁厚が、±30%未満、好ましくは±25%未満、最も好ましくは±20%未満だけ変化する、請求項1に記載の板状火格子要素。
【請求項3】
前記板状火格子要素(1、2)の前記上壁(12)から前記前先端縁(23)に延在する前記外向きに湾曲した前壁(22)の一部が、±40%未満、好ましくは±20%未満だけ変化する第1の公称曲率半径(R)を有する外側輪郭を有し、前記前先端縁(23)が、±20%未満だけ変化する第2の公称曲率半径(r)を有する外側輪郭を有し、前記第1の公称曲率半径(R)が、前記第2の公称曲率半径(r)の2倍超、好ましくは3倍超、より好ましくは4倍超、最も好ましくは5倍超長い、請求項1又は2に記載の板状火格子要素。
【請求項4】
前記内部前方冷却流体チャネル(19)が、少なくとも前記外向きに湾曲した前壁(22)と、前記前端(14)の前記下側内向きに湾曲した壁部分(16)の少なくとも一部と、前記板状火格子要素(1、2)の前記上壁(12)と前記底壁(13)とを連結する前方内部分離壁(24)とによって形成され、前記前方内部分離壁(24)が、前記前端(14)の中央位置(25)で、前記内部前方冷却流体チャネル(19)の断面流れ領域の制限部(26)を形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の板状火格子要素。
【請求項5】
前記内部前方冷却流体チャネル(19)の前記断面流れ領域の前記制限部(26)が、前記内部前方冷却流体チャネル(19)の前記入口端部(20)から前記出口端部(21)に徐々に形成されている、請求項4に記載の板状火格子要素。
【請求項6】
前記内部前方冷却流体チャネル(19)の前記断面流れ領域の前記制限部(26)が、前記前方内部分離壁(24)が、前記前方内部分離壁(24)の長手方向にV字形状に、又は湾曲して形成される、請求項4又は5に記載の板状火格子要素。
【請求項7】
前記制限部(26)での減少した断面流れ領域(Areduced)が、前記内部前方冷却流体チャネル(19)の前記入口端部及び/又は出口端部(20、21)における入口/出口断面流れ領域(Ainlet、Aoutlet)の60%未満、好ましくは50%未満、最も好ましくは40%未満である、請求項4から6のいずれか一項に記載の板状火格子要素。
【請求項8】
内部入口ガイドベーン(27)が、前記内部前方冷却流体チャネル(19)の前記入口端部(20)において前記内部冷却流体チャンバ(18)内に配置され、内部出口ガイドベーン(28)が、前記内部前方冷却流体チャネル(19)の前記出口端部(21)において前記内部冷却流体チャンバ(18)内に配置され、前記内部入口ガイドベーン(27)及び前記内部出口ガイドベーン(28)が、前記板状火格子要素(1、2)の前記前端(14)のそれぞれの端部(30、31)において前記内部冷却流体チャンバ(18)のそれぞれの角(29)の方向に冷却流体を案内するように適合される、請求項1から7のいずれか一項に記載の板状火格子要素。
【請求項9】
前記内部入口ガイドベーン(27)が、前記板状火格子要素(1、2)の前記上壁(12)又は前記底壁(13)に連結され、前記内部入口ガイドベーン(27)が連結されている前記上壁(12)又は前記底壁(13)に対向する前記上壁(12)又は前記底壁(13)に対して離間しており、前記内部出口ガイドベーン(28)が、前記板状火格子要素(1、2)の前記上壁(12)又は前記底壁(13)に連結され、前記内部出口ガイドベーン(28)が連結されている前記上壁(12)又は前記底壁(13)に対向する前記上壁(12)又は前記底壁(13)に対して離間している、請求項8に記載の板状火格子要素。
【請求項10】
前記内部入口ガイドベーン(27)及び前記内部出口ガイドベーン(28)が、前記前端(14)の長手方向に対して斜めの角度で配置されている、請求項8又は9に記載の板状火格子要素。
【請求項11】
U字形状内部分離壁(32)が、前記前方内部分離壁(24)の形態の中間壁部分と、2つの内部側面分離壁(33、34)とによって構成され、前記2つの内部側面分離壁(33、34)が、前記板状火格子要素(1、2)の前記後端(15)から離れて位置するそれぞれの自由端(35)を有し、前記内部入口ガイドベーン(27)及び前記内部出口ガイドベーン(28)の各々が、前記U字形状内部分離壁(32)に対して離間している、請求項8から10のいずれか一項に記載の板状火格子要素。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の複数の板状火格子要素(1、2)を含む可動火格子(5)を有する炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉の可動火格子用の板状火格子要素に関し、可動火格子は、板状火格子要素を担持し、それによって傾斜火格子面を画定する複数の枢動火格子シャフトを含み、可動火格子は、火格子表面上の材料を下方に搬送するため、そうした材料に波状運動を付与するために反対の回転方向に隣接する火格子シャフトを前後に枢動させるように配置された駆動機構を含み、可動火格子は、火格子シャフトの枢動運動中に隣接する火格子シャフトの板状火格子要素の縁部間に所定の隙間を維持するように配置された同期機構を含み、板状火格子要素は、上壁、底壁、前端及び後端を有し、板状火格子要素の前端は、前述の板状火格子要素が隣接する火格子シャフト上に配置されるときに、火格子シャフトの前述の枢動運動の一部の間、対応する板状火格子要素の後端の後先端縁と前述の所定の隙間を維持するように適合される下側内向きに湾曲した壁部分を有し、板状火格子要素には、入口端部及び出口端部を有し、板状火格子要素の前端に沿って、前端の下側内向きに湾曲した壁部分の少なくとも一部の上方に延在する内部前方冷却流体チャネルを含む内部冷却流体チャンバが設けられている。
【背景技術】
【0002】
国際公開第96/29544号は、水平又は斜めに配置されている複数のゾーンからなる燃焼火格子を開示している。各個々の火格子ゾーンは、固定火格子バー及び可動火格子バーを備える、固定火格子セクション及び可動火格子セクションからなる。可動セクションは、可変数のストロークで前後に移動され、燃料を輸送及び消費する。可動及び固定火格子バーは、内部で空気/水冷されてもよい。火格子表面を有する火格子バーは、その内部に仕切りを有し、それにより、長さ方向に見ると、第1の冷却チャンバ及びそれに平行な第2の冷却チャンバが生じる。火格子バーの前方端には、通水開口がある。この開口は、2つの冷却チャンバ間のリンクを構成する。これらの冷却チャンバの各々には、仕切りに平行に取り付けられた波形ガイドパネルがあり、該パネルは熱交換を改善する。
【0003】
国際公開第99/63270号及び国際公開第2018/007854号は、燃焼炉用の水冷式可動火格子を開示している。可動火格子は、板状火格子要素を担持する複数の枢動火格子シャフトを含み、隣接する火格子シャフトは、隣接する火格子シャフトの板状火格子要素の縁部間に所定の隙間を維持するように、反対の回転方向に前後に枢動するように配置される。板状火格子要素は、相対的に尖った前先端縁を有する前端と、相対的に尖った後先端縁を有する後端とを有する。各板状火格子要素は、略平行に離間した構成で延在する上壁及び底壁を有し、上壁及び底壁は、板状火格子要素の前端で直線状の前壁によって連結される。直線状の前壁は、上壁と斜めの角度を形成し、上壁から、底壁の下又は底壁と同じ高さにある尖った前先端縁の位置まで延在する。尖った前先端縁で、直線状の前壁は、別の板状火格子要素の後端と前述の所定の隙間を形成するように適合された下側内向きに湾曲した壁部分によって底壁に連結される。動作中、複数の板状火格子要素の前端は、隣接する火格子シャフトの板状火格子要素の対応する後端に重なる。燃焼を意図した材料が配置される個々の板状火格子要素間の所定の隙間は、燃焼のための一次空気の供給を提供する。一次空気の供給を可能な限り均一にするために、板状火格子要素が互いに対して枢動するとき、又は摩耗によって、前述の所定の隙間のサイズが変化しないことが重要である。摩耗は、燃焼される材料による研磨摩耗によって引き起こされ、この摩耗は、燃焼熱のために板状火格子要素の表面温度が火格子材料の軟化点に近づいている場合にさらに増加する。したがって、板状火格子要素の少なくともいくつかは、摩耗を低減するために水冷に適合された内部冷却流体チャンバを含む。
【0004】
米国特許第4,275,706号明細書は、特に、枢動ステップ火格子などの機械的火格子を機械的に搬送するための空冷火格子バーに関する。それぞれの火格子バーの上に設けられるU字形状のキャップは、火格子バーの上部に空気チャネルを形成する。冷却空気は、火格子バーの下側開放側から下方に延在する吸気管を通ってチャネルに注入される。空気は、火格子バーの両端のチャネルから出て、それによって空気は、穴を通って火格子バーの下側に案内される。そこから、空気は、隣接する火格子バー間のギャップを通って燃焼室に流れる。したがって、理解されるように、火格子バーの上部の空気チャネルは、外気冷却経路の一部を形成し、閉ループ回路などの冷却回路における流体及び/又は液体冷却に適合又は適していない。火格子バーの後端で、火格子バーは関節状に取り付けられ、この端で、側面図で考えると、火格子バーは軸受を形成する下側湾曲セクションを有する。火格子バーの前端で、火格子バーは、別の火格子バーの対応する前端に重なるように適合される。しかしながら、現代の燃焼プラントでは、火格子バーの少なくとも一部は、典型的には、炉内の過酷な環境に耐えるために液体冷却を必要とする。独国特許出願公開第3343024号明細書は、同様の空冷火格子バーに関する。
【0005】
しかしながら、主に細断された廃木材を含む燃料など、いくつかの種類の特に激しく燃える燃料及び/又は高い発熱量の燃料を燃焼させる場合、従来技術の板状火格子要素は、火格子要素の前端の尖った前先端縁の過度の摩耗を被る可能性がある。場合によっては、著しい圧縮応力は、動作中に尖った前先端縁の塑性変形を引き起こす可能性がある。その後、冷却中に、尖った前先端縁は、前先端縁にマイクロクラックを生じる可能性がある塑性変形に起因して高い引張応力を受ける可能性がある。燃料中の高濃度の重金属によって引き起こされる腐食は、前先端縁の摩耗をさらに悪化させる可能性がある。
【0006】
例えば大型の廃棄物焼却プラントの燃焼炉では、可動火格子の構成要素の耐用年数が最も重要である。燃焼炉の定期的なメンテナンス間隔は、例えば1年程度であり得、スケジュールされたメンテナンス作業間の予期せぬ故障は、プラントの経済性に深刻な影響を及ぼし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第96/29544号
【特許文献2】国際公開第99/63270号
【特許文献3】国際公開第2018/007854号
【特許文献4】米国特許第4,275,706号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第3343024号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、摩耗しにくい板状火格子要素を提供することである。
【0009】
この目的に鑑みて、板状火格子要素は、板状火格子要素の上壁から前端の下側内向きに湾曲した壁部分まで延在する外向きに湾曲した前壁を有し、前端の前先端縁は、下側内向きに湾曲した壁部分との連結部で外向きに湾曲した前壁によって形成され、外向きに湾曲した前壁は、±35%未満だけ変化する公称壁厚を有する。
【0010】
このようにして、従来技術の火格子要素と比較して、より多くの冷却流体が板状火格子要素の前先端縁に近接して流れ、冷却流体の効果が外向きに湾曲した前壁にわたって均一化され、それによって前先端縁をより良好かつより効率的に冷却することが達成され得る。前先端縁のより良好な冷却は、前先端の摩耗をより少なくし、したがって、板状火格子要素の耐用年数をより長くすることができる。さらに、外向きに湾曲した前壁全体の滑らかな湾曲は、張力が蓄積し得る弱い領域のないより強い前壁をもたらし得る。
【0011】
一実施形態では、外向きに湾曲した前壁の公称壁厚は、±30%未満、好ましくは±25%未満、最も好ましくは±20%未満だけ変化する。外向きに湾曲した前壁の公称壁厚の変化をさらに低減することによって、外向きに湾曲した前壁にわたる冷却流体の効果をさらに均一にすることができ、それによって前壁の均一な冷却をより高度に得ることができる可能性がある。特に、前先端縁の不十分な冷却を回避することが可能であり得る。
【0012】
好ましくは、外向きに湾曲した前壁は、少なくとも実質的に一定の壁厚を有する。
【0013】
構造的に特に有利な実施形態では、板状火格子要素の上壁から前先端縁に延在する外向きに湾曲した前壁の一部は、±40%未満、好ましくは±20%未満だけ変化する第1の公称曲率半径(R)を有する外側輪郭を有し、前先端縁は、±20%未満だけ変化する第2の公称曲率半径(r)を有する外側輪郭を有し、第1の公称曲率半径(R)は、第2の公称曲率半径(r)の2倍超、好ましくは3倍超、より好ましくは4倍超、最も好ましくは5倍超長い。それにより、特に、板状火格子要素の前先端縁により近接して流れる冷却流体の効果を集中させることが可能になり得る。
【0014】
一実施形態では、内部前方冷却流体チャネルは、少なくとも外向きに湾曲した前壁と、前端の下側内向きに湾曲した壁部分の少なくとも一部と、板状火格子要素の上壁と底壁とを連結する前方内部分離壁とによって形成され、前方内部分離壁は、前端の中央位置で、内部前方冷却流体チャネルの断面流れ領域の制限部を形成する。これにより、板状火格子要素の前先端縁に近接する冷却流体の全般的により高い速度を得ることができ、それによって前先端縁における冷却効果を改善することができる可能性がある。
【0015】
一実施形態では、内部前方冷却流体チャネルの断面流れ領域の制限部は、内部前方冷却流体チャネルの入口端部から出口端部に徐々に形成される。これにより、前端に沿って、特に板状火格子要素の前先端縁に沿って均一な冷却効果を得ることができる。
【0016】
好ましくは、内部前方冷却流体チャネルの断面流れ領域の制限部は、前方内部分離壁が、前方内部分離壁の長手方向にV字形状に、又は湾曲して形成される。
【0017】
一実施形態では、前述の制限部での減少した断面流れ領域は、内部前方冷却流体チャネルの入口及び/又は出口端部における入口/出口断面流れ領域の60%未満、好ましくは50%未満、最も好ましくは40%未満である。これにより、前端に沿って、特に板状火格子要素の前先端縁に沿って均一な冷却効果を得ることができる。
【0018】
一実施形態では、内部入口ガイドベーンは、内部前方冷却流体チャネルの入口端部における内部冷却流体チャンバ内に配置され、内部出口ガイドベーンは、内部前方冷却流体チャネルの出口端部における内部冷却流体チャンバ内に配置され、前述の内部入口ガイドベーン及び前述の内部出口ガイドベーンは、板状火格子要素の前端のそれぞれの端部における内部冷却流体チャンバのそれぞれの角の方向に冷却流体を案内するように適合される。それにより、より多くの冷却流体を内部冷却流体チャンバの角に導くことができ、冷却効果は、板状火格子要素の前端、特に前先端縁の端部で改善され得る。
【0019】
一実施形態では、内部入口ガイドベーンは、板状火格子要素の上壁又は底壁に連結され、内部入口ガイドベーンが連結される上壁又は底壁の反対の上壁又は底壁に対して離間しており、内部出口ガイドベーンは、板状火格子要素の上壁又は底壁に連結され、内部出口ガイドベーンが連結される上壁又は底壁の反対の上壁又は底壁に対して離間している。これにより、冷却流体の全体的な流れを過度に制限することなく、冷却流体を内部冷却流体チャンバのそれぞれの角の方向に案内することができる。さらに、鋳造砂が板状火格子要素の内部冷却流体チャンバをより良好に通過することができるという点で、鋳造による板状火格子要素の製造を容易にすることができる。
【0020】
一実施形態では、内部入口ガイドベーン及び内部出口ガイドベーンは、前端の長手方向に対して斜めの角度で配置される。それにより、冷却流体は、板状火格子要素の前端、特に前先端縁の端部における冷却効果を最大化するように案内され得る。
【0021】
一実施形態では、内部冷却流体チャンバ18内に配置されたU字形状内部分離壁は、前方内部分離壁の形態の中間壁部分と、2つの内部側面分離壁とによって構成され、2つの内部側面分離壁は、板状火格子要素の後端から離れて位置するそれぞれの自由端を有し、内部入口ガイドベーン及び内部出口ガイドベーンのそれぞれは、U字形状内部分離壁に対して離間している。これにより、十分な量の冷却流体を内部冷却流体チャンバの角に案内することができ、十分な量の冷却流体を内部前方冷却流体チャネルを通って直接案内することができ、それによって板状火格子要素の前端の側、特に前先端縁の側の両方でバランスのとれた冷却効果を得ることができる。さらに、鋳造砂が板状火格子要素の内部冷却流体チャンバをより良好に通過することができるという点で、鋳造による板状火格子要素の製造をさらに容易にすることができる。
【0022】
本発明はさらに、上述のような複数の板状火格子要素を含む可動火格子を有する炉に関する。
【0023】
ここで本発明を、非常に概略的な図面を参照して、実施形態の例を用いて以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】炉の可動火格子用の従来技術による板状火格子要素の長手方向断面図である。
図2図1の従来技術の板状火格子要素の線II-IIに沿った断面図である。
図3】炉の可動火格子用の、本発明による板状火格子要素の底面図である。
図4図3の板状火格子要素の側面図である。
図5図3に示す板状火格子要素の線V-Vに沿った断面図である。
図6図4に示す板状火格子要素の線VI-VIに沿った断面図である。
図7図4に示す板状火格子要素の線VII-VIIに沿った断面図である。
図8図3に示す板状火格子要素の線VIII-VIIIに沿った断面図である。
図9図3に示す板状火格子要素の線IX-IXに沿った断面図である。
図10図3に示す板状火格子要素の線X-Xに沿った断面図である。
図11図3に示す本発明による板状火格子要素を斜め下方から見た斜視図である。
図12図3に示す本発明による板状火格子要素を斜め上方から見た斜視図である。
図13】炉の可動火格子用の、本発明によるいわゆる第1の半板状火格子要素による長手方向断面図である。
図14図13に示す第1の半板状火格子要素の線XIV-XIV線に沿った断面図である。
図15図13に示す本発明による第1の半板状火格子要素を斜め上方から見た斜視図である。
図16A】異なる動作の段階における、本発明による複数の板状火格子要素を含む可動火格子のセクションの断面図を示す。
図16B】異なる動作の段階における、本発明による複数の板状火格子要素を含む可動火格子のセクションの断面図を示す。
図16C】異なる動作の段階における、本発明による複数の板状火格子要素を含む可動火格子のセクションの断面図を示す。
図17】本発明による複数の板状火格子要素を含む可動火格子を通る長手方向セクションを示す。
図18図17に示す可動火格子を斜め上方から見た斜視図を示す。
図19図17に示す可動火格子の一部を通る横断セクションを示す。
図20図19に示す可動火格子の一部の上面図を示す。
図21図19に示す可動火格子の線XXI-XXIに沿った断面図である。
図22】本発明によるいわゆる半板状火格子要素を示す、図21の断面図に対応する断面図である。
図23図17に示す可動火格子の一セクションの前後の火格子シャフトを枢動させるように配置された駆動及び同期機構を示す。
図24】可動火格子を有する炉の形態の試験設備を示す写真である。
図25】約6ヶ月の運転期間後の従来技術の板状火格子要素の写真である。
図26】約6ヶ月の運転期間後の従来技術の板状火格子要素の写真である。
図27】約6ヶ月の運転期間後の従来技術の板状火格子要素の写真である。
図28】約6ヶ月の運転期間後の従来技術の板状火格子要素の写真である。
図29】約6ヶ月の運転期間後の本発明による板状火格子要素の写真である。
図30】約6ヶ月の運転期間後の本発明による板状火格子要素の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、一般に、異なる実施形態の同様の要素は、同じ参照符号で示されている。
【0026】
図3図12は、図17及び図18に示す種類の炉の可動火格子5に使用するための、本発明によるフルサイズの板状火格子要素1を示す。見られるように、可動火格子5は、板状火格子要素1、2、3を担持し、それによって傾斜火格子面7を画定する複数の枢動火格子シャフト6を含む。枢動火格子シャフト6は、図16及び図19図22にさらに詳細に示されている。図23を参照すると、可動火格子5は、火格子面7上の材料を下方に搬送するため、そうした材料に波状運動を付与するために反対の回転方向に隣接する火格子シャフト6を前後に枢動させるように配置された駆動機構8をさらに含む。駆動機構8は、各火格子シャフト6にクランクアーム63が設けられ、すべての他の火格子シャフト6のクランクアームが第1の連結ロッド61によって連結され、残りの火格子シャフト6のクランクアーム63が第2の連結ロッド62によって連結されるように配置され、前述の駆動機構のアクチュエータは油圧ピストンアクチュエータなどのリニアアクチュエータ60であり、第1の連結ロッド61及び第2の連結ロッド62はリニアアクチュエータ60によって相互連結される。火格子シャフト6上に設けられる代わりに、クランクアーム63は、別個のクランクシステムを介して、又は任意の他の適切な機械的駆動連結を介してそれぞれの火格子シャフト6に連結された別個のシャフトに取り付けられてもよい。
【0027】
さらに図23を参照すると、可動火格子5は、火格子シャフト6の枢動運動中に隣接する火格子シャフト6の板状火格子要素1、2、3の縁部11間に所定の隙間10(図面では区別できないほど小さい)を維持するように配置された同期機構9をさらに含む。同期機構9は、第1の連結ロッド61に連結された火格子シャフト6のうちの1つに固定的に連結された第1の端部を有する第1の同期レバーアーム58と、第2の連結ロッド62に連結された火格子シャフト6のうちの1つに固定的に連結された第1の端部を有する第2の同期レバーアーム59とを含む。それぞれの第1及び第2の同期レバーアーム58、59の第2の端部は、同期ロッド57のそれぞれの端部に枢動可能に連結されている。これにより、同期機構9は、隣接する火格子シャフト6の板状火格子要素1、2、3の縁部間に前述の所定の隙間を維持することができる。
【0028】
駆動機構8及び同期機構9によって、可動火格子5のそれぞれの火格子シャフト6の相互の相対的な枢動位置は、火格子シャフト6上のクランクアーム63のそれぞれの取付ブラケットに配置されたディスクばね64の形態のそれぞれの付勢機構によって、それぞれの所定の相対的な枢動位置に向かって個別に弾性的に付勢されてもよい。これにより、火格子シャフト6の移動が防止される場合、移動は全体的に又は部分的に付勢機構によって吸収され得る。
【0029】
各火格子シャフト6上の板状火格子要素1、2、3は、隣接するシャフト6上の板状火格子要素1、2、3と接触することなく一致し、それによって実質的に凝集した傾斜火格子面7を形成する。上述した所定の隙間10の形態の2つの一致する板状火格子要素1、2、3の間のギャップは、例えば、約1~3ミリメートルであってもよい。火格子機能は、図16A及び図16Cにそれぞれ示すように、火格子シャフト6がそれぞれの外側位置に交互に回転し、それによって、図16Bに示すように、それぞれの中間位置を通過し、したがって、傾斜火格子面7が、段差が方向を変える階段状の表面を形成するようなものである。これにより、可動火格子5上に存在する材料への回転運動が生じ、この回転運動は、材料を破壊してそれを攪拌する効果を有し得ると同時に、材料を下方向前方に移動させ、したがって、可動火格子5の上方の燃焼室からの輻射熱への良好な露出及び燃焼空気への良好な露出を達成する。特に、可動火格子5の下方から可動火格子5の上方の燃焼室への、隣接する火格子シャフト6の板状火格子要素1、2、3の縁部11間に形成されたギャップを通る一次燃焼空気のアクセスは、隣接する板状火格子要素1、2、3間の所定の隙間10によって制御される。
【0030】
図18は、図示されていない炉用の完全な可動火格子5を示す。可動火格子5は、左火格子レーン41及び右火格子レーン42を有する。しかしながら、図示された種類の可動火格子5は、1つ、2つ、3つ、4つ、又はさらにそれより多い火格子レーンなどの任意の適切な数の火格子レーンを有することができる。図17は、図18の可動火格子5の右火格子レーン42を通る長手方向セクションを示す。各火格子レーン41、42は、燃料が入る第1のセクション43、第2のセクション44、第3のセクション45、及び燃料が最終的に出る第4のセクション46を有する。より多くのセクションが設けられてもよい。第1のセクション43及び第2のセクション44は、典型的には、冷却流体、典型的には水などの液体が循環する内部冷却流体チャンバ18が設けられた板状火格子要素1、2を含むことができる。第3のセクション45及び第4のセクション46は、典型的には、一次燃焼空気によって冷却することができ、その結果、これらのセクションの板状火格子要素1、2に内部冷却流体チャンバ18が必要とされない。
【0031】
図16A図16B及び図16Cは、図18に示す可動火格子5の右火格子レーン42の第1のセクション43の異なる動作段階を示す。右火格子レーン42の第1のセクション43は、左から右へ、いわゆる第1の半板状火格子要素2と、連続して配置された4つのフルサイズの板状火格子要素1と、いわゆる最後の半板状火格子要素3とを含むことに留意されたい。これに関連して、「半分」という名称は、単に、フルサイズの板状火格子要素1と比較して、第1及び最後の板状火格子要素2、3の長さが短いことを指す。追加で、以下でさらに詳細に説明するように、第1の半板状火格子要素2は、その後端15の特定の設計を有し、最後の半板状火格子要素3は、その前端14の特定の設計を有することが分かる。図17と比較すると、第1の半板状火格子要素2の後端15は、固定入口連結板47と協働することに留意されたい。これを行うために、第1の半板状火格子要素2の後端15は、フルサイズの板状火格子要素1の後端15と比較してより短く、丸みを帯びた輪郭を有する。本発明による第1の半板状火格子要素2を図13図15に示す。再度図16を参照すると、第1の半板状火格子要素2の前端14は、第1、第2、及び第3のフルサイズの板状火格子要素1の各々の前端14が隣接するフルサイズの板状火格子要素1の後端15と協働するのと同様に、4つのフルサイズの板状火格子要素1のうちの第1のものの後端15と協働することに留意されたい。さらに、最後の(第4の)フルサイズの板状火格子要素1の前端14は、フルサイズの板状火格子要素1の前端14が隣接するフルサイズの板状火格子要素1の後端15と協働するのと同様に、最後の半板状火格子要素3の後端15と協働することに留意されたい。しかしながら、図17を参照すると、最後の半板状火格子要素3の前端14は、火格子レーン42の第1のセクション43と火格子レーン42の第2のセクション44との間に配置された固定板状火格子要素4と協働することに留意されたい。これを行うために、最後の半板状火格子要素3の前端14は、フルサイズの板状火格子要素1の前端14と比較してより短く、異なる輪郭を有する。
【0032】
動作中、最後の半板状火格子要素3の前端14が固定板状火格子要素4の下方に位置しているため、最後の半板状火格子要素3の前端14は、第1の半板状火格子要素2の前端14及び4つのフルサイズの板状火格子要素1のそれぞれの前端14よりも低温にさらされる。したがって、最後の半板状火格子要素3の前端14の冷却の必要性は比較的低く、したがって、最後の半板状火格子要素3には必ずしも内部冷却流体チャンバが設けられず、本発明に従って設計されない。
【0033】
しかしながら、第1の半板状火格子要素2の前端14は、動作中、各フルサイズの板状火格子要素1の前端14が動作中に隣接するフルサイズの板状火格子要素1の後端15の上方又は最後の半板状火格子要素3の後端15の上方に位置するのと同様に、4つのフルサイズの板状火格子要素1のうちの第1のものの後端15の上方に位置する。そのため、第1の半板状火格子要素2の前端14及び各フルサイズの板状火格子要素1の前端14は、動作中に可動火格子5上で燃料の燃焼によって生じる極めて高い温度にさらされる。したがって、第1の半板状火格子要素2の前端14及び各フルサイズの板状火格子要素1の前端14の冷却の必要性は、過度の摩耗を回避するために非常に高い。本発明によるフルサイズの板状火格子要素1の実施形態を図3図12及び図21に示し、本発明による第1の半板状火格子要素2の実施形態を図13図15及び図22に示す。本発明による板状火格子要素1、2は、以下でさらに詳細に説明するように、特に前先端縁23の摩耗が起こりにくい。
【0034】
図4及び図5を参照すると、本発明による板状火格子要素1は、上壁12と、底壁13と、前端14と、後端15とを有する。板状火格子要素1の前端14は、前述の板状火格子要素1が隣接する火格子シャフト6上に配置されるとき、火格子シャフト6の前述の枢動運動の一部の間、対応する板状火格子要素1の後端15の後先端縁17との前述の所定の隙間10を維持するように適合された下側内向きに湾曲した壁部分16を有する。火格子シャフト6の枢動運動を図16A図16Cに示す。
【0035】
図4図7に示すように、本発明による板状火格子要素1は、入口端部20及び出口端部21を有し、板状火格子要素1の前端14に沿って、前端14の下側内向きに湾曲した壁部分16の一部の上方に延在する内部前方冷却流体チャネル19を含む内部冷却流体チャンバ18をさらに備える。
【0036】
図1及び図2は、既知の板状火格子要素52を示す。この従来技術の板状火格子要素52はまた、上壁12と、底壁13と、前端14と、後端15とを有する。従来技術の板状火格子要素52の前端14は、下側内向きに湾曲した壁部分16を有し、入口端部20及び出口端部21を有し、従来技術の板状火格子要素52の前端14に沿って、前端14の下側内向きに湾曲した壁部分16の一部の上方に延在する内部前方冷却流体チャネル19を含む内部冷却流体チャンバ18をさらに備える。従来技術の板状火格子要素52は、従来技術の板状火格子要素52の上壁12から前端14の下側内向きに湾曲した壁部分16に延在する直線状の前壁53を有する。見られるように、直線状の前壁53は、上壁12と斜めの角度を形成し、下側内向きに湾曲した壁部分16との連結部に尖った前先端縁54を形成する。尖った前先端縁54は、底壁13の下方に位置する。図1に見られるように、上壁12及び底壁13は、略平行に離間した構成で延在し、上壁12及び底壁13は、板状火格子要素52の前端14で直線状の前壁53によって連結される。これにより、直線状の前壁53は、板状火格子要素52の上壁12から、底壁13の一般的な高さより下にある尖った前先端縁54の位置に延在する。尖った前先端縁54で、直線状の前壁53は、下側内向きに湾曲した壁部分16によって底壁13に連結されている。
【0037】
従来技術の板状火格子要素52の尖った前先端縁54は、動作中、尖った前先端縁54内の実質的な質量濃度に起因して著しい温度勾配を被る可能性がある。さらに、冷却流体の流れの大部分は、温度が上昇し得る尖った前先端縁54から比較的離れていることに留意されたい。尖った前先端縁54の温度は、動作中に最大約900°Cに達し得る。
【0038】
これに対して、本発明によれば、図5図8及び図9に示すように、板状火格子要素1は、板状火格子要素1の上壁12から前端14の下側内向きに湾曲した壁部分16に延在する外向きに湾曲した又は丸みを帯びた前壁22を有する。前端14の前先端縁23は、下側内向きに湾曲した壁部分16との連結部で、外向きに湾曲した前壁22によって形成される。これにより、動作中、図1及び図2に示す既知の板状火格子要素52などの従来技術の火格子要素と比較して、比較的多くの冷却流体が板状火格子要素1の前先端縁23の近くを流れることができる。加えて、冷却流体は、一般に、従来技術の火格子要素と比較して、本発明の板状火格子要素1の前先端縁23の近くを流れることができる。その結果、本発明によれば、前端14、特に前先端縁23のより良好でより効率的な冷却を達成することができる。さらに、本発明によれば、外向きに湾曲した前壁22は、±35%未満だけ変化する公称壁厚を有する。これにより、冷却流体の効果は、外向きに湾曲した前壁にわたって均一になり、それによって前壁の均一な冷却を得ることができる。特に、前先端縁23の不十分な冷却を回避することが可能であり得る。一例として、本発明による板状火格子要素1の前先端縁23の温度は、図1及び図2の従来技術の板状火格子要素52の尖った前先端縁54がほぼ摂氏900度に達する炉構成において、動作中に摂氏300度以上に達しない可能性がある。これは、本発明による板状火格子要素1によって最大摂氏約600度の温度低下を得ることができることを意味する。
【0039】
前先端縁23のより良好な冷却は、前先端縁の摩耗をより少なくし、したがって、板状火格子要素1の耐用年数をより長くすることができる。さらに、外向きに湾曲した前壁全体の滑らかな湾曲は、張力が蓄積し得る弱い領域のないより強い前壁をもたらし得る。
【0040】
本発明によれば、好ましくは、前先端縁23は、底壁13の一般的な高さよりも下に位置する。さらに、図4及び図5に見られるように、上壁12及び底壁13は、略平行に離間した構成で延在してもよく、上壁12及び底壁13は、外向きに湾曲した前壁22によって板状火格子要素1、2の前端14で連結される。これにより、外向きに湾曲した前壁22は、板状火格子要素1、2の上壁12から、底壁13の一般的な高さよりも低い前先端縁23の位置に延在することができる。前先端縁23で、外向きに湾曲した前壁22は、下側内向きに湾曲した壁部分16によって底壁13に連結されている。
【0041】
本発明によれば、好ましくは、外向きに湾曲した前壁22は、板状火格子要素1の上壁12から前端14の下側内向きに湾曲した壁部分16まで連続的に丸みを帯びており、それにより、外向きに湾曲した前壁22は前端14の凸部を形成し、下側内向きに湾曲した壁部分16は前端14の凹部を形成する。
【0042】
図13から図15にさらに示すように、本発明によれば、第1の半板状火格子要素2はまた、第1の半板状火格子要素2の上壁12から前端14の下側内向きに湾曲した壁部分16に延在する外側に湾曲した又は丸みを帯びた前壁22を有する。前端14の前先端縁23は、下側内向きに湾曲した壁部分16との連結部で、外向きに湾曲した前壁22によって形成される。理解されるように、図13図15に示す第1の半板状火格子要素2の前端14の設計は、図6図12に示すフルサイズの板状火格子要素1の前端14の設計に対応する。したがって、フルサイズの板状火格子要素1に関して上述したものと同じ利点を、第1の半板状火格子要素2によって達成することもできる。
【0043】
一方、上述したように、第1の半板状火格子要素2の後端15の設計は、フルサイズの板状火格子要素1の後端15の設計とは異なる。理解されるように、第1の半板状火格子要素2の後端15は、フルサイズの板状火格子要素1の後端15よりも短い。図7図14とを比較すると、第1の半板状火格子要素2では、内部冷却流体チャンバがフルサイズの板状火格子要素1の内部冷却流体チャンバよりも小さく、内部側面分離壁33、34の自由端35がフルサイズの板状火格子要素1よりも後端15に近いことが分かる。
【0044】
本発明による板状火格子要素1、2は、好ましくは、砂型鋳造プロセスにおいて単一の金属片で製造されてもよい。その後、鋳造物は正確な測定値に機械加工されてもよく、鋳造孔38及び/又は鋳造スロット40は、溶接又は任意の他の適切な手順によって適切なプラグによってタップされてもよい。砂型鋳造プロセスは、例えば、ロストフォーム型又は任意の他の適切な砂型鋳造プロセスであってもよい。しかし、当然のことながら、本発明による板状火格子要素1、2は、任意の適切な鋳造プロセス若しくは機械加工プロセス、又は、さらに3Dプリントプロセスなどの任意の適切な方法で製造することができる。板状火格子要素1、2はまた、任意の適切な数の要素から組み立てられてもよい。
【0045】
外向きに湾曲した前壁22の公称壁厚は、有利には±30%未満、好ましくは±25%未満、最も好ましくは±20%未満だけ変動し得る。外向きに湾曲した前壁22の公称壁厚の変化をさらに低減することによって、外向きに湾曲した前壁22にわたる冷却流体の効果をさらに均一にすることができ、それによって前壁の均一な冷却をより高度に得ることができる可能性がある。特に、前先端縁23の不十分な冷却を回避することが可能であり得る。
【0046】
好ましくは、外向きに湾曲した前壁22は、少なくとも実質的に一定の壁厚を有する。
【0047】
図9を参照すると、板状火格子要素1、2の上壁12から前先端縁23に延在する外向きに湾曲した前壁22の一部は、有利には、±40%未満、好ましくは±20%未満だけ変化する第1の公称曲率半径Rを有する外側輪郭を有することができる。前先端縁23は、有利には、±20%未満だけ変化する第2の公称曲率半径rを有する外側輪郭を有することができる。有利には、第1の公称曲率半径Rは、第2の公称曲率半径rよりも2倍超大きく、好ましくは3倍超大きく、より好ましくは4倍超大きく、最も好ましくは5倍超大きい。それにより、特に、板状火格子要素1の前先端縁23により近接して流れる冷却流体の効果を集中させることが可能になり得る。
【0048】
本発明によれば、板状火格子要素1、2の外向きに湾曲した前壁22は、有利には、第1の公称曲率半径Rを有する外側輪郭を有することができ、第1の公称曲率半径Rは、板状火格子要素1、2の上壁12から前先端縁23まで一定であり、一定に増加又は一定に減少する。
【0049】
具体的に図5図9を参照すると、図示の実施形態では、内部前方冷却流体チャネル19は、外向きに湾曲した前壁22と、前端14の下側内向きに湾曲した壁部分16の一部と、板状火格子要素1の上壁12及び底壁13を連結する前方内部分離壁24とによって形成される。図6及び図7に示すように、前端14の中央位置25で、前方内部分離壁24は、内部前方冷却流体チャネル19の断面流れ領域の制限部26を形成する。これにより、板状火格子要素1の前先端縁23に近接する冷却流体の全般的により高い速度を得ることができ、それによって前先端縁23における冷却効果を改善することができる可能性がある。
【0050】
図示の実施形態では、内部前方冷却流体チャネル19の断面流れ領域の制限部26は、内部前方冷却流体チャネル19の入口端部20から出口端部21に徐々に形成される。これにより、前端14に沿って、特に板状火格子要素1の前先端縁23に沿って均一な冷却効果を得ることができる。具体的には、見られるように、内部前方冷却流体チャネル19の断面流れ領域の制限部26は、前方内部分離壁24がV字形状に形成されている。代替で、制限部26は、前方内部分離壁24が前方内部分離壁24の長手方向に湾曲することによって形成することができる。
【0051】
前述の制限部26での減少した断面流れ領域Areducedは、内部前方冷却流体チャネル19の入口端部20及び/又は出口端部21での入口/出口断面流れ領域Ainlet、Aoutletの60%未満、好ましくは50%未満、最も好ましくは40%未満であり得る。これにより、前端14に沿って、特に板状火格子要素1の前先端縁23に沿って均一な冷却効果を得ることができる。
【0052】
図6及び図7を参照すると、任意選択的に、内部入口ガイドベーン27が、内部前方冷却流体チャネル19の入口端部20で内部冷却流体チャンバ18内に配置され、任意選択的に、内部出口ガイドベーン28が、内部前方冷却流体チャネル19の出口端部21で内部冷却流体チャンバ18内に配置される。前述の内部入口ガイドベーン27及び前述の内部出口ガイドベーン28は、板状火格子要素1の前端14のそれぞれの側30、31で内部冷却流体チャンバ18のそれぞれの角29の方向に冷却流体を案内するように適合される。これにより、図6に矢印によって示されるように、より多くの冷却流体を内部冷却流体チャンバ18の角29に案内することができ、冷却効果を、板状火格子要素1の前端14、特に前先端縁23の側30、31で向上させることができる。
【0053】
具体的に図8を参照し、図6及び図7を比較すると、内部入口ガイドベーン27は、板状火格子要素1の底壁13に連結され、内部入口ガイドベーン27が連結される底壁13に対向する上壁12に対して離間していることが分かる。同様に、内部出口ガイドベーン28は、板状火格子要素1の底壁13に連結され、内部出口ガイドベーン28が連結される底壁13に対向する上壁12に対して離間している。これにより、冷却流体の全体的な流れを過度に制限することなく、冷却流体を内部冷却流体チャンバ18のそれぞれの角29の方向に案内することができる。さらに、鋳造砂が板状火格子要素1の内部冷却流体チャンバ18をより良好に通過することができるという点で、鋳造による板状火格子要素1の製造を容易にすることができる。したがって、結果は、より長い耐用年数を有するより良好な品質の鋳造物となり得る。
【0054】
内部入口ガイドベーン27が板状火格子要素1の上壁12に連結され、底壁13に対して離間している場合、全く同じ利点が達成され得ることが理解される。同様に、当然ながら、内部出口ガイドベーン28が板状火格子要素1の上壁12に連結され、底壁13に対して離間している場合に、同じ利点が達成され得る。例えば、内部入口ガイドベーン27は、上壁12に連結され、底壁13に対して離間することができ、内部出口ガイドベーン28は、底壁13に連結され、上壁12に対して離間することができ、又はその逆も可能である。
【0055】
図6及び図7に見られるように、内部入口ガイドベーン27及び内部出口ガイドベーン28は、前端14の長手方向に対して斜めの角度で配置され、前述の長手方向は、前端14の第1の側30から前端14の第2の側31に延在する。それにより、冷却流体は、内部冷却流体チャンバ18のそれぞれの角29で、前端14のいずれかの側30、31、特に板状火格子要素1の前先端縁23の冷却効果を最大にするように案内され得る。
【0056】
図6及び図7に見られるように、内部冷却流体チャンバ18内に配置されたU字形状内部分離壁32は、前方内部分離壁24の形態の中間壁部分と、2つの内部側面分離壁33、34とによって構成される。2つの内部側面分離壁33、34は、板状火格子要素1の後端15から離れて位置するそれぞれの自由端35を有する。内部入口ガイドベーン27及び内部出口ガイドベーン28の各々は、U字形状内部分離壁32に対して離間している。これにより、十分な量の冷却流体を内部冷却流体チャンバ18の角29に案内することができ、十分な量の冷却流体を内部前方冷却流体チャネル19を通って直接案内することができ、それによって板状火格子要素1の前端14、特に前先端縁23の側30、31の両方でバランスのとれた冷却効果を得ることができる。さらに、鋳造による板状火格子要素1の製造は、鋳造砂が板状火格子要素1の内部冷却流体チャンバ18をより良好に通過することができるという点で、さらに容易であり得る。
【0057】
図6及び図7にさらに見られるように、中央長手方向分離壁55は、内部冷却流体チャンバ18の後壁から前方内部分離壁24に延在し、それによって内部冷却流体チャンバ18を第1の入口チャンバ部と第2の出口チャンバ部とに分離する。それにより、図6の矢印によって示されるように、冷却流体は、内部冷却流体チャンバ18の冷却流体入口開口36から、第1の内部側面分離壁33の周りに、内部前方冷却流体チャネル19を通って、第2の内部側面分離壁34の周りに、及び内部冷却流体チャンバ18の冷却流体出口開口37を通って外に案内され得る。冷却流体入口開口36は、入口冷却流体管49と連結するように適合され、冷却流体出口開口37は、出口冷却流体管50と連結するように適合される。
【0058】
図19図22に示すように、冷却流体、典型的には水などの液体は、それぞれの火格子シャフト6の一部を形成し、板状火格子要素1、2を担持するそれぞれのガーダ48内に配置された入口冷却流体管49によって、板状火格子要素1、2に供給され得る。同様に、冷却流体は、ガーダ48内に配置された出口冷却流体管50を通って板状火格子要素1、2から流出することができる。これにより、見られるように、火格子シャフト6の板状火格子要素の内部冷却流体チャンバ18を直列に連結することができる。板状火格子要素1、2は、板状火格子要素のねじ付き取付孔39にねじ込まれる図示しないボルトによってガーダ48に取り付けられる。
【0059】
しかしながら、板状火格子要素1、2は、図示とは異なる方法で配置されてもよく、冷却流体、典型的には水などの液体は、図示とは異なる方法で板状火格子要素1、2に供給されてもよい。いずれにせよ、各板状火格子要素1、2の内部冷却流体チャンバ18は、火格子レーン41、42内の板状火格子要素1、2の取り付け状態において、冷却流体を循環させることができる冷却回路の一部を形成することができる。これにより、それぞれの板状火格子要素の複数の内部冷却流体チャンバ18を直列に連結することができる。内部冷却流体チャンバ18の冷却流体入口開口36は、冷却回路の冷却流体導管と連結するように適合されてもよく、内部冷却流体チャンバ18の冷却流体出口開口37は、冷却回路の冷却流体導管と連結するように適合される。前述の冷却回路は、典型的には、閉じた冷却回路である。
【0060】
図19に示すように、火格子レーンの側では冷却の必要性が少ないため、各火格子レーン41、42の各側には、内部冷却流体チャンバのない2つの空冷板状火格子要素51が配置される。
【0061】
試験結果
図24は、図18の図に対応する可動火格子5を有する炉の写真である。しかしながら、図18に示す可動火格子5には、本発明による板状火格子要素1、2が設けられているのに対して、図24の写真に見られる可動火格子5には、まず、図1及び図2に示す従来技術の板状火格子要素52が設けられた。
【0062】
図24の炉では、主に細断された廃木材を含む燃料が燃焼されてきた。図24の写真に見られる可動火格子5は、図1及び図2に示す新たに製造された従来技術の板状火格子要素52が設けられた後、わずか約6ヶ月間作動していた。図18に示す可動火格子5に対応して、図24の可動火格子5は、左火格子レーン41及び右火格子レーン42を有する。各火格子レーン41、42は、燃料が入る第1のセクション43、第2のセクション44、第3のセクション45、及び燃料が最終的に出る第4のセクション46(写真ではほとんど見られず)を有する。第1及び第2のセクション43、44は、図1及び図2に示すように内部冷却流体チャンバ18を備えた従来技術の板状火格子要素52を含む。第3及び第4のセクションは、これらのセクションの板状火格子要素に内部冷却流体チャンバが設けられないように、一次燃焼空気によって冷却される。
【0063】
図25は、図24の可動火格子5の第2のセクション44の従来技術の板状火格子要素52のうちの1つの写真である。図25の写真は、板状火格子要素52の前端14を示している。板状火格子要素52は、隣接する板状火格子要素52に当接する左側66及び右側65を有する。使用された従来技術の板状火格子要素52の図25の写真を、新しく製造された従来技術の板状火格子要素52の図1の図と比較すると、板状火格子要素52の前端14から腐食によって多くの材料が摩耗し、それによって前端14に沿ってトラフ67が形成されていることが分かる。さらに、材料の張力の結果として、複数のマイクロクラック68が前端14の縁に沿って形成されている。マイクロクラック68のうちの1つは、板状火格子要素52の内部冷却流体チャンバ18からの漏れ69を形成している。漏れ69は、内部冷却流体チャンバ18の内部前方冷却流体チャネル19から漏れる冷却水の結果として、そのマイクロクラック68の周りに暗いスポットを有するように見える。明らかに、この板状火格子要素52は、わずか6ヶ月の使用後のこの時点で、新しい火格子要素によって既に交換されなければならない。
【0064】
図26は、図24の可動火格子5の第2のセクション44の従来技術の板状火格子要素52のうちの別の例の拡大写真である。図26では、2つのマイクロクラック68が、内部冷却流体チャンバ18から漏れる冷却水の結果として、それらのマイクロクラック68の周囲に暗いスポットを有するように見えるそれぞれの漏れ69を形成している。
【0065】
図27は、図24の可動火格子5の第1のセクション43の従来技術の板状火格子要素52のうちの1つの写真である。図27の写真は、板状火格子要素52の前端14を示している。板状火格子要素52は、隣接する板状火格子要素52に当接する左側66及び右側65を有する。使用された従来技術の板状火格子要素52の図27の写真を、新しく製造された従来技術の板状火格子要素52の図1の図と比較すると、従来技術の板状火格子要素52の尖った前先端縁54に複数の粗いくぼみ70が形成されていることが分かる。この場合、マイクロクラック又は漏れはまだ形成されていない。明らかに、第1のセクション43の腐食は第2のセクション44の腐食よりもさらに強力であるため、深くて広いくぼみ70が形成され、それによって尖った前先端縁54の材料のかなりの部分が除去される。漏れはまだ形成されていないが、この板状火格子要素52もまた、わずか6ヶ月の使用後のこの時点で新しい火格子要素によって既に交換されなければならないことは明らかである。
【0066】
図28は、図24の可動火格子5の第1のセクション43の従来技術の板状火格子要素52の別の一つの写真である。図28の写真は、板状火格子要素52の前端14の第1の側30の角を拡大して示している。深い丸みを帯びたトラフ71が、従来技術の板状火格子要素52の尖った前先端縁54の前述の角の上部に形成されていることが分かる。さらに、尖った前先端縁54には、複数のくぼみ70が形成されている。
【0067】
実際、過度の摩耗のために、第1及び第2のセクション43、44の従来技術の板状火格子要素52の大部分を交換しなければならなかった。
【0068】
続いて、図24に示す可動火格子5の第1及び第2のセクション43、44に、本発明による、図3図12に示す板状火格子要素1を設けた。上記の試験に関して、主に細断された廃木材を含む同じ種類の燃料を、本発明による新たに製造された板状火格子要素1の設置後約6ヶ月の運転期間の間炉内で燃焼させた。図29及び図30は、約6ヶ月の運転後の本発明による前述の板状火格子要素1のうちの1つの写真である。実際には、様々な板状火格子要素1の外観に目に見える違いはなかったので、前述の板状火格子要素1のうちの1つのみが示されている。
【0069】
図29及び図30に見られるように、本発明による板状火格子要素1の前端14には、マイクロクラック、くぼみ又はトラフが全く形成されていない。興味深いことに、図30の拡大写真では、板状火格子要素1の前端14の丸みを帯びた前先端縁23に沿って、図中の垂直線の形態の切削マーク72が、約6ヶ月の運転後も依然として見えることが分かる。これらの切削マーク72は、鋳造された板状火格子要素1を上述のように正確な測定値に機械加工するときに設けられた。しかしながら、約6ヶ月の運転後のこれらの切削マーク72の存在は、実際には、板状火格子要素1の前端14から摩耗した材料が実質的にないことを証明している。
【0070】
したがって、試験の結果、図3から図12に示すように、本発明による板状火格子要素1は、図1及び図2に示すように、従来技術の板状火格子要素52よりも大幅に摩耗しにくいと結論付けることができる。
【符号の説明】
【0071】
reduced 内部前方冷却流体チャネルの制限部での減少した断面流れ領域
inlet 内部前方冷却流体チャネルの入口端部での入口断面流れ領域
outlet 内部前方冷却流体チャネルの出口端部での出口断面流れ領域
R 第1の公称曲率半径
r 第2の公称曲率半径
1 フルサイズの板状火格子要素
2 第1の半板状火格子要素
3 最後の半板状火格子要素
4 固定板状火格子要素
5 炉の可動火格子
6 枢動火格子シャフト
7 傾斜火格子面
8 駆動機構
9 同期機構
10 板状火格子要素間の所定の隙間
11 板状火格子要素の縁部
12 板状火格子要素の上壁
13 板状火格子要素の底壁
14 板状火格子要素の前端
15 板状火格子要素の後端
16 前端の下側内向きに湾曲した壁部分
17 後端の後先端縁
18 板状火格子要素の内部冷却流体チャンバ
19 板状火格子要素の内部前方冷却流体チャネル
20 内部前方冷却流体チャネルの入口端部
21 内部前方冷却流体チャネルの出口端部
22 板状火格子要素の外向きに湾曲した前壁
23 前端の丸みを帯びた前先端縁
24 内部冷却流体チャンバの前方内部分離壁
25 前端中央位置
26 内部前方冷却流体チャネルの制限部
27 内部冷却流体チャンバの内部入口ガイドベーン
28 内部冷却流体チャンバの内部出口ガイドベーン
29 内部冷却流体チャンバの角
30 板状火格子要素の前端の第1の側
31 板状火格子要素の前端の第2の側
32 内部冷却流体チャンバのU字形状内部分離壁
33 内部冷却流体チャンバの第1の内部側面分離壁
34 内部冷却流体チャンバの第2の内部側面分離壁
35 内部側面分離壁の自由端
36 内部冷却流体チャンバの冷却流体入口開口
37 内部冷却流体チャンバの冷却流体出口開口
38 タップされる鋳造孔
39 板状火格子要素のねじ付き取付孔
40 タップされる鋳造孔
41 左火格子レーン
42 右火格子レーン
43 火格子レーンの第1のセクション
44 火格子レーンの第2のセクション
45 火格子レーンの第3のセクション
46 火格子レーンの第4のセクション
47 固定入口連結板
48 板状火格子要素を担持するガーダ
49 ガーダの入口冷却流体管
50 ガーダの出口冷却流体管
51 空冷板状火格子要素
52 従来技術のフルサイズの板状火格子要素
53 板状火格子要素の直線状の前壁
54 従来技術の板状火格子要素の尖った前先端縁
55 内部冷却流体チャンバの中央長手方向分離壁
56 可動火格子のフレーム
57 同期ロッド
58 第1の同期レバーアーム
59 第2の同期レバーアーム
60 駆動機構のリニアアクチュエータ
61 第1の連結ロッド
62 第2の連結ロッド
63 クランクアーム
64 付勢機構のディスクばね
65 板状火格子要素の左側
66 板状火格子要素の右側
67 板状火格子要素の前端に沿ったトラフ
68 マイクロクラック
69 漏れ
70 尖った前先端縁のくぼみ
71 トラフ
72 切削マーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【手続補正書】
【提出日】2022-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉の可動火格子(5)用の板状火格子要素(1、2)であって、前記可動火格子(5)が、板状火格子要素(1、2、3)を担持し、それによって傾斜火格子面(7)を画定する複数の枢動火格子シャフト(6)を含み、前記可動火格子(5)が、前記火格子面(7)上の材料を下方に搬送するため、そうした材料に波状運動を付与するために反対の回転方向に隣接する火格子シャフト(6)を前後に枢動させるように配置された駆動機構(8)を含み、前記可動火格子(5)が、前記火格子シャフト(6)の前記枢動運動中に隣接する火格子シャフト(6)の板状火格子要素(1、2、3)の縁部(11)間に所定の隙間(10)を維持するように配置された同期機構(9)を含み、前記板状火格子要素(1、2)が、上壁(12)、底壁(13)、前端(14)及び後端(15)を有し、前記板状火格子要素(1、2)の前記前端(14)が、前記板状火格子要素(1、2)が隣接する火格子シャフト(6)上に配置されるときに、前記火格子シャフト(6)の前記枢動運動の一部の間、対応する板状火格子要素(1)の前記後端(15)の後先端縁(17)と前記所定の隙間(10)を維持するように適合される下側内向きに湾曲した壁部分(16)を有し、前記板状火格子要素(1、2)には、入口端部(20)及び出口端部(21)を有し、前記板状火格子要素(1、2)の前記前端(14)に沿って、前記前端(14)の前記下側内向きに湾曲した壁部分(16)の少なくとも一部の上方に延在する内部前方冷却流体チャネル(19)を含む内部冷却流体チャンバ(18)が設けられ、前記板状火格子要素(1、2)が、前記板状火格子要素(1、2)の前記上壁(12)から前記前端(14)の前記下側内向きに湾曲した壁部分(16)に延在する外向きに湾曲した前壁(22)を有し、前記前端(14)の前先端縁(23)が、前記下側内向きに湾曲した壁部分(16)との連結部で前記外向きに湾曲した前壁(22)によって形成され、前記外向きに湾曲した前壁(22)が、±35%未満だけ変化する公称壁厚を有し、前記板状火格子要素(1、2)の前記上壁(12)から前記前先端縁(23)に延在する前記外向きに湾曲した前記前壁(22)の一部が、±40%未満だけ変化する第1の公称曲率半径(R)を有する外側輪郭を有し、前部前先端縁(23)が、±20%未満だけ変化する第2の公称曲率半径(r)を有する外側輪郭を有し、前記第1の公称曲率半径(R)が前記第2の公称曲率半径(r)の2倍超長いことを特徴とする、板状火格子要素(1、2)。
【請求項2】
前記外向きに湾曲した前壁(22)の前記公称壁厚が、±30%未満、好ましくは±25%未満、最も好ましくは±20%未満だけ変化する、請求項1に記載の板状火格子要素。
【請求項3】
前記第1の公称曲率半径(R)が、±20%未満だけ変化し、前記第1の公称曲率半径(R)が、前記第2の公称曲率半径(r)の3倍超、より好ましくは4倍超、最も好ましくは5倍超長い、請求項1又は2に記載の板状火格子要素。
【請求項4】
前記内部前方冷却流体チャネル(19)が、少なくとも前記外向きに湾曲した前壁(22)と、前記前端(14)の前記下側内向きに湾曲した壁部分(16)の少なくとも一部と、前記板状火格子要素(1、2)の前記上壁(12)と前記底壁(13)とを連結する前方内部分離壁(24)とによって形成され、前記前方内部分離壁(24)が、前記前端(14)の中央位置(25)で、前記内部前方冷却流体チャネル(19)の断面流れ領域の制限部(26)を形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の板状火格子要素。
【請求項5】
前記内部前方冷却流体チャネル(19)の前記断面流れ領域の前記制限部(26)が、前記内部前方冷却流体チャネル(19)の前記入口端部(20)から前記出口端部(21)に徐々に形成されている、請求項4に記載の板状火格子要素。
【請求項6】
前記内部前方冷却流体チャネル(19)の前記断面流れ領域の前記制限部(26)が、前記前方内部分離壁(24)が、前記前方内部分離壁(24)の長手方向にV字形状に、又は湾曲して形成される、請求項4又は5に記載の板状火格子要素。
【請求項7】
前記制限部(26)での減少した断面流れ領域(Areduced)が、前記内部前方冷却流体チャネル(19)の前記入口端部及び/又は出口端部(20、21)における入口/出口断面流れ領域(Ainlet、Aoutlet)の60%未満、好ましくは50%未満、最も好ましくは40%未満である、請求項4から6のいずれか一項に記載の板状火格子要素。
【請求項8】
内部入口ガイドベーン(27)が、前記内部前方冷却流体チャネル(19)の前記入口端部(20)において前記内部冷却流体チャンバ(18)内に配置され、内部出口ガイドベーン(28)が、前記内部前方冷却流体チャネル(19)の前記出口端部(21)において前記内部冷却流体チャンバ(18)内に配置され、前記内部入口ガイドベーン(27)及び前記内部出口ガイドベーン(28)が、前記板状火格子要素(1、2)の前記前端(14)のそれぞれの端部(30、31)において前記内部冷却流体チャンバ(18)のそれぞれの角(29)の方向に冷却流体を案内するように適合される、請求項1から7のいずれか一項に記載の板状火格子要素。
【請求項9】
前記内部入口ガイドベーン(27)が、前記板状火格子要素(1、2)の前記上壁(12)又は前記底壁(13)に連結され、前記内部入口ガイドベーン(27)が連結されている前記上壁(12)又は前記底壁(13)に対向する前記上壁(12)又は前記底壁(13)に対して離間しており、前記内部出口ガイドベーン(28)が、前記板状火格子要素(1、2)の前記上壁(12)又は前記底壁(13)に連結され、前記内部出口ガイドベーン(28)が連結されている前記上壁(12)又は前記底壁(13)に対向する前記上壁(12)又は前記底壁(13)に対して離間している、請求項8に記載の板状火格子要素。
【請求項10】
前記内部入口ガイドベーン(27)及び前記内部出口ガイドベーン(28)が、前記前端(14)の長手方向に対して斜めの角度で配置されている、請求項8又は9に記載の板状火格子要素。
【請求項11】
U字形状内部分離壁(32)が、前記前方内部分離壁(24)の形態の中間壁部分と、2つの内部側面分離壁(33、34)とによって構成され、前記2つの内部側面分離壁(33、34)が、前記板状火格子要素(1、2)の前記後端(15)から離れて位置するそれぞれの自由端(35)を有し、前記内部入口ガイドベーン(27)及び前記内部出口ガイドベーン(28)の各々が、前記U字形状内部分離壁(32)に対して離間している、請求項8から10のいずれか一項に記載の板状火格子要素。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の複数の板状火格子要素(1、2)を含む可動火格子(5)を有する炉。
【国際調査報告】