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特表2024-505420リサイクルされたPETを含むフラット泡(foam)シートを作製する方法およびこれからもたらされる製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】リサイクルされたPETを含むフラット泡(foam)シートを作製する方法およびこれからもたらされる製品
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/00 20060101AFI20240130BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20240130BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20240130BHJP
   B29C 48/21 20190101ALI20240130BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20240130BHJP
   B29C 48/295 20190101ALI20240130BHJP
   B29C 48/395 20190101ALI20240130BHJP
   B29C 48/49 20190101ALI20240130BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20240130BHJP
   B29C 44/24 20060101ALI20240130BHJP
   B29C 44/60 20060101ALI20240130BHJP
   C08J 9/12 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B29C44/00 E
B32B27/36
B32B5/18
B29C48/21
B29C48/08
B29C48/295
B29C48/395
B29C48/49
B29C48/92
B29C44/24
B29C44/60
C08J9/12 CFD
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542753
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 US2022012355
(87)【国際公開番号】W WO2022155369
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】63/136,891
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514248569
【氏名又は名称】ミューセル・エクストルージョン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Mucell Extrusion, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サニエイ,メディー
(72)【発明者】
【氏名】リンデンフェルツァー,マーク,イー.
(72)【発明者】
【氏名】サコラフォス,ジェイムズ,ケー.
【テーマコード(参考)】
4F074
4F100
4F207
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA66
4F074AA66L
4F074AA98
4F074AB05
4F074AG03
4F074AG06
4F074AG07
4F074AG11
4F074BA32
4F074BA33
4F074BA86
4F074BC11
4F074CA22
4F074DA02
4F074DA03
4F074DA12
4F074DA23
4F074DA33
4F100AA01A
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4F100AK42B
4F100AK69C
4F100BA02
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4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CA01A
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4F100CA22A
4F100DJ01A
4F100DJ02A
4F100EH20
4F100GB15
4F100JA06A
4F100JA06B
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4F214AR06
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4F214UB26
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4F214UC03
4F214UC09
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4F214UC24
4F214UC28
4F214UN04
4F214UN12
4F214UP84
(57)【要約】
パッケージング用途のために使用され得る、リサイクルされたポリエステル供給源から多層泡シートを作製する方法。方法は、少なくとも2の単軸スクリュー押出機を含む共押出システムを含む。低I.V.ポリエステルフィードストックは、ASTM D4603-18によって測定した0.8dL/gより低い固有粘度(I.V.)を有するリサイクルされた供給源からのポリエステルフレークを100%まで含み、押出機に直接供給される。超臨界物理発泡剤は、押出機の少なくとも1つにおいて溶融したポリエステルフィードストックに導入され、ここで、加工温度は、融解温度より15%低温~融解温度より15%高温の範囲内にある。次いで、多層泡シートを作製するために共押出システムの押出機からフィードストックをフラットシートダイを介して共押出することを含み、ここで、少なくとも1つの層は、低I.V.ポリエステルを含む泡層である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2の単軸スクリュー押出機を含む共押出システムを提供すること;
リサイクルされた供給源からのポリエステルフレークを含む低I.V.ポリエステルフィードストックを押出機の1つに供給すること、ここで、フィードストックにおける100%までのポリエステルが、リサイクルされた供給源からのポリエステルフレークを含み、ここで、低I.V.ポリエステルフィードストックは、ASTM D4603-18によって測定して0.8dL/gより低い固有粘度(I.V.)を有する;
押出機の少なくとも1つにおいて、溶融したポリエステルフィードストックに超臨界物理発泡剤を導入すること;
融解温度より15%低温~融解温度より15%高温の範囲内にある加工温度においてポリエステルフィードストックを加工すること;および
多層泡シートを作製するために共押出システムの押出機からフィードストックをフラットシートダイを介して共押出すること、
を含む多層泡シートを作製する方法であって、少なくとも1つの層が、低I.V.ポリエステルを含む泡層である、
前記方法。
【請求項2】
共押出システムの押出機の少なくとも1つが、物理的な発泡剤が導入されるガス注入ポートを含むキャビティトランスファーミキサーを含み、ミキサーの温度が、低I.V.ポリエステルフィードストックの融解温度より15%低温~融解温度より15%高温の範囲内にある温度に維持される、請求項1に記載の多層泡シートを作製する方法。
【請求項3】
キャビティトランスファーミキサー内の圧力を、少なくとも200barまで高めることを含む、請求項1または2に記載の多層泡シートを作製する方法。
【請求項4】
物理的な発泡剤が、窒素、二酸化炭素、または窒素および二酸化炭素の混合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層泡シートを作製する方法。
【請求項5】
物理的な発泡剤を、240バールを超える注入圧力で、1重量パーセント未満の濃度で、該共押出システムにおける押出機の少なくとも1つの混合セクション内のポリエステルフィードストックに導入し、ポリエステルフィードストックの混合物を形成することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層泡シートを作製する方法。
【請求項6】
ポリエステルフィードストックが、着色顔料、スリップ剤、帯電防止剤、U.V.安定剤、衝撃改良剤、抗酸化剤、または核剤の少なくとも1つをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層泡シートを作製する方法。
【請求項7】
泡層が、10~100μmの平均セルサイズを有し、核剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層泡シートを作製する方法。
【請求項8】
泡層が、0.05~15重量パーセントの濃度で核剤を含み、および核剤は、無機添加剤、有機添加剤、または無機および有機添加剤の混合物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層泡シートを作製する方法。
【請求項9】
バージンPETフィードストックを、共押出システムにおける押出機の少なくとも1つにおいて使用し、ここで、製造された多層シートの単位面積毎のバージンPETの質量濃度が、シートの単位面積の質量の15パーセント未満である、請求項1~8のいずれか一項に記載の多層泡シートを作製する方法。
【請求項10】
固体層の1つ以上において使用される樹脂のI.V.が、泡層において使用される樹脂のI.V.よりも0.1dL/g高い、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層泡シートを作製する方法。
【請求項11】
最外層の固体層の少なくとも1つにおいて使用される樹脂のI.V.が、泡層において使用される樹脂のI.V.よりも0.1dL/g高い、請求項1~10のいずれか一項に記載の多層泡シートを作製する方法。
【請求項12】
少なくとも10%のセルがクローズドセルである、複数のセルを包含するrPETを含む少なくとも1つの泡層、および
2つ以上の固体層であって、各固体層がPETを含む、
を含む共押出した軽量多層泡シートであって、
シートは、5 mils以上の全体厚さ、TAPPI/ANSI T 489 om-15に従うTaber剛性ユニット立体配置において20を超える曲げ剛性値、および単位面積当たりの質量(メートル-平方(gr/m)当たりの、グラムでのシートの単位面積の質量)のTaberユニット立体配置における剛性値に対する比率が20以下の比率を有する、
前記シート。
【請求項13】
少なくとも10%のセルがクローズドセルである、複数のセルを包含するrPETを含む少なくとも1つの泡層、および
2つ以上の固体層であって、各固体層がPETを含む、
を含む共押出した軽量多層泡シートであって、
シートは、5 mils以上の全体厚さを有し、およびシートは、TAPPI T 538に従って、100未満の平均Sheffield平滑度を有する、
前記シート
【請求項14】
シートが1.1gr/cm未満の嵩密度値を有する、請求項12または13に記載のシート。
【請求項15】
固体層の1つ以上における樹脂のI.V.が、泡層における樹脂のI.V.よりも少なくとも0.1dL/g高い、請求項12~14のいずれか一項に記載のシート。
【請求項16】
最外層の固体層の少なくとも1つにおける樹脂のI.V.が、泡層における樹脂のI.V.よりも少なくとも0.1dL/g高い、請求項12~15のいずれか一項に記載のシート。
【請求項17】
少なくとも1つの層が、顔料、衝撃改良剤、スリップ剤、帯電防止剤、U.V.安定剤、および抗酸化剤を包含する、適切な量の他の添加剤を含有する、請求項12~16のいずれか一項に記載のシート。
【請求項18】
シートが、3、4、または5層を含み、層の少なくとも1つが泡層である、請求項12~17のいずれか一項に記載のシート。
【請求項19】
泡層の未発泡体積に関するセル密度が、10~10セル/cmであり、およびシート密度が、0.1~0.9g/cmである、請求項12~18のいずれか一項に記載のシート。
【請求項20】
泡層が、50%超のクローズドセルを含む、請求項12~19のいずれか一項に記載のシート。
【請求項21】
泡層が、0.05~15重量パーセントの無機添加剤、有機添加剤、または無機および有機添加剤の混合物の含量の核剤を含む、請求項12~20のいずれか一項に記載のシート。
【請求項22】
2つの固体スキン層を除く少なくとも1つの層が、エチレンビニルアルコール(EVOH)を含む、請求項12~21のいずれか一項に記載のシート。
【請求項23】
請求項12~22のいずれか一項に記載のシートを含む、共押出および/または積層された多層シート。
【請求項24】
請求項12~23のいずれか一項に記載のシートを含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年1月13日に出願された米国仮特許出願第63/136,891号の優先権を主張するものであり、これは、その全体が参照されることによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本発明は、リサイクルされたポリエステル供給源から多層泡シートを作製する方法に関し、これはパッケージング用途のために使用してもよい。
【背景技術】
【0003】
背景
PETは、高弾性率、高歪み温度を有し、化学的耐性であり、完全にリサイクル可能である、低予算で広く市販されている材料と考えられている。PETは、様々な市場、具体的に言うとパッケージング産業において、高い可能性を秘めた幸先の良い材料であり、ベース樹脂の欠点に対処する解決策または救済策を見出すことができる。実例として、遅い結晶化反応速度論、高度での加工中に加水分解をもたらす吸湿性、脆性破壊挙動、加工中の酸化。その上、PETは、熱処理の間にさらに結晶化することができ(いわゆる冷結晶化)、結晶化の後は極めて脆い。PETは、80℃でゴム状になるため、多くの用途において、PETの使用が実現不可能となる。そのため、高温に耐え、寸法安定性を維持する必要があるパッケージング産業における用途のためにPETを使用することができるようにするために、PET構造を、250℃まで安定したPET結晶に再強化することができ、その結果、これは、パッケージが80℃を超えてもその幾何的形状および全体性を維持することができる;ゆえにパッケージは、高度に結晶性であるべきである。したがって、核剤、結晶成長プロモーターを添加すること、ならびに冷却速度を調整することによって、結晶を誘導し、必要な結晶化度を正確に制御して、最終製品における特定の標的にされた特性を発現させることにより、結晶化反応速度を制御することは有益である。
【0004】
産業廃棄物および消費者使用後ポリエステル、PETプロセス粉砕再生物、およびリサイクルされたPETボトルフレークなどの、リサイクルされた供給源からのPET(rPET)は、持続可能なプロセスをもたらすPET樹脂のリサイクル能力に起因して、多くの注目を集めている。例えば、回収された消費者使用後PETボトルは、まず再生(reclaiming)プロセスにかけられ、ここで非PETボトルから、および色別に、分離され、分別される。その後、典型的に6~14mmの平均フレークサイズの小片に粉砕される。ラベル、ラベル接着剤、蓋、ベースカップ、いくつかの外来プラスチック層、およびコーティング、ならびに汚れおよび残余内容物を、次いでボトル材料から取り除き、および洗浄し、ボトルフレークと呼ばれる、製品をもたらす。
【0005】
しかしながら、rPETの加工の難しさおよび加工前ステップの数は、コストの高いプロセスをもたらし得る。従来のバージンPET樹脂およびrPETは、高粘度および溶融強度が決定的なパラメータである物理的な発泡剤との押出発泡のために十分に適したレオロジー特性を有していない。非改変PETにおける、内在する高い加工温度での低い溶融強度は、発泡プロセスにおいて、かなりな量のセル破裂および癒合を引き起し得る。他方、PETの主な不利な点の1つは、吸湿性であり、その結果、高温での押出プロセス中に加水分解が起こり、PETの固有粘度(I.V.)が著しく低下する。これは、低I.V.のPETの加工、具体的に言うと発泡のための加工をさらにいっそう複雑にする。
【0006】
そのため、大抵、押出ブロー成形および発泡などの用途のために、PET樹脂は、二機能的または多機能的試薬、例として、増粘剤を添加する反応押出、または固体状態重縮合のいずれか(これらは両方、改善されたレオロジー特性および溶融強度をもたらすことができる)を介して、鎖延長および分岐反応によって改変される。
【0007】
それにもかかわらず、実用上、反応性押出からの化合物の適用には限界があり、これは、重度の副反応の量の多さ、または、有害な副生成物の形成のためである。反応性鎖カップリングプロセスの間にPETの分子量が増加すると、せん断による発熱が飛躍的に増加する。その上、反応押出の間の過度の量の鎖増量剤は、好ましくない分子の分岐、さらには架橋をももたらし、これは、結晶の形成および成長を著しく阻害し、製品の特性および性能の低下をもたらす可能性がある。標準的な溶融状態重合は、例として、約Mn=およそ15000~およそ25000の数平均の範囲にある分子量の改変されたPET化合物を生産することができるが、しかし、射出成形、ブロー成形、および発泡などの適用のためには、より高い分子量、例として、約Mn=およそ30000よりも高い数平均が好ましく、およびいくつかのケースにおいては必要であり、これは固体状態重合を利用して実現可能である。
【0008】
従来、晶析装置および重合反応器を用いて高温および高真空で長期間行う、固相化プロセスは、極めて高い資本コストおよび高い製造コストを要し、時間およびエネルギーを極めて要するバッチプロセスであるという特徴がある。最初に、溶融相において、および次いでアモルファスペレットをペレット化および造粒した後、約Mn=およそ16000~およそ19000の数平均、すなわち、約0.58~0.68の固有粘度が達成される。次いで、固体状態重縮合の最初のステップにおいて、溶融-重合したペレットまたはチップの結晶化度の度合いは、晶析装置内で約40%まで増大する。第2ステップにおいて、結晶化したチップまたはペレットは、重合反応器内で、真空または不活性ガス条件下約180℃~240℃の高温で体状態重縮合を経、これは、約12時間の滞留時間を必要とする。このプロセスにおいて、約Mn=およそ27000~およそ38000の数平均値、すなわち、ASTM D4603-18によって測定して、約0.9~1.2のI.V.を達成することができる。典型的には、固体状態重縮合プロセスにおいて、固有粘度が0.1dL/g上昇する毎に、約10時間が必要である。様々なタイプの添加剤が、常在時間を短縮するための促進剤として開発されてきたが、未だ、常在時間を50%よりも大きく短縮すること、例えば、I.V.が0.1dL/g上昇する毎に約5時間未満とすることは、実用化および工業化されていない。
【0009】
その全体が本明細書に組み込まれる、彼らの特許US5422381において、Al Ghatta等は、ピロメリット酸二無水物を使用した固体重縮合により、0.8dl/gを超えるI.V.を有するPET樹脂のI.V.を改質した後の、低密度セルラーポリエステルを製造するプロセスを開示した。
【0010】
その全体が本明細書に組み込まれる、特許US5391582は、高分岐PETおよびリサイクルされたPETのブレンドを使用し、溶融流に鎖増量剤または架橋剤を組み込んでPET泡を製造するプロセスを開示している。
【0011】
したがって、リサイクルされた供給源、例として、PETボトルフレーク、からのPET(rPET)を100%まで含む多層泡シートを作製するプロセスであって、rPETフレークは、例えば、粘度向上剤、増粘剤、架橋剤、鎖分岐剤、鎖延長剤などを含有させることにより、I.V.を高めるために固体状態重縮合または溶融反応押出のいずれかによって、あらゆるポリマー構造を改質する必要なく、加工機器に直接供給することができる、プロセスを採り入れることが有益である。これは、高価な機器、例として、固体状態反応器を利用する必要をなくし、非常に高い資本コストおよび高い生産コスト、時間およびエネルギーを要するバッチプロセスを避けることをもたらし得る。
【発明の概要】
【0012】
概要
パッケージング用途に使用できる、低I.V.ポリエステルフィードストックを使用して多層泡シートを作製する方法が、本明細書に記載される。シートは、滑らかな表面を有することができ、その結果、秀でた印刷品質および現在包装業界で使用されている種類の紙ボードを置き換えるのに十分高い曲げ剛性をもたらす。
【0013】
一側面において、多層泡シートを作製する方法が提供される。方法は、少なくとも2つの単軸スクリュー押出機を含む共押出システムを提供することを含む。方法は、リサイクルされた供給源からのポリエステルフレークを含む低I.V.ポリエステルフィードストックを押出機の1つに供給することをさらに含み、ここで、フィードストックにおける100%までのポリエステルはリサイクルされた供給源からのポリエステルフレークを含む。前記の低I.V.ポリエステルフィードストックは、ASTM D4603-18によって測定して0.8dL/gより低い固有粘度(I.V.)を有する。方法は、押出機の少なくとも1つにおいて、溶融したポリエステルフィードストックに超臨界物理発泡剤を導入することも含む。方法は、融解温度より15%低温~融解温度より15%高温の範囲内にある加工温度においてポリエステルフィードストックを加工すること;および共押出システムの押出機からフラットシートダイを介してポリエステルフィードストックを共押出して、多層泡シートを作ることさらに含み、ここで、少なくとも1つの層は、低I.V.ポリエステルを含む泡層である。
【0014】
別の側面において、共押出した軽量多層泡シートが提供される。シートは、少なくとも10%のセルがクローズドセルである、複数のセルを包含するrPETを含む少なくとも1つの泡層、および2つ以上の固体層を含み、各固体層はPETを含む。シートは、5 mils以上の全体厚さを有する。シートは、TAPPI/ANSI T 489 om-15に従うTaber剛性ユニット立体配置において20を超える曲げ剛性値、および単位面積当たりの質量(メートル-平方(gr/m2)当たりの、グラムでのシートの単位面積の質量)のTaberユニット立体配置における剛性値に対する比率が20以下の比率を有する。
【0015】
別の側面において、共押出した軽量多層泡シートが提供される。シートは、少なくとも10%のセルがクローズドセルである、複数のセルを包含するrPETを含む少なくとも1つの泡層、およびPETを含む2つ以上の固体層を含む。シートは、5 mils以上の全体厚さを有する。シートは、TAPPI T 538に従って、100未満の平均Sheffield平滑度を有する。
【0016】
他の側面、態様、利点、および特色が、以下の詳細な記載から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な記載
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数刑の指示対象を含む。
【0018】
本明細書に開示のすべての範囲は、記述された端点を包含し、独立に組み合わせ可能である(例えば、発泡層の伸長比率の1~9の範囲は、端点、1および9、ならびに全ての中間値を包含する。同じ文脈で、例えば、約0.55dL/gを超えるI.V.は、端点、0.55dL/gを包含する)。
【0019】
本明細書に使用されるとき、近似的な言葉は、それが関連する基本的な機能に変化をもたらすことなく変化する可能性のあるあらゆる定量的表現を修正するために適用することができる。したがって、「約」および「実質的に」などの用語(単数または複数)によって修飾された値は、特定された正確な値に限定されない場合がある。修飾語「約」は、2つの端点の絶対値によって定義される範囲を開示するものと考えるべきである。
【0020】
本明細書に使用されるとき、用語「軽量」は、本明細書に記載される製品のかさ密度値が、関連するベースバージン樹脂から製造される固体対応物の密度、または関連するベースバージン樹脂の密度よりも小さいか、または等しいことを指す。例えば、いくつかの態様において、本発明の製品の嵩密度値は1.05gr/cmとすることができ、これは関連するベースバージン樹脂の密度値1.38gr/cmよりも小さく、または関連するベースバージン樹脂から製造された固体対応物の嵩密度値1.38gr/cmよりも小さい。
【0021】
本明細書に使用されるとき、用語「低I.V.ポリエステル」は、ASTM D4603-18によって測定したポリエステルの固有粘度が0.8dL/gよりも低いことを指す。いくつかの態様において、低I.V.ポリエステルは、ASTM D4603-18で測定して0.7dL/g未満であるポリエステルの固有粘度を有する。いくつかの実施形態において、低I.V.ポリエステルは、ASTM D4603-18で測定して0.6dL/g未満であるポリエステルの固有粘度を有する。
【0022】
本明細書に使用されるとき、用語「融解温度」は、ASTM D3418に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定されるポリマーのピーク融解温度を指す。
【0023】
本明細書に使用されるとき、用語「加工温度」は、押出ダイの入口で測定された溶融物の温度を指す。いくつかの態様において、該温度は、押出機の出口または押出機の最後の加熱ゾーンで測定してもよい。
【0024】
前述したように、低I.V.ポリエステル(すなわち、ASTM D4603-18で測定した0.8dL/gより低いI.V.)を、従来の加工温度で加工すると、押出発泡用途に十分な高い溶融強度をもたらすレオロジー特性をほとんど有さない。押出におけるPETの従来の加工温度は、押出機の異なるゾーンの温度の組み合わせであり、一般に、PETの融解温度をはるかに上回り、典型的にはほとんどの場合、約250℃である。PETの加工温度は、押出ダイの入口で測定される溶融物の温度を指し、典型的に前記の融解温度をはるかに上回る。PETの発砲押出加工において、低溶融強度を有すると、発泡の間に、相当量のセル癒合およびセル壁破断が生じ、これは、発泡が起こるときのセル構造の崩壊をもたらす。従来の解決策の一つは、ポリエステルの分子構造を変化させて溶融強度を高めることである。そのため、ポリエステルフィードストックは、前述のいずれかのI.V.増加法、例えば、鎖延長、鎖分岐、架橋を誘導する添加剤で固体状態重縮合または反応性溶融押出を受けることができる。
【0025】
他方、ポリエステル樹脂を包含する熱可塑性プラスチック、例として、PETのレオロジー特性は、加工温度および圧力に大きく依存する;ゆえに、樹脂は、温度が下がるにつれて、また圧力が上がるにつれて、明らかに高い溶融強度を示す。その従来の加工温度よりもはるかに低い温度、例として、いくつかのケースにおいてPETの融解温度よりも低い温度でのPETの加工は、しかしながら、工業的にはまだ実現可能ではない。
【0026】
ここで、低I.V.ポリエステルフィードストック、例として、ボトルグレードPETのそれ以下のI.V.を使用する多層泡シートを作製する方法が開示され、ここで、該フィードストックは、分子の構造操作、例として、固体状態重縮合または反応性溶融押出を介する、I.V.を増加させるための前加工ステップを経なくてもよい。該方法は、ポリエステルの従来の加工温度よりも有意に低い、いくつかのケースにおいて、PETの融解温度よりも低い温度での該フィードストックの加工を含み、これにより、セルの構造の形成のために、十分に高い溶融強度を維持することができる。いくつかの態様において、加工温度は、融解温度より15%低温~15%高温の範囲内にあってよい。いくつかの態様において、加工温度は、融解温度より10%低温~融解温度より10%高温の範囲内にあってよい。いくつかの態様において、加工温度は、融解温度より5%低温~融解温度より5%高温の範囲内にあってよい。いくつかの態様において、加工温度は、ピーク融解温度である。また、いくつかの態様において、該方法は、加工機器内、例として単軸スクリュー押出機内に圧力を蓄積させることを含む。該記載された加工方法は、適切な量の超臨界物理発泡剤、例として、窒素または二酸化炭素または2つの混合物をシステムへ含めることを含む。
【0027】
本開示は、低I.V.ポリエステルフィードストックを含む、多層PET泡シートを作成する方法に関する。いくつかの態様において、フィードストックは、50%超の、リサイクルされたPET供給源、産業廃棄物後、プロセス粉砕再生物、および消費者使用後粉砕再生物、例として、消費者使用後PETボトルフレークから製造したリサイクルされたフレークを含む。いくつかの態様において、フィードストックは、75%超の、リサイクルされたPET供給源から製造したリサイクルされたフレークを含む。いくつかの態様において、フィードストックは、90%超(例として、100%まで)のリサイクルされたPET供給源から製造したリサイクルされたフレークを含む。いくつかの態様において、ポリエステルフィードストックは、約0.55dL/gを超えるI.V.を有してもよい。いくつかの態様において、ポリエステルフィードストックは、約0.65dL/gを超えるI.V.を有してもよい。いくつかの態様において、ポリエステルフィードストックは、約0.75dL/gを超えるI.V.を有してもよい。いくつかの好ましい態様において、ポリエステルフィードストックは、約0.6~0.8dL/gを超えるI.V.を有してもよい。
【0028】
いくつかの態様において、多層PET泡シートを製造する方法は、晶析装置において該低固有粘度フィードストックを結晶化することを含む。結晶化は、該フィードストックが乾燥プロセスを受ける際の凝集を防ぐことができ、ここで、該フィードストックの水分含量を、例として、50ppm未満まで、例として、乾燥ホッパーにおいて4~6時間後に、325~350°Fで、有意に低減することができる。
【0029】
いくつかの態様において、多層PET泡シートを製造する方法は、該低固有粘度フィードストックをペレット化することを含む。
【0030】
多層PET泡シートを製造する該方法において使用してもよい、出発処方物は、該フィードストックの100%まで、例として、結晶化および乾燥された、リサイクルされたPETフレークを含み、これは、加工機、例として、押出機のホッパーに直接供給してもよい。
【0031】
いくつかの態様において、多層PET泡シートを製造する方法は、多層共押出システムおよびダイ、例として、フラットシートダイを介する、該フィードストックから製造した複数の固体および泡層の共押出を含む。該フィードストックから多層PET泡シートを製造するための該共押出加工システムは、多層シートダイ、いくつかのケースにおいて、マルチマニホールドシートダイ、いくつかのケースにおいて、共押出ブロック/コンバイニングブロックを有するシートダイに接続した複数の単軸スクリュー押出機を含む。いくつかの好ましい態様において、該共押出加工システムにおける各押出機は、スクリーンチェンジャーを包含してもよい。いくつかの態様において、ギアポンプが含まれてもよい。
【0032】
いくつかの態様において、該単軸スクリュー押出機は、押出機のバレルの延長として、キャビティトランスファーミキサー、例として、MuCell Extrusion LLCからのMuCell Transfer Mixer (MTM)を含み、ここで、該キャビティトランスファーミキサーの温度は、±1℃以内に正確に制御され得る。
【0033】
いくつかの態様において、該共押出加工システムは、押出機のバレルの延長として、キャビティトランスファーミキサー、例として、MuCell Extrusion LLCからのMuCell Transfer Mixer (MTM)、を有する単軸スクリュー押出機を含み、ここで、該キャビティトランスファーミキサーは、例として、窒素または二酸化炭素などの物理的発泡剤を導入するためのインジェクターを含み、ここで、該キャビティトランスファーミキサーの温度は、±1℃以内に正確に制御され得る。
【0034】
いくつかの態様において、該共押出加工システムは、説明したシートダイおよび2つの単軸スクリュー押出機からなり、ここで、押出機の少なくとも1つは、押出機のバレルの延長として、キャビティトランスファーミキサー、例として、MuCell Extrusion LLCからのMuCell Transfer Mixer (MTM)を包含し、ここで、該キャビティトランスファーミキサーは例として、窒素、二酸化炭素、または2つの混合物などの物理的な発泡剤を導入するための、インジェクターを含み、ここで、該キャビティトランスファーミキサーの温度は、±1℃以内に正確に制御され得る。
【0035】
いくつかの態様において、該共押出加工システムは、説明したシートダイおよび3つの単軸スクリュー押出機からなり、ここで、押出機の少なくとも1つは、押出機のバレルの延長として、キャビティトランスファーミキサー、例として、MuCell Extrusion LLCからのMuCell Transfer Mixer (MTM) を包含し、ここで、該キャビティトランスファーミキサーは、該キャビティトランスファーミキサーは例として、窒素、二酸化炭素、または2つの混合物などの物理的な発泡剤を導入するための、インジェクターを含み、ここで、該キャビティトランスファーミキサーの温度は、±1℃以内に正確に制御され得る。
【0036】
該共押出加工システムにおける押出機の他の立体配置も実行可能であることを理解されたい。
【0037】
いくつかのケースにおいて、泡コア層(例として、rPETを含む)および泡層の夫々の反対側にある2つの固体層(例として、PETを含む)を含む平坦な3層PET泡シートを製造することができ、シートは、5 milsよりも大きい厚さを有する。
【0038】
いくつかのケースにおいて、泡コア層(例として、rPETを含む)およびコア層の夫々の反対側にある2つの固体層(例として、rPETを含む)、およびコア層の1側面に1つの固体層(例として、PETを含む)を含む平坦な4層PET泡シートを製造することができる。
【0039】
いくつかのケースにおいて、泡コア層(例として、rPETを含む)およびコア層の夫々の反対側にある少なくとも2つの固体層(例として、rPETを含む)、およびそれぞれが泡層および固体スキン層の間にある少なくとも1つの固体層(例として、rPETを含む)。いくつかのケースにおいて、固体コア層(例として、rPETを含む)およびコア層の夫々の反対側にある少なくとも2つの固体層(例として、rPETを含む)、およびそれぞれがコア層および固体スキン層の間にある少なくとも2の泡層(例として、rPETを含む)を含む平坦な5層PET泡シートを製造することができ、およびシート5milsよりも大きい厚さを有する。
【0040】
他の層立体配置も実行可能であることを理解されたい。
【0041】
いくつかの態様において、固体層の1つ以上において使用される樹脂のI.V.は、泡層において使用される樹脂のI.V.よりも少なくとも0.1dL/g高い。いくつかの態様において、固体層の1つ以上において使用される樹脂のI.V.は、泡層において使用される樹脂のI.V.よりも少なくとも0.15dL/g高い。いくつかの態様において、固体層の1つ以上において使用される樹脂のI.V.は、泡層において使用される樹脂のI.V.よりも少なくとも0.2dL/g高い。いくつかの態様において、固体層の1つ以上において使用される樹脂のI.V.は、泡層において使用される樹脂のI.V.よりも少なくとも0.25dL/g高い。いくつかの態様において、固体層の1つ以上において使用される樹脂のI.V.は、泡層において使用される樹脂のI.V.よりも少なくとも0.3dL/g高い。いくつかの態様において、固体層の1つ以上において使用される樹脂のI.V.は、泡層において使用される樹脂のI.V.少なくとも0.35dL/g高い。
【0042】
いくつかの態様において、最外層の固体層の少なくとも1つは、バージンPET樹脂を含み、ここで、該樹脂のI.V.は、泡層において使用されるrPET樹脂のI.V.よりも少なくとも0.1dL/g高い;泡層において使用されるrPET樹脂のI.V.よりも、いくつかのケースにおいて、0.15dL/g高い;いくつかのケースにおいて、0.2dL/g高い;いくつかのケースにおいて、0.25dL/g高い;いくつかのケースにおいて、0.3dL/g高い;いくつかのケースにおいて、0.35dL/g高い;いくつかのケースにおいて、0.4dL/g高い;いくつかのケースにおいて、0.45dL/g高い;およびいくつかのケースにおいて、0.5dL/g高い。
【0043】
超臨界ガスが導入され得る該トランスファーミキサー、例として、MuCell Extrusion LLCからのMuCell Transfer Mixer (MTM)、の温度を、PETの従来の加工温度よりもかなり低い温度に、例として、いくつかのケースにおいて、PETの融解温度よりも低くかつ結晶化温度よりも高い温度に、およびいくつかのケースにおいて、融解温度より15%低温~融解温度より15%高温の範囲内に、維持することを含む。いくつかの態様において、多層泡シートを製造する方法において、キャビティトランスファーミキサー、例としてMuCell Extrusion LLCからのMuCell Transfer Mixer (MTM)内の圧力は、例として、200barより大きく、いくつかのケースにおいて、240barより大きく、いくつかのケースにおいて、300barより大きく上昇し、低い加工温度と組み合わさった高い圧力は、発泡のために適切な量の溶融強度を維持することに貢献する。
【0044】
一般に、PETの分解から生じる、わずかな濃度の副産物、例として、アセトアルデヒド(A.A.)は、食品パッケージング用途において、食品がパッケージに直接接する場合、食品の味に影響し得、PETのリサイクルされたボトルフレークは、バージンPETと比較して、高い量の許容可能なA.A.を有し得る。そこで、いくつかの態様において、多層PET泡シートを製造する方法は、バージン食品グレードPETフィードストック、例として、FDA-承認PET樹脂からの固体スキン層の共押出を含み、ここで、該固体スキンは、2ミクロンより大きな厚さを有する。いくつかの態様において、多層PET泡シートを製造する方法は、両方の固体スキン層を除く中間層の少なくとも1つにおいて、リサイクルされたPET供給源から製造したリサイクルされたPETフレークを100%まで使用することを含む。いくつかの態様において、多層PET泡シートを製造する方法は、泡層の少なくとも1つにおいて、リサイクルされたPET供給源から製造したリサイクルされたPETフレークを100%まで使用することを含む。
【0045】
いくつかの態様において、説明した多層PET泡シートを製造するためのプロセスは、適切な量の超臨界ガス、例えば1重量パーセント未満、を加工助剤および発泡剤として利用してもよい。いくつかの態様において、説明した多層PET泡シートを製造するためのプロセスは、0.9重量パーセント未満の超臨界発泡剤の利用を含む。いくつかの態様において、説明した多層PET泡シートを製造するためのプロセスは、0.8重量パーセント未満の超臨界発泡剤の利用を含む。いくつかの態様において、説明した多層PET泡シートを製造するためのプロセスは、0.7重量パーセント未満の超臨界発泡剤の利用を含む。いくつかの態様において、説明した多層PET泡シートを製造するためのプロセスは、0.6重量パーセント未満の超臨界発泡剤の利用を含む。いくつかの態様において、説明した多層PET泡シートを製造するためのプロセスは、0.5重量パーセント未満の超臨界発泡剤の利用を含む。いくつかの態様において、説明した多層PET泡シートを製造するためのプロセスは、0.4重量パーセント未満の超臨界発泡剤の利用を含む。いくつかの態様において、説明した多層PET泡シートを製造するためのプロセスは、0.3重量パーセント未満の超臨界発泡剤の利用を含む。いくつかの態様において、説明した多層PET泡シートを製造するためのプロセスは、0.2重量パーセント未満の超臨界発泡剤の利用を含む。いくつかの態様において、説明した多層PET泡シートを製造するためのプロセスは、0.1重量パーセント未満の超臨界発泡剤の利用を含む。いくつかの態様において、発泡剤のタイプに基づいて、他のガス濃度、例として、0.5重量パーセント超、も実行可能である。かかる超臨界ガスは、該キャビティトランスファーミキサー内の溶融ポリマー中に高圧、例えば34bar超で導入することができる。当該プロセスにおいて使用される超臨界ガスは、窒素、二酸化炭素のいずれか、または窒素および二酸化炭素の混合物であってよい。いくつかの態様において、超臨界発泡剤は、押出機の混合セクション内に、または該キャビティトランスファーミキサー内に、34bar以上の注入圧力で導入することができ;いくつかのケースにおいて、70bar以上;いくつかのケースにおいて、240bar以上、および、いくつかのケースにおいて、380bar以上の注入圧力で導入することができる。ミキサーの温度は、±1℃以内に正確に制御される。ごく少量の前記超臨界ガスを含有させることにより、加工および、例えば泡シート押出プロセスにおいて、いくつかの不可欠な利点を提供することができる。例えば、ガスは背圧を低下させ、より高いスループットでの加工を可能にし、発泡加工におけるいくつかの不安定性、例えば、溶融破壊を遅延させることができ、またはコルゲーションを減少させることができる。また、該超臨界ガスは、該物理発泡剤が溶融PETを可塑化し、レオロジー特性を操作することができるため、PETの従来の加工温度と比較してはるかに低い温度で、例として、いくつかのケースにおいて、PETの融解温度より低くかつPETの結晶化温度より高い温度で、およびいくつかのケースにおいて、融解温度より15%低温~融解温度より15%高温の範囲内の温度で、PETの加工能力を高めることができる。
【0046】
いくつかの態様において、物理的な発泡剤の添加は、溶融物の粘度操作による溶融破壊の発生を抑制することができ、その結果、高い表面平滑度、例として、TAPPI T 538による平均Sheffield平滑度が100未満になることがある。ゆえに、シート上の印刷品質が有意に改善され得る。
【0047】
いくつかの態様において、該物理的な発泡剤は、窒素、二酸化炭素、または窒素および二酸化炭素の混合物を含む。他のタイプの物理的な発泡剤の使用が実行可能であることが理解されたい。
【0048】
いくつかの態様において、多層PET泡シートを製造するプロセスは、多層PET泡シートを形成するための押出ダイの使用を含む。いくつかの態様において、ダイは、マルチマニホールドシートダイであってよく、ここで、ダイ幾何学的形状および仕様は、例えば、特許出願米国2012/0228793 A1に従って製造され、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの態様において、ダイは、共-exブロックを有するフラットシートダイであってよく、ここで、ダイ幾何学的形状および仕様は、例えば、特許出願米国2012/0228793 A1に従って製造され、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの態様において、多層PET泡シートは、5milsよりも大きな厚さを有する平坦なシートとして製造してよい。いくつかの態様において、多層PET泡シートは、8 milsよりも大きな厚さを有する平坦なシートとして製造してよい。いくつかの態様において、多層PET泡シートは、10milsよりも大きな厚さを有する平坦なシートとして製造してよい。
【0049】
いくつかの態様において多層PET泡シートを製造する方法は、顔料、スリップ剤、帯電防止剤、U.V.安定剤、衝撃改良剤、抗酸化剤、および核剤などの他の添加剤を、該共押出システムにおける押出機の少なくとも1つに適切な量で含有させることを含む。
【0050】
いくつかの態様において、本明細書に記載の多層PET泡シートを製造する方法は、いくつかの適切な量の無機添加剤、有機添加剤、または無機および有機添加剤の混合物を、核剤として含めることを含み、0.05~15重量パーセントの濃度での、いくつかのケースにおいて、0.1~12.5重量パーセントの濃度、いくつかのケースにおいて、0.25~12.5重量パーセントの濃度、いくつかのケースにおいて、0.5~10重量パーセントの濃度、いくつかのケースにおいて、1~10の重量パーセントの濃度、いくつかのケースにおいて、1~7.5重量パーセントの濃度、いくつかのケースにおいて2.5~7.5重量パーセントの濃度で、任意に、該共押出システムにおける押出機の少なくとも1つに、例えば、約15重量%までのタルクを核剤として含む。いくつかのケースにおいて、約35wt%までの該添加剤、例として、炭酸カルシウムを、少なくとも1つの該押出機に含めてもよい。
【0051】
いくつかの態様において、多層PET泡シートを製造する方法は、シートの知覚される表面白色度を高めることを含み、これは、特許出願US17/064,976に従って説明される方法によって実現することができ、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0052】
いくつかの態様において、開示された多層発泡シート製品の曲げ剛性および層立体配置は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる特許出願US20200361184A1に従って、いくつかのケースにおいて、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる特許出願US20200361185A1、に説明される方法および製品によって最適化することができる。
【0053】
本明細書において、いくつかの態様において、パッケージング産業において、例として、パッケージング産業において使用されている紙ボードを置き換え、いくつかのケースにおいて、直接的なおよび非直接液な食品接触パッケージング用途に幅広く使用される、3層以上、例として、4層を含む、リサイクル可能な軽量多層泡シートが開示される。シートは、リサイクルされたPET供給源、産業廃棄物後、プロセス粉砕再生物、および消費者使用後粉砕再生物から製造されたリサイクルされたフレーク、例として、消費者使用後PETボトルフレークを含み、ここで、固体スキン層を除く少なくとも1つの層は、セルの構造を有する。いくつかの態様において、少なくとも10%のセルは、クローズドセルである;いくつかの態様において、50%超のセルは、クローズドセルである;および、いくつかの態様において、75%超のセルは、クローズドセルである。本明細書に使用されるとき、「クローズドセル」は、セルを完全に取り囲むセル壁を有し、隣接するセルとの相互接続性がないような開口部を有さないセルを指す。クローズドセルのパーセンテージは、ASTM D6226-15に従って測定することができる。
【0054】
いくつかの態様において、多層シートの単位面積毎のバージンPETの質量濃度は、シートの単位面積の質量の15パーセント未満である。いくつかの態様において、多層シートの単位面積毎のバージンPETの質量濃度は、シートの単位面積の質量の10パーセント未満である。いくつかの態様において、多層シートの単位面積毎のバージンPETの質量濃度は、シートの単位面積の質量の5パーセント未満である。
【0055】
いくつかの態様において、本明細書に記載の多層発泡シート製品は、単位面積当たりの質量(メートル平方当たりのグラム)が同じ値の固体対応物と比較して、有意に高い水分バリア性を示すことができる。また、いくつかの態様において、本明細書に記載の多層発泡シート製品は、単位面積当たりの質量(メートル平方当たりのグラム)が同じ値の固体対応物と比較して、有意に高い酸素バリア特性を示すことができる。かかる高い水分および酸素バリア特性は、約0.9以上の高いI.V.を有するバージンPETグレードの結晶化動力学と比較して、低いI.V.を有する前記PET原料のより速い結晶化動力学に起因する、より高い結晶化度のために達成され得る。
【0056】
いくつかの態様において、多層泡シートは、5層;いくつかの態様において、4層;および、いくつかの態様において、3層を含む。例えば、5層シートは、泡コア層(例として、rPETを含む)およびコア層の夫々の反対側にある少なくとも2つの固体層(例として、rPETを含む)、およびそれぞれが泡層および固体スキン層の間にある少なくとも1つの固体層(例として、rPETを含む)を含んでもよい。一態様において、5層シートは、固体コア層(例として、rPETを含む)およびコア層の夫々の反対側にある少なくとも2つの固体層(例として、rPETを含む)、およびそれぞれがコア層および固体スキン層の間にある少なくとも2の泡層(例として、rPETを含む)を含んでもよい。
【0057】
いくつかのケースにおいて、4層シートは、泡コア層(例として、rPETを含む)およびコア層の夫々の反対側にある2つの固体層(例として、rPETを含む)、およびコア層の1側面にある1つの固体層(例として、PETを含む)を含んでもよい。
【0058】
いくつかのケースにおいて、3層泡シートは、コア層の夫々の反対側にある2つの固体スキン層(例として、PETを含む)の真ん中に、泡コア層(例として、rPETを含む)を含む。
【0059】
別の態様において、多層泡シートは、を含む少なくとも1つの泡層(例として、rPETを含む)、および少なくとも2の固体層(例として、PETを含む)、および少なくとも1つの固体層(例として、EVOHを含む)。いくつかの他の態様において、本明細書に記載の多層泡シートは、少なくとも1つのEVOHを含む固体層を含む。
【0060】
他の層立体配置も実行可能であることを理解されたい。
【0061】
いくつかの態様において、固体層の1つ以上における樹脂のI.V.は、泡層における樹脂のI.V.よりも少なくとも0.1dL/g高い。いくつかの態様において、固体層の1つ以上における樹脂のI.V.は、泡層における樹脂のI.V.よりも少なくとも0.15dL/g高い。いくつかの態様において、固体層の1つ以上における樹脂のI.V.は、泡層における樹脂のI.V.よりも少なくとも0.2dL/g高い。いくつかの態様において、固体層の1つ以上における樹脂のI.V.は、泡層における樹脂のI.V.よりも少なくとも0.25dL/g高い。いくつかの態様において、固体層の1つ以上における樹脂のI.V.は、泡層における樹脂のI.V.よりも少なくとも0.3dL/g高い。いくつかの態様において、固体層の1つ以上における樹脂のI.V.は、泡層における樹脂のI.V.よりも少なくとも0.35dL/g高い。
【0062】
いくつかの態様において、最外層の固体層の少なくとも1つは、バージンPET樹脂を含み、ここで、該樹脂のI.V.は、泡層において使用される樹脂のI.V.よりも少なくとも0.1dL/g高い;いくつかのケースにおいて、0.15dL/g高い;いくつかのケースにおいて、0.2dL/g高い;いくつかのケースにおいて、0.25dL/g高い;いくつかのケースにおいて、0.3dL/g高い;いくつかのケースにおいて、0.35dL/g高い;いくつかのケースにおいて、0.4dL/g高い;いくつかのケースにおいて、0.45dL/g高い;およびいくつかのケースにおいて、泡層において使用される樹脂のI.V.よりも0.5dL/g高い。
【0063】
いくつかの態様において、各層のポリマー組成物は、いくつかの適切な量の他の添加剤、これらに限定されないが、顔料、スリップ剤、帯電防止剤、U.V.安定剤、抗酸化剤、衝撃改良剤または核剤などを含む。泡層は、任意に、0.05~15の重量パーセントの無機添加剤、有機添加剤または無機および有機添加剤の混合物を核剤として含有してもよい。例えば、泡層は、約15重量%までのタルクを核剤として含有してもよい。いくつかのケースにおいて、シートの少なくとも1つの層は、約35wt%までの炭酸カルシウムを含有してもよく;いくつかのケースにおいて、約30wt%まで、いくつかのケースにおいて、約25wt%まで;いくつかのケースにおいて、約20wt%まで;いくつかのケースにおいて、約15wt%まで;いくつかのケースにおいて、約10wt%まで;およびいくつかのケースにおいて、約5wt%まで含有してもよい。
【0064】
いくつかのケースにおいて、多層泡シートは、2つの固体スキン層を含み、ここで、スキン層の少なくとも1つは、適切な量の、例えば、1重量パーセント未満の着色顔料を含む。
【0065】
少なくとも1つの泡層を含む説明した多層泡シートは、既知の同様の発泡シート物品と比較して、一連の物理力学的特性、とりわけ、すべてTAPPI/ANSI T 489 om-15に従うTaber剛性ユニット立体配置において、20より高い、いくつかのケースにおいて25より高い、およびいくつかのケースにおいて、50より高い曲げ剛性値を有する。いくつかの態様において、単位面積当たりの質量(シートの単位面積の質量、メートル-平方当たりのグラム(gr/m))の、Taberユニット立体配置における剛性値に対する比率は、25以下;いくつかのケースにおいて、20未満、いくつかのケースにおいて、15未満である。一態様において、シートは、TAPPI/ANSI T 489 om-15に従って、280未満のTaber曲げ剛性値を有することができる。
【0066】
説明した多層泡シートは、TAPPI T 538に従って、100未満の平均Sheffield平滑度の表面を有することができる。いくつかの態様において、シートは、50未満;いくつかのケースにおいて、40未満;いくつかのケースにおいて、30未満;および、いくつかのケースにおいて、15未満の平均Sheffield平滑度を有し得る。
【0067】
いくつかの態様において、開示されたシートの泡層は、既知の同様のシートと比較して、はるかに優れたセル形態を有する。例えば、開示されたシートの泡層は、一様に分布したセルを有することができ、例えば、クローズドセル形態を有し、約10~250μmの平均セルサイズを有する。いくつかの態様において、多層PET泡シートの泡層における平均セルサイズは、200μm未満である。いくつかの態様において、多層PET泡シートの泡層における平均セルサイズは、100μm未満である。
【0068】
いくつかの態様において、多層PET泡シートの泡層における未発泡ポリマー体積に関する平均セル密度は、約10~10セル/cmである。いくつかの態様において、多層PET泡シートの泡層における未発泡ポリマー体積に関する平均セル密度は、約10セル/cm未満である。いくつかの態様において、多層PET泡シートの泡層における未発泡ポリマー体積に関する平均セル密度は、約10セル/cm未満である。
【0069】
いくつかの態様において、多層PET泡シートの泡層の伸長比率は、9未満である。いくつかの態様において、多層PET泡シートの泡層の伸長比率は、8未満である。いくつかの態様において、多層PET泡シートの泡層の伸長比率は、7未満である。いくつかの態様において、多層PET泡シートの泡層の伸長比率は、6未満である。いくつかの態様において、多層PET泡シートの泡層の伸長比率は、5未満である。いくつかの態様において、多層PET泡シートの泡層の伸長比率は、4未満である。いくつかの態様において、多層PET泡シートの泡層の伸長比率は、3未満である。いくつかの態様において、多層PET泡シートの泡層の伸長比率は、2未満である。いくつかの態様において、多層PET泡シートの泡層の伸長比率は、1.1未満である。
【0070】
いくつかのケースにおいて、泡層は、少なくとも10%のクローズドセルを含み、いくつかのケースにおいて、50%超のクローズドセルを含む。一態様において、泡層は、実質的に全面的にクローズドセル形態を有する(例として、95%のクローズドセルを超える)。クローズドセルのパーセンテージは、ASTM D6226-15に従って測定することができる。
【0071】
本開示は、すべての種類の非無菌および無菌パッケージングに;すべての種類の酸素感受性の製品のパッケージング、低温殺菌製品のパッケージング;ビスケット、クッキー、シリアル、茶、コーヒー、糖、小麦粉、ドライフードミックス、チョコレート、砂糖菓子、ペットフードなどの乾燥食品製品のパッケージング;冷蔵の食品およびアイスクリームなどの冷凍食品のパッケージング;調理済および前もって調理した製品および食品のパッケージング;野菜、果実、肉および魚類などの新鮮な製品のパッケージング;ベビーフードなどのパッケージング;すべての種類のデザートのパッケージング;ブロス、スープ、ジュース飲料、乳および乳に由来するすべての種類の製品、濃縮物、あらゆる種類のドレッシング、液卵、トマト製品などの注ぐことが可能な食品および飲料のパッケージング;および濯洗浄剤、シャンプー、およびボディーウォッシュなどのすべての種類の流動性の非食用製品のパッケージング;およびPET食品パッケージング、において使用するために好適である多層軽量PET泡シートに関する。
【国際調査報告】