(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】コロナウイルス由来抗原タンパク質または当該タンパク質をコード化する遺伝子を含む細胞外小胞体およびその用途
(51)【国際特許分類】
A61K 39/385 20060101AFI20240130BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240130BHJP
A61K 39/215 20060101ALI20240130BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20240130BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20240130BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20240130BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240130BHJP
C07K 14/165 20060101ALI20240130BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240130BHJP
C12N 1/15 20060101ALN20240130BHJP
C12N 1/19 20060101ALN20240130BHJP
C12N 1/21 20060101ALN20240130BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
A61K39/385
A61P31/14
A61K39/215
A61K39/39
A61K9/19
A61K47/46
A61K48/00
C07K14/165
A23L33/10
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542895
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 KR2022000736
(87)【国際公開番号】W WO2022154576
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】10-2021-0005318
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523266822
【氏名又は名称】エクソレンス カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】518357128
【氏名又は名称】イファ ユニバーシティ-インダストリー コラボレーション ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】EWHA UNIVERSITY - INDUSTRY COLLABORATION FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】52, Ewhayeodae-gil Seodaemun-gu Seoul 03760, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】クォン ギ ファン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジ ファ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
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4C085GG01
4H045AA10
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4H045AA30
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4H045DA86
4H045EA01
4H045EA20
4H045EA31
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、コロナウイルス由来抗原タンパク質または当該タンパク質をコード化する遺伝子を含む細胞外小胞体およびその用途に関する。本発明では、抗原タンパク質またはmRNAがロードされた活性化した免疫細胞を利用してこれに由来する細胞外小胞体をマウスに投与して免疫化させた結果、優れた抗原特異的な中和抗体の生成およびT細胞反応誘導効果を確認し、凍結乾燥後に常温および冷蔵条件で保存する場合、優れた安定性および抗体生成効果を実験的に確認した。これより、本発明による細胞外小胞体またはこれを含むワクチン組成物は、優れた抗原特異的な免疫反応誘導効果および安定性を有する様々な疾患に適用可能なプラットフォームとして機能し、感染性疾患、特にコロナウイルス感染症を含む様々な疾患の予防または治療用ワクチン開発分野において有用に活用が可能となることが期待される。
【選択図】
図3b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナウイルス(coronavirus)由来抗原タンパク質または当該タンパク質をコード化する遺伝子を含む細胞外小胞体。
【請求項2】
前記コロナウイルスは、SARS-CoV-2(Severe Acute Respiratory Syndrome-Coronavirus-2)である、請求項1に記載の細胞外小胞体。
【請求項3】
前記抗原タンパク質は、コロナウイルス由来スパイクタンパク質(spike protein)の受容体結合ドメイン(Receptor Binding Domain;RBD)タンパク質である、請求項1に記載の細胞外小胞体。
【請求項4】
前記抗原タンパク質または当該タンパク質をコード化する遺伝子は、前記細胞外小胞体内に搭載されたものである、請求項1に記載の細胞外小胞体。
【請求項5】
前記細胞外小胞体は、動物細胞、植物細胞または微生物から成る群から選ばれる1つ以上に由来するものである、請求項1に記載の細胞外小胞体。
【請求項6】
前記動物細胞は、体細胞、生殖細胞、免疫細胞、神経細胞および腫瘍細胞から成る群から選ばれる1つ以上の細胞である、請求項5に記載の細胞外小胞体。
【請求項7】
前記細胞外小胞体は、活性化した免疫細胞由来である、請求項1に記載の細胞外小胞体。
【請求項8】
前記細胞外小胞体は、CD63、CD81およびFlotillin 1から成る群から選ばれる1つ以上を発現するものである、請求項1に記載の細胞外小胞体。
【請求項9】
請求項1に記載の細胞外小胞体を含むコロナウイルス感染症の予防または治療用ワクチン組成物。
【請求項10】
前記ワクチン組成物は、抗原特異的な抗体生成およびT細胞媒介免疫反応を同時に誘導するものである、請求項9に記載のワクチン組成物。
【請求項11】
前記ワクチン組成物は、凍結乾燥したものである、請求項9に記載のワクチン組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の細胞外小胞体を含むコロナウイルス感染症の予防または改善用保健機能食品。
【請求項13】
請求項1に記載の細胞外小胞体をこれを必要とする個体に投与する段階を含むコロナウイルス感染症の予防または治療方法。
【請求項14】
コロナウイルス感染症の予防または治療用薬剤の製造のための請求項1に記載の細胞外小胞体の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナウイルス由来抗原タンパク質または当該タンパク質をコード化する遺伝子を含む細胞外小胞体およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ワクチンとは、ヒトをはじめとする動物に特定の病気あるいは病原体に対する後天性免疫を付与する医薬品であり、主に病気を起こす微生物病原体の抗原認識部位と類似の構造を有するが、病原体とは異なって、病原性がないという差異がある。現在様々な病原体、様々な病気に対する色々な種類のワクチンが開発されているが、まだより効果的かつ安全なワクチンの開発が必要な病気が多数存在する。
【0003】
細胞外小胞体は、二重脂質膜からなる数十nmから数百nmのサイズを有するナノ小胞体であり、タンパク質、脂質および遺伝子など生物学的活性を有する物質で構成されている。このような細胞外小胞体には、代表的に、エキソソーム(exosome)の他に、エクトソーム(ectosome)、微小胞(microvesicle)またはアポトーシス小体(apoptotic body)などがある。従来、このような細胞外小胞体が細胞から分泌される滓と見なされたが、最近では、細胞外小胞体の臨床学的意味が台頭して様々な研究が進行されている。特に、細胞により排出される球状小胞であるエキソソームは、親細胞のタンパク質、DNAなどのような様々な情報を持っていて、これをバイオマーカーとして活用したがん診断マーカーおよびセンサーの開発が活発に進行している。
【0004】
エキソソームは、様々な細胞から分泌される膜構造の小さい小胞(略30~100nmの直径)であり、電子顕微鏡を介した研究で原形質膜から直接脱離するものではなく、多小胞体(multivesicular bodies,MVBs)と呼ばれる細胞内特定区画から始まり、細胞外に放出、分泌されることが観察された。すなわち、多小胞体と原形質膜の融合が起こると、小胞は、細胞外環境に放出されるが、これをエキソソームという。このようなエキソソームは、赤血球細胞だけでなく、Bリンパ球、Tリンパ球、樹状細胞、血小板、マクロファージなどを含む様々な種類の免疫細胞と腫瘍細胞、幹細胞なども生きている状態でエキソソームを生産して分泌することが知られている。
【0005】
哺乳類細胞由来エキソソームは、止血、組織再生、幹細胞維持、炎症/免疫反応調節、胚芽発達などの様々な生理的機能に関与することが知られており、特に免疫細胞に由来するエキソソームは、炎症性サイトカインを伝達したり、直間接的に抗原を提示して免疫反応を促進することもできることが報告されている(Nat Rev Immunol.2009 Aug;9(8):581-93)。このようなエキソソームの特性および生体内機能に基づいて、エキソソームは、腫瘍学、免疫療法および再生医学分野などにおいてナノサイズの物質伝達手段、媒介体およびバイオマーカーなどの用途に研究開発されている。
【0006】
このようにエキソソームをワクチン用途に用いるための研究が行われているが、未だ一部の疾患に限定されており、感染性疾患をはじめとする様々な疾患に適用可能なワクチンプラットフォーム技術に対する研究開発は不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、様々な疾患に汎用的に適用可能な細胞外小胞体ベースのワクチンプラットフォームを開発するために研究努力した結果、細胞外小胞体が強力な免疫刺激剤および抗原運搬体として作用して、抗原特異的な中和抗体の生成および抗原特異的なT細胞反応を誘導することを確認したところ、これによって本発明を完成した。
【0008】
これより、本発明は、コロナウイルス(coronavirus)由来抗原タンパク質または当該タンパク質をコード化する遺伝子を含む細胞外小胞体を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記細胞外小胞体を含むコロナウイルス感染症の予防または治療用ワクチン組成物を提供することを他の目的とする。
【0010】
また、本発明は、前記細胞外小胞体を含むコロナウイルス感染症の予防または改善用保健機能食品を提供することをさらに他の目的とする。
【0011】
また、本発明は、前記細胞外小胞体をこれを必要とする個体に投与する段階を含むコロナウイルス感染症の予防または治療方法を提供することをさらに他の目的とする。
【0012】
また、本発明は、コロナウイルス感染症の予防または治療用薬剤の製造のための前記細胞外小胞体の用途を提供することをさらに他の目的とする。
【0013】
しかしながら、本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は、下記下の記載から当業者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記のような本発明の目的を達成するために、本発明は、コロナウイルス(coronavirus)由来抗原タンパク質または当該タンパク質をコード化する遺伝子を含む細胞外小胞体を提供する。
【0015】
本発明の一具現例において、前記コロナウイルスは、SARS-CoV-2(Severe Acute Respiratory Syndrome-Coronavirus-2)であってもよい。
【0016】
本発明の他の具現例において、前記抗原タンパク質は、コロナウイルス由来スパイクタンパク質(spike protein)の受容体結合ドメイン(Receptor Binding Domain;RBD)タンパク質であってもよい。
【0017】
本発明のさらに他の具現例において、前記抗原タンパク質または当該タンパク質をコード化する遺伝子は、前記細胞外小胞体内に搭載されたものであってもよい。
【0018】
本発明のさらに他の具現例において、前記細胞外小胞体は、動物細胞、植物細胞または微生物から成る群から選ばれる1つ以上に由来するものであってもよい。
【0019】
本発明のさらに他の具現例において、前記動物細胞は、体細胞、生殖細胞、免疫細胞、神経細胞および腫瘍細胞から成る群から選ばれる1つ以上の細胞であってもよい。
【0020】
本発明のさらに他の具現例において、前記細胞外小胞体は、活性化した免疫細胞に由来するものであってもよい。
【0021】
本発明のさらに他の具現例において、前記細胞外小胞体は、CD63、CD81およびFlotillin 1から成る群から選ばれる1つ以上を発現するものであってもよい。
【0022】
また、本発明の一具現例において、前記細胞外小胞体を含むコロナウイルス感染症の予防または治療用ワクチン組成物を提供する。
【0023】
また、本発明の 一具現例において、前記細胞外小胞体を含むコロナウイルス感染症の予防または改善用保健機能食品を提供する。
【0024】
また、本発明の 一具現例において、前記細胞外小胞体をこれを必要とする個体に投与する段階を含むコロナウイルス感染症の予防または治療方法を提供する。
【0025】
また、本発明の 一具現例において、コロナウイルス感染症の予防または治療用薬剤の製造のための前記細胞外小胞体の用途を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、抗原タンパク質またはmRNAがロードされた活性化した免疫細胞を利用してこれに由来する細胞外小胞体をマウスに投与して免疫化させた結果、優れた抗原特異的な中和抗体の生成およびT細胞反応誘導効果を確認し、凍結乾燥後に常温および冷蔵条件で保存する場合、優れた安定性および抗体生成効果を実験的に確認した。これより、本発明による細胞外小胞体またはこれを含むワクチン組成物は、優れた抗原特異的な免疫反応誘導効果および安定性を有する様々な疾患に適用可能なプラットフォームとして機能し、感染性疾患、特にコロナウイルス感染症を含む様々な疾患の予防または治療用ワクチン開発分野に有用に活用が可能とすることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1は、LPSを処理して活性化させたTHP-1細胞がM1マクロファージの表現型を示すことを確認した結果であり、
図1aは、静止THP-1細胞(Resting THP-1)および活性化したTHP-1細胞(Activated THP-1)の形態を示す顕微鏡像であり、
図1bは、前記各THP-1細胞において前炎症性(pro-inflammatory cytokines)マーカーであるIL-1β、IL-6、IL-8、TNF-αおよびiNOSのmRNAレベルを測定した結果である。
図2は、活性化したTHP-1細胞から分離したエキソソームの特性を分析した結果であり、
図2aは、NTA(Nanosight Tracking Analyis)を通じて前記分離したエキソソームの直径を測定した結果であり、
図2bは、前記エキソソームを示す透過電子顕微鏡(TEM)像であり、
図2cは、細胞溶解物(cell lysate)および分離したエキソソーム(exosome)を利用してウェスタンブロットを実施し、エキソソームマーカーであるCD63、CD81およびFlotillin 1タンパク質の発現レベルを測定した結果である。
図3は、本発明によるSARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBDが搭載された活性化したTHP-1細胞由来エキソソーム(COVID 19-ImmunExo)、または補助剤(adjuvant)とRBDタンパク質を共に投与して免疫化させたマウスにおいて抗体の生成を確認した結果であり、
図3aは、前記エキソソームを利用したマウスの免疫化実験方法および分析スケジュールを図表で簡略に示した図であり、
図3bは、マウスに前記エキソソーム(ImmunExo)を異なる濃度で投与したりまたは補助剤(adjuvant)とRBDタンパク質を共に投与(Adj+RBD 5ug)し、7、21、30および50日後に血清を50倍希釈したサンプルを利用してSARS-CoV-2 sVNTテストを実施し、抗体生成効果を分析した結果であり、
図3cは、
図3bと同じ実験群において50日後に分離した血清をそれぞれ10倍または50倍希釈した後、SARS-CoV-2 sVNTテストを実施し、抗体生成効果を分析した結果である。
図4は、RBDタンパク質またはmRNAが搭載された免疫細胞(THP-1細胞またはKG-1細胞)由来エキソソームのSARS-CoV-2のRBDに特異的な血清内抗体の結合程度(antibody binding)を示した図であり、具体的には、(1)
図4aは、
図3cと同一に各実験群マウスにおいて前記異なる濃度のTHP-1細胞由来エキソソーム、または補助剤(adjuvant)とRBDタンパク質を共に投与し、50日後に血清を分離した後、SARS-CoV-2のRBDに特異的な血清内抗体の結合程度(antibody binding)を吸光度を測定して分析した結果であり、2)
図4bは、KG-1細胞由来エキソソーム、または補助剤(adjuvant)とRBDタンパク質を共に投与し、7日後に血清を分離した後、SARS-CoV-2のRBDに特異的な血清内抗体の結合程度(antibody binding)を吸光度を測定して分析した結果であり、3)
図4cは、THP-1細胞由来エキソソーム、または補助剤(adjuvant)とRBD mRNAを共に投与し、7日および14日後に血清を分離した後、SARS-CoV-2のRBDに特異的な血清内抗体の結合程度(antibody binding)を吸光度を測定して分析した結果であり、4)
図4dは、KG-1細胞由来エキソソーム、または補助剤(adjuvant)とRBD mRNAを共に投与し、7日および14日後に血清を分離した後、SARS-CoV-2のRBDに特異的な血清内抗体の結合程度(antibody binding)を吸光度を測定して分析した結果である。
図5は、SARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBDがロードされた活性化したTHP-1細胞由来エキソソーム(ImmunExo)、または補助剤(adjuvant)とRBDタンパク質を共に投与して免疫化させたマウスから脾細胞(splenocyte)を分離し、これに対してIFN-γELISPOT(Enzyme-linked immunospot)アッセイを実施した結果であり、
図5aは、IFN-γELISPOTアッセイを実施した後、斑点の生成の有無を示す結果および斑点数の定量化グラフ結果であり、
図5bは、脾細胞培養液を利用してELISAを実施し、IFN-γタンパク質レベルを測定した結果である。
図6は、本発明によるSARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBDがロードされた活性化したTHP-1細胞由来エキソソームの保存による安定性を確認した結果であり、
図6aは、エキソソームの効果を分析するための実験スケジュールを図表で簡略に示した図であり、
図6bは、凍結乾燥後に4℃で7日間保存したエキソソームをマウスにそれぞれ0.1、0.5、または1ug投与して免疫化させ、投与後7日および21日にそれぞれ血清を得、SARS-CoV-2 sVNTテストを実施し、凍結乾燥して保存しない本来の状態のエキソソーム(fresh)と抗体生成効果を比較して示した結果であり、
図6cは、凍結乾燥後に常温で7日間保存したエキソソームをマウスに1ug投与して免疫化させ、投与後7日および21日にそれぞれ血清を得、SARS-CoV-2 sVNTテストを実施し、凍結乾燥して保存しない本来の状態のエキソソーム(fresh)と抗体生成効果を比較して示した結果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、強力な免疫刺激剤および抗原運搬体として機能する細胞外小胞体を利用して様々な感染性疾患に対する予防または治療用ワクチン開発分野において有用に活用が可能となるワクチンプラットフォーム技術に関する。
【0029】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0030】
本発明は、コロナウイルス(coronavirus)由来抗原タンパク質または当該タンパク質をコード化する遺伝子を含む細胞外小胞体を提供する。
【0031】
本発明において、前記コロナウイルスは、SARS-CoV-2(Severe Acute Respiratory Syndrome-Coronavirus-2)であってもよい。
【0032】
また、本発明において、前記抗原タンパク質は、コロナウイルス由来スパイクタンパク質(spike protein)の受容体結合ドメイン(Receptor Binding Domain;RBD)タンパク質であってもよく、前記抗原タンパク質をコード化する遺伝子は、コロナウイルス由来スパイクタンパク質(spike protein)の受容体結合ドメイン(Receptor Binding Domain;RBD)タンパク質をコード化するヌクレオチドであってもよい。また、前記ヌクレオチドは、DNA、RNAまたはこれらの組み合わせであってもよい。
【0033】
また、本発明において、前記抗原タンパク質または当該タンパク質をコード化する遺伝子は、前記細胞外小胞体内に搭載されたものであってもよい。
【0034】
前記抗原タンパク質または当該タンパク質をコード化する遺伝子を細胞外小胞体に搭載する方法は、具体的に制限されず、当該技術分野において一般的に知られている方法を当業者が適切に選択して利用することができる。
【0035】
本発明において使用される「抗原(antigen)」という用語は、宿主個体内で抗体を生成するための免疫反応を誘導できる分子を意味し、抗原は、抗体のターゲットであり、各抗体は、免疫系の細胞が抗原と接触した後、これに対応するために抗原特異的に生産される。本発明において、前記抗原は、前述したように、免疫反応を誘導できる形態であれば、タンパク質、当該タンパク質をコード化する遺伝子、当該遺伝子のmRNA形態を全て含み、抗原の起源は、具体的に限定されず、非制限的な例として、ウイルス、バクテリアまたは真菌を含む微生物に由来するもの、がん細胞に由来するものを全部含んでもよい。
【0036】
本発明において使用される「細胞外小胞体」という用語は、細胞に由来する膜で囲まれた小さい球体を意味し、このような球体は、その名称が作られる細胞の起源や作られる方法によって非常に多様である。本発明では、細胞で作られる方法によって命名されたエキソソーム(exosome)、エクトソム(ectosome)、微小胞(microvesicle)およびアポトーシス小体(apoptotic body)から成る群から選ばれる1つ以上を含んでもよいし、具体的には、エキソソームであってもよいが、これに制限されない。
【0037】
前記細胞外小胞体は、自然系、例えば、動物、植物および微生物から成る群から選ばれる1つ以上に由来する細胞外小胞体または人工的に製造された細胞外小胞体であってもよい。また、前記細胞は、自然系の生物個体から分離した細胞であってもよい。また、前記細胞は、ヒトおよび非ヒト哺乳類を含む任意類型の動物または植物由来であってもよい。前記動物細胞は、体細胞、生殖細胞、免疫細胞、神経細胞および腫瘍細胞から成る群から選ばれる1つ以上の細胞であってもよい。
【0038】
また、前記細胞外小胞体は、活性化した免疫細胞由来であってもよく、具体的には、活性化したTHP-1細胞またはKG-1細胞由来であってもよい。この際、前記活性化は、リポ多糖類(lipopolysaccharide;LPS)により行われるものであってもよく、前記THP-1細胞が活性化する場合、THP-1細胞は、マクロファージと同様に細胞形態が変化すると同時に、IL-1β、IL-6、IL-8、TNF-αおよびiNOSから成る群から選ばれる1つ以上のタンパク質を発現することができる。
【0039】
本発明では、具体的な実施例において一例として抗原刺激を通じて活性化させた免疫細胞の表現型の変化を分析し、これから分離したエキソソームの特性を観察した。
【0040】
具体的には、本発明の一実施例では、ヒト単核球細胞株であるTHP-1細胞にリポ多糖類(LPS)を処理した結果、LPSを処理しない細胞と比較して、細胞の形態が変化し、M1マクロファージのマーカーを発現することを確認した(実施例1参照)。
【0041】
前記体細胞は、ヒトを含む哺乳類を含む任意類型の動物の身体を構成する細胞であり、本発明では、生殖細胞、免疫細胞、神経細胞および腫瘍細胞を除いた残りのすべての種類の細胞を含んでもよい。
【0042】
前記免疫細胞(immune cells)は、体内で免疫反応を決定する細胞であり、外部から侵入した病原菌や異物、ウイルスなどに抵抗して勝てるように防御し免疫力を調節し、体内で絶えず生成されるがん細胞を除去する役割をする細胞を意味する。具体的には、NK細胞(natural killer cell)、樹状細胞(dendritic cell)、T細胞、B細胞、マクロファージ(macrophage)およびリンパ球(lymphocyte)を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0043】
前記神経細胞(neuronal cells)は、神経系を構成する細胞であり、ナトリウム通路、カリウム通路などのイオン通路を発現し、他の細胞とは異なって、電気的な方法でシグナルを伝達することができ、隣接する他の神経細胞とはシナプスという構造を介して化学的シグナルを送受信することによって、様々な情報を交換する細胞をいう。本発明において、前記神経細胞は、具体的な種類が制限されず、細胞外小胞体を分泌する細胞であれば、全部含まれ得る。
【0044】
前記腫瘍細胞(tumor cells)は、がん細胞(cancer cells)と同じ意味で使用され、正常細胞とは異なって細胞周期が調節されないので、速くて且つ不規則に成長する細胞を意味する。本発明において前記腫瘍細胞は、起源組織が具体的に限定されず、細胞外小胞体を分泌する腫瘍細胞であれば全て含まれてもよい。
【0045】
また、本発明の一具現例において、前記細胞外小胞体は、CD63、CD81およびFlotillin 1から成る群から選ばれる1つ以上を発現するものであってもよく、具体的には、CD63、CD81およびFlotillin 1を全て発現するものであってもよい。
【0046】
本発明の他の実施例では、前記活性化した免疫細胞由来エキソソーム、好ましくは、活性化したTH-1細胞由来エキソソームが平均154.0nmの直径を有し、CD63、CD81およびFlotillin 1のエキソソームマーカータンパク質を発現することを確認した(実施例2参照)。
【0047】
また、本発明は、前記細胞外小胞体を含むコロナウイルス感染症の予防または治療用ワクチン組成物を提供する。
【0048】
前記「細胞外小胞体」、「コロナウイルス」、「抗原」などは、前述した範囲内であってもよい。
【0049】
本発明において使用される「予防」という用語は、本発明によるワクチン組成物の投与によって特定の病気または疾患を抑制させたり発病を遅延させるすべての行為を意味する。
【0050】
本発明において使用される「治療」という用語は、本発明によるワクチン組成物の投与によって特定の病気または疾患に対する症状が好転したり有益に変更されるすべての行為を意味する。
【0051】
本発明において使用される「ワクチン」という用語は、ヒトを含む宿主から当該抗原に対する免疫反応を誘導することによって、当該病原体または抗原による感染または再感染の予防、症状の重症度減少または症状の除去、または当該病原体や抗原による疾患の実質的または完全な除去を全て含む意味である。したがって本発明のワクチン組成物は、当該病原体の感染前または疾患の発病前に予防的に個体に投与することが好ましいが、当該病原体の感染後または疾患発病後に治療的に投与することができる。
【0052】
本発明の一実施例では、SARS-CoV-2由来スパイクタンパク質(spike protein)の受容体結合ドメイン(Receptor Binding Domain;RBD)タンパク質またはmRNAがロードされた活性化したTHP-1細胞またはKG-1細胞由来エキソソームを製造し、マウスに皮下で投与して免疫化させた後、中和抗体の生成の有無を分析した結果、補助剤(Adjuvant)と前記RBDタンパク質またはmRNAを共に投与した場合と比較して、非常に少ない量でも類似したレベルのRBD特異的なIgGおよび中和抗体価を示すことを確認した(実施例3~5参照)。
【0053】
また、本発明において、前記ワクチン組成物は、抗原特異的な抗体生成およびT細胞媒介免疫反応を同時に誘導するものであってもよい。
【0054】
本発明の他の実施例では、前記エキソソームを投与して免疫化したマウスから脾細胞を分離して、RBD抗原特異的なT細胞反応を分析した結果、補助剤(Adjuvant)と前記RBDを共に投与したマウスでは、前記T細胞反応が誘導されないのに対し、前記エキソソームで免疫化したマウスでは、強力なT細胞反応が誘導されることを確認した(実施例6参照)。
【0055】
また、本発明において、前記ワクチン組成物は、凍結乾燥したものであってもよい。
【0056】
本発明者は、実施例に基づいて前記ワクチン組成物の具体的な免疫反応誘導および保存安定性を確認した。具体的には、本発明による前記エキソソームの保存安定性を評価するために、凍結乾燥したエキソソーム(COVID19-ImmunExo)を4℃冷蔵条件で7日間保管したりまたは常温で保管した後、マウスに皮下免疫化させて、抗体生成の有無を分析した結果、前記条件でそれぞれ保存した後にも、優れた安定性と抗体生成効果が維持されることを確認した(実施例7参照)。
【0057】
前記本発明の実施例に基づいて活性化した免疫細胞由来エキソソームは、皮下注射後にリンパ節の方向性を示し、主に局所マクロファージと樹状細胞に吸収され、樹状細胞によりエキソソームでMHC-I/ペプチド複合体が現れ、これは、SARS-CoV-2に対する中和抗体をより効果的に生成すると共に、免疫化したマウスの脾細胞でRBD特異的なT細胞反応を誘発できることが分かった。
【0058】
これより、本発明は、実施例で確認した結果に基づいて、細胞から分泌されたエキソソームを含むナノサイズの細胞外小胞体が強力な免疫刺激剤および抗原運搬体として作用し、標的疾患に対する効果的なワクチンを設計できるプラットフォームになりうることを強力に示唆する。
【0059】
本発明のワクチン組成物は、任意の適切な、薬学的に許容される製剤で製造することができる。例えば、即席で投与可能な溶液または懸濁液の形態であるか、投与前に希釈に適切な濃縮された原液であるか、または再構成可能な形態、例えば、凍結乾燥、冷凍-乾燥、または冷凍製剤の形態で製造することができる。
【0060】
本発明のワクチン組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含んで製剤化することができる。具体的には、前記担体は、例えば、コロイド懸濁液、粉末、食塩水、脂質、リポソーム、微小球体(microspheres)またはナノ球形粒子であってもよい。これらは、運搬手段と複合体を形成したり関連していてもよく、脂質、リポソーム、微細粒子、金、ナノ粒子、ポリマー、縮合反応剤、多糖類、ポリアミノ酸、デンドリマー、サポニン、吸着増進物質または脂肪酸のような当業界において一般的に知られている運搬システムを用いて生体内運搬されてもよい。
【0061】
また、前記薬学的に許容される担体は、通常、希釈剤、賦形剤、安定化剤、防腐剤などを含む。適切な希釈剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油、落花生油のような植物性油などの非水性溶媒や塩水(好ましくは、0.8%の塩水)、緩衝媒質を含む水(好ましくは、0.05Mのリン酸塩緩衝液)などの水性溶媒などであってもよく、適切な賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、白亜、シリカゲル、ナトリウムステアレート、グリセロールモノステアレート、滑石、ナトリウムクロリド、無水脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどであってもよく、適切な安定化剤としては、ソルビトール、マンニトール、デンプン、スクロース、デキストラン、グルタメート、グルコースなどの炭水化物や粉ミルク、血清アルブミン、カゼインなどの動物性、植物性または微生物性タンパク質などのタンパク質であってもよい。適切な防腐剤としては、チメロサール、メルチオレート、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ナイスタチン、アムポテリシンB、テトラサイクリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、ポリミキシンBなどであってもよい。
【0062】
本発明のワクチン組成物は、抗原補助剤(adjuvant)をさらに含んでもよい。抗原補助剤は、抗原に対する免疫反応を増強させる1つ以上の物質からなるものであってもよい。前記抗原補助剤は、例えば、完全フロイント(Freund)、不完全フロイント、サポニン、ゲル性状のアルミニウム補助剤、表面活性物質(例:リゾレシチン、プルロニックグリコール、ポリアニオン、ペプチド、オイルまたは炭化水素エマルジョンなど)、植物性オイル(綿実油、落花生油、トウモロコシ油など)、ビタミンEアセテートなどであってもよい。
【0063】
本発明のワクチン組成物は、本発明の属する技術分野において通常用いられる方法で製造することができる。前記ワクチン組成物は、経口型または非経口型製剤で製造することができ、非経口型製剤は、好ましくは、経皮、筋肉内、腹膜内、静脈内、皮下内、鼻腔または硬膜外(eidural)から成る群から選ばれるいずれか1つの投与経路を介して投与することができる。
【0064】
用語「投与」は、適切な方法で個体に所定の物質を導入することを意味し、「個体」は、コロナウイルス感染症を保有できるヒトを含むラット、マウス、家畜などのすべての生物を意味する。具体的な例として、ヒトを含む哺乳動物であってもよい。
【0065】
本発明のワクチン組成物は、薬剤学的に有効な量で投与する。本発明の用語「薬剤学的に有効な量」は、ワクチン効果を示すことができるほどの十分な量で、副作用あるいは深刻または過度な免疫反応を起こさないほどの量を意味し、有効用量のレベルは、治療しようとする障害、障害の重症度、ワクチン物質の活性、投与経路、タンパク質の除去速度、治療持続期間、ワクチン組成物と組み合わせたり同時に使用する物質、個体の年齢、体重、性別、食習慣、一般的な健康状態および医学分野において一般的に知られている因子をはじめとする様々な因子によって変わることができる。
【0066】
また、本発明は、前記細胞外小胞体を含むコロナウイルス感染症の予防または改善用保健機能食品を提供する。
【0067】
前記「細胞外小胞体」、「コロナウイルス」、「予防」などは、前述した範囲内であってもよい。
【0068】
用語「改善」とは、治療される状態と関連したパラメーター、例えば、症状の程度を少なくとも減少させるすべての行為を意味する。この際、前記保健機能食品は、コロナウイルス感染症の予防または改善のために当該病気の発病段階前または発病後に、治療のための薬剤と同時にまたは別個で使用することができる。
【0069】
前記保健機能食品において、有効成分は、食品にそのまま添加したり他の食品または食品成分と共に使用することができ、通常の方法によって適切に使用することができる。有効成分の混合量は、その使用目的(予防または改善用)によって好適に決定することができる。一般的に、食品または飲料の製造時に前記保健機能食品は、原料に対して、具体的には、約15重量%以下、より具体的には、約10重量%以下の量で添加することができる。しかしながら、健康および衛生を目的としたりまたは健康調節を目的とする長期間の摂取の場合には、前記量は、前記範囲以下であってもよい。
【0070】
前記保健機能食品は、担体、希釈剤、賦形剤および添加剤のうち1つ以上をさらに含んで錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、粉末、カプセル剤および液剤の剤形から成る群から選ばれた1つで剤形化することができる。一具現例による化合物を添加できる食品としては、各種食品類、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、シロップ剤、飲料、ガム、お茶、ビタミン複合剤、健康機能食品類などがある。
【0071】
前記担体、賦形剤、希釈剤および添加剤の具体的な例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、水、砂糖シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾアート、プロピルヒドロキシベンゾアート、滑石、ステアリン酸マグネシウムおよびミネラルオイルから成る群から選ばれる少なくとも1つであってもよい。
【0072】
前記保健機能食品は、前記有効成分を含有することに加えて、特別な制限なしに他の成分を必須成分として含有することができる。例えば、通常の飲料のように色々な香味剤または天然炭水化物などをさらなる成分として含有することができる。上で述べた天然炭水化物の例は、モノサッカライド、例えば、ブドウ糖、果糖など;ジサッカライド、例えば、マルトース、スクロースなど;およびポリサッカライド、例えば、デキストリン、シクロデキストリンなどのよう通常の糖、およびキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールであってもよい。上で述べたもの以外の香味剤として、天然香味剤(ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウディオサイドA、グリチルリチンなど))および合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に使用することができる。前記天然炭水化物の割合は、当業者の選択によって適切に決定することができる。
【0073】
上記の他にも、一態様による保健機能食品は、色々な栄養剤、ビタミン、ミネラル(電解質)、合成風味剤および天然風味剤などの風味剤、着色剤および濃厚剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有することができる。このような成分は、独立して、または組み合わせて使用することができ、このような添加剤の割合も、当業者が適切に選択することができる。
【0074】
また、本発明は、前記細胞外小胞体をこれを必要とする個体に投与する段階を含むコロナウイルス感染症の予防または治療方法を提供する。
【0075】
前記「細胞外小胞体」、「個体」、「投与」、「コロナウイルス感染症」、「予防」、「治療」などは、前述した範囲内であってもよい。
【0076】
また、本発明は、コロナウイルス感染症の予防または治療用薬剤の製造のための前記細胞外小胞体の用途を提供する。
【0077】
前記「細胞外小胞体」、「コロナウイルス感染症」、「予防」、「治療」などは、前述した範囲内であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかしながら、下記の実施例は、ただ本発明をより容易に理解するために提供されるものであり、下記実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0079】
[実施例]
実施例1.活性化した免疫細胞の表現型の観察
本発明者らは、細胞外小胞体を利用したワクチンを開発するために、まず免疫細胞を選定し、免疫細胞を抗原で刺激して、活性化した免疫細胞から分離したエキソソームを利用してワクチンを製造しようとした。このために、前記免疫細胞の一例として、ヒト単核球細胞株であるTHP-1細胞を活性化させ、活性化した細胞の表現型を観察した。
【0080】
具体的には、THP-1細胞(8×10
5 cells/mL)にリポ多糖類(lipopolysaccharide;LPS)を100ng/mLで処理し、前記細胞を活性化させた後、LPSを処理していないため活性化しないTHP-1細胞と顕微鏡で細胞形態を観察した。その結果、
図1aに示されたように、静止THP-1細胞(Resting THP-1)と比較して、活性化したTHP-1細胞(Activated THP-1)の場合、マクロファージと同様に細胞形態が変化したことを確認した。
【0081】
さらに、前記結果に基づいて、当該技術分野に報告されたように、LPS処理によって活性化したTHP-1細胞がM1マクロファージに分化したかどうかを確認するために、M1マクロファージが分泌する前炎症性(pro-inflammatory cytokines)マーカーであるIL-1β、IL-6、IL-8、TNF-αおよびiNOSのmRNAレベルを測定した。その結果、
図1bに示されたように、静止THP-1細胞の場合、前記マーカーがほとんど発現しないことが明らかになったのに対し、活性化したTHP-1細胞の場合、前記マーカーの発現が増加し、特にIL-1β、IL-6およびIL-8のmRNAレベルが顕著に増加したことを確認した。
【0082】
前記結果を通じて、LPS処理によって活性化したTHP-1細胞がM1マクロファージの表現型を示すことが分かった。
【0083】
実施例2.活性化した免疫細胞由来エキソソームの特性の確認
本発明者らは、前記活性化したTHP-1細胞由来エキソソームの特性を確認するために、前記細胞から下記過程を通じてエキソソームを分離した。具体的には、細胞と細胞の破片を除去するために、細胞培養液を1200rpmで5分間遠心分離して上澄み液を収集した後、エキソソームよりサイズが大きい微粒子(microparticle)を除去するために、上澄み液を0.2umフィルターに通過させた後、Tangential flow filtration(TFF)systemを利用してエキソソームの濃縮および洗浄を進めた。
【0084】
次に、NTA(Nanosight Tracking Analyis)および透過電子顕微鏡観察を行い、分離したエキソソームの特性を分析した。その結果、
図2aおよび
図2bに示されたように、分離したエキソソームの平均直径が154.0nmであり、円形の形態を有することを確認した。
【0085】
また、分離したエキソソームの濃度は、2.6×10
11 particles/mlであり、BCAアッセイを通じてエキソソームタンパク質の濃度を定量分析ある結果、3.5mg/mlであることを確認した。さらに、前記分離したエキソソームがエキソソームマーカーを発現するかどうかを調査するために、細胞溶解物(cell lysate)および分離したエキソソーム(exosome)を利用してウェスタンブロットを実施し、エキソソームマーカーであるCD63、CD81およびFlotillin 1の発現レベルを測定した。その結果、
図2cから明らかなように、細胞溶解物では、CD63だけが弱いレベルで発現したのに対し、分離したエキソソームでは、前記マーカータンパク質が全て高いレベルで発現することを確認した。
【0086】
上記結果より、前記活性化したTHP-1細胞から分離したエキソソームは、上記のような特性を有するエキソソームであることが明確に分かった。
【0087】
実施例3.組換えSARS-CoV-2由来タンパク質がロードされたエキソソームの製造
本発明者らは、前記実施例2で分離した活性化したTHP-1細胞またはKG-1細胞由来エキソソームにSARS-CoV-2由来スパイクタンパク質(spike protein)の受容体結合ドメイン(Receptor Binding Domain;RBD)タンパク質をロードして、SARS-CoV-2感染症に対するワクチンとしての予防効果を検証しようとした。
【0088】
このために、まず、SARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBD(YP_009724390.1)(Ser325-Lys529)をコード化するDNA配列がC-末端でマウスIgG2aのFc領域と融合したタンパク質のコンストラクト(Cat.No.Ab-P0018,AbClon)を準備した。その後、前記コンストラクトから発現させたRBDタンパク質を前記活性化したTHP-1細胞またはKG-1細胞由来エキソソームにロードするために、3×1011(9mg)のエキソソームと前記RBDタンパク質300ugを準備し、体外衝撃波(Extracorporeal shockwave;ESW)を処理した後、超遠心分離機(32000rpm、2時間)を利用してRBDタンパク質がロードされたエキソソームの洗浄および濃縮を進めた。
【0089】
その後、ELISAを利用して前記THP-1細胞由来エキソソームにロードされたRBDタンパク質の量を定量的に分析した結果、全40.754ugのRBDタンパク質がエキソソーム内にロードされたことを確認した。本発明者らは、上記で製造された、SARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBDがロードされた活性化したTHP-1細胞またはKG-1細胞由来エキソソーム(ImmunExo RBDまたはCOVID 19-ImmunExo)に対して、下記実験を通じてコロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症-19(COVID-19)に対する効果を評価しようとした。
【0090】
実施例4.組換えSARS-CoV-2由来mRNAがロードされたエキソソームの製造
本発明者らは、前記実施例2で分離した活性化したTHP-1細胞またはKG-1由来エキソソームにSARS-CoV-2由来スパイクタンパク質(spike protein)の受容体結合ドメイン(Receptor Binding Domain;RBD)mRNAをロードして、SARS-CoV-2感染症に対するワクチンとしての予防効果を検証しようとした。
【0091】
具体的には、RBD mRNAは、DNA templateからIn vitro transcription(IVT)過程を通じて製作した。製作されたRBD mRNAは、THP-1細胞またはKG-1細胞由来エキソソーム(9mg)とRBD mRNA 150ugを準備し、体外衝撃波(Extracorporeal shockwave;ESW)を処理した後、超遠心分離機(32000 rpm、2時間)を利用してRBD mRNAがロードされたエキソソームの洗浄および濃縮を進めた。
【0092】
その後、qRT-PCRを利用して前記THP-1細胞またはKG-1細胞由来エキソソームにロードされたRBD mRNAの量を定量的に分析した結果、THP-1細胞由来エキソソーム内に全81ug、KG-1細胞由来エキソソーム内に64.5ugがロードされたことを確認した。本発明者らは、上記で製造された、SARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBD mRNAがロードされた活性化したTHP-1細胞またはKG-1細胞由来エキソソーム(Exo+RBD mRNA)に対して、下記実験を通じてコロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症-19(COVID-19)に対する効果を評価しようとした。
【0093】
実施例5.COVID-19に対する活性化した免疫細胞由来エキソソームのワクチン効能の確認
本発明者らは、前記実施例3で製造したSARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBDタンパク質またはmRNAがロードされた活性化したTHP-1細胞またはKG-1細胞由来エキソソームに対してCOVID-19に対するワクチンとしての効能を評価しようとした。
【0094】
このために、マウスを利用して
図3aに示されたスケジュールによってin vivo免疫化実験を進めた。具体的には、当該マウスにスパイクタンパク質のRBDタンパク質がロードされた活性化したTHP-1細胞由来エキソソーム(COVID 19-ImmunExo,またはImmunExo)は、様々な濃度(0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.5または1ug)で皮下に注入し、この際、エキソソーム粒子数は、同一に注入した。これに対する対照群としてマウスに補助剤(adjuvant)とRBDタンパク質を共に投与(Adj+RBD)したが、補助剤としては、Al(OH)
3をマウス当たり500ug投与し、RBDタンパク質を5ug投与した。その後、下記のような実験を通じて多角的な視点から前記エキソソームの効果を評価した。
【0095】
また、スパイクタンパク質のRBDタンパク質がロードされた活性化したKG-1細胞由来エキソソーム(COVID 19-ImmunExo、またはImmunExo)は、1ugの濃度で皮下に注入し、スパイクタンパク質のRBD mRNAがロードされた活性化したTHP-1細胞またはKG-1細胞由来エキソソーム(Exo+RBD mRNA)は、10ugの濃度で皮下に注入した。この際、エキソソーム粒子数は、全て同一に注入し、これに対する対照群としてマウスに補助剤(adjuvant)とRBDタンパク質またはmRNAを共に投与(Adj+RBDまたはAdj+RBD mRNA)したが、補助剤としては、Al(OH)3をマウス当たり500ug投与し、RBDタンパク質を5ug、RBD mRNAを10ug投与した。その後、下記のような実験を通じて多角的な視点から前記エキソソームの効果を評価した。
【0096】
5-1.SARS-CoV-2 surrogate virus neutralization test(sVNT)
SARS-CoV-2 surrogate virus neutralizationテストは、ウイルス中和過程を模倣した遮断ELISA検出手段であり、中和抗体によるSARS-CoV-2のRBDとヒトACE2(hACE2)受容体タンパク質の相互作用抑制効果に基づくテストである。前記テストの検出感度は、93.80%であり、前記相互作用に対する抑制効率(inhibition%)は、下記数式1によって導き出した。前記結果値のカットオフ(Cutoff)は、20%を基準として、20%以上の場合には、陽性(Positive)であり、SARS-CoV-2に対する中和抗体が検出されたと解析し、20%未満の場合には、中和抗体が検出されていないと解析した。
【0097】
【0098】
これより、マウスにSARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBDタンパク質がロードされた活性化したTHP-1細胞由来エキソソーム(COVID 19-ImmunExo)を前述したように異なる濃度で投与したり、補助剤(adjuvant)とRBDタンパク質を共に投与(Adj+RBD 5ug)し、7、21、30および50日後に採血した後、血清を50倍希釈(X50 dilution)し、前記数式によって抑制効率を計算した。
【0099】
その結果、
図3bに示されたように、前記エキソソーム(ImmunExo)を投与した場合、投与濃度に比例して抑制効率が増加することが明らかになり、エキソソームを1ug投与した場合、補助剤(adjuvant)およびRBDタンパク質を共に投与した場合と非常に類似したレベルの抑制効率を確認した。
【0100】
上記結果に基づいて、50日後に採取した血液から血清を分離し、それぞれ10倍および50倍希釈したサンプルに対して抑制効率をそれぞれ分析した結果、
図3cから明らかなように、前記エキソソーム(ImmunExo)を1ug投与した場合、補助剤(adjuvant)およびRBDタンパク質を5ugを共に投与した場合と非常に類似したレベルの抑制効率が現れたことを確認した。
【0101】
5-2.SARS-CoV-2に対する血清抗体反応の分析
(1)SARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBDタンパク質がロードされたTHP-1細胞由来エキソソームの場合
本発明者らは、前記実施例5-1においてマウスにSARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBDタンパク質がロードされた活性化したTHP-1細胞由来エキソソーム(ImmunExo)をそれぞれ異なる濃度で投与したり、補助剤(adjuvant)およびRBDタンパク質を共に投与した各マウスから50日後に血清サンプルを得た後、1% BSAが添加されたPBSに1:100~1:1000の割合で希釈して、SARS-CoV-2のRBDに特異的な血清内抗体の結合程度(antibody binding)を吸光度を測定して分析した。
【0102】
その結果、
図4aに示されたように、すべての群においてマウス由来血清を希釈するほど抗体の結合程度が同じ様相で減少し、前記エキソソームの投与濃度にほぼ比例することが分かった。また、全般的な抗体の結合は、前記エキソソームを1ug投与した場合、最も高く現れ、0.5ug投与した場合、補助剤(adjuvant)とRBDタンパク質を共に投与した群(Adj+RBD 5ug)と同様に現れたことを確認した。
【0103】
(2)SARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBDタンパク質がロードされたKG-1細胞由来エキソソームの場合
本発明者らは、前記実施例3で製造したマウスにSARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBDタンパク質がロードされた活性化したKG-1細胞由来エキソソーム(ImmunExo)を1ugの濃度で投与したり、補助剤(adjuvant)およびRBDタンパク質1ugを共に投与した各マウスから7日後に血清サンプルを得た後、1%BSAが添加されたPBSに1:100~1:1000の割合で希釈して、SARS-CoV-2のRBDに特異的な血清内抗体の結合程度(antibody binding)を吸光度を測定して分析した。
【0104】
その結果、
図4bに示されたように、対照群に比べてSARS-CoV-2のRBDに特異的な血清内抗体の結合(antibody binding)程度が現れることを確認することができた。
【0105】
(3)SARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBD mRNAがロードされたTHP-1細胞由来エキソソームの場合
本発明者らは、前記実施例4で製造したマウスにSARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBD mRNAがロードされた活性化したTHP-1細胞由来エキソソーム(Exo+RBD mRNA)を10ugの濃度で投与したり、補助剤(adjuvant)およびRBD mRNA 10ugを共に投与した各マウスから7日および14日後で血清サンプルを得た後、1%BSAが添加されたPBSに1:100~1:1000の割合で希釈して、SARS-CoV-2のRBDに特異的な血清内抗体の結合程度(antibody binding)を吸光度を測定して分析した。
【0106】
その結果、
図4cに示されたように、7日後には、全てSARS-CoV-2のRBDに特異的な血清内抗体の結合(antibody binding)程度を測定できなかったが、14日後には補助剤(adjuvant)とRBD mRNAを共に投与した群または対照群に比べて顕著に高いSARS-CoV-2のRBDに特異的な血清内抗体の結合(antibody binding)程度が現れることを確認することができた。
【0107】
(4)SARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBD mRNAがロードされたKG-1細胞由来エキソソームの場合
本発明者らは、前記実施例4で製造したマウスにSARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBD mRNAがロードされた活性化したKG-1細胞由来エキソソーム(Exo+RBD mRNA)を10ugの濃度で投与したり、補助剤(adjuvant)およびRBD mRNA 10ugを共に投与した各マウスから7日および14日後に血清サンプルを得た後、1%BSAが添加されたPBSに1:100~1:1000の割合で希釈して、SARS-CoV-2のRBDに特異的な血清内抗体の結合程度(antibody binding)を吸光度を測定して分析した。
【0108】
その結果、
図4dに示されたように、7日後には、他の群とは異なって、SARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBD mRNAがロードされた活性化したKG-1細胞由来エキソソーム(Exo+RBD mRNA)群だけがSARS-CoV-2のRBDに特異的な血清内抗体の結合(antibody binding)程度を測定することができ、14日後には、補助剤(adjuvant)とRBD mRNAを共に投与した群または対照群に比べて顕著に高いSARS-CoV-2のRBDに特異的な血清内抗体の結合(antibody binding)程度が現れることを確認することができた。
【0109】
5-3.SARS-CoV-2 RBD特異的なT細胞反応分析
本発明者らは、前記実施例5-1においてSARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBDタンパク質がロードされた活性化したTHP-1細胞由来エキソソーム(ImmunExo)を投与して免疫化させたマウスから脾細胞(splenocyte)を分離し、これに対してIFN-γELISPOT(Enzyme-linked immunospot)アッセイを実施して、SARS-CoV-2 RBD特異的なT細胞反応を分析しようとした。前記IFN-γELISPOTアッセイは、単一細胞レベルでサイトカインを分泌する抗原特異的なT細胞を検出する敏感な技術であり、Th1細胞媒介免疫反応を直接的に測定することができ、細胞媒介免疫を誘導するワクチンの効果をモニタリングするのに有用であり、比色反応を通じて生成される斑点の数を確認することによって、サイトカイン生成T細胞の頻度を直接測定することができる。
【0110】
前記アッセイを実施するために、前記実施例5-1の各マウス由来脾細胞を5×10
5/wellでプレートの各ウェルに分注し、SARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBDタンパク質を2ug/mLの濃度でそれぞれ処理した後、24時間培養した。
その結果、
図5aに示されたように、補助剤(adjuvant)とRBDタンパク質を共に投与した群(Adj+RBD 5ug)では、斑点が全く現れなかったのに対し、本発明によるエキソソーム(COVID19-ImmunExo)を投与した群では、投与濃度によって斑点数の差異があるが、全て斑点が生成されたことが分かり、特に前記エキソソームを0.5ug投与した群において斑点の数が最も多いことを確認した。
【0111】
さらに、上記と同じ方法で本発明によるエキソソームまたは補助剤とRBDタンパク質を共に投与したマウス由来脾細胞(1×107/well)にSARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBDタンパク質を2ug/mL 48時間処理した後、前記脾細胞の培養液を利用してELISAを実施して、Th1細胞から分泌されたIFN-γタンパク質レベルを測定した。
【0112】
その結果、
図5bから分かるように、
図5aの結果と符合するように補助剤とRBDタンパク質を共に投与したマウス由来脾細胞の培養液では、IFN-γが全く存在しないことが明らかになったのに対し、本発明によるエキソソーム(ImmunExo)を投与したマウス由来脾細胞の培養液にはIFN-γが存在することを確認した。
【0113】
上記のような結果は、補助剤とRBDタンパク質を共に投与した場合には、Th1細胞媒介免疫反応が誘導されないのに対し、本発明によるエキソソーム投与によって強いTh1細胞媒介免疫反応が誘導されたことを示唆する。
【0114】
実施例6.凍結乾燥したCOVID19-ImmunExoの保存安定性および効果の検証
本発明者らは、本発明によるSARS-CoV-2由来スパイクタンパク質のRBDタンパク質がロードされた活性化したTHP-1細胞由来エキソソーム(COVID19-ImmunExo)の臨床での利用可能性を確認するために、前記エキソソームの保存安定性を検証した。
【0115】
より具体的には、
図6aに示されたスケジュールによって凍結乾燥させた本発明のエキソソームを濃度別に1回投与する分量で製造し、チューブに分けて入れて-70℃で一日間冷凍した後に凍結乾燥を行った。凍結乾燥したエキソソームを4℃(
図6b)または常温(
図6c)で7日間保管した後、さらに投与剤形で製造したエキソソームを各マウスに提示された濃度でそれぞれ投与した。その後、7日および21日目に前記実施例5-1と同じ方法でSARS-CoV-2 sVNTテストを実施した。
【0116】
その結果、
図6bに示されたように、前記4℃で7日間保管した凍結乾燥したエキソソームを0.1ug、0.5ug、1ugの濃度で投与した場合、7日目からエキソソームを1ug投与したものにおいて抑制効果を示し、21日目にエキソソームを0.5ug以上の濃度で投与した場合、21日目に約50%に近接する抑制効率を確認した。また、
図6cに示されたように、常温で7日間保管した凍結乾燥したエキソソームを1ugの濃度で投与した場合、7日目から抑制効果を示し、21日目に約40%に近い抑制効率を確認することができた。このような結果は、凍結乾燥させ、7日間保管しないエキソソーム(fresh)と比較して、同じ条件で抑制効率が似ていることから、抗体生成効果が似ていることが分かり、したがって、本発明による前記エキソソームを前記条件で保存した場合にも、安定的にその効果が維持されることが分かった。
【0117】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で容易に変形が可能であることを理解することができる。したがって、以上で記述した実施例は、すべての点において例示的なものであり、限定的でないものと理解すべきである。
【国際調査報告】