(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】可撓性回路を含む挿入可能デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0538 20210101AFI20240130BHJP
【FI】
A61B5/0538
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543125
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2022051281
(87)【国際公開番号】W WO2022157270
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519179327
【氏名又は名称】センサム
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】キャリール,ブルーノ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA06
4C127GG11
4C127KK07
4C127LL08
(57)【要約】
説明される実施形態は、動物(例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物を含む、ヒト又は非ヒト動物)の管(例えば、脈管構造)に挿入されると、管の病変(例えば、脈管構造を完全又は部分的に閉塞する、脈管構造内の増殖又は沈着)の診断及び/又は治療を補助するために使用され得る侵襲性プローブを含む医療デバイスに関する。侵襲性プローブは、病変の組織及び/又は生体材料の1又は複数の特性を検出することによることを含む、病変の特性を検知するための1又は複数のセンサを有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の管に挿入される侵襲性プローブとともに使用するための回路基板であって、前記回路基板は、
第1の領域であって、
相互接続層と、
前記相互接続層の第1の側部に配設された第1のポリマー層と、
前記第1の側部の反対側の前記相互接続層の第2の側部に配設された第2のポリマー層と、
を備える、第1の領域と、
第2の領域であって、
1又は複数の集積回路と、
前記1又は複数の集積回路に接続された前記相互接続層と、
前記相互接続層及び前記1又は複数の集積回路の前記第1の側部に配設された前記第1のポリマー層と、
前記第1の側部の反対側の前記相互接続層及び前記1又は複数の集積回路の前記第2の側部に配設された前記第2のポリマー層と、
を備える、第2の領域と、
を備え、
前記第1の領域において、前記第1のポリマー層の第1の厚さは、前記第2のポリマー層の第2の厚さと一致し、
前記第1の領域の第1の可撓性は、前記第2の領域の第2の可撓性より大きい、
回路基板。
【請求項2】
前記1又は複数の集積回路は、
1又は複数の値を検知するために1又は複数のセンサを動作させるように配置された第1の集積回路と、
前記第1の集積回路に電気的に接続され、前記第1の集積回路によって動作される1又は複数の回路を備える第2の集積回路と、
を含む、請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
侵襲性プローブ、好ましくはガイドワイヤであって、
ハウジングと、
1又は複数の電気部品と、
請求項1又は2に記載の回路基板と、
を備え、
前記回路基板は、前記ハウジング内に少なくとも部分的に配設され、前記1又は複数の電気部品は、前記回路基板上に取り付けられ、
前記回路基板は、
前記ハウジングから延在する前記回路基板の領域であって、非可撓性ハウジングの外側に配設された2つ以上の導電性接点を備え、前記2つ以上の導電性接点は、第1の接点及び第2の接点を備える、領域と、
前記2つ以上の導電性接点を前記1又は複数の電気部品に電気的に接続する少なくとも1つの相互接続層と、
を備え、
前記非可撓性ハウジングの外部に配設された前記第1の接点には、第1のワイヤが電気的に接続され、
前記非可撓性ハウジングの外部に配設された前記第2の接点には、第2のワイヤが電気的に接続される、侵襲性プローブ。
【請求項4】
前記侵襲性プローブは、少なくとも1つの追加のワイヤを更に備え、
前記2つ以上の導電性接点は、3つ以上の導電性接点であり、前記非可撓性ハウジングの外側に配設された1又は複数の追加の導電性接点を備え、
前記第1のワイヤ、前記第2のワイヤ、及び前記少なくとも1つの追加のワイヤは、リボン状に接合され、前記第1のワイヤ、前記第2のワイヤ、及び前記少なくとも1つの追加のワイヤの各々は、前記リボンの他のワイヤから電気的に絶縁され、前記リボンの各ワイヤは、前記3つ以上の導電性接点のうちの1つの導電性接点に電気的に接続される、請求項3に記載の侵襲性プローブ。
【請求項5】
前記リボンの各ワイヤは、前記リボン内の前記ワイヤを電気的に絶縁する絶縁ジャケットを備え、
回路基板の前記3つ以上の導電性接点のうちの1つの導電性接点に電気的に接続された前記リボンの各ワイヤについて、前記ワイヤの前記絶縁ジャケットは、前記回路基板の前記3つ以上の導電性接点のうちの他の導電性接点に接触する、請求項4に記載の侵襲性プローブ。
【請求項6】
前記回路基板の前記3つ以上の導電性接点は、前記非可撓性ハウジングから延在する前記回路基板の前記領域にわたって前記非可撓性ハウジングの外側に分散され、
前記リボンの各ワイヤは、前記ワイヤが電気的に接続される前記3つ以上の導電性接点のうちの1つの導電性接点の位置に対応する位置において、前記ワイヤの前記関連付けられた絶縁ジャケット内に開口を含み、
前記侵襲性プローブは、前記リボンを前記回路基板に接合する導電性材料の3つ以上の領域を更に備え、前記導電性材料の前記3つ以上の領域は、前記3つ以上の導電性接点の各々の位置に対応する位置において前記回路基板上にそれぞれ位置決めされる、請求項5に記載の侵襲性プローブ。
【請求項7】
前記回路基板は、可撓性であり、
前記リボンは、可撓性であり、
前記導電性材料の前記3つ以上の領域は、各々が前記回路基板上に位置決めされる3つ以上の非可撓性領域を形成する、請求項4~6のいずれか一項に記載の侵襲性プローブ。
【請求項8】
前記第1のワイヤ、前記第2のワイヤ、及び/又は追加のワイヤが前記第1の接点、前記第2の接点、及び/又は追加の導電性接点に電気的に接続される領域に近接して配設された絶縁接着剤を更に備える、請求項3~7のいずれか一項に記載の侵襲性プローブ。
【請求項9】
前記侵襲性プローブは、導電性材料で作製されたコアワイヤを含むガイドワイヤであり、前記第1のワイヤ、前記第2のワイヤ、及び/又は追加のワイヤの各々は、前記コアワイヤの外面上に配置され、前記コアワイヤは、好ましくはキャパシタを介して、電位基準に接続される、請求項3~8のいずれか一項に記載の侵襲性プローブ。
【請求項10】
前記第1のワイヤ、前記第2のワイヤ、及び/又は追加のワイヤは、前記回路基板に電力を供給するための接地ワイヤ及び正電位ワイヤのうちの少なくとも1つと、前記回路基板に時間依存信号を提供するための信号搬送ワイヤとを含み、前記信号搬送ワイヤは、前記接地ワイヤと前記正電位ワイヤとの間に配置される、請求項3~9のいずれか一項に記載の侵襲性プローブ。
【請求項11】
少なくとも1つの集積回路は、前記第1のワイヤ、前記第2のワイヤ、及び/又は追加のワイヤのうちの少なくとも1つを通じてデジタル時間依存信号を供給することによってデジタル通信プロトコルを実装するように構成される、請求項3~10のうちのいずれか一項に記載の侵襲性プローブ。
【請求項12】
前記第1の領域は、前記ハウジングの長手方向に関して前記第2の領域の少なくとも一部を半径方向に囲む、請求項3~11のいずれか一項に記載の侵襲性プローブ。
【請求項13】
請求項3~12のいずれか一項に記載の侵襲性プローブを製造する方法であって、
前記ハウジングは、スロットを含み、前記方法は、
請求項1又は2に記載の可撓性回路基板を前記ハウジングに対して位置決めする工程であって、位置決めすることは、前記可撓性回路基板の前記第2の領域を前記ハウジングの前記スロット内に位置決めすることを含む、工程と、
前記可撓性回路基板の前記第1の領域を、前記第2の領域が前記スロット内に位置決めされた状態で前記ハウジングの周りに巻着する工程と、を含む、
方法。
【請求項14】
前記ハウジングの周りに前記第1の領域を巻着する工程は、巻着の前及び/又は巻着中に、前記第1の領域に一貫した圧力を印加することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記侵襲性プローブの前記複数のワイヤの各々を、前記侵襲性プローブの前記複数の導電性接点のそれぞれの導電性接点に接合する工程を更に含み、
前記複数の導電性接点は、前記侵襲性プローブの前記可撓性回路基板上に形成され、前記可撓性回路基板は、前記非可撓性ハウジング内に部分的に配設され、前記複数の導電性接点は、前記非可撓性ハウジングの外側に配設される、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
血管(静脈又は動脈を含む)の閉塞は、動物(例えば、ヒト又は非ヒト動物)の種々の部分で発生する可能性があり、重大な影響を及ぼす可能性がある。虚血性脳卒中では、例えば、凝血塊が大脳動脈内の血流を完全に又は部分的に閉塞する。凝血塊が迅速に治療されない場合、不十分な血流が脳に回復不能な損傷を引き起こす可能性がある。
【0002】
閉塞は、血管内の赤血球及び/又は白血球及び/又は血小板の凝固によって引き起こされ得る凝血塊によって引き起こされ得る。凝固は、傷害、閉塞部位における異常な血流、動物を凝固しやすくする疾患/状態、及び/又は他の要因を含む、種々の要因によって誘発され得る。
【0003】
凝血塊の一般的な治療は、凝血塊の化学的溶解であり、これは、血管の閉塞後の最初の4.5時間以内に実行可能である。別の一般的な選択肢は、吸引カテーテル又はステントリトリーバを使用して血管から凝血塊を除去する機械的血栓摘出である。
【0004】
ステントリトリーバは、ワイヤの端部に取り付けられたステントを含む。ステントは、脈管構造内及び凝血塊内に展開され、凝血塊内で拡張され、0.5~10分の典型的な待機時間の後、抜去されて凝血塊を血管から引き出す。ステントリトリーバによる凝血塊の把持が最適ではないため、凝血塊の一部の部分がリトリーバによって残されるか、又はリトリーバから失われることがあり、その結果、閉塞を治療し、血管内の循環を回復させるために、複数の連続した治療(平均3回)が必要になることがある。各反復は、血管壁への損傷を増加させ、介入期間及び閉塞による血流障害の期間の両方を増加させ、潜在的に回復不能な損傷をもたらす。凝血塊の把持の物理機械的プロセスは、現在ほとんど理解されていないが、凝血塊の最適でない把持についての2つの最も一般的な説明は、(1)ステントリトリーバが凝血塊中に決して展開せず、凝血塊を壁に押し付けるステントリトリーバによって誘発される摩擦のみが凝血塊の回収に関与すること、及び(2)ステントが凝血塊中に展開するが、ステントが凝血塊と癒合する時間が不十分であることである。
【0005】
凝血塊を除去するために吸引カテーテルが使用される場合、臨床医は、カテーテルを脈管構造内に挿入し、カテーテルを操作して凝血塊をカテーテル内に吸引する。カテーテルの直径に依存して、カテーテルを凝血塊と直接接触して配置することができ、又は血管の近位領域に配置することができる。凝血塊の組成及び粘度に応じて、吸引方法は異なり得る。吸引カテーテルには一部の問題が生じる可能性がある。例えば、凝血塊は、カテーテル内に吸引されると、カテーテル内の流れを閉塞する可能性がある。かかる状況では、臨床医は、カテーテルを抜去しなければ、凝血塊がカテーテルの先端を閉塞しているのか、又はカテーテルの内側にあってチューブを閉塞しているのかに気づかない場合がある。凝血塊がカテーテルの先端を閉塞している場合、凝血塊がカテーテルの除去中に不注意に放出される可能性があり、その結果、凝血塊が血流を通って移動し、動物の別の部分の血管を閉塞する塞栓になり得るリスクがある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、動物の管に挿入される侵襲性プローブとともに使用するための回路基板に関し、回路基板は、
‐第1の領域であって、
・相互接続層と、
・相互接続層の第1の側部に配設された第1のポリマー層と、
・第1の側部の反対側の相互接続層の第2の側部上に配設された第2のポリマー層と、を備える、第1の領域と、
‐第2の領域であって、
・1又は複数の集積回路と、
・1又は複数の集積回路に接続された相互接続層と、
・相互接続層及び1又は複数の集積回路の第1の側部上に配設された第1のポリマー層と、
・第1の側部の反対側の相互接続層及び1又は複数の集積回路の第2の側部に配設された第2のポリマー層と、
を備える、第2の領域と、を備え、
第1の領域において、第1のポリマー層の第1の厚さは、第2のポリマー層の第2の厚さと一致し、
第1の領域の第1の可撓性は、第2の領域の第2の可撓性より大きい。
【0007】
本発明の別の有利な態様によれば、回路基板は、
‐1又は複数の値を検知するために1又は複数のセンサを動作させるように配置された第1の集積回路と、
‐第1の集積回路に電気的に接続され、第1の集積回路によって動作される1又は複数の回路を備える第2の集積回路と、を含む。
【0008】
本発明はまた、動物の管に挿入される侵襲性プローブとともに使用するための回路基板に関し、回路基板は、
‐第1の領域であって、
・相互接続層と、
・相互接続層の第1の側部に配設された第1のポリマー層と、
・第1の側部の反対側の相互接続層の第2の側部上に配設された第2のポリマー層と、を備える、第1の領域と、
‐第2の領域であって、
・1又は複数の値を検知するために1又は複数のセンサを動作させるように配置された第1の集積回路と、
・第1の集積回路に電気的に接続され、第1の集積回路によって動作される1又は複数の回路を備える第2の集積回路と、
・第1及び第2の集積回路を電気的に接続する相互接続層と、
・相互接続層並びに第1及び第2の集積回路の第1の側部上に配設された第1のポリマー層と、
・相互接続層の第2の側部に配設された第2のポリマー層と、第1の側部の反対側の第1及び第2の集積回路と、を備える、第2の領域と、を備える。
【0009】
本発明の他の有利な態様によれば、回路基板は、以下の特徴、すなわち
‐第1の領域において、第1のポリマー層の第1の厚さが、第2のポリマー層の第2の厚さと一致すること、
‐第1の領域の第1の可撓性が、第2の領域の第2の可撓性よりも大きいこと、
のうちの1又は複数を、単独で又は組み合わせて含む。
【0010】
本発明はまた、侵襲性プローブ、好ましくはガイドワイヤに関し、
‐ハウジングと、
‐1又は複数の電気部品と、
‐上述の回路基板と、を備え、回路基板は、ハウジング内に少なくとも部分的に配設され、1又は複数の電気部品は、回路基板上に取り付けられ、回路基板は、
・ハウジングから延在する回路基板の領域であって、非可撓性ハウジングの外側に配設された2つ以上の導電性接点を備え、2つ以上の導電性接点は、第1の接点及び第2の接点を備える、領域と、
・2つ以上の導電性接点を1又は複数の電気部品に電気的に接続する少なくとも1つの相互接続層と、を備え、
非可撓性ハウジングの外部に配設された第1の接点には、第1のワイヤが電気的に接続され、
非可撓性ハウジングの外部に配設された第2の接点には、第2のワイヤが電気的に接続される。
【0011】
本発明の他の有利な態様によれば、侵襲性プローブは、以下の特徴、すなわち
‐侵襲性プローブは、少なくとも1つの追加のワイヤを更に備え、
2つ以上の導電性接点は、3つ以上の導電性接点であり、非可撓性ハウジングの外側に配設された1又は複数の追加の導電性接点を含み、
第1のワイヤ、第2のワイヤ、及び少なくとも1つの追加のワイヤは、リボン状に接合され、第1のワイヤ、第2のワイヤ、及び少なくとも1つの追加のワイヤの各々は、リボンの他のワイヤから電気的に絶縁され、リボンの各ワイヤは、3つ以上の導電性接点のうちの1つの導電性接点に電気的に接続されること、
‐リボンの各ワイヤは、リボン内のワイヤを電気的に絶縁する絶縁ジャケットを備え、
回路基板の3つ以上の導電性接点のうちの1つの導電性接点に電気的に接続されたリボンの各ワイヤについて、ワイヤの絶縁ジャケットは、回路基板の3つ以上の導電性接点のうちの他の導電性接点に接触すること、
‐回路基板の3つ以上の導電性接点は、非可撓性ハウジングから延在する回路基板の領域にわたって非可撓性ハウジングの外側に分散され、
リボンの各ワイヤは、ワイヤが電気的に接続される3つ以上の導電性接点のうちの1つの導電性接点の位置に対応する位置において、ワイヤの関連付けられた絶縁ジャケット内に開口を含み、
侵襲性プローブは、リボンを回路基板に接合する導電性材料の3つ以上の領域を更に備え、導電性材料の3つ以上の領域は、3つ以上の導電性接点の各々の位置に対応する位置において回路基板上にそれぞれ位置決めされること、
‐回路基板は、可撓性であり、
リボンは、可撓性であり、
導電性材料の3つ以上の領域は、各々が回路基板上に位置決めされる3つ以上の非可撓性領域を形成すること、
‐侵襲性プローブは、第1のワイヤ、第2のワイヤ、及び/又は追加のワイヤが第1の接点、第2の接点、及び/又は追加の導電性接点に電気的に接続される領域に近接して配設された絶縁接着剤を更に備えること、
‐侵襲性プローブは、導電性材料から作製されたコアワイヤを含むガイドワイヤであり、第1のワイヤ、第2のワイヤ、及び/又は追加のワイヤの各々は、コアワイヤの外面上に配置され、コアワイヤは、好ましくはキャパシタを介して電位基準に接続されること、
‐第1のワイヤ、第2のワイヤ、及び/又は追加のワイヤは、回路基板に電力を供給するための接地ワイヤ及び正電位ワイヤのうちの少なくとも1つと、回路基板に時間依存信号を提供するための信号搬送ワイヤとを含み、信号搬送ワイヤは、接地ワイヤと正電位ワイヤとの間に配置されること、
‐少なくとも1つの集積回路が、第1のワイヤ、第2のワイヤ、及び/又は追加のワイヤのうちの少なくとも1つを通じてデジタル時間依存信号を供給することによってデジタル通信プロトコルを実装するように構成されること、
‐第1の領域は、ハウジングの長手方向に関して第2の領域の少なくとも一部を半径方向に囲むこと、
‐侵襲性プローブは、細長いコアを更に備えること、
‐第2の領域の少なくとも一部は、細長いコアに隣接して位置決めされること、
‐侵襲性プローブは、ジャケットを更に備えること、
‐第1の領域は、可撓性領域であること、
‐第2の領域は、非可撓性領域であること、
‐第1の領域は、1ミクロンから50ミクロンの範囲の屈曲半径を有するように構成されること、
‐第1の領域は、第2の領域の少なくとも一部を囲むように構成されること、
‐第1のポリマー層の厚さ及び第2のポリマー層の厚さは、第1の領域内で一致すること、
‐第2の領域の集積回路のうちの1又は複数は、第2のポリマー層の底面よりも第1のポリマー層の上面の近くに位置決めされること、
‐1又は複数のセンサは、電極アレイを備えること、
‐第1の集積回路は、1又は複数のセンサからのデータを制御又は受信するように構成されること、
‐第2の集積回路は、フィルタリングキャパシタを備えること、
のうちの1又は複数を、単独で、又は任意の技術的に可能な組み合わせで含む。
【0012】
本発明はまた、ハウジングがスロットを含む、上述の侵襲性プローブを製造する方法であって、
‐ハウジングに対して上述の可撓性回路基板を位置決めする工程であって、位置決めすることは、可撓性回路基板の第2の領域をハウジングのスロット内に位置決めすることを含む、工程と、
‐第2の領域がスロット内に位置決めされた状態で、可撓性回路基板の第1の領域をハウジングの周りに巻着する工程と、を含む方法に関する。
【0013】
本発明の他の有利な態様によれば、本方法は、以下の特徴、すなわち
‐ハウジングの周りに第1の領域を巻着することは、巻着の前及び/又は巻着中に第1の領域に一貫した圧力を印加することを含むこと、
‐方法は、侵襲性プローブの複数のワイヤの各々を侵襲性プローブの複数の導電性接点のそれぞれの導電性接点に接合することを更に含み、
複数の導電性接点は、侵襲性プローブの可撓性回路基板上に形成され、可撓性回路基板は、非可撓性ハウジング内に部分的に配設され、複数の導電性接点は、非可撓性ハウジングの外側に配設されること、
‐方法は、非導電性材料を使用して、可撓性回路基板の少なくとも一部分をハウジングと接合することを更に含むこと、
のうちの1又は複数を、単独で、又は任意の技術的に可能な組み合わせで含む。
【0014】
説明される実施形態は、動物(例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物を含む、ヒト又は非ヒト動物)の管(例えば、脈管構造)に挿入されると、管の病変(例えば、脈管構造を完全又は部分的に閉塞する、脈管構造内の増殖又は沈着物)の診断及び/又は治療を補助し得る侵襲性プローブを含む医療デバイスに関する。侵襲性プローブは、病変の組織及び/又は生体材料の1又は複数の特性を検出することによることを含む、病変の特性を検知するための1又は複数のセンサを有し得る。医療デバイスは、病変の特性を分析し、分析に基づいて、治療勧告を臨床医に提供するように構成され得る。かかる治療勧告は、病変を治療する方法、例えば病変を治療するためにどの治療を使用するか、及び/又は治療デバイスを使用する方法を含み得る。
【0015】
特定の実施形態は、近位領域及び遠位領域を有する中実の細長いコアと、細長いコアの近位領域の少なくとも一部を取り囲むジャケットと、細長いコアに沿って延在し、細長いコアとジャケットとの間に少なくとも部分的に配設されるように位置決めされた1又は複数の導電性ワイヤリードと、細長いコアの遠位領域の少なくとも一部の周りに位置決めされた可撓性構造と、1又は複数の導電性ワイヤリードに電気的に接続され、細長いコアの遠位領域に結合された電子回路とを備えるガイドワイヤに関する。
【0016】
特定の実施形態は、中実の細長いコアと、中実の細長いコアの一部の周りに位置決めされたマルチファイラコイルと、中実の細長いコアに結合され、マルチファイラコイルと細長いコアの遠位端との間に配設されたハウジングと、ハウジングの少なくとも一部内及び/又はその周りに巻着された可撓性基板上に配設された回路であって、可撓性基板が、1又は複数のインピーダンスセンサを備える回路と、を備えるガイドワイヤに関する。
【0017】
特定の実施形態は、血管系における組織のインピーダンスを検出するための装置に関し、装置は、その上に形成された凹部を有するハウジングと、その上に複数の電極及び複数の電極に電気的に結合された少なくとも1つの第1の集積回路を備える可撓性基板とを備え、少なくとも1つの第1の集積回路は、プローブ信号を生成し、プローブ信号を用いて複数の電極を駆動するための第1の回路と、プローブ信号を可撓性基板の外側に伝送することに応答して、複数の電極によって受信された検出信号を処理するための第2の回路とを有し、可撓性基板は、ハウジングの周囲に巻着され、ハウジングの凹部を通過する部分を有し、複数の電極は、ハウジングの外側に配設され、ハウジングに対して外向きに配向される。
【0018】
特定の実施形態は、血管手術で使用するためのガイドワイヤを組み立てる方法に関し、この方法は、貫通して形成された凹部を有するジャケットを形成する工程と、中実の細長いコアをジャケットの凹部に通す工程と、1又は複数の導電性ワイヤリードをジャケットの凹部に通し、1又は複数の導電性ワイヤリードをジャケットと細長いコアとの間に位置決めする工程と、マルチファイラコイルの一部分をジャケットの凹部に通す工程と、ジャケットをネッキングして管腔のサイズを縮小する工程と、を含む。
【0019】
特定の実施形態は、動物の解剖学的管内に挿入されるデバイスを組み立てる方法に関する。本方法は、管腔を規定する管状ジャケットを形成する工程と、細長いコアを管状ジャケットの管腔に通す工程と、可撓性構造の一部を管状ジャケットの管腔に通す工程と、管状ジャケットをネッキングして管腔のサイズを減少させる工程と、を含む。
【0020】
一態様では、動物の管の病変の診断及び/又は治療のための医療デバイスが説明される。一部の実施形態では、医療デバイスは、動物の管の中への挿入、並びに診断及び/又は治療後の管からの除去のための侵襲性プローブを備え、侵襲性プローブは、病変の1又は複数の特性を測定する少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、1又は複数の特性の分析に少なくとも部分的に基づいて、病変を治療する方法のための1又は複数の治療勧告を決定する工程と、ユーザインターフェースを介してユーザに1又は複数の治療勧告を出力する工程と、を含む方法を実行させる実行可能命令が符号化された少なくとも1つの記憶媒体とを備える。
【0021】
特定の実施形態では、医療デバイスは、管の病変の診断及び/又は治療中に動物の管に挿入され、診断及び/又は治療後に管から除去されるように配置された侵襲性プローブを備え、侵襲性プローブは、管の病変の1又は複数の測定を行うように構成され、侵襲性プローブは、少なくとも1つのインピーダンスセンサと、病変のインピーダンスの複数の測定を行うために少なくとも1つのインピーダンスセンサを駆動する少なくとも1つの回路とを備え、インピーダンスの複数の測定値の各測定値は、複数の周波数のうちの1つの周波数に対応し、対応する周波数の電気信号が病変に印加されたときの病変のインピーダンスの測定値である。
【0022】
特定の態様は、動物の管の病変の診断及び/又は治療のための医療デバイスを動作させる本発明の方法に関し、医療デバイスは、動物の管の中に挿入され、病変の診断及び/又は治療後に管から除去される侵襲性プローブを備える。一部の実施形態では、本方法は、侵襲性プローブが動物の管内に配設されている間に医療デバイスの侵襲性プローブを用いて、動物の管の病変の1又は複数の特性を示すデータを生成する工程であって、データを生成することは、侵襲性プローブの少なくとも1つのセンサを動作させて病変の1又は複数の特性を測定することを含む、工程と、医療デバイスの少なくとも1つのプロセッサを使用して、1又は複数の特性の分析に少なくとも部分的に基づいて、病変を治療する方法に関する1又は複数の治療勧告を決定する工程と、ユーザインターフェースを介してユーザに提示するために1又は複数の治療勧告を出力する工程と、を含む。
【0023】
特定の実施形態によれば、動物の脈管構造の病変の診断及び/又は治療のための医療デバイスを動作させる方法であって、医療デバイスは、動物の脈管構造に挿入され、病変の診断及び/又は治療後に脈管構造から除去される侵襲性プローブを備え、本方法は、侵襲性プローブが動物の脈管構造内に配設されている間に、医療デバイスの侵襲性プローブを用いて、動物の脈管構造の病変の1又は複数の電気特性を示すデータを生成する工程であって、データを生成することは、侵襲性プローブの少なくとも1つのセンサを動作させて、病変の1又は複数の電気特性を測定することを含む、工程と、ユーザインターフェースを介してユーザに提示するために、1又は複数の電気特性を示す情報を出力する工程と、を含む。
【0024】
一部の実施形態では、装置が説明される。特定の実施形態によれば、装置は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、動物の管の複数の病変に対して実施された医療治療に関する複数の報告を経時的に複数の医療デバイスから受信する工程であって、複数の報告の各報告が、対応する医療治療において治療された病変の1又は複数の特性、病変を治療するために実施された対応する医療治療の1又は複数のパラメータ、及び対応する医療治療の転帰の指示を含む、工程と、経時的に、医療治療に関する複数の報告に基づいて、病変の特性と病変の成功治療及び/又は失敗治療のパラメータとの間の1又は複数の関係を学習する工程であって、1又は複数の関係を学習することは、複数の治療選択肢の各治療選択肢に関連付けるための1又は複数の条件を判定することを含み、病変の特性が対応する治療選択肢に関する1又は複数の条件を満たすときに、対応する治療選択肢が病変の治療のために勧告されるように、1又は複数の条件が病変の特性に関連する、工程と、複数の治療選択肢の各々に関連する1又は複数の条件に関する病変の特性の評価に基づいて、複数の治療選択肢の中から臨床医に勧告を行うように複数の医療デバイスを構成する工程と、を含む方法を実行させる実行可能命令が符号化された少なくとも1つの記憶媒体とを備える。
【0025】
少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに方法を実行させる実行可能命令が符号化された少なくとも1つの記憶媒体が、特定の実施形態に従って説明される。一部の実施形態では、本方法は、動物の管の複数の病変に対して実施された医療治療に関する複数の報告を経時的に複数の医療デバイスから受信する工程であって、複数の報告の各報告が、対応する医療治療において治療された病変の1又は複数の特性、病変を治療するために実施された対応する医療治療の1又は複数のパラメータ、及び対応する医療治療の転帰の指示を含む、工程と、経時的に、医療治療に関する複数の報告に基づいて、病変の特性と病変の成功治療及び/又は失敗治療のパラメータとの間の1又は複数の関係を学習する工程であって、1又は複数の関係を学習することは、複数の治療選択肢の各治療選択肢に関連付けるための1又は複数の条件を判定することを含み、病変の特性が対応する治療選択肢に関する1又は複数の条件を満たすときに、対応する治療選択肢が病変の治療のために勧告されるように、1又は複数の条件が病変の特性に関連する、工程と、複数の治療選択肢の各々に関連する1又は複数の条件に関する病変の特性の評価に基づいて、複数の治療選択肢の中から臨床医に勧告を行うように複数の医療デバイスを構成する工程と、を含む。
【0026】
特定の実施形態は、少なくとも1つのプロセッサを動作させて、動物の管の複数の病変に対して実施された医療治療に関する複数の報告を経時的に複数の医療デバイスから受信する動作であって、複数の報告の各報告が、対応する医療治療において治療された病変の1又は複数の特性、病変を治療するために実施された対応する医療治療の1又は複数のパラメータ、及び対応する医療治療の転帰の指示を含む、動作と、経時的に、医療治療に関する複数の報告への機械学習プロセスの適用に基づいて、病変の特性と病変の成功治療及び/又は失敗治療のパラメータとの間の1又は複数の関係を学習する動作であって、1又は複数の関係を学習することは、複数の治療選択肢の各治療選択肢に関連付けるための1又は複数の条件を判定することを含み、病変の特性が対応する治療選択肢に関する1又は複数の条件を満たすときに、対応する治療選択肢が病変の治療のために勧告されるように、1又は複数の条件が病変の特性に関連する、動作と、複数の治療選択肢の各々に関連する1又は複数の条件に関する病変の特性の評価に基づいて、複数の治療選択肢の中から臨床医に勧告を行うように複数の医療デバイスを構成する動作と、を実行することを含む方法を説明する。
【0027】
一部の実施形態によれば、動物の管の病変を診断及び/又は治療する方法が説明される。特定の実施形態では、本方法は、医療デバイスの侵襲性プローブを動物の管に挿入する工程であって、侵襲性プローブが、病変の組織及び/又は生体材料の1又は複数の特性を測定する少なくとも1つのセンサを備える、工程と、侵襲性プローブの少なくとも1つのセンサによって測定された1又は複数の特性に少なくとも部分的に基づいて、病変の治療に関する1又は複数の勧告を生成するように医療デバイスを動作させる工程と、病変の治療に関する医療デバイスの1又は複数の勧告に従って病変を治療する工程と、動物の管から侵襲性プローブを除去する工程と、を含む。
【0028】
一部の実施形態によれば、動物の管の病変を診断及び/又は治療するように構成された医療デバイスが説明される。特定の実施形態では、医療デバイスは、医療デバイスの侵襲性プローブを動物の管に挿入することを含み、侵襲性プローブは、病変の組織及び/又は生体材料の1又は複数の特性を測定するように構成された少なくとも1つのセンサを備え、侵襲性プローブの少なくとも1つのセンサによる1又は複数の特性の測定に少なくとも部分的に基づいて、病変の治療に関する1又は複数の勧告を生成するように更に構成され、病変の治療に関する1又は複数の勧告に従って病変に治療を送達するように更に構成される。特定の実施形態では、医療デバイスはまた、動物の管から病変を除去するように構成される。
【0029】
本発明の他の利点及び新規な特徴は、添付の図面と併せて考慮されるとき、本発明の種々の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。本明細書及び参照により組み込まれる文書が、矛盾する及び/又は一貫しない開示を含む場合、本明細書が支配するものとする。したがって、上記は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の非限定的な概要である。
【0030】
添付の図面は、一定の縮尺で描かれることを意図していない。図面では、種々の図に示される各同一又はほぼ同一の構成要素は、同様の数字によって表される。明確にするために、全ての構成要素が全ての図面でラベル付けされているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本明細書に記載の実施形態による、臨床医が病変を診断及び/又は治療するために医療デバイスを操作し得る方法のフローチャートである。
【
図2】一部の実施形態による、医療デバイスの一例の図である。
【
図3】一部の実施形態による、侵襲性プローブの一例の図である。
【
図4】病変の組成を決定するために一部の実施形態において実装され得るプロセスのフローチャートである。
【
図5】病変の組成を決定するために一部の実施形態において実装され得るプロセスのフローチャートである。
【
図6】病変のインピーダンスの絶対値の例示的な周波数スペクトルの図である。
【
図7】定位相要素を含む、
図4の方法で実装され得る病変のインピーダンスの例示的なモデルを示す。
【
図8】定位相要素を含む、
図4の方法で実装され得る病変のインピーダンスの例示的なモデルを示す。
【
図9】定位相要素を含む、
図4の方法で実装され得る病変のインピーダンスの例示的なモデルを示す。
【
図10】定位相要素を含む、
図4の方法で実装され得る病変のインピーダンスの例示的なモデルを示す。
【
図11】
図4の方法を実装するための例示的なシステムを示す。
【
図12】治療勧告を生成するための、本明細書に説明される一部の実施形態による、医療デバイスの動作のための例示的な方法のフローチャートである。
【
図13】病変の組成に部分的に基づいて治療勧告を生成するための、本明細書に説明される実施形態による、医療デバイスの動作のための一部の実施形態の別の例示的な方法のフローチャートである。
【
図14】一部の実施形態で実装され得る、条件を使用して治療勧告を生成する例示的な方法のフローチャートである。
【
図15A】一部の実施形態で実装され得る、治療に関する報告を分析し、医療デバイスを構成するための条件を判定するようにサーバを動作させるための例示的なプロセスのフローチャートである。
【
図15B】一部の実施形態で実装され得る、治療に関する報告を分析し、医療デバイスを構成するための条件を判定するようにサーバを動作させるための例示的なプロセスのフローチャートである。
【
図16】治療の履歴を生成するための一部の実施形態において実装され得るプロセスの一例である。
【
図17】一部の実施形態が動作し得るコンピューティングデバイスのブロック図である。
【
図18】
図4の方法によって決定された細胞構造の実効キャパシタンスの例を示す図である。
【
図19】本開示の態様に従って作製されたシステムの例を示す。
【
図20】本開示の態様に従って作製されたシステムの例を示す。
【
図21A】制御された条件下での複数の型の細胞の決定された実効キャパシタンスを示すヒストグラムである。
【
図21B】制御されていない条件下での複数の型の細胞の決定された実効キャパシタンスを示すヒストグラムである。
【
図22】癌性組織及び/又は非癌性組織の特性に部分的に基づいて治療勧告を生成するための、本明細書に説明される実施形態による、医療デバイスの動作のための一部の実施形態の例示的な方法のフローチャートである。
【
図23】癌性組織及び/又は非癌性組織の特性に部分的に基づいて治療勧告を生成するための、本明細書に説明される実施形態による、医療デバイスの動作のための一部の実施形態の例示的な方法のフローチャートである。
【
図24】癌性組織及び/又は非癌性組織の特性に部分的に基づいて治療勧告を生成するための、本明細書に説明される実施形態による、医療デバイスの動作のための一部の実施形態の例示的な方法のフローチャートである。
【
図25】実験データの振幅及び位相スペクトルを示すグラフである。
【
図26A】種々のパラメータ分布を示すヒストグラムである。
【
図26B】種々のパラメータ分布を示すヒストグラムである。
【
図27A】種々のパラメータ分布を示すヒストグラムである。
【
図27B】種々のパラメータ分布を示すヒストグラムである。
【
図27C】種々のパラメータ分布を示すヒストグラムである。
【
図27D】種々のパラメータ分布を示すヒストグラムである。
【
図27E】種々のパラメータ分布を示すヒストグラムである。
【
図27F】種々のパラメータ分布を示すヒストグラムである。
【
図28】異なる細胞型についての実効キャパシタンスを表す値の分布を示すヒストグラムである。
【
図29】異なる細胞型についての実効キャパシタンスを表す値の分布を示すヒストグラムである。
【
図30】異なる細胞型についての実効キャパシタンスを表す値の分布を示すヒストグラムである。
【
図31】一部の実施形態において実装され得るガイドワイヤの例を示す概略図である。
【
図31B】複数列のマルチファイラコイルを有する
図31のガイドワイヤの可能な実装形態を示す。
【
図32】
図31のガイドワイヤとともに一部の実施形態で使用され得るコネクタアセンブリの一例を示す。
【
図33】
図31のガイドワイヤとともに一部の実施形態で使用され得るセンサアセンブリの一例を示す。
【
図34】一部の実施形態による、複数のセグメントを有するガイドワイヤを示す概略図である。
【
図35】
図31のガイドワイヤとともに一部の実施形態で使用され得るハウジングの一例を示す。
【
図36A】
図31のガイドワイヤとともに一部の実施形態で使用され得る可撓性回路の一例を示す。
【
図36B】一部の実施形態による、
図35のハウジング及び
図36Aの可撓性回路を使用するアセンブリの一例を示す。
【
図37】一部の実施形態において実装され得るガイドワイヤの別の例を示す概略図である。
【
図38】一部の実施形態において実装され得るガイドワイヤの更に別の例を示す概略図である。
【
図39】一部の実施形態による、追加の詳細及び複数の断面における
図38のガイドワイヤの一部を示す。
【
図40】一部の実施形態で実装され得るガイドワイヤの更に別の例を示す概略図である。
【
図41A】一部の実施形態による可撓性回路基板の断面概略側面図である。
【
図41B】一部の実施形態による可撓性回路基板の断面概略側面図である。
【
図41C】一部の実施形態による、ハウジングの周囲に巻着された可撓性回路基板を有する、ガイドワイヤの遠位部分の概略断面図を示す。
【
図42】一部の実施形態による、ガイドワイヤの非可撓性ハウジング内に可撓性回路基板を位置決めし、巻着するための方法のフローチャートである。
【
図43A】一部の実施形態による、非可撓性ハウジングの外側に配設されたワイヤに取り付けられた回路基板の導電性接点を有する、非可撓性ハウジングの外側に配設された回路基板の領域を概略的に示す。
【
図43B】一部の実施形態による、非可撓性ハウジングの外側に配設されたワイヤに取り付けられた回路基板の導電性接点を有する、非可撓性ハウジングの外側に配設された回路基板の領域を概略的に示す。
【
図44】一部の実施形態による、中立軸の屈曲半径に沿った材料の撓曲部を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書に記載される実施形態は、動物(例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物を含むヒト又は非ヒト動物)の管に挿入されると、管を完全に又は部分的に閉塞する閉塞部(例えば、凝血塊)であり得る管の病変の診断及び/又は治療を補助し得る侵襲性プローブを含む医療デバイスに関する。管は、例えば、動物の血管又は他の管であってもよく、病変は、全体的又は部分的に、管内の増殖、管内の材料の蓄積、及び/又は病変の任意の他の原因によって形成されてもよい。侵襲性プローブは、病変の組織及び/又は生体材料の1又は複数の特性を検出することによることを含む、病変の特性を検知するための1又は複数のセンサを有し得る。医療デバイスは、病変の特性を分析し、分析に基づいて、治療勧告を臨床医に提供するように構成され得る。かかる治療勧告は、病変を治療するためにどの治療を使用するか(例えば、病変が除去されるべきである場合、吸引カテーテルを使用するか、又はステントリトリーバを使用するか)などの病変を治療する方法、及び/又は治療デバイスを使用する方法(例えば、ステントリトリーバを抽出する速度)を含み得る。
【0033】
動物内の管は、直径が狭い場合がある。管の直径が狭い結果として、管内に挿入される侵襲性プローブも直径が制限され、これはプローブのサイズを制限し、したがって侵襲性プローブの構成要素のために利用可能な空間が制限される。更に、管に到達するように動物をナビゲートする際、かつ/又は管をナビゲートする際に、侵襲性プローブは、それ自体が狭くなり得る動物の解剖学的構造の屈曲経路及び蛇行経路内を移動する必要があり得る。これらの経路をナビゲートするために、侵襲性プローブは可撓性である必要があり得る。しかしながら、電気部品は、撓曲されると破損しやすい場合がある。したがって、侵襲性プローブの構成要素の信頼性を確実にするために、侵襲性プローブの少なくとも一部の構成要素は、非可撓性ハウジング上及び/又はその中に収容されるなど、それらが撓曲力を受けることを防止するように配置することができる。かかる非可撓性ハウジングは、構成要素の信頼性を高めることができるが、非可撓性であることにより、動物の解剖学的構造をナビゲートするための侵襲性プローブの可撓性を確実にするという目的で緊張状態にある。両方の目標を満たすために、非可撓性ハウジングは、非可撓性である侵襲性プローブの部分を制限し、侵襲性プローブが動物の解剖学的構造をナビゲートし、管をナビゲートすることができることを確実にするために、更により小さくする必要があり得る。
【0034】
非可撓性ハウジングのこの限られた空間は、電気部品などの侵襲性プローブの構成要素が配設され得る空間が限られていることを意味し、これにより、侵襲性プローブに含まれる構成要素の数が制限され得る。構成要素の数を制限することは、ひいては、侵襲性プローブの機能を制限する可能性がある。しかしながら、本発明者は、非可撓性ハウジングの小さいサイズを維持しながら、機能の向上を可能にするために、構成要素の数を増加させることを可能にし得る、非可撓性ハウジング内に構成要素を配置する有利な方法が存在し得ることを認識し、理解した。
【0035】
一部の実施形態は、管の病変又は閉塞を精査するためのセンサ及び電子回路(例えば、集積回路、導電性パッド、相互接続層、ワイヤ)を含むように製造され得る可撓性回路を含む。可撓性回路は、1又は複数の集積回路が配設された可撓性回路基板であり得る。回路基板は、一部の実施形態では、侵襲性プローブの少なくとも一部の中及び/又は周囲に巻着することができるように可撓性であってもよい。可撓性回路基板を巻着することにより、可撓性回路によって占められる体積、回路基板のために必要とされる直径、又は可撓性回路基板が配置される侵襲性プローブの内部の他の寸法を低減しながら、回路基板の表面積を増加させることが可能になり得る。表面積を増加させることで、集積回路などの電気部品を配置するためのより多くの表面積を提供することができ、それにより、侵襲性プローブ(例えば、ガイドワイヤ)の非可撓性ハウジング上又はその中に複数の(例えば、2つ以上の)集積回路を配置するための技術を提供する。
【0036】
当業者は、巻着された可撓性回路基板は、可撓性回路基板内の構成要素及び/又は可撓性回路基板に取り付けられた構成要素に撓曲力を印加することを理解するであろう。かかる撓曲力は、回路基板の構成要素を劣化及び/又は破損させ、侵襲性プローブの信頼性に影響を及ぼす可能性がある。本発明者は、可撓性回路の特定の設計が、これらのリスクを軽減し、可撓性及び巻着を可能にしながら、構成要素の信頼性も可能にし得ることを認識し、理解した。
【0037】
一部の実施形態では、可撓性回路は、第1の領域(例えば、可撓性領域)と、第2の領域(例えば、剛性領域又は非可撓性領域)とを備え、第1の領域は、第2の領域より可撓性が高い。これは、有利には、回路が侵襲性プローブの一部又は可撓性回路基板自体の一部の内部及び/又は周囲に巻着し得る比較的可撓性が高く1又は複数の部分を可撓性回路に提供することができ、一方、可撓性回路全体が巻着されるとき、1又は複数の他の部分は比較的可撓性が低く、巻着されず又は撓曲されず、又は第1の部分よりも少なく撓曲される。
【0038】
可撓性回路の第1の領域(複数可)は、可撓性回路内及び侵襲性プローブの構成要素間で電気信号を搬送する受動相互接続材料(例えば、導電性トレース又は他の回路基板相互接続構造)などの一部の電気部品(例えば、受動部品)を含むことができ、第1の領域(複数可)は、撓曲するように配置して、これらの電気部品に印加される撓曲力を軽減し、かつ/又は構成要素を劣化又は破壊するリスクを軽減するように電気部品に撓曲力を印加することを可能にし得る。例えば、第1の領域は、第1の領域の上側に配置された、ポリイミド又は別の材料などの可撓性材料の第1の層と、第1の領域の底側に配置された可撓性材料の第2の層とを含み得、相互接続材料(例えば、導電性材料)の1又は複数の層が、可撓性材料の2つの層の間に配設される。可撓性材料の2つの層は、一致する(例えば、同一の)厚さを有することなどによって、一致した可撓性を有する第1の領域に配置され得る。上部可撓性層及び下部可撓性層の可撓性を一致させることにより、相互接続材料に撓曲力を印加することが可能となり得、破損による相互接続材料の劣化又は破損のリスクが軽減される。
【0039】
可撓性回路の第2の領域(複数可)は、第1の領域よりも可撓性が低く、侵襲性プローブのチップ又は集積回路(例えば、侵襲性プローブの1又は複数のセンサを動作させて、例えば、侵襲性プローブによって接触される管の組織(複数可)の電気的特性を検知するための1又は複数の集積回路)を含み得る。一部の実施形態では、第1の領域(複数可)より可撓性が低い第2の領域(複数可)は、非可撓性であり得る。第2の領域を非可撓性又は低可撓性にすることにより、第2の領域の集積回路(複数可)を、集積回路を劣化又は破壊し得る撓曲力を受けることから保護することが可能になり得る。一部の実施形態では、可撓性回路は、侵襲性プローブの非可撓性ハウジングに対して侵襲性プローブ内に配置されてもよく、第2の領域(複数可)の集積回路は、非可撓性ハウジングが第2の領域(複数可)への撓曲力の印加からのある程度の保護を提供するか、又はそれを防止し得る位置において、非可撓性ハウジング内に配設される。
【0040】
一部の実施形態に関して、可撓性回路の第1の領域は、可撓性回路基板に可撓性を提供又は維持する有機又はポリマー材料を含み、可撓性回路の第2の領域は、有機構成要素より可撓性が低い1又は複数の無機構成要素(例えば、シリコン及び/又は1又は複数の他の無機半導体材料を含むチップ)を更に含み得る。
【0041】
特定の実施形態では、可撓性回路基板は、管の病変のパラメータ又は値(例えば、インピーダンス)を検知するように構成された2つ以上の集積回路(例えば、第1の集積回路、第2の集積回路)を備える。それらの2つの集積回路のうち、データの検知の信頼性の増加を推進し得るようにそれらの間で機能が分割され得る。例えば、第1の集積回路は、能動回路を含み、病変のインピーダンスを測定するための1又は複数のセンサと動作可能に結合及び駆動することができ、可撓性回路内のセンサ(1又は複数の電極対として実装され得る)と直接接続されてもよい。第1の集積回路は、第2の集積回路よりもセンサ(複数可)に近い可撓性回路基板上に配設され得る。一部のかかる実施形態では、第2の集積回路は、第1の集積回路の能動回路によって駆動される受動回路を含んでもよく、一例として、侵襲性プローブの通信ワイヤに沿った伝送に先立って、又はその一部として、電気信号をフィルタ処理するなど、第1の集積回路から受信された情報を処理するように構成されてもよい。一部の実施形態では、2つ以上の集積回路は、可撓性回路の非可撓性領域内に収容され得る。一部のかかる場合、非可撓性領域は、可撓性回路内で可撓性領域によって接続された2つの非可撓性領域であり得る。
【0042】
本明細書の特定の実施形態はまた、侵襲性プローブの回路基板(例えば、可撓性回路基板)を、侵襲性プローブの電子機器に電力及び/又は通信を提供する1又は複数のワイヤなど、侵襲性プローブの他の部分に接続するための技術を含む。当業者は、ワイヤと回路基板との間の接続点は、撓曲力を含む力が印加された場合、劣化又は破損し得る潜在的な脆弱領域となることを理解するであろう。侵襲性プローブが動物の解剖学的構造をナビゲートする際に侵襲性プローブに印加されることが予想される撓曲力のために、当業者は、接続点が撓曲力から保護され得る非可撓性ハウジング内に侵襲性プローブのワイヤのための接続点を含むことが望ましいことを理解するであろう。しかしながら、上述したように、管の寸法、従って侵襲性プローブの寸法は比較的小さい場合があり、非可撓性ハウジング内には限られた空間しか存在しない場合がある。非可撓性ハウジング内に接続点を含めることにより、構成要素のために利用可能な空間が制限される場合があり、これは、ワイヤのために利用可能な空間を制限し、ワイヤの数を制限することを含み得る。ワイヤの数を制限することは、望ましくないことに、侵襲性プローブの機能を制限する可能性がある。したがって、非可撓性ハウジングの信頼性の利点を引き出すために、非可撓性ハウジング内に接続点を含めることから生じる、信頼性と機能との間の対立関係が存在する。
【0043】
本発明者は、侵襲性プローブの非可撓性ハウジングの外側に配設された接続点であっても信頼性の向上を可能にする侵襲性プローブのワイヤの接続点のための特定の配置の利点を認識し、理解した。本明細書に記載される一部の実施形態では、可撓性回路基板の少なくとも一部又は領域は、非可撓性ハウジングの外側に延在し得る。可撓性回路基板のこの領域は、可撓性であってもよく、第1の接点及び第2の接点を含む、2つ以上の導電性接点を含んでもよい。ハウジングの外側に配設される2つ以上のワイヤ(例えば、第1のワイヤ、第2のワイヤ)はそれぞれ、非可撓性ハウジングの外側の領域内の2つ以上の導電性接点の各々のうちの1つに電気的に接続され得る。電気的接続は、2つ以上のワイヤを短絡させることなく、かつハウジング内の構成要素のためのより多くの空間を提供しながら、回路とガイドワイヤの他の部分との間の電気通信を有利に提供することができる方法で行われてもよい。例えば、侵襲性プローブのワイヤは、ワイヤの絶縁ジャケットが物理的に接合されたリボンワイヤとして配置されてもよい。この例では、リボンの各ワイヤ用の各絶縁ジャケットは、可撓性回路の各導電性接点に接触することができるが、各ワイヤは、導電性接点のうちの1つのみに電気的に接続される。この例では、導電性材料を使用して、リボンワイヤを導電性接点の各々に結合し、各ワイヤとそれぞれの導電性接点との間に電気的接続を形成することができる。有利には、導電性材料はまた、可撓性回路、導電性接点、及び/又はリボンワイヤ上に配設されると、非可撓性であり得る。この場合、導電性材料は、この例では、非可撓性ハウジングの外側に非可撓性領域を形成することができ、非可撓性領域は、より可撓性が高い導電性材料を含まない領域によって分離される。導電性材料の領域のこの配置を通して、可撓性の領域が散在する非可撓性の領域が提供され得、これは、侵襲性プローブが動物の解剖学的構造をナビゲートするのに十分に全体的に可撓性であることを可能にし得る一方で、ワイヤと可撓性回路との間の電気的接続の信頼性を高めるために侵襲性プローブの標的領域における非可撓性も提供する。
【0044】
本明細書に記載される種々の例は、脈管構造病変及び脈管構造病変を治療する方法に関連して医療デバイスを説明するものである。しかしながら、実施形態はそのように限定されないことを理解されたい。病変の特性を検知し、治療勧告を生成するための本明細書に説明される技術は、動物の任意の好適な解剖学的導管と併用することができる。かかる管は、例えば、脈管構造管及び胃腸管を含んでもよい。当業者は、解剖学的構造内の管が解剖学的空洞とは異なることを理解するであろう。例えば、管は、1つの寸法(例えば、幅)が別の寸法(例えば、長さ)よりも著しく小さくてもよい。
【0045】
したがって、一部の実施形態では、侵襲性プローブは、脈管構造の病変の診断及び/又は治療のための医療デバイスの構成要素であり得る。例えば、医療デバイスは、血栓摘出デバイスであってもよく、侵襲性プローブは、血栓摘出デバイスの構成要素であってもよい。したがって、侵襲性プローブは、ガイドワイヤ、吸引カテーテル、マイクロカテーテル、ステントリトリーバ、及び/又は別の血栓摘出デバイスの構成要素であってもよい。一部の実施形態では、医療デバイスは、ガイドワイヤ、吸引カテーテル、及びステントリトリーバのうちの2つ以上を含んでもよく、侵襲性デバイスは、これらの全てを含む、これらのうちの1又は複数のものの構成要素であってもよい。
【0046】
上述のように、本明細書に記載される一部の実施形態は、動物(例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物を含む、ヒト又は非ヒト動物)に挿入されると、動物の生体構造の診断及び/又は治療を補助し得る侵襲性プローブを含む医療デバイスに関する。一部の実施形態では、生体構造は、動物の病変であってもよく、場合によっては、動物の管の病変又は動物の解剖学的構造の他の場所(すなわち、管以外の場所)で生じる病変であってもよい。病変は、動物の解剖学的構造における異常、例えば、動物の一部の正常な構造及び/又は機能からの逸脱、例えば、傷害、医学的状態、又は疾患に関連する異常であり得る。病変は、動物の異なる部分に現れてもよく、例えば、動物の管内に含まれてもよい。管の病変は、例えば、管を完全又は部分的に閉塞する閉塞として作用し得る。管は、例えば、動物の血管又は他の管であってもよく、病変は、全体的又は部分的に、管内の増殖、管内の材料の蓄積、及び/又は病変の任意の他の原因によって形成されてもよい。一部の実施形態の侵襲性プローブは、生体構造(例えば、病変)の特性を検知するための1又は複数のセンサを有してもよく、それによって生体構造の組成を決定することを含んでもよい。
【0047】
一部の実施形態では、生体構造の組成を検出することは、構造内に存在する1又は複数の細胞及び/又は1又は複数の組織、及び/又は構造内に存在する1又は複数のプラーク材料を含む、構造内の1又は複数の生体材料を識別することを含み得る。識別される構造の生体材料は、生体構造中に存在する全ての生体材料、又は構造中に存在する生体材料の一部のみであり得る。生体材料のうちの一部のみが識別される場合、識別される材料(複数可)は、生体構造の組織/細胞などの特定のタイプの材料(プラーク材料などの他の材料と比較して)又は特定のタイプの組織/細胞(例えば、病変内に存在する赤血球であって、他のタイプの細胞ではない)の材料のみであり得る。組成が決定され、1つ又は一部のタイプ(複数可)の生体材料のみが識別される場合、組成を決定することは、生体構造中の識別された材料(複数可)の量(複数可)を決定すること、例えば、生体構造の総材料に対する識別された材料(複数可)の1又は複数の比を計算することによることを含む、病変の総材料に対する識別された材料(複数可)の量(複数可)を決定することを含み得る。
【0048】
本発明者は、脳脈管構造を含む神経脈管構造に形成された病変(凝血塊など)を診断及び/又は正常に治療するのにかかる時間を短縮するツールが望ましく、有利であり得ることを認識した。凝血塊は、閉塞された血管の位置で(例えば、血栓として)発生し得るか、又は、四肢内などの血管系の他の領域で発生し、その後分離して脳に移動し(例えば、塞栓症として)、脳の血管内に留まるようになる可能性がある。凝血塊によって引き起こされる閉塞が血液及び酸素の流れを制限又は閉塞する場合、患者は脳卒中を患う可能性がある。脳卒中を患う患者は、しばしばカテーテル法によって治療される。治療は、典型的には、非常に可撓性の小さいガイドワイヤに沿ってカテーテルを前進させることによって、頸動脈の中へ経皮的にカテーテルを配置することを含む。次いで、臨床医は、種々の手段によって凝血塊を除去しようと試みる。凝血塊を除去する最初の試みは、吸引カテーテルを用いて吸引を適用することであることが多い。これが成功しない場合、別の選択肢は、ステントリトリーバなどの機械的な除去ツールである。異なるタイプの凝血塊は、吸引による除去の影響を多かれ少なかれ受けやすいため、凝血塊の性質のために吸引が失敗することが多い。脳内の動脈が詰まる分、脳へのより多くの損傷が生じ得る。したがって、これらの患者を治療する際には、時間が重要となり得る。発明者は、凝血塊が除去されるまで、種々のツール、すなわち、ガイドワイヤ、吸引カテーテル、及び場合によってはステントリトリーバを用いて実験し、連続的に使用しなければならないことが、治療時間を最小限にするための努力を複雑にし得、患者に有害な転帰をもたらし得ることを認識した。
【0049】
本発明者は更に、脳脈管構造を通したカテーテル及びガイドワイヤを含む、ツールの挿入が、多くの場合、問題であることを認識した。大脳血管は、頸動脈を介して血管系の残りの部分に接続されている。これらの動脈は、特に蛇行形状を有し、ツールの挿入を複雑にする。具体的には、頸動脈は、蝶形骨分節(M1と称されることが多い)及び島分節(M2と称されることが多い)に近接した領域にS字状屈曲部を含む。体内の他の場所の原点から(例えば、四肢などの末梢から開始して)脳脈管構造の中にツールを挿入するために、臨床医は、このS字状屈曲部を通してツールを通過させる。しかしながら、このS字状屈曲部は、挿入を複雑にし、ツールの設計を複雑にする。
【0050】
ツールは、典型的には、脈管構造を通してナビゲートされると、屈曲及び撓曲するが、S字状屈曲部の蛇行形状は、多くの場合、通過に応じて、外部機械的力がもはやツールに印加されないときでも、屈曲を保持するように、ツールを捻転又は降伏させる。捻転とは、外部の機械的な力がツールに印加されない場合であってもツールによって保持されるツールの屈曲又は折り畳みであり得、ツールの1又は複数の材料の変形に起因する。ツールの捻転は、例えわずかであっても、又はわずかに屈曲していても、多くの問題を引き起こす可能性がある。第1に、捻転したり屈曲したりすると、ツールの長さに沿ってトルクを伝達することが困難になり得る。トルクの伝達は、脈管構造内に位置するツールの遠位端が、潜在的に動物の外側に位置し、臨床医によって操作されるツールの近位端から操縦されることを可能にする。捻転又は屈曲がトルクの伝達を防止又は制限する場合、これは、S字状屈曲部の他方の側で患者の脈管構造を通してツールを適切に操向する臨床医の能力を有意に制限する可能性がある。第2に、ツールは、典型的には、臨床医によって印加されるトルクに応答して、前後に容易に屈曲及び撓曲するが、いったん捻転又は屈曲が発生すると、ツールは、もはや、同じように屈曲及び撓曲しない場合がある。捻転又は屈曲の結果として、ツールは、代わりに、トルクの印加に抵抗する場合がある。ツールがこのように抵抗すると、印加された力が捻転/屈曲によって課される抵抗を克服するまで、ポテンシャルエネルギーが蓄積し得る。抵抗が克服された時点で、ツールは突然かつ強力に反応して、新しい位置にスナップする場合がある。この現象は、「ホイッピング」と称される。S字状屈曲部を通過する間に生じる捻転/屈曲の結果としてかかるホイッピングが生じ得るS字状屈曲部を通過した領域では、脈管構造は繊細で寸法が小さく、ホイッピングにより脈管構造が著しく損傷する可能性がある。脳への完全かつ適切な血流の損失は、ほんの数分以内に永久的な損傷を引き起こし得るため、脳脈管構造へのいかなる損傷も重大であり得る。
【0051】
ホイッピングのリスクのために、脳脈管構造への挿入のためのツールの設計の重要な態様は、捻転が発生する可能性を低減することである。
【0052】
本発明者は、生体構造の1又は複数の特性を測定するための複数のセンサを含む、身体の管に挿入される(S字状屈曲部を介して神経脈管構造に挿入されることを含む)デバイスが、典型的な従来のツールの上述の問題の一部又は全てを軽減又は排除するように有利に設計及び適合され得ることを認識した。例えば、生体構造の1又は複数の点又は生体構造の環境の1又は複数の点で生体構造のインピーダンスを測定するセンサは、測定値を処理して、生体構造を識別及び/又は特徴付け得る情報、又は生体構造をどのように治療するかに関する情報などの、それらが遭遇する生体構造の性質に関する情報をもたらすように構成されてもよい。
【0053】
しかしながら、このようにセンサを追加することは、捻転の影響を低減するという目標と厳密に矛盾する。複数のセンサは、典型的には、本明細書に説明されるタイプのデバイスに含まれない。従来の設計による典型的な従来のデバイスに複数のセンサを含めることは、挿入可能デバイスのサイズを望ましくない程度まで増大させることになる。加えて、従来、かかる挿入可能デバイスは、挿入可能デバイスのコアに中空チューブを含み、制御信号及び/又はデータをセンサ(従来のデバイスは、多くとも1つのセンサを有する)に搬送するためのワイヤは、チューブに沿って挿入可能デバイスの長さを進行している。従来の設計に従って、センサの数を増加させることは、ワイヤの数の対応する増加をもたらし、また、かかる従来のデバイスでは、チューブの直径を増加させる。かかるチューブの直径の増加により、捻転の影響の対応範囲も増加し得る。かかるデバイスは、より大きな直径及び捻転に対する影響が増大するため、神経脈管構造での使用には好適ではない。
【0054】
したがって、本発明者らは、生体構造の1又は複数の特性を検出するための複数のセンサを含む挿入可能なプローブとともに使用するための、ガイドワイヤを含む挿入可能デバイスのための従来の設計の代替案を開発し、本明細書に記載した。かかるデバイスは、一部の実施形態では、神経脈管構造での使用に好適であり得る。
【0055】
挿入可能デバイスの実施形態が本明細書に記載され、一部のかかる実施形態では、生体構造の1又は複数の特性を検出するための複数のセンサを含む。一部の実施形態では、デバイスは、複数のセンサを含む一方で、また、寸法が小さく、捻転の影響を受けにくく、デバイスを操作する臨床医が脈管構造又は他の管を通してデバイスをナビゲートするためのトルクを伝達する良好な能力を有する。
【0056】
本明細書に記載される一部の実施形態の挿入可能デバイスは、中実コアを有する。挿入可能デバイスは、細長い本体の端部におけるプローブ上に1又は複数のセンサを含んでもよく、プローブ及び細長い本体の少なくとも一部は、動物の体内に挿入されてもよい。一部のかかる中実コアデバイスでは、プローブ及び/又は本体の最内部分は、中実鋼鉄ロッドから作製されるなど、中実であってもよい。これは、典型的には細長い本体に沿って中空コアを有する従来の挿入可能デバイスとは対照的である。従来のカテーテルがその一例である中空コアデバイスと比較して、本明細書に説明される侵襲性デバイスの特定の実施形態は、堅固に屈曲されたときでも、それらの断面形状を維持する可能性が高い。その結果、本明細書に記載される一部の実施形態の侵襲性デバイスは、脳脈管構造などの蛇行した解剖学的構造で使用するのに有利である。
【0057】
上述のように、病変の治療(例えば、血栓の治療)は、多くの場合、処置の異なる組み合わせを一緒に使用すること、又は治療選択肢のセット(例えば、複数の利用可能なツール)の中から特定の治療選択肢(例えば、1つのツール)を選択することを含み得る。どの治療が成功する可能性が最も高いかを事前に決定することを困難にしているのは、病変の性質と組成との間のばらつきが大きいことであり、これは特定の病変については未知であることが多い。特定の治療は、特定のタイプの病変(例えば、特定の性質又は組成を有する血栓)の治療に特に好適であり得るが、それらの同じ治療は、他のタイプの病変と併用するために十分に効果的でないか、又は最良の選択ではない場合がある。本発明者は、病変の性質及び/又は組成を決定することができる挿入可能デバイスの設計及び使用が、この選択の不確実性を排除又は軽減するのに有利であり得ることを認識した。特に、結果として、本発明者は、病変の1又は複数の特性又は属性を検知するためのツールを開発し、これは、病変を識別及び/又は特徴付け、かつ/又は病変に対する適切な治療を決定することを可能にし得る。開示される挿入可能デバイスの特定の実施形態、例えば、生体構造の1又は複数の位置における生体構造(例えば、病変)の1又は複数の値を検知するための複数のセンサを有する実施形態は、かかる機能を提供することができる。センサの使用を通して得られた情報は、次いで、凝血塊の組成などの凝血塊の1又は複数の特性を決定するために使用されてもよく、これは、ひいては、生体構造のための治療を選択又は勧告する際にシステム及び/又は臨床医を補助することができる。
【0058】
一部の実施形態では、侵襲性プローブは、生体構造のインピーダンスを測定するためのセンサを含み得る1つ又は一部のセンサを含むことができる。センサは、特定の周波数を有する電気信号が病変に印加された際の病変のインピーダンスを測定することができる。医療デバイスは、インピーダンス値に基づいて、生体構造の組成及び/又は生体構造の1又は複数の特性を決定するように構成され得る。例えば、各センサは、一部の実施形態では、侵襲性プローブの異なるセンサが、同時に、生体構造の異なる生体材料に対して異なるインピーダンススペクトルを生成し得るように、センサに接触する生体材料のインピーダンススペクトルを検出するように動作してもよい。一部の実施形態では、医療デバイスは、次いで、判定された組成に部分的に基づいて、治療勧告を生成することができる。上述したように、組成を決定することは、生体構造内の1又は複数の生体材料の量を識別することを含むことができ、この量は、生体構造の全ての材料よりも少ない場合がある。例えば、一部の実施形態では、赤血球から構成される生体構造の量が決定される。
【0059】
一部の実施形態では、挿入可能デバイスの複数のセンサは、デバイスのプローブセクション内に配置されてもよく、プローブセクションは、挿入可能デバイスの細長い本体の端部における遠位「作業ゾーン」(例えば、デバイスの最後の30cm~50cm)内にあってもよい。従来のデバイスでは、ワイヤリードは、典型的には、電気的に絶縁され、中空コア内に配置されるが、複数のセンサが中実コアを有するデバイス内に配置される実施形態では、本発明者は、電気ワイヤ及び結合の電気絶縁への異なるアプローチが有利であろうことを認識した。電気部品のかかる絶縁は、短絡を引き起こし得る環境要因(例えば、液体)との接触の機会を防止又は低減し得る。一部の実施形態では、ワイヤリードは、中実コアの周囲に巻着されるか、又は別様にそれに沿って配設され、保護ジャケットは、ワイヤリードを取り囲む。一部の実施形態では、ジャケットは、侵襲性プローブの厚さが実質的に変化しないが、ワイヤリード及びそれらの接続を流体から隔離するために十分に頑丈であるように、十分に薄くてもよい。一部の実施形態では、ジャケットはポリイミド製である。
【0060】
本発明者はまた、特定の実施形態では、動物の体内に挿入することができ、小さい寸法の複雑な解剖学的構造をナビゲートする必要があり得るデバイスの遠位部分に、デバイスのセンサ及び他の電子回路の両方を配設することによって、特定の動作上及び性能上の利点をもたらすことができることを発見した。本発明者は、特定の実施形態では、センサによって検出された値を処理する回路を含む、センサを動作させる回路をセンサに近接して配置することにより、信号のノイズ及び/又は減衰を制限することができることを更に発見した。特に、長く細長い本体を有するデバイスの場合、処理構成要素が検知される生体構造から離れるほど、典型的には、信号は、ノイズ及び減衰の影響をより受けやすくなる。
【0061】
一部の実施形態では、挿入可能デバイスがナビゲートし得る解剖学的構造の寸法に対する制限に起因して、プローブ及び細長い本体の少なくとも一部を含むデバイスの遠位端の直径は、有利には、0.014インチ(本明細書では、インチ単位の測定値を示すために二重引用符が使用される)、すなわち、0.36mm(ミリメートル)を超えなくてもよい。
【0062】
上記で簡単に説明し、以下でより詳細に説明するように、一部の実施形態では、挿入可能デバイスのプローブ領域内にセンサ及び回路を収容するために、センサ及び/又は回路は、可撓性回路基板を含む可撓性基板上に配設され得る。これらの基板は、センサ及び回路をホストするチップのための支持体として機能することができる。可撓性であるため、一部の実施形態では、基板は、挿入可能デバイス内(又は少なくとも部分的にその中)でそれ自体の周囲に巻着されることを含む、全体的寸法を実質的に制限するように湾曲されてもよい。例えば、可撓性基板の少なくとも一部は、挿入可能デバイスの中実コアの周囲に巻着されてもよい。センサは、可撓性基板上に配置されると、可撓性基板が挿入可能デバイスのプローブの外部の周りに巻着された際にセンサがプローブの外側に配置されるように配置することができる。
【0063】
一部の実施形態では、かかる可撓性基板は、堅固に巻き付けられてもよく、可撓性基板は、極めて薄く、耐性のある可撓性材料から作製されることが有益であり得る。一部の実施形態では、回路基板上に位置するチップ(例えば、処理回路をホストするチップ)は、湾曲されるほど十分に可撓性ではない場合がある。一部のかかる実施形態では、チップ又は他の構成要素が、可撓性検知部への電気相互接続及びワイヤリードへの相互接続を伴って、プローブの内側に配置され得る。電子機器の短絡を引き起こし得る任意の環境要因(例えば、液体)から、可撓性回路に取り付けられた小さなワイヤのはんだ付け点を保護するために、一部の実施形態では、全てのはんだ付け点を、エポキシのようなポリマー又はシアノ(例えば、シアノアクリレート)に埋め込むことが望ましい場合がある。
【0064】
一部の実施形態では、プローブ内に電子回路を収容するために、能動電子機器のパッケージングがほとんど存在しない場合がある。例えば、一部の実施形態で使用されるチップは、標準的なパッケージング技術を使用して最初にパッケージングされてもよいが、その後、挿入可能デバイスに設置される前に、パッケージングの一部を除去するために「薄く」されてもよい。可撓性基板内の電気的相互接続の破断の可能性を回避又は低減するために、場合によっては、可撓性電子機器の極端な屈曲を回避するか、又は基板の機械的中立面に屈曲に対してより高感度な一部の要素を配置し、基板を屈曲させる間にそれらの要素内の応力を制限することが望ましい場合がある。
【0065】
開示されたデバイスの一部は、臨床医が動物の体内で挿入可能デバイスを操縦し操向するのを補助するために、良好なトルク能力を有するように構成される。場合によっては、挿入可能デバイスは、臨床医がトルクをデバイスに印加し、それを屈曲させ、身体内の対象領域(例えば、疑わしい病変の場所)への経路に沿って遭遇する解剖学的構造内の急峻な湾曲をナビゲートすることが可能であるために、十分にトルクを加えることができる。
【0066】
一部のかかる実施形態では、トルク対応デバイスは、近位端(臨床医により近い)から遠位端(動物の体内で最も遠くに位置決めされた先端により近い)までテーパ形状を有するコアを有する。臨床医によって取り扱われる領域である近位端に近いほど、コアは、より高いトルク伝達を提供するためにより厚くすることができる。遠位端に近いほど、領域は、身体の一部の部分の蛇行した解剖学的構造を通して誘導されるために、より高い可撓性を必要とし得る。この領域では、コアの厚さを減少させることができ、これにより可撓性を高めることができる。このコアは、一部の実施形態では、高強度の可撓性材料から構築されてもよい。例えば、コアは、HiTen 304Vステンレス鋼などの高強度ステンレス鋼であってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0067】
一例では、挿入可能デバイスは、ハンドルと先端との間に約200cmの長さを有し、複数のセグメントを含み、そのうちの一部は、テーパ状である。これらのセグメントのうちの最も長いものは、一部の実施形態では、130cm~170cmの長さ、及び0.010インチ(0.25mm)~0.014インチ(0.36mm)の直径を有し得る。このセグメントの遠位にあり、ツールのより可撓性の「作業ゾーン」に発展しているのは、テーパ状セクションであり、これは、5cm~10cmの間の長さ及び約0.005インチ(0.13mm)までテーパ状になる直径を有するテーパであり得る。テーパに続いて、長さ10cmのテーパ状セグメントがあり、その後、5cm~10cmの長さを有し、直径が約0.003インチ(0.08mm)までテーパ状になる別のテーパがあってもよい。遠位部分は、5cm~10cmの長さ及び約0.003インチ(0.08mm)の直径を有してもよい。可撓性基板は、プローブのこの遠位部分の周囲に巻着されてもよい。しかし、これらの寸法及びテーパは単なる例示であり、他の実施形態も可能であることを理解されたい。また、「直径」という用語は、本明細書では、円形断面を有する構造を指すだけでなく、円形断面を有さない構造も指すために使用されることを理解されたい。これらの状況において、直径という用語は、構造の非円形断面の最大幅を指す。
【0068】
一部の実施形態では、トルク伝達を更に促進するために、一部のプローブは、ファイラコイルを使用して、少なくとも部分的に巻着され得る。ファイラコイルは、1本のフィラメントを含んでもよく、又はマルチファイラコイルを形成する複数のフィラメントを含んでもよい。一部のかかる場合、少なくとも一部の実施形態では、プローブの中実コアの周囲に1又は複数のワイヤ/フィラメントを巻き付けることによって、マルチファイラコイルが形成され得る。コイルのワイヤ(複数可)は、一部の実施形態では、トルクの伝達のための効果的な手段を提供することができる。すなわち、臨床医がコイルのワイヤ(複数可)の一端に衝撃を与えることによってプローブのハンドルにトルクが付与されると、ワイヤ(複数可)に付与されたトルクは、プローブの長さに沿って巻線から巻線へと伝達される。一部の実施形態では、ファイラコイルは、内側中実コアがテーパ形状を有し、中実コアの他の領域より高い可撓性であるガイドワイヤの領域内に位置し得る。この領域にコイルを追加することにより、トルク性を追加しながら、(例えば、可撓性を大幅に低減しないことによって)可撓性を維持することができる。
【0069】
ファイラコイルのトルク能力は、巻線が互いに対して組み立てられる圧力を調整することによって、所望に応じて調整することができる。一部のかかる場合には、ワイヤが互いに対してより近くに位置決めされるほど、トルク伝達がより大きくなる。
【0070】
実施形態は、脳脈管構造を含む脈管構造に関連して本明細書に記載され、ヒトの解剖学的構造の一部の特徴(例えば、頸動脈の上部のS字状屈曲部)に有利であるとして記載されるが、実施形態は、ヒトの脈管構造での動作に限定されないことを理解されたい。実施形態は、代わりに、任意のタイプの解剖学的構造とともに、及び非ヒト哺乳動物又は非哺乳動物を含む任意のタイプの動物とともに動作することができる。
【0071】
一部の実施形態では、侵襲性プローブは、病変のインピーダンスを測定するためのセンサを含み得る。センサは、特定の周波数を有する電気信号が病変に印加された際の病変のインピーダンスを測定することができる。医療デバイスは、インピーダンス値に基づいて、病変の組成を決定するように構成され得る。医療デバイスは、次いで、決定された組成に部分的に基づいて、治療勧告を生成することができる。
【0072】
本明細書に記載される種々の例は、脈管構造病変及び脈管構造病変を治療する方法に関連して医療デバイスを説明するものである。しかしながら、実施形態はそのように限定されないことを理解されたい。病変の特性を検知し、治療勧告を生成するための本明細書に説明される技術は、動物の任意の好適な解剖学的導管と併用することができる。かかる管は、例えば、脈管構造管及び胃腸管を含んでもよい。当業者は、解剖学的構造内の管が解剖学的空洞とは異なることを理解するであろう。例えば、管は、1つの寸法(例えば、幅)が別の寸法(例えば、長さ)よりも著しく小さくてもよい。管は、可変的に管状である形状を有してもよく、一方、キャビティは管状でなくてもよい。
【0073】
したがって、一部の実施形態では、侵襲性プローブは、脈管構造の病変の診断及び/又は治療のための医療デバイスの構成要素であり得る。例えば、医療デバイスは、血栓摘出デバイスであってもよく、侵襲性プローブは、血栓摘出デバイスの構成要素であってもよい。したがって、侵襲性プローブは、ガイドワイヤ、吸引カテーテル、マイクロカテーテル、ステントリトリーバ、及び/又は別の血栓摘出デバイスの構成要素であってもよい。一部の実施形態では、医療デバイスは、ガイドワイヤ、吸引カテーテル、及びステントリトリーバのうちの2つ以上を含んでもよく、侵襲性デバイスは、これらの全てを含む、これらのうちの1又は複数のものの構成要素であってもよい。
【0074】
本発明者は、従来の血栓摘出デバイスを含む従来の医療デバイスが、血管を含む脈管構造の病変の特性に関する情報を提供せず、また、従来の医療デバイスが病変の治療のステータスに関する情報を提供しないことを認識し、理解した。本発明者は、この情報の欠如が病変の治療を困難にする一因となることを更に認識し、理解した。例えば、病変の組成に関する情報がなければ、臨床医は、各治療選択肢が異なる組成の病変に対して最良に機能し得るため、利用可能な治療選択肢間で選択することが困難であり得る。更に、病変に対する治療のステータスに関する情報がなければ、臨床医は、治療が成功して実施されているのか、それとも失敗して実施されているのかを知ることができない。この情報の欠如のために、病変を正確に治療するために複数の治療が必要となる場合がある。かかる治療の各々は、患者に対する傷害の危険性を増大させ、そしてより重要なことには、一部の病変について、病変の期間を増大させる。血管が病変によって部分的又は完全に閉塞される場合、減少した血流は、動物の組織に損傷を引き起こす可能性がある。
【0075】
したがって、本明細書に記載される実施形態によれば、医療デバイスは、病変の特性を決定し、治療の性能を監視し、並びに治療前及び/又は治療中に病変を治療する方法に関する勧告を生成することができる。この追加の情報は、病変をどのように治療するかを最初に決定する際に、並びに病変が1回の治療だけで除去されること、及びその後の治療が同じ病変に対して必要とされないことを確実にするか、又は少なくともその可能性を高めることを試みるために治療を実施する際に、臨床医を補助することができる。医療デバイスは、医療デバイスと病変との間の相互作用に関するリアルタイム情報を臨床医に提供することなどによって、医療介入の間、リアルタイムで臨床医に情報を提供することができる。リアルタイムは、一部の実施形態では、医療デバイスによって検知されている対応するデータの期間内の臨床医への情報の提供を含んでもよく、この期間は、5秒未満、10秒未満、30秒未満、1分未満、又は5分未満であってもよく、勧告を生成するためにデータに対して行われる分析の要件に依存してもよい。
【0076】
管の病変に関連して例を以下に説明するが、全ての病変が管内に形成されるわけではなく、一部の実施形態は、管以外の身体の領域に配設された病変で動作し得ることを理解されたい。例えば、一部の癌性細胞は、動物(例えば、ヒト)の身体の他の部分に形成されてもよい。本明細書に記載される一部の実施形態は、典型的には管内に見られない癌性細胞などの病変の診断及び/又は治療に関する。しかしながら、一部の癌性細胞は、管内に見出すことができ、本明細書に説明される他の実施形態は、かかる癌性細胞の診断及び/又は治療に関することを理解されたい。
【0077】
また、以下に説明される一部の例は病変に関連するが、実施形態は、病変とともに動作することに限定されず、生体材料の任意の好適な組成を有する、任意の対象生体構造とともに動作し得ることを理解されたい。
【0078】
技術の一般的な説明
本明細書に記載される一部の実施形態に従って動作する医療デバイスの例示的な構成要素の説明のための文脈を提供するために、
図1は、かかる医療デバイスを動作させるために臨床医が従い得るプロセスのフローチャートである。
図2~
図3は、医療デバイスの例を示しており、以下の他の図は、デバイスの他の構成要素及びかかるデバイスが動作され得る方法を詳細に示している。
【0079】
プロセス100は、動物である被験体における病変を診断及び/又は治療するために使用され得る。動物は、例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物を含む、ヒト又は非ヒト動物であり得る。病変は、動物の静脈又は動脈のような血管内などの管内の病変であり得る。管病変は、管を完全又は部分的に閉塞している場合がある。本明細書に記載される実施形態は、
-脈管構造において、病変の部位で形成された、又は体内の他の場所で形成され、病変の部位で詰まった凝血塊(赤血球、白血球、フィブリン、血栓、塞栓、及び/又は血小板を含む)、
-病変部位での内皮細胞への傷害後の瘢痕組織の増殖又は他の増殖などの、管壁から管の中心に向かう増殖、
-別様でその部位におけるその管に対して解剖学的に「正常」又は「健康」ではない管の中心に向かって管の壁から延在する組織(例えば、平滑筋細胞、弾性繊維、外部弾性膜、内部弾性部材、疎性結合組織、及び/又は内皮細胞)、
-コレステロール、カルシウム、脂肪性物質、細胞老廃物、フィブリン、及び/又は動物の管を通って流れる流体中に見出され得る他の材料(例えば、脈管構造病変の場合、動物の血液中に見出される物質)の蓄積を含む、病変の部位におけるプラーク材料の蓄積、
-転移及び/又はリンパ腫などの管に見られる癌性細胞、及び/又は
-動物の管の病変を引き起こし得る任意の他の組織及び/又は生体材料、
などの異なる特性の病変で動作することができる。
【0080】
異なる特性の病変は、管の外側に形成され得る。これらの病変には、癌腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫、黒色腫、新生物、混合型及び/又は肉腫などの癌性細胞が含まれる。
【0081】
一部の実施形態では、病変の組織学(例えば、病変が上記に列挙された生体材料のうちのどれを有するか)は、病変の複数のインピーダンススペクトルに基づいて、病変の組成を識別することを通して判定することができ、組成は、病変内に存在する生体材料を示すことができる。生体組織のかかる識別は、病変内に存在する組織及び/若しくは細胞、並びに/又は病変内に存在するプラーク材料、並びに/又は病変内のかかる組織、細胞、若しくはプラーク材料の相対量を識別することを含み得る。一部の実施形態では、病変に存在する生体材料を識別することは、組織/細胞について、組織/細胞が健康であるか不健康であるかなど、各生体材料の状態を識別することを含み得る。細胞の不健康な状態は、例えば、細胞が炎症を起こしているか、罹患しているか、癌性であるか、又は別様で異常な状態であるかを含み得る。
【0082】
実施形態は、任意の特定の形態若しくは組成の病変、又は被験体の解剖学的構造内の任意の特定の位置における病変を用いて動作することに限定されないことを理解されたい。上述したように、説明を容易にするために、管が動物の脈管構造である種々の例を以下に提供する。
【0083】
図1のプロセス100の開始に先立って、被験体は、脈管構造病変の症状を示す場合がある。初期決定は、血管造影法のような撮像技術を使用するなどして、病変が存在するかどうか、及び病変の潜在的な位置について、臨床医によって行われ得る。症状及び病変の位置の初期決定に基づいて、臨床医は、病変を更に診断及び/又は治療するために、被験体の脈管構造に侵襲性デバイスを挿入することを選択することができる。臨床医は、例えば、医師(例えば、内科医又は外科医)であってもよく、又は(潜在的に医師の監視下で)医療デバイスを操作する看護師又は医療技術者などの別の医療専門家であってもよい。一部の実施形態では、臨床医は、被験体の隣を含む、被験体と同じ部屋に位置してもよく、一方で、他の実施形態では、臨床医は、被験体から遠隔に(例えば、患者と同じ建物の異なる部屋に、又は患者から地理的に遠隔に)位置し、インターネット又は他の広域通信網(WAN)を含む、1又は複数の有線及び/又は無線ネットワークを介して、医療デバイスを制御するユーザインターフェースを操作してもよい。
【0084】
プロセス100は、ブロック102において開始し、臨床医は、侵襲性プローブを被験体の脈管構造に挿入する。ブロック102において臨床医によって挿入される侵襲性プローブは、医療デバイスのためのガイドワイヤの遠位端に位置してもよく、脈管構造への挿入のために成形され、サイズ決定され、配置されてもよい。加えて、ブロック102では、臨床医は、侵襲性プローブが病変に近接して位置するまで、被験体の脈管構造を通して侵襲性プローブを供給することができる。そうするために、臨床医は、血管造影技術を使用するなどの撮像技術を使用して、被験体内の侵襲性プローブの位置を監視することができる。ブロック102における侵襲性プローブの挿入及び供給は、既知の技術を使用することを含む、脈管構造へのデバイスの挿入のための好適な技術を使用して実施されてもよく、実施形態はこの方法に限定されない。
【0085】
ブロック104において、臨床医は、侵襲性プローブを操作して、病変の1又は複数の特性を決定する。特性は、生体構造を区別するか、又は生体構造の表現型を区別する特性を含む、病変のような生体構造の表現型及び/又は遺伝子型を含み得る。特性は、病変(又は他の生体構造)の治療に影響を及ぼす特性であってもよく、特性を有する病変は、特性を有さない病変から治療されてもよく、又は特性に対して異なる値を有する病変は、異なって治療されてもよい。かかる特性は、病変の解剖学的構造に関連する組織学的なもの、及び/又は病変が動物の体内にどのように位置決めされるか、若しくは動物の体とどのように相互作用するかに関連する解剖学的特性であり得る。したがって、特性は病変を記述することができる。例示的な特性として、病変の位置、病変のサイズ(例えば、長さ)、病変の組成、又は以下に詳細に説明される他の特性が挙げられる。特性を決定するために、侵襲性プローブの1又は複数のセンサは、病変の組織及び/若しくは他の生体材料、並びに/又は病変の近くに配設された健康な組織などの病変の部位における他の組織/材料の1又は複数の測定を行うことができる。センサ及び測定の例は、以下で詳細に説明される。ブロック104において侵襲性プローブを操作するために、臨床医は、侵襲性プローブの1又は複数のセンサを用いて病変に接触し、かつ/又は医療デバイスのユーザインターフェースを操作して、センサ(複数可)を使用して病変の特性を検出するように侵襲性プローブをトリガすることができる。
【0086】
一部の実施形態では、病変の1又は複数の特性を決定することは、例えば、病変内に存在する異なるタイプの細胞又は組織の量を識別することによって、病変の組成を識別することを含んでもよい。一例として、精査された病変は、50%の赤血球、30%のフィブリン、及び20%の血小板から構成されることが識別され得る。
【0087】
ブロック106において、臨床医は、医療デバイスを操作して、病変の決定された特性(複数可)に基づいて病変に対する治療勧告を生成し、出力する。以下に詳細に説明するように、病変の特性(複数可)に基づいて医療デバイスによって生成された治療勧告(複数可)は、病変を治療するためにどの治療デバイスを使用するか(例えば、病変の材料が被験体から除去される場合、吸引カテーテルを使用するか、ステントリトリーバを使用するか)及び/又は治療デバイスを使用する方法(例えば、ステントリトリーバをどれくらい速く抽出するか)などの、病変を治療する方法に関する勧告を含み得る。また、以下で詳細に説明するように、医療デバイスは、病変の特性(複数可)を複数の異なる治療選択肢の各々と関連付けられた条件と比較し、病変の特性(複数可)が治療選択肢のための対応する条件を満たす場合に治療選択肢の勧告を出力することなどによって、種々の分析に基づいて、治療勧告を生成することができる。医療デバイスによる出力は、ユーザインターフェースを介した臨床医への視覚フィードバック、聴覚フィードバック、及び/又は触覚フィードバックを含む、任意の好適な形態のユーザ相互作用を介してもよい。一部の実施形態では、医療デバイスは、ブロック106において、更なるユーザ介入を伴わずに、自動的に、ブロック104において決定された病変の特性(複数可)を分析し、治療勧告を生成/出力することができる。他の実施形態では、臨床医は、医療デバイスのユーザインターフェースを操作して、治療勧告の分析及び生成/出力を要求することができる。
【0088】
ブロック108において、臨床医は、医療デバイスの治療勧告を検討し、治療選択肢を選択し、ブロック110において、選択された治療選択肢を使用して病変を治療する。
【0089】
一部の実施形態では、選択された治療選択肢は、被験体の脈管構造の中への追加の侵襲性医療構成要素の挿入を含み得る。ブロック102において挿入された侵襲性プローブがガイドワイヤの構成要素であった場合、例えば、更なる治療デバイスが、ガイドワイヤに沿って挿入され得る。かかる場合の特定の例として、医療デバイスがステントリトリーバを使用して病変を完全に又は部分的に除去することを勧告する場合、ステントリトリーバを脈管構造に挿入することができる。別の例として、医療デバイスが、代わりに吸引カテーテルを用いた除去を勧告する場合、臨床医は、吸引カテーテルを脈管構造内に挿入することができる。更なる例として、医療デバイスがステントの埋め込みを勧告する場合、ステントインプランターが脈管構造に挿入され得る。
【0090】
他の実施形態では、治療は、別のデバイスの挿入を必要としない場合がある。例えば、ブロック102において挿入される侵襲性プローブは、ガイドワイヤの構成要素でなくてもよいが、代わりに、ステントリトリーバなどの治療デバイスの構成要素であってもよい。かかる場合、ブロック110の治療は、ブロック102において挿入された治療デバイスを使用して行われてもよい。例えば、ブロック102において挿入された侵襲性プローブがステントリトリーバの構成要素である場合、ブロック106の治療勧告は、ステントを拡張する量、凝血塊がステントと癒合するのを待つ時間量、及び/又はステント及び凝血塊を引き出す力若しくは速度などの、ステントリトリーバを動作させる方法に特有であり得る。かかる一実施形態では、ブロック110において、臨床医は、ブロック106において医療デバイスによって勧告されるようにステントリトリーバを動作させることによって病変を治療することができる。
【0091】
ブロック110において病変が治療されると、プロセス100は終了する。病変の治療後に一部の実施形態において取られ得る追加のアクションが、以下に説明される。
【0092】
医療デバイスの例
上述したように、
図1は、動物の脈管構造内の病変を診断及び/又は治療するために、本明細書に記載される一部の実施形態による医療デバイスを操作することができる方法の一般的な説明を提供した。
図2~
図3は、かかる診断及び/又は治療の一部として脈管構造に挿入され得る侵襲性プローブを含む医療デバイスの一部の実施形態の例を提供する。
【0093】
図2は、被験体204の医学的状態を診断及び/又は治療するために臨床医202によって操作され得る医療デバイス200を示している。動物204(例えば、ヒト)の医学的状態は、虚血性脳卒中を引き起こし得る、ヒトの頭蓋血管内の病変として
図2の例に示される、脈管構造の病変204Aであり得る。上述のように、病変204Aは、凝血塊、プラークの蓄積、平滑筋組織の過剰な増殖、及び/又は血管の他の病変であり得る。
【0094】
図2に示す医療デバイス200は、ガイドワイヤ206と、ハンドル208と、侵襲性プローブ210とを含む。侵襲性プローブ210及びガイドワイヤ206の少なくとも一部は、侵襲性プローブ210が病変204Aに近接して位置するまで、被験体204の脈管構造に挿入され得る。したがって、侵襲性プローブ210は、脈管構造(又は他の管)への挿入のために成形され、別様で配置されてもよい。一部の実施形態では、侵襲性プローブ210は、約300マイクロメートルであるガイドワイヤ、又は直径が約300μm~4mmであるマイクロカテーテル、又は動物の管の中への挿入に好適な直径を有する別のデバイスに取り付けられる。かかるデバイスは、一部のかかる実施形態では、約1メートル又は2メートルの長さであってもよく、侵襲性プローブ210は、ガイドワイヤ/デバイスの一端、例えば、デバイスの最後の5センチメートル以内に位置する。
【0095】
被験体204に挿入される侵襲性プローブ210は、1又は複数のセンサ212及び測定ユニット214を含み得る。一部の実施形態では、センサ(複数可)212は、病変204Aの組織及び/又は生体材料の1又は複数の電気的特性を測定することを含む、病変204Aの1又は複数の電気的特性を測定することができる。測定ユニット214は、センサ(複数可)212によって生成されたデータを受信することができ、一部の実施形態では、1又は複数の電気特性を測定することの一部として、病変204Aに印加される1又は複数の電気信号を生成することができる。
【0096】
センサ212の例は、以下で詳細に説明される。1つの特定の例として、センサ(複数可)212は、インピーダンスセンサであってもよく、測定ユニット214は、センサ(複数可)212を駆動して、病変204Aの電気インピーダンス分光法(EIS)を実施してもよい。例えば、測定ユニット214は、1又は複数の周波数の電気信号を生成するための1又は複数の発振器を含むことができ、これらの周波数は、以下で詳細に説明するように、病変204Aの組成を識別するのを補助するために、異なる組織及び/又は異なる生体材料を判別するために選択された(及び測定ユニット214の発振器が生成するように構成された)特定の周波数とすることができる。複数の周波数を使用して組織/材料を試験するように配置された実施形態では、測定ユニット214は、複数の発振器を含むことができ、1つの発振器は、試験される各周波数に固有であり、その周波数の信号を生成するように構成される。
【0097】
測定ユニット214が病変204Aに印加される電気信号を生成する一部の実施形態では、測定ユニット214が侵襲性プローブ210内に含まれ、被験体204の脈管構造に挿入されることが有利であり得る。これにより、測定ユニット214をセンサ212及び病変204Aに近接して配置させ、病変204Aに印加される電気信号内のノイズを制限することができる。測定ユニット214がハンドル208内に位置した場合、例えば、測定ユニット214によって生成された電気信号は、病変204Aに適用されるように侵襲性プローブ210によって出力される前に、ガイドワイヤ206の長さを移動する。信号がガイドワイヤ206の長さを移動する場合、電気ノイズが信号品質に影響を及ぼす可能性がある。侵襲性プローブ210内に測定ユニット214を位置決めすることによって、信号のノイズを制限することができる。測定ユニット214が侵襲性プローブ210内に位置決めされるとき、それは、侵襲性プローブ210の管腔内、侵襲性プローブ210の表面(内部又は外部)上に位置決めされてもよく、又は侵襲性プローブ210の表面(内部又は外部)に貼り付けられたフィルムに埋め込まれてもよい。
【0098】
測定ユニット214は、一部の実施形態では、特定用途向け集積回路(ASIC)として配置され得る。一部のかかる実施形態では、ASICは、シリコン基板層を削減するパッケージングプロセスを使用して製造され得る。例えば、製造中に、能動部品を含まないシリコン基板層の上に機能部品を含む「能動」シリコン層を有する集積回路を製造してもよい。基板層は、層のスタック内の最下層であってもよく、場合によっては、最も厚い層であってもよい。従来、基板層は、集積回路に構造的安定性を与えるために、製造後にそのまま残されている。一部の実施形態では、測定回路214は、活性層の製造後及びパッケージング前にシリコン基板層を除去することを含むプロセスを使用して製造され得る。製造プロセスは、能動部品が製造された側とは反対側であり得るウェハの底面から基板を除去することを含み得る。一部の実施形態では、シリコン基板の全てが除去されてもよい。他の実施形態では、実質的に全てのシリコン基板が除去されてもよく、「実質的に」除去されることは、構造的支持のためだけにシリコン基板を残すことなく、活性層構成要素の適切な電気的機能を確実にするのに十分なシリコン基板のみを残すことを含む。シリコン基板を除去した後、集積回路をパッケージング材料内に収容することができる。
【0099】
一部の実施形態では、測定ユニット214をセンサ212及び病変204Aに近接して配置することにより、電気信号によって進行される距離が制限されるため、信号減衰を低減させることができる。電気ワイヤはローパス周波数応答を示す傾向があるため、信号減衰を低減させることは、より高い周波数において特に重要であり得る。信号が移動する距離を減少させることによって、信号源と病変との間の電気経路のカットオフ周波数を増加させることができ、それによって、診断又は治療で使用可能な周波数の範囲を増加させることができる。その結果、組織又は細胞の型を区別する能力を有意に高めることができる。測定ユニット214をセンサ212及び病変204Aに近接して配置することにより、一部の実施形態では、カットオフ周波数を最大1MHzまで、他の実施形態では、最大10MHzまで、又は更に他の実施形態では、最大25MHzまで増加させることができる。比較のために、測定ユニット214がハンドル208内に位置する場合、カットオフ周波数は、500kHz未満に制限され得る。
【0100】
実施形態は、センサ(複数可)212がEISセンサであること、又はEIS動作を実施するように駆動されることに限定されないことを理解されたい。一部の実施形態では、センサ(複数可)212は、1又は複数の電気的、機械的、光学的、生物学的、又は化学的センサであり得るか、又はそれらを含み得る。かかるセンサの具体例として、インダクタンスセンサ、キャパシタンスセンサ、インピーダンスセンサ、EISセンサ、電気インピーダンストモグラフィ(EIT)センサ、圧力センサ、流量センサ、剪断応力センサ、機械的応力センサ、変形センサ、温度センサ、pHセンサ、化学組成センサ(例えば、O2イオン、バイオマーカ、又は他の組成)、加速度センサ、及び運動センサが挙げられる。これらのセンサは、既知の市販のセンサを含み得る。
【0101】
一部の実施形態では、侵襲性デバイス210に含まれる測定ユニット214は、センサ212を駆動し、及び/又はセンサからの結果を処理して、ガイドワイヤ206に沿ってハンドル208に送り返されるデータを生成するように構成され得る。これは、例えば、治療勧告が医療デバイス200によって生成される実施形態の場合であり得る。病変204Aの特性(複数可)を示すデータは、ガイドワイヤ206の長さに沿って伝送され得る。かかる伝送中のノイズの影響を制限するために、一部の実施形態では、測定ユニット214は、ガイドワイヤ206を通って延在する通信チャネル(例えば、1又は複数のワイヤ)を介して伝送するためのデジタルデータを生成するためのアナログデジタル変換器(ADC)又は他の構成要素を含み得る。
【0102】
本明細書に記載の実施形態によれば、臨床医202は、医療デバイス200によって生成された1又は複数の治療勧告に従って病変204Aを治療することができる。
図2には示されていないが、医療デバイス200は、病変204Aの治療のためのかかる治療勧告を生成して出力するコントローラを含み得る。コントローラは、一部の実施形態では、医療デバイス200の少なくとも1つのプロセッサによって実行される実行可能コードとして実装される、病変分析ファシリティとして実装されてもよい。病変分析ファシリティは、1又は複数の治療勧告に関する構成された情報に関連して、医療デバイス200によって(例えば、侵襲性プローブ210によって)決定された病変204Aの特性(複数可)を分析することができる。1つの特定の例として、以下に詳細に説明するように、病変分析ファシリティは、病変204Aの特性(複数可)を種々の治療勧告に関連する条件と比較し、特性(複数可)がその治療勧告の条件(複数可)を満たすときに治療勧告を出力することができる。
【0103】
一部の実施形態では、病変分析ファシリティを実行するためのプロセッサ、並びに病変分析ファシリティ及び治療勧告のために構成された情報を記憶する記憶媒体(例えば、メモリ)は、ハンドル208内に配設されてもよい。したがって、ハンドル208内のプロセッサ(複数可)上で実行される病変分析ファシリティは、測定ユニット214から、ガイドワイヤ206の通信チャネルを介して、病変204Aの1又は複数の特性を示すデータを受信することができる。
【0104】
しかしながら、他の実施形態では、病変分析ファシリティを実行するためのプロセッサ、並びに病変分析ファシリティ及び治療勧告のための構成された情報を記憶する記憶媒体(例えば、メモリ)は、別個のコンピューティングデバイス内に配設されることなどによって、ガイドワイヤ206及びハンドル208とは別個に配設されてもよい。コンピューティングデバイスは、同じ室内に位置することなどによって、ガイドワイヤ206及びハンドル208に近接して位置してもよい。あるいは、コンピューティングデバイスは、同じ建物の異なる部屋に位置することによって、又はガイドワイヤ206及びハンドル208から地理的に離れて位置することによってなど、ガイドワイヤ206及びハンドル208から離れて位置してもよい。プロセッサ/媒体がガイドワイヤ206及びハンドル208とは別個で特定の実施形態では、コンピューティングデバイスは、ハンドル208からコンピューティングデバイスへの直接配線、ハンドル208とコンピューティングデバイスとの間の無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)、ハンドル208とコンピューティングデバイスとの間の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、ハンドル208とコンピューティングデバイスとの間の無線広域通信網(WWAN)、及び/又はインターネットを含む、1又は複数の有線及び/又は無線の通信ネットワークを介して、病変204Aの1又は複数の特性を示すデータを受信してもよい。したがって、一部の実施形態では、ハンドル208は、1又は複数のネットワークを介して通信するための1又は複数のネットワークアダプタを含み得る。
【0105】
治療勧告が医療デバイス200によって生成されるとき、治療勧告は、臨床医202及び/又は任意の他のユーザへの提示のために、医療デバイス200によって出力することができる。出力は、1又は複数のネットワークを介して、別のデバイス及び/又はディスプレイ216などの1又は複数のディスプレイ、又は他の形態のユーザインターフェースへのものであり得る。
図2の例では、病変分析ファシリティは、ハンドル208内に配設されたプロセッサ上で実行し、治療勧告を生成することができ、勧告は、ハンドル208の無線ネットワークアダプタを介して、臨床医202に提示するためにディスプレイ216に出力することができる。実施形態はこの点において限定されないため、他の形態のユーザインターフェースが使用され得る。任意の好適な視覚、聴覚、又は触覚フィードバックが使用されてもよい。例えば、治療勧告が、吸引カテーテル又はステントリトリーバのいずれかを使用した病変の除去を勧告することである場合、ハンドル208は、各選択肢のための発光ダイオード(LED)又は他の視覚的要素を含み、適切なLEDを照明することによって治療勧告を提示してもよい。別の例として、治療勧告がステントリトリーバを操作する方法に関連し、特に、待機時間に続いていつ抽出を開始するかの勧告である場合、抽出を開始するための信号は、ハンドル208に組み込まれた振動ユニットを介して提供される触覚信号を使用して出力されてもよい。当業者は、上述したコンピューティングデバイスと同様に、ユーザインターフェースの要素は、ハンドル208内に配設され得、又はハンドル208とは別個に(又は更には遠隔に)配設され得ることを理解するであろう。
【0106】
電力は、ガイドワイヤ206の長さに沿って延在する電力ケーブルを介して、侵襲性プローブ210に提供され得る。電力ケーブルは、ハンドル208内の電源に接続することができ、電源は、バッテリ、エネルギーハーベスタ、グリッド電源への接続、又は他のエネルギー源接続であってもよく、実施形態は、この点において限定されない。
【0107】
一部の実施形態では、ハンドル208は、
図2に示されていない1又は複数のセンサを含み得る。ハンドル208に組み込まれたセンサ(複数可)は、医療デバイス200の動作を監視して、臨床医202によって治療が実施された方法を通知することができる。例えば、ガイドワイヤ206及び侵襲性プローブ210の動きを支配するハンドル208の動きを検出するために、加速度計又は他の動きセンサがハンドル208内に配置されてもよい。例えば、加速度計を監視することによって、臨床医202が病変を除去するために複数の治療(例えば、吸引カテーテル又はステントリトリーバを用いた複数の通過)を行ったかどうか、又は1回の通過のみで病変を抽出することができたかどうかの判定が行われてもよい。
【0108】
一部の実施形態では、ハンドル208は、ガイドワイヤ206から取り外し可能であってもよく、動作間で再使用可能であってもよい。したがって、侵襲性プローブ210及び/又はガイドワイヤ206は、再使用可能でないように配置されてもよく、代わりに、衛生上の理由で使い捨て可能であるように配置されてもよいが、ハンドル208は、ガイドワイヤ206に取り外し可能に取り付けられ、他のガイドワイヤ206及び侵襲性プローブ210とともに再使用されるように配置されてもよい。例えば、ガイドワイヤ206及びハンドル208は、ハンドル208がガイドワイヤ206と接続し、ガイドワイヤ206の構成要素(例えば、通信チャネル、電力ケーブル)及び侵襲性プローブ210とインターフェースすることを可能にする相補的インターフェースを有してもよい。
【0109】
臨床医202は、医療デバイスのユーザインターフェースを介して医療デバイス200を操作し得、ユーザインターフェースは、ディスプレイ216を含み、ハンドル208内に少なくとも部分的に配設することができる。例えば、ハンドル208は、臨床医202がガイドワイヤ206及び侵襲性プローブ210を脈管構造内で前後に移動させること、及び/又は侵襲性プローブ210の動作をトリガすることを可能にしてもよい。
【0110】
侵襲性プローブ210の動作は、侵襲性プローブ210の構成要素に依存し得る。例えば、侵襲性プローブ210は、病変204Aの1又は複数の特性を検知するためのセンサ(複数可)212を含んでもよい。侵襲性プローブ210は、電気信号を病変204Aに印加し、電気信号の印加中及び/又は印加後に病変204Aの1又は複数の測定を行うように1又は複数のセンサを動作させることなどによって、1又は複数の特性を検出するようにセンサを動作させる測定ユニット214を更に含み得る。一部の実施形態では、侵襲性プローブ210は、ステントを埋め込むこと及び/又は病変204Aを除去することを含む、病変204Aを治療するための1又は複数の構成要素を含み得る。病変除去構成要素は、病変の除去のための任意の好適な技術に関連するものを含んでもよく、実施形態は、これに関して限定されない。一部の実施形態では、例えば、侵襲性プローブ210は、ステントを使用して病変回収を行うためのステントリトリーバ構成要素(例えば、バルーン)、及び/又は病変をカテーテル内に吸引するための吸引カテーテル構成要素を含んでもよい。侵襲性プローブ210は、例えば、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)センサを含む、
図2に示されていない他のセンサを更に含み得る。
【0111】
ハンドル208内に全体的又は部分的に組み込まれ得る、医療デバイスのユーザインターフェースは、したがって、臨床医202が侵襲性プローブ210を用いて一部の異なる動作を行うことを可能にし得る。例えば、ハンドル208のユーザインターフェースは、臨床医202が、センサ212及び測定ユニット214をトリガし、電気信号を印加し、及び/又は病変204Aの測定を行い、かつ/又は病変204Aを治療するための1又は複数の治療動作を行うことを可能にし得る。
【0112】
医療デバイス200が、病変204Aを治療するための1又は複数の動作を実施するための治療構成要素を含み得る例が説明されたが、実施形態はそのように限定されないことを理解されたい。一部の実施形態では、医療デバイス200は、病変204Aに近接して位置決めされ、病変204Aを治療するように、ガイドワイヤに沿って挿入される、追加の治療デバイスのためのガイドワイヤであり得る。例えば、侵襲性プローブ210及びガイドワイヤ206の挿入後、臨床医202は、ガイドワイヤ206の長さに沿って別のデバイスを挿入してもよく、又はガイドワイヤ206及び侵襲性プローブ210を除去し、次いで、新しいデバイスを挿入してもよい。新たに挿入されたデバイスは、例えば、ステントインプランター、吸引カテーテル、ステントリトリーバ、又は病変204Aを治療するための他のデバイスであってもよい。追加のデバイスが挿入される一部の実施形態では、ハンドル208は、追加のデバイスと互換性があってもよく、したがって、追加のデバイス及びハンドル208は、互換性のあるインターフェースを有してもよく、ハンドル208のユーザインターフェースは、追加のデバイスを動作させるために使用されてもよい。
【0113】
加えて、臨床医202が治療勧告に従って医療デバイス200を手動で操作する例が提供されているが、実施形態はそのように限定されない。代替的な実施形態では、医療デバイス200は、センサ212からの入力に基づいて、病変を自動的に治療することができる。例えば、上記の簡単な説明及び以下の詳細な説明から理解されるように、医療デバイス200は、病変204Aを治療する方法に関する治療勧告を生成することができる。一部の実施形態では、医療デバイス200は、治療勧告に従って、ユーザ介入を伴わずに(ただし、一部の実施形態では、臨床医202の監視下で)、吸引カテーテル、ステントリトリーバ、ステントインプランター、又は他のデバイスを挿入及び/又は操作して、治療勧告に従って病変204Aを治療する。
【0114】
実施形態は、侵襲性であるか、又は動物の体内に挿入される侵襲性構成要素を含む医療デバイスとともに動作することに限定されないことを理解されたい。例えば、非侵襲性プローブは、本明細書に記載されるように選択された周波数若しくは特徴を使用して、又は本明細書に記載されるように訓練されたモデルを使用して動作することを含む、本明細書に記載されるように動作する測定ユニット及び/又はセンサ(EISセンサなど)を有し得る。かかる非侵襲性デバイスは、例えば、皮膚病変の診断及び/又は治療のために使用されてもよい。
【0115】
また、本明細書に記載される技術は、挿入され、次いで除去され得るガイドワイヤ又は他のツールなどの挿入可能デバイスとともに使用することに限定されず、埋め込み型デバイスとともに使用されてもよいことを理解されたい。例えば、本明細書で説明されるタイプの測定ユニット及びセンサは、センサがステント上に直接位置決めされる場合など、ステントと併用されてもよい。このようにして、ステントが位置決めされる領域内の組織の監視は、ステントが所定の位置に配置された後に1回実施されてもよい。センサは、ステントが配置される領域内の組織の1又は複数の特性(例えば、組成)を検知することができる。検知された特性は、ステントによって接触される1又は複数の生体構造の特性を推測し、1又は複数の生体構造に関する判定を行うために使用され得る。例えば、システムは、ステントが接触している組織が健康であるかどうか、又は瘢痕組織若しくは他の非健康組織が形成されているかどうか、又は閉塞が形成されたかどうかを判定するために使用されてもよい。
【0116】
図3は、一部の実施形態が動作し得る侵襲性プローブ210の例を示している。
図3の例の侵襲性プローブ210は、ステントと同様に配置されたメッシュ300を含む。侵襲性プローブ210は、一部の実施形態では、ステントリトリーバとして動作可能であり得る。他の実施形態では、侵襲性プローブ210は、ステントリトリーバとして動作可能でなくてもよいが、単一のセンサのみを使用して可能であり得るよりも高い精度で病変の特性を検出するように、センサと病変との間に複数の接触点を提供するメッシュ300又は別の構造を含んでもよい。
【0117】
しかし、一部の実施形態(
図3の実施形態ではない)では、侵襲性プローブ210は、例えば、侵襲性プローブ210の遠位端に位置し得る1つのみのセンサを含んでもよいことを理解されたい。かかるセンサは、2つの電極として実装されてもよく、そのうちの1つは、電気信号を病変に印加してもよく、そのうちの1つは、印加された信号を受信してもよい。印加信号と受信信号との比較に基づいて、以下で詳細に説明するように、1又は複数の決定を行うことができる。
【0118】
しかしながら、本発明者は、侵襲性プローブ210に追加のセンサを含めることが、より詳細な情報が決定されることを可能にし得ることを認識し、理解した。例えば、侵襲性プローブ210内に追加のセンサを含むことは、病変の組成に関する情報が、単一のセンサのみと比較してより正確に作成されることを可能にしてもよい。かかる追加のセンサは、例えば、インピーダンススペクトルが、侵襲性プローブに沿った複数の位置の各々に対して決定されることを可能にし得、その結果、一部の場合において、異なるインピーダンススペクトルが、同じ病変に対して異なる位置で決定され得る。これは、例えば、各センサを使用してインピーダンススペクトルを決定することを含み得る。この場合の各インピーダンススペクトルは、(2つの電極を有する)センサが接触する病変の生体材料のインピーダンススペクトルである。一部の病変は、複数の異なる生体材料(例えば、異なる組織若しくは細胞、又は異なるプラーク材料)を含み得る。侵襲性プローブの各センサが異なる生体材料に接触する場合、各センサは、異なる生体材料ごとに異なるインピーダンススペクトルを決定することができる。しかし、一部の病変については、侵襲性プローブの2つ以上のセンサが同じ生体材料に接触する場合があり、かかる場合、同じ又は実質的に同じインピーダンススペクトルを生成する場合がある。したがって、一部の実施形態では、侵襲性プローブは、各センサを動作させて、病変の生体材料のインピーダンススペクトルを生成することができる。病変の複数の生体材料の各々についてのインピーダンススペクトル(すなわち、各病変についての複数のインピーダンススペクトル)を生成することは、病変全体についての単一のインピーダンススペクトルを決定することとは対照的である。EISを実施することを含む、複数のセンサを使用して病変の組成を決定するための技術が、以下で説明される。
【0119】
したがって、
図3は、プローブ210の外面及び/又は内面に沿って配置された複数のセンサを有する侵襲性プローブ210の例を示している。センサ302(センサ302A、302B、302C、302Dを含み、本明細書では総称的又は集合的にセンサ(複数可)302と称される)は、構造300に沿って配置され得る。一部の実施形態では、各センサは、電気信号を印加する、及び/又は印加された電気信号を検出するための1又は複数の電極であり得るか、又はそれを含み得る。
【0120】
一部の実施形態では、
図3には示されていないが、侵襲性プローブ210は、膨張したときに構造300を外側に拡張させて病変により良好に接触させるためのバルーンを含み得る。使用中、例えば、構造300は、構造300の遠位端に位置するセンサが、それらが病変の向こう側に通過したことを検出するまでなど、病変の中に全体的又は部分的に挿入されてもよく、その後、構造300は、センサ302が複数の点において接触を検出するまで、バルーンを使用して拡張されてもよい。構造300の膨張は、侵襲性プローブ210(例えば、測定ユニット304)のコントローラによって制御されてもよく、又は医療デバイス内の他の場所に配設される病変分析ファシリティによって、かつ/又は医療デバイスのユーザインターフェースを介して臨床医によって制御されてもよい。
【0121】
一部の実施形態では、測定ユニット304は、病変に印加するための1又は複数の電気信号を生成すること、及びセンサ302によって生成されたデータを分析することを含む、1又は複数の測定を行うようにセンサ302を動作させることができる。センサ302によって生成されたデータの分析は、ガイドワイヤに沿って患者の外部に、例えば、上述したような病変分析ファシリティ又はユーザインターフェースに伝送されるデータのアナログ-デジタル変換を実施することを含み得る。
【0122】
センサ302が電気センサである例を提供してきたが、実施形態はそのように限定されないことを理解されたい。例えば、センサ302は、1又は複数の電気的、機械的、光学的、生物学的、又は化学的センサであってもよく、又はそれらを含んでもよい。かかるセンサの具体例として、インダクタンスセンサ、キャパシタンスセンサ、インピーダンスセンサ、EISセンサ、電気インピーダンストモグラフィ(EIT)センサ、圧力センサ、流量センサ、剪断応力センサ、機械的応力センサ、変形センサ、温度センサ、pHセンサ、化学組成センサ(例えば、O2イオン、バイオマーカ、又は他の組成)、加速度センサ、及び運動センサが挙げられる。
【0123】
インビボ検知のための挿入可能デバイスの例
臨床医が、患者の血管系から凝血塊を除去することなどによって、生体構造(例えば、病変)を診断及び(該当する場合)治療するためにかかる時間を実質的に減少させるために、本発明者は、生体構造の1又は複数の特性を決定する際に使用され得るセンサを有する侵襲性プローブを開発した。生体構造の特性(複数可)に関する情報を用いて、臨床医は、健康な組織と異なるタイプの病変とを区別することができ、臨床医は、特定のタイプの病変に最も好適な治療を選択することができる。以下に記載されるのは、種々の人間の解剖学的構造に対するその適合性のために市場でほぼ標準化されているサイズを維持しながら、これらのセンサを収容することができる設計を有する挿入可能デバイスの実施形態である。一部の実施形態では、かかる設計は、可撓性回路を有するプローブアセンブリを含む。可撓性であるため、これらの回路は、所望に応じて折り畳んだり巻着されることができ、したがって、占有される空間を実質的に制限する。
【0124】
本明細書で説明されるタイプの侵襲性プローブは、一部の実施形態では、ガイドワイヤとして実装され得る。これらのガイドワイヤの例は、
図31~
図44に関連して以下に記載される。しかしながら、これらはガイドワイヤの実施形態の単なる例示であり、他の実施形態も可能であることを理解されたい。
【0125】
本明細書で説明される技術による挿入可能デバイスの例示的な実装形態が
図31に示されている。
図31の例は、細長い本体と、複数のセンサを有するプローブとを有する挿入可能デバイスであるガイドワイヤである。しかしながら、実施形態は、ガイドワイヤ又はガイドワイヤである挿入可能デバイスとともに動作することに限定されないことを理解されたい。
【0126】
プローブは、センサアセンブリ3、コイル9、及び先端10、並びにコアワイヤ1の遠位部分、並びにアセンブリ3、コイル9、及び先端10内に延在する他の構成要素を含み得る。ガイドワイヤの細長い本体は、センサアセンブリ3の近位に(すなわち、
図31のセンサアセンブリ3の左側に)位置決めされるガイドワイヤの構成要素を含み得る。したがって、細長い本体は、
図31の例のガイドワイヤの長さの大部分を形成することができる。
【0127】
本明細書で説明されるタイプの侵襲性プローブは、プローブの長さを通してトルクを効果的に伝達し、急峻な湾曲を通してナビゲートすることができるように十分に可撓性であるように設計され得る。したがって、これらの侵襲性プローブは、人間の胴から人間の脳への途中に見られ得るような蛇行した血管での使用に特に好適である。トルク能力は、少なくとも一部の実施形態では、大きい引張強度を有するコアを使用することによって、かつ1又は複数のワイヤを有するマルチファイラコイル内にコアを収容することによって、促進することができる。コイルの位置及び数は、トルク能力と剛性との間の所望のバランスを提供するように調整され得る。少なくとも一部の実施形態では、コアの形状をテーパ状にすることによって、可撓性を促進することができる。特に、コアは、遠位領域においてより小さくなるように成形されてもよく、したがって、可撓性が最も望ましいコアの可撓性を高める。
【0128】
したがって、
図31のガイドワイヤのバックボーンはコアワイヤ1である。コアワイヤ1は、細長い本体及び/又はプローブの全て又は少なくとも大部分に沿って、デバイスの中心に、デバイスと同軸に位置する。コアワイヤ1は、ステンレス鋼、ニッケル-チタン、又は閾値を超える引張強度(例えば、200MPa超、350MPa超、又は500MPa超)である大きな引張強度を有する他の材料から作製することができる。コアワイヤは、中心なし接地ワイヤ(例えば、中実コア)であってもよく、一部の実施形態では、徐々にテーパ状になる遠位端を有してもよい。テーパ形状は、遠位端におけるガイドワイヤの可撓性を高めることを補助し得、これは、一部の場合には、ガイドワイヤが蛇行した解剖学的構造を通してナビゲートすることを補助し得る。
図32に見られるように、ワイヤはまた、以下に説明するように、接点アセンブリを収容するために、近位接地セクションを含む。
【0129】
コアワイヤの例示的なバージョンは、非常に高い強度の304V Hi-tenステンレス鋼ワイヤから作製される。最大直径は、約0.012インチ(0.30mm)であってもよいが、0.008インチ(0.20mm)~0.014インチ(0.36mm)であってもよい。ワイヤの典型的な長さは、200cmであり得るが、300cmもの長さ(「交換長さ」介入ガイドワイヤに典型的であるような)又は90cm以下の短さであり得る。
【0130】
コネクタアセンブリ20は、コアワイヤ1の近位端をハンドルに接続し得、このハンドルは、患者の脈管構造を通してガイドワイヤを操向するために臨床医によって保持され得る。ガイドワイヤの近位端に配置された電気コネクタは、ハンドルに接続することができ、ハンドルは、トルク「トランスミッタ」として機能することができ、ガイドワイヤにトルクを与え、ガイドワイヤを押すために使用することができる。しかしながら、場合によっては、デバイスは、ハンドルなしで動作可能であってもよく、又はハンドルを有していなくてもよい。これは、一部の臨床医が、ハンドルの余分な重量を伴わずに挿入可能デバイスを動作させ、代わりに、患者内に配置される導入器に可能な限り近接して配置される従来のトルカーを使用することを好むためである。ハンドルが挿入可能デバイスと互換性がある場合によっては、これらなどの臨床医は、デバイスのセンサを使用して測定を行うときのみ、ハンドルを接続する。
【0131】
ガイドワイヤの遠位領域は、1又は複数のセンサを含み得るセンサアセンブリ3を含み得る。センサは、少なくとも一部の実施形態では、ガイドワイヤを包囲する組織(例えば、管又は凝血塊の内壁)のインピーダンスを検出するように配置され得る。一部の実施形態では、センサアセンブリ3は、周囲組織に向かって伝送するためのプローブ信号を生成するための回路、及び/又は組織によって反射された信号を処理するための回路を含み得る。以下で更に説明するように、センサアセンブリ3は、限られた空間内にセンサ(複数可)及び回路を収容するようにサイズ決定及び配置される。センサアセンブリ3は、少なくとも一部の実施形態では、遠位ガイドワイヤの最後の7cm内に、より好ましくは、ガイドワイヤの最端部に対して約3cm近位に位置し得る。
【0132】
センサアセンブリ3に対して遠位の領域は、コイル9及び先端10を含み得る。コイル9は、急峻な湾曲を通って屈曲するのに十分な可撓性を有するガイドワイヤの遠位端を提供するために含まれ得る。一部の状況では、ガイドワイヤのこの部分は、患者への挿入前に、ガイドワイヤが挿入されることになる管に応じた所定の曲率で(例えば、手動で、臨床医によって、製造中に自動的に、又は別の方法で)事前屈曲され得る。この事前屈曲により、臨床医が患者の脈管構造を通してガイドワイヤを操向することを補助することができる。一部の実施形態では、コイル9は、白金、金、又は白金イリジウムなどの白金合金などの放射線不透過性である材料から作製される。その放射線不透過性に起因して、ガイドワイヤの端部の位置は、例えば、X線撮像を介して、患者に挿入されるにつれて監視されてもよい。先端10は、一部の実施形態では、ガイドワイヤの端部に位置決めされてもよく、コイル9にはんだ付けされてもよい。先端10は、組織を穿孔することなく管の内壁に対して摺動することなどによって、ガイドワイヤが解剖学的管(例えば、脈管構造)をナビゲートすることを補助するために湾曲形状を有してもよい。加えて、又は代替として、先端10は、コイルアセンブリ(例えば、マルチファイラコイル及び遠位コイル)がコアワイヤ2に対して定位置に保持されることを確実にするように成形され得る。この形状は、これらのコイル及び/又は他の遠位構成要素がコアワイヤから分離し、場合によっては塞栓する可能性を低減することができる。先端10のこの形状は、ナビゲーションを補助し、及び/又は分離/塞栓形成のリスクを制限するために、一部の実施形態では、はんだボールであってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0133】
コイル9は、臨床医がセンサアセンブリを病変に対応して位置決めするのを補助するのに十分に短くすることができる。一部の状況では、例えば、臨床医は、センサアセンブリ3が病変との接触を確立したことを期待して、コイル9が病変を通過する点までガイドワイヤを前方に押すことができる。コイル9の位置は、その放射線不透過性のために可視であってもよいが、センサアセンブリ3の位置は、(少なくとも一部の実施形態では)可視でなくてもよい。それにもかかわらず、臨床医は、依然として、コイル9の位置に基づいてセンサガイドワイヤの位置を推測することができる。本発明者は、特定の開示される実施形態では、コイル9に対するセンサアセンブリの位置が推測される精度が、短いコイルを有することによって向上され得ることを発見した。場合によっては、X線画像に現れる領域が十分に短ければ、センサアセンブリの位置を容易に推測することができる。しかしながら、同時に、コイル9は、臨床医によって事前屈曲されるように十分に長くてもよい。したがって、一部の実施形態では、コイル9は、10mm~50mm、15mm~50mm、15mm~40mm、10mm~40mm、15mm~30mm、10mm~30mm、10mm~20mm、30mm~40mm、20mm~30mm(約25mmなど)、又は任意の他の好適な値の間の長さを有してもよい。
【0134】
ガイドワイヤは、
図2に図示され、それに関連して上記で説明されるシステムなどのガイドワイヤと、ガイドワイヤとは別個のコンピューティングデバイスとを含む、システムの一部を形成することができる。かかるシステムでは、センサアセンブリ3は、1又は複数のワイヤリード4を介して、ガイドワイヤの外側に配設される医療デバイス(例えば、コンピュータ)と電気通信して配置され得る。中実であるため、コアワイヤは、従来のカテーテルのように、その中にワイヤリードを通すための長手方向のキャビティを含まない。したがって、
図31に示されている実施形態では、ワイヤリード(複数可)は、コアワイヤ1の周りに巻き付けられてもよく、又は別様でこれに沿って延在してもよい。ワイヤリード(複数可)は、直径が約0.001インチ(0.03mm)であってもよいが、他のサイズも可能である。
【0135】
ワイヤリードは、銅、金、アルミニウム、又はそれらの材料の合金などの好適な導電性材料から形成されてもよい。
【0136】
一部の実施形態では、リードワイヤは、絶縁コーティングを使用して個々に絶縁されてもよく、絶縁コーティングは、任意の好適な絶縁体であってもよいが、有利には、一部の実施形態では、ポリイミドであってもよい。一部の実施形態では、ワイヤは、マルチストランドリボンを形成するように一緒に取り付けることができる。このように個々のワイヤを接合することは、リボンが個々のリードよりもはるかに強く、組立/製造中の破損又は損傷の可能性を低減させることができるため、デバイスの製造/組立中に弾力性を追加することができる。リードをリボンに接合することはまた、リードの順序又は配置を互いに対して制御することなどによって、デバイス内のワイヤリードのより優れた制御を可能にし得る。順序又は配置を制御することは、一部の状況では、例えば、2つの他のワイヤ(例えば、それらのワイヤを含むデバイス内のクロックワイヤと通信ワイヤ)の間に接地ワイヤを配置することなどによって、ワイヤ間のクロストークを低減するのを補助することができる。
【0137】
例えば、リボンは、任意の既知のパラレル又はシリアル通信プロトコル(I2C、UART、SCSI、SPIなど)に好適な少なくとも3つのリードワイヤを含む。この場合、当該リードワイヤ間のクロストークが概して観察される。
【0138】
例えば、SPI(Serial Peripheral Interface)プロトコルの場合、リボンは、
‐センサアセンブリに電力を供給するための接地ワイヤ(GND)及び正電位ワイヤ(VDD)、
‐センサアセンブリにクロック信号を提供するためのクロックワイヤ(CLK)、
‐コネクタアセンブリからセンサアセンブリにアップリンク信号を搬送するための(例えば、センサアセンブリ内のレジスタを書き込む又は読み取るための)「マスタアウトスレーブイン」(MOSI)ワイヤ、
‐センサアセンブリからコネクタアセンブリにダウンリンク信号を搬送するための(例えば、命令を確認するための、又はレジスタ値を伝送するための)「マスタインスレーブアウト」(MISO)ワイヤ、
をそれぞれ形成する5本のリードワイヤを含む。
【0139】
一例として、各リードワイヤは、直径が25μmであり、厚さ5μmのポリイミド製の絶縁被覆を用いて絶縁されている。より厚い絶縁体は有益であるが、コアワイヤの断面を減少させる必要があり、これはガイドワイヤの機械的特性にとって有害である。
【0140】
ワイヤリード間のクロストークを最小化するために(例えば、クロックワイヤから残りのリードワイヤへのノイズ伝播を防止するために)、当該ワイヤリードは、クロックワイヤが接地ワイヤと正電位ワイヤとの間に配置されるように、例えば、VDD、CLK、GND、MOSI、MISOの順序に従って、リボン内に配置される。これは、接地ワイヤ(その電位は経時的に一定である)が、クロック信号に起因するMOSI及びMISO線内の過剰なノイズを回避するためのシールドとして作用するため、有利である。クロックワイヤとMOSIワイヤ又はMISOワイヤのいずれか一方との間に正電位ワイヤを配置しても同様の効果が得られる。
【0141】
好ましくは、キャパシタがセンサアセンブリと並列に設けられ、接地ワイヤ及び正電位ワイヤに接続されて、接地ワイヤ及び正電位ワイヤを介して供給される電源を安定させる。
【0142】
有利には、コアワイヤは、導電性材料で作製され、直接又はキャパシタを介して電位基準(例えば、接地又は接地ワイヤ)に接続される。この特徴は、コアワイヤを通るリードワイヤ間のクロストークを大幅に低減するので有利である。かかる特徴により、コアワイヤは、ガイドワイヤを囲む環境から生じる外部の電磁妨害に対する電磁シールドとしても作用する。
【0143】
好ましくは、コアワイヤは、ハンドル208において電位基準に接続される。これにより、侵襲性プローブ210側では不可能な非常に嵩張る別個の構成要素を使用することが可能になる。例えば、キャパシタがかかる接続のために使用される場合、当該キャパシタは、1μF程度のキャパシタンスを有する。しかしながら、より大きなキャパシタンス値はまた、より大きな周波数帯域にわたって、特により低い周波数に対してフィルタリングを提供するため、有益である。
【0144】
好ましくは、(リードワイヤの抵抗率及び容量結合から生じる)ガイドワイヤに固有であり、アップリンク信号及びダウンリンク信号を位相ずれさせる確立時間の影響を軽減するために、アップリンク信号生成とダウンリンク信号読み取りとの間に遅延が提供される。例えば、コネクタアセンブリにおいて、アップリンク信号の値は、クロック信号の立ち下がりエッジで変更され、ダウンリンク信号の値は、1/4周期後に読み取られる。
【0145】
好ましくは、リードワイヤ上の方形波信号が回避され、したがって、更なる干渉を引き起こす高周波高調波が除去される。
【0146】
ワイヤリード(複数可)を患者の体内に存在する環境要因(例えば、流体)から電気的に絶縁し、ワイヤリードをトルク又は摩擦から機械的に保護するために、ジャケット12を使用してワイヤリード(複数可)を取り囲むことができる。ジャケット12は、ガイドワイヤの少なくとも一部について、コアワイヤ1及びワイヤリード(複数可)4を取り囲むことができる。ジャケット12は、細長い本体の長さの大部分に延在することによって、ガイドワイヤの長さの大部分に沿って延在してもよい。ジャケット12は、ガイドワイヤの長さの半分を超えて、かつ細長い本体の長さの半分を超えて延在してもよい。
図31に図示されるように、ジャケット12は、細長い本体の160cm部分に沿って延在してもよく、(
図31の例の)総ガイドワイヤ長は、201cmであり、細長い本体の全長は、195cmである。したがって、ジャケット12は、この例では、ガイドワイヤの長さの80%及び細長い本体の長さの82%にわたって延在している。
【0147】
ジャケット12は、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PETE)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、あるいはそれら及び/又は他の材料の組み合わせを含むが、それらに限定されない、多数の材料のうちのいずれかから作製されてもよい。
【0148】
一部の実施形態では、ジャケット12は、ネッキングプロセスによって形成される。例えば、ジャケット付きガイドワイヤは、コアワイヤ、ワイヤリード及びマルチファイラコイル(又はマルチファイラコイルの少なくとも一部)を管状プラスチックの管腔に通すことによって形成されてもよい。管状プラスチックは、テフロン熱収縮、ポリイミド、又はPET、あるいは他のポリマーから形成されてもよい。PTFE又はPET熱収縮などの一部のポリマーは、熱を印加するだけでコア及び構成要素上に緊密に嵌合するように縮小させることができる。ポリイミド又はPETなどの一部のポリマーは熱収縮しない場合がある。一部のかかる他のポリマーは、熱及び張力の組み合わせ、ネッキングと称されるプロセスによって、コア及び構成要素の周囲を緊密に圧縮するように直径を減少させることができる。ネッキングプロセスの間、材料は、材料が適用されているときにガイドワイヤの細長い本体の長さに沿って力が印加されるように、加熱され延伸されてもよい。ネッキングは、ジャケットが形成されるジャケット材料(例えば、ポリイミド)のチューブの直径を、ワイヤリード(複数可)を所定の位置に緊密に保持する直径などの所望の直径まで減少させることを可能にする。一例では、ジャケットの直径は、ネッキングが行われる前は0.015インチ(0.38mm)~0.020インチ(0.51mm)(例えば、約0.017インチ、すなわち0.43mm)であり、ネッキングによって0.012インチ(0.30mm)~0.015インチ(0.38mm)(例えば、約0.014インチ、すなわち0.36mm)に縮小される。一部の実施形態では、複数のポリマーを組み合わせてジャケットを形成することができる。例えば、ポリイミドとPTFEの層を組み合わせてもよい。一部のかかる実施形態では、異なるポリマーの層は、混合ポリマーの層ではなく、別個の層であってもよい。例えば、PTFEの層が外層となるように、PTFEの層をポリイミドの層の外側に配設してもよい。かかる一実施形態では、ポリイミド層は、PTFE層より高い強度及び精度を提供し得るが、PTFE層は、ポリイミド層の外側に配設され、ポリイミド層と比較して低減された摩擦を提供してもよい。
【0149】
一部の実施形態では、ガイドワイヤは、トルク可能であり、すなわち、ガイドワイヤは、臨床医によって操向されるように、近位部分から遠位部分にトルクを伝達することが可能である。トルク能力は、臨床医が、ガイドワイヤの遠位端の配向をより良好に制御することを可能にし、したがって、患者の血管系の中の所望の経路に沿ったガイドワイヤの操向を促進することができる。トルク伝達を促進するために、一部の実施形態では、マルチファイラコイル2がコアワイヤ1上に配置され、次いで、コアワイヤ1及び/又はセンサアセンブリ3などのガイドワイヤの他の構成要素に結合される。マルチファイラコイル2は、1本から10本のワイヤ、又は1本から5本のワイヤなど、一部のワイヤを巻き付けることによって作製することができる。例えば、
図31Aは、コアワイヤの周囲に配設された3本のワイヤ(2
1、2
2、及び2
3)を有するマルチファイラコイルの一部を示しており、これらのワイヤは、図示されているような繰り返し連続パターンで巻着されている。コイル2の例示的なバージョンは、各ワイヤが互いに隣接して置かれ、各ワイヤ間に空間がほとんど又は全くないように密に巻き付けられるように、コイル内に一部の304v HiTenワイヤを同時に巻き付けることによって作製され得る。各ワイヤは、0.0015インチ(0.04mm)~0.003インチ(0.08mm)の外径を有し得る。コアワイヤ及びコイル2を含むガイドワイヤの外径は、0.010インチ(0.25mm)と0.014インチ(0.36mm)との間(例えば、0.012インチ(0.30mm)と0.013インチ(0.33mm)との間)であり得る。
【0150】
マルチファイラコイルの利点は、非常に可撓性であり、かつ薄い壁を有しながら、トルクを確実に伝達する独特の能力である。マルチファイラコイルを形成するワイヤの数は、所望のトルク能力を提供するように選択され得る。例えば、一部の実施形態では、マルチファイラコイルに追加のワイヤを含めることにより、トルクを増大させることができる。一部の実施形態では、トルクは、コイル2に含まれるワイヤの数の線形関数であり得る。更に、ワイヤ直径及び/又はコイル直径のわずかな増加もまた、いくらかの可撓性を犠牲にするが、トルク性能を増加させ得る。従って、所望のトルク能力及び可撓性は、マルチファイラコイルにおいて利用可能な種々のパラメータを調整することによって選択され得る。
【0151】
ガイドワイヤの剛性は、他のパラメータの中でも、コイル内の隣接するワイヤ間の分離を変化させることによって調整することができる。例えば、間に実質的に間隙がない状態で互いに対して詰め込まれたワイヤは、移動に対してより抵抗する(より可撓性が低い)より剛性のガイドワイヤをもたらすことができる。ワイヤを互いからより遠くに分離することは、ガイドワイヤの可撓性を高め、複雑な解剖学的ナビゲーションにより好適であり得る。
【0152】
一部の実施形態では、上述したタイプの追加のコイルを含むことによって、トルク伝達を更に増大させることができる。例えば、
図31Bは、2つのマルチファイラコイル2
A及び2
Bで巻き付けられているガイドワイヤの一部を示している。
図31Bに示すように、2つのフィラメントは、一方が他方の上にある異なる層に巻着されてもよい。一部のかかる実施形態では、2つの層は、異なる巻向及び/又は異なる剛性などの異なる方法で巻着されてもよい。左寄り又は右寄りのように「寄り」と称される巻向は、特定の方向のトルク能力の性質に影響を及ぼすことがある。2層のコイルを反対方向に配置されたコイルと組み合わせることによって、コイルアセンブリは、両方向において同様のトルク特性を有することになる。これは、一部の(しかし必ずしも全てではない)用途に有利であり得る。異なる特性を有するコイルの異なる層を提供することは、トルク能力特性の細かい選択を更に可能にし得る。マルチファイラコイル2は、レーザ溶接を介するなどの任意の好適な方法で、センサアセンブリ3を収容するハウジングに接続され得る。
【0153】
ジャケット12は、ジャケット12とコイル2との間の界面において、コイル2の一部のみに沿って延在することができる。ジャケット12がガイドワイヤに沿ってコイル2とともに延在するこの界面において、ジャケット12は、コイル2の周囲に巻着されてもよく(
図31に図示されるように)、又はコイル2は、ジャケット12の周囲に巻着されてもよい。コイル2の長さの大部分は、ジャケット12が存在しないガイドワイヤのセクションに沿って延在していてもよい。
【0154】
一部の実施形態では、
図31に図示されるように、センサアセンブリ3のためのワイヤリードは、コア1とコイル2との間に配設されるコイル2内のガイドワイヤに沿って延在してもよい。したがって、ワイヤリードは、ジャケット12の長さに沿って、かつコイル2の長さに沿って延在して、センサアセンブリ3に到達してもよく、ワイヤリードの長さに沿って、ワイヤリードは、ジャケット12とコイル2との間に配設されてもよい。
【0155】
摩擦を低減し、したがって、患者の脈管構造を通してナビゲートする挿入可能デバイスの能力を増加させるために、一部の実施形態では、潤滑性コーティングが使用され得る。一例では、親水性コーティングは、挿入可能デバイスの外側表面、例えば、マルチファイラコイル(又はトルクチューブ)の外側表面及び/又は一般的に挿入可能デバイスの遠位部分に適用されてもよい。代替的又は追加的に、PTFEの1又は複数の層が、摩擦を低減するために挿入可能デバイスの少なくとも一部に沿ってコーティングとして使用されてもよい。PTFE層(複数可)は、例えば、上述したようにジャケット12の外面を形成してもよい。一部の実施形態では、挿入可能デバイスの細長い本体に沿った摩擦は、PTFE外側表面を用いて低減され、プローブ内の摩擦は、親水性コーティングを用いて低減される。
【0156】
図31は、ガイドワイヤの異なる部分の可能な長さを示している。この非限定的な例では、コネクタアセンブリ20は長さ10cmであり、ガイドワイヤの非テーパ部分は長さ160cmであり、非テーパ部分とセンサアセンブリ3との間のセクションは長さ25cmであり、センサアセンブリは長さ3mmであり、遠位端(コイル9及び先端10を含む)は長さ3cmである。当然ながら、他の寸法も可能であり、そのうちの一部は、
図34に関連して説明される。
【0157】
図32は、一部の非限定的な実施形態による、コネクタアセンブリ20の例示的な実装形態を示している。コネクタアセンブリは、最初に、例えば、ポリイミドで作製された絶縁体チューブ21をコアワイヤ1の近位部分の上に取り付けることにより構築することができる。例えばステンレス鋼又は他の容易に形成される金属チューブで作製された接触リング22が、絶縁体上に取り付けられ、一方のワイヤリード4は、絶縁体が剥ぎ取られ、接触リング22に(結合材料23を用いて)結合される。各後続の接触リングは、同様に配置され、離間されてもよい。絶縁体チューブ21は、ポリイミドから作製され得、その外径は、それが作動するガイドワイヤのサイズに基づいて変化し、その結果、その外径は、ガイドワイヤよりも小さくなる。例えば、チューブ21は、0.010インチ(0.25mm)~0.018インチ(0.46mm)の直径を有するガイドワイヤに対して、0.006インチ(0.15mm)~0.014インチ(0.36mm)(例えば、約0.012インチ、すなわち0.30mm)の直径を有し得る。チューバー21はまた、0.001インチ(0.03mm)の壁及び5cm~15cm(例えば、10cm)の長さを有し得る。接触リング22は、0.012インチ(0.30mm)~0.015インチ(0.38mm)(例えば、0.014インチ、すなわち0.36mm)の外径と、0.001インチ(0.03mm)の壁と、0.5cm~1.0cmの長さとを有し得る。接触リングは、接触リングと同様の直径サイズのポリイミドスペーサ又は他の管状プラスチックスペーサを使用して、特に離間させることができる。
【0158】
上述したように、センサアセンブリ3は、一部の実施形態では、センサ(複数可)及び電子回路を含み得る。センサ(複数可)及び回路をガイドワイヤとともに組み立てるためには、十分な空間が必要である。更に、一部の状況では、ガイドワイヤの直径を0.014インチ(0.36mm)未満(又はそれに等しい)、又は他の好適な値に制限することが望ましい場合があり、センサ(複数可)及び回路(複数可)のパッケージングを困難にする。一部の実施形態では、可撓性回路を使用して、センサ(複数可)及び回路をガイドワイヤと組み立てることができる。可撓性であるため、これらの回路は、折り畳まれるか又は巻着され得、従って、占有される空間の量を制限する。
【0159】
図33は、一部の非限定的実施形態による、
図31のガイドワイヤの一部を更に詳細に示している。この例では、センサアセンブリ3は、可撓性回路5(可撓性基板とも称される)を備える。可撓性回路5は、電子回路及びセンサを含んでもよく、センサハウジング6によって支持されてもよい。一部の実施形態では、
図36A~
図36Bに関連して以下で更に説明するように、可撓性回路は、ハウジング6の一部の周囲に巻着され得る。図示されるように、ワイヤリード4は、ハウジング6に挿入されてもよく、可撓性回路5に接続され得る。ハウジング6は、レーザ溶接部7を使用するなど、任意の好適な方法でマルチファイラコイル2に取り付けることができる。加えて、又は代替として、はんだ接合、接着剤、又は何らかの同様の手段が使用され得る。コイル9は、はんだ接合部8、接着剤、又は同様の手段によってセンサハウジング6の遠位端に結合されてもよい。
【0160】
一部の実施形態では、コアワイヤ1の直径は、必要に応じて可撓性を高めるために、その長さに沿って変化してもよい。一例では、直径は、遠位端における直径が近位端における直径よりも小さくなるように、その長さに沿ってテーパ状であってもよい。このようにして、遠位端における可撓性は、必ずしもトルク能力を犠牲にすることなく、近位端に対して高められる。
図34は、一部の非限定的な実施形態による、テーパ形状を有するコアワイヤ1を概略的に示している。本例では、コアワイヤ1は、セグメントA、B、C、D、E、F、及びGを含む。セグメントAは、コネクタアセンブリ20を含んでもよく、約10cmなどの5cm~15cmの長さを有してもよい。セグメントAにおいて、コアワイヤは、0.006インチ(0.15mm)と0.010インチ(0.25mm)との間(例えば、約0.0080インチ(0.20mm))の直径を有し得る。セグメントBは、1cm~3cm、例えば約2cmの長さを有し得る。セグメントBは、コアワイヤの直径が0.009インチ(0.23mm)と0.014インチ(0.36mm)との間(例えば、約0.011インチ(0.28mm))まで増加するように、テーパ状の形状を有し得る。ジャケット12を含み得るセグメントCは、100cm~200cm又は130cm~170cm(例えば、約155cm)の長さを有し得る。セグメントCにおいて、コアワイヤは、0.010インチ(0.25mm)と0.014インチ(0.36mm)との間(例えば、約0.011インチ(0.28mm)又は約0.012インチ(0.30mm))の幅を有し得る。マルチファイラコイル2は、セグメントEに含まれてもよく、所望によりセグメントD及び/又はF又はその一部に含まれてもよい。セグメントDは、約8cmなどの6cm~10cmの長さを有し得る。セグメントDは、コアワイヤの直径が0.004インチ(0.10mm)と0.006インチ(0.15mm)との間(例えば、約0.005インチ(0.13mm))まで減少するように、テーパ形状を有し得る。セグメントEは、約10cmなどの7cm~13cmの長さを有し得る。セグメントEにおいて、コアワイヤは、0.004インチ(0.10mm)と0.006インチ(0.15mm)との間(例えば、約0.005インチ(0.13mm))の幅を有し得る。セグメントFは、6cm~10cm、例えば約8cmの長さを有し得る。セグメントFは、コアワイヤの直径が0.002インチ(0.05mm)と0.004インチ(0.10mm)との間(例えば、約0.003インチ(0.08mm))まで減少するように、テーパ形状を有し得る。セグメントGは、センサアセンブリ3と、コイル9と、先端10とを含み得、約7cmなど、4cm~10cmの長さを有し得る。セグメントGにおいて、コアワイヤは、0.002インチ(0.05mm)と0.004インチ(0.10mm)との間(例えば、約0.003インチ(0.08mm))の幅を有し得る。
【0161】
上記の特定の寸法は、ガイドワイヤの近位部分及び中央部分における所望の量のトルク能力、ガイドワイヤの最後の10cm~30cmにおける所望の量の可撓性、並びに最後の3cm~7cmにおけるセンサ(複数可)及び電子回路を収容するのに十分な空間を提供するように設計され得る。しかしながら、全ての実施形態が
図34に関連して提供される寸法に限定されるわけではないことを理解されたい。
【0162】
図35~
図36Bは、一部の非限定的な実施形態による、センサアセンブリ3を構成する構成要素の更なる詳細を示している。特に、
図35は、センサハウジング6の可能な実装形態の斜視図を示している。一部の実施形態では、ハウジング6は、ステンレス鋼管から形成されるが、代替として、又は加えて、他の材料が使用されてもよい。
【0163】
ハウジング6は、センサ及び/又は回路を収容するのに十分な長さでありながら、その剛性によって遠位端におけるガイドワイヤの操向能力を損なわないように十分に短くてもよい。一例では、ハウジング6は、長さが約2mm~5mm、2mm~4mm、2mm~4mm、3mm~5mm、3mm~4mm(約3.5mmなど)、及び最大直径が0.012インチ(0.30mm)~0.015インチ(0.38mm)(約0.014インチ、すなわち0.36mmなど)であってもよいが、他の寸法も可能である。
【0164】
ハウジング6の各端部は、コアワイヤ1を通すことができる開口部15を有し得る。一部の実施形態では、その端部に近いハウジングの領域は、それぞれのフレア状の又は拡大されたボス17を含み、これは、マルチファイラコイル2及びコイル9がハウジングに挿入され、結合されるように設計され得る。
【0165】
ハウジングの中央には、
図35に示すように、ハウジングの側面に切り欠き凹部19が形成されてもよい。凹部19は、ハウジングの側壁の一部を除去することによって形成されてもよい。凹部19は、その中に可撓性回路5(
図35には図示せず)を収容するようにサイズ決定され得る。例えば、凹部19は、長さが約1mm~2.5mm、例えば1.3mm~1.7mmであってもよい。可撓性回路の一部は、凹部19を通ってハウジング6の内側に挿入されてもよく、別の部分は、以下で更に説明するように、ハウジングの周りに巻着されてもよい。
【0166】
図36A及び
図36Bは、一部の実施形態による、可撓性回路5の可能なレイアウトを示している。ポリイミドなどの可撓性材料28から作製され得る可撓性回路5は、センサアレイ25と、集積回路26(特定用途向け集積回路又は他の論理回路を含み得る)と、ワイヤリード4を結合するためのはんだパッド27とを含み得る。集積回路26は、
図2に関連して上述した測定ユニット214などの測定ユニットの機能を実施するチップを含み得る。
【0167】
センサアレイ25は、ガイドワイヤを囲む組織の1又は複数の特性を検知するための複数のセンサを含み得る。一例では、センサアレイは、インピーダンスセンサアレイとして配置されてもよい。しかしながら、本開示の実施形態は、任意の特定のタイプのセンサに限定されないことを理解されたい。可能な代替タイプのセンサは、圧力センサ及び流量センサを含むが、他のタイプのセンサが使用されてもよい。インピーダンスセンサアレイが使用される実施形態のうちの少なくとも一部では、センサアレイは、複数の電極を含んでもよい。
図36Aの例では、3つの列及び3つの行に配置された9つの電極(25
11、25
12、25
13、25
21、25
22、25
23、25
31、25
32、及び25
33)が含まれる。当然ながら、任意の他の好適な数の電極が使用され得る。センサの少なくとも一部がサンプリングされる凝血塊と接触する確率を高めるために、複数の列が含まれ得る。
【0168】
電極のうちの一部は、集積回路26の一方又は両方によって生成される信号(プローブ信号と称される)で駆動され得、信号を電磁波の形態でガイドワイヤの外側に伝搬させることができる。この点で、電極は本質的にアンテナとして機能する。これらの電極は、伝送(TX)電極と称される。伝送された電磁波は、ガイドワイヤを囲む組織によって反射され得る。受信(RX)電極と称される残りの電極は、反射された電磁波を受信し得る。以下に詳細に述べるように、一部の実施形態では、電極は、3つのグループで動作され得、そして各グループの電極の1つは、TX電極として動作され得、一方、他の電極は、RX電極として動作する。
【0169】
電磁波の受信に応答して得られた信号(検出信号と称される)は、処理(例えば、アナログデジタル変換)のために集積回路26の一方又は両方に転送され得る。一部の実施形態では、集積回路の回路は、伝送信号と受信信号との間の比較に基づいて(例えば、受信電流に対する伝送電圧の比を取ることによって)反射組織のインピーダンスを推測するように構成され得る。インピーダンスのこれらの測定は、異なる周波数で繰り返され得、従って、組織のインピーダンススペクトル応答が得られる。インピーダンス測定値を示すデータは、はんだパッド27及びワイヤリード4を介して、更なる処理のためにガイドワイヤの外側の医療デバイスに伝送され得る。
【0170】
本明細書で説明される実施形態は、別個の電極が電磁波の伝送及び受信のためにそれぞれ使用されるようなものであるが、他の実施形態では、同じ電極が伝送と受信の両方のために使用され得ることを理解されたい。
【0171】
図36Bは、一部の非限定的な実施形態による、ハウジング6に対する可撓性回路5の可能な配置を示している。図示のように、可撓性回路の一端(例えば、はんだパッド27が配設された端部)は、ハウジング6によって形成されたキャビティ内に位置決めされている。開口部15(
図35に示される)を介してハウジングを通して挿入され得るワイヤリード4は、ハウジング内のそれぞれの接点27に接続される。接点27は、はんだパッド、銀充填エポキシ、導電性接着剤、又は他の導電性材料であってもよく、又はそれらを含んでもよい。次いで、可撓性回路は、コアワイヤ1(開口部15を介してハウジングを通過してもよい)の周囲に折り畳まれるか、又は巻着されてもよく、可撓性回路が巻着されるときに、集積回路26が凹部19(
図35に示される)に対応して位置決めされるように配置され得る。可撓性回路は、ハウジング6の周囲に巻着され、集積回路26が凹部19(又はキャビティの内側)で互いの上に積み重ねられるように配置されてもよい。可撓性回路の残りの部分は、センサアレイ25がハウジングの外側に配設され、ハウジングに対して外向きに配向される(すなわち、ハウジングから外方に面する)ように、ハウジングの周囲に巻着され得る。一例では、電極列(電極25
11、25
12、及び25
13を含む第1の列)間の距離は、可撓性回路がハウジングの周囲に巻着されると、列が約120°だけ角度オフセットされ、それによって、ガイドワイヤの外部の周囲に均一に分散されるようにサイズ決定される。
【0172】
各行内で、一部の電極は、伝送のために配置されてもよく、他の電極は、受信のために配置されてもよいが、各電極の役割は、経時的に変化してもよい。1つの時間間隔の間、各行に対する1つの電極は、TX電極として機能することができ、他の2つの電極は、RX電極として機能することができる。TX電極は、電磁波を伝送してもよく、RX電極は、隣接組織から反射された波を受信してもよい。一部のかかる実施形態では、各列の異なるRX電極は、組織内の異なる深さでインピーダンスを検出するように配置される。これは、RX電極をTX電極に対して異なる距離を有するように配置することによって達成することができる。すなわち、1つのRX電極(例えば、電極2512)は、TX電極(例えば、電極2511)に対して第1の距離に位置決めされ、別のRX電極(例えば、電極2513)は、TX電極に対して第2の距離に位置決めされ、第1及び第2の距離は、相互に異なる。TX電極に対する距離が異なるため、RX電極は、異なる入射角で波を受信する。異なる入射角を有する波は、組織内への異なる浸透深さを有し、その結果、異なる深さにおけるインピーダンスの指標を提供することができる。異なる深さでインピーダンスを検出することは、凝血塊を特徴付ける(例えば、凝血塊のタイプ、組成、又は他の特性を推測する)能力を高めることができる。
【0173】
可撓性回路の一部の実施形態の更なる詳細が以下に提供される。
【0174】
ここで
図41Aを参照すると、可撓性回路基板4100が概略的に示されている。図に示すように、可撓性回路基板は、第1の可撓性領域4110と、第2の非可撓性領域4120とを備えることができる。一部の実施形態では、第1の領域は、第2の領域よりも高い可撓性を有する。これは、有利には、可撓性回路の部分が、それ自体の部分及び/又は侵襲性プローブ(例えば、ガイドワイヤ)の他の部分の周囲に巻着することを可能にし得る。例えば、
図41Bに概略的に図示されるように、可撓性領域4110は、非可撓性領域4120の周囲で屈曲及び撓曲することができる。これらの2つの領域間の可撓性の程度に関する更なる詳細は、本明細書の他の箇所でより詳細に説明される。
【0175】
可撓性回路基板は、回路基板の可撓性に寄与し得るポリマー又は有機層を含み得る。例えば、
図41Aに戻って参照すると、可撓性回路基板4100は、第1の集積回路4124、第2の集積回路4126、及び相互接続層4130上に配設される、第1のポリマー層4121及び第2のポリマー層4122を備えてもよい。図に概略的に示すように、第1のポリマー層4121は、相互接続層4130の上面に配設することができ、第2のポリマー層4122は、相互接続層4130の反対側の裏面に配設することができる。しかしながら、
図41Aに示される構成以外の、第1及び第2のポリマー層の他の構成が可能であることを理解されたい。
【0176】
ポリマー層(例えば、第1のポリマー層、第2のポリマー層)は、回路に可撓性を提供するための任意の好適なポリマー又は有機材料を含んでもよく、又はそれらであってもよい。例示的な実施形態では、ポリマー層はポリイミドを含む。しかしながら、他のポリマー材料も好適である。他の好適なポリマー材料の非限定的な例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、パラリエン、及びポリシロキサンなどのポリオレフィン、並びにベンゾシクロブテン(BCB)が挙げられる。他のポリマー又は有機材料も可能である。
【0177】
一部の実施形態では、第1のポリマー層4121及び第2のポリマー層4122は、一致した可撓性を有してもよく、それにより、2つの層の撓曲中に、一方向に撓曲されたときに相互接続層4130に作用する圧縮力及び膨張力が、反対方向に撓曲されたときに相互接続層に作用する圧縮力及び膨張力と一致する。これは、領域の中立面内にあると称される。相互接続層4130の2つの側で一致した可撓性を有すること、したがって少なくとも可撓性領域において中立面内にあることは、撓曲による相互接続層4130への損傷のリスクを軽減することによって、相互接続層4130及び可撓性回路の信頼性を高めるのに役立ち得る。一部の実施形態では、この一致した可撓性は、可撓性領域4110を通して、かつ可撓性領域4110と非可撓性領域4120との間の移行部を通して持続することができる。したがって、一部のかかる実施形態では、可撓性領域4110と非可撓性領域4120との間の各移行部において、相互接続層4130は、層4110、4120の間の中立面内に維持され得る。
【0178】
一部の実施形態では、この一致した可撓性は、回路(例えば、回路4100の相互接続層4130)を損傷(例えば、亀裂)することなく、所望の可撓性を可撓性回路に提供するように、第1のポリマー層及び第2のポリマー層の厚さを配置することによって達成することができる。例えば、第1の領域(例えば、可撓性領域)内で、第1のポリマー層及び第2のポリマーは、一致した厚さを有してもよい。2つの厚さは、それらが同一であるか、又は同一であることの閾値許容範囲内にあるときに一致し得る。一部の実施形態では、厚さを一致させるための公差は、2つの層の可撓性が一致しているか、又は撓曲中に相互接続層4130に同一の力若しくは相互の許容範囲内の力を印加することをもたらし得る。力に対する許容範囲は、撓曲による相互接続層4130の劣化又は破壊のリスクを軽減するように、2つの力がほぼ同等であることであり得る。一部の実施形態では、層4121、4122の可撓性は、実質的に同一であってもよく、又は層4121、4122の厚さは、実質的に同一であってもよい。この文脈で使用される「実質的に」という用語は、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、又は少なくとも約99.999%以上など、大部分又はほとんどを指す。
【0179】
一部の実施形態では、第1のポリマー層及び/又は第2のポリマー層(例えば、第1の領域内、第2の領域内)は、特定の厚さを有してもよい。一部の実施形態では、第1のポリマー層及び/又は第2のポリマー層の厚さは、1ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、15ミクロン以上、20ミクロン以上、25ミクロン以上、30ミクロン以上、40ミクロン以上、50ミクロン以上、60ミクロン以上、70ミクロン以上、80ミクロン以上、90ミクロン以上、又は100ミクロン以上である。一部の実施形態では、第1のポリマー層及び/又は第2のポリマー層の厚さは、100ミクロン以下、90ミクロン以下、80ミクロン以下、70ミクロン以下、60ミクロン以下、50ミクロン以下、40ミクロン以下、30ミクロン以下、25ミクロン以下、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下、5ミクロン以下、又は1ミクロン以下である。上述の範囲の組み合わせも可能である(例えば、1ミクロン以上かつ100ミクロン以下)。他の範囲も可能である。
【0180】
上述のように、可撓性回路基板はまた、
図41Aの相互接続層4130などの相互接続層を備えることができる。
図41Aの相互接続層4130は、可撓性回路基板内の回路基板の導電性トレース、ビア、リード、導電性パッド、又は他の知られている導電性要素を形成する導電性材料(例えば、上述のように金)の1又は複数の層によって形成され得る。説明を容易にするために、相互接続層4130は、本明細書では「層」(単数の用語)と称されるが、相互接続層4130は、1つ、2つ、又は別の好適な数の層を含み得ることを当業者は理解されたい。
【0181】
相互接続層は、非限定的な例として、第2の集積回路と侵襲性プローブの1又は複数のワイヤが接続される1又は複数の導電性接点との間、又は侵襲性プローブの回路と侵襲性プローブの近位部分における電気回路との間で、第1の集積回路及び第2の集積回路などの2つ以上の構成要素への電気通信を提供することができる。
【0182】
相互接続層は、1つの構成要素から別の構成要素に伝送される電気信号を提供するための任意の好適な材料であり得る。一実施形態では、相互接続層は金であるか、又は金を含む。しかしながら、相互接続層のための他の好適な材料を使用することができる。一部の実施形態では、相互接続層は導電性金属を含む。相互接続層導電性金属の非限定的な例には、金、白金、パラジウム、ニッケル、銀、銅、アルミニウム、及びAlSiCuなどのそれらの組み合わせ/合金が含まれる。一部の実施形態では、相互接続層は、Pedot:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート)のような導電性有機材料などの有機材料を含む。導電性相互接続層は、化学気相堆積(CVD)若しくは蒸着などの技術を使用して層全体を堆積させるなどの既知の技術を使用して、又はインクジェット印刷のような堆積方法を用いて形成することができる。
【0183】
一部の実施形態では、相互接続層の位置(例えば、第1の領域内、第2の領域内)は、相互接続層を破壊又は損傷することなく、可撓性回路の所望の可撓性を達成することができるような位置である。一部の実施形態では、第1の領域(例えば、可撓性領域、
図41Aの領域4110)内の相互接続層は、第1のポリマー層と第2のポリマー層との間(例えば、その中間)に位置決めされる。一部の実施形態では、第1の領域と第2の領域との間の移行部において、かつ第2の領域(例えば、非可撓性領域、
図41Bの領域4120)内で、相互接続層4130は、第2のポリマー層の底面と比較して、第1のポリマー層の上面のより近くに位置決めされる。上面により近いとは、可撓性回路の上部3分の1を含み得る。(この例では、「上部」は、相互接続層が集積回路用のリード又は他の接点との電気的接続を形成する可撓性回路の側である。一部の実施形態では、可撓性領域4110と非可撓性領域4120との間の移行部において、相互接続層4130は、ポリマーの2つの層の間の中立面内に留まることができる。中立面内に留まることは、第2のポリマー層4122が、第1のポリマー層4121の相互接続層4130の上の厚さよりも大きい、相互接続層4130の下の厚さを有する状態で、一致した厚さの2つのポリマー層の間の比較的中央にあることから、デバイスの上部(例えば、上部3分の1)にある状態に移行することを含み得る。ポリマー層内の相互接続層の他の位置決めも可能であり、当業者は、本開示の教示を考慮して、回路の撓曲時に回路に損傷を与えることなく可撓性回路の可撓性を維持するために相互接続層の位置を選択することができる。
【0184】
一部の実施形態では、可撓性回路基板は、1又は複数の集積回路(例えば、「チップ」)を備える。例えば、
図41Aにおいて、可撓性回路基板4100は、第1の集積回路4124及び第2の集積回路4126を含む。1又は複数の集積回路は、シリコンチップなどの無機固体材料であってもよく、有機ポリマー層と比較して比較的剛性又は非可撓性であってもよい。一部の実施形態では、1又は複数の集積回路は、第2の領域(例えば、非可撓性領域)内に配設される。上述したように、これは、可撓性回路基板に可撓性の領域と相対的に非可撓性の領域とを提供する。
【0185】
一部の実施形態では、非可撓性領域は、集積回路を第2のポリマー層に隣接して(例えば、直接隣接して)位置付け、第1のポリマー層を集積回路に隣接して堆積又は別様に形成することによって作製される。第1のポリマー層は、特定の所望の厚さを有するように形成することができ、この厚さは、所望の範囲の厚さ(例えば、目標厚さよりも大きい又は小さい許容マージンを有する目標厚さ)とすることができる。これらの例における厚さ寸法は、
図41Aの断面における高さ/垂直寸法であり得る。
【0186】
一部の実施形態では、所望の厚さは、材料がどのように堆積され、適用され、増殖され、又は別様に最初に第1のポリマー層に形成されるかを調節することによって達成することができる。他の実施形態では、所望の厚さは、第1のポリマー層の材料を処理して、最初に形成された材料の一部を除去し、その除去によって所望の厚さを達成することによって達成することができる。例えば、一部の実施形態では、第2のポリマー層上に位置決めされた集積回路の上にポリマー層を形成することを含む、ポリマー層を堆積させるか又は他の方法で形成することができる。この初期ポリマー層は、不確実な厚さであってもよく、最初は制御されていなかった厚さであり得るか、又は所望の厚さの所望の初期製造範囲内であるが、所望の厚さと同一ではない厚さを得るように制御された厚さであり得る。かかる一実施形態では、初期ポリマー層は所望の厚さから逸脱し得るが、その逸脱の量は未知であり得るため、初期ポリマー層の厚さを決定することができる。これは、初期ポリマー層の厚さを測定することによって決定することができる。例えば、レーザ及び干渉パターンを使用する低コヒーレンス干渉顕微鏡法が、厚さを測定するために使用されてもよい。あるいは、可撓性回路の少なくとも1つの領域がポリマー層を有さない(例えば、層が堆積されなかった、又は除去された)一実施形態では、表面形状測定装置を使用して、ステップ高さを測定することができる。
【0187】
測定に続いて、初期ポリマー層の一部を除去するために処理が行われてもよく、除去される量は、測定された厚さに基づいて決定され、所望の厚さを有する第1のポリマー層をもたらす材料の量である。実施形態は、任意の特定の方法で材料を除去するためにこの処理を実施することに限定されず、既知の技術を使用することができる。例えば、初期ポリマー層をエッチングして、所望の厚さを達成してもよい。一部の実施形態では、初期ポリマー層の一部の除去に続いて、初期ポリマー層が材料を除去するために処理された領域内の集積回路上に導電性接点を位置決めすることができる。
【0188】
一部の実施形態では、集積回路は、回路を短絡させるか、又は別様に損傷させ得る管内の物質(例えば、流体)から集積回路を保護する、層又はコーティングによって封入することができる。例えば、集積回路は、体液が集積回路の動作を妨害するリスクを伴わずに、体液中への侵襲性プローブの浸漬を可能にするように、防水性である材料内に封入されてもよい。一部の実施形態では、かかる封入層は、二酸化ケイ素(例えば、SiO2)及び/又は窒化ケイ素(例えば、SiNx、Si3N4)であってもよく、又はそれを含んでもよい。かかる封入層はまた、第2の領域の非可撓性を高めるか、又は集積回路を保護することができる。
【0189】
可撓性は、(材料を破壊することなく)達成可能な屈曲半径によって測定することができる。一例として、
図44は、中立材料及び撓曲材料を概略的に示している。図に示すように、中立材料は、中立軸4410を有し、材料を屈曲させると、中立軸4410もまた、撓曲部4420によって示されるように屈曲される。撓曲状態では、中立軸4430の半径が中立軸4410に対して形成される。撓曲はまた、内側半径4440及び外側半径4450の形成を引き起こす。
【0190】
一部の実施形態では、可撓性回路基板(又は、第1の領域、ポリマー層、相互接続部などの可撓性回路の構成要素)は、回路基板又はその構成要素に亀裂又は他の損傷を与えることなく、特定の屈曲半径を有し得る。一部の実施形態では、可撓性回路基板は、可撓性領域において、1ミクロン以上、3ミクロン以上、5ミクロン以上、7ミクロン以上、10ミクロン以上、12ミクロン以上、15ミクロン以上、18ミクロン以上、20ミクロン以上、25ミクロン以上、30ミクロン以上、40ミクロン以上、又は50ミクロン以上の屈曲半径を有する。一部の実施形態では、可撓性回路基板は、50ミクロン以下、40ミクロン以下、30ミクロン以下、25ミクロン以下、20ミクロン以下、18ミクロン以下、15ミクロン以下、12ミクロン以下、10ミクロン以下、7ミクロン以下、5ミクロン以下、3ミクロン以下、又は1ミクロン以下の屈曲半径を有する。上述の範囲の組み合わせも可能である(例えば、10ミクロン以上かつ25ミクロン以下)。他の範囲も可能である。
【0191】
可撓性回路基板の可撓性領域は、指定された屈曲半径を有するように十分に可撓性である一方で、その半径における屈曲/巻着/折り畳みの間又は後に機能を維持することなどによって、指定された範囲のうちのいずれか内の可撓性を有することができる。非可撓性領域は、同様に、所望の屈曲半径閾値を下回る、又は所望の半径範囲内の屈曲半径を有するものであってもよい。したがって、非可撓性領域の屈曲半径は、可撓性領域の屈曲半径よりも小さくてもよく、非可撓性領域の可撓性は、可撓性領域の屈曲半径よりも小さくてもよい。
【0192】
可撓性は、種々の技術を用いて測定することができる。一例として、所望の巻着半径/直径に対応する半径を有するロッドが提供されてもよく、基板(例えば、可撓性回路基板)は、ロッドの周りに数回巻着され、次いで、基板がその半径での屈曲に耐えることができるかどうかを評価するために機能について試験することができる。そうである場合、基板は、所望の巻着半径/直径で所望の可撓性を達成するのに十分な可撓性を有する。小さい巻着直径/半径の場合、かかるロッド技術は、困難であるか、又は非実用的であり得る。かかる場合、基板は、折り畳まれてもよく、次いで、圧力が、折り畳まれた基板スタックの所望の厚さを達成するように印加されてもよい。次いで、折り畳まれた基板を機能について試験して、その厚さでの折り畳み/巻着に耐えたかどうかを判定することができる。連続して数回試験することにより、基板が耐えることができる最大の折り畳み/屈曲/巻着半径を決定することができる。屈曲半径は、折り畳まれた基板スタックの厚さを厚さで除算し、次いでその厚さを層/折り目の数で除算することによって計算することができる。ロッドの巻着又は折り畳み中の機能の試験は、試験中に抵抗などの電気的パラメータを監視して、構成要素(例えば、相互接続部)の損傷又は破損を示し得る変化があるかどうかを判定することを含み得る。
【0193】
本明細書の他の箇所で述べたように、回路基板の第1の領域(例えば、可撓性領域)は、第2の領域(例えば、非可撓性領域)の少なくとも一部の周りに巻着することができ、侵襲性プローブの1又は複数の構成要素内及び/又はその周りに巻着することもできる。例えば、
図41Cの断面図に概略的に示すように、侵襲性プローブ4140は、第2の領域4120の周りに巻着された第1の領域4110を示している。図に示すように、可撓性回路(例えば、可撓性回路の第1の領域)は、コア4160に隣接するハウジング4150内で始まり、次いで、細長いコア4160を含むハウジング4150の一部の周りに巻着され、侵襲性プローブのジャケット4170内に配設される。
図41A~
図41Bの例に示すように、
図41Cの可撓性回路基板4100は、細長いコア4160に隣接して始まり、次いで、第2の集積回路4126の第2の領域4120が、撓曲力から保護された領域内に平坦に着座することができるハウジング4150内の位置に配設されるまで、ハウジング4150の周りに巻着する、可撓性の第1の領域を含む(例えば、
図35に示すハウジング内の開口部を参照)。次に、別の可撓性領域4110は、第1の集積回路4124をハウジング4150内の位置に位置決めする別の非可撓性領域4120までハウジング4150の周りに巻着し続け、この位置で、第1の集積回路4124は、平らに着座して撓曲力から保護されることができ、第2の集積回路4124と位置合わせされる。次いで、別の可撓性領域4110が、示されるように、ハウジング及び回路4124、4126に追従し、その周囲に巻着する。この最後の可撓性領域4110は、
図36Aの例に示すように、センサの1又は複数の電極を含んでもよく、電極は、侵襲性プローブの外部上に位置決めされ、動物の管の1又は複数の組織に接触してもよい。一部の実施形態では、可撓性領域のうちの少なくとも1つ(例えば、この最後の領域)は、可撓性回路の一部、侵襲性プローブ(例えば、ガイドワイヤ)の一部の周囲に1又は複数の完全なターンを形成するように構成される。
【0194】
可撓性回路基板及び集積回路は、可撓性回路基板が巻着された構成にあるときに、第2の領域(例えば、第2の領域の2つ以上の集積回路)が侵襲性プローブ内で位置合わせされるように適合及び配置することができる。位置合わせされるとは、2つの回路が、図示されるように、一方が他方の上に配設されることを意味し得る。例えば、
図41Cでは、第1の集積回路4124と第2の集積回路4126とが位置合わせされている。
【0195】
第1の回路4124は、一部の実施形態では、1又は複数の能動電子構成要素を含み得、1又は複数のセンサ(図示せず)と動作可能に関連付けられ、センサ(複数可)によって接触される動物の管の組織(複数可)の1又は複数の値を検知することができる。これは、1又は複数の周波数の1又は複数の電気信号を生成及び印加するための1又は複数の構成要素と、印加に応答して組織(複数可)から受信された電気信号の分析に基づいて、組織(複数可)のインピーダンスを判定するための1又は複数の構成要素とを含み得る。第1の回路4124は、測定ユニット(例えば、
図2の測定ユニット214)の本明細書の他の場所で説明される構成要素及び機能を含み得る。上述したように、第1の回路4124を可撓性回路4100上でセンサ(複数可)/電極の近くに(例えば、図示のように第2の回路4126よりも近くに(例えば、
図36Aの例示を参照されたい))位置決めすることにより、第1の回路4124によって受信される信号のノイズを低減することができる。第2の回路4126は、第1の回路4126の能動部品によって駆動される受動部品を含み得る。例えば、第2の回路4126は、第1の集積回路4124によって受信された1又は複数の値を処理する(例えば、インピーダンスフィルタ処理する)ように構成されてもよい。かかる一実施形態では、これは、依然として1つの可撓性回路基板の一部でありながら、検知及び処理が分離されることを可能にし得る。
【0196】
図41Cは、2つの集積回路を示すが、本開示はそのように限定されないため、可撓性回路基板は、2つを上回る回路を備え得ることを理解されたい。当業者は、本開示の教示に基づいて、所望の可撓性及び機能を維持しながら、可撓性回路基板のための適切な数の集積回路を選択することが可能であろう。
【0197】
図42は、侵襲性プローブのハウジング(例えば、非可撓性ハウジング)内に可撓性回路を位置決めし、位置合わせするためのフローチャートを示している。一部の実施形態では、方法4200は、ブロック4205に示すように、可撓性回路基板をハウジングのスロット内に位置決めすることによって開始する。ハウジングのスロットは、可撓性回路基板の一部(可撓性部分であってもよい)を収容するようなサイズ及び形状であり得る。スロット内に配置される可撓性部分は、一部の実施形態では、1又は複数のワイヤが接続される1又は複数の導電性接点を含む部分などの、非可撓性ハウジング内で開始し、非可撓性ハウジングからハウジングの外側に延在する部分であり得る。一部の実施形態では、このブロック4205において、可撓性回路がハウジングのスロット内に最初に配設されると、結合材料がハウジング及び可撓性回路に適用されて、可撓性回路のこの初期部分をハウジングのこの内側部分に固定/結合する。結合材料は、一部の実施形態では、接着剤(例えば、糊)であってもよい。接着剤は、例えば、エポキシ(金属及びポリイミドに対して有利な接着特性を有し得、有利には、高温に耐えることが可能であり得る)、シアノ接着剤(例えば、シアノアクリレート)、又はシリコーン接着剤などの絶縁接着剤であってもよい。
図41Cの断面に戻って参照すると、細長いコア4160に隣接して示される可撓性回路4100の最も中央の部分は、結合材料を使用して、細長いコア4160及び/又はハウジング4150に結合されてもよい。
【0198】
一部の実施形態では、可撓性回路基板は、可撓性回路基板全体、及び/又は回路基板の1又は複数の可撓性領域が、非可撓性ハウジングの周囲を完全に巻着するように構成される。一部の実施形態では、巻着中、ブロック4210に示すように、一貫した又は均一な張力が、可撓性回路基板の少なくとも一部に印加され、したがって、非可撓性部分は、スロット内に留まり、均一又は所望の巻着が達成され得る。加えて、一部の実施形態では、可撓性回路基板の集積回路(例えば、
図41A~
図41Cの回路4124、4126)は、回路基板が巻着されると、集積回路が位置合わせされるように、可撓性回路基板上に配置される。巻着中に可撓性回路基板に一貫した又は均一な張力を印加することは、ハウジング及び/又は可撓性回路基板の他の構成要素に対する可撓性回路基板の回路及び他の構成要素の所望の位置決めが達成されるように、巻着が所望の緊張状態で行われることを確実にし得る。
【0199】
この一貫した又は均一な張力は、一部の実施形態では、巻着中に固定された重りを可撓性回路基板に固定することを含む、種々の方法で達成することができる。
【0200】
次に、ブロック4215に示すように、可撓性回路基板の第1の可撓性領域が巻着され、巻着プロセスが開始される。実施形態は、巻着を達成するための特定の技術に限定されない。一部の実施形態では、巻着は、ハウジングを所定の位置に維持しながら、ハウジングの周りで可撓性回路を移動させることによって達成することができる。他の実施形態では、巻着は、ハウジングが回転するにつれて可撓性回路がハウジングの周りに巻着し始めるように、可撓性回路がハウジングから離れて延在する状態でハウジングを回転させることによって達成されてもよい。可撓性領域は、非可撓性領域及び/又はハウジングの一部の周りに巻着することができる。次いで、ブロック4420に示すように、非可撓性領域を位置合わせすることができ、ブロック4225に示すように、第2の可撓性領域を引き続き可撓性回路(又は他の構成要素)の周りに巻着することができる。
【0201】
一部の実施形態では、巻着に続いて、絶縁材料が、巻着された可撓性回路及びハウジングのアセンブリに適用され得る。絶縁材料は、例えば、絶縁接着剤であってもよい。
【0202】
図42のプロセス4200は、プロセスを実施しているものを特に参照することなく説明された。上記から理解されるように、プロセス4200は、好適な製造エンティティによって実施され得る製造プロセスである。場合によっては、工程のうちの一部又は全ては、侵襲性プローブ又はその構成要素を組み立てる人間の作業者によって行われてもよい。他の場合には、工程の一部又は全部は、工程(複数可)を実施するように配置された1又は複数の機械によって実施されてもよい。実施形態はこの点に限定されない。
【0203】
一部の実施形態では、可撓性回路基板は、ハウジング内に収容されてもよいが、可撓性回路の少なくとも一部は、ハウジングの外側に延在してもよい。例えば、
図43Aは、ハウジング4150の周りに巻着された可撓性回路基板4100を概略的に示している。可撓性回路基板4100の領域4305は、(例えば、
図42のブロック4205において)スロット内に最初に配設された領域に接続され、ハウジングに結合される。領域4305は、ハウジングの外側に延在し、第1の接点4310及び第2の接点4312などの1又は複数の導電性接点を含む。可撓性回路基板の回路(例えば、回路4124、4126)に電力及び/又は通信を提供するために、侵襲性プローブの1又は複数のワイヤがこれらの導電性接点に接続される。
【0204】
上述したように、非可撓性ハウジングの外側では、動物の解剖学的構造を通るナビゲーション中に、侵襲性プローブの構成要素に撓曲力が印加される。ワイヤと導電性接点との間の接続を保護するために、接続は、撓曲力が接続に印加されない、又はより少ない撓曲力が接続に印加されるハウジング内で行われ得る。しかしながら、ハウジング内に接続を配置することは、ハウジング内の構成要素(回路、ワイヤなど)のために利用可能な空間を制限し、機能を制限し得る。1又は複数の導電体をハウジングの外側に位置決めすることによって、可撓性回路基板の非可撓性部分のための空間を含む、より多くの空間がハウジング内の回路基板のために有利に提供される。ワイヤを領域4305に固定し、電気的接続を達成するために、以下に記載される技術を使用することによって、領域4305の領域における侵襲性プローブの可撓性を維持しながら、接続の信頼性を改善することができる。
【0205】
1又は複数の導電性接点の各接点は、ガイドワイヤの近位部分に向かって延在するワイヤに取り付けることができる。例えば、
図43Aでは、リボン4315は、リボンを形成するようにそれらの絶縁ジャケットにおいて物理的に接合され、侵襲性プローブの近位領域に向かって延在する、1又は複数のワイヤを含む。各1本のワイヤは、導電性接点のうちの1つの接点のみに電気的に接続され得る。例えば、リボン4315の第1のワイヤ4320は、接点4310に電気的に接続され、リボンの第2のワイヤ(図示せず)は、第2の接点4312に電気的に接続され、以下同様である。しかし、
図43Aから理解されるように、リボン4315のワイヤの各々は、少なくともリボン4315内のワイヤのワイヤの絶縁ジャケットを介して、導電性接点の全てに接触する。より具体的には、リボン4315は、
図43Aの例では、導電性接点を覆うが、リボン4315の各ワイヤは、1つの導電性接点のみに電気的に接続され、各導電性接点は、リボン4315の1つのワイヤのみに電気的に接続される。
【0206】
図43Bは、上述の接続の断面側面斜視図を示している。例えば、第1のワイヤ4320は、開口4330を通して第1の接点4310に接続する。第1のワイヤ4320のワイヤ絶縁体4322は、第1のワイヤ4320を、リボンの他のワイヤから、かつ第1のワイヤ4320が接続されない導電性接点から絶縁する。例えば、
図43Bに示すように、導電性接点4312の領域内のジャケット4322には開口が存在しないため、ワイヤ4320は、導電性接点4312から電気的に絶縁され、接点4312に電気的に接続されない。同じことが、領域4305の他の接点にも当てはまる(その例における5つの接点を示す
図43Aを参照)。開口4330の結果として、第1のワイヤ4320は、第1の接点4310のみに接続される。同様に、開口4430は、第1のワイヤ4320の絶縁ジャケット4322内のみにあり、第1の接点4310の位置では、リボンの他のワイヤの絶縁ジャケット内に対応する開口がないことを理解されたい(他のワイヤは、
図43Bの断面に示されていない)。これは、第1のワイヤ4320が導電性接点の第1の接点4310のみと電気的に接触し、第1の接点4310が第1のワイヤ4320のみと電気的に接触することを確実にする。
【0207】
しかしながら、リボン4315の他のワイヤは、それらのワイヤが接続される導電性接点の位置に対応する開口を含む。例えば、(第1のワイヤ4320が接続されず、したがって、
図43Bでは開口が存在しない)接触4312の領域では、リボン4315の別のワイヤの絶縁ジャケット内に開口が存在する。
【0208】
開口4430は、絶縁体4322内の開口部である。開口4430の開口部は、例えば、絶縁ジャケット4322に開口部を形成するためのレーザ切除又は他のプロセスによって形成されてもよい。
【0209】
一部の実施形態では、導電性結合材料(
図43Bには図示せず)が、開口4330の中及び周囲に配設され、第1の接点4310への第1のワイヤ4320の電気接点を提供する。導電性結合材料は、例えば、銀充填エポキシ(エポキシ内の導電性マイクロボールの浸透が導電性を提供する)、炭素充填接着剤(例えば、エポキシ、シリコーン、シアノ(例えば、シアノアクリレート)上)、又ははんだなどの導電性接着剤であってもよい。導電性結合材料は、第1のワイヤ4320及びリボン4315を第1の接点4310及び領域4130に結合し、第1のワイヤ4320と接点4310との間の良好な電気的接続を確実にする。
【0210】
一部の実施形態では、ワイヤの各々を導電性接点の個別の1つに電気的に接続するために導電性接点の各々の領域内に配設される導電性結合材料(
図43A参照)は、特定の導電性接点に電気的に接続しないワイヤを含む、リボン4315のワイヤの各々を横断して配設される。上記から理解されるように、導電性接点の各々の位置において、リボンの1本のワイヤの1つの絶縁ジャケットのみに開口が形成される。したがって、その領域に導電性結合材料が存在するにもかかわらず、絶縁ジャケットの結果として、リボンの1本のワイヤのみが各導電性接点に接続される。したがって、導電性結合材料を全てのワイヤに適用することは、電気的な観点からは不必要であり得る。しかしながら、導電性結合材料の存在は、ここでは別の目的を果たす。上述したように、可撓性回路の領域4305は、動物の解剖学的構造のナビゲーション中に撓曲力を受けることになり、これらの撓曲力は、導電性接点へのワイヤの接続を劣化させるか、又は破壊する可能性がある。
図43Bの例示的な実施形態では、導電性結合材料は、リボンの幅全体を領域4305の幅全体に結合することによって、接続部を保護し固定するのに役立ち得る。導電性結合材料は、硬化すると、可撓性領域4305において可撓性が低下した領域を形成する。この可撓性の低下は、撓曲中の導電性接点へのワイヤの電気的接続を保護する。しかし、この実施形態では、導電性結合材料がそれぞれの導電性接点の領域にのみ塗布され、導電性結合材料の領域が導電性結合材料を含まない領域によって分離されるため、領域4305全体が所望の可撓性を維持する。導電性結合材料を伴わないそれらの領域は、その可撓性を保存し、領域4305全体が、電気的接続も保護しながら、動物の解剖学的構造をナビゲートするための所望の可撓性を有することを可能にする。
【0211】
一部の実施形態では、領域4305の全体(又は少なくとも導電性結合材料及び導電性接点の領域)は、エポキシのような絶縁材料、又はシリコーン若しくはシアノ(例えば、シアノアクリレート)のような接着剤、又はポリマーの噴霧コーティング、又はエポキシ、パリレン、ポリイミド、若しくは他の絶縁材料の共形コーティングで被覆される。
【0212】
図43A~
図43Bは、リボン内の2つのワイヤを示すが、リボンは、追加のワイヤ(例えば、第3のワイヤ、第4のワイヤ、第5のワイヤ)を含んでもよく、可撓性回路基板の追加の導電性接点(例えば、第3の接点、第4の接点、第5の接点)によってガイドワイヤの近位部分への電気通信を提供し得ることを理解されたい。1又は複数のワイヤの各々は、1又は複数のワイヤの絶縁体に作製された1又は複数の開口の各々を通して、1又は複数の導電性接点の各々に電気的に接触することができる。
【0213】
図37は、一部の実施形態による、ガイドワイヤアセンブリの代替実装形態を示している。この例では、近位コネクタアセンブリ20とマルチファイラコイルとの間のガイドワイヤの近位150~160cmを構成するワイヤの本体は、金属トルクチューブ32を備える。この金属チューブは、ステンレス鋼又はニチノールから作製され、PTFE(TEFLON)などの外側コーティングを有する。遠位コアワイヤ31及び近位コアワイヤ34は、トルクチューブ32にはんだ付け又は結合(35)され得、その結果、マルチファイラコイル2への移行及びコアワイヤ31の遠位研削が達成され得、次いで、コネクタアセンブリ20は、
図31に示されるワイヤアセンブリとほぼ同じ方法で構築され得る。一部の実施形態では、ワイヤリード4は、マルチファイラコイルから出て、次に遠位はんだ接合部を通ってトルクチューブに入り、次に近位端でトルクチューブから戻るため、一部のかかる実施形態では、プラスチックジャケット33がワイヤリード4を覆うことができる。
【0214】
金属トルクチューブを使用する主な利点は、ワイヤを内部に収容することができ、したがってより保護することができることである。更に、トルクチューブの外径は、
図31のガイドワイヤアセンブリで使用されるコアワイヤ1の最大直径よりも大きいため、トルクチューブは、より良好にトルクを伝達することができる。例えば、ステンレス鋼トルクチューブは、全長コアワイヤの0.011~0.012インチ(0.28mm~0.30mm)に対して0.013インチ(0.33mm)であってもよい。トルクチューブを使用することの1つの欠点は、全長ステンレス鋼コアワイヤよりも容易に捻転することである。
【0215】
図38は、ガイドワイヤアセンブリの別の例を示している。この例では、
図31に示されるガイドワイヤアセンブリで使用されるマルチファイラコイルは、連続的に切り込まれた多数のスロットを有するニチノールチューブ又は他の材料で作製された高可撓性のトルクチューブ42で置き換えられている。これと同様のトルクチューブを使用するガイドワイヤとして、Stryker Corporationによって市販されているSynchro(商標)Guidewireなどが市販されている。
図39は、可撓性トルクチューブの例示的なバージョンを示している。このトルクチューブは、例えば、約0.002インチ~0.003インチ(0.05mm~0.08mm)の壁厚を有する0.014インチ(0.36mm)ODニチノールチューブから作製される。連続スロット43は、レーザ、研磨切断ホイール、ワイヤEDM機械などを使用して作製される。このバージョンは、各スロットが約0.006インチ(0.15mm)の深さ及び0.002インチ(0.05mm)の幅であるように作製されたスロット43を示し、各スロット43の中心線は、次のスロットから0.005インチ(0.13mm)離れている。スロットは、第1のスロット及び直径方向に対向するスロットが0度で切断され、次いで、第1のスロット角度をベースラインとして使用して、次のセットが90度であってもよく、次のセットが10度であってもよく、次のセットが100度であってもよく、次のセットが20度であってもよく、次のセットが110度などであってもよいように、前進角度シーケンスで切断されてもよい。これらの角度及び進行は、断面A-Aから断面D-Dに示されている。
【0216】
このタイプのトルクチューブの利点は、ドライブシャフトカプラ又はユニバーサルジョイントと同様に、非常に急峻な湾曲の周りでトルクを真に1対1で伝達できることである。このタイプのトルクチューブの欠点は、製造コストが高いことである。
【0217】
図40は、ガイドワイヤアセンブリの別の例を示している。この例は、
図31に示されるアセンブリと同様である。主な違いは、ステンレス鋼コアワイヤ1の最遠位端が短くされ、チューブカプラ61及びレーザ溶接、はんだ、接着剤などのいずれかを使用してニチノールワイヤ60に結合されて接合部を完成することである。直径0.005インチ~0.007インチ(0.13mm~0.18mm)の直径のニチノールワイヤ60は、非常に可撓性が高く、最も急峻な湾曲であっても捻転しないという利点を有する。
【0218】
これらの例は、本発明の一部の実施形態の例示であるが、これらのバージョンに詳述される機械的特徴の多くの組み合わせを組み合わせて、本発明の実施形態の精神に依然として包含されるより多くのバージョンを作成することができることが理解される。
【0219】
センサ及び検知技術の例
上述したように、一部の実施形態では、侵襲性プローブの測定ユニットは、電気インピーダンス分光法(EIS)を実施するように侵襲性プローブのセンサを動作させることができる。
図4~
図11は、かかるセンサ及び測定ユニットが配置することができる方法の例を説明し、かかるセンサ及び測定ユニットの動作のための技術の例を説明する。しかしながら、実施形態は、このセクションで説明されるEISの例に従って動作することに限定されないことを理解されたい。
【0220】
図4~
図11に関してこのセクションで説明する技術は、ヒトなどの哺乳動物を含む動物の管の病変の組織及び/又は生体材料の判別を可能にする。「判別」は、ここでは、この方法によって与えられる、例えば、病変の1又は複数のタイプの細胞(例えば、赤血球及び/若しくは白血球、又は異なるタイプ若しくは状態の内皮細胞)及び/又は病変の1又は複数のタイプの他の生体材料(例えば、コレステロールなどのプラーク材料)を決定することによって、異なる組成の病変を区別する可能性を意味すると理解されるべきである。より概しては、このセクションに記載される技術によって可能になる判別は、試験された病変に関する情報の少なくとも1つの項目を決定することを含む。これらの技術によって決定され得る情報の例は、後述される。
【0221】
細胞判別方法10は、
図4に概略的に示すように、試験される病変のインピーダンスの周波数スペクトルを決定する第1の工程12を含む。
【0222】
スペクトルは、ここでは、病変のインピーダンスの値の対のセットを意味すると理解されるべきであり、後者は、複素数であってもよく、対応する周波数のものであってもよい。したがって、このスペクトルは、離散的であり、有限数の対のみを含み得る。これらの対は、特に、数Hz、更には数十Hz、更には数百Hzだけ分離することができる。しかしながら、他の実施形態では、この工程で決定されるスペクトルは、周波数帯域にわたって連続的、擬似連続的であるか、又は離散化されている。擬似連続とは、スペクトルが、100Hz以下、好ましくは10Hz以下、更に好ましくは1Hz以下だけ分離された連続する周波数について決定されることを意味すると理解されるべきである。組織のインピーダンスが決定される周波数帯域は、例えば、10kHz、好ましくは100kHzから広がる。実際、低周波数では、病変の組織/材料の膜は、電気絶縁体として作用し、その結果、インピーダンスは非常に高く、とりわけ、ほとんど変化しない。更に、組織/材料のインピーダンスが決定される周波数帯域は、例えば、100MHzまで、好ましくは1MHzまで広がる。実際に、高周波数では、病変を構成する組織/材料の壁は、電気的観点から透明になる。したがって、測定されたインピーダンスは、もはや生体構造を表すものではない。このスペクトルは、病変の複素インピーダンスの実部及び/又は虚部及び/又は絶対値及び/又は位相の周波数スペクトルであってもよい。
【0223】
病変のインピーダンスの周波数スペクトルを決定するこの第1の工程12は、特に、
図5に関連して以下に説明されるように実施され得る。
【0224】
まず第1に、工程14の間、2つ、好ましくは3つ、更により好ましくは4つの電極が、試験される病変と接触して配置され、電極は、交流電流発生器に連結される。4つの電極を用いた測定は、試験される病変に電流を通すために2つの電極を実装し、他の2つの電極間の電位差を測定することを可能にするので好ましい。これにより、測定精度を向上させることができる。次いで、工程16の間、病変に接触している電極間に交流電流が印加される。次いで、工程18の間に印加される電流の周波数を変化させることによって、対応する電圧が、異なる周波数について電極の端子において測定される。最後に、工程20の間、測定が行われた周波数の各々について、測定された電圧と印加された電流との間の比が計算される。この比は、測定周波数の関数として、試験された病変のインピーダンスを与える。計算された比は、病変のインピーダンスの周波数スペクトルを規定することを可能にする。
【0225】
スペクトルが連続的又は擬似連続的である場合、
図6に示すように、この特定の場合には、周波数の関数として病変のインピーダンスの絶対値を与える曲線の形で表すことができ、後者は対数スケールに従ってプロットされる。ここで、対数スケールがx軸上で使用されることに留意されたい。
【0226】
図4の判別方法10の工程22において、病変のインピーダンスの異なるモデル、すなわち病変をモデル化することができる異なる電気回路が選択される。ここでは、キャパシタンスではなく、定位相要素(constant phase element)を含むモデルが選択される。実際には、定位相要素は、キャパシタンスよりも病変の挙動をより現実的にモデル化することが分かっている。
【0227】
定位相要素(又はCPE)は、
【数1】
又は
【数2】
の形式のインピーダンスZ
CPEを有し、ここで、
‐jは-1の平方根であり(j
2=-1)、
‐ωは電流の特定のパルスであり(
【数3】
、ここでfは電流の周波数である)、
‐Q
0は定位相要素の実パラメータであり、
‐αは0と1の間にある定位相要素の別の実パラメータであり、その結果、定位相要素の位相
【数4】
は-απ/2に等しい。
【0228】
以下の説明では、インピーダンスが上記の式[1a]又は[1b]によって与えられる定位相要素が例として選択される。
【0229】
病変のインピーダンスのモデルは、特に、
図7~
図10に関して以下に記載されるものから選択され得る。明らかに、モデルが単純になればなるほど、計算も単純になる。しかしながら、複雑なモデルは、測定によって得られたインピーダンスのスペクトルにより良好に相関し、したがって、より正確な結果を与えることができる。
【0230】
図7に示す第1のモデル24によれば、病変のインピーダンスは、定位相要素30と第2の抵抗32との並列接続28と直列に取り付けられた第1の抵抗26によってモデル化される。
【0231】
この場合、病変の総抵抗Z
totは、
【数5】
の形態であり、ここで、
‐Z
totが、病変を表す第1のモデル24の総インピーダンスであり、
‐R1及びR2が、第1の抵抗26及び第2の抵抗32の抵抗値である。
【0232】
かかるモデルは、一組の個々の並列実装のような測定電極を覆う組織を特に良好に記述し、各個々の実装は、個々の抵抗及び個々のキャパシタンスの並列実装と直列の個々の抵抗とで構成される。かかる実装は、パラメータが異なり得る並列の異なる回路に従って、測定電極の表面全体にわたる時定数の分布をモデル化することを可能にし、並列のこれらの回路の各々は、病変の異なる組織/材料を表す。従って、病変の組織/材料が異なる電気的特性、特に異なる抵抗及び/又はキャパシタンスを示し得るという事実がモデル化される。
【0233】
図8Aに示す第2のモデル34は、第2の定位相要素36を直列に取り付けることによって、
図7のモデル24を補完する。この第2の定位相要素36のインピーダンスZ
CPE,2はまた、
【数6】
の形態であるように選択されてもよく、ここで、
‐βは、この第2の定位相要素の一定位相が-βπ/2に等しくなるように、0と1との間にある実パラメータであり、
‐Q
1は、定位相要素の実パラメータである。
【0234】
したがって、この第2のモデル34による病変部の総インピーダンスZ
totは、以下の式によって与えられる。
【数7】
【0235】
第2のモデル34の変形34’が
図8Bに示されており、高周波数でのインピーダンス曲線のより良好な適合のために、
図8Aの回路と並列にキャパシタンスCを追加することによって、
図8Aのモデルとは異なる。
【0236】
図9に示される第3のモデル38は、
図7のモデルに対応し、抵抗R
3の第3の抵抗40と並列に取り付けられる。この場合、病変の総インピーダンスZ
totは、以下の式によって与えられる。
【数8】
【0237】
最後に、第4の例示的なモデル42を
図10に示している。このモデル42は、図示のように、定位相要素30と第2の抵抗32との直列実装と並列に取り付けられた第1の抵抗26を備える。
【0238】
病変の総インピーダンスZ
totは、このモデル42に対して、以下の式によって与えられる。
【数9】
【0239】
次いで、判別方法は工程44に進み、その間に、工程22で選択された各モデルについて、病変のインピーダンスのモデルと工程12で決定されたスペクトルとの間の相関を最適化する定位相要素30のインピーダンスが決定される。
【0240】
病変のインピーダンスのモデルと工程12において決定されたスペクトルとの間の相関の最適化のこの工程は、当業者によって知られている任意の最適化方法によって実装され得る。一例として、最小二乗法を実装することができ、これは、この工程44の実際的で比較的簡単な実装形態を可能にする。
【0241】
実際には、定位相要素のインピーダンスのパラメータ以外の、異なるモデルの他のパラメータも、この工程44の間に決定される。これらの要素はまた、試験される病変及び/又はそれが構成される組織/材料に関する情報を得るために有用であり得る。
【0242】
次に、判別方法10の中間工程46が提供され得る。この工程46は、病変のインピーダンスの測定されたスペクトルと最も良く相関するように見えるモデルを決定することにある。この最良のモデルは、例えば、測定されたスペクトルの標準偏差を最小化するものであってもよい。以下の説明では、モデル24が病変のインピーダンスの測定されたスペクトルに最も良く相関するものとして保持される場合が仮定される。
【0243】
工程48の間、病変の実効キャパシタンス(又は見かけのキャパシタンス)が、定位相要素のインピーダンスのパラメータ及び対応するモデルから推定される。
【0244】
理論的には、この実効キャパシタンスは、細胞構造の要素の個々のキャパシタンスのセットを表す。実効キャパシタンスは、細胞構造の要素の分散された局所キャパシタンスを表す。細胞構造のこれらの要素は、特に、細胞構造の細胞の核の全部又は一部であってもよく、ゴルジ装置、小胞、ミトコンドリア、リソソーム、及び膜相互作用において役割を果たし得る他の要素などの細胞の他の部分であってもよい。実効キャパシタンスはまた、細胞の幾何学的形状及び細胞間の空間によって影響され得る。実効キャパシタンスは、病変の一部又は全部の電気的膜挙動の表現を可能にするモデルである。このモデルは、病変の組織/材料を適切に判別することを可能にする。
【0245】
より具体的には、この実効キャパシタンスは、個々の並列実装を含むモデルを用いて病変のインピーダンスを識別することによって決定され、個々の実装はそれぞれ、少なくとも1つの個々の抵抗及び1つの個々のキャパシタンスを含む。各実装は、特に、第2の個別抵抗を有する個別キャパシタンスの並列実装と直列の第1の個別抵抗を含むことができ、好ましくは、第1の個別抵抗から構成され得る。これらの個々の実装は、病変の各組織/材料の挙動をモデル化することを目的とする。この場合、実効キャパシタンスは、病変において、全ての個々のキャパシタンスの存在から生じるキャパシタンスである。
【0246】
モデル24(又は34又は34’)の場合、実効キャパシタンスの決定は、特に以下のように実施されてもよい。定位相要素を有するモデル24のインピーダンスは、定位相要素が実効キャパシタンスによって置き換えられた等価又は同一のモデルのインピーダンスと比較される。厳密に言えば、実効キャパシタンスの計算は、定位相要素を有する病変に対して選択されたモデルのインピーダンスの実部及び/又は虚部及び/又は位相及び/又は絶対値を、定位相要素が実効キャパシタンスによって置き換えられた同一のモデルと比較することによって実施することができる。
【0247】
モデル24(又は34又は34’)の場合には、例えば、式[3]から直接推定されたモデル24のアドミッタンスの式に時定数
【数10】
を導入することによって、以下の式[8]が得られる。
【数11】
そこから、実効キャパシタンスの式を次の形式で導き出すことができる。
【数12】
【0248】
定位相要素を有する病変のインピーダンスの別のモデルが選択される場合、実効キャパシタンスの対応する式を決定することが可能である。これを行うためには、選択されたモデルのパラメータの関数として、モデル24又は34又は34’のインピーダンスR1、R2、ZCPE及びZCPE,2(適切な場合)を計算することで十分であり、モデル24又は34又は34’は、病変のインピーダンスのモデルと電気的に等価である。次いで、R1、R2、Z0及びαを、選択されたモデルのパラメータの関数として表される対応する値で置き換えることによって、実効キャパシタンスを計算することができる。
【0249】
次に、細胞判別方法10は、以前に決定された実効キャパシタンスから、病変の組織/材料に関する情報の項目を推定する工程66に続く。
【0250】
この推定は、特に、工程48において決定された実効キャパシタンスの値を予め確立された値と比較することによって行われてもよい。事前に確立された値は、特に、既知の組成の組織に対して、既知の媒体中で、既知の試験状態を用いて行われる試験中に得ることができる。事前に確立された値は、実効キャパシタンス値のデータベースに一緒にグループ化されてもよく、異なる型の細胞及び/又は異なる細胞の異なる状態及び/又は異なる試験状態に対して測定された実効キャパシタンスを一緒にグループ化する。実効キャパシタンス値は、本測定において見出されやすい細胞型及び状態の実効キャパシタンスのデータベースと比較することができる。比較のために、実効キャパシタンスCeffを他のパラメータとともに使用することができる。比較は、正確な一致でなくてもよく、実効キャパシタンス値が所定の範囲内に入るか否かの判定を含む。
【0251】
したがって、病変の組織/材料を判別すること、すなわち、
‐病変内の組織及び/又は他の生体材料のタイプ、
‐特に病変が異なるタイプの生体材料又は異なる状態の組織/細胞/他の生体材料から構成される場合の病変の組成、
‐病変が組織から構成される場合、組織に含まれる細胞の型及び/又は組織に存在する細胞の層の数、
‐病変がプラーク材料のような他の生体材料から構成される場合、病変に含まれる材料のタイプ、及び/又は
‐病変に含まれる細胞の状態、特に細胞が健常状態、炎症状態、変性状態にある場合、特に1又は複数の癌性細胞が存在する場合、感染状態にある場合、
の情報の項目のうちの少なくとも1つを決定することが可能である。
【0252】
一例として、
図18は、上述した方法に従って実施された試験に関連して決定された実効キャパシタンス68、70、72、74を線図の形態で示している。
【0253】
試験に関連して、細胞のコンフルエンスが得られるまで細胞を培養した。実施された例示的な試験の場合、試験される組織をコンフルエンスによって得るために、37℃及び5%CO2のインキュベーター中で2日間の培養が必要であった。試験される異なる組織のインピーダンスのスペクトルの決定は、インピーダンス分光法システムを使用して実施された。研究される細胞を電気的に励起しないように非常に低いが、正確な測定値を得るのに十分であると推定される交流電圧を印加することによって、1kHz~10MHzの間でスペクトルを決定した。実施された試験の例では、交流電圧の20mVの振幅が保持された。
【0254】
実効キャパシタンス68は、静的な試験媒体のみのキャパシタンスである。この試験媒体は細胞培養媒体である。実効キャパシタンス70は、ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)のキャパシタンスである。実効キャパシタンス72は、ウシ大動脈平滑筋細胞(BAOSMC)のキャパシタンスである。最後に、実効キャパシタンス74は、血小板(又は栓球)のキャパシタンスである。この図が示すように、異なる型の細胞の実効キャパシタンスは、互いに明らかに異なる値を示し、これは、混同のリスクなしに、異なる型の細胞を正確に効果的に区別することを可能にする。
【0255】
したがって、上述の判別方法の1つの利点は、試験される病変のインピーダンスの周波数スペクトルの単純な測定から、電極に接触する病変内の組織/材料の判別を可能にすることである。得られた結果は正確である。測定されたインピーダンスの正規化を進める必要もなければ、試験されるサンプルが存在しない状態での基準測定を進める必要もない。したがって、本方法は、試験される細胞又は細胞構造の事前サンプリングを必要とせずに実装することができ、一部の実施形態ではインビボで実装することができる。
【0256】
実効キャパシタンスが決定される場合、この単一の値は、病変の組織/材料を判別するのに十分であることが多いことに留意されたい。試験される病変のインピーダンスの選択されたモデルのパラメータはまた、事前に確立された値と比較され、実効キャパシタンスの比較の結果を規定することができる。例えば、病変の細胞が炎症を起こしている場合、細胞間の接合部はより緩くなる。低周波数での抵抗、すなわち例えばモデル24の抵抗32は、健康な細胞と比較して低い。次いで、この抵抗の値と、健康な非炎症細胞について予め確立された値との比較により、これらの細胞の炎症状態を判定することが可能になり得る。
【0257】
病変の組織/材料を判別するために、モデルの他のパラメータが考慮され得ることにも留意すべきである。しかしながら、これらの他のパラメータは、検査される病変に関する情報の追加の項目を決定することを可能にすることもできる。したがって、例えば、モデル24の抵抗26、32のR2又は合計R1+R2は、病変が組織を含むとき、細胞構造の厚さを決定するために考慮され得る。これを行うために、モデル24と測定されたインピーダンススペクトルとの相関を最適化するように、特に定位相要素のインピーダンスの決定と同時に、値R2、及び場合によってはR1が決定される。次いで、値R2又は合計R1+R2を、既知の条件、例えばインビトロで予め定められた対応する値と比較することができる。これらの予め定められた値は、特にデータ記憶装置に格納されてもよい。
【0258】
先に述べたように、この方法は、動物被験体に挿入され得る(例えば、ヒト被験体の脈管構造に挿入され得る)デバイスの状況において容易に実装することができる。
【0259】
例として、
図11は、前述した方法を実装するためのシステムの例100を示している。
【0260】
システム100は、本質的に、媒体105、例えば血液に浸漬された病変104、ここではコンフルエント細胞の単層組織のインピーダンスを測定するための手段102と、方法を実装し、測定されたインピーダンスの関数として病変104の組織を判別するために、測定手段102に連結された電子制御ユニット106とを備える。
【0261】
測定手段102は、ここでは、病変104と接触する2つの電極110、112に連結された交流電流の発生器108を備える。測定手段102はまた、病変104と接触する2つの電極116、118によって当該病変104にリンクされた、病変104を通過する強度を決定するためのデバイス114を備える。電子制御ユニット106は、例えば、電極110、112、116、118の端子における電圧及び強度の測定から、病変104のインピーダンスを決定することができるように、発生器108及び強度測定デバイス114に連結される。
【0262】
電極110、112、116、118は、例えば金などの導電性材料からなる。
【0263】
ここで、有利には、測定手段102は、動物被験体に挿入され得る医療デバイス120、ここでは侵襲性プローブを更に備える。この場合、電極110、112、116、118、交流電圧発生器及び強度測定デバイスは、この医療デバイス上に固定することができる。医療デバイスは、例えば、2014年10月03日に出願された出願FR3026631 A1 MEDICAL DEVICE PROVIDED WITH SENSORS HAVING VARIABLE IMPEDANCEに記載されているようなものであり、その全内容、特に、測定デバイスを含む埋め込み型医療デバイスの説明は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0264】
この場合、交流電気発生器108は、ステント120の外部のインタロゲーションユニットによって放出される電磁界の影響下で電流を放出するように適合された、医療デバイスの本体又は医療デバイスの本体から電気的に絶縁されたアンテナなどの電機子を含んでもよい。電極は、可変インピーダンスを有するセンサを形成することができ、そのインピーダンスは、電極を覆う細胞構造の関数として変化する。最後に、電子制御ユニットは、特に埋め込み型医療デバイス120の本体上に固定されたアンテナによる磁場の放出によって、電極間のインピーダンスに関する情報の項目を受信することができる。
【0265】
したがって、ステント120は、ステント120が装着された後に、内皮の治癒の正確な進行をチェックすることを可能にし得る。実際、かかるステント120は、電子制御ユニットと協働して、
図4の方法を実装することによって、内皮の表面上に形成された細胞構造が、健康な内皮細胞、炎症を起こした内皮細胞、平滑筋細胞、及び/又は血小板を本質的に含むかどうかを判定することを可能にする。
【0266】
本発明は、上述の例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって与えられる定義の範囲内で、多数の変形が可能である。
【0267】
したがって、例えば、工程22において病変のインピーダンスの単一のモデルを選択することが可能である。この場合、多数のモデルに対して最適化を実行する必要はない。したがって、本方法は、この場合、実装するのがより簡単でより高速である。特に、モデルがより適切であると考えられる場合に、このように進めることが可能である。
【0268】
更に、説明される一部の例では、組織/材料の判別は、本質的に、計算された実効キャパシタンスと、事前に確立された値とのその比較とに基づく。しかしながら、変形例として、病変のインピーダンスの選択されたモデルのパラメータから組織/材料の判別を進めることが可能である。しかしながら、単に実効キャパシタンスの値を比較することは、単純であるとともに、細胞の確実な判別を可能にすると思われる。
【0269】
図19は、本開示の態様に従って作製されたシステム300の例を示している。このシステムは、埋め込まれたデバイス、例えばステント、又は細胞のインビトロ培養のためのデバイスの一部であり得る測定モジュール301を含む。
【0270】
測定モジュールは、少なくとも2つの電極を備え、
図11を参照して上述したようなものであってもよい。
【0271】
システム300は、例えば、測定モジュールからのデータからインピーダンススペクトルを生成するように構成された内部処理ユニット302も備える。
【0272】
システム300は、データ(測定モジュール301からのデータ及び/又は内部処理ユニット302によって決定されたインピーダンススペクトル)を受信機304に無線で伝送するためのエミッタ303を備えることができ、受信機は、測定がインビボで行われる場合には体外にあってよい。伝送は、とりわけ、RFID、NFC、Bluetooth、WiFi、無線又は赤外線のいずれかなどの任意の無線プロトコル下で行われてもよい。一部の実施形態では、伝送は、インターネットを含む、1又は複数の有線及び/又は無線ローカル及び/又は広域通信網を介した伝送を含んでもよい。
【0273】
システム300は、受信したデータに基づいてインピーダンススペクトル(エミッタ303から測定モジュール301からのデータを受信する場合)及び/又は種々のパラメータ及び実効キャパシタンスCeffを計算するための外部処理ユニット305と、Ceffを表す値と基準データとの比較に基づいて決定された細胞の型及び/又は状態に関する情報を表示するためのLCDスクリーンなどの表示手段306とを備えることができる。種々のパラメータ及び実効キャパシタンスを決定するために、外部処理ユニット305は、インピーダンスについての1又は複数の等価回路モデルに関する情報を用いて構成され、上記で説明した方法などで、モデル(複数可)のうちの少なくとも1つのパラメータを決定することができる。外部処理ユニット305はまた、上述したように、モデル(複数可)のパラメータの決定に続いて、モデルのうちの1つを、実効キャパシタンスを決定するためのモデルとして選択するように構成することができる。外部処理ユニットは、等価回路モデルとインピーダンススペクトルとの間の適合度に基づいて選択を行うことができる。システムは、このように識別された細胞の少なくとも1つのタイプ及び/又はステータスに基づいて、治癒プロセスの進展を表す情報、例えば、(ステントなどのインプラントの位置決めを含む)処置が行われた領域(例えば、組織)の現況に関する情報を提供することができ、及び/又は、治癒又は瘢痕化応答などの、領域内の処置に対する応答を反映し得る領域のステータスの経時的な変化に関する情報を提供することができる。
【0274】
外部処理ユニットは、ASIC、EEPROM、又は上述した外部処理ユニットの動作を実施するように特別に構成された他の構成要素などの専用ハードウェアを含む専用デバイスであり得る。他の実施形態では、外部処理ユニットは、ラップトップ又はデスクトップパーソナルコンピュータ、サーバ、スマート/モバイル電話、パーソナルデジタルアシスタント、タブレットコンピュータ、又はモバイルコンピューティングデバイスを含む他のコンピューティングデバイスなどの汎用デバイスであってもよい。外部処理ユニットが汎用デバイスを用いて実装される場合、汎用デバイスは、1又は複数のプロセッサと、プロセッサ(複数可)による実行のための命令をその上に符号化した非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、命令レジスタ、オンチップキャッシュ、メモリ、ハードドライブ、光媒体などのリムーバブル媒体)とを含み得、命令は、プロセッサに、外部処理ユニットによって実施されるものとして上記で説明した動作を実行させる。内部処理ユニットは、一部の実施形態では、処理能力を有する任意の適切なICチップ又は他のハードウェア構成要素であり得る。外部及び内部処理ユニットは、外部処理ユニットがサーバ内に実装され、データが1又は複数のネットワーク又はインターネットを介して伝送される場合など、相互に近接して(例えば、同一室内、又は5フィート以内に)位置してもよく、又は相互から遠隔に(例えば、建物又は建物の複合体の異なる部分に)若しくは地理的に遠隔に(例えば、数マイル離れて)位置してもよい。
【0275】
変形例では、
図20に示すように、処理の一部は、例えばインターネットを介してデータが伝送される遠隔サーバ310において実行される。
【0276】
実施例
図25は、それぞれ3つの細胞型、すなわち血小板、平滑筋細胞及び内皮細胞を含む細胞構造について測定されたインピーダンススペクトルの振幅及び位相の集合を示している。
【0277】
比較例
第1に、R0Cmixと直列の溶液抵抗と直列の二重層キャパシタンスCdl(Cmixキャパシタンスと並列のR0抵抗)からなる、CPEなしの等価回路モデルが使用される。
【0278】
次いで、複素インピーダンスに対する細胞層の影響を記述するCmixパラメータが計算される。
【0279】
2つの細胞型についてのCmixの分布の結果を
図26Aに示している。2つの細胞型を区別することが可能である。しかしながら、第3の細胞型を追加する場合、
図26Bに示すように、3つの細胞型は、もはや区別することができない。
【0280】
より高度なアプローチを使用し、CPE要素を等価回路モデルに実装し、例えば、
図8Aに示されるモデル34を使用する場合、システムを記述する6つのパラメータ、すなわち、R0、Rinf、Q0、β、Qdl、及びαが存在する。
【0281】
これらのパラメータは、等価回路モデルのインピーダンスが
図25の実験的インピーダンススペクトル曲線に最も良く適合するように計算することができる。
【0282】
次いで、
図27A~27Fに示すように、各パラメータについて、3つの細胞型についてのこのパラメータの分布を表示することができる。
【0283】
各パラメータについて、3つの細胞型を明確に区別することができず、これらのパラメータの線形結合は、求められる細胞判別を提供することができないことが分かる。
【0284】
実施例
図28は、上記の式[8]に基づいて決定された、3つの細胞型に対する実効キャパシタンスCeffを表す値の分布を示している。
【0285】
3つ全ての細胞型を明確に区別することが可能であることが分かる。精度は90%以上である。細胞間の分化は、
図27A~
図27Fと比較して有意に改善される。
【0286】
等価回路が
図8Bの回路34’である場合、
図29のCeff分布が得られる。
【0287】
R0-RinfがRinfに対して大きいと考えると、式[8]は、Ceff=(1-α)/αとして簡略化することができる。
【0288】
得られたCeffの分布を
図30に示している。3つの細胞型が依然として約85%の精度で区別され得ることが分かる。
【0289】
図28~
図30に示される分布は、細胞型決定のための参照データとして役立ち得る。
【0290】
例えば、インピーダンススペクトルは、
図25のインピーダンススペクトルと同様の状態で測定されてもよく、このスペクトルに基づいて、パラメータR0、Rinf、Q0、β、Qdl、及びαの値が決定される。この決定は、
図8の等価回路モデル34を用いた振幅及び位相のインピーダンス曲線の最小二乗フィッティングに基づき得る。
【0291】
次いで、パラメータ値R0、Rinf、Q0及びαが知られると、実効キャパシタンスCeffを計算することができ、その値を
図28の分布と比較して、それがどの細胞型に対応するかを判定することができる。例えば、nF/cm2単位のCeffの低い値は、細胞が第1のタイプであることを示し、約50~約100の値は、細胞がタイプ3であることを示し、約100を超える値は、細胞がタイプ2であることを示している。
【0292】
医療デバイスを操作する方法
医療デバイス、センサ、及び病変の組織/材料を検知する方法の例は、
図2~
図11に関して上記で詳細に説明されている。
図12~
図16に関連して以下で説明されるのは、かかる医療デバイスによって実装され得る、及び/又は医療デバイスが実施するように操作され得る技術の例である。
【0293】
図12は、例えば、本明細書で説明される一部の技術に従って動作する医療デバイスによって実施され得るプロセス1200を示している。
図12の例の医療デバイスは、侵襲性プローブが、1つ又は2つの電極を含み得る単一のセンサのみを含み得る医療デバイスであり得る。前述の説明から理解されるように、(例えば、
図3の例における)侵襲性プローブに沿って配列される複数のセンサと比較して、病変に関する限定された量の情報が、単一のセンサから判定され得る。
図12の例では、侵襲性プローブのセンサは、吸引カテーテル内及びステントリトリーバ内、並びに/又は吸引カテーテル若しくはステントリトリーバの挿入前に挿入されるガイドワイヤ内などの治療デバイス内に配設され得る。医療デバイスは、センサを使用して決定された病変の特性(複数可)に基づいて治療勧告を生成することができる。
【0294】
プロセス1200は、ガイドワイヤに取り付けられたセンサが、センサに近接する病変の1又は複数の特性を検出するように操作される、ブロック1202で開始する。プロセス1200の開始に先立って、センサがその一部であるガイドワイヤの侵襲性プローブが、動物の脈管構造に挿入され、病変の予測される場所に近接して移動され得る。次いで、センサは、センサが病変に接触するときを検出するように動作される。病変の接触は、センサによって出力される値の経時的変化を評価することによって判定されてもよい。例えば、センサは、血液と接触するときに1つの値を出力してもよく、これは、センサが病変によって閉塞されない領域で血管の中央に配設される場合であってもよい。侵襲性プローブが病変に接触するまで前方に移動されるとき、センサによって出力される値は、接触が行われると変化し得る。このようにして、病変の位置は、単一のセンサを使用して決定され得る。センサは、加えて、場合によっては、センサがもはや病変に接触せず、出力値が血液に接触することと関連付けられた値に戻るまで、侵襲性プローブを前進させ続けることなどによって、病変の長さを判定するように動作されてもよい。
【0295】
図12の例では、単一センサのみを使用して、医療デバイスは、病変の組成を把握していない場合があり、どの治療選択肢が特定の病変を治療するために最良であり得るかに関する治療勧告を行うことができない場合がある。しかしながら、医療デバイスは、選択された治療選択肢が正常に行われているかどうかを判定するために使用され得る、治療の進行又は成功に関する情報を生成することが可能であり得る。この情報に基づいて、医療デバイスは、実施されている治療を別の治療に変更するかどうかに関する治療勧告を生成することができる。
【0296】
図12などの実施形態で実装され得る、1つの治療プロトコルでは、吸引カテーテルが、病変の治療のための第1の選択肢として使用され得る。したがって、ブロック1204において、吸引カテーテルは、ガイドワイヤの侵襲性プローブに近接して位置し、したがって病変に近接して位置するまで、脈管構造に挿入される。一部の実施形態では、ガイドワイヤは、最初に挿入されなくてもよく、むしろ、吸引カテーテルは、病変に近接して位置決めされるまで、ブロック1202で挿入されてもよい。かかる場合、センサは、吸引カテーテルの構成要素であってもよい。実施形態はこの点に限定されない。
【0297】
ブロック1204では、病変に近接して吸引カテーテルを配置した後、吸引カテーテルを操作して、病変をカテーテル内に吸引することを試みる。特定の時間後、ガイドワイヤ及び/又は吸引カテーテルのセンサは、吸引カテーテルが病変に影響を及ぼしているかどうかを判定するように動作され得る。硬病変などの一部の病変は、吸引カテーテルを使用して吸引することができない場合がある。これらの病変に対して、他の介入(ステントリトリーバなど)が使用されてもよい。したがって、ブロック1204において、吸引を試みるために吸引カテーテルを動作させることに加えて、センサは、病変に変化が見られたかどうかを判定するために動作され得る。これは、例えば、吸引の開始に先立って、吸引カテーテルに最も近い病変の部分などの病変内にセンサを位置付け、ある時間後に、センサによって出力される値が、センサがもはや病変と接触していない(むしろ、例えば、血液と接触している)ことを示すかどうかを判定することによって行われてもよい。
【0298】
吸引カテーテルの動作中に(及び潜在的にはその結果として)、センサがもはや病変に接触しない場合、ブロック1206において、病変が吸引しているという決定がなされ得る。この場合、治療勧告が生成され、吸引カテーテルが病変を正常に治療しているように見え、吸引カテーテルの継続動作が勧告されることを示す出力が生成され得る。
図12の例では、プロセス1200はその後終了する。しかしながら、一部の実施形態では、適切な場合に変更が勧告され得るように、又は病変が完全に吸引されたときに判定が行われ得るように、吸引カテーテルが病変を正常に治療し続けているかどうかについて、経時的に連続判定が行われてもよいことを理解されたい。
【0299】
しかしながら、センサによって出力される値が吸引中に変化しておらず、吸引が病変に影響を及ぼしていないことを示す場合、治療勧告が生成され、吸引カテーテルがもはや勧告されず、代わりに、別の治療選択肢が勧告されることを出力してもよい。
図12の例では、病変の治療のための第2の選択肢は、ステントリトリーバであり得る。したがって、ブロック1208において、ステントリトリーバを使用するための勧告が出力され得る。ブロック1210では、ステントリトリーバを操作して、ステントリトリーバで病変を除去することによって病変を治療することができる。例えば、ステントリトリーバは、病変に近接して位置するまで挿入されてもよい。一部の実施形態では、上記で説明されるように、検出が行われるセンサは、治療デバイスとは別個のガイドワイヤの構成要素であってもよい。かかる場合、ステントリトリーバは、吸引カテーテルの除去に続いて、ステントリトリーバが病変に近接して位置決めされるまで、ガイドワイヤに沿って挿入され得る(又は、ガイドワイヤの除去に続いて、ガイドワイヤに沿って挿入されたマイクロカテーテルに沿って挿入され得る)。別の例として、センサは、ステントリトリーバと一体化されてもよく、ステントリトリーバが病変に近接して位置するときを検出してもよい。医療デバイスは、センサを使用して生成された値を通して、病変の除去のためのステントリトリーバの位置決めに関する治療勧告を生成することができる。例えば、センサは、上述のように、侵襲性プローブが病変を横断し、侵襲性プローブの遠位端が病変の向こう側に位置するときを検出するために使用されてもよい。病変がステントによって完全に捕捉されることを確実にするのを補助するために、ステントの一端が病変を越えて突出するように、病変を横切ってステントリトリーバのステントを位置決めすることが最良であり得る。したがって、病変の向こう側を検出するようにセンサを動作させ、ステント又はセンサが病変を通って延在するまでステントリトリーバが挿入されることを勧告することによって、ステントの適切な位置決めに関する治療勧告が行われ得る。
【0300】
ブロック1210において病変を除去するためにステントリトリーバが操作されると、プロセス1200は終了する。
【0301】
図13は、別の実施形態による、病変に対する治療勧告を生成するように医療デバイスを動作させる方法の例を示している。
図13の実施形態では、侵襲性プローブは、上述の
図3の例のように、プローブの外部に沿って配列された複数のセンサを含み得る。前述から理解されるように、かかるセンサのアレイを用いて、病変の組成を含む、病変の複数の異なる特性が、判定されてもよい。例えば、病変に対してEISプロセスを実施することによって、上述のように、病変の組成を決定してもよい。病変の組成は、異なる組織又は細胞などの病変内に存在する異なる生体材料、あるいはプラーク材料などの他の生体材料を示すことができる。一部のかかる実施形態では、例えば、各センサ(例えば、各センサの2つの電極)は、病変の生体材料に接触してもよく、一部のセンサは、他のセンサと異なる病変の生体材料に接触する。次に、本明細書に記載の技術に従って各センサを動作させて、センサが接触した生体材料のインピーダンススペクトルを決定することができる。次いで、このインピーダンススペクトルのセットを使用して、病変内に存在する異なる生体材料を識別することなどによって、病変の組成を決定することができる。この組成情報は、病変に対して組織学を実施することから決定され得る情報と同様であり得る。病変の異なるインピーダンススペクトル、及び/又は病変内に存在する異なる生体材料(例えば、異なる組織又はプラーク材料)の識別から、病変のタイプを識別する(例えば、診断する)ことなどによって、病変の特性が全体として判定されてもよい。
【0302】
例えば、病変の異なる生体材料に対してEISプロセスを実施することによって、以下の細胞又は組織、すなわち血小板、フィブリン、血栓、赤血球、白血球、平滑筋細胞、弾性繊維、外部弾性膜、内部弾性部材、疎性結合組織、内皮細胞、又は内膜、中膜若しくは外膜の任意の他の組織のいずれかが病変中に存在するかどうかを判定することができる。更に、病変に対してEISプロセスを実施することによって、存在する細胞又は組織の各々の相対量を決定することができる。単純な例として、病変は、50%の赤血球、30%のフィブリン、及び20%の血小板によって構成されると判定することができる。この情報から、病変は、病変を他のタイプの病変ではなく1つのタイプの病変であると診断することなどによって、病変のセットから1つの特定のタイプの病変として分類され得る。
【0303】
図13のプロセス1300は、ブロック1302で開始し、医療デバイスの侵襲性プローブが、動物被験体の脈管構造に挿入され、病変の組成を含む、病変の1又は複数の特性を検出するように操作される。組成を含む特性に基づいて、医療デバイスは、ブロック1304において、勧告すべき治療選択肢を選択することができる。医療デバイスは、
図14~
図15Bに関連して以下に説明される技術によることを含む、任意の好適な方法で治療選択肢を選択することができる。
【0304】
選択される治療選択肢は、病変の組成に基づいて選択され得る。例えば、病変の組成が、それが血栓ではなく平滑筋組織から構成されることを示す場合、医療デバイスは、ステントの埋め込みが勧告されるべき治療であることを決定してもよい。これは、病変が、抽出され得る細胞/材料から構成されず、代わりに、血管内の増殖であるためであり得る。別の例として、病変の組成が、新たに形成された血栓からなる軟病変などの軟病変であることを示す場合、医療デバイスは、吸引カテーテルを勧告することができる。これは、軟病変が吸引され得るためであり得る。更なる例として、病変の組成が、それが硬い凝血塊などの硬病変であることを示す場合、硬病変がうまく吸引される可能性は低いため、医療デバイスはステントリトリーバを勧告することができる。
【0305】
ブロック1304において治療が勧告されると、医療デバイスは、ブロック1306において、選択された治療選択肢の性能を監視することができる。医療デバイスは、ブロック1302において特性が決定された1又は複数のセンサ、又は治療を実施するように操作される治療デバイスの1又は複数のセンサなど、1又は複数のセンサを使用して治療を監視することができる。例えば、一部の実施形態では、ブロック1304の勧告に続いて、臨床医は、別のデバイス(例えば、必要に応じて、吸引カテーテル、ステントリトリーバなど)を被験体の脈管構造に挿入してもよく、他のデバイスは、本明細書に説明されるようなセンサの配置を有する侵襲性プローブを含んでもよい。かかる一実施形態では、医療デバイスは、他のデバイスの侵襲性プローブのセンサを使用して、治療の性能を監視することができる。
【0306】
ブロック1306における治療の監視は、治療のステータス及び/又は進行に関する情報を生成することができる。例えば、治療が吸引カテーテルを用いて行われている場合、監視は、病変が吸引された程度、及び/又は吸引される病変の残量に関する情報を生成してもよい。進行は、例えば、医療デバイスが、構造(例えば、
図3のステント状メッシュ)を周期的に又は時折膨張させ、病変の残りの部分をセンサと接触させ、残りの病変の程度を判定することによって、監視されてもよい。決定が行われた後、構造は、病変の吸引を継続するために除去され得る。一方、治療がステントリトリーバを用いて行われている場合、監視は、ステントの膨張中にステントが病変と癒合した程度に関する情報を生成することができる。例えば、ステントの外部に沿ってセンサを監視することによって(例えば、
図3の例のようなステント上のセンサの配置を用いて)、各センサに対応するステントの各部分が病変内に完全に拡張されているかどうかの判定が行われてもよい。この決定は、各センサによって生成された値の経時的な変化を監視し、各センサの値が変化を停止したときを決定することを含む、任意の好適な方法で行われてもよい。各センサが値の変化を停止すると、これは、病変とステントとの間の相互作用に更なる変化がなかったことを示すことができ、したがって、ステントは、病変の中へ完全に拡張され、病変は、ステントの周囲で癒合される。
【0307】
かかる決定を行うことは、病変の治療の性能を補助することができる。したがって、ブロック1308において、治療のステータスに関する情報が、臨床医への提示のために、ユーザインターフェースを介して医療デバイスによって出力される。加えて、ブロック1310において、医療デバイスは、治療を実施する方法に関する1又は複数の治療勧告を生成することができる。例えば、上述したように、ステントリトリーバの動作中に病変がステントと完全に癒合したと医療デバイスが判定した場合、医療デバイスは、ステントの抜去を開始するという治療勧告を出力してもよい。
【0308】
治療が正常に実施されると、プロセス1300は終了する。
【0309】
治療を監視する例が、治療勧告を生成する文脈において与えられるが、類似技術が、治療のステータスに関するエラーメッセージ又は他のメッセージを臨床医に提起するために使用され得ることを理解されたい。例えば、治療デバイス上のセンサが、ある時間にわたって病変の存在を示し、その後、センサがもはや病変を検出しない場合、医療デバイスは、治療デバイスが不適切に位置決めされているか、又は病変が失われたと判定してもよい。これは、デバイスが再位置決めされる必要があること、又は潜在的により問題的に、病変が塞栓症になったことのいずれかを示すことができる。ユーザインターフェースを介した臨床医へのメッセージは、かかる潜在的な問題を示すことができる。
【0310】
加えて、
図13の例は、治療の初期選択に関連するとともに、その治療を行う後続方法に関連する治療勧告を提供するように医療デバイスを動作させる方法を説明したが、前述から、実施形態は、そのように限定されないことを理解されたい。例えば、一部の実施形態では、医療デバイスは、本明細書に説明されるような1又は複数のセンサを含んでもよく、そのデバイスを使用するための初期勧告を生成することなく、そのデバイスの動作の方法に関する治療勧告を生成するように動作されてもよい。例えば、上述したように、ステントリトリーバ又は吸引カテーテルは、治療のステータス又は性能に関するデータを生成するための1又は複数のセンサを含んでもよく、治療勧告を生成してもよい。別の例として、慢性完全閉塞(CTO)の治療のためのガイドワイヤは、センサによって接触される組織/材料に関する情報を生成し、治療勧告を生成してもよい。CTO処置では、ガイドワイヤは、凝固した血栓を貫通することができないときに、平滑筋組織又は血管のプラークを通して挿入され得る。センサによって接触された組織/材料の検知された特性に基づいて、ガイドワイヤが平滑筋組織に対して位置決めされ、前進され得るとき、及びガイドワイヤが内皮組織を通して前進され、病変の向こう側の血管内に再びあるときに、治療勧告を行うことができる。加えて、一部の実施形態では、ガイドワイヤが組織を通してナビゲートするのではなく、組織を穿刺するリスクの情報を与え得る、平滑筋組織の厚さ又は血管壁の他の特性の1又は複数の測定が行われてもよい。例えば、測定値が、ガイドワイヤの侵襲性プローブの一方の側の平滑筋組織の菲薄化を示す場合、これは、侵襲性プローブが血管壁を穿刺するリスクがあることを示し得る。治療勧告は、よりゆっくりと進行するように、及び/又はガイドワイヤを引き出すように行われてもよく、又は別の勧告が生成されてもよい。
【0311】
当業者は、本明細書の説明から、病変の特性及び/又は治療のステータスに基づいて、医療デバイスが治療勧告を生成するように構成され得る種々の方法が存在することを理解するであろう。
図14~
図15Bは、治療勧告を生成するために使用され得る技術の一例を示している。
【0312】
図14は、治療勧告を生成するための一部の実施形態における医療デバイスによって実装され得る、プロセス1400を示している。
【0313】
プロセス1400は、医療デバイスが病変の1又は複数の特性を受信するブロック1402において開始する。医療デバイスは、医療デバイスの侵襲性プローブに含まれる1又は複数のセンサを使用して、かつ/又はセンサによって生成されたデータに基づいて特性(複数可)を生成する別の構成要素(例えば、病変分析ファシリティ)によって特性(複数可)が決定される場合などに、医療デバイスの構成要素から特性(複数可)を受信することができる。特性(複数可)は、一部の実施形態では、病変の組成を含み得る。特性(複数可)は、加えて、又は代替として、体内の病変の場所、病変の1又は複数の寸法(例えば、長さ、厚さなど)、病変の温度、又は上記で説明されるセンサのタイプに基づいて判定され得る他の情報を含み得る。
【0314】
ブロック1404において、医療デバイスは、ブロック1402において受信された特性(複数可)を、1又は複数の治療選択肢のための1又は複数の条件と比較する。医療デバイスは、複数の異なる利用可能な治療選択肢に関する情報を用いて構成することができ、その各々は、病変の1又は複数の特性に関する1又は複数の条件と関連付けることができる。例えば、医療デバイスは、ステントの埋め込みによる病変の治療のための1又は複数の条件、吸引カテーテルの使用のための1又は複数の異なる条件、及びステントリトリーバの使用のための1又は複数の更なる異なる条件で構成されてもよい。病変の組成に関連するかかる条件の例は、
図13に関連して上述されている。
【0315】
医療デバイスは、病変の特性(複数可)を条件と比較して、どの条件が満たされるかを判定することができる。一部の実施形態では、治療選択肢のための条件のセットは、病変が条件の1つのセットのみを満たし得、したがって、1つの治療選択肢のみが選択され得るように、相互に排他的であり得る。他の実施形態では、条件のセットは、相互排他的でなくてもよく、医療デバイスは、最も対応する条件が満たされるもの、又は対応する条件が最も密接に満たされるもの(例えば、条件が値の範囲と関連付けられる場合、値が、例えば、範囲の中間に入ることによって、範囲に最も密接に合致する条件)を識別することによって、どの治療選択肢を勧告するかを判定することができる。
【0316】
ブロック1406において、比較に基づいて、医療デバイスは、医療デバイスのユーザインターフェースを介して治療選択肢の勧告を出力することができ、プロセス1400は終了する。
【0317】
プロセス1400は、病変の特性に基づいて病変の治療のための初期治療勧告を生成することに関連して説明されるが、当業者は、ブロック1310に関連して上記で説明されるように、治療の実施中に治療勧告の生成に技術を拡張する方法を理解するであろう。例えば、一部の実施形態では、病変の特性(例えば、病変の組成)と、ステントリトリーバのステントを抜去する速度などの治療の特定のパラメータの1又は複数の条件との比較に基づいて、医療デバイスは、かかるパラメータに関する勧告を出力してもよい。
【0318】
当業者は、
図14のプロセス1400のようなプロセスに関連して使用され得る治療選択肢のための条件を設定する一部の方法が存在することを理解するであろう。例えば、条件として使用するための病変の特性の値により、少なくとも一部の実験に続いて、医療デバイスの中にハードコードされ、値と、病変のタイプと、種々の治療選択肢を用いた成功した治療との間の対応を判定することができる。しかしながら、本発明者は、他の情報の中でも、病変の特性及び病変の成功した治療に関する情報に基づいて、かかる関係及び条件を学習するためのシステムの利点を認識し、理解した。例えば、特徴抽出及び/又は分類を含み得るものなどの機械学習プロセスが、一部の実施形態で実装されてもよい。
【0319】
図15A~
図15Bは、一部の実施形態において実施され得る機械学習プロセスの例を示している。
図15Aは、医療デバイスによって実装され得るプロセスを示す一方、
図15Bは、複数の異なる医療デバイスと通信するコンピューティングデバイス(例えば、サーバ)によって実装され得るプロセスを示している。
【0320】
図15Aのプロセス1500は、医療デバイスが病変の特性に関する情報を生成するブロック1502で開始する。ブロック1504及び1506では、医療デバイスは、病変特性と治療選択肢の条件との比較に基づいて、治療選択肢に関する勧告を行い、並びに治療の進行を監視し、治療全体を通してステータス情報を生成することができる。ブロック1502~1506のこれらの動作は、
図13~
図14に関して上記で説明した方法と同様に実装され得、したがって、簡潔のために、更に説明されない。加えて、ブロック1506において、医療デバイスは、治療の転帰に関する情報を生成することができる。治療の転帰は、病変の治療が成功したかどうか、病変が除去され、被験体の体内に放出されたかどうか、複数の治療が必要であったかどうか、又は転帰を示す他の情報を示すことができる。転帰を示す情報は、前述から理解されるように、医療デバイスのセンサを使用して生成することができる。例えば、医療デバイスのハンドル内の加速度計によって生成されたデータを使用して、医療デバイスは、病変を除去するために複数回操作されたかどうかを判定してもよい。別の例として、上述したように、センサが病変を検出していた後に病変の検出を停止した場合、これは、病変が除去されて塞栓症になったことを含む、病変が被験体内で移動したことの指標であり得る。
【0321】
ブロック1508において、ブロック1502~1506で生成された情報は、医療デバイスから、1又は複数の有線及び/又は無線の通信接続及び/又はインターネットを含むネットワークを介して、コンピューティングデバイスに伝送される。コンピューティングデバイスは、一部の実施形態では、医療デバイスから地理的に離れていてもよい。ブロック1508において、ブロック1506における伝送に続いて、医療デバイスは、コンピューティングデバイスから(ブロック1508において情報が伝送されたネットワーク(複数可)を介するなどして)、治療選択肢に対する1又は複数の更新された条件を受信する。更新された条件により、病変の特性に関する条件の評価のための新しい値を識別することができる。医療デバイスは、
図14に関連して上述したもののようなプロセスの文脈において1又は複数の更新された条件を考慮することなどを通して、治療勧告の生成のために1又は複数の更新された条件を適用するようにそれ自体を構成することができる。医療デバイスが更新された条件で構成されると、プロセス1500は終了する。
【0322】
図15Bは、病変の治療に関する報告に対して学習プロセスを実施して、
図14に関連して上述したようなプロセスを介するなどして治療勧告を選択する際に使用するための条件を生成するために、コンピューティングデバイスによって実装され得るプロセスを示している。具体的には、
図15Bの例では、コンピューティングデバイスは、成功した(及び/又は失敗の)治療と病変の特性との間の関係を識別するように、それらの病変の特性に関する情報と関連して、病変の治療に関する報告を分析する。かかる関係を識別することを通して、どの治療選択肢が特定のタイプの病変に最良であるかについての結論が引き出されてもよく、それらの結論に基づいて、
図14の例のように、その病変の特性に基づいて、特定の病変の治療のための治療勧告を生成することができる。同様に、上述したように、治療のステータス又は性能に関する情報に基づいて、治療を実施する方法に関する勧告(例えば、ステント回収中にステントを抜去する時間又は速度)を決定することができる。
図15Bの例は、病変の特性に基づいて病変に使用するための治療選択肢の初期選択のための条件を生成する文脈で説明されるが、当業者は、以下の説明から、治療を行う方法に関する勧告を生成することとともに使用するための技術を拡張する方法を理解するであろう。
【0323】
本発明者は、かかる条件の生成と、成功した/失敗した治療と病変の特性との間の関係の識別とが、機械学習プロセスを使用して有利に決定され得ることを認識し、理解した。種々の機械学習アルゴリズムが当技術分野で知られており、この文脈での使用に適合させることができる。一部の分類アルゴリズムは、特徴抽出及び機械学習技術に基づいて動作することができ、ユニットのグループ(分類)が識別され、ユニットの特性の分析が実行されて、どの特性及び/又はそれらの特性の値がグループ内の正しいメンバーシップに最も密接に対応するかを判定するか、又はグループ内の正しいメンバーシップを予測する。これらの識別された特性に基づいて、かかる特性を有するその後受信された未分類ユニットは、未分類ユニットの特性及び/又は特性の値と、各グループの特性/値との比較に基づいて、グループ/分類のうちの1つに「分類」され得る。一部の機械学習アプリケーションでは、グループ/分類は、機械学習プロセスの構成中に手動で識別され得る。加えて、又は他では、グループ/分類は、機械学習プロセスが、その分析を通して、新しいグループ化が一部のユニットをより良好に特徴付け得ることを知覚するとき、新しいグループ/分類の作成を通してなど、機械学習プロセスによって経時的に決定又は調整することができる。機械学習の完全な説明は、本文書の範囲外であり、本明細書で説明される技術の理解のために必要ではない。当業者は、本明細書で説明される情報及び目標とともに使用するための機械学習技術をどのように実装するかを理解するであろう。
【0324】
ここで、グループは、治療選択肢又は治療転帰として定義されてもよく、
図15Bの例は、本文脈において説明される。この場合、グループは、病変の特性及び/又は治療のステータスによって定義され得る。この場合、病変の特性及び/又は治療のステータスの特性がグループの特性と一致するとき、対応する治療選択肢が出力のために選択され得る。加えて、又は代替として、一部の実施形態では、グループは、異なるタイプの病変(各タイプは、他のタイプと異なる1又は複数の特性又は特性の範囲を有する)及び/又は治療のステータスと関連付けられてもよく、次いで、これらの異なるグループは、特定の治療選択肢又は治療デバイスを動作させる方法と関連付けられてもよい。この後者の場合、特定の病変又は治療のステータスについての特性がグループと一致するとき、グループについての対応する治療勧告(複数可)が出力のために選択され得る。
【0325】
図15Bのプロセス1520は、ブロック1522において開始し、1又は複数のコンピューティングデバイス上で実行される学習ファシリティは、医療デバイスによる病変の治療に関する複数の報告を経時的に受信する。医療デバイスは、上述の実施形態による動作する医療デバイスであり得る。報告は、病変の1又は複数の特性など、治療された病変に関する情報を含み得る。報告はまた、病変を治療するために操作された1又は複数の治療デバイス、及びそれらの病変が治療された方法など、病変が治療された方法に関する情報を含み得る。治療が成功したかどうか、複数の治療が必要であったかどうか、病変が除去され、塞栓症になったかどうか、又は他の転帰などの治療の転帰に関する情報もまた、報告に含まれ得る。
【0326】
報告は、上述したセンサ及び情報のタイプの例を含む、医療デバイスの1又は複数のセンサによって決定された情報を含み得る。上述のように、1又は複数の電気的、機械的、光学的、生物学的、又は化学的センサを含む、種々のタイプのセンサが、実施形態に含まれ得る。かかるセンサの具体例として、インダクタンスセンサ、キャパシタンスセンサ、インピーダンスセンサ、EISセンサ、電気インピーダンストモグラフィ(EIT)センサ、圧力センサ、流量センサ、剪断応力センサ、機械的応力センサ、変形センサ、温度センサ、pHセンサ、化学組成センサ(例えば、O2イオン、バイオマーカ、又は他の組成)、加速度センサ、及び運動センサが挙げられる。種々のタイプの特性又は他の情報が、これらのセンサから生成され得ることを理解されたい。この情報のうちのいずれかは、報告に含まれ、治療勧告と関連付けられる条件を生成するためにプロセス1520で使用され得る。例えば、上述したように、医療デバイスのハンドル内に配設された加速度計は、医療デバイスの動きを追跡し、凝血塊を治療するために複数の治療が実施されたかどうかを判定するために使用されてもよい。別の例として、力センサは、ステントリトリーバが抜去される力を示すことができ、又はインピーダンスセンサのセットは、ステントリトリーバのステントの1又は複数のセンサで検出されたインピーダンスが抜去中に経時的に変化するかどうかに基づいて、病変が取り出し中にステントから部分的に又は完全に分離しているかどうかを判定することができる。当業者は、上記の説明から、かかる報告に含めるために医療デバイスのセンサによって生成され得る異なるタイプのデータを理解するであろう。
【0327】
報告はまた、臨床医によって入力され得るか、又は医療デバイスが相互運用し得る別のシステムから取り出され得る情報を含み得る。例えば、報告は、病変が頭蓋動脈、大腿動脈、肺静脈、総胆管、又は他の管にあるかどうかなど、被験体の解剖学的構造内の病変の位置に関する情報を含んでもよい。この情報は、ユーザインターフェースを介して臨床医によって入力されてもよく、又は、例えば、血管造影図デバイスなどの別のシステムから取り出されてもよい。
【0328】
所望により、報告は、年齢、病歴、及び人口統計などの患者に関する情報を含み得る。
【0329】
ブロック1522において受信される報告は、地理的に分散され得る複数の医療デバイスから経時的に受信され得る。これらの報告及びこれらの報告の内容を経時的に受信することによって、勧告又は最良の実践を定義する条件及び治療勧告のセットが生成され得る。
【0330】
したがって、ブロック1524において、学習ファシリティは、報告内の情報を分析して、病変特性(及び/又は治療デバイスを動作させる方式)と、それらの特性を有する病変を治療するための選択肢と、成功した治療との間の関係を識別する。この分析に基づいて、学習ファシリティは、これらの情報の間の関係を学習することができる。かかる関係は、特定の治療選択肢が成功したとき若しくは成功しなかったとき、又は異なる治療選択肢がどのタイプの病変に対して成功したか若しくは成功しなかったかを示すことができる。患者についての情報が得られる実施形態のうちの少なくとも一部では、学習ファシリティは、病変特性と、それらの特性を有する病変を治療するための選択肢と、患者の情報に基づく成功した治療との間の関係を学習することができる。モデルは、患者について得られた全ての情報のうちのどの特定の情報が治療の成功の確率に影響を及ぼす可能性があるかを学習するように訓練され得る。例えば、訓練されたモデルは、病変の全ての特性が等しい場合であっても、特定の治療が患者の年齢に応じて異なる成功確率を有する可能性が高いことを識別し得る。したがって、同一の病変を有するが年齢が異なる2人の患者に対して、異なる治療勧告を提供することができる。別の例として、訓練されたモデルは、例え病変のタイプが同一であっても、過去に特定の病気を患ったことがある被験体に適用されたときに、かかる病気を患っていない被験体と比較して、一部の治療が成功する可能性が低いことを学習することができる。
【0331】
ブロック1524におけるこの分析に基づいて、学習ファシリティは(機械学習プロセスの特徴抽出及び類別プロセスを通じて)、ブロック1526において、治療選択肢の各々に対する条件を生成することができる。条件は、各治療選択肢で正常に治療され得る病変の異なる特性又は特性の範囲を示すように、病変の特性と関連付けられ得る。例えば、条件は、病変の粘弾性特性の値の範囲に関連してもよく、ある範囲の粘弾性は、吸引カテーテルを使用する治療に関連付けられてもよく、別の範囲の粘弾性は、ステントリトリーバを使用する治療に関連付けられてもよい。このようにして、特定の粘弾性を有する病変が検出されると、これらの条件との比較を使用して(
図14のプロセスのように)、その特定の病変に対してどの治療選択肢を勧告するかを判定することができる。
【0332】
ブロック1528において、ブロック1526において条件が生成されると、
図15Aに関連して上述したように、医療デバイスがそれらの条件を使用して治療勧告を生成するように構成され得るように、条件が医療デバイスに配信され得る。条件が配信されると、プロセス1520は終了する。
【0333】
プロセス1520は、離散プロセスとして
図15Bで説明されるが、一部の実施形態では、報告の受信及び条件の判定は、連続的又は離散間隔を含む、経時的に繰り返されるプロセスであり得ることを理解されたい。したがって、一部の実施形態では、プロセス1520は、複数回実施されてもよく、又は、ブロック1528における条件の配信に続いて、学習ファシリティは、ブロック1522に戻って追加の報告を受信し、学習プロセスを継続してもよい。
【0334】
病変の診断及び/又は治療中に治療勧告を提供することを含む、病変の診断及び/又は治療中に臨床医にフィードバックを提供するためのデバイス及びプロセスの例が、上記に提供される。一部の実施形態では、診断及び/又は治療中にかかるフィードバックを提供することに加えて、又はその代替として、医療デバイスは、診断/治療における医療デバイスの動作に続いて、臨床医に診断及び/又は治療に関する情報を提示するように構成することができる。
図16は、かかるプロセスの例を示している。
【0335】
プロセス1600は、ブロック1602、1604において開始し、医療デバイスは、病変の特性及び治療の性能に関する情報、並びに治療を実施する方法に関する勧告を生成するように動作される。ブロック1602、1604の動作は、上記で説明したデータの生成の例と同様であり得る。
【0336】
ブロック1606では、治療に続いて、ブロック1602、1604で生成された情報が、治療の履歴を生成するために履歴生成ファシリティによって使用される。治療の履歴は、デバイスが経時的にどのように動作したか、病変のどの特性が検出されたか、医療デバイスによってどのような勧告が行われたか、及びそれらの勧告が臨床医によって守られたかどうかに関する情報を含み得る。例えば、塞栓の生成又は後続の治療の必要性をもたらした病変の一部又は全体の損失などのエラーが、治療において検出された場合、履歴生成ファシリティは、エラーを分析して、エラーの原因を決定することができる。例えば、センサが、病変の一部がステントリトリーバから分離したことを一度に検出し、直前の時間に別のセンサがステントリトリーバへの突然の力の印加を記録した場合、履歴生成ファシリティは、これを履歴に記録することができる。ステントリトリーバに印加された力が医療デバイスからの最大力勧告値を超えた場合、又は医療デバイスが治療勧告値と一致しない任意の他の方法で操作された場合、これは履歴に記録され得る。かかる情報が履歴に含まれるとき、将来の処置におけるエラーをどのように回避するかについての勧告が臨床医に対してなされ得る。
【0337】
加えて、一部の実施形態では、履歴生成ファシリティは、臨床医が病変を診断するのを補助するために、病変及び病変の潜在的な原因に関する詳細な情報を履歴に含めることができる。例えば、一部の実施形態では、治療中に病変の簡単な特徴付けを出力することができるが(例えば、病変は粘性である)、履歴では、組成に関するより詳細な情報を出力することができる(例えば、病変は主にコレステロールからなる)。加えて、履歴生成ファシリティは、被験体内の病変の位置との関連で組成を分析して、病変が、例えば、傷害、病変の部位で発生した血栓、又は病変の部位で詰まった塞栓症の結果であったかどうかを判定することができる。例えば、病変が平滑筋細胞又はアテロームのような組織から主に構成される場合、病変は、傷害後の部位での増殖である可能性がある。別の例として、病変の組成が、病変が高い剪断応力を有する解剖学的構造の領域に形成されたことを示したが、病変が低い剪断応力を有する解剖学的構造の領域に位置している場合、これは、病変がその部位で詰まった塞栓であったことを示し得る。
【0338】
履歴がブロック1606において生成されると、履歴は、ユーザへの提示のために出力され(例えば、ディスプレイを介して、又はメモリに記憶され、又はネットワークを介して伝送され)、プロセス1600は終了する。
【0339】
実施例
以下に記載されるのは、医療デバイス及び技術が使用され得るシナリオの種々の例である。しかしながら、実施形態は、これらの例のいずれか1つに従って動作することに限定されないことを理解されたい。
【0340】
実施例1
本明細書に記載される技術が使用され得る方法の一例は、侵襲性のスマートガイドワイヤを用いるものである。侵襲性ガイドワイヤは、血管系をナビゲートする際に使用されてもよい。本明細書に説明されるセンサ及び分析技術を使用して、侵襲性ガイドワイヤは、それが接触している組織/材料を特徴付け、この組織/材料の特性を臨床医に通信してもよい。侵襲性ガイドワイヤはまた、追加のデバイスが患者内の介入部位に到達するのに役立ち得る。
【0341】
この例では、ガイドワイヤは、センサ(好ましくはEISセンサ)と、インピーダンス分光計と、ハンドルとを備える。ガイドワイヤはまた、使用中にその長さに沿って挿入することができる追加の構成要素を含み得る。センサは、それが接触している組織/材料の特性を検知及び特徴付けるために使用され得る。例えば、センサは、高周波インピーダンス測定を行うためにインピーダンス分光計とともに使用されるときに、組織/材料組成を決定するために使用されてもよい。センサ及びインピーダンス分光計の両方は、センサをインピーダンス分光計に接続する長い電線を必要とせずに先端に隣接する組織を特徴付けることができるように、ガイドワイヤの侵襲性先端に優先的に位置する。この設計は、インピーダンス分光計が被験体の外側に位置した場合に別様で電気信号に挿入され得る電子ノイズを低減することができる。
【0342】
ハンドルは、ユーザと通信し、手術中及び手術後の両方でデータを記録及び伝送し、データを処理し、デバイスに給電するためのものなどの追加の構成要素を含み得る。かかる構成要素の例は、ユーザによって可読ディスプレイ又はインジケータライトなどのフィードバックユニット、無線で又はケーブルを通してのいずれかでデータを伝送するためのユニット、データベース、プロセッサ、及びバッテリを含む。ハンドルは、他のデバイス構成要素から取り外し可能であることができ、また、ガイドワイヤ自体上の回路に取り外し可能に接続されることもできる。
【0343】
実施例2
実施例1に記載されるガイドワイヤは、動脈の閉塞を経験している患者のための最適な治療戦略を決定するために、臨床医によって使用され得る。臨床医は、ガイドワイヤを使用して、動脈を閉塞している組織/材料を特徴付け、次いで、この情報に基づいて、異なる可能な治療の間で選択することができる。一部の実施形態では、ガイドワイヤは、それが実施した1又は複数の特徴付けに基づいて、かつ所望により、ガイドワイヤの補助によって実施された以前の治療からのデータに基づいて、臨床医に治療勧告を提供することができる。
【0344】
この実施例では、臨床医は、ガイドワイヤを使用して動脈病変を評価し治療することができる。臨床医は、所望によりハンドルを使用して、ガイドワイヤを血栓の部位まで操向し、次いで血栓を貫通することによって開始することができる。次に、臨床医は、ガイドワイヤを使用して、血栓及び/又は動脈を閉塞している組織/材料の組成の測定を実施することができる。次いで、臨床医は、この測定の結果に基づいて、閉塞された動脈に対する最適な治療を決定することができる。例えば、臨床医は、閉塞組織が患者の動脈壁からの細胞で構成されている場合、ステントデバイスを使用することを決定することができる。閉塞組織が血栓である場合、臨床医は、代わりに、その粘弾性特性を測定することを決定し、次いで、この情報に基づいて、凝血塊を除去するために吸引カテーテル又はステントを使用するかどうかを判定することができる。
【0345】
一部の実施形態では、臨床医はまた、ガイドワイヤから治療勧告を受信することができる。治療勧告は、動脈病変に対してガイドワイヤによって行われた特徴付けに基づいてもよく、かつ/又はガイドワイヤの以前の使用中に収集されたデータに基づいてもよい。
【0346】
治療が終了すると、臨床医は、ガイドワイヤからハンドルを取り外し、ガイドワイヤを用いて適切な介入デバイスを挿入することができる。
【0347】
実施例3
本明細書中に記載される技術に従って使用され得るデバイスの更なる例は、スマートステントリトリーバである。ステントリトリーバは、患者から凝血塊を回収するために使用することができる。本明細書に記載されるセンサ及び分析技術を使用して、侵襲性ステントリトリーバは、それが接触している凝血塊を特徴付け、この組織/材料の特性を臨床医に通信することができる。
【0348】
この実施例では、ステントリトリーバは、少なくとも1つのセンサ(好ましくは少なくとも1つのEISセンサ及び/又はEITセンサ)と、測定ユニットと、ハンドルとを備える。ステントリトリーバは、それが接触している凝血塊に関する情報を凝血塊内部の複数の位置から得ることができるように、複数の戦略的位置に複数のセンサを備えることができる。ステントリトリーバが2つ以上のセンサを含む場合、センサは、それが接触している凝血塊の異なる特性を検知することができる。例えば、ステントリトリーバは、凝血塊とステントリトリーバとの一体化を検知することができる1又は複数のセンサ、ステントリトリーバの位置を時間の関数として検知することができる1又は複数のセンサ、及び/又は凝血塊に印加される力を検知することができる1又は複数のセンサを備えることができる。ステントリトリーバと凝血塊との一体化は、ステントのインダクタンス及び/又はEIT信号を時間の関数として検知することによって決定され得る。ステントのインダクタンス及びEIT値は、ステントの拡張及び周囲環境とともに変化するため、これらの特性の一定値は、ステントがその最大拡張及び凝血塊への統合に達したことを示している。運動センサを使用して、ステントリトリーバの位置を時間の関数として検知することができる。この特徴は、臨床医が患者内のステントリトリーバの動きを理解し、凝血塊の回収中にステントリトリーバが行った通過の回数を決定することを可能にし得る。ステントリトリーバによって凝血塊又は組織/材料に印加される力を測定するために、応力センサも含まれ得る。
【0349】
ステントリトリーバの測定ユニットは、インピーダンス分光計及び/又は断層撮影ユニットであり得る。このユニットは、センサを測定ユニットに接続する長い電線を必要とすることなく、ステントリトリーバに隣接する凝血塊を特徴付けることができるように、ステントリトリーバの先端の近くに優先的に位置する。この設計は、インピーダンス分光計が被験体の外側に位置した場合に別様で電気信号に挿入され得る電子ノイズを低減することができる。
【0350】
ハンドルは、実施例1に記載されるような追加の構成要素を含み得る。それはまた、凝血塊の正確かつ自動化された回収を可能にするために、ロボット化された引っ張り機構を備えることができる。
【0351】
実施例4
実施例1に記載されたガイドワイヤ及び実施例3に記載されたステントリトリーバは、動脈の閉塞を経験している患者のための最適な治療戦略を決定及び実行するために、臨床医によって一緒に使用され得る。臨床医は、ガイドワイヤを使用して、動脈を閉塞している組織/材料を特徴付け、次いで、ステントリトリーバを使用して、凝血塊及び/又は血栓を回収することができる。任意選択的に、凝血塊回収中にデータを収集し、後の分析のためにデータベースにアップロードすることができる。
【0352】
この実施例では、臨床医は、スマートデバイスの組み合わせを使用して、動脈の閉塞を経験している患者を治療することができる。臨床医は、シースとともにガイドワイヤを挿入し、ガイドワイヤを使用して(前述のように、侵襲性プローブとともに)、実施例2に説明するように、病変を評価することから開始することができる。臨床医が、ガイドワイヤによって提供される情報及び/又は勧告に基づいて、ステントリトリーバを次に使用することを決定した場合、臨床医は、ガイドワイヤを除去し、シースを定位置に残し、ステントリトリーバをシースに沿って挿入し、それを凝血塊及び/又は血栓の中に操向する。ステントが凝血塊及び/又は血栓を貫通すると、ステントリトリーバに組み込まれたセンサは、凝血塊及び/又は血栓の態様を検知し、この情報を時間の関数として(例えば、外部ディスプレイ上で)臨床医に提供することができる。例えば、EIS及び/又はEITセンサは、ステントと凝血塊及び/又は血栓との一体化、並びに凝血塊及び/又は血栓の形状及び組成を特徴付けることができる。ステントリトリーバは、以前の凝血塊及び/又は血栓の回収からのデータを使用して、臨床医に治療勧告を提供することもできる。治療勧告は、例えば、ステントリトリーバと凝血塊及び/又は血栓との一体化が最適であるという信号、及び/又は凝血塊及び/又は血栓を引っ張る適切な速度及び力に関する勧告を含み得る。
【0353】
この時点で、臨床医は、凝血塊及び/又は血栓を回収するために、ステントリトリーバによって提供される情報及び/又は勧告に基づいて行動することができる。臨床医は、凝血塊を回収するためにステントリトリーバに組み込まれた自動引っ張り機構を使用することを決定することができる。次いで、自動引っ張り機構は、以前の凝血塊及び/又は血栓回収のデータベースから受信されたデータに基づいてステントリトリーバによって決定された速度及び力を使用して凝血塊及び/又は血栓を引っ張ることができる。凝血塊及び/又は血栓がステントリトリーバから分離した場合、ステントリトリーバは、アラームを使用して臨床医に信号を送る。次いで、臨床医は、凝血塊及び/又は血栓を再び貫通し、回収プロセスを再開することができる。
【0354】
凝血塊及び/又は血栓の回収の終わりに、介入中に収集された全てのデータは、後の分析のためにデータベースに転送され得る。
【0355】
実施例5
本明細書中に記載される技術に従って使用され得るデバイスの別の例は、スマート吸引カテーテルである。吸引カテーテルは、患者から凝血塊を回収するために使用され得る。本明細書に記載されるセンサ及び分析技術を使用して、侵襲性吸引カテーテルは、それが接触している凝血塊を特徴付け、この組織/材料の特性を臨床医に通信することができる。
【0356】
この実施例では、吸引カテーテルは、少なくとも1つのセンサ(好ましくは少なくとも1つのEISセンサ及び/又はEITセンサ)と、測定ユニットと、ハンドルとを備える。実施例3のように、吸引カテーテルは、それが接触している凝血塊に関する情報を凝血塊内部の複数の位置から得ることができるように、複数の戦略的位置に複数のセンサを備えることができる。吸引カテーテルが2つ以上のセンサを含む場合、センサは、それが接触している凝血塊の異なる特性を検知することができる。例えば、吸引カテーテルは、実施例3で説明したセンサのうちの1又は複数(すなわち、凝血塊と吸引カテーテルとの一体化を検知することができる1又は複数のセンサ、時間の関数として吸引カテーテルの位置を検知することができる1又は複数のセンサ、及び/又は凝血塊に印加される力を検知することができる1又は複数のセンサ)を備えることができる。吸引カテーテルはまた、吸引カテーテル内の血流を監視することができる追加のセンサを備えてもよい。
【0357】
吸引カテーテルの測定ユニット及びハンドルユニットは、実施例3で説明したステントリトリーバの測定ユニット及びハンドルと同一である。
【0358】
実施例6
実施例1に記載されたガイドワイヤ及び実施例5に記載された吸引カテーテルは、動脈の閉塞を経験している患者のための最適な治療戦略を決定及び実行するために、臨床医によって一緒に使用され得る。臨床医は、ガイドワイヤを使用して、動脈を閉塞している組織/材料を特徴付け、次いで、吸引カテーテルを使用して、凝血塊及び/又は血栓を回収することができる。任意選択的に、凝血塊回収中にデータを収集し、後の分析のためにデータベースにアップロードすることができる。
【0359】
この実施例では、臨床医は、スマートデバイスの組み合わせを使用して、動脈の閉塞を経験している患者を治療することができる。臨床医は、ガイドワイヤを挿入し、それを使用して、実施例2に説明するように、病変を評価することから開始することができる。臨床医が、ガイドワイヤによって提供される情報及び/又は勧告に基づいて、吸引カテーテルを次に使用することを決定した場合、臨床医は、次いで、ガイドワイヤに沿って吸引カテーテルを挿入し、それを凝血塊及び/又は血栓の中に操向し、吸引プロセスを開始する。凝血塊及び/又は血栓の吸引中、外部ディスプレイは、除去の進行、EISセンサ及び/又はEITセンサによって検知される凝血塊及び/又は血栓の形状及び組成、並びに吸引カテーテルを通る凝血塊及び/又は血栓の通過に関する情報を臨床医に提供する。スマート吸引カテーテルはまた、吸引カテーテルと凝血塊との一体化に基づいて凝血塊及び/又は血栓の除去を開始する最適な時間を決定し、この条件を臨床医に信号で伝えることができる。次いで、臨床医は、凝血塊及び/又は血栓の除去を開始することができる。凝血塊及び/又は血栓が吸引カテーテルから分離した場合、吸引カテーテルは、アラームを使用して臨床医に信号を送ることができる。次いで、臨床医は、凝血塊及び/又は血栓を再び貫通し、回収プロセスを再開することができる。センサが、血栓が完全に吸引され、吸引器のチューブに沿って通過したことを検出すると、除去の成功を示す別のメッセージが、生成及び出力されてもよい。
【0360】
凝血塊及び/又は血栓の回収の終わりに、介入中に収集された全てのデータは、後の分析のためにデータベースに転送され得る。
【0361】
実施例7
実施例1に記載されるガイドワイヤは、慢性完全閉塞(CTO)を経験している患者を治療するために使用され得る。この場合、患者の動脈は、臨床医が血流を再確立するために貫通することが困難であり得る古い硬い血栓によって閉塞される。臨床医は、病変の位置を検知し、病変を通過するために、スマートガイドワイヤを使用することができる。動作中、ガイドワイヤは、病変の貫通が開始されるとき、及び病変を通って動脈の管腔への通過が生じるときに関する情報を臨床医に提供することができる。血栓が硬すぎて貫通できない場合、臨床医は、代わりに、病変に隣接する動脈壁にガイドワイヤを通すことができる。この場合、ガイドワイヤは、アテローム/プラーク内のその位置に関する連続的な情報を臨床医に提供することができる。これは、臨床医が血管を穿刺することを回避するのに役立ち得る。
【0362】
実施例8
実施例1に記載されるガイドワイヤは、末梢病態の診断及び/又は治療において臨床医によって使用され得る。末梢病態の例としては、深部静脈若しくは動脈に形成される血栓、又は人工静脈若しくは動脈に形成される血栓が挙げられる。ガイドワイヤは、末梢病態を経験している患者のための最適な治療戦略を決定するために使用され得る。臨床医は、ガイドワイヤを使用して、管を閉塞している組織/材料を特徴付け、次いで、この情報に基づいて、異なる可能な治療の間で選択することができる。一部の実施形態では、ガイドワイヤは、それが実施した1又は複数の特徴付けに基づいて、かつ所望により、ガイドワイヤの補助によって実施された以前の治療からのデータに基づいて、臨床医に治療勧告を提供することができる。
【0363】
実施例9
追加の例として、前述の侵襲性プローブのいずれか1つを使用して、凝血塊(例えば、血栓)の年齢を推定することができる。凝血塊の年齢(すなわち、その形成からの凝血塊の寿命)は、凝血塊の組成などの凝血塊の1又は複数の特性に基づいて決定することができる。異なる治療又は治療の組み合わせが、これらの特性から判定されるように、凝血塊の年齢に基づいて提供されてもよい。例えば、凝血塊が14日未満である場合、1つの治療が勧告され得、凝血塊が14日を超える場合、異なる治療が勧告され得る。
【0364】
加えて、又は代替として、本明細書に説明されるデバイス及び技術のうちの少なくとも一部は、生体構造が健康な組織であるかどうかを識別するために使用されてもよい。例えば、デバイス/技術は、血管の壁が健康であるかどうか、又はアテローム性プラーク若しくは石灰化が血管壁上に形成されているかどうかを判定するために使用されてもよい。かかる場合、本明細書で説明されるデバイスのうちの1つによって接触される生体構造は、血管壁又はアテローム性プラーク(又は他の病変)であってもよく、本明細書で説明される技術は、それがそれらの生体構造のうちの1つであるかどうかを判定するために使用されてもよい。この識別に基づいて、異なる治療勧告を提供することができる。
【0365】
腫瘍学において使用するための医療デバイスを動作させる方法
本発明者は、潜在的に癌性細胞の検査のための従来の技術がしばしば不十分であることを認識し、理解した。例えば、潜在的に癌性細胞を検査するための1つの従来の技術は、組織サンプルを除去するために針を使用している。針の挿入を誘導する際に臨床医を補助するために、X線、超音波、又は磁気共鳴撮像(MRI)などの従来の撮像システムが使用されている。しかしながら、これらの技術を使用して生成される画像は、多くの場合、不正確又は不鮮明であり、したがって、臨床医が、針が標的とされている細胞又は組織と接触しているかどうかを判定することを困難にする。結果として、かかる技術を使用する癌性細胞の診断及び/又は治療は、しばしば不正確である。結果として、特定の病変が癌性であるかどうかを判定しようとする場合、潜在的に癌性の病変を検査することを意図された針が、実際には病変に接触せず、代わりに近くの健康な組織に接触し、不正確なサンプル及び不正確な医学的結論につながるという重大なリスクがある。同様に、癌性細胞を除去しようとする場合、2つの望ましくない状況、すなわち健康な組織が癌性細胞と一緒に除去され得るか、又は一部の癌性細胞が除去されないままであり得る状況が生じ得る。
【0366】
したがって、本明細書に記載される一部の実施形態によれば、医療デバイスを使用して、癌性細胞/組織の存在、癌性細胞/組織の特性、及び/又は癌性細胞/組織のタイプ(例えば、癌腫、リンパ腫、骨髄腫、新生物、黒色腫、転移又は肉腫)を決定することができる。例えば、上記の機械学習技術は、癌性細胞/組織と非癌性生体材料とを区別するため、及び/又は癌性細胞/組織を特徴付けるために使用されてもよい。更に、本明細書に記載されるタイプの技術(機械学習技術を含む)は、癌性細胞/組織の特性に少なくとも部分的に基づいて、癌性細胞/組織をどのように治療するかに関する勧告を提供することができる。例えば、癌性細胞/組織の切除又は除去、並びに切除又は除去する方法が、一部の状況において勧告されてもよい。
【0367】
医療デバイス、センサ、及び癌性細胞の組織/材料を検知する方法の例は、
図2~
図11に関して上記で詳細に説明されている。
図31~
図33に関連して以下で説明されるのは、かかる医療デバイスによって実装され得る、及び/又は医療デバイスが実施するように操作され得る技術の例である。
【0368】
図22は、本明細書で説明される一部の技術に従って動作する医療デバイスによって実施され得る例示的なプロセス2200を示している。
図22の例では、センサは、針、切除カテーテル、高周波数プローブ、ロボットプローブ、腹腔鏡、又は切断デバイスなどの診断及び/又は治療デバイス内に配設され得る。一部の実施形態では、センサは、医療デバイスの遠位端の近くに配設される。医療デバイスは、センサを使用して判定された癌性細胞の特性(複数可)に基づいて、治療勧告を生成することができる。本明細書に記載されるプロセスは、侵襲性プローブとの使用に限定されないことを理解されたい。一部の実施形態では、本明細書に記載される技術は、動物の体内での使用のために又は単独での使用のために設計されなくてもよいが、追加的に又は代替的に、動物の体の外側の組織を含む生体構造上での使用のために設計されてもよい非侵襲性プローブを含むシステム及びデバイスとともに使用されてもよい。例えば、一部の実施形態では、本明細書に説明されるデバイス、システム、及び技術は、皮膚癌又は他の皮膚状態などの表在性病変の診断及び/又は治療のために使用されてもよい。
【0369】
プロセス2200は、ブロック2202において開始し、医療デバイスの侵襲性プローブは、癌性組織又は細胞であり得る、センサに近接する病変の1又は複数の特性(例えば、サイズ及び/又は組成)を検出するように操作される。プロセス2200の開始に先立って、侵襲性プローブは、動物の体内に挿入され、病変の予測される場所に近接して移動され得る。次いで、医療デバイスは、センサが病変に接触したときを検出するように操作される。病変の接触、又は癌性であることが知られている、若しくは潜在的に癌性である組織の接触は、センサによって出力される値の経時的変化(例えば、インピーダンスの変化)を評価することによって、又は
図17Cに関連して説明されるような機械学習技術を使用して判定することができる。例えば、医療デバイスは、侵襲性プローブのセンサが癌性組織/細胞に接触していないとき、又は病変がその一部であることが知られているタイプの組織に接触していないときに、1つの結果を(例えば、ユーザインターフェースを介してユーザに)出力してもよい。
【0370】
例えば、病変が調査されるとき、侵襲性プローブが動物を通して病変に向かって移動されるにつれて、医療デバイスは、それが接触している組織を示す値を出力してもよい。この値は、一部の実施形態では、侵襲性プローブが病変に接触しているかどうかを示す、はい/いいえ又は真値/偽値などのバイナリ値を含む、定性的値であり得る。
【0371】
医療デバイスは、侵襲性プローブによって接触される組織を含む、侵襲性プローブによって接触される生体材料(複数可)を分析することによって、侵襲性プローブが病変に接触しているかどうかを判定して、侵襲性プローブが「異常」であり、したがって病変の一部であり得る任意の生体材料に接触しているかどうかを判定することができる。医療デバイスは、一部の実施形態では、侵襲性プローブが接触することが予期され得る生体材料を示し得る、動物内の侵襲性プローブの場所を評価することによって、プローブによって接触される生体材料が「異常」であるかどうかを判定することができる。
【0372】
医療デバイスは、加えて、又は代替として、予備診断の結果として臨床医によって入力され得る病変に関する予測に基づいて、侵襲性プローブが病変に接触しているかどうかを判定することができる。例えば、臨床医は、病変が脈管構造内にあるか、又は臓器の病変であるか、あるいは臓器の病変の場合、臓器が何であるか、病変の組成の予測、又は病変の組織若しくは細胞の状態(例えば、不健康、炎症、癌性、罹患など)の予測など、病変を予備的に特徴付ける情報を入力してもよい。かかる情報が入力される実施形態では、臨床医は、病変を個々に予備的に特徴付ける情報を入力してもよく、又は病変を予備的に特徴付けるかかる情報と関連付けられ得る病変の予備的診断の選択を行ってもよい(例えば、アテロームの特定のカテゴリを選択することによって、アテロームの予期される組成及びそれが脈管構造内に位置することなどの他の情報もまた、選択されてもよい)。侵襲性プローブが動物を通って移動する際、医療デバイスは、侵襲性プローブによって接触された生体材料を病変の予備特徴付けと比較して、侵襲性プローブが病変に接触しているかどうかを判定することができる。例えば、病変が脳腫瘍であり得る脳病変として予備的に診断された場合、医療デバイスは、侵襲性プローブが異常な脳組織に接触したかどうか、及び/又は侵襲性プローブが癌性の脳組織に接触したかどうかを判定し、この結果を出力してもよい。
【0373】
他の実施形態では、侵襲性プローブが病変に接触しているかどうかを示すバイナリ値を単に提供するのではなく、医療デバイスは、例えば、侵襲性プローブのセンサによって接触されている1又は複数の生体材料の識別、量、及び/又は相対的存在量を示す値を出力してもよく、これは、プローブが身体を通って移動するにつれて変化し得る。材料(複数可)を示す値は、本明細書に記載される技術(上述の機械学習技術を含む)を使用して決定されるような、インピーダンススペクトルから識別された材料のリストなどの、材料の識別情報であってもよい。値は、他の実施形態では、センサによって検出される値(例えば、インピーダンス値、又はインピーダンススペクトル)又は他の値などの数値であってもよい。
【0374】
プローブ及びそのセンサは、病変に接触するまで移動させられてもよく、その時点で、いったん接触が行われると、医療デバイスによって出力される結果が変化し得る。このようにして、侵襲性プローブを使用して病変の位置を決定することができ、侵襲性プローブが病変に接触しているという決定を行うことができる。
【0375】
侵襲性プローブは更に、場合によっては、病変の幾何学的形状を決定するように操作することができる。例えば、癌性組織(例えば、腫瘍)を潜在的に含む病変の幾何学形状は、一部の実施形態では、侵襲性プローブを病変の近傍で移動させ、侵襲性プローブのセンサが病変に接触しているとき、又は接触していないときを識別することによって判定されてもよい。例えば、侵襲性プローブによって出力された値の分析が、病変が癌組織を含むと判定した場合、侵襲性プローブを移動させ、経時的に、異なるセンサについて、個々のセンサが癌組織に接触しているかどうかの判定を行うことができる。次いで、侵襲性プローブの移動量(例えば、上述のように加速度計を使用して測定される)及び侵襲性プローブ上のセンサの位置を医療デバイスによって分析して、癌組織の1又は複数の寸法を含む、動物内の癌組織の幾何学的形状を決定することができる。
【0376】
一部のかかる実施形態では、医療デバイスは、病変の幾何学形状に基づいて、病変に対する1又は複数の治療勧告を決定することができる。
【0377】
図22に図示されるものなどの実施形態で実装され得る、1つの治療プロトコルでは、切除が、癌性組織の治療のための第1の選択肢として使用され得る。したがって、ブロック2204において、針又は高周波プローブなどの切除デバイスが動物に挿入される。一部の実施形態では、切除デバイスは、本明細書に説明されるタイプのセンサを含む、侵襲性プローブを含み得る。切除デバイスは、癌性細胞又は組織との接触が形成されたと切除デバイスが判定するまで移動させることができる。(しかし、実施形態は、侵襲性プローブを含む切除デバイスとともに動作することに限定されないことを理解されたい。他の実施形態では、侵襲性プローブは、別個の医療デバイスの一部であり、侵襲性プローブの位置決め後、切除デバイスは、侵襲性プローブに近接して位置するまで、したがって、癌性細胞/組織に近接して位置するまで移動される)。
【0378】
ブロック2204では、癌性細胞/組織に近接して切除デバイスを配置した後、切除デバイスを作動させて癌性細胞/組織を切除する。治療時間間隔に続いて、切除デバイスは、切除デバイスが癌性細胞/組織に影響を及ぼしているかどうかを判定するように動作することができる。例えば、一部の実施形態では、切除が有効であるかどうか、及び切除を継続するかどうかを含む、切除を行う際に臨床医を誘導する、治療勧告が生成されてもよい。したがって、ブロック2206において、センサは、切除デバイスが依然として癌性細胞又は癌組織と接触しているかどうかを示す情報を提供することができる。この決定は、本明細書で説明される技術(上記で説明された機械学習技術を含む)を使用して行われ得る。情報は、処理されてもよく、切除を停止するか、若しくは切除を継続するかなどの治療勧告を提供するために、又は切除を停止するかどうかを判定する前に侵襲性プローブの位置付けをチェックするために使用されてもよい。
【0379】
一部の実施形態では、切除デバイスは、異なる位置に位置決めされた異なる電極などの、切除するための複数の異なる電極を含むことができ、異なる電極は、一部が切除するように操作されていないときに他のものが切除するように操作され得るように、個別に操作可能であり得る。一部の実施形態では、各切除電極は、検知電極の近傍に配設されてもよく、検知電極は、検知電極によって接触される生体材料を判定するように、本明細書に説明される技術に従って動作される。切除デバイスは、検知電極を使用して、切除デバイスの特定の部分が癌組織/細胞又は非癌組織/細胞に接触しているかどうかを判定することができる。一部のかかる実施形態では、切除デバイスの一部が非癌性組織に接触していると判定したことに応答して、切除デバイスは、切除デバイスのその部分の切除電極の動作を停止又は防止して、切除を癌性組織のみに限定し、非癌性組織に対して行われ得る損傷を最小限に抑えることができる。
【0380】
このようにして、臨床医は、この治療が無効である場合、切除を停止してもよく、臨床医は、切除デバイスが癌性細胞/組織と接触している間のみ切除を継続し、それによって、癌性組織のみを切除することができる。臨床医は、したがって、治療の終了時に、治療が成功したかどうか、成功した場合、癌性細胞/組織の全てが切除されたことをより確信することができる。このようにして、健康な組織を切除するリスク、及び/又は癌性細胞を切除されないままにするリスクが軽減される。
【0381】
したがって、
図22に示すように、切除デバイスが依然として癌性細胞/組織と接触していると判定された場合、プロセス2200は、ブロック2208に進み、切除を継続する勧告が提供され、ブロック2204を繰り返す。そうではなく、切除プローブがもはや癌性細胞/組織と接触していないと判定された場合、ブロック2210において、切除を停止する勧告が提供される。プロセスは、切除デバイスを再位置決めすることによって繰り返されてもよい。切除デバイスを再位置決めする数回の試みの後であっても、病変との接触がもはや形成され得ない場合、プロセス2200は終了する。
【0382】
図23は、別の実施形態による、癌性細胞/組織のための治療勧告を生成するように医療デバイスを動作させる方法の例を示している。
図23の実施形態では、医療デバイスは、上述した
図3の例のように、プローブの外部に沿って配列された複数のセンサを含み得る。前述から理解されるように、かかるセンサのアレイを用いて、癌性病変の組成を含む、癌性病変の複数の異なる特性が、判定されてもよい。例えば、癌性病変に対してEISプロセスを実施することによって、上述のように、癌性病変の組成を決定してもよい。一部の実施形態では、上記のような訓練された機械学習モデルを使用して、癌性病変の組成又は他の特性を決定することができる。
【0383】
図23のプロセス2300は、ブロック2302において開始し、医療デバイスが、動物被験体の体内に挿入され、癌性病変の1又は複数の特性、例えば、癌性病変の組成を検出するように動作される。組成を含む特性に基づいて、医療デバイスは、ブロック2304において、勧告すべき治療選択肢を選択することができる。組成に基づいて、プロセス2300は、精査されている癌性病変のタイプを判定してもよく、適切な治療勧告が提供されてもよい。医療デバイスは、上述の他の実施形態のように、異なる生体材料についてのインピーダンススペクトル及び他の電気的特性(例えば、実効キャパシタンス)に関する情報、並びに異なる病変の組成に関する情報を用いて構成され得、その結果、生体材料は、インピーダンススペクトルを使用して識別され得、病変は、生体材料に基づいて識別され得る。医療デバイスは更に、異なるタイプの癌性病変などの異なるタイプの病変のための異なる治療勧告を伴って構成され得る。一例では、病変の異なる生体材料のインピーダンススペクトルを使用して、癌性病変が癌腫であるか、又は癌腫の一部であると判定された場合、癌性病変を除去するための勧告が提供され得る。別の例では、癌性病変が黒色腫の一部であると判定された場合、高周波切除が勧告され得る。医療デバイスは、任意の好適な方法で治療選択肢を選択することができる。
【0384】
ブロック2304において治療が勧告されると、医療デバイスは、ブロック2306において、選択された治療選択肢の性能を監視することができる。医療デバイスは、ブロック2302において特性が決定された1又は複数のセンサ、又は治療を実施するように操作される治療デバイスの1又は複数のセンサなど、1又は複数のセンサを使用して治療を監視することができる。例えば、ブロック2304において切除が勧告される場合、臨床医は切除デバイスを挿入することができる。切除デバイスは、切除が行われているときに癌性病変の状態を検知するための温度センサなどのセンサを有し得る。センサは、癌性病変が熱傷又は凍結しているかどうかを判定することによって、切除が成功したかどうかを検出することができる。
【0385】
ブロック2308において、治療のステータスに関する情報が、臨床医への提示のために、ユーザインターフェースを介して医療デバイスによって出力される。その後、プロセス2300は終了する。
【0386】
治療を監視する例が、治療勧告を生成する文脈において与えられるが、類似技術が、治療のステータスに関するエラーメッセージ又は他のメッセージを臨床医に提起するために使用され得ることを理解されたい。例えば、治療デバイス上のセンサが、ある時間にわたって癌性病変の存在を示し、その後、センサがもはや癌性病変を検出しない場合、医療デバイスは、治療デバイスが不適切に位置決めされているか、又は癌性病変が失われたと判定してもよい。これは、デバイスが再位置決めされる必要があること、又は癌性病変が移動したことのいずれかを示し得る。ユーザインターフェースを介した臨床医へのメッセージは、かかる潜在的な問題を示すことができる。
【0387】
加えて、
図23の例は、治療の初期選択に関連するとともに、その治療を行う後続方法に関連する治療勧告を提供するように医療デバイスを動作させる方法を説明したが、前述から、実施形態は、そのように限定されないことを理解されたい。例えば、一部の実施形態では、医療デバイスは、本明細書に説明されるような1又は複数のセンサを含んでもよく、そのデバイスを使用するための初期勧告を生成することなく、そのデバイスの動作の方法に関する治療勧告を生成するように動作されてもよい。例えば、針又は高周波数プローブは、上記で説明されるように、治療のステータス又は性能に関するデータを生成するための1又は複数のセンサを含んでもよく、治療勧告を生成してもよい。
【0388】
図24は、治療勧告を生成するための一部の実施形態における医療デバイスによって実装され得る、プロセス2400を示している。
【0389】
プロセス2400は、ブロック2402において開始し、医療デバイスは、本明細書に説明される技術を使用して、癌性病変の1又は複数の特性(例えば、サイズ及び/又は組成)を判定するように動作される。医療デバイスは、医療デバイスの構成要素から特性(複数可)を受信することができる。例えば、医療デバイスに含まれる1又は複数のセンサ、及び/又はセンサによって生成されるデータに基づいて特性(複数可)を生成する別の構成要素である。特性(複数可)は、一部の実施形態では、癌性病変の組成を含み得る。特性(複数可)は、加えて、又は代替として、体内の癌性病変の場所、癌性病変の集合体の1又は複数の寸法(例えば、長さ、厚さなど)、癌性病変の温度、又は上記で説明されるセンサのタイプに基づいて判定され得る他の情報を含み得る。
【0390】
ブロック2404において、医療デバイスは、ブロック2402において受信された特性(複数可)を、1又は複数の治療選択肢のための1又は複数の条件と比較する。医療デバイスは、複数の異なる利用可能な治療選択肢に関する情報を用いて構成することができ、その各々は、癌性病変の1又は複数の特性に関する1又は複数の条件と関連付けることができる。治療選択肢は、切除、除去、医薬品の局所分注、病変(例えば、癌性病変)に栄養を供給する動脈の閉塞、及び生検(診断工程であるが、全体的治療計画の一部であり得る)を含み得る。癌性病変の組成に関連するかかる条件の例は、
図23に関連して上述されている。例えば、
図15Bに関連して説明されるような訓練された機械学習モデルが、癌性病変特性と成功した治療のための選択肢との間の関係を判定するために使用されてもよい。
【0391】
医療デバイスは、癌性病変の特性(複数可)を1又は複数の治療選択肢の条件と比較して、どの条件が満たされるかを判定することができる。一部の実施形態では、治療選択肢のための条件のセットは、癌性病変が条件の1つのセットのみを満たし得、したがって、1つの治療選択肢のみが選択され得るように、相互に排他的であり得る。他の実施形態では、条件のセットは、相互排他的でなくてもよく、医療デバイスは、最も対応する条件が満たされるもの、又は対応する条件が最も密接に満たされるものを識別することによって、どの治療選択肢を勧告するかを判定してもよい。例えば、異なる条件がインピーダンススペクトルの範囲などの値の異なる範囲に関連付けられている場合、病変の値が最も厳密に一致する範囲を識別することによって条件を判定してもよい。最も近い一致は、例えば、病変のインピーダンススペクトル又は他の値が、範囲の境界値内にある、又はそこから最も遠い、又は範囲と最も重複する範囲であり得る。
【0392】
ブロック2406において、比較に基づいて、医療デバイスは、医療デバイスのユーザインターフェースを介して治療選択肢の勧告を出力することができ、プロセス2400は終了する。
【0393】
当業者は、
図24のプロセス2400のようなプロセスに関連して使用され得る治療選択肢のための条件を設定する一部の方法が存在することを理解するであろう。例えば、治療選択肢の選択のための条件として使用するための癌性病変の特性の値は、値と、癌性細胞/組織のタイプと、種々の治療選択肢を用いた成功した治療との間の対応を判定するための少なくとも一部の実験に続いて、医療デバイスにハードコードされてもよい。しかしながら、本発明者は、他の情報の中でもとりわけ、癌性細胞/組織の特性及び癌性細胞/組織の成功した治療に関する情報に基づいて、かかる関係及び条件を学習するシステムの利点を認識し、理解した。例えば、特徴抽出及び/又は分類を含み得るものなどの機械学習プロセスが、一部の実施形態で実装されてもよい。
【0394】
コンピュータ実装形態
本明細書で説明される原理に従って動作する技術は、任意の好適な方法で実装され得る。上記の説明に含まれるのは、管の病変を特徴付ける、及び/又は病変の治療のための1又は複数の治療勧告を生成する、種々のプロセスの工程及び動作を示す、一連のフローチャートである。上記のフローチャートの処理及び決定ブロックは、これらの種々のプロセスを実行するアルゴリズムに含まれ得る工程及び動作を表す。これらのプロセスから導出されるアルゴリズムは、1又は複数の単一又は多目的プロセッサと統合され、その動作を指示するソフトウェアとして実装されてもよく、デジタル信号処理(DSP)回路又は特定用途向け集積回路(ASIC)などの機能的に等価な回路として実装されてもよく、又は任意の他の好適な方法で実装されてもよい。本明細書に含まれるフローチャートは、任意の特定の回路又は任意の特定のプログラミング言語若しくはプログラミング言語のタイプの構文又は動作を示すものではないことを理解されたい。むしろ、フローチャートは、当業者が、本明細書で説明されるタイプの技術を実行する特定の装置の処理を実施するために回路を製作するために、又はコンピュータソフトウェアアルゴリズムを実装するために使用し得る機能情報を示している。また、本明細書で別段に示されない限り、各フローチャートに記載された工程及び/又は行為の特定のシーケンスは、実装され得るアルゴリズムの単なる例示であり、本明細書で説明する原理の実装形態及び実施形態において変更され得ることを理解されたい。
【0395】
したがって、一部の実施形態では、本明細書で説明される技術は、アプリケーションソフトウェア、システムソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、埋め込みコード、又は任意の他の好適なタイプのコンピュータコードを含む、ソフトウェアとして実装されるコンピュータ実行可能命令で具現化され得る。かかるコンピュータ実行可能命令は、一部の好適なプログラミング言語及び/又はプログラミング若しくはスクリプトツールのいずれかを使用して書かれてもよく、また、フレームワーク又は仮想マシン上で実行される実行可能マシン言語コード又は中間コードとしてコンパイルされてもよい。
【0396】
本明細書で説明される技術がコンピュータ実行可能命令として具現化されるとき、これらのコンピュータ実行可能命令は、各々がこれらの技術に従って動作するアルゴリズムの実行を完了するための1又は複数の動作を提供する、一部の機能ファシリティとして含む、任意の好適な方法で実装され得る。「機能ファシリティ」は、どのようにインスタンス化されていても、1又は複数のコンピュータと統合され、1又は複数のコンピュータによって実行されると、1又は複数のコンピュータに特定の動作上の役割を実施させるコンピュータシステムの構造コンポーネントである。機能ファシリティは、ソフトウェア要素の一部又は全体とすることができる。例えば、機能ファシリティは、プロセスの機能として、又は離散プロセスとして、又は任意の他の好適な処理ユニットとして実装されてもよい。本明細書で説明される技術が複数の機能ファシリティとして実装される場合、各機能ファシリティは、それ自体の方法で実装されてもよく、全てが同じ方法で実装される必要はない。加えて、これらの機能ファシリティは、必要に応じて並列及び/又は直列に実行されてもよく、メッセージパッシングプロトコルを使用して、又は任意の他の好適な方法で、それらが実行されているコンピュータ(複数可)上の共有メモリを使用して互いの間で情報を渡してもよい。
【0397】
概して、機能ファシリティは、特定のタスクを遂行するか又は特定の抽象データ形式を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、などを含む。典型的には、機能ファシリティの機能は、それらが動作するシステムにおいて所望されるように、組み合わせられるか、又は分散されてもよい。一部の実装形態では、本明細書の技術を実行する1又は複数の機能ファシリティは、完全なソフトウェアパッケージを一緒に形成することができる。これらの機能ファシリティは、代替実施形態では、ソフトウェアプログラムアプリケーションを実装するために、他の無関係な機能ファシリティ及び/又はプロセスと対話するように適合されてもよい。
【0398】
本明細書では、1又は複数のタスクを実行するための一部の例示的な機能ファシリティについて説明した。しかし、説明される機能ファシリティ及びタスクの分割は、本明細書で説明される例示的な技術を実装することができる機能ファシリティのタイプの単なる例示であり、実施形態は、任意の特定の数、分割、又はタイプの機能ファシリティで実装されることに限定されないことを理解されたい。一部の実装形態では、全ての機能は、単一の機能ファシリティにおいて実装され得る。また、一部の実装形態では、本明細書で説明する機能ファシリティのうちの一部は、他の機能ファシリティと一緒に又は他の機能ファシリティとは別個に(すなわち、単一のユニット又は別個のユニットとして)実装され得るか、あるいはこれらの機能ファシリティのうちの一部は実装されないことがあることを理解されたい。
【0399】
本明細書に記載の技術を実装するコンピュータ実行可能命令(1又は複数の機能ファシリティとして、又は任意の他の方法で実装されるとき)は、一部の実施形態では、1又は複数のコンピュータ可読媒体上に符号化されて、媒体に機能を提供することができる。コンピュータ可読媒体は、ハードディスクドライブなどの磁気媒体、コンパクトディスク(CD)若しくはデジタル多用途ディスク(DVD)などの光媒体、ブルーレイディスク、永続的若しくは非永続的ソリッドステートメモリ(例えば、フラッシュメモリ、磁気RAMなど)、又は任意の他の好適な記憶媒体を含む。かかるコンピュータ可読媒体は、以下で説明される
図17のコンピュータ可読記憶媒体1706として(すなわち、コンピューティングデバイス1700の一部として)、又はスタンドアロンの別個の記憶媒体として含む、任意の好適な方式で実装され得る。本明細書で使用される場合、「コンピュータ可読媒体」(「コンピュータ可読記憶媒体」とも称される)は、有形記憶媒体を指す。有形記憶媒体は、非一時的であり、少なくとも1つの物理的な構造的構成要素を有する。本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」では、少なくとも1つの物理的構造構成要素は、埋め込まれた情報を有する媒体を作成するプロセス、その上に情報を記録するプロセス、又は情報を有する媒体を符号化する任意の他のプロセスの間に何らかの方法で変更され得る少なくとも1つの物理的特性を有する。例えば、コンピュータ可読媒体の物理構造の一部の磁化状態は、記録プロセス中に変更されてもよい。
【0400】
本技術がコンピュータ実行可能命令として具現化され得る、全てではないが、一部の実装形態では、これらの命令は、任意の好適なコンピュータシステム内で動作する1又は複数の好適なコンピューティングデバイス(複数可)上で実行されてもよく、又は1又は複数のコンピューティングデバイス(又は1又は複数のコンピューティングデバイスの1又は複数のプロセッサ)は、コンピュータ実行可能命令を実行するようにプログラムされてもよい。コンピューティングデバイス又はプロセッサは、命令が、データストア(例えば、オンチップキャッシュ又は命令レジスタ、バスを介してアクセス可能なコンピュータ可読記憶媒体など)内など、コンピューティングデバイス又はプロセッサにアクセス可能な方法で記憶されるとき、命令を実行するようにプログラムされてもよい。これらのコンピュータ実行可能命令を含む機能ファシリティは、単一の多目的プログラマブルデジタルコンピューティングデバイス、処理能力を共有し、本明細書に記載される技術を共同で実行する2つ以上の多目的コンピューティングデバイスの協調システム、本明細書に記載される技術の実行専用の単一のコンピューティングデバイス若しくはコンピューティングデバイスの協調システム(同じ場所に位置するか、又は地理的に分散される)、本明細書に記載される技術を実行するための1又は複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は任意の他の好適なシステムと統合され、その動作を指示することができる。
【0401】
図17は、本明細書で説明される技術を実装するシステムで使用され得るコンピューティングデバイス1700の形態のコンピューティングデバイスの1つの例示的な実装形態を示すが、他の実装形態も可能である。
図17は、本明細書で説明する原理に従ってコンピューティングデバイスが動作するために必要な構成要素の描写であることも、包括的な描写であることも意図されていないことを理解されたい。
【0402】
コンピューティングデバイス1700は、少なくとも1つのプロセッサ1702、ネットワークアダプタ1704、及びコンピュータ可読記憶媒体1710を備えることができる。コンピューティングデバイス1700は、例えば、上述のような医療デバイス、デスクトップ又はラップトップパーソナルコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォン、サーバ、又は任意の他の好適なコンピューティングデバイスであってもよい。ネットワークアダプタ1704は、コンピューティングデバイス1700が任意の好適なコンピューティングネットワークを介して任意の他の好適なコンピューティングデバイスと有線及び/又は無線で通信することを可能にする任意の好適なハードウェア及び/又はソフトウェアであってもよい。コンピューティングネットワークは、無線アクセスポイント、スイッチ、ルータ、ゲートウェイ、及び/又は他のネットワーキング機器、並びにインターネットを含む、2つ以上のコンピュータ間でデータを交換するための任意の好適な有線及び/又は無線の通信媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体1710は、プロセッサ1702によって処理されるデータ及び/又は実行される命令を記憶するように適合され得る。プロセッサ1702は、データの処理及び命令の実行を可能にする。データ及び命令は、コンピュータ可読記憶媒体1710に記憶されてもよい。
【0403】
デバイス1700が本明細書で説明されるような医療デバイスで特定の実施形態では、デバイス1700は、被験体を診断及び/又は治療するために、被験体の解剖学的構造の中に挿入されるべき侵襲性医療デバイス1706を含み得る。デバイス1706は、上述したように侵襲性プローブ1708を含む。
【0404】
コンピュータ可読記憶媒体1710に記憶されたデータ及び命令は、本明細書に記載された原理に従って動作する技術を実装するコンピュータ実行可能命令を含み得る。
図17の例では、コンピュータ可読記憶媒体1710は、上述のように、種々の機能を実装し、種々の情報を記憶するコンピュータ実行可能命令を記憶する。コンピュータ可読記憶媒体1710は、病変の組成を含む病変の1又は複数の特性を分析し、かつ/又は分析に基づいて治療勧告を決定するための病変分析ファシリティ1712を記憶することができる。コンピュータ可読記憶媒体1710は、ファシリティ1712によって使用され得る治療選択肢のための条件1714を更に記憶することができる。コンピュータ可読記憶媒体1710はまた、学習ファシリティ1716及び履歴生成ファシリティ1718を記憶することができる。
【0405】
図17には示されていないが、コンピューティングデバイスは、入力及び出力デバイスを含む、1又は複数の構成要素及び周辺機器を更に有し得る。これらのデバイスは、とりわけ、ユーザインターフェースを提示するために使用することができる。ユーザインターフェースを提供するために使用され得る出力デバイスの例としては、出力の視覚的提示のためのプリンタ又はディスプレイスクリーン、及び出力の可聴提示のためのスピーカ又は他の音生成デバイスが挙げられる。ユーザインターフェースに使用することができる入力デバイスの例には、キーボード、並びにマウス、タッチパッド、及びデジタイジングタブレットなどのポインティングデバイスが含まれる。別の例として、コンピューティングデバイスは、音声認識を通じて、又は他の可聴フォーマットで入力情報を受信することができる。
【0406】
本技術が回路及び/又はコンピュータ実行可能命令で実装される実施形態が説明された。一部の実施形態は、少なくとも1つの例が提供された方法の形態であり得ることを理解されたい。本方法の一部として実施される動作は、任意の好適な方法で順序付けることができる。したがって、例示的な実施形態では連続した動作として示されているが、一部の動作を同時に実施することを含み得る、図示されたものとは異なる順序で動作が実施される実施形態が構築され得る。
【0407】
上述した実施形態の種々の態様は、単独で、組み合わせて、又は上述した実施形態において具体的に説明されていない種々の配置で使用されてもよく、したがって、その適用において、上述した説明に記載された又は図面に示された構成要素の詳細及び配置に限定されない。例えば、1つの実施形態に記載された態様は、他の実施形態に記載された態様と任意の方法で組み合わせることができる。
【0408】
請求項要素を修正するための請求項における「第1の」、「第2の」、「第3の」などの順序を表す用語の使用は、それ自体では、1つの請求項要素の別の請求項要素に対するいかなる優先度、優先順位、若しくは順序、又は方法の行為が実施される時間的順序も暗示せず、請求項要素を区別するために、ある名前を有する1つの請求項要素を同じ名前を有する別の請求項要素と区別するためのラベルとして(ただし、順序を表す用語の使用のために)使用されるにすぎない。
【0409】
また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定するものと見なされるべきではない。本明細書における「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びその等価物、並びに追加の項目を包含することを意味する。
【0410】
「例示的」という単語は、本明細書では、例、事例、又は例示として機能することを意味するために使用される。したがって、例示的なものとして本明細書で説明される任意の実施形態、実装形態、プロセス、特徴などは、説明のための例であると理解されるべきであり、別段の指示がない限り、好ましい例又は有利な例であると理解されるべきではない。
【0411】
「約(approximately)」、「実質的に(substantially)」、及び「約(about)」という用語は、一部の実施形態では目標値の±20%以内、一部の実施形態では目標値の±10%以内、一部の実施形態では目標値の±5%以内、及び一部の実施形態では目標値の±2%以内を意味するために使用され得る。「約(approximately)」及び「約(about)」という用語は、目標値を含み得る。
【0412】
少なくとも1つの実施形態の複数の態様をこのように説明してきたが、種々の変更、修正、及び改良が当業者に容易に想起されることを理解されたい。かかる変更、修正、及び改良は、本開示の一部であることが意図され、本明細書に記載される原理の範囲内であることが意図される。したがって、前述の説明及び図面は単なる例である。
【国際調査報告】