(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】資産レベルの脆弱性及び軽減
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240130BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543370
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 US2021062530
(87)【国際公開番号】W WO2022164515
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】マレット,ベンジャミン ゴダード
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA52
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】 区画/資産のハザード脆弱性についての洞察を得ることである。
【解決手段】 区画の損傷傾向スコアの要求を受信し、区画の撮像データであって、区画のストリートビュー撮像データを含む、撮像データを受信し、複数の分類器を含む機械学習モデルによって、撮像データから区画の脆弱性特徴の特性を抽出し、機械学習モデルによって、脆弱性特徴の特性から、区画の損傷傾向スコアを決定し、表示のために損傷傾向スコアの表現を提供する方法、システム、及び装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画の損傷傾向スコアの要求を受信することと、
前記区画のストリートビュー撮像データを含む前記区画の撮像データを受信することと、
複数の分類器を含む機械学習モデルによって、前記撮像データから前記区画の複数の脆弱性特徴の特性を抽出することと、
前記機械学習モデルによって、前記複数の脆弱性特徴の前記特性から、前記区画の前記損傷傾向スコアを決定することと、
表示のために前記損傷傾向スコアの表現を提供することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の脆弱性特徴の前記特性から、特性の区画のセットを生成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の脆弱性特徴の前記特性及び前記区画の撮像データから、前記区画の3次元モデルを生成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記区画の撮像データが、前記要求の時間から時間の閾値内にキャプチャされた撮像データを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記損傷傾向スコアの前記要求を受信することが、
ハザードイベントについてのハザードイベントデータを受信することと、
前記複数の脆弱性特徴の前記特性及び前記ハザードイベントについての前記ハザードイベントデータから、前記ハザードイベントについての前記区画の前記損傷傾向スコアを決定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ハザードイベントについての更新されたハザードイベントデータを受信することと、
前記複数の脆弱性特徴の前記特性、前記ハザードイベントデータ、及び前記更新されたハザードイベントデータから、前記ハザードイベントについての前記区画の更新された損傷傾向スコアを決定することと、
を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記機械学習モデルによって、前記区画について、1つ以上の軽減ステップを決定することと、
前記機械学習モデルによって、前記1つ以上の軽減ステップに基づいて、更新された損傷傾向スコアを決定することと、
前記1つ以上の軽減ステップ及び前記更新された損傷傾向スコアの表現を提供することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の軽減ステップが、前記撮像データから抽出された前記複数の脆弱性特徴の前記特性に対する調整を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上の軽減ステップを決定することが、
前記複数の脆弱性特徴の調整された特性に基づいて、更新された損傷傾向スコア決定を反復すること、
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記更新された損傷傾向スコアが閾値損傷傾向スコアを満たすと判定すること、
を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の軽減ステップを決定することが、
特定のタイプのハザードイベントについて、前記1つ以上の軽減ステップを決定することを含み、第1のタイプのハザードイベントについての1つ以上の軽減ステップが、第2のタイプのハザードイベントについての1つ以上の軽減ステップとは異なる、
請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記機械学習モデルのための訓練データを生成することであって、
ハザードイベントについて、前記ハザードイベントの近傍内に位置する複数の区画を受信することであって、前記複数の区画の各区画が、前記ハザードイベントへの少なくとも閾値曝露を受けた、複数の区画を受信することと、
前記複数の区画の各区画について、ストリートビュー撮像データを含む前記区画の撮像データを受信することと、
前記撮像データから、前記ハザードイベント中に燃焼しなかった前記複数の区画の区画の第1のサブセット及び燃焼した前記複数の区画の区画の第2のサブセットの複数の脆弱性特徴の特性を抽出することと、
を含む、前記訓練データを生成することと、
機械学習モデルに、前記訓練データを提供することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の脆弱性特徴の特性を抽出することが、前記撮像データを前記複数の分類器に提供することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の脆弱性特徴の特性を抽出することが、前記複数の分類器によって、前記撮像データ内の複数のオブジェクトを識別することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の区画の各区画について、追加の構造特性を受信することと、
前記追加の構造特性から、前記ハザードイベント中に燃焼しなかった前記複数の区画の区画の前記第1のサブセット及び燃焼した前記複数の区画の区画の前記第2のサブセットの第2の複数の脆弱性特徴を抽出することと、
前記機械学習モデルに、前記第2の複数の脆弱性特徴を提供することと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記追加の構造特性が、前記複数の区画のハザードイベント後検査を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
コンピュータプログラムで符号化された非一時的コンピュータ記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムが、データ処理装置によって実行されたときに、前記データ処理装置に、
区画の損傷傾向スコアの要求を受信することと、
前記区画のストリートビュー撮像データを含む前記区画の撮像データを受信することと、
複数の分類器を含む機械学習モデルによって、前記撮像データから前記区画の複数の脆弱性特徴の特性を抽出することと、
前記機械学習モデルによって、前記複数の脆弱性特徴の前記特性から、前記区画の前記損傷傾向スコアを決定することと、
表示のために前記損傷傾向スコアの表現を提供することと、
を含む動作を実行させる、命令を含む、非一時的コンピュータ記憶媒体。
【請求項18】
前記機械学習モデルのための訓練データを生成することであって、
ハザードイベントについて、前記ハザードイベントの近傍内に位置する複数の区画を受信することであって、前記複数の区画の各区画が、前記ハザードイベントへの少なくとも閾値曝露を受けた、複数の区画を受信することと、
前記複数の区画の各区画について、ストリートビュー撮像データを含む前記区画の撮像データを受信することと、
前記撮像データから、前記ハザードイベント中に燃焼しなかった前記複数の区画の区画の第1のサブセット及び燃焼した前記複数の区画の区画の第2のサブセットの複数の脆弱性特徴の特性を抽出することと、
を含む、前記訓練データを生成することと、
機械学習モデルに、前記訓練データを提供することと、
を更に含む、請求項17に記載の非一時的コンピュータ記憶媒体。
【請求項19】
前記複数の区画の各区画について、追加の構造特性を受信することと、
前記追加の構造特性から、前記ハザードイベント中に燃焼しなかった前記複数の区画の区画の前記第1のサブセット及び燃焼した前記複数の区画の区画の前記第2のサブセットの第2の複数の脆弱性特徴を抽出することと、
機械学習モデルに、前記訓練データを提供することと、
を更に含む、請求項18に記載の非一時的コンピュータ記憶媒体。
【請求項20】
ユーザデバイスと、
前記ユーザデバイスと相互作用して、
前記ユーザデバイスから、区画の損傷傾向スコアの要求を受信することと、
前記区画の撮像データであって、前記区画のストリートビュー撮像データを含む撮像データを受信することと、
複数の分類器を含む機械学習モデルによって、前記撮像データから前記区画の複数の脆弱性特徴の特性を抽出することと、
前記機械学習モデルによって、前記複数の脆弱性特徴の前記特性から、前記区画の前記損傷傾向スコアを決定することと、
前記ユーザデバイスに、表示のために前記損傷傾向スコアの表現を提供することと、
を含む動作を実行するように動作可能な1つ以上のコンピュータと、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月26日に出願された「ASSET-LEVEL VULNERABILITY AND MITIGATION」と題する米国特許出願第17/158,585号の優先権を主張し、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
土地開発が原野と都市の境界面に侵入し、環境変化が長期の干ばつをもたらすにつれて、野火は、ますます問題となっている。保険業者及びリスク評価マネージャは、区画上に存在する様々な資産を見て、回帰手法及び既知の脆弱性を使用して野火リスク評価を生成する。区画に対するリスク評価を生成することは、資産検査及び他の1回限りの静的な査定を必要とする可能性があり、その結果、区画に対する変更は、現在のリスクを認識し続けるために、費用のかかる更新された再評価の必要性を生み出す可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書は、機械学習を利用して、区画/資産をキャプチャする撮像データから区画/資産のハザード脆弱性についての洞察を得ることに関するシステム、方法、デバイス、及び他の技術を説明する。
【0004】
一般に、本明細書に記載される主題の1つの革新的な態様は、区画の損傷傾向スコアの要求を受信し、区画の撮像データを受信する方法において具現化することができ、撮像データは、区画のストリートビュー撮像データを含む。複数の分類器を含む機械学習モデルは、撮像データから区画の複数の脆弱性特徴の特性を抽出し、複数の脆弱性特徴の特性から、区画の損傷傾向スコアを決定する。損傷傾向スコアの表現は、表示のために提供される。
【0005】
これら及び他の実装形態は、各々、以下の特徴のうちの1つ以上を任意選択的に含むことができる。いくつかの実施形態では、この方法は、複数の脆弱性特徴の特性から、特性の区画のセットを生成することを更に含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、この方法は、複数の脆弱性特徴の特性及び区画の撮像データから、区画の3次元モデルを生成することを更に含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、区画の撮像データは、要求の時間から時間の閾値内にキャプチャされた撮像データを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、損傷傾向スコアの要求を受信することは、ハザードイベントのハザードイベントデータを受信することと、複数の脆弱性特徴の特性及びハザードイベントのハザードイベントデータから、ハザードイベントについての区画の損傷傾向スコアを決定することとを含む。この方法は、ハザードイベントについての更新されたハザードイベントデータを受信することと、複数の脆弱性特徴の特性、ハザードイベントデータ、及び更新されたハザードイベントデータから、ハザードイベントについての区画の更新された損傷傾向スコアを決定することとを更に含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、この方法は、機械学習モデルによって、区画について、1つ以上の軽減ステップを決定することと、機械学習モデルによって、1つ以上の軽減ステップに基づいて、更新された損傷傾向スコアを決定することと、1つ以上の軽減ステップ及び更新された損傷傾向スコアの表現を提供することとを更に含む。1つ以上の軽減ステップは、撮像データから抽出された複数の脆弱性特徴の特性に対する調整を含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、1つ以上の軽減ステップを決定することは、複数の脆弱性特徴の調整された特性に基づいて、更新された損傷傾向スコア決定を反復することを更に含む。いくつかの実施形態では、更新された損傷傾向スコアを決定することは、更新された損傷傾向スコアが閾値損傷傾向スコアを満たすと判定することを更に含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、1つ以上の軽減ステップを決定することは、特定のタイプのハザードイベントについて、1つ以上の軽減ステップを決定することを含み、第1のタイプのハザードイベントについての1つ以上の軽減ステップは、第2のタイプのハザードイベントについての1つ以上の軽減ステップとは異なる。
【0012】
いくつかの実施形態では、この方法は、機械学習モデルのための訓練データを生成することであって、ハザードイベントについて、ハザードイベントの近傍内に位置する複数の区画を受信することであって、複数の区画の各区画が、ハザードイベントへの少なくとも閾値曝露を受けた、複数の区画を受信することと、複数の区画の各区画について、ストリートビュー撮像データを含む区画の撮像データを受信することと、撮像データから、ハザードイベント中に燃焼しなかった複数の区画の区画の第1のサブセット及び燃焼した複数の区画の区画の第2のサブセットの複数の脆弱性特徴の特性を抽出することと、を含む、生成することと、機械学習モデルに、訓練データを提供することと、を更に含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、複数の脆弱性特徴の特性を抽出することは、撮像データを複数の分類器に提供することを含む。複数の脆弱性特徴の特性を抽出することは、複数の分類器によって、撮像データ内の複数のオブジェクトを識別することを含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、この方法は、複数の区画の各区画について、追加の構造特性を受信することと、追加の構造特性から、ハザードイベント中に燃焼しなかった複数の区画の区画の第1のサブセット及び燃焼した複数の区画の区画の第2のサブセットの複数の脆弱性特徴の第2のセットを抽出することと、機械学習モデルに、複数の脆弱性特徴の第2のセットを提供することとを更に含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、追加の構造特性は、複数の区画のハザードイベント後検査を含む。
【0016】
本開示はまた、1つ以上のプロセッサに結合され命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体も提供し、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、1つ以上のプロセッサに本明細書で提供される方法の実装形態による動作を実行させる。
【0017】
本開示による方法及びシステムは、本明細書に記載の態様及び特徴の任意の組み合わせを含むことができることが理解されよう。すなわち、本開示による方法及びシステムは、本明細書に具体的に記載される態様及び特徴の組み合わせに限定されず、提供される態様及び特徴の任意の組み合わせも含む。
【0018】
本明細書において説明される主題の特定の実施形態は、以下の利点のうちの1つ以上を実現するように実装することができる。本技術の利点は、ハザード条件及び曝露の程度の特定のセットに応じて脆弱性特徴の特性の構成を考慮する訓練された機械学習モデルを使用する従来の方法よりも実質的に多数の脆弱性特徴についてのハザード脆弱性の新規な理解を発展させることができることであり、これは、リスク要因の合計よりも複雑であり得、被った損傷の程度又は損傷/無損傷結果に寄与する非自明な特徴を反映することができる。特定のハザード及び曝露の程度についてのハザード脆弱性の評価は、撮像データを使用して区画について決定することができ、追加の資産検査を必要としない場合がある。ハザード脆弱性評価は、資産評価、販売、税金などを決定する際に利用することができる。
【0019】
区画のストリートビュー画像を利用することにより、他の撮像データを使用して他の方法では利用可能でない区画の固有の特徴、例えば、区画上の家の現在の状態を反映する特徴(例えば、家の側面に成長するつる草、私道に駐車された車の位置)へのアクセスを得ることができる。例えば、ハザードイベントの現在の条件下での各区画のそれぞれの脆弱性に基づいて脆弱な区画を識別するために、ハザード条件が変化するにつれて軽減応答を更新することができるリアルタイムハザード条件下で、脆弱性傾向スコアを決定することができる。最適化された軽減ステップ、例えば、リスク低減計画及び/又は費用便益推定は、区画の脆弱性特徴の抽出された特性に基づいて、かつハザードイベントに応じて、訓練された機械学習モデルによって反復プロセスにおいて決定することができる。
【0020】
本技術の用途は、一般に、保険リスク評価、リアルタイムリスク評価及び応答、並びに一般的な自然災害ハザード評価及び軽減を含む。より具体的には、本技術は、より正確にリスク評価を行い、リスク軽減計画を設計及び制定するために、自治体、州、又は中央政府によって利用することができる。
【0021】
本明細書で説明される主題の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。主題の他の特徴、態様、及び利点は、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ハザード脆弱性システム102の例示的な動作環境のブロック図である。
【
図2A】ハザードイベントの前後の複数の例示的な区画を含む衛星/航空ベースの画像を示す。
【
図2B】ハザードイベントの前後の例示的な区画のストリートビューベースの画像を示す。
【
図2C】ハザードイベントの前後の別の例示的な区画のストリートビューベースの画像を示す。
【
図3】ハザード脆弱性システムの例示的なプロセスのフロー図である。
【
図4】ハザード脆弱性システムの別の例示的なプロセスのフロー図である。
【
図5】例示的なコンピュータシステムのブロック図である。
【0023】
種々の図面における同様の参照番号及び名称は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
概要
本特許出願の技術は、機械学習を利用して、区画/資産をキャプチャする撮像データから区画/資産のハザード脆弱性についての洞察を得ることを対象とする。
【0025】
より具体的には、本出願の技術は、訓練された機械学習モデルを利用して、脆弱性特徴を識別し、区画の撮像データ、例えば、ストリートビュー撮像データ、LIDARデータ、高解像度衛星画像データ、航空画像データ、赤外線画像データ、ユーザ提供画像等内の脆弱性特徴の特性を識別する。脆弱性特徴の特性を利用して、脆弱性傾向スコアを生成し、かつ/又は特定のハザード及び曝露の程度に応じて特定の区画のハザード脆弱性を低減するための軽減戦略を識別することができる。
【0026】
機械学習モデルを訓練するための訓練データを生成することは、ハザードイベントの近傍内、例えば、燃焼痕の半径内に位置する区画のセットを選択することを含むことができる。ハザードイベントは、例えば、野火、洪水、竜巻などであり得、区画のセットはそれぞれ、ハザードイベントへのある程度の曝露を経験する。区画のセットの各区画について、ハザードイベントの前に区画をキャプチャする撮像データ、例えば、野火を経験する前の家/資産の写真が収集される。
【0027】
区画の脆弱性特徴は、既存のリスク評価データ、例えば、防御可能な空間、建築構造、又はハザード脆弱性の増加/減少に関連することが知られている他の特徴を使用して定義することができる。脆弱性特徴は、特定のハザードイベントについての損傷/非損傷結果及び/又は損傷度結果を有する区画を示す撮像データから更に抽出することができ、1つ以上のニューラルネットワークを利用して、撮像データを処理し、区画の損傷/非損傷結果及び/又は損傷度結果を区別するために決定される追加の脆弱性特徴を抽出することができる。
【0028】
脆弱性特徴の特性、例えば、屋根構造の材料、木と家との間の距離、建築材料の製造情報、間口、柵の種類、灌漑などは、複数の分類器を使用して、かつ物体認識技術を利用して、区画の撮像データから抽出することができる。訓練データは、区画の複数のセット及びそれぞれのハザードイベントについて生成することができ、脆弱性特徴の抽出された特性、ハザードイベントに対する区画の位置、ハザードイベント中の曝露/損傷の程度、及び損傷/非損傷結果を含むことができる。加えて、機械学習モデルを訓練するための訓練データを生成する際に、区画の公的記録、ハザードイベントに関する情報などを利用することができる。
【0029】
訓練された機械学習モデルは、特定の区画の脆弱性評価の要求と、曝露の程度を含むハザードイベントの要求とを受信することができる。撮像データは、例えば、区画の既知の住所、地理的位置等を使用して、区画について収集することができ、時間の閾値内にキャプチャされた、例えば、過去6ヶ月以内に収集された撮像データのみを含むことができる。撮像データは、区画の現在の状態、例えば、区画を取り囲む植生の現在の状態、車両の位置、区画内に建てられた構造物(例えば、小屋)などを反映することができる。機械学習モデルは、撮像データ、公的記録(例えば、建設年、セットバック、特例許可等)、及び他の関連地理空間情報(例えば、近隣住宅密度、消防署/緊急サービスまでの距離、主要道路までの距離等)を入力として受信し、区画の脆弱性特徴の特性を抽出することができる。決定された脆弱性傾向スコアは、出力として提供することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、モデルは、区画の脆弱性特徴に基づいて、区画に対するリスクスコアを低減するための軽減ステップを決定することができる。機械学習モデルによって軽減ステップを決定することは、調整すること(例えば、繁茂を刈り込むこと、屋根材料を変更すること、サイディング材料を変更すること)ができる脆弱性特徴の特性を識別すること、及び脆弱性特徴の調整された特性に基づいてリスクスコア決定を反復することを含むことができる。軽減ステップの順列は、特定の区画の軽減ステップの最適化されたサブセットを提供するために、様々なハザードイベントシナリオについて評価することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、リアルタイムハザード脆弱性は、リアルタイムハザードイベント又は潜在的な将来のハザードリスク、例えば、進行中の野火、干ばつ発生、厳しい気象パターンなどに基づいて、特定の区画について決定することができる。ハザードイベントが進展するにつれて、例えば、曝露の程度が変化するにつれて、区画のハザード脆弱性が更新され、それに応じてリアルタイム警報が生成され、例えば、住宅所有者又は緊急応答者にリアルタイムハザード脆弱性及び/又は対策を通知することができる。
【0032】
例示的な動作環境
図1は、ハザード脆弱性システム102の例示的な動作環境100のブロック図である。ハザード脆弱性システム102は、1つ以上のローカルサーバ、クラウドベースのサービス、又はそれらの組み合わせにおいてホストすることができる。
【0033】
ハザード脆弱性システム102は、ネットワークとデータ通信することができ、ネットワークは、ネットワークに接続されたデバイス間の電子通信の交換を可能にするように構成することができる。ネットワークは、例えば、インターネット、ワイドエリアネットワーク(Wide Area Networks、WAN)、ローカルエリアネットワーク(Local Area Networks、LAN)、アナログ若しくはデジタル有線及び無線電話ネットワーク(例えば、公衆交換電話網(public switched telephone network、PSTN)、統合サービスデジタルネットワーク(Integrated Services Digital Network、ISDN)、セルラーネットワーク、及びデジタル加入者回線(Digital Subscriber Line、DSL))、無線、テレビ、ケーブル、衛星、又はデータを搬送するための任意の他の配信若しくはトンネリング機構のうちの1つ以上を含んでもよい。ネットワークは、複数のネットワーク又はサブネットワークを含んでもよく、それらの各々は、例えば、有線又は無線データ経路を含んでもよい。ネットワークは、回線交換ネットワーク、パケット交換データネットワーク、又は電子通信(例えば、データ又は音声通信)を搬送することができる任意の他のネットワークを含んでもよい。例えば、ネットワークは、インターネットプロトコル(Internet protocol、IP)、非同期転送モード(asynchronous transfer mode、ATM)、PSTN、IP、X.25、若しくはフレームリレーに基づくパケット交換ネットワーク、又は他の同等の技術に基づくネットワークを含むことができ、例えば、VoIP、又は音声通信に使用される他の同等のプロトコルを使用して音声をサポートすることができる。ネットワークは、無線データチャネル及び無線音声チャネルを含む1つ以上のネットワークを含むことができる。ネットワークは、無線ネットワーク、ブロードバンドネットワーク、又は無線ネットワークとブロードバンドネットワークとを含むネットワークの組合せであってもよい。
【0034】
ハザード脆弱性システム102は、訓練データ生成器104及び損傷傾向モデル106を含む。任意選択的に、ハザード脆弱性システム102は、軽減エンジン108を含む。訓練データ生成器104、損傷傾向モデル106、及び軽減エンジン108を参照して本明細書で説明されるが、説明される動作は、より多くの又はより少ないサブコンポーネントによって実行することができる。
【0035】
訓練データ生成器104は、脆弱性特徴抽出器110、区画ハザードイベントモジュール112、及びベクトル生成器114を含む。訓練データ生成器104は、衛星及び/又は航空画像118、ストリートビュー画像117などのリポジトリから撮像データ116を受信し、訓練データ120を出力として提供する。出力訓練データ120は、損傷傾向モデル106を訓練するために利用することができる。
【0036】
損傷傾向モデル106は、複数の分類器107、例えば、1つ以上のニューラルネットワーク又は機械学習モデル、例えば、ランダムフォレストを含む。分類器は、損傷傾向をバイナリ結果、例えば、損傷又は非損傷として分類するように構成することができる、又は、例えば、回帰タスクを使用して、損傷傾向の程度を分類するように構成することができる。いくつかの実施形態では、分類器を利用して、区画の特定のサブコンポーネント、例えば、建物の屋根、建物のサイディングなどに対する損傷を推定し、損傷傾向モデル106を更に精緻化することができる。
【0037】
損傷傾向モデル106は、撮像データ116及び履歴ハザードイベントデータ124で文書化された異なるハザードイベントの大きなサンプルを使用して生成されたかなりの数の訓練ベクトルを含む訓練データ120を受信することができる。損傷傾向モデル106は、区画の脆弱性特徴の特性に部分的に基づいて、特定の区画の損傷傾向について推論するように訓練することができる。複数の分類器109は、例えば、分類器107を参照して説明した分類器の同じセット又は異なるセットを含み、受信した撮像データ116を処理して、撮像データ116から抽出された脆弱性特徴の特性を識別し、ラベル付けすることができる。
【0038】
衛星/航空画像118は、地理的領域をキャプチャし、かつその地理的領域に関する情報を提供する、任意の画像を含む。地理的領域に関する情報は、例えば、地理的領域に位置する1つ以上の区画、例えば、構造物、植生、地形などに関する情報を含むことができる。衛星/航空画像は、例えば、ランドサット画像、又は他の形態の航空画像であってもよい。衛星/航空画像118は、例えば、RGB画像又はハイパースペクトル画像であってもよい。衛星/航空画像118は、衛星技術、例えば、ランドサット、又はドローン技術を使用してキャプチャすることができる。いくつかの実装形態では、衛星/航空画像は、他の高高度技術、例えば、ドローン、気象観測気球、飛行機などを使用してキャプチャすることができる。いくつかの実施形態では、本明細書で説明するような衛星画像に加えて、合成開口レーダ(synthetic aperture radar、SAR)画像を利用することができる。
【0039】
いくつかの実装形態では、衛星画像又は他の航空画像は、レーダベースの撮像、例えば、LIDAR画像、RADAR画像、若しくは電磁スペクトルを使用する別のタイプの撮像、又はそれらの組合せを利用してキャプチャすることができる。衛星/航空画像118は、異なる地形、植生、水域、及び他の特徴を含む様々な自然の特徴を含む地理的領域の画像を含むことができる。衛星/航空画像118は、人工開発、例えば、住宅建設、道路、ダム、擁壁などの画像を含むことができる。
【0040】
ストリートビュー画像117は、例えば、区画に面する道路又は歩道からキャプチャされた、間口視点からの1つ以上の区画の態様をキャプチャする任意の画像を含む。いくつかの実施形態では、ストリートビュー画像117は、車両に取り付けられ、かつ車両が区画を通過する際に区画のストリートビュー画像117をキャプチャするように構成された、1つ以上のカメラによってキャプチャすることができる。光学及びLIDARストリートビュー画像117を利用して、区画に関する深度情報をキャプチャすることができる。いくつかの実施形態では、ストリートビュー画像117は、高い空間解像度を有することができ、例えば、ストリートビュー画像は、1センチメートル未満の空間解像度を有することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、ストリートビュー画像117は、ユーザ、例えば、区画の住宅所有者によって、資産の間口ビューからキャプチャすることができる。ストリートビュー画像は、スマートデバイス、例えばスマートフォン又はタブレット上の内蔵カメラを使用してキャプチャすることができ、かつ/又はハンドヘルドカメラを使用してキャプチャすることができる。いくつかの実施形態では、ストリートビュー画像は、土地測量士、保険査定者、区画鑑定者、又は区画の態様を文書化する他の人物によってキャプチャすることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、ストリートビュー画像117は、区画の追加のビュー、例えば、区画の横側面、区画の背面からキャプチャされたビューを含むことができる。例えば、ユーザは、彼らの資産の裏庭のストリートビュー画像117、又は彼らの資産の側面図をキャプチャすることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、撮像データ116は、ハザードイベントの前後、例えば、野火の前後の区画の画像を含むことができる。特定のハザードイベントに関連付けられた撮像データ116は、燃焼痕、例えば、ハザードイベントによって損傷を受けたエリアを含むことができる。撮像データ116の更なる説明は、
図2A~
図2Cを参照して提示する。
【0044】
訓練データ生成器104は、履歴ハザードイベントデータ124のリポジトリから区画データ122を受信する。区画データ122は、例えば、保険査定、土地調査、鑑定、建築/建設記録、コード検査/違反、及び他の公的記録を含むことができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、区画データ122は、例えば、CalFIREによって維持される損傷検査(Damage Inspection、DINS)データベースからの、ハザード後保険検査からのなど、ハザードイベント後損傷報告からの公的記録を含む。ハザードイベント後損傷報告は、ハザードイベント、例えば野火に曝された構造物の直接検査を含むことができ、構造物の脆弱性特性、例えば、屋根タイプ、軒タイプ、建築材料など、並びに損傷レベルに関する情報を含むことができる。区画データ122は、ハザードイベントの半径内、例えば、燃焼半径の半径内にある区画のハザードイベントに対する損傷/非損傷データ及び/又は損傷度データを含むことができる。
【0046】
訓練データ生成器104は、入力として撮像データ116を受信する。撮像データ116は、特定の位置、例えば、1つ以上の家において、かつ特定の時点、例えば、ハザードイベントの前又はハザードイベントの後に、1つ以上の区画をキャプチャする。例えば、ストリートビュー画像117は、特定の所在地住所及び第1の日付/時間、例えば、ハザードイベントの前における家をキャプチャすることができる。
【0047】
脆弱性特徴抽出器110は、複数の分類器107を含むことができ、複数の分類器は、撮像データ116内の脆弱性特徴、例えばオブジェクトを識別することができる。撮像データ116に示される各区画について、脆弱性特徴抽出器110は、脆弱性特徴を抽出し、区画の脆弱性特徴F1、F2、...FNをベクトル生成器モジュール114への出力として提供することができる。上記の例を続けると、脆弱性特徴F1、F2、...FNは、特定の所在地住所及び第1の日付/時間における家について抽出され、例えば、屋根構造、植生、間口距離、土地勾配などである。
【0048】
脆弱性特徴は、建築材料、防御可能な空間、区画の勾配、道路への近接性などを含むことができるが、これらに限定されない。脆弱性特徴は、物体、例えば、木、車両などを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、グラウンドトゥルースラベリングを利用して、例えば、人間の専門家によって、又は自動/半自動方式で、脆弱性特徴を識別することができる。保険査定人/リスク評価マネージャによって利用される脆弱性特徴は、撮像データ116において識別することができる。
【0049】
脆弱性特徴は、従来は保険査定人/リスク評価によってリスクハザードとして識別されなかった撮像データ116内にキャプチャされた区画の脆弱性特徴を更に含むことができる。言い換えれば、従来はハザードリスクとしてラベル付けされない可能性がある区画の特徴を、可能性のある脆弱性特徴として抽出して、訓練データを生成することができる。例えば、私道の構造、駐車した車と家との間の距離、芝生に使用される草の種子の種類などである。損傷傾向モデル106は、例えば従来の手段によって有意であると他の方法では予測されない可能性がある撮像データ116から抽出された脆弱性特徴を、有意であるとして定義することができ、それにより、脆弱性特徴を機械学習モデルによって処理して、可能性のある脆弱性特徴のうちのどれが区画の損傷傾向において有意であるか、例えば、損傷/非損傷結果及び/又は損傷度結果に対して統計的効果を有するかを決定することができる。このようにして、新規かつ非自明な特徴を、損傷傾向に有意性を有するものとして識別することができる。
【0050】
区画の各脆弱性特徴は、撮像データ116内、例えば、ストリートビュー画像117及び/又は衛星/航空画像118内に示される区画の態様を記述する。撮像データ116から抽出された各脆弱性特徴に対して、脆弱性特徴の1つ以上の特性C1、C2、...CN、例えば、F1{C1、C2、...CN}が抽出される。特徴抽出の更なる詳細は、
図2A~
図2Cを参照して説明する。脆弱性特徴の特性は、脆弱性特徴の定量化可能かつ/又は定性化可能な態様を含むことができる。例えば、屋根構造である脆弱性特徴は、建築材料、屋根板間隔、建築年数、及び屋根の維持によって特徴付けることができる。別の実施例では、区画の勾配である脆弱性特徴は、0.5°の勾配測定値で特徴付けることができる。
【0051】
区画ハザードイベントモジュール112は、入力として、過去のハザードイベントの記録を含む履歴ハザードイベントデータ124と、脆弱性特徴抽出器110によって処理される撮像データ116に示される各区画の区画データ122とを受信する。区画ハザードイベントモジュール112は、区画の区画データ122をベクトル生成器114に提供する。
【0052】
履歴ハザードイベントデータ124は、ハザードイベントの時刻、例えば、ハザードイベントの開始時刻及び終了時刻を含むことができる。例えば、野火が始まった開始時刻、及び野火が完全に封じ込められる、又は完全に消火される終了時刻である。履歴ハザードイベントデータ124は、ハザードイベントによって影響を受けた影響エリア、例えば、燃焼痕を含むエリアの地理的位置、例えば、GPS座標を含むことができる。
【0053】
特定の区画の区画データ122は、ハザードイベントの前後、例えば、野火の前後の区画の公的記録を含むことができる。例えば、区画データ122は、ハザード後保険/査定記録、例えば、ハザードイベント後からの損傷評価を含むことができる。換言すれば、区画データ122は、特定のハザードイベントに対する区画の損傷/非損傷結果、例えば、損傷対非損傷、を含むことができる。区画ハザードイベントモジュール112は、ハザードイベントの燃焼半径208内に位置する複数の区画の損傷/非損傷結果及び/又は損傷度結果を、訓練データ120のグラウンドトゥルースとして利用することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、家の区画データ122は、ハザードイベントの前に収集された区画の構造特性、例えば、建築記録、建築材料、屋根タイプなどを含むことができる。
【0055】
訓練データ生成器104は、ハザードイベントの前後に発生する撮像データ116を使用して区画の画像から、及びイベント、例えば、野火の前後に対応する履歴ハザードイベントデータ124からの区画の区画データ122から、訓練データを生成することができる。脆弱性特徴抽出器110は、各々がハザードイベントの半径内、例えば、燃焼痕の距離内に現れる撮像データ116内の区画の脆弱性特徴及び関連する特性を抽出することができる。
【0056】
ベクトル生成器114は、特徴抽出モジュール110から抽出された脆弱性特徴及び脆弱性特徴の特性を受信し、任意選択的に、入力として特定の区画に対する区画ハザードイベントモジュール112からの区画データ122を受信する。いくつかの実施形態では、区画データ122は、訓練データ120のグラウンドトゥルースとして使用することができ、例えば、ハザードイベントに対する損傷/非損傷結果及び/又は損傷度結果を含む区画データ122を使用して、区画を「燃焼」又は「非燃焼」のいずれかとしてラベル付けすることができる。
【0057】
ベクトル生成器114は、抽出された脆弱性特徴、脆弱性特徴の特性、及び各区画の区画データ122、例えば、それぞれの訓練ベクトルVから訓練データ120を生成することができる。訓練データの生成の更なる詳細は、
図4を参照して説明する。
【0058】
損傷傾向モデル106は、訓練データ120を使用して機械学習モデル、例えば、損傷傾向モデル106を訓練するための入力として訓練データ120を受信することができる。いくつかの実装形態では、損傷傾向モデル106は、異なる位置の大きなサンプル及び様々な履歴ハザードイベントを表す区画データを使用して生成されたかなりの数の訓練ベクトルを使用して訓練することができる。一実施例では、損傷傾向モデル106に提供される訓練データ120に、多くの異なるハザードイベントを受ける何千もの区画を含めることができる。
【0059】
ハザード脆弱性システム102は、ユーザデバイス128のユーザから要求126を受信する。ユーザデバイス128は、例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ、又はオペレーティングシステム129及びアプリケーション環境130を含む別のデバイスを含むことができ、それを介してユーザは、ハザード脆弱性システム102と対話することができる。一実施例では、ユーザデバイス128は、区画の少なくとも一部分を含むビュー132を表示するように構成されたアプリケーション環境130を含む携帯電話である。一実施例では、
図1に示すように、アプリケーション環境130は、家と、例えば、木、茂み、低木などの周囲の資産とのストリートビューを含むビュー132を表示する。
【0060】
要求126は、ユーザデバイス128のユーザによって指定された区画の位置を含むことができる。区画の位置は、地理的位置、例えば、GPS座標、所在地住所などを含むことができ、ユーザによってアプリケーション環境130に入力することができる。
【0061】
要求126は、損傷傾向スコア、例えば、ハザードイベントに対する相対的脆弱性の要求を更に含むことができ、要求126は、特定のハザードイベント、例えば、特定のリアルタイムハザードイベントを指定する、又は一般的なタイプのハザードイベント、例えば、野火、洪水、地震などを指定することができる。一実施例では、ユーザは、区画の所在地住所を指定する要求126を提出し、リアルタイムハザードイベント、例えば、発生している野火に対するその区画の損傷傾向スコアを要求することができる。別の実施例では、ユーザは、GPS座標を含む区画の位置を指定する要求126を提出し、区画の洪水特有の損傷傾向スコアを要求することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、損傷傾向スコアは、特定の区画がハザードイベントによって損傷されるリスクの相対的尺度であってもよい。損傷傾向スコアは、あるタイプのハザードイベント、例えば野火によって損傷を受ける特定の区画に対するリスクの一般的な尺度であってもよく、又は、特定のハザードイベント、例えばリアルタイム洪水イベントによって損傷を受ける特定の区画に対するリスクの特定の尺度であってもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、損傷傾向スコアは、特定のハザードシナリオの下での所与の区画の損失パーセント、例えば、損傷パーセントを含むことができる。例えば、損傷傾向スコアは、特定の野火シナリオの下での特定の区画について10%の損失であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、エンドユーザ、例えば、資産所有者、保険査定者、政府関係者などは、完全な確率的ハザードモデル、すなわち、ハザード特性及び関連する確率の分布を提供することができ、それにより、ハザード脆弱性システムは、特定の区画の予想される平均年間損失(average annual loss、AAL)を提供することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、要求126は、複数の区画を含む位置、例えば、近隣、複数の家を含む通り、複数の建物を含む複合施設などを指定することができる。ユーザは、複数の区画を含む位置の各構造物について個々の損傷傾向スコアを決定することに関心がある場合があり、又は複数の区画についてグローバル損傷傾向スコアを決定することに関心がある場合がある。
【0066】
いくつかの実施形態では、ハザード脆弱性システム102は、区画のハザード脆弱性を低減するための軽減ステップの要求を含む要求126を入力として受信する。軽減エンジン108は、軽減ステップの要求を受信し、撮像データ116及び損傷傾向スコア140に基づいて、ユーザが区画のハザード脆弱性を低減するために取ることができる軽減ステップ136のセットを識別することができる。軽減ステップは、損傷傾向スコア140を低減するために、ユーザ、例えば、住宅所有者によって取ることができる定量化可能かつ/又は定量化可能な方策である。軽減ステップは、例えば、構造物に近接する植生、構造物に使用する建築材料などの除去/低減を含むことができる。例えば、軽減ステップは、家を取り囲む半径2フィート以内の葉を刈り込むことであり得る。別の実施例では、軽減ステップは、家のサイディング材料を変更することであり得る。更に別の実施例では、軽減ステップは、浸水した小川エリアからの流出水を収集するために灌漑溝を掘ることであり得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、軽減ステップは、ユーザデバイス128上のアプリケーション環境130内に提供することができ、軽減ステップ136は、視覚的に識別され、例えば、インジケータが区画のビュー132上にオーバーレイされる。例えば、屋根の上に覆いかぶさる枝を有する木は、アプリケーション環境内で、例えば木及び/又は枝を取り囲むボックスを用いて、視覚的に識別することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、軽減エンジン108は、リアルタイムイベントデータ142、例えば、発生しているハザードイベントについてのリアルタイムデータを受信し、軽減ステップ136をリアルタイムで更新して、ハザードイベントに対するリアルタイム応答をユーザに提供することができる。リアルタイムイベントデータ142は、例えば、ハザードの広がり、気象パターン、軽減イベント、緊急対応などを含むことができる。例えば、野火についてのリアルタイムイベントデータ142は、火災のリアルタイム外周、消防士による制御の割合、避難データ、風注意報などを含むことができる。別の実施例では、洪水についてのリアルタイムイベントデータ142は、リアルタイムの川/小川レベル、洪水レベル、雨/天気予報、避難データなどを含むことができる。
【0069】
特徴抽出
図1を参照して上述したように、脆弱性特徴抽出器110は、入力及び関連する特性を有する抽出脆弱性特徴として、衛星/航空画像118及びストリートビュー画像117を含む撮像データ116を受信することができる。
図2Aは、ハザードイベントの前後の複数の区画を含む衛星画像の例示的な対の概略図である。衛星画像200a及び200bは、キャプチャ時間T1及びT2それぞれにキャプチャされ、T1は、ハザードイベントの前に生じる時間であり、T2は、ハザードイベントの後に生じる時間である。加えて、T1及びT2は、衛星画像200a、200bに含まれる区画の区画データ122に基づいて選択することができ、区画データは、ハザードイベント前の時間T1’及びハザードイベント後の時間T2’における区画の記録を含む。
【0070】
衛星画像200a及び200bは、区画204のセットを含む同じ地理的領域202を示す。衛星画像200aは、ハザードイベントの開始前の時間の第1の閾値内に生じる時間T1においてキャプチャされ、衛星画像200bは、ハザードイベントの終了後の時間の第2の閾値内に生じる時間T2においてキャプチャされる。
【0071】
ハザードイベント後にキャプチャされた衛星画像200bは、ハザードイベント、例えば、火災から生じる燃焼痕206を含む。燃焼痕206は、ハザードイベントによって損傷/影響を受けた地理的領域202のエリアを示すことができる。燃焼半径208は、燃焼痕206を包含し、燃焼痕206を取り囲み、かつ燃焼痕を緩衝する追加のエリアを含む外周を画定する。燃焼半径208は、燃焼痕から外向きに延びる追加の半径、例えば、追加の100フィート、追加の1000フィート、及び追加の5000フィートを含むことができる。燃焼半径208は、ハザードイベントによって損傷/影響を受けた区画Aと、ハザードイベントによって損傷/影響を受けなかった区画Bとを含むことができる。区画Aは、燃焼痕206内に位置し、かつハザードイベントによって損傷/影響を受けた区画とすることができる。区画Bは、燃焼痕206の外側に位置するが、燃焼半径208内に位置する区画とすることができ、又は区画Bは、燃焼痕206内に位置するが、ハザードイベントによって損傷/影響を受けなかった区画とすることができる。
【0072】
ハザードイベント後にキャプチャされた衛星画像200bは、複数の燃焼痕206及び燃焼半径を含むことができ、燃焼痕及び/又は燃焼半径は、互いに重複することができる。区画は、燃焼痕の重複領域及び/又は燃焼半径の重複領域に位置することができる。
【0073】
図1を参照して説明したように、脆弱性特徴抽出器110は、衛星画像200a、200bを受信し、画像200a、200bから脆弱性特徴F1、F2、...FNと、脆弱性特徴のそれぞれの特性とを抽出する。衛星画像200a、200bから抽出された脆弱性特徴は、例えば、屋根構造、自然形成(例えば、森林/樹木カバレッジ、水路など)に対する区画の位置、人工特徴(例えば、道路、灌漑溝、農地など)に対する区画の位置などを含むことができる。それぞれの特性は、例えば、屋根構造のための建築材料、例えば、セラミック、金属、木材などを含むことができる。別の実施例では、人工特徴に対する区画の位置の特性は、区画と人工特徴との間の相対距離、例えば、家から通りまでの距離を含むことができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、衛星画像内に現れる複数の区画について、衛星画像118から脆弱性特徴を抽出することができる。追加の脆弱性特徴は、より高解像度の画像を使用して、例えば、ストリートビュー画像117を使用して、複数の区画の区画の各々について抽出することができる。
【0075】
図2Bは、ハザードイベントの前後にキャプチャされた区画Aのストリートビュー画像の例示的な対の概略図である。ストリートビュー画像220a及び220bは、例えば、区画A上に位置する家222及び周囲の植生224の、ストリートレベルからキャプチャされ、かつ区画に面したストリートビューを示す。ハザードイベント後にキャプチャされたストリートビュー画像220bは、例えば、家、隣接する貯蔵庫、及び近くの木に対するハザードイベント損傷226を含む。
【0076】
ストリートビュー画像220a、220bから脆弱性特徴が抽出される。
図1を参照して説明したように、脆弱性特徴抽出器110は、ストリートビュー画像117、例えば画像220a、220bを含む撮像データ116を受信し、脆弱性特徴F1、F2、...FNを抽出する。
図2Bに戻って参照すると、ストリートビュー画像220a、220bから抽出された脆弱性特徴は、一群の木(F1)、一群の茂み(F2)、屋外小屋(F3)、及び家222の屋根構造(F4)を含む。ストリートビュー画像220a、220bからより多くの又はより少ない脆弱性特徴を抽出することができ、提供される例は、限定的なものではない。
【0077】
ストリートビュー画像220a、220bから抽出された脆弱性特徴の各々について、脆弱性特徴抽出器は、それぞれの脆弱性特徴の特性を識別する。例えば、一群の木F1は、関連付けられた定量化可能な特性、例えば、家222までの木の距離、木の数、木の高さ、木の群の近さなど、及び、定量化可能な特性、例えば、木の健全性、ツタで覆われていることなどを有することができる。別の実施例では、屋根構造F4は、関連付けられた特性、例えば、建築材料、軒構造、屋根の傾斜、屋根の年数、屋根の維持、雨樋の充満度などを有することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、脆弱性特徴抽出器110は、ハザードイベントからの損傷を反映する区画A、例えばストリートビュー画像220bの脆弱性特徴を識別することができる。言い換えれば、脆弱性特徴抽出器110は、その特性がハザードイベントの結果としての損傷を反映する脆弱性特徴、例えば、燃焼/煙損傷を示す屋根構造、燃えた木などに注目することができる。
【0079】
図2Cは、ハザードイベントの前後にキャプチャされた区画Bのストリートビュー画像の例示的な対の概略図である。ストリートビュー画像240a及び240bは、例えば、ハザードイベントの燃焼痕206の外側かつ燃焼半径208内に示された区画B上に位置する家242及び周囲の植生224の、ストリートレベルからキャプチャされ、かつ区画に面したストリートビューを示す。
図2Bを参照して説明した区画Aとは異なり、
図2Cの区画Bは、ハザードイベントからの損傷を受けていないものとして示されている。
【0080】
同様に、
図2Bを参照して説明したように、ストリートビュー画像240a、240bから抽出された脆弱性特徴は、一群の木(F5)、一群の茂み(F6)、家と通りとの間の間口空間(F7)、及び家246の屋根構造(F8)を含む。ストリートビュー画像240a、240bからより多くの又はより少ない脆弱性特徴を抽出することができ、提供される例は、限定的なものではない。
【0081】
ストリートビュー画像240a、240bから抽出された脆弱性特徴の各々について、脆弱性特徴抽出器は、それぞれの脆弱性特徴の特性を識別する。例えば、一群の木F5は、関連付けられた定量化可能な特性、例えば、家242までの木の距離、木の数、木の高さ、木の群の近さなど、及び、定量化可能な特性、例えば、木の健全性、ツタで覆われていることなどを有することができる。別の実施例では、家と通りとの間の間口空間F7は、例えば、距離、勾配、土地被覆の種類(例えば、セメント対草)などを含む特性を有することができる。
【0082】
脆弱性特徴抽出器110は、訓練データ120を生成するために、撮像データ216、例えば、200a、200b、220a、220b、240a、240bから抽出された脆弱性特徴及び特性をベクトル生成器114に提供する。
【0083】
例示的なプロセス
図3は、ハザード脆弱性システム102の例示的なプロセスのフロー図である。システム102は、区画の損傷傾向スコアの要求を受信する(302)。要求126は、アプリケーション環境130のグラフィカルユーザインターフェースを介してユーザによってハザード脆弱性システム102に提供することができる。要求126は、特定の区画の損傷傾向スコア140の要求を含むことができ、更に、損傷傾向スコア140を低減するための1つ以上の軽減ステップ136の要求を含むことができる。要求126は、更に、特定のハザードイベント、例えば進行中の野火、又は一般的なハザードイベントタイプ、例えば洪水を指定し、それに応じて損傷傾向スコアを要求することができる。
【0084】
システムは、区画のストリートビュー撮像データを含む区画の撮像データを受信する(304)。ハザード脆弱性システム102は、撮像データのリポジトリからストリートビュー画像117を含む撮像データ116を受信することができる。各画像は、ユーザにとって関心のある特定の指定された区画を含むことができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、区画の追加のストリートビュー画像をカメラ、例えばユーザデバイス128の内蔵カメラでキャプチャし、それらをハザード脆弱性システム102にアップロードすることができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、システムは、要求126の時間から閾値時間内、例えば、6ヶ月以内、2週間以内、1時間以内などにキャプチャされた区画の撮像データを受信する。
【0086】
分類器を含む機械学習モデルは、撮像データから区画の脆弱性特徴の特性を抽出する(306)。損傷傾向モデル106は、撮像データ116を受信し、複数の分類器107を使用して脆弱性特徴の特性を抽出することができる。脆弱性特徴抽出器110は、撮像データ116から区画の画像を受信し、区画の脆弱性特徴F1、F2、...FNを抽出し、各脆弱性特徴FNについて、脆弱性特徴抽出器110は、脆弱性特徴FNの1つ以上の特性C1、C2、...CNを抽出する。一実施例では、脆弱性特徴抽出器110は、家及び周囲の資産をキャプチャする区画のストリートビュー画像を受信し、複数の分類器を使用して、例えば、家、植生、間口エリア、柵などを含む脆弱性特徴を識別する。脆弱性特徴抽出器110は、抽出された脆弱性特徴の各々の特性、例えば、家に使用された建築材料、例えば、サイディングタイプ、屋根タイプ、軒構造などを識別する。
【0087】
機械学習モデルは、脆弱性特徴の特性から、区画の傾向スコアを決定する(308)。損傷傾向モデル106は、
図4を参照して以下で更に詳細に説明するように、複数のハザードイベント、例えば、数百のハザードイベント、及び各ハザードイベントに対する複数の区画、例えば、数千の区画を含む訓練データ120に対して訓練され、それにより、モデル106は、区画の脆弱性特徴の特性と区画の損傷傾向との間で推論することができる。モデル106は、損傷傾向スコア140を出力として生成する。
【0088】
システムは、表示のために傾向スコアの表現を提供する(310)。損傷傾向スコア140は、アプリケーション環境130のグラフィカルユーザインターフェース内に提供することができる。傾向スコア140は、例えば、数値として視覚的に表すことができ、かつ/又は、例えば、ハザードの相対スケール、色分け(高、中、又は低リスク)を含む文脈的手がかりとともに提示することができる。傾向スコア140は、ユーザが傾向スコア140の重要性をよりよく理解するためのコンテキスト情報とともに提示することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、区画の脆弱性特徴の特性及び撮像データをハザード脆弱性システム102によって利用して、区画の3次元モデルを生成することができる。区画の3次元モデルは、ユーザが損傷傾向スコア及び/又は損傷傾向スコアを最適化するための1つ以上の軽減ステップ136を理解するのを支援するために、グラフィカルユーザインターフェース内に表示することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、ハザード脆弱性システム102は、リスクを低減する、例えば損傷傾向スコア140を最適化する方法としてユーザに提供するために、1つ以上の軽減ステップ136を決定することができる。軽減エンジン108は、損傷傾向スコア及び区画の脆弱性特徴の特性を受信し、1つ以上の軽減ステップ136を決定することができる。軽減ステップ136は、脆弱性特徴のどの特性が損傷傾向を低減するかの推論に基づいて、損傷傾向モデル106によって識別することができる。軽減ステップ136は、例えば、家から離して木の枝を刈り込むことを含むことができる。別の実施例では、軽減ステップ136は、屋根構造材料を変更すること、屋外小屋の位置を変更すること、家の間口エリアからブラシを取り除くことなどを含むことができる。軽減エンジン108は、脆弱性特徴の提案された更新された特性を損傷傾向モデル106に提供することができる。損傷傾向モデル106は、脆弱性特徴の提案された更新された特性を受信し、更新された損傷傾向スコア140を決定することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、軽減エンジン108は、各脆弱性特徴ベクトルに関して損傷傾向スコア140の勾配を計算することによって、軽減ステップ136を決定することができる。閾値大きさ勾配及び/又は勾配のセットのうちの最も大きい大きさ勾配のサブセットを有する脆弱性特徴ベクトルは、軽減ステップ136の基礎として利用することができる。言い換えれば、損傷/非損傷及び/又は損傷度結果に対して最大の影響(より大きい大きさ勾配)を有する脆弱性特徴は、結果に対して小さい影響(より小さい大きさ勾配)を有する脆弱性特徴よりも損傷傾向スコア140に影響を及ぼすことができるので、軽減ステップの焦点であり得る。例えば、屋根構造材料についての脆弱性特徴ベクトルに関する損傷傾向スコア140の勾配が少なくとも閾値大きさである、又は区画の脆弱性特徴ベクトルの勾配の中で最上位にランク付けされる場合、屋根構造材料を軽減ステップとして選択することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークを利用して、損傷傾向モデル106によって決定された損傷傾向スコア140に対して最大の影響を有することができる撮像データ内の脆弱性特徴を推測することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、アプリケーション環境130のグラフィカルユーザインターフェースは、軽減ステップ136の視覚表現をユーザデバイス128上に提示することができる。例えば、視覚インジケータ138は、軽減ステップを識別することができ、例えば、区画から植生を除去するように示すことができる。視覚インジケータ138は、識別された軽減ステップ136を取り囲む境界ボックス、グラフィカル矢印、又は他のインジケータなどであってもよい。視覚インジケータ138は、例えば、軽減ステップ136が区画の損傷傾向スコア140をどのようにして、なぜ低減するかを説明する、軽減ステップ136に関するテキストベースの情報を含むことができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、システム102は、最適化された、例えば最低の損傷傾向スコアが見つかるまで、区画の脆弱性特徴に対して提案された特性を反復し、更新された傾向スコア140を計算することによって、最適化プロセスを実行することができる。最適化プロセスは、閾値損傷傾向スコアが満たされるまで継続することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、ハザード脆弱性システム102は、軽減ステップ136のコスト分析を更に組み込むことができる。言い換えれば、ハザード脆弱性システム102は、軽減ステップ136のコストを閾値コスト未満に維持しながらも、損傷傾向スコア140の最適化のバランスをとる軽減ステップ136を決定することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、ハザード脆弱性システム102は、特定のタイプのハザードイベント、例えば洪水対野火に基づいて、1つ以上の軽減ステップを決定することができ、第1のタイプのハザードイベントに対する軽減ステップは、第2のタイプのハザードイベントに対する軽減ステップとは異なる。例えば、洪水のハザードに対応する軽減ステップは、流出溝を掘ること及び雨樋システムを更新することを含むことができ、一方、野火に対応する軽減ステップは、家を取り囲む植生を刈り込むことを含むことができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、ハザード脆弱性システム102は、リアルタイムハザードイベントに対応するリアルタイム損傷傾向スコア140の要求126を受信する。ハザード脆弱性システム102は、ハザードイベントについてのリアルタイムイベントデータ142を受信し、脆弱性特徴の特性及びリアルタイムイベントデータから、ハザードイベントに対応する区画の傾向スコアを決定することができる。ハザード脆弱性システム102は、ハザードイベントについての更新されたハザードイベントデータ、例えば、気象条件の変化、封じ込めなどに部分的に基づいて傾向スコア140をリアルタイムで再評価し、更新されたハザードイベントデータに応じて更新された傾向スコア140をユーザに提供することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、軽減エンジン108は、リアルタイムイベントデータ142を受信する。リアルタイムイベントデータを利用して、ユーザデバイス128を介してリアルタイム軽減ステップ136をユーザに提供し、進行中のハザードイベントに対応する区画損傷スコア140を低減することができる。例えば、野火の広がり及び封じ込め、気象パターン、及び緊急応答者警報を含むリアルタイムイベントデータを利用して、住宅所有者が野火の広がりに対処して彼らの資産が野火によって損傷を受ける傾向を低減するための即時措置を講じるのを助けることができる。
【0099】
図4は、ハザード脆弱性システムの別の例示的なプロセスのフロー図である。ハザード脆弱性ハザード脆弱性システム102は、機械学習モデルのための訓練データを生成する(402)。機械学習モデル、例えば、損傷傾向モデル106を訓練することは、撮像データ116の大きなサンプルセットと、区画データ122、例えば、数百のハザードイベントに対する数千の画像を含む履歴ハザードイベントデータ124とを含む訓練データ120を生成することを含む。生成された訓練データは、様々なハザードイベント、例えば、異なるスケールのハザード、ハザードの広がり、位置、ハザードのタイプに対する、様々な撮像条件、例えば、気象条件、照明条件、季節などを表し、訓練データ120に対して訓練された損傷傾向モデル106を一般化して、広範囲の撮像条件及びハザードイベントに対するヒューリスティックを開発することができる。
【0100】
システムは、ハザードイベントについて、ハザードイベントの近傍内に位置する複数の区画であって、複数の区画の各区画が、ハザードイベントへの少なくとも閾値曝露を受けた、複数の区画を受信する(404)。システムは、ハザードイベントについての履歴ハザードイベントデータ124を受信することができ、履歴ハザードイベントデータ124は、ハザードイベントの近傍内、例えば燃焼半径208内に位置していた複数の区画の各区画の区画データ122を含むことができる。
【0101】
ハザードイベントへの近接性は、燃焼痕206を取り囲む燃焼半径208内に位置するものとして定義することができる。
図2Aに示すように、燃焼半径208は、燃焼痕206を取り囲む拡張エリアを画定することができる。いくつかの実施形態では、ハザードイベントへの近接性は、燃焼痕206の外周からの閾値距離、例えば、1マイル以内、100フィート以内、5マイル以内などであってもよい。
【0102】
閾値曝露は、区画によるハザードイベントへの最小曝露量であり、例えば、ハザードイベントへの区画の近接性によって、区画がハザードイベントにアクティブに曝露された時間、例えば、資産が野火にアクティブに曝露された時間などによって定義することができる。いくつかの実施形態では、閾値曝露は、緊急応答者メトリック、例えば、緊急応答者によって考慮される高リスク又は避難ゾーンを使用して定義することができる。一実施例では、区画は、野火の避難ゾーン内にあるとみなされることによって、閾値曝露を満たすことができる。別の実施例では、区画は、洪水の水(又は野火、又は竜巻、又は地震など)を区画の少なくとも一部分と接触させることによって、閾値曝露を満たすことができる。別の実施例では、区画は、燃焼痕内又は燃焼痕の閾値近傍内に位置することによって、閾値曝露を満たすことができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、燃焼痕内に位置する複数の区画の各区画は、閾値曝露量を受けたとみなすことができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、火災の火災放射パワー(fire radiative power、FRP)は、火災強度のマッピングされた遠隔感知導出測定値から計算することができる。例えば、アクティブな火災の衛星データを使用して、特定の領域内にあり、かつ所与の閾値FRP値を有する任意の構造物は、同じ閾値曝露量を経験しているものとしてカウントすることができる。
【0105】
システムは、ハザードイベントの近傍内に位置する複数の区画の各区画について、ストリートビュー撮像データを含む区画の撮像データを受信する(406)。撮像データ116は、例えば、種々のデータベース及びソース内に位置する、収集された画像のリポジトリからハザード脆弱性システム102によって収集された、衛星/航空画像118及びストリートビュー画像117を含むことができる。撮像データ116の各画像は、画像がキャプチャされたキャプチャ時間を含み、複数の区画のうちのその区画を含む地理的領域を含む。衛星/航空画像118は、特定の解像度でキャプチャされた地理的領域を含み、画像のフレーム内でキャプチャされた地理的領域を定義する位置情報、例えばGPS座標を含む。ストリートビュー画像117は、特定の解像度でキャプチャされた複数の区画のうちの1つ以上の区画、例えば、1つの区画、2つの区画などのストリートレベルビューを含み、ストリートビュー画像117においてキャプチャされた区画の位置を定義する位置情報、例えば、所在地住所を含む。
【0106】
システムは、撮像データから、ハザードイベント中に燃えなかった区画の第1のサブセット及び燃えた区画の第2のサブセットの複数の脆弱性特徴の特性を抽出する(408)。
図1、
図2A~
図2Cを参照して説明したように、脆弱性特徴抽出器110は、撮像データ116を受信し、複数の分類器を使用して、脆弱性特徴を抽出することができる。いくつかの実施形態では、複数の分類器によって脆弱性特徴の特性を抽出することは、複数の分類器によって、撮像データ116内のオブジェクトを識別することを含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、システムは、ハザードイベント中に燃えなかった区画の第1のサブセット及び燃えた区画の第2のサブセットの区画データ122を受信することができる。区画データ122は、区画の各々に関する追加の構造特性、例えば、ハザードイベント後検査、建築/建設記録、鑑定、保険査定などを含むことができる。システムは、追加の構造データから、燃焼しなかった区画の第1のサブセット及び燃焼した区画の第2のサブセットの脆弱性特徴及び脆弱性特徴の特性を抽出することができる。
【0108】
システムは、抽出された脆弱性特徴及び脆弱性特徴の特性から、訓練ベクトルを生成することができる。いくつかの実施形態では、ベクトル生成器モジュール114は、機械学習モデルのために、抽出された脆弱性特徴及び脆弱性特徴の特性から訓練ベクトルを生成する。
【0109】
システム102は、複数の区画の各区画の抽出された脆弱性特徴及び脆弱性特徴の特性を使用して、特定のハザードイベントについて、訓練データ120を生成することができる。履歴ハザードイベントデータ124からの複数の区画のうちの特定の区画に対する損傷/非損傷記録及び/又は損傷度記録は、各区画の燃焼/非燃焼結果についてのグラウンドトゥルースとして利用することができる。
【0110】
システムは、訓練データを機械学習モデルに提供する(410)。訓練データ120は、機械学習モデル、例えば、損傷傾向モデル106に提供されて、損傷傾向モデル106を訓練して、一般的なハザードイベントタイプ又は特定のハザードイベントに対する特定の区画の損傷傾向について推論する。
【0111】
図5は、上述の動作を実行するために使用することができる例示的なコンピュータシステム500のブロック図である。システム500は、プロセッサ510と、メモリ520と、ストレージデバイス530と、入力/出力デバイス540とを備える。コンポーネント510、520、530、及び540の各々は、例えば、システムバス550を使用して、相互接続することができる。プロセッサ510は、システム500内で実行するための命令を処理することができる。一実装形態では、プロセッサ510は、シングルスレッドプロセッサである。別の実装形態では、プロセッサ510は、マルチスレッドプロセッサである。プロセッサ510は、メモリ520又はストレージデバイス530に記憶された命令を処理することができる。
【0112】
メモリ520は、システム500内の情報を記憶する。一実装形態では、メモリ520は、コンピュータ可読媒体である。一実装形態では、メモリ520は、揮発性メモリユニットである。別の実装形態では、メモリ520は、不揮発性メモリユニットである。
【0113】
ストレージデバイス530は、システム500にマスストレージを提供することができる。一実装形態では、ストレージデバイス530は、コンピュータ可読媒体である。様々な異なる実装形態では、ストレージデバイス530は、例えば、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、複数のコンピューティングデバイスによってネットワークを介して共有されるストレージデバイス(例えば、クラウドストレージデバイス)、又は何らかの他の大容量ストレージデバイスを含むことができる。
【0114】
入力/出力デバイス540は、システム500に入力/出力動作を提供する。一実装形態では、入力/出力デバイス540は、1つ以上のネットワークインターフェースデバイス、例えば、イーサネットカード、シリアル通信デバイス、例えば、RS-232ポート、及び/又は無線インターフェースデバイス、例えば、502.11カードを含むことができる。別の実装形態では、入力/出力デバイスは、入力データを受信し、かつ出力データを他の入力/出力デバイス、例えば、キーボード、プリンタ、及びディスプレイデバイス560に送信するように構成された、ドライバデバイスを含むことができる。しかしながら、モバイルコンピューティングデバイス、モバイル通信デバイス、セットトップボックステレビクライアントデバイスなどの、他の実装形態も使用することができる。
【0115】
例示的な処理システムが
図5に記載されているが、本明細書に記載の主題及び機能的動作の実装形態は、本明細書に開示された構造体及びそれらの構造的均等物を含む、他のタイプのデジタル電子回路、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェア、あるいはそれらのうちの1つ以上の組み合わせに、実装することができる。
【0116】
本明細書では、システム及びコンピュータプログラムコンポーネントに関連して「構成された」という用語を使用している。1つ以上のコンピュータのシステムが特定の動作又はアクションを実行するように構成されているとは、システムが、動作中にシステムに動作又はアクションを実行させる、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせをインストールしていることを意味する。1つ以上のコンピュータプログラムが特定の動作又はアクションを実行するように構成されているとは、1つ以上のプログラムが、データ処理装置によって実行されたとき、装置に動作又はアクションを実行させる命令を含むことを意味する。
【0117】
本明細書に記載の主題及び機能的動作の実施形態は、本明細書に開示された構造体及びそれらの構造的均等物を含む、デジタル電子回路、有形に具現化されたコンピュータソフトウェア若しくはファームウェア、コンピュータハードウェア、又はそれらのうちの1つ以上の組み合わせに、実装することができる。本明細書に記載の主題の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置による実行のために、又はデータ処理装置の動作を制御するために有形の非一時的記憶媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実装することができる。コンピュータ記憶媒体は、機械可読ストレージデバイス、機械可読ストレージ基板、ランダム若しくはシリアルアクセスメモリデバイス、又はそれらのうちの1つ以上の組み合わせであり得る。代替的又は追加的に、プログラム命令は、人工的に生成された伝播信号、例えば、データ処理装置によって実行するために好適な受信装置に伝送される情報を符号化するために生成されるマシン生成の電気、光、又は電磁信号上に符号化することができる。
【0118】
「データ処理装置」という用語は、データ処理ハードウェアを指し、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータを含む、データを処理するためのあらゆる種類の装置、デバイス、及びマシンを包含する。装置はまた、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)若しくはASIC(特定用途向け集積回路)などの専用論理回路であってもよく、又はそれを更に含んでもよい。装置は、任意選択的に、ハードウェアに加えて、コンピュータプログラムのための実行環境を作り出すコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はそれらのうちの1つ以上の組み合わせを構成するコードを含むことができる。
【0119】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリ、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、又はコードとも称され得るか、若しくは記載され得る、コンピュータプログラムは、コンパイラ型若しくはインタプリタ型言語、又は宣言型言語若しくは手続き型言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で記述され得、かつスタンドアロンプログラム若しくはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、又はコンピューティング環境で使用するのに適した他のユニットを含む、任意の形式で展開され得る。プログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応することができるが、対応する必要はない。プログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部分、例えば、マークアップ言語文書内、問題のプログラム専用の単一ファイル内、又は複数の協調ファイル、例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部分を記憶するファイル内に記憶された1つ以上のスクリプトに記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は1つのサイトに位置する、若しくは複数のサイトにわたって分散され、かつデータ通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0120】
本明細書において、「エンジン」という用語は、1つ以上の特定の機能を実行するようにプログラムされている、ソフトウェアベースのシステム、サブシステム、又はプロセスを指すために広く使用される。概して、エンジンは、1つ以上のソフトウェアモジュール又はコンポーネントとして実装され、1つ以上の位置にある1つ以上のコンピュータにインストールされる。場合によっては、1つ以上のコンピュータは、特定のエンジンに専用となる。他の場合には、複数のエンジンがインストールされ、同じコンピュータ(単数又は複数)上で動作することができる。
【0121】
本明細書に記載のプロセス及び論理フローは、入力データに対して動作して出力を生成することによって機能を実行するように、1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルコンピュータによって実行することができる。プロセス及び論理フローはまた、例えば、FPGA若しくはASICなどの専用論理回路によって、又は特定用途向け論理回路と1つ以上のプログラムされたコンピュータとの組み合わせによって実行することができる。
【0122】
コンピュータプログラムの実行に好適なコンピュータは、汎用若しくは専用のマイクロプロセッサ、又はその両方、あるいは任意の他の種類の中央処理装置に基づくことができる。概して、中央処理装置は、読み出し専用メモリ、又はランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実施するか又は実行するための中央処理装置、及び命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスである。中央処理装置及びメモリは、特殊目的ロジック回路によって補完され得るか、又は特殊目的ロジック回路に組み込まれ得る。概して、コンピュータはまた、データを記憶するための1つ以上のマスストレージデバイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、若しくは光ディスクを含む、又はそれらからデータを受信する、若しくはそれらにデータを転送する、若しくはその両方を行うように動作可能に結合されている。しかしながら、コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。更に、コンピュータは、別のデバイス、例えば、ほんの数例を挙げると、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(personal digital assistant、PDA)、モバイルオーディオ若しくはビデオプレーヤ、ゲームコンソール、全地球測位システム(Global Positioning System、GPS)受信機、又はポータブルストレージデバイス、例えばユニバーサルシリアルバス(universal serial bus、USB)フラッシュドライブなどに組み込むことができる。
【0123】
コンピュータプログラム命令及びデータを記憶するのに好適なコンピュータ可読媒体は、例として、半導体メモリデバイス、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスと、磁気ディスク、例えば、内蔵ハードディスク又はリムーバブルディスクと、光磁気ディスクと、CD-ROM及びDVD-ROMディスクと、を含む、全ての形態の不揮発性メモリ、媒体、及びメモリデバイスを含む。
【0124】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書に記載の主題の実施形態は、コンピュータ上に実装することができ、コンピュータは、ユーザに情報を表示するための表示デバイス、例えば、CRT(cathode ray tube)(陰極線管)若しくはLCD(liquid crystal display)(液晶ディスプレイ)モニタ、並びにユーザがコンピュータに入力を提供することができる、キーボード及びポインティングデバイス、例えば、マウス又はトラックボールを有する。他の種類のデバイスが、ユーザとの相互作用を提供するために同様に使用され得、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックであってもよく、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力を含む、任意の形態で受信することができる。加えて、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスに文書を送信し、デバイスから文書を受信すること、例えば、ウェブブラウザから受信された要求に応答して、ユーザのデバイス上のウェブブラウザにウェブページを送信することによって、ユーザと相互作用することができる。また、コンピュータは、テキストメッセージ又は他の形式のメッセージを、パーソナルデバイス、例えば、メッセージアプリケーションを実行しているスマートフォンに送信し、返信としてユーザからの応答メッセージを受信することにより、ユーザと対話することができる。
【0125】
機械学習モデルを実装するためのデータ処理装置には、例えば、機械学習の訓練又は本稼働の一般的で演算集約型の部分、すなわち、推論、ワークロードを処理するための専用ハードウェアアクセラレータユニットを含めることもできる。
【0126】
機械学習モデルは、TensorFlowフレームワーク、Microsoft Cognitive Toolkitフレームワーク、Apache Singaフレームワーク、又はApache MXNetフレームワークなどの機械学習フレームワークを使用して実装及び展開することができる。
【0127】
本明細書に記載の主題の実施形態は、例えば、データサーバとしてのバックエンドコンポーネントを含む、又はミドルウェアコンポーネント、例えば、アプリケーションサーバを含む、又はフロントエンドコンポーネント、例えば、グラフィカルユーザインターフェース、ウェブブラウザ、若しくはユーザが本明細書に記載の主題の実装形態と相互作用することができるアプリを有するクライアントコンピュータを含む、又は1つ以上のそのようなバックエンド、ミドルウェア、若しくはフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含む、コンピューティングシステムに実装することができる。システムのコンポーネントは、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体、例えば、通信ネットワークによって相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)及びワイドエリアネットワーク(「WAN」)、例えば、インターネットが挙げられる。
【0128】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバを含むことができる。クライアント及びサーバは概して互いに離れており、典型的には通信ネットワークを介して対話する。クライアント及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。いくつかの実施形態では、サーバは、例えば、クライアントとして動作するデバイスと相互作用するユーザにデータを表示し、ユーザからユーザ入力を受信する目的で、データ、例えば、HTMLページをユーザデバイスに送信する。ユーザデバイスにおいて生成されたデータ、例えば、ユーザ相互作用の結果は、デバイスからサーバにおいて受信することができる。
【0129】
本明細書は、多くの個々の実装形態の詳細を内包しているが、これらは、任意の特徴の範囲、又は特許請求され得る事項の範囲を限定するものとしてではなく、特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるものとする。別個の実施形態の文脈において本明細書に説明されるある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて実装することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明されている種々の特徴は、複数の実施形態で別個に、又は任意の好適な部分的組み合わせで実装することもできる。更に、特徴は、ある特定の組み合わせで作用するものとして上記で説明され、かつ最初にそのように特許請求されることさえあり得るが、特許請求された組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除され得、特許請求された組み合わせは、部分組み合わせ又は部分組み合わせの変形に向けられ得る。
【0130】
同様に、動作は特定の順序で図面に描写されているが、これは、所望の結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序で若しくは連続的な順序で実施されること、又は全ての例示された動作が実施されることを必要とすると理解されるべきではない。ある特定の状況では、マルチタスキング及び並列処理が有利であり得る。更に、上で説明された実施形態における様々なシステムコンポーネントの分離は、全ての実施形態においてかかる分離を必要とすると理解されるべきではなく、説明されたプログラムコンポーネント及びシステムは、概して、単一のソフトウェア製品にともに一体化され得るか、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。
【0131】
したがって、主題の特定の実施形態を説明してきた。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。いくつかの例では、特許請求の範囲に記載の動作は、異なる順序で実行することができ、それでもなお望ましい結果を達成することができる。更に、添付の図面に示されているプロセスは、望ましい結果を達成するために、示されている特定の順序、又は連続する順序を必ずしも必要としない。特定の実施形態では、マルチタスク処理及び並列処理が有利である場合がある。
【国際調査報告】