(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】マルチビュー角膜トポグラフィ撮影機
(51)【国際特許分類】
A61B 3/107 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
A61B3/107
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544066
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 IB2022050861
(87)【国際公開番号】W WO2022167932
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ツィーガー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン グリュンディヒ
(72)【発明者】
【氏名】ダニイル ネクラソフ
(72)【発明者】
【氏名】ホリア グレク
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA03
4C316AA24
4C316FB21
4C316FY01
4C316FY04
4C316FZ01
(57)【要約】
眼の角膜前部表面のトポグラフィを生成するための眼科システムは照明器、カメラ及びコンピュータを含む。照明器はプラチドパターンを用いて眼の角膜前部表面を照明し、角膜前部表面はプラチドパターンを反射する。各カメラは、反射されたプラチドパターンの画像を生成して複数の画像を生じる。少なくとも1つのカメラは眼の軸から外れて配向される。画像毎に、コンピュータは画像の各データ点の曲率値を計算し、ここでデータ点は角膜前部表面の表面点に対応する。この計算は各表面点の曲率値を生じる。コンピュータは表面点の1つ又は複数の曲率値から各表面点における曲率を判断する。コンピュータは角膜前部表面の表面点における曲率から角膜前部表面のトポグラフィを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の角膜前部表面のトポグラフィを生成するための眼科システムであって、前記システムは、
前記眼の前記角膜前部表面をプラチドパターンを用いて照明するように構成された照明器であって、前記眼は軸を有し、前記角膜前部表面は前記プラチドパターンを反射する、照明器;
それぞれのカメラが前記反射されたプラチドパターンの画像を生成して複数の画像を生じるように構成された複数のカメラであって、少なくとも1つのカメラは前記眼の前記軸から外れて配向された、複数のカメラ;及び
コンピュータを含み、前記コンピュータは、
前記カメラから前記複数の画像を受信すること;
前記複数の画像の画像毎に、前記画像の複数のデータ点の各データ点の曲率値を計算することであって、前記画像の各データ点は前記角膜前部表面の複数の表面点の表面点に対応し、前記計算は前記複数の表面点の各表面点の複数の曲率値を生じる、計算すること;
前記複数の表面点の表面点毎に、前記表面点の1つ又は複数の曲率値から前記表面点における前記曲率を判断すること;及び
前記角膜前部表面の前記表面点における前記曲率から前記角膜前部表面の前記トポグラフィを生成すること
を行うように構成される、眼科システム。
【請求項2】
データ点の前記曲率値は法線ベクトルであり、前記法線ベクトルは前記データ点に対応する前記表面点における表面法線を表す、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項3】
前記コンピュータは、
前記データ点において期待プラチドパターンと前記反射されたプラチドパターンとの間に偏差があるということを判断すること;及び
前記偏差に従って前記データ点の法線ベクトルを調節すること
により、前記複数の画像の画像毎に各データ点の前記曲率値を計算するように構成される、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項4】
前記コンピュータは、
前記データ点において期待プラチドパターンと前記反射されたプラチドパターンとの間に偏差があるということを判断すること;
前記偏差がより急峻な曲率を指示すれば、前記より急峻な曲率を表すために前記データ点の法線ベクトルを調節すること;及び
前記偏差がより平坦な曲率を指示すれば、前記より平坦な曲率を表すために前記データ点の前記法線ベクトルを調節すること
により、前記複数の画像の画像毎に各データ点の前記曲率値を計算するように構成される、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項5】
前記コンピュータは、
前記表面点の前記曲率値の関数から前記表面点における前記曲率を判断することにより、
前記表面点の1つ又は複数の曲率値から前記表面点における前記曲率を前記複数の表面点の表面点毎に判断するように構成される、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項6】
前記コンピュータは、
前記表面点の前記曲率値の平均から前記表面点における前記曲率を判断することにより、
前記表面点の前記曲率値の前記関数から前記表面点における前記曲率を判断するように構成される、請求項5に記載の眼科システム。
【請求項7】
前記コンピュータは、
前記表面点の前記曲率値の加重平均から前記表面点における前記曲率を判断することにより、
前記表面点の前記曲率値の前記関数から前記表面点における前記曲率を判断するように構成される、請求項5に記載の眼科システム。
【請求項8】
前記コンピュータは、
前記表面点における前記曲率を判断するために光線追跡手順を適用することにより、
前記表面点の1つ又は複数の曲率値から前記表面点における前記曲率を前記複数の表面点の表面点毎に判断するように構成される、請求項1に記載の眼科システム。
【請求項9】
前記コンピュータは、
複数の光線を定義することであって、各光線は複数の光線パラメータにより記述され、各光線パラメータは或る値を有する、定義すること;
複数の制約に従って前記光線パラメータの前記値を最適化することであって、前記制約は前記表面点の前記曲率値を含む、最適化すること;及び
前記光線パラメータの前記最適化された値から表面点における前記曲率を判断すること、
により、前記表面点における前記曲率を判断するために前記光線追跡手順を適用するように構成される、請求項8に記載の眼科システム。
【請求項10】
前記コンピュータは、
それぞれの光線が前記照明器の照明器素子から前記角膜前部表面及び前記複数のカメラの1つのカメラへ追跡される複数の光線を定義することであって、各光線は複数の光線パラメータにより記述され、各光線パラメータは或る値を有する、定義すること;
複数の制約に従って前記光線パラメータの前記値を最適化することであって、前記制約は前記表面点の前記曲率値を含む、最適化すること;及び
前記光線パラメータの前記最適化された値から表面点における前記曲率を判断すること、
により、前記表面点における前記曲率を判断するために前記光線追跡手順を適用するように構成される、請求項8に記載の眼科システム。
【請求項11】
眼の角膜前部表面のトポグラフィを生成する方法であって、前記方法は、
前記眼の前記角膜前部表面をプラチドパターンを用いて照明器により照明することであって、前記眼は軸を有し、前記角膜前部表面は前記プラチドパターンを反射する、照明すること;
前記反射されたプラチドパターンの複数の画像を、少なくとも1つのカメラが前記眼の前記軸から外れて配向された複数のカメラにより生成すること;
前記カメラから前記複数の画像をコンピュータにより受信すること;
前記複数の画像の画像毎に、前記画像の複数のデータ点の各データ点の曲率値を前記コンピュータにより計算することであって、前記画像の各データ点は前記角膜前部表面の複数の表面点の表面点に対応し、前記計算は前記複数の表面点の各表面点の複数の曲率値を生じる、計算すること;
前記複数の表面点の表面点毎に、前記表面点の1つ又は複数の曲率値から前記表面点における前記曲率を前記コンピュータにより判断すること;及び
前記角膜前部表面の前記表面点における前記曲率から前記角膜前部表面の前記トポグラフィを前記コンピュータにより生成することを含む、方法。
【請求項12】
データ点の前記曲率値は法線ベクトルであり、前記法線ベクトルは前記データ点に対応する前記表面点における表面法線を表す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の画像の画像毎に、
前記データ点において期待プラチドパターンと前記反射されたプラチドパターンとの間に偏差があるということを判断すること;及び
前記偏差に従って前記データ点の法線ベクトルを調節すること
により、各データ点の前記曲率値を前記コンピュータにより計算する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の画像の画像毎に、
前記データ点において期待プラチドパターンと前記反射されたプラチドパターンとの間に偏差があるということを判断すること;
前記偏差がより急峻な曲率を指示すれば、前記より急峻な曲率を表すために前記データ点の法線ベクトルを調節すること;及び
前記偏差がより平坦な曲率を指示すれば、前記より平坦な曲率を表すために前記データ点の前記法線ベクトルを調節すること
により、各データ点の前記曲率値を前記コンピュータにより計算する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の表面点の表面点毎に、
前記表面点の前記曲率値の関数から前記表面点における前記曲率を判断することにより、
前記表面点の1つ又は複数の曲率値から前記表面点における前記曲率を前記コンピュータにより判断する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記表面点の前記曲率値の平均から前記表面点における前記曲率を判断することにより、
前記表面点の前記曲率値の前記関数から前記表面点における前記曲率を前記コンピュータにより判断する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記表面点の前記曲率値の加重平均から前記表面点における前記曲率を判断することにより、
前記表面点の前記曲率値の前記関数から前記表面点における前記曲率を前記コンピュータにより判断する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の表面点の表面点毎に、
前記表面点における前記曲率を判断するために光線追跡手順を適用することにより、
前記表面点の1つ又は複数の曲率値から前記表面点における前記曲率を前記コンピュータにより判断する、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
それぞれの光線が前記照明器の照明器素子から前記角膜前部表面及び前記複数のカメラの1つのカメラへ追跡される複数の光線を定義することであって、各光線は複数の光線パラメータにより記述され、各光線パラメータは或る値を有する、定義すること;
複数の制約に従って前記光線パラメータの前記値を最適化することであって、前記制約は前記表面点の前記曲率値を含む、最適化すること;及び
前記光線パラメータの前記最適化された値から表面点における前記曲率を判断すること、
により、前記表面点における前記曲率を判断するために前記光線追跡手順を前記コンピュータにより適用する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
眼の角膜前部表面のトポグラフィを生成するための眼科システムであって、前記システムは、
前記眼の前記角膜前部表面をプラチドパターンを用いて照明するように構成された照明器であって、前記眼は軸を有し、前記角膜前部表面は前記プラチドパターンを反射する、照明器;
それぞれのカメラが前記反射されたプラチドパターンの画像を生成して複数の画像を生じるように構成された複数のカメラであって、少なくとも1つのカメラは前記眼の前記軸から外れて配向された、複数のカメラ;及び
コンピュータを含み、前記コンピュータは、
前記カメラから前記複数の画像を受信するように構成され、
前記複数の画像の画像毎に、前記画像の複数のデータ点の各データ点の曲率値を計算することであって、前記画像の各データ点は前記角膜前部表面の複数の表面点の表面点に対応し、前記計算は前記複数の表面点の各表面点の複数の曲率値を生じ、データ点の前記曲率値は法線ベクトルであり、前記法線ベクトルは前記データ点に対応する前記表面点における表面法線を表す、計算することであって、曲率値は、
前記データ点において期待プラチドパターンと前記反射されたプラチドパターンとの間に偏差があるということを判断すること;
前記偏差がより急峻な曲率を指示すれば、前記より急峻な曲率を表すために前記データ点の法線ベクトルを調節すること;及び
前記偏差がより平坦な曲率を指示すれば、前記より平坦な曲率を表すために前記データ点の前記法線ベクトルを調節すること
により、データ点毎に計算される、計算することを行うように構成され、
前記コンピュータは、
前記複数の表面点の表面点毎に、前記表面点の1つ又は複数の曲率値から前記表面点における前記曲率を判断するように構成され、前記表面点における前記曲率は、前記表面点の前記曲率値の加重平均から又は前記表面点における前記曲率を判断するために光線追跡手順を適用することにより判断され、
前記コンピュータは、
前記角膜前部表面の前記表面点における前記曲率から前記角膜前部表面の前記トポグラフィを生成するように構成される、眼科システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には角膜トポグラフィ撮影機(corneal topographer)に関し、そして具体的にはマルチビュー角膜トポグラフィ撮影機に関する。
【背景技術】
【0002】
反射ベース角膜トポグラフィ撮影機は角膜前部表面の形状を判断するために使用される。トポグラフィ撮影機は、パターン(例えば点の同心リング又はグリッド)を角膜前部表面上へ投影し、そして表面の形状を判断するためにパターンの反射を解析する。表面が理想的球であれば、反射されたパターンは投影されたパターンに整合する。表面が変形を有すれば、パターン(例えばリング又は点)の反射された部分が互いにより接近している領域はより急峻な角膜曲率を指示し、そして反射された部分が互いにより離れている領域はより平坦な領域を指示する。加えて、明瞭且つ良好に形成された部分は角膜表面が滑らかであるということを指示する。
【0003】
しかし、いくつかの状況では、既知のトポグラフィ撮影機は満足な画像を提供しない。例えば、いくつかのトポグラフィ撮影機は、パターンの特定方向に沿った又は眼の頂点の周囲の詳細情報を提供しない。加えて、いくつかのトポグラフィ撮影機の照明系は角膜の十分な領域を照明し得なく、したがってトポグラフィ撮影機の角膜カバレッジを制限する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態では、眼の角膜前部表面のトポグラフィを生成するための眼科システムは、照明器、カメラ及びコンピュータを含む。照明器は、眼の角膜前部表面をプラチド(Placido)パターンを用いて照明し、角膜前部表面はプラチドパターンを反射する。眼は軸を有する。各カメラは、反射されたプラチドパターンの画像を生成して複数の画像を生じる。少なくとも1つのカメラが眼の軸から外れて配向される。コンピュータはカメラから画像を受信する。画像毎に、コンピュータは画像の複数のデータ点の各データ点の曲率値を計算する。画像の各データ点は角膜前部表面の複数の表面点のうちの1つの表面点に対応する。この計算は各表面点の曲率値を生じる。表面点毎に、コンピュータは、表面点の1つ又は複数の曲率値から表面点における曲率を判断する。コンピュータは、角膜前部表面の表面点のうちのいくつかの表面点における曲率から角膜前部表面のトポグラフィを生成する。
【0005】
いくつかの実施形態は以下の特徴のうちの1つ、いくつか、又は複数を含んでもよいし含まなくてもよい。データ点の曲率値は、データ点に対応する表面点における表面法線を表す法線ベクトルである。画像毎に、コンピュータは、当該データ点において期待プラチドパターンと反射されたプラチドパターンとの間に偏差があるということを判断し、そしてこの偏差に従ってデータ点の法線ベクトルを調節することにより各データ点の曲率値を計算する。画像毎に、コンピュータは、当該データ点において期待プラチドパターンと反射されたプラチドパターンとの間に偏差があるということを判断し、そして偏差がより急峻な曲率を指示すれば、より急峻な曲率を表すためにデータ点の法線ベクトルを調節することにより、そして偏差がより平坦な曲率を指示すれば、より平坦な曲率を表すためにデータ点の法線ベクトルを調節することにより各データ点の曲率値を計算する。表面点毎に、コンピュータは、表面点の曲率値の関数から表面点における曲率を判断することにより表面点の1つ又は複数の曲率値から表面点における曲率を判断する。この関数は表面点の曲率値の平均(例えば加重平均)であり得る。表面点毎に、コンピュータは、表面点における曲率を判断するために光線追跡手順を適用することにより表面点の1つ又は複数の曲率値から表面点における曲率を判断する。光線追跡手順は、それぞれが照明器の照明器素子から角膜前部表面及びカメラへ追跡される光線を定義することであって、各光線は光線パラメータにより記述され、各光線パラメータは或る値を有する、定義することにより;表面点の曲率値を含む制約に従って光線パラメータの値を最適化することにより;そして光線パラメータの最適化された値から表面点における曲率を判断することにより適用され得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、眼の角膜前部表面のトポグラフィを生成する方法は、眼の角膜前部表面をプラチドパターンを用いて照明器により照明することであって、眼は軸を有し、角膜前部表面はプラチドパターンを反射する、照明すること;反射されたプラチドパターンの複数の画像を、少なくとも1つのカメラが眼の軸から外れて配向された複数のカメラにより生成すること;カメラから画像をコンピュータにより受信すること;画像毎に、画像の複数のデータ点の各データ点の曲率値をコンピュータにより計算することであって、画像の各データ点は角膜前部表面の複数の表面点の表面点に対応し、この計算は各表面点の曲率値を生じる、計算すること;表面点毎に、表面点の1つ又は複数の曲率値から表面点における曲率をコンピュータにより判断すること;及び角膜前部表面の表面点における曲率から角膜前部表面のトポグラフィをコンピュータにより生成すること、を含む。
【0007】
いくつかの実施形態は以下の特徴のうちの1つ、いくつか、又は複数を含んでもよいし含まなくてもよい。データ点の曲率値は、データ点に対応する表面点における表面法線を表す法線ベクトルである。画像毎に、コンピュータは、当該データ点において期待プラチドパターンと反射されたプラチドパターンとの間に偏差があるということを判断し、そして偏差に従ってデータ点の法線ベクトルを調節することにより各データ点の曲率値を計算する。画像毎に、コンピュータは、当該データ点において期待プラチドパターンと反射されたプラチドパターンとの間に偏差があるということを判断し、そして偏差がより急峻な曲率を指示すれば、より急峻な曲率を表すためにデータ点の法線ベクトルを調節することにより、そして偏差がより平坦な曲率を指示すれば、より平坦な曲率を表すためにデータ点の法線ベクトルを調節することにより各データ点の曲率値を計算する。表面点毎に、コンピュータは、表面点の曲率値の関数から表面点における曲率を判断することにより表面点の1つ又は複数の曲率値から表面点における曲率を判断する。関数は表面点の曲率値の平均(例えば加重平均)であり得る。表面点毎に、コンピュータは、表面点における曲率を判断するために光線追跡手順を適用することにより表面点の1つ又は複数の曲率値から表面点における曲率を判断する。光線追跡手順は、それぞれが照明器の照明器素子から角膜前部表面及びカメラへ追跡される光線を定義することであって、各光線は光線パラメータにより記述され、各光線パラメータは或る値を有する、定義することにより;表面点の曲率値を含む制約に従って光線パラメータの値を最適化することにより;そして光線パラメータの最適化された値から表面点における曲率を判断することにより、適用され得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、眼の角膜前部表面のトポグラフィを生成するための眼科システムは照明器、カメラ及びコンピュータを含む。照明器は、眼の角膜前部表面をプラチドパターンを用いて照明し、角膜前部表面はプラチドパターンを反射する。眼は軸を有する。各カメラは、反射されたプラチドパターンの画像を生成して複数の画像を生じる。少なくとも1つのカメラが眼の軸から外れて配向される。コンピュータはカメラから画像を受信する。画像毎に、コンピュータは画像の複数のデータ点の各データ点の曲率値を計算する。各データ点は角膜前部表面の複数の表面点のうちの1表面点に対応する。この計算は各表面点の曲率値を生じる。データ点の曲率値は、データ点に対応する表面点における表面法線を表す法線ベクトルである。曲率値は、データ点において期待プラチドパターンと反射されたプラチドパターンとの間に偏差があるということを判断することにより;偏差がより急峻な曲率を指示すれば、より急峻な曲率を表すためにデータ点の法線ベクトルを調節することにより、そして偏差がより平坦な曲率を指示すれば、より平坦な曲率を表すためにデータ点の法線ベクトルを調節することにより、データ点毎に計算される。表面点毎に、コンピュータは表面点の1つ又は複数の曲率値から表面点における曲率を判断する。表面点における曲率は、表面点の曲率値の加重平均から判断される、又は光線追跡手順を適用して表面点における曲率を判断することにより判断され得る。コンピュータは角膜前部表面の表面点における曲率から角膜前部表面のトポグラフィを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】いくつかの実施形態による眼の角膜前部表面のトポグラフィを判断するための診断眼科システムの例を示す。
【
図2】
図2は、どのように
図1のシステムのカメラが角膜前部表面の曲率を判断するための画像データを提供し得るかを示し、反射されたリングを検出するカメラの例を示す。
【
図3】
図3は、どのように
図1のシステムのカメラが角膜前部表面の曲率を判断するための画像データを提供し得るかを示し、カメラによるカバレッジを示す。
【
図4】
図1のシステムにより行われ得る角膜前部表面のトポグラフィを生成する方法の例を示す。
【
図5】
図5は、
図1のシステムにより行われ得る角膜前部表面の形状を判断するために光線追跡を適用する方法の例を示し、光線追跡が適用され得る環境の例を示す。
【
図6】
図6は、
図1のシステムにより行われ得る角膜前部表面の形状を判断するために光線追跡を適用する方法の例を示し、光線追跡を適用する方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本明細書及び添付図面を参照すると、開示される装置、システム及び方法の例示的実施形態が詳細に示される。本明細書及び添付図面は、網羅的であるように意図されていない、又はそうでなければ、特許請求の範囲を、添付図面に示されそして本明細書において開示される特定実施形態に制限するように意図されていない。添付図面はあり得る実施形態を表すが、添付図面は必ずしもスケーリングされていなく、そして、いくつかの特徴は、実施形態をより良く説明するために、単純化、誇張、除去、又は部分的に切断され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、システムは、角膜前部表面をプラチドパターンを用いて照明し、角膜前部表面はプラチドパターンを反射する。複数のカメラは、様々な視点から、反射されたプラチドパターンの画像を生成する。様々な視点からの画像はただ1つの視点からの情報より多くの情報を提供する。複数の画像からの情報は角膜前部表面のトポグラフィを生成するために使用される。
【0012】
図1はいくつかの実施形態による眼12の角膜前部表面16のトポグラフィを判断するための診断眼科システム10の例を示す。この例では、システム10は照明器20、複数のカメラ22(22a~22c)及びコンピュータ24を含む。照明器20は、照明器素子21を有し得る照明器リング26を含む。コンピュータ24は1つ又は複数のプロセッサ30、インターフェース32及びメモリ34を含む。メモリ34はデータ(例えば画像データ36)及びアプリケーション(例えば画像解析モジュール38)を格納する。
【0013】
動作の概観として、照明器20は角膜前部表面16をプラチドパターンを用いて照明する。角膜前部表面16はプラチドパターンを反射する。カメラ22は、様々な視点から、反射されたプラチドパターンの画像を生成する。コンピュータ24は、角膜前部表面16のトポグラフィを生成するために画像を解析する。いくつかの実施形態では、コンピュータ24は、カメラ22からの画像のデータ点の曲率値を計算し、ここでは、データ点は角膜前部表面16の表面点に対応する。次に、コンピュータ24は、表面点に対応する曲率値から表面点における曲率を判断する。
【0014】
システム10のいくつかの部分を参照すると、照明器20は、パターン(例えばプラチドパターン)を用いて角膜前部表面16を照明する。「プラチドパターン」は角膜収差を検出するために使用され得る任意の好適なパターンの形状を指し得る。プラチドパターンの例は(1)均等に又は不均等に離間された同じ又は異なる厚さの同心リング;(2)均等に又は不均等に離間された同じ又は異なるサイズの点のグリッド;及び(3)均等に又は不均等に離間された同じ又は異なる厚さの一連の線を含む。
【0015】
照明器20は、パターンを用いて角膜表面16を照明するように構成された1つ又は複数の光源の任意の好適な配置を含み得る。プラチドパターンを使用するいくつかの実施形態では、照明器20は照明器リング26を含み、ここでは各照明器リング26はプラチドパターンのリングを用いて角膜表面16を照明する。いくつかの実施形態では、照明器20は、画素照明器などの照明器素子21を含み、ここでは各画素は光の画素を用いて角膜表面16を照明する。画素はプラチドパターンを生じるように組み合わせられる。コンピュータ24は、特定パターンを生じるように特定画素照明器をオン/オフし得る。
【0016】
眼12の角膜前部表面16は通常は涙液膜を有する。涙液膜/空気界面がプラチドパターンを反射する。反射されたプラチドパターンは角膜表面16の形状を指示し得る。表面が理想的球であれば、反射されたパターンは投影されたパターンに整合する。表面が収差を有すれば、パターン(例えばリング又は点)の反射された部分が互いにより接近している領域はより急峻な角膜曲率を指示し、そして反射された部分が互いにより離れている領域はより平坦な曲率を指示する。
【0017】
カメラ22は反射されたプラチドパターンの画像を生成する。カメラ22は画像を捕捉し記録する任意の好適なカメラであり得る。例えば、カメラ22は画像をデジタル画像データとして記録するディジタルカメラであり得る。カメラ22は、物体から反射された光を検出する画像センサ(デジタル画像センサ(例えばCCD又はCMOS)など);センサ出力を画像を表すデジタル画像データへ変換する画像処理プロセッサ;及び画像を画像データ36として記録するメモリを含み得る。
【0018】
システム10は、任意の好適な数(例えば2、3、4以上)及び配置のカメラを有し得る。この例では、カメラ22aは、カメラ22aの光軸が眼12の軸14(例えば、光軸又は視軸)とほぼ一致する軸上カメラである。カメラ22b~22cは各カメラ22b~22cの光軸が眼12の軸とある角度をなす軸外カメラである。この角度は任意の好適な値(例えば1~10、10~30、30~40又は40~60度の範囲内の値)を有し得る。他の例では、カメラ22は、すべてが軸外カメラであってもよいし、軸上カメラを含んでもよい。いくつかの実施形態では、システム10は、既存軸上計器と共にシステム上へ設置され得る軸外カメラを含み得る。いくつかの実施形態では、システム10は、様々なカメラ22として動作するために様々な位置(例えば軸上及び/又は軸外)へ移動するただ1つのカメラ22を含み得る。
【0019】
コンピュータ24は、反射されたプラチドパターンの画像から角膜表面16のトポグラフィを判断する。いくつかの実施形態では、コンピュータ24は画像のデータ点(角膜前部表面の表面点に対応する)の曲率値を計算する。次に、コンピュータ24は表面点に対応する曲率値から表面点における曲率を判断する。
【0020】
コンピュータ24は画像のデータ点の曲率値を任意の好適なやり方で計算し得る。いくつかの実施形態では、データ点の曲率値はこのデータ点に対応する表面点における表面法線を表す法線ベクトルである。いくつかの実施形態では、コンピュータ24は、当該データ点において期待プラチドパターンと反射されたプラチドパターンとの間に偏差があるということを判断し、そしてこの偏差に従ってデータ点の法線ベクトルを調節する。例えば、偏差がより急峻な曲率を指示すれば、コンピュータ24は、より急峻な曲率を表すように法線ベクトルを調節する。偏差がより平坦な曲率を指示すれば、コンピュータ24はより平坦な曲率を表すように法線ベクトルを調節する。調節の量はシステム10の設計から判断され得る。
【0021】
コンピュータ24は任意の好適なやり方で曲率値から表面点における曲率を判断し得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ24は、表面点の1つ又は複数の曲率値の平均から表面点における曲率を判断する。平均は重み付け平均であっても重み付け無し平均であってもよい。例えば、平均は各カメラからの画像の品質により重み付けられ得、ここでは、より高い品質の画像からの値はより低い品質の画像からの値より大きな重み付けを有する。いくつかの実施形態では、コンピュータ24は、
図5と6に関連して説明されるように、表面点の曲率値のうちの1つの曲率値を選択するために光線追跡手順を適用することを判断する。
【0022】
コンピュータ24は角膜前部表面16のトポグラフィをインターフェース25を介し出力し得る。トポグラフィは任意の好適なやり方で記述され得る。例えば、トポグラフィは関数(例えば双円錐、非球面、又はZernike多項式ベース関数)を使用することにより記述され得る。別の例として、トポグラフィは表面のマップ(例えば軸方向マップ、接線方向マップ、屈折力マップ、又は仰角マップ)を使用することにより記述され得る。
【0023】
インターフェース25及びメモリ34は以下に説明されるようなものであり得る。メモリ34はデータ(例えば画像データ36)及びアプリケーション(例えば画像解析モジュール38)を格納する。画像解析モジュール38は任意の好適なやり方で画像データ36を処理し得る。例えば、画像データ36は、眼12の一部のランドマーク特徴(例えば様々なカメラからの画像をアライメントするために使用され得る虹彩のマーキング)を識別するために解析され得る。
【0024】
図2、3は、どのようにシステム10のカメラ22が角膜前部表面16の曲率を判断するための画像データを提供し得るかを示す。
図2は反射されたリング30を検出するカメラ22(22a~22c)の例を示す。
図3はカメラ22によるカバレッジを示し、カメラ22aはリング30aの画像を捕捉し、カメラ22bはリング30bの画像を捕捉し、そしてカメラ22cはリング30cの画像を捕捉する。
【0025】
いくつかの実施形態では、照明器リング26はプラチドパターンのリング30を角膜前部表面16上へ照明し、角膜前部表面16はリング30を反射する。カメラ22は反射されたリング30を検出する。リング30を反射する表面が収差を有しなければ、角膜前部表面はリング30を歪めていない。カメラ22により検出された反射されたリング30は期待形状(例えば反射に先立って照明器リング30の形状に概して整合する形状)を有することになる。例えば、照明パターンが均等に離間されたリング(又は点又は他の形状)を含めばそして角膜前部表面が理想的球ならば、反射されたリングは均等に離間されることになる。
【0026】
リング30を反射する表面が収差を有すれば、カメラ22により検出された反射されたリング30は収差の存在を指示する歪みを有し得る。例えば、照明パターンが均等に離間されたリング(又は点又は他の形状)を含めばそして角膜前部表面が収差を有すれば、反射されたリングが互いにより接近した領域は、表面16が球形曲率より急峻な曲率を有するということを指示し、そしてリングが互いにより離れた領域はより平坦な曲率を指示する。
【0027】
図2は反射されたリング30aを検出するカメラ22aによる検出を示す。カメラ22aは、リング30間の間隔がリング30に対し垂直な子午線方向の収差を指示し得る画像を提供する。しかし、カメラ22aはリング30の方向に沿った収差に関する情報を提供しない。さらに、軸上カメラ22aは軸14における又はその近くの収差を検出することができない。
【0028】
図3に示すように、カメラ22aはリング30aの画像を捕捉し、カメラ22bはリング30bの画像を捕捉し、そしてカメラ22cはリング30cの画像を捕捉する。複数のカメラ22による角膜カバレッジは1台のカメラ22によものより大きい。したがって、システム10は角膜前部表面16のより大きな領域の形状を判断し得る。加えて、角膜前部表面16のいくつかの部分は2つ以上のカメラ22によりカバーされる。したがって、カメラ22からの画像は、単一カメラ22からの画像よりより多くの方向に沿った収差の指標を提供し得る。さらに、軸外カメラ22b、22cは軸14における又はその近くの収差を検出し得る。したがって、システム10のカメラ22は角膜前部表面16の曲率を判断するための改善された画像データを提供し得る。
【0029】
図4は、角膜前部表面16のトポグラフィを生成する方法(
図1のシステム10により行われる)の例を示す。いくつかの実施形態では、コンピュータ24は、画像解析モジュール38を実行することによりそして命令をシステム10の部品へ送信することによりいくつかの工程を行い得る。本方法は工程110において開始し、ここでは、照明器20が角膜前部表面16をプラチドパターンを用いて照明する。角膜前部表面16はプラチドパターンを反射する。カメラ22は工程112において、反射されたプラチドパターンを検出し、そして反射されたプラチドパターンの画像を生成する。カメラ22はこの画像をコンピュータ24へ提供する。画像は画像データとして提供され得る。
【0030】
コンピュータ24は、カメラ22からの各画像のデータ点の曲率値を工程114、116において計算する。各データ点は角膜前部表面16の少なくとも一部分の表面点に対応する。コンピュータ24は工程114において任意の好適なやり方で曲率値を計算し得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ24は、データ点において期待プラチドパターンと反射されたプラチドパターンとの間に偏差があるということを判断し、そしてこの偏差に従ってデータ点の法線ベクトルを調節する。工程116において別のカメラからの次の画像があれば、本方法は次の画像の曲率値を計算するために工程114へ戻る。次の画像がなければ、方法は工程120へ進む。
【0031】
コンピュータ24は工程120、122において、表面点における曲率を表面点に対応する曲率値から判断する。コンピュータ24は工程120において任意の好適なやり方で曲率を判断し得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ24は、表面点に対応する1つ又は複数の曲率値の関数から表面点における曲率を判断する。例えば、コンピュータ24は曲率値の平均を採用し得る。他のいくつかの実施形態では、コンピュータ24は曲率を判断するために光線追跡手順を適用する。工程122において表面16の次の表面点があれば、本方法は次の表面点の曲率値を計算するために工程120へ戻る。次の表面点がなければ、方法は工程124へ進む。
【0032】
コンピュータ24は工程124において表面点における曲率から角膜前部表面16のトポグラフィを生成する。表面点における曲率は角膜前部表面16の形状を判断するために使用され得る。例えば、曲率は表面点における表面法線であり得、表面16のトポグラフィを生成するために使用され得る。コンピュータ24は工程126においてトポグラフィを(例えばインターフェース32を介し)出力する。次に本方法は終了する。
【0033】
図5、6は、角膜前部表面16の形状を判断するために光線追跡を適用する方法(
図1のシステム10により行われ得る)の例を示す。いくつかの実施形態では、本方法は
図4の工程120、122において説明したように表面点における曲率を判断するために使用され得る。
【0034】
図5は光線追跡が適用され得る環境の例を示す。図示の例では、眼12は角膜前部表面16を有する。システム10は照明器20及びカメラ22(22a~22c)を含む。照明器20は光線150を角膜前部表面16の方向に導く照明器素子21を含む(簡単のために、ただ1つの照明器素子21が示される)。カメラ22は、角膜前部表面16からの反射光光線150を検出する。
【0035】
環境のいくつかの特徴は光線150を眼12に対し追跡する制約として使用され得る。制約は、例えば一般知識、システム10の部品の配置、システム10に対する眼12の位置、眼12の以前の測定結果、及び/又はカメラ22からの画像から判断され得る。例えば、カメラ22と、照明器素子21と、角膜前部表面16との間の相対的距離及び配向がシステム10の部品の配置及びシステム10に対する眼12の位置から判断され得る。別の例として、角膜前部表面16の形状の初期推定値は、一般知識、眼12の以前の測定結果、及び/又はカメラからの画像から判断され得る。
【0036】
図6は光線追跡を適用する方法の例を示す。いくつかの実施形態では、コンピュータ24は画像解析モジュール38を実行することによりそして命令をシステム10の他の部品へ送信することにより本方法を行い得る。本例の概観によると、コンピュータ24は照明器素子21から角膜前部表面16及びカメラ22への光線150を定義する。コンピュータ24は制約間の合意性を最適化する値を判断することにより光線150のパラメータ値を最適化する。次に、コンピュータ24は最適化された光線パラメータ値から角膜前部表面16の形状を記述する曲率値を判断する。
【0037】
本方法はコンピュータ24が光線150の制約にアクセスする工程210において開始する。当初、制約は、最適化中に調節され得る初期値を与えられ得る。例えば、角膜前部表面16の形状を記述する曲率値が初期推定値として与えられ得る。
【0038】
照明器素子21から角膜前部表面16及びカメラ22への光線150が工程212、214において定義される。いくつかの実施形態では、光線150はパラメータ化される:すなわち、割当値であるパラメータという観点で表現される。照明器素子21から角膜前部表面16の点までの光線150は眼12に対する照明器素子21の位置から判断され得る。「位置」は物体の場所(例えばx,y,z空間内の物体の場所)及び/又は物体の配向(例えば物体が指す方向)を指し得る。照明器素子21を通した角膜前部表面16の点からカメラ22の点(例えばカメラ22aの画像面の点)までの光線150は眼12に対するカメラ22の位置から判断され得る。角膜前部表面16の点が光線150を反射する前部角度(anterior angle)は当該点における角膜前部表面16の曲率の初期推定値から計算され得る。
【0039】
定義すべき次の光線150が工程214においてあれば本方法は次の光線150を定義するために工程212へ戻る。光線の数は照明パターンに依存して変化し得る。いくつかの実施形態では、光線は1つのカメラの照明器素子(例えば照明器点光源)毎に定義され得る(例えば1つのカメラのPlacidリング当たり102~103光線)。様々な画像からの光線150は眼12の同じ機構へ辿られる光線150を識別することによりアライメントされ得る。
【0040】
光線150のパラメータ値は、制約間の合意性を最適化するパラメータの値を判断することにより工程216において最適化される。例えば、コンピュータ24は、残差(すなわち観測値とパラメータ値との差)を最小にする値を判断し得る。任意の好適な最適化技術(例えば最小二乗又はランダムサンプルコンセンサス(RANSAC:random sample consensus)方法)が使用され得る。
【0041】
角膜前部表面16の形状を記述する曲率値は、最適化された光線パラメータ値から工程220において判断される。例えば、最適化された光線パラメータ値は、反射角も調節されるように、角膜前部表面16により反射された光線150の経路を調節し得る。調整された反射角は表面16の法線を調節するために使用され得る。次に本方法は終了する。
【0042】
本明細書において開示されたシステム及び装置の部品(コンピュータ24など)はインターフェース、論理、及び/又はメモリを含み得、そのいかなるものもコンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る。インターフェースは、部品に対する入力を受信し得及び/又は部品からの出力を送信し得、そして通常、情報を例えばソフトウェア、ハードウェア、周辺デバイス、ユーザ、及びこれらの組み合せ間で交換するために使用される。ユーザインターフェース(例えばグラフィックユーザインタフェース(GUI))はコンピュータと相互作用するためにユーザが利用し得るタイプのインターフェースである。ユーザインターフェースの例はディスプレイ、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジェスチャセンサ、マイクロホン及びスピーカを含む。
【0043】
論理は部品の操作を行うことができる。論理は、データを処理する(例えば入力から出力を生成するための命令を実行する)1つ又は複数の電子デバイスを含み得る。このような電子デバイスの例はコンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ(例えば中央処理ユニット(CPU))及びコンピュータチップを含む。論理は、操作を行うために電子デバイスにより実行されることができる命令を符号化するコンピュータソフトウェアを含み得る。コンピュータソフトウェアの例はコンピュータプログラム、アプリケーション及びオペレーティングシステムを含む。
【0044】
メモリは、情報を格納することができ、そして有形、コンピュータ可読及び/又はコンピュータ実行可能ストレージ媒体を含み得る。メモリの例は、コンピュータメモリ(例えばランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み取り専用メモリ(ROM))、大容量ストレージ媒体(例えばハードディスク)、着脱可能ストレージ媒体(例えばコンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオ又は汎用ディスク(DVD))、データベース、ネットワークストレージ(例えばサーバ)、及び/又は他のコンピュータ可読媒体を含む。特定の実施形態はコンピュータソフトウェアにより符号化されたメモリに向けられ得る。
【0045】
本開示はいくつかの実施形態という観点で説明されたが、実施形態の修正形態(変更、代替、追加、省略、及び/又は他の修正形態など)は当業者にとって明白になる。したがって、修正は本発明の範囲から逸脱することなくいくつかの実施形態に対し行われ得る。例えば、修正は本明細書において開示されたシステム及び装置に対して行われ得る。当業者とって明らかなように、本システム及び装置の部品は一体化又は分離され得る、又は本システム及び装置の動作はより多い部品、より少ない部品、又は他の部品により行われ得る。別の例として、修正は本明細書において開示された方法に対して行われ得る。当業者とって明らかなように、本方法は、より多い工程、より少ない工程、又は他の工程を含み得、そして工程は任意の好適な順序で行われ得る。
【0046】
請求項を解釈する際に特許庁及び読者を助けるために、本出願人らは「用語“means for”又は“step for”が特定請求項において明示的に使用されない限り請求項又は請求要素のいかなるものも合衆国法典第35巻§112(f)を想起させるように意図されてない」ということを注記する。請求項内の任意の他の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「部品」、「素子」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」、又は「コントローラ」)の使用は、当業者にとって知られている構造を指すものと本出願人らにより理解され、したがって合衆国法典第35巻§112(f)想起させるように意図されていない。
【国際調査報告】