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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】薬剤パッケージ
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544280
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 SE2022050082
(87)【国際公開番号】W WO2022164370
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】2150093-9
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516293691
【氏名又は名称】イコノヴォ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ラストウ オレスト
(72)【発明者】
【氏名】アールグレン カロ
(72)【発明者】
【氏名】グンナーソン フレドリク
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルト マグヌス
(72)【発明者】
【氏名】カールソン シモン
(57)【要約】
少なくとも1つの乾燥粉末薬剤をパッケージングする方法であって、第1の複数の薬剤キャビティを第1の列に組み立てるステップ(502)と、第2の複数の薬剤キャビティを、第1の列と平行にかつ第1の列から間隔を置いて第2の列に組み立てるステップ(504)であって、第1の列の各薬剤キャビティおよび第2の列の対応する薬剤キャビティが対を形成する、ステップと、乾燥粉末薬剤を少なくとも1つの薬剤キャビティに入れるステップ(506)と、各対をそれぞれの取り外し可能なシール要素でシールするステップ(508)とを含む、方法。少なくとも1つの乾燥粉末薬剤を備えるパッケージも開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの乾燥粉末薬剤をパッケージングする方法であって、
第1の複数の薬剤キャビティを第1の列に組み立てるステップと、
第2の複数の薬剤キャビティを、前記第1の列と平行にかつ前記第1の列から間隔を置いて第2の列に組み立てるステップであって、前記第1の列の各薬剤キャビティおよび前記第2の列の対応する薬剤キャビティが対を形成する、ステップと、
乾燥粉末薬剤を少なくとも1つの前記薬剤キャビティに入れるステップと、
各対をそれぞれの取り外し可能なシール要素でシールするステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記入れるステップが、
第1の乾燥粉末薬剤を前記第1の列の少なくとも1つの前記薬剤キャビティに入れるステップと、
第2の乾燥粉末薬剤を前記第2の列の少なくとも1つの前記薬剤キャビティに入れるステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シールするステップが、前記取り外し可能なシール要素を前記薬剤キャビティにヒートシールするステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記シールするステップが、
シール材料のストリップを各対にシールするステップと、
前記第1の列の外縁および前記第2の列の外縁においてシール材料の各ストリップをトリミングするステップと
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各取り外し可能なシール要素が、前記第1の列と前記第2の列との間の前記シール要素の一部に圧力を加えることによって前記薬剤キャビティから剥がされるように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記取り外し可能なシール要素が、フィルムまたは箔を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の薬剤キャビティを前記第1の列に隣接して組み立てるステップ、および/または
前記複数の薬剤キャビティを前記第2の列に隣接して組み立てるステップ
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各列の前記複数の薬剤キャビティが、一体構造として形成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の列の薬剤キャビティの数が、前記第2の列の薬剤キャビティの数と同じである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの乾燥粉末薬剤のためのパッケージであって、
第1の複数の薬剤キャビティを備える第1の列と、
第2の複数の薬剤キャビティを備える第2の列であって、前記第2の列が、前記第1の列と平行にかつ前記第1の列から間隔を置いて配置され、前記第1の列の各薬剤キャビティおよび前記第2の列の対応する薬剤キャビティが対を形成する第2の列と、
少なくとも1つの前記薬剤キャビティに入れられた乾燥粉末薬剤と、
複数の取り外し可能なシール要素であって、各取り外し可能なシール要素が、それぞれの対の薬剤キャビティをシールするように構成される、複数の取り外し可能なシール要素と
を備える、パッケージ。
【請求項11】
第1の乾燥粉末薬剤が前記第1の列の少なくとも1つの前記薬剤キャビティに入れられ、第2の乾燥粉末薬剤が前記第2の列の少なくとも1つの前記薬剤キャビティに入れられる、請求項10に記載のパッケージ。
【請求項12】
前記取り外し可能なシール要素が前記薬剤キャビティにヒートシールされる、請求項10または11に記載のパッケージ。
【請求項13】
各取り外し可能なシール要素が、前記第1の列と前記第2の列との間の前記シール要素の一部に圧力を加えることによって前記薬剤キャビティから剥がされるように構成される、請求項10~12のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項14】
各取り外し可能なシール要素がフィルムまたは箔を含む、請求項10~13のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項15】
前記第1の列の前記複数の薬剤キャビティが隣接して配置され、および/または
前記第2の列の前記複数の薬剤キャビティが隣接して配置される、請求項10~14のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項16】
前記第1の列の薬剤キャビティの数が、前記第2の列の薬剤キャビティの数と同じである、請求項10~15のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項17】
乾燥粉末吸入器において請求項10~16のいずれか一項に記載のパッケージを組み立てる方法であって、前記シール要素が、それぞれの対の各薬剤キャビティの上面に取り付けられ、前記方法が、
それぞれの対の各薬剤キャビティの上面が互いに向かい合うように、各取り外し可能なシール要素を折り畳むステップと、
前記第1の列の第1の端部が前記第1の列の第2の端部に接触し、前記第2の列の第1の端部が前記第2の列の第2の端部に接触するように、前記パッケージを環状に配置するステップと、
吸入器の用量ホイール上に前記パッケージを組み立てるステップと
を含む、方法。
【請求項18】
前記用量ホイールが、複数の用量送達位置の間で、前記吸入器の投与要素に対して回転可能である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記吸入器の投与要素が、各取り外し可能なシール要素を前記パッケージから剥がすように構成されるように、前記用量ホイール上に前記パッケージを組み立てるステップを含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
入口と、
出口と、
用量ホイールと、
投与要素と、
請求項10~16のいずれか一項に記載のパッケージと
を備える、乾燥粉末吸入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、乾燥粉末薬剤をパッケージングする方法、およびそのような方法によって製造されたパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
吸入器は、呼吸器疾患および/またはその他の疾患の治療のために製薬分野において広く使用されている。多くの薬物、医薬およびその他の物質は、血流中で薬物などを迅速に吸収し、肺で局所的に作用させるために、吸入器を使用して肺に吸入される。
【0003】
吸入薬は主に2つのカテゴリに分類され、1つは懸濁液を含む液体の形態であり、もう1つは粉末である。液体または粉末の選択は、吸入する薬物、医薬などの特性に応じる。
【0004】
最も一般的な種類の吸入器は、加圧式定量吸入器である。この種類の吸入器では、医薬は、噴射剤を含む加圧キャニスタ内に溶液として保存されるのが最も一般的であるが、懸濁液である場合もある。キャニスタはプラスチック製の手動アクチュエータに取り付けられている。作動させると、定用量吸入器(metered-dose inhaler)はエアロゾル形態で一定用量の医薬を放出する。別の種類の吸入器はネブライザであり、これは、水性製剤から作製されたエアロゾルとして医薬を供給する。
【0005】
別の種類の吸入器は、乾燥粉末吸入器である。乾燥粉末吸入器は、吸入器のマウスピースを通じて吸入される、測定された用量の粉末医薬を放出する。多くの場合、測定された用量は、吸入器内の多数のキャビティのうちの1つ、例えばブリスターパックに保存される。各キャビティは、使用者が吸入する前に医薬を放出させるために穴を開けることができる穴開け可能なカバーを有する。キャビティベースの乾燥粉末吸入器は、良好な衛生状態を提供するだけでなく、適切な用量の薬剤が使用者に提供されることを確実にする。
【0006】
しかしながら、キャビティベースの乾燥粉末吸入器には特定の問題が残る。いくつかの実施態様では、1つより多くの薬剤を組み合わせた用量で送達することが望ましい。しかしながら、2つ以上の薬剤を単一のキャビティに保存するのは適切ではない場合がある。したがって、異なる薬剤に対して別個のキャビティが使用される。これらの場合、2つ以上の別個の薬剤が適切に分散され、単一の用量で使用者に提供するために混合されることを確実にするのは困難な場合がある。また、特に反復可能な方法で、組み合わせた用量で送達するために2つのキャビティを同時に開くことを確実にすることは困難であり得る。既存の解決策は複雑な機構を伴い、望ましい送達特性を実現していない。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に開示される乾燥粉末吸入器は、組み合わせた用量で送達するために2つの薬剤キャビティに同時にアクセスできるようにする用量ホイールおよび投与要素を有する投与機構を提供する。投与要素は、キャビティ内部の薬剤にアクセスするための機構、および薬剤を使用者に送達するための機構の両方として機能する。これにより、使用者が吸入する前に、2つの別個のキャビティからの薬剤を分散させ、適切に混合することが可能になる。この機構により、このような用量を反復可能な方法で送達することができる。この機構は、複数の薬剤の組み合わせた用量を提供するために現在知られている構造よりも単純な構造を有する。
【0008】
本明細書に開示される乾燥粉末薬剤をパッケージングする方法、およびそのような方法によって製造されるパッケージは、吸入器に組み立てられる前に、直線状の列の多数のキャビティを充填することを提供する。これは、特に、パッケージが吸入器に組み立てられる環状でキャビティが配置される場合に行われることと比較して、複数のキャビティを容易に充填し、シールするため、それらを組み合わせた用量で提供することができる。パッケージは、シールが外部からのバリアとして機能するため、例えば湿気に対する保護も提供する。
【0009】
一態様によれば、少なくとも1つの乾燥粉末薬剤をパッケージングする方法であって、第1の複数の薬剤キャビティを第1の列に組み立てるステップと、第2の複数の薬剤キャビティを、第1の列と平行にかつ第1の列から間隔を置いて第2の列に組み立てるステップであって、第1の列の各薬剤キャビティおよび第2の列の対応する薬剤キャビティが対を形成する、ステップと、乾燥粉末薬剤を少なくとも1つの薬剤キャビティに入れるステップと、各対をそれぞれの取り外し可能なシール要素でシールするステップとを含む、方法が提供される。
【0010】
任意選択により、入れるステップは、第1の乾燥粉末薬剤を第1の列の少なくとも1つの薬剤キャビティに入れるステップと、第2の乾燥粉末薬剤を第2の列の少なくとも1つの薬剤キャビティに入れるステップとを含む。
【0011】
任意選択により、シールするステップは、取り外し可能なシール要素を薬剤キャビティにヒートシールするステップを含む。任意選択により、シールするステップは、シール材料のストリップを各対にシールするステップと、第1の列の外縁および第2の列の外縁においてシール材料の各ストリップをトリミングするステップとを含む。任意選択により、各取り外し可能なシール要素は、第1の列と第2の列との間のシール要素の一部に圧力を加えることによって薬剤キャビティから剥がされるように構成される。任意選択により、取り外し可能なシール要素は、フィルムまたは箔を含む。
【0012】
任意選択により、方法は、複数の薬剤キャビティを第1の列に隣接して組み立てるステップ、および/または複数の薬剤キャビティを第2の列に隣接して組み立てるステップを含む。任意選択により、各列の複数の薬剤キャビティが、一体構造として形成される。任意選択により、第1の列の薬剤キャビティの数は、第2の列の薬剤キャビティの数と同じである。
【0013】
別の態様によれば、少なくとも1つの乾燥粉末薬剤のためのパッケージであって、第1の複数の薬剤キャビティを備える第1の列と、第2の複数の薬剤キャビティを備える第2の列であって、第2の列が、第1の列と平行にかつ第1の列から間隔を置いて配置され、第1の列の各薬剤キャビティおよび第2の列の対応する薬剤キャビティが対を形成する第2の列と、少なくとも1つの薬剤キャビティに入れられた乾燥粉末薬剤と、複数の取り外し可能なシール要素であって、各取り外し可能なシール要素が、それぞれの対の薬剤キャビティをシールするように構成される、シール要素とを備える、パッケージが提供される。
【0014】
任意選択により、第1の乾燥粉末薬剤は第1の列の少なくとも1つの薬剤キャビティに入れられ、第2の乾燥粉末薬剤は第2の列の少なくとも1つの薬剤キャビティに入れられる。任意選択により、取り外し可能なシール要素は薬剤キャビティにヒートシールされる。任意選択により、各取り外し可能なシール要素は、第1の列と第2の列との間のシール要素の一部に圧力を加えることによって薬剤キャビティから剥がされるように構成される。任意選択により、各取り外し可能なシール要素はフィルムまたは箔を含む。任意選択により、第1の列の複数の薬剤キャビティが隣接して配置され、および/または第2の列の複数の薬剤キャビティが隣接して配置される。任意選択により、第1の列の薬剤キャビティの数は、第2の列の薬剤キャビティの数と同じである。
【0015】
別の態様によれば、乾燥粉末吸入器においてパッケージを組み立てる方法であって、シール要素が、それぞれの対の各薬剤キャビティの上面に取り付けられ、方法が、それぞれの対の各薬剤キャビティの上面が互いに向かい合うように、各取り外し可能なシール要素を折り畳むステップと、第1の列の第1の端部が第1の列の第2の端部に接触し、第2の列の第1の端部が第2の列の第2の端部に接触するように、パッケージを環状に配置するステップと、吸入器の用量ホイール上にパッケージを組み立てるステップとを含む、方法が提供される。
【0016】
任意選択により、用量ホイールは、複数の用量送達位置の間で、吸入器の投与要素に対して回転可能である。任意選択により、方法は、吸入器の投与要素が、各取り外し可能なシール要素をパッケージから剥がすように構成されるように、用量ホイール上にパッケージを組み立てるステップを含む。
【0017】
別の態様によれば、入口と、出口と、用量ホイールと、投与要素と、パッケージとを備える、乾燥粉末吸入器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
ここで本開示の例示的な実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1】本開示による吸入器を示す。
図2】本開示による吸入器の分解図を示す。
図3図3A~Eは、本開示による歯車機構によって作動する投与要素を示す。
図4図4A~Eは、非作動位置から用量投与位置まで移動する投与要素を概略的に示す。
図5】乾燥粉末薬剤をパッケージングする方法を示すフロー図である。
図6図6A~Cは、乾燥粉末薬剤をパッケージングする方法の異なる段階を示す。
図7】乾燥粉末吸入器においてパッケージを組み立てる方法を示すフロー図である。
図8図8A~Dは、吸入器におけるパッケージの組み立ての異なる段階を示す。
図9図9A~Iは、投与要素の代替の構成を示す。
【0020】
説明および図面を通じて、同様の参照番号は同様の部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本開示による吸入器100を示す。吸入器100は、ハウジング102、マウスピース104、およびカバー106を備える。ハウジング102は、図2に関連して説明されるように、使用者への薬物の送達を可能にするコンポーネントを含む。マウスピース104は、吸入中に吸入器100の内部と使用者との間の流体連通を提供する少なくとも1つの出口を備える。カバー106は、吸入器100が使用されていないときにマウスピース104を覆う。カバー106は、マウスピース104を覆う第1の位置からマウスピース104に使用者がアクセスできる第2の位置まで移動できるようにハウジング102に接続され得る。例えば、カバー106は、ハウジング102に回転可能に接続され得る。いくつかの実施形態では、第1の位置と第2の位置との間の角度は90°である。カバー106が開いた第2の位置にあるとき、使用者は、マウスピース104の上に口を置き、吸入器104の内部に保管されている薬剤(medicament)を吸入することができる。
【0022】
図2は、吸入器、例えば吸入器100の分解図を示す。図2に示すように、ハウジング102は、前部102aおよび後部102bを備え、それらの間に、マウスピース104を介して使用者に薬物の送達を可能にする多数のコンポーネントが組み立てられる。
【0023】
前部102aは第1の入口108aを備え、後部102bは第2の入口108bを備える。入口108a~bは、図2に示すように、格子の形態をとることができるか、または空気がハウジング102の外側から内側へ通過できるようにする他の種類の穴もしくは開口の形態をとることができる。入口108の位置および構成は、図2に示したものとは異なっていてもよいことが理解されるであろう。例えば、ハウジング102の一部のみが入口108を備えてもよい。別の例では、ハウジング102の一部が複数の入口108を備えてもよい。別の例では、ハウジング102の両方の部分が複数の入口108を備えてもよい。いくつかの実施態様では、入口108はマウスピース104の一部であってもよい。空気がハウジング102の外側から内側に通過できるようにする入口の他の適切な実施態様は、当業者によって容易に想到されるであろう。
【0024】
マウスピース104は、空気がハウジング102の内側から外側に移動できるようにする少なくとも1つの出口を備える。使用者は、空気が入口108a~bに引き込まれ、乾燥粉末薬剤をハウジング102の内部から同伴し、使用者が吸入する出口を通過するように、マウスピース104の出口で吸入することができる。これは、図3A~3Eおよび図4A~4Eに関連してさらに詳細に説明される。マウスピース104とハウジング102の内部との間の流体連通を提供するためにダクト110を設けることができる。
【0025】
吸入器100は、ハウジング102の内部に配置された投薬機構を備える。投薬機構は、用量ホイール112および投与要素118を備える。投薬機構は、乾燥粉末薬剤の用量(dose)を、マウスピース104の出口で吸入時に使用者にその用量を送達できるように配置する。
【0026】
用量ホイール112は、基部114および一対の薬剤保持ブラケット116a~bを備える。用量ホイール112は、乾燥粉末薬剤を収容する複数の薬剤キャビティを保持するように構成される。複数の薬剤キャビティは、ブリスターストリップなどの形態であってもよい。いくつかの例では、複数の薬剤キャビティは、図5~8に関連して説明されるような環状パッケージの形態である。基部114は、環状の形態を維持し、キャビティを互いに一定の距離に保つためのスペーサとして機能する。薬剤保持ブラケット116a~bは、複数の薬剤キャビティを所定の位置に保持し、以下に説明するように用量ホイール112の回転を提供する。特に、ブラケット116a~bは、基部114に対して回転可能であり得る。いくつかの実施態様では、ブラケット116a~bは、基部114が必要とされないほど十分に薬剤キャビティを所定の位置に保持することができる。
【0027】
いくつかの実施態様では、用量ホイール112は、共通の中心軸の周りで組み立てられた薬剤キャビティと連動して回転するように構成される。例えば、薬剤保持ブラケット116a~bは、複数の薬剤キャビティを所定の位置に保持することができ、ブラケット116a~bおよびキャビティは連動して回転する。回転は、複数の用量送達位置の間で行われてもよい。各用量送達位置は、薬剤キャビティの1つまたは複数と、投与要素118および/またはマウスピース104との間の位置合わせに対応し得る。したがって、用量ホイール112が用量送達位置にあるとき、乾燥粉末薬剤は、図4A~4Eに関連して説明されるように、少なくとも1つの薬剤キャビティから投与要素118およびマウスピース104を介して使用者まで送達され得る。いくつかの例では、各用量送達位置は、2つの薬剤キャビティと、投与要素118および/またはマウスピース104との間の位置合わせに対応する。
【0028】
投与要素118は、使用者による吸入中に、少なくとも1つの薬剤キャビティと、マウスピース104の出口との間の流体連通を可能にするように構成される。これを可能にするために、投与要素118は、非作動位置と、投与要素118がマウスピース104の出口と流体連通する用量投与位置との間で作動することができる。これは、図3A~3Eおよび図4A~4Eに関連してより詳細に説明される。いくつかの例では、非作動位置は用量ホイール112内にある。すなわち、非作動位置では、投与要素118は用量ホイール112の円周の内側に位置する。これらの実施態様では、基部114は、投与要素118が、非作動位置と用量投与位置との間で移動するときに基部114を通過できるような開口部を備えてもよい。
【0029】
用量ホイール112の回転および投与要素118の移動は、第1の歯車機構120および第2の歯車機構122を備える歯車システムによって可能になる。第1の歯車機構は、歯車シャフト120a、歯車120bおよびタブ120cを備える。第2の歯車機構は、歯車シャフト122a、第1の歯車122b、および第2の歯車122cを備える。第1の歯車機構120の歯車120bは、第2の歯車機構122の第1の歯車122bと相互作用する。第1の歯車機構120のタブ120cは、ブラケット116a~b上の対応する歯と相互作用する。第2の歯車機構122の第2の歯車122cは、投与要素118上の対応する歯と相互作用する。歯車機構120、122は、用量ホイール112の穴を通って延びる。ハウジング102の前部102aの穴124aにより、第1の歯車機構120のカバー106のジョイントへの接続が可能になる。カバー106を第1の歯車機構120に接続するために、対応する穴124bがハウジング102の後部102bにも存在してもよい。
【0030】
カバー106が、マウスピース104を覆う第1の位置から、使用者がマウスピース104にアクセスできる第2の位置まで移動すると、第1の歯車機構120の歯車120bおよびタブ120cが歯車シャフト120aの周りで回転する。歯車120bが歯車シャフト120aの周りで回転すると、歯車120bと第2の歯車機構122の第1の歯車122bとの間の相互作用により、第1の歯車122bおよび第2の歯車122cが歯車シャフト122aの周りで回転する。次に、第2の歯車122cと投与要素118との間の相互作用により、投与要素118が非作動位置と用量投与位置との間で並進移動する。カバー106が第2の位置から第1の位置まで戻されると、第1の歯車機構120のタブ120cとブラケット116a~bの歯との間の相互作用により、用量ホイール112が第1の用量送達位置と第2の用量送達位置との間で回転する。したがって、単一の歯車システムにより、カバー106の単一の動作で用量ホイール112の回転および投与要素118の移動の両方が可能になる。
【0031】
歯車シャフト120aおよび122aは、第1のプレート126aに取り付けられる。第1のプレート126aおよび第2のプレート126bは、回転中に用量ホイール112を所定の位置に接続し、保持するように機能するように構成される。これは、基部114の穴と第1のプレート126aに取り付けられたシャフトとの間の相互作用によって達成され得る。第2のプレート126bは、吸入中に空気が入口108a~bを通って投薬機構内に引き込まれることを可能にする開口部128を備える。
【0032】
歯車112が歯車機構120、122ならびに第1および第2のプレート126a~bと組み立てられると、ハウジング102を閉じて、組み立てられた吸入器100を提供することができる。
【0033】
図3A~3Eは、投与機構、特に歯車機構120、122による用量ホイール112および投与要素118の作動を示す。図3A~3Eの各々において、投与機構は、薬剤キャビティは存在するが、ハウジング102、基部114、1つのブラケット116bおよびプレート126a~bが取り除かれて示される。投与機構は、左側に外形、および右側に断面図で示される。
【0034】
図3Aでは、カバー106(図示せず)はマウスピース104を覆う第1の位置にあり、投与要素118は非作動位置にある。この実施態様では、非作動位置は用量ホイール112内に位置する。薬剤キャビティ302は用量ホイール112上に組み立てられ、図7および図8A~8Dに関連して説明されるように、用量ホイール112のブラケット116a~bによって所定の位置に保持される。図3Aでは、用量ホイール112は、第1の対の薬剤キャビティ302aが投与要素118と位置合わせされるように、第1の用量送達位置にある。第2の歯車機構122の移動が投与要素118の移動を引き起こすように、第2の歯車機構122の第2の歯車122cの歯は投与要素118の歯304と相互作用する。いくつかの実施態様では、カバー106は、歯車機構120、122を作動させることなく、第1の位置から最大20°回転することができる。
【0035】
図3Bでは、カバー106は、歯車機構120、122が作動するように回転している。したがって、第1の歯車機構120の歯車120bは時計回りに回転し、次に、第2の歯車機構122の第2の歯車122cが反時計回りに回転する。したがって、投与要素118は、非作動位置と用量投与位置との間の位置まで上方に移動する。投与要素118は、この位置で第1の対の薬剤キャビティ302aを貫通し、図4A~4Eに関連して説明されるようにシールを除去する。いくつかの実施態様では、投与要素118が非作動位置と用量投与位置との間にあるとき、カバー106の回転は、第1の位置から20°~85°の間である。
【0036】
図3Cでは、歯車120bおよび第2の歯車122cがさらに回転し、投与要素118が用量投与位置に移動するように、カバー106が第2の位置に回転している。投与要素118がダクト110と流体連通するように、投与要素118の少なくとも一端は第1の対の薬剤キャビティ302aを通過している。この位置では、使用者は、図4A~4Eに関連して説明されるように、吸入器から薬剤を吸入することができる。いくつかの実施態様では、カバー106の回転は、投与要素118が用量投与位置にあるとき、第1の位置から85°~90°の間である。これは、吸入器が正しく動作するための安全マージンを提供することができる。
【0037】
図3Dでは、歯車機構120、122が図3A~3Cとは逆の方向に作動するように、カバー106が第2の位置から離れて第1の位置に戻って回転している。したがって、第2の歯車機構122の第2の歯車122cが時計回りに回転し、投与要素118が非作動位置と用量投与位置との間の位置に戻るように、第1の歯車機構120の歯車120bは反時計回りに回転している。歯車機構120、122の回転が続くと、第1の歯車機構120のタブ120cは、ブラケット116aの対応する歯306aと相互作用し始める(タブもまた、図示しないブラケット116bの対応する歯と相互作用し始めることは理解されるであろう)。これにより、ブラケット116a~bが第1の用量送達位置から第2の用量送達位置に向かって回転する。いくつかの実施態様では、カバー106の回転は、投与要素118が非作動位置と用量投与位置との間にあるとき、第1の位置から90°~20°の間である。
【0038】
図3Eでは、カバー106は第1の位置に戻されており、投与要素118が非作動位置に戻るように歯車120bおよび第2の歯車122cがさらに回転される。タブ120cとブラケット116a~bの歯との間の相互作用により、ブラケット116aの歯306aの新たな位置から見ることができるように、第2の用量送達位置への反時計回り方向のブラケット116a~bの回転が引き起こされる。第1の対の薬剤キャビティ302aに隣接する第2の対の薬剤キャビティ302bは、ここで投与要素118と位置合わせされる。いくつかの実施態様では、カバー106の回転は、投与要素118が、非作動位置にあり、ブラケット116a~bが、第2の対の薬剤キャビティ302bを第2の用量送達位置に移動させるように作動するとき、第1の位置から20°~0°の間である。投与機構は、ここで、使用者が第2の対の薬剤キャビティ302bから新たな用量を吸入するために再び作動する準備が整う。したがって、投与機構は、カバー106の単一の動作で用量ホイール112の回転および投与要素118の移動の両方を可能にする。
【0039】
図4A~4Eは、投与要素118の断面図を概略的に示す。特に、図4A~4Eは、投与要素118がシールを取り除くためにどのように薬剤キャビティと相互作用し、少なくとも1つの薬剤キャビティとマウスピース104の出口との間の流体連通を提供するかを示す。図4A~4Eに示すように、投与要素118は、投与要素118が用量投与位置にあるときに、少なくとも1つの薬剤キャビティとマウスピース104の出口との間の流体連通を提供するように配置された多数のチャネルを備えるマニホールド400を備える。マニホールド400は、空気が入口108a~bから投与要素118を通って引き込まれることを可能にし、そこで乾燥粉末薬剤が同伴され、マウスピース104の出口で使用者に提供される。図4A~4Eにおいて、点線は、特定の特徴の開境界を表し、物理的要素を表すものではない。
【0040】
図4Aは、非作動位置にある投与要素118を概略的に示す。一対の薬剤キャビティ402a~bは、上述のように用量ホイール112上に配置される。各薬剤キャビティ402a~bは、乾燥粉末薬剤を受容および/または保管するための容積(volume)403a~bを備える。薬剤キャビティ402a~bは、容積403a~bが内側を向くように、すなわち、2つの薬剤キャビティ402a~bの容積の開放側が互いに面するように配置され得る。薬剤キャビティ402a~bの構造は、図5~8に関連してさらに詳細に説明される。薬剤キャビティ402a~bは両方とも同じ薬剤を含んでもよく、または異なるそれぞれの薬剤を含んでもよい。いくつかの実施態様では、2つのキャビティ402a~bのうちの1つは空であってもよく、または全く存在しなくてもよい。したがって、吸入器100は、単回用量で単一薬物または2つの薬物の送達のいずれかを提供することができる。
【0041】
容積403a~bは乾燥粉末薬剤を保持し、破線でされるシール要素404によってシールされて、シールされた薬剤キャビティ402a~bを提供する。シール要素は、フィルムまたは箔、例えばアルミニウム箔であってもよい。このシール要素404は、第1の薬剤容積403aをシールする第1の部分406a、第2の薬剤容積403bをシールする第2の部分406b、および薬剤キャビティ402a~bの間のギャップにまたがる第3の部分406cを備えることができる。
【0042】
投与要素118は、少なくとも1つの第1の導管408a~b、少なくとも1つの第2の導管410a~b、および少なくとも1つの第3の導管412を備える。非作動位置では、投与要素118と、吸入器100のマウスピース104に通じる一対のダクト110a~bとの間に流体連通はない。2つの第1の導管408a~b、2つの第2の導管410a~b、1つの第3の導管412、および2つのダクト110a~bが図4A~4Eに示されているが、図9A~9Iに関連して説明されるように、異なる数および構成の導管が実装されてもよいことは理解されるであろう。
【0043】
第1の導管408a~bおよび第2の導管410a~bは互いに流体連通している。第3の導管412は、少なくとも第1の導管408a~bと流体連通している。第3の導管412は、入口108a~b(図示せず)と流体連通する開口端414を有する。いくつかの実施態様では、第3の導管412は、ハウジング102の内部容積を介して入口108a~bと流体連通している。すなわち、ハウジング102の内部には、入口108a~bを第3の導管412に接続する特定の構造要素は存在しない。他の実施形態では、入口108a~bを第3の導管412の開口端414に直接接続するチャネルが提供されてもよい。
【0044】
図4Bは、非作動位置と用量投与位置との間の第1の位置における投与要素118を示す。投与要素118は、上述したように、例えば第2の歯車機構122によって矢印416の方向に作動する。この位置では、投与要素の前部418がシール要素404の第3の部分406cと接触する。
【0045】
図4Cは、非作動位置と用量投与位置との間の第2の位置における投与要素118を示す。投与要素118は、例えば第2の歯車機構122によって、矢印416の方向に作動し続ける。この位置では、第1および第2の部分406a~bが、それぞれの薬剤キャビティ402a~bから剥がされ始めるように、投与要素の前部418はシール要素404を矢印416の方向に押す。
【0046】
図4Dは、用量投与位置における投与要素118を示す。この位置では、薬剤キャビティ402a~bの容積403a~bが少なくとも部分的に開くように、第1および第2の部分406a~bはそれぞれの薬剤キャビティ402a~bから剥がされている。第1の導管408a~bがそれぞれの薬剤キャビティ402a~bと流体連通するように、第1の導管408a~bはそれぞれの薬剤キャビティ402a~bと位置合わせされる。さらに、第2の導管410a~bがマウスピース104の出口と流体連通するように、第2の導管410a~bは吸入器100のマウスピース104に通じるダクト110a~bと位置合わせされる。第3の導管412が入口108a~bおよび第1の導管408a~bと流体連通すると、第1の導管408a~bは第2の導管410a~bと流体連通し、第2の導管410a~bはダクト110a~bと流体連通し、流路が、入口108a~b、薬剤キャビティ402a~bの容積403a~b、およびマウスピース104の出口の間に設けられる。
【0047】
用量投与位置における投与要素118によって設けられる流体連通が図4Eに示される。使用者による吸入の間、投与要素118にわたる圧力差により、空気が入口108a~bから第3の導管412に引き込まれる。この空気は第1の導管408a~bに入り、通過し、それによって薬剤キャビティ402a~bから乾燥粉末薬剤を同伴し、次いで、第1の導管408a~bの間およびその下流の領域で混合される。ここで、混合された乾燥粉末薬剤を含む空気は、次いで、第2の導管410a~bに入り、ダクト110a~bを通過する。次いで、空気および混合された乾燥粉末薬剤は、マウスピース104の出口を通して使用者によって吸入される。
【0048】
本明細書に開示される乾燥粉末吸入器は、組み合わせた用量で送達するために2つの薬剤キャビティ402a~bに同時にアクセスできるようにする用量ホイール112および投与要素118を有する投与機構を提供する。投与要素118は、薬剤キャビティ402a~bにアクセスするための機構、および薬剤を使用者に送達するための機構の両方として機能する。これにより、使用者が吸入する前に、2つの別個のキャビティからの薬剤を分散して適切に混合することを可能にする。投与機構がカバー106の単一動作で用量ホイール112の回転および投与要素118の移動の両方を可能にするため、この機構は、このような用量を反復可能な方法で送達することを可能にする。この機構は、組み合わせた用量の複数の薬剤を提供するために現在知られているものよりも単純な構造を有する。
【0049】
図5は、乾燥粉末薬剤をパッケージングする方法500を示すフロー図である。図6A~6Cは、プロセスの異なる段階でのパッケージを示す。パッケージは、上述のように、乾燥粉末吸入器で使用することができる。
【0050】
ステップ502では、第1の複数の薬剤キャビティが第1の列に組み立てられる。第1の列の各薬剤キャビティは、乾燥粉末薬剤を収容するための容積を備えることができる。図4A~4Eに関連して説明したように、第1の列の各薬剤キャビティは薬剤キャビティ402aであってもよく、各容積は容積403aであってもよい。いくつかの実施態様では、第1の列の複数の薬剤キャビティは隣接して組み立てられる。すなわち、所与のキャビティの少なくとも一部は、その列内の次のキャビティの少なくとも一部と接触している。このような実施態様では、キャビティは一体構造として形成されてもよいか、または製造されてもよい。他の実施態様では、第1の列の連続するキャビティ間にギャップがあってもよく、キャビティは適切な接続要素によって接続されてもよい。第1の列のキャビティは、図8A~8Cに関連して説明されるように、環状に組み立てることができるようにテーパ構造を有してもよい。
【0051】
ステップ504では、第2の複数の薬剤キャビティが第2の列に組み立てられる。第2の列は、第1の列と平行にかつ第1の列から間隔を置いて配置される。すなわち、2つの列の間にはそれらの長さに沿って一定の距離がある。第2の列の各薬剤キャビティは、乾燥粉末薬剤を収容するための容積を備えることができる。図4A図4Eに関連して説明されるように、第1の列の各薬剤キャビティは薬剤キャビティ402bであってもよく、各容積は容積403bであってもよい。いくつかの実施態様では、第2の列の複数の薬剤キャビティは隣接して組み立てられる。このような実施態様では、キャビティは一体構造として形成されてもよいか、または製造されてもよい。他の実施態様では、第2の列の連続するキャビティ間にギャップがあってもよく、キャビティは適切な接続要素によって接続されてもよい。第2の列のキャビティは、図8A~8Cに関連して説明されるように、環状に組み立てることができるようにテーパ構造を有してもよい。
【0052】
図6Aは、ステップ502および504に従って組み立てられたキャビティの第1の列および第2の列を示す。図6Aに示されるように、第1の列602は第1の複数のキャビティ606aを備え、各々はそれぞれの容積608aを備える。第2の列604は第2の複数のキャビティ606bを備え、各々はそれぞれの容積608bを備える。列は互いに平行にかつ間隔を置いて組み立てられる。図6Aの実施態様では、各列602、604のキャビティ606は隣接して組み立てられる。容積608a~bは、容積608a~b内への乾燥粉末薬剤の配置を可能にするために開いている。
【0053】
第1の列602の各キャビティおよび第2の列604の対応するキャビティは対を形成する。次いで、各対は同じ用量の一部として使用者に送達され得る。いくつかの実施態様では、第1の列602のキャビティの数は、対応する数の対が形成されるように、第2の列604のキャビティの数と同じである。任意の適切な数のキャビティが各列に存在してもよい。例えば、各列には10~100個のキャビティを含めることができる。いくつかの実施態様では、各列には、30または60個のキャビティが含まれる。
【0054】
ステップ506では、乾燥粉末薬剤が少なくとも1つのキャビティの容積内に入れられる。いくつかの実施態様では、乾燥粉末薬剤は、第1の列602の1つまたは複数のキャビティの容積に入れられる。いくつかの実施態様では、乾燥粉末薬剤は、第2の列604の1つまたは複数のキャビティの容積に入れられる。いくつかの実施態様では、乾燥粉末薬剤は、一方または両方の列の全てのキャビティの容積に入れられる。上述したように、いくつかの実施態様では、第1の薬剤が第1の列602の1つまたは複数のキャビティ内に入れられてもよく、第1の薬剤とは異なる第2の薬剤が第2の列604の1つまたは複数のキャビティ内に入れられてもよい。このようにして、一緒に製剤化および/または保管することができない2つの異なる薬剤を単回用量で使用者に送達することができる。他の実施態様では、単一の薬剤が2つの列の1つまたは複数のキャビティ内に入れられてもよい。
【0055】
いくつかの実施態様では、全てのキャビティが乾燥粉末薬剤で充填されているわけではない。例えば、列の一方または両方のキャビティの一部を空のままにしてもよい。別の例では、キャビティの少なくとも1つは「ダミー」キャビティであってもよく、これは、キャビティ構造が薬剤を収容するための容積を有しないことを意味する。これにより、異なる投与計画を提供することが可能になる。一実施態様では、1つの列のみが任意のキャビティを含むことができる。
【0056】
ステップ508では、キャビティの各対がそれぞれの取り外し可能なシール要素でシールされる。すなわち、単一のシール要素が第1の列からのキャビティおよび第2の列からの対応するキャビティに適用される。シール要素は、それぞれの対の各キャビティの上面に取り付けられるので、それぞれの容積が覆われ、シールされたキャビティが提供される。各シール要素は、図4A~4Eに関連して説明されるようなシール要素404であってもよい。シール要素は、フィルムまたは箔、例えばアルミニウム箔であってもよい。いくつかの実施態様では、シール要素はそれぞれのキャビティにヒートシールされるが、接着、誘導シール、超音波溶接などの当該技術分野で公知の他のシール方法も使用することができる。各々の取り外し可能なシール要素は、図4A~4Eに関連して説明されるように、第1の列と第2の列との間のシール要素の部分に圧力を加えることによってキャビティから剥がされるように構成される。
【0057】
いくつかの実施態様では、キャビティの各対をシールするステップは、シール材料のストリップを各対にシールすることを含む。シール材料のストリップは、上述の技術のいずれかを使用してキャビティに適用することができる。シール材料のストリップは、パッケージの幅よりも長くてもよい。すなわち、各ストリップは、第1の列の外側から第2の列の外側までの距離よりも長い長さを有することができる。図6Bは、このようにキャビティに適用されるシール材料のストリップの形態のシール要素610の例を示す。これらの実施態様では、方法は、次いで、シール材料の各ストリップをパッケージの幅に合わせてトリミングすることを含む。図6Cは、このようにキャビティの幅に合わせてトリミングされたシール要素610の例を示しており、シール要素610の部分612は、第1の列602と第2の列604との間のギャップにまたがっている(図4A~4Eに示される第3の部分406cに相当)。
【0058】
図6Cに示されるように、最終的なパッケージ600は、第1の複数の薬剤キャビティ606aを含む第1の列602と、第1の列602と平行でかつ間隔を置いて配置された第2の複数の薬剤キャビティ606bを含む第2の列604とを備える。第1の列の各キャビティ606aおよび第2の列の対応するキャビティ606bは対を形成する。乾燥粉末薬剤は、少なくとも1つのキャビティ606a~bの容積に入れられる。複数の取り外し可能なシール要素610は、キャビティ606a~bのそれぞれの対の容積608をシールする。各シール要素610は、第1の列602と第2の列604との間のシール要素610の部分612に圧力を加えることによってキャビティ606a~bから剥がされるように構成されている。
【0059】
図7は、乾燥粉末吸入器においてパッケージ600を組み立てる方法700を示すフロー図である。図8A~8Cは、組み立てプロセスの異なる段階でのパッケージを示す。
【0060】
ステップ702では、それぞれの対の各キャビティの容積が互いに向かい合うように、各取り外し可能なシール要素が折り畳まれる。図8Aは、図6Cのそれらの位置に対して90°の角度で配置されたキャビティ606a~bを示す。それぞれの対の各キャビティの上面が互いに向かい合うように、キャビティ606a~bは内側に折り畳まれる。第1の列と第2の列との間のシール要素610の部分612の片面は、吸入器の投与要素118を受け入れるために露出される。図8Aに示されるパッケージ600は、図6Cの配向から反転されていることに留意されたい。
【0061】
ステップ704では、パッケージ600は、吸入器の用量ホイール112上に組み立てられるように環状の形態に巻かれる。図8Bは、吸入器に組み立てられる前の、巻かれたパッケージ600を示す。第1の列602と第2の列604との間のギャップにまたがるシール要素610の各部分612の、投与要素118を受け入れるために露出される側は、投与要素118と相互作用するために内側を向いている。
【0062】
ステップ706では、パッケージ600が吸入器の用量ホイール112上に組み立てられる。特に、基部114がキャビティを互いに一定の距離で環状に保持するように、パッケージを基部114上に組み立てることができる。次いでブラケット116a~bが、両側からパッケージ600に取り付けられる。ブラケット116a~bは、任意の適切な手段、例えばクリップ機構またはスナップ嵌めによってパッケージ600に取り付けることができる。図8Cは、組み立てられる前の用量ホイール112およびパッケージ600の部品を示す。
【0063】
ステップ708では、組み立てられた用量ホイール112が吸入器に設置される。これは、用量ホイール112をプレート126a~bに取り付けることを含み得る。図8Dは、第1のプレート126が設置された用量ホイール112を示す。示されるように、基部114は、歯車機構120、122のためのシャフトを受け入れるための穴を備える。上述されるように、用量ホイール112は、複数の用量送達位置の間で吸入器100の投与要素118に対して回転可能である。これにより、パッケージ600内の異なる対のキャビティ606a~bが、用量送達位置の各々で投与要素118にアクセス可能になる。
【0064】
上述のように、パッケージが用量ホイール112上に組み立てられるとき、少なくとも1対のキャビティ606a~bが用量送達位置にあってもよい。投与要素118は、用量ホイール112内の非作動位置から用量投与位置まで移動することができる。図4A~4Eに関連して説明されるように、投与要素118が用量投与位置にあるときに、用量送達位置におけるキャビティ606a~bの容積608a~bと、吸入器100の出口との間に流体連通が提供されるように、投与要素118は、用量送達位置にある対のキャビティ606a~bから取り外し可能なシール要素610を剥がす。次いで、投与要素118は非作動位置に戻ることができ、用量ホイール112は次の用量送達位置に回転することができ、次の用量の投与の準備が整う。
【0065】
本明細書に開示される乾燥粉末薬剤をパッケージングする方法、およびそのような方法によって製造されるパッケージは、吸入器に組み立てられる前に、直線状の列に多数の容積を充填することを提供する。これにより、複数のキャビティを簡単に充填およびシールすることができるため、それらを組み合わせた用量で提供することができる。
【0066】
図9A~9Iは、投与要素118の代替の配置を概略的に示す。図9A~9Iに示される投与要素118は、図4A~4Eに示される投与要素118とは異なる数および構成の導管を有するが、用量投与位置にあるとき、少なくとも1つの薬剤キャビティと、マウスピースの出口との間に流体連通を依然として提供することができる。図9A~9Iにおいて、点線は特定の特徴の開境界を表し、物理的要素を表すものではない。
【0067】
図9Aは、図4A~4Eに示されるものと同様の投与要素118を概略的に示す。しかしながら、第2の導管410および対応するダクト110は、2つではなく、1つだけ存在する。したがって、両方の薬剤キャビティ402a~bからの乾燥粉末薬剤は、吸入器の出口まで同じ経路をたどる。第2の導管410およびダクト110は、投与要素118の第1の薬剤キャビティ402aと同じ側に示されているが、それらは投与要素118上の任意の適切な位置に存在して、出口との流体連通を提供することができることが理解されるであろう。この配置は、出口への単一の経路のみが提供されるため、投与要素118および吸入器全体に対してより単純な構造を提供することができる。
【0068】
図9Bは、図4A~4Eに示されるものと同様の投与要素118を概略的に示す。しかしながら、分配器902が投与要素118の前部418に取り付けられる。分配器902は、第1の導管408aおよび第2の導管410aを第1の導管408bおよび第2の導管410bから隔離するように機能する。すなわち、各薬剤キャビティ402a~bは、吸入器の出口への独自のそれぞれの経路を有する。この配置により、各薬剤キャビティ402a~b内の薬剤が出口に到達する前に混合されることが低減される。
【0069】
図9Cは、図4A~4Eに示されるものと同様の投与要素118を概略的に示す。しかしながら、第1の導管408は2つではなく、単体で存在する。したがって、単一のキャビティからの乾燥粉末薬剤のみが出口に提供される。同様の効果が、用量送達位置に単一の薬剤キャビティ(または薬剤キャビティの単一の列)のみを有することによって、または一対の単一の薬剤キャビティのみを乾燥粉末薬剤で充填することによって、図4A~4Eに示されるものと同じ投与要素118で提供され得ることが理解されるであろう。
【0070】
図9Dは、図4A~4Eに示されるものと同様の投与要素118を概略的に示す。しかしながら、1つの代わりに2つの第3の導管412a~bが提供される。各々の第3の導管412a~bは、それぞれの第1の導管408a~bと流体連通している。第1の導管408a~bは各々、第2の導管410a~bと流体連通している。各々の第3の導管412a~bはそれぞれの入口108a~bと流体連通していてもよく、または第3の導管412a~bは同じ入口と流体連通していてもよい。これは、キャビティ402a~bから薬剤を同伴するための代替の流動様式を提供することができる。
【0071】
図9Eは、図9Dに示されるものと同様の投与要素118を概略的に示す。しかしながら、2つの第3の導管412a~bは、それぞれの第1の導管408a~bおよびそれぞれの第2の導管410a~bと流体連通している。すなわち、2つの別個の流路が投与要素118内に設けられ、各薬剤キャビティ402a~bはそれ自体のそれぞれの通路を有する。この配置により、各薬剤キャビティ402a~b内の薬剤が出口に到達する前に混合されることが防止される。
【0072】
図9Fは、図9Dに示されるものと同様の投与要素118を概略的に示す。しかしながら、1つのみの第2の導管410および対応するダクト110が存在する。したがって、両方の薬剤キャビティ402a~bからの乾燥粉末薬剤は、吸入器の出口まで同じ経路をたどる。第2の導管410およびダクト110は、投与要素118の第1の薬剤キャビティ402aと同じ側に示されているが、それらは投与要素118上の任意の適切な位置に存在して、出口への流体連通を提供することができることは理解されるであろう。これは、キャビティから薬剤を同伴するための代替の流動様式と、より単純な構造との組み合わせを提供する。
【0073】
図9Gは、図9Aおよび9Cに示されるものと同様の投与要素118を概略的に示す。しかしながら、1つのみの第2の導管410および対応するダクト110、ならびに1つのみの第1の導管408および対応する薬剤キャビティ402が存在する。したがって、単一のキャビティからの乾燥粉末薬剤は、単一の経路を介して出口に提供される。これにより、単一の種類の薬剤のみが必要とされる実施態様に単純な構造が提供される。
【0074】
図9Hは、図9Gに示されるものと同様の投与要素118を概略的に示す。しかしながら、2つの第3の導管412a~bが提供される。各々の第3の導管412a~bは、第1の導管408と流体連通している。したがって、1つの第3の導管412aからの空気は、薬剤キャビティ402から乾燥粉末薬剤を同伴するために使用され、第3の導管412a~bの各々からの空気は、単一の経路を介して乾燥粉末薬剤を出口に輸送するために使用される。これにより、単一の種類の薬剤のみが必要とされる実施態様に単純な構造および代替の流動様式が提供される。
【0075】
図9Iは、図9Hに示されるものと同様の投与要素118を概略的に示す。しかしながら、2つの第1の導管410a~bおよび対応するダクト110a~bが提供される。したがって、第1の導管412aからの空気は、薬剤キャビティ402から乾燥粉末薬剤を同伴するために使用され、第3の導管412a~bの各々からの空気は、2つの流路を介して乾燥粉末薬剤を出口に輸送するために使用される。これにより、単一の種類の薬剤のみが必要とされる実施態様に代替の流動様式が提供される。
【0076】
図9Aから図9Iに示される投与要素118は単なる例であり、当業者であれば、少なくとも1つの薬剤キャビティと、用量投与位置にあるときのマウスピースの出口との間の流体連通を提供する投与要素118を提供するために、異なる部品を追加、除去、または組み合わせることができることを理解するであろう。
【0077】
本明細書に開示される乾燥粉末吸入器は、組み合わせた用量で送達するために2つの薬剤キャビティに同時にアクセスできるようにする用量ホイールおよび投与要素を有する投与機構を提供する。投与要素は、薬剤キャビティにアクセスするための機構、および薬剤を使用者に送達するための機構の両方として機能する。これにより、使用者が吸入する前に、2つの別個の薬剤キャビティからの薬剤を分散させ、適切に混合することが可能になる。この機構により、このような用量を反復可能な方法で送達することができる。この機構は、複数の薬剤の組み合わせた用量を提供するために現在知られている構造よりも単純な構造を有する。
【0078】
本明細書に開示される乾燥粉末薬剤をパッケージングする方法、およびそのような方法によって製造されるパッケージは、吸入器に組み立てられる前に、直線状の列の多数のキャビティを充填することを提供する。これは、複数の薬剤キャビティを容易に充填し、シールするため、それらを組み合わせた用量で提供することができる。
【0079】
本明細書で使用される場合、「備える(comprises)/備えている(comprising)」という用語は、他の要素またはステップの存在を排除するものではない。さらに、個別に列挙されているが、複数の手段、要素、または方法のステップは、例えば、単一のユニットまたはプロセッサによって実装され得る。さらに、個々の特徴が異なる請求項に含まれることもあるが、これらは、場合によっては有利に組み合わされてもよく、異なる請求項に含まれることは、特徴の組み合わせが実現可能ではないこと、および/または有利ではないことを意味しない。さらに、単数形で参照したものは、複数形を除外しない。「1つの(a)」、「1つの(an)」、「第1の」、「第2の」などの用語は、複数を排除するものではない。特許請求の範囲の参照符号は、単に明確な実施例として記載されているにすぎず、特許請求の範囲を何らかの形で限定するものと解釈してはならない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
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図9F
図9G
図9H
図9I
【国際調査報告】