IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボルダー サージカル,リミティド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】電子切断シール器・分割器
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544366
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 US2022014803
(87)【国際公開番号】W WO2022165444
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/144,055
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523276647
【氏名又は名称】ボルダー サージカル,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】デール シュマルツ
(72)【発明者】
【氏名】キア ハート
(72)【発明者】
【氏名】ミャオ ホアン
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー ケネディ
(72)【発明者】
【氏名】ドッジ クラマー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ロス
(72)【発明者】
【氏名】アーレン ウォード
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK19
4C160KK24
4C160KK39
4C160KK63
(57)【要約】
外科手術システムは、シールサイクル中に第1のRF電力信号を送出し、切断サイクル中に第2のRF電力信号を送出するジェネレーターを含む。外科用装置は、ジェネレーターに電気的に結合され、シールサイクル中に顎部間で圧迫された組織の離間した第1および第2の部分を双極シールするように構成された、それぞれ対向する導電性シール面電極を有する第1および第2の顎部を有する。装置は、第1の顎部内に配置された切断電極をさらに含み、切断電極は、顎部が組織を圧迫しているときに、第1の部分と第2の部分との間に位置する組織の第3の部分を押す細長い導電性エッジ面を有し、切断電極は、シールサイクル後に実行される切断サイクル中に組織の3番目の部分を切断する単極電極として機能する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織をシールし切断するための外科用システムであって、前記外科用システムは、
シールサイクル中に第1のRF電力信号を送達することと、切断サイクル中に第2のRF電力信号を送達することを含む高周波(RF)エネルギーを出力するように構成されたジェネレーターと、
前記ジェネレーターの出力に電気的に結合された外科用装置と、を備え、
前記外科用装置は、
細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端部分に結合され、長手方向軸を画定するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、その間に延在し長手方向軸を横切って配置された組織を圧迫するために閉位置で互いに接近するように構成された第1および第2の顎部を備え、前記第1および第2の顎部は、シールサイクル中に第1のRF電力信号がそれぞれのシール面電極を含む回路を通して伝導されるときに、圧迫組織の離間した第1および第2の部分をシールするように構成されたそれぞれ対向する導電性シール面電極を有する、エンドエフェクタと、
前記第1の顎部の内部領域内に配置された切断電極であって、前記切断電極は、長手方向軸と位置合わせされ、細長い導電性エッジ面を有し、前記第1の顎部に対して高さプロファイルを有しており、前記第1および第2の顎部が前記組織を圧迫する閉位置にあるとき、前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面は、離間した第1の部分と第2の部分との間に位置する前記組織の第3の部分を押し付ける、切断電極と、を備え、
前記切断電極は、シールサイクルが完了した後に実行される切断サイクル中に、前記第2のRF電力信号が前記切断電極および前記シール面電極のそれぞれを含む回路を通して伝導されるときに、前記組織の第3の部分を切断するように構成される、外科用システム。
【請求項2】
前記第1のRF電力信号は、55ワット以下のシール電力、2.5アンペアrms以下の電流、および110ボルトrmsの最大電圧を与える、請求項1に記載の外科用システム。
【請求項3】
前記第2のRF電力信号は、80ワット以下の切断電力、2.5アンペアrms以下の電流、および380ボルトrmsの最大電圧を与える、請求項1または2に記載の外科用システム。
【請求項4】
前記ジェネレーターは、各シールサイクルおよび切断サイクル中に前記組織のインピーダンスの変化に応じて電流または電圧を変化させることによって、実質的に一定の出力電力を維持する、請求項1~3のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項5】
前記第1顎部および第2顎部が前記組織を圧迫する閉位置にあるとき、前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面が前記組織の前記第3部分を伸ばす、請求項1~4のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項6】
前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面に対向する前記第2の顎部の内部領域に配置された弾性部材をさらに備え、前記第1および第2の顎部が前記組織を圧迫する閉位置にあるとき、前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面および前記弾性部材は、それらの間の前記第3の部分を圧迫するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項7】
前記弾性部材は、切断サイクル中に前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面に対する前記組織の前記第3の部分の接触を維持するために、前記組織の前記第3の部分を前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面に対して押し戻す復元力を加えるように、前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面に対してバイアスを有する、請求項6に記載の外科用システム。
【請求項8】
前記弾性部材がエラストマーを含む、請求項6または7に記載の外科用システム。
【請求項9】
前記第1および第2の顎部が前記組織を圧迫する閉位置にあるとき、前記エラストマーの一部が変形して、前記第2の顎部によって画定されるエラストマーリザーバとなる、請求項8に記載の外科用システム。
【請求項10】
前記弾性部材が、前記第3の組織部分と接触する非導電性支持面を備える、請求項6~9のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項11】
前記切断電極は、切断サイクル中に前記細長い導電性エッジ面に沿って電流集中を均一に分布させるように形作られ構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項12】
前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面は、凸状の丸い断面プロファイルを有する、請求項11に記載の外科用システム。
【請求項13】
前記切断電極とともに前記切断サイクル回路を形成する前記シール面電極はそれぞれ、シール面プロファイルを備え、前記シール面プロファイルは、組織圧迫部分と第1の丸いエッジ部分とを有し、前記第1の丸いエッジ部分は、前記切断サイクル中の電流集中を最小限に抑えるように構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項14】
前記第1および第2の顎部の前記導電性シール面電極はそれぞれ、シールサイクル中に前記組織の各第1および第2の部分に双極効果を与える、請求項1~13のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項15】
前記切断電極とともに前記切断サイクル回路を形成する前記シール面電極はそれぞれ、分散電極として機能して、前記切断電極が前記切断サイクル中に前記組織の前記第3の部分に単極効果を与える、請求項1~14のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項16】
前記第1の顎部の内部領域が、前記切断電極に隣接して配置された少なくとも1つの組織リザーバを画定し、前記組織リザーバは、前記第1および第2の顎部が前記閉位置において前記組織を圧迫しているときに、脱出した組織を受け入れるように構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの組織リザーバが、前記切断電極の第1の側に隣接して配置された第1の組織リザーバと、前記切断電極の前記第1の側とは反対側の第2の側に隣接して配置された第2の組織リザーバとを備える、請求項16に記載の外科用システム。
【請求項18】
前記第1および第2の顎部が前記閉位置にあるとき、前記エンドエフェクタの包絡線直径が8ミリメートル以下である、請求項1~17のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項19】
前記切断サイクルの持続時間は1.5秒以下である、請求項1~18のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項20】
前記ジェネレーターは、シールサイクル中の前記第1および第2の組織のインピーダンスの変化に応答して、前記第1のRF信号の電流および電圧の一方または両方を所定の最大シール電流まで変化させるように構成されており、
前記ジェネレーターは、切断サイクル中の組織の第3の部分のインピーダンスの変化に応答して、所定の最大切断電流まで第2のRF信号の電流および電圧の一方または両方を変化させるように構成されている、請求項1~19のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項21】
前記第1のRF電力信号は、前記シールサイクル中に実質的に一定の電力に維持され、前記第2のRF電力信号は、前記切断サイクル中に実質的に一定の電力に維持される、請求項1~20のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項22】
前記第2のRF電力信号の前記実質的に一定の電力レベルは、前記第1のRF電力信号の前記実質的に一定の電力レベルよりも大きい、請求項21に記載の外科用システム。
【請求項23】
前記組織は血管を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の外科用システム。
【請求項24】
組織を密封し、切断するための外科的方法であって、
外科用装置の第1の顎部と第2の顎部の間に配置された組織を圧迫することであって、前記第1の顎部と前記第2の顎部は、圧迫された組織の離間した第1の部分と第2の部分をシールするように構成された対向する導電性シール面電極をそれぞれ有し、前記外科用装置は、前記第1の顎部の内部領域内に配置された切断電極をさらに備え、前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置された圧迫された前記組織の第3の部分が前記切断電極の導電性エッジ面にわたって伸ばされる、組織を圧迫することと、
それぞれのシール面電極を含む回路を通じて第1のRF電力信号を送達し、それによって、前記第3の組織部分をシールすることなく、前記第1および第2の組織部分をシールすることと、
前記第1および第2の組織部分をシールすることの後、前記切断電極および前記シール面電極のそれぞれを含む回路を通じて、前記第2のRF電力信号を送達し、それによって前記第3の組織部分を切断することと、を含む、外科的方法。
【請求項25】
前記第1のRF電力信号は、前記第1および第3の組織部分をシールしている間、実質的に一定の電力に維持され、前記第2のRF電力信号は、前記第3の組織部分を切断している間、実質的に一定の電力に維持される、請求項24に記載の外科的方法。
【請求項26】
前記第2のRF電力信号の実質的に一定の電力レベルが、前記第1のRF電力信号の実質的に一定の電力レベルよりも大きい、請求項25に記載の外科的方法。
【請求項27】
前記第1のRF電力信号が、2.5アンペアrms以下の電流、最大電圧110ボルトrmsで、55ワット以下のシール電力を与える、請求項24~26のいずれか一項に記載の外科的方法。
【請求項28】
前記第2のRF電力信号は、80ワット以下の切断電力、2.5アンペアrms以下の電流、および380ボルトrmsの最大電圧を与える、請求項24~27のいずれか一項に記載の外科的方法。
【請求項29】
前記第1および第2の顎部の前記導電性シール面電極はそれぞれ、前記第1のRF電力信号の送達中に前記組織の前記第1および第2の部分のそれぞれに双極効果を与える、請求項24~28のいずれか一項に記載の外科的方法。
【請求項30】
前記切断電極と、前記切断電極とともに前記切断サイクル回路を形成する前記シール面電極のそれぞれとは、分散電極として機能して、前記切断電極が、前記第2のRF電力信号の送達中に前記組織の第3の部分に単極効果を与える、請求項24~29のいずれか一項に記載の外科的方法。
【請求項31】
前記第2のRF電力信号が1.5秒以内の間送達される、請求項24~30のいずれか一項に記載の外科的方法。
【請求項32】
前記第1のRF電力信号の送達中に、前記第1の組織部分および前記第2の組織部分のインピーダンスの変化に応答して、前記第1のRF信号の電流および電圧の一方または両方を所定の最大シール電流まで上昇させることができる、請求項24~31のいずれか一項に記載の外科的方法。
【請求項33】
前記第2のRF電力信号の送達中に前記第3の組織部分のインピーダンスの変化に応答して、前記第2のRF信号の電流および電圧の一方または両方を所定の最大切断電流まで上昇させることができる、請求項24~32のいずれか一項に記載の外科的方法。
【請求項34】
前記外科用装置は、前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面に対向する第2の顎部の内部領域に配置された弾性部材をさらに備え、第1および第2の顎部が前記組織を圧迫するときに、前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面が前記組織の第3の部分を前記弾性部材に押し込む、請求項24~33のいずれか一項に記載の外科的方法。
【請求項35】
前記弾性部材は、前記第2のRF電力信号の送達中に、前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面に対する前記組織の第3の部分の接触を維持するために、前記組織の前記第3の部分を前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面に対して押し戻す復元力を加えるように、前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面に対してバイアスを有する、請求項34に記載の外科的方法。
【請求項36】
前記弾性部材がエラストマーを含む、請求項34または35の外科的方法。
【請求項37】
前記第1および第2の顎部が前記組織を圧迫しているとき、前記エラストマーの一部が変形して、前記第2の顎部によって画定されるエラストマーリザーバとなる、請求項36に記載の外科的方法。
【請求項38】
前記切断電極は、前記第2のRF電力信号の送達中に、前記細長い導電性エッジ面に沿って電流集中を均一に分布させるように形作られ構成される、請求項24~37のいずれか一項に記載の外科的方法。
【請求項39】
前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面は、凸状の丸い断面プロファイルを有する、請求項38に記載の外科的方法。
【請求項40】
前記第2のRF電力信号の送達中に前記切断電極と前記回路を形成する前記シール面電極がそれぞれ、シール面プロファイルを備え、前記シール面プロファイルが組織圧迫部分と、第1の丸いエッジ部分とを有し、前記第1の丸いエッジ部分は、第2のRF電力信号の送達中の電流集中を最小限に抑えるように構成される、請求項24~39のいずれか一項に記載の外科的方法。
【請求項41】
前記組織が血管を含む、請求項24~40のいずれか一項に記載の外科的方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、米国特許法第119条に基づき、2021年2月1日に出願された米国仮出願第63/144,055号の優先権を主張するものであり、その開示全体が参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、外科用器具に関する。具体的には、本発明を限定することを意図するものではないが、本発明の実施形態は、組織をシールし分割するための外科用器具に関する。
【発明の概要】
【0003】
過去20年以上にわたり、医療機器業界は、血管を含む組織をシールし分割するための信頼できる手段を提供することに努めてきた。場合によっては、外科医がシール器と切断装置を繰り返し切り替える必要がある管シール器が提供されている。この方法では、外科医はまず内腔などからシール器をその領域に挿入して組織をシールし、次にデバイスを取り外し、その後切断デバイスを再び挿入する必要がある。この方法では外科手術の時間がかかるため、単一のデバイスでシール機能と分割機能を提供することが望ましい。他のものでは複数のアクティベーション手順が必要となり、エラーのリスクが高まる。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一部の器具は、機械的(ナイフ)切断機構と組み合わせて管シール器を提供する。他のデバイスは、ハーモニックシールおよび切断操作を提供するが、これも機械エネルギーを使用する。業界は長年にわたり、電子(高周波エネルギーなど)切断機能を備えた血管シール器を提供しようと試みてきたが、大きな成功は得られていない。
【0005】
本発明の一実施形態では、組織をシールし切断するための外科用システムが開示される。このシステムは、出力するように構成されたジェネレーターを備える。シールサイクル中に第1のRF電力信号を送達すること、および切断サイクル中に第2のRF電力信号を送達することを含む、高周波(RF)エネルギーを出力するように構成されたジェネレーターと、ジェネレーター出力に電気的に結合された外科用装置とを備える。該装置は細長いシャフトと、前記細長いシャフトの遠位端部分に結合され、長手方向軸を画定するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、その間に延在し長手方向軸を横切って配置された組織を圧迫するために閉位置で互いに接近するように構成された第1および第2の顎部を備え、前記第1および第2の顎部は、シールサイクル中に第1のRF電力信号がそれぞれのシール面電極を含む回路を通して伝導されるときに、圧迫組織の離間した第1および第2の部分をシールするように構成されたそれぞれ対向する導電性シール面電極を有する、エンドエフェクタと、前記第1の顎部の内部領域内に配置された切断電極であって、前記切断電極は、長手方向軸と位置合わせされ、細長い導電性エッジ面を有し、前記第1の顎部に対して高さプロファイルを有しており、前記第1および第2の顎部が前記組織を圧迫する閉位置にあるとき、前記切断電極の前記細長い導電性エッジ面は、離間した第1の部分と第2の部分との間に位置する前記組織の第3の部分を押し付ける、切断電極と、を備える。前記切断電極は、シールサイクルが完了した後に実行される切断サイクル中に、前記第2のRF電力信号が前記切断電極および前記シール面電極のそれぞれを含む回路を通して伝導されるときに、前記組織の第3の部分を切断するように構成される。
【0006】
任意選択で、外科用システムの第1のRF電力信号は、2.5アンペアrms以下の電流、および110ボルトrmsの最大電圧で、55ワット以下のシール電力を与える。任意選択で、外科用システムの第2のRF電力信号は、2.5アンペアrms以下の電流および380ボルトrmsの最大電圧で、80ワット以下の切断電力を与える。
【0007】
外科用システムの様々な実施形態において、ジェネレーターは、それぞれのシールサイクルおよび切断サイクル中に組織のインピーダンスの変化に応じて電流または電圧を変化させることによって、実質的に一定の出力電力を維持する。
【0008】
外科用システムのいくつかの実施形態では、第1および第2の顎部が組織を圧迫する閉位置にあるとき、切断電極の細長い導電性エッジ面が組織の第3の部分を伸ばす。
【0009】
いくつかの実施形態では、外科用システムは、切断電極の細長い導電性エッジ面に対向する第2の顎部の内部領域に配置された弾性部材をさらに備え、第1および第2の顎部が組織を圧迫する閉位置にあるとき、細長い部材は、切断電極の導電性エッジ面と弾性部材は、それらの間で第3の部分を圧迫するように構成される。任意選択で、弾性部材は、組織の第3の部分を切断電極の細長い導電性エッジ面に押し付けて、組織の接触を維持する復元力を加えるように、切断電極の細長い導電性エッジ面に対してバイアスを有する。切断サイクル中に、組織の第3の部分が切断電極の細長い導電性エッジ面に接触する。任意選択で、弾性部材はエラストマーを含む。いくつかの実施形態では、第1および第2の顎部が組織を圧迫する閉位置にあるとき、エラストマーの一部が変形して、第2の顎部によって画定されるエラストマーリザーバとなる。
【0010】
いくつかの実施形態では、切断電極は、切断サイクル中に細長い導電性エッジ面に沿って電流集中を均一に分布させるように形作られ構成されている。任意選択で、切断電極の細長い導電性エッジ面は、凸状の丸い断面プロファイルを有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、切断電極とともに切断サイクル回路を形成するそれぞれのシール面電極はシール面プロファイルを備え、シール面プロファイルは組織圧迫部分と第1の丸いエッジ部分を有し、第1の丸いエッジ部分は切断サイクル中の電流集中を最小化するように構成されている。14.任意選択で、第1および第2の顎部のそれぞれの導電性シール面電極は、シールサイクル中に組織のそれぞれの第1および第2の部分に双極効果を与える。任意選択で、切断電極とともに切断サイクル回路を形成するそれぞれのシール面電極は、切断電極が切断サイクル中に組織の第3の部分に単極効果を与えるように分散電極として機能する。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の顎部の内部領域は、切断電極に隣接して配置された少なくとも1つの組織リザーバを画定し、組織リザーバは、第1および第2の顎部が、組織を圧迫する閉じた位置にあるときに脱出した組織を受け入れるように構成されている。任意選択で、少なくとも1つの組織リザーバは、切断電極の第1の側に隣接して配置される第1の組織リザーバと、切断電極の第1の側とは反対側の第2の側に隣接して配置される第2の組織リザーバとを備える。
【0013】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、第1および第2の顎部が閉位置にあるとき、8ミリメートル以下の包絡線直径を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、切断サイクルの継続時間は1.5秒以下である。
【0015】
様々な実施形態において、ジェネレーターは、シールサイクル中の第1および第2の組織部分のインピーダンスの変化に応じて、第1のRF信号の電流および電圧の一方または両方を所定の最大シール電流まで変化させるように構成され、ジェネレーターは、切断サイクル中の組織の第3の部分のインピーダンスの変化に応じて、第2のRF信号の電流および電圧の一方または両方を所定の最大切断電流まで変化させるように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1のRF電力信号はシールサイクル中に実質的に一定の電力に維持され、第2のRF電力信号は切断サイクル中に実質的に一定の電力に維持される。第2のRF電力信号の実質的に一定の電力レベルは、第1のRF電力信号の実質的に一定の電力レベルよりも大きい。
【0017】
いくつかの実施形態では、組織は血管を含む。
【0018】
本発明の別の実施形態では、組織をシールし、切断するための外科的方法は、外科用装置の第1の顎部と第2の顎部との間に配置された組織を圧迫することを含み、第1の顎部と第2の顎部は、離間した第1の部分と第2の部分をシールするように構成されたそれぞれ対向する導電性シール面電極を有する。外科用装置は、第1の顎部の内部領域内に配置された切断電極をさらに備え、第1の部分と第2の部分との間に配置された圧迫組織の第3の部分が切断電極の導電性エッジ面にわたって伸ばされ、それぞれのシール面電極を含む回路を通じて第1のRF電力信号を送達し、それにより、第3の組織部分をシールすることなく、第1および第2の組織部分をシールする。第1および第2の組織部分をシールした後、切断電極およびシール面電極のそれぞれを含む回路を通じて第2のRF電力信号を送達し、それによって第3の組織部分を切断するステップと、を含む。
【0019】
外科的方法のいくつかの実施形態では、第1のRF電力信号は、第1および第3の組織部分をシールしている間、実質的に一定の電力に維持され、第2のRF電力信号は、第3の組織部分を切断している間、実質的に一定の電力に維持される。任意選択で、第2のRF電力信号の実質的に一定の電力レベルは、第1のRF電力信号の実質的に一定の電力レベルよりも大きい。任意選択で、第1のRF電力信号は、55ワット以下のシール電力、2.5アンペアrms以下の電流、および110ボルトrmsの最大電圧を与える。
【0020】
外科的方法のいくつかの実施形態では、第2のRF電力信号は、2.5アンペアrms以下の電流および380ボルトrmsの最大電圧で、80ワット以下の切断電力を与える。任意選択で、第2のRF電力信号は、1.5秒以内の間送達される。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1および第2の顎部のそれぞれの導電性シール面電極は、第1のRF電力信号の送達中に組織のそれぞれの第1および第2の部分に双極効果を与える。
【0022】
外科的方法のいくつかの実施形態では、切断電極と、切断電極とともに切断サイクル回路を形成するそれぞれのシール面電極は、第2のRF電力信号の送信中に切断電極が組織の第3の部分に単極効果を与えるように分散電極として機能する。
【0023】
外科的方法のいくつかの実施形態では、第1のRF信号の電流および電圧の一方または両方は、第1のRF信号の送信中に第1および第2の組織部分のインピーダンスの変化に応答して、所定の最大シール電流まで上昇することが可能になる。
【0024】
外科的方法のいくつかの実施形態では、第2のRF信号の電流および電圧の一方または両方は、第2のRF電力信号の送信中に第3の組織部分のインピーダンスの変化に応答して、所定の最大切断電流まで変動することが可能になる。
【0025】
外科的方法のいくつかの実施形態では、外科用装置は、切断電極の細長い導電性エッジ面が第3の顎部を押すように、切断電極の細長い導電性エッジ面と対向する第2の顎部の内部領域に配置された弾性部材をさらに備える。第1および第2の顎部が組織を圧迫するときに、組織の一部が弾性部材内に入る。
【0026】
外科的方法のいくつかの実施形態では、弾性部材は、切断電極の細長い導電性エッジ面に対して組織の第3の部分を押し戻す復元力を加えるように、切断電極の細長い導電性エッジ面に対してバイアスを有する。第2のRF電力信号の送達中に、切断電極の細長い導電性エッジ面に対する組織の第3の部分の接触を維持するためである。任意選択で、弾性部材はエラストマーを含む。任意選択で、第1および第2の顎部が組織を圧迫しているとき、エラストマーの一部が変形して、第2の顎部によって画定されるエラストマーリザーバになる。
【0027】
外科的方法のいくつかの実施形態では、切断電極は、第2のRF電力信号の送達中に細長い導電性エッジ面に沿って電流集中を均一に分布させるように形作られ構成される。任意選択で、切断電極の細長い導電性エッジ面は、凸状の丸い断面プロファイルを有する。
【0028】
外科的方法のいくつかの実施形態では、第2のRF電力信号の送達中に切断電極と回路を形成するそれぞれのシール面電極は、シール面プロファイルを備え、シール面プロファイルは、組織圧迫部分と第1の丸いエッジ部分とを有する。第1の丸いエッジ部分は、第2のRF電力信号の送達中の電流集中を最小限に抑えるように構成される。外科的方法のいくつかの実施形態では、組織は血管を含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の実施形態による医療システムの斜視図である。
図2図2は、図1のシステムの端部の側面図である。
図3図3は、図1のシステムの端部の斜視図である。
図4図4は、図3のシステムの端部構成要素の断面図である。
図5A-5B】図5A~5Bは、医療装置の第1顎部の実施形態の構成要素の断面図である。
図5C-5D】図5C~5Dは、医療装置の第1顎部の代替実施形態の構成要素の断面図である。
図6A-6B】図6A~6Bは、図4に示される装置の第2顎部の構成要素の断面図である。
図6C図6Cは、医療装置の第2顎部の代替実施形態の構成要素の断面図である。
図7図7は、図1図6Cの装置の組織への影響を示す断面図である。。
図8A-8B】図8A~8Bは、切断電極と電流集中を比較した断面図である。
図9図9は、図1図6Cのシステムの使用方法のフローチャートである。
図10図10は、図1図6Cのシステムの代替使用方法のフローチャートである。
図11A-11E】図11A~11Eは、図1図8Aのシステムの代替実施形態の断面図である。
図12図12は、本発明の実施形態による、例示的なシールサイクルの図である。
図13図13は、本発明の実施形態による2つの例示的な切断サイクルの図である。
図14図14は、図13の切断サイクルの詳細な拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に定義される用語については、特許請求の範囲または本明細書の他の場所で異なる定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
【0031】
本明細書では、明示的に示されているかどうかにかかわらず、すべての数値は「約」(about)という用語によって修飾されているものとみなされる。「約」という用語は、一般に、当業者が記載された値と同等であると考える(すなわち、同じ機能または結果を有する)数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に四捨五入された数値が含まれる場合がある。
【0032】
エンドポイントによる数値範囲の記載には、その範囲内のすべての数値が含まれる(たとえば、1から5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5が含まれる。)。
【0033】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「または」という用語は、内容が明確に別段の指示をしない限り、一般に「および/または」を含む意味で使用される。
【0034】
以下、図面を参照して様々な実施形態について説明する。図は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、選択された要素の相対的な縮尺は明確にするために誇張されている可能性があり、同様の構造または機能の要素は図面全体を通じて同様の参照番号で表されている。また、図面は、実施形態の説明を容易にすることだけを意図しており、本発明の網羅的な説明、または添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ定義される本発明の範囲の制限を意図したものではないことも理解されたい。さらに、図示された実施形態は、図示されたすべての態様または利点を有する必要はない。特定の実施形態に関連して説明される態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されるわけではなく、たとえ示されていなくても、他の実施形態でも実施することができる。
【0035】
本明細書に開示される発明および実施形態のより詳細な説明を提供する前に、信頼性の高い組織シール器・分割器を提供しようとするときに直面する課題のいくつかを説明することが便宜である。
【0036】
最初の課題は、信頼性が高く安全な組織シールを提供し、医療機器業界の偏見に対処することである。長年にわたり、組織をシールするには、多くの場合100ワット以上の電力が必要であると考えられてきた。このような高出力では、従来のデバイスには、組織の焦げを防止したり、熱の拡散や隣接する組織への損傷を防止したりするための無数の安全機能を組み込む必要があった。一部のデバイスは、デバイスのオンとオフを急速に切り替えることによってこれを行っていた。例えば、2001年5月8日にGinesに発行された米国特許第6,228,080号を参照すると、これは、治療中の組織近くの熱の蓄積によって引き起こされる組織壊死を防ぐために組織への電力印加を繰り返す方法を開示する。しかしながら、電源の再投入には独自の副作用があり、その1つは、プログラミング、電源および関連するハードウェアに負荷がかかることである。出願人は、本出願人が保有する2019年1月1日に発行された米国特許第10,166,064号および関連出願、ならびに共有の2019年7月9日に発行された米国特許第10,342,599号に開示されているような低電力組織シール装置を提供することにより、血管シールにおけるこれらおよびその他の問題を克服した。これら特許の全ての開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
2番目の問題は、組織をシールした後、組織を分離するために安全で信頼性の高い切断を提供することである。歴史的には、外科医は組織シール装置をシールした後に患者から取り外し、次に切断装置を挿入していた。これは煩雑であり、手術時間が延長されていた。手術時間を短縮するために、機械的仕切りを備えた管シール器が開発された。これらのデバイスは通常、シールされた組織にナイフを移動させて組織を分割することによって機能する。1つの例示的な装置は、共有の2020年9月8日に発行された米国特許第10,765,471号および関連出願に示され、説明されている。これらの開示全体を参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、このような装置では、ナイフが顎部を通過しなければならないため、シール面の形状や顎部の操作の柔軟性が制限される。たとえば、これらの装置は、関節装置および/またはカテーテル設定での使用が防止または制限される。
【0038】
一般に、外科医による単一動作に応答して2つの機能を実行する単一動作装置を提供するなどして、外科医が装置を操作しなければならない回数を制限することが望ましい。しかし、ナイフベースの切断システムでは、単一アクション操作では、外科医がシール動作と切断動作の間に手を動かす危険性が生じる可能性がある。一方、自動ナイフ作動には、顎部が閉じていないときにナイフが作動するという固有のリスクがあり、可動ナイフが組織や顎部に引っかかる可能性もあり、除去するには複雑なプロセスが必要である。したがって、本質的に「単一動作」(single action)であり、かつ上記の問題を克服する装置を提供することが望ましい。
【0039】
これらの問題を克服するために、多数の企業が、オリンパスが販売するPKSTMOMNI(商標)装置など、業界で電子切断装置として知られているものの開発を試みてきた(例えば、www.olympusamerica.comを参照)。PKS(商標)OMNI(商標)デバイスは、関連するG400(商標)ジェネレーターとともに、サイクル方式で高出力を印加して顎部間の組織をシールする。
【0040】
しかし、現在市場で入手可能な既知のデバイスのどれも、100%の切断性能を主張できるものではない。その代わりに、この装置は通常、切断する予定の組織の「大部分」のみを切断するが、業界で「タグ」として知られているものが残り、外科医が個別に切断する必要があるため、「単一動作」装置の目的が無効になる。
【0041】
出願人は、本明細書に記載の実施形態をテストし、本明細書に記載の実施形態が、可能な最高のベンチマークである100%の切断性能を達成することを確認した。この100%切断性能は、低い熱拡散と組み合わされており、出願人は、これにより、より強力なシールと改善された患者転帰の両方を提供することを証明した。
【0042】
本発明の実施形態は、他の新規で有用な特徴を提供しながら、上述の問題を克服する。
【0043】
図1は、開示された発明の実施形態による医療システム500の斜視図である。システム500は、近位部分101、本体部分103、および遠位部分107を有するデバイス100を含む。装置の近位部分101は、ハンドル、腹腔鏡システム、外科用ロボットシステムなどのアクチュエータ300に結合されるように構成される。医療器具100の本体部分103は、内側管状部材111と外側管状部材113とを備え、内側管状部材111は、外側管状部材113に対して並進するように構成される。医療装置100の遠位部分107は、第1の顎部102および第2の顎部104を有するエンドエフェクタ105を備える。アクチュエータ300は、医療装置100を作動させ、物理的な動き(例えば顎部102、104の開閉)を制御し、エンドエフェクタ105を患者の組織に係合させ、エンドエフェクタ105を電気的に係合させて組織をシールし分割するように構成される。1つまたは複数の電線320が、高周波ジェネレーターなどの電源350からアクチュエータ300を通ってアクチュエータ300まで延びている。エンドエフェクタ105;電線320は、エネルギーをエンドエフェクタ105に送達するように構成されている。代替の実施形態では、電線はアクチュエータ300からエンドエフェクタ105まで延びており、医療装置100の電源350への接続は無線である。送達されるエネルギーは、高周波(RF)エネルギー、または組織をシールおよび切断するための他の適切なエネルギーであってもよい。
【0044】
アクチュエータ300によって作動されると、ばね制限されたシール力を及ぼすように構成されたスプリングカートリッジ115(または他の適切なシール機構)を含み、それによって、ばねを圧迫し、内側管状部材111を近位に移動させる(例えば、引っ張る)。医療装置100の内側管状部材111は、外側管状部材113のスロット109内に摺動可能に配置されたボルトまたはカムピン119を備える(図1~2B)。カムピン119は、内側管状部材111に固定的に取り付けられており、内側管状部材111が外側管状部材113に対して長手方向に並進するときに、エンドエフェクタ105に力を伝達するように構成されており、閉じ(図2A)または開く(図2A)ことができる。顎部102および104の図2B)。外側管状部材113のスロット109は、外側管状部材113に力を伝達することなく、内側管状部材111のカムピン119の移動を可能にするように構成される。医療器具100の外側管状部材113のスロット109は、顎部102および104の望ましくない動き(例えば、回転)を最小限に抑えるかまたは回避する。医療器具100の遠位部分107は、顎部102と顎部104との間に配置されたピボットピン117をさらに備える。ピボットピン117は、顎部102および104の支持面として、またエンドエフェクタ105の構成要素の位置合わせとして機能するように構成されている。
【0045】
さらなる例として、図2A図2Bは、それぞれ閉じた構成および開いた構成の顎部102および104を有する、システム500の医療装置100のエンドエフェクタ105を示す。図2Aに示されるように、カムピン119は、外側管状部材113のスロット109内に摺動可能に配置され、顎部102および104が閉鎖構成にあるときに近接して配置される。図2Bは、顎部102および104が開いた構成にあるときに、カムピン119が外側管状部材113のスロット109内に遠位に位置することを示す。両方の顎部102および104は、互いに対して移動して、医療装置100のエンドエフェクタ105の開いた構成を形成する。開いた構成では、顎部102および104は互いに分離するように構成されている。20度から100度の範囲。図2Bは、顎部102と顎部104との間の角度θが約25°である例示的な開いた構成を示す。いくつかの実施形態では、顎部102と顎部104との間の角度Qは約60°である(図示せず)。いくつかの実施形態では、それぞれの顎部102および104の長さは、15~23ミリメートルの範囲であり、この長さは、ピボットピン117から各顎部の遠位端までの長さである(例えば、非外傷性遠位端部分162および164は図3によく示されている。)。いくつかの実施形態では、顎部102および104の開いた構成は、長さ14~23ミリメートルの作動範囲を有する。ここで、作動範囲は、開いた構成における各顎部の遠位端間の長さ(例えば、図3の遠位端部分162と164の間の距離)である。代替実施形態では、一方の顎部のみが他方の顎部に対して移動する(図示せず)。さらに、図2A~Bは、導電性コア部材114、118を示し、図2Bは切断電極106を示しており、これについては以下でさらに詳細に説明する。
【0046】
図3は、開いた構成にあるシステム500の医療装置100のエンドエフェクタ105の斜視図を示す。顎部102および104は、実質的に細長い真っ直ぐな構成を備え、それにより、第1の顎部102は、長手方向軸152に沿って延びる。顎部102および104は、それぞれ、湾曲した、丸い、および/または非外傷性の遠位端部分162および164をさらに備える。代替実施形態では、顎部102および104は、メリーランド型曲線などの細長い湾曲構成(図示せず)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、顎部102および104は、医療装置100内の可撓性シャフト(図示せず)に結合される。
【0047】
顎部102および104はそれぞれ導電性コア部材114および118を備え、これらはエンドエフェクタ105への導電性経路を提供するように構成されている。導電性コア部材114および118は、ステンレス鋼または他の適切な導電性材料で構成される。導電性コア部材114は顎部102のシール面130を構成し、導電性コア部材118は顎部104のシール面132を構成する。シール面130および132は、図3に示すように、それぞれの顎部102および104の周囲に沿って、顎部の湾曲した遠位端部分162および164に沿って、配置される。シール面130および132は、装置100のエンドエフェクタ105が閉鎖構成にある場合などに、組織に接触してシールするように構成される。第1の顎部102はさらに、図4、5A、5Cからよく理解されるように、配置された絶縁要素112を備える。導電性コア部材114の周囲に配置され、シール面130を除いて導電性コア部材114を覆う絶縁部材112を備える。第2の顎部104はさらに、図4、6A、6Cからよく理解されるように、導電性コア部材118の周囲に配置され、シール面132を除いて導電性コア部材118を覆う絶縁要素120を備える。シール面130および132は、(例えば、絶縁なしで)露出されて、導電性経路(例えば、双極)を提供し、シール面130と132との間に配置された組織をシールする。シール面130は、当業者に公知の方法で、シール面130とシール面132との間の直接接触を防止してショートを回避するために、セラミックまたは任意の他の適切な非導電性材料で構成される1つまたは複数の非導電性停止部材116を含む。いくつかの実施形態では、シール面132は、1つまたは複数の非導電性停止部材116を含むこともできる。
【0048】
第1の顎部102はさらに、切断電極106および少なくとも1つの組織リザーバ124を備える。図3に示されるように、切断電極106は、組織リザーバ124内に配置され、第1の顎部102の長手方向軸152に沿って延びる細長い刃状構成を備える。切断電極106は、細長いプロファイルまたはエッジ134を含み、エッジ134は、実質的に湾曲しているか、丸みを帯びているか、または任意の他の適切な構成である。切断電極106の湾曲したエッジ134は、比較的大きな切断表面積と組織切断のためのより均一な電流密度を提供するのに望ましい(図5Bおよび8A)。図5Bに示されるように、切断電極106は、エッジ134を除いて、コーティングまたは絶縁体などの非導電性材料136を含む。切断電極106の導電性エッジ134は、以下でさらに詳細に説明するように、組織切断のために均一な電流密度を提供するように構成されている。
【0049】
細長い切断電極106は、0.25から1.50ミリメートルの範囲の幅を有し、エッジ134の近く、隣接する、または接触している組織を切断するために電流を集中させるのに十分狭いが、切断サイクルの前に顎部102と顎部104との間で圧迫されたときに不注意による組織の機械的切断を防止するのに十分な幅を有する。切断電極106はさらに、エンドエフェクタ105の使用中(例えばシールおよび切断サイクル)、切断電極106および/またはエッジ134の変形を回避または最小限に抑えるように構成される。細長い切断電極106は、第1の顎部102内に固定して配置される。細長い切断電極106は、エッジ部分134がシール面130および停止部材116のプロファイルの上に配置されるか、またはそれを越えて延びる高さプロファイルを備える(図3~5A、5C、7および11A~E)。任意選択で、当業者であれば、移動切断電極(例えば、スライド可能に配置される)がいくつかの用途に適している可能性があることも認識するであろう。
【0050】
いくつかの実施形態では、組織リザーバ124は、切断電極106の長さに沿って両側に配置される(図3~5A、5C、7、および11A~E)。組織リザーバ124は、エンドエフェクタ105の閉鎖構成中、および/または切断(例えば、切断サイクル)中に、変位または脱出した組織を受け入れるように構成されている。組織リザーバ124はさらに、組織が組織リザーバ124に移動されるように、顎部102と顎部104との間で組織が掴まれ、保持され、および/または保持されるときに、エンドエフェクタ105がその閉鎖構成を取得および/または維持できるように構成される。これについては図7でさらに説明する。組織リザーバ124はまた、シール面130と132の間の組織に対する圧迫を強化するようにさらに構成されている。
【0051】
エンドエフェクタ105の第2の顎部104は、間に弾性部材110を有する細長いキャビティ(図6Aおよび6Cの要素121)を備える。弾性部材110は、エラストマー、またはゴムのような弾性特性を有する任意の他の適切なポリマー材料(例えば、シリコーン、フルオロエラストマー、ポリウレタン、発泡体など)を含む。弾性部材110は、図3に示す非導電性支持面108を形成する。ここで、支持面108は、第1の顎部102内の切断電極106に接触する、および/またはその間に配置された組織に接触するように構成される。いくつかの実施形態では、非導電性支持面108は、弾性部材110上のコーティングとして、または弾性部材110とは異なる材料として形成され得る。非導電性支持面108および/または弾性部材110は、切断電極106および/または組織がそれらに押し付けられたとき(例えば、閉じた構成のエンドエフェクタ105)に変形するなど、弾性特性、変形力および復元力を有する。さらに、非導電性支持面108および/または弾性部材110は、切断電極106の導電性エッジ134に対して組織に復元力(例えば、押す、バネ状)を及ぼすことにより、エンドエフェクタ105が閉構成にあるとき、電子切断(例えば、切断サイクル)のための切断電極106に対する組織の均一な接触を維持するように構成される。
【0052】
いくつかの実施形態では、非導電性支持面108および/または弾性部材110は、例えば切断サイクル(図示せず)を適用する前に、顎部102の組織リザーバ124内で(部分的または実質的に)延在、占有、または移動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、非導電性支持面108および/または弾性部材110は、組織シール中に譲歩し、組織切断中に押し戻されて、切断される組織に対する効果的または十分な圧力を維持するように構成される。いくつかの実施形態では、非導電性支持面108および/または弾性部材110は、予め負荷がかかった構成で提供される(つまり、エラストマーは、把持中に組織に即座に反応して組織をリザーバ124内に押し込むようにシール面132の上部と面一であってもよい)。代替実施形態では、弾性部材110は、バネ(図示せず)によって支持された比較的硬いプレートを含むことができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、非導電性支持面108および/または弾性部材110のデュロメータは、組織が切断されるとき、および/または様々な厚さを示すときに、組織と切断電極106との接触を維持するように選択され得る。いくつかの実施形態では、顎部102、104の閉鎖を阻害しないようにデュロメータを選択することができる。いくつかの実施形態では、非導電性支持面108および/または弾性部材110は、最大40のショアAデュロメータを有し得る。いくつかの実施形態では、ショアAデュロメータは20より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、デュロメータは、顎部を離すように付勢することなく、切断サイクル中に組織と切断電極106との接触を維持するように選択され得る。
【0054】
図4は、図2Aの閉構成にあるシステム500の医療装置100のエンドエフェクタ105の断面図を示す。エンドエフェクタ105は、第1の顎部102および第2の顎部104を含む一対の顎部を備える。顎部102および104は、顎部102および104の間で組織を掴む、保持および/または保持するように互いに接近し、組織(図示せず)を解放するなど互いに遠ざかる。第1の顎部102および第2の顎部104のそれぞれのシール面130および132は、一対の顎部の間に配置された組織を双極的にシールするように構成されている。シール面130および132は、シールサイクル中に顎部102と104との間で把持、保持および/または保持された組織を通して双極エネルギーを伝導することによって、それらの間に位置する組織をシールする。双極シールサイクルでは、シール面130と132の露出/導電面積がほぼ同じであるため、電流密度はシール面130と132の間でほぼ同じである。いくつかの実施形態では、医療機器100のシールサイクルは、公称50ワット以下のシール電力を適用することを含む。いくつかの実施形態では、シール電力は2.5アンペア以下の電流を有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1のシール面130は、導電性コア部材114の唯一の露出部分であり、第2のシール面132は、導電性コア部材118の唯一の露出部分である。
【0056】
いくつかの実施形態では、顎部102および104は、それぞれの導電性コア部材114および118によって構成、形成および/または作製される。図4に示されるように、導電性コア部材114および118は、露出され導電性を有するそれぞれのシール面130および132を除いて、それぞれの絶縁体112および120で覆われ、コーティングされ、挟まれ、および/または絶縁される。シール面130は、セラミックまたは他の適切な非導電性材料で構成される1つまたは複数の非導電性停止部材116を含む。図3でよりよく理解されるように、シール面130および132は、それぞれの顎部102および104の周囲に沿って配置される。
【0057】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ105は、顎部102と顎部104との間で把持、保持、または拘束された組織をシールし、次いで組織を切断するように構成されている。シールと切断のサイクルは連続しており、最初に組織がシールされ、次に切断されます。エンドエフェクタ105は、切断電極106とそれぞれのシール面130および132との間に距離を有する(図3、4、5A、5C、および11A~E)。図4において距離「D」として示される距離は、組織の一部が、それぞれのシール面130および132と切断電極106との間に配置されることを可能にし、その結果、組織が装置100のシールサイクルによってシールされた後、組織の一部はある程度の水分を維持することになる。組織の切断を実行するために、装置100の切断サイクル中に切断電極106から電流が流れることを可能にする。さらに、距離「D」は、エンドエフェクタ105が閉鎖構成にあるときに非導電性支持面108および/または弾性部材110によって組織に加えられる力とともに、組織が組織リザーバ124内に移動することを可能にする。距離「D」と組織リザーバ124の寸法とを組み合わせると、適切な量の組織が切断電極106に重なり、隣接してシールサイクル中の乾燥を避けることができる。いくつかの実施形態では、距離「D」は0.5~2ミリメートルの範囲である。距離「D」が0.5ミリメートル未満である場合、シールサイクル中に組織のシール部分が切断電極106に近づきすぎ、切断電極106とシール面130または132との間の組織のインピーダンスが低下する。高すぎると、切断サイクルに悪影響を及ぼします。さらに、例えば、距離「D」が0.5ミリメートル未満である場合、切断電極106は組織を切断するのではなく、むしろ組織を切断する可能性がある。低インピーダンス経路がほとんどまたはまったくないため、組織が焦げるだけである。換言すれば、装置100は、組織シール後に、切断された電極エッジ134から比較的広い領域の低インピーダンス組織204(図7)を通る低インピーダンス経路を提供するように構成され得る。本明細書ではこれを枕と呼ぶことがある。切断サイクル中に切断電極106のエッジ134に沿って結果として生じる電流集中は、電流が比較的低インピーダンスの組織204を通ってシール面130、132のそれぞれに伝播するときに「単極効果」を生み出し、この効果は分散電極として機能する。
【0058】
さらに図4に示されるように、エンドエフェクタ105の閉鎖構成の一対の顎部102および104は、8ミリメートル以下の包絡線直径135を備える。当業者であれば、「包絡線直径」という用語は、たとえ物体(例えば、エンドエフェクタ105)が丸くないとしても、物体(例えば、顎部102および104)全体がその中に収まることができる実質的に円形の空間を指すことを理解できる。いくつかの実施形態では、包絡線直径135は6ミリメートル以下である。いくつかの実施形態では、包絡線直径135は10ミリメートル以下である。いくつかの実施形態では、包絡線直径135は12ミリメートル以下である。
【0059】
図5A~5Dは、本発明の実施形態による、第1の顎部102および構成要素の断面図を示す。上に開示したように、導電性コア部材114は、露出/導電性のシール面130を除いて、絶縁体112で覆われ、コーティングされ、挟まれ、および/または絶縁される。図5Aは、図4の第1の顎部102を示し、導電性コア部材114が連続的な構成(例えば、「U」字形の断面)を備える。代替的に、導電性コア部材114が、電源350に結合されたアクチュエータ300によって電気的に係合され、シール面130を介してエネルギーを送達するように構成されている限り、導電性コア部材114は、図5Cに示すように、断面部分を含んでもよい。
【0060】
第1の顎部102の導電性コア部材114のシール面130は、図5Aおよび図5Cに示すように、幅「W1」を有する。いくつかの実施形態では、幅「W1」は5ミリメートルと1ミリメートルの間の範囲である。シール面130の幅「W1」が2ミリメートル未満である場合、幅が狭いとみなされる。
【0061】
図5Aおよび5Cに示されるように、切断電極106は組織リザーバ124内に配置され、切断電極エッジ134を含む。エッジ134は、図5Bでよりよく理解されるように、実質的に湾曲した、丸い、凸状の形状である。切断電極106は、エッジ134(図5B)および切断電極106を電源350に接続する部分(図1)を除き、非導電性材料、コーティングまたは絶縁体136を含む。いくつかの実施形態では、切断電極106は、絶縁体136によってすべての表面が絶縁され、切断電極エッジ134が露出され、電源350との結合が絶縁なしのままになる。エッジ134はさらに、導電性係合面137を備える(図5B)。導電性係合面137は、切断電極106のエッジ134上での電流集中を防止するために、凸状で滑らかな構成を備える。図3でよりよく理解されるように、切断電極106のエッジ部分134は、切断電極106の全長にわたって横方向に湾曲していてもよい。あるいは、切断電極106のエッジ134は、切断電極106の長手方向部分またはセクション全体にわたって湾曲していてもよく(図示せず)、および/または他の適切な構成を含んでもよい(図5D)。図5Dは、切断電極106の代替エッジ134’を示しており、エッジ134’は、ベベルエッジ134’に結合された丸い導電性係合面137’を有するベベル形状を備える。切断電極106は、面取りされたエッジ134’および丸い導電性係合面137’を除いて、非導電性材料、コーティングまたは絶縁体136を含む(図5D)。
【0062】
図3図5Dに示すように、丸いエッジ134および/または凸状の導電性係合面137を有する切断電極106を有することは直観に反すると考えられるかもしれないが(産業界は、切断刃の鋭いエッジが電流を集中させて切断能力を向上させると考えている)、切断電極106の湾曲したエッジ134および/または凸状の導電性係合面137は、大きな半径を備え、これにより、より高い電流集中が表面積全体に広がるため、鋭いエッジを持つ切断電極と比較して切断性能が向上する。
【0063】
図6A~6Cは、開示された発明の実施形態による、第2の顎部104および構成要素の断面図を示す。先に開示したように、導電性コア部材118は、露出/導電性のシール面132を除いて、絶縁体120で覆われ、コーティングされ、挟まれ、および/または絶縁される。図6Aは、図5の第2の顎部104を示す。図4では、導電性コア部材118が連続構成(例えば、「IT形状断面」)を含む。代替的に、導電性コア部材118が、電源350に結合されたアクチュエータ300によって電気的に係合され、シール面132を介してエネルギーを送達するように構成されている限り、導電性コア部材118は、図6Cに示すように、断面部分を含んでもよい。
【0064】
図4、6A~6Cに示すように、導電性コア部材118の外面118a上に配置された絶縁体120は、図6Bでよりよく理解されるように、完全ではないが実質的に外面118aを覆う。これにより、導電性コア部材118の導電性の丸いエッジ部分142が露出する。したがって、導電性コア部材118の外面118a上に配置された絶縁体120は、図4、6A~6Cに示すように、わずかに後退し、丸いエッジ部分142から導電性コア部材118を露出させる。丸いエッジ部分142は、第2の顎部104に沿って長手方向に延在し、双極シールサイクル中の電流集中を最小限に抑えるように構成される。
【0065】
第1の顎部102を再び参照すると、図4、5A、および5Cは、導電性コア部材114の外面114aに配置された絶縁体112が、完全ではないが実質的に外面114aを覆い、導電性コア部材114の導電性の丸いエッジ部分147を露出していることを示す。丸いエッジ部分147は、第1の顎部102に沿って長手方向に延在し、電流集中およびその後の組織への影響を最小限に抑えるように構成される。
【0066】
代替実施形態では、絶縁体112および120は、導電性コア部材114および118のそれぞれの外面114aおよび118aを完全に覆い、したがって、丸いエッジ部分142および147は露出されない(図示せず)。
【0067】
図6Aおよび6Cに示すように、第2の顎部104の導電性コア部材118のシール面132は、幅「W2」を有する。いくつかの実施形態では、幅「W2」は5ミリメートルと1ミリメートルの間の範囲である。シール面130の幅「W2」が2ミリメートル未満である場合、W2は狭い幅であるとみなされる。いくつかの実施形態では、それぞれのシール面130および132は、それぞれ3ミリメートル以下の幅W1およびW2を有する。いくつかの実施形態では、それぞれのシール面130および132は、それぞれ2ミリメートル以下の幅W1およびW2を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシール面130、132の少なくとも一部は、3ミリメートル以下の幅W1、W2を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシール面130、132の少なくとも一部は、2ミリメートル以下の幅W1、W2を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシール面130、132の少なくとも一部は狭いシール面である。
【0068】
第2の顎部104は、間に弾性部材110が配置されたキャビティ121を備える(図6Aおよび6C)。キャビティ121は、エンドエフェクタ105が閉鎖構成にあるときなど、弾性部材110が切断電極106および/または組織によって変形するときに弾性部材110が占めるための逃がし空間122を備える。いくつかの実施形態では、弾性部材110は、シールサイクル中などの切断サイクルの適用前、またはエンドエフェクタ105が作動しているときのシールサイクル前など、変形して緩和空間122を少なくとも部分的に占有し得る。閉じた構成(図2Aおよび図4)。図6Aおよび図6Cに示すように、リリーフスペース122は、空間122を有する弾性部材110は、弾性部材110がカッピングすることを防止するように構成されており、それにより、切断電極106と、切断電極106と弾性部材110との間に配置された組織との間に間隙が形成される。したがって、緩和空間122は、切断サイクル中に組織と切断電極106との接触を強化するように構成される。カッピングは、逃がしスペースのない装置で発生するため、組織を切断電極106に対してほぼ一方向に押すことになる。これにより、弾性部材110は、組織が挟まれて、切断電極106のエッジ134の周囲にアーチ状(すなわち、カップ状)になり、電極エッジ134との接触が失われる。
【0069】
図7は、開示された発明の実施形態による、医療装置100のエンドエフェクタ105と患者の組織200との間の境界面の断面図を示す。エンドエフェクタ105の選択的な構成要素が、組織200を明確にし、よりよく見るために、図7では部分的に示されている。図7に示すように、エンドエフェクタ105は、閉じた構成または実質的に閉じている(例えば、顎部102および104が互いに近接している)。エンドエフェクタ105は、顎部102と顎部104との間で組織200を把握、保持、および/または拘束する。エンドエフェクタ105は、顎部102と104の間に配置された組織200に圧力を加えて圧迫し、それによってシール面130と132の間に配置された圧迫された組織部分202を生成し、さらに支持面108と切断電極106(例えば、エッジ134)の間に配置されたテント状の組織部分206を生成するように構成されている。特に、組織200がエンドエフェクタ105によって圧迫されると、図7に示すように、組織部分204(すなわち枕)が切断電極106の両側の組織リザーバ124内に押し込まれる。
【0070】
システム500は、装置100を介してシールサイクルにおいて圧迫された組織部分202にRFエネルギーを印加するように構成されている。電力は、本出願人が保有する米国特許および出願に記載されている方法で、シール面130と132との間で圧迫されていない組織を越える電流漏洩を制限するように選択および構成される。
【0071】
いくつかの実施形態では、システム500は、55ワット以下の最大電力、110ボルトrms以下の最大電圧、および2.5アンペアrms以下の最大電流を有するシールサイクルを適用するように構成される。いくつかの実施形態では、シールサイクルは50ワット以下の最大電力を有する。いくつかの実施形態では、システム500は、100ワット以下の最大電力、380ボルトrms以下の最大電圧、及び公称2.5アンペアrms以下の最大電流を有する切断サイクルを適用するように構成される。いくつかの実施形態では、切断サイクルは、公称360ボルトrms以下の最大電圧を有する。いくつかの実施形態では、切断サイクルは公称80ワット以下の最大電力を有する。システム500は、シールサイクル中の組織インピーダンスの変化に応じて、電力、電圧、および電流が最大値まで上昇できるように構成することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、システム500は、収縮期圧の少なくとも3倍の破裂強度まで組織をシールするように構成されている。いくつかの実施形態では、システム500は、少なくとも7ミリメートルの直径を有する血管を、収縮期圧の少なくとも3倍の破裂強度までシールするように構成されている。いくつかの実施形態では、システム500は、シールサイクル中に2ミリメートル以下の熱拡散を引き起こすように構成されている。いくつかの実施形態では、システム500は、シールサイクル中に1ミリメートル以下の熱拡散を引き起こすように構成されている。
【0073】
いくつかの実施形態では、圧迫組織部分202内の組織は、シール前よりもシール後に高いインピーダンスを発現し、これは、切断電極106と第1のシール面130または第2のシール面132のいずれかとの間のインピーダンスに影響を与える。例えば、シールサイクルを適用する前は、圧迫された組織部分202は、通常、100オーム以下、または約50オームから約100オームの間のインピーダンスを有する。いくつかの実施形態では、切断電極106とシール面130または132との間に低インピーダンス経路を提供することが望ましく、効率的である。
【0074】
いくつかの実施形態では、システム500は、シールサイクル中ではなく、切断サイクル中に顎部102と104との間に保持された組織200に切断力を加えるように構成される。いくつかの実施形態では、システム500は、シールサイクルの後に切断サイクルを適用するように構成されている。いくつかの実施形態では、シールサイクルと切断サイクルとの間に熱緩和時間が設けられる。これらの実施形態では、シールサイクルと切断サイクルは連続しており、シールサイクルが実行された後に切断サイクルが発生する。代替実施形態では、シールサイクルと切断サイクルが同時に実行される。
【0075】
図7から明らかなとおり、エンドエフェクタ105はさらに、一対の顎部の間に保持された組織206を切断電極106に対して伸ばす(例えば、テント状にする)ように構成されている。テンティングは、組織200を圧迫する顎部102および104の組み合わせ、ならびにシールサイクル中の組織のわずかな収縮および/または支持面108および/または弾性部材110の効果によって達成され得る。組織200がシールサイクルによってわずかに収縮すると、組織200のテンティングは増加する。これは、切断電極106と支持面108および/または弾性部材110との複合作用が組織200を一方向に引っ張るように作用するためである。シールサイクルは、組織200を反対方向に引っ張るように作用する。支持面108および/または弾性部材110は、組織200を切断電極106に対して、かつリザーバ124に向かって付勢するように構成されている。切断サイクル中に組織206をテンティングすることと、組織部分204を組織リザーバ124内に付勢することとの組み合わせは、切断サイクル中に組織200が切断されるときに本質的に組織を切断電極106のエッジ部分134から引き離すか移動させて、組織を組織リザーバ124内に付勢することになり、それによって単極組織効果が促進される。当業者は、組織アブレーションなどの単極手術では、アブレーションされる組織に対して装置が相対的に動き続ける必要があることを知っている。装置が相対運動を停止すると、さらなる組織の切断は停止し、組織は乾燥して焦げ始めるので、切断はない。現在、市販されている電子切断装置は、組織のこの動きを維持しない。
【0076】
切断サイクル中、顎部102と104との間にクランプされた組織200は、電気的に切断され始め、切断電極106から分離するため、顎部102と104はエンドエフェクタ105の実質的に閉じた構成に近づくように移動することを理解されたい。組織200の電気切断中の顎部102および104の閉鎖動作により、組織200が切断され、分割され、分離されるにつれて、第1の顎部102の切断電極106が第2の顎部104に近づく。さらに、組織200が電気的に切断され、分割されると、弾性部材110は、弾性部材110を以前の形状および/または位置(例えば、弾性部材110が組織200および切断電極106によって圧迫される前)に戻す復元力を及ぼす。弾性部材110の復元力は、組織200を切断電極106、特に切断電極106のエッジ部分134に向かって押すように構成される。弾性部材110は、高いクリープ回復応答を備え、その結果、弾性部材110の復元力は迅速に作用し、遅れたり遅延したりすることがない。クリープ回復応答が低いと、組織200と切断電極106のエッジ134との接触が望ましくない喪失を引き起こす可能性がある。
【0077】
切断サイクル中、第1の顎部102の切断電極106は、第1のシール面130または第2のシール面132のいずれかと電気的に結合され、例えば、切断電極106および非導電性支持面108間に張られた組織を切断するなど、顎部102と104との間に保持された組織を切断する。したがって、切断電極106および第1または第2のシール面130、132は、切断サイクル中に切断電極106とシール面130または132との間で双極エネルギーを伝導するように構成される。
【0078】
いくつかの実施形態では、切断サイクル中、切断電極106は活性電極として機能し、第1または第2のシール面130、132は分散電極として機能する。いくつかの実施形態では、切断電極106は比較的小さい露出した導電面を有するが、シール面130、132は比較的大きな露出した導電面を有し、それにより、電流密度は切断電極106とシール面130、132、132との間で大幅に低下する。その結果、シール面130、132付近の組織は損傷を受けず、一方、切断電極106のエッジ部分143に隣接するテント状組織部分206は切断される。
【0079】
いくつかの実施形態では、切断力は双極エネルギーを有するが、切断力および一対の顎部102および104は、一対の顎部の間に拘束された組織に対して単極電力組織効果を生み出すように構成される。伝導されるエネルギーは双極性であるが、切断電極106からシール面130または132のいずれか一方に向かう電流は、切断サイクル中に単極効果を有し得る。なぜなら、電流密度は、シール面130または132のいずれよりも切断電極106のエッジ部分134の方が大きいからである。シール面130または132のいずれかは、より大きな表面積を有する。エッジ134のより小さい表面積と比較して、シール面130または132は、切断電極106のエッジ134よりも小さい電流密度を有する。
【0080】
枕状組織部分204は、比較的大きな低インピーダンス領域を含む。切断電極エッジ134付近のテント状組織部分206内の電流密度は、低インピーダンス組織204内の電流密度よりも高く、ほぼすべての電流を効果的に分散させ、シール面130またはシール面132に向かう電流の流れを促進する。シール面130または132が切断サイクルにおいて分散電極として機能するため、枕状組織部分204を介するのではなく、シール面130または132が分散電極として機能する。
【0081】
切断電極106のエッジ部分134付近の高インピーダンスのテント状組織部分206と低インピーダンスの枕状組織部分204に生じる電流差は、単なる「調理」または組織の焦げではなく、切断電極106のエッジ部分134付近の組織の切断を促進する。いくつかの実施形態では、システム500は、(a)シールサイクル中に顎部102と顎部104との間に配置された圧迫組織部分202のインピーダンスを増加させ、(b)シールサイクル中に枕状組織部分204を低インピーダンスに維持し、および(c)続いて、切断電極106を活性電極として切断力を加えて、組織(例えば、テント状組織部分206)を切断するように構成され得る。いくつかの実施形態では、システム500は、シールサイクルを適用するように構成され、それによって組織インピーダンスが400オーム以下のインピーダンスまで上昇する。
【0082】
いくつかの実施形態では、システム500は、組織タグを一切残さずに、60秒以下で15センチメートルの腸間膜組織を切断するように構成されている。
【0083】
図8A~8Bは、開示された発明の実施形態による、切断サイクル中の電流密度のグラフ表示を含む、切断電極106のエッジ134の断面図を示す。図8Aは、図3図4図5A図5C、および図7の切断電極106のエッジ134の拡大断面図を示し、エッジ134は丸い、湾曲した、および/または凸状のプロファイルを有する。図8Aに示されるように、切断電極106は切断サイクル中アクティブであり、電流が丸い導電性エッジ134に沿って実質的に均一に分布される。先に開示したように、切断電極106は絶縁体136を備え、切断電極106の側面を非導電性にする(図8A~8B)。図8Bは、切断電極106の代替エッジ134’’を示し、エッジ134’’は、丸い角134aとその間の直線部分134bを含む。別のエッジ134’’は、角134aに電流集中を生じさせる傾向がある(図8B)。したがって、エッジ134’’は、図8Aのエッジ134よりも不均一な電流分布を含む。従来技術の装置では、切断電極のエッジは鋭利であり(図示せず)、その鋭利なエッジで電流集中が生じ、切断力の有効性が低下する。
【0084】
いくつかの実施形態では、切断電極106は、切断サイクル中に切断電極106のエッジ134での電流集中を最大化するように形状および構成され、一方、第2のシール面132は、切断サイクル中のシール面132での電流集中を最小化するように形作られ、構成される。いくつかの実施形態では、切断電極106および第2のシール面132は、前述したように、切断サイクル中に単極組織効果を生み出すように構成され得る。切断サイクルの代替実施形態では、シール面130または132の一方は露出/導電性であり、他方は絶縁されており、その結果、露出/導電性シール面は切断サイクル中に切断電極106の分散電極または戻り電極として機能する。
【0085】
切断サイクル中、第2のシール面132またはコア部材118は分散電極として機能することができる。いくつかの実施形態では、第1のシール面130またはコア部材114は、分散電極として機能することができる。いくつかの実施形態では、第1のシール面130および第2のシール面132、またはコア部材114、118は両方とも分散電極として機能することができる。
【0086】
図9は、本発明の実施形態による、組織をシールし、切断するための方法900を示す。医療システム500は、方法900によって説明される方法、動作、および/またはステップで使用されるように構成される。
【0087】
方法900は、医療装置(例えば、外科用器具)の一対の顎部の間に掴まれ、保持され、配置され、および/または拘束された組織を圧迫するステップ902を含んでもよい。方法900は、一対の顎部の間に保持された組織にシールサイクルを適用するステップ904を含むことができる。シールサイクルは55ワットの最大電力を有し、一対の顎部の間に保持された組織のインピーダンスを400オーム以下にする。シールサイクル904が実行された後、方法900は、一対の顎部の間に保持された組織に切断サイクル906を適用することを含むことができる。切断サイクルは、一対の顎部の間に保持された組織を分割するための最大電力100ワットを有し、切断サイクルを適用するステップは、一対の顎部の間に保持された組織と接触する活性電極および分散電極を配置するステップを含む。シールサイクル906は、切断電極に隣接する組織への熱拡散の原因を回避するように選択されたシール力を適用するように構成され得る。
【0088】
図10は、本発明の実施形態による、組織を分割または切断する方法1000を示す。方法1000は、本明細書に記載されるシステム500によって実行されてもよく、および/または切断サイクルを適用する方法であってもよい。方法1000は、方法900と併せて実行されてもよい。
【0089】
方法1000は、活性電極および分散電極と電気的に連絡するように組織を配置するステップ1002を含むことができる。方法1000は、組織を分割または切断するために組織にRFエネルギーを印加するステップ1004を含むことができる。RFエネルギーは、最大電力が100ワット以下、最大電流が2.5アンペアRMS以下、最大電圧が400ボルトRMS以下である。
【0090】
いくつかの実施形態では、組織1004を分割するためにRFエネルギーを印加することは、0.05秒以下で組織を分割することを含む。いくつかの実施形態では、組織1004を分割することは、0.125秒以下で組織を分割することを含む。いくつかの実施形態では、組織1004を分割することは、0.25秒以下で組織を分割することを含む。いくつかの実施形態では、組織1004を分割することは、1.5秒以下で組織を分割することを含む。いくつかの実施形態では、組織1004を分割することは、0.5秒以下で組織を分割することを含む。いくつかの実施形態では、組織1004を分割することは、約0.05秒、または約0.02秒から約0.1秒の間で組織を分割することを含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、RFエネルギー1004は、90ワットの最大電力を有する。いくつかの実施形態では、RFエネルギー1004は、公称80ワットの最大電力を有する。いくつかの実施形態では、RFエネルギー1004は、380ボルトrmsの最大電圧を有する。いくつかの実施形態では、RFエネルギー1004は、公称360ボルトrmsの最大電圧を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、電力、電圧、および電流は、切断サイクルの適用中に組織のインピーダンスの変化に応じて最大電力、最大電圧、および最大電流まで変動することが可能になる。
【0093】
いくつかの実施形態では、組織1002を位置決めすることは、500オーム以下の最大インピーダンスを有する組織を位置決めすることを含む。いくつかの実施形態では、組織1002を位置決めすることは、400オーム以下の最大インピーダンスを有する組織を位置決めすることを含む。いくつかの実施形態では、すべての組織が、切断電極106などの能動電極と、たとえば切断電極106などの分散電極との間の電気的連続性を提供する。シール面130、132またはコア部材114、118は、1000オーム以下、または500オーム以下、または400オーム以下のインピーダンスを有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、組織1004を分割することは、活性電極と分散電極との間の電気的導通における組織の少なくとも一部のインピーダンスを5,000オーム以上に上昇させることを含む。いくつかの実施形態では、組織1004を分割することは、組織のインピーダンスを10,000オーム以上に上昇させることを含む。
【0095】
方法900および/または1000は、本出願全体および/または参照により本明細書に組み込まれる特許および出願に開示される他のアクションおよび/またはステップを含み得ることを理解されたい。
【0096】
いくつかの実施形態では、システム500および/または方法900は、約80ミリ秒から約120ミリ秒の間、または約100ミリ秒の期間、第1の切断サイクルを適用し、その後、約80ミリ秒から約120ミリ秒の間の休止期間を適用することを含んでもよい。約120ミリ秒、その後、約80ミリ秒から約120ミリ秒の間、すなわち約100ミリ秒の第2の切断サイクルが続く。本明細書に記載され、または参照により組み込まれる電力アルゴリズムは、通常、第1の切断サイクルで組織の切断を完了するが、第2の切断サイクルは、第1の切断サイクルが成功したことを確認するために、害なく適用されてもよい。この方法で2つの切断サイクルを適用すると、100%の切断成功率が保証される。
【0097】
いくつかの実施形態では、システム500および方法900は、各サイクル間に休止期間を設けて、第1のシールサイクルに続いて2つの切断サイクルおよび第2のシールサイクルを適用することを含み得る。いくつかの実施形態では、第2のシールサイクルの後に、各サイクル間に休止期間を挟んで2つの切断サイクルが続いてもよい。休止期間は熱拡散を制限する役割を果たし、切断性能を向上させることができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、システム500および/または方法900および1000は、単一のジェネレーターを含むか、または切断サイクルが後に続くシールサイクルを出力するように構成された単一のジェネレーターを提供する。デバイス100は、3つの電極(例えば、シール面130、132および切断電極106)、またはシールおよび切断サイクルを適用するように構成された他の任意の適切な数の電極を含み得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、システム500および/または方法900および1000は、切断サイクル中に切断電極106またはその近傍の電流密度を制御することを含んでもよい。電流密度は、約100アンペア/平方インチ(約15.5アンペア/平方センチメートル)から約400アンペア/平方インチ(約62.0アンペア/平方センチメートル)の間であってよい。電流密度は、200アンペア/平方インチ(約31.0アンペア/平方センチメートル)から約400アンペア/平方インチ(約62.0アンペア/平方センチメートル)の間であってもよい。切断サイクル中に最大電力を印加すると、電流密度が100アンペア/平方インチ(約15.5アンペア/平方センチメートル)を超える場合がある。切断サイクル中に最大電力を印加すると、電流密度が200アンペア/平方インチ(約31.0アンペア/平方センチメートル)を超える場合がある。
【0100】
図11A~11Eは、本発明による医療装置のエンドエフェクタ105の代替実施形態を示す。図6Bおよび図11A~11Eに示されるように、第2の顎部104のシール面132は、半径R1を有する第1の丸いエッジ部分142を備える(図11E)。第1の丸いエッジ部分142は、シールサイクル中など、シール面132付近の電流集中を制限するような形状にすることができる。丸いエッジ部分142の半径R1は、電流集中を回避するように構成され、それによって、シールサイクル中および/または切断サイクル中のシール面132のエッジ付近の組織への影響を制限する。シール面132付近の電流集中を低減すると、シールサイクル中の熱拡散を低減することができる。いくつかの実施形態では、丸いエッジ部分142は、0.254ミリメートル以上の半径R1を有する。第1の丸いエッジ部分142および半径R1は、顎部104の外壁(例えば、切断電極106からさらに離れた)上にあってもよい。
【0101】
当業者であれば、図11A図11Eに示されるような、代替のエンドエフェクタ105および顎部の構成も切断サイクル中に一方または両方の顎部102、104の内部(例えば、切断電極106の近く)への電流集中を回避するために設けられ得ることが分かるであろう。任意選択で、エンドエフェクタ105は、様々な高さの切断電極106(例えば、図11B~11C)、および/またはコア部材114、118の様々な構成、および/またはシール面130、132の幅を備え得る(図11A図11E)。
【0102】
例えば、図11Aに示され、図5A~6Cからさらによく理解されるように、切断サイクル中の電流集中を回避するために、絶縁体112、120は、分散電極(例えば、コア部材114、118)の内側/内側隅、または顎部102、104のシール面130、132上に提供され得る。
【0103】
別の例では、図11Eに示されるように、シール面130、132または分散電極は、切断サイクル中の表面130、132付近の電流集中を制限するように選択された半径R3、R4を有する第2の丸いエッジ部分143、145を含んでもよい。シール電極のエッジが鋭利なデバイスでは、鋭利なエッジに電流が集中すると、望ましくないアーク放電、切断、組織の固着が発生する可能性がある。いくつかの実施形態では、分散電極の第2の丸いエッジ部分143、145は、切断電極106のエッジ134のプロファイル半径R2より30%以上大きい半径R3、R4を有するように選択される。いくつかの実施形態では、分散電極またはコア部材114、118の丸いエッジ部分143、145は、切断電極106のエッジ134のプロファイル半径R2より40%大きい半径R3、R4を有するように選択される。いくつかの実施形態では、丸いエッジ部分143、145は、切断電極106のエッジ134のプロファイル半径R2より50%以上大きい半径R3、R4を有するように選択される。いくつかの実施形態では、切断電極106は、0.006インチ(0.152ミリメートル)以上の半径R2を有する。
【0104】
図12は、開示された発明による医療システム500の例示的なシールサイクル1200を示す。方法900または1000を実行するために、電源350を作動させるアクチュエータ300をユーザが作動させるなど、システム500が作動および/または活性化されると、システム500は、時間ゼロに示されるシールサイクルを適用する。図12~14の時間スケールは秒である。図12および14では、電力1のスケールは1倍、電圧1のスケールは0.1倍、電流1のスケールは10倍、インピーダンス1のスケールは1である。
【0105】
システム500は、顎部102と顎部104との間で圧迫された組織(例えば、図7の圧迫組織202)のインピーダンス1210を検出するように構成されている。組織インピーダンス1210が比較的低い間、公称50ワット(図12)などの最大電力1220に達して制御することができる。最大電力1220を維持するために、電圧1240および電流1230は、顎部102と顎部104との間の圧迫された組織202のインピーダンス1210の変化に応じて変動し得る。
【0106】
圧迫組織202のインピーダンス1210が閾値インピーダンスレベル(例えば、400から500オームの間の閾値)に達したことをシステム500が検出すると、システム500は、シールサイクル1200の適用を中止するように構成される。いくつかの実施形態では、シールサイクル1200の時間は0.5秒以下であり得る。付加的に、シールサイクル1200の時間は1秒以下であってもよい。代替的に、シールサイクル1200の時間は、より大きな断面を有する組織の場合には2秒以下であってもよい。
【0107】
シールサイクル1200が組織200に適用された後、システム500は、切断サイクルを適用する前に休止時間を与えてもよい。休止時間は50ミリ秒から500ミリ秒の間である。
【0108】
図13は、開示された発明による、システム500の例示的な切断サイクル1300を示す。図13では、電力2のスケールは1倍、電圧2のスケールは0.1倍、電流2のスケールは10倍、インピーダンス2のスケールは0.1倍である。シールサイクル1200の後(または休止時間の後)、システム500は、顎部102と顎部104との間に拘束された組織に切断サイクル1300を適用することができる。特に、支持面108と切断電極106(例えば、図7に示すエッジ134)との間に配置されたテント状組織部分206に対してである。図12に示すように、切断サイクル1300は時間ゼロで開始する。切断サイクル1300は、方法900に関して説明したように構成および適用され得る。図13に示すように、切断サイクル1300は、組織インピーダンス1210を、例えば12,000オームを超えるまで大幅に上昇させる可能性がある。代替的に、切断サイクル1300は、組織インピーダンス1210を、例えば5,000オーム以上、または10,000オーム以上、または50,000オーム以上まで上昇させることができる。システム500は、組織インピーダンス1210が前述の限界まで上昇したとき、および/または切断サイクル1300の開始後約0.100秒~0.125秒後に切断サイクル1300を中止するように構成されている。システム500は、図13に示すように、切断が成功した後に切断サイクルを停止することができる。図13では、約0.1秒でのインピーダンス1210の急激な低下が見られる。システム500は、図13に示すように、第1の切断サイクルが成功したことを確認するなど、第2の切断サイクルを適用することができる。図13では、約0.125秒から始まり、低下後のインピーダンス1210の急速な上昇によって示されている。
【0109】
いくつかの実施形態では、システム500は、シールサイクルおよび/または切断サイクル中に実質的に一定の電力1220を維持するように構成される。実質的に一定の電力1220を維持するために、システム500は、顎部102と顎部104との間の圧迫された組織202のインピーダンス1210の変化に応答して、電圧1240を増加させて電流1230を減少させるか、または電圧1240を減少させて電流1230を増加させる。例えば、図12に示すように、インピーダンス1210が低下すると、電圧1240は増加し、電流1230は減少するので、電力1220のわずかな低下は、実質的に一定に維持されるように調整される。
【0110】
図14は、図13の例示的な切断サイクル1300の詳細図を示す。開示された発明によると、図13に示される。図14のグラフは、インピーダンス1210の一部を省略している。図14に示されるように、第1の切断サイクル1450中、システム500は、電圧1240が比較的低い間、電力1220を最大電力(約80ワット)まで急速に増加させる。しかしながら、組織のインピーダンス1210が変化すると、電力1220は低下し、電圧1240は増加する。第1の切断サイクル1450が成功した場合、第2の切断サイクル1470は、システム500が最大電圧1240、最大電力1220、および低電流1230となる高インピーダンス1210をもたらす。図12に示す電力1220の出力と電力1220の出力との違いに注目すべきである。これは、インピーダンス1210が低下する前(例えば、第1の切断サイクルと第2の切断サイクルとの間の中断の信号を送る)と、インピーダンス1210が再び上昇した後の図14に示されている。
【0111】
いくつかの実施形態では、電力1220、電圧1240、および電流1230は、切断サイクルの適用中に組織200のインピーダンス1210の変化に応答して、最大電力、最大電圧、および最大電流まで上昇することが可能である。
【0112】
本明細書では特定の実施形態を図示し説明してきたが、それらが本発明を限定することを意図したものではないことは当業者には理解され、様々な変更、置換、および修正が可能であることは当業者には明らかであろう。開示された発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更(例えば、様々な部品の寸法、部品の組み合わせ)を行うことができ、開示された発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ定義されるものとする。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味としてみなされるべきである。本明細書に示され説明される様々な実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれる、開示された発明の代替、修正、および均等物を網羅することを意図している。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12
図13
図14
【国際調査報告】