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特表2024-505486フィールドプログラマブルアレイ中の電圧調整器ユニットのための電流平衡
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】フィールドプログラマブルアレイ中の電圧調整器ユニットのための電流平衡
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/26 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
G06F1/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544578
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 US2021060851
(87)【国際公開番号】W WO2022164499
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/143,734
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/534,345
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/143,732
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/534,362
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】レン、ガン
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ、ペン
(72)【発明者】
【氏名】ジアイ、サイラス
(72)【発明者】
【氏名】マカリスター、カーティス・ロジャー
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011DA00
5B011DB03
5B011EA08
5B011FF00
(57)【要約】
半導体デバイスが、レール電圧を提供する電力レールを有する。電力レールは、複数の電圧調整器に電気的に結合され、各電圧調整器は、電力レールに電気的に結合された出力インターフェースと、出力インターフェースに両方とも結合された第1の駆動経路および第2の駆動経路と、調整器内平衡回路とを含む。第1および第2の駆動経路は、互いに並列に結合され、それぞれ、電力レールに第1の経路電流および第2の経路電流を提供するために第1の位相および第2の位相中に動作周波数で動作する。調整器内平衡回路は、第1および第2の経路電流を感知し、第1および第2の経路電流の差に基づいて第1の位相の第1のデューティサイクルおよび/または第2の位相の第2のデューティサイクルを制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力レールに電気的に結合され、前記電力レールを介してレール電圧を集合的に提供するように構成された複数の電圧調整器を備え、前記複数の電圧調整器の各々は、
前記電力レールに電気的に結合された出力インターフェースと、
前記出力インターフェースに結合され、前記電力レールに第1の経路電流を提供するために第1の位相中に動作周波数で動作するように構成された第1の駆動経路と、
前記出力インターフェースに結合され、前記電力レールに第2の経路電流を提供するために第2の位相中に前記動作周波数で動作するように構成された第2の駆動経路と、ここにおいて、前記第2の駆動経路が、前記第1の駆動経路と並列に電気的に結合される、
前記第1および第2の駆動経路に結合された調整器内平衡回路と、前記調整器内平衡回路が、前記第1および第2の経路電流を感知し、前記第1および第2の経路電流の差に基づいて前記第1の位相の第1のデューティサイクルおよび/または前記第2の位相の第2のデューティサイクルを制御するための第1の制御信号を生成するように構成された、
をさらに備える、集積半導体デバイス。
【請求項2】
前記調整器内平衡回路は、
前記第1および第2の経路電流の前記差が経路電流平衡基準を満たさないと決定することと、
前記第1および第2の経路電流の前記差が前記経路電流平衡基準を満たさないという決定、ならびに前記第1の経路電流が前記第2の経路電流よりも大きいという決定に従って、前記第1および第2の経路電流の前記差が前記経路電流平衡基準を満たすまで、前記第1の位相の前記第1のデューティサイクルを低減することおよび前記第2の位相の前記第2のデューティサイクルを増加させることの一方または両方を実装することと
を行うように構成された、請求項1に記載の集積半導体デバイス。
【請求項3】
前記複数の電圧調整器の各々が、
前記出力インターフェースに結合されたフィードバック入力を有する電圧調整器コントローラをさらに備え、前記電圧調整器コントローラのフィードバック入力が、前記出力インターフェースの出力電圧を受け取るように構成された、
請求項1または2に記載の集積半導体デバイス。
【請求項4】
前記複数の電圧調整器の各々が、
前記出力インターフェースおよび前記電圧調整器コントローラに結合された調整器間平衡回路をさらに備え、前記調整器間平衡回路が、前記それぞれの電圧調整器の出力電流を感知し、前記電圧調整器コントローラの制御入力にオフセットを適用するように構成され、ここにおいて、前記オフセットが、前記それぞれの電圧調整器の前記感知された出力電流に基づいて決定される、
請求項3に記載の集積半導体デバイス。
【請求項5】
前記電圧調整器コントローラが、前記制御入力を受信し、前記フィードバック入力と前記レール電圧を定義する制御値との間に前記オフセットを適用するように構成された誤差増幅器を含む、請求項4に記載の集積半導体デバイス。
【請求項6】
前記複数の電圧調整器の各々が、
前記出力インターフェースおよび前記電圧調整器コントローラに結合された調整器間平衡回路をさらに備え、前記調整器間平衡回路が、前記それぞれの電圧調整器の前記第1および第2の経路電流のうちの1つを感知し、前記電圧調整器コントローラによって受信された制御入力にオフセットを適用するように構成され、前記オフセットが、前記第1および第2の経路電流のうちの前記感知された1つに基づく、
請求項3に記載の集積半導体デバイス。
【請求項7】
前記第1および第2の駆動経路の各々が、
入力供給電圧Vinおよび前記出力インターフェースに結合されたスイッチング構成要素と、
前記スイッチング構成要素に結合され、前記第1および第2の位相のそれぞれの位相中に前記動作周波数で前記スイッチング構成要素をイネーブルにし、それにより、前記電力レールに前記第1および第2の経路電流のそれぞれの経路電流を提供するように構成されたドライバと
をさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載の集積半導体デバイス。
【請求項8】
前記第1の位相の前記第1のデューティサイクルが、前記第2の位相の前記第2のデューティサイクルに等しく、前記第2の位相が、前記第1の位相からオフセットされた、請求項1から7のいずれかに記載の集積半導体デバイス。
【請求項9】
前記制御信号が、前記第1および第2の経路電流の前記差に基づいて前記第2の位相の前記第2のデューティサイクルを制御するために生成される第1の制御信号を含み、
前記複数の電圧調整器の各々が、前記出力インターフェースに結合され、前記電力レールに第3の経路電流を提供するために第3の位相中に前記動作周波数で動作するように構成された、第3の駆動経路をさらに含み、前記第3の駆動経路が、前記第1および第2の駆動経路と並列に電気的に結合され、
前記調整器内平衡回路が、前記第3の駆動経路に結合され、前記第3の経路電流を感知し、前記第1および第3の経路電流の差に基づいて前記第3の位相の第3のデューティサイクルを制御するための第2の制御信号を生成するように構成された、
請求項1から8のいずれかに記載の集積半導体デバイス。
【請求項10】
前記複数の電圧調整器の各々が、前記出力インターフェースに結合され、前記電力レールに第3の経路電流を提供するために第3の位相中に前記動作周波数で動作するように構成された、第3の駆動経路をさらに含み、前記第3の駆動経路が、前記第1および第2の駆動経路と並列に電気的に結合され、
前記調整器内平衡回路が、前記第3の駆動経路に結合され、前記第3の経路電流を感知し、前記第1および第2の経路電流の差に基づいて、ならびに前記第1および第3の経路電流の差に基づいて前記第1の位相の前記第1のデューティサイクルを制御するための前記第1の制御信号を生成するように構成された、
請求項1から8のいずれかに記載の集積半導体デバイス。
【請求項11】
前記複数の電圧調整器の各々は、
前記第1および第2の駆動経路に結合された出力、ならびにフィードバック経路によって前記出力インターフェースに結合された入力を有し、前記1つまたは複数の駆動経路を制御するように構成された電圧調整器コントローラと、
前記第1および第2の駆動経路ならびに前記電圧調整器コントローラに結合されたバイパスユニットと、前記バイパスユニットが、ダミー負荷構成要素を提供するように構成され、ここにおいて、前記それぞれの電圧調整器は、前記バイパスユニットが、前記出力インターフェースから前記電圧調整器コントローラの前記入力への前記フィードバック経路をバイパスすることを可能にされる、待機/冗長モードを有する、
を含む、請求項1に記載の集積半導体デバイス。
【請求項12】
前記第1および第2の駆動経路の各々は、
前記出力インターフェースに結合された受動負荷構成要素と、
動作周波数を有するクロック信号を受信し、スイッチング信号に位相を提供するように前記クロック信号を変調するように構成されたドライバと、
前記ドライバおよび前記受動負荷構成要素に結合された電力スイッチング構成要素と、前記電力スイッチング構成要素が、前記スイッチング信号の制御下で前記受動負荷構成要素を1つまたは複数のDC供給電圧に結合するように構成された、
をさらに備える、請求項11に記載の集積半導体デバイス。
【請求項13】
前記待機/冗長モードにおいて、前記バイパスユニットが、各駆動経路の前記電力スイッチング構成要素と前記受動負荷構成要素とをバイパスすることを可能にされ、前記第1および第2の駆動経路の各々が、
前記ドライバ、前記電力スイッチング構成要素および前記バイパスユニットに結合されたマルチプレクサをさらに備え、ここにおいて、前記マルチプレクサが、前記待機/冗長モードにおいて前記バイパスユニットを選択し、前記電力スイッチング構成要素を選択解除し、前記ドライバを前記バイパスユニットに電気的に結合するように構成された、
請求項12に記載の集積半導体デバイス。
【請求項14】
前記レール電圧を提供するように構成された前記電力レールをさらに備える、請求項1から13のいずれかに記載の集積半導体デバイス。
【請求項15】
レール電圧を提供するように構成された電力レールと、
前記電力レールに電気的に結合され、前記レール電圧を集合的に提供するように構成された複数の電圧調整器を備え、前記複数の電圧調整器の各々は、
前記電力レールに電気的に結合された出力インターフェースと、
前記出力インターフェースに結合され、前記電力レールに第1の経路電流を提供するために第1の位相中に動作周波数で動作するように構成された第1の駆動経路と、
前記出力インターフェースに結合され、前記電力レールに第2の経路電流を提供するために第2の位相中に前記動作周波数で動作するように構成された第2の駆動経路と、ここにおいて、前記第2の駆動経路が、前記第1の駆動経路と並列に電気的に結合される、
前記第1および第2の駆動経路に結合された調整器内平衡回路と、前記調整器内平衡回路が、前記第1および第2の経路電流を感知し、前記第1および第2の経路電流の差に基づいて前記第1の位相の第1のデューティサイクルおよび/または前記第2の位相の第2のデューティサイクルを制御するための第1の制御信号を生成するように構成された、
をさらに備える、電子システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001] 本出願は、2021年1月29日に出願された「Power Management Integrated Circuit with a Field Programmable Array of Voltage Regulators」と題する米国仮特許出願第63/143,732号の優先権を主張する、2021年11月23日に出願された「Power Management Integrated Circuit with a Field Programmable Array of Voltage Regulators」と題する米国非仮特許出願第17/534,345号の優先権を主張する。本出願はまた、2021年1月29日に出願された「Current Balancing for Voltage Regulator Units in Field Programmable Arrays」と題する米国仮特許出願第63/143,734号の優先権を主張する、2021年11月23日に出願された「Current Balancing for Voltage Regulator Units in Field Programmable Arrays」と題する米国非仮特許出願第17/534,362号の優先権を主張する。上記出願の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年11月24日に出願された「Power Management Integrated Circuit with a Field Programmable Array of Voltage Regulators」と題するPCT特許出願第__号(代理人整理番号第125533-5005-WO号)に関する。
【0003】
[0003] 本出願は、限定されないが、電子システムの電力レール(power rail)を適応的に駆動するためのデバイスおよび方法を含む、電子デバイスに一般に関する。
【背景技術】
【0004】
[0004]電子デバイスは、メイン論理ボード上に電力管理集積回路(PMIC)、通信ポート、外部メモリまたは記憶装置、および他の周辺機能モジュールをもつシステムオンチップ(SoC)をしばしば組み込む。SoCは、単一のパッケージ中に1つまたは複数のマイクロプロセッサまたは中央処理ユニット(CPU)コア、メモリ、入出力ポート、および2次記憶装置を含む。PMICは、典型的にはメイン論理ボード上でSoCに隣接して配設され、メイン論理ボード上に形成された導線を介してSoCに複数の直流(DC)電力供給レールを提供する。SoCの各タイプについて、PMICとSoCにつながる導線とは、このタイプのSoCに含まれる少なくともマイクロプロセッサまたはCPUコアに基づいてカスタム設計される必要がある。各SoCタイプのためのPMICのカスタマイゼーションは、多くの状況で効率的でない。さらに、いくつかの状況では、同じPMIC中の電圧調整器は平衡されず、PMICの性能を損なう。たとえば、異なるタイプのSoCを駆動するように構成され得る効率的で高性能なPMIC解決策において使用するために、高度に平衡された電圧調整器を提供することが有益であろう。
【発明の概要】
【0005】
[0005] カスタム設計のPMICに関連する問題に対処するために、異なるマイクロプロセッサまたはCPUコアを有する様々な異なるタイプのSoCを適応的にサポートすることができる汎用PMICをもつ半導体デバイスまたはシステムを提供することが大いに望ましいであろう。特に、汎用PMICの高い性能を可能にするように個々におよび相互に平衡された電圧調整器(voltage regulator)を利用する汎用PMIC。
【0006】
[0006] 添付の特許請求の範囲内のシステム、方法およびデバイスの様々な実施形態は、それぞれいくつかの態様を有し、それらのうちのいずれの単一の態様も、単独では本明細書で説明される属性を担わない。添付の特許請求の範囲を限定することなしに、本開示を考察した後に、特に「発明を実施するための形態」と題するセクションを考察した後に、当業者は、SoCのプロセッサの1つまたは複数のクラスタ(cluster)に給電するために複数の電力レールを提供するように構成された半導体デバイスを提供するためにどのように様々な実施形態の態様が使用されるかを理解されよう。半導体デバイスは、フィールドプログラマブルアレイ中に配置され、電力レールに結合されたプロセッサ(processor)の1つまたは複数のクラスタに関連付けられた負荷情報(load information)に基づいてSoCの複数の電力レールに電力(power)を出力するように制御される、複数の電圧調整器を含む。言い換えれば、同じ半導体デバイスは、それらの負荷情報に基づいて異なるタイプのSoCを駆動するように構成可能であり、汎用SoC給電解決策になる。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態では、各電力レールについて、それぞれの電力レールを駆動する各能動電圧調整器において、各能動電圧調整器の異なる電流経路における経路電流(path current)が平衡(balance)され、それぞれの電力レールを駆動する異なる能動電圧調整器における出力電流(output current)が平衡されるように、調整器内および/または調整器間電流平衡機構が内部的に適用される。これらの平衡機構は、他の別個の電圧調整器からの入力または制御を伴うことなしに、(たとえば、汎用PMIC回路の)各個々の電圧調整器について効率的に実装される。さらに、フィールドプログラマブルアレイ中の電圧調整器は、冗長な電圧調整器の出力インターフェース(output interface)と入力との間のフィードバック経路(feedback path)を無効にするためにバイパスユニット(bypass unit)が使用されるとき、完全に電力切断されることなしに複数の電力レールから電気的に分離され、冗長な電圧調整器になることができる。
【0008】
[0008] 特に、一態様では、集積半導体デバイス(integrated semiconductor device)は、複数の電圧調整器と、電力アレイコントローラ(power array controller)とを含む。複数の電圧調整器はフィールドプログラマブルアレイ中に配置される。電力アレイコントローラは、複数の電圧調整器に結合され、複数の電力レールに電力を出力するように複数の電圧調整器を制御するように構成される。各電力レールは、それぞれのレール電圧(rail voltage)においてそれぞれのレール電流(rail current)を提供する。複数の電力レールの各々について、電力アレイコントローラは、それぞれの電力レールに関連するそれぞれのレール電流を決定することと、少なくともそれぞれのレール電流に従って電圧調整器のサブセット(subset)を選択することと、電圧調整器のサブセットがそれぞれのレール電圧を生成し、それぞれのレール電流を集合的に提供することを可能にする(enable
)こととを行うように構成される。いくつかの実施形態では、電力アレイコントローラは、1つまたは複数のプロセッサと、命令を記憶したメモリとを含み、命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、プロセッサに、複数の電力レールに電力を出力するように複数の電圧調整器を制御させる。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、電力アレイコントローラは、少なくともそれぞれのレール電圧に基づいて制御値(control value)を決定するように、および電圧調整器のサブセットが、決定された制御値に従って、それぞれのレール電圧を生成し、それぞれのレール電流を集合的に提供することを可能にするように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、電圧調整器のサブセットを可能にすることは、電圧調整器のサブセットに制御値を提供することをさらに備える。電圧調整器のサブセットは、それぞれのレール電圧を生成し、それぞれのレール電流を集合的に提供するように制御値によって制御される。さらに、いくつかの実施形態では、電圧調整器のサブセットを可能にすることは、それぞれのレール電圧を生成し、それぞれのレール電流を集合的に提供するために、電圧調整器の選択されたサブセットに動作イネーブル信号(operation enable signal)を提供することをさらに含む。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態では、電力アレイコントローラは、それぞれの電力レール負荷(power rail load)に関する予期されるかまたは実際の負荷に対応する負荷情報に従って、それぞれの電力レールに関連するそれぞれのレール電流を決定するように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、負荷情報は、それぞれの電力レールに結合されたプロセッサの1つまたは複数のクラスタについてのプロセッサ負荷情報に対応する。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態では、集積半導体デバイスは、1つまたは複数の直流(DC:direct current)電力供給インターフェース(power supply interface)をさらに含む。各DC電力供給インターフェースは、別個のDC供給電圧(supply voltage)を受け取るように構成され、各電圧調整器は、1つまたは複数のDC電力供給インターフェースのそれぞれのサブセットに結合され、対応するDC供給電圧によって給電され、対応するDC供給電圧からそれぞれのレール電圧を生成するように構成される。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態では、それぞれの時間において、複数の電圧調整器のうちの少なくとも1つは、冗長であり、複数の電力レールのいずれにも結合されていない。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態では、各電力レールについて電圧調整器のサブセットを選択することは、それぞれの時間において電圧調整器のサブセットの各々をそれぞれの電力レールに一意に関連付けることをさらに含む。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態では、各電力レールについて、それぞれのレール電流は最大レール電流(maximum rail current)IRLMを有する。電圧調整器のサブセットの各々は、調整器に最大調整器電流(maximum regulator current)IRGMまでの電流を提供するように構成され、電圧調整器のサブセットは、最大レール電流IRLMと最大調整器電流IRGMとの比(ratio)に対応する第1の数の電圧調整器を有する。さらに、いくつかの実施形態では、第1の電力レールは、第1の電力レールの各始動(startup)において過渡負荷応答時間(transient load response time)内にそれぞれのレール電圧に達するように構成され、過渡負荷応答時間は、最大調整器電流IRGMによって可能にされる。第1の数は、過渡負荷応答時間に基づいて決定される。さらに、第2の電力レール(second power rail)は、第2の電力レールの各始動において過渡負荷応答時間内にそれぞれのレール電圧に達し、通常動作(normal operation)中に最大レール電流IRLMを出力するように構成され、過渡負荷応答時間は、最大レール電流IRLMよりも小さい過渡負荷電流(transient load current)によって可能にされる。いくつかの実施形態では、電力アレイコントローラは、各電力レールについて、それぞれの電力レールの瞬時レール電流(instant rail current)を決定することと、電圧調整器のサブセットのすべてがそれぞれの電力レールの瞬時レール電流を集合的に提供することを可能にすることとを行うように構成される。いくつかの実施形態では、電力アレイコントローラは、各電力レールについて、それぞれの電力レールの瞬時レール電流を決定することと、瞬時レール電流と最大調整器電流IRGMとを比較することと、電圧調整器のサブセット中の1つまたは複数の電圧調整器を無効にすることと、電圧調整器のサブセットの残りがそれぞれの電力レールの瞬時レール電流を集合的に提供することを可能にすることとを行うように構成される。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態では、複数の電圧調整器は互いに同等である。
【0016】
[0016] いくつかの実施形態では、複数の電圧調整器の各々は、複数のあらかじめ定義された電圧調整器タイプ(voltage regulator type)から選択されるそれぞれの電圧調整器タイプに対応する。各電力レールについて、電圧調整器のサブセットは、それぞれの電圧調整器タイプに対応し、電圧調整器のサブセットを選択することは、少なくとも1つの性能基準(performance criterion)に基づいてそれぞれの電圧調整器タイプを決定することを含む。
【0017】
[0017] いくつかの実施形態では、各電力レールについて、電圧調整器のサブセットの各々は、出力インターフェースと、1つまたは複数の駆動経路(drive path)と、電圧調整器コントローラ(voltage regulator controller)とをさらに含む。出力インターフェースは、それぞれの電力レールに結合され、レール電圧を提供し、それぞれのレール電流をそれぞれの電力レールに送達するように構成される。1つまたは複数の駆動経路は、出力インターフェースに結合され、動作周波数(operating frequency)で動作するように構成される。電圧調整器コントローラは、1つまたは複数の駆動経路に結合された出力、およびフィードバック経路によって出力インターフェースに結合された入力を有し、1つまたは複数の駆動経路を制御するように構成される。
【0018】
[0018] いくつかの実施形態では、各電力レールについて、電圧調整器のサブセットの各々は、1つまたは複数の駆動経路および電圧調整器コントローラに結合されたバイパスユニットをさらに含む。バイパスユニットは、ダミー負荷構成要素(dummy load component)を提供するように構成される。それぞれの電圧調整器は、バイパスユニットが、出力インターフェースから電圧調整器コントローラの入力へのフィードバック経路をバイパスし、それにより、それぞれの電圧調整器がそれぞれのレール電流に寄与するのを無効にすることを可能にされる、待機/冗長モード(standby/redundancy mode)を有する。
【0019】
[0019] いくつかの実施形態では、各電力レールについて、電圧調整器のサブセット中の各電圧調整器は、それぞれのレール電流の一部分を提供するように構成され、それぞれの電力レールに電気的に結合された出力インターフェースと、複数の駆動経路と、調整器内平衡回路(intra-regulator balancing circuit)および調整器間平衡回路(inter-regulator balancing circuit)のうちの少なくとも1つとをさらに含む。各駆動経路は、出力インターフェースに結合され、それぞれの電力レールにそれぞれの経路電流を提供するように構成される。調整器内平衡回路は、複数の駆動経路に結合され、複数の駆動経路のそれぞれの経路電流を平衡させるように構成され、調整器間平衡回路は、出力インターフェースに結合され、それぞれの電圧調整器によって提供されるそれぞれのレール電流の一部分を、電圧調整器のサブセット中の別個の電圧調整器によって提供されるそれぞれのレール電流の少なくとも別の部分と平衡させるように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、各電力レールについて、電圧調整器のサブセット中の各電圧調整器は、調整器内平衡回路と調整器間平衡回路の両方を含む。
【0020】
[0020] 別の態様では、集積半導体デバイスは、電力レールと、電力レールに電気的に結合された複数の電圧調整器とを含む。電力レールは、レール電圧を提供するように構成され、複数の電圧調整器は、レール電圧を集合的に提供するように構成される。複数の電圧調整器の各々は、出力インターフェースと、第1の駆動経路と、第2の駆動経路と、調整器内平衡回路とを含む。出力インターフェースは電力レールに電気的に結合される。第1の駆動経路は、出力インターフェースに結合され、電力レールに第1の経路電流を提供するために第1の位相(first phase)中に動作周波数で動作するように構成される。第2の駆動経路は、出力インターフェースに結合され、電力レールに第2の経路電流を提供するために第2の位相(second phase)中に動作周波数で動作するように構成される。第2の駆動経路は、第1の駆動経路と並列に電気的に結合される。調整器内平衡回路は、第1および第2の駆動経路に結合され、第1および第2の経路電流を感知(sense)し、第1および第2の経路電流の差(difference)に基づいて第1の位相の第1のデューティサイクル(first duty cycle)および/または第2の位相の第2のデューティサイクル(second duty cycle)を制御するための第1の制御信号(first control signal)を生成するように構成される。
【0021】
[0021] いくつかの実施形態では、複数の電圧調整器の各々は、出力インターフェースに結合されたフィードバック入力(feedback input)を有する電圧調整器コントローラをさらに含む。電圧調整器コントローラのフィードバック入力は、出力インターフェースの出力電圧(output voltage)を受け取るように構成される。複数の電圧調整器の各々は、出力インターフェースおよび電圧調整器コントローラに結合された調整器間平衡回路をさらに含む。調整器間平衡回路は、それぞれの電圧調整器の出力電流を感知し、電圧調整器コントローラの制御入力(control input)にオフセット(offset)を適用するように構成され、ここにおいて、オフセットは、それぞれの電圧調整器の感知された出力電流に基づいて決定される。
【0022】
[0022] いくつかの実施形態では、調整器内平衡回路は、第1および第2の経路電流の差が経路電流平衡基準(path current balancing criterion)を満たさないと決定することと、第1および第2の経路電流の差が経路電流平衡基準を満たさないという決定、および第1の経路電流が第2の経路電流よりも大きいという決定に従って、第1および第2の経路電流の差が経路電流平衡基準を満たすまで、第1の位相の第1のデューティサイクルを低減することおよび第2の位相の第2のデューティサイクルを増加させることの一方または両方を実装することとを行うように構成される。
【0023】
[0023] いくつかの実施形態では、複数の電圧調整器の各々は、出力インターフェースに結合されたフィードバック入力を有する電圧調整器コントローラをさらに含み、電圧調整器コントローラのフィードバック入力は、出力インターフェースの出力電圧を受け取るように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、複数の電圧調整器の各々は、出力インターフェースおよび電圧調整器コントローラに結合された調整器間平衡回路をさらに含む。調整器間平衡回路は、それぞれの電圧調整器の出力電流を感知し、電圧調整器コントローラの制御入力にオフセットを適用するように構成される。オフセットは、それぞれの電圧調整器の感知された出力電流に基づいて決定される。さらに、いくつかの実施形態では、電圧調整器コントローラは、制御入力を受信し、フィードバック入力とレール電圧を定義する制御値との間のオフセットを適用するように構成された誤差増幅器(error amplifier)を含む。いくつかの実施形態では、複数の電圧調整器の各々は、出力インターフェースおよび電圧調整器コントローラに結合された調整器間平衡回路をさらに含む。調整器間平衡回路は、それぞれの電圧調整器の第1および第2の経路電流のうちの1つを感知し、電圧調整器コントローラによって受信された制御入力にオフセットを適用するように構成され、オフセットは、第1および第2の経路電流のうちの感知された1つに基づく。
【0024】
[0024] いくつかの実施形態では、第1および第2の駆動経路の各々は、入力供給電圧Vinおよび出力インターフェースに結合されたスイッチング構成要素(switching component)と、スイッチング構成要素に結合され、第1および第2の位相のそれぞれ1つ中に、動作周波数でスイッチング構成要素をイネーブルにし、それにより、電力レールに第1および第2の経路電流のそれぞれ1つを提供することを可能にするように構成されたドライバ(driver)とをさらに含む。
【0025】
[0025] いくつかの実施形態では、第1の位相の第1のデューティサイクルは、第2の位相の第2のデューティサイクルに等しく、第2の位相は、第1の位相からオフセットされる。
【0026】
[0026] いくつかの実施形態では、第1の制御信号は、第1および第2の経路電流の差に基づいて第2の位相の第2のデューティサイクルを制御するために生成される。複数の電圧調整器の各々は、出力インターフェースに結合され、電力レールに第3の経路電流を提供するために第3の位相中に動作周波数で動作するように構成された、第3の駆動経路をさらに含み、第3の駆動経路は、第1および第2の駆動経路と並列に電気的に結合される。調整器内平衡回路は、第3の駆動経路に結合され、第3の経路電流を感知し、第1および第3の経路電流の差に基づいて第3の位相の第3のデューティサイクルを制御するための第2の制御信号を生成するように構成される。
【0027】
[0027] いくつかの実施形態では、複数の電圧調整器の各々は、出力インターフェースに結合され、電力レールに第3の経路電流を提供するために第3の位相中に動作周波数で動作するように構成された、第3の駆動経路をさらに含み、第3の駆動経路は、第1および第2の駆動経路と並列に電気的に結合される。調整器内平衡回路は、第3の駆動経路に結合され、第3の経路電流を感知し、第1および第2の経路電流の差に基づいて、ならびに第1および第3の経路電流の差に基づいて第1の位相の第1のデューティサイクルを制御するための第1の制御信号を生成するように構成される。
【0028】
[0028] いくつかの実施形態では、複数の電圧調整器と、1つまたは複数の追加の電圧調整器とは、フィールドプログラマブルアレイ中に配置され、複数の電圧調整器は、電力レールに関する予期されるかまたは実際の負荷に対応する負荷情報に基づいて電力レールを駆動するためにフィールドプログラマブルアレイから選択される。
【0029】
[0029] さらに、別の態様では、集積半導体デバイスは、電力レールと、電力レールに結合された複数の電圧調整器とを含む。電力レールは、レール電圧を提供するように構成され、複数の電圧調整器は、レール電圧を集合的に提供するように構成される。複数の電圧調整器の各々は、出力インターフェースと、1つまたは複数の駆動経路と、電圧調整器コントローラと、バイパスユニットとを含む。出力インターフェースは、電力レールに結合され、レール電圧を提供し、最高であらかじめ定義された調整器電流(regulator current)を電力レールに送達するように構成される。1つまたは複数の駆動経路は、出力インターフェースに結合され、動作周波数で動作するように構成される。電圧調整器コントローラは、1つまたは複数の駆動経路に結合された出力、およびフィードバック経路によって出力インターフェースに結合された入力を有し、1つまたは複数の駆動経路を制御するように構成される。バイパスユニットは、1つまたは複数の駆動経路および電圧調整器コントローラに結合され、ダミー負荷構成要素を提供するように構成される。各電圧調整器は、バイパスユニットが、出力インターフェースから電圧調整器コントローラの入力へのフィードバック経路をバイパスすることを可能にされる、待機/冗長モードを有する。
【0030】
[0030] 他の実施形態および利点は、本明細書の説明および図面に照らせば当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】[0031] いくつかの実施形態による、典型的な電子デバイス中の例示的なシステムモジュールのブロック図。
図2】[0032] いくつかの実施形態による、電力管理システムのブロック図。
図3】[0033] いくつかの実施形態による、集積半導体デバイスの断面図。
図4A】[0034] いくつかの実施形態による電圧調整器のフィールドプログラマブルアレイの図。
図4B】いくつかの実施形態による、図4Aに示されているフィールドプログラマブルアレイ中の電圧調整器の基本クラスタの図。
図5】[0035] いくつかの実施形態による、図4に示されている電圧調整器のフィールドプログラマブルアレイを含む電力管理システムの概略図。
図6】[0036] いくつかの実施形態による、SoCに1つまたは複数の電力レールを提供するための複数の電圧調整器を含む集積半導体デバイスの簡略ブロック図。
図7A】[0037] いくつかの実施形態による電圧調整器のサブセットを使用してレール電圧VRにおいてレール電流IRを提供するプロセスを示す図。
図7B】いくつかの実施形態による、1つまたは複数の冗長な電圧調整器に基づいてレール電圧VRにおいてレール電流IRを提供するプロセスを示す図。
図8A】[0038] いくつかの実施形態による、フィールドプログラマブルアレイを形成するために基本ユニットとして使用される電圧調整器のブロック図。
図8B】[0039] いくつかの実施形態による、電流平衡および/または冗長制御を使用した電圧調整器のブロック図。
図9】[0040] いくつかの実施形態による、複数の駆動経路804を有する電圧調整器の回路図。
図10A】[0041] いくつかの実施形態による、調整器内平衡回路によって平衡される2つの駆動経路を有する電圧調整器の回路図。
図10B】[0042] いくつかの実施形態による、調整器内平衡回路によって平衡される3つ以上の(たとえば、3つの)駆動経路を有する電圧調整器の回路図。
図10C】[0043] いくつかの実施形態による、差動増幅器をもつ電圧調整器平衡駆動経路の回路図。
図11A】[0044] いくつかの実施形態による、電圧調整器のフィールドプログラマブルアレイ中の2つの電圧調整器によって駆動される電力レールの等価回路図。
図11B】[0045] いくつかの実施形態による、調整器間電流平衡のためにローパスフィルタ(LPF)を使用する単一の電圧調整器の等価回路図。
図12A】[0046] いくつかの実施形態による調整器間平衡回路によって制御される電圧調整器の回路図。
図12B】いくつかの実施形態による調整器間平衡回路によって制御される電圧調整器の回路図。
図13】[0047] いくつかの実施形態による、冗長性を制御するために補助ループを有する電圧調整器のフィールドプログラマブルアレイの電圧調整器の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[0048] 同様の参照番号は、図面全体にわたって対応する部分を指す。
【0033】
[0049] 次に、添付の図面にそれらの例が示されている、特定の実施形態を詳細に参照する。以下の詳細な説明では、本明細書で提示される主題を理解するのを支援するために多数の非限定的な特定の詳細が記載される。しかし、当業者には、特許請求の範囲から逸脱することなく様々な代替形態が使用され得、これらの具体的な詳細なしに主題が実施され得ることが明らかであろう。たとえば、当業者には、本明細書で提示される主題が、電力管理能力をもつ多くのタイプの電子デバイス上で実装され得ることが明らかであろう。
【0034】
[0050] 以前は、SoCの各タイプについて、PMICとSoCにつながる導線とは、このタイプのSoCに含まれる少なくともマイクロプロセッサまたはCPUコアに基づいてカスタム設計される必要がある。各SoCタイプのためのPMICのカスタマイゼーションは、多くの状況で効率的でない。さらに、いくつかの状況では、同じPMIC中の電圧調整器は平衡されず、PMICの性能を損なう。本出願の様々な実施形態では、集積半導体デバイスは、SoCのプロセッサの1つまたは複数のクラスタに給電するために複数の電力レールを提供するように構成される。半導体デバイスは、フィールドプログラマブルアレイ中に配置され、電力レールに結合されたプロセッサの1つまたは複数のクラスタに関連付けられた負荷情報に基づいてSoCの複数の電力レールに電力を出力するように制御される、複数の電圧調整器を含む。同じ集積半導体デバイスは、異なるタイプのSoCに給電するように調整される。さらに、いくつかの実施形態では、各電力レールについて、それぞれの電力レールを駆動する各能動電圧調整器において、各能動電圧調整器の異なる電流経路における経路電流が平衡され、それぞれの電力レールを駆動する異なる能動電圧調整器における出力電流が平衡されるように、調整器内および/または調整器間電流平衡機構が内部的に適用される。これらの手段によって、本出願は、大いに平衡された電圧調整器を有し、異なるタイプのSoCを適応的に駆動することができる、効率的で高性能なPMIC解決策を提供する。
【0035】
[0051] 図1は、いくつかの実施形態による、典型的な電子デバイス中の例示的なシステムモジュール100のブロック図である。この電子デバイス中のシステムモジュール100は、少なくとも、システムオンチップ(SoC)102と、プログラム、命令およびデータを記憶するためのメモリモジュール104と、入出力(I/O)コントローラ106と、ネットワークインターフェース108などの1つまたは複数の通信インターフェースと、これらの構成要素を相互接続するための1つまたは複数の通信バス150とを含む。いくつかの実施形態では、I/Oコントローラ106は、SoC102がユニバーサルシリアルバスインターフェースを介してI/Oデバイス(たとえば、キーボード、マウスまたはタッチスクリーン)と通信することを可能にする。いくつかの実施形態では、ネットワークインターフェース108は、電子デバイスがデータを外部ソース、たとえば、サーバまたは別の電子デバイスと交換することをそれぞれ可能にする、Wi-Fi(登録商標)、イーサネット(登録商標)およびBluetooth(登録商標)ネットワークのための1つまたは複数のインターフェースを含む。いくつかの実施形態では、通信バス150は、システムモジュール100に含まれる様々なシステム構成要素間の通信を相互接続および制御する(チップセットと呼ばれることがある)回路を含む。
【0036】
[0052] いくつかの実施形態では、メモリモジュール104は、DRAM、SRAM、DDR RAMまたは他のランダムアクセスソリッドステートメモリデバイスなど、高速ランダムアクセスメモリを含む。いくつかの実施形態では、メモリモジュール104は、1つまたは複数の磁気ディスク記憶デバイス、光ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス、または他の不揮発性ソリッドステート記憶デバイスなど、不揮発性メモリを含む。いくつかの実施形態では、メモリモジュール104、または代替的にメモリモジュール104内の不揮発性メモリデバイスは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。いくつかの実施形態では、メモリモジュール104を受け入れるためにシステムモジュール100上にメモリスロットが確保される。メモリスロットに挿入されると、メモリモジュール104は、システムモジュール100に統合される。
【0037】
[0053] いくつかの実施形態では、システムモジュール100は、以下から選択される1つまたは複数の構成要素をさらに含む。
・ 電子デバイス中の、SoC102と、メモリモジュール104を含むメモリ構成要素との間の通信を制御するメモリコントローラ110、
・ 電子デバイス中にデータを記憶するための集積回路アセンブリを適用し、多くの実施形態では、NANDまたはNORメモリ構成に基づく、ソリッドステートドライブ(SSD)112、
・ 電気機械磁気ディスクに基づいてデジタル情報を記憶し取り出すために使用される従来のデータ記憶デバイスであるハードドライブ114、
・ 別個のDC供給電圧を受け取るように各々構成された1つまたは複数の直流(DC)電力供給インターフェースを含む電力供給コネクタ116、
・ 電子デバイス内の様々な構成要素または回路(たとえば、SoC102中のプロセッサコア)によって要求されるように、DC電力供給インターフェースを介して受け取られた別個のDC供給電圧を他の所望の内部供給電圧、たとえば、5V、3.3Vまたは1.8Vに変調する電力管理集積回路(PMIC)118、
・ 望ましい画像/ビデオフォーマットに従って1つまたは複数のディスプレイデバイスに出力画像のフィードを生成するグラフィックスモジュール120、および
・ コンピュータプログラムの制御下で電子デバイスとの間のオーディオ信号の入力と出力とを容易にするサウンドモジュール122。
【0038】
[0054] また、通信バス150は、構成要素110~122を含む様々なシステム構成要素間の通信を相互接続および制御することに留意されたい。
【0039】
[0055] さらに、当業者は、メモリモジュール104中のおよびSSD112中の非一時的コンピュータ可読記憶媒体に情報を記憶するための新しいデータ記憶技術が開発されるとき、他の非一時的コンピュータ可読記憶媒体が使用され得ることを知っている。これらの新しい非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、限定はされないが、それぞれのデータ記憶技術が現在開発中でまだ商品化されていないが、生物学的材料、ナノワイヤ、カーボンナノチューブおよび個々の分子から製造されたものを含む。
【0040】
[0056] いくつかの実施形態では、SoC102は、1つまたは複数の集積回路を含む半導体パッケージ中に実装され、各集積回路は、単一の基板上に1つまたは複数のマイクロプロセッサまたはCPUコアと、メモリと、入出力ポートと、2次記憶装置とのサブセットを組み込む。PMIC118も、単一の基板上にそれぞれ形成された1つまたは複数の集積回路を含む半導体パッケージ中に実装される。SoC102は、1つまたは複数の電力レールを介してPMIC118によって提供される1つまたは複数の内部供給電圧(レール電圧とも呼ばれる)を受け取るように構成される。いくつかの実施形態では、SoC102とPMIC118の両方は、メイン論理ボード上に、たとえば、メイン論理ボードの2つの別個のエリア上に取り付けられ、メイン論理ボード中に形成された導線を介して互いに電気的に結合される。この配置は、SoCの性能を損ない得る、たとえば、内部供給電圧の電圧降下を引き起こし得る寄生効果および電気的ノイズをもたらす。代替的に、以下で説明される様々な実施形態によれば、SoC102とPMIC118との半導体ダイは、それらが、メイン論理ボード中に形成されていない電気的接続を介して互いに電気的に結合されるように、集積半導体デバイス中で垂直方向にパッケージングされる。SoC102とPMIC118との半導体ダイのそのような垂直配置は、SoC102とPMIC118との間の電気的接続の長さを低減することができ、メイン論理ボード上に導線を配線することによって引き起こされる性能劣化を回避することができる。
【0041】
[0057] いくつかの実施形態では、SoC102とPMIC118との半導体ダイの垂直配置は、部分的に、SoC102とPMIC118とのダイ間の限られた空間中の薄膜インダクタの組込みによって容易にされることに留意されたい。薄膜インダクタは、薄膜インダクタがSoC102とPMIC118との半導体ダイ間の限られた空間に適合することができるように、PMIC118の基板上に形成され、組み込まれ、限られた空間の高さよりも小さくなるように制御されたインダクタ高さを有する。薄膜インダクタがPMIC118の基板の上に形成されるとき、薄膜インダクタは、PMIC118の内部ノードまたは出力ノードに直接接続され得、メイン論理ボードの導線は、薄膜インダクタをPMIC118の内部ノードまたは出力ノードに接続するために使用されない。
【0042】
[0058] 本出願の様々な実施形態では、汎用PMIC118は、異なるタイプの電子デバイス100中の異なるタイプのSoC102を駆動するように構成される。PMIC118とSoC102とが隣り合わせに配置されるか垂直方向に配置されるかにかかわらず、PMIC118は、メイン回路板に関して同じフットプリントを占有するが、SoC102は、その中に組み込まれた電子モジュールに基づいて別個のフットプリントを有し得る。PMIC118は、フィールドプログラマブルアレイ中に配置された複数の電圧調整器ユニットを含む。複数の電圧調整器ユニットは、互いに同等であるか、または2つ以上のタイプの電圧調整器ユニットを含む。特定の電子デバイスでは、制御信号(control signal)は、もしあれば、SOC102および他の電子モジュールに給電するために必要とされる電力レールのレール電圧とレール電流とに基づいて決定される。これらの電力レールの各々について、対応する制御信号は、PMIC118のフィールドプログラマブルアレイ中の電圧調整器ユニットのサブセットを選択するために使用され、選択された電圧調整器ユニットは、それぞれの電力レールにレール電圧においてレール電流を集合的に提供する。したがって、PMIC118は、SoC102の電力レールにレール電圧および電流を提供するようにこれらの制御信号によって再構成され、PMIC118中の複数の構成可能な電圧調整器中の各電圧調整器ユニットは、冗長であるか、または制御信号のうちの1つによって電力レールのうちの1つを駆動するために選択される。
【0043】
[0059] 図2は、いくつかの実施形態による、SoC102などのSoCの1つまたは複数の電力レール206に電力を提供するように構成された電力管理システム200のブロック図である。電力管理システム200は、1つまたは複数の入力DC供給電圧202およびデジタル電力制御信号204を受信し、入力DC供給電圧202を1つまたは複数のレール電圧に変換し、これらのレール電圧は、1つまたは複数の電力レール206A、206B~206Nによって出力され、SoC102に提供される。電力管理システム200は、電力管理インターフェース208と、1つまたは複数のDC-DC変換器210(たとえば、DC-DC変換器210A、210B…210N)と、1つまたは複数の出力フィルタ212(たとえば、出力フィルタ212A、212B、…212N)とを含む。電力管理インターフェース208は、入力DC供給電圧202およびデジタル電力制御信号204を受信する。いくつかの実施形態では、電力管理インターフェース208は、(たとえば、SoC102上の)中央プロセッサユニットのマスタ電力管理インターフェースによって制御され、SoC102からデジタル電力制御信号204を受信するように構成される。DC-DC変換器210は、電力管理インターフェース208および電力レール206に結合され、入力DC供給電圧202から電力レール206上で提供される1つまたは複数のレール電圧を生成するように、デジタル電力制御信号204によって制御される。出力フィルタ212は、DC-DC変換器210に結合され、SoC102に提供される電力レール206におけるノイズを低減し、それの安定性を維持するように構成される。いくつかの実施形態では、出力フィルタ(たとえば、212A、212B、…212Nのいずれか)は、1つまたは複数のそれぞれの出力抵抗214と、1つまたは複数の出力キャパシタ216(たとえば、216A、216B、…216N)とを含む。いくつかの実施形態では、出力フィルタ(たとえば、212B)は、インダクタ218と、1つまたは複数の出力キャパシタ(たとえば、キャパシタ216B)とを含む。
【0044】
[0060] いくつかの実施形態では、電力管理システム200は、(図1のPMIC118に対応する)1つまたは複数のPMICダイ220上に実装され、各PMICダイは、単一の基板を有する。いくつかの実施形態では、電力管理インターフェース208とDC-DC変換器210とは、単一のPMICダイ220の基板上に形成され、たとえば、PMICダイ220の基板上に作製された同じ集積回路に属する。逆に、いくつかの実施形態では、電力管理インターフェース208とDC-DC変換器210とは、複数のPMICダイ220の複数の基板上に形成される。いくつかの実施形態では、電力管理インターフェース208とDC-DC変換器210とに加えて、各PMICダイ220は、PMICダイ220の基板の上面上に作製されたかまたは取り付けられた複数の薄膜インダクタをさらに含む。場合によっては、複数の薄膜インダクタは、出力フィルタ212において使用される1つまたは複数のインダクタ218を含む。場合によっては、複数の薄膜インダクタは、DC-DC変換器210において使用される1つまたは複数のインダクタ218’を含む。いくつかの実施形態では、インターフェース208と、変換器210と、インダクタ218/218’とに加えて、PMICダイ220は、出力フィルタ212の出力抵抗214とキャパシタ216とのサブセットをさらに組み込む。
【0045】
[0061] いくつかの実施形態では、電力管理システム200は、電圧調整器ユニットのフィールドプログラマブルアレイと、出力フィルタ212と、1つまたは複数の出力抵抗214と、1つまたは複数の出力キャパシタ216と、1つまたは複数のインダクタ218とを含む。デジタル電力制御信号204は、たとえば、SoC102によって、電力レール206に必要なターゲット電力能力(たとえば、レール電圧およびレール電流)に基づいて決定される。たとえば、各電力レールは、それぞれの電力レールのターゲット電力容量を示すためにSoC102によって使用されるそれぞれの電力需要を有する、SoC102のCPUクラスタ、キャッシュ、または機能ブロックに給電するように構成される。制御信号204に従って、フィールドプログラマブルアレイ中の電圧調整器ユニットは、ターゲット電力能力をもつ電力レール206を駆動するために、1つまたは複数のDC-DC変換器210、たとえば、DC-DC変換器210A、210B、…210Nを形成するように区分および構成される。各DC-DC変換器210について、追加の構成要素212~218はまた、対応する電力レール206のための望ましいノイズ性能を可能にするように制御信号204のそれぞれのサブセットによって選択および制御され得る。
【0046】
[0062] 図3は、いくつかの実施形態による、集積半導体デバイス300の断面図である。半導体デバイス300は、半導体パッケージ中に、少なくとも1つのSoCダイ302と、少なくとも1つのPMICダイ220とを組み込み、第1の面304Aと、第1の面304Aの反対側にある第2の面304Bとを有する少なくともパッケージ基板304を含む。SoCダイ302は、パッケージ基板304の第1の面304A上に配設され、PMICダイ220は、パッケージ基板304の第2の面304Bに機械的に結合される。
【0047】
[0063] パッケージ基板304は、パッケージ基板304の本体を通過する複数の第1のビア相互接続306をさらに含み、第1の面304Aと第2の面304Bの両方の上で露出される。PMICダイ220は、パッケージ基板304の複数の第1のビア相互接続306を介してSoCダイ302に電気的に結合される。特に、PMICダイ220は、電力レール206(図2)に提供される複数のレール電圧を出力するように構成された複数のDC接続308を含む。PMICダイ220がパッケージ基板304の第2の面304B上に取り付けられるとき、DC接続308は、パッケージ基板304の複数の第1のビア相互接続306に電気的に結合される。いくつかの実施形態では、SoCダイ302は、複数のレール電圧を受け取るように構成された複数の電力接続312を含む。SoCダイ302がパッケージ基板304の第1の面304A上に取り付けられるとき、電力接続312は、パッケージ基板304の複数の第1のビア相互接続306に電気的に結合される。したがって、PMICダイ220は、PMICダイ220のDC接続308と、SoCダイ302の電力接続312と、パッケージ基板304の第1のビア相互接続306とを介してSoCダイ302にDC電力(すなわち、電力レール206のレール電圧とレール電流と)を提供するように構成される。さらに、極めて低いインピーダンスのDC接続308を使用することによって、SoCダイ302へのDC電力提供されるPMICダイ220の品質は、PMICダイ220とSoCダイ302とが別々にパッケージングされ、メイン回路板上で隣り合わせに配置されたシステムに対して大幅に改善される。
【0048】
[0064] いくつかの実施形態では、PMICダイ220上の電力管理インターフェース208は、SoCダイ302のマスタ電力管理インターフェースによって制御され、SoCダイ302からデジタル電力制御信号204を受信するように構成される。第1のビア相互接続306のサブセットは、SoCダイ302からPMICダイ220にデジタル電力制御信号204を転送するように構成される。
【0049】
[0065] SoCダイ302は、パッケージ基板304上に第1のフットプリントを有し、PMIC220は、パッケージ基板304上に第2のフットプリントを有する。第1および第2のフットプリントは、複数の第1のビア相互接続306を使用してPMICダイ220のDC接続308とSoCダイ302の電力接続312を直接結合する目的で、少なくとも部分的に重複する。いくつかの状況では、SoCダイ302の第1のフットプリントは、PMICダイ220の第2のフットプリントよりも大きく、それを完全に取り囲む。代替的に、いくつかの状況では、SoCダイ302の第1のフットプリントは、PMICダイ220の第2のフットプリントからオフセットされるが、PMICダイ220の第2のフットプリントと少なくとも部分的に重複する。PMICダイ220のDC接続308と、SoCダイ302の電力接続312と、パッケージ基板304の第1のビア相互接続306とは、第1および第2のフットプリントの重複エリア中で位置合わせされ、取り囲まれる。
【0050】
[0066] さらに、PMICダイ220は、複数のDC接続308に対応する複数の薄膜インダクタ218を含む。複数の薄膜インダクタ218は、パッケージ基板304の第2の面304Bに隣接してまたは対向して、たとえば、パッケージ基板304の第2の面304Bに対向するPMICダイ220の上面に位置する。言い換えれば、複数の薄膜インダクタ218は、PMICダイ220の上面とパッケージ基板304の第2の面304Bとの間に配設される。いくつかの実施形態では、PMICダイ220は、たとえば、接着剤を介して、パッケージ基板304に機械的に結合される。複数の薄膜インダクタ218の高さは、PMICダイ220とパッケージ基板304との間の機械的結合のロバストネスを維持するために、所定のしきい値高さ(たとえば、1mm、100μm)よりも小さい。
【0051】
[0067] いくつかの実施形態では、集積半導体デバイス300は、パッケージ基板304の第1の面304Aに結合されたカバー314をさらに含む。カバー314は、SoCダイ302とパッケージ基板304の第1の面304Aの少なくとも一部を隠し、それにより、SoCダイ302と第1の表面304Aの少なくとも一部を保護するように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、カバー314は、導電性材料から作られ、カバー314によって完全に隠された場合、SoCダイ302と第1の面304A上の任意の他の回路に静電遮蔽を提供するか、または第1の面304Aがカバー314によって部分的にのみ隠されたる場合、カバー314によって隠された第1の面304Aの一部に静電遮蔽を提供するために、接地されるように構成される。いくつかの状況では、カバー314は、SoCダイ302によって生成された熱を散逸させるように構成された熱伝導性材料から作られる。いくつかの実施形態では、SoCダイ302によって生成された熱をSoCダイ302からカバー314に一様に拡散するために、熱拡散器316、または熱拡散器の層は、SoCダイ302をカバー314の内面に結合するために使用される。
【0052】
[0068] いくつかの実施形態では、半導体デバイス300は、ソケット基板318をさらに含む。ソケット基板318は、パッケージ基板304の第2の面304Bに対向する第3の面318Aを有する。パッケージ基板304は、複数の電気コネクタ320を介してソケット基板318に電気的に結合される。特に、パッケージ基板304の第2の面304Bは、PMICダイ220がそれに機械的に結合された第1のエリア(たとえば、中心エリア)と、複数の電気コネクタ320が位置する第2のエリア(たとえば、周辺エリア)とを含む。一例では、第2のエリアは、第1のエリアに隣接するかまたはそれを囲む。いくつかの状況下では、半導体デバイス300は、ソケット基板318とともに提供されることに留意されたい。しかしながら、いくつかの状況下では、ソケット基板318は、図1の電子デバイスの回路板上に固定にされ、集積半導体デバイス300の一部ではない。そうではなく、半導体デバイス300は、PMICダイ220とSoCダイ302の組合せの提案機能に提供される交換可能部品である。
【0053】
[0069] いくつかの実施形態では、ソケット基板318の第3の面318Aは実質的に平坦であり、PMICダイ220は、パッケージ基板304の第2の面304Bとソケット基板318の第3の面318Aとの間に配設される。複数の薄膜インダクタ218の高さは、電気コネクタ320の長さとPMICダイ220の厚さとの間の差によって決定される所定のしきい値高さ(たとえば、1mm、100μm)よりも小さい。代替的に、いくつかの実施形態では、ソケット基板318は、第3の面318A上に形成され、PMICダイ220がパッケージ基板304の第2の面304Bに機械的および電気的に結合されるときにPMICダイ220を受け入れるように構成された、凹形部分322を含む。凹形部分322の深さは、ソケット基板318の厚さよりも小さい。いくつかの状況では、PMICダイ220は、凹形部分322中に吊るされ、すなわち、凹形部分322の底面から空隙によって分離される。代替的に、いくつかの状況では、PMICダイ220は、直接的にまたは中間層(たとえば、接着剤層、熱拡散器層、もしくは接着剤と熱拡散器の両方である層)を介して、凹形部分322の底面に接触する。
【0054】
[0070] 図3に示されていないいくつかの実施形態では、凹形部分322の深さはソケット基板318の厚さに等しく、凹形部分322はソケット基板318上の開口またはカットオフである。ソケット基板318が回路板(たとえば、メイン論理ボード)上に取り付けられるとき、PMICダイ220は、凹形部分322(開口またはカットオフとも呼ばれる)中に吊るされ、パッケージ基板304と、ソケット基板318と、回路板とによって少なくとも部分的に囲まれる。
【0055】
[0071] いくつかの実施形態では、SoCダイ302の電力接続312は、パッケージ基板304の第1のビア相互接続306に直接結合されない。そうではなく、第1のインターポーザー324が、SoCダイ302とパッケージ基板304の第1の面304Aとの間に配設される。第1のインターポーザー324は、SoCダイ302の電力接続312とパッケージ基板304の第1のビア相互接続306を少なくとも電気的に結合するように構成された複数の第2のビア相互接続326をさらに含む。同様に、いくつかの実施形態では、PMICダイ220のDC接続308は、パッケージ基板304の第1のビア相互接続306に直接結合されない。そうではなく、第2のインターポーザー328は、PMICダイ220とパッケージ基板304の第2の面304Bとの間に配設される。第2のインターポーザー328は、PMICダイ220のDC接続308とパッケージ基板304の第1のビア相互接続306を少なくとも電気的に結合するように構成された複数の第3のビア相互接続をさらに含む。したがって、SoC102の電力レール206は、少なくとも、SoCダイ302の電力接続312と、パッケージ基板304の第1のビア相互接続306と、PMICダイ220のDC接続308とを含み、いくつかの状況では、第1のインターポーザー324の第2のビア相互接続326および/または第2のインターポーザー328の第3のビア相互接続332をさらに含む。
【0056】
[0072] いくつかの実施形態では、半導体デバイス300は、1つまたは複数の個別電子モジュール330(たとえば、抵抗、キャパシタ、インダクタ、トランジスタ、および論理チップ)をさらに含む。個別電子モジュール330は、SoCダイ302の入出力結合を制御するためにSoCダイ302の入出力インターフェース回路において電気的に結合され得る。場合によっては、個別電子モジュール330のサブセット(たとえば、構成要素330A)は、パッケージ基板304の第1の面304A上に配設される。各構成要素330Aは、カバー314内に含まれているか、またはカバー314の外側に位置し得る。場合によっては、個別電子モジュール330のサブセット(たとえば、構成要素330B)は、パッケージ基板304の第2の面304Bに機械的に結合される。それぞれの構成要素330Bがロープロファイルを有する(たとえば、電気コネクタ320の長さよりも薄い)場合、構成要素330Bは、パッケージ基板304の第2の面304Bとソケット基板318の第3の面318Aとの間の間隙に適合し得る。さもなければ、構成要素330Bがロープロファイルを有しない(たとえば、電気コネクタ320の長さよりも厚い)場合、それぞれの構成要素330Bは、ソケット基板318の凹形部分322によって受け入れられ、PMICダイ220に隣接して配設され得る。
【0057】
[0073] SoCダイ302とPMICダイ220とは、半導体デバイス300中で垂直方向に配置される。SoCダイ302の電力接続312と、PMICダイ220のDC接続308は、位置合わせされ、互いに近接して配置され、それにより、SoCダイ302にレール電圧を提供する各電力レール206に結合された寄生抵抗およびキャパシタンスが低減される。いくつかの実装形態では、複数のPMICダイ220は、ソケット基板318の凹形部分322中に配設され、パッケージ基板304の第1の面304A上に配設された1つまたは複数のSoCダイ302に電気的に結合され得ることに留意されたい。たとえば、2つのPMICダイ220は、4つのSoCダイ302に集合的に給電するために、ソケット基板318の凹形部分322中に配設される。SoCダイ302のうちの1つは、場合によっては、マイクロプロセッサもしくはCPUコア、またはマイクロプロセッサもしくはCPUコアのクラスタに対応する。
【0058】
[0074] さらに、本出願のいくつかの実施形態では、PMICダイ220は、異なるタイプのSoCダイ302を駆動するために制御信号によって構成可能である電圧調整器のフィールドプログラマブルアレイを含む。いくつかの状況では、異なるタイプのSoCダイ302をサポートするために、同じPMICダイ220、パッケージ基板304、およびソケット基板318が使用される。ソケット基板318上に形成された凹形部分322は、同じPMICダイ220に適応するために固定サイズを有し、パッケージ基板304の本体を通過する第1のビア相互接続306は、固定ロケーションを有する。代替的に、いくつかの状況では、パッケージ基板304とソケット基板318とのフットプリントサイズは、異なるタイプのSoCダイでは異なるが、同じPMICダイ220は、凹形部分322とパッケージ基板304の第1のビア相互接続306とが不変のままであることを可能にし、それにより、各個々のタイプのSoCダイ302についてPMICダイ220とパッケージ全体とをカスタム設計することが回避される。したがって、PMICダイ220における電圧調整器のフィールドプログラマブルアレイの適用は、半導体デバイス300のアセンブリプロセスを簡略化し、費用効率を向上させる。
【0059】
[0075] 図4Aは、いくつかの実施形態による電圧調整器402のフィールドプログラマブルアレイ400の図であり、図4Bは、いくつかの実施形態による、図4Aに示されているフィールドプログラマブルアレイ400中の電圧調整器402の基本クラスタ420の図である。電圧調整器402のフィールドプログラマブルアレイ400は、電力管理システム200を確立するために使用され、SoC102などのSoCに1つまたは複数の電力レール206を提供するように構成される。フィールドプログラマブルアレイ400において、電圧調整器402は、1つまたは複数の電圧調整器タイプに対応し、複数の行と複数の列と(たとえば、図4Aでは16個の行と15個の列と)に編成される。ただ1つのタイプの電圧調整器が使用されるとき、フィールドプログラマブルアレイ400の電圧調整器402は、互いに同等である(たとえば、同等の回路を有するが、別様に構成され得る)。いくつかの実装形態では、フィールドプログラマブルアレイ400は、電圧調整器の単一のクラスタ420を含む。いくつかの実装形態では、フィールドプログラマブルアレイ400は、電圧調整器の複数の基本クラスタ420、たとえば、図4Aでは2つの行と3つの列とに配置された6つの基本クラスタ420を含む。フィールドプログラマブルアレイ400中の複数の基本クラスタ420は、互いに同等であり得る。代替的に、複数の基本クラスタ420は互いに無関係であり得、各基本クラスタ420は、単一のタイプの電圧調整器または2つ以上のタイプの電圧調整器を含む、電圧調整器402のそれぞれのサブアレイを含む。いくつかの実装形態では、各基本クラスタ420は、別個の基板上に形成され、スタンドアロン半導体チップを含む。代替的に、いくつかの実装形態では、2つ以上の基本クラスタ420は、同じ基板上に形成される。フィールドプログラマブルアレイ400の基本クラスタ420が単一の基板上に形成されるか2つ以上の基板上に形成されるかにかかわらず、これらの基本クラスタ420は、互いに結合され、電力管理システム200を一緒に実装するように構成される。
【0060】
[0076] いくつかの実装形態では、図2に示されているように、電力管理システム200は、電力アレイコントローラ(たとえば、図6の電力アレイコントローラ602)を有する電力管理インターフェース208を含む。電力アレイコントローラは、電圧調整器のフィールドプログラマブルアレイ400に結合され、それを制御するように構成される。いくつかの実施形態では、電力アレイコントローラは、複数の回路モジュール、たとえば、アナログデジタル変換器(ADC)404、アナログレジスタ406、発振器408、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)アレイ410、位相ロックループ(PLL)回路412、および/または低ドロップアウト調整器(LDO)414をさらに含む。電力アレイコントローラ602は、場合によっては、1つまたは複数のプロセッサ(たとえば、マイクロコントローラ508、図5)、不揮発性メモリ(NVM)506(たとえば、読取り専用メモリ、ワンタイムプログラマブル(OTP)メモリ)、レジスタ506、および有限状態機械(たとえば、532)のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実装形態では、複数の回路モジュール中の各回路モジュールは、フィールドプログラマブルアレイ400中の電圧調整器402の2つの隣接する行の間に配設される。いくつかの実装形態では、電力アレイコントローラのメモリは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、これらのプロセッサに、電力を出力するようにフィールドプログラマブルアレイ400中の電圧調整器402を制御させる命令を有する、1つまたは複数のプログラムを記憶する。
【0061】
[0077] 複数の電圧調整器402は、複数の電力レール206に電力を出力するように電力管理インターフェース208の電力アレイコントローラによって制御される。各電力レール206は、それぞれのレール電圧VRにおいてそれぞれのレール電流IRを提供することを要求とされる。電力アレイコントローラは、それぞれの電力レールについて、少なくともそれぞれの電力レールのそれぞれのレール電流IRに従って、フィールドプログラマブルアレイ400中の電圧調整器402のそれぞれのサブセットを選択するように構成される。いくつかの実施形態では、各電力レール206について、電圧調整器402の選択は、電力管理システム200のパッケージまたはボードレベルで実装され、フィールドプログラマブルアレイ400全体にわたって分散された電圧調整器402を異なるクラスタ420中に含み得る。それぞれの電力レール206について選択される電圧調整器は、単一のクラスタ420、または限られた数のクラスタ420内の電圧調整器に限定される必要はない。一例では、第1の電力レール206-1は、同じクラスタ420A上に位置する10個の電圧調整器402によって給電されるように構成される。別の例では、第2の電力レール206-2は、2つ以上の別個の半導体チップ上に形成された2つ以上の別個のクラスタ(たとえば、420B、420Cおよび420D)中に位置する10個の電圧調整器402によって給電されるように構成される。
【0062】
[0078] 複数の電力レール206(たとえば、電力レール206-1または206-2)の各々について、その電力レールのために選択される電圧調整器402のそれぞれのサブセット中の電圧調整器402は、実質的に均等な様式でそれぞれの電力レールにおいて対応する負荷を共有するように制御される。それぞれのサブセット中の各電圧調整器402は、それぞれの電力レールに給電するためにアクティブにされたとき、それぞれのレール電圧VRと、それぞれのレール電流IRの実質的に等しい部分とを提供するように制御される。たとえば、第1の電力レール206-1は、第1のレール電圧VR1と、第1のレール電流IR1とを提供し、第1の電力レール206-1に給電するように構成された10個の電圧調整器402の各々は、第1の電力レール206-1に結合された出力を有し、第1のレール電圧VR1と、第1のレール電流の1/10(すなわち、0.1IR1)とを提供するように構成される。いくつかの実装形態では、第1の電力レール206-1は、10個の電圧調整器402の間でそれぞれの電力レールにおける負荷を均等に(または実質的に均等に)平衡させるために、10個の電圧調整器402の間に結合された1つまたは複数の調整器間平衡回路に関連付けられる。逆に、いくつかの実装形態では、調整器間平衡回路は、第1の電力レール206-1に給電するように構成された対応する10個の電圧調整器402のいずれの2つの間にも結合されない。各電圧調整器402は、たとえば、それぞれの出力電流に基づいて、他の電圧調整器402によって給電される負荷の他の部分と平衡された負荷のそれぞれの部分に給電するように、個々におよび独立して制御される。
【0063】
[0079] 電圧調整器の1つまたは複数のクラスタ420は、相互接続416の1つまたは複数の層を用いて同じ基板上に形成される。いくつかの実施形態では、相互接続416の1つまたは複数の層のうちの隣接する層のペアは、電気的接触および/またはビアを介して電気的に結合される。1つまたは複数のクラスタ420の各電圧調整器402は、相互接続416を介してそれぞれの電力レール206に電気的に結合され得る。各電圧調整器402はまた、相互接続416を介して電力アレイコントローラの複数の回路モジュールに結合され、それらによって制御され得る。いくつかの実装形態では、複数のDC接続308は、電圧調整器の1つまたは複数のクラスタ420の基板の上面に形成され、露出される。複数のDC接続308は、相互接続416のサブセットに電気的に結合され、SoCダイ302の1つまたは複数の電力レール206の一部である。DC接続308は、電圧調整器402によって出力された1つまたは複数のレール電圧VRを1つまたは複数の電力レール206に提供するように構成される。特に、図3図4Bとを参照すると、PMICダイ220中の電圧調整器のクラスタ420は、PMICダイ220のDC接続308と、SoCダイ302の電力接続312と、パッケージ基板304の第1のビア相互接続306とを介して、DC電力(すなわち、電圧調整器402によって出力されたレール電圧VRと電流IRと)をSoCダイ302に提供するように構成される。一例では、PMICダイ220の各DC接続308は、導電性バンプ(たとえば、はんだ、金または銅バンプ)を含む。
【0064】
[0080] 電圧調整器のフィールドプログラマブルアレイ400は、異なるタイプのSoC302の電力要件(たとえば、レール電圧VR、レール電流IR)とともにスケーラブルである。たとえば、フィールドプログラマブルアレイ400は、クラスタに編成された複数の電圧調整器402を含む。フィールドプログラマブルアレイ400が第1のSoC302を駆動するように構成されたとき、電圧調整器402の第1のグループは、第1の複数の電力レール206に給電するためにアクティブにされる。フィールドプログラマブルアレイ400が第2のSoCダイ302を駆動するように構成されたとき、電圧調整器402の第2のグループは、第2の複数の電力レール206に給電するためにアクティブにされる。第1のSoCダイ302は、第2のSoCダイ302とは別個であり、第1の複数の電力レール206は、第2の複数の電力レール206とは別個である。電圧調整器402の第1のグループおよび第2のグループは、それぞれ、第1のSoCダイ302および第2のSoCダイ302の電力レール206の電力要件に基づいて決定される。電圧調整器402の第1のグループと第2のグループは互いに別個であるが、第1のSoCダイ302と第2のSoCダイ302とを駆動するために同じフィールドプログラマブルアレイ400が適用される。したがって、フィールドプログラマブルアレイ400は、第1のSoCダイ302と第2のSoCダイ302との電力レール206の電力要件とともにスケーリングされる。
【0065】
[0081] 図5は、いくつかの実施形態による、図4に示されている電圧調整器402のフィールドプログラマブルアレイ400を含む電力管理システム500の概略図である。フィールドプログラマブルアレイ400は、複数の回路モジュールによって制御されるように構成された複数の電圧調整器402を含む。いくつかの実装形態では、複数の回路モジュールは、フィールドプログラマブルアレイ400上の複数の電圧調整器402の行の間に配設される。これらの回路モジュールは電力管理インターフェース208に属する。いくつかの実装形態では、電力管理システム500は、中央プロセッサユニット(たとえば、SoC102)のマスタ電力管理インターフェースによって制御され、SoCインターフェース502を介してSoC102から1つまたは複数の電力制御信号204を受信するように構成される。電力制御信号204は、対応するSoC102の複数の電力レール206についての情報(たとえば、電圧および電流要件などの構成情報)、たとえば、電力レール206のレール電圧VRおよびレール電流IRを含む。SoC102は、電力レール206についての情報をレジスタ506に記憶する。電力レール206についての情報は、その後、レジスタ506から抽出され、マイクロコントローラ508は、レジスタ506中の電力レール206についての情報に基づいて、対応するSoCダイ302の各電力レール206を駆動するために複数の電圧調整器402中の電圧調整器402のサブセットを選択するように構成される。
【0066】
[0082] 電力管理システム500は、ADC404と、アナログレジスタ406と、発振器408と、SRAMアレイ410と、PLL回路412と、LDO414とのうちの1つまたは複数をさらに含む。発振器408は、内部クロック信号510を生成するように構成される。クロック選択信号514は、システムクロック516として働くために内部クロック信号510が選択されるか外部クロック信号512が選択されるかを決定するために使用される。マイクロコントローラ508は、システムクロック516の制御下で動作するように構成される。PLL412は、システムクロック516を受信し、分割器520を用いてまたは用いないで多相クロック518を生成するように構成される。各電圧調整器402は、多相クロック518の周波数において動作するように構成された1つまたは複数のスイッチングモード駆動経路を含む。1つまたは複数のスイッチングモード駆動経路の周波数は、システムクロック516の周波数に等しいか、またはそれの倍数である。
【0067】
[0083] さらに、いくつかの実施形態では、LDO414は、入力DC供給電圧202から追加のレール電圧522を生成するために適用され、追加のレール電圧522は、電圧調整器402によって提供されるレール電圧206とは別個である。追加のレール電圧522は、ラインおよび負荷が変動してもかなり安定しており、周囲温度の変化の影響を受けず、経時的に安定している。入力DC供給電圧202の(あらかじめ定義された範囲内の)変化があっても、追加のレール電圧522の変動は、かなり小さく、たとえば、しきい値ドロップアウト電圧よりも小さい。たとえば、入力DC供給電圧202は1.8V以下であり、追加のレール電圧522は、入力DC供給電圧202が1.1Vに降下したときでも、0.9Vにおいて実質的に安定したままである(たとえば、±50mV未満の変動を有する)。
【0068】
[0084] いくつかの実施形態では、電力管理システム500は、LDO414と、電圧調整器402と、ヒューズ526と、ADC404とのうちの1つまたは複数に1つまたは複数の基準電圧を提供するように構成された基準生成器524をさらに含む。ADC404は、トラックおよびホールド回路と、最高9つの異なる入力(たとえば、1つまたは複数の基準電圧、入力DC供給電圧202、レール電圧206、レジスタ506から抽出された制御およびデータ)の変換を可能にするアナログ入力マルチプレクサとを含む。
【0069】
[0085] いくつかの実施形態では、電力管理システム500は、電力管理システム500に結合されたSoCダイ302の温度または電力管理システム500自体の温度を監視し、SoCダイ302または電力管理システム500の温度に基づいて電力レール206にレール電圧を出力することを制御する(たとえば、無効にする)ように構成された、熱遮断モジュール528をさらに含む。一例では、SoCダイ302の温度が、あらかじめ定義されたSoCしきい温度(たとえば、85℃)を超えるとき、熱遮断モジュール526は、電力レール206にレール電圧VRを出力することを無効にして、SoCダイ302の温度がSoCしきい温度未満に下降することを可能にするように電力管理システム500を制御する。
【0070】
[0086] 図6は、いくつかの実施形態による、SoC102に1つまたは複数の電力レール206を提供するための複数の電圧調整器402を含む集積半導体デバイス600の簡略ブロック図である。複数の電圧調整器402はフィールドプログラマブルアレイ400中に配置される。電力アレイコントローラ602は、複数の電子モジュール(たとえば、図5のSoCインターフェース502、発振器408、マイクロコントローラ508、LDO414、および基準生成器524のうちの1つまたは複数)を含み、複数の電圧調整器402に結合される。電力アレイコントローラ602は、複数の電力レール206に電力を出力するように複数の電圧調整器402を制御するように構成される。各電力レール206は、それぞれのレール電圧VRにおいてそれぞれのレール電流IRを提供する。図6を参照すると、電圧調整器402のフィールドプログラマブルアレイ400は、4つの電力レール206-1、206-2、206-3、および206-4に給電し、それぞれ、レール電圧VR1、VR2、VR3、およびVR4においてレール電流IR1、IR2、IR3、およびIR4を提供する。複数の電力レール206の各々について、電力アレイコントローラ602は、それぞれの電力レール206に関連するそれぞれのレール電流IRを決定し、少なくともそれぞれのレール電流IRに従って電圧調整器402のサブセットを選択し、電圧調整器402のサブセットがそれぞれのレール電圧VRを生成し、それぞれのレール電流IRを集合的に提供することを可能にする。したがって、電力アレイコントローラ602と電圧調整器502とは、(図1のPMIC118に対応する)1つまたは複数のPMICダイ220上のSOC102のための電力管理システムを実装する。
【0071】
[0087] SoC102は、複数の電子的構成要素、たとえば、1つもしくは複数のマイクロプロセッサもしくはCPUコア604、メモリ606、通信モジュール608、タイミングソース、周辺機器(たとえば、クロック、カウンタタイマー)、アナログインターフェース、入出力ポート、および/または2次記憶装置を含む。マイクロプロセッサまたはCPUコア604は、場合によってはクラスタに配置される。SoC102は、同じパッケージ基板304上に配設された1つまたは複数の集積回路(たとえば、SoCダイ302)によって実装される。各SoCダイ302は、それぞれの半導体基板上にSoC102の電子モジュールのサブセットを組み込む。一例では、SoC102は、1つまたは複数のプロセッサコア604を含むメインSoCダイと、メモリ606、アナログインターフェース、またはプロセッサコア604とは別個の他の構成要素を含むコンパニオンSoCダイとを有する。
【0072】
[0088] 各電力レール206について、それぞれのレール電圧VRは、SOC102の電子的構成要素のそれぞれのサブセットの動作によって決定される。電力アレイコントローラ602は、少なくともそれぞれのレール電圧VRに基づいて制御値610を決定するように、および決定された制御値610を、それぞれの電力レール206に対応する電圧調整器402のサブセットに提供し、それにより、電圧調整器402のサブセットがそれぞれのレール電圧VRを生成し、それぞれのレール電流IRを集合的に提供することを可能にするように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、電力アレイコントローラ602は、それぞれのレール電圧VRを生成し、それぞれのレール電流IRを集合的に提供するために、各電力レール206に対応する電圧調整器の選択されたサブセットに動作イネーブル信号612を提供する。
【0073】
[0089] いくつかの実施形態では、電力アレイコントローラ602は、1つまたは複数のプロセッサと、命令を記憶したメモリとを含み、命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、プロセッサに、複数のレール206に電力を出力するように電圧調整器402を制御させる。電力レール206の各々について制御値610とイネーブル信号612とを電圧調整器のサブセットに関連付けるために、場合によっては、VRUグルーピング構成が、電力アレイコントローラ602のメモリ(たとえば、不揮発性メモリ506、図5)、システムモジュール100のオフチップ不揮発性メモリ(NVM)、またはシステムモジュール100の基本入出力システム(BIOS)に記憶される。いくつかの状況では、VRUグルーピング構成は、PMIC220が電源投入されたとき、電力アレイコントローラ602によって装填され、実装される。
【0074】
[0090] 複数の電力レール206の各々は、それぞれの電力レール206に対する負荷となる、SOC102の電子モジュールのサブセットに給電するように構成される。各電力レール206について、電力アレイコントローラ602は、それぞれの電力レール206に関する予期されるかまたは実際の負荷に対応する負荷情報614を決定し、負荷情報614に従って、それぞれの電力レールに関連するそれぞれのレール電流IRを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、電力レール206は、クラスタに配置された1つまたは複数のプロセッサコア604を有するメインSoCダイに結合され、この電力レール206の負荷情報614は、この電力レール206に結合されたメインSoCダイのプロセッサ604の1つまたは複数のクラスタについてのプロセッサ負荷情報に対応する。プロセッサ負荷情報の例は、プロセッサ604の1つまたは複数のクラスタによって実施されるべき動作の総数、動作のタイプを含む。逆に、いくつかの実施形態では、電力レール206のうちの1つは、メモリ606を有するコンパニオンSoCダイに結合され、メモリ606上の書込みおよび読取り動作に給電するように構成される。その電力レール206についての負荷情報は、コンパニオンSoCダイ上のメモリ606のメモリアクセスについてのメモリ負荷情報に対応する。メモリ負荷情報の例は、メモリ606のメモリタイプ、メモリ書込み動作の頻度、およびメモリ読込み動作の頻度を含む。したがって、各電力レール206のレール電流IRは、それぞれの電力レール206の負荷情報614(たとえば、プロセッサまたはメモリ負荷情報)に基づいて適応的に決定される。
【0075】
[0091] さらに、いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルアレイ400中の複数の電圧調整器402の各々は、複数のあらかじめ定義された電圧調整器タイプから選択されるそれぞれの電圧調整器タイプに対応する。各電力レール206について、電圧調整器402の選択されるサブセットは、少なくとも1つの性能基準(たとえば、最大レール電流IRLM、最大調整器電流IRGM、出力リップル電圧、電力供給除去率、負荷過渡応答、出力ノイズ、および電力効率のうちの1つまたは複数)に基づいて決定されるそれぞれの電圧調整器タイプに対応する。
【0076】
[0092] 図6を参照すると、電圧調整器402のそれぞれのサブセットが各電力レール206について選択された後、サブセット中の各電圧調整器402は、ある時間においてそれぞれの電力レール206に一意に関連付けられる。たとえば、第1の時間において、電力レール206-1、206-2、206-3、および206-4は、図6に示されているように電圧調整器402の4つの別個のセットに関連付けられる。第1の行における各電圧調整器402は、第1の時間において電力レール206-1に一意に関連付けられ、同じ第1の時間において電力レール206-2、206-3、および206-4のいずれにも関連付けられ得ない。しかしながら、第1の時間とは別個の第2の時間において、フィールドプログラマブルアレイ400中の電圧調整器402は、別個の電力レール206に給電するように再構成され得る。第1の行における各電圧調整器402は、第1の時間において電力レール206-1に一意に関連付けられるが、第2の時間において電力レール206-2、206-3、および206-4のいずれかを駆動するように再構成され得る。より一般的には、いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルアレイ400中の少なくとも複数の電圧調整器402は、どの時間においても、複数の電力レールの選択された電力レール206に電力を提供するように構成され得る。したがって、いくつかの実施形態では、電圧調整器402のサブセットは、いくつかの電力レール206に永続的に割り当てられるが、他のものは、それらがどの電力レール206に接続されるかに関して構成可能である。いくつかの他の実施形態では、フィールドプログラマブルアレイ400中の電圧調整器402のすべては、それらがどの電力レール206に接続されるかに関して構成可能である。
【0077】
[0093] いくつかの状況では、フィールドプログラマブルアレイ400中の1つまたは複数の電圧調整器402(たとえば、402RA~402RD)は、第1の時間において冗長である。とは言うものの、冗長な電圧調整器402RA~402RDは、第1の時間において電力レール206のいずれにも結合されない。第1の時間の後の第2の時間において、これらの冗長な電圧調整器402RA~402RDの各々は、それぞれの電力レール206に電力を提供するように再構成され得る。いくつかの実施形態では、電圧調整器402は、それがいずれの電力レール206にも給電するために使用されない冗長な電圧調整器402として設定されたとき、完全に電源切断される。逆に、いくつかの実施形態では、電圧調整器402は、ダミー負荷構成要素を提供するように構成されたバイパスユニットを含む。待機/冗長モードでは、バイパスユニットは、(たとえば、動作イネーブル信号612の制御下で)電圧調整器402の出力インターフェースから入力へのフィードバック経路をバイパスし、それにより、それぞれの電圧調整器402が出力インターフェースを介していずれのレール電流IRにも寄与するのを無効にすることを可能にされる。待機/冗長モードに関するさらなる詳細は、図13を参照しながら以下で提供される。
【0078】
[0094] いくつかの実施形態では、半導体デバイス600は、1つまたは複数の直流(DC)電力供給インターフェース616をさらに含む。各DC電力供給インターフェース616は、別個のDC供給電圧VIN202を受け取るように構成される。各電圧調整器402は、1つまたは複数のDC電力供給インターフェース616のそれぞれのサブセットに結合され、対応するDC供給電圧VIN202によって給電され、対応するDC供給電圧VIN202からそれぞれのレール電圧VRを生成するように構成される。
【0079】
[0095] 図7Aは、いくつかの実施形態による電圧調整器402のサブセットを使用してレール電圧VRにおいてレール電流IRを提供するプロセス700を示し、図7Bは、いくつかの実施形態による、1つまたは複数の冗長な電圧調整器402に基づいてレール電圧VRにおいてレール電流IRを提供するプロセス750を示す。レール電流IRは、0と最大レール電流IRLMとの間で変動することができる。電圧調整器402のサブセットの各々は、最大調整器電流IRGMまでの調整器電流を提供するように構成される。電圧調整器402のサブセットは、最大レール電流IRLMと最大調整器電流IRGMとの比に対応する第1の数の電圧調整器を有する。たとえば、図6では、第1の電力レール206-1は、最大レール電流IRLMを出力することを要求され、各電圧調整器402は、最大調整器電流IRGMまでのそれぞれの調整器電流を提供することができる。最大レール電流IRLM(たとえば、0.6A)と最大調整器電流IRGM(たとえば、80mA)とに従って、8つの電圧調整器は、電力レール206-1に最大レール電流IRLMまでのレール電流IRを提供することを要求される。
【0080】
[0096] いくつかの実施形態では、最大レール電流IRLMは、過渡負荷応答時間内にレール電圧VRに達するように、電力レール206の始動中に適用され、電力レール206は、その後、最大レール電流IRLMよりも小さい動作電流を動作させる。電力レール206は、電力レール206の各始動において過渡負荷応答時間内にレール電圧VRに達するように構成される。過渡負荷応答時間内にレール電圧VRに達するように電力レールに十分な電力を提供することは、始動中に最大調整器電流IRGMと最大レール電流IRLMとを提供することによって可能にされ、したがって、電圧調整器の第1の数は、電力レール206の始動に必要な過渡負荷応答時間に部分的に基づいて決定される。しかしながら、いくつかの実施形態では、電力レールの始動においてそれぞれの電力レール206上で電圧をランプアップするとき、電力管理システム500によって提供される電流は、システムストレスを低減し、オーバーシュートを回避することなどのために、その電力レールの最大レール電流よりも著しく小さい。
【0081】
[0097] 電力レール206の(始動とは対照的に、本明細書では通常動作と呼ばれることがある)動作中に、SoC102に給電している動作電流IRは変動し、最大レール電流IRLMを超えない。逆に、いくつかの実施形態では、SoC102の動作に給電するためにレール電流IRが使用されるとき、最大レール電流IRLMには、少なくとも時々、電力レール206の通常動作中に達する。動作電流は、0と最大レール電流IRLMとの間で変動する。電力レール206の始動とは対照的に、通常動作中では、電圧調整器の第1の数は、各始動における電力レール206の過渡負荷応答時間ではなく、電力レール206の動作電流に基づいて決定される。電力レール206の過渡負荷応答時間は、最大レール電流IRLMよりも小さい過渡レール電流によって達成され得る。
【0082】
[0098] 図7Aを参照すると、電力レール206は、それぞれの時間において、それぞれの時間が電力レール206の始動に対応するか通常動作に対応するかとは無関係に、瞬時レール電流IRを有する。いくつかの実施形態では、電力アレイコントローラ602は、電圧調整器402のサブセットのすべてが電力レール206の瞬時レール電流IRを集合的に提供することを可能にするための、制御値610と動作イネーブル信号612とを生成する。言い換えれば、瞬時レールIRが0と最大レール電流IRLMとの間で変動するとき、電圧調整器402のサブセットのいずれも待機/冗長モードで動作しない。たとえば、第1の電力レール206-1(図6)は、ある時間に0.5IRLMに等しい瞬時レール電流IRを出力し、最大レール電流IRLMを提供するように構成されたすべての8つの電圧調整器は、0.5IRLMのみを集合的に提供するように電力アレイコントローラ602によって制御されながら、イネーブルにされる。したがって、この例では、各電圧調整器402の電力能力の一部分のみが利用される。いくつかの状況では、瞬時レール電流IRに関連するレール電圧VRは、最大レール電流IRLMに関連するレール電圧VRとは第1のレール電圧誤差だけ異なる。電力アレイコントローラ602および/または電圧調整器402は、第1のレール電圧誤差をレールドリフト許容差VRT内に維持(たとえば、制限または制御)するように構成される。
【0083】
[0099] さらに、いくつかの実施形態では、電圧調整器402のサブセットは、実質的に等しく瞬時レール電流IRに寄与するように制御される。たとえば、各電圧調整器402は、それぞれの部分を瞬時レール電流IRに提供し、この部分は、同じ電力レール206に電力を提供するように構成された電圧調整器402の間で5%(または10%、20%または他のあらかじめ定義されたマージン)よりも小さく変動する。各電圧調整器402は、それぞれの電圧調整器402によって提供されるそれぞれのレール電流IRの一部分を、電圧調整器402のサブセット中の別個の電圧調整器402によって提供されるそれぞれのレール電流IRの少なくとも別の部分と平衡させるための、調整器間平衡回路を含み得る。いくつかの実装形態では、調整器間平衡回路(たとえば、図8Bの826)は、各電圧調整器402の内部にあり、それぞれの電圧調整器402によって提供されるそれぞれのレール電流IRの部分を、内部的に、および同じ電力レール206に電力を提供するように構成された他の電圧調整器とは無関係に、それぞれのレール電流IRの部分を制御するための負のフィードバックとして使用する。
【0084】
[00100] 図7Bを参照すると、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の電圧調整器402は、たとえば、動作イネーブル信号612の制御下で、電圧調整器402のサブセット中で無効にされ、待機/冗長モードで動作し、一方、電圧調整器402のサブセットの残りは、対応する電力レールの瞬時レール電流IRを集合的に提供することを可能にされる。1つまたは複数の電圧調整器402は、第2の数の電圧調整器402を有し、第2の数は、瞬時レール電流IRと最大調整器電流IRGMとの間の比較(たとえば、それらの比)に従って決定されるか、または等価的に、瞬時レール電流IRと最大レール電流IRLMとの間の比較(たとえば、それらの比)に従って決定される。たとえば、電圧調整器402のサブセットは8つの電圧調整器を有し、第2の数は1と8との間の値に等しい。瞬時レール電流IRが第1の範囲、たとえば、
【0085】
【数1】
【0086】
内にある場合、第1の電圧調整器402Aは、瞬時レール電流IRを提供することを可能にされる。瞬時レール電流IRが、それぞれの時間において増加して、
【0087】
【数2】
【0088】
【0089】
【数3】
【0090】
【0091】
【数4】
【0092】
【0093】
【数5】
【0094】
【0095】
【数6】
【0096】
【0097】
【数7】
【0098】
、および
【0099】
【数8】
【0100】
を超える場合、電圧調整器402B、402C、402D、402E、402F、402G、および402Hは、それらのそれぞれの時間において、瞬時レール電流IRを対応するレール電流範囲内で提供することを可能にされる(たとえば、漸進的または連続的に可能にされる)。さらに、いくつかの実施形態では、第2の数の電圧調整器402が待機/冗長モードで動作している間、電圧調整器402のサブセットの残りは、実質的に等しく瞬時レール電流IRに寄与するように制御され、たとえば、各イネーブルにされた電圧調整器402は、同じ電力レール206に関連付けられた電圧調整器402の間で5%(または10%、20%または他のあらかじめ定義されたマージン)よりも小さく変動するそれぞれの部分を瞬時レール電流IRに提供する。
【0101】
[00101] いくつかの状況では、1つまたは複数の電圧調整器402が待機/冗長モードで動作するとき、瞬時レール電流IRに関連するレール電圧VRは、最大レール電流IRLMに関連するレール電圧VRとは第2のレール電圧誤差だけ異なる。第2のレール電圧誤差は、第2のレール電圧誤差をレールドリフト許容差VRT内に維持(たとえば、制限または制御)するように(たとえば、電力アレイコントローラ602および/または電圧調整器402によって)制御される。同じレール電流IRが少なくとも1つの冗長調整器(図7B)とともにまたは冗長調整器(図7A)なしに提供されるとき、第2のレール電圧誤差は第1のレール電圧誤差よりも小さく、冗長調整器402の関与により、より複雑な調整器制御を用いてより高い精度のレール電圧VRが提供される。
【0102】
[00102] いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルアレイ400中の各電圧調整器402は、図8Aであり、電圧調整器402のブロック図であり、それは、いくつかの実施形態による、フィールドプログラマブルアレイ400中の電圧調整器のうちの1つである。フィールドプログラマブルアレイ400において、電力レール206は、その電力レールに、対応するレール電圧VRを集合的に提供するように構成された複数の電圧調整器402に電気的に結合される。各電圧調整器402は、出力インターフェース802と、1つまたは複数の駆動経路804と、電圧調整器コントローラ806とを含む。出力インターフェース802は、レール電圧VRを出力するために電力レール206に電気的に結合される。1つまたは複数の駆動経路804は、電圧調整器コントローラ806と出力インターフェース802との間で並列に結合され、各駆動経路804は、電力レール206にそれぞれの経路電流IPを提供するためにそれぞれの位相中に動作周波数で動作するように構成される。それぞれの経路電流IPは、電力レール206に導入されるレール電流IRの一部分となる。電圧調整器コントローラ806は、電力アレイコントローラ602から制御値610と動作イネーブル信号612とを受信し、1つまたは複数の駆動経路804を制御するための経路制御信号(path control signal)808を生成するように構成される。
【0103】
[00103] 電圧調整器402は、出力インターフェース802を電圧調整器コントローラ806に結合するフィードバック経路822を含む。とは言うものの、電圧調整器コントローラ806は、出力インターフェース802の出力電圧を受け取るように構成されたフィードバック入力840を有する。電圧調整器コントローラ806は、出力インターフェース802の出力電圧に基づいて動的に経路制御信号808を調整し、制御値610によって定義されるようにレール電圧VRを生成するように構成される。特に、いくつかの実施形態では、経路制御信号808は、制御値610によって定義されたレール電圧VRとの出力インターフェース802の出力電圧の比較に従って電圧調整器コントローラ806によって動的に調整されるデューティサイクル(duty cycle)を定義する。
【0104】
[00104] 電圧調整器402は、組込みスイッチに基づいて動作するバック変換器、すなわち、DC-DCスイッチモード変換器を含む。各駆動経路804は、スイッチング構成要素810と、パルス幅変調(PWM:pulse width modulation)ドライバ812とを含む。PWMドライバ812は、電圧調整器コントローラ806とスイッチング構成要素810との間に結合される。PWMドライバ812は、スイッチング構成要素810を制御するために、クロック信号(clock signal)814(たとえば、多相クロック518)と、経路制御信号808とを受信する。特に、経路制御信号808は、デューティサイクルを定義し、クロック信号814は、1つまたは複数の駆動経路804の動作周波数に等しい周波数を有する。PWMドライバ812は、スイッチング信号(switching signal)816を生成するためにクロック信号814を経路制御信号808で修正するように構成される。スイッチング構成要素810は、動作周波数において、デューティサイクルに従ってオンおよびオフになるようにスイッチング信号816によって制御される。スイッチング構成要素810はまた、DC電力供給インターフェース616に結合され、対応するDC供給電圧VINによって給電されるように構成され、これは、それにより、デューティサイクルに従って動作周波数でスイッチング構成要素810のスイッチ出力818に出力される。スイッチング構成要素810のスイッチ出力818は、レール電圧VRを生成するために、受動負荷構成要素(passive load component)820(たとえば、直列インダクタ)によってさらに調整(たとえば、フィルタ処理)される。レール電圧は、出力インターフェース802を介して電力レール206に出力される。いくつかの実装形態では、レール電圧VRは、実質的に一定であり(たとえば、リップル許容差よりも小さい出力リップル電圧を有し)、DC供給電圧VINと、デューティサイクルと、スイッチング構成要素810の変換効率との積に等しい平均的な大きさを有する。
【0105】
[00105] 図8Bは、いくつかの実施形態による、電流平衡および/または冗長制御を使用した電圧調整器402のブロック図である。いくつかの実施形態では、電圧調整器402は、調整器内平衡回路824と、調整器間平衡回路826と、バイパスユニット828とのうちの1つまたは複数をさらに含む。調整器内平衡回路824と、調整器間平衡回路826と、バイパスユニット828とは、電圧調整器402の内部にある。いくつかの実施形態では、各個々の電圧調整器402は、電流出力を独立して無効にし、電流を内部的に平衡させ、および/または、レール電流IRに対するそれの寄与を、同じ電力レール206を駆動する他の電圧調整器と平衡させることができる。特に、いくつかの実施形態では、電圧調整器402が複数の駆動経路804を含むとき、調整器内平衡回路824は、駆動経路804の受動負荷構成要素820と、駆動経路804のPWMドライバ812のうちの少なくとも1つとの間に結合される。調整器内平衡回路824は、駆動経路804を監視し(たとえば、スイッチング構成要素810と受動負荷構成要素820とを通過する電流を監視し)、駆動経路804の少なくとも1つのデューティサイクルを調整し、駆動経路804のそれぞれの経路電流を動的に平衡させるようにPWMドライバ812のうちの少なくとも1つを制御するように構成される。
【0106】
[00106] いくつかの実施形態では、電圧調整器402は1つまたは複数の駆動経路804を含み、調整器間平衡回路826は、受動負荷構成要素820および出力インターフェース802から電圧調整器コントローラ806に結合される。各電圧調整器402について、調整器間平衡回路826は、たとえば、それぞれの電圧調整器自体によって提供されるそれぞれのレール電流IRの一部分に基づいて、それぞれの電圧調整器402によって提供されるそれぞれのレール電流IRの一部分を、同じ電力レール206に給電するために選択された電圧調整器402のサブセット中の別個の電圧調整器402によって提供されるそれぞれのレール電流IRの少なくとも別の部分と平衡させるように構成される。特に、いくつかの実施形態では、調整器間平衡回路826は、それぞれのレール電流IRの一部分を監視し、それぞれのレール電流IR自体の一部分に基づいて経路制御信号808を制御するように構成される。各電圧調整器402について、スイッチング構成要素810および受動負荷構成要素820を通過するそれぞれのレール電流IRの一部分は、調整器間平衡回路826によって監視される。いくつかの状況では、それぞれの電圧調整器によって提供されるそれぞれのレール電流の一部分が比較的大きい場合、制御経路制御信号808は、それぞれのレール電流IRの一部分を抑制するために、(そのそれぞれの電圧調整器の)駆動経路804のデューティサイクルを低減する。それぞれの電圧調整器によって提供されるそれぞれのレール電流の一部分が比較的小さい場合、制御経路制御信号808は、それぞれのレール電流IRの一部分をブースト上昇させるために、駆動経路804のデューティサイクルを増加させる。
【0107】
[00107] 逆に、今や示されるいくつかの実施形態では、第1の電圧調整器402の調整器間平衡回路826はまた、第1の電圧調整器402とは別個である第2の電圧調整器402の受動負荷構成要素820と出力インターフェース802とに結合され、第1の電圧調整器402と一緒に同じ電力レール206に給電する。調整器間平衡回路826は、第1の電圧調整器と第2の電圧調整器とによって提供されるレール電流IRの部分の比較に従って、第1の電圧調整器402によって提供されるそれぞれのレール電流IRの部分を、第2の電圧調整器402によって提供されるそれぞれのレール電流IRの部分と平衡させるように構成される。
【0108】
[00108] バイパスユニット828は、電圧調整器402が、対応する電力レールのレール電流IRに寄与するのを無効にされる、待機/冗長モードを可能にするために使用される。待機/冗長モードは、場合によっては、電力レール206を駆動するために電圧調整器402(たとえば、図6の402E)が適用されるときに、またはいずれかの電力レール206を駆動するために電圧調整器402(たとえば、図6の402RA~402RD)が適用されないときに適用される。バイパスユニット828は、1つまたは複数の駆動経路804と電圧調整器コントローラ806とに結合され、電力レール206に結合された負荷の代わりに(たとえば、受動RCフィルタを含む)ダミー負荷構成要素を提供するように構成される。待機/冗長モードでは、バイパスユニット828は、出力インターフェース802から電圧調整器コントローラ806の入力へのフィードバック経路822をバイパスし、それにより、それぞれの電圧調整器402がそれぞれのレール電流IRに寄与するのを無効にすることを可能にされる。図8Bに示されている例では、スイッチ830Aは切られ、フィードバック経路822に挿入されており、スイッチ830Bは切られ、各駆動経路804中でスイッチング信号816を搬送する相互接続に挿入されている。いくつかの実装形態では、スイッチ830Aおよび830Bの各々は、マルチプレクサ()を含み、電圧調整器402によって受信される動作イネーブル信号612によって制御される。バイパスユニット828は、各駆動経路804のスイッチ830Aとスイッチ830Bとの間に結合され、スイッチング信号816をインターセプトし、電圧調整器コントローラ806から電力レール206およびフィードバック経路822を分離するように構成される。したがって、バイパスユニット828は、待機/冗長モードにおいて補助経路832がフィードバック経路822をバイパスすることを可能にする。バイパスユニット828の実装形態の一例は、以下で説明される図13に示される。
【0109】
[00109] 図9は、いくつかの実施形態による、複数の駆動経路804を有する電圧調整器402の回路図である。電圧調整器コントローラ806は、駆動経路804A~804Nの各々に結合され、それに経路制御信号808を提供する。フィードバック経路822は、駆動経路804A~804Nの出力インターフェース802を電圧調整器コントローラ806のフィードバック入力840に接続する。いくつかの実施形態では、電圧調整器コントローラ806は、デジタルアナログ変換器(DAC)902と、誤差増幅器904と、増幅器フィードバック回路とを含み、駆動経路804A~804Nのためのパルス幅変調を可能にするように構成される。制御値610は、誤差増幅器904の入力において受け取られる基準電圧906を生成するために、DAC902によって適用される。増幅器フィードバック回路とフィードバック経路822とは、基準電圧906に一致するように、出力インターフェース802において出力されるレール電圧VRを動的に制御する。特に、経路制御信号808は、レール電圧VRと基準電圧906を一致させるように駆動経路804A~804Nのデューティサイクルを制御するために、電圧調整器コントローラ806によって生成される。いくつかの状況では、電力アレイコントローラ602はまた、それぞれのレール電圧VRとそれぞれのレール電流IRとを生成することを可能にするために、各電圧調整器402に動作イネーブル信号612を提供する。動作イネーブル信号612は、場合によっては、誤差増幅器904および/またはDAC902を制御する(たとえば、イネーブルにし無効にする)ために適用される。
【0110】
[00110] 駆動経路804A~804Nの各々は、出力インターフェース802に結合された受動負荷構成要素820と、PWMドライバ812と、スイッチング構成要素810とをさらに含む。PWMドライバ812は、動作周波数を有するクロック信号814を受信し、スイッチング信号816に位相(phase)を提供するようにクロック信号814を変調(modulate)するように構成される。電力スイッチング構成要素(power switching component)810は、PWMドライバ812と受動負荷構成要素820との間に結合され、スイッチング信号816の制御下で受動負荷構成要素820を1つまたは複数のDC供給電圧VINに結合するように構成される。いくつかの実施形態では、スイッチング構成要素810は、受動負荷構成要素820をそれぞれDC供給電圧VINと接地とに結合するようにスイッチング信号816によって制御される、第1のトランジスタ810Aと第2のトランジスタ810Bとを含む。
【0111】
[00111] 図10Aは、いくつかの実施形態による、調整器内平衡回路824によって平衡される2つの駆動経路804Aおよび804Bを有する電圧調整器402の回路図である。電圧調整器402は、電力レール206に電気的に結合され、電力レール206にレール電圧VRを集合的に提供するように構成された、複数の電圧調整器402のうちの1つである。電圧調整器402は、出力インターフェース802に結合され、電力レール206に第1の経路電流IP1を提供するために第1の位相中に動作周波数で動作するように構成された、第1の駆動経路804Aを含む。第2の駆動経路804は、出力インターフェース802に結合され、電力レール206に第2の経路電流IP2を提供するために第2の位相中に動作周波数で動作するように構成される。第2の駆動経路804Bは、第1の駆動経路804Aと並列に電気的に結合される。いくつかの状況では、第1の位相と第2の位相は、同等であり、同じデューティサイクルを有する。いくつかの状況では、第1の位相と第2の位相は、互いに別個である。第1の位相の第1のデューティサイクルは、第2の位相の第2のデューティサイクルに等しいが、それからオフセットされる。第1の位相の第1のデューティサイクルは、第2の位相の第2のデューティサイクルと部分的に重複するか、またはそれから完全にオフセットされる。
【0112】
[00112] 調整器内平衡回路824は、第1および第2の駆動経路804Aおよび804Bに結合され、第1および第2の経路電流IP1およびIP2を感知し、第1および第2の経路電流IP1およびIP2の差に基づいて第1の位相の第1のデューティサイクル、第2の位相の第2のデューティサイクル、またはその両方を制御するための制御信号1002を生成するように構成される。たとえば、調整器内平衡回路824が、第1の経路電流IP1が第2の経路電流IP2よりも大きいと決定した場合、それは、第1の経路電流IP1を低減するために第1のデューティサイクルを減少させるように第1の駆動経路804AのPWMドライバ812Aを制御するか、または第2の経路電流IP2を増加させるために第2のデューティサイクルを増加させるように第2の駆動経路804BのPWMドライバ812Bを制御する。いくつかの実施形態では、調整器内平衡回路824は、2つの駆動経路804Aおよび804Bの間で経路電流IP1およびIP2を動的に平衡させることを(たとえば、平衡制御1004によって)常に可能にされる。いくつかの実施形態では、調整器内平衡回路824は、周期的に、またはSoC102から受信された命令に応答して、2つの駆動経路804Aおよび804Bの間で経路電流IP1およびIP2を平衡させることを可能にされる。
【0113】
[00113] いくつかの実施形態では、調整器内平衡回路824は、第1および第2の経路電流IP1およびIP2の差が経路電流平衡基準を満たさないと決定する。一例では、経路電流平衡基準は、差の絶対値が電流しきい値(たとえば、0.1mA)または割合しきい値(たとえば、5%)を超えないことを要求する。第1および第2の経路電流の差が経路電流平衡基準を満たさないという決定、および第1の経路電流が第2の経路電流よりも大きいという決定に従って、電圧調整器402は、第1および第2の経路電流の差が経路電流平衡基準を満たすまで、第1の位相の第1のデューティサイクルを低減することおよび第2の位相の第2のデューティサイクルを増加させることの一方または両方を実装する。代替的に、いくつかの状況下では、経路電流平衡基準は、第1および第2の経路電流IP1およびIP2が等しい(すなわち、それらの差が0である)ことを要求し、電圧調整器402は、経路電流IP1およびIP2が等しくないときはいつでも、駆動経路804Aの第1の位相および/または駆動経路804Bの第2の位相を調整する。
【0114】
[00114] 第1および第2の経路電流IP1およびIP2の差は、対応する駆動経路804のPWMドライバ812、スイッチング構成要素810、または受動負荷構成要素820の不一致を含む、様々な要因によって引き起こされる。調整器内平衡回路824は、各電圧調整器402内の内部アナログ電流平衡ループが、デジタル信号処理を必要とすることまたは入出信号を加算することなしに、第1および第2の駆動経路804Aおよび804Bの不一致を訂正することを可能にする。一例では、調整器内平衡回路824によって可能にされるアナログ電流平衡ループは、全体ループを含む。
【0115】
[00115] 図10Bは、いくつかの実施形態による、調整器内平衡回路824によって平衡される3つ以上の(たとえば、3つの)駆動経路804を有する電圧調整器402の回路図である。駆動経路804Aおよび804Bのように、少なくとも第3の駆動経路804Cは、出力インターフェース802に結合され、第1の駆動経路804Aおよび第2の駆動経路804Bと一緒に電力レール206に第3の経路電流IP3を提供するために、第3の位相中に駆動経路804Aおよび804Bの動作周波数で動作するように構成される。第3の駆動経路804Cは、第1および第2の駆動経路804Aおよび804Bと並列に電気的に結合される。いくつかの実施形態では、制御信号1002は、第1および第2の経路電流IP1およびIP2の差に基づいて第2の位相の第2のデューティサイクルを制御するために生成される第1の制御信号1002Aを含む。調整器内平衡回路824は、第3の駆動経路804Cに結合され、第3の経路電流IP3を感知し、第1および第3の経路電流IP1およびIP3の差に基づいて第3の位相の第3のデューティサイクルを制御するための第2の制御信号1002Bを生成するように構成される。これらの手段によって、両方の第1の経路電流IP1は基準として使用され、他の駆動経路804の各々は、それぞれの経路電流を第1の経路電流IP1に一致させるように調整される。
【0116】
[00116] 代替的に、いくつかの実施形態では、調整器内平衡回路824は、第3の駆動経路804Cに結合され、第3の経路電流IP3を感知し、第1および第2の経路電流IP1およびIP2の差に基づいて、ならびに第1および第3の経路電流IP2およびIP3の差に基づいて第1の位相の第1のデューティサイクルを制御するための制御信号1002を生成するように構成される。第1の経路電流IP1は、経路電流IP1~IP3の間の変動を低減するために、第2および第3の経路電流IP2およびIP3の間にあるように調整され得る。いくつかの状況では、駆動経路804の第1のペアに対応する最も小さい差が、駆動経路804A~804Cのいずれかのペアの間の差の中で識別され、駆動経路804A~804Cの残りのデューティサイクルは、第1のペア中の駆動経路のデューティサイクル間の値に調整される。したがって、経路電流IP1、IP2およびIP3の間の平衡を向上させるために、3つの駆動経路804A~804Cのデューティサイクルのうちのただ1つが調整される。
【0117】
[00117] 図10Cは、いくつかの実施形態による、差動増幅器1006を用いて駆動経路804を平衡させる電圧調整器402の回路図である。調整器内平衡回路824は、1つまたは複数の差動増幅器1006を含む。各差動増幅器1006は、駆動経路804のうちの2つに結合される。特に、駆動経路804Aおよび804Bのスイッチ出力818Aおよび818Bは、スイッチ出力818Aおよび818Bにおける高周波ノイズを除去するために、増幅器1006の差動入力に結合されたローパスフィルタ1008Aおよび1008Bによってフィルタ処理される。差動増幅器1006は、スイッチ出力818Aおよび818Bに基づいて、第1の位相の第1のデューティサイクル、第2の位相の第2のデューティサイクル、またはその両方を制御するための制御信号1002を生成する。制御信号1002は、場合によっては、シングルエンド信号または差動信号である。したがって、アクティブにされた場合、差動増幅器1006は、経路電流IP1およびIP2が平衡されないときはいつでも、駆動経路804Aの第1の位相および/または駆動経路804Bの第2の位相の調整を可能にする。
【0118】
[00118] 図11Aは、いくつかの実施形態による、電圧調整器のフィールドプログラマブルアレイ400中の2つの電圧調整器402によって駆動される電力レール206の等価回路図1100である。調整器間電流平衡(inter-regulator current balancing)のために、各電圧調整器402は簡略化され、電圧源モデルによる電圧源1110に対応する。これらの電圧調整器402によって給電される電力レール206は、SoC102のサブセットに給電するように構成される。各電圧調整器402について、出力インターフェース802は、物理的にそれぞれの電圧調整器402のフットプリント内に位置し、場合によっては第1の相互接続1102の寄生抵抗を含む抵抗Rline1を有する第1の相互接続1102を介して電力レール206に接続される。いくつかの状況では、電圧調整器402の第1の相互接続1102は併合されて、調整器ジョイント1104、たとえば、図4BのDC接続308において電力レール206が形成される。いくつかの状況では、3つ以上の電圧調整器402の第1の相互接続1102が併合されて、2つ以上の調整器ジョイント1104において電力レール206が形成される。場合によっては、2つ以上の調整器ジョイント1104は、これらの2つ以上の調整器ジョイント1104を接続する追加の相互接続とともに使用される。場合によっては、共通の調整器ジョイント1104は、電力レール206に給電する電圧調整器402の第1の相互接続1102の等価抵抗を調整することによって決定される。電力レール206は、場合によっては電力レール206の寄生抵抗を含む分布抵抗Rline2を伴って調整器ジョイント1104から配線される。各電圧調整器402は出力インピーダンスRo1106を有する。
【0119】
[00119] いくつかの実施形態では、2つの電圧調整器402間の不一致は、たとえば、DAC902の基準電圧誤差および/または電圧調整器コントローラ806の誤差増幅器904のオフセット電圧によって引き起こされる、電圧調整器402のうちの1つまたは複数における内部誤差に対応する。第1の相互接続1102の抵抗Rline1は無視できる。電力レール206の分布抵抗Rline2は、2つの電圧調整器402間の不一致に影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、各電圧調整器402の出力電流は、感知され、誤差増幅器904のオフセット入力を制御し、それによって誤差増幅器904のオフセット電圧を相殺するために使用される。いくつかの実装形態では、それぞれの電圧調整器402の内部誤差を補償するために、変調器1108が各電圧調整器402に組み込まれる。たとえば、変調器1108は、図8B図12Aまたは図12Bにおける調整器間平衡回路826として実装される。
【0120】
[00120] いくつかの実施形態では、変調器1108はローパスフィルタ(LPF)1112を含む。図11Bは、いくつかの実施形態による、調整器間電流平衡のためにLPF1112を使用する単一の電圧調整器402の等価回路図1150である。電圧調整器402の出力インピーダンスRo1106の電圧降下は、電圧調整器402の出力電流、すなわち、電圧調整器402によって寄与されるレール電流IRの一部分に対応する。電圧降下は、抽出され、LPF1112によって高周波ノイズを低減するためにフィルタ処理され、スケールファクタ(たとえば、1)とともに電圧調整器コントローラ806(たとえば、誤差増幅器904)に適用される。LPF1112は、負のフィードバックが電圧調整器402の内部誤差を相殺および補償することを可能にする。この電流平衡構成は、同じ電力レール206または電力アレイコントローラ602を駆動する他の電圧調整器402からのどんな入力または制御も必要とせずに、電圧調整器402内で内部的に実装される。
【0121】
[00121] 図12A図12Bとは、いくつかの実施形態による、調整器間平衡回路826によって制御される電圧調整器402の回路図である。調整器間平衡回路826は、出力インターフェース802と電圧調整器コントローラ806とに結合され、それぞれの電圧調整器402の出力電流を感知し、電圧調整器コントローラ806の制御入力にオフセット1202を適用するように構成される。オフセット1202は、電圧調整器402の感知された出力電流に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、電圧調整器コントローラ806は、制御入力を受信し、フィードバック入力840と、この電圧調整器402によって給電される電力レール206のレール電圧を定義する制御値との間のオフセット1202を適用するように構成された、誤差増幅器904を含む。
【0122】
[00122] 図12Aを参照すると、いくつかの実施形態では、調整器間平衡回路826は、出力インターフェース802において結合された受動負荷構成要素820の出力インダクタ1204に結合される。調整器間平衡回路826は、出力インダクタ1204上の電圧降下に基づいて電圧調整器402の出力電流を感知するように構成される。代替的に、いくつかの実施形態では、かなり小さい(たとえば、しきい値抵抗よりも小さい)抵抗を有する出力抵抗1206が、出力インターフェース802において直列に結合される。調整器間平衡回路826は、出力抵抗1204を介して出力インターフェース802に結合され、電圧調整器402の出力電流は、出力抵抗1204上の電圧降下から感知される。したがって、調整器間平衡回路826は、電圧調整器402の出力電流を感知し、電圧調整器コントローラ806によって受信された制御入力にオフセット1202を適用するように構成される。オフセット1202は、電圧調整器402の出力電流に基づいて、特に出力インダクタ1204または出力抵抗1206上の電圧降下に基づいて直接的に決定される。
【0123】
[00123] 図12Bを参照すると、いくつかの実施形態では、電圧調整器402は、場合によっては互いに平衡される経路電流を有する複数の駆動経路804を含む。いくつかの実施形態では、調整器間平衡回路826は、駆動経路804のうちの1つにおける受動負荷構成要素820の経路インダクタ1208に結合される。調整器間平衡回路826は、経路インダクタ1208上の電圧降下に基づいて電圧調整器402の複数の経路電流IPのうちの1つを感知するように構成される。代替的に、いくつかの実施形態では、かなり小さい(たとえば、しきい値抵抗よりも小さい)抵抗を有する経路抵抗1210が、複数の駆動経路804のうちの1つにおいて直列に結合される。調整器間平衡回路826は、経路抵抗1210に結合され、電圧調整器402の出力電流は、経路抵抗1210上の電圧降下から間接的に感知および決定される。とは言うものの、調整器間平衡回路826は、電圧調整器402の複数の経路電流IPのうちの1つを感知し、電圧調整器コントローラ806によって受信された制御入力にオフセット1202を適用するように構成される。オフセット1202は、複数の経路電流IPのうちの感知された1つに基づいて、特に経路インダクタ1208または経路抵抗1210上の電圧降下に基づいて決定される。
【0124】
[00124] いくつかの実施形態では、調整器間平衡回路826は、それぞれ、出力インダクタ1204と、出力抵抗1206と、経路インダクタ1208と、経路抵抗1210とのうちの1つの2つの端部に結合された2つのLPFを含む。オフセット1202は、電圧調整器402の出力電流のDCおよび低周波部分に基づいて決定される。
【0125】
[00125] いくつかの実施形態では、電圧調整器402は、経路電流IP1およびIP2を平衡させるように構成された(図12Bに示されていない)調整器内平衡回路824と、電圧調整器402の出力電流、すなわち、この電圧調整器402に関連付けられた電力レール206に提供されるレール電流IRの対応する部分を制御するように構成された調整器間平衡回路826の両方を含む。いくつかの実施形態では、電圧調整器402は、調整器内平衡回路824と調整器間平衡回路826とのうちのただ1つを含む。
【0126】
[00126] 図13は、いくつかの実施形態による、冗長性を制御するために補助ループ1302を有する電圧調整器のフィールドプログラマブルアレイ400の電圧調整器402の回路図である。上記で説明されたように、電圧調整器402は、電圧調整器402(たとえば、402RA~402RD)が、どんな電力レール206にも給電することを可能にされないか、または電圧調整器402(たとえば、図7Bの402H)が、電力レール206を駆動するために使用されるが、電力レール206の対応するレール電流IRに寄与するのを一時的に無効にされる、待機/冗長モードを有する。いくつかの実施形態では、電圧調整器402がいずれかの電力レール206に結合されるかどうかにかかわらず、電圧調整器402は、出力インターフェース802と、1つまたは複数の駆動経路804と、電圧調整器コントローラ806と、バイパスユニット828とを含む。電圧調整器コントローラ806は、1つまたは複数の駆動経路804に結合された出力と、フィードバック経路822によって出力インターフェース802に結合されたフィードバック入力840とを有する。バイパスユニット828は、1つまたは複数の駆動経路804および電圧調整器コントローラ806に結合され、ダミー負荷構成要素1304を提供するように構成される。待機/冗長モードでは、バイパスユニット828がイネーブルにされたとき、補助ループ1302は、出力インターフェース802から電圧調整器コントローラ806の入力へのフィードバック経路822をバイパスし、1つまたは複数のスイッチング構成要素1306でダミー負荷構成要素1304を駆動する。したがって、補助ループ1302は、バイパスユニット828を含み、待機/冗長モードでは、電圧調整器402が電力レール206の対応するレール電流IRに寄与するのを無効にするために、フィードバック経路822の代わりにイネーブルにされる。
【0127】
[00127] 待機/冗長モードでは、バイパスユニット828は、各駆動経路804のスイッチング構成要素810と受動負荷構成要素820とをバイパスすることを可能にされる。各駆動経路804は、PWMドライバ812と、スイッチング構成要素810と、バイパスユニット828とに結合されたマルチプレクサまたはスイッチ830Bをさらに含む。マルチプレクサまたはスイッチ830Bは、待機/冗長モードにおいてバイパスユニット828を選択し、スイッチング構成要素810を選択解除し、PWMドライバ812をバイパスユニット828に電気的に結合するように構成される。電圧調整器402は、電圧調整器コントローラ806のフィードバック入力840と出力インターフェース802との間に結合されたマルチプレクサまたはスイッチ830Aをさらに含む。マルチプレクサまたはスイッチ830Aは、バイパスユニットを選択し、電圧調整器コントローラ806の入力のために出力インターフェース802を選択解除するために、各駆動経路804のマルチプレクサまたはスイッチ830Bと同時に動作するように構成される。いくつかの実施形態では、待機/冗長モードを可能にするようにマルチプレクサまたはスイッチ830Aと、マルチプレクサまたはスイッチ830Bと、ダミー負荷構成要素1304とを同時に制御するために、動作イネーブル信号612が使用される。これらの手段によって、待機/冗長モードにおいて、各駆動経路804のスイッチング構成要素810と受動負荷構成要素820とは無効にされる一方で、各駆動経路804の電圧調整器コントローラ806とPWMドライバ812とは、ダミー負荷構成要素1304およびスイッチング構成要素1306とともに動作する。
【0128】
[00128] 要約すれば、電圧調整器402が待機/冗長モードにあるとき、補助ループ1302は、電圧調整器402を完全に停止することなしに出力インターフェース802を分離するために適用される。駆動経路804の電圧調整器コントローラ806とPWMドライバ812とは動作可能であり、それにより、電圧調整器402は、それが待機/冗長モードから回復するとき、即座にウェイクアップし、望ましい過渡応答時間を維持することが可能になる。その上、駆動経路804のスイッチング構成要素810は分離され、無効にされ、ダミー負荷構成要素1304とスイッチング構成要素1306とは、駆動経路804のスイッチング構成要素810と負荷構成要素820とよりも少ない電力を消費するように設計される。これは、待機/冗長モードにおいて電圧調整器402の電力消費量を効率的に節約する。逆に、電圧調整器402の待機/冗長モードを可能にするために補助ループ1302が使用されないとき、駆動経路804の電圧調整器コントローラ806とPWMドライバ812とは、待機/冗長モードを可能にするために無効にされる。電圧調整器402は、待機/冗長モードにおいて完全に停止され、電圧調整器402によって給電される必要がある電力レール206の対応するレール電流IRに寄与するためにそれが待機/冗長モードから回復されるたびに、再開される必要がある。再開プロセスは、遅いことが多く、電圧調整器402が待機/冗長モードから回復するときのそれの過渡応答時間を損なう。
【0129】
[00129] 本明細書の様々な記載された実装形態の説明において使用される用語は、特定の実装形態について説明するためのものにすぎず、限定することを意図されていない。様々な記載された実装形態の説明と添付の特許請求の範囲とにおいて使用される単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が別段に明確に示すのでなければ、複数形をも含むことが意図される。また、本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数のあらゆるすべての可能な組合せを参照および包含することが理解されよう。さらに、本明細書で使用される「含む(includes)」、「含む(including)」、「備える(comprises)」、および/または「備える(comprising)」という用語は、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことが理解されよう。さらに、「第1の」、「第2の」などの用語が、様々な要素について説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するために使用されるにすぎない。
【0130】
[00130] 本明細書で使用される「場合(if)」という用語は、場合によっては、文脈に応じて、「とき(when)」または「時に(upon)」または「を決定したことに応答して」または「を検出したことに応答して」または「という決定に従って」を意味するように解釈される。同様に、「と決定された場合」あるいは「『述べられた条件またはイベント』が検出された場合」という句は、場合によっては、文脈に応じて、「を決定する時に」あるいは「を決定したことに応答して」あるいは「『述べられた条件またはイベント』を検出する時に」あるいは「『述べられた条件またはイベント』を検出したことに応答して」あるいは「『述べられた条件またはイベント』が検出されたという決定に従って」を意味するように解釈される。
【0131】
上記の説明は、特定の実装形態に関して提供されている。しかしながら、上記の例示的な説明は、網羅的であることも、開示された正確な形態に限定することも意図されていない。多くの修正形態および変更形態が、上記の教示に鑑みて可能である。実装形態は、開示される原理と、それらの実際的適用例とを最も良く説明することによって、他者が、本開示と、企図される特定の使用に適した様々な修正を伴う様々な実装形態とを最も良く利用することを可能にするために、選定および説明されたものである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
【国際調査報告】