(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】タンパク質のイン・シチュ合成のための遺伝子操作された電気刺激されたエフェクター細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20240130BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240130BHJP
A61K 35/545 20150101ALI20240130BHJP
A61K 35/36 20150101ALI20240130BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20240130BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20240130BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240130BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240130BHJP
A61K 49/00 20060101ALI20240130BHJP
C07K 14/555 20060101ALN20240130BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240130BHJP
C12N 15/20 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
A61K35/17
A61K35/545
A61K35/36
A61K35/12
A61K38/21
A61P37/04
A61P31/14
A61K49/00
C07K14/555
C12N15/12
C12N15/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545759
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 US2022014161
(87)【国際公開番号】W WO2022165079
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501228071
【氏名又は名称】エスアールアイ インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】SRI International
【住所又は居所原語表記】333 Ravenswood Avenue, Menlo Park, California 94025, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】パリジャット バトナガー
(72)【発明者】
【氏名】シェリー ニューマイヤー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065BD50
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA02
4C084DA21
4C084DA22
4C084DA23
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZB33
4C085HH11
4C085KA27
4C085KB44
4C085KB82
4C085LL20
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB48
4C087BB61
4C087BB63
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB33
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA15
4H045DA16
4H045DA17
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】
電気センサー要素と、アクチュエーター要素と、エフェクター要素とを含む外因性ポリヌクレオチド配列を備える遺伝子操作された電気刺激された(ES)エフェクター細胞の例である。電気センサー要素は、電気刺激に応答して閉状態から開状態へと遷移するように構成される電位依存性カルシウムイオンチャンネル(CaV)をコードする。アクチュエーター要素は、CaVの開状態への遷移に応答してエフェクタータンパク質の合成をアップレギュレートする転写因子結合部位をコードする。エフェクター要素は、エフェクタータンパク質をコードし、遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、CaVの開状態への遷移に応答して、活性化し、エフェクタータンパク質を合成及び分泌するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気刺激に応答して閉状態から開状態へと遷移するように構成される電位依存性カルシウムイオンチャンネル(CaV)をコードする電気センサー要素と、
前記CaVの前記開状態への遷移に応答してエフェクタータンパク質の合成をアップレギュレートする転写因子結合部位をコードするアクチュエーター要素と、
前記エフェクタータンパク質をコードするエフェクター要素と、
を作動的に関連して含む外因性ポリヌクレオチド配列を備え、
前記CaVの前記開状態への遷移に応答して活性化し、前記エフェクタータンパク質を合成及び分泌するように構成される遺伝子操作された電気刺激(ES)エフェクター細胞。
【請求項2】
前記電気刺激及び前記CaVの前記開状態への遷移に応答してCa
2+の流入を引き起こすことにより活性化するように構成され、
前記Ca
2+の流入は前記転写因子結合部位を活性化し、前記エフェクタータンパク質の合成をアップレギュレートする、
請求項1の細胞。
【請求項3】
T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、多能性幹細胞、上皮細胞、又はK562細胞を備える請求項1の細胞。
【請求項4】
前記エフェクター要素は、前記エフェクタータンパク質に対して非天然である、前記エフェクタータンパク質の上流のシグナルペプチドをさらにコードする請求項1の細胞。
【請求項5】
前記エフェクタータンパク質は、治療タンパク質、検出可能レポーターペプチド、下流シグナル伝達タンパク質、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1の細胞。
【請求項6】
前記外因性ポリヌクレオチド配列は、前記検出可能レポーターペプチドをさらにコードする、請求項1の細胞。
【請求項7】
前記検出可能レポーターペプチドは、ルシフェラーゼ又はその生物発光変異体、緑色蛍光タンパク質(GFP)又はその蛍光変異体、及びlacZ又はその比色変異体から成る群から選択される、請求項6の細胞。
【請求項8】
前記CaVは、
前記遺伝子操作されたESエフェクター細胞の細胞表面にチャンネルを形成するように構成される細孔形成サブユニットと、
前記CaVのチャンネル開口の遷移を制御し、前記CaVを細胞表面に輸送するように構成される補助サブユニットのセットと、
を含む、請求項1の細胞。
【請求項9】
前記エフェクタータンパク質は、I型インターフェロン(IFN)、III型IFN、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される治療用タンパク質を含む、請求項1の細胞。
【請求項10】
前記CaVは、CaV1.2、CaV1.3、及びそれらの変異体から成る群から選択される細孔形成サブユニットを含む、請求項1の細胞。
【請求項11】
転写因子結合部位は、前記活性化T細胞核因子(NFAT)応答要素、血清応答要素(SRE)、及びサイクリックAMP応答要素(CRE)から成る群から選択される、請求項1の細胞。
【請求項12】
前記エフェクタータンパク質は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染した細胞に作用するように構成される治療用タンパク質を含む、請求項1の細胞。
【請求項13】
遺伝子操作されたESエフェクター細胞の集団であって、
各前記遺伝子操作されたESエフェクター細胞が、アクチュエーター要素と、エフェクター要素と、電気センサー要素とを含む外因性ポリヌクレオチド配列を備え、
前記電気センサー要素は、細孔形成サブユニットと補助サブユニットのセットとを含むCaVをコードし、
前記CaVは、電気刺激に応答して閉状態から開状態へと遷移するように構成され、
前記補助サブユニットのセットは、前記CaVのチャンネルを制御し、前記CaVを前記遺伝子操作されたESエフェクター細胞の表面に輸送するように構成され、
前記アクチュエーター要素は、前記CaVの開状態への遷移に応答してエフェクタータンパク質の合成をアップレギュレートする転写因子結合部位をコードし、
前記遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、前記CaVの開状態への遷移に応答して活性化し、前記エフェクタータンパク質を合成及び分泌するように構成される、
遺伝子操作されたESエフェクター細胞の集団。
【請求項14】
ゼンキ補助サブユニットのセットは、α
2δサブユニット及びαβサブユニットを含む、請求項13の遺伝子操作されたESエフェクター細胞の集団。
【請求項15】
前記補助サブユニットのセットは、α
2δ
1サブユニット及びαβ
3サブユニットを含む、請求項13の遺伝子操作されたESエフェクター細胞の集団。
【請求項16】
印加された電気刺激及び前記印加された電気刺激の持続時間の関数として、較正量の前記エフェクタータンパク質を提供するように構成される、請求項13の遺伝子操作されたESエフェクター細胞の集団。
【請求項17】
複数の細胞を、細孔形成サブユニットと補助サブユニットのセットとを含む電位依存性カルシウムイオンチャンネル(CaV)をコードする電気センサー要素と、転写因子結合部位をコードするエフェクター要素と、エフェクタータンパク質をコードするエフェクター要素と、を含むポリヌクレオチド配列を備える遺伝子操作されたESエフェクター細胞に接触させることと、
複数の細胞を遺伝子操作されたESエフェクター細胞に接触させた後、前記遺伝子操作されたESエフェクター細胞に電場を印加して、前記CaVを電気刺激することと、
前記電気刺激に応答して、
前記CaVを閉状態から開状態へと遷移させることと、
前記アクチュエーター要素により前記エフェクタータンパク質の発現を開始させることと、
シグナルペプチドにより前記エフェクタータンパク質を分泌させることと、
を備える方法。
【請求項18】
電源に結合される2つの電極を含む電気回路を前記遺伝子操作されたESエフェクター細胞の近傍に配置し、前記2つの電極の間に電圧を印加することにより前記電場を印加することをさらに備える、請求項17の方法。
【請求項19】
前記分泌されたESエフェクター細胞の量は、前記電気刺激により前記遺伝子操作されたESエフェクター細胞に印加された電場及び印加された電気刺激の持続時間の関数として提供される、請求項18の方法。
【請求項20】
前記電気刺激の電圧、合計持続時間、パルス持続時間、及び周波数の少なくとも1つの関数として、前記遺伝子操作されたESエフェクター細胞を活性化させることをさらに備える、請求項18の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、国防高等研究計画局から授与された契約番号D19AP00024による政府の支援を受けて行われた。政府は本開示について一定の権利を有する。
【0002】
2022年1月25日に作成され、本明細書と同時に提出され、以下の「S1647133111_SequenceListing_ST25」と識別され、144kbのサイズのASCIIテキストファイルであるコンピュータ読み取り可能ヌクレオチド配列リストの全体が参照として組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
様々な標準治療薬が診断時に疾患を治療するために設計されている。現在、低分子製剤や生物製剤が、多くの免疫疾患(例えば、ウイルス性疾患、癌、自己免疫疾患等)に対する標準治療薬である。例えば、ウイルス性疾患について、現在、ワクチン接種が、病気や死さえ引き起こす新興ウイルス及び循環性ウイルスを治療する最も効果的な手段である。残念ながら、ワクチン開発には資源と時間がかかり、ウイルス特異的抗原の同定や、新たに出現する病原体ごとに安全で効果的な投与法を決定する必要がある。さらに、ワクチンによって誘導される免疫から逃れ、新たな病気の波を引き起こし、ワクチン開発が水泡に帰するような変異型が進化する可能性もある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、治療及びその他の目的に関連する上記の課題等を克服することを目的とし、標的部位においてエフェクタータンパク質の合成を起こすためにイン・シチュで電気的に活性化できる遺伝子操作された電気刺激(ES)エフェクター細胞株を含む。実施例は、治療薬に限定されず、研究、手術、及びその他の検出の実施等を含む。
【0005】
様々な様態は、電気刺激に応答して閉状態から開状態へと遷移するように構成される電位依存性カルシウムイオンチャンネル(CaV)をコードする電気センサー要素と、CaVの開状態への遷移に応答してエフェクタータンパク質の合成をアップレギュレートする転写因子結合部位をコードするアクチュエーター要素と、エフェクタータンパク質をコードするエフェクター要素と、を作動的に関連して含む外因性ポリヌクレオチド配列を備え、CaVの開状態への遷移に応答して活性化し、エフェクタータンパク質を合成及び分泌するように構成される遺伝子操作された電気刺激(ES)エフェクター細胞を対象とする。
【0006】
いくつかの様態において、遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、電気刺激及びCaVの開状態への遷移に応答してCa2+の流入を引き起こすことにより活性化するように構成され、Ca2+の流入は転写因子結合部位を活性化し、エフェクタータンパク質の合成をアップレギュレートする。
【0007】
いくつかの様態において、遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、多能性幹細胞、上皮細胞、又はK562細胞を備える。
【0008】
いくつかの様態において、エフェクター要素は、エフェクタータンパク質に対して非天然である、エフェクタータンパク質の上流のシグナルペプチドをさらにコードする。
【0009】
いくつかの様態において、エフェクタータンパク質は、治療用タンパク質、検出可能レポーターペプチド、下流シグナル伝達タンパク質、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0010】
いくつかの様態において、外因性ポリヌクレオチド配列は、検出可能レポーターペプチドをさらにコードする。
【0011】
いくつかの様態において、検出可能レポーターペプチドは、ルシフェラーゼ又はその生物発光変異体、緑色蛍光タンパク質(GFP)又はその蛍光変異体、及びlacZ又はその比色変異体から成る群から選択される。
【0012】
いくつかの様態において、CaVは、遺伝子操作されたESエフェクター細胞の細胞表面にチャンネルを形成するように構成される細孔形成サブユニットと、CaVのチャンネル開口の遷移を制御し、CaVを細胞表面に輸送するように構成される補助サブユニットのセットと、を含む。
【0013】
いくつかの様態において、エフェクタータンパク質は、I型インターフェロン(IFN)、III型IFN、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される治療用タンパク質を含む。
【0014】
いくつかの様態において、CaVは、CaV1.2、CaV1.3、及びそれらの変異体から成る群から選択される細孔形成サブユニットを含む。
【0015】
いくつかの様態において、転写因子結合部位は、活性化T細胞核因子(NFAT)応答要素、血清応答要素(SRE)、及びサイクリックAMP応答要素(CRE)から成る群から選択される。
【0016】
いくつかの様態において、エフェクタータンパク質は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染した細胞に作用するように構成される治療用タンパク質を含む。
【0017】
様々な様態は、遺伝子操作されたESエフェクター細胞の集団を対象とし、各遺伝子操作されたESエフェクター細胞が、アクチュエーター要素と、エフェクター要素と、電気センサー要素とを含む外因性ポリヌクレオチド配列を備え、電気センサー要素は、細孔形成サブユニットと補助サブユニットのセットとを含むCaVをコードし、CaVは、電気刺激に応答して閉状態から開状態へと遷移するように構成され、補助サブユニットのセットは、CaVのチャンネルを制御し、CaVを遺伝子操作されたESエフェクター細胞の表面に輸送するように構成され、アクチュエーター要素は、CaVの開状態への遷移に応答してエフェクタータンパク質の合成をアップレギュレートする転写因子結合部位をコードし、遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、CaVの開状態への遷移に応答して活性化し、エフェクタータンパク質を合成及び分泌するように構成される。
【0018】
いくつかの様態において、補助サブユニットのセットは、α2δサブユニット及びαβサブユニットを含む。
【0019】
いくつかの様態において、補助サブユニットのセットは、α2δ1サブユニット及びαβ3サブユニットを含む。
【0020】
いくつかの様態において、遺伝子操作されたESエフェクター細胞の集団は、印加された電気刺激及び印加された電気刺激の持続時間の関数として、較正量のエフェクタータンパク質を提供するように構成される。
【0021】
様々な様態は、複数の細胞を、細孔形成サブユニットと補助サブユニットのセットとを含む電位依存性カルシウムイオンチャンネル(CaV)をコードする電気センサー要素と、転写因子結合部位をコードするエフェクター要素と、エフェクタータンパク質をコードするエフェクター要素と、を含むポリヌクレオチド配列を備える遺伝子操作されたESエフェクター細胞に接触させることと、複数の細胞を遺伝子操作されたESエフェクター細胞に接触させた後、遺伝子操作されたESエフェクター細胞に電場を印加して、CaVを電気刺激することと、電気刺激に応答して、CaVを閉状態から開状態へと遷移させることと、アクチュエーター要素によりエフェクタータンパク質の発現を開始させることと、シグナルペプチドによりエフェクタータンパク質を分泌させることと、を備える方法を対象とする。
【0022】
いくつかの様態において、方法は、電源に結合される2つの電極を含む電気回路を遺伝子操作されたESエフェクター細胞の近傍に配置し、2つの電極の間に電圧を印加することにより電場を印加することをさらに備える。
【0023】
いくつかの様態において、分泌されたESエフェクター細胞の量は、電気刺激により遺伝子操作されたESエフェクター細胞に印加された電場及び印加された電気刺激の持続時間の関数として提供される。
【0024】
いくつかの様態において、方法は、電気刺激の電圧、合計持続時間、パルス持続時間、及び周波数の少なくとも1つの関数として、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を活性化させることをさらに含む。
【0025】
様々な実施形態は、付される図面に関連して、以下の詳細な説明を考慮してより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞の例を示す。
【0027】
【
図2】
図2は、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞及びイン・シチュにおいてトリガーされる一連のイベントの例を示す。
【0028】
【
図3】
図3は、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞の集団の例を示す。
【0029】
【
図4】
図4は、本開示に係る、複数の細胞を遺伝子操作されたESエフェクター細胞に接触させる方法の例を示す。
【0030】
【
図5】
図5A乃至5Dは、本開示に係る、電気刺激による遺伝子操作されたESエフェクター細胞の活性化を特徴付けするプロットの例を示す。
【0031】
【
図6】
図6A及び6Bは、本開示に係る、レポーター細胞と比較した遺伝子操作されたESエフェクター細胞の活性化を特徴付けするプロットの例を示す。
【0032】
【
図7】
図7A乃至7Dは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞からエフェクタータンパク質の発現を駆動させるために使用される電気パラメータの例を示す。
【0033】
【
図8】
図8A乃至8Dは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞からエフェクタータンパク質の発現を駆動させるために使用される生物学的パラメータの例を示す。
【0034】
【
図9】
図9A乃至9Cは、本開示に係る、異なる細孔形成サブユニット及び補助サブユニットを備える遺伝子操作されたESエフェクター細胞の結果の例を示す。
【0035】
【
図10】
図10A及び10Bは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激するために異なる電極間距離を使用した結果の例を示す。
【0036】
【
図11】
図11は、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激するための電圧印加の関数としての細胞生存率の例を示す。
【0037】
【
図12】
図12A及び12Bは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激するために異なる持続時間を使用した結果の例を示す。
【0038】
【
図13】
図13は、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激するために異なる周波数を使用した結果の例を示す。
【0039】
【
図14】
図14A乃至14Bは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激するために異なる持続時間を使用した結果の例を示す。
【0040】
【
図15】
図15A及び15Bは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を生成するためのプラスミドの例を示す。
【0041】
【
図16】
図16A及び16Bは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激した結果の例を示す。
【0042】
【
図17】
図17A及び17Bは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激した結果の例を示す。
【0043】
【
図18】
図18A及び18Bは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激した結果の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を構成し、本開示が実施され得る特定の実施例の説明として例示される、付される図面を参照する。他の実施例が利用可能であり、本開示の範囲から逸脱せずに様々な変更を加えることができる点が理解される。従って、以下の詳細な説明は限定的な意味で捉えられるものではなく、本開示の範囲は付される請求の範囲により画定される。特別記載しない限り、本明細書において説明される様々な実施例は、その一部又は全部を互いに組み合わせることができることが理解される。
【0045】
いくつかの様態において、細胞は、アクチュエーター要素、エフェクター要素、及び電気刺激を介して細胞内転写機構を制御する電位依存性カルシウムイオンチャンネル(CaV)を含む遺伝的要素を発現するように操作可能であり、本明細書において「遺伝子操作されたESエフェクター細胞」と呼称される。CaVは、電気感受性であり、電気刺激(例えば、特定の電気パルス)に応答して、細胞はアクチュエーター要素及びエフェクター要素を介して1つ以上の特定のタンパク質に至る下流経路を活性化させる。ESエフェクター細胞の遺伝的要素はモジュール化可能であってよく、及び/又は細胞は様々なイン・ビトロ、エクス・ビボ、及びイン・ビボ応用のためのベクターとして機能する能力を有する遺伝子操作されたESエフェクター細胞を産出する複数の遺伝的要素を含んでいてよい。そのような細胞は、部分的に保存できるという点でモジュール化可能であり、異なる応答のために部分的に変更である。複数の種類の遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、イン・ビボにおいて複雑な疾患を治療対象とするための強固で再現性のある細胞システムを提供可能である。また、そのような遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、様々な用途において、信頼性の高いイン・ビボイメージング技術や、信頼性の高いイン・ビトロセンサー技術を提供する。
【0046】
本開示に係る実施形態は、異なる標的タンパク質のバイオ工場として機能する細胞シャーシ又はベクターとして使用される、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を対象とする。本明細書において使用されるバイオファクトリーは、1つ以上のタンパク質を産生するように遺伝子操作された生体細胞を含む及び/又は指し、遺伝子操作されたESエフェクター細胞と互換的に呼称されてよい。遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、電気刺激に応答し、特定のタンパク質又は複数のタンパク質の発現を活性化する。遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、重症の疾患を治療するための治療薬として使用されてよく、また、免疫系を回避する又はその誤作動を伴う癌、新興病原体等を含む軽度/中度から重度の疾患の進行を予防するための予防薬として使用されてよい。いくつかの実施形態において、バイオ工場は、生物兵器による攻撃が流行した際に、各ウイルス病原体に特異的なワクチンを開発する必要なく、体外装置を使用して迅速に配備及び活性化することができる広域スペクトルの抗ウイルス細胞の備蓄を容易に利用可能にできる。
【0047】
本明細書において使用する際、「遺伝子操作されたESエフェクター細胞」及び/又は「ESエフェクター細胞」は、各々がモジュール性である(i)電気センサー要素、(ii)アクチュエーター要素、及び(iii)エフェクター要素を有するように遺伝子操作された又は組み換えされたNK細胞を含む及び/又は指す。本明細書において使用する際、「モジュール」及び「モジュール性」の用語は、細胞へ導入するために様々な組み合わせで組み立てられた際の組み換え配列ドメイン及び得られる組み換えポリペプチドに関連する汎用性を含む及び/又は指す。
【0048】
本明細書において使用する際、「電気センサー要素」は、タンパク質を合成するために使用され得る、電気刺激に応答して閉状態から開状態へと遷移するように構成されるCaVをコードするポリヌクレオチド配列を含む及び/又は指す。CaVは、チャンネルタイプを定義する細孔形成サブユニットと、細孔形成サブユニットの機能を変化させ、ESエフェクター細胞の細胞膜へのチャンネルの輸送を制御する補助サブユニットのセットとを含むヘテロ多量体タンパク質複合体である。様々な実施形態において、CaVは、エフェクター細胞の表面にチャンネルを形成するように構成される細孔形成サブユニット(例えば、α1)と、CaVのチャンネル開口の遷移を制御し、遺伝子操作されたESエフェクター細胞の表面へとCaVを輸送するように構成された補助サブユニットのセット(例えば、α2δ及びβサブユニット)とを含む。CaVは、通常はCaVの細孔様チャンネルが閉じた閉状態にあり、電気刺激に応答して、細孔様チャンネルが開き、遺伝子操作ESエフェクター細胞へのCa2+の流入を可能にする開状態へと遷移する。本明細書でさらに説明するように、Ca2+の流入は、転写及び翻訳イベントを開始する転写因子結合部位をコードするアクチュエーター要素の活性化を介して、イン・シチュにおいて、本明細書ではしばしば「エフェクタータンパク質」と呼称されることもある操作されたタンパク質の合成を誘発する。
【0049】
本明細書において使用する際、「アクチュエーター要素」は、トリガーシグナル(例えば、電気刺激に応答するCaVの遷移)の下流で転写及び翻訳イベントを開始する転写因子結合部位をコードするポリヌクレオチド配列を含む及び/又は指す。一般に、アクチュエーター要素の基礎となる分子メカニズムは、細胞内カルシウム[Ca2+]iの動態に基づき、これは、ほぼ全ての種類の細胞がその機能を制御するために使用するメカニズムである。応答要素は、NFAT(「活性化T細胞の核因子」)応答要素(NFAT-RE)、血清応答要素(SRE)、及びサイクリックAMP応答要素(CRE)を含むが、これらには限定されない。
【0050】
本明細書において使用する際、「エフェクター要素」は、エフェクタータンパク質をコードするポリヌクレオチド配列、そしていくつかの例ではシグナルペプチドに作動可能に連結したエフェクタータンパク質を含む及び/又は指す。例えば、エフェクタータンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、ヒト遺伝子に由来する配列、非ヒト種の遺伝子に由来する配列、組み換え配列、検出可能なレポーター分子をコードする配列、検出可能なイメージング分子をコードする配列、及び治療用分子をコードする配列等である。
【0051】
電気センサー要素、アクチュエーター要素、及びエフェクター要素が導入される遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、ヒト細胞又は非ヒト細胞(例えば、哺乳類、爬虫類、植物等)を含む任意の細胞タイプであってよい。この態様において、モジュール要素の遺伝子組み換えされた細胞「ソース」は、とりわけ、電気センサー要素、アクチュエーター要素、及びエフェクター要素の発現及び提示のための転写及び翻訳機械を提供する細胞シャーシ又はフレームを提供する。いくつかの実施形態において、ESエフェクター細胞は、ソース(例えば、一人目のヒト)に由来し、改変され、ソースとは異なる生物(例えば、二人目のヒトである宿主)に投与されてよい。他の実施形態において、エフェクター細胞は、ソース(例えば、一人目のヒト)に由来し、改変され、ソース(例えば、ソースが宿主である)に戻すように投与されてよい。
【0052】
様々な異なる種類の細胞が遺伝子操作されたESエフェクター細胞を形成するために改変されてよい。例えば、エフェクター細胞は、T細胞を含んでよい。使用され得る他の細胞タイプは、他の免疫細胞(例えば、プライマリーT細胞、ナチュラルキラー細胞)、間葉系幹細胞、造血幹細胞、上皮細胞、HEK293細胞、及びCHO細胞等を含むが、それらに限定されない。
【0053】
モジュール性に加えて、遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、モジュール要素の一部又は全ての複数(例えば、2つ以上)を提供することにより、様々な応用のために改変することができる。例えば、遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、複数のアクチュエーター要素(例えば、2つ以上のアクチュエーター要素)及び/又はエフェクター要素(例えば、検出可能なレポーターポリペプチド、検出可能なイメージングポリペプチド、及び治療用ポリペプチド)を含むように設計されてよい。いくつかの場合において、多重性は、疾患を治療又は予防するための複数の治療「課題」を提供するために、複数のESエフェクター細胞(例えば、複数の細胞)を被験体に提供する形をとる。このような遺伝子操作されたESエフェクター細胞の人工的な細胞シグナル伝達経路は、遺伝子操作されたESエフェクター細胞が電気刺激によってトリガーされた時に、較正量のタンパク質ベースの治療薬を産生し、意図されたオートクリン及びパラクリンシグナル伝達を誘導することにより、ベクターとして機能する能力を導入することができる。遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、全身毒性を制限することにより、より良い患者の転帰のために、標的部位、標的時間、及び/又は治療期間の延長において生物製剤の集中的合成を可能にする。
【0054】
図面を参照すると、
図1は、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞の例を示す。本明細書において参照を容易にするために通常「ESエフェクター細胞」と呼称される遺伝子操作されたESエフェクター細胞100は、遺伝的要素102、106、110を異なる目的のために及び異なるエフェクタータンパク質を合成するために調整可能であるという点でモジュール化できる。
【0055】
ESエフェクター細胞100は、電気センサー要素102と、アクチュエーター要素106と、エフェクター要素110と、を作動的に関連して含む外因性ポリヌクレオチド配列101を備える。様々な異なる種類の細胞が、T細胞、ナチュラルキラー細胞、多能性幹細胞、上皮細胞、又はK562細胞等のESエフェクター細胞100を生成するために使用されてよい。ESエフェクター細胞100を生成するために改変された細胞は、構造的及び機能的要素を含む基本的な膜結合ユニット等の、生物由来の生細胞含んでよい。いくつかの実施形態において、外因性ポリヌクレオチド配列101は、SEQ ID NO:12〜17から選択されてよい。しかしながら、実施形態はそれほど限定されず、外因性ポリヌクレオチド配列101は、SEQ ID NO:1~17に記載される配列の1つに対して少なくとも80パーセント(%)、85%、90%、95%、又は99%の配列同一性を有する配列等の他の配列を含んでよい。
【0056】
電気センサー要素102は、CaV104をコードする。本明細書において使用する際、CaVは、ESエフェクター細胞100の細胞表面にチャンネルを形成する人工的に構築されたヘテロ多量体複合体を含む及び/又は指す。CaV104は、電気刺激に応答して閉状態から開状態へと遷移するように構成される。例えば、CaV104は、しばしばα1と呼称される細孔形成サブユニット103と、補助サブユニット107のセットとを含む。細孔形成サブユニット103は、エフェクター細胞の表面にチャンネルを形成するように構成される。細孔形成サブユニット103の例は、CaV1.2及びCaV1.3を含む。細孔形成サブユニット103の他の例は、CaV1.1、CaV2.1、CaV2.2、CaV2.3、CaV3.1、CaV3.2、及びCaV3.3を含む。補助サブユニット107のセットは、CaV104の開状態(チャンネルの開口)への遷移を制御し、ESエフェクター細胞100の表面にCaV104を輸送するように構成される。補助サブユニットの例は、α2δ及びβサブユニットを含む。いくつかの実施例において、補助サブユニットのセットは、α2δ1及びβ3サブユニットを含む。いくつかの実施形態において、細孔形成サブユニット103は、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2によりコードされる及び/又はそれらを含んでよい。いくつかの実施形態において、補助サブユニット107のセットは、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、又はSEQ ID NO:3及びSEQ ID NO:5若しくはSEQ ID NO:4及びSEQ ID NO:5等のそれらの組み合わせによりコードされる及び/又はそれらを含む。このように、いくつかの実施形態において、電気センサー要素102は、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2、SEQ ID NO:5、及びSEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:4の組み合わせを含んでよい。しかしながら、実施形態はそれらに限定されず、電気センサー要素102は、SEQ ID NO:1~5に記載される1つ以上の配列に対して少なくとも80パーセント(%)、85%、90%、95%、又は99%の配列同一性を有する配列等の他の配列を含んでよい。
【0057】
閉状態において、CaV104のチャンネルは閉じられていてよい。電気刺激に応答して、CaV104は、チャンネルが開いており、Ca2+イオンがチャンネルを通って移動できる開状態へと遷移する。開状態は、細胞内Ca2+放出のために内部Ca2+貯蔵を動員できる。以下にさらに述べるように、Ca2+の流入はESエフェクター細胞100を活性化し、エフェクタータンパク質112の合成を引き起こす。本明細書でさらに説明するように、合成は電気刺激に応答するため、合成されるエフェクタータンパク質112の量は、電気刺激により制御できる。
【0058】
アクチュエーター要素106は、転写因子結合部位108をコードする。本明細書においてさらに説明されるように、ESエフェクター細胞100は、電気刺激に応答するCa2+の流入とCaV104の開状態への遷移とを引き起こすことにより活性化するように構成され、Ca2+の流入は転写因子結合部位108(例えば、核因子)を活性化し、エフェクタータンパク質112の合成をアップレギュレートする。転写因子結合部位108は、CaV104の開状態への遷移に応答してエフェクタータンパク質112の合成をアップレギュレートするタンパク質のための部位を含む及び/又は指す。転写因子結合部位108は、上記のように、電気刺激及びCaV104の遷移に応答して放出される[Ca2+]によりトリガーされる転写因子に結合してよい。いくつかの実施形態において、転写因子結合部位108は、NFAT-RE、血清応答要素(SRE)、及びサイクリックAMP応答要素(CRE)から選択される。それにより、アクチュエーター要素106は、[Ca2+]によりトリガーされる因子を結合するための配列を含んでよく、[Ca2+]iの上昇に応答してエフェクタータンパク質112の増幅された合成をトリガーできる。
【0059】
いくつかの実施形態において、アクチュエーター要素106は、転写因子タンパク質のための少なくとも1つのNFAT転写因子結合部位をコードする。いくつかの実施例において、アクチュエーター要素106は、少なくとも2つの転写因子結合部位、3つの転写因子結合部位、又は6つの転写因子結合部位等の複数の転写因子結合部位をコードする。NFAT転写因子ファミリーは、NFATc1、NFATc2、NFATc3、NFATc4、及びNFAT5の5つの部分から成る。Sharma S et al.(2011)PNAS、108(28);Hogan PG et al.(2010)Ann Rev Immunol、28;Rao A、Hogan PG (2009) Immunol Rev、231(1);RaoA(2009年)Nat Immunol、10(1)M.R.Müller及びA.Rao、Nature Reviews Immunology、2010、10、645~656;M.Oh-Hora及びA.Rao、Curr、Opin.Immunol.、2008、20、250~258.Crabtree&Olson EN(Apr2002)、Cell109Suppl(2):S67~79に記載されており、これらの文献は、それぞれ、その教示のためにその全体が本明細書に組み込まれる。NFATc1からNFATc4は、カルシウムシグナルにより制御される。既知のカルシウムセンサータンパク質であるカルモジュリンがセリン/スレオニンホスファターゼカルシニューリンを活性化するため、カルシウムシグナル伝達はNFATの活性化に不可欠である。(
図2にさらに示されるように)この戦略の基礎となる分子メカニズムは、細胞内カルシウムCa
2+([Ca
2+]
i)の動態に基づく。[Ca
2+]
iの動態は、ほぼ全ての種類の細胞に共通であり、従って、実施形態は広く適用可能である。CARを介した細胞の刺激による[Ca
2+]
iの上昇は、(Ca
2+/カルモジュリン依存性セリンホスファターゼカルシニューリンを介した)活性化されたESエフェクター細胞100の核因子の脱リン酸化をもたらし、その後、核に移動し、NFAT-REと相互作用してエフェクタータンパク質112の発現をアップレギュレートする。並行して、NFAT-REは、活性化されたESエフェクター細胞100においてインターロイキン-2を誘導するという本来の機能を果たす。
【0060】
エフェクター要素110は、エフェクタータンパク質112をコードし、いくつかの実施形態において、シグナルペプチド114に作動可能に連結するエフェクタータンパク質112をコードする。本明細書でさらに示されるように、いくつかの実施形態において、シグナルペプチド114は、エフェクタータンパク質112の上流にある。シグナルペプチド114は、エフェクタータンパク質112に対して非天然状態であってよい。例えば、エフェクタータンパク質112は、シグナルペプチド114の付加なしに細胞外環境へと分泌され得ない。しかしながら、実施形態はそれほど限定されず、いくつかの実施形態において、エフェクタータンパク質112は、天然状態のシグナルペプチドを含む。例えば、エフェクタータンパク質112は、シグナルペプチド114を(天然状態で)含んでよい。他の実施例において、エフェクタータンパク質112の天然状態のシグナルペプチドは、除去され、非天然状態のシグナルペプチド114が付加されてよい。いくつかの実施形態において、エフェクタータンパク質112は、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、又はSEQ ID NO:10によりコードされる及び/又はそれらを含んでよい。このように、いくつかの実施形態において、エフェクター要素110は、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、及びSEQ ID NO:10の1つ以上を含んでよい。しかしながら、実施形態はそれほど限定されず、エフェクター要素110は、SEQ ID NO:6~10に記載される配列の1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は99%の配列同一性を有する配列等の他の配列を含んでよい。
【0061】
本明細書において使用する際、「分泌体」、「分泌ペプチド」、及び「シグナルペプチド」の用語は、互換的に使用され、合成されたエフェクタータンパク質112を細胞外環境へと補助又は誘導する(例えば、エフェクター要素110の移動を補助)ペプチドを含む及び/又は指す。シグナルペプチド114は、細胞外環境への放出のために、エフェクタータンパク質112に作動可能に連結又は融合されてよい。このように、シグナルペプチド114は、エフェクタータンパク質112の移動をESエフェクター細胞100の外側へと向けることができる。シグナルペプチド114は、天然に移動できない及び/又は最小限の移動しかできないエフェクタータンパク質112を発現するESエフェクター細胞100に含まれる場合に特に有益であり、エフェクタータンパク質112は、シグナルペプチド114の不在下でESエフェクター細胞100内に留まることができる及び/又は閾値未満の速度で移動できる。一般に、シグナルペプチドは、新生分泌タンパク質のN末端に位置し、3つのドメイン:(1)N末端の基本ドメイン、(2)中央の疎水性コア、(3)カルボキシ末端の開裂領域を特徴的に有する。任意の適切なシグナルペプチドが使用されてよい。例えば、シグナルペプチド114は、インターロイキン-6又はインターロイキン-2のシグナルペプチドであってよい。
【0062】
様々な実施形態において、CaV104の開状態への遷移に応答して、遺伝子操作されたESエフェクター細胞100は、活性化し、エフェクタータンパク質112を合成及び分泌するように構成される。例えば、本明細書においてさらに記載されるように、ESエフェクター細胞100は、印加された電気刺激及び印加された電気刺激の持続時間の関数として、エフェクタータンパク質112を合成及び分泌し得る。
【0063】
エフェクタータンパク質112は、様々な異なる種類のタンパク質を含んでよい。例えば、エフェクタータンパク質112は、検出可能なレポータータンパク質、治療用タンパク質、下流シグナル伝達タンパク質、及びそれらの組合せを含んでよい。本明細書において使用する際、検出可能なレポータータンパク質は、光学的、電気的、又は他の種類の検出可能なシグナルを提供するタンパク質等の発現時に検出可能なタンパク質を含む及び/又は指す。検出可能なレポータータンパク質の例は、ルシフェラーゼ又はその生物発光変異体、緑色蛍光タンパク質(GFP)又はその蛍光変異体、及びlacZ又はその比色変異体を含む。治療用タンパク質は、宿主及び/又は患者等の対象に治療効果を提供するタンパク質を含む及び/又は指す。治療用タンパク質の例は、抗ウイルス性タンパク質、抗腫瘍性タンパク質、細胞毒性タンパク質、免疫刺激性タンパク質、及び免疫抑制性タンパク質等を含む。下流シグナル伝達タンパク質は、細胞成長、増殖、分化、及びアポトーシスの制御等のシグナル伝達経路の下流要素を駆動するタンパク質を含む及び/又は指す。
【0064】
エフェクタータンパク質の非限定的な例は、細菌由来の細胞毒性ポリペプチド(例えば、パラスポリン、プランタリシンA);昆虫由来(例えば、ポリビア-MP1);ウイルス由来の抗ウイルスポリペプチド(例えば、αヘリックスペプチド(AHP));ウイルス由来の抗ウイルスポリペプチド(例えば、抗ウイルスペプチド(AVP));真菌由来の免疫抑制ペプチド(例えば、コルテリンA);血管拡張剤(例えば、レラキシン、ブラジキニン)及びエンドペプチダーゼ(例えば、ヘパラナーゼ、レラキシン、コラゲナーゼ);並びに細胞透過性カチオン性ペプチド(例えば、LL-37、TATペプチド)を含む。
【0065】
上記のように、いくつかの実施形態において、エフェクタータンパク質112は、治療用タンパク質である。いくつかの実施形態において、治療用タンパク質は、標的細胞に直接作用してよい。別の実施形態において、治療用タンパク質は、標的細胞に隣接する細胞、又は非細胞成分に作用してよい。治療用タンパク質の例は、細胞毒性タンパク質、抗腫瘍性タンパク質、免疫刺激タンパク質、及び免疫抑制タンパク質を含む。
【0066】
いくつかの特定の実施例において、エフェクタータンパク質112は、抗ウイルス性タンパク質を含む治療用タンパク質を含む。例えば、エフェクタータンパク質112は、I型インターフェロン(IFN)、III型IFN、及びそれらの組み合わせを含んでよく、患者のウイルス感染を治療するために使用されてよい。例えば、エフェクタータンパク質112は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染した細胞を殺すあるいはそれに対して作用するように構成される治療用タンパク質を含んでよい。しかしながら、実施例はそれほど限定されない。
【0067】
ESエフェクター細胞100の遺伝子要素102、106、110の異なる部分はモジュールであってよく、他の部分は保存されてよい(例えば、異なる実装例においても変更しなくてよい)。例えば、いくつかの実施形態において、電気センサー要素102、アクチュエーター要素106、及び任意のシグナルペプチド114は定常ドメインであり、エフェクタータンパク質112は可変ドメインである。一例として、エフェクタータンパク質112は異なるタンパク質のイン・シチュ合成を引き起こすために変更できるが、電気センサー要素102、アクチュエーター要素106、及び/又はシグナルペプチド114は異なる実装例において同じままである。部分を保存しておくことにより、生成時間を短縮できる。しかしながら、実施態様はそれほど限定されず、ESエフェクター細胞100の任意の部分を改変してよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、ESエフェクター細胞100は、遺伝子要素102、106、110の一部又は全ての内の複数(例えば、2つ以上)を含んでよい。例えば、ESエフェクター細胞100は、複数のアクチュエーター要素106及び/又は複数のエフェクター要素110を含んでよい。いくつかの実施形態において、多重性は、疾患を治療又は予防するための及び/又は研究等の他の目的のための複数の作業を提供するために、本明細書に記載されるように改変した複数の遺伝子操作されたESエフェクター細胞(例えば、複数の細胞)を宿主に提供する形態をとる。
【0069】
いくつかの実施形態において、外因性ポリヌクレオチド配列101は、2つ以上のエフェクタータンパク質をコードする。例えば、外因性ポリヌクレオチド配列101は、検出可能なレポーターペプチドをさらにコードしてよい。いくつかの実施形態において、ESエフェクター細胞100は、検出可能なレポーターペプチドをコードする追加のエフェクター要素を含む、及び/又はエフェクター要素100は、検出可能なレポーターペプチドをさらにコードしてよい。例えば、検出可能なレポーターペプチドは、2Aリンカーペプチドによりエフェクタータンパク質112に連結してよい。いくつかの実施形態において、エフェクター要素110は、2Aリンカーペプチドにより連結された2つの治療用タンパク質等の複数の治療用タンパク質を含んでよい。本明細書において使用する際、2Aリンカーペプチドは、タンパク質複合体が独立して折り畳まれる2つのタンパク質に翻訳されるように、細胞内のタンパク質複合体の翻訳(例えば、2Aリンカーペプチドにより連結された2つのタンパク質又はペプチドをコード)中にリボソームスキップを誘発するペプチドを含む及び/又は指す。2Aリンカーペプチドの例は、F2A、P2A、E2A、及びT2A等を含む。このようなペプチドは、一般に、18~22アミノ酸長であり、ウイルスに由来してよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、アクチュエーター要素106は、エフェクター要素110に関連する又は結合する。いくつかの実施形態において、外因性ポリヌクレオチド配列101は、エフェクター要素110に関連する又は結合するアクチュエーター要素106を含む。電気センサー要素102は、エフェクター要素110又はアクチュエーター要素106のいずれかに関連する又は結合する。例えば、電気センサー要素102は、エフェクター要素110及びアクチュエーター要素106と同じプラスミド上の任意の部分に配置されてよく、電気センサー要素102は、細胞を遺伝子操作してESエフェクター細胞100を形成するために使用される、異なる別のプラスミド上に配置されてもよい。例えば、外因性ポリヌクレオチド配列101は、エフェクター要素110の上流にあるアクチュエーター要素106と、電気センサー要素102の上流又は下流にあるエフェクター要素110を含んでよい。(非天然状態の)シグナルペプチド114を含む実施例において、シグナルペプチド114は、エフェクタータンパク質112の上流にある。
【0071】
図2は、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞及びイン・シチュにおいてトリガーされる一連のイベントの例を示す。説明を容易にするために本明細書において基本的に「ESエフェクター細胞200」と呼称される遺伝子操作されたESエフェクター細胞200は、抗ウイルス性タンパク質(AVP)により示される人工的な細胞シグナル伝達経路を使用してエフェクタータンパク質212を合成するための、及び/又は一連のイベント220をトリガーするためのリビングベクターとして使用される又はそのように作用し得る。224で示されるように、ESエフェクター細胞200は、電気刺激との相互作用時に、イン・シチュにおいて、エフェクタータンパク質212を合成する。
【0072】
上記のように、ESエフェクター細胞200は、細孔形成サブユニット203と補助サブユニットのセット207-1、207-2とを含むCaV204をコードする電気センサー要素と、少なくとも1つの転写因子結合部位(例えば、NFAT)をコードするアクチュエーター要素206と、エフェクタータンパク質212及び任意にシグナルペプチド214をコードするエフェクター要素210とを含むポリヌクレオチド配列201を備える。ESエフェクター細胞200は、シス配置される3つの定常ドメイン(例えば、アクチュエーター要素206、シグナルペプチド214、及び電気センサー要素)及び可変ドメイン(例えば、エフェクタータンパク質212)を備える単一のプラスミド(例えば、それぞれを含む単一の構築物)を備えてよい。他の実施形態において、ESエフェクター細胞200は、アクチュエーター要素206及びエフェクター要素210を備える第1のプラスミドと、電気センサー要素を備える第2のプラスミド等の複数のプラスミドを備えてよい。
【0073】
定常ドメインは、ESエフェクター細胞200に機能性を提供するように構成されてよい。定常ドメインは、細胞内シグナル伝達経路の一部を形成し、エフェクター導入遺伝子を細胞外空間223に輸送することを補助するシグナルペプチド214に任意に融合されてよいエフェクタータンパク質212をアップレギュレートするためにカルシウム依存性転写機械(例えば、アクチュエーター要素206)を動員するCaV204を含む。
【0074】
可変ドメインは、様々な異なる疾患、標的細胞、治療、及び/又は他の用途へのESエフェクター細胞200の適用可能性を担い得る。例えば、可変ドメインは、ESエフェクター細胞200に特定の疾患に対する特異性を付与できる。いくつかの実施形態において、エフェクタータンパク質212は、ESエフェクター細胞200を活性化した病理を中和し、既製のリビングベクターを本質的に作製する等のために、異なる治療用導入遺伝子によりESエフェクター細胞200を再プログラムするように交換又は修正されてよい。
【0075】
図2は、I型IFN-β1発現のための電気応答性人工シグナル伝達経路を含むように操作された特定の実施例の細胞200(IFN-βを有するESエフェクター細胞)を示す。いくつかの実施例において、K562細胞株は、ESエフェクター細胞200を形成するように改変される。
図2を参照すると、細胞は、CaV204を含むように操作される。CaV204は、本明細書において細孔形成サブユニットと呼称されることもあるCaV1.2又はCaV1.1等のL型電位依存性Ca
2+チャンネルと、α
2β
1、β
2、又はβ
3等の補助サブユニット207-1、207-2とを含んでよい。補助サブユニット207-1、207-2は、チャンネルの開閉を制御し、チャンネルを細胞表面に輸送することにより、Ca
2+流入を増加させる。
【0076】
いくつかの実施例において、ウイルスの攻撃を阻止するために進化したIFNベースの自然免疫を活性化するために、電気刺激が使用される。IFNをコードするESエフェクター細胞200は、病原性ウイルスによりしばしばハイジャックされるIFNシグナル伝達を活性化するパターン認識受容体の抗原刺激を回避するための治療薬及び/又はワクチンとして使用されてよい。標的特異的なメモリー細胞及び抗体を生成することをウイルス抗原サブユニットに依存する現在のワクチンアプローチとは異なり、ESエフェクター細胞200は、各ウイルスに特異的な改変を必要しない普遍的な介入であり、代替的なIFN合成経路を提供することにより汎ウイルス免疫を発揮する。いくつかの実験的な実施形態において、以下にさらに説明されるように、哺乳動物細胞株が、電気刺激されると、I型IFN応答をリクルートして、多くの病原性ウイルスが破棄するように進化したものを補う電圧感受性人工シグナル伝達経路を有するように操作された。電気刺激は、ウイルスがハイジャックするために進化することのない非天然経路をトリガーし、その結果、生産を制御する生来の経路からIFN合成を切り離す。このアプローチは、自然免疫を活性化する既存の直接IFN注入方法とは一線を画すものである。
【0077】
図2に示されるように、1において、静止している及び電気刺激がない時、222においてCaV204は閉状態にある。2において、ESエフェクター細胞200の近傍に電気刺激が提供され、これにより、3に示されるように、CaV204が開状態へと遷移する。4に示されるように、開状態は、電気刺激によりトリガーされるCa
2+の流入を吹き起こし、NFAT転写因子を活性化する第2のメッセンジャーシステムとして機能し、NFAT転写因子を、アクチュエーター要素206のNFAT転写因子と相互作用する核へと輸送して、細胞200を活性化する。これにより、細胞200の転写機械が動員され、抑制の観点において臨床的な利点を示すトランスジェニックにコードされたエフェクタータンパク質212、この場合は1型IFN-β1、が合成される。活性化に応答して、5に示されるように、エフェクタータンパク質212は、NFATにより転写及び翻訳され、6において、シグナルペプチド214が切断され、エフェクタータンパク質212が細胞外空間223へと輸送される。いくつかの実施形態において、エフェクタータンパク質212は、細胞に作用する、又はウイルスに感染した細胞を殺す等の作用をしてよい。
【0078】
図3は、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞の集団の例を示す図である。集団331は、複数の遺伝子操作されたESエフェクター細胞300-1、300-2、300-3、300-4、300-5、300-6、300-N(本明細書において、参照を容易にするために「ESエフェクター細胞300」として概して参照する)を含んでよい。ESエフェクター細胞300の各々は、
図1のESエフェクター細胞100と少なくとも実質的に同じ特徴及び成分を含んでよく、説明を容易にするためにその詳細は繰り返さない。
【0079】
図3に示される実施例において、環境は、疾患環境と呼称できる、(複数の)標的細胞を含む(存在する)細胞外空間330である。しかしながら、実施例はそれほど限定されず、環境は、電気刺激332が印加されてよい特定の組織、身体の位置、又は他のイン・シチュ環境に関連してよい。ESエフェクター細胞300の集団331は、電気刺激332に応答して活性化し得る。例えば、電気刺激332に応答して、ESエフェクター細胞300のCaVは開状態に遷移し、応答して、ESエフェクター細胞300が活性化してエフェクタータンパク質を合成する。いくつかの実施例において、ESエフェクター細胞300は、校正量のエフェクタータンパク質を提供してよい。例えば校正量のエフェクタータンパク質は細胞外環境330又はサンプルに印加される電気刺激及び印加された電気刺激の持続時間の関数であってよい。細胞外環境330は、ESエフェクター細胞300を示すが、さらに、細胞外環境330は、他の非細胞成分のうち、正常細胞及び/又は疾患細胞等の複数の(宿主)細胞を含んでよい。
【0080】
図4は、本開示に係る、複数の細胞を遺伝子操作されたESエフェクター細胞に接触させる方法の例を示す。方法440は、
図1に示されるESエフェクター細胞100及び/又は
図3に示されるESエフェクター細胞300の集団331を使用して実装できる。
【0081】
442において、方法440は、複数の細胞を遺伝子操作されたESエフェクター細胞と接触させることを含む。細胞は、サンプルに接触させる、又は遺伝子操作されたESエフェクター細胞を患者等の宿主に投与することにより接触させることができる。遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、
図1の遺伝子操作されたESエフェクター細胞100により上記において説明されたものと実質的に同じ特徴及び成分の少なくともいくつかを含むことができ、参照を容易にするためにその詳細は繰り返さない。例えば、そして上記のように、ESエフェクター細胞は、細孔形成サブユニットと補助サブユニットのセットとを含むCaVをコードする電気センサー要素と、転写因子結合部位をコードするアクチュエーター要素と、エフェクタータンパク質をコードするエフェクター要素とを備える。
【0082】
444において、複数の細胞を遺伝子操作されたESエフェクター細胞に接触させたことに応答して、方法440は、遺伝子操作されたESエフェクター細胞に電場を印加してCaVを電気刺激することを含む。いくつかの実施形態において、電場は、電気回路を使用して印加される外因性の電場を含んでよい。電気回路は、外部電源と、電源に結合される2つ(以上)の電極とを含んでよい。方法440は、電源に結合される2つの電極を含む電気回路を遺伝子操作されたESエフェクター細胞の近傍に配置し、電源を使用して2つの電極の間に電圧を印加することにより電場を印加することをさらに含む。
【0083】
446において、電気刺激に応答して、方法440は、CaVを閉状態から開状態へと遷移させ、アクチュエーター要素によりエフェクタータンパク質の発現(例えば、転写及び翻訳)を開始させ、シグナルペプチドによりエフェクタータンパク質を分泌させることと、を含む。上記のように、エフェクタータンパク質は、天然状態又は非天然状態のシグナルペプチドを介して分泌可能である。CaVの開状態への遷移に応答して、方法440は、転写因子結合部位(例えば、核因子)を活性化させるCa2+の流入を引き起こし、エフェクタータンパク質を発現させることを含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、分泌されたエフェクタータンパク質の量は、電気刺激により遺伝子操作されたESエフェクター細胞に印加された電場及び印加された電気刺激の持続時間の関数として提供される。例えば、遺伝子組み換えされたES細胞は、電気刺激の電圧、合計持続時間、パルス持続時間、及び周波数の少なくとも1つの関数として活性化し、活性化は、CaVの開状態に関連する。
【0085】
様々な実施形態は、
図1のESエフェクター細胞100及び/又は
図3のESエフェクター細胞300の集団331等の、遺伝子操作されたESエフェクター細胞と、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む医薬組成物を対象とする。
【0086】
例えば、医薬組成物等のESエフェクター細胞組成物は、本明細書に記載される複数の遺伝子操作されたESエフェクター細胞及びその許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤(例えば、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、又はそれらの組み合わせ)を備えてよい。そのような組成物を作製する手段は当分野において既知である(例えば、Remington‘s Pharmaceutical Sciences、16版、Mack,ed(1980年))。好ましくは、組成物は、生体へのESエフェクター細胞の投与を容易にするように調製される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載の複数のESエフェクター細胞、及び例えば緩衝塩類溶液、好ましくはHanks緩衝塩類溶液又は生理食塩水を備える。
【0087】
いくつかの実施形態は、
図1のESエフェクター細胞100に記載される成分及び特徴を有するように生きた細胞を遺伝子操作又は遺伝子組み換えする等の、ESエフェクター細胞を形成する方法を対象とする。
【0088】
本明細書に提供される遺伝子操作されたESエフェクター細胞及び細胞組成物は、様々なイン・ビトロ、エクス・ビボ、及びイン・ビボ用途において使用するために有利な特性を有する。例えば、本明細書で提供されるESエフェクター細胞及び細胞組成物のイン・ビトロ用途は、限定されないが、研究である。
【0089】
本明細書に提供される遺伝子操作されたESエフェクター細胞及び細胞組成物のイン・ビボ用途は、限定されないが、疾患部位のイン・ビボイメージング、疾患部位(例えば、卵巣癌の標的療法)又は病原体の感染部位(例えば、デングウイルス、ジカウイルス、西ナイルウイルス、黄熱、HIV、又は肝炎ウイルス(例えばHepB、HepC)に感染した細胞に対する標的療法)における局所療法のための方法を含む。
【0090】
様々な実施形態は、異なるエフェクタータンパク質を同時に分泌するために使用される、異なるエフェクタータンパク質により操作された複数のESエフェクター細胞等の異なる種類の遺伝子操作されたESエフェクター細胞のパネルを対象とする。
【0091】
いくつかの実施形態は、CaV及び治療用タンパク質を発現する遺伝子操作されたESエフェクター細胞を使用して疾患を治療又は予防する方法を対象とする。例えば、本明細書は、CaV及び治療用タンパク質を発現する遺伝子操作されたESエフェクター細胞を投与することを含む方法である。CaVを発現するESエフェクター細胞が投与される疾患は、ESエフェクター細胞が電気刺激により活性化するため、特に限定されない。疾患の例は、癌(例えば、血液癌(白血病)、固形癌)、炎症性疾患/自己免疫疾患(例えば、喘息、湿疹)、肝炎、並びにジカウイルス、SARS-CoV-1、SARS-CoV-2、インフルエンザ、及びHIV等のウイルス、細菌、又は真菌を原因とし、例えば、結核、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症(VRE)、及び深在性真菌症等の感染症である。いくつかの実施形態において、治療用タンパク質を発現する遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、上記の疾患の治療のために標的細胞を低減又は排除するために使用されてよく、すなわち、腫瘍抗原、ウイルス抗原、細菌抗原等であり、このような疾患を治療又は予防するために投与される。本明細書において使用する際、「治療する」及び「予防する」という用語及びそれに由来する言葉は、必ずしも100%又は完全な治療又は予防を意味しない。むしろ、当業者が潜在的に有益又は治療効果を有すると認識する治療又は予防の程度は様々である。この点、本明細書に記載の方法は、哺乳動物における癌の治療又は予防を任意のレベル及び任意の量で提供できる。さらに、例示的な方法により提供される治療又は予防は、治療又は予防される例えば癌等の状態又は症状の1つ以上の治療又は予防を含んでよい。また、本明細書では、「予防」は、疾患、その症状又は状態の発症を遅らせることを包含してよい。
【0092】
いくつかの実施形態において、遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、本明細書に記載される適切な遺伝子操作されたESエフェクター細胞を含む組成物、及び担体、希釈剤又は賦形剤として、それを必要とする宿主(例えば、対象者)に投与される。宿主に改変CaV発現細胞を提供する任意の適切な方法を、本明細書に記載の方法に使用してよい。いくつかの実施形態において、ESエフェクター細胞を宿主に提供する方法は、ドナー由来の免疫細胞をヒト宿主に注入するための細胞療法及び養子免疫療法の臨床プロトコルから適応させてよい。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法に適する適応された臨床プロトコルは、宿主からESエフェクター細胞を取得することと、本明細書に記載されるCaV及びNFAT-RE制御タンパク質導入遺伝子を発現するようにESエフェクター細胞を遺伝子操作(例えば、改変)することと、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を宿主に注入して戻すこととを含む。本明細書で使用される宿主は、ヒト、動物(例えば、哺乳類、爬虫類、鳥類)、昆虫、植物等の任意の生物を含む及び/又は指し、これらは研究又は試験の対象及び/又は患者となり得る。「対象」はしばしば「宿主」と互換可能に使用される。宿主細胞は、宿主から得られた細胞を含む。
【0093】
本明細書において提供される遺伝子操作されたESエフェクター細胞の投与は、静脈内、腫瘍内、筋肉内、皮下、腹腔内、動脈内、又は求心性リンパ管への投与、非経口投与、例えば注射又は注入による投与等の任意の適切な経路により投与することができるが、これらに限定されない。遺伝子操作されたESエフェクター細胞又はそのようなESエフェクター細胞の集団が投与されるいくつかの実施形態において、ESエフェクター細胞は、哺乳動物等の宿主に対して同種又は自家由来である細胞であってよい。好ましくは、ESエフェクター細胞は、宿主に対して自家由来である。
【0094】
いくつかの実施形態において、遺伝子操作されたESエフェクター細胞が提供される宿主は、増加した(例えば、改善した、より強固な)腫瘍クリアランスについて、又は検出可能なレポータータンパク質の発現を引き起こす電気刺激にトリガーされる別の監視のために、監視又は評価される。様々な実施形態は、癌治療に使用される方法を対象とする。いくつかの実施形態において、遺伝子操作されたESエフェクター細胞が提供される宿主は、細胞のクリアランスについて監視又は評価され、検出可能なレポータータンパク質は、標的細胞に結合するように構成されてよい。
【0095】
いくつかの実施形態は、目的の病原体の細胞ベースの治療又は予防のための方法を対象とする。そのような方法のために、遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、検出可能なレポータータンパク質をコードするポリヌクレオチド配列の代わりに又はそれに加えて、治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含み、細胞外輸送を補助するポリヌクレオチド配列の3’末端にシグナルペプチド(sec)と融合される。カスケードESエフェクター細胞の活性化イベント及びNFAT-REの活性化がトリガーされると、治療用タンパク質の発現が誘発される。方法は、標的細胞(例えば、腫瘍細胞、感染細胞)の部位における治療用タンパク質の局所的な生産、及び疾患微小環境における治療用タンパク質の細胞外分泌を含んでよい。
【0096】
本明細書において記載される遺伝子操作された検出可能なレポータータンパク質細胞の追加の用途は、以下を含む。
【0097】
抗癌化学療法プロドラッグを腫瘍部位に標的化するために、遺伝子操作されたESエフェクター細胞に酵素的に活性化可能なプロドラッグを装填可能であり、薬剤活性化酵素は電気刺激に応答して合成され、従って、プロドラッグを局所的にその活性形態へと変換することができる。いくつかの実施形態において、プロドラッグはESエフェクター細胞には装填できず、遺伝子操作されたESエフェクター細胞の注入に続いて複数回投与されてよい。代替的に、プロドラッグは、イメージングナノ粒子又は活性薬物送達の画像誘導手段の他の手段に結合してよい。イメージング導入遺伝子を発現するようにプロドラッグをイメージングナノ粒子に結合させる又はESエフェクター細胞を操作することにより、操作されたESエフェクター細胞は、手術の準備において患者の適切な病期分類を導き、細胞還元手術を補助するために腫瘍縁を視覚的に識別及び/又はイメージングすることができる。
【0098】
いくつかの実施形態は、化学療法剤を疾患の部位(例えば、腫瘍塊、自己免疫疾患の部位)に局所的に送達する方法であって、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を宿主細胞の集団に接触させることを含む方法を対象とし、遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、(i)CaVをコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、(ii)酵素をコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結するNFAT-REとを含み、電気刺激に応答して、NFAT-REを活性化して酵素の発現を開始させ、酵素は、この酵素により活性化するように予め設計されるプロドラッグに作用し、その疎水性に起因する膜透過性を使用して放出される。
【0099】
癌を治療するための外科的介入について、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を、蛍光タンパク質(例えば、GFP、GFP変異体)又は生物発光酵素(例えば、ルシフェラーゼ)等の検出可能なレポータータンパク質の発現を介して、腫瘍マージンの可視化及び/又はイメージングに使用できる。例えば、このようなESエフェクター細胞は、外科的切除を補助するために腫瘍縁をマークすること、及び残存する全ての陽性腫瘍マージンを識別することのために使用できる。
【0100】
いくつかの実施形態において、遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、電気刺激に応答して発現したイメージング酵素(例えば、チミジンキナーゼは放射性プローブあるいはその他の検出可能なプローブを捕捉でき;光音響イメージング又は磁気共鳴イメージングにより検出されるチロシナーゼ)の発現に基づいて腫瘍を非侵襲的に検出及びイメージングするために使用される。
【0101】
いくつかの実施形態において、遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、フラビウイルスに対するワクチンに関連する安全性の懸念を回避するために使用されてよい。例えば、4つの異なるデングウイルス血清型間の抗原多様性は、抗体媒介免疫の欠如の原因であり、複数の連続感染の可能性がある。一次感染では抗体が有効であるが、二次感染ではその中和度が低下し、急性期の大きな感染細胞塊に対して補体系を活性化させ、出血熱を増悪させることが分かっている。また、先にデング熱に感染しているとジカ熱の感染を悪化させることも判明している。本明細書に記載されるように、ESエフェクター細胞は電気刺激に応答してヒト又は非ヒト又は合成由来の抗ウイルスタンパク質を発現するように操作可能であるため、ESエフェクター細胞を使用することによりフラビウイルスに関するこれらの安全性に関する懸念を回避できる。
【0102】
いくつかの実施形態遺伝子操作されたESエフェクター細胞は、電気刺激に応答して開状態へと遷移するCaVと、抗ウイルスタンパク質を誘発するNFAT応答要素とを含む。そのような実施形態は、新興病原体(例えば、SARS-CoV-1、SARS-CoV-2、ジカウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、黄熱ウイルス)を治療する輸血医療に使用できる。
【0103】
他の非限定的な遺伝子操作されたESエフェクター細胞の使用例は、以下の:i)外科的切除を補助又は疾患の進行/退行を監視するための疾患微小環境の位置のイメージング;ii)疾患細胞を殺すための細胞毒性;iii)T細胞の持続性を高めるための増殖;iv)他の免疫細胞を補充するための免疫刺激、v)他の免疫細胞を補充するためのケモカイン;vi)局所的な免疫抑制微環境を作るための免疫抑制;及びvii)組織の治癒を高めるための再生、を含む。
【0104】
本明細書において使用する際、標的細胞(しばしば「宿主の標的細胞」、「目的の標的細胞」、「疾患細胞」、又は「標的疾患細胞」と互換的に呼称される)は、生体(例えば、目的の生物学的成分)に関連する目的の細胞を含む及び/又は指す。ESエフェクター細胞は、ヒト及び非ヒト細胞等の様々な異なる種類の細胞から取得可能であり、本明細書において「ソース」と呼称することもある。本明細書において使用する際、「遺伝子組み換え」及び「遺伝子操作」という用語は、互換的に使用され、挿入に使用される方法にかかわらず、外因性ポリヌクレオチドを含む原核細胞又は真核細胞を含む及び/又は指す。いくつかの実施形態において、ESエフェクター細胞は、人の手により(例えば、組み換えデオキシリボ核酸(DNA)技術を使用して)作製又は改変された非自然発生核酸分子を含むように改変される、又は(例えば、転写、翻訳等により)そのような分子に由来する。外因性、組み換え、合成、及び/又はその他の方法で改変されたポリヌクレオチドを含むESエフェクター細胞は、遺伝子操作されたESエフェクター細胞であるとみなされる。
【0105】
本明細書において使用する際、「核酸」は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、及び「核酸分子」を含む及び/又は指し、一般に、DNA又はリボ核酸(RNA)のポリマーを意味し、これらは、一本鎖又は二本鎖であり得、合成される又は天然源から得られる(例えば、天然源から単離及び/又は精製)、天然、非天然、又は改変されたヌクレオチドを含んでよく、非改変オリゴヌクレオチドのヌクレオチド間に見られるホスホジエステルの代わりにホスホロアミデート結合又はホスホロチオエート結合等の天然、非天然、又は改変したヌクレオチド間結合を含んでよい。いくつかの実施形態において、核酸は、いかなる挿入、欠失、逆位、及び/又は置換も含まない。しかしながら、本明細書において説明されるように、いくつかの実施態様において、核酸が1つ以上の挿入、欠失、逆位、及び/又は置換を含むことは好適であり得る。いくつかの実施形態において、核酸は、CaV及びポリヌクレオチドの機能に影響を与えず、宿主細胞による核酸の発現時に翻訳されてもされなくてもよい、追加のアミノ酸配列をコードし得る。
【0106】
核酸は、Maniatis et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, N.Y., pp.280-281 (1982)及び/又は米国特許出願公開第US2002/0190663号に記載されているものを含む、任意の適切な方法を使用して取得されてよく、これらの各々は、その教示のために全体が本明細書に完全に組み込まれる。生物学的サンプルから得られた核酸は、典型的には、分析に適した断片を作製するために断片化される。
【0107】
核酸及び/又は他の部位は、単離されてよい。本明細書において使用される際、「単離された」とは、天然に存在する供給源に由来するか合成的に作られるかにかかわらず、通常関連する成分の少なくとも一部から、全体的又は部分的に分離することを含む及び/又は指す。本発明の核酸及び/又は他の部位は、精製できる。本明細書において使用される際、「精製された」は、他の大多数の化合物又は実体から分離されたものを含む及び/又は指す。化合物又は部位は、部分的に精製することも、実質的に精製することも可能である。純度は、重量基準で示すことができ、質量分析、HPLC等であってこれらに限定されない様々な分析技術を使用して特定できる。
【0108】
遺伝子操作されたESエフェクター細胞を生成し、ESエフェクター細胞の機能性を特徴付けるために、多くの実験的な実施形態を実施した。遺伝子操作されたESエフェクター細胞を生成するために使用された構築物の例は、SEQ ID NO:1~17に記載されるヌクレオチド配列を含む。SEQ ID NO:1~17は、それぞれ、合成DNAである。例えば、SEQ ID NO:11~17は、ESエフェクター細胞を生成するために使用されるプラスミド配列の例を含み、電気センサー要素、アクチュエーター要素、及びエフェクター要素の例を提供する。SEQ ID NO:1~2は、細孔形成サブユニットをコードするための配列の例を提供し、SEQ ID NO:3~5は、補助サブユニットをコードするための配列の例を提供し、SEQ ID NO:6~10は、エフェクタータンパク質をコードするための配列の例を提供する。
【0109】
様々な実験的な実施形態は、I型IFN及びIII型IFN等のIFNを発現するESエフェクター細胞を形成し、SARS-CoV-2感染細胞に対するIFN-βを有するESエフェクター細胞から産生されたI型IFN及びIII型IFNの予防及び治療の効果を評価することを対象とする。ESエフェクター細胞の注入に伴う潜在的な発癌関連リスクを軽減するために、IFN産生能を損なうことなく細胞を非増殖性にする放射線量(γ線)が検討された。これは、臨床第I/II相試験のために現行の適正製造基準(cGMP)に準拠して製造可能なIFN-βを有するESエフェクター細胞の安全な投与を保証するものであり、トランスレーショナルアプローチを提示する。レポーター酵素を使用した評価の後、IFN産生のためのESエフェクター細胞を産生し、SARS-CoV-2感染Calu-3細胞に対するIFNの抗ウイルス治療効果を評価するために様々な実験が行われた。
【0110】
図5A乃至5Dは、様々な実施形態に係る、電気刺激による遺伝子操作されたESエフェクター細胞の活性化を特徴付けするプロットの例を示す。いくつかの実験的な実施形態において、感受性及びオフターゲット活性化の観点からESエフェクター細胞の出力を評価するために、レポータータンパク質(nルシフェラーゼ)の発現を使用した。2種類のESエフェクター細胞を産生した。第1のESエフェクター細胞は、nLuciferenceのエフェクタータンパク質をコードするエフェクター要素と、6つのNFAT-REをコードするアクチュエーター要素と、CaV1.2とα
2δ
1、β
3の補助サブユニットとを含むCaVをコードする電気センサー要素とを含むように改変され、参照しやすいように一般に「CaV1.2細胞」と呼ばれる。第2のESエフェクター細胞は、nLuciferenceのエフェクタータンパク質をコードするエフェクター要素と、6つのNFAT-REをコードするアクチュエーター要素と、CaV1.3とα
2δ
1、β
3の補助サブユニットとを含むCaVをコードする電気センサー要素とを含むように改変され、参照しやすいように一般に「CaV1.3細胞」と呼ばれる。電気センサー要素を含まない細胞を含む対照Nullを使用した。
図5Aは、電気刺激によるCaV1.2細胞及びCaV1.3細胞の活性化を刺激時間の関数として示す。
図5Bは、電気刺激によるCaV1.2細胞及びCaV1.3細胞の活性化を印加電圧の関数として示す。
図5Cは、電気刺激によるCaV1.2細胞及びCaV1.3細胞の活性化を印加された電気刺激の周波数の関数として示す。
図5Dは、電気刺激によるCaV1.2細胞及びCaV1.3細胞の活性化をパルス持続時間の関数として示す。
図5B乃至5Dについて、漏れレポーター発現を補正するために、レポーター発現を非刺激シグナルでバックグラウンド減算した。特に指示がない限り、細胞を10電圧(V)、40ヘルツ(Hz)、パルス時間2msecで16時間刺激した。
【0111】
図6A及び6Bは、本開示に係る、レポーター細胞と比較した、遺伝子操作されたESエフェクター細胞の活性化を特徴付けするプロットの例を示す。
図5A及び5Bのように、様々な実験において、T細胞を、CaV1.2又はCaV1.3と補助サブユニットとをコードする電気センサー要素と、レポータータンパク質をコードするエフェクター要素と、6つのNFAT-REを有するアクチュエーター要素とを含むように改変した。電気センサー要素を含まないレポータータンパク質をコードする対照細胞を作製した。
図6A及び6Bに示されるように、電気センサー要素を含むように改変されたT細胞は、異なる電気刺激Vにおいて、レポータータンパク質の発現が対照株よりも大きかった。
【0112】
図9A乃至9Cにさらに示されるように、ESエフェクター細胞を活性化又はトリガーする電圧範囲における電気センサー要素の成分に使用及びその定義するためにさらに実験を行った。
図9Aに示されるように、リンパ球におけるCa
2+シグナル伝達を媒介する補助サブユニット一式(α
2δ
1、β
3)共発現を使用して、印加電圧を感知するためのCaVチャンネル(CaV1.2、CaV1.3)を実装した。レポータータンパク質(NanoLuc(登録商標)(Nluc))の発現をエフェクタータンパク質のための代用マーカー(Nlucを有するESエフェクター細胞)として使用し、これは、他の種類のタンパク質の中でも特定の疾患適応に対する治療用タンパク質と交換できる。
図9Cに示されるように、初期の実験は、細胞生存率に若干の妥協が観察されたものの(
図9B参照)、30Vの閾値がESエフェクター細胞のエフェクタータンパク質発現をトリガーしたことを示した。初期実験中の周波数とパルス持続時間は、20Hz及び2msecで一定に保たれた。エフェクタータンパク質を合成するESエフェクター細胞の電気的活性化は、印加されたVEよりも、印加電圧÷電極間隔と定義できる印加電場の関数であった。これは、異なる電極間隔の2つの電極間に細胞が配置された時に細胞をトリガーするVを比較することにより確認された。追加の実験は、12mm(24ウェルプレート)と比較して、電極間隔28mm(6ウェルプレート)には約2.5倍高いVが必要であることを示した(
図10A及び10B参照)。さらに、6ウェルプレートを使用して実験を行った。
【0113】
図7A乃至7Dは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞からエフェクタータンパク質の発現を駆動するために使用される電気的パラメータの例を示す。ESエフェクター細胞を活性化及び/又はトリガーする電気的パラメータを特定し、電気センサー要素を2つの異なる電圧依存性Ca
2+チャンネル又は細孔形成サブユニット(CaC1.2、CaV1.3)から選択するために、様々な実験を使用した。
図7Aは、代表的なデータを示し、x軸は1Vの分解能における印加電圧を示す。データは、29V~33Vの間の電圧上昇に伴いエフェクタータンパク質の発現が増加したことを示し、この傾向は、CaV1.2及びCaV1.3チャンネルの電圧依存性ゲーティングにおいて観察されたものと同等である。エフェクタータンパク質の発現は、約33Vであった特定の印加V値を超えると低下した。調査により、高いVにおける細胞生存率の低下には潜在的な原因があることが判明した(
図11を参照)。追加実験により、30Vを60分印加(20Hzの周波数、2msecのパルス持続時間)することが最適な刺激であると明らかになった。これは、電気的パラメータの範囲内で刺激した時に細胞生存率(
図12Bを参照)を顕著に損なうことなく生細胞数(
図12Aを参照)で正規化したエフェクタータンパク質の発現において観察された最小変動に基づく。反復的に行われた一連の実験により、最適なエフェクタータンパク質の発現を電気的に誘発するために使用できる異なる工程パラメータの範囲が得られた。
【0114】
エフェクタータンパク質の合成を駆動するパルス持続時間及び周波数の関係を示す代表的なデータが
図7B及び7Cにそれぞれ示される。30Vにおいて、2msecのパルス持続時間及び20Hzの周波数がESエフェクター細胞をトリガーするために最適であると分かった。ESエフェクター細胞を刺激するためのVは、刺激周波数の増加に伴い減少した。エフェクターの発現を活性化するために、ESエフェクター細胞を、2msecのパルス持続時間、20Vで処理し、45Hzの周波数が必要であった(
図13を参照)。ESエフェクター細胞を1時間刺激することによりエフェクタータンパク質の発現がトリガーされ、これは、CaV1.2ベースの電気センサー要素について、9時間以内に検出され、48時間にわたって増加したことが
図7Dに示される。持続時間後に生細胞の数に対して正規化されたエフェクタータンパク質の発現がx軸に図示される(非正規化データについては
図14A及び14Bを参照)。CaVを含まない2つの陰性対照におけるエフェクタータンパク質の発現の減少は、T細胞における内因性CaV発現により説明され得る。2つの陰性対照は、補助サブユニットを含む場合と含まない場合のアクチュエーター要素に誘発されたエフェクタータンパク質の発現を含んだ。
【0115】
印加電圧、パルス持続時間、周波数、及び刺激後時間に対する電圧感受性人工シグナル伝達経路の電気センサー要素の両方のCaVの傾向は同じであった。同じ電気刺激に応答したCaV1.2を含むESエフェクター細胞におけるエフェクタータンパク質の発現は、CaV1.3を含むESエフェクター細胞におけるエフェクタータンパク質の発現よりも強固であった。従って、
図7A乃至7Dの全パネルにおいて報告された観察に基づいて、CaV1.2は、電気センサー要素を作製する電圧依存性Ca
2+チャンネルとして経験的に選択され、α
2δ
1、β
3と共発現した。
【0116】
上記のように、NFAT-RE誘導エフェクター要素及び電気センサー要素無しで、又は単独又はCaV1.2若しくはCV1.3と組み合わせたα2δ1及びβ3サブユニットをコードする電気センサー要素で、Jurkat細胞を操作した。x軸において特別記載されない限り30V、20Hz、2msecのパルス持続時間により16500個の細胞を1時間電気刺激した後、24時間、Nluc活性を評価した。電圧、パルス持続時間、及び周波数の範囲を分析することによりCaV1.2を介してNluc活性を刺激するために使用されたパラメータの範囲が示され、Nluc活性の時間的分析は正規化されたエフェクタータンパク質の発現が48時間後まで誘発されたことを示した。細胞増殖を考慮して、Nluc応答を細胞数により正規化した。全ての観察において、n=4を使用してNluc活性を判定し、エラーバーは、±1SDを示し、平均値の68%信頼区間の半値幅とみなすこともできる。
【0117】
図8A乃至8Dは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞からエフェクタータンパク質の発現を駆動させるために使用される生物学的パラメータの例を示す。
異なる生物学的パラメータを評価して、βアイソフォームによる電気センサー要素の制御及び他の種類の細胞において機能するための合成回路の適用性を決定するために、様々な実験を行った。そのような生物学的パラメータは、補助サブユニットの発現及び細胞シャーシを含む。
【0118】
図8A及び8Bは、ESエフェクター細胞を作製するために使用されるJurkat細胞シャーシを示し、Jurkat細胞シャーシにおいてβ
3及びβ
2補助サブユニットの両方がエフェクタータンパク質の発現を駆動する電気センサー要素の電気的なトリガーを支持したことを示す。
図8C及び8Dは、ESエフェクター細胞を作製するために使用されるK562細胞シャーシを示し、K562細胞シャーシにおいてβ
2補助サブユニットがエフェクタータンパク質の発現を駆動する電気センサー要素の電気的なトリガーを支持し、β
3は支持しなかったことを示す。Jurkat細胞シャーシを使用したエフェクタータンパク質の発現は、K562細胞シャーシを使用したそれよりも早かった。Jurkat細胞シャーシにおいて、発現は24時間以内に検出され、少なくとも48時間後まで増加し続けた。比較すると、K562細胞において発現は48時間で検出され、24時間で最少となった。実験により、ESエフェクター細胞を形成するように改変されたK562細胞の電気センサー要素によるシグナル伝達をより良好に支持することが分かり、これは恐らく、プラズマ膜へのCaV1.2の輸送の増加によるものである。細胞表面上におけるチャンネルの局所化は、CaV1.2孔を介したCa
2+流入をより良く駆動し、NFATを核へとトランスロケーションするために必要な細胞内Ca
2+の上昇を提供できる。これらの実験は、Jurkat細胞及びK562細胞において、CaV1.2/α
2β
1β
2からなる電気的センサー要素によりエフェクタータンパク質の発現が電気的に誘導され、さらに他の細胞シャーシにも及ぶ可能性があることを示した。
【0119】
図8A乃至8Dに示されるように、補助サブユニットβ
2及びβ
3を、CaV1.2/α
2β
1及びNFAT-RE誘導エフェクタータンパク質(Nluc)を発現するJurkat細胞株及びK562細胞株の両方の電気的活性化に対する支持について比較した。30V、20Hz、2msecのパルス持続時間において、16500個の細胞に1時間の電気刺激を開始してから24時間及び48時間後にNluc活性を測定した。両方のβサブユニットがJurkat細胞におけるレポーターの発現を促進した。β
2はK562細胞におけるレポーター発現のみを促進した。全ての観察において、n=4を使用してNluc活性を判定し、エラーバーは、±1SDを示し、平均値の68%信頼区間の半値幅とみなすこともできる。
【0120】
様々な実験において、上記のESエフェクター細胞は、抗ウイルスタンパク質等の治療用タンパク質をコードするエフェクター要素を含むようにさらに改変されてよい。パンデミック状況下で公衆衛生上の対応を実施する場合、完璧な解決策はめったにない。各ウイルスは異なる方法で発現し、大きく異なる臨床症状を示し、異なる分子構造を有する。汎ウイルス免疫を発揮する普遍的な介入は、ひとたび食品医薬品局(FDA)により承認されれば、大流行の際に即座に配備することができる社会的信用を得ることができる。様々な実験により、病原性ウイルスに対する自然免疫を誘発する操作された細胞を外因的に活性化する能力が実証されている。実験において、電気刺激を印加するとIFN-β1を発現する細胞を操作することにより、この業績が実証された。細胞は電気刺激により活性化するため、ウイルスの分子構造に関する予備知識を必要としない。ESエフェクター細胞は広く応用可能であり、コロナウイルスに限らず、あらゆるウイルス感染症の発生時に迅速に配備できる。
【0121】
ほとんど全ての病原性ウイルスは、ウイルス攻撃に抵抗するための前駆期における初期応答で、IFN経路を妨害することにより増殖する。様々な実験的な実施形態において、そして少なくとも上記の理由から、前臨床試験及び臨床試験において抗ウイルス効果を発揮することが知られる異なるI型及びIII型IFNを発現するように操作された細胞の中から、I型IFNであるIFN-β1をエフェクタータンパク質として使用した。実験は、対照として市販のIFN-β1で処理した場合と比較して、ESエフェクター細胞から産生されたIFN-β1で宿主細胞を処理した場合に同様のIFN刺激遺伝子(ISG)シグネチャーを示した。現在は公衆衛生危機にあるため、SARS-CoV-2が新興ウイルスをモデルとして使用した。しかしながら、この研究の影響はウイルスにとどまらない。例えば、IFN-β1は、細菌感染、自己免疫疾患、神経疾患、固形腫瘍等の免疫系を回避する他の疾患にも使用されている。上記のように、ESエフェクター細胞は、治療を考慮した組み換えバージョンのIFN-β1を含む、ヒト又は非ヒトタンパク質を収容できる。従って、例えば体外装置である電気回路から外因的に刺激された操作された細胞からの治療用タンパク質の部位特異的合成は、多くの疾患を標的とする能力を提供する。
【0122】
感染の初期にCOVID-19を治療するためのIFN-β1の実施は、B型肝炎及びMERSのようなウイルス性疾患の治療において以前に観察されたその有用性の証である。また、リポソーム、ペグ化、ヒドロゲル、微粒子等の治療薬の直接全身注入のための製剤が、免疫原性を低減し、バイオアベイラビリティを改善することにより有効性及び安全性を改善するために開発されてきた。とはいえ、多くの課題が存在する。例えば、(1)IFN-β1a及びIFN-β1bである利用可能な2つの哺乳動物細胞及び細菌発現製剤は、炎症、組織損傷、多臓器不全等の全身毒性を示し、後者は適切な翻訳後修飾を欠いており、(2)持続的なバイオアベイラビリティのためには依然として反復投与が必要であり、(3)多くの治療に必要とされる局所的なバイオアベイラビリティに焦点を当てた時間分解能は達成されていない。これらの問題を解決するために、イン・シチュにおいてタンパク質を生物学的生産のための細胞を操作した。いくつかの実施形態において、ESエフェクター細胞は、Repellin CE et alの『Modular Antigen-Specific T-cell Biofactories for Calibrated In Vivo Synthesis of Engineered Proteins』、Advanced Biosystems、2(12):1800210(2018)、及びRepellin CE et alの「NK-Cell Biofactory as an Off-the-Shelf Cell-based Vector for Targeted In Situ Synthesis of Engineered Proteins」と題する、Advanced BioSystems 5(7).2000398 (2021)に記載される成分及び特徴の少なくともいくつかを含み、抗原提示標的細胞と係合すると、Ca2+誘導セカンドメッセンジャーシステムを動員する抗原感知キメラ抗原受容体(CAR)を含み、それらの教示はその全体が参照として本明細書に組み込まれる。実験的な実施形態において、イン・ビボシグナルから活性化トリガーを切り離すために、CAR分子を、電場を感知すると下流のCa2+誘導セカンドメッセンジャーシステムを動員するCaVをコードする電気感知エレメントにより置換した。これにより細胞の転写機構が活性化され、所望のタンパク質を産生するように設計された下流経路が活性化した。このようなESエフェクター細胞は、エフェクタータンパク質の合成を位置選択的に組織に局所化させるため、炎症や組織損傷等の全身注入による有害な副作用を防ぐことができる。
【0123】
プラットフォーム自己複製細胞ベースの抗ウイルス剤であるIFN-βを有するESエフェクター細胞は、ほとんどの病原性ウイルスを普遍的に標的とすることが可能であり、パンデミックになる前にアウトブレイクを抑制することができ、より小型の分散型バイオリアクターにおける製造可能性を広げる。従って、現在のワクチンにとって流通の大きな障害となっている、腐敗の原因となるコールドチェーンの維持への依存を最小限に抑えることができる可能性がある。ESエフェクター細胞ベースの抗ウイルスアプローチは、ウイルス培養の開発、ウイルス向性の決定、ウイルス抗原/宿主受容体の調査、配列の決定、臨床グレードの免疫原生の構築及び適格性確認、設計-構築-試験/安全性サイクルの反復実施等、新規の病原体毎に特異性を備える回復期を導入するワクチン開発に不可欠である時間及び資源集約的なプロセスを回避できる。IFN-βを有するESエフェクター細胞は、新興パンデミックを治療するための現在のワクチンベースのアプローチに対して新しい補完的な養生法を提供し、前駆症状の段階で感染症を治療するための前段階として投与される。
【0124】
図9A乃至9Cは、本開示に係る、異なる細孔形成サブユニット及び補助サブユニットを有する遺伝子操作されたESエフェクター細胞の結果の例を示す。電圧依存性Ca
2+チャンネル及び補助サブユニットの操作を介した合成NFAT制御Nlucレポーターの発現の電気的なトリガーを実験的に評価した。CaV1.2及びCaV1.3並びにα
2β
1及びβ
3補助サブユニットを、Ca
2+誘導性レポータータンパク質と共にJurkat細胞株へと共操作した。Nluc活性は、
図9Aに示されるように、補助サブユニットの発現の識別を同定し、
図9Bに示されるように、NFATアクチュエーター要素の電気感知活性化のトリガーとなる電圧要求を同定した。
図9Aは、α
2β
1β
3及びCaV1.2の共発現を示し、少ない程度であるが、CaV1.3は顕著な電圧依存性エフェクタータンパク質の発現を支持した。
図9B及び9Cは、電圧印加により活性化したレポータータンパク質の発現の増加、及び細胞生存率の低下を示す。また、レポータータンパク質の発現のNFAT媒介転写は、PMA/イオノマイシン処理(
図9Bにおける破線)により誘発された。全ての場合において、30V(又は
図9B及び9Cに示されるように)、20Hz、及び2msecのパルス持続時間で細胞(16500k)を刺激した。刺激後24時間、Nluc活性を測定した。全ての観察において、n=4を使用してNluc活性を判定し、エラーバーは、±1SDを示し、平均値の68%信頼区間の半値幅とみなすこともできる。
【0125】
図10A及び10Bは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激するために異なる電極間距離を使用した結果の例を示す。示されるように、電極間の距離を短くすることにより、ESエフェクター細胞の活性化のための電圧閾値が減少した。
図10Aに示される電極間距離12.5mm及び
図10Bに示される電極間距離28mmの2つのイオンオプティクスのC-pace lid構成を使用して、CaV1.2/α
2β
1β
3を発現するJurkat細胞を刺激した。電気刺激の開始の24時間後にNluc活性を判定した(1時間、30V、20Hz、2msec)。電極間距離を28mmから12.5mmに減らしたことに比例してレポータータンパク質の発現するVが減少した。全ての観察において、n=4を使用してNluc活性を判定し、エラーバーは、±1SDを示し、平均値の68%信頼区間の半値幅とみなすこともできる。
【0126】
図11は、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激するための電圧印加の関数としての細胞生存率の例を示す。
図11に示されるように、電圧印加が増加すると、細胞生存率は低下した。1時間、20Hz、2msecのパルス持続時間により示される電圧印加の開始から24時間後のCaV1.2/α
2β
1β
3発現Jurkat細胞を数えた。n=2を使用するTrypanBlueにより細胞数を数え、エラーバーは、±1SDを示し、平均値の68%信頼区間の半値幅とみなすこともできる。
【0127】
図12A及び12Bは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激するために異なる持続時間を使用した結果の例を示す。電気刺激の持続時間は、エフェクタータンパク質の発現及び細胞生存率の両方に影響を及ぼす。CaV1.2/α
2β
1β
3発現Jurkat細胞を、示された時間にわたり電気刺激(30V、20Hz、2msecのパルス持続時間)し、
図12Aに示されるように刺激開始から24時間後にNlucエフェクター活性について分析し、また、
図12Bに示されるようにAO/PIにより特定された細胞生存率について分析した。4つの試験は、NFAT媒介Nluc発現の活性化には60分の電気刺激が必要であり、この枠を超える刺激は活性化を促進するが細胞生存率を低減させることを示した。全ての観察において、n=4を使用してNluc活性を判定し、エラーバーは、±1SDを示し、平均値の68%信頼区間の半値幅とみなすこともできる。4つの試験のNluc活性を、未処理の細胞用のシグナルを0%、PMA/イオノマイシンにより処理された細胞用のシグナルを100%と設定して正規化した。細胞生存率の数は4つの試験で得られたAO/PI測定の平均を示し、エラーバーは、±1SDを示し、平均値の68%信頼区間の半値幅とみなすこともできる。
【0128】
図13は、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激するために異なる周波数を使用した結果の例を示す。
図13に示されるように、電圧強度が低下すると、刺激周波数が増加した。
図13のプロットは、x軸に周波数の範囲が示される、20V及び2msecのパルス持続時間における16500個の細胞に対する1時間の電気刺激の開始から24時間後のNluc活性により評価されたレポーター発現を示す。20Hzの周波数によりレポータータンパク質が発現した
図7Cの30Vで刺激された細胞と比較して、20VでCaV1.2発現細胞を刺激した際には、Nluc活性を検出するために45Hzまで増加した周波数が必要であった。全ての観察において、n=4を使用してNluc活性を判定し、エラーバーは、±1SDを示し、平均値の68%信頼区間の半値幅とみなすこともできる。
【0129】
図14A及び14Bは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激するために異なる持続時間を使用した結果の例を示す。より具体的には、
図14A及び14Bは、ESエフェクター細胞のNluc発現の持続時間を示す。30V、20Hz、2msecのパルス持続時間で1時間、細胞を刺激し、
図14Aに示されるNluc活性及び
図14Bに示される生存細胞数を示された時間について評価した。電気刺激されたCaV1.2及びCaV1.3発現細胞において顕著なレポーター発現が観察された。また、細胞活性は、時間依存的な細胞増殖とともに増加した。従って、Nluc活性を、相対細胞数に対して正規化し、
図7Dにおいて報告した。全ての観察において、n=4を使用してNluc活性及びCellTiter-Glo活性を判定し、エラーバーは、±1SDを示し、平均値の68%信頼区間の半値幅とみなすこともできる。
【0130】
図15A及び15Bは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を生成するためのプラスミドの例を示す。より具体的には、
図15A及び15Bは、それぞれ、下記の表1に記載されるプラスミドA及びプラスミドBを示す。
【0131】
図16A及び16Bは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激した結果の例を示す。より具体的には、
図16A及び16Bは、Jurkat細胞シャーシ及びK562細胞シャーシの両方が電気刺激された産生を支持することを示す。nルシフェラーゼレポーター発現の動態から観察されたように、Jurkat細胞は、刺激後24時間以内に分泌されたサイトカインを検出することにより、より早くIFNを産生した(
図16A)。比較すると、電気的な活性化に応答して産生されたIFNは、刺激後48時間で観察された(
図16B)。いずれにしても、電気センサーを両細胞株に操作することにより、疾患バイオマーカーに依存しないオンデマンドIFN産生が可能となる。
【0132】
より具体的には、
図16A及び16Bは、ESエフェクター細胞によりIFN分泌の時間経過を示す。Nluc発現を駆動した電気的パラメータを、IFN分泌をトリガーするために使用した(30V(Jurkat)及び34V(K562)、20Hz、2ミリ秒のパルス持続時間における1時間の刺激)。IFN産生を、刺激後のESエフェクター細胞上清を分離し、IFN感知レポーター細胞株を使用して分泌されたエフェクタータンパク質を定量することにより特定した。
【0133】
図17A及び17Bは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激した結果の例を示す。より具体的には、
図17A及び17Bは、SARS-CoV-2感染を防止するESエフェクター細胞により分泌されたIFNを示す。電気刺激されたES細胞から分離されたIFN含有上清を、SARS-CoV-2に感染する前にVero-E6細胞の前処理に使用して、分泌されたIFNの予防活性を評価した。Jurkat細胞株及びK562細胞株(それぞれ、
図16A及び
図16B)において、IFN回路を産生するESエフェクター細胞は、刺激されていないESエフェクター細胞と比較して、ウイルス感染を顕著に抑制する電場に応答するIFN産生を可能にした。K562ベースの細胞により合成されたIFNによりウイルス感染を処理することにより、Jurkat細胞と比較して、ウイルス感染がより効果的に抑制され、これは、K562細胞に観察された強固なIFN産生を反映していると思われる。これらの実施形態は、ウイルス感染を処理するための遠隔トリガーを使用したESエフェクター細胞の刺激及びIFNのオンデマンド合成¥を示す。さらに、ESエフェクター細胞の回路を利用してK562細胞株における薬剤産生を指示することにより、イン・ビボ応用の道が開かれた。
【0134】
図17A及び17Bにおいて、細胞複製及び細胞死を抑制するために、ESエフェクター細胞の上清(
図17A:Jurkat細及び
図17B:K562)を連続して希釈し、SARS-CoV-2に感染する前のVero-E6を前処理するために使用した。処理後48時間の電気刺激されたESエフェクター細胞から上清を取り出し、照射及び非照射のものを両方、刺激されていない細胞の上清と比較した。青の破線は、精製組み換えIFNのウイルス防御効果を示す。
【0135】
図18A及び18Bは、本開示に係る、遺伝子操作されたESエフェクター細胞を電気刺激した結果の例を示す。示されるように、ESエフェクター細胞により分泌されたIFNは、活性SARS-CoV-2感染を抑制した。ESエフェクター細胞を、感染したばかりのSARS-CoV-2感染Vero-E6-Luc2細胞と共に培養し、イン・シチュにおけるIFB送達の進行中のウイルス感染に対する治療効果を調査した。Jurkat及びK562ベースのES細胞(それぞれ、
図18A及び
図18B)において、電気応答回路は、刺激されていないESエフェクター細胞と比較して、確立されたウイルス感染を顕著に抑制したIFN産生を可能にした。ESエフェクター細胞上清の前処理試験(
図17A及び17B)とは対称的に、IFNを産生したJurkatベースのESエフェクター細胞は、K562ベースの薬剤送達と比較して、発症中のウイルス感染及び続く細胞死を顕著に減少させた。JurkatベースのESエフェクター細胞は電気刺激後により早くIFNを分泌したため(
図16A及び16B)、予防防薬としてより効果的と思われるK562ベースのESエフェクター細胞により示された強固なIFN発現に対して、より迅速なIFN送達が活性ウイルス感染の抑制においてより効果的であると思われる。
【0136】
より具体的には、
図18A及び18Bにおいて、ESエフェクター細胞(
図17A:Jurkat細及び
図17B:K562)を、連続して希釈し、SARS-CoV-2に感染した少し後のVero-E6-Luc2細胞と共培養した。Vero-E6-Luc2細胞のルシフェラーゼ活性を、感染/共培養した48時間後に調査して、細胞生存率を特定した。共培養の前に、非照射及び照射されたESエフェクター細胞の両方を電気刺激した。刺激されなかった細胞は、陰性対照として使用した。青の破線は、精製組み換えIFNのウイルス防御効果を示す。
【0137】
以下は、様々な材料及び方法を示す。
【0138】
操作されたJurkatE6-1(ATCC、Cat#TIB-152)及びK562(ATCC、Cat#MCCL-243)細胞株を、完全RPMI培地[RPMI1640(コーニング、Cat#10-041-CV)、10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)(シグマアルドリッチ、Cat#F2442-500ML)、及び1Xペニシリン-ストレプトマイシン溶液(コーニング、Cat#30-002-Cl)]中に維持した。操作されたVero-E6細胞(ATCC、Cat#CRL-1586)を、完全Eagle’sMEM[10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)(シグマアルドリッチ、Cat#F2442-500ML)、及び1Xペニシリン-ストレプトマイシン溶液(コーニング、Cat#30-002-Clにより補足したEMEM(コーニング、Cat#10-009-CV)]中で培養した。全ての細胞を増殖させ、凍結培地(50%FBS、40%RPMI、及び10%DMSO)を使用して液体窒素ストックを維持した。異なる遺伝子ペイロードをコードするプラスミド(トランスファープラスミド)を、SnapGeneソフトウェア(GSL Biotech LLC)により設計し、piggyBacベクタープラスミド(System Biosciences、Cat#CD510B-1)又はpiggyBacトランスポゾンベクタープラスミド(System Biosciences、Cat#PB510B-1)にサブクローニングした。piggyBacトランスポナーゼ配列は、その教示のために全体が参照として本明細書に組み込まれる、Doherty et al.(2012);Hyperactive piggyBac gene transfer in human cells and in vivo.Human Gene Therapy 23,311-320に記載されるようなものがジョンズ・ホプキンズ大学により提供された。「EF1アルファプロモーター-i7pB導入遺伝子-bGHポリ(A)シグナル」のためのインサートを、化学合成し、オーバーラップPCR産物を使用してpUC19(GenBank:L09137、New England Biolabs、#N3041)に組み込んだ。全てのプラスミド調製サービス(DNA挿入配列の化学合成、各ベクターバックボーンへのサブクローニング、及び増幅)を、Epoch Life Science社(ミズーリ市、TX)から入手した。Jurkat細胞株及びK562細胞株の操作には、製造指示書に従って、それぞれ、nucleofectionキット:SE Cell line 4D-NucleofectorTM X Kit S(ロンザ株式会社、Cat#V4XC-1032)及びSF Cell line 4D-NucleofectorTM X Kit L(ロンザ株式会社、Cat#V4XC-2024)を使用した。ピューロマイシン二塩酸塩(サーモフィッシャーサイエンティフィック、Cat#A1113803)及びG418硫酸塩(コーニング、Cat#30-234-CI)を、安定な細胞株を選択するために使用した。Nano-Glo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイ(プロメガ株式会社、#N1150)を使用してNluc活性を測定した。CellTiter-Glo2.0(プロメガ株式会社、#G9242)又はViaStainTMAO/PI Cell Staining(Nexcelom、Cat#CS2-0106)のいずれかにより細胞生存率を特定した。Vero-E6-Luc2+細胞を、記載のように操作し、SARS-CoV-2による細胞殺傷のレポーターとして使用した。SARS-CoV-2培養株[BEI Resources、NIH;香港/VM20001061/2020(CatNR-52282)]を提供した。Vero-E6-Luc2+細胞の生存率を、Luc2活性のためのCellTiter-Glo2.0細胞生存率アッセイ(プロメガ、Cat#PRG7570)又はOne-Gloアッセイ(プロメガ、Cat#E6110)のいずれかを使用して評価した。完全DMEM[10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)(シグマアルドリッチ、Cat#F2442-500ML)及び1Xペニシリン-ストレプトマイシン溶液(コーニング、Cat#30-002-Cl)により補足したDMEM成長培地]中で、製造指示に従い、IFN-βを有するESエフェクター細胞により産生されたIFNの量を定量化するために、HEK-Blue IFN-α/β細胞(InvivoGen、Cat#hkb-ifnab)を使用した。R&Dシステムズからの組み換えヒトIFN-β1aタンパク質(Cat#8499-IF-010/CF)を対照として使用した。
【0139】
ESエフェクター細胞の生成(Nlucを有するESエフェクター細胞;IFN-βを有するESエフェクター細胞)
その教示のために全体が本明細書に組み込まれるReppellin et al.2020に記載されるpiggyBacトランスポゾンシステムにより、Jurkatお酔いK562懸濁細胞株を操作した。トランスファープラスミドは、以下の:CaV1.2:Q13936-20;CaV1.3:Q01668-1;α2δ1:P54289-2;β3:P54284-1;β2a:Q08289-2;Nluc:GenBank:JQ437370.1、IFN-β1:P01574の遺伝子成分を含む。トランスファープラスミド及びpiggyBacトランスポゾンベクターのnucleofectionの後、トランスフェクトされた細胞を48時間培養し、その後、0.5μg/mLのピューロマイシン二塩酸塩又は1mg/mlのG418を使用して選択した。選択の後、細胞を、様々なアッセイに必要なように増殖させ、凍結培地を使用して凍結した。Nlucを有するESエフェクター細胞及びIFN-βを有するESエフェクター細胞は、
プラスミドA)CaV1.2又はCaV1.3、アクチュエーター及びエフェクター要素(ピューロマイシン選択)、並びにプラスミドB)α2δ1及びβ補助サブユニット(G-418選択)の導入に2回のヌクレオフェクションを必要とした。照射について、137Csγ線照射装置MarkI-68A(JL Shepherd and Associates)を使用して、222mGy/分の線量率、30Gyで(又は指示の通りに)ESエフェクター細胞を照射した。対照細胞を、照射以外は同様に処理した。
【0140】
ESエフェクター細胞の二相性電場刺激
細胞を、C-DishTM蓋(IonOptix Cat#CLD6WFC及びCLD24WF)を取り付けた6ウェル又は24ウェルのディッシュで培養し、各ウェルに2つの炭素電極素子を浸した。IonOptix C-Pace EM刺激装置により、細胞を電気刺激した。一般的な実験において、1ウェル当たり3mlの細胞が0.17x106cells/mlの密度でプレーティングされる。プレーティングの24時間後、細胞を1時間電気刺激し、その後、電気刺激の開始から24時間~48時間後のエフェクタータンパク質の発現を評価した。
【0141】
Nlucレポーターアッセイ
製造指示に従って、Nano-Gloアッセイ(プロメガ、Cat#N1120)により、エフェクタータンパク質の発現を測定した。Nluc基質を、細胞溶解バッファーで希釈し、96ウェルプレートへと移した処理した細胞に1:1で加えた。マイクロプレートリーダー(パーキンエルマー、EnVisionTM Multilabel Plate Reader,Model:2104-0010A)により、生物発光を読み取った。
【0142】
IFN-βレポーターアッセイ
HEK-Blue IFN-α/βレポーター細胞を使用してIFN-β産生を特定した。分泌されたIFNを、処理した細胞を500gで5分間遠心した後、上清を回収することにより分離した。製造指示に従って、50μlの連続して希釈した上清をDMEM増殖培地中の150μlの50,000HEK-Blue IFN-α/βレポーター細胞と混合し、96ウェルプレートの1つのウェルにプレーティングした。DMEM培地において連続して希釈した組み換えIFN-β1aを並行してプレーティングし、IFN濃度の標準曲線を作製した。24時間培養した後、20μLのHEK-Blue IFN-α/β(又はHEK-Blue IFN-λ)上清を、180μLのQuanti-blue基質(InvivoGen)に添加し、37℃でインキュベートした。マイクロプレートリーダー(パーキンエルマー、EnVisionTM Multilabel Plate Reader)を使用して、650nmで吸光度を測定した。
【0143】
INF-βを有するESエフェクター細胞の抗ウイルス予防効果
完全RPMI培地3ml中に1×106の細胞をプレーティングしてから24時間後、IFN-βを有するESエフェクター細胞を、30V、20Hz、2msecで1時間電気刺激した。刺激開始から48時間後、上清を500gの遠心分離で5分間分離し、完全EMEM培地で連続希釈した。連続希釈した細胞上清100μLを、96ウェルプレートで24時間、Vero-E6-Luc2+細胞の単層を前処理するために使用した(20000細胞/ウェル、3回)。陽性対照として、組み換えヒトIFN-β1a(1μg/ml)を加えた。その後、前処理した細胞を、0.1のMOIで、48時間、SARS-CoV-2ウイルス培地に感染させた。細胞生存率を、製造指示に従って、CellTiter-Glo2.0 Cell Viability Assayを使用して特定した。簡単に説明すると、Nluc基質を、細胞溶解バッファーで希釈し、100μlを上清前処理したウイルス感染Vero-E6-Luc2+細胞に添加し、細胞生存率を評価した。得られた生物発光を、マイクロプレートリーダー(パーキンエルマー、EnVisionTM Multilabel Plate Reader)により測定した。
【0144】
INF-βを有するESエフェクター細胞の抗ウイルス治癒効果
完全RPMI培地3ml中に1×106の細胞をプレーティングしてから24時間後、IFN-βを有するESエフェクター細胞を、30V、20Hz、2msecで1時間電気刺激した。同時に、Vero-E6-Luc2+細胞の単層(96ウェルプレート中の20000/ウェル)を、0.1のMOIで、48時間、SARS-CoV-2ウイルス培地に感染させ、2時間インキュベートさせてウイルスを付着させた。2時間後、ウイルス接種液を除去し、連続希釈されたIFN-βを有するESエフェクター細胞の1μlを3回に分けてウェルに加えた。
【0145】
組み換えヒトIFN-β1a(1μg/mL)及び非感染Vero-E6-Luc2+細胞を対照として使用した。48時間の共培養後、One-Gloアッセイキットを使用して製造指示に従ってLuc2活性を評価することにより、Vero-E6-Luc2+細胞の生存率を特定した。Luc2酵素基質を細胞溶解試薬で希釈し、96ウェルプレート中のVero-E6-Luc2+細胞に添加し、生存細胞集団に関連するLuc2酵素活性を評価した。10分間のインキュベーション後、マイクロプレートリーダーで生物発光を読み取った。
【0146】
以下の表1は、プラスミドについての異なるESエフェクター細胞及びSEQ ID NOを提供する。
【表1】
【0147】
以下の表2は、SEQ ID NO:1~17にリストされる異なる遺伝的要素の概要を提供する。
【表2】
【0148】
様々な実施形態は、その利益を主張し、その一般及び特定の教示について参照により本明細書に完全に組み込まれる2021年01月27日に出願された「Electrically Activatable Cell Biofactroy」と題する基礎となる仮出願セル番号63/106,838に従い実施される。例えば、本明細書及び/又は仮出願の実施形態は、様々な程度で(完全に含む)組み合わせることができる。また、基礎となる仮出願において提供される実験的な教示及び基礎となる参考文献を参照することもできる。仮出願において記載された実施形態は、特に記載しない限り、技術開示全体、又は請求された開示の一部を限定することを、いかなる意味においても意図しない。
【0149】
本明細書では特定の実施例を図示及び説明したが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な代替及び/又は同等の実施例を図示及び説明する特定の実施例に置換できる。本出願は、本明細書で記載される具体例の任意の適応例又は変形例を包含することを意図する。
【国際調査報告】