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特表2024-5055135-ブロモ-2-(3-クロロ-ピリジン-2-イル)-2H-ピラゾール-3-カルボン酸の調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】5-ブロモ-2-(3-クロロ-ピリジン-2-イル)-2H-ピラゾール-3-カルボン酸の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
C07D401/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545762
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2022013858
(87)【国際公開番号】W WO2022164871
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/143,156
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391022452
【氏名又は名称】エフ エム シー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
(71)【出願人】
【識別番号】518259165
【氏名又は名称】エフエムシー アグロ シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ヤンチュン・ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】ジジエン・シュー
(72)【発明者】
【氏名】シン・リウ
【テーマコード(参考)】
4C063
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB02
4C063CC22
4C063DD12
4C063EE03
(57)【要約】
本明細書で、ピラゾール又はピラゾール誘導体からの5-ブロモ-2-(3-クロロ-ピリジン-2-イル)-2H-ピラゾール-3-カルボン酸の新規合成方法が記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式V
【化1】

(式中、
~R10のそれぞれは、水素及びハロゲンから独立して選択され;
12は有機酸である)
の化合物の調製方法であって、
I)下記
A)式III
【化2】

(式中、
はハロゲンであり;
~R10のそれぞれは、水素及びハロゲンから独立して選択される)
の化合物;
B)溶媒;
C)カルボニル含有化合物;
D)金属を含む化合物;及び
E)任意選択的に添加剤;
を含む混合物を形成する工程と;
II)前記混合物を反応させる工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記金属を含有する化合物が、グリニャール試薬及びリチウム含有化合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グリニャール試薬が、MeMgCl、iPrMgCl、iPrMgBr、EtMgCl、及びそれらの組合せから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記グリニャール試薬がiPrMgClである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記リチウム含有化合物がnBuLiである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒が、THF、トルエン、1,4-ジオキサン、Me-THF、及びそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒がTHFである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記カルボニル含有化合物が、ジメチルカーボネート、N,N-ジメチアセトアミド、二酸化炭素、及びそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記カルボニル含有化合物が二酸化炭素である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物を反応させる方法工程II)が、約0℃~約60℃の範囲の反応温度で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物を反応させる方法工程II)が、約0℃~約30℃の範囲の反応温度で起こる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式IIIのR及びRがそれぞれ独立して水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記式IIIの化合物が、
I)下記
A)式II
【化3】

(式中、
、R、及びRのそれぞれは、独立して水素及びハロゲンから選択され;
ここで、R、R、及びRの少なくとも1つは水素である)
の化合物;
B)式IV)
【化4】

(式中、R~R11のそれぞれは、独立して水素及びハロゲンから選択される)
の化合物;
C)溶媒;
D)無機塩基;及び
E)任意選択的に添加剤;
を含む混合物を形成する工程と;
II)前記混合物を反応させる工程と
を含む方法によって調製され、
前記式IIの化合物が、
i)下記
a)式I
【化5】

(式中、R、R、及びRのそれぞれは、独立してハロゲンである)
の化合物;
b)任意選択的に脱ハロゲン化試薬;
c)還元剤;及び
d)溶媒;
を含む混合物を形成する工程と;
ii)前記混合物を反応させる工程と
を含む方法によって調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記無機塩基が、粉末水酸化ナトリウム、粉末水酸化カリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム、粉末ナトリウムメトキシド、粉末カリウムt-ブトキシド、及びそれらの組合せから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記溶媒C)が、重芳香族溶媒、重芳香族溶媒S150、重芳香族溶媒S200、アセトニトリル(MeCN)、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジグライム、トリグライム、スルホラン、及びそれらの組合せから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記添加剤が、ヨウ化カリウム、相間移動触媒、及びそれらの組合せから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記相間移動触媒が、塩化ブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、アリコート-336、18-クラウン-6、及びそれらの組合せから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
式II
【化6】

(式中、
、R、及びRのそれぞれは、水素及びハロゲンから独立して選択され;
ここで、R、R、及びRの少なくとも1つは水素である)
の化合物の調製方法であって、
I)下記
A)式I
【化7】

(式中、R、R、及びRのそれぞれは、独立してハロゲンである)
の化合物;
B)任意選択的に脱ハロゲン化試薬;
C)還元剤;及び
D)溶媒;
を含む混合物を形成する工程と;
II)前記混合物を反応させる工程と
を含み、
前記式Iの化合物が、
i)下記
a)ピラゾール又はピラゾール誘導体;
b)ハロゲン化試薬;
c)水と有機溶媒とを含む反応溶媒;
d)任意選択的に無機塩基;
を含む混合物を形成する工程と;
ii)前記混合物を反応させる工程と
を含む方法によって調製される、方法。
【請求項19】
前記溶媒D)が、酢酸、水、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びそれらの組合せから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記還元剤が、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、水硫化ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びそれらの組合せから選択される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月29日出願の米国仮特許出願第63/143,156号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、5-ブロモ-2-(3-クロロ-ピリジン-2-イル)-2H-ピラゾール-3-カルボン酸の新規の合成方法を指向する。本明細書で開示される方法によって調製される化合物は、例えば、殺虫剤クロラントラニリプロール及びシアントラニリプロールなどの、殺虫剤として興味深いある種のアントラニルアミド化合物の調製のために有用である。
【背景技術】
【0003】
5-ブロモ-2-(3-クロロ-ピリジン-2-イル)-2H-ピラゾール-3-カルボン酸の従来の製造プロセスは、プロセス可能性、環境危険、高いコスト、試薬反応性、及び必要な特殊装置などの、幾つかの工業的懸念の対象になる。
【0004】
本開示は、5-ブロモ-2-(3-クロロ-ピリジン-2-イル)-2H-ピラゾール-3-カルボン酸及びそれの誘導体を調製するのに有用な新規方法を提供する。以前の方法と比較して本開示の方法の便益は、数多くあり、全収率の改善、コストの低下、混合溶媒分離の必要性の排除、廃棄物の減少、運転複雑性の簡略化、及びプロセス危険の減少を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本明細書では、式V
【化1】

(式中、
~R10のそれぞれは、水素及びハロゲンから独立して選択され;
12は有機酸である)
の化合物を調製する方法が提供され、この方法は、
I)下記
A)式III
【化2】

(式中、
はハロゲンであり;
~R10のそれぞれは、水素及びハロゲンから独立して選択される)
の化合物;
B)溶媒;
C)カルボニル含有化合物;
D)金属を含む化合物;及び
E)任意選択的に添加剤;
を含む混合物を形成する工程と;
II)この混合物を反応させる工程と
を含む。
【0006】
一態様では、本明細書では、式IIの化合物
【化3】

(式中、
、R、及びRのそれぞれは、水素及びハロゲンから独立して選択され;
ここで、R、R、及びRの少なくとも1つは水素である)
を調製する方法が提供され、この方法は、
I)下記
A)式I
【化4】

(式中、R、R、及びRのそれぞれは、独立してハロゲンである)
の化合物;
B)任意選択的に脱ハロゲン化試薬;
C)還元剤;及び
D)溶媒;
を含む混合物を形成する工程と;
II)この混合物を反応させる工程と
を含み、
式Iの化合物は、
i)下記
a)ピラゾール又はピラゾール誘導体;
b)ハロゲン化試薬;
c)水及び任意選択的に有機溶媒を含む反応溶媒;
d)任意選択的に無機塩基;
を含む混合物を形成する工程と;
ii)この混合物を反応させる工程と
を含む方法によって調製される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で用いるところでは、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」、「で特徴付けられる」、又はそれらのいかなる他の変形も、明らかに示された任意の制限の対象となる、非排他的な包含をカバーすることが意図される。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス又は方法は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明確にリストアップされていない又はそのような組成物、混合物、プロセス又は方法に固有の他の要素を含み得る。
【0008】
移行句「からなる」は、明記されていないいかなる要素、工程、又は構成要素も排除する。特許請求の範囲における場合、そのようなものは、それらと通常関係がある不純物を除いて列挙されるもの以外の物質の包含に対して特許請求の範囲を限定するであろう。語句「からなる」が、前文の直後よりはむしろ、特許請求の範囲の本文の条項に現れる場合、それは、その条項に明記される要素のみを制限し;他の要素は、全体として特許請求の範囲から排除されない。
【0009】
移行句「から本質的になる」は、文字どおり開示されるものに加えて、材料、工程、特徴、成分、又は要素を含む組成物又は方法を定義するために用いられる、但し、これらの追加の材料、工程、特徴、成分、又は要素が特許請求される発明の基本的な及び新規な特性に実質的に影響を及ぼさないことを条件とする。用語「から本質的になる」は、「含む(comprising)」と「からなる」との間の中間を占める。
【0010】
発明又はそれの一部が、「含む(comprising)」などのオープンエンドの用語で定義される場合、(特に明記しない限り)その記載は、用語「から本質的になる」又は「からなる」を用いるそのような発明をまた記載すると容易に解釈されるべきである。
【0011】
更に、それとは反対に明確に述べられない限り、「又は(or)」は、包括的な又は、及び排他的な又は、を意味する。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aは真であり(又は存在し)、Bは偽である(又は存在しない)、Aは偽であり(又は存在せず)、Bは真である(又は存在する)、並びにA及びBは両方とも真である(又は存在する)。
【0012】
また、本発明の要素又は成分に先行する不定冠詞「1つの(a)」、及び「1つの(an)」は、その要素又は成分の場合(すなわち、出現)の数に関して非制限的であることが意図される。それ故「1つの(a)」、又は「1つの(an)」は、1つ又は少なくとも1つを含むと読み取られるべきであり、要素又は成分の単数語形はまた、その数が単数であることを明らかに意味しない限り複数を包含する。
【0013】
本明細書で用いるところでは、用語「約」は、その値のプラス又はマイナス10%を意味する。
【0014】
用語「ハロゲン」は、単独か又は「ハロアルキル」などの化合物語においてかのどちらかで、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。更に、「ハロアルキル」などの化合物語において用いられる場合、前記アルキルは、同じ若しくは異なるものであってもよいハロゲン原子で部分的に若しくは完全に置換され得る。
【0015】
基が、水素であり得る置換基、例えばRを含有する場合、したがって、この置換基が水素として取られる場合、これは、前記基が非置換であると同等であることが認められる。
【0016】
用語「有機塩基」は、制限なく、アミン化合物(例えば、第一級、第二級及び第三級アミン)、窒素含有複素環などの複素環、及び水酸化アンモニウムを含む。
【0017】
用語「無機塩基」は、制限なく、例えば、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩及びリン酸塩の金属塩などの、酸と反応して、又は酸を中和して塩を形成する能力を持った無機化合物を含む。
【0018】
用語「ハロゲン化試薬」は、制限なく、例えば、臭素、NBS、及び1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒルヒダントインなどの、ハロゲン及び無機化合物を含む。
【0019】
用語「相間移動触媒」は、1つの相から反応が起こる別の相への反応剤の移行を容易にする化合物を含む。相間移動触媒作用は、相間移動触媒の添加時の反応の加速を言う。
【0020】
用語「エーテル」は、制限なく、エーテル結合(C-O-C)を含む官能基を含む。
【0021】
用語「カルボン酸」は、制限なく、カルボン酸結合(C(=O)-OH)を含む官能基を含む。
【0022】
用語「有機酸」は、制限なく、酸性を与える、並びに炭素、窒素、酸素、及び水素から選択される原子からなる官能基を含む。
【0023】
本発明のある種の化合物は、1つ以上の立体異性体として存在することができる。様々な立体異性体は、鏡像異性体、ジアステレオマー、アトロプ異性体及び幾何異性体を含む。当業者は、他の立体異性体と比べて富化された場合に又は他の立体異性体から分離された場合に1つの立体異性体がより活性であり得る及び/又は有益な効果を示し得ることを十分理解するであろう。加えて、当業者は、前記立体異性体を分離する、富化する、及び/又は選択的に調製する方法を知っている。
【0024】
本開示の実施形態は、以下を含む:
実施形態1.式V
【化5】

(式中、
~R10のそれぞれは、水素及びハロゲンから独立して選択され;
12は有機酸である)
の化合物の調製方法であって、
I)下記
A)式III
【化6】

(式中、
はハロゲンであり;
~R10のそれぞれは、水素及びハロゲンから独立して選択される)
の化合物;
B)溶媒;
C)カルボニル含有化合物;
D)金属を含む化合物;及び
E)任意選択的に添加剤;
を含む混合物を形成する工程と;
II)この混合物を反応させる工程と
を含む方法。
【0025】
実施形態2.金属を含む化合物が、グリニャール試薬、及びリチウム含有化合物から選択される、実施形態1の方法。
【0026】
実施形態3.グリニャール試薬が、MeMgCl、iPrMgCl、iPrMgBr、EtMgCl、及びそれらの組合せから選択される、実施形態2の方法。
【0027】
実施形態4.グリニャール試薬がiPrMgClである、実施形態3の方法。
【0028】
実施形態5.リチウム含有化合物がnBuLiである、実施形態2の方法。
【0029】
実施形態6.溶媒が、THF、トルエン、1,4-ジオキサン、Me-THF、及びそれらの組合せから選択される、実施形態1の方法。
【0030】
実施形態7.溶媒がTHFである、実施形態6の方法。
【0031】
実施形態8.カルボニル含有化合物、ジメチルカーボネート、N,N-ジメチアセトアミド、二酸化炭素、及びそれらの組合せから選択される、実施形態1の方法。
【0032】
実施形態9.カルボニル含有化合物が二酸化炭素である、実施形態8の方法。
【0033】
実施形態10.混合物を反応させる方法工程ii)が、約0℃~約60℃の範囲の反応温度で起こる、実施形態1の方法。
【0034】
実施形態11.混合物を反応させる方法工程ii)が、約0℃~約30℃の範囲の反応温度で起こる、実施形態10の方法。
【0035】
実施形態12.式IIIのR、及びRが、それぞれ独立して水素である、実施形態1の方法。
【0036】
実施形態13.式IIIの化合物が、
I)下記
A)式II
【化7】

(式中、
、R、及びRのそれぞれは、独立して水素及びハロゲンから選択され;
ここで、R、R、及びRの少なくとも1つは水素である)
の化合物;
B)式IV)
【化8】

(式中、R~R11のそれぞれは、独立して水素及びハロゲンから選択される)
の化合物;
C)溶媒;
D)無機塩基;及び
E)任意選択的に添加剤;
を含む混合物を形成する工程と;
II)この混合物を反応させる工程と
を含む方法によって調製され、
式IIの化合物が、
i)下記
a)式I
【化9】

(式中、R、R、及びRのそれぞれは、独立してハロゲンである)
の化合物;
b)任意選択的に脱ハロゲン化試薬;
c)還元剤;及び
d)溶媒;
を含む混合物を形成する工程と;
ii)この混合物を反応させる工程と
を含む方法によって調製される、実施形態1の方法。
【0037】
実施形態14.無機塩基が、粉末水酸化ナトリウム、粉末水酸化カリウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム、粉末ナトリウムメトキシド、粉末カリウムt-ブトキシド、及びそれらの組合せから選択される、実施形態13の方法。
【0038】
実施形態15.溶媒C)が、重芳香族溶媒、重芳香族溶媒S150、重芳香族溶媒S200、アセトニトリル(MeCN)、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジグライム、トリグライム、スルホラン、及びそれらの組合せから選択される溶媒から選択される、実施形態13の方法。
【0039】
実施形態16.添加物が、ヨウ化カリウム、相間移動触媒、及びそれらの組合せから選択される、実施形態13の方法。
【0040】
実施形態17.相間移動触媒が、塩化ブチルアンモニウム、臭気テトラブチルアンモニウム、アリコート-336、18-クラウン-6、及びそれらの組合せから選択される、実施形態16の方法。
【0041】
実施形態18.混合物を反応させる方法工程II)が、約140℃~約200℃の範囲の反応温度で起こる、実施形態13の方法。
【0042】
実施形態19.溶媒d)が、酢酸、水、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びそれらの組合せから選択される、実施形態13の方法。
【0043】
実施形態20.還元剤が、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、水硫化ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びそれらの組合せから選択される、実施形態13の方法。
【0044】
実施形態21.脱ハロゲン化試薬が、ヨウ化ナトリウム、ヨウ素、ヨウ化カリウム、ヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム、及びそれらの組合せから選択される、実施形態13の方法。
【0045】
実施形態22.混合物を反応させる方法工程II)が、約100℃~約180℃の範囲の反応温度で起こる、実施形態13の方法。
【0046】
実施形態23.式Iの化合物が、
I)下記
A)ピラゾール又はピラゾール誘導体;
B)ハロゲン化試薬;
C)水と有機溶媒とを含む反応溶媒;及び
D)任意選択的に無機塩基
を含む混合物を形成する工程と;
II)この混合物を反応させる工程と
を含む方法に従って調製される、実施形態13の方法。
【0047】
実施形態24.ハロゲン化試薬が、
A)臭化水素、臭素、N-ブロモスクシンイミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒルヒダントイン、臭化ナトリウム、臭化カリウム、及びそれらの組合せから選択される試薬;並びに
B)任意選択的に過酸化水素
を含む、実施形態23の方法。
【0048】
実施形態25.無機塩基が、粉末水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム溶液、粉末酢酸ナトリウム、及びそれらの組合せから選択される、実施形態23の方法。
【0049】
実施形態26.混合物を反応させる方法工程II)が、約0℃~約70℃の範囲の反応温度で起こる、実施形態23の方法。
【0050】
実施形態27.式II
【化10】

(式中、
、R、及びRのそれぞれは、水素及びハロゲンから独立して選択され;
ここで、R、R、及びRの少なくとも1つは水素である)
の化合物の調製方法であって、この方法が、
I)下記
A)式I
【化11】

(式中、
、R、及びRのそれぞれは、独立してハロゲンである)
の化合物
[ここで、式Iの化合物は、
i)下記
a)ピラゾール又はピラゾール誘導体;
b)ハロゲン化試薬;
c)水と有機溶媒とを含む反応溶媒;及び
d)任意選択的に無機塩基
を含む混合物を形成する工程;並びに
ii)この混合物を反応させる工程
を含む方法に従って調製される];
B)任意選択的に脱ハロゲン化試薬;
C)還元剤;及び
D)溶媒
を含む混合物を形成する工程と;
II)この混合物を反応させる工程と
を含む方法。
【0051】
実施形態28.溶媒D)が、酢酸、水、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びそれらの組合せから選択される、実施形態27の方法。
【0052】
実施形態29.還元剤が、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、水硫化ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びそれらの組合せから選択される、実施形態27の方法。
【0053】
実施形態30.脱ハロゲン化試薬が、ヨウ化ナトリウム、ヨウ素、ヨウ化カリウム、ヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム、及びそれらの組合せから選択される、実施形態27の方法。
【0054】
実施形態31.混合物を反応させる方法工程II)が、約100℃~約180℃の範囲の反応温度で起こる、実施形態27の方法。
【0055】
実施形態32.ハロゲン化試薬が、
A)臭化水素、臭素、N-ブロモスクシンイミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒルヒダントイン、臭化ナトリウム、臭化カリウム、及びそれらの組合せから選択される試薬;並びに
B)任意選択的に過酸化水素
を含む、実施形態27の方法。
【0056】
実施形態33.無機塩基が、粉末水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム溶液、粉末酢酸ナトリウム、及びそれらの組合せから選択される、実施形態27の方法。
【0057】
実施形態34.混合物を反応させる方法工程ii)が、約0℃~約70℃の範囲の反応温度で起こる、実施形態27の方法。
【0058】
実施形態35.反応溶媒が、MBTE、エタノール、DCM、クロロホルム、及びそれらの組合せから選択される有機溶媒を含む、実施形態27の方法。
【0059】
一態様において、式Vの化合物は、スキーム1で表される方法に従って調製される。R基は、本開示のどこにでも定義されているとおりである。
【化12】
【0060】
一態様において、5-ブロモ-2-(3-クロロ-ピリジン-2-イル)-2H-ピラゾール-3-カルボン酸は、スキーム2で表される方法に従って調製される。
【化13】
【0061】
一態様において、式Iの化合物は、スキーム3で表される方法に従って調製される。R基は、本開示のどこにでも定義されているとおりである。
【化14】
【0062】
この態様は、ピラゾールを、水、及び任意選択的に有機溶媒を含む反応媒体中で並びに任意選択的に無機塩基の存在下でハロゲン化試薬と反応させる工程を含む。一実施形態において、ハロゲン化試薬は、過酸化水素/HBr、臭素(Br)、N-ブロモスクシンイミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒルヒダントイン、過酸化水素/NaBr、過酸化水素/KBr、過酸化水素/Br、及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態において、ハロゲン化試薬はBrである。一実施形態において、無機塩基は、粉末水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム溶液、粉末酢酸ナトリウム、及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態において、無機塩基は粉末水酸化ナトリウムである。一実施形態において、反応温度は、約0℃~約70℃の範囲にある。別の実施形態において、反応温度は、約0℃~約30℃の範囲にある。一実施形態において、有機溶媒は、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、エタノール、ジクロロメタン(DCM)、クロロホルム、及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態において、有機溶媒はMTBEである。
【0063】
一態様において、式IIの化合物は、スキーム4で表される方法に従って調製される。R基は、本開示のどこにでも定義されているとおりである。
【化15】
【0064】
この態様は、式Iの化合物を、還元剤の存在下に溶媒中で脱ハロゲン化試薬と反応させる工程を含む。一実施形態において、溶媒は、酢酸、水、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジグライム、スルホラン及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態において、溶媒はN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)である。一実施形態において、脱ハロゲン化試薬は、ヨウ化ナトリウム、ヨウ素、ヨウ化カリウム、ヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAI)、及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態において、脱ハロゲン化試薬はヨウ化カリウムである。一実施形態において、還元剤は、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、水硫化ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態において、還元剤は亜硫酸ナトリウムである。一実施形態において、反応温度は、約100℃~約180℃の範囲にある。別の実施形態において、反応温度は、約130℃~約150℃の範囲にある。
【0065】
一態様において、式IIIの化合物は、スキーム5で表される方法に従って調製される。R基は、本開示のどこにでも定義されているとおりである。
【化16】
【0066】
この態様は、式IIの化合物を、無機塩基及び任意選択的に添加物の存在下に溶媒中で式IVの化合物と混合する工程を含む。一実施形態において、無機塩基は、粉末水酸化ナトリウム、粉末水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸カリウム 粉末ナトリウムメトキシド、粉末カリウムt-ブトキシド、及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態において、無機塩基は炭酸ナトリウムである。一実施形態において、溶媒は、重芳香族溶媒、重芳香族溶媒S150、重芳香族溶媒S200、アセトニトリル(MeCN)、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジグライム、トリグライム、スルホラン、及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態において、溶媒はスルホランである。一実施形態において、添加物は、塩化ブチルアンモニウム(TBAC)、臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB)、アリコート-336、18-クラウン-6、及びそれらの組合せから選択される相間移動触媒である。別の実施形態において、相間移動触媒は18-クラウン-6である。別の実施形態において、添加物はヨウ化カリウムである。一実施形態において、反応温度は、約140℃~約200℃の範囲にある。別の実施形態において、温度は、約170℃~約180℃の範囲にある。
【0067】
一態様において、式Vの化合物は、スキーム6で表される方法に従って調製される。R基は、本開示のどこにでも定義されているとおりである。
【化17】
【0068】
この態様は、式IIIの化合物を、塩基試薬及び任意選択的に添加物の存在下に溶媒中でカルボニル含有化合物と混合する工程を含む。一実施形態において、カルボニル含有化合物は、ジメチルカーボネート、N,N-ジメチルアセトアミド、二酸化炭素(CO)、及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態において、カルボニル含有化合物はCOである。一実施形態において、塩基試薬は、MeMgCl、iPrMgCl、iPrMgBr、EtMgCl、LDA、nBuLi、iPrNMgCl、iPrNMgBr、EtNMgCl、TMPMgCl、iPrNMgCl・LiCl、iPrNMgBr・LiCl、及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態において、塩基試薬はiPrMgClである。一実施形態において、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、1,4-ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン(Me-THF)、及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態において、溶媒はTHFである。一実施形態において、反応温度は、約0℃~約60℃の範囲にある。別の実施形態において、温度は、約0℃~約30℃の範囲にある。
【実施例
【0069】
さらなる詳細なしに、先行記載を用いる当業者は、本発明を最大まで利用することができると考えられる。以下の実施例は、それ故、単に例示的なものとして、及びどんなものであれ少しも本開示を限定するものではないと解釈されるべきである。以下の実施例のための出発原料は、他の実施例においてその手順が記載される特定の調製実験によって必ずしも調製されなくてもよい。本明細書で列挙される任意の数値範囲は、より低い値からより高い値までの全ての値を含むことがまた理解される。例えば、範囲が10~50と述べられる場合、12~30、20~40、又は30~50等などの値がこの明細書において明らかに列挙されていることが意図される。これらは、特に意図されるものの例にすぎず、列挙された最低値及び最高値の間の及びそれらを含む数値の全ての可能な組合せが、この明細書において明らかに述べられていると考えられるべきである。
【0070】
実施例1.ハロゲン化試薬としての過酸化水素/HBr
34グラムのピラゾール及び505.8gの48%臭化水素溶液を反応器に装入した。170グラムの30%過酸化水素を、2時間にわたって0℃で滴加した。反応温度を0~30℃に制御した。反応後に、生成物が固体として沈澱し、次いで反応混合物を10%亜硫酸ナトリウムでクエンチした。濾過及び乾燥後に、142gの高純度(95%、LC面積)の3,4,5-トリブロモ-1H-ピラゾールが得られた。
【0071】
実施例2.ハロゲン化試薬としての臭素/水酸化ナトリウム
34グラムのピラゾールを水に溶解させ、次いで水酸化ナトリウムを0℃で添加して対応するピラゾールナトリウム塩を得た。次に、239.7gの臭素を2時間にわたって0℃で滴加した。反応温度を20~40℃に制御した。反応後に、生成物は固体として沈澱し、次いで反応混合物を10%亜硫酸ナトリウムでクエンチした。濾過及び乾燥後に、147gの高純度(98%、LC面積)の3,4,5-トリブロモ-1H-ピラゾールが得られた。
【0072】
実施例3.脱ハロゲン化試薬としてのヨウ化カリウム/亜硫酸ナトリウム
300mLのDMAc中の100グラムの3,4,5-トリブロモ-1H-ピラゾール、1.1gのKI、及び62gのNaSOを130~150℃で反応の完了まで14時間反応させた。反応の完了後に、反応混合物を濾過し、次いで真空下でDMAcを留去した。次に、水を粗生成物に添加した。反応混合物を10分間撹拌した。生成物、3,5-ジブロモ-1H-ピラゾールが固体として沈澱した。濾過及び乾燥後に、68gの高純度(98%、LC面積)の3,5-ジブロモ-1H-ピラゾールが得られた。
【0073】
実施例4.カップリング反応
22.6グラムの3,5-ジブロモ-1H-ピラゾール及び10.6gのカーボネートを、30℃で33.9gのスルホランに溶解した。次いで、44.4gの2,3-ジクロロピリジンを添加し、混合物を170~180℃で反応させた。反応後、反応塊を80~85℃に冷却した。過剰の2,3-ジクロロピリジンを水蒸気蒸留(100~105℃)により除去した。過剰の2,3-ジクロロピリジンを除去した後、反応塊を更に25~30℃に冷却し、水を添加し、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)で2回抽出した。MTBE層を合わせ、真空中で除去して、33g(95%、LC面積)の3-クロロ-2-(3,5-ジブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)ピリジンを得た。これは、その後の工程において使用することができた。
【0074】
実施例5.グリニャール試薬の存在下での反応
33.7グラムの3-クロロ-2-(3,5-ジブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)ピリジンをMe-THFに溶解させ、次いでiPrMgClを0℃で添加して対応する3-クロロ-2-(3,5-ジブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)ピリジンマグネシウム塩をもたらした。0.5時間後、反応混合物中に乾燥COガスを吹き込んだ。反応温度を20~40℃に制御した。反応後に、反応混合物を水でクエンチし、1MのHClでpH=1に酸性化し、Me-THFで3回抽出した。合わせた有機相を真空中で濃縮した。32gの高純度(90%、LC面積)の5-ブロモ-2-(3-クロロ-ピリジン-2-イル)-2H-ピラゾール-3-カルボン酸が得られた。
【0075】
この明細書は、最良の形態を含めて、本開示を例示するために、及びまた、あらゆる当業者が、任意のデバイス又はシステムを作製する及び使用すること並びに任意の組み込まれた方法を行うことを含めて、本開示を実践することを可能にするために、実施例を用いる。本開示の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い付く他の例を包含し得る。そのような他の例は、特許請求の範囲の文字言語とは異ならない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文字言語からの相違が実質的ではない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。
【国際調査報告】