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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】管状反転極性自己洗浄槽
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20230101AFI20240130BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545784
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 US2022013308
(87)【国際公開番号】W WO2022164723
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/142,799
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517106914
【氏名又は名称】デ ノラ ウォーター テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DE NORA WATER TECHNOLOGIES,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ロペス、ホセ
(72)【発明者】
【氏名】クレメンツ、チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】キャスビア、ダナ
(72)【発明者】
【氏名】マトウシェク、ルドルフ
【テーマコード(参考)】
4D061
【Fターム(参考)】
4D061DA04
4D061DB03
4D061EB01
4D061EB05
4D061EB16
4D061EB20
4D061EB28
4D061EB30
4D061EB33
4D061EB39
4D061GC16
(57)【要約】
電解槽を自己洗浄するためのプロセスは、1つ以上のカソード及びアノードを有する前記電解槽の中に海水流を導入する工程を伴う。前記カソード及び前記アノードは、被覆用組成物によって略完全に被覆されている。海水が前記電極間を流れるとき、順方向バイアスが前記アノードと前記カソードとの間に第1の電流密度において印加される。続いて、逆方向バイアスが前記カソードにおいて提供される。前記逆方向バイアスは、前記第1の電流密度よりも低い第2の電流密度において提供される。前記逆方向バイアスが印加されるとき、前記カソードの極性は、短期間にわたって反転される。これにより、前記カソードであった表面に少量の塩酸が生成されて、前記電極上の前記被覆組成物を損傷することなく、前記電極の表面上のカルシウム、マグネシウム、又は他の堆積物の溶解を引き起こす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解槽を自己洗浄するためのプロセスであって、
(i)海水流を前記電解槽の中に導入する工程であって、前記電解槽は、海上、沿岸、及び海岸の設備用に構成されており、前記電解槽は、
(i)1つ以上のカソード電極と、
(ii)1つ以上のアノード電極とを備え、
前記カソード電極は、被覆用組成物によって略完全に被覆されており、また、前記アノード電極も、前記被覆用組成物によって略完全に被覆されている、工程と、
(ii)海水が前記電極間を流れるとき、前記アノードと前記カソード電極との間に第1の電流密度において順方向バイアスを印加する工程と、
(iii)前記カソード電極において逆方向バイアスを提供する工程であって、前記逆方向バイアスは、前記第1の電流密度よりも小さい第2の電流密度において提供されており、前記逆方向バイアスは、定期的な所定の頻度において提供されている、工程と、を備えるプロセス。
【請求項2】
前記第1の電流密度は、0.5-4kA/mの間である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記第2の電流密度は、前記第1の電流密度の約5%以上である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記逆方向バイアスは、実質的に減少した第2の電流密度を達成するために、可変電位において提供されている、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記逆方向バイアスは、前記順方向バイアスにおいて生成される塩酸の量と比較して少量の塩酸を生成する、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記逆方向バイアス中に生成される前記塩酸によって、前記電極上の前記被覆用組成物を損傷することなく、前記電極上に蓄積されるカルシウム堆積物、マグネシウム堆積物、又はその両方の溶解が引き起こされる、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記所定の頻度は、前記堆積物の長期間の蓄積を妨げるように構成されている、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記逆方向バイアスは、各24時間以内の所定の期間にわたって提供されている、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記電極間を流れている前記海水は、固定の塩分濃度/伝導率を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記電解槽は管状槽である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
管状反転極性(「TRP」)電解槽であって、
(i)端子カソード電極と、
(ii)端子アノード電極と、
から形成される電気伝導性の外側の管状スリーブと、
カソード端とアノード端とを有する内側の管状の双極電極と、を備え、
前記端子電極及び前記双極電極は、極性の定期的な反転に耐えるように構成されている被覆用組成物によって略完全に被覆されている、TRP電解槽。
【請求項12】
前記端子電極は、前記双極電極よりもわずかに大きい直径を有する、請求項11に記載のTRP電解槽。
【請求項13】
環状の空間によって前記端子電極と、前記双極電極とが分離されている、請求項12に記載のTRP電解槽。
【請求項14】
前記端子アノード及び前記端子カソードは、中央シールによって分離されている、請求項11に記載のTRP電解槽。
【請求項15】
前記端子電極の各対向する端面がシールを備える、請求項11に記載のTRP電解槽。
【請求項16】
TRP電解槽システムであって、
2つ以上の請求項11に記載のTRP電解槽と、
前記TRP電解槽を囲むためのケーシングと、
前記TRP電解槽に対して順方向及び逆方向バイアス電流を自動的に提供するための制御盤と、を備える、システム。
【請求項17】
前記電解槽は、スキッドマウント式である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
前記管状槽は、端子カソード電極と、端子アノード電極と、から形成される電気伝導性の外側の管状スリーブと、カソード端及びアノード端を有する内側の管状の双極電極と、を備え、前記端子電極及び前記双極電極は、極性の定期的な反転に耐えるように構成されている被覆用組成物によって略完全に被覆されている、請求項10に記載のプロセス。
【請求項19】
前記端子電極は、前記双極電極よりもわずかに大きい直径を有する、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
環状の空間によって前記端子電極と、前記双極電極とが分離されている、請求項18に記載のプロセス。
【請求項21】
前記端子アノード及び前記端子カソードは、中央シールによって分離されている、請求項18に記載のプロセス。
【請求項22】
前記端子電極の各対向する端面がシールを備える、請求項18に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解槽に関し、特に、海上、沿岸、及び海岸の設備における海水の殺生物処理用の電解槽に関する。
【背景技術】
【0002】
活性塩素、すなわち次亜塩素酸塩と他の酸化種との混合物の生成を伴う、海水又は他の希薄な塩化ナトリウム水溶液の電気分解には、生成物の殺生物及び消毒特性を利用するいくつかの産業用途が見出されている。特に関心を持たれている用途は、冷却、消火水、ユーティリティ水、脱塩、並びに他の陸上及び海上の用途における海水の殺生物剤処理である。それらの用途では、海洋生物の成長による管、容器、及びチャンネルのファウリング及び閉塞を防止するために、循環する海水を殺生物剤で処理する必要がある。予防的な殺生物剤処理には、電解槽を使用することによる次亜塩素酸塩のインサイチュ(in-situ)生成が伴うことがある。海水の電解塩素生成(electrochlorination)によって、有害な化学物質の貯蔵、取り扱い、及び購入が排除される。
【0003】
電気分解プロセス中、海水が電解槽を通過して、該槽から次亜塩素酸ナトリウム溶液及び副生成物の水素ガスとして出る。該溶液はタンク又はサイクロンに管送され、そこで水素を該溶液から除去することが可能である。該槽を出る得られた溶液は、海水と、次亜塩素酸塩と、次亜塩素酸との混合物である。塩化ナトリウム溶液(海水)の電気分解は、アノード(陽極)とカソード(陰極)との間に直流を流して、塩と水とをそれらの基本元素に分離する。アノードで生成する塩素は、直ちに化学反応を経て、次亜塩素酸塩と次亜塩素酸とが形成される。水素及び水酸化物がカソードにおいて形成され、水素はガスを形成し、水酸化物は次亜塩素酸塩の形成を助け、出口流のpHを約8.5まで上昇させる。
【0004】
係る全体の化学反応は、次の通りに示すことが可能である。
塩+水+エネルギー→次亜塩素酸ナトリウム+水素
NaCl+H2O+2e→NaClO+H2
電解塩素生成プロセスは、スケールの蓄積による電解槽のファウリングを引き起こし得る。スケールは、カルシウム及びマグネシウム堆積物が硬化したものである。これらの堆積物を除去するための能動的な方法がない場合、定期的な化学ベースの洗浄が必要とされる。また、この洗浄には、洗浄のために槽を物理的に除去することが伴う場合もあるので、使用した酸溶液の中和が必要となる。
【0005】
電解槽を洗浄するための一般的な技術は、塩酸により電極を定期的に洗うことを伴う。これは、訓練された技術者又は操作者にとって単純な手順であるが、プロセス全体は、装置のダウンタイムだけでなく、海上の設備における化学物質の調達、貯蔵、及び安全な処分に関連する作業上及び環境上の考慮事項に関しても、非常に困難であり、費用がかかる。
【0006】
いくつかの会社によって、「自己洗浄式(self-cleaning)」槽技術が提供されている。このプロセスは、電極表面にわたって「研磨(scouring)」効果を引き起こすことが可能で、カルシウム及びマグネシウムスケールの蓄積を物理的に除去することが可能な高速海水フローの原理に基づいている。しかしながら、定期的な研磨行為は、単に少量の堆積物を洗い流すだけであることが分かっている。あいにく、係る方法では、経時的な硬度の蓄積は排除されず、槽の環状部の閉塞及び該槽に対する不可逆的損傷を最終的にもたらす。
【0007】
これらの理由のために、物流メンテナンス関連のダウンタイムを低減する一方で電解槽上のスケールの蓄積を最小限にする、技術的かつ経済的に実行可能な解決策が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に従った、管状反転極性槽の断面図。
図2】一実施形態に従った、管状反転極性槽アセンブリの概略図。
図3】一実施形態に従った、反転極性による反転極性槽上の堆積物の解離を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、海水電解槽又は「電解槽」を自己洗浄するための制御可能なプロセスに関する。該プロセスは、温度及び塩分濃度と共に変化する局所的な海水の伝導率に依存する。該プロセスは、該電解槽に対して供給される逆方向バイアスがかかった電力の自動調節又は変調を伴う。
【0010】
一実施形態によれば、電解槽を自己洗浄するプロセスが開示される。電解槽は、カソード及びアノード電極を備える。電極は、被覆用組成物によって略完全に被覆されている。海水流が電極間に導入される。海水流が電極間を流れるときに、順方向バイアスがアノードとカソードとの間に印加される。順方向バイアスは相対的に高い第1の電流密度において印加される。自己洗浄プロセスは、減少した第2の電流密度を達成するために、さらに、カソードに対して可変電位(固定電位に対する)において逆方向バイアスを印加する工程を伴う。一実施形態では、第2の電流密度は、所定の順方向バイアス電流の5%以上である。逆方向バイアスは、定期的な、所定の頻度で印加される。例えば、逆方向バイアスは、各24時間以内/24時間毎の所定の期間にわたって提供される。電流は、内部の電源において交番させられることが可能である。逆方向バイアスが印加されるとき、カソードの極性は、カソードがアノードとして機能するように、短期間にわたって反転される。これにより、カソードであった表面に少量の塩酸(HCl)が生成される。低い電流密度及び所定の通常の頻度における係る短時間のHClの「インサイチュ」生成によって、電極の表面上に堆積したカルシウム、マグネシウム、又は任意の他のスケールの溶解が引き起こされる。また、それによって、電極及び電極上の被覆用組成物に対するさらなるスケールの蓄積及び永久的な損傷を予防することも可能である。これにより、多量のHClの生成を伴う最適な順方向バイアス動作が保証される。
【0011】
別の実施形態によれば、管状反転極性(「TRP」)又は逆方向バイアス電解槽は、(A)管状の端子アノードと、(B)管状の端子カソードと、から形成される電気伝導性の外側の管状スリーブと、カソード端及びアノード端を有する双極管状電極とを備える。端子電極(アノード/カソード)は、双極管状電極よりもわずかに大きい直径を有する。これにより、各端子電極が双極電極上に外嵌されることが可能になる。端子アノード及び端子カソードは、中央の結合機構によって分離されている。これに加えて、また、端子電極の端部も、結合機構を備える。環状の空間によって、端子電極と双極電極とが分離される。端子電極及び双極電極は、電極上の順方向及び逆方向電流バイアスにおける定期的な変化に耐えるように構成されている被覆用組成物によって略完全に被覆されている。別の実施形態によれば、TRP電解槽システムは、2つ以上のTRP電解槽と、TRP電解槽を囲むケーシングと、TRP電解槽に対して順方向及び逆方向バイアス電流を自動的に提供するための制御盤とを備える。
【0012】
本発明は、下記にさらに詳細に、そして添付の図面に関して説明され得、添付の図面の全ては、本発明の装置、システム、及び方法を説明するか、それらに関する。一定の縮尺で描かれることを意図していない図では、様々な図において示される各同様の構成要素は、同様の数字によって表される。
【0013】
文脈に依存して、「発明」に対する全ての以下の言及は、いくつかの場合には、ある特定の実施形態のみを表す場合がある。他の場合には、「発明」に対する言及は、特許請求の範囲のうちの1つ以上(必ずしも全てではない)において記載される主題を表し得ることが認識され得る。
【0014】
図1には、TRP電解槽(又は、同義で、「TRP槽(TRP cell)」又は単に「槽(cell)」)100の一例を示す。TRP槽100は、電気伝導性の長尺状の外側の管状スリーブ110を備える。管状スリーブ110は、管状の端子アノード電極115Aと端子カソード電極115C(併せて「端子電極115(terminal electrodes 115)」)とを備える。双極管状電極120が管状スリーブ110内に囲まれている。双極電極120は、カソード端と、対向するアノード端とを備える。
【0015】
端子電極115は、環状の空間が端子電極115の内面と双極電極120の外面との間に形成されるように、双極管状電極120よりもわずかに大きい直径を有する。これにより、端子電極115が双極電極120上に外嵌されることが可能になる。端子アノード115A及び端子カソード115Cは、中央の結合機構115Bによって分離されている。これに加えて、端子電極の端部も、結合機構115D,115Eを備える。結合機構は、シールを備えることが可能である。シールは、1つ以上のシールリングを備えることが可能である。
【0016】
TRP槽100は、入口及び排出部を備える。TRP槽100は、電極に対する接続ノードを有するように構成されており、槽全体を通じた液体の流体流を可能とする。
双極電極120及び端子電極115は、電極極性の反転に耐えることが可能な適当な組成物によって略完全に被覆されている。一実施形態では、被覆用組成物/被覆は、白金族金属(例えば、ルテニウム及び/又はイリジウム)の群から選択される1つ以上の金属を含むことが可能である。別の実施形態では、また、被覆は、弁金属の群から選択される1つ以上の金属を含むことも可能である。さらに別の実施形態では、被覆は、ニッケル、鉄、及びコバルトを含む群から選択される1つ以上の元素を単独で又は組み合わせにおいて含むことが可能である。しかしながら、定期的な電流反転に耐えることが可能な他の適当及び安定な混合物を被覆が含むことが可能であることが理解されている。
【0017】
TRP槽100は、自己洗浄式であるように構成されている。したがって、TRP槽100の外部の酸洗浄の必要性が排除される。それによりまた、任意の関連する物流問題及び作動上のダウンタイムが排除もされる。
【0018】
一実施形態によれば、図2において示されるように、TRP槽システム200は、図1に関して説明されているような複数のTRP槽100A-100D(「100」)を囲むケーシング210を備える。一実施形態では、ケーシング210は、ステンレス鋼製であることが可能である。ケーシング210は、2~16個の槽を囲むように構成されていることが可能である。しかしながら、当業者には、必要に応じて槽の数が改変可能であることが理解される。1つ以上の実施形態では、槽システム200は、スキッドマウント式であることが可能である。
【0019】
槽システム200は、制御盤240に対して電力を提供するように構成されている変圧器230をさらに備える。制御盤240は、電流反転デバイス又は機構245を備えることが可能である。
【0020】
正常運転中に、所定の順方向バイアス(DC電流)が槽100に対して印加される。順方向バイアスは、高密度の電流の印加を伴う。例えば、電流密度は、海水が槽100を通って流れるとき、0.5-4kA/mの間であることが可能である。電気分解によって、大量の次亜塩素酸ナトリウムが生成される。係るプロセス中に、供給源供給水の特定の性質及び電解作用によって、堆積物が槽のカソード表面上に形成される。堆積物は、限定では無く、カルシウム及びマグネシウム堆積物を含むことが可能である。堆積物の蓄積によって、電極の性能が低下する。
【0021】
別の実施形態によれば、槽100を自己洗浄するためのプロセスは、低い電流密度(例えば、順方向バイアスの5%以上)において逆方向バイアスを印加して、堆積物の解離に使用されることが可能な少量のHClを生成する工程を伴う。
【0022】
逆方向バイアスは、電極に施される被覆を損傷することなく、堆積物が溶解するように、所定の期間にわたって印加されることが可能である。一実施形態では、逆方向バイアスは、所定の低い電流密度において、各24時間の所定の期間にわたって印加される。これに続いて、槽に対する同じ電気接続における内部の電源においてバイアス/DC電流が交番することが可能である。係る自己洗浄プロセスは、操作者の誤りの可能性を排除するために、自動化されることが可能である。自己洗浄プロセスは、TRP槽の長い動作寿命を確実にして、作動上のダウンタイムを最小限にする。
【0023】
カソード表面がアノードとして動作する反転極性による堆積物解離の例示の一例は、図3において示される。極性が反転されるとき、双極電極のカソード端と、端子カソードとの両方が短期間にわたってアノードとして動作する。極性は、電解槽のカソードであった表面に少量のHClを生成するのに適切な頻度及び期間において反転されることが可能である。
【0024】
低い電流密度及び適切な頻度における係るHClの短時間の「インサイチュ」生成によって、電極上の堆積物又はスケールの蓄積が溶解するには厚く、硬くなりすぎる前に溶解して、最適な順方向バイアス動作を確実にするように、それぞれの電極に対する永久的な損傷を防ぐ。これにより、電解槽の連続的なフリーフロー動作が容易になることが可能である。これに加えて、短期間にわたる逆方向バイアスにおけるより低い電流密度は、電極寿命又は性能に影響を及ぼさない一方で、蓄積された硬度を排除する。
【0025】
1つ以上の実施形態では、本明細書に説明される自己洗浄プロセスは、1つ以上の電解槽を伴う電解装置(electrolyzer)に適用されることが可能である。例えば、電界装置は、複数のカソード及びアノード電極を備えることが可能である。
【0026】
TRP槽は、陸上と海上との両方の大規模設備又は他の小規模設備上に使用されることが可能である。システムの実施形態は、また、浸水、冷却水、及び消火水ループにおいて使用されることも可能である。また、TRP槽は、産業用電力及び海岸の生物付着制御用途において使用されることも可能である。TRP槽は、最小限の操作及びメンテナンス要件しか要求しない最適な設計を有する。それは、再循環要件を排除する貫流(once-through)フロー設計を有する。TRP槽は、それを耐久性にする耐食材料から構成される。ケーシングに囲まれるTRP槽の数を含むTRP槽アセンブリは、現場特有の要件を満たすようにカスタマイズされることが可能である。TRP槽は、最小限の電力を消費するように構成されている。
【0027】
したがって、本発明は、言及された目的及び利点、並びにその中に固有の目的及び利点を達成するように十分適合され得る。本発明は、本明細書の教示の利益を有する当業者にとって明白な、異なるが均等な手法において改変および実施されてよいので、上記に開示される特定の実施形態は、例示的なものにすぎない。例えば、自己洗浄プロセスは、本明細書に開示されるように、完全に被覆されたカソード及びアノードを有する任意の電解槽から、蓄積される堆積物を除去するために使用されることが可能である。該プロセスは、電解槽の管状形状又はサイズに依存しない。これに加えて、該プロセスは、単極電極を備えるスリーブ内に位置付けられる双極電極の存在に依存しない。例えば、一実施形態によれば、電解槽を自己洗浄するためのプロセスは、(A)(i)1つ以上のカソード電極と、(ii)1つ以上のアノード電極と、を備える電解槽を提供する工程であって、該電極は、被覆によって略完全に被覆されている工程と、(B)(i)所定の頻度及び(ii)24時間以内の所定の期間において、カソード電極に対して逆方向バイアスを印加する工程と、を備える。該プロセスは、所定の順方向バイアスの5%以上において逆方向バイアスを印加する工程を伴う。逆方向バイアスによって、カソード電極が短期間にわたってアノードとして動作する。該プロセスによって、電極上のスケールの蓄積を溶解するための塩酸(HCl)が生成される。
【0028】
本明細書に記載する全ての範囲は、2つの値の「間」の範囲を記載するものを含む終点を含む。「約」、「一般的に」、「略、実質的に」等の用語は、それが絶対的ではないように、用語又は値を修飾するものとして解釈すべきである。そうした用語は、状況によって定義され得、状況がそれらの用語として修飾する用語は、当業者によって理解される。用語「略、実質的に」及びその変形は、当業者によって理解されるように明記されるものの大部分であるが、必ずしも全体としてではないものとして定義される。
【0029】
さらにまた、限定は、本明細書に示される構成又は設計の詳細を意図していない。したがって、上記に開示されている特定の例示的な実施形態は、変更または改変されてよく、全てのそうした変形は、本発明の範囲及び趣旨内であると考えられることは明白である。システム及び方法は、様々な構成要素又はステップを「備える(comprising)」又は「含む(containing,including)」で表して説明されている一方で、また、システム及び方法は、様々な構成要素及びステップ「から本質的に成る(consist essentially of)」又は「から成る(consist of)」ことも可能である。
図1
図2
図3
【国際調査報告】