(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】動的に剛体化する装置の意図しない運動を防止するデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/005 20060101AFI20240130BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20240130BHJP
A61B 1/01 20060101ALI20240130BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A61B1/005 512
A61M25/00 620
A61B1/01 511
A61B1/00 550
A61M25/00 630
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545986
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 US2022014497
(87)【国際公開番号】W WO2022165302
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518072597
【氏名又は名称】ネプチューン メディカル インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス,ガーレット・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】チルソン,アレキサンダー・キュー
(72)【発明者】
【氏名】スティール・ラブ,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】シーフ,マーク・シー
(72)【発明者】
【氏名】エバンス,ウィリアム・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C161
4C267
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF29
4C161GG24
4C161HH01
4C161HH51
4C161JJ17
4C267AA05
4C267AA77
4C267BB06
4C267BB07
4C267BB10
4C267BB15
4C267BB62
4C267BB63
4C267CC07
4C267EE03
4C267HH01
4C267HH08
4C267HH11
4C267HH17
(57)【要約】
剛体化されたときに患者に対する危害や損傷を防ぐように構成される剛体化装置(例えば、剛体化装置、および、これに限定されないがオーバーチューブを含む、1つまたは複数の剛体化装置を含むシステム)が本明細書に記載される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成された剛体化可能部材と、
前記剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するように構成されたセンサと、
前記センサから入力を受け取るコントローラと、
を備え、前記コントローラは、前記剛体化可能部材が剛体構成にあるとき、および前記センサが閾値を越える前記剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するときを判定し、保護反応をトリガするように構成され、前記保護反応は、警報を発すること、および前記剛体化可能部材を前記剛体構成から前記可撓構成または準剛体構成に転換すること、の1つまたは複数である、装置。
【請求項2】
前記剛体化可能部材が、複数の層と、前記複数の層と流体連通している入口であって、真空または正圧の供給源に結合するように構成された入口と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記剛体化可能部材が、正圧または真空の印加によって前記剛体構成と前記可撓構成との間で転換するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記センサが加速度計を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記センサが力センサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記センサが前記剛体化可能部材上にある、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記センサが、前記剛体化可能部材のハンドル上にある、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
センサが、並進の動きまたは回転の動きのいずれかまたは両方を検出するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記剛体化可能部材内の圧力または前記剛体化可能部材に印加される圧力を検出するように構成された圧力センサをさらに備え、前記コントローラは、前記剛体化可能部材が剛体であるときを前記圧力センサに基づいて判定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラが、可聴信号および/または可視信号を発することを含む保護反応をトリガするように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記コントローラが、前記剛体化可能部材を前記剛体構成から前記可撓構成に転換することを含む保護反応をトリガするように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラが、前記剛体化可能部材の位置をロックすることを含む保護反応をトリガするように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記コントローラと連通している逃がし弁をさらに備え、前記コントローラは、前記保護反応の一部として前記逃がし弁を開くように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記剛体化可能部材がオーバーチューブを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
複数の層を備える細長の剛体化可能部材であって、正圧または負圧の印加によって剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成される、細長の剛体化可能部材と、
前記細長の剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するように構成されたセンサと、
前記センサから入力を受け取るコントローラと、
を備え、前記コントローラは、前記剛体化可能部材が剛体構成にあるとき、および前記センサが閾値を越える前記細長の剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するときを判定し、真空または正圧を解放して前記剛体化可能部材を前記剛体構成から前記可撓構成または準剛体構成に転換することを含む保護反応をトリガするように構成される、装置。
【請求項16】
剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成される剛体化部材を有する剛体化装置を動作させる方法であって、
前記剛体化部材が前記剛体構成にあることを判定するステップと、
前記剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するステップと、
自動的に保護反応をトリガするステップであって、前記保護反応が、前記剛体化可能部材を前記剛体構成から前記可撓構成または準剛体構成に転換すること、および警報を発すること、の1つまたは複数である、ステップと、を含む方法。
【請求項17】
前記剛体化部材が前記剛体構成にあることを判定するステップが、前記剛体化部材内の圧力をコントローラで検出することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記剛体化部材が前記剛体構成にあることを判定するステップが、前記剛体化部材内の圧力が閾値を上回ると判定することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記剛体化可能部材の動きを示す前記力または加速度を検出するステップが、回転の動きおよび/または並進の動きを示す力または加速度を検出することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
自動的に前記保護反応をトリガするステップが、可聴信号および/または可視信号を発することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
自動的に前記保護反応をトリガするステップが、前記剛体化可能部材を前記剛体構成から前記可撓構成に転換することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
自動的に前記保護反応をトリガするステップが、前記剛体化可能部材の位置をロックすることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成された細長の剛体化可能部材と、
前記細長の剛体化可能部材に結合されたハンドルであって、前記ハンドルの少なくとも一部分は、前記細長の剛体化可能部材が前記剛体構成にあるときに、前記細長の剛体化可能部材が前記可撓構成にあるときの前記ハンドルの前記少なくとも一部分と比較して、色、サイズ、およびテキストメッセージ、の1つまたは複数を変化させるように構成される、ハンドルと、
を備える装置。
【請求項24】
剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成された細長の剛体化可能部材と、
前記細長の剛体化可能部材に結合されたハンドルと、
を備え、前記ハンドルは、前記細長の剛体化可能部材が前記剛体構成にある間、前記剛体化可能部材が前記可撓構成にあるときの前記ハンドルの形状と比べて、前記形状を変化させるように構成される、装置。
【請求項25】
前記ハンドルの形状の前記変化が、前記ハンドルの全体サイズの増大を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記ハンドルの形状の前記変化が、前記ハンドルのテクスチャーの変化を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記ハンドルは、前記細長の剛体化可能部材が前記剛体構成にあるときに、前記細長の剛体化可能部材が前記可撓構成にあるときの前記ハンドルの前記テクスチャーと比較して、より鋭いテクスチャーを有するように構成される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記形状の変化が、液圧によって引き起こされる、請求項24に記載の装置。
【請求項29】
剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成された細長の剛体化可能部材と、
前記細長の剛体化可能部材に結合されたハンドルであって、前記ハンドルの少なくとも一部分は、前記細長の剛体化可能部材が前記剛体構成にあるときに、前記細長の剛体化可能部材が前記可撓構成にあるときの前記ハンドルの前記少なくとも一部分の色と比べて、色を変化させるように構成される、ハンドルと、
を備える装置。
【請求項30】
前記ハンドルの前記少なくとも一部分は、前記細長の剛体化可能部材が前記剛体構成にあるときの赤色から、前記細長の剛体化可能部材が前記可撓状態にあるときの緑色に変化するように構成される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記色の変化が、液圧によって実現される、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成された細長の剛体化可能部材と、
前記細長の剛体化可能部材が前記剛体構成にあるときに、前記剛体構成に固有の可聴ノイズを発するように構成される音声発生器と、
を備える装置。
【請求項33】
前記音声発生器がスピーカを含む、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記可聴ノイズが、規則的な周波数を有する繰り返されるビープ音である、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記可聴ノイズが、前記細長の剛体化可能部材を動かさないように命じる命令を含む、請求項32に記載の装置。
【請求項36】
前記音声発生器が、前記細長の剛体化可能部材が前記可撓構成にあるときに、前記可撓構成に固有の第2の可聴ノイズを発するように構成される、請求項32に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
[0001]この特許出願は、2021年1月29日に出願された、「DEVICES AND METHODS TO PREVENT INADVERTENT MOTION OF DYNAMICALLY RIGIDIZING APPARATUSES」という名称の米国仮特許出願第63/143,739号に対する優先権を主張し、同出願は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
参照による組み込み
[0002]本明細書において言及されるすべての文献および特許出願は、個々の文献または特許文献が具体的にかつ個別に参照によって組み込まれる旨が示されるもの同等に、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
[0003]これに限定されないが可撓性の管状構成と剛体の管状構成との間を移行することができるデバイスを含む、要求に応じて可撓構成と剛体構成との間を移行することができるデバイスは、「動的に剛体化する」または単に「剛体化する」デバイスと呼ばれることがある。そのようなデバイスは、幅広い病状に対して高い臨床的有用性を有する。例えば、動的に剛体化する装置は、長く、曲がりくねっており、高い末端荷重が加わる解剖学的部位内の処置、精確な部分解剖学的構造の調査を要する処置、および/または時間が極めて重要である(例えば発作時の)処置のために有用であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]動的に剛体化する装置は、可撓構成で解剖学的構造に入れられ、次いで解剖学的構造の中で剛体構成に移行されることが可能である。そして、デバイスが剛体構成にある間に、解剖学的構造内で処置を行うことができる。剛体化装置が解剖学的構造の中で(例えば、処置のためにまたは完了時に取り出すために)並進される前に、それらは通例、可撓構成に戻される。デバイスが剛体構成にある間に解剖学的構造の中でデバイスを並進させることは、患者の解剖学的構造の損傷を引き起こす可能性がある。剛体化装置が剛体構成にある間に解剖学的構造内で意図せず並進されるリスクを軽減する、剛体化装置(例えば、デバイス、システム等)、および/またはそのような装置を使用する方法があれば、有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本明細書には、可撓性と剛性の物理的性質を分けることによって手術中の外傷のリスクを制限または防止する、剛体化装置(例えば、デバイス、およびそれらデバイスを組み込んだシステムを含むシステム)および剛体化装置を使用する方法が記載される。これは、装置が、隣接する組織構造に加えられる力を低減するようにして、可撓状態で解剖学的構造内に入れられることを可能にする。対象の解剖学的構造に配置され、剛体化されると、構造は、解剖学的経路に沿って剛体化されて、単一係数のデバイスに一般的であるばね荷重のような外部からの力を最小にする。本発明に記載される方法および装置は、要求に応じて剛体状態と可撓状態(または複数の剛体状態および/もしくは複数の可撓状態)との間で変容するように構成される任意の剛体化装置(例えば、任意の装置、特にこれに限定されないが管状の装置)と共に使用されてよい。
【0006】
[0006]例えば、剛体化装置は、複数の層と、真空または圧力の供給源に接続するように構成された、複数の層の間の少なくとも1つの入口と、を有する細長の可撓性チューブを含んでよい。剛体化装置は、入口を通じて真空または圧力が印加されるときに剛体構成を有し、真空または圧力が印加されない(または解放された)ときに可撓構成を有するように構成されてよい。
【0007】
[0007]動的な剛体化の利点は、解剖学的経路に沿って進み、解剖学的経路に順応できることである。人間の循環系は、複数の分岐脈管からなり、曲がりくねっていることがある。動的に剛体化する経路は、単一係数のカテーテルを収容するために経路を真っ直ぐにし、湾曲を低減するために通常必要とされる、血管に加えられる力を低減する形で、カテーテルが解剖学的経路に追従することを可能にする。解剖学的順応は、保護の要素を与え、また、経路に沿って剛体化する前に血管の天然の向きにより密に追従することによって、外傷の可能性を低減する。
【0008】
[0008]本明細書に記載されるように、剛体化装置は、剛体化装置が剛体構成にあるときに剛体化装置の並進を阻止または制限するように構成されたコントローラを含んでよい。詳細には、本明細書には、位置(例えば、相対位置)、および/または剛体化状態(例えば、剛体、準剛体、可撓)、および/または動きもしくは意図される動き(例えば、動きを命じるロボット制御される命令)を判定し、警告し(例えば、動きを防ぐための警告)、動きを阻止し、および/または患者への危害を防止するために装置の全体または一部を可撓構成に変容させる、ように構成されたコントローラを含む、1つまたは複数の剛体化部材(剛体化装置)を含む装置が記載される。
【0009】
[0009]本明細書に記載される装置はいずれも、1つまたは複数のビーコン、目印、または、可視性を高めるための他の構成要素、および生理学的マッピングシステムを使用した位置特定サービスを含んでよい。
【0010】
[00010]いくつかの例では、剛体化装置は、複数の層と、真空または圧力の供給源に接続するように構成された、複数の層の間の領域への1つまたは複数の入口と、を有する可撓性チューブを含む。剛体化装置は、入口を通じて真空または圧力が印加されるときに剛体構成を有し、複数の層の間に真空または圧力が印加されないときに可撓構成を有するように構成される。いくつかの例では、剛体化装置は、剛体化装置が並進されるとき、またはユーザが剛体構成の状態で並進するように装置に指令するときに、自動的に剛体構成から可撓構成に移行するように構成されてよい。これらの剛体化可能部材はいずれも、細長の剛体化可能部材(管状、円筒形状等の剛体化可能部材を含む)であってよい。いくつかの例では、剛体化可能部材は、シート状の剛体化可能部材(可撓性の層構成において任意の形状に形成され、剛体構成において剛体または準剛体形状に転換されてよい)であってよい。
【0011】
[00011]例えば、本明細書に記載されるのは装置であり、これらの装置は、剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成された剛体化可能部材であって、可撓構成は、解剖学的領域に順応するように構成される、剛体化可能部材と、剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するように構成されたセンサと、センサから入力を受け取るコントローラと、を備え、コントローラは、剛体化可能部材が剛体構成にあるとき、およびセンサが閾値を越える剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するときを判定し、保護反応をトリガするように構成され、保護反応は、警報を発すること、および、剛体化可能部材を剛体構成から可撓構成または準剛体構成に転換すること、の1つまたは複数である。
【0012】
[00012]保護反応は、剛体形態の剛体化可能部材の動きを防止してよい。例えば、本明細書に記載される装置は、剛体化可能部材が準剛体化構成または可撓構成に転換されるまで、1つまたは複数の方向への剛体化可能部材の並進および/または回転を阻止する(ロックする、遅らせる等)ことにより、身体への損傷を防止するように構成されてよい。いくつかの例では、保護反応は、剛体化可能部材を自動的に準剛体化構成または可撓構成に転換することを含んでよい。いくつかの例では、部分反応は、ユーザが剛体化可能部材を準剛体化構成または可撓構成に転換できるように、ユーザに警告する(音、テキストメッセージ、光/視覚的インジケータを発する等)ことを含んでよい。いくつかの例では、保護反応は、予め決定された時間またはユーザによって決定された時間の後にタイムアウトしてよい。いくつかの例では、保護反応は、ユーザによって無効にされてよい。
【0013】
[00013]剛体化可能部材は、複数の層と、複数の層と流体連通している入口であって、真空または正圧の供給源に結合するように構成された入口と、を含んでよい。例えば、剛体化可能部材は、正圧または真空の印加によって剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成されてよい。
【0014】
[00014]センサは、加速度計および/または力センサを含んでよい。いくつかの例では、センサは、剛体化可能部材上にある。例えば、センサは、剛体化可能部材のハンドル上にあってよい。いくつかの例では、センサは、並進の動きまたは回転の動きのいずれかまたは両方を検出するように構成される。
【0015】
[00015]いくつかの例では、センサは、剛体化可能部材内の圧力または剛体化可能部材に印加される圧力を検出するように構成された圧力センサを備え、コントローラは、剛体化可能部材が剛体であるときを圧力センサに基づいて判定するように構成される。コントローラは、可聴信号および/または可視信号を発することを含む保護反応をトリガするように構成されてよい。コントローラは、剛体化可能部材を剛体構成から可撓構成に転換することを含む保護反応をトリガするように構成されてよい。コントローラは、剛体化可能部材の位置をロックすることを含む保護反応をトリガするように構成されてよい。
【0016】
[00016]これらの装置はいずれも、コントローラと連通している逃がし弁を含んでよく、コントローラは、保護反応の一部として逃がし弁を開くように構成される。
【0017】
[00017]剛体化可能部材は、オーバーチューブ、カテーテル、プローブ、またはスリーブを含んでよい。
【0018】
[00018]例えば、本明細書には装置が記載され、これらの装置は、複数の層を備える細長の剛体化可能部材であって、正圧または負圧の印加によって剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成される、細長の剛体化可能部材と、細長の剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するように構成されたセンサと、センサから入力を受け取るコントローラと、を備え、コントローラは、剛体化可能部材が剛体構成にあるとき、およびセンサが閾値を越える細長の剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するときを判定し、真空または正圧を解放して剛体化可能部材を剛体構成から可撓構成または準剛体構成に転換することを含む保護反応をトリガするように構成される。一般に、可撓構成は、解剖学的領域に順応するように構成されてよい。
【0019】
[00019]また、本明細書には、剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成される剛体化部材を有する剛体化装置を動作させる方法が記載され、この方法は、剛体化部材が剛体構成にあることを判定するステップと、剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するステップと、自動的に保護反応をトリガするステップであって、保護反応が、剛体化可能部材を剛体構成から可撓構成または準剛体構成に転換すること、および警報を発すること、の1つまたは複数である、ステップと、を含む。
【0020】
[00020]剛体化部材が剛体構成にあることを判定するステップは、剛体化部材内の圧力をコントローラで検出することを含んでよい。いくつかの例では、剛体化部材が剛体構成にあることを判定するステップは、剛体化部材内の圧力が閾値を上回ると判定することを含む。
【0021】
[00021]これらの方法のいずれにおいても、剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するステップは、回転の動きおよび/または並進の動きを示す力または加速度を検出することを含んでよい。
【0022】
[00022]これらの方法のいずれにおいても、自動的に保護反応をトリガするステップは、可聴信号および/または可視信号を発することを含む。自動的に保護反応をトリガするステップは、剛体化可能部材を剛体構成から可撓構成に転換することを含んでよい。いくつかの例では、自動的に保護反応をトリガするステップは、剛体化可能部材の位置をロックすることを含む。
【0023】
[00023]例えば、装置は、剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成された細長の剛体化可能部材と、細長の剛体化可能部材に結合されたハンドルであって、ハンドルの少なくとも一部分は、細長の剛体化可能部材が剛体構成にあるときに、細長の剛体化可能部材が可撓構成にあるときのハンドルの少なくとも一部分と比較して、色、サイズ、およびテキストメッセージ、の1つまたは複数を変化させるように構成される、ハンドルと、を含んでよい。
【0024】
[00024]装置は、剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成された細長の剛体化可能部材と、細長の剛体化可能部材に結合されたハンドルと、を含んでよく、ハンドルは、細長の剛体化可能部材が剛体構成にある間、剛体化可能部材が可撓構成にあるときのハンドルの形状と比べて、形状を変化させるように構成される。ハンドルの形状の変化は、ハンドルの全体サイズの増大を含んでよい。これらの例のいずれにおいても、ハンドルの形状の変化は、ハンドルのテクスチャーの変化を含んでよい。例えば、ハンドルは、細長の剛体化可能部材が剛体構成にあるときに、細長の剛体化可能部材が可撓構成にあるときのハンドルのテクスチャーと比較して、より鋭いテクスチャーを有するように構成されてよい。形状の変化は、液圧によって引き起こされてよい。
【0025】
[00025]これらの装置はいずれも、剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成された細長の剛体化可能部材と、細長の剛体化可能部材に結合されたハンドルであって、ハンドルの少なくとも一部分は、細長の剛体化可能部材が剛体構成にあるときに、細長の剛体化可能部材が可撓構成にあるときのハンドルの少なくとも一部分の色と比べて、色を変化させるように構成される、ハンドルと、を含んでよい。ハンドル(または少なくともハンドルの一部分)は、細長の剛体化可能部材が剛体構成にあるときの赤色から、細長の剛体化可能部材が可撓状態にあるときの緑色に変化するように構成されてよい。色の変化は、液圧によって実現されてよい。
【0026】
[00026]また、本明細書には装置が記載され、この装置は、剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成された細長の剛体化可能部材と、細長の剛体化可能部材が剛体構成にあるときに、剛体構成に固有の可聴ノイズを発するように構成される音声発生器と、を備える。音声発生器は、スピーカおよび/または音声を発生させるように構成された回路を備えてよい。
【0027】
[00027]例えば、可聴ノイズは、規則的な周波数を有する繰り返されるビープ音であってよい。可聴ノイズは、細長の剛体化可能部材を動かさないように命じる命令を含んでよい。音声発生器は、細長の剛体化可能部材が可撓構成にあるときに、可撓構成に固有の第2の可聴ノイズを発するように構成されてよい。
【0028】
[00028]本明細書に記載される装置のいずれにおいても、コントローラ(例えば、制御回路および/または1つまたは複数のプロセッサ、メモリ等を含む)が、形状、サイズ、テクスチャー、色、テキスト、および/または剛体化可能部材(例えば、細長の剛体化可能部材)が剛体になっていること、および/または剛体化可能部材を(剛体構成にある間)動かすべきでないことを示す他のインジケータの変化を制御するように構成されてよい。
【0029】
[00029]概して、本発明に記載される方法および装置は、特に装置または装置の剛体化可能な部分が剛体構成にあるときに、意図しない運動を防止することができる。本明細書に記載される装置は、概して、1つまたは複数の方向への動きを阻止、制限、またはそれについてユーザに警告し得る。本明細書に記載される例の多くは円筒形で細長の(または管状の)剛体化部材に固有であるが、本発明に記載される方法および装置は、平面またはシートの剛体化部材を含む任意の剛体化可能部材に使用されてよい。例えば、剛体化可能な板またはシートを含む装置では、剛体構成におけるx、y、z方向への運動および/またはそれぞれを中心とするトルクが制限および/または阻止されてよく、および/または保護反応をトリガしてよい。管状の装置(例えば、管状の剛体化部材)の場合、軸方向の運動および/またはねじり運動が特に制限または阻止されてよく、および/または保護反応をトリガしてよい。
【0030】
[00030]本発明に記載される方法および装置のすべては、任意の組み合わせで、本明細書において企図され、本明細書に記載される利益を実現するために使用され得る。
【0031】
[00031]本発明に記載される方法および装置の特徴および利点のより良い理解は、例示的な実施形態を述べる以下の詳細な説明および以下の添付図面を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】[00032]例示的な剛体化装置を示す図である。
【
図1B】[00033]本明細書に記載される真空剛体化装置の一部分の例を示す図であり、装置の例示的な真空剛体化部材を貫通した断面を示す図である。
【
図1C】本明細書に記載される真空剛体化装置の一部分の例を示す図であり、同断面の一部の拡大図を示し、剛体化されていない構成における層の配置を示す図である。
【
図1D】[00034]例示的な圧力剛体化装置を示す図であり、圧力剛体化装置を貫通する長手方向の断面を示す図である。
【
図1E】例示的な圧力剛体化装置を示す図であり、圧力剛体化装置を貫通する横断断面を示す図である。
【
図2A】[00035]
図2Aは、1つの例示的な剛体化された構成にある剛体化装置を示す図である。
【
図2B】
図2Bは、別の例示的な剛体化された構成にある剛体化装置を示す図である。
【
図3】[00036]剛体化された構成における意図されない並進を防止するように構成された例示的な剛体化装置を示す図であり、剛体化装置は、剛体化装置の動きを検出するように構成されたセンサを含む。
【
図4】[00037]剛体化された構成における意図されない並進を防止するように構成された別の例示的な剛体化装置を示す図であり、剛体化装置は、剛体化時に互いと接触するように構成された、壁に埋め込まれた第1および第2の区間を含む。
【
図5】[00038]剛体化された構成における意図されない並進を防止するように構成された別の例示的な剛体化装置を示す図であり、剛体化装置は、デバイスが剛体構成にあるときに蛍光透視法下で外観を変化させるように構成された蛍光透視マーカを含む。
【
図6】[00039]剛体化された構成における剛体化装置の意図されない並進を防止するためにドッグ内に配置またはロックされるように構成されたハンドルを示す図である。
【
図7】[00040]剛体化された構成における意図されない並進を防止するように構成された別の例示的な剛体化装置を示す図であり、剛体化装置は双安定インジケータを含む。
【
図8】[00041]剛体化された構成における意図されない並進を防止するように構成された別の例示的な剛体化装置を示す図であり、剛体化装置は、デバイスが剛体化された構成にあるときにハンドルの上に置かれるように構成されたカバーを含む。
【
図9】[00042]剛体化された構成における意図されない並進を防止するように構成されたコントローラを含む例示的な剛体化システムを示す図である。
【
図10A】[00043]
図10Aは、入れ子になった剛体化部材の対を含むロボットシステムの動作の一例を示す図である。
【
図10B】
図10Bは、入れ子になった剛体化部材の対を含むロボットシステムの動作の一例を示す図である。
【
図10C】
図10Cは、入れ子になった剛体化部材の対を含むロボットシステムの動作の一例を示す図である。
【
図10D】
図10Dは、入れ子になった剛体化部材の対を含むロボットシステムの動作の一例を示す図である。
【
図11A】[00044]弛緩した(剛体化されていない、高可撓性の)構成を有する、再構成可能なシェル構造として構成された剛体化可能部材の一例を貫通する断面を概略的に示す図である。
【
図11B】剛体化された(剛体)構成を有する、再構成可能なシェル構造として構成された剛体化可能部材の一例を貫通する断面を概略的に示す図である。
【
図11C】[00045]可撓構成(
図11Cおよび11D)から剛体構成(
図11E)に変容して、ある形状を可逆的に取る、
図11A~11Bの剛体化可能部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[00046]概して、本明細書に記載されるのは、剛体化されたときに危害や損傷を防ぐように構成される剛体化装置(例えば、剛体化装置、およびこれらに限定されないが、オーバーチューブ、カテーテル、トロカール、内視鏡等を含む、1つまたは複数の剛体化装置を含むシステム)である。これらの装置は、例えば観察鏡(例えば、内視鏡)や他の医療機器を、身体の曲がったまたは輪になった部分(例えば、脈管)を通して運搬するのを助けるための外科用具として構成されてよい。剛体化装置は、長く、細く、中空であり得、可撓構成(すなわち、弛緩している、ぐにゃぐにゃの、または柔らかい構成)と、剛体構成(すなわち、剛性である、および/または剛体化されたときにそれが取っている形状を保持する、構成)との間を比較的迅速に移行することができる。複数の層(例えば、コイル状のまたは補強された層、スリップ層、編組された層、ブラダー層および/または封止シース)が互いと共に、剛体化装置の壁を形成することができる。剛体化装置は、例えば、剛体化装置の壁に、または剛体化装置の壁を形成している層の中に、真空または圧力を印加することにより、可撓構成と剛体構成との間を移行することができる。真空または正圧が取り除かれている状態では、層は、互いに対して容易にずれるまたは動くことができる。真空または正圧が印加されている状態では、層は、ずれ、動き、曲げ、トルク、および座屈に抵抗する大幅に高められた能力を呈する状態に移行することができ、それによりシステムの剛体化をもたらす。
【0034】
[00047]本明細書に記載される剛体化装置は、カテーテル、シース、観察鏡(例えば、内視鏡)、ワイヤ、オーバーチューブ、トロカール、または腹腔鏡機器を含む、各種の医療用途のための剛体化を提供することができる。剛体化装置は、別体の増設デバイスとして機能することができ、またはカテーテル、シース、観察鏡、ワイヤ、腹腔鏡機器の本体に組み込まれ得る。
【0035】
[00048]剛体化装置300の一例が
図1に示される。装置300は、編組層、外側層(その下にある編組を示すために一部が切り取られている335)、および内側層を含む複数の層がある壁を有する、主剛体化細長本体303zを含む。システムは、剛体化装置300の中の層に真空または圧力を供給するための真空または圧力入口344を有するハンドル331をさらに含む。アクチュエータ346は、真空または圧力をオン・オフすることにより、剛体化装置300を可撓構成と剛体構成の間で移行させるために使用され得る。剛体化装置300の遠位端332yは、解剖学的構造を通る主剛体化細長本体303zの遠位での動きを容易にするために、滑らかで、可撓性で、非外傷性であり得る。さらに、先端332yは、解剖学的構造を通る剛体化装置300の遠位での動きをさらに容易にするために、遠位端から近位端へと先細になることができる。下記でさらに詳細に説明されるように、
図1に示されるようなものを含む、これら装置はいずれも、剛体化部材(細長本体303z)および/または正圧および/もしくは負圧の供給源(もしくは供給源に結合された圧力ライン344)に結合されることを含む、装置に結合されたコントローラ228xを含んでよい。コントローラは、装置のうち剛体構成にある部分の動きを、特に装置のこの部分が患者身体内にあるときを含め、阻止または制限するように構成されてよい。
【0036】
[00049]剛体化装置は、剛体化されると、真空または圧力が印加されたときにそれが取っている形状にロックしてよく、剛体化過程は、可撓状態から剛体状態に移行する間に装置の形状を変えることなく行われ得、すなわち、装置は、真っ直ぐになったり、曲がったり、またはその他の形で自身の形状を大幅に変更することがない(例えば、装置は輪になった構成、蛇行形状、曲線等の状態で剛化してよい)。内側層または外側層(例えば、内側のコイル巻回チューブを含む)の間への正圧または負圧(例えば、真空)の印加は、曲がる際の剛体化装置の最大荷重容量のうち小さい割合(例えば、5%)であり得、それにより、剛体化装置が真っ直ぐになることに抵抗できるようにする。いくつかの例では、真空または圧力が解放されると、デバイスを形成している層の中の編組またはより糸が互いに対して固定が解かれて、再び動くことができるようになり、それにより剛体化装置が曲がることを可能にする。剛体化装置が、真空または圧力の解放によってより可撓な状態にされるとき、それは、真空または圧力が解放される前に取っていた形状を維持し続けることができ、すなわち、真っ直ぐになったり、曲がったり、またはその他の形でその形を大きく変更することがない。よって、本明細書に記載される剛体化装置は、(例えば、真空または圧力を印加することによって)編組のより糸間の動きを制約することにより、可撓性で、剛性の低い構成からより高い剛性の剛体構成へと移行することができる。
【0037】
[00050]いくつかの例では、本明細書に記載される剛体化装置は、剛体構成と可撓構成の間を迅速に、不定数の移行サイクルで、切り替わるように構成される。いくつかの例では、装置の剛体化の度合い(例えば、剛性)も、例えば正圧(正圧によって剛体化される例で)を、または真空(真空によって剛体化される例で)を調節することにより、調節されてよい。介入医療デバイスが、より長尺化され、人体内のより深いところに挿入されるようになるのに伴い、またより厳密さを要する治療処置を行うことが期待されるのに伴い、精密さおよび制御に対する高まった必要性がある。本明細書に記載される選択的に剛体化する装置(選択的に剛体化するオーバーチューブを含む)は、有利なことに、可撓性の利益(必要とされる場合)と剛性の利益(必要とされる場合)の両方を提供することができる。さらに、本明細書に記載される剛体化装置は、例えば、2016年9月2日に出願された、「DEVICE FOR ENDOSCOPIC ADVANCEMENT THROUGH THE SMALL INTESTINE」という名称の国際特許出願第PCT/US2016/050290号に記載されるものなどの、従来の内視鏡、結腸内視鏡、ロボットシステム、および/またはナビゲーションシステムと共に使用され得、同出願は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0038】
[00051]本明細書に記載される剛体化装置は、追加としてまたは代替として、WO2017/041052として公開された、2016年9月2日出願の「DEVICE FOR ENDOSCOPIC ADVANCEMENT THROUGH THE SMALL INTESTINE」という名称の国際特許出願第PCT/US2016/050290号、WO2019/018682として公開された、2018年7月19日出願の「DYNAMICALLY RIGIDIZING OVERTUBE」という名称の国際特許出願第PCT/US2018/042946号、WO2020/018934として公開された、2019年7月19日出願の「DYNAMICALLY RIGIDIZING COMPOSITE MEDICAL STRUCTURES」という名称の国際特許出願第PCT/US2019/042650号、および、2020年1月16日に出願された、「DYNAMICALLY RIGIDIZING COMPOSITE MEDICAL STRUCTURES」という名称の国際特許出願第PCT/US2020/013937号に関して記載される特徴の任意のものを含むことができ、各出願は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
[00052]本明細書に記載される剛体化装置は、異なる長さおよび直径を含む複数の構成で提供され得る。いくつかの例では、剛体化装置は、作業チャネル(例えば、剛体化装置の本体内を典型的な内視鏡ツールが通過するのを可能にするため)、バルーン、入れ子になった要素、および/または側部積載(side-loading)機能を含むことができる。
【0040】
[00053]例えば、剛体化装置100(剛体化可能部材を含む装置、例えばシステムおよび/またはデバイス、とも呼ばれる)は、真空、例えば負圧、の印加によって剛体化されるように構成されてよい。このような装置は、一般に、負圧が印加されたときに積層構造を形成するように構成される層から形成され得、それにより、1つまたは複数の編組層または織り層が、可撓性の外側層に可逆的に融合され得、外側層は、加圧の間に感知できるほど直径を変化させることなく、より剛体の内側層に押し当てられる。
【0041】
[00054]
図1B~1Cは、真空の印加によって剛体化される装置(例えば、デバイス、システム)の剛体化部材を貫通する断面の一例を示す。
図1Cは、剛体化していない構成における
図1Bの層の配置の例の拡大図を示す。この例では、剛体化可能な部材は、(例えば、真空が印加されたときに)残りの層がそれに当たってひとまとまりにされ得る内側表面を提供するように構成される、最も内側の層115を含んでいる。最も内側の層115は、補強要素またはコイルを含むことができる。詳細には、最も内側の層115は、例えば、層またはチューブ(例えば、タイ(tie)層)の両側に配置された外側巻回ワイヤ(例えば、ケーブル、リボン、ワイヤ等)および内側巻回ワイヤから形成される、内側コイル巻回チューブ(ICWT)として構成されてよい。剛体化部材はまた、最も内側の層の上に(例えば、その径方向外側に)スリップ層113を含んでよい。スリップ層は、例えば、内側層115の外側表面上および/または間隙層111の中にある、潤滑、コーティング、および/または粉末(例えば、滑石粉)であってよい。径方向間隙層111が、編組または織り層109(本明細書では便宜的に「編組層」と呼ぶ)からスリップ層113を隔ててよく、それにより、編組層とスリップ層との間に、例えば真空が印加されていないときにその上の編組された層が中を移動するための空間を提供し、この空間または間隙は、真空が印加されたときに除去されて、真空の印加時に編組されたまたは織り層が径方向内側に動けるようにしてよい。第2の間隙層107が、編組層109との間に存在してよく、層111と同様のものであってよい。複数の編組層が含まれてよく(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の編組層が含まれてよい)、追加的な間隙層および/またはスリップ層によって隔てられてよい。最も外側の層101は、間隙層によって編組層から隔てられてよく、真空が印加されたときに径方向内側に動き、下に引っ張られて編組層に当たり、その表面に順応するように構成され得る。最も外側の層101は、柔らかく、非外傷性であり得、両端で封止されて最も内側の層115と共に真空密のチャンバを作り出すことができる。最も外側の層101は、弾性であり得、例えばウレタンから作られる。最も外側の層101の硬度は、例えば30A~80Aであり得る。さらに、最も外側の層101は、0.000254cm(0.0001インチ)~0.0254cm(0.01インチ)、例えば、およそ0.00254cm(0.001インチ)、0.00508cm(0.002インチ)、0.00762cm(0.003インチ)、または0.01016cm(0.004インチ)、の厚みを有することができる。代替として、最も外側の層は、例えば、LDPE、ナイロン、PEEKを含む、プラスチックであり得る。
【0042】
[00055]これらの装置はいずれも、複数の編組層を含んでよく、装置は、管腔120(例えば、そこを通して機器や内視鏡を配置するため)の周りに配置された複数の層から形成される壁を有するチューブを含んでよい。層と層の間に真空が供給されて、剛体化装置100を剛体化することができる。本明細書に記載される管状装置はいずれも、代わりに、内側層115を形成する硬い芯を含んでもよい。
【0043】
[00056]最も内側の層115は、例えば剛体化装置100の壁の中に真空が印加されたときに、残りの層がそれに当たってひとまとまりにされ得る内側表面を提供するように構成され得る。この構造は、非真空状態において曲げ力を最小にする、および/または可撓性を最大にするように構成され得る。
【0044】
[00057]層109は、編組されたより糸を含む第1の編組層であり得る。編組層は、例えば、0.00254cm(0.001インチ)~0.01016cm(0.004インチ)の厚みであり得る。例えば、編組層は、0.00254cm(0.001インチ)、0.00762cm(0.003インチ)、0.0127cm(0.005インチ)、0.0254cm(0.010インチ)、0.0381cm(0.015インチ)、0.0508cm(0.020インチ)、0.0635cm(0.025インチ)、または0.0762cm(0.030インチ)の厚みであり得る。いくつかの例では、編組は、引張繊維またはフープ繊維を有することができる。フープ繊維が、らせん状にされ、および/または織られて、編組層にされ得る。さらに、フープ繊維は、2.54cm(1インチ)当たり2~50個、例えば20~40個、のフープで配置され得る。いくつかの例では、本明細書に記載される剛体化装置は、2つ以上の編組層を有することができる。例えば、剛体化装置は、2つ、3つ、または4つの編組層を含むことができる。
【0045】
[00058]いくつかの例では、最も外側の層101は、解剖学的構造を通る剛体化装置の滑りを向上させるために、その外側表面に潤滑、コーティングおよび/または粉末(例えば、滑石粉)を含むことができる。コーティングは、親水性(例えば、Hydromer(登録商標)コーティングまたはSurmodics(登録商標)コーティング)であっても、または疎水性(例えば、フルオロポリマー)であってもよい。コーティングは、例えば、コーティングをその上に浸漬する、塗布する、または散布することにより適用され得る。最も内側の層115は同様に、特に剛体化装置100に真空が印加されていないときに、可撓性を最大にするために、境界層が互いに対してより容易にずれることができるように構成されたその内側表面の潤滑、コーティング(例えば、親水性または疎水性のコーティング)、および/または粉末(例えば、滑石粉)を含むことができる。
【0046】
[00059]真空は、剛体化装置100内で、最小から最大気圧の真空(例えば、およそ101352.9パスカル(14.7psi))まで保持され得る。いくつかの例では、可変の剛性能力をもたらすために真空が任意の中間レベルまで抜かれるように、ブリード弁、調節器、またはポンプ制御装置があり得る。真空圧力は、有利には、編組されたスリーブの層を隣の層に押圧することによって剛体化装置構造を剛体化するために使用され得る。編組は元々曲がりやすく(すなわち、その長手方向軸に垂直に曲げられたとき)、編組が内側層に載ったままで曲げられた形状に順応するように、スリーブが曲げられたとき、絡み合ったより糸で形成される格子構造がゆがむ。これにより、編組されたスリーブが曲がるのに伴って各格子要素のコーナー角が変化する格子形状が得られる。本明細書に記載される層のような順応性材料同士の間が圧縮されると、格子要素は、その現在の角度にロックされた状態になり、真空が印加されたときに変形に抵抗する高められた能力を有し、それにより、真空が印加されたときに曲がっている構造全体を剛体化させる。さらに、いくつかの例では、編組を通るまたはその上にあるフープ繊維は、印加された高い曲げ荷重において編組が局所的に座屈するのを防止する助けとなる引張荷重を持ち得る。剛体化装置100の剛性は、可撓構成から剛体構成に移行されるときに、2倍から30倍超、例えば10倍、15倍、または20倍、に増大することができる。真空剛体化装置100のいくつかの例では、1つのみの編組層があってよい。真空剛体化装置100の他の例では、2つ、3つ、またはそれより多くの編組層があってよい。いくつかの例では、剛体化装置100の径方向間隙層またはスリップ層の1つまたは複数が除去され得る。いくつかの例では、剛体化装置100のスリップ層の一部またはすべてが除去され得る。
【0047】
[00060]本明細書に記載される編組層は、可変剛性層として機能することができる。可変剛性層は、作動されたときに(例えば真空が印加されたときに)、曲げ剛性および/またはせん断抵抗が増し、結果として剛体性が高まる1つまたは複数の可変剛性要素または構造を含むことができる。他の可変剛性要素が、編組層に加えてまたはそれに代えて使用されることが可能である。いくつかの例では、2018年7月19日に出願された、「DYNAMICALLY RIGIDIZING OVERTUBE」という名称の国際特許出願第PCT/US2018/042946号に記載されるように、係合子が可変剛性要素として使用され得、同出願は参照により全体が本明細書に組み込まれる。代替としてまたは追加として、可変剛性要素は、粒子もしくは細粒、妨害層、スケール、剛体化する軸方向部材、剛体化物、長手方向部材または実質的に長手方向の部材を含むことができる。
【0048】
[00061]本明細書に記載される剛体化可能装置は、真空ではなく正圧の印加によって剛体化されてもよい。例えば、
図1D~1Eを参照すると、剛体化装置(例えば、デバイスまたはシステム)2100は、剛体化のために、真空ではなく、中に圧力(例えば、1気圧より大きい)を保持するように構成され得ることを除いて、上記の剛体化装置100と同様であり得る。圧力で作動される剛体化装置2100も、管腔2120(例えば、そこを通して機器や内視鏡を配置するため)の周りに配置された複数の層を含んでよい。
【0049】
[00062]例えば、
図1D~1Eは、剛体化装置の圧力作動される剛体化可能部材の例を貫通した長手方向および径方向の断面を示している。
図1Dおよび
図1Eに示される剛体化装置2100は、最も内側の層2115(最も内側の層115と同様)を含むことができ、この最も内側の層は、上記で説明され、下記でさらに詳しく説明されるように、内側のコイル巻回チューブであってよい。剛体化装置2100は、スリップ層2113(スリップ層113と同様)、圧力間隙2112、ブラダー層2121、間隙層2111(間隙層111と同様)、編組層2109(編組層109と同様)または本明細書に記載される他の可変剛性層、間隙層2107(層107と同様)、および最も外側の閉じ込め層2101も含んでよい。
【0050】
[00063]圧力間隙2112は、剛体化装置2100の層に圧力を印加するための間隙を提供する、封止されたチャンバであり得る。圧力は、流体または気体の膨張/圧力媒体を使用して圧力間隙2112に供給され得る。膨張/圧力媒体は、水もしくは生理食塩水、または例えば油やグリセリンなどの潤滑流体であり得る。潤滑流体は、例えば、可撓構成において剛体化装置2100の層が互いの上を浮動するのを助けることができる。膨張/圧力媒体は、剛体化装置2100の剛体化時に間隙2112に供給され得、そして剛体化装置2100を可撓構成に戻すためにそこから部分的にまたは完全に放出され得る。いくつかの例では、剛体化装置2100の圧力間隙2112は、事前充填されたシリンジまたは事前充填された送気装置などの事前に充填された圧力源に接続され、それにより内科医の必要とされるセットアップ時間を短縮することができる。
【0051】
[00064]ブラダー層(または「ブラダー」)2121は、例えば、低デュロメータエラストマー(例えば、ショア20A~70Aの)または薄いプラスチックシートからなり得る。ブラダー層2121は、チューブを形成するように長さ方向に封止された、プラスチックまたはゴムの薄いシートから形成され得る。長さ方向の封止は、例えば突合せ継ぎまたは重ね継ぎであり得る。例えば、重ね継ぎは、ゴムを重ね継ぎの箇所で融かすことにより、または接着剤を使用することにより、ゴムのシートに長さ方向に形成され得る。いくつかの例では、ブラダー層2121は、0.000508cm(0.0002インチ)~0.0508cm(0.020インチ)の厚み、例えばおよそ0.0127cm(0.005インチ)の厚み、であり得る。ブラダー層2121は、柔らかく、高摩擦で、伸びやすく、および/または容易にしわが寄ることが可能である。いくつかの例では、ブラダー層2121は、ポリオレフィンまたはPETである。ブラダー2121は、例えば、基材を押し出してから熱、圧力および/または放射線で壁を薄くするなどの、熱収縮チューブを形成するために使用される方法を使用することによって形成され得る。圧力が圧力間隙2112を通って供給されると、ブラダー層2121が間隙層2111を通って広がって、編組層2109を最も外側の閉じ込め層2101に押し当てることができ、それにより、編組のより糸の相対運動が低減される。本明細書に記載される装置はいずれも、ブラダーのための複数の充填箇所および/またはブラダー層のための遠位に位置する充填箇所を含んでよい。本明細書に記載される装置はいずれも、下記でより詳しく説明されるように、くっ付く、例えば閉じた構成でくっ付くのを防止するように構成されたブラダーを含んでよい。
【0052】
[00065]最も外側の閉じ込め層2101は、押出し成形されたチューブなどのチューブであり得る。代替として、最も外側の閉じ込め層2101は、本明細書に記載される他の例の最も内側の層に関して説明されるのと同様に、補強部材(例えば、丸いまたは矩形の断面を含む金属ワイヤ)がエラストマー母材の中に封入されたチューブであり得る。いくつかの例では、最も外側の閉じ込め層2101は、螺旋ばね(例えば、円形のまたは平坦なワイヤから作られる)および/または管状の編組(丸いまたは平坦な金属ワイヤから作られるものなど)と、層内のその他の要素に接合されない薄いエラストマーシートとを含むことができる。最も外側の閉じ込め層2101は、連続している滑らかな表面をもつ管状構造であり得る。これは、ごく近接してかつ局所的に高い接触荷重と共に、それに接して滑る外側部材を容易にすることができる(例えば、本明細書でさらに説明されるような入れ子構成)。さらに、外側層2101は、つまむなどの圧縮荷重を支えるように構成され得る。加えて、外側層2101(例えば、内部に補強要素を伴う)は、圧力が印加されるときでも剛体化装置2100が直径を変えるのを防止するように構成され得る。
【0053】
[00066]外側層2101および内側層2115はどちらも補強要素を内部に含み得るため、編組層2109は、直径を縮小させること(引張荷重下で)と直径が増大する(圧縮荷重下で)ことの両方が起こらないように適度に制約され得る。
【0054】
[00067]可撓状態から剛体状態に移行するために真空ではなく圧力を使用することにより、剛体化装置2100の剛体性を増大させることができる。例えば、いくつかの例では、圧力間隙2112に供給される圧力は、1~40気圧の間、例えば2~40気圧の間、例えば4~20気圧の間、例えば5~10気圧の間、であり得る。いくつかの例では、供給される圧力は、およそ2気圧、およそ4気圧、およそ5気圧、およそ10気圧、およそ20気圧である。いくつかの例では、剛体化装置2100は、2~100倍、例えば10~80倍、例えば20~50倍の、可撓構成から剛体構成への相対曲げ剛性(単純な片持ち梁構成で測定されるもの)の変化を示すことができる。例えば、剛体化装置2100は、およそ10倍、15倍、20倍、または25倍、30倍、40倍、50倍、または100倍超の、可撓構成から剛体構成への相対曲げ剛性の変化を有することができる。
【0055】
[00068]
図2Aおよび
図2Bは、2つの異なる剛体化された構成にある剛体化装置300の例を示す。剛体化装置300の剛体化部材303zが剛体化されるとき、それは、真空または圧力が印加されたときに取っていた形状で剛体化し、その形状を著しく変化させることはない(例えば、
図2Aに示される輪になった構成または
図2Bに示される蛇行形状などの、解剖学的外形で剛化してよい)。この理由は、内側層または外側層(例えば、コイル巻回チューブから作られる)に対する空気剛化の効果が、曲がる際の剛体化装置の最大荷重容量のうち小さい割合(例えば、5%)であり得、それにより剛体化装置が真っ直ぐになることに抵抗できるためである。真空または圧力が解放されると、編組またはより糸は、互いに対して固定が解かれて、再び動くことができるようになり、それにより剛体化装置が曲がることを可能にする。ここでも、剛体化装置300が真空または圧力の解放によってより可撓性にされる際には、真空または圧力が解放される前に取っていた形状で可撓性になり、すなわち、真っ直ぐになったり、曲がったり、またはその他の形でその形状を著しく変更することがなく、および/または、解剖学的構造に順応した状態を保つ。
【0056】
[00069]よって、本明細書に記載される剛体化装置は、(例えば、真空または圧力を印加することによって)編組のより糸間の運動を制約することにより、可撓性で、剛性の低い構成から、より高い剛性の剛体構成に移行することができる。
【0057】
[00070]本明細書に記載される剛体化装置は、剛体構成と可撓構成の間を比較的迅速に、かついくつかの例では不定数の移行サイクルで、切り替わることができる。介入医療デバイスがより長尺化され、人体内のより深いところに挿入されるようになるのに伴い、またより厳密さを要する治療処置を行うことが期待されるのに伴い、精密さおよび制御に対する(例えば、アクセスポイントからデバイスの先端まで1:1の力の伝達に対する)高まった必要性がある。本明細書に記載される選択的に剛体化する装置(例えば、オーバーチューブ)は、有利なことに、可撓性の利益(必要とされる場合)と剛性の利益(必要とされる場合)の両方を提供することができる。さらに、本明細書に記載される剛体化装置は、例えば、2016年9月2日に出願された、「DEVICE FOR ENDOSCOPIC ADVANCEMENT THROUGH THE SMALL INTESTINE」という名称の国際特許出願第PCT/US2016/050290号に記載されるものなどの、従来の内視鏡、結腸内視鏡、ロボットシステム、および/またはナビゲーションシステムと共に使用され得、同出願は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0058】
[00071]本明細書に記載される剛体化装置は、例えば、胃腸(GI)管(例えば、食道、胃、小腸、および/または大腸)内、脈管系(例えば、神経脈管系、肺脈管系、および/または心臓の左側もしくは右側に通じる脈管系)内、泌尿器用途、婦人科用途、整形外科、および/または口の中、気管、肺、または腹部内で使用され得る。
【0059】
[00072]本明細書に記載される剛体化装置は、追加としてまたは代替として、WO2017/041052として公開された、2016年9月2日出願の「DEVICE FOR ENDOSCOPIC ADVANCEMENT THROUGH THE SMALL INTESTINE」という名称の国際特許出願第PCT/US2016/050290号、WO2019/018682として公開された、2018年7月19日出願の「DYNAMICALLY RIGIDIZING OVERTUBE」という名称の国際特許出願第PCT/US2018/042946号、WO2020/018934として公開された、2019年7月19日出願の「DYNAMICALLY RIGIDIZING COMPOSITE MEDICAL STRUCTURES」という名称の国際特許出願第PCT/US2019/042650号、および2020年1月16日に出願された、「DYNAMICALLY RIGIDIZING COMPOSITE MEDICAL STRUCTURES」という名称の国際特許出願第PCT/US2020/013937号に関して記載される特徴の任意のものを含むことができ、各出願は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
[00073]いくつかの例では、本明細書に記載される剛体化装置は、デバイスが剛体構成にある間、デバイスの並進(例えば、取り出し)を防止するように構成された機構を含むことができる。
【0061】
[00074]
図3を参照すると、剛体化装置200は、1つまたは複数のセンサ227xを含むことができる。いくつかの例では、センサは、(
図3に示されるように)ハンドル231上にあってよい。センサ227xは、並進、力、および/または加速度などの、剛体化装置200の動きを検出するように構成され得る。いくつかの例では、例えば、センサ227xは、加速度計、圧力センサ、力センサ、またはジャイロスコープセンサであり得る。いくつかの例では、センサ227xは、MEMS技術を含むかその他の形で使用することができる。複数の異なるセンサが含まれてよく、それぞれ異なる場所に配置されてよい。いくつかの例では、センサは、剛体化可能本体203zの上、または壁および/もしくは剛体化可能本体の管腔の中を含む、剛体化可能本体の中に配置されてよい。いくつかの例では、1つまたは複数のセンサが、装置の遠位端領域に配置されてよい。
【0062】
[00075]センサ227xは、コントローラ228xに接続され得る。コントローラは、センサデータを受信、処理、記憶、および/または送信してよい。詳細には、コントローラは、センサデータならびに他のデータ(例えば、圧力/真空データ等)を使用して制御論理を適用してよい。コントローラは、1つまたは複数のプロセッサを含んでよい。コントローラは、メモリ、および有線または無線通信のための1つまたは複数の通信回路を含んでよい。いくつかの例では、コントローラは、逃がし弁229xを含むか、またはそれと通信するように構成される。例えば、コントローラは、装置の剛体化部材が十分に剛体である(例えば、印加されている正圧もしくは負圧、および/または剛体化部材内の実際の測定正圧もしくは負圧が剛体性閾値を超える)ときに、運動または力が運動閾値を超えて剛体化部材203zに加えられているかどうかを判定してよく、コントローラ228xは次いで、逃がし弁229xを開いて、デバイス200の主剛体化細長本体203zから圧力または真空を解放し、それにより主剛体化細長本体203zを可撓構成に移行させることができる。いくつかの例では、コントローラ228xは、追加としてまたは代替として、可聴の警告および/もしくは視覚的警告(点滅する光など)、または触覚による警告(振動など)をトリガすることができる。上述したように、いくつかの例では、センサ227xは、ハンドル231上にあるのではなく(またはそれに加えて)、主剛体化細長本体203z上または膨張/真空ライン244上にあることができる。
【0063】
[00076]これらの装置はいずれも、剛体化部材が充分に剛体状態にあるときにそのことを検出するように構成されたセンサを含んでよい。例えば、
図4を参照すると、いくつかの例では、剛体化装置400の壁は、その内部に埋め込まれた金属製の第1および第2の区間(例えば、細片)430x、431xを含むことができる。金属製の第1の区間430xは、金属製の第2の区間431xの径方向内側に配置され得る。開電気回路が、第1の区間430xから第2の区間431xまで延びることができる。剛体化装置400が剛体化されると(例えば、圧力間隙412への圧力の印加を介して)、ブラダー421は、第1および第2の区間430x、431xを互いに対して(そして編組層409に当てて)押すことができる。第1の区間と430x第2の区間431xの間の接触が回路をつなぐことができ、デバイス400が加圧され、したがって剛体化されたことを示す電気信号をトリガする。信号は、例えば、別個の表示画面(例えば、蛍光透視法画面、またはコンピュータ用などのモニタ)、基地局もしくはデバイス400のドックに、または照明などのデバイス400上の表示要素から、表示され得る。いくつかの例では、2つの区間430x、431xは、(壁ではなく)ハンドル内にあり、ハンドル上のアクチュエータが作動されてオン(または剛体化)位置にされると、互いと接触するように構成され得る。いくつかの例では、2つの区間430x、431xは、壁内の圧力を検出してデバイス400が加圧されていることを示すことができる、MEMSシリコン圧力センサなどの圧力感知デバイスに置き換えられ得る。
【0064】
[00077]本明細書に記載される装置は、追加としてまたは代替として、ユーザが身体内の剛体化部材を動かさないように警告するまたは動かすのを防止するために、剛体化部材が剛体になっていることを示す他のインジケータを含んでよい。例えば、
図5を参照すると、剛体化装置500は、主剛体化細長本体503zが剛体化されているときに蛍光透視法下で外観を変化させる蛍光透視マーカ532xを含むことができる。例えば、マーカ532xは、デバイス500の遠位端532yを取り囲むおよび/またはその近くに埋め込まれた放射線不透過要素(例えば、環状リングまたはワイヤ)であり得、これは、使用中に蛍光透視法によって密に追跡され得る。デバイス500が加圧されると、マーカ532xは、デバイス500の壁によって押しつぶされて形状を変えることができ、加圧の蛍光透視法視覚インジケータの役目を果たす。他の例では、マーカは、主剛体化細長本体503zの長さにわたるワイヤであり得る。他の例では、マーカは、ブラダー層上にあり得る(例えば、ブラダー上の放射線不透過インクであり得る)。他の例では、マーカは、デバイス500が加圧されるときに増大した不透過性をもって現れるような加圧流体として使用される、放射線不透過染料を含むことができる。
【0065】
[00078]これらの装置はいずれも、長手方向の動き(例えば、デバイスの長軸に沿った挿入/後退)を含む動きを防止する、制限する、および/またはそれを行わないよう警告する前に、装置の剛体化部材が、閾値を超える1つまたは複数の曲げ部または湾曲部を含むことを確認してよい。例えばこれらの装置はいずれも、細長の剛体化部材の湾曲または形状を検出するまたは判定するように構成された形状センサを含んでよい。形状センサは、例えば光ファイバー形状センサであってよい。コントローラ(形状センサデータを受信、分析してよい)が、細長の剛体化可能部材がその長さに沿って(例えば閾値の曲率半径よりも大きく)曲げられている、または湾曲していると判定した場合、コントローラは、剛体構成にある装置の抜き出しおよび/または前進を防止する、および/または警告してよく、細長の剛体化可能部材が直線構成にあるときには、直線状の前進が許可されてよい。コントローラは、装置を可撓(または準可撓)構成に移行させることにより、例えば、細長の剛体化可能部材内の圧力(正圧または負圧)を解放することにより、剛体構成での前進を防止してよい。
【0066】
[00079]これらの装置はいずれも、ロボット手段を介して並進されるように構成されてよく、ロボット手段は、同じコントローラを使用しても異なるコントローラを使用してもよい。そのような例では、コントローラは、移動の指令(および/または実際の移動)が受信および/または検出されると、剛体の細長剛体化可能部材の移動を制限または防止してよく、コントローラは、可撓構成または準剛体構成に移行するのに代えて、またはそれに加えて、指令された移動を防止または無効にしてよい。
【0067】
[00080]これらの装置のいずれにおいても、システムは、移動閾値を越える何らかの移動は許容してよい(所定の閾値内で。ただし、可撓または準剛体構成に遷移させるなどにより、移動を防止または制限してもよい)。例えば、移動閾値は、例えば剛体化部材の遠位端領域の、推定される距離の移動であってよい(例えば、1mm未満、2mm未満、3mm未満、4mm未満、5mm未満、6mm未満、7mm未満、8mm未満、9mm未満、10mm未満、等)。
【0068】
[00081]概して、本明細書に記載される動き検出および制限技術はいずれも、回転の動き(例えば、細長の剛体化可能部材の回転)に等しく適用されてよい。回転の動きを判定するために同じセンサが使用されてよい。
【0069】
[00082]
図6を参照すると、いくつかの例では、剛体化装置のハンドル631は、ドック633x上に配置されるおよび/またはドック633xにロックされるように構成され得る。剛体化装置を並進させるために、ユーザは、ハンドル631をドック633xから動かすことができる。ハンドル631がドック633xから動かされると、圧力逃がし弁がトリガされ得る、および/または警告が作動される。一例では、ハンドル631は、第1の電気接点を含むことができ、ドック633xは、第2の相手電気接点を含むことができる。剛体化装置が動かされて2つの接点の間の接続が壊されたときに、逃がし弁および/または警告が作動され得る。いくつかの例では、ドック633xは、手術用ドレープ、手術台、または患者に接続するように構成され得る。いくつかの例では、ハンドル631は、代わりに、ドレープ、手術台、または患者に配置されるおよび/またはそれらにロックされ得る(そこからの取り外しが弁の解放または警告をトリガするようにする)。いくつかの例では、ハンドル631または剛体化装置は、そこからの取り外しが弁の解放または警告をトリガするように、取付け機構(例えば、粘着ストラップ、縫合糸、クリップ、またはタイ)により、ドック633x(または手術用ドレープ、手術台、または患者)に取り付けられ得る。
【0070】
[00083]
図7を参照すると、剛体化装置700は、双安定インジケータ734xを含むことができる。双安定インジケータ734xは、デバイス700の剛体性状態についての大きく、目立つ視覚的インジケータとして機能することができる。例えば、
図7に示されるように、双安定インジケータ734xは、ハンドル731から延びる膨張可能要素であり得る。双安定インジケータ734xは、追加としてまたは代替として、主剛体化細長本体または圧力/真空入力ライン上のインライン膨張可能要素、ハンドルから延びるピストン、ハンドルの周りに延びるエアバックもしくはリング、または、圧力が印加されたときにハンドルの把持機能部を覆う膨張可能機構であり得る。双安定インジケータ734xは、入力圧力ラインからの圧力、電子信号、および/または別個の液圧式アクチュエータを介して作動され得る。
【0071】
[00084]
図8を参照すると、いくつかの例では、剛体化装置800は、デバイス800が剛体構成にあるときにユーザによって手動でハンドル831の上に置かれるように構成されたハンドルカバー835xを含むことができる。そして、ユーザは、カバー835xが取り外されるまで、剛体化装置800を並進させることを防止され得る。
【0072】
[00085]特にロボットシステムを含むこれらの装置はいずれも、これに限定されないが入れ子の剛体化部材を含む、剛体化可能部材の動きを駆動するための1つまたは複数の駆動装置を含んでよい。駆動装置は、1つまたは複数のロボットアーム、1つまたは複数のスレッド(sled)、または、回転および並進(x,y,z)の動きを含めて、装置の剛体化可能部材を1つまたは複数の方向に動かすための任意の他のアクチュエータを含んでよい。駆動装置は、複数の連動機構を含んでよい。駆動装置は、ラック・ピニオン構造として構成されてよい。駆動装置は、リニアスライド/スレッドとして構成されてよい。一部の例では、駆動装置および/またはコントローラは、剛体化可能部材および/またはドライバ自体の動きを検出・制御するための1つまたは複数のセンサを含んでよい。
【0073】
[00086]述べられたように、
図9は、ロボットシステムを含む装置の概略図の一例を示す。装置は、入れ子になった細長の剛体化可能部材900、910の対、およびコントローラ928xを含む。コントローラは、駆動装置955、ならびに正圧および/または負圧の供給源957に結合される。よって、コントローラは、1つまたは複数の剛体化可能部材の動きおよび剛体化を連係させてよい。同じコントローラまたは別のコントローラが、センサデータ(例えば、力、形状感知情報等)および/または撮像データ(例えば、カメラ画像、解剖学的構造のモデル等)を含む、ロボットシステムの情報の表示を連携させてもよい。同じコントローラまたは別のコントローラが、装置の管腔またはチャネルに挿入されたデバイスのデバイスを通じた、流体の印加および/または吸引を連係させてよい。
【0074】
[00087]
図10A~10Dは、剛体化可能部材2400、2410の入れ子になったセットを有する装置の一例を示す。これら剛体化可能部材は、本明細書に記載される特徴の任意のものを含んでよい。
図10Aで、入れ子になったシステム2400zは、外側剛体化部材2400の中に配置される、操縦可能な内側剛体化部材2410を含む。内側剛体化可能部材2410は、内側剛体化デバイス2410の遠位端が外側剛体化デバイス2400の外側に延びる、および/または後退して外側剛体化デバイス2400の中に入るように、(軸方向におよび/または回転)駆動されてよい。装置は、完全に自動化された方式でまたは半自動的な方式で、(コントローラを介して)制御を行ってよい。ユーザ(例えば、医師、技術者、看護師等)が、入れ子になった(例えば伸縮式の)剛体化可能部材の対を使用して、動き状態および剛体化状態のうち事前に定められたもの(例えば「マクロ」)を選択および/または実行することにより、ロボット装置2400zの動きおよび配置を制御してよい。
【0075】
[00088]例えば、ロボット装置を形成する剛体化可能部材のすべてまたは一部が操縦されてよい。いくつかの例では、各剛体化可能部材(または場合によっては内側の剛体化可能部材のみ)の遠位端領域が、コントローラと通信する(またはいくつかの例ではコントローラに組み込まれた)ドライバにより、近位端を押す、引く、または押すと引くの両方のために、1つまたは複数のテンドンによって操縦されてよい。圧力源(負圧および/または正圧源)が、装置に組み込まれてよい。
【0076】
[00089]
図10Bでは、内側剛体化デバイス2410の遠位端が、(例えば操縦ケーブルを介して)所望の方向/向きに曲げられ、次いで(例えば本明細書に記載されるように真空または圧力を使用して)剛体化されるものとして示されている。
図10Cでは、外側剛体化デバイス2400(可撓構成にある)が、剛体化した内側剛体化デバイス2410の上(曲がっている遠位セクションの上を含む)を前進させられる。外側剛体化デバイス2400の遠位端が内側剛体化デバイス2410の遠位端の上を充分に前進すると、次いで、外側剛体化デバイス2400が剛体化され得る(例えば、本明細書に記載されるように真空または圧力を使用して)。
図10Dでは、内側剛体化デバイス2410を、次いで可撓状態に移行させ(例えば、本明細書に記載されるように真空または圧力を除去し、先端が容易に動けるように操縦ケーブルをたるませることにより)、前進させ、望まれるように誘導する/方向付ける/操縦することができる。代替として、
図10Dでは、内側剛体化デバイス2410は、剛体化した外側チューブに加わる荷重を最小にするように、それが出て来るときに能動的に(手動により、またはコンピュータ制御により)操縦され得る。外側剛体化デバイス2400に加わる荷重を最小にすることにより、このチューブが剛体化した形状を保持することが容易になる。内側剛体化デバイス2410が剛体化されると、外側剛体化デバイス2400を可撓状態に移行させ、その上を前進させることができる(
図10Eに示されるように)。その後、このプロセスが繰り返され得る。繰り返されるプロセスは、「形状コピー」を生じさせることができ、これにより、可撓構成にある内側および外側剛体化デバイス2410、2400が、剛体構成にある方のデバイス2410、2400の形状に連続的に順応する(または形状をコピーする)。
【0077】
[00090]いくつかの例では、
図10A~Dに示されるシーケンスが完了したとき、第3の剛体化デバイスが、最初の2つの剛体化デバイス(2400、2410)に載せられ、剛体化され得る。剛体化デバイス2400および2410は、次いで抜き出され得る。第4の剛体化デバイスが、第3のチューブの内側管腔を通じて挿入され得る。この第4の剛体化デバイスは、剛体化デバイス2410よりも大きい直径および多い機能を有してよい。例えば、それは、より大きい作業チャネル、より多くの作業チャネル、より優れたカメラ、またはそれらの組み合わせを有してよい。この技術は、最終的には治療目的の大きいチューブを送達しながら、より可撓性が高く操縦しやすい傾向がある2つの小さいチューブが身体の深くに到達できるようにすることができる。代替として、上記の例で、第4の剛体化デバイスは、通常の内視鏡であり得る。
【0078】
[00091]いくつかの例では、外側剛体化デバイス2400が剛体化されてよく、次いで内側剛体化デバイス2410が取り出されてよい。例えば、剛体化デバイス2410は、カメラ、照明、および遠位の操縦セクションを備えた「ナビゲーション」デバイスであってよい。「ナビゲーション」デバイス2410は、処置と処置の間に清掃しやすいように、よく封止されてよい。第2の内側デバイスが次いで剛体化した外側デバイス2400の内部に置かれ、外側デバイス2400の遠位端を越えて前進させられてよい。第2の内側デバイスは、カメラ、照明、水、吸引、および様々な道具などの要素を備えた「治療用」チューブであってよい。「治療用」デバイスは、操縦セクションや剛体化する能力を有さなくてよく、それにより、他の機能、例えば治療を行うための道具、を含めるために治療用チューブの本体内に追加的なゆとりを与える。適所に置かれると、「治療用」チューブ上の道具を使用して、例えば人間のGI管内での粘膜切除や解剖など、身体内での治療を行ってよい。別の例では、第3のデバイスが内側チューブ2410の内部に挿入されてよい。第3のデバイスは、剛体化するものである、および/または内視鏡であってよい。
【0079】
[00092]
図9に戻り、
図9は、ロボットシステムとして構成された剛体化システム900zの例を示し、これは、剛体化システム900z(および/または入れ子になったデバイス910、900のいずれか)が動かされた場合に運動を自動的に検出し、直ちに排気するおよび/またはそれ以上の動きを阻止するように構成されるコントローラ928xに接続された、内側剛体化装置910および外側剛体化装置900を有する入れ子システムとして構成されることを含む。例えば、コントローラ928xは、可撓構成にあるときのみ内側および/または外側デバイス910、900のいずれかの並進を可能にする(そして、内側または外側デバイス910、900のいずれかが剛体化されると動きを阻止する)ことができる。
【0080】
[00093]概して、本明細書に記載される装置および方法はいずれも、ロボットシステムの一部である、および/またはロボットシステムと一体化されるように構成されてよい。詳細には、本明細書に記載される方法および装置は、1つまたは複数の他の剛体化可能部材と同軸で使用されるように構成される、1つまたは複数の入れ子の剛体化可能部材を含んでよい。剛体化可能部材(例えば「細長の剛体化可能部材」)の各々は、独立しておよび/またはまとめて剛体化されてよく、また、独立しておよび/または他の剛体化可能部材とまとめて動かされてよい。本明細書に記載される装置は、1つまたは複数の剛体化可能部材の剛体化および/または動きを連係させるためのコントローラを含んでよく、および/または、他の機能を制御するのに加えて、剛体化可能部材の動きおよび/または剛体性を制御するためにコントローラを適合してよい。代替として、複数のコントローラが使用されてよい。コントローラは、特に、複数の入力(例えば、仮想のまたは実際のボタン、ダイヤル、スライダー、ジョイスティック等)を有する入力源からのユーザ入力(例えば指令入力)に基づいて、剛体化可能部材の動きおよび剛体化を電子的に制御するように構成される電子コントローラであってよい。
【0081】
[00094]デバイスの抜き出しなどのために内側および外側デバイス910、900の両方を(前にまたは後ろに)並進させることが望まれる場合、コントローラ928xは、内側および外側デバイス910、900の両方が可撓構成にあることを確認することができる。内側または外側デバイス910、900が可撓(または剛体)構成にあるかどうかは、指令された(すなわちユーザによって設定された)システム900zの状態と、
図3~8の例で説明された機構の1つなどの別個の(および冗長な)防止機構との両方によって判定され得る。単一のチューブを有するまたは入れ子になったチューブシステムを有することを含む、これらのシステムは、手動のツールまたはロボット制御されるツールのいずれとも使用され得る。これに限定されないがロボット制御される装置を含むいくつかの例では、装置は、剛体化した状態にあるときには、装置(例えば装置の剛体化可能部材)の並進を阻止するように(例えば、ソフトウェア、ファームウェアおよび/またはハードウェアを含めることによって)構成されてよい。
【0082】
[00095]いくつかの例では、本明細書に記載される剛体化装置は、デバイスが剛体構成にあるときの持続的な可聴または視覚的インジケータを含むことができる。
【0083】
[00096]いくつかの例では、本明細書に記載される剛体化装置は、追加としてまたは代替として、ユーザがハンドルに触れたこと(例えば、ユーザが剛体化装置を並進させようとするとき)を検出するように構成された機構を含むことができる。例えば、ハンドルは、ユーザがハンドルに触れたときのインピーダンスまたは伝導の変化を(例えば、低パワーのRFエネルギーまたはキャパシタンスを介して)検出するように構成された導電性表面電極を含むことができる。ユーザの接触が検出されたときにデバイスが剛体構成にある場合、ハンドルに接続された制御システムが、信号/警告をトリガする、またはデバイスを本明細書に記載されるように可撓構成に移行させることができる。
【0084】
[00097]いくつかの例では、本明細書に記載される剛体化装置は、追加としてまたは代替として、送気装置の読み取り値が誤った可撓性の感覚を提供しないことを保証する(すなわち、剛体化装置が実際には剛体構成にあるときに可撓構成にあることを送気装置圧力が示唆するのを回避する)ように構成された機構を有することができる。例えば、剛体化装置は、デバイスに(例えば、ハンドルに)直接搭載された圧力計を含むことができる。別の例として、送気が、ハンドルの中に直接内蔵される、および/またはハンドルに直接接続され得る。コントローラは、また、または代替として、圧力計からデータを受け取ってよい。
【0085】
[00098]本明細書には編組層への圧力または真空の印加によって剛体化すると記載されるが、他の動的に剛体化する技術が可能であることが理解されるはずである。例えば、明細書に記載される剛体化装置は、相変化材料、EAP、細粒、リンク付きケーブル、連動機構付きのリンク、妨害層、静電荷、ニチノール、ならびに/または磁石および磁場の使用を介して剛体化してよい。
【0086】
[00099]上述の概念および下記でより詳しく解説される追加的な概念のすべての組み合わせ(それらの概念が相互に矛盾しなければ)は、本明細書に開示される発明の主題の一部であることが企図され、本明細書に記載される利益を実現するために使用されてよいことが認識されるべきである。
【0087】
[000100]上述されたように、本明細書に記載される方法および装置はいずれも、剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成される剛体化するシートとして構成される剛体化部材と共に使用されてよい。よって、本明細書に記載される剛体化部材は、細長の、例えば管状または円筒形の、剛体化部材に限定されず、剛体化されることが可能な可撓シート構成を有し得る剛体化可能な構造を含んでよい。例えば、
図11A~11Bは、平面状の再構成可能構造1000として構成された剛体化可能部材の断面概略図の例を示す。この例では(実際の縮尺では図示されていない)、構造1000は、封止された封鎖領域1004を備える。封止された封鎖領域1004は、上部表面および下部表面において、外面シート層1008、1008’に隣接する内側繊維ずれ安定化層1012、1012’が両側にある単一の芯1006を封鎖する。封鎖領域は、例えばエラストマーまたはプラスチック材料1003によって封鎖されてよく、外側封止容器と呼ばれてよい。真空および/または圧力ライン1010が、封止領域1004に流体接続される。真空および/または圧力ラインは、正圧または負圧が印加されるときにつぶれるのを防止するために支持されてよい。いくつかの例では、負圧(吸引)は、図示されるように装置の端部から印加される。代替としてまたは追加として、圧力は、構造内に分散されてよく、2つ以上の場所、および/または中央の場所に印加されてよい。
【0088】
[000101]
図11Bは、負圧(真空)が印加される剛体化された構成にある、請求項11Aの装置を概略的に示す。この例では、負圧が、外面シート1008、1008’を、内側繊維ずれ安定化シート1012、1012’および芯層1006に押し当てて積層させる。芯は、この軸においては相対的に非圧縮性であってよい。層(外側封止チャンバを含む)は、剛体化されていない構成のときに、緩くではあるが、平たくなって互いの上に載り得るため、
図11Aの層間の間隔は誇張されている。
【0089】
[000102]いくつかの例では、剛体化部材は、上部表面および下部表面において、外面シート層に隣接する内部繊維ずれ安定化層が両側にある単一の芯を封鎖する再構成可能な構造であってよい。追加的な(例えば第3および第4の)ずれ安定化層が外面シート層の外側に含まれてもよい。記載される装置のいずれでも、追加的なずれ安定化層は、面シートの両側に存在してよい。これは、面シートに高められたずれ性を提供し、それにより高められた剛体化を提供し得る。
【0090】
[000103]本明細書に記載される装置のいずれでも、ずれ安定化層は、芯(またはそれぞれの芯)に接合され得る。これは、面シートに関してずれ強化性をさらに提供し得る。それは、ずれ安定化層がエラストマーになり得るため、芯が可撓性を有することを可能にしながらも、より強固に取り付けられて高められたた剛体化を提供し得る。
【0091】
[000104]本明細書に記載される装置はいずれも、装置からの空気の放出を高め得る、布や、ランダムな配向の繊維でできた「ブリーザ(breather)」などの通気性材料を、(例えば、外側封止容器の内部、例えば袋1003と、層の複合スタックの外側層、例えば外面シート1008または外側ずれ層との間に)含んでよい。
【0092】
[000105]述べられたように、芯層は、明確に定められた厚みまたは断面高さを再構成可能構造に提供してよく、同時に可撓性も提供してよい。いくつかの実施形態では、芯層は、その表面に沿って不連続である材料からなる。不連続とは、材料がその表面に沿って刻み目を備えていることを指し得る。不連続とはまた、少なくとも部分的に、メッシュ、ウェブ、または網として構成された、または接続された材料のより糸(例えばハニカム)をその他の形で含む、材料を指すこともある。
【0093】
[000106]いくつかの実施形態では、芯層は、約5~100%、10~100%、15~100%、20~100%、25~100%、30~100%、35~100%、40~100%、45~100%、50~100%、55~100%、60~100%、65~100%、70~100%、75~100%、80~100%、85~100%、90~100%、10~90%、20~80%、30~70%、40~60%、45~55%等の接触面積割合を備える。いくつかの例では、芯の接触面積は低くてよい(例えば、15%未満、10%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満等)。
【0094】
[000107]いくつかの実施形態では、各芯層は、約.1~10cm、.5~10cm、.1~5cm、.5~5cm、.5~2cm、1~5cm、1~10cm、2~10cm、2~8cm、2~5cm、3~10cm、3~8cm、3~5cm、4~10cm、4~8cm、4~5cm、5~10cm等の厚みを備える。複数の芯層が使用されてよく、それらはずれ安定化層によって隔てられてよい。合計の芯厚みは大きくてよい。例えば、合計の芯(または芯領域)は、0.1cm~50cmの間(例えば、0.1cm~40cmの間、1cm~35cmの間、1cm~31cmの間、1cm~25cmの間、1cm~16cmの間等)の厚みを有してよい。
【0095】
[000108]
図11C~11Eは、剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成され、かつ、剛体化部材が剛体構成にあるときに剛体化部材が動くのを防止または制限するために本明細書に記載されるように構成される、剛体化部材1000のシートとして構成された剛体化部材を示す。例えば、装置は、剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するように構成された1つまたは複数のセンサを含んでよく、また、センサから入力を受け取るコントローラ1028xを含んでよく、コントローラは、剛体化可能部材が剛体構成にあるとき、およびセンサが閾値を越える剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するときを判定し、保護反応をトリガするように構成され、保護反応は、警報を発すること、および剛体化可能部材を剛体構成から可撓構成または準剛体構成に転換すること、の1つまたは複数である。
【0096】
[000109]例えば、
図11Cは、剛体化部材を剛体化させる前にある形状を形成するように容易に操作され得る材料の可撓性かつ順応性のシートを形成する、可撓(剛体化されていない)構成にある剛体化部材1000を示す。例えば、
図11Dでは、剛体化部材1000を形成する可撓シートは、円筒形構造1300の端部の上に置かれ、円筒形構造に順応するようにされている。コントローラ1028xによって圧力(例えば負圧)が印加され、制御されてよく、それにより剛体化部材は、
図11Eに示されるように円筒1300の形状で剛体化する1000’。この構成で、コントローラは、上記で説明されたように、剛体化された部材1000’に加えられる動きまたは力を検出するように構成されてもよい。
図11Eでは、円筒は、剛体化部材の下から取り除かれてよいが1312、剛体化部材は、それが動かされるのを防止するようにその他の形で構成されてよい。場合によっては、装置または方法は、剛体になっている剛体化可能部材を構造の上から、または身体の外に抜き出す、または取り出すなどのために、剛体になっている剛体化された部材が特定の定められる経路で動かされることを許容するように構成されてよく、ここでは、1つまたは複数のセンサおよび/またはユーザが、構造が、剛体構成にある剛体化部材と干渉しないことを検出することができる。いくつかの例では、コントローラは、圧力を解放してよい(剛体化部材を剛体段階から可撓段階または準剛体段階へ転換する)。
【0097】
[000110]本明細書に記載されるおよび/または説明されるプロセスパラメータおよびステップの順序は、単に例として与えられるものであり、必要に応じて異ならせることが可能である。例えば、本明細書に説明および/または記載されるステップは、特定の順序で図示または解説されることがあるが、それらのステップは必ずしも説明または解説される順序で行われる必要はない。本明細書に記載および/または説明される様々な例示的方法はまた、本明細書に記載または説明されるステップの1つまたは複数を省略してもよく、または開示されるものに加えて追加的なステップを含んでもよい。
【0098】
[000111]本明細書に記載される方法(ユーザインターフェースを含む)はいずれも、ソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェアとして実施されてよく、また、プロセッサ(例えばコンピュータ、タブレット、スマートフォン等)によって実行されることが可能な命令のセットを記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体として説明されてよく、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、これらに限定されないが、表示するステップ、ユーザと通信するステップ、分析するステップ、パラメータ(タイミング、周波数、強度等)を変更するステップ、判定するステップ、警告するステップなどを含むステップのいずれかを制御させるかまたは行わせる。例えば、本明細書に記載される方法はいずれも、少なくとも部分的には、方法のプロセスのための命令のセットを記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を格納するメモリを有する1つまたは複数のプロセッサを含む装置によって行われてよい。
【0099】
[000112]様々な実施形態は、本明細書において完全に機能するコンピューティングシステムの文脈で記載および/または説明されたが、これらの例示的実施形態の1つまたは複数は、配布を実際に実施するために使用されるコンピュータ可読媒体の特定の種類に関係なく、各種形態のプログラム製品として配布されてよい。本明細書に開示される実施形態は、特定のタスクを行うソフトウェアモジュールを使用して実施されてもよい。これらのソフトウェアモジュールは、スクリプト、バッチ、またはコンピュータ可読記憶媒体またはコンピューティングシステムに記憶され得るその他の実行ファイルを含んでよい。いくつかの実施形態では、これらのソフトウェアモジュールは、本明細書に開示される例示的実施形態の1つまたは複数を行うようにコンピューティングシステムを構成してよい。
【0100】
[000113]本明細書に記載される場合、本明細書に記載および/または説明されるコンピューティングデバイスおよびシステムは、本明細書に記載されるモジュールに収められているものなどのコンピュータ可読命令を実行することが可能な任意の種類または形態のコンピューティングデバイスまたはシステムを広く表す。その最も基本的な構成で、これらのコンピューティングデバイスは各々、少なくとも1つのメモリデバイスおよび少なくとも1つの物理的プロセッサを備え得る。
【0101】
[000114]本明細書で使用される用語「メモリ」または「メモリデバイス」は該して、データおよび/またはコンピュータ可読命令を記憶することが可能な任意の種類または形態の揮発性または不揮発性記憶装置または媒体を表す。一例では、メモリデバイスは、本明細書に記載されるモジュールの1つまたは複数を記憶、ロード、および/または保持することができる。メモリデバイスの例は、制限なく、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、光ディスクドライブ、キャッシュ、これらの1つまたは複数の変形もしくは組み合わせ、または任意の他の好適な記憶メモリを含む。
【0102】
[000115]加えて、本明細書で使用される用語「プロセッサ」または「物理プロセッサ」は概して、コンピュータ可読命令を解釈および/または実行することが可能な、任意の種類または形態のハードウェア実装の処理装置をいう。一例では、物理的プロセッサは、上記のメモリデバイスに記憶されている1つまたは複数のモジュールにアクセスする、および/またはそれに変更を加えてよい。物理的プロセッサの例は、制限なく、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央演算処理装置(CPU)、ソフトコアプロセッサを実装するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途集積回路(ASIC)、これらの1つまたは複数の部分、それらの1つまたは複数の変形もしくは組み合わせ、または任意の他の好適な物理プロセッサを含む。
【0103】
[000116]別々の要素として説明されるが、本明細書に記載および/または説明される方法ステップは、単一アプリケーションの各部分を表してよい。加えて、いくつかの実施形態では、これらステップの1つまたは複数は、コンピューティングデバイスによって実行されたときに、方法ステップなどの1つまたは複数のタスクをコンピューティングデバイスに行わせ得る1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションまたはプログラムを表すかまたはそれに対応してよい。
【0104】
[000117]加えて、本明細書に記載されるデバイスの1つまたは複数は、データ、物理デバイス、および/または物理デバイスの表現を、ある形態から別の形態に変容させてよい。追加としてまたは代替として、本明細書に述べられるモジュールの1つまたは複数は、コンピューティングデバイスで実行される、コンピューティングデバイスにデータを記憶する、および/またはその他の形でコンピューティングデバイスと相互作用することにより、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、および/または物理的コンピューティングデバイスの任意の他の部分を、ある形態のコンピューティングデバイスから別の形態のコンピューティングデバイスに変容させてよい。
【0105】
[000118]本明細書で使用される用語「コンピュータ可読媒体」は概して、コンピュータ可読命令を記憶または担持することが可能な任意形態のデバイス、キャリア、または媒体をいう。コンピュータ可読媒体の例は、制限なく、搬送波などの伝送型の媒体、および磁気記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ、テープドライブ、およびフロッピーディスク)、光学記憶媒体(例えばコンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、およびBLU-RAYディスク)、電子記憶媒体(例えば、ソリッドステートドライブおよびフラッシュ媒体)などの非一過性の媒体、およびその他の配布システムを含む。
【0106】
[000119]当業者は、本明細書に開示されるプロセスまたは方法は多くのやり方で変更されてよいことを認識するであろう。本明細書に記載および/または説明されるプロセスパラメータおよびステップの順序は、単なる例として与えられるものであり、必要に応じて異ならせることが可能である。例えば、本明細書に説明および/または記載されるステップは、特定の順序で図示または解説されることがあるが、それらのステップは必ずしも説明または解説される順序で行われる必要はない。
【0107】
[000120]本明細書に記載および/または説明される様々な例示的方法はまた、本明細書に記載または説明されるステップの1つまたは複数を省略してもよく、または開示されるものに加えて追加的なステップを含んでもよい。さらに、本明細書に開示される方法のステップは、本明細書に開示される任意の他の方法の1つまたは複数のステップと組み合わせられ得る。
【0108】
[000121]本明細書に記載されるプロセッサは、本明細書に開示される任意の方法の1つまたは複数のステップを行うように構成され得る。代替としてまたは組み合わせて、プロセッサは、本明細書に開示され1つまたは複数の方法の1つまたは複数のステップを組み合わせるように構成され得る。
【0109】
[000122]ある特徴または要素が本明細書において他の特徴または要素の「上」にあると言及される場合、それは、他の特徴または要素の上に直接あっても、または介在する特徴および/または要素が存在していてもよい。対して、ある特徴または要素が他の特徴または要素の「直接上」にあると言及される場合は、介在する特徴や要素は存在していない。また、ある特徴または要素が別の特徴または要素に「接続されている」、「取り付けられている」、または「結合されている」と言及される場合、それは、別の特徴または要素に直接接続される、取り付けられる、または結合され得るか、または介在する特徴または要素が存在することも理解されるであろう。対して、ある特徴または要素が別の特徴または要素に「直接接続されている」、「直接取り付けられている」、または「直接結合されている」と言及される場合は、介在する特徴や要素は存在していない。一つの実施形態に関して説明または図示されるが、そのように説明または図示される特徴および要素は、他の実施形態にも該当し得る。また、当業者には、別の特徴に「隣接して」配設される構造または特徴の言及は、その隣接する特徴の上にあるまたは下にある部分を有してよいことも認識されるであろう。
【0110】
[000123]本明細書で使用される術語は、単に特定の実施形態を説明する目的であり、本発明を制限することは意図されない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のように指示しない限り、複数形も含むことが意図される。さらに、用語「~を備える」および/または「~を備えている」は、本明細書において使用される場合、述べられる特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在および追加を排除しないことが理解されるであろう。本明細書において使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙された項目のうち1つまたは複数のあらゆる組み合わせを含み、「/」と略されることがある。
【0111】
[000124]「~の下方」、「~の下」、「下部の」、「~の上」、「上部の」などの空間的に相対的な語は、本明細書において、図に示されるある要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係を説明するために、説明の便宜上使用される。空間的に相対的な語は、図に描かれた向きに加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる向きを包含することが意図されることが理解されるであろう。例えば、図中のデバイスがひっくり返された場合、他の要素または特徴の「下に」または「下方に」あると記載される要素は、当該他の要素または特徴の「上」を向くことになる。よって、「~の下に」という例示的な語は、上と下の両方の向きを包含することができる。デバイスは、その他の向きにされてよく(例えば90度または他の向きに回転される)、本明細書において使用される空間的に相対的な記述語はそれに応じて解釈される。同様に、用語「上方に」、「下方に」、「縦方向の」、「水平方向の」などは、本明細書において、断らない限り、単に説明の目的で使用される。
【0112】
[000125]用語「第1の」および「第2の」は本明細書において様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明するために使用されることがあるが、それらの特徴/要素は、文脈が明らかに他のように指示しない限り、それらの語によって制限されるべきではない。これらの語は、ある特徴/要素を別の特徴/要素から区別するために使用されることがある。よって、本発明の教示から逸脱することなく、下記で解説される第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ばれることも可能であり、同様に下記で解説される第2の特徴/要素は、第1の特徴/要素と呼ばれることも可能である。
【0113】
[000126]本明細書および以下の特許請求の範囲全体を通じて、文脈が他のように要求しない限り、単語「~を備える」ならびに「~を備えている」および「~を備えた」などの変形は、様々な構成要素が、方法および物品(例えば、デバイスおよび方法を含む構成および装置)において共同して用いられることが可能であることを意味する。例えば、用語「~を備えた」は、任意の述べられる要素またはステップの包含を示唆するが、他の要素またはステップの除外は示唆しないと理解されるものとする。
【0114】
[000127]概して、本明細書に記載される装置および方法はいずれも包含的なものと理解されるべきであるが、構成要素および/またはステップのすべてまたはサブセットは、代替として、排他的であることもあり、様々な構成要素、ステップ、下位構成要素、または下位ステップ「~からなる」または代替として「基本的に~からなる」と表現されることもある。
【0115】
[000128]例で使用される場合を含め、また断らない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、すべての数は、その語が明示的に現れていなくとも、単語「約」または「およそ」が前にあるものとして読まれてよい。表現「約」または「およそ」は、記載される値および/または位置が、値および/または位置の妥当な予想範囲内にあることを意味するために大きさおよび/または位置を説明する際に使用されることがある。例えば、数値は、述べられる値(または値の範囲)の+/-0.1%、述べられる値(または値の範囲)の+/-1%、述べられる値(または値の範囲)の+/-2%、述べられる値(または値の範囲)の+/-5%、述べられる値(または値の範囲)の+/-10%等である値を有してよい。また、本明細書に与えられる数値は、文脈が他のように指示しない限り、約またはおよそその値を含むものと理解されるべきである。例えば、値「10」が開示される場合は、「約10」も開示される。本明細書に述べられる数値範囲はいずれも、その中に包摂されるすべての下位範囲を含むことが意図される。また、ある値「以下」であるとして値が開示されるときは、当業者によって適切に理解されるように、「その値以上」および値の間の可能な範囲も開示されることが理解される。例えば、値「X」が開示される場合は、「X以下」ならびに「X以上」(例えばXが数値である場合)も開示される。また、本願全体を通じて、データはいくつかの異なる形式で提供されること、およびこのデータは終点と始点ならびにデータ点の任意の組み合わせの範囲を表すことが理解される。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点「15」が開示される場合、10および15よりも大きい、それら以上、それら未満、それら以下、およびそれらに等しいこと、ならびに10~15の間が開示されるとみなされることが理解される。また、2つの特定の単位間の各単位も開示されることが理解される。例えば、10および15が開示される場合には、11、12、13、および14も開示される。
【0116】
[000129]様々な例示的実施形態が上記に説明されたが、特許請求の範囲によって記載される本発明の範囲から逸脱することなく、複数の変更の任意のものが様々な実施形態に行われてよい。例えば、様々な記載される方法ステップが行われる順序は、しばしば、代替の実施形態において変更されてよく、他の代替実施形態では、1つまたは複数の方法が全く省略されてもよい。様々なデバイスおよびシステム実施形態の任意選択の特徴は、一部の実施形態には含まれ、他の実施形態には含まれないことがある。したがって、上述の説明は主として例示の目的で提供されたものであり、本発明の範囲は特許請求の範囲に述べられるため、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【0117】
[000130]本明細書に含まれる例および例示は、制限ではなく例示として、主題が実施され得る特定の実施形態を示す。述べられたように、他の実施形態が利用され、そこから導出されてよく、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更が加えられてよい。発明の主題のそのような実施形態は、本明細書において、単なる便宜のために、そして、実際には2つ以上が開示される場合に本願の範囲をいずれかの単一の発明または発明概念に自発的に制限する意図なく、個々にまたはまとめて「発明」という語によって参照されることがある。よって、特定の実施形態が本明細書に説明され記載されたが、同じ目的を達成すると予想される任意の構成が、示される特定の実施形態に関して代用されてよい。この開示は、様々な実施形態のあらゆる改変例および変形例を網羅することが意図される。本明細書に具体的には記載されない、上記の実施形態および他の実施形態の組み合わせが、上記の説明を考察すると当業者に明らかになろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成された剛体化可能部材と、
前記剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するように構成されたセンサと、
前記センサから入力を受け取るコントローラと、
を備え、前記コントローラは、前記剛体化可能部材が剛体構成にあるとき、および前記センサが閾値を越える前記剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するときを判定し、保護反応をトリガするように構成され、前記保護反応は、警報を発すること、および前記剛体化可能部材を前記剛体構成から前記可撓構成または準剛体構成に転換すること、の1つまたは複数である、装置。
【請求項2】
前記剛体化可能部材が、複数の層と、前記複数の層と流体連通している入口であって、真空または正圧の供給源に結合するように構成された入口と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記剛体化可能部材が、正圧または真空の印加によって前記剛体構成と前記可撓構成との間で転換するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記センサが加速度計を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記センサが力センサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記センサが前記剛体化可能部材上にある、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記センサが、前記剛体化可能部材のハンドル上にある、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
センサが、並進の動きまたは回転の動きのいずれかまたは両方を検出するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記剛体化可能部材内の圧力または前記剛体化可能部材に印加される圧力を検出するように構成された圧力センサをさらに備え、前記コントローラは、前記剛体化可能部材が剛体であるときを前記圧力センサに基づいて判定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラが、可聴信号および/または可視信号を発することを含む保護反応をトリガするように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記コントローラが、前記剛体化可能部材を前記剛体構成から前記可撓構成に転換することを含む保護反応をトリガするように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラが、前記剛体化可能部材の位置をロックすることを含む保護反応をトリガするように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記コントローラと連通している逃がし弁をさらに備え、前記コントローラは、前記保護反応の一部として前記逃がし弁を開くように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記剛体化可能部材がオーバーチューブを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
複数の層を備える細長の剛体化可能部材であって、正圧または負圧の印加によって剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成される、細長の剛体化可能部材と、
前記細長の剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するように構成されたセンサと、
前記センサから入力を受け取るコントローラと、
を備え、前記コントローラは、前記剛体化可能部材が剛体構成にあるとき、および前記センサが閾値を越える前記細長の剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するときを判定し、真空または正圧を解放して前記剛体化可能部材を前記剛体構成から前記可撓構成または準剛体構成に転換することを含む保護反応をトリガするように構成される、装置。
【請求項16】
剛体構成と可撓構成との間で転換するように構成される剛体化部材を有する剛体化装置を動作させる方法であって、
前記剛体化部材が前記剛体構成にあることを判定するステップと、
前記剛体化可能部材の動きを示す力または加速度を検出するステップと、
自動的に保護反応をトリガするステップであって、前記保護反応が、前記剛体化可能部材を前記剛体構成から前記可撓構成または準剛体構成に転換すること、および警報を発すること、の1つまたは複数である、ステップと、を含む方法。
【請求項17】
前記剛体化部材が前記剛体構成にあることを判定するステップが、前記剛体化部材内の圧力をコントローラで検出することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記剛体化部材が前記剛体構成にあることを判定するステップが、前記剛体化部材内の圧力が閾値を上回ると判定することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記剛体化可能部材の動きを示す前記力または加速度を検出するステップが、回転の動きおよび/または並進の動きを示す力または加速度を検出することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
自動的に前記保護反応をトリガするステップが、可聴信号および/または可視信号を発することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
自動的に前記保護反応をトリガするステップが、前記剛体化可能部材を前記剛体構成から前記可撓構成に転換することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
自動的に前記保護反応をトリガするステップが、前記剛体化可能部材の位置をロックすることを含む、請求項16に記載の方法。
【国際調査報告】