(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】免疫調節剤として使用するためのアミノチオールエステル化合物又はその誘導体
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5375 20060101AFI20240130BHJP
A61K 31/265 20060101ALI20240130BHJP
A61K 31/27 20060101ALI20240130BHJP
A61K 31/4402 20060101ALI20240130BHJP
A61K 31/4406 20060101ALI20240130BHJP
A61K 31/4409 20060101ALI20240130BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20240130BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240130BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240130BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240130BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240130BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240130BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240130BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240130BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240130BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240130BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240130BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240130BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240130BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240130BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240130BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240130BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240130BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240130BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20240130BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20240130BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20240130BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240130BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240130BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240130BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240130BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240130BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240130BHJP
C07C 327/22 20060101ALN20240130BHJP
C07D 213/30 20060101ALN20240130BHJP
C07D 207/12 20060101ALN20240130BHJP
C07D 207/08 20060101ALN20240130BHJP
C07D 295/145 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
A61K31/5375
A61K31/265
A61K31/27
A61K31/4402
A61K31/4406
A61K31/4409
A61K31/40
A61P37/02
A61P37/04
A61P43/00 107
A61P31/00
A61P29/00
A61P37/06
A61P17/02
A61P3/00
A61P35/00
A61P17/00
A61P15/00
A61P11/00
A61P13/08
A61P1/18
A61P1/04
A61P35/02
A61P1/16
A61P1/02
A61P11/02
A61P11/04
A61P13/12
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K9/16
A61K47/14
A61K47/22
A61K47/34
C07C327/22
C07D213/30
C07D207/12
C07D207/08
C07D295/145
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546124
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2022052138
(87)【国際公開番号】W WO2022162196
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518443845
【氏名又は名称】アドヴァンスト・バイオデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミレイディ・ペレス
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・マルタン
【テーマコード(参考)】
4C055
4C076
4C084
4C086
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA01
4C055BA02
4C055BA06
4C055BA16
4C055BB02
4C055BB10
4C055CA01
4C055CA02
4C055CA06
4C055CA16
4C055CB02
4C055CB10
4C055DA01
4C055DA06
4C055DA16
4C055DB02
4C055DB10
4C076AA31
4C076BB13
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC10
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC19
4C076CC21
4C076CC26
4C076CC27
4C076CC31
4C076DD46
4C076DD61
4C076EE23
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB092
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC07
4C086BC17
4C086BC73
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA38
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA10
4C086NA14
4C086ZA34
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB02
4C086ZB07
4C086ZB08
4C086ZB09
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZB22
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB31
4C086ZC21
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JA66
4C206KA01
4C206KA04
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA58
4C206MA86
4C206NA05
4C206NA10
4C206NA14
4C206ZA34
4C206ZA59
4C206ZA66
4C206ZA67
4C206ZA75
4C206ZA81
4C206ZA89
4C206ZB02
4C206ZB07
4C206ZB08
4C206ZB09
4C206ZB11
4C206ZB21
4C206ZB22
4C206ZB26
4C206ZB27
4C206ZB31
4C206ZC21
4C206ZC75
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006TN10
4H006TN30
4H006TN50
(57)【要約】
本発明は、対象において免疫応答を調節するのに使用するためのアミノチオールエステル化合物に関する。特に、前記化合物は、脂質ナノカプセル剤に含まれる。本発明は更に、少なくとも1種のアミノチオールエステル化合物及び免疫チェックポイント阻害剤を含む医薬組成物及び併用生成物、並びにがんの治療のためのその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における免疫応答の調節に使用するための、式(I):
【化1】
[式中、
- R
1及びR
2は、同一又は異なり、C
1~C
10アルキル基、フェニル、ベンジル、CHR
5CHR
6OR
4及び(CHR
5)
vOR
4の中から選択され、又はR
1及びR
2は、連結されている窒素原子と一緒に、ヘテロ環、特にピペリジン又はモルホリンを形成し、
前記フェニル及びベンジルは、直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルキル、ハロゲン、NO
2及びCONH
2から選択される、1個又は複数の置換基で場合により置換されており、
- R
3は、直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルキルから選択され、
- R
4は、H、直鎖又は分枝鎖(C
2~C
7)アルキル、直鎖又は分枝鎖(C
2~C
7)アルケニル、-CONR
7R
8、アリール、ヘテロアリール、(C
2~C
7)シクロアルキル、直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルキル-アリール及び直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルキル-ヘテロアリールから選択され、
前記アリール、(C
2~C
7)シクロアルキル及びヘテロアリールは、ハロゲン、1個若しくは複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖若しくは分枝鎖(C
1~C
7)アルキル、1個若しくは複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖若しくは分枝鎖(C
1~C
7)アルコキシ、-COOH、アリール、-NRR'、-NO
2から選択される、1個若しくは複数の置換基で場合により置換されており、又は前記アリール及びヘテロアリールは、場合により縮合されてヘテロシクロアルキルを形成し、
- R
5及びR
6は、同一又は異なり、独立して以下から選択され:
・ H及び直鎖若しくは分枝鎖(C
1~C
7)アルキルである、又は
・ R
5及びR
6は一緒に連結されて、それらが結合している炭素原子とともに、シクロアルキル、アリール若しくはヘテロアリールを形成する、又は
・ R
5がHであり且つR
1とR
6が一緒に連結されて、R
1に連結されている窒素原子とともに、ヘテロシクロアルキル若しくはヘテロアリールを形成する、又は
・ R
6がHであり且つR
1とR
5が一緒にR
1に連結されて、R
1に連結されている窒素原子とともに、ヘテロシクロアルキルを形成する、
- vは2~4から選択され、
- R
7は-(C
1~C
3)アルキルであり、
- R
8は-(C
1~C
3)アルキルNRR'であり、
- R及びR'が、同一又は異なり、H及び直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルキルから独立して選択される]
の少なくとも1種の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体。
【請求項2】
R
3が直鎖若しくは分枝鎖(C
1~C
7)アルキル、好ましくはメチルであり、R
1が直鎖若しくは分枝鎖(C
1~C
7)アルキル、好ましくはメチルであり、R
2がC
1~C
10アルキル基、好ましくはメチル、CHR
5CHR
6OR
4、(CHR
5)
vOR
4であり、又はR
1及びR
2が連結されている窒素原子と一緒にヘテロ環、特にモルホリンを形成し、R
5及びR
6がHである、請求項1に記載の使用するための少なくとも1種の化合物。
【請求項3】
R
5及びR
6がHであり、R
4が、(C
2~C
7)シクロアルキル、直鎖若しくは分枝鎖(C
1~C
7)アルキル-ヘテロアリール、又はベンジルから選択され;好ましくはベンジルであり;前記(C
2~C
7)シクロアルキルが、直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルキルから選択される1個又は複数の置換基で置換されており;前記ベンジルが、1個又は複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルキル、1個又は複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルコキシ、ハロゲンから選択される、1個又は複数の置換基で場合により置換されている、請求項1又は2に記載の使用するための少なくとも1種の化合物。
【請求項4】
前記式(I)の少なくとも化合物が、以下:
- S-メチル4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-アリルオキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-ベンジルオキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(m-トリルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(3,4-ジメチルフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(4-メトキシフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(3,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(3-クロロフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(2-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(3-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(4-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-((4-(ベンジルオキシ)ブチル)(メチル)アミノ)-4-メチルペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-((2-ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)-4-メチルペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(2-ナフチルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-[(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)メトキシ]エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル2,5,10,11,11-ペンタメチル-6-オキソ-7-オキサ-2,5,10-トリアザテトラデカ-12-イン-14-チオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル(2-フェノキシシクロペンチル)アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- (S)-S-メチル4-(2-((ベンジルオキシ)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-メチルペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[3(ベンジルオキシ)-1ピロリジニル])-4-メチルペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル1-4-ジメチルアミノ-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル5-4-メチル-4-モルホリン-4-イル-ペンタ-2-インチオエート;
- Sメチル4-メチル-4-[メチル(オクチル)アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用するための少なくとも1種の化合物。
【請求項5】
前記式(I)の少なくとも1種の化合物が脂質ナノカプセル剤に含まれる、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用するための少なくとも1種の化合物。
【請求項6】
前記脂質ナノカプセル剤が
- ナノカプセル剤の総質量に対して25~90質量%、好ましくは60~80%の中鎖トリグリセリド、及び前記式(I)の少なくとも1種の化合物を含む、油状コア;並びに
- ナノカプセル剤の総質量に対して3~25質量%の少なくとも1種の脂質界面活性剤、及び少なくとも1種の親水性界面活性剤を含む、油状コアを包囲するシェル;
を含み、
中鎖トリグリセリドと前記式(I)の少なくとも1種の化合物との間のナノカプセル剤の総質量に対する質量比が、少なくとも4である、
請求項5に記載の使用するための少なくとも1種の化合物。
【請求項7】
前記式(I)の少なくとも1種の化合物又は前記脂質ナノカプセル剤が医薬組成物に含まれる、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用するための少なくとも1種の化合物。
【請求項8】
対象における免疫応答の刺激のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用するための少なくとも1種の化合物。
【請求項9】
特に好中球の成熟化及び/又は活性化の刺激及び促進を介して感染性病変を治療及び/又は予防するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用するための少なくとも1種の化合物。
【請求項10】
特に炎症を起こす創傷治癒及び/又は組織修復;自己免疫性の病的状態及び/又は代謝性疾患を治療及び/又は予防するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用するための少なくとも1種の化合物。
【請求項11】
前記式(I)の少なくとも1種の化合物が免疫チェックポイント阻害剤と組み合わされる、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用するための少なくとも1種の化合物。
【請求項12】
請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも1種の化合物及び免疫チェックポイント阻害剤を含む、医薬組成物。
【請求項13】
医薬として経時的に同時に使用、分離又は拡散するための、合わせた調合剤として請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも1種の化合物及び免疫チェックポイント阻害剤を含む、生成物。
【請求項14】
がんの予防及び/又は治療に使用するための、請求項12に記載の医薬組成物又は請求項13に記載の生成物。
【請求項15】
前記がんが、黒色腫、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵がん、結腸がん、急性骨髄性白血病、肝細胞癌、扁平上皮細胞頭頚部がん、腎細胞癌、子宮頚部癌、メルケル細胞癌、PMBCL、古典的ホジキンリンパ腫、胃及びGEJ癌から選択される、請求項14に記載の使用するための医薬組成物又は生成物。
【請求項16】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、TIGIT、TIM-3、LAG-3 CD160及び2B4化合物から、特にPD1/PDL1化合物から選択される、請求項11に記載の使用するための少なくとも1種の化合物、請求項12に記載の医薬組成物、請求項13に記載の生成物、又は請求項14若しくは15に記載の使用するための医薬組成物若しくは生成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象における免疫応答の調節に使用するためのアミノチオールエステル化合物に関する。特に、前記化合物は、脂質ナノカプセル剤に含まれる。本発明は更に、少なくとも1種のアミノチオールエステル化合物及び免疫チェックポイント阻害剤を含む医薬組成物及び併用生成物、並びにがんの治療のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫応答の調節は、多くの疾患に対する重要な治療軸である。実際に、例えば感染症に罹患している患者における免疫応答を改善することは重要である。
【0003】
更に、免疫応答の刺激は、多くの点で重要なメカニズムである。
【0004】
好中球は、先天性免疫応答の不可欠な一部と長らく考えられている。実際に、好中球は、細菌、寄生虫、ウイルス及び真菌病原体を含有及び排除するその能力による宿主の生存に不可欠な第1のレスポンダー細胞として歴史的に特徴付けられている(Witter AR、Okunnu BM、Berg RE. The Essential Role of Neutrophils during Infection with the Intracellular Bacterial Pathogen Listeria monocytogenes. J Immunol. 2016年; 197(5):1557~1565頁)。感染性状態の下、顆粒球生成は増大し、好中球は循環内に、次いで感染の抹消部位に動員される。
【0005】
好中球で発現される特異的な接着分子としては、LFA-1(CD11a/CD18)及びMac-1(CD11b/CD18、CR3)が挙げられる。LFA-1発現は、細菌負荷の増加をもたらす感染の部位への好中球動員を制限し、Mac-1、特にCD11b成分は、好中球動員及び感染の制御に必須である(Witter AR、Okunnu BM、Berg RE. The Essential Role of Neutrophils during Infection with the Intracellular Bacterial Pathogen Listeria monocytogenes. J Immunol. 2016年; 197(5):1557~1565頁)。
【0006】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、以下に記載される式(I)のアミノチオールエステル化合物が好中球の成熟化及び活性化を刺激及び促進し、感染性病変を治療及び/又は予防することを可能にすることを見出している。
【0007】
更に、マクロファージは、先天性免疫の最前線の兵士と考えられている。それらの免疫監視の役割により、マクロファージは、ウイルス、微生物及び寄生虫抗原、免疫複合体、並びにアポトーシス又は壊死細胞から、他の細胞により放出される様々なメディエーターにわたる広範囲の刺激を感知する(Roszer T. Understanding the Mysterious M2 Macrophage through Activation Markers and Effector Mechanisms. Mediators Inflamm. 2015;2015年:816460)。これらが感知する刺激に応答して、マクロファージは活性化されることで、病原体と戦い、免疫調整の役割を発揮し、組織の完全性を維持することが可能になる(F.O.Martinez及びS. Gordon、「The M1 and M2 paradigm of macrophage activation: time for reassessment」、F1000Prime Reports、第6巻、論文13、2014年)。最近の十年間に、2個の逆の状態: M1又は古典的活性化及びM2又は代替的活性化に向かった分極としてマクロファージ活性化の複雑なメカニズムを説明するモデルが開発されている(F.O.Martinez及びS. Gordon、「The M1 and M2 paradigm of macrophage activation: time for reassessment」、F1000Prime Reports、第6巻、論文13、2014年)。
【0008】
M2マクロファージは、細胞外マトリックス(ECM)成分、血管形成及び走化性因子、並びにIL-10を生成する高い食作用能力を有する(L. Fuentes、T. Roszer、及びM. Ricote、「Inflammatory mediators and insulin resistance in obesity: role of nuclear receptor signaling in macrophages」、Mediators of Inflammation、第2010巻、論文ID 219583、10頁、2010年)。病原体抵抗性に加え、M2マクロファージはアポトーシス細胞を除去し、炎症応答を軽減でき、創傷治癒を促進する(A. Sica及びA. Mantovani、「Macrophage plasticity and polarization: in vivo veritas」、The Journal of Clinical Investigation、第122巻、第3号、787~795頁、2012年)。驚くべきことではないが、これらは、抗炎症性、炎症収束(pro-resolving)、創傷治癒、組織修復、及び栄養又は調節性のマクロファージとして現在の文献で広く称され、M1活性化マクロファージの良性の反対のものとして考えられている(J. W. Pollard、「Trophic macrophages in development and disease」、Nature Reviews Immunology、第9巻、第4号、259~270頁、2009年)。また、M2マクロファージは、炎症以外の複雑な役割、例えば臓器の形態形成、組織の代謝回転、及び内分泌シグナル伝達を有する(J. W. Pollard、「Trophic macrophages in development and disease」、Nature Reviews Immunology、第9巻、第4号、259~270頁、2009年; F.O.Martinez及びS. Gordon、「The M1 and M2 paradigm of macrophage activation: time for reassessment」、F1000Prime Reports、第6巻、論文13、2014年; S. J. Forbes及びN. Rosenthal、「Preparing the ground for tissue regeneration: from mechanism to therapy」、Nature Medicine、第20巻、857~869頁、2014年; E. Muraille、O. Leo、及びM. Moser、「TH1/TH2 paradigm extended: macrophage polarization as an unappreciated pathogen-driven escape mechanism?」Frontiers in Immunology、第5巻、論文603、2014年)。これらのM2マクロファージの分担は生物医学的な影響を有する。例えば、一部の組織常在性マクロファージ、例えばクッパー細胞及び脂肪組織マクロファージのM2様状態を持続することは、炎症メディエーターの生成を漸減し、したがって、なかでも、自己免疫障害、例えば関節リウマチ、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬、並びに代謝炎症性疾患、例えばアテローム性動脈硬化症、2型糖尿病、慢性腎臓病、非アルコール性脂肪肝疾患、並びに脂肪組織、肝臓、骨格筋、膵臓、腸、及び視床下部等の重要な代謝組織に影響を及ぼす内臓肥満を含む肥満を治療する治療的アプローチであり得る。最後に、M2マクロファージがまた臓器発生、組織の代謝回転、及び血管形成における不可欠なプレーヤーであるので、M2マクロファージの組織再構築活性は、再生医療で潜在的な使用を有する。
【0009】
組織修復及び再生との関連において、制御されない炎症の大きさ及び期間は再生を妨げ、例えば、関節リウマチ等の慢性炎症環境は再生を遅らせる。TRAF6は、関節リウマチの場合のような自己免疫障害を含む宿主防御及び炎症性疾患での17型免疫応答を引き起こし、伝播させる中心的な因子であると考えられている(Teruki Dainichi、Reiko Matsumoto、Alshimaa Mostafa、Kenji Kabashima、「Immune Control by TRAF6-Mediated Pathways of Epithelial Cells in the EIME(Epithelial Immune Microenvironment)」、Front Immunol、16;10:1107、2019年)。TRAF6はまた、NF-kB経路の中枢のメディエーターであり、免疫及び炎症応答並びに腫瘍形成に関連する遺伝子の誘導に重要である。
【0010】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、以下に記載される式(I)のアミノチオールエステル化合物が単球関連マクロファージの動態化を誘導し、M2型マクロファージを活性化できることを見出している。
【0011】
加えて、がん療法に関する新たな領域では、腫瘍の破壊に対して免疫系を増強する、なかでも、細胞毒性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、プログラム細胞死1(PD-1)受容体及びそれらのリガンド(PD-L1及びPD-L2)を標的化する免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の使用に焦点が当てられている(Gilad, Y.、Eliaz, Y.、Yu, Y.ら、Author Correction: Drug-induced PD-L1 expression and cell stress response in breast cancer cells can be balanced by drug combination. Sci Rep. 2020年; 10、4463頁)。チェックポイントの遮断は、免疫応答を解放し、がん細胞に対して作用する消耗したT細胞を再活性化するために、がん細胞自体ではなく、患者の免疫系を大部分で標的化する全身アプローチである。注目すべきは、進行性転移性黒色腫等の治療困難型のがんにおける有望な生存率及び応答の耐久性である。しかし、30%~60%の患者は、腫瘍と免疫系との間のしばしば有意となる相互作用にもかかわらずICIへの応答を示さない。したがって、おそらく他の薬物と組み合わせることにより、免疫療法への感受性を改善する強力な起動力が存在する。
【0012】
ICPIの投与が免疫系を増強するので、ICI使用の主要な安全上の懸案事項は、免疫関連の有害事象(irAE)(Ref)の誘導である。発疹、乾癬、内分泌障害、肝炎、大腸炎、肺炎、関節炎、及び筋炎は、ICI処理した個体で記載され、irAEのスペクトルは依然として拡大している。
【0013】
更なる利点は、がん免疫療法との関連において、免疫寛容を管理し、自己免疫の出現を回避する助けとなる、免疫関連の有害事象(irAE)の減衰であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許第1296946号
【特許文献2】特許出願PCT/EP2020/071640号
【特許文献3】国際出願PCT/EP2017/053457
【特許文献4】米国特許第3337625号
【特許文献5】米国特許第3285913号
【特許文献6】国際公開第2015048363号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Witter AR、Okunnu BM、Berg RE. The Essential Role of Neutrophils during Infection with the Intracellular Bacterial Pathogen Listeria monocytogenes. J Immunol. 2016年; 197(5):1557~1565頁
【非特許文献2】Roszer T. Understanding the Mysterious M2 Macrophage through Activation Markers and Effector Mechanisms. Mediators Inflamm. 2015;2015年:816460
【非特許文献3】F.O.Martinez及びS. Gordon、「The M1 and M2 paradigm of macrophage activation: time for reassessment」、F1000Prime Reports、第6巻、論文13、2014年
【非特許文献4】L. Fuentes、T. Roszer、及びM. Ricote、「Inflammatory mediators and insulin resistance in obesity: role of nuclear receptor signaling in macrophages」、Mediators of Inflammation、第2010巻、論文ID 219583、10頁、2010年
【非特許文献5】A. Sica及びA. Mantovani、「Macrophage plasticity and polarization: in vivo veritas」、The Journal of Clinical Investigation、第122巻、第3号、787~795頁、2012年
【非特許文献6】J. W. Pollard、「Trophic macrophages in development and disease」、Nature Reviews Immunology、第9巻、第4号、259~270頁、2009年
【非特許文献7】S. J. Forbes及びN. Rosenthal、「Preparing the ground for tissue regeneration: from mechanism to therapy」、Nature Medicine、第20巻、857~869頁、2014年
【非特許文献8】E. Muraille、O. Leo、及びM. Moser、「TH1/TH2 paradigm extended: macrophage polarization as an unappreciated pathogen-driven escape mechanism?」Frontiers in Immunology、第5巻、論文603、2014年
【非特許文献9】Teruki Dainichi、Reiko Matsumoto、Alshimaa Mostafa、Kenji Kabashima、「Immune Control by TRAF6-Mediated Pathways of Epithelial Cells in the EIME(Epithelial Immune Microenvironment)」、Front Immunol、16;10:1107、2019年
【非特許文献10】Gilad, Y.、Eliaz, Y.、Yu, Y.ら、Author Correction: Drug-induced PD-L1 expression and cell stress response in breast cancer cells can be balanced by drug combination. Sci Rep. 2020年; 10、4463頁
【非特許文献11】Handbook of Chemistry and Physics, 76th Edition, CRC Press, Inc.、1995~1996年、225~226頁
【非特許文献12】Remington's Pharmaceutical Sciences、第20版、Mack Publishing Company、Easton、PA、2000年
【非特許文献13】T.W. Greene及びP. G. M. Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、第4版(2007年)
【非特許文献14】John Wiley & Sons Inc.、1999年
【非特許文献15】J. F. W. McOmie、Protective Groups in Organic Chemistry、Plenum Press、1973年
【非特許文献16】G.Quashら、European Journal of Medicinal Chemistry 43 (2008年) 906~916頁
【非特許文献17】Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版;Gennaro, A. R.編;Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia、PA、2000年
【非特許文献18】HENNION、G.F.、NELSON、K.W. (1957年) J. Am. Chem. Soc.、79、2142~2144頁
【非特許文献19】HENNION、G.F.、HANZEL、R.F.、J. Am. Chem. Soc.、82、4908~4912頁、(1960年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、以下に記載される式(I)のアミノチオールエステル化合物が、免疫療法への腫瘍感受性を改善し、irAEの発生を減衰させながら腫瘍部位での抗腫瘍応答を向上させることができることを見出している。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の発明者らは、以下に記載される式(I)のアミノチオールエステルが免疫調節特性を有することを示す。
【0018】
更に、これらが特にがんの治療のためにICIと組み合わせて使用することができることを示す。驚くべきことに、この組合せががんの予防及び/又は治療に相乗的であることを示す。
【0019】
したがって、本発明は、対象における免疫応答の調節に使用するための、式(I):
【0020】
【0021】
[式中、
- R1及びR2は、同一又は異なり、C1~C10アルキル基、フェニル、ベンジル、CHR5CHR6OR4及び(CHR5)vOR4の中から選択され、又はR1及びR2は、連結されている窒素原子と一緒に、ヘテロ環、特にピペリジン又はモルホリンを形成し、
前記フェニル及びベンジルは、直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルキル、ハロゲン、NO2及びCONH2から選択される、1個又は複数の置換基で場合により置換されており、
- R3は、直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルキルから選択され、
- R4は、H、直鎖又は分枝鎖(C2~C7)アルキル、直鎖又は分枝鎖(C2~C7)アルケニル、-CONR7R8、アリール、ヘテロアリール、(C2~C7)シクロアルキル、直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルキル-アリール及び直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルキル-ヘテロアリールから選択され、
前記アリール、(C2~C7)シクロアルキル及びヘテロアリールは、ハロゲン、1個若しくは複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖若しくは分枝鎖(C1~C7)アルキル、1個若しくは複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖若しくは分枝鎖(C1~C7)アルコキシ、-COOH、アリール、-NRR'、-NO2から選択される、1個若しくは複数の置換基で場合により置換されており、又は前記アリール及びヘテロアリールは、場合により縮合されてヘテロシクロアルキルを形成し、
- R5及びR6は、同一又は異なり、独立して以下から選択され:
・ H及び直鎖若しくは分枝鎖(C1~C7)アルキルである、又は
・ R5及びR6は一緒に連結されて、それらが結合している炭素原子とともに、シクロアルキル、アリール若しくはヘテロアリールを形成する、又は
・ R5がHであり且つR1とR6が一緒に連結されて、R1に連結されている窒素原子とともに、ヘテロシクロアルキル若しくはヘテロアリールを形成する、又は
・ R6がHであり且つR1とR5が一緒にR1に連結されて、R1に連結されている窒素原子とともに、ヘテロシクロアルキルを形成する、
- vは2~4から選択され、
- R7は-(C1~C3)アルキルであり、
- R8は-(C1~C3)アルキルNRR'であり、
- R及びR'が、同一又は異なり、H及び直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルキルから独立して選択される]
の少なくとも1種の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体に関する。
【0022】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、脂質ナノカプセル剤に含まれる。
【0023】
本発明はまた、本明細書中で定義した式(I)の少なくとも1種の化合物と、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)とを含む、医薬組成物に関する。
【0024】
更に、がんの予防及び/又は治療に使用するための、本明細書中で定義した式(I)の少なくとも1種の化合物と、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)とを含む、医薬組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】DIMATEで負荷した(LNP-DIMATE)又は負荷していない(LNP)脂質ナノ粒子製剤で処理した免疫適格性マウスにおける、フローサイトメトリーのゲート戦略並びに好中球及び顆粒球-マクロファージの血液細胞亜集団の定量化を示す図である。対照は、PBS(薬物ビヒクル)又は免疫チェックポイント阻害剤抗PDL1で処理したマウスで構成された。
【
図3】DIMATEで負荷した(LNP-DIMATE)又は負荷していない(LNP)脂質ナノ粒子製剤で処理した免疫適格性マウスにおける、単球由来のマクロファージ及びマクロファージM2型(M2)の血液細胞亜集団の定量化を示す図である。
図2では、対照は、PBS(薬物ビヒクル)又は免疫チェックポイント阻害剤抗PDL1で処理したマウスで構成された。
【
図4】NFkBシグナル伝達経路(NFKB2、IKBKB、NFKB1、RELB、NFKBIA、TRAF6)、M2(AXL、CHI3L1)に関連する遺伝子、並びにDIMATEでの処理後のHL60細胞における分化、細胞増殖及び血管形成(VEGFA、TGFA)を伴う遺伝子の、無処理の細胞と比較した遺伝子発現プロファイルを示す図である。HL60細胞株は、食細胞作用及び走化性刺激への応答性を呈することが公知のリンパ芽球様形態の前骨髄球細胞株である。横軸上は、試料が、2群(NT: 無処理、D10: DIMATE(10μM))、N=4の独立実験)に分けられる。縦軸上は、異なって発現した遺伝子を表すプローブである。
【
図5A】DIMATEで負荷した(LNP-DIMATE)又は負荷していない(LNP)脂質ナノ粒子製剤で処理したTyr-BRAF免疫適格性黒色腫のマウスモデルの腫瘍内環境におけるNK細胞、CD8
+ T細胞及びTエフェクター細胞の亜集団の定量化を示す図である。対照は、PBS(薬物ビヒクル)又は免疫チェックポイント阻害剤抗PDL1で処理したマウスで構成された。
【
図5B】がん免疫療法の動物モデルにおける、黒色腫、結腸がん及び肺がんの腫瘍成長での抗PDL1と組み合わせたLNP-DIMATEの相乗阻害効果を示す図である。
【
図6】A DIMATEに曝露し、死んだ標的細胞(k562細胞)の百分率として表されるヒト由来NK細胞の溶解活性を示す図である。N=6;スケールバー=標準誤差。B HL60及びkasumi 3造血細胞株におけるDIMATEに応答するc-IAP2及びXIAPタンパク質発現を示す図である。負荷対照は、WES Protein Simple社の製造業者により提供される内部システム制御に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
式(I)の化合物
「式Iの少なくとも1種の化合物」とは、1、2、3、4、5、6、10、15種又はそれ以上の式(I)の化合物を意味する。
【0027】
2種以上の式(I)の化合物が考慮される場合、この化合物は、同じ又は異なる式(I)の化合物、特に同じ式(I)の化合物であり得る。
【0028】
式(I)の化合物、並びにそれらの調製方法は、前述されており、欧州特許第1296946号及び特許出願PCT/EP2020/071640号に記載されている。
【0029】
特に、式(I)の化合物は、R3が直鎖若しくは分枝鎖(C1~C7)アルキル、好ましくはメチルであり、R1が直鎖若しくは分枝鎖(C1~C7)アルキル、好ましくはメチルであり、R2がC1~C10アルキル基、好ましくはメチル若しくはオクチル、CHR5CHR6OR4、(CHR5)vOR4であり、又はR1及びR2が連結されている窒素原子と一緒にヘテロ環、特にモルホリンを形成し、R5及びR6がHであることを特徴とする。
【0030】
例えば、R4は、H、直鎖若しくは分枝鎖(C2~C7)アルキル、直鎖若しくは分枝鎖(C2~C7)アルケニル、-CONR7R8、(C2~C7)シクロアルキル、直鎖若しくは分枝鎖(C1~C7)アルキル-ヘテロアリール、アリール又はベンジルから選択され;前記(C2~C7)シクロアルキルは、直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルキルから選択される1個又は複数の置換基で置換されており;前記ベンジルは、1個若しくは複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖若しくは分枝鎖(C1~C7)アルキル;1個若しくは複数のハロゲンで場合により置換されている直鎖若しくは分枝鎖(C1~C7)アルコキシ、ハロゲンから選択される、1個若しくは複数の置換基で場合により置換されており;又は、前記ベンジルは、場合により縮合されて1,3-ベンゾジオキソールを形成する。
【0031】
或いは、特に、R4は、H、直鎖若しくは分枝鎖(C2~C7)アルキル、直鎖若しくは分枝鎖(C2~C7)アルケニル、-(C1~C7)アルキル-ヘテロアリール、アリール、-(C1~C7)アルキル-アリール又はベンジルから選択され;前記ベンジルは、1個若しくは複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖若しくは分枝鎖(C1~C7)アルキル;1個若しくは複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖若しくは分枝鎖(C1~C7)アルコキシ、ハロゲン若しくはピリジルから選択される、1個若しくは複数の置換基で場合により置換されており;又は、前記ベンジルは、場合により縮合されて1,3-ベンゾジオキソールを形成する。
【0032】
或いは、特に、R5及びR6はHであり、R4は、H、直鎖若しくは分枝鎖(C2~C7)アルキル、直鎖若しくは分枝鎖(C2~C7)アルケニル、直鎖若しくは分枝鎖(C1~C7)アルキル-ヘテロアリール、直鎖若しくは分枝鎖である(C1~C7)アルキル-アリール又はベンジルから選択され;前記ベンジルは、1個又は複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルキル、1個又は複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルコキシ、ハロゲンから選択される、1個又は複数の置換基で場合により置換されている。
【0033】
或いは、より特定すると、式(I)の化合物は、R5及びR6がHであり、R4が、(C2~C7)シクロアルキル、直鎖若しくは分枝鎖(C1~C7)アルキル-ヘテロアリール、又はベンジルから選択され;好ましくはベンジルであり;前記(C2~C7)シクロアルキルが、直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルキルから選択される1個又は複数の置換基で置換されており;前記ベンジルが、1個又は複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルキル、1個又は複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルコキシ、ハロゲンから選択される、1個又は複数の置換基で場合により置換されていることを特徴とする。
【0034】
変異体として更により特定すると、R1はメチルであり、R4は、H、CONR7R8[式中、R7はメチルであり、R8はNRR'(式中、R及びR'は、メチル、エチル、プロペン、ベンジル、ピリジル、ベンジルオキシブチル、1個又は複数のメチルで置換されているメチル-シクロヘキセニル、及び1個又は複数のフッ素、塩素、メトキシ又はメチルで置換されているベンジルである)である]から選択される。
【0035】
変異体として更により特定すると、R1はメチルであり、R4は、H、エチル、プロペン、ベンジル、ピリジル、ベンジルオキシブチル、及びいくつかのフッ素、塩素、メトキシ又はメチルのうちの1個で置換されているベンジルから選択される。
【0036】
更により特定すると、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、
- S-メチル4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-アリルオキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-ベンジルオキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(m-トリルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(3,4-ジメチルフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(4-メトキシフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(3,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(3-クロロフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(2-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(3-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(4-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-((4-(ベンジルオキシ)ブチル)(メチル)アミノ)-4-メチルペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-((2-ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)-4-メチルペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(2-ナフチルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-[(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)メトキシ]エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル2,5,10,11,11-ペンタメチル-6-オキソ-7-オキサ-2,5,10-トリアザテトラデカ-12-イン-14-チオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル(2-フェノキシシクロペンチル)アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- (S)-S-メチル4-(2-((ベンジルオキシ)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-メチルペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[3(ベンジルオキシ)-1ピロリジニル])-4-メチルペンタ-2-インチオエート;
- 1-4-ジメチルアミノ-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル;
- 5-4-メチル-4-モルホリン-4-イル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル、及び
- 4-メチル-4-[メチル(オクチル)アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体
から選択される。
【0037】
特に明記しない限り、式(I)の化合物に関して前記又は以下で使用する用語の意味は、以下の通りとする。
- Vが2~4から選択されるとは、置換基「CHR5」が2回繰り返される(CHR5CHR5OR4)、3回繰り返される(CHR5CHR5CHR5OR4)又は4回繰り返される(CHR5CHR5CHR5CHR5OR4)ことを意味する。
- 「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子、特にフッ素又は塩素原子を指す。
- 「アルキル」は、特に明記しない限り、鎖(C1~C10)アルキル、(C1~C7)アルキル又は(C2~C7)アルキル中に1~10個、1~7個又は2~7個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖であってよい脂肪族-炭化水素基を表す。特に、アルキル基は、鎖(C1~C3)アルキル中に1~3個のアルキル基を有する。分枝鎖とは、1個又は複数のアルキル基、例えば、メチル、エチル若しくはプロピルが、直鎖状のアルキル鎖に結合していることを意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、オクチル、2,2-ジメチルブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、特にメチル、エチル又はオクチルが挙げられる。
- 「アルケニル」は、特に明記しない限り、鎖(C2~C7)アルケニル中に2~7個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖であってよい、炭素-炭素二重結合を含む脂肪族炭化水素基を指す。好ましいアルケニル基は、鎖(C2~C3)アルケニル中に2~3個の炭素原子を有する。アルケニル基の例としては、エテニル、n-プロペニル、i-プロペニル、n-ブテニル、i-ブテニル、2,2-ジメチルブタ-1-エニル、n-ペンテニル、特にプロペニルが挙げられる。
- 「アルコキシ」は、酸素に単結合している、前記で定義したアルキル基を表す。直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルコキシの例としては、メトキシ(CH3O-)及びエトキシ(CH3CH2O-)が挙げられる。
- 「アリール」は、炭素原子が6~14個の、好ましくは炭素原子が6~10個の芳香族単環式又は多環式炭化水素環系を指す。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ベンジル、フェナントリル、ビフェニル、特にフェニルが挙げられる。
- 「ヘテロアリール」は、環の少なくとも1員がヘテロ原子である、5~14員の、好ましくは5~10員の芳香族単環、二環又は多環を指す。ヘテロ原子は、O又はN、特にNであり得る。特に、各環は1~3個のヘテロ原子を含む。例としては、ピロリル、ピリジル、ピペリジニル、ピラゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、イミダゾリル、特にピリジルが挙げられる。
- 「シクロアルキル」は、1個又は複数の不飽和を有していてもよい、炭素原子が2~7個の、好ましくは炭素原子が3~6個の飽和単環式又は二環式非芳香族炭化水素環を指す。単環式シクロアルキルの具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニルが挙げられる。好ましくは、シクロアルキル基はシクロヘキセニルである。
- 「-(C1~C7)アルキル-アリール」又は「-(C1~C7)アルキル-ヘテロアリール」は、R4がアルキル基の炭素によって酸素原子に連結されていることを意味し;特に-(C1~C7)アルキル-アリールはベンジルである。
- 「ヘテロ環」又は「ヘテロシクロアルキル」は、場合により架橋していてもよく且つ環の少なくとも1員がヘテロ原子である、飽和又は部分不飽和の、非芳香族の安定な3~14員の、好ましくは5~10員の単環、二環又は多環を指す。典型的には、ヘテロ原子としてはO又はNが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に、各環は1~3個のヘテロ原子を含む。好適なヘテロ環はまた、Handbook of Chemistry and Physics, 76th Edition, CRC Press, Inc.、1995~1996年、225~226頁に開示されており、この開示を参照により本明細書に組み込む。ヘテロシクロアルキルの例としては、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、ピペリジル、モルホリニル、イミダゾリジニル又はベンゾジオキソール、特に1,3-ベンゾジオキソールが挙げられるが、これらに限定されものではない。
- 「置換(されている)」という用語は、特に明記しない限り、例えば、直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルキル、ハロゲン、NO2及びCONH2、1個又は複数のハロゲン原子で置換されている直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルキル、直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルコキシ、1個又は複数のハロゲン原子で置換されている直鎖又は分枝鎖(C1~C7)アルコキシ、アリール、-COOH、-COOCH2CH3、-NRR'、NH2、NHアルキル及びN(アルキル)2から選択される、同一でも異なっていてもよい1個又は複数の置換基での置換を指す。例としては、特に、メチル、メトキシ、塩素、フッ素、CF3及びOCF3が挙げられる。
【0038】
本明細書中に記載した式(I)の化合物は、1個又は複数の不斉炭素原子を含み得る。したがって、これらは、エナンチオマー又はジアステレオマーの形態で存在し得る。これらのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにラセミ混合物を含むそれらの混合物は、本発明の一部を形成する。
【0039】
本明細書中に記載した式(I)の化合物は、遊離塩基の形態又は酸付加塩の形態で提供することができ、これらも本発明の一部を形成する。
【0040】
これらの塩は、有利には、薬学的許容され得る酸を用いて調製されるが、例えば本明細書中に記載した式(I)の化合物の精製又は単離に有用な、他の酸との塩も、本発明の一部を形成する。
【0041】
本明細書中で使用する「薬学的に許容される」という表現は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応又は他の問題の合併症を伴うことなくヒト及び動物の組織と接触するのに好適であり、合理的なベネフィット/リスク比に見合った、それらの化合物、材料、賦形剤、組成物又は剤形を指す。
【0042】
本明細書中で使用する「薬学的に許容される塩」は、開示した化合物の誘導体であり、親化合物がその酸又は塩基塩を生成することによって修飾されているものを指す。薬学的に許容される塩としては、例えば無毒性の無機又は有機酸から形成される、親化合物の従来の無毒性塩又は第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、このような従来の無毒性塩としては、それらのモノ、ジ又はトリ-塩を含む、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等に由来するもの;及び有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、グルクロン酸(glucoronic)、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸等から調製される塩が挙げられる。更なる酸付加塩としては、アンモニウム塩、例えば、トロメタミン塩、メグルミン塩、エポラミン塩等、金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩又はマグネシウム塩等が挙げられる。
【0043】
本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から合成し得る。一般に、このような塩は、遊離酸又は塩基形態のこれらの化合物を化学量論量の適切な塩基又は酸と水若しくは無機溶媒又はこれら2つの混合物中で反応させることによって調製し得る。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。好適な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences、第20版、Mack Publishing Company、Easton、PA、2000年に見られ、この開示を参照により本明細書中に組み込む。
【0044】
式(I)の化合物の調製方法
式(I)の化合物は、当業者に周知の複数の方法で調製し得る。本発明の化合物は、例えば、以下に記載される方法の適用若しくは適合又は当業者によって理解されるその変形によって、合成できる。適切な変更及び置換は、当業者には、容易に明らかであり、周知である又は科学文献から容易に入手可能である。
【0045】
特に、式(I)の化合物は、欧州特許第1296946号及び特許出願PCT/EP2020/071640号に記載されている方法によって調製できる。
【0046】
当然ながら、式(I)の化合物は、1つ又は複数の非対称に置換されている炭素原子を含んでいてもよく、光学活性又はラセミ形態で単離され得る。したがって、特定の立体化学又は異性体が具体的に示されない限り、構造の全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミ体、異性体の形態が意図される。このような光沢活性形態を調製及び単離する方法は、当技術分野において周知である。
【0047】
例えば、立体異性体の混合物は、ラセミ体の分割、通常のクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー及びキラルクロマトグラフィー、優先的塩形成、再結晶等を含むがこれらに限定されない標準的技術によって、又はキラル出発原料からのキラル合成によって若しくは標的キラル中心の意図的な合成によって、分離してもよい。
【0048】
式(I)の化合物は、種々の合成経路によって調製し得る。試薬及び出発原料は、市販されており、又は当業者によって周知の技術によって容易に合成される。特に指示のない限り、全ての置換基は前記で定義した通りである。
【0049】
以下に記載する反応において、反応性官能基、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、チオ基又はカルボキシ基は、最終生成物において望まれる場合、反応へのそれらの望ましくない関与を回避するために、保護する必要がある場合がある。従来の保護基は、標準的技法に従って使用し得る。例えば、T.W. Greene及びP. G. M. Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、第4版(2007年)、John Wiley & Sons Inc.、1999年;J. F. W. McOmie、Protective Groups in Organic Chemistry、Plenum Press、1973年を参照のこと。
【0050】
一部の反応は、塩基の存在下で実施する場合がある。この反応において使用する塩基の性質に特定の制限はなく、分子の他の部分に悪影響を及ぼさない限り、また、特に指示のない限り、このタイプの反応に従来使用されている任意の塩基をここでも等しく使用してもよい。好適な塩基の例としては、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、アルカリ金属水素化物、例えば、水素化ナトリウム及び水素化カリウム;アルキルリチウム化合物、例えば、メチルリチウム及びブチルリチウム;並びにアルカリ金属アルコキシド、例えば、ナトリウムメトキシド及びナトリウムエトキシドが挙げられる。
【0051】
通常、反応は好適な溶媒中で実施する。反応又は関与する試薬に悪影響を及ぼさない限り、様々な溶媒を使用してよい。好適な溶媒の例としては、芳香族、脂肪族又は脂環式炭化水素であり得る炭化水素、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン及びキシレン;アミド、例えば、ジメチルホルムアミド;アルコール、例えば、エタノール及びメタノール並びにエーテル、例えば、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフランが挙げられる。
【0052】
反応は、広い温度範囲にわたって行うことができる。一般に、0℃~150℃の温度(より好ましくは約室温~100℃)の温度で反応を実施するのが、簡便であることが分かっている。反応に必要とされる時間もまた、多くの要因、とりわけ、反応温度及び試薬の性質によって大きく異なり得る。しかし、前記で概説した好ましい条件下で反応を行うならば、3時間~20時間で十分である。
【0053】
このようにして調製された化合物は、従来の手段によって反応混合物から回収し得る。例えば、化合物は、反応混合物から溶媒を留去することによって、又は必要ならば、反応混合物から溶媒を留去後に、残留物を水中に注ぎ、続いて水と混和しない有機溶媒で抽出し、抽出物から溶媒を留去することによって、回収し得る。加えて、生成物は、所望ならば、種々の周知の方法、例えば、再結晶、再沈殿又は種々のクロマトグラフィー技術、とりわけ、カラムクロマトグラフィー若しくは分取薄層クロマトグラフィーによって、更に精製できる。
【0054】
例えば、式(I)の化合物は、
a)式(II)
【0055】
【0056】
の化合物を有機酸又は無機酸と反応させる工程と、
b)工程a)で得られた化合物を塩基と反応させる工程と、
c)工程b)で得られた化合物をCO2と反応させる工程と、
d)工程c)で得られた化合物を、クロロギ酸アルキル、工程c)で得られた化合物とともに酸ハロゲン化物を形成できる試薬、又は工程c)で得られた化合物とともに混合無水物を形成できる試薬と反応させる工程と、
e)工程d)で得られた化合物をアニオン前駆体化合物SMe-と反応させる工程と
によって得ることができ、R1及びR2は本明細書中で定義した通りである。
【0057】
特に、工程b)の塩基は、25超のpKaを有し、好ましくは、工程b)で使用する塩基は、リチウム塩基又はマグネシウム塩基から選択され、好ましくは、塩基は、ブチルリチウム又はヘキシルリチウムから選択される。
【0058】
特に、式(II)の化合物は、工程a1)の、水性媒体中における3-クロロ-3-メチルブタ-1-インとR1R2NHとの間の反応によって得られる。
【0059】
特に、工程a1)において得られる前記化合物は、1回又は複数回の濾過によって、例えば、1回の濾過で又は連続して2~10回の濾過で、好ましくは連続して2~5回、例えば、4回の濾過で精製する。
【0060】
一実施形態において、3-クロロ-3-メチルブタ-1-インは、銅触媒の存在下で2-メチルブタ-3-イン-2-オールを塩酸と反応させる反応工程によって得られる。
【0061】
別の実施形態において、酸は、塩酸、リン酸、硝酸、硫酸から選択される無機酸、好ましくは塩酸である。
【0062】
別の実施形態において、工程d)は、
- 少なくとも1個の二重結合を有していてもよい(C1~C6)アルキルを有するクロロギ酸アルキル、例えば、クロロギ酸のメチル、エチル、イソプレニル、tert-ブチル若しくはイソブチルエステル、好ましくはクロロギ酸イソブチル;又は
- 工程c)において得られる化合物とともに酸塩化物から選択される混合無水物、例えば塩化ピバロイルを形成できる試薬;又は
- 工程c)において得られる化合物とともに、SOCl2、COCl2、PCl3、PCl5、PBr3若しくはPPh3Br2から選択される酸ハロゲン化物を形成できる試薬
を用いて実施する。
【0063】
一実施形態において、アニオン前駆体化合物SMe-は、式XSMe[式中、Xはアルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えば、Naを表す]の塩、メチルメルカプタン又は(SMe)2から選択され、好ましくはNaSMeである。
【0064】
この方法は、国際出願PCT/EP2017/053457において詳述されおり、これらの内容は参照によって組み入れる。
【0065】
或いは、式(I)の化合物は、BuLi、COS及びMeIで逐次的に処理された対応するアセチレン性アミンから調製できる。詳細な調製方法は、例えば、内容を参照によって組み入れる、G.Quashら、European Journal of Medicinal Chemistry 43(2008年)906~916頁に、特にパート2のMaterial and Methodsのセクションに見ることができる。
【0066】
前記反応は、当業者によって、以下の実施例において説明する方法を適用する又は適合させることによって実施できる。
【0067】
更に、方法はまた、式(I)又は式(II)の化合物を単離する追加の工程を含んでいてもよい。これは、当業者によって、公知の従来の方法、例えば、前記の回収方法によって行い得る。
【0068】
一般に、出発生成物は、主としてAldrich社若しくはAcros社又は他の典型的な化学薬品供給業者から市販されており、或いは、任意の公知方法若しくは実施例中に記載されているものを適用する又は適合させることによって得てもよい。
【0069】
脂質ナノカプセル剤
前述のように、一実施形態において、式(I)の少なくとも1種の化合物は、脂質ナノカプセル剤に含まれる。
【0070】
「脂質ナノカプセル剤」又はNCLとは、脂溶性有効成分を封止することを可能にする可溶化剤として油を有する溶媒を含まない製剤を意味する。
【0071】
本発明との関連において、本明細書に述べるように、ナノカプセル剤は、室温で特に液体/半液体の油状コア、並びに室温で特に堅く、その融解/転移温度が高い(すなわち、特に40℃~85℃)油状コアを包囲するシェルを含む。したがって、粒子のコアは、油、ここでは中鎖トリグリセリドで構成される。有効成分(式(I)の少なくとも1種の化合物)は、ナノカプセル剤の中心でこの相に可溶化される。ナノカプセル剤の表面又はシェルは、親水性及び脂質界面活性剤から形成される。
【0072】
【0073】
特に、前記ナノカプセル剤は、
- ナノカプセル剤の総質量に対して25~90質量%、好ましくは60~80%の中鎖トリグリセリド、及び前記式(I)の少なくとも1種の化合物を含む、油状コア;並びに
- ナノカプセル剤の総質量に対して3~25質量%の少なくとも1種の脂質界面活性剤、及び少なくとも1種の親水性界面活性剤を含む、油状コアを包囲するシェル
を含み、
・ 中鎖トリグリセリドと前記式(I)の少なくとも1種の化合物との間のナノカプセル剤の総質量に対する質量比は、少なくとも4である。
【0074】
特に、前記ナノカプセル剤は、25~115nm、より特定すると40~80nm、例えば30、40、45、50、55、60、65又は70nmの直径を有する。
【0075】
このサイズは、in vivoでのナノカプセル剤の最適な効率を特に保証することができる。
【0076】
特に、前記ナノカプセル剤は、0.2未満、特に0.1未満のPDI又は多分散性指数を有する。この指数は、分散度とも呼ばれる、すなわち、混合物中の分子又は粒子のサイズの異種性の測定であるが、当業者に公知の共通感覚である。これは、特に、ナノカプセル剤のサイズ分布が単分散であることを可能にする。
【0077】
前述のように、油状コアは、ナノカプセル剤の総質量に対して25~90質量%、好ましくは60~80%の中鎖トリグリセリド、例えば40、50、55、60又は70質量%の中鎖トリグリセリドを含む。
【0078】
「中鎖トリグリセリド」とは、当業者に公知の共通感覚、すなわち、グリセロールの3個のヒドロキシル基が中鎖脂肪酸でエステル化されるトリグリセリドを意味する。
【0079】
「中鎖」という用語は、特に、6~12個の炭素原子の鎖を意味することを理解される。
【0080】
これらはココナツ油、パーム油及びバターにとりわけ存在する。
【0081】
特に、中鎖トリグリセリドは、飽和脂肪酸のトリグリセリド、特にカプリル酸(オクタン酸)及びカプリン酸(デカン酸)の混合物から選択される。
【0082】
脂肪酸は、欧州薬局方の前提条件を満たす、ココヤシ(Cocos nucifera L.)の胚乳の硬く乾燥した画分から抽出した油、又はアブラヤシ(Elaeis guineensis Jacq.)の乾燥した胚乳から抽出した油、例えば、より特定するとKollisolv(登録商標)MCT 70、MIGLYOL(登録商標)810 N、MIGLYOL(登録商標)812 N賦形剤及びLabrafac(登録商標)、好ましくはLabrafac(登録商標)から得られる。
【0083】
特に、油状コアは、ナノカプセル剤の総質量に対して25~90質量%、好ましくは60~80%、例えば40、50、55、60又は70%のLabrafac(登録商標)を含む。
【0084】
前述のように、油状コアを包囲するシェルは、ナノカプセル剤の総質量に対して3~25質量%の少なくとも1種の脂質界面活性剤を含む。特に、シェルは、ナノカプセル剤の総質量に対して3~20質量%、より特定すると5~20%、例えば5、6、8、10、12又は20%の少なくとも1種の脂質界面活性剤を含む。
【0085】
この比率の脂質界面活性剤は、低温で保存中、ナノカプセル剤の安定性を特に改善することができる。低温とは、本明細書で0℃未満の温度を意味する。
【0086】
「脂質界面活性剤」とは、当業者に公知の共通感覚、すなわち、脂質溶液への高い親和性を有し、ナノカプセル剤を安定化することができる乳化剤を意味する。
【0087】
特に、前記少なくとも1種の脂質界面活性剤は、欧州薬局方の前提条件に相当する90%超のホスファチジルコリンの百分率を有するダイズ油から得られるレシチン、特にLipoid(登録商標)、好ましくはLipoid(登録商標)S100から選択される。
【0088】
より特定すると、シェルは、ナノカプセル剤の総質量に対して3~20質量%、より特定すると5~20%、例えば5、6、8、10、12又は20%のLipoid(登録商標)S100を含む。
【0089】
前述のように、油状コアを包囲するシェルはまた、少なくとも1種の親水性界面活性剤を含む。
【0090】
「親水性界面活性剤」とは、当業者に公知の共通感覚、すなわち、ナノ粒子を可能にし、安定化する両親媒性分子及び/又は乳化剤を意味し、水に可溶な乳化剤を生成する。
【0091】
特に、前記少なくとも1種の親水性界面活性剤は、欧州薬局方に記載されている前提条件を満たす、非イオン性安定化剤及び/又は乳化剤、特にマクロゴール15ヒドロキシステアレート、より特定するとKolliphor(登録商標)、好ましくはKolliphor(登録商標)HS15から選択される。
【0092】
特に、シェルは、ナノカプセル剤の総質量に対して15~60質量%、より特定すると20~50%、例えば15、20、30、35、40又は50%の少なくとも1種の親水性界面活性剤を含む。
【0093】
より特定すると、シェルは、ナノカプセル剤の総質量に対して15~60質量%、より特定すると20~50%、例えば15、20、30、35、40又は50%のKolliphor(登録商標)HS15を含む。
【0094】
特に、本発明との関連において、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、5~15mg/mL、より特定すると8~13mg/mL、例えば9、10又は11mg/mLの濃度でナノカプセル剤に含まれ得る。
【0095】
この濃度は、その加水分解を制限しながら経時的に式(I)の化合物の結晶化を特に予防することができる。
【0096】
前述のように、本発明によるナノカプセル剤は、少なくとも4、特に少なくとも5の中鎖トリグリセリドと前記式(I)の少なくとも1種の化合物との間のナノカプセル剤の総質量に対する質量比を含む。
【0097】
「少なくとも4」とは、特に4~100、より特定すると5~50、例えば4、5、6、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100を意味する。
【0098】
「少なくとも5」とは、特に5~100、より特定すると10~50、例えば5、6、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100を意味する。
【0099】
この比は、式(I)の化合物の結晶化を特に回避することができる。
【0100】
したがって、本発明によるナノカプセル剤は、例えば
- ナノカプセル剤の総質量に対して25~90質量%、好ましくは60~80%のLabrafac(登録商標)を含む、油状コア;並びに
- ナノカプセル剤の総質量に対して3~25質量%のLipoid(登録商標)S100及びナノカプセル剤の総質量に対して15~60質量%、より特定すると20~50%、例えば15、20、30、35、40又は50%のKolliphor(登録商標)HS15を含む、油状コアを包囲するシェル
を含み、
・ 油状コアは、前述のように、式(I)の少なくとも1種の化合物を含み;
・ Labrafac(登録商標)と前記式(I)の少なくとも1種の化合物との間のナノカプセル剤の総質量に対する質量比は、少なくとも4、好ましくは少なくとも5である
ことを特徴とすることができる。
【0101】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0102】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-[2-アリルオキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0103】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-[2-ベンジルオキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0104】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-メチル-4-[メチル-[2-(m-トリルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0105】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-[2-[(3,4-ジメチルフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0106】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-[2-[(4-メトキシフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0107】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-[2-[(3,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0108】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-[2-[(3-クロロフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0109】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-[2-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0110】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-メチル-4-[メチル-[2-(2-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0111】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-メチル-4-[メチル-[2-(3-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0112】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-メチル-4-[メチル-[2-(4-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0113】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-((4-(ベンジルオキシ)ブチル)(メチル)アミノ)-4-メチルペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0114】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-((2-ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)-4-メチルペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0115】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-メチル-4-[メチル-[2-(2-ナフチルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0116】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-メチル-4-[メチル-[2-[(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)メトキシ]エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0117】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、2,5,10,11,11-ペンタメチル-6-オキソ-7-オキサ-2,5,10-トリアザテトラデカ-12-イン-14-チオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0118】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-メチル-4-[メチル(2-フェノキシシクロペンチル)アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0119】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、(S)-S-メチル4-(2-((ベンジルオキシ)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-メチルペンタ-2-インチオエート又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0120】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、4-[3(ベンジルオキシ)-1ピロリジニル])-4-メチルペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0121】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、1-4-ジメチルアミノ-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0122】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、5-4-メチル-4-モルホリン-4-イル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0123】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は4-メチル-4-[メチル(オクチル)アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体である。
【0124】
脂質ナノカプセル剤の調製
脂質ナノカプセル剤は、実験のパートに述べるように調製できる。
【0125】
例えば、ナノカプセル剤は、以下のようにして生成される:
- 中鎖トリグリセリドを秤量し、式(I)の少なくとも1種の化合物を添加し、混合するために撹拌しながら置く;
- 前記少なくとも1種の親水性界面活性剤及び前記少なくとも1種の脂質界面活性剤を秤量し、NaCl及び水を添加する;
- 撹拌しながら水性相を油性相に移す;
- 油浴に移し、強く攪拌しながら溶液に昇温する;
- ある特定の温度に達すると、氷に移して冷却する;
- 油浴に戻して加熱する;
- 更なる時間、冷却と加熱の工程を繰り返す;
- 最後の加熱の工程の終了時に氷浴に移し、冷却する;
- 製剤がある特定の温度に達する場合、冷水を添加する;
- 氷浴を除き、撹拌しながら置く;
- 製剤を適切な容器に移す。
【0126】
一実施形態において、ナノカプセル剤は、水及びNaCl等の塩を含む製剤に製剤化できる。
【0127】
したがって、この製剤は、ナノ粒子、製剤の総質量に対して50~70%、例えば60質量%の水、及び組成物の総質量に対して好ましくは1~5%、例えば2又は3質量%の塩を含む。
【0128】
一実施形態において、前記式(I)の化合物又は前記脂質ナノカプセル剤は、医薬組成物に含まれる。
【0129】
このような組成物は、経口投与に使用するために、特に錠剤若しくはカプセル剤、特に口腔内分散性(lyoc)錠剤の形態で;又は非経口投与に使用するために、特に液体の溶液剤、懸濁剤又は乳剤の形態で、調製し得る。
【0130】
これは、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版;Gennaro, A. R.編;Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia、PA、2000年に記載されているような、製薬技術分野において周知の方法のいずれかによって調製し得る。薬学的に適合性のある結合剤及び/又は補助材を、組成物の一部として含めてもよい。経口組成物は一般に、不活性希釈担体又は可食担体を含む。これらは、単位用量形態で投与することができる。「単位用量」という用語は、患者に投与することができ、容易に取り扱い及び包装することができ、活性化合物を単独で又は薬学的に許容される組成物として含む物理的及び化学的に安定な単位用量としてとどまる、単一用量を意味する。
【0131】
錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤等は、以下の成分又は同様な性質の化合物のいずれかの1種又は複数を含有してもよい:結合剤、例えば、微結晶性セルロース若しくはトラガカントガム;希釈剤、例えば、デンプンも若しくはラクトース;崩壊剤、例えば、デンプン及びセルロース誘導体;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えば、スクロース若しくはサッカリン;又は矯味矯臭剤、例えば、ペパーミント若しくはサリチル酸メチル。カプセル剤は、可塑剤と場合によりブレンドされているゼラチンブレンドから一般に作製される硬カプセル剤又は軟カプセル剤、並びにデンプンカプセル剤の形態であることができる。加えて、投与単位形態は、投与量単位の物理的形態を変更する種々の他の材料、例えば、砂糖、シェラック又は腸溶剤のコーティングを含有してもよい。他の経口剤形、シロップ剤又はエリキシル剤は、甘味剤、保存剤、色素、着色剤及び矯味矯臭剤を含有してもよい。加えて、活性化合物は、速溶性、放出調節又は持続放出調合剤及び製剤に組み込んでもよく、このような持続放出製剤は好ましくは二峰性である。
【0132】
投与のための液体調合剤としては、滅菌水性又は非水性溶液剤、懸濁剤及び乳剤が挙げられる。液体組成物はまた、結合剤、緩衝剤、保存剤、キレート剤、甘味剤、矯味矯臭剤及び着色剤等を含んでいてもよい。非水性溶媒としては、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、アクリレートコポリマー、植物油、例えば、オリーブ油、及び有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。水性担体としては、アルコールと水の混合物、ヒドロゲル、緩衝化媒体及び生理食塩水が挙げられる。特に、生体適合性、生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー又はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーは、活性化合物の放出を制御するための有用な賦形剤であり得る。静注用ビヒクルは、流体の栄養補給剤、電解質補給剤、例えば、リンゲルデキストロースを用いたもの等を含むことができる。
【0133】
投与方法の例としては、非経口投与、例えば、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、皮内投与及び経口投与が挙げられる。
【0134】
用途
既に述べるように、本発明は、対象における免疫応答の調節に使用するための、本明細書中に記載した式(I)の少なくとも1種の化合物に関する。
【0135】
前に説明したように、この化合物は、脂質ナノ粒子に含まれ得、前記化合物又は前記脂質ナノ粒子は、医薬組成物に含まれ得る。
【0136】
本発明の範囲内で、「免疫調節」特性又は「免疫応答の調節」を可能にすることは、これらの用語に通常記載され、当業者に周知の意味、特に対象の免疫応答を刺激又は遅延する可能性を得られる任意の特性と理解される。
【0137】
特に、本発明は、対象における免疫応答の刺激に使用するための、前記式(I)の少なくとも1種の化合物に関する。
【0138】
より特定すると、本発明の発明者らは、式(I)の化合物が、特に好中球の成熟化及び活性化の刺激及び促進を介して白血球及び感染への応答を増強できることを見出している。
【0139】
したがって、より特定すると、本発明は、特に好中球の成熟化及び/又は活性化の刺激及び促進を介して感染性病変を治療及び/又は予防するために使用するための式(I)の少なくとも1種の化合物に関する。
【0140】
「感染性病変」とは、細菌、ウイルス、真菌又は寄生虫等の生物体に起因する障害を意味する。例えば、サルモネラ属(Salmonella)、赤痢菌属(Shigella)、大腸菌(E. coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、及びインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)を含む細菌感染、細菌性髄膜炎、アスペルギルス症を含むクラミジア真菌感染症、真菌性髄膜炎、ヒストプラスマ症、マラリアを含む寄生虫感染症、トキソプラズマ症、トリコモナス症、ジアルジア症、条虫及び回虫感染症、リーシュマニア症、並びに水痘、インフルエンザ、ヘルペス、ヒトパピローマウイルス、感染性単核球症、ムンプス、バラ疹、天然痘、第5病、麻疹、風疹及びチクングニヤウイルス感染を含むウイルス感染症を挙げることができる。
【0141】
特に、式(I)の化合物は、低好中球数を有する患者の治療のために使用され得て、好中球の回復を促進できる。前記使用は、薬物で誘導される好中球減少症を有する患者を管理するのにとりわけ有用であり得、前記薬物は、化学療法剤、なかでも、例えばアルキル化剤、アントラサイクリン、カンプトテシン、マイトマイシンC、タキサン、ビンブラスチン、ヒドロキシ尿素、並びに長期的な合併症となる可能性がある晩期発症型の好中球減少症を誘導する非化学療法薬、例えばリツキシマブ、カルビマゾール、クロザピン、ダプソン、ジピロン、メチマゾール、オキサシリン、バンコマイシン、ペニシリンG、プロカインアミド、プロピルチオウラシル、スルファサラジン、及びチクロピジン、並びにより低い比率で好中球減少症を起こす通常使用される薬物、なかでも、例えばアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、H2ブロッカー、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、及び抗不整脈剤を含む。
【0142】
加えて、本発明の発明者らは、式(I)の化合物が、特に組織再生を助ける血管形成、M2分化並びにVEGFA及びIGF-1等のM2関連成長因子の生成の促進を介して、創傷治癒及び/又は組織修復を改善できることを見出している。加えて、前記化合物が、特に組織常在性M2マクロファージである単球の動態化及び動員を介して、特に炎症を起こす自己免疫性の病的状態及び/又は代謝性疾患を管理できることを見出している。
【0143】
したがって、より特定すると、本発明はまた、特に炎症を起こす創傷治癒及び/又は組織修復;自己免疫性の病的状態及び/又は代謝性疾患を治療及び/又は予防するために使用するための、式(I)の少なくとも1種の化合物に関する。
【0144】
「自己免疫性の病的状態」とは、当業者での通常の意味、すなわち、異常な免疫応答から機能する体の部位に生じる状態を意味する。以下の状態を例として挙げることができる: 関節リウマチ、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、及び乾癬。
【0145】
「代謝性疾患」とは、当業者での通常の意味、すなわち、体内の異常な化学反応が正常な代謝過程を変える疾患を意味する。以下の疾患を例として挙げることができる: アテローム性動脈硬化症、2型糖尿病、慢性腎臓病、非アルコール性脂肪肝疾患、並びに脂肪組織、肝臓、骨格筋、膵臓、腸、及び視床下部に影響を及ぼす内臓肥満を含む肥満。
【0146】
一実施形態において、式(I)の少なくとも1種の化合物は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わされる。
【0147】
「免疫チェックポイント阻害剤」又は「ICI」は、当業者に周知の化合物である。これらの化合物は、いくつかの種類の免疫系細胞、例えばT細胞、及び一部のがん細胞により生成されるチェックポイントと呼ばれるタンパク質を遮断する種類の薬物である。
【0148】
本発明による好ましい免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、TIGIT、TIM-3、LAG-3 CD160及び2B4化合物、特にPD1/PDL1化合物から選択される。
【0149】
「患者」又は「対象」という用語は、特に明記されない限り、本明細書中に記載する1つ又は複数の疾患及び状態に罹患している又は罹患する可能性がある、温血動物、例えば、哺乳動物、特にヒト(男性又は女性)を指す。
【0150】
本発明との関連で使用する「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、「治療される」又は「治療」という用語は、目的が症状を排除すること又は緩和することである、治療的処置を指す。有益な又は望ましい臨床結果としては、症状の排除、症状の軽減、状態の程度の漸減、状態の安定化(すなわち、悪化していないこと)、状態の進行の遅延又は緩徐化が挙げられるが、これらの限定されるものではない。
【0151】
本発明との関連で使用する「予防する(prevent)」、「予防(prevention)」、「予防する(preventing)」又は「予防される(prevented)」という用語は、疾患若しくは障害の又はその1つ若しくは複数の症状の発症、再発又は拡大の予防を指す。ある特定の実施形態において、これらの用語は、症状の発症前における、特に、本明細書中に示した疾病又は障害のリスクのある患者に対する、本明細書中に示した化合物による治療又はその投与を指す。これらの用語は、特定の疾患の症状の抑制又は低減を包含する。特に疾患の家族歴のある対象は、ある特定の実施形態における予防レジメンの候補である。加えて、再発症状の既往歴のある対象もまた、予防の候補となる可能性がある。これに関連して、「予防」という用語は、「予防的処置」という用語と同義で使用し得る。
【0152】
本発明との関連において、本明細書中に記載した疾患及び状態の治療を必要とする対象の特定は、前述のようにして行い、これは十分に当業者の能力及び知識の範囲内である。当技術に熟練した臨床家は、前述の専門事項によって、このような治療を必要とするそれらの対象を容易に特定できる。
【0153】
治療有効量は、当業者としての担当診断医によって、従来の技術を使用して、類似の状況下で得られた結果を観察することによって、容易に決定できる。治療有効量の決定に際して、以下を含むがこれらに限定されない多くの要因が、担当診断医によって考慮される:対象の種;対象のサイズ、年齢及び全身健康状態;関与している特定の疾患;疾患の関与の程度又は重症度;個々の対象の反応;投与する特定の化合物;投与方法;投与される調合剤の生物学的利用能特性;選択される用法;併用医薬の使用;並びに他の関連状況。
【0154】
本明細書中で使用する「有効量」は、本明細書中に記載した疾患及び状態の症状を低減、排除、治療又は制御するのに有効な量を指す。「制御する」という用語は、本明細書中に記載した疾患及び状態の進行の緩徐化、妨害、抑止又は停止が存在する可能性がある全てのプロセスを指すことを意図するものであるが、全ての疾患及び状態の症状が完全に排除されることを必ずしも示すとは限らず、予防的処置及び慢性的使用を含むことを意図する。
【0155】
望ましい生物学的効果を達成するのに必要とされる、本発明による化合物の量は、投与される薬物の投与量、採用する化合物の化学的特性(例えば、疎水性)、化合物の効力、疾患のタイプ、患者の病状及び投与経路を含む、多くの要因によって異なる。
【0156】
本明細書において提供される化合物は、1種又は複数の薬学的に許容される賦形剤と場合により混合して、医薬組成物に製剤化することができる。
【0157】
このような組成物は、経口投与に使用するために、特に錠剤若しくはカプセル剤、特に口腔内分散性(lyoc)錠剤の形態で;又は非経口投与に使用するために、特に液体の溶液剤、懸濁剤又は乳剤の形態で、調製し得る。
【0158】
これは、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版; Gennaro, A. R.編; Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia、PA、2000年に記載されているような、製薬技術分野において周知の方法のいずれかによって調製し得る。薬学的に適合性のある結合剤及び/又は補助材を、組成物の一部として含めてもよい。経口組成物は一般に、不活性希釈担体又は可食担体を含む。これらは、単位用量形態で投与することができる。「単位用量」という用語は、患者に投与することができ、容易に取り扱い及び包装することができ、活性化合物を単独で又は薬学的に許容される組成物として含む物理的及び化学的に安定な単位用量としてとどまる、単一用量を意味する。
【0159】
錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤等は、以下の成分又は同様な性質の化合物のいずれかを1種又は複数を含有してもよい:結合剤、例えば、微結晶性セルロース若しくはトラガカントガム;希釈剤、例えば、デンプンも若しくはラクトース;崩壊剤、例えば、デンプン及びセルロース誘導体;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えば、スクロース若しくはサッカリン;又は矯味矯臭剤、例えば、ペパーミント若しくはサリチル酸メチル。カプセル剤は、可塑剤と場合によりブレンドされているゼラチンブレンドから一般に作製される硬カプセル剤又は軟カプセル剤、並びにデンプンカプセル剤の形態であることができる。加えて、投与単位形態は、投与量単位の物理的形態を変更する種々の他の材料、例えば、砂糖、シェラック又は腸溶剤(enteric agent)のコーティングを含有してもよい。他の経口剤形、シロップ剤又はエリキシル剤は、甘味剤、保存剤、色素、着色剤及び矯味矯臭剤を含有してもよい。加えて、活性化合物は、速溶性、放出調節(modified-release)又は持続放出調合剤及び製剤に組み込んでもよく、このような持続放出製剤は好ましくは二峰性である。
【0160】
投与のための液体調合剤としては、滅菌水性又は非水性溶液剤、懸濁剤及び乳剤が挙げられる。液体組成物はまた、結合剤、緩衝剤、保存剤、キレート剤、甘味剤、矯味矯臭剤及び着色剤等を含んでいてもよい。非水性溶媒としては、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、アクリレートコポリマーが挙げられる。水性担体としては、アルコールと水の混合物、ヒドロゲル、緩衝化媒体及び生理食塩水が挙げられる。特に、生体適合性、生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー又はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーは、活性化合物の放出を制御するための有用な賦形剤であり得る。静注用ビヒクルは、流体の栄養補給剤、電解質補給剤、例えば、リンゲルデキストロース(Ringer's dextrose)等を含むことができる。
【0161】
投与方法の例としては、非経口投与、例えば、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、皮内投与及び経口投与が挙げられる。
【0162】
特に、組み合わせて使用する場合、前記式(I)の少なくとも1種の化合物及びICIは、別個に、逐次、又は同時に、好ましくは別個に投与される。
【0163】
例えば、封止されても又はされなくても前記式(I)の少なくとも1種の化合物及び前記ICIが逐次的に投与される場合、式(I)の少なくとも1種の化合物は、ICIの投与前に投与され得る。
【0164】
或いは、ICIを最初に投与し、続いて式(I)の少なくとも1種の化合物を投与する。
【0165】
医薬組成物及び生成物
本発明はまた、前記で定義した式(I)の少なくとも1種の化合物と、免疫チェックポイント阻害剤とを含む、医薬組成物に関する。
【0166】
本発明は更に、医薬として経時的に同時に使用、分離又は拡散するための、合わせた調合剤として、前記で定義した式(I)の少なくとも1種の化合物及び免疫チェックポイント阻害剤を含む生成物に関する。
【0167】
本発明はまた、医薬として使用するための、前記で定義した式(I)の少なくとも1種の化合物に関し、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わされる。
【0168】
特に、前述のように、前記式(I)の少なくとも1種の化合物は、脂質ナノカプセル剤に含まれ得る。
【0169】
前述のように、「免疫チェックポイント阻害剤」又は「ICI」は、当業者に周知の化合物である。これらの化合物は、いくつかの種類の免疫系細胞、例えばT細胞、及び一部のがん細胞により生成されるチェックポイントと呼ばれるタンパク質を遮断する種類の薬物である。
【0170】
本発明による好ましい免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、TIGIT、TIM-3、LAG-3 CD160及び2B4化合物、特にPD1/PDL1化合物から選択される。
【0171】
より特定すると、前記医薬組成物、生成物、又はICIと組み合わせた式(I)の少なくとも1種の化合物は、がんの予防及び/又は治療に使用するためである。
【0172】
本明細書中で使用する場合、特に定義されていない限り、「がん」は、体内の異常細胞の成長、分裂又は増殖を指す。これは、あらゆるタイプの悪性(すなわち、非良性)腫瘍を指す。悪性腫瘍は、原発性腫瘍又は続発性腫瘍(すなわち、転移)に相当し得る。更に、腫瘍は、例えば癌、腺癌、肉腫、黒色腫、中皮腫、芽細胞腫を含む、固形悪性腫瘍に又は血液がん、例えば、白血病、リンパ腫及び骨髄腫に相当し得る。がんは、例えば、黒色腫、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵がん、結腸がん、急性骨髄性白血病、肝細胞癌、扁平上皮細胞頭頚部がん、腎細胞癌、子宮頚部癌、メルケル細胞癌、PMBCL、古典的ホジキンリンパ腫、胃及びGEJ癌に相当し得る。
【0173】
特に、予防及び/又は治療するがんは、黒色腫、肺がん及び結腸である。
【0174】
更に特定すると、前記がんは、化学療法耐性及び/又は放射線耐性のがんである。
【0175】
「化学療法耐性」とは、それに対して化学療法が効かない又は効かなくなった、本明細書中に記載したがんを意味する。
【0176】
「放射線耐性」とは、それに対して放射線療法が効かない又は効かなくなった、本明細書中に記載したがんを意味する。
【0177】
特に、がんに対する治療を必要とする対象は、このような疾患に罹患している対象である。
【0178】
「患者」又は「対象」という用語は、特に明記されない限り、本明細書中に記載する1つ又は複数の疾患及び状態に罹患している又は罹患する可能性がある、温血動物、例えば、哺乳動物、特にヒト(男性又は女性)を指す。
【0179】
本発明との関連で使用する「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、「治療される」又は「治療」という用語は、目的が症状を排除すること又は緩和することである、治療的処置を指す。有益な又は望ましい臨床結果としては、症状の排除、症状の軽減、状態の程度の漸減、状態の安定化(すなわち、悪化していないこと)、状態の進行の遅延又は緩徐化が挙げられるが、これらの限定されるものではない。
【0180】
本発明との関連で使用する「予防する(prevent)」、「予防(prevention)」、「予防する(preventing)」又は「予防される(prevented)」という用語は、疾患若しくは障害の又はその1つ若しくは複数の症状の発症、再発又は拡大の予防を指す。ある特定の実施形態において、これらの用語は、症状の発症前における、特に、本明細書中に示した疾病又は障害のリスクのある患者に対する、本明細書中に示した化合物による治療又はその投与を指す。これらの用語は、特定の疾患の症状の抑制又は低減を包含する。特に疾患の家族歴のある対象は、ある特定の実施形態における予防レジメンの候補である。加えて、再発症状の既往歴のある対象もまた、予防の候補となる可能性がある。これに関連して、「予防」という用語は、「予防的処置」という用語と同義で使用し得る。
【0181】
本発明との関連において、本明細書中に記載した疾患及び状態の治療を必要とする対象の特定は、前述のようにして行い、これは十分に当業者の能力及び知識の範囲内である。当技術に熟練した臨床家は、前述の専門的事項によって、このような治療を必要とするそれらの対象を容易に特定できる。
【0182】
治療有効量は、当業者としての担当診断医によって、従来の技術を使用して、類似の状況下で得られた結果を観察することによって、容易に決定できる。治療有効量の決定に際して、以下を含むがこれらに限定されない多くの要因が、担当診断医によって考慮される:対象の種;対象のサイズ、年齢及び全身健康状態;関与している特定の疾患;疾患の関与の程度又は重症度;個々の対象の反応;投与する特定の化合物;投与方法;投与される調合剤の生物学的利用能特性;選択される用法;併用医薬の使用;並びに他の関連状況。
【0183】
本明細書中で使用する「有効量」は、本明細書中に記載した疾患及び状態の症状を低減、排除、治療又は制御するのに有効な量を指す。「制御する」という用語は、本明細書中に記載した疾患及び状態の進行の緩徐化、妨害、抑止又は停止が存在する可能性がある全てのプロセスを指すことを意図するものであるが、全ての疾患及び状態の症状が完全に排除されることを必ずしも示すとは限らず、予防的処置及び慢性的使用を含むことを意図する。
【0184】
望ましい生物学的効果を達成するのに必要とされる、本発明による化合物の量は、投与される薬物の投与量、採用する化合物の化学的特性(例えば、疎水性)、化合物の効力、疾患のタイプ、患者の病状並びに投与経路を含む、多くの要因によって異なる。
【0185】
本明細書において提供される化合物は、1種又は複数の薬学的に許容される賦形剤と場合により混合して、医薬組成物に製剤化することができる。
【0186】
このような組成物は、経口投与に使用するために、特に錠剤若しくはカプセル剤、特に口腔内分散性(lyoc)錠剤の形態で;又は非経口投与に使用するために、特に液体の溶液剤、懸濁剤又は乳剤の形態で、調製し得る。
【0187】
これは、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版;Gennaro, A. R.編;Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia、PA、2000年に記載されているような、製薬技術分野において周知の方法のいずれかによって調製し得る。薬学的に適合性のある結合剤及び/又は補助材を、組成物の一部として含めてもよい。経口組成物は一般に、不活性希釈担体又は可食担体を含む。これらは、単位用量形態で投与することができる。「単位用量」という用語は、患者に投与することができ、容易に取り扱い及び包装することができ、活性化合物を単独で又は薬学的に許容される組成物として含む物理的及び化学的に安定な単位用量としてとどまる、単一用量を意味する。
【0188】
錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤等は、以下の成分又は同様な性質の化合物のいずれかを1種又は複数を含有してもよい:結合剤、例えば、微結晶性セルロース若しくはトラガカントガム;希釈剤、例えば、デンプンも若しくはラクトース;崩壊剤、例えば、デンプン及びセルロース誘導体;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えば、スクロース若しくはサッカリン;又は矯味矯臭剤、例えば、ペパーミント若しくはサリチル酸メチル。カプセル剤は、可塑剤と場合によりブレンドされているゼラチンブレンドから一般に作製される硬カプセル剤又は軟カプセル剤、並びにデンプンカプセル剤の形態であることができる。加えて、投与単位形態は、投与量単位の物理的形態を変更する種々の他の材料、例えば、砂糖、シェラック又は腸溶剤のコーティングを含有してもよい。他の経口剤形、シロップ剤又はエリキシル剤は、甘味剤、保存剤、色素、着色剤及び矯味矯臭剤を含有してもよい。加えて、活性化合物は、速溶性、放出調節又は持続放出調合剤及び製剤に組み込んでもよく、このような持続放出製剤は好ましくは二峰性である。
【0189】
投与のための液体調合剤としては、滅菌水性又は非水性溶液剤、懸濁剤及び乳剤が挙げられる。液体組成物はまた、結合剤、緩衝剤、保存剤、キレート剤、甘味剤、矯味矯臭剤及び着色剤等を含んでいてもよい。非水性溶媒としては、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、アクリレートコポリマーが挙げられる。水性担体としては、アルコールと水の混合物、ヒドロゲル、緩衝化媒体及び生理食塩水が挙げられる。特に、生体適合性、生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー又はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーは、活性化合物の放出を制御するための有用な賦形剤であり得る。静注用ビヒクルは、流体の栄養補給剤、電解質補給剤、例えば、リンゲルデキストロースを用いたもの等を含むことができる。
【0190】
投与方法の例としては、非経口投与、例えば、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、皮内投与及び経口投与が挙げられる。
【0191】
特に、前記式(I)の少なくとも1種の化合物及びICIは、別個に、逐次、又は同時に、好ましくは別個に投与される。
【0192】
例えば、封止されても又はされなくても前記式(I)の少なくとも1種の化合物及び前記ICIが逐次的に投与される場合、式(I)の少なくとも1種の化合物は、ICIの投与前に投与され得る。
【0193】
或いは、ICIを最初に投与し、続いて式(I)の少なくとも1種の化合物を投与する。
【0194】
本発明との関連において、「~の治療又は予防に使用するための化合物」は、「~の治療又は予防のための化合物の使用」及び「~の治療又は予防のための医薬の製造のための化合物の使用」と均等であることが理解されるべきである。
【0195】
本発明を以下の図及び実施例によって更に説明するものとする。
【0196】
注:以下の図及び実施例において、DIMATEは、1-4-ジメチルアミノ-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルに相当する。
【実施例】
【0197】
パート1 - 式(I)の化合物の調製
代表的な式(I)の化合物を以下のTable 1(表1)に要約する。
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
式(I)の代表的な化合物は、以下の手順に従って合成できる。
【0203】
一般的な分析手順
1H及び13C NMRスペクトルは、Bruker社のBruker Advance ALS300及びDRX400MHzで記録した。化学シフトはppm(δ)で報告する。これは、DMSO-d6(1H,2.50ppm;13C,39.52ppm)又はCDCl3(7.26ppm)を基準とした。カップリング定数(J)はHzで示した。
【0204】
HRMS-ESI質量スペクトルは、エレクトロスプレーイオン化(ESI)イオン源を備えたハイブリッド四重極飛行時間型質量分析計(MicroTOFQ-II、Bruker Daltonics社、Bremen)の陽イオンモードで記録した。低分解能の質量分析については、LRMS-ESI質量スペクトルをThermo Finnigan MAT 95XL分光計で記録した。
【0205】
(実施例1)
4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
N-(2-エトキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンの調製: N-メチル-N-(2'-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-3-メチル-1-ブチン(Easton,Nelson R.; Hennio,George F. U.S. (1967年)、米国特許第3337625号、1967年8月22日)(1.0g、7.08mmol)及びヨードエタン(0.98mL、7.6mmol)のTHF(12mL)溶液に、室温でNaH(0.459g、11.5mmol)を添加し、混合物を3時間還流させた。次いで、混合物を室温で水により慎重に加水分解させ、EtOAc(3×25mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、真空中で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=70/30)による粗製物の精製により、純粋なN-(2-エトキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミン(0.479g、40%)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 3.45 - 3.36 (m, 4H), 3.11 (s, 1H), 2.51 (t, J = 6.7 Hz,. 2H), 2.20 (s, 3H), 1.27 (s, 6H), 1.09 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
ESI-LRMS 170.0 [M+H]+.
【0206】
4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: THF(11mL)中のN-(2-エトキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミン(0.367g、2.17mmol)に、-70℃で2.28M n-BuLiのヘキサン溶液(1.14mL、2.60mmol)を滴下添加した。-70℃で5分後、反応混合物を0℃に加温し、同温度に10分保持し、次いで-70℃に冷却してから、この溶液を通して30分間の硫化カルボニル(COS)バブリングを行った。黄色溶液を0℃に加温し、同温度で更に10分間撹拌してから、ヨードメタン(0.162mL、2.60mmol)を滴下添加した。混合物を2時間撹拌し、0℃において水で慎重に加水分解させ、エーテルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、真空中で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=90/10)による粗製物の精製により、純粋な4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル(0.369g、70%)をほぼ無色の油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 3.42 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.42 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 2.56 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 2.39 (s, 3H), 2.25 (s, 3H), 1.36 (s, 6H), 1.10 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
ESI- HRMS C12H22NO2S [M+H]+の計算値: 244.1366, 実測値: 244.1362.
【0207】
(実施例2)
4-[2-アリルオキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンの調製: THF(12mL)中のN-メチル-N-(2'-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-3-メチル-1-ブチン(Easton,Nelson R.; Hennio,George F. U.S.(1967年)、米国特許第3337625号、1967年8月22日)(1.0g、7.08mmol)に、0℃でNaH(0.340g、8.50mmol)を加えた。0℃で15分及び室温で15分の後に、0℃でn-Bu4NI(0.026g、0.071mmol)を一度に加え、続いて臭化アリル(0.735mL、8.50mmol)を滴下添加した。反応混合物を室温に到達させ、終夜撹拌し、次いで水で慎重に加水分解させ、エーテルで抽出した(3×25mL)。合わせた有機層をブライン(25mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、真空中で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=80/20~70/30)による精製により、純粋なN-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミン(0.941g、73%)を油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 5.88 (ddt, J = 17.3, 10.5, 5.3 Hz, 1H), 5.24 (ddd, J = 17.3, 3.8, 1.7 Hz, 1H), 5.16 - 5.09 (m, 1H), 3.93 (dt, J = 5.3, 1.6 Hz, 2H), 3.43 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.12 (s, 1H), 2.55 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.21 (s, 3H), 1.27 (s, 6H).
ESI-LRMS 182.0 [M+H]+.
【0208】
4-[2-アリルオキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンから出発した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得る。スケール:2.2mmol。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=90/10~80/20)による精製。収率:65%。ほぼ無色の油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 5.88 (ddt, J = 17.3, 10.5, 5.3 Hz, 1H), 5.24 (ddd, J = 17.3, 3.8, 1.7 Hz, 1H), 5.17 - 5.10 (m, 1H), 3.94 (dt, J = 5.3, 1.5 Hz, 2H), 3.45 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.58 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.39 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 1.36 (s, 6H).
ESI- HRMS C13H22NO2S [M+H]+の計算値: 256.1366, 実測値: 256.1364.
【0209】
(実施例3)
4-[2-ベンジルオキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
N-(2-ベンジルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンの調製: この化合物は、1.015eqのNaH及び1.01eqの臭化ベンジルを使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得る。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=90/10)による精製。収率:81%。無色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.39 - 7.24 (m, 5H), 4.47 (s, 2H), 3.49 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.12 (s, 1H), 2.58 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 2.21 (s, 3H), 1.27 (s, 6H). ESI-LRMS 232.0 [M+H]+.
【0210】
4-[2-ベンジルオキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、N-(2-ベンジルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンから出発した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得る。スケール:2.2mmol。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=90/10)による精製。収率:79%。無色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.37 - 7.26 (m, 5H), 4.48 (s, 2H), 3.52 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.62 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.38 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 1.36 (s, 6H).
ESI- HRMS C17H24NO2S [M+H]+の計算値: 306.1522, 実測値: 306.1514.
【0211】
代替プロトコール: THF(8mL)中のN-(2-ベンジルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミン(0.650g、2.81mmol)に、-70℃で2.28M n-BuLiのヘキサン溶液(1.36mL、3.09mmol)を滴下添加した。-70℃で5分後、反応混合物を0℃に加温し、同温度に10分保持し、この溶液を通して30分間のCO2バブリングを行った。混合物を5分以内に室温に加温し、次いで0℃において再冷却した。クロロギ酸イソブチル(0.40ml、3.08mmol)を滴下添加し、混合物を10分間攪拌してから、ナトリウムメトキシド(0.236g、3.37mmol)を一度に添加した。混合物を室温に加温し、同温度で更に15分撹拌し、次いで0℃において水で慎重に加水分解させ、エーテルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、真空中で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=90/10)による粗製物の精製により、純粋な4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル(0.307g、36%)を得た。
【0212】
(実施例4)
4-メチル-4-[メチル[2-(m-トリルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
N-2-ジメチル-N-[2-(m-トリルメトキシ)エチル]ブタ-3-イン-2-アミンの調製: この化合物は、臭化3-メチルベンジルを使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得る。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=90/10)による精製。スケール:4.5mmol。収率:79%。無色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.26 - 7.19 (m, 1H), 7.16 - 7.05 (m, 3H), 4.43 (s, 2H), 3.48 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.12 (s, 1H), 2.57 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 2.30 (s, 3H), 2.21 (s, 3H), 1.27 (s, 6H).
ESI-LRMS 246.1 [M+H]+.
【0213】
4-メチル-4-[メチル[2-(m-トリルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、N-2-ジメチル-N-[2-(m-トリルメトキシ)エチル]ブタ-3-イン-2-アミンから出発した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得る。スケール:1.3mmol。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=90/10)による精製。収率:77%。無色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.26 - 7.19 (m, 1H), 7.16 - 7.05 (m, 3H), 4.44 (s, 2H), 3.50 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.62 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.38 (s, 3H), 2.30 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 1.36 (s, 6H).
ESI- HRMS C18H26NO2S [M+H]+の計算値: 320.1679, 実測値: 320.1667.
【0214】
(実施例5)
4-[2-[(3,4-ジメチルフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
N-[2-[(3,4-ジメチルフェニル)メトキシ]エチル]-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンの調製: この化合物は、臭化3,4-ジメチルベンジルを使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得る。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=60/40)による精製。スケール:3.8mmol。収率:60%。無色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.12 - 7.06 (m, 2H), 7.04 - 6.99 (m, 1H), 4.39 (s, 2H), 3.45 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.12 (s, 1H), 2.56 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 2.20 (s, 6H), 2.19 (s, 3H), 1.27 (s, 6H).
ESI-LRMS 182.0 [M+H]+. ESI-LRMS 260.0 [M+H]+.
【0215】
4-[2-[(3,4-ジメチルフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、N-[2-[(3,4-ジメチルフェニル)メトキシ]エチル]-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンから出発した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得る。スケール:1.3mmol。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=90/10)による精製。収率:77%。ほぼ無色の油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.12 - 7.06 (m, 2H), 7.05 - 6.99 (m, 1H), 4.40 (s, 2H), 3.48 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.60 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.38 (s, 3H), 2.25 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 2.19 (s, 3H), 1.36 (s, 6H).
ESI- HRMS C19H28NO2S [M+H]+の計算値: 334.1835, 実測値: 334.1825.
【0216】
(実施例6)
4-[2-[(4-メトキシフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
N-[2-[(4-メトキシフェニル)メトキシ]エチル]-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンの調製: この化合物は、1-(ブロモメチル)-4-メトキシベンゼンを使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得る。シリカゲルでのクロマトグラフィー(DCM/MeOH=99/1~97.5/2.5)による精製。スケール:4.0mmol。収率:53%。無色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.27 - 7.20 (m, 2H), 6.93 - 6.86 (m, 2H), 4.39 (s, 2H), 3.74 (s, 3H), 3.45 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.12 (s, 1H), 2.55 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.20 (s, 3H), 1.27 (s, 6H).
ESI-LRMS 261.9 [M+H]+.
【0217】
4-[2-[(4-ジメトキシフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、N-[2-[(4-メトキシフェニル)メトキシ]エチル]-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンから出発した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得る。スケール:1.3mmol。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=80/20)による精製。収率:74%。ほぼ無色の油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.27 - 7.21 (m, 2H), 6.93 - 6.87 (m, 2H), 4.40 (s, 2H), 3.74 (s, 3H), 3.48 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.60 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.38 (s, 3H), 2.25 (s, 3H), 1.36 (s, 6H).
ESI- HRMS C18H26NO3S [M+H]+の計算値: 336.1628, 実測値: 336.1613.
【0218】
(実施例7)
4-[2-[(3,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
N-[2-[(3,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]エチル]-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンの調製: この化合物は、4-(ブロモメチル)-1,2-ジメトキシベンゼンを使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得る。シリカゲルでのクロマトグラフィー(DCM/MeOH=99/1~97.5/2.5)による精製。スケール:4.0mmol。収率:67%。無色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 6.94 - 6.88 (m, 2H), 6.87 - 6.80 (m, 1H), 4.39 (s, 2H), 3.74 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 3.46 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.12 (s, 1H), 2.56 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 2.21 (s, 3H), 1.27 (s, 6H).
ESI-LRMS 292.0 [M+H]+.
【0219】
4-[2-[(3,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、N-[2-[(3,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]エチル]-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンから出発した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得る。スケール:1.0mmol。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=90/10)による精製。収率:67%。ほぼ無色の油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 6.94 - 6.87 (m, 1H), 6.87 - 6.81 (m, 1H), 4.40 (s, 2H), 3.74 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 3.48 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.61 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.38 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 1.36 (s, 6H).
ESI- HRMS C19H28NO4S [M+H]+の計算値: 366.1734, 実測値: 336.1720.
【0220】
(実施例8)
4-[2-[(3-クロロフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
N-[2-[(3-クロロフェニル)メトキシ]エチル]-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンの調製 この化合物は、臭化3-クロロルベンジルを使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得る。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=70/30)による精製。スケール:4.0mmol。収率:71%。無色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.43 - 7.25 (m, 4H), 4.49 (s, 2H), 3.50 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.12 (s, 1H), 2.58 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.22 (s, 3H), 1.28 (s, 6H).
ESI-LRMS 266.0 [M+H]+.
【0221】
4-[2-[(3-クロロフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、COSのバブリング前に30分間にわたってn-BuLiを添加した後に反応混合物を-70℃に保持する以外は、N-[2-[(3-クロロフェニル)メトキシ]エチル]-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンから出発した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得る。スケール:1.3mmol。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=75/25)による精製。収率:63%。ほぼ無色の油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.44 - 7.24 (m, 4H), 4.50 (s, 2H), 3.52 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 2.63 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 2.38 (s, 3H), 2.27 (s, 3H), 1.37 (s, 6H).
ESI- HRMS C17H23ClNO2S [M+H]+の計算値: 340.1133, 実測値: 340.1120.
【0222】
(実施例9)
4-[2-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
N-[2-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]エチル]-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンの調製: この化合物は、臭化3-フルオロルベンジルを使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得る。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=80/20)による精製。スケール:4.0mmol。収率:71%。無色油状物。
【0223】
4-[2-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、COSのバブリング前に30分間にわたってn-BuLiを添加した後に反応混合物を-70℃に保持する以外は、N-[2-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]エチル]-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンから出発した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルついて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得る。スケール:1.3mmol。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=70/30)による精製。収率:87%。ほぼ無色の油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.44 - 7.34 (m, 1H), 7.20 - 7.05 (m, 3H), 4.51 (s, 2H), 3.53 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.63 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.38 (s, 3H), 2.27 (s, 3H), 1.37 (s, 6H).
ESI- HRMS C17H23FNO2S [M+H]+の計算値: 324.1428, 実測値: 324.1415
【0224】
(実施例10)
4-メチル-4-[メチル-[2-(2-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
N-2-ジメチル-N-[2-(2-ピリジルメトキシ)エチル]ブタ-3-イン-2-アミンの調製: この化合物は、2-(ブロモメチル)ピリジン臭化水素酸塩から出発し且つ4eqのNaHを使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得る。シリカゲルでのクロマトグラフィー(DCM/MeOH=99/1~95/5)による精製。スケール:2.1mmol。収率:71%。黄色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 8.50 (ddd, J = 4.8, 1.8, 0.9 Hz, 1H), 7.80 (td, J = 7.7, 1.8 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.32 - 7.24 (m, 1H), 4.55 (s, 2H), 3.56 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.13 (s, 1H), 2.61 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.23 (s, 3H), 1.28 (s, 6H).
ESI-LRMS 233.1 [M+H]+.
【0225】
4-メチル-4-[メチル-[2-(2-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、N-2-ジメチル-N-[2-(2-ピリジルメトキシ)エチル]ブタ-3-イン-2-アミンから出発し且つ1.5eqのn-BuLi、1.5eqのMeI及びDCMでの抽出を使用した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得る。スケール:0.9mmol。シリカゲルでのクロマトグラフィー(DCM/MeOH=99/1~90/10)による精製。収率:18%。黄色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 8.54 - 8.48 (m, 1H), 7.80 (td, J = 7.7, 1.8 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.28 (dd, J = 6.7, 5.1 Hz, 1H), 4.56 (s, 2H), 3.59 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.65 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.38 (s, 3H), 2.28 (s, 3H), 1.37 (s, 6H). ).
ESI- HRMS C16H23N2O2S [M+H]+の計算値: 3071475, 実測値: 307.1471.
【0226】
(実施例11)
4-メチル-4-[メチル-[2-(3-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
N-2-ジメチル-N-[2-(3-ピリジルメトキシ)エチル]ブタ-3-イン-2-アミンの調製: この化合物は、3-(ブロモメチル)ピリジン臭化水素酸塩から出発し且つ4eqのNaHを使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得る。シリカゲルでのクロマトグラフィー(DCM/MeOH=99/1~95/5)による精製。スケール:2.1mmol。収率:67%。黄色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 8.56 - 8.52 (m, 1H), 8.49 (dd, J = 4.8, 1.7 Hz, 1H), 7.78 - 7.70 (m, 1H), 7.38 (ddd, J = 7.8, 4.8, 0.8 Hz, 1H), 4.52 (s, 2H), 3.52 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.12 (s, 1H), 2.58 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.21 (s, 3H), 1.27 (s, 6H).
ESI-LRMS 233.1 [M+H]+.
【0227】
4-メチル-4-[メチル-[2-(3-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、N-2-ジメチル-N-[2-(3-ピリジルメトキシ)エチル]ブタ-3-イン-2-アミンから出発し且つ1.5eqのn-BuLi、1.5eqのMeI及びDCMでの抽出を使用した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得る。スケール:0.4mmol。シリカゲルでのクロマトグラフィー(DCM/MeOH=99/1~95/5)による精製。収率:15%。黄色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 8.54 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 8.49 (dd, J = 4.8, 1.7 Hz, 1H), 7.78 - 7.70 (m, 1H), 7.38 (ddd, J = 7.8, 4.8, 0.8 Hz, 1H), 4.53 (s, 2H), 3.54 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.63 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.38 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 1.36 (s, 6H) ).
ESI- HRMS C16H23N2O2S [M+H]+の計算値: 3071475, 実測値: 307.1474.
【0228】
(実施例12)
4-メチル-4-[メチル-[2-(4-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
N-2-ジメチル-N-[2-(4-ピリジルメトキシ)エチル]ブタ-3-イン-2-アミンの調製: この化合物は、4-(ブロモメチル)ピリジン臭化水素酸塩から出発し且つ4eqのNaHを使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得る。シリカゲルでのクロマトグラフィー(DCM/MeOH=99/1~95/5)による精製。スケール:2.1mmol。収率:95%。黄色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 8.56 - 8.49 (m, 2H), 7.38 - 7.27 (m, 2H), 4.54 (s, 2H), 3.53 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.13 (s, 1H), 2.61 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.23 (s, 3H), 1.28 (s, 6H).
ESI-LRMS 233.1 [M+H]+.
【0229】
4-メチル-4-[メチル-[2-(4-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、N-2-ジメチル-N-[2-(4-ピリジルメトキシ)エチル]ブタ-3-イン-2-アミンから出発し且つ1.5eqのn-BuLi、1.5eqのMeI及びDCMでの抽出を使用した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得る。スケール:1.0mmol。シリカゲルでのクロマトグラフィー(DCM/MeOH=99/1~95/15)による精製。収率:24%。黄色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 8.60 - 8.45 (m, 2H), 7.37 - 7.26 (m, 2H), 4.55 (s, 2H), 3.56 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 2.65 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 2.38 (s, 3H), 2.28 (s, 3H), 1.37 (s, 6H).
ESI- HRMS C16H23N2O2S [M+H]+の計算値: 3071475, 実測値: 307.1470.
【0230】
(実施例13)
4-((4-(ベンジルオキシ)ブチル)(メチル)アミノ)-4-メチルペンタ-2-インチオ酸S-メチル
4-(メチル(2-メチルブタ-3-イン-2-イル)アミノ)ブタン-1-オールの調製: この化合物は、市販の4-(メチルアミノ)ブタン-1-オールから出発して、N-メチル-N-(2'-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-3-メチル-1-ブチン(Easton,Nelson R.;Hennio,George F. U.S.(1967年)、米国特許第3337625号、1967年8月22日)の合成について前に記載した標準プロトコールによって、調製した。4-(メチル(2-メチルブタ-3-イン-2-イル)アミノ)ブタン-1-オールが鮮黄色の油状物として得られた。スケール:3mmol。収率:99%。
1H NMR (300MHz, DMSO) δ 4.41 (t, J = 5.2Hz, 1H), 3.42 - 3.33 (m, 2H), 3.09 (s, 1H), 2.38 - 2.29 (m, 2H), 2.14 (s, 3H), 1.45 - 1.36 (m, 4H), 1.27 (s, 6H).
ESI - LRMS : 170.1 [M+H]+
【0231】
N-(4-(ベンジルオキシ)ブチル)-N,2-ジメチルブタ-3-イン-2-アミンの調製: この化合物は、4-(メチル(2-メチルブタ-3-イン-2-イル)アミノ)ブタン-1-オールから出発し且つ1.015eqのNaH及び1.01eqの臭化ベンジルを使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得た。シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc=80/20)による精製。スケール:2.4mmol。収率:55%。黄色油状物。
1H NMR (300MHz, DMSO) δ 7.39 - 7.22 (m, 5H), 4.44 (s, 2H), 3.42 (t, J = 6.3Hz, 2H), 3.08 (s, 1H), 2.34 (t, J = 6.9Hz, 2H), 2.13 (s, 3H), 1.60 - 1.37 (m, 4H), 1.26 (s, 6H).
ESI - LRMS : 260.2 [M+H]+
【0232】
4-((4-(ベンジルオキシ)ブチル)(メチル)アミノ)-4-メチルペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、N-(4-ベンジルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンから出発した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得た。シリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc=90/10)による精製。スケール:0.77mmol。収率:80%。黄色油状物。
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 7.38 - 7.19 (m, 5H), 4.48 (s, 2H), 3.47 (t, J = 6.1Hz, 2H), 2.45 (t, J = 6.9Hz, 2H), 2.35 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 1.73 - 1.48 (m, 4H), 1.39 (s, 6H).
ESI - HRMS : C19H28NO2S [M+H]+の計算値334.1835, 実測値334.1840.
【0233】
(実施例14)
4-((2-ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)-4-メチルペンタ-2-インチオ酸S-メチル
【0234】
【0235】
a) Easton, Nelson R.; Hennion, George F.、U.S.(1966年)、米国特許第3285913号を参照のこと;b) 3,4-DHP、pTSA、DCM(70%);c) nBuLi、THF、-70℃、硫化カルボニル、次いでMeI 0℃(59%);d) pTSA、MeOH、室温(90%)
【0236】
化合物3: N,2-ジメチル-N-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)ブタ-3-イン-2-アミンの調製: 無水DCM(135mL)中の2-(メチル(2-メチルブタ-3-イン-2-イル)アミノ)エタノール2(3.00g、21.2mmol)及び3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(5.0eq)に、室温でp-トルエンスルホン酸(0.1eq)を添加した。反応混合物を終夜撹拌し、NaHCO3飽和水溶液(30mL)、次いでブライン(30mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物を、最初に、Kugelrohr装置(10~12トル、オーブン155℃)を使用してショートパス蒸留によって、次いでシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル95/5~60/40)によって、精製して、化合物3を油状物として得た(収率70%)。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 4.60 - 4.50 (m, 1H), 3.82-3.70 (m, 1H), 3.59-3.56 (m, 1H), 3.49 - 3.35 (m, 2H), 3.12 (s, 1H), 2.55 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 2.21 (s, 3H), 1.77 - 1.35 (m, 6H), 1.27 (s, 6H).
【0237】
化合物4: 4-メチル-4-(メチル(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: 無水THF(22mL)中のアセチレン性アミン3(1.00g、4.44mmol)に、n-ブチルリチウム溶液(ヘキサン類中2.2M、1.5eq)を滴下添加した。混合物を10分以内に0℃に到達させ、次いで-70℃に再冷却してから、硫化カルボニルによるバブリングを行った。30分後、鮮黄色の溶液を慎重に0℃に加温し、同温度で30分撹拌し、ヨウ化メチル(1.2eq)を滴下添加した。反応混合物を0℃で2時間にわたって攪拌してから、水で加水分解させた。DCMによる抽出の後処理(ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧濃縮)により粗生成物が得られ、これをシリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル90/10~60/40)により精製して、化合物4を油状物として得た(収率59%)。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 4.58 (t, J = 3.2 Hz, 1H), 3.75 (ddd, J = 11.4, 7.9, 3.3 Hz, 1H), 3.70 - 3.60 (m, 1H), 3.49 - 3.38 (m, 2H), 2.59 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 2.39 (s, 3H), 2.27 (s, 3H), 1.77 - 1.39 (m, 6H), 1.36 (s, 6H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 176.62 (C=O), 98.94 (CH), 96.46 (C), 80.97 (C), 66.55 (CH2), 62.37 (CH2), 55.19 (C), 52.43 (CH2), 37.92 (CH3), 30.75 (CH2), 28.01(2xCH3), 25.59 (CH2), 19.63 (CH2), 12.61 (CH3).
【0238】
化合物5: 4-((2-ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)-4-メチルペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: メタノール(15mL)中のアミノチオールエステル4(1.00g、3.34mmol)に、室温でp-トルエンスルホン酸(1.1eq)を添加した。反応混合物を終夜撹拌し、NaHCO3飽和水溶液(30mL)、次いでブライン(30mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル80/20~20/80)によって精製して、化合物5を油状物として得た(収率90%)。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 4.42 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 3.44 (td, J = 6.7, 5.6 Hz, 2H), 2.46 (, J = 6.7 Hz, 2H), 2.39 (s, 3H), 2.24 (s, 3H), 1.36 (s, 6H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 176.46 (C=O), 95.56 (C), 80.89 (C), 58.92 (CH2), 54.99 (C) , 53.52 (CH2), 36.12 (CH3), 27.88 (2xCH3), 12.53(CH3). ESI-HRMS: C10H18NO2S [M+H]+の計算値216.1053 実測値216.1043.
【0239】
(実施例15)
4-メチル-4-[メチル-[2-(2-ナフチルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
N,2-ジメチル-N-[2-(2-ナフチルメトキシ)エチル]ブタ-3-イン-2-アミンの調製: この化合物は、1.015eqのNaH及び1.01eqの臭化ナフチルを使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得る。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=90/10)による精製。収率:61%。オレンジ色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.91 - 7.88 (m, 4H), 7.50 - 7.48 (m, 3H), 4.65 (s, 2H), 3.55 (t, 6.1Hz, 2H), 3.13 (s, 1H), 2.62 (t, 6.2Hz, 2H), 2.23 (s, 3H), 1.28 (s, 6H).
【0240】
4-メチル-4-[メチル-[2-(2-ナフチルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、N,2-ジメチル-N-[2-(2-ナフチルメトキシ)エチル]ブタ-3-イン-2-アミンから出発した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得る。スケール:0.65mmol。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=85/15)による精製。収率:28%。黄色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ7.95 - 7.82 (m, 4H), 7.55 - 7.41 (m, 3H), 4.66 (s, 2H), 3.57 (t, J = 6.2Hz, 2H), 2.66 (t, J = 6.1Hz, 2H), 2.38 (s, 3H), 2.28 (s, 3H), 1.37 (s, 6H).
ESI - HRMS : C21H26NO2Sの計算値356.1683, 実測値356.1679 [M+H]+
【0241】
(実施例16)
4-メチル-4-[メチル-[2-[(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)メトキシ]エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチル
N,2-ジメチル-N-[2-[(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)メトキシ]エチル]ブタ-3-イン-2-アミンの調製: この化合物は、1.015eqのNaH及び1.01eqの2-(ブロモメチル)-1,3,3-トリメチル-1-シクロヘキセン(公知のプロトコール(国際公開第2015048363号)によってβ-シクロシトラールから調製)を使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得る。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=95/05)による精製。収率:67%。淡黄色油状物。
3.86 (s, 2H), 3.41 (t, J = 6.5Hz, 2H), 3.12 (s, 1H), 2.53 (t, J = 6.4Hz, 2H), 2.20 (s, 3H), 1.90 (t, J = 5.9Hz, 2H), 1.62 (s, 3H), 1.57 - 1.49 (m, 2H), 1.41 - 1.33 (s, 2H), 1.27 (s, 6H), 0.97 (s, 6H).
【0242】
4-メチル-4-[メチル-[2-[(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)メトキシ]エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、N,2-ジメチル-N-[2-[(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)メトキシ]エチル]ブタ-3-イン-2-アミンから出発した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法(実施例15)と同様な方法を使用することによって得る。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=90/10)による精製。収率:63%。黄色油状物。
H NMR (300 MHz, DMSO) δ 3.87 (s, 2H), 3.44 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 2.57 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 2.38 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 1.91 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 1.62 (s, 3H), 1.57 - 1.49 (m, 2H), 1.36 (s, 6H), 1.39 - 1.34 (m, 2H), 0.97 (s, 6H).
ESI - HRMS C20H34NO2S [M+H]+の計算値: 352.2305, 実測値: 352.2289.
【0243】
(実施例17)
2,5,10,11,11-ペンタメチル-6-オキソ-7-オキサ-2,5,10-トリアザテトラデカ-12-イン-14-チオ酸S-メチル
化合物6の調製: ジクロロメタン(DCM)(2.5mL)中のp-ニトロクロロホルメート(140mg、0.70mmol、1.5eq)溶液を、0℃でDCM(1.5mL)中のトリエチルアミン(TEA)(1.5eq)を含む実施例14の化合物5(100mg、0.46mmol)溶液に滴下添加する。0℃で10分後、反応混合物を、完全な変換まで(TLCで確認、1時間)撹拌しながら、室温に加熱する。次いで、混合物をDCM(30mL)で希釈し、次いでブライン(30mL)で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル100/70/30)による精製により、化合物6を非晶質固体の形態として得た(収率82%)。
1H NMR (300MHz, DMSO): δ (ppm) 8.35-8.30 (m, 2H), 7.59-7.53 (m, 2H), 4.30 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 2.75 (t, J = 5.7 Hz , 2H), 2.39 (s, 3H), 2.30 (s, 3H), 1.39 (s, 6H).
【0244】
2,5,10,11,11-ペンタメチル-6-オキソ-7-オキサ-2,5,10-トリアザテトラデカ-12-イン-14-チオ酸S-メチルの調製: 3mLのDCM(3mL)中の実施例18の化合物6(200mg、0.53mmol)に、室温でTEA(1.2eq)を添加する。反応混合物に、ジクロロメタン(2.3mL)中のN,N,N'-トリメチルエチレンジアミン(1.2eq)溶液を0℃で添加する。鮮黄色の反応混合物を室温に加温し、終夜撹拌する。鮮黄色の反応混合物を室温で終夜撹拌し、ジクロロメタン(40mL)で希釈し、次いでブライン(30mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル75/25~20/80)による精製。収率: 70%。油状物。
シリカゲルでのクロマトグラフィー(DCM/MeOH(85/15))による精製。収率:34%。黄色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 4.01 (t, J = 5.9Hz, 2H), 3.32-3.25 (m, 2H), 2.83 (大きなs, 3H), 2.62 (t, J = 5.8Hz, 2H), 2.6-2.5 (m 溶媒ピークにより一部隠れている, 2H), 2.39 (s, 3H), 2.27 (s,3H), 2.17 (大きなs, 6H), 1.36 (s, 6H).
ESI-HRMS C16H30N3O3S [M+H]+の計算値: 344.1992, 実測値: 344.1993.
【0245】
(実施例18)
4-(((1R,2R)-2-(ベンジルオキシ)シクロペンチル)(メチル)アミノ)-4-メチルペンタ-2-インチオ酸S-メチル
(1R,2R)-2-ベンジルオキシ-N-(1,1-ジメチルプロパ-2-イニル)シクロペンタンアミンの調製: 市販の(1R,2R)-2-(ベンジルオキシ)シクロペンタンアミン(0.93g、4.86mmol)、3-クロロ-3-メチルブタ-1-イン(1.3eq)及びトリエチルアミン(1.3eq)の、THF(20mL)溶液に、室温でCuI(8mol%)を添加した。混合物を終夜攪拌させておいた。溶媒を減圧蒸発させ、次いで粗製物をNaHCO3飽和水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を2%NH4OH水溶液、次いでブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、溶媒を減圧蒸発させた。(1R,2R)-2-ベンジルオキシ-N-(1,1-ジメチルプロパ-2-イニル)シクロペンタンアミンが、褐色油状物として得られた。収率:99%。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.37 - 7.16 (m, 5H), 4.56 - 4.36 (m, 2H), 3.72 - 3.58 (m, 1H), 3.28 - 3.19 (m, 1H), 3.08 (s, 1H), 2.00 - 1.88 (m, 1H), 1.86 - 1.67 (m, 2H), 1.65 - 1.49 (m, 3H), 1.40 - 1.28 (m, 1H), 1.25 (s, 3H), 1.25 (s, 3H).
【0246】
(1R,2R)-2-(ベンジルオキシ)-N-メチル-N-(2-メチルブタ-3-イン-2-イル)シクロペンタンアミンの調製: (1R,2R)-2-(ベンジルオキシ)-N-(2-メチルブタ-3-イン-2-イル)シクロペンタンアミン(0.25g、0.97mmol)に、53eqのギ酸及び1.5eqのホルムアルデヒドを添加した(水中37%)。混合物を終夜還流させ、次いでpH1に達するまで2N HClを添加し、エーテルで洗浄した。水性層を1N NaOHで塩基性化し、DCMで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、溶媒を減圧蒸発させた。次いで、粗製物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=80/20)によって精製して、黄色油状物を得た。収率:68%。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.43 - 7.17 (m, 5H), 4.52(m, 2H), 3.94 - 3.78 (m, 1H), 3.62 - 3.49 (m, 1H), 3.11 (s, 1H), 2.20 (s, 3H), 1.78 - 1.45 (m, 6H), 1.37 (s, 3H), 1.34 (s, 3H).
ESI - LRMS: 272.1 [M+H]+.
【0247】
4-(((1R,2R)-2-(ベンジルオキシ)シクロペンチル)(メチル)アミノ)-4-メチルペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製: この化合物は、(1R,2R)-2-(ベンジルオキシ)-N-メチル-N-(2-メチルブタ-3-イン-2-イル)シクロペンタンアミンから出発した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得た。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=80/20、次いでDCM=100)による精製。スケール:0.64mmol。収率:47%。黄色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.35 - 7.20 (m, 5H), 4.51 (s, 2H), 3.92 - 3.80 (m, 1H), 3.59 - 3.45 (m, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.24 (s, 3H), 1.78 - 1.49 (m, 6H), 1.45 (s, 3H), 1.42 (s, 3H).
ESI - HRMS C20H28NO2S [M+H]+の計算値: 346.1835, 実測値: 346.1824.
【0248】
(実施例19)
(S)-S-メチル 4-(2-((ベンジルオキシ)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-メチルペンタ-2-インチオエート
(S)-2-((ベンジルオキシ)メチル)-1-(2-メチルブタ-3-イン-2-イル)ピロリジンの調製: この化合物は、(S)-(1-(2-メチルブタ-3-イン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メタノールから出発して、1.015eqのNaH及び1.01eqの臭化ベンジルを使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得た。シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=95/5)による精製。スケール:3.0mmol。収率:60%。オレンジ色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.41 - 7.19 (m, 5H), 4.46 (s, 2H), 3.24 (dd, J = 8.3, 2.7 Hz, 1H), 3.14 (dd, J = 7.6, 3.2 Hz, 1H), 3.11 - 3.02 (m, 2H), 2.86 (dd, J = 8.4, 6.0 Hz, 1H), 2.65 - 2.54 (m, 1H), 1.81 - 1.51 (m, 4H), 1.25 (s, 3H), 1.23 (s, 3H).
ESI-LRMS: 258.1 [M+H]+.
【0249】
(S)-S-メチル 4-(2-((ベンジルオキシ)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-メチルペンタ-2-インチオエートの調製: この化合物は、(S)-2-((ベンジルオキシ)メチル)-1-(2-メチルブタ-3-イン-2-イル)ピロリジンから出発した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得た。シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=80/20)による精製。スケール:1.2mmol。収率:50%。オレンジ色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.46 - 7.18 (m, 5H), 4.47 (s, 2H), 3.29 - 3.23 (m, 1H), 3.17 - 3.03 (m, 2H), 2.94 (dd, J = 8.5, 5.7 Hz, 1H), 2.62 - 2.53 (m, 1H), 2.38 (s, 3H), 1.85 - 1.58 (m, 4H), 1.34 (s, 3H), 1.32 (s, 3H).
【0250】
(実施例20)
(R)-S-メチル 4-(3-(ベンジルオキシ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルペンタ-2-インチオエート
(R)-3-(ベンジルオキシ)-1-(2-メチルブタ-3-イン-2-イル)ピロリジンの調製: この化合物は、(R)-1-(2-メチルブタ-3-イン-2-イル)ピロリジン-3-オールから出発して、1.01eqのNaH及び1.01eqの臭化ベンジルを使用した、N-(2-アリルオキシエチル)-N,2-ジメチル-ブタ-3-イン-2-アミンについて記載した方法[実施例2]と同様な方法を使用することによって得た。シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=98/2)による精製。スケール:3.3mmol。収率:69%。オレンジ色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.40 - 7.17 (m, 5H), 4.42 (s, 2H), 4.07 (tt, J = 7.3, 3.7Hz, 1H) 3.13 (s, 1H), 2.86 (dd, J = 9.6, 6.7 Hz, 1H), 2.75 - 2.65 (m, 2H), 2.60 - 2.53 (m, 1H), 2.06 - 1.95 (m, 1H), 1.75 - 1.65 (m, 1H), 1.29 (s, 6H).
ESI - LRMS 244.1 [M+H]+.
【0251】
(R)-S-メチル 4-(3-(ベンジルオキシ)ピロリジン-1-イル)-4-メチルペンタ-2-インチオエートの調製: この化合物は、(R)-3-(ベンジルオキシ)-1-(2-メチルブタ-3-イン-2-イル)ピロリジンから出発した、4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルについて記載した方法[実施例1]と同様な方法を使用することによって得た。シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=98/2)による精製。スケール:1.2mmol。収率:69%。オレンジ色油状物。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.32 (m, 5H), 4.44 (s, 2H), 4.09 (dq, J = 10.2, 3.5 Hz, 1H), 2.97 - 2.83 (m, 1H), 2.80 - 2.65 (m, 2H), 2.65 - 2.55 (m, 1H), 2.37 (s, 3H), 2.11 - 1.90 (m, 1H), 1.83 - 1.67 (m, 1H), 1.37 (s, 6H).
ESI - HRMS C18H24NO2S [M+H]+の計算値: 318.1522, 実測値: 318.1518.
【0252】
(実施例21)
4-ジメチルアミノ-4-メチル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製
14mlのテトラヒドロフラン中の0.855gの3-ジメチルアミノ-3-メチル-ブタ-1-イン[HENNION、G.F.、NELSON、K.W. (1957年) J. Am. Chem. Soc.、79、2142~2144頁](2.80mmol)溶液に、ヘキサン中の2.27M デンブチルリチウムの4.07ml(9.24mmol)溶液を-70℃で5分間添加する。5分後、反応媒体を0℃とし、同温度で更に30分間撹拌する。-70℃に戻した後、予め濃縮した2mlの炭素オキシスルフィドを、カニューレで挿入し、混合物を-70℃で30分間撹拌する。次いで、反応媒体を30分間にわたって0℃とし、次いで0.575ml(9.24mmol)のヨウ化メチルを添加し、撹拌を0℃で2時間継続する。250mlのエーテルに希釈し、飽和塩化ナトリウム溶液(3×30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水する。真空下で蒸発後、シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル混合物=70/30での溶出)による精製により、1.16gの化合物を無色油状物の形態で単離した(収率:81%)。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): v = 1.42 (s, 6H, (CH3) 2C), 2.31 (s, 6H, (CH3) 2N), 2.39 (s, 3H, CH3S).
【0253】
(実施例22)
4-メチル-4-モルホリン-4-イル-ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製
調製は、3-メチル-3-モルホリン-4-イル-ブタ-1-インの代わりに、3-ジ-n-プロピルアミノ-3-メチル-ブタ-1-イン[HENNION、G.F.、HANZEL、R.F.、J. Am. Chem. Soc.、82、4908~4912頁、(1960年)]を使用する実施例21に記載されているものと同一である。量: 1.5mmol、シリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出剤、石油エーテル/酢酸エチル=60/40)による精製、収率: 77%。白色固体。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ν = 1.43 (s, 6H, (CH3) 2C), 2.40 (s, 3H, CH3S), 2.65 (m, 4H, CH2O), 3.97 (m, 4H, CH2N).
【0254】
(実施例23)
4-メチル-4-[メチル(オクチル)アミノ]ペンタ-2-インチオ酸S-メチルの調製
無水THF(5mL)中のN-メチル-N-(2-メチルブタ-3-イン-2-イル)ヘタン-1-アミン(511mg、2.62mmol)溶液に、-70℃で2.28M nBuLiのヘキサン溶液(1.26mL、1.1eq)を滴下添加する。反応媒体を0℃とし、気体CO2を、30分間ニードルを通してバブリングすることにより溶液に導入する。バブリングを更に5~10分間継続しながら、溶液を室温まで上昇させる。0℃に戻した後、クロロギ酸イソブチル(1.1eq)を滴下添加する。撹拌を0℃で15分間継続してから、MeSNa(1.2eq)を一度に添加する。反応媒体を室温とし、15分間撹拌してから、水で加水分解させる。処理は、酢酸エチル(×3)での抽出とそれに続く塩化ナトリウムの飽和水溶液での合わせた有機相の洗浄からなる。Na2SO4で脱水し、ロータリーエバポレーターで濃縮した後、反応粗製物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=95/5)によって精製して、チオールエステル(445mg)を得る。収率: 63%。白色固体。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 2.38 (s, 3H), 2.37 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.18 (s, 3H), 1.35 (s, 6H), 1.42 - 1.20 (m, 10H) , 0.86 (t, J = 6.7Hz, 3H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 176.38 (C), 96.50 (C), 81.03 (C), 54.98 (C), 52.39 (CH2), 36.39, 31.85 (CH2), 29.25 (CH2), 28.79 (CH2) , 27.81 (2CH3), 27.41 (CH2), 22.62 (CH2), 14.09 (CH3), 12.41 (CH3). ESI-LRMS 270.2 [M + H] +.
【0255】
パート2 - 式(I)の化合物の使用
材料及び方法
フローサイトメトリー免疫表現型分類
メスの免疫適格性C57Bl6マウスに、合計21日間にわたって1週間に3回(i.v.)、DIMATE(15mg/kg)、抗PDL1(12.5mg/kg)又はPBS対照を投与した。血液試料をエンドポイントで得、ヘパリンに採取した。
【0256】
異なる設定において、免疫適格性マウスモデルに腫瘍細胞を皮下移植した(下記の「がん免疫療法の動物モデル」の説明を参照のこと)。腫瘍が50~100mm3の体積に達する場合、マウスに、合計21日間にわたって1週間に3回(i.v.)、DIMATE(15mg/kg)、抗PDL1(12.5mg/kg)又はPBS対照を投与した。腫瘍をエンドポイントで得、ヒアルロニダーゼ及びコラゲナーゼで酵素的に消化した。
【0257】
細胞を、GentleMACS細胞ホモジナイゼーションを使用してホモジナイズしてから、免疫染色した。コンジュゲートされた抗体のリンパ腫パネル(Tエフェクター及びNK細胞)並びに骨髄腫パネル(顆粒球、好中球、好酸球、好塩基球、マクロファージM2型、中間マクロファージ及び単球)を、Table 2(表2)に記載されているBeckman Coulter社から入手した。
【0258】
【0259】
PerfixNCキットは、Beckman Coulter社から購入した。
【0260】
抗凝固剤でサンプリングした全血(100μl)を、10μlのPerfix-NC R1緩衝液と混合し、2~3分間、直ちにボルテックスし、暗所で、室温で15分間インキュベートした。約600μlのPerfix-NC R2緩衝液を添加し、355μlをDuraclone管に移し、対応する抗体を添加した。ボルテックス後、管を暗所で、室温で60分間インキュベートした。PBS 1×(3ml)を管に添加し、暗所で、室温で5分間インキュベートしてから、250gで6分間遠心分離した。上清を除去して、ペレットを乾燥したままにし、細胞を3mlの1×Perfix-NC R3緩衝液で再懸濁化してから、250gで更に6分間遠心分離した。ペレットを乾燥し、300μlの1×R3緩衝液で再懸濁化した。管を光から保護し、次の24時間以内にフローサイトメトリーで獲得するまで40℃で保存した。
【0261】
フローサイトメトリーのデータをKaluza 1.3ソフトウェア(Beckman Coulter社)で分析した。統計分析をPrism 6.0(GraphPad社)ソフトウェアを使用して実施した。Mann-WhitneyのT検定を使用して、一致する対を比較した。P<0.05を有意と考えた。
【0262】
RT-PCR分析。HL-60 AML細胞株を使用して、トランスクリプトーム分析を実施した。この細胞株はATCC社から購入した。HL-60をRPMI 1640媒体、GlutaMAX(商標)サプリメント(Gibco(商標))、及び10%ウシ胎児血清で培養し、37℃、5% CO2で、湿潤インキュベーターで保持した。各条件に対して、4複製を行った: 処理しない細胞、及び合計3mLの培地の培養培地総体積中に500000個の細胞/ウェルの濃度で6ウェルプレートに6時間、10μMのDIMATEで処理した細胞。インキュベート後、細胞を採取し、PBSで3回洗浄し、ペレットをRNA抽出用に処理した。
【0263】
DNA分解酵素処理を含む、製造元の指示に従ってRNeasyミニキット(Qiagen社、France)を使用して、総RNAを抽出した。RNAをNanoDrop 1000分光光度計(Nano Drop Technologies社、San Diego、CA、USA)で定量化した。光学密度を260及び280nmで測定し、比260/280(>1.8)を良好な純度の指数として保持した。抽出したRNAの品質をAgilent 2100バイオアナライザー(商標)(Agilent Technologies社、Santa Clara、CA、USA)を利用して確認した。0~10のスケールでのスコアを、各試料に自動的に帰属させ、RNA完全性番号(RIN)に対応させた。試料は、9~10のRIN値であった。
【0264】
その後、100ナノグラムの総RNAを、一色マイクロアレイに基づく遺伝子発現分析: Low Input Quick Amp (LIQA)標識プロトコールを使用して標識した。0.6μgの精製したCy3標識cRNAを、SurePrint G3ヒトGE 8×60K V2チップ(Agilent Technologies社、Santa Clara、California)を使用して、65℃で17時間、60rpmでハイブリダイズした。マイクロアレイを、62928個の特徴から構成した。チップで合成されるプローブは、60ヌクレオチドのサイズを有する。マイクロアレイを遺伝子発現洗浄緩衝液キット(Agilent Technologies社)を使用して洗浄し、標準Agilentプロトコールを通して走査した。データを特徴抽出ソフトウェアを使用して処理した。
【0265】
ライブラリーAgiNDを、Rソフトウェアで実行して、データを分析し、可視化した。AgiNDをBioconductorライブラリーモデルで開発し、使用してデータ品質及びデータマイクロアレイ正規化を診断した。分位数法を使用して、データを正規化し、マイクロアレイ強度の分布をホモジナイズした。フィルターを生データに適用して対照を削除し、次いで第2のフィルターを適用して、各群で少なくとも100%の試料においてバックグラウンドで発現した遺伝子を削除した。
【0266】
未処理のHL-60とDIMATEで処理したHL-60との間で異なって発現した遺伝子を特定するために、ツリークラスのマイクロアレイの有意性分析(SAM)検査を、正規化し、フィルタリングしたデータで実施した。複数の試験の補正を実施し、5%の偽発見率(FDR)を固定した。管理された階層クラスタリングを、調節した遺伝子発現のメジアン調節したデータに適用して、「TMeV」(Tigr MultiExperiment Viewer)MeV: MultiExperiment Viewer | TM4 Microarray Software Suiteの一部(2)を使用して、これらの発現に従って遺伝子及び試料をグループ化した。ピアソンの相間を使用して、クラスターを平均連結法に基づいてグループ化した。異なって発現した目的の遺伝子(遺伝子の特別なリスト)をヒートマップで可視化した。
【0267】
キャピラリー電気泳動法(WES)
タンパク質発現分析のために、細胞を、1/200プロテアーゼ阻害剤(539134-1ML、Millipore Sigma社)及び1/100ホスファターゼ阻害剤(524625-1SET、Millipore Sigma社)を含有するRIPA緩衝液(50mM Tris-HCl pH7、1%NP-40、0.5%Na-デオキシコレート、0.1%SDS、150mM NaCl及び2mM EDTA)に溶解した。タンパク質を、キット、Pierce(商標)BCA(登録商標)タンパク質アッセイ(23225、Thermo Fisher Scientific社)でローリー法を使用して定量化した。
【0268】
総タンパク質抽出物を、12~230kDa分離モジュール(ProteinSimple社、SM-W004)及びアッセイモジュール抗ウサギHRP検出モジュール(ProteinSimple社、DM-001)を使用して、製造元の指示に従ってWESシステム(ProteinSimple社)で分離した。試料を、試料緩衝液0.1×(分離モジュールで提供される10×緩衝液)に0.5mg/mLで希釈し、次いでFluorescent Master Mixと混合し、ボルテックスし、95℃で5分間加熱し、次いで使用するまで氷上に置いた。試料、並びに遮断剤(抗体希釈剤)、一次抗体(抗体希釈剤中)、HRPコンジュゲートされた二次抗体及び検出モジュールで提供される化学発光基質を、プレートにピペットで移した(分離モジュールでも提供される)。
【0269】
以下の機器のデフォルトの設定を使用した: 375Vで25分間スタッキングし、分離する; 5分間試薬を遮断し、30分間一次抗体及び二次抗体の両方を遮断する; 約15分間、ルミノール/過酸化水素の化学発光検出を行う(1-2-4-8-16-32-64-128-512秒の曝露)。得られたグラフを分析し、レーンとして可視化した。XIAP及びcIAPタンパク質に対する一次抗体は、Cell Signaling Technology社から入手した。
【0270】
NK溶解活性
NK細胞特異的溶解活性を、標的集団として、新たに採取した血液細胞摂取由来の健康なヒトPBMCから得られるNK細胞、及びK562、クラスIのMHC分子を発現しないヒト赤白血球病細胞腫瘍細胞株を使用して、DIMATE(10μM)の有無で評価した。
【0271】
2種の蛍光色素を使用して、エフェクターと標的細胞、及び生存標的細胞と死滅標的細胞とを識別した。緑色蛍光色素3,3'-ジオクタ-デシルオキサカルボ-シアニンペルクロレート(DIOC、Sigma社/Merck D4292-20MG)を使用して、製造元の指示に従ってK562の原形質膜を標識した。簡潔には、1.106個のK562細胞を、RPMI(フェノールを含まない)に再懸濁化し、5μlのDIOC(1mM)を添加した。細胞を、37℃、5% CO2で10分間インキュベートしてから、各々5分間、250gの遠心分離サイクルを3回使用して培地で過剰なDIOCを洗い流した。
【0272】
健康なPBMCを6時間、DIMATE(10μM)で前処理した。次いで、薬物を洗い流し、PBMCを21時間、K562標的細胞でインキュベートした。第2の色素であるヨウ化プロピジウム(PI)、膜不透過性の赤色蛍光色素を、アッセイの終了時に添加して、NK溶解活性の結果として損なわれた細胞膜と標的細胞を対比染色した。
【0273】
蛍光を、標的エフェクターと接触する前後にフローサイトメトリーで監視した。
【0274】
試験を合計10名の健康なドナーで実施した。細胞溶解のパーセントを以下のようにして算出した: [DIOC及びPIの両方に陽性の細胞/総DIOC標識細胞]*100)-自発性溶解。
【0275】
化合物の脂質ナノ粒子製剤化
アミノチオールエステル化合物(例えば、DIMATE)を、2.5%のLipoid S100(Lipoid gmbh社、Ludwigshafen、Germany)、20%Labrafac Lipophile WL1349(Gattefosse社、France)、17%Kolliphor HS15(Sigma社)、3%塩化ナトリウム(NaCl、(AppliChem社)、60%のH2O及び12.2mg/mLのアミノチオールエステル化合物(例えば、DIMATE)からなる脂質ナノ粒子として製剤化した。手順は以下のようにしてであった: DIMATE(又は別のアミノチオールエステル化合物)を、Labrafacと混合し、完全に溶解するまで撹拌し続けた。別個のファルコンにおいて、Kolliphor、Lipoid、NaCl及び水を混合した。この最後の溶液(水性相)を、攪拌しながら油性相(DIMATE及びLabrafac)に移し、シリコン油浴(シリコン油-50℃~+200℃、Sigma Aldrich社)に置き、力強く攪拌しながら85℃に昇温した。冷却と加熱を繰り返す工程を3回実施した。最後の加熱の工程の終了時に、混合物を氷浴に移し、70℃に冷却した。製剤が70℃に達すると、冷水(4℃)を添加してクエンチし、製剤を5分間更に撹拌しながら静置した。
【0276】
がん免疫療法の動物モデル
LNP-DIMATEのin vivoでの効力を単独で、又は免疫チェックポイント阻害剤抗PDL-1と組み合わせて試験するために、3個の異なる動物モデルを、メスの免疫適格性C57Bl6マウス(4週齢)において作成した。2×106個の結腸がんモデル用のCT26マウス細胞、肺がんモデル用のLLC2マウス細胞、又は黒色腫モデル用のTyr-NRASマウス細胞l(Antineo社製、Lyon、France)を、動物の脇腹に皮下移植した。腫瘍が50~100mm3の体積に達する場合、マウスを、アイソタイプ対照群、空の脂質ナノ粒子(LNP)群、抗PD-L1群、LNP封止DIMATE(LNP-DIMATE)群、LNP-DIMATE及びアイソタイプ対照群並びにLNP-DIMATE及び抗PDL1に無作為に分けた。各群は10匹の動物からなった。抗PDL1及びアイソタイプ対照を12.5mg/kgで投与した。LNP及びLNP-DIMATEを15mg/kgで投与した。全ての処理は、合計21日間にわたって1週間に3回(i.v.)、実施した。ノギスで測定した腫瘍体積を使用して、処理に対する応答を監視した。
【0277】
【0278】
特に、以下を示す:
- 式(I)の化合物は、ROSを上昇させ、顆粒球生成を促進し、好中球の動態化、並びに好中球の動員及び感染の制御に必須の成分であるCD11bの発現を増大させた(
図2)。この特徴は、低好中球数を有する患者の治療において好中球の回復を促進するのに有用であり、化学療法剤、なかでも、例えばアルキル化剤、アントラサイクリン、カンプトテシン、マイトマイシンC、タキサン、ビンブラスチン、ヒドロキシ尿素、並びに長期的な合併症となる可能性がある晩期発症型の好中球減少症を誘導する非化学療法薬、例えばリツキシマブ、カルビマゾール、クロザピン、ダプソン、ジピロン、メチマゾール、オキサシリン、バンコマイシン、ペニシリンG、プロカインアミド、プロピルチオウラシル、スルファサラジン、及びチクロピジン、並びにより低い比率で好中球減少症を起こす通常使用される薬物、なかでも、例えばアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、H2ブロッカー、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、及び抗不整脈剤を含む、薬物で誘導される好中球減少症を有する患者を管理するのにとりわけ有用である。
- 式(I)の化合物は、単球関連マクロファージの動態化、病原体抵抗性だけでなく、アポトーシス細胞を除去し、創傷治癒を促進し、増悪した炎症応答を軽減する役割で周知のM2型マクロファージの活性化を誘導した(
図3)。したがって、式(I)の化合物はまた、TRAF6の下方制御、NF-kBシグナル伝達経路の阻害、並びにCCL4、IL-1b及びTNFα等のNFkB依存性炎症誘発性サイトカインの遺伝子発現の低減を介した抗炎症機能を呈しながら、M2マーカーCHI3L1及びAXL等の抗炎症性分子を誘導した。重要なことに、式(I)の化合物は、VEGFA及びTGFαを誘導したが、これらは、細胞増殖、細胞分化、創傷治癒、及び血管形成の促進に関連している(
図4)。これらのデータは、式(I)の化合物を使用して、組織修復及び再生との関連において、再生を予防することが公知の炎症過程の制御しない大きさ及び期間を軽減する、又は例えば関節リウマチ等の慢性炎症環境を起こすことができることを示す。
【0279】
式(I)の化合物は、Tエフェクター細胞、及び抗腫瘍免疫応答を促進することが公知である腫瘍内環境におけるNK細胞動員を誘導した(
図5A)。これらの知見と矛盾することなく、式(I)の化合物は、免疫チェックポイントの遮断との相乗効果を有し、抗PDL-1のような免疫チェックポイント阻害剤(ICI)との組合せが、それらの抗腫瘍効果を向上させる有望な戦略であることを示し(
図5B)、式(I)の化合物は、in vitroでのヒトNK細胞の生存率にも溶解活性にも影響を及ぼさず、XIAP及びcIAPタンパク質の分解を誘導する。IAPアンタゴニストを使用するこれらの内因子の遮断は、TRAF-cIAP E3複合体を破壊し、がん免疫療法の動物モデルにおける有望な結果を提供することを示している(
図6)。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における免疫応答の調節に使用するための、式(I):
【化1】
[式中、
- R
1及びR
2は、同一又は異なり、C
1~C
10アルキル基、フェニル、ベンジル、CHR
5CHR
6OR
4及び(CHR
5)
vOR
4の中から選択され、又はR
1及びR
2は、連結されている窒素原子と一緒に、ヘテロ環、特にピペリジン又はモルホリンを形成し、
前記フェニル及びベンジルは、直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルキル、ハロゲン、NO
2及びCONH
2から選択される、1個又は複数の置換基で場合により置換されており、
- R
3は、直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルキルから選択され、
- R
4は、H、直鎖又は分枝鎖(C
2~C
7)アルキル、直鎖又は分枝鎖(C
2~C
7)アルケニル、-CONR
7R
8、アリール、ヘテロアリール、(C
2~C
7)シクロアルキル、直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルキル-アリール及び直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルキル-ヘテロアリールから選択され、
前記アリール、(C
2~C
7)シクロアルキル及びヘテロアリールは、ハロゲン、1個若しくは複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖若しくは分枝鎖(C
1~C
7)アルキル、1個若しくは複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖若しくは分枝鎖(C
1~C
7)アルコキシ、-COOH、アリール、-NRR'、-NO
2から選択される、1個若しくは複数の置換基で場合により置換されており、又は前記アリール及びヘテロアリールは、場合により縮合されてヘテロシクロアルキルを形成し、
- R
5及びR
6は、同一又は異なり、独立して以下から選択され:
・ H及び直鎖若しくは分枝鎖(C
1~C
7)アルキルである、又は
・ R
5及びR
6は一緒に連結されて、それらが結合している炭素原子とともに、シクロアルキル、アリール若しくはヘテロアリールを形成する、又は
・ R
5がHであり且つR
1とR
6が一緒に連結されて、R
1に連結されている窒素原子とともに、ヘテロシクロアルキル若しくはヘテロアリールを形成する、又は
・ R
6がHであり且つR
1とR
5が一緒にR
1に連結されて、R
1に連結されている窒素原子とともに、ヘテロシクロアルキルを形成する、
- vは2~4から選択され、
- R
7は-(C
1~C
3)アルキルであり、
- R
8は-(C
1~C
3)アルキルNRR'であり、
- R及びR'が、同一又は異なり、H及び直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルキルから独立して選択される]
の少なくとも1種の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体
を含む、医薬組成物。
【請求項2】
R
3が直鎖若しくは分枝鎖(C
1~C
7)アルキル、好ましくはメチルであり、R
1が直鎖若しくは分枝鎖(C
1~C
7)アルキル、好ましくはメチルであり、R
2がC
1~C
10アルキル基、好ましくはメチル、CHR
5CHR
6OR
4、(CHR
5)
vOR
4であり、又はR
1及びR
2が連結されている窒素原子と一緒にヘテロ環、特にモルホリンを形成し、R
5及びR
6がHである、請求項1に記載の使用するための
医薬組成物。
【請求項3】
R
5及びR
6がHであり、R
4が、(C
2~C
7)シクロアルキル、直鎖若しくは分枝鎖(C
1~C
7)アルキル-ヘテロアリール、又はベンジルから選択され;好ましくはベンジルであり;前記(C
2~C
7)シクロアルキルが、直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルキルから選択される1個又は複数の置換基で置換されており;前記ベンジルが、1個又は複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルキル、1個又は複数のハロゲン原子で場合により置換されている直鎖又は分枝鎖(C
1~C
7)アルコキシ、ハロゲンから選択される、1個又は複数の置換基で場合により置換されている、請求項1又は2に記載の使用するための
医薬組成物。
【請求項4】
前記式(I)の少なくとも化合物が、以下:
- S-メチル4-[2-エトキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-アリルオキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-ベンジルオキシエチル(メチル)アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(m-トリルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(3,4-ジメチルフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(4-メトキシフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(3,4-ジメトキシフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(3-クロロフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[2-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]エチル-メチル-アミノ]-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(2-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(3-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(4-ピリジルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-((4-(ベンジルオキシ)ブチル)(メチル)アミノ)-4-メチルペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-((2-ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)-4-メチルペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-(2-ナフチルメトキシ)エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル-[2-[(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)メトキシ]エチル]アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル2,5,10,11,11-ペンタメチル-6-オキソ-7-オキサ-2,5,10-トリアザテトラデカ-12-イン-14-チオエート;
- S-メチル4-メチル-4-[メチル(2-フェノキシシクロペンチル)アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
- (S)-S-メチル4-(2-((ベンジルオキシ)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-メチルペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル4-[3(ベンジルオキシ)-1ピロリジニル])-4-メチルペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル1-4-ジメチルアミノ-4-メチル-ペンタ-2-インチオエート;
- S-メチル5-4-メチル-4-モルホリン-4-イル-ペンタ-2-インチオエート;
- Sメチル4-メチル-4-[メチル(オクチル)アミノ]ペンタ-2-インチオエート;
又はその薬学的に許容される塩若しくは光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー若しくは互変異性体から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用するための
医薬組成物。
【請求項5】
前記式(I)の少なくとも1種の化合物が脂質ナノカプセル剤に含まれる、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用するための
医薬組成物。
【請求項6】
前記脂質ナノカプセル剤が
- ナノカプセル剤の総質量に対して25~90質量%、好ましくは60~80%の中鎖トリグリセリド、及び前記式(I)の少なくとも1種の化合物を含む、油状コア;並びに
- ナノカプセル剤の総質量に対して3~25質量%の少なくとも1種の脂質界面活性剤、及び少なくとも1種の親水性界面活性剤を含む、油状コアを包囲するシェル;
を含み、
中鎖トリグリセリドと前記式(I)の少なくとも1種の化合物との間のナノカプセル剤の総質量に対する質量比が、少なくとも4である、
請求項5に記載の使用するための
医薬組成物。
【請求項7】
対象における免疫応答の刺激のための、請求項1から
6のいずれか一項に記載の使用するための
医薬組成物。
【請求項8】
特に好中球の成熟化及び/又は活性化の刺激及び促進を介して感染性病変を治療及び/又は予防するための、請求項1から
7のいずれか一項に記載の使用するための
医薬組成物。
【請求項9】
特に炎症を起こす創傷治癒及び/又は組織修復;自己免疫性の病的状態及び/又は代謝性疾患を治療及び/又は予防するための、請求項1から
7のいずれか一項に記載の使用するための
医薬組成物。
【請求項10】
前記式(I)の少なくとも1種の化合物が免疫チェックポイント阻害剤と組み合わされる、請求項1から
9のいずれか一項に記載の使用するための
医薬組成物。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか一項に
規定の式(I)の少なくとも1種の化合物及び免疫チェックポイント阻害剤を含む、医薬組成物。
【請求項12】
医薬として経時的に同時に使用、分離又は拡散するための、合わせた調合剤として請求項1から6のいずれか一項に
規定の式(I)の少なくとも1種の化合物及び免疫チェックポイント阻害剤を含む、生成物。
【請求項13】
がんの予防及び/又は治療に使用するための、請求項
11に記載の医薬組成物又は請求項
12に記載の生成物。
【請求項14】
前記がんが、黒色腫、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵がん、結腸がん、急性骨髄性白血病、肝細胞癌、扁平上皮細胞頭頚部がん、腎細胞癌、子宮頚部癌、メルケル細胞癌、PMBCL、古典的ホジキンリンパ腫、胃及びGEJ癌から選択される、請求項
13に記載の使用するための医薬組成物又は生成物。
【請求項15】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、TIGIT、TIM-3、LAG-3 CD160及び2B4化合物から、特にPD1/PDL1化合物から選択される、請求項
10に記載の使用するための
医薬組成物、請求項
11に記載の医薬組成物、請求項
12に記載の生成物、又は請求項13若しくは14に記載の使用するための医薬組成物若しくは生成物。
【国際調査報告】