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特表2024-505535耐水性及び洗顔性を有する油中水型メイクアップ化粧料組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】耐水性及び洗顔性を有する油中水型メイクアップ化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20240130BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A61K8/06
A61Q1/00
A61K8/36
A61K8/29
A61K8/27
A61K8/894
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546132
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 KR2022000976
(87)【国際公開番号】W WO2022164117
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0012626
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミン-スン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ジン・ソン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB331
4C083AB332
4C083AB352
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC122
4C083AC261
4C083AC262
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC401
4C083AC402
4C083AC442
4C083AC552
4C083AC692
4C083AC852
4C083AD152
4C083AD172
4C083BB25
4C083CC11
4C083DD32
4C083EE05
(57)【要約】
本発明は、イソステアリン酸、顔料級粉体(好ましくは、リポアミノ酸によりコーティングされた顔料級粉体)、HLBが0超え8以下である乳化剤及び残量の水を含有し、耐水性及び洗浄性に同時に優れている油中水型メイクアップ化粧料組成物を提供する。本発明の油中水型メイクアップ化粧料組成物は、通常の水道水、汗など中性以下のpH環境下では耐水性に優れていて、石けん水などのようなアルカリ性水にて肌を洗顔するときには洗顔性に優れるように転換されることから、好適に用いることが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油中水型メイクアップ化粧料組成物であって、
イソステアリン酸、顔料級粉体、HLBが0超え8以下である乳化剤及び残量の水を含み、
前記組成物は、中性pH水溶液よりもアルカリ性pH水溶液の方によりさらに上手く洗い流される、メイクアップ化粧料組成物。
【請求項2】
前記イソステアリン酸は、組成物の全重量に基づいて1~40重量%含まれ、顔料級粉体は、組成物の全重量に基づいて1~40重量%含まれる、請求項1に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項3】
前記顔料級粉体は、リポアミノ酸によりコーティングされた顔料級粉体である、請求項1または2に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項4】
前記リポアミノ酸は、パルミトイルプロリン、マグネシウムパルミトイルグルタメート、ソジウムパルミトイルサルコシネート、またはこれらの混合物である、請求項3に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項5】
前記顔料級粉体は、リポアミノ酸によりコーティングされたTiOである、請求項3に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項6】
前記顔料級粉体は、粉体の粒子径が200nm~1000nmである、請求項5に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項7】
前記組成物は、1価イオン塩をさらに含む、請求項1に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項8】
前記1価イオン塩は、塩化ナトリウムである、請求項7に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項9】
前記組成物は、ZnOを含まないか、あるいは、組成物の全重量に基づいて5重量%以下で含む、請求項1に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年1月28日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0012626号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、油中水型メイクアップ化粧料組成物に関する。より詳細には、耐水性に優れており、これと同時に、洗顔性にも優れた油中水型メイクアップ化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
肌の欠点を隠し、均一に整えられた肌のトーンを演出するためにメイクアップ製品を使用する。このようなメイクアップ製品は、肌の色を出すために高い含量の顔料を使用し、肌との密着力が抜群であり、しかも、メイクの持続力が良好であるW/O(water in oil)乳化型に製造されるのが一般的である。
【0004】
しかしながら、高い含量の顔料を含むW/O型の化粧品は、洗い落し難いという不便さがある。特に、性状が固体である顔料用粉体は、肌にとって異物として感じられるのみならず、毛穴を塞いでトラブルを引き起こしたりもし、非常によく目立つため、メイクアップ製品の洗顔性(洗浄性)の改善は非常に重要である。そのため、メイクアップ製品を使用すれば、一般に、1次洗顔後に2次洗顔を経て落とさなければならないという煩雑さがある。
【0005】
近頃、二重洗顔の後に肌の状態を確認した色々な結果において、二重洗顔は、2回にわたっての肌との強い摩擦によってバリアの損傷を引き起こすのみならず、肌の補湿効果を損なって乾燥さを引き起こすという問題が確認されている。
【0006】
このために、大韓民国登録特許第1342231号公報においては、粉体の表面をpH感応型ポリマーによりコーティングして、外部のpH条件に応じて表面の性質が変わる粉体を用いて、pHが中性である水には耐水性を有するものの、pHが高い石けん水によっては落とされ易い粉体を開発しようとした。しかしながら、この技術は、粉体それ自体の洗浄性の改善にのみ限定された技術に過ぎず、全体の化粧膜の落としは決して容易ではないという欠点がある。
【0007】
上記のように、使用に際しては耐水性を有しながら、洗顔に際して1次洗顔だけでも落とされ易いように易洗顔性(洗顔性)を両方とも有するメイクアップ製品の開発が切望されているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、耐水性に優れており、これと同時に、洗顔性(洗浄性)にも優れた油中水型メイクアップ化粧料組成物を提供することである。より詳細には、1次洗顔だけでも落とされ易い油中水型メイクアップ化粧料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題を達成するために、本発明の一態様は、油中水型メイクアップ化粧料組成物であって、イソステアリン酸、顔料級粉体、HLB(Hydrophile Lipophile Balance、乳化剤の疎水性と親水性のバランスを表す数値)が0超え8以下である乳化剤及び残量の水を含み、前記組成物は、中性pH水溶液よりもアルカリ性pH水溶液の方によりさらに上手く洗い流されることを特徴とするメイクアップ化粧料組成物を提供する。
【0010】
本出願の発明者らは、上記のような組成を有する油中水型(W/O型)のメイクアップ製品は、水と汗により落とされず、メイクの持続力が高いが、洗顔性が改善されて1次洗顔だけでも落とされ易いという知見を得、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。特に、本発明者らは、顔料級粉体が高含量で含まれている化粧品が上記のような組成を有する場合、洗顔力の改善効果が他の組成物よりも遥かに抜群であるということを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明の化粧料組成物は、図1に示す通り、通常の水道水またはpH7±0.5ほどの中性水溶液においては耐水性に優れているものの、アルカリ性液、例えば、pHが9~11である液によっては上手く洗い流されるという特性がある。
【0012】
好ましい本発明の一態様において、本発明の前記組成物において、イソステアリン酸は、組成物の全重量に基づいて1~40重量%含まれ、顔料級粉体は、組成物の全重量に基づいて1~40重量%含まれ、HLBが0超え8以下である乳化剤は、組成物の全重量に基づいて0.1~10重量%含まれ得る。
【0013】
本発明の組成物は、ある一つの成分として、イソステアリン酸(isostearic acid)を含み、驚くべきことにも、本発明者らは、顔料級粉体が高含量で処方された処方においては、イソステアリン酸が他の固体脂肪酸に比べて目的とする効果が遥かに抜群であるという新たな事実を見出した。
【0014】
前記イソステアリン酸は、組成物の全重量に基づいて1~40重量%含まれ得、好ましくは、組成物の全重量に基づいて3~40重量%、より好ましくは、5~40重量%、さらに好ましくは、7~40重量%含まれ得る。前記イソステアリン酸の含量が低すぎる場合、目的とする効果が少ない。
【0015】
本発明の組成物は、組成物の目的からみて、ある1つの成分として、肌のトーンの補正のための顔料級粉体を含む。
【0016】
好ましくは、このような顔料級粉体としては、粉体の粒子径が後述する顔料級であるチタンジオキシド、タルク、チンオキシド、またはこれらの混合物であり得る。より好ましくは、本発明の顔料級粉体は、チタンジオキシドである。
【0017】
本発明において、用語「顔料級粉体」は、粉体の粒子径が200nm~1000nm、好ましくは、250nm~900nm、より好ましくは、300nm~800nmである粉体を意味する。
【0018】
粉体の粒子径が100nm未満または200nm未満である粉体の場合、紫外線領域の光を吸収して紫外線遮断成分として主として用いられるのに対し、可視光領域の光を散乱させる性質は弱くて比較的に透明であるため、肌に塗布しても肌のトーンの変化を期待し難い可能性がある。
【0019】
すなわち、本発明において、顔料級粉体は、可視光領域の光を散乱させて肌に塗布したときに肌のトーンの変化を引き起こす粉体であり、着色剤や顔料として使用可能である。
【0020】
より好ましくは、本発明の組成物に含まれる顔料級粉体は、リポアミノ酸によりコーティングされた顔料級粉体、特に、リポアミノ酸によりコーティングされたTiO粉体である。このようなリポアミノ酸によりコーティングされた顔料級粉体は、中性pHにおいてはその形状を保持して耐水性に役立ちながらも、高いpHにおいてはコーティングに影響を及ぼして洗浄性に役立つ。
【0021】
通常、顔料級粉体は、油分散性を高めるために表面処理が施されてもよく、このような表面処理に用いられる物質としては、ジメチコン、トリエトキシカプリリルシラン、脂肪酸、リポアミノ酸などが挙げられるが、これらに何ら限定されるものではない。
【0022】
本発明者らは、多種類の顔料級粉体の洗浄性を評価したところ、リポアミノ酸によりコーティングされた顔料級粉体が中性(pH7)である水には油分散の性質を有するものの、石けん水などのアルカリ水(例えば、pH10)には、コーティング物質が解離されながら、水分散の性質を有するということを見出した。これは、粉体のコーティングに用いられるジメチコン、トリエトキシカプリリルシラン、脂肪酸などとは異なり、リポアミノ酸は、アルカリ条件下で表面の性質が変わるからである。このような性質は、組成物が水と汗によっては落とされないものの、石けん水には洗浄性が向上するようにできる。また、粉体が透明であって目に見えない100nm未満の粒子径の粉体においては、洗浄効果を体感し難いため、粉体の粒子径が顔料級である場合、肌に塗布したときに白濁現象が現れる粉体にさらに好適であるので、メイクアップ製品により一層理想的であり得る。
【0023】
本発明において、本発明によるリポアミノ酸は、パルミトイルプロリン、マグネシウムパルミトイルグルタメート、ソジウムパルミトイルサルコシネート、ジパルミトイルヒドロキシプロリン、パルミトイルイソロイシン、カプリロイルグリシン、ジオクチルドデシルラウロイルグルタメート、コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシルラウロイルグルタメート、コレステリル/オクチルドデシルラウロイルグルタメート、フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシルラウロイルグルタメート、フィトステリル/オクチルドデシルラウロイルグルタメート及びフィトステリル/デシルテトラデシルミリストイルメチル-β-アラニネートからなる群、またはこれらの混合物であり得、好ましくは、パルミトイルプロリン、マグネシウムパルミトイルグルタメート、ソジウムパルミトイルサルコシネート、またはこれらの混合物である。
【0024】
本発明において、前記リポアミノ酸によりコーティングされた顔料級粉体は、組成物の全重量に基づいて1~40重量%含まれ得る。好ましくは、前記リポアミノ酸によりコーティングされた顔料級粉体は、3~40重量%含まれ得、より好ましくは、5~30重量%含まれ得、さらに好ましくは、7~20重量%含まれ得る。リポアミノ酸によりコーティングされた顔料級粉体の含量が低すぎる場合、その効果が少なく、含量が高すぎる場合、処方中の粉体の含量が高過ぎて安定性を保持し難く、使用感がとろっと濃厚になり過ぎ、しかも、白濁が生じる虞がある。
【0025】
本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲内において、リポアミノ酸によりコーティングされた顔料級粉体に加えて、他の粉体をさらに含み得る。例えば、タルク、チンオキシド、マイカ、シリカ、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの粉体がさらに含まれ得る。
【0026】
また、本発明の組成物は、油中水型(W/O型)にするための乳化剤を含み、特に、HLBが0超え8以下である乳化剤を含む。好ましくは、本発明の組成物に含まれる前記乳化剤は、HLBが8以下、好ましくは、7以下、より好ましくは、6以下であり得る。
【0027】
本発明の一態様において、前記乳化剤は、組成物の全重量に基づいて0.1~10重量%含み得る。
【0028】
本発明において、前記乳化剤としては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンオリベートなどのソルビタン脂肪酸エステル類と、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレートなどのグリセリン脂肪酸エステル類と、ポリオキシエチレン(POE)(5)硬化ひまし油、POE(7.5)硬化ひまし油、POE(10)硬化ひまし油などのポリオキシエチレン硬化ひまし油と、ポリエチレングリコール(PEG)-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-11メチルエーテルジメチコン、PEG-10ジメチコン、セチルPEG/ポリプロピレングリコール(PPG)-10/1ジメチコン、PEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコン、ジメチコン/PEG-10/15クロスポリマーなどのポリエーテル変性シリコン系界面活性剤、ジメチコンポリオール、ポリグリセリル-2セスキオレエート、ポリグリセリル-10ペンタオレエート、ポリグリセリル-5ヘキサステアレート、ポリグリセリル-4ジイソステアレート/ポリヒドロキシステアレート/セバケート共重合体、ジイソステアロイルポリグリセリル-3ダイマージリノレエートなどのポリグリセリル脂肪酸エステル類またはこれらの混合物が使用可能である。
【0029】
本発明の一態様において、本発明組成物は、安定化剤として1価イオン塩をさらに含み得る。本発明による安定化剤は、W/O型の乳化組成物の安定性を向上させる役割を果たす。
【0030】
このような1価イオン塩としては、塩化ナトリウムが使用可能である。
【0031】
通常、W/O型乳化剤の安定化剤として硫酸マグネシウム、塩化カルシウムなどの2価イオン塩も使用可能であるが、2価イオン塩は、本発明の組成物に含まれている成分と不溶性沈殿を生成することがあるため、本発明の効果を損なわないためには、1価イオン塩を用いることがより好ましい。但し、本発明は、このような理論的な機序に何ら限定されるものではない。
【0032】
したがって、本発明の一態様において、本発明による組成物は、ZnOなどの2価イオンを実質的に含まない。例えば、本発明による組成物は、ZnOなどの2価イオンを組成物の全重量に基づいて0~5重量%含むか、あるいは、好ましくは、0~3重量%含み、より好ましくは、0~1重量%含み、さらに好ましくは、全く含まない。
【0033】
また、本発明による油中水型メイクアップ化粧料組成物は、当業界において通常化粧料組成物に用いられる成分を本発明の目的を損なわない範囲内においてさらに含み得る。例えば、エモリエント(皮膚軟化剤)、(有機)紫外線遮断剤、補湿剤、粘増剤、防腐剤、香料などをさらに含み得る。
【0034】
本発明において、前記エモリエントとしては、カプリリック/カプリックトリグリセリド、ジカプリリルカーボネート、ネオペンチルグリコールジカプレート、2-オクチルドデシルミリステート、イソプロピルミリステート、イソセチルエチルヘキサノエート、ペンタエリスリチルテトラエチルヘキサノエート、ブチレングリコールジカプリレートジカプレート、ヘキシルラウレート、ジステアリルマレート、セチル2-エチルヘキサノエート、オクチルドデカノール、グリセリルトリエチルヘキサノエートなどのエステル系オイルと、シクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン、フェニルトリメチコン、シクロメチコン、ジメチコンなどのシリコン油と、イソヘキサデカン、スクワラン、ミネラル油、ハイドロジェネイティドポリデセン、ハイドロジェネイティドポリイソブテンなどの炭化水素系オイル、及びオリーブ油、アボカド油、ホホバ油、マカダミア油、シアバター、マンゴーバター、ムルムルバター、カカオバターなどの植物性油などが使用可能であるが、これらに何ら限定されるものではない。
【0035】
本発明において、前記紫外線遮断剤としては、エチルヘキシルメトキシシンナメート、エチルヘキシルサリシレート、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、オクトクリレン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン、オクチルトリアゾン、メンチルアントラニレート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンスルホン酸、3,4-メチルベンジリデンカンファ、イソアミルp-メトキシシンナメート、ホモサレート、ドロメトリゾールトリシロキサン、ベンゾフェノン-3、エチルヘキシルトリアゾン、DEA-メトキシシンナメート、ジソジウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート、ベンゾフェノン-8、TEA-サリシレート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルジメチルPABAなどが使用可能であるが、これらに何ら限定されるものではない。
【0036】
本発明において、前記補湿剤は、1,3-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、ベタイン、トレハロース、グリセリン、ソルビトール、プロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、オクタンジオールなどが使用可能であるが、これらに何ら限定されるものではない。
【0037】
本発明において、前記粘増剤は、ベントン、デキストリンパルミテート、ポリアミド-8などが使用可能であるが、これらに何ら限定されるものではない。
【0038】
本発明において、前記防腐剤は、フェノキシエタノール、パラベン、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、トリクロロカルバニリドなどが使用可能であるが、これらに何ら限定されるものではない。
【0039】
本発明に記載のすべての成分は、好ましくは、韓国、中国、米国、ヨーロッパ、日本などの関連法規、規範(例えば、化粧品の安全基準等に関する定め(韓国)、化粧品安全技術規範(中国)、衛生規範(中国))などにおいて定めた最大の使用値を超えない。すなわち、好ましくは、本発明による化粧料組成物は、各国の関連法規、規範において許容される含量の限度にて本発明による成分を含む。
【発明の効果】
【0040】
本発明は、耐水性及び洗顔性に同時に優れている油中水型メイクアップ化粧料組成物を提供する。より詳細には、本発明の組成物は、水と汗により落とされず、メイクの持続力が高いが、洗顔に際しては、1次洗顔だけでも落とされ易い油中水型メイクアップ化粧料組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、本発明による一実施例の組成物と既存の比較例の組成物の効果を比較して示す結果である。
図2図2は、#1~#5組成物の耐水性を評価した実験結果である。
図3図3は、#1~#5組成物の易洗顔性を評価した実験結果である。
図4図4は、#11~#15組成物の耐水性を評価した実験結果である。
図5図5は、#11~#15及び#1組成物の易洗顔性を評価した実験結果である。
図6図6は、#6~#10組成物の耐水性を評価した実験結果である。
図7図7は、#6~#10組成物の易洗顔性を評価した実験結果である。
図8図8は、#16~#20組成物の耐水性を評価した実験結果である。
図9図9は、#16~#20組成物の易洗顔性を評価した実験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の理解を深めるため、実施例などを示して本発明についてさらに詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は色々な他の型に変形可能であり、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものであると解釈されてはいけない。本発明の実施例は、本発明が属している分野において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0043】
実験1.脂肪酸の含量による実験
下記の表1の処方と含量をもった、肌のトーンの補正のためのメイクアップ製品を次のような方法を用いて製造した。
【0044】
A項を含量に合うように計量し、70~80℃に加熱して完全に溶かした。B項を完全に分散させ、70~80℃に加熱して用意した。A項をB項に徐々に投入しながら5分間乳化を行い、30℃まで冷却させた。
【0045】
下記の表1において、顔料Xは、アルミニウムヒドロキシ、リポアミノ酸及びパルミチン酸の3種類の混合物質によりコーティングされたチタンジオキシド粉体(LP-TR 10、三好化成株式会社製)と、赤色酸化鉄(OTS RED R-516、大東化成工業社製)と、黄色酸化鉄(OTS-2 YELLOW LLXILO、大東化成工業社製)と、黒色酸化鉄(OTS-2 BLACK BL-100、大東化成工業社製)との混合物である。混合重量比は、93.482:1.080:5.400:0.038(コーティングされたTiO:赤色酸化鉄:黄色酸化鉄:黒色酸化鉄)である。前記リポアミノ酸は、パルミトイルプロリン、マグネシウムパルミトイルグルタメート、及びソジウムパルミトイルサルコシネートの混合物であり、業体から提供する分析結果をみると、コーティングされたチタンジオキシド粉体の粒子径の最頻値は357nmであり、メディアン値(D50)は434nmである。分析方法としては、レーザー粒度分析器を用いてエタノールに分散させて測定する方法を採用した。
【0046】
【表1】
【0047】
耐水性の評価を次のような方法により行った。
【0048】
黒色のゴム板に25mgの前記化粧料組成物を塗布した。組成物が塗布された個所の上に水道水を15秒以上流し送り、洗い流される度合いを確認した。その結果を図1に示す。
【0049】
易洗顔性の評価を次のような方法により行った。
【0050】
黒色のゴム板に25mgの化粧料組成物を塗布した。その上にクレンジングフォームの20%希釈液4~5滴を滴下し、十分に擦った後、流水によりすすぎ出し、洗い流される度合いを比較した。このときに用いられたクレンジングフォームは、市中で入手可能な市販中のラクベル(Lacvert)BRI:Dしっとり浄化クレンジングフォーム(商品名)(韓国の株式会社LG生活健康社製)であり、20%希釈液のpHは、9.5であった。その結果を図2に示す。
【0051】
図1に示す通り、本発明の組成物は、いずれも水道水により洗い流され難い優れた耐水性を示す。すなわち、脂肪酸が含まれていても、W/O剤形の耐水性が低下しなかった。
【0052】
これに対し、図2に示す通り、易洗顔性の評価結果からは、脂肪酸を1重量%以上含有するメイクアップ用の化粧品の方がさらに上手く洗い流されるということを確認することができた。これは、脂肪酸が石けん水のようにpHが高い条件下では石けん化反応を引き起こして洗顔に役立つからであると推察されるが、本発明は、このような理論的な機序に何ら限定されるものではない。
【0053】
実験2.脂肪酸の種類による実験
実験1の方法と同様にしてメイクアップ化粧品を製造し、耐水性及び易洗顔性の評価を行った。
【0054】
【表2】
【0055】
実験1などでの方法と同様にして耐水性を評価し、その結果を図3に示す。実験1などでの方法と同様にして易洗顔性を評価し、その結果を図4に示す。
【0056】
実験の結果、耐水性の側面からみると、脂肪酸の種類を問わずにいずれも優れた耐水性を示す。これに対し、易洗顔性の場合、他の固体脂肪酸に比べてイソステアリン酸(#14)の効果が遥かに抜群であるということを確認した。
【0057】
実験3.顔料級粉体の種類による実験
実験1の方法と同様にしてメイクアップ化粧品を製造し、耐水性及び易洗顔性の評価を行った。
【0058】
表3中、顔料Xは、表1において用いられた顔料Xと同様であった。
【0059】
表3中、顔料Yは、アルミニウムヒドロキシ及びジメチコンによりコーティングされたチタンジオキシド粉体(Si TiOCR50、韓国富士化学工業社製)と、赤色酸化鉄と、黒色酸化鉄と、黄色酸化鉄との4種類の成分の混合物である。混合比は、93.482:1.080:5.4:0.038である。粉体の粒子径は、250nmであった。参考までに、Si TiO CR50は、TiO CR50をシリコンによりコーティングした粉体であるが、CR50は、最も一般的な顔料級粉体であって、250nmの粒子径を有する粉体である。
【0060】
【表3】
【0061】
実験1などでの方法と同様にして耐水性を評価し、その結果を図6に示す。実験1などでの方法と同様にして易洗顔性を評価し、その結果を図7に示す。
【0062】
実験の結果、顔料の種類を問わずに高い耐水性と洗顔性を示しているが、リポアミノ酸コーティング粉体が含まれるとき(例えば、5重量%以上であるとき、#8サンプルの場合、顔料Xが6重量%用いられ、顔料X中のリポアミノ酸コーティング粉体の含量が概ね93.4%である)に洗顔性がさらに改善されるということを確認することができた。
【0063】
実験4.2価イオンの影響
実験1の方法と同様にしてメイクアップ化粧品を製造し、耐水性、易洗顔性及び安定性の評価を行った。
【0064】
【表4】
【0065】
実験1などでの方法と同様にして耐水性を評価し、その結果を図7に示す。また、実験1などでの方法と同様にして易洗顔性を評価し、その結果を図8に示す。
【0066】
また、安定性も評価してその結果をまとめて下記の表5に示す。
【0067】
【表5】
【0068】
(上記の表5中、○は、安定性に優れている、△は、中間ほどの安定性を示している、Xは、安定性に劣っていることを意味する。)
【0069】
実験の結果、#16~#20はいずれも耐水性と易洗顔性に優れているということを確認した。特に、易洗顔性の側面からみて、2価イオンを含む#16~#19よりも2価イオンを全く含まない#20の方の効果が最も抜群であった。
【0070】
より詳しくは、#16~#20の実験の結果、2価イオンを含む#16~#19は洗顔力にやや劣っているということが認められた。2価イオンを含む見本は、長い時間の間に20%クレンジングフォームソリューションにて擦ってはじめて落とされることが可能であったし、落とされた後にも僅かに残っているということを確認することができた。しかしながら、#20は、簡単にかつ完璧に落とすことができたし、安定性にも優れていた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油中水型メイクアップ化粧料組成物であって、
イソステアリン酸、顔料級粉体、及びHLBが0超え8以下である乳化剤を含み、
前記顔料級粉体は、リポアミノ酸によりコーティングされた顔料級粉体であり、
前記組成物は、中性pH水溶液よりもアルカリ性pH水溶液の方によりさらに上手く洗い流される、メイクアップ化粧料組成物。
【請求項2】
前記イソステアリン酸は、組成物の全重量に基づいて1~40重量%含まれ、顔料級粉体は、組成物の全重量に基づいて1~40重量%含まれる、請求項1に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項3】
前記リポアミノ酸は、パルミトイルプロリン、マグネシウムパルミトイルグルタメート、ソジウムパルミトイルサルコシネート、またはこれらの混合物である、請求項に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項4】
前記顔料級粉体は、リポアミノ酸によりコーティングされたTiOである、請求項に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項5】
前記顔料級粉体は、粉体の粒子径が200nm~1000nmである、請求項に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項6】
前記組成物は、1価イオン塩をさらに含む、請求項1に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項7】
前記1価イオン塩は、塩化ナトリウムである、請求項に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項8】
前記組成物は、ZnOを組成物の全重量に基づいて5重量%以下で含む、請求項1に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
黒色のゴム板に25mgの前記化粧料組成物を塗布した。組成物が塗布された個所の上に水道水を15秒以上流し送り、洗い流される度合いを確認した。その結果を図に示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
黒色のゴム板に25mgの化粧料組成物を塗布した。その上にクレンジングフォームの20%希釈液4~5滴を滴下し、十分に擦った後、流水によりすすぎ出し、洗い流される度合いを比較した。このときに用いられたクレンジングフォームは、市中で入手可能な市販中のラクベル(Lacvert)BRI:Dしっとり浄化クレンジングフォーム(商品名)(韓国の株式会社LG生活健康社製)であり、20%希釈液のpHは、9.5であった。その結果を図に示す。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
に示す通り、本発明の組成物は、いずれも水道水により洗い流され難い優れた耐水性を示す。すなわち、脂肪酸が含まれていても、W/O剤形の耐水性が低下しなかった。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
これに対し、図に示す通り、易洗顔性の評価結果からは、脂肪酸を1重量%以上含有するメイクアップ用の化粧品の方がさらに上手く洗い流されるということを確認することができた。これは、脂肪酸が石けん水のようにpHが高い条件下では石けん化反応を引き起こして洗顔に役立つからであると推察されるが、本発明は、このような理論的な機序に何ら限定されるものではない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
実験1などでの方法と同様にして耐水性を評価し、その結果を図に示す。実験1などでの方法と同様にして易洗顔性を評価し、その結果を図に示す。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
実験1などでの方法と同様にして耐水性を評価し、その結果を図に示す。また、実験1などでの方法と同様にして易洗顔性を評価し、その結果を図に示す。
【国際調査報告】