(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を含むウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防、治療、または改善用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/747 20150101AFI20240130BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240130BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240130BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240130BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240130BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20240130BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20240130BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20240130BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20240130BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20240130BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240130BHJP
A61K 8/99 20170101ALI20240130BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240130BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240130BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240130BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240130BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20240130BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20240130BHJP
C12N 1/20 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
A61K35/747
A61P31/12
A61P11/00
A61P31/14
A61P31/16
A61P31/20
A61P31/22
A61P31/18
A61P11/02
A61K9/72
A61P29/00
A61K8/99
A61Q19/00
A61Q19/10
A61Q5/02
A61Q1/00
A61Q1/10
A23L33/135
C12N1/20 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546209
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 KR2021018664
(87)【国際公開番号】W WO2022164012
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0014070
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0174687
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516348577
【氏名又は名称】エムディー ヘルスケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MD HEALTHCARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユン-クン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C076
4C083
4C087
【Fターム(参考)】
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4B018LE02
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4C087ZB33
(57)【要約】
本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含むウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防、改善、または治療用組成物に関する。本発明者らは、ラクトバチルス・パラカゼイ菌から小胞を分離して経口投与したとき、小胞が肺に伝達され、化学的、ウイルス性、及び細菌性原因因子などによる呼吸器疾患動物モデルに経口投与したとき、呼吸器疾患の発生が有意に抑制されることを確認した。また、COVID-19ウイルスまたはインフルエンザウイルス感染モデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞をそれぞれ投与したとき、COVID-19ウイルス複製が著しく抑制されるとともに、肺炎の発生が有意に抑制され、インフルエンザウイルスによる臨床症状が有意に抑制されることを確認したところ、本発明によるラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞は、ウイルス感染または呼吸器疾患を予防、症状改善、または治療するための医薬品、または健康機能食品などの開発に有用に利用できるものと期待される。
【選択図】
図8b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記ウイルス感染疾患は、コロナウイルス(Coronavirus)、ピコルナウイルス(Picornavirus)、アルファウイルス(Alphavirus)、インフルエンザウイルス(Influenza virus)、ラブドウイルス(Rhabdovirus)、レトロウイルス(Retrovirus)、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus)、A型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus)、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus)、アデノウイルス(Adenovirus)、ヘルペスウイルス(Herpes virus)、ポックスウイルス(Poxvirus)、パルボウイルス(Parvovirus)、レオウイルス(Reovirus)、呼吸器細胞融合ウイルス(Respiratory syncytial virus,RSV)、及びパラインフルエンザウイルス(Parainfluenza virus)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記コロナウイルス感染疾患は、風邪(common cold)、重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome,SARS)、中東呼吸器症候群(middle east respiratory syndrome,MERS)、及びコロナウイルス感染症-19(COVID-19)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記ピコルナウイルス感染疾患は、リノウイルス感染疾患及びエンテロウイルス感染疾患からなる群から選ばれるいずれか一つ以上である、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記アルファウイルス感染疾患は、バーマ森林ウイルス(Barmah Forest virus)、チクングニアウイルス(Chikungunya virus)、東部ウマ脳炎ウイルス(Eastern equine encephalitis virus)、マヤロウイルス(Mayaro virus)、オニョンニョンウイルス(O’nyong’nyong virus)、ロスリバーウイルス(Ross River virus)、セムリキフォレストウイルス(Semliki Forest virus)、シンドビスウイルス(Sindbis virus)、トネートウイルス(Tonate virus)、ウナウイルス(Una virus)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Venezuelan equine encephalitis virus)、及び西部ウマ脳炎ウイルス(Western equine encephalitis virus)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記レトロウイルス感染疾患は、トリ白血病ウイルス(Avian leukosis virus)、ラウス肉腫ウイルス(Rouss arcoma virus)、マウス乳がんウイルス(Mouse mammary tumour virus)、マウス白血病ウイルス(Murine leukemia virus)、ネコ白血病ウイルス(Feline leukemia virus)、ウシ白血病ウイルス(Bovine leukemia virus)、ヒトT-リンパ親和性ウイルス(Human T-lymphtrophic virus)、及びヒト免疫不全ウイルス(Human immunodeficiency virus,HIV)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記ヘルペスウイルス感染疾患は、単純ヘルペスウイルス1型(Herpes simplex virus-1,HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(Herpes simplex virus-2,HSV-2)、水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella zoster virus,VSZ)、エプスタインバーウイルス(Epstein-Barr virus, EBV)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus,CMV)、ロゼオロウイルス(Roseolovirus)、及びカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(Kaposi’sarcoma associated herpesvirus,KSHV)からなる群から選ばれる少なくとも一つのウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記呼吸器疾患は、急性鼻炎(acute rhinitis)、慢性鼻炎(chronic rhinitis)、急性副鼻腔炎(acute sinusitis)、慢性副鼻腔炎(chronic sinusitis)、嗅覚障害(dysosmia)、急性気管支炎(acute bronchitis)、慢性気管支炎(chronic bronchitis)、急性細気管支炎(acute bronchiolitis)、慢性細気管支炎(chronic bronchiolitis)、ウイルス性肺炎(viral pneumonia)、細菌性肺炎(bacterial pneumonia)、間質性肺炎(interstitial pneumonitis)、血管性肺炎(vascular pneumonia)、及び特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記小胞は、平均直径が10nm~300nmであることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記小胞は、ラクトバチルス・パラカゼイから自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記小胞は、ラクトバチルス・パラカゼイの培養液またはラクトバチルス・パラカゼイを添加して製造した食品から分離したことを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防または改善用食品組成物。
【請求項13】
前記ウイルス感染疾患は、コロナウイルス(Coronavirus)、ピコルナウイルス(Picornavirus)、アルファウイルス(Alphavirus)、インフルエンザウイルス(Influenza virus)、ラブドウイルス(Rhabdovirus)、レトロウイルス(Retrovirus)、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus)、A型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus)、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus)、アデノウイルス(Adenovirus)、ヘルペスウイルス(Herpes virus)、ポックスウイルス(Poxvirus)、パルボウイルス(Parvovirus)、レオウイルス(Reovirus)、呼吸器細胞融合ウイルス(Respiratory syncytial virus,RSV)、及びパラインフルエンザウイルス(Parainfluenza virus)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項12に記載の食品組成物。
【請求項14】
前記コロナウイルス感染疾患は、風邪(common cold)、重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome,SARS)、中東呼吸器症候群(middle east respiratory syndrome,MERS)、及びコロナウイルス感染症-19(COVID-19)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項13に記載の食品組成物。
【請求項15】
前記ピコルナウイルス感染疾患は、リノウイルス感染疾患及びエンテロウイルス感染疾患からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項13に記載の食品組成物。
【請求項16】
前記アルファウイルス感染疾患は、バーマ森林ウイルス(Barmah Forest virus)、チクングニアウイルス(Chikungunya virus)、東部ウマ脳炎ウイルス(Eastern equine encephalitis virus)、マヤロウイルス(Mayaro virus)、オニョンニョンウイルス(O’nyong’nyong virus)、ロスリバーウイルス(Ross River virus)、セムリキフォレストウイルス(Semliki Forest virus)、シンドビスウイルス(Sindbis virus)、トネートウイルス(Tonate virus)、ウナウイルス(Una virus)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Venezuelan equine encephalitis virus)、及び西部ウマ脳炎ウイルス(Western equine encephalitis virus)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項13に記載の食品組成物。
【請求項17】
前記レトロウイルス感染疾患は、トリ白血病ウイルス(Avian leukosis virus)、ラウス肉腫ウイルス(Rouss arcoma virus)、マウス乳がんウイルス(Mouse mammary tumour virus)、マウス白血病ウイルス(Murine leukemia virus)、ネコ白血病ウイルス(Feline leukemia virus)、ウシ白血病ウイルス(Bovine leukemia virus)、ヒトT-リンパ親和性ウイルス(Human T-lymphtrophic virus)、及びヒト免疫不全ウイルス(Human immunodeficiency virus,HIV)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項13に記載の食品組成物。
【請求項18】
前記ヘルペスウイルス感染疾患は、単純ヘルペスウイルス1型(Herpes simplex virus-1,HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(Herpes simplex virus-2,HSV-2)、水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella zoster virus,VSZ)、エプスタインバーウイルス(Epstein-Barr virus, EBV)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus,CMV)、ロゼオロウイルス(Roseolovirus)、及びカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(Kaposi’sarcoma associated herpesvirus,KSHV)からなる群から選ばれる少なくとも一つのウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項13に記載の食品組成物。
【請求項19】
前記呼吸器疾患は、急性鼻炎(acute rhinitis)、慢性鼻炎(chronic rhinitis)、急性副鼻腔炎(acute sinusitis)、慢性副鼻腔炎(chronic sinusitis)、嗅覚障害(dysosmia)、急性気管支炎(acute bronchitis)、慢性気管支炎(chronic bronchitis)、急性細気管支炎(acute bronchiolitis)、慢性細気管支炎(chronic bronchiolitis)、ウイルス性肺炎(viral pneumonia)、細菌性肺炎(bacterial pneumonia)、間質性肺炎(interstitial pneumonitis)、血管性肺炎(vascular pneumonia)、及び特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項12に記載の食品組成物。
【請求項20】
前記小胞は、平均直径が10nm~300nmであることを特徴とする、請求項12に記載の食品組成物。
【請求項21】
前記小胞は、ラクトバチルス・パラカゼイから自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする、請求項12に記載の食品組成物。
【請求項22】
前記小胞は、ラクトバチルス・パラカゼイの培養液またはラクトバチルス・パラカゼイを添加して製造した食品から分離したことを特徴とする、請求項12に記載の食品組成物。
【請求項23】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防または治療用吸入剤組成物。
【請求項24】
前記ウイルス感染疾患は、コロナウイルス(Coronavirus)、ピコルナウイルス(Picornavirus)、アルファウイルス(Alphavirus)、インフルエンザウイルス(Influenza virus)、ラブドウイルス(Rhabdovirus)、レトロウイルス(Retrovirus)、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus)、A型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus)、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus)、アデノウイルス(Adenovirus)、ヘルペスウイルス(Herpes virus)、ポックスウイルス(Poxvirus)、パルボウイルス(Parvovirus)、レオウイルス(Reovirus)、呼吸器細胞融合ウイルス(Respiratory syncytial virus,RSV)、及びパラインフルエンザウイルス(Parainfluenza virus)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項23に記載の吸入剤組成物。
【請求項25】
前記呼吸器疾患は、急性鼻炎(acute rhinitis)、慢性鼻炎(chronic rhinitis)、急性副鼻腔炎(acute sinusitis)、慢性副鼻腔炎(chronic sinusitis)、嗅覚障害(dysosmia)、急性気管支炎(acute bronchitis)、慢性気管支炎(chronic bronchitis)、急性細気管支炎(acute bronchiolitis)、慢性細気管支炎(chronic bronchiolitis)、ウイルス性肺炎(viral pneumonia)、細菌性肺炎(bacterial pneumonia)、間質性肺炎(interstitial pneumonitis)、血管性肺炎(vascular pneumonia)、及び特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項23に記載の吸入剤組成物。
【請求項26】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患の予防または改善用化粧料組成物。
【請求項27】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来小胞を有効成分として含む組成物を個体に投与する段階を含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防、治療または改善方法。
【請求項28】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来小胞のウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防、治療、または改善用途。
【請求項29】
ウイルス感染疾患または呼吸器疾患治療用薬剤製造のためのラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来小胞の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含むウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防、治療、または改善用組成物に関する。
【0002】
本出願は、2021年02月01日付で出願された韓国特許出願第10-2021-0014070号及び2021年12月08日付で出願された韓国特許出願第10-2021-0174687号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示されたすべての内容は、本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
ウイルス感染疾患は非常に多様な病気を誘発し、ウイルスの種類によってその症状もそれぞれ異なる。呼吸器疾患を引き起こすウイルスは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ライノウイルスなどがあり、下痢などの腸炎を誘発するウイルスは、ロタウイルス、エンテロウイルスであり、免疫疾患は、レトロウイルス、がんを誘発するウイルスは、アデノウイルス、パピローマウイルス、B型及びC型肝炎ウイルスなどである。また、ヘルペスウイルスは、顔や生殖器の皮膚にヘルペスを引き起こすこともある。
【0004】
近年、新型コロナウイルス感染症-19(COVID-19)パンデミックが世界的に流行し、ウイルス感染及びその合併症による呼吸器疾患が世界的に大きな問題となっている。また、過去には非感染性疾患と考えられていた疾患が実際の感染性因子が原因であるという証拠が増加しており、代表的に胃がんの原因としてヘリコバクター細菌が、子宮頸がんの原因としてヒト咽頭腫ウイルスが重要な原因であることが明らかになった。特に免疫機能異常を伴う場合には、COVID-19、インフルエンザ、細菌などの感染時、重症肺炎などの合併症により致命的な経過を招くため、免疫機能異常を調節できる薬物に対する必要性が増大している。
【0005】
炎症(inflammation)は、細胞及び組織の損傷や感染に対する局部的または全身的な防御メカニズムで、主に免疫系をなす体液性メディエーター(humoral mediator)が直接反応するか、または局部的または全身的作動システム(effector system)を刺激することによって起こる連鎖的な生体反応によって誘発される。炎症性疾患を治療または予防するために使用されている一般的な組成物としては、大きくステロイド性と非ステロイド性組成物に区分され、このうちのほとんどが様々な副作用を伴う場合が多い。
【0006】
人体に共生する微生物の個数は100兆個に達し、ヒト細胞より約10倍多く、微生物の遺伝子数は、ヒト遺伝子数の100倍を超えることが知られている。微生物叢(microbiotaまたはmicrobiome)は、与えられた住居地に存在する真正細菌(bacteria)、古細菌(archaea)、真核生物(eukarya)を含む微生物群集(microbial community)をいう。
【0007】
私たちの体に共生する細菌及び周辺環境に存在する細菌は、他の細胞への遺伝子、低分子化合物、タンパク質などの情報を交換するためにナノメートルサイズの小胞(vesicle)を分泌する。粘膜は、200ナノメートル(nm)サイズ以上の粒子は通過できない物理的な防御膜を形成して、粘膜に共生する細菌である場合には粘膜を通過できないが、細菌由来小胞は、サイズが20~200ナノメートルサイズ程度であるため、比較的自由に粘膜を通じて上皮細胞を通過し、私たちの体に吸収される。細菌由来小胞は、細菌から分泌されたものであるが、細菌と構成成分、体内吸収率、副作用の危険性などが互いに異なり、これにより細菌由来小胞を使用することは、生きている細菌を使用することとは全く異なるか、または顕著な効果を示す。局所的に分泌された細菌由来小胞は、粘膜の上皮細胞を通じて吸収されて局所炎症反応を誘導するだけでなく、上皮細胞を通過した小胞は、全身的に吸収されて各臓器に分布し、分布した臓器で免疫及び炎症反応を調節する。例えば、大腸菌(Eshcherichia coli)などの病原性グラム陰性細菌に由来する小胞は、局所的に炎症反応及びがんを引き起こし、血管に吸収された場合には血管内皮細胞炎症反応を通じて全身的な炎症反応及び血液凝固を促進させる。また、インスリンが作用する筋肉細胞などに吸収され、インスリン抵抗性と糖尿病を誘発する。一方、有益な細菌に由来する小胞は、各臓器の特定の細胞に吸収されて核心的な免疫機能及び代謝機能異常を調節して疾患の発生を抑制しうる。
【0008】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)は、グラム陽性桿菌として嫌気性環境だけでなく好気性環境でもよく育ち、私たちの体に共生する有益な細菌として知られている。細菌は、細胞間タンパク質、脂質、遺伝子などの交換のために細胞外環境に二重膜構造の細胞外小胞(extracellular vesicle;EV)を分泌する。ラクトバチルス・パラカゼイなどのグラム陽性菌(gram-positive bacteria)由来小胞は、細菌由来タンパク質と核酸の他にも細菌の細胞壁構成成分であるペプチドグリカン(peptidoglycan)とリポテイコ酸(lipoteichoic acid)も有している。特に、前記小胞は、細胞内に吸収されて小胞体(endoplasmic reticulum,ER)に移動するが、ウイルス複製時にもERでウイルスの膜が形成される。
【0009】
しかし、ラクトバチルス・パラカゼイから分泌される小胞がウイルス感染症、またはウイルス、細菌性因子などによる呼吸器疾患の予防、治療、または改善のために用いられた場合は知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、前記のような従来の問題点を解決するために鋭意研究した結果、ラクトバチルス・パラカゼイ菌から小胞を分離して経口投与したとき、小胞が肺に伝達され、化学的、ウイルス性、及び細菌性原因因子などによる呼吸器疾患動物モデルに経口投与したとき、呼吸器疾患の発生が有意に抑制されることを確認した。また、本発明者らは、COVID-19ウイルス感染ハムスターモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与したとき、COVID-19ウイルス複製が著しく抑制されるとともに、肺炎の発生が有意に抑制されることを確認した。また、本発明者らは、インフルエンザウイルス感染マウスモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与したとき、インフルエンザウイルスによる臨床症状が有意に抑制されることを確認したところ、これに基づいて本発明を完成した。
【0011】
したがって、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防または改善用食品組成物を提供することを他の目的とする。
【0013】
また、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防または治療用吸入剤組成物を提供することを他の目的とする。
【0014】
また、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患の予防または改善用化粧料組成物を提供することを他の目的とする。
【0015】
しかし、本発明が達成しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は、以下の記載から当業者が明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記のような本発明の目的を達成するために、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0017】
また、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。
【0018】
また、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防または治療用吸入剤組成物を提供する。
【0019】
また、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患の予防または改善用化粧料組成物を提供する。
【0020】
本発明の一具現例として、前記ウイルス感染疾患は、コロナウイルス(Coronavirus)、ピコルナウイルス(Picornavirus)、アルファウイルス(Alphavirus)、インフルエンザウイルス(Influenza virus)、ラブドウイルス(Rhabdovirus)、レトロウイルス(Retrovirus)、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus)、A型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus)、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus)、アデノウイルス(Adenovirus)、ヘルペスウイルス(Herpes virus)、ポックスウイルス(Poxvirus)、パルボウイルス(Parvovirus)、レオウイルス(Reovirus)、呼吸器細胞融合ウイルス(Respiratory syncytial virus,RSV)、及びパラインフルエンザウイルス(Parainfluenza virus)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0021】
本発明の他の具現例として、前記コロナウイルス感染疾患は、風邪(common cold)、重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome,SARS)、中東呼吸器症候群(middle east respiratory syndrome,MERS)、及びコロナウイルス感染症-19(COVID-19)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0022】
本発明のさらに他の具現例として、前記ピコルナウイルス感染疾患は、リノウイルス感染疾患及びエンテロウイルス感染疾患からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0023】
本発明のさらに他の具現例として、前記アルファウイルス感染疾患は、バーマ森林ウイルス(Barmah Forest virus)、チクングニアウイルス(Chikungunya virus)、東部ウマ脳炎ウイルス(Eastern equine encephalitis virus)、マヤロウイルス(Mayaro virus)、オニョンニョンウイルス(O’nyong’nyong virus)、ロスリバーウイルス(Ross River virus)、セムリキフォレストウイルス(Semliki Forest virus)、シンドビスウイルス(Sindbis virus)、トネートウイルス(Tonate virus)、ウナウイルス(Una virus)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Venezuelan equine encephalitis virus)、及び西部ウマ脳炎ウイルス(Western equine encephalitis virus)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染症であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0024】
本発明のさらに他の具現例として、前記レトロウイルス感染疾患は、トリ白血病ウイルス(Avian leukosis virus)、ラウス肉腫ウイルス(Rouss arcoma virus)、マウス乳がんウイルス(Mouse mammary tumour virus)、マウス白血病ウイルス(Murine leukemia virus)、ネコ白血病ウイルス(Feline leukemia virus)、ウシ白血病ウイルス(Bovine leukemia virus)、ヒトT-リンパ親和性ウイルス(Human T-lymphtrophic virus)、及びヒト免疫不全ウイルス(Human immunodeficiency virus,HIV)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0025】
本発明のさらに他の具現例として、前記ヘルペスウイルス感染疾患は、単純ヘルペスウイルス1型(Herpes simplex virus-1,HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(Herpes simplex virus-2,HSV-2)、水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella zoster virus,VSZ)、エプスタインバーウイルス(Epstein-Barr virus, EBV)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus,CMV)、ロゼオロウイルス(Roseolovirus)、及びカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(Kaposi sarcoma associated herpesvirus,KSHV)からなる群から選ばれる少なくとも一つのウイルス感染疾患であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0026】
本発明の他の具現例として、前記呼吸器疾患は、急性鼻炎(acute rhinitis)、慢性鼻炎(chronic rhinitis)、急性副鼻腔炎(acute sinusitis)、慢性副鼻腔炎(chronic sinusitis)、嗅覚障害(dysosmia)、急性気管支炎(acute bronchitis)、慢性気管支炎(chronic bronchitis)、急性細気管支炎(acute bronchiolitis)、慢性細気管支炎(chronic bronchiolitis)、ウイルス性肺炎(viral pneumonia)、細菌性肺炎(bacterial pneumonia)、間質性肺炎(interstitial pneumonitis)、血管性肺炎(vascular pneumonia)、及び特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)からなる群から選ばれる少なくとも一つの疾患であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0027】
本発明のさらに他の具現例として、前記小胞は、平均直径が10nm~300nmであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0028】
本発明のさらに他の具現例として、前記小胞は、ラクトバチルス・パラカゼイ培養液から分離されるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0029】
本発明のさらに他の具現例として、前記小胞は、ラクトバチルス・パラカゼイを添加して製造した食品から分離した小胞を使用したものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0030】
本発明のさらに他の具現例として、前記小胞は、ラクトバチルス・パラカゼイから自然的に分泌または人工的に生産されるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0031】
また、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含む組成物を個体に投与する段階を含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防、治療、または改善方法を提供する。
【0032】
また、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞のウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防、治療、または改善用途を提供する。
【0033】
また、本発明は、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患治療用薬剤の製造のためのラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の用途を提供する。
【発明の効果】
【0034】
本発明者らは、ラクトバチルス・パラカゼイ菌から小胞を分離して経口投与したとき、小胞が肺に伝達され、化学的、ウイルス性、及び細菌性原因因子などによる呼吸器疾患動物モデルに前記小胞を経口投与したとき、呼吸器疾患の発生が有意に抑制されることを確認した。また、本発明者らは、COVID-19感染ハムスターモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与したとき、COVID-19ウイルス複製が著しく抑制されるとともに、肺炎の発生が有意に抑制されることを確認した。また、本発明者らは、インフルエンザウイルス感染マウスモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与したとき、インフルエンザウイルスによる臨床症状が有意に抑制されることを確認した。そこで、本発明によるラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞は、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防、改善または治療用組成物として有用に使用できるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1a-1b】
図1aは、マウスにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、時間別に小胞の分布様相を撮影した写真であり、
図1bは、マウスにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、時間別に様々な臓器を摘出してラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の臓器別分布様相をグラフで示した結果である。
【
図2】
図2は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の治療効果をウイルス性肺炎マウスモデルにおいて評価するための実験方法を示すものである。
【
図3】
図3は、ウイルス性肺炎マウスモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、気道洗浄液内の炎症細胞の構成及びその数を評価した結果である。
【
図4】
図4は、ウイルス性肺炎マウスモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、気道洗浄液内の炎症性サイトカインTNF-α及びIL-6をELISA法で定量した結果である。
【
図5】
図5は、ウイルス性肺炎マウスモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、肺組織を摘出してH&E染色を通じて炎症細胞の浸潤の程度を評価した結果である。
【
図6】
図6は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞のウイルス感染に対する治療効果をCOVID-19感染ハムスターモデルにおいて評価するための実験方法を示すものである。
【
図7】
図7は、COVID-19ウイルス感染ハムスターモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、COVID-19ウイルス接種後のハムスター個体の体重を測定した結果である。
【
図8a-8b】
図8aは、COVID-19ウイルス感染ハムスターモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、肺組織を摘出してH&E染色した結果であり、
図8bは、肺組織H&E染色スライドを観察して肺組織において肺間質及び血管周囲の炎症細胞浸潤の程度を測定した結果である。
【
図9】
図9は、COVID-19ウイルス感染ハムスターモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、摘出された肺組織においてCOVID-19ウイルスの外被遺伝子(E gene)をターゲットとしてPCR法でウイルスの複製程度を定量した結果である。
【
図10】
図10は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞のウイルス感染に対する治療効果をインフルエンザウイルス感染マウスモデルにおいて評価するための実験方法を示すものである。
【
図11】
図11は、インフルエンザウイルス感染マウスモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、インフルエンザウイルス接種後のマウスの生存率を測定した結果である。
【
図12】
図12は、インフルエンザウイルス感染マウスモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、インフルエンザウイルス接種後のマウスの体重変化を測定した結果である。
【
図13】
図13は、インフルエンザウイルス感染マウスモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、インフルエンザウイルス接種後のマウスの体温変化を測定した結果である。
【
図14】
図14は、インフルエンザウイルス感染マウスモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、インフルエンザウイルス接種後のマウスの臨床症状を測定した結果である。
【
図15】
図15は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の治療効果を細菌性肺炎マウスモデルにおいて評価するための実験方法を示すものである。
【
図16】
図16は、細菌性肺炎マウスモデルにおいてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、気道洗浄液内の炎症細胞の構成及びその数を評価した結果である。
【
図17】
図17は、細菌性肺炎マウスモデルにおいてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、気道洗浄液内の炎症性サイトカインTNF-α及び好中球活性マーカーである骨髄細胞型ペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase,MPO)、好中球エラスターゼ(Neutrophil elastase,NE)の発現程度をELISA法で定量した結果である。
【
図18】
図18は、細菌性肺炎マウスモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、肺組織を摘出してH&E染色を行い、炎症細胞の浸潤程度を評価した結果である。
【
図19】
図19は、化学的因子による特発性肺線維症マウスモデルにおいてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の治療効果を評価するための実験方法を示すものである。
【
図20】
図20は、特発性肺線維症マウスモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、気道洗浄液内の代表的な炎症細胞である好中球数を評価した結果である。
【
図21】
図21は、特発性肺線維症マウスモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、肺組織において線維化関連タンパク質の発現様相をウェスタンブロット法で定量した結果である。
【
図22】
図22は、特発性肺線維症マウスモデルにラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した後、肺組織を摘出してH&E染色を通じて炎症細胞の浸潤程度を評価した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明では、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞がウイルス感染時のウイルスの複製を効果的に抑制するだけでなく、ウイルス性、細菌性、及び化学的因子による呼吸器疾患の発生を効果的に抑制し、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患において顕著な治療効果を示すことを確認した。したがって、本発明のラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞は、様々なウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防、治療、または改善用途として有用に使用できるものと期待される。
【0037】
本発明の一実施例では、ラクトバチルス・パラカゼイ菌から小胞を分離し(実施例1参照)、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の経口投与時の薬物動態特性を確認した結果、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞が時間が経つにつれて体内に徐々に広がることを観察し、肺の場合、経口投与後48時間まで蛍光シグナルが保持されることを確認した(実施例2参照)。
【0038】
本発明の他の実施例では、マウスにウイルス性肺炎を誘導してラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した結果、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群において肺炎症の程度を知ることができる指標である気道洗浄液内の総細胞数、マクロファージ数、好中球数が陽性対照群(Poly(I:C))に比べて著しく減少することを確認し、気道洗浄液内の炎症性サイトカインであるTNF-α及びIL-6の発現程度も陽性対照群に比べて減少したことを確認し、肺組織への炎症細胞の浸潤も陽性対照群に比べて減少したことを確認した。これにより、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞がウイルス性原因因子による肺炎の発生を効率的に抑制することが分かった(実施例3参照)。
【0039】
本発明のさらに他の実施例では、ハムスターにCOVID-19ウイルス感染を誘導し、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した結果、陽性対照群(G2)では体重が持続的に減少したが、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群(G3、G4)では、体重減少が著しく減少し、肺組織を摘出してH&E染色した結果、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞によりCOVID-19ウイルス感染による肺炎の重症度が減少し、肺組織において肺間質及び血管周囲の炎症細胞浸潤の程度が用量依存的に抑制されることを確認した。また、肺組織内のエンベロープタンパク質(envelope protein)に対する遺伝子がラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を投与した群で陽性対照群に対して著しく減少していることを確認したところ、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞がCOVID-19ウイルスによる肺炎を用量依存的に抑制するだけでなく、COVID-19ウイルスの複製も有意に抑制することが分かった(実施例4参照)。
【0040】
本発明のさらに他の実施例では、マウスにインフルエンザウイルス感染を誘導してラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した結果、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群(G3,G4)は、陽性対照群(G2)と比較して生存率が増加し、減少した体重が回復することを確認した。また、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群の減少した体温が回復することを確認し、臨床症状スコアが有意に改善されることを確認したところ、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞がインフルエンザウイルス感染による臨床症状を用量依存的に改善させることが分かった(実施例5参照)。
【0041】
本発明のさらに他の実施例では、マウスに細菌性肺炎を誘導してラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した結果、陽性対照群(EcEV)に比べて肺炎症の程度を知ることができる指標である気道洗浄液内の総細胞数、マクロファージ数、及び好中球数がラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群で著しく減少することを確認し、気道洗浄液内の炎症性サイトカインTNF-α及び好中球活性マーカーであるMPO、NE発現程度とともに肺組織への炎症細胞の浸潤もラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群で減少したことを確認した。これにより、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞が細菌性原因因子による肺炎の発生を効率的に抑制することが分かった(実施例6参照)。
【0042】
本発明のさらに他の実験例では、マウスにブレオマイシン(Bleomycin)による特発性肺線維症を誘導し、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を経口投与した結果、肺炎症の程度を知ることができる指標である気道洗浄液内の好中球数が陽性対照群(BLM)に比べてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群で用量依存的に減少したことを確認し、線維化の過程で重要な指標であるα-SMA及びp-smad3の発現の程度がラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群で減少することを確認した。また、H&E及びMasson’s trichrome染色法を通じて肺組織学的変化を観察した結果、陽性対照群に対してラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群において炎症細胞の浸潤及びコラーゲン繊維の沈着が減少したことを確認した。これにより、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞が化学的原因因子であるブレオマイシンによる特発性肺線維症の発生を効果的に抑制することが分かった(実施例7参照)。
【0043】
そこで、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0044】
本発明において、「ウイルス感染疾患(viral infection disease)」とは、体内にウイルスが流入して誘発される感染疾患を意味し、「感染」とは、病原性微生物が宿主となる生物体の体内に侵入して発育増殖した状態を意味する。
【0045】
本発明において、ウイルス感染疾患は、例えば、コロナウイルス(Coronavirus)、ピコルナウイルス(Picornavirus)、アルファウイルス(Alphavirus)、インフルエンザウイルス(Influenza virus)、ラブドウイルス(Rhabdovirus)、レトロウイルス(Retrovirus)、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus)、A型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus)、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus)、アデノウイルス(Adenovirus)、ヘルペスウイルス(Herpes virus)、ポックスウイルス(Poxvirus)、パルボウイルス(Parvovirus)、レオウイルス(Reovirus)、呼吸器細胞融合ウイルス(Respiratory syncytial virus,RSV)、及びパラインフルエンザウイルス(Parainfluenza virus)などを含むウイルスによって引き起こされる感染疾患であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0046】
本発明において、「コロナウイルス」とは外被を有する一本鎖の陽性RNAウイルスであり、ゲノムサイズは、25~32kbで、これまで知られているRNAウイルスの中では比較的大きなウイルスに属する。外被にこん棒状の突起であるスパイク(spike)タンパク質が刺さっていて火炎あるいは王冠状の特異的構造を持っており、ラテン語のCoronaにウイルス名が由来すると言われる。1937年にニワトリから初めて発見された後、コウモリ、トリ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、ラットなどの様々な鳥類と動物から発見されており、動物において胃腸病及び呼吸器疾患などの様々な疾患を引き起こしうることが知られている。
【0047】
本発明において、コロナウイルス感染疾患は、風邪(common cold)、重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome,SARS)、中東呼吸器症候群(middle east respiratory syndrome,MERS)、及びコロナウイルス感染症-19(COVID-19)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0048】
本発明において、ピコルナウイルス感染疾患は、リノウイルス感染疾患及びエンテロウイルス感染疾患からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0049】
本発明において、アルファウイルス感染疾患は、バーマ森林ウイルス(Barmah Forest virus)、チクングニアウイルス(Chikungunya virus)、東部ウマ脳炎ウイルス(Eastern equine encephalitis virus)、マヤロウイルス(Mayaro virus)、オニョンニョンウイルス(O’nyong’nyong virus)、ロスリバーウイルス(Ross River virus)、セムリキフォレストウイルス(Semliki Forest virus)、シンドビスウイルス(Sindbis virus)、トネートウイルス(Tonate virus)、ウナウイルス(Una virus)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Venezuelan equine encephalitis virus)、及び西部ウマ脳炎ウイルス(Western equine encephalitis virus)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0050】
本発明において、レトロウイルス感染疾患は、トリ白血病ウイルス(Avian leukosis virus)、ラウス肉腫ウイルス(Rouss arcoma virus)、マウス乳がんウイルス(Mouse mammary tumour virus)、マウス白血病ウイルス(Murine leukemia virus)、ネコ白血病ウイルス(Feline leukemia virus)、ウシ白血病ウイルス(Bovine leukemia virus)、ヒトT-リンパ親和性ウイルス(Human T-lymphtrophic virus)、及びヒト免疫不全ウイルス(Human immunodeficiency virus,HIV)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0051】
本発明において、ヘルペスウイルス感染疾患は、単純ヘルペスウイルス1型(Herpes simplex virus-1,HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(Herpes simplex virus-2,HSV-2)、水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella zoster virus,VSZ)、エプスタインバーウイルス(Epstein-Barr virus, EBV)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus,CMV)、ロゼオロウイルス(Roseolovirus)、及びカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(Kaposi’sarcoma associated herpesvirus,KSHV)からなる群から選ばれる少なくとも一つのウイルス感染疾患であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0052】
本発明において、「インフルエンザウイルス(influenza virus)」とは、オルソミクソウイルス(Orthomyxoviridae)科に属する一本鎖RNAウイルスをいう。インフルエンザウイルスに感染される場合、インフルエンザ(流感)が誘発され、流感は、上部呼吸器系(鼻、首)や下部呼吸器系(肺)を侵犯し、突然の高熱、頭痛、筋肉痛、全身衰弱感などの全般的な身体症状を伴う。
【0053】
本発明において、「呼吸器疾患(respiratory disease)」とは、化学的原因因子、ウイルス性原因因子、または細菌性原因因子によって誘導される呼吸器系の疾患を意味し、例えば、急性鼻炎(acute rhinitis)、慢性鼻炎(chronic rhinitis)、急性副鼻腔炎(acute sinusitis)、慢性副鼻腔炎(chronic sinusitis)、嗅覚障害(dysosmia)、急性気管支炎(acute bronchitis)、慢性気管支炎(chronic bronchitis)、急性細気管支炎(acute bronchiolitis)、慢性細気管支炎(chronic bronchiolitis)、ウイルス性肺炎(viral pneumonia)、細菌性肺炎(bacterial pneumonia)、間質性肺炎(interstitial pneumonitis)、血管性肺炎(vascular pneumonia)、特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)などを含んでもよいが、これに制限されるものではない。
【0054】
本発明において、「肺炎(pneumonia)」とは、細菌やウイルス、カビなどの微生物による感染により発生する肺の炎症を意味する。咳、炎症物質の排出による痰、呼吸機能の障害による呼吸困難など肺の正常な機能に障害が生じる肺症状と、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状及び頭痛、疲労感、筋肉痛、関節痛などの身体全般にわたる全身疾患が発生することがある。
【0055】
本発明において、「細胞外小胞(extracellular vesicle)」または「小胞(vesicle)」とは、様々な細菌から分泌されるナノサイズの膜からなる構造物を意味し、本発明ではラクトバチルス・パラカゼイから自然的に分泌されるか、または人工的に産生された膜からなるすべての構造物を総称する。前記小胞は、ラクトバチルス・パラカゼイ菌体を含む培養液を熱処理、遠心分離、超高速遠心分離、高圧処理、押出、超音波分解、細胞溶解、均質化、冷凍-解凍、電気穿孔、機械的分解、化学物質処理、フィルターによるろ過、ゲルろ過クロマトグラフィー、フリーフロー電気泳動、及びキャピラリー電気泳動からなる群から選ばれる少なくとも一つの方法を使用して分離してもよい。また、不純物の除去のための洗浄、得られた小胞の濃縮などの過程をさらに含んでもよい。
【0056】
本発明において、前記小胞は、ラクトバチルス・パラカゼイ培養液から分離するか、またはラクトバチルス・パラカゼイを添加して製造した食品から分離した小胞であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0057】
本発明において、前記ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞は、平均直径が10nm~1000nm、10nm~900nm、10nm~800nm、10nm~700nm、10nm~600nm、10nm~500nm、10nm~400nm、10nm~300nm、または10nm~200nmであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0058】
本発明による薬学的組成物は、薬学的組成物の製造に通常使用される適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含んでもよい。前記賦形剤は、例えば、希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、吸着剤、保湿剤、フィルムコーティング物質、及び制御放出添加剤からなる群から選ばれる少なくとも一つであってもよい。
【0059】
本発明による薬学的組成物は、それぞれ通常の方法により散剤、顆粒剤、徐放性顆粒剤、腸溶性顆粒剤、液剤、点眼剤、エルシリック剤、乳剤、懸濁液剤、酒精剤、トローチ剤、芳香水剤、リモナーデ剤、錠剤、徐放性錠剤、腸溶性錠剤、舌下錠、硬質カプセル剤、軟質カプセル剤、徐放性カプセル剤、腸溶性カプセル剤、丸剤、チンキ剤、軟調エキス剤、乾燥エキス剤、流動エキス剤、注射剤、カプセル剤、灌流液、硬膏剤、ローション剤、パスタ剤、噴霧剤、吸入剤、パッチ剤、滅菌注射液、またはエアロゾルなどの外用剤などの形態で剤形化して使用されてもよく、前記外用剤は、クリーム、ジェル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤またはカタプラズマ剤などの剤形を有してもよい。
【0060】
本発明による薬学的組成物に含まれてもよい担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、オリゴ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェイト、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、非晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油が挙げられる。
【0061】
製剤化する場合は、通常、使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調製される。
【0062】
本発明による錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤の添加剤として、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、小麦デンプン、乳糖、白糖、ブドウ糖、果糖、D-マンニトール、沈降炭酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、リン酸一水素カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、精製ラノリン、微結晶セルロース、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カオリン、尿素、コロイド状シリカゲル、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMC1928、HPMC2208、HPMC2906、HPMC2910、プロピレングリコール、カゼイン、乳酸カルシウム、プリモゼルなどの賦形剤、ゼラチン、アラビアゴム、エタノール、寒天粉、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ブドウ糖、精製水、カゼインナトリウム、グリセリン、ステアリン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、デキストリン、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシメチルセルロース、精製シェラック、デンプン糊、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの結合剤が使用されてもよく、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシデンプン、寒天粉、メチルセルロース、ベントナイト、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クエン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、無水ケイ酸、1-ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、イオン交換樹脂、酢酸ポリビニル、ホルムアルデヒド処理カゼイン及びゼラチン、アルギン酸、アミロース、グアルゴム(Guar gum)、重曹、ポリビニルピロリドン、リン酸カルシウム、ゲル化澱粉、アラビアゴム、アミロペクチン、ペクチン、ポリリン酸ナトリウム、エチルセルロース、白糖、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、D-ソルビトール液、硬質無水ケイ酸などの崩壊剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、水素化植物油(Hydrogenated vegetable oil)、タルク、石松子、カオリン、ワセリン、ステアリン酸ナトリウム、カカオ脂、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸マグネシウム、ポリチレングリコール(PEG)4000、PEG6000、流動パラフィン、水素添加大豆油(Lubri wax)、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化マグネシウム、マクロゴール(Macrogol)、合成ケイ酸アルミニウム、無水ケイ酸、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、パラフィン油、ポリエチレングリコール脂肪酸エーテル、デンプン、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、dl-ロイシン、硬質無水ケイ酸などの滑沢剤が使用されてもよい。
【0063】
本発明による液剤の添加剤としては、水、希塩酸、希硫酸、クエン酸ナトリウム、モノステアリン酸スクロース類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(ツインエステル)、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル類、ラノリンエーテル類、ラノリンエステル類、酢酸、塩酸、アンモニア水、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、プロルアミン、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが使用されてもよい。
【0064】
本発明によるシロップ剤には白糖の溶液、他の糖類または甘味剤などが使用されてもよく、必要に応じて芳香剤、着色剤、保存剤、安定剤、懸濁化剤、乳化剤、粘稠剤などが使用されてもよい。
【0065】
本発明の乳剤には精製水が使用されてもよく、必要に応じて乳化剤、保存剤、安定剤、芳香剤などが使用されてもよい。
【0066】
本発明による懸濁剤には、アカシア、トラガカンタ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMC1828、HPMC2906、HPMC2910など懸濁化剤が使用されてもよく、必要に応じて界面活性剤、保存剤、安定剤、着色剤、芳香剤が使用されてもよい。
【0067】
本発明による注射剤には、注射用蒸留水、0.9%塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース+塩化ナトリウム注射液、ピーイージー(PEG)、ラクトリンゲル注射液、エタノール、プロピレングリコール、不揮発性油-ごま油、綿実油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンゼンなどの溶剤、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、尿素、ウレタン、モノエチルアセトアミド、ブタゾリジン、プロピレングリコール、ツイン類、ニジョンチン酸アミド、ヘキサミン、ジメチルアセトアミドなどの溶解補助剤、弱酸及びその塩(酢酸と酢酸ナトリウム)、弱塩基及びその塩(アンモニア及び酢酸アンモニウム)、有機化合物、タンパク質、アルブミン、ペプトン、ガム類などの緩衝剤、塩化ナトリウムなどの等張化剤、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)二酸化炭素ガス、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5)、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、窒素ガス(N2)、エチレンジアミンテトラ酢酸などの安定剤、ソジウムビスルフィド0.1%、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、チオウレア、エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム、アセトンソジウムビスルファイトなどの硫酸化剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、塩酸プロカイン、ブドウ糖、グルコン酸カルシウムなどの無痛化剤、CMCナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ツイン80、モノステアリン酸アルミニウムなどの懸濁化剤を含んでもよい。
【0068】
本発明による坐剤には、カカオ脂、ラノリン、ウイテプゾール、ポリエチレングリコール、グリセロゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸とオレイン酸の混合物、スバナル(Subanal)、綿実油、落花生油、ヤシ油、カカオバター+コレステロール、レシチン、ラネットワックス、モノステアリン酸グリセロール、ツインまたはスパン、イムハウゼン(Imhausen)、モノレン(モノステアリン酸プロピレングリコール)、グリセリン、アデプスソリダス(Adeps solidus)、ブチラムテゴ-G(Buytyrum Tego-G)、セベスパマ16(Cebes Pharma 16)、ヘキサライドベース95、コトマ(Cotomar)、ヒドロコートSP、S-70-XXA、S-70-XX75(S-70-XX95)、ヒドロコート(Hydrokote)25、ヒドロコート711、イドロポスタール(Idropostal)、マサエストラリウム(Massa estrarium、A、AS、B、C、D、E、I、T)、マサ-MF、マスポール、マスポール-15、ネオスポスタル-エン、パラマウンド-B、スポシロ(OSI、OSIX、A、B、C、D、H、L)、坐剤基剤IVタイプ(AB、B、A、BC、BBG、E、BGF、C、D、299)、スポスタル(N、Es)、ウェコビ(W、R、S、M、Fs)、テゼスタートリグリセリド基剤(TG-95、MA、57)などの基剤が使用されてもよい。
【0069】
経口投与用固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記抽出物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混合して調製される。また、単純な賦形剤の他に、マグネシウムスチレートタルクなどの潤滑剤も使用される。
【0070】
経口投与用液状製剤としては、懸濁剤、内容液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキドパラフィンの他に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよい。非経口投与用製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、エチルオレートなどの注射可能なエステルなどが使用されてもよい。
【0071】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明において、「薬学的に有効な量」とは、医学的治療に適用可能な合理的な受恵/リスク比で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量レベルは、患者疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、同時に使用される薬物を含む要素及びその他の医学分野においてよく知られている要素によって決定されてもよい。
【0072】
本発明による薬学的組成物は、個別治療剤として投与するか、または他の治療剤と併用して投与されてもよく、従来の治療剤とは順次的または同時に投与されてもよく、単一または多重投与されてもよい。前記要素をすべて考慮し、副作用なしに最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要であり、これは本発明が属する技術分野において通常の技術者によって容易に決定されてもよい。
【0073】
本発明の薬学的組成物は、個体に様々な経路で投与されてもよい。投与のすべての方式は、予想できるが、例えば、経口服用、皮下注射、腹腔投与、静脈注射、筋肉注射、脊髄周囲空間(硬膜内)注射、舌下投与、頬粘膜投与、直腸内挿入、膣内挿入、眼球投与、耳投与、鼻腔投与、吸入、口または鼻を通じての噴霧、皮膚投与、経皮投与などによって投与されてもよい。
【0074】
本発明の薬学的組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重及び疾患の重症度などの様々な関連因子とともに、活性成分である薬物の種類によって決定される。
【0075】
本発明の他の態様として、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染症または呼吸器疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。
【0076】
本発明において、前記食品組成物は健康機能食品組成物であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0077】
本発明のラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を食品添加物として使用する場合、前記ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞をそのまま添加するか、または他の食品や食品成分とともに使用してもよく、通常の方法により適宜使用してもよい。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)に応じて適宜決定されてもよい。一般に、食品または飲料の製造時、本発明のラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞は、原料に対して15重量%以下、または10重量%以下の量で添加されてもよい。しかし、健康及び衛生を目的とするか、または健康調節を目的とする長期間の摂取の場合、前記量は前記範囲以下であってもよく、安全性の面で何の問題もないため、有効成分は、前記範囲以上の量で使用されてもよい。
【0078】
前記食品の種類には特に制限はない。前記物質を添加できる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがあり、通常の意味での健康機能食品をすべて含む。
【0079】
本発明による健康飲料組成物は、通常の飲料のように、様々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有してもよい。上述した天然炭水化物は、ブドウ糖および果糖などのモノサッカライド、マルトース及びスクロースなどのジサッカライド、デキストリン及びシクロデキストリンなどのポリサッカライド、及びキシリトール、ソルビトール及びエリトリトールなどの糖アルコールである。甘味剤としては、タウマチン、ステビア抽出物などの天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームなどの合成甘味剤などが使用されてもよい。前記天然炭水化物の割合は、本発明の組成物100mLあたり一般に約0.01~0.20g、または約0.04~0.10gである。
【0080】
前記に加えて、本発明の組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有してもよい。その他に、本発明の組成物は、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有してもよい。これらの成分は独立してまたは組み合わせて使用してもよい。このような添加剤の割合はあまり重要ではないが、本発明の組成物100重量部当たり0.01~0.20重量部の範囲から選ばれるのが一般的である。
【0081】
本発明のさらに他の態様として、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染症または呼吸器疾患の予防または治療用吸入剤組成物を提供する。
【0082】
本発明の吸入剤組成物では、有効成分を吸入剤にそのまま添加するか、または他の成分とともに使用してもよく、通常の方法により適宜使用してもよい。有効成分の混合量は、その使用目的(予防または治療用)に応じて適宜決定されてもよい。
【0083】
非経口投与用吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤または吸入用液剤が含まれ、この吸入用液剤は、溶融時に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁させて使用する形態であってもよい。これらの吸入剤は、公知の方法に準じて製造される。例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベンなど)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリンなど)、増粘剤(カルボキシビニルポリマーなど)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
【0084】
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸及びその塩など)、結合剤(澱粉、デキストリンなど)、賦形剤(乳糖、セルロースなど)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベンなど)、吸収促進剤などが必要に応じて適宜選択して調製される。
【0085】
前記吸入剤組成物は、吸入剤装置を介して投与されてもよく、吸入剤装置は、組成物を個体の肺組織などの個体に伝達可能な装置として、例えば、吸入器(inhaler)、噴霧器(nebulizer)または呼吸器(ventilator)がある。吸入用液剤を投与する時には、通常、噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する時には、通常、粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
【0086】
本発明の他の態様として、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染症の予防または改善用化粧料組成物を提供する。
【0087】
本発明において、化粧料組成物(cosmetic composition)は、前記ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を組成物の総重量に対して0.0005~50重量%含有してもよい。また、本発明の組成物は、前記ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞にさらに同一または類似の機能を示す有効成分を1種以上含有してもよい。
【0088】
本発明の化粧料組成物から製造される化粧品は、一般的な乳化製剤及び可溶化製剤の形態で製造してもよい。乳化製剤の化粧品としては栄養化粧水、クリーム、エッセンスなどがあり、可溶化製剤の化粧品としては柔軟化粧水がある。また、皮膚科学的に許容可能な媒質または基剤を含有することによって、皮膚科学分野で通常使用される局所適用または全身適用可能な補助剤の形態で製造されてもよい。
【0089】
適切な化粧品の製剤としては、例えば、溶液、ゲル、固体または生地無水生成物、水相に油相を分散させて得たエマルジョン、懸濁液、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、微粒顆粒球またはイオン型(リポソーム)、非イオン型の小胞分散剤の形態、クリーム、スキン、ローション、パウダー、軟膏、スプレーまたはコンシールスティック(conceal stick)の形態で提供されてもよい。また、フォーム(foam)の形態または圧縮された推進剤をさらに含むエアロゾル組成物の形態で製造されてもよい。
【0090】
また、本発明の化粧料組成物は、さらに脂肪物質、有機溶媒、溶解剤、濃縮剤及びゲル化剤、軟化剤、酸化防止剤、懸濁化剤、安定化剤、発泡剤(foaming agent)、芳香剤、界面活性剤、水、イオン型または非イオン型乳化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤及びキレート化剤、保存剤、ビタミン、遮断剤、湿潤化剤、必須オイル、染料、顔料、親水性または親油性活性剤、脂質小包または化粧品に通常使用される他の任意の他の成分などの化粧品学または皮膚科学分野で通常使用される補助剤を含有してもよい。そして、前記成分は、皮膚科学分野で一般的に使用される量で導入されてもよい。
【0091】
本発明の化粧料組成物を添加できる製品としては、例えば、収れん化粧水、柔軟化粧水、栄養化粧水、各種クリーム、エッセンス、パック、ファンデーションなどのような化粧品類とクレンジング、洗顔剤、石鹸、トリートメント、美容液などがある。
【0092】
本発明の化粧料組成物の具体的な剤形としては、スキンローション、スキンソープナー、スキントナー、アストリンジェント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、エッセンス、栄養エッセンス、パック、石鹸、シャンプー、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディローション、ボディクレンザー、乳液、プレストパウダー、ルースパウダー、アイシャドウなどの剤形を含む。
【0093】
本発明のさらに他の態様として、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を有効成分として含む組成物を個体に投与する段階を含む、ウイルス感染症または呼吸器疾患の予防または治療方法を提供する。
【0094】
本発明のさらに他の態様として、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞のウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防または治療用途を提供する。
【0095】
本発明のさらに他の態様として、本発明は、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患治療用薬剤の製造のためのラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の用途を提供する。
【0096】
本発明において、「予防」とは、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の発症を抑制するか、または遅延させるすべての行為を意味し、「治療」とは、本発明による薬学的組成物の投与によりウイルス感染疾患または呼吸器疾患とそれによる代謝異常の症状が好転するか、または有利に変更されるすべての行為を意味し、「改善」とは、本発明による組成物の投与によってウイルス感染疾患または呼吸器疾患に係るパラメータ、例えば症状の程度を減少させるすべての行為を意味する。
【0097】
本発明において、「個体」とは、疾患の治療を必要とする対象を意味し、より具体的には、ヒトまたは非-ヒトの霊長類、マウス(mouse)、ラット(rat)、イヌ、ネコ、ウマ、及びウシなどの哺乳類を意味する。
【0098】
本発明において「投与」とは、任意の適切な方法で個体に所定の本発明の組成物を提供することを意味する。
【0099】
本発明において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【実施例】
【0100】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、以下の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものであり、以下の実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0101】
[実施例]
実施例1:ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の分離
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来細胞外小胞(extracellular vesicle; EV)を分離するために、ラクトバチルス・パラカゼイをMRS(de Man-Rogosa and Sharpe)培地に接種し、37℃で200rpmで吸光度(OD600nm)が1.0~1.5になるまで培養した後、LB(Luria Bertani)培地に再接種して培養した。そして、菌体を含む培養液を回収し、10,000gで4℃で20分間遠心分離して菌体が除去された上澄み液を得た。得られた上澄み液は、再び0.22μmのフィルターを用いてろ過し、ろ過した上澄み液は100kDa Pellicon 2 Cassettフィルターメンブレン(Merck Millipore)とMasterFlex pump system(Cole-Parmer)を用いて50mL以下の体積に濃縮した。濃縮した上澄み液を再び0.22μmのフィルターを用いてろ過し、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を分離した。上澄み液に含まれるタンパク質の量は、pierce BCA Protein Assay kit(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した。細菌性原因因子である大腸菌由来小胞(EcEV)も前記と同じ方法で分離した。
【0102】
実施例2.ラクトバチルス・パラカゼイ細菌由来小胞の薬物動態特性評価
ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の経口投与時の薬物動態特性を調べるために、蛍光染色試薬で染色した小胞をマウスに経口投与し、投与直前から投与後72時間まで体と各臓器で発現した蛍光を測定した。
【0103】
その結果、
図1aに示すように、蛍光染色されたラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞が時間が経つにつれて体内に次第に広がる様子を確認した。また、
図1bに示すように、各臓器別に観察時、経口投与後1時間が経過すると、胃でラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の蛍光シグナルが観察され、3時間目から小腸、大腸、肺まで蛍光シグナルが観察された。また、肺の蛍光シグナルは、48時間まで保持されることを確認した。
【0104】
実施例3.ウイルス性肺炎マウスモデルにおいてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の治療効果
ウイルス性肺炎マウスモデルにおいてラクトバチルス・パラカゼイ小胞の治療効能を評価するために、
図2に示された方法で次のように実験を行った。
【0105】
すなわち、6週齢、雌、C57BL/6マウスを分別せずに5匹ずつケージに入れて2日間適応時間を与えた後、poly(I:C)(Polyinosinic-polycytidylic acid)(20μg/Kg)を実験開始後1日、3日、8日、及び10日に鼻腔内投与してウイルス性肺炎を誘導した。また、ラクトバチルス・パラカゼイ小胞(300μg/Kg)は、実験開始前5日、3日、及び0日、さらに開始後2日、7日、及び9日にソンデ(sonde、経口投与用ロッド)を用いて経口投与した。
【0106】
前記方法によりPoly(I:C)最終投与後、24時間後にマウスを解剖して気道洗浄液を確保し、気道洗浄液内の免疫細胞の構成及び浸潤の程度、炎症性サイトカインであるTNF-α及びIL-6の発現の程度を分析した。肺組織を摘出してH&E染色を行い、観察して肺炎症の程度を分析した。
【0107】
その結果、
図3に示すように肺炎症の程度を知ることができる指標である気道洗浄液内の総細胞数、マクロファージ数、好中球数が陽性対照群(poly(I:C))に比べてラクトバチルス・パラカゼイ小胞投与群で著しく減少することが確認され、これは対照薬であるデキサメタゾン(Dexamethasone)投与群に類似した程度の効果を示した。
【0108】
また、
図4に示すように、気道洗浄液内の炎症性サイトカインであるTNF-α及びIL-6の発現程度も陽性対照群に比べてラクトバチルス・パラカゼイ小胞投与群において減少したことを確認し、
図5に示すように肺組織への炎症細胞の浸潤も陽性対照群に対してラクトバチルス・パラカゼイ投与群において減少したことを確認した。
【0109】
前記の結果は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞がウイルス性原因因子による肺炎の発生を効率的に抑制することを意味する。
【0110】
実施例4.COVID-19感染ハムスターモデルにおいてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の治療効果
COVID-19ウイルス感染ハムスターモデルにおいてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の治療効能を評価するために、
図6に示された方法で次のように実験を行った。
【0111】
すなわち、8週齢、雄、Syrianハムスター、RjHan:AURA系のハムスターを分別せずに陰性対照群(G1)3匹、陽性対照群(G2)5匹、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞(MDH-001)低用量投与群(2mg/kg,G3)8匹、高用量投与群(20mg/kg,G4)8匹ずつ分配した。また、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞をウイルス感染の3日前から24時間間隔で3回経口投与した。COVID-19ウイルス感染は、公示ウイルスであるSARS-CoV-2(NCCP43326)を継代培養し、104TCID50/mLのウイルス溶液200μlをハムスターの左鼻腔に投与して行った。ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を低用量(2mg/kg,G3)及び高用量(20mg/kg,G4)でウイルス感染当日及び感染4日後まで24時間間隔で5回経口投与した。投与中に体重を測定し、ウイルス感染5日後にハムスターを解剖して肺組織を摘出し、組織病理を確認した。
【0112】
その結果、
図7に示すように、COVID-19ウイルス感染1日後から感染した群ですべて体重が減少し、ウイルス投与3日目から陽性対照群(G2)では、体重が持続的に減少したが、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群(G3,G4)では、体重減少が著しく減った。
【0113】
また、COVID-19ウイルス感染後5日目に肺組織を摘出し、H&E染色を通じて肺炎の重症度を評価し(
図8a)、左から順に陰性対照群(G1)、陽性対照群(G2)、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞低用量(G3)、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞高用量(G4)を示す。H&E染色の結果、
図8aに示すように、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞によりCOVID-19ウイルス感染による肺炎の重症度が減少することを確認した。次に、肺組織H&E染色スライドを観察し、肺組織において肺間質及び血管周囲の炎症細胞の浸潤の程度を測定した(
図8b)。その結果、
図8a及び
図8bに示すように、COVID-19ウイルスによる間質性肺炎の程度と血管性肺炎の程度が用量依存的にラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞によって抑制されることを確認した。
【0114】
これに加えて、COVID-19ウイルス感染後5日目に肺組織を摘出し、COVID-19ウイルスの複製程度をリアルタイムPCR(real time PCR)法で定量した。その結果、
図9に示すように、肺組織内のエンベロープタンパク質(envelope protein)に対する遺伝子がラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞を投与した群で陽性対照群に対して1/32程度に減少していた。
【0115】
前記の結果は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞がCOVID-19ウイルスによる肺炎を用量依存的に抑制するだけでなく、COVID-19ウイルスの複製も有意に抑制することを意味する。
【0116】
実施例5.インフルエンザ感染マウスモデルにおいてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の治療効果
インフルエンザウイルス感染マウスモデルにおいてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の治療効能を評価するために、
図10に示された方法で次のように実験を行った。
【0117】
すなわち、8週齢、雌、C57BL/6マウスを分別せずに陰性対照群、陽性対照群、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞(MDH-001)低用量投与群(2.5mg/kg,G3)、高用量投与群(20mg/kg,G4)に各10匹ずつ分けた後、ウイルス感染の3日前からラクトバチルス・パラカゼイ小胞を24時間間隔で3回経口投与した。インフルエンザウイルス感染は、Influenza A virus(A/Puerto Rico/08/1934,H1N1)を孵化した有精卵に接種して48時間後、培養液を回収して確認(validation)された1LD50のウイルス溶液30μLをマウスの鼻腔内投与した。ウイルス感染当日及び感染後13日間、24時間間隔でラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞2.5mg/kg(G3)、25mg/kg(G4)を14回経口投与した。投与中の一般症状の観察、体重及び体温を測定した。20%体重減少を安楽死の基準として生存率を測定し、マウスの行動によって臨床症状を点数化した。
【0118】
その結果、
図11に示すように、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群(G3,G4)は、陽性対照群(G2)に比べて生存率が増加した。また、
図12に示すように、感染1日後からインフルエンザウイルスに感染したすべての群で体重が減少し、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞低用量投与群(G3)は、感染後6日から体重が回復し始め、感染後10日には正常対照群に類似したレベルに上昇した。
【0119】
また、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞高用量投与群(G4)は、感染後4日から体重が回復し始め、感染後8日には正常対照群に類似したレベルに上昇した。
【0120】
また、
図13に示すように、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞低用量投与群(G3)の体温は、感染5日後まで減少したが、感染7日後から再び上昇し、感染9日後から正常対照群に類似したレベルに上昇した。また、ラクトバチルス・パラカゼイ小胞高用量投与群(G4)の体温は、感染4日後から回復する傾向を示し、感染5日後は正常対照群に類似したレベルに上昇した。
【0121】
これに加えて、
図14に示すように、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群の臨床症状スコアが感染4日目に高用量投与群で有意に減少し、感染6日目には低用量及び高用量投与群の両方で臨床症状が有意に改善された。
【0122】
前記の結果から、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞がインフルエンザウイルス感染による臨床症状を用量依存的に改善させることが分かった。
【0123】
実施例6.細菌性肺炎マウスモデルにおいてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の治療効果
細菌性肺炎マウスモデルにおいてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の治療効能を評価するために、
図15に示された方法で次のように実験を行った。
【0124】
すなわち、6週齢、雌、C57BL/6マウスを分別せずに5匹ずつケージに入れて2日間適応時間を与えた後、肺炎を起こす細菌性原因因子である大腸菌(E.coli)由来小胞(EcEV)50μg/Kgを24時間間隔で5回鼻腔内投与して細菌性肺炎を誘導した。ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞(300μg/Kg)は、試験開始と同時に24時間間隔で5回ソンデ(sonde,経口投与用ロッド)を用いて経口投与した。
【0125】
前記方法によりラクコバチルスパラカゼイ由来小胞を最終投与後、24時間後にマウスを解剖して気道洗浄液を確保し、気道洗浄液内に免疫細胞の構成及び浸潤の程度を分析し、炎症性サイトカインであるTNF-α、好中球活性マーカーである骨髄細胞型ペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase,MPO)、好中球エラスターゼ(Neutrophil elastase,NE)の発現の程度を分析した。肺組織は摘出してH&E染色を行って観察し、肺炎症の程度を分析した。
【0126】
その結果、
図16に示すように、肺炎症の程度を知ることができる指標である気道洗浄液内の総細胞数、マクロファージ数、及び好中球数が陽性対照群(EcEV)に比べてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群において顕著に減少することが確認され、これは対照薬であるデキサメタゾン(Dexamethasone)投与群に類似した程度の効果を示した。
【0127】
また、
図17に示すように、気道洗浄液内の炎症性サイトカインTNF-α及び好中球活性マーカーであるMPO、NE発現程度も陽性対照群に比べてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群で減少したことを確認し、18に示すように、肺組織への炎症細胞の浸潤も陽性対照群に対してラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群において減少したことを確認した。
【0128】
前記の結果は、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞が細菌性原因因子による肺炎の発生を効率的に抑制することを意味する。
【0129】
実施例7.ブレオマイシンによる特発性肺線維症マウスモデルにおいてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の治療効果
ブレオマイシン(Bleomycin)による特発性肺線維症マウスモデルにおいてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の治療効能を評価するために、
図19に示された方法で次のように実験を行った。
【0130】
すなわち、6週齢、雄、C57BL/6マウスを分別せずに5匹ずつケージに入れて7日間適応時間を与えた後、肺線維症を起こす原因因子であるブレオマイシン3mg/kgを8日間隔で2回鼻腔内投与して肺線維症を誘導した。ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞(MDH-001-1:0.025mg/kg,MDH-001-2:0.25mg/kg,MDH-001-3:2.5mg/kg)を試験開始前に48時間間隔で3回ソンデ(sonde,経口投与用ロッド)を用いて経口投与し、ブレオマイシン投与時からは毎日投与した。
【0131】
前記方法によりラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞に最終投与後、24時間後にマウスを解剖して気道洗浄液を確保し、気道洗浄液内の代表的な炎症細胞である好中球数を分析した。肺組織は、線維化の過程で重要な指標であるα-smooth muscle actin(α-SMA),phospho-SMAD family member 3(p-smad3)の発現量の差を測定するためにウェスタンブロットを行い、一部の肺組織は摘出してH&E及びMasson’s trichrome染色して肺炎症と線維化の程度を分析した。
【0132】
その結果、
図20に示すように、肺炎症の程度を知ることができる指標である気道洗浄液内の好中球数が陽性対照群(BLM)に比べてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群において用量依存的に減少することを確認し、高濃度投与群(MDH-001-3)では、対照薬であるデキサメタゾン(Dex)投与群より減少の幅が大きいことを確認した。
【0133】
また、
図21に示すように、線維化過程で重要な指標であるα-SMA及びp-smad3の発現程度を分析した結果、α-SMAは陽性対照群に比べてラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の高濃度投与群(MDH-001-3)において減少する傾向を確認し、線維化の核心シグナルであるp-smad3の発現の場合、すべての濃度のラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞投与群で減少したことを確認した。
【0134】
また、
図22に示すように、H&E及びMasson’s trichrome染色法を通じて肺組織学的変化を観察した結果、陽性対照群に対してラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞の投与群において炎症細胞の浸潤及びコラーゲン繊維の沈着が減少したことを確認した。
【0135】
前記の結果から、ラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞が化学的原因因子であるブレオマイシンによる特発性肺線維症の発生を効果的に抑制することが分かった。
【0136】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることを理解できるだろう。したがって、以上で述べた実施例は、すべての点で例示的なものであり、限定的でないものと理解しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明によるラクトバチルス・パラカゼイ由来小胞は、ウイルス感染症または呼吸器疾患の予防、改善または治療用組成物として有用に使用できるため、産業上利用可能性がある。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記ウイルス感染疾患は、コロナウイルス(Coronavirus)、ピコルナウイルス(Picornavirus)、アルファウイルス(Alphavirus)、インフルエンザウイルス(Influenza virus)、ラブドウイルス(Rhabdovirus)、レトロウイルス(Retrovirus)、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus)、A型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus)、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus)、アデノウイルス(Adenovirus)、ヘルペスウイルス(Herpes virus)、ポックスウイルス(Poxvirus)、パルボウイルス(Parvovirus)、レオウイルス(Reovirus)、呼吸器細胞融合ウイルス(Respiratory syncytial virus,RSV)、及びパラインフルエンザウイルス(Parainfluenza virus)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記コロナウイルス感染疾患は、風邪(common cold)、重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome,SARS)、中東呼吸器症候群(middle east respiratory syndrome,MERS)、及びコロナウイルス感染症-19(COVID-19)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記ピコルナウイルス感染疾患は、リノウイルス感染疾患及びエンテロウイルス感染疾患からなる群から選ばれるいずれか一つ以上である、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記アルファウイルス感染疾患は、バーマ森林ウイルス(Barmah Forest virus)、チクングニアウイルス(Chikungunya virus)、東部ウマ脳炎ウイルス(Eastern equine encephalitis virus)、マヤロウイルス(Mayaro virus)、オニョンニョンウイルス(O’nyong’nyong virus)、ロスリバーウイルス(Ross River virus)、セムリキフォレストウイルス(Semliki Forest virus)、シンドビスウイルス(Sindbis virus)、トネートウイルス(Tonate virus)、ウナウイルス(Una virus)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Venezuelan equine encephalitis virus)、及び西部ウマ脳炎ウイルス(Western equine encephalitis virus)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記レトロウイルス感染疾患は、トリ白血病ウイルス(Avian leukosis virus)、ラウス肉腫ウイルス(Rouss arcoma virus)、マウス乳がんウイルス(Mouse mammary tumour virus)、マウス白血病ウイルス(Murine leukemia virus)、ネコ白血病ウイルス(Feline leukemia virus)、ウシ白血病ウイルス(Bovine leukemia virus)、ヒトT-リンパ親和性ウイルス(Human T-lymphtrophic virus)、及びヒト免疫不全ウイルス(Human immunodeficiency virus,HIV)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記ヘルペスウイルス感染疾患は、単純ヘルペスウイルス1型(Herpes simplex virus-1,HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(Herpes simplex virus-2,HSV-2)、水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella zoster virus,VSZ)、エプスタインバーウイルス(Epstein-Barr virus, EBV)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus,CMV)、ロゼオロウイルス(Roseolovirus)、及びカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(Kaposi’sarcoma associated herpesvirus,KSHV)からなる群から選ばれる少なくとも一つのウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記呼吸器疾患は、急性鼻炎(acute rhinitis)、慢性鼻炎(chronic rhinitis)、急性副鼻腔炎(acute sinusitis)、慢性副鼻腔炎(chronic sinusitis)、嗅覚障害(dysosmia)、急性気管支炎(acute bronchitis)、慢性気管支炎(chronic bronchitis)、急性細気管支炎(acute bronchiolitis)、慢性細気管支炎(chronic bronchiolitis)、ウイルス性肺炎(viral pneumonia)、細菌性肺炎(bacterial pneumonia)、間質性肺炎(interstitial pneumonitis)、血管性肺炎(vascular pneumonia)、及び特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記小胞は、平均直径が10nm~300nmであることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記小胞は、ラクトバチルス・パラカゼイから自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記小胞は、ラクトバチルス・パラカゼイの培養液またはラクトバチルス・パラカゼイを添加して製造した食品から分離したことを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防または改善用食品組成物。
【請求項13】
前記ウイルス感染疾患は、コロナウイルス(Coronavirus)、ピコルナウイルス(Picornavirus)、アルファウイルス(Alphavirus)、インフルエンザウイルス(Influenza virus)、ラブドウイルス(Rhabdovirus)、レトロウイルス(Retrovirus)、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus)、A型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus)、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus)、アデノウイルス(Adenovirus)、ヘルペスウイルス(Herpes virus)、ポックスウイルス(Poxvirus)、パルボウイルス(Parvovirus)、レオウイルス(Reovirus)、呼吸器細胞融合ウイルス(Respiratory syncytial virus,RSV)、及びパラインフルエンザウイルス(Parainfluenza virus)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項12に記載の食品組成物。
【請求項14】
前記コロナウイルス感染疾患は、風邪(common cold)、重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome,SARS)、中東呼吸器症候群(middle east respiratory syndrome,MERS)、及びコロナウイルス感染症-19(COVID-19)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項13に記載の食品組成物。
【請求項15】
前記ピコルナウイルス感染疾患は、リノウイルス感染疾患及びエンテロウイルス感染疾患からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項13に記載の食品組成物。
【請求項16】
前記アルファウイルス感染疾患は、バーマ森林ウイルス(Barmah Forest virus)、チクングニアウイルス(Chikungunya virus)、東部ウマ脳炎ウイルス(Eastern equine encephalitis virus)、マヤロウイルス(Mayaro virus)、オニョンニョンウイルス(O’nyong’nyong virus)、ロスリバーウイルス(Ross River virus)、セムリキフォレストウイルス(Semliki Forest virus)、シンドビスウイルス(Sindbis virus)、トネートウイルス(Tonate virus)、ウナウイルス(Una virus)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Venezuelan equine encephalitis virus)、及び西部ウマ脳炎ウイルス(Western equine encephalitis virus)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項13に記載の食品組成物。
【請求項17】
前記レトロウイルス感染疾患は、トリ白血病ウイルス(Avian leukosis virus)、ラウス肉腫ウイルス(Rouss arcoma virus)、マウス乳がんウイルス(Mouse mammary tumour virus)、マウス白血病ウイルス(Murine leukemia virus)、ネコ白血病ウイルス(Feline leukemia virus)、ウシ白血病ウイルス(Bovine leukemia virus)、ヒトT-リンパ親和性ウイルス(Human T-lymphtrophic virus)、及びヒト免疫不全ウイルス(Human immunodeficiency virus,HIV)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項13に記載の食品組成物。
【請求項18】
前記ヘルペスウイルス感染疾患は、単純ヘルペスウイルス1型(Herpes simplex virus-1,HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(Herpes simplex virus-2,HSV-2)、水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella zoster virus,VSZ)、エプスタインバーウイルス(Epstein-Barr virus, EBV)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus,CMV)、ロゼオロウイルス(Roseolovirus)、及びカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(Kaposi’sarcoma associated herpesvirus,KSHV)からなる群から選ばれる少なくとも一つのウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項13に記載の食品組成物。
【請求項19】
前記呼吸器疾患は、急性鼻炎(acute rhinitis)、慢性鼻炎(chronic rhinitis)、急性副鼻腔炎(acute sinusitis)、慢性副鼻腔炎(chronic sinusitis)、嗅覚障害(dysosmia)、急性気管支炎(acute bronchitis)、慢性気管支炎(chronic bronchitis)、急性細気管支炎(acute bronchiolitis)、慢性細気管支炎(chronic bronchiolitis)、ウイルス性肺炎(viral pneumonia)、細菌性肺炎(bacterial pneumonia)、間質性肺炎(interstitial pneumonitis)、血管性肺炎(vascular pneumonia)、及び特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項12に記載の食品組成物。
【請求項20】
前記小胞は、平均直径が10nm~300nmであることを特徴とする、請求項12に記載の食品組成物。
【請求項21】
前記小胞は、ラクトバチルス・パラカゼイから自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする、請求項12に記載の食品組成物。
【請求項22】
前記小胞は、ラクトバチルス・パラカゼイの培養液またはラクトバチルス・パラカゼイを添加して製造した食品から分離したことを特徴とする、請求項12に記載の食品組成物。
【請求項23】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患または呼吸器疾患の予防または治療用吸入剤組成物。
【請求項24】
前記ウイルス感染疾患は、コロナウイルス(Coronavirus)、ピコルナウイルス(Picornavirus)、アルファウイルス(Alphavirus)、インフルエンザウイルス(Influenza virus)、ラブドウイルス(Rhabdovirus)、レトロウイルス(Retrovirus)、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus)、A型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus)、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus)、アデノウイルス(Adenovirus)、ヘルペスウイルス(Herpes virus)、ポックスウイルス(Poxvirus)、パルボウイルス(Parvovirus)、レオウイルス(Reovirus)、呼吸器細胞融合ウイルス(Respiratory syncytial virus,RSV)、及びパラインフルエンザウイルス(Parainfluenza virus)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上のウイルス感染疾患であることを特徴とする、請求項23に記載の吸入剤組成物。
【請求項25】
前記呼吸器疾患は、急性鼻炎(acute rhinitis)、慢性鼻炎(chronic rhinitis)、急性副鼻腔炎(acute sinusitis)、慢性副鼻腔炎(chronic sinusitis)、嗅覚障害(dysosmia)、急性気管支炎(acute bronchitis)、慢性気管支炎(chronic bronchitis)、急性細気管支炎(acute bronchiolitis)、慢性細気管支炎(chronic bronchiolitis)、ウイルス性肺炎(viral pneumonia)、細菌性肺炎(bacterial pneumonia)、間質性肺炎(interstitial pneumonitis)、血管性肺炎(vascular pneumonia)、及び特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)からなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項23に記載の吸入剤組成物。
【請求項26】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来小胞を有効成分として含む、ウイルス感染疾患の予防または改善用化粧料組成物。
【請求項27】
ウイルス感染疾患または呼吸器疾患治療用薬剤製造のためのラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)由来小胞の
使用。
【国際調査報告】