(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】再配置可能なオーバーザスコープクリップ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/128 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
A61B17/128
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546335
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 US2022071931
(87)【国際公開番号】W WO2022251771
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ、ディーパック クマール
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ジー、シャラス クマール
(72)【発明者】
【氏名】シン、ラジブクマール
(72)【発明者】
【氏名】アディカラス バラン、アルン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD19
4C160DD29
(57)【要約】
クリッピングシステムは、挿入デバイスの上に取り付けられるように構成されたアダプタと、挿入構成と初期展開構成との間で移動可能な第1のジョーおよび第2のジョーを含むクリップとを含む。第1の延在部材は、クリップに解放可能に結合されるとともに、アダプタに移動可能に接続されて、挿入構成から初期展開構成へのアダプタに対するクリップの移動を可能にする。第1の延在部材は、クリップからアダプタを引き離すことを可能にして、クリップの視覚的観察を改善するために、システムをレビュー構成に配置するように構成されている。第1の延在部材は、クリップが強制的に開かれるように、アダプタ上でクリップを後退させるように動作可能であり、クリッピングされている組織からクリップを解放する。第1の延在部材は、最終展開構成において、そこからクリップを解放するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を処置するためのクリッピングシステムであって、
挿入デバイスの遠位端の上に取り付けられるように構成された近位端から遠位端まで長手方向に延在するアダプタと、
第1のジョーおよび第2のジョーを含むクリップであって、前記第1のジョーの第1の端部は、第1のヒンジを介して前記第2のジョーの第1の端部に接続され、前記第1のジョーの第2の端部は、第2のヒンジを介して前記第2のジョーの第2の端部に接続され、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーは、挿入構成と初期展開構成との間で移動可能であり、前記挿入構成では、前記クリップは、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーが互いから離隔されてそれらの間に組織を受け入れるように、前記アダプタの上に取り付けられており、前記初期展開構成では、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーは互いに向かって引き寄せられてそれらの間に組織を把持し、前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジのうちの少なくとも1つは、前記クリップを前記初期展開構成に向かって引くように付勢されている、クリップと、
前記クリップに解放可能に結合されるとともに、前記アダプタに移動可能に接続されて、前記挿入構成から前記初期展開構成への前記アダプタに対する前記クリップの移動を可能にする第1の延在部材と
を備え、前記第1の延在部材は、該延在部材が前記クリップに結合されたままである間に、前記クリップから近位方向に前記アダプタを引き離すことを可能にして、前記システムをレビュー構成に配置するように構成され、前記レビュー構成では、前記クリップは、前記クリップの視覚的観察を容易にするために、前記アダプタから物理的に分離されており、前記第1の延在部材は、前記クリップを前記アダプタ上で近位方向に後退させるように動作可能であり、前記クリップが前記アダプタ上で後退させられるときに前記クリップが強制的に開かれて、クリッピングされている組織から前記クリップを解放し、前記クリップが所望の位置にクリッピングされていることが観察された場合に、前記第1の延在部材は、最終展開構成において前記クリップをそこから解放するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記クリップに解放可能に結合されるとともに、前記アダプタに移動可能に接続された第2の延在部材をさらに備え、前記第2の延在部材は、前記クリップが前記初期展開構成に向かって移動される間、および前記システムが前記レビュー構成に移動される間、前記クリップに結合されたままであるように構成され、前記第2の延在部材は、前記第1の延在部材と協働して、前記レビュー構成および前記初期展開構成のうちの1つから前記アダプタ上で前記クリップを近位方向に後退させ、前記最終展開構成においてそこから前記クリップを解放するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の延在部材の近位端および前記第2の延在部材の近位端は、互いに接続され、およびそこから前記システムのユーザがアクセス可能な近位端まで近位方向に延在する制御要素に接続されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記挿入構成において前記クリップが取り付け可能である前記アダプタの遠位部分は、前記第1の延在部材に沿った張力を低減させることにより、前記クリップを前記挿入構成から前記初期展開構成に向かって前記アダプタの前記遠位部分に沿って遠位方向に摺動させるように、前記アダプタの前記遠位端に向かってテーパ状である、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記アダプタの前記遠位部分は、その外面に沿った平坦部分と、前記アダプタの前記遠位部分の内面から半径方向内向きに延在する突起とを含み、前記平坦部分は、前記クリップがそれに沿って開放構成から前記初期展開構成に向かって遠位方向に移動される場合に前記クリップと前記アダプタとの間の摩擦を低減するためのものであり、前記突起は、前記クリップが前記初期展開構成から前記開放構成に向かって移動される場合に前記クリップの一部に係合するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の延在部材および第2の延在部材の各々の前記遠位端は、前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジのうちの対応する1つの一部に引っ掛けられるように構成されたループを含み、前記第1の延在部材および前記第2の延在部材の各々の前記遠位端は、前記アダプタの長手方向軸から半径方向に離れるように付勢され、前記第1の延在部材および前記第2の延在部材のループが、それぞれ前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジに引っ掛けられる場合に、前記第1の延在部材および前記第2の延在部材の前記遠位端が、係合構成に向かって拘束され、前記第1の延在部材および前記第2の延在部材の前記遠位端が前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジから係合解除される場合に、前記第1の延在部材および前記第2の延在部材の前記遠位端が、横方向外向きに弾んで、前記最終展開構成において前記クリップをそこから解放する、請求項3~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のジョーは、前記第1の延在部材と係合するためにそこを貫通して延びる開口部を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の延在部材は、前記第1の延在部材の前記遠位端に解放可能に接続された拡大部材を含み、前記第1の延在部材は、前記拡大部材を介して前記第1のジョーの前記開口部に解放可能に結合されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記拡大部材が前記第1のジョーに対して近位方向に押圧され、前記拡大部材が前記第1の延在部材の前記遠位端から係合解除されるように、そこに及ぼされる力が所定の閾値を超えるまで、前記第1の延在部材を前記アダプタに対して近位方向に引くことによって、前記クリップが、前記レビュー構成から前記最終展開構成に移動可能である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記拡大部材に接続されるとともに、そこから近位方向に延在するストランドをさらに備え、前記拡大部材が前記第1の延在部材の前記遠位端から係合解除されるまで前記ストランドを近位方向に引っ張ることによって、前記クリップは、前記レビュー構成から前記最終展開構成に移動可能である、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の延在部材は、近位端から遠位端まで延在するコイルと、前記コイルの前記遠位端から延在し、前記第1のジョーの前記開口部を通してループ状にされたワイヤとを含み、前記第1のジョーが前記ワイヤを介して前記クリップに解放可能に結合されるように、前記ワイヤの遠位端が前記コイルの前記遠位端に解放可能に取り付けられている、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の延在部材は、解放可能な接続部を介して互いに接続された近位部分および遠位部分を含み、前記遠位部分は、前記第1のジョーを貫通して延びる前記開口部を介して前記クリップに接続されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記解放可能な接続部は、前記第1の延在部材の前記近位部分に固定して取り付けられた第1の端部と、前記第1の延在部材の前記遠位部分に解放可能に取り付けられた第2の端部とを含む保持要素を含み、前記保持要素が前記アダプタの遠位端を越えて遠位方向に移動される場合に、前記第1の延在部材の前記遠位部分がそこから解放される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
組織を処置するためのクリッピングシステムであって、
近位端から遠位端まで長手方向に延在するシャフトを含む内視鏡と、
前記内視鏡の前記シャフトの前記遠位端の上に取り付けられた近位部分、および前記近位部分から遠位方向に延在する遠位部分を含むアダプタであって、前記遠位部分は、その遠位端に向かってテーパ状である、アダプタと、
前記アダプタの前記遠位部分の上に取り付けられるように構成されたクリップであって、第1のジョーおよび第2のジョーを含み、前記第1のジョーの第1の端部は、第1のヒンジを介して前記第2のジョーの第1の端部に接続され、前記第1のジョーの第2の端部は、第2のヒンジを介して前記第2のジョーの第2の端部に接続され、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーは、挿入構成と初期展開構成との間で移動可能であり、前記挿入構成では、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーが互いから離隔されてそれらの間に組織を受け入れ、前記初期展開構成では、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーは互いに向かって引き寄せられてそれらの間に組織を把持し、前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジのうちの少なくとも1つは、前記クリップを前記初期展開構成に向かって引くように付勢されている、クリップと、
その遠位端で前記クリップに解放可能に結合されるとともに、前記アダプタに移動可能に接続された第1の延在部材および第2の延在部材であって、前記アダプタに対する前記第1の延在部材および前記第2の延在部材の長手方向の移動が、前記クリップを、前記挿入構成と、初期展開構成と、レビュー構成と、最終展開構成との間で移動させ、前記初期展開構成では、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーが前記アダプタのすぐ遠位で互いに向かって移動され、前記レビュー構成では、前記クリップが前記内視鏡を介して視認可能なように選択された距離だけ前記クリップが前記内視鏡の遠位端から離隔され、前記最終展開構成では、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーがそれらの間に受け入れられた組織を覆って閉じられた状態で前記クリップが延在部材から解放される、第1の延在部材および第2の延在部材と、
前記第1の延在部材の近位端および前記第2の延在部材の近位端に接続されて、そこから近位方向に延在する制御要素と
を備える、システム。
【請求項15】
前記アダプタから近位方向に延在するとともに、その中に前記制御要素を摺動可能に受け入れるように構成されたコイルと、
作動アセンブリと
をさらに備え、前記作動アセンブリは、ハンドル部材と、その上に取り付けられるとともに、それに対して長手方向に移動可能なスプールとを含み、前記ハンドル部材は、前記コイルの近位端に接続され、前記スプールは、前記制御要素の近位端に接続され、前記スプールは、前記ハンドル部材に対して移動されて、前記クリップを開放挿入構成と、前記初期展開構成と、前記レビュー構成と、前記最終展開構成との間で移動させる、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内視鏡デバイスに関し、特に、組織を処置するための内視鏡用クリッピングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
医師は、積極的な介入的および治療的内視鏡胃腸(GI)処置をより進んで実行するようになってきており、これにより、GI管の壁を穿孔するリスクが増加する可能性があり、または処置の一部としてGI管壁の閉鎖が必要となる可能性がある。そのような処置は、例えば、大きな病巣の除去、粘膜の下の病変を治療するためのGI管の粘膜層の下のトンネリング、組織の全層除去、GI管の外側を通過させることによる他の器官上の病変の治療、ならびに手術後の病変(例えば、手術後漏出、手術ステープルラインの損傷、および吻合部漏出)の内視鏡的治療/修復を含んでいてよい。
【0003】
現在は、組織は、スルーザスコープ(through-the-scope)クリップまたはオーバーザスコープ(over-the-scope)クリップを含む内視鏡用閉鎖デバイスを介して処置され得る。オーバーザスコープクリップは、より大きな組織欠損の閉鎖を達成するために特に有用であり得る。これらの内視鏡用閉鎖デバイスは、病院の費用を節約することができ、患者に利益を提供し得る。しかしながら、いくつかの場合において、現在の内視鏡用閉鎖デバイスは、使用することが困難であるか、配置するのに時間がかかるか、または特定の穿孔、状態、および解剖学的構造に対して不十分であり得る。例えば、現在のオーバーザスコープクリップは、一般に、オペレータがクリップ自体を視認できない位置からクリップを送り出す必要がある。すなわち、クリッピングに先立って、オペレータは、クリッピングされるべき標的組織を視認し、標的組織のこの可視化に基づいて、デバイスの遠位端およびクリップが、標的組織に対して所望の位置にあることを判断し得る。次いで、標的組織の観察に基づいて、オペレータは、クリップが展開されるまでクリップ自体を見ることができない状態でクリップを展開する。いったん展開されると、そのような現在のオーバーザスコープクリップは、概して、再配置されることが不可能である。
【発明の概要】
【0004】
本実施形態は、組織を処置するためのクリッピングシステムを対象としており、クリッピングシステムは、挿入デバイスの遠位端の上に取り付けられるように構成された近位端から遠位端まで長手方向に延在するアダプタと、第1のジョーおよび第2のジョーを含むクリップとを備えている。第1のジョーの第1の端部は、第1のヒンジを介して第2のジョーの第1の端部に接続され、第1のジョーの第2の端部は、第2のヒンジを介して第2のジョーの第2の端部に接続され、それにより、第1のジョーおよび第2のジョーは、挿入構成と初期展開構成(initial deployed configuration)との間で移動可能であり、挿入構成では、クリップは、第1のジョーおよび第2のジョーが互いから離隔されてそれらの間に組織を受け入れるように、アダプタの上に取り付けられており、初期展開構成では、第1のジョーおよび第2のジョーは互いに向かって引き寄せられてそれらの間に組織を把持し、第1のヒンジおよび第2のヒンジのうちの少なくとも1つは、クリップを初期展開構成に向かって引くように付勢されている。第1の延在部材は、クリップに解放可能に結合されるとともに、アダプタに移動可能に接続されて、挿入構成から初期展開構成へのアダプタに対するクリップの移動を可能にする。第1の延在部材は、延在部材がクリップに結合されたままである間に、クリップから近位方向にアダプタを引き離すことを可能にして、システムをレビュー構成に配置するように構成されており、レビュー構成では、クリップは、クリップの視覚的観察を改善するために、アダプタから物理的に分離されている。第1の延在部材は、クリップをアダプタ上で近位方向に後退させるように動作可能であり、それにより、クリップがアダプタ上で後退させられると、クリップが強制的に開かれて、クリッピングされている組織からクリップを解放する。クリップが所望の位置にクリッピングされていることが観察された場合に、第1の延在部材は、最終展開構成(final deployed configuration)において、そこからクリップを解放するようにも構成されている。
【0005】
一実施形態では、システムは、クリップに解放可能に結合されるとともに、アダプタに移動可能に接続された第2の延在部材をさらに備えていてもよく、第2の延在部材は、クリップが初期展開構成に向かって移動される間、およびシステムがレビュー構成に移動される間、クリップに結合されたままであるように構成され、第2の延在部材は、第1の延在部材と協働して、レビュー構成および初期展開構成のうちの1つからアダプタ上でクリップを近位方向に後退させ、最終展開構成においてそこからクリップを解放するように動作可能である。
【0006】
一実施形態では、第1の延在部材の近位端および第2の延在部材の近位端は、互いに接続され、およびそこからシステムのユーザがアクセス可能な近位端まで近位方向に延在する制御要素に接続されていてよい。
【0007】
一実施形態では、挿入構成においてクリップが取り付け可能であるアダプタの遠位部分は、第1の延在部材に沿った張力を低減させることにより、クリップを開放構成から初期展開構成に向かってアダプタの遠位部分に沿って遠位方向に摺動させるように、アダプタの遠位端に向かってテーパ状であってよい。
【0008】
一実施形態では、アダプタの遠位部分は、その外面に沿った平坦部分と、アダプタの遠位部分の内面から半径方向内向きに延在する突起とを含んでいてよく、平坦部分は、クリップがそれに沿って開放構成から初期展開構成に向かって遠位方向に移動される場合にクリップとアダプタとの間の摩擦を低減するためのものであり、突起は、クリップが初期展開構成から開放構成に向かって移動される場合に、クリップの一部に係合するように構成されている。
【0009】
一実施形態では、第1延在部材および第2の延在部材の各々の遠位端は、第1のヒンジおよび第2のヒンジのうちの対応する1つの一部に引っ掛けられるように構成されたループを含んでいてよく、第1の延在部材および第2の延在部材の各々の遠位端は、アダプタの長手方向軸から半径方向に離れるように付勢され、それにより、第1の延在部材および第2の延在部材のループが、それぞれ第1のヒンジおよび第2のヒンジに引っ掛けられる場合に、第1の延在部材および第2の延在部材の遠位端が、係合構成に向かって拘束され、第1の延在部材および第2の延在部材の遠位端が第1のヒンジおよび第2のヒンジから係合解除される場合に、第1の延在部材および第2の延在部材の遠位端が、横方向外向きに弾んで(spring)、最終展開構成においてクリップをそこから解放する。
【0010】
一実施形態では、第1のジョーは、第1の延在部材に係合するためにそこを貫通して延びる開口部を含んでいてよい。
一実施形態では、第1の延在部材は、第1の延在部材の遠位端に解放可能に接続された拡大部材を含んでいてよく、第1の延在部材は、拡大部材を介して第1のジョーの開口部に解放可能に結合されている。
【0011】
一実施形態では、拡大部材が第1のジョーに対して近位方向に押圧され、拡大部材が第1の延在部材の遠位端から係合解除されるように、そこに及ぼされる力が所定の閾値を超えるまで、第1の延在部材をアダプタに対して近位方向に引くことによって、クリップが、レビュー構成から最終展開構成に移動可能であってよい。
【0012】
一実施形態では、システムは、拡大部材に接続されるとともに、そこから近位方向に延在するストランドをさらに備えていてよく、それにより、拡大部材が第1の延在部材の遠位端から係合解除されるまでストランドを近位方向に引っ張ることによって、クリップは、レビュー構成から最終展開構成に移動可能である。
【0013】
一実施形態では、第1の延在部材は、近位端から遠位端まで延在するコイルと、コイルの遠位端から延在し、第1のジョーの開口部を通してループ状にされたワイヤとを含んでいてよく、第1のジョーがワイヤを介してクリップに解放可能に結合されるように、ワイヤの遠位端がコイルの遠位端に解放可能に取り付けられている。
【0014】
一実施形態では、第1の延在部材は、解放可能な接続部を介して互いに接続された近位部分および遠位部分を含んでいてよく、遠位部分は、第1のジョーを貫通して延びる開口部を介してクリップに接続されている。
【0015】
一実施形態では、解放可能な接続部は、第1の延在部材の近位部分に固定して取り付けられた第1の端部と、第1の延在部材の遠位部分に解放可能に取り付けられた第2の端部とを含む保持要素を含んでいてよく、それにより、保持要素がアダプタのチャネルの遠位端を越えて遠位方向に移動される場合に、第1の延在部材の遠位部分がそこから解放される。
【0016】
本実施形態は、組織を処置するためのクリッピングシステムを対象としており、クリッピングシステムは、近位端から遠位端まで長手方向に延在するシャフトを含む内視鏡と、内視鏡のシャフトの遠位端の上に取り付けられた近位部分、および近位部分から遠位方向に延在する遠位部分を含むアダプタとを備え、遠位部分は、その遠位端に向かってテーパ状である。クリップは、アダプタの遠位部分の上に取り付けられるように構成され、クリップは、第1のジョーおよび第2のジョーを含み、第1のジョーの第1の端部は、第1のヒンジを介して第2のジョーの第1の端部に接続され、第1のジョーの第2の端部は、第2のヒンジを介して第2のジョーの第2の端部に接続され、それにより、第1のジョーおよび第2のジョーは、挿入構成と初期展開構成との間で移動可能であり、挿入構成では、第1のジョーおよび第2のジョーが互いから離隔されてそれらの間に組織を受け入れ、初期展開構成では、第1のジョーおよび第2のジョーは互いに向かって引き寄せられてそれらの間に組織を把持する。第1のヒンジおよび第2のヒンジのうちの少なくとも1つは、クリップを初期展開構成に向かって引くように付勢されている。第1の延在部材および第2の延在部材は、その遠位端でクリップに解放可能に結合されるとともに、アダプタに移動可能に接続され、それにより、アダプタに対する第1の延在部材および第2の延在部材の長手方向の移動が、クリップを、開放挿入構成と、初期展開構成と、レビュー構成と、最終展開構成との間で移動させ、初期展開構成では、クリップがアダプタのすぐ遠位の閉鎖構成に向かって移動され、レビュー構成では、クリップが内視鏡を介して視認可能であるように選択された距離だけクリップが内視鏡の遠位端から離隔され、最終展開構成では、クリップが閉鎖構成において延在部材から解放される。制御要素は、第1の延在部材および第2の延在部材の近位端に接続されて、そこから近位方向に延在している。
【0017】
一実施形態では、システムは、アダプタから近位方向に延在するとともに、その中に制御要素を摺動可能に受け入れるように構成されたコイルと、作動アセンブリとをさらに備えていてよく、作動アセンブリは、ハンドル部材と、その上に取り付けられるとともに、それに対して長手方向に移動可能なスプールとを含む。ハンドル部材は、コイルの近位端に接続されていてよく、スプールは、制御要素の近位端に接続されていてよく、それにより、スプールは、ハンドル部材に対して移動されて、クリップを開放挿入構成と、初期展開構成と、レビュー構成と、最終展開構成との間で移動させる。
【0018】
本実施形態は、組織を処置するための方法も対象としている。クリップは、内視鏡を介して体管腔の標的領域に挿入され、クリップは、クリップのジョーが互いから離隔されている開放挿入構成において、アダプタを介して内視鏡シャフトの遠位端の上に取り付けられている。吸引力が、内視鏡の作業チャネルを通して印加され、それによって、組織が、アダプタのチャネル内に、かつクリップのジョーの間に引き込まれる。クリップは、延在部材に沿った張力を低減することによって、開放挿入構成から初期展開構成に移動させられ、延在部材の遠位端は、クリップに解放可能に結合され、その結果、クリップは、クリップが取り付けられるアダプタの遠位部分に沿ったテーパ状の外部表面に沿って遠位方向に摺動することを可能にされている。その遠位端がクリップに解放可能に結合される延在部材は、内視鏡を介してクリップが視認可能なレビュー構成に向かって、クリップがアダプタの遠位端から遠位方向に離れて移動されるように、内視鏡シャフトに対して遠位方向に移動される。クリップは、延在部材からクリップを解放することによって、レビュー構成から最終展開構成に移動される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本開示の例示的な実施形態によるシステムの斜視図を示す。
【
図2】
図2は、
図1のシステムによるアダプタの斜視図を示す。
【
図4】
図4は、挿入構成における
図1のシステムの遠位部分の長手方向側面図を示す。
【
図5】
図5は、初期展開構成における
図1のシステムの遠位部分の長手方向側面図を示す。
【
図6】
図6は、初期展開構成における
図1のシステムの遠位部分の透過斜視図を示す。
【
図7】
図7は、レビュー構成における
図1のシステムの遠位部分の斜視図を示す。
【
図8】
図8は、最終展開構成における
図1のシステムの遠位部分の斜視図を示す。
【
図9】
図9は、
図1のシステムの作動アセンブリの長手方向側面図を示す。
【
図11】
図11は、本開示の別の例示的実施形態によるシステムの遠位部分の斜視図を示す。
【
図15】
図15は、本開示の別の例示的実施形態による、システムの遠位部分の長手方向側面図を示す。
【
図17】
図17は、本開示のさらに別の例示的実施形態によるシステムの遠位部分の長手方向側面図を示す。
【
図19】
図19は、最終展開構成における
図17のシステムの遠位部分の長手方向側面図を示す。
【
図20】
図20は、本開示の別の例示的実施形態によるシステムの遠位部分の部分長手方向断面図を示す。
【
図23】
図23は、本開示のさらに別の例示的実施形態によるシステムの遠位部分の長手方向側面図を示す。
【
図25】
図25は、本開示の別の例示的実施形態による遠位部分の長手方向側面図を示す。
【
図27】
図27は、本開示の別の例示的な実施形態によるシステムによるクリップの平面図を示す。
【
図30】
図30は、本開示の別の例示的実施形態によるアダプタおよび延在部材の部分拡大斜視図を示す。
【
図31】
図31は、本開示のさらに別の例示的実施形態によるシステムの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、以下の説明および添付の図面を参照してさらに理解することができ、同様の要素は同じ参照番号で参照される。本開示は、クリッピングシステムに関し、特に、クリップの初期配置が、その最終展開(deployment)の前に視認および調節され得るオーバーザスコープ内視鏡用クリッピングシステムに関する。本開示の例示的実施形態は、アダプタを介して内視鏡の遠位端上に取り付け可能なクリップを備え、クリップは、挿入構成と、初期展開状態と、最終的に展開される前にクリップが視認され得るレビュー構成との間で動かされ得るように、延在部材に解放可能に結合されている。
【0021】
挿入構成では、クリップは、クリップの位置が内視鏡視覚システムの視野の遮蔽を最小限に抑えながら、ジョーの間に組織を受け入れる準備ができている挿入構成に維持される近位位置でアダプタ上に取り付けられる。挿入構成は、クリッピングされるべき組織に隣接する標的部位への内視鏡の挿入を容易にするように構成され、一方、システムは、クリップが初期展開構成で組織上に展開およびクリッピングされることを可能にする。このデバイスは、クリップがレビュー構成においてデバイスに結合されたままで、内視鏡が、クリップおよびクリッピングされる組織から近位方向に引き離されることを可能にする。クリップが標的組織上の所定の位置に留まっている間に内視鏡が近位方向に引かれると、オペレータがクリップの位置が望ましいか、または調整が必要かを判断することができるように、内視鏡の視覚システムの視野が広がってクリップおよびそれによってクリッピングされた組織を示す。
【0022】
クリップが所望のように配置されているとオペレータが判断した場合、クリップは展開され、標的組織上にクリッピングされて所定の位置に残される。クリップの位置を調整する必要があるとオペレータが判断した場合、内視鏡およびそれに結合されたアダプタは、クリップに隣接する位置へ遠位方向に動かされる。次いで、クリップは、アダプタ上で近位方向に引っ張られて、クリップを再び開き、クリップは、アダプタの遠位端を超えて近位方向に引っ張られて、クリップがアダプタ上で近位方向に摺動して戻って挿入構成に戻る際に、クリップをその自然な付勢に抗して強制的に開かせる。クリップが組織から除去され、挿入構成に戻された後、オペレータは、内視鏡およびデバイスを所望に応じて再配置し、標的組織をアダプタ内に引き込み(例えば、内視鏡の作業チャネルを介して適用される吸引または把持具の下で)、最初の展開位置において、クリップをアダプタから標的組織の上にもう一度展開することができる。デバイスが再びレビュー構成に移動するように、クリップがデバイスに結合されたままで、内視鏡は再び近位方向に引かれる。
【0023】
クリップおよびクリッピングされた組織の位置が再び観察され、このプロセスは、クリップが所望のように配置されるまで繰り返され得る。クリップが閉じられる組織が、組織の所望の部分であることをオペレータが確認すると、クリップは、以下に説明されるように、展開され、デバイスおよび内視鏡から解放され得る。近位および遠位という用語は、本明細書で使用される場合、それぞれ、デバイスのユーザに向かう方向およびユーザから離れる方向を指すように意図されることが、当業者によって理解されるであろう。
【0024】
図1~
図10は、本開示の例示的な実施形態による、組織欠損および/または穿孔を処置するためのクリッピングシステム100を示す。
図1に示すように、クリッピングシステム100は、アダプタ108を介して内視鏡104の内視鏡シャフトの遠位端106に取り付けられるように構成されたクリップ102を備えている。クリップ102は、一対の延在部材110に解放可能に結合されており、一対の延在部材110は、内視鏡シャフト124に対して移動されると、延在部材110が、挿入構成と、初期展開構成と、レビュー構成と、最終展開構成との間でクリップ102を移動させるように構成されている。
【0025】
挿入構成では、クリップ102はアダプタ108の上に取り付けられ、アダプタ108がクリップ102を開位置に保持し、クリップ102のジョー118は互いから離れて広がり、クリッピングされる組織がジョー118の間でクリップ102を通して引っ張られ得るようにする。以下に説明するように、クリップ102は、クリップ102がアダプタ108から離れて遠位方向に移動するまで、アダプタ108に沿ってアダプタ108から離れるようにクリップ102を遠位方向に押す展開要素を介して、挿入構成から初期展開構成まで遠位方向に押され得る。この時点で、ジョー118を閉じることに対してアダプタ108によってもたらされていた抵抗が取り除かれ、ジョー118は、(例えば、ヒンジ122における)クリップ102の自然な付勢の下で弾んで閉じられる(spring closed)。
【0026】
この初期展開構成では、クリップ102は、延在部材110を介してシステム100に接続されたままである。次いで、アダプタ108およびクリップ102は、物理的に分離されて、システム100をレビュー構成に移動させることができる。以下でより詳細に説明されるように、クリップ102が挿入構成にある場合に、組織はクリップ102内に引き込まれ得る。オペレータが、組織の所望の部分(すなわち、クリッピングされるべき組織)がクリップ102内に引き込まれたと考えると、クリップ102は、アダプタ108から離れるように遠位方向に移動させられて、それにより、ジョー118がクリップ102を通して引き込まれた組織を覆って弾んで閉じ、この組織をクリッピングすることができる。このクリップ102は、延在部材を介してシステム100に結合されたままである一方、内視鏡104およびアダプタ108は、組織の上にクリッピングされたままであるクリップ102から離れて近位方向に移動され得る。これは、クリップ102が所望のように標的組織上にクリッピングされているかどうかを判定するために、クリップ102およびクリッピングされた組織がより明確に視認され、クリップ102を取り囲む組織およびクリッピングされた組織もまた視認されることができるように、オペレータが内視鏡の視野を拡張することを可能にする。クリップ102をよりよく観察するためにアダプタ108および内視鏡104がクリップ102に対して近位方向に引かれているこの構成は、レビュー構成である。
【0027】
例えば、レビュー構成では、クリップ102は、アダプタ108に対して遠位方向に移動されて、内視鏡104の光学系を介してオペレータに提供されるクリップ102のビューにより、オペレータ(例えば、外科医)が、クリップ102が所望のように標的組織上にクリッピングされているかどうかを確認することを可能とするように選択された距離だけクリップ102を内視鏡シャフト124の遠位端106から分離する。必要に応じて、オペレータは、周囲の組織によって許容される範囲で、クリップを異なる視点から見ることもできる。クリップ102が所望のように標的組織上にクリッピングされていないとユーザが判断した場合、ユーザは、アダプタ108の遠位端がクリップ102の近位側に接近し、最終的に接触するように、内視鏡104を延在部材110上で遠位方向に移動させてもよい。アダプタ108の遠位端とクリップ102の近位側との間の接触、および延在部材110に印加される増加した張力は、ジョー118が引き離され、クリップが挿入構成に戻るように、クリップをアダプタ108上で近位方向に移動させる。
【0028】
ジョー118が開かれると、クリップ102は、クリップ102が標的組織に対して再配置され得るように、クリッピングされた組織から解放される。次いで、このプロセスは、クリップ102が所望のように標的組織の上にクリッピングされたことをオペレータが確認するまで繰り返され得る。この時点で、オペレータは、以下でさらに詳細に説明するように、クリップ102を延在部材110から係合解除することによって、クリップ102をレビュー構成から最終展開構成に移動させることができる。以下にさらに詳細に説明されるように、挿入構成、初期展開構成、レビュー構成、および最終展開構成の間のクリップ102の移動は、内視鏡シャフト124の近位端にある作動アセンブリ112を介して制御され得る。
【0029】
クリップ102は、内視鏡104の内視鏡シャフト124の遠位端106の上に取り付けられるようなサイズ、形状、および構成とされたアダプタ108を介して、任意の標準的な内視鏡104に取り付けられ得る。当業者によって理解されるように、内視鏡シャフト124は、体管腔を通して体管腔内の標的領域に挿入されるように構成され、したがって、体管腔の蛇行経路でもナビゲートできるほど十分な可撓性を有していなければならない。
図2~
図3に示されるように、アダプタ108は、近位端126から遠位端128まで延在し、そこを通って延在するチャネル130を含む。
【0030】
一実施形態では、アダプタ108は、実質的に管状であり、円形の断面積を有する。アダプタ108の近位部分132は、内視鏡シャフト124の遠位端106の上に取り付けられるように構成され、アダプタ108の遠位部分134は、挿入構成において、その上にクリップ102を受け入れるように構成されている。したがって、アダプタ108の近位部分132に沿ったチャネル130の内径は、遠位端106における内視鏡シャフト124の外径に対応するようなサイズ、形状、および構成とされており、それにより、アダプタ108は、例えば、摩擦嵌合を介してその上に取り付けられ得る。遠位部分134の外径は、以下でさらに詳細に説明されるように、開放構成において、その上にクリップ102を受け入れるようなサイズ、形状、および構成とされている。
【0031】
1つの例示的な実施形態では、遠位部分134は、その近位端135におけるより大きい外径から、アダプタ108の遠位端128におけるより小さい外径まで先細になっており、アダプタ108の外面136の周囲に分散された複数の長手方向に延在する平坦部分152を含んでいてよい。平坦部分152の各々は、遠位部分134の長さの少なくとも一部分に沿って延在し、遠位部分134の外周(例えば、円周)の一部分を覆っている。
【0032】
一例では、外面136は、遠位部分134の円周の周りに分散された4つの平坦部分152を含む。この実施形態では、平坦部分152は、等しいサイズであり、遠位部分134の円周の周りで互いから離隔されている。これらの平坦部分152は、クリップ102とアダプタ108の遠位部分134との間の摩擦を低減し、以下でさらに詳細に説明されるように、挿入構成と初期展開構成との間のクリップ102の移動を容易にすることが、当業者によって理解されるであろう。アダプタ108は、遠位部分108の外面136に沿って等間隔に配置された4つの平坦面152を含むものとして図示および説明されているが、当業者であれば、平坦面152が、アダプタ108の遠位部分134に沿った遠位部分134から離れるクリップ102の遠位方向への移動を容易にし、クリップ102を初期展開構成から近位方向にアダプタ108上に戻し、その上で近位方向に挿入構成に引くことを容易にする限り、アダプタ108は、様々な構成のうちの任意の構成でアダプタ108の周囲に分散された遠位部分134に沿った任意の数の平坦面152を含み得ることを理解するであろう。この実施形態の遠位部分134は、隣接する平坦部分152の間に延在する、遠位部分134の湾曲部分153からアダプタ108のチャネル130内に半径方向に延在する複数の突起144を含む。
【0033】
1つの例示的な実施形態では、これらの湾曲部分153の各々の遠位面154は、アダプタ108の長手方向軸に対して角度が付けられており、これにより、ジョー118が遠位面154に当接するようにクリップ102が初期展開構成から近位方向に引かれる場合に、これらの突起144の角度が、ジョー118の、その自然な付勢に抗した再開放を容易にする。突出部144は、アダプタ108に対するクリップ102の向きの整列を補助し得る。すなわち、ジョー118は、クリップ102がクリッピングされた組織から解放され、アダプタ108上を近位方向に摺動して挿入構成に戻ることができるように、突起144上を近位方向に摺動してジョー118を開く。
【0034】
別の実施形態において、アダプタ108は、アダプタ108の外面136からその遠位端128に向かって延在するタブ138を含み、それにより、遠位部分134に沿ってタブ138と外面136との間に溝140が形成される。挿入構成では、本実施形態のクリップ102は、ジョー118のうちの1つが溝140内に受け入れられた状態で、遠位部分134の上に取り付けられる。タブ138は、それを貫通して延びる穴142も含む。穴142は、クリップ102を、挿入構成からアダプタ108に沿ってアダプタ108から離れるように近位方向に移動させて初期展開構成にするために使用される、例えば糸、ストランドまたは他の類似の要素などの展開要素(図示せず)を受け入れるように構成されている。展開要素の第1の端部は、例えば、穴142を介してタブ138に結び付けられるか、または別の方法で固定されていてよく、それにより、展開要素は、タブ138から、溝140を横断し、内視鏡104の作業チャネルを通り、アダプタ108のチャネル130を介して、近位アセンブリ112に結合される第2の端部まで延在している。
【0035】
例示的な一実施形態では、展開要素は、アダプタ108の遠位端128にあるチャネル130の開口部を介してチャネル130内に延びている。別の実施形態では、展開要素は、アダプタ108の遠位部分134の壁を貫通して延びる対応する穴174を介してチャネル130内に延びている。対応する穴174は、この実施形態では、タブ138を貫通して延びる穴142と同軸に位置合わせされ、チャネル130と連通している。挿入構成では、展開要素は緩められ、溝140を横切ってタブ138からクリップ102の一部の近位側の内視鏡104の作業チャネルまで延びる。クリップ102を挿入構成から初期展開構成に移動させることが望ましい場合、オペレータは、張力がかけられた展開要素がクリップ102に対して遠位に移動して、クリップ102をアダプタ108から遠位に押し出すように、展開要素に張力を印加する。
【0036】
例示的な実施形態は、タブ138を含むものとしてアダプタ108を示し、説明しているが、いくつかの実施形態では、アダプタ108の遠位部分134は、アダプタ108がクリップ102を開放挿入構成から初期展開構成に移動させるためにタブ138を必要としないように、アダプタ108の近位端135からアダプタ108の遠位端128まで十分にテーパ状とされていてよい。むしろ、遠位部分134のテーパは、クリップ102を初期展開構成に向かって付勢する。しかしながら、クリップ102は、延在部材110がクリップ102をアダプタ108上の所定の位置に保持するように、十分な近位方向の張力が延在部材110に印加される限り、開放構成において遠位部分134の上に取り付けられたままであってよい。この張力が延在部材110から取り除かれる場合、クリップ102の自然な付勢は、ジョー118を互いに向かって引き寄せ、延在部材110がクリップ102とともに遠位方向に引かれるにつれて、クリップ102がアダプタ108の遠位端から摺動して外れるまで、クリップ102をアダプタ108のテーパ状表面の上で遠位方向に押す。延在部材110が内視鏡シャフト124に対して遠位に移動し、それに沿った張力が低減されると、クリップ102は、初期展開構成に向かって遠位部分134に沿って遠位方向に摺動することが可能になる。
【0037】
クリップ102は、ヒンジ122を介して互いに接続された一対のジョー118を含み、ヒンジ122は、ジョー118が互いから分離される開放構成と、ジョー118が互いに向かって移動される閉鎖構成との間の、ジョー118の互いに対する移動を可能にする。ジョー118の各々は、第1の端部125から第2の端部127まで曲線に沿って延在していてよく、それにより、ジョー118の第1の端部125がヒンジ122のうちの第1のヒンジを介して互いに接続され、ジョー118の第2の端部127がヒンジ122のうちの第2のヒンジを介して互いに接続されている。
【0038】
例示的な一実施形態によれば、各ヒンジ122は、実質的にC字形であるリビングヒンジであってもよく、C字形の曲線は、一対のジョー118に向かってその間に延在している。ヒンジ122は、ばねで付勢されていてよく、ジョー118を閉鎖構成に向かって付勢することができる。例示的な一実施形態では、ジョー118の各々は、例えば歯などの把持特徴部120を含み、これにより、ジョー118が閉鎖構成に向かって互いに向かって移動される場合に、組織が把持特徴部120を介してジョー118の間に把持され得る。
【0039】
ジョー118の各々は曲線に沿って延びているので、クリップ102が、
図4に示されるように、挿入構成においてアダプタ108の遠位部分134の上に取り付けられている場合に、ジョー118の各々は、アダプタ108の直径方向に対向する部分の周囲に延在し、それにより、アダプタ108の外面136がクリップ102を開放構成に維持する。開放構成では、ジョー118は、標的組織がクリッピングのためにジョー118の間のアダプタ内に引き込まれ得るように、互いから離隔されている。クリップ102がアダプタ108から離れて遠位方向に移動される場合に、クリップ102は、
図5~
図6に示されるように、(例えば、内視鏡104の作業チャネルを通して挿入された吸引または把持デバイスを介して)アダプタ内に引き込まれた組織の上で、(クリップ102の付勢に起因して)閉鎖状態に戻るように自由にされる。したがって、遠位部分134が十分にテーパ状である場合、クリップ102は、クリップ102に結合され、そこに近位方向の力を印加する延在部材110に加えられる近位方向の張力によって挿入構成に保持される。
【0040】
延在部材110から張力を解放することは、クリップ102の付勢により、ジョー118が互いに向かって引っ張られ、クリップ102がアダプタ108の遠位端128から外れるまで、アダプタ上でクリップ102を遠位方向に引っ張るので、クリップ102が遠位部分134に沿って遠位方向に摺動することを可能にし、ジョー118が、アダプタ108内に引き込まれた組織上でスナップして閉まり、アダプタ108の遠位端128のすぐ遠位の初期展開構成に到達することを可能とする。クリップ102のヒンジ122および/またはジョー118は、上述のように、ヒンジ122がジョー118を閉鎖構成に向かって付勢する限り、種々の材料のうちの任意のものから形成されてよいことが、当業者によって理解されるであろう。一例では、クリップ102の部分(例えば、ヒンジ122)は、例えば、ニチノールなどの形状記憶合金から形成されてもよい。
【0041】
上述したように、挿入構成、初期展開構成、レビュー構成、および最終展開構成の間のクリップ102の動きは、クリップ102に解放可能に結合された延在部材110を介して容易にされる。例示的な一実施形態では、延在部材110は、クリップ102のヒンジ122に解放可能に結合されている。この実施形態では、クリッピングシステム100は、2つの延在部材110を含み、その各々は、クリップ102の対応するヒンジ122に解放可能に結合された遠位端148から近位端156まで延在している。2つの延在部材110の近位端156は、互いに接続され、かつ制御要素158に接続され、制御要素158は、そこから作動アセンブリ112まで近位方向に延びている。延在部材110および/または制御要素158は、当業者によって理解されるように、例えば、金属またはポリマーから形成される、可撓性ストランド、フィラメント、またはコイルから成っていてもよい。
【0042】
1つの例示的な実施形態では、一対の延在部材110の遠位部分160は、延在部材110の各々がクリップ102のヒンジ122のうちの対応する1つに係合するように、アダプタ108の遠位部分134の両側に沿って延びている。例示的な一実施形態では、一対の延在部材110の各遠位部分160は、クリップ102のC字形ヒンジ122に係合するために、その遠位端148にループ146を形成している。各ループ146は、ループ146が例えば摩擦嵌めを介してヒンジ122に係合するように、ヒンジ122のうちの対応する1つのC字形部分に引っ掛けられる。この実施形態における延在部材110の遠位端148は、
図8に示されるように、アダプタ108の長手方向軸から離れて(拘束されていない場合に)移動し、クリップ102から半径方向に離れて解放構成に移動するように付勢される。すなわち、延在部材110がクリップ102から係合解除される場合に、延在部材110は、クリップ102から完全に係合解除するようにクリップ102から半径方向に弾み、それにより、内視鏡104、アダプタ108、および延在部材110は、標的組織上にクリッピングされた最終展開構成のクリップ102を残しながら、身体から取り除かれてよい。
【0043】
クリップ102に結合されると、ループ146は、C字形ヒンジ122に引っ掛けられ、それにより、延在部材110の遠位端148は、半径方向外向きに弾むことが妨げられ、したがって、C字形ヒンジ122と係合したままになる。クリップ102が、標的組織上にクリッピングされた所望の位置にあると判定された場合(例えば、レビュー構成からクリップ102を観察するオペレータが、クリップ102が所望のように配置されていると判定する場合)、アダプタ108および内視鏡104は、アダプタがクリップ102に接触するか、またはそれに隣接して配置されるまで、延在部材110上を遠位方向に前進させられる。この時点で、延在部材110は、遠位方向に延ばされている。
【0044】
クリップ102が、クリッピングされている組織によってさらに遠位方向に移動することを妨げられるので、延在部材110に印加されるさらなる遠位方向の圧力は、ループ146がC字形ヒンジ122の遠位端を通過するまで、ループ146を遠位方向に移動させる(例えば、クリップ102に摩擦嵌合するループの摩擦に打ち勝つ)。この時点で、ループ146は、もはやヒンジ122によって拘束されず、ループ146は、クリップ102から離れて半径方向外向きに弾み、最終的に、クリップ102をシステム100から分離し、クリップを最終的に展開された構成に残す。遠位端148がもはやヒンジ122によって拘束されていない場合に、ループ146は、遠位端148の間の距離が、延在部材110の遠位部分160がクリップ102によって拘束された場合よりも大きくなるように、互いから離れるように動くことが、当業者によって理解されるであろう。
【0045】
延在部材110の遠位部分160は、アダプタ108の遠位部分134の外面136に沿って延びているが、延在部材110の近位部分162は、
図6に示されるように、アダプタ108の近位部分132の壁168を通って長手方向に延びる対応するチャネル166を通って延在している。一実施形態では、近位部分132は、ループ146の各々を形成する2つのストランドを収容するための4つのチャネル166を含む。チャネル166は、壁168を通って延び、延在部材110の近位端156が互いにおよび制御要素158に接続する点で収束する。チャネル166は、延在部材110の一部を摺動可能に受け入れるように構成されており、それにより、内視鏡シャフト124に対する制御要素158の長手方向の動きが、延在部材110を遠位方向および/または近位方向に移動させて、クリップ102を開放挿入構成、初期展開構成、視認構成、および最終展開構成の間で移動させる。
【0046】
例示的な一実施形態では、制御要素158は、アダプタ108と作動アセンブリ112との間に延在するコイル150を通って並進的に延在している。コイル150は、例えば、アダプタ108の近位端126から延びて、内視鏡シャフト124に沿って延在していてよい。コイル150は、内視鏡シャフト124とコイル150との間の摩擦を低減するために、材料(例えば、PTFE)でコーティングされてもよく、これは、編組されていてもされていなくてもよい。コイル150は、内視鏡シャフト124に対して長手方向に固定されたままである一方、制御要素158は、延在部材110の移動を容易にするために、それに対して長手方向に移動可能であることが理解されよう。制御要素158は、コイル150と制御要素158との間の摩擦を低減するために、例えば、PTFE/MDXなどの摩擦低減材料で同様にコーティングされていてよい。
【0047】
挿入構成では、
図4に示されるように、制御要素158は、それに沿って所望の近位方向の張力を維持し、それにより、延在部材110に解放可能に連結されたクリップ102は、開放構成でアダプタ108の上に取り付けられたままである。組織をクリッピングすることが所望される場合、組織は、アダプタ108の遠位端の中に引き込まれ(例えば、内視鏡104の作業チャネルを通して吸引または把持要素を適用することによって)、制御要素158は、コイル150および内視鏡シャフト124に対して遠位方向に動かされ、制御要素158からの近位方向の張力を減少させる。これにより、クリップ102は、クリップ102がアダプタ108の遠位端128から離れて遠位方向に移動してアダプタ108内に引き込まれた組織の上で弾んで閉じるまで、テーパ状外面136に沿って遠位方向に摺動することができる。この時点で、クリップ102は、
図5~
図6に示すように、アダプタ108の遠位端128のすぐ遠位側でこの組織を覆って閉じられている初期展開構成にある。
【0048】
システム100をレビュー構成に変化させるために、
図7に示されるように、コイル150が制御要素158に対して近位方向に移動され、それにより、内視鏡シャフト124が延在部材110の上を近位方向に摺動し、アダプタ108がクリップ102に対して近位方向に移動する。クリップ102が内視鏡シャフト124の遠位端106から、クリップ102が内視鏡104を介して視認可能となるように選択された距離だけ(周囲の解剖学的構造によって許容される程度まで)離されると、オペレータは、クリップ102、クリッピングされた組織、および周囲の組織を見る。
【0049】
観察時に、クリップ102の位置/配置を調節することが望ましい場合、内視鏡104およびアダプタ108は、アダプタ108の遠位端の突起144がクリップ102に接触するまで、延在部材110の上を遠位方向に摺動させられる。この時点で延在部材に印加された近位方向の張力は、クリップ102を突起144に対して引っ張り、それにより、突起144の傾斜面は、ジョー118およびクリップ102がアダプタ108の上を近位方向に移動するときに、ジョー118をそれらの自然な付勢に抗して引き離す。ジョー118が完全に開放されると、クリッピングされた組織が解放され、クリップ102は、アダプタ108の上を近位方向に引っ張られて挿入構成となることができる。すなわち、延在部材110における近位方向の張力がクリップを突起144に対して近位方向に引くと、内視鏡104およびアダプタ108のコラム強度は、(アダプタ108の遠位端128を介して)ジョー118に遠位方向の力を印加し、ジョー118を強制的に開いて、それにより、クリップ102がアダプタ108に対してさらに近位方向に引かれる。次いで、オペレータは、クリップ102を所望により再配置し、クリップ102が所望通りに組織上にクリッピングされるまでこのプロセスを繰り返すことができる。クリップ102が所望通りに展開されたことをオペレータが確認すると、システム100は、上述したように、クリップ102を最終展開構成で解放することができる。
【0050】
1つの例示的な実施形態によれば、
図8に示されるように、クリップ102を最終展開構成で延在部材110から解放することが望ましい場合、延在部材110は、ループ146が上述のように遠位方向に移動されてヒンジ122との係合からはずれるまで、クリップ102に対して(制御要素158を介して)遠位方向に移動される。ループ146が、例えば、C字形ヒンジ122の遠位方向に移動され、それとの係合が外れると、延在部材110の遠位端148は、ヒンジ122から解放され、遠位端148が互いから半径方向に離れるように動くそれらの付勢された構成に戻ることが可能になる。遠位端148が互いから離れて半径方向に延在しているので、延在部材110は、もはやクリップに結合されず、クリップ102と再び係合することなしにクリップ102から離れて近位方向に移動され得る。したがって、クリップ102は、体内に残され、標的組織にクリッピングされ得る一方、内視鏡104は、そこから除去される。
【0051】
クリップ102は、C字形ヒンジ122を有するものとして説明および図示されているが、クリップ102のヒンジ122は、上述のように、ヒンジ122がクリップ102のジョー118を閉鎖構成に向かって付勢するように構成されている限り、様々な形状および構成のうちの任意のものを有し得ることが、当業者によって理解されるであろう。同様に、延在部材110の遠位端148は、上述のように遠位端148がヒンジ122に解放可能に係合するように構成されている限り、種々の形状および構成のうちの任意のものを有し得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0052】
上述のように、作動アセンブリ112は、内視鏡シャフト124に対して延在部材110を移動させて、クリップ102を挿入構成、初期展開構成、レビュー構成、および最終展開構成の間で移動させるために使用され得る。
図9~
図10に示すように、作動アセンブリ112は、ハンドル部材114と、その上に摺動可能に取り付けられたスプール116とを備えている。ハンドル部材114は、コイル150の近位端170に接続される一方、スプール116は、制御要素158の近位端172に接続される。したがって、スプール116をハンドル部材114に対して移動させて、それに対応して制御要素158をコイル150に対して移動させることができ、それによってクリップ102を内視鏡104に対して、上述したような開放挿入構成、初期展開構成、観察構成、および最終展開構成の間で移動させることができる。
【0053】
クリッピングシステム100を利用する組織閉鎖のための例示的方法によれば、説明されるようなアダプタ108およびクリップ102を含む内視鏡104の遠位端は、生体内に挿入され(例えば、自然に存在する身体開口部によってアクセスされる体管腔(例えば、GI管)を介して)、クリッピングされるべき組織に隣接する体管腔内の標的領域に到達する。上述したように、挿入構成では、
図4に示すように、クリップ102は、アダプタ108を介して内視鏡シャフト124の遠位端106に取り付けられ、それにより、ジョー118は、挿入構成において互いから分離される。
【0054】
当業者によって理解されるように、クリップ102は、内視鏡104を介して(例えば、内視鏡104の視覚システムを使用して)標的領域に誘導され、標的組織に隣接して配置される。組織の一部は、(例えば、内視鏡104の作業チャネルを通じて適用される吸引力または把持器具を介して)アダプタ108のチャネル130内に引き込まれ、それにより、標的組織がアダプタ108のチャネル130内に引き込まれ得る。クリップ102は、次いで、アダプタ108の上を遠位方向に移動させられて、アダプタ108から取り外され、それにより、
図5~
図6に示されるように、ジョー118が弾んで閉じ、クリップ102がチャネル130で組織の上にクリッピングされる。上述したように、クリップ102は、例えば、スプール116をハンドル部材114に対して遠位方向に移動させることによって、アダプタ108の上を遠位方向に向かって移動させることができ、それにより、クリップ102は、アダプタ108の遠位部分134のテーパ状外面136に沿って遠位方向に摺動することが可能になり、クリップ102のジョー118は、付勢されて初期展開構成に近づくことが可能になる。
【0055】
この初期展開構成における組織の吸引および/または把持は、内視鏡104の撮像/光学レンズを妨害し、それにより、ユーザは、組織の所望の部分(すなわち、標的組織)が適切にクリッピングされたかどうかを可視化および/または確認することがもはやできないことが、当業者によって理解されるであろう。しかしながら、クリップ102を内視鏡シャフト124の遠位端106から離すことは、クリッピングされた組織を内視鏡104の遠位端から離すことによってこの妨害を排除し、それにより、オペレータはクリップ102およびクリッピングされた組織を観察することができる。初期展開構成にある場合に、クリップ102は、内視鏡シャフト124をクリップ102に対して近位方向に移動させることによって、例えば、ハンドル部材114をスプール116に対して近位方向に移動させることによって、
図7に示されるように、視認構成に向かって移動させることができる一方で、クリップ102が所望の観察を行うのに十分なだけ内視鏡104から離されるまで延在部材110を繰り出すことを可能にする。特に、コイル150を延在部材110に対して近位方向に移動させることにより、内視鏡104をクリップ102から近位方向に引き離すことが可能になり、クリップ102と内視鏡シャフト124の遠位端106との間に、クリップ102が内視鏡104の光学系を介して視覚化され得るように選択された距離が形成される。
【0056】
可視化の際に、クリップ102が標的組織に対する調節および/または再配置を必要とすることを使用者が判断した場合、アダプタ108の遠位端128がクリップ102に隣接するまで、例えば、スプール116を静止状態に保持しながらハンドル部材114を遠位方向に移動させることによって、内視鏡104が延在部材110の上を遠位方向に摺動される。次いで、延在部材110は、近位方向に引かれて、クリップ102をアダプタ108の遠位部分134の上で挿入構成に引っ張り、上述のように、クリッピングされた組織を解放することができる。
【0057】
次いで、クリップ102は、標的組織に対して再配置されてよく、この新しい組織は、上記で説明されるように、アダプタ108のチャネル130の中に引き込まれ得る。次いで、クリップ102は、アダプタ108から離れるように遠位方向に移動されて、上記と同じ方法で組織のこの新しい部分をクリッピングしてもよい。システム100は、再びレビュー構成に移動されてもよく、所望の組織が所望のようにクリッピングされているとオペレータが判断した場合、クリップ102は、上述のように最終展開構成に移動されてもよい。このプロセスは、クリップ102が所望のように標的組織の上にクリッピングされたことをユーザが確認するまで、必要な回数だけ繰り返されてよい。
【0058】
ユーザが、所望のように標的組織がクリッピングされたことを確認すると、クリップ102は、クリップ102を延在部材110から解放することによって、
図8に示されるように、レビュー構成から最終展開構成に移動され得る。上記のように、クリップ102を解放するために、制御要素158、およびそれによって延在部材110は、内視鏡シャフト124に対してさらに遠位方向に移動させられる。レビュー構成では、クリップ102は、標的組織の上にクリッピングされて、それによって組織表面に当接するので、延在部材110をさらに遠位方向に移動させることは、延在部材110もクリップ102に対して遠位方向に移動させる。延在部材110は、延在部材110の遠位端148がクリップ102のヒンジ122と係合解除するまで、クリップ102に対して遠位方向に移動される。
【0059】
一実施形態によれば、延在部材110は、遠位端148におけるループ146がヒンジ122と係合解除するまで、クリップ102に対して遠位方向に移動されてよい。ループ146が、例えば、C字形ヒンジ122から解放されると、遠位端148は、それらの付勢された構成に戻ることが可能になり、互いから半径方向に離れるように動く。したがって、延在部材110および内視鏡104は、身体から引き抜かれてよく、それにより、クリップ102のみが標的組織にクリッピングされたままである。
【0060】
図11~
図14に示すように、別の例示的な実施形態によるクリッピングシステム200は、以下に詳述する点を除いて、クリッピングシステム100と実質的に同様である。システム200は、上述したように、アダプタ208を介して内視鏡204の内視鏡シャフト242の遠位端206に取り付けられて、例えば、体管腔を介して体内の標的領域に挿入されるように構成されたクリップ202を備えている。クリッピングシステム100と同様に、クリップ202は、一対の延在部材210に解放可能に結合され、これは、挿入構成、初期展開構成、レビュー構成、および最終展開構成の間の内視鏡シャフト242およびアダプタ208に対するクリップ202の移動を容易にする。
【0061】
挿入構成において、クリップ202は、アダプタ208の遠位部分234の上に取り付けられ、それにより、クリップ202のジョー218が挿入構成に維持される。クリップ202は、クリップ202をアダプタ208に沿って遠位方向に移動させてアダプタ208から離すことによって、挿入構成から初期展開構成に移動させることができ、それにより、ジョー218は、アダプタ208のすぐ遠位の初期展開構成へのそれらの付勢を受けて弾んで閉じられた状態に戻ることができる。次いで、システム100は、延在部材210が繰り出されるにつれて内視鏡シャフト224をクリップ202に対して近位方向に移動させることによって、レビュー構成に移動され、それにより、クリップ202が延在部材210を介してシステム200に結合されたままである間にクリップ202が内視鏡204を介して視認可能であるように選択された距離だけ内視鏡シャフト224の遠位端206がクリップ202から離される。
【0062】
この実施形態では、延在部材210の各々は、ジョー218を互いに接続するヒンジ222ではなく、クリップ202のジョー218のうちの1つに接続される。したがって、クリップ202の最終展開構成への移動は、クリップ102に関して説明したものとは異なる機構を介して達成される。
【0063】
この例示的な実施形態では、クリップ202は、クリップ102と実質的に同様であり、ヒンジ222を介して互いに接続されたジョー218を含み、それにより、クリップ202は、ジョー218が互いから分離されてそれらの間に組織を受け入れる挿入構成と、ジョー218が互いに向かって移動されてそれらの間に受け入れられた組織を把持する初期展開構成との間で移動可能である。この実施形態におけるジョー218の各々は、第1の端部225から第2の端部227まで曲線に沿って延在し、ジョー218の各々の第1の端部225は、ヒンジ222のうちの1つを介して互いに接続され、第2の端部227は、ヒンジ222のうちの第2のヒンジを介して互いに接続されている。ジョー218の各々は、この実施形態では、そこを貫通して延びる開口部276をさらに含み、開口部276は、延在部材210のうちの対応する1つの一部を受け入れるようなサイズおよび形状にされて、ジョー218の各々とその対応する延在部材210との間に解放可能な接続を形成する。一例によれば、開口部276は、ジョー218の各々の第1の端部225と第2の端部227との間の中間に形成される。しかしながら、開口部276が延在部材210のうちの対応する1つをその中に受け入れるように構成される限り、開口部276は、ジョー218の各々の上の任意の場所に形成され得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0064】
延在部材210の各々は、開口部276を介してクリップ202に解放可能に結合された遠位端248から近位端256まで延在している。しかしながら、遠位端248にループを含むのではなく、延在部材210の各々は、例えば、金属またはポリマーのフィラメント、ストランドまたはコイルとして構成され、これは、分離可能な接続を介して遠位端248に結合された拡大部材246(例えば、拡大ボール)を含む。各延在部材210の遠位端248は、開口部276のうちの対応する1つを通して挿入される。次いで、拡大部材246は、遠位端248に接続されて、クリップ202が挿入構成、初期展開構成、およびレビュー構成の間で移動する間に、延在部材210がクリップ202から不注意に分離することを防止する。
【0065】
しかしながら、クリップ202は、拡大部材246がジョー218に対して近位方向に押圧されるまで、アダプタ208に対して延在部材210を近位方向に引くことによって、クリップ202が組織上でクリッピングされるレビュー構成から最終展開構成に向かって移動させることができる。そこに加えられる力が所定の閾値力を超えると、拡大部材246は、遠位端248から分離、離脱、または別の方法で切り離されて、それにより、延在部材210および内視鏡204は、クリップ202から完全に分離され、クリップ202を標的組織上にクリッピングされた所定の位置に残しながら、身体から取り除かれ得る。
【0066】
延在部材110と同様に、延在部材210の遠位部分260は、アダプタ208の遠位部分234の外面236に沿って延びているが、延在部材210の近位部分262は、近位部分232の壁258を通って延びるチャネル266を通って長手方向に延在している。一実施形態では、延在部材210の遠位部分260は、遠位部分234の直径方向に対向する側部に沿って延びている。しかしながら、遠位部分260は、遠位部分234の任意の部分に沿って延在し得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0067】
この実施形態では、アダプタは、延在部材210の近位部分260を収容するように構成された2つのチャネル266を含んでいてよい。チャネル266は、延在部材210の近位端256が合流し、互いに接続される点で収束する。クリッピングシステム100に関して上述したように、制御要素(図示せず)は、延在部材210の近位端256から、例えば、作動アセンブリ112と実質的に同様の作動アセンブリまで近位方向に延在し、それにより、延在部材210の動き、したがってクリップ202の動きは、内視鏡シャフト242に対する制御要素の動きを介して制御され得る。クリッピングシステム100と同様に、制御要素は、システム100に関して上述したように、アダプタ208の近位端226と作動アセンブリとの間に延在するコイル250を通って延在していてよい。
【0068】
クリッピングシステム200は、クリッピングシステム100と実質的に同様の方法で利用され得ることが当業者によって理解されるであろう。特に、クリップ202は、クリップ102と実質的に同様の方法で、挿入構成、初期展開構成、およびレビュー構成の間で移動され得る。しかしながら、クリップ202を最終展開構成に移動させることが所望される場合に、延在部材210は、延在部材210上の張力が、拡大部材246が延在部材210の遠位端248から解放される所定の閾値力を超える力を生成するまで、クリップ202に対して近位方向に引かれる。拡大部材246が遠位端248から分離されると、延在部材210は開口部278から取り除かれ、それにより、延在部材210および内視鏡204は、クリップ202を標的組織上にクリッピングされた所定の位置に残しながら、身体から取り除かれ得る。
【0069】
図15~
図16に示すように、本開示の別の例示的な実施形態によるクリッピングシステム300は、以下に詳述する相違点を除いて、上述のクリッピングシステム200と実質的に同様であってよい。クリップシステム300は、クリップシステム100および200について説明したのと実質的に同様の方法で利用されてもよく、それにより、クリップ302は、実質的に上述したように、延在部材310の遠位端348において拡大部材346を介してクリップ302に解放可能に結合された延在部材310を介して、挿入構成、初期展開構成、およびレビュー構成の間で移動可能である。しかしながら、所定の閾値力を超える張力を延在部材310に加えることによって最終展開構成に移動されるのではなく、クリッピングシステム300は、拡大部材346を延在部材310の遠位端348から係合解除するために拡大部材346に接続されたストリング380をさらに含む。
【0070】
クリップシステム200の延在部材210およびクリップ202と同様に、延在部材310の遠位端348は、各々、遠位端348のうちの対応する1つに解放可能に結合された拡大部材346を含み、それにより、クリップ302を最終展開構成に移動させることが望ましい場合に、拡大部材346の各々は、対応する遠位端348から係合解除されて、クリップ302のジョー318を貫通して延びる開口部378から延在部材310を取り除くことを可能にする。各ストリング380は、拡大部材346のうちの対応する1つに接続された遠位端381から、例えば、上述したように、内視鏡シャフト324の近位端における作動アセンブリまで延在している。したがって、クリップ302を最終展開構成に移動させることが望ましい場合に、ユーザは、クリップ302に対してストリング380に近位方向の力を加え、これにより、拡大部材346が延在部材310の遠位端348から分離される。拡大部材346がもはや遠位端348に結合されなくなると、延在部材310は開口部378から離れるように近位方向に引かれ、それにより、クリップ302は、最終展開構成において延在部材310から解放される。
【0071】
一実施形態では、拡大部材346は、遠位端348のうちの1つに嵌合する実質的にU字形の要素であり、そこから係合解除されることが所望されるまで、(例えば、摩擦嵌合を介して)所定の位置に保持される。しかしながら、拡大部材346は、ストリング380を介して解放可能であるように、拡大部材346が遠位端346上に嵌合され得る限り、種々の形状および構成のうちの任意のもので形成され得ることが、当業者によって理解されるであろう。拡大部材346がストリング380を介してそこから解放可能である限り、拡大部材346は、摩擦嵌め、接着剤、または他の結合機構を介して遠位端348に解放可能に結合され得ることも当業者によって理解されるであろう。
【0072】
クリッピングシステム300は、ストリング380を含むものとして説明および図示されているが、当業者であれば、クリッピングシステム300は、拡大部材346から作動アセンブリまで延在する様々な除去要素のうちの任意のものを含んでもよいことを理解するであろう。除去要素は、例えば、拡大部材346を延在部材310の遠位端348から引き離すように構成された任意の糸、フィラメント、またはストランドを含んでいてよい。
【0073】
図17~
図19に示すように、別の例示的な実施形態によるクリッピングシステム400は、上述したクリッピングシステム100,200,300のいずれかと実質的に同様であってもよく、以下に説明する点のみが異なる。クリッピングシステム400は、同様に、アダプタ408を介して内視鏡に取り付け可能なクリップ402を備え、クリップ402は、延在部材410を介して、挿入構成、初期展開構成、レビュー構成、および最終展開構成の間で移動可能である。クリッピングシステム400は、以下に説明する点を除いて、クリッピングシステム200と実質的に同様である。
【0074】
延在部材410は、この実施形態では、近位端から遠位端448まで延在するコイル411を含む。コイル411は、実質的にクリッピングシステム100~300に関して上述したように、互いに接続された近位端から、そこから近位方向に延在する制御要素まで延在して、延在部材410の移動を制御する。しかしながら、延在部材410の各々は、遠位端448から遠位方向に延在するワイヤ446をさらに備え、ワイヤ446は、クリップ402の対応するジョー418を貫通して延びる開口部478を通ってループ状になるように構成されている。特に、ワイヤ446は、開口部478と、コイル411の遠位端448に取り付けられたワイヤ446の遠位端447とを通ってループ状にされていてよく、それにより、延在部材410は、ワイヤ446を介して形成されたループを介してクリップ402に結合されている。
【0075】
ワイヤ446の遠位端447は、例えば、溶接、圧着、または接着を介して、コイル448の遠位端448に取り付けられていてよい。この取り付けは、クリップ402から延在部材410を係合解除してクリップ402を最終展開構成に向かって移動させることが所望される場合に、ワイヤ446が開口部478から取り除かれるように取り付けが破壊されるまで、ユーザが、クリップ402(標的組織の上にクリッピングされている)に対して延在部材410に沿って近位方向の力を及ぼすことができるように構成されている。当業者であれば、そこに加えられる力が所定の閾値を超えたときに取り付けが破壊されることを理解するであろう。アタッチメントが破壊されると、延在部材410および内視鏡は、所望に応じて、標的組織上にクリッピングされているクリップ402のみが残るように、身体から取り除かれ得る。
【0076】
図20~
図21に示すように、さらに別の例示的な実施形態によるクリッピングシステム500は、上述のクリッピングシステム200~400と実質的に同様であり、内視鏡504の遠位端506に取り付け可能なクリップ502を備え、クリップ502に解放可能に結合された延在部材510を介して挿入構成、初期展開構成、レビュー構成、および最終展開構成の間で移動可能である。クリッピングシステム500は、以下に詳述する点を除いて、上述したクリッピングシステムと実質的に同様であってよい。延在部材510の近位部分562および遠位部分560は、本実施形態では、分離、破壊、または別の方法で解放するように構成された、解放可能な結合部564を介して相互に連結されて、クリップ502が最終展開構成に向かって移動させられることを可能にする。
【0077】
延在部材510の近位部分562および遠位部分560の各々は、例えば、ストリングの別個のストランドから構成され、これらは、解放可能な結合部564を介して互いに解放可能に結合されている。クリッピングシステム100~400に関して上述した延在部材と同様に、近位部分562の近位端は、内視鏡504に対する延在部材510の移動を制御するために、互いに、かつ制御要素558に接続されていてよい。1つの例示的な実施形態によれば、解放可能な結合部564は、保持要素586を含む。この実施形態における保持要素586は、保持要素586の内部空間590が一方の側に沿ってその外部に開放されるように、C字形および/またはブラケット形である。保持要素586は、近位部分562の遠位端563に固定的に取り付けられた近位端587から、およびU字形スロット589を含む遠位端588から延びており、U字形スロット589を介して、遠位部分560が保持要素586に解放可能に結合されている。内部590は、近位端587と遠位端588との間に延在しており、それにより、U字形スロット589は、内部空間590および保持要素586の外部の両方と連通している。
【0078】
延在部材510の遠位部分560の各々は、拡大された近位端559から、クリップ502の対応するジョー518を貫通して延びる開口部578を介してクリップ502に解放不可能に結合された遠位端561まで延在している。遠位端561は、例えば、ボールを介してジョー518に解放不可能に接続されていてよい。当業者であれば、このボールが開口部578を通過できないようなサイズであることを理解するであろう。結合された構成では、拡大された近位端559は、保持要素586の内部590内に受け入れられていてよく、それにより、近位端559の遠位にある延在部材510の遠位部分560の一部が、スロット589を介して保持要素586の遠位端588を通って延在している。遠位端561と同様に、拡大された近位端559は、スロット589の幅より大きい直径を有するようなサイズとされたボールとして構成されてよく、それにより、拡大された近位端559は、スロット589を長手方向に通過することはできない。
【0079】
各解放可能な結合部564の保持要素586は、クリップ502が開放挿入構成、初期展開構成、およびレビュー構成にある場合に、アダプタ508の近位部分532を通って延在するチャネル566内に摺動可能に収容されている。開放挿入構成、初期展開構成、およびレビュー構成にある場合に、遠位部分560の拡大された近位端559は、保持要素586の近位端587および遠位端588を介して、かつチャネル566の内面を介して、保持要素586の内部空間590内に維持されている。
【0080】
しかしながら、クリップ502を最終展開構成に向かって移動させることが望ましい場合、保持要素586がチャネル566の遠位端を越えて遠位方向に移動されるまで、延在部材510がアダプタ508に対してさらに遠位方向に移動され、それにより、拡大された近位端559は、チャネル566の内部から解放され、チャネル560を介して内部空間590内にもはや保持されない。拡大された近位端559が保持要素586から解放されると、延在部材510の近位部分562および内視鏡504は取り除かれてよく、遠位部分560が取り付けられたクリップ502を標的組織上でクリッピングされたまま体内に残す。
【0081】
延在部材510の遠位部分560は、ボールを介してクリップ502のジョー518に解放不可能に結合されるものとして説明および図示されるが、遠位部分560は、種々の結合機構のうちの任意のものを介してクリップ502に解放不可能に結合されてもよいことが、当業者によって理解されるであろう。一代替実施形態では、
図22に示されるように、延在部材510’の遠位部分560’は、クリップ502’の対応するジョー518’の開口部578’を通してループ状にされたストランドとして構成されていてよい。延在部材510と同様に、遠位部分560’は、拡大された近位端559’を有してもよく、それを介して、遠位部分560’は、遠位部分560’を延在部材510’の近位部分562’に結合するための解放可能な結合部564’の保持要素586’に解放可能に結合されている。
【0082】
別の例示的な実施形態によれば、
図23~
図26に示すように、クリッピングシステム600は、上述のクリッピングシステムのいずれかと実質的に同様であってよい。クリッピングシステム600は、アダプタ608を介して内視鏡シャフト624の遠位端606の上に取り付け可能であるように構成されたクリップ602を備えている。クリップ602は、延在部材610を介してアダプタ608および内視鏡シャフト624に対して移動可能であり、これは、挿入構成、初期展開構成、レビュー構成、および最終展開構成の間でのクリップ602の移動を容易にする。クリッピングシステム200と同様に、一対の延在部材610の各々は、クリップ602の対応するジョー610に接続されている。しかしながら、クリッピングシステム600は、以下でさらに詳細に説明されるように、クリップ602から延在部材610を係合解除してクリップ602を最終展開構成に向かって移動させるための弾性バンド680をさらに備えている。
【0083】
延在部材210と同様に、延在部材610は、近位端656から遠位端648まで延在している。近位端656は、互いに接続され、かつそこから近位方向に延びる制御要素に接続されている。遠位端648は、各々、その上に拡大部材646を含む。しかしながら、拡大部材646は、その上に固定されており、遠位端648から取り外すことはできない。遠位端648は、この実施形態では、半径方向外側の位置に向かって付勢されている。言い換えれば、遠位端648は、互いから離れるように付勢され、それにより、遠位端648の各々は、アダプタ608の長手方向軸から半径方向に離れるように延びる。
【0084】
クリップ202と同様に、ジョー618の各々は、延在部材610のうちの対応する1つの一部をその中に解放可能に受け入れるために、それを貫通して延びる開口部678を含む。しかしながら、開口部678の各々は、拡大部材246がそこを通過することを防止するようなサイズおよび形状にされた第1の部分682と、拡大部材246が通過することを可能にするようなサイズおよび形状にされた第2の部分684とを含む。開口部678は、第1の部分682が第2の部分682に対して半径方向外側の位置にあるように構成されている。したがって、結合された構成では、拡大部材646のすぐ近位の延在部材610の一部は、第1の部分682内に受け入れられ、拡大部材646は、ジョー118に当接し、そこを通過することを妨げられている。
【0085】
クリップ602は、上述のクリッピングシステムに関して説明されたものと実質的に同様の方法で、挿入構成、初期展開構成、およびレビュー構成の間で移動されて、標的組織を把持することができる。挿入構成、初期展開構成、およびレビュー構成において、弾性バンド680は、アダプタ608の一部の周りに延在している。標的組織がクリップ602によって所望のように把持されたことが確認されると、弾性バンド680は、アダプタ608から離れて遠位方向に移動され、それにより、弾性バンド680は、アダプタ608の遠位に、延在部材610の周りに延び、延在部材610を互いに向かって引き寄せ、それにより、遠位端648は、互いに向かって移動され、その拡大部材646は、開口部678の第2の部分684を通過することが可能になる。したがって、延在部材610および内視鏡604は、クリップ602が標的組織上で把持されたままで、身体から除去可能である。
【0086】
開口部678の第1の部分682から第2の部分684へ延在部材610を移動させるために、弾性バンド680が延在部材610上で遠位方向に移動可能である限り、弾性バンド680は、種々の機構のうちの任意のものを介してアダプタ608から展開されてよいことが、当業者によって理解されるであろう。一例では、糸または他のストランドの遠位部分が、弾性バンドの一部の周りに巻回されていてよく、それにより、このストランドの近位端がユーザによって近位方向に引かれる場合に、ストランドの遠位部分が巻き戻り始め、弾性バンド680は、アダプタ608の遠位部分634に沿ってテーパ状の外面636から離れるように遠位方向に転がされる。
【0087】
例示的な実施形態は、延在部材610を移動させてクリップ602の最終的な展開を容易にするための弾性バンド680を示し、説明している。遠位端648における拡大部材646が開口部678の第2の部分684を通過可能であるように、延在部材610が互いに向かって制限され得る限り、クリップ602を最終展開に移動させるために、種々の機構のうちの任意のものが利用され得ることが、当業者によって理解されるであろう。別の実施形態では、例えば、アダプタ608の遠位で、延在部材610の周囲にスネアが展開されて、延在部材610を互いに向かって引き寄せ、それにより、遠位端648が開口部678の第2の部分の中に移動され、したがってクリップ602から除去可能であってよい。
【0088】
図27~
図29に示すように、さらに別の例示的な実施形態によるクリッピングシステムは、
図28~
図29に示すようなアダプタ708を介して内視鏡の遠位端に取り付けられるように構成された、
図27に示すようなクリップ702を備える上述のクリッピングシステムと実質的に同様であってよい。前述のクリッピングシステムと同様に、クリップ702は、クリップ702のジョー718に解放可能に結合された延在部材710を介して、挿入構成、初期展開構成、レビュー構成、および展開構成の間でアダプタ708および内視鏡に対して移動可能である。
【0089】
しかしながら、以下でさらに詳細に説明するように、この実施形態による延在部材710は、アダプタ708の一部にキー留めされ(keyed)、それにより、延在部材710がアダプタに対して遠位方向に移動されると、延在部材710の遠位部分760は、半径方向外向きに強制的に延ばされて、最終展開構成においてクリップ702を延在部材710から係合解除する。クリッピングシステム700は、以下に詳述されることを除いて、上述のクリッピングシステムと実質的に同様であり得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0090】
クリップ602と同様に、クリップ702は、
図27に示されるように、ジョー718から構成され、各ジョー718は、延在部材710のうちの対応する1つに解放可能に係合するために、それを貫通して延びる第1の部分782および第2の部分784を介して画定される開口部778を含む。しかしながら、この実施形態では、第1の部分782は、第2の部分784の半径方向内側に配置され、延在部材710の遠位端748における拡大端部746よりも小さい幅を有するようなサイズおよび形状にされている。第2の部分784は、拡大端部746がそれを通過することを可能にするようなサイズ、形状、および構成にされている。
【0091】
延在部材710は、近位端から、拡大部材746を含む遠位端748まで延在している。近位端は、クリッピングシステム100~600に関して説明したように、互いに接続され、かつ制御要素に接続されていてよく、制御要素は、クリップ702を挿入構成、初期展開構成、視認構成、および最終展開構成の間で移動させるために、そこから作動アセンブリまで近位方向に延在している。延在部材710の各々の遠位部分760は、遠位端748に向かって先細になっていてよい。延在部材710の近位部分762は、遠位部分760よりも大きい直径を有している。
【0092】
上述のクリッピングシステムと同様に、延在部材710の近位部分762は、アダプタ708の近位部分732を通って延びる対応するチャネル766内に摺動可能に受け入れられている。しかしながら、この実施形態では、アダプタ708は、チャネル766の各々の遠位端においてアダプタ708内に移動可能に受け入れられたキー特徴部780を含む。挿入、初期展開、およびレビュー構成では、キー特徴部780は、アダプタ708のチャネル766に対して第1の位置にある。キー特徴部780は、チャネル760の一部との摩擦嵌合を介して、この第1の部分内に維持される。最終展開構成では、キー特徴部780は、キー特徴部がアダプタ708の長手方向軸に対して半径方向外向きに移動される第2の位置に移動される。以下でより詳細に説明されるように、延在部材710の近位部分762のより大きい直径は、キー特徴部をこの第2の位置に向かって押す。
【0093】
挿入構成、初期展開構成、およびレビュー構成において、延在部材710の遠位部分760は、キー特徴部780に沿って摺動可能に移動され、延在部材710の遠位端748は、開口部778の第1の部分782を介して開口部778に解放可能に結合される。しかしながら、最終展開構成において延在部材710からクリップ702を解放することが所望される場合、アダプタ708は、近位部分762のより大きい直径が傾斜表面786に係合して、キー特徴部780を第1の位置から第2の位置に向かって移動させるまで、延在部材710に対して近位方向に移動させられる。傾斜面に対して押される延在部材710も、半径方向外向きに移動して、遠位端748を開口部748の第1の部分782内から開口部778の第2の部分784に移動させる。したがって、拡大端部746は開口部778を通過することが可能になり、それにより、延在部材710は、そこから除去されて、クリップ702だけが標的組織の上にクリッピングされたままになる。
【0094】
例示的な実施形態は、拡大端部746を開口部778から解放し、クリップ702を最終展開構成に残すために、遠位部分760を半径方向外向きに移動させることを具体的に説明しているが、当業者であれば、延在部材110の遠位部分760が開口部778から解放されるためにアダプタ708の長手方向軸に対して半径方向内向きに移動する必要があるように、クリッピングシステム700を修正してもよいことが理解されよう。特に、別の実施形態では、近位部分762のより大きい直径がキー特徴部780の傾斜面786に係合する場合、キー特徴部780は、半径方向内向きに移動させられ、それに対して押圧される遠位部分760も、半径方向内向きに移動させられる。開口部787の第1の部分782および第2の部分784は、対応するように構成されることが当業者によって理解されるであろう。
【0095】
図30は、アダプタ808および延在部材810の別の例示的な実施形態を示し、これは、上述のクリッピングシステムのクリップ702と組み合わせて使用されてよい。延在部材810は、上述の延在部材710と実質的に同様であってよい。しかしながら、アダプタ808の近位部分832を通って延在するチャネル866の遠位端に傾斜面を含むキー特徴部ではなく、アダプタ808のチャネル866の各々は、その中に延在部材810のうちの1つの遠位部分860を摺動可能に受け入れるためにそこを通って延在するチャネル886を有する球体880として構成されるキー特徴部を含む。
【0096】
球体888は、チャネル866のうちの対応する1つの遠位端に形成されたソケット888内に受け入れられ、それにより、球体880のチャネル886の長手方向軸が、チャネル866の長手方向軸と実質的に同軸に整列される第1の位置と、球体880のチャネル886の長手方向軸が、アダプタ808のチャネル866の長手方向軸に対して傾斜している第2の位置との間で球体888が回転可能である。ソケット88の一部は、それに沿って延在する傾斜面887を含み、それにより、球体880がそれに対して遠位方向に移動される場合に、球体880が第1の位置から第2の位置に回転する。
【0097】
挿入構成、初期展開構成、およびレビュー構成では、球体880は、アダプタ808に対して第1の位置にあり、それにより、延在部材810の遠位部分860は、球体880のチャネル886を通って摺動可能に受け入れられ、延在部材810の遠位端848は、開口部778の第1の部分782を介してクリップ702の開口部778に解放可能に結合される。しかしながら、クリップ702を最終展開構成で延在部材810から解放することが望ましい場合、アダプタ808は、延在部材810の近位部分862のより大きい直径が球880の一部に係合するまで、延在部材810に対して近位方向に移動させられ、球880をソケット888の傾斜面887に対して遠位方向に押し付けて、球880を第1の位置から第2の位置に移動させる。したがって、延在部材810の遠位部分860は、延在部材810の近位部分862に対して傾斜しており、それにより、遠位部分860は、アダプタ808の長手方向軸に対して半径方向外向きに移動される。球体880が第2の位置に向かって移動される場合、遠位端848が開口部878の第2の部分884内に移動され、それにより、拡大端部846が第2の部分884を通過してクリップ702を延在部材810から解放することができる。
【0098】
例示的な実施形態は、拡大端部846を開口部878から解放してクリップ702を最終展開構成に残すための、延在部材810の遠位部分860の半径方向外向きの動きを具体的に説明しているが、当業者であれば、延在部材810の遠位部分860が、球体880の上記とは反対方向の回転を介して、アダプタ808の長手方向軸に対して半径方向内向きに移動するように、クリッピングシステムが修正され得ることを理解するであろう。この実施形態における開口部778の第1の部分782および第2の部分784は、遠位部分860がアダプタ808の長手方向軸に対して半径方向内向きの方向に移動される場合に、そこからの延在部材810の解放を容易にするように、対応して構成されることが、当業者によって理解されるであろう。
【0099】
図31~
図32に示すように、さらに別の例示的な実施形態によるクリッピングシステムは、上述したクリッピングシステムと実質的に同様であってもよく、内視鏡の遠位端に取り付けられたアダプタ908を介して内視鏡の遠位端の上に取り付け可能であるように構成されたクリップ902を備えている。クリップ902は、クリップ902に解放可能に結合された延在部材910を介して、挿入構成、初期展開構成、レビュー構成、および最終展開構成の間でアダプタ808に対して移動可能である。
【0100】
システム100~800に関して上述したように、クリップ902は、延在部材910をアダプタ908に対して長手方向に移動させることによって、挿入構成と、初期展開構成と、レビュー構成との間で移動される。しかしながら、クリップ902は、以下でさらに詳細に説明されるように、延在部材910から解放されて、延在部材910の回転を介して最終展開構成に向かって移動される。クリッピングシステム900は、以下に説明する点を除いて、上述したクリッピングシステムと実質的に同様であることが当業者には理解されよう。
【0101】
クリップ902は、クリップ102~702と実質的に同様であってもよく、一対のジョー918を含み、各ジョー918は、延在部材910の遠位端948に解放可能に係合するために、それを貫通して延びる開口部978を含む。しかしながら、この実施形態では、開口部978は、延在部材910の遠位端948で拡大部材946にキー留めされてよい。例えば、開口部978の各々は、例えば、延在部材910の遠位端948における平坦化された拡大部材946を受け入れるようなサイズおよび形状のスロット状開口部として構成されていてよい。スロット状開口部978は、平坦化された拡大部材946がスロット状開口部978に対してロックされていない向きにある場合に、平坦化された拡大部材946がそこを通過することができるようなサイズ、形状、および構成とされている。平坦化された拡大部材946が、開口部978に対して、延在部材910の長手方向軸の周りのロック解除配向から、第1の配向とは異なるロック配向に回転される場合、拡大部材946は、スロット状開口部978を通過することができず、それにより、延在部材910の遠位端948は、そこに解放可能に結合される。
【0102】
1つの例示的な実施形態では、スロット状開口部946に対する平坦化された拡大部材946の第1の位置と第2の位置との間の回転角度は、約90度であってよい。拡大部材946が開口部978に対してロックされる向きとロックされない向きとの間で回転可能である限り、延在部材910の開口部978に対する第1の向きと第2の向きとの間の回転は、様々な角度のうちの任意のものを有し得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0103】
一実施形態では、平坦化された拡大部材946は、実質的に対称形状であってよく、スロット状開口部978のサイズおよび形状は、平坦化された拡大部材946の形状に実質的に対応し得る。しかしながら、スロット状開口部978および拡大部材946が互いにキー留めされる限り、例えば、スロット状開口部978に対する平坦化された拡大部材946の回転が、延在部材910およびクリップ902をロックされる向きとロックされない向きとの間で移動させる限り、開口部978および平坦化された拡大部材946は、様々な形状およびサイズのうちの任意のものを有していてよいことが、当業者によって理解されるであろう。
【0104】
上述のクリッピングデバイスと同様に、延在部材910の近位部分960は、アダプタ908の近位部分を通って延在するチャネル内に受け入れられ、延在部材910の遠位部分960は、アダプタ908がクリップ902に係合する場合、遠位部分の外面に沿ってそこから遠位に延在している。クリッピングシステム902は、前述のクリッピングシステムに関して実質的に上述したように、アダプタ908に対する延在部材910の長手方向移動を介して、開放挿入構成と、初期展開構成と、視認構成との間で移動されてよい。開放挿入構成、初期展開構成、およびレビュー構成において、拡大部材946は、開口部978に対してロックされた構成にある。しかしながら、クリップ902を延在部材910から解放することによってクリップ902を最終展開構成に向かって移動させることが所望される場合に、アダプタ908は、延在部材910に対して近位方向に移動され、延在部材910の近位部分960に沿って延在するキー付き特徴部980が、アダプタ908のチャネルの対応するキー付き(例えば、ねじ山付き)部分に係合し、チャネルおよび開口部978に対してロックされた構成からロックされていない構成に回転するまで、アダプタ908に対してさらに遠位に移動される。
【0105】
本開示の範囲から逸脱することなく、本開示において様々な修正が行われ得ることが当業者には明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を処置するためのクリッピングシステムであって、
挿入デバイスの遠位端の上に取り付けられるように構成された近位端から遠位端まで長手方向に延在するアダプタと、
第1のジョーおよび第2のジョーを含むクリップであって、前記第1のジョーの第1の端部は、第1のヒンジを介して前記第2のジョーの第1の端部に接続され、前記第1のジョーの第2の端部は、第2のヒンジを介して前記第2のジョーの第2の端部に接続され、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーは、挿入構成と初期展開構成との間で移動可能であり、前記挿入構成では、前記クリップは、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーが互いから離隔されてそれらの間に組織を受け入れるように、前記アダプタの上に取り付けられており、前記初期展開構成では、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーは互いに向かって引き寄せられてそれらの間に組織を把持し、前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジのうちの少なくとも1つは、前記クリップを前記初期展開構成に向かって引くように付勢されている、クリップと、
前記クリップに解放可能に結合されるとともに、前記アダプタに移動可能に接続されて、前記挿入構成から前記初期展開構成への前記アダプタに対する前記クリップの移動を可能にする第1の延在部材と
を備え、前記第1の延在部材は、該延在部材が前記クリップに結合されたままである間に、前記クリップから近位方向に前記アダプタを引き離すことを可能にして、前記システムをレビュー構成に配置するように構成され、前記レビュー構成では、前記クリップは、前記クリップの視覚的観察を容易にするために、前記アダプタから物理的に分離されており、前記第1の延在部材は、前記クリップを前記アダプタ上で近位方向に後退させるように動作可能であり、前記クリップが前記アダプタ上で後退させられるときに前記クリップが強制的に開かれて、クリッピングされている組織から前記クリップを解放し、前記クリップが所望の位置にクリッピングされていることが観察された場合に、前記第1の延在部材は、最終展開構成において前記クリップをそこから解放するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記クリップに解放可能に結合されるとともに、前記アダプタに移動可能に接続された第2の延在部材をさらに備え、前記第2の延在部材は、前記クリップが前記初期展開構成に向かって移動される間、および前記システムが前記レビュー構成に移動される間、前記クリップに結合されたままであるように構成され、前記第2の延在部材は、前記第1の延在部材と協働して、前記レビュー構成および前記初期展開構成のうちの1つから前記アダプタ上で前記クリップを近位方向に後退させ、前記最終展開構成においてそこから前記クリップを解放するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の延在部材の近位端および前記第2の延在部材の近位端は、互いに接続され、およびそこから前記システムのユーザがアクセス可能な近位端まで近位方向に延在する制御要素に接続されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記挿入構成において前記クリップが取り付け可能である前記アダプタの遠位部分は、前記第1の延在部材に沿った張力を低減させることにより、前記クリップを前記挿入構成から前記初期展開構成に向かって前記アダプタの前記遠位部分に沿って遠位方向に摺動させるように、前記アダプタの前記遠位端に向かってテーパ状である、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記アダプタの前記遠位部分は、その外面に沿った平坦部分と、前記アダプタの前記遠位部分の内面から半径方向内向きに延在する突起とを含み、前記平坦部分は、前記クリップがそれに沿って開放構成から前記初期展開構成に向かって遠位方向に移動される場合に前記クリップと前記アダプタとの間の摩擦を低減するためのものであり、前記突起は、前記クリップが前記初期展開構成から前記開放構成に向かって移動される場合に前記クリップの一部に係合するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の延在部材および第2の延在部材の各々の前記遠位端は、前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジのうちの対応する1つの一部に引っ掛けられるように構成されたループを含み、前記第1の延在部材および前記第2の延在部材の各々の前記遠位端は、前記アダプタの長手方向軸から半径方向に離れるように付勢され、前記第1の延在部材および前記第2の延在部材のループが、それぞれ前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジに引っ掛けられる場合に、前記第1の延在部材および前記第2の延在部材の前記遠位端が、係合構成に向かって拘束され、前記第1の延在部材および前記第2の延在部材の前記遠位端が前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジから係合解除される場合に、前記第1の延在部材および前記第2の延在部材の前記遠位端が、横方向外向きに弾んで、前記最終展開構成において前記クリップをそこから解放する、請求項
3に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のジョーは、前記第1の延在部材と係合するためにそこを貫通して延びる開口部を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の延在部材は、前記第1の延在部材の前記遠位端に解放可能に接続された拡大部材を含み、前記第1の延在部材は、前記拡大部材を介して前記第1のジョーの前記開口部に解放可能に結合されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記拡大部材が前記第1のジョーに対して近位方向に押圧され、前記拡大部材が前記第1の延在部材の前記遠位端から係合解除されるように、そこに及ぼされる力が所定の閾値を超えるまで、前記第1の延在部材を前記アダプタに対して近位方向に引くことによって、前記クリップが、前記レビュー構成から前記最終展開構成に移動可能である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記拡大部材に接続されるとともに、そこから近位方向に延在するストランドをさらに備え、前記拡大部材が前記第1の延在部材の前記遠位端から係合解除されるまで前記ストランドを近位方向に引っ張ることによって、前記クリップは、前記レビュー構成から前記最終展開構成に移動可能である、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の延在部材は、近位端から遠位端まで延在するコイルと、前記コイルの前記遠位端から延在し、前記第1のジョーの前記開口部を通してループ状にされたワイヤとを含み、前記第1のジョーが前記ワイヤを介して前記クリップに解放可能に結合されるように、前記ワイヤの遠位端が前記コイルの前記遠位端に解放可能に取り付けられている、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の延在部材は、解放可能な接続部を介して互いに接続された近位部分および遠位部分を含み、前記遠位部分は、前記第1のジョーを貫通して延びる前記開口部を介して前記クリップに接続されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記解放可能な接続部は、前記第1の延在部材の前記近位部分に固定して取り付けられた第1の端部と、前記第1の延在部材の前記遠位部分に解放可能に取り付けられた第2の端部とを含む保持要素を含み、前記保持要素が前記アダプタの遠位端を越えて遠位方向に移動される場合に、前記第1の延在部材の前記遠位部分がそこから解放される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
組織を処置するためのクリッピングシステムであって、
近位端から遠位端まで長手方向に延在するシャフトを含む内視鏡と、
前記内視鏡の前記シャフトの前記遠位端の上に取り付けられた近位部分、および前記近位部分から遠位方向に延在する遠位部分を含むアダプタであって、前記遠位部分は、その遠位端に向かってテーパ状である、アダプタと、
前記アダプタの前記遠位部分の上に取り付けられるように構成されたクリップであって、第1のジョーおよび第2のジョーを含み、前記第1のジョーの第1の端部は、第1のヒンジを介して前記第2のジョーの第1の端部に接続され、前記第1のジョーの第2の端部は、第2のヒンジを介して前記第2のジョーの第2の端部に接続され、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーは、挿入構成と初期展開構成との間で移動可能であり、前記挿入構成では、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーが互いから離隔されてそれらの間に組織を受け入れ、前記初期展開構成では、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーは互いに向かって引き寄せられてそれらの間に組織を把持し、前記第1のヒンジおよび前記第2のヒンジのうちの少なくとも1つは、前記クリップを前記初期展開構成に向かって引くように付勢されている、クリップと、
その遠位端で前記クリップに解放可能に結合されるとともに、前記アダプタに移動可能に接続された第1の延在部材および第2の延在部材であって、前記アダプタに対する前記第1の延在部材および前記第2の延在部材の長手方向の移動が、前記クリップを、前記挿入構成と、初期展開構成と、レビュー構成と、最終展開構成との間で移動させ、前記初期展開構成では、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーが前記アダプタのすぐ遠位で互いに向かって移動され、前記レビュー構成では、前記クリップが前記内視鏡を介して視認可能なように選択された距離だけ前記クリップが前記内視鏡の遠位端から離隔され、前記最終展開構成では、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーがそれらの間に受け入れられた組織を覆って閉じられた状態で前記クリップが延在部材から解放される、第1の延在部材および第2の延在部材と、
前記第1の延在部材の近位端および前記第2の延在部材の近位端に接続されて、そこから近位方向に延在する制御要素と
を備える、システム。
【請求項15】
前記アダプタから近位方向に延在するとともに、その中に前記制御要素を摺動可能に受け入れるように構成されたコイルと、
作動アセンブリと
をさらに備え、前記作動アセンブリは、ハンドル部材と、その上に取り付けられるとともに、それに対して長手方向に移動可能なスプールとを含み、前記ハンドル部材は、前記コイルの近位端に接続され、前記スプールは、前記制御要素の近位端に接続され、前記スプールは、前記ハンドル部材に対して移動されて、前記クリップを開放挿入構成と、前記初期展開構成と、前記レビュー構成と、前記最終展開構成との間で移動させる、請求項14に記載のシステム。
【国際調査報告】