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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】燃料電池膜加湿器
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240130BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240130BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20240130BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20240130BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240130BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04746
H01M8/0432
H01M8/04537
H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546361
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 KR2022002975
(87)【国際公開番号】W WO2022191498
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0032468
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】ホ ジュンクン
(72)【発明者】
【氏名】キム ドウ
(72)【発明者】
【氏名】アン ウンジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンジュ
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AC10
5H127BA02
5H127BB02
5H127BB34
5H127DB36
5H127DB66
5H127DC38
5H127EE17
(57)【要約】
本発明は、燃料電池スタックから排出される排ガスを中空糸膜モジュールの各部に選択的に供給され得るようにして加湿効率を向上させることができる燃料電池膜加湿器に関するものであって、
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器は、
ブロワーから供給される乾燥ガスと燃料電池スタックから流入した排ガスとが水分交換して、前記乾燥ガスを加湿する複数の中空糸膜を内部に収容する中空糸膜モジュールと、前記燃料電池スタックから排ガスを流入する第1の排ガス流入口と水分交換された排ガスを排出する第1の排ガス排出口とを備え、前記中空糸膜モジュールを内部に収容する加湿モジュールと、前記中空糸膜モジュールを中央部と周辺部とに仕切り、前記燃料電池スタックから排出された排ガスを流入するための第2の排ガス流入口と水分交換された排ガスを排出する第2の排ガス排出口とを備えるサブモジュールと、前記燃料電池スタックと前記加湿モジュールとの間に形成され、前記燃料電池スタックから排出された排ガスを、前記第1及び第2の排ガス流入口のうち、選択された少なくともいずれか1つに供給できるように自動に制御する能動型流動制御部とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロワーから供給される乾燥ガスと燃料電池スタックから流入した排ガスとが水分交換して、前記乾燥ガスを加湿する複数の中空糸膜を内部に収容する中空糸膜モジュールと、
前記燃料電池スタックから排ガスを流入する第1の排ガス流入口と水分交換された排ガスを排出する第1の排ガス排出口とを備え、前記中空糸膜モジュールを内部に収容する加湿モジュールと、
前記中空糸膜モジュールを中央部と周辺部とに仕切り、前記燃料電池スタックから排出された排ガスを流入するための第2の排ガス流入口と水分交換された排ガスを排出する第2の排ガス排出口とを備えるサブモジュールと、
前記燃料電池スタックと前記加湿モジュールとの間に形成され、前記燃料電池スタックから排出された排ガスを、前記第1及び第2の排ガス流入口のうち、選択された少なくともいずれか1つに供給できるように自動に制御する能動型流動制御部と、
を備える燃料電池膜加湿器。
【請求項2】
前記能動型流動制御部は、
熱膨張率が相違した2個以上の金属板を重ねて1つの棒状で製造されたバイメタルで形成される請求項1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項3】
前記能動型流動制御部は、
前記燃料電池スタックから排出された排ガスの温度によって、前記第1及び第2の排ガス流入口のうち、選択された少なくともいずれか1つに排ガスを供給できるように自動に制御する請求項1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項4】
前記能動型流動制御部は、
前記燃料電池スタックの出力状況に応じて、前記第1及び第2の排ガス流入口のうち、選択された少なくともいずれか1つに排ガスを供給できるように自動に制御する請求項1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項5】
前記ブロワーから流入する乾燥ガスの流動方向を変化させて、前記乾燥ガスが前記中空糸膜に均等に分配され得るようにする乱流発生部をさらに備える請求項1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項6】
前記加湿モジュールの両端と締め付けられるキャップを備え、
前記乱流発生部は、前記キャップに形成された乾燥ガス流入口の内壁に形成される請求項5に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項7】
前記乱流発生部は、
前記乾燥ガス流入口の内壁から突出形成された複数個の突起を含み、
前記複数個の突起は、ジグザグ形状で離間配置される請求項6に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項8】
前記乱流発生部は、
前記乾燥ガス流入口内での乾燥ガス流動方向と平行な方向に貫通形成された貫通ホールをさらに備える請求項6に記載の燃料電池膜加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池膜加湿器に関し、より具体的には、燃料電池スタックから排出される排ガスを中空糸膜モジュールの各部に選択的に供給され得るようにして加湿効率を向上させることができる燃料電池膜加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素を結合させて電気を生産する発電型電池である。燃料電池は、乾電池や蓄電池など、一般化学電池とは異なり、水素と酸素が供給される限り、電気を生産し続けることができ、熱損失がないので、内燃機関より効率が2倍くらい高いという長所がある。
また、水素と酸素の結合により発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するので、公害物質排出が少ない。したがって、燃料電池は、環境親和的であり、かつ、エネルギー消費増加による資源枯渇に対する心配を減らすことができるという長所がある。
このような燃料電池は、使用される電解質の種類によって、大別して、高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)、リン酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell:PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell:MCFC)、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)、及びアルカリ型燃料電池(Alkaline Fuel Cell:AFC)などに分類することができる。
これらのそれぞれの燃料電池は、元々同じ原理により作動するが、使用される燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。この中で、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は、他の燃料電池に比べて低温で動作するという点、及び出力密度が大きくて、小型化が可能であるので、小規模据え置き型発電装備だけでなく、輸送システムでも最も有望なものと知られている。
【0003】
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させるにあたり、最も重要な要因のうち1つは、膜-電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Electrolyte MembraneまたはProton Exchange Membrane:PEM)に一定量以上の水分を供給することによって含水率を維持させることである。高分子電解質膜が乾燥されれば、発電効率が急激に低下するためである。
高分子電解質膜を加湿する方法では、1)内圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラ(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な供給水分量を計算し、ソレノイドバルブを介してガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を利用してガスの流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
これらの中でも、排ガス中に含まれる水蒸気のみを選択的に透過させる膜を利用して、水蒸気を高分子電解質膜に供給される空気に提供することによって高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が加湿器を軽量化及び小型化できるという点で有利である。
膜加湿方式に使用される選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当り透過面積が大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を利用して加湿器を製造する場合、接触表面積が広い中空糸膜の高集積化が可能であって、小容量でも燃料電池の加湿が十分になされることができ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池において高温で排出される排ガス(off-gas)に含まれた水分と熱を回収し、加湿器を介して再使用できるという利点を有する。
【0004】
図1は、従来技術に係る燃料電池膜加湿器が示された図である。
図1に示されたように、従来技術の燃料電池膜加湿器10は、ブロワー(Blower、B)から供給される乾燥ガスと燃料電池スタックSから排出される湿潤空気(排ガス)との間に水分交換が起こる加湿モジュール11及び加湿モジュール11の両端に結合されたギャップ(12:12a、12b)を備える。
ギャップ12のうち1つ12aには、乾燥ガス流入口13が形成されて、ブロワーBから供給される乾燥ガスを加湿モジュール11に供給し、他の1つ12bには、乾燥ガス排出口14が形成されて、加湿モジュール11により加湿された空気を燃料電池スタックSに供給する。
加湿モジュール110は、排ガス流入口(off-gas inlet)11aaと排ガス排出口(off-gas outlet)111abとを有するミッドケース(mid-case)11a及びミッドケース11a内の複数の中空糸膜11bを備える。中空糸膜11bの束の両末端は、ポッティング部11cに固定される。ポッティング部11cは、一般的にキャスティング(casting)方式によって液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることにより形成される。
ブロワーBから供給される乾燥ガスは、中空糸膜11bの中空に沿って流れる。排ガス流入口11aaを介してミッド-ケース11a内に流入した排ガスは、中空糸膜11bの外表面と接触した後、排ガス排出口11abを介してミッド-ケース11aから排出される。排ガスが中空糸膜11bの外表面と接触するとき、排ガス内に含有されていた水分が中空糸膜11bを透過することによって中空糸膜11bの中空に沿って流れていた乾燥ガスを加湿する。
【0005】
一方、図2に示すように、図1の従来技術によれば、ブロワーBから加湿モジュール11に流入する乾燥ガスは、中空糸膜11bの中央部分(図2のH1参照)に配列された中空糸膜の内部に沿って主に流れ、燃料電池スタックSから排ガス流入口11aaを介してミッド-ケース11a内に流入した排ガスは、中空糸膜11bの周辺部(図2のH2参照)に配列された中空糸膜の外部に沿って主に流れるようになり、乾燥ガスと排ガスとの間の接触が減少されて、加湿効率が落ちるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、燃料電池スタックから排出される排ガスを中空糸膜モジュールの各部に選択的に供給され得るようにして加湿効率を向上させることができる燃料電池膜加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器は、
ブロワーから供給される乾燥ガスと燃料電池スタックから流入した排ガスとが水分交換して、前記乾燥ガスを加湿する複数の中空糸膜を内部に収容する中空糸膜モジュールと、前記燃料電池スタックから排ガスを流入する第1の排ガス流入口と水分交換された排ガスを排出する第1の排ガス排出口とを備え、前記中空糸膜モジュールを内部に収容する加湿モジュールと、前記中空糸膜モジュールを中央部と周辺部とに仕切り、前記燃料電池スタックから排出された排ガスを流入するための第2の排ガス流入口と水分交換された排ガスを排出する第2の排ガス排出口とを備えるサブモジュールと、前記燃料電池スタックと前記加湿モジュールとの間に形成され、前記燃料電池スタックから排出された排ガスを、前記第1及び第2の排ガス流入口のうち、選択された少なくともいずれか1つに供給できるように自動に制御する能動型流動制御部とを備える。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記能動型流動制御部は、熱膨張率が相違した2個以上の金属板を重ねて1つの棒状で製造されたバイメタルで形成されることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記能動型流動制御部は、前記燃料電池スタックから排出された排ガスの温度によって、前記第1及び第2の排ガス流入口のうち、選択された少なくともいずれか1つに排ガスを供給できるように自動に制御することができる。
【0008】
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記能動型流動制御部は、前記燃料電池スタックの出力状況に応じて、前記第1及び第2の排ガス流入口のうち、選択された少なくともいずれか1つに排ガスを供給できるように自動に制御することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記ブロワーから流入する乾燥ガスの流動方向を変化させて、前記乾燥ガスが前記中空糸膜に均等に分配され得るようにする乱流発生部をさらに備えることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記加湿モジュールの両端と締め付けられるキャップを備え、前記乱流発生部は、前記キャップに形成された乾燥ガス流入口の内壁に形成されることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記乱流発生部は、前記乾燥ガス流入口の内壁から突出形成された複数個の突起を含み、前記複数個の突起は、ジグザグ形状で離間配置されることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記乱流発生部は、
前記乾燥ガス流入口内での乾燥ガス流動方向と平行な方向に貫通形成された貫通ホールをさらに備えることができる。
その他、本発明の様々な側面による実現例の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、燃料電池スタックから排出される排ガスを中空糸膜モジュールの各部に選択的に供給され得るようにして加湿効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来技術に係る燃料電池膜加湿器が示された断面図である。
図2】従来技術に係る燃料電池膜加湿器の問題点を説明するための断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器の能動型流動制御部が示された図である。
図5図4の能動型流動制御部の動作状態が示された図である。
図6図4の能動型流動制御部の動作状態が示された図である。
図7】本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器の動作状態が示された断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器の動作状態が示された断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器の動作状態が示された断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器の一構成である乱流発生部が拡大図示された図である。
図11図10の乱流発生部の動作状態が示された図である。
図12】乱流発生部の応用例が拡大図示された図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、様々な変換を加えることができ、種々の実施形態を有することができるところ、特定実施形態を例示し、詳細な説明に詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むことと理解されなければならない。
本発明において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきであろう。以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器を説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された斜視図である。図3に示されたように、本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器は、ブロワーBから供給される乾燥ガスを燃料電池スタックSから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュール110を備える。加湿モジュール110の両末端の各々は、キャップ(120:120a、120b)と結合される。加湿モジュール110とキャップ120とは、分離形成されることができ、一体型に形成されることもできる。
ギャップ120のうち1つ120aには、乾燥ガス流入口130が形成されて、ブロワーBから供給される乾燥ガスを加湿モジュール110に供給し、他の1つ120bには、乾燥ガス排出口140が形成されて、加湿モジュール110により加湿された空気を燃料電池スタックSに供給する。
【0012】
加湿モジュール110は、ブロワーBから供給される乾燥ガスと排ガスとの間の水分交換が起こる装置であって、第1の排ガス流入口(off-gas inlet)111aと第2の排ガス排出口(off-gas outlet)111bとを有するミッド-ケース(mid-case)111及びミッド-ケース111内に設けられ、複数個の中空糸膜Fが収容された中空糸膜モジュール150を備える。中空糸膜Fの両末端は、ポッティング部(図示せず)に固定される。
中空糸膜モジュール150には、複数の排ガス流入ホール151が貫通形成され、内部に含まれている複数の中空糸膜Fは、サブモジュール160により中央部H1と周辺部H2とに分離され、及び仕切られる。排ガス流入ホール151は、加湿モジュール110内に供給された排ガスを中空糸膜モジュール150内側に導いて流入させる。
中空糸膜モジュール150は、サブモジュール160により中央部H1と周辺部H2とに仕切られることができる。サブモジュール160は、中空型パイプ状で形成されることができる。サブモジュール160は、中空糸膜モジュール150内に同軸構造で形成されることができる。サブモジュール160の一側には、燃料電池スタックSから排出された排ガスを流入するための第2の排ガス流入口112aが形成され、他側には、中空糸膜F内部に水分を供給した排ガスを排出するための第2の排ガス排出口112bが貫通形成される。第2の排ガス流入口112aと第2の排ガス排出口112bとは、ミッド-ケース111及び中空糸膜モジュール150を貫通して形成される。
【0013】
加湿モジュール110の第1の排ガス流入口111aに供給された排ガスは、排ガス流入ホール151を介して中空糸膜モジュール150内部に流入して、中空糸膜モジュール150の周辺部H2に配置された中空糸膜にのみ供給される。
第2の排ガス流入口112aは、燃料電池スタックSから排出された排ガスをサブモジュール160内側に、すなわち、中空糸膜モジュール150の中央部H1に供給し、第2の排ガス排出口112bは、中空糸膜モジュール150の中央部H1で中空糸膜内の乾燥ガスと水分交換した排ガスを外部に排出する。第2の排ガス流入口112aに供給された排ガスは、中空糸膜モジュール150の中央部H1に配置された中空糸膜にのみ供給される。
ミッド-ケース111とキャップ(120:120a、120b)とは、各々独立的に硬質プラスチックや金属で形成されることができ、円形または多角形の幅方向断面を有することができる。円形は、楕円形を含み、多角形は、丸い角(rounded corner)を有する多角形を含む。例えば、硬質プラスチックは、ポリカーボネート、ポリアミド(PA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリプロピレン(PP)などであることができる。
中空糸膜Fは、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、またはこれらのうち、少なくとも2つ以上の混合物で形成された高分子膜を含むことができ、ポッティング部113は、ディップポッティング、遠心ポッティングなどのキャスティング方式によって液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を硬化させることにより形成されることができる。
ブロワーBから供給される乾燥ガスは、中空糸膜Fの中空に沿って流れる。第1及び第2の排ガス流入口111a、112aを介して中空糸膜モジュール150内に流入した排ガスは、中空糸膜Fの外表面と接触した後、第1及び第2の排ガス排出口111b、112bを介して外部に排出される。排ガスが中空糸膜Fの外表面と接触するとき、排ガス内に含有されていた水分が中空糸膜Fを透過することによって中空糸膜Fの中空に沿って流れていた乾燥ガスを加湿する。
【0014】
燃料電池スタックSと加湿モジュール110との間には、能動型流動制御部200が形成される。能動型流動制御部200は、燃料電池スタックSから排出された排ガスの温度によって、第1及び第2の排ガス流入口111a、112aのうち、選択された少なくともいずれか1つに排ガスを供給できるようにする。能動型流動制御部200は、燃料電池スタックSから排出されて加湿モジュール110に流入する排ガスの流動方向を制御して、中空糸膜モジュール150の活用領域を増大し、燃料電池スタックSの出力状況に応じて能動的に加湿量が調整され得るようにする。これについて、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器の能動型流動制御部が示された図であり、図5及び図6は、図4の能動型流動制御部の動作状態が示された図である。
図4に示されたように、能動型流動制御部200は、燃料電池スタックSと第1及び第2の排ガス流入口111a、112aとの間に形成される。燃料電池スタックSと能動型流動制御部200とは、排出流路L0に連結され、能動型流動制御部200と第1の排ガス流入口111aとは、第1の流路L1に連結され、能動型流動制御部200と第2の排ガス流入口112aとは、第2の流路L2に連結される。
燃料電池スタックSから排出流路L0を介して流動する排ガスは、排出流路L0の端部に形成された能動型流動制御部200で流動方向を制御されて、第1の流路L1及び第2の流路L2のうち、少なくとも一部を介して第1及び第2の排ガス流入口111a、112aに流れる。
能動型流動制御部200は、燃料電池スタックの出力状態によって第1の排ガス流入口111aと第2の排ガス流入口112aとに流入する排ガスの流動方向を調整する。能動型流動制御部200は、燃料電池スタックの高出力または低出力による排ガスの温度変化によって能動的に排ガスの流動方向を調整する。
【0015】
このために、能動型流動制御部200は、熱膨張率が相違した2個以上の金属板を重ねて1つの棒状で製造されたバイメタルで形成されることができる。
燃料電池スタックSの出力が低出力である場合、加湿モジュール110での加湿量は、相対的に少なく、燃料電池スタックSの出力が高出力である場合、加湿モジュール110での加湿量は、相対的に多くなる。
また、燃料電池スタックSの出力が低出力である場合、燃料電池スタックSから加湿モジュール110に供給される排ガスは、相対的に低温であり、燃料電池スタックSの出力が高出力である場合、燃料電池スタックSから加湿モジュール110に供給される排ガスは、相対的に高温である。通常、低出力時の排ガス温度と高出力時の排ガス温度とは、略30゜Cくらいの差が出る。したがって、燃料電池スタックSの出力によって排ガスの温度に差が出て、排ガスの温度によってバイメタルを含む能動型流動制御部200は、いずれか1つの方向に曲がって流路の開度を調整できる。
能動型流動制御部200は、バイメタルを利用して第1の流路L1及び第2の流路L2の開度を自動に調整し、低出力である場合、加湿モジュール110での加湿量が少ないようにし、高出力である場合、加湿モジュール110での加湿量が多くなるようにする。
一方、加湿量は、中央部H1に収容された中空糸膜Fの数N1、周辺部H2に収容された中空糸膜Fの数N2により決定されることができる。例えば、N1がN2より大きいとすれば、能動型流動制御部200は、高出力時には、中央部H1に排ガスが供給されるようにバイメタルが変形され得るし、低出力時には、周辺部H2に排ガスが供給されるようにバイメタルが変形され得る。すなわち、能動型流動制御部200は、高出力時には、図6のように第2の排ガス流入口112aに排ガスが供給されるようにバイメタルが変形され得るし、低出力時には、図5のように第1の排ガス流入口111aに排ガスが供給されるようにバイメタルが変形され得る。この場合、能動型流動制御部200は、第1の排ガス流入口111a側の金属板(210、第1の流路側金属板)は、熱膨張率が小さい金属であり、第2の排ガス流入口112a側の金属板(220、第2の流路側金属板)は、熱膨張率が大きい金属で構成されることができる。
【0016】
このような能動型流動制御部200は、排ガス流動方向制御のためのバルブや排ガスの流量をセンシングするためのセンサ、そして、バルブの動作を制御するための制御部を備えなくとも、燃料電池スタックの出力状態によって能動的に排ガスが第1の排ガス流入口111aと第2の排ガス流入口112aとに均等に流れるようにするか、または第1の排ガス流入口111aと第2の排ガス流入口112aのうち、いずれか一方に多く流れるようにするか、または第1の排ガス流入口111aと第2の排ガス流入口112aのうち、いずれか一方には流れないように調整して流量を調整することもできる。
能動型流動制御部200の流動制御により燃料電池スタックSから排出された排ガスは、図7のように中空糸膜モジュール150の周辺部H2にのみ供給されて流れるか、または図8のように中空糸膜モジュール150の中央部H1にのみ供給されて流れるか、または図9のように中空糸膜モジュール150の中央部H1及び周辺部H2に同時に供給されて流れることができ、このような能動型流動制御部200の作動によって中空糸膜モジュール150の活用領域を変更調整でき、これにより、膜加湿器の加湿効率を向上させることができる。
また、能動型流動制御部200の作動によって中空糸膜モジュール150の活用領域を変更調整することで、燃料電池スタックSの状態によって加湿量を変更調整することができる。
このような本発明の実施形態によれば、燃料電池スタックの状態によってスタックに供給される乾燥ガスの加湿程度を調整し、スタックの運転条件による適切な空気加湿が可能となる。
【0017】
一方、図1及び図2に示されたような従来技術の燃料電池膜加湿器において、ブロワーBから加湿モジュール11に流入する乾燥ガスは、中空糸膜11bの中央部分(図2のH1参照)に配列された中空糸膜の内部に沿って主に流れるようになる。したがって、能動型流動制御部200が燃料電池スタックSの出力状態によって第1の排ガス流入口111aと第2の排ガス流入口112aとに流入する排ガスの流動方向を調整しても、乾燥ガスを均等に分配できなければ、効果的に乾燥ガスの加湿程度を調整できなくなる。
これにより、本発明では、図10に示されたように、乾燥ガス流入口130側に、乾燥ガスが中空糸膜Fに均等に分配され得るようにする乱流発生部131をさらに備えることができる。
乱流発生部131は、乾燥ガス流入口130の内壁に形成されて、乾燥ガスの流動方向を変化させて乾燥ガスが中空糸膜Fに均等に分配されるようにする。乾燥ガス流入口130は、ブロワーBと連結形成されるキャップ120aの一部であるか、またはブロワーBとキャップ120aとを連結する別の配管であることができる。
【0018】
乱流発生部131は、乾燥ガス流入口130の内壁に形成されることができる。乱流発生部131は、乾燥ガス流入口130の内壁から突出形成された複数個の突起で形成されることができる。複数個の突起は、ジグザグ形状で離間配置されることができる。図面において突起の形状は、球形であることと例示されているが、特に限定されない。または、乾燥ガス流入口130の内壁に固定溝(図示せず)が形成され、乱流発生部131は、球体または突起形状で形成されて固定溝(図示せず)に挿入固定されることができる。
図11は、図10の乱流発生部131による乾燥ガス流動状態が示された図である。
ブロワーBから乾燥ガス流入口130に流入する乾燥ガスの一部は、乾燥ガス流入口130の内壁に形成された球体または突起形状の乱流発生部131に衝突し、その流動方向が変わりながら周辺の乾燥ガスの流動方向に影響を与えて、全体的に乱流が形成されるようにする。乱流発生部131により乱流化された乾燥ガスは、乾燥ガス流入口130の端部から拡散されながら乾燥ガス流入口130近傍に配置された中空糸膜だけでなく、乾燥ガス流入口130と遠く配置された中空糸膜にも流入する。その結果、乾燥ガス流入口130に流入する乾燥ガスのほとんどは、加湿モジュール110内の中空糸膜Fに均等に分配されることができる。
一方、乱流発生部131は、中空糸膜Fに乾燥ガスが均等に分配され得るようにすることができるが、それと同時に、乾燥ガスが乱流発生部131に衝突することによる乾燥ガスの圧力損失を発生させる。このため、乾燥ガスの流動速度が低下されて加湿効率が低下しうる。
このような圧力損失による加湿効率の低下を減少させるために、図12に示されたように、乱流発生部131にさらに貫通ホール131aを形成できる。貫通ホール131aは、乱流発生部131の少なくとも一部を貫通して形成される。貫通ホール131aは、乾燥ガス流入口130内での乾燥ガス流動方向と平行な方向に形成されることができる。
【0019】
これによれば、乾燥ガス流入口130に流入する乾燥ガスの一部は、乱流発生部131に衝突し、その流動方向が変わるようになるが、残りの一部は、貫通ホール131aを介して直進するようになる。流動方向が変わった乾燥ガスは、乱流形成に寄与し、貫通ホール131aを介して直進した一部の乾燥ガスは、圧力損失なしにそのまま流れるようになる。
したがって、全体的に乾燥ガスは、乱流(直進性を喪失した乾燥ガス流れ)と直流(直進性を維持した乾燥ガス流れ)とが混合されて、中空糸膜Fに乾燥ガスが相対的に均等に分配され、かつ、乾燥ガスの圧力損失を減らすことができるようになる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、または追加などによって本発明を様々に修正及び変更させ得るであろうし、これも本発明の権利範囲内に含まれるといえるであろう。
【符号の説明】
【0020】
110:加湿モジュール 120a、120b:キャップ
111a:第1の排ガス流入口 111b:第1の排ガス排出口
112a:第2の排ガス流入口 112b:第2の排ガス排出口
130:乾燥ガス流入口 131:乱流発生部
140:乾燥ガス排出口 150:中空糸膜モジュール
160:サブモジュール 200:能動型流動制御部
H1:中央部 H2:周辺部
F:中空糸膜 B:ブロワー
S:燃料電池スタック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】