(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】がん、腫瘍および腫瘍細胞の局所および全身処置のための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20240130BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240130BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20240130BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240130BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240130BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240130BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20240130BHJP
A61K 31/695 20060101ALN20240130BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
A61K47/68
A61P35/00
A61K41/00
A61K39/395 L
A61K45/00
A61K39/395 U
C07K16/28 ZNA
C09B67/20 G
A61K31/695
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546430
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 US2022014804
(87)【国際公開番号】W WO2022182483
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518055877
【氏名又は名称】ラクテン・メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】スースロフ ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア-グズマン ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】フォン ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】ホーイ ロバート ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブイ ジャック
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA11
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C084ZC752
4C085AA14
4C085AA15
4C085AA21
4C085BB01
4C085BB36
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA44
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4H045AA10
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
がん、例えば、第1の腫瘍、原発腫瘍、転移性腫瘍細胞、および/または侵襲性腫瘍細胞を含むがんを有する対象を処置することに関する、コンジュゲート、組成物、方法および使用を提供する。該方法は、IR700などのフタロシアニン色素とコンジュゲートされた、IL-2シグナル伝達を実質的に遮断も妨害もせずにインターロイキン-2受容体アルファ鎖(CD25)に結合するターゲティング分子を、対象に投与する工程と、それに続いて、フタロシアニン色素を活性化するための光の波長を、第1の腫瘍または原発腫瘍に照射する工程とを含む。本明細書に記載される方法および使用は、第1の腫瘍、原発腫瘍、転移性腫瘍細胞、および/または侵襲性腫瘍細胞を含む腫瘍および腫瘍細胞の成長の低減および排除を提供する。また、がん、腫瘍または病変を有する対象における腫瘍成長に対する全身性免疫を増強させるための方法および使用も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL-2シグナル伝達を実質的に遮断も妨害もせずにCD25に特異的に結合する抗体または抗原結合断片と、Si-フタロシアニン色素とを含み、
600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmまでの波長での照射によって活性化されて細胞死滅を引き起こす、
コンジュゲート。
【請求項2】
活性化されたコンジュゲートが、IL-2シグナル伝達を実質的に遮断も妨害もしない、請求項1記載のコンジュゲート。
【請求項3】
Si-フタロシアニン色素がIR700である、請求項1または2記載のコンジュゲート。
【請求項4】
Si-フタロシアニン色素が、式(I):
の構造を有するか、またはその塩、立体異性体、もしくは互変異性体である、請求項1または2記載のコンジュゲート。
【請求項5】
活性化されたコンジュゲートが、非コンジュゲート型抗体よりも高いレベル、活性または効力で腫瘍の阻害または死滅を引き起こす、請求項1~4のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項6】
抗体または抗原結合断片が、重鎖可変(V
H)領域および軽鎖可変(V
L)領域を含み、ここで、
該V
H領域が、SEQ ID NO:1に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有される重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)および重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:2に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有される軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)および軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:3に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:4に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:5に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:6に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:7に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:8に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:9に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:11に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:9に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:12に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:10に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:11に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:10に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:12に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:16に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:17に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:18に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:19に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:16に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:17に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:18に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:19に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:16に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:17に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:18に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;または
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:19に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む、
請求項1~5のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項7】
抗体または抗原結合断片が、重鎖可変(V
H)領域および軽鎖可変(V
L)領域を含み、ここで、
該V
H領域が、SEQ ID NO:20に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1);SEQ ID NO:21に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、およびSEQ ID NO:22に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1);SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、およびSEQ ID NO:25に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:26に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;SEQ ID NO:27に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2、およびSEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:29に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、およびSEQ ID NO:30に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:31に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2、およびSEQ ID NO:33に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:34に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;SEQ ID NO:35に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、およびSEQ ID NO:36に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む;または
該V
H領域が、SEQ ID NO:37に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;SEQ ID NO:38に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2、およびSEQ ID NO:39に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:40に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;SEQ ID NO:41に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、およびSEQ ID NO:42に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、
請求項1~6のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項8】
抗体または抗原結合断片が、重鎖可変(V
H)領域および軽鎖可変(V
L)領域を含み、ここで、
該V
H領域が、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:7に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:9に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:11に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:9に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:10に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:11に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:10に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:16に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:18に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:16に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:18に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:16に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:18に示されるアミノ酸配列を含む;または
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1~7のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項9】
抗体または抗原結合断片が、MA251、7G7B6またはその抗原結合部分を含む、請求項1~8のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項10】
1つまたは複数のFc媒介エフェクター機能を示す、請求項1~9のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項11】
Fc媒介エフェクター機能を欠く、
実質的に低減されたFc媒介エフェクター機能を示す、または
実質的なFc媒介エフェクター機能を示さない、
請求項1~9のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項12】
活性化されたコンジュゲートが、実質的なFc媒介エフェクター機能の非存在下で細胞を死滅させることが可能である、請求項11記載のコンジュゲート。
【請求項13】
Fc媒介エフェクター機能が、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)または補体依存性細胞傷害(CDC)の1つまたは複数より選択される、請求項10~12のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項14】
活性化された場合に、細胞死滅を引き起こすための少なくとも2つの作用様式を有する、請求項1~13のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項15】
少なくとも2つの作用様式の1つがADCC非依存性である、請求項14記載のコンジュゲート。
【請求項16】
活性化されたコンジュゲートが、非コンジュゲート型抗体に存在しない細胞死滅または腫瘍阻害の少なくとも1つの様式を示す、請求項1~15のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項17】
IgG1 Fc領域もしくはIgG1アイソタイプ、IgG2 Fc領域もしくはIgG2アイソタイプ、IgG3 Fc領域もしくはIgG3アイソタイプ、またはIgG4 Fc領域もしくはIgG4アイソタイプを含む、請求項1~16のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項18】
抗体または抗体結合断片が、IgG1 Fc領域またはIgG1アイソタイプを含む、請求項1~17のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項19】
IgG1 Fc領域が、増強された抗体依存性細胞傷害(ADCC)エフェクター機能を示さない、請求項18記載のコンジュゲート。
【請求項20】
抗体または抗体結合断片が、IgG2 Fc領域またはIgG2アイソタイプを含む、請求項1~17のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項21】
IgG2 Fc領域が、ADCCエフェクター機能を低減または抑止する置換を含む、請求項20記載のコンジュゲート。
【請求項22】
置換が、EU番号付けによる297に対応する位置でのFc領域中のアスパラギンからグルタミンへの置換(N297Q)である、請求項21記載のコンジュゲート。
【請求項23】
抗体または抗原結合断片が、ヒト抗体もしくはヒト抗原結合断片、キメラ抗体もしくはキメラ抗原結合断片、またはヒト化抗体もしくはヒト化抗原結合断片である、請求項1~22のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項24】
抗体または抗原結合断片が、ヒト免疫グロブリンのFc領域および/またはヒト抗体フレームワーク領域を含む、請求項1~23のいずれか一項記載のコンジュゲート。
【請求項25】
(a)対象に請求項1~24のいずれか一項記載のコンジュゲートを投与する工程、および
(b)対象内の標的部位に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmまでの波長で、かつ、25J/cm
2もしくは約25J/cm
2から、400J/cm
2もしくは約400J/cm
2まで、または、2J/ファイバ長cmもしくは約2J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射し、それによりコンジュゲートを活性化する工程
を含む、対象における腫瘍または病変を処置する方法であって、
それによって該腫瘍または病変の成長、体積または寸法が低減または阻害される、
前記方法。
【請求項26】
(a)IL-2シグナル伝達を実質的に遮断も妨害もせずにCD25に特異的に結合する抗体または抗原結合断片とSi-フタロシアニン色素とを含むコンジュゲートを、対象に投与する工程、
(b)対象内の標的部位に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmまでの波長で、かつ、25J/cm
2もしくは約25J/cm
2から、400J/cm
2もしくは約400J/cm
2まで、または、2J/ファイバ長cmもしくは約2J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射し、それによりコンジュゲートを活性化する工程
を含む、対象における腫瘍または病変を処置する方法であって、
それによって該腫瘍または病変の成長、体積または寸法が低減または阻害される、
前記方法。
【請求項27】
処置される腫瘍もしくは病変、または処置される腫瘍もしくは病変の腫瘍微小環境(TME)が、低減されたレベルの免疫エフェクター細胞を含有する、請求項25または26記載の方法。
【請求項28】
Si-フタロシアニン色素がIR700であり、照射が690nm±20nmの波長で実施される、請求項26または27記載の方法。
【請求項29】
Si-フタロシアニン色素が、式(I)
、またはその塩、立体異性体、もしくは互変異性体を含み、照射が、660nm±50nmの波長で実施される、請求項26または27記載の方法。
【請求項30】
免疫エフェクター細胞が、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、および好酸球の1つまたは複数より選択される、請求項27~29のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
コンジュゲートを投与した後、標的部位が約24±4時間以内に照射される、請求項25~30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
標的部位が、50mW/cm
2または約50mW/cm
2から、200mW/cm
2または約200mW/cm
2までの光学的パワーで照射される、請求項25~31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
標的部位が、100mW/ファイバ長cmまたは約100mW/ファイバ長cmから、500mW/ファイバ長cmまたは約500mW/ファイバ長cmまでの光学的パワーで照射される、請求項25~31のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
標的部位が、120秒または約120秒から、600秒または約600秒までのあいだ照射される、請求項25~33のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
腫瘍または病変が、免疫チェックポイント阻害剤療法に抵抗性または非応答性である、請求項25~34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
腫瘍または病変が、非コンジュゲート型抗体に対して低減された応答を有するまたは非応答性である、請求項25~34のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
コンジュゲートが、1つまたは複数のFc媒介エフェクター機能を示す、請求項26~36のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
コンジュゲートが、Fc媒介エフェクター機能を欠く、実質的に低減されたFc媒介エフェクター機能を示す、または実質的なFc媒介エフェクター機能を示さない、請求項26~36のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
活性化されたコンジュゲートが、実質的なFc媒介エフェクター機能の非存在下で細胞を死滅させることが可能である、請求項38記載の方法。
【請求項40】
Fc媒介エフェクター機能が、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)または補体依存性細胞傷害(CDC)の1つまたは複数より選択される、請求項37~39のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
コンジュゲートが、IgG1 Fc領域もしくはIgG1アイソタイプ、IgG2 Fc領域もしくはIgG2アイソタイプ、IgG3 Fc領域もしくはIgG3アイソタイプ、またはIgG4 Fc領域もしくはIgG4アイソタイプを含む、請求項26~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
抗体または抗体結合断片が、IgG1 Fc領域またはIgG1アイソタイプを含む、請求項26~41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
IgG1 Fc領域が、ADCCエフェクター機能に関して増強されていない、請求項42記載の方法。
【請求項44】
抗体または抗体結合断片が、IgG2 Fc領域またはIgG2アイソタイプを含む、請求項26~43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
IgG2 Fc領域が、ADCCエフェクター機能を低減または抑止する置換を含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
置換が、EU番号付けによる297に対応する位置でのFc領域中のアスパラギンからグルタミンへの置換(N297Q)である、請求項45記載の方法。
【請求項47】
コンジュゲートの投与後に免疫チェックポイント阻害剤療法を投与する工程をさらに含む、請求項25~46のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
免疫チェックポイント阻害剤療法が、コンジュゲートの投与の1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、1週間、2週間または3週間後に投与される、請求項47記載の方法。
【請求項49】
免疫チェックポイント阻害剤療法が、照射の1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、1週間、2週間または3週間後に投与される、請求項47または48記載の方法。
【請求項50】
免疫チェックポイント阻害剤療法が、コンジュゲートの投与後に1回よりも多く投与される、請求項47~49のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
免疫チェックポイント阻害剤療法が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤またはCTLA-4阻害剤を含む、請求項47~50のいずれか一項記載の方法。
【請求項52】
PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、セミプリマブ(LIBTAYO)、トリパリマブ(JS001)、HX008、SG001、GLS-010、ドスタルリマブ(TSR-042)、チスレリズマブ(BGB-A317)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、ピジリズマブ(CT-011)、ゲノリムズマブ(APL-501、GB226)、BCD-100、セミプリマブ(REGN2810)、F520、シンチリマブ(IBI308)、CS1003、LZM009、カムレリズマブ(SHR-1210)、SCT-I10A、MGA012、AK105、PF-06801591、AMP-224、AB122、AMG 404、BI 754091、HLX10、JTX-4014、AMP-514(MEDI0680)、Sym021、MGD019、MGD013、AK104、XmAb20717、RO7121661、CX-188、スパルタリズマブ、BCD-217、HX009、IBI308、PDR001、REGN2810、TSR-042(ANB011)、またはその抗原結合断片もしくはそれらの任意の組み合わせより選択される抗PD-1抗体である、請求項51記載の方法。
【請求項53】
腫瘍もしくは病変中、または腫瘍微小環境中の制御性T細胞(Treg)集団が、前記方法の結果として低減される、請求項25~52のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
低減または阻害が、腫瘍体積もしくは腫瘍寸法の20%未満の増加、または腫瘍体積、腫瘍寸法もしくは腫瘍質量の低減、または腫瘍細胞数の低減の1つまたは複数を含む、請求項25~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
CD25に特異的に結合しかつIL-2シグナル伝達を実質的に遮断または妨害する抗体または抗原結合断片を含むコンジュゲートを用いる方法と比較して、腫瘍または病変の成長、体積または寸法が、より大きな程度、阻害または低減される、請求項25~54のいずれか一項記載の方法。
【請求項56】
対象の生存を向上させる、請求項25~55のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
対象が、第2の腫瘍または腫瘍細胞の二次的集団を含み、該第2の腫瘍または腫瘍細胞の二次的集団の成長、体積または寸法が、前記方法の結果として低減または阻害される、請求項25~56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
第2の腫瘍または腫瘍細胞の二次的集団が、照射されたことがない、請求項57記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月2日に出願された「がん、腫瘍および腫瘍細胞の局所および全身処置のための方法(METHODS FOR LOCAL AND SYSTEMIC TREATMENT OF CANCERS, TUMORS AND TUMOR CELLS)」という名称の米国仮特許出願第63/144,931号の優先権を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が組み入れられる。
【0002】
配列表の参照による組み入れ
本出願は、電子形式の配列表と共に出願される。配列表は、2022年1月31日に作成された、38.2キロバイトサイズの名称751702002240SeqList.txtのファイルとして提供される。配列表の電子形式の情報は、参照によりその全体が組み入れられる。
【0003】
分野
本開示は、がん、例えば、第1の腫瘍、原発腫瘍、転移性腫瘍細胞、および/または侵襲性腫瘍細胞を含むがんを有する対象を処置することに関する、コンジュゲート、組成物、方法および使用に関する。該方法は、対象に、IL-2シグナル伝達を実質的に遮断も妨害もせずにインターロイキン-2受容体アルファ鎖(CD25)に結合するターゲティング分子を投与する工程であって、ターゲティング分子がIR700などのフタロシアニン色素とコンジュゲートされている工程と、それに続いて第1の腫瘍または原発腫瘍にフタロシアニン色素を活性化するための光の波長を照射する工程とを含む。本明細書に記載される方法および使用は、第1の腫瘍、原発腫瘍、転移性腫瘍細胞、および/または侵襲性腫瘍細胞を包含する腫瘍および腫瘍細胞の成長の低減および排除を提供する。また、がん、腫瘍または病変を有する対象における腫瘍成長に対する全身性免疫を増強させるための方法および使用も提供される。
【背景技術】
【0004】
背景
がん転移は、がん関連死の主原因である。ある特定のタイプのがんに関していくつかの利用可能な処置があるにもかかわらず、原発腫瘍と転移性腫瘍の両方を伴うがんを包含するがんを効果的に処置するため、依然として治療戦略が緊急に必要とされている。特に、転移がんを処置することは、依然として大きな臨床的課題である。
【発明の概要】
【0005】
概要
がんを処置するための組成物、組み合わせ、方法および使用が、本明細書に提供される。任意の態様のいくつかでは、IL-2シグナル伝達を実質的に遮断も妨害もせずにCD25に特異的に結合する抗体または抗原結合断片と、Si-フタロシアニン色素とを含むコンジュゲートが、本明細書に提供される。任意の態様のいくつかでは、コンジュゲートは、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmまでの波長での照射によって活性化されて、細胞死滅を引き起こす。任意の態様のいくつかでは、活性化されたコンジュゲートは、IL-2シグナル伝達を実質的に遮断も妨害もしない。任意の態様のいくつかでは、Si-フタロシアニン色素はIR700である。任意の態様のいくつかでは、Si-フタロシアニン色素は、式(I):
の構造、またはその塩、立体異性体、もしくは互変異性体を有する。
【0006】
任意の態様のいくつかでは、活性化されたコンジュゲートは、非コンジュゲート型抗体よりも高いレベル、活性または効力で腫瘍の阻害または死滅を引き起こす。
【0007】
IL-2シグナル伝達を実質的に遮断も妨害もせずにCD25に特異的に結合する抗体または抗原結合断片とSi-フタロシアニン色素とを含むコンジュゲートが本明細書に提供され、その際、コンジュゲートは、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmまでの波長での照射によって活性化されて、細胞死滅を引き起こす。
【0008】
任意の態様のいくつかでは、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:1に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有される重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)および重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み、VL領域は、SEQ ID NO:2に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有される軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)および軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:3に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:4に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:5に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:6に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。
【0009】
任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:7に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:8に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:9に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:11に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:9に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:12に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:10に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:11に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:10に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:12に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:13に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:16に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:13に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:17に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。
【0010】
任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:13に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:18に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:13に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:19に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:14に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:16に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:14に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:17に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:14に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:18に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:14に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:19に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。
【0011】
任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:15に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:16に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:15に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:17に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:15に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:18に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:15に示されるVH領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:19に示されるVL領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。
【0012】
任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:20に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、SEQ ID NO:21に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、およびSEQ ID NO:22に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み、VL領域は、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、およびSEQ ID NO:25に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む。
【0013】
任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:26に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1、SEQ ID NO:27に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2、およびSEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:29に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1、SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、およびSEQ ID NO:30に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0014】
任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:31に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1、SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2、およびSEQ ID NO:33に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:34に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1、SEQ ID NO:35に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、およびSEQ ID NO:36に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:37に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1、SEQ ID NO:38に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2、およびSEQ ID NO:39に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、VL領域は、SEQ ID NO:40に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1、SEQ ID NO:41に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、およびSEQ ID NO:42に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0015】
任意の態様のいくつかでは、コンジュゲートは、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含む抗体または抗原結合断片を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:7に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:9に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:11に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:9に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:10に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:11に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:10に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:16に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:18に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:16に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:18に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:16に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:18に示されるアミノ酸配列を含む。任意の態様のいくつかでは、VH領域は、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列を含む。
【0016】
任意の態様のいくつかでは、抗体または抗原結合断片は、MA251、7G7B6またはその抗原結合部分を含む。任意の態様のいくつかでは、抗体または抗原結合断片は、ヒト抗体もしくはヒト抗原結合断片、キメラ抗体もしくはキメラ抗原結合断片、またはヒト化抗体もしくはヒト化抗原結合断片である。任意の態様のいくつかでは、コンジュゲートは、IgG1 Fc領域もしくはIgG1アイソタイプ、IgG2 Fc領域もしくはIgG2アイソタイプ、IgG3 Fc領域もしくはIgG3アイソタイプ、またはIgG4 Fc領域もしくはIgG4アイソタイプを含む。
【0017】
任意の態様のいくつかでは、抗体または抗体結合断片は、IgG1 Fc領域またはIgG1アイソタイプを含む。任意の態様のいくつかでは、IgG1 Fc領域は、増強された抗体依存性細胞傷害(ADCC)エフェクター機能を示さない。
【0018】
任意の態様のいくつかでは、抗体または抗体結合断片は、IgG2 Fc領域またはIgG2アイソタイプを含む。任意の態様のいくつかでは、IgG2 Fc領域は、ADCCエフェクター機能を低減または抑止する置換を含む。任意の態様のいくつかでは、置換は、EU番号付けによる297に対応する位置でのFc領域中のアスパラギンからグルタミンへの置換(N297Q)である。
【0019】
任意の態様のいくつかでは、コンジュゲートは、1つまたは複数のFc媒介エフェクター機能を示す。任意の態様のいくつかでは、コンジュゲートは、Fc媒介エフェクター機能を欠く、実質的に低減されたFc媒介エフェクター機能を示す、または実質的なFc媒介エフェクター機能を示さない。任意の態様のいくつかでは、活性化されたコンジュゲートは、実質的なFc媒介エフェクター機能の非存在下で細胞を死滅させることが可能である。任意の態様のいくつかでは、Fc媒介エフェクター機能は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)または補体依存性細胞傷害(CDC)の1つまたは複数より選択される。任意の態様のいくつかでは、抗体または抗原結合断片は、ヒト免疫グロブリンのFc領域および/またはヒト抗体フレームワーク領域を含む。
【0020】
対象における腫瘍または病変を処置する方法が、本明細書に提供される。任意の態様のいくつかでは、提供される方法は、対象に、本明細書に提供されるコンジュゲートのいずれかを投与する工程;対象内の標的部位に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmまでの波長で、かつ、25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2まで、または、2J/ファイバ長cmもしくは約2J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射し、それによりコンジュゲートを活性化する工程を伴う。
【0021】
IL-2シグナル伝達を実質的に遮断も妨害もせずにCD25に特異的に結合する抗体または抗原結合断片とSi-フタロシアニン色素とを含むコンジュゲートを、対象に投与する工程;対象内の標的部位に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmまでの波長で、かつ、25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2まで、または、2J/ファイバ長cmもしくは約2J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射し、それによりコンジュゲートを活性化する工程を伴う、対象における腫瘍または病変を処置する方法が本明細書に提供される。
【0022】
任意の態様のいくつかでは、Si-フタロシアニン色素はIR700であり、照射は、690nm±20nmの波長で実施される。
【0023】
任意の態様のいくつかでは、Si-フタロシアニン色素は、式(I)
を含むか、またはその塩、立体異性体、もしくは互変異性体であり、照射は、660nm±50nmの波長で実施される。
【0024】
任意の態様のいくつかでは、腫瘍または病変の成長、体積または寸法は、低減または阻害される。
【0025】
任意の態様のいくつかでは、処置される腫瘍もしくは病変、または処置される腫瘍もしくは病変の腫瘍微小環境(TME)は、低減されたレベルの免疫エフェクター細胞を含有する。任意の態様のいくつかでは、腫瘍または病変は、非コンジュゲート型抗体に対して低減された応答を有するまたは非応答性である。
【0026】
任意の態様のいくつかでは、免疫エフェクター細胞は、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、および好酸球の1つまたは複数より選択される。
【0027】
任意の態様のいくつかでは、標的部位は、コンジュゲートの投与後約24±4時間以内に照射される。任意の態様のいくつかでは、標的部位は、50mW/cm2もしくは約50mW/cm2から、200mW/cm2もしくは約200mW/cm2まで、または、100mW/ファイバ長cmもしくは約100mW/ファイバ長cmから、500mW/ファイバ長cmもしくは約500mW/ファイバ長cmまでの光学的パワーで照射される。任意の態様のいくつかでは、標的部位は、120秒または約120秒から、600秒または約600秒までのあいだ照射される。
【0028】
任意の態様のいくつかでは、腫瘍または病変は、免疫チェックポイント阻害剤療法に抵抗性または非応答性である。
【0029】
任意の態様のいくつかでは、コンジュゲートは、IgG1 Fc領域もしくはIgG1アイソタイプ、IgG2 Fc領域もしくはIgG2アイソタイプ、IgG3 Fc領域もしくはIgG3アイソタイプ、またはIgG4 Fc領域もしくはIgG4アイソタイプを含む。
【0030】
任意の態様のいくつかでは、抗体または抗体結合断片は、IgG1 Fc領域またはIgG1アイソタイプを含む。任意の態様のいくつかでは、IgG1 Fc領域は、ADCCエフェクター機能に関して増強されていない。任意の態様のいくつかでは、抗体または抗体結合断片は、IgG2 Fc領域またはIgG2アイソタイプを含む。任意の態様のいくつかでは、IgG2 Fc領域は、ADCCエフェクター機能を低減または抑止する置換を含む。任意の態様のいくつかでは、置換は、EU番号付けによる297に対応する位置でのFc領域中のアスパラギンからグルタミンへの置換(N297Q)である。
【0031】
任意の態様のいくつかでは、コンジュゲートは、1つまたは複数のFc媒介エフェクター機能を示す。任意の態様のいくつかでは、コンジュゲートは、Fc媒介エフェクター機能を欠く、実質的に低減されたFc媒介エフェクター機能を示す、または実質的なFc媒介エフェクター機能を示さない。任意の態様のいくつかでは、活性化されたコンジュゲートは、実質的なFc媒介エフェクター機能の非存在下で細胞を死滅させることが可能である。任意の態様のいくつかでは、Fc媒介エフェクター機能は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)または補体依存性細胞傷害(CDC)の1つまたは複数より選択される。
【0032】
任意の態様のいくつかでは、本明細書に開示される方法は、コンジュゲートの投与後に免疫チェックポイント阻害剤療法を投与する工程をさらに伴う。任意の態様のいくつかでは、免疫チェックポイント阻害剤療法は、コンジュゲートの投与の1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、1週間、2週間または3週間後に投与される。任意の態様のいくつかでは、免疫チェックポイント阻害剤療法は、照射の1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、1週間、2週間または3週間後に投与される。任意の態様のいくつかでは、免疫チェックポイント阻害剤療法は、コンジュゲートの投与後に1回よりも多く投与される。
【0033】
任意の態様のいくつかでは、免疫チェックポイント阻害剤療法は、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤またはCTLA-4阻害剤を含む。任意の態様のいくつかでは、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、セミプリマブ(LIBTAYO)、トリパリマブ(JS001)、HX008、SG001、GLS-010、ドスタルリマブ(TSR-042)、チスレリズマブ(BGB-A317)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、ピジリズマブ(CT-011)、ゲノリムズマブ(APL-501、GB226)、BCD-100、セミプリマブ(REGN2810)、F520、シンチリマブ(IBI308)、CS1003、LZM009、カムレリズマブ(SHR-1210)、SCT-I10A、MGA012、AK105、PF-06801591、AMP-224、AB122、AMG 404、BI 754091、HLX10、JTX-4014、AMP-514(MEDI0680)、Sym021、MGD019、MGD013、AK104、XmAb20717、RO7121661、CX-188、スパルタリズマブ、BCD-217、HX009、IBI308、PDR001、REGN2810、TSR-042(ANB011)、またはその抗原結合断片もしくはそれらの任意の組み合わせより選択される抗PD-1抗体である。
【0034】
任意の態様のいくつかでは、腫瘍もしくは病変中または腫瘍微小環境中の制御性T細胞(Treg)の集団は、該方法の結果として低減される。
【0035】
任意の態様のいくつかでは、低減または阻害は、腫瘍体積もしくは腫瘍寸法の20%未満の増加、または腫瘍体積、腫瘍寸法もしくは腫瘍質量の低減、または腫瘍細胞数の低減の1つまたは複数を含む。任意の態様のいくつかでは、CD25に特異的に結合しかつIL-2シグナル伝達を実質的に遮断または妨害する抗体または抗原結合断片を含むコンジュゲートを用いる方法と比較して、腫瘍または病変の成長、体積または寸法は、より大きな程度、阻害または低減される。
【0036】
任意の態様のいくつかでは、本明細書に開示される方法は、対象の全生存を向上させる。任意の態様のいくつかでは、対象は、第2の腫瘍または腫瘍細胞の二次的集団を有し、第2の腫瘍または腫瘍細胞の二次的集団の成長、体積または寸法は、該方法の結果として低減または阻害される。任意の態様のいくつかでは、第2の腫瘍または腫瘍細胞の二次的集団は、照射されない、または照射されたことがない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、移植されたCT26腫瘍を有するマウスにおける経時的な平均腫瘍体積を示す。マウスに、例示的なIL-2非遮断性抗CD25-mIgG1-IR700コンジュゲート(7D4-IR700;三角)または例示的なIL-2遮断性抗CD25-IgG1-IR700コンジュゲート(PC61-IR700;四角)を、単独で投与した(実線)、またはコンジュゲートの後に690nmで、100J/cm
2の線量で照射した(破線)。対照腫瘍担持マウスに生理食塩水のみを投与した(白丸)。
【
図4】
図4Aは、移植されたMCA205マウス線維肉腫を有するマウスにおける経時的な平均腫瘍体積を示す。マウスに、抗PD1抗体(白丸、破線)、例示的なIL-2非遮断性抗CD25抗体(7D4-mIgG2a;黒四角、実線)、または例示的なIL-2遮断性抗CD25抗体および抗PD-1抗体の組み合わせ(7D4-mIgG2a+a-PD1;白四角、破線)を投与した。対照腫瘍担持マウスに生理食塩水のみを投与した(黒丸、実線)。
図4Bは、移植されたMCA205マウス線維肉腫を有するマウスにおける経時的な平均腫瘍体積を示す。マウスに、抗PD1抗体(白丸、破線)、例示的なIL-2非遮断性抗CD25-mIgG1-IR700コンジュゲート後の690nmで、200J/cm
2の線量での照射(7D4-mIgG2a-IR700+PIT;黒三角、実線)、または例示的なIL-2非遮断性抗CD25-mIgG1-IR700コンジュゲート後の690nmで、200J/cm
2の線量での照射と抗PD-1抗体との組み合わせ(7D4-mIgG2a-IR700 PIT+a-PD1;白三角、破線)を投与した。対照腫瘍担持マウスに生理食塩水のみを投与した(黒丸、実線)。
【
図7】
図7Aは、両側移植されたMCA205マウス線維肉腫を有するマウスの照射された腫瘍における生理食塩水(白三角、破線)、例示的なIL-2遮断性抗CD25-IR700コンジュゲート単独(PC61-IR700;白丸、実線)、またはコンジュゲートの後の690nmで、200J/cm
2の線量での照射(PC61-IR700 PIT;黒丸、実線)の抗腫瘍効果を示す。
図7Bは、両側移植されたMCA205マウス線維肉腫を有するマウスの照射された腫瘍における生理食塩水(白三角、破線)、例示的なIL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲート単独(7D4-IR700;白四角、実線)、またはコンジュゲートの後の690nmで、200J/cm
2の線量での照射(黒四角、実線)の抗腫瘍効果を示す。
【
図8】
図8Aは、
図7Aからのマウスの非照射遠位腫瘍における生理食塩水(白三角、破線)、例示的なIL-2遮断性抗CD25-IR700コンジュゲート単独(PC61-IR700;白丸、実線)、またはコンジュゲートの後の690nmで、200J/cm
2の線量での照射(PC61-IR700 PIT;黒丸、実線)の抗腫瘍効果を示す。
図8Bは、
図7Bからのマウスの非照射遠位腫瘍における生理食塩水(白三角、破線)、例示的なIL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲート単独(7D4-IR700;白四角、実線)、またはコンジュゲートの後の690nmで、200J/cm
2の線量での照射(黒四角、実線)の抗腫瘍効果を示す。
【
図9】
図9は、IL-2非遮断性抗CD25抗体(7D4-mIgG2a)および対応するIR700コンジュゲート(7D4-mIgG2a-IR700)の抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示す。
【
図10】
図10は、移植されたCT26腫瘍を有するマウスにおける経時的な平均腫瘍体積を示す。マウスに、マウスIgG2a骨格を有する例示的なIL-2非遮断性抗体(7D4-mIgG2a;黒四角)、対応するADCC/ADCPヌルIL-2非遮断性抗体(7D4-mIgG2a-N297Q;白四角)、およびマウスIgG1骨格を有する例示的なIL-2非遮断性抗CD25-mIgG1-IR700コンジュゲート単独(7D4-mIgG1-IR700;三角)、またはコンジュゲートの後の690nmで、100J/cm
2の線量での照射(7D4-mIgG1-IR700+PIT、破線)を投与した。対照腫瘍担持マウスに生理食塩水のみを投与した(白丸)。
【
図13】
図13は、移植された免疫学的「コールド(cold)」腫瘍を有するマウスにおける経時的な平均腫瘍体積を示す。マウスに、マウスIgG2a骨格を有する例示的なIL-2非遮断性抗体(7D4-mIgG2a)単独(白四角)、または抗PD-1抗体との組み合わせ(黒四角)、対応する例示的なIL-2非遮断性抗CD25-mIgG1-IR700コンジュゲートの後の690nmで、150J/cm
2の線量での照射単独(7D4-mIgG1-IR700 PIT;白三角)、または抗PD-1抗体との組み合わせ(黒三角)を投与した。対照腫瘍担持マウスに生理食塩水のみ(白丸)または抗PD-1のみ(黒丸)を投与した。
【発明を実施するための形態】
【0038】
詳細な説明
がん、例えば、第1の腫瘍もしくは原発腫瘍もしくは多発性原発腫瘍だけでなく、後に導入された腫瘍、例えば、転移性腫瘍細胞などの腫瘍細胞の二次的集団を含む腫瘍を含むがん、例えば転移性がん;および/または原発腫瘍もしくは多発性原発腫瘍だけでなく、侵襲性もしくは浸潤性腫瘍細胞を含むがん、例えば、侵襲性がんもしくは浸潤性がんを処置するためのコンジュゲート、組成物、組み合わせおよび方法が、本明細書に提供される。また、対象、例えば、侵襲性がん、浸潤性がん、または転移性がんなどのがんを有する対象における全身性免疫を増強するための、コンジュゲート、組成物、組み合わせおよび方法も提供される。また、増強された応答、例えば、対象、例えば、侵襲性がん、浸潤性がん、または転移性がんなどのがんまたは腫瘍を有する対象における処置または治療に対する増強された応答を生成するための、コンジュゲート、組成物、組み合わせおよび方法も提供される。いくつかの状況では、がんは、減少した免疫反応性(例えば、低レベルのもしくは疲弊した腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、不十分な腫瘍抗原負荷、および/または免疫抑制性の微小環境を示す;「コールド」腫瘍とも呼ばれる)を示し、提供されるコンジュゲート、組成物、組み合わせ、および/または方法は、がんの処置をもたらし、対象の全身性免疫を増強し、かつ/または対象における処置もしくは治療に対する増強された応答を生成する。
【0039】
提供される態様のいずれかでは、本明細書に記載されるコンジュゲートは、抗腫瘍効果の1つまたは複数の機序を示すことができる。したがって、本明細書に提供されるコンジュゲートは、より広いスペクトルの腫瘍型および腫瘍環境で抗腫瘍効果を提供する能力を提示する。本明細書におけるコンジュゲートは、細胞表面のCD25抗原を標的付け、したがって、提供される方法により破壊のためにCD25発現T細胞を特異的に標的付けることができる。いくつかの局面では、コンジュゲートは、CD25抗原に結合することができるものの、IL-2シグナル伝達を実質的に遮断も妨害もしない。いくつかの局面では、IL-2シグナル伝達の保存は、細胞傷害性エフェクターT細胞の刺激および活性化誘導細胞死(AICD)の増強を可能にするだけでなく、T細胞のエフェクターT細胞への、およびメモリーT細胞への分化を促進する。いくつかの局面では、コンジュゲートはまた、光活性化フタロシアニン色素を含む。コンジュゲートされた色素は、特定波長の光が存在する、または特定波長の光を照射された場合に、標的付けられた細胞死滅の活性化を可能にする。いくつかの局面では、非コンジュゲート型抗CD25抗体と異なり、CD25発現T細胞の標的付けられた破壊は、光の送達を使用して局在化させることができる。加えて、コンジュゲートは、Fc媒介エフェクター機能の非存在下で標的付けられた細胞死滅を提供することができる。したがって、いくつかの局面では、コンジュゲートは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、および補体依存性細胞傷害(CDC)が低減または妨害されている腫瘍および腫瘍微小環境において細胞死滅を提供する。
【0040】
提供されるコンジュゲート、組成物、組み合わせ、方法および使用は、第1の腫瘍または原発腫瘍、転移性腫瘍細胞および/または侵襲性腫瘍細胞を含むがんを処置するために使用することができる。いくつかの態様では、CD25に結合するターゲティング分子とコンジュゲートされたフタロシアニン色素は、単独で、または免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用される。本明細書に記載される方法および使用は、がん、例えば、腫瘍細胞の二次的集団を含むがん、転移性がんおよび/または侵襲がんの処置において、転移性腫瘍細胞および/または侵襲性腫瘍細胞の位置を突き止め、かつ/またはそれに直接照射する必要がないことを含む様々な利点を提供する。本開示はまた、対象における、例えばがんの再発に対する、全身性免疫を増強することに予想外の特徴を提供する。
【0041】
提供される態様は、CD25に特異的に結合するが、IL-2のCD25との結合を妨害または遮断しない、例えば、実質的に妨害または実質的に遮断しない、IL-2非遮断性抗CD25ターゲティング抗体またはその抗原結合断片(例えば、IL-2非遮断性抗体とも呼ばれる)などのターゲティング分子を含む、または用いる。提供される態様は、IL-2非遮断性抗CD25ターゲティング抗体またはその抗原結合断片と、ケイ素配位金属を有するフタロシアニン色素(Si-フタロシアニン色素)とを含むコンジュゲートなどのIL-2非遮断性抗CD25コンジュゲートを含む、または用いる。態様のいずれかでは、フタロシアニン色素は、その塩またはイオン形態である。態様のいずれかでは、フタロシアニン色素は、その塩、イオン形態、立体異性体、または互変異性体である。
【0042】
インターロイキン-2受容体のアルファ鎖(IL-2RaまたはIL-2Rα)としても知られるCD25は、制御性T細胞(Treg)および活性化T細胞上に構成的に高レベル発現される。場合によっては、CD25はまた、がん細胞上に、例えば、いくつかの急性骨髄性白血病における白血病細胞上に発現することができる。IL-2は、免疫ホメオスタシスの間に、特に制御性T細胞への直接効果ならびにエフェクターリンパ球応答の最適化および微調整を介して、主な機能に不可欠な役割を有する(Arenas-Ramirez et al., (2015) Trends Immunol. 36(12):763-777)。例えば、T細胞が成熟する胸腺では、低レベルのIL-2シグナル伝達は、ある種の未熟T細胞のTregへの分化を促進することができる一方で、高レベルのIL-2シグナル伝達は、抗腫瘍応答を促進できる細胞傷害性エフェクターT細胞を刺激することができる。IL-2はまた、活性化誘導細胞死(AICD)を増強することができる。初期のT細胞がまた抗原によって刺激される場合、IL-2シグナル伝達はまた、T細胞のエフェクターT細胞およびメモリーT細胞への分化を促進することができる(Liao et al., (2011) Curr Opin Immunol. 23(5):598-604。IL-2の発現および分泌は、免疫応答を開始することおよび弱めることに、一過性のポジティブフィードバックループとネガティブフィードバックループの両者の一部として緊密に調節され、機能する。抗原選択T細胞クローンの数および機能の拡大に依存する、T細胞の免疫記憶の発生におけるその役割により、これは、細胞性免疫を授けることに主な役割を果たす。したがって、提供される態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体またはコンジュゲートは、免疫応答へのIL-2のこれらの寄与を妨害しない、例えば実質的に妨害しない。いくつかの態様では、提供される方法および使用は、照射された腫瘍または病変の外部で、IL-2シグナル伝達を全身的に妨害または遮断しない、例えば実質的に妨害または遮断しない。
【0043】
提供される態様のいずれかでは、本明細書に記載されるコンジュゲートは、1つまたは複数のFc媒介エフェクター機能を示すことができる。Fc媒介エフェクター機能には、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、および補体依存性細胞傷害(CDC)が含まれるが、それらに限定されない。いくつかの態様では、Fc媒介エフェクター機能(例えば、ADCCまたはADCP)は、本明細書に提供されるIL-2非遮断性抗CD25抗体コンジュゲートに結合した場合にCD25発現細胞に引き起こすことができる。いくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、提供されるIL-2非遮断性抗CD25コンジュゲートのFc媒介エフェクター機能(例えば、ADCCまたはADCP)を可能にするために機能的Fc領域を含む。
【0044】
いくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、提供されるIL-2非遮断性抗CD25コンジュゲートの1つまたは複数のFc媒介エフェクター機能(例えば、ADCCおよび/またはADCP)を増強するために改変されたFc領域を含有する。Fc領域への例示的な改変には、Fc領域内の1つもしくは複数のアミノ酸置換および/またはFc領域全体の、異なるアイソタイプの抗体のFc領域との置換が含まれる。このような態様では、提供される方法は、照射を介して、ならびにFc媒介エフェクター機能(例えば、ADCCまたはADCP)、例えば、照射部位から遠位のCD25発現細胞のADCC媒介排除を介して、CD25発現細胞の標的付けられた排除を引き起こし、一方でまた、IL-2シグナル伝達を保持し、かつ/またはIL-2シグナル伝達を実質的に妨害しない。
【0045】
いくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体のFc領域は、非機能性である、または低減されたFc媒介エフェクター機能、例えば、ADCC、ADCP、および/もしくはCDC活性の低減を有する。このような態様のいくつかでは、ターゲティング抗体のFc領域は、Fc媒介エフェクター機能(例えば、ADCCおよび/またはADCP)を低減または排除するように改変される。このような改変は、Fc領域の一部またはすべてのアミノ酸置換、欠失、または短縮化が含まれる。
【0046】
提供される態様は、いくつかの状況では、IL-2非遮断性抗CD25抗体-フタロシアニン色素コンジュゲート(例えば、IL-2非遮断性抗CD25-IR700)などのフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートとそれに続く第1の腫瘍または原発腫瘍の照射を用いたがんの処置が、照射された腫瘍、例えば照射された第1の腫瘍または照射された原発腫瘍の処置をもたらすだけでなく、照射部位から遠位である腫瘍(例えば、転移性腫瘍)の効果的な処置、および初期腫瘍の処置後の対象が完全寛解を有した後に導入された腫瘍の効果的な処置ももたらし、腫瘍特異的免疫記憶応答を示すという観察に基づく。提供される態様は、IL-2非遮断性抗CD25抗体-フタロシアニン色素コンジュゲート(例えば、IL-2非遮断性抗CD25-IR700)および抗PD-1抗体などの免疫チェックポイント阻害剤を用いた併用処置が、照射された第1の腫瘍または原発腫瘍と、遠位腫瘍または後に導入された腫瘍、例えば腫瘍細胞の二次的集団を含む腫瘍、転移性腫瘍および/または侵襲性腫瘍との両方の処置において顕著な相乗効果をもたらすというさらなる観察に基づく。
【0047】
提供される態様は、いくつかの状況では、IL-2非遮断性抗CD25コンジュゲート(例えば、IL-2非遮断性抗CD25-IR700)を用いた腫瘍の処置が、標的細胞死滅を引き起こすための少なくとも2つの作用様式を示すという観察に基づく。いくつかの状況では、腫瘍は、減少した免疫反応性を有する(例えば、低レベルのおよび疲弊した腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、不十分な腫瘍抗原負荷、ならびに/または免疫抑制性微小環境を示す)、「コールド」腫瘍などの腫瘍である。いくつかの状況では、減少した免疫反応性を有する腫瘍は、抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA-4療法の1つまたは複数などの免疫チェックポイント阻害剤療法に応答しない、または実質的に応答しない。したがって、提供されるコンジュゲート、組成物、組み合わせ、方法および使用は、第1の腫瘍もしくは原発腫瘍もしくは多発性原発腫瘍だけでなく、転移性腫瘍細胞を包含するがん、例えば、転移性がん;および/または第1の腫瘍もしくは原発腫瘍もしくは多発性原発腫瘍だけでなく、侵襲性腫瘍細胞を包含するがん、例えば、侵襲がんを含む、がんの実質的に向上された、効果的な処置を提供することが実証されている。提供されるコンジュゲート、組成物、組み合わせ、方法および使用は、対象の免疫応答、例えば、処置後に発生し得る、腫瘍に対して有効であることができる免疫記憶応答を包含する、がんに対する全身性免疫応答の増強または向上をもたらすことができる。
【0048】
本明細書に提供される方法および使用は、1つまたは複数の第1の腫瘍、例えば、原発腫瘍と、任意で、細胞の二次的集団、例えば転移性腫瘍細胞および/または侵襲性腫瘍細胞とを有する対象を、CD25に結合するターゲティング分子などのターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートで処置する工程と、コンジュゲートの投与後に、1つまたは複数の第1の腫瘍または原発腫瘍に、フタロシアニン色素との使用に適した光波長を照射する工程とを含む。該方法のいくつかの態様は、免疫チェックポイント阻害剤を、コンジュゲートの投与の前に、それと同時に、またはその後に投与する工程を含む。
【0049】
I. IL-2非遮断性抗CD25コンジュゲートを用いた処置の方法およびその使用
いくつかの態様では、提供される方法および使用は、抗体が結合された場合にIL-2のCD25へのアクセスもしくは結合を実質的に遮断しない、またはCD25を経由するIL-2媒介シグナル伝達を実質的に妨害もしくは障害しない、抗CD25抗体(すなわち、IL-2非遮断性抗CD25抗体)およびフタロシアニン色素を含むコンジュゲートなどの抗CD25コンジュゲートを投与する工程と、標的領域に、フタロシアニン色素との使用に適した光の波長を照射し、それにより、光が色素を励起させ、その表面にCD25を発現する細胞の死滅をもたらす工程とを伴う。
【0050】
いくつかの局面では、IL-2非遮断性抗CD25コンジュゲートが提供される。このような態様では、IL-2は、CD25に結合することができ、一方で、抗CD25コンジュゲートも、CD25に結合され、CD25への結合を経由するIL-2媒介シグナル伝達は、照射された標的領域内またはそこから遠位の細胞において障害されない。IL-2媒介活性には、細胞傷害性Tリンパ球の拡大増殖および他の免疫調節活性、例えばRoss and Cantrell (2018) Annu Rev Immunol. 36: 411-433に記載されたものが含まれる。このような方法は、局所および/もしくは全身性免疫などの免疫機能を増強、活性化、誘導、誘発、増大もしくは支援すること、病変(例えば、腫瘍)を低減もしくは排除すること、腫瘍成長を低減もしくは阻害すること、腫瘍細胞の転移を低減、阻害、もしくは排除すること、またはこれらの任意の組み合わせをもたらす。いくつかの態様では、提供される方法および使用は、第1の腫瘍または多発性腫瘍(例えば、1つまたは複数の原発腫瘍)だけでなく、転移性腫瘍細胞(例えば、転移性がん)、侵襲性腫瘍細胞(例えば、侵襲がん)、または浸潤性腫瘍細胞(例えば、浸潤性がん)などのがん細胞の二次的集団を含むがんなどの、がんの治療または処置をもたらす。いくつかの態様では、がん細胞の二次的集団は、第1の腫瘍と、例えば直接的または間接的に関係する。いくつかの態様では、細胞の二次的集団は、第1の腫瘍に直接的には由来しない。
【0051】
提供される方法および使用は、治療的方法および使用、例えば、がんを有する対象へのコンジュゲートの投与とそれに続くがんに関連する腫瘍(第1の腫瘍など)または腫瘍の微小環境への特定の光波長および線量を使用した照射(または放射)を伴う、治療的方法および使用を含む。いくつかの局面では、照射(または放射)は、CD25標的分子を発現する細胞の照射依存的な溶解および死をもたらし、その結果、がんの治療効果または処置をもたらす(いくつかの場合に光免疫療法(PIT)と呼ばれる)。いくつかの局面では、該方法はまた、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)などの免疫調節剤をフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートと組み合わせて投与する工程も伴う。いくつかの局面では、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートと免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)の組み合わせが、提供される方法および使用、例えば、がんの処置のための提供される方法および使用において、例えば併用療法または併用処置として、用いられる。
【0052】
使用は、そのような方法および処置における本明細書に記載の組成物および組み合わせの使用、ならびにそのような治療的方法を行うための医薬の調製におけるそのような組成物および組み合わせの使用を含む。いくつかの局面では、そのような治療的方法は、併用療法を含む。いくつかの態様では、該方法および使用は、それにより、対象におけるがん、例えば、第1の腫瘍(原発または非原発腫瘍である)と1つまたは複数の腫瘍細胞の二次的集団(例えば、転移性腫瘍細胞および/または侵襲性腫瘍細胞)、例えば、転移性および/または侵襲性がんを含む腫瘍およびがんを含む、がんを処置する。いくつかの態様では、二次的腫瘍細胞は、第1の腫瘍に関連する。該方法および使用のいくつかの態様では、1を超える腫瘍が処置される。いくつかの局面では、また、対象における全身性免疫などの免疫機能を増強、上昇、増大、強化、増加、上昇または支援する際の、そのようなコンジュゲート、組成物および組み合わせの方法および使用も提供される。
【0053】
該方法は、第1の腫瘍を有する対象に、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートであって、ターゲティング分子がCD25に結合するコンジュゲートを投与する工程と、コンジュゲートの投与後、少なくとも第1の腫瘍に、選択されたフタロシアニン色素に適した光の波長を照射する工程とを含む。いくつかの態様では、該方法は、免疫チェックポイント阻害剤、例えば抗PD-1抗体を、コンジュゲートの投与の前に、それと同時に、またはそれに続いて投与する工程を含む。いくつかの態様では、該方法は、追加の治療剤または抗がん処置をさらに投与する。
【0054】
いくつかの態様では、該方法は、がんに関連する腫瘍または腫瘍の微小環境(腫瘍微小環境;TME)、またはTMEに存在する細胞への光による照射を伴う。いくつかの局面では、腫瘍またはTMEに、治療または処置に適した光の波長が照射される。いくつかの態様では、フタロシアニン色素との使用に適した光波長は、吸収光の照射によって色素-コンジュゲートの活性化を達成する波長を有する光であって、光増感剤を励起して細胞死滅をもたらし、それにより、病変(例えば、腫瘍)を低減または排除するか、腫瘍成長を低減または阻害するか、腫瘍細胞転移などの腫瘍細胞の二次的集団を低減、阻害または排除するか、侵襲性および/または転移性腫瘍細胞を低減、阻害または排除するか、それらの任意の組み合わせをもたらすような光を含む。
【0055】
いくつかの態様では、照射は、約500nm~900nm、約600nm~850nm、約650nm~800nmまたは約660nm~740nmの波長での照射である。いくつかの態様では、照射は、690±50nmの波長または690±20nmもしくは約690±20nmの波長での照射である。
【0056】
照射は、少なくとも1J/cm2または1J/ファイバ長cmの線量での照射であることができる。いくつかの態様では、病変は、2J/cm2もしくは約2J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2まで、または、2J/ファイバ長cmもしくは約2J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射される。いくつかの態様では、照射は、少なくとも2J/cm2、5J/cm2、10J/cm2、25J/cm2、50J/cm2、75J/cm2、100J/cm2、150J/cm2、200J/cm2、300J/cm2、400J/cm2、もしくは500J/cm2または少なくとも約2J/cm2、5J/cm2、10J/cm2、25J/cm2、50J/cm2、75J/cm2、100J/cm2、150J/cm2、200J/cm2、300J/cm2、400J/cm2、もしくは500J/cm2の線量での照射である;または、病変は、少なくとも2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cm、または少なくとも約2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cmの線量で照射される。
【0057】
いくつかの態様では、照射は、約25J/cm2から約400J/cm2までまたは約2J/ファイバ長cmから約500J/ファイバ長cmまでの線量での照射である。いくつかの態様では、照射は、5J/cm2から200J/cm2までまたは20J/ファイバ長cmから500J/ファイバ長cmまでの線量での照射である。いくつかの態様では、照射は、約50J/cm2または100J/ファイバ長cmの線量での照射である。
【0058】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、光の光学的パワー(または光フルエンス)は、20J/ファイバ長cmまたは約20J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmまたは約500J/ファイバ長cmまでである。いくつかの態様では、間質の光線量の光学的パワー(または光フルエンス)は100mW/ファイバ長cmまたは約100mW/ファイバ長cmから、500mW/ファイバ長cmまたは約500mW/ファイバ長cmまでである。いくつかの態様では、光は、120秒または約120秒から、600秒または約600秒までのあいだ与えられる。いくつかの態様では、照射は、100J/ファイバ長cmまたは約100J/ファイバ長cmの線量で、400mW/cmまたは約400mW/cmの光フルエンスで250秒または約250秒のあいだ施行される。
【0059】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、光の光学的パワー(または光フルエンス)は、25J/cm2または約25J/cm2から、400J/cm2または約400J/cm2までである。いくつかの態様では、光線量の光学的パワー(または光フルエンス)は、50mW/cm2または約50mW/cm2から、200mW/cm2または約200mW/cm2までである。いくつかの態様では、光は、120秒または約120秒から、600秒または約600秒までのあいだ与えられる。いくつかの態様では、照射は、50J/cm2または約50J/cm2の線量で、150mW/cm2の光学的パワーで333秒または約333秒のあいだ施行される。
【0060】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、照射は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、IL-2非遮断性抗CD25抗体-IR700コンジュゲート)の投与後に施行される。いくつかの態様では、照射または照射は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを投与した30分~96時間または約30分間~96時間後に、例えば、30分~48時間、30分~24時間または12時間~48時間後に、例えば一般に、コンジュゲートを投与した少なくとも30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間後またはそれ以上後に行われるかまたは成し遂げられる。いくつかの態様では、照射は、コンジュゲートを投与した後約24時間以内もしくはコンジュゲートを投与した後24時間±4時間以内に、またはコンジュゲートを投与した後約20、21、22、23、24、24、26、27もしくは28時間以内に実施される。
【0061】
本明細書に記載される方法は、原発腫瘍などの対象における第1の腫瘍、または第1の腫瘍の腫瘍微小環境(TME)に照射する工程を含む。いくつかの態様では、本明細書に提供される方法および使用は、1つまたは複数の腫瘍を有する対象を処置する工程を含む。対象は、1つ、2つ、3つまたは3つを超える腫瘍を有し得る。そのような腫瘍は、1つまたは複数の組織または臓器に、例えば、1つの組織または臓器に、2つの異なる組織または臓器に、3つの異なる組織または臓器に、または3つを超える異なる組織または臓器にあり得る。
【0062】
いくつかの局面では、原発腫瘍は、対象における第1の腫瘍または原始腫瘍のことを指すことができるが、本明細書に提供される方法および使用による照射のために選択される1つまたは複数の腫瘍のことも指すことができる。いくつかの態様では、第1の腫瘍またはさらなる腫瘍は、1つの固形腫瘍もしくは複数の固形腫瘍であり得るか、リンパ腫であり得るか、または白血病であり得る。腫瘍は、肺、胃、肝臓、膵臓、乳房、食道、頭頸部、脳、末梢神経、皮膚、小腸、結腸、直腸、肛門、卵巣、子宮、膀胱、前立腺、脂肪組織、骨格筋、平滑筋、血管、骨、骨髄、眼、舌、リンパ節、脾臓、腎臓、子宮頸部、男性生殖器、女性生殖器、精巣、または原発不明の腫瘍であることができる。
【0063】
該方法のいくつかの態様では、第1の腫瘍または原発腫瘍の成長が阻害されるか、1つの原発腫瘍または複数の原発腫瘍の体積が低減されるか、または腫瘍の成長と体積の両方が低減される。該方法のいくつかの態様では、コンジュゲートのみ、コンジュゲートとそれに続く照射のみ、または抗PD-1抗体のみの投与などの単独療法と比較して、第1の腫瘍または原発腫瘍の成長が阻害されるか、1つの原発腫瘍または複数の原発腫瘍の体積が低減されるか、または腫瘍の成長と体積の両方が低減される。
【0064】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法および使用は、1つまたは複数の腫瘍とさらに侵襲性腫瘍細胞などの腫瘍細胞の二次的集団も有する対象を処置する工程を含む。そのような態様のいくつかでは、二次的集団は、原発腫瘍などの腫瘍から生じた細胞が周囲組織に侵襲している場合を含む。該方法は、第1の腫瘍および侵襲性腫瘍細胞を有する対象に、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートであって、ターゲティング分子がCD25に結合するコンジュゲートを投与する工程と、コンジュゲートの投与後、第1の腫瘍に、選択されたフタロシアニン色素に適した波長を照射する工程とを含む。そのような態様のいくつかでは、腫瘍細胞の二次的集団は直接照射されない。いくつかの態様では、該方法は、免疫チェックポイント阻害剤を、コンジュゲートの投与の前に、それと同時に、またはそれに続いて投与する工程を含む。いくつかの態様では、該方法は、抗PD-1抗体を、IL-2非遮断性抗CD25抗体-IR700コンジュゲートの投与の前に、それと同時に、またはそれに続いて投与する工程を含み、コンジュゲートの投与に続いて第1の腫瘍の照射が行われる。
【0065】
いくつかの局面では、侵襲性腫瘍細胞は、原発腫瘍から生じた細胞のことを指し、第1の腫瘍を有する対象の体内の原発腫瘍の同じ臓器または隣接臓器の周囲組織に侵襲している。いくつかの態様では、第1の腫瘍は、原発腫瘍であり、侵襲性腫瘍細胞は、第1の腫瘍に直接的または間接的に由来する。いくつかの態様では、侵襲性腫瘍細胞は、第1の腫瘍に直接由来しない。
【0066】
本明細書に提供される方法および使用は、第1の腫瘍および/またはさらなる腫瘍の照射を含み、侵襲性腫瘍細胞の一部または全部には照射されない。いくつかの態様では、侵襲性腫瘍細胞の成長が阻害されるか、低減されるかまたは排除され、1つまたは複数の侵襲性腫瘍の体積、寸法または質量が低減されるか、またはそれらの任意の組み合わせがもたらされる。いくつかの態様では、1つまたは複数の侵襲性腫瘍細胞に対する効果と一緒に、第1の腫瘍の成長も阻害されるか、低減されるかまたは排除され、第1の腫瘍またはさらなる腫瘍の体積、寸法または質量も低減される。
【0067】
いくつかの態様では、侵襲性腫瘍細胞は、固形腫瘍中に含有される。いくつかの態様では、侵襲性腫瘍細胞は、腹膜液、胸膜液および脳脊髄液を非限定的に含む体液中に含有される。いくつかの態様では、侵襲性腫瘍細胞は、腹膜滲出液(腹水)、胸膜滲出液および心膜滲出液を非限定的に含む1つの体腔または複数の体腔の滲出液中に含有される。
【0068】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法および使用は、第1の腫瘍とさらに侵襲性および/または転移性腫瘍細胞などの腫瘍細胞の二次的集団(例えば、関連腫瘍細胞の二次的集団)も有する対象を処置する工程を含む。該方法は、第1の腫瘍と侵襲性および/または転移性腫瘍細胞などの腫瘍細胞の二次的集団(例えば、関連腫瘍細胞の二次的集団)を有する対象に、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートであって、ターゲティング分子がCD25に結合するコンジュゲートを投与する工程と、コンジュゲートの投与後、第1の腫瘍に、選択されたフタロシアニン色素に適した波長を照射する工程とを含む。そのような態様のいくつかでは、腫瘍細胞の二次的集団は直接照射されない。いくつかの態様では、該方法は、免疫チェックポイント阻害剤、例えば抗PD-1抗体を、コンジュゲートの投与の前に、それと同時に、またはそれに続いて投与する工程を含む。そのような方法では、第1の腫瘍および/または転移性腫瘍細胞などの腫瘍細胞の二次的集団の成長(体積、寸法または質量)が阻害されるか、低減されるかまたは排除され、第1の腫瘍および/または二次的細胞集団の1つまたは複数の体積、寸法または質量が低減されるか、またはそれらの任意の組み合わせがもたらされる。いくつかの態様では、第1の腫瘍および/または二次的集団の阻害は、コンジュゲートのみ、コンジュゲートとそれに続く照射のみ、または抗PD-1抗体のみの投与によって達成される阻害より大きな程度、成し遂げられる。いくつかの態様では、阻害は、腫瘍が腫瘍体積、腫瘍寸法または腫瘍質量の20%未満の増加を示す場合;腫瘍体積、寸法または質量の変化なしの場合(すなわち、停止された腫瘍成長または進行);あるいは腫瘍が体積、寸法または質量の点で低減される場合;あるいは腫瘍細胞の数の低減がある場合に達成される。いくつかの局面では、腫瘍体積、腫瘍寸法または腫瘍質量、あるいは腫瘍細胞の数の低減は、30%の低減もしくはそれ以上または約30%の低減もしくはそれ以上を含む。
【0069】
本明細書における方法および使用のいずれかにおいて、第1の腫瘍は、原発腫瘍または二次的腫瘍であることができる。いくつかの態様では、第1の腫瘍および腫瘍細胞の二次的集団は関連する。いくつかの態様では、二次的細胞集団は、第1の腫瘍に直接的または間接的に由来する。いくつかの態様では、二次的集団は、第1の腫瘍に由来しない。いくつかの態様では、第1の腫瘍は原発腫瘍であり、二次的細胞集団は原発腫瘍に関連する;例えば、二次的細胞集団は、原発腫瘍に直接的または間接的に由来する。いくつかの態様では、第1の腫瘍は原発腫瘍であり、腫瘍細胞の二次的集団は、二次原発腫瘍である。いくつかの態様では、第1の腫瘍は二次的腫瘍であり、二次的細胞集団は二次的腫瘍に関連する。いくつかの局面では、腫瘍の二次的集団は、原発腫瘍から生じてかつ近位または遠位の健常組織に侵襲する細胞(すなわち、侵襲性腫瘍細胞)、あるいは原発腫瘍を有する対象の体内の1つの遠位の組織または臓器か複数の遠位の組織または臓器、例えば、原発腫瘍から隔たってまたは遠く離れて位置する組織または臓器に拡散する細胞(すなわち、転移性腫瘍細胞)を含む。いくつかの局面では、腫瘍細胞の二次的集団は、侵襲性と転移性の両方である。いくつかの局面では、腫瘍細胞の二次的集団は、浸潤性である。いくつかの局面では、腫瘍細胞の二次的集団は、転移性であり、第1の腫瘍に直接的または間接的に関連する、例えば、由来する。他の局面では、腫瘍細胞の二次的集団は、転移性であり、第1の腫瘍に直接関連しない。転移性腫瘍細胞は、肺、胃、肝臓、膵臓、乳房、食道、頭頸部、脳、末梢神経、皮膚、小腸、結腸、直腸、肛門、卵巣、子宮、膀胱、前立腺、脂肪組織、骨格筋、平滑筋、血管、骨、骨髄、眼、舌、リンパ節、脾臓、腎臓、子宮頸部、男性生殖器、女性生殖器、精巣、血液、骨髄、脳脊髄液または任意の他の組織もしくは臓器の1つまたは複数の場所に位置することができる。いくつかの態様では、転移性腫瘍細胞は、固形腫瘍中に含有される。いくつかの態様では、転移性腫瘍細胞は、循環腫瘍細胞であるか、液性腫瘍であるか、または腫瘍塊に関連しない。
【0070】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、二次的腫瘍細胞は、第1の腫瘍より遠位にある転移性腫瘍細胞であり、転移性腫瘍細胞の一部または全部には照射されない、例えば、直接照射されない。該方法および使用のいくつかの態様では、コンジュゲートの投与後、第1の腫瘍だけが照射され、侵襲性または転移性腫瘍細胞は直接照射されない。いくつかの態様では、第1の腫瘍を含む1を超える腫瘍に照射されるが、腫瘍細胞の少なくとも1つの部位、例えば転移性腫瘍細胞を含有する部位には照射されない。
【0071】
II. 全身性免疫および/または応答を増強するための方法
また、本明細書において、対象、例えば、がんまたは腫瘍を有する対象における全身性免疫などの免疫機能を増強、上昇、増大または支援する際の、組成物および組み合わせの方法および使用も提供される。いくつかの態様では、本明細書における方法および使用は、がん、腫瘍またはがん性病変を有する対象における全身性免疫を増強する工程を含む。いくつかの局面では、「全身性免疫」は、がんまたは腫瘍に関連するものを含む、免疫学的攻撃に全身的に応答する対象の免疫系の能力のことを指す。いくつかの局面では、全身性免疫は、対象の適応免疫系および/または自然免疫系の全身性応答を含むことができる。いくつかの局面では、全身性免疫は、血流、リンパ節、骨髄、脾臓および/または腫瘍微小環境を含む種々の組織にわたる免疫応答を含み、いくつかの場合、組織および臓器ならびに組織および臓器の様々な細胞および因子の間の協調的応答を含む。また、本明細書において、対象、例えば、がんまたは腫瘍を有する対象における処置または治療に対する応答を増強、上昇または増大する際の、組成物および組み合わせの方法および使用も提供される。
【0072】
いくつかの局面では、提供される方法および使用は、対象に、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートであって、ターゲティング分子が、IL-2の結合またはシグナル伝達を遮断することなく、例えば実質的に遮断することなく、CD25に結合する、コンジュゲートを投与する工程と、免疫チェックポイント阻害剤を投与する工程と、コンジュゲートの投与後、腫瘍またはがん性病変、または腫瘍微小環境に照射する工程とを含む。波長、照射の線量および照射のタイミングに関する照射の条件は、例えば、本明細書に記載されるものである。免疫チェックポイント阻害剤は、本明細書に記載されるなど、コンジュゲートの投与の前に、それと同時に、またはそれに続いて投与することができる。いくつかの局面では、本明細書に提供される方法および使用は、対象における全身性免疫の増強をもたらし、これが次に、がんの治療または処置に対する増強された応答または相乗的応答をもたらすことができる。いくつかの態様では、本明細書に提供される方法および使用は、コンジュゲートのみ、コンジュゲートとそれに続く照射のみ、または抗PD-1抗体のみの投与と比較して、がんまたは腫瘍の処置または治療に対する増強された応答、例えば相乗的応答をもたらす。いくつかの局面では、増強された応答は、コンジュゲートとそれに続く照射および抗PD-1抗体の投与の前の対象の全身性免疫と比較した対象の全身性免疫の増強を含む。いくつかの局面では、増強された応答は、コンジュゲートのみ、コンジュゲートとそれに続く照射のみ、または抗PD-1抗体のみの投与と比較した、処置に対する増強された応答、例えば、追加的、相加的もしくは相乗的応答、および/またはより完全な応答、より永続的な応答もしくはより長く持続する応答を含む。
【0073】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、再発性腫瘍に対する全身性免疫が増加されるまたは増大される。いくつかの局面では、全身性免疫のレベル、強度または範囲は、腫瘍内CD8+ Tリンパ球の数、CD8+ Tリンパ球と制御性T細胞(Treg)の比、腫瘍内Tリンパ球疲弊(例えば、PD-1および/またはCTLA4マーカーを発現するCD3+CD8+細胞の割合)、腫瘍内活性化CD8+ Tリンパ球の数または割合(例えば、CD45+細胞に対する割合としてのKi67+またはCD69+ CD8細胞)、腫瘍細胞に対する脾細胞の細胞傷害性に基づく細胞傷害性腫瘍内Tリンパ球の拡大(例えば、PD-1および/またはCTLA4マーカーを発現しないCD3+CD8+細胞の割合)、あるいはそれらの任意の組み合わせまたはすべてに基づいて測定することができる。いくつかの局面では、腫瘍内CD8+ Tリンパ球、疲弊腫瘍内Tリンパ球、活性化CD8+ Tリンパ球、または拡大した細胞傷害性腫瘍内Tリンパ球は、白血球(CD45+細胞)および/または総CD8+ T細胞(例えば、CD3+CD8+CD45+細胞)に対する割合として測定される。そのような数または割合の決定は、本明細書に記載されるものを含むいくつかの周知の方法を使用して達成することができる。例えば、そのような数または割合は、腫瘍および/もしくは組織生検または循環免疫細胞を含有する血液試料の収集物の機械的解離などによって単一細胞懸濁液を生成し、続いて、染色およびフローサイトメトリー解析またはマスサイトメトリーを行うことによって決定することができる。他の方法は、組織および/または腫瘍生検の多重化免疫蛍光イメージングを含むことができる。
【0074】
そのような態様のいくつかでは、免疫性の強度または範囲が、処置前の同じ対象における免疫性の強度または範囲と比較される。そのような態様のいくつかでは、免疫性の強度または範囲が、対象の集団と比較される。そのような態様のいくつかでは、免疫性の強度または範囲が、閾値と比較される。いくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25 PIT(例えば、コンジュゲートの活性化のための光照射を含む)とチェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)の投与の併用などの併用療法後の免疫性の強度または範囲が、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)またはIL-2遮断性もしくはIL-2非遮断性抗CD25コンジュゲートまたはIL-2遮断性もしくはIL-2非遮断性抗CD25 PIT単独などの単剤の投与などの単独療法による処置後の免疫性の強度または範囲と比較される。
【0075】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法および使用に従う処置は、制御性T細胞(Treg)、例えば腫瘍内CD4+FoxP3+ Tregの細胞死またはその数の低減を導く。よって、いくつかの態様では、全身性免疫のレベル、強度または範囲は、腫瘍内または循環制御性T細胞(Treg)の数または割合に基づいて測定することができる。いくつかの局面では、ある特定のTregなどのCD25発現細胞の表面へのIL-2非遮断性抗CD25コンジュゲートの結合と、CD25を発現する細胞の照射依存的な溶解および死を成し遂げるための照射は、CD25を発現する細胞の数の低減をもたらす。いくつかの局面では、そのような結果は、腫瘍内でのTregなどの免疫抑制細胞の数の低減を導き、ひいては、腫瘍における免疫抑制を緩和または後退させることができる。いくつかの局面では、そのような免疫抑制細胞の低減は、腫瘍内CD8+細胞傷害性T細胞またはCD4+ヘルパーT細胞などの腫瘍内T細胞の活性化および増殖をもたらすことができ、これらの細胞は、腫瘍細胞を排除し、腫瘍体積の低減および/または腫瘍の排除を導くことができる。いくつかの局面では、提供される態様に従う処置は、腫瘍内Tregの低減および/または腫瘍内CD8+とTregの比もしくは腫瘍内CD4+とTregの比の増加をもたらすことができる。
【0076】
いくつかの局面では、本明細書に提供される方法および使用に従う処置は、腫瘍内Tregの持続的または永続的な減少をもたらすことができる。いくつかの局面では、本明細書に提供される方法および使用に従う処置は、腫瘍内CD8+とTregの比または腫瘍内CD4+とTregの比の持続的または永続的な増加をもたらすことができる。いくつかの態様では、全身性免疫のレベル、強度または範囲は、腫瘍内CD8+とTregの比を決定することによって測定することができ、腫瘍内CD8+とTregの比が処置前と比較して処置後に増加するならば、再発性腫瘍に対する全身性免疫が増加されるまたは増大される。いくつかの態様では、全身性免疫のレベル、強度または範囲は、腫瘍内CD4+とTregの比を決定することによって測定することができ、腫瘍内CD4+とTregの比が処置前と比較して処置後に増加するならば、再発性腫瘍に対する全身性免疫が増加されるまたは増大される。いくつかの態様では、全身性免疫のレベル、強度または範囲は、腫瘍内TregとCD45+の比を決定することによって測定することができ、腫瘍内TregとCD45+の比が処置前と比較して処置後に減少するならば、再発性腫瘍に対する全身性免疫が増加されるまたは増大される。いくつかの局面では、そのような増加または減少は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日または3、4、5、6、7もしくは8週間またはより長く、あるいは約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日または3、4、5、6、7もしくは8週間またはより長く持続することができる。
【0077】
いくつかの局面では、全身性免疫のレベル、強度または範囲は、脾細胞または末梢血細胞または骨髄細胞またはリンパ節細胞を使用したCTL活性アッセイによって測定することができる。いくつかの態様では、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後4日目~28日目に対象から収集される。
【0078】
いくつかの局面では、全身性免疫のレベル、強度または範囲は、第1の腫瘍または転移性腫瘍細胞塊または侵襲性腫瘍細胞塊から収集されたT細胞を使用した腫瘍内T細胞疲弊アッセイによって測定することができる。いくつかの態様では、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後4日目~28日目に対象から収集される。
【0079】
いくつかの局面では、全身性免疫のレベル、強度または範囲は、第1の腫瘍または転移性腫瘍細胞塊または侵襲性腫瘍細胞塊から収集されたT細胞を使用した腫瘍内エフェクターT細胞増殖アッセイによって測定することができる。いくつかの態様では、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後4日目~28日目に対象から収集される。
【0080】
いくつかの局面では、全身性免疫のレベル、強度または範囲は、第1の腫瘍または転移性腫瘍細胞塊または侵襲性腫瘍細胞塊または末梢循環から収集されたT細胞を使用したT細胞受容体多様性アッセイによって測定することができる。いくつかの態様では、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後4日目~28日目に対象から収集される。
【0081】
いくつかの局面では、全身性免疫のレベル、強度または範囲は、第1の腫瘍または転移性腫瘍細胞塊または侵襲性腫瘍細胞塊からの腫瘍中の制御性T細胞(Treg)の存在、数もしくは頻度および/または腫瘍内Treg細胞と腫瘍内CD8+ T細胞もしくは腫瘍内CD4+ T細胞の比を決定することによって測定することができる。いくつかの態様では、細胞は、対象における第1の腫瘍の照射後4日目~28日目に対象から収集される。
【0082】
いくつかの態様では、上記アッセイのいずれかを組み合わせて使用することができる。
【0083】
III. 本方法と共に使用するためのコンジュゲートおよび組成物
いくつかの局面では、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲート、組成物および組み合わせ、例えば、CD25タンパク質に結合するが、IL-2のCD25との結合を遮断しない、例えば実質的に遮断しない、ターゲティング分子、例えば抗体またはその抗原結合断片に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを含む、組成物および組み合わせが提供される。いくつかの局面では、提供される組成物または組み合わせは、抗PD-1抗体などの免疫チェックポイント阻害剤を含む。いくつかの局面では、提供される方法および使用に従う処置方法におけるまたは処置レジメンにおける、またはがんもしくは腫瘍の処置のための医薬の製造における使用のための、コンジュゲート、組成物および組み合わせが提供される。いくつかの局面では、処置は、併用処置を含む。いくつかの局面では、提供される方法および使用に従う使用のための組成物および組み合わせが提供される。
【0084】
本明細書に提供される方法および使用は、CD25に結合するターゲティング分子、例えば、CD25に結合する、例えば特異的に結合するが、IL-2がまたCD25に結合することを遮断せず、例えば実質的に遮断せず、かつ/またはCD25との相互作用を介するIL-2媒介シグナル伝達を妨害しない、例えば実質的に妨害しない、抗CD25抗体または抗原結合断片(すなわち、IL-2非遮断性抗CD25抗体)を含むコンジュゲートを用いる。CD25は、CD8+細胞、CD4+FoxP3+制御性T細胞を包含する活性化T細胞、活性化B細胞、いくつかの胸腺細胞、骨髄系前駆細胞、およびオリゴデンドロサイト上に発現することができる。CD25はまた、インターロイキン2受容体アルファ鎖(IL2RA)、IDDM10、IL2R、TCGFR、p55またはIMD41としても公知である。
【0085】
いくつかの局面では、「IL-2非遮断性抗体」または「IL-2非遮断性抗CD25抗体」は、IL-2のCD25との結合またはCD25を介したIL-2のシグナル伝達を遮断せずにIL-2受容体のCD25サブユニットに特異的に結合することができる抗CD25抗体(例えば、抗CD25 IL-2非遮断抗体)を含む。いくつかの局面では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、抗CD25抗体の非存在下でのシグナル伝達レベルと比較して少なくとも50%の、CD25とのIL-2結合に応答したIL-2シグナル伝達を可能にする。いくつかの局面では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、抗CD25抗体の非存在下でのシグナル伝達レベルと比較して少なくとも75%の、CD25とのIL-2結合に応答したIL-2シグナル伝達を可能にする。
【0086】
いくつかの局面では、場合によっては「非遮断性」、「遮断しない」、またはその文法的変形に関連する、場合によっては抗CD25抗体の存在下でのCD25とのIL-2結合の非遮断に関連する「IL-2非遮断性」は、抗CD25抗体または抗原結合断片が、該抗体の非存在下でのIL-2シグナル伝達と比較して50%未満のIL-2シグナル伝達を阻害する場合を含む。いくつかの局面では、抗CD25抗体または抗原結合断片は、抗CD25抗体の非存在下でのIL-2シグナル伝達と比較して約40%、35%、30%未満、例えば約25%未満のIL-2シグナル伝達を阻害する。IL-2非遮断性抗CD25抗体は、CD25とのIL-2結合を妨害せずに、またはCD25とのIL-2結合を実質的に妨害せずに、CD25に結合することができる。いくつかの局面では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、代替的に、「インターロイキン2のCD25との結合を阻害しない」抗CD25抗体または「IL-2のシグナル伝達を阻害しない」抗CD25抗体または「IL-2シグナル伝達を実質的に遮断も妨害もせずにCD25に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合断片」と称される。
【0087】
いくつかの局面では、いくつかの抗CD25抗体は、IL-2のCD25との結合を可能にするが、それでもCD25受容体を介したシグナル伝達を遮断し得る。いくつかの局面では、このような抗体は、IL-2非遮断性とは見なされない。いくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、IL-2のCD25との結合を可能にして、IL-2非遮断性抗CD25抗体の非存在下でのシグナル伝達と比較して少なくとも50%のレベルの、CD25受容体を介したシグナル伝達を推進する。
【0088】
いくつかの局面では、CD25を介したIL-2シグナル伝達は、細胞シグナル伝達を評価または測定するための任意の公知の方法によって、例えば、リン酸化アッセイ、結合アッセイ、レポーターアッセイ、T細胞活性化アッセイ、インビトロエフェクターアッセイ、インビトロ抗体依存性細胞傷害アッセイ(ADCCアッセイ)、インビトロ抗体依存性細胞食作用(ADCP)、サイトカイン分泌アッセイ、標的細胞死滅アッセイまたはモデル動物実験によって、評価または測定することができる。いくつかの局面では、CD25を介したIL-2シグナル伝達を評価するための例示的な方法には、例えば、Rubin et al. (1985) Hybridoma 4(2) 91-102, Van Assche et al., Gut. 2006 Nov; 55(11): 1568-1574; Martin et al., J Immunol July 15, 2010, 185 (2) 1311-1320、WO2019175223、WO2019175220、WO2019175222、WO2019175224、WO2019175216、WO2019175217、WO2019175226、WO2019175215、US10745485、US20210047420、US10738125、US20210009703、US20210040221、US20210009704、US20200407454、およびUS20210009699に記載されたいずれかが含まれるが、それらに限定されない。いくつかの局面では、抗CD25抗体剤の存在下および非存在下でのIL-2シグナル伝達の比較は、同じまたは実質的に同じ条件下で行うことができる。
【0089】
いくつかの態様では、IL-2シグナル伝達は、標準的なSTAT5リン酸化アッセイを使用して、細胞中のリン酸化STAT5タンパク質のレベルを測定することによって決定することができる。例えば、IL-2シグナル伝達を測定するためのSTAT5リン酸化アッセイは、特定濃度の抗CD25抗体の存在下でPMBC細胞を培養する工程と、次いで様々な濃度のIL-2(例えば、IL-2濃度の系列希釈)を添加する工程とを伴い得る。次いで細胞を透過処理してもよく、次いでSTAT5タンパク質のレベルを、フローサイトメトリーによって分析されたリン酸化STAT5ペプチドに対する蛍光標識抗体を用いて測定することができる。IL-2シグナル伝達を遮断する割合は、以下のように算出することができる:遮断%=100×[(抗体処置なしのSTAT5+細胞%-抗体処置ありのSTAT5+細胞%)/(抗体処置なしのSTAT5+細胞%)]。
【0090】
いくつかの態様では、ターゲティング分子は、任意のIL-2非遮断性抗CD25抗体であることができる。非限定的で例示的なIL-2非遮断性抗CD25抗体を、例えば、Chothia番号付けによる、可変重鎖(VH)、可変軽鎖(VL)、および例示的な対応する相補性決定領域(CDR)についてのアミノ酸配列に対応するSEQ ID NOと共に、表1に列挙する。いくつかの態様では、ターゲティング分子は、表1に列挙されるIL-2非遮断性抗CD25抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの態様では、ターゲティング分子は、表1に列挙される抗体の任意の1つまたは複数と、同じエピトープまたは重複エピトープを求めて競合するIL-2非遮断性抗CD25抗体または抗原結合断片である。いくつかの態様では、ターゲティング分子は、表1に列挙される抗体の1つまたは複数と重複しないエピトープに結合するIL-2非遮断性抗CD25抗体または抗原断片である。
【0091】
(表1)例示的な抗CD25抗体についての配列識別子(SEQ ID NO)
【0092】
任意の態様のいくつかでは、ターゲティング分子は、抗体もしくはその抗原結合断片である、または抗原結合断片を含む。任意の態様のいくつかでは、抗体は、IL-2非遮断性抗CD25抗体である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、機能的Fc領域を含む。態様のいずれかのいくつかでは、抗CD25抗体は、完全長Fc領域を含む。いくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は抗体断片である。提供される態様のいずれかでは、抗体または抗体断片は、公知の方法によりヒト化することができる。いくつかの態様では、抗体または抗体断片は、ヒト抗体、キメラ抗体またはヒト化抗体である。
【0093】
態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、表1に列挙される抗体、またはそのバイオ後続品、相互転換可能物、バイオベター(biobetter)、コピー生物学的製剤もしくはバイオジェネリックまたはそれらの断片である。
【0094】
態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体またはその断片は、表1に、例えば表1の各行に列挙される、VHおよびVLを有する抗体の、抗体番号付けスキーム(例えば、Kabat、Chothia、Contact、IMGT、Aho、またはAbM番号付けスキーム)によるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含むVH、ならびにCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含むVLを含む。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体またはその断片は、表1に列挙される抗体のCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含むVH、ならびにCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含むVLを含む。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体またはその断片は、表1に列挙される抗体のCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含むVH、ならびに表1に列挙される抗体のCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含むVLを含む。いくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体またはその断片は、下の表1の各行に列挙されるSEQ ID NO:に示されるVHおよびVL領域、または表1の各行に列挙されるSEQ ID NO:に示されるVHおよびVL配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するVHおよびVL配列を含む抗体を含む。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、表1に、例えば、表1の各行に列挙される抗体のVHおよびVLをそれぞれ含むVHおよびVLを含む。
【0095】
提供される態様のいずれかのいくつかでは、コンジュゲートの例示的なIL-2非遮断性抗CD25抗体は、任意の公知のIL-2非遮断性抗CD25抗体、そのヒト化形態、および/またはその抗原結合断片を含む。いくつかの局面では、コンジュゲートの例示的なIL-2非遮断性抗CD25抗体には、例えば、Rubin et al. (1985) Hybridoma 4(2) 91-102, Van Assche et al., Gut. 2006 Nov; 55(11): 1568-1574; Martin et al., J Immunol July 15, 2010, 185 (2) 1311-1320、WO2019175223、WO2019175220、WO2019175222、WO2019175224、WO2019175216、WO2019175217、WO2019175226、WO2019175215、US10745485、US20210047420、US10738125、US20210009703、US20210040221、US20210009704、US20200407454、およびUS20210009699に記載されたいずれか、そのヒト化形態、ならびに/またはその抗原結合断片が含まれるが、それらに限定されない。
【0096】
提供される態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、7G7B6(Rubin et al. (1985) Hybridoma 4(2) 91-102)、もしくはヒト化7G7B6抗体、その断片である、または7G7B6に由来する。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、Fc領域を含む7G7B6、またはそのヒト化形態(ヒト化7G7B6)である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示すまたは増強されたADCC活性を示すように操作されたFc領域を含む7G7B6またはヒト化7G7B6である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、完全長Fc領域を含む7G7B6またはヒト化7G7B6である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、ADCC活性を示すまたは増強されたADCC活性を示すように操作されたFc領域を含む7G7B6またはヒト化7G7B6である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、ADCC活性を示さない、実質的なADCC活性を示さない、または低減されたADCC活性を示すFc領域を含む7G7B6またはヒト化7G7B6である。
【0097】
提供される態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体はMA251(例えば、Van Assche et al., Gut. 2006 Nov; 55(11): 1568-1574; Martin et al., J Immunol July 15, 2010, 185 (2) 1311-1320を参照されたい)、もしくはそのヒト化形態(ヒト化MA251)、その断片である、またはMA251に由来する。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、Fc領域を含むMA251またはヒト化MA251である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示すまたは増強されたADCC活性を示すように操作されたFc領域を含むMA251またはヒト化MA251である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、完全長Fc領域を含むMA251またはヒト化MA251である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、ADCC活性を示すまたは増強されたADCC活性を示すように操作されたFc領域を含むMA251またはヒト化MA251である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、ADCC活性を示さない、実質的なADCC活性を示さない、または低減されたADCC活性を示すFc領域を含むMA251またはヒト化MA251である。
【0098】
提供される態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、「クローンA」(表1に記載)もしくはその断片である、または「クローンA」に由来する。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、Fc領域を含むクローンAである。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示すまたは増強されたADCC活性を示すように操作されたFc領域を含む「クローンA」である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、完全長Fc領域を含む「クローンA」である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、ADCC活性を示すまたは増強されたADCC活性を示すように操作されたFc領域を含む「クローンA」である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、ADCC活性を示さない、実質的なADCC活性を示さない、または低減されたADCC活性を示すFc領域を含む「クローンA」である。
【0099】
提供される態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、「クローンB」(表1に記載)もしくはその断片である、または「クローンB」に由来する。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、Fc領域を含む「クローンB」である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示すまたは増強されたADCC活性を示すように操作されたFc領域を含む「クローンB」である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、完全長Fc領域を含む「クローンB」である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、ADCC活性を示すまたは増強されたADCC活性を示すように操作されたFc領域を含む「クローンB」である。態様のいずれかのいくつかでは、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、ADCC活性を示さない、実質的なADCC活性を示さない、または低減されたADCC活性を示すFc領域を含む「クローンB」である。
【0100】
いくつかの態様では、ターゲティング分子は、例えば表1中の、記載された抗体またはその抗原結合断片のいずれかなどの、IL-2非遮断性抗CD25抗体の「相補性決定領域」または「CDR」を含む抗体または抗体断片であることができる。CDRは、典型的には、抗原のエピトープとの結合を担う。所与のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、いくつかの周知のスキームのいずれかを使用して容易に決定することができる。例示的な番号付けスキームには、Kabat、Chothia、Contact、IMGT、Aho、およびAbM番号付けスキームが含まれる。所与のCDRの境界は、特定のために使用されるスキームに応じて変動し得る。例えば、Kabatスキームは、構造アライメントに基づく一方で、Chothiaスキームは、構造情報に基づく。KabatおよびChothiaスキームの両方についての番号付けは、もっとも一般的な抗体領域配列長に基づき、挿入は、挿入文字、例えば「30a」によって適応され、いくつかの抗体では欠失が出現する。2つのスキームは、ある種の挿入および欠失(「インデル」)を異なる位置に置き、その結果、示差的な番号付けをもたらす。Contactスキームは、複合結晶構造の分析に基づき、多くの面でChothia番号付けスキームと類似している。AbMスキームは、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されるものに基づく、KabatおよびChothiaの定義の間の折衷案である。任意の抗体番号付けスキームを使用して、本明細書に記載される抗体およびコンジュゲートのCDR領域を特定することができ、提供される方法および使用に使用することができる。
【0101】
各鎖のCDRは、典型的にはCDR1、CDR2、およびCDR3と称され、N末端から開始して連続的に番号が振られ、特定のCDRが位置する鎖によっても一般的に特定される。したがって、重鎖可変領域(VH)CDR3(CDR-H3とも呼ばれる)は、それが見いだされる抗体の重鎖の可変ドメインに位置するのに対し、軽鎖可変領域(VL)CDR1(CDR-L1とも呼ばれる)は、それが見いだされる抗体の軽鎖の可変ドメインからのCDR1である。異なる抗原に対する異なる結合部位などの、異なる特異性を有する抗体は、異なるCDRを有する。抗体の間で様々であるのはCDRであるものの、CDR内の限られた数のアミノ酸位置だけが抗原結合に直接関与する。CDR内のこれらの位置は、特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。いくつかの態様では、ターゲティング分子は、Chothia番号付けスキームにより、表1に記載されたものなどの7G7B6、MA251、または「クローンA」もしくは「クローンB」からのCDRを含む。いくつかの態様では、ターゲティング分子は、異なる番号付けスキームによる7G7B6、MA251、または「クローンA」もしくは「クローンB」からのCDRを含む。いくつかの態様では、コンジュゲートの抗体は、本明細書に記載される抗CD25抗体、例えば、7G7B6、MA251、「クローンA、もしくは「クローンB」のいずれかのバイオ後続品、相互転換可能物またはバイオベター、またはその抗原結合断片である。このような抗体はまた、本明細書に記載される抗CD25抗体のいずれかのコピー生物学的製剤およびバイオジェネリックまたはその抗原結合断片を含む。
【0102】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、機能的Fc領域を含む。本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、完全長Fc領域を含む。いくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、IgG1 Fc領域を含む。いくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、IgG2 Fc領域を含む。いくつかの態様では、IgG2 Fc領域は、IgG2a Fc領域である。いくつかの態様では、IgG2 Fc領域はIgG2a/b Fc領域である。いくつかの態様では、IgG2 Fc領域はIgG2a Fc領域である。本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、IgG3 Fc領域を含む。本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、IgG4 Fc領域を含む。いくつかの態様では、Fc領域は、コンジュゲートの抗体部分のエフェクター機能をモジュレートするように改変される。このような改変、例えば、Wang et al., (2018) Protein Cell. 9(1): 63-73に記載された改変のいずれもが、本明細書に記載される抗体、抗体断片、およびコンジュゲートのために企図される。
【0103】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、機能的Fc領域を含まない。このような例のいくつかでは、IL-2非遮断性抗体は、Fc領域を含有しないか、またはFc受容体に結合しないかつ/もしくは実質的なFcエフェクター機能(例えば、ADCC、ADCP、および/もしくはCDC)を誘発しないように改変されたFc領域を含む。このような態様のいくつかでは、IL-2非遮断性抗体は、Edelman et al., (1969) Proc Natl Acad Sci U S A. 63(1):78-85によって記載されたEU番号付けに基づき重鎖の297位に対応する位置のグリコシル化部位を排除するためのアミノ酸置換を含有するFc受容体を含む。例えば、IL-2非遮断性抗体は、抗体配列のEU番号付けに関して297位のもしくはそれに対応するアスパラギンからグルタミンへの置換(N297Q)、抗体配列のEU番号付けに関して297位のもしくはそれに対応するアスパラギンからアラニンへの置換(N297A)、または抗体配列のEU番号付けに関して297位のもしくはそれに対応するアスパラギンからグリシンへの置換(N297G)を含有するFc受容体を含むことができる。
【0104】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、ADCC、ADCP、および/もしくはCDC活性などの増強されたFc媒介エフェクター機能を示す、かつ/またはFcガンマ受容体との優先的結合を示す、Fc領域を含む。いくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25抗体は、増加したFc受容体の会合による増強された機能を示す。いくつかの態様では、Fc領域は、以下の変異の1つまたは複数を含有する:抗体重鎖のEU番号付けに関して239位のセリンからアスパラギン酸への置換(S239D)、330位のアラニンからロイシンへの置換(A330L)、332位のイソロイシンからグルタミン酸への置換(I332E)、333位のグルタミン酸からアラニンへの置換(E333A)、334位のリシンからアラニンへの置換(K334A)、255位のアルギニンからアラニンへの置換(S255A)、256位のトレオニンからアラニンへの置換(T256A)、267位のセリンからアラニンへの置換(S267A)、298位のセリンからアラニンへの置換(S298A)、325位のアスパラギンからセリンへの置換(N325S)、328位のロイシンからフェニルアラニンへの置換(L328F)、330位のアラニンからロイシンへの置換(A330L)、333位のイソロイシンからグルタミン酸への置換(E333A)、333位のグルタミン酸からアラニンへの置換(E333A)、334位のリシンからアラニンへの置換(K334)、および/または378位のアラニンからグルタミンへの置換(A378Q)。いくつかの態様では、Fc領域は、抗体重鎖のEU番号付けに関して298位のセリンからアラニンへの置換および334位のリシンからアラニンへの置換(S298A/K334)を含有する。いくつかの態様では、Fc領域は、抗体重鎖のEU番号付けに関して333位のグルタミン酸からアラニンへの置換および334位のリシンからアラニンへの置換(E33A/K334)を含有する。いくつかの態様では、Fc領域は、抗体重鎖のEU番号付けに関して255位のアルギニンからアラニンへの置換および267位のセリンからアラニンへの置換(R255A/S267A)を含有する。いくつかの態様では、Fc領域は、抗体重鎖のEU番号付けに関して256位のトレオニンからアラニンへの置換(T256A)を含有する。いくつかの態様では、Fc領域は、抗体重鎖のEU番号付けに関して334位のリシンからアラニンへの置換および378位のアラニンからグルタミンへの置換(K334/A378)を含有する。いくつかの態様では、Fc領域は、抗体重鎖のEU番号付けに関して239位のセリンからアスパラギン酸への置換、330位のアラニンからロイシンへの置換、および332位のイソロイシンからグルタミン酸への置換(S239D/A330L/I332E)を含有する。いくつかの態様では、Fc領域は、抗体重鎖のEU番号付けに関して236位のグリシンからアラニンへの置換、239位のセリンからアスパラギン酸への置換、および332位のイソロイシンからグルタミン酸への置換(S239D/A330L/I332E)を含有する。いくつかの態様では、Fc領域は、抗体重鎖のEU番号付けに関して325位のアルギニンからセリンへの置換および328位のロイシンからフェニルアラニンへの置換(N325S/L328F)を含有する。
【0105】
本明細書に提供される方法および使用に使用されるコンジュゲートは、フタロシアニン色素を含む。本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、フタロシアニン色素は、ケイ素配位金属を有するフタロシアニン色素(Si-フタロシアニン色素)である。態様のいずれかでは、フタロシアニン色素は、本明細書に記載される色素のいずれかの塩、立体異性体、または互変異性体である。態様のいずれかでは、フタロシアニン色素は、本明細書に記載される色素のいずれかのイオン形態である。
【0106】
いくつかの態様では、フタロシアニン色素は、式:
を含み、式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、ターゲティング分子への色素の付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアリールの中から選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルカノイル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子の中から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアルキルアミノおよび置換されていてもよいアルコキシの中から選択され;そして
X
2およびX
3は、各々独立して、場合によりヘテロ原子が介在しているC
1~C
10アルキレンである。
【0107】
いくつかの態様では、フタロシアニン色素は、式:
を含み、式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、場合によりヘテロ原子が介在しているC
1~C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルカノイル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアルキルカルバモイル、およびキレート配位子の中から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;そして
R
16、R
17、R
18およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアルキルアミノおよび置換されていてもよいアルコキシの中から選択される。
【0108】
いくつかの態様では、フタロシアニン色素は、IRDye 700DX(IR700)であるSi-フタロシアニン色素である。いくつかの態様では、反応性基を含有するフタロシアニン色素は、IR700 NHSエステル、例えば、IRDye 700DX NHSエステル(LiCor 929-70010、929-70011)である。いくつかの態様では、色素は、下記式:
を有する化合物であるか、またはその塩、イオン形態、立体異性体、もしくは互変異性体である。
【0109】
本明細書における目的のために、「IR700」、「IRDye 700」または「IRDye 700DX」という用語は、色素が、抗体などに、例えば反応性基を介してコンジュゲートされたときの上記式を含む。
【0110】
いくつかの態様では、フタロシアニン色素は、国際公開公報第2021/207691号に記載された任意の色素である。いくつかの態様では、色素は、国際公開公報第2021/207691号に記載されたケイ素フタロシアニン色素である。
【0111】
いくつかの態様では、フタロシアニン色素は、式(X):
またはその塩、イオン形態、立体異性体、もしくは互変異性体を含み、式中、
Xは、
であり;
Yは、
であり;
R
1およびR
2は、各々独立して、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいシクロアルキル、置換されてもよいシクロアルキルアルキル、置換されてもよいヘテロシクリル、置換されてもよいヘテロシクリルアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよいアラルキル、置換されてもよいヘテロアリール、または置換されてもよいヘテロアラルキルであり;
R
3、R
4またはR
5は、置換基(a)または置換基(b)より選択され、その際、
(a)R
3は、水素、-L
3-H、-L
3-A、または-L
3-Zであり;
R
4は、-L
4-H、-(NH)
m-L
4-A、-(NH)
m-L
4-Z、-(O)
m-L
4-Aまたは-(O)
m-L
4-Zであり;
R
5は、-L
5-Hまたは-L
5-Aであり;かつ
(b)R
3は、-L
3-H、または-L
3-Aであり;
R
4は、-L
4-H、-(NH)
m-L
4-A、または-(O)
m-L
4-Aであり;その際、R
3およびR
4は、結合により接続されて、-L
4-Aで置換されたヘテロシクリルを形成し;かつ
R
5は、-L
5-Hまたは-L
5-Aであり;
但し、R
3、R
4およびR
5の少なくとも1つは、Aを含有する基であり;
Aは、第2の部分のチオール、ヒドロキシル、カルボキシルもしくはアミノ基と共有結合を形成することができる反応性基、またはその保護形態もしくはその反応形態であり;
R
6およびR
7は、各々独立して、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいシクロアルキル、置換されてもよいシクロアルキルアルキル、置換されてもよいヘテロシクリル、置換されてもよいヘテロシクリルアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよいアラルキル、置換されてもよいヘテロアリールまたは置換されてもよいヘテロアラルキルであり;
R
8、R
9またはR
10は、置換基(a)または置換基(b)より選択され、その際、
(a)R
8は、水素、-L
8-Hまたは-L
8-Zであり;
R
9は、-L
9-H、-(NH)
n-L
9-Zまたは-(O)
n-L
9-Zであり;
R
10は、-L
10-Zであり;かつ
(b)R
8およびR
9は、結合により接続されて、-L
9-Zで置換されたヘテロシクリルを形成し、R
10は、-L
10-Hまたは-L
10-Zであり;
但し、R
8、R
9およびR
10の少なくとも1つは、Zを含有する基であり;
Zは、AまたはL'-Aで置換されてもよい水溶性基であり;
L
1およびL
2は、各々独立して、置換されてもよいアルキレン、置換されてもよいヘテロアルキレン、置換されてもよいアルケニレン、置換されてもよいヘテロアルケニレン、置換されてもよいシクロアルキル、または置換されてもよいヘテロシクリルであり;
L
3、L
4、L
5、L
8、L
9およびL
10は、各々独立して、置換されてもよいアルキレン、置換されてもよいヘテロアルキレン、置換されてもよいアルケニレン、置換されてもよいヘテロアルケニレン、置換されてもよいシクロアルキレン、置換されてもよいヘテロシクレン、置換されてもよいアリーレン、置換されてもよいアラルキレン、置換されてもよいヘテロアラルキレン、または置換されてもよいヘテロアリーレンであり、その際、アルキレン、ヘテロアルキレン、アルケニレン、ヘテロアルケニレン、シクロアルキレン、ヘテロシクレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロアラルキレン、または置換されてもよいヘテロアリーレンの炭素原子は、Zでさらに置換されてもよく、ヘテロアルキレンまたはヘテロアルケニレンの各窒素原子は、1または2つのL'-Zで置換されてもよく;
L'は、各々独立して、置換されてもよいアルキレン、置換されてもよいヘテロアルキレン、置換されてもよいアルケニレン、置換されてもよいヘテロアルケニレン、置換されてもよいシクロアルキレン、置換されてもよいヘテロシクレン、置換されてもよいアリーレン、置換されてもよいアラルキレン、置換されてもよいヘテロアラルキレン、または置換されてもよいヘテロアリーレンであり;
aは、0または1であり;
bは、0または1であり;
cは、0または1であり;
dは、0または1であり;
mは、0または1であり;
nは、0または1であり;
但し、bが1の場合に、aは0であり;
dが1の場合に、cは0であり;
mが1の場合に、bは1であり;
nが1の場合に、cは1である。
【0112】
ある特定の態様では、ケイ素フタロシアニン色素は、次式:
、またはその塩、イオン形態、立体異性体、もしくは互変異性体より選択される。
【0113】
ある特定の態様では、ケイ素フタロシアニン色素は、次式:
またはその塩、イオン形態、立体異性体、もしくは互変異性体より選択される。
【0114】
いくつかの態様では、色素は、表Aに提供される化合物、またはその塩、イオン形態、立体異性体、もしくは互変異性体より選択されるケイ素フタロシアニン色素である。
【0115】
【0116】
特定の態様では、反応性基を含有するフタロシアニン色素は、式(I):
の構造を有する。
【0117】
特定の態様では、反応性基を含有するフタロシアニン色素は、式(II):
の構造を有する。
【0118】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法および使用と共に使用するための組成物は、ターゲティング分子に連結されたSi-フタロシアニン色素を含むコンジュゲートを含み、その際、ターゲティング分子はCD25に結合する。いくつかの態様では、ターゲティング分子は、IL-2非遮断性抗CD25抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの態様では、組成物は、IL-2非遮断性抗CD25-Si-フタロシアニン色素コンジュゲートを含む。いくつかの態様では、組成物は、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートを含む。いくつかの態様では、組成物は、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートを含み、その際、抗CD25部分は、7G7B6、MA251、「クローンA」または「クローンB」である。いくつかの態様では、組成物は、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートを含み、その際、IL-2非遮断性抗CD25部分は、機能的Fc領域を含有する。いくつかの態様では、組成物は、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートであり、その際、IL-2非遮断性抗CD25部分は、完全長Fc領域などのFc領域を含有する。いくつかの態様では、組成物は、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートであり、その際、IL-2非遮断性抗CD25部分は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示すまたは増強されたADCC活性を示すように操作されたFc領域などのFc領域を含有する。
【0119】
IV. チェックポイント阻害剤併用療法
本明細書に提供される方法および使用は、コンジュゲートの投与の前の、それと同時の、またはその後の免疫チェックポイント阻害剤の投与を含むことができる。例えば、該方法は、免疫チェックポイント阻害剤の1つまたは複数の用量を投与する工程と、ターゲティング分子に連結されたSi-フタロシアニン色素などのフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程であって、ターゲティング分子が、IL-2を遮断せずにCD25に結合する工程と、コンジュゲートの投与後に、第1の腫瘍および任意で1つまたは複数のさらなる腫瘍を照射する工程とを含むことができる。該方法は、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを最初に投与する工程であって、ターゲティング分子が、IL-2を遮断せずにCD25に結合する工程と、コンジュゲートの投与後に、第1の腫瘍および任意で1つまたは複数のさらなる腫瘍を照射する工程と、次いでコンジュゲートの投与または照射(例えば放射)工程のいずれかに続いて免疫チェックポイント阻害剤を投与する工程とを含むことができる。該方法はまた、コンジュゲートの投与と同時の免疫チェックポイント阻害剤の投与を含むことができる。いくつかの局面では、提供される組み合わせは、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、IL-2非遮断性抗CD25抗体-IR700コンジュゲート)および免疫チェックポイント阻害剤を含むことができる。いくつかの局面では、このような組み合わせは、併用療法または処置に関係する方法または使用などの、提供される方法または使用に用いることができる。
【0120】
いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、またはそれらの組み合わせから選択される。いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1に結合する抗体もしくは抗原結合断片、PD-L1に結合する抗体もしくは抗原結合断片またはCTLA-4に結合する抗体もしくは抗原結合断片、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0121】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体である。いくつかの態様では、該方法と共に使用するための抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、セミプリマブ(LIBTAYO)、トリパリマブ(JS001)、HX008、SG001、GLS-010、ドスタルリマブ(TSR-042)、チスレリズマブ(BGB-A317)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、ピジリズマブ(CT-011)、ゲノリムズマブ(APL-501、GB226)、BCD-100、セミプリマブ(REGN2810)、F520、シンチリマブ(IBI308)、CS1003、LZM009、カムレリズマブ(SHR-1210)、SCT-I10A、MGA012、AK105、PF-06801591、AMP-224、AB122、AMG 404、BI 754091、HLX10、JTX-4014、AMP-514(MEDI0680)、Sym021、MGD019、MGD013、AK104、XmAb20717、RO7121661、CX-188、スパルタリズマブ、BCD-217、HX009、IBI308、PDR001、REGN2810、TSR-042(ANB011)、もしくはその抗原結合断片、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0122】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-L1抗体である。本明細書に提供される方法および使用において使用することができる抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ(MPDL3280A、Tecentriq、RG7446)、アベルマブ(BAVENCIO、MSB0010718C;M7824)、デュルバルマブ(MEDI4736、IMFINZI)、LDP、NM-01、STI-3031(IMC-001;STI-A1015)、KN035、LY3300054、M7824(MSB0011359C)、BMS-936559、MSB2311、BCD-135、BGB-A333、CBT-502(TQB-2450)、コシベリマブ(CK-301)、CS1001(WPB3155)、FAZ053、MDX-1105、SHR-1316(HTI-1088)、TG-1501、ZKAB001(STI-A1014)、INBRX-105、MCLA-145、KN046、LY3415244、REGN3504、HLX20、もしくはその抗原結合断片、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0123】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体である。例示的な抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(YERVOY)、トレメリムマブ(チシリムマブ、CP-675,206)、AGEN1181、AGEN1884、ADU-1064、BCD-145、BCD-217、ADG116、AK104、ATOR-1015、BMS-986218、KN046、MGD019、MK-1308、REGN4659、XmAb20717、XmAb22841、もしくはその抗原結合断片、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0124】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1またはCTLA-4に結合する抗体または抗原結合断片から選択され、コンジュゲートは、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートである。本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1に結合する抗体または抗原結合断片であり、コンジュゲートは、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートであり、ここで、コンジュゲートのIL-2非遮断性抗CD25部分は、7G7B6であるかまたはそれに由来する。本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1に結合する抗体または抗原結合断片であり、コンジュゲートは、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートであり、ここで、コンジュゲートの抗CD25部分は、7G7B6であるか、それに由来するか、またはそれと競合し、コンジュゲートの抗体部分は、機能的Fc領域を含む。該方法のいくつかの態様では、コンジュゲートは、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートであり、ここで、コンジュゲートのIL-2非遮断性抗CD25部分は、機能的Fc領域を含む7G7B6であるか、それに由来するか、またはそれと競合する。該方法のいくつかの態様では、コンジュゲートは、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートであり、ここで、コンジュゲートのIL-2非遮断性抗CD25部分は、機能的Fc領域を含む7G7B6に由来するか、またはそれと競合し、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA)、ニボルマブ(OPDIVO)、もしくはセミプリマブ(LIBTAYO)、またはその抗原結合断片である。
【0125】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、IL-2非遮断性抗CD25-Siフタロシアニン色素コンジュゲート(例えば、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲート)の投与の前に、IL-2非遮断性抗CD25-Siフタロシアニン色素コンジュゲートの投与と同時に、IL-2非遮断性抗CD25-Siフタロシアニン色素コンジュゲートの投与の後に、またはそれらの任意の組み合わせにて、がんを有する対象に投与することができる。
【0126】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤が、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回または10回超、対象に投与される。
【0127】
いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤が、対象に、コンジュゲートの投与前に、1回、2回、3回、4回、5回または5回超投与される。いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤が、対象に、コンジュゲートの投与の12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは4週間前に、または約12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは4週間前に投与される。いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤が、対象に、コンジュゲートの投与前の1~4週間未満または1~3週間未満もしくは1~2週間未満に投与される。
【0128】
いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤が、対象に、コンジュゲートの投与後、1回、2回、3回、4回、5回または5回超投与される。いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤が、対象に、コンジュゲートの投与前およびコンジュゲートの投与後に投与される。
【0129】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25コンジュゲートが、対象に、1回または1回超投与される。いくつかの態様では、コンジュゲートが、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回または10回超、対象に投与される。いくつかの態様では、第1の腫瘍(複数)は、コンジュゲートの各投与後、例えば、コンジュゲートの各投与後24時間±4時間以内に照射される。いくつかの態様では、第1の腫瘍または1つもしくは複数のさらなる腫瘍、原発腫瘍由来の残留細胞または塊、侵襲性がん細胞または転移性腫瘍細胞などの残留病変が対象に留まっているならば、コンジュゲートが、1回超投与される。いくつかの態様では、残留病変が、コンジュゲートの先行投与後、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年または1年超より長い時期留まっているならば、コンジュゲートの投与が繰り返される。
【0130】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25コンジュゲート、例えば、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートが投与され、該方法はまた、免疫チェックポイント阻害剤の投与も含み、その二重投与は、増強された効果、例えば、追加的、相加的または相乗的効果をもたらす。追加的、相加的または相乗的効果は、いずれかの単独療法単独(すなわち、対象へのコンジュゲートのみの投与、コンジュゲートとそれに続く照射のみの投与、またはチェックポイント阻害剤のみの投与)の効果を超える効果のことを指す。例えば、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートの投与およびチェックポイント阻害剤、例えば抗PD-1抗体の投与は、抗CD25-IR700コンジュゲートのみまたはチェックポイント阻害剤のみが投与される場合、または抗CD25-IR700コンジュゲートとそれに続く照射のみの投与が行われる場合よりも大きな効果を生み出す。いくつかの局面では、提供される方法および使用は、追加的、相加的または相乗的な抗腫瘍応答をもたらす;例えば、対象における第1の腫瘍と二次的集団の一方または両方の成長ならびに/またはその体積、寸法もしくは質量および二次的集団における細胞の数の増加は、コンジュゲートのみ、コンジュゲートとそれに続く照射のみ、および/または抗PD-1抗体のみの投与と比較して、より大きな程度または範囲、阻害される。提供される方法または使用のいくつかの局面では、第1の腫瘍の一方または両方の成長ならびに/またはその体積、寸法もしくは質量および対象における二次的集団の体積、寸法または細胞数の増加は、コンジュゲートとそれに続く照射のみの投与と比較しておよび抗PD-1抗体のみの投与と比較して、より大きな程度、阻害される。いくつかの態様では、阻害は、腫瘍体積、腫瘍寸法または腫瘍質量の20%未満の増加;腫瘍体積、寸法または質量の変化なし(すなわち、停止された腫瘍成長または進行);または腫瘍体積、腫瘍寸法または腫瘍質量の低減、あるいは腫瘍細胞の数の低減の1つまたは複数を含む。いくつかの態様では、阻害は、腫瘍細胞の数の20%未満の増加の1つまたは複数を含む。いくつかの態様では、該方法は、増強された応答、例えば、より完全な応答、より永続的な応答またはより長く持続する応答を生み出す。
【0131】
いくつかの態様では、該方法は、腫瘍成長の阻害、低減または排除、腫瘍体積、寸法または質量の低減、または完全奏効を有する対象の数の増加、およびそれらの任意の組み合わせの1つまたは複数を含む、第1の腫瘍に対する増強された効果、例えば、追加的効果、相加的効果または相乗的効果を生み出す。いくつかの態様では、該方法は、腫瘍細胞成長の阻害、低減または排除、侵襲性腫瘍細胞の数または体積、寸法もしくは質量の低減、およびそれらの任意の組み合わせの1つまたは複数を含む(1つまたは複数の照射された腫瘍、例えば第1の腫瘍に対する効果との組み合わせも含む)、侵襲性腫瘍細胞に対する増強された効果、例えば、追加的効果、相加的効果または相乗的効果を生み出す。いくつかの態様では、該方法は、転移性腫瘍細胞成長の阻害、低減または排除、転移性腫瘍細胞の数または体積、寸法もしくは質量の低減、およびそれらの任意の組み合わせの1つまたは複数を含む(1つまたは複数の照射された腫瘍に対する効果との組み合わせも含む)、転移性腫瘍細胞に対する増強された効果、例えば、追加的効果、相加的効果または相乗的効果を生み出す。いくつかの態様では、相乗的効果は、照射(すなわち、選択された光の波長による照射または放射)に直接曝露された腫瘍に対して達成される。いくつかの態様では、増強された効果は、照射されなかった腫瘍細胞に対して達成され(例えば、この場合、第1の腫瘍は照射される)、相乗的効果は、照射されなかった転移性腫瘍細胞または侵襲性腫瘍細胞(例えば、照射された腫瘍より遠位に位置する照射されなかった転移性腫瘍細胞または侵襲性腫瘍細胞)に対して達成される。
【0132】
いくつかの態様では、該方法は、全身性免疫の増加または増大に対する相乗的効果を生み出す。いくつかの態様では、該方法は、本明細書に記載されるようなまたは公知の全身性免疫の尺度、例えば本明細書のセクションIIに記載されるもののいずれか、例えば、腫瘍内CD8+ Tリンパ球の数、CD8+ Tリンパ球と制御性T細胞(Treg)の比、腫瘍内Tリンパ球疲弊(例えば、PD-1および/またはCTLA4マーカーを発現するCD3+CD8+細胞の割合)、腫瘍内活性化CD8+ Tリンパ球の数または割合(例えば、CD45+細胞に対するKi67+またはCD69+ CD8細胞の割合)、腫瘍細胞に対する脾細胞の細胞傷害性に基づく細胞傷害性腫瘍内Tリンパ球の拡大(例えば、PD-1および/またはCTLA4マーカーを発現しないCD3+CD8+細胞の割合)、あるいはそれらの任意の組み合わせまたはすべてに対する相乗的効果を生み出す。いくつかの局面では、腫瘍内CD8+ Tリンパ球は、CD3+CD8+細胞を含み、腫瘍内疲弊Tリンパ球は、PD-1+CTLA-4+CD3+CD8+細胞を含み、活性化腫瘍内CD8+ Tリンパ球は、CD3+CD8+Ki67+および/またはCD3+CD8+CD69+細胞を含み、細胞傷害性Tリンパ球の拡大は、PD-1-CTLA-4-CD3+CD8+細胞を含む。
【0133】
いくつかの態様では、該方法は、相乗的効果を達成するための、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートおよび免疫チェックポイント阻害剤の投与を含む。いくつかの態様では、該方法は、増強された効果、例えば、相乗的効果または相加的効果を達成するための、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートおよび抗PD-1抗体の投与を含む。いくつかの態様では、抗CD25-IR700コンジュゲートは、機能的Fc領域を有するバシリキシマブを含み、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブなどの抗PD-1抗体であり、増強された効果、例えば、追加的、相加的または相乗的効果は、照射された腫瘍における腫瘍成長の低減、腫瘍体積の低減、腫瘍寸法の低減、腫瘍質量の低減もしくは完全奏効、および/または腫瘍細胞の二次的集団(侵襲性腫瘍細胞または転移性腫瘍細胞など)における非照射腫瘍細胞の成長、数、体積、寸法または質量の低減として見いだされる。いくつかの態様では、IL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートの投与および照射は、腫瘍内Tregの数の低減および/または腫瘍内CD8+とTregの比もしくは腫瘍内CD4+とTregの比の増加をもたらす。いくつかの態様では、抗PD-1抗体との併用処置は、腫瘍内Tregの数の低減および/または腫瘍内CD8+とTregの比もしくは腫瘍内CD4+とTregの比の増加に関して相乗的効果をもたらすことができる。
【0134】
V. 追加の治療剤
いくつかの局面では、提供される方法および使用は、追加の治療剤または抗がん処置の投与を伴う。いくつかの局面では、追加の治療剤は、免疫調節剤である。いくつかの局面では、追加の治療剤は、抗がん処置である。
【0135】
いくつかの態様では、免疫調節剤は、サイトカインである。いくつかの態様では、免疫調節剤は、サイトカインであるか、または腫瘍微小環境中のサイトカインの増加された発現を誘導する作用物質である。いくつかの局面では、「サイトカイン」は、ある細胞集団によって放出される、別の細胞に対して細胞間メディエーターとして作用するタンパク質の総称のことを指す。そのようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカインおよび伝統的なポリペプチドホルモンである。中でも、ヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモンおよびウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)および黄体形成ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝細胞増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子-アルファおよび-ベータ;ミュラー管抑制因子;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-ベータなどの神経成長因子;血小板成長因子;TGF-アルファおよびTGF-ベータなどのトランスフォーミング増殖因子(TGF);インスリン様成長因子-Iおよび-II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン-アルファ、ベータおよびガンマなどのインターフェロン;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、マクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);および顆粒球-CSF(G-CSF);インターロイキン(IL)、例えば、IL-1、IL-1アルファ、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12;IL-15、腫瘍壊死因子、例えばTNF-アルファまたはTNF-ベータ;ならびにLIFおよびkitリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子がサイトカインに含まれる。本明細書において使用される場合、サイトカインという用語は、天然源由来または組換え細胞培養物由来のタンパク質、および天然配列のサイトカインの生物学的に活性な同等物を含む。例えば、免疫調節剤は、サイトカインであり、サイトカインは、IL-4、TNF-a、GM-CSFまたはIL-2である。
【0136】
いくつかの態様では、免疫調節剤は、GM-CSF、CpG-ODN(CpGオリゴデオキシヌクレオチド)、リポ多糖(LPS)、モノホスホリルリピドA(MPL)、ミョウバン、組換えLeishmaniaポリタンパク質、イミキモド、MF59、ポリI:C、ポリA:U、1型IFN、Pam3Cys、Pam2Cys、完全フロイントアジュバント(CFA)、アルファ-ガラクトシルセラミド、RC-529、MDF2P、ロキソリビン、抗CD40アゴニスト、SIRPaアンタゴニスト、AS04、AS03、フラジェリン、レシキモド、DAP(ジアミノピメリン酸)、MDP(ムラミルジペプチド)およびCAF01(陽イオン性アジュバント製剤-01)の中から選択される。いくつかの態様では、免疫調節剤は、Toll様受容体(TLR)アゴニスト、アジュバントまたはサイトカインである。いくつかの態様では、免疫調節剤は、TLRアゴニストであり、TLRアゴニストは、TLR4アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニストまたはTLR9アゴニストである、TLRアゴニストである。いくつかの態様では、TLRアゴニストは、トリアシル化リポタンパク質、ジアシル化リポペプチド、リポタイコ酸、ペプチドグリカン、ザイモサン、Pam3CSK4、dsRNA、ポリ(I:C)、ポリG10、ポリG3、CpG、3M003、フラジェリン、リポ多糖(LPS)、真核生物リボソーム伸長および開始因子4aのLeishmania相同体(LeIF)、MED 19197、SD-101、ならびにイミダゾキノリンTLRアゴニストの中から選択される。
【0137】
いくつかの態様では、免疫調節剤は、1つまたは複数のインターロイキンまたは他のサイトカインを含有することができる。例えば、インターロイキンは、天然サイトカインの併用である白血球インターロイキン注射(Multikine)を含むことができる。
【0138】
いくつかの態様では、免疫調節剤は、Toll様受容体(TLR)アゴニストである。いくつかの態様では、そのようなアゴニストは、TLR4アゴニスト、TLR8アゴニスト、またはTLR9アゴニストを含むことができる。そのようなアゴニストは、ペプチドグリカン、ポリ(I:C)、CpG、3M003、フラジェリン、ならびに真核生物リボソーム伸長および開始因子4aのLeishmania相同体(LeIF)から選択され得る。
【0139】
いくつかの態様では、免疫調節剤は、腫瘍細胞の免疫原性を増強するもの、例えば、パツピロン(エポチロンB)、上皮成長因子受容体(EGFR)ターゲティングモノクローナル抗体7A7.27、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、ベリノスタット、およびエンチノスタット)、n3-多価不飽和脂肪酸ドコサヘキサエン酸、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、シコニン(ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon)の根の主成分)および腫瘍溶解性ウイルス、例えばTVec(タリモジンラヘルパレプベク)であることができる。いくつかの態様では、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ミトキサントロン)、BKチャネルアゴニスト、ボルテゾミブ、ボルテゾミブ+マイトマイシンC+hTert-Ad、強心配糖体+非ICD誘導因子、シクロホスファミド、GADD34/PP1阻害剤+マイトマイシン、LV-tSMAC、およびオキサリプラチンなどの免疫調節剤は、がんまたは腫瘍の免疫原性細胞死を活性化する。いくつかの態様では、免疫調節剤は、エピジェネティック療法、例えば、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、デシタビン、5-アザ-2'-デオキシシチジン)であることができる。
【0140】
例えば、いくつかの態様では、免疫調節剤は、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤であることができ、これは、腫瘍関連抗原(TAA)の発現を調節することができる。TAAは、免疫応答をトリガーする、腫瘍細胞において産生される抗原物質である。TAAは、しばしば、腫瘍においてDNAメチル化によってダウンレギュレーションされて、免疫系を回避する。DNAメチル化の反転は、TAA発現を回復し、腫瘍細胞の免疫原性を増加させる。例えば、デシタビン(5-アザ-2'-デオキシシチジン)などの脱メチル化剤は、腫瘍細胞においてTAAの発現をアップレギュレートすることができ、かつ、がん性細胞の免疫認識を増加させることができる。光免疫療法は、細胞を破壊することによってTAAを免疫系にさらに曝すことになるだろう。
【0141】
いくつかの態様では、追加の治療剤は、抗がん剤などの抗がん処置において使用される作用物質または化合物である。これらは、腫瘍およびがんに関連する臨床症状または診断マーカーを緩和する、低減する、改善する、抑制するかまたはその奏効状態に置くもしくは保つことができ、かつ、本明細書に提供される組み合わせおよび組成物において使用できる、任意の作用物質を含む。いくつかの態様では、抗がん剤は、その治療効果が一般に腫瘍微小環境または腫瘍空間への抗がん剤の浸透または送達に関連するものである。いくつかの態様では、抗がん剤は、アルキル化剤、白金製剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、コルチコステロイド、プロテアソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、または抗体もしくはその抗原結合抗体断片である。いくつかの態様では、抗がん剤は、ペプチド、タンパク質または低分子薬である。
【0142】
いくつかの態様では、抗がん剤は、5-フルオロウラシル/ロイコボリン、オキサリプラチン、イリノテカン、レゴラフェニブ、ziv-アフリベルセプト、カペシタビン、シスプラチン、パクリタキセル、トポテカン、カルボプラチン、ゲムシタビン、ドセタキセル、5-FU、イホスファミド、マイトマイシン、ペメトレキセド、ビノレルビン、カルムスチンウエハー(carmustine wager)、テモゾロミド、メトトレキサート、カペシタビン、ラパチニブ、エトポシド、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、リポソーマルシタラビン、シタラビン、インターフェロンアルファ、エルロチニブ、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ロムスチン、プロカルバジン、スニチニブ、ソマトスタチン、ドキソルビシン、ペグ化リポソーム封入ドキソルビシン、エピルビシン、エリブリン、アルブミン結合パクリタキセル、イキサベピロン、コトリモキサゾール、タキサン、ビンブラスチン、テムシロリムス、テモゾロミド、ベンダムスチン、経口エトポシド、エベロリムス、オクトレオチド、ランレオチド、ダカルバジン、メスナ、パゾパニブ、エリブリン、イマチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、ニロチニブ、ダサンチニブ、セレコキシブ、タモキシフェン、トレミフェン、ダクチノマイシン、シロリムス、クリゾチニブ、セルチニブ、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、ミトキサントロン、カバジタキセル、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、ロイコボリン、アファチニブ、セリチニブ、ゲフィチニブ、カボザンチニブ、オキサリプラチンまたはオーロラピリミジンである。
【0143】
いくつかの態様では、抗がん剤は、アルキル化剤である。アルキル化剤は、核酸と共有結合を形成してDNA合成を阻害することによってDNAを直接損傷する化合物である。例示的なアルキル化剤は、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンおよびチオテパ、ならびにカルムスチンおよびロムスチンなどのニトロソウレアアルキル化剤を含むが、それらに限定されない。
【0144】
いくつかの態様では、抗がん剤は、抗体または抗原結合抗体断片である。
【0145】
いくつかの態様では、抗がん剤は、白金製剤である。白金製剤は、DNAに結合してDNAの架橋を引き起こし、これが最終的にアポトーシスをトリガーする。例示的な白金製剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチンおよびリポプラチンを含むが、それらに限定されない。
【0146】
いくつかの態様では、抗がん剤は、代謝拮抗剤である。代謝拮抗剤は、RNAおよびDNAの正常な構成要素と置き換わることによって、DNAおよびRNAの成長を妨害する。これらの作用物質は、細胞の染色体がコピーされているS期の間、細胞を損傷する。いくつかの場合、代謝拮抗剤は、白血病、乳房、卵巣および腸管のがん、ならびに他のタイプのがんを処置するために使用することができる。例示的な代謝拮抗剤は、5-フルオロウラシル(5-FU)、6-メルカプトプリン(6-MP)、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、シタラビン(Ara-C(登録商標))、フロキシウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、およびペメトレキセド(Alimta(登録商標))を含むが、それらに限定されない。
【0147】
いくつかの態様では、抗がん剤は、抗腫瘍抗生物質である。抗腫瘍抗生物質は、がん細胞内のDNAを変化させることによって作用し、それらが成長および増倍しないようにする。アントラサイクリンは、DNA複製に関与する酵素を妨害する抗腫瘍抗生物質である。これらの薬物は、一般に、細胞周期のすべての段階において作用する。これらを、多種多様ながんに対して広く使用することができる。例示的なアントラサイクリンは、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシンおよびイダルビシンを含むが、それらに限定されない。他の抗腫瘍抗生物質は、アクチノマイシン-D、ブレオマイシン、マイトマイシン-C、およびミトキサントロンを含む。
【0148】
いくつかの態様では、抗がん剤は、トポイソメラーゼ阻害剤である。これらの薬物は、トポイソメラーゼ(DNAの鎖の分離を助けることで、S期の間に鎖をコピーできる)と呼ばれる酵素を妨害する。トポイソメラーゼ阻害剤は、ある特定の白血病、ならびに肺がん、卵巣がん、消化器がんおよび他のがんを処置するために使用することができる。例示的なトポイソメラーゼ阻害剤は、ドキソルビシン、トポテカン、イリノテカン(CPT-11)、エトポシド(VP-16)、テニポシドおよびミトキサントロンを含むが、それらに限定されない。
【0149】
いくつかの態様では、抗がん剤は、有糸分裂阻害剤である。有糸分裂阻害剤は、しばしば、植物アルカロイドおよび天然の植物性産物に由来する他の化合物である。これらは、細胞周期のM期における有糸分裂を停止させることによって作用するが、いくつかの場合では、酵素が細胞再生に必要なタンパク質を製造するのを妨げることによって、全ての段階において細胞を損傷することができる。例示的な有糸分裂阻害剤は、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、イキサベピロン(Ixempra(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、およびエストラムスチン(Emcyt(登録商標))を含むが、それらに限定されない。
【0150】
いくつかの態様では、抗がん剤は、コルチコステロイドである。コルチコステロイドは、しばしば単にステロイドと呼ばれ、多くのタイプのがんの処置に有用である天然ホルモンおよびホルモン様薬物である。コルチコステロイドはまた、アレルギー反応を防ぐのを助けるために化学療法の前に使用することもでき、また、吐き気および嘔吐を防ぐのを助けるために化学療法の間および後に使用することもできる。例示的なコルチコステロイドは、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン(Solumedrol(登録商標))、およびデキサメタゾン(Decadron(登録商標))を含むが、それらに限定されない。
【0151】
いくつかの態様では、抗がん剤は、プロテアソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤またはヒストンデアセチラーゼ阻害剤などの別のタイプの化学療法薬である。他の態様では、抗がん剤は、がん治療に使用される抗体などの生物製剤である。
【0152】
VI. 本方法および組成物と共に使用するための照射およびデバイス
いくつかの局面では、提供される態様と共に使用できるデバイスは、フタロシアニン色素コンジュゲート(例えば、本明細書に記載されるものなどのIL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲート)などの色素コンジュゲート組成物との使用に適した光波長の波長(または複数の波長)での照射(場合によっては、放射とも称される)を提供する光拡散デバイスを含む。照射デバイスは、光源(例えば、レーザー)と、関心対象の領域に光を伝達する手段(例えば、対象の隔離された領域または隔離された病変もしくは腫瘍に照射するための1つまたは複数のファイバ)とを含むことができる。例示的な照射デバイスは、米国特許第10,295,719号;米国特許第10,527,771号;および米国特許第10,416,366号に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み入れられる。このようなデバイスは、レーザーと機能的に接続された非円形コア光ファイバを含有する光拡散デバイスを使用して対象の標的領域に光を送達する。いくつかの態様では、コア光ファイバは円形であり、光拡散デバイスとインターフェースする前に巻かれるまたは曲げられる。特定の局面では、デバイスは、照射領域に均一な光を送達するために「トップハット(top hat)」コア放射照度分布を送達する。光拡散デバイスは、使用のための、例えば、腫瘍内または組織内放射のための、円筒形ディフューザーとしてのものであることができる。いくつかの態様では、光拡散デバイスは、レンズを有するフロンタルディフューザーであり、その際、照射は、光ファイバの終端でフロンタルディフューザーのレンズを通して投射される。投射された光は、平行または分散光ビームであることができる。
【0153】
いくつかの態様では、標的領域、例えば腫瘍、腫瘍近傍、リンパ節、リンパ節近傍は、400nmまたは約400nmから、900nmまたは約900nmまで、例えば500nmもしくは約500nmから、900nmもしくは約900nmまで、例えば600nmもしくは約600nmから、850nmもしくは約850nmまで、例えば600nmもしくは約600nmから、740nmもしくは約740nmまで、例えば660nmもしくは約660nmから、740nmもしくは約740nmまで、660nmもしくは約660nmから、710nmもしくは約710nmまで、660nmもしくは約660nmから、700nmもしくは約700nmまで、660もしくは約660から、685もしくは約685まで、665もしくは約665から、680もしくは約680まで、670もしくは約670から、685もしくは約685まで、670nmもしくは約670nmから、690nmもしくは約690nmまで、670もしくは約670から、680もしくは約680まで、680nmもしくは約680nmから、740nmもしくは約740nmまで、または690nmもしくは約690nmから、710nmもしくは約710nmまでの範囲内の波長の光が照射される。いくつかの態様では、標的領域、例えば腫瘍、腫瘍近傍、リンパ節、リンパ節近傍、または腫瘍微小環境は、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmまで、例えば660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長の光が照射される。いくつかの態様では、標的領域、例えば腫瘍、腫瘍近傍、リンパ節、リンパ節近傍、または腫瘍微小環境は、少なくとも600nm、620nm、640nm、660nm、680nm、700nm、720nmもしくは740nm、または少なくとも約600nm、620nm、640nm、660nm、680nm、700nm、720nmもしくは740nm、例えば690±50nmもしくは約690±50nm、または690±40nmもしくは約690±40nm、例えば、690nmもしくは約690nm、または680nmもしくは約680nmの波長の光が照射される。いくつかの態様では、標的領域、例えば腫瘍、腫瘍近傍、リンパ節、リンパ節近傍、または腫瘍微小環境は、670±50nmもしくは約670±50nm、または670±40nmもしくは約670±40nm、例えば、670nmまたは約670nmである波長の光が照射される。いくつかの態様では、標的領域、例えば腫瘍、腫瘍近傍、リンパ節、リンパ節近傍、または腫瘍微小環境は、685nmもしくは680nm未満または約685nmもしくは680nm未満の波長の光が照射される。
【0154】
任意の態様のいくつかでは、照射のために使用される光の波長は、フタロシアニン色素に依存する。例えば、Si-フタロシアニン色素がIR700の場合、照射は、690nm±20nmの波長で実施することができる。ある場合には、Si-フタロシアニン色素が式(I)
、またはその塩、立体異性体、または互変異性体を含む場合、照射は、660nm±50nmの波長で実施することができる。
【0155】
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様では、間質照射は、ディフューザー長0.5cmまたは約0.5cmから10cmまたは約10cmまでを含みかつ1.8±0.2cmまたは約1.8±0.2cm離れて置かれた円筒形拡散ファイバを使用して行われる。いくつかの態様では、光(照射)線量は、2J/ファイバ長cmまたは約2J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmまたは約500J/ファイバ長cmまでである。いくつかの態様では、間質の光(照射)線量は、20J/ファイバ長cmまたは約20J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmまたは約500J/ファイバ長cmまでである。いくつかの態様では、間質の光線量の光学的パワー(または光フルエンス)は、100mW/ファイバ長cmまたは約100mW/ファイバ長cmから、500mW/ファイバ長cmまたは約500mW/ファイバ長cmまでである。いくつかの態様では、光は、120秒または約120秒から、600秒または約600秒までのあいだ与えられる。いくつかの態様では、光は、少なくとも100秒、120秒、150秒、180秒、200秒、220秒、250秒、270秒、300秒、310秒、330秒、340秒、350秒、370秒、380秒、400秒、420秒、440秒、460秒、480秒、もしくは500秒、または少なくとも約100秒、120秒、150秒、180秒、200秒、220秒、250秒、270秒、300秒、310秒、330秒、340秒、350秒、370秒、380秒、400秒、420秒、440秒、460秒、480秒、もしくは500秒のあいだ与えられる。いくつかの態様では、腫瘍は、10mmもしくは約10mmを超える深さであるか、皮下腫瘍である。
【0156】
いくつかの態様では、提供される方法は、ディフューザー長0.5cmまたは約0.5cmから10cmまたは約10cmを含みかつ1.8±0.2cmまたは約1.8±0.2cm離れて置かれた円筒形拡散ファイバで、100J/ファイバ長cmまたは約100J/ファイバ長cmの光線量で、400mW/cmまたは約400mW/cmの光フルエンスで、250秒または約250秒にわたる、対象における間質性腫瘍などの腫瘍である標的領域の間質照射を含む。いくつかの態様では、標的領域は、10mmもしくは約10mmを超える深さであるか、または皮下腫瘍である腫瘍である。いくつかの態様では、円筒形拡散ファイバは、腫瘍中に1.8±0.2cmまたは約1.8±0.2cm離れて位置付けられたカテーテル中に置かれる。いくつかの態様では、カテーテルは、光学的に透明である。
【0157】
いくつかの態様では、標的領域、例えば腫瘍、腫瘍近傍、リンパ節、リンパ節近傍、または腫瘍微小環境は、少なくとも1J/cm2または少なくとも約1J/cm2、例えば少なくとも10J/cm2もしくは少なくとも約10J/cm2、少なくとも30J/cm2もしくは少なくとも約30J/cm2、少なくとも50J/cm2もしくは少なくとも約50J/cm2、少なくとも100J/cm2もしくは少なくとも約100J/cm2、または少なくとも500J/cm2もしくは少なくとも約500J/cm2の光線量、例えば、表在性光線量が照射される。いくつかの態様では、照射線量は、1もしくは約1から、J/cm2もしくは約J/cm2まで、1もしくは約1から、500J/cm2もしくは約500J/cm2まで、5もしくは約5から、200J/cm2もしくは約200J/cm2まで、10もしくは約10から、100J/cm2もしくは約100J/cm2まで、10もしくは約10から、50J/cm2もしくは約50J/cm2まで、または25もしくは約25から、400J/cm2もしくは約400J/cm2までである。いくつかの態様では、標的領域は、少なくとも2J/cm2、5J/cm2、10J/cm2、25J/cm2、30J/cm2、50J/cm2、75J/cm2、100J/cm2、150J/cm2、200J/cm2、300J/cm2、400J/cm2、もしくは500J/cm2、または少なくとも約2J/cm2、5J/cm2、10J/cm2、25J/cm2、30J/cm2、50J/cm2、75J/cm2、100J/cm2、150J/cm2、200J/cm2、300J/cm2、400J/cm2、もしくは500J/cm2の線量で照射される。いくつかの態様では、光(照射)線量は、25J/cm2または約25J/cm2から、400J/cm2または約400J/cm2までである。いくつかの態様では、光線量の光学的パワー(または光フルエンス)は、50mW/cm2または約50mW/cm2から、200mW/cm2または約200mW/cm2まで、例えば50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、もしくは200mW/cm2、または約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、もしくは200mW/cm2の光学的パワーである。いくつかの態様では、光は、120秒または約120秒から、600秒または約600秒までのあいだ与えられる。いくつかの態様では、光は、少なくとも100秒、120秒、150秒、180秒、200秒、220秒、250秒、270秒、300秒、310秒、330秒、340秒、350秒、370秒、380秒、400秒、420秒、440秒、460秒、480秒、もしくは500秒、または少なくとも約100秒、120秒、150秒、180秒、200秒、220秒、250秒、270秒、300秒、310秒、330秒、340秒、350秒、370秒、380秒、400秒、420秒、440秒、460秒、480秒、もしくは500秒のあいだ与えられる。
【0158】
いくつかの態様では、標的領域は、表在性腫瘍である腫瘍である。いくつかの態様では、腫瘍は、10mm未満の厚さである。いくつかの態様では、照射は、表面または表在性照射用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを使用して行われる。いくつかの態様では、光照射線量は、5J/cm2または約5J/cm2から、200J/cm2または約200J/cm2までである。いくつかの態様では、光照射線量は、25J/cm2または約25J/cm2から、400J/cm2または約400J/cm2までである。いくつかの態様では、光線量の光学的パワーは、50mW/cm2または約50mW/cm2から、200mW/cm2または約200mW/cm2までである。いくつかの態様では、光照射線量は、50J/cm2または約50J/cm2で、150mW/cm2または約150mW/cm2の光学的パワーで、333秒または約333秒にわたる。
【0159】
いくつかの態様では、標的領域、例えば、腫瘍、腫瘍近傍、リンパ節、リンパ節近傍、または腫瘍微小環境は、少なくとも1J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約1J/ファイバ長cm、例えば、少なくとも10J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約10J/ファイバ長cm、少なくとも50J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約50J/ファイバ長cm、少なくとも100J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約100J/ファイバ長cm、少なくとも250J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約250J/ファイバ長cm、または少なくとも500J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約500J/ファイバ長cmの線量で照射される。いくつかの態様では、照射線量は、1もしくは約1から、1000J/ファイバ長cmもしくは約1000J/ファイバ長cmまで、1もしくは約1から、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまで、2もしくは約2から、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまで、50もしくは約50から、300J/ファイバ長cmもしくは約300J/ファイバ長cmまで、10もしくは約10から、100J/ファイバ長cmもしくは約100J/ファイバ長cmまで、または10もしくは約10から、50J/ファイバ長cmもしくは約50J/ファイバ長cmまでである。いくつかの態様では、標的領域、例えば腫瘍、腫瘍近傍、リンパ節、リンパ節近傍、または腫瘍微小環境は、少なくとも2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cm、または少なくとも約2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cmの線量で照射される。いくつかの態様では、照射は、100J/cmまたは約100J/cmの線量で、400mW/cmまたは約400mW/cmのフルエンス率で、250秒または約250秒のあいだ施行される。
【0160】
いくつかの態様では、提供される方法は、表面照射用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを用いて、5J/cm2または約5J/cm2から、200J/cm2または約200J/cm2までの光線量で対象における表在性腫瘍である標的領域を照射する工程を含む。いくつかの態様では、光照射線量は、25J/cm2または約25J/cm2から、400J/cm2または約400J/cm2までである。いくつかの態様では、光照射線量は、50J/cm2または約50J/cm2である。いくつかの態様では、表在性腫瘍の照射は、50J/cm2または約50J/cm2の線量で、150mW/cm2または約150mW/cm2のフルエンス率で333秒もしくは約333秒のあいだ施行される。
【0161】
場合によっては、ヒト対象におけるPITを達成するための照射線量は、マウスにおけるPITに必要な照射線量よりも低線量であり得ることが分かっている。例えば、場合によっては、インビボ腫瘍マウスモデルにおける50J/cm2または約50J/cm2(50J/cm2)の光線量法はPITに有効ではなく、これは、ヒト患者での臨床において観察できるものとは対照的である。
【0162】
いくつかの態様では、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含む組成物の投与後の照射線量は、660~740nmまたは約660~740nmの波長で、少なくとも1J/cm2もしくは少なくとも約1J/cm2または少なくとも1J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約1J/ファイバ長cm、例えば、660~740nmまたは約660~740nmの波長で、少なくとも10J/cm2もしくは少なくとも約10J/cm2または少なくとも10J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約10J/ファイバ長cm、660~740nmまたは約660~740nmの波長で、少なくとも50J/cm2もしくは少なくとも約50J/cm2または少なくとも50J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約50J/ファイバ長cm、あるいは660~740nmまたは約660~740nmの波長で、少なくとも100J/cm2もしくは少なくとも約100J/cm2または少なくとも100J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約100J/ファイバ長cmである。いくつかの態様では、波長は660~710nmである。いくつかの態様では、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含む組成物の投与後の照射線量は、690nmまたは約690nmの波長で、少なくとも1.0J/cm2もしくは少なくとも約1.0J/cm2または少なくとも1J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約1J/ファイバ長cm、例えば、690nmまたは約690nmの波長で、少なくとも10J/cm2もしくは少なくとも約10J/cm2または少なくとも10J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約10J/ファイバ長cm、690nmまたは約690nmの波長で、少なくとも50J/cm2もしくは少なくとも約50J/cm2または少なくとも50J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約50J/ファイバ長cm、あるいは690nmまたは約690nmの波長で、少なくとも100J/cm2もしくは少なくとも約100J/cm2または少なくとも100J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約100J/ファイバ長cm、例えば、690nmまたは約690nmの波長で、1.0~500J/cm2または1.0~500J/ファイバ長cmである。本明細書に提供されるコンジュゲートまたは組成物の投与後の例示的な照射は、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、少なくとも1J/cm2もしくは少なくとも約1J/cm2または少なくとも1J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約1J/ファイバ長cmの線量で標的領域を照射する工程を含む。
【0163】
いくつかの態様では、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含む組成物の投与後の照射線量は、600~800nmまたは約600~800nmの波長で、少なくとも1J/cm2もしくは少なくとも約1J/cm2または少なくとも1J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約1J/ファイバ長cm、例えば、620~720nmまたは約620~720nmの波長で、少なくとも1J/cm2もしくは少なくとも約1J/cm2または少なくとも1J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約1J/ファイバ長cm、620~720nmまたは約620~720nmの波長で、少なくとも10J/cm2もしくは少なくとも約10J/cm2または少なくとも10J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約10J/ファイバ長cm、620~720nmまたは約620~720nmの波長で、少なくとも50J/cm2もしくは少なくとも約50J/cm2または少なくとも50J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約50J/ファイバ長cm、あるいは620~720nmまたは約620~720nmの波長で、少なくとも100J/cm2もしくは少なくとも約100J/cm2または少なくとも100J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約100J/ファイバ長cmである。いくつかの態様では、波長は640~700nmである。いくつかの態様では、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含む組成物の投与後の照射線量は、670nmまたは約670nmの波長で、少なくとも1.0J/cm2もしくは少なくとも約1.0J/cm2または少なくとも1J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約1J/ファイバ長cm、例えば、670nmまたは約670nmの波長で、少なくとも10J/cm2もしくは少なくとも約10J/cm2または少なくとも10J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約10J/ファイバ長cm、670nmまたは約670nmの波長で、少なくとも50J/cm2もしくは少なくとも約50J/cm2または少なくとも50J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約50J/ファイバ長cm、あるいは670nmまたは約670nmの波長で、少なくとも100J/cm2もしくは少なくとも約100J/cm2または少なくとも100J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約100J/ファイバ長cm、例えば、670nmまたは約670nmの波長で、1.0~500J/cm2または1.0~500J/ファイバ長cmである。本明細書に提供されるコンジュゲートまたは組成物の投与後の例示的な照射は、620nmまたは約620nmから、720nmまたは約720nmの波長で、少なくとも1J/cm2もしくは少なくとも約1J/cm2または少なくとも1J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約1J/ファイバ長cmの線量で標的領域を照射する工程を含む。
【0164】
いくつかの態様では、照射する工程は、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmまでの波長で、25J/cm2もしくは約25J/cm2から、400J/cm2もしくは約400J/cm2まで、または、2J/ファイバ長cmもしくは約2J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で行われる。いくつかの態様では、標的領域は、690±40nmの波長で照射される。いくつかの態様では、標的領域は、50J/cm2もしくは約50J/cm2または100J/ファイバ長cmもしくは約100J/ファイバ長cmの線量で照射される。
【0165】
いくつかの態様では、光またはレーザーは、色素分子に、例えばコンジュゲートを含有する細胞に、5秒または約5秒から、5分または約5分までのあいだ適用され得る。例えば、いくつかの態様では、光またはレーザーは、色素分子を活性化するために、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50もしくは55秒、または約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50もしくは55秒間、あるいは2つのこのような値のいずれかの間の範囲内に適用される。いくつかの態様では、光またはレーザーは、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5もしくは5分、または約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5もしくは5分間、またはそれよりも長く、あるいはこのような値の任意の2つの間の範囲内で適用される。いくつかの態様では、光またはレーザーが適用される時間の長さは、例えば、光またはレーザーのワット数などのエネルギーに応じて変動することができる。例えば、より低いワット数を有する光またはレーザーは、色素分子を活性化するためにより長い期間適用され得る。
【0166】
いくつかの態様では、光またはレーザーは、コンジュゲートを投与した後30分または約30分から96時間または約96時間に適用され得る。例えば、いくつかの態様では、光またはレーザーは、コンジュゲートを投与した後30、35、40、45、50もしくは55分、または約30、35、40、45、50もしくは55分に、あるいはこのような値の任意の2つの間の範囲内に適用される。いくつかの態様では、光またはレーザーは、コンジュゲートを投与した後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30時間、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30時間に適用されるか、あるいはこのような値のおよそ任意の2つの間の範囲内に、例えば、20時間もしくは約20時間から、28時間もしくは約28時間の間に、または約24時間±4時間に与えられる。いくつかの態様では、光またはレーザーは、コンジュゲートの投与後、1~24時間の間もしくは約1~24時間の間に、例えば1もしくは約1~12時間もしくは約12時間の間、12もしくは約12~24時間もしくは約24時間の間、6もしくは約6~12時間もしくは約12時間の間に適用されるか、または24時間超もしくは約24時間超に与えられ得る。いくつかの態様では、光またはレーザーは、コンジュゲートの投与後36、48、72もしくは96時間、または約36、48、72もしくは96時間に適用される。いくつかの態様では、光またはレーザーは、コンジュゲートの投与後24時間±4時間または約24時間±4時間に適用される。
【0167】
いくつかの態様では、標的領域、例えば腫瘍、腫瘍近傍、リンパ節、リンパ節近傍、または腫瘍微小環境、または対象を1回または複数回照射することができる。したがって、照射を1日で完了することができる、または同じもしくは異なる線量投与量で複数日に繰り返し、例えば少なくとも2つの異なる時間、3つの異なる時間、4つの異なる時間、5つの異なる時間もしくは10の異なる時間、または少なくとも約2つの異なる時間、3つの異なる時間、4つの異なる時間、5つの異なる時間もしくは10の異なる時間に照射を行うことができる。いくつかの態様では、繰り返し照射は、同日に、連日、もしくは1~3日毎、3~7日毎、1~2週間毎、2~4週間毎、1~2か月毎に、または一層長い間隔で行われ得る。いくつかの態様では、複数の照射、例えば少なくとも2回、少なくとも3回、または少なくとも4回の照射、例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10回の別々の施与が実施される。
【0168】
いくつかの態様では、照射の線量または方法は、標的領域の型または形態、例えば腫瘍、腫瘍近傍、リンパ節、リンパ節近傍に応じて異なる。
【0169】
いくつかの態様では、照射は、WO2018/080952およびUS20180239074に記載されたものなどの「トップハット」放射照度分布プロファイルを有するデバイスを用いる。
【0170】
VII. 定義
別途定義がなされない限り、本明細書において使用される専門用語、表記、ならびに他の技術用語および科学用語または用語法はすべて、特許請求される主題が関係する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有すると意図される。いくつかの場合、通常理解されている意味を有する用語が、明確にするためにかつ/またはすぐに参照できるように本明細書において定義されるが、本明細書にそのような定義を含めることは、当技術分野において一般に理解されているものとの実質的な相違を表すと必ずしも解釈されるべきではない。
【0171】
本明細書において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈による明確な別途指示がなされない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。本明細書に記載される局面および変形は、局面および変形「からなる」ならびに/または局面および変形「から本質的になる」を含むと理解される。
【0172】
本開示を通して、特許請求される主題の様々な局面は、範囲形式で提示される。範囲形式での記載は、単に便宜上および簡潔化のためであり、特許請求される主題の範囲に対する確固たる限定として解釈されるべきでないことが、理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、可能な部分範囲およびその範囲内の個々の数値をすべて具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、値のある範囲が提供される場合、その範囲の上限値と下限値の間の各介在値、およびその規定範囲内の任意の他の規定値または介在値が、特許請求される主題内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限値および下限値は、独立的にそのより小さな範囲内に含まれてよく、これらもまた、規定範囲における任意の具体的に除外される限界値に従って、特許請求される主題内に包含される。規定範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それら含まれた限界値の一方または両方を除外する範囲もまた、特許請求される主題内に含まれる。このことは、範囲の幅とは無関係に適用される。
【0173】
「約」という用語は、本明細書において使用される場合、この技術分野の当業者にとっては明白な、それぞれの値に関する通常の誤差範囲のことを指す。本明細書における「約」の付いた値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーターそのものに向けられた態様を含む(および説明する)。例えば、「約X」に言及する説明は、「X」の説明を含む。
【0174】
本明細書において使用される場合、「コンジュゲート」は、化学コンジュゲートによって生産されるものおよび任意の他の方法によって生産されるものなどの光活性化可能な色素に直接的または間接的に連結されたターゲティング分子のことを指す。例えば、コンジュゲートは、1つまたは複数のターゲティング分子(細胞表面タンパク質に結合するかまたはそれを標的とするポリペプチドなど)に直接的または間接的に連結されたフタロシアニン色素(IR700分子など)のことを指すことができる。ターゲティング分子は、ポリペプチド、1を超えるポリペプチド、抗体または化学部分であることができる。
【0175】
本明細書において使用される場合、「IL-2非遮断性抗CD25コンジュゲート」は、CD25に結合するがCD25へのIL-2の結合を実質的にもしくは有意に遮断しないかつ/またはIL-2シグナル伝達を実質的にもしくは有意に遮断もしくは妨害しないターゲティング分子を有するコンジュゲートのことを指す。IL-2非遮断性抗CD25コンジュゲートは、CD25に結合するがCD25へのIL-2の結合を実質的にもしくは有意に遮断しない抗体、抗原結合断片または他の部分であるターゲティング分子を有することができる。
【0176】
「モノクローナル抗体」は、Bリンパ球の単一クローンによってまたは単一抗体の軽鎖および重鎖遺伝子がトランスフェクトされた細胞によって産生される抗体である。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法によって、例えば、骨髄腫細胞と免疫脾細胞との融合物からハイブリッド抗体形成細胞を作製することによって生産される。モノクローナル抗体は、ヒト化モノクローナル抗体を含む。
【0177】
「特異的に結合する」は、非腫瘍タンパク質(例えばβ-アクチン)などの関連のないタンパク質への結合と比べて腫瘍特異的抗原などの抗原と特異的に免疫反応する、個々の抗体の能力のことを指す。例えば、CD25特異的結合剤は、インビトロまたはインビボで実質的にCD25タンパク質にのみ結合する。本明細書において使用される場合、「腫瘍特異的結合剤」という用語は、腫瘍特異的抗体、およびその調製物中の実質的に腫瘍特異的タンパク質にのみ結合する他の作用物質を含む。
【0178】
「抗体-IR700分子」または「抗体-IR700コンジュゲート」は、IR700にコンジュゲートされた腫瘍特異的抗体などの抗体を両方とも含む分子のことを指す。いくつかの例では、抗体は、がん細胞上の表面タンパク質に特異的に結合するヒト化抗体(ヒト化モノクローナル抗体など)である。
【0179】
「抗原」は、動物に注射されるかまたは吸収される組成物(腫瘍特異的タンパク質を含むものなど)を含め、動物において抗体の産生またはT細胞応答を刺激することができる化合物、組成物または物質のことを指す。抗原は、開示される抗原などの異種抗原によって誘導されるものを含め、特定の体液性または細胞性免疫の産物と反応する。「エピトープ」または「抗原決定基」は、B細胞および/またはT細胞が応答する抗原の領域のことを指す。一態様では、T細胞は、エピトープがMHC分子と共に提示される場合、エピトープに応答する。エピトープは、タンパク質の三次フォールディングによって近接する連続アミノ酸または非連続アミノ酸の両方から形成され得る。連続アミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒に曝露しても保持されるのに対し、三次フォールディングによって形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒で処理すると失われる。エピトープは、典型的には、少なくとも3個、より通常には、少なくとも5個、約9個または約8~10個のアミノ酸を固有の空間的立体構造中に含む。エピトープの空間的立体構造を決定する方法は、例えば、X線結晶構造解析および核磁気共鳴を含む。
【0180】
抗原の例は、免疫細胞によって認識されるものなどの抗原決定基を含有する、ペプチド、脂質、多糖および核酸を含むが、それらに限定されない。いくつかの例では、抗原は、腫瘍特異的ペプチド(がん細胞の表面上に見いだされるものなど)またはその免疫原性断片を含む。
【0181】
「免疫チェックポイント阻害剤」は、T細胞などの一部の免疫系細胞および一部のがん細胞によって作製されるある特定のタンパク質を遮断する薬物の一種のことを指す。これらのタンパク質は、免疫応答を抑制するのを助け、T細胞ががん細胞を死滅させるのを妨げ得る。これらのタンパク質が遮断されると、免疫系に対する「ブレーキ」が解除され、T細胞はがん細胞をより死滅させることができる。T細胞またはがん細胞上に見いだされるチェックポイントタンパク質の例は、PD-1/PD-L1およびCTLA-4/B7-1/B7-2を含む。いくつかの免疫チェックポイント阻害剤が、がんを処置するために使用される。
【0182】
本明細書において使用される場合、組み合わせは、2つ以上の項目の間の任意の会合のことを指す。組み合わせは、2つの組成物または2つの収集物などの2つ以上の別々の項目であることができ、2つ以上の項目の単一混合物などのそれらの混合物、またはそれらの変種であることができる。組み合わせの構成要素は、一般に機能的に関連または関係している。
【0183】
本明細書において使用される場合、「併用療法」は、単一疾患を処置するために対象に2つ以上の治療剤、例えば少なくとも2つまたは少なくとも3つの治療剤が与えられる処置のことを指す。いくつかの態様では、各療法は、独立した薬学的効果をもたらすことができ、一緒になって、相加的または相乗的な薬学的効果をもたらすことができる。
【0184】
本明細書において使用される場合、疾患または病態を有する対象を「処置すること」は、処置後、対象の症状が部分的または全体的に緩和されるかまたは安定した状態に保たれることを意味する。よって、処置することは、予防、治療および/または治癒を包含する。予防は、潜在的な疾患の抑制および/または疾患の症状もしくは進行の悪化の抑制のことを指す。
【0185】
本明細書において使用される場合、「処置」は、病態、障害または疾患または他の適応症の症状を改善するかまたは他の有益な形で変化させる任意の方法のことを意味する。
【0186】
本明細書において使用される場合、「治療効果」は、対象の処置から生じる、疾患または病態の症状を変化させる、典型的には向上させるまたは改善するか、疾患または病態を治癒する、効果のことを意味する。
【0187】
本明細書において使用される場合、「治療上有効な量」または「治療上有効な用量」は、少なくとも治療効果を生み出すのに十分な、作用物質、化合物、材料または化合物を含有する組成物の量のことを指す。よって、それは、疾患または障害の症状を抑制する、治癒する、改善する、停止するまたは部分的に停止するのに必要な量である。
【0188】
本明細書において使用される場合、処置による、例えば薬学的組成物または他の治療薬の投与による、特定の疾患または障害の症状の改善は、組成物または治療薬の投与に起因または関連し得る症状の、永久的か一時的か、持続的か一過性かにかかわることのない、あらゆる軽減のことを指す。
【0189】
本明細書において使用される場合、「対象」という用語は、ヒトなどの哺乳動物を含む動物のことを指す。
【0190】
本明細書において使用される場合、「任意の(optional)」または「任意で(または場合により)(optionally)」は、その後に記載される事象または状況が起こるまたは起こらないこと、その記載が、前記事象または状況が起こる場合とそれが起こらない場合を含むことを意味する。例えば、置換されていてもよい(optionally substituted)基は、その基が置換されていないことまたは置換されていることを意味する。
【0191】
特許文書、科学論文およびデータベースを含めて、本出願において参照されるすべての刊行物は、それぞれの個々の刊行物が個々に参照により組み入れられていたかのように同程度に、すべての目的のためにその全体が参照により組み入れられる。本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、特許出願、公開特許出願および他の刊行物において示される定義に反する場合、または、そうでなければ、該定義と一致しない場合、本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義に優先する。
【0192】
本明細書において使用されるセクション見出しは、構成を目的としたものにすぎず、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0193】
VIII. 例示的態様
中でも、本明細書に提供される態様は、下記である。
1. IL-2シグナル伝達を実質的に遮断も妨害もせずにCD25に特異的に結合する抗体または抗原結合断片と、Si-フタロシアニン色素とを含み、
600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmまでの波長での照射によって活性化されて細胞死滅を引き起こす、
コンジュゲート。
2. 活性化されたコンジュゲートが、IL-2シグナル伝達を実質的に遮断も妨害もしない、態様1のコンジュゲート。
3. Si-フタロシアニン色素がIR700である、態様1または2のコンジュゲート。
4. Si-フタロシアニン色素が、式(I):
の構造を有するか、またはその塩、立体異性体、もしくは互変異性体である、態様1または2のコンジュゲート。
5. 活性化されたコンジュゲートが、非コンジュゲート型抗体よりも高いレベル、活性または効力で腫瘍の阻害または死滅を引き起こす、態様1~4のいずれかのコンジュゲート。
6. 抗体または抗原結合断片が、重鎖可変(V
H)領域および軽鎖可変(V
L)領域を含み、ここで、
該V
H領域が、SEQ ID NO:1に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有される重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)および重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:2に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有される軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)および軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:3に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:4に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:5に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:6に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:7に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:8に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:9に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:11に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:9に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:12に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:10に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:11に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:10に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:12に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:16に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:17に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:18に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:19に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:16に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:17に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:18に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:19に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:16に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:17に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:18に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む;または
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるV
H領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:19に示されるV
L領域アミノ酸配列内に含有されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む、
態様1~5のいずれかのコンジュゲート。
7. 抗体または抗原結合断片が、重鎖可変(V
H)領域および軽鎖可変(V
L)領域を含み、ここで、
該V
H領域が、SEQ ID NO:20に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1);SEQ ID NO:21に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、およびSEQ ID NO:22に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1);SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、およびSEQ ID NO:25に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:26に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;SEQ ID NO:27に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2、およびSEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:29に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、およびSEQ ID NO:30に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:31に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2、およびSEQ ID NO:33に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:34に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;SEQ ID NO:35に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、およびSEQ ID NO:36に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む;または
該V
H領域が、SEQ ID NO:37に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;SEQ ID NO:38に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2、およびSEQ ID NO:39に示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:40に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;SEQ ID NO:41に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2、およびSEQ ID NO:42に示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、
態様1~6のいずれかのコンジュゲート。
8. 抗体または抗原結合断片が、重鎖可変(V
H)領域および軽鎖可変(V
L)領域を含み、ここで、
該V
H領域が、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:7に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:9に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:11に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:9に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:10に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:11に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:10に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:16に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:18に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:16に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:18に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:16に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列を含む;
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:18に示されるアミノ酸配列を含む;または
該V
H領域が、SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列を含み、該V
L領域が、SEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列を含む、
態様1~7のいずれかのコンジュゲート。
9. 抗体または抗原結合断片が、MA251、7G7B6またはその抗原結合部分を含む、態様1~8のいずれかのコンジュゲート。
10. 1つまたは複数のFc媒介エフェクター機能を示す、態様1~9のいずれかのコンジュゲート。
11. Fc媒介エフェクター機能を欠く、
実質的に低減されたFc媒介エフェクター機能を示す、または
実質的なFc媒介エフェクター機能を示さない、
態様1~9のいずれかのコンジュゲート。
12. 活性化されたコンジュゲートが、実質的なFc媒介エフェクター機能の非存在下で細胞を死滅させることが可能である、態様11のコンジュゲート。
13. Fc媒介エフェクター機能が、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)または補体依存性細胞傷害(CDC)の1つまたは複数より選択される、態様10~12のいずれかのコンジュゲート。
14. 活性化された場合に、細胞死滅を引き起こすための少なくとも2つの作用様式を有する、態様1~13のいずれかのコンジュゲート。
15. 少なくとも2つの作用様式の1つがADCC非依存性である、態様14のコンジュゲート。
16. 活性化されたコンジュゲートが、非コンジュゲート型抗体に存在しない細胞死滅または腫瘍阻害の少なくとも1つの様式を示す、態様1~15のいずれかのコンジュゲート。
17. IgG1 Fc領域もしくはIgG1アイソタイプ、IgG2 Fc領域もしくはIgG2アイソタイプ、IgG3 Fc領域もしくはIgG3アイソタイプ、またはIgG4 Fc領域もしくはIgG4アイソタイプを含む、態様1~16のいずれかのコンジュゲート。
18. 抗体または抗体結合断片が、IgG1 Fc領域またはIgG1アイソタイプを含む、態様1~17のいずれかのコンジュゲート。
19. IgG1 Fc領域が、増強された抗体依存性細胞傷害(ADCC)エフェクター機能を示さない、態様18のコンジュゲート。
20. 抗体または抗体結合断片が、IgG2 Fc領域またはIgG2アイソタイプを含む、態様1~17のいずれかのコンジュゲート。
21. IgG2 Fc領域が、ADCCエフェクター機能を低減または抑止する置換を含む、態様20のコンジュゲート。
22. 置換が、EU番号付けによる297に対応する位置でのFc領域中のアスパラギンからグルタミンへの置換(N297Q)である、態様21のコンジュゲート。
23. 抗体または抗原結合断片が、ヒト抗体もしくはヒト抗原結合断片、キメラ抗体もしくはキメラ抗原結合断片、またはヒト化抗体もしくはヒト化抗原結合断片である、態様1~22のいずれかのコンジュゲート。
24. 抗体または抗原結合断片が、ヒト免疫グロブリンのFc領域および/またはヒト抗体フレームワーク領域を含む、態様1~23のいずれかのコンジュゲート。
25. (a)対象に態様1~24のいずれかのコンジュゲートを投与する工程、および
(b)対象内の標的部位に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmまでの波長で、かつ、25J/cm
2もしくは約25J/cm
2から、400J/cm
2もしくは約400J/cm
2まで、または、2J/ファイバ長cmもしくは約2J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射し、それによりコンジュゲートを活性化する工程
を含む、対象における腫瘍または病変を処置する方法であって、
それによって該腫瘍または病変の成長、体積または寸法が低減または阻害される、
前記方法。
26. (a)IL-2シグナル伝達を実質的に遮断も妨害もせずにCD25に特異的に結合する抗体または抗原結合断片とSi-フタロシアニン色素とを含むコンジュゲートを、対象に投与する工程、
(b)対象内の標的部位に、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmまでの波長で、かつ、25J/cm
2もしくは約25J/cm
2から、400J/cm
2もしくは約400J/cm
2まで、または、2J/ファイバ長cmもしくは約2J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射し、それによりコンジュゲートを活性化する工程
を含む、対象における腫瘍または病変を処置する方法であって、
それによって該腫瘍または病変の成長、体積または寸法が低減または阻害される、
前記方法。
27. 処置される腫瘍もしくは病変、または処置される腫瘍もしくは病変の腫瘍微小環境(TME)が、低減されたレベルの免疫エフェクター細胞を含有する、態様25または26の方法。
28. Si-フタロシアニン色素がIR700であり、照射が690nm±20nmの波長で実施される、態様26または27の方法。
29. Si-フタロシアニン色素が、式(I)
、またはその塩、立体異性体、もしくは互変異性体を含み、照射が、660nm±50nmの波長で実施される、態様26または27の方法。
30. 免疫エフェクター細胞が、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、および好酸球の1つまたは複数より選択される、態様27~29のいずれかの方法。
31. コンジュゲートを投与した後、標的部位が約24±4時間以内に照射される、態様25~30のいずれかの方法。
32. 標的部位が、50mW/cm
2または約50mW/cm
2から、200mW/cm
2または約200mW/cm
2までの光学的パワーで照射される、態様25~31のいずれかの方法。
33. 標的部位が、100mW/ファイバ長cmまたは約100mW/ファイバ長cmから、500mW/ファイバ長cmまたは約500mW/ファイバ長cmまでの光学的パワーで照射される、態様25~31のいずれかの方法。
34. 標的部位が、120秒または約120秒から、600秒または約600秒までのあいだ照射される、態様25~33のいずれかの方法。
35. 腫瘍または病変が、免疫チェックポイント阻害剤療法に抵抗性または非応答性である、態様25~34のいずれかの方法。
36. 腫瘍または病変が、非コンジュゲート型抗体に対して低減された応答を有するまたは非応答性である、態様25~34のいずれかの方法。
37. コンジュゲートが、1つまたは複数のFc媒介エフェクター機能を示す、態様26~36のいずれかの方法。
38. コンジュゲートが、Fc媒介エフェクター機能を欠く、実質的に低減されたFc媒介エフェクター機能を示す、または実質的なFc媒介エフェクター機能を示さない、態様26~36のいずれかの方法。
39. 活性化されたコンジュゲートが、実質的なFc媒介エフェクター機能の非存在下で細胞を死滅させることが可能である、態様38の方法。
40. Fc媒介エフェクター機能が、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)または補体依存性細胞傷害(CDC)の1つまたは複数より選択される、態様37~39のいずれかの方法。
41. コンジュゲートが、IgG1 Fc領域もしくはIgG1アイソタイプ、IgG2 Fc領域もしくはIgG2アイソタイプ、IgG3 Fc領域もしくはIgG3アイソタイプ、またはIgG4 Fc領域もしくはIgG4アイソタイプを含む、態様26~40のいずれかの方法。
42. 抗体または抗体結合断片が、IgG1 Fc領域またはIgG1アイソタイプを含む、態様26~41のいずれかの方法。
43. IgG1 Fc領域が、ADCCエフェクター機能に関して増強されていない、態様42の方法。
44. 抗体または抗体結合断片が、IgG2 Fc領域またはIgG2アイソタイプを含む、態様26~43のいずれかの方法。
45. IgG2 Fc領域が、ADCCエフェクター機能を低減または抑止する置換を含む、態様44の方法。
46. 置換が、EU番号付けによる297に対応する位置でのFc領域中のアスパラギンからグルタミンへの置換(N297Q)である、態様45の方法。
47. コンジュゲートの投与後に免疫チェックポイント阻害剤療法を投与する工程をさらに含む、態様25~46のいずれかの方法。
48. 免疫チェックポイント阻害剤療法が、コンジュゲートの投与の1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、1週間、2週間または3週間後に投与される、態様47の方法。
49. 免疫チェックポイント阻害剤療法が、照射の1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、1週間、2週間または3週間後に投与される、態様47または48の方法。
50. 免疫チェックポイント阻害剤療法が、コンジュゲートの投与後に1回よりも多く投与される、態様47~49のいずれかの方法。
51. 免疫チェックポイント阻害剤療法が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤またはCTLA-4阻害剤を含む、態様47~50のいずれかの方法。
52. PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA;ランブロリズマブ)、ニボルマブ(OPDIVO)、セミプリマブ(LIBTAYO)、トリパリマブ(JS001)、HX008、SG001、GLS-010、ドスタルリマブ(TSR-042)、チスレリズマブ(BGB-A317)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、ピジリズマブ(CT-011)、ゲノリムズマブ(APL-501、GB226)、BCD-100、セミプリマブ(REGN2810)、F520、シンチリマブ(IBI308)、CS1003、LZM009、カムレリズマブ(SHR-1210)、SCT-I10A、MGA012、AK105、PF-06801591、AMP-224、AB122、AMG 404、BI 754091、HLX10、JTX-4014、AMP-514(MEDI0680)、Sym021、MGD019、MGD013、AK104、XmAb20717、RO7121661、CX-188、スパルタリズマブ、BCD-217、HX009、IBI308、PDR001、REGN2810、TSR-042(ANB011)、またはその抗原結合断片もしくはそれらの任意の組み合わせより選択される抗PD-1抗体である、態様51の方法。
53. 腫瘍もしくは病変中、または腫瘍微小環境中の制御性T細胞(Treg)集団が、前記方法の結果として低減される、態様25~52のいずれかの方法。
54. 低減または阻害が、腫瘍体積もしくは腫瘍寸法の20%未満の増加、または腫瘍体積、腫瘍寸法もしくは腫瘍質量の低減、または腫瘍細胞数の低減の1つまたは複数を含む、態様25~53のいずれかの方法。
55. CD25に特異的に結合しかつIL-2シグナル伝達を実質的に遮断または妨害する抗体または抗原結合断片を含むコンジュゲートを用いる方法と比較して、腫瘍または病変の成長、体積または寸法が、より大きな程度、阻害または低減される、態様25~54のいずれかの方法。
56. 対象の生存を向上させる、態様25~55のいずれかの方法。
57. 対象が、第2の腫瘍または腫瘍細胞の二次的集団を含み、該第2の腫瘍または腫瘍細胞の二次的集団の成長、体積または寸法が、前記方法の結果として低減または阻害される、態様25~56のいずれかの方法。
58. 第2の腫瘍または腫瘍細胞の二次的集団が、照射されたことがない、態様57の方法。
【実施例】
【0194】
IX. 実施例
下記実施例は、例証の目的でのみ含まれるものであって、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0195】
実施例1:IRDye 700コンジュゲート型抗CD25抗体の生成
本実施例は、マウスIgG1およびIgG2aアイソタイプの抗CD25抗体PC61(例示的なIL-2遮断抗CD25抗体)および7D4(例示的なIL-2非遮断性抗CD25抗体)に連結された例示的なフタロシアニン色素IRDye 700DX(IR700)を含有するコンジュゲートを調製し、PC61-mIgG1-IR700、PC61-mIgG2a-IR700、7D4-mIgG1-IR700、および7D4-mIgG2a-IR700を作製するための方法を記載する。抗体の可変重鎖(VH)、定常重鎖(CH1-CH3)、可変軽鎖(VL)、および定常軽鎖(CL)のアミノ酸配列に対応するSEQ ID NOを表2に示す。
【0196】
【0197】
アイソタイプmIgG1またはmIgG2aの、マウスCD25に対するラットモノクローナル抗体(mAb)であるPC61または7D4を、0.1mol/L Na2HPO4(pH8.5)中、IRDye 700DX NHSエステル(IR700; LI-COR Bioscience, Lincoln, NE)(52.1~71.9μg、[27.2~36.8nmol]、各1mg[6.8nmol]の抗体についてDMSO中5mmol/L)と共に室温で30~120分間インキュベートした。コンジュゲートを、50~182mgの範囲の抗体のバッチとして調製した。次いで、この混合物に1mol/L C2H5NO2(pH9.0)を20mmol/Lの目標まで室温で2~16時間加えた。Amicon遠心スピンフィルター(30kD; Millipore Sigma)を使用して混合物の緩衝液を交換した。分析用サイズ排除(SEC-HPLC)で、280nmおよび690nmでの吸収を測定することによって、タンパク質濃度および色素対抗体比(DAR)を決定した。690nmでの色素吸収の効果について補正された280nmでの吸収を使用してタンパク質濃度を測定した。測定された波長のピーク面積間の比として平均DARを算出した。mAb(PC61または7D4)当たりのIR700の平均数は約3であった。
【0198】
PC61-IR700および7D4-IR700コンジュゲートの純度を分析用サイズ排除HPLC(SE-HPLC)によって確認した。Chemstationソフトウェアによって制御されるPDA検出器を備えるAgilent 1100 HPLCシステム(Santa Clara, CA)を使用してSE-HPLCを実施した。Shodex KW-803カラム(New Yok, NY)を用い、リン酸緩衝食塩水(PBS)を使用して1.0mL/minで20分間溶出するSEクロマトグラフィーを実施した。コンジュゲート調製物は、強い会合を示し、SE-HPLCによって決定された場合に検出可能なmAb凝集物を含有しなかった。
【0199】
IR700コンジュゲートのインビトロ結合特性を決定するために、Indo-Gen手順を使用するコンジュゲートの125I標識を実施した。IR700コンジュゲーションによりmAbの最低限の損失が観察された。免疫反応性アッセイを実施した。簡潔には、トリプシン処理後、2×106個の腫瘍細胞を、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するPBS中に再懸濁した。125I-PC61-IR700(1mCi、0.2μg)または125I-7D4-IR700(1mCi、0.2μg)を添加し、氷上で1時間インキュベートした。細胞を洗浄し、ペレットにし、上清をデカンテーションし、2470 Wizardガンマ-カウンター(Perkin Elmer, Shelton, CT)で細胞を計数した。過剰な非標識抗体(200μgの非コンジュゲート型非標識mAb)の条件下で細胞への非特異的結合を調査した。
【0200】
実施例2:IL-2非遮断性抗CD25コンジュゲートを使用する光免疫療法(PIT)は、腫瘍成長の阻害にIL-2遮断性PITよりも有効である
本実施例は、原発性結腸がん腫瘍に対する、光照射有りおよび無しの、例示的なIL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートおよび例示的なIL-2遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートの活性を比較するものである。
【0201】
6~8週齢のBALB/cマウスの右後側腹部に1×106個のCT26マウス結腸がん細胞を皮下接種した。同種移植腫瘍が約150mm3のサイズに成長したとき(腫瘍移植の約6日後)、マウスに、生理食塩水(100μL;n=12;対照)、上の実施例1に記載されたように生成されたIL-2非遮断性抗CD25抗体7D4-mIgG1-IR700コンジュゲート(7D4-IR700;100μg;n=24)、またはIL-2遮断性抗CD25抗体PC61-IgG1-IR700コンジュゲート(PC61-IR700;100μg;n=24)を眼窩後(RO)注射によって投与した。コンジュゲートの投与の24時間後に、コンジュゲートを投与されたマウスの半数における腫瘍に、690nmで、100J/cm2の線量で照射した(光免疫療法(PIT)群)。すべてのマウスについての腫瘍成長を2~3日毎に測定し、式:腫瘍体積=(短径×短径)×長径/2を使用して腫瘍体積を算出した。マウスの生存も経時的に記録した。
【0202】
各処置群についての平均腫瘍成長および個別の腫瘍の成長を、それぞれ
図1および
図2A~2Eに示す。例示的なIL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートの投与を照射と併用したマウス(7D4-IR700 PIT;黒三角、破線)では、腫瘍の平均成長は、生理食塩水(白丸)または照射なしの7D4-IR700コンジュゲート単独(黒三角、実線)を受けた対照マウスにおける平均腫瘍成長阻害と比較して実質的に阻害された。照射なしで7D4-IR700コンジュゲート単独を投与されたマウスも、生理食塩水対照マウスと比較して腫瘍成長の低減を示した。対照的に、照射なしでIL-2遮断性抗CD25-IR700コンジュゲート(PC61-IR700コンジュゲート)単独を投与されたマウスにおける平均腫瘍成長は、生理食塩水対照マウス(黒四角、実線に対して白丸)と識別不能であった。IL-2遮断性抗CD25-IR700コンジュゲートおよび照射(PC61-IR700 PIT;黒四角、破線)を投与されたマウスにおける腫瘍は、IL-2非遮断性抗CD25コンジュゲート単独よりも大きな腫瘍成長の低減を示したが、IL-2非遮断性抗CD25 PITについて観察された腫瘍成長の低減よりも小さかった。個別の腫瘍の成長をプロットした
図2A~2Eに示されるように、IL-2非遮断性抗CD25 PIT(7D4-IR700 PIT)を投与された12匹中7匹のマウスが完全寛解(CR)を達成し(
図2D)、一方で、IL-2非遮断性抗CD25コンジュゲート単独を投与されたまたはIL-2遮断性抗CD25 PITを投与されたマウス12匹中4匹がCRを達成し(それぞれ
図2Bおよび
図2E)、IL-2遮断性抗CD25コンジュゲート単独を投与されたマウス12匹中1匹がCRを達成し(
図2C)、生理食塩水を投与された対照マウス12匹中0匹がCRを達成した(
図2A)。これらの結果と一致して、
図3に示されるように、IL-2非遮断性抗CD25 PIT(7D4-IR700 PIT)を投与されたマウスが、もっとも高い生存を示し(黒三角、破線)、その後、IL-2遮断性抗CD25 PIT(PC61-IR700 PIT;黒四角、破線)、IL-2非遮断性抗CD25コンジュゲート単独(照射なし)(7D4-IR700コンジュゲート;黒三角、実線)、IL-2遮断性抗CD25コンジュゲート単独(PC61-IR700コンジュゲート;黒四角、実線)、および生理食塩水対照(生理食塩水;白丸、実線)を投与されたマウスが続いた。まとめると、これらの結果は、腫瘍担持マウスにおける腫瘍成長の阻害および生存の促進にIL-2非遮断性抗CD25 PITがIL-2遮断性抗CD25 PITよりも有効であり、IL-2非遮断性抗CD25コンジュゲート単独よりも有効であることを示している。
【0203】
実施例3:IL-2非遮断性抗CD25光免疫療法(PIT)および抗PD-1抗体はインビボで相乗的に腫瘍成長を阻害する
本実施例は、ネイキッド(非コンジュゲート型)抗CD25抗体による処置と比較した、抗PD-1抗体と併用した例示的なIL-2非遮断性抗CD25-IR700光免疫療法(PIT)の、抗PD-1抵抗性マウス腫瘍モデルにおける腫瘍成長に対する相乗的阻害効果を記載する。
【0204】
6~8週齢の免疫適格BALB/cマウスの右後側腹部に5×105個のMCA205マウス線維肉腫細胞を皮下接種した(0日目)。同種移植腫瘍が約150mm3のサイズに成長したとき(7日目)、マウスに、表3に詳述するように生理食塩水(群1)、抗PD-1抗体(群2)、ネイキッドIL-2非遮断性7D4-mIgG2a抗体(群3)、7D4-mIgG2a-IR700コンジュゲート(群4)、ネイキッド7D4-mIgG2a抗体および抗PD-1抗体(群5)、または7D4-mIgG2a-IR700コンジュゲートおよび抗PD-1抗体(群6)を投与した。実施例1に記載されるようにコンジュゲートを生成した。眼窩後(RO)注射を介して生理食塩水、抗体、およびコンジュゲートを投与した。表3に示すように、コンジュゲートの投与の24時間後に(8日目)、7D4-mIgG2a-IR700コンジュゲートを投与されたマウスの半数における腫瘍に、690nmで、200J/cm2の線量で照射した(光免疫療法(PIT)群)。7日目に、群2、5、および6のマウスに抗PD-1抗体を投与し、試験全体にわたり週3回の繰り返し線量投与を受けさせた。すべてのマウスについての腫瘍成長を2~3日毎に測定し、式:腫瘍体積=(短径×短径)×長径/2を使用して腫瘍体積を算出した。生存も記録した。
【0205】
【0206】
各処置群についての平均腫瘍成長および個別の腫瘍の成長を、それぞれ
図4A~4Bおよび
図5A~5Eに示す。
図6は生存を示す。
図4Aならびに
図5A、5D、5B、および5Eに示すように、生理食塩水(
図4A;黒丸、実線および
図5A)、抗PD-1抗体単独(
図4A;白丸、破線および
図5D)、ネイキッド7D4-mIgG2a抗体(
図4A;黒四角、実線および
図5B)、またはネイキッド7D4-mIgG2a抗体および抗PD-1抗体(
図4A;白四角、破線および
図5E)の投与は、腫瘍成長の低減に無効であり、これらの処置群のいずれにもCRを達成したマウスはいなかった。これらの結果は、7D4-mIgG2a抗体処置だけが生存を向上させた(
図6;黒四角、実線)生存結果とも一致した。これらの結果は、MCA205細胞が、抗PD-l免疫療法およびIL-2非遮断性抗CD25抗体免疫療法に対して、単剤療法または併用のいずれでも抵抗性であることを示す。対照的に、7D4-mIgG2a-IR700 PITは、生理食塩水対照と比較して腫瘍成長を実質的に低減し(
図4B;黒三角、実線および
図5C)、マウス10匹中3匹がCRを達成し、生存を実質的に向上させた(
図6;黒三角、破線)。7D4-mIgG2a-IR700 PITおよび抗PD-1の併用は、腫瘍成長をなおさらに阻害し(
図4B;白三角、破線および
図5E)、マウス10匹中7匹がCRを達成し、100%の生存をもたらした(
図6;白三角、破線)。まとめると、これらの結果は、IL-2非遮断性抗CD25 PITが、腫瘍成長の阻害および生存の促進に、ネイキッドIL-2非遮断性抗CD25抗体単独よりも有効であることを示す。さらに、IL-2非遮断性抗CD25 PITは、抗PD-1処置と相乗的に作用して、いずれの単剤療法単独と比較しても腫瘍成長のいっそう大きな阻害を引き起こした。抗PD-1処置と併用したIL-2非遮断性抗CD25 PITは、腫瘍成長の阻害および生存の促進に、抗PD-1処置の有無にかかわらずネイキッドIL-2非遮断性抗CD25抗体処置よりも有効であった。この抗PD-1抵抗性腫瘍モデルでは、ネイキッドIL-2非遮断性抗CD25抗体による処置は、腫瘍成長の低減に無効であった。ネイキッドIL-2非遮断性抗CD25抗体処置に加えて抗PD-1抗体を投与することは、この抗PD-1抵抗性モデルにおいて腫瘍成長の阻害または生存の促進に実質的な効果を有しなかった。
【0207】
実施例4:IL-2非遮断性抗CD25コンジュゲートを使用する光免疫療法(PIT)は全身性免疫応答の誘導にIL-2遮断性PITよりも有効である
本実施例では、IL-2遮断性抗CD25抗体をターゲティング分子として使用するコンジュゲートを使用する光免疫療法(PIT)を、IL-2非遮断性抗CD25抗体をターゲティング分子として使用するコンジュゲートを使用するPITと、直接処置された腫瘍、および非照射の遠隔位置腫瘍に対する効果(アブスコパル効果)について比較する。
【0208】
免疫適格BALB/cマウスの左右両側の後側腹部に1×106個のMCA-205マウス線維肉腫細胞を皮下接種した。両側の同種移植腫瘍が体積約150mm3に成長したとき(腫瘍細胞接種の5日後)、マウスに、生理食塩水(100μL)、上の実施例1に記載されたように生成された、IR700とコンジュゲートした例示的なIL-2遮断性抗CD25抗体(PC61-mIgG1-IR700;100μg)またはIR700とコンジュゲートした例示的なIL-2非遮断性抗CD25抗体(7D4-mIgG1-IR700;100μg)を静脈内投与した。コンジュゲートの投与の24時間後に、PC61-IR700または7D4-IR700を投与された動物の半数の右側腹部の腫瘍に、690nmで、200J/cm2の線量で照射し、一方で左側腹部の腫瘍を照射から遮蔽した。照射された腫瘍(標的腫瘍)および非照射腫瘍(遠位腫瘍)の成長を経時的に観察し、式:腫瘍体積=(短径×長径)×高さ/2を使用して腫瘍体積を算出した。
【0209】
図7Aおよび7Bに示されるように、生理食塩水処置動物の腫瘍は迅速な成長を示した。IL-2遮断性PC61-IR700コンジュゲート単独(照射なし)で処置されたマウスにおける腫瘍成長は、生理食塩水対照動物(
図7A;白丸)について観察されたものと識別不能であった一方で、PC61-IR700 PITを受けた動物の腫瘍成長は、照射された腫瘍の腫瘍成長の実質的な阻害を示した(
図7A;黒丸)。IL-2非遮断性7D4-IR700コンジュゲート単独(照射なし)で処置されたマウスにおける腫瘍成長は、生理食塩水対照(
図7B;白四角)と比較してわずかに低減された腫瘍成長を示した。7D4-IR700 PITで処置された腫瘍は、処置後に照射された腫瘍の腫瘍成長のほぼ完全な抑制を示した(
図7B;黒四角)。
【0210】
生理食塩水で処置されたマウス(
図8Aおよび8B;白三角)およびIL-2遮断性PC61-IR700コンジュゲート単独で処置されたマウス(
図8A;白丸)における照射部位から遠位の非照射腫瘍(遠位腫瘍)は、連続的な腫瘍成長を示した。PC61 PIT(
図8A;黒丸)またはIL-2非遮断性7D4コンジュゲート単独(照射なし)(
図8B;白四角)で処置されたマウスにおける非照射遠位腫瘍は、生理食塩水対照と比較して腫瘍成長の小さな低減を示した。IL-2非遮断性7D4-IR700コンジュゲートPITで処置されたマウスにおける非照射遠位腫瘍は、生理食塩水対照(
図8B;黒四角)と比較して腫瘍成長の約50%の低減を示した。結果は、抗CD25 PIT、特に、IL-2非遮断性抗CD25 PITによる処置が、照射腫瘍病変および非照射遠位腫瘍病変の腫瘍成長の低減に有効であることを示している。アブスコパル効果(すなわち、遠位非照射病変の腫瘍成長阻害)に基づくと、これらの効果は、IL-2非遮断性抗CD25 PITが、全身性免疫応答の誘導にIL-2遮断性抗CD25 PITよりも有効であることを示す。
【0211】
さらに、結果は、IL-2非遮断性抗CD25 PIT処置が、照射標的病変および非照射遠位病変における腫瘍成長の阻害に、照射なしのコンジュゲート処置単独よりも有効であることを示す。
【0212】
実施例5:IL-2非遮断性抗CD25抗体および対応するIL-2非遮断性抗CD25コンジュゲートの抗体依存性細胞傷害(ADCC)
本実施例では、例示的なネイキッド(非コンジュゲート型)IL-2非遮断性抗CD25抗体ならびにIL-2非遮断性抗CD25抗体およびフタロシアニン色素IR700を含むコンジュゲートの抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を評価した。
【0213】
ネイキッドIL-2非遮断性抗CD25抗体(7D4-mIgG2a)および上の実施例1に記載されたように生成されたIL-2非遮断性抗CD25-IR700コンジュゲート(7D4-mIgG2a-IR700)についてのADCC活性を、ADCC Reporter Bioassay Kit(Promega)を実質的に販売業者のプロトコルに記載されたように使用して測定した。簡潔には、96ウェル白色壁プレートに標的HT-2細胞を細胞25,000個/ウェルの密度で蒔いた。翌日、培地をADCC Assay Buffer 25μLに交換し、続いて、終濃度の3倍高い濃度の、系列希釈された9濃度の7D4-mIgG2a抗体または7D4-mIgG2a-IR700コンジュゲート 25μLに交換した。6μg/mLから開始して系列希釈物を調製した(1×=2μg/mL)。エフェクター細胞 25μL(75,000個)を添加して3:1のエフェクター対標的細胞比を達成することによってADCC応答の誘導を開始した。混合物を37℃で6時間インキュベートした。ADCC応答を定量化するために、プレートを室温にし、Bio-Gloルシフェラーゼアッセイ試薬 75μLを、細胞を含有するウェルおよびバックグラウンド決定のために周囲の無細胞ウェル3つに添加した。周囲温度で20分のインキュベーション後に、Tecan Sparkマルチプレートリーダー(Tecan Life Sciences)で発光を読み取った。データを分析するために、無細胞ウェルからバックグラウンドを差し引き、データを4変数非線形カーブフィットアルゴリズム(GraphPad Prismソフトウェア)にフィッティングした。
【0214】
結果を
図9に示す。ネイキッド抗体およびコンジュゲートの両方は、ADCC活性の用量依存的な増加を示した。ネイキッド7D4-mIgG2aは、36.14のEC
50(R
2:0.9949)を有した7D4-mIgG2a-IR700コンジュゲートよりも、23.85のEC
50(R
2:0.9896)で強いADCC効力および有効性を示し、7D4-mIgG2a-IR700コンジュゲートと比較してネイキッド7D4-mIgG2a抗体によって高い飽和点が示された。これらの結果は、IR700コンジュゲートがネイキッド抗体と比較して弱いADCC活性を示すことを示している。
【0215】
実施例6:IL-2非遮断性抗CD25光免疫療法(PIT)は抗腫瘍活性のために抗体依存性細胞傷害(ADCC)/抗体依存性細胞食作用(ADCP)を必要としない
本実施例は、例示的なIL-2非遮断性抗CD25抗体およびIL-2非遮断性抗CD25光免疫療法(PIT)による処置の抗腫瘍活性に対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)および抗体依存性細胞食作用(ADCP)の効果を評価する。
【0216】
mIgG2a骨格のADCC/ADCP適格およびADCC/ADCPヌルのIL-2非遮断性抗CD25抗体、ならびに照射有りおよび無しのmIgG1骨格のIL-2非遮断性抗CD25コンジュゲートの抗腫瘍活性を、マウス原発性結腸がん腫瘍を使用して比較した。mIgG2aアイソタイプは、マウスFcガンマ受容体に対してmIgG1アイソタイプよりも高い結合親和性を有し、mIgG1アイソタイプよりも高いレベルのADCC/ADCP活性を示す(Stewart et al., (2014) J. Immunotherapy Cancer 2, 29)。EU番号付けによる297に対応する位置でのFc領域中のアスパラギンからグルタミンへの置換(N297Q)は、Fc領域とFcガンマ受容体との相互作用を抑止し、IgG2aアイソタイプのADCC/ADCP活性をヌルにする。
【0217】
6~8週齢のBALB/cマウスの右後側腹部に1×106個のCT26マウス結腸がん細胞を皮下接種した。同種移植腫瘍が約150mm3のサイズに成長したとき(腫瘍移植の約6日後)、マウスに、生理食塩水(100μL;n=12;対照)または上の実施例1に記載されたように生成されたIL-2非遮断性抗CD25抗体7D4-mIgG1-IR700コンジュゲート(7D4-IR700;100μg;n=24)を眼窩後(RO)注射によって;またはネイキッド(非コンジュゲート型)IL-2非遮断性抗CD25抗体7D4-mIgG2a(10mg/kg;n=11)もしくは7D4-mIgG2a-ADCC/ADCPヌル(7D4-mIgG2a-N297Q;10mg/kg;n=12)を腹腔内(IP)投与によって投与した。抗体またはコンジュゲートの投与の24時間後に、コンジュゲートを投与されたマウスの半数における腫瘍に、690nmで、100J/cm2の線量で照射した(光免疫療法(PIT)群)。すべてのマウスについての腫瘍成長を2~3日毎に測定し、式:腫瘍体積=(短径×短径)×長径/2を使用して腫瘍体積を算出した。マウスの生存も経時的に記録した。
【0218】
各処置群について平均腫瘍成長および個別の腫瘍の成長をそれぞれ
図10および
図11A~11Eに示す。ネイキッド7D4-mIgG2a抗体を投与されたマウスは、生理食塩水対照マウスと比較して実質的な腫瘍成長阻害を示し(
図10;黒四角に対して白丸)、マウス11匹中10匹が完全寛解を達成した(
図11D)。この効果は、7D4-mIgG2a-ADCC/ADCPヌル(ADCCヌル変異型mIgG2a骨格に関して同じネイキッド抗体;
図10;白四角および
図11B)を投与されたマウスでほぼ完全に抑止され、これは、7D4-mIgG2aについて観察された腫瘍成長阻害がADCC活性に依存したことを示す。
【0219】
照射なしに7D4-mIgG1-IR700コンジュゲートを投与されたマウスは、ADCC/ADCP活性を欠如する非コンジュゲート型7D4-mIgG2a抗体と類似する平均腫瘍成長を示した(
図10;黒三角、実線(コンジュゲート)に対して白四角、実線(ADCC/ADCPヌル抗体))。しかし、7D4-mIgG2a-N297Qを受けたマウス(ADCCヌル)の12匹中1匹と比較して(
図11B)、7D4-mIgG1-IR700コンジュゲートの投与を受けたマウスの12匹中4匹が、完全寛解を達成した(
図11C)。mIgG1抗体は低レベルのADCC/ADCP活性をまだ示すので、この結果は、腫瘍成長阻害がADCC/ADCP活性に依存するという考えをさらに支援している。しかし、7D4-mIgG1-IR700の投与に続いて照射されたマウス(7D4-mIgG1-IR700+PIT)は、照射なしのコンジュゲートよりも実質的に大きな腫瘍成長阻害を示し(
図10黒三角、破線)、マウス12匹中7匹がCRを達成した(
図11E)。
【0220】
図12に示されるように、生存曲線は、観察された腫瘍成長阻害を確証するものであった。腫瘍成長阻害の結果と一致して、増加したADCC活性を有するIL-2非遮断性抗CD25 mIgG2a抗体を投与されたマウスが、もっとも大きな生存を示し(7D4-mIgG2a;黒四角)、その後、IL-2非遮断性抗CD25 PIT(7D4-mIgG1-IR700 PIT;黒三角、破線)、IL-2非遮断性抗CD25コンジュゲート単独(照射なし)(7D4-mIgG1-IR700;黒三角、実線)、IL-2遮断性抗CD25-IgG2a-ADCC/ADCPヌル抗体(7D4-mIgG2a-N297Q;白四角)、および生理食塩水対照(生理食塩水;白丸)が続いた。
【0221】
これらの結果は、ADCC/ADCP活性が限定的な場合であっても、IL-2非遮断性抗CD25 PITが腫瘍成長を効果的に抑制できることを示す。したがって、非コンジュゲート型IL-2非遮断性抗CD25抗体とは異なり、IL-2非遮断性抗CD25 PITの有効性にADCC/ADCP活性は必要ない。
【0222】
実施例7:抗PD-1抗体処置有りおよび無しの、コールド腫瘍に対するIL-2非遮断性抗CD25抗体およびIL-2非遮断性抗CD25光免疫療法(PIT)の効果
本実施例は、免疫「コールド」腫瘍、すなわち低い免疫反応性(低レベルのおよび疲弊した腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、不十分な腫瘍抗原負荷、および免疫抑制性の微小環境)によって特徴付けられる腫瘍に対するネイキッド(非コンジュゲート型)IL-2非遮断性抗CD25抗体およびIL-2非遮断性抗CD25 PITの効果を記載する。コールド腫瘍は、特徴として、免疫チェックポイント阻害剤療法にあまり応答しない。
【0223】
BALB/cマウス(16~18g)の右後側腹部に1×10
5個の4T1細胞/マウスを皮下接種した。同種移植腫瘍が約140mm
3の体積に成長したとき(腫瘍細胞接種の6日後)、マウスに、生理食塩水(100μLを腹腔内(IP)注射により)、7D4-mIgG2a(200μgをIP注射により)、または7D4-mIgG2a-IR700(100μgを眼窩後注射により)を投与した。各処置群の半数をまた、抗PD-1抗体RMP1-14(10mg/kg)で3回/週(6、9、13日目など)処置した。コンジュゲートの投与の24時間後に、7D4-mIgG2a-IR700を投与された群の腫瘍に690nmで150J/cm
2の線量で照射した(7D4-mIgG2a PIT)。腫瘍成長(
図13)および生存(
図14)を経時的に測定した。
【0224】
7D4-mIgG2a PITは、単独で(白三角)、または抗PD-1との併用で(黒三角)、生理食塩水(白丸)または抗PD-1単剤療法(黒丸)と比較して「コールド」腫瘍の成長を実質的に阻害した(
図13)。7D4-mIgG2a抗体は、単独で(白四角)、または抗PD-1との併用で(黒四角)、「コールド」腫瘍の成長に対して阻害効果を実質的に有しなかった(
図13)。生存曲線は、各処置の抗腫瘍効果と一致した(
図14)。これらのデータは、IL-2非遮断性抗CD25 PITがコールド腫瘍の成長を効果的に阻害したが、一方で、IL-2非遮断性抗体単独は、PD-1処置の有無にかかわらず、コールド腫瘍の成長に対する効果が最小限であったという知見を裏付けている。
【0225】
本発明は、本明細書に開示される態様によって範囲が限定されるべきではなく、これは本発明の個々の局面の1つの例証として意図されており、あらゆる機能的同等物が本発明の範囲内である。本明細書に記載されるものに加えて、本発明の組成物および方法に対する様々な改変が、当業者には前述の説明および教示から明らかであり、かつこれらも同様に本発明の範囲内に含まれることが意図される。このような改変および他の態様は、本発明の真の範囲および精神から逸脱せずに実践することができる。
【0226】
【配列表】
【国際調査報告】