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特表2024-505569インサートを備えたゴルフクラブヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】インサートを備えたゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20240130BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20240130BHJP
【FI】
A63B53/04 E
A63B102:32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546477
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 US2022014969
(87)【国際公開番号】W WO2022169894
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/144,871
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/203,754
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレイソン シー. スパックマン
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA03
2C002CH01
2C002CH05
2C002MM01
2C002MM04
(57)【要約】
本明細書が開示するゴルフクラブヘッドは、金属製のボディと、非金属製のインサートと、を備える。インサートは、ゴルフクラブヘッドのトウ端の全体を形成する。インサートは、ボディのストライクフェースの裏側に配置されるオフセット表面を備えることができる。インサートとストライクフェースとの間には隙間が形成される。インサートのオフセット表面は、ゴルフボールとのインパクト中に、ストライクフェースの中心の曲げを一時的に制限する。ストライクフェースとインサートとの間の隙間は、ストライクフェースが撓むことを可能にして、バックストップは、ストライクフェースが過度に撓むことを防止する。一実施形態において、ゴルフクラブヘッドは、トウ端に向かって開口する内包キャビティを有するボディを備えることができる。インサートは、トウ端の最外表面を形成することができ、キャビティの一部を充填することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
フェースパネル、トウ端、ヒール端、上部レール、ソール、及び、リア部、を備えたボディと、
封入部分及び露出部分を備えたインサートと、を備え、
前記ボディが、前記フェースパネル、前記ヒール端、前記上部レール、前記ソール、及び、前記リア部により境界設定された内方キャビティを画定しており、
前記ボディが金属で形成されており、前記インサートが非金属で形成されており、
前記ボディが、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端において開口部を画定しており、
前記封入部分が前記内方キャビティの内側に嵌合するとともに、前記露出部分が前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端を形成するように、前記内方キャビティが、前記インサートを受容するように構成されており、
前記トウ端の最外表面の全体が、前記インサートにより形成されている、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記インサートは、前記インサートの表面から突出しているバックストップをさらに備えており、
前記バックストップが、前記フェースパネルの後ろに配置されていて、ゴルフボールインパクト中における前記フェースパネルの過度な撓みを防止する、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記インサートの前記バックストップは、第1の構成において、前記フェースパネルのリア表面に接触せず、
前記インサートの前記バックストップは、第2の構成において、前記フェースパネルの前記リア表面に接触している、請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記インサートが、インサートオフセット表面を備えており、
前記インサートオフセット表面が、前記フェースパネルの前記リア表面に接触しない、請求項3に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
インサートオフセット距離が、前記インサートオフセット表面と前記フェースパネルの前記リア表面との間に設けられており、
バックストップオフセット距離が、前記バックストップと前記フェースパネルの前記リア表面との間に設けられており、
前記バックストップオフセット距離は、前記インサートオフセット距離未満である、請求項4に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記インサートは、熱可塑性材料及び複数の強化用繊維をさらに含んでいる、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記ボディは、前記内方キャビティ内に配置されており、前記ソール及び前記リア部と一体的に形成されたレールをさらに備えており、
前記インサートは、前記レールに噛み合い、前記レールに沿って摺動して前記インサートを前記ボディに固定するように構成された経路をさらに備えている、請求項6に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記インサートと一体的に形成された内部ウェイトをさらに備えており、
前記内部ウェイトは、前記ボディの材料密度及び前記インサートの材料密度よりも大きい材料密度を備えている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
ゴルフクラブヘッドであって、
ストライクフェースを備えたフェースパネル、トウ端、ヒール端、上部レール、ソール、及び、リア部を備えたボディと、
封入部分及び露出部分を備えたインサートと、を備え、
前記ボディが、前記フェースパネル、前記ヒール端、前記上部レール、前記ソール、及び、前記リア部により境界設定された内方キャビティを画定しており、
前記ボディが金属で形成されており、前記インサートが非金属で形成されており、
前記ボディが、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端において開口部を画定しており、
前記封入部分が前記内方キャビティの内側に嵌合するとともに、前記露出部分が前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端を形成するように、前記内方キャビティが、前記インサートを受容するように構成されており、
前記ストライクフェースは、幾何学的中心を備えており、
中心基準面は、前記幾何学的中心を通って延びており、前記ゴルフクラブヘッドがアドレス位置にあるときに地表面に対して垂直に延びており、
鉛直基準面は、前記ゴルフクラブヘッドを通って前後方向に延びており、かつ、前記ゴルフクラブヘッドが前記アドレス位置にあるときに前記地表面に対して垂直に延びており、
前記鉛直基準面は、前記中心基準面から前記トウ端に向けて、1.0インチから1.8インチの距離だけオフセットされており、
前記インサートの前記露出部分は、前記鉛直基準面のトウ側に完全に配置されており、
前記封入部分は、前記鉛直基準面のヒール側に少なくとも部分的に配置されている、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記インサートは、前記インサートの表面から突出しているバックストップをさらに備えており、
前記バックストップが、前記フェースパネルの後ろに配置されていて、ゴルフボールインパクト中における前記フェースパネルの過度な撓みを防止する、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記インサートの前記バックストップは、第1の構成において、前記フェースパネルのリア表面に接触せず、
前記インサートの前記バックストップは、第2の構成において、前記フェースパネルの前記リア表面に接触している、請求項10に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記インサートは、熱可塑性材料及び複数の強化用繊維をさらに含んでいる、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記ボディは、前記内方キャビティ内に配置されており、前記ソール及び前記リア部と一体的に形成されたレールをさらに備えており、
前記インサートは、前記レールに噛み合い、前記レールに沿って摺動して前記インサートを前記ボディに固定するように構成された経路をさらに備えている、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記インサートと一体的に形成された内部ウェイトをさらに備えており、
前記内部ウェイトは、前記ボディの材料密度及び前記インサートの材料密度よりも大きい材料密度を備えている、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
ゴルフクラブヘッドであって、
フェースパネル、トウ端、ヒール端、上部レール、ソール、及び、リア部、を備えたボディと、
封入部分及び露出部分を備えたインサートと、を備え、
前記ボディが、前記フェースパネル、前記ヒール端、前記上部レール、前記ソール、及び、前記リア部により境界設定された内方キャビティを画定しており、
前記ボディが第1の密度を有する第1の材料で形成されており、前記インサートが第2の密度を有する第2の材料で形成されており、
前記第2の密度が前記第1の密度未満であり、
前記ボディが、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端において開口部を画定しており、
前記封入部分が前記内方キャビティの内側に嵌合するとともに、前記露出部分が前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端を形成するように、前記内方キャビティが、前記インサートを受容するように構成されており、
前記インサートが、前記上部レール、前記ソール、及び、前記リア部の一部分を形成しており、
前記ボディのいかなる部分も、前記トウ端の最外表面を形成していない、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記インサートは、前記インサートの表面から突出しているバックストップをさらに備えており、
前記バックストップが、前記フェースパネルの後ろに配置されていて、ゴルフボールインパクト中における前記フェースパネルの過度な撓みを防止する、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
前記インサートの前記バックストップは、第1の構成において、前記フェースパネルのリア表面に接触せず、
前記インサートの前記バックストップは、第2の構成において、前記フェースパネルの前記リア表面に接触している、請求項16に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
前記インサートが、インサートオフセット表面を備えており、
前記インサートオフセット表面が、前記フェースパネルのリア表面に接触しない、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
前記ボディは、前記内方キャビティ内に配置されており、前記ソール及び前記リア部と一体的に形成されたレールをさらに備えており、
前記インサートは、前記レールに噛み合い、前記レールに沿って摺動して前記インサートを前記ボディに固定するように構成された経路をさらに備えている、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
前記インサートと一体的に形成された内部ウェイトをさらに備えており、
前記内部ウェイトは、前記第1の密度及び前記第2の密度よりも大きい第3の密度を有する第3の材料を含んでいる、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年2月2日に出願された米国仮特許出願第63/144,871号、及び、2021年7月29日に出願された米国仮特許出願第63/203,754号の利益を主張する。上記の開示の全ての内容は、それらの全体が引用によって本明細書に完全に組み込まれている。
【0002】
本開示は、概して、ゴルフ用品に関し、より詳細には、アイアンタイプのゴルフクラブヘッドを製造する方法に関する。本開示は、マルチ材料ゴルフクラブヘッドと、マルチ材料ゴルフクラブヘッドを製造する方法と、にも関する。
【背景技術】
【0003】
典型的に、アイアンタイプのゴルフクラブは、ゴルファーに或る特定の技能レベルを授与するように設計されている。例えば、ゲーム改善アイアンタイプのゴルフクラブヘッドは、非常に可撓性のフェースを有して、潜在的ボール速度を改善することができ、高度な寛容性を有して、中心を外れたショットの照準を改善することができる。キャビティバックアイアンは、ゲーム改善アイアンの1種である。その対極において、ツアーアイアンは、高度な技能を有するゴルファー用に設計することができる。ツアーアイアンは、典型的には、ゲーム改善アイアンよりもフットプリントが小さく、中実金属構造を有していることが多い。ツアーアイアンは、寛容性がそれほど高くはないが、技能を有するゴルファーが、自身のショットをシェイピングすることを可能にする。
【0004】
中空ボディアイアンは、ツアーアイアンの中実の審美的設計を、ゲーム改善アイアンの寛容性と両立させている。しかしながら、中空ボディアイアンは、不快な音響特性を有する恐れがあり、効率的に構築する難易度が高い恐れがある。当該技術においては、簡素な構築と、心地よい音響特性と、的確に定位されたウェイト配置を通じた高い寛容性と、より高いショット精度につながる性能特性と、を有するゴルフクラブヘッドに対する必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】第1の実施形態による、ボディ及びインサートを備えたゴルフクラブヘッドの斜視分解組立図を示している。
【0006】
図2】ボディを取り外した状態のインサートと、図1のインサート内に嵌合するように構成された内部ウェイトと、の斜視分解組立図を示している。
【0007】
図3図1のゴルフクラブヘッドのリア面図を示している。
【0008】
図4図1のゴルフクラブヘッドの正面図を示している。
【0009】
図5】インサートを取り外した状態の図1のゴルフクラブヘッドのボディのリア面図を示している。
【0010】
図6】インサートを取り外した状態の図5のボディのリア面斜視図を示している。
【0011】
図7図5の線VII-VIIに沿った図5のボディの断面図を示している。
【0012】
図8図7の線VIII-VIIIに沿った図5のボディの断面図を示している。
【0013】
図9図1のゴルフクラブヘッドのインサートの正面図を示している。
【0014】
図10図9のインサートの後面図を示している。
【0015】
図11】一実施形態における図1のゴルフクラブヘッドの内部ウェイトの後面図を示している。
【0016】
図12図4の線XII-XIIに沿った図1のゴルフクラブヘッドの断面図を示している。
【0017】
図13図4の線XIII-XIIIに沿った図1のゴルフクラブヘッドの断面図を示している。
【0018】
図14】第2の実施形態におけるボディ及びインサートを備えたゴルフクラブヘッドのリア面分解組立図を示している。
【0019】
図15図14のゴルフクラブヘッドのリア面組立図を示している。
【0020】
図16図14のゴルフクラブヘッドの正面組立図を示している。
【0021】
図17】インサートを取り外した状態の図14のゴルフクラブヘッドのボディのリア面図を示している。
【0022】
図18】インサートを取り外した状態の図17のボディの上面図を示している。
【0023】
図19】インサートを取り外した状態の図17のボディのトウ図を示している。
【0024】
図20図14のゴルフクラブヘッドのインサートの正面図を示している。
【0025】
図21図20のインサートのリア面図を示している。
【0026】
図22図15の線XXII-XXIIに沿った図14のゴルフクラブヘッドの断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(定義)
「備える」及び「有する」という用語、ならびに、任意のそれらの変形は、非排他的な包含をカバーすることが意図されており、エレメントのリストを含むプロセス、方法、システム、物品、デバイス、又は、装置が、必ずしもそれらのエレメントに限定されないが、明示的に列挙されていないか、又は、そのようなプロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置に本来備わっている他のエレメントを含むことが可能であるようになっている。
【0028】
詳細な説明及び特許請求の範囲の中の「左」、「右」、「前」、「後」、「上部」、「底部」、「上」、及び、「下」などの用語は、それがある場合には、説明目的のために使用されており、必ずしも、恒久的な相対位置を説明するために使用されているわけではない。そのように使用されている用語は、適当な状況下で入れ替え可能であり、本明細書で説明されている装置、方法、及び/又は、製造の物品の実施形態が、例えば、本明細書で図示されているか又はそうでなければ説明されているもの以外の他の配向での動作が可能であるようになっているということが理解されるべきである。
【0029】
「連結する」、「連結されている」、「連結」、及び、「連結している」などの用語は、幅広く理解されるべきであり、機械的に又は別の方法で、2つ以上のエレメントを接続することを表している。連結(機械的でも、別の方法でも)は、例えば、恒久的又は半恒久的に、又は、瞬間のみなど、任意の時間の長さに関するものであることが可能である。
【0030】
本明細書で使用される「ゴルフクラブヘッド」、「アイアンタイプのゴルフクラブヘッド」、又は、「アイアン」という用語は、アイアンタイプのゴルフクラブヘッドを表す。具体的に、アイアンタイプのゴルフクラブヘッドは、マッスルバックアイアン、キャビティバックアイアン、ブレードスタイルアイアン、中空ボディアイアン、キャビティバックマッスルアイアン、高慣性モーメントアイアン、ウェッジ、鋳造アイアン、鍛造アイアン、又は、任意の他のアイアンタイプのゴルフクラブヘッドであることができる。アイアンの標準セットは、3番、4番、5番、6番、7番、8番、9番、及び、ピッチングウェッジ(PW)を備えていることが可能である。
【0031】
本明細書で使用される「ストライクフェース」、「フェースパネル」という用語は、ゴルフボールを打撃するように構成されたゴルフクラブヘッド前表面を表す。ストライクフェースという用語は、「クラブフェース」、「フェースパネル」と入れ替え可能に使用することができる。
【0032】
本明細書で使用される「ストライクフェース外周」という用語は、ストライクフェースの縁を表すことができる。ストライクフェース外周は、曲率がストライクフェースのバルジ、及び/又は、ロールから逸脱するストライクフェースの外側縁に沿って配置されていることができる。
【0033】
本明細書で使用される「幾何学的中心点」、「幾何学的中心」、「フェース中心」という用語は、ストライクフェース外周の、ストライクフェースのクラブフェース高さの中点における、幾何学的中心点を表すことができる。同じ又は他の例において、幾何学的中心点は、工学設計されたインパクトゾーンを基準として中心に配置することもでき、当該インパクトゾーンは、ストライクフェース上の溝の領域によって規定することができる。別のアプローチにおいて、ストライクフェースの幾何学的中心点は、全米ゴルフ協会(USGA)といったゴルフ管理機関の定義に従って配置されていることが可能である。例えば、ストライクフェースの幾何学的中心点は、USGAによるゴルフクラブヘッドの可撓性を測定するための手順(USGA-TPX3004、Rev.1.0.0、2008年5月1日)(http://www.usga.org/equipment/testing/protocols/Procedure-For-Measuring-The-Flexibility-Of-A-Golf-Club-Head/において入手可能)(「可撓性の手順」)のセクション6.1に従って決定することができる。
【0034】
本明細書で使用される「地表面」という用語は、ゴルフボールが位置付けられている表面に関連付けられた基準面を表すことができる。地表面は、アドレス位置におけるゴルフクラブヘッドのソールに対して正接となっている水平面であることができる。
【0035】
本明細書で使用される「ロフト面」という用語は、ストライクフェースの幾何学的中心点に対して正接となっている基準面を表すことができる。
【0036】
ゴルフクラブの「ロフト」又は「ロフト角」という用語は、本明細書で説明されているように、任意の適切なロフト・アンド・ライ・マシン(loft and lie machine)によって測定されるような、ストライクフェースとシャフトとの間に形成される角度を表している。
【0037】
アイアンは、約60度未満、約59度未満、約58度未満、約57度未満、約57度未満、約56度未満、約55度未満、約54度未満、約53度未満、約52度未満、約51度未満、約50度未満、約49度未満、約48度未満、約47度未満、約46度未満、約45度未満、約44度未満、約43度未満、約42度未満、約41度未満、約40度未満、約39度未満、約38度未満、約37度未満、約36度未満、約35度未満、約34度未満、約33度未満、約32度未満、約31度未満、約30度未満、約29度未満、約28度未満、約27度未満、約26度未満、約25度未満、約24度未満、約23度未満、約22度未満、約21度未満、約20度未満、約19度未満、又は、約18度未満のロフト角を備えてもよい。
【0038】
他の実施形態では、アイアンは、約17度より大きく、約18度より大きく、約19度より大きく、約20度より大きく、約21度より大きく、約22度より大きく、約23度より大きく、約24度より大きく、約25度より大きく、約26度より大きく、約27度より大きく、約28度より大きく、約29度より大きく、約30度より大きく、約31度より大きく、約32度より大きく、約33度より大きく、約34度より大きく、約35度より大きく、約36度より大きく、約37度より大きく、約38度より大きく、約39度より大きく、約40度より大きく、約41度より大きく、約42度より大きく、約43度より大きく、約44度より大きく、約45度より大きく、約46度より大きく、約47度より大きく、約48度より大きく、約49度より大きく、約50度より大きく、約51度より大きく、約52度より大きく、約53度より大きく、約54度より大きく、約55度より大きく、約56度より大きく、約57度より大きく、約58度より大きく、約59度より大きく、又は、約60度より大きいロフト角を備えてもよい。
【0039】
本明細書で使用されるアイアンの「体積」は、クラブヘッドの外側表面により封入された、排除体積(displaced volume)として測定することができる。いくつかの実施形態において、ゴルフクラブヘッドの体積は、約45cc未満、約40cc未満、約35cc未満、約30cc未満、又は、約25cc未満、であることが可能である。クラブヘッドの総体積は、両端を含めて30ccから45ccの範囲であることが可能である。他の実施形態において、クラブヘッドの体積は、約31cc~38cc(1.9立方インチから2.3立方インチ)、約31cc~33cc、約33cc~35cc、約35cc~37cc、約37cc~39cc、又は、約35cc~45ccであることが可能である。1つの例において、ゴルフクラブヘッドは、39cc(2.4立方インチ)であることが可能である。ゴルフクラブヘッドの体積は、両端を含めて25ccから35ccの範囲であることが可能である。他の実施形態において、クラブヘッド210の体積は、約25cc~30cc(1.9立方インチから2.3立方インチ)であることが可能である。
【0040】
本明細書で使用されるアイアンの「質量」は、両端を含めて240グラム(g)から400グラム(g)の範囲の質量であることが可能である。1つの例において、質量は、260gであることが可能である。他の実施形態において、ゴルフクラブヘッドの質量は、両端を含めて230グラム(g)から300グラム(g)の範囲であることが可能である。別の例において、質量は、約250gであることが可能である。
【0041】
(詳細な説明)
本明細書では、マルチ材料構造を有するとともに、高い潜在的ボール速度及びショット精度をもたらすゴルフクラブヘッドについて記載している。このゴルフクラブヘッドは、ボディと、ポリマー複合材といった軽量材料で製作されたインサートと、を備えている。インサートは、クラブヘッドの外側表面を形成するトウインサートであることが可能である。トウインサートは、クラブヘッドの上部レール、リア部、ソール、及び、トウ端を部分的に形成している。上部レール、リア部、及び、ソールは、複数個の材料で形成することができる。クラブヘッドのトウ端又はトウは、トウインサートにより形成されている。トウインサートは、当該トウインサートがトウ端の最外表面を形成するように、クラブヘッドの外側表面上に露出させることができる。ボディは、トウ端の最外表面を形成していない。
【0042】
さらに、インサートは、フェースのリア表面から、間隙距離だけ離間させることができる。間隙距離は、インパクト中にフェースパネルが撓む余地をもたらし、潜在的ボール速度を保全する。しかしながら、この潜在的ボール速度の利点と耐久性とのバランスを取るために、インサートは、フェースパネルの撓み過ぎを防止するバックストップも備えている。典型的には、フェースの中心が、インパクト時に撓み過ぎる可能性が最も高く、薄肉であり、かつ、支持されていないストライクフェースに構造破損を生じる。本明細書において記載するインサート上のバックストップは、ストライクフェースの中心に一時的に接触して、ストライクフェースの中心の撓み過ぎを阻止して、ストライクフェースの耐久性の問題を防止することができる。バックストップは、ストライクフェース全体にわたってより均一なインパクト応答も結果的に生じる。撓み制御表面といった他のインサート特徴は、フェースの曲げ性状を変えて、潜在的ショット精度を改善することができる。
【0043】
本明細書に記載されたゴルフクラブヘッドは、アイアンタイプのゴルフクラブヘッドである。ボディは、鋳造又は鍛造の金属部品であることができ、インサートは、ポリマー複合材といった低密度材料で形成することができる。ボディは、ストライクフェースを形成する薄肉フェースパネルを備えることができる。当該薄肉フェースパネルは、高い潜在的ボール速度を可能にする。ボディは、当該ボディにインサートを受容するか又は機械的にロックするための経路といった、キャビティ又は他の幾何学的形状を部分的に規定することができる。インサートは、クラブヘッドの外周の一部分を形成することができ、クラブヘッドの中心領域を充填又は被覆することができる。特に、インサートは、トウ端及び/又は上部レールの一部分を形成することができ、インサートの一部は、フェースパネルの後ろに位置決めすることができる。インサートとフェースパネルの後表面との間には、間隙が存在することができる。インサートは、突出しているバックストップを備えることができる。当該バックストップは、インサートのそれ以外の部分よりも、フェースパネル後表面に、より近接している。インサート間隙距離及びバックストップ間隙距離は、動的インパクト中にフェースパネルの曲げを制御する。インサートは、この様式で、材料破損に達することなく最大のストライクフェース撓みを可能にし、それにより、薄肉フェースパネルについての耐久性の問題を防止する。また、バックストップの位置付け及び形状決めも、ストライクフェース全体にわたるインパクト応答の均一性を増大させることができる。
【0044】
(I.トウインサートの実施形態)
図面を参照すると、図1図13は、ボディ70及びインサート140を備えたマルチ材料ゴルフクラブヘッド10という第1の実施形態を例示している。クラブヘッド10は、中空ボディアイアンであることができる。換言すると、クラブヘッド10は、トウ端インサート140を備えた中空ボディアイアンであることができる。トウ端インサート140は、クラブヘッド10の外側表面において露出させることができる。クラブヘッド10は、トウ端12と、トウ端12の反対側のヒール端14と、ヒール端14に接続されたホーゼル16と、上部レール18と、上部レール18の反対側のソール20と、ストライクフェース26と、リア28と、を備えている。トウ端インサート140は、上部レール18、ソール20、及び、リア28を部分的に形成している。トウ端インサート140は、トウ端12と、トウ端12の最外表面(即ち、クラブヘッド10の最もトウ寄りの表面)と、を形成している。図4及び図7を参照すると、ストライクフェース26は、幾何学的中心50を画定している。図7は、クラブヘッドがアドレス位置にあるときにソールに対して正接となっている地表面58を例示している。クラブヘッド10は、ストライクフェース26の幾何学的中心50に対して正接となった状態であるロフト面60を規定している。幾何学的中心基準軸52は、幾何学的中心50を経由して延びており、ストライクフェース26に対して直角をなす。図4及び図5は、地表面58に対して垂直であるとともに幾何学的中心基準軸52と一致する中心基準面54を例示している。ゴルフクラブヘッド10を経由して前後方向に、地表面58に対して垂直に、鉛直基準面56が延びている。換言すると、鉛直基準面56は、中心基準面54に対して平行である。鉛直基準面56の中心基準面54からのオフセット位置は、以下に説明するように、或るクラブヘッド特徴の所在の識別を支援することができる。
【0045】
図3を参照すると、クラブヘッド10は、地表面58に対して平行に、ヒール端14からトウ端12に向かう方向において測定された長さ40を備えている。長さ40は、3.0から4.0インチの範囲であることが可能である。長さ40は、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、又は、4.0インチであることができる可能である。1つの例において、ゴルフクラブヘッドの長さ40は、約3.5インチである。
【0046】
ボディ70は、金属から形成されることができる。具体的に、ボディ70は、450鋼、C250鋼、NiMark250鋼、475鋼、及び、17-4鋼からなる群から選択された鋼合金で形成することができる。他の実施形態において、ボディ70は、鋼合金以外の金属合金を含むことができる。ボディ70は、インサート140の第2の密度よりも大きい第1の密度を備えている。換言すると、インサート140の第2の密度は、ボディ70の第1の密度未満である。
【0047】
インサート140は、非金属から形成されることができる。具体的に、インサート140は、ポリマー樹脂及び強化用繊維で形成することができる。インサート140は、ポリマー複合材であることができる。ポリマー樹脂は、熱可塑性エラストマー(TPE)又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)といった熱可塑性であることができる。強化用繊維は、炭素繊維(時としてグラファイト繊維と呼ぶ)、繊維ガラス、Kevlar(登録商標)といったアラミド繊維、又は、ホウ素繊維、であることができる。他の実施形態において、強化用繊維は、ジュート、亜麻、ラミー、麻、サトウキビ、コイア、サイザル、草類、及び、アバカからの繊維を含むが、これらに限定されない天然繊維であることが可能である。強化用繊維は、短繊維又は長繊維であることが可能である。強化用繊維は、複合材内においてランダムに配向することができる。インサート140は、射出成形することができる。他の実施形態において、インサート140は、アルミニウム合金又はマグネシウム合金といった軽量金属合金を含むこともできる。
【0048】
(i.ボディ)
図1図3は、クラブヘッド10がインサート140を収容するように構成された筒状ボディ70を備えていることを例示している。ボディ70は、クラブヘッド10の大部分を形成している。ボディ70は、内方キャビティ124を画定している。ゴルフクラブヘッド10のボディ70は、フェースパネル72と、リア部82と、上部壁102と、厚肉ソール部分114及び薄肉ソール部分118を含むソール部分112と、ホーゼル遷移部分106と、円筒状ホーゼル16と、を備えている。リア部82は、フェースパネル72の反対側に存在しており、クラブヘッド10のリア28の一部を形成している。上部壁102は、クラブヘッド10の上部レール18の一部を形成している。上部壁102は、クラブヘッド10の上部において、フェースパネル72及びリア部82を接続している。ソール部分112は、クラブヘッド10の底部において、フェースパネル72及びリア部82を接続している。フェースパネル72、リア部82、上部壁102、並びに、厚肉ソール部分114及び薄肉ソール部分118は、それぞれ、融合してホーゼル遷移部分106となる。ホーゼル遷移部分106は、円筒状ホーゼル16に接続している。ボディ70は、より詳細に以下に説明するように、インサート140を受容及び支持するように構成されている。
【0049】
図5図7を参照すると、ボディ70は、前表面74及びリア表面76を有するフェースパネル72を備えている。フェースパネル72の前表面74は、クラブヘッド10のストライクフェース26の全体を形成することができる。フェースパネル72のリア表面76は、前表面74の反対側に存在している。リア表面76は、クラブヘッド10の内方キャビティ124に面している。ゴルフクラブヘッド10がゴルフボールにインパクトを与えると、リア表面76は、曲がるとともに、リア表面76の後ろに配置されたインサート140の一部分に一時的に接触することができる。
【0050】
図7を参照すると、フェースパネル72は、前表面74とリア表面76との間において測定された厚さ78を備えている。フェースパネル72は、均一な厚さを有することができる。フェースパネル72は、一定の厚さを備えることができる。フェースパネル72は、ストライクフェース26の全体にわたり、ヒール-トウ方向及び上部レール-ソール方向において測定されるような不変の厚さを備えることができる。フェースパネル厚さ78は、0.055インチから0.10インチの間の範囲であることができる。他の実施形態において、フェースパネル厚さ78は、0.055インチから0.075インチ、0.065インチから0.085インチ、0.075インチから0.095インチ、又は、0.080インチから0.1インチの間の範囲であることができる。また、他の実施形態において、フェースパネル厚さ78は、0.060インチ未満、0.065インチ未満、0.070インチ未満、0.08インチ未満、0.09インチ未満、又は、0.10インチ未満であることができる。例えば、フェースパネル厚さ78は、0.055、0.06、0.061、0.065、0.07、0.075、0.08、0.085、0.09、又は、0.10インチであることができる。1つの例において、フェースパネル厚さ78は、約0.055インチであることができる。別の例において、フェースパネル厚さ78は、約0.065インチであることができる。薄肉フェースパネル72は、フェースの曲げを促進し、それにより、ボール速度を増大させる。
【0051】
図4を参照すると、フェースパネル前表面74は、インパクト中においてフェースパネル72に当たるゴルフボールの掴みを改善するための溝を備えることができる。溝は、ヒール-トウ方向に延びることができる。フェースパネル前表面74は、5本から20本の溝を備えることができる。いくつかの実施形態において、フェースパネル前表面74は、15本から18本の溝を備えることができる。フェースパネル72は、ボディ70と一体的に形成することができる。他の実施形態において、フェースパネル72は、ボディ70上へ溶接された別個のフェースプレートであることができる。
【0052】
図6を参照すると、ボディ70は、概して筒状であることができ、内方キャビティ124を規定している。筒状ボディ70は、内方キャビティ124を備えた中空構造を画定している。筒状ボディ70は、フェースパネル72、ヒール端14、リア28、ソール20、及び、上部レール18により境界設定されることができる。換言すると、筒状ボディ70は、フェースパネル72、ヒール端14、リア28、ソール20、及び、上部レール18により境界設定された中空シェルであることができる。しかしながら、図5に例示されるように、フェースパネル72は、ボディ70の任意の他の部分よりもトウ端12に向けてさらに延びることができる。ボディ70は、トウ端12の最外表面のいずれの部分も形成しない。図1、及び、図5図7を参照すると、内方キャビティ124は、クラブヘッド10のトウ端12に向けて開放している。図6は、内方キャビティ124の口126を例示している。図5は、鉛直基準面56において位置決めされた内方キャビティ124の口を例示している。キャビティ口126は、クラブヘッド10のトウ端12を指している。キャビティ口126は、内方キャビティ124への入口であることができる。キャビティ口126は、内方キャビティ124への進入路であることができる。キャビティ口126は、直接リア面図、正面図、ソール図、及び、上面図のうちの1つ以上から視認可能ではない。キャビティ口126は、ヒール図から決して視認可能ではない。ボディ70は、内方キャビティ124が、その口126において最大である鉛直基準面56に対して平行に取った断面積を有するように形状決めすることができる。いくつかの実施形態において、ボディ70は、キャビティ124が、ヒール端14に向けて漸進的に小さくなる断面積を有するように形状決めすることができる。このキャビティの形状決めにより、インサートを前もって形成し、その後、キャビティ124内へ支障なく摺動させることが可能になる。加えて、いくつかの実施形態において、内方キャビティ124のヒール境界は、中心基準面54からヒール端14に向けて約0.9インチから1.5インチ離して配置することができる。例えば、内方キャビティ124のヒール境界は、中心基準面54からヒール端14に向けて、約0.9インチから1インチ、1インチから1.1インチ、1.1インチから1.2インチ、1.2インチから1.3インチ、1.3インチから1.4インチ、又は、1.4インチから1.5インチのところに配置することができる。いくつかの実施形態において、内方キャビティ124のヒール境界は、中心基準面54からヒール端14に向けて約1.1インチ離して配置することができる。内方キャビティ124の体積及び長さは、ストライクフェース26の後ろにおけるインサート140の位置決めに重要である。
【0053】
フェースパネルリア表面76、リア部82、上部壁102、及び、ソール部分112は共に、内方キャビティ124を画定している(境界設定している)。フェースパネルリア表面76は、内方キャビティ124の前方境界を形成することができる。リア部82は、キャビティ124の後部境界を形成することができる。上部壁102は、キャビティ124の天井を形成することができる。厚肉ソール部分及び薄肉ソール部分は、キャビティ124の底部境界を形成することができる。いくつかの実施形態において、ホーゼル遷移部分106は、キャビティ124のヒール側境界を規定することができる。いくつかの実施形態において、キャビティ124は、ホーゼル遷移部分106内へ部分的に延びている。
【0054】
内方キャビティ124は、或る体積を備えることができる。キャビティ体積は、0.65立方インチから0.90立方インチの間の範囲であることができる。例えば、キャビティ体積は、0.86立方インチであることができる。いくつかの実施形態において、キャビティ体積は、クラブヘッド10の総体積の25%から40%の間の範囲であることができる。いくつかの実施形態において、キャビティ体積は、総クラブヘッド体積の25%から30%、30%から35%、又は、35%から40%、の間の範囲であることができる。例えば、キャビティ体積は、総クラブヘッド体積の25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、又は、40%、であることができる。
【0055】
図3は、襞38(断面反曲点又は曲げ線とも呼ぶ)によって分割された上側リア表面30及び下側リア表面34を例示している。襞38は、トウ端12からヒール端14まで延び、上部レール18とソール20との間に配置されている。襞38は、クラブヘッド10がゴルフボールにインパクトを与えると、リア28が撓むことを可能にする。上側リア表面30は、地表面58に対して直角をなして測定された高さ32を有することができる。上側後表面高さ32は、下側後表面高さ36よりも大きいことができる。上側後表面高さ32は、ヒール端14付近からトウ端12付近へと増大することができる。下側後表面高さ36は、ヒール端付近からトウ端12付近へと増大することができる。襞38は、ゴルフクラブヘッド10のアドレス時において、トウ端12付近よりもヒール端14付近において、地表面58により近接していることが可能である。
【0056】
図5及び図6を参照すると、フェースパネル72は、クラブヘッド10のトウ端12に向けて、ボディ70の残りの部分よりもさらに延びることが可能である。上部壁102、リア部82、及び、ソール部分112は、トウ端12に向けて延びるとともに、鉛直基準面56よりも遠くに延びていない。鉛直基準面56は、中心基準面54からクラブヘッドのトウ端12に向けて、オフセット距離55だけオフセットさせることが可能である。オフセット距離55は、1.0インチから1.8インチの間の範囲であることができる。例えば、オフセット距離55は、1.4インチであることができる。代替的な実施形態において、オフセット距離55は、0インチから1.8インチの間の範囲であることが可能できる。上部壁102、リア部82、及び、ソール部分112を鉛直基準面56において、又は、鉛直基準面56の手前で終端させた結果として、ボディのキャビティも、鉛直基準面56のヒール側において終端をなす。オフセット距離55は、以下に説明するように、インサート140及びインサート140のバックストップがフェースパネル72の後ろに最適に位置決めされるように、クラブヘッド10のボディ70が形成されることを可能にする。
【0057】
いくつかの実施形態において、ボディ70の上部壁102、リア部82、及び、ソール部分112は、クラブヘッドトウ端12上の最外点又は最外表面から、0.2インチ、0.4インチ、0.6インチ、0.8インチ、1.0インチ、1.2インチ、又は、1.4インチ以内に延びていない。対照的に、フェースパネル72は、トウ端12までほぼ又は完全に延びることができる。トウ端12の最外表面からのボディ70のオフセットは、インサート140が、上部壁102、リア部82、ソール部分112、及び、トウ端12の残りの部分を形成することを可能にする。
【0058】
図7を参照すると、上部壁102及びソール部分112の厚さは、ゴルフボールとの動的インパクト中にフェースパネル72が曲がる機能に影響を及ぼすことができる。上部壁102は、両端を含めて0.030インチから0.040インチの範囲の厚さ104を備えることができる。いくつかの実施形態において、上部壁厚さ104は、両端を含めて、0.030インチから0.032インチ、0.032インチから0.034インチ、0.034インチから0.036インチ、0.036インチから0.038インチ、又は、0.038インチから0.040インチ、の範囲であることができる。薄肉の上部壁102は、ストライクフェースの撓みを促進させることができる。上部壁102及びソール部分112の上記の厚さは、重量削減を可能にし、クラブヘッド10には、ゴルフボールインパクトに耐える強度をもたらす。
【0059】
図8を参照すると、ソール部分112は、厚肉ソール部分114及び薄肉ソール部分118を備えている。厚肉ソール部分114は、内方キャビティ124を前後方向において見たときに、薄肉ソール部分118の後ろに存在することが可能である。厚肉ソール部分114は、ソール20全体の全体にわたって延びていない。例えば、厚肉ソール部分114は、主として、中心基準面54のヒール側に配置することができる。厚肉ソール部分114は、より多くの重量を下方及び奥の位置に分散させることによって質量性状を改善するとともに、インサート140用の噛み合い幾何学的形状のための構造をもたらす。薄肉ソール部分118は、ソール20の前縁22において、フェースパネル72に接続している。前縁22の真後ろに薄肉ソール部分118を位置決めすることで、ストライクフェース26の撓みを促進する。薄肉ソール部分118は、ゴルフボールとのインパクト時における、より大きなストライクフェースの撓みを促進する。薄肉ソール部分118は、0.030インチから0.075インチの範囲の厚さ120を備えることが可能できる。いくつかの実施形態において、薄肉ソール部分厚さ120は、0.030インチから0.05インチ、又は、0.05インチから0.075インチの範囲であることができる。他の実施形態において、薄肉ソール部分厚さ120は、0.030インチから0.045インチ、0.045インチから0.06インチ、又は、0.06インチから0.075インチの範囲であることができる。1つの例において、薄肉ソール部分厚さ120は、約0.035インチであることができる。厚肉ソール部分114は、薄肉ソール部分厚さ120よりも大きい厚さ116を備えることができる。厚肉ソール部分厚さ116は、0.040インチから0.100インチの範囲であることができる。いくつかの実施形態において、厚肉ソール部分厚さ116は、0.040インチから0.050インチ、0.050インチから0.060インチ、0.060インチから0.070インチ、0.070インチから0.080インチ、0.080インチから0.090インチ、又は、0.090インチから0.100インチの範囲である。1つの例において、厚肉ソール部分厚さ116は、約0.075インチであることができる。
【0060】
(ii.インサート)
図1図3を参照すると、ゴルフクラブヘッド10は、ゴルフボールとの動的インパクト中にフェースパネル72の振れ又は動きを一時的に制限することができる低密度インサート140を備えている。インサート140は、フェースパネル72の過度な撓み、又は、破損に至る撓みを防止する。インサート140は、トウ端12から内方キャビティ124内へ摺動して、トウ端12の大部分を形成することが可能である。インサート140の一部分は、トウ端12と、リア28、ソール20、及び、上部レール18の一部分と、において、露出することができる。インサート140は、トウ端12の最外表面の全体を形成することができる。
【0061】
図3は、インサート140が、トウ端12又は上部レール18といったクラブヘッド外周の一部分に置き換わっていること、又は、当該一部分を形成していることを例示している。インサート140は、ボディ70上へ、取り付く、連結する、及び/又は、摺動するように構成することができる。図9及び図10に例示されるように、インサート140は、オフセット表面144、オフセット表面144の反対側の裏表面146、上部縁148、及び、底部縁150を備えている。インサート140は、ボディ70の内方キャビティを少なくとも部分的に充填することができる。インサート140は、クラブヘッド10のリア28、ソール、上部レール18、及び、トウ端12の一部分を形成することができる。インサート140は、トウ端12の上部部分、トウ端12の中心部分、及び、トウ端12の底部部分を形成することができる。インサート140は、トウ端12において部分的に露出することができる。インサート140は、少なくとも、正面図、トウ図、及び/又は、リア面図から、外部より視認可能であることができる。図9は、インサート140の中間面(midplane)を、その長さ142に沿って、インサート140のヒール端14とトウ端12との間の中間点(halfway)として規定することが可能であることを例示している。
【0062】
図12及び図13を参照すると、インサート140のオフセット表面144とフェースパネル72のリア表面76との間に間隙を形成することができる。インサート140とフェースパネル72との間の間隙は、ゴルフボールインパクト中にフェースパネル72が撓む空間をもたらすことができる。図12は、インサートオフセット表面144とフェースパネルリア表面76との間の間隙距離64(以降は「インサート間隙距離64」)が、0.050インチから0.100インチの間の範囲であることができることを例示している。他の実施形態において、インサート間隙距離64は、0.05インチから0.075インチ、又は、0.075インチから0.100インチの間の範囲であることができる。また、他の実施形態において、インサート間隙距離64は、0.055インチから0.095インチ、0.055インチから0.075インチ、0.060インチから0.090インチ、0.060インチから0.080インチ、又は、0.065インチから0.075インチ、の間の範囲であることができる。例えば、インサート間隙距離64は、0.050、0.055、0.060、0.065、0.070、0.075、0.080、0.085、0.090、0.095、又は、0.100インチ、であることができる。1つの例において、インサート間隙距離64は、約0.075インチであることができる。インサート140は、静止状態(即ち、ゴルフボールとのインパクト前)において、フェースパネル72に接触しない。換言すると、インサート140は、静止状態中において、フェースパネル72と密着していない。フェースパネル72は、ゴルフボールインパクト中に、ゴルフボールの荷重下において変形状態にあり、インサート140は、フェースパネル72のリア表面76に接触して、ストライクフェース26の特定の力のインパクトによる屈曲についての支持をもたらすことにより、フェースパネル72が破損点まで撓むことを防止する。
【0063】
インサート140は、封入部分174及び露出部分178を備えている。インサート140の封入部分174及び露出部分178は、一体的に形成することができる。封入部分174は、専ら、キャビティ124内に置かれていることができる。インサート140の封入部分174は、上で規定された鉛直基準面56のヒール端側に少なくとも部分的に配置することができる。封入部分174は、フェースパネル72の後ろに配置されたインサート140の部分であることができる。
【0064】
露出部分178は、専ら、キャビティ124の外側に存在することができる。インサート140の露出部分178は、専ら、鉛直基準面56のトウ端側に配置することができる。インサート露出部分178は、クラブヘッド10のトウ端12と、トウ端12に隣接しているリア28の一区分と、を形成することができる。露出部分178は、フェースパネル72の真後ろに位置決めされていない。インサート140は、キャビティ124を塞ぐことができ、キャビティ口126を完全に封鎖している。インサート140は、キャビティ124への入口又は進入路を塞ぐことができる。インサート140の露出部分178は、ボディ70の外方表面と位置合わせして、ゴルフクラブヘッド10の外方表面を形成している。インサート140は、トウ端12の最外表面を形成している。ボディ70は、クラブヘッド10のトウ端と、クラブヘッド10のトウ端12の最外表面と、を形成していない。
【0065】
封入部分174は、ボディ70のキャビティ124を部分的に充填することができる。インサート140の封入部分174は、ボディ70の内方キャビティ壁、特に、リア28を形成する壁と密着した状態にある少なくとも1つの表面を備えることができる。しかしながら、前部24付近において、間隙距離64が、インサート140をフェースパネル72から分離している。インサート140の封入部分174は、フェースパネル72の外周と密着した状態にあることができる。インサート140がフェースパネル72の外周を支持することで、インサート140を、フェースパネル72の中心部分において、フェースパネル72から間隔をとって配置することが可能になる。
【0066】
図12及び図13を参照すると、インサート140の上部縁148は、フェースパネル72の外周と密着した状態であることができる。上部縁148は、上部レール18の長さに沿ってヒール-トウ方向に、フェースパネル72の外周に接触することができる。インサート140は、フェースパネル72の外周に接触しており、インサート140の他の部分は、フェースパネル72(例えば、フェースパネル72の中心エリア又は部分)に接触していない。インサート140は、フェースパネル72の外周を支持しており、フェースパネル72の中心部分は支持しておらず、フェースパネル72がゴルフボールインパクト中に撓むことを可能にする。
【0067】
図3図4図9、及び、図10を参照すると、露出部分178は、トウ端12を部分的に形成しており、インサート前表面182及び前へり180を有することができる。露出部分178の前部は、ボディフェースパネル72によって大半を被覆することができる。インサート前表面182は、フェースパネル72のトウ方向の外周と密着するとともに当該トウ方向の外周の真後ろに配置される。前へり180は、フェースパネル72のトウ側外周縁を抱え込むか、又は、当該トウ側外周縁に巻き付いて、クラブヘッド10の外周の一部分を形成している。前へり180は、インサート前表面182の周りに、かつ、インサート前表面182から前方に、延びている。前へり180は、トウ端12においてフェースパネル72の外周を支持することができる。前へり180は、フェースパネル72の中心部分に接触していない。いくつかの代替的実施形態は、前へり180を欠いていることが可能であり、その代わりに、フェースパネル72が、トウ端12の最外周まで途切れずに延びるようにしている。
【0068】
図3及び図4を参照すると、露出部分178は、ボディ70の外方表面と同一平面上において接続している外方表面を備えることができる。露出部分178は、クラブヘッド10のリア28の50%未満というパーセンテージを形成することができる。いくつかの実施形態において、インサート露出部分178は、リア28の5%よりも多く、10%よりも多く、15%よりも多く、20%よりも多く、又は、30%よりも多くを形成することができる。いくつかの実施形態において、インサート140は、リア28の約25%を形成している。例えば、インサート140は、約3.69平方インチという総表面積を有することができるリア28のうち、0.95平方インチを形成することができる。
【0069】
露出部分178は、クラブヘッド10のソール20、50%未満というパーセンテージを形成することができる。いくつかの実施形態において、インサート露出部分178は、ソールの5%よりも多く、10%よりも多く、15%よりも多く、20%よりも多く、又は、30%よりも多くを形成することができる。いくつかの実施形態において、インサート140は、ソール20の約25%を形成している。露出部分178は、上部レール18の一部分も形成することができる。図3に例示されるように、組み立てられたクラブヘッド10の上部レール18、ソール20、及び、リア28の外側表面は、複数個の材料で形成することができる。組み立てられたクラブヘッド10は、さらに、トウ端12において、又は、トウ端12の最外表面において、1つの材料を含んでいる。組み立てられたクラブヘッド10は、さらに、ストライクフェース26又はフェースパネル前表面74上において、1つの材料を含んでいる。インサート露出部分178は、封入部分174のトウ端に一体的に取り付けることができる。インサート140は、1つの構成要素として成形することができ、それにより、封入部分174及び露出部分178の両方が、同じ材料で成形されるようにする。
【0070】
さらに、インサート140の体積の35%未満を、キャビティ124の外側に配置することができる。他の実施形態において、インサート140の体積の30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、又は、10%未満をキャビティ124の外側に配置することができる。さらに、インサート140の体積の65%よりも多くをキャビティ124内に配置することができる。他の実施形態において、インサート140の体積の70%、75%、80%、85%、90%、又は、95%よりも多くを、キャビティ124内に配置することができる。
【0071】
図9を参照すると、インサート140は、地表面58に対して平行に、ヒール端14からトウ端12への方向において測定され、ゴルフクラブヘッド長さ40の10%から80%の間である長さ142を有することができる。いくつかの実施形態において、インサート40は、10%から30%、10%から50%、30%から70%、30%から60%、30%から50%、40%から50%、20%から50%、又は、50%から80%の間の長さ142を有することができる。いくつかの実施形態において、インサート140は、ゴルフクラブヘッド長さ40の約50%である長さ142を有する。インサート140の長さは、フェースパネル72の後ろにおけるバックストップ152の所在を制御するのに十分な長さをもたらす。
【0072】
いくつかの実施形態において、インサート140は、1立方インチから6立方インチの間の範囲の体積を備えることができる。1つの例において、インサート体積は、約5立方インチであることができる。いくつかの実施形態において、インサート140は、両端を含めて10gから20gの間の範囲の質量を有することができる。1つの例において、インサート質量は、約15.8gであることができる。インサート140は、ボディ70の比重未満である比重を有することができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、インサート140は、キャビティ124の大部分を充填することができる。インサート140は、キャビティ124の60%から95%の間を充填することができる。いくつかの実施形態において、インサート140は、キャビティ124の70%から90%、70%から80%、75%から85%、又は、80%から90%の間を充填することができる。例えば、インサート140は、キャビティ124の約87%を充填することができる。いくつかの実施形態において、インサート封入部分174は、0.65立方インチから0.86立方インチの間の範囲の体積を有することができる。封入部分の体積は、キャビティ124の充填体積に対応する。言い換えると、キャビティ124の空き体積は、約0.1立方インチから0.5立方インチの間の範囲であることができる。
【0074】
(a.バックストップ、及び、撓み制御表面)
図9を参照すると、インサートは、インサートオフセット表面144から突出している(又はインサートオフセット表面144上に配設された)バックストップ152と、撓み制御表面162と、を備えることができる。バックストップ152及び撓み制御表面162は、フェースパネル72が動的インパクト中に曲がるときに、フェースパネル72に一時的に接触するように構成することができる。バックストップ152は、ゴルフクラブ10の静止時に、フェースパネル72に接触しない。バックストップ152は、クラブヘッド10のゴルフボールとの動的インパクト中に、フェースパネルリア表面76に接触して、フェースパネル72の過度な撓みを防止する。撓み制御表面162は、ゴルフクラブ10の静止時にフェースパネル72に接触していなくてもよい。換言すると、バックストップ152は、第1の構成(即ち、静止状態)においては、フェースパネル72のリア表面76に接触しない。バックストップ152は、第2の構成(即ち、変形状態)においては、フェースパネル72のリア表面76に接触している。バックストップ152は、ゴルフボールインパクト中におけるフェースパネル72の過度な撓みを防止する。
【0075】
封入部分174は、内方キャビティ124を部分的に充填しており、バックストップ152と、撓み制御表面162と、を備えることができる。以下に説明するように、バックストップ152は、概してストライクフェース26の幾何学的中心の後ろ、かつ、中心に配置されている。撓み制御表面162は、周辺に配置されており、その大部分は、概して、ストライクフェース26の上側トウ領域及び上側ヒール領域の後ろに存在している。バックストップ152及び撓み制御表面162の両方は、インサート封入部分174のそれ以外の部分よりも、フェースパネル72により近接していることができる。換言すると、バックストップ間隙距離66及び撓み制御間隙距離は、インサート間隙距離64未満である。バックストップ間隙距離66及び撓み制御間隙距離は、フェースパネル72が過度に撓まずに曲がることを可能にする(即ち、バックストップ152及び/又は撓み制御表面162が、ゴルフボールインパクト中にフェースパネル72に一時的に接触する)。
【0076】
封入部分174は、インサート140のオフセット表面144を備えることができる。オフセット表面144は、さらに、上記のバックストップ152及と、撓み制御表面162と、を備えることができる。換言すると、バックストップ152及び撓み制御表面162の両方は、封入部分174の前部上に配設されている。上記のように、インサート間隙距離64、バックストップ間隙距離66、及び、撓み制御間隙距離は、フェースパネルの曲げを制御するように働く。
【0077】
図12を参照すると、インサート140のバックストップ152は、ストライクフェース26の後ろ、かつ、中心に配置することができる。バックストップ152は、インサートオフセット表面144のそれ以外の部分と比較すると、フェースパネル72に、より近接していることができる。換言すると、バックストップ152は、フェースパネル72のリア表面76から内方に、インサートオフセット表面144のそれ以外の部分よりも少ない距離だけ、オフセットさせることができる。バックストップ152は、フェースパネル72のリア表面76から、インサート間隙距離64未満であるバックストップ間隙距離66だけ、オフセットさせることができる。
【0078】
図12を参照すると、バックストップ間隙距離66は、0.015インチから0.065インチの間の範囲であることができる。いくつかの実施形態において、バックストップ間隙距離66は、0.015インチから0.040インチ、又は、0.040インチから0.065インチ、の間の範囲であることができる。他の実施形態において、バックストップ間隙距離66は、0.015インチから0.035インチ、0.025インチから0.045インチ、0.035インチから0.055インチ、又は、0.045インチから0.065インチ、の間の範囲であることができる。例えば、バックストップ間隙距離66は、0.015、0.020、0.025、0.030、0.035、0.040、0.045、0.050、0.055、0.060、又は、0.065インチ、であることができる。1つの例において、バックストップ間隙距離66は、約0.025インチであることができる。別の例において、バックストップ間隙距離66は、0.05インチであることができる。バックストップ間隙距離66は、バックストップ152がフェースの撓みをどの程度、上限設定又は限定するのかを制御する。
【0079】
バックストップ152は、フェースパネル72の過度な撓みを、フェースパネル72がインサート140からの抵抗に遭う前に曲がることの可能な距離を限定することにより、防止することができる。インサート140とフェースパネル72との間の間隙は、構造破損を結果的に生じる恐れのある過度な撓みを許容せずに、フェースの撓みを促進する。インサート間隙距離64及びバックストップ間隙距離66は、この、フェース可撓性(ボール速度に結び付く)と耐久性との間のバランスにとって重要である。
【0080】
バックストップ152は、ストライクフェース26の幾何学的中心50の後ろに配置することができる。幾何学的中心基準軸52は、バックストップ152と交差することができる。バックストップ152は、インサートオフセット表面144のそれ以外の部分から突出している。バックストップ152は、フェースパネル72に対してほぼ平行であり、平坦な表面154を備えることができる。バックストップの平坦な表面154は、0.05平方インチから0.20平方インチの間の範囲である表面積(バックストップ表面積とも呼ぶ)を有することができる。いくつかの実施形態において、バックストップ表面積は、0.05平方インチから0.10平方インチ、0.10平方インチから0.15平方インチ、又は、0.15平方インチから0.20平方インチ、の間の範囲である。1つの例において、バックストップ表面積は、約0.10平方インチであることができる。
【0081】
また、図9を参照すると、バックストップ152は、上部サイド156と、トウサイド158と、ヒールサイド160と、を備えることができる。幾何学的中心基準軸52を基準として、上部サイド156は、凸状であることが可能であり、トウサイド158及びヒールサイド160は、凹状であることが可能である。トウサイド158及びヒールサイド160は、バックストップ152の底部においてラウンドポイント(rounded point)に達することができる。トウサイド158及びヒールサイド160は、上部サイド156に交差して、それぞれ、トウ端12及びヒール端14を指す翼状形状を成している。バックストップ152の形状は、ストライクフェース26、具体的には、フェースパネル72を所望するよりも多く撓み易くしている点又は領域における曲げを一時的に制限することを容易にすることができる。バックストップの平坦な表面154は、バックストップ側面(上部サイド、トウサイド、及び、ヒールサイド)への隅肉溶接された接続部を備えることができる。また、バックストップのこれらの側面も、インサート140のそれ以外の部分への隅肉溶接された接続部を備えることができる。
【0082】
図9は、撓み制御表面162を例示している。撓み制御表面162は、インサートオフセット表面144のそれ以外の部分と比較すると、フェースパネル72により近接していることができる。換言すると、撓み制御表面162は、フェースパネル72のリア表面76から内方に、インサートオフセット表面144のそれ以外の部分よりも少ない距離だけ、オフセットさせることができる。いくつかの実施形態において、バックストップ152及び撓み制御表面162は、同じ間隙距離だけ内方にオフセットしているが、他の実施形態では、異なる距離だけオフセットしている。撓み制御表面162は、バックストップ152と同様に、フェースパネル72の過度な撓みを、フェースパネル72がインサート140からの抵抗に遭う前に曲がることの可能な距離を限定することにより、防止することができる。
【0083】
撓み制御表面162のフェースパネルリア表面76からの距離(以降は「撓み制御間隙距離」と表す)は、0インチから0.040インチの間の範囲であることができる可能である。いくつかの実施形態において、撓み制御間隙距離(例示せず)は、0インチから0.010インチ、0.010インチから0.020インチ、0.020インチから0.030インチ、又は、0.030インチから0.040インチ、の間の範囲であることができるる。いくつかの実施形態では、撓み制御表面とフェースパネルの後表面との間に間隙が存在しない(即ち、撓み制御間隙距離がゼロである)。撓み制御間隙距離は、撓み制御表面がフェースの撓みを、どの程度、上限設定又は限定するのかを制御する。撓み制御表面、特にその縁は、曲がるつもりのないフェースパネルの領域内における曲げを抑止することに加え、フェースパネル72のインパクト応答を変えることができる。
【0084】
図9は、インサート140の撓み制御表面162を例示している。インパクト中に、撓み制御表面162、特に、撓み制御縁164は、フェースパネルリア表面76に、てこの作用をもたらすことができる。てこの作用は、フェースパネル72の曲げ性状を変え、ショットの軌道を変更することができる。例えば、ゴルフボールがストライクフェース26上の高いところでインパクトを与えるほど、撓み制御表面162は、より著しいてこの作用をフェースパネル72に与えて、フェースパネル72の領域に、下方へ角度を付けるか又は平坦化させる。このことは、望ましくない高いインパクトに対する何らかの補償をもたらすことができる。
【0085】
図9は、ヒール-トウ配向におけるインサート140を例示している(即ち、インサート140の長さ142が、ヒール-トウ方向において測定されている)。撓み制御表面162は、概して、ストライクフェース26の上側トウ領域及び上側ヒール領域の後ろに配置することができ、当該上側トウ領域及び当該上側ヒール領域は、ゴルフボールからの直接的なインパクトに遭うことはめったにない。撓み制御表面162は、撓み制御縁164を備えている。撓み制御縁164は、幾何学的中心軸52を基準として凹状であることが可能である。撓み制御縁164は、ストライクフェース26のスイートスポットをアーチ状に跨いでいる。撓み制御表面162は、撓み制御縁164よりも上において、インサートオフセット表面144のそれ以外の部分から突出している。撓み制御表面162は、フェースパネル72の後ろにおいて、インサートの領域の上部側、上側トウ側、及び、上側ヒール側まで延びている。撓み制御表面162は、約0.3平方インチから0.9平方インチの間の表面積を備えることができる。例えば、撓み制御表面162は、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、又は、0.9平方インチという表面積を備えることができる。いくつかの実施形態において、撓み制御表面162は、約0.5平方インチという表面積を備えている。逆に考えると、フェースパネル72の後ろのインサートの領域は、陥没した表面(即ち、オフセット表面144)を有する。陥没した表面は、ストライクフェース26の中心バックストップ152に対応する領域を除く、ほとんどのインパクトに遭う領域の大部分に対応している。陥没した表面は、約1.5平方インチから2.5平方インチの間の面積を備えることができる。例えば、陥没した表面は、1.5平方インチ、1.6平方インチ、1.7平方インチ、1.8平方インチ、1.9平方インチ、2.0平方インチ、2.1平方インチ、2.2平方インチ、2.3平方インチ、2.4平方インチ、又は、2.5平方インチの面積を備えることができる。いくつかの実施形態において、陥没した表面は、約2平方インチの面積を備えることができ、陥没した表面とフェースパネル72との間の距離は、上記のインサート間隙距離64に等しいことができる。
【0086】
撓み制御縁164の形状決めが、フェースがいかに曲がるのかを決定し、ボール飛行の軌道を変えることができる。撓み制御縁164は、真直のセグメント166と、深い弧のセグメント168と、浅い弧のセグメント170と、を備えることができる。真直のセグメント166は、インサートの下端トウ側領域において始まり、上方、かつ、僅かに内方に、上部レール18に向かうものの上部レール18には到達せずに延びることができる。真直のセグメント166は、深い弧のセグメント168に接続している。深い弧のセグメント168は、インサート140の上側トウ側領域内において、幾何学的中心基準軸52に対して凹状に湾曲している。深い弧のセグメント168は、インサート140のいずれかの側に0.5インチの増減があるとして、ほぼ中間面において、浅い弧のセグメント170に接続している。また、浅い弧のセグメント170も、幾何学的中心軸52に対して凹状である。浅い弧のセグメント170は、インサート140の上側ヒール側領域を経由して上側ヒール縁まで延びている。浅い弧のセグメント170は、深い弧のセグメント168の曲率半径よりも大きい平均曲率半径を備えている。深い弧の平均曲率半径は、両端を含めて0.55インチから1インチの間の範囲であることができる。浅い弧の平均曲率半径は、両端を含めて0.75インチから2インチの間の範囲であることができる。いくつかの実施形態において、深い弧及び浅い弧の曲率半径は、これらのセグメントの長さ全体にわたって可変である。
【0087】
いくつかの実施形態において、撓み制御縁164の深い弧のセグメント168及び浅い弧のセグメント170は共に、rho値が0.5インチであり、端点離隔距離(endpoint separation)が約1.8インチである単一の円錐曲線を形成することができる。円錐曲線のヒール側端点は、鉛直基準軸から測定した約44度の接線角を有することができる。円錐曲線のトウ側端点は、鉛直基準軸から測定した約18度の接線角を有することができる。
【0088】
撓み制御縁セグメントの形状決め及び位置決めは、ゴルフクラブヘッド10のインパクト応答に寄与する。図1図13の例示された実施形態において、撓み制御縁164は、インサート140の中間面に対して対称ではなく、クラブヘッド10の中心基準面54に対して対称ではない。撓み制御縁164は、撓み制御表面162において上側隅肉、及び/又は、インサート140の縁164とそれ以外の部分との間の接合部において下側隅肉、を備えることができる。
【0089】
(b.ボディとインサートとの間の接続)
インサート140及びボディ70は、位置合わせ特徴(alignment features)を備えており、これらの構成要素を共に固定することを支援することができる。例えば、位置合わせ特徴は、噛み合い経路及びレール、噛み合い溝及び棚状部、1つ以上の窪み及び突起、噛み合い幾何学的形状、或いは、任意の他の適切な位置合わせ、噛み合い、又は、スナップ嵌合を行う幾何学的形状、を備えることができる。いくつかの実施形態では、以下に説明するように、ボディ70がレール又は棚状部を備えており、インサート140が当該レール又は棚状部を受容するための経路又は溝を備えている。代替的に、ボディ70が経路又は溝を備えることができ、インサート140がレール又は棚状部を備えることができる。他の実施形態において、ゴルフクラブヘッド10は、インサートをボディに取り付けるための、ペグ、スナップ特徴、及び/又は、タブといった別の形の機械的ロック機構を備えることができる。他の実施形態において、ボディ70及びインサート140は、接着剤及び機械的接続部の組み合わせにより固定することができる。
【0090】
図8及び図10を参照すると、ゴルフクラブヘッド10は、インサート経路176及びボディ内部レール84の形の位置合わせ特徴を備えている。ボディ70のリア部82は、内部レール84を備えることができ、内部レール84は、内方キャビティ124の一部分内へ延びている。換言すると、内部レール84は、クラブヘッド10のリア28から離れて前部24に向けて、延びることができる。内部レール84は、片持ち式レール、片持ち式部分、後部ブロック、突起、又は、トラックも呼ぶことができる。内部レール84は、インサート140をボディ70に固定するための位置合わせ又はロック機構としての機能を果たすことができる。
【0091】
図7及び図8を参照すると、いくつかの実施形態において、内部レール84は、ほぼヒール-トウ方向に位置合わせすることができる。内部レール84は、ホーゼル遷移部分106に接続するとともに、ホーゼル遷移部分106からトウ端12に向けて延び、鉛直基準面56に到達する前に終端をなすことができる。内部レール84は、専ら、キャビティ124内に存在しており、鉛直基準面56を越えて延びていない。いくつかの実施形態において、内部レール84は、中心基準面54を越えて延びていない。換言すると、それらの実施形態において、内部レール84は、中心基準面54のヒール側に完全に存在している。いくつかの実施形態において、内部レール84は、中心基準面54のヒール側へ、両端を含めて0インチから0.4インチの間において、終端をなす。内部レール84は、キャビティ124内において、インサート140に連結するように、又は、インサート140を位置合わせするように、構成することができる。内部レール84は、ボディリア部82のそれ以外の部分と一体的に形成することができる。
【0092】
図8を参照すると、内部レール84は、地表面58に対して平行に、ヒール端14からトウ端12に向かう方向において測定された長さ86を備えることができる。内部レール長さ86は、ゴルフクラブヘッド長さ40の15%から25%の間の範囲であることができる。例えば、内部レール長さ86は、ゴルフクラブヘッド長さ40の約15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、又は、25%であることができる。代替的実施形態において、内部レール長さ86は、ゴルフクラブヘッド長さ40の25%から60%の間の範囲であることができる。
【0093】
いくつかの実施形態において、内部レール84は、ソール20に対してほぼ平行に、且つ、上部レール18に対してほぼ平行に、位置合わせすることができ、又は、上述の2つの配向間において角度を付けることができる。内部レール84は、前壁88と、上部壁90と、底部壁92と、トウ側壁94と、を備えることができる。前壁88は、少なくとも0.030インチ、少なくとも0.040インチ、少なくとも0.045インチ、少なくとも0.050インチ、少なくとも0.060インチ、少なくとも0.070インチ、少なくとも0.080インチ、少なくとも0.090インチ、又は、少なくとも0.1インチの距離だけ、フェースパネル72から間隔をとって配置することができる。いくつかの実施形態において、内部レール前壁88は、約0.1インチの距離だけ、フェースパネル72から間隔をとって配置されている。内部レール84とフェースパネル72との間に間隔をとることで、クラブヘッド10のゴルフボールとの動的インパクト中に、フェースパネル72が曲がる余地を与える。
【0094】
図7を参照すると、いくつかの実施形態において、内部レール84は、キャビティ124の一領域であるアンダーカット空隙128の上部を境界設定することができる。厚肉ソール部分114は、アンダーカット空隙128の底部を境界設定することができる。内部レール84は、アンダーカット空隙128の後ろにおいて、厚肉ソール部分114に接続することができる。アンダーカット空隙128は、インパクト中にソール20の撓みを促進することができる。
【0095】
図2と、インサート140のリア面図を示している図10と、を参照すると、いくつかの実施形態では、経路176が、インサート140の裏表面146(具体的には封入部分174)に沿ってヒール-トウ方向において伸びている。経路176は、ボディ70の内部レール84を受容するようにサイズ決定されている。インサート経路176は、インサート140がボディキャビティ124内へ摺動されると、ボディ内部レール84上を摺動することができる。インサート経路176とボディ内部レール84との間の係合は、インサート140をキャビティ124内の適正な位置に位置合わせして固定することを助ける。インサート140とフェースパネルリア表面76との間に間隙の存在が可能であるが故に、この、経路-レール位置合わせ接続部は、インサート140をボディキャビティ124内において適正に配向することを助ける。
【0096】
(c.ウェイト)
図2及び図11を参照すると、ゴルフクラブヘッド10は、インサート140内に被包された内部ウェイト184を備えることができる。内部ウェイト184は、封入部分174及び露出部分178の両方内へ延びている。ゴルフクラブヘッド10の質量分布は、高密度内部ウェイト184の低密度インサート140内における位置により、精密に制御することができる。いくつかの実施形態において、ゴルフクラブヘッド10はさらに、インサート140内に、取り外し可能なトウウェイト及び/又は複数個の内部ウェイトを備えることができる。高密度内部ウェイト184は、インサート140内へ共成形(co-molded)することができる。図2は、比較するために高密度ウェイト184をインサート140の隣に有している分解組立図を例示している。
【0097】
図12を参照すると、内部ウェイト184は、インサート140の内側に完全に被包されることができる。いくつかの実施形態において、内部ウェイト184は、インサート140の封入部分174内に部分的に配置され、かつ、露出部分178内に部分的に配置されることができる。他の実施形態において、内部ウェイト184は、封入部分174又は露出部分178のうちの1つの中に完全に配置されている。
【0098】
図11を参照すると、内部ウェイト184は、一体的に接続された伸長部分186と、嵩高トウ部分188と、を有することができる。嵩高トウ部分188は、伸長部分186よりも上部レール18に、より近接して延びることができる。嵩高トウ部分188は、ピーク部分190を備えることができる。ピーク部分190は、嵩高トウ部分188のそれ以外の部分よりも有意に高く延びている。伸長部分186は、インサート140内において低く位置決めすることができ、大まかにヒール-トウ方向に延びることができる。いくつかの実施形態において、内部ウェイト184は、クラブヘッド10の前部24よりもリア28により近接して位置決めすることができる。内部ウェイト184は、ヒール端14よりもトウ端12により近接して位置決めすることができる。
【0099】
図2及び図11を参照すると、いくつかの実施形態において、ゴルフクラブヘッド10はさらに、必要に応じて、ホーゼル16(図示せず)内に配置された内部ウェイト、トウウェイト、ホーゼルチップウェイト、又は、他のウェイト配置要素を備えて、クラブヘッド10全域にわたり、所望の質量分布をもたらすことができる。図2及び図11は、インサート140内へ共成形することが可能である、少なくとも1つの内部ウェイト184を例示している。内部ウェイト184は、ボディ70の密度よりも大きく、インサート140の密度よりも大きい密度を備えることができる。いくつかの実施形態において、内部ウェイト184は、ポリマー内に被包されたタングステン粉末を含んでいる。内部ウェイト184は、クラブヘッド内において低く、ヒール端14よりもトウ端12により近接して、配置することができる。
【0100】
内部ウェイト184は、タングステン材料を含むことができる。例えば、内部ウェイト184は、ポリマー内に被包されたか、又は、ポリマーを含浸させたタングステン粉末を含むことができる。ポリマーは、熱可塑性ウレタン(TPU)、スチレンイソプレンスチレン(SIS)ゴム、又は、任意の他の適切な材料であることが可能である。内部ウェイト184のデュロメーターは、使用されるポリマーのタイプによって変えることができる。例えば、SISポリマーは、TPUよりも軟質の内部ウェイトを形成する。内部ウェイト184の密度は、タングステン粉末とポリマーの比率によって選択することができる。
【0101】
内部ウェイト184は、79gから130gの間の範囲である質量を有することができる。例えば、内部ウェイト184は、約110gの質量を有することができる。内部ウェイト184は、12から17の間の範囲である比重を有することができる。例えば、内部ウェイト184は、14という比重を有することができる。内部ウェイト184は、ボディ70及びインサート140の両方の比重よりも大きい比重を有することができる。内部ウェイト184は、その比重が高いことを理由として、インサート140内の或る特定の位置に内部ウェイト184を位置決めすることによってクラブヘッド10の重心を変更するために、使用することができる。代替的実施形態において、ゴルフクラブヘッド10は、1つよりも多くの内部ウェイト(図示せず)を備えることができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、トウウェイト(例示せず)にねじ山を付けるとともに、当該トウウェイトを、ボディ又はインサートのトウキャビティ(トウポートとも呼ぶ)内にねじ込むように構成することが可能である。例えば、ボディは、様々な密度のねじ山付きトウウェイトを受容するように構成された、ねじ山付きポートを備えることができる。トウウェイトは、代替的に、トウキャビティに係合するように構成されてトウウェイトをクラブヘッド上へ保持する締結具を、受容又は保留するように構成することができる。トウウェイトは、入れ替え可能(又は取り外し可能)であることができる。トウウェイトは、トウ端12において露出させることができる。いくつかの実施形態において、トウウェイトは、インサート140と一体的に形成することができる。
【0103】
クラブヘッドにシャフトを取り付ける前に、ホーゼルチップウェイト(例示せず)を、ホーゼル内へ位置付けることが可能である。トウウェイト及びホーゼルチップウェイトは、クラブヘッドの外周における質量を増大させることにより、ゴルフクラブヘッドの慣性モーメントを増大させることができる。ホーゼルチップウェイト及び内部ウェイト184の組み合わせは、外周におけるウェイト配置の増大をもたらし、それにより、クラブヘッド10の慣性モーメントを増大させる。慣性モーメントの増大は、ゴルフボールインパクト中における、寛容性及びゴルファーの信頼の増大をもたらす。
【0104】
クラブヘッドの質量分布は、インサートにより充填されていないキャビティの一部分内へ制振材料(例示せず)を注入することによっても、制御及び微調整することができる。制振材料は、ホットメルトエポキシであることができる。制振材料は、フェース内、トウ端内、トウキャビティ内、又は、後部内の小さな窓を介して、キャビティ内へ注入することができる。制振材料は、インサートにより充填されていないキャビティの領域を、部分的に又は完全に充填することができる。
【0105】
(II.パネルインサートの実施形態)
図14図22は、ボディ270及びインサート340を備えたマルチ材料ゴルフクラブヘッド210の第2の実施形態を例示している。クラブヘッド210は、キャビティバックアイアンであることができる。換言すると、クラブヘッド210は、上部レールインサート340を備えたキャビティバックアイアンであることができる。クラブヘッド210は、トウ端212と、トウ端212の反対側のヒール端214と、ヒール端214に接続されたホーゼル216と、上部レール218と、上部レール218の反対側のソール220と、ストライクフェース226と、リア228と、を備えている。上部レールインサート340は、上部レール218、トウ端212、及び/又は、ストライクフェース226を部分的に形成している。図16を参照すると、ストライクフェース226は、幾何学的中心250を規定している。地表面(図示せず)は、クラブヘッド210がアドレス位置にあるときに、ソール220に対して正接している。クラブヘッド210は、ストライクフェース226の幾何学的中心250に対して正接となった状態であるロフト面(図示せず)を規定している。インサート340は、上部レール218の一部分を形成して、パネルとして、ストライクフェース226の後ろにおいてソール部分へと下方に延びることが可能である。クラブヘッド210は、後方ソール部分を有するとともに後部全体にわたり上部レール18とソール部分との間に開放空間を有するボディ270を備えたオープンバックスタイルのアイアンであることができる。
【0106】
図16を参照すると、クラブヘッド210は、地表面に対して平行に、ヒール端214からトウ端212に向かう方向において測定された長さ240を備えている。長さ240は、3.0から4.0インチの範囲であることが可能できる。長さ240は、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、又は、4.0インチであることができる。1つの例において、クラブヘッド210の長さ240は、約3.5インチであることができる。
【0107】
ボディ270は、金属で形成することができる。具体的に、ボディ270は、450鋼、C250鋼、NiMark250鋼、475鋼、及び、17-4鋼から成る群から選択された鋼合金で形成することができる。他の実施形態において、ボディ270は、鋼合金以外の金属合金を含むことができる。ボディ270は、インサート340の第2の密度よりも大きい第1の密度を備えている。換言すると、インサート340の第2の密度は、ボディ270の第1の密度未満である。
【0108】
インサート340は、非金属で形成することができる。具体的に、インサート340は、ポリマー樹脂及び強化用繊維で形成することができる。インサート340は、ポリマー複合材であることが可能である。ポリマー樹脂は、熱可塑性エラストマー(TPE)又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)といった熱可塑性であることが可能である。強化用繊維は、炭素繊維(時としてグラファイト繊維と呼ぶ)、繊維ガラス、Kevlar(登録商標)といったアラミド繊維、又は、ホウ素繊維であることが可能である。他の実施形態において、強化用繊維は、ジュート、亜麻、ラミー、麻、サトウキビ、コイア、サイザル、草類、及び、アバカからの繊維を含むがこれらに限定されない天然繊維であることが可能である。強化用繊維は、短繊維又は長繊維であることが可能である。強化用繊維は、複合材内においてランダムに配向することができる。インサート340は、射出成形することができる。他の実施形態において、インサート340は、アルミニウム合金又はマグネシウム合金といった軽量金属合金を含むこともできる。
【0109】
(i.ボディ)
図17図19を参照すると、ボディ270は、インサート340を受容するように構成されている。ボディ270は、クラブヘッド210の大部分を形成している。ボディ270は、円筒状ホーゼル216と、ホーゼル遷移部分306と、部分的上部壁302と、ソール部分312と、フェースパネル272と、トウ部分322と、を備えることができる。ホーゼル遷移部分306は、ホーゼル216を、ソール部分312、フェースパネル272、及び、部分的上部壁302に接続することができる。部分的上部壁302は、クラブヘッド210の上部レール218の一部分を形成することができる。上部レール218のそれ以外の部分は、以下に説明するように、インサート340により形成することができる。ボディ270のソール部分312は、フェースパネル272の底部縁に接続することができる。フェースパネル272は、ゴルフクラブヘッド210のストライクフェース226を形成することができる。
【0110】
図17図19を参照すると、ボディ270は、前表面274及びリア表面276を有するフェースパネル272を備えている。フェースパネル272の前表面274は、クラブヘッド210のストライクフェース226の全体を形成することができる。フェースパネル272のリア表面276は、前表面274の反対側に存在している。図19は、フェースパネル272が厚さ278を有することを例示している。フェースパネル272の厚さ278は、前表面274とリア表面276との間において測定されている。フェースパネル272は、均一な厚さを有することができる。フェースパネル272は、ストライクフェース226の全体にわたり、ヒール-トウ方向及び上部レール-ソール方向において測定されるような不変の厚さを備えることができる。フェースパネル272は、上記のフェースパネル72の厚さ78と同様の又は等しい厚さ値を備えることができる。1つの例において、フェースパネル厚さ278は、約0.065インチであることができる。
【0111】
図16は、インパクト中においてフェースパネル272に当たるゴルフボールの掴みを改善するための、フェースパネル前表面274上に配設された溝を例示している。溝は、ヒール-トウ方向に延びることができる。フェースパネル前表面274は、フェースパネル72について上記と同様の又は等しい数の溝を備えることができる。
【0112】
図17は、ボディ270がトウ端212の一部分を形成していることを例示している。ボディ270のトウ部分322は、ゴルフクラブヘッド210のトウ端212の少なくとも一部分を形成することができる。いくつかの実施形態において、ボディ270のトウ部分322は、ソール220から上方に延びて、地表面から直交してトウ端212の最上点まで測定されたトウ端212の高さの少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は、少なくとも80%を形成している。
【0113】
図17図19を参照すると、ボディ270は、フェースパネル272の直ぐ後方において材料を実質的に欠いていることが可能である。換言すると、ボディ270は、ホーゼル遷移部分306、ソール部分312、及び、トウ部分322により形成された周辺後表面を除き、後部構成要素を有さないことができる。ボディ270は、インサート340をボディ270上へ下方に摺動させることが可能であるように構成することができ、それにより、インサート340が、ボディフェースパネル272の一部分の後ろに最終的に位置決めされるようにする。
【0114】
図18を参照すると、ボディ270のソール部分312は、経路314を備えることができる。経路314は、インサート340を固定することを支援するように構成することができる。経路314は、ヒール-トウ方向に延びることができる。いくつかの実施形態において、経路314には、ソール部分312内へと角度が付けられている。経路314は、深くなるにつれて、クラブヘッド210のリア228に、より近接して伸びることができる。経路314のこの角度付けは、インサート340の、ボディ270上へのロックを支援することができる。
【0115】
(ii.インサート)
図20図22を参照すると、ゴルフクラブヘッド210は、ゴルフボールとの動的インパクト中にフェースパネル272の振れ又は動きを一時的に制限することが可能な低密度インサート340を備えることができる。インサート340は、トウ端212及び上部レール218といったクラブヘッド外周の一部分に置き換わること、又は、当該一部分を形成することができる。インサート340は、ボディ270上へ、取り付けられる、連結する、及び/又は、摺動するように構成されている。
【0116】
インサート340の大部分は、フェースパネル272の後ろに位置決めすることができる。インサート340の一部分は、上部レール218の一部を形成している。図20は、インサート340が、レール部分374と、インサートパネル376と、バックストップ352と、棚状部380と、を備えていることを例示している。レール部分374は、上部レール218の一区分を形成するように構成することができる。レール部分374は、クラブヘッド210のトウ端212の上部領域も形成することができる。図15及び図16に例示されるように、レール部分374は、トウ端212において、ボディトウ部分322の上に置かれることができる。軽量インサート340は、上部レール218とトウ端212の上部領域との全体にわたって金属ボディ270と広範囲に置き換わることにより、クラブヘッド210内において質量を下方へ移動させることを可能にする。このことは、クラブヘッド210の重心を下げ、アイアンの打ち出し特性を改善する。
【0117】
図22を参照すると、インサート340は、オフセット表面344と、オフセット表面344の反対側の裏表面346と、を備えている。インサート340のオフセット表面344とフェースパネル272のリア表面276との間に、間隙が存在している。インサート340とフェースパネル272との間の間隙は、ゴルフボールインパクト中にフェースパネル272が撓む空間をもたらすことができる。図22は、インサートオフセット表面344とフェースパネルリア表面276との間の間隙距離264(以降は「インサート間隙距離264」と表す)が、0.050インチから0.100インチの間の範囲であることができることを例示している。他の実施形態において、インサート間隙距離264は、0.055インチから0.095インチ、0.055インチから0.075インチ、0.060インチから0.090インチ、0.060インチから0.080インチ、又は、0.065インチから0.075インチの間の範囲であることができる。例えば、インサート間隙距離264は、0.050、0.055、0.060、0.065、0.070、0.075、0.080、0.085、0.090、0.095、又は、0.100インチ、であることができる。1つの例において、インサート間隙距離264は、約0.075インチであることができる。インサート340は、静止状態(即ち、ゴルフボールとのインパクト前)において、フェースパネル272に接触しない。換言すると、インサート340は、静止状態中においてフェースパネル272と密着していない。フェースパネル272は、ゴルフボールインパクト中に、ゴルフボールの荷重下において変形状態にあり、インサート340は、フェースパネル272のリア表面276に接触して、フェースパネル272が破損点まで撓むことを防止する。
【0118】
図20を参照すると、インサートは、インサートオフセット表面344から突出している(又はインサートオフセット表面344上に配設された)バックストップ352を備えることができる。バックストップ352は、フェースパネル272が動的インパクト中に曲がるときに、フェースパネル272に一時的に接触するように構成することができる。バックストップ352は、ゴルフクラブ210の静止時に、フェースパネル272に接触しない。バックストップ352は、クラブヘッド210のゴルフボールとの動的インパクト中に、フェースパネルリア表面276に接触して、フェースパネル272の過度な撓みを防止する。換言すると、バックストップ352は、第1の構成において(即ち、静止状態において)は、フェースパネル272のリア表面276に接触しない。バックストップ352は、第2の構成(即ち、変形状態)においては、フェースパネル272のリア表面276に接触している。バックストップ352は、ゴルフボールインパクト中におけるフェースパネル272の過度な撓みを防止する。
【0119】
図22を参照すると、インサート340のバックストップ352は、ストライクフェース226の後ろ、かつ、中心に配置することができる。バックストップ352は、インサートオフセット表面344のそれ以外の部分と比較すると、フェースパネル272により近接していることができる。換言すると、バックストップ352は、フェースパネル272のリア表面276から内方に、インサートオフセット表面344のそれ以外の部分よりも少ない距離だけオフセットさせることができる。図22は、バックストップ352が、フェースパネル272のリア表面276から、インサート間隙距離264未満であるバックストップ間隙距離266だけオフセットされていることを例示している。換言すると、インサート間隙距離264は、バックストップ間隙距離266よりも大きくすることができる。
【0120】
図22を参照すると、バックストップ間隙距離266は、0.015インチから0.065インチの間の範囲であることができる。いくつかの実施形態において、バックストップ間隙距離266は、0.015インチから0.040インチ、又は、0.040インチから0.065インチの間の範囲であることができる。他の実施形態において、バックストップ間隙距離266は、0.015インチから0.035インチ、0.025インチから0.045インチ、0.035インチから0.055インチ、又は、0.045インチから0.065インチの間の範囲であることができる。例えば、バックストップ間隙距離266は、0.015、0.020、0.025、0.030、0.035、0.040、0.045、0.050、0.055、0.060、又は、0.065インチ、であることができる。1つの例において、バックストップ間隙距離266は、約0.025インチであることができる。別の例において、バックストップ間隙距離266は、0.05インチであることができる。バックストップ間隙距離266は、バックストップ152がフェースの撓みをどの程度、上限設定又は限定するのかを制御する。
【0121】
バックストップ352は、フェースパネル272の過度な撓みを、フェースパネル272がインサート340からの抵抗に遭う前に曲がることの可能な距離を限定することにより、防止することができる。インサート340とフェースパネル272との間の間隙は、構造破損を結果的に生じる恐れのある過度な撓みを許容せずに、フェースの撓みを促進する。インサート間隙距離264及びバックストップ間隙距離266は、フェース可撓性(ボール速度に結び付く)と耐久性との間のバランスにとって重要である。
【0122】
バックストップ352は、ストライクフェース226の幾何学的中心250の後ろに配置することができる。バックストップ352は、インサートオフセット表面344のそれ以外の部分から突出している。バックストップ352は、フェースパネル272に対してほぼ平行である平坦な表面354を備えることができる。バックストップの平坦な表面354は、0.05平方インチから0.20平方インチの間の範囲である表面積(バックストップ表面積とも呼ぶ)を有することができる。いくつかの実施形態において、バックストップ表面積は、0.05平方インチから0.10平方インチ、0.10平方インチから0.15平方インチ、又は、0.15平方インチから0.20平方インチの間の範囲である。1つの例において、バックストップ表面積は、約0.10平方インチであることができる。
【0123】
また、図20を参照すると、バックストップ352は、上部サイド356と、トウサイド358と、ヒールサイド360と、を備えることができる。バックストップ352は、上記のバックストップ152と同様であることができる。幾何学的中心250を基準として、上部サイド356は、凸状であることが可能であり、トウサイド358及びヒールサイド360は、凹状であることが可能である。トウサイド358及びヒールサイド360は、バックストップ352の底部においてラウンドポイントに達することができる。トウサイド358及びヒールサイド360は、上部サイド356と交差して、それぞれ、トウ端212及びヒール端214を指す翼状形状を成している。バックストップ352の形状は、ストライクフェース226、具体的には、フェースパネル272が所望するよりも撓み易くなっている点又は領域における曲げを一時的に制限することを容易にすることができる。バックストップの平坦な表面354は、バックストップ側面(上部サイド、トウサイド、及び、ヒールサイド)へ隅肉溶接された接続部を備えることができる。また、バックストップのこれらの側面も、インサート340のそれ以外の部分へ隅肉溶接された接続部を備えることができる。
【0124】
図20図22を参照すると、インサート340は、インサートパネル376及びレール部分374を備えている。インサートパネル376は、レール部分374の底部に接続されること、及び、クラブヘッド210のフェースパネル272の大部分の後ろに延びることが可能である。インサート340の全てのオフセット表面344、裏表面346、及び、上部縁348は、それぞれ、インサートパネル376の前表面、裏表面、及び、上部縁、に対応する(又は、そのように呼ばれる)こともできる。いくつかの実施形態において、オフセット表面344は、インサート裏表面346に対して平行であることができる。いくつかの実施形態において、インサート340の全ての底部縁350は、インサートパネル376の底部縁に対応することができる。図20及び図21は、インサート340が、さらに、インサートパネル376の底部縁に取り付けられた位置合わせ特徴380を備えており、結果的に、インサート底部縁350の全てが、位置合わせ特徴上に配置されていることを例示している。例えば、位置合わせ特徴は、棚状部380であることができ、棚状部380は、インサートパネル376から下方に延びている。
【0125】
図22を参照すると、インサートパネル376は、インサート340のオフセット表面344と裏表面346との間において測定された厚さ378を有することができる。インサートパネル厚さ378は、ボディフェースパネル厚さ278と同様であることができる。いくつかの実施形態において、インサートパネル376は、フェースパネル272よりも厚肉又は薄肉であることができる。インサート340は、さらに、上記のバックストップ352を備えることができる。インサートパネル376の大部分は、上記のインサート間隙距離264だけフェースパネル272の後ろに配置することができる。バックストップ352は、上記のバックストップ間隙距離266だけ、フェースパネル272の後ろに配置することができる。
【0126】
図20及び図21を参照すると、ゴルフクラブヘッド210は、インサート340の上部縁348及び底部縁350に沿って、位置合わせ特徴及び/又はロック特徴を備えることができる。この第2の実施形態では、パネル状インサート340がボディ270内に封入されていない(ボディ270が内方キャビティを有していない)が故に、インサート340を、他の手段により固定しなければならない。上部縁348及び底部縁350は、ボディ270にエポキシ接着すること、及び/又は、ボディ270上へ幾何学的にロックすることができる。
【0127】
インサート底部縁350をボディ270に位置合わせするか、固定するか、又は、ロックする1つの手段が、インサートパネル376から下方に延びている棚状部380である。棚状部380は、インサートパネル376の底部縁に接続することができる。棚状部380は、インサートパネル376と一体的に形成することができる。棚状部380は、ボディ270のソール部分312内における経路314の角度付けに合致するように角度を付けることができる。棚状部380は、湾曲棚状部、角度付き棚状部、壁、固定機構、ロック機構、又は、角度付き延長部と呼ぶこともできる。棚状部380は、インサートパネル376から下方、かつ、後方に、角度を付けることができる。棚状部380及びインサート裏表面346は、両端を含めて0度から90度の間の範囲である角度382(以降は「棚状部角度382」と呼ぶ)を形成することができる。いくつかの実施形態において、棚状部角度382は、0度から25度、0度から45度、0度から65度、10度から30度、20度から40度、又は、30度から60度の間であることができる。棚状部380は、ソール部分312の経路314内へ摺動するか、ロックするか、糊付けされるように構成することができる。
【0128】
いくつかの実施形態において、インサート340は、さらに、インサート340のオフセット表面344上に位置決めされた軟質層(図示せず)を備えている。軟質層は、フェースパネル272とインサート340との間のインパクトを制振することができる。軟質層は、両端を含めて50から90の間の範囲であるショアA硬度を有するエラストマー材料であることができる。いくつかの実施形態において、軟質層は、70というショアA硬度を有する。いくつかの実施形態において、軟質層は、2段階射出成形プロセスを通じてインサートパネル272上へ成形することができる。他の実施形態において、軟質層は、インサート340のそれ以外の部分に接着又はさもなければ固定することができる。
【0129】
図20を参照すると、インサート340は、地表面258に対して平行に、ヒール端214からトウ端212への方向において測定され、ゴルフクラブヘッド長さ240の10%から80%の間である、長さ342を有することができる。いくつかの実施形態において、インサート340は、10%から30%、10%から50%、30%から70%、30%から60%、30%から50%、40%から50%、20%から50%、又は、50%から80%の間の長さ342を有することができる。いくつかの実施形態において、インサート340は、ゴルフクラブヘッド長さ240の約50%である長さ342を有する。インサート340の長さは、フェースパネル272の後ろにおけるバックストップ352の所在を制御するのに十分な長さをもたらす。
【0130】
いくつかの実施形態において、インサート340は、両端を含めて1立方インチから6立方インチの間の範囲の体積を有することができる。いくつかの実施形態において、インサート体積は、約5立方インチである。いくつかの実施形態において、インサート340は、両端を含めて10gから20gの間の範囲の質量を有することができる。いくつかの実施形態において、インサート質量は、約15.8gである。インサート340は、ボディ270の比重未満である比重を有することができる。
【0131】
(III.利点)
本明細書において記載するゴルフクラブヘッド10及び210は、ストライクフェース全体にわたり、スピン及びボール速度を標準化る。典型的なアイアンは、薄肉フェースと、バックストップを備えたインサートと、を有しておらず、フェース上において低く打撃したゴルフボールには高スピンを、フェース上において高く打撃したゴルフボールには低スピンを付与する。本明細書において記載するゴルフクラブヘッドの実施形態は、ソールから上部レールまでのスピンを標準化する。
【0132】
本明細書において記載するゴルフクラブヘッド10及び210は、ストライクフェース上において低く打撃したゴルフボールに付与されるスピンを減じる。薄肉フェースの幾何学的形状は、ストライクフェースの低い部分におけるより大きな撓みを可能にして、スピンを低減する。平均的なプレーヤーは、ほとんどのボールを、ストライクフェースの幾何学的中心よりも上の一部分上で打撃する。インサート140及び340のバックストップ152及び352は、ストライクフェースの高度に使用される部分に対応することができる。バックストップ152及び352の上側部分は、フェースパネル72及び272のより高い部分の撓みを限定することができる。バックストップ152及び352が、ストライクフェースの上側部分内におけるフェースの曲げを限定することができるで、ストライクフェースの上側部分は、ゴルフボールに対してより大きなスピンを付与することができる。したがって、インサートバックストップ構成に連結された薄肉フェースは、フェース全体にわたり、より均一な(ソールから上部レールへの、より均一な)スピン応答を生じることができる。
【0133】
ゴルフクラブヘッド10及び210は、スピン性能の利点に加え、上記の薄肉フェースパネルと、支持するバックストップと、を有さない既存のアイアンよりも、潜在的ボール速度を増大させることができる。上記の薄肉フェースパネルは、ストライクフェースがゴルフボールへのインパクトエネルギを動的に蓄積及び解放することを可能にする。フェースパネルは、バックストップに接触するまで自在に曲がることが可能であり、その時点において、バックストップ152及び352は、当該バックストップ又はその付近に触れているフェースパネルの領域を制振する。バックストップ152及び352は、フェースパネル72及び272の過度な撓みを防止することにより、耐久性を増大させる。また、バックストップ152及び352は、フェース全体にわたる撓み応答も統一化して、ショットに対し、より多くの一貫性を与える。中心を外れたショットは、バックストップ152及び352に位置的に対応していないフェースパネル72及び272の領域を、深く曲げ得る。このシナリオにおいて、フェースパネル72及び272は、バックストップ152及び352により制振されないであろう。典型的に、ゴルフクラブヘッドのストライクフェースは、ほとんどのエネルギの蓄積及び解放を、中心において行う傾向にある(よって、中心が「ホットスポット」又は「スイートスポット」と表されることが多い所以である)。よって、フェースパネルの中心の制振は、インパクトの箇所に関わらず、より均一な応答を結果的に生じる。
【0134】
さらに、全米ゴルフ協会(USGA)により規制されるようなゴルフの規則は、ストライクフェースの特性時間(CT)を限定している。特性時間(CT)は、フェース可撓性の測定値である。薄肉フェースパネルは、自身の可撓性及び応答性を理由として、時として、ゴルフ規則により設定されたCT制限を超えるリスクを有する恐れがある。バックストップ、及び、オプションとして撓み制御表面は、制振器として作用することにより、ゴルフ規則によって設定された可撓性制限を超えることなく、より薄肉の(よって、よりホットな、より応答性の)フェースパネルを可能にすることができる。上記の薄肉フェースパネルは、より厚肉のフェースパネルを備えたゴルフクラブヘッドと比較して、中心を外れたショットにおける潜在的ボール速度を増大させる。
【0135】
いくつかの実施形態において、インサート140及び340は、クラブヘッド10及び210の音響特性を改善することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ポリマーインサートで上部レールを少なくとも部分的に形成することで、インパクト時に生成される振幅を減じることができる。
【0136】
インサート140及び340を備えたクラブヘッド10及び210は、可変フェース厚さ(例えば、概して、ストライクフェースの周縁部における最小厚さまでテーパしている最大中心厚さ)を備えた従来のクラブヘッドよりも、ボール速度、ボールスピン、及び、打ち出し条件を改善する。可変フェース厚さを備えた従来のクラブヘッドにおいては、ボール速度、ボールスピン、及び、打ち出し条件の差が、中心のヒットと中心を外れたヒットとの間で広く変動する。中心のヒット及び中心を外れたヒットについてのボール性能の、この変動性は、一貫性のない性能を結果的に生じる。クラブヘッド10及び210は、中心のヒット及び中心を外れたヒットについて、一貫した性能(即ち、ボール速度、ボールスピン、及び、打ち出し条件)をもたらす。クラブヘッド10及び210は、中心のヒット及び中心を外れたヒットについて、性能の差を共により近付ける(即ち、中心のヒットと中心を外れたヒットとの間の大きな差を低減する)。クラブヘッド10及び210は、薄肉化させ且つ不変の厚さのフェースパネル72及び272と、バックストップを備えたインサート140及び340と、を備えることにより、望ましい性能を達成する。薄肉化させ且つ不変の厚さのフェースパネル72及び272は、ストライクフェースの振れを最大化して、ボール速度の結果を最大化する。静止状態におけるストライクフェースとインサート140及び340との間の空間は、ストライクフェースが撓む空間を与える。インサート140及び340のバックストップは、ゴルフボールインパクト中にストライクフェースに一時的に接触して、ストライクフェースの過度な撓みを防止する。バックストップは、ストライクフェースが破損するまで撓むこと、又は、曲げ破損に達することを防止する。
【0137】
(IV.製造の方法)
本明細書に記載されたゴルフクラブヘッド10の第1の実施形態は:(1)ボディを提供すること;(2)インサートを成形すること;(3)インサート140をボディ70のキャビティ124内へ摺動させて接着すること;、及び、(4)クラブヘッド10に仕上げ処理を行うこと;を含む方法によって製造することができる。ボディ70は、金属材料から鋳造又は鍛造することができる。例えば、ボディ70は、インベストメント鋳造、グラビティ鋳造、ダイ鋳造、砂型鋳造、セラミック鋳型鋳造、石膏鋳型鋳造、消失模型(expendable pattern)鋳造、永久鋳型鋳造、シェル鋳型鋳造、又は、遠心鋳造を使用して形成することができる。いくつかの実施形態において、フェースパネル72を別個に鋳造又は鍛造し、クラブヘッド10の前部24上へ溶接して、ボディ70を形成することができる。インサート140を成形することは、複合材ペレットを提供すること、鋳型を提供すること、ペレットを溶解すること、複合材の材料を鋳型内へ射出してインサート140を形成すること、インサートを冷却してそれを固めるか又は硬化させること、及び、インサートを鋳型から外すことを含むことができる。より簡単に言い換えると、インサート140は、射出成形することができる。この方法の代替的実施形態において、インサート140は、圧縮成形、押出成形、回転成形、(3Dプリンティングを通じて、といった)付加製造、又は、さもなければ、所望の形状への形成が行われることができる。
【0138】
インサート140をボディ70のキャビティ124内へ摺動させて接着することは、ボディ70及び/又はインサート140の1つ以上の表面に接着剤を塗布することを含むことができる。接着剤は、エポキシ、ポリウレタン、ポリイミド、或いは、接着性の性状を有する任意の他のペースト又は液体であることができる。接着剤を塗布した後、インサート140をクラブヘッド10のトウ端12からボディキャビティ内へ摺動させることができる。インサート140の挿入は、インサート封入部分174がキャビティ124内に完全に存在し、かつ、インサート露出部分178がボディ70により阻止されたときに、完了する。クラブヘッド10に仕上げ処理を行うことは、洗浄、研磨、塗装、及び/又は、ウェイトの付加を行ってクラブヘッド10を完成させることを含むことができる。
【0139】
本明細書に記載されたゴルフクラブヘッド210の第2の実施形態は:(1)ボディ270を提供すること;(2)インサート340を成形すること;(3)インサート340をボディソール部分312の経路314内へクリップ留め又はフック留めすること;(4)インサートレール部分374をボディ270に接着すること;及び、(5)クラブヘッド210に仕上げ処理を行うことを含む方法によって製造することができる。ボディ270は、第1の実施形態のボディを形成するための上記の方法と同様に、金属材料から鋳造又は鍛造することができる。インサート340を成形することは、複合材ペレットを提供すること、鋳型を提供すること、ペレットを溶解すること、複合材の材料を鋳型内へ射出してインサート340を形成すること、インサートを冷却してそれを固めるか又は硬化させること、及び、インサートを鋳型から外すことを含むことができる。より簡単に言い換えると、インサート340は、射出成形することができる。軟質層を備えたインサートの実施形態において、インサートは、軟質層をインサート340上へオーバーモールド成形することを可能にする2段階射出成形プロセスを通じて、形成することができる。この方法の代替的実施形態において、インサート340は、圧縮成形、押出成形、回転成形、(3Dプリンティングを通じて、といった)付加製造、又は、さもなければ、所望の形状への形成が行われることができる。
【0140】
インサート340をボディク上へクリップ留め又はフック留めすることは、インサートの棚状部380をボディソール部分312の経路314内へ位置付けることを含むことができる。このことは、レール部分374をその最終位置の後方に位置付ける角度において、インサート340を保持することを必要とし得る。棚状部380が経路314内へ一旦固定されると、インサート340を前方へ回転させて、レール部分374をクラブヘッド210の上部レール218に沿って位置合わせすること、ができる。インサート340をボディに取り付ける前に、ボディ270及びインサートの一方又は両方の上へ接着剤を付着することができる。クラブヘッド210に仕上げ処理を行うことは、洗浄、研磨、塗装、及び/又は、ウェイトの付加を行ってクラブヘッド210を完成させることを含むことができる。
【0141】
図1図22は、ゴルフクラブヘッドの或る特定の実施形態を描いているが、実施形態の開示は、本開示の範囲を例示することが意図されており、限定することは意図されていない。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって必要とされる程度に限って限定されるものとすることが意図される。この発明について、様々な態様に関連付けて説明してきたが、この発明にさらなる改変が可能であることが理解されるであろう。この出願は、概してこの発明の原理に従う、この発明のあらゆる変形例、使途、又は、改作をカバーすることが意図されており、本開示からのこのような逸脱を、この発明が属する当該技術内における、既知であって且つ慣例的な手法内に入るものとして含んでいる。
【0142】
ゴルフに対する規則は、時々変更される(例えば、全米ゴルフ協会(USGA)、英国ゴルフ協会(R&A)等のゴルフ標準組織及び/または管理機関によって、新しい規則が適用されることがあり、または、古いルールが撤廃若しくは変更されることがある)ため、本明細書に記載の装置、方法及び製品に関するゴルフ用品は、任意の特定時におけるゴルフのルールに適合しまたは適合しないことがある。したがって、本明細書に記載の装置、方法及び製品に関するゴルフ用品は、適合または非適合ゴルフ用品として、公表され、売り出され、及び/または、売却されることがある。本明細書に記載の装置、方法及び製品は、この点について制限されない。
【0143】
特定の順序の行為を上で説明したが、これらの行為は、他の時間的順番で実施してもよい。例えば、上記の2つ以上の行為は、順次、並行して、又は、同時に、実施されてもよい。代替的に、2つ以上の行為は、逆の順序で実施されてもよい。さらに、上記の1つ以上の行為は、全く実施されなくてもよい。本明細書に記載された装置、方法、及び、製品は、これに関して限定されない。
【0144】
1つまたは複数の請求要素の置換は、再構成を構成し、補綴ではない。更に、問題に対する利点、他の有利な点及び解決を、特別な実施形態に関連して説明してきた。しかしながら、問題に対する利点、他の有利な点及び解決、並びに、任意の利点、有利な点または解決を発生させまたは明らかとさせる任意の1つまたは複数の要素は、このような利点、有利な点、解決または要素がこのような請求の範囲に明示的に述べられていない限り、請求の範囲の任意またはすべての要素の重大な、必須の、または、本質的な特徴若しくは要素を構成するものではない。
【0145】
更に、本明細書に記載の実施形態及び制限は、実施形態及び/または制限が、(1)請求の範囲に明示的に主張されていない、及び、(2)均等論の下で、請求の範囲における表現要素及び/または制限と等価または潜在的に等価である場合、公開主義の下で公衆に提供するものではない。
【0146】
(実施例)
(I.実施例1:ゴルフボール性能の比較)
ストライクフェースとバックストップとの間に間隙を備えているトウ端インサート140を備えた例示的なクラブヘッド10を、同様ではあるものの、ストライクフェースとバックストップとの間の間隙を欠いた対照クラブヘッドと比較する。テストは、例示的なクラブヘッド10と対照クラブヘッドとの間において、ボールスピン及びボール速度といったゴルフボール性能を比較する。
【0147】
例示的なクラブヘッド10は、フェースパネル72を有するボディ70と、バックストップ152を有するインサート140と、を備えている。フェースパネル72は、0.065インチという不変の厚さを備えている。バックストップ152は、フェースパネル72のリア表面76からバックストップ間隙距離66だけ間隔をとって配置されている。バックストップ152は、フェースパネル72の中心部分の後ろに配置されている。バックストップ間隙距離66は、フェースパネル72の中心において0.025インチである。インサート間隙距離64は、中心から0.075インチ外れている。この間隙は、ゴルフボールとのインパクト時にフェースパネルが撓む余地をもたらす。フェースパネルにおける撓みの増大は、より多くのエネルギをゴルフボールに返し、ボール速度及びスピンを改善する。
【0148】
対照クラブヘッドは、上記の例示的なクラブヘッドと同様に、ボディと、フェースパネルと、バックストップを有するインサートと、を備えている。対照クラブヘッドのバックストップは、フェースパネルの後表面から間隔をとって配置されておらず、バックストップがフェースパネルの後表面に当接するようになっている。対照クラブヘッドのバックストップは、フェースがゴルフボールとのインパクト時に経験する撓みの量を限定し、それにより、ボール速度及びスピンを低減する。
【0149】
テストは、ロボットアームテスト及び/又はプレーヤーテストを使用して行われる。ロボットアームテストは、同じスイングを行って、各スイングが各ショットにつき同じ様式でクラブヘッドをボールに送り出すように、設定された数のショットを打つようにプログラミングされた単一のロボットにより実施される。ロボットアームテストは、ボール速度及びスピンを、例示的なクラブヘッド10と対照クラブヘッドとの間で、中心のヒットと中心を外れたヒットとの間で比較することができるように、ストライクフェースの中心又はストライクフェース上の任意の他の箇所を打つようにプログラミングすることができる。プレーヤーテストは、複数人の個々のプレーヤーにより実施される。各プレーヤーは、各クラブを用いて5ショット刻みで約10ショットを打つ。このテストのために、約20名のプレーヤーが存在してもよい。測定デバイスを使用して、ボールのスピン、速度、距離、打ち出し角度等といった様々なゴルフボール性能値を測定する。
【0150】
このテストは、中心を外れたヒットについて、例示的なクラブヘッド10が、対照クラブヘッドよりもボール性能の増大をもたらすことを結果的に生じる。中心を外れたヒットについて、例示的なクラブヘッド10は、対照クラブヘッドよりも、約1mph高いボール速度を有することが期待される。中心を外れたヒットについて、例示的なクラブヘッド10は、対照クラブヘッドよりも、約200rpm高いボールスピンを有することが期待される。例示的なクラブヘッド10は、薄肉であり、かつ、不変の厚さのフェースパネル72と、ストライクフェースからバックストップ距離66だけ間隔をとって配置されたバックストップ152を備えたインサート140と、を備えている。例示的なクラブヘッド10は、薄肉化したストライクフェースが支障なく撓むので、より高いボール速度及びボールスピンの結果をもたらす。バックストップ152は、ストライクフェースと一時的に係合して、ストライクフェースの過度な撓み及びストライクフェースの破損を防止する。ゴルフボールインパクト中にストライクフェースに接触しているバックストップを備えた対照クラブヘッドは、より少ない撓みをもたらし、それにより、より低いボールスピン及び速度をもたらす。
【0151】
(条項1)ゴルフクラブヘッドであって、フェースパネル、トウ端、ヒール端、上部レール、ソール、及び、リア部、を備えたボディと、封入部分及び露出部分を備えたインサートと、を備え、前記ボディが、前記フェースパネル、前記ヒール端、前記上部レール、前記ソール、及び、前記リア部により境界設定された内方キャビティを画定しており、前記ボディが金属で形成されており、前記インサートが非金属で形成されており、前記ボディが、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端において開口部を画定しており、前記封入部分が前記内方キャビティの内側に嵌合するとともに、前記露出部分が前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端を形成するように、前記内方キャビティが、前記インサートを受容するように構成されており、前記トウ端の最外表面の全体が、前記インサートにより形成されている、ゴルフクラブヘッド。
【0152】
(条項2)前記インサートは、前記インサートの表面から突出しているバックストップをさらに備えており、前記バックストップが、前記フェースパネルの後ろに配置されていて、ゴルフボールインパクト中における前記フェースパネルの過度な撓みを防止する、条項1のゴルフクラブヘッド。
【0153】
(条項3)前記インサートの前記バックストップは、第1の構成において、前記フェースパネルのリア表面に接触せず、前記インサートの前記バックストップは、第2の構成において、前記パネルの前記リア表面に接触している、条項2のゴルフクラブヘッド。
【0154】
(条項4)前記インサートが、インサートオフセット表面を備えており、前記インサートオフセット表面が、前記フェースパネルの前記リア表面に接触しない、条項3のゴルフクラブヘッド。
【0155】
(条項5)インサートオフセット距離が、前記インサートオフセット表面と前記フェースパネルの前記リア表面との間に設けられており、バックストップオフセット距離が、前記バックストップと前記フェースパネルの前記リア表面との間に設けられており、前記バックストップオフセット距離は、前記インサートオフセット距離未満である、条項4のゴルフクラブヘッド。
【0156】
(条項6)前記インサートは、熱可塑性材料及び複数の強化用繊維をさらに含んでいる、条項1のゴルフクラブヘッド。
【0157】
(条項7)前記ボディは、前記内方キャビティ内に配置されており、前記ソール及び前記リア部と一体的に形成されたレールをさらに備えており、前記インサートは、前記レールに噛み合い、前記レールに沿って摺動して前記インサートを前記ボディに固定するように構成された経路をさらに備えている、条項6のゴルフクラブヘッド。
【0158】
(条項8)前記インサートと一体的に形成された内部ウェイトをさらに備えており、前記内部ウェイトは、前記ボディの材料密度及び前記インサートの材料密度よりも大きい材料密度を備えている、条項1のゴルフクラブヘッド。
【0159】
(条項9)ゴルフクラブヘッドであって、ストライクフェースを備えたフェースパネル、トウ端、ヒール端、上部レール、ソール、及び、リア部を備えたボディと、封入部分及び露出部分を備えたインサートと、を備え、前記ボディが、前記フェースパネル、前記ヒール端、前記上部レール、前記ソール、及び、前記リア部により境界設定された内方キャビティを画定しており、前記ボディが金属で形成されており、前記インサートが非金属で形成されており、前記ボディが、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端において開口部を画定しており、前記封入部分が前記内方キャビティの内側に嵌合するとともに、前記露出部分が前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端を形成するように、前記内方キャビティが、前記インサートを受容するように構成されており、前記ストライクフェースは、幾何学的中心を備えており、中心基準面は、前記幾何学的中心を通って延びており、前記ゴルフクラブヘッドがアドレス位置にあるときに地表面に対して垂直に延びており、鉛直基準面は、前記ゴルフクラブヘッドを通って前後方向に延びており、かつ、前記ゴルフクラブヘッドが前記アドレス位置にあるときに前記地表面に対して垂直に延びており、前記鉛直基準面は、前記中心基準面から前記トウ端に向けて、1.0インチから1.8インチの距離だけオフセットされており、前記インサートの前記露出部分は、前記鉛直基準面のトウ側に完全に配置されており、前記封入部分は、前記鉛直基準面のヒール側に少なくとも部分的に配置されている、ゴルフクラブヘッド。
【0160】
(条項10)前記インサートは、前記インサートの表面から突出しているバックストップをさらに備えており、前記バックストップが、前記フェースパネルの後ろに配置されていて、ゴルフボールインパクト中における前記フェースパネルの過度な撓みを防止する、条項9のゴルフクラブヘッド。
【0161】
(条項11)前記インサートの前記バックストップは、第1の構成において、前記フェースパネルのリア表面に接触せず、前記インサートの前記バックストップは、第2の構成において、前記パネルの前記リア表面に接触している、条項10のゴルフクラブヘッド。
【0162】
(条項12)前記インサートは、熱可塑性材料及び複数の強化用繊維をさらに含んでいる、条項9のゴルフクラブヘッド。
【0163】
(条項13)前記ボディは、前記内方キャビティ内に配置されており、前記ソール及び前記リア部と一体的に形成されたレールをさらに備えており、前記インサートは、前記レールに噛み合い、前記レールに沿って摺動して前記インサートを前記ボディに固定するように構成された経路をさらに備えている、条項9のゴルフクラブヘッド。
【0164】
(条項14)前記インサートと一体的に形成された内部ウェイトをさらに備えており、前記内部ウェイトは、前記ボディの材料密度及び前記インサートの材料密度よりも大きい材料密度を備えている、条項9のゴルフクラブヘッド。
【0165】
(条項15)ゴルフクラブヘッドであって、フェースパネル、トウ端、ヒール端、上部レール、ソール、及び、リア部、を備えたボディと、封入部分及び露出部分を備えたインサートと、を備え、前記ボディが、前記フェースパネル、前記ヒール端、前記上部レール、前記ソール、及び、前記リア部により境界設定された内方キャビティを画定しており、前記ボディが第1の密度を有する第1の材料で形成されており、前記インサートが第2の密度を有する第2の材料で形成されており、前記第2の密度が前記第1の密度未満であり、前記ボディが、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端において開口部を画定しており、前記封入部分が前記内方キャビティの内側に嵌合するとともに、前記露出部分が前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端を形成するように、前記内方キャビティが、前記インサートを受容するように構成されており、前記インサートが、前記上部レール、前記ソール、及び、前記リア部の一部分を形成しており、前記ボディのいかなる部分も、前記トウ端の最外表面を形成していない、ゴルフクラブヘッド。
【0166】
(条項16)前記インサートは、前記インサートの表面から突出しているバックストップをさらに備えており、前記バックストップが、前記フェースパネルの後ろに配置されていて、ゴルフボールインパクト中における前記フェースパネルの過度な撓みを防止する、条項15のゴルフクラブヘッド。
【0167】
(条項17)前記インサートの前記バックストップは、第1の構成において、前記フェースパネルのリア表面に接触せず、前記インサートの前記バックストップは、第2の構成において、前記パネルの前記リア表面に接触している、条項16のゴルフクラブヘッド。
【0168】
(条項18)前記インサートが、インサートオフセット表面を備えており、前記インサートオフセット表面が、前記フェースパネルの前記リア表面に接触しない、条項15のゴルフクラブヘッド。
【0169】
(条項19)前記ボディは、前記内方キャビティ内に配置されており、前記ソール及び前記リア部と一体的に形成されたレールをさらに備えており、前記インサートは、前記レールに噛み合い、前記レールに沿って摺動して前記インサートを前記ボディに固定するように構成された経路をさらに備えている、条項15のゴルフクラブヘッド。
【0170】
(条項20)前記インサートと一体的に形成された内部ウェイトをさらに備えており、前記内部ウェイトは、前記第1の密度及び前記第2の密度よりも大きい第3の密度を有する第3の材料を含んでいる、条項15のゴルフクラブヘッド。
【0171】
(条項21)ゴルフクラブヘッドであって、トウ端と、前記トウ端の反対側のヒール端と、前記ヒール端に接続されたホーゼルと、上部レールと、前記上部レールの反対側のソールと、前記ソールの前部における前縁と、前部と、リア部と、円筒状ホーゼル、前記ヒール端に隣接したホーゼル遷移部分、フェースパネル、前記トウ端に隣接したトウ部分、及び、前記ソールに隣接したソール部分を備えているボディと、オフセット表面、前記オフセット表面の反対側のバック表面、上部縁、前記上部縁の反対側の底部縁、レール部、インサートパネル、バックストップ、及び、固定機構、を備えているインサートと、を備え、前記インサートは、前記ボディ上へ嵌合するように構成されており、それにより、前記インサートの前記レール部分が前記上部レールの一部分を形成するようになっており、前記フェースパネルは、0.060インチ未満のフェースパネル厚さを有しており、前記インサートの密度が、前記ボディの密度よりも低く、前記インサートオフセット表面及び前記フェースパネルが、両端を含めて0.055インチから0.075インチの間の範囲であるインサート間隙距離を画定しており、前記バックストップ及び前記フェースパネルが、両端を含めて0.015インチから0.040インチの間の範囲であるバックストップ間隙距離を画定している、ゴルフクラブヘッド。
【0172】
(条項22)前記固定機構が、前記インサートパネルから延びる棚状部を備えており、前記ボディの前記ソール部分が、前記棚状部を受容するように構成された経路を画定しており、前記棚状部は、前記ソール部分の前記経路に相補的な形状を有している、条項21のゴルフクラブヘッド。
【0173】
(条項23)前記棚状部は、前記インサートパネルから後方に延びており、前記棚状部及び前記インサートバック表面が、0度から45度の範囲の角度を形成している、条項21のゴルフクラブヘッド。
【0174】
(条項24)前記インサートが、樹脂及び強化用繊維を含んでおり、前記樹脂が、熱可塑性エラストマー(TPE)及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)から成る群から選択された材料であり、前記強化用繊維が、炭素繊維、繊維ガラス、アラミド繊維、ホウ素繊維、ジュート繊維、亜麻繊維、ラミー繊維、麻繊維、サトウキビ繊維、コイア繊維、サイザル繊維、草類繊維、及び、アバカ繊維から成る群から選択された材料である、条項21のゴルフクラブヘッド。
【0175】
(条項25)前記インサートは、アルミニウム合金及びマグネシウム合金から成る群から選択された金属材料を含んでいる、条項21のゴルフクラブヘッド。
【0176】
(条項26)前記インサートは、前記インサートパネルの前記オフセット表面に取り付けられた軟質層を備えており、前記軟質層は、エラストマー材料を含んでいる、条項21のゴルフクラブヘッド。
【0177】
(条項27)前記ボディの前記トウ部分が、前記ソールから上方に延びて、前記クラブヘッドの前記トウ端の少なくとも50%を形成している、条項21のゴルフクラブヘッド。
【0178】
(条項28)前記ボディは、450鋼、C250鋼、NiMark250鋼、475鋼、及び、17-4鋼から成る群から選択された鋳造鋼合金を含んでいる、条項21のゴルフクラブヘッド。
【0179】
(条項29)前記ボディの前記トウ端が、トウポートを形成しており、前記ゴルフクラブヘッドは、前記トウポート内に嵌合しているトウウェイトをさらに備えており、前記ゴルフクラブヘッドは、前記ホーゼル内に嵌合しているチップウェイトをさらに備えている、条項21のゴルフクラブヘッド。
【0180】
(条項30)前記ヒール端から前記トウ端への方向において測定された前記インサートの長さが、前記ゴルフクラブヘッドの全長の30%から60%の間である、条項21のゴルフクラブヘッド。
【0181】
本開示のさまざまな特徴および利点は以下の請求項に記載される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2023-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
フェースパネル、トウ端、ヒール端、上部レール、ソール、及び、リア部、を備えたボディと、
封入部分及び露出部分を備えたインサートと、を備え、
前記ボディが、前記フェースパネル、前記ヒール端、前記上部レール、前記ソール、及び、前記リア部により境界設定された内方キャビティを画定しており、
前記ボディが金属で形成されており、前記インサートが非金属で形成されており、
前記ボディが、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端において開口部を画定しており、
前記封入部分が前記内方キャビティの内側に嵌合するとともに、前記露出部分が前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端を形成するように、前記内方キャビティが、前記インサートを受容するように構成されており、
前記トウ端の最外表面の全体が、前記インサートにより形成されており
前記インサートは、前記インサートの表面から突出しているバックストップをさらに備えており、
前記バックストップは、上部サイド、トウサイド、及び、ヒールサイドを有する形状を有しており、
幾何学的中心基準軸に対して、前記上部サイドは凸状であり、前記トウサイド及び前記ヒールサイドは凹状であり、
前記トウサイド及び前記ヒールサイドは、前記バックストップの底部においてラウンドポイントに到達し、
前記トウサイド及び前記ヒールサイドは、前記上部サイドに交差して、前記トウ端及び前記ヒール端を指す一対の翼状形状を形成し、
前記形状は、前記フェースパネルが所望するよりも撓みやすい領域におけるストライクフェースの曲げを一時的に制限することを容易にし、
前記バックストップが、前記フェースパネルの後ろに配置されていて、ゴルフボールインパクト中における前記フェースパネルの過度な撓みを防止する、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記インサートの前記バックストップは、第1の構成において、前記フェースパネルのリア表面に接触せず、
前記インサートの前記バックストップは、第2の構成において、前記フェースパネルの前記リア表面に接触している、請求項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記インサートが、インサートオフセット表面を備えており、
前記インサートオフセット表面が、前記フェースパネルの前記リア表面に接触しない、請求項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
インサートオフセット距離が、前記インサートオフセット表面と前記フェースパネルの前記リア表面との間に設けられており、
バックストップオフセット距離が、前記バックストップと前記フェースパネルの前記リア表面との間に設けられており、
前記バックストップオフセット距離は、前記インサートオフセット距離未満である、請求項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記インサートは、熱可塑性材料及び複数の強化用繊維をさらに含んでいる、請求項1から4のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記ボディは、前記内方キャビティ内に配置されており、前記ソール及び前記リア部と一体的に形成されたレールをさらに備えており、
前記インサートは、前記レールに噛み合い、前記レールに沿って摺動して前記インサートを前記ボディに固定するように構成された経路をさらに備えている、請求項1から5のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記インサートと一体的に形成された内部ウェイトをさらに備えており、
前記内部ウェイトは、前記ボディの材料密度及び前記インサートの材料密度よりも大きい材料密度を備えている、請求項1から6のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
ゴルフクラブヘッドであって、
ストライクフェースを備えたフェースパネル、トウ端、ヒール端、上部レール、ソール、及び、リア部を備えたボディと、
封入部分及び露出部分を備えたインサートと、を備え、
前記ボディが、前記フェースパネル、前記ヒール端、前記上部レール、前記ソール、及び、前記リア部により境界設定された内方キャビティを画定しており、
前記ボディが金属で形成されており、前記インサートが非金属で形成されており、
前記ボディが、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端において開口部を画定しており、
前記封入部分が前記内方キャビティの内側に嵌合するとともに、前記露出部分が前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端を形成するように、前記内方キャビティが、前記インサートを受容するように構成されており、
前記ストライクフェースは、幾何学的中心を備えており、
中心基準面は、前記幾何学的中心を通って延びており、前記ゴルフクラブヘッドがアドレス位置にあるときに地表面に対して垂直に延びており、
鉛直基準面は、前記ゴルフクラブヘッドを通って前後方向に延びており、かつ、前記ゴルフクラブヘッドが前記アドレス位置にあるときに前記地表面に対して垂直に延びており、
前記鉛直基準面は、前記中心基準面から前記トウ端に向けて、1.0(2.54cm)インチから1.8インチ(4.572cm)の距離だけオフセットされており、
前記インサートの前記露出部分は、前記鉛直基準面のトウ側に完全に配置されており、
前記封入部分は、前記鉛直基準面のヒール側に少なくとも部分的に配置されており
前記インサートは、前記インサートの表面から突出しているバックストップをさらに備えており、
前記バックストップは、上部サイド、トウサイド、及び、ヒールサイドを有する形状を有しており、
幾何学的中心基準軸に対して、前記上部サイドは凸状であり、前記トウサイド及び前記ヒールサイドは凹状であり、
前記トウサイド及び前記ヒールサイドは、前記バックストップの底部においてラウンドポイントに到達し、
前記トウサイド及び前記ヒールサイドは、前記上部サイドに交差して、前記トウ端及び前記ヒール端を指す一対の翼状形状を形成し、
前記形状は、前記フェースパネルが所望するよりも撓みやすい領域における前記ストライクフェースの曲げを一時的に制限することを容易にし、
前記バックストップが、前記フェースパネルの後ろに配置されていて、ゴルフボールインパクト中における前記フェースパネルの過度な撓みを防止する、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記インサートの前記バックストップは、第1の構成において、前記フェースパネルのリア表面に接触せず、
前記インサートの前記バックストップは、第2の構成において、前記フェースパネルの前記リア表面に接触している、請求項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記インサートは、熱可塑性材料及び複数の強化用繊維をさらに含んでいる、請求項8又は9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記ボディは、前記内方キャビティ内に配置されており、前記ソール及び前記リア部と一体的に形成されたレールをさらに備えており、
前記インサートは、前記レールに噛み合い、前記レールに沿って摺動して前記インサートを前記ボディに固定するように構成された経路をさらに備えている、請求項8から10のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記インサートと一体的に形成された内部ウェイトをさらに備えており、
前記内部ウェイトは、前記ボディの材料密度及び前記インサートの材料密度よりも大きい材料密度を備えている、請求項8から11のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
ゴルフクラブヘッドであって、
フェースパネル、トウ端、ヒール端、上部レール、ソール、及び、リア部、を備えたボディと、
封入部分及び露出部分を備えたインサートと、を備え、
前記ボディが、前記フェースパネル、前記ヒール端、前記上部レール、前記ソール、及び、前記リア部により境界設定された内方キャビティを画定しており、
前記ボディが第1の密度を有する第1の材料で形成されており、前記インサートが第2の密度を有する第2の材料で形成されており、
前記第2の密度が前記第1の密度未満であり、
前記ボディが、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端において開口部を画定しており、
前記封入部分が前記内方キャビティの内側に嵌合するとともに、前記露出部分が前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ端を形成するように、前記内方キャビティが、前記インサートを受容するように構成されており、
前記インサートが、前記上部レール、前記ソール、及び、前記リア部の一部分を形成しており、
前記ボディのいかなる部分も、前記トウ端の最外表面を形成しておらず
前記インサートは、前記インサートの表面から突出しているバックストップをさらに備えており、
前記バックストップは、上部サイド、トウサイド、及び、ヒールサイドを有する形状を有しており、
幾何学的中心基準軸に対して、前記上部サイドは凸状であり、前記トウサイド及び前記ヒールサイドは凹状であり、
前記トウサイド及び前記ヒールサイドは、前記バックストップの底部においてラウンドポイントに到達し、
前記トウサイド及び前記ヒールサイドは、前記上部サイドに交差して、前記トウ端及び前記ヒール端を指す一対の翼状形状を形成し、
前記形状は、前記フェースパネルが所望するよりも撓みやすい領域におけるストライクフェースの曲げを一時的に制限することを容易にし、
前記バックストップが、前記フェースパネルの後ろに配置されていて、ゴルフボールインパクト中における前記フェースパネルの過度な撓みを防止する、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記インサートの前記バックストップは、第1の構成において、前記フェースパネルのリア表面に接触せず、
前記インサートの前記バックストップは、第2の構成において、前記フェースパネルの前記リア表面に接触している、請求項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記インサートが、インサートオフセット表面を備えており、
前記インサートオフセット表面が、前記フェースパネルの前記リア表面に接触しない、請求項14に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記ボディは、前記内方キャビティ内に配置されており、前記ソール及び前記リア部と一体的に形成されたレールをさらに備えており、
前記インサートは、前記レールに噛み合い、前記レールに沿って摺動して前記インサートを前記ボディに固定するように構成された経路をさらに備えている、請求項13から15のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
前記インサートと一体的に形成された内部ウェイトをさらに備えており、
前記内部ウェイトは、前記第1の密度及び前記第2の密度よりも大きい第3の密度を有する第3の材料を含んでいる、請求項13から16のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【国際調査報告】