(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】電磁伝播における不等式の迅速な評価
(51)【国際特許分類】
H04B 17/391 20150101AFI20240130BHJP
【FI】
H04B17/391
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547101
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 US2022014805
(87)【国際公開番号】W WO2022169785
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル,プレストン・フェアファクス
(57)【要約】
電磁伝播における不等式を迅速に評価する方法(400)は、第1の地理的地点(14a)と第2の地理的地点(14b)との間の最大電磁(EM)経路損失を確立する閾値損失値(12)を取得することを含む。また、方法は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、対応するEM経路における最小EM損失値(320)及び対応するEM経路における最大EM損失値(330)を取得すること、及び対応するEM経路における最大EM損失値が閾値損失値を満たすかどうかを決定することも含む。方法は、対応するEM経路における最大EM損失値が閾値損失値を満たすときに、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の対応するEM経路における実際のEM経路損失値(340)が閾値損失値を満たすと決定することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実行される方法(400)であって、
データ処理ハードウェア(144)によって実行されると、
第1の地理的地点(14a)と第2の地理的地点(14b)との間の最大電磁(EM)経路損失を確立する閾値損失値(12)を取得することと、
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、
対応するEM経路(202)における最小EM損失値(320)及び対応する前記EM経路(202)における最大EM損失値(330)を取得することと、
前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たすかどうかを決定することと、
前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たすときに、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記対応するEM経路(202)における実際のEM経路損失値(340)が前記閾値損失値(12)を満たすと決定することとを含む処理を、前記データ処理ハードウェア(144)に実行させる、方法(400)。
【請求項2】
前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)は、
前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)よりも小さいときに前記閾値損失値(12)を満たし、
前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)以上であるときに前記閾値損失値(12)を満たさない、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項3】
前記処理は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のそれぞれの対応するEM経路(202)に関して取得された前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たさないときに、
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のそれぞれの対応するEM経路(202)に関して取得された前記最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たさないかどうかを決定することと、
それぞれの対応するEM経路(202)に関して取得された前記最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たさないときに、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のそれぞれが前記閾値損失値(12)を満たさない対応する実際のEM経路損失値(340)を含むと決定することとを更に含む、請求項1又は2に記載の方法(400)。
【請求項4】
前記処理は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のうちの1つ以上の対応するEM経路(202)のそれぞれに関して取得された前記最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たすときに、
前記閾値損失値(12)を満たす前記最小EM損失値(320)を含む1つ以上の対応するEM経路(202)のそれぞれに関して、前記対応するEM損失経路(202)に関連する精緻化コスト(30)を取得することを含み、前記精緻化コスト(30)は、前記対応するEM経路(202)の前記最小EM損失値(320)及び最大EM損失値(330)を精緻化するために必要なリソースの量を表わし、
取得された精緻化コスト(30)に基づいて前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの1つを選択することと、
前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの選択された1つに関して取得された前記最小EM損失値(320)と、前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの前記選択された1つに関して取得された前記最大EM損失値(330)とを精緻化することと、
前記精緻化された最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たすかどうかを決定することと、
前記精緻化された最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たすときに、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記1つ以上の対応するEM経路(202)の前記選択された1つに関する前記実際のEM経路損失(340)が前記閾値損失値(12)を満たすと決定することと、
を更に含む、請求項3に記載の方法(400)。
【請求項5】
前記処理は、前記精緻化された最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たさないときに、前記取得された精緻化コスト(30)に基づいて前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの異なる1つを選択することを更に含む、請求項4に記載の方法(400)。
【請求項6】
前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの1つを選択することは、最低の精緻化コスト(30)に関連する前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの1つを選択することを含む、請求項4又は5に記載の方法(400)。
【請求項7】
前記複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、前記対応する最小EM損失値(320)及び前記対応する最大EM損失値(330)は、前記最小EM損失値(320)及び前記最大EM損失値(330)を取得するために必要なリソースの量を表わす初期コスト(30)と関連付けられる、請求項4から6のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項8】
前記複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、前記初期コスト(30)は前記精緻化コスト(30)よりも低い、請求項7に記載の方法(400)。
【請求項9】
前記複数のEM経路(202)のそれぞれは1つ以上の損失成分(210)を含み、
前記複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、
前記最小EM損失値(320)は、前記対応するEM経路(202)の前記1つ以上の損失成分(210)のそれぞれの最小値の合計を含み、
前記最大EM損失値(330)は、前記対応するEM経路(202)の前記1つ以上の損失成分(210)のそれぞれの最大値の合計を含む、請求項1から8のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項10】
前記複数のEM経路(202)のうちの1つ以上に関して、前記対応するEM経路(202)における前記最小EM損失値(320)及び前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)は、既に決定された実際のEM経路損失値(340)と関連付けられるデータを含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項11】
前記閾値損失値(12)を取得することは、前記閾値損失値(12)を含む要求(10)を受信することを含み、前記要求(10)は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の実際のEM経路損失が前記閾値損失値(12)を超えるかどうかの決定を要求する、請求項1から10のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項12】
前記閾値損失値(12)を取得することは、前記閾値損失値(12)を含む要求(10)を受信することを含み、前記要求(10)は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の実際のEM経路損失が前記閾値損失値(12)よりも小さいかどうかの決定を要求する、請求項1から10のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項13】
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記対応するEM経路(202)における前記実際のEM経路損失値(340)が前記閾値損失値(12)を満たすかどうかの決定に応じて、無線ネットワークカバレッジを計画することを更に含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項14】
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記対応するEM経路(202)における前記実際のEM経路損失値(340)が前記閾値損失値(12)を満たすかどうかの決定に応じて、無線スペクトル使用量の動的競合解消を実行することを更に含む、請求項1から13のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項15】
データ処理ハードウェア(144)と、
前記データ処理ハードウェア(144)と通信するメモリハードウェア(142)とを備え、前記メモリハードウェア(142)は、前記データ処理ハードウェア(144)で実行されると、前記データ処理ハードウェア(144)に処理を実行させる命令を記憶し、
前記処理は、
第1の地理的地点(14a)と第2の地理的地点(14b)との間の最大電磁(EM)経路損失を確立する閾値損失値(12)を取得することと、
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、
対応するEM経路(202)における最小EM損失値(320)及び対応する前記EM経路(202)における最大EM損失値(330)を取得することと、
前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たすかどうかを決定することと、
前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たすときに、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記対応するEM経路(202)における実際のEM経路損失値(340)が前記閾値損失値(12)を満たすと決定することとを含む、システム(100)。
【請求項16】
前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)は、
前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)よりも小さいときに前記閾値損失値(12)を満たし、
前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)以上であるときに前記閾値損失値(12)を満たさない、請求項15に記載のシステム(100)。
【請求項17】
前記処理は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のそれぞれの対応するEM経路(202)に関して取得された前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たさないときに、
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のそれぞれの対応するEM経路(202)に関して取得された前記最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たさないかどうかを決定することと、
それぞれの対応するEM経路(202)に関して取得された前記最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たさないときに、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のそれぞれが前記閾値損失値(12)を満たさない対応する実際のEM経路損失値(340)を含むと決定することとを更に含む、請求項15又は16に記載のシステム(100)。
【請求項18】
前記処理は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のうちの1つ以上の対応するEM経路(202)のそれぞれに関して取得された前記最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たすときに、
前記閾値損失値(12)を満たす前記最小EM損失値(320)を含む1つ以上の対応するEM経路(202)のそれぞれに関して、前記対応するEM損失経路(202)に関連する精緻化コスト(30)を取得することを含み、前記精緻化コスト(30)は、前記対応するEM経路(202)の前記最小EM損失値(320)及び最大EM損失値(330)を精緻化するために必要なリソースの量を表わし、
取得された精緻化コスト(30)に基づいて前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの1つを選択することと、
前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの前記選択された1つに関して取得された前記最小EM損失値(320)と、前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの前記選択された1つに関して取得された前記最大EM損失値(340)とを精緻化することと、
前記精緻化された最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(120)を満たすかどうかを決定することと、
前記精緻化された最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たすときに、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記1つ以上の対応するEM経路(202)の前記選択された1つに関する前記実際のEM経路損失(340)が前記閾値損失値(12)を満たすと決定することと、
を更に含む、請求項17に記載のシステム(100)。
【請求項19】
前記処理は、前記精緻化された最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たさないときに、前記取得された精緻化コスト(30)に基づいて前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの異なる1つを選択することを更に含む、請求項18に記載のシステム(100)。
【請求項20】
前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの1つを選択することは、最低の精緻化コスト(30)に関連する前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの1つを選択することを含む、請求項18又は19に記載のシステム(100)。
【請求項21】
前記複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、前記対応する最小EM損失値(320)及び前記対応する最大EM損失値(330)は、前記最小EM損失値(320)及び前記最大EM損失値(330)を取得するために必要なリソースの量を表わす初期コスト(30)と関連付けられる、請求項18から20のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項22】
前記複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、前記初期コスト(30)は前記精緻化コスト(30)よりも低い、請求項21に記載のシステム(100)。
【請求項23】
前記複数のEM経路(202)のそれぞれは1つ以上の損失成分(210)を含み、
前記複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、
前記最小EM損失値(320)は、前記対応するEM経路(202)の前記1つ以上の損失成分(210)のそれぞれの最小値の合計を含み、
前記最大EM損失値(330)は、前記対応するEM経路(202)の前記1つ以上の損失成分(210)のそれぞれの最大値の合計を含む、請求項15から22のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項24】
前記複数のEM経路(202)のうちの1つ以上に関して、前記対応するEM経路(202)における前記最小EM損失値(320)及び前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)は、既に決定された実際のEM経路損失値(340)と関連付けられるデータを含む、請求項15から23のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項25】
前記閾値損失値(12)を取得することは、前記閾値損失値(12)を含む要求(10)を受信することを含み、前記要求(10)は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の実際のEM経路損失が前記閾値損失値(12)を超えるかどうかの決定を要求する、請求項15から24のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項26】
前記閾値損失値(12)を取得することは、前記閾値損失値(12)を含む要求(10)を受信することを含み、前記要求(10)は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の実際のEM経路損失が前記閾値損失値(12)よりも小さいかどうかの決定を要求する、請求項15から24のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項27】
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記対応するEM経路(202)における前記実際のEM経路損失値(340)が前記閾値損失値(12)を満たすかどうかの決定に応じて、無線ネットワークカバレッジを計画することを更に含む、請求項15から26のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項28】
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記対応するEM経路(202)における前記実際のEM経路損失値が前記閾値損失値(12)を満たすかどうかの決定に応じて、無線スペクトル使用量の動的競合解消を実行することを更に含む、請求項15から27のいずれかに記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、電磁伝播における不等式の迅速な評価に関する。
【発明の概要】
【0002】
概要
本開示の一態様は、電磁伝播における不等式を迅速に評価する方法を提供する。方法は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の最大電磁(EM)経路損失を確立する閾値損失値を取得することを含む。第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の複数のEM経路のそれぞれに関して、方法は、対応するEM経路における最小EM損失値及び対応するEM経路における最大EM損失値を取得すること、及び、対応するEM経路における最大EM損失値が閾値損失値を満たすかどうかを決定することも含む。更に、対応するEM経路における最大EM損失値が閾値損失値を満たすとき、方法は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の対応するEM経路における実際のEM経路損失値が閾値損失値を満たすと決定することを含む。最大EM損失値が閾値損失値よりも小さいとき、対応するEM経路における最大EM損失値は閾値損失値を満たす。更に、最大EM損失値が閾値損失値以上であるとき、対応するEM経路における最大EM損失値は閾値損失値を満たさない。
【0003】
本開示の実施態様は、以下の任意選択的な特徴のうちの1つ以上を含むことができる。幾つかの実施態様では、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の複数のEM経路のそれぞれの対応するEM経路に関して取得された最大EM損失値が閾値損失値を満たさないとき、方法は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の複数のEM経路のそれぞれの対応するEM経路に関して取得された最小EM損失値が閾値損失値を満たさないかどうかを決定することを更に含む。幾つかの実施態様では、それぞれの対応するEM経路に関して取得された最小EM損失値が閾値損失値を満たさないときに、方法は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の複数のEM経路のそれぞれが閾値損失値を満たさない対応する実際のEM経路損失値を含むと決定することを含む。
【0004】
幾つかの例では、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の複数のEM経路のうちの1つ以上の対応するEM経路のそれぞれに関して取得された最小EM損失値が閾値損失値を満たすとき、方法は、閾値損失値を満たす最小EM損失値を含む1つ以上の対応するEM経路のそれぞれに関して対応するEM損失経路と関連付けられた精緻化コストを取得することを含む。精緻化コストは、対応するEM経路の最小EM損失値及び最大EM損失値を精緻化するために必要なリソースの量を表わすことができる。幾つかの例において、方法は、取得された精緻化コストに基づいて1つ以上の対応するEM経路のうちの1つを選択することも含む。幾つかの例において、方法は、1つ以上の対応するEM経路のうちの選択された1つに関して取得された最小EM損失値、及び1つ以上の対応するEM経路のうちの選択された1つに関して取得された最大EM損失値を精緻化することも含む。幾つかの例において、方法は、精緻化された最大EM損失値が閾値損失値を満たすかどうかを決定することも含む。幾つかの例では、精緻化された最大EM損失値が閾値損失値を満たすとき、方法は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の1つ以上の対応するEM経路のうちの選択された1つにおける実際のEM経路損失が閾値損失値を満たすと決定することも含む。
【0005】
幾つかの実施態様では、精緻化された最小EM損失値が閾値損失値を満たさないとき、方法は、取得された精緻化コストに基づいて1つ以上の対応するEM経路のうちの異なる1つを選択することを更に含む。幾つかの例において、1つ以上の対応するEM経路のうちの1つを選択することは、最も低い精緻化コストと関連付けられた1つ以上の対応するEM経路のうちの1つを選択することを含む。幾つかの例では、複数のEM経路のそれぞれに関して、対応する最小EM損失値及び対応する最大EM損失値が、最小EM損失値及び最大EM損失値を取得するために必要なリソースの量を表わす初期コストと関連付けられる。複数のEM経路のそれぞれに関して、初期コストは精緻化コストよりも低くなり得る。
【0006】
複数のEM経路のそれぞれは、1つ以上の損失成分を含むことができる。幾つかの実施態様では、最小EM損失値は、複数のEM経路のそれぞれにおける対応するEM経路の1つ以上の損失成分のそれぞれの最小値の合計を含み、最大EM損失値は、複数のEM経路のそれぞれにおける対応するEM経路の1つ以上の損失成分のそれぞれの最大値の合計を含む。
【0007】
複数のEM経路のうちの1つ以上に関して、対応するEM経路における最小EM損失値及び対応するEM経路における最大EM損失値は、既に決定された実際のEM経路損失値と関連付けられたデータを含むことができる。
【0008】
幾つかの実施態様では、閾値損失値を取得することは、閾値損失値を含む要求を受信することを含む。要求は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の実際のEM経路損失が閾値損失値を超えるかどうかの決定を要求することができる。幾つかの実施態様では、閾値損失値を取得することは、閾値損失値を含む要求を受信することを含む。要求は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の実際のEM経路損失が閾値損失値未満であるかどうかの決定を要求することができる。
【0009】
幾つかの実施態様では、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の対応するEM経路における実際のEM経路損失値が閾値損失値を満たすかどうかの決定に応じて、方法は、無線ネットワークカバレッジを計画することを更に含む。幾つかの実施態様では、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の対応するEM経路における実際のEM経路損失値が閾値損失値を満たすかどうかの決定に応じて、方法は、無線スペクトル使用量の動的競合解消を実行することを更に含む。
【0010】
本開示の他の態様は、電磁伝播における不等式を迅速に評価するためのシステムを提供する。システムは、データ処理ハードウェアと、データ処理ハードウェアと通信するメモリハードウェアとを含む。メモリハードウェアは、データ処理ハードウェアで実行されると、データ処理ハードウェアに処理を実行させる命令を記憶する。処理は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の最大電磁(EM)経路損失を確立する閾値損失値を取得することを含む。第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の複数のEM経路のそれぞれに関して、処理は、対応するEM経路における最小EM損失値と対応するEM経路における最大EM損失値とを取得すること、及び、対応するEM経路における最大EM損失値が閾値損失値を満たすかどうかを決定することも含む。更に、対応するEM経路における最大EM損失値が閾値損失値を満たす場合、処理は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の対応するEM経路における実際のEM経路損失値が閾値損失値を満たすと決定することを含む。対応するEM経路における最大EM損失値は、最大EM損失値が閾値損失値よりも小さい場合、閾値損失値を満たし得る。更に、最大EM損失値が閾値損失値以上である場合、対応するEM経路における最大EM損失値は閾値損失値を満たすことができない。
【0011】
本開示の実施態様は、以下の任意選択的な特徴のうちの1つ以上を含むことができる。幾つかの実施態様では、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の複数のEM経路のそれぞれの対応するEM経路に関して取得された最大EM損失値が閾値損失値を満たさないとき、処理は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の複数のEM経路のそれぞれの対応するEM経路に関して取得された最小EM損失値が閾値損失値を満たさないかどうかを決定することを更に含む。幾つかの実施態様では、それぞれの対応するEM経路に関して取得された最小EM損失値が閾値損失値を満たさないときに、処理は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の複数のEM経路のそれぞれが閾値損失値を満たさない対応する実際のEM経路損失値を含むと決定することを含む。
【0012】
幾つかの例では、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の複数のEM経路のうちの1つ以上の対応するEM経路のそれぞれに関して取得された最小EM損失値が閾値損失値を満たすとき、処理は、閾値損失値を満たす最小EM損失値を含む1つ以上の対応するEM経路のそれぞれに関して対応するEM損失経路と関連付けられた精緻化コストを取得することを含む。精緻化コストは、対応するEM経路の最小EM損失値及び最大EM損失値を精緻化するために必要なリソースの量を表わすことができる。幾つかの例において、処理は、取得された精緻化コストに基づいて1つ以上の対応するEM経路のうちの1つを選択することも含む。幾つかの例において、処理は、1つ以上の対応するEM経路のうちの選択された1つに関して取得された最小EM損失値、及び1つ以上の対応するEM経路のうちの選択された1つに関して取得された最大EM損失値を精緻化することも含む。幾つかの例において、処理は、精緻化された最大EM損失値が閾値損失値を満たすかどうかを決定することも含む。幾つかの例では、精緻化された最大EM損失値が閾値損失値を満たすとき、処理は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の1つ以上の対応するEM経路のうちの選択された1つにおける実際のEM経路損失が閾値損失値を満たすと決定することも含む。
【0013】
幾つかの実施態様では、精緻化された最小EM損失値が閾値損失値を満たさないとき、処理は、取得された精緻化コストに基づいて1つ以上の対応するEM経路のうちの異なる1つを選択することを更に含む。幾つかの例において、1つ以上の対応するEM経路のうちの1つを選択することは、最も低い精緻化コストと関連付けられた1つ以上の対応するEM経路のうちの1つを選択することを含む。幾つかの例では、複数のEM経路のそれぞれに関して、対応する最小EM損失値及び対応する最大EM損失値が、最小EM損失値及び最大EM損失値を取得するために必要なリソースの量を表わす初期コストと関連付けられる。複数のEM経路のそれぞれに関して、初期コストは精緻化コストよりも低くなり得る。
【0014】
複数のEM経路のそれぞれは、1つ以上の損失成分を含むことができる。幾つかの実施態様では、最小EM損失値は、複数のEM経路のそれぞれにおける対応するEM経路の1つ以上の損失成分のそれぞれの最小値の合計を含み、最大EM損失値は、複数のEM経路のそれぞれにおける対応するEM経路の1つ以上の損失成分のそれぞれの最大値の合計を含む。
【0015】
複数のEM経路のうちの1つ以上に関して、対応するEM経路における最小EM損失値及び対応するEM経路における最大EM損失値は、既に決定された実際のEM経路損失値と関連付けられたデータを含むことができる。
【0016】
幾つかの実施態様では、閾値損失値を取得することは、閾値損失値を含む要求を受信することを含む。要求は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の実際のEM経路損失が閾値損失値を超えるかどうかの決定を要求することができる。幾つかの実施態様では、閾値損失値を取得することは、閾値損失値を含む要求を受信することを含む。要求は、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の実際のEM経路損失が閾値損失値未満であるかどうかの決定を要求することができる。
【0017】
幾つかの実施態様では、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の対応するEM経路における実際のEM経路損失値が閾値損失値を満たすかどうかの決定に応じて、処理は、無線ネットワークカバレッジを計画することを更に含む。幾つかの実施態様では、第1の地理的地点と第2の地理的地点との間の対応するEM経路における実際のEM経路損失値が閾値損失値を満たすかどうかの決定に応じて、処理は、無線スペクトル使用量の動的競合解消を実行することを更に含む。
【背景技術】
【0018】
背景
伝播解析の使用は、無線の実践において益々重要な部分となっている。この解析は、最初にネットワークカバレッジを計画するために使用されるだけでなく、最近確立された市民広帯域無線サービス(CBRS)帯域及び6GHzの無免許規制など、スペクトル使用の動的な競合解消を実行するためにも頻繁に使用される。従来のアプローチとしては、伝播の詳細な解析を実行して、特定の条件が満たされるかどうかを決定することが挙げられる。例えば、この解析は、2つの異なる地理的地点間に存在する電磁(EM)経路損失が多すぎるか又は少なすぎるかどうかを決定する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】電磁伝播における不等式を迅速に評価するためのシステムの概略図である。
【
図2A】複数のEM損失経路の例示的なマップの概略図である。
【
図2B】複数のEM損失経路の例示的なマップの概略図である。
【
図4】電磁伝播における不等式を迅速に評価する方法に関する処理の構成例のフローチャートである。
【
図5】本明細書に記載されるシステム及び方法を実装するために使用され得る例示的なコンピューティングデバイスの概略図である。
【0020】
様々な図面における同様の参照符号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
伝播解析の使用は、ネットワークカバレッジを最初に計画し、スペクトル使用(例えば、市民広帯域無線サービス(CBRS)用の)帯域(すなわち、3550MHzから3700MHz)及び6GHz無免許規制)の動的競合解消を実行するなどのタスクに定期的に使用される。伝播解析の従来のアプローチには、詳細な解析によって特定の条件が満たされているかどうかを決定することが含まれる。例えば、この解析では、2つの異なる地理的地点間に存在する電磁(EM)経路損失が多すぎるか又は少なすぎるかを決定する。これらの計算は、複雑であることが多く、処理するために膨大な量のデータ(例えば、地理空間データ又は測定データ)を伴う場合がある。
【0022】
多くの場合、伝播解析を満足に完了するために必要な分解能は、損失の正確な値ではなく、信号が更なる、おそらくより詳細な解析に適するかどうかである。これらの場合、経路損失が閾値未満であると決定するだけで、意思決定を行なうのに十分な場合がある。これに加えて又は代えて、経路損失が閾値よりも大きいと決定することは、別の意思決定を下すのに十分な場合がある。したがって、これらの場合には、高分解能解析(すなわち、損失の正確な値を決定すること)は必要ない。具体的な例として、通信リンクは130デシベル(dB)未満の経路損失に関して実行可能である。この例では、どちらのシナリオでも実際の経路損失が130dB未満であるため、実際の経路損失が110dBか又は120dBであるかは重要ではない。同様に、どちらのシナリオでも実際の経路損失が130dBより大きいため、実際の経路損失が160dBであるか又は180dBであるかも重要ではない。更に別の例では、少なくとも150dBのアイソレーションがある限り、特定の信号が干渉を引き起こす。この例でも、正確な計算は不要であり、代わりに、アイソレーションが150dBより小さいか又は大きいかを決定するだけで済む。
【0023】
本明細書の実施態様は、伝播損失が閾値より大きいか又は小さいかを決定する低リソース消費モデルを提供する。すなわち、モデルは、伝播損失が閾値より大きいか、閾値より小さいか、又は不定であるかを決定する。伝播損失が不定であるとモデルが決定する場合、モデルは、更に解析に投資して、より明確な答えを決定するために更に精緻化する(すなわち、より正確にする)ことができる。すなわち、システムは、フォールバックして、伝播損失の一部について高分解能解析を実行し得る。従来の技術はデフォルトで完全な高分解能解析を行なうため、本明細書での実施態様によってリソースが大幅に削減される。
【0024】
図1を参照すると、幾つかの実施態様では、例示的なシステム100が処理システム140を含む。処理システム140は、単一のコンピュータ、複数のコンピュータ、又はスケーラブル/弾力的コンピューティングリソース144(例えば、データ処理ハードウェア)及び/又はストレージリソース142(例えば、メモリハードウェア)を有する分散型システム(例えば、クラウド環境)であってもよい。データストア146(すなわち、リモートストレージデバイス146)は、ストレージリソース142のスケーラブルな使用を可能にするために、ストレージリソース142上にオーバーレイされ得る。処理システム140は、電磁(EM)伝播評価器110を実行する。
【0025】
EM伝播評価器110は、第1の地理的地点14aと第2の地理的地点14bとの間の最大EM経路損失を確立する閾値損失値12を取得する。EM伝播評価器110は、EM伝播要求10を受信することができる。幾つかの例では、EM伝播評価器110は、処理システム140上で実行される別のシステム若しくはアプリケーションから又は第三者からEM伝播要求10を受信する。EM伝播要求10は、第1の地理的地点14aと第2の地理的地点14bとの間の実際のEM損失が閾値損失値12を満たすかどうかをEM伝播評価器110が決定することを要求することができる。幾つかの例では、EM伝播要求10は、第1の地理的地点14aと第2の地理的地点14bとの間の実際のEM損失が閾値損失値12未満であるか、閾値損失値12以下であるか、閾値損失値12よりも大きいか、又は閾値損失値12以上であるかどうかをEM伝播評価器110が決定することを要求する。別の言い方をすれば、要求10は、2つの地理的地点14間の特定のEM損失値を求める要求の代わりに、単に、2つの地理的地点14間のEM損失値が閾値損失値を満たすか又は満たさないかどうかの決定を要求する。EM伝播は、EM伝播評価器110が一般に2つの地理的地点間の実際のEM損失を要求する従来の要求よりもはるかに速く解決できる反証可能な式である。
【0026】
幾つかの実施態様では、EM伝播評価器110は、閾値損失値12、第1の地理的地点14a、及び第2の地理的地点14bを取得する初期評価器120を含む。初期評価器120は、複数のEM損失経路202,202a~nも取得する。幾つかの例では、EM損失経路202は、初期EM障害データ20aに基づく。
【0027】
ここで、
図2A及び
図2Bを参照すると、概略
図200aは、4つの例示的なEM損失経路202a~dを示す。各EM損失経路は、第1の地理的地点14aと第2の地理的地点14bとの間のEM損失の一部のモデルを提供する。幾つかの例では、各EM損失経路202は、1つ以上の損失成分210,210aa~210daを含む。ここで、EM損失経路202a,202c,202dは、単一の損失成分210aa,210ca,210daのみを含むが、EM損失経路202bは、4つの損失成分210ba~210bdを含む。各損失成分210は、それぞれのEM損失経路202における合計EM損失の合成可能な部分に相当する。すなわち、それぞれのEM損失経路202における合計EM損失には、各損失成分210の損失の合計が含まれる(対数(すなわち、dB)表示)。例えば、EM損失経路202bの合計損失には、損失成分210ba~210bdのそれぞれの合計が含まれる。積分ブロック220は、第1の地理的地点14aと第2の地理的地点14bとの間の合計EM損失を決定するためのEM損失経路202a~dのそれぞれの積分に相当する。
【0028】
重要なことは、ビュー200aのEM損失経路202は、潜在的に最も低いEM損失伝播経路202a~nの任意の数のセットに相当する。抽象化すると、損失(L)及び損失限界(x)は以下のようにモデル化できる。
【0029】
L>x Min(202a,202b,…,202n)<xの場合 (1)
L>x Min(202a,202b,…,202n)>xの場合 (2)
式(1)及び式(2)は、異なる経路を通る損失が大幅に不均等であることを意味する。この仮定は実際には一般に当てはまる。しかしながら、2つの経路の経路損失が等しい最悪の場合でも、誤差は3dBであり、ほとんどの伝播推定の信頼区間内に十分収まる。いずれにせよ、式(1)及び式(2)の重要な結論は、最大経路損失(すなわち、最大のEM損失を有するEM損失経路202)が、式(1)又は式(2)のいずれの評価にも関連しないということである。その代わりに、どの境界不等式が評価されるかに関係なく、各EM損失経路202の最小値が重要な要素である。したがって、実際には、式(1)で表わされる不等式は、ほとんどではないにしても多くの場合、経路損失を完全に計算せずに、代わりに損失が閾値損失値12未満になる可能性を排除することによって評価され得る。
【0030】
ここで、
図2Bを参照すると、概略
図200bは、
図2Aの4つのEM損失経路202a~dにおける具体例を提供する。本明細書で使用されるように、第1の地理的地点14aから第2の地理的地点14bへのEM伝播の代替伝播機構は、それぞれ独立した物理的過程を表わすEM損失経路202と呼ばれる。本明細書で使用される場合、所与のEM損失経路202に沿った損失は、その影響が相加的な損失成分210と呼ばれる。所与の例では、第1のEM損失経路202aは、地上波伝播のための損失成分210aaを含む。第2のEM損失経路202bは、自由空間損失成分210ba、地形減衰損失成分210bb、建物損失成分210bc、及び群葉損失成分210bdを含む。第3のEM損失経路202cは対流圏散乱損失成分210caを含み、第4のEM損失経路202dは電離層損失成分210daを含む。これらの4つのEM損失経路202a~dは、一般に、EM経路予測における主要な損失を構成すると考えられるが、これらの4つの経路は、単なる例であり、決して限定するものではない。例えば、任意の数の他のEM損失経路202が、これら4つに取って代わるか又はこれら4つに加えられてもよい。例えば、大気ダクトなどの異常事象は、EM損失経路202のいずれかに確率的オーバーレイを含み得る。
図2Bは、伝播サブモデルの構成の一例に過ぎず、EM伝播評価器110は、EM損失経路202の特定の構成又は分割に特有のものではない。
【0031】
再び
図1を参照すると、幾つかの例では、初期評価器120は、複数のEM損失経路202のそれぞれに関して、最小EM損失値320,320a~n及び最大EM損失値330,330a~nを取得する。最小EM損失値320及び最大EM損失値330は共に、それぞれのEM損失経路202における潜在的なEM損失の妥当な範囲を表わす。本明細書で使用される場合、妥当な範囲がゼロでない(すなわち、最小EM損失値320が最大EM損失値330よりも小さい)とき、妥当な範囲は不定である。すなわち、範囲はわかっているが、その範囲内の特定の値はわかっていない。例えば、
図2Bの地上波EM損失経路202aは、それぞれの最小EM損失値320及びそれぞれの最大EM損失値330を含み、地上波伝播の結果としての実際のEM損失(すなわち、EM損失経路202a)は、最小EM損失値320及び最大EM損失値330によって確立される範囲内にある。幾つかの実施態様では、各損失成分210は、最小成分損失及び最大成分損失を含む。これらの実施態様では、EM損失経路202における最小EM損失値320は、最小損失成分のそれぞれの合計であり、同様に、EM損失経路202における最大EM損失値330は、最大損失成分のそれぞれの合計である。幾つかの例では、初期評価器120は、複数のEM損失経路202のそれぞれに関して、対応するEM損失経路202における最大EM損失値330が閾値損失値12を満たすかどうかを決定する。
【0032】
図3A~3Dは、x軸に沿ってEM損失をdB単位で測定するEM損失経路202a~dのプロット例300a~dを示す。プロット300a~dのそれぞれは、4つの最小EM損失値320a~d及び4つの最大EM損失値330a~dを含み、それにより、対応する各EM損失経路202a~dは、最小EM損失値320a~dのうちの対応する1つと、対応する最大EM損失値330a~dとを含む。各最小損失値320a~d及び最大損失値330a~dは、dBで測定されたEM損失の量を表わすためにx軸に沿って配置される。最小EM損失値320a~d及び最大EM損失値330a~dのそれぞれの対は、それぞれのEM損失経路202における潜在的な損失値の範囲312,312a~dを形成する。範囲312は、最小EM損失値320を超えてそれを含むとともに最大EM損失値330未満でそれを含む、想定し得る全てのEM損失値を表わす。すなわち、各EM損失経路202における最小EM損失値320及び最大EM損失値330は、EM損失経路202の実際のEM損失値340(
図3D)における潜在的なEM損失値の範囲312を提供する。この時点では、実際のEM損失値340は不定であるが、実際のEM損失値340が最小EM損失値320以上、又は最大EM損失値330以下であると想定できる。プロット300a~dには、閾値損失値12の指標も含まれる。この例では、閾値損失値12が125dBである。
【0033】
図3Aのプロット300aを参照すると、幾つかの実施態様では、初期評価器120は、各EM損失経路202(すなわち、
図3Aの各範囲312の右端)における最大EM損失値330が閾値損失値12を満たすかどうかを決定する。例えば、最大EM損失値330が閾値損失値12未満である場合、最大EM損失値330は閾値損失値12を満たす。ここで、EM損失経路202aの最大EM損失値330aは閾値損失値12未満であり、一方、最大EM損失値330b~dは閾値損失値12よりも大きい。
【0034】
幾つかの実施態様では、対応するEM損失経路202における最大EM損失値330が閾値損失値12を満たすとき、初期評価器120は、第1の地理的地点14aと第2の地理的地点14bとの間の対応するEM損失経路202における実際のEM損失値340が閾値損失値12を満たすと決定する。実際のEM損失値340は、EM伝播評価器110がより高精度のモデル又はアルゴリズム(すなわち、より多くのリソースを消費する)に基づいて決定できるEM損失値を指す。すなわち、範囲312は、特定のEM損失経路202における低分解能(及び低コスト)のEM損失結果を表わす一方、実際のEM損失値340は、同じ特定のEM損失経路202における高分解能(及び高コスト)のEM損失結果を表わす。実際のEM損失値340は範囲312よりも正確であるが、初期評価器120がそれぞれのEM損失経路202の損失が許容可能であると決定するには、より低い分解能範囲312で十分であるため、関連するリソースコストは多くの場合不必要である。この意味での低分解能が信頼できないことを意味するものではないことに留意することが重要である。逆に、最小EM損失値320及び最大EM損失値330は、正確であることが保証されている。すなわち、最小EM損失値320及び最大EM損失値330を導出する測定、モデル、及び/又はアルゴリズムは、EM環境を解析する目的で信頼され且つ/又は受け入れられる忠実度を有する。代わりに、低分解能解析は、より正確な高分解能(すなわち、精緻化された)解析と比較して、速度及びコストの節約のために精度を犠牲にする。言い換えると、低分解能解析によって提供される妥当な範囲312は、高分解能解析と同じ信頼度を提供するが、単に潜在的な値の範囲が広いだけである。
【0035】
最大EM損失値330が閾値損失値12未満であるときに最大EM損失値330が閾値損失値12を満たすシナリオにおいて、
図3Aは、最大EM損失値330aが閾値損失値12を満たすが、最大EM損失値330b~dが閾値損失値を満たさない例を与える。すなわち、EM損失経路202aにおける実際のEM損失値340が決定されていないにもかかわらず、範囲312a全体が閾値損失値12未満であるため、初期評価器120は、EM損失経路202aにおけるEM損失が許容可能であると安全に結論付けることができる。この結果に基づいて、EM伝播評価器110は、更に詳細な(そしてよりコストのかかる)解析を行なう必要なく、関連する地理的地点におけるEM伝播解析を結論付けることができる。
【0036】
ここで、
図3Bのプロット300bを参照すると、幾つかの実施態様では、初期評価器120は、第1の地理的地点14aと第2の地理的地点14bとの間のそれぞれの対応するEM損失経路202における最小EM損失値320が閾値損失値12を満たさないかどうかを決定する。最小EM損失値320が閾値損失値12よりも大きい場合、最小EM損失値320は閾値損失値12を満たさない場合がある。任意選択的に、初期評価器120は、第1の地理的地点14aと第2の地理的地点14bとの間のそれぞれの対応するEM損失経路202に関して取得された最大EM損失値330が閾値損失値12を満たさないときにこの決定を行なう。
【0037】
それぞれの対応するEM損失経路202に関して取得された最小EM損失値320が閾値損失値12を満たさない場合、初期評価器120は、第1の地理的地点14aと第2の地理的地点14bとの間の複数のEM損失経路202のそれぞれが閾値損失値12を満たさない実際のEM損失値340を含むと決定し得る。すなわち、最小EM損失値320の全てが閾値損失値12を超える場合、初期評価器120は、EM損失経路202の全てが許容できない減衰をもたらし、これらのEM損失経路202の更なる解析が必要ないと結論付けることができる。
【0038】
プロット300bの所与の例では、最小EM損失値320a~dは全て、閾値損失値12を超える(すなわち、より大きい)。すなわち、最小損失値320a~dは全て125dBよりも大きい。この特定の例では、初期評価器120は、EM損失経路202のそれぞれの実際のEM損失値340が閾値損失値12を超えると決定することができる。他の例として、
図3Aは、閾値損失値12を超える単一の最小EM損失値320cのみを示す。すなわち、
図3Aの例では、初期評価器120は、EM損失経路202cのみが閾値損失値12を満たさないと決定することができる。
【0039】
再び
図1を参照すると、幾つかの実施態様では、EM伝播評価器110は精緻化インベスタ130を含む。精緻化インベスタ130は、特定のシナリオの下で、更なるリソース(例えば、計算リソース、帯域幅リソース、時間など)を精緻化する1つ以上のEM損失経路202(すなわち、1つ以上の損失成分210)に投資する。例えば、全てのEM損失経路202が閾値損失値12を満たすか又は満たさないかを初期評価器120が明確に(すなわち、低分解能の最小EM損失値320及び最大EM損失値330に基づいて)決定できない場合、精緻化インベスタ130は、1つ以上の損失成分210における最小EM損失値320及び/又は最大EM損失値330を精緻化して、EM損失経路202の範囲312を縮小し、それによって解析の分解能を高めることができる。精緻化インベスタ130は、各損失成分210の最小EM損失値320及び/又は最大EM損失値330の精緻化のための精緻化コスト30に基づいて精緻化の順序を決定することができる。すなわち、精緻化インベスタ130は、精緻化にかかるコストに基づいて精緻化を行なうことができる。例えば、精緻化インベスタ130は、より高い精緻化コスト30を伴う損失成分210を選択する前に、最も低い精緻化コスト30を伴う損失成分210を選択することができる。言い換えれば、精緻化コスト30は、1つ以上のEM損失経路202を精緻化するプロセスの優先順位付けの態様を可能にする。
【0040】
幾つかの例では、各損失成分210は、少なくとも1つの精緻化コスト30と関連付けられる。任意選択的に、1つ以上の損失成分210(例えば、地形減衰損失成分210bb)は、複数の精緻化方法のコストを規定するために複数の精緻化コスト30を有する。任意選択的に、複数のモデルが植生や構造物による減衰損失などの単一の物理現象を提供する場合がある。例えば、第1のモデルは植生による減衰を決定し、並行モデルは建物による減衰を決定し、各モデルは異なる精緻化コスト30を有する場合がある。各精緻化コスト30は、精緻化インベスタ130が精緻化のために対応する損失成分210に投資しなければならないリソースの量を特徴付ける。リソースとしては、計算リソース、帯域幅リソース、時間リソースなどを挙げることができる。例えば、一般的なアルゴリズムを使用する自由空間損失は、低い精緻化コスト30を有し、一方、地形損失の計算には、中程度の精緻化コスト30で広範な地形データをインポートする必要がある場合がある。別の例として、都市減衰の計算は非常に高い精緻化コスト30を有する。ゼロの精緻化コスト30は、それ以上の精緻化が不可能であることを示し得る。
【0041】
精緻化コスト30は、単一のスカラー又は異なるリソースにおけるコストのベクトルであってもよい。各精緻化コスト30は重み付けされてもよい。精緻化コスト30は、対応する精緻化によって達成された精緻化の量に関する指示を含むこともできる。すなわち、精緻化コスト30は、精緻化に基づいて対応する範囲312が減少する量を反映する態様を含んでもよい。例えば、最小EM損失値320と最大EM損失値330との間の範囲312を同じ値に縮小すること(すなわち、最小EM損失値320と最大EM損失値330とが同じ値であること)は、最大量の精緻化であり、一方、最大EM損失値330が最小EM損失値320よりも依然として大きい任意の精緻化は、より低い精緻化である。
【0042】
精緻化インベスタ130は、精緻化コスト30と、精緻化を実行するために必要な更なる任意のEM障害データ20bを受ける。例えば、精緻化は、精緻化を実行するための更なる地理空間データ(例えば、地形データ又は非地形データ)を必要とする場合がある。精緻化インベスタ130は、EM伝播要求10に適切に応答するためにEM損失経路202の更なる精緻化が必要であることを示す精緻化インジケータ122を初期評価器120から受信することができる。
【0043】
ここで、
図3Cのプロット300cを参照すると、幾つかの実施態様では、第1の地理的地点14aと第2の地理的地点14bとの間の1つ以上の対応するEM損失経路202のそれぞれに関して、及び閾値損失値12を満たす最小EM損失値320を含む各EM損失経路202に関して取得された最小EM損失値320が閾値損失値12を満たすとき、精緻化インベスタ130は、対応するEM損失経路202の最小EM損失値320及び/又は最大EM損失値330を精緻化するために必要なリソースの量を表わす精緻化コスト30を取得する。それぞれのEM損失経路202(例えば、EM損失経路202の各損失成分210)に関する精緻化コスト30に基づいて、精緻化インベスタ130は、対応するEM損失経路202のうちの1つを選択する。
【0044】
図3Cにおいて、プロット300cのEM損失経路202b,202dは、閾値損失値12を超える最小EM損失値320b,320dを有し、したがって、更なる精緻化では実際のEM損失値340が閾値損失値12よりも小さいか又は大きいかが明確にならないため、精緻化の候補ではない。むしろ、実際のEM損失値340は閾値損失値12よりも大きいに違いないので、これ以上の精緻化は無駄な労力となる。しかしながら、両方のEM損失経路202a,202cは、閾値損失値12を「またいで」おり、したがって精緻化の候補である。すなわち、EM損失経路202a及びEM損失経路202cの両方について、最小EM損失値320a,320cは閾値損失値12よりも小さいが、最大EM損失値330a,330cは閾値損失値12よりも大きい。したがって、実際のEM損失値340が閾値損失値12より大きいか又は小さいかは不明であり、対応する範囲312a,312cの精緻化が結果を明確にし得る。
【0045】
ここで、
図3Cの例の続きである
図3Dのプロット300dを参照すると、精緻化インベスタ130は、精緻化のためにEM損失経路202cを選択する。例えば、EM損失経路202cは、EM損失経路202aよりも低い精緻化コスト30と関連付けられ、したがって、精緻化インベスタ130が精緻化するコストが低くなる。精緻化インベスタ130は、選択されたEM損失経路202の対応する最小EM損失値320及び/又は最大EM損失値330を精緻化できる。
【0046】
幾つかの実施態様では、精緻化インベスタ130は、非常に低い精緻化コスト30のEM損失経路202及び/又は損失成分210を直接に精緻化することができる。例えば、自由空間損失は、直接計算するために最小のリソースを必要とする閉形式の方程式である。この場合、初期評価器120又は精緻化インベスタ130は、自由空間損失を直接決定することができ、最小EM損失値320及び最大EM損失値330は、同じ値に設定されるとともに、ゼロのコストと関連付けられる。これは、これ以上の精緻化が不可能であることを示す。
【0047】
ここで、プロット300dは、実際のEM損失値340へのEM損失経路202cの精緻化を示す。すなわち、この例では、精緻化インベスタ130は、最小EM損失値320cと最大EM損失値330cとが同じ値となり、したがって範囲312cが実際のEM経路損失値340の単一点となるように、EM損失経路202cの完全な精緻化を実行した。他の例において、精緻化は、代わりに、EM経路損失202を部分的にのみ精緻化し、関連する範囲312を部分的にのみ縮小してもよい。
【0048】
幾つかの例では、精緻化インベスタ130は、精緻化された最大EM損失値(ここでは、実際のEM損失値340)が閾値損失値12を満たすかどうかを決定する。精緻化された最大EM損失値が閾値損失値12を満たす場合、幾つかの実施態様では、精緻化インベスタ130は、第1の地理的地点14aと第2の地理的地点14bとの間の1つ以上の対応するEM損失経路202のうちの選択された1つにおける実際のEM損失値340が閾値損失値12を満たすと決定する。再び
図3Dの具体例を参照すると、EM損失経路202cの実際のEM損失値340は、閾値損失値12未満であるため、精緻化インベスタ130は、更なる精緻化を必要とせずに解析が完了したと結論付けることができる。EM損失経路202cの精緻化により最大EM損失値330cが閾値損失値12を満たす結果にならなかったシナリオでは、精緻化インベスタ130は、更なる精緻化のために、同じEM損失経路202又は異なるEM損失経路202のいずれかを選択することができる。精緻化インベスタ130は、EM伝播要求10に最終的に応答できるようになるまで、EM損失経路202の精緻化を続けてもよい。
【0049】
このように、EM伝播評価器110は、最初に、初期評価器120と初期の最小EM損失値320及び最大EM損失値330とだけを使用して、EM伝播要求10に対する応答を決定しようと試みる。これが失敗した場合、精緻化インベスタ130は、EM伝播要求10に明確に答えることができるまでEM損失経路202をインテリジェントに精緻化し、したがって必要な精緻化量を最小限に抑え、コストを削減する。
【0050】
再び
図1を参照すると、EM伝播評価器110がEM伝播要求10に最終的に応答できるとき、初期評価器120又は精緻化インベスタ130のいずれも、要求応答150を要求者(例えば、処理システム140の別のコンポーネント、第三者デバイスなど)に送信する。初期評価器120が要求10に対する応答を決定できる場合、初期評価器120は要求応答150を送信する。これは、例えば、1つ以上のEM損失経路202における最大EM損失値330のうちの1つ以上が閾値損失値12よりも小さい又はEM損失経路202のそれぞれにおける最小EM損失値320のそれぞれが閾値損失値12よりも大きいと初期評価器120が決定するときに行なわれる。或いは、初期評価器120が結果を最終的に決定できない場合、精緻化インベスタ130は、1つ以上のEM損失経路202を精緻化した後、要求応答150を送信する。幾つかの実施態様では、処理システム140(又は処理システム140と通信する任意の他のデバイス)は、要求応答150を使用して、無線ネットワークカバレージを計画する且つ/又は無線スペクトル使用量の動的競合解消を実行する。処理システム140は、そのような解析を定期的に(例えば、1時間に1回、1日1回、1週間に1回など)実行することができる。
【0051】
幾つかの例では、最小EM損失値320及び最大EM損失値330のそれぞれは、初期コストと関連付けられる。初期コストは、(例えば、初期EM障害データ20aから)最小EM損失値320及び最大EM損失値330を取得するために必要なリソースの量を表わす。任意選択的に、最小EM損失値320及び最大EM損失値330に関連する初期コストは、関連する精緻化コスト30よりも低い。すなわち、一般的に言えば、最小EM損失値320と最大EM損失値330との間の範囲312によって表わされる低分解能の結果を取得するために必要なリソースは、高分解能の精緻化された結果を取得するために必要なリソースよりも少ない。このコストの差(すなわち、初期コストと精緻化コスト30の間)は、EM伝播評価器110の潜在的なリソースの節約をもたらす。
【0052】
幾つかの例では、初期評価器120は、既に決定された実際のEM損失値340と関連付けられるデータ(すなわち、初期EM障害データ20a)から最小EM損失値320及び/又は最大EM損失値330を取得する。例えば、精緻化インベスタ130がEM損失経路202を精緻化すると、EM伝播評価器110はその結果を記憶することができる。後続の要求10を受信した後、初期評価器120は、記憶された結果を補間又は統計的に抽出して、記憶された結果に基づいて最小EM損失値320及び最大EM損失値330を迅速に取得することができる。これに加えて又は代えて、初期評価器120は、測定データの解析若しくは補間、又はより単純なモデル若しくはアルゴリズム(すなわち、より単純であり、したがって、精緻化インベスタ130によって使用されるモデル又はアルゴリズムよりも安価である)から、最小EM損失値320及び最大EM損失値330を取得することができる。幾つかの実施態様では、初期評価器120は、既に計算されたデータから最小EM損失値320及び/又は最大EM損失値330を取得する。例えば、初期評価器120は、要求10に先立って又は要求10に応答して、既に計算された値を取得する。
【0053】
したがって、EM伝播評価器110は、損失の直接的な推定値を与えるのではなく、式(1)及び(2)で表わされる不等式に対する答えを与える要求応答150を提供する。EM伝播評価器110は、必要な場合にのみ精度を高めるために、様々な精緻化の可能性を優先する。これにより、EM伝播評価器110は、EM伝播解析に戦略的に取り組み、可能な限り低いリソースコストで反証可能な式を反証するための低リソース消費オプションを選択し、明確な決定がなされるとすぐに解析又は検討を終了することが可能になる。
【0054】
幾つかの実施態様では、要求応答150は、EM伝播要求10に対して肯定応答又は否定応答(すなわち、「はい」はEM経路損失が閾値損失値12よりも大きい、又は「いいえ」はEM経路損失が閾値損失値12を超えない)を返す代わりに、要求応答は、信頼区間を与えるべく範囲312を返す。このシナリオでは、フォローアップ要求により、信頼区間の精緻化が要求される(つまり、解析に更なるリソースを投資することにより)。
【0055】
図4は、電磁伝播における不等式を迅速に評価する方法400の処理の例示的な構成のフローチャートである。方法400は、処理402において、第1の地理的地点14aと第2の地理的地点14bとの間の最大電磁(EM)経路損失を確立する閾値損失値12を取得することを含む。第1の地理的地点14aと第2の地理的地点14bとの間の複数のEM損失経路202のそれぞれに関して、方法400は、処理404において、対応するEM損失経路202における最小EM損失値320と対応するEM損失経路202における最大EM損失値330とを取得することを含む。処理406で、方法400は、対応するEM損失経路202における最大EM損失値330が閾値損失値12を満たすかどうかを決定することを含む。方法400は、処理408で、対応するEM損失経路202における最大EM損失値330が閾値損失値12を満たすときに、第1の地理的地点14aと第2の地理的地点14bとの間の対応するEM損失経路202における実際のEM損失値340が閾値損失値12を満たすと決定することを含む。
【0056】
図5は、この文書で説明されるシステム及び方法を実装するために使用され得る例示的なコンピューティングデバイス500の概略図である。コンピューティングデバイス500は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、携帯情報端末、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、及び他の適切なコンピュータなど、様々な形式のデジタルコンピュータを表わすことを意図している。ここに示される構成要素、それらの接続及び関係、並びにそれらの機能は、例示のみを目的としており、この文書で説明及び/又は請求される発明の実装を限定することを意図するものではない。
【0057】
コンピューティングデバイス500は、プロセッサ510、メモリ520、記憶装置530、メモリ520及び高速拡張ポート550に接続する高速インタフェース/コントローラ540、並びに低速バス570及び記憶装置530に接続する低速インタフェース/コントローラ560を含む。構成要素510、520、530、540、550、及び560のそれぞれは、様々なバスを使用して相互接続され、共通のマザーボード上に又は必要に応じて他の態様で搭載され得る。プロセッサ510は、高速インタフェース540に結合されるディスプレイ580などの外部入力/出力デバイス上のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)用のグラフィック情報を表示するためにメモリ520又は記憶装置530に記憶された命令を含む、コンピューティングデバイス500内で実行するための命令を処理することができる。他の実施態様では、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスが、複数のメモリ及びメモリのタイプとともに、必要に応じて使用され得る。また、複数のコンピューティングデバイス500が接続されてもよく、この場合、各デバイスは必要な動作の一部を提供する(例えば、サーババンク、ブレードサーバのグループ、又はマルチプロセッサシステムとして)。
【0058】
メモリ520は、コンピューティングデバイス500内に情報を非一時的に記憶する。メモリ520は、コンピュータ可読媒体、揮発性メモリユニット、又は不揮発性メモリユニットであってもよい。非一時的メモリ520は、コンピューティングデバイス500によって使用されるプログラム(例えば、一連の命令)又はデータ(例えば、プログラム状態情報)を一時的又は永続的に記憶するために使用される物理デバイスであってもよい。不揮発性メモリの例としては、フラッシュメモリ及びリードオンリーメモリ(ROM)/プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)/消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)/電子的消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)(一般にブートプログラムなどのファームウェアに使用される)が挙げられるが、これらに限定されない。揮発性メモリの例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、相変化メモリ(PCM)、及びディスク又はテープが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
記憶装置530は、コンピューティングデバイス500に大容量ストレージを与えることができる。幾つかの実施態様では、記憶装置530がコンピュータ可読媒体である。様々な異なる実施態様において、記憶装置530は、フロッピー(登録商標)ディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、又はテープデバイス、フラッシュメモリ若しくは他の同様のソリッドステートメモリデバイス、又はストレージエリアネットワーク若しくはその他の構成のデバイスを含むデバイスのアレイであってもよい。更なる実施態様では、コンピュータプログラムプロダクトが情報担体に具体的に組み込まれる。コンピュータプログラムプロダクトには、実行時に上記のような1つ以上の方法を実行する命令が含まれる。情報担体は、メモリ520、記憶装置530、又はプロセッサ510上のメモリなどのコンピュータ又は機械可読媒体である。
【0060】
高速コントローラ540は、コンピューティングデバイス500の帯域幅を大量に消費する動作を管理し、一方、低速コントローラ560は、帯域幅をあまり消費しない動作を管理する。そのような責務の割り当ては単なる例である。幾つかの実施態様では、高速コントローラ540は、(例えば、グラフィックプロセッサ又はアクセラレータを介して)メモリ520、ディスプレイ580に結合され、及び様々な拡張カード(図示せず)を受け入れることができる高速拡張ポート550に結合される。幾つかの実施態様では、低速コントローラ560は、記憶装置530及び低速拡張ポート590に結合される。様々な通信ポート(例えば、USB、Bluetooth(登録商標)、イーサネット(登録商標)、無線イーサネットなど)を含み得る低速拡張ポート590は、キーボード、ポインティングデバイス、スキャナなどの1つ以上の入力/出力デバイス、又は、例えばネットワークアダプタを介して、スイッチ若しくはルータなどのネットワーキングデバイスに結合され得る。
【0061】
コンピューティングデバイス500は、図に示すように、多くの異なる形式で実装することができる。例えば、コンピューティングデバイスは、標準サーバ500aとして又はそのようなサーバ500aのグループ内で複数回、ラップトップコンピュータ500bとして、又はラックサーバシステム500cの一部として実装され得る。
【0062】
本明細書に記載されるシステム及び技術の様々な実装は、デジタル電子回路及び/若しくは光回路、集積回路、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、並びに/又はそれらの組み合わせにおいて実現することができる。これらの様々な実装には、記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスからデータ及び命令を受信し、且つ記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスにデータ及び命令を送信するように結合された、専用又は汎用の少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能及び/又は解釈可能な1つ以上のコンピュータプログラムでの実装が含まれ得る。
【0063】
ソフトウェアアプリケーション(すなわち、ソフトウェアリソース)は、コンピューティングデバイスにタスクを実行させるコンピュータソフトウェアを指し得る。幾つかの例では、ソフトウェアアプリケーションは、「アプリケーション」、「アプリ」、又は「プログラム」と呼ばれる場合がある。アプリケーションの例としては、システム診断アプリケーション、システム管理アプリケーション、システムメンテナンスアプリケーション、ワードプロセッシングアプリケーション、スプレッドシートアプリケーション、メッセージングアプリケーション、メディアストリーミングアプリケーション、ソーシャルネットワーキングアプリケーション、及びゲームアプリケーションが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても知られる)は、プログラマブルプロセッサ用の機械命令を含み、高レベルの手続き型及び/若しくはオブジェクト指向プログラミング言語で、並びに/又はアセンブリ/機械言語で実装され得る。本明細書で使用される場合、「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械命令を機械可読信号として受信する機械可読媒体を含めて、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用される任意のコンピュータプログラムプロダクト、非一時的なコンピュータ可読媒体、装置及び/又はデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラム可能論理デバイス(PLD))を指す。「機械可読信号」という用語は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用される任意の信号を指す。
【0065】
この明細書で説明されるプロセス及び論理フローは、入力データを操作して出力を生成することによって機能を果たす1つ以上のコンピュータプログラムを実行する、データ処理ハードウェアとも呼ばれる1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行することができる。プロセス及び論理フローは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)などの専用論理回路によって実行することもできる。コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサとしては、例として、汎用マイクロプロセッサと専用マイクロプロセッサの両方、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサが挙げられる。一般に、プロセッサは、リードオンリーメモリ、若しくはランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するプロセッサ、及び命令とデータとを記憶する1つ以上のメモリデバイスである。一般に、コンピュータは、データを記憶するための1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気、光磁気ディスク、若しくは光ディスクも含むか、或いはそれらからデータを受信する又はそれらにデータを転送するために動作可能に結合される。しかしながら、コンピュータがそのようなデバイスを有する必要はない。コンピュータプログラム命令及びデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体としては、一例として半導体メモリデバイス、例えばEPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、例えば内蔵ハードディスク又はリムーバブルディスク、光磁気ディスク、並びにCD ROM及びDVD-ROMディスクを含めて、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体及びメモリデバイスが挙げられる。プロセッサ及びメモリは、特殊目的の論理回路によって補完され、又は特殊目的の論理回路に組み込まれ得る。
【0066】
ユーザとの対話をもたらすために、本開示の1つ以上の態様は、ユーザに情報を表示するための表示デバイス、例えば、CRT(陰極線管)、LCD(液晶ディスプレイ)モニタ、又はタッチスクリーンなどを有し、および任意選択的に、ユーザがコンピュータに入力を行なうことができるようにするキーボード及びポインティングデバイス、例えばマウス又はトラックボールを有するコンピュータ上で実施され得る。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの対話をもたらすこともでき、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形式の感覚的フィードバック、例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、又は触覚的フィードバックであってもよく、また、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力など、あらゆる形式で受けることができる。更に、コンピュータは、ユーザが使用するデバイスとの間でドキュメントを送受信することにより、例えば、ウェブブラウザから受信した要求に応じて、ユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザにウェブページを送信することによって、ユーザと対話できる。
【0067】
多くの実施態様について説明してきた。それにも関わらず、本開示の思想及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を行なうことができることが理解される。したがって、他の実施態様も以下の特許請求の範囲内である。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実行される方法(400)であって、
データ処理ハードウェア(144)によって実行されると、
第1の地理的地点(14a)と第2の地理的地点(14b)との間の最大電磁(EM)経路損失を確立する閾値損失値(12)を取得することと、
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、
対応するEM経路(202)における最小EM損失値(320)及び対応する前記EM経路(202)における最大EM損失値(330)を取得することと、
前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たすかどうかを決定することと、
前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たすときに、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記対応するEM経路(202)における実際のEM経路損失値(340)が前記閾値損失値(12)を満たすと決定することとを含む処理を、前記データ処理ハードウェア(144)に実行させる、方法(400)。
【請求項2】
前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)は、
前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)よりも小さいときに前記閾値損失値(12)を満たし、
前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)以上であるときに前記閾値損失値(12)を満たさない、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項3】
前記処理は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のそれぞれの対応するEM経路(202)に関して取得された前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たさないときに、
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のそれぞれの対応するEM経路(202)に関して取得された前記最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たさないかどうかを決定することと、
それぞれの対応するEM経路(202)に関して取得された前記最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たさないときに、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のそれぞれが前記閾値損失値(12)を満たさない対応する実際のEM経路損失値(340)を含むと決定することとを更に含む、請求項1又は2に記載の方法(400)。
【請求項4】
前記処理は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のうちの1つ以上の対応するEM経路(202)のそれぞれに関して取得された前記最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たすときに、
前記閾値損失値(12)を満たす前記最小EM損失値(320)を含む1つ以上の対応するEM経路(202)のそれぞれに関して、前記対応するEM損失経路(202)に関連する精緻化コスト(30)を取得することを含み、前記精緻化コスト(30)は、前記対応するEM経路(202)の前記最小EM損失値(320)及び最大EM損失値(330)を精緻化するために必要なリソースの量を表わし、
取得された精緻化コスト(30)に基づいて前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの1つを選択することと、
前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの選択された1つに関して取得された前記最小EM損失値(320)と、前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの前記選択された1つに関して取得された前記最大EM損失値(330)とを精緻化することと、
前記精緻化された最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たすかどうかを決定することと、
前記精緻化された最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たすときに、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記1つ以上の対応するEM経路(202)の前記選択された1つに関する前記実際のEM経路損失
値(340)が前記閾値損失値(12)を満たすと決定することと、
を更に含む、請求項3に記載の方法(400)。
【請求項5】
前記処理は、前記精緻化された最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たさないときに、前記取得された精緻化コスト(30)に基づいて前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの異なる1つを選択することを更に含む、請求項4に記載の方法(400)。
【請求項6】
前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの1つを選択することは、最低の精緻化コスト(30)に関連する前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの1つを選択することを含む、請求項4又は5に記載の方法(400)。
【請求項7】
前記複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、前記対応する最小EM損失値(320)及び前記対応する最大EM損失値(330)は、前記最小EM損失値(320)及び前記最大EM損失値(330)を取得するために必要なリソースの量を表わす初期コスト(30)と関連付けられる、請求項4から6のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項8】
前記複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、前記初期コスト(30)は前記精緻化コスト(30)よりも低い、請求項7に記載の方法(400)。
【請求項9】
前記複数のEM経路(202)のそれぞれは1つ以上の損失成分(210)を含み、
前記複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、
前記最小EM損失値(320)は、前記対応するEM経路(202)の前記1つ以上の損失成分(210)のそれぞれの最小値の合計を含み、
前記最大EM損失値(330)は、前記対応するEM経路(202)の前記1つ以上の損失成分(210)のそれぞれの最大値の合計を含む、請求項1から8のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項10】
前記複数のEM経路(202)のうちの1つ以上に関して、前記対応するEM経路(202)における前記最小EM損失値(320)及び前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)は、既に決定された実際のEM経路損失値(340)と関連付けられるデータを含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項11】
前記閾値損失値(12)を取得することは、前記閾値損失値(12)を含む要求(10)を受信することを含み、前記要求(10)は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の実際のEM経路損失が前記閾値損失値(12)を超えるかどうかの決定を要求する、請求項1から10のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項12】
前記閾値損失値(12)を取得することは、前記閾値損失値(12)を含む要求(10)を受信することを含み、前記要求(10)は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の実際のEM経路損失が前記閾値損失値(12)よりも小さいかどうかの決定を要求する、請求項1から10のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項13】
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記対応するEM経路(202)における前記実際のEM経路損失値(340)が前記閾値損失値(12)を満たすかどうかの決定に応じて、無線ネットワークカバレッジを計画することを更に含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項14】
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記対応するEM経路(202)における前記実際のEM経路損失値(340)が前記閾値損失値(12)を満たすかどうかの決定に応じて、無線スペクトル使用量の動的競合解消を実行することを更に含む、請求項1から13のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項15】
データ処理ハードウェア(144)と、
前記データ処理ハードウェア(144)と通信するメモリハードウェア(142)とを備え、前記メモリハードウェア(142)は、前記データ処理ハードウェア(144)で実行されると、前記データ処理ハードウェア(144)に処理を実行させる命令を記憶し、
前記処理は、
第1の地理的地点(14a)と第2の地理的地点(14b)との間の最大電磁(EM)経路損失を確立する閾値損失値(12)を取得することと、
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、
対応するEM経路(202)における最小EM損失値(320)及び対応する前記EM経路(202)における最大EM損失値(330)を取得することと、
前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たすかどうかを決定することと、
前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たすときに、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記対応するEM経路(202)における実際のEM経路損失値(340)が前記閾値損失値(12)を満たすと決定することとを含む、システム(100)。
【請求項16】
前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)は、
前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)よりも小さいときに前記閾値損失値(12)を満たし、
前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)以上であるときに前記閾値損失値(12)を満たさない、請求項15に記載のシステム(100)。
【請求項17】
前記処理は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のそれぞれの対応するEM経路(202)に関して取得された前記最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たさないときに、
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のそれぞれの対応するEM経路(202)に関して取得された前記最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たさないかどうかを決定することと、
それぞれの対応するEM経路(202)に関して取得された前記最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たさないときに、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のそれぞれが前記閾値損失値(12)を満たさない対応する実際のEM経路損失値(340)を含むと決定することとを更に含む、請求項15又は16に記載のシステム(100)。
【請求項18】
前記処理は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記複数のEM経路(202)のうちの1つ以上の対応するEM経路(202)のそれぞれに関して取得された前記最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たすときに、
前記閾値損失値(12)を満たす前記最小EM損失値(320)を含む1つ以上の対応するEM経路(202)のそれぞれに関して、前記対応するEM損失経路(202)に関連する精緻化コスト(30)を取得することを含み、前記精緻化コスト(30)は、前記対応するEM経路(202)の前記最小EM損失値(320)及び最大EM損失値(330)を精緻化するために必要なリソースの量を表わし、
取得された精緻化コスト(30)に基づいて前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの1つを選択することと、
前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうち
の選択された1つに関して取得された前記最小EM損失値(320)と、前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの前記選択された1つに関して取得された前記最大EM損失値(
330)とを精緻化することと、
前記精緻化された最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(
12)を満たすかどうかを決定することと、
前記精緻化された最大EM損失値(330)が前記閾値損失値(12)を満たすときに、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記1つ以上の対応するEM経路(202)の前記選択された1つに関する前記実際のEM経路損失
値(340)が前記閾値損失値(12)を満たすと決定することと、
を更に含む、請求項17に記載のシステム(100)。
【請求項19】
前記処理は、前記精緻化された最小EM損失値(320)が前記閾値損失値(12)を満たさないときに、前記取得された精緻化コスト(30)に基づいて前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの異なる1つを選択することを更に含む、請求項18に記載のシステム(100)。
【請求項20】
前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの1つを選択することは、最低の精緻化コスト(30)に関連する前記1つ以上の対応するEM経路(202)のうちの1つを選択することを含む、請求項18又は19に記載のシステム(100)。
【請求項21】
前記複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、前記対応する最小EM損失値(320)及び前記対応する最大EM損失値(330)は、前記最小EM損失値(320)及び前記最大EM損失値(330)を取得するために必要なリソースの量を表わす初期コスト(30)と関連付けられる、請求項18から20のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項22】
前記複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、前記初期コスト(30)は前記精緻化コスト(30)よりも低い、請求項21に記載のシステム(100)。
【請求項23】
前記複数のEM経路(202)のそれぞれは1つ以上の損失成分(210)を含み、
前記複数のEM経路(202)のそれぞれに関して、
前記最小EM損失値(320)は、前記対応するEM経路(202)の前記1つ以上の損失成分(210)のそれぞれの最小値の合計を含み、
前記最大EM損失値(330)は、前記対応するEM経路(202)の前記1つ以上の損失成分(210)のそれぞれの最大値の合計を含む、請求項15から22のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項24】
前記複数のEM経路(202)のうちの1つ以上に関して、前記対応するEM経路(202)における前記最小EM損失値(320)及び前記対応するEM経路(202)における前記最大EM損失値(330)は、既に決定された実際のEM経路損失値(340)と関連付けられるデータを含む、請求項15から23のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項25】
前記閾値損失値(12)を取得することは、前記閾値損失値(12)を含む要求(10)を受信することを含み、前記要求(10)は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の実際のEM経路損失が前記閾値損失値(12)を超えるかどうかの決定を要求する、請求項15から24のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項26】
前記閾値損失値(12)を取得することは、前記閾値損失値(12)を含む要求(10)を受信することを含み、前記要求(10)は、前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の実際のEM経路損失が前記閾値損失値(12)よりも小さいかどうかの決定を要求する、請求項15から24のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項27】
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記対応するEM経路(202)における前記実際のEM経路損失値(340)が前記閾値損失値(12)を満たすかどうかの決定に応じて、無線ネットワークカバレッジを計画することを更に含む、請求項15から26のいずれかに記載のシステム(100)。
【請求項28】
前記第1の地理的地点(14a)と前記第2の地理的地点(14b)との間の前記対応するEM経路(202)における前記実際のEM経路損失値が前記閾値損失値(12)を満たすかどうかの決定に応じて、無線スペクトル使用量の動的競合解消を実行することを更に含む、請求項15から27のいずれかに記載のシステム(100)。
【国際調査報告】