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特表2024-505583RTEL1発現を阻害するための増強されたオリゴヌクレオチド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】RTEL1発現を阻害するための増強されたオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20240130BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 47/56 20170101ALI20240130BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/7125
A61P31/20
A61K47/56
A61K48/00
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547105
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(85)【翻訳文提出日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2022052417
(87)【国際公開番号】W WO2022167456
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】21154701.3
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21207002.3
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】フンダー,イーレク
(72)【発明者】
【氏名】フルシュカ,ナターシャ
(72)【発明者】
【氏名】カムラー,ズザンネ
(72)【発明者】
【氏名】コーラー,エーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】レナード,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ルアンサイ,スーファローネ
(72)【発明者】
【氏名】モール,ズザンネ
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】オトスン,セーアン
(72)【発明者】
【氏名】ピーダスン,ルゲ
(72)【発明者】
【氏名】ラスムッセン,セーアン・ヴェ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,シュテッフェン
(72)【発明者】
【氏名】ゼビング,ザビーネ
(72)【発明者】
【氏名】ターリー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】バルター,ヨハンナ・マリエ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076CC35
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB33
4C084ZC41
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB33
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、テロメア伸長ヘリカーゼ1の制御因子(RTEL1)の発現の調節又はRTEL1活性の調節をもたらす、RTEL1を標的とする増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。本発明は、特に、B型肝炎ウイルス(HBV)感染症、特に慢性HBV感染症の処置及び/又は予防に使用するための、RTEL1を標的とする増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用に関する。本発明は、特に、HBV cccDNA等のcccDNAを不安定化するためのRTEL1を標的とする増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用に関する。また、本発明には、医薬組成物、並びにHBV感染症の処置及び/又は予防におけるその使用も含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンチセンスオリゴヌクレオチドであって、
TTacatactctggtCAAA(配列番号5)、
AATTttacatactctgGT(配列番号3)、
AAttttacatactctGGTC(配列番号4)、及び
CTttattataactTgaAtCTC(配列番号6)
からなるアンチセンスオリゴヌクレオチドの群から選択され、
大文字はベータ-D-オキシLNAヌクレオシドであり、小文字はDNAヌクレオシドであり、全てのLNA Cは5-メチルシトシンであり、全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドと、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを含む、コンジュゲート。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコンジュゲート部分が、アシアロ糖タンパク質受容体に結合することができる、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
前記コンジュゲート部分が、図5の三価GalNAc部分のうち1つから選択される、請求項2又は3に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
前記コンジュゲート部分が、図5Dの三価GalNAc部分、例えば図5D-1若しくは図5D-2の三価GalNAc部分、又は両方の混合物である、請求項4に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドと前記コンジュゲート部分との間に位置するリンカーを含む、請求項2~5のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
前記リンカーが、2~5個の連続するホスホジエステル結合ヌクレオシドを含むか、又はそれからなる、請求項6に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
図1図2図3及び図4に示されるコンジュゲートからなる群から選択されるコンジュゲート。
【請求項9】
請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項2~8のいずれか一項に記載のコンジュゲートの薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、請求項2~8のいずれか一項に記載のコンジュゲート、又は請求項9に記載の薬学的に許容され得る塩と、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩及び/又はアジュバントとを含む、医薬組成物。
【請求項11】
RTEL1を発現している標的細胞におけるRTEL1発現を調節するためのin vivo又はin vitroでの方法であって、前記方法が、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、請求項2~8のいずれか一項に記載のコンジュゲート、請求項9に記載の薬学的に許容され得る塩、又は請求項10に記載の医薬組成物を有効量で前記細胞に投与することを含む、方法。
【請求項12】
疾患を処置又は予防するための方法であって、前記疾患に罹患しているか、又は罹患しやすい対象に、治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、請求項2~8のいずれか一項に記載のコンジュゲート、請求項9に記載の薬学的に許容され得る塩、又は請求項10に記載の医薬組成物を投与することを含み、前記疾患が、B型肝炎ウイルス(HBV)感染症、例えば慢性HBV感染症である、方法。
【請求項13】
薬に使用するための、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、請求項2~8のいずれか一項に記載のコンジュゲート、請求項9に記載の薬学的に許容され得る塩、又は請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
B型肝炎ウイルス(HBV)感染症、例えば慢性HBV感染症の処置又は予防に使用するための、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、請求項2~8のいずれか一項に記載のコンジュゲート、請求項9に記載の薬学的に許容され得る塩、又は請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項15】
B型肝炎ウイルス(HBV)感染症、例えば慢性HBV感染症を処置又は予防するための医薬の調製のための、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、請求項2~8のいずれか一項に記載のコンジュゲート、請求項9に記載の薬学的に許容され得る塩、又は請求項10に記載の医薬組成物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テロメア伸長ヘリカーゼ1の制御因子(RTEL1)の発現の調節又はRTEL1活性の調節をもたらす、RTEL1を標的とする増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。本発明は、特に、B型肝炎ウイルス(HBV)感染症、特に慢性HBV感染症の処置及び/又は予防に使用するための、RTEL1を標的とする増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用に関する。本発明は、特に、HBV cccDNA等のcccDNAを不安定化するためのRTEL1を標的とする増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用に関する。また、本発明には、医薬組成物、並びにHBV感染症の処置及び/又は予防におけるその使用も含まれる。
【背景技術】
【0002】
B型肝炎は、逆転写を介して複製する小型肝臓指向性ウイルスであるB型肝炎ウイルス(HBV)に起因する感染性疾患である。慢性HBV感染症は、肝硬変及び肝細胞癌腫のような重篤な肝疾患に対する重要な因子である。慢性HBV感染症に対する現在の処置は、多機能逆転写酵素であるウイルスポリメラーゼを標的とする、ラミブジン、アデホビル、エンテカビル、テノホビルジイソプロキシル、及びテノホビル・アラフェナミド等のペグ化1型インターフェロン又はヌクレオシ(チ)ド類似体の投与に基づいている。処置の成功は、通常、B型肝炎表面抗原(HBsAg)の消失として測定される。しかしながら、B型肝炎ウイルスDNAは感染後も体内に残存するため、完全なHBsAgクリアランスが達成されることは稀である。HBVの持続は、核内で安定に維持されているHBVゲノムのエピソーム型によって媒介される。このエピソーム型は「共有結合閉環状(covalently closed circular)DNA」(cccDNA)と呼ばれる。cccDNAは、ウイルス複製中間体であるプレゲノム(pregenomic)RNA(pgRNA)を含む、全てのHBV転写物の鋳型として役立つ。数コピーのcccDNAの存在は、HBV感染症を再開させるのに十分であろう。HBVに対する現在の処置はcccDNAを標的としない。しかしながら、慢性HBV感染症の治癒には、cccDNAの排除が必要であろう(Nassal,Gut.2015 Dec;64(12):1972-84.doi:10.1136/gutjnl-2015-309809によって概説される)。
【0003】
テロメア伸長ヘリカーゼ1調節因子(regulator of telomere elongation helicase 1:RTEL1)は、テロメアの安定性、保護、及び伸長において機能し、DNA複製時にテロメアを保護することが知られているシェルタリン複合体中のタンパク質と相互作用するDNAヘリカーゼをコードする。この遺伝子の突然変異は、先天性角化異常症及びHoyerall-Hreidarsson症候群と関連している(例えば、Vannier et al.,2014 Trends Cell Biol.Vol 24 p.416による概説を参照)。
【0004】
核内に位置するRTEL1は、テロメア長調節、DNA修復、及びゲノム安定性の維持に関与するATP依存性DNAヘリカーゼとして機能する。RTEL1は抗リコンビナーゼとして作用して、毒性組換えに対抗し、減数分裂の間の交差を制限し、鎖侵入事象を物理的に解離することにより減数分裂組換え及び交差ホメオスタシスを制御し、これによって、減数分裂の合成依存性鎖アニーリング(synthesis dependent strand annealing:SDSA)及びDループ組換え中間体の分解による非交差修復を促進する。その上、RTEL1はT-ループを分解し、テロメアのG4-DNA構造に拮抗することによってテロメアの脆弱性を防ぎ、テロメアの動態及び安定性を共に確保する。
【0005】
RTEL1は、siRNAスクリーニングにおいてHPVエピソームの安定剤として同定されている:(Edwards et al.,2013 PLoS One Vol 8,e75406)。RTEL1を標的とするsiRNAも、同様に、Hoyeraal-Hreidarsson症候群におけるRTEL1との相互作用物質を同定するために使用されている(Schertzer et al 2015 Nucleic Acid Res Vol 43 p.1834)。加えて、RTEL1は、HIV感染症を阻害する標的を提供する必須宿主タンパク質に対するsiRNAスクリーニングから、HIV宿主依存性因子として同定された(国際公開第2007/094818号)。
【0006】
国際公開第2020/011902号は、アンチセンスオリゴヌクレオチドでRTEL1を標的化すると、RTEL1が減少することが示された。さらに、HBV cccDNA、pgRNA、HBsAg、及びHBeAg等のHBV感染症のパラメータに対する効果が観察された。
【0007】
RTEL1を特異的に阻害することができる治療剤が必要とされている。本発明者らは、ヒトRTEL1を標的とする1000個を超えるアンチセンスオリゴヌクレオチドをスクリーニングし、ヒトRTEL1を特異的に標的とするのに特に強力かつ有効な配列及び化合物を同定した。具体的には、in vitroでヒトRTEL1の強い下方制御を付与する4つのLNAギャップマーオリゴヌクレオチドを同定した。同定されたLNAギャップマーオリゴヌクレオチドは、ヒトRTEL1プレmRNAのイントロン領域を標的とする。
【0008】
発明の目的
本発明は、RTEL1(「テロメア伸長ヘリカーゼ1の調節因子」)発現を調節するアンチセンスオリゴヌクレオチド及びそのコンジュゲートを提供する。本発明者らは、有効なRTEL1阻害を与えるためにアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートによって標的化され得るヒトRTEL1プレmRNAに存在するイントロン標的配列を同定した。例えば、配列番号1の位置8681~8701又は11753~11774を標的とすることは、RTEL1を減少させる点で有利である。したがって、本発明の目的は、RTEL1を標的とする増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートを提供することであり、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、in vitro及びin vivoでRTEL1の発現を阻害することができ、それによってHBV感染細胞においてcccDNAを減少させることができる。RTEL1又はそのコンジュゲートを標的とする増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、HBV感染症の処置に使用することができる。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、RTEL1核酸に相補的であり、その発現を阻害することができるアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲート、及び医薬におけるそれらの使用を提供する。
【0010】
本発明は、配列番号1のヌクレオチド8681~8701又はヌクレオチド11753~11774からの領域等のヒトRTEL1プレmRNA(配列番号1に示される)の領域に相補的である、例えば完全に相補的である連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0011】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド8681~8701の領域に相補的である、例えば完全に相補的である。
【0012】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド11753~11774からの領域、例えば配列番号1のヌクレオチド11757~11774、11756~11774又は11753~11770からの領域に相補的、例えば完全に相補的である。
【0013】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、典型的には12~24ヌクレオチド長、例えば12~22、例えば16~22ヌクレオチド長であり、配列番号1のヌクレオチド8681~8701及び11753~11774から選択されるヒトRTEL1プレmRNA(配列番号1に示される)の領域に相補的である、例えば完全に相補的である少なくとも12ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む。
【0014】
本発明は、12~22ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、12~22ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含み、該連続ヌクレオチド配列が、配列番号7、8、9、及び/又は10に相補的、例えば、完全に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0015】
本発明は、12~22ヌクレオチド長(例えば、15、16、17、又は18ヌクレオチド長)のアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、12~18ヌクレオチド長(例えば、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド長)の連続ヌクレオチド配列を含み、該連続ヌクレオチド配列が、配列番号11に相補的、例えば、完全に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0016】
本発明は、10~30ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含み、連続ヌクレオチド配列が、配列番号3、4、5、及び6からなる群より選択される配列、又はその少なくとも14個の連続ヌクレオチドと100%同一であるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0017】
本発明は、10~30ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含み、連続ヌクレオチド配列が、配列番号3、4、5、及び6からなる群より選択される配列、又はその少なくとも15個の連続ヌクレオチドと100%同一であるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0018】
本発明は、10~30ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含み、連続ヌクレオチド配列が、配列番号3、4、5、及び6からなる群より選択される配列、又はその少なくとも16個の連続ヌクレオチドと100%同一であるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0019】
本発明は、配列番号3、4、5、及び6からなる群から選択される配列、又はその14個の連続ヌクレオチドと100%同一である連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0020】
本発明は、配列番号3、4、5、及び6からなる群から選択される連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0021】
本発明は、配列番号3(AATTTTACATACTCTGGT)と100%同一である連続ヌクレオチド配列、又はその少なくとも14、15、16若しくは17個の連続ヌクレオチドを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0022】
本発明は、配列番号4(AATTTTACATACTCTGGTC)と100%同一である連続ヌクレオチド配列、又はその少なくとも14、15、16、17若しくは18個の連続ヌクレオチドを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0023】
本発明は、配列番号5(TTACATACTCTGGTCAAA)と100%同一である連続ヌクレオチド配列、又はその少なくとも14、15、16若しくは17個の連続ヌクレオチドを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0024】
本発明は、配列番号6(CTTTATTATAACTTGAATCTC)と100%同一である連続ヌクレオチド配列、又はその少なくとも14、15、16、17、18、19、20若しくは21個の連続ヌクレオチドを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0025】
本発明は、化合物ID番号3_1、4_1、5_1及び6_1(例えば以下の表6を参照)からなる群から選択される化合物の連続ヌクレオチドを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0026】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、国際公開第2020/011902号A1(例えば、国際公開第2020/011902号A1の表6を参照さ)の化合物ID番号36_1、35_1.33_1、34_1及び37_1からなる群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドではない。
【0027】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、国際公開第2020/011902号A1(例えば、国際公開第2020/011902号A1の表6を参照)のアンチセンスオリゴヌクレオチド化合物ID番号23_1ではない。
【0028】
本発明は、表1に列挙される群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0029】
本発明は、以下からなる群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する:
AATTttacatactctgGT(配列番号3、化合物ID番号3_1)、
AAttttacatactctGGTC(配列番号4、化合物ID番号4_1)、
TTacatactctggtCAAA(配列番号5、化合物ID番号5_1)、及び
CTttattataactTgaAtCTC(配列番号6、化合物ID番号6_1)、
大文字はβ-D-オキシLNAヌクレオシドであり、小文字はDNAヌクレオシドであり、全てのLNA CはLNA5-メチルシトシンであり、全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0030】
本発明はまた、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0031】
本発明は、表1に列挙される群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【表1】
【0032】
Helmアノテーションキー:
[LR](G)は、ベータ-D-オキシ-LNAグアニンヌクレオシドであり、
[LR](T)は、ベータ-D-オキシ-LNAチミンヌクレオシドであり、
[LR](A)は、ベータ-D-オキシ-LNAアデニンヌクレオシドであり、
[LR]([5meC])は、ベータ-D-オキシ-LNA5-メチルシトシンヌクレオシドであり、
[dR](G)は、DNAグアニンヌクレオシドであり、
[dR](T)は、DNAチミンヌクレオシドであり、
[dR](A)は、DNAアデニンヌクレオシドであり、
[dR](C)はDNAシトシンヌクレオシドであり、
[sP]は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
Pは、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0033】
したがって、本発明は、化合物ID番号3_1、4_1、5_1及び6_1からなる群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0034】
本発明は更に、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドと、該アンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを含む、コンジュゲートを提供する。
【0035】
いくつかの実施形態では、コンジュゲート部分は、ヒトアシアロ糖タンパク質受容体等のアシアロ糖タンパク質受容体に結合することができる。例えば、コンジュゲート部分は、ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルミル-ガラクトサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-プロピオニル-ガラクトサミン、N-n-ブタノイル-ガラクトサミン、及びN-イソブタノイルガラクサミンからなる群より選択される、少なくとも1つのアシアロ糖タンパク質受容体標的化部分を含んでもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、アシアロ糖タンパク質受容体標的化部分は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。したがって、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分を含む少なくとも1つのコンジュゲート部分、例えば以下に記載される少なくとも1つのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分を含む少なくとも1つのコンジュゲート部分にコンジュゲートされ得る。本発明の一態様によれば、コンジュゲート部分は、本明細書中で以下に記載されるようなGalNAc残基Rである。
【0037】
いくつかの実施形態では、コンジュゲート部分は、少なくとも三価、例えば、二価、三価又は四価のGalNAc残基Rである。好ましくは、コンジュゲート部分は三価GalNAc残基Rである。本明細書で使用される場合、「三価GalNAc残基」という用語は、3つのN-アセチルガラクトサミン部分、すなわち好ましくは以下の式の3つの部分を含む残基を指す。
【化1】
【0038】
コンジュゲート部分又はGalNAc残基R、及びアンチセンスオリゴヌクレオチドは、生体切断可能なリンカーL等のリンカーLを介して一緒に連結されていてもよい。したがって、コンジュゲート化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドとコンジュゲート部分又はGalNAc残基Rとの間にそれぞれ位置するリンカーLを含んでもよい。
【0039】
一実施形態では、コンジュゲート部分は、図5に示すような三価のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。一実施形態では、コンジュゲート部分は、図5A-1若しくは図5A-2の三価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、又はその両方の混合物である。一実施形態では、コンジュゲート部分は、図5B-1若しくは図5B-2の三価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、又はその両方の混合物である。一実施形態では、コンジュゲート部分は、図5C-1若しくは図5C-2の三価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、又はその両方の混合物である。一実施形態では、コンジュゲート部分は、図5D-1若しくは図5D-2の三価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、又はその両方の混合物である。コンジュゲート部分及びアンチセンスオリゴヌクレオチドは、生物切断性リンカー等のリンカーを介して互いに連結され得る。したがって、コンジュゲート化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドとコンジュゲート部分との間に位置するリンカーを含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、リンカーは、1個~10個の連結されたヌクレオシド、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個又は10個の連結されたヌクレオシド、例えば2個~6個の連結されたヌクレオシド、例えば2個~5個の連結されたヌクレオシド、例えば2個~4個の連結されたヌクレオシドを含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、リンカーは2つの連結されたヌクレオチドを含む。したがって、ヌクレオシドはDNAヌクレオシドであり得る。典型的には、ヌクレオシドは、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を介して結合される。さらに、リンカーは、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を介してアンチセンス化合物に連結していてもよい。
【0041】
例示的なコンジュゲートを(HELM注釈形式で)表2に提供する。表1に示す化合物に加えて、化合物は、5’末端に切断可能なリンカーとして2つのヌクレオチド「ca」を含む。これは、表2の配列のHELM注釈の一部である。切断可能なリンカーは、GalNAc媒介送達の成功後に切断され、化合物を活性薬物として残す。
【0042】
本発明は、表2に列挙されるコンジュゲートの群から選択されるコンジュゲート又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0043】
【表2】
【0044】
上記の表において、5gn2c6は、図5D-1又は図5D-2の三価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、又は両方の混合物である。いくつかの実施形態では、5gn2c6は、以下の式を有するGalNAc残基Rである。
【化2】
【0045】
上記の図に示されるRは、図5D1及び図5D2に示される2つの立体異性体の混合物であることが理解されるべきである。
【0046】
本発明の更なる態様によれば、上記の図に示されるRは、図5D1に示される立体異性体である。
【0047】
本発明の更なる態様によれば、上記の図に示されるRは、図5D2に示される立体異性体である。表2に提供されるコンジュゲートの構造を図1~4に示す。
【0048】
本発明は、図1のコンジュゲート又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。本発明は、化合物番号3_1のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0049】
本発明は、図2のコンジュゲート又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。本発明は、化合物番号4_1のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0050】
本発明は、図3のコンジュゲート又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。本発明は、化合物番号6_1のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0051】
本発明は、図4のコンジュゲート又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。本発明は、化合物番号5_1のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
式(I)の化合物
【0052】
本発明はまた、以下の式(I)の化合物を提供する。
【化3】
式中、
nは0又は1であり
pは0又は1であり
ただし、nが1である場合、pは好ましくは1であり、
かつ、nが0でありpが0である場合、Rは好ましくはHであり、
Lはリンカーであり、好ましくはLは、2~10個のヌクレオシド、例えば2~5個のヌクレオシドを含むか又はそれからなるリンカーであり、
RはGalNAc残基、好ましくは三価のGalNAc残基であり、
Aは、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチド残基である。
【0053】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド残基」という用語は、その5’末端を介して-(L)-(O-P(=O)(-OH)-)-を介して残基Rに結合している本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば表6に示すアンチセンスオリゴヌクレオチドを指す。好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチド残基を図1A図2A図3A図4A図5A図6A図7A及び図8Aに示す。
GalNAc残基R
【0054】
RはGalNAc残基、好ましくは三価のGalNAc残基である。本明細書で使用される場合、「GalNAc残基」という用語は、少なくとも1つのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分、すなわち以下の式の少なくとも1つの部分を含む残基を指す。
【化4】
【0055】
本明細書で使用される場合、「三価GalNAc残基」という用語は、3つのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分、すなわち好ましくは以下の式の3つの部分を含む残基を指す。
【化5】
【0056】
好ましくは、GalNAc残基は、以下の構造を有する少なくとも1つ、好ましくは3つのGalNAc構成単位(L)を含み、
【化6】
式中、リンカーは、アルキル基、アルキル-オキシ-アルキル基、少なくとも1つのホスホジエステル結合を含むアルキル基、少なくとも1つのアミド結合を含むアルキル基、少なくとも1つのホスホジエステル結合を含むアルキル-オキシ-アルキル基、及び少なくとも1つのアミド結合を含むアルキル-オキシ-アルキル基から選択される。
【0057】
「アルキル」という用語は、置換又は非置換の直鎖又は分岐のアルキル基、例えばC1~C20アルキル基、好ましくはC2~C8、例えばC2、C3、C4、C5、C6、C7又はC8アルキル基を指す。好ましくは、アルキル基は、非置換、より好ましくは直鎖及び非置換のアルキル基である。
【0058】
「アルキルオキシアルキル」基という用語は、酸素を介して連結された少なくとも2つのアルキル基、好ましくはエチル-オキシ-エチル基、例えば-(CH-O)-基を指し、整数xは、好ましくは2~20の範囲、より好ましくは2~6の範囲、例えば2、3、4、5又は6であり、より好ましくはxは3又は5である。
【0059】
本発明の一態様によれば、GalNAc構成単位(L)は、以下の構造(L)の群から選択される。
【0060】
3価のGalNAc残基中の3つの残基等、1つよりも多くの残基(L)がGalNAc残基中に存在する場合、全ての残基が同じであることが好ましい。
【0061】
最も好ましくは、Lは、以下の構造を有する。
【化7】
【0062】
コンジュゲート部分Rが複数、例えば好ましくは3個のGalNAc部分を含む場合、Rは、GalNAc構成単位(L)の他に、好ましくは構成単位(L)が-(L)-(O-P(=O)(-OH)-)-を介してアンチセンスオリゴヌクレオチド残基Aに結合している、多価、好ましくは四価の構成単位(L)を含む。
【0063】
は、好ましくは以下の構造の1つから選択される。
【化8】
【0064】
式中、XはO又はSであり、ZはO又はNHであり、nは1~4、好ましくは2又は3、より好ましくは2である。
【0065】
より好ましくは、Lは、以下の構造を有する。
【化9】
は、構造L*又は構造L**のいずれかを有するか、又はそれらの混合物であることを理解されたい。好ましい態様によれば、Lは、L*とL**の混合物である。
【化10】
【0066】
したがって、コンジュゲート部分Rは、好ましくは構造(L-L-を含み、より好ましくはRは以下の構造のうちの1つを含み、
【化11】
より好ましくは、以下の構造を含む。
【化12】
【0067】
式中、Lは、好ましくはL*とL**の混合物であり、
XはO又はSであり、ZはO又はNHであり、nは1~3、好ましくは2であり、Lは上記の通りであり、好ましくはLは以下
【化13】
及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、GalNAc残基内の全ての残基(L)は同じである。
【0068】
(L-Lが以下である場合、
【化14】
は、より好ましくは、以下からなる群から選択される。
【0069】
【化15】
(L-Lが以下である場合、
【化16】
好ましくは、
【化17】
は、好ましくは以下である。
【化18】
【0070】
任意に、コンジュゲート部分RはリンカーLを更に含む。したがって、Rは、好ましくは構造(L-L-(L-を有し、整数cは1又は0である。
【0071】
このようなリンカー化合物は当業者に公知であり、化合物の残りの部分、アンチセンスオリゴヌクレオチド残基に、すなわち-(L)-(O-P(=O)(-OH)-)-を介して(L-Lを結合させるように適切に選択される。
【0072】
の構造に応じて、Lは、アルキル、アルキル-オキシ-アルキル、アミノ-アルキル(-NH-アルキル-)、アミノ-アルキル-オキシ-アルキル、非天然アミノ酸残基、及び天然アミノ酸残基からなる群から選択される。本発明の一態様によれば、Lは、置換又は非置換リジン基である。
【0073】
本発明の一態様によれば、Rは(L-L-(Lであり、c=1であり(L-Lは以下である。
【化19】
【0074】
は、好ましくはアミノ-アルキル基、又は置換若しくは非置換リジン基等のアミノ酸であり、特にLは、例えば、以下からなる群から選択され、
【化20】
アミノ基がLのカルボニル基に結合して、それによりアミド結合を形成する。この態様による好ましい残基Rを図5A1図5A2図5C1図5C2図5D1図5D2に示す。したがって、本発明の一態様によれば、Rは、図5A1図5A2図5C1図5C2図5D1、及び図5D2に示される残基からなる群から選択される。
【0075】
本発明の更なる態様によれば、Rは、構造(L-L-(Lを有し、cは0であり、(L-Lは以下である。
【化21】
【0076】
本発明のこの態様による好ましい残基Rを図5B1及び図5B2に示す。
【0077】
本発明の更なる態様によれば、Rは、構造(L-L-(Lを有し、(L -Lは以下であり、
【化22】
ZはOである。この場合、cは好ましくは1であり、Lは好ましくはアルキル基、より好ましくはC3~C6アルキル基、より好ましくはプロピル基、最も好ましくはn-プロピル基である。この態様による好ましい残基Rを図5E1図5F1図5G1及び図5H1に示す。したがって、本発明の一態様によれば、Rは、図5E1図5F1図5G1及び図5H1に示される残基からなる群から選択される。
【0078】
本発明の更なる態様によれば、Rは、構造(L-L-(Lを有し、(L -Lは以下であり、
【化23】
ZはNHである。この場合、cは好ましくは1であり、Lは好ましくはアルキル基、アミノ酸含有基、又は以下の構造を有する基である。
【化24】
【0079】
特に、この場合、Lは以下である。
【化25】
【0080】
本発明のこの態様による好ましい残基Rを図5J1に示す。
本発明の更なる態様によれば、Rは、構造(L-L-(Lを有し、(L -Lは以下であり、
【化26】
ZはNHであり、cは0である。本発明のこの態様による好ましい残基Rを図5I1に示す。
【0081】
本発明の一態様によれば、Rは、(L-L-(Lであり、c=0であり、(L-Lは以下である。
【化27】
【0082】
本発明のこの態様による好ましい残基Rを図5L1及び図5L2に示す。
【0083】
したがって、Rは、好ましくは、図5A1、5A2;5B1、5B2、5C1、5C2、5D1、5D2、5E1、5F1、5G1、5H1、5I1、5J1、5L1 5L2に示される残基及びそれらの混合物、例えば5A1及び5A2;5B1及び5B2、5C1及び5C2又は5D1及びD2の立体異性体混合物から選択され、より好ましくはRは、5D1、5D2に示される残基及びそれらの混合物から選択され、より好ましくはRは、5D1及び5D2に示される残基の混合物、例えば10:90~90:10の範囲、例えば30:70~70:30の範囲、例えば45:55~55:45の範囲の5D1対5D2のモル比を有する混合物である。
【0084】
したがって、化合物(I)は、好ましくは、図6A1図6A2、6B1、6B2、6C1、6C2、6D1、6D2、6E1、6F1、6G1、6H1、6I1、6J1、6L1、6L2に示される化合物及びそれらの混合物、例えば6A1及び6A2;6B1及び6B2、6C1及び6C2又は6D1及び6D2の立体異性体混合物、より好ましくは化合物(I)は、6D1、6D2に示される化合物及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは化合物(I)は、6D1及び6D2に示される化合物の混合物、例えば10:90~90:10の範囲、例えば30:70~70:30の範囲、例えば45:55~55:45の範囲の6D1対6D2のモル比を有する混合物である。
【0085】
リンカーL
上記式において、Lは、本明細書で定義されるリンカーであり、好ましくは、Lは、2~10個のヌクレオシド、例えば2~5個のヌクレオシド、例えば2個のヌクレオシドを含むか、又はそれらからなるリンカーであり、任意に、ヌクレオシドはホスホジエステル結合ヌクレオシドである。
【0086】
リンカーLは、1個~10個の連結されたヌクレオシド、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個又は10個の連結されたヌクレオシド、例えば2個~6個の連結されたヌクレオシド、例えば2個~5個の連結されたヌクレオシド、例えば2個~4個の連結されたヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは2つの連結されたヌクレオチドを含む。したがって、ヌクレオシドはDNAヌクレオシドであり得る。典型的には、ヌクレオシドは、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を介して連結される。さらに、リンカーLは、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を介してアンチセンス化合物に連結されていてもよい。さらに、リンカーLは、適切な官能基を介して、例えば、アミド、アミン、エーテル、エステル、ホスホジエステル(-O-P(=O)(-OH)-O-)又はチオホスホジエステル(-O-P(=S)(-OH)-O-)結合を介して、コンジュゲート部分Rに連結している。Lは、ヌクレオシドとLをRに連結する官能基との間にアルキル基又はアルキル-オキシ-アルキル基を任意に更に含んでもよいことが理解されるべきである。この場合では、ヌクレオシドは、好ましくは、ホスホジエステル結合を介してアルキル基又はアルキル-オキシ-アルキル基に連結され、これが、例えばアミド、アミン、エーテル、エステル、ホスホジエステル(-O-P(=O)(-OH)-O-)又はチオホスホジエステル(-O-P(=S)(-OH)-O-)結合を介して等、適切な官能基を介してRに連結される。
【0087】
好ましい実施形態によれば、Lは以下である。
【化28】
【0088】
アンチセンス(A)オリゴヌクレオチド残基
Aは、その5’末端を介してRに-(L)-(O-P(=O)(-OH)-)を介して結合している、表6に示すアンチセンスオリゴヌクレオチド等の本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチド残基である。好ましくは、Aは、図1A図2A図3A及び図4に示される残基から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチド残基である。
【0089】
したがって、化合物(I)は、好ましくは、図 6A1、6A2;6B1、6B2、6C1、6C2、6D1、6D2、6E1、6F1、6G1、6H1、6I1、6J1、6L1 6L2に示される化合物、及びそれらの混合物、例えば6A1及び6A2;6B1及び6B2、6C1及び6C2又は6D1及び6D2の立体異性体混合物から選択され、より好ましくは化合物(I)は、6D1及び6D2に示される化合物及びそれらの混合物から選択され、より好ましくは化合物(I)は、化合物6D1及び6D2の混合物であり、好ましくはAは、表6に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチドから選択され、好ましくはAは、図1A、2A 3A、4A、5A、6A、7A及び8Aに示される残基から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチド残基であり、Lは2~10個のヌクレオシド、例えば2~5個のヌクレオシド、例えば2個のヌクレオシドを含むか又はそれらからなるリンカーであり、任意に、ヌクレオシドはホスホジエステル結合ヌクレオシドであり、より好ましくは、Lは以下である。
【化29】
【0090】
更なる態様では、Rは、構造(I)を有する残基であり、
【化30】
【0091】
Lは、本明細書で定義されるリンカーであり、好ましくは、Lは、2~10個のヌクレオシド、例えば2~5個のヌクレオシド、例えば2個のヌクレオシドを含むか、又はそれらからなるリンカーであり、任意に、ヌクレオシドはホスホジエステル結合ヌクレオシドであり、より好ましくは、Lは以下である。
【化31】
及び
Aは、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば表6に示すアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0092】
本発明の一態様によれば、Aは、図1A図2A図3A及び図4Aに示される残基から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチド残基であり、
例えば、Aは、以下の式のアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【化32】
【0093】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートと、薬学的に許容され得る希釈剤、担体、塩、及び/又はアジュバントとを含む、医薬組成物を提供する。
【0094】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートの薬学的に許容され得る塩を提供する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容され得る塩は、ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される。
【0095】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートと、生理食塩水等の薬学的に許容され得る溶媒とを含む、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートの薬学的溶液を提供する。
【0096】
本発明は、凍結乾燥粉末の形態等の固体粉末形態の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートを提供する。
【0097】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートの薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0098】
本発明は、薬学的に許容され得る塩がナトリウム塩又はカリウム塩である、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的に許容され得る塩又は本発明のコンジュゲートを提供する。
【0099】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は本発明のコンジュゲート又は本発明の塩と、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩、及び/又はアジュバントとを含む、医薬組成物を提供する。
【0100】
本発明は、RTEL1を発現している標的細胞におけるRTEL1発現を阻害するための方法であって、該細胞に、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の塩、又は本発明の組成物を有効量で投与することを含む、方法を提供する。本方法は、in vivo法又はin vitro法であり得る。
【0101】
本発明は、ヒト等の対象におけるHBV感染症を処置及び/又は予防するための方法であって、治療有効量又は予防有効量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の塩、又は本発明の組成物を投与して、HBV感染症、例えば慢性HBV感染症を、例えば処置及び/又は予防することを含む、方法を提供する。
【0102】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の塩、又は本発明の医薬組成物は、HBV感染、例えば慢性HBV感染症の処置及び/又は予防に使用するためのものである。
【0103】
本発明は、薬に使用するための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の医薬組成物、又は本発明の塩を提供する。
【0104】
更なる態様では、本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は本発明のコンジュゲートを有効量で細胞に投与することによって、RTEL1を発現している標的細胞におけるRTEL1発現を阻害する方法を提供する。更なる態様では、本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲートを有効量で細胞に投与することによって、RTEL1を発現している標的細胞におけるRTEL1発現を阻害するためのin vivo又はin vitroの方法のための方法を提供する。細胞は、ヒト細胞、例えば肝臓細胞、例えば肝細胞であってよい。
【0105】
更なる態様では、本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は本発明のコンジュゲートを有効量で細胞に投与することによって、HBV感染細胞におけるcccDNAを減少させる方法を提供する。更なる態様では、本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は本発明のコンジュゲートを有効量で細胞に投与することによって、HBV感染細胞におけるcccDNAを減少させるためのin vivo又はin vitroの方法のための方法を提供する。
【0106】
更なる態様では、本発明は、慢性HBV感染症等のHBV感染症を処置及び/又は予防する方法を提供する。
【0107】
更なる態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の医薬組成物は、HBV、HCV、HDV等のウイルス性肝感染症、又はマラリア、トキソプラズマ症、リーシュマニア症及びトリパノソーマ症等の寄生虫感染症、又は肝臓癌若しくは肝臓における転移の処置及び/又は予防に使用される。
【0108】
更なる態様では、本発明は、HBV感染症、例えば慢性HBV感染症を処置及び/又は予防するための医薬品の製造に使用するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の医薬組成物を提供する。
【0109】
更なる態様では、本発明は、抗ウイルス薬の製造に使用するための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはコンジュゲート、又は本発明の医薬組成物を提供する。
【0110】
本発明は、HBV感染症、例えば慢性HBV感染症の処置に使用するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明のコンジュゲート、又は本発明の医薬組成物を提供する。
配列表
【0111】
本出願と共に提出された配列表は、参照により本明細書に組み込まれる。配列表と明細書又は図面との間に不一致がある場合、明細書(図面を含む)に開示された情報は正しいと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
図1-1】ホスホジエステル結合DNAジヌクレオチドを介して三価GalNAc部分にコンジュゲートした化合物3_1(配列番号3)
図1-2】図1A 化合物3_1の残基A(配列番号3)
図2-1】ホスホジエステル結合DNAジヌクレオチドを介して三価GalNAc部分にコンジュゲートした化合物4_1(配列番号4)
図2-2】図2A 化合物4_1の残基A(配列番号4)
図3-1】ホスホジエステル結合DNAジヌクレオチドを介して三価GalNAc部分にコンジュゲートした化合物6_1(配列番号6)
図3-2】図3A 化合物6_1の残基A(配列番号6)
図4-1】ホスホジエステル結合DNAジヌクレオチドを介して三価GalNAc部分にコンジュゲートした化合物5_1(配列番号5)
図4-2】図4A 化合物5_1の残基A(配列番号5)
図5-1】図5は、例示的なGalNAc部分を示す。図5Lの化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、XはS又はOであり、YはS又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。図5B図5Dは、本明細書ではGalNAc2又はGN2とも呼ばれ、それぞれ、C6リンカーを有さないものと、有するものである。
図5-2】図5は、例示的なGalNAc部分を示す。図5Lの化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、XはS又はOであり、YはS又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。図5B図5Dは、本明細書ではGalNAc2又はGN2とも呼ばれ、それぞれ、C6リンカーを有さないものと、有するものである。
図5-3】図5は、例示的なGalNAc部分を示す。図5Lの化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、XはS又はOであり、YはS又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。図5B図5Dは、本明細書ではGalNAc2又はGN2とも呼ばれ、それぞれ、C6リンカーを有さないものと、有するものである。
図5-4】図5は、例示的なGalNAc部分を示す。図5Lの化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、XはS又はOであり、YはS又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。図5B図5Dは、本明細書ではGalNAc2又はGN2とも呼ばれ、それぞれ、C6リンカーを有さないものと、有するものである。
図5-5】図5は、例示的なGalNAc部分を示す。図5Lの化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、XはS又はOであり、YはS又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。図5B図5Dは、本明細書ではGalNAc2又はGN2とも呼ばれ、それぞれ、C6リンカーを有さないものと、有するものである。
図5-6】図5は、例示的なGalNAc部分を示す。図5Lの化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、XはS又はOであり、YはS又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。図5B図5Dは、本明細書ではGalNAc2又はGN2とも呼ばれ、それぞれ、C6リンカーを有さないものと、有するものである。
図5-7】図5は、例示的なGalNAc部分を示す。図5Lの化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、XはS又はOであり、YはS又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。図5B図5Dは、本明細書ではGalNAc2又はGN2とも呼ばれ、それぞれ、C6リンカーを有さないものと、有するものである。
図5-8】図5は、例示的なGalNAc部分を示す。図5Lの化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、XはS又はOであり、YはS又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。図5B図5Dは、本明細書ではGalNAc2又はGN2とも呼ばれ、それぞれ、C6リンカーを有さないものと、有するものである。
図6-1】図6A図6L:オリゴヌクレオチドが上記の「A」という用語で表される、例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを示す。図6A~Dにおける化合物は、ジリジンブランチャー(brancher)分子、PEG3スペーサー、及び3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6A図6A-1及び図6A-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6B図6B-1及び図6B-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはアルキルリンカーなしでアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に直接結合している。図6C図6C-1及び図6C-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6D図6D-1及び図6D-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはC6リンカーを介してアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に結合している。図6E~Jの化合物は、種々の長さ及び構造の市販のトレブラー(trebler)ブランチャー分子及びスペーサー、並びに3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6L1及び6L2の化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、X=S又はOであり、独立してY=S又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。
図6-2】図6A図6L:オリゴヌクレオチドが上記の「A」という用語で表される、例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを示す。図6A~Dにおける化合物は、ジリジンブランチャー(brancher)分子、PEG3スペーサー、及び3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6A図6A-1及び図6A-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6B図6B-1及び図6B-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはアルキルリンカーなしでアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に直接結合している。図6C図6C-1及び図6C-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6D図6D-1及び図6D-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはC6リンカーを介してアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に結合している。図6E~Jの化合物は、種々の長さ及び構造の市販のトレブラー(trebler)ブランチャー分子及びスペーサー、並びに3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6L1及び6L2の化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、X=S又はOであり、独立してY=S又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。
図6-3】図6A図6L:オリゴヌクレオチドが上記の「A」という用語で表される、例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを示す。図6A~Dにおける化合物は、ジリジンブランチャー(brancher)分子、PEG3スペーサー、及び3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6A図6A-1及び図6A-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6B図6B-1及び図6B-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはアルキルリンカーなしでアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に直接結合している。図6C図6C-1及び図6C-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6D図6D-1及び図6D-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはC6リンカーを介してアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に結合している。図6E~Jの化合物は、種々の長さ及び構造の市販のトレブラー(trebler)ブランチャー分子及びスペーサー、並びに3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6L1及び6L2の化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、X=S又はOであり、独立してY=S又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。
図6-4】図6A図6L:オリゴヌクレオチドが上記の「A」という用語で表される、例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを示す。図6A~Dにおける化合物は、ジリジンブランチャー(brancher)分子、PEG3スペーサー、及び3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6A図6A-1及び図6A-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6B図6B-1及び図6B-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはアルキルリンカーなしでアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に直接結合している。図6C図6C-1及び図6C-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6D図6D-1及び図6D-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはC6リンカーを介してアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に結合している。図6E~Jの化合物は、種々の長さ及び構造の市販のトレブラー(trebler)ブランチャー分子及びスペーサー、並びに3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6L1及び6L2の化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、X=S又はOであり、独立してY=S又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。
図6-5】図6A図6L:オリゴヌクレオチドが上記の「A」という用語で表される、例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを示す。図6A~Dにおける化合物は、ジリジンブランチャー(brancher)分子、PEG3スペーサー、及び3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6A図6A-1及び図6A-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6B図6B-1及び図6B-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはアルキルリンカーなしでアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に直接結合している。図6C図6C-1及び図6C-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6D図6D-1及び図6D-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはC6リンカーを介してアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に結合している。図6E~Jの化合物は、種々の長さ及び構造の市販のトレブラー(trebler)ブランチャー分子及びスペーサー、並びに3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6L1及び6L2の化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、X=S又はOであり、独立してY=S又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。
図6-6】図6A図6L:オリゴヌクレオチドが上記の「A」という用語で表される、例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを示す。図6A~Dにおける化合物は、ジリジンブランチャー(brancher)分子、PEG3スペーサー、及び3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6A図6A-1及び図6A-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6B図6B-1及び図6B-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはアルキルリンカーなしでアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に直接結合している。図6C図6C-1及び図6C-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6D図6D-1及び図6D-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはC6リンカーを介してアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に結合している。図6E~Jの化合物は、種々の長さ及び構造の市販のトレブラー(trebler)ブランチャー分子及びスペーサー、並びに3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6L1及び6L2の化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、X=S又はOであり、独立してY=S又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。
図6-7】図6A図6L:オリゴヌクレオチドが上記の「A」という用語で表される、例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを示す。図6A~Dにおける化合物は、ジリジンブランチャー(brancher)分子、PEG3スペーサー、及び3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6A図6A-1及び図6A-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6B図6B-1及び図6B-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはアルキルリンカーなしでアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に直接結合している。図6C図6C-1及び図6C-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6D図6D-1及び図6D-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはC6リンカーを介してアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に結合している。図6E~Jの化合物は、種々の長さ及び構造の市販のトレブラー(trebler)ブランチャー分子及びスペーサー、並びに3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6L1及び6L2の化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、X=S又はOであり、独立してY=S又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。
図6-8】図6A図6L:オリゴヌクレオチドが上記の「A」という用語で表される、例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを示す。図6A~Dにおける化合物は、ジリジンブランチャー(brancher)分子、PEG3スペーサー、及び3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6A図6A-1及び図6A-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6B図6B-1及び図6B-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはアルキルリンカーなしでアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に直接結合している。図6C図6C-1及び図6C-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)及び図6D図6D-1及び図6D-2は、同じ化合物の2つの異なるジアステレオ異性体を示す)の化合物では、オリゴヌクレオチドはC6リンカーを介してアシアロ糖タンパク質受容体標的化コンジュゲート部分に結合している。図6E~Jの化合物は、種々の長さ及び構造の市販のトレブラー(trebler)ブランチャー分子及びスペーサー、並びに3つの末端GalNAc炭水化物部分を含む。図6L1及び6L2の化合物は、合成の一部として依然として固体支持体上にある間にオリゴヌクレオチドに添加された単量体GalNAcホスホラミダイトから構成され、X=S又はOであり、独立してY=S又はOであり、n=1~3である(国際公開第2017/178656号を参照)。
図7】ヒト細胞株MDA-MB-231における濃度依存的な効力及び有効性について、オリゴヌクレオチドCMP ID番号3_1、4_1、5_1及び6_1をin vitro で試験する。
図8】ヒト細胞株MDA-MB-231における濃度依存的な効力及び有効性について、オリゴヌクレオチドCMP ID番号3_1、4_1、5_1及び6_1並びに先行技術の化合物(CMP ID番号7_1~23_1)をin vitroで試験する。
図9-1】ヒト細胞株MDA-MB-231における濃度依存的な効力及び有効性について、オリゴヌクレオチドアンチセンス分子及びそのより短い代謝産物をin vitro で試験する。A)CMP ID 5_1、B)CMP ID 7_1、C)CMP ID 8_1、D)CMP ID 9_1、E)CMP ID 10_1。
図9-2】ヒト細胞株MDA-MB-231における濃度依存的な効力及び有効性について、オリゴヌクレオチドアンチセンス分子及びそのより短い代謝産物をin vitro で試験する。A)CMP ID 5_1、B)CMP ID 7_1、C)CMP ID 8_1、D)CMP ID 9_1、E)CMP ID 10_1。
図9-3】ヒト細胞株MDA-MB-231における濃度依存的な効力及び有効性について、オリゴヌクレオチドアンチセンス分子及びそのより短い代謝産物をin vitro で試験する。A)CMP ID 5_1、B)CMP ID 7_1、C)CMP ID 8_1、D)CMP ID 9_1、E)CMP ID 10_1。
図10】GalNAcコンジュゲートCMP ID 5_1で処置したマウスにおけるin vivo分析のための研究プロトコル
図11】GalNAcコンジュゲートオリゴヌクレオチドアンチセンスCMP ID番号3_1及び5_1で処置したPXBマウスの肝臓組織におけるRTEL1 mRNAのレベル
図12】GalNAcコンジュゲートCMP ID 5_1で処置したHBV感染PXBマウスのin vivo分析のための研究プロトコル。
図13】GalNAcコンジュゲートCMP ID 5_1及び対照で処置したHBV感染PXBマウスの肝臓組織におけるRTEL1 mRNAレベル及びHBV cccDNAレベル:A)105日目、B)56日目。
【発明を実施するための形態】
【0113】
定義
HBV感染症
「B型肝炎ウイルス感染症」又は「HBV感染症」という用語は、当該技術分野では一般的に知られており、B型肝炎ウイルス(HBV)によって引き起こされ、かつ肝臓に影響を及ぼす感染性疾患を指す。HBV感染症は急性感染症又は慢性感染症であり得る。慢性B型肝炎ウイルス(chronic hepatitis B virus:CHB)感染症は、世界中で2億4800万人に影響する世界的な疾病負荷である。年間およそ686,000人の死亡は、HBV関連末期肝疾患及び肝細胞癌腫(HCC)に起因する(GBD 2013;Schweitzer et al.,2015)。WHOは、更なる介入がなければ、CHB感染者の数は今後40~50年間にわたり現在の高い水準を維持し、累積2000万人が2015~2030年の間に死亡すると予測した(WHO、2016年)。CHB感染症は特異な臨床症状を呈する同種疾患ではない。感染した個体は、生涯でCHB関連肝疾患のいくつかの段階を経て進行している。これらの病期もまた標準治療(standard of care:SOC)による処置の基礎となる。現在のガイドラインでは、血清ALTレベル、HBV DNAレベル、及び肝疾患の重症度の3つの基準に基づいて、CHBに感染した特定の個人のみを処置することを推奨している(EASL、2017年)。この推奨は、SOC、すなわちヌクレオシ(チ)ド類似体(NA)及びペグ化インターフェロン-α(PEG-IFN)が治癒的ではなく、かつ長期間投与しなければならず、それによって安全性リスクが増加するという事実による。NAはHBV DNA複製を効果的に抑制する。しかしながら、他のウイルスマーカには非常に限られた影響しか及ぼさない/一切影響を及ぼさない。HBV感染症の2つの特徴である、B型肝炎表面抗原(HBsAg)及び共有結合閉環状DNA(cccDNA)は、HBV治癒を目的とする新薬の主な標的である。CHB患者の血漿中において、HBsAgサブウイルス(中空)粒子は、HBVビリオンを数で10~10倍上回る(Ganem&Prince、2014年)。その過剰は、急性HBV感染症の消散後に観察された血清学的マーカーである中和抗HBs抗体を発現できない個体を含む、該疾患の免疫病理発生に寄与すると考えられている。
【0114】
cccDNA(共有結合的に閉じた環状DNA)
cccDNAは感染した肝細胞の核に存在するウイルスの遺伝的鋳型であり、増殖性感染に必要な全てのHBV RNA転写物を生じ、慢性HBV感染症の自然経過中のウイルス持続に関与する(Locarnini&Zoulim,2010 Antivir Ther.15 Suppl 3:3-14.doi:10.3851/IMP1619)。cccDNAはウイルスのリザーバとして作用し、処置中止後のウイルスリバウンド源であって、長期の、時として生涯の処置を必要とする。PEG-IFNは、その種々の副作用に起因して、CHBの小サブセットにしか投与できない。
【0115】
したがって、HBV cccDNAの分解又は除去により定義される完全治癒をCHB患者の大部分にもたらすことができる新規の治療法が、強く必要とされている。
【0116】
化合物
本明細書では、「化合物」という用語は、RTEL1の発現又は活性を阻害することができる任意の分子を意味する。本発明の特定の化合物は、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はそのような核酸分子を含む任意のコンジュゲートである。例えば、本明細書において、化合物は、RTEL1を標的とする核酸分子、特にアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。
【0117】
オリゴヌクレオチド
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、2つ以上の共有結合したヌクレオシドを含む分子として当業者によって一般的に理解されるように定義される。このような共有結合したヌクレオシドはまた、核酸分子又はオリゴマーとも称され得る。オリゴヌクレオチドは、通常、固相化学合成と、その後の精製及び単離によって研究室内で作製される。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合には、共有結合したヌクレオチド又はヌクレオシドの核酸塩基部分の配列又は順序、若しくはその修飾が言及される。本発明のオリゴヌクレオチドは、人工のものであり、化学的に合成され、典型的には精製又は単離される。本発明のオリゴヌクレオチドは、2’糖修飾ヌクレオシド等の1つ以上の修飾ヌクレオシドを含んでもよい。本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上のホスホロチオエートヌクレオシド間結合等の、1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合を含むことができる。
【0118】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
本明細書で使用される場合、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、標的核酸、特に標的核酸上の連続配列にハイブリダイズすることによって標的遺伝子の発現を調節することができるオリゴヌクレオチドとして定義される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本質的に二本鎖ではなく、したがってsiRNAでもshRNAでもない。好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖である。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの全長にわたって内部又は相互の自己相補性の程度が50%未満である限り、ヘアピン又は分子間二本鎖構造(同じオリゴヌクレオチドの2分子間の二本鎖)を形成することができることが理解される。
【0119】
いくつかの実施形態では、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNAヌクレオシドを含まなくてもよい。
【0120】
有利には、本発明のオリゴヌクレオチドは、2’糖修飾ヌクレオシド等の1つ以上の修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドを含む。さらに、修飾されていないヌクレオシドがDNAヌクレオシドであることは有利である。
【0121】
連続ヌクレオチド配列
「連続ヌクレオチド配列」という用語は、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドの領域を指す。この用語は、本明細書で「連続核酸塩基配列」という用語及び「オリゴヌクレオチドモチーフ配列」という用語と互換的に用いられる。いくつかの実施形態では、ヌクレオシドの全てのヌクレオチドは、連続ヌクレオチド配列を構成する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、F-G-F’ギャップマー領域等の連続ヌクレオチド配列を含み、任意に、更なるヌクレオチド(複数可)、例えば、官能基(例えば、コンジュゲート基)を連続ヌクレオチド配列に結合するために使用され得るヌクレオチドリンカー領域を含み得る。ヌクレオチドリンカー領域は、標的核酸に対して相補的であっても相補的でなくてもよい。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、連続ヌクレオチド配列を構成である。
【0122】
ヌクレオチド及びヌクレオシド
ヌクレオチド及びヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドの構成単位であり、本発明の目的のために、天然に存在するヌクレオチド及びヌクレオシドと、天然に存在しないヌクレオチド及びヌクレオシドとの両方を含む。本来、DNAヌクレオチド及びRNAヌクレオチド等のヌクレオチドは、リボース糖部分、核酸塩基部分、及び1つ以上のリン酸基(ヌクレオシドには存在しない)を含む。ヌクレオシド及びヌクレオチドはまた、「単位」又は「モノマー」と互換的に称されてもよい。
【0123】
修飾ヌクレオシド
本明細書で使用される場合、「修飾ヌクレオシド」又は「ヌクレオシド修飾」という用語は、糖部分又は(核酸)塩基部分の1つ以上の修飾の導入によって、同等のDNA又はRNAヌクレオシドと比較して修飾されたヌクレオシドを指す。有利には、1つ以上の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの修飾ヌクレオシドは、修飾糖部分を含む。「修飾ヌクレオシド」という用語はまた、「ヌクレオシド類似体」又は修飾「単位」又は修飾「モノマー」という用語と互換的に使用されてもよい。非修飾DNA又はRNA糖部分を有するヌクレオシドは、本明細書ではDNA又はRNAヌクレオシドと称される。DNA又はRNAヌクレオシドの塩基領域に修飾を有するヌクレオシドは、それらがワトソン・クリック塩基対合可能な場合には、依然として一般的にDNA又はRNAと称される。
【0124】
修飾ヌクレオシド間結合
「修飾ヌクレオシド間結合」という用語は、2つのヌクレオシドを互いに共有結合する、ホスホジエステル(PO)結合以外の結合として当業者に一般的に理解されるように定義される。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上のホスホロチオエートのヌクレオシド間結合又は1つ以上のホスホロジチオエートのヌクレオシド間結合のような、1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合を含むことができる。
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列の少なくとも50%のヌクレオシド間結合がホスホロチオエートであり、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列の少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%又は例えば少なくとも90%のヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合の全てが、ホスホロチオエートである。
【0125】
いくつかの有利な実施形態では、オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列の全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエートであるか、又はオリゴヌクレオチドの全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である。
【0126】
欧州特許第2742135号に開示されているように、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、他のヌクレオシド間結合(ホスホジエステル、ホスホロチオエート及びホスホロジチオエート以外)、例えばアルキルホスホネート/メチルホスホネートヌクレオシド間結合を含んでもよいことが認識され、これは欧州特許第2742135号によれば、例えば、別のDNAホスホロチオエートのギャップ領域内で耐性であり得る。
【0127】
核酸塩基
核酸塩基という用語は、ヌクレオシド及びヌクレオチドに存在するプリン(例えばアデニン及びグアニン)及びピリミジン(例えばウラシル、チミン及びシトシン)部分を含み、これらは核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成する。本発明の文脈において、核酸塩基という用語は、天然に存在する核酸塩基とは異なり得るが、核酸ハイブリダイゼーションの際に機能的である修飾核酸塩基も包含する。この文脈において、「核酸塩基」とは、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、及びヒポキサンチン等の天然に存在する核酸塩基と、天然に存在しないバリアントとの両方を指す。このようなバリアントは、例えば、Hirao et al(2012)Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055 and Bergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1に記載されている。
【0128】
いくつかの実施形態では、核酸塩基部分は、プリン又はピリミジンを修飾プリン又はピリミジン、例えば置換プリン又は置換ピリミジン、例えばイソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チアゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン及び2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基(nucleobased)に変えることにより修飾される。
【0129】
核酸塩基部分は、対応する各核酸塩基についての文字コード、例えば、A、T、G、C又はUにより示されてもよく、各文字は、任意に等価機能の修飾核酸塩基を含んでもよい。例えば、例示したオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、A、T、G、C、及び5-メチルシトシンから選択される。任意に、LNAギャップマーでは、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドが用いられ得る。
【0130】
修飾オリゴヌクレオチド
修飾オリゴヌクレオチドという用語は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド及び/又は修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを表す。「キメラ」オリゴヌクレオチドという用語は、糖修飾ヌクレオシド及びDNAヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドを記述するために文献で使用されている用語である。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、有利にはキメラオリゴヌクレオチドである。
【0131】
相補性
「相補性」という用語は、ヌクレオシド/ヌクレオチドのWatson-Crick塩基対形成の能力を表す。Watson-Crick塩基対は、グアニン(G)-シトシン(C)及びアデニン(A)-チミン(T)/ウラシル(U)である。オリゴヌクレオチドは修飾核酸塩基を有するヌクレオシドを含んでもよく、例えば5-メチルシトシンは度々シトシンの代わりに使用され、したがって相補性という用語は、非修飾核酸塩基と修飾核酸塩基との間のWatson Crick塩基対形成を包含することが理解されよう(例えばHirao et al(2012)Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055及びBergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1を参照)。
【0132】
本明細書で使用される場合、「%相補的」という用語は、連続ヌクレオチド配列にわたって参照配列(例えば、標的配列又は配列モチーフ)に相補的である、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)の連続ヌクレオチド配列のヌクレオチドの割合(パーセント)を指す。したがって、相補性のパーセンテージは、2つの配列間(標的配列5’-3’と3’-5’からのオリゴヌクレオチド配列とを整列させた場合)で相補的である(ワトソン・クリック塩基対から)整列した核酸塩基の数を数え、その数をオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数で割り、100を掛けることによって計算される。このような比較において、整列(塩基対を形成)しない核酸塩基/ヌクレオチドは、ミスマッチと称される。挿入及び欠失は、連続ヌクレオチド配列の%相補性の計算において許容されない。相補性の決定において、核酸塩基の化学的修飾は、核酸塩基がWatson-Crick塩基対合を形成する機能的能力が保持される限り、無視されることが理解されるであろう(例えば、5-メチルシトシンは、%同一性の計算の目的のために、シトシンと同一であると見なされる)。
【0133】
「完全に相補的な」という用語は、100%の相補性を指す。
【0134】
同一性
本明細書で使用される場合、「同一性」という用語は、連続ヌクレオチド配列にわたって参照配列(例えば、配列モチーフ)と同一である、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)内の連続ヌクレオチド配列のヌクレオチドの割合(パーセントで表される)を指す。したがって、同一性のパーセンテージは、2つの配列(本発明の化合物の連続ヌクレオチド配列及び参照配列における)の間で同一の(一致する)整列された核酸塩基の数を数え、その数をオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数で割り、100を掛けることによって計算される。したがって、同一性のパーセンテージ=(一致数×100)/整列領域(例えば、連続ヌクレオチド配列)の長さ。挿入及び欠失は、連続ヌクレオチド配列の同一性の百分率の計算において許容されない。同一性の決定において、核酸塩基の化学的修飾は、核酸塩基がワトソン・クリック塩基対を形成する機能的能力が保持される限り、無視されることが理解されるであろう(例えば、5-メチルシトシンは、%同一性の計算の目的のために、シトシンと同一であると見なされる)。
【0135】
ハイブリダイゼーション
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイズ」又は「ハイブリダイズする」という用語は、2つの核酸鎖(例えば、オリゴヌクレオチド及び標的核酸)が対向する鎖上の塩基対間に水素結合を形成することにより二本鎖を形成することと理解されるべきである。2つの核酸鎖の間の結合の親和性は、ハイブリダイゼーションの強度である。これは、オリゴヌクレオチドの半分が標的核酸と二重鎖を形成する温度として定義される、融解温度(T)によって説明されることが多い。生理学的条件では、Tは親和性に厳密に比例しない(Mergny及びLacroix、2003、Oligonucleotides13:515~537)。標準状態でのギブスの自由エネルギーΔG°は、結合親和性をより正確に表しており、ΔG°=-RTln(K)(式中、Rは気体定数であり、Tは絶対温度である)によって反応の解離定数(K)と関連付けられている。したがって、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の反応の非常に低いΔG°は、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の強いハイブリダイゼーションを反映している。ΔG°は、水溶液濃度が1M、pHが7、温度が37℃である反応に関連したエネルギーである。標的核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、自発的反応であり、自発的反応の場合のΔG°は、ゼロ未満である。ΔG°は、例えば、Hansen et al.,1965,Chem.Comm.36-38及びHoldgate et al.,2005,Drug Discov Todayに記載される等温滴定熱量測定(ITC)により、実験的に測定することができる。当業者は、ΔG°測定のために市販の装置が入手可能であることを知るであろう。ΔG°はまた、Sugimoto et al.,1995,Biochemistry 34:11211-11216及びMcTigue et al.,2004,Biochemistry 43:5388-5405によって記載された適切に導出された熱力学パラメータを使用して、SantaLucia,1998,Proc Natl Acad Sci USA.95:1460-1465によって記載された最近傍モデルを使用することによって数値的に推定することができる。その意図した核酸標的をハイブリダイゼーションによって調節する可能性を確保するために、本発明のオリゴヌクレオチドは、10~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドに対して-10kcal未満の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションの程度又は強度は、標準状態でのギブスの自由エネルギーΔG°によって測定される。オリゴヌクレオチドは、8~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドに対して-10kcalの範囲未満、例えば-15kcal未満、例えば-20kcal未満、及び例えば-25kcal未満の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズし得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、-10~-60kcal、例えば-12~-40、例えば-15~-30kcal、又は-16~-27kcal、例えば-18~-25kcalの推定ΔG°値で、標的核酸にハイブリダイズする。
【0136】
標的
本明細書で使用される場合、「標的」という用語は、「KIAA1088」又は「C20ORF41」又は「テロメア長の調節因子」又は「テロメア長調節因子」又は「第20染色体オープンリーディングフレーム41」としても知られる哺乳動物タンパク質RTEL1(「テロメア伸長ヘリカーゼ1の調節因子」)を指す。ホモサピエンス(homo sapiens)RTEL1遺伝子は、20番染色体の63、657、810~63、696、253相補体(ホモサピエンス(Homo sapiens)更新アノテーション、リリース109.20200228、GRCh38.p13)に位置する。RTEL1タンパク質は、テロメア長調節、DNA修復及びゲノム安定性の維持に関与するATP依存性DNAヘリカーゼである。ヒトRTEL1のアミノ酸配列は当技術分野で公知であり、UniProtによって評価することができ、ヒトRTEL1についてはUniProtエントリーQ9NZ71を参照されたい(参照により本明細書に組み込まれる)。
【0137】
標的核酸
本発明によれば、標的核酸は、哺乳動物RTEL1をコードする核酸であり、例えば遺伝子、RNA、mRNA、及びプレmRNA、成熟mRNA又はcDNA配列であり得る。したがって、標的は、RTEL1標的核酸と呼ばれ得る。
【0138】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、哺乳動物RTEL1の標的エクソン領域を標的とし得るか、又は例えばRTEL1プレmRNAのイントロン領域を標的とし得る。ヒトRTEL1遺伝子は、タンパク質をコードするこれらの7つの転写物のうち15の転写物をコードし、したがって、潜在的な核酸標的である。表3は、配列番号1のヒトRTEL1プレmRNA上に位置する7つの転写物の予測されるエクソン及びイントロン領域を列挙する。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【0139】
好適には、標的核酸は、RTEL1タンパク質、特に哺乳動物RTEL1、例えばヒトRTEL1をコードする(例えば、表3及び表4を参照)。これは、ヒト及びサルRTEL1についてのプレmRNA配列を提供する。
【0140】
いくつかの実施形態では、標的核酸は、配列番号1及び/若しくは2、又はその天然に存在するバリアント(例えば、哺乳動物RTEL1タンパク質をコードする配列)から選択される。
【0141】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明のコンジュゲートを研究又は診断に使用する場合、標的核酸は、cDNA、又はDNA若しくはRNAに由来する合成核酸であり得る。
【0142】
in vivo又はin vitroでの適用のために、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、典型的には、RTEL1標的核酸を発現している細胞内のRTEL1標的核酸の発現を阻害することができる。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの核酸塩基の連続配列は、典型的には、アンチセンスオリゴヌクレオチドの長さにわたって測定して、任意に1つ又は2つのミスマッチを除いて、また場合により、アンチセンスオリゴヌクレオチドをコンジュゲート等の任意の官能基に連結し得るヌクレオチドベースのリンカー領域、又は他の非相補的末端ヌクレオチド(例えば、領域D’又はD”)を除いて、RTEL1標的核酸に相補的である。標的核酸は、いくつかの実施形態では、ヒトRTEL1等のプレmRNA、例えば配列番号1として開示されているもの等のヒトRTEL1プレ-mRNA配列、又は配列番号2として開示されているもの等のカニクイザルRTEL1プレ-mRNA配列等のメッセンジャーRNA等のRNA又はDNAであり得る。配列番号1及び2はDNA配列である。標的RNA配列は、チミジン塩基(T)の代わりに、ウラシル(U)塩基を有することが理解されよう。
【0143】
例示的な標的核酸に関する更なる情報は、表4及び5に提供される。
【表4】
Fwd=フォワード鎖。ゲノム座標は、プレmRNA配列(ゲノム配列)を提供する。NCBI参照は、mRNA配列(cDNA配列)を提供する。
【表5】
注:配列番号2は、配列決定が配列を正確に精製することができず、したがって縮重配列が含まれる、複数のNNNNの領域を含む。疑いを避けるため、本発明の化合物は実際の標的配列に対して相補的であり、したがって、縮重化合物ではない。
【0144】
いくつかの実施形態では、標的核酸は、配列番号1である。
【0145】
いくつかの実施形態では、標的核酸は、配列番号2である。
【0146】
いくつかの実施形態では、標的核酸は、配列番号1及び2である。
【0147】
標的配列
本明細書で使用される場合、「標的配列」という用語は、本発明のオリゴヌクレオチドに相補的な核酸塩基配列を含む、標的核酸中に存在するヌクレオチドの配列を指す。いくつかの実施形態では、標的配列は、本発明のオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列に相補的な核酸塩基配列を有する標的核酸上の領域からなる。標的核酸のこの領域は、互換的に標的ヌクレオチド配列、標的配列、又は標的領域と称され得る。いくつかの実施形態では、標的配列は、単一のオリゴヌクレオチドの相補的配列よりも長く、例えば、本発明のいくつかのオリゴヌクレオチドにより標的とされ得る標的核酸の好ましい領域を表し得る。
【0148】
本発明のオリゴヌクレオチドは、標的核酸、例えば本明細書に記載される標的配列に相補的及びハイブリダイズする連続ヌクレオチド配列を含む。
【0149】
オリゴヌクレオチドが相補的である標的配列は、一般に、少なくとも10ヌクレオチドの連続核酸塩基配列を含む。連続ヌクレオチド配列は、10~30ヌクレオチド長、例えば12~30、例えば14~20、例えば15~18連続ヌクレオチド長、例えば15、16、17連続ヌクレオチド長である。
【0150】
標的配列領域
本発明者らは、本発明のオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートによって標的化され得るRTEL1標的核酸の特に有効な配列を同定した。
【0151】
いくつかの実施形態では、標的配列は配列番号7である。
【0152】
いくつかの実施形態では、標的配列は配列番号8である。
【0153】
いくつかの実施形態では、標的配列は配列番号9である。
【0154】
いくつかの実施形態では、標的配列は配列番号10である。
【0155】
いくつかの実施形態では、標的配列は配列番号11である。
【0156】
配列番号7:TTTGACCAGAGTATGTAAAATT
配列番号8:ACCAGAGTATGTAAAATT
配列番号9:GACCAGAGTATGTAAAATT
配列番号10:TTTGACCAGAGTATGTAA
配列番号11:GAGATTCAAGTTATAATAAAG
配列番号7~11はDNA配列である。標的RNA配列は、チミジン塩基(T)の代わりに、ウラシル(U)塩基を有することが理解されよう。
【0157】
配列番号7~10に示される標的配列は、ヒトRTEL1のイントロン8に見出すことができる。配列番号11に示される標的配列は、ヒトRTEL1のイントロン7に見出すことができる。
【0158】
いくつかの実施形態では、標的配列は、配列番号1のヌクレオチド11753~11774の領域である。
【0159】
いくつかの実施形態では、標的配列は、配列番号1のヌクレオチド11757~11774の領域である。
【0160】
いくつかの実施形態では、標的配列は、配列番号1のヌクレオチド11756~11774の領域である。
【0161】
いくつかの実施形態では、標的配列は、配列番号1のヌクレオチド11753~11770の領域である。
【0162】
いくつかの実施形態では、標的配列は、配列番号1のヌクレオチド8681~8701の領域である。
【0163】
標的細胞
本明細書で使用される場合、「標的細胞」という用語は、標的核酸を発現している細胞を指す。いくつかの実施形態では、標的細胞は、in vivo 又はin vitroであり得る。いくつかの実施形態では、標的細胞は、哺乳動物細胞、例えば、げっ歯類細胞、例えば、マウス細胞若しくはラット細胞、又は霊長類細胞、例えば、サル細胞若しくはヒト細胞である。
【0164】
典型的には、標的細胞は、RTEL1プレmRNA又はRTEL1成熟mRNA等のRTEL1 mRNAを発現する。実験評価のために、ヒトRTEL1プレmRNA、例えば配列番号1等の標的配列を含む核酸を発現する標的細胞を使用してもよい。
【0165】
RTEL1 mRNAのポリAテールは、典型的には、アンチセンスオリゴヌクレオチド標的化では無視される。
【0166】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、典型的には、例えばin vivo又はin vitroのいずれかで、RTEL1標的核酸を発現している細胞(標的細胞)におけるRTEL1標的核酸の発現を阻害することができる。
【0167】
さらに、標的細胞は肝細胞であってもよい。一実施形態では、標的細胞は、HBVに感染した初代ヒト肝細胞であり、HBV感染個体に由来するか、又はヒト化肝臓を有するHBVに感染したマウス(PhoenixBio、PXBマウス)に由来するかのいずれかである。
【0168】
本発明によれば、標的細胞は、HBVに感染していてもよい。さらに、標的細胞は、HBV cccDNAを含み得る。したがって、標的細胞は、RTEL1プレmRNA又はRTEL1成熟mRNA等のRTEL1 mRNA及びHBV cccDNAを含むことが好ましい。
【0169】
天然に存在するバリアント
「天然に存在するバリアント」という用語は、標的核酸と同じ遺伝子座に由来するが、例えば、同じアミノ酸をコードする多数のコドンを引き起こす遺伝コードの縮重のために、又はプレmRNAの選択的スプライシング、又は多型、例えば単一ヌクレオチド多型(SNP)の存在に起因して異なり得るRTEL1遺伝子又は転写産物のバリアント、及び対立遺伝子バリアントを指す。オリゴヌクレオチドに対する十分な相補的な配列の存在に基づいて、本発明のオリゴヌクレオチドは、したがって、標的核酸及びその天然に存在するバリアントを標的とし得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、天然に存在するバリアントは、哺乳動物RTEL1標的核酸、例えば配列番号1の標的核酸に対して少なくとも95%、例えば少なくとも98%又は少なくとも99%相同性を有する。いくつかの実施形態では、天然に存在するバリアントは、配列番号1のヒトRTEL1標的核酸に対して少なくとも99%相同性を有する。
【0171】
発現の阻害
本明細書で使用される場合、「発現の阻害」という用語は、標的細胞におけるRTEL1の量又は活性を阻害するオリゴヌクレオチドの能力の全体的な用語として理解されるべきである。活性の阻害は、RTEL1プレmRNA若しくはRTEL1 mRNAのレベルを測定することによって、又は細胞中のRTEL1若しくはRTEL1活性のレベルを測定することによって決定され得る。したがって、発現の阻害はin vitro又はin vivoで決定され得る。
【0172】
典型的には、発現の阻害は、有効量のアンチセンスオリゴヌクレオチドを標的細胞に投与することによる活性の阻害を比較する、及びそのレベルをアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与しない標的細胞から得られた参照レベル(対照実験)、又は既知の参照レベル(例えば、有効量のアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与前の発現レベル、又は所定の若しくは他の既知の発現レベル)と比較することによって決定される。
【0173】
例えば、対照実験は、生理食塩水組成物又は参照オリゴヌクレオチド(多くの場合、スクランブル対照)で処置した動物若しくはヒト、又は標的細胞であり得る。
【0174】
「阻害」又は「阻害する」という用語は、RTEL1、例えばRTEL1プレmRNAの発現を下方調節する、減少させる、抑制する、減らす、低下させるとも呼ばれ得る。
【0175】
発現の阻害は、例えばプレmRNA又はmRNAの分解(例えば、RNアーゼH動員オリゴヌクレオチド、例えばギャップマーを使用する)によって起こり得る。
【0176】
高親和性修飾ヌクレオシド
高親和性修飾ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド中に組み込まれた場合に、例えば、融解温度(Tm)によって測定された、その相補的標的に対するオリゴヌクレオチドの親和性を高める修飾ヌクレオチドである。本発明の高親和性修飾ヌクレオシドは、好ましくは、修飾ヌクレオシドあたり+0.5~+12℃、より好ましくは+1.5~+10℃、最も好ましくは+3~+8℃の融解温度の上昇をもたらす。多数の高親和性修飾ヌクレオシドが当技術分野において知られており、例えば、多くの2’置換ヌクレオシド及びロックド核酸(LNA)が挙げられる(例えば、Freier&Altmann;Nucl.Acid Res.、1997、25、4429~4443及びUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development、2000、3(2)、293~213を参照)。
【0177】
糖修飾
本発明のオリゴマーは、修飾された糖部分、すなわち、DNA及びRNAに見られるリボース糖部分と比較して、糖部分が修飾された1つ以上のヌクレオシドを含みうる。
リボース糖部分の修飾を有する数多くのヌクレオシドは、親和性及び/又はヌクレアー
【0178】
ゼ耐性等のオリゴヌクレオチドのある特定の性質を改善することを主な目的として作製されてきた。
【0179】
このような修飾には、例えば、ヘキソース環(HNA)、又は典型的にはリボース環上のC2炭素とC4炭素との間にビラジカル架橋を有する二環式環(LNA)、又は典型的にはC2炭素とC3炭素との間の結合を欠く非結合リボース環(例えば、UNA)で置き換えることにより、リボース環構造が修飾されているものが含まれる。他の糖修飾ヌクレオシドには、例えばビシクロヘキソース核酸(国際公開第2011/017521号)又は三環式核酸(国際公開第2013/154798号)が含まれる。修飾ヌクレオシドにはまた、糖部分が例えばペプチド核酸(PNA)又はモルホリノ核酸の場合には非糖部分で置き換えられているヌクレオシドが含まれる。
【0180】
糖修飾にはまた、リボース環上の置換基を、水素以外の基、又はDNA及びRNAヌクレオシド中に天然に存在する2’-OH基に変更することによってなされる修飾も含まれる。置換基は、例えば2’、3’、4’、又は5’位で導入され得る。
【0181】
2’糖修飾ヌクレオシド
2’糖修飾ヌクレオシドは、2’位にH又は-OH以外の置換基を有するか(2’置換ヌクレオシド)、又は2’炭素とリボース環上の第2の炭素との間に架橋を形成することができる2’結合ビラジカルを含むヌクレオシド、例えばLNA(2’-4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドである。
【0182】
実際、2’糖置換ヌクレオシドの開発には多くの注目が集まっており、数多くの2’置換ヌクレオシドが、オリゴヌクレオチドに組み込まれた際に有益な特性を有することが見出されている。例えば、2’修飾ヌクレオシドは、結合親和性の向上、及び/又はヌクレアーゼ耐性の増大をオリゴヌクレオチドに提供することができる。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA及び2’-F-ANAヌクレオシドである。更なる例については、例えばFreier&Altmann;Nucl.Acid Res.、1997、25、4429~4443及びUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development、2000、3(2)、293~213、並びにDeleavey及びDamha、Chemistry and Biology 2012、19、937を参照されたい。以下は、いくつかの2’置換修飾ヌクレオシドの例示である。
【化33】
【0183】
本発明に関して、2’置換糖修飾ヌクレオシドは、LNAのような2’架橋ヌクレオシドを含まない。
【0184】
ロックド核酸ヌクレオシド(LNAヌクレオシド)
「LNAヌクレオシド」は、該ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’とを連結するビラジカル(「2’-4’架橋」とも呼ばれる)を含む2’修飾ヌクレオシドであり、これはリボース環の立体配座を制限又は固定する。これらのヌクレオシドはまた、文献において、架橋核酸又は二環式核酸(BNA)とも称されている。リボースのコンホメーションの固定は、LNAが相補的RNA又はDNA分子のオリゴヌクレオチドに組み込まれる場合、ハイブリダイゼーションの親和性の向上(二重鎖安定化)に関連している。これは、オリゴヌクレオチド/相補二重鎖の融解温度を測定することによって、日常的に決定され得る。
【0185】
非限定的で例示的なLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226号、国際公開第00/66604号、国際公開第98/039352号、国際公開第2004/046160号、国際公開第00/047599号、国際公開第2007/134181号、国際公開第2010/077578号、国際公開第2010/036698号、国際公開第2007/090071号、国際公開第2009/006478号、国際公開第2011/156202号、国際公開第2008/154401号、国際公開第2009/067647号、国際公開第2008/150729号、Morita et al.,Bioorganic&Med.Chem.Lett.12,73-76、Seth et al.J.Org.Chem.2010,Vol 75(5)pp.1569-81、及びMitsuoka et al.,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238、及びWan and Seth,J.Medical Chemistry 2016,59,9645-9667を参照されたい。
【0186】
更なる非限定的な例示的LNAヌクレオシドを、スキーム1に開示する。
【化34】
【0187】
特定のLNAヌクレオシドは、ベータ-D-オキシ-LNA、6’-メチル-ベータ-D-オキシLNA、例えば(S)-6’-メチル-ベータ-D-オキシ-LNA(ScET)及びENAである。特定の有利なLNAは、ベータ-D-オキシ-LNAである。
【0188】
ヌクレアーゼ媒介分解
ヌクレアーゼ媒介分解は、相補的なヌクレオチド配列と二重鎖を形成するときに、そのような配列の分解を媒介することができるオリゴヌクレオチドを指す。
【0189】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸のヌクレアーゼ媒介分解を介して機能することができ、本発明のオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ、特にエンドヌクレアーゼ、好ましくはRNアーゼH等のエンドリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)を動員することができる。ヌクレアーゼ媒介機構を介して作用するオリゴヌクレオチド設計の例は、典型的には少なくとも5個又は6個の連続するDNAヌクレオシドの領域を含み、親和性増強ヌクレオシド、例えばギャップマーによって片側又は両側に隣接するオリゴヌクレオチドである。
【0190】
RNase Hの活性及び動員
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNase H活性とは、相補的RNA分子との二重鎖にあるときにRNase Hを動員する能力を指す。国際公開第01/23613号は、RNase Hを動員する能力を決定するために使用され得る、RNase H活性を決定するためのin vitro方法を提供する。典型的には、オリゴヌクレオチドが、相補的標的核酸配列が提供された場合に、試験されている修飾オリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、オリゴヌクレオチド中の全てのモノマー間にホスホロチオエート結合を有するDNAモノマーのみを含有するオリゴヌクレオチドを使用し、国際公開第01/23613号(参照により本明細書に組み込まれる)の実施例91~95により提供される方法論を使用したときに決定された初期速度の少なくとも5%、例えば、少なくとも10%又は20%超のpmol/l/分で測定された初期速度を有する場合に、このオリゴヌクレオチドはRNase Hを動員し得ると見なされる。RNase H活性の決定での使用について、組換えヒトRNase H1は、Creative Biomart(登録商標)(大腸菌で発現したHisタグと融合した組換えヒトRNase H1)から入手できる。
【0191】
ギャップマー
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列はギャップマーであってもよく、また、ギャップマーオリゴヌクレオチド又はギャップマー設計とも称され得る。アンチセンスギャップマーは、通常、RNase H媒介分解を介した標的核酸の阻害に用いられる。ギャップマー型オリゴヌクレオチドは、少なくとも3つの別個の構造領域、5’-フランク、ギャップ及び3’-フランク、F-G-F’を5’→3’方向で含む。「ギャップ」領域(G)は、オリゴヌクレオチドがRNase Hを動員することを可能にする一続きの連続するDNAヌクレオチドを含む。ギャップ領域には、1種以上の糖修飾ヌクレオシド、有利には高親和性糖修飾ヌクレオシドを含む5’隣接領域(F)と、1種以上の糖修飾ヌクレオシド、有利には高親和性糖修飾ヌクレオシドを含む3’隣接領域(F’)が隣接する。領域F及びF’の1つ以上の糖修飾ヌクレオシドは、標的核酸に対するオリゴヌクレオチドの親和性を向上させる(すなわち、親和性向上糖修飾ヌクレオシドである)。いくつかの実施形態では、領域F及びF’の1つ以上の糖修飾ヌクレオシドは、例えばLNA及び2’-MOEから独立して選択される、例えば高親和性の2’糖修飾等、2’糖修飾ヌクレオシドである。
【0192】
ギャップマー設計において、ギャップ領域の最も5’及び3’のヌクレオシドはDNAヌクレオシドであり、それぞれ、5’(F)又は3’(F’)領域の糖修飾ヌクレオシドに隣接して配置されている。フランクは更に、ギャップ領域から最も遠い端、すなわち5’フランクの5’末端及び3’フランクの3’末端に少なくとも1つの糖修飾ヌクレオシドを有することによって定義され得る。いくつかの実施形態では、式F-G-F’のギャップマー領域のヌクレオシド間の全てのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0193】
領域F-G-F’は、連続ヌクレオチド配列を形成する。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列は、式F-G-F’のギャップマー領域を含み得る。
【0194】
ギャップマー設計F-G-F’の全長は、例えば12~32ヌクレオシド、例えば13~24、例えば14~22ヌクレオシド、例えば15~20、例えば16~18ヌクレオシドであり得る。
【0195】
例として、本発明のギャップマーオリゴヌクレオチドは、以下の式によって表すことができる:
1-8-G5-16-F’1-8、例えば
1-8-G7-16-F’2-8、又は
1-8-G11-16-F’2-8
ただし、ギャップマー領域F-G-F’の全長は、少なくとも12、例えば少なくとも14ヌクレオチド長であることを条件とする。
【0196】
本発明の一態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、式5’-F-G-F’-3’のギャップマー(式中、領域F及びF’は独立して1~8個のヌクレオシドを含むか又はそれらからなり、そのうち1~4個は2’糖修飾され、F及びF’領域の5’及び3’末端を規定し、GはRNase Hを動員することができる6~16個のヌクレオシドの領域である)からなるか又はそれを含む。
【0197】
領域F、G、及びF’は、更に以下に定義され、F-G-F’式に組み込むことができる。
【0198】
ギャップマー-領域G
ギャップマーの領域G(ギャップ領域)は、オリゴヌクレオチドがRNaseH、例えばヒトRNaseH1を動員することを可能にするヌクレオシド、典型的にはDNAヌクレオシドの領域である。RNase Hは、DNAとRNAとの間の二重鎖を認識し、RNA分子を酵素的に切断する細胞性酵素である。好適には、ギャップマーは、少なくとも5又は6連続DNAヌクレオシド、例えば5~16連続DNAヌクレオシド、例えば6~15連続DNAヌクレオシド、例えば7~14連続DNAヌクレオシド、例えば8~12連続DNAヌクレオチド、例えば8~12連続DNAヌクレオチド長のギャップ領域(G)を有し得る。ギャップ領域Gは、いくつかの実施形態では、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16連続するDNAヌクレオシドからなっていてもよい。さらに、領域Gは、11~16個の連続するDNAヌクレオチドの長さを有し得る。
【0199】
ギャップ領域内の1つ以上のシトシン(C)DNAは、いくつかの場合、メチル化(例えば、DNA cにDNA gが続く場合)されてもよく、このような残基は、5-メチル-シトシン(meC)と注釈が付けられる。いくつかの実施形態では、ギャップ領域Gは、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16個の連続するホスホロチオエート結合DNAヌクレオシドからなっていてもよい。
【0200】
いくつかの実施形態では、ギャップ内の全てのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合である。
【0201】
ギャップマー-隣接領域、F及びF’
領域F’は、領域Gの5’DNAヌクレオシドのすぐ隣に配置されている。領域Fの最も3’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシド、例えば高親和性糖修飾ヌクレオシド、例えば2’置換ヌクレオシド、例えばMOEヌクレオシド、又はLNAヌクレオシドである。
【0202】
領域F’は、領域Gの3’DNAヌクレオシドのすぐ隣に配置されている。領域Fの最も5’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシド、例えば高親和性糖修飾ヌクレオシド、例えば2’置換ヌクレオシド、例えばMOEヌクレオシド、又はLNAヌクレオシドである。
【0203】
領域Fは、1~8連続ヌクレオチド長、例えば2~6、例えば2~4連続ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、領域Fの長さは2個の連続ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、領域F’の長さは3個の連続ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、領域Fの長さは4個の連続ヌクレオチドである。
【0204】
有利には、領域Fの最も5’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域F’の2つの最も5’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域F’の最も5’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域F’の2つの最も5’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。
【0205】
領域F’は、1~8個の連続したヌクレオチド長、例えば2~6個の連続したヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、領域F’の長さは2個の連続ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、領域F’の長さは4個の連続ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、領域Fの長さは5個の連続ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、領域Fの長さは6個の連続ヌクレオチドである。
【0206】
有利には、領域F’の最も3’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域F’の2つの最も3’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域F’の2つの最も3’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。いくつかの実施形態では、領域F’の最も3’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。
【0207】
領域Fの長さが1である場合、それは有利なことには、LNAヌクレオシドであることに留意するべきである。さらに、領域F及び/又はF’の長さが2である場合、領域F及び/又はF’の両方のヌクレオシドは、有利にはLNAヌクレオシドであることに留意されたい。
【0208】
いくつかの実施形態では、領域F及びF’における糖修飾ヌクレオシドは、1タイプのみの糖修飾ヌクレオシド、例えばMOEのみ、又はβ-D-オキシLNAのみ、又はScETのみからなる。このような設計は、均一フランク又は均一ギャップマー設計とも称される。
【0209】
いくつかの実施形態では、領域F若しくはF’、又はF及びF’の全ヌクレオシドは、例えばベータ-D-オキシLNAヌクレオシド等のLNAヌクレオシドである。代替的な実施形態では、領域F及びF’の全ての糖修飾ヌクレオシドは、LNAヌクレオシド、例えばベータ-D-オキシLNAヌクレオシドであり、領域F若しくはF’、又は領域F及びF’の両方は、DNAヌクレオシド(交互フランク、詳細についてはこれらの定義を参照されたい)を含み得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、領域F及びF’の最5’及び最も3’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシド、例えばベータ-D-オキシLNAヌクレオシドヌクレオシドである。
【0211】
いくつかの実施形態では、領域Fと領域Gとの間のヌクレオシド間結合及び/又は領域F’と領域Gとの間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。いくつかの実施形態では、領域F又はF’、F及びF’のヌクレオシド間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0212】
LNAギャップマー
LNAギャップマーは、領域F及びF’の一方又は両方に、LNAヌクレオシドを含むか、若しくはそれからなるギャップマーである。ベータ-D-オキシギャップマーは、領域F及びF’の一方又は両方に、ベータ-D-オキシLNAヌクレオシドを含むか、若しくはそれからなるギャップマーである。
【0213】
いくつかの実施形態では、LNAギャップマーは、式:[LNA]1~5-[領域G]-[LNA]1~5(式中、領域Gは、RNaseHを動員することができる連続DNAヌクレオシドの領域であるか又はそれを含む)のものである。
【0214】
MOEギャップマー
MOEギャップマーは、領域F及びF’がMOEヌクレオシドからなるギャップマーである。いくつかの実施形態では、MOEギャップマーは、設計[MOE]1~8-[領域G]5~16-[MOE]1~8、例えば[MOE]2~7-[領域G]6~14-[MOE]2~7、例えば[MOE]3~6-[領域G]8~12-[MOE]3~6(式中、領域Gはギャップマーの定義において定義される通りである)のものである。5-10-5設計(MOE-DNA-MOE)を有するMOEギャップマーは、当技術分野で広く使用されている。
【0215】
混合ウィングギャップマー
混合ウィングギャップマーは、領域F及びF’の一方又は両方が、2’置換ヌクレオシド、例えば2’-O-アルキル-RNA単位、2’-O-メチル-RNA、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、2’-アルコキシ-RNA、MOE単位、アラビノ核酸(ANA)単位及び2’-フルオロ-ANA単位からなる群から独立して選択される2’置換ヌクレオシド、例えばMOEヌクレオシドを含むLNAギャップマーである。領域F及びF’の少なくとも一方、又は領域FとF’の両方が少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含むいくつかの実施形態では、領域F及びF’の残りのヌクレオシドが、MOE及びLNAからなる群から独立して選択される。領域F及びF’の少なくとも一方、又は領域FとF’の両方が少なくとも2つのLNAヌクレオシドを含むいくつかの実施形態では、領域F及びF’の残りのヌクレオシドが、MOE及びLNAからなる群から独立して選択される。いくつかの混合ウイング実施形態では、領域F及びF’の一方又は両方が、1つ以上のDNAヌクレオシドを更に含んでもよい。
【0216】
交互フランクギャップマー
フランキング領域は、LNAヌクレオシドとDNAヌクレオシドの両方を含んでよく、それらはLNA-DNA-LNAヌクレオシドの交互のモチーフを含むことから、「交互フランク」と呼ばれる。少なくとも1つの交互フランクを含むギャップマーは、「交互フランクギャップマー」と称される。したがって、「交互フランクギャップマー」は、少なくとも1つのフランク(F又はF’)がLNAヌクレオシド(複数可)に加えてDNAを含む、LNAギャップマーオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、領域F若しくはF’の少なくとも一方、又は領域FとF’の両方が、LNAヌクレオシドとDNAヌクレオシドの両方を含む。このような実施形態では、隣接領域F又はF’、若しくはF及びF’の両方が少なくとも3つのヌクレオシドを含み、F及び/又はF’領域の最も5’及び3’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。交互フランクLNAギャップマーは、国際公開第2016/127002号に開示されている。
【0217】
交互フランク領域は、1~2つ、又は1つ、又は2つ、又は3つの連続するDNAヌクレオシド等の最大3つの連続するDNAヌクレオシドを含み得る。
交互のフレーク領域は、一連の整数として注釈を付けることができ、これは、いくつかのLNAヌクレオシド(L)とそれに続くいくつかのDNAヌクレオシド(D)、例えば[L]1-3-[D]1-3-[L]1-3又は[L]1-2-[D]1-2-[L]1-2-[D]1-2-[L]1-2を表す。オリゴヌクレオチド設計では、これらは、2-2-1が5’[L]2-[D]2-[L]3’を表し、1-1-1-1-1が5’[L]-[D]-[L]-[D]-[L]3’を表すような数として表されることが多い。交互フランクを有するオリゴヌクレオチド内のフランク(領域F及びF’)の長さは、これらの領域について本明細書で上述したように、例えば4~8、例えば5~6個のヌクレオシド、例えば4、5、6又は7個の修飾ヌクレオシドであり得る。追加のエキソヌクレアーゼ耐性を付与するために、3’フランク(F’)の3’末端に少なくとも2つのLNAヌクレオシドを有することが有利であり得る。
オリゴヌクレオチドにおける領域D’又はD”
本発明のオリゴヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、標的核酸に対して相補的なオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列、例えばギャップマー領域F-G-F’、並びに更に5’及び/又は3’ヌクレオシドを含むか、又はそれからなり得る。更なる5’及び/又は3’ヌクレオシドは、標的核酸に対して完全に相補的であっても、完全に相補的でなくてもよい。このような更なる5’及び/又は3’ヌクレオシドは、本明細書では領域D’及びD”と称され得る。
【0218】
領域D’又はD”の付加は、連続ヌクレオチド配列、例えばギャップマーをコンジュゲート部分又は別の官能基に連結する目的のために使用され得る。連結に用いられる場合、コンジュゲート部分を有する連続ヌクレオチド配列は、生体切断可能なリンカーとしての役割を果たし得る。あるいは、それはエキソヌクレアーゼ保護を提供するために、又は合成若しくは製造を容易にするために使用され得る。
【0219】
領域D’及びD”は、それぞれ、領域Fの5’末端又は領域F’の3’末端に結合されて、以下の式D’-F-G-F’、F-G-F’-D”、又はD’-F-G-F’-D”の設計を生成することができる。この場合、F-G-F’はオリゴヌクレオチドのギャップマー部分であり、領域D’又はD”は、オリゴヌクレオチドの別個の部分を構成する。
【0220】
領域D’又はD”は、独立して、1、2、3、4、又は5の追加のヌクレオチドを含むか、又はそれからなり、これは、標的核酸に相補的であっても、相補的でなくてもよい。F又はF’領域に隣接するヌクレオチドは、DNA又はRNA等の糖修飾ヌクレオチドではなく、若しくはこれらの塩基修飾バージョンでもない。D’又はD”領域は、ヌクレアーゼ感受性の生体切断可能なリンカーとしての役割を果たし得る(リンカーの定義を参照)。いくつかの実施形態では、追加の5’及び/又は3’末端ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合で連結されており、DNA又はRNAである。領域D’又はD”としての使用に好適なヌクレオチドベースの生体切断可能なリンカーは、国際公開第2014/076195号に開示されており、これには例としてホスホジエステル結合DNAジヌクレオチドが含まれる。ポリオリゴヌクレオチド構築物における生体切断可能なリンカーの使用は国際公開第2015/113922号に開示されており、それらは複数のアンチセンス構築物(例えば、ギャップマー領域)を単一のオリゴヌクレオチド内で結合するのに使用されている。
【0221】
一実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、ギャップマーを構成する連続ヌクレオチド配列に加えて、領域D’及び/又はD”を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、以下の式によって表すことができる:
F-G-F’;特にF1-8-G5-16-F’2-8
D’-F-G-F’、特にD’1-3-F1-8-G5-16-F’2-8
F-G-F’-D”、特にF1-8-G5-16-F’2-8-D”1-3
D’-F-G-F’-D”、特にD’1-3-F1-8-G5-16-F’2-8-D”1-3
いくつかの実施形態では、領域D’と領域Fとの間に位置するヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合である。いくつかの実施形態では、領域F’と領域D”の間に位置するヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合である。
【0223】
コンジュゲート
本明細書で用いられるコンジュゲートという用語は、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分又は領域C又は第3の領域)に共有結合したオリゴヌクレオチドを指す。コンジュゲート部分は、任意に領域D’又はD”等のリンカー基を介して、アンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合していてもよい。
【0224】
オリゴヌクレオチドコンジュゲート及びそれらの合成についてはまた、Manoharan in Antisense Drug Technology,Principles,Strategies,and Applications,S.T.Crooke,ed.,Ch.16,Marcel Dekker,Inc.,2001、及びManoharan,Antisense and Nucleic Acid Drug Development,2002,12,103による包括的な概説において報告されている。
【0225】
いくつかの実施形態では、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分)は、炭水化物(例えば、GalNAc)、細胞表面受容体リガンド、原薬、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素(例えば、細菌毒素)、ビタミン、ウイルスタンパク質(例えば、カプシド)、又はそれらの組合せからなる群より選択される。
【0226】
例示的なコンジュゲート部分は、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に結合することができるものを含む。特に、三価N-アセチルガラクトサミンのコンジュゲート部分は、ASGPRへの結合に適しており、例えば、国際公開第2014/076196号、国際公開第2014/207232号、及び国際公開第2014/179620号を参照されたい。このようなコンジュゲートは、肝臓へのオリゴヌクレオチドの取り込みを増強するのに役立つ。
【0227】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2012/143379号に開示されているような、トランスフェリン受容体に対して特異的親和性を有する抗体又は抗体断片である。いくつかの実施形態では、非ヌクレオチド部分は、抗体又は抗体断片、例えば血液脳関門を通る送達を促進する抗体又は抗体断片、特にトランスフェリン受容体を標的とする抗体又は抗体断片である。
【0228】
リンカー
結合又はリンカーは、1つ以上の共有結合を介して目的の1つの化学基又はセグメントを目的の別の化学基又はセグメントに連結する、2つの原子間の接続である。コンジュゲート部分は、直接又は連結部分(例えば、リンカー又はテザー)を介してオリゴヌクレオチドに結合させることができる。リンカーは、第3の領域、例えばコンジュゲート部分(領域C)を、第1の領域、例えば、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列(領域A)に共有結合する役割を果たす。
【0229】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のコンジュゲート又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、任意に、標的核酸に対して相補的なオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列(領域A又は第1の領域)と、コンジュゲート部分(領域C又は第3の領域)との間に位置するリンカー領域(第2の領域又は領域B及び/又は領域Y)を含み得る。
【0230】
生体切断可能なリンカー(領域B)は、哺乳動物の体内で通常遭遇する又は遭遇するものに類似した条件下で切断可能である生理学的に不安定な結合を含むか、又はそれからなる。生理学的に不安定なリンカーが化学的変換(例えば、切断)を受ける条件には、pH、温度、酸化又は還元条件、若しくは薬剤等の化学条件、並びに哺乳動物の細胞で見られる又は遭遇するものに類似した塩濃度が含まれる。哺乳動物の細胞内条件には、タンパク質分解酵素又は加水分解酵素又はヌクレアーゼ等の哺乳動物細胞に通常存在する酵素活性の存在も含まれる。一実施形態では、生体切断可能なリンカーは、S1ヌクレアーゼ切断の影響を受けやすい。いくつかの実施形態では、生理学的に不安定なリンカー(生物切断性)は、1個~10個の連結されたヌクレオシド、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個又は10個の連結されたヌクレオシド、例えば2個~6個の連結されたヌクレオシド、例えば2個~5個の連結されたヌクレオシド、例えば2個~4個の連結されたヌクレオシドを含み、少なくとも2個の連続する連結は生体切断可能であり、例えばホスホジエステル連結、例えば少なくとも3個又は4個又は5個の連続するホスホジエステル連結である。好ましくは、ヌクレオシドは、DNA又はRNAである。
【0231】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドとコンジュゲート部分との間のリンカーは、アンチセンスオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列の5’又は3’末端に少なくとも2個の連続するホスホジエステル結合を含む2~5個の連続するホスホジエステル結合ヌクレオシドで構成される生理学的に不安定なリンカーである。
【0232】
いくつかの実施形態では、生理学的に不安定なリンカーは、AA、AT、AC、AG、TA、TT、TC、TG、CA、CT、CC、CG、GA、GT、GC又はGGからなる群から選択される配列を有するDNAジヌクレオチドを含むか又はそれからなり、2つのDNAヌクレオシドの間にホスホジエステル結合が存在し、少なくとも1つの更なるホスホジエステルが、核酸分子のオリゴヌクレオチドをジヌクレオチドに連結するか又はコンジュゲート部分をジヌクレオチドに連結するジヌクレオチドの5’又は3’末端に存在する。例えば、リンカーはCAジヌクレオチドによるものであり得る。いくつかの実施形態では、生理学的に不安定なリンカーは、配列AAA、AAT、AAC、AAG、ATA、ATT、ATC、ATG、ACA、ACT、ACC、ACG、AGA、AGT、AGC、AGG、TAA、TAT、TAC、TAG、TTA、TTT、TTC、TAG、TCA、TCT、TCC、TCG、TGA、TGT、TGC、TGG、CAA、CAT、CAC、CAG、CTA、CTG、CTC、CTT、CCA、CCT、CCC、CCG、CGA、CGT、CGC、CGG、GAA、GAT、GAC、CAG、GTA、GTT、GTC、GTG、GCA、GCT、GCC、GCG、GGA、GGT、GGC、又はGGGを含むか又はそれからなり、DNAヌクレオシドの間にホスホジエステル結合が存在し、トリヌクレオチドの5’又は3’末端に更なるホスホジエステルが潜在的に存在する。ホスホジエステルを含む生体切断可能なリンカーは、国際公開第2014/076195号(参照により本明細書に組み込まれる)においてより詳細に記載されている。生体切断可能なリンカーを有するコンジュゲート化合物では、標準と比較した場合、コンジュゲート部分の少なくとも約50%がオリゴヌクレオチドから切断され、例えば、少なくとも約60%が切断され、例えば、少なくとも約70%が切断され、例えば、少なくとも約80%が切断され、例えば、少なくとも約85%が切断され、例えば、少なくとも約90%が切断され、例えば、コンジュゲート部分の少なくとも約95%がオリゴヌクレオチドから切断される。
【0233】
領域Yは、必ずしも生体切断可能ではないが、主にコンジュゲート部分(領域C又は第3の領域)をオリゴヌクレオチド(領域A又は第1の領域)に共有結合させるのに役立つリンカーを指す。領域Yリンカーは、エチレングリコール、アミノ酸単位又はアミノアルキル基等の反復単位の鎖構造又はオリゴマーを含み得る。本発明のオリゴヌクレオチドコンジュゲートを、以下の領域要素A-C、A-B-C、A-B-Y-C、A-Y-B-C又はA-Y-Cから構築することができる。いくつかの実施形態では、リンカー(領域Y)は、アミノアルキル、例えばC6~C12アミノアルキル基を含むC2~C36アミノアルキル基である。いくつかの実施形態では、リンカー(領域Y)は、C6アミノアルキル基である。
【0234】
好ましくは、切断可能なリンカーは、本発明のコンジュゲートをその標的細胞に送達した後に切断される。例えば、標的細胞(例えば、肝臓細胞)へのコンジュゲートのGalNAc媒介送達後にリンカーが切断され、裸の化合物が活性薬物として残る。例えば、実施例の節で試験したコンジュゲートは、CAジヌクレオチドリンカーを含有する。
【0235】
薬学的に許容され得る塩
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、生物学的に又は別様に望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、特に塩酸、並びに、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステイン等の有機酸と共に形成される。加えて、これらの塩は、無機塩基又は有機塩基を遊離酸に加えることにより調製され得る。無機塩基から誘導される塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウムの塩が含まれるがこれらに限定されない。有機塩基から誘導される塩には、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環式アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂の塩が含まれるが、これらに限定されない。本発明の化合物は、双性イオンの形態で存在することもあり得る。特に好ましくは、式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、及びメタンスルホン酸の塩である。
【0236】
処置
本明細書で使用される場合、「処置」という用語は、既存の疾患(例えば、本明細書で言及される疾患又は障害)の処置、又は疾患の予防(prevention)、すなわち予防(prophylaxis)の両方を指す。したがって、本明細書で言及される処置は、いくつかの実施形態では、予防的であり得ることが認識されよう。予防とは、HBV感染症が慢性HBV感染症に転化するのを防ぐこと、又は慢性HBV感染症による肝硬変及び肝細胞癌腫等の重篤な肝疾患を予防することと理解することができる。
【0237】
予防
本明細書において、「予防すること」、「予防」、又は「予防する」という用語は、予防的処置、すなわち、その目的が疾患を治癒することよりむしろ予防することである、測定又は手段に関する。予防とは、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果が、疾患又はその症状を完全に又は部分的に予防するという観点から、予防的に得られることを意味する。したがって、本明細書における「HBV感染症を予防する」とは、対象におけるHBV感染症の発生を予防すること、及びHBV感染症の症状の発生を予防することを含む。本発明では、特に、HBVに感染した母親からの小児におけるHBV感染症の予防が企図される。また、急性HBV感染症が慢性HBV感染症に変化することを防ぐことも企図される。
【0238】
患者
本発明の目的について、「対象」又は「患者」は、脊椎動物であり得る。本発明に関連して、「対象」という用語は、ヒト及び他の動物、特に哺乳動物と、他の生物との両方を含む。したがって、本明細書に提供される手段及び方法は、ヒト治療及び獣医学的用途の両方に適用可能である。したがって、本明細書では、対象は、マウス、ラット、ハムスタ、ウサギ、モルモット、フェレット、ネコ、イヌ、ニワトリ、ヒツジ、ウシ種、ウマ、ラクダ、又は霊長類等の動物であり得る。好ましくは、対象は、哺乳動物である。より好ましくは、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、患者は、HBV感染症等の本明細書で言及される疾患に罹患している。いくつかの実施形態では、患者は当該疾患にかかりやすい。
[発明を実施するための形態]
【0239】
感染肝細胞におけるB型肝炎ウイルス(HBV)の共有結合的に閉じた環状DNA(cccDNA)は持続的な慢性感染症及び再活性化に関与し、全てのウイルスサブゲノム転写物及びプレゲノムRNA(pgRNA)の鋳型であって、新たに合成されたウイルス子孫と細胞内ヌクレオカプシド再循環を介したcccDNAプール補充との両方を確実にする。RTEL1はcccDNA安定性に関連する。RTEL1の阻害は、HBV感染対象におけるcccDNAの不安定化をもたらし、これは次に、慢性感染HBV患者の完全治癒の機会を開く。
【0240】
本発明の一態様は、HBV感染症、特に慢性HBV感染症の処置及び/又は予防に使用するための、RTEL1を標的とする増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はそのコンジュゲートである。
【0241】
一実施形態では、RTEL1を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートは、例えば、RTEL1タンパク質の発現、RTEL1タンパク質のcccDNAへの結合を減少させ、それによって感染細胞、例えばHBV感染細胞においてcccDNA及び/又はpgRNAを減少させることができる。
【0242】
一実施形態では、RTEL1を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートは、HBV感染個体においてin vivoでHBsAg及び/又はHBeAgを減少させることができる。
【0243】
一実施形態では、RTEL1を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートは、HBV感染個体においてin vivoでcccDNAを減少させることができる。
【0244】
一実施形態では、RTEL1を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートは、HBV感染個体においてin vivoでpgDNAを減少させることができる。
【0245】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド
本発明の増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートは、RTEL1転写物を標的とすることができ、RNase H切断を介してその分解を促進するため、潜在的に優れたRTEL1阻害剤である。
【0246】
本発明の一態様は、HBV感染症の処置及び/又は予防に使用するための増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートである。
【0247】
本発明のセクションは、HBV感染症の処置及び/又は予防に好適な新規のオリゴヌクレオチドを解説する。
【0248】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートは、in vitro及びin vivoでRTEL1の発現を阻害することができる。阻害は、RTEL1をコードする又はRTEL1の調節に関与する標的核酸に、オリゴヌクレオチドをハイブリダイズすることにより達成される。標的核酸は、配列番号1及び/又は2の配列といった哺乳動物RTEL1配列であり得る。
【0249】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートは、標的の発現を阻害又はダウンレギュレートすることにより調節することができる。好ましくは、そのような調節は、標的の正常な発現レベルと比較して少なくとも20%、より好ましくは、標的の正常な発現レベルと比較して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の阻害をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートは、PXB-PHH細胞において10μMを使用して、RTEL1 mRNAの発現レベルをin vitroで少なくとも60%又は70%阻害することができる場合がある。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートは、PXB-PHH細胞において10μMを使用して、in vitroで少なくとも50%のRTEL1タンパク質の発現レベルを阻害することができ、この範囲の標的減少は、cccDNA減少との良好な相関を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを選択する点で有利である。適切には、実施例は、RTEL1 RNA阻害を測定するために使用され得るアッセイを提供する(例えば、実施例1)。標的阻害は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列と標的核酸との間のハイブリダイゼーションによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸との間のミスマッチを含む。ミスマッチにもかかわらず、標的核酸へのハイブリダイゼーションは、RTEL1発現の所望の阻害を示すのに尚充分であり得る。ミスマッチから生じる結合親和性の低下は、オリゴヌクレオチド内のヌクレオチド数の増加、及び/又は、標的への結合親和性を増加させることができる修飾ヌクレオシド、例えばオリゴヌクレオチド配列内に存在する、LNAを含む2’糖修飾ヌクレオシドの数の増加により有利に補償され得る。
【0250】
本発明の一態様は、12~60ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであって、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば少なくとも12~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含み、哺乳動物RTEL1標的核酸、特にヒトRTEL1核酸に対して少なくとも95%相補的、例えば完全に相補的である、増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RTEL1の発現を阻害することができる。
【0251】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号7の標的核酸に対して少なくとも90%の相補性、例えば完全な相補性を有する、12~22ヌクレオチド、例えば15~20ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号8の標的核酸に対して少なくとも90%の相補性、例えば完全な相補性を有する、15~18ヌクレオチド、例えば17又は18ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号9の標的核酸に対して少なくとも90%の相補性、例えば完全な相補性を有する、15~19ヌクレオチド、例えば18又は19ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号10の標的核酸に対して少なくとも90%の相補性、例えば完全な相補性を有する、15~18ヌクレオチド、例えば17又は18ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号11の標的核酸に対して少なくとも90%の相補性、例えば完全な相補性を有する、12~22ヌクレオチド、例えば17~22ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1の以下の領域:配列番号1の8681~8701;配列番号1の11753~11774;例えば、配列番号1のヌクレオチド11757-11774、11756~11774、又は11753~11770から選択される標的核酸に対して少なくとも90%の相補性、例えば完全な相補性を有する、15~22ヌクレオチド、例えば15~18ヌクレオチド、例えば17又は18ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む。
【0257】
本発明の一態様は、12~30ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、哺乳動物RTEL1に対して少なくとも90%相補的、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
【0258】
本発明の更なる態様は、配列番号1の標的核酸に対して少なくとも90%の相補性を有する、例えば完全に相補的である、12~20、例えば15~22ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
【0259】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、10~30ヌクレオチド長の連続配列を含み、これは、標的核酸又は標的配列の領域と、少なくとも90%相補的、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、又は100%相補的である。
【0260】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、標的核酸の領域に完全に相補的(100%相補的)である場合、又はいくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間に1つ又は2つのミスマッチを含み得る場合に有利である。
【0261】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、配列番号1の対応する標的核酸領域に対して100%相補的である。
【0262】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、配列番号1及び配列番号2の標的核酸に対して少なくとも95%相補性、例えば完全に(又は100%)相補的である。
【0263】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、配列番号3、4、5、及び6からなる群から選択される核酸塩基の配列、又はその少なくとも14個の連続ヌクレオチドを含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、10~30ヌクレオチド長、例えば12~25、例えば11~22、例えば12~20、例えば14~18又は14~16連続ヌクレオチド長を含むか、又はそれからなる。
【0265】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、22以下のヌクレオチド、例えば20以下のヌクレオチド、例えば18以下のヌクレオチド、例えば14、15、16又は17ヌクレオチドを含むか、又はそれからなる。本明細書で提供されるいずれの範囲も、範囲の終点を含むことを理解するべきである。したがって、オリゴヌクレオチドが10~30ヌクレオチドを含むと記される場合、10ヌクレオチド及び30ヌクレオチドの両方が含まれる。
【0266】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22連続ヌクレオチド長を含むか、又はそれらからなる。
【0267】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号3、4、5、及び6ら選択される配列を含むか、又はそれからなる。
【0268】
本発明は、長さが12~24ヌクレオチド長、例えば12~18ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチド等の、本発明に従ったアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供し、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号7に存在する、少なくとも12個、例えば少なくとも13個、例えば少なくとも14個、例えば少なくとも15個、又は少なくとも16個の連続ヌクレオチドを含む、連続ヌクレオチド配列を含む。
【0269】
本発明は、長さが12~24ヌクレオチド長、例えば12~18ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチド等の、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供し、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号8に存在する、少なくとも12個、例えば少なくとも13個、例えば少なくとも14個、例えば少なくとも15個、又は少なくとも16個の連続ヌクレオチドを含む、連続ヌクレオチド配列を含む。
【0270】
本発明は、長さが12~24ヌクレオチド長、例えば12~18ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチド等の、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供し、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号9に存在する、少なくとも12個、例えば少なくとも13個、例えば少なくとも14個、例えば少なくとも15個、又は少なくとも16個の連続ヌクレオチドを含む、連続ヌクレオチド配列を含む。
【0271】
本発明は、長さが12~24ヌクレオチド長、例えば12~18ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチド等の、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供し、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号10に存在する、少なくとも12個、例えば少なくとも13個、例えば少なくとも14個、例えば少なくとも15個、又は少なくとも16個の連続ヌクレオチドを含む、連続ヌクレオチド配列を含む。
【0272】
本発明は、長さが12~24ヌクレオチド長、例えば12~18ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチド等の、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供し、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号11に存在する、少なくとも12個、例えば少なくとも13個、例えば少なくとも14個、例えば少なくとも15個、又は少なくとも16個の連続ヌクレオチドを含む、連続ヌクレオチド配列を含む。
【0273】
有利な実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド、例えば1つ以上の2’糖修飾ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’-フルオロ-ANA及びLNAヌクレオシドからなる群から独立して選択される1つ以上の2’糖修飾ヌクレオシドを含む。修飾ヌクレオシド(複数可)の1つ以上がロックド核酸(LNA)である場合、有利である。
【0274】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、LNAヌクレオシドを含む。
【0275】
本発明のオリゴヌクレオチドのいくつかの実施形態では、全てのLNAヌクレオシドは、β-D-オキシLNAヌクレオシドである。
【0276】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、LNAヌクレオシド及びDNAヌクレオシドを含む。
【0277】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、2’-O-メトキシエチル(2’MOE)ヌクレオシドを含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、2’-O-メトキシエチル(2’MOE)ヌクレオシド及びDNAヌクレオシドを含む。
【0279】
有利には、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列の最も3’側のヌクレオシドは、2’糖修飾ヌクレオシドである。
【0280】
有利には、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ホスホロチオエート又はホスホロジチオエート等の少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む。
【0281】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0282】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのヌクレオシド間結合は、ホスホロジチオエートヌクレオシド間結合である。
【0283】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのヌクレオシド間結合は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0284】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列内の全てのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0285】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列内の少なくとも75%のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0286】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列内の全てのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0287】
本発明の有利な実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNase H、例えばRNase H1を動員することができる。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、ギャップマーである。
【0288】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、式5’-F-G-F’-3’のギャップマーからなるか又はそれを含む。
【0289】
いくつかの実施形態では、領域Gは、6~16個のDNAヌクレオシド、例えば11~16個のDNAヌクレオシドからなる。いくつかの実施形態では、領域Fは2~4個のDNAヌクレオシドを含み、及び/又は、領域F’は2~6個のDNAヌクレオシドを含む。
【0290】
いくつかの実施形態では、領域F及びF’はそれぞれ、少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含む。
【0291】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、均一フランクを有するLNAギャップマーである。例えば、均一なフランクを有するLNAギャップマーは、以下の設計から選択される設計を有し得る:4-12-2、2-13-4及び2-12-5。表6は、各モチーフ配列の好ましい設計を列挙している。
【0292】
本発明のいくつかの実施形態では、LNAギャップマーは、交互フランクLNAギャップマーである。いくつかの実施形態では、交互フランクLNAギャップマーは、少なくとも1つの交互フランク(フランクF’等)を含む。いくつかの実施形態では、交互フランクLNAギャップマーは、1つの交互フランク(フランクF’等)及び1つの均一フランク(フランクF等)を含む。例えば、1つの交互のF’フランクを有するLNAギャップマーは、以下の設計を有し得る:2-11-1-2-1-3。
【0293】
本発明は、以下のオリゴヌクレオチド化合物を提供する(表6):
【表6】
表中の見出し「オリゴヌクレオチド化合物」とは、モチーフ配列の特定の設計を表す。大文字はβ-D-オキシLNAヌクレオシドであり、小文字はDNAヌクレオシドであり、全てのLNA Cは5-メチルシトシンであり、全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。「設計」という見出しは、ギャップマー設計、F-G-F’を指す。古典的なギャップマー設計、すなわち均一なフランク(例えば4-12-2)を有するギャップマーでは、フランク(F及びF’)中の全てのヌクレオチドは、同じタイプの2’糖修飾ヌクレオシド、例えばLNA、cET又はMOE、及びギャップ(G)を形成する中央のDNAのストレッチで構成される。交互のフランク設計を有するギャップマーでは、オリゴヌクレオチドのフランクは一連の整数として注釈が付けられ、いくつかのβ-D-オキシLNAヌクレオシド(L)とそれに続くいくつかのDNAヌクレオシド(D)を表す。例えば、1-2-1-1-3モチーフを有するフランクF’は、LDDLDLLLを表す(CMP ID番号6_1を参照)。両方のフランクは5’末端及び3’末端にβ-D-オキシLNAヌクレオシドを有する。ギャップ領域(G)は、フランクの間に位置するいくつかのDNAヌクレオシドで構成されている。
【0294】
本発明のいくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、CMP-ID番号3_1、4_1、5_1及び6_1からなるオリゴヌクレオチド化合物の群から選択される(表6を参照)。
【0295】
全ての場合において、F-G-F’設計は、「オリゴヌクレオチド中の領域D’又はD”」の「定義」セクションに記載されるように、領域D’及び/又はD”を更に含み得る。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、ギャップマー領域の5’末端又は3’末端、例えば5’末端に、1、2、又は3個のホスホジエステル結合ヌクレオシド単位、例えばDNA単位を有する。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、2つの5’ホスホジエステル結合DNAヌクレオシドと、続いて上記に定義したF-G-F’ギャップマー領域と、からなる。5’末端又は3’末端にホスホジエステル結合DNA単位を含むオリゴヌクレオチドは、コンジュゲーションに好適であり、本明細書に記載されるようなコンジュゲート部分を更に含み得る。肝臓への送達では、ASGPR標的化部分は、コンジュゲート部分として特に有利である。更なる詳細についてはコンジュゲート部分を参照されたい。
コンジュゲート
【0296】
HBV感染症は主に肝臓内の肝細胞に影響を及ぼすので、本発明の増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを、非コンジュゲートアンチセンスオリゴヌクレオチドと比較して肝臓へのアンチセンスオリゴヌクレオチドの送達を増加させるコンジュゲート部分にコンジュゲートすることが有利である。一実施形態では、肝臓標的化部分は、コレステロール若しくは他の脂質を含む部分、又はアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に結合することができるコンジュゲート部分から選択される。
【0297】
いくつかの実施形態では、本発明は、コンジュゲート部分に共有結合した本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートを提供する。
【0298】
アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)コンジュゲート部分は、ガラクトースと同等以上の親和性でアシアロ糖タンパク質受容体(ASPGR標的化部分)に結合することができる、1つ以上の炭水化物部分を含む。アシアロ糖タンパク質受容体に対する多数のガラクトース誘導体の親和性が研究されており(例えば、Jobst,S.T.and Drickamer,K.JB.C.1996,271,6686を参照)、又は当技術分野で典型的な方法を用いて容易に決定される。
【0299】
一実施形態では、コンジュゲート部分は、ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルミル-ガラクトサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-プロピオニル-ガラクトサミン、N-n-ブタノイル-ガラクトサミン、及びN-イソブタノイルガラクサミンからなる群より選択される、少なくとも1つのアシアロ糖タンパク質受容体標的化部分を含む。有利には、アシアロ糖タンパク質受容体標的化部分は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。
【0300】
ASGPRコンジュゲート部分を生成するために、ASPGR標的化部分(好ましくは、GalNAc)をコンジュゲート足場に付着させることができる。一般に、ASPGR標的化部分は、足場の同じ末端にあり得る。一実施形態では、コンジュゲート部分は、アンチセンスオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされ得るブランチャー分子に各GalNAc部分を連結するスペーサーに連結された、2~4個の末端GalNAc部分からなる。
【0301】
更なる実施形態では、コンジュゲート部分は、アシアロ糖タンパク質受容体標的化部分に関して、一価、二価、三価、又は四価である。有利には、アシアロ糖タンパク質受容体標的化部分は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分を含む。
【0302】
GalNAcコンジュゲート部分としては、例えば、国際公開第2014/179620号及び同第2016/055601号及び国際出願第PCT/EP2017/059080号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているもの、並びに、Tyr-Glu-Glu-(アミノヘキシルGalNAc)3(YEE(ahGalNAc)3等のGalNAc部分が結合した小さなペプチド;肝細胞上のアシアロ糖タンパク質受容体に結合するグリコトリペプチド、例えば、Duff,et al.,Methods Enzymol,2000,313,297;リシン系ガラクトースクラスター(例えば、L3G4;Biessen,et al.,Cardovasc.Med.,1999,214);及びコラン系ガラクトースクラスター(例えば、アシアロ糖タンパク質受容体に対する炭水化物認識モチーフ)を挙げることができる。
【0303】
ASGPRコンジュゲート部分、特に三価GalNAcコンジュゲート部分は、当該技術分野で公知の方法を用いてオリゴヌクレオチドの3’末端又は5’末端に結合することができる。一実施形態では、ASGPRコンジュゲート部分は、オリゴヌクレオチドの5’末端に連結される。
【0304】
一実施形態では、コンジュゲート部分は、図5に示すような三価のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。一実施形態では、コンジュゲート部分は、図5A-1若しくは図5A-2の三価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、又はその両方の混合物である。一実施形態では、コンジュゲート部分は、図5B-1若しくは図5B-2の三価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、又はその両方の混合物である。一実施形態では、コンジュゲート部分は、図5C-1若しくは図5C-2の三価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、又はその両方の混合物である。一実施形態では、コンジュゲート部分は、図5D-1若しくは図5D-2の三価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、又はその両方の混合物である。
【0305】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、以下からなる群から選択される。
5’-GN2-C6
5’-GN2-C6
5’-GN2-C6 、及び
5’-GN2-C6
【0306】
大文字はβ-D-オキシLNAヌクレオシドを表し、小文字はDNAヌクレオシドを表し、各LNAシトシンは5-メチルシトシンであり、下付き文字sはホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、下付き文字oはホスホジエステルヌクレオシド間結合を表し、GN2-C6は、三価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、例えば図5D-1又は図5D-2の三価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)等の図5に示すもの、又は両方の混合物である。
【0307】
いくつかの分子を表す化学図を図1図4に示す。
【0308】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、図1に示されるコンジュゲートである。
【0309】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、図2に示されるコンジュゲートである。
【0310】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、図3に示されるコンジュゲートである。
【0311】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、図4に示されるコンジュゲートである。
【0312】
図1~4に示す化合物は、プロトン化形態で示される。ホスホロチオエート結合上のS原子がプロトン化されている。プロトンの存在は分子の環境の酸性度、及び、(例えば、オリゴヌクレオチドが塩形態でであるときの)代替のカチオンの存在によって変化することが理解されよう。プロトン化ホスホロチオエートは互変異性形態で存在する。
薬学的に許容され得る塩
【0313】
本発明による化合物は、その薬学的に許容され得る塩の形態で存在してもよい。「薬学的に許容され得る塩」という用語は、本発明の化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、適切な非毒性の有機若しくは無機酸又は有機若しくは無機塩基から形成される従来の酸付加塩又は塩基付加塩を指す。酸付加塩には、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸及び硝酸等の無機酸に由来するもの、並びにp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸等の有機酸に由来するもの等が含まれる。塩基付加塩としては、アンモニウム、カリウム、ナトリウム及び第四級アンモニウムヒドロキシド、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに由来するものが挙げられる。薬学的化合物の塩への化学修飾は、化合物の改善された物理的及び化学的安定性、吸湿性、流動性並びに溶解性を得るために、薬学者に周知の技術である。これは例えば、Bastin,Organic Process Research&Development 2000,4,427-435 or in Ansel,In:Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,6th ed.(1995),pp.196 and 1456-1457に記載されている。例えば、本明細書で提供される化合物の薬学的に許容され得る塩は、ナトリウム塩であり得る。
【0314】
更なる態様では、本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートの薬学的に許容され得る塩、例えば、薬学的に許容され得るナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩を提供する。
【0315】
製造方法
更なる態様では、本発明は、ヌクレオチド単位を反応させ、それによってオリゴヌクレオチドからなる共有結合された連続ヌクレオチド単位を形成することを含む、本発明のオリゴヌクレオチドを製造する方法を提供する。好ましくは、この方法は、ホスホロアミダイト化学を使用する(例えば、Caruthers et al,1987,Methods in Enzymology vol.154,pages 287-313を参照)。更なる実施形態では、この方法は、連続ヌクレオチド配列をコンジュゲート部分(リガンド)と反応させて、コンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに共有結合させることを更に含む。更なる態様では、本発明のオリゴヌクレオチド又はコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドを、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩、及び/又はアジュバントと混合することを含む、本発明の組成物を製造するための方法が提供される。
【0316】
医薬組成物
更なる態様では、本発明は、前述のオリゴヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドコンジュゲート又はその塩のいずれかと、薬学的に許容され得る希釈剤、担体、塩及び/又はアジュバントとを含む、医薬組成物を提供する。薬学的に許容され得る希釈剤には、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれ、薬学的に許容され得る塩には、限定するものではないが、ナトリウム塩及びカリウム塩が含まれる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容され得る希釈剤は、無菌リン酸緩衝生理食塩水である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、薬学的に許容され得る希釈剤中50~300μM溶液の濃度で使用される。
【0317】
本発明での使用に適した製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Philadelphia,Pa.,17th ed.,1985に見られる。薬物送達の方法の簡単な概説については、例えば、Langer(Science 249:1527-1533,1990)を参照されたい。国際公開第2007/031091号は、薬学的に許容され得る希釈剤、担体及びアジュバントの適切で好ましい更なる例を提供する(参照により本明細書に組み込まれる)。適切な用量、製剤、投与経路、組成物、剤形、他の治療剤との組合せ、プロドラッグ製剤もまた、国際公開第2007/031091号に提供されている。
【0318】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはそのコンジュゲート、又はその薬学的に許容され得る塩は、固体形態、例えば粉末、例えば凍結乾燥粉末である。
【0319】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートは、医薬組成物又は製剤の調製の調整のために、薬学的に許容され得る活性物質又は不活性物質と混合され得る。医薬組成物の調製のための組成及び方法は、限定されるものではないが、投与経路、疾患の程度、又は投与される用量を含む多くの基準に依存する。
【0320】
これらの組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌されても、又は滅菌フィルタにかけられてもよい。得られた水溶液は、そのまま使用するために包装するか、又は凍結乾燥することができ、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌水性担体と組み合わされる。調製物のpHは、典型的には3~11、より好ましくは5~9又は6~8、最も好ましくは7~8、例えば7~7.5であろう。得られた固体形態の組成物は、錠剤又はカプセルの密封パッケージ等のように、各々が上記の薬剤又は薬剤群の固定量を含む複数の単回用量単位で包装することができる。固体形態の組成物はまた、局所適用可能なクリーム又は軟膏用に設計された絞り出し可能なチューブ等の柔軟な量の容器に包装することもできる。
【0321】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートはプロドラッグである。特に、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートに関して、プロドラッグが作用部位、例えば標的細胞に送達されると、コンジュゲート部分はオリゴヌクレオチドから切断される。
【0322】
用途
本発明の増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、診断、治療及び予防法のための研究試薬として利用され得る。
【0323】
研究では、そのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して、細胞(例えば、in vitro細胞培養物)及び実験動物におけるRTEL1タンパク質の合成を特異的に調節し、それによって標的の機能分析又は治療的介入の標的としてのその有用性の評価を促進することができる。典型的には、標的調節は、タンパク質を生成するmRNAを分解又は阻害し、それによってタンパク質形成を防止することによって、又はタンパク質を生成する遺伝子若しくはmRNAのモジュレータを分解若しくは阻害することによって達成される。
【0324】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを研究又は診断に使用する場合、標的核酸は、cDNA、又はDNA若しくはRNAに由来する合成核酸であり得る。
【0325】
本発明はまた、RTEL1を発現している標的細胞においてRTEL1発現を調節するためのin vivo又はin vitroの方法であって、有効量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物を該細胞に投与することを含む、方法も包含する。
【0326】
いくつかの実施形態では、標的細胞は、哺乳動物細胞、特にヒト細胞である。標的細胞は、哺乳動物の組織の一部を形成するin vitro細胞培養物又はin vivo細胞であってよい。好ましい実施形態では、標的細胞は、肝臓中に存在する。標的細胞は肝細胞であってもよい。
【0327】
本発明の一態様は、医薬として使用する本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物に関する。
【0328】
本発明の一態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物は、感染細胞中のcccDNAレベルを低下させることができ、したがってHBV感染症を阻害することができる。特に、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートは、感染細胞中における以下のパラメータ(i)cccDNAの減少、及び/又は(ii)pgRNAの減少、及び/又は(iii)HBV DNAの減少、及び/又は(iv)HBVウイルス抗原の減少のうちの1つ以上に影響を及ぼすことができる。
【0329】
例えば、HBV感染症を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートは、(i)感染細胞中のcccDNAレベルを、対照と比較して、少なくとも40%、例えば50%、60%、70%、80%、又は90%減少、又は(ii)pgRNAレベルを、少なくとも40%、対照と比較して、例えば50%、60%、70%、80%、又は90%減少させることができる。対照は、未処置の細胞若しくは動物、又は適切な対照で処理された細胞若しくは動物であり得る。
【0330】
HBV感染症の阻害は、HBVに感染した初代ヒト肝細胞を用いてin vitroで、又はヒト化肝細胞PXBマウスモデル(PhoenixBioから入手可能、また、Kakuni et al 2014 Int.J.Mol.Sci.15:58-74も参照されたい)を用いてin vivoで測定することができる。HBsAg及び/又はHBeAgの分泌阻害は、製造業者の指示に従って、例えばCLIA ELISAキット(Autobio Diagnostic)を用いてELISAにより測定することができる。細胞内cccDNA又はHBV mRNA及びpgRNAの減少は、例えば、材料及び方法セクションに記載されるように、qPCRによって測定することができる。試験化合物がHBV感染症を阻害するかどうかを評価するための更なる方法は、例えば国際公開第2015/173208号に記載されている通りqPCRにより、又はノーザンブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、又は免疫蛍光を用いて、HBV DNAの分泌を測定することである。
【0331】
RTEL1レベルの低下により、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物を使用して、HBV感染症の発症又は処置を阻害することができる。特に、本発明のcccDNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物の不安定化及び低減は、HBsAgの分泌のみを減少させる化合物と比較して、慢性HBV感染症の発症をより効率的に阻害又は処置する。
【0332】
したがって、本発明の一態様は、HBV感染個体におけるcccDNA及び/又はpgRNAを減少させるための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物の使用に関する。
【0333】
本発明の更なる態様は、慢性HBV感染症の発症を阻害又は処置するための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物の使用に関する。
【0334】
本発明の更なる態様は、HBV感染者の感染性を低下させるための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物の使用に関する。本発明の特定の態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物は、慢性HBV感染症の発症を阻害する。
【0335】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物(又は本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、若しくは医薬組成物を予防的に受容するもの)で処置される対象は、好ましくはヒトであり、より好ましくはHBsAg陽性及び/又はHBeAg陽性のヒト患者であり、より好ましくはHBsAg陽性及びHBeAg陽性のヒト患者である。
【0336】
したがって、本発明は、有効量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物を投与することを含む、HBV感染症を処置する方法に関する。本発明は更に、慢性HBV感染症に起因する肝硬変及び肝細胞癌腫を予防する方法に関する。
【0337】
本発明はまた、医薬、特にHBV感染症若しくは慢性HBV感染症の処置、又はHBV感染者の感染性の低減に使用する医薬の製造のための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物の使用を提供する。好ましい実施形態では、医薬は、皮下投与のための剤形で製造される。
【0338】
本発明はまた、医薬を製造するための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、医薬組成物の使用を提供し、該医薬は静脈内投与のための剤形である。
【0339】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート又は医薬組成物は、併用療法において使用され得る。例えば、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物は、HBVの処置及び/又は予防のために、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-2a、及びインターフェロンアルファコン-1(ペグ化及び非ペグ化)、リバビリン、ラミブジン(3TC)、エンテカビル、テノホビル、テルビブジン(LdT)、アデホビル等の他の抗HBV剤、又はHBV RNA複製阻害剤、HBsAg分泌阻害剤、HBVカプシド阻害剤、アンチセンスオリゴマー(例えば、国際公開第2012/145697号、同第2014/179629号、及び同第2017/216390号に記載)、siRNA(例えば、国際公開第2005/014806号、同第2012/024170号、同第2012/2055362号、同第2013/003520号、同第2013/159109号、同第2017/027350号、及び同第2017/015175号に記載)、HBV治療ワクチン、HBV予防ワクチン、HBV抗体療法(単クローン性又は多クローン性)、又はTLR2、3、7、8、若しくは9アゴニスト等の他の抗HBV剤と組み合わせてもよい。
【0340】
併用療法
いくつかの実施形態では、本発明の増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物は、別の治療薬との併用処置で使用するためのものである。治療剤は、例えば、上記の疾患又は障害の標準ケアであり得る。
【0341】
例として、アンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物は、アンチセンス(他のLNAオリゴマーを含む)、siRNA(ARC520等)、アプタマ、モルホリノ、又は任意の他の抗ウイルス、ヌクレオチド配列依存性作用様式のいずれかを介して作用する、オリゴヌクレオチド系抗ウイルス剤、例えば配列特異的オリゴヌクレオチド系抗ウイルス剤等の他の活性剤と組み合わせて使用することができる。
【0342】
更なる例として、アンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物は、インターフェロン(例えば、ペグ化インターフェロンα)、TLR7アゴニスト(例えば、GS-9620)、又は治療ワクチン等の免疫刺激抗ウイルス化合物といった他の活性物質と組み合わせて使用することができる。
【0343】
更なる例として、アンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート、又は医薬組成物は、抗ウイルス活性を有する他の活性物質、例えば小分子と組み合わせて使用することができる。これらの他の活性物質は、例えば、ヌクレオシド/ヌクレオチド阻害剤(例えば、エンテカビル又はテノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩)、封入阻害剤、侵入阻害剤(例えば、Myrcludex B)であり得る。
【0344】
特定の実施形態では、追加の治療剤は、HBV薬、C型肝炎ウイルス(HCV)薬、化学療法薬、抗生物質、鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、抗真菌薬、抗寄生虫薬、制吐薬、下痢止め薬、又は免疫抑制薬であり得る。
【0345】
特に、関連する実施形態では、追加のHBV剤は、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-2a、及びインターフェロンアルファコン-1(ペグ化及び非ペグ化)、リバビリン;HBV RNA複製阻害薬;第2のアンチセンスオリゴマー;HBV治療ワクチン;HBV予防ワクチン;ラミブジン(3TC);エンテカビル(ETV);フマル酸テノホビルジイソプロキシル(TDF);テルビブジン(LdT);アデホビル;又はHBV抗体療法(単クローン性又は多クローン性)であり得る。
【0346】
他の特定の関連する実施形態では、更なるHCV剤は、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-2a、及びインターフェロンアルファコン(interferon alphacon)-1(ペグ化及び非ペグ化);リバビリン;ペガシス;HCV RNA複製阻害剤(例えば、ViroPharma社製VP50406シリーズ);HCVアンチセンス剤;HCV治療ワクチン;HCVプロテアーゼ阻害剤;HCVヘリカーゼ阻害剤;又はHCVモノクローナル抗体療法若しくはHCVポリクローナル抗体療法であり得る。
【0347】
投与
本発明の増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート又は医薬組成物は、局所(例えば、皮膚に対して、吸入、眼又は耳等)又は経腸(例えば、経口的に、又は消化管を通して)又は非経口(例えば、静脈内、皮下、又は筋肉内)で投与され得る。
【0348】
好ましい実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート又は医薬組成物は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内又は筋肉内投与を含む非経口経路によって投与される。一実施形態では、活性アンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートは静脈内投与される。別の実施形態では、活性アンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートは皮下投与される。
【0349】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、そのコンジュゲート又は医薬組成物は、0.1~15mg/kg、例えば0.2~10mg/kg、例えば0.25~5mg/kgの用量で投与される。投与は、週に1回、2週に1回、3週に1回、又は月に1回であり得る。
【0350】
本発明はまた、医薬の製造のために記載された本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートの使用も提供し、該医薬は皮下投与のための剤形である。
本発明の実施形態
【0351】
本発明の以下の実施形態は、本明細書に記載される任意の他の実施形態と組み合わせて使用することができる。上記の、特に「発明の概要」、「定義」及び「発明の詳細な説明」の項で提供される定義及び説明は、以下に準用される。
【0352】
1.RTEL1核酸に対する少なくとも90%の相補性、例えば100%の相補性を有する連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、細胞におけるヒトRTEL1等のRTEL1の発現を阻害することができるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0353】
2.前記連続ヌクレオチド配列が、配列番号1に示されるヒトRTEL1プレmRNAのヌクレオチド11753~11774からの領域、例えば配列番号1のヌクレオチド11757~11774、ヌクレオチド11756~11774又はヌクレオチド11753~11770からの領域に完全に相補的である、実施形態1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0354】
3.前記連続ヌクレオチド配列が、配列番号7、8、9及び/又は10と完全に相補的である、実施形態1及び2に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0355】
4.前記連続ヌクレオチド配列が、配列番号1に示されるヒトRTEL1プレmRNAのヌクレオチド8681~8701からの領域に完全に相補的である、実施形態1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0356】
5.前記連続ヌクレオチド配列が、配列番号11と完全に相補的である、実施形態1及び4に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0357】
6.前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、12~30ヌクレオチド長、例えば12~22ヌクレオチド長、例えば16~20ヌクレオチド長である、実施形態1~5のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0358】
7.連続ヌクレオチド配列が、少なくとも12ヌクレオチド、例えば14、15、16、17、18、19又は20ヌクレオチドの連続配列である、実施形態1~6のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0359】
8.連続ヌクレオチド配列が18又は19ヌクレオチドの連続配列である、実施形態7に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0360】
9.連続ヌクレオチド配列が、配列番号3、4、5及び6からなる群から選択される配列、又はそれらの少なくとも15個の連続ヌクレオチドと100%同一である、実施形態1~8のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0361】
10.前記連続ヌクレオチド配列中に1つ以上の修飾ヌクレオシドを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0362】
11.前記連続ヌクレオチド配列中の1つ以上の修飾ヌクレオシドが2’糖修飾ヌクレオシドである、実施形態10に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0363】
12.前記1つ以上の2’-糖修飾ヌクレオシドが、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’-フルオロ-ANA及びLNAヌクレオシドからなる群から独立して選択される、実施形態11に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0364】
13.前記1つ以上の修飾ヌクレオシドが、以下の2’-4’架橋-O-CH-を有するオキシ-LNA等のLNAヌクレオシドである、実施形態10~12のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0365】
14.前記1つ以上の修飾ヌクレオシドがβ-D-オキシ-LNAである、実施形態13に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0366】
15.前記連続ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態1~14のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0367】
16.前記連続ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのヌクレオシド間結合がホスホロジチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態1~15のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0368】
17前記連続ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのヌクレオシド間結合がホスホジエステルヌクレオシド間結合である、実施形態1~16のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0369】
18.前記連続ヌクレオチド配列中の全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態17に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0370】
19.前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、RNアーゼH1等のRNアーゼHを動員することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドである、実施形態1~18のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0371】
20.前記アンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列が、式5’-F-G-F’-3’のギャップマーからなる、又はそれを含む、実施形態19に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0372】
21.領域Gが、6~16個のDNAヌクレオシド、例えば11~16個のDNAヌクレオシドの長さを有する、実施形態20に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0373】
22.領域F及びF’がそれぞれ少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含み、例えば、領域F及びF’がそれぞれ少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含む、実施形態19~21のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0374】
23.領域Fが、1~8個のDNAヌクレオシド、例えば2~4個のDNAヌクレオシドの長さを有する、実施形態19~22のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0375】
24.領域Fが、1~8個のDNAヌクレオシド、例えば2~6個のDNAヌクレオシドの長さを有する、実施形態19~23のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0376】
25.前記アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、式F2-4-G11-16-F’2-6のギャップマーからなるか、又はそれを含む、実施形態19~24のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0377】
26.前記ギャップマーが少なくとも一つの交互のフランクを含む、実施形態19~25のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0378】
27.前記ギャップマーが2つの均一なフランクを含む、実施形態19~25のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0379】
28.前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、以下
AATTttacatactctgGT(配列番号3、化合物ID番号3_1)、
AAttttacatactctGGTC(配列番号4、化合物ID番号4_1)、
TTacatactctggtCAAA(配列番号5、化合物ID番号5_1)、及び
CTttattataactTgaAtCTC(配列番号6、化合物ID番号6_1)からなるアンチセンスオリゴヌクレオチドの群から選択され、
大文字はβ-D-オキシLNAヌクレオシドであり、小文字はDNAヌクレオシドであり、全てのLNA Cは5-メチルシトシンであり、全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態1~27のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0380】
29.実施形態1~28のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドと、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを含む、コンジュゲート。
【0381】
30.前記コンジュゲート部分が、ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルミル-ガラクトサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-プロピオニル-ガラクトサミン、N-n-ブタノイル-ガラクトサミン、及びN-イソブタノイルガラクサミンからなる群から選択される、少なくとも1つのアシアロ糖タンパク質受容体標的化部分を含む、実施形態29に記載のコンジュゲート。
【0382】
31.前記アシアロ糖タンパク質受容体標的化部分が、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である、実施形態30に記載のコンジュゲート。
【0383】
32.前記コンジュゲート部分が、アシアロ糖タンパク質受容体標的化部分に関して、一価、二価、三価、又は四価である、実施形態30又は31に記載の化合物。
【0384】
33.前記コンジュゲート部分が、2~4個の末端GalNAc部分と、アンチセンス化合物にコンジュゲートされ得るブランチャー分子に各GalNAc部分を連結するスペーサーと、からなる、実施形態32に記載の化合物。
【0385】
34.前記スペーサーが、PEGスペーサーである、実施形態33に記載のコンジュゲート。
【0386】
35.前記コンジュゲート部分が、三価のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分である、実施形態30~34のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0387】
36.前記コンジュゲート部分が、図5の三価GalNAc部分のうち1つから選択される、実施形態30~35のいずれか1つに記載の化合物。
【0388】
37.前記コンジュゲート部分が、図5の三価GalNAc部分、例えば図5D-1若しくは図5D-2の三価GalNAc部分、又は両方の混合物である、実施系チア36に記載のコンジュゲート。
【0389】
38.前記アンチセンスオリゴヌクレオチドと前記コンジュゲート部分との間に配置されたリンカーを含む、実施形態29~37のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0390】
39.前記生理学的に不安定なリンカーが、2~5個の連続したホスホジエステル結合ヌクレオシド、例えば2個の連続したホスホジエステル結合ヌクレオシドを含むか、又はそれからなる、実施形態38に記載のコンジュゲート。
【0391】
40.前記コンジュゲートが、以下
5’-GN2-C6T,
5’-GN2-C6 C,
5’-GN2-C6 C,and
5’-GN2-C6 Aからなる群から選択され、
大文字はベータ-D-オキシLNAヌクレオシドを表し、小文字はDNAヌクレオシドを表し、各LNAシトシンは5-メチルシトシンであり、cは5-メチルシトシンDNAであり、下付き文字sはホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、下付き文字oはホスホジエステルヌクレオシド間結合を表し、GN2-C6は下記式の残基であり:
【化35】
残基GN2-C6は、オリゴヌクレオチドの5’末端にホスホジエステル結合を介して結合しており、及び/又はGN2-C6は、図5D1若しくは図5D2の三価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、又は両方の混合物であり、より好ましくは、GN2-C6は、図5D1若しくは図5D2に示される三価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)残基の混合物である、実施形態29~39のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0392】
41.図1に示すコンジュゲート。
【0393】
42.図2に示すコンジュゲート。
【0394】
43.図3に示すコンジュゲート。
【0395】
44.図4に示すコンジュゲート。
【0396】
45.実施形態1~28のいずれか1つのオリゴヌクレオチド又は実施形態29~44のいずれか1つに記載のコンジュゲートの薬学的に許容され得る塩。
【0397】
46.実施形態1~28のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、実施形態29~44のいずれか1つに記載のコンジュゲート、又は実施形態45に記載の薬学的に許容され得る塩と、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩及び/又はアジュバントとを含む、医薬組成物。
【0398】
47.RTEL1を発現している標的細胞においてRTEL1発現を調節するためのin vivo又はin vitroでの方法であって、前記細胞に、実施形態1~28のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、実施形態29~44のいずれか1つに記載のコンジュゲート、実施形態45に記載の薬学的に許容され得る塩、又は実施形態46に記載の医薬組成物を有効量で投与することを含む、方法。
【0399】
48.疾患を処置又は予防するための方法であって、疾患に罹患しているか、又は罹患しやすい対象に、治療有効量又は予防有効量の実施形態1~28のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、実施形態29~44のいずれか1つに記載のコンジュゲート、実施形態45に記載の薬学的に許容され得る塩、又は実施形態46に記載の医薬組成物を投与することを含み、前記疾患が、B型肝炎ウイルス(HBV)感染症、例えば慢性HBV感染症である、方法。
【0400】
49.薬に使用するための、実施形態1~28のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、実施形態29~44のいずれか1つに記載のコンジュゲート、実施形態45に記載の薬学的に許容され得る塩、又は実施形態46に記載の医薬組成物。
【0401】
50.B型肝炎ウイルス(HBV)感染症、例えば慢性HBV感染症の処置又は予防に使用するための、実施形態1~28のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、実施形態29~44のいずれか1つに記載のコンジュゲート、実施形態45に記載の薬学的に許容され得る塩、又は実施形態46に記載の医薬組成物。
【0402】
51.B型肝炎ウイルス(HBV)感染症、例えば慢性HBV感染症の処置又は予防のための医薬の調整のための、実施形態1~28のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、実施形態29~44のいずれか1つに記載のコンジュゲート、実施形態45に記載の薬学的に許容され得る塩、又は実施形態46に記載の医薬組成物。
【実施例
【0403】
材料及び方法
オリゴヌクレオチド合成
【0404】
オリゴヌクレオチド合成は当該技術分野で一般に知られている。以下は、適用できるプロトコルである。本発明のオリゴヌクレオチドは、使用される装置、支持体、及び濃度に関してわずかに異なる方法によって、生成されている場合がある。
【0405】
オリゴヌクレオチドは、Oligomaker 48のホスホロアミダイトアプローチを1μmolスケールで用いて、ウリジンユニバーサル支持体上で合成される。合成の終わりに、オリゴヌクレオチドを、アンモニア水を用いて60℃で5~16時間、固体支持体から切断する。オリゴヌクレオチドを逆相HPLC(RP-HPLC)又は固相抽出によって精製し、UPLCによって特徴付け、分子量を更にESI-MSによって確認する。
【0406】
β-シアノエチル-ホスホロアミダイトのカップリング(DNA-A(Bz)、DNA-G(ibu)、DNA-C(Bz)、DNA-T、LNA-5-メチル-C(Bz)、LNA-A(Bz)、LNA-G(dmf)、又はLNA-T)は、アセトニトリル中の0.1Mの5’-O-DMT保護アミダイト及びアセトニトリル(0.25M)中のDCI(4,5-ジシアノイミダゾール)の溶液を活性剤として用いて行われる。最終サイクルでは、所望の修飾を有するホスホロアミダイト、例えばコンジュゲート基を結合するためのC6リンカー、又はそのようなコンジュゲート基を使用できる。ホスホルチオエート結合を導入するためのチオール化は、水素化キサンタン(アセトニトリル/ピリジン9:1中0.01M)を用いることにより行われる。ホスホジエステル結合は、THF/ピリジン/水7:2:1中の0.02Mヨウ素を用いて導入できる。残りの試薬は、オリゴヌクレオチド合成に通常使用される試薬である。
【0407】
固相合成後のコンジュゲーションでは、固相合成の最後のサイクルで市販のC6アミノリンカーホルフォラミダイトを使用でき、脱保護及び固相支持体からの切断後、アミノ結合脱保護オリゴヌクレオチドが単離される。コンジュゲートは、標準的な合成方法を使用した官能基の活性化によって導入される。
【0408】
粗化合物は、Phenomenex Jupiter(登録商標)C18 10μ 150x10mmカラムでの取RP-HPLCにより精製される。0.1M酢酸アンモニウムpH8及びアセトニトリルを5mL/分の流速で緩衝液として使用する。収集された画分を凍結乾燥して、精製された化合物を典型的には白色固体として得る。
【0409】
略語:
DCI:4,5-ジシアノイミダゾール
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
DMT:4,4’-ジメトキシトリチル
THF:テトラヒドロフラン
Bz:ベンゾイル
Ibu:イソブチリル
RP-HPLC:逆相高速液体クロマトグラフィ
初代ヒト肝細胞(PXB-PHH)
【0410】
ヒト化マウス(uPA/SCIDマウス)(本明細書ではPHHと呼ばれる)から採取した新鮮な初代ヒト肝細胞(PXB-PHH)を、PhoenixBio Co.,Ltd(日本)から96ウェル形式で入手し、改変肝細胞クローン増殖培地(dHCGM)中で培養した。dHCGMは、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、20mMのHepes、44mMのNaHCO、15μg/mlのL-プロリン、0.25μg/mlのインスリン、50nMのデキサメタゾン、5ng/mlのEGF、0.1mMのAsc-2P、2%のDMSO及び10%のFBSを含有するDMEM培地である(Ishida et al.,2015)。
【0411】
細胞を、5%COを含む加湿雰囲気下において37℃で培養した。培養培地を、週末を除いて、採取まで2日毎に交換した。
【0412】
HBV感染及びオリゴヌクレオチド処置
PHHを、4%PEGと共に40の感染多重度(MOI)でHBV(慢性B型肝炎(CHB)個体から精製)と24時間インキュベートした。翌日、ウイルス接種材料を除去し、細胞をPBSで3回洗浄した後、新鮮な培地を添加した。
【0413】
PHHにおけるcccDNA確立化合物処置を、HBV感染後3日目に開始した。細胞を、10μMで開始する1:10希釈段階用量応答様式で投与した。HBV感染後3日目、5日目及び7日目に、細胞に、100μI/ウェルのdHCGM培地の最終容量でオリゴヌクレオチド化合物を投与した。感染後5日目に10nMのエンテカビル(ETV)処置を開始し、qPCRによる実際のcccDNA測定を確実にし、HBV感染後16日目に細胞が採取されるまで、10nMのETVを含む培地を(週末を除いて)2日ごとに交換した。実験を生物学的に三連で行った。
【0414】
細胞内RTEL1 RNAのリアルタイムPCR
製造業者のプロトコルに従って、Qiagen BioRobot Universal System、及び
RNeasy 96ウェル抽出プレート(RNeasy 96 BioRobot 8000 Kit(12)/カタログ番号II D:967152)
を使用して細胞から全mRNAを抽出した。ABI QuantStudio(商標)12k FlexでリアルタイムPCRを使用してmRNA発現レベルを分析した。β-アクチン(ACT B)を、TaqMan Fast Advanced Master Mix(Life Technologies、カタログ番号4444558)を用いてqPCRによって技術的複製で定量した。Fast SYBR(商標)Green Master Mix(Life Technologies、カタログ番号4385612)を用いて、RTEL1遺伝子に対するqPCRを行った。結果はヒトACT B内因性対照で正規化した。mRNA発現は、参照遺伝子ACT B及び未処置細胞に対して正規化した比較サイクル閾値2-ΔΔCt法を用いて分析した。ACTB RNA及びRTEL1 RNAの定量に用いられるプライマーを表7に列挙する。
【表7】
【0415】
HBV cccDNAの定量
DNAを、SDS溶解緩衝液(50mM Tris pH8、5mM EDTA、1%SDS)を使用してHBV感染初代ヒト肝細胞から抽出した。細胞を80μlのSDS溶解緩衝液で溶解した後、試料を-80℃で最低2時間凍結した。試料を37℃で解凍し、1μlのプロテイナーゼK(Ambion biosciencesのカタログ番号AM25448、20mg/mLストック)を96ウェルプレートの各ウェルに添加し、試料を56℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、ZYMO Research Genomic DNA Clean&Concentratorキット(ZymoResearch、カタログ番号D4067)からの3容量のChIP DNA結合緩衝液を添加し、製造業者のプロトコルに従ってDNAを精製した。DNAを20μlのDNA溶出緩衝液で溶出し、2μlのDNAを用いてqPCRを行った。
【0416】
cccDNA発現レベルを、比較サイクル閾値2-ΔΔCt法を使用して技術的複製で定量した。QuantStudio 12K Flex PCR System(Applied Biosystems)で定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応測定を行った。Fast SYBR(商標)Green Master Mix(Life Technologies、カタログ番号4385612)を使用して、ミトコンドリアDNA(mitoDNA)及び内因性対照として未処置細胞に対して正規化を行った。サイクラー設定を、95℃で5分間、次いで45サイクルの95℃で1秒間、及び60℃で35秒間のインキュベーションに調整した。使用したプライマーを以下の表8に列挙する(表中の全てのプローブはSYBR Greenである):
【表8】
【0417】
実施例1:HBV感染PHH細胞におけるRTEL1 RNA及びcccDNAに対するRTEL1を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果。
RTEL1 RNA及びcccDNAに対するRTEL1ノックダウンの効果を、表6のオリゴヌクレオチド化合物を用いて試験した。PHHは、材料及び方法のセクションに記載されている通りに培養した。HBV感染PHH細胞を、上記の表6の化合物で処置した。16日間の処置後、RTEL1 mRNA及びcccDNAを上記のようにqPCRによって測定した。結果を、平均薬物なし対照(NDC)試料の%として表9に示す(すなわち、値が低いほど、阻害/減少は大きくなる)。
【表9】
化合物について:大文字はLNAヌクレオシドを表し(β-D-オキシLNAヌクレオシドを使用した)、全てのLNAシトシンは5-メチルシトシンであり、小文字はDNAヌクレオシドを表す。全てのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0418】
実施例2:濃度応答曲線のための異なる濃度でのヒトMDA-MB-231細胞株におけるRTEL1 mRNAを標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドのin vitro有効性の試験。
【0419】
ヒトMDA-MB-231細胞株はATCCから購入し、供給業者による推奨のとおりに、37℃、5%COの加湿インキュベーター内で維持した。アッセイでは、3500細胞/ウェルを培地中の96マルチウェルプレートに播種した。細胞を24時間インキュベートした後、PBSに溶解したオリゴヌクレオチドを添加した。オリゴヌクレオチドの最高スクリーニング濃度:50μM及びその後の8段階の1:1希釈。オリゴヌクレオチドの添加の3日後に、細胞を採取した。RNAは、製造元の指示に従ってPureLink(商標)Pro 96 RNA Purificationキット(Thermo Fisher Scientific)を使用して抽出し、50μlの水で溶出した。その後、RNAをDNase/RNaseフリーの水(Gibco)で10倍希釈し、90℃に1分間加熱した。
【0420】
遺伝子発現解析では、One Step RT-qPCRを、二重鎖セットアップで、qScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標)、Low ROX(商標)(Quantabio)を使用して実施した。qPCRには、以下のTaqManプライマーアッセイを使用した:RTEL1_Hs00249668_m1 [FAM-MGB]及び内因性対照GUSB_ Hs99999908_m1 [VIC-MGB]。全てのプライマーセットは、Thermo Fisher Scientificから購入した。IC 50決定を、n=2の生物学的複製物からのGraphPad Prism 7.04において行った。50μMオリゴヌクレオチドで処置したときの相対的なRTEL1 mRNAレベルを対照(PBS処置試料)のパーセントとして表10に示す。
【表10】
【0421】
化合物は、図7に提供されるヒト細胞株MDA-MB-231における濃度応答曲線が示すように、ヒトRTEL1 mRNAのノックダウンに対する非常に良好な有効性及び効力を示す。
【0422】
実施例3:本発明の化合物と従来技術の化合物のin vivo有効性の直接比較
この実験では、本発明の化合物(CMP ID番号:3_1、4_1、5_1及び6_1、例えば表6を参照)を国際公開第2020/011902号A1に開示されている化合物と比較した。試験した先行技術の化合物を表11(CMP ID番号:7_1~23_1)に示す。具体的には、ヒトMDA-MB-231細胞におけるRTEL1 mRNAレベルに対する効果を試験した。
【0423】
ヒトMDA-MB-231細胞株をATCCから購入し、供給業者による推奨のとおりに、37℃、5%COの加湿インキュベーター内で維持した。アッセイでは、3500細胞/ウェルを培地中の96マルチウェルプレートに播種した。細胞を24時間インキュベートした後、PBSに溶解したオリゴヌクレオチドを添加した。オリゴヌクレオチドの最高スクリーニング濃度:50μM及びその後の8段階の1:1希釈。オリゴヌクレオチドの添加の3日後に、細胞を採取した。RNAは、製造元の指示に従ってPureLink(商標)Pro 96 RNA Purificationキット(Thermo Fisher Scientific)を使用して抽出し、50μlの水で溶出した。その後、RNAをDNase/RNaseフリーの水(Gibco)で10倍希釈し、90℃に1分間加熱した。
【0424】
遺伝子発現解析では、One Step RT-qPCRを、二重鎖セットアップで、qScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標)、Low ROX(商標)(Quantabio)を使用して実施した。qPCRには、以下のTaqManプライマーアッセイを使用した:RTEL1_Hs00249668_m1 [FAM-MGB]及び内因性対照GUSB_ Hs99999908_m1 [VIC-MGB]。全てのプライマーセットは、Thermo Fisher Scientificから購入した。IC 50決定を、n=2の生物学的複製物からのGraphPad Prism 7.04において行った。50μMオリゴヌクレオチドで処置したときの相対的なRTEL1 mRNAレベルを対照(PBS処置試料)のパーセントとして表11に示す。結果を図8にも示す。
【表11】
【0425】
実施例4:アンチセンスオリゴヌクレオチドカスパーゼを、HepG2及び3T3細胞において100nM濃度で24時間スクリーニングする。
【0426】
この実験では、本発明の化合物(CMP ID番号3_1、4_1、5_1及び6_1、例えば表6を参照)の毒性を、HepG2細胞におけるカスパーゼスクリーニングによって評価した。実施例3で試験した従来技術の化合物をこの研究に含めた。さらに、全長CMP ID番号3_1及び5_1のより短い代謝産物を分析した(更なる詳細については、実施例6を参照)。
【0427】
HepG2又は3T3細胞を、10%熱不活性化ウシ胎児血清を補充し、5mM HEPES(3T3)で完了した、GlutaMax(Gibco番号41090;HepG2)を含むMEM培地又はGlutamaxを含むDMEM(Gibco 31966号)中でおよそ70%コンフルエンスで培養した。細胞を0.25%トリプシン-EDTA溶液(Gibco番号25200056)で剥離し、1×10細胞/ウェル(HepG2)又は0.25×10細胞/ウェル(3T3)の密度で黒色の透明な96ウェルプレート(Corning番号3904、米国ニューヨーク州)に播種した。播種の24時間後、Opti-MEM(Gibco番号31985)に溶解した100nMオリゴヌクレオチドを使用して、Lipofectamine 2000(Life Technologies番号11668019)で細胞を一過性にトランスフェクトした。カスパーゼ-3/7活性を、Caspase-Glo(登録商標)3/7アッセイ(Promega Corporation、米国ウィスコンシン州マディソン)を使用して決定した。再構成カスパーゼ-Glo(登録商標)3/7試薬をトランスフェクションの24時間後に細胞に添加し、60分間インキュベートし、細胞溶解物を不透明な96ウェルプレート(Corning番号3600、米国ニューヨーク州)に移した後、製造者の指示に従ってEnspireマルチモードプレートリーダー(Perkin Elmer)で発光を決定した。
【0428】
結果を表12に示す。
【表12】
【0429】
60%AWを超える値を有する化合物を毒性(T)とみなした。40~60%AWの値を有する化合物を中程度の毒性(MT)とみなした。20~40%AWの値を有する化合物を軽度の毒性(M)とみなした。20%AW未満の値を有する化合物を非毒性(NT)とみなした。
【0430】
表12から導き出すことができるように、CMP ID番号11_1(MT)、CMP ID番号12_1(T)、CMP ID番号13_1(MT)、CMP ID番号14_1(MT)、CMP ID番号15_1(T)、CMP ID番号16_1(T)、CMP ID番号17_1(T)、CMP ID番号18_1(T)、CMP ID番号19_1(T)、CMP ID番号20_1(MT)、CMP ID番号21_1、CMP ID番号22_1、及びCMP ID番号23_1を有する化合物は、更なるプロファイリングのために化合物を選択解除する中程度の毒性(MT)又は毒性(T)を示した。
【0431】
実施例5:濃度応答曲線のための異なる濃度でのヒトMDA-MB-231細胞株におけるRTEL1 mRNAを標的化する完全長アンチセンスオリゴヌクレオチド及びその代謝産物のin vitro有効性の試験。
【0432】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞内で代謝されることが知られている。この実験では、3’末端からの完全長オリゴヌクレオチド及びそれらの代謝産物(すなわち、n-1、n-2、n-3、n-4、n-5、及びn-6)を、RTEL1 mRNA標的を減少させるそれらのin vitro効力について試験する。
【0433】
ヒトMDA-MB-231細胞株をATCCから購入し、供給業者による推奨のとおりに、37℃、5%COの加湿インキュベーター内で維持した。アッセイでは、3500細胞/ウェルを培地中の96マルチウェルプレートに播種した。細胞を24時間インキュベートした後、PBSに溶解したオリゴヌクレオチドを添加した。オリゴヌクレオチドの最高スクリーニング濃度:50μM及びその後の8段階の希釈。オリゴヌクレオチドの添加の3日後に、細胞を採取した。RNAは、製造元の指示に従ってPureLink(商標)Pro 96 RNA Purificationキット(Thermo Fisher Scientific)を使用して抽出し、50μlの水で溶出した。その後、RNAをDNase/RNaseフリーの水(Gibco)で10倍希釈し、90℃に1分間加熱した。
【0434】
遺伝子発現解析では、One Step RT-qPCRを、二重鎖セットアップで、qScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標)、Low ROX(商標)(Quantabio)を使用して実施した。qPCRには、以下のTaqManプライマーアッセイを使用した:RTEL1_ Hs01548056_m1[FAM-MGB]及び内因性対照GUSB_ Hs99999908_m1 [VIC-MGB]。全てのプライマーセットは、Thermo Fisher Scientificから購入した。相対RTEL1 mRNAレベルを、対照(PBS処置試料)のパーセントとして示し、IC50を、GraphPad Prism 7.04を使用して決定した。
【0435】
結果を図9及び表13に示す。
【表13】
【0436】
表13及び図9aから導き出すことができるように、全長オリゴヌクレオチドCMP 5_1は0.6μMのIC50を有する。有利には、第1及び第2の代謝産物(CMP 5_1-1及びCMP 5_1-2)は、同様の標的ノックダウン活性を保持し、IC50はそれぞれ0.4μM及び0.7μMであり、その後、更なる代謝産物(n-3~n-6)は最大効力及び効力の低下を示す。他の全ての化合物について、既にn-1及びn-2代謝産物は、それらのそれぞれの完全長配列化合物と比較して、効力及び/又は最大効力の有意な喪失を示す。
【0437】
実施例6:CMP 5_1-GalNAcアンチセンスオリゴヌクレオチドのIn vivo研究
研究スケジュール
この研究を、安定したヒト肝細胞生着を伴うキメラマウスモデル(PhoenixBio)であるHBV感染PXBマウス(登録商標)において、それぞれ20匹の動物からなる3つの群(ビヒクル、CMPD 3_1_GalNAc、CMPD 5_1_GalNAc)で合計77日間行う。動物に、10mg/kgの化合物又は当量のビヒクルを用いて毎週投薬する。各群の5匹の動物をそれぞれ28日目及び56日目に屠殺した。77日目において残りの動物について、その後、動物の肝臓について生物分析を行った。研究プロトコルを図10に示す。
【0438】
方法及び材料
CMP 3_1及びCMP 5_1のためのGalNAcコンジュゲートを、当技術分野で公知の方法(例えば、Javanbakh et al.Liver-Targeted Anti-HBV Single-Stranded Oligonucleotides with Locked Nucleic Acid Potently Reduce HBV Gene Expression In Vivo.Mol Ther Nucleic Acids.2018 Jun 1;11:441-454.doi:10.1016/j.omtn.2018.02.005.Epub 2018 Feb 23.PMID:29858079;PMCID:PMC5992345)によって生成した。生成したコンジュゲートをそれぞれ図1及び図4に示す。
【0439】
動物及び取り扱い
HBV遺伝子型C感染ヒト肝キメラuPA/SCIDマウス(PXBマウス;ドナー肝細胞BD195(Corning Incorporated))を、PhoenixBio Co.,Ltd.から購入した。動物の取り扱いは、日本国、東広島にあるPhoenixBio Co.,Ltd.によって現地で行われた。投薬開始時(0日目)に少なくとも20週齢であり、投薬開始前日(-1日目)に決定された18g以上の体重を有する雄マウスを研究のために選択した。マウスは、投薬開始の少なくとも6週間前にHBV遺伝子型C(コード番号:PBB004、ロット:180118、PhoenixBio Co.,Ltd.)に感染しており、-7日目にqPCRによって判定して>1x10コピー/mlの血清HBV-DNAレベルを示した。研究開始時の群ランダム化を、体重の算術平均値、並びに血中h-Alb濃度及び血清HBV-DNA濃度の幾何平均値に基づいて-1日目に決定した。
【0440】
10mg/kgの全ての用量を、投薬日において、投与前に摂取されたマウスの個々の体重に基づいて計算した。全ての対象マウスは、0、7、14、28、35、42、49、56、63及び70日目に、取り外せないように針が取り付けられた使い捨ての1.0mLシリンジ(Terumo Corporation)を使用して、背中上部の頸部皮下組織に用量製剤の注射を受けた。
【0441】
各屠殺日に、標的動物をイソフルラン麻酔で麻酔し、心臓穿刺及び失血によって屠殺した。肝臓を摘出し、外側左葉をおよそ100mgの小片に分割した。正確な重量を記録し、肝臓試料を液体窒素中で急速凍結し、更に処理するまで-80℃で保存した。
【0442】
瀕死又は初期体重の20%超の体重減少の兆候を有する動物を必要に応じて屠殺した。全ての早期終了/死亡した動物、並びに屠殺時に胸腺腫/リンパ腫を有するマウスを分析から除外した。
【0443】
RTEL1 mRNA発現の定量
肝臓組織試料を、MagNA Pure LC RNA Isolation Tissue Lysis Buffer(製品番号03604721001、Roche)に溶解するまで凍結したままにし、MagNA Pure 96 Instrument(Roche)上で、MagNA Pure 96 Cellular RNA Large Volume Kit(製品番号05467535001、Roche)を使用して、ユーザのマニュアルに従ってRNA抽出を続け、RNA濃度を水で調整した。
【0444】
遺伝子発現解析では、One Step RT-qPCRを、qScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標)、Low ROX(商標)(Quantabio)を使用して実施した。qPCRには、以下のTaqManプライマーアッセイを使用した:Hs01548056_m1;Hs00249680_m1;Hs00249668_m1及び参照遺伝子GAPDH_Hs99999905_m1;PGK1_Hs99999906_m1及びGUSB_Hs99999908_m1。全てのプライマーセットは、Thermo Fisher Scientificから購入した。相対的なmRNA発現レベルを、生理食塩水で処置した対照群に対するパーセントとして示す。
【0445】
結果を図11に示す。この分析は、10mg/kgの毎週のCMP3_1_GalNAcの投薬でおよそ80%のノックダウン有効性を示し、10mg/kgの毎週のCMP5_1_GalNAcの投薬でおよそ95%ノックダウン有効性を示す。
【0446】
実施例7:初代ヒト肝細胞におけるin vitro研究
方法及び材料
細胞培養
ヒト化肝臓を有するキメラウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子/重症複合免疫不全症(uPA/SCID)マウスからコラゲナーゼ灌流法によって単離された初代ヒト肝細胞(PHH)を、PhoenixBio(日本国広島)から入手した。PHHを、改変肝細胞クローン増殖培地(dHCGM)中7×10細胞/ウェルの濃度でI型コラーゲン被覆96ウェルプレートに播種した。dHCGMは、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、20mM Hepes、44 mM NaHCO、15μg/ml L-プロリン、0.25μg/mlインスリン、50nMデキサメタゾン、5ng/ml EGF、0.1mM Asc-2P、2% DMSO及び10% FBSを含有するDMEM培地(Ishida et al.,2015)である。
【0447】
細胞を、5%COを含む加湿雰囲気下において37℃で培養した。培養培地を、週末を除いて、採取まで2日毎に交換した。
【0448】
次いで、感染多重度(MOI)40のHBV遺伝子型Cを、4%PEG 8000(Sigma-Aldrich)の最終濃度で96ウェルプレート内の細胞に添加した。感染細胞を37℃で20時間インキュベートし、次いでPBSで2回洗浄してHBV接種物を除去し、完全培地を再充填した。感染後4日目に、細胞を異なる濃度のLNAで処置した。感染後6日目及び8日目に培地を新しいLNAで交換した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を「薬物なし」対照(NDC)として使用した。上清及び細胞を採取し、感染後19日目にHBVマーカー及び標的ノックダウン分析に使用した。
【0449】
LNAの細胞傷害性を、製造業者のプロトコルに従ってCell Counting Kit 8(Sigma-Aldrich)を使用して評価し、NDCに対する%細胞傷害性として表した。
【0450】
RNA抽出及びリアルタイム定量PCR
製造業者のプロトコルに従って、MagNA Pure 96ロボット及びMagNA Pure 96 Cellular RNA Large Volume Kit(Roche)を用いて細胞内mRNAを細胞から抽出した。相対的な総HBV、RTEL1、pgRNA、及びβ-グルクロニダーゼ(GusB)内因性対照mRNAの定量化を、TaqMan RNA-to-Ct 1-Step Kit(Applied Biosystems、番号4392938)を使用してQuantStudio 12 K Flex(Life Technologies)を使用して技術的複製で行った。mRNA発現は、参照遺伝子GusB及び薬物なし対照に対して正規化した比較サイクル閾値2-ΔΔCt法を用いて分析した。TaqManプライマー及びアッセイIDは以下の通りであった:RTEL1,Hs02568623_s1;Total HBV RNA Pa03453406_s1;HBV pgRNA AILJKX5.参照遺伝子GusBとして、Hs00939627_m1を用いた。全てのプライマー及びプローブセットは、ThermoFisherから入手した。
【0451】
25μMのアンチセンスオリゴヌクレオチドについての結果を表14に示し、これはとりわけ、細胞の細胞傷害性及びRTEL1 mRNAノックダウンに関する情報を含む。CMP 10_1は、RTEL1 mRNAの標的化において高い細胞傷害性及び低い有効性を示す。さらに、CMP9_1は、57%の残存RTEL1 mRNAでRTEL1 mRNAの2番目に低いノックダウンを示す。
【表14】
【0452】
5μMのアンチセンスオリゴヌクレオチドについての結果を表15に示す。CMP10_1は、RTEL1 mRNAの標的化において低い有効性を示す。さらに、CMP9_1は、79%の残存RTEL1 mRNAでRTEL1 mRNAの2番目に低いノックダウンを再び示す。
【表15】
【0453】
実施例8:CMP5_1-GalNAcのIn vivo概念実証
研究スケジュール
研究を、ヒト肝細胞が安定して生着しているキメラマウスモデル(PhoenixBio)であるHBV感染PXBマウス(登録商標)を56日目及び105日目に屠殺して行う。CMP5_1-GalNacを、5、10、及び20mg/kg(56日目、図12を参照)の8回の毎週の投薬後に評価する。さらに、CMP5_1-GalNacを、10mg/kgの15回の毎週の投薬後(105日目)にも評価する。各群について、処置動物と同じ体積のビヒクルを投与する別個のビヒクル対照アームがあった。全ての群は、研究開始時に6匹のマウスのサイズであった。生物学的分析を動物の肝臓に対して行った。
【0454】
方法及び材料
動物及び取り扱い
HBV遺伝子型C感染ヒト肝キメラuPA/SCIDマウス(PXBマウス;ドナー肝細胞BD 195(Corning社))を、PhoenixBio Co.,Ltd.から購入した。動物の取り扱いを、日本、宇土のLSIM Safety Institute Corporationによって行った。投薬開始時(0日目)に少なくとも25週齢であり、投薬開始前日(-1日目)に決定された18g以上の体重を有する雄マウスを研究のために選択した。マウスは、投薬開始の少なくとも6週間前にHBV遺伝子型C(コード番号:PBB004、ロット:180118、PhoenixBio Co.,Ltd.)に感染しており、-7日目にqPCRによって判定して>1x10コピー/mlの血清HBV-DNAレベルを示した。体重及び血中h-Alb濃度並びに血清HBV-DNA濃度に基づいて、-1日目の研究開始時に層別ランダム化を行った。
【0455】
全ての用量は、投薬日において、投与前に摂取されたマウスの個々の体重に基づいて計算した。全ての対象マウスは、背中上部の頸部皮下組織への用量製剤又は対応するビヒクルの注射を受けた。56日目に屠殺した動物には、0、7、14、21、28、35、42及び49日目に注射した(図12を参照)。キメラ肝臓におけるASGPRの過負荷を回避するために、20mg/kg/週の用量を10mg/kgの2回の連続注射で与えた。したがって、これらのマウスに、0、1、7、8、14、15、21、22、28、29、35、36、42、43、49及び50日目に投薬した。105日目に屠殺した動物には、0、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、84、91及び98日目に10mg/kgを投与し(図12を参照)、取り外せないように針が取り付けられた使い捨ての1.0mLシリンジを使用した(Terumo Corporation)。
【0456】
各屠殺日に、標的動物をイソフルラン麻酔で麻酔し、心臓穿刺及び失血によって屠殺した。肝臓を摘出し、外側左葉をおよそ100mgの小片に分割した。正確な重量を記録し、肝臓試料を液体窒素中で急速凍結し、更に処理するまで-80℃で保存した。
【0457】
瀕死又は初期体重の20%超の体重減少の兆候を有する動物を必要に応じて屠殺した。全ての早期終了/死亡した動物、並びに屠殺時に胸腺腫/リンパ腫を有するマウスを分析から除外した。
【0458】
サザンブロット分析によるcccDNAの決定
肝臓組織をDNA抽出緩衝液(50mM Tris pH8、5mM EDTA、150mM NaCl、1%SDS)中でホモジナイズするまで凍結したままにした。まず、抽出物をRNaseカクテル(ThermoFisher)で周囲温度にて30分間消化し、続いてプロテイナーゼK(ThermoFisher)で軽く撹拌しながら、56℃にて2時間消化した。遠心分離によってデブリをペレット化し、1体積のUltraPure緩衝液飽和フェノール(ThermoFisher)で3回振盪し、続いて1体積のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1;ThermoFisher)で抽出することによって上清からDNAを抽出した。次いで、1体積の100%エタノール及び60mM(最終)NaAc(SigmaAldrich)を-20℃で一晩添加することによってDNAを沈殿させた。次いで、DNAを遠心分離によってペレット化し、ペレットを70%エタノールで洗浄し、風乾した後、10mM Tris-HCl pH8(ThermoFisher)に再懸濁する。
【0459】
DNA含有量を、NanoDrop(ThermoFisher)を使用して定量し、濃度を1.5μg/μlに正規化する。次いで、30μgのDNAを、37℃で2時間、1×CutSmart緩衝液(New England Biolabs)中の70 U T5エキソヌクレアーゼ(New England Biolabs)で消化する。各試料について、等体積をBlue Juiceローディングバッファー(ThermoFisher)と混合し、0.95%アガロース-TAEゲル(SigmaAldrich)にローディングする。試料の全ての(生物学的)群の間で、DNA分子量マーカーVII(Roche)をロードした1レーンを追加する(各レーンで同じ量)。分離後、ゲルを新鮮な0.2M HCl(Acros Organics)に10分間移し、次いで水で3回すすぐ。続いて、ゲルを変性緩衝液(0.5M NaOH、1.5M NaCl)に30分間入れ、水で1回すすぐ。次に、ゲルを中和緩衝液(0.5MトリスpH7.5、1.5M NaCl)に30分間移す。最後に、ゲルを20×SSC緩衝液(ThermoFisher)で30分間平衡化する。次いで、DNAを、一晩の転写のために20×SSC緩衝液(ThermoFisher)を使用して、TurboBlotterキット(Cytiva)を製造者の指示に従って使用してHybond-XL膜(Cytiva)に転写する。転写後、DNAを1800 JのUV放射線の照射によって膜に架橋し、膜を乾燥させる。
【0460】
HBV cccDNAの特異的検出のため、DIG核酸検出キットを、DIG EasyHyb緩衝液及びDIG洗浄及びブロッキング緩衝液セット(全てRoche)と共に製造業者の説明書に従って使用する。プローブを、製造元の指示に従ってDIG PCRプローブキット(Roche)を使用してPCRによって生成する。HBV遺伝子型Cゲノムを含むプラスミドを、以下のプライマーを用いて鋳型として使用する:フォワード、GTTTTTCACCTCTGCCTAATCATC(配列番号70);リバース、GCAAAAAGTTGCATGGTGCTGGT(配列番号71)。
【0461】
100℃で5分間変性させ、次いで37℃で一晩4℃に急速に冷却したプローブを用いて、ハイブリダイゼーションを行う。洗浄及び検出を、製造業者の指示に従って行う。画像を、ビヒクル対照試料中のcccDNAを検出するための適切な曝露時間を設定するFUSION FXシステム(Vilber)を使用して取得する。分析のため、ImageStudioソフトウェア(Licor)を使用してcccDNAバンド(2.1kBサイズ)を定量する。不均一な転写を説明するため、DNA分子量マーカーVIIの2.8kBバンドも定量し、cccDNAバンド強度を、群を構成する二つのバンドの平均強度に対して正規化する。次いで、個々の値をビヒクル対照群の平均バンド強度に対して正規化する。
【0462】
RTEL1 mRNA分析
肝臓組織試料を、MagNA Pure LC RNA Isolation Tissue Lysis Buffer(製品番号03604721001、Roche)に溶解するまで凍結したままにし、MagNA Pure 96 Instrument(Roche)上で、MagNA Pure 96 Cellular RNA Large Volume Kit(製品番号05467535001、Roche)を使用して、ユーザのマニュアルに従ってRNA抽出を続け、RNA濃度を水で調整した。
【0463】
遺伝子発現解析では、One Step RT-qPCRを、qScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標)、Low ROX(商標)(Quantabio)を使用して実施した。qPCRには、以下のTaqManプライマーアッセイを使用した:Hs01548056_m1;Hs00249680_m1;Hs00249668_m1及び参照遺伝子GAPDH_Hs99999905_m1;PGK1_Hs99999906_m1及びGUSB_Hs99999908_m1。全てのプライマーセットは、Thermo Fisher Scientificから購入した。相対的なmRNA発現レベルを、生理食塩水で処置した対照群に対するパーセントとして示す。
【0464】
図13Aは、CMP5_1-GalNAcを105日間毎週投薬すると、RTEL1 mRNAが約15%に、cccDNAが約20%に減少する例を示す。
【0465】
図13Bは、56日目に5、10及び20mg/kgのCMP5_1-GalNacをそれぞれ毎週投薬した後の、87%、91%及び97%のRTEL1 mRNAのノックダウンを示す。cccDNAは、10及び20mg/kgのCMP5_1-GalNacに対してそれぞれ59%及び73%減少した。
【0466】
結論:上記の実施例から、CMP ID 5_1は、vivo及びin vitroの両方でRTEL1 mRNAを標的とするための安全かつ有効な化合物を示すことになる。本発明者らは、ここでCMP ID_5_1の好ましいin vitro薬物特性プロファイルを示し、本発明者らは、RTEL1の標的をin vivoで非常に効率的に関与させ、その後ウイルスcccDNAを減少させることができることを示した。加えて、本発明者らは、RTEL1 mRNAを下方制御することによって、B型肝炎感染ヒト化マウスモデルを使用したウイルスcccDNAに対する有意な用量依存的効果が誘発され得ることを示した。また、化合物5_1は、3’末端から分解後も活性を保持する特性を有する。これは、3’末端からのn-1及びn-2が、完全長CMP ID_5_1と比較して同等のin vitro効力を有することを意味する。n-3分解はまた、in vitro効力は低いが、RTEL1に対する活性を依然として保持している。親分子の代謝産物が依然としてRTEL1 mRNAに対して所望の効果を誘発するため、このプロファイルは分子に明確な利益を与える。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
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図5-3】
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図5-7】
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図6-1】
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図6-6】
図6-7】
図6-8】
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図10
図11
図12
図13
【配列表】
2024505583000001.app
【国際調査報告】