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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】遺伝性血管性浮腫の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/444 20060101AFI20240130BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240130BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 1/06 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 1/08 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A61K31/444
A61P43/00 105
C07D401/14
A61P25/04
A61P29/00
A61P17/00
A61P1/12
A61P1/06
A61P1/08
A61P11/00
A61P11/04
A61P25/00
A61K9/20
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/12
A61P9/00
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547813
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 GB2022050350
(87)【国際公開番号】W WO2022172006
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/147,595
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/212,224
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/220,747
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/277,753
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/286,363
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515004935
【氏名又は名称】カルビスタ・ファーマシューティカルズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィーナー,エドワード・ポール
(72)【発明者】
【氏名】マーシュ,サリー・ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】マエッツェル,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】スミス,マイケル・デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】イア,クリストファー・マーティン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB09
4C063CC22
4C063DD12
4C063EE01
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC09
4C076CC11
4C076CC16
4C076CC18
4C076CC26
4C076CC29
4C076DD41C
4C076EE16
4C076EE31A
4C076EE32B
4C076FF02
4C076FF05
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF31
4C076FF68
4C076GG14
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA10
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA08
4C086ZA36
4C086ZA60
4C086ZA66
4C086ZA71
4C086ZA73
4C086ZA89
4C086ZB21
4C086ZC02
(57)【要約】
本発明は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の治療に関する。具体的には、本発明は、血漿カリクレイン阻害剤を、それを必要とする患者にオンデマンドで経口投与することによって、遺伝性血管性浮腫(HAE)のオンデマンド治療を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法であって、式A
【化1】
の化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を、それを必要とする患者にオンデマンドで経口投与することを含み、前記治療が、前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を服用してから4時間以内の、前記HAE発作の第2の治療剤の必要性を低減する、前記方法。
【請求項2】
前記治療が、前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を服用してから12時間以内の、前記HAE発作の第2の治療剤の必要性を低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記治療が、前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を服用してから24時間以内の、前記HAE発作の第2の治療剤の必要性を低減する、請求項1及び2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記治療が、前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を服用してから4時間以内の、前記HAE発作の第2の治療剤の必要性を回避する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記治療が、前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を服用してから12時間以内の、前記HAE発作の第2の治療剤の必要性を回避する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記治療が、前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を服用してから24時間以内の、前記HAE発作の第2の治療剤の必要性を回避する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記患者に、前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を服用してから4時間以内に、前記HAE発作の第2の治療剤が投与されない、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記患者に、前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を服用してから12時間以内に、前記HAE発作の第2の治療剤が投与されない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記患者に、前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を服用してから24時間以内に、前記HAE発作の第2の治療剤が投与されない、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記発作が、前記患者に任意の第2の治療剤を投与することなく解消される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法であって、式A
【化2】
の化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を、それを必要とする患者にオンデマンドで経口投与することを含み、前記発作の症状緩和が、前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)の投与の3時間以内に始まる、前記方法。
【請求項12】
「症状緩和」は、前記発作が、7点遷移質問(7-point transition questions)(7TQ)に従って評価されたときに、2つの連続した時点で「少し良い」以上と評価されることを意味する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記「2つの連続した時点」が、約30分離れている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記発作の前記症状緩和が、前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を投与した約1.5~3.0時間後に始まる、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法であって、式A
【化3】
の化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を、それを必要とする患者にオンデマンドで経口投与することを含み、前記発作の症状緩和が、前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を投与した約1.5~9時間後に始まる、前記方法。
【請求項16】
「症状緩和」は、複合VASスコアの50%の低下が3つの連続した時点で生じたことを意味する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記「3つの連続した時点」が、前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)の投与後0~4時間以内で約30分離れており、必要に応じて、前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)の投与後4~12時間以内で約1時間離れている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記発作の前記症状緩和が、前記化合物を投与してから約3~9時間後に始まる、請求項15~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法であって、式A
【化4】
の化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を、それを必要とする患者にオンデマンドで経口投与することを含み、前記発作の症状が前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)の投与後12時間の期間以内に悪化しないように、前記治療が前記発作の進行を停止する、前記方法。
【請求項20】
「悪化しない」は、前記発作が、前記化合物を投与してから12時間以内に、5LSについて1レベル以上悪化しなかったことを意味する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記発作の症状が前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)の投与後24時間の期間以内に悪化しないように、前記治療が前記発作の進行を停止する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
「悪化しない」は、前記発作が、前記化合物の投与から24時間以内に、5LSについて1レベル以上悪化しなかったことを意味する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法であって、式A
【化5】
の化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を、それを必要とする患者にオンデマンドで経口投与することを含み、前記治療が、前記発作の重症度を「なし」(5LSに従って評価したとき)に改善する、前記方法。
【請求項24】
前記重症度が、前記化合物を投与してから24時間以内に「なし」に改善する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記重症度が、前記化合物を投与してから12時間以内に「なし」に改善する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記重症度が、前記化合物を投与してから6時間以内に「なし」に改善する、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)が、オンデマンドでの遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作の治療における使用のためのものであり、HAE発作の症状の認識時にオンデマンドで経口投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
認識される前記HAE発作の症状が、組織の腫脹、疲労、頭痛、筋肉痛、皮膚の刺痛、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、嚥下困難、嗄声、息切れ、及び/または気分の変化のうちの少なくとも1つである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)が、前記HAE発作の症状が認識されてから1時間以内にオンデマンドで経口投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)が、前記HAE発作の症状が認識されてから30分以内、20分以内、10分以内、または5分以内にオンデマンドで経口投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物)が、HAE発作の前駆期においてオンデマンドで経口投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
認識される前記症状が、軽微な腫脹、腹痛、または皮膚の発赤のうちの少なくとも1つである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
認識される前記症状が、輪状紅斑である、請求項31または32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記治療が、前記HAE発作の持続時間を短縮する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)が、(i)前記化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)、ならびに(ii)薬学的に許容される賦形剤、を含む経口剤形として投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記経口剤形が、希釈剤としての微結晶セルロース、崩壊剤としてのクロスカルメロースナトリウム、結合剤としてのポリビニルピロリドン、及び任意選択により、滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウムを含む錠剤である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記患者に、約600mgの前記式Aの化合物が投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
各投与量が、各々約300mgの前記式Aの化合物を含む2つの錠剤として投与される、請求項37に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の治療に関する。具体的には、本発明は、血漿カリクレイン阻害剤を、それを必要とする患者にオンデマンドで経口投与することによって、遺伝性血管性浮腫(HAE)のオンデマンド治療を提供する。
【背景技術】
【0002】
血漿カリクレイン阻害剤は、多くの治療適用(特に遺伝性血管性浮腫の治療)を有する。
【0003】
血漿カリクレインは、キニノーゲンからキニンを遊離させることができるトリプシン様セリンプロテアーゼである(K.D.Bhoola et al.,“Kallikrein-Kinin Cascade”,Encyclopedia of Respiratory Medicine,p483-493、J.W.Bryant et al.,“Human plasma kallikrein-kinin system:physiological and biochemical parameters”Cardiovascular and haematological agents in medicinal chemistry,7,p234-250,2009、K.D.Bhoola et al.,Pharmacological Rev.,1992,44,1、及びD.J.Campbell,“Towards understanding the kallikrein-kinin system:insights from the measurement of kinin peptides”,Brazilian Journal of Medical and Biological Research 2000,33,665-677を参照されたい)。これは、このカスケードにおけるその役割がブラジキニンの放出または酵素的切断を伴わないものの、内因性血液凝固カスケードの不可欠なメンバーである。血漿プレカリクレインは、単一の遺伝子によってコードされ、肝臓、ならびに他の組織で合成することができる。血漿プレカリクレインは、活性化されて活性血漿カリクレインを与える高分子量キニノーゲン(HK)に結合したヘテロ二量体複合体として、血漿中で循環する不活性血漿プレカリクレインとして肝細胞によって分泌される。この接触活性化システム(または接触系)は、第XII因子(FXII)~第XIIa因子(FXIIa)を活性化する負に荷電した表面、負の表面を必要としない場合がある特定のプロテアーゼ、例えば、プラスミン(Hofman et al Clin Rev Allergy Immunol 2016)、または誤ってフォールディングされたタンパク質(Maas et al J Clinical Invest 2008)によって活性化することができる。FXIIaは、血漿プレカリクレインの血漿カリクレインへの変換、及びそれに続く高分子量キニノーゲン(HK)の切断を媒介して、強力な炎症ホルモンであるブラジキニンを生成する。キニンは、Gタンパク質共役受容体を介して作用する炎症の強力なメディエーターであり、キニンのアンタゴニスト(ブラジキニン受容体アンタゴニストなど)は、多くの障害の治療のための潜在的な治療剤として以前に研究されている(F.Marceau and D.Regoli,Nature Rev.,Drug Discovery,2004,3,845-852)。
【0004】
血漿カリクレインは、多くの炎症性障害において役割を果たすと考えられている。血漿カリクレインの主な阻害剤は、セルピンC1エステラーゼ阻害剤である。C1エステラーゼ阻害剤の遺伝的欠損を呈する患者は、遺伝性血管性浮腫(HAE)に罹患し、その結果、顔、手、喉、胃腸管及び性器の断続的な腫脹をもたらす。急性エピソード中に形成された水疱は、血管透過性の増加につながる、ブラジキニンを遊離する高分子量キニノーゲン(HK)を切断する高レベルの血漿カリクレインを含む。大型のタンパク質血漿カリクレイン阻害剤による治療は、血管透過性の増加を引き起こすブラジキニンの放出を防止することによってHAEを効果的に治療することが示されている(A.Lehmann“Ecallantide(DX-88),a plasma kallikrein inhibitor for the treatment of hereditary angioedema and the prevention of blood loss in on-pump cardiothoracic surgery”Expert Opin.Biol.Ther.8,p1187-99)。
【0005】
遺伝性血管性浮腫は、血管の外に液体が蓄積し、血液またはリンパ液の正常な流れを遮断し、手、足、四肢、顔、腸管、または気道などの組織の急速な腫脹を引き起こす、再発性の急性発作を特徴とする稀な遺伝性疾患である。したがって、「遺伝性血管性浮腫」は、遺伝性機能不全/欠陥/変異によって引き起こされるブラジキニン媒介性血管性浮腫(例えば、重度の腫脹)の再発エピソードを特徴とする任意の障害として定義することができる。現在、HAEには、(i)HAE1型、(ii)HAE2型、及び(iii)正常C1阻害剤HAE(正常C1-Inh HAE)の3つの既知のカテゴリーがある。しかし、HAEの分野は急速に発展しているため、将来的にはさらなる種類のHAEが定義される可能性がある。
【0006】
理論に束縛されることを望むものではないが、HAE1型は、血液中のC1阻害剤のレベルの低下をもたらすSERPING1遺伝子の変異によって引き起こされると考えられる。理論に束縛されることを望むものではないが、HAE2型は、血液中のC1阻害剤の機能不全を引き起こすSERPING1遺伝子の変異によって引き起こされると考えられる。理論に束縛されることを望むものではないが、正常C1-Inh HAEの原因はそれほど明確に定義されておらず、基礎となる遺伝子機能不全/欠陥/変異は、時として未知のままであり得る。知られていることは、(HAE1型及び2型は対照的に)正常C1-Inh HAEの原因が、C1阻害剤のレベルの低下または機能不全に関連していないことである。正常C1-Inh HAEは、家族歴を検討し、血管性浮腫が前世代から継承されていることに留意することによって診断することができる(したがって、それは遺伝性血管性浮腫である)。正常C1-Inh HAEは、C1阻害剤に関連するもの以外の遺伝子に機能不全/欠陥/変異があることを決定することによって診断することもできる。例えば、プラスミノーゲンによる機能不全/欠陥/変異が、正常C1-Inh HAEを引き起こす可能性があることが報告されている(例えば、Veronez et al.,Front Med(Lausanne).2019 Feb 21;6:28.doi:10.3389/fmed.2019.00028、またはRecke et al.,Clin Transl Allergy.2019 Feb 14;9:9.doi:10.1186/s13601-019-0247-x.を参照されたい)。また、第XII因子の機能不全/欠陥/変異が、正常C1-Inh HAEを引き起こす可能性があることも報告されている(例えば、Mansi et al.2014 The Association for the Publication of the Journal of Internal Medicine Journal of Internal Medicine,2015,277;585-593、またはMaat et al.J Thromb Haemost.2019 Jan;17(1):183-194.doi:10.1111/jth.14325を参照されたい)。
【0007】
急性HAE発作(「HAE発作」と短縮される)は、通常、初期の前駆段階(典型的には最長12時間続き得る)、それに続く腫脹段階、次いで吸収段階、の3つの重要な臨床的に異なる段階を経て進行する。HAE発作の大部分は、前駆症状を呈する。前駆段階の3分の2は、HAE発作前6時間未満で出現し、HAE発作の24時間超前には前駆段階は出現しない(Magerl et al.Clinical and Experimental Dermatology(2014)39,pp298-303)。例えば、以下の前駆症状が観察され始め得る:軽微な腫脹(特に顔及び首に影響を与える)、典型的なタイプの腹痛、「輪状紅斑」と呼ばれる典型的な皮膚の発赤。発作は、最大の腫脹及び最大の痛みの出現(例:腹部発作)、不快感(例:末梢発作)、または生命への脅威(例:喉頭発作)に達したときに完全に発症する。発作がピークに達すると、その後の正常化までの期間は、腫脹が消失し、組織を貫通した液体が再吸収されるのにかかる時間によって決定される。
【0008】
合成の小分子血漿カリクレイン阻害剤は、以前に、例えば、Garrett et al.(“Peptide aldehyde….”J.Peptide Res.52,p62-71(1998))、T.Griesbacher et al.(“Involvement of tissue kallikrein but not plasma kallikrein in the development of symptoms mediated by endogenous kinins in acute pancreatitis in rats”British Journal of Pharmacology 137,p692-700(2002))、Evans(“Selective dipeptide inhibitors of kallikrein”WO03/076458)、Szelke et al.(“Kininogenase inhibitors”WO92/04371)、D.M.Evans et al.(Immunolpharmacology,32,p115-116(1996))、Szelke et al.(“Kininogen inhibitors”WO95/07921)、Antonsson et al.(“New peptides derivatives”WO94/29335)、J.Corte et al.(”Six membered heterocycles useful as serine protease inhibitors”WO2005/123680)、J.Sturzbecher et al.(Brazilian J.Med.Biol.Res27,p1929-34(1994))、Kettner et al.(US5,187,157)、N.Teno et al.(Chem.Pharm.Bull.41,p1079-1090(1993))、W.B.Young et al.(“Small molecule inhibitors of plasma kallikrein”Bioorg.Med.Chem.Letts.16,p2034-2036(2006))、Okada et al.(“Development of potent and selective plasmin and plasma kallikrein inhibitors and studies on the structure-activity relationship”Chem.Pharm.Bull.48,p1964-72(2000))、Steinmetzer et al.(“Trypsin-like serine protease inhibitors and their preparation and use”WO08/049595)、Zhang et al.(“Discovery of highly potent small molecule kallikrein inhibitors”Medicinal Chemistry 2,p545-553(2006))、Sinha et al.(“Inhibitors of plasma kallikrein”WO08/016883)、Shigenaga et al.(“Plasma Kallikrein Inhibitors”WO2011/118672)、及びKolte et al.(“Biochemical characterization of a novel high-affinity and specific kallikrein inhibitor”,British Journal of Pharmacology(2011),162(7),1639-1649)に記載されている。また、Steinmetzer et al.(“Serine protease inhibitors”WO2012/004678)は、ヒトプラスミン及び血漿カリクレインの阻害剤である環化ペプチド類似体を記載している。
【0009】
上述により説明したように、HAEは、C1エステラーゼ阻害剤の遺伝的欠損または機能不全を呈する患者に現れることができる。したがって、いくつかのHAEの現在の治療は、C1エステラーゼ阻害剤の欠乏または機能不全を正常化するためにC1エステラーゼ阻害剤を投与することを含む。このような治療は、予防的(すなわち、急性HAE発作の症状がない場合に、急性HAE発作の可能性を予防/低減させるために投与される)及び/または急性治療(すなわち、急性HAE発作の症状が認められた場合に、急性HAE発作の重症度を停止または低減させるために投与される)であり得る。
【0010】
Cinryze(登録商標)及びHaegarda(登録商標)は、C1エステラーゼ阻害剤を含み、急性HAE発作を防止する(すなわち、予防的治療)ことが示される。Cinryze(登録商標)による治療は、粉末からの溶液の調製を必要とし、その後3日または4日ごとに注射される。同様に、Haegarda(登録商標)による治療は、粉末からの溶液の調製を必要とし、それはその後週に2回注射される。患者がこれらの治療剤を自己投与することは必ずしも可能ではなく、その場合、患者は、治療のために診療所に行く必要がある。したがって、これらの予防的治療は両方とも、患者の高い負担を強いる。加えて、Haegarda(登録商標)のFDA添付文書は、「急性HAE発作を治療するために使用されるべきではない」と述べており、したがって、HAE発作が発症した場合、患者は追加の療法を必要とする場合がある。
【0011】
Berinert(登録商標)及びRuconest(登録商標)は、C1エステラーゼ阻害剤を含み、急性HAE発作を治療することが示される。これらの治療の両方はまた、注射可能な溶液の調製と、それに続く注射を伴う。このプロセスは、特に、患者が急性HAE発作を患っている場合、患者に負担を強いる可能性がある。投与量の自己投与もまた常に可能であるとは限らず、可能でない場合、薬物の投与は実質的に遅延され得、したがって患者の急性HAE発作の重症度を増加させる。
【0012】
HAEの治療における医学的使用のために承認された選択的血漿カリクレイン阻害剤としては、Kalbitor(登録商標)(活性成分エカランチド)及びTakhzyro(登録商標)(活性成分ラナデルマブ)が挙げられる。両方の治療剤は、注射用溶液として製剤化される。エカランチドは、アナフィラキシー反応のリスクを呈する、大型タンパク質血漿カリクレイン阻害剤である。実際、Kalbitor(登録商標)の利点がそのリスクを上回らないと言われているため、Kalbitor(登録商標)のEU販売承認申請は最近撤回された。ラナデルマブは、組換え完全ヒトIgG1カッパ軽鎖モノクローナル抗体である。ラナデルマブによる治療で報告された有害反応には、過敏症、注射部位の疼痛、注射部位の紅斑、及び注射部位の挫傷が含まれる。Takhzyro(登録商標)(活性物質ラナデルマブ)の認可されたEMAラベルは、「急性HAE発作の治療を意図するものではなく」、「ブレークスルーHAE発作の場合には、認可された救急薬で別の治療を開始すべきである」と述べている。また、注射であるので、これらの治療の両方は、高い患者負担を伴う。
【0013】
Berotralstat(BCX7353)は、例えば、Orladeyo(登録商標)というブランド名で、いくつかの国でHAEの予防的治療(オンデマンド治療ではない)として承認されている。Hwang et al.(Immunotherapy(2019)11(17),1439-1444)は、より高い用量は、より高いレベルでの毒性の増加を示す、より多くの胃腸有害作用と関連付けられたと述べている。
【0014】
当該技術分野で知られている他の血漿カリクレイン阻害剤は、一般に小分子であり、そのうちのいくつかは、グアニジンまたはアミジンなどの高度に極性でイオン化可能な官能基を含む。最近、グアニジンまたはアミジン官能基を特徴としない血漿カリクレイン阻害剤が報告されている。例えば、Brandl et al.(“N-((6-amino-pyridin-3-yl)methyl)-heteroaryl-carboxamides as inhibitors of plasma kallikrein”WO2012/017020)、Evans et al.(“Benzylamine derivatives as inhibitors of plasma kallikrein”WO2013/005045)、Allan et al.(“Benzylamine derivatives”WO2014/108679),Davie et al.(“Heterocyclic derivates”WO2014/188211)、及びDavie et al.(“N-((het)arylmethyl)-heteroaryl-carboxamides compounds as plasma kallikrein inhibitors”WO2016/083820)。
【0015】
本出願人は、WO2016/083820(PCT/GB2015/053615)に開示されている、血漿カリクレインの阻害剤である新規の一連の化合物を開発した。これらの化合物は、血漿カリクレインに対して良好な選択性を示す。そのような化合物の1つは、N-[(3-フルオロ-4-メトキシピリジン-2-イル)メチル]-3-(メトキシメチル)-1-({4-[(2-オキソピリジン-1-イル)メチル]フェニル}メチル)ピラゾール-4-カルボキサミド(以下の式Aの化合物として示される)である。式Aの化合物を含むHAEの治療は、WO2020/249977にて議論されている。
【化1】
【0016】
患者のコンプライアンスを改善するために、患者の負担を軽減するHAEの承認された治療の必要性が依然として存在する。現在のオンデマンド療法は、注射剤による治療であり、患者は、現在の療法からそのような代替療法に移行する場合、任意の代替(非注射可能)療法に信頼を持たなければならない。
【0017】
定義
「HAEの発作」、「HAE発作」、及び「発作」などの用語は、本明細書では互換的に使用される。用語「遺伝性血管性浮腫」は、遺伝性の遺伝的機能不全、欠陥、または変異を原因とする、任意のブラジキニン媒介性血管性浮腫を意味する。結果として、用語「HAE」は、少なくともHAE1型、HAE2型、及び正常C1阻害剤HAE(正常C1-Inh HAE)を含む。
【0018】
「症状緩和」の文脈で使用される場合、「連続した時点」という用語は、表3に記載されるような評価を意味し得る。具体的には、「連続した時点」は、(特に、化合物の投与後0~4時間以内で)30分離れた評価を意味し得る。「連続した時点」はまた、(特に、化合物の投与後4~12時間以内で)1時間離れた評価も意味することができる。「連続した時点」はまた、(特に、化合物の投与後12~24時間以内で)3時間離れた評価も意味することができる。
【0019】
本明細書に記載の本発明の治療のいずれにおいても、「式Aの化合物」または「化合物」という用語は、「式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)」の略である。「溶媒和物」という用語は、本明細書では、本発明の化合物と、1つ以上の薬学的に許容される溶媒分子、例えば、エタノールまたは水と、を含む分子複合体を記述するために使用される。用語「水和物」は、溶媒が水である場合に用いられ、疑義を避けるために、用語「水和物」は用語「溶媒和物」に包含される。
【0020】
本明細書に記載の本発明の治療のいずれにおいても、「薬学的に許容される塩」という用語は、生理学的または毒性学的に許容される塩を意味し、薬学的に許容される酸付加塩を含む。例えば、(ii)本発明の化合物がアミノ基などの塩基性基を含む場合、形成することができる薬学的に許容される酸付加塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、エシル酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンジスルホン酸塩、マレイン酸塩、アジピン酸塩、フマル酸塩、馬尿酸塩、カンファー酸塩、キシナホ酸塩、p-アセトアミド安息香酸塩、ジヒドロキシ安息香酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、コハク酸塩、アスコルビン酸塩、オレイン酸塩、重硫酸塩などが含まれる。
【0021】
酸及び塩基の半塩、例えば、半硫酸塩及びヘミカルシウム塩もまた形成することができる。
【0022】
好適な塩の概説については、Stahl及びWermuthによる“Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use”(Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2002)を参照されたい。
【0023】
式Aの化合物は、1つ以上の同位体富化原子の存在下のみが異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素が重水素もしくは三重水素に置換される、または炭素が13Cもしくは14Cに置換される化合物は、本発明の範囲内にある。
【0024】
「オンデマンド」治療は、HAEの文脈において、式Aの化合物が、1つの特定のHAE発作に関連して、療法の必要性に応じて投与されることを意味する。「オンデマンド」は、HAE発作の事実にかかわらず、規則的な間隔(例えば、1週間に1回、1週間に2回など)で連続的に式Aの化合物の投与を必要としない。これは、療法のために連続的かつ定期的な投与を必要とする、いくつかの他の既知のHAE治療(例えば、上記のようなCinryze(登録商標)及びHaegarda(登録商標)による治療)とは対照的である。代わりに、本発明の治療において、式Aの化合物は、患者が速効性の治療効果を必要とするときに服用される。これらは、以下でより詳細に説明される。
【0025】
本明細書に記載の本発明の治療のいずれにおいても、患者は、好ましくはヒトである。HAEは遺伝性疾患であり、すべての年齢の患者がHAE発作に罹患する可能性がある。したがって、ヒト患者は、小児(0~18歳)または成人(18歳以上)であり得る。具体的には、患者は12歳以上であってもよい。患者はまた、2歳以上であってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】国際公開第2003/076458号
【特許文献2】国際公開第92/04371号
【特許文献3】国際公開第95/07921号
【特許文献4】国際公開第94/29335号
【特許文献5】国際公開第2005/123680号
【特許文献6】米国特許第5,187,157号明細書
【特許文献7】国際公開第2008/049595号
【特許文献8】国際公開第2008/016883号
【特許文献9】国際公開第2011/118672号
【特許文献10】国際公開第2012/004678号
【特許文献11】国際公開第2012/017020号
【特許文献12】国際公開第2013/005045号
【特許文献13】国際公開第2014/108679号
【特許文献14】国際公開第2014/188211号
【特許文献15】国際公開第2016/083820号
【特許文献16】国際公開第2020/249977号
【非特許文献】
【0027】
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【非特許文献3】K.D.Bhoola et al.,Pharmacological Rev.,1992,44,1
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【非特許文献6】Maas et al J Clinical Invest 2008
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【非特許文献12】Maat et al.J Thromb Haemost.2019 Jan;17(1):183-194.doi:10.1111/jth.14325
【非特許文献13】Magerl et al.Clinical and Experimental Dermatology(2014)39,pp298-303
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【非特許文献24】Stahl及びWermuthによる“Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use”(Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2002)
【発明を実施するための形態】
【0028】
これまでのところ、HAEの承認されたオンデマンド経口治療はなく、すべての承認された治療は注射剤である。HAE発作は、早期治療後はより速く解消し、より短くなる(Maurer M et al.PloS ONE 2013;8(2):e53773.doi:10.1371/journal.pone.0053773)ため、発作が予想される、または進行中の場合の早期介入は、疾患を望ましく管理するために不可欠である。注射剤による治療は、患者が投与剤形を調製するか、または治療のために病院に移動することさえ必要とする場合があるため、投与の遅れに悩まされる。したがって、HAE治療は、患者への高い負担によって引き起こされる投与の遅れによって損なわれることが多い。実際、Maurer Mらは、60%を超える患者が、発作の発症後1時間を超えて、彼らのHAE注射剤を投与していると説明している。理論に束縛されることを望むものではないが、HAE注射剤治療は、不便(自己投与が常に可能であるとは限らない)、疼痛(注射中及び注射後の両方)、及び希望(治療よりもむしろ、患者はより重篤でない発作を望むことが多い)などの理由で投与の遅れに悩むと考えられる。それにもかかわらず、現在、HAE患者のオンデマンド治療のための注射療法に依存しており、経口オンデマンド療法が注射剤療法に取って代わることができるというさらなる患者の信頼が望ましいであろう。本発明は、この問題を解消することを目的とする。
【0029】
実施例6に記載される第2相試験からの有効性データは、式Aの化合物による治療が、循環血漿カリクレインを急速に抑制し、発作の進行を停止し、症状を軽減し、患者の幸福を改善することを確認する。これらは統計的に有意な結果である。経口治療である式Aの化合物は、HAE発作が高重症度に達するのを防ぐことができる早期介入を可能にし、これは、治療転帰の改善(例えば、より早い症状緩和)につながり得る。患者は、式Aの化合物による治療により、気分が良くなり、症状を迅速に解消することができる。実際、式Aの化合物によって実証された有効性プロファイルは、迅速であり、現在承認されている注射用製品と同等であり、また、概して安全であり、忍容性も良好である。これらの効力の結果は、患者がオンデマンドで、具体的には、経口治療によりオンデマンドで投与することができ、依然として有効な治療を達成することができるというさらなる信頼を提供することができる。
【0030】
本発明は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法を提供し、本方法は、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を必要とする患者に、それをオンデマンドで経口投与することを含み、発作の症状緩和は、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)の投与の3時間以内に始まる。この文脈での「症状緩和」という用語は、7点遷移質問(7-point transition questions)(7TQ)に従って評価した場合、2つの連続した時点で発作が「少し良い」以上と評価されることを意味し得る。7TQ(またはPGI-C)は、当技術分野で知られている指標であり、HAE発作の進行をスコアリングし、発作を「はるかに良い」、「より良い」、「少し良い」、「変化なし」、「少し悪い」、「より悪い」、または「はるかに悪い」と報告するために使用できる。
【0031】
7TQを使用して評価したとき、本発明の治療は、化合物を投与してから約0.6~3時間後に始まる症状緩和につながり得る。症状の緩和は、化合物を投与してから約1~3時間後に始まり得る。症状の緩和は、化合物を投与してから1.5~3時間後に始まり得る。症状緩和は、化合物を投与してから1.5~1.8時間後に始まり得る。症状の緩和は、化合物を投与してから約1.6時間後に始まり得る。
【0032】
代替的または追加的に、本発明は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法を提供し、方法は、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を必要とする患者に、それをオンデマンドで経口投与することを含み、発作の症状緩和は、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を投与した約1.5~9時間後に始まる。この文脈における用語「症状緩和」は、複合VASスコア(composite VAS score)の50%の低下が3つの連続した時点で生じたことを意味し得る。複合VASスコアは、HAE発作症状(腹痛、皮膚痛及び皮膚腫脹)の重症度の既知の評価であり、それぞれ、0(なし)及び100(非常に重度)にアンカーされた100mmの視覚的アナログスケール(VAS)で評価される。
【0033】
複合VASスコアを使用して評価する場合、本発明の治療は、化合物を投与してから2.5~9時間後に始まる症状緩和につながり得る。症状緩和は、化合物を投与してから3~9時間後に始まり得る。症状の緩和は、化合物を投与してから4~7時間後に始まり得る。症状の緩和は、化合物を投与してから約6時間後に始まり得る。
【0034】
代替的または追加的に、本発明は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法を提供し、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を必要とする患者に、それをオンデマンドで経口投与することを含み、治療は、発作の症状が、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)の投与後12時間の期間以内に悪化しないように、発作の進行を停止する。この文脈では、「悪化しない」とは、化合物を投与してから12時間以内に、5LS上で発作が1レベル以上悪化しなかったことを意味し得る。5LS(PGI-Sとも呼ばれる)は、HAE発作の重大度を報告するために使用することができる、当技術分野で既知の尺度であり(例えば、Allergy Asthma Proc.2018 Jan 1;39(1):74-80.doi:10.2500/aap.2018.39.4095)、例えば、発作を「なし」、「軽度」、「中程度」、「重度」または「非常に重度」として報告するために使用することができる。本発明による治療は、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)の投与後24時間の期間以内に発作の症状が悪化しないように、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作の進行を停止することができる。この文脈では、「悪化しない」とは、化合物を投与してから24時間以内に、5LS上で発作が1レベル以上悪化しなかったことを意味し得る。
【0035】
代替的または追加的に、本発明は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法であって、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を必要とする患者に、それをオンデマンドで経口投与することを含み、治療は、発作の重症度を「なし」(5LSに従って評価される場合)に改善する方法を提供する。本発明による治療は、化合物を投与してから24時間以内に発作の重症度を「なし」に改善することができる。本発明による治療は、化合物を投与してから21時間以内に発作の重症度を「なし」に改善することができる。本発明による治療は、化合物を投与してから18時間以内に発作の重症度を「なし」に改善することができる。本発明による治療は、化合物を投与してから15時間以内に発作の重症度を「なし」に改善することができる。本発明による治療は、化合物を投与してから12時間以内に発作の重症度を「なし」に改善することができる。本発明による治療は、化合物を投与してから9時間以内に発作の重症度を「なし」に改善することができる。本発明による治療は、化合物を投与してから6時間以内に発作の重症度を「なし」に改善することができる。本発明による治療は、化合物を投与してから4時間以内に発作の重症度を「なし」に改善することができる。本発明による治療は、化合物を投与してから2時間以内に発作の重症度を「なし」に改善することができる。
【0036】
代替的または追加的に、本発明は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法を提供し、方法は、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を必要とする患者に、それをオンデマンドで経口投与することを含み、治療は、5LSに従って評価されるとき、発作の重症度を1レベル以上改善する。「重症度を改善する」とは、発作の重症度を軽減すること、すなわち発作の症状がより良くなることを意味する。本発明による治療は、化合物を投与してから24時間以内に5LSに従って評価した場合に、発作の重症度を1レベル以上改善することができる。本発明による治療は、化合物を投与してから18時間以内に5LSに従って評価した場合に、発作の重症度を1レベル以上改善することができる。本発明による治療は、化合物を投与してから12時間以内に5LSに従って評価した場合に、発作の重症度を1レベル以上改善することができる。本発明による治療は、化合物を投与してから9時間以内に5LSに従って評価した場合に、発作の重症度を1レベル以上改善することができる。本発明による治療は、化合物を投与してから6時間以内に5LSに従って評価した場合に、発作の重症度を1レベル以上改善することができる。
【0037】
代替的または追加的に、本発明は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法を提供し、方法は、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)をオンデマンドで、それを必要とする患者に経口投与することを含み、治療は、式Aの化合物を服用してから4時間以内の、HAE発作の第2の治療剤の必要性を低減する。治療は、式Aの化合物を服用してから6時間以内の、HAE発作の第2の治療剤の必要性を低減することができる。治療は、式Aの化合物を服用してから8時間以内の、HAE発作の第2の治療剤の必要性を低減することができる。治療は、式Aの化合物を服用してから12時間以内の、HAE発作の第2の治療剤の必要性を低減することができる。治療は、式Aの化合物を服用してから24時間以内の、HAE発作の第2の治療剤の必要性を低減することができる。治療は、発作を解消する第2の治療発作の必要性を完全に低減することができる。「発作を解消する」とは、HAE発作が、それ以上の治療なしにクリアされることを意味する。
【0038】
より具体的には、本発明は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法を提供し、方法は、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)をオンデマンドで必要とする患者に経口投与することを含み、治療は、式Aの化合物を服用してから4時間以内の、HAE発作の第2の治療剤の必要性を回避する。治療は、式Aの化合物を服用してから6時間以内の、HAE発作の第2の治療剤の必要性を回避することができる。治療は、式Aの化合物を服用してから8時間以内の、HAE発作の第2の治療剤の必要性を回避することができる。治療は、式Aの化合物を服用してから12時間以内の、HAE発作の第2の治療剤の必要性を回避することができる。治療は、式Aの化合物を服用してから24時間以内の、HAE発作の第2の治療剤の必要性を回避することができる。治療は、発作を解消する第2の治療剤の必要性を回避することができる。
【0039】
さらにより具体的には、本発明は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法であって、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を必要とする患者に、それをオンデマンドで経口投与することを含み、患者が、式Aの化合物を摂取してから4時間以内に、HAE発作の第2の治療剤を投与されない、方法を提供する。患者は、式Aの化合物を摂取してから6時間以内に、第2の治療剤を投与されない場合がある。患者は、式Aの化合物を摂取してから8時間以内に、HAE発作の第2の治療剤を投与されない場合がある。患者は、式Aの化合物を服用してから12時間以内に、HAE発作の第2の治療剤を投与されない場合がある。患者は、式Aの化合物を摂取してから24時間以内に、HAE発作の第2の治療剤を投与されない場合がある。発作は、患者にいずれの第2の治療剤も投与することなく解消することができる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「HAE発作の第2の治療剤」または「第2の治療剤」は、化合物の初回用量ではない、HAE発作を治療するための任意の用量の活性薬学的成分の投与である。第2の治療剤は、既存のHAE治療であり得る。例えば、「第2の治療剤」は、式Aの化合物のpdC1INH、rhC1INH、イカチバント、コネスタットアルファ(Ruconest(登録商標))、エカランチド、または第2の投与量であり得る。
【0041】
本発明の治療において、式Aの化合物は、HAE発作の症状の認識時にオンデマンドで経口投与することができる。各HAE発作は、重症度及び影響を受ける領域の観点から異なる場合があるが、HAEに罹患している患者、HAEの知識を有する医療専門家、及びHAE患者の介護者(そして実際に当業者である)は、HAE発作の症状を識別することに精通している。これらの症状には、以下が含まれるが、これらに限定されない:手、足、四肢、顔、腸管、及び/または気道などの組織の腫脹、疲労、頭痛、筋肉痛、皮膚の刺痛、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、嚥下困難、嗄声、息切れ、及び/または気分の変化。したがって、いくつかの実施形態では、式Aの化合物の投与は、上記症状のうちの少なくとも1つの認識時に生じ得る。
【0042】
当業者はまた、「HAE発作の症状の認識時に投与される」とは、HAE発作の症状が認識された後、可能な限り迅速に投与が行われることを意味することを理解するであろう。例えば、患者は、HAE発作の症状の認識時に治療が起こり得ることを確実にするために、常に(おそらく薬学的に許容される組成物の形態で)容易かつ容易に利用可能な式Aの化合物を有することが期待される。つまり、治療はオンデマンドで行われる。例えば、式Aの化合物は、HAE発作の症状が認識されてから1時間以内、好ましくは、HAE発作の症状が認識されてから30分以内、20分以内、10分以内、または5分以内に投与することができる。
【0043】
HAE発作の症状が前駆期で認識される場合、式Aの化合物は、HAE発作の前駆期に投与することができる。これらの状況では、認識される症状は、軽微な腫脹、特に、顔及び首に影響を及ぼす軽微な腫脹であり得る。さらに、または代替として、症状は腹痛であり得、特に、腹痛はHAE発作の特徴であると考えられる。加えて、または代替として、症状は、輪状紅斑などの皮膚の発赤であり得る。
【0044】
本発明による治療は、腹部HAE発作を治療することができる。本発明による治療は、末梢性HAE発作を治療することができる。
【0045】
上記のように、本発明による治療は、HAE発作の重症度の増加を防ぐことができる。状況によっては、治療は発作の持続時間を短縮し、時には発作を完全に停止させることさえある。例えば、治療は、末梢性HAE発作または腹部HAE発作の進行を停止させることができる。いくつかの実施形態では、本発明による治療は、特に治療が前駆期に開始されるときに、その後の腫脹の発症を時には完全に、抑制することができる。具体的には、いくつかの実施形態では、治療が前駆期で開始されるとき、HAE発作が腫脹段階に進行するのを防ぐことができる。
【0046】
上記の治療のいずれにおいても、症状は患者によって認識され得る。上記の治療のいずれにおいても、症状は、HAEの知識を有する医療専門家などの医療専門家によって認識され得る。上記の治療のいずれにおいても、症状は、患者の介護者によって認識され得る。
【0047】
本発明による治療は、5点リッカート尺度(5LS)で1レベル以上進行するHAE発作の割合を減少させることができる。本発明による治療は、化合物を投与してから12時間以内に5LSで1レベル以上進行するHAE発作の割合を減少させることができる。本発明による治療は、HAE発作の解消時間を、5LS上で「なし」に改善することができる。5LSは、HAE発作の重症度を報告するために使用できる当技術分野で既知の尺度であり(例えば、Allergy Asthma Proc.2018 Jan 1;39(1):74-80.doi:10.2500/aap.2018.39.4095)、例えば、発作を「なし」、「軽度」、「中程度」、「重度」または「非常に重度」として報告するために使用することができる。
【0048】
本発明による治療は、7点遷移質問(7TQ)で「より悪い」または「はるかに悪い」と評価されるHAE発作の割合を減少させることができる。本発明による治療は、「より良い」または「はるかに良い」と評価されるHAE発作の割合を増加させることができる。7TQは、HAE発作の進行をスコアリングし、発作を「はるかに良い」、「より良い」、「少し良い」、「変化なし」、「少し悪い」、「より悪い」、または「はるかに悪い」と報告するために使用できる、当技術分野で知られている指標である。
【0049】
本発明者らは、24時間以内に「より良い」以上のPGI-C(7TQとしても知られる)評価を達成した患者は、救急薬を使用する可能性が低く(すなわち、HAE発作の第2の治療を受ける可能性が低い)、PGI-SまたはVASによって評価したときに、発作の解消を達成する可能性が高いことを特定した。
【0050】
したがって、本発明の他の治療に加えて、または代替的に、本発明はまた、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法であって、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を必要とする患者に、それをオンデマンドで経口投与することを含み、7TQを使用して評価すると、発作は、化合物を投与した約1.5~16時間後に「より良い」以上の評価に改善する、方法を提供する。より具体的には、発作は、化合物を投与してから約2.1時間及び15時間後に、「より良い」以上の評価に改善される。より具体的には、発作は、化合物を投与してから約2.5~10時間後に、「より良い」以上の評価に改善される。より具体的には、発作は、化合物を投与してから約2.5~8時間後に、「より良い」以上の評価に改善される。より具体的には、発作は、化合物を投与してから約3~8時間後に、「より良い」以上の評価に改善される。より具体的には、発作は、化合物を投与してから約4~6時間後に、「より良い」以上の評価に改善される。より具体的には、発作は、化合物を投与してから約4.5~5.5時間後に、「より良い」以上の評価に改善される。より具体的には、発作は、化合物を投与した後、約5時間に、「より良い」以上の評価に改善される。
【0051】
したがって、本発明の他の治療に追加的または代替的に、本発明はまた、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法であって、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を必要とする患者に、それをオンデマンドで経口投与することを含み、2つの連続した時点にわたって7TQを使用して評価すると、発作は、化合物を投与した約1.5~16時間後に、「より良い」以上の評価に改善される、方法を提供する。より具体的には、「より良い」以上の評価は、化合物を投与してから約2.1~15時間後に始まり得る。より具体的には、「より良い」以上の評価は、化合物を投与してから約2.5~10時間後に始まり得る。より具体的には、「より良い」以上の評価は、化合物を投与してから約2.5~8時間後に始まり得る。より具体的には、「より良い」以上の評価は、化合物を投与してから約3~8時間後に始まり得る。より具体的には、「より良い」以上の評価は、化合物を投与してから約4~6時間後に始まり得る。より具体的には、「より良い」以上の評価は、化合物を投与してから約4.5~5.5時間後に始まり得る。より具体的には、「より良い」以上の評価は、化合物を投与した後約5時間に始まり得る。
【0052】
本発明者らは、24時間以内に2つの連続した時点で「少し良い」以上のPGI-C(7TQとしても知られる)評価を達成した患者は、救急薬を使用する可能性が低く(すなわち、HAE発作の第2の治療を受ける可能性が低く)、発作の解消を達成する可能性が高いことを特定した。
【0053】
具体的には、本発明は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法を提供し、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を必要とする患者に、それをオンデマンドで経口投与することを含み、発作の症状緩和は、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を投与してから3時間以内(例えば、約1~約3時間、約1.5~約3時間、約1.5~約1.8時間、約1.6時間)以内に始まり、本文脈における「症状緩和」という用語は、7点遷移質問(7TQ)に従って評価したときに、発作が2つの連続した時点で「少し良い」以上と評価されることを意味し得、治療は、HAE発作の第2の治療剤の必要性を低減する。
【0054】
より具体的には、本発明は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法を提供し、方法は、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を必要とする患者に、それをオンデマンドで経口投与することを含み、発作の症状緩和は、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を投与してから3時間以内(例えば、約1~約3時間、約1.5~約3時間、約1.5~約1.8時間、約1.6時間)以内に始まり、本文脈における「症状緩和」という用語は、7-点遷移質問(7TQ)に従って評価したときに、発作が2つの連続した時点で「少し良い」以上と評価されることを意味し得、治療は、HAE発作の第2の治療剤の必要性を回避する。
【0055】
さらにより具体的には、本発明は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法を提供し、方法は、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を必要とする患者に、それをオンデマンドで経口投与することを含み、発作の症状緩和は、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を投与してから3時間(例えば、約1~約3時間、約1.5~約3時間、約1.5~約1.8時間、約1.6時間)以内に始まり、ここで、本文脈における「症状緩和」という用語は、7点遷移質問(7TQ)に従って評価されたときに、発作が2つの連続した時点で「少し良い」以上と評価されることを意味し得、患者は、HAE発作の第2の治療剤を投与されない。
【0056】
代替的または追加的に、本発明は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作をオンデマンドで治療するための方法を提供し、方法は、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を必要とする患者に、それをオンデマンドで経口投与することを含み、治療は、発作の進行を低減する(または好ましくは、防止する)。例えば、治療は、2つの連続した時点にわたって、PGI-C(7TQとしても知られる)で「少し悪い」以上と評価される発作を防止することができる。治療は、化合物を投与してから12時間以内に、2つの連続した時点にわたって、PGI-Cで発作が「少し悪い」以上と評価されるのを防止することができる。より具体的には、治療は、化合物を投与してから24時間以内に2つの連続した時点にわたって、PGI-Cで発作が「少し悪い」以上と評価されるのを防止することができる。
【0057】
本発明の治療剤のうちのいずれかは、HAEの他の治療剤と組み合わせて使用され得る。具体的には、本明細書に記載の治療は、HAEの別の治療、例えば、HAEの予防的治療への「トップアップ」(または救急薬)として使用することができる。患者は、別の薬物によるHAEの予防的治療を受けていてもよく、予防的治療によって予防されなかった急性HAE発作(いわゆる「ブレークスルー発作」)を治療するために、本明細書に記載のオンデマンド治療を使用することができる。HAEの予防的治療は、C1阻害剤(Cinryze(登録商標)、Haegarda(登録商標)、Berinert(登録商標)等)、ラナデルマブ、及びベロトラルスタットから選択され得る。
【0058】
例えば、本発明は、予防のために既にC1阻害剤(Cinryze(登録商標)、Haegarda(登録商標)、Berinert(登録商標)など)を服用している患者のHAEを治療するための方法を提供することができ、(本明細書に記載のオンデマンド治療のいずれかに従って)ブレークスルー発作を治療するために、式Aの化合物を患者にオンデマンドで経口投与することを含む。また、(本明細書に記載のオンデマンド治療のいずれかに従って)ブレークスルー発作を治療するために、患者に式Aの化合物をオンデマンドで経口投与することを含む、予防のために既にラナデルマブを服用している患者のHAEを治療するための方法が提供される。また、(本明細書に記載のオンデマンド治療のいずれかに従って)ブレークスルー発作を治療するために、式Aの化合物を患者にオンデマンドで経口投与することを含む、予防のために既にベロトラルスタットを服用している患者のHAEを治療するための方法が提供される。
【0059】
HAEの予防的治療剤は、1-({4-[(5-フルオロ-2-オキソピリジン-1-イル)メチル]フェニル}メチル)-N-[(3-フルオロ-4-メトキシピリジン-2-イル)メチル]-3-(メトキシメチル)ピラゾール-4-カルボキサミド(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)であってもよい。1-({4-[(5-フルオロ-2-オキソピリジン-1-イル)メチル]フェニル}メチル)-N-[(3-フルオロ-4-メトキシピリジン-2-イル)メチル]-3-(メトキシメチル)ピラゾール-4-カルボキサミドは、「KVD824」としても知られている。出願時点で、KVD824は第1相試験を完了し、第2相試験を開始している(NCT05055258|EudraCT番号:2021-000136-59-KOMPLETE(商標)臨床試験)。その第1相試験では、KVD824の濃度は、反復投与にわたって一貫した薬物動態プロファイルを提供することが示され、C1阻害剤及びラナデルマブの機能的濃度を上回る濃度で維持された。KVD824(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を含むHAEの予防的治療は、PCT/GB2021/052678にも記載されており、KVD824の血漿カリクレイン阻害剤活性は、WO2019/106377及びWO2017/207983に記載されている。したがって、本発明はまた、予防のために既にKVD824(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)を服用している患者におけるHAEを治療するための方法であって、(本明細書に記載のオンデマンド治療のいずれかに従って)ブレークスルー発作を治療するために、式Aの化合物を患者にオンデマンドで経口投与することを含む方法を提供する。
【0060】
投与
本明細書に記載の本発明の治療のいずれにおいても、式Aの化合物は、治療有効量で経口投与される。
【0061】
式Aの化合物は、約100mg~約1500mg、約300mg~約1800mg、約100mg~約1400mg、約200mg~約1200mg、約300mg~約1200mg、約600mg~約1200mg、約450mg~約900mg、約500mg~約1000mg、約450mg~約600mg、約500mg~約700mg(より具体的には600mg)、一日当たり約800mg~約1000mg、約900mg~約1400mg(より具体的には1200mg)、または約900mg~約1200mgの量で投与することができる。投与量は、300mgであり得る。投与量は、600mgであり得る。1日の投与量は、900mgであり得る。別の特定の実施形態では、1日の投与量は、1200mgとすることができる。投与量は、1800mgである。
【0062】
好ましくは、投与量は、600mgである。好ましくは、投与量は、HAE発作の症状が認識されてから1時間以内に投与される。
【0063】
投与量は、300mgであってもよい。好ましくは、投与量は、HAE発作の症状が認識されてから1時間以内に投与される。
【0064】
患者に投与される各投与量を、少量の単位投与量に細分化することができる。例えば、化合物の好ましい600mgの投与量は、それぞれが300mgの化合物を含む2つの単位投与量(例えば、2つの錠剤)に細分することができる。
【0065】
本発明の治療は、経口投与を伴う。本発明の治療のいずれにおいても、式Aの化合物は、式Aの化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む経口剤形として投与され得る。経口剤形は、錠剤またはカプセル剤の形態であり得る。経口剤形は、錠剤であり得る。経口剤形は、カプセルであり得る。
【0066】
剤形は、希釈剤としての微結晶セルロース、崩壊剤としてのクロスカルメロースナトリウム、結合剤としてのポリビニルピロリドン、及び任意選択による、滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム、を含む錠剤であり得る。好ましい錠剤において、式Aの化合物は、(i)錠剤の総質量と比較して、錠剤の少なくとも約40重量%(より具体的には、約40重量%~約60重量%)、(ii)錠剤の総質量と比較して、希釈剤の約25重量%~約60重量%(より具体的には、錠剤の総質量と比較して、約25重量%~約40重量%)、(iii)錠剤の総質量と比較して、崩壊剤の約1重量%~約15重量%(より具体的には、約2重量%~約6重量%)、(iv)錠剤の総質量と比較して、結合剤の約1重量%~約20重量%(より具体的には、約2重量%~約5重量%)、及び存在する場合、(v)錠剤の総質量と比較して、滑沢剤の約0.1~約5重量%(より具体的には、約0.1重量%~約1.5重量%)を構成する。剤形は、300mgの化合物を含有する錠剤であってもよい。
【0067】
錠剤は、粒子外希釈剤としての微結晶セルロース、粒子外崩壊剤としてのクロスカルメロースナトリウム、粒子外結合剤としてのポリビニルピロリドン、及び/または粒子外滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム、を含む顆粒外賦形剤をさらに含むことができる。
【0068】
本明細書に記載の剤形(例えば、錠剤)は、フィルムコーティングすることができ、フィルムコーティングは、ヒプロメロース、ラクトース一水和物、二酸化チタン、及びトリアセチンのうちの1つ以上を含むことができる。
【0069】
本発明の治療のさらなる詳細
本明細書に示されるように、式Aの化合物は、急速な作用の開始を有する。具体的には、式Aの化合物は、血漿カリクレイン活性の強力な阻害剤であり、血漿カリクレイン、プレカリクレイン、第XII因子(FXII)、及び第XIIa因子(FXIIa)間の接触活性化系の正のフィードバックループを中断するのに非常に効果的である。本明細書で提供される薬物動態及び薬力学的データは、これらの効果が、式Aの化合物の経口投与の後に迅速に示されることを実証する。したがって、本発明の治療は、速効性であり、したがって、オンデマンドでのHAEの治療に特に適している。
【0070】
上述のように、本発明の治療は、式Aの化合物の濃度が血漿中で少なくとも500ng/mLである場合に特に有利である。少なくとも500ng/mLの血漿濃度は、少なくとも約60mg(より具体的には、少なくとも約70mgまたは約80mg)の式Aの化合物の投与量に続いて観察され得る。
【0071】
本発明による治療は、進行中のHAE発作の重症度を短縮する(またはさらには停止する)のに特に適しているHK(高分子量キニノーゲン)切断からの迅速な保護を提供する。本明細書に記載されるように、本発明による治療はまた、延長された薬力学的効果を有する。HAEの治療に関連する式Aの化合物の薬力学的効果は、上記のように、HAE発作を引き起こし得るHK切断からの保護を提供することを含む。例えば、式Aの化合物は、少なくとも(i)血漿カリクレインを阻害すること、(ii)血漿プレカリクレインの切断を低減すること、及び/または(iii)第XII因子からの第XIIa因子の生成を低減することによって、HK切断からの保護を提供することができる。
【0072】
本発明による治療は、投与量後1時間以内、特に式Aの化合物の投与量が少なくとも約60mg(より具体的には、少なくとも約70mgまたは約80mg、例えば、約80mg~約900mg、約100mg~約800mg、約200mg~約700mg、約300mg~約600mg、または約400mg~約600mg、具体的には600mg)である場合に、HK(高分子量キニノーゲン)切断からの保護を提供することができる。本発明による治療は、投与量後45分以内、または投与量後30分以内に、HK(高分子量キニノーゲン)切断からの保護を提供することができる。HK(高分子量キニノーゲン)からの切断に対する保護は、治療されていない血漿中のHKレベルを、治療された血漿中のHKレベル、すなわち、式Aの化合物の投与量を受けた対象由来の血漿と比較し、次いで、血漿をデキストラン硫酸で活性化して、接触系を活性化してHK切断を誘導することによって決定することができる。治療血漿中のHKレベルが、未治療血漿中のHKレベルを上回る場合、HKは、活性化血漿中のHK切断から保護されている。
【0073】
治療は、投与量後30分以内に、特に、式Aの化合物の投与量が少なくとも約60mg(より具体的には、少なくとも約70mgまたは約80mg、例えば、約80mg~約900mg、約100mg~約800mg、約200mg~約700mg、約300mg~約600mg、または約400mg~約600mg、具体的には600mg)である場合に、血漿カリクレイン活性の少なくとも80%を阻害することができる。本発明の一部の実施形態では、治療は、投与量後30分以内に、特に、式Aの化合物の投与量が少なくとも約60mg(より具体的には、少なくとも約70mgまたは約80mg、例えば、約80mg~約900mg、約100mg~約800mg、約200mg~約700mg、約300mg~約600mg、または約400mg~約600mg、具体的には600mg)である場合に、血漿カリクレイン活性の少なくとも90%を阻害することができる。治療は、投与量後30分以内、特に、式Aの化合物(またはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物)の投与量が少なくとも約60mg(より具体的には、少なくとも約70mgまたは約80mg、例えば、約80mg~約900mg、約100mg~約800mg、約200mg~約700mg、約300mg~約600mg、または約400mg~約600mg、具体的には600mg)である場合、血漿カリクレイン活性の少なくとも95%を阻害することができる。血漿カリクレイン活性の阻害について言及される場合、血漿カリクレイン活性の阻害は、当該技術分野で既知の手順に従って、蛍光発生基質の時間依存的加水分解(例えば(H-D-Pro-Phe-Arg-AFC、Peptide Protein Research)によって決定することができる。血漿カリクレイン活性の阻害は、HAE状況をエミュレートするためにその後デキストラン硫酸で活性化された式Aの化合物の投与量を服用した対象から得られた血漿において決定することができる。
【0074】
式Aの化合物の治療上有効な濃度は、投与量の20分後以内に達成することができる。
【0075】
式Aの化合物のTmaxは、投与量後30分~3時間、好ましくは投与量後30分~2時間とすることができる。
【0076】
治療は、特に式Aの化合物の投与量が100mg~200mg(好ましくは160mg)である場合、投与量後の少なくとも45分~2時間の間の期間、血漿カリクレイン活性の少なくとも90%を阻害することができる。治療は、特に式Aの化合物の投与量が100mg~200mg(好ましくは160mg)である場合、投与量後の少なくとも20分~4時間の期間、血漿カリクレイン活性の少なくとも90%を阻害することができる。治療は、特に式Aの化合物の投与量が300mg~800mg(好ましくは600mg)である場合、投与量後の少なくとも30分~10時間の期間、血漿カリクレイン活性の少なくとも90%を阻害することができる。治療は、特に式Aの化合物の投与量が300mg~800mg(好ましくは600mg)である場合、投与量後の少なくとも20分~6時間の期間、血漿カリクレイン活性の少なくとも95%を阻害することができる。治療は、特に式Aの化合物の投与量が300mg~800mg(好ましくは600mg)である場合、投与量後の少なくとも20分~6時間の間の期間、少なくとも99%の血漿カリクレイン活性を阻害することができる。繰り返しになるが、血漿カリクレイン活性の阻害は、HAE状況をエミュレートするためにその後デキストラン硫酸で活性化された式Aの化合物の投与量を服用した対象から得られた血漿中で決定することができる。
【0077】
HAEの治療に関連する式Aの化合物の薬力学的効果は、特に式Aの化合物の投与量が300mg~800mg(好ましくは600mg)の間である場合、投与量後少なくとも12時間維持することができる。治療は、特に式Aの化合物の投与量が100mg~200mg(好ましくは160mg)である場合、投与量後の少なくとも10時間、血漿カリクレイン活性の少なくとも50%を阻害することができる。薬力学的効果は、少なくとも、(i)血漿カリクレインの阻害、(ii)HK切断の保護/HK切断の減少、(iii)第XII因子の切断による第XIIa因子の生成からの保護(または減少)、及び/または(iv)血漿プレカリクレイン切断による血漿カリクレインの生成からの保護(または低減)を意味し得る。したがって、本発明による治療は、それらが十分に長い期間にわたって速効性及び強力(例えば、阻害性)であるため、有利に有効なHAE発作の治療であるために好適な候補である。
【0078】
上記のように、本発明の治療のいずれにおいても、式Aの化合物は、血漿カリクレインを阻害することができる。
【0079】
本発明の治療のいずれにおいても、特に、少なくとも約60mg(より具体的には、少なくとも約70mgまたは約80mg、例えば、約80mg~約900mg、約100mg~約800mg、約200mg~約700mg、約300mg~約600mg、または約400mg~約600mg、具体的には600mg)の式Aの化合物の投与量の後、式Aの化合物は、第XII因子を切断して第XIIa因子を生成することを阻害することができる。本発明の治療のいずれにおいても、特に、少なくとも約60mg(より具体的には、少なくとも約70mgまたは約80mg、例えば、約80mg~約900mg、約100mg~約800mg、約200mg~約700mg、約300mg~約600mg、または約400mg~約600mg、具体的には600mg)の式Aの化合物の投与量の後、式Aの化合物は、血漿プレカリクレインの血漿カリクレインへの切断を阻害することができる。本発明の治療のいずれにおいても、特に、少なくとも約60mg(より具体的には、少なくとも約70mgまたは約80mg、例えば、約80mg~約900mg、約100mg~約800mg、約200mg~約700mg、約300mg~約600mg、または約400mg~約600mg、具体的には600mg)の式Aの化合物の投与量の後、式Aの化合物は、投与量の後最大6時間、接触系の活性化の阻害(例えば、遮断)をもたらし得る。一部の実施形態では、少なくとも約60mg(より具体的には、少なくとも約70mgまたは約80mg、例えば、約80mg~約900mg、約100mg~約800mg、約200mg~約700mg、約300mg~約600mg、または約400mg~約600mg、具体的には600mg)の投与量が投与される場合、接触系の活性化は、少なくとも6時間、例えば、投与量の後6時間~12時間または18時間、阻害(例えば、ブロック)され得る。
【0080】
実施例に実証されるように、式Aの化合物は、血漿カリクレインの強力な阻害剤である。既に説明したように、血漿カリクレインを阻害することは、HAE発作に寄与する高分子量キニノーゲンの切断を阻害する。加えて、及び実施例4に示されるように、式Aの化合物はまた、接触系の活性化後の血漿プレカリクレインの切断及び第XIIa因子(FXIIa)の生成を低減することができる。これらの有利な追加の効果は、本発明の治療が非常に有効であることを支持し、特に、血漿の式Aの化合物の濃度が少なくとも500ng/mLである場合に実証される。少なくとも500ng/mLの血漿濃度は、少なくとも約60mg(より具体的には、少なくとも約70または約80mg)の式Aの化合物の投与量の投与後に観察され得る。
【0081】
本発明の治療において、特に、少なくとも約60mg(より具体的には、少なくとも約70mgまたは約80mg、例えば、約80mg~約900mg、約100mg~約800mg、約200mg~約700mg、約300mg~約600mg、または約400mg~約600mg、具体的には600mg)の式Aの化合物の投与量の後、血漿カリクレインを阻害することに加えて、治療はまた、血漿プレカリクレインを切断し、血漿カリクレインを生成することを低減させ、及び/または投与後の第XIIa因子(FXIIa)の生成を低減させることができる。したがって、特に、少なくとも約60mg(より具体的には、少なくとも約70mgまたは約80mg、例えば、約80mg~約900mg、約100mg~約800mg、約200mg~約700mg、約300mg~約600mg、または約400mg~約600mg、具体的には600mg)の式Aの化合物の投与量の後、治療は、血漿プレカリクレインの切断をブロックして、血漿カリクレインを生成し、及び/またはFXIIの切断をブロックして、FXIIaを生成することができる。
【0082】
図中、「化合物」という用語は、式Aの化合物を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】実施例1で生成された式Aの化合物のX線粉末回折パターン。
図2A】デキストラン硫酸(DXS)活性化希釈血漿中の式Aの化合物及びC1阻害剤C1-INHの血漿カリクレイン阻害活性を示すアッセイ結果。
図2B】DXS活性化未希釈血漿中の式Aの化合物及びC1阻害剤(C1-INH)の血漿カリクレイン阻害活性を示すアッセイ結果。
図3A】DXS活性化希釈血漿中の式Aの化合物及びC1-INHの血漿カリクレイン阻害活性を比較するアッセイ結果。
図3B】事前に活性化された未希釈ヒト血漿に添加した後の式A及びC1-INHの化合物の阻害活性を比較するアッセイ結果。データは、n=3回の実験の経時的な総蛍光(蛍光単位)平均±SEMとして表される。
図4A】8個の単一漸増用量コホートからの絶食対象における、用量後0~24時間の間の式Aの化合物の血漿濃度を示すアッセイ(生体分析)結果。
図4B図4Aに示されるアッセイ(生体分析)結果から決定されるCmax値の表。
図5A】コホート6~8(160mg、300mg、及び600mg)のDXS活性化未希釈血漿中の血漿カリクレイン活性を示すアッセイ結果。
図5B】コホート8からの対象の未希釈血漿中の式Aの化合物の平均血漿カリクレイン活性及び平均血漿濃度を示すアッセイ結果(600mg用量)。
図6A】600mg用量の式Aの化合物を受けた対象のDXS活性化未希釈血漿中の接触系活性化中の触媒活性の遅延時間を示す平均蛍光動態測定値を示すアッセイ結果。
図6B】触媒活性化後の0~5分間の図6Aの拡大。
図7】コホート6~8(160mg、300mg、及び600mg)のDXS活性化未希釈血漿における投与後の選択された時点における平均HK保護、ならびに免疫ブロットデータの代表的なWESゲル画像を示すアッセイ結果。
図8】コホート8(600mg)における投与後の選択された時点でのDXS活性化HK切断に対する式Aの化合物の効果、及び免疫ブロットデータの代表的なWESゲル画像を示すアッセイ結果。
図9】コホート8(600mg)における投与後の選択された時点における、DXS活性化血漿プレカリクレイン(PPK)切断に対する式Aの化合物の効果、及び免疫ブロットデータの代表的なWESゲル画像を示すアッセイ結果。
図10】コホート8(600mg)における投与後の選択された時点でのFXIIaのDXS活性化生成に対する式Aの化合物の効果、及び免疫ブロットデータの代表的なWESゲル画像の表現を示すアッセイ結果。
図11】HK、FXIIa、PPK分析のために選択された時点における、コホート8(600mg)における用量後の様々な段階における式Aの化合物の血漿濃度の効果を示すアッセイ(生体分析)結果。
図12】DXS活性化された未希釈血漿における式Aの化合物が、血漿カリクレイン阻害活性に対する有意な食物効果を示さないアッセイ結果。
図13A】ウエスタンブロッティングを用いて決定したHAE全未希釈血漿中のHKのデキストラン硫酸塩活性化切断の時間経過を示すアッセイ結果、及び代表的なブロット画像。
図13B】ウエスタンブロッティングを用いて決定したHAE全未希釈血漿中のHKのデキストラン硫酸塩活性化切断の時間経過を示すアッセイ結果、及び代表的なブロット画像。
図14A】デキストラン硫酸塩活性化健康対照血漿及びHAE血漿における全長HKレベルにおける式Aの化合物の用量応答、ならびに代表的なWES系ゲル画像を示すアッセイ結果。
図14B】デキストラン硫酸塩活性化健康対照血漿及びHAE血漿における全長HKレベルにおける式Aの化合物の用量応答、ならびに代表的なWES系ゲル画像を示すアッセイ結果。
図15a】第2相試験からの暫定的な薬物動態データ。
図15b】健常ボランティアからのPKデータと重ねた、第2相試験のパート1からのHAE患者のPKプロファイル。
図15c】化合物が投与されてから12時間以内に、救急薬を使用した患者の累積%を示すグラフ。
図15d】化合物が投与されてから12時間以内に、(7TQ法を使用して評価した)症状緩和を有する患者の累積%を示すグラフ。
図15e】化合物の症状緩和までの時間データと、承認された注射剤製品Ruconest(登録商標)の既知の臨床データと、の比較を示すグラフ。
図15f】化合物が投与されてから12時間以内に、(複合VASスコアを使用して評価されるように)症状緩和を有する患者の累積%を示すグラフ。
図15g】化合物が投与されてから12時間以内の平均複合VASスコアを示すグラフ。
図15h】承認された注射用製品であるFirazyr(登録商標)(活性成分、イカチバント)の既知の臨床データを有する化合物で治療された患者の平均複合VASスコアの比較を示すグラフ。
図15i】化合物を投与してから12時間以内に悪化しなかった、(5LS法を使用して評価した)HAE発作の割合を示すグラフ。
図16A】第1相多用量試験における4つのコホートの経時的な平均血漿濃度。
図16B】第1相多用量試験における4つのコホートの経時的な平均血漿濃度(半対数スケール)。
【0084】
本明細書中に提供される実施形態は、以下の実施例を参照することにより、より完全に理解できる。これらの実施例は、本明細書に提供される治療を例示することを意図しているが、決して限定するものではない。実際、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定義される。
【0085】
ある特定の実施形態の実施例が本明細書に提供されるが、様々な変更及び修正が行われ得ることは、当業者には明らかであろう。かかる修正はまた、添付の特許請求の範囲内に入るように意図されている。
【0086】
全般的な実験の詳細
以下の実施例では、以下の略語及び定義が使用される:
【表1】
【0087】
特に明記しない限り、すべての反応を窒素雰囲気下で行った。
【0088】
H NMRスペクトルを、重水素溶媒を参照として室温で、Bruker(400MHz)またはJEOL(400MHz)分光計で記録した。
【0089】
Chromolith Speedrod RP-18eカラム(50×4.6mm)を使用して、13分間をかけて、直線勾配で、10%~90%の0.1%HCOH/MeCNから0.1%HCOH/HOへ、流速1.5mL/分で、または4分間にわたってAgilent、X-Select、酸性、5~95%MeCN/水を使用して実施したLCMSを使用して、分子イオンを得た。Thermofinnigan Surveyor LCシステムと併せた、エレクトロスプレーイオン化とともにThermofinnigan Surveyor MSQ質量分析計を使用してデータを収集した。
【0090】
あるいは、Agilent Poroshell120 EC-C18(2.7μm,3.0×50mm)カラムを用いて、水中0.1%v/vギ酸[溶出液A];MeCN[溶出液B]、流速0.8mL/分及び1.5分の試料間の平衡時間、以下に示す勾配を用いて実施したLCMSを用いて、分子イオンを得た。質量検出は、API2000質量分析計(エレクトロスプレー)によって提供した。
【表2】
【0091】
生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製した場合、「シリカ」とは、クロマトグラフィーのためのシリカゲル、0.035~0.070mm(220~440メッシュ)(例えば、Merckシリカゲル60)を指し、最大10p.s.iの窒素の印加圧力は、カラム溶出を加速した。逆相分取HPLC精製は、Waters2525バイナリ勾配ポンプシステムを使用して、典型的には20mL/分の流量で、Waters2996フォトダイオードアレイ検出器を使用して実施した。
【0092】
すべての溶媒及び市販の試薬は、受け取ったままで使用した。
【0093】
化学名は、MDL Information SystemsのISIS Drawパッケージの一部として提供されるAutonomソフトウェア、またはMarvinSketchの構成要素またはIDBS E-WorkBookの構成要素として提供されるChemaxonソフトウェアなどの自動化ソフトウェアを使用して生成された。
【0094】
X線粉末回折パターンをPhilips X-Pert MPD回折計上で収集し、別段の定めのない限り、以下の実験条件(方法A)を使用して分析した:
陽極管:Cu
発電機の電圧:40kV
管電流:40mA
波長アルファ1:1.5406Å
波長アルファ2:1.5444Å
開始角度[2θ]:4
終了角度[2θ]:40
連続掃引
【0095】
分析中の試料の約2mgを、XRPDゼロバックグラウンドの単一の斜めに切断されたシリカ試料ホルダー上で穏やかに圧縮した。次いで、試料を分析のために回折計にロードした。
【0096】
実施例1-式Aの化合物の調製
A.1-(4-ヒドロキシメチル-ベンジル)-1H-ピリジン-2-オン
4-(クロロメチル)ベンジルアルコール(5.0g、31.93mmol)を、アセトン(150mL)中に溶解した。2-ヒドロキシピリジン(3.64g、38.3mmol)及び炭酸カリウム(13.24g、95.78mmol)を添加し、反応混合物を50℃で3時間撹拌し、その後、溶媒を真空中で除去し、残渣をクロロホルム(100mL)中に取り込んだ。この溶液を水(30mL)、ブライン(30mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、真空中で蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ)、溶出液3%MeOH/97%CHClで精製して、1-(4-ヒドロキシメチル-ベンジル)-1H-ピリジン-2-オン(5.30g、24.62mmol、収率77%)として同定した白色固体を得た。
[M+Na]=238
【0097】
B.1-(4-クロロメチル-ベンジル)-1H-ピリジン-2-オン
1-(4-ヒドロキシメチル-ベンジル)-1H-ピリジン-2-オン(8.45g、39.3mmol)、乾燥DCM(80mL)、及びトリエチルアミン(7.66ml、55.0mmol)を氷浴で冷却した。塩化メタンスルホニル(3.95ml、51.0mmol)を添加し、氷浴中で15分間撹拌した。氷浴を除去し、室温で一晩、撹拌を継続した。反応混合物を、DCM(100mL)及び飽和NHCl水溶液(100mL)に分配した。水層をさらなるDCM(2×50mL)で抽出し、組み合わせた有機物をブライン(50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、1-(4-クロロメチル-ベンジル)-1H-ピリジン-2-オン(8.65g、36.6mmol、93%収率)を淡黄色固体として得た。
[MH]=234.1
【0098】
C.3-(メトキシメチル)-1-(4-((2-オキソピリジン-1(2H)-イル)メチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸メチル
炭酸カリウム(519mg、3.76mmol)を、DMF(5mL)中のメチル3-(メトキシメチル)-1H-ピラゾール-4ーカルボキシレート(320mg、1.88mmol、CAS番号318496ー66ー1(WO2012/009009に記載の方法に従って合成))及び1-(4-(クロロメチル)ベンジル)ピリジン-2(1H)-オン(527mg、2.26mmol)の溶液に添加し、60℃で一晩加熱した。反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、ブライン(2×100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で低減した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(40gカラム、イソヘキサン中0~100%のEtOAc)によって精製して、2つの位置異性体を得た。カラムから出た第二の異性体を収集して、3-(メトキシメチル)-1-(4-((2-オキソピリジン-1(2H)-イル)メチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸メチル(378mg、1.01mmol、53.7%収率)を無色のゴム状物として得た。
[MH]=368.2
【0099】
D.3-(メトキシメチル)-1-(4-((2-オキソピリジン-1(2H)-イル)メチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸
THF(5mL)及びMeOH(5mL)中の3-(メトキシメチル)-1-(4-((2-オキソピリジン-1(2H)-イル)メチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸メチル(3.77g、10.26mmol)に、2MのNaOH溶液(15.39ml、30.8mmol)を添加し、室温で一晩撹拌した。1MのHCl(50mL)を添加し、EtOAc(50mL)で抽出した。有機層をブライン(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で低減して、3-(メトキシメチル)-1-(4-((2-オキソピリジン-1(2H)-イル)メチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(1.22g、3.45mmol、収率33.6%)を白色粉末として得た。
[MH]=354.2
【0100】
E.3-フルオロ-4-メトキシ-ピリジン-2-カルボニトリル
大型のマイクロ波バイアルに、シアン化銅(I)(1.304g、14.56mmol)を、DMF(5mL)中の2-ブロモ-3-フルオロ-4-メトキシピリジン(1g、4.85mmol)の溶液に添加した。反応バイアルを密封し、100℃まで16時間加熱した。反応混合物を水(20mL)及びEtOAc(20mL)で希釈した。濃い懸濁液を超音波処理し、沈殿した固体を破壊するために、超音波処理には追加の水(40mL)及びEtOAc(2×50mL)を必要とした。組み合わせた層をセライトのプラグを通して濾過し、有機層を単離し、ブライン(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、所望の化合物3-フルオロ-4-メトキシ-ピリジン-2-カルボニトリル(100mg、0.578mmol、収率12%)として特定された淡緑色の固体を得た。
【0101】
F.(3-フルオロ-4-メトキシ-ピリジン-2-イルメチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル
3-フルオロ-4-メトキシ-ピリジン-2-カルボニトリル(100mg、0.578mmol)を無水メタノール(10mL、247mmol)中に溶解し、塩化ニッケル六水和物(14mg、0.058mmol)、続いてジ-tert-ブチルジカーボネート(255mg、1.157mmol)を添加した。得られた淡緑色溶液を氷塩浴で-5℃まで冷却し、次いで、反応温度を約0℃に維持しながら、水素化ホウ素ナトリウム(153mg、4.05mmol)を少量ずつ添加した。深褐色溶液を0℃で撹拌し続け、ゆっくりと室温まで温め、次いで、室温で3時間放置して撹拌した。反応混合物を蒸発させて40℃で乾燥させ、黒色の残渣を得て、これをDCM(10mL)で希釈し、炭酸水素ナトリウム(10mL)で洗浄した。エマルションが形成され、有機物が相分離カートリッジを介して分離され、濃縮された。粗液体をEtOAc/イソヘキサンで溶出するクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物である、(3-フルオロ-4-メトキシ-ピリジン-2-イルメチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルを透明な黄色の油状物として得た(108mg、収率62%)。
[MH]=257
【0102】
G.C-(3-フルオロ-4-メトキシ-ピリジン-2-イル)-メチルアミン塩酸塩
(3-フルオロ-4-メトキシ-ピリジン-2-イルメチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(108mg、0.358mmol)をイソプロピルアルコール(1mL)中に取り込み、次いでHCl(イソプロピルアルコール中6N)(1mL、0.578mmol)を室温で添加し、40℃で2時間撹拌し続けた。反応混合物を減圧下で濃縮し、次いでエーテルで粉砕し、超音波処理し、次いでデカントして、C-(3-フルオロ-4-メトキシ-ピリジン-2-イル)-メチルアミン塩酸塩として同定されたクリーム色の固体(75mg、55%収率)を得た。
[MH]=157
【0103】
実施例1a-N-[(3-フルオロ-4-メトキシピリジン-2-イル)メチル]-3-(メトキシメチル)-1-({4-[(2-オキソピリジン-1-イル)メチル]フェニル}メチル)ピラゾール-4-カルボキサミド(式Aの化合物)
3-(メトキシメチル)-1-(4-((2-オキソピリジン-1(2H)-イル)メチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(825mg、2.34mmol)及びC-(3-フルオロ-4-メトキシ-ピリジン-2-イル)-メチルアミン塩酸塩(450mg、2.34mmol)を、0℃まで冷却しながらDCM中に溶解させた。1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(627.0mg、3.27mmol)、HOBt(378.8mg、2.80mmol)、及びトリエチルアミン(1.63mL、1182mmol)を撹拌しながら添加し、混合物を室温まで温め、20時間撹拌を続けた。クロロホルム(50mL)を添加し、混合物を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、真空中で低減した。粗製物質を、メタノール/DCMで溶出するクロマトグラフィーによって精製した。溶媒を真空中で除去し、得られた固体をジエチルエーテルで粉砕した。得られた固体を濾過によって収集して、式Aの化合物を得た。
[MH]=492.0
NMR (CDOD) δ:3.41 (3H, s), 4.03 (3H, s), 4.65 (2H, s), 4.72 (2H, d, J=2.3Hz), 5.24 (2H, s), 5.37 (2H, s), 6.44 (1H, td, J = 1.4, 6.8Hz), 6.62 (1H, d, J = 9.0Hz), 7.18-7.22 (1H, m), 7.31-7.38 (4H, m), 7.56-7.60 (1H, m), 7.75 (1H, dd, J = 1.9, 7.1Hz), 8.18 (1H, s), 8.27 (1H, d, J = 5.6Hz) ppm.
【0104】
上記手順から得られた、式Aの化合物のXRPD回折図を図1に示す。
【表3】
【0105】
実施例2-式Aの化合物を含む剤形の調製
混合及びローラー圧縮
機器:Freund Vector TFC Labマイクロローター圧縮機及び造粒機(ローラー圧縮機及び造粒機は別個のものである)。機器パラメーターは以下のとおりである。
【表4】
【0106】
方法
以下の方法に従い、2つの錠剤製剤(錠剤A及びB)を30gのブレンドスケールで調製して、以下に示される量の成分を有する錠剤を作製した。
【表5】
【0107】
各錠剤について、34rpmのTurbula混合機を使用して、ガラス容器内のローラー圧縮機の範囲に適したスケールで、355μmのふるいを通して粒子内成分を通過させることによって、混合物を調製した。次いで、混合物を、上記のパラメーターを使用してローラー圧縮機を通してランした。生成されたリボンを適切なサイズの容器に収集した。次いで、収集されたリボンを、1mmスクリーンで固定された造粒機に供し、得られた粒子を、さらなる下流のプロセスのために収集した。
【0108】
打錠
機器:RIVA Mini単一ステーション錠剤プレス。機器パラメーターを以下に示す。
【表6】
【0109】
その後、粒子を、それぞれ、粒子外賦形剤と混合した。粒子外賦形剤は、34rpmのTurbula混合機を使用して、ガラス容器内の355μmのふるいを通してスクリーニングすることによって調製した。次いで、目標錠剤重量を分配し、手動で錠剤に圧縮した。錠剤Aは、7.2~8.8kNの圧縮力で圧縮した。錠剤Bは、6.9~7.7kNの圧縮力で圧縮した。
【0110】
錠剤は堅牢であることがわかった。錠剤A及びBを、その後、長期安定性試験に供した。
【0111】
上記の方法による錠剤の製造は、約60分のローラー圧縮時間で180gにスケールされている。
【0112】
実施例3-式Aの化合物とC1阻害剤(C1-INH)との比較
目的:血漿中のカリクレインキニン系の制御における、その最適な効力に寄与する式Aの化合物の生化学的及び生体物理学的特性を同定すること。次に、これらの特性を、HAEの治療ベンチマークとして、C1-INHと比較する。
【0113】
方法:
インビトロでの血漿カリクレイン阻害活性を、標準的に公開されている方法を使用して決定した(例えば、Johansen et al.,Int.J.Tiss.Reac.1986,8,185、Shori et al.,Biochem.Pharmacol.,1992,43,1209、Sturzebecher et al.,Biol.Chem.Hoppe-Seyler,1992,373,1025を参照されたい)。ヒト血漿カリクレイン(Protogen)を、蛍光基質H-DPro-Phe-Arg-AFC及び様々な濃度の試験化合物とともに25℃でインキュベートした。残留酵素活性(反応の初期速度)を、410nmでの光学吸光度の変化を測定することによって決定し、試験化合物のIC50値を決定した。
【0114】
酵素阻害剤複合体(Kon)の形成速度は、蛍光発生基質及び阻害剤の濃度範囲を含有する溶液と急速に混合した精製PKaを使用して決定した。次に、時間依存的な阻害の確立を使用して、阻害剤の濃度ごとの酵素阻害剤複合体の形成速度を計算した。Konは、阻害剤濃度に対する阻害率をプロットすることによって計算した。表1のデータを、μM-1-1で示す。
【0115】
デキストラン硫酸で活性化された(DXS、Sigma、10μg/ml)血漿(1:4希釈または未希釈、VisuCon-F対照血漿、Affinity Biologicals Inc)中のPKaの触媒活性を、蛍光発生基質の時間依存的加水分解によって決定した。IC50及び効力決定のために、式Aの化合物またはC1-INH(Sigmaカタログ番号E0518)を、DXSの血漿への添加の前(図2A及び2B)または後(図3A)のいずれかに添加した。
【0116】
未希釈の血漿中のHKのDXS活性化切断を、300nMのPKa阻害剤の非存在下または存在下で実施し、7.5%のCriterion TGX Precastゲル(Biorad)を使用して、SDS-PAGEゲル電気泳動によって定量化した。免疫グロブリン-FL PVDF膜上に移した。画像分析は、LICORイメージングシステムを使用して行った。マウスモノクローナル抗HK抗体(MAB15692、R&D systems)を、従来の免疫ブロットに使用した。データは、未活性化血漿中のHKレベルと比較して、DXSによる20分間のインキュベーション後に残存するHKの%として提示される(表1)。
【0117】
血漿遊離画分を「Rapid Equilibrium Dialysis」システム(Thermo Scientific)を使用して決定し、試験化合物をニートのヒト血漿中で5μMで調製し、37℃でリン酸緩衝液に対して5時間透析した。透析装置の2つのチャンバに分配された化合物の定量化を、LCMS/MSを介して行った。合計の%として提示される血漿タンパク質に非結合の化合物の画分。
【0118】
DXS刺激後に化合物を添加することによって、化合物が予め活性化された血漿の酵素活性を阻害する能力を評価した。血漿(20μL)のアリコートを、1,300mMの蛍光基質(H-DPro-Phe-Arg-AFC)を含有する2.5μLの溶液、及び血漿カリクレイン-キニン経路の活性化剤であるデキストラン硫酸塩(DXS;100μg/mL)の2.5μLの溶液と混合した。基質切断によって基質から遊離された蛍光の蓄積を16分間にわたって監視することによって、酵素活性を直ちに測定した。DXS添加後3.5分で、5μlの阻害剤または水対照を各ウェルに添加した。化合物を300、1000及び3000nMの濃度で試験した。3000nMの濃度のC1-INH、及びビヒクル対照もまた含まれた。データを、図3Bに示す。
【0119】
結果:
図2に示すように、蛍光発生基質を使用するアッセイにおいて、式Aの化合物は、それぞれ、希釈された血漿(図2A)及び未希釈の血漿(図2B)において、外因性に添加されたC1-INHに対して、17倍及び20倍の力価を有するPKaの非常に強力な阻害剤であるように見える。
【0120】
表1は、この実施例で試験した治療剤の生化学的プロファイルを示す。
【表7】
【0121】
図3Aは、DXSで活性化された血漿(1:4に希釈)中の血漿カリクレイン活性に対する2つの阻害剤(式Aの化合物及びC1-INHの化合物)の効果の比較を示す。両方の阻害剤を、DXSの添加の約100秒後に、それらのIC50の10倍の濃度で血漿に添加した。
【0122】
図3Bは、血漿の活性化後の式Aの化合物の添加が、C1-INHのより遅い作用と比較して、酵素活性の迅速かつ用量依存的な阻害を引き起こすことを示す。
【0123】
表2は、上記のインビトロ血漿カリクレインアッセイに関する文献の方法を用いた、ヒトの単離された酵素に対する式Aの化合物の生化学的効力及び選択性を示す。
【表8】
【0124】
実施例4-健康な男性における第I相単一漸増用量研究及び化合物の食物効果
目的:血漿カリクレイン触媒活性及びHK切断について、エクスビボ全血漿アッセイを使用して、経口投与されたときの、健康な成人男性における第1相単一漸増用量試験からの試料における式Aの化合物の薬力学的(PD)効果を評価すること。また、経口投与されたときの式Aの化合物の安全性、忍容性及び薬物動態(PK)効果を調査することが目的であった。
【0125】
方法:
この研究は、食物効果及びカプセル/錠剤製剤についての無作為化、二重盲検、プラセボ対照の単一漸増用量(SAD)及びクロスオーバー研究であった。
【0126】
64人の健康な男性参加者(n=6人の活性、1コホート当たり2人のプラセボ、8人のSADコホート)に、式Aの化合物:5、10、20、40、80、160、300、または600mg(カプセル中)を、単一漸増用量で投与した。
【0127】
8人の参加者に、カプセル及び錠剤製剤の交差研究において、100mgの式Aの化合物を投与した。
【0128】
12人の参加者に、食物効果クロスオーバー研究において、600mgの式Aの化合物を投与した。
【0129】
薬物動態(PK)及びPD評価のための試料を、48時間にわたって間隔で繰り返し採取した。
【0130】
PK評価に使用される血漿試料を、検証された液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC MS/MS)方法を使用して分析した。
【0131】
蛍光発生酵素アッセイ及びキャピラリーベースのHK切断イムノアッセイを使用して、デキストラン硫酸塩(DXS)刺激未希釈血漿中でPD測定値を決定した。
【0132】
第1相試験の式Aの化合物からのDXS刺激(Sigma;10μg/mL)血漿試料中のPKaの触媒活性を、試験のすべての部分からのすべての試料中の蛍光発生基質の時間依存的加水分解によって決定した。
【0133】
DXS刺激血漿中の検出可能なアミド分解酵素活性の出現までの時間(遅延時間)を、触媒活性アッセイから計算した。Spark(Tecan)蛍光計の使用に基づく、血漿中の触媒活性の速度の検出感度は、1ΔF単位/秒に達する蛍光増加である。
【0134】
未希釈血漿中のHKのDXS刺激切断を、モノクローナル抗HK抗体及び化学発光ベースの検出を使用して、Wes System(ProteinSimple)でのキャピラリーベースの免疫測定によって定量した。未希釈のクエン酸化ヒト血漿中の血漿カリクレイン媒介性HK切断は、SAD相からの選択された試料において、4でのDXS(6.25μg/ml)との接触系活性化によって誘導された。
【0135】
血漿プレカリクレイン及び第XII因子(FXII)のDXS刺激切断を、類似の方法で、Wes System(ProteinSimple)でのキャピラリーベースのイムノアッセイによって定量化した。
【0136】
結果:
図4Aは、投与後0~24時間の、式Aの化合物の血漿濃度を示す。見てわかるように、経口投与されたとき、式Aの化合物は、5mg~600mgの試験用量の範囲にわたって迅速かつ用量依存的な血漿曝露を達成した。図4Aは、濃度曲線を示し、図4Bは、各SADコホートのCmaxを示す。式Aの化合物をカプセル製剤として投与し、対象は絶食状態であった。
【0137】
図5Aは、コホート6、7、及び8からの試料上で実施される、活性化された未希釈血漿中の酵素アッセイを示す。160mg以上の用量は、コホート6では45分~2時間、コホート7では20分~4時間の間に、血漿カリクレイン触媒活性の90%を超える平均阻害を示した。600mg用量(コホート8)は、投与後30分~6時間の血漿カリクレイン触媒活性の90%を超える阻害、及び10時間の50%を超える阻害をもたらした(図5B)。
【0138】
未希釈血漿酵素アッセイからの速度論的蛍光測定は、アッセイ進行曲線としてプロットすることができる(図6A及び6B)。これらの曲線は、式Aの化合物が、酵素活性に対する阻害効果を有するだけでなく、接触系活性化中の触媒活性の出現までの時間(遅延時間)を増加させることを強調する。用量投与後の早期時点では、強力な活性化剤であるDXSによる延長された活性化後でさえ、血漿試料は検出可能な触媒活性を示さなかった。この試験では、対象に、錠剤製剤中の600mgの用量を投与した。
【0139】
図7は、DXS活性化未希釈血漿(SADコホート6(160mg)、7(300mg)及び8(600mg))における平均HK保護率を示す。示されるように、式Aの化合物の3つの用量すべてが、ある期間にわたって90%を超える血漿カリクレイン触媒活性を阻害することができた。これらのPD効果の持続時間は、用量比例的であった。式Aの化合物は、単回の600mg投与後、未希釈血漿中のDXS活性化切断からHKを少なくとも10時間保護することが示されている。
【0140】
図7において、代表的なWES系ゲル画像は、投与前(P-D)と比較して、600mgの式Aの化合物を投与されたコホート8の単一の対象からの二重の未希釈血漿試料+/-DXS活性化において生成された。
【0141】
図7において、HK切断は、コホート6~8から選択された時点での未希釈血漿試料のDXS活性化後に評価された。データは、平均値+/-SEMとして表され、n=6である。
【0142】
式Aの化合物が、血漿カリクレイン及び第XIIa因子の生成も低減したかどうかを評価するために、イムノアッセイを使用して、投与前及び投与後12時間までの600mgのカプセル内経口投与における、DXS活性化血漿中の接触系タンパク質のレベルを定量化した。これらのアッセイからの結果は、図8~11に示され、式Aの化合物が、HK切断を減少させるだけでなくPPK切断も減少させ、FXIIaの生成を減少させることを示す。これらの結果は、式Aの化合物が、FXIIのPKa刺激活性化によって媒介される正のフィードバックループの遮断を介して接触活性化系を阻害することを示唆する。
【0143】
図12は、食事を与えられた状態、及び絶食状態で提供される600mg錠剤の薬力学的(PD)プロファイルに、有意な食物効果が観察されなかったことを示す。見てわかるように、PD効果は、食事を与えられた状態、及び絶食状態で迅速に観察され、血漿カリクレイン阻害率は90%を超え、両方の状態において30分までに達成される。
【0144】
第I相試験では、重篤な有害事象は報告されなかった。忍容性シグナルもなかった。試験から撤退した対象はいなかった。
【0145】
これらのデータは、式Aの化合物が、ブラジキニン及び接触活性化系に対して阻害効果を有することを実証する。上述のように、これらの薬力学的効果は、HAEなどの障害に関与する。これらのデータはまた、式Aの化合物が、経口投与に好適な薬物動態プロファイルを有することを示す。
【0146】
実施例5-HAE及び対照血漿中のPKa媒介性切断からの高分子量キニノーゲン(HK)の保護における、式Aの化合物を調べるイムノアッセイ
方法:
未希釈のクエン酸化ヒト血漿中の高分子量キニノーゲン(HK)の切断を、湿った氷上でのデキストラン硫酸塩(DXS、Sigma#31395-10G、6.25μg/ml)との接触系活性化によって誘導した。プールされた正常(対照)ヒト血漿(VisuCon-F Frozen正常対照血漿)を、Affinity Biologicals Inc.から購入した。DMSO中の式Aの化合物(「化合物」)の10mMの使用ストック(working stock)を調製し、1×PBS中で記載されるそれぞれの最終濃度まで希釈した。HAE血漿をHAE対象(n=6)から得て、C1阻害剤欠乏症をウエスタンブロッティングによって確認した。次いで、DXS刺激された全未希釈血漿中の、PKa媒介切断からのHKの保護を、従来のウエスタンブロッティング及び半自動キャピラリーベースのイムノアッセイの2つの方法によって決定した。
【0147】
ウエスタンブロッティング:SDS-PAGEゲル電気泳動は、7.5%のCriterion TGX Precastゲル(Bio-rad)を使用して行った。免疫グロブリン-FL PVDF膜上に移した。画像分析は、LICORイメージングシステムを使用して行った。マウスモノクローナル抗ヒトHK抗体(MAB15692、R&D systems)を、従来の免疫ブロットに使用した。
【0148】
WESシステム(ProteinSimple)によるキャピラリーベースのイムノアッセイ:
試料の調製:1部の5×蛍光マスターミックスを、4部の1:200の血漿試料と混合する。ボルテックスして混合する。サンプル+蛍光マスターミックスとビオチン化ラダーを95℃で5分間加熱し、ボルテックスし、WESプレートにロードする。モノクローナル抗ヒトHK抗体を、Wesシステム(ProteinSimple)を使用してこの化学発光ベースの検出方法に使用した。
【0149】
分析:DXS誘導活性化を伴う各時点の試料の全長HK分子量について、Compassソフトウェア(cbzファイル)で取得されたピーク面積測定値を収集する。ピーク面積は、HKのスペクトルピークプロファイルについて計算された面積として定義される。化合物による血漿カリクレイン阻害を測定するために、検出された全長HKの割合を計算した。
【0150】
結果:
図13A及び13Bは、ウエスタンブロッティング、及び代表的なブロットを用いて決定した、HAE全未希釈血漿中のHKのデキストラン硫酸塩活性化切断の時間経過を示す。
【0151】
図14A及び14Bは、代表的なWES系ゲル画像を示し、式Aの化合物は、WESシステムを使用したキャピラリーベースの免疫アッセイによって決定されたデキストラン硫酸で刺激されたHAE、及び健康な対照血漿の両方におけるHK切断に対する用量依存的な保護を提供する。
【0152】
実施例6-式Aの化合物の第2相試験
目的:遺伝性血管性浮腫I型またはII型を有する成人対象における血管性浮腫発作のオンデマンド治療における式Aの化合物の効力及び安全性を評価する。
【0153】
方法:
試験は、遺伝性血管性浮腫I型またはII型(EudraCT番号:2018-004489-32)を有する成人対象における血管性浮腫発作のオンデマンド治療における、経口血漿カリクレイン阻害剤である式A(「化合物」)の化合物の、効力及び安全性を評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、第2相クロスオーバー臨床試験であった。
【0154】
目的:
主要目的:
・遺伝性血管性浮腫(HAE)の末梢または腹部発作の進行の停止について、プラセボと比較した化合物の有効性を調べること。
【0155】
副次的目的:
・化合物の安全性及び忍容性を調査すること。
・HAE発作の間の間欠期間(intercritical period)中に服用されたときの化合物の薬物動態(PK)プロファイルを調査すること。
・HAE発作間の間欠期間中に、残留切断高分子量キニノーゲン(HK)の濃度を低減することにおける、化合物の薬力学的(PD)プロファイルを調査すること。
・HAE発作間の間欠期間中の活性化血漿酵素活性の低下における、化合物のPDプロファイルを調べること。
【0156】
設定:
これは、第2相、2パート、2シーケンス、2期間(2×2)クロスオーバー臨床試験であった。HAE I型またはII型を有する対象は、ヨーロッパ及び米国のHAE治療センターを通じて募集された。
【0157】
パート1では、対象は、HAE発作間の間欠期間中の化合物の安全性、PK及びPDを調べるために、600mgの単回経口用量の化合物を投与された。
【0158】
18歳以上の適格な成人対象は、治験への組み入れ及び治験薬の投与ためのスクリーニング評価し、それに続いて、4時間の診療所内での安全性及びPK/PD評価を受けた。
【0159】
パート2では、対象を1:1~2の治療シーケンスに無作為化した。治験のこの部分は、診療所または病院から離れて実施された。シーケンス1(試験群1)において、対象は、最初の適格なHAE発作を治療するために、600mgの化合物の単回用量を受けた。この発作の解消後、対象は第2の適格なHAE発作を治療するために、単回用量のプラセボを投与された。
【0160】
シーケンス2(試験群2)では、対象は、最初の適格なHAE発作を治療するために、単回用量のプラセボを投与された。この発作の解消後、対象は、第2の適格なHAE発作を治療するために、600mgの化合物の単回用量を受けた。
【0161】
治験薬の各用量間に、最低48時間のウォッシュアウト期間が必要であった。
【0162】
喉頭または顔面の発作は、治療適格ではなかった。HAE発作は、発症の最初の1時間以内に、全般的な発作重症度尺度(global attack severity scale)において、深刻になる前に治療されている必要がある。対象はまた、HAE発作の開始を特定することができていなければならない。対象は、適格なHAE発作の発症時に、HAE発作の説明を、専任の治験医師または有資格の被指名人に通知した。専任の治験医師または有資格の被指名人は、HAE発作の適格性を確認し、治験薬の投与に同意した。HAE発作は、対象の日記に、発作の場所、発作の症状、発症時間、発作の重症度、及び投与前の最後の実質的な食事の時間の記録を必要とした。対象は、指示されたように治験薬を服用し、以下の表3に記載されるように、48時間の期間、HAE発作症状の時間付き評価を完了した。専任の治験医師または有資格の被指名人は、対象の安全及び健康状態を確認するために、対象の適格なHAE発作の24時間以内に対象に連絡した。対象は、安全上の懸念がある場合には、専任の治験医師または有資格の被指名人に連絡するように指示された。過敏症の場合、対象は、専任の治験医師または有資格の被指名人に連絡するか、最寄りの救急サービスに連絡した。専任の治験医師または有資格の被指名人は、24時間/日及び7日間/週、対象の電話を受けることができた。
【表9】
【0163】
対象は、最初のHAE発作の後、2回目のHAE発作の前に、診療所に戻り、有害事象(AE)の報告、バイタルサインの記録、及び対象の日記のレビューを含む安全性チェックを受けた。
【0164】
パート2で2回のHAE発作が治療されると、対象は診療所に戻り、AE報告、バイタルサイン記録、及び検査室での安全性測定のための血液サンプリングを含む、最終的な安全性チェックを受けた。
【0165】
HAE発作の症状が、対象によって、対象の通常の治療レジメンに従って治療を必要とするのに十分に重篤であると判定された場合、または対象が治験薬の治療を受ける資格がないとみなされた場合、または喉頭または顔面の症状と関連していた場合に、治験薬の服用後4時間後、または保証されたより早い時期に、従来の発作治療剤が許可された。従来の発作治療剤を使用する前に、対象は、従来の治療がプロトコルに従って適切であることを確認し、対象が症状の重症度を報告したことを専任の治験医師または有資格の被指名人に通知した。対象は、従来の発作治療剤(pdC1INHまたはrhC1INH静脈内投与[iv]またはイカチバント)でHAE発作を治療することが許された。
【0166】
治験薬生成物
式Aの化合物-100mgフィルムコーティング錠剤。これらは、以下の賦形剤を含有した:微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム。審美的コーティングは、ヒプロメロース、乳糖一水和物、二酸化チタン、及びトリアセチンを含有する。
【0167】
化合物100mgのプラセボ、フィルムコーティングされた錠剤。これらは、微結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、デンプングリコール酸ナトリウム、及びフマル酸ステアリルナトリウムを含有し、フィルムコーティングされており、審美的コーティングは、ヒプロメロース、乳糖一水和物、二酸化チタン、及びトリアセチンを含有する。
【0168】
この治験では、治験薬の用量の変更は許されなかった。
【0169】
対象の数
50人の対象が治験を完了することを確実にするために、68人の対象を治験に登録した。53名の対象が、パート2を完了した。
【0170】
集団:
治験集団は、HAE I型またはII型を有する18歳以上の男性対象及び女性対象を含んだ。
【0171】
選択基準
1.18歳以上の男性または女性の成人対象。
2.病歴の任意の時点でのHAE I型またはII型の確定診断:
a.HAE(皮下または粘膜、蕁麻疹を伴わない非掻痒性腫脹エピソード)と一致する、記録された臨床病歴、かつ
b.C1エステラーゼ阻害剤(C1-INH)抗原、または正常レベルの40%未満の機能レベル。正常レベルの40~50%の抗原または機能的C1-INHレベルを有する対象は、C4レベルが正常範囲を下回り、HAE I型またはII型と一致する家族歴も有する場合に登録された。
3.病歴に裏付けられる、過去93日間に少なくとも3回のHAE発作が記録されている。
4.HAEの発作に対する従来の発作治療剤へのアクセスと使用能力。
5.以下に定義される適切な臓器機能:
a.正常範囲内のヘモグロビン、
b.国際標準化比(INR)<1.2、
c.活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)≦正常上限(ULN)、
d.クレアチニン<1×ULN
e.クレアチニンクリアランス(CrCl)≧60mL/分、
f.アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦2×ULN、
g.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≦2×ULN、
h.総ビリルビン≦1.5×ULN、
i.白血球≦1.5×ULN、
j.血小板≦1.5×ULN。
6.出産可能性のある女性は、スクリーニング来院から試験フォローアップ手順の終了まで、非常に効果的な避妊を使用することに同意している必要がある。
非常に効果的な避妊方法としては以下が挙げられる。
a.排卵の阻害に関連する、プロゲストゲンのみの、ホルモン避妊:経口/注射/植え込み。
(エストロゲンを含むホルモン避妊は、除外基準3に従って除外した)。
b.子宮内避妊具(IUD)。
c.子宮内ホルモン放出システム(IUS)。
d.両側の卵管閉塞。
e.精管切除されたパートナー(パートナーが出産の可能性のある女性対象の唯一の性交渉の相手であり、精管切除されたパートナーが、外科的成功の医学的評価を受けたことを条件とする)。
f.性的禁欲(この方法はスイスでは受け入れられない)。
注記:性的禁欲は、異性間の性交を控えることが明らかな場合にのみ、非常に効果的な方法とみなされた。性的禁欲の信頼性は、臨床試験の期間及び対象の好ましい通常のライフスタイルに関連して評価される必要があった。
7.外科的に不妊(子宮摘出術、両側卵巣摘出術、または両側卵管結紮術後の状態)または閉経後少なくとも12か月間として定義された、出産能力のない女性は、研究中に避妊を必要としなかった。
8.出産可能性のある女性パートナーを持つ男性は、スクリーニング来院から治験フォローアップ手順の終了まで、禁欲に同意しているか、または選択基準6で定義されているように非常に効果的な避妊方法を使用している必要がある。
9.署名されたインフォームドコンセントを提供し、治験の要件と手順を遵守する意思と能力を有していた。
【0172】
除外基準:
1.後天性C1阻害剤欠乏症、正常なC1-INH(HAE III型としても知られる)を伴うHAE、特発性血管性浮腫、または蕁麻疹に関連する血管性浮腫などの、別の形態の慢性血管性浮腫の併発診断。
2.現在の、HAE予防のためのC1INH、アンドロゲン、ラナデルマブまたはトラネキサム酸の使用。
3.初回治験治療前93日以内の、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤または全身吸収を伴う任意のエストロゲン含有薬物(経口避妊薬またはホルモン補充療法など)の使用。
4.アンドロゲン(例えば、スタノゾロール、ダナゾール、オキサンドロロン、メチルテストステロン、テストステロン)または抗線維素溶解剤の初回治験治療前30日以内の使用。
5.初回治験治療前の10週間以内のラナデルマブの使用。
6.治験への参加中の強力なCYP3A4/CYP2C9阻害剤及び誘導剤の使用。
注記:これらの薬剤には、コビシスタット、コニバプタン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、リトナビル、ボセプレビル、テラプレビル、トロレアンドマイシン、クラリスロマイシン、カルバマゼピン、エンザルタミド、ミトタン、フェニトイン、フェノバルビタール、フルコナゾール、イソニアジド、メトロニダゾール、パロキセチン、スルファメトキサゾール、リファンピシン、セントジョンズワート、ジルチアゼム、イデラリシブ、ネファゾドン、及びネルフィナビルが含まれるが、これらに限定されない。
7.来院1時及び来院2時の用量前の、臨床的に有意な心電図異常(ECG)。これには、QTcF>470msec(女性の場合)または>450msec(男性の場合)、PR>220msec、または偶発的よりも頻繁である、及び/またはグルーピングでカップレットまたはそれ以上として発生する心室及び/または心房早期収縮が含まれるが、これらに限定されない。
8.狭心症、心筋梗塞、卒倒、臨床的に有意な心不整脈、左心室肥大、心筋症、またはその他の心血管異常の臨床的に有意な病歴。
9.治験責任医師の意見による、治験に参加することによって対象の安全性を危険にさらすであろう他の全身機能不全(例えば、胃腸、腎臓、呼吸器、心臓血管)または顕著な疾患または障害。
10.治験責任医師によって決定された、治験の完了に干渉する可能性のある薬物乱用または依存の病歴。
11.既知の乳糖アレルギーまたは不耐症。
12.化合物またはプラセボ、または任意の賦形剤に対する既知の過敏症。
13.初回治験治療前の、治験薬の最終投与から93日以内、または5半減期以内(いずれか長いほう)の、介入的治験的臨床研究への参加。
14.妊娠中または授乳中の対象。
【0173】
評価:
パート1:PK及びPD測定のための血液試料を、以下の時点で採取した:投与前(0h)、投与後15分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、及び4時間。バイタルサイン(収縮期血圧[SBP]、拡張期血圧[DBP]、脈拍数[PR]、呼吸数[RR]、及び体温)は、投与前(0h)、投与後1h、及び投与後4hに測定した。治療後の安全性の臨床評価のための試料を、4時間のPK/PD試料とともに採取した。
【0174】
パート2:治験薬の服用後、上記の表3に記載されるように、48時間の期間に起こった、全体的なHAE発作の重症度及びHAE発作の重症度の変化の対象の評価。
【0175】
効力変数:
従来の発作治療剤を使用するまでの時間を評価した。対象日記は、従来の発作治療剤の使用までの時間及びHAE発作の重症度を含む効力エンドポイントを捕捉した。
【0176】
全体的なHAE発作の重症度は、なし、軽度、中等度、重度及び非常に重度、としてスコア付けされた5点リッカート尺度(5LS)で評価した。
【0177】
HAE発作の重症度の変化は、7-点遷移質問(7TQ)を使用して評価し、はるかに良い/より良い/少し良い/変化なし/少し悪い/より悪い/はるかに悪い、とスコアリングした。
【0178】
HAE発作症状(腹痛、皮膚痛及び皮膚腫脹)の種類は、それぞれ、0(なし)及び100(非常に重度)にアンカーされた、100mm視覚アナログ尺度(VAS)で評価した。
【0179】
安全性変数:
・重篤な有害事象(SAE)を含むAE。
・臨床検査結果(臨床化学、血液学、凝固、及び尿検査)。
・バイタルサイン(SBP、DBP、PR、RR、体温)。
・身体検査の所見。
・ECG結果。
・妊娠検査(出産の可能性がある女性の対象)。
【0180】
効力の評価のための基準
主要効力エンドポイント:
・従来の発作治療剤を使用するまでの時間。
【0181】
副次的効力エンドポイント:
・5LS上で1レベル以上進行するか、または治験薬から12時間以内に従来の発作治療剤を必要とするHAE発作の割合。
・治療と、12時間以内に最初に来る、(1)5LS上での1レベル以上の全般的な発作の重症度の進行、または(2)1従来の発作治療剤の使用の、のいずれか早いほう。
【0182】
探索的エンドポイント:
・化合物600mg対プラセボの曲線下面積(AUC)として表される、治験薬に続く5LS上での累積的な全般的発作の重症度。
・従来の発作治療剤を必要とするHAE発作の割合。
・7TQで「より悪い」または「はるかに悪い」と評価されたHAE発作の割合。
・7TQで「より良い」または「はるかに良い」と評価されたHAE発作の割合。
・治験薬投与から、全般的な発作重症度尺度(global attack severity scale)(5LS)でHAE発作の解消を完了(なし、の評価)するまでの時間。
・7TQで、HAE発作が、より悪い、またははるかに悪いと評価されるまでの時間。
・7TQで、HAE発作が、より良い、またははるかに良いと評価されるまでの時間。
【0183】
一般的な統計的手法と解析の種類
分析セット:
・安全性セット(SAF):少なくとも1用量の治験薬(パート1の治験薬用量を含む)を服用した対象。
・完全分析セット(Full Analysis Set)(効力に対して)(FAS):パート2で治験薬の両方の用量を受けたすべての無作為化対象。
・パープロトコルセット(Per-Protocol Set)に従う(効力に対して)(PPS):両方の用量の治験薬(化合物)をパート2で投与され、重大なプロトコル逸脱がないパート2の無作為化対象。
・PK/PD分析セット:パート1でPK/PD試料を採取したすべての対象。
【0184】
試料サイズ
50人の対象の試料サイズ(シーケンス当たり25)は、従来の発作治療剤を使用する時間の主要エンドポイントの5%アルファレベル(両側)での試験の90%の検定力を提供するように提案された。この試料サイズは、対象の40%が対照群で従来の発作治療剤を使用し、10%が実験群で従来の発作治療剤を使用し、対象内のデータには最小限の相関があるという仮定に基づいて導き出された。最小相関の仮定は、試料サイズに関して保守的な仮定であるべきである。50人の対象が治験を完了することを確実にするために、68人の対象を登録した。53名の対象が、パート2を完了した。
【0185】
低頻度または不適格なHAE発作のために両方の治療期間を完了できない可能性のある対象、または何らかの理由で治験を早期に中止する対象を考慮するために、20%(10人の対象)によるオーバーサンプリングが提案された。したがって、治験登録は、50人の対象が両方の治療期間を完了した後、主要な効力仮説に対処するのに十分であると考えられた。さらなる曝露は必要ではなく、不要とみなされ得るため、両方の期間を完了していない進行中の対象は、治験施設に戻り、来院4(早期中止来院)を完了するように求められた。完全であるか不完全であるかを問わず、すべての対象からのデータを、安全性セットで分析した。
【0186】
一般的な考慮事項:
個々の対象データを対象データリストに提示した。連続的及び分類的データについて、適切な記述的統計量を計算し、表形式で要約した。
【0187】
サンプル分析:
AEは、Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)辞書(v21.0以上)を使用してコード化され、好ましい用語及びシステム臓器クラス(SOC)によって分類された。早期中止を引き起こす治療上出現する有害事象(TEAE)、重篤なTEAE、及びTEAEのリストは、シーケンス群によって提供され、TEAEの重症度及び治験薬との関係によってさらに分類される。
【0188】
効力分析
主要エンドポイント
主要エンドポイントである、従来の発作治療剤の使用までの時間は、各対象の反復測定を反映するように、Feingold及びGillespie(1996)(Crossover trials with censored data.Statistics in Medicine 1996;15(10):953-967)によって提案された、Gehan検定の一般化を使用して分析した。治験薬の12時間以内に悪化が生じなかった場合、対象は打ち切られたものとして扱われた。
【0189】
副次的エンドポイント
5LSで1レベル以上悪化したHAE発作、または治験薬の12時間以内に従来の発作治療剤を必要とするHAE発作の割合は、治療アームを比較するために、Prescott’s test(1981)(The comparison of success rates in cross-over trials in the presence of an order effect.Applied Statistics 1981;30:9-15)を用いて分析した。
【0190】
主要エンドポイントに使用されるアプローチと同様のアプローチに従って、治験薬と、5LSにおいて1レベル以上で悪化するHAE発作の悪化または従来の発作治療剤の使用と、の間の時間のうちの、12時間以内に最初に来るものを分析した。上記の試験に加えて、主要エンドポイント、副次的エンドポイント、及び探索的エンドポイントについて、それぞれの場合、化合物をプラセボと比較して、以下のような記述的統計を提示した:
【0191】
・化合物600mg対プラセボのAUCとして表される、治験薬の後の5LSにおける累積の全体的な発作の重症度。
・従来の発作治療剤を必要としたHAE発作の割合。
・7TQで「より悪い」または「はるかに悪い」と評価されたHAE発作の割合。
・7TQで「より良い」または「はるかに良い」と評価されたHAE発作の割合。
・治験薬投与から、全般的な発作重症度尺度(5LS)でHAE発作の解消を完了(なし、の評価)するまでの時間。
・7TQで、HAE発作が、より悪い、またははるかに悪いと評価されるまでの時間。
・7TQで、HAE発作が、より良い、またははるかに良いと評価されるまでの時間。
【0192】
PK分析:
非コンパートメントPKパラメーターには、血漿中の最大濃度(Cmax)、血漿中のCmaxに達するまでの時間(tmax)、及び時間0から最後の試料までの曲線下面積(AUC0-t)が含まれた。コンパートメントPKモデリングは、化合物のPKを説明し、基礎となるCmax、tmax、AUC、見かけのクリアランス(CL/F)、見かけの分布体積(Vd/F)、及び推定される最終排出半減期(t1/2)を生成する。
【0193】
化合物のPKパラメーターは、Phoenix WinNonlinを使用して、個々の濃度対時間データから決定した。理論時間からの逸脱した場合、血液試料の実際の時間を、導出されたPKパラメーターの計算に使用した。血漿中の化合物の個々の濃度及び由来するPKパラメーターを列挙し、各治療について要約した。個々及び幾何平均濃度-時間データを、線形及び半対数スケール上にプロットした。
【0194】
PD分析:
血漿中のPKa酵素活性の2つの探索的尺度を使用して、血漿カリクレイン(PKa)活性に対する化合物の影響を分析した。
【0195】
・化合物を受ける前後に得られた血漿試料からの、外因的に活性化された血漿カリクレイン酵素活性の阻害を決定するためのアッセイ。
・血漿カリクレイン酵素活性からの、高分子量キニノーゲン(HK)基質(全血漿中に含まれる)の切断の保護のレベルを測定するためのアッセイ。
【0196】
各治療についてPDを要約した。個々及び平均データは、最終臨床試験報告書の付録にある報告書の補遺として提供された。
【0197】
治験のパート1からの予備的PKデータ:
27人のHAE患者からの予備的PKデータを照合及び分析し、表4及び図15aに示す。
【表10】
【0198】
したがって、これらの予備的結果は、式Aの化合物が、HAE患者におけるオンデマンド経口投与に好適な薬物動態プロファイルを実証することを示す。
【0199】
図15bは、健康なボランティアからのPKデータと重ね合わされた、パート1からのHAE患者の完全なPKプロファイルを示す。
【0200】
研究のパート2からの効力の結果
主要エンドポイント
化合物で治療された発作は、救急薬の使用を有意に減少させ(p=0.0010)、12時間時のプラセボでの30.2%と比較して、化合物で治療された発作の15.1%が救急薬治療された。化合物のこの効力利益は、24時間において維持された(p=0.0005)。24時間時点で、救急薬の使用(p=0.0005)は、化合物では20.8%であったのに対し、プラセボでは39.6%であった。
【0201】
図15cは、化合物が投与されてから12時間以内に救急薬を使用した患者の累積%を示す。
【0202】
副次的エンドポイント
この化合物は、Patient Global Impression of Changeスケール(PGI-C)(7TQとしても知られる)での症状緩和の発症までの時間(p=<0.0001)を、プラセボで治療された発作の中央値9時間に対して1.6時間に有意に短縮した。これは、化合物を用いた治療が、プラセボよりも素早く症状緩和を達成したことを示している。
【0203】
治験薬の12時間以内に、化合物で治療された発作の83.0%は、プラセボで治療された発作の50.9%(p<0.005)と比較して、「少し良い」以上(7TQに従って評価された場合)の評価を受けた。治験薬の24時間以内に、化合物で治療された発作の84.9%は、プラセボで治療された発作の64.2%と比較して、(7TQに従って評価された場合)「少し良い」以上の評価を受けた(p<0.05)。
【0204】
治験薬の12時間以内に、化合物で治療された発作の58.7%は、プラセボで治療された発作の35.8%と比較して、「より良い」以上(7TQに従って評価された場合)の評価を受けた(p=0.0319)。治験薬の24時間以内に、化合物で治療された発作の67.9%は、プラセボで治療された発作の47.2%(p=0.0593)と比較して、「より良い」以上(7TQに従って評価された場合)の評価を受けた。
【0205】
化合物による治療は、発作が「より良い」以上に評価される中央値時間の統計的に有意な短縮をもたらし(7TQに従って評価された場合)、プラセボの中央値時間15時間(p=0.0036)と比較して、化合物による治療の中央値時間は5時間(p=0.0003)であった。
【0206】
24時間以内に「より良い」以上の評価を達成した発作のうち(7TQに従って評価した場合)、6.1%が救急薬を使用し、PGI-Sに従って評価した場合に、66.7%が発作解消を達成し、VASによって評価した場合に、77.6%が発作解消を達成した。反対に、24時間以内に「より良い」以上の評価を達成しなかった発作(7TQに従って評価した場合)のうち、63.8%が救急薬を使用し、PGI-Sに従って評価した場合は、4.3%が発作解消を達成し、VASによって評価した場合は、5.1%が発作解消を達成した。
【0207】
図15dは、化合物が投与されてから12時間以内に症状緩和(7TQ法を使用して評価されたように)を有する患者の累積%を示す。図15eは、承認された注射用製品であるRuconest(登録商標)の既知の臨床データと、化合物と、の症状緩和までの時間のデータを比較する(Charles M.Maplethorpe,MD,PhD.Clinical Reviewer.Summary Basis of Approval,Recombinant C1 Esterase Inhibitor,STN:125495/0を参照されたい)。
【0208】
化合物で治療された発作は、症状緩和を、ビジュアルアナログスケール(VAS)スコア(腹痛、皮膚痛、及び皮膚腫脹)を使用して評価した場合、症状緩和までの時間の中央値が6時間であり、12時間を超えるプラセボで治療された発作(p<0.0001)よりも素早く達成した。繰り返しになるが、これは、化合物を用いた治療がプラセボよりも素早く症状緩和を達成したことを実証した。
【0209】
図15fは、化合物が投与されてから12時間以内に症状緩和(複合VASスコアを使用して評価されたように)を有する患者の累積%を示す。
【0210】
化合物で治療された発作は、12時間(p=0.0008)及び24時間(p=0.0005)にわたって(複合VASスコアを使用して評価されるように)HAE発作の重症度を低下させた。治験薬の12時間以内に、プラセボで治療された発作の54.7%が悪化しないのに対して、化合物で治療された発作の79.2%が悪化しない。
【0211】
図15gは、化合物が投与されてから12時間以内の平均複合VASスコアを示す。図15gは、時間及びベースラインで調整されたAUCであり、レスキュー後の薬物療法の評価を除外する。図15hは、承認された注射用製品であるFirazyr(登録商標)(活性成分、イカチバント)に対する、既知の臨床データを有する化合物で治療された患者の平均複合VASスコアを比較する(Lumry et al.,Ann Allergy Asthma Immunol.2011;107:529-537を参照されたい)。
【0212】
化合物は、経口投与の12時間以内に、全般的な発作重症度尺度(PGI-S)(5LSとしても知られる)または救急薬の使用(p<0.0001)によって評価されたときに、安定化または改善された発作の数を有意に増加させた。
【0213】
図15iは、化合物が投与されてから12時間以内に悪化しなかった(5LS法を使用して評価した)HAE発作の割合を示す。上記のように、治験薬の12時間以内に、プラセボで治療された発作の54.7%が悪化しないのに対して、化合物で治療された発作の79.2%が悪化しない。治験薬の24時間以内に、プラセボで治療された発作の50.9%が悪化しないのに対して、化合物で治療された発作の69.8%が悪化しない。
【0214】
治験薬の12時間以内に、PGI-S(5LS法とも呼ばれる)を使用して評価された場合、プラセボで治療された発作の18.9%と比較して、化合物で治療された発作の37.7%は、「なし」に改善した。治験薬の24時間以内に、プラセボで治療された発作の26.4%が改善したのと比較して、化合物で治療された発作の52.8%が「なし」に改善した。
【0215】
他の測定されたエンドポイントからの結果は、以下のとおりであった。
【表11-1】
【表11-2】
【0216】
式Aの化合物で治療された発作のうち、31.0%及び69.0%がそれぞれ腹部発作及び末梢発作に分類され、腹部発作の77.8%及び末梢発作の77.5%が症状緩和を達成した(PGI-Cスコアは、12時間以内に少なくとも「少し良くなった」)。症状緩和までの時間の中央値は、腹部発作で1.5時間、末梢発作で2.5時間であった)。ベースライン発作の重症度は、腹部で1.7、末梢で1.5であり、「ベースライン発作の重症度」に、0~4の数値を割り当てて、カテゴリー的PGI重症度尺度(PGI-S)スコア(「なし」~「非常に重症」)と整合させることによって評価される。合計で、腹部発作の61.1%、末梢発作の50.0%が、24時間以内に発作解消を達成した。
【0217】
安全性
治験では重篤な有害事象は報告されておらず、有害事象のために撤退した患者はいなかった。非盲検フェーズ(パート1)では、5人の患者が8つの治療中の薬物関連治療緊急有害事象(TEAE)を経験した。治験のクロスオーバー段階(パート2)では、化合物の投与後に、3人の患者(5.2%)が3回の治療中の薬物関連TEAEを経験し、プラセボの投与後に、2人の患者(3.6%)が2回の治療中の薬物関連TEAEを経験した。これらのデータを以下に示す。
【表12】
【0218】
実施例7-式Aの化合物の第3相試験
遺伝性血管性浮腫I型またはII型を有する青年及び成人患者における血管性浮腫発作のオンデマンド治療のための、経口血漿カリクレイン阻害剤である式Aの化合物(「化合物」または「治験薬」)の2つの用量レベルの効力及び安全性を評価するための無作為化、二重盲検、プラセボ対照、第3相、3通りの交差試験。
【0219】
目的:
主要目的:
・HAE発作のオンデマンド治療の、プラセボと比較した、化合物の臨床的効力を実証すること。
【0220】
副次的目的:
・化合物の安全性及び忍容性を調査すること。
【0221】
設定:
これは、HAE I型またはII型の12歳以上の患者を対象とした二重盲検、無作為化、プラセボ対照、多施設臨床試験である。患者は、3通りのクロスオーバー設計で、6つの治療シーケンスに無作為化される。適格な発作は、最初は、各適格な発作と化合物または従来のオンデマンド治療の最終用量との間の最低48時間のウォッシュアウト期間を伴って、1回の発作当たり単回用量のプラセボ、300mg、または600mgの化合物で治療される。必要に応じて(患者によって決定されるように)、各発作に対して第2の用量の治験薬を投与してもよい。
【0222】
各無作為化患者のこの治験の推定期間は、スクリーニングから最終来院までの約25週間であり、治療期間中の3回の適格な発作の治療を含む。
【0223】
この治験は、外来患者ベースで、HAE治療センターで実施され、診療所内及び遠隔来院(televisit)で構成されるであろう。遠隔来院は、電話を介して、またはインタラクティブなオーディオ/ビデオシステムを介して行うことができる。診療所来院が実施できない場合(パンデミックまたは患者が診療所来院に出席することを妨げる他の理由の場合など)に、関連する規制当局、治験参加施設の倫理委員会(EC)/施設内審査委員会(IRB)、地域の規制、及びインフォームドコンセントによって患者が許可されている場合、これらの来院を実施するために在宅診療訪問(home health visit)が使用される。在宅訪問は、適切に委任された在宅医療サービス提供者によって行われる。在宅診療訪問中に収集された情報は、診療所訪問で収集された情報を反映している。
【0224】
スクリーニング来院
12歳以上の適格な患者は、治験参加のためのスクリーニング評価を受ける。すべての患者は、試験関連治療が実施される前に、インフォームドコンセントまたは同意を提供する。インフォームドコンセント及び同意は、国及び施設の規制によって許可されている場合、e-consentを通じて収集することができる。
【0225】
来院中は、身体検査、12誘導心電図(ECG)、臨床検査(HAEの診断検査を含む)、及びその他の評価を実施する。
【0226】
施設の職員は、eDiaryで提供することが期待される情報と治験薬の使用について、患者を訓練する。
【0227】
無作為化来院
スクリーニング来院から4週間以内に、患者は無作為化来院に参加する。患者は、6つの治療シーケンスのうちの1つへの割り当てに基づいて、無作為化、ダブルダミー盲検化、クロスオーバー方式で、3つの治療を受けるように割り当てられる。無作為化は、患者が従来のオンデマンド治療のみを服用して治験に入るか、長期予防治療の安定した用量及びレジメンを服用して治験に入るか、によって層別化される。無作為化は、各治療シーケンスへのバランスのとれた割り当てを確実にするために、置換ブロック無作為化法を使用して、1:1:1:1:1:1の比で行われる。各患者は、以下の治療を受ける。
【0228】
・300mgの化合物(1×300mgの錠剤と1つの対応するプラセボ錠剤)
・600mgの化合物(2×300mg錠)
・2つの対応するプラセボ錠剤
患者は、少なくとも3時間開けて投与される治験薬の最大2用量で、各適格な発作を治療する。第2の用量は、服用された場合、第1の用量と同じく割り当てられた治療となる。
【0229】
この治験では、治験薬は、宅配サービスを介して患者に直接出荷される、または治験薬管理手順書(Pharmacy Manual)に記載されているように、現地の規制または施設のローカルな慣行に従って治験診療所で調剤される。
【0230】
適格なHAE発作の治療
患者は、3つの別個の適格なHAE発作を、その発作のために割り当てられた治験薬治療剤で治療する。HAE発作が治験薬による治療に適しているとみなされるためには、発作は以下の基準を満たさなければならない:
【0231】
・発作は、重度の喉頭発作ではない。
・患者は、発作の開始時刻を特定できる必要がある。
・患者が、HAE発作を治療するために従来のオンデマンド治療または治験薬を使用してから、少なくとも48時間が経過した。
・患者は、治験薬の最初の投与後、eDiary評価の少なくとも最初の4時間を完了することができなければならない。
・発作後の遠隔来院は、以前の適格な発作に対して完了している(適格な発作2と3にのみ適用される)。
【0232】
適格な発作は、最初に治験薬の単回投与で治療されるべきである。患者は、発作の開始後できるだけ早く治療することを促される。
【0233】
必要に応じて(患者によって決定されるように)、以下のように、各発作に対して第2の用量の治験薬を投与してもよい。
【0234】
非咽頭発作
適格なHAE発作ごとに、治験薬の第2の用量を服用してもよい。
・患者が、HAE発作の症状が、治験薬の第2の用量を必要とするほど重篤であると考えた場合、3時間後。
【0235】
治験薬の第2回の投与後、従来のオンデマンド治療を行ってもよい。
・患者が、HAE発作症状が従来の治療を必要とするほど重篤であると判断した場合、1時間後。
【0236】
症状が気道への関与に進行する場合、患者はいつでも従来のオンデマンド治療で治療することができる。
【0237】
喉頭の発作
治験薬物の最初の用量の後、従来のオンデマンド治療剤はいつでも服用され得る。
・HAE発作の症状が悪化した場合、またはHAE発作の症状が患者によって直ちに治療を必要とするほど重篤であるとみなされた場合。
【0238】
適格性を満たさない発作は、患者の通常の治療レジメンに従って従来のオンデマンド治療剤で治療され得る。
【0239】
従来のオンデマンド治療剤としては、血漿由来のC1阻害剤(pdC1-INH)静脈内(iv)、組換えヒトC1-エステラーゼ阻害剤(rC1-INH)iv、イカチバントsc、またはエカランチドscが挙げられ得る。
【0240】
安全性または忍容性の懸念がある患者は、できるだけ早く治験責任医師または被指名人、または必要に応じて最寄りの緊急サービスに連絡する。
【0241】
治験コールセンター
治験薬の第1の投与後、第2の投与または従来のオンデマンド治療の前に、患者は、反復投与基準を思い出すために、指定された治験コールセンターに電話する必要がある。患者はコールセンターに連絡する必要がある:
1.治験薬の第1の投与後
2.治験薬の第2回の投与前
3.従来のオンデマンド治療の投与前。
【0242】
コールセンターのスタッフは、再投与のルールとeDiaryの評価要件を患者に思い出させる。コールセンターは、通話中にデータを収集しない。
【0243】
患者のeDiary
治験薬で治療された各HAE発作について、患者は、発作の場所、発作の症状、発症日時、発作の重症度、第2の治験薬の投与時間(該当する場合)、及び該当する場合の従来のオンデマンド治療の使用を含む情報を、eDiaryに記録する。患者は、表5に記載されているように、48時間を通してHAE発作の時間付き評価を完了する。患者は、睡眠中を除くすべての時間付き日記評価を完了する必要があるが、患者は、治験薬の最初の投与後の少なくとも最初の4時間の日記評価を完了しなければならない。
【表13】
【0244】
発作後の遠隔来院
患者の安全性と健康を確保し、治験薬の説明責任を確認し、患者の日記を確認(及び必要に応じて再訓練)し、有害事象(AE)及び併用薬物のレビューを受けるために、治験薬の投与に続いて(治験スタッフと患者との間の)遠隔来院が完了される。遠隔来院は、患者の日記の完了後の翌営業日までに行われる(訪問期間:+1週間)。
【0245】
最終来院/早期終了
3回のHAE発作が治療された後、または早期終了時に、患者は、1週間以内にできるだけ早く診療所に戻り、AE報告、バイタルサイン記録、及び臨床検査安全性測定のための血液採取を含む最終的な安全性チェックを受ける。可能な限り、この来院は新しい薬または治療を開始する前に完了する必要がある。
【0246】
治験薬生成物
式Aの化合物-300mgのフィルムコーティングされた錠剤。これらには、以下の賦形剤が含まれた:微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、ステアリン酸マグネシウムの賦形剤。審美的コーティングには、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350が含まれている。
【0247】
化合物錠剤のプラセボ。これらには、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、ステアリン酸マグネシウムを含み、フィルムコーティングされている。審美的コーティングには、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、及びポリエチレングリコール3350が含まれている。
【0248】
この治験では、治験薬の用量変更は許可されない。
【0249】
錠剤は丸ごと飲み込まなければならず、いかなる方法でも粉砕または改変してはならない。適格な発作は、発作の開始後できるだけ早く治験薬の単回投与で最初に治療されるべきである。必要に応じて(患者によって決定されるように)、各発作に対して第2の用量の治験薬を投与してもよい。
【0250】
患者数
約114人の患者が治験に登録され、約84人の患者(少なくとも12人の青年を含む)が治験を完了することを確実にする。
【0251】
治験集団は、2つのサブセットで構成される:(1)従来のオンデマンド治療のみを受けて治験に入る患者、及び(2)長期予防治療の安定した用量及びレジメンで治験に入る患者
【0252】
集団:
治験集団には、HAE I型またはHAE II型の診断が確認された、12歳以上の男性及び女性患者が含まれる。
【0253】
治験集団には、従来のオンデマンド治療のみを受けて治験に入る患者のサブセットと、長期予防治療の安定した用量及びレジメンで治験に入る患者のサブセットと、が含まれる。
【0254】
選択基準:
1.12歳以上の男性または女性の患者。
2.病歴の任意の時点でのHAE I型またはII型の確定診断:
a.HAEと一致する、記録された臨床病歴(scまたは粘膜、蕁麻疹を伴わない掻痒性腫脹エピソード)及び、
i.スクリーニング期間中に得られたHAE I型またはII型を確認する診断検査結果:C1-INH機能レベルが正常レベルの40%未満。機能性C1-INHレベルが正常レベルの40~50%である患者も、C4レベルも正常範囲を下回っている場合、登録されてもよい。スクリーニング期間中に、結果が臨床歴と一致しない場合、または治験責任医師が最近の予防的または治療的C1-INH使用によって混乱していると信じている場合、患者は再検査され得る、または
ii.HAE I型またはII型の既知の変異を確認する、記録された遺伝子結果、のいずれか。
3.患者は、HAE発作のための従来のオンデマンド治療にアクセスし、使用する能力を有する。
4.患者が、HAEに適応される薬物のうちの1つである、静脈内(iv)またはsc血漿由来C1-INH、及び/またはラナデルマブのいずれかで長期予防治療を受けている場合、患者は、スクリーニング来院の前に少なくとも3か月間安定した用量及びレジメンを受けており、治験期間中、安定した用量及びレジメンを維持する意思がある必要がある。
5.患者の、減衰したアンドロゲン(attenuated androgens)の最後の用量は、無作為化の少なくとも28日前であった。
6.患者は、無作為化前の3か月以内に、少なくとも2回のHAE発作を記録している。
7.患者は、以下の避妊要件のうちの1つを満たす必要がある:
a.妊娠可能で異性間活動的な女性患者は、スクリーニング来院から最終または早期終了(ET)来院まで避妊を使用することに同意する必要がある。許容される避妊方法には、以下の1つ以上が含まれる:
i.排卵の阻害に関連するプロゲストゲンのみのホルモン避妊:経口/注射/植え込み(エチニルエストラジオールを含むエストロゲンを含むホルモン避妊は、除外4に従って除外される)。
ii.子宮内避妊具。
iii.子宮内ホルモン放出システム。
iv.両側の卵管閉塞。
v.精管切除されたパートナー(パートナーが出産の可能性のある女性患者の唯一の異性愛者のパートナーであり、精管切除されたパートナーが手術の成功の医学的評価を受けていることを条件とする)。
vi.男性または女性用コンドーム。
vii.キャップ、ダイアフラム、または殺精子剤付きスポンジ。
b.以下に定義するように、妊娠可能でない、または異性愛者が活動していない患者は、避妊を必要としない。治験過程中に患者の状況が変化した場合、選択基準7aに指定された要件を満たす必要がある。
i.治験期間に関して、異性愛者の禁欲の信頼性が評価されており、患者の好ましい通常のライフスタイルである場合、治験中に異性愛者の性交を控える女性患者。
ii.外科的に不妊(例えば、子宮摘出術後、両側卵巣摘出術、または両側卵管結紮術)であるか、または閉経後少なくとも12か月間である女性患者。
iii.初経前であり、試験終了まで初経前のままである女性患者。
iv.男性患者(女性パートナーを含む)。
8.患者は、試験用錠剤を丸ごと飲み込むことができなければならない。
9.治験責任医師が評価したように、患者は治験薬を適切に受け取り、保管し、電子日記(eDiary)を読んで理解し、完成させることができなければならない。
10.治験責任医師は、患者がすべてのプロトコル要件を順守する意思があり、順守することができると考えている。
11.患者は、署名されたインフォームドコンセントまたは同意(該当する場合)を提供する。親または法的に権限を与えられた代表者は、必要に応じて署名されたインフォームドコンセントを提供する必要がある。
【0255】
除外基準:
1.後天性C1阻害剤欠乏症、正常なC1-INH(以前はHAE III型として知られていた)を伴うHAE、特発性血管性浮腫、または蕁麻疹に関連する血管性浮腫など、別の形態の慢性血管性浮腫の併発診断。
2.治験責任医師の見解による、HAEの管理のためのブラジキニン受容体2(BR2)遮断剤、C1-INH療法または血漿カリクレイン阻害剤療法に対する奏効不良の臨床的に有意な病歴。
3.スクリーニング来院後、または無作為化前の7日以内のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤の使用。
4.スクリーニング来院の7日前までに全身吸収を伴う薬物(エチニルエストラジオールを含む経口避妊薬またはホルモン補充療法など)を含むエストロゲン。
5.スクリーニング来院から5半減期以内に開始する、治験への参加中の強力なシトクロムP450 3A4 CYP3A4阻害剤及び誘導剤の使用。
注記:これらの薬剤には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
阻害剤:ボセプレビル、クラリスロマイシン、コビシスタット、ダサブビル、デノプレビル、エルビテグラビル、イデラリシブ、インジナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ロピナビル、ネファゾドン、ネルフィナビルオムビタスビル、パリタプレビル、ポサコナゾール、リトナビル、サキナビル、テラプレビル、テリスロマイシン、チプラナビル、トロレアンドマイシン、及びボリコナゾール。
誘導剤:アパルタミド、カルバマゼピン、エンザルタミド、ミトタン、フェニトイン、リファンピン、セントジョンズワート。
6.以下を含むがこれに限定されない、不十分な臓器機能:
a.アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)>2×正常上限(ULN)
b.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)>2×ULN
c.直接ビリルビン>1.25×ULN
d.国際標準化比(INR)>1.2
e.チャイルド-ピュー(Child-Pugh)BまたはCとして定義される、臨床的に有意な肝障害。
7.治験責任医師の意見による、治験に参加することにより患者の安全性を危険にさらす可能性のある、臨床的に有意な併存疾患または全身機能不全。
8.治験責任医師によって決定された、治験の完了を妨げる可能性のある薬物乱用または依存の履歴。
9.化合物またはプラセボ、または任意の賦形剤に対する既知の過敏症。
10.第2相試験への以前の参加。
11.HAEのための任意の遺伝子療法治療または治験への参加。
12.スクリーニング前に治験薬を最後に投与してから4週間以内の、COVID19ワクチン治験を含む介入治験臨床試験への参加。
13.妊娠中または授乳中の患者。
【0256】
評価:
効力変数:
・7ポイントの評価尺度で、はるかに良い、より良い、少し良い、変化なし、少し悪い、悪い、はるかに悪い、と評価された、Patient global impression of change(PGI-C)。
・Patient global impression of severity(PGI-S)は、なし、軽度、中等度、重度、及び非常に重度として5点評価尺度で評価した。
・腹痛、皮膚痛、及び皮膚腫脹に対して、0(なし)及び100(非常に重度)にアンカーされたビジュアルアナログスケール(VAS)。
・Modified General Anxiety-Numeric Rating Scale(GA-NRS)は、0(まったく不安ではない)及び10(非常に不安)にアンカーされた11点尺度で採点した。
・従来のオンデマンド治療の使用。
【0257】
安全性変数:
・重篤な有害事象を含む有害事象。
・臨床検査の結果。
・12誘導心電図。
・バイタルサイン。
・身体検査の所見。
【0258】
効力の評価のための基準
主要効力エンドポイント:
・PGI-C:最初の治験薬投与から12時間以内に、少なくとも「少し良い」(2時間連続)と定義される症状緩和の開始までの時間。
【0259】
重要な副次的効力エンドポイント:
・PGI-S:最初の治験薬投与から12時間以内の、ベースラインからの減少の最初の発生までの時間。
・PGI-S:HAE発作の解消までの時間が、最初の治験薬投与から24時間以内に「なし」と定義される。
【0260】
副次的効力エンドポイント:
・PGI-C:症状緩和の開始を伴う発作の割合が、最初の治験薬投与から4時間以内及び12時間以内に少なくとも「少し良い」(連続して2時点)と定義される。
・PGI-C:最初の治験薬投与の12時間以内に、少なくとも「より良い」になるまでの時間。
・PGI-S:最初の治験薬投与から24時間以内の、ベースラインからの減少の最初の発生までの時間。
・複合VAS:最初の治験薬投与から12時間以内及び24時間以内に、ベースラインから少なくとも50%減少するまでの時間(連続して3時点)。
【0261】
探索的エンドポイント:
GA-NRS:最初の治験薬投与の12時間及び24時間にわたる曲線下面積として表される、累積GA-NRS。
【0262】
一般的な統計的手法と解析の種類
分析セット:
・安全性セットには、少なくとも1用量の試験薬を受けたすべての患者が含まれる。
・完全分析セット(FAS)は、それぞれの適格なHAE発作の後の少なくとも2つの期間(プラセボ期間を含む)から治験薬を受けたすべての無作為化された患者を含むであろう。1人以上の患者(複数可)が誤った治験薬を受けた場合、FASを使用して要約されたデータは、無作為化治療に従って提示される。FAS集団は、確認的な効力分析のための集団となる。
・パープロトコルセット(PPS)は、3つの治験薬すべてを投与され、スケジュールされた評価を完了し、かつ主要効力エンドポイントに影響を及ぼす可能性のある事前に定義されたプロトコル逸脱を有しない、FASからのすべての患者を含む。
【0263】
・サブグループ分析セット
・オンデマンド完全分析セット(オンデマンドFAS)には、従来のオンデマンド治療のみを受けて試験に参加するFAS患者が含まれる。
【0264】
予防的完全分析セット(予防的FAS)には、長期予防治療の安定した用量及びレジメンで試験に参加するFAS患者が含まれる。
【0265】
試料サイズ:
約114人の患者が治験に無作為化され、約84人の患者(最小12人の青年を含む)が治験を完了することを確実にする。治験集団は、2つのサブセットで構成される:(1)従来のオンデマンド治療のみを受けて治験に入る患者、及び(2)長期予防治療の安定した用量及びレジメンで治験に入る患者
1.治験を完了する66人の患者の試料サイズは、PGI-Cによって定義されるように、最初の治験薬の投与の12時間以内に、連続して2時点で少なくとも「少し良い」であると定義される、HAE発作の症状緩和の開始までの時間の主要エンドポイントについて、2.5%アルファレベル(両側)での各ペアワイズ比較(化合物対プラセボ)を試験するための90%の検定力を提供する。この試料サイズは、HAE発作の症状緩和までの中央値時間が、第2相試験からの活性用量群で1.6時間、プラセボ群で9時間であるという仮定に基づいて導き出される。患者は一緒に治験を開始し、同じ期間追跡されると仮定し、対照群の患者の49%、及び化合物用量群の患者の17%が追跡不能(右側打ち切り)であると仮定する。保存的アプローチを採用し、並列群設計のための検定力計算のためのシミュレーションベースの手順を使用した両側二群生存比較Gehan Wilcoxon検定は、各治療群に84人の患者がいる場合、中央値時間比が5.6(9/1.6)で標的の両側有意水準が2.5%であることを検出するための約90%の検定力を有する。
2.第2相試験(実施例6)で観察された治療効果は、この治験では集団全体を代表すると仮定する。しかしながら、追加の治験集団(例えば、青年期患者ならびに治療効果が以前に特徴付けられたことがない長期予防治療の安定した用量及びレジメンで治験に入る患者)が登録される。したがって、試験を完了する合計84人の患者が提案される。この保存的アプローチは、この治験集団における真の治療効果が、第2相試験で観察されたものと異なる場合に、少なくとも90%の検定力を維持する可能性を増加させる。
【0266】
第2相試験と一致する約30%の脱落率または未完了率があると仮定すると、30人の患者(84+30=114)によるオーバーサンプリングが、稀な、もしくは適格でないHAE発作のためにすべての治療期間を完了しない可能性のある患者、または理由の如何を問わず試験を早期に中止する患者を考慮するために提案される。
【0267】
一般的な考慮事項:
連続データは、記述統計(数、算術平均、中央値、標準偏差、最小値、及び最大値)を使用して治療群ごとに要約される。分類データは、頻度表(頻度及び割合)を使用して治療群ごとに要約する。
【0268】
すべての解析は、SASバージョン9.4以上または他の検証済みソフトウェアを使用して実施する。
【0269】
サンプル分析:
主要な効力エンドポイントの確認分析では、複数の用量レベルに対するBonferroniの多重度調整が行われるため、ペアワイズの比較テストは、アルファ0.025の両側になる。副次的または探索的エンドポイントの分析には、多重度の調整はないであろう。
【0270】
治験には3つの治療群がある。
1.300mgの化合物
2.600mgの化合物
3.プラセボ
【0271】
2つのペアワイズの比較が実行される:300mgの化合物対プラセボ、及び600mgの化合物対プラセボ。
【0272】
確認的な効力分析は、完全分析セットで実施する。
【0273】
効力分析
固定シーケンス閉検定手順に従う。固定シーケンス閉検定手順では、正式な推論検定は、現在のステップで統計的有意性が宣言された場合にのみ、次のステップに進むことができる。治験シーケンスが停止した場合、治験シーケンス内の残りのエンドポイントは探索的とみなされる。固定治験手順は、プラセボとの用量比較ごとに別々に、最初に主要エンドポイントで、次に、重要な副次的エンドポイント1及び2で、使用される。
【0274】
主要エンドポイント及び重要な副次的エンドポイントの両方での統計的検定は、同じ有意水準アルファ(0.025)であり、重要な副次的エンドポイント1は、主要エンドポイントでの検定が統計的に有意である場合にのみ検定される。投与量レベル内の治験は、主要エンドポイントでの検定が、有意水準0.025で化合物用量レベルの帰無仮説を拒絶できなかった場合、中止される。
【0275】
重要な副次的エンドポイント2は、重要な副次的エンドポイント1の検定が統計的に有意である場合にのみ検定される。重要な副次的エンドポイント1の試験で、0.025の有意水準で化合物用量レベルの帰無仮説を拒否できなかった場合、用量レベル内の試験は中止される。
【0276】
有意水準0.025は、元の有意水準0.05を、各化合物用量レベルとプラセボとの間のエンドポイントファミリー内の比較の数で割ることによって得られるBonferroniの調整有意水準であり、すなわち、調整有意水準は0.025(0.05を2で割る)である。
【0277】
帰無仮説は、PGI-Cによって定義される症状緩和が始まる時間の生存分布に、最初の治験薬投与から12時間以内に連続して2つの時点で少なくとも「少し良い」(化合物群とプラセボ群の各用量の間に差はない)と、生存分布が異なるという代替仮説(化合物用量群のそれぞれとプラセボ群のそれぞれ)との間に差がないということである。
:t-t=0
ここで、tは、化合物用量治療後のHAE発作の「少し良い」以上の評価への時間であり、tは、プラセボ後のHAE発作の「少し良い」以上の評価への時間である。
:t-t≠0
【0278】
主要エンドポイントは、打ち切りデータを有するクロスオーバー治験のための、Feingold and Gillespie(1996)(FeingoldM,Gillespie BW.Cross-over trials with censored data.Stat Med.1996;15:953-67)によって提案された、Gehanスコア変換を使用して解析され得る。
【0279】
主要エンドポイント事象を有する患者の数は、頻度及び生存推定値によって要約され、要約は、治療によって提示される。
【0280】
HAE発作の重症度は、PGI-S5点リッカート尺度でスコア、なし、軽度、中等度、重度、及び非常に重度として評価する。重症度の低下は、ベースラインで報告されたスコアよりも、ベースライン後の任意の重症度の低いレベルへの任意の変化として定義される。
【0281】
重要な副次的エンドポイントは、主要エンドポイント分析法(Gehanスコア変換検定)と同じアプローチで分析する。重要な副次的エンドポイントは、固定シーケンス閉検定手順に従って検定する。重要な副次的エンドポイントは、頻度及び生存推定値によって要約され、要約は、治療によって提示される。
【0282】
主要及び重要な副次的有効性エンドポイントのサブグループ解析は、HAE発作開始時の主要発作部位、性別、年齢、ベースライン重症度、領域、及び受けた投与回数によって行われる。頻度及び生存推定値は、各サブグループについて提示される。発作時間別のサブグループも調査してもよい。
【0283】
主要及び重要な副次的効力エンドポイントの分析は、FAS及び予防FASで実施する。
【0284】
副次的エンドポイントは、頻度及び割合によって要約し、治療ごとに提示する。
【0285】
すべての事象までの時間(time-to-event)エンドポイントは、必要に応じて事象の頻度及びKaplan-Meier推定値または生存推定値によって要約される。要約は、治療ごとに提示される。
【0286】
0時間(投与前)から最大12時間、最大24時間、または従来のオンデマンド治療の使用前の最後の時点、のいずれか早いほうまでの期間にわたるGA-NRSの探索的エンドポイントのベースライン及び時間調整AUCは、線形台形ルールによって導き出される。AUCを説明的に要約する。治療間のAUCの統計的比較は、治療、シーケンス、及び期間の固定効果を有する分散の混合効果分析、ならびに無作為効果としてシーケンス内にネストされた患者を使用して行う。
【0287】
安全性
安全性解析は、安全性セットを使用して、治療群ごとに行われる。安全性エンドポイントには、AE、臨床検査評価、バイタルサイン、及びECG所見が含まれる。
【0288】
治験中に記録された有害事象及び重篤な有害事象(SAE)は、全身臓器分類、好ましい用語、及び治療によって要約される。有害事象及び病歴は、最新バージョンのMedDRAを使用してコード化する。
【0289】
治療出現有害事象(TEAE)、重篤なTEAE、及び早期中止を引き起こすTEAEを有する患者の頻度及び割合は、治療群ごとに提供される。
【0290】
すべての有害事象の患者リスト、ならびに中止に至った死亡、SAE、及びAEのリストが提供される。
【0291】
身体検査、ECG、バイタルサイン、及び臨床検査の変数(中央検査室で測定)の場合、結果が正常または異常な患者の数と割合は、スケジュールされた各来院時にシーケンスごとに提示される。連続変数の記述的統計は、シーケンスごとの各パラメーターのベースラインからの変化の要約とともに、スケジュールされた来院時に提供される。
【0292】
実施例8-健康な成人対象における第1相多回投与試験
目的:健康な成人対象における100mgのフィルムコーティングされた錠剤として製剤化された化合物の投与後のQTcにおける安全性、忍容性、薬物動態、及びベースラインからの変化を評価する。
【0293】
主要目的:
・化合物の複数回投与の安全性及び忍容性を調査すること。
【0294】
副次的目的:
・化合物の複数回用量の薬物動態(PK)を調べること。
【0295】
・100mgフィルム被覆錠(KalVista Pharmaceuticals)の化合物を健康な成人対象に投与した後の、濃度-QTc関係を含む、ECGパラメーターに対する化合物の効果を評価する。
【0296】
探索的目的:
・化合物の複数回用量の薬力学(PD)を調べる。
【0297】
方法:
これは、健康な成人男性及び女性対象において、化合物の安全性及び忍容性、ならびに100mgのフィルムコーティングされた錠剤として製剤化された化合物のECG効果を評価するための、第1相、二重盲検、プラセボ対照、複数用量、複数コホート試験であった。
【0298】
4つのコホートを評価した。コホート1、2、3は、それぞれ8人の対象を含んだ。コホート4は、18人の対象を含んだ。すべての試みは、各コホートに等しい数の男性及び女性の対象を含むように行われた。
【0299】
試験中、600mgのフィルム被覆錠(6個の100mg錠)としての化合物の経口用量、または6個の対応するプラセボ錠を、8時間ごとに1回(コホート1)4時間ごとに(コホート2)、または2時間ごとに(コホート3及び4)、健康な成人男性及び女性対象に、合計用量1800mgまで投与した。コホート1、2、3において、6人の対象は、100mgのフィルムコーティングされた錠剤として化合物を投与され、2人の対象は、コホート当たり合計8人の対象のプラセボを投与された。コホート4において、12人の対象が、100mgのフィルムコーティングされた錠剤として化合物を投与され、6人の対象が、合計18人の対象のプラセボを投与された。
【0300】
コホート1からコホート2及びコホート2からコホート3への進行は、コホート1及びコホート2の実施中に捕捉された安全性データ(ラボ、バイタルサイン、安全性ECG、及び有害事象)のレビュー後に生じた。コホート4への進行は、コホート3からの安全性データ及び薬物動態データのレビュー後に生じた。コホート3からの薬物動態データをレビューして、第3の用量のCmaxがベースラインからのQTc間隔の変化の評価を支持するのに十分に高いことを確認した。
【0301】
ECGを連続的に記録するために、ホルターモニターを各対象に取り付けた。モニターは、最初の投与の1時間前に取り付けられ、最終的な血液サンプル収集の後まで取り付けられたままであった。ホルターモニターの電極は、適切な間隔で診療所スタッフのメンバーによってチェックされ、それらが取り付けられていることが確認された。
【0302】
各コホートにおいて、血液試料を、投与前、第1の投与後の間隔、及び最終(第3の)投与後24時間にわたる間隔(コホート1での初回投与から40時間、コホート2での初回投与から32時間、コホート3及び4での初回投与から28時間)で収集した。対象は、投与の少なくとも10時間前から各試験コホートにおける最終血液試料採取後まで臨床施設に閉じ込められ、安全性評価のために最終投与の5~7日後に診療所に戻された。
【0303】
化合物の薬物動態は、完全に検証された分析手順によって測定され、血漿カリクレイン阻害酵素活性に対する薬力学的効果は、探索的薬力学的評価によって評価された。
【0304】
統計的分析を行って、血漿薬物濃度と治験製剤のECG効果のベースラインからの変化との間の関係を評価した。
【0305】
治療薬投与
コホート1
対象は、直接観察下での2治療無作為化スケジュールに従って、16時間の期間にわたって8時間ごとに治験またはプラセボ治療(3回投与:0、8、及び16時間での、100mgフィルムコーティング錠としての化合物の6×100mg、またはプラセボ投与、化合物またはプラセボの全用量1800mg)を受けた。各用量を、240mLの室温の水とともに投与した。対象は、咀嚼したり噛んだりせずに錠剤を丸ごと飲み込むように指示された。錠剤を噛んだ、または咀嚼した対象は、研究から除外された。投与直後に口腔チェックを行った。
【0306】
コホート2
対象は、直接観察下での2治療無作為化スケジュールに従って、8時間の期間にわたって4時間ごとに治験薬またはプラセボ治療薬(3回投与:0、4、及び8時間での、100mgフィルムコーティング錠としての化合物の6×100mg、またはプラセボ投与、化合物またはプラセボの全用量1800mg)を受けた。各用量を、240mLの室温の水とともに投与した。対象は、咀嚼したり噛んだりせずに錠剤を丸ごと飲み込むように指示された。錠剤を噛んだ、または咀嚼した対象は、研究から除外された。投与直後に口腔チェックを行い、錠剤が咀嚼したり噛んだりせずに丸ごと飲み込まれたことを確認した。
【0307】
コホート3及びコホート4
対象は、直接観察下での2治療無作為化スケジュールに従って、4時間の期間にわたって2時間ごとに治験薬またはプラセボ治療薬を受けた(3回投与:0、2、及び4時間での、100mgフィルムコーティング錠としての化合物の6×100mg、またはプラセボ投与、化合物またはプラセボの全用量1800mg)。各用量を、240mLの室温の水とともに投与した。対象は、咀嚼したり噛んだりせずに錠剤を丸ごと飲み込むように指示された。錠剤を噛んだまたは咀嚼した任意の対象は、研究から除外された。投与直後に口腔チェックを行い、錠剤が咀嚼したり噛んだりせずに丸ごと飲み込まれたことを確認した。
【0308】
すべての対象は、最初の投与前に少なくとも8時間絶食した(水を除く)。初回用量後、対象は、第1の投与の少なくとも6時間後まで絶食を続けた。
【0309】
対象を治療群に割り当てる方法:
コホート1、2、及び3
対象は、6人の対象が治験製品を投与され、2人の対象がプラセボを受けるように無作為化された。安全性対策として、各コホートについて定点(sentinel)投与スキームを組み込み、1人の対象が治験生成物を受け、1人の対象がプラセボ生成物を受け取り、コホートの残りが続いた。
【0310】
コホート4
対象は、12人の対象が治験生成物を受け、6人の対象がプラセボを受けるように無作為化された。
【0311】
無作為化スケジュールは、SAS(登録商標)、バージョン9.4以上を使用して、最初の投与コホートの前に生成された。
【0312】
結果:
治験中に重篤な有害事象は報告されず、AEのために中止された対象はいなかった。報告されたすべての有害事象は、重症度が「軽度」であるとみなされ、治験の終了時に「回復/解消」の結果が得られた。
【0313】
研究されたECGパラメーターに対する臨床的に関連する効果は同定されなかった。
【0314】
図16Aは、各コホートの初回用量後の式Aの化合物の平均血漿濃度を示す。
【0315】
図16Bは、各コホートについての式Aの化合物の平均血漿濃度(半対数スケール)を示す。
【0316】
これらのデータは、式Aの化合物が、複数の投与量で投与されたときに経口投与に好適な薬物動態プロファイルを有することを実証する。結果はさらに、式Aの化合物を規則的な間隔で安全に用量され得ることを示唆している。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15a
図15b
図15c
図15d
図15e
図15f
図15g
図15h
図15i
図16A
図16B
【国際調査報告】