(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】腫瘍性疾患の非侵襲的診断のための電気医療システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0507 20210101AFI20240130BHJP
G01N 22/00 20060101ALI20240130BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A61B5/0507
G01N22/00 N
G01N22/00 W
G01N22/00 X
A61B10/00 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563344
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 IB2021062292
(87)【国際公開番号】W WO2022137207
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】102021000032537
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523241645
【氏名又は名称】アースメティカ・テクノロジーズ・エッセ・エッレ・エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マッシモ・バルマ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ダルドッソ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・デローグ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA10
4C127GG11
4C127GG16
(57)【要約】
電磁源ユニット(2)と、受信ユニット(3)と、マルチバンドおよびマルチチャネルアンテナ(4)と、データ処理ソフトウェアを備えた処理ユニット(5)と、を含む、腫瘍性疾患の非侵襲的診断のための電気医療システム(1)。電磁源ユニット(2)は、電磁ポンプ信号、電磁プローブ信号ならびに試験および基準信号を生成および放射するように構成されている。受信ユニット(3)は、電磁源ユニット(2)によって生成され、使用中、マルチバンドおよびマルチチャネルアンテナ(4)によって捕捉される信号を受信し、振幅および位相を測定するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁源ユニット(2)と、
受信ユニット(3)と、
マルチバンドおよびマルチチャネルアンテナ(4)と、
データ処理ソフトウェアを備えた処理ユニット(5)と、
を含み、
前記電磁源ユニット(2)は、電磁ポンプ信号、電磁プローブ信号ならびに試験および基準信号を生成および放射するように構成され、
前記受信ユニット(3)は、前記電磁源ユニット(2)によって生成され、使用中、前記マルチバンドおよびマルチチャネルアンテナ(4)によって捕捉される信号を受信し、振幅および位相を測定するように構成されている、
腫瘍性疾患の非侵襲的診断のための電気医療システム(1)。
【請求項2】
前記電気医療システム(1)は、前記電磁ポンプ信号によって誘発される集合的および協調型の効果と前記電磁プローブ信号の相互作用によって得られる、前記試験および基準信号と位相共役信号との間で干渉する電磁相互作用を分析するように構成されている、請求項1に記載の電気医療システム。
【請求項3】
前記電磁ポンプ信号は、生体組織のパラメトリック励振を引き起こすように構成され、これは特にファラデー不安定性の状態に匹敵している、請求項1または2に記載の電気医療システム。
【請求項4】
前記電磁源ユニット(2)は、ポンプ信号周波数が300MHz~2800MHzの範囲の個別のサブバンドにおいて変化し、前記電磁プローブ信号ならびに前記試験および基準信号の周波数がポンプ周波数の半分に等しくなるように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気医療システム。
【請求項5】
前記電磁源ユニット(2)は、前記電磁ポンプ信号および前記電磁プローブ信号を発生させる高調波発生器を含むことができる、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気医療システム。
【請求項6】
前記電磁源ユニット(2)は、基本周波数で、UHF帯域周波数で、およびその高調波でRF信号を生成するように構成された自由振動子を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気医療システム。
【請求項7】
前記電磁源ユニット(2)が収容されるプローブ(8)を含み、前記プローブ(8)は、手持ち式で検査中の領域をスキャンするために使用されるように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気医療システム。
【請求項8】
前記受信ユニット(3)は、基本周波数で、ならびに第2および第3高調波で前記プローブ(8)によって送信された信号を同時に受信する3つの受信チャネルを含む、請求項7に記載の電気医療システム。
【請求項9】
前記プローブ(8)はまた、電源回路と制御回路と、前記電磁源ユニット(2)の振動子の信号の一部を引き出してこれを光ファイバにおいて送信する高速光ファイバ送信機(19)とを含む、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記受信ユニット(3)は、信号を受信してこれらを空間および時間において相関させるように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記マルチバンドおよびマルチチャネルアンテナ(4)は、独立した分離された素子(7)のアレイというその放射構成によって空間およびスペクトルフィルタとして動作するように構成され、受信された信号の分布をマッピングするために空間に分散している、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記アンテナ(4)は、広帯域で受信し、前記プローブ(8)によって生成される電磁場の測定を可能にするように構成され、所与の距離に位置する表面上の異なる点において検査中の患者の部位または器官と相互作用する双極子素子(7)を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記双極子素子(7)は、受動的広帯域素子もしくは受信された周波数の1つで共振する素子または能動素子である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
各双極子素子(7)によって受信された信号を前記受信ユニット(3)に送信することを可能にするように構成された高絶縁高周波スイッチデバイス(19)をさらに含む、請求項12または13に記載の電気医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、それぞれ、2020年12月24日に、および2021年2月5日に出願された欧州特許出願第20217275.5号および第21155605.5号、ならびに2021年12月23日に出願されたイタリア特許出願第102021000032537号からの優先権を主張するものであり、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は腫瘍性疾患の非侵襲的診断のための電気医療システムに関する。
【背景技術】
【0003】
過去数十年にわたり、生体材料の特性を調査するためにさまざまな技術および関連デバイスが開発されてきた。
【0004】
たとえば、コンピュータ断層撮影を使用すると、身体の連続断面スキャンを通じて三次元画像を生成することが可能である。画像再構成分野における活動の大部分は、X線および他の狭ビーム透過放射線、たとえばガンマ線の使用に基づいている。測定および表示される量は、対象の断面内の各要素体積におけるX線の吸収である。
【0005】
身体の選択された部分に透過放射線を照射して他方の側から放出される量を測定するのではなく、身体内へ注入された特殊な放射性化学物質によって発せられる透過放射線を測定し、放射ビームが通過する領域の画像を生成するという点で、放射断層撮影は透過型断層撮影と異なる。医療調査の場合、X線断層撮影は電離放出の影響により健康上のリスクをもたらす。この分野における研究開発は、身体へ放出される線量を低減するためにますます高感度になるセンサに焦点を当てている。
【0006】
他の画像診断方法は非電離放射線を使用する。超音波装置において、たとえば、高周波超音波パルスが身体へ伝達され、反射したパルス(エコーデータ)によって組織の形状の画像が再構成される。この技術は非電離放射線を使用するが、いくつかの欠点があり、主な欠点は、エコーデータにかなりのノイズが含まれることが多く、定義が限定されているため、その可能な適用が制限されることである。
【0007】
生体材料の電気的特性をマッピングするための補完的な技術は、微弱電流またはマイクロ波断層撮影技術を使用するインピーダンス分析に関連している。最近の発展にもかかわらず、これらの技術も超音波法と同じ欠点を抱えている。生体電気マッピング法は主に、生体材料の誘電率および導電率の調査に基づいている。
【0008】
導電率は、感知コイルによって、以前に安定した平衡システムに生じた不均衡の量に応じて異なる無線周波数で取得した測定値から得ることができる。いくつかの診断装置は、乳房組織の電気定数および導電率の変化を測定することによって機能する。標的組織または材料に電磁放射線を照射すること、そして主にアビオニクスおよび地上レーダシステム用に開発された技術を使用して、散乱した電磁放射線を検出して、標的の構造的特性を(時間および/または周波数領域において)抽出することも可能である。
【0009】
診断分野において、いくつかの装置は、一次電磁励起に応じて刺激される蛍光放射線も利用する。
【0010】
別のクラスの診断技術は、核磁気共鳴(NMR)に基づくシステムを指す。NMRデバイスは、原子核、通常は単一の陽子または水素原子核が、小さな核運動量および関連するスピン角運動量を有するという事実を利用する。磁気およびスピン運動量の複合効果により、印加された磁場の方向において原子核に歳差運動が生じる。NMRにおいて検査中のサンプルに磁気勾配が適用され、原子核は静磁場の方向に整列する傾向があり、サンプルの質量磁化が生じる。さらなるパルスを次いで使用して磁化を乱すと、スピン格子緩和時間に基づいて再分極が起こる。ラーモア周波数として知られる歳差運動周波数は通常10~100MHzの間で検出され、これには高強度磁場(0.2~2.5テスラ)の印加が要求される。これがこの技術の最大の限界である。
【0011】
光子と音子の結合を使用すると、パルス化されたEMエネルギーが生体組織によって吸収されるとき、衝撃エネルギーの一部が音響エネルギーに変換されることが知られている。この情報を分析して検査中の生体組織の画像を再構成するいくつかの装置が開発されてきた。吸収は、検査中の材料を励起するために選択された誘電率、導電率および高周波と相関している。
【0012】
上述の簡潔かつ非網羅的なレビューにおいて、報告されたすべての技術は、検査中の生物学的標的の特定の物理的応答を調査する能力を特徴としている。物理的応答は通常、検査中のシステムのエントロピーの増加を犠牲にして取得および測定される。この副作用は、検出装置によって発せられるエネルギー(X線、静磁場、電磁場など)に検査中のサンプルが曝露されることから発生する。いくつかの場合において根本的な臨界性も現れ、たとえばNMRにおいて、エントロピーがさらに増加すると、潜在的に重要な顕微鏡情報を得る能力が低減またはさらには打ち消しされる可能性がある。これは核四重極共鳴の場合に知られており、これはNMRデバイスの高い静磁場によって打ち消される。
【0013】
生体電気特性
生体組織における電気的特性の発見は、周波数約20KHzの電磁(EM)波によって照射されたとき、腫瘍の誘電特性が健康な組織のものと大きく異なることが認識された1926年に遡る[1]。特に、そして興味深いことに、フリッケおよびモールスは、悪性腫瘍が良性病変または健康な組織と比較してかなり高い電気容量を有することを発見した。彼らはこれらの生体系の分極効果を報告し、腫瘍の中心(最も古い)部分は、活発に成長している縁部と比較して電気容量が低い(容量は患者の年齢とともに減少する)ことに注目した。
【0014】
生体組織のフリッケモールスモデルのパラメータの推定は生体インピーダンスデータの処理および分析に広く使用されている。より最近の研究では、細胞の誘電特性はその種類および生理学的状態に依存することが確認されており、MDA-231ヒト乳がん細胞は、たとえば、安静時のTリンパ球について観察された11mF/m2の値とは対照的に、26mF/m2の原形質膜の平均比容量を有する[2]。
【0015】
このトピックに関する結果の長いレビューには着手せずに、適切に調節されたEM信号はチューブリンタンパク質の自己集合を誘発することができるが、EMポンピングがない場合の微小管の自発的な成長には効果が観察されないという最近の観察[3]のみを引用する(タンパク質が機械的に折り畳まれてその構造が電磁的に振動する周波数間隔が測定されている[4]におけるライブビジュアライゼーション参照)。同様に興味深いのは、不均一電場(140MHzまでの回転周波数の)をサンプルに印加することによって達成される、血液からの腫瘍細胞の誘電泳動分離[2]である。
【0016】
両方の上の例は特に、生体系において、印加された電磁場とこの生体系が相互作用するとき、非熱効果が起こるという事実を示している。一連の長い実験的および理論的研究はまた、細胞は振動電場にさらされると電気的に分極し、これによりしたがって生体系に分極(双極子)振動が誘発されるという結論につながっている。
【0017】
関連する科学文献を認識するため、細胞の誘電特性は、細胞表面の形態、細胞の寸法および他の生化学的要因によって決定されることもここで報告される。これらの効果は、[2]において参照されている特定の誘電体モデルに(実際の値の10%以内、90%の信頼水準で)含めることができる。
【0018】
したがって、適切な境界条件で、生体疾患の問題を、探索用電磁場が浸透している媒体(身体)に対する異方性として分析することができる。
【0019】
実際、生きている組織を形成する細胞はギャップ結合接触によって伝達され、これは細胞間のイオンおよび他のシグナリング分子の通過を可能にする。これにより細胞間の電気的接続が確立される。生体膜は高レベルの分子統合を備えたシステムを形成し、互いに相互作用する、化学、脂質、構造タンパク質および酵素成分が結合して基本的で統一的な構造を形成する。
【0020】
罹患組織の細胞、特に腫瘍細胞は、異なる形態の異型(代謝的、生化学的および協調的挙動)を特徴とし、細胞内小胞のレベルおよび細胞表面のレベルの両方において、病原性膜の変化がこれに関与している。表面は通常、静電荷に富んでおり、これは相互引力または斥力を決定する。組織細胞は、糖タンパク質結合物質の存在および細胞間に架け橋を形成する表面電荷を中和するイオンの作用の両方により、互いに引き付け合い、粘着性を留める。すべての細胞は電気陰性の表面を示す。腫瘍細胞において、細胞表面の電気陰性度が増加し、これはシアル酸の増加に関係している。電気陰性度はカルシウムイオンによって打ち消されることはなく、その重要性は接着においてよく知られている。腫瘍において、細胞外カルシウム含有量が減少し、接着を促進することができない。
【0021】
接着性に加えて、細胞におけるタンパク質の基本的な役割にも言及すべきである。実際、これらの仕事は膜の二重脂質層を形成および維持することであり、その中でこれらは脂質層の流動性に応じて、並進または回転によって移動が自由である。この特性は腫瘍の場合において著しく変化する。
【0022】
腫瘍細胞の研究および理解のために新たな標的を見つけることは、現在の医学研究における最大の課題の1つである。特に、腫瘍が進行傾向にあるか寛解傾向にあるかを予測することは非常に重要な優先事項である。この目的のため、治療の開始前後の腫瘍細胞の挙動を予測するさまざまなアプローチが試みられてきた。
【0023】
考慮すべきもう1つの重要な点は、間違いなく、腫瘍の進行中、細胞の巨視的構造および粘弾性だけでなく、これらの内部の微視的ダイナミクスにも変化が起こるということである。これは、細胞の形態および充填の変化が、小器官、水および他の生体分子が移動することができる経路に自然に影響を与えるために起こる。不思議なことに、この考えが定着し、細胞には主に水分子が含まれているという事実にもかかわらず、細胞内および細胞外の水の特性に焦点を当て、これらを腫瘍細胞の挙動に関連させる研究がほとんどなかった。
【0024】
細胞培地の性質を考慮すると、水の特徴および特性の変化は単一または個別の移動の種類と相関している可能性があり、この区別は、異なる予後を伴って細胞内で水のダイナミクスがどのように、そしてなぜ変化するのかを説明する鍵となり得る[5]。考えられる違いは、複雑な細胞環境内で水が相互作用し得る異なる方法に遡ることができる。弱く相互作用する水分子は自由水と同様の挙動を示し、37℃で約3×10-9m2/sの散乱係数で散乱するが、たとえば、折り畳まれたタンパク質、細胞膜および小器官によって閉じ込められた水分子は、その移動度したがって効果的な散乱が制限されているため、異なる特性を示す[6]。
【0025】
散乱係数の変化は、電磁場に曝露されたときの組織の反応にも重大な影響を与える可能性があり、細胞の予後が異なるにつれて電磁相互作用の現象がどのように異なるかを説明し、したがって特定の情報伝達のための新たな手段を表す可能性がある。
【0026】
一般に、細胞膜レベルでは、次のような異なる事象が知られている。
・接触による抑制の喪失、
・粘着性の減少、
・移動性の増加、
・結合水の存在の増加。
【0027】
これらの現象は、疾患の発症により、細胞交換ダイナミクスに関与する電子電荷およびイオン電荷に関して新たな自由度が生じるという結論につながる。
【0028】
さらに、腫瘍からの細胞の剥離および腫瘍細胞の骨との結合は、細胞間接着および細胞基質接着、腫瘍に定量化可能な生物物理学的特性を与える属性によって強く影響される。これらの特性は、腫瘍の弾性(印加された応力に応じて変形する腫瘍の能力の測定値)、腫瘍の粘度(腫瘍内の細胞運動性の指標)および腫瘍の密集度(細胞間接着および細胞基質接着の動的かつ複雑な発現)である。これらの現象は、腫瘍の悪性進行に伴う生物物理学的および生体分子的変化を調査するために不可欠である。
【0029】
癌の存在のマーカとして、さまざまな接着因子が研究されてきた。
【0030】
例として、グリコサミノグリカンであるヒアルロン酸(HA)は細胞の接着および移動を調節する。エンドグリコシダーゼであるヒアルロニダーゼ(HAase)はHAを小さな血管新生フラグメントに分解する。酵素結合免疫吸着法と同様のアッセイを使用すると、正常組織(NAP)および良性組織(BPH)と比較して前立腺癌組織(CaP)においてHAレベルの増加(3~8倍)が見られた[7]。前立腺組織におけるHAの大部分(75~80%)は遊離型で見られた。初代CaP線維芽細胞および上皮細胞はそれぞれのNAPおよびBP培養物より3~8倍多くのHAを分泌する。CaP上皮細胞および確立されたCaP株のみがHAasiを分泌し、その分泌は腫瘍の段階および転移とともに増加した。
【0031】
HAおよびHYAL1の発現の間質および上皮パターンがCaP組織において観察された。腫瘍に関連する間質において高いHAの発色が観察されたが、腫瘍細胞におけるHYAL1の発色は腫瘍の段階および転移とともに増加した。
【0032】
より高い、または中間の分子量のHAはすべての組織において見つかったが、HAフラグメントはCaP組織においてのみ見つかった。特に、高レベルのHAおよびHYAL1を示した高品質のCaP組織は血管新生HAのフラグメントを含有していた。HAおよびHYAL1の間質上皮発現はCaPにおける血管新生を促進することができ、電磁相互作用のための荷電ベクトルとして機能することができる。
【0033】
明らかに、病的状態(回転運動、イオン流)において典型的な、これらの利用可能な電荷のより大きな移動の自由を利用して、電磁相互作用によって組織の生物物理学的状態を調査することができる。
【0034】
電磁場によって照射されると、水およびタンパク質のような分子は場の分極に沿って線を形成して双極子の位置エネルギーを最小化しようとする。
【0035】
分光分析から、高分子に結合した水分子の回転運動は100~1000MHzの周波数において共鳴しており、これを利用して高情報量の信号を提供することもできる。その信号の強度が極端に弱いため、技術的な問題はその変換にある。
【0036】
従来の生物学は主に、生体材料の微細構造、すなわち物理化学的概念によって提供される分子生物学または微生物学におけるような細胞または分子構造に基づいているが、生体材料は最近では電磁気の集合体および複雑な電気ネットワークシステムとして認識されてきた。したがって、さまざまな新たな機械的、電磁的および電気力学的効果が、最新の文献において、また累積的に、生体材料自体の電気的特性および機能だけでなく、協同効果を考慮したコヒーレントな全体としての生体材料と外部電磁場の相互作用についても説明されている。
【0037】
物理世界において、材料の構造および特性は、ミクロ構造についての粒子(原子、分子および/または素粒子)およびマクロ構造についての連続体(媒体または流体)の説明という、2つの方法で説明することができる。同様に、生体材料の構造および特性も、ミクロ構造についての細胞、分子および基本的な「生物学的に閉じた電気回路」での説明、およびマクロ構造についての連続体(流体)の説明という、2つの方法で説明することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
したがって、腫瘍性疾患を判定する非侵襲的診断の必要性がこの分野において感じられている。
【0039】
本発明の目的は、腫瘍性疾患の非侵襲的診断のための電気医療システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲において特許請求されたような電気医療システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図2】W<<ω
0のときの遅い外部振動(周波数Wおよび力F
0)と急速な内部振動(周波数ω
0)との間の競合を示す図である。F. Kaiser [9]によると、W<<ω
0およびF
0が方向abcdefに成長すれば、照射されたシステムの内部振動は、外部周波数と同期するまで徐々にその周波数を低減する必要がある。フェーズb-c-d-eは振動の乱れの一時的な瞬間を表す。
【
図3】外部振動の周波数が内部システムの周波数にほぼ等しい(λ≒ω
0)場合(グラフA)を示す図であり、一定の外部放射時間の後、内部振動の振幅ジャンプが共振によって得られ、同じ周波数を保存する。λ<<ω
0であれば、一定時間後にシステムは周波数λおよびより低い振幅で振動する(グラフB)。
【
図4】位相共役鏡の現象を示した図であり、説明した効果を得るために、ポンプ波と呼ばれる、両方向から来る2つの波が非線形媒体上に放射される。第3の(プローブ)信号波が媒体上で送信されると、これは、信号に対して時間反転した逆伝播する第4の波(アイドラ)を生成する。
【
図6】
図5の電気医療システムの源ユニットのビームの機能的構成を概略的に示す図である。
【
図7】パラメトリック不安定性の形成が組織の錯綜配列の状態に依存することを概略的に示す図である。
【
図8】健康な組織の場合における、受信されたフィールドマップによって
図5のシステムの受信ユニットによって検出されるような恒常性の状態の、
図5のシステムのアンテナへの伝達を示す図である。
【
図9】罹患組織の場合における、受信されたフィールドマップによって
図5のシステムの受信ユニットによって検出されるような恒常性の状態の、
図5のシステムのアンテナへの伝達を示す図である。
【
図10】
図5の電気医療システムの受信ユニットの回路ブロック図である。
【
図11】単一帯域上の受信チェーンのアーキテクチャを示す図である。
【
図12】アンテナアレイの構成を概略的に示す図である。
【
図13】
図5の電気医療システムのプローブの回路ブロック図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、本発明を、当業者がこれを製造してこれを使用することが可能になるように、添付の図面を参照して詳細に説明する。記載された実施形態に対するさまざまな修正形態が当業者には直ちに明らかであり、記載された一般原理は、添付の特許請求の範囲において定義されるような、本発明の範囲からこれによって逸脱することなく他の実施形態および用途に適用することができる。したがって、本発明は、記載および図示した実施形態に限定されるものと考えてはならず、記載および特許請求された特徴にしたがって最も広い範囲を与えられねばならない。
【0043】
他の方法で定義されていない場合、ここで使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明に関連する分野における通常の経験者によって一般的に使用されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合には、提供された定義を含む、本説明が拘束力を持つことになる。さらに、これらの例は純粋に説明を目的として提供されており、したがって限定するものとみなしてはならない。
【0044】
特に、以下に添付および説明する図に含まれるブロック図は、構造的特徴、すなわち構造上の限定を表すものとして理解されるのではなく、機能的特徴、すなわち、デバイスの固有の特性を表すものとして解釈され、得られる効果、すなわち機能的限定およびさまざまな方法で実装され、したがってたとえばその機能性(機能の可能性)を保護することができるものによって定義されねばならない。
【0045】
本明細書で説明する実施形態の理解を容易にするために、いくつかの特定の実施形態を参照し、特定の言語を使用してこれを説明することになる。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明の範囲を限定するように意図されるものではない。
【0046】
同期
本明細書の新たな抽出方法の主題は、非侵襲的な電磁的手段によって、そして電離放射線を使用せずに、生体組織の状態の理解および分析に有用な情報を得ることを目的としており、上の導入的前提を考慮して、「同期」という現象のみではないが、これにも言及する。
【0047】
同期の歴史は、オランダの科学者クリスティアン・ホイヘンスが、振動機械結合によって互いに同期する、発明したばかりの2つの振り子時計の挙動に関する観察を報告した17世紀に遡る。この発明は計時精度を大幅に向上させ、経度判定の問題に取り組むのに役立った。
【0048】
19世紀半ば、その著書「The Theory of Sound」においてレイリー卿は音響システムの同期という興味深い現象を説明している。「同じピッチの2本のオルガンパイプを並べると、複雑さが発生し、これにより頻繁に実際に問題が発生する。極端な場合において、パイプは互いに減少して沈黙する可能性がある。たとえ相互影響が中程度であっても、避けられない小さな違いにもかかわらず、パイプが完全に調和して演奏するまでに至ることがある。」したがって、レイリーは、異なるが同様の2つのパイプが調和して演奏し始めるときの相互同期だけでなく、結合が相互作用するシステムの振動の抑制を引き起こすときの振動の減衰の相関効果も観察した。
【0049】
多くの自然状況において、いくつかの振動子間に相互作用が存在する。2つの振動子(機械式かどうかに関係なく)がそのリズムを変更することができれば、多数のシステムもまたそうすることができる。
【0050】
考えられるさまざまな動的システムおよび振動子間の結合配置から離れて、相互作用する振動子の群の全体的な挙動の重要な側面は、システム間の結合の強度が臨界しきい値を超えたときの、無秩序な状態から同期の状況(より秩序のある状態)への移行である。Kuramotoモデル[8]は、相互作用する振動子の群のダイナミクスの簡略化された説明を構成しており、同期の誕生および維持のメカニズムが説明されている。
【0051】
そのオリジナルバージョンにおいて、これは、確率密度g(ω)にしたがって分布し、位相差の正弦に比例して結合された固有振動数ωiを有する位相θi(t)を備えたN個の振動子の母集団として提示する。
【0052】
【0053】
係数1/Nは、熱力学的限界N→∞におけるモデルの良好な挙動を保証する一方、Kは結合強度を表す。明らかに、K=0では振動子はその固有振動数、ωiにしたがってそれぞれ進化する。
【0054】
この等式はしたがって任意のトポロジ上で結合された振動子の母集団のダイナミクスを説明する。これは、たとえば、配電ネットワークのダイナミクスの、またはさまざまなレベルで相互作用する生体系のモデルとして使用される。
【0055】
本発明は、その動作帯域(すなわち自由)において周波数がアジャイルである、能動振動子が、検査されるべき生体材料の一体部分を形成する多かれ少なかれ複雑な振動子の群に対して能動刺激として作用する電子的アーキテクチャの利用可能性に基づいている。能動振動子の動作帯域は、同期されるべき振動子の特定の特性周波数ωiに比例するものとする。能動振動子と相互作用する振動子との間の結合ベクトルは刺激の電磁場からなる。
【0056】
方法および装置が正しく機能するために最も重要な側面の1つは、次の両方を使用することである。
(i)刺激振動子周波数と生体振動子周波数との間の対応する周波数帯域、
(ii)実験的に較正することができ、したがって同期現象を以下に説明する干渉モードに変換可能にする、結合係数K。
【0057】
結合ベクトルが電磁場であるべきであれば、ネットワークの振動素子は、たとえば能動振動子の刺激場と相互作用する特権を有さねばならないことも明らかである。実際、場は主に生体分子構造に属するイオン電荷および双極子モーメントに作用することになる。
【0058】
能動源は、能動的外部源および振動子の受動的ネットワークで形成された結合システムを説明する全体的な固有状態のエネルギーの最小化の原理に関連した、特定の結合パターンを作成するために生体媒質の基本構成要素と相互作用するために自由でなければならない。
【0059】
以下では、刺激(ポンプ)条件中、振動材料がプローブ場に対して非常に特殊な方法で挙動することがわかる。
【0060】
刺激場によって同期された、生体振動子の集団的挙動の周波数における説明(
図1も参照)は、F. Kaiserの理論[9]によって示されている。組織の集団的運動はω
0の振動周波数を有すると仮説的に定義される。非電離放射線と生体材料との間の相互作用モデルにおいて、Kaiserは、照射された生体系の低周波外部電磁振動(低速振動)と高周波内部振動(急速振動)との間で起こり得る競合相互作用、ならびに外部振動周波数W、内部振動周波数ω
0および外部振動の力F
0によって支配される相互作用を考察している(
図2参照)。
【0061】
周波数ω0の内部振動が、力F0および、ω0よりはるかに低い周波数Wでの外部振動によって乱されると、F0の増加に伴って内部振動は完全に同期されるまで一連の準周期的かつ不規則または非周期的な状態になることが示されている。このとき、内部振動は、外側から設定された新たな周波数Wとその本来の周波数を同期させており、一定の振幅F0で振動する。この現象はWおよびF0に大いに依存する。
【0062】
外部で設定されたWおよびF
0という新たな値と内部振動の完全な同期のために必要な時間tの間、内部振動現象が準周期的および非周期的状態に達する瞬間があることが留意されるべきである。同期プロセスの最後で、内部振動の周波数および強度が外部で設定された値に安定したとき、外部放射が作用した分子プロセスが規則正しく、しかし新たな周波数および強度の値で継続するという意味で、新たな振動秩序に達する(
図2における例を参照)。
【0063】
F. Kaiserのモデルにおいて外部振動と内部振動との間に他の相互作用の可能性がある(
図3のグラフA)。外部振動の周波数Wが内部振動プロセスの周波数ω
0に等しければ、一定の外部刺激時間の後、振幅ジャンプが内部振動にあることになるが、これは同じ周波数を維持する(共鳴励起)。他方、周波数Wが周波数ω
0よりはるかに低ければ、時間tの後、振幅および周波数Wがより低い振動にジャンプすることになる(
図3のグラフB)。
【0064】
動作原理:生体位相共役
非線形プロセスおよびパラメトリックプロセスは複雑な環境における波の伝播モードにおける中心である。これらは高周波光学および音響における多くの用途の中心にある。
【0065】
光学の場合、四光波混合のようなプロセスを通じて位相共役を生成し、「位相共役鏡」(
図4参照)を作成する可能性がよく知られている。単色源点が光学的非線形結晶を通して波を発すると、位相共役鏡は逆伝播する波を生成し、これは光源と同じ位置に再集中する。この挙動は、これらの条件下で結晶がどのように時間反転装置のように挙動するかを示している。
【0066】
ポンプ波の効果は、使用される信号の2倍の周波数での屈折率の時間変調と同等であるということに留意することが重要である。
【0067】
最近、ファラデー不安定性の誘導を通じて液体中の音波上の位相共役を得る可能性[10]が発見および実証された。この場合、ポンピングは1つの単一の振動源で機械的に行われ、これは重力と競合するように液体を振動させる。
【0068】
この文書は、電磁ポンプ刺激を受けたとき、位相共役鏡のように挙動する生体媒質の能力を開示している。
【0069】
細胞外空間において、多くのイオンが溶けている大量の水がある。外部ポンピング場の周波数が、異なる符号が両方向に加速されるという事実によって引き起こされる、電荷異方性(正イオンの負イオンからの分離)を引き起こすとき、何らかの方法で空間異方性を再吸収しようとする強い局所静電力が生成される。
【0070】
高周波振動は、正イオンと負イオンとの間の分離がもはや無視できない場合、プラズマ振動と同様の、局所誘電率の時空変調を生体媒質において引き起こす。
【0071】
本発明の場合、腫瘍性疾患の非侵襲的診断のための電気医療システム1が、生体媒質(すなわち患者)において位相共役を活性化するために使用される。
【0072】
生体媒質において位相共役を活性化するステップはしたがって次のとおりである。
a)電磁ポンプ信号が、特に周波数アジリティを備えた振動子によって活性化され、これは好ましくは、必須ではないが、300MHz~2800MHz、たとえば、必須ではないが、900MHz~960MHz、1800MHz~1920MHzのような範囲の個別のサブバンドにおいて変化し得る。電磁ポンプ信号は受動的な生体振動子(電荷)のための活性化駆動刺激として作用する。結合ベクトルは、主に長手方向の場成分上の、これに接続された放射圧による電磁場である。刺激周波数は、生体振動子の可能な振動のものに近くなければならない(通常、必須ではないが、公称周波数値の20%)。
b)数秒から30秒まで変化し得る、予備刺激期間の後、生体媒質の基本振動子は、共鳴し、同期したコヒーレントな状態に入る。
c)媒質の同期したコヒーレントな構造は、刺激期間の2倍に等しい期間で、誘電率の時空間変調を提示する。
【0073】
電磁ポンプ信号は、本発明において、ファラデー不安定性の状態に匹敵する生体組織のパラメトリック励振を構成する。組織がその恒常性の状態の外側にあれば、刺激の周期的な振動により、液体界面についてのファラデー不安定性のように、そのコヒーレントな不安定化が引き起こされる(たとえば
図7参照)。この不安定性は、生体媒質に当たる第2の電磁プローブ信号とこれを相互作用させることによって検出することができる。
【0074】
電磁プローブ信号の周波数が、電磁ポンプ信号の周波数の半分に等しい、誘電透過率の変調周波数に等しければ、関与する信号の相互作用により、時間においても波数ベクトルにおいても反転して、応答してアイドラビームが生じる。
【0075】
したがって、電磁ポンプ信号によって同期される、無秩序な状態にある、したがって恒常性から程遠い生体材料が、第2の入射ビームに対して位相共役鏡のように作用し、時間においても伝播方向においても反転した第3の応答ビームを生じさせるということを開示してきた。
【0076】
応答波は任意の最初の発生源に再集中するため、逆の非侵襲的な手順にしたがって、検査中の材料の特定の特性、すなわち非恒常性の状態にあるものの外部評価および測定が可能になる。
【0077】
方法およびシステム
腫瘍細胞膜は、正常組織と比較して、異なる電気化学的特性および異なる電荷分布を有することがよく知られている[11]。腫瘍新形成が存在する組織の恒常性は完全に失われているため、本発明の方法および電気医療システム1によってこれを分析することが可能である。
【0078】
図7、
図8および
図9は、本発明による方法および電気医療システム1の適用中に得られる異なる結果を概略的に示す。
【0079】
健康な細胞と比較した多くの変化の中でも、腫瘍細胞は正常細胞より低いカリウム濃度および高いナトリウムおよび(とりわけ)水の含有量を有する[12~14]。結果的に、癌細胞はより大きな誘電率を示し、外部電磁場が印加されると、正常細胞とは異なる相互作用をする。この特性は、探索用電磁場(マイクロ波断層撮影)を使用する従来の撮像システムによって利用されている。
【0080】
本発明は、電波断層撮影の原理を使用しない。
【0081】
上述の方法を適用するための電気医療システム1は本質的に、互いに適切に接続された(
図5参照)、電磁源ユニット2、受信ユニット3、マルチバンドおよびマルチチャネルアンテナ4、およびデータを処理するためのコンピュータ(処理ユニット5)上にインストールされたソフトウェアからなる。
【0082】
換言すれば、電磁源ユニット2、受信ユニット3、マルチバンドおよびマルチチャネルアンテナ4、およびデータ処理ソフトウェアを備えた処理ユニット5を含む、腫瘍性疾患の非侵襲的診断のための電気医療システム1が記載されている。
【0083】
電磁源ユニット2は電気医療システム1の能動的な生成および送信部分を形成する。電磁源ユニット2は、電磁ポンプ、プローブならびに試験および基準信号を生成および放射するように構成されている。
【0084】
特に、適切な構成によれば、信号は物理的に別個の無線周波数アンテナおよび発生器によって発出することができ、または信号放射および/または生成部分は共有することができる。電磁源ユニット2はいくつかのスペクトルおよび空間場成分を生じさせ、これらは特定の役割および機能を有する。放射特性の観点において、近接場成分は生体ネットワークの振動子と本質的に反応的に作用し、ポンプ刺激として作用する。ポンピングを受ける材料と相互作用する、放射場(プローブ場)成分は、振動材料と電磁的に相互作用し、電磁ポンプ信号との相互作用によってコヒーレントな動きを開始する。
【0085】
特に、電磁源ユニット2は、電磁ポンプ信号および電磁プローブ信号をそれぞれ発出するポンプアンテナおよびプローブアンテナを含むことができる。
【0086】
最良のポンプ同期周波数を探索する適応技術を実装するために、通常は連続波(CW)で、放射信号上に任意の変調を重畳することができる。電磁ポンプ信号の周波数は好ましくは、必須ではないが、300MHz~2800MHzの範囲の個別のサブバンドにおいて変化し得る。プローブ周波数はポンプ周波数の半分に等しいため、プローブならびに試験および基準電磁信号の周波数は結果的に上の帯域に束縛されることになる。
【0087】
いくつかの帯域上で同時に効果的にスキャニングを得るために、(電磁源ユニット2の)高調波発生器を使用することができ、さまざまな基本および高調波帯域がポンプおよびプローブの役割を有することができ、また交換可能である。
【0088】
換言すれば、電磁源ユニット2は、電磁ポンプ信号および電磁プローブ信号を発生させる高調波発生器を含むことができる。
【0089】
信号生成は周波数アジリティを保証せねばならず、これはポンプ源と生体振動子との間の周波数の分離の機能である。通常、受動的生体振動子の周波数に同調および同期するには、公称周波数値に対して20%の値が要求される。この周波数アジリティは、自由振動子によって、またはアナログおよび/またはデジタル技術を通じて制御される周波数におけるスキャンによって得ることができる。
【0090】
生体組織との接触の領域において送信される信号の振幅は好ましくは、必須ではないが、2V/m~20V/mの範囲にある。このレベルの振幅は同期パラメータとして使用することができる。同期は非線形現象に関連している。
【0091】
さらなる詳細において、電磁源ユニット2は、特に電磁ポンプ信号および電磁プローブ信号を発出するアンテナを含む。
【0092】
好ましくは、電磁源ユニット2のアンテナは、-20dBの反射損失に等しい、正確な放射レベルを可能にするために、使用帯域においてインピーダンス整合を有する。
【0093】
受信ユニット3は、マルチバンドおよびマルチチャネルアンテナ4によって捕捉された、電磁源ユニット2によって生成された信号を受信して振幅および位相を測定するように構成されている。
【0094】
マルチバンドおよびマルチチャネルアンテナ4は、たとえば受信された場の分布をマッピングするように、空間に適切に分散した、独立した分離された素子のアレイというその放射構成によって空間およびスペクトルフィルタとして動作する。
【0095】
(電気医療システム1の)光ファイバリンク6が電磁源ユニット2を受信ユニット3の局部振動子に接続し、これにより振幅および位相の点でコヒーレントな場の受信が可能になる。コマンドおよび制御信号も受信ユニット3と電磁源ユニット2との間の光ファイバ6上を移動する。
【0096】
受信ユニット3は、空間および時間において自身を相関させる信号の受信、および必要であれば上記信号の復調を可能にせねばならない。試験および基準信号の変調は電磁源ユニット2によって意図的に与えることができるが、試験および基準信号に重畳され、生体媒質、つまり組織の恒常性の秩序または無秩序の状態に関する情報のキャリア内の振動力学を示唆するマイクロドップラー現象のような現象に関連付けることもできる。重畳された変調の分析は、同期した生体振動子を構成する主要な生体分子集合体(タンパク質、結合水、イオンなど)のいかなる同定にも重要であると考えられている。
【0097】
マルチチャネルおよびマルチ周波数の受信はすべてのチャネル上でリアルタイムかつ同時に行わねばならず、または、スイッチングシステムが使用されれば、読み取りのための待ち時間が、受信されるべき信号の物理的な変化に対して無視できるものとなるように、スイッチングは、信号の位相および振幅の空間マッピングを可能にするように十分に高速でなければならない。結果的に、信号のスイッチングおよび読み取りは、各測定フレームについて全体の周期が0.04秒未満で実行されねばならない。
【0098】
コンピュータ(処理ユニット5)は、ソフトウェアによって、受信ユニット3によって測定された信号の振幅をリアルタイムで画面上に表示することを可能にする。
【0099】
恒常性の状態の診断は、生体位相共役メカニズムにより、検出された干渉の測定によって上記状態の存在を示す信号に基づいて実行される。さまざまな信号の分析を組み合わせた適切な選択ルールおよびアルゴリズムは、重大なしきい値および干渉レベルを識別するための基本である。この概念は
図8および
図9にも概略的に示されている。
【0100】
電気医療システム1の論理は、電磁ポンプ信号によって誘発される集合的および協調型の効果と電磁プローブ信号の相互作用から得られる、試験および基準信号と位相共役信号との間の干渉電磁相互作用に基づいている。
【0101】
この電気医療システム1の送信機から来るコヒーレントな放射ビームは、生体系におけるエネルギーの輸送を伝えるように双極子共鳴振動を局所的に励起する。
【0102】
腫瘍代謝の場合、ポンプ信号に対する非恒常性の状態におけるDNA、タンパク質および膜の弾性振動と双極子振動の非線形結合により、パラメトリックファラデー不安定性の状態へのシステムの移行が起こる(
図7も参照)。
【0103】
本発明の放射線の作用下で、誘導されたパラメトリック不安定性は生体位相共役鏡のように挙動し、その活性化は、アンテナ4から受信された場のマッピングによって同定および定量化される(
図7も参照)。変化した生体状態の診断および予後分化レベルも定義する、上記状態の診断はしたがって、疾患と検出された場の分布との間の相関位相による単純かつ即時のプロセスである。
【0104】
受信ユニット3は独立したアンテナのアレイに接続されており、これらは、その配置で、電磁源ユニット2の場の生体組織との相互作用から来る、入射波面の分析的再構成を可能にする。ホログラフィックアルゴリズムにより、組織の健康状態に関する定性情報をディスプレイ15上にリアルタイムでグラフィック表示することが可能になり、上記情報は次いで後続の後処理フェーズによって定量化され、既に保存されている実験データのデータベース上で相関され得る。機械学習および分類のフェーズは後処理サブシステムの一部である。
【0105】
この方法およびシステムの非限定的な適用例として、前立腺組織の恒常性に関する情報を抽出するための本発明による手順を説明する。
【0106】
検査は非侵襲的であるため、副作用のリスクなく患者に直接実行することができる。患者は、アンテナ4のアレイの前に、これから110~160センチメートルの距離で立つ。
図5の構成のように、電磁源ユニット2および受信ユニット3に関連するすべての受信および送信デバイスが接続および起動されると、電磁ポンプ信号を放射する(電磁源ユニット2の)ポンプアンテナが前立腺器官の近くに配置される。ポンプアンテナは、超音波検査に使用されるような、解剖学的窓の領域に配置せねばならず、これを通じて刺激信号が検査中の臓器の組織に到達することができる。前立腺の場合、使用することができる解剖学的窓は会陰および恥骨上の領域である。電磁プローブ信号を生じさせる源(アンテナ)も同じ解剖学的窓に配置される。電磁プローブ信号は、前の段落で説明したとおりに組織と相互作用する。
図5および
図12の図にあるように、アンテナ4のアレイは干渉信号を受信する。器官は、きつい衣服を通してではあるが、表皮にできるだけ接触した状態で、源(プローブ8)を移動させ、上記源を体の軸に対して回転移動させることによって探索される。
【0107】
アレイから受信した波面の表現は、刺激された組織内で得られた位相共役レベルの測定値を表す。
【0108】
システム
腫瘍性疾患の非侵襲的診断のための電気医療システム1は本質的に、既に説明したように、適切に互いに接続されて相互作用する、電磁源ユニット2、受信ユニット3、マルチバンドおよびマルチチャネルアンテナ、およびデータ処理のためのコンピュータ(処理ユニット5)上にインストールされたソフトウェアから構成される。
【0109】
電磁源ユニット2はシステムの能動的な生成および送信部分を形成し、このユニットから、ポンプ、プローブならびに試験および基準信号が生成および放射される。
【0110】
本実装形態において、電磁源ユニット2はハンドピース(プローブ8)に収容されており、これを手に保持して検査中の領域をスキャンするために使用することができる。特に、プローブ8は、スキャン中に検査中の患者の領域に接触して配置されるように構成されている。
【0111】
電磁源ユニット2は、基本周波数で、UHF帯域周波数で、およびその高調波でRF信号を生成することができる自由振動子9を含む。ハンドピース(プローブ8)は、(比較的高容量のリチウムバッテリ10を備えた)電源回路および制御回路(たとえば、振動子の正しい動作およびバッテリ充電状態を監視する)に加えて、高速光ファイバ送信機19も含み、高速光ファイバ送信機は振動子9の信号の一部を取り出してこれを光ファイバ6において送信する。プローブ8は、5Vの外部電源11(たとえば、標準USB)を使用してリチウムバッテリの充電を管理するための回路も含む。特に、プローブ8はまたバッテリ充電器17も含む。
【0112】
ハンドピース上(プローブ8上)には、A、B、C、Dの4つの制御ボタン12がある。キーの押下は、どのキーが押下されたかに関する情報とともに通知されねばならず、この目的のためにファイバ上の光キャリアを可能にする回線が使用されることになる。「キー押下」事象および「キー番号」の情報は光信号のコード化された変調によって送信される。この変調信号はプローブ8の動作状態およびバッテリ充電レベルに関する他の情報も送信することができる。
【0113】
受信ユニット3は、基本周波数で、および第2および第3高調波でプローブ8によって送信された信号を同時に受信する3つの受信チャネル21を含む。各受信チャネル21は、増幅器13、無線周波数フィルタ14、および出力にローパスフィルタを備えたI/Qミキサを含み、送信された信号に対して受信された信号の同相の、および直角位相の成分を受信し、したがって振幅および位相の測定が可能になる。
【0114】
局部振動子信号は、プローブ8から光ファイバ6を介して受信される試験および基準信号から始まり、受信チャネル21のそれぞれについて、適切な増幅器13およびフィルタ14(基本周波数F1)およびまた乗算器x2(周波数F2)およびx3(周波数F3)によって生成される。このように、受信される信号および局部振動子信号は本質的に同じ周波数であり、I/Qミキサの出力は、受信された信号と基準信号との間の位相差の正弦波および余弦波によってそれぞれ乗算された、受信された信号の振幅に比例する直流電圧によって表される。
【0115】
測定周波数に非常に近い周波数でも存在するいかなる帯域外乱も、I/Qミキサの出力で振動信号を引き起こし、ローパス低周波フィルタリング段によって除去することができる。
【0116】
アンテナ4は双極子素子7(示唆的に、しかし排他的でなく、9、32、64または128素子)を含み、広帯域で受信し、縮小された寸法(示唆的に、しかし排他的でなく、数センチメートル)を有し、所与の、示唆的には1m~2mの距離に位置する表面上の異なる点において検査中の患者の部位または器官と相互作用するプローブ8によって生成される電磁場の測定を可能にする。
【0117】
アンテナ4の受信素子7は、受動的広帯域素子(たとえば、バイコニカル双極子またはビバルディアンテナ)、または受信された周波数の1つ、典型的にはプローブ周波数で共振する素子(たとえば、誘導的にまたは容量的に帯電した双極子)であり得る。これらの素子は、たとえば、フェライトバランによって信号ケーブルから切り離されている。
【0118】
アンテナ4の受信素子7は能動素子(たとえば、集積広帯域増幅器を備えた波長に対する非常に小さな双極子のような)で構成することもできる。この場合、非常に小さな受信素子で十分な測定感度を達成し、したがって測定点間の間隔を減少させて(たとえば、1/5~1/10の波長)測定面上で受信された信号を測定することが可能である。
【0119】
特に
図10を参照すると、アンテナ4の各単一素子7から受信された信号は高絶縁高周波スイッチデバイス19(示唆的には少なくとも80dB)によって受信ユニット3に送信される。この高絶縁スイッチデバイス19は、要求される絶縁レベルを得るためにスイッチおよび1つまたは複数の軽絶縁回路ブレーカ(たとえば、それぞれ40dB)で構成することができる。スイッチおよび回路ブレーカは、スイッチング時間を短縮する(示唆的には1μsのオーダーに)ために、PINダイオード、MOSFETスイッチまたは同等のシステムで構成せねばならない。
【0120】
入力スイッチ(スイッチデバイス19)により、受信ユニット3の入力をアンテナ4から絶縁すること、またこれを内部信号発生器に接続して3つの受信チャネル21のI/Qミキサのゼロ設定および較正を実行することも可能になる。
【0121】
選択されたアンテナ4から来る広帯域信号は次いで(受信ユニット3の)分離器フィルタ20(ダイプレクサ)によって3つの主成分(基本、第2および第3高調波)に分離され、3つの受信チャネル21に送信される。
【0122】
特に
図11を参照すると、受信ユニット3のコントローラ18が入力スイッチおよび回路ブレーカを制御し、変換時間が短い(示唆的にはサンプルあたり1μs以下)適切な別個のA/Dコンバータ22によって信号I(同相)およびQ(逆位相)の振幅を読み取る。取得速度および受信チャネル21間の絶縁を最適化するため、2つのA/Dコンバータ22が各受信チャネル21について使用される(信号IおよびQ23を同時に読み取るため)。
【0123】
さらに、受信ユニット3の感度を改善するために、いくつかの連続した測定値間の平均を取ることも可能である。示唆的には、上記のA/D変換速度で、アンテナ4および受信チャネル21あたり256回の平均により、128個の受信素子7を完備したアンテナ4上で1秒あたり20回より多くの測定を行うことが可能になる。
【0124】
さらに、コントローラ18は、受信チャネル21のゼロ設定および較正測定、プローブ8から受信された信号の周波数の測定、およびI/Qミキサの内部温度の測定(その温度反応のあらゆる補正のために)も周期的に行う。
【0125】
測定されたすべてのデータ、ならびに特にアンテナ4の素子のそれぞれについて、および3つの周波数帯域について読み取られた信号のデータは次いで、その後の処理動作、結果(メモリ16における)の提示および記憶のためにコンピュータ(処理ユニット5)に送信される。データはLANネットワークおよびTCP/IPプロトコルによってコンピュータ(処理ユニット5)に送信される。
【0126】
受信ユニット3のコントローラ18のファームウェアは、受信ユニット3がコントローラ18から完全に独立して働くことができるように設定されている。受信ユニット3のファームウェアは、ゼロ設定および較正測定、温度測定、およびアンテナ4のすべての素子7から受信された信号の測定を周期的かつ順番に実行する。
【0127】
各単一測定サイクルの測定されたすべてのデータは次いで、LANネットワークの規模および負荷を最小化するように適切なコーディングで単一のデータパッケージで送信される。使用されるコーディングおよびLANネットワークの速度(示唆的には100Mbps以上)は、測定中にリアルタイムでスケジュールされた最大数のアンテナ素子で測定されたすべてのデータの送信には十分すぎるほどである。
【0128】
受信ユニット3における低レベルの動作は、受信ユニット3のマイクロプロセッサとインターフェースされたハードウェアデバイスによって実行され、したがってこれらの動作が内部マイクロプロセッサによって局所的に管理されるのは自然で適切である。
【0129】
より高い階層レベルでの動作は、組み込みオペレーティングシステム(Linux)上で実行されるコードによって、またはPC/外部コンソール上で実行されるコードによって実行される。第2の場合、ソフトウェアに対して変更を行う方が容易であり、したがってスループットへの影響を見積もった後、必須ではないが便宜的な、この第2の選択肢が選択された。
【0130】
要するに、受信ユニット3のマイクロプロセッサ上に実装される機能は次のうちの1つまたは複数を含む。
1.マイクロの周辺機器の初期化および構成、
2.受信ユニット3のチップの初期化および構成、
3.ファイルから読み取られることになる手続きパラメータの管理、特に、
・低レベルでのレジスタの書き込み/読み取りの要求、
・A/Dモジュール速度での平均演算、
・動作パラメータの書き込み/読み取りの要求、
・オフセットゼロ設定の実行、
・事前定義されたアンテナセットのスキャニングの要求、
・周波数のみの測定の要求、
・周波数測定のためのタイマ/カウンタのような割り込みのサービス機能の管理、
・光ファイバ6における光信号の変調によってプローブ8から受信されたメッセージのコーディング(キーの種類、プローブ8の状態、バッテリの電圧など)、
・異常状態の管理および通知、
4.以下のサイクリック伝送(UDPストリーミング)、
・プローブ8から到着するパラメータ(ボタンの状態、バッテリ電圧、プローブ8の状態など)、
・周波数の読み取り、
・受信機チップの温度、
・3つのチャネル21のそれぞれについてのゼロおよび較正I、Qのサンプル
・n=1...N、現時点で、N=9について繰り返される(I1、Q1、I2、Q2、I3、Q3)nの読み取り。
【0131】
処理ユニット5は以下を含む。
a)以下を行う受信ユニット3から到着するパッケージのイーサネットを介した受信を管理するためのユニット、
・UDPストリーミングで測定データを受信してこれらを適切な構造に編成すること、
・プローブ8のボタンから来るタイミングの値を受信およびデコードすること、
b)測定データを処理するためのユニット、ここで
・較正が生データに適用され、
・各アンテナ4の各チャネルについてのモジュール、位相が計算され、
・実際の周波数が生の値から始まって計算され、
・3つのチャネル21から来る画像の時系列を含有するデータ構造が構築される(アレイ2Dのクラスタの循環バッファ)
c)制御および表示ユニット、ここで
・ステートマシンが動作コンテキスト(ライブ/フリーズ/スローモーション/測定値の保存/…/エラー)の追跡を続け、
・現在の画像(アレイ2Dのクラスタ)(状態:ライブ)、停止前に取得された最後の画像(状態:フリーズ)、またはオペレータによって選択された画像(状態:スローモーション)が表示セクションに送られ、
・選択された画像がディスク上に保存される(小さな事前定義されたセットからボタンを介して選択可能な、コンテキスト依存のタイトルをオペレータに提案する)。
【0132】
測定フェーズは、光ファイバ伝送チャネルを使用する4つのボタンによって遠隔で駆動することができる。これによりオペレータは以下が可能になる。
・ディスプレイ上に見られるライブ画像をフリーズさせる
・最良と思われる信号パターンを(スローモーション効果で)選択する
・物理的位置の1つに測定値を帰属させる(これは最終的な統計に使用されることになる)
・このように相互関連させたデータを保存する
・測定モードに戻る。
【0133】
このソフトウェアは、グラフ、アイコンおよび特定のテキストメッセージによって提供される表示によって、以下の場合にシステムにおける誤動作の存在を画面上に表示することができる。
・データラインが機能していない/存在しない/別のアプリケーションによって占有されている
・範囲外の周波数
・高周波の欠如
・バッテリ充電レベル。
【0134】
電気医療システム1の正しい動作はグラフィックメッセージおよびアイコンによって強調表示される。
【0135】
システム構成の主な特徴は、したがって次のうちの1つまたは複数である。
・光ファイバ6による受信ユニット3についての試験および基準信号のプローブ8による送信。この解決策は、基準信号伝送接続(たとえば、同軸ケーブルを介した)による測定妨害の可能性を限定する。
・プローブ8によって送信される信号上へ受信ユニット3を直接ロックすること。この解決策は、受信機が望ましくない信号上へロックされるリスクを完全に排除し、RF帯域に存在する可能性のある他の信号からの妨害の拒絶を最大化する。さらに、上記構成により、受信された信号の同相および直角位相成分(または同等に、振幅および位相)の同時測定が可能になる。
・スイッチングされた受信素子7を備えたアレイアンテナ4の使用。このように、所与の距離に配置された表面(アンテナ表面)上の異なる点において患者の身体と相互作用するプローブ8によって生成される場を測定し、したがって診断の信頼性を向上させるより多くの情報を取得することが可能である。そして
・3つの受信チャネル21(および相対フィルタおよびダイプレクサ20)およびコントローラ18へデータを高速変換および送信する別個のA/Dコンバータの使用。この構成により、高速でそしてシステムの3つの周波数(基本および第2および第3高調波)上で測定を行うこと、したがってアンテナ4の表面上の場の分布の画像(振幅および位相)をリアルタイムで構築することが可能になる。
【0136】
参考文献
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【符号の説明】
【0137】
1 電気医療システム
2 電磁源ユニット
3 受信ユニット
4 アンテナ、マルチバンドおよびマルチチャネルアンテナ
5 処理ユニット
6 光ファイバ、光ファイバリンク
7 双極子素子
8 プローブ
9 振動子
10 リチウムバッテリ
11 外部電源
12 制御ボタン
13 増幅器
14 フィルタ、無線周波数フィルタ
15 ディスプレイ
16 メモリ
17 バッテリ充電器
18 コントローラ
19 高速光ファイバ送信機
19 スイッチデバイス、高絶縁高周波スイッチデバイス
20 分離器フィルタ
21 受信チャネル
22 A/Dコンバータ
23 信号
【国際調査報告】