(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】複雑な動作中のユーザの質量中心の可動性を向上させるための荷重分散装置
(51)【国際特許分類】
B25J 11/00 20060101AFI20240131BHJP
A63B 24/00 20060101ALI20240131BHJP
A63B 23/08 20060101ALI20240131BHJP
A61H 3/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
A63B24/00
A63B23/08
A61H3/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536895
(86)(22)【出願日】2021-12-18
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 CA2021051846
(87)【国際公開番号】W WO2022126284
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523214546
【氏名又は名称】ビーテミア インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾソ,ナタニエル
(72)【発明者】
【氏名】ベダード,ステファン
【テーマコード(参考)】
3C707
4C046
【Fターム(参考)】
3C707AS38
3C707CY12
3C707HT04
3C707KW07
3C707XK06
3C707XK12
3C707XK27
3C707XK42
3C707XK58
4C046AA25
4C046AA42
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4C046DD02
4C046DD06
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4C046EE02
4C046EE04
4C046EE10
4C046EE37
4C046FF02
4C046FF12
(57)【要約】
筋骨格系のストレスをユーザの下肢の関節から体節に伝達するための荷重分散装置。装置には、ユーザの動きに追従し補完的にアシストする、腰や膝の作動が含まれる。補完的なアシストと荷重分散装置とが組み合わされることで、ユーザの関節にかかる負担が軽減され、ユーザの筋力が高まる。必要に応じてユーザの股関節及び/又は膝関節をアシストすることによって、装置は、ユーザの筋力を向上させ、運動に対する代謝要件を軽減し、身体活動中の快適性を高めることができる。荷重分散装置は、関節の全可動域でユーザの手足に追従し、受動モードと能動モードの両方で使用することができる。
【選択図】
図1A-1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複雑な動作中のユーザの質量中心の可動性を向上させるための荷重分散装置であって、
前記ユーザの体幹下部の周りに配置されるように構成された骨盤支持ベルトと、
前記ユーザの大腿部の後部及び前部にアゴニスト-アンタゴニスト構成で配置されるように構成された2つ以上の接触領域を含み、前記骨盤支持ベルトに回転可能に接続される、少なくとも1つの大腿部支持要素と、
前記骨盤支持ベルトに対して前記少なくとも大腿部支持要素の回転運動を提供する少なくとも1つの股関節アクチュエータと、
前記ユーザの脛の後部及び前部にアゴニスト-アンタゴニスト構成で配置されるように構成された2つ以上の接触領域を含み、前記少なくとも1つの大腿部支持要素に回転可能に接続される、少なくとも1つの脛支持要素と、
前記少なくとも1つの大腿部支持要素に対する前記少なくとも1つの脛支持要素の回転運動を提供する少なくとも1つの膝関節アクチュエータと、
前記骨盤支持ベルト、前記少なくとも1つの大腿部支持要素、前記股関節アクチュエータ及び前記膝関節アクチュエータに配置された複数のセンサ、ならびに前記ユーザの足に配置されるように構成された少なくとも1つの足センサであって、前記複数のセンサが機械信号及び生体力学信号を提供する、複数のセンサ及び少なくとも1つの足センサと、
前記機械信号及び生体力学信号を受信するために、前記複数のセンサと少なくとも1つの足センサとに動作可能に接続された制御ユニットであって、前記機械信号及び生体力学信号を処理及び分析し、前記ユーザの運動の運動設定点を生成するための実行可能命令を格納した制御ユニットと、
前記少なくとも1つの膝関節アクチュエータ、前記少なくとも1つの股関節アクチュエータ及び前記制御ユニットに動作可能に接続されたパワーユニットと、
を備え、
前記少なくとも1つの膝関節アクチュエータ及び前記少なくとも1つの股関節アクチュエータは、筋骨格系のストレスを、ユーザの下肢の関節から体節に伝達し、したがって、前記ユーザの動きを補償するのに必要な前記ユーザの下肢の関節における筋骨格系のストレスの軽減に対応する計算されたエネルギーレベルに従って、前記制御ユニットの指示下で生体力学エネルギーを生成又は散逸させることによって、前記関節の安定性及び前記体節の可動域を向上させ、前記生成又は散逸された生体力学エネルギーは、前記骨盤支持ベルト、前記少なくとも1つの大腿部支持要素、及び前記少なくとも1つの脛支持要素を介してそれぞれ前記ユーザの前記体幹下部、前記大腿部、及び前記脛に再分配される、
荷重分散装置。
【請求項2】
2つの大腿部支持要素と、2つの脛支持要素と、2つの股関節アクチュエータと、2つの膝関節アクチュエータと、2つの足センサと、を備える、請求項1に記載の荷重分散装置。
【請求項3】
前記大腿部支持要素の各々は、前記ユーザの膝関節の回転中心と整列された膝ピボットを介して関連する脛支持要素に回転可能に接続されており、前記膝関節アクチュエータの各々は、前記ユーザの前記膝関節の前記回転中心から離れて配置されており、前記膝関節アクチュエータの各々は、伸長用ケーブル及び屈曲用ケーブルを介して、対応する膝ピボットに回転運動を伝達する、請求項2に記載の荷重分散装置。
【請求項4】
前記膝関節アクチュエータの各々は、前記骨盤支持ベルトのそれぞれの側部上、前記骨盤支持ベルトの腰部上、前記ユーザの前記大腿部のそれぞれの前部上、前記ユーザの前記大腿部のそれぞれの後部上、及び前記ユーザの股関節と前記膝ピボットとの間の前記大腿部支持要素のそれぞれの部分上の内側からなる群から選択される位置に配置されている、請求項3に記載の荷重分散装置。
【請求項5】
前記大腿部支持要素は、それぞれの長さ調整機構を含む、請求項3又は4のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項6】
前記長さ調整機構は、スライダ機構及びねじ機構からなる群から選択される、請求項7に記載の荷重分散装置。
【請求項7】
前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルはそれぞれ、張力付与機構を含む、請求項5又は6のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項8】
前記膝関節アクチュエータを支持するように構成されたアクチュエータ支持要素を第1の端部に有し、第2の端部が前記膝ピボットに接続するためのピボット接続要素を有するデポーテーション構造リンクを含む非局在化機構を更に備える、請求項3又は4のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項9】
前記アクチュエータ支持要素は、前記膝関節アクチュエータを取り外し可能に支持するように構成されている、請求項8に記載の荷重分散装置。
【請求項10】
前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルは、前記膝関節アクチュエータのステータ及び前記膝ピボットと摩擦接触する単一の連続ループを形成する、請求項3から9のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項11】
前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルは、前記膝関節アクチュエータのステータと摩擦接触する単一のケーブルを形成し、前記単一のケーブルは2つの端部を有し、前記2つの端部はそれぞれ、前記膝ピボットに配置された遠位伸長用ケーブルアタッチメント及び遠位屈曲用ケーブルアタッチメントに取り付けられている、請求項3から9のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項12】
前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルは、前記膝関節アクチュエータのステータと摩擦接触する単一のケーブルを形成し、前記単一のケーブルは2つの端部を有し、前記2つの端部はそれぞれ、前記膝ピボットに配置された遠位伸長用ケーブルアタッチメント及び遠位屈曲用ケーブルアタッチメントに取り付けられている、請求項3から9のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項13】
前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルは、前記膝ピボットと摩擦接触する単一のケーブルを形成し、前記単一のケーブルは2つの端部を有し、前記2つの端部はそれぞれ、前記膝関節アクチュエータのステータに配置された近位伸長用ケーブルアタッチメント及び近位屈曲用ケーブルアタッチメントに取り付けられている、請求項3から9のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項14】
前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルは2つの別々のケーブルであり、前記2つの別々のケーブルは、前記膝関節アクチュエータのステータ上に配置されたそれぞれの近位伸長用ケーブルアタッチメント及び近位屈曲用ケーブルアタッチメント、ならびに対応する前記膝ピボット上の遠位伸長用ケーブルアタッチメント及び遠位屈曲用ケーブルアタッチメントに取り付けられた各端部を有する、請求項3から9のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項15】
前記近位伸長用ケーブルアタッチメント及び前記近位屈曲用ケーブルアタッチメントは、前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルの動作長さを変更するために、前記膝関節アクチュエータの前記ステータに回転可能に接続されたそれぞれの調整プーリ上に配置されている、請求項13又は14のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項16】
前記遠位伸長用ケーブルアタッチメント及び前記遠位屈曲用ケーブルアタッチメントは、前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルの動作長さを変更するために、前記膝ピボットに回転可能に接続されたそれぞれの調整プーリ上に配置されている、請求項12又は14に記載の荷重分散装置。
【請求項17】
前記大腿部支持要素の各々は、前記ユーザの股関節の回転中心と整列された腰ピボットを介して前記骨盤支持ベルトに回転可能に接続されており、前記股関節アクチュエータの各々は、前記ユーザの前記股関節の前記回転中心から離れて配置されており、前記股関節アクチュエータの各々は、伸長用ケーブル及び屈曲用ケーブルを介して対応する腰ピボットに回転運動を伝達する、請求項2に記載の荷重分散装置。
【請求項18】
前記股関節アクチュエータの各々は、前記骨盤支持ベルトのそれぞれの側部上、前記骨盤支持ベルトの腰部上、前記ユーザの大腿部のそれぞれの前部上、前記ユーザの大腿部のそれぞれの後部上、及び前記ユーザの股関節と前記ユーザの膝との間の前記大腿部支持要素のそれぞれの部分上の内側からなる群から選択される位置に配置される、請求項17に記載の荷重分散装置。
【請求項19】
前記股関節アクチュエータを支持するように構成されたアクチュエータ支持要素を第1の端部に有し、第2の端部が前記腰ピボットに接続するためのピボット接続要素を有するデポーテーション構造リンクを含む非局在化機構を更に備える、請求項17又は18のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項20】
前記アクチュエータ支持要素は、前記股関節アクチュエータを取り外し可能に支持するように構成されている、請求項19に記載の荷重分散装置。
【請求項21】
前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルは、前記股関節アクチュエータのステータ及び前記腰ピボットと摩擦接触する単一の連続ループを形成する、請求項17から20のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項22】
前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルは、前記股関節アクチュエータのステータと摩擦接触する単一のケーブルを形成し、前記単一のケーブルは2つの端部を有し、前記2つの端部はそれぞれ、前記腰ピボットに配置された遠位伸長用ケーブルアタッチメント及び遠位屈曲用ケーブルアタッチメントに取り付けられている、請求項17から20のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項23】
前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルは、前記股関節アクチュエータのステータと摩擦接触する単一のケーブルを形成し、前記単一のケーブルは2つの端部を有し、前記2つの端部はそれぞれ、前記腰ピボット上に配置された遠位伸長用ケーブルアタッチメント及び遠位屈曲用ケーブルアタッチメントに取り付けられている、請求項19から21のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項24】
前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルは、前記腰ピボットと摩擦接触する単一のケーブルを形成し、前記単一のケーブルは2つの端部を有し、前記2つの端部はそれぞれ、前記股関節アクチュエータのステータに配置された近位伸長用ケーブルアタッチメント及び近位屈曲用ケーブルアタッチメントに取り付けられている、請求項19から21のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項25】
前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルは2つの別々のケーブルであり、前記2つの別々のケーブルは、前記股関節アクチュエータのステータに配置されたそれぞれの近位伸長用ケーブルアタッチメント及び近位屈曲用ケーブルアタッチメント、ならびに前記腰ピボット上の対応する遠位伸長用ケーブルアタッチメント及び遠位屈曲用ケーブルアタッチメントに取り付けられた各端部を有する、請求項19から21のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項26】
前記近位伸長用ケーブルアタッチメント及び前記近位屈曲用ケーブルアタッチメントは、前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルの動作長さを変更するために、前記股関節アクチュエータの前記ステータに回転可能に接続されたそれぞれの調整プーリ上に配置されている、請求項24又は25のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項27】
前記遠位伸長用ケーブルアタッチメント及び前記遠位屈曲用ケーブルアタッチメントは、前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルの動作長さを変更するために、前記腰ピボットに回転可能に接続されたそれぞれの調整プーリ上に配置されている、請求項24又は25のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項28】
前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルは、ボーデンケーブルである、請求項3から27のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項29】
前記膝関節アクチュエータ及び前記股関節アクチュエータは、能動的な直接駆動式の回転作動機構である、請求項1から28のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項30】
人工装具であって、
ユーザの近位本体部分に固定されるように構成された少なくとも1つの接触領域を含む近位支持要素及び前記ユーザの遠位本体部分に固定されるように構成された少なくとも1つの接触領域を含む遠位支持要素であって、前記ユーザの対応する関節の回転中心と整列されたピボットを介して回転可能に接続された近位支持要素及び遠位支持要素と、
前記近位支持要素に対する前記遠位支持要素の回転運動を回転して提供する少なくとも1つのアクチュエータであって、前記ユーザの対応する関節の前記回転中心から離れて配置されており、伸長用ケーブル及び屈曲用ケーブルを介して前記ピボットに回転運動を伝達する、少なくとも1つのアクチュエータと、
を備える人工装具。
【請求項31】
前記アクチュエータを支持するように構成されたアクチュエータ支持要素を第1の端部に有し、第2の端部が前記ピボットに接続するためのピボット接続要素を有するデポーテーション構造リンクを含む非局在化機構を更に備える、請求項30に記載の人工装具。
【請求項32】
前記アクチュエータ支持要素は、前記アクチュエータを取り外し可能に支持するように構成されている、請求項31に記載の人工装具。
【請求項33】
前記ピボットが、膝ピボット、腰ピボット、足首ピボット、肘ピボット及び肩ピボットからなる群から選択される、請求項31から32のいずれか一項に記載の人工装具。
【請求項34】
前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルがボーデンケーブルである、請求項31から33のいずれか一項に記載の荷重分散装置。
【請求項35】
前記伸長用ケーブル及び前記屈曲用ケーブルが単一のケーブルによって形成されている、請求項31から34のいずれか一項に記載の人工装具デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月18日に出願された米国仮特許出願第63/127,806号の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、複雑な動作中のユーザの質量中心の可動性を向上させるための荷重分散装置に関する。
【背景技術】
【0003】
下半身の外骨格及び装具は、特定の活動において様々なレベルの構造的アシスト及び機械的アシストを提供するが、その代償として関節の可動性が低下する。受動的なデバイスは、装着者に静的な構造的サポートを提供し、筋骨格系のストレスを関節から伝達するが、動的なアシストを提供する能力はない。能動的な解決策は、限られた状況(例えば、歩行、座位から立位)で動的なアシストを提供するが、複雑なモビリティタスク(例えば、バットを振る、ホッケーパックを打つ、ボールを投げる、又は方向の急激な変化及び下半身の爆発的な動きのような上半身と下半身を含む多平面動作)をサポートしない。動的アシスト装置の限界は、その制御の欠陥(即ち、ユーザに追従できない)や支持構造の可動域の欠陥に起因しており、その結果、これらの三次元運動においてユーザの質量中心を最適に制御するユーザの能力が制限される。
【0004】
したがって、複雑な移動動作における質量中心の可動性を向上させるために、複雑な移動動作における装着者の機能を制限することなく、筋骨格系のストレスを装着者の関節から遠ざける動的サポートを提供することができる装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、複雑な動作中のユーザの質量中心の可動性を向上させるための荷重分散装置を提供し、本荷重分散装置は、以下を含む:
【0006】
ユーザの体幹下部の周りに配置されるように構成された骨盤支持ベルト;
【0007】
ユーザの大腿部の後部及び前部にアゴニスト-アンタゴニスト構成で配置されるように構成された2つ以上の接触領域を含み、骨盤支持ベルトに回転可能に接続される、少なくとも1つの大腿部支持要素;
【0008】
骨盤支持ベルトに対する少なくとも大腿部支持要素の回転動作を提供する少なくとも1つの股関節アクチュエータ;
【0009】
ユーザの脛の後部及び前部にアゴニスト-アンタゴニスト構成で配置されるように構成された2つ以上の接触領域を含み、少なくとも1つの大腿部支持要素に回転可能に接続される、少なくとも1つの脛支持要素;
【0010】
少なくとも1つの大腿部支持要素に対する少なくとも1つの脛支持要素の回転動作を提供する少なくとも1つの膝関節アクチュエータ;
【0011】
骨盤支持ベルト、少なくとも1つの大腿部支持要素、股関節アクチュエータ及び膝関節アクチュエータ上に配置された複数のセンサ、ならびにユーザの足に配置されるように構成された少なくとも1つの足センサであって、複数のセンサは、機械信号及び生体力学信号を提供する;
【0012】
機械信号及び生体力学信号を受信するために、複数のセンサおよび少なくとも1つの足センサに動作可能に接続された制御ユニットであって、機械信号及び生体力学信号を処理及び分析し、ユーザの運動の動作設定点を生成するための実行可能命令を格納した制御ユニット;
【0013】
少なくとも1つの膝関節アクチュエータ、少なくとも1つの股関節アクチュエータ、及び制御ユニットに動作可能に接続されたパワーユニット。
【0014】
少なくとも1つの膝関節アクチュエータ及び少なくとも1つの股関節アクチュエータは、筋骨格系のストレスを、ユーザの下肢の関節から体節に伝達し、したがって、ユーザの運動を補償するのに必要なユーザの下肢の関節における筋骨格系のストレスの軽減に対応する計算されたエネルギーレベルに従って、制御ユニットの指示下で生体力学エネルギーを生成又は散逸させることによって、関節の安定性及び体節の可動域を向上させ、生成又は散逸された生体力学エネルギーは、骨盤支持ベルト、少なくとも1つの大腿部支持要素、及び少なくとも1つの脛支持要素を介してそれぞれユーザの体幹下部、大腿部、及び脛に再分配される。
【0015】
本開示はまた、2つの大腿部支持要素と、2つの脛支持要素と、2つの股関節アクチュエータと、2つの膝関節アクチュエータと、2つの足センサと、を備える、上記のような荷重分散装置を提供する。
【0016】
本開示はまた、大腿部支持要素の各々は、ユーザの膝関節の回転中心と整列された(一直線になった)膝ピボットを介して関連する脛支持要素に回転可能に接続され、膝関節アクチュエータの各々は、ユーザの膝関節の回転中心から離れて配置され、膝関節アクチュエータの各々は、伸長用ケーブル及び屈曲用ケーブルを介して、対応する膝ピボットに回転運動を伝達する、荷重分散装置を提供する。
【0017】
本開示はまた、大腿部支持要素の各々は、ユーザの股関節の回転中心と整列された腰ピボットを介して骨盤支持ベルトに回転可能に接続され、股関節アクチュエータの各々は、ユーザの股関節の回転中心から離れて配置され、伸長用ケーブル及び屈曲用ケーブルを介して、対応する腰ピボットに回転運動を伝達する、荷重分散装置を提供する。
【0018】
本開示は、股関節アクチュエータの膝の各々が、例えば、骨盤支持ベルトのそれぞれの側部上、骨盤支持ベルトの腰部上、ユーザの大腿部のそれぞれの前部上、ユーザの大腿部のそれぞれの後部上、又はユーザの股関節と膝ピボットとの間の大腿部支持要素のそれぞれの部分上の内側に配置され得る、荷重分散装置を更に提供する。
【0019】
本開示は、膝又は股関節アクチュエータを支持するように構成されたアクチュエータ支持要素を第1の端部に有し、第2の端部が膝又は腰ピボットに接続するためのピボット接続要素を有するデポーテーション構造リンクを含む非局在化機構を更に備える、荷重分散装置を更に提供する。アクチュエータ支持要素は、膝又は股関節アクチュエータを取り外し可能に支持するように構成されてもよい。
【0020】
本開示はまた、以下のものを備える装具を提供する:
【0021】
ユーザの近位本体部分に固定されるように構成された少なくとも1つの接触領域を含む近位支持要素及びユーザの遠位本体部分に固定されるように構成された少なくとも1つの接触領域を含む遠位支持要素であって、ユーザの対応する関節の回転中心と整列されたピボットを介して回転可能に接続された、近位支持要素及び遠位支持要素;
【0022】
近位支持要素に対する遠位支持要素の回転運動を回転して提供する少なくとも1つのアクチュエータであって、ユーザの対応する関節の回転中心から離れて配置され、伸長用ケーブル及び屈曲用ケーブルを介してピボットに回転運動を伝達する、少なくとも1つのアクチュエータ。
【0023】
人工装具は、アクチュエータを支持するように構成されたアクチュエータ支持要素を第1の端部に有し、第2の端部がピボットに接続するためのピボット接続要素を有するデポーテーション構造リンクを含む非局在化機構を更に備え得る。アクチュエータ支持要素は、アクチュエータを取り外し可能に支持するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ説明される。
【0025】
【
図1A-1C】それぞれ、本開示の例示的な実施形態による、複雑な動作中のユーザの質量中心の可動性を向上させるための荷重分散装置の正面図、側面図及び背面図である。
【0026】
【
図2A-2B】本開示の第1及び第2の代替実施形態による股関節アクチュエータの上方の膝関節アクチュエータの配置の概略図である。
【0027】
【
図3】本開示の第3の代替実施形態による、股関節アクチュエータの上方及びユーザの腰の上の膝関節アクチュエータの配置の概略図である。
【0028】
【
図4A-4C】本開示の第4の代替実施形態による、股関節アクチュエータの上方の膝関節アクチュエータの配置の概略図であり、短縮状態にあるケーブルアタッチメントを示す。
【0029】
【
図5A-5C】
図4A、4B及び4Cに示す本開示の第4の代替実施形態による、股関節アクチュエータの上方の膝関節アクチュエータの配置の概略図であり、伸長状態にあるケーブルアタッチメントを示す。
【0030】
【
図6】本開示の第5の代替実施形態による、股関節アクチュエータと膝関節との間の膝関節アクチュエータの配置の概略図である。
【0031】
【
図7A-7D】本開示の代替実施形態による、様々なケーブルアタッチメントの概略図である。
【0032】
【
図8A-8C】本開示の例示的な実施形態による、アクチュエータ非局在化機構の斜視立面図、側面図及び背面図である。
【0033】
【
図9】本開示の例示的な実施形態による、荷重分散装置制御システムの概略図である。
【0034】
【
図10】本開示の第1の例示的な実施形態による、荷重分散装置制御プロセスの流れ図である。
【0035】
【
図11】第2の例示的な実施形態による荷重分散装置制御プロセスの流れ図であり、ユーザの腰及び膝がアシストされる。
【0036】
【
図12】第3の例示的な実施形態による荷重分散装置制御プロセスの流れ図であり、ユーザの腰及び膝が抵抗を受ける。
【0037】
異なる図で使用されている同様の参照符号は、同様の構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
概して、本開示の非限定的で例示的な実施形態は、複雑な動作中のユーザの質量中心の可動性を向上させるための荷重分散装置を提供する。荷重分散装置の機能は、リアルタイムでユーザの質量中心の可動性をダイナミックに向上させるために、複雑な動作中のユーザの骨盤構造を生体力学的に支持することである。これにより、ユーザの質量中心の三次元移動の効率、関連する関節の安定性、及び関連する体節の可動域が向上する。したがって、荷重分散装置は、ユーザの全体的な可動性を向上させ、その結果、(その複雑さのレベルとは無関係に)所望の動作を行う能力の向上、動作中の代謝の獲得、及び仙腰部、腰及び膝の安定性の向上などの利点が得られ、これにより、ユーザの背中側及び上半身体節のストレスを低減することができる。これを行うために、荷重分散装置は、例えば、歩行、ジョギング、ランニング、体重負荷運動、スクワット、ジャンプ、膝立ち、階段の使用、スポーツ活動及び仕事関連活動への参加などの間、ユーザの動作全体にわたってユーザの関節との正しい位置合わせを維持する。装置には、ユーザの動きに追従し補完的にアシストする、腰や膝の作動が含まれる。補完的なアシストと荷重分散装置とが組み合わされることで、ユーザの関節にかかる負担が軽減され、ユーザの筋力が高まる。必要に応じてユーザの股関節及び/又は膝関節をアシストすることによって、装置は、ユーザの筋力を向上させ、運動に対する代謝要件を軽減し、身体活動中の快適性を高めることができる。荷重分散装置は、関節の全可動域でユーザの手足に追従し、受動モードと能動モードの両方で使用することができる。
【0039】
図1を参照すると、筋骨格系のストレスをユーザ10の下肢の関節から体節に伝達するための荷重分散装置は、骨盤支持ベルト11と、1つ又は2つの大腿部支持要素12と、1つ又は2つの脛支持要素14とを備える。好適には、骨盤支持ベルト11は、伸長可能な部分及び/又はサイズ調整機構のいずれかを介して、ある程度のサイズ調整を許容するが、概して剛性である。
【0040】
骨盤支持アセンブリ11は、アゴニスト-アンタゴニスト構成でユーザの体幹下部の周りに配置されるように構成され、骨盤支持ベルト11を大腿支持要素12に回転可能に接続する股関節アクチュエータ22を含み、ユーザの股関節の回転中心と整列するように配置される。股関節アクチュエータ22は、ユーザの股関節で能動的な回転運動を与える。股関節アクチュエータ22は、例えば、能動的な直接駆動の回転作動機構であってもよい。
【0041】
大腿部支持要素12は、ユーザの大腿部の後部及び前部にアゴニスト-アンタゴニスト構成で位置するように構成された2つ以上の接触領域16を含む。
【0042】
膝関節アクチュエータ23は、1つ又は2つの大腿部支持要素12の各々を1つ又は2つの脛支持要素14に回転可能に接続する。膝関節アクチュエータ23は、例えば、能動的な直接駆動の回転作動機構であってもよい。
【0043】
脛支持要素14は、ユーザの脛の後部と前部にアゴニスト-アンタゴニスト構成で位置するように構成された2つ以上の接触領域18を含む。
【0044】
複数のセンサ40が、ユーザの各足に配置されるセンサ45と共に、骨盤支持ベルト11の別々の側面又は中央、大腿部支持要素12、股関節アクチュエータ22、及び膝関節アクチュエータ23に配置され、センサ40,45の各々は、機械情報及び生体力学情報を提供するために、関連するユーザの体節の運動学を監視する。センサ40,45は、例えば、慣性センサ及び角度センサであってもよい。
【0045】
図2Aに示す代替実施形態では、膝関節アクチュエータ23は、股関節アクチュエータ22の上方の骨盤支持ベルト11上に配置され、ユーザの膝関節の回転中心と整列して、大腿部支持要素12を脛支持要素14に回転可能に接続する膝ピボット13に動作可能に接続され得る。これにより、ユーザの膝関節から骨盤支持ベルト11への膝関節アクチュエータ23の重量の移動が可能になる。伸長用ボーデンケーブル331a及び屈曲用ボーデンケーブル331bをそれぞれ使用して、膝関節アクチュエータ23から膝ピボット13に回転運動が伝達される。ボーデンケーブル331a,331bのループ15は、異なるユーザの身長に対応できるように、骨盤支持ベルト11の背面に向かって配置される。
【0046】
図2Bに示す別の代替実施形態では、ボーデンケーブル331a,331bは、膝関節アクチュエータ23上でループになっている。この構成では、ボーデンケーブル331a,331bの張力を管理するために、膝関節アクチュエータ23と膝ピボット13との間に張力付与機構335を使用する必要がある。これにより、追加のケーブルを管理する必要もなく、良好な力のバンド幅を得るためにたるみを回避したりすることもなく、身長の異なるユーザにも適応することが可能になる。張力付与機構335は、例えば、ボーデンケーブルテンショナーであってもよい。テンショナーをねじ込むと、対応するボーデンケーブル331a,331bの外側ケーシング(シース)が伸長することによって、対応するボーデンケーブル331a,331bの張力が増す。
【0047】
図2A及び
図2Bの両方の代替実施形態は、迅速かつ微細な長さ調整のための、例えば、スライダやねじ機構などの長さ調整機構122を有する大腿部支持要素12を備えることを理解されたい。
【0048】
ここで
図3を参照すると、股関節アクチュエータ22の上方の骨盤支持ベルト11上で且つユーザの腰に配置される膝関節アクチュエータ23の配置の更なる代替実施形態が示されている。伸長用ボーデンケーブル331a及び屈曲用ボーデンケーブル331bをそれぞれ使用して、膝関節アクチュエータ23から膝ピボット13に動力が伝達される。ボーデンケーブル331a,331bのループ15は、異なるユーザの身長に対応できるように、骨盤支持ベルト11の背面に向かって配置される。
【0049】
図4A、
図4B、及び
図4Cは、膝関節アクチュエータ23が股関節アクチュエータ22の上方に配置された、短縮状態の構成の更なる代替実施形態を示す。この状態で、伸長用ボーデンケーブル331a及び屈曲用ボーデンケーブル331bは、伸長用ボーデンケーブル331a及び屈曲用ボーデンケーブル331bが膝関節アクチュエータ23の主要部分をループ状に取り囲むように、膝関節アクチュエータ23の周りに配置された伸長用333a及び屈曲用333bの近位ケーブルアタッチメントに接続される。
【0050】
図5A、
図5B、及び
図5Cは、伸長状態にある、
図4A、
図4B、及び
図4Cに示す代替実施形態を示す。この状態で、伸長用ボーデンケーブル331a及び屈曲用ボーデンケーブル331bは、伸長用ボーデンケーブル331a及び屈曲用ボーデンケーブル331bが膝関節アクチュエータ23の小部分をループ状に取り囲むように、膝関節アクチュエータ23の周りに配置された伸長用333a及び屈曲用333bの近位ケーブルアタッチメントに接続される。
【0051】
伸長用333a及び屈曲用333bの近位ケーブルアタッチメントの位置は、例えば、長さ調整機構122によって提供される様々な大腿部支持長さに対応するために、調整プーリ233を使用して変えることができる。
【0052】
図5は、股関節アクチュエータ22と膝ピボット13との間に位置する膝関節アクチュエータ23の配置の更なる代替実施形態を示す。
【0053】
ここで
図7A、
図7B、
図7C及び
図7Dを参照すると、伸長用331a及び屈曲用331bのボーデンケーブル構成の代替実施形態が示されている。
【0054】
図7Aの実施形態では、伸長用331a及び屈曲用331bのボーデンケーブルは、実際には、膝関節アクチュエータ23のステータ及び膝ピボット13と摩擦接触する単一の連続ループの一部である。
【0055】
図7Bの実施形態では、伸長用331a及び屈曲用331bのボーデンケーブルは、膝関節アクチュエータ23のステータと摩擦接触する単一のケーブルの一部であり、その2つの端部は、膝ピボット13上のそれぞれの伸長用334a及び屈曲用334bの遠位ケーブルアタッチメントに取り付けられる。
【0056】
図7Cの実施形態では、伸長用331a及び屈曲用331bのボーデンケーブルは、膝ピボット13と摩擦接触する単一のケーブルの一部であり、その2つの端部は、膝関節アクチュエータ23上のそれぞれの伸長用333a及び屈曲用334bの近位ケーブルアタッチメントに取り付けられる。
【0057】
図7Dの実施形態では、伸長用331a及び屈曲用331bのボーデンケーブルは、2つの別々のケーブルであり、その端部は、膝関節アクチュエータ23上のそれぞれの伸長用333a及び屈曲用333bの近位ケーブルアタッチメント、ならびに膝ピボット13上の対応する伸長用334a及び屈曲用334bの遠位ケーブルアタッチメントに取り付けられる。
【0058】
近位333a,333bのケーブルアタッチメント及び遠位334a,334bのケーブルアタッチメントの位置は、例えば、調整プーリ233,234を使用して変更することができることを理解されたい。
【0059】
更なる代替実施形態では、股関節アクチュエータ22を移動させ、股関節に膝ピボット13と同様の腰ピボットを設けてもよく、股関節アクチュエータの配置や伸長用331a及び屈曲用331bボーデンケーブル構成は同様の代替実施形態となるが、膝関節アクチュエータ及び関節の代わりに股関節アクチュエータ及び関節とすることを更に理解されたい。
【0060】
図8A、
図8B、及び
図8Cに示す別の代替実施形態では、股関節アクチュエータ22は、非局在化機構50を使用してユーザの股関節に対して非局在化位置に配置され得る。非局在化機構50は、デポーテーション構造リンク56を介して、股関節アクチュエータ22をユーザの股関節の回転中心と整列した腰ピボット53に動作可能に接続する。デポーテーション構造リンク56の一端には、股関節アクチュエータ22を支持するためのアクチュエータ支持要素58が設けられ、もう一端には、腰ピボット53に接続するための腰ピボット接続要素55が設けられる。腰ピボット53は、それぞれの固定セグメント54a及び54bを介して骨盤支持ベルト11を大腿部支持要素12に回転可能に接続する。代替的な実施形態では、股関節アクチュエータ22は、股関節アクチュエータ22の容易な取り外し及び交換のためにアクチュエータ支持要素58に取り外し可能に固定されてもよいことを理解されたい。
【0061】
アクチュエータ非局在化機構50は、荷重分散装置10の必要な使用に応じて、股関節アクチュエータ22の質量中心を移動させるか、又は単純に股関節アクチュエータ22が占める体積をより適切な位置に移動させるために使用される。これにより、股関節アクチュエータ22の重量及び体積をユーザの股関節から別の位置、例えば、大腿部の前もしくは後、又は骨盤支持ベルト11に移動させることができる。回転運動は、伸長用ボーデンケーブル331a及び屈曲用ボーデンケーブル331bをそれぞれ使用して、股関節アクチュエータ22から腰ピボット53へ伝達される。
【0062】
股関節アクチュエータ22に関して開示されているが、非局在化機構50は、関節と直接整合した動力を維持したまま、例えば、膝関節アクチュエータ23のような任意のアクチュエータを、対象となる関節から容易に非局在化する機能を提供し、これを使用すると、荷重分散装置10もしくは他の装具の美観を改善し、機能性を強化し、及び/又はユーザの代謝コストへの影響を調整することができることを理解されたい。別の実施形態では、足首アクチュエータ、肘アクチュエータ、又は肩アクチュエータを非局在化するために、非局在化機構50を使用してもよい。
【0063】
図9を参照すると、荷重分散装置制御プロセス300,400,500を含む制御ユニット200は、複数のセンサ40,45からの機械情報及び生体力学情報を分析し、荷重分散装置10を介してユーザに、適応した追跡及びアシストを提供する。荷重分散装置制御システム200は、命令を格納した関連メモリ214を備え、かつ1つ又は複数のプロセッサ212で実行されると、以下で更に説明することになる荷重分散装置制御プロセス300,400,500のいずれかのステップを実施する、1つ又は複数のプロセッサ212と、膝関節アクチュエータ23、股関節アクチュエータ22、骨盤、大腿、腰、及び膝センサ40、ならびに足センサ45と有線、無線、又は両方の組合せであってもよい通信リンク218を介して通信するための入出力(I/O)インタフェース216と、を含む。
【0064】
パワーユニット(図示せず)は、膝関節アクチュエータ23、股関節アクチュエータ22、及び制御ユニット200に電力を供給する。
【0065】
使用時に、膝関節アクチュエータ23及び股関節アクチュエータ22は、ユーザカスタマイズ及び/又は動作モード(例えば、追跡、運動など)に従って、制御ユニット200の指示の下で、ユーザの動きを補償するために必要な、ユーザの下肢の関節での筋骨格系のストレスの軽減に対応する計算されたエネルギーレベルまで、生体力学エネルギーを生成及び/又は散逸させる。生成又は散逸された生体力学エネルギーは、次いで、骨盤支持ベルト11、大腿部支持要素12、及び脛支持要素14を介して、それぞれ、ユーザの下幹、大腿部、及び脛に再分配される。
【0066】
ここで
図10を参照すると、本開示の第1の例示的な実施形態により、1つ又は複数のプロセッサ212(
図9参照)によって実行される荷重分散装置制御プロセス300のフロー図が示されている。プロセス300のステップは、ブロック302~312によって示される。
【0067】
プロセス300はブロック302から始まり、プロセス300は複数のセンサ40,45から取得したユーザの機械情報及び生体力学情報を収集する。
【0068】
ブロック304において、ユーザの体節の運動学は、モーションプロファイラならびにブロック302から収集した機械情報及び生体力学情報を使用して決定される。
【0069】
ブロック306において、ユーザの手足に提供される追跡、アシスト、及び/又は抵抗のタイプは、システム用に選択されたアプリケーションのタイプ及びシステム設定のユーザカスタマイズに基づいて選択される。
【0070】
次に、ブロック308において、プロセス200は、ブロックのモーションプロファイラによって検出された動きに基づいて及びブロック306のユーザカスタマイズに基づいて作動パターン又は追跡パターンを設定し、ブロック310において、プロセス300は、股関節アクチュエータ22及び膝関節アクチュエータ23に、ユーザの動きをアシスト又はユーザの動きに抵抗するために関節作動を適用するか、ユーザの手足の運動データに追従して捕捉するために受動モードで追跡を行うように、指示する。
【0071】
最後に、ブロック312において、プロセス300は、荷重分散装置10を、ユーザの自然な身体の動きに適応するように制御し、ユーザの手足のアシスト/抵抗が必要とされない限り、自由な動きを可能にする。
【0072】
図11を参照すると、本開示の第2の例示的な実施形態による、1つ又は複数のプロセッサ212(
図9参照)によって実行される荷重分散装置制御プロセス400の流れ図が示されている。プロセス400のステップは、ブロック402~412によって示される。
【0073】
プロセス400はブロック402から始まり、プロセス400は複数のセンサ40,45から取得したユーザの機械情報及び生体力学情報を収集する。
【0074】
ブロック404において、ユーザの体節の運動学は、歩行プロファイラならびにブロック402から収集した機械情報及び生体力学情報を使用して決定される。歩行プロファイラとしては、例えば、2017年1月25日に出願された「Gait Profiler System and Method」と題するWO2018/137016A1に開示されているようなものであり得る。
【0075】
次に、ブロック406において、荷重分散装置10によって提供されたアシストの大きさ及びタイプのユーザカスタマイズが適用され、ブロック408において、プロセス400は、股関節アクチュエータ22及び膝関節アクチュエータ23を介して、装着者の腰及び膝に提供されるアシストのレベル及びタイミングを設定する。
【0076】
これにより、ブロック410において、荷重分散装置10は、歩行プロファイラによって提供されるユーザの運動パターン及び意図の検出を使用して、ユーザの手足に追従することが可能になる。
【0077】
最後に、ブロック412において、プロセス400は、下半身の活動を行う際の生理学的要求を軽減するために、股関節アクチュエータ22及び膝関節アクチュエータ23に、補助的な筋力をユーザに提供するように指示する。荷重分散装置10はまた、ユーザの関節にかかる荷重負荷を軽減するための機械的アシストを提供する。
【0078】
図12を参照すると、本開示の第3の例示的な実施形態による、1つ又は複数のプロセッサ212(
図9参照)によって実行される荷重分散装置制御プロセス500の流れ図が示されている。プロセス500のステップは、ブロック502~512によって示される。
【0079】
プロセス500はブロック502から始まり、プロセス500は複数のセンサ40,45から取得したユーザの機械情報及び生体力学情報を収集する。
【0080】
ブロック504において、ユーザの体節の運動学は、歩行プロファイラならびにブロック502から収集した機械情報及び生体力学情報を使用して決定される。歩行プロファイラとしては、例えば、2017年1月25日に出願された「Gait Profiler System and Method」と題するWO2018/137016A1に開示されているようなものであり得る。
【0081】
次に、ブロック506において、荷重分散装置10によって提供される、抵抗の大きさ及びタイプならびに運動追跡性や対話性(例えば、休息期間や反復の追跡や合図)のタイプのユーザカスタマイズが適用され、ブロック508において、プロセス500は、股関節アクチュエータ22及び膝関節アクチュエータ23を介して装着者の腰及び/又は膝に提供される抵抗のレベル及びタイミングを設定する。
【0082】
これにより、ブロック508において、荷重分散装置10は、設定されたレベル及びタイプの抵抗を与えながら、ユーザの手足に追従することができる。
【0083】
最後に、ブロック512において、プロセス500は、股関節アクチュエータ22及び膝関節アクチュエータ23に、ユーザの動きに対抗するための抵抗を与えるように指示し、ユーザは、例えば、一定の関節速度、一定の抵抗力、目標とするパワー、目標とするペースなど、目標とする可動域や動作タイプの状態で筋力トレーニングを行うことができる。
【0084】
ユーザの手足に与えられる追跡、アシスト、及び/又は抵抗のタイプ、与えられるアシストの大きさ及びタイプ、ならびに運動追跡性や対話性のタイプの選択は、荷重分散装置10に配置された機械入力(例えば、ボタン)及び/又はデジタル入力を使用して、及び/又はリモートコントローラもしくはスマートフォンなどの周辺装置のソフトウェアアプリケーションを介して実施することができる。
【0085】
本明細書に開示された荷重分散装置の様々な実施形態は、長さ調整機能を備えていてもいなくてもよく、ユーザの特定の生理学的状態に合わせて設計されてもよいことを理解されたい。
【0086】
更に、筋骨格系のストレスをユーザの下肢の関節から体節に伝達するための荷重分散装置は、ユーザの下肢の一方又は両方に設けることができることを理解されたい。
【0087】
本開示は、特定の非限定的な例示的な実施形態及びその例によって説明されてきたが、当業者には、本開示の範囲から逸脱することなく、本特定の実施形態に変更が適用され得ることは明らかであることに留意されたい。
【国際調査報告】