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特表2024-505620バイオ再生可能なエラストマーゲルおよびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】バイオ再生可能なエラストマーゲルおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/00 20060101AFI20240131BHJP
   A61K 8/85 20060101ALI20240131BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20240131BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20240131BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240131BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240131BHJP
   A61Q 9/02 20060101ALI20240131BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20240131BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240131BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20240131BHJP
   C08G 63/12 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
C08L67/00
A61K8/85
A61Q13/00 102
A61Q1/02
A61Q5/02
A61Q5/12
A61Q9/02
A61Q15/00
A61Q17/04
A61Q19/10
A61K8/04
C08G63/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538953
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 US2021064978
(87)【国際公開番号】W WO2022140617
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/130,218
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】キン,シュー
(72)【発明者】
【氏名】フォーク,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】タマミ,マナ
(72)【発明者】
【氏名】ガラブラ,ユリイ
(72)【発明者】
【氏名】パワル,アマル
【テーマコード(参考)】
4C083
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB152
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC212
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC512
4C083AC532
4C083AC662
4C083AC842
4C083AC912
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD202
4C083AD242
4C083AD352
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC17
4C083CC19
4C083CC23
4C083CC25
4C083CC33
4C083CC38
4C083CC39
4C083DD33
4C083DD41
4C083EE50
4C083FF01
4C083KK03
4J002CF011
4J002CF031
4J002GB00
4J002GC00
4J029AA01
4J029AB01
4J029AC01
4J029AE18
4J029BA00
4J029CD03
4J029EA01
4J029FC02
4J029HA01
4J029HB01
4J029JC361
4J029KD02
4J029KE09
(57)【要約】
本開示は、エラストマー組成物およびそうした組成物を調製するための方法を提供する。架橋したポリエステルエラストマー組成物は、種々のパーソナルケア製品中に配合可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー組成物であって:
(i)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、またはそれらの組み合わせ;および
(ii)少なくとも1つのポリオールの反応生成物を含み;
ここで(a)少なくとも1つのポリカルボン酸または少なくとも1つのポリカルボン酸エステルおよび少なくとも1つのポリオールは合計で少なくとも5つのカルボキシルおよびヒドロキシル官能基を有し、そして(b)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、または少なくとも1つのポリオールには少なくとも3つのカルボキシルまたはヒドロキシル官能基が存在する、エラストマー組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのポリカルボン酸は式(I)の化合物であり、
【化16】

式中
はC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、C~C200ヘテロアルケン基、C~C200アルキン基、C~C200ヘテロアルキン基、C~C200環状基、またはC~C200ヘテロ環状基;そして
mは2から10の整数である、請求項1のエラストマー。
【請求項3】
ポリカルボン酸は、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、トリメシン酸、カルバリル酸、C54トリマー酸、メリット酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2のエラストマー。
【請求項4】
少なくとも1つのポリカルボン酸は式(II)の化合物であるジカルボン酸であり、
【化17】

式中
はC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、C~C200ヘテロアルケン基、C~C200アルキン基、C~C200ヘテロアルキン基、C~C200環状基、またはC~C200ヘテロ環状基;そしてnは2である、請求項1から3のいずれか1のエラストマー。
【請求項5】
ジカルボン酸は、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、C21ダイマー酸、C36ダイマー酸、水素化C36ダイマー酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、酒石酸、リンゴ酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項4のエラストマー。
【請求項6】
少なくとも1つのポリカルボン酸エステルは式(III)の化合物であり、
【化18】

式中
はC~C22アルキル基、C~C22アルケン基、またはC~C22環状基;
はC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、C~C200ヘテロアルケン基、C~C200アルキン基、C~C200ヘテロアルキン基、C~C200環状基、またはC~C200ヘテロ環状基;そして
pは3から10の整数である、請求項1のエラストマー。
【請求項7】
ポリカルボン酸エステルは、クエン酸トリエチル、イソクエン酸トリエチル、アコニット酸トリエチルエステル、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸トリエチルエステル、トリメシン酸トリエチルエステル、カルバリル酸トリエチルエステル、C54トリマー酸トリエチルエステル、メリット酸ヘキサエチルエステル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項6のエラストマー。
【請求項8】
ポリカルボン酸エステルは式(IV)の化合物であるジカルボン酸エステルであり、
【化19】

式中
はC~C22アルキル基、C~C22アルケン基、またはC~C22環状基;
はC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、C~C200ヘテロアルケン基、C~C200アルキン基、C~C200ヘテロアルキン基、C~C200環状基、またはC~C200ヘテロ環状基;そして
qは2である、請求項6のエラストマー。
【請求項9】
ジカルボン酸エステルは、マロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、ピメリン酸ジエチル、アゼライン酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、ウンデカン二酸ジエチル、C21ダイマー酸ジエチルエステル、C36ダイマー酸ジエチルエステル、水素化C36ダイマー酸ジエチルエステル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項8のエラストマー。
【請求項10】
少なくとも1つのポリオールは式(V)の化合物であり、
【化20】

式中
はC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、C~C200ヘテロアルケン基、C~C200アルキン基、C~C200ヘテロアルキン基、C~C200環状基、またはC~C200ヘテロ環状基;そして
dは2から10の整数である、請求項1から9のいずれか1のエラストマー。
【請求項11】
ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、ヒマシ油、水素化ヒマシ油、糖アルコール、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類、タンニン、没食子酸、グルコン酸、ラクトビオン酸、グルコノラクトン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項10のエラストマー。
【請求項12】
ポリオールは式(VI)の化合物であるジオールであり、
【化21】

式中
はC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、C~C200ヘテロアルケン基、C~C200アルキン基、C~C200ヘテロアルキン基、C~C200環状基、またはC~C200ヘテロ環状基;そして
fは2である、請求項10のエラストマー。
【請求項13】
ジオールは、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、C36ダイマージオール、水素化C36ダイマージオール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12のエラストマー。
【請求項14】
カルボキシル官能基(~COOH)およびカルボキシルエステル官能基(-RCOOR-)のヒドロキシル官能基(-OH)に対する比率は約1.5:1から約1:1.5である、請求項1から13のいずれか1のエラストマー。
【請求項15】
エラストマーは:
i.少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、またはそれらの組み合わせを
ii.少なくとも1つのポリオールと;
第1の溶媒の存在下に反応させ、それによって架橋ポリマー構造を形成することによって調製され;
ここで(a)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、および少なくとも1つのポリオールは合計で少なくとも5つのカルボキシルおよびヒドロキシル官能基を有し、そして(b)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、または少なくとも1つのポリオールには少なくとも3つのカルボキシルまたはヒドロキシル官能基が存在する、請求項1から14のいずれか1のエラストマー。
【請求項16】
溶媒は、トリグリセリド系溶媒、モノエステル系溶媒、ジエステル系溶媒、クエン酸エステル系溶媒、エーテル系溶媒、カーボネート系溶媒、炭化水素系溶媒、シリコーン系溶媒、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項15のエラストマー。
【請求項17】
トリグリセリド系溶媒は式(VIII)の化合物を含み、
【化22】

式中
11、R12、およびR13は独立してC~C35アルキル基、C~C35ヘテロアルキル基、C~C35アルケン基、またはC~C35ヘテロアルケン基である、請求項16のエラストマー。
【請求項18】
トリグリセリド系溶媒は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリヘプタノイン、コーン油、大豆油、オリーブ油、菜種油、綿実油、ヤシ油、アーモンド油、アルゴン油、ローズヒップ油、ブラックシード油、グレープシード油、アボカド油、アンズ核油、ゼラニウム油、ラベンダー油、ローズヒップ油、マカダミア油、ユーカリ油、イワシ油、ニシン油、ベニバナ油、亜麻仁油、ひまわり油、オリーブ油、キャノーラ油、ごま油、綿実油、パーム油、菜種油、桐油、魚油、ピーナッツ油、クフェア油、トウワタ油、アッケシ油、鯨油、ヒマシ油、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16または17のエラストマー。
【請求項19】
モノエステル系溶媒は式(IX)の化合物であり、
【化23】

式中
14はC~C35アルキル基、C~C35ヘテロアルキル基、C~C35アルケン基、またはC~C35ヘテロアルケン基;そして
15はH、C~C35アルキル基、C~C35ヘテロアルキル基、C~C35アルケン基、またはC~C35ヘテロアルケン基である、請求項16のエラストマー。
【請求項20】
モノエステル系溶媒は、ココカプリル酸/カプリン酸、ココカプリル酸、ココカプリン酸、ホホバ油、ホホバエステル、ホホバ脂肪酸イソプロピル、マカダミ酸エチル、ラウリン酸イソアミル、ウンデシレン酸ヘプチル、イソステアリン酸メチルヘプチル、イソステアリン酸イソステアリル、リシノール酸グリセリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ブチル、ヤシ油脂肪酸エチルヘキシル、パルミチン酸エチルヘキシル、ステアリン酸エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、ベヘン酸イソセチル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸プロピレングリコール、エルカ酸オクチドデシル、乳酸アルキル(C12~C13)、乳酸アルキル(C12~C15)、乳酸イソステアリル、乳酸グリセレス-5、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸オレイル、安息香酸ラウレス-2、安息香酸アルキル(C12~C15)、安息香酸(C12~C15)パレス-3、安息香酸ジプロピレングリコール、サリチル酸イソデシル、サリチル酸アルキル(C12~C15)、サリチル酸トリデシル、イソノナン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、エチルヘキサン酸イソデシル、イソノナン酸イソデシル、エチルヘキサン酸トリデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソステアリル、イソノナン酸セテアリル、ラウレス-2エチルヘキサン酸、エチルヘキサン酸セテアリル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸ミリスチル、ベヘン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸トリデシル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16または19のエラストマー。
【請求項21】
ジエステル系溶媒は式(X)、式(XI)、または式(XII)の化合物であり、
【化24】

【化25】

【化26】

式中
16はC~C35アルキル基、C~C35ヘテロアルキル基、C~C35アルケン基、またはC~C35ヘテロアルケン基;そして
17およびR18は独立してH、C~C35アルキル基、C~C35ヘテロアルキル基、C~C35アルケン基、またはC~C35ヘテロアルケン基である、請求項16のエラストマー。
【請求項22】
クエン酸エステル系溶媒は式(XIII)の化合物であり、
【化27】

式中
19、R20、R21、およぴR22は独立してH、C~C35アルキル基、C~C35ヘテロアルキル基、C~C35アルケン基、またはC~C35ヘテロアルケン基である、請求項16のエラストマー。
【請求項23】
エーテル系溶媒は式(XIV)の化合物であり、
【化28】

式中
23およびR24は独立してH、C~C20アルキル基、C~C20ヘテロアルキル基、C~C20アルケン基、またはC~C20ヘテロアルケン基である、請求項16のエラストマー。
【請求項24】
エーテル系溶媒は、ジカプリリルエーテル、ジデシルエーテル、パンテニルエチルエーテル、ジセチルエーテル、ジミリスチルエーテル、ジステアリルエーテル、ジステアリルエーテル、ジラウリルエーテル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16または23のエラストマー。
【請求項25】
カーボネート系溶媒は、式(XV)の化合物であり、
【化29】

式中
25およびR26は独立してH、C~C20アルキル基、C~C20ヘテロアルキル基、C~C20アルケン基、またはC~C20ヘテロアルケン基である、請求項16のエラストマー。
【請求項26】
炭化水素系溶媒は、ファルネセン、水素化ファルネセン、ココナッツアルカン、ココナッツ/パーム核油アルカン、C~C12アルカン、C10~C13アルカン、C12~C17アルカン、C13~C14アルカン、C13~C15アルカン、C14~C17アルカン、C14~C19アルカン、C14~C20アルカン、C14~C22アルカン、C15~C19アルカン、C21~C28アルカン、C17~C23アルカン、C~C12イソアルカン、C~C13イソアルカン、C~C14イソアルカン、C~C16イソアルカン、C10~C11イソアルカン、C10~C12イソアルカン、C10~C13イソアルカン、C11~C12イソアルカン、C11~C13イソアルカン、C11~C14イソアルカン、C12~C14イソアルカン、C12~C15イソアルカン、C12~C20イソアルカン、C13~C14イソアルカン、C13~C16イソアルカン、C14~C16イソアルカン、C15~C19イソアルカン、ジエチルヘキシルシクロヘキサン、ウンデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ドコサン、スクワラン、水素化ポリイソブテン、ポリブテン、水素化ポリデセン、水素化ジデセン、鉱油、パラフィン油、ワセリン、ドデカン、イソヘキサデカン、イソドデカン、イソエイコサン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16のエラストマー。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか1のエラストマーを含む組成物。
【請求項28】
組成物はゲルである、請求項27の組成物。
【請求項29】
請求項1から26のいずれか1のエラストマーを請求項16から26の1またはより多くに記載の1またはより多くの溶媒と組み合わせ、ホモジナイズ処理して生成せされるゲル。
【請求項30】
請求項29のゲルを含むパーソナルケア配合物。
【請求項31】
パーソナルケア配合物は、デオドラント、制汗剤、スキンクリーム、フェイシャルクリーム、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ムース、ヘアスタイリングジェル、ヘアスプレー、保護クリーム、口紅、ファンデーション、頬紅、メイクアップ、マスカラ、スキンケアローション、モイスチャライザー、フェイシャルトリートメント、パーソナルクレンザー、洗顔料、バスオイル、香水、シェービングクリーム、プレシェーブローション、アフターシェーブローション、オーデコロン、サシェ、および日焼け止めからなる群より選択されるパーソナルケア用品である、請求項30のパーソナルケア配合物。
【請求項32】
(i)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、またはそれらの組み合わせと(ii)少なくとも1つのポリオールを第1の溶媒中で反応させ、それによって架橋ポリマー構造を形成することを含む、請求項1から26のいずれか1のエラストマーの調製方法。
【請求項33】
さらに:
(a)架橋ポリマー構造を第2の溶媒と組み合わせ、それによって膨潤した架橋ポリマー構造を形成し、そして
(b)膨潤した架橋ポリマー構造に剪断力を作用させ、それによって均一なポリエステルエラストマーゲルを形成することを含む、請求項32の方法。
【請求項34】
請求項1から26のいずれか1のエラストマーから調製されたゲルのパーソナルケア配合物における使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はエラストマー組成物、およびそうした組成物を調製するための方法を提供する。さらにこれらのエラストマーは、エラストマーゲルに変換可能である。こうしたエラストマーおよびエラストマーゲルはバイオ再生可能であることができ、バイオ再生可能な原材料から生成される。さらにこうしたエラストマーゲルは、パーソナルケア配合物(処方)を作成するために種々のパーソナルケア成分と組み合わせた場合に、有益な特性をもたらす。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア産業は、幾つかの成分を混合することに基づいて複数の性能を持つ製品を上市することに成功しており、成分のそれぞれは、最終的な配合物において重要な、または望ましい性能特性を有している。シリコーンゲルは、種々のパーソナルケア配合物に一般的に添加されて、感覚的、テクスチャー的、レオロジー的、および光学的な性能に関して審美性を向上させている。例えば米国特許第4,987,169号;第5,654,362号;第5,760,116号;第6,423,322号;および第5,811,487号を参照されたい。
【0003】
しかしながら、従来のシリコーンゲルは、多くの天然油、エステル油、およびパーソナルケア配合物において関心の高まっている他のバイオ系成分との相溶性に関して、汎用性が限定されたものであった。さらにまた、シリコーンポリマーは生物学的分解またはその他の分解が困難である。種々のパーソナルケア製品に使用されている具体的なシリコーン化合物である、環状シロキサンD4(オクタメチルシクロテトラシロキサン)およびD5(デカメチルシクロペンタシロキサン)は空気および水に対する汚染物質であり、試験動物の健康に対して悪影響を示す。したがって、健康および環境に対する懸念のない、バイオ再生可能な原材料から作成された生分解性の天然ポリマーゲルが極めて望ましい。
【0004】
ポリエステルは、そのポリマー鎖にエステル官能基を含む化合物の類である。エステル基は、ある種の生物学的触媒で処理された場合、または数多くのポリエステルをバイオ再生可能にする微生物の所定の混合培地で処理された場合に加水分解可能である。近年、バイオ系のポリエステルを再生可能な資源から、パーソナルケア配合物用のエモリエント、乳化剤、皮膜形成剤または他の機能性成分として構成および開発することに対する関心が非常に高まっている。例えば米国特許第8,414,906号;第9,334,358号;第6,540,987号;第7,820,758号を参照されたい。しかしながら、シリコーンゲルを補足して消費者に対して複数の利点をもたらすことが報告されたポリエステルエラストマーやゲルはまだない。
【発明の概要】
【0005】
最初の実施態様において、本開示は:(i)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、またはそれらの組み合わせ;および(ii)少なくとも1つのポリオールの反応生成物を含むエラストマー組成物であって;(a)少なくとも1つのポリカルボン酸または少なくとも1つのポリカルボン酸エステルおよび少なくとも1つのポリオールが合計で少なくとも5つのカルボキシルおよびヒドロキシル官能基を有し、(b)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、または少なくとも1つのポリオールには少なくとも3つのカルボキシルまたはヒドロキシル官能基が存在する、エラストマー組成物を提供する。
【0006】
別の実施態様において、本開示は:(i):(a)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、またはそれらの組み合わせと(b)少なくとも1つのポリオールを第1の低分子量有機溶媒の存在下に反応させ、それによって架橋ポリマー構造を形成することによって調製されるエラストマーであって;(a)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、および少なくとも1つのポリオールが合計で少なくとも5つのカルボキシルおよびヒドロキシル官能基を有し、(b)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、または少なくとも1つのポリオールには少なくとも3つのカルボキシルまたはヒドロキシル官能基が存在する、エラストマーを提供する。
【0007】
追加的な実施態様において、本開示は、(i)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、またはそれらの組み合わせと(ii)少なくとも1つのポリオールを第1の溶媒中で反応させ、それによって架橋ポリマー構造を形成することを含む、エラストマーの調製方法を提供する。
【0008】
さらなる実施態様において、本開示は、本書に記載のエラストマーから調製されたゲルのパーソナルケア配合物における使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
I.定義
特段明示しない限り、価数を満たさないすべての原子は、価数を満たすのに十分な水素原子を有するものとする。
【0010】
存在が「ある」または「1つ」という用語は、その存在が1つまたはより多くであることを参照していることに留意されたい。例えば「ある塩基配列」は、特段明記しない限り、1つまたはより多くの塩基配列を表すものとして理解される。このように、本願において「ある」(または「1つの」)という用語は、「1つまたはより多く」および「少なくとも1つ」と互換性をもって使用可能である。
【0011】
さらにまた「および/または」は、本願で使用するところでは、特定された2つの特徴や成分のそれぞれが、他方を伴いまたは伴わない具体的な開示として理解されるべきである。かくして用語「および/または」は、本願において「Aおよび/またはB」のような言い回しにおいて使用されるところでは、「AおよびB」、「Aまたは」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことを意図している。同様に、用語「および/または」は、「A、B、および/またはC」のような言い回しにおいて使用されるところでは、以下の実施態様のそれぞれを含むことを意図している:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0012】
本願において実施態様が「含む」という用語を用いて記載される場合は、「からなる」および/または「から本質的になる」という用語で記述される、他の点においては同様の実施態様もまた提示されていることが理解されよう。
【0013】
本願においては「約」という用語は、おおよそ、大体、周辺、または近傍にあることを意味するように用いられる。用語「約」が数値範囲に関連して使用される場合、それは記載された数値範囲の境界を上下に拡張することによって、その範囲を修正する。一般に、用語「約」は数値を、例えば10パーセント上方または下方(より高くまたはより低く)だけ変動させることによって、記載された値を上下に変化させることができる。
【0014】
本願で使用されるところでは、特に明記しない限り以下の定義が適用される。本開示の目的については、化学元素はCAS版の元素の周期律表、および化学および物理ハンドブック75版1994年にしたがって識別される。加えて、有機化学の一般原理は、トーマス・ソレル「有機化学」、ユニバーシティサイエンスブックス、サウサリート:1999年、およびM.B. スミスおよびJ. マーチ編「マーチ最新有機化学」第6版、ジョンワイリーアンドサンズ社ニューヨーク:2007年に記載されており、これらの全内容は参照によって本願に取り込まれるものとする。
【0015】
用語「アルキル」は、本願で使用されるところでは、それ自体でまたは基の一部として、1から200の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の脂肪族炭化水素、すなわちC~C200アルキル、または指定された数の炭素を含有する直鎖または分岐鎖の脂肪族炭化水素、例えばメチルのようなCアルキル、エチルのようなCアルキルを指している。1つの実施形態では、アルキルはC~C200アルキル基である。別の実施形態では、アルキルはC~C60アルキル基である。別の実施形態では、アルキルはC~C60アルキル基である。別の実施形態では、アルキルはC~C22アルキル基である。アルキル基の例には、ブチル、オクチル、デシル、ラウリル、セチル(パルミチル)、およびステアリルが含まれる。
【0016】
用語「アルケン」は、本願で使用されるところでは、それ自体でまたは基の一部として、1つ、2つ、3つ、またはより多くの炭素-炭素二重結合を含むアルキル基を指している。1つの実施形態では、アルケン基はC~C200アルキレン基である。別の実施形態では、アルケン基はC~C60アルケン基である。別の実施形態では、アルケン基はC~C60アルケン基である。別の実施形態では、アルケン基はC~C60アルケン基である。別の実施形態では、アルケン基はC~C22アルケン基である。
【0017】
用語「アルキン」は、本願で使用されるところでは、それ自体でまたは基の一部として、1つ、2つ、3つ、またはより多くの炭素-炭素三重結合を含むアルキル基を指している。別の実施形態では、アルキンはC~C200アルキン基である。
【0018】
用語「環状」は、本願で使用されるところでは、それ自体でまたは基の一部として、3つまたはより多くの原子を含む安定な環状化合物を指している。ある実施形態では、環状はC~C200環状基である。ある実施形態では、環状はC~C60環状基である。ある実施形態では、環状はC~C22環状基である。環状化合物の例には、ベンゼン、シクロペンタンおよびシクロヘキサンが含まれる。
【0019】
用語「ヘテロアルキル」は、本願で使用されるところでは、それ自体でまたは基の一部として、2から200の炭素原子およびO、N、またはSから選択され同一でも異なっていてもよい少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、硫黄原子は任意選択的に酸化されていてよい、安定な直鎖または分岐鎖のアルキルラジカルを指している。ヘテロ原子はヘテロアルキル基の任意の内部位置に、またはヘテロアルキル基が分子の残部に結合される位置に配置されることができる。ある実施形態では、ヘテロアルキルはC~C60ヘテロアルキル基である。ある実施形態では、ヘテロアルキルはC~C60ヘテロアルキル基である。ヘテロアルキル化合物の例には、スクシニル、アジポイル、およびセバコイルが含まれる。
【0020】
用語「ヘテロアルケン」は、本願で使用されるところでは、それ自体でまたは基の一部として、2から200の炭素原子およびO、N、またはSから選択され同一でも異なっていてもよい少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、硫黄原子は任意選択的に酸化されていてよい、安定な直鎖または分岐鎖のアルケンラジカルを指している。ヘテロ原子はヘテロアルキル基の任意の内部位置に、またはヘテロアルキル基が分子の残部に結合される位置に配置されることができる。ある実施形態では、ヘテロアルケン基はC~C60ヘテロアルケン基である。ある実施形態では、ヘテロアルケン基はC~C60ヘテロアルケン基である。ヘテロアルケン化合物の例には、オレオイル、リシノリル、およびリノレオイルが含まれる。
【0021】
用語「ヘテロアルキン」は、本願で使用されるところでは、それ自体でまたは基の一部として、2から200の炭素原子およびO、N、またはSから選択され同一でも異なっていてもよい少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、硫黄原子は任意選択的に酸化されていてよい、安定な直鎖または分岐鎖のアルキンラジカルを指している。ヘテロ原子はヘテロアルキル基の任意の内部位置に、またはヘテロアルキル基が分子の残部に結合される位置に配置されることができる。用語「ヘテロ環状」は、本願で使用されるところでは、それ自体でまたは基の一部として、3つまたはより多くの原子およびO、N、またはSから選択され同一でも異なっていてもよい少なくとも1つのヘテロ原子を含有する、安定な環状化合物を指している。ある実施形態では、ヘテロ環状基はC~C200ヘテロ環状基である。ある実施形態では、ヘテロ環状基はC~C60ヘテロ環状基である。
【0022】
用語「ヘテロ環状」は、本願で使用されるところでは、それ自体でまたは基の一部として、2つまたはより多くの炭素原子およびO、N、またはSから選択され同一でも異なっていてもよい少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、硫黄原子は任意選択的に酸化されていてよい、安定な環状化合物を指している。ある実施形態では、ヘテロ環状基はC~C200ヘテロ環状基である。ある実施形態では、ヘテロ環状基はC~C60ヘテロ環状基である。ある実施形態では、ヘテロ環状基はC~C22ヘテロ環状基である。ヘテロ環状化合物の例には、フラン、オキソラン、およびチオフェンが含まれる。
【0023】
本開示の種々の実施態様を以下に詳細に説明する。
II.組成物
【0024】
1つの実施態様において、本開示は:
(i)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、またはそれらの組み合わせ;および
(ii)少なくとも1つのポリオール;の反応生成物を含む架橋ポリエステルエラストマー組成物に向けられており、
ここで(a)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、および少なくとも1つのポリオールは合計で少なくとも5つのカルボキシルおよびヒドロキシル官能基を有し、そして(b)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、または少なくとも1つのポリオールには少なくとも3つのカルボキシルまたはヒドロキシル官能基が存在する。
A.成分
a.ポリカルボン酸
【0025】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのポリカルボン酸は式(I)の化合物であってよく
【化1】

式中
はC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、C~C200ヘテロアルケン基、C~C200アルキン基、C~C200ヘテロアルキン基、C~C200環状基、またはC~C200ヘテロ環状基;そして
mは2から10の整数である。
【0026】
さらなる実施態様において、化合物は式(I)の化合物であり、式中RはC~C60アルキル基、C~C60ヘテロアルキル基、C~C60アルケン基、C~C60ヘテロアルケン基、C~C60環状基、またはC~C60ヘテロ環状基であり;そしてmは2から10の整数である。
【0027】
ある実施態様において、化合物は式(I)の化合物であり、式中mは2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。ある実施態様において、化合物は式(I)の化合物であり、式中mは2から6の整数である。別の実施態様において、化合物は式(I)の化合物であり、式中mは2、3、4、5、または6である。
【0028】
ある実施態様において、ポリカルボン酸は式(I)の化合物、および/または式(III)の化合物と式(V)の化合物の生成物である。
【0029】
ある実施態様において、少なくとも1つのポリカルボン酸は、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、トリメシン酸、カルバリル酸、C54トリマー酸、メリット酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。さらなる実施態様において、少なくとも1つのポリカルボン酸は、クエン酸、C54トリマー酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。
【0030】
ある実施態様において、C36ダイマー酸は植物油由来の不飽和脂肪酸を二量体化することによって調製されるジカルボン酸である。
【0031】
ある実施態様において、C54トリマー酸は植物油由来の不飽和脂肪酸を三量体化することによって調製されるポリカルボン酸である。
【0032】
いくつかの実施態様において、不飽和脂肪酸はパルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、またはリノレン酸である。
【0033】
いくつかの実施態様において、植物油は大豆油、ベニバナ油、アマニ油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油、キャノーラ油、ごま油、綿実油、パーム油、菜種油、桐油、落花生油、またはトウワタ油である。
【0034】
ある実施態様において、少なくとも1つのカルボン酸はジカルボン酸であってよい。ある実施態様において、ジカルボン酸は式(II)の化合物である。
【化2】

式中
はC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルキレン基、C~C200ヘテロアルキレン基、C~C200アルキン基、C~C200ヘテロアルキン基、C~C200環状基、またはC~C200ヘテロ環状基;そして
nは2から6の整数である。
【0035】
別の実施態様において、化合物は式(II)の化合物であり、式中RはC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、またはC~C200ヘテロアルケン基であり、そしてnは2である。さらなる実施態様において、化合物は式(II)のものであり、式中RはC~C60アルキル基、C~C60ヘテロアルキル基、C~C60アルケン基、またはC~C60ヘテロアルケン基であり、そしてnは2である。ある実施態様において、化合物は式(II)のものであり、式中Rはスクシニル、アジポイル、セバコイル、ジリノレイル、またはトリリノレイルであってよい。
【0036】
ある実施態様において、化合物は式(II)の化合物であり、式中nは1または2であってよい。
【0037】
いくつかの実施態様において、ジカルボン酸は、マロン酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、ヘキサデカン二酸、C21ダイマー酸、C36ダイマー酸、水素化C36ダイマー酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、酒石酸、リンゴ酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。さらなる実施態様において、ジカルボン酸は、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、C21ダイマー酸、C36ダイマー酸、水素化C36ダイマー酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。1つの実施態様において、ジカルボン酸は、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、C21ダイマー酸、C36ダイマー酸、水素化C36ダイマー酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
b.ポリカルボン酸エステル
【0038】
ある実施態様において、少なくとも1つのポリカルボン酸エステルは式(III)の化合物であってよい。
【化3】

式中
はC~C22アルキル基、C~C22アルキレン基、またはC~C22環状基;
はC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、C~C200ヘテロアルケン基、C~C200アルキン基、C~C200ヘテロアルキン基、C~C200環状基、またはC~C200ヘテロ環状基;そして
pは3から10の整数である。
【0039】
別の実施態様において、化合物は式(III)の化合物であり、式中RはC~C22アルキル基またはC~C22アルケン基;RはC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、またはC~C200ヘテロアルケン基;そしてpは3から10の整数である。
【0040】
さらなる実施態様において、化合物は式(III)の化合物であり、式中RはC~C10アルキル基;RはC~C60アルキル基、C~C60ヘテロアルキル基、C~C60アルケン基、またはC~C60ヘテロアルケン基;そしてpは3から10の整数である。
【0041】
ある実施態様において、化合物は式(III)の化合物であり、式中pは3から6の整数である。ある実施態様において、化合物は式(III)の化合物であり、式中pは3、4、5、または6である。
【0042】
ある実施態様において、ポリカルボン酸エステルは、式(I)の化合物、および/または式(III)の化合物と式(V)の化合物の生成物である。
【0043】
いくつかの実施態様において、ポリカルボン酸エステルは、クエン酸トリエチル、イソクエン酸トリエチル、アコニット酸トリエチルエステル、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸トリエチルエステル、トリメシン酸トリエチルエステル、カルバリル酸トリエチルエステル、C54トリマー酸トリエチルエステル、メリット酸ヘキサエチルエステル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。さらなる実施態様において、ポリカルボン酸エステルは、クエン酸トリエチル、C54トリマー酸トリエチルエステル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。
【0044】
ある実施態様において、少なくとも1つのポリカルボン酸エステルはジカルボン酸エステルであってよい。いくつかの実施態様において、ジカルボン酸エステルは式(IV)の化合物であってよい。
【化4】

式中
はC~C22アルキル基、C~C22アルケン基、またはC~C22環状基;
はC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルキレン基、C~C200ヘテロアルケン基、C~C200アルキン基、C~C200ヘテロアルキン基、C~C200環状基、またはC~C200ヘテロ環状基;そして
qは2である。
【0045】
ある実施態様において、化合物は式(IV)の化合物であり、式中RはC~C22アルキル基またはC~C22アルキレン基;RはC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、またはC~C200ヘテロアルケン基;そしてqは2である。さらなる実施態様において、化合物は式(IV)の化合物であり、式中RはC~C10アルキル基;RはC~C60アルキル基、C~C60ヘテロアルキル基、C~C60アルケン基、またはC~C60ヘテロアルケン基;そしてqは2である。
【0046】
いくつかの実施態様において、ジカルボン酸は、マロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、フマル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、ピメリン酸ジエチル、スベリン酸ジエチル、アゼライン酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、ウンデカン二酸ジエチル、ドデカン二酸ジエチル、トリデカン二酸ジエチル、ヘキサデカン二酸ジエチル、C21ダイマー酸ジエチルエステル、C36ダイマー酸ジエチルエステル、水素化C36ダイマー酸ジエチルエステル、アスパラギン酸ジエチル、グルタミン酸ジエチル、酒石酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。さらなる実施態様において、ジカルボン酸エステルは、マロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、ピメリン酸ジエチル、アゼライン酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、ウンデカン二酸ジエチル、C21ダイマー酸ジエチルエステル、C36ダイマー酸ジエチルエステル、水素化C36ダイマー酸ジエチルエステル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。
c.ポリオール
【0047】
ある実施態様において、少なくとも1つのポリオールは式(V)の化合物である。
【化5】

式中
はC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、C~C200ヘテロアルケン基、C~C200アルキン基、C~C200ヘテロアルキン基、C~C200環状基、またはC~C200ヘテロ環状基;そして
dは2から10の整数である。
【0048】
ある実施態様において、化合物は式(V)の化合物であり、式中RはC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、またはC~C200ヘテロアルケン基;そしてdは2から10の整数である。さらなる実施態様において、化合物は式(V)の化合物であり、式中RはC~C60アルキル基、C~C60ヘテロアルキル基、C~C60アルケン基、またはC~C60ヘテロアルケン基;そしてdは2から10の整数である。
【0049】
ある実施態様において、化合物は式(V)の化合物であり、式中dは2から6の整数である。ある実施態様において、化合物は式(V)の化合物であり、式中dは2、3、4、5、または6である。
【0050】
ある実施態様において、ポリオールは式(I)の化合物、および/または式(III)の化合物と式(V)の化合物の生成物である。
【0051】
ある実施態様において、C36ダイマージオールはC36ダイマー酸から生成されたジオールである。
【0052】
いくつかの実施態様において、ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、ヒマシ油、水素化ヒマシ油、糖アルコール、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類、タンニン、没食子酸、グルコン酸、ラクトビオン酸、グルコノラクトン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。さらなる実施態様において、ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ヒマシ油、水素化ヒマシ油、ソルビトール、没食子酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。別の実施態様において、アルコールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ヒマシ油、水素化ヒマシ油、ソルビトール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。
【0053】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのポリオールはジオールである。いくつかの実施態様において、ジオール式(VI)の化合物である。
【化6】

式中
はC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、C~C200ヘテロアルケン基、C~C200アルキン基、C~C200ヘテロアルキン基、C~C200環状基、またはC~C200ヘテロ環状基;そして
fは2である。
【0054】
ある実施態様において、化合物は式(VI)の化合物であり、式中RはC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、またはC~C200ヘテロアルケン基;そしてfは2である。さらなる実施態様において、化合物は式(VI)の化合物であり、式中RはC~C60アルキル基、C~C60ヘテロアルキル基、C~C60アルケン基、またはC~C60ヘテロアルケン基;そしてfは2である。
【0055】
いくつかの実施態様において、ジオールは、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、C36ダイマージオール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。さらなる実施態様において、ジオールは、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、C36ダイマージオール、水素化C36ダイマージオール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。1つの実施態様において、ジオールは、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、C36ダイマージオール、水素化C36ダイマージオール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。
B.付加的成分
【0056】
さらなる実施態様において、組成物はさらに、(i)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、またはそれらの組み合わせ、および(ii)少なくとも1つのポリオールと、少なくとも1つの式(VII)の化合物とを反応させることを含んでいてよい。
【化7】

式中
はC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、C~C200ヘテロアルケン基、C~C200アルキン基、C~C200ヘテロアルキン基、C~C200環状基、またはC~C200ヘテロ環状基;そして
10はH、C~C22アルキル基、C~C22アルケン基、またはC~C22環状基である。
【0057】
ある実施態様において、化合物は式(VII)の化合物であり、式中RはC~C200アルキル基、C~C200ヘテロアルキル基、C~C200アルケン基、またはC~C200ヘテロアルケン基;そしてR10はH、C~C22アルキル基、C~C22アルケン基、またはC~C22環状基である。さらなる実施態様において、化合物は式(VII)の化合物であり、式中RはC~C60アルキル基、C~C60ヘテロアルキル基、C~C60アルケン基、またはC~C60ヘテロアルケン基;そしてR10はH、C~C22アルキル基、C~C22アルケン基、またはC~C22環状基である。
【0058】
いくつかの実施態様において、式(VII)の化合物は、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、トロパ酸、リシノール酸、イソリシノール酸、レスケロール酸、デンシポリ酸、オーリコール酸、ジモルフェコール酸、ヒドロキシパルミトレイン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシオレイン酸、2-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。さらなる実施態様において、式(VII)の化合物は、リシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。
a.比率
【0059】
いくつかの実施態様において、本反応におけるカルボキシル官能基(~COOH)およびカルボキシルエステル官能基(-RCOOR-)のヒドロキシル官能基(-OH)に対する比率は、約1.5:1から約1:1.5の範囲にあってよい。他の実施態様において、本反応におけるカルボキシル官能基(~COOH)およびカルボキシルエステル官能基(-RCOOR-)のヒドロキシル官能基(-OH)に対する比率は、約1.25:1から約1:1.25の範囲にあってよい。さらなる実施態様において、本反応におけるカルボキシル官能基(~COOH)およびカルボキシルエステル官能基(-RCOOR-)のヒドロキシル官能基(-OH)に対する比率は、約1.5:1、約1.45:1.05、約1.4:1.1、約1.35:1.15、約1.3:1.2、約1.25:1.25、約1.2:1.3、約1.15:1.35、約1.1:1.4、約1.05:1.45、または約1:1.5であってよい。
【0060】
別の実施態様において、本反応におけるカルボキシル官能基(~COOH)およびカルボキシルエステル官能基(-RCOOR-)のヒドロキシル官能基(-OH)に対する比率は、約1.2:1から約1:1.2の範囲にあってよい。さらなる実施態様において、本反応におけるカルボキシル官能基(~COOH)およびカルボキシルエステル官能基(-RCOOR-)のヒドロキシル官能基(-OH)に対する比率は、約1.2:1、約1.15:1、約1.1:1、約1.05:1、約1:1、約1:1.05、約1:1.1、約1:1.15、約1:1.2であってよい。
C.ゲルまたはペースト
【0061】
ある実施態様において、エラストマーは砕いて、架橋ポリエステルエラストマーの粉末を形成してよい。
【0062】
ある実施態様において、組成物は本願で記載するようにエラストマーを溶媒で剪断することによって調製されて、剪断されたゲルを形成してよい。別の実施態様において、組成物は本願で記載するようにエラストマーを溶媒と組み合わせ、それによって混合物を形成し、その混合物を剪断することによって調製されてよい。ある実施態様において、組成物はゲルまたはペーストである。さらなる実施態様において、組成物はゲルである。
【0063】
いくつかの実施態様において、溶媒は以下に記載する如きものである。
【0064】
いくつかの実施態様において、ゲルの粘度は0.1s-1の剪断速度でレオメーターによって測定して、約10cPから約1,000,000cPであってよい。別の実施態様において、ゲルの粘度は約30,000cPから約500,000cPであってよい。いくつかの実施態様において、ゲルの粘度は約10cP、約1,000cP、約5,000cP、約10,000cP、約15,000cP、約20,000cP、約25,000cP、約30,000cP、約35,000cP、約40,000cP、約45,000cP、約50,000cP、約55,000cP、約60,000cP、約65,000cP、約70,000cP、約75,000cP、約80,000cP、約85,000cP、約90,000cP、約95,000cP、約100,000cP、約150,000cP、約200,000cP、約250,000cP、約300,000cP、約350,000cP、約400,000cP、約450,000cP、約500,000cP、約550,000cP、約600,000cP、約650,000cP、約700,000cP、約750,000cP、約800,000cP、約850,000cP、約900,000cP、約950,000cP、または約1,000,000cPであってよい。
【0065】
いくつかの実施態様において、ゲルはレーザー回折粒子径分析器によって測定して、約1μmから約500μmの粒子径で構成される。別の実施態様において、ゲルは約25μmから約400μmの粒子径で構成される。いくつかの実施態様において、ゲルは約1μm、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約75μm、約100μm、約125μm、約150μm、約175μm、約200μm、約225μm、約250μm、約275μm、約300μm、約325μm、約350μm、約375μm、または約400μmの粒子径で構成される。
【0066】
ある実施態様において、エラストマーは本願に記載する方法を使用して調製されてよい。
III.方法
A.エラストマーの調製方法
a.エステル化反応
【0067】
ある実施態様において、本開示は(i)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、またはそれらの組み合わせを第1の溶媒中で(ii)少なくとも1つのポリオールと反応させ、それによって架橋ポリマー構造を形成することを含む、エラストマーの調製方法に向けられている。
【0068】
いくつかの実施態様において、本願に説明するエラストマーの調製方法は、環境に優しいプロセスにおいて生成される。追加的な実施態様において、本願に説明するエラストマーの調製方法は、毒性のある原材料を使用しない。さらなる実施態様において、本願に説明するエラストマーの調製方法は、毒性のある副生物を生成しない。
【0069】
いくつかの実施態様において、エラストマーの調製は窒素雰囲気、真空、およびこれらの組み合わせの下に行われる。
【0070】
さらなる実施態様において、エラストマーの調製は100Paから20,000Paの範囲にある真空下で行われる。
b.水の除去
【0071】
ある実施態様において、本方法はさらに、反応系から水を除去することを含んでいる。さらなる実施態様において、水は反応系から、反応物を混合および加熱することによって除去される。ある実施態様において、反応は約120℃を超えて加熱されてよい。いくつかの実施態様において、水は反応系から、窒素流または真空によって除去される。
【0072】
エステル化反応から水を除去するための他の方法は、技術分野の当業者に一般的に知られている。
c.触媒
【0073】
ある実施態様において、組成物はさらに触媒を含んでいてよい。こうした触媒には、限定するものではないが、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、硫酸、アミドスルホン酸、スルファミン酸、重硫酸ナトリウム、リン酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ネオデカン酸ビスマス、クエン酸ビスマス(III)、塩化ビスマス(III)、酢酸ビスマス(III)、リン酸ビスマス(III)、塩化スズ、ピロンスズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキシド、ブチルスズ酸、塩化亜鉛、臭化亜鉛、カルボン酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒドロキシ硝酸亜鉛、ヒドロキシ酢酸亜鉛、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、コカミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、およびこれらの組み合わせが含まれる。さらなる実施態様において、触媒はp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、ネオデカン酸ビスマス、およびこれらの組み合わせである。さらなる実施態様において、触媒はメタンスルホン酸であってよい。
【0074】
追加的な実施態様において、このプロセスはさらに(a)架橋ポリマー構造を第2の溶媒と組み合わせ、それによって膨潤した架橋ポリマー構造を形成し、そして(b)膨潤した架橋ポリマー構造に剪断力を作用させ、それによって均一なポリエステルエラストマーを形成することを含んでいる。
【0075】
いくつかの実施態様において、剪断力は任意の種類の混合および剪断装置によってもたらされてよい。さらなる実施態様において、混合および剪断装置は、バッチ式ミキサー、プラネタリミキサー、1軸または多軸スクリュー押出機、動的ミキサーまたは静的ミキサー、コロイドミル、ホモジナイザー、Sonolator(インライン高圧乳化分散システム)、またはそれらの組み合わせであってよい。
d.成分
i.ポリカルボン酸
【0076】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのポリカルボン酸は上記した式(I)の化合物であってよい。
【0077】
ある実施態様において、少なくとも1つのカルボン酸はジカルボン酸であってよい。ある実施態様において、ジカルボン酸は上記した式(II)の化合物であってよい。
ii.ポリカルボン酸エステル
【0078】
ある実施態様において、少なくとも1つのポリカルボン酸エステルは上記した式(III)の化合物であってよい。ある実施態様において、少なくとも1つのポリカルボン酸エステルはジカルボン酸エステルであってよい。いくつかの実施態様において、ジカルボン酸エステルは上記した式(IV)の化合物であってよい。
iii.ポリオール
【0079】
ある実施態様において、少なくとも1つのポリオールは上記した式(V)の化合物である。
【0080】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのポリオールはジオールである。いくつかの実施態様において、ジオールは上記した式(VI)の化合物である。
iv.付加的な成分
【0081】
さらなる実施態様において、組成物はさらに、(i)少なくとも1つのポリカルボン酸、少なくとも1つのポリカルボン酸エステル、またはそれらの組み合わせ、および(ii)少なくとも1つのポリオールを、少なくとも1つの上記した式(VII)の化合物と反応させることを含んでいてよい。
v.溶媒
【0082】
ある実施態様において、反応は溶媒の存在下に行われてよい。いくつかの実施態様において、溶媒はバイオ系または天然物から誘導されたものであってよい。ある実施態様において、溶媒はトリグリセリド系溶媒、モノエステル系溶媒、ジエステル系溶媒、クエン酸エステル系溶媒、エーテル系溶媒、カーボネート系溶媒、炭化水素系溶媒、シリコーン系溶媒、およびこれらの組み合わせであってよい。
【0083】
ある実施態様において、溶媒はトリグリセリド系であってよい。ある実施態様において、トリグリセリド系溶媒は式(VIII)の化合物であってよい。
【化8】

式中
11、R12、およびR13は独立してC~C35アルキル基、C~C35ヘテロアルキル基、C~C35アルケン基、およびC~C35ヘテロアルケン基である。
【0084】
ある実施態様において、化合物は式(VIII)の化合物であり、式中R11、R12、およびR13は独立してC~C17アルキル基またはC~C17アルキレン基である。
【0085】
ある実施態様において、トリグリセリド系溶媒は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリヘプタノイン、コーン油、大豆油、オリーブ油、菜種油、綿実油、ヤシ油、アーモンド油、アルゴン油、ローズヒップ油、ブラックシード油、グレープシード油、アボカド油、アンズ核油、ゼラニウム油、ラベンダー油、ローズヒップ油、マカダミア油、ユーカリ油、イワシ油、ニシン油、ベニバナ油、亜麻仁油、ひまわり油、オリーブ油、キャノーラ油、ごま油、綿実油、パーム油、菜種油、桐油、魚油、ピーナッツ油、クフェア油、トウワタ油、アッケシ油、鯨油、ヒマシ油、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。さらなる実施態様において、トリグリセリド系溶媒は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリヘプタノイン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。
【0086】
ある実施態様において、溶媒はモノエステル系であってよい。ある実施態様において、モノエステル系溶媒は式(IX)の化合物であってよい。
【化9】

式中
14はC~C35アルキル基、C~C35ヘテロアルキル基、C~C35アルケン基、またはC~C35ヘテロアルケン基;そして
15はH、C~C35アルキル基、C~C35ヘテロアルキル基、C~C35アルケン基、またはC~C35ヘテロアルキレン基である。
【0087】
ある実施態様において、化合物は式(IX)の化合物であり、式中R14はC~C17アルキル基またはC~C17アルケン基、そしてR15はC~C17アルキル基またはC~C17アルケン基である。
【0088】
ある実施態様において、モノエステル系溶媒は、ココカプリル酸/カプリン酸、ココカプリル酸、ココカプリン酸、ホホバ油、ホホバエステル、ホホバ脂肪酸イソプロピル、マカダミ酸エチル、ラウリン酸イソアミル、ウンデシレン酸ヘプチル、イソステアリン酸メチルヘプチル、イソステアリン酸イソステアリル、リシノール酸グリセリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ブチル、ヤシ油脂肪酸エチルヘキシル、パルミチン酸エチルヘキシル、ステアリン酸エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、ベヘン酸イソセチル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸プロピレングリコール、エルカ酸オクチドデシル、乳酸アルキル(C12~C13)、乳酸アルキル(C12~C15)、乳酸イソステアリル、乳酸グリセレス-5、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸オレイル、安息香酸ラウレス-2、安息香酸アルキル(C12~C15)、安息香酸(C12~C15)パレス-3、安息香酸ジプロピレングリコール、サリチル酸イソデシル、サリチル酸アルキル(C12~C15)、サリチル酸トリデシル、イソノナン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、エチルヘキサン酸イソデシル、イソノナン酸イソデシル、エチルヘキサン酸トリデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソステアリル、イソノナン酸セテアリル、ラウレス-2エチルヘキサン酸、エチルヘキサン酸セテアリル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸ミリスチル、ベヘン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸トリデシル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0089】
さらなる実施態様において、モノエステル系溶媒は、ココカプリル酸/カプリン酸、ココカプリル酸、ホホバ油、ラウリン酸イソアミル、イソステアリン酸メチルヘプチル、乳酸アルキル(C12~C13)、乳酸アルキル(C12~C15)、乳酸ラウリル、イソノナン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、エチルヘキサン酸イソデシル、イソノナン酸イソデシル、エチルヘキサン酸トリデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソステアリル、イソノナン酸セテアリル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。よりさらなる実施態様において、モノエステル系溶媒は、ココカプリル酸/カプリン酸、ココカプリル酸、ラウリン酸イソアミル、イソノナン酸イソノニル、ウンデシレン酸ヘプチル、ホホバ油、ホホバエステル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0090】
ある実施態様において、溶媒はジエステル系溶媒であってよい。ある実施態様において、ジエステル系溶媒は式(X)、式(XI)、または式(XII)の化合物であってよい。
【化10】

【化11】

【化12】

式中
16はC~C35アルキル基、C~C35ヘテロアルキル基、C~C35アルケン基、またはC~C35ヘテロアルケン基;および
17およびR18は独立して、H、C~C35アルキル基、C~C35ヘテロアルキル基、C~C35アルケン基、またはC~C35ヘテロアルケン基である。
【0091】
ある実施態様において、化合物は式(X)、式(XI)、または式(XII)の化合物であり、式中R16はC~C10アルキル基またはC~C10アルケン基、そしてR17およびR18は独立してC~C12アルキル基またはC~C12アルケン基である。
【0092】
ある実施態様において、ジエステル系溶媒は、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、ジイソステアリルダイマー、リンゴ酸ジイソステアリル、ステアロイルオキシステアリン酸イソステアリル、ステアロイルオキシステアリン酸イソセチルステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、ジエチルヘキシルリンゴ酸、マレイン酸ジエチルヘキシル、ジプロピレングリコールジベンゾエート、アジピン酸ジカプリル、マレイン酸ジカプリリル、ジイソプロピルダイマー、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、ジイソステアリルダイマー、コハク酸ジエチルヘキシル、ジエチルヘキサン酸ジエチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸ネオペンチルグリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。さらなる実施態様において、ジエステル系溶媒は、アジピン酸ジカプリル、マレイン酸ジカプリリル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。
【0093】
ある実施態様において、溶媒はクエン酸エステルであってよい。ある実施態様において、クエン酸エステルは式(XIII)の化合物であってよい。
【化13】

式中
19、R20、R21、およびR22は独立してH、C~C35アルキル基、C~C35ヘテロアルキル基、C~C35アルケン基、またはC~C35ヘテロアルケン基である。
【0094】
ある実施態様において、化合物は式(XIII)の化合物であり、式中R19、R20、およびR21は独立してC~C10アルキル基またはC~C10アルケン基、そしてR22はアセチル基である。
【0095】
ある実施態様において、クエン酸エステル系溶媒は、クエン酸トリカプリリル、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリイソセチル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される化合物であってよい。
【0096】
ある実施態様において、溶媒はエーテル系溶媒であってよい。ある実施態様において、エーテル系溶媒は式(XIV)の化合物であってよい。
【化14】

式中R23およびR24は独立してH、C~C20アルキル基、C~C20ヘテロアルキル基、C~C20アルケン基、またはC~C20ヘテロアルケン基である。
【0097】
ある実施態様において、化合物は式(XIV)の化合物であり、式中R23およびR24は独立してC~C20アルキル基である。
【0098】
ある実施態様において、エーテル系溶媒は、ジカプリリルエーテル、ジデシルエーテル、パンテニルエチルエーテル、ジセチルエーテル、ジミリスチルエーテル、ジステアリルエーテル、ジステアリルエーテル、ジラウリルエーテル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。さらなる実施態様において、エーテル系溶媒は、ジカプリリルエーテル、ジデシルエーテル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。
【0099】
ある実施態様において、溶媒はカーボネート系溶媒であってよい。ある実施態様において、カーボネート系溶媒は式(XV)の化合物であってよい。
【化15】

式中
25およびR26は独立してH、C~C20アルキル基、C~C20ヘテロアルキル基、C~C20アルケン基、またはC~C20ヘテロアルケン基である。
【0100】
ある実施態様において、化合物は式(XV)の化合物であり、式中R25およびR26は独立してC~C20アルキル基である。
【0101】
ある実施態様において、カーボネート系溶媒は、ジカプリリルカーボネート、ジエチルヘキシルカーボネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。
【0102】
ある実施態様において、炭化水素系溶媒は、ファルネセン、水素化ファルネセン、ココナッツアルカン、ココナッツ/パーム核油アルカン、C~C12アルカン、C10~C13アルカン、C12~C17アルカン、C13~C14アルカン、C13~C15アルカン、C14~C17アルカン、C14~C19アルカン、C14~C20アルカン、C14~C22アルカン、C15~C19アルカン、C21~C28アルカン、C17~C23アルカン、C~C12イソアルカン、C~C13イソアルカン、C~C14イソアルカン、C~C16イソアルカン、C10~C11イソアルカン、C10~C12イソアルカン、C10~C13イソアルカン、C11~C12イソアルカン、C11~C13イソアルカン、C11~C14イソアルカン、C12~C14イソアルカン、C12~C15イソアルカン、C12~C20イソアルカン、C13~C14イソアルカン、C13~C16イソアルカン、C14~C16イソアルカン、C15~C19イソアルカン、ジエチルヘキシルシクロヘキサン、ウンデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ドコサン、スクワラン、水素化ポリイソブテン、ポリブテン、水素化ポリデセン、水素化ジデセン、鉱油、パラフィン油、ワセリン、ドデカン、イソヘキサデカン、イソドデカン、イソエイコサン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。さらなる実施態様において、炭化水素系溶媒は、ファルネセン、水素化ファルネセン、ココナッツアルカン、C~C12アルカン、C13~C15アルカン、C14~C19アルカン、C14~C20アルカン、C14~C22アルカン、C15~C19アルカン、C13~C16イソアルカン、ドデカン、ウンデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、スクワラン、イソドデカン、イソヘキサデカン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。別の実施態様において、炭化水素系溶媒は、水素化ファルネセン、ココナッツアルカン、C~C12アルカン、C13~C15アルカン、C13~C16イソアルカン、C14~C19アルカン、ドデカン、テトラデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0103】
ある実施態様において、溶媒はシリコーン系溶媒であってよい。いくつかの実施態様において、シリコーン系溶媒は、ジメチコン、フェニルジメチコン、カプリリルメチコン、エチルトリシロキサン、シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。
【0104】
ある実施態様において、反応における第1の溶媒は、合計重量の約10%から約70%の量で存在してよい。ある実施態様において、反応における第1の溶媒は、エポキシ化された植物油、架橋剤、および溶媒の合計重量の約20%から約70%の量で存在してよい。さらなる実施態様において、第1の溶媒は、カルボン酸、アルコール、および溶媒の合計重量の約30%から約50%の量で存在してよい。別の実施態様において、第1の溶媒は、合計重量の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、または約70%の量で存在してよい。
vi.温度
【0105】
ある実施態様において、反応は約60℃から約250℃の温度において生じてよい。ある実施態様において、反応は約50℃から約225℃、約75℃から約200℃、約100℃から約195℃、約125℃から約180℃、または約120℃から約180℃の温度において生じてよい。さらなる実施態様において、反応は約120℃から約180℃の温度において生じてよい。別の実施態様において、反応は約100℃、約110℃、約115℃、約120℃、約125℃、約130℃、約135℃、約140℃、約145℃、約150℃、約155℃、約160℃、約165℃、約170℃、約175℃、約180℃、約185℃、約190℃、約195℃、約200℃、約205℃、約210℃、約215℃、約220℃、約225℃、約230℃、約235℃、約240℃、約245℃、または約250℃の温度において生じてよい。
vii.時間
【0106】
ある実施態様において、反応時間は約1時間から約72時間であってよい。さらなる実施態様において、反応時間は約6時間から約24時間であってよい。さらなる実施態様において、反応時間は約8時間から約27時間であってよい。別の実施態様において、反応時間は約6時間、約6.5時間、約7時間、約7.5時間、約8時間、約8.5時間、約9時間、約9.5時間、約10時間、約10.5時間、約11時間、約11.5時間、約12時間、約12.5時間、約13時間、約13.5時間、約14時間、約14.5時間、約15時間、約15.5時間、約16時間、約16.5時間、約17時間、約17.5時間、約18時間、約18.5時間、約19時間、約19.5時間、約20時間、約20.5時間、約21時間、約21.5時間、約22時間、約22.5時間、約23時間、約23.5時間、約24時間、約24.5時間、約25時間、約25.5時間、約26時間、約26.5時間、または約27時間であってよい。
e.ゲルまたはペースト
【0107】
ある実施態様において、本願に記載のエラストマーからゲルまたはペーストを、上述の方法によって調製することができる。ある実施態様において、均一なポリエステルエラストマーは砕いてエラストマー粉末を形成してよい。ある実施態様において、均一なポリエステルエラストマーは処理してゲルまたはペーストとされる。さらなる実施態様において、均一なポリエステルエラストマーはゲルである。
【0108】
ある実施態様において、ポリエステルエラストマーはゲルを作成するように処理する前に溶媒と混合される。
【0109】
ある実施態様において、ポリエステルエラストマーはゲルを作成するように処理する前に溶媒中で膨潤される。別の実施態様において、ポリエステルエラストマーが溶媒中で膨潤される時間は1時間から1週間である。
【0110】
ある実施態様において、ポリエステルエラストマーと溶媒の混合物はホモジナイザーによって処理されてゲルが生成される。
【0111】
いくつかの実施態様において、ゲルの粘度は上記に記載の如くである。いくつかの実施態様において、ゲルは上述した径の粒子から構成される。
IV.パーソナルケア配合物
【0112】
本開示の追加的な実施態様においては、本願に記載のエラストマーはパーソナルケア配合物中に取り入れられてよい。いくつかの実施態様において、本願に記載のエラストマーから調製されたゲルは、パーソナルケア配合物中に取り入れられてよい。
【0113】
いくつかの実施態様において、パーソナルケア配合物はさらに、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、ガムまたは増粘剤、油、ワックス、香料、精油、乳化剤、界面活性剤、およびこれらの組み合わせを含んでいてよい。
【0114】
ある実施態様において、パーソナルケア配合物は、デオドラント、制汗剤、スキンクリーム、フェイシャルクリーム、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ムース、ヘアスタイリングジェル、ヘアスプレー、保護クリーム、口紅、ファンデーション、頬紅、メイクアップ、マスカラ、スキンケアローション、モイスチャライザー、フェイシャルトリートメント、パーソナルクレンザー、洗顔料、バスオイル、香水、シェービングクリーム、プレシェーブローション、アフターシェーブローション、オーデコロン、サシェ、または日焼け止めのようなパーソナルケア用品であることができる。
V.付加的な配合物
【0115】
他の実施態様において、本開示の製品、すなわち架橋ポリエステルエラストマーは、医薬品、殺生物剤、除草剤、殺虫剤、またはその他の生物学的に活性な物質を含む配合物に添加されてよい。
【0116】
いくつかの実施態様において、本開示の製品、すなわち架橋ポリエステルエラストマーは、水および水溶性物質を疎水系に取り入れるために使用されてよい。他の実施態様において、本開示の製品、すなわち架橋ポリエステルエラストマーは、そのままの状態または完成した状態において油相のレオロジー特性、物理特性、またはエネルギー吸収特性を変性させてよい。
VI.ゲルの使用
【0117】
1つの実施態様において、本開示は本願に記載のゲル組成物をパーソナルケア用品のようなパーソナルケア配合物に使用することに関する。パーソナルケア用品は、上述したいずれかであることができる。
実施例
【0118】
以下の実施例は、本開示の種々の実施態様を例証するために含まれている。技術分野の当業者には理解されねばならないが、以下の実施例に開示された技術は、本開示の実施において良好に機能することが本発明者らによって見出された技術を表しており、かくして本開示の実施について好ましい態様を構成すると考えることができる。しかしながら、技術分野の当業者は理解しなければならないが、本開示に照らせぱ、本開示の思想および範囲から逸脱することなしに、開示された具体例に対して多くの変更を行うことが可能であり、そして依然として同様の、または類似の効果を得ることができる。
実施例1:エステル化によるポリエステルエラストマーの調製
【0119】
撹拌、加熱および水の留去が可能な装置を備えた適切な容器に、110gの水素化ダイマー酸を140gの水素化ひまし油と共に加えた。次いで250gのヘミスクワランを溶媒として加えた。最後に1.25gのメタンスルホン酸を添加した。すべての成分を撹拌下に仕込んだ後に、マスの温度を140℃に昇温し、水は生成されるにつれて除去した。この温度を4~8時間、またはゲル化が生ずるまで保持し、ポリマーエラストマーが形成された。その後にエラストマーを機械撹拌により砕いて粉末とした。
実施例2:エステル化によるポリエステルエラストマーの調製
【0120】
撹拌、加熱および水の留去が可能な装置を備えた適切な容器に、50gのセバシン酸を200gの水素化ひまし油と共に加えた。次いで250gのヘミスクワランを溶媒として加えた。最後に1.25gのメタンスルホン酸を添加した。すべての成分を撹拌下に仕込んだ後に、マスの温度を140℃に昇温し、水は生成されるにつれて除去した。この温度を4~8時間、またはゲル化が生ずるまで保持し、ポリマーエラストマーが形成された。その後にエラストマーを機械撹拌により砕いて粉末とした。
実施例3:エステル化によるポリエステルエラストマーの調製
【0121】
撹拌、加熱および水の留去が可能な装置を備えた適切な容器に、227gのダイマー酸を280gの水素化ひまし油と共に加えた。次いで500gのジカプリリルエーテルを溶媒として加えた。最後に2gのメタンスルホン酸を添加した。すべての成分を撹拌下に仕込んだ後に、マスの温度を140℃に昇温し、水は生成されるにつれて除去した。この温度を16~24時間、またはゲル化が生ずるまで保持し、ポリマーエラストマーが形成された。その後にエラストマーを機械撹拌により砕いて粉末とした。
実施例4:エステル化によるポリエステルエラストマーの調製
【0122】
撹拌、加熱および水の留去が可能な装置を備えた適切な容器に、65gのダイマー酸を80gの水素化ひまし油および20gの12-ヒドロキシステアリン酸と共に加えた。次に200gのテトラデカンを溶媒として加えた。最後に1gのメタンスルホン酸を添加した。すべての成分を撹拌下に仕込んだ後に、マスの温度を130℃に昇温し、水は生成されるにつれて除去した。この温度を12~18時間、またはゲル化が生ずるまで保持し、ポリマーエラストマーが形成された。その後にエラストマーを機械撹拌により砕いて粉末とした。
実施例5:ポリエステルエラストマーからのポリエステルゲルの調製
【0123】
放置しても分離しない非常に良好なエラストマーを生成した後に、380gのココ-カプリル酸/カプリン酸を容器内に添加して120gのエラストマーと混合した。ゲルとこの溶媒の混合物を容器内に12時間放置した後に、ガウリン社のホモジナイザーでホモジナイズして、パーソナルケア配合物に使用するのに適した、クリーム状で非常に平滑な粘稠度の半透明なゲルを生成した。
実施例6:天然油/水ファンデーションの調製
【0124】
天然油/水ファンデーションの成分を表1に列挙する。
【表1】
【0125】
相Aの成分を混合し撹拌しながら50℃に加熱する。相Bは粉末を溶媒混合物で濡らし、ホモジナイズする。ホモジナイズした混合物を相Bの残りに加えて50℃に加熱する。相Bを相Aに加え、内容物が均一になるまで10分間混合する。相Cを加え、ホモジナイズする。
実施例7:天然油/水ファンデーションの調製
【表2】
【0126】
相Aを混合して50℃に加熱する。粉末を溶媒で濡らし、滑らかになるまでホモジナイズする。相Bの残りを加えて50℃に加熱する。混合しながら相Aを相Bにゆっくりと加える。相A+Bをホモジナイズする。冷却し、相Cを加える。
実施例8:顔料を有するマットな口紅の調製
【表3】
【0127】
相Aの成分を混合し、均一になるまで70℃に加熱する。型に注ぐ。
実施例9:ナチュラルプライマーの調製
【表4】
【0128】
すべての成分を混合し、コールズミキサーを使用して80~90℃に加熱した。オイル増粘剤が溶解したことを確認し、次いで混合物を広口瓶に注いで一晩放冷した。
実施例10:モイスチャライジングスキンクリームの調製
【表5】
【0129】
相Аのすべての成分を混合し、75℃に加熱する。相Вのすべての成分を混合し、70℃に加熱する。強く撹拌しながら相Bを相に加える。混合物を1~2分間ホモジナイズする。穏やかに撹拌しながら50℃まで冷却する。防腐剤および香料を所望に応じて加え、十分に混合する。
実施例11:水中油型日焼け止めの調製
【表6】
【0130】
キサンタンガムをグリセリンおよびブチレングリコールで濡らす;相Aの成分の残りを加え、均一になるまで40℃に加熱する。相Bの成分を混合し、均一になるまで70~80℃に加熱する。相Cを相Bに加えて混合する。相B+Cを相Aにゆっくりと加える。混合物を1分間にわたり11,000rpmでホモジナイズする。冷却し、防腐剤を加える。
他の実施態様
【0131】
本明細書で言及したすべての刊行物、特許、および特許出願は参照を行うことによってそれらの全体が、個々の刊行物、特許、または特許出願のそれぞれが参照を行うことによって具体的かつ個別に取り入れられると示された場合と同程度に取り入れられる。本出願における用語が参照によって取り入れられた文書におけるものと異なる定義であることが見出された場合には、本願において提示された定義がその用語についての定義として用いられる。
【0132】
本発明はその特定の実施態様に関して説明されてきたが、理解されるように本発明はさらなる修正が可能であり、そして本出願は、全般的に本発明の原理に従い、本発明の属する技術において既知でありまたは慣用されており、これまでに記載した本質的な特徴に適用可能であり特許請求の範囲にしたがう本開示の展開を含む、本発明のすべての変更、使用、または適合を包含することを意図している。

【国際調査報告】